苗木「江ノ島さんを更生させてみた」 (1000)

ロンパ1のネタバレを盛大に含みます
原作未プレイ・アニメ視聴中の人は気を付けてください

ロンパ2のキャラも少しでてくるかも

最初の方しか書いてないんで、のんびりやります
読んでってくれると嬉しい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1378056901

苗木「ある日、江ノ島さんが破滅願望を持っているって気づいたんだ」

江ノ島「破滅願望じゃねーっての、絶望願望だっての」

苗木「僕たちはそんな江ノ島さんを救おうとした」

江ノ島「無視とか絶望的です……あと救わなくていいです……」

苗木「そこで不二咲さんが用意してくれたのがこれだ」

江ノ島「何このでかい機械」

苗木「なんでもこれで脳を電気的に操作して、人格を書き換えることができるらしい」

江ノ島「不二咲ぱねえなおい」

苗木「これで、江ノ島さんを更生させてみせる!」

江ノ島「正体バレて人格書き換えられちゃうとか絶望的! けど勘弁! 逃げるぜッ!」ダッ

大神「すまぬな、そうもいかないのだ」ガシッ

江ノ島「オーガ出てくるとかいくら私様でもむーりぃー」

苗木「ということで、始めるよ!」ポチッ



エノシマさんがクロにきまりました。
こうせいをかいしします。



江ノ島「うっ……」

苗木「これで治るはずだけど……」


『お昼』

江ノ島「あーお腹すいたー。絶望的にお腹すいたー」

桑田「おい苗木、あれほんとに治ってんのかよ?」

苗木「たぶん……」

戦刃「盾子ちゃん!」

江ノ島「あら残念なお姉さま。どうしました?」

戦刃「盾子ちゃんに渡されたお金、ちょっぴり足りなくてお弁当買えなかったよどうしよう!」

江ノ島「うぷぷ、だってわざと少な目に渡したんだもーん」

戦刃「えっ?」

江ノ島「今からもう一度行ってももう売り切れてますよね……お腹すいてるのにお昼食べれないって絶望的ですよね……。つーか周りの知り合いから金借りりゃいいだろうが! これだからあんたは残念なんだよ!」

戦刃「うぅ……」

江ノ島「はあああああんん!!お腹すいた!絶望的ッ!!!」

戦刃「お腹すいたよう……」キュー

桑田「治ってねーじゃんこのアポ!?」

苗木「ほ、本当だ! 不二咲さん!」

不二咲「ええ? そんなはずは……」


江ノ島「はあああ絶望!!!絶望的!!ぜ、絶ぼ、う、うううぅ……お腹すいたよぅ……」

苗木「えっ」

江ノ島「なえぎ~、お腹すいたご飯ちょうだい……」グスッ

霧切・舞園「」ガタッ

苗木「え、えっと、江ノ島さん? 空腹の絶望感を堪能してたんじゃ……」

江ノ島「なんかさー、本能的に? 絶望? 求めちゃうんだけどさ?」

苗木「う、うん」

苗木(やっぱり失敗?)

江ノ島「でもその絶望を喜べないんだよね……フツーにつらい……」

苗木(なにそれかわいい)

江ノ島「こ、こんな体にしたのは苗木なんだから! 責任取りなさいよね!」

苗木「」

霧切・舞園「」

こんな感じで、つい絶望を求めるけどそれで勝手に辛くなる妹様のほのぼのした話になる予定です
たぶん

正直こんなにレス着くと思ってませんでした
ありがとうございます、頑張って責任とります!


キーンコーンカーンコーン

苗木「よし、今日の授業はこれで終わりか」

桑田「苗木ー、この後ひま?」

苗木「うん。特に予定はないけど」

桑田「じゃあカラオケでも行こうぜ!」

苗木「あっいいね! ちょうど歌いたい曲あったんだ。他には誰か誘うの?」

桑田「それなんだけどよ……。ちょっとこっち来い」チョイチョイ

苗木「ん?」

桑田「舞園ちゃん誘ってきてくんねーか? ほら、俺が誘うとがっついてるように思われそうだからよ」コソコソ

苗木「ええー? それくらい自分で誘おうよ……」

桑田「頼む苗木! 一生のお願いだから!」

苗木「それ一昨日も言ってなかった? まあいいけどさ」

苗木(僕も舞園さんとカラオケに行きたいしね)

江ノ島(……おいおいおいカラオケだとォ? 『超高校級のギャル』の本領、見せちまうか? だがしかし、あえて不機嫌オーラを放つことで誘わせないッ! なんてぼっち! なんて絶望ッ!!)


苗木「あ、あのさ、舞園さん」

舞園「なんですか苗木くん?」

苗木「これから桑田くんとカラオケ行こうと思うんだけど、一緒にどうかな」

苗木(あれ? これって僕ががっついてるように見えないか?)

舞園「大丈夫ですよ、苗木くんはそんな人じゃないってわかってますから。あ、でもがっついてくれてもいいんですよ?」

苗木「えっなんで!?」

舞園「ふふふ、エスパーですから」

苗木「あ、それ久しぶりだね」

舞園「だって最近の苗木くん、わりとなんでも口に出してますし」

苗木「ええ~そうかな?」

舞園「そうですよ!」

江ノ島(なげーよ!! いつまでイチャコラしてんだよ!! 付き合いたてのカップルか!!!)

朝日奈「霧切ちゃんどうしたの? 難しい顔しちゃって」

霧切「……いえ、なんでもないわ。今調査してる事件の報告がこの後あるから、それについて考えていただけよ」

霧切(今までカラオケに行ったことがないことをここまで悔やむことになるなんて……!)


舞園「あ、それでカラオケの話なんですけど、私も今日は用事なくて暇だったんで喜んで行かせてもらいますね!」

苗木「本当!? ありがとう!」

舞園「桑田くん以外には誰か来るんですか?」

苗木「他はこれから誘おうかなって」

苗木(桑田くんにはとにかく女子を誘いまくれって言われてるんだよなあ……)

舞園「じゃあ帰りの支度してるんで、行くときに声かけてくださいね」

苗木「うん、わかった。それじゃちょっと待っててね!」

舞園「はいっ」

舞園(小泉さんに写真撮ってもらう約束、明日にしてもらうようメールしなきゃ)

江ノ島(舞園さんってー、たしか昼に『写真家』に声かけられてたよねー? 苗木優先なんだねー、うぷぷぷ)


苗木「さて、教室にまだ残ってるメンバーの中でカラオケに行きそうな人となると……。あ、朝日奈さーん!」

朝日奈「んー? 苗木どうしたの?」

霧切(こっちにキター!!)

苗木「これから桑田くんたちとカラオケ行くんだけど、一緒にどうかな?」

朝日奈「ごめーん! 今日はさくらちゃんと隣町までドーナツとプロテイン買いに行こうと思ってて」

苗木「そっか……。あ、たまには霧切さんもどうかな、カラオケ」

霧切(私の時代到来! 生きててよかったわ!)

霧切「しょ、しょうがないわね。苗木くんがそこまで言うなら――――」


朝日奈「ダメだよ苗木! 霧切ちゃんはこれから調査の報告に行くんだから」

霧切(さっき言ったそれはごまかすための嘘ぉぉぉ!!!)

苗木「そうだったんだ、それはしょうがないね……。今度は一緒に行こうね、霧切さん! 報告頑張って!」

霧切「え、ええ……誰の心配をしているの……苗木くんのくせに生意気よ……」

霧切(私って、ほんと馬鹿……)

江ノ島(あちゃー霧切自爆しちゃったか。見栄張って嘘つくから。さて次はこの私様かな? 来なさい苗木誠。声をかけるのもはばかれるくらいの不機嫌オーラを見せてあげるわ!)

江ノ島「……」ゴゴゴ

戦刃「ひっ盾子ちゃん怒ってる? ご、ごめんなさいっ」


苗木「江ノ島さ――――」

江ノ島「……」ゴゴゴゴゴ

苗木(めっちゃ不機嫌!? あれはさすがに誘えないな……)

戦刃(あっ! 苗木くんだー!)

戦刃「苗木くん、何か用?」

苗木「あ、えっと、戦刃さん。この後カラオケでもどうかなーって……」

戦刃「からおけ!」

戦刃(私行ったことない! 苗木くんもいるし行ってみようかな!)

江ノ島「……お姉ちゃん?」ゴゴゴ

戦刃「は、はいっ」ビク

江ノ島「この後。予定」ゴゴゴ

戦刃「えっなんかあったっけ?」

江ノ島「あ っ た よ ね ?」ゴゴゴ

戦刃「あっ、あった! かも!?」アセアセ


苗木「そ、そっか、じゃあまた今度誘うね」

戦刃「うん、ご、ごめんね……」

苗木「いいよいいよ。それじゃ!」

戦刃「うん! またねー!」

江ノ島「……」

戦刃「はあ、からおけ行きたかったなあ。盾子ちゃん、予定ってなんだっけ?」

江ノ島「そんなものないですど」キリッ

戦刃「ええっ!?」

江ノ島「お姉さま絶望しました? 絶望しました? 本当はカラオケに行きたいのにあえて断る! それ以前に誘わせすらしない! はあああああんんん絶望的いいいい!!!」

戦刃「そ、そんなあ……」グスッ

江ノ島「絶望……てき……」


江ノ島「……」

江ノ島「ううぅ、やっぱりカラオケ行きたいよぅ……寂しいよぅ……」

戦刃「ええー!?」

江ノ島「なーえーぎー! さっきの無し! やっぱ行くー!!」

苗木「ほ、本当に!? 予定あるなら無理しなくてもいいんだよ?」

江ノ島「いやーよく考えたらあれ明日だったわ。舞園と同じで、ね」

舞園「」ギクッ

苗木「??」

戦刃(やった! からおけ!)

桑田(うおおおおお!! 女子3人!!!)


舞園「そういえばさっきチラッと聞こえましたけど、苗木くんの歌いたい曲ってなんなんですか?」

苗木「え!? べ、別になんでもいいじゃん。あはは……」

江ノ島「なになに? 隠さなきゃなんないような恥っずかしい曲でも歌おうとしてたわけー?」ニヤニヤ

苗木「ち、違うよ! 普通の曲だよ!」

舞園「じゃあ教えてくれたっていいじゃないですか?」

苗木「ど、どうしても言わなきゃダメ?」

桑田「あったりめーだろこのアホ! ほら言ーえ、言ーえ!」

苗木「わかったよ! 言うってば! そ、その……舞園さんの、新曲、なんだけど……」

舞園「ええっ私の!?」///

苗木「う、うん……」///


江ノ島(何こいつらゲロ甘。絶望的だわーつらいわー)

戦刃(舞園さんの曲覚えれば、次は苗木くんと一緒に歌えるかも!?)

江ノ島(あれ? なんでこいつらがイチャついてると私が絶望するんだ?)

桑田(なんか俺空気じゃね?)



むくろ日記
『今日はカラオケに行きました。
舞園さんと盾子ちゃんがうまかったです。100点って、すごいんだよね?
私はフェンリルで行った国の軍歌を歌えて嬉しかったです。
苗木くんと桑田くんはふつうの高校生のカラオケしてた。って盾子ちゃんが言ってた。
でも私は、苗木くんの歌が一番好きだったなあ』

以上になります
カラオケの話書いてたら今追っかけてるロンパSSでカラオケ始まって焦った
深刻な残姉の幼児化…

1です
日付変わるんでトリップつけます


石丸「苗木くん! おはよう!」

苗木「うん。おはよう、石丸くん」

石丸「昨日は君を含めて何人か、寮に帰ったのが門限ぎりぎりだったそうじゃないか! 何をやっていたのかね?」

江ノ島「カラオケ行ってただけだっつーの……」

石丸「むむ、江ノ島くんおはよう! カラオケだと!? 君達は学生の本分が勉強であると理解しているのかね!」

江ノ島「『超高校級のギャル』としてカラオケ行く義務があったんだよ……」

石丸「なるほど! それは失敬した、門限を破らない範囲でギャルの本分を全うしてくれたまえ!」

江ノ島「はいはい……」

苗木「江ノ島さんなんか疲れてる? それに戦刃さん、今日は一緒じゃないんだ」

江ノ島「なーえーぎぃー、あんたのせいだかんねー」

苗木「??」


江ノ島「うちの残念なお姉ちゃんが歌教えてとか言うから遅くまで付き合ってたんだよ」

苗木「ああ、カラオケ行ったせいで……」

江ノ島(あんたとカラオケ行ったせいで、ね)

苗木「でも江ノ島さんがそういうのに付き合うって珍しいね」

江ノ島「だってあの戦場では負け知らずのお姉ちゃんが超絶音痴だったんですもん……聴いてるだけで絶望的なんですもん……。でもよォ! 音痴な歌聴くの辛いからそこそこ歌えるようにしてやったぜヒャッハー!」

苗木(人格変わって面倒見がよくなってるのかな)

苗木「その戦刃さんは?」

江ノ島「寝落ち」

苗木「え?」


江ノ島「こともあろうにあの残姉、寝ちまいやがったんだ……私より先に……。しかもあいつ、フェンリル時代の癖で寝てる時に近づくやつがいたらついコロッとヤッちまうからよ……」

苗木「えと、じゃあまだ寝てるの?」

江ノ島「そうだよー! 目覚ましセットしてないから昼過ぎまで起きないと思うよー! うーん絶望てきー!」

苗木「大変だったね……」

江ノ島「うん、なんかもう朝からつらい……。苗木くん頭撫でてください……」

苗木「ええっ!? いくらなんでも教室でそんなこと!」

江ノ島「あら? 苗木くんは2人っきりになれるところで私の頭を撫でたいということですか?」

苗木「そ、そういう意味じゃないよ!」


舞園「それで、顔赤くなっちゃった戦刃さんすっごく可愛かったんですよ! あ、おはようございまーす」ガララッ

霧切「へえ、それは珍しいわね。私も次は絶対に行くわ。おはよう」

江ノ島「あたしの頭撫でるのがそんなにイヤなの!?」

苗木「そんなことはないけど!」

霧切・舞園「「何やってるのよ(んですか)!!!」」

江ノ島「ちぃ、邪魔が入ったか!」

舞園「江ノ島さん今までそんな素振り見せてなかったのに!」

霧切「そういうことならとことん邪魔させてもらうわよ」

江ノ島「うわー苗木のことでこの2人が結託するとはね……」

苗木「え、僕?」

舞園「ななな苗木くんは関係ないです! そう! 風紀が乱れてます!」

霧切「そうよ今は苗木くんの話なんてしていないわ。苗木くんのくせに調子に乗りすぎよ!」


石丸「なんだね!? 僕が兄弟と語り合っている間に風紀が乱れていただと!?」

江ノ島・霧切・舞園「「「石丸(くん)は呼んでない!!」」」

石丸「う、うむ……」タジ

大和田「兄弟、この手の話に割って入っちゃあいけねえぜ……」

苗木「あ、あはは……」



セレス「……」

不二咲「朝からにぎやかだねえ。江ノ島さんが明るくなってよかったよ」

セレス「不二咲さん。後で江ノ島さんを更生させたプログラムについてお聞きしたいことがあるのですが」

不二咲「うん? なに?」

セレス「お昼にでも、他の人に聞かれないようなところでお話ししましょうか」

不二咲「?? うん、いいよ」


そしてお昼。

セレス「江ノ島さんの更生は概ね成功のようですわね」

不二咲「うん! まだつい絶望を求めてはいるけど、それを辛いと感じるせいか規模も小さなものに限られてるしね」

セレス「ですが、それ以外の部分の人格も変わっていませんこと?」

セレス(苗木くんへ好意を寄せるようになっていますわよね)

不二咲「ええ? そうかなあ」

セレス「あのプログラム、どうやって人格を矯正したのです?」

不二咲「えっとぉ、セレスさんにも人格データのサンプリングに協力してもらったよね?」

セレス「ええ。たしか私の他にも数名からサンプリングしたとか」


不二咲「うん。何人かの人格データを突き合わせて、その共通部分を標準人格データとしたんだ。それで江ノ島さんに上書きしたんだよ」

セレス「共通部分……?」

不二咲「標準人格データを一から作るのは無理だからね。かといってセレスさんのをそのまま使うと、セレスさんと同じ人格になっちゃうんだ。だから、女の子何人かにお願いして、標準的な女の子の人格を再現してみたんだ」

セレス「今の江ノ島さんは、標準的な女の子である、と?」

不二咲「でも江ノ島さんの人格を完全に上書きするわけにもいかないから、標準人格データと比較して特に差異の大きいところだけを修正したんだ」

セレス「そうですか……。ところで、そのサンプリング対象は?」

不二咲「えぇっと、セレスさん、舞園さん、霧切さん、それと戦刃さんだよ! 4人もいれば個人的人格データの混入はまずないはずだよ!」

セレス「……」

セレス(その4人って、全員苗木くんのことを……それが江ノ島さんにも……?)

セレス「……」

セレス「またライバル増えてんじゃねええかあああああ!!!! シイィィィット!!!」

不二咲「え、ええ!? なに!?」ビクッ

ここまでになります
明日はもしかすると投下できないかも
時間できたら書くけど

セレスさんの指しゃぶりたいよね


戦刃「お、おはようございます!」

朝日奈「……戦刃ちゃん、もう今日の授業1つしか残ってないよ」

戦刃「あうぅ、えと、こんにちは?」

大神「随分と遅い登校だが、何か用事でもあったのか?」

戦刃「寝坊しちゃって……」

大神「珍しいな。お主はいつも規則正しい生活を送っているものと思っていたのだが」

戦刃「夜更かしよくない……。あれ? 盾子ちゃんは?」

朝日奈「お昼休みに眠いって言って保健室に寝に行っちゃったんだよねー。2人で夜更かししたの?」

戦刃「うん、2人でからおけの練習してた!」

腐川「ふ、2人で夜通し声を出す練習ですって!? し、姉妹でなんていかがわしいことしてるのよ!」

朝日奈「え!? そういうことなの!?」

戦刃「違うよ!?」


腐川「だ、騙されるもんですか……! あんたたちいつも一緒にいるし、き、近親的なナニやってるんでしょう!」

江ノ島「なわけねーだろ」

腐川「ひいい江ノ島盾子!!」

戦刃「盾子ちゃん!」

江ノ島「おいおいおいなんでこの私様がこの残念な姉とデキてる設定なんだよこの――――」

戦刃「盾子ちゃん、おはよー!」

江ノ島「……うん、おはよ」ハァ

朝日奈(授業休むのに罪悪感感じて戻ってきてたりして。そうだったら可愛いなー)

江ノ島(保健室に1人って結構寂しいんだな)


十神「……」

十神「ふん、ああしていると普通の女子高生だな。つい先日、自分たちは『超高校級の絶望』などと名乗っていたくせに」

十神「なあ、霧切。そう思わないか」

十神「……」

十神「……霧切?」

霧切「ちょっと黙ってて十神くん。今重大な話し合いをしているの」

舞園「そうです! 今は『江ノ島さん対策委員会』の会議中なんですから!」

十神「なに……!?」

十神(江ノ島が更生したように見えるのは演技で、まだ対策は怠れないということか!?)


霧切「だいたい急に苗木くんと仲良くなりすぎなのよ。何よ責任とってもらうって! まだ何もしてないけど私だって責任とってもらいたいわよ!」

舞園「そうです! ことあるごとに苗木くんに泣きつきすぎです! 苗木くんはもう少し突き放してあげた方が本人のためなんです!

十神「……」

セレス「ですが更生プログラムによって不安定になっているのですから、苗木くんがそれを拒めないのは仕方のないことですわ。お二人とも、みっともないですわよ」

舞園「ううー、セレスさんは苗木くんのことなんとも思ってないからそう言えるんです!」キリーツ

セレス「私にとって彼はCランクの男。それだけですわ」レイ

セレス(と言って2人の進展具合を把握させていただいてるわけですが。まったく、単純ですこと)チャクセーキ

霧切「私にとって苗木くんはSランクよ!」ドヤァ

十神「霧切、静かにしろ。授業が始まっているぞ」

短いけどここまで
できれば寝る前にもう1回投下したい
妹様の出番少なくてごめんね…


――

江ノ島「あー終わった終わった。わかってることを今さら教えられる授業って絶望的に退屈だよねー」

戦刃「そ、そんなに簡単だった?」

江ノ島「ええ、あれくらい常識だと思いますが。相変わらずお姉さまの頭は残念ですね」

戦刃「ごめん……」

江ノ島「……明日は幸いにも休日だ。この私様が直々に勉強を教えてやろう!」

戦刃「ほんと! ありがとー!」

セレス「まあ。江ノ島さんが戦刃さんに優しいとは珍しいですこと」

江ノ島「ただの気まぐれですし……別に他意はないですし……」

山田「むむ! 江ノ島盾子殿のツンデレいただきましたぞー!!」

戦刃「私それ知ってる! 盾子ちゃんツンデレだー!」

江ノ島「お姉ちゃん後でお仕置きね」

戦刃「ええー!?」


セレス「あれ以降随分と変わりましたわね。特に戦刃さんと、苗木くんに対して」

戦刃「苗木くん?」

江ノ島「……」

江ノ島「あいつお人好しだからねー。それこそ他意はないよ。便利ってだけ。ほんとにそれだけ」

セレス「……でしょうね。貴女はどちらかといえば彼を苦手に思っているようでしたから」

セレス(この様子だと、まだ自覚はしていないようですわね)

山田「とか言っちゃってー、これもツンデレですかな? うん?」ムフフ

江ノ島「だから苗木のことなんてなんとも思ってねーし! ただちょっと辛いときに頼りやすいってだけだし! あとあの装置のスイッチ押したのあいつだから責任感じてもらわなきゃなんないし! そりゃ他の男に比べりゃ優しいとは思うけど? そんなん絶望的にお人好しなだけだし? たしかにあたしが絶望って知ってもあいつずっと優しかったけど?」


山田「えーっと、自分で言ってて顔が赤くなってきてますぞ? ってまた苗木誠殿ですかくっそおおおお!!!」

江ノ島「ちげーしほんとになんも思ってねーし! バーカこの豚バーカ!!」ダッ

戦刃「あっ盾子ちゃん帰るの!? 待ってよー!」

山田「あふん……バカって言われた……。けどなぜか嫌な気はしないですな」ホクホク

セレス「……」

山田「にしても、赤面する江ノ島盾子殿とは。いやはやなんというか……滾るッ!!」ムッハー!

セレス「……」

山田「さっきから黙ってるけど、どうかしましたかな? 安広た――――」

セレス「何自覚する後押ししてんだこのビチグソがああああああ!!!! あとそのダッセエ名前で呼ぶんじゃありませんわよおおおお!!!??」

山田「あひん踏まないで! あっやっぱやめないで!!」プギイイイ

友達から借りたジョジョが面白い
次からしばらく苗木と妹様のターンです。たぶん


女子寮・江ノ島の部屋

江ノ島「苗木、ねえ」

江ノ島「……」

江ノ島「私が絶望って知っても今までと変わらず接してくるなんて、ほんとお人好し」

江ノ島「他のやつはあの機械で人格弄られるまで、近寄ろうともしなかったっけ」

江ノ島(腐川は今でも怯えてるし、十神はまだ警戒してるみたいだし)

江ノ島(舞園と霧切は別の意味で警戒してるよねー。あたしが苗木のこと、なんてあるわけないっつーのに)

江ノ島「あーでも苗木を独占すればあの2人と、ついでに残姉ちゃんを絶望させられるかなー」

江ノ島「……」

江ノ島「うん、あいつらを絶望させるためだし。それだけだし」


男子寮・苗木の部屋

苗木「ふう、ようやく明日は土曜日か。今週は疲れたなあ」

苗木「江ノ島さんを更生させる準備が大詰めだったもんな。それがうまくいったからって浮かれてカラオケ行ったからさらに疲れたよ……」

苗木「……」

苗木「人格の書き換え、ね」

苗木(これでよかったんだよね? 江ノ島さん自身のためにも)

苗木「にしても今日は江ノ島さんと戦刃さん帰るの早かったな。舞園さんと霧切さんもさっそとどっか行っちゃうし」

苗木「まあそのおかげで今日はゆっくり休めるんだけど」

苗木「あれ? 僕もしかして女子としか交流がない?」

苗木「……」

苗木「いやそんなことないよね、桑田くんともよく遊ぶし! 女癖が悪いわけないよね!」

苗木「なにせ産まれてから1度もデートとかしたことないんだから!」

苗木「自分で言ってて虚しくなってきたな……」


Prrrrrr Prrrrrr!

苗木「ん、電話か。江ノ島さんから?」

苗木「はいもしもし」

江ノ島『やっほー苗木、明日デートしよ!』

苗木「ブハッ! え、ええ!? デート!?」

江ノ島『どうなの? 行くの、行かないの?』

苗木「いやいやちょっと待ってよ江ノ島さん!」

江ノ島『なに、もしかして明日用事あった?』

苗木「いやないけどさ」


江ノ島『用事がないのに苗木くんは私のお誘いを断るんですね……絶望的です……やべ本当につらい』グスッ

苗木「待って、そういうわけじゃ――――」

江ノ島『んじゃ明日の朝9時に女子寮前ね! それじゃっ』ブツッ

ツー、ツー、ツー

苗木「そんな勝手な……」

苗木「まあ、不安定な江ノ島さんには誰か付いてた方がいい、かな」

苗木「にしてもデートって……確実にからかわれてるよなあ……」


江ノ島の部屋

江ノ島「あー誘っちゃった誘っちゃった。あれ、明日ってなんか予定あったような」

江ノ島「まあ、思い出せないってことは! 大したことじゃねえってことだッ!」

江ノ島「明日出発するときにお姉さまにメールで教えてあげましょう……絶望してくれますよね……」

江ノ島「舞園さんと霧切さんはー、教えたら追ってきそうだし月曜に自慢すればいいよねー。たっくさん絶望しそうだねー、楽しみだねー。うぷぷぷぷ」

江ノ島「別に苗木と遊びに行くのが楽しみってわけじゃないし」

江ノ島「……」

江ノ島「はぁ、とっとと飯食って寝よ」



戦刃の部屋

戦刃「明日は盾子ちゃんに勉強教えてもらうんだー! 楽しみー!」

次からデート回
デート後にシリアス入れるか、このままほのぼの学園生活やるか迷う…

よし、基本ほのぼのにします
真面目な話はシリアスになりすぎないようちょこっとだけ入れる

残姉はフェンリル行ってたからまともに教育受けてないと思うんだ
保健体育とか特に


土曜日午前9時・女子寮前

苗木「ふわぁ~」

苗木「緊張してなかなか寝付けなかったな。なんだかんだで人生初デートだし」

苗木「江ノ島さんはそんなことないんだろうな、はぁ……」

苗木「ていうかこれ、本当にデートなのか?」

苗木「……江ノ島さん来ないな」

江ノ島「……」ソローリ

江ノ島「わっ!」ダキツキ

苗木「うわあ!? 江ノ島さん!?」

江ノ島「だーれだ、ってやろうとしたのにもうバレてるとか……絶望的です……」

苗木「あ、ごめん」


江ノ島「しかし時間通りに来るとはよい心がけだ。褒めてつかわす!」

苗木「えと、江ノ島さん女子寮の入り口じゃない方からきたよね? その、もしかして待たせちゃった……?」

江ノ島「……」

江ノ島「待ってねーし。今来たとこだし」

江ノ島(この私様とのデートなんだから15分前に来るのが常識ってもんだろ……すげー絶望的な15分だったぜ……)

苗木「そっか……ありがとね!」

江ノ島「ほ、ほら行くよ!」

苗木「あっ待ってよ江ノ島さん!」

江ノ島(やべーなぜか一睡もできなかったせいで絶望的にねみい……)


江ノ島の部屋の前

戦刃「盾子ちゃーん、勉強教えてー」コンコン

戦刃「盾子ちゃーん?」コンコン

戦刃「お留守かな?」

戦刃「どこにいるんだろ……そうだ、電話で聞けばいいよね!」

戦刃「あれ? 盾子ちゃんからメールきてる」

『残念なお姉ちゃんへ。今日は苗木とデートしてくるね! うぷぷぷぷ!
 P.S. 霧切と舞園にこのこと漏らしたらお仕置きだから』

戦刃「えっ」

戦刃「でーと!?」

戦刃「盾子ちゃん勉強教えてくれるって約束は!?」


苗木「それで江ノ島さん、これからどこに行くの?」

江ノ島「おいおいおい苗木、普通デートプランってのは男が決めてくるもんだろ?」

苗木「ええ!? でも昨日いきなり誘ってきたのは江ノ島さんじゃないか」

苗木(一応デートってことになってるんだ)

江ノ島「まあ行くとこ決まってんだけどね。ちょうど観たい映画あるんだー」

苗木「あはは、映画館か……」

苗木(江ノ島さんらしいマイペースっぷりだなあ)

苗木(映画館に女の子と行くなんて、妹と行った以来かな? あのときは僕が弟に見られてたなあ……)

江ノ島「なえぎー、なに遠い目してんのー? おーい?」


学生寮・食堂

戦刃「はぁ……」

戦刃(お勉強……私も苗木くんとでーと行きたかったなあ……)

セレス「どうしたのですか、溜息なんてついて。それに江ノ島さんを見かけませんが、今日は一緒ではないのですね」

戦刃「セレスさん……」

戦刃(セレスさんに言うなとは書いてなかったよね、あのメール)

戦刃「勉強教えてもらう約束だったんだけど、盾子ちゃん苗木くんとでーと行っちゃって……」

セレス「あら、そうでしたか」

セレス「……」

セレス「はあああああアアア!!!??」

戦刃「ひう!?」

デート回始まり
また明日ー

おう二時間後だな
お疲れさん

>>85
ふぁっ!?


映画館前

江ノ島「えーいがっかんー!」

苗木「なんか、イメージしてたより、その……」

映画館「」ボロッ

苗木「ふ、雰囲気があるね」

江ノ島「リバイバル上映がメインだからねー、ニッチな需要に応えて生き残ってるんだ。中はそんなボロくないよ」

苗木「へえー、穴場ってやつか」

苗木「ていうか……江ノ島さん変装した方がよかったんじゃ……」チラッ

「きゃーあれ江ノ島盾子じゃない!?」
「本物!?」
「ちょっとサインもらってきなよ!」
「隣の彼氏?」
「まっさかー、弟でしょ」
「江ノ島盾子が弟と映画観にきてるなう、と」


苗木(また弟扱い……)

江ノ島「ああいうのは声かけてこないうちは無視でいいの。ほら入るよ」

苗木「あっうん! ところで何を観るの?」

江ノ島「これこれ」

苗木「えーっと、『ミリオンダラー・ベイビー』? ボクシングの話?」

江ノ島「そだよ、女子プロボクサーとコーチの絆の話。観たことあった?」

苗木「ううん、ないよ。けどボクシング映画ならロッキー観たことあるし、結構好きなほうかな!」

江ノ島「そっかそっか。アカデミー賞も取ってるし楽しめると思うよ。んじゃチケット買ってくるねー」

苗木「待ってよ江ノ島さん! 僕も払うって!」

江ノ島「いーのいーの、代わりにお昼奢ってよねー」

苗木「行っちゃった……ほんと、マイペースだな」ハハ

江ノ島(絶望的な気持ちでご飯奢ってねー! うぷぷ!)ニヤニヤ

めちゃくちゃ短くてすまん
まじでまた明日!


2時間後

江ノ島「苗木、どうだった?」ニヤニヤ

苗木「……」

苗木「江ノ島さん、この映画の結末知ってたでしょ……」

江ノ島「あ、バレた?」

苗木「いい映画だとは思うけど……なんていうか、後味悪いね……すごく……」

江ノ島「でしょ!? はあああこの絶望感を劇場で味わうために毎日リクエスト出したかいがあったわあああ!! この苗木の絶望的な顔も合わさってサイッコーに絶望的!!!」ゾクゾク

苗木(やっぱりそういうことか……けど今の江ノ島さんだと……)


江ノ島「最高に絶望的! 快感に絶望的! はあああやっぱり後味の悪い映画は誰かと観た方が絶望的よねえええ!!」

江ノ島「絶……望……」

江ノ島「ふえ……」グス

江ノ島「マギー……。ふええマギー……」グスッ

江ノ島「なんで死んじゃったのぉ……そんなのってないよおおお!!」ブワッ

苗木(ああー泣いちゃった!?)

苗木「ちょ、江ノ島さん!? ちょっと落ち着こう、ね!」

江ノ島「こんなに絶望的に悲しいのに落ち着くとか……無理ですしぃ……ひっく……」エグ

苗木「あーもう! ほらあのお店入ろう! とりあえず座ろうか、ね!」

江ノ島「うっ……えぐっ……うん……」グスッ

カランカラーン
イラッシャイマセー


??「……」

???「苗木くんと江ノ島さんが喫茶店に入ったようですわね」

??「……」

???「少し経ったら私たちも入りますわよ」

??「……」

???「どうかしましたか?」

??「ううぅ……盾子ちゃぁん……」グスッ

???「なにもらい泣きしてんだダアホッ!!」

※ミリオンダラー・ベイビーは、そういうのが苦手な人にはとても後味が悪く感じられる映画です

1時間前・女子寮にて

セレス「霧切さん、少しお時間よろしいでしょうか?」コンコン

セレス「霧切さん?」コンコン

ガタッ ドタドタ ゴンッ バタン

戦刃「なんの音だろ?」

ガチャッ

霧切「あ、あら、セレスさんに戦刃さん。な、なにか用かしら?」ハー、ハー

セレス「その通りですけど、何をしていらしたんですの?」

霧切「いえ、ちょっと散らかっていた服を急いで片づけただけよ。ほら、扉を開けると中が見えてしまうでしょう?」ハー、ハー

戦刃「おー、霧切さんの部屋きれい!」


セレス「……」

セレス「あのしまい忘れている服、苗木くんのものに似ていますわね」

霧切「なっ!!?」バッ

セレス「あら、見間違いでしたわ」

戦刃「??」

霧切「……。それで、何の用かと聞いているのだけど?」

セレス「そうでしたわね。江ノ島さんを探しているのですけど」

戦刃『ちょ、ちょっとセレスさん!? 霧切さんに知られたらお仕置きされちゃうよ!』コソコソ

セレス『デートのことは伝えませんのでご心配なく』コソコソ


霧切「ちょっと何よ? 江ノ島さんって……もしかして苗木くんに関係することかしら?」ギロリ

戦刃(ひうっ)ビクッ

セレス「違いますわ。戦刃さんに勉強を教える約束だったのを、すっかり忘れて遊びに出かけてしまったそうなのです」

霧切「……。それで?」

セレス「たまには約束を守らせようと江ノ島さんを探したいのですけど、こういうことは『超高校級の探偵』である貴女にお聞きするのがよろしいと思いまして」

戦刃「そう! そうなの!」ウンウン

霧切「……江ノ島さんは目立つわ。いい意味で。つぶやき投稿型のSNSで検索をかければ、すぐに居場所はわかるんじゃないかしら」

セレス「なるほど、そういう手がありましたか。ありがとうございます」


霧切「……」

霧切「ねえ」

セレス「何か?」

霧切「 本 当 に 、 苗 木 く ん は 関 係 な い の ね ? 」

戦刃(霧切さん怖い!?)

セレス「ええ、もちろん」ニコ

霧切「その根拠は?」

セレス「だって苗木くんは今日、実家に戻っていますもの」

霧切「!!」


セレス「だから、もし誰かが苗木くんの部屋の鍵を開けることができて、中に入ったとしても……」

霧切「……」ゴクリ

セレス「彼が帰ってくる夜までに部屋を後にすれば、誰も気づきませんわね」ニコッ

霧切「……いい情報を聞いたわ。疑って悪かったわね」

セレス「いえいえ、お気になさらず」

戦刃「??」

セレス「さあ。行きますわよ、戦刃さん」

戦刃「う、うん! 霧切さんありがとね!」


喫茶店にて

苗木「落ち着いた?」

江ノ島「……」

イラッシャーセー

江ノ島「苗木よ、先ほどのことは忘れよ」

苗木「えっ?」

江ノ島「私様が忘れろと言ったら忘れろ! 忘れろ! 忘れろビームッ!」ポカポカ

苗木「ちょ、ははっ、ビームっていうか叩いてるだけじゃないか」

江ノ島「うううぅ~」///

苗木「でも泣いちゃったり、そうやって顔を赤くする江ノ島さんって、なんだか……その……新鮮で可愛いね」

江ノ島「は!? な、ななな!!? 当たり前じゃない、あたしは可愛いの! 今さら知ったのかっつーの!!」///

江ノ島(ちょっと油断するとこれだよ! こいつ天然タラシすぎんだろ!!)


苗木「ははは……っと、そろそろ何か頼もうか。約束通りお昼は僕が奢るよ」

江ノ島「なんか悔しいので、腹いせに苗木くんの財布の中身を絶望させてやります……」

苗木「ええ!? それは困るよ!」

江ノ島「……」

江ノ島「じょ、冗談だよー! うぷぷぷ!」

苗木「もう、江ノ島さんの冗談って冗談に聞こえないんだから」ハハ



戦刃「いいなあ盾子ちゃん、楽しそう……。私とりあえずお冷でいいです」

戦刃「ねー、セレスさ――――」

セレス「公共の場でイチャイチャしてんじゃありませんわよこのド腐れビッチが……!!」

戦刃「」ビクッ

セレス「あ、私はロイヤルミルクティーで」

この後どこに行かせよう…
おやすみ


ショッピングとかどうかな?

絶望的に怖いお化け屋敷で

妹様ってレクイエム・フォー・ドリーム好きだろうな
ミリオンダラーと違って釣れないけど

モバマスの森久保(本家むーりぃー)をカメオ出演させるのはDo-Dai?

>>114,115,116,117
デート案ありがとう、参考にさせてもらいました
お化け屋敷は今回入らないんで、いつか肝試しやります

>>118
観たことないけどたしかに妹様好きそうだ、今度観てみます

>>119
ごめん今回はむーりぃー


江ノ島「うーん美味しかった!」

苗木「うん、そうだね……」

苗木(食べさせ合いしたせいで周りの目が痛かったな……特にロイヤルミルクティーが美味しくないって怒ってた人たちの方なんて、目を向けられなかったよ……)

江ノ島(苗木を絶望的に恥ずかしがらせようとしたら私様も恥ずかしくなった。何を言っているかわからねえと思うが、私様にも絶望的にわからねえ)

苗木「次はどこに行くの?」

江ノ島「次こそは苗木が決める番っしょー!」

苗木「ええっ!? でも僕こういう経験ないし、江ノ島さんの方がいいところ知ってるんじゃ」

江ノ島「苗木くんにリードしてもらいたかったのに断られました……絶望的です……」

苗木「江ノ島さん、絶望的ってただの口癖になってない?」

江ノ島「ソンナコトナイヨー」


苗木「はぁ……。そうだ、ショッピングなんてどう? 僕あんまり服持ってないし、詳しくもないから、江ノ島さんに選んでほしいな!」

江ノ島「はあ? あたしが苗木の服を?」

苗木「うん、お願い!」

江ノ島「……いいでしょう。その代わり、私が持って来た服を必ず試着すること。よろしいですわね?」

苗木「もちろんだよ! 江ノ島さんが選んだ服なら間違いなさそうだなあ」

江ノ島「うぷぷぷ、じゃあ行こうかー。どこで買うのー?」

苗木「えっと、たしか3駅隣にアミューズメントパークと複合したショッピングモールがあったからそこにしよう!」

江ノ島「ああ、あの『超高校級の恋愛家』がプロデュースしたデートスポットね。なに苗木、誰かと行ったことあるの?」ニヤニヤ


苗木「えっそうなの!? 行ったことなんてないよ、妹が行きたいって言ってただけだよ! ていうか、そもそも女の子と2人で出かけること自体今日が初めてだしね……」

江ノ島「ふーんそっかー、じゃああたしが苗木の初めての相手かあ」ニヤニヤ

苗木「まあそうなるね」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「ほ、ほらさっさと行くよ!」///

苗木(今日の江ノ島さん、からかおうとしたらだいたい自爆してるよなあ)



戦刃「セレスさん! あの2人行っちゃうよ!」

セレス「苗木くんは私のナイト……苗木くんは私のナイト……苗木くんは私のナイト……苗木くんは私のナイト……苗木くんは私のナイト……」ブツブツ

戦刃「セレスさん!?」

1日空いた上に短くてすまん、ちょっと用事あるから外出ます…
なんとか今日中にデート最後まで書きたい

本能は絶望を望んでるのに理性や感情がそれを拒絶してる状態なんだよな江ノ島さん
その内自分の中の本能と人格のズレに耐えきれなくなって自我崩壊しそうとか妄想が捗る

>>133
ギクッ
シリアスルートだとそれに近いことになるはずだったけど回避されたよ


苗木「江ノ島さん……」

江ノ島「うん? どしたの苗木?」ニコニコ

苗木「この服、レディースだよね?」

江ノ島「そだよ。見りゃわかんじゃん」

苗木「えーっと、それをなんで僕に渡したのかな?」

江ノ島「え? あたしが選んだ服ならなんでも試着するって言ったでしょ?」

苗木「言ったけどさ!? でもレースたくさん付いたワンピース選んでくるとは思わないよ!?」

江ノ島「大丈夫。似合うから」

苗木「無理無理、それはさすがに無理だよ!」

江ノ島「えー、絶対似合うのになー」

苗木「そういう問題じゃないって!」


江ノ島「苗木くんは私が選んだ服を着てくれないんですね……絶望的です……約束したのに……」グスッ

「おいあの子泣いてるぜ」
「ていうかあれ江ノ島盾子じゃない?」
「まじ!? じゃあ隣のちっこいの彼氏!? 泣かせてんじゃねえよ!」
「盾子ちゃん楽しそう」
「あれボクっ娘ってやつ? 身長低いし」

苗木「ちょ、ちょっと江ノ島さん!?」

江ノ島「はぁ……似合うと思って一生懸命選んだんだけどな……」グス

苗木「……」

苗木「わかったよ、今回だけだからね?」

江ノ島「まじ!? ヒャッハー言ってみるもんだぜ!!」

苗木「やっぱり泣き真似じゃないか!?」

江ノ島「さあさあ、試着室行きましょうね誠ちゃーんっ!」

苗木「わ、わかったから! 押さないで! ねえ!」


試着室前

江ノ島「どう苗木? 着れたー?」

苗木「うん……とりあえずは着たけどさ……」

江ノ島「んじゃ、ごかいちょー!」シャッ

苗木「ちょっ、いきなり開けないでよ!」

苗木「……」

苗木「あの、江ノ島さん?」

江ノ島(いやいやいや、私様もね? 似合うとは思ってたんだけどね?)

苗木「その……似合う、かな……?」///

江ノ島(うわー予想外に似合いすぎてるんだが)


江ノ島「苗木、ちょっと動かないで」

苗木「え? うん……」

カシャッ

江ノ島「保存保存、っと」

苗木「ちょっと江ノ島さん!? なに写真撮ってんの!?」

江ノ島「気にしない気にしなーい」

店員「あの、お客様。ご購入なされない商品の撮影はご遠慮いただきたいのですが……」

江ノ島「あ、買うんで大丈夫でーっす」

苗木「はあ!!?」


江ノ島「はあああその絶望した顔!! そそるわあああ~!! けど残念ながらうちの残念なお姉ちゃん用だから安心していいよー」

苗木「ああ、そういうことね……。えっと、そろそろ着替えていい?」

江ノ島「あっもう何枚か撮らせて」

苗木「嫌だよ!?」

江ノ島「ほらお姉ちゃんに見せるための写真だからさ、ね!」

苗木「……もう、早く済ませてよ?」



セレス「まったく、苗木くんにあんなフリフリしたワンピースを着せるなんて……」パシャッ、パシャパシャッ、パシャ、パシャッパシャ

戦刃「苗木くんかわいー!」

セレス「呆れて物も言えませんわ、本当に」パシャパシャッ、パシャッ、パシャシャシャッ

というか希望と結婚して毎日顔付き合わせるって絶望的だよね

数時間後

江ノ島「なえぎー、このオシャレなパーカーとこの落ち着いたパーカー、どっちがいい?」

苗木「なんでさっきからパーカー縛りなの?」

江ノ島「苗木っていったらパーカーじゃん。アイデンティティーじゃん」

苗木「たしかにパーカーは好きだけど、そんなに着てるイメージあるかなあ……」

江ノ島「んでんで? どっちよ?」

苗木「どっちも好きだけど、うーん……落ち着いた方かな。そっちは僕にはオシャレすぎるよ」

江ノ島「こっちも似合うと思うんだけどなー。んじゃ、試着して来な」

苗木「いいよ、それ買おうか」

江ノ島「試着しないのん?」

苗木「うん、江ノ島さんがちゃんと選んでくれた服だし信じてるよ」


江ノ島「へえー、そっかそっか」ニヤニヤ

苗木「じゃあレジ行ってくるね!」

江ノ島「うむ、行ってくるのだ苗木よ!」

江ノ島「……」

江ノ島「あーりゃりゃ、値段くらい確認しなきゃダメだよー。うぷぷぷぷ!」ニヤニヤ

江ノ島「レジで絶望的に恥かくだろうなー」ニヤニヤ

江ノ島「苗木、恥かいちゃうだろうなあ……」

江ノ島「……」

江ノ島「苗木ちょっと待ってええええ!!」

苗木「はっ? 江ノ島さん? えっなに!?」


値札『58,000円也』ドーン

苗木「」

江ノ島「その……ごめん悪戯しちゃった……てへっ」テヘペロ

苗木「まあレジに並んでる途中に止めてくれて助かったよ、ははは……」

苗木(更生する前の江ノ島さんだったら止めてくれなかっただろうな……恐ろしい……)

苗木「もうしないでよ?」

江ノ島「わかってるって! この私様にまっかせなさーい!」

苗木(そのあと江ノ島さんはさっきみたいに落ち着いたパーカーをまた見つけてきてくれた。9,800円で僕にはちょっと高めだったけど、これからちょくちょく着るようにしよう!)

>>140
本能は絶望できるし、更生した妹様は普通に幸せだし、ハッピーエンドじゃないか


戦刃「盾子ちゃんけっこう服買ってるけど……」チラッ

セレス「あら新作が出ていたのですね。これもいただきますわ」

戦刃「セレスさんもたくさん買うんだね」

セレス「私の趣味に合う服は扱っている店が限られているのです。なので、気に入ったものがあるとついつい買ってしまうのですわ」

戦刃「あっ苗木くんやっと服買ったみたい。次行くみたいだよ」

セレス「あああ! あっちにまだ見たい服ありますのに!」

戦刃「見失っちゃうよ!」


苗木「江ノ島さん、たくさん買ったね……」ズッシリ

江ノ島「まあオシャレするのも『超高校級のギャル』であるあたしの仕事みたいなもんだしねー。いやー苗木が荷物持ってくれて助かるわー」

苗木「ふふ、まあ僕も男だしね。これくらいは当然だよ」

江ノ島「おっ、言ったなあ? じゃあもう3袋くらい追加で買おうか」ニシシ

苗木「ごめんなさいそろそろ限界です」

江ノ島「正直でよろしい。褒めてつかわす!」

苗木「ははー、ありがたきお言葉。なんてね」

江ノ島「なんか苗木くんにからかわれてる気がします……ちょっとショックです……」

苗木「そ、そういうわけじゃないよ!」


江ノ島「わかってるっつーの。おっ!」

苗木「ここから先はゲームセンターみたいだね。そういえばアミューズメントパークと複合してるんだっけ」

江ノ島「ねねっ、ちょっと遊んでこうよ」

苗木「いいよ。何する?」

江ノ島「あの2人プレイできるシューティングやんない? でもって、スコア低かった方は何でも1つ言うこと聞くってのはどう?」ニヤニヤ

苗木「ええ?」

江ノ島「そっちのが燃えるじゃん!」

苗木「いいけど、僕けっこう桑田くんとゲーセン行くからこういうのわりと得意だよ?」

江ノ島「あたしだって、渋谷ではゲーセン荒らしの江ノ島って呼ばれてたんだぜ? 嘘だけど。じゃ、コイン投入~!」

苗木「あっ待ってよ江ノ島さん!」


プレイ後

苗木「……江ノ島さん、このゲーム前にもやったことある?」

江ノ島「ないよー」

苗木(僕は1回やったことあったのにな……江ノ島さん店内スコア更新してるし……)

江ノ島「これで、苗木は私様の言うことをなんでも1つ聞かなきゃならなくなったッ!」

苗木「はあ……。それで、何をすればいいかな?」

江ノ島「んじゃあー……」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「思いつかないからまた後で!」

苗木(このまま忘れちゃったりしそうだな、はは)


江ノ島「あっそうだ、苗木プリクラ撮ろうよ」

苗木「プ、プリクラ!? それはいくらなんでも」

江ノ島「苗木くんは私とプリクラ撮るのがそんなに嫌なんですか……」グス

苗木「嫌ってわけじゃないよ! ただその、恥ずかしいっていうか……」

江ノ島「なになに、女の子とプリクラ撮ったことないわけー?」

苗木「そりゃそうだよ。今まで、デ、デートもしたことなかったんだからさ」

苗木(そういえば妹にせがまれて撮ったことあったけど、あれはカウントに入らないよなあ)

江ノ島「そういうことなら苗木の初体験いっただきー!」

苗木「江ノ島さん声大きい! あと引っ張らないで!」グイグイ

セレス「あんのビッチがあああ!!! 初体験いただき! じゃありませんわよおおお!!」

セレス「さすがにあれは阻止した方がいいかもしれませんわね。偶然を装って邪魔しますわよ」

セレス「……戦刃さん?」

戦刃「やった盾子ちゃん追い抜いた!」

セレス「なに全国ランク1位とってるんですかこの残念軍人!! あああ見失った!!? ファアアアックッッ!!!」


『モードを選んでね!』

江ノ島「ラブラブカップルモードっしょ!」

『イメージカラーは?』

江ノ島「ピーンク!」

『ポーズをとってね!』

江ノ島「ほら苗木、もっと近づかなきゃ!」

苗木「も、もう十分近くないかな!?」

『もーっと近づいて!』

江ノ島「ほらああ言ってるじゃん!」

苗木「ち、近い近い!」

江ノ島「なに照れてんのよー」

苗木「そりゃ照れるよ! ていうか、その、当たって……」

江ノ島「当ててんのよ、喜びなさい!」グイッ

苗木「ちょ、うわ!」

『ハイ、チーズ!』パシャッ

雑で申し訳ないけどプリクラ撮影中みたいな
http://i.imgur.com/JAmUySK.jpg

晩飯食ってきます

あ、ありがとうございます…!
もっとうまくなったらロンパ漫画描きたいなあ


江ノ島「うーんっ、今日は遊んだなー!」

苗木「そうだね。いい時間だし、そろそろ帰ろうか」

江ノ島「えー、もうちょい遊んでようよー」

苗木「でもこれ以上遅くなると、門限に間に合わなくなっちゃうんじゃ……」

江ノ島「そんなん別に破ったっていーいーじゃーんー」

苗木「石丸くんに怒られるよ?」

江ノ島「んー……そだ、最後に観覧車乗ってこうよ」

苗木「まあそれくらいなら大丈夫、かな」

江ノ島「そうと決まれば急ぐのだー!」

苗木「うわわ待ってよ江ノ島さん! こっちは荷物あるんだから!」


セレス「結局、あれから見つかりませんでしたわね」

戦刃「ご、ごめんなさい……」

セレス「過ぎたことを気にしても仕方ありませんわ。ディナーも食べたことですし、寮に戻りましょうか」

戦刃「うん……」

戦刃「あっ、セレスさんセレスさん!」

セレス「なんですか?」

戦刃「晩ご飯、おいしかったね!」

セレス「まあ、そこそこ食べられるものではありましたね」

戦刃「セレスさん、ツンデレ?」

セレス「……帰ったら腐れラードぶっとばす」



山田「ピギィ!? なぜか寒気が!?」ゾクゾクッ

「うまくなったら描く」じゃない、「描いたからうまくなる」んだ
というわけで漫画はよ

ゴゥン ゴゥン

苗木「うわあ、見て見て江ノ島さん! すっごい綺麗だね!」

江ノ島「苗木それ女の子の台詞じゃない?」

苗木「ええっそうかな!?」

江ノ島「ぷっ、ふふっ」

苗木「ちょっと、笑うことないでしょ!」

江ノ島「だってもう、今日の苗木ってば乙女すぎ! 試着で女装とかしちゃうし、ぷくくっ」

苗木「あれは江ノ島さんが無理やり着せたんじゃないか……」

江ノ島「あーたのしっ、ははっ!」

苗木「もう……」

江ノ島「きゃははっまじうける!」

苗木「はは……あははっ」


江ノ島「あー、笑った笑った」

江ノ島「……」

江ノ島「ねえ。今日さ、楽しかった」

苗木「僕も楽しかったよ」

江ノ島「なんつーかさ、最近、楽しいんだよ」

苗木「??」

江ノ島「デートとか、カラオケとか、他愛ない雑談とか。楽しいんだ」

苗木「それって……」

江ノ島「更生させられてから、だね」

苗木「……」

江ノ島「今までは楽しそうなフリをしてたことが、今は本当に楽しいって思えるの」

江ノ島「ありがとうね、苗木」


苗木「……」

苗木「僕は、江ノ島さんを更生させて……いや、人格を書き換えてよかったのか、よくわからない」

苗木「それは、元々の江ノ島さんの人格を否定してるから……」

江ノ島「けど、あたしは今、こうなってよかったって思ってる」

苗木「……そっか」

江ノ島「今でも前と同じように他人や自分を困らせたくはなるけどね」

苗木「それはもう少し抑えてほしいなあ、なんて」

江ノ島「慣れみたいなもんだからすぐには無理だって」

苗木「そっか」

江ノ島「うん」


苗木「……」

江ノ島「……」

江ノ島「本当に、ありがとうね」

苗木「さっきも聞いたよ」

江ノ島「もう1回言いたくなったの」

苗木「そっか」

江ノ島「そう」

苗木「……」

江ノ島「……」


江ノ島「ねえ、さっきの勝負のお願い」

苗木「え?」

江ノ島「言うこと1つ聞くって約束でしょ?」

苗木「覚えてたんだ」

江ノ島「もっちろん」

苗木「それで? どうするの?」

江ノ島「目、つむってて。それがお願い」

苗木「……はい、つむったよ」

江ノ島「……」

苗木「……」


江ノ島「目、開けないでよ?」

苗木「わかってるよ」

江ノ島「……」

苗木「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「もうちょっと」

苗木「はいはい」

苗木(江ノ島さんが近づいてきた……なんていうか、いい匂いだな……)

苗木(いや僕は決してそういう変な趣味があるわけではないけどね!)

苗木(まだ目開けちゃダメなのかな……)

苗木(あ、さらに近づいてきた)

苗木(これって、もしかして――――)


バシンッ

苗木「なっ、えっ、いったッ!」

江ノ島「キ、キスかと思った!? デ、デコピンでしたーっ!」///

苗木「デコピン!?」

江ノ島「なーに期待してんの苗木ぃ」///

苗木「べ、別にそんなこと……」///

苗木(まあ、ちょっとは期待したけどさ……)

江ノ島「あ、あーあれ見て苗木、キレイダネー」///

苗木「それさっき僕が言ったのと同じじゃないか、ははは……」

江ノ島「う、うるさいうるさい! わーすーれーろー!」///

舞園さん一筋だったのにこれ書き始めてからどんどん妹様好きになってきた
デート本編終わりです

>>171
なるほどね、描かなきゃね!
ネタ浮かんだらどっかで描きます


男子寮・苗木の部屋前

苗木「ふう、丸1日遊ぶのって久々だったな」

苗木「にしても江ノ島さんと、デ、デートしたのかあ……なんだか信じられないな……」///

苗木「ま、とりあえずシャワーでも浴びるか」ガチャ

霧切「」ビクッ

苗木「……」バタン

苗木「……」

苗木「は?」

苗木(ここ僕の部屋だよね? あれ?)

苗木(うん、オーケーオーケー、苗木誠っていうネームプレートがある)


苗木(よしもう1回)ガチャ

霧切「……」

苗木(……)

苗木(やっぱり霧切さんがいる!?)

霧切「違うのよ苗木くん。これはそう、調査よ。調査の一環なのよ」

苗木「調査って、今関わってる事件の?」

霧切「そうよ」

苗木「それは無理があるよ」

霧切「……」

霧切「そうかしら」


苗木「そうだよ。えっと霧切さん、その、僕の部屋……というより僕のベッドで何してたの……?」

霧切「……私たち、お互いに冷静になる必要があると思わない?」

苗木「僕は冷静なんだけど」

霧切「あなたきっと疲れてるのよ。じゃあまた明日ね」

苗木「ちょ、ちょっと霧切さん!」ガシッ

霧切「苗木くん、手を放し――――は?」

苗木「え? 霧切さん?」

霧切「」

苗木「おーい! 霧切さーん?」


舞園「なっえっぎくーん!」ムギュッ

苗木「うわあ舞園さん!? 何してんの!?」

苗木(ていうかなんでこの人たち普通に男子寮にいるの!? そりゃ入っちゃダメってわけじゃないけどさ!)

舞園「見てわかりませんか? 後ろから抱きついてるんです! あっ、後ろにいるから見えませんね」

苗木「ちょっ」

舞園「男子寮にいる理由なんて苗木くんに会いに来たからに決まってるじゃないですか! 今日は1日中撮影があったから苗木くん成分が不足してるんです!」

苗木「苗木くん成分!? あれ、ていうかなんで……」

舞園「エスパーですからっ!」

苗木「と、とりあえず離れよう舞園さん! ね!」

舞園「もう、しょうがないですね……」クルッ

舞園「というわけで! 舞園さやか、ただいま帰りまし――――」

苗木「う、うん。お帰りなさい。……舞園さん?」


舞園「……苗木くん、それ、なんですか?」

苗木「えっ何が?」

舞園「その、これ見よがしに服に貼ってある江ノ島さんとのプリクラ、なんなんですか!!?」

苗木「えっ、プリクラ? ああ! いつの間に!?」

苗木(まさか目をつむったとき!?)

舞園「なんで江ノ島さんとのプリクラがあるんですか! 説明してください!!」

霧切「そうよ苗木くん! 今日は実家に帰ったんじゃなかったの!? どういうこと!!?」

苗木「うわあ霧切さんが復活した!?」

舞園「さあ!!」

霧切「早く!!」

舞園・霧切「「説明して(ください)!!!」」

苗木(なにこれ……なんていうか、絶望、的……)ガックガック ユッサユッサ


江ノ島「今ごろ苗木、男子の誰かにプリクラ見られて質問攻めにされてるかなー」

江ノ島「絶望的な顔してるといいなあ、うぷぷぷっ」

江ノ島「まあこの私様とデートできたんだからそれくらいの絶望はあってもいいっしょ!」

戦刃「盾子ちゃーん、この教科書意味がわからないよお……」

江ノ島「少しは自分で考えろこの残姉ッ!!」

戦刃「ううぅ……」

江ノ島(あのとき……)

江ノ島(あのとき、観覧車でそのまま……)

江ノ島(あたしってもしかして苗木のことを……)

江ノ島「はぁ……絶望的ぃ……」

江ノ島(胸、苦しいなあ……)

戦刃「わ、私があまりにも残念すぎて盾子ちゃんが絶望しちゃった!?」

なんとかデート編終わり!
甘すぎて書いてて辛かった

SS速報で漫画貼るのどうかと思うんでそのうち舞園さんの挿絵というか絵描きます
ではではノシ


日曜日・苗木家

苗木「はあ、やっぱり実家は落ち着くなあ」

苗木「昨日の舞園さんたちが怖くて、思わず逃げてこっちに戻ってきちゃったよ……このベッドで寝るのも久しぶりだ……」

苗木「……と、思ってたんだけど」

苗木「なんで僕のベッドに妹が潜り込んできてんの?」

苗木妹「あ、あはは、ついいつもの癖で……」

苗木「いつもの癖!? そんなよくこのベッド使ってるの!?」

苗木妹「たまに! たまにだけだよ!」

苗木「まさか彼氏とか連れ込んでるんじゃ……」


苗木妹「ち、違うよ! そもそも私彼氏できたことないし」

苗木「そうなの? モテそうなのに」

苗木妹「告白はよくされるけどねー。好きでもない男と付き合うつもりないから、いつも断ってるよ」

苗木(やっぱり僕と違ってモテるんだな……)

苗木「ん? てことは好きな人はいるのか」

苗木妹「どうだろうねー、なーいしょっ! じゃあそゆことで!」

苗木「おいまだ話終わって……行っちゃった」

苗木「ほんと、なんで僕のベッドなんて使ってるんだか」

苗木妹(お兄ちゃん今週は帰ってこないって言ってたのにー!? ま、まあ直でお兄ちゃん成分補給できたし結果オーライかな?)///


学生寮・食堂

江ノ島「……」

葉隠「おっ、江ノ島っち今起きたんだべ? こいこいだべ」

江ノ島「まあね」キョロキョロ

大和田「誰か探してんのかよ? よっしゃ猪鹿蝶」

葉隠「だー負けた! このままじゃ水曜の昼食まで……」

江ノ島「あんたたちさ、苗木見なかった?」

大和田「苗木? そういや今日はまだ見てねえな」

江ノ島「そう……」

葉隠「ああ、苗木っちなら夜逃げしたべ」

大和田「はあ!?」

江ノ島「夜逃げぇ!?」

葉隠「なんでも舞園っちと霧切っちに追われてたみたいで、とりあえず遠くに逃げるようすすめたら実家帰っちまってよー。いやあ、あれはいい修羅場っぷりだったべ」

大和田「なんだ実家帰っただけか、脅かせんなよ……」


江ノ島「ふーん……」

江ノ島(じゃあ今日は苗木に会えないのか……絶望的ぃ……)

江ノ島(ん? 昨日の夜に舞園と霧切に追われてた? あれ?)

江ノ島(それってあたしがこっそり貼ったプリクラのせいじゃね?)

江ノ島(自業自得じゃね?)

江ノ島(んはああああ絶望的いいいい!!! やっちまったああああ!!)

江ノ島(はぁ、苗木に会いたい……)

江ノ島(なにこれ、あたし恋する乙女かっての……なんか絶望的……)

江ノ島(ていうか絶望通り越してイライラしてきた)ゴゴ

江ノ島(目の前の葉隠と大和田でストレス発散しないと気が済まないくらいイライラしてきた)ゴゴゴゴ


葉隠「あのー、江ノ島っちもしかして機嫌……悪い……?」

江ノ島「あんたたちさー、賭け花札やってたっしょ?」

大和田「!? そ、そんなわけねえじゃねえか! なっ、葉隠!」

葉隠「そうだべ! 来週の昼食なんて賭けてねーべ!」

大和田「なっ、このバカ!?」

葉隠「はっ!?」

江ノ島「うぷぷぷ、それ石丸くんにバラされたら困るよねー?」

江ノ島「私様をその勝負に参戦させれば、このことは黙っておいてやろう!」

葉隠・大和田((終わった……))


1時間後

江ノ島「んじゃ来週の昼食代は大和田、再来週は葉隠よろしくねー」バイバイ

大和田「」チーン

葉隠「……なあ、江ノ島っち」

江ノ島「ん?」

葉隠「……」

葉隠「いや。なんでもねーべ」

江ノ島「変な奴。てか変な頭」

葉隠「今さら!?」ガーン

葉隠(……まあ、7割はハズレだもんな)

箸休め回でした
デート回で燃え尽きたけど、伏線入れたからには回収するまで続けるよという意思表示


舞園「江ノ島さん! お聞きしたいことがあります!」

霧切「苗木くんと貴女のプリクラ、どういうことなのかしら?」

江ノ島「どういうことって、苗木とデート行って撮っただけだけど」

舞園「デ、デート!? 苗木くんとデートしたっていうんですか!?」

霧切「くっ! 納得のいく説明をしてもらうわよ!」

江ノ島「えー、あんた達どんな説明しても納得しないじゃーん。苗木くんをデートに誘ってイチャイチャしてきただけだよー。うぷぷぷっ」

霧切「イチャイチャですって!? 私はまだ妄想でしかしてないのに……!」ブツブツ

舞園「ど、どこまで、どこまでしたんですか!?」

江ノ島「観覧車で夜景を見ながら……あ、これ以上は舞園さんには刺激が強すぎますね……あの快感(デコピンされた苗木の絶望的な顔)を伝えられないなんて絶望的です……」

江ノ島(嘘は言ってないよね、うん)


舞園「な、なななっ公共の場で何をしてるんですか羨ましい!!」///

霧切「いえ、今にして思うとあのとき私と苗木くんはイチャイチャしていたと言えるのではないかしら……」ブツブツ

江ノ島「おいおいおい? 顔を赤くしちゃって、『超高校級のアイドル』さんがナニを想像してるのかな?」ニヤニヤ

舞園「べ、別に何も考えてません!」///

江ノ島「……まあ、まだ何もしてないから安心しなよ」

舞園「まだ、ですか……」

舞園「……」

舞園「率直に聞きます。江ノ島さんは苗木くんのこと、どう思ってるんですか?」

江ノ島「えー別になんともー?」

舞園「真面目に答えてください」

江ノ島「……」

江ノ島「それは――――」


霧切「はっ! もしかして私はすでに苗木くんと付き合っていたのでは!? いいえそれとも婚約していた!!?」ガタッ

舞園・江ノ島「「」」

霧切「苗木くんに悪い虫がつく前に早く婚姻届を出さなくてはいけないわ! 苗木くんこの書類に判を――――」

セレス「なんで婚姻届なんて持ち歩いているんですか貴女は」ジャスティスハンマー!

霧切「うっ」バタン

舞園「……」

江ノ島「……」

舞園「この話はまた今度にしましょうか」

江ノ島「そうだね」

授業中

江ノ島(……暇だ! 暇すぎるッ!!)

江ノ島(ええい私様がこのような絶望的につまらない授業に耐える必要があろうか! いやない!)

江ノ島(保健室でサボろっかなー、この時間なら罪木ちゃんいるから寂しくないだろうし……)

江ノ島(あ、苗木が消しゴム落とした)

江ノ島(……)

江ノ島(ま、まあ苗木眺めてると飽きないし? 保健室でサボるよりは面白そうだし?)

江ノ島(って、意識しすぎだろあたし!!!)

江ノ島(なんであたしが苗木を意識しなけりゃなんないのよ!! 逆でしょフツー!)ウガー!

江ノ島(はあ……)

江ノ島(……)

江ノ島(この席、けっこう苗木が見えるんだな)


昼休み

江ノ島(昼か……苗木と一緒に食べたいな……)

江ノ島(けどあたしから誘うのってなんか負けた気分になるな)

江ノ島(あれ? さりげなく苗木の近くでうろうろしてたら、苗木の方から誘ってくるんじゃね?)

江ノ島(苗木のお人好しっぷりからすると間違いない! 私様ってば天才ね!)

江ノ島(よし、いざ……)

江ノ島(……ちょ、ちょっと経ってからにしよ。昼休み始まったばっかでそれはあからさますぎるっしょ)

江ノ島(別にチキったわけじゃねーし)

江ノ島(……そろそろいいかな)

江ノ島(よし――――あれ? あれれ?? 苗木くんいないんですけどおお!!?)


戦刃「盾子ちゃん、お昼食べよっ!」

江ノ島「苗木は?」

戦刃「え?」

江ノ島「苗木はどこ行ったの?」

戦刃「桑田くん達と一緒にお昼食べに行ったよ?」

江ノ島「ふ、ふふふ、そういうこと……あたしが自分に言い訳してた間に……なんて、なんて……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「なんて絶望的!! こんな絶望初めてだわ!! はあああ、絶望って甘酸っぱい!!!」

戦刃「え? え?」

江ノ島「ふえぇ絶望的ぃ……お姉ちゃん……お昼食べよ……」グスッ

戦刃「うんっ」

戦刃(盾子ちゃんが素直だー!)

今更だけどzeroの彼の立場って…

>>223
ゼロは読んでる人少ないだろうし、ネタバレをSSで知ってほしくないんだ…


放課後

江ノ島(よ、よし今度こそ苗木に声を――――)

舞園「苗木くん、この後お買い物にでも行きませんか?」

苗木「ごめん舞園さん! すっごく嬉しいんだけど、今日は妹と映画観に行くことになってて……」

苗木(江ノ島さんと映画観た話したらせがんできたんだよなあ。妹が観たいって言ってた恋愛ものだし、この前みたいなことはないと思うけど)

舞園「そうでしたか……。ちなみに何を観るんですか?」

苗木「えーっと、たしか『華麗なるギャツビー』ってやつだったかな」

舞園「あ、それ私も気になってたやつです! 一緒に行っちゃだめですか?」

霧切「!」


霧切「あら舞園さん、貴女それ試写会で観たって言ってなかったかしら?」

舞園「うっ、その、もう1回観たいと思っていたんですよ! 妹さんにも会ってみたかったし!」

苗木「えっと、ごめん舞園さん……うちの実家の近くの小さい映画館で観るんだけど、今日はカップル限定デーだから2人じゃないと行けないんだ……」

舞園「」

霧切(ふふん! あら? 妹さんとカップルデー? あら?)

苗木(カップルデーじゃなければ舞園さんと一緒に映画観れたのかあ……ついてないなあ……)

苗木「じゃ、じゃあそろそろ時間だから僕行くよ! 舞園さん、また今度誘ってね!」

舞園「! ……はいっ!」

霧切(まさか妹さんもライバル? いやだわ、将来の義妹と争うだなんて……)


戦刃「苗木くんまた映画観るんだー。あっ、行っちゃった」

江ノ島「……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「なに!! 意識!! してんだ私ッ!!!」

戦刃「」ビクッ

江ノ島「今までの私なら声かけるのに躊躇なんてしなかったのに……今日1日苗木くんと喋れなかったとか絶望的です……」

江ノ島「泣きたいくらい絶望的です……」グス

戦刃「盾子ちゃん盾子ちゃん!」

江ノ島「……なに?」

戦刃「わたし苗木くんと授業の準備したときにお喋りしたよ!」ホメテホメテ!

江ノ島「おいこら残姉お仕置きな」

戦刃「なんで!?」




江ノ島「はあああ絶望的……絶望的なのに全然快感じゃない……」

江ノ島「今日は絶望的な1日だったわ……」

江ノ島「はぁ、まじで恋する乙女みたいで笑える」

江ノ島「あたしは『超高校級の絶望』だったくせしてね」ハハ

江ノ島「……」

江ノ島「明日こそはなんか喋ろ」


upppp! upppp!


江ノ島「電話? 残姉ちゃんか」


pi!


江ノ島「もっしもーし、残念ながら私様はもう寝るところなのでまた明日かけてきてくださーい」

苗木『あ、ごめん! それじゃまた明日ね!』

江ノ島「待て待てまてまて待って!? 苗木!!?」


苗木『う、うん、苗木だけど……えっと、寝るとこ邪魔しちゃってごめんね。もう切るから――――』

江ノ島「嘘うそ! もう寝るっての嘘だから切らないでいい!」

苗木『なんだそっか、よかった~』ホッ

江ノ島「えっと、その、どうしたのさ……」

苗木『あー、なんていうか……その……』

江ノ島「??」

苗木『今日の江ノ島さん、元気なさそうに見えたから心配になってさ……。気のせいだったらごめんね!』

江ノ島「……」

苗木『江ノ島さん? もしもし』

江ノ島「はは、あたしは元気だよ」

江ノ島(今元気になったよ、苗木)


苗木『ほんと? じゃあ僕の勘違いかな。うん、それだけなんだ』

江ノ島「あっねえねえ、あたし今暇だからちょっと喋ってようよ」

苗木『いいけど、夜更かしはしないからね?』

江ノ島「わかってるわかってる! たぶんね!」

苗木『はは、お手柔らかに頼むよ……』

江ノ島「やっぱり今日はいい1日だったわ」ボソッ

苗木『え? 何か言った?』

江ノ島「なんでもなーいっ!」ニシシ

自覚した途端、以前みたいに接することができなくなる妹様でした。

舞園「この話はやめましょう、やめやめ! やめないと怒りますよ!」
http://i.imgur.com/gw5XyBn.jpg


最初にゼロの扱い書いとけばよかったね、すまん
>>223は彼のことを憐れんでるだけ……と思うよ

妹様好きになったわ


体育の時間

桑田「おい苗木! ボールそっち行ったぞ!」

苗木「う、うん! あっ!?」スカッ

石丸「ふははは、このボールは僕のものだな! さらばだ苗木くん!」ダッ

桑田「なえぎー!?」

苗木「ごめんっ!」

江ノ島(あれくらいのボール取れよ……絶望的に残念だな……)

江ノ島(うちのお姉ちゃんですら運動だけは得意なのにねー、うぷぷぷ)

江ノ島(……)

江ノ島(でも、ああいうミスして挽回しようと頑張るところ……)

舞園「ちょっと可愛いですよね」

江ノ島「!?」


江ノ島「……今あたし声出してた?」

舞園「いいえ。エスパーですから」ニコ

江ノ島「それ苗木限定じゃなかったの?」

舞園「苗木くんのことを考えてる人もわかりますよ」

舞園「だって、同じ人を好きになって、同じ人を想っているんですから」

江ノ島「苗木のこと好きだって言った覚えないんですけどー」

舞園「違うんですか?」

江ノ島「……」

江ノ島「さあね、ノーコメント」

舞園「まったく。素直じゃないですね」

舞園「……セレスさんみたい」ボソ


江ノ島「なんか言った?」

舞園「いいえ、なんでも――――」

苗木「江ノ島さん舞園さん! 危ない!!」

舞園「え?」

江ノ島「ん、ボールきた」パシッ

苗木「ごめん! 大丈夫!?」

江ノ島「よゆーよゆー、こんなの後ろ向いてても取れるっつーの。この私様を誰だと思っているのだ!」

苗木「あはは、なんともなくて良かっ――――」

桑田「やべっ苗木あぶねえ!!」

苗木「えっ?」


ゴッ!!

苗木「」バタン

舞園「な、苗木くん!?」

江ノ島「ちょっ大丈夫!?」

苗木「」

舞園「苗木くん! 苗木くん!!」

桑田「あちゃー、気い失ってんなこりゃ……とりあえず保健室に運ばねーと……」

チョイチョイ

桑田「ん?」クルッ

江ノ島「苗木くんを気絶させるとか絶望的に最低です……覚悟できてるんですよね……?」

セレス「できてんだろうなこのビチグソがあああ!!!」

桑田「アポ!? セレスちゃんどっから出てきたの!?」


保健室

石丸「ぬおおおおお!!! すまない苗木くん!! 僕が見当違いの方向にボールを蹴ってしまったせいで!!!!」

苗木「大丈夫だよ石丸くん。もうなんともないってば」

石丸「ほ、本当かね!!?」

苗木「うん、この通り……あれっ?」フラッ

舞園「苗木くん!」

罪木「だ、駄目ですよぅ、もう少し横になって休んでてくださいぃ……」

苗木「ごめん、はは……」

罪木「い、いえ私の方こそ偉そうなこと言ってごめんなさいぃぃ!」

苗木(なんでこの子謝ってるの!?)


江ノ島「気にしないでいいよ。その子そういう子だから」

舞園「江ノ島さん、『超高校級の保健委員』さんとお知り合いなんですか?」

江ノ島「あたしよく頭痛くて保健室来るじゃーん」

舞園(ああ……)

苗木(サボりで……)

江ノ島「あんた達なんか失礼なこと考えてない?」

罪木「あ、あのっ! 私なんかに言われるなんて嫌でしょうけど、その……もうすぐ授業が始まるので、皆さん教室に戻った方がいいんじゃないかと……うぅ……」

石丸「むむ、もうそんな時間だったか! ん? 君は戻らないのかね?」

罪木「わ、私は保健委員なのでもうしばらく残ってますぅ……」


江ノ島「じゃああたしも頭痛いってことで保健室に残るわー」

舞園「はいはい、教室戻りますよ。じゃあ苗木くんお大事に! 次の休み時間にまたお見舞いにきますね!」

石丸「うむ。安静にし、早く良くなるのだぞ!」

苗木「うん、みんなありがとうね」バイバイ

江ノ島(苗木が離れてくんですけど……絶望的ぃ……)ズルズル



桑田「……」

桑田「なあ、苗木が気絶したの石丸のせいなのに、なんで俺ボコられたの?」ボロッ

セレス「普段の行い、でしょうか」

苗木くん保健室なんかで寝てたら襲われるんじゃないかな
桑田は苗木の親友ポジです。ただのネタ要因じゃないです。たぶん

>>246
じゃあ妹様SS書くしかないね!

桑田の通信簿埋めるのと、あとメダルのために何回も桑田ロンパしたなあ…


授業中

江ノ島(はあ~、苗木はいないし授業はつまらないし、まじ絶望的ぃ……)

江ノ島(苗木がいないってだけで、教室がいつもより静かな気さえしてくる)

江ノ島(14人の生徒に教師。15人も人間がいて、なんでこんなつまらないんだろ)

江ノ島(……)

江ノ島(……14人?)

江ノ島(苗木がいなかったら、生徒は15人じゃない?)

江ノ島(……あああああ!!! いつの間にか霧切いなくなってる!!? まさか保健室に!?)ガタッ

石丸「江ノ島くん! 今日という今日は最後まで授業を受けてもらうぞ! たとえ苗木くんが心配だとしてもだ!!」

江ノ島「べ、べべべ別に苗木の心配なんてしてねーし! サボりたいだけだし!」


大神「ふむ。サボりというのは、認めることができんな。席に戻るのだ」

戦刃「盾子ちゃん戻るのだー!」

江ノ島「くっ!」

江ノ島(しまったー!! オーガは無理、まじ無理! あとで残姉お仕置きね)

江ノ島「き、霧切はいいってわけ!? 授業始まるときにはいたじゃない!」

舞園「あれ、そういえばいませんね。どうしたんでしょう」

十神「霧切は体調不良だそうだ。お前と違って仮病ということはないだろう」

舞園「なっ!」

江ノ島「それって!」

セレス(間違いなくサボって苗木くんのところへ向かいましたわね……)


十神「わかったら席に着け。授業を止めるな」ペラッ

不二咲(授業中にずっと推理小説読んでる人が言うんだ……)

腐川「はああああさすがです白夜様!!」ハァハァ

十神「……」

腐川「びゃ、白夜様に無視された! な、なぜだか快感だわああぁ!」ゾクゾク

山田「えーっと、最近の腐川冬子殿って、どことなく以前の江ノ島盾子殿に似てきているような……」

江ノ島「なえぎぃぃ……」



石丸「くうう! 授業中にこんなに騒がしくなってしまうだなんて、僕は風紀委員失格だ……!」

大和田「仕方ねーよ兄弟、こいつらはどうにもならねえ……」

霧切仁「そろそろ授業を再開してもいいかな?」

霧切仁(響子、このチャンスを無駄にするなよ……!)

ここから霧切さんのターン(予定)


保健室・10分前

罪木「じゃ、じゃあ私もいったん教室に戻りますね……」

苗木「うん。何から何までありがとうね、罪木さん」

罪木「そ、そんなお礼を言われることじゃないですよぅ! わ、私が好きでやったことですし……」

苗木「それでも助かったのは事実だから。ありがとう」ニコ

罪木「っ! あ、あの、お大事にっ!!」///

苗木「あっ、そんな走ったら危ないよ!」

苗木「……行っちゃった」

苗木「……」

苗木「それにしても、なんていうか……」

苗木「その、すっごく暇だなあ……」


苗木「保健室に1人だけって、けっこう寂しいんだなあ」

苗木「……」

苗木「今の授業終わるまで寝よ」モゾモゾ

苗木「……」

苗木「」スー、スー

コンコン

苗木「」スー、スー

コンコン

苗木「」スー

??『あら? 誰もいないはずはないのだけれど』

??『開けるわよ?』


霧切「失礼します」ガラッ

霧切「なんだ、やっぱりいるじゃない苗木く……ん……?」

苗木「」スヤスヤ

霧切「……」

霧切「 苗 木 く ん が 、 寝 て い る で す っ て ! ? 」←小声

霧切「……」スッ

ガチャッ

サッ

霧切「ドアの鍵はかけた。カーテンは閉めた」

霧切「今、保健室には私と寝ている苗木くんだけ」

霧切「ふ、ふふふ……」

霧切「ついに私の時代がきたわっ!!」←小声

なにも考えずに仁さん出したけど、たしかに理事長だから授業持ってるのはおかしいですね、ごめんなさい…
苗木くんこれからどうなることやら(考え無し)


霧切「とりあえず写真撮っておきましょう」パシャッ

霧切「こういう時のためにデジカメを持ち歩いておいてよかったわ。苗木くんフォルダ22が一気に潤うわね」パシャパシャ

霧切「それにしても可愛い寝顔してるじゃない。苗木くんのくせに」パシャッ

霧切「……そうだわ! この状態で私がベッドに潜り込んだら!」パシャパシャッ

霧切「同衾しているかのような写真が撮れるじゃない!!」パシャシャシャシャ

霧切「善は急げ、ね。お邪魔するわよ」モゾモゾ

苗木「う、う~ん……」

霧切(……起こしてしまったかしら)

苗木「」クー

霧切(ふぅ……)


霧切「じゃあさっそく……」

パシャッ

霧切「どんな風に撮れているのかしら」ペラッ

霧切「……」

霧切「ごふっ! は、鼻血が!!」タラー

霧切「こ、これはなかなかいい写真ね……」///

霧切「写真はこれくらいにしましょうか。次は……」

霧切「……」

霧切「い、一度苗木くんに馬乗りになってみたかったのよね」///

霧切「よっこいしょ」モゾモゾ

霧切「……」


霧切「ううっ! また鼻血が!!」ブバッ

霧切「このアングルの破壊力は凄まじいわね……」

苗木「う、ん……」

霧切「なんだか、私が苗木くんを襲っているようで……」ゴクリ

苗木「んん……」

霧切「 す ご く 、 い い わ ね 」ハァハァ

ガタガタッ

???『ありゃ?』

霧切「!!」

霧切(誰かきた!? けどドアには鍵が……)

???『ま、これくらいの鍵よゆーだっつの』ガチャッ

ガラッ

霧切(なんですって!!?)


左右田「この『超高校級のメカニック』、左右田和一様の敵じゃねーって……」

霧切「……」←鼻血を出しながら、寝ている生徒に馬乗り

左右田「……」

霧切「……違うのよ、これは」

左右田「ぎゃあああああ痴漢だああああああ!!!!」

苗木「ええっ痴漢!?」ガバッ

苗木「って何これ!? 血!!?」

霧切「私は痴漢じゃないわ!! そもそも女よ!!!」

左右田「女!!? ち、痴女だあああああああ!!!??」ギャー!!

霧切「ちがっ、あっ興奮したらまた鼻血が!!」ドバッ

苗木(なんだこれ……なんなんだこれ……)

苗木(そうか夢だ、これは夢なんだ、あはは……)

寝るつもりだったけどキリいいとこまで書けたんで
今度こそ寝る

霧切さん好きな人ごめんなさい、このSSではほぼギャグ要員です…

ごめんなさい実家に帰ってきちゃったのもあってあんまり書けないです…

ダンガンロンパ霧切は完結したら揃えたい
何冊出るのかなあ


江ノ島(なんか最近、楽しいなあ)

江ノ島(でもこういう楽しいときこそ、絶望が際立つのよねえ)

江ノ島(何があったらあたしは一番絶望を感じるんだろ)

江ノ島(……)

江ノ島(苗木が舞園と付き合うとか?)

江ノ島(苗木が霧切と結婚するとか?)

江ノ島(苗木が残姉ちゃんとらーぶらーぶしちゃうとか?)

江ノ島(……苗木のことばっかりかよ! あたしは恋愛脳かっつーの!!)

江ノ島「はぁ……」

戦刃「盾子ちゃんどうかしたの? お悩みある?」

江ノ島「お姉さま……私って絶望的に乙女だったみたいです……」

戦刃「??」

戦刃「盾子ちゃんに乙女って似合わないでしょー、だってギャルだし」アハハ

江ノ島「……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「テメーは俺を怒らせたッ!!」ビシィッ!

戦刃「ひう!? ご、ごめんなさいっ!」


江ノ島「はぁ……」

江ノ島「ねえ、あたしが一番絶望するのってどんな時だと思う?」

戦刃「盾子ちゃん絶望したいの?」

江ノ島「別に。なんとなく思っただけですが」

戦刃「そっか……」

戦刃(私は、盾子ちゃんが絶望しなくてもいい今が好きなんだけどなあ)

戦刃「うーん、なんだろうね。好きな人を自分で[ピーーー]とか?」

江ノ島「苗木を、あたしの手で……」

戦刃「えっ、盾子ちゃん苗木くんのこと好きなの!?」

江ノ島「……」

江ノ島「ど、どっちかというと好きな方ってだけだし! それだけだし!」

戦刃「そっかあ」

江ノ島「何よ」

戦刃「あのね……」

江ノ島「ん?」

戦刃「お揃いだねっ」エヘヘ

江ノ島「……そだね」ニシシ


教室

江ノ島(もしあたしの手で苗木を殺したら……)

江ノ島(やば、絶望的すぎて想像すんのも辛い)

江ノ島(ちょっとレベル高すぎでしょお姉ちゃん……。絶望度下げよ)

江ノ島(んーっと、じゃあ……もしあたしのせいで苗木が死んじゃったら?)

江ノ島(あたしのせいで、かあ……絶望的に自己嫌悪しそう……)

江ノ島(むしろ後を追いそう)

江ノ島(いやいや、さすがにそこまで苗木のこと好きじゃねーし! ……たぶん)

江ノ島(……)

江ノ島(でも苗木って、ちっこいしぽっくり逝っちゃいそうだよね)

江ノ島(嫌だなあ)

江ノ島(苗木死んじゃうの、嫌だなあ……)

江ノ島(だって、私をこんな風にした……責任取るって……)

江ノ島「なえぎぃ……」

苗木「ん、なに? 江ノ島さ――――江ノ島さん!? どうしたの!?」

江ノ島「え?」ポロッ


江ノ島「なにこれ、私泣いてる? なんで?」ポロポロ

江ノ島「なんで止まらないの? あれ?」ポロポロ

苗木「だ、大丈夫……?」

江ノ島「大丈夫! 大丈夫だから……」ゴシゴシ

江ノ島(もし苗木が死んだら、あたし……)

江ノ島「ふえぇ……なえぎぃ、死なないで……」グスッ

苗木「へ? う、うん、死なないけど」

江ノ島「ほんとに? ほんとに死なない?」グス

苗木「この先数十年は死なない……と思うよ」

苗木(え? 僕変な病気だったりしないよね?)

江ノ島「そっか……」

江ノ島「じゃ、じゃあさ……ずっとあたしの傍にいてくれる……?」

苗木「えっ、それって――――」

舞園「アウトー! それはアウトです!」

霧切「そうかしら、別に側室がいようと私は構わないけれど」

セレス「貴女は何を言ってるんですか本当に」

短くてごめんなさい、おやすみ
深刻なネタ切れ感……


十神「ふん、江ノ島も苗木の手に堕ちたか」

十神「……」

十神「江ノ島……」

腐川「びゃ、白夜様……」

十神「俺は奴に惹かれていたのかもしれんな。自分と同じ『超高校級の完璧』である、江ノ島に」

腐川「……」

十神「欲しい物は何でも手に入れてきた。自分の力でな」

十神「初めてだ……こんな感情は……」

腐川「白夜様、わ、私は……ずっと白夜様の傍にいます……」

十神「腐川……いや、冬子……!」

腐川「ああっ! 白夜様!」



ーーー

腐川「という話を書いてみたんですけど、いかがでしょうか……ふひっ」

十神「無駄に長かったな。今すぐ燃やせ」

おわり

スレは連日荒れるし、内容には何も言われないし、ネタは思い浮かばないしでカッとなって強引に終わらせた。
今は後悔してる。

すごい勝手ですが、ラストだけは最初から決まっていて、どうしても書きたいので続けさせていただきたいです。
構ってちゃん乙って言われてもしょうがないけど、やっぱり最後まで書きたいです。

お騒がせしてすみませんでした。
メンタル強くしてこれからはきちんとスルーします。

あと他のSSのスレに迷惑かけるのは本当にやめてください。
誤爆した自分の責任だけど、よそ様に迷惑かけるのは本当にダメ、絶対。

でもネタ思いつかないのに変わりはないんで、なんか提供していただけるとすごくありがたいです……

現実逃避で描いてた妹様。

江ノ島(苗木、今なにしてるんだろ……)
http://i.imgur.com/s6asETl.jpg

イラストの方も毎回結構なお手前で

ネタかぁ……このスレの苗木君ってお昼購買だっけ?
ならお弁当対決とか

>>391
ありがとうございます、弁当じゃないけど料理対決にしてみました!


調理実習

苗木「調理実習かあ。希望ヶ峰にきてから初めてだよね?」

大和田「昼飯を自分で作るってのも悪くねーよな。俺はあんかけキムチチャーハンを作るぜ!」

苗木「でも調理実習やるって知らされたの昨日の帰りだよね。材料も器具も全部あったからよかったけど、なんでこんな急だったんだろ」

大和田「そういやそうだな。兄弟、何か知らねーか?」

石丸「……」

大和田「兄弟?」

石丸「静かにしていてくれたまえ! 僕は今、ご飯を炊いているのだ!」

苗木「いや炊飯器を見守る必要はないと思うよ。他のおかず作れないし……」

石丸「それについては心配ない。先ほど梅干しを見つけたのだ!」

苗木「えっ」

苗木(何を作ってもいいとはいえ、まさか日の丸弁当? 調理実習で?)


大和田「苗木、何も言ってくれるな……」

苗木「は、はは……」

大和田「ところで兄弟、ご飯を炊いたままでいいからちょっと聞いていいか? なんで急に調理実習やることになったのか知ってるかよ?」

石丸「ん? たしか『超高校級の料理人』が突然入院したから、特別授業で使用するはずだった食材が余ってしまったと聞いたぞ!」

苗木「へえ、入院って大変だね」

大和田「まあそのおかげで俺らは調理実習ができるわけだけどな」



花村「ぶえっくしょい! 誰かが僕のこと噂しているのかな?」

花村「これは女子だな、女子が噂している! だって僕の僕が反応してるんだもの! 男子でも全然かまわないけどね!」

花村「はぁ、こんな時に入院だなんて……くぅぅ会ってやれなくてごめんよハニーたち!」

花村「でもまあ、やけに顔を赤くしてた罪木さんへのセクハラは最っ高だったししょうがないよね。辺古山さんに成敗されたのも快感だったし」フフフ

花村「あの日は痴女騒ぎもあったんだっけ。遭遇したかったなあ!」ムフフ


舞園「ついに勝敗を決するときが来ましたね」

霧切「まあ結果は見えているけれどね」

江ノ島「私様の勝ちしか見えないな」

戦刃「なになにー? なんのお話?」

セレス「この調理実習で作った料理を、苗木くんに食べてもらうそうですわよ」

霧切「そして一番美味しい料理を作った私こそやはり妻に相応しいと再確認させるのよ!」

舞園「まあ、それって私のことなんですけどね?」

霧切「ふふっ、そう言っていられるのも今のうちね」

舞園(この自信……霧切さんは料理が得意そうですね……)

江ノ島(いやこれ絶対霧切は料理できないパターンっしょ)

戦刃「わたしも作るー!」

セレス「……」

セレス「しょ、勝負事を避けては『超高校級のギャンブラー』の名が廃りますわ。仕方ないですわね、私も作りましょうか」


苗木「な、なんか女の子たちは気合入ってるね……」

桑田「もしかして俺のために作ってくれてんじゃねーか!? うおおお舞園ちゃんの手料理食いてえええ!!」

山田(桑田怜恩殿のこのポジティブっぷりはいったいどこから湧いているのでしょうかね……現実見ろよ……あと苗木誠殿は爆発しろ)



腐川「びゃ、白夜様に美味しい料理を、あっコショウが!」ハクション

ジェノ「ひゃっはー切り刻むぜ鶏肉ううう!!! むしろ白夜様切り刻みてえええ!!」



苗木「ほんと、女の子は気合入ってるね……」

桑田「でも俺、女子の手料理食えるならジェノサイダーのでもいいや」

苗木(節操無さすぎるよ桑田くん……。あ、十神くんペース上げた。さっさと自分の食べて逃げる気だ)


江ノ島「さて、何を作ろうか……」

江ノ島「苗木って何が好きなんだろうなー」

江ノ島「いや別にわざわざ苗木の好きなもん作りたいわけじゃないし?」

江ノ島「私様がそこまで気を使う必要ないし?」

江ノ島「むしろ嫌いなもの作った方が面白くない?」

江ノ島「これ嫌いなやつだ! けど江ノ島さんの手料理美味しい、悔しい絶望しちゃう! みたいな?」

江ノ島「……」

江ノ島「はー、何作ろうほんとに……」

江ノ島「こういう時はあれだ、インスピレーションね」

江ノ島「>>408に決めたッ!」

シチュー


江ノ島「よっし、シチューに決めた!」

江ノ島「作ったことないけど煮込めば余裕っしょ!」

江ノ島「……」

江ノ島「お、美味しくなーれっ」

戦刃「盾子ちゃんそれやるなら煮込むときじゃない?」

江ノ島「うっうるさいうるさいうるさいっ!」///



葉隠「おーい苗木っち!」

苗木「ん、どうしたの葉隠くん」

葉隠「なんかよー、苗木っちはちょっち多めにおかず作った方がいいって占いが出たんだべ」

苗木「多めに? 僕そんなにお腹すいてないんだけど……」

葉隠「でもって、それを食べないでいた方がいいべ」

苗木「それ調理実習の意味なくない?」

葉隠「俺を信じろ! 俺の占いは3割当たるんだって!」

苗木「はは、じゃあ信じようかな」

苗木(でも7割外れるんだよな……)


1時間後

苗木「ふう、そろそろ焼けたかな」

舞園「なーえーぎーくんっ!」ヒョコ

苗木「舞園さん? どうしたの?」

舞園「今できたとこですか?」

苗木「うん。舞園さんも?」

舞園「はい! ただその……」

苗木「ん?」

舞園「自分の料理を食べても面白くないので、よかったら苗木くんのと交換してもらいたいなーって」

霧切・江ノ島・セレス「!!」


舞園(ふふふ、手料理を食べてもらうだけでなく、苗木くんの手料理をいただいちゃいます!)

苗木「ええっいいの!? 嬉しいなあ、舞園さんの手料理が食べられるなんて!」

霧切(やられたわ!)

セレス(これは盲点でしたわ……)

江ノ島(シチュー煮込むのに時間かかって出遅れたあああ!!!)

苗木「けど……」

舞園「どうしたんですか?」

苗木「ちょっと作りすぎちゃって……」

ハンバーグの山『バァーン! 5人分はあるぜッ!』ドドドドド

舞園「」

苗木(葉隠くんの占い、信じない方がよかったかなあ……)


舞園(これはみんなの分もありそうですね。はぁ……)

舞園「じゃあ、1人分交換ということにしましょうか」

苗木「そうだね……はは……」

霧切「あら、苗木くんはハンバーグを作ったのね」

セレス「なかなか美味しそうなハンバーグですこと」

戦刃「おいしそー!」

江ノ島(あいつら行動はえーなおい! 行くタイミング逃したー!)

苗木「はは、ありがとう。作りすぎちゃったからみんなもよかったら食べてよ」

霧切「そうね、交換しましょう。そうするべきよ」

セレス「仕方ないですわね。代わりに私の餃子を食べさせてあげてもよろしくてよ?」


江ノ島(はぁ、苗木くんのことになるとうまく行動できないんですけど……絶望的です……)

苗木「あ、そうだ。江ノ島さーん!」

江ノ島(あんなに大勢の食べたらお腹いっぱいになるよな普通……)

苗木「江ノ島さーん」

江ノ島(せっかくシチュー作ったのになあ……)

苗木「江ノ島さんってば!」

江ノ島「なによ苗木……苗木!?」

苗木「うん苗木だけど。えっとさ、よかったら江ノ島さんもハンバーグ食べない? まだちょっと食べきれなさそうでさ……」

江ノ島「しょ、しょうがないなあ。食べてあげるかー」

苗木「それで、その……よかったら僕、江ノ島さんの料理も食べてみたいんだけど……」

江ノ島「……」

江ノ島「はいいいい!?」///

舞園(苗木くんが自分から!?)

霧切(いったいどういうこと!?)

苗木(江ノ島さんが作ってたのってたぶんシチューだよね? 大好物なんだよなあ)


舞園「じゃあまずは私のを食べてみてください! じゃじゃーん、オムライスですっ!」

苗木「うわあ、美味しそうだね!」

舞園「冷めないうちにどうぞ!」

苗木「うん、いただきます!」

桑田「あのー、舞園ちゃん、ちなみに俺の分あったりとか……」

舞園「??」

桑田「ですよね……」

江ノ島(何を言ってるんでしょうかこの人……みたいな目で見られてやんの、うぷぷぷ)

舞園「それで、味の方はどうでしょうか……?」

苗木「すっごく美味しいよ! 本当に!」

舞園「よかったあ、前に料理番組に出たときに覚えたんですよ!」

セレス「あまり食べすぎると私たちの分が食べられなくなりますわよ? というわけで選手交代ですわ」

舞園「私の出番もう終わりですか!?」


苗木「セレスさんは餃子かあ。ちょっと意外だね」

セレス「好き嫌いはしないものですので」

山田「まあ出身地の名物ですしな」

セレス「だああらっしゃああこのクソブタがああああああ!!!!」

山田「ピギィ! もっと踏んで!」

江ノ島「うわあ……」

戦刃「山田くんは踏まれるのが好きなの?」

江ノ島「変態に関わるのはやめなさい」

苗木「美味しいよセレスさん! ……って、聞いてないや」

苗木「セレスさんと山田くん、仲いいよなあ」ハハハ

江ノ島「ほらほら、次お姉ちゃんの番だよ」


戦刃「どうぞっ」

苗木「えっ」

江ノ島「これって……」

戦刃「レーション作ってみたよ!」

江ノ島「……」

江ノ島「だからあんたは残念なんだよおおお!!!」

戦刃「ええっ!?」

苗木「あ、美味しい」

江ノ島「嘘ぉ!?」


苗木「江ノ島さんはシチュー作ったんだよね? 楽しみだなあ」

江ノ島「あ、あんまり期待しないでよねー、初めて作ったんだし」

苗木「いや期待するよ、だって女の子の手料理だもん!」

江ノ島「うっ、ほらさっさと食べれば!」///

苗木「うん、いただきます」

苗木(江ノ島さん、さっきからやたら手を隠すよなあ)

苗木(なんだろ、隠されると気になるな)

苗木「江ノ島さん、コショウとってもらえる?」

江ノ島「ん、ほら」コト

苗木(指に絆創膏……そっか、江ノ島さん頑張って作ったんだ……)


江ノ島「で?」

苗木「えっ?」

江ノ島「味の方はどうなのよ」

苗木「とっても美味しいよ! ありがとうね!」

江ノ島「そ、そっか」///

江ノ島「べ、別にあんたのために作ったわけじゃないからね! あたしが食べたくて作ったんだから!」///

苗木「わかってるよ、はは」

江ノ島「……この鈍感」ボソ

苗木「え? なに?」

江ノ島「なんでもなーいっ」


苗木「で、最後は霧切さんの……これ何?」

霧切「卵焼きよ。見た目はあまりよくないかもしれないけど、味の方は問題ないわ」

苗木(卵焼きってこんな魚臭いものだっけ? 色もなぜか赤いんだけど)

霧切(基本中の基本である卵焼きで、苗木くんの胃を鷲掴みね!)

苗木「い、いただきます……」

パク

苗木「……」

苗木(味が……しない……!? どうなってるのこれ!?)

ゴクン

苗木(なんだこの……胃を……鷲掴みにされるような……)

苗木「」バタン

霧切「苗木くん!?」


※苗木くんは保健室に運ばれました

舞園「はぁ、苗木くんに誰のが一番美味しかったか聞けませんでしたね」

セレス「まあ私のに決まっていますけどね」

舞園「私のですよ!」

戦刃「わ、わたしのかも!」

霧切「……」ドヨーン



江ノ島(シチューまだ残ってるなー)

江ノ島(味見してないけどどうだったんだろ)ペロッ

江ノ島(……)

江ノ島「えっ何これまっず」

江ノ島「え? でも苗木は美味しいって……」

江ノ島「……」

江ノ島「あのお人好しめ」ハァ

江ノ島(でも、そういうとこが好きだよ、苗木……)

江ノ島「シチューの練習しとこ」

そろそろ妹様と苗木を二人きりにしてあげたいですねえ


妹様の妄想

江ノ島(苗木誠……苗木誠……)

江ノ島(……)

江ノ島(苗木……苗木盾子……)

江ノ島(……)

江ノ島(何を! 考えてんだ! あたしっ!)///

江ノ島(……うーん、いや逆も有りか?)

江ノ島(江ノ島誠?)

江ノ島(こ、これもなかなか照れるじゃん……)///

江ノ島(まあどっちにしろ呼び方は同じか)

江ノ島(誠さん……)

江ノ島(……)///


苗木「江ノ島さん? 顔赤いけど大丈夫?」

江ノ島「ま、誠さん!?」///

苗木「へっ!?」///

舞園・霧切・セレス「」ガタッ

江ノ島「いや、その、な、なーんちゃって!! 苗木ったら照れてやんのー、うぷぷぷぷ!」///

苗木「はあ!? え、江ノ島さんだって自分で言っといて照れてるじゃないか!」///

江ノ島「て、照れてねーし! まったく照れてねーし!!」///

舞園・霧切「」

セレス(なんですのこれ……最近あの2人イチャイチャしすぎではありませんか?)ハァ…

短いけど
また明日ノシ


ある休日・学生寮前

ポツポツ

江ノ島「うわっ雨降ってきた? この雲の様子からすると間違いなく本降りになるっしょこれ」

江ノ島「今日撮影あるのになあ……絶望的……」

江ノ島(前のあたしだったら間違いなくサボってるわ……)

江ノ島(けど今は『ギャル』やってんのも普通に楽しいんだよね)

江ノ島「はぁ……」

苗木「あれ? 江ノ島さん今日外に用事あるの?」

江ノ島「あ、苗木」

江ノ島(苗木と喋ったー!)

江ノ島「今日撮影あるんだよねー」

苗木「そっか、そんな日に雨ってついてないね」

江ノ島「屋内スタジオだし、歩いていけるとこだからいいんだけどねー。サボりたいぃ……」

江ノ島(サボってこのまま苗木くんと駄弁っていたいです……)

苗木「それはよくないよ」ハハ…


江ノ島「んっとねー、苗木くんが送ってってくれるなら行ってもいいけどー?」

苗木「もう、しょうがないなあ」

江ノ島「え?」

苗木「傘取ってくるからちょっと待ってて!」

江ノ島「まじでいいの?」

江ノ島「いや苗木がどうしてもこの私様を送りたいなら仕方ない! うむ!」

江ノ島「……」

江ノ島「ラッキー!」ヤッタ!



苗木「おまたせ、行こうか」

江ノ島「はいはーい!」

江ノ島「なんかまたデートしてるみたいだねー」

苗木「ブハッ! もう、からかわないでよ……」///

江ノ島「ごめーんっ」ニシシ


2分後

苗木「でさ、桑田くんったら普段はああなのに、他に好きな人がいるって断ったんだよ」

江ノ島「へえー、桑田ってがっついてるイメージしかなかったわ」

江ノ島(おいおいおい2人っきりなのに桑田の話かよ……絶望的に女子の扱いがわかってねえな……)

江ノ島(というか、何か物足りない気がしませんか?)

江ノ島(雨、歩いてる、男女2人きり……)


『 い が あ さ い あ 』


江ノ島(はっ!)ピコーン


『 あ い あ い が さ 』


江ノ島(そう! 相合傘! 相合傘するべきでしょ!!)


苗木「それで――――」

江ノ島「きゃー」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「傘が飛ばされたー」ポイッ

苗木「江ノ島さん!? 今どっちかっていうと傘放り投げなかった!?」

江ノ島「ええーそんなことないよぅ!」テヘペロ

苗木「いやどう見ても――――」

トラック『Brrrrr!』グシャッ

苗木「あ……」

苗木(江ノ島さんの傘、潰されちゃったよ……)


江ノ島「……う……てき……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「はああぁぁんん自業自得ぅ! 冗談で傘放り投げたらトラックに潰された! 絶望的いぃぃ!!」

苗木(やっぱり放り投げたんだ……)

江ノ島「ふえぇ……気に入ってた傘なのにぃ……」ウルウル

苗木「えっと、大丈夫?」

江ノ島「だいじょばない……絶望的ぃ……」グスッ

苗木「僕の傘入る……?」

江ノ島「っ! 入る!」

江ノ島(結果オーライ、かな? 私様の傘……お前の死は無駄にしないッ!)グスン


さらに2分後

苗木「え、江ノ島さん……」

江ノ島「なにー?」

苗木「ちょっとくっつきすぎじゃないかな……」

江ノ島「はあ? プリクラの時はこんくらいくっついてたじゃん」グイグイ

苗木「うわわ、ちょっ」///

江ノ島「なになに? 苗木もしかして照れてんの?」ニヤニヤ

苗木「そりゃあね……江ノ島さんみたいな可愛い子にこんなくっつかれたら照れるに決まってるじゃないか……」

江ノ島「か、かわいっ!?」///

苗木(あ、照れた。仕返し成功ってね)


苗木「ふふふ」

江ノ島「くっつかないとお互い濡れるでしょうが! 仕方なくよ、仕方なくくっついてんのよっ!」///

苗木「わかってるわかってる」ハハ

江ノ島「そう、濡れないためには密着するしかないよね……濡れないためには密着するしかない……濡れないためには密着するしかない……」ブツブツ

苗木「あれ? 江ノ島さん?」

江ノ島「ええーい!!」ムギュッ

苗木「ちょっ!!? これ以上はやばいって!!」

江ノ島「さっ、撮影前に濡れたら困るんだからおとなしく密着しててよねっ!!」///

苗木「ええ!?」///

苗木(その、いろいろ当たってるんですけど!?)


スタジオにて

小泉「いいねいいねー。今日の盾子ちゃん可愛いじゃん」パシャパシャッ

江ノ島「そう? あたしはいつも可愛いですよーだ」

小泉「最近可愛くなったと思ってたけど、今日は特にいいね。何かいいことあった?」パシャッパシャ

江ノ島「さあねー、うぷぷぷ!」

小泉「うーん、これはあれか、男だな? 彼氏だな!?」パシャッ

江ノ島「なっ!? ち、違うし! そんなんじゃないし!!」///

小泉「図星かー! そしていい表情!!」パシャパシャシャッ

江ノ島「ちょっ、やめてってば」///

小泉「うーん青春してるねえ」ニヤニヤ

江ノ島(まあ、青春してる……かな……)///

小泉「盾子ちゃんかーわいー!」

パシャッ!

なんか書いてて恥ずかしくなった
ではでは!ノシ

相合い傘のくだりとかだれかに目撃されて欲しかった。

>>459
その手があったかー!
2人きりにしてあげるつもり満々で思いつかなかったです…


学生寮・苗木の部屋

桑田『おーい苗木! ちょっといいかー!』ドンドン

苗木「……」

桑田『苗木いねえのー?』ドンドン

苗木「……」

桑田『ちっ、留守かよ……』

苗木「……」

苗木「行ったかな?」

苗木「試験前にいきなり勉強教えろって言われても困るんだよなあ。1学期はそのせいで酷い目にあったし」

苗木「十神くんや霧切さんに断られて、石丸くんはストイックすぎるから逃げて、妥協して僕のところに来るんだもんな……」

苗木「さて、今日中に英語は一通りやっておくか」

ppp, ppp.

苗木「ん、メール? 桑田くんのは全部削除してっと。戦刃さんからか」


『from 戦刃さん
苗木くん! べんきょう教えて!』

苗木「ああ……戦刃さんも英語以外はよく赤点とってたっけ……」

苗木「まあ戦刃さんは普段から頑張ってるし、桑田くんみたいに無視はできないよな」

『to 戦刃さん
いいよ! けど僕の部屋には来ない方がいいかな、桑田くんが1時間おきに邪魔しに来るから』

ppp, ppp.

『from 戦刃さん
わかった! じゃあわたしのお部屋きて!』

苗木「返信はや!? たぶんメール送ってからずっと携帯握りしめてたんだろうなあ」

苗木(……想像したらちょっと可愛かった)

苗木「よし、持ってく物まとめないと……」

苗木「……」

苗木「お、女の子の部屋に入るのか……緊張するな……」


戦刃「やった! じゃあ盾子ちゃん、わたしお部屋に戻るね!」

江ノ島「はあ? ちょっと、勉強教えてって泣きついてきたのにもう戻るの?」

戦刃「だって盾子ちゃん、ちゃんと教えてくれないし……」

江ノ島「あれで理解できないお姉ちゃんが悪いんだよー、うぷぷっ」

戦刃「いいもん、わたし苗木くんに教えてもらうもん!」

江ノ島「は?」

戦刃「じゃあね!」

江ノ島「ちょい待ち、あんた苗木に教えてもらうの?」

戦刃「うん」

江ノ島「あんたの部屋で?」

戦刃「そうだよ?」

江ノ島「……うふっ」

戦刃「盾子ちゃん?」


江ノ島「これが寝取りってやつ!? きゃああああ絶望的! 残姉に取られるとか最高に絶望的じゃない!!」

戦刃「ねとり……?」ナニソレ

江ノ島「お姉ちゃんに苗木くん取られました……絶望的です……」シクシク

戦刃「ええ!? だ、だって盾子ちゃん苗木くんに勉強教えてもらう必要ないじゃん!」

江ノ島「ううぅ……あたしも苗木と勉強したい……」

戦刃「えっと、盾子ちゃんも来る?」

江ノ島「いいの……?」

戦刃「うん!」ニコ

江ノ島「行く! お姉ちゃん大好きーっ!」ダキッ

戦刃「ちょ、ちょっと盾子ちゃん!? 危ないよう」///


戦刃の部屋

苗木「え、えっと……」

江ノ島「ではこれより! 私様の、私様による、私様のための勉強会を始める!!」

戦刃「盾子ちゃん、わたしと苗木くんのためじゃないの?」

江ノ島「いっけなーい間違えた」テヘッ

江ノ島「わからないところはこのあたしが教えてあげるから安心しなさい!」

戦刃「わーい!」

江ノ島(別に苗木と勉強したかったわけじゃないけどね? あと別に苗木の前でお姉ちゃんに勉強教えていいとこ見せたいわけでもないし?)

苗木(あれ? 僕たしか戦刃さんに勉強教えに来たんだよな? あれ?)


30分後

江ノ島「だーかーらー、そこはxに条件ぶち込んでぱぱーっと解けば終わりだろうが!」

戦刃「ええ? じょうけん? どのえっくす??」

苗木「さっき求めた式だよ。この式のxに、問題文で与えられたこの条件を入れるんだ」

苗木(ていうか他にxないけどね……)

戦刃「なるほどー!」

江ノ島「やっぱり残念すぎるわ……絶望的に残念だわこの姉……」

戦刃「で、でもこの問題解けたもん! ねっ苗木くん!」

苗木「そ、そうだね。はは……」

苗木(まず僕が江ノ島さんに教えてもらって、それを戦刃さんに教えるのが一番スムーズだなあ。ていうか……)


江ノ島「はいはい、次の問題行くよ」

戦刃「うんっ」

苗木「……」

江ノ島「苗木?」

苗木「江ノ島さんって、勉強得意だったんだね」

江ノ島「『ギャル』だからってバカにしてない? これくらいよゆーだっつうの!」

苗木「いやあ、よく赤点とってるイメージあったからさ」

江ノ島「あーそれね。なんか問題解いてると途中で飽きてくるんだよねー」

苗木「飽きるとかそういう問題!?」

江ノ島「ふふん!」ドヤァ

苗木「いや褒められるようなことではないからね」

江ノ島「ちぇー」


苗木「赤点とると冬休みに補習入れられて遊ぶ時間なくなるよ?」

江ノ島「えー、じゃあ補習なかったら冬休み遊びに行こうよ。そしたら頑張る」

苗木「しょうがないなあ、年末に実家帰るまでは暇だしいいよ」

江ノ島「決まりね、約束だから!」

江ノ島(やったー!!!)

戦刃「盾子ちゃんこれわかんない……」

江ノ島「んーどれよ……って、さっきと同じやり方で解けるやつじゃねえか!」

戦刃「えっ本当?」

苗木「ははは……」

苗木(僕も江ノ島さんに勉強教えてもらえてるし、たまにはこういう勉強会もありかな)


3時間後

戦刃「もう……だめ……」バタン

苗木「戦刃さん!?」

戦刃「」

江ノ島「あーあ、勉強苦手なのに無理するから」

苗木「今日はこれくらいにしとく?」

江ノ島「そだねー、もともとお姉ちゃんに勉強教えるのが目的だったし」

苗木「うーん、けっこう疲れたね」

苗木(江ノ島さんに教えてもらったおかげですごいペースで進んだし、戦刃さんに教えたからちゃんと定着した気もするぞ!)

江ノ島「そろそろ晩ご飯の時間だねー」

苗木「そうだね、食堂行こうか。戦刃さんはどうする?」

江ノ島「お腹すいたら勝手に起きるから放っといて大丈夫っしょ」


苗木「そっか」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん? どうかした?」

江ノ島「あのさ、その……」

苗木「??」

江ノ島「あっ、あたしが作ってあげようか、晩ご飯……」

苗木「えっ?」

江ノ島「シチュー、練習したんだ……」///

苗木「い、いいの?」

江ノ島「うん」///

苗木「じゃ、じゃあお言葉に甘えようかな」///

苗木「でも作ってもらうだけっていうのは悪いし、僕もなんか手伝うよ」

江ノ島「ほんと? じゃあ一緒に作ろっか!」

苗木「うん!」


食堂

セレス「ふう、お腹すきましたわね。あら?」

舞園「」

霧切「」

セレス「お二人ともどうしたんですの?」

葉隠「ああ、たぶん厨房のせいだべ」

セレス「厨房? いったい何が――――」ヒョコ


江ノ島「じゃがいもの皮剥けた?」

苗木「うん。ここに置いとくね」

江ノ島「さんきゅ」

苗木「次は何すればいいかな?」

江ノ島「んと、じゃあブロッコリー食べやすい大きさに切ってくれる?」

苗木「わかった!」


セレス「」

セレス「はっ! な、なんですのあれは!?」

葉隠「なんでもあの2人、今日は晩飯自分で作るとか言い出してよ」

葉隠「ああして一緒に作ってるとこ見るとまるで新婚夫婦みたいだべ!」

セレス「……ふんっ!!」グシャ

葉隠「痛い!!? ちょ、ヒールで踏まないで!?」

セレス(そういえば、江ノ島さんは最近よくシチューの練習をしていましたわね)

セレス(苗木くん……)

セレス(私も、もう少し彼に対して素直になった方が良いのでしょうか……)

舞園「素直になっちゃったほうが楽ですよ?」

セレス「……お得意のエスパーですか」

舞園「はいっ」ニコ


セレス「はぁ、何のことかわかりませんわね」

舞園「そうですか」

セレス「ええ」

舞園「私も今度苗木くんに料理作ってあげようかなー」

セレス「お好きにどうぞ」

舞園「セレスさんも一緒にいかがですか?」

セレス「考えておきます」

舞園「はい、いい返事をお待ちしていますね」

葉隠「うーん、やっぱり苗木っち楽しそう、だよなあ? まあいっか。もう食い終わったし帰るわ、じゃなー」

霧切(今度舞園さんに料理教えてもらおうかしら。そしたら今度こそ苗木くんの胃袋を射止めてみせるわ!)


苗木「っ!」ゾクッ

江ノ島「どしたの?」

苗木「いや、なんか急に寒気が……」

苗木(物理的に胃を射止められるような感覚がしたぞ……)

江ノ島「ええー、風邪じゃないよね?」ピトッ

苗木「え、江ノ島さん!?」

江ノ島「うん、熱はない、ね……」

苗木「……」

江ノ島「……」

苗木「そ、そろそろシチュー出来上がるし食べようか」///

江ノ島「そだね」///

今度のシチューは美味しかったそうな。
勉強会2人きりにしないとイチャイチャできないって書きながら気づいた……絶望的です……

妹様が結婚したら残姉ちゃん、「苗木くんが弟くんになったー!わーい!」とか言いそう


キーン コーン カーン コーン

苗木「ふう。試験全部終わったね、桑田くん」

桑田「」

苗木「桑田くん?」

桑田「」

十神「放っておけ。自業自得だ」

山田「アホですからなあ」

大和田「アホだもんなあ」

桑田「うっせ、うっせ!! 大和田てめーだってどうせ補習だろうが!」

大和田「はっ」

桑田「鼻で笑われた!?」


大和田「俺は今回、兄弟に勉強を教えてもらったんだ。補習に引っかかってるわけがねえ!」ドヤァ

石丸「はっはっは、よくぞこの試練を乗り越えた兄弟よ!」

桑田「」

桑田「うおおおおお補習まで遊びまくってやる!!!今のうちに遊んでやる!!!」

苗木「は、ははは……」

桑田「というわけで苗木! 女子に声かけてこい!」

苗木「ええー、また僕!?」

桑田「たりめーだ! 舞園ちゃんだけじゃ飽き足らず江ノ島とも仲いいみたいじゃねえか、絶対誘ってこいよな!」


江ノ島「あ、その必要ないから」

桑田「まじ! どこ遊び行くよ!?」

苗木「あっ、江ノ島さん。おつかれさま」

江ノ島「おっつー。ちゃーんと最後まで解いたからね! 約束守りなさいよね!」

桑田「あのさ、この後どうすr」

苗木「はは、わかってるよ。補習なかったら、だからね」

江ノ島「にっしっし、どう振り回してやろうかねえ」ニヤニヤ

桑田「だからs」

苗木「お手柔らかに頼むよ? 本当に、この前の映画みたいなのは勘弁してね……」

江ノ島「その時までお楽しみに、ってね! うぷぷぷ!」


桑田「」

不二咲「あの……その……どんまい、桑田くん!」

桑田「」

舞園「ああ、ちなみに私たちは遊びに行くのは無理です。ごめんなさい」

苗木「たち、ってことはみんなでどこか行くの?」

舞園「はいっ、女子会やるんです!」

江ノ島「というわけで今日の私様はお前に構ってやれないのだ苗木! 残念だったな!」

江ノ島(私が残念です……苗木くんと遊びたいです……)

江ノ島(でも女子会も行きたい! ぐぬぬぬこの葛藤、絶望的いいぃ!!)

江ノ島(まあ苗木とは冬休みにデート行くし。普通の女子高生として女子会行くのだって大事だよね、うん)ワクワク


舞園「というわけで、私たちはもう帰りますね」

江ノ島「んじゃーねー、苗木っ!」バイバイ!

苗木「うん、じゃあね!」

苗木「さて、それじゃ僕らだけで遊びに行く?」

桑田「……おう、普通にゲーセン行くか」

不二咲「あ、僕も行くよ!」

大和田「そういやぁ、不二咲は女子会行かねーのか?」

不二咲「えへへ、だってゲーセンの方がなんだか男らしいじゃんっ!」

大和田(かわいいなこいつ……)

山田(かわいいですな……)

山田(しかし不二咲千尋殿は3次元の住人! それ以前に実は男!! いや男なのは別にいいか)

葉隠「あちゃー、占いによると俺と桑田っちと大和田っちは仲良く補習かよ……」


女子寮・朝日奈の部屋

朝日奈「それでは! 第1回、希望ヶ峰学園第78期生女子会を開催しまーっす!」

江ノ島「いえーい!」

戦刃「い、いえーいっ」

腐川「そ、それにしても随分と集まったわね……」

大神「まさか不二咲以外の全員が参加するとはな。驚いたぞ」

江ノ島(男だって判明した不二咲をふつーに女子会に誘ってたことに今驚いたわ)

腐川「私にとっては、あ、あんたが女子会に参加したことに驚きよ大神さくら……」

セレス「貴女が言っても説得力がありませんわよ」

腐川「わ、私は白夜様との愛の記憶を語りにきたのよ!」

戦刃「愛の記憶!?」///


江ノ島「ナニ想像して顔赤くしてんだ残姉」

戦刃「べ、別になにもえっちぃの想像してないよ!」///

舞園「ちょっと、いきなり恋バナですか? それは夜までとっておくものですよ!」

霧切「あらそうなの? 私は早く苗木くんとのラブラブ新婚生活(妄想)を語りたいのだけど」

セレス「霧切さん貴女、最近本当に……」

朝日奈「そういえば霧切ちゃん、痴女騒動ってなんだったの?」

大神「ふむ、そういえば少し前にあったな」

霧切「ふふふ、じゃあ最初はその話から始めましょうか。そう、あれは私が苗木くんと保健室のベッドで【愛を確かめ合っていた】ときのこと……」


江ノ島「おいおいおい、それは違うぜえ?」


【左右田の証言】バァーン!


江ノ島「鍵を開けて保健室に入った左右田先輩の話によるとー、痴女が鼻血を出しながら馬乗りになって男の子を襲おうとしてたんだってー!」

江ノ島「鍵まで閉めて、ナニをするつもりだったのかなあ?」

朝日奈「うわあ……」

大神「ふむ……」

セレス「痴女ですわ」

舞園「痴女ですね」

腐川「ち、痴女だわ!」

戦刃(痴女……)///

霧切「あら、そんなことを言っていいのかしら?」

江ノ島「は?」


霧切「馬乗りになって撮った、【苦しげに喘ぐ苗木くんの寝顔写真】があるのだけど」

江ノ島「絶望的に酷いなお前! 焼き増しお願いします」

舞園「霧切さんお菓子食べます?」

セレス「霧切さんロイヤルミルクティーはいかがですか?」

戦刃「わたしも! わたしもほしいっ!」

腐川「こ、ここの大半は痴女じゃない!?」

朝日奈「えっ、理解できない私がおかしいの? えっ」

大神「案ずるな朝日奈よ、我も理解できておらぬ……」

今ごろになって、思ったんだけど
更正するまえの妹様は苗木のこと好きなのかな

>>502
このSSでは更生前はなんとも思ってなかった設定になってます


霧切「失礼ね、痴女とはさすがに心外だわ。私はただ苗木くんが好きなだけなのに」

朝日奈「なーんだ、そっか……」

朝日奈「……」

朝日奈「ええ!? 霧切ちゃん苗木のこと好きだったの!?」

セレス「むしろ気づいていませんでしたの?」

朝日奈「うぅ……さくらちゃん気づいてた……?」

大神「薄々とは、な……」

舞園「あーもう、結局恋バナになっちゃってるじゃないですか」

江ノ島「まあいいんじゃない? 女子会なんてその場のノリで喋るもんっしょ」

霧切「ちなみに苗木くんに好意を抱いてるのは私だけじゃないわよ? ねえ、舞園さん」

舞園「ええ、私も苗木くんのことが好きです」

朝日奈「舞園ちゃんも!? えっなに、苗木モテモテじゃん!」

腐川「わ、私は白夜様が好きよ!」

朝日奈「あ、それは知ってる」

腐川「」


江ノ島「……」

舞園「江ノ島さんは、どうなんですか?」

江ノ島「あたし? あたし……は……」

戦刃(盾子ちゃん?)

江ノ島「はぁ」

江ノ島「あたしも、最近……苗木のこと、好きになったよ……」

朝日奈「えええええ!!?」

セレス「……」

舞園「ふふっ、やっと認めましたね」

江ノ島「もう言っちゃったほうが楽だしー」

江ノ島「苗木のこと好きなのお揃いだもんねー、お姉ちゃんっ!」

戦刃「じゅ、じゅんこちゃん!!?」

江ノ島「あれ、お姉さま苗木くんが好きなのではありませんでしたか?」

戦刃「うん! しゅ、しゅきだよ!」///

朝日奈(噛んだ)

舞園(噛みましたね)

江ノ島(ほんっと残念だなおい!)


朝日奈「ええー、なにこれ苗木モテすぎでしょ……」

腐川「ふ、ふんっ! びゃ、白夜様の良さがわからないなんて可哀相な人たちね!」

朝日奈「それでそれで? セレスちゃんは好きな人いるの?」

セレス「私は別に……」

舞園「セレスさん、素直になってしまった方が楽ですよ?」

朝日奈「??」

セレス「なんのことか、さっぱりわかりませんわね」

舞園「本当ですか?」

セレス「……わかりましたわ。言えばいいのでしょう?」

セレス「私、セレスティア・ルーデンベルクは、苗木誠を愛していますわ」

朝日奈「愛!!?」///

戦刃「あい!!?」///

腐川「ちょ、ちょっとそれ本当なの!?」

セレス「信じるかどうかはお任せしますわ」ニコッ

腐川「ま、まあどっちにしろ私と白夜様の愛には勝てないわ……!」

セレス「ふふふ」


舞園「朝日奈さんはどうなんですか?」

朝日奈「わ、私!? うーん、私は好きな人っていないかな……さくらちゃんは?」

大神「む、我か……」

腐川「き、聞かなくてもわかるわ、そんな人いるわけないじゃない!」

大神「いや、我にはケンイチロウという心に決めた相手いる」

全員「「……」」

全員「「ええええええええ!!!??」」



江ノ島(舞園と霧切はわかってたけど、まさかセレスもかよ……倍率高すぎだっつーの……)

江ノ島(いや自信ないわけじゃないけど? むしろ余裕だけど?)

江ノ島(……)

江ノ島(でも、苗木のことがあってもこいつらとは仲いいままがいいなあ……)


朝日奈「じゃあ次はあれだね! その人のどこが好きなのか言ってもらっちゃおうか!」

腐川「き、きたわね! それは――――!」

霧切「存分に語るわよ。もちろん――――!」

腐川「白夜様――――!」

霧切「苗木くん――――!」

腐川「――――!」

霧切「――――!」

舞園「あの2人は放っておきましょう。どんなところが好きなんですか、江ノ島さん?」

江ノ島「あたしぃ? あたしは、うーん……」

江ノ島「や、優しいとこかな……こんなあたしにいつも付き合ってくれるし……」

江ノ島「……」///

江ノ島「……ま、舞園はどうなんだよ!?」

舞園「私ですか? 私は中学のとき――――」

セレス(……)

セレス(本人がいいのなら、それで構わない、ですかね……)

戦刃「わたしも! わたしも優しいとこ好き!」

大神「我はケンイチロウの強さに惹かれたな」

というわけで冬休み突入です。
今さらだけど更生したのが10月頭で、2ヶ月ちょっとくらい経っている設定です。


苗木「緊張するね」

江ノ島「うん」

苗木「ここまで長かった」

江ノ島「やっと結ばれるんだね、あたしたち」

苗木「これからはずっと一緒だよ、江ノ島さん」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「盾子って呼んでくれなきゃ、ヤダ」

苗木「盾子さん」

江ノ島「なーに?」

苗木「好きだよ」

江ノ島「知ってるよ、うぷぷ」

苗木「そっか」

江ノ島「うん」


江ノ島「……」

江ノ島「あたしもね、好きだよ、誠さん」

苗木「ええっ、それは知らなかったなあ」

江ノ島「なにー?」

苗木「冗談だよ、誰よりも知ってる」

江ノ島「あたしより?」

苗木「うん、江ノ島さんより」

江ノ島「……誠さんそれわざとやってるでしょ」

苗木「あ、バレた? 盾子さん、からかうと可愛いから」

江ノ島「なら許す。あっやっぱダメ、これからはちゃんと呼びなさいよ?」

苗木「わかってるよ、盾子」

江ノ島「よろしい」


苗木「そろそろだね」

江ノ島「うん」

苗木「けっこう忙しかったね」

江ノ島「式が終わったらゆっくり休も」

苗木「うん」

江ノ島「ふふ」

戦刃「待って!」バーン

江ノ島「お、お姉ちゃん!?」

苗木「義姉さん!?」

戦刃「はぁ、はぁ、まって義弟くん、盾子ちゃんと結婚しちゃだめ!」

江ノ島「はあ!?」

苗木「ま、待ってよ義姉さん! どうしたんだいきなり!」

戦刃「わたし気づいたの! わたし、義弟くんのこと、ううん、誠くんのことが好き! だからわたしと結婚して!」


江ノ島「待て待て待ておいこら残姉、んなの無理に決まってんだろうが」

苗木「うん、わかったよ!」

江ノ島「えっ」

苗木「僕が本当に好きなのは義姉さん、いや、むくろさん! 君だ! 今気づいたよ!」

江ノ島「ええっ」

戦刃「ほんとっ!?」

苗木「ああ!」

戦刃「わーい!」

苗木「このまま今から式を挙げちゃおう!」

戦刃「うんっ」

霧切「待ちなさい!」バーン

霧切「誠くんと結婚するのはこの私よ!」


舞園「いえ私です!」

セレス「私のナイトですわ!」

苗木妹「お兄ちゃん!」

江ノ島「」

苗木「もうしょうがないなあ、一夫多妻が認められてる国に引っ越そうか」

戦刃「わたしフェンリルで行ったことあるよ!」

苗木「案内頼むよ、むくろ」

戦刃「うん!」

苗木「じゃあね盾子、じゃなかった江ノ島さん、僕たち幸せになるから!」

戦刃「ばいばーい盾子ちゃん!」

江ノ島「」

――――

――


Prrrr! Prrrr!


苗木「ふぁいもしもし……」

苗木「江ノ島さん……? こんな夜中にどうしたの……」


[am03:45]


苗木「幸せな夢を見ていると思ったら絶望的な悪夢だった……?」

苗木「何言ってるかわからないよ……泣かないで……」

苗木「うん……うん……大丈夫だよ……どこにも行かないよ……」

苗木「えぇ……?」

苗木「わかったよ……言うから……」

苗木「じゅ……盾子さん……?」

苗木「うん……はい……また明日ね……」

苗木「おやすみぃ……」


pi


苗木「うぅ~ん……」zzz…

夢でした。
起きたら電話のこと覚えてない苗木くんと、恥ずかしくて苗木の顔が見れない江ノ島さん

>>1がまたカッとなって妹様かわいいエンドなのかと思ったら、夢落ちの妹様かわいいルートだったよ

>>536
自分でも書いてて最終回っぽいなーと思ってました
ちゃんと最後まで書くよ!


江ノ島「あの、さ……苗木……」

苗木「おはよう、江ノ島さん! どうかした?」

江ノ島「昨日のことなんだけど……」

苗木「昨日?」

江ノ島「えっと、その……」

苗木「ああ女子会か! どう、楽しかった?」

江ノ島「忘れてくれると嬉し――――は? 女子会?」

苗木「行ったんでしょ、女子会」

江ノ島「あ、ああ女子会ね! 行った行った楽しかったよ!」

江ノ島(昨日の電話のこと忘れてるー!! めちゃくちゃ緊張してたあたしバカみたいじゃん!!)

苗木「うーん、僕たちも男子会やったほうがいいのかな」

江ノ島「むさくるしいだけっしょ、やめときな……」


江ノ島「それよりさ、苗木ってクリスマスイヴの夜なんか予定ある?」

苗木「ないけど?」

江ノ島「じゃあさじゃあさ! みんなでクリスマスパーティやろうよ!」

苗木「クリスマスパーティ?」

江ノ島「うん、女子会でやりたいねーって話になったんだ。パーティって言っても、みんなで飲んで食べてプレゼント交換するくらいだけどね」

苗木「ちょっと待って。お酒飲むのはダメだからね」

江ノ島「えー、だめー?」

苗木「大人になるまでダメだよ」

江ノ島「ぶー! じゃあ大人になったら一緒にお酒飲んでよね?」

苗木「はは、江ノ島さんとなら喜んで」ニコッ

江ノ島「……うん」///


江ノ島「で、クリスマスパーティのこと男子に伝えるの任せちゃっていい?」

苗木「うん、任せて」

江ノ島「十神あたりは来ないだろうけどね」

苗木「頑張って誘ってみるよ」

江ノ島「ふふっ、楽しみにしてるよーん」

苗木「でもそっか、プレゼント交換かあ。小学生以来だな」

江ノ島「苗木って変なの当たりそうだよねー」ニヤニヤ

苗木「……」

江ノ島「どったの?」

苗木「おもちゃの化粧セット当たったことあるよ……その前の年は可愛いスカート当たったなあ……」

江ノ島(こいつ本当に『超高校級の幸運』かよ……)


苗木「みんなすごいマニアックなプレゼント買いそうだよね」

江ノ島「そ、そうかなー」

苗木「……江ノ島さん、何買うつもりなの?」

江ノ島「な、なんでもないよー」テヘッ

苗木「まあ、そんな悪戯好きなところが江ノ島さんらしくていいと思うけどね」

江ノ島「ほんと?」

苗木「……ほどほどにね?」

江ノ島「はーい! えへへっ」

苗木(!!)ドキッ

苗木(最近の江ノ島さん、すごい自然に笑うようになったな……)

江ノ島(まあ、買いはしないんだけどね)

苗木「そういえば江ノ島さん、また指ケガしてるけど大丈夫?」

江ノ島「っ! へーきへーき、料理けっこう楽しいからね!」

江ノ島(苗木って変なところで鋭いんだよなあ)


セレス「相も変わらずイチャイチャしてますわねあのド腐れビッチが……!」ギリッ

舞園「しょうがないじゃないですか、私たちは苗木くんを誘う権利を賭けたじゃんけんで負けたんですから……」

戦刃「霧切さんプレゼント何にするの?」ワクワク

霧切「私のプレゼントは私自身よ」

戦刃「霧切さんがプレゼント?」

霧切「ええ。『超高校級の幸運』である苗木くんならきっと私を引き当てるわ。だってそれが彼にとっての幸運だもの!」

戦刃「おおー!」

舞園「うわあ……」

セレス「さすがは痴女ですわね。桑田くんあたりに当たるよう祈っていますわ」

霧切「なによ、秘蔵写真(盗撮)あげないわよ?」

舞園「見直しました霧切さん」

セレス「私たちにできないことを平然とやってのけるなんて憧れますわ」

戦刃「??」


江ノ島の部屋

江ノ島「ふう、今日も頑張らなきゃ」

江ノ島「ぬいぐるみ作るなんて初めてだけど、意外と難しいんだよねー」

江ノ島「苗木のこと考えながら作ってるからかな……」

江ノ島「……」

江ノ島「クマさんだクマー」

江ノ島「左右で色違うんだクマー」

江ノ島「モノクマっていうんだクマー」

江ノ島「はぁ……」

江ノ島「苗木に当たるといいな」


チクッ

江ノ島「いたっ! また針刺さったしー!」

江ノ島「ここまでしたんだから絶対苗木に当てられるんだぞー? わかったクマかー?」

戦刃「……」

江ノ島「わかったク……マ……」

戦刃「……」

江ノ島「……」

江ノ島「いつからいたの」

戦刃「クマさんだクマー?」

江ノ島「……忘れろ」

戦刃「盾子ちゃんかわいかったよ!」

江ノ島「うぅぅ……忘れろぉ……!」///

普段は何でもできるのに、苗木のこと考えながらだとちょっと残念になる妹様です


12月22日

苗木(期末試験の答案が返却された)

苗木(江ノ島さんや戦刃さんと一緒に勉強したおかげで、前回よりいい点数だったぞ!)

桑田「くっそー、やっぱり補習かよ!」

葉隠「こういう占いは外れていいのになあ」

大和田「」

苗木(大和田君、すごい自信満々だったけど補習なのか……)

石丸「うおおおお兄弟!! すまない、僕の教え方がよくなかったせいでッ!!」

大和田「」

桑田「ええい、補習があるのはわかってたんだ! 女子も一緒に受けるんだから乗り切れるぜ!」

桑田「な! 江ノ島ちゃーん!」


江ノ島「なっえぎー、見て見て! あたし頑張っちゃったーっ!」

苗木「うわっ、どれも満点近いじゃないか!?」

江ノ島「えへへ……苗木くん褒めてください……ナデナデしてください……」

苗木「いやしないよ? みんな見てるし」

江ノ島「2人きりならいいってことかな? うぷぷぷっ」

苗木「前にもこんなやりとりあったね」

江ノ島「あー、あったねそういや」

江ノ島(あの時はからかってただけだけど、今は……)チラッ

苗木「うん? どうしたの?」

江ノ島「なんでもなーい!」

江ノ島(撫でてほしいなあ……)


桑田「」

桑田「なんだよ! 江ノ島いつも赤点だったじゃんよ!」

桑田「くそう、戦刃ちゃんは!?」

戦刃「苗木くーん!」

苗木「あ、戦刃さんはどうだったの?」

戦刃「ぶいっ!」

苗木「おおー、赤点しっかり回避してるじゃないか!」

苗木(ギリギリだけど)

戦刃「すごいでしょ!」

江ノ島「教えた私様がすごいのだ!」

苗木「はは、みんなで勉強してよかったね」


桑田「終わった……もう希望も何もねえ……」

朝日奈「あちゃー、1教科だけ補習か……」

桑田「」ピクッ

大神「朝日奈よ、補習は悪いものではないぞ」

朝日奈「わかってるんだけどね、はぁ……」

桑田「な、なあ朝日奈、どの教科が補習なんだよ?」

朝日奈「え? 数学だけど」

桑田「」←数学だけ奇跡的に補習回避

葉隠「お、朝日奈っちも補習仲間か? まあみんなで頑張るべ」

朝日奈「うん!」

桑田「なんでだよあほあほあほあほアホ!!」


江ノ島「そういえば苗木、プレゼント交換なに買うか決めた? ていうかもう買った?」

苗木「まだ決まってないんだよね。お店で見て決めようかと思って」

江ノ島「ふーん……」

江ノ島「あのさ、い、いつ買いに行くのかな?」

苗木「今日の終業式が終わったら買いに行くつもりだよ」

江ノ島「じゃあさ……」

江ノ島「あっ、あたしも一緒に行っていい?」

苗木「江ノ島さんもまだ買ってないの?」

江ノ島「そういうわけじゃないけど……」


苗木「でもごめん、どうせなら1人で買いに行きたいかな。その、江ノ島さんに当たるかもしれないし……」

苗木「そ、そう! 当たるまでは秘密にしておきたいんだ!」

江ノ島「ちぇー、そういうことなら仕方ないか……」

苗木「ごめんね!」

江ノ島「その代わり、あたしに当てられるようにしといてよね!」

苗木「ええっ!? それはわかんないよ!」

江ノ島「ええぇ……」

苗木「あ、もう終業式始まるよ! 行こう!」

――――

――


江ノ島「苗木、行っちゃった……」

江ノ島「はぁ……一緒に買い物行きたかったな……」

江ノ島「まっ、今日中にモノクマ完成させちゃうかー!」

戦刃「……」

江ノ島「……なによ」

戦刃「完成させちゃうクマー?」

江ノ島「やめてください恥ずかしさで絶望してしまいます」

戦刃「えへへっ」

戦刃(恥ずかしがる盾子ちゃんかわいいなあ)


戦刃「あのクマさん、クリスマスパーティのプレゼントなの?」

江ノ島「そだよ」

戦刃「苗木くんに当たるといいね!」

江ノ島「……うん」

戦刃「苗木くんに当たらなかったらわたしが当てるね!」

江ノ島「苗木に当てさせるもーん」

戦刃「ふふっ、そうだね」

江ノ島「うぷぷぷ、まあ苗木が外したらお姉ちゃんに当たるよう祈ってるよーん」

戦刃「うん!」


雑貨屋

苗木「うーん……」

苗木「これはちょっと子供っぽい、かな?」

苗木「やっぱり難しいな、こういうの」

苗木「はぁ……」

苗木「次の店行くか」

苗木「……」

苗木「江ノ島さん、どういうのが好きなんだろ」

元の妹様がどんなだったのか、よくわからなくなってきた今日この頃

クリスマスイヴは絶望姉妹の誕生日じゃないっけ?

>>570
しーっ!


12月23日

コンコン

江ノ島「はーい」ガチャ

舞園「こんにちは、江ノ島さん」

江ノ島「舞園じゃん。どうかした?」

舞園「明日のパーティなんですけど、クリスマスケーキって予約とかしてないですよね?」

江ノ島「あたしはしてないよ」

舞園「よかった! どうせならケーキ、焼いてみませんか?」

江ノ島「クリスマスケーキを?」

舞園「はい!」

江ノ島「でもあたしケーキ焼いたことないし……」

舞園「だから今日のうちに練習しておくんですよ!」

江ノ島「うーん……」

舞園「苗木くんに手作りケーキ食べてもらいたくないですか?」

江ノ島「……」


苗木『このケーキ美味しいよ、江ノ島さん!』

江ノ島『ほんと!?』

苗木『あ、ほっぺにクリームついてる』

江ノ島『えっ、どこどこ?』

苗木『ここだよ』ペロッ

江ノ島『な!? なにしてんのさ!?』

苗木『なにって、ほっぺのクリーム舐めとっただけだよ?』

江ノ島『ななな舐め!!?』

苗木『はは、照れる江ノ島さんも可愛いなあ』

江ノ島『もう、ばか……』///

――――

――


江ノ島「うん、やる! ケーキ焼く!」

舞園(わかりやすいなあ)


厨房

舞園「ではケーキ作りの練習を始めましょうか!」

朝日奈「おー!」

戦刃「おーっ」

江ノ島(集まったのは腐川以外の女子7人か……)

江ノ島「あれ? 霧切はなんでエプロン着てないのさ?」

霧切「私は試食専門なのよ」

江ノ島「はあ?」

霧切「この前、練習していた玉子焼きを食べてみたの」

江ノ島(玉子焼きって、まさかあのダークマター?)

霧切「苗木くんの口に入るものを作るのは、もう少し練習してからの方がいいって気づいたわ……」フフフ…

江ノ島「えっと、今度一緒に練習する……?」

霧切「お願いするわ……」グスン


セレス「ではこの6人で作るということになりますわね。どういった手順で作りますの?」

舞園「あ、それなんですけど、3グループに分かれましょう」

セレス「どうしてですか?」

舞園「全員来ると16人になるじゃないですか。ケーキ1つだと足りないと思うんです」

セレス「なるほど。たしかに3つほど用意するのがちょうどいいですわね」

舞園「グループ分けはどうしますか?」

江ノ島「料理できる人がどの組にもいないとまずいっしょ」

セレス「私と戦刃さん、舞園さんと江ノ島さん、大神さんと朝日奈さん。この分け方でよろしいでしょうか?」

朝日奈「私はオッケーだよ!」

大神「我も異論はない」

戦刃「わたしも!」

舞園「それじゃあ作りましょう、江ノ島さん!」

江ノ島「はーい」

江ノ島(苗木には絶対美味しいケーキ食べさせてやる!)


1時間後

江ノ島「……」

舞園「……」

スポンジのようなもの『焦げた』

江ノ島「ごめん……苗木のこと考えてたら焼きすぎた……」グスッ

舞園「もう一回焼きましょう、ねっ!」

江ノ島「うん……絶望的ぃ……」

江ノ島(ぶっつけ本番じゃなくてよかったな……)


さらに1時間後

江ノ島「今度はそれなりによく焼けた、かな?」

舞園「そうですね。これにトッピングしていきましょう」

江ノ島「えーっと、スポンジを3枚にスライスするのか」

舞園「私切りますね!」

江ノ島「うん」

舞園「……」

舞園「あっ!?」

江ノ島「うわー、これ難しそう……」

舞園「本番はちゃんと水平に切るよう気を付けましょう……」


江ノ島「舞園もミスするんだねー」

舞園「それはそうですよ」

江ノ島「苗木のこと考えてたからかなー? うぷぷっ」

舞園「……」///

江ノ島(図星かよ!)

江ノ島(……)

江ノ島「舞園って、さ……」

舞園「なんですか?」

江ノ島「その……いつから苗木のこと、好きなの……?」

舞園「えっ?」

江ノ島「結構早いうちにはもう、好きだった……よね……?」


舞園「……」

舞園「そうですね……中学の頃から知っていたから、入学してすぐには気になっていたんですけど……」

江ノ島「惚れたのは?」

舞園「うーん……5月の終わりくらい、ですかね……」

江ノ島「ふーん」

舞園「気が付いたら、好きになってました」

江ノ島「そっか……」

舞園「あ、改めて言うとけっこう恥ずかしいですね……」///

江ノ島「……」

舞園「どうかしました?」

江ノ島「苗木にさ、気持ち伝えたりしないの?」


舞園「それは……」

舞園「……」

舞園「今は、無理ですね」

江ノ島「『アイドル』だから?」

舞園「はい」

江ノ島「辛くない?」

舞園「少しだけ。でもいつか伝えますよ。恋愛との両立がファンのみなさんから認められるくらい、すごいアイドルになってみせます」

舞園「それに、今はまだこの片想いを楽しんでいたいですからね」フフ

江ノ島「……」

江ノ島「あたしさ、あんたとか霧切とか見て、じれったいって思ってた」

舞園「さっさと告白しちゃえー! って感じですか?」

江ノ島「うん。でも今はわかるよ。この苗木との距離が離れるかもって思うと、怖い」

江ノ島「恋愛って、大変だね」

舞園「そうですよ!」


江ノ島「もしもだけどさ、誰かがさっさと苗木に告って、そのまま付き合い始めちゃったらどうすんの?」

舞園「その人よりも夢中にさせるだけですよ」

江ノ島「おっ、自信満々だねー」

舞園「これでも人気アイドルですから」

江ノ島「ほほう」ニヤニヤ

舞園「だから、私の方が先に苗木くんを好きになったからって、遠慮する必要はないですよ」

江ノ島「……」

舞園「……」

江ノ島「べっつに苗木に告るつもりないしー?」

舞園「そうですか」

江ノ島「うん」

舞園「霧切さんやセレスさん、戦刃さんも、私と同じことを言うと思いますよ」

江ノ島「だからあたしは告んないってば」

舞園「そうですか」

江ノ島「そだよ」



霧切「ケーキのために朝から何も食べていないのだけど、完成はまだかしら……」グー


夜時間・江ノ島の部屋

江ノ島「明日は頼んだよ? ちゃんと苗木に当てられるんだぞ?」

江ノ島「わかったクマかー?」

モノクマ「……」

江ノ島「無理だったら残姉ちゃんでもいいけど」

江ノ島「舞園あたりでもいいけどさ」

江ノ島「……」

江ノ島「もしも……」

江ノ島「もしもだけどさ、あんたが苗木に当てられたら……」

江ノ島「それか、あたしが苗木のプレゼント当たったら……」

江ノ島「そのときは……」

女の子の手作りケーキ食べたいです

>>589
舞園さんは元々キレイだろ!いい加減にしろ!
腹黒舞園さん、変態霧切さんも嫌いじゃないけど、ここの二人が個人的な原作のイメージに合ってて好きだなぁ

>>597
ありがとうございます!舞園さんがきれいなのは自分が舞園さん押しだからです!
霧切さんは……ごめんなさい……


12月24日

10:00

苗木「んんー……ちょっと寝すぎた……かな?」

苗木「……」

苗木「クリスマスパーティ、ね……」

苗木「ん? メールきてる」

pi

『お兄ちゃんクリスマス帰ってこないの?』
『毎年クリスマスは家族で祝ってたじゃん……』
『お兄ちゃーん!』

苗木「ああ……そういえばクリスマスに家にいないのって初めてだな……」

苗木「ごめんね、年末には帰るから、っと」

苗木「よし、飾り付けやるか!」


食堂

苗木「おはよう!」

石丸「むっ、苗木くん! おはよう! 清々しい朝だな!」

不二咲「おはよう~」

苗木「あれ? 石丸くんと不二咲さんだけ?」

石丸「兄弟と桑田くん、そして葉隠くんは補習だぞ!」

不二咲「山田くんはたぶんまだ寝てるんだと思うけど……」

苗木(十神くんはしょうがないか……)ハハハ…

石丸「ところで苗木くん、午後から女子が厨房を使うという話は聞いたかね?」

苗木「そうなの? 今知ったけど」

石丸「どうやら食べ物の準備等をするらしい。よって、我々は午後1時までに飾り付けを終わらせることになったのだ!」

苗木「……えっ、3人しかいないのに?」

石丸「問題ない! 各自が2人分の働きをすれば6人いるのと同じではないか!」

苗木(えぇ……)

不二咲「が、頑張ろうね!」


14:00

苗木「お、終わった……」

石丸「くっ! 約束した時間をすぎてしまうなど……!」

山田「まあまあ、終わったからいいではありませぬか」

苗木「山田くんが寝坊しなければ間に合ってたけどね……」

山田「ごめんなさいッ!!」

舞園「はいはい、終わったなら男子は出て行ってくださーい」

江ノ島「……」ジー

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「その、さ……」

苗木「ん?」

江ノ島「楽しみだね、パーティ!」ニシシ

苗木「うん!」


――――

――

苗木「さて、7時までどうやって過ごそうか……」

苗木「十神くんはやっぱり来ないつもりかな?」

苗木「せっかくだし、全員で楽しみたいよね……」

苗木「……」

苗木「図書館、行ってみよう」


図書館

14:30

十神「……」

苗木(やっぱりここにいた)

十神「……」ペラッ

苗木(でも読書の邪魔したら怒るよな……)

十神「……なんの用だ」

苗木「き、気づいてたの!?」

十神「用件を言え」

苗木「えっと、クリスマスパーティのことなんだけど……」

十神「……」ペラッ

苗木「せっかくだし、十神くんも来ない?」

十神「なぜ俺が、そんなくだらない集まりに参加しなければならない?」

苗木「はは……」


十神「と、今までの俺なら言っていたんだろうな」パタン

苗木「えっ?」

十神「今回のパーティ、誰が食事の手配をしたと思っている?」

苗木「まさか……」

十神「喜べ。俺のポケットマネーで最高のパーティ料理を用意した」

苗木(嘘!? 予想外すぎるよ十神くん!)

十神「ふん。俺も貴様らのせいで随分と俗っぽくなったものだ」

苗木「あ、ありがとうね」

十神「それに、俺1人でいると今度こそジェノサイダーに襲われかねん」

苗木「ああ……」

十神「まあ簡単に殺されるつもりはないがな」

苗木(最近の腐川さんを見てると別の意味で襲われそうな気もするけど……)


十神「ところで苗木、お前と2人で話すのは久しぶりだな」

苗木「え? うん」

十神「……」

十神「すまなかったな」

苗木「へっ?」

十神「江ノ島のことだ」

苗木「……」

十神「奴の絶望願望が発覚したとき、人格の書き換えを提案したのは俺だったな」

苗木「……」

十神「しかし、そのボタンを押すのをお前に任せてしまった」


苗木「あれは……僕が立候補したから……」

十神「俺たちがお前に役割を押し付けたのは事実だ。お前は江ノ島の人格を書き換えたことに責任を感じている。違うか?」

苗木「それは……違うよ……」

十神「では何故、江ノ島を気にかける?」

苗木「そんなこと……」

十神「罪悪感からではないのか? ……それともまさか、恋愛感情からか?」

苗木「……」

十神「……ちっ、今のは忘れろ」

十神「別にお前を責めたいわけじゃない。ただ……」

苗木「?」

十神「何かあったら俺たちを頼れ。1人で背負い込むな。それだけだ」

苗木「! ……うん!」


苗木「……」

苗木「僕は、良かったと思ってるよ。江ノ島さん、今が楽しいって言ってた」

十神「そうか」

苗木「うん」

十神「……」

苗木「7時まで、僕もここにいていいかな」

十神「好きにしろ」ペラッ

十神「……恋愛指南書はここにはないぞ」

苗木「そういうものを探しているわけじゃないよ!?」

十神「大声を出すな」フフ

最近ずっと溜め回みたいですみませんでした……
次回からクリスマスパーティ開始です

十神も半年くらい平和の中でみんなといれば普通にいい奴になると思うんですよねー
5章EDとかすごい爽やかな笑顔だったし


食堂前

19:00

桑田「あー、疲れた……」

苗木「あ、桑田くんたち。補習終わったの?」

桑田「おうよ! あとはクリパ楽しむだけだぜ!」

葉隠「まあ補習は明日もあるんだけどな……」

大和田「そのことは今は忘れようぜ……」

苗木「はは……」

十神「おい貴様ら、さっさと中に入るぞ」ソワソワ

苗木「そうだね、行こうか」

十神「苗木、しょうもない飾り付けだったら鼻で笑い飛ばすからな」ワクワク

苗木「あはは……」

苗木(十神くん、実は結構楽しみにしてたんじゃないか?)


江ノ島「あー苗木! やっと来たねあんた!」

戦刃「全員そろったー!」

苗木「えっ、僕たち最後だった!? 時間通りに来たんだけど……」

江ノ島「みんな待ちきれなかったみたいで、普通に30分前には集まってたよー、うぷぷっ」

戦刃「盾子ちゃんなんて2分おきくらいに苗木くん来てないか確かめてたもんね」

江ノ島「なに言ってんのお姉ちゃん!!?」///

十神「ふん、なかなか見れた飾り付けじゃないか……」

苗木「あ、ありがとう」

十神「しかしクリスマスツリーが小さいぞ苗木!! ええいあれも来年は俺が用意する!」

苗木(十神くんの家厳しそうだし、たぶん同世代でこういうことやるの初めてなんだろうな。楽しんでもらえそうだ)フフ

苗木「っと、何か言った? 戦刃さん?」

江ノ島「なんでもない! なんでもないよ!!」///

戦刃「んー! んーっ!」モガー!


舞園「苗木くんたち来てたんですね! じゃあ、始めましょうか」

苗木「あっ舞園さん。うわあ、美味しそうなケーキだね!」

舞園「でしょう! ふっふっふ、実は今日のケーキ、女の子の手作りなんですよ!」

江ノ島「ちなみに今舞園が持って来たケーキ、あたしと舞園で作ったやつだから食べてよね! 絶対美味しいんだから!」

苗木「手作り!? へえ、すごいね。楽しみにしてるよ!」

戦刃「わたしとセレスさんが作ったのも食べてねー!」

苗木「うん!」

桑田「……」

不二咲「桑田くん? どうかした?」

桑田「女子の……手作り……」

不二咲「?」

桑田「女子の手作りケーキだと!? うっひょおおお生きててよかったあああ!!」

不二咲「桑田くん!?」


十神「……」

十神「おい、クラッカーは行き渡ったか?」

十神「では……」

セレス「あの、なぜ貴方が仕切っているのですか?」

十神「……?」

十神「それは俺が十神白夜だからに決まっているだろう? 何を言っているんだお前は?」

腐川「はああぁあ今宵も素敵です白夜さまあぁぁああ!!」ハァハァ

セレス「……まあ、よろしいですわ。続けてくださいな」

セレス(この中で一番楽しんでいるようですし)

十神「ふん。では今度こそ……」

十神「メリークリスマスだ貴様ら!!」パーン!

「「「メリークリスマス!!」」」パパーン!


ワイワイガヤガヤ

舞園「苗木くん苗木くん! ケーキ食べてみてください!」

江ノ島「あたしらが心込めて作ったんだから、よーく味わって食べなさいよね!」

苗木「うん、いただきます!」

苗木「……」パクッ

舞園「……」

江ノ島「……」

苗木「……」モグモグ

舞園「……」

江ノ島「どう……? 美味しく作れた……かな……?」

苗木「お……」

江ノ島「……?」

苗木「美味しいよ! すごく美味しい!」


舞園「本当ですか!? よかったぁ! ねっ江ノ島さん!」

江ノ島「……」

舞園「江ノ島さん?」

江ノ島「はは……」

舞園「?」

江ノ島「よかった……」グスッ

舞園「……はいっ!」

江ノ島(苗木に美味しいケーキ、食べさせてあげられた……)

セレス「苗木くん、私と戦刃さんで作ったケーキもいかがです?」

戦刃「食べて食べてー!」

苗木「うん!」


十神「ふん、クリームが多すぎる」パクパク

十神「スポンジもあまり膨らんでいないな」モグモグ

腐川「そうよそうよ! 白夜さまにこんなケーキ食べさせるなんて!」

朝日奈「な、なによ! 私たちだって一生懸命作ったんだから!」

十神「しかし……」

十神「……」

十神「食べれない味ではないな。おい、もう一切れ寄越せ」

朝日奈「……えっ?」

十神「あんな小さい切れ端では食べ足りないと言っているんだ」

腐川「そうよ早く白夜様にケーキを切り分けなさい!」

朝日奈「!」

朝日奈「うんっ!」

大神「ふふ……」


山田「うまし! うまし!!」ガツガツ

桑田「っひょー! 舞園ちゃんのケーキうんめー!!」モグモグ




うわあ最後↑の入れ忘れた!
今日中に書けたらもう一回投下したいです


朝日奈「なにこのお肉おーいしーっ!」

苗木「本当に美味しいよ、十神くん!」

十神「当然だ。この俺が手配したんだからな」

江ノ島「……」モグモグ

江ノ島「!」ピーン!

江ノ島「ねえねえ苗木」

苗木「ん? なに?」

江ノ島「はい苗木、食べさせてあげる! あーんっ!」

舞園・セレス「!!」

苗木「え、江ノ島さん!?」

江ノ島「ほらほら、冷めちゃうよー?」ニッシッシ

苗木「ちょ、それはさすがに!」///

江ノ島(照れてる照れてる! 食べないだろうけど、顔真っ赤にしてる苗木もかわいいなあ)ニヤニヤ


苗木(この顔は間違いなくからかってるな!?)

江ノ島「苗木はやくー! うぷぷぷ!」

苗木「くっ……!」

江ノ島(まあ私の計算によると苗木くんは食べてくれないんですけどね。絶望的です……)

苗木「ええい、いただきます!!」パクッ

舞園・セレス「」

苗木(どうだ!? これでお相子だ!)///

江ノ島「……」

江ノ島(た、たたた食べた!? 苗木があーんしたら食べた!?)

江ノ島「ふぇ……」///

苗木(映画観た後にも食べさせ合いしたことあったしね……いや恥ずかしいことには変わりないけど……)


舞園「な、苗木くんこれも美味しいですよ! 食べさせてあげます!」

セレス「苗木くんこれはいかがですか! ほら!」

苗木「ええ!?」

苗木(えっ、他人に食べさせるの流行ってるの!?)



戦刃「盾子ちゃん、お顔真っ赤だけど大丈夫?」

江ノ島「うん、だいじょぶ……」///

戦刃「ねえねえ、これ美味しかったよ! はい、あーんっ!」

江ノ島「……」

江ノ島「んっ」パクッ

江ノ島「うん、おいし……」

戦刃「よかった」エヘヘ

江ノ島「……うぷぷっ」


霧切「舞園さん、スライドショーの準備が整ったわ」

舞園「ほんとですか? ありがとうございます霧切さん!」

苗木「スライドショー?」

舞園「はい! 入学してから撮ってきた写真を、プロジェクターで映そうってなったんです!」

霧切「写真を厳選していたら思ったより時間がかかってしまったわ」

苗木「へえ、楽しみだなあ!」

霧切「じゃあ始めるわよ」

Pi

苗木「……」ワクワク

霧切「ランダム再生だから、1枚目に何が来るか私にもわからないのよね」

舞園「あ、出ますよ!」


【苗木の寝顔@苗木の部屋】

苗木「……」

苗木「えっ?」

キャーキャー!

苗木(いつの間にこんな写真……ていうか部屋に人をあげてるときに寝るはずないんだけど……)

霧切「ふふ、まさかいきなりこれが出るとはね。あら鼻血が……」タラー

苗木「霧切さん? これ、いつ撮ったの?」

霧切「え? わたしがとったしゃしんじゃないわよー?」メソラシ

苗木「でもこの写真のこと知って様な口ぶりを……」

霧切「次の写真に切り替わるわ」


【授業中に問題が解けなくて悩む苗木】


苗木「……」

苗木「ねえ霧切さん」

霧切「知らないわ」

苗木「そっか」

霧切「ええ」

苗木(それからしばらく見てたけど、僕の写真が多めな気がする。いやきっと気のせいだよね! そう思うことにしよう!)


江ノ島「苗木ったら油断してるとこ撮られすぎじゃなーい?」ニヤニヤ

江ノ島(あとで霧切にあれ入ったフォルダもらおう、うん)

苗木「え、江ノ島さんの油断しきった写真だってあるかもしれないよ!」

江ノ島「この私様に限ってそのようなことはない!」フフン


【図星突かれてものすごく照れる江ノ島】


江ノ島「んな!?」///

霧切「ああ、これは77期生の小泉さんからいただいた写真ね」

江ノ島「小泉なにしてくれてんの!?」

苗木「あれ、この江ノ島さんの服……」

苗木「ああ、雨の日に一緒にスタジオまで行った時のじゃないか!」

苗木「でもなんでこんな顔赤くしてるのこの写真?」

江ノ島「なんでもない! ほんっとうになんでもないし! 別に相合傘のせいとかじゃないし!!」///


霧切「……相合傘?」

舞園「詳しくお話しを……」

セレス「聞かせていただけますわよね……?」

江ノ島「なっ、ちがっ!?」///

ワーワーギャーギャー


戦刃「ふふ」

苗木「あはは……」

戦刃「苗木くん、ありがとうね」

苗木「え?」

戦刃「盾子ちゃんを笑顔にしてくれて」ニコ

苗木「……うん」ニコ

クリスマスって何やるのか、いざとなるとおんまり思いつかないなあ


21:00

舞園「そろそろプレゼント交換始めましょうか!」

桑田「いえーい!!」

朝日奈「誰の当たるかなあ!」

江ノ島(うわーきたよプレゼント交換!)

江ノ島(頼んだからね、モノクマ……!)

戦刃「始めるクマー!」

江ノ島「」ビクッ

セレス「クマ……ですか……?」

戦刃「あっごめん盾子ちゃん! クマーってちょっと口癖になっちゃったかも……」

セレス「はい?」

江ノ島「なんでもないから! ほんとに!!」


苗木「そういえば、プレゼント交換ってどうやってやるの?」

霧切「あそこに2つ箱があるでしょ?」

苗木「うん」

霧切「まず小さい方の箱から紙を1枚引くと、この16人の誰かの名前が書いてあるわ」

苗木「名前が出てきた人が次の箱から紙を引くってこと?」

霧切「あら、察しがいいじゃない」

霧切「大きい箱の中の紙には番号が書いてあって、それと同じ番号のプレゼントがもらえるわ。そして小さい箱から紙を引いて、次の人にバトンタッチよ」

苗木「ああ、集めたプレゼントに貼ってある番号はそういうことね」

苗木「ん? それって自分のが当たっちゃう人もいるんじゃ……」

霧切「その時はその時よ。それに、そういうハプニングは盛り上がるわ」

苗木「ははは……」


苗木「最初に小さい箱から紙を引く人は責任重大だね」

舞園「何言ってるんですか苗木くん」

苗木「へっ?」

江ノ島「トップバッターは『超高校級の幸運』の苗木に決まってんじゃん」

苗木「えええ!? 聞いてないよ!?」

江ノ島「だって今決めたもん」

舞園「みんなに苗木くんの幸運を分けてあげるんですよ!」

十神「苗木、何をもたもたしている! 早くクジを引かないか!」ソワソワ

戦刃「はやくはやくー!」ワクワク

苗木「ああもう、わかったよ! 誰が出ても知らないからね!?」

霧切「はい、どうぞ」

苗木「くっ……」ガサゴソ

苗木「これに決めた!」バッ

舞園「誰の名前が書いてありますか?」

苗木「えーっと……」ピラッ


【苗木】


苗木「……僕?」


江ノ島「!」

舞園「ええっいきなりですか!?」

十神「さすがは『超高校級の幸運』、といったところか」

霧切「あら、いきなり私のプレゼントが苗木くんの手に渡るのね」

セレス「だから貴女のその変な自信はどこからくるんですか……」

江ノ島(やばいよ、やばいって、まだ心の準備できてないんですけど!?)

苗木「次はこっちの箱ね……」ゴソゴソ

江ノ島(モノクマ……)

苗木「んと、これかな?」ヒョイ

江ノ島(お願い……!)

苗木「ええっと……3番だ!」

舞園「3番ですね!」

大和田「おい3番のプレゼントどこだ!」


不二咲「あ、あったよ! はい、苗木くん!」

苗木「うわあ、緊張するなあ」

江ノ島「……」ゴクリ

苗木「よいしょ……お、これは……」

苗木「マフラーだ!」

江ノ島「……」

戦刃(盾子ちゃん……)

セレス「これからの季節にピッタリですわね」

セレス(私のは当たりませんでしたか……)

舞園「……」

朝日奈「誰のプレゼントか当ててみてよ苗木!」

苗木「ええ!? 当てるのはさすがに無理じゃない!?」

葉隠「いや案外当たるもんだべ! なんなら特別価格にしとくから占ってやろうか?」

苗木「うーん……よく気が利く人な気がするな……」

葉隠「無視!?」


苗木「んー……舞園さん……だったりする……?」

舞園「……」

苗木「は、ハズレだったかな?」

舞園「……正解です! 私でした!」

苗木「よかったあ! ありがとう、舞園さん! 大事に使わせてもらうよ!」

舞園「はい!」ニコッ

舞園(よかった……一生懸命選んで、本当によかった……!)

舞園(でも苗木くんに当たるなら手編みにしたほうがよかったかな……)

舞園(なーんてね。とにかくよかったぁ……)ホッ

セレス「貴女じゃありませんでしたね、霧切さん」

霧切「」

セレス「霧切さん?」

霧切「」


苗木「えーと次の人は……」

江ノ島(……)

江ノ島(いきなり、かあ……)

苗木「戦刃さんだ!」

江ノ島(いきなりハズれちゃったなあ……)

江ノ島(苗木に当ててほしかったなあ……)

戦刃「わ、わたし!?」

江ノ島(プレゼント交換でもないと渡す勇気ないのになあ……)

江ノ島(頼んだって、言ったのに……)

江ノ島「はぁ……絶望的……」

江ノ島「ふぇ……」グス


戦刃「盾子ちゃん盾子ちゃん!」

江ノ島「……なにお姉ちゃん」ウルウル

戦刃「じゃじゃーん! 盾子ちゃんのモノクマさん当たったよ!」エヘヘ

江ノ島「……」

戦刃「ちゃんと当ててきたよ!」

江ノ島「……」

戦刃「ありがとクマー!」クマー!

江ノ島「……」

江ノ島「うぷぷっ、感謝しなさいよねお姉ちゃん!」

戦刃「うん!」


21:30

不二咲「き、緊張するねえ」

江ノ島「そ、そだね」

江ノ島(あとはあたしと不二咲の2人だけ……残りのプレゼントは、苗木と霧切のプレゼント……)

江ノ島(苗木のプレゼントをもらえる確率は、2分の1……!)

石丸「む! 次は江ノ島くんの番だぞ!」

江ノ島「!」

江ノ島「はーい!」

江ノ島(うわあ緊張してきた!?)

苗木「はい、この箱から引いてね」

江ノ島「……」ジー

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「……なんでもない」プイッ

江ノ島(苗木の幸運、分けてもらえてるかな……)


江ノ島「……よっし」

スッ

江ノ島(あたし、苗木のプレゼントがもらえたら……)

ゴソゴソ

江ノ島(なんて、前のあたしが聞いたら、死亡フラグでも立ててるのかって笑い飛ばしたんだろうな)

ゴソ…

江ノ島(初恋って、楽しいなあ)

ヒョイッ

江ノ島(ちょっと苦しいけどね)

ピラッ

江ノ島「9番だ……」


舞園「9番はこっちですね。はい、どうぞ!」

江ノ島「ありがと」

シュルッ

江ノ島(けっこう箱大きいな……ていうか長い……)

シュルシュル

江ノ島「……天体望遠鏡?」

舞園「ではそのプレゼントは、苗木くんと霧切さん、どちらのものでしょうか!」

江ノ島「……」

江ノ島(苗木の、だったらいいな……)

江ノ島「……」クルッ

江ノ島「苗木の……かな……?」

苗木「……」


江ノ島「……」

苗木「……違う、よ」

江ノ島「……」

霧切「それは私からのプレゼントよ」

江ノ島「……そっか」

江ノ島「ありがとね!」

霧切「どういたしまして」

江ノ島「霧切って星好きなの? ちょっと意外なんですけどー!」

霧切「まあ、どちらかといえば天体望遠鏡は男の子っぽいプレゼントだったかしら」

江ノ島「くっそー、まさか2択で外すとはねー!」

霧切「ふふっ。私としてはしてやったりといったところね」

江ノ島「あははっ!」

江ノ島「はは……」


江ノ島「……」

戦刃「盾子ちゃん?」

江ノ島「……」

戦刃「大丈夫?」

江ノ島「……せっかくだし星ちょっと見てくるね!」

戦刃「ええっ、今から!?」

江ノ島「すぐ戻ってくるから!」

戦刃「わたしも一緒に……」

江ノ島「だーめ、お姉ちゃんは普段あんまり喋らないんだからクラスメイトと話してなさい! んじゃね!」

戦刃「あっ……」

戦刃「盾子ちゃん……」

次回でクリスマスイブ終わりです


苗木「あれ?」

苗木「うーん……」キョロキョロ

苗木「……」

苗木「いないや」

苗木「江ノ島さん、どっか行ったのかな」

苗木「……」

苗木「ねえ戦刃さん、ちょっといい?」

戦刃「苗木くん?」

――――

――


江ノ島「おー! 見える見える!」

江ノ島「へえ、星ってこんなに綺麗だったんだ!」

江ノ島「天体望遠鏡すげー!」

江ノ島「霧切には感謝しなくちゃね、ほんと!」

江ノ島「……」

江ノ島「霧切って、望遠鏡に詳しそうだよねえ」

江ノ島「探偵の仕事で使いそうだし」

江ノ島「苗木の写真撮るのにも使いそうだし」

江ノ島「……」

江ノ島「苗木……」

江ノ島「……」

江ノ島「星、きれいだな」

江ノ島「……」

江ノ島「ちょっと寒いけど」


江ノ島「……」

江ノ島「あたしのプレゼントは、苗木に当たらなかった」

江ノ島「苗木のプレゼントも、あたしに当たらなかった」

江ノ島「……」

江ノ島「はぁ……」

江ノ島「絶望的だな……」

江ノ島「すっごく、絶望的……」

江ノ島「……」

江ノ島「そりゃそうだよね」

江ノ島「あたしは、『絶望』だったんだ」

江ノ島「そんなあたしが、あたしなんかが……」

江ノ島「都合よく、簡単に……幸せになっちゃいけないんだ……」

苗木「それは……違う、よ……!」


江ノ島「!」ビクッ

江ノ島「な、苗木……?」

苗木「はぁ、はぁ……江ノ島さん、こんなとこにいたんだ……」

江ノ島「なんで苗木が……ここにいんの……?」

苗木「江ノ島さんを、探しに、来たんだ……」

江ノ島「あたしを……?」

苗木「うん。ふう、久しぶりにこんな走り回ったよ」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「……なんの用?」

苗木「なんでパーティ、抜け出したの?」

江ノ島「星が見たかったの。ちょうど天体望遠鏡もらったことだし」

苗木「本当に?」

江ノ島「はぁ? 他に理由なんてないっつーの」

苗木「……」

苗木「なら……」

苗木「江ノ島さんは、なんで泣いているの?」


江ノ島「え……?」

江ノ島「あたしが、泣いてる……?」

苗木「……」

江ノ島「なんで? あたし今、泣いてるの?」

苗木「うん」

江ノ島「そっか……」

苗木「クリスマスパーティ、楽しくなかった……?」

江ノ島「……ううん。楽しかった」

江ノ島「人生で一番楽しい、クリスマスだった」

苗木「じゃあ、どうして……」

江ノ島「……」

江ノ島「楽しかったけどね、辛いことも、少しあったんだ」

苗木「辛いこと?」

江ノ島「もしこうだったらって考えてたのが、実現しなかった」

江ノ島「勝手に期待して、勝手に絶望したの」

江ノ島「それだけの、些細なことだよ」


苗木「でも、江ノ島さんにとっては大切なことだったんでしょ?」

江ノ島「別に、そんなこと……」

江ノ島「……」

江ノ島「ううん、そうだね」

江ノ島「そんな些細なことも、きっとあたしにとっては、とっても大事なことだった」

苗木「……」

江ノ島「……」

苗木「ねえ、江ノ島さん」

江ノ島「なに?」

苗木「江ノ島さんに、受け取ってもらいたい物があるんだ」

江ノ島「は?」

苗木「はい、これ」

スッ

江ノ島「箱……?」


江ノ島「開けていい……?」

苗木「うん」

江ノ島「……」

シュル…

江ノ島「……」

パカッ

江ノ島「……」

江ノ島「ペン、ダント……?」

苗木「ロケットペンダントだよ」

江ノ島「これ、あたしに……?」

苗木「うん」

苗木「江ノ島さん、誕生日おめでとう」


江ノ島「えっ……?」

江ノ島「な、なんで知ってるの? 雑誌とかでも言ったことないのに……」

苗木「少し前に、戦刃さんに聞いたんだ」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん、クリスマスパーティを独占したくなかったんでしょ?」

江ノ島「……」

苗木「みんなと同じようにクリスマスを楽しみたかった。だから、言わないでいたんだよね?」

江ノ島「……さあね」

苗木「それは、そんな優しい江ノ島さんへの僕からのプレゼントだよ」

江ノ島「プレゼント……」

苗木「喜んでもらえたらいいんだけど……」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「……嬉しい」

江ノ島「すっごく嬉しいよ、苗木!」

苗木「ほんと? よかったあ……」


江ノ島「苗木からの、プレゼント……」

江ノ島(もらっちゃった……)

江ノ島(苗木からプレゼント、もらっちゃった……!)

江ノ島「ふぇぇ……」グスッ

苗木「え、江ノ島さん!?」

苗木「どうしたの!? 実は気に入らなかったとか!?」

江ノ島「違うのぉ……嬉しすぎて……」

江ノ島「ありがとね……ほんとに、ありがと……!」グス

苗木「そっか……」

苗木「どういたしまして」ニコ


江ノ島(あたし、苗木からプレゼントもらえたんだ……)

江ノ島(……)

江ノ島(もしも……)

江ノ島(もしも、あたしのモノクマが苗木に当たったら……)

江ノ島(それか、あたしが苗木のプレゼントをもらえたら……)

江ノ島(そのときは……)

江ノ島(……)

江ノ島(そうだね、決めていたんだもんね)

江ノ島「……ふふっ」

江ノ島「ねえ、苗木」

苗木「ん、なに?」

江ノ島「あたしからも、苗木に渡したい物があるんだ」

苗木「え?」

江ノ島「これなんだけどさ」


http://i.imgur.com/z4000le.jpg


苗木「……手紙?」

江ノ島「中、読んでよ」

苗木「うん」

ペリ…

苗木「……」

江ノ島「……」

苗木「……」ゴクリ

ピラッ



『あなたのことが、好きです』



江ノ島「あのね……」

江ノ島「江ノ島盾子はね、苗木誠に、恋しちゃったんだ」

江ノ島「好きだよ」

江ノ島「大好きだよ、苗木」

今回でクリスマスは終わりだと言ったな
すまん、あれは嘘だった


セレス「あら?」

セレス「苗木くんの姿が見当たりませんわね」

葉隠「苗木っちなら外行ったべ」

セレス「外、ですか?」

葉隠「おう。上着着てなかったから、すぐ戻ると思うけどな」

セレス「……」

セレス「江ノ島さんも、いませんね」

葉隠「ありゃ? ほんとだ」

セレス「……」

葉隠「まさか2人とも明日の朝まで戻ってこなかったりしてな! はっはっは!」

セレス「……」

葉隠「いやあ、苗木っちも大人になったんだなあ」

セレス「んなの許されるわけねえだろこのダボがッ!!!!」

葉隠「ひいっ!?」


苗木「え、江ノ島さん? それって、どういう……」

江ノ島「どういうも何も、そのままの意味ですけどー? 好きなんですけどー?」

苗木「え……」

苗木「えええええ!!?」

江ノ島「やっぱり苗木くんは気づいてなかったんですね……絶望的に鈍いです……」

苗木「ちょ、ちょっと待ってよ!」

苗木「その……からかってるわけじゃ、ないんだよね……?」

江ノ島「たりめーだろうがッ! 今さっきの告白どんだけ恥ずかしかったと思ってんだこの唐変木が!」

苗木「ごめん……」

江ノ島「それでそれでー? こーんな可愛い女の子の告白に対する、苗木くんの返事はー?」

苗木「……」

江ノ島「どうなのだ、苗木よ! 答えるがよい!」

苗木「……」

苗木「僕は……」

江ノ島「……」

苗木「僕は、江ノ島さんのこと……友達だと……」

江ノ島「……」

苗木「だから……その……」


江ノ島「……」

苗木「ごめん……」

江ノ島「……」

江ノ島「うぷっ」

苗木「?」

江ノ島「うぷぷぷ、それでこそ苗木くんだよ!」

苗木「え……?」

江ノ島「こうなることはわかっていました。そのうえで私は、自分の気持ちを伝えたかったのです」

苗木「……」

江ノ島「だから……」

苗木「……」

江ノ島「だから、これからあんたを振り向かせてやるんだからね!」

苗木「……」

江ノ島「覚悟、してなさいよねえ……ふぇ……」グスッ

苗木「……うん」


苗木「そろそろ戻ろう。風邪ひいちゃうよ」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「苗木が手をつないでくれたら戻る」

苗木「ええ!?」

江ノ島「なによ、友達だって手ぐらいつなぐじゃん」

苗木「そう……なのかな……?」

江ノ島「そうなの!」

苗木「はいはい」

ギュッ

江ノ島「……えへへっ」///



苗木(この後僕たちは、うっかり手を繋いだまま戻ってしまいちょっとした騒ぎになった。江ノ島さんは案の定、顔を真っ赤にして慌てていた)

初恋編、終わり
ちなみに>>193までが更生編でした

もうしばらく続くんじゃよ


12月28日

苗木家前

苗木「よし、着いた。久しぶりの我が家だ」

苗木「2学期は結構忙しかったなあ……」

苗木「帰ってくるのは2ヶ月ぶり、かな?」

苗木「3日までは何も考えずにゆっくりできそうだ」

苗木「実家に帰ってくると、なんだかほっとするよね」

江ノ島「そう? あたし前から一人暮らししてたしよくわかんないなあ」

江ノ島「それより早く入ろうよ! 苗木の部屋とか楽しみー!」

苗木「……」

江ノ島「あっ! あたしチャイム鳴らしたい!」

江ノ島「ねえ鳴らしていい?」

苗木(どうしてこうなったんだっけ……)


2時間前

希望ヶ峰学園学生寮

舞園「よいしょ」

苗木「あ、舞園さん」

舞園「苗木くん!」

苗木「荷物多いね。実家に帰るとこ?」

舞園「まずはお仕事行って、終わったらそのまま実家です!」

苗木「そっか。じゃあ今年は会うのこれが最後だね」

舞園「そうですね。最後に苗木くんに会えてよかったぁ」

苗木「はは、僕もだよ」

舞園「本当ですか! えへへ、それじゃ行ってきますね!」

苗木「うん、行ってらっしゃい!」


苗木「さて、そろそろ僕も帰る支度するかな」

江ノ島「あたしはもう準備オッケーだよ」

苗木「あっごめんね! 急ぐから!」

江ノ島「ゆっくりでいいよー」

苗木「はは、ありが……と……」

苗木「……」

苗木「え? どういうこと?」

江ノ島「あたしも苗木の家行ってみたーい!」

苗木「いやいやいや!」

江ノ島「てか行くって決めたから」

苗木「勝手に決めないでよ!?」

江ノ島「うぷぷぷ、苗木くんボクと約束したよね?」

苗木「へっ?」

江ノ島「私が期末試験をちゃんと最後まで解き、赤点をすべて回避したら1日遊ぶ約束でしたよね?」

苗木(すっかり忘れてた……)

江ノ島「それ今日ねー!」

苗木「で、でも……」

江ノ島「苗木くんは私との約束を守ってくれないんですか……絶望的に悲しいです……」ウルウル

苗木「」

――――

――


苗木(結局押し切られちゃったんだよなあ……)

ピーンポーン

苗木「って呼び鈴鳴らしてるし!?」

江ノ島「てへっ」

???『はーい!』

ガチャッ

苗木妹「どちら様ですかー? あ、お兄ちゃん!」

苗木妹「お兄ちゃんと江ノ島盾子かあ」

苗木妹「……」

苗木妹「江ノ島盾子!!?」

江ノ島「はいはーい! 江ノ島盾子ちゃんでーっす!」

苗木「ああもう……」

江ノ島「この人ってもしかして苗木のお姉さん?」

苗木「……」

苗木「……妹だよ」

江ノ島(あっ)

苗木「そうだよね……僕より背が高いから姉だと思うよね……」

江ノ島「え、えと、大丈夫だよそろそろ伸びるって!」

苗木「ははは……」

苗木妹「なんで江ノ島盾子がお兄ちゃんと一緒にいんの!? ねえどういうこと!?」

江ノ島「ほ、ほらとりあえず中入るよ!」


苗木家リビング

苗木妹「えっと、江ノ島盾子さん……ですよね……? 雑誌によく載ってる……」

江ノ島「そだよー」

苗木「希望ヶ峰でクラスメイトなんだ」

苗木妹「……」ジー

江ノ島「なに?」

苗木妹「あ、あのっ!」

江ノ島「ん?」

苗木妹「お、お兄ちゃんとどういう関係なんですか!? かっ、彼女さんなんですか!?」

苗木「ちょっと何言ってんの!?」

江ノ島「そ、そう見える……かな……」///

苗木妹「お兄ちゃん彼女できたなんて言ってなかったじゃん!」

苗木「いや違うからね!? 江ノ島さんも誤解を生むようなこと言わないで!」

江ノ島「はーい」

苗木妹(ち、違うんだ……よかった……)

江ノ島「まあ、あたしってば苗木に告ってフラれちゃったもんね」

苗木「」

苗木妹「え、フラれた? フったんじゃなくてですか?」

江ノ島「うむ。私様は苗木誠に片想い中なのだー」

苗木妹「ええええ!?」

苗木妹(ライバルにしては強敵すぎるよ!?)

苗木(帰りたい……あ、そういやここ実家だった……)

前回から間空いてすみませんでした
あと1週間くらいはなかなか投下できないかもしれません…

お兄ちゃんって言ってるのにwwwwww

>>740
うわあミスったすみません!


苗木の部屋

江ノ島「なにこれ小学生の苗木超かわいい!」

苗木妹「ですよねー!」

苗木「もうアルバムはやめようよ! お願いだから!」

江ノ島「ちぇー」

江ノ島「あっ妹ちゃん、これあげる」スッ

苗木妹「え?」

【苗木の写真by霧切】

苗木妹「……! あ、ありがとうございます!」

苗木「何あげたの?」

江ノ島「あたしのサイン入り写真だよ」

苗木「へえ、ちょっと見せてよ」

苗木妹「あ、あたし自分の部屋にいるね!」///

苗木「へ? あ、うん」

江ノ島「……」ニヤニヤ

苗木妹「あ、お兄ちゃん!」

苗木「なんだよ?」

苗木妹「変なことしちゃダメだからねっ!」

苗木「変なことって?」

苗木妹「え、えっちなことしちゃダメだよ!!」///

苗木「しないよ!?」


苗木「はあ……疲れた……」

江ノ島「苗木あたしにいかがわしいことしたいの?」

苗木「その話から離れようか」

江ノ島「にしても苗木の妹、元気な子だねー」

江ノ島(苗木狙いなのは驚いたけど)

苗木「……」

苗木「江ノ島さん、いつも通りだね」

江ノ島「落ち込んでよそよそしくしてた方がよかった?」

苗木「そ、そういうわけじゃないよ!」

江ノ島「落ち込んでても仕方ないっしょ。これから振り向かせるんだから」

苗木「はは……」

江ノ島「そういえばさあ」

苗木「ん?」

江ノ島「これって、お家デートみたいだよね」

苗木「そうだね」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「つ、次! 次なにする!?」///

苗木(自分で言って恥ずかしくなったんだろうなあ)



苗木「うーん、でも僕の部屋でできることなんてそんなにないんだよな……」

江ノ島「えー何かないのー?」

苗木「じゃあ>>746とかどう?」

うえ

スマブラ了解しました
できればまた明日ノシ


苗木「じゃあスマブラとかどう?」

江ノ島「おっ、いいじゃんいいじゃん! 懐かしー」

苗木「えっと、確かここら辺にしまってあったはずなんだけど……」ガサゴソ

苗木「あった!」

江ノ島「ていうか今どき64なんて動くの?」

苗木「うーん。とりあえず繋いでみようか」ガシャッ

ピコーン!

苗木「よしついた!」

苗木「あ、スマブラやるなら妹呼ぶ?」

江ノ島「だーめっ」

苗木「え?」

江ノ島「私様は2人っきりで遊ぶのを所望する!」

苗木「はは、わかったよ」

江ノ島「やったー! あたしプリンね!」

苗木「じゃあ僕はリンクかな」

江ノ島「うぷぷぷ、タイマンだよ苗木くん!」

――――

――


苗木「……」

カキーン!

江ノ島「っしゃあ!」

苗木「……」

カッキーン!

江ノ島「あたしの勝ちー!」

苗木(なにこれ江ノ島さんすごく強いんだけど!? プリンの眠るやつ超使いこなしてるよ!?)

江ノ島「次の対戦いってみよー!」

苗木「くそっ、次こそは……!」

Fight!

江ノ島「ジャンプ! 下A! ほーむっらんー!」

カキーン!

苗木「」

江ノ島「ふははは! まるでリンクがゴミのようだ!」

苗木(うう……せめてアイテムさえあれば……)


苗木「!」

江ノ島「あちゃー、ハンマー苗木のほうに出たか」

苗木「これで逆転だ!」

江ノ島「ふふん、返り討ちにしてやるんだから!」

苗木「あ、スター取れた」

江ノ島「えっ」

ドーン

江ノ島「ふ、ふんっ! まぐれで調子に乗らないでよね……!」

苗木「あれ? またスターがこっちに……」

江ノ島「ええっ」

ドーン

江ノ島「やったな!? 2度もやった! てめーはあたしを怒らせたっ! オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

苗木「くっ……!」

江ノ島「これでトドメ――――」

苗木「あ、ハートのうつわだ。ラッキー」

江ノ島「」

苗木「またハンマーだ!」

ドーン

苗木「やった! 江ノ島さんに勝ったぞ!」

苗木(1勝20敗だけどね……)


江ノ島(えっなにこいつ『超高校級の幸運』が珍しく仕事してるんですけど)

江ノ島「……」

江ノ島「ふぇ……」

江ノ島「苗木くんに負けました……絶望的です……」グスッ

苗木「ええ!? で、でもそれまでは全部江ノ島さんが買ったじゃないか!」

江ノ島「……」

江ノ島「まあね! ふふんっ!」

苗木「はは……」

江ノ島「ねえ苗木ー、スマブラ飽きたー」

苗木「えーっと、じゃあ次は何する?」

江ノ島「うーん……」

江ノ島「あ、あたしのんびりこたつ入ってたい」

苗木「リビングにあるよ。行く?」

江ノ島(あ、そっか。苗木の部屋から出なきゃいけないのか)

江ノ島(……)

江ノ島(…………)

江ノ島(………………)

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「よっし。行こっか」

江ノ島(苗木の部屋、しっかり記憶に焼き付けたし!)


苗木家リビング

江ノ島「はぁ~、絶望的に快適ぃ」

苗木「それって快適なの?」

江ノ島「快適すぎて他に何もする気になれないから絶望的なのー」

江ノ島(苗木の家に来たらイケイケで攻めようかと思ってたけど……)

江ノ島(……)チラッ

苗木「やっぱりこたつにみかんは最高だねえ」モグモグ

江ノ島(こういう、友達として一緒にいるのも楽しいなあ)

江ノ島「ん、おいし」モキュモキュ

苗木妹「あれ、お兄ちゃんと江ノ島さんここにいたんだ」

江ノ島「あっ妹ちゃーん。こっちおいでー」

苗木妹「いいんですか? じゃあお邪魔しまーす」

江ノ島「なんかいいなあ、こういうの」

苗木「江ノ島さんにはちょっと退屈なんじゃないの?」

江ノ島「んー……」

江ノ島「苗木と一緒だからかな。苗木となら、まったりしてるのも好きかもー」ニヘラ

苗木「……そ、そっか」///

苗木妹「あーお兄ちゃん顔赤いよ」

苗木「え!? いやほら、ちょっと暑くって!」

苗木妹「へえ~」ニヤニヤ

江ノ島「にっしっし」ニヤニヤ

苗木(なんでこの2人こんな仲良くなってんの)


江ノ島「……」

江ノ島「やば、あたしちょっと眠くなってきたかも……」

苗木妹「あ、私もです……」

苗木「ええ? 風邪ひかないでよ?」

江ノ島「だいじょーぶ……だいじょー……ぶ……」

苗木妹「風邪ひいたら……お兄ちゃん看病して……ね……」

江ノ島・苗木妹「……」zzz

苗木「あのさ……」

苗木「妹はともかく、江ノ島さんは男もいるってわかってて寝てるのかな……」

苗木「ふわぁ……」

苗木「あ、僕もつられて眠くなってきた……」

苗木「なんか忘れてる気がするけど……」

苗木「まあいいや……おやす……み……」zzz

苗木(あ……そろそろ親帰ってくるんだった……江ノ島さんのこと説明するの……大変そうだな……)zzz



苗木(結局、帰ってきた親に「誠くんがついに彼女を家に連れ込んだわ!!」とか騒がれて大変だった)

苗木(江ノ島さんも寝ぼけて「お義母さま!?」とか言うから、もう本当に大変だった……)

ここの妹様は苗木をからかおうとすると自滅するけど、素直になんか言うと苗木が顔真っ赤になります

『幸運』みたいに77期は九頭竜の妹、78期は妹様、そして79期の『超高校級の妹』枠がこまるちゃんでいいんじゃないかな(そんなSSありそう)
絶望少女でこまるちゃんに超高校級の肩書き付くのかねえ


江ノ島「ん……」モゾ

江ノ島「ふわぁ……いつの間に寝たんだっけ、あたし……」

江ノ島「ここ教室……?」

江ノ島「……」

江ノ島「なんで誰もいないの?」

江ノ島「とりあえず外に出るか……」

ガラッ

???「うわあ!」

江ノ島「おっとごめ……ん……?」

???「き、君もこの学園の入学生?」

江ノ島「」

江ノ島「ふ、不二咲……?」

不二咲?「え? うん、僕はフジサキだけど……」

江ノ島(待て待て待て、こいつが不二咲? いや体格おかしいよね?)

江ノ島(なんで不二咲がこんな富士山みたいな巨体なのさ?)

富士咲「僕は『超高校級のプログラマー』、富士咲千尋だよ!」

江ノ島(あ、これ夢だ。じゃなきゃあの不二咲が、頭が天井につくくらいの巨体なわけがない)

富士咲「とりあえず玄関ホールに行こうよ」

江ノ島「これは夢……これは夢……」ブツブツ


玄関ホール

??「むむ! 君達遅刻だぞ! 玄関ホールへは8時に集合だったはずだ!」

江ノ島(……)

江ノ島(パッと見はいつもと同じだけど……)

江ノ島「あんた、石丸だよね……?」

石丸「僕を知っているのか! そう、僕は石丸清鷹だ!」

江ノ島(どことなくニュアンス違うような気がする……鷹……?)

江ノ島「!」

江ノ島「苗木!」

苗木「ああ、江ノ島さん!」

江ノ島「あれ? 苗木はあたしのことわかるの? 不二咲と石丸はわかんないみたいだったけど……」

苗木「夢だからね。なんでもありだよ」

江ノ島「へ?」

苗木「あ、茄子食べる?」ブチィ

江ノ島「」

江ノ島(苗木がアホ毛を引きちぎったと思ったら茄子になってた。何を言ってるかわからねえと思うが夢ならしょうがないよね、うん夢だもん)


江ノ島「一富士二鷹三茄子、ね」

江ノ島「なかなか縁起いい夢じゃん」

江ノ島「……」

江ノ島(けど、この状況……どことなく……)

江ノ島(どことなく、更生前にぼんやり考えていたアレに、似ている……)

????『ピンポンパンポーン』

江ノ島「!」

????『お前ら! 体育館に集合だよー!』

江ノ島「……」

苗木「ほら江ノ島さん、体育館行こう!」ギュッ

江ノ島「へ!? な、なんで手を繋いでんの!?」///

苗木「え? 繋ぎたかったからだけど?」

江ノ島「はああああ!?」///

苗木「ほら行くよ! あははは!」グイグイ

江ノ島(ななななんでこんな積極的なのよ!? そりゃ悪い気はしないけどさ!)///


体育館

モノクマ「いろいろ省略するよ! だってもうすぐ目が覚めちゃうもん!」

江ノ島「モノクマが動いてる!?」

モノクマ「えー、君たち2人はこれから一生、この学園で生活してもらいます」

江ノ島「あれ? いつの間にかあたしと苗木だけになってる……?」

苗木「この夢にはいらない登場人物だからね」

モノクマ「ここから出たければ……」

江ノ島「……」

江ノ島(苗木と殺し合いとかありえないっつーの)

モノクマ「真実の愛で結ばれることだよ!」

江ノ島「……は?」

モノクマ「んじゃ、イチャイチャ学園生活スタートね! 君たちのあられもない姿はカメラで監視してるから! ばいばーい、うぷぷぷぷ!」

江ノ島「は? なにこれ?」

苗木「……」ジー

江ノ島「な、苗木……?」

苗木「江ノ島さん、僕とイチャイチャしてくれないか!」

江ノ島「はああ!?」///

苗木「だってモノクマがそう言ってたじゃないか! 好きだ! 江ノ島さん!」

江ノ島「ちょ、ちょっと」///

苗木「はぁ、はぁ、江ノ島さん!」

江ノ島「ま、待ってまだ心の準備が!」///

苗木「江ノ島さん!」

江ノ島「苗木ぃ!」///

モノクマ「はい、ここまでだよ!」


江ノ島「へ? あれ? 苗木いなくなってる……?」

モノクマ「もうすぐ目が覚めるって言ったよね? この夢はここまでだよ!」

江ノ島「はあああ!? お、お願い! もう少しでいいから続きを!!」

モノクマ「うぷぷぷ! いいねえ、その絶望した顔! 最高に絶望的な表情だよ!」

江ノ島「イチャイチャ学園生活しろって言ったじゃない!」

モノクマ「あの時はあの時、今は今だよ。悲しいけれど、これ社会の常識なんだよね」

江ノ島「そんな……そんな……」

モノクマ「じゃ、まったねー!」

江ノ島「絶望的いいぃぃ!!!」

――――

――



ガバッ

江ノ島「ハァ、ハァ……」

江ノ島「な、なんつー夢を……」///

戦刃「あ、盾子ちゃんおはよー! あけましておめでとうだね!」

江ノ島「……」

江ノ島「あけおめぇ……」グスッ

戦刃「なんで泣いてるの盾子ちゃん!? 怖い夢見たの!?」オロオロ

【1月1日】

正直すまんかった
一富士二鷹まで思いついて衝動的に書いた

茄子は英語でeggplant
plantは苗木の意味を持つ
つまりそういうことですね?

>>785
そ、そういうことです!(知らなかった)


1月3日

学生寮・江ノ島の部屋

戦刃「盾子ちゃん……苦しい……」

江ノ島「軍人が何言ってんの。このくらいきつくしなきゃずり落ちるよ」ギュッ

戦刃「振袖って大変なんだね……」ウッ…

江ノ島「振袖じゃなくて小紋! ほんっと残念だな!」

戦刃「わたし着物なんて着ないもん……」

江ノ島「七五三のとき着てたじゃん。たぶん」

戦刃「そうだっけ?」

江ノ島「さあ?」

戦刃「ぶーぶー、盾子ちゃんのいじわるー!」

江ノ島「もうちょいきつく締めようか」ギュー

戦刃「ひあっ!? ごめんなさいもうやめてー!」

江ノ島「って、やっばい遅れちゃう! 急ぐよ!」

戦刃「あっ待って盾子ちゃん!」

戦刃「ていうか、初詣2人で行くんじゃなかったの? 誰かと待ち合わせ?」

江ノ島「さあねー、それは後のお楽しみだよ。うぷぷっ」


苗木家

苗木「それじゃ、行ってきまーす」

苗木妹「えっ、お兄ちゃんどこ行くの!?」

苗木「友達と初詣行く約束してるんだよ」

苗木妹「えええ!?」

苗木妹(どうしよう江ノ島さんにお兄ちゃん確保しとくって約束しちゃったよ!?)

苗木妹「ちょ、ちょっと待って! どの神社行くの!?」

苗木「え? 毎年初詣で行ってるとこだけど」

苗木妹「私も一緒に行くから! だから後1時間待って!」

苗木「いやそんなに待ってたら約束の時間すぎちゃうし……」

苗木妹「ううぅ……」

苗木妹(どうしようどうしよう……)

苗木妹「うぅ……」グスッ

苗木「ちょ、泣かないでよ!? わかった、神社でお参りしないで待ってるから!」

苗木妹「……ほんと?」

苗木「うん、お参り一緒にしよう?」

苗木妹「ありがとー! お兄ちゃん大好き!」ダキッ

苗木「うわあ、くっつくなって!」///

苗木妹「えへへ、ちゃんと私たちのこと待っててね!」

苗木「はいはい。じゃ、行ってきます」

苗木妹「行ってらっしゃーい!」

苗木(……私たち?)


苗木妹「はぁ、一緒にお参りできるならそれでいいかな……?」

苗木妹「むしろサプライズみたいになるし、私的にはよかったかも?」

ピンポーン

苗木妹「あっ来た! はいはーいちょっと待ってくださーい!」

『あれ? 盾子ちゃん、表札に苗木くんと同じ名前が書いてあるよ?』
『だってここ苗木ん家だもん』
『ええええ!? 待って無理だよ緊張する帰っ、わわっ!?』コケッ
『着物で走ろうとしたらそりゃこけるっつうの』

苗木妹「どうぞー!」ガチャッ

戦刃「ううぅ……あれ? 苗木くんじゃない……?」

江ノ島「やっほー妹ちゃん」

苗木妹「こんにちは江ノ島さん! うわあ、着物すっごい似合ってます! 綺麗です!」

江ノ島「ありがと! 妹ちゃんまじいい子かわいい子!」スリスリ

苗木妹「わわっ、えへへ」///

苗木妹「あっ、えっと、そちらで転んでるのがお姉さんですか?」

江ノ島「うん、うちの残姉ちゃん」

戦刃「うぅ……苗木くんの妹さん……?」

江ノ島「そだよー」

苗木妹「よろしくお願いしますね!」

戦刃「うん、よろしくね!」

苗木妹「お姉さんも着物似合ってますー!」

戦刃「ほんと? ありがとー!」

江ノ島「ねえねえ、そういえば苗木は?」

苗木妹「お兄ちゃんは友達と初詣の約束があったみたいで……あっでもお参りしないで待っててくれるみたいですよ!」

江ノ島「そっかそっか。んじゃ急いで着替えよっか」

苗木妹「はい、よろしくお願いします!」


苗木妹の部屋

苗木妹「うわあ……!」

戦刃「きれい!」

苗木妹「こ、こんな綺麗な着物、いただいちゃっていいんですか……?」

江ノ島「いいよー。仕事でもらったはいいけど、あたしの趣味じゃないから着る機会ないもん」

江ノ島「それに妹ちゃんの方がこれ似合うしね」

苗木妹「ありがとうございますっ!」

江ノ島「にっしっし! あんまり待たせるのも悪いし、パパッと着付けやるよ!」

苗木妹「はい!」


神社

苗木「うーん、ここで待ってるはずなんだけど……」

??「なーえーぎーくんっ!」トンッ

苗木「うわっ、ま、舞園さん……?」

舞園「しーっ! せっかく髪縛って雰囲気変えてるんですから名前呼ばないでください!」

苗木「あっごめん!」

苗木(それにしても……)

苗木(舞園さんの着物姿、可愛いな……)

舞園「本当ですか! 可愛いですか!? ありがとうございます!」

苗木「あれっ声出してた!?」

舞園「いいえ、エスパーですから」ニコッ

苗木「あはは……僕ってわかりやすいね……」

苗木「でも本当に可愛いよ。似合ってる」

舞園「……あ、ありがとうございます」///

舞園「お参り! お参り行きましょう!」///

苗木「それなんだけどさ……」

舞園「?」

苗木「妹が、一緒に行きたいから1時間ほど待っててほしいみたいなんだ……」

舞園「妹さんですか? 私はいいですよ」

苗木「本当? 助かるよ!」

舞園「私、苗木くんの妹さんに会ってみたかったんですよ」

舞園(好きな人の家族、ですもんね)


学生寮

??の部屋

??「……!」

???「どうかしましたか?」

??「あの2人がSNSの検索に引っかかったわ」

???「どれどれ……」

???「断定できるほどの自信はないそうですけど」

??「変装でもしてるんでしょう。下手したらスキャンダルになってしまうもの」

???「それで? どちらを追いますの?」

??「苗木くんの実家に近い方よ」

???「そんなものいつの間に調べたんですか貴女は……」

??「ふふん、探偵ですから」ドヤァ

???「……」

???「あら? どちらもその苗木くんの実家に近い場所で目撃されているようですが?」

??「なんですって!? い、急ぐわよ!」

???「はいはい」

書いてたら見たくなったんで着物姿の妹様と舞園さんのイラストを漁ってきます

>>793
挿絵期待してますよ

妹の名前はそのままで行く?

>>795
最近忙しくて…
代わりに描いてくれてもいいんですよ!

>>796
2のことがあったので、念のため苗木妹で行こうと思います

Reloadで1やったら1章が辛すぎてうっかり舞園さん贔屓してしまいました、ごめんなさい


苗木「そろそろ1時間経つかな?」

舞園「ふふ、妹さんに会うの楽しみです」

苗木妹「お兄ちゃーん! お待たせ!」

苗木「あっ、来たみたい――――えっ?」

苗木妹「着物、着てみたんだけど……どうかな……?」///

舞園「わあぁ! 可愛いですよ! ねっ、苗木くん!」

苗木「う、うん! 似合ってるよ!」

苗木妹「ほんと!?」

苗木「ちょっとびっくりしたけどね……」

江ノ島「やっほー!」

戦刃「ひ、久しぶり苗木くんっ」

苗木「ああ、1時間かかるってそういうことか……」

江ノ島「ふふん、どうよ。妹ちゃんすっごい可愛くなったでしょ!」

苗木「……そうだね」

苗木妹(やった! えへへ!)///

苗木(妹にドキッとするなんて……僕、最低だ……)

苗木「……江ノ島さんと戦刃さんも可愛いよ。似合ってる」

戦刃「へうっ!?」///

江ノ島「にしし、当然でしょ!」

江ノ島(やったー! 着物着てよかった!)///


江ノ島「てか苗木の友達って舞園だったんだ」

舞園「中学が同じでしたからね。家も近いんですよ」

江ノ島「あー、そういや同中だったね。着物姿も相変わらず可愛いじゃん」

舞園「ありがとうございます。江ノ島さんたちも似合ってますよ」

江ノ島「ありがとねー」

江ノ島「……」

江ノ島「ねえ、もしかしてデートのお邪魔しちゃった……?」ヒソヒソ

舞園「で、デートというわけでは……」ヒソヒソ

江ノ島「舞園はデートのつもりで誘ったんでしょ?」ヒソヒソ

舞園「……」

江ノ島「……ごめん」

舞園「わざと邪魔したわけじゃないんだからいいですよ。せっかくなんでみんなで楽しみましょう! ねっ!」

江ノ島(この子、天使だわ)


苗木妹「あの……舞園さん、というんですか……?」

舞園「はい、そうですよ」

苗木妹「も、もしかして、あのアイドルの……?」

舞園「はい。バレると面倒なんで、外ではあまり名前を呼ばないでくれると助かります」

苗木妹(江ノ島さんといい舞園さんといい、お兄ちゃんの交友関係どうなってんの!?)

苗木妹(ていうか2人で初詣って彼女!? 今度こそ彼女なの!?)

舞園「まだ彼女ではないですよ」

苗木妹「あれ!? 私声に出してました!?」

舞園「私、エスパーなんです」

苗木妹「えっ!?」

舞園「ふふ、冗談です。ただの勘ですよ」

江ノ島「あー、それ最初は驚くよね」

苗木妹「お、驚きました……」

苗木妹(本当にエスパーだったら私がお兄ちゃん好きなことバレちゃうとこだった……江ノ島さんにはもうバレてるけど……)ドキドキ

舞園「私としては江ノ島さんたちが苗木くんの妹さんと知り合いだったことに驚きなんですけどね……」

江ノ島「ああ、この前ちょっと苗木の家行ったときに仲良くなってね」

舞園「へえ……」

舞園「……」

舞園「苗木くんの家に!? わ、私だって行ったことないのに!」

苗木妹(あれ? 『まだ』彼女ではない? あれ?)

戦刃「着物にあってる……かわいい……えへへ……」

苗木「ねえ、お参り行かないの? ねえ!」


「なあ、あれ江ノ島盾子に似てね?」
「それを言うならあっち舞園さやかに似てないか?」
「こんな特に大きくもない普通の神社にそんな有名人が2人もいるわけないだろ、夢見すぎだ」
「それもそっか。でもあの女の子4人に囲まれた男は爆発すればいいと思うの」
「誰かの弟だろ」
「舞園さやかに似てる女の子とすれ違ったなう、っと」

苗木「……」

苗木「案外2人とも、似てるって思われるくらいなんだね」

江ノ島「人間なんてそんなもんだよ。他人に興味ないからね」

舞園「まあ、私たちは特に普段のイメージがしっかりしすぎていますから」

江ノ島「でも苗木が弟扱いされるのは変わらないんだね」ニヤニヤ

苗木「……」ズーン

苗木妹「こ、これから伸びるよお兄ちゃん!」

戦刃「うん! もう高校生だけどまだ伸びるよたぶん!」

苗木「……」ズゥーン…

江ノ島「これだからお姉ちゃんは残念なんだよ!!」

戦刃「ご、ごめんなさいっ!」

舞園「あ、そろそろお参りの順番回ってきますよ!」


苗木妹「あれっ財布忘れた!? お兄ちゃんお金貸して!」

苗木「はいはい」

戦刃「あっわたしもない!?」

苗木「はい、戦刃さん」

江ノ島「あたしもないや」

苗木「えええ!?」

江ノ島「嘘だけどね。ちなみにお姉ちゃんの財布は転んだときに拾ったよん」

戦刃「あった! 盾子ちゃんありがうぅ……」

舞園「ほら行きますよ!」


チャリン

ガランガラン

パン、パン


苗木妹(お兄ちゃんがたくさん戻ってきてたくさん一緒にいれますように!)

戦刃(盾子ちゃんがみんなと仲良く笑っていられますように)

江ノ島(苗木を振り向かせられますように……!)

舞園(もっとアイドルとしての実力をつけて、苗木くんとの交際が認められますように……)

苗木(……)

苗木(今年も1年、みんなで……みんなで、楽しく過ごせますように……)

苗木(せめて、今の江ノ島さんが……笑って……)

舞園「苗木くん、後ろもつかえてるので行きましょう」

苗木「……うん」

江ノ島「よーし次はおみくじだー!」

戦刃「おみくじだーっ!」

――――

――


江ノ島「……」

【凶】
【恋愛:心を入れ替えよ】

江ノ島「1回更生してんのにどうしろっていうのよ……」ズーン

舞園「更生したから大丈夫、とも読めますけど」

江ノ島「うーん……」

江ノ島(そのうち葉隠に恋愛運とか占ってもらおうかな……)

江ノ島「舞園は?」

舞園「小吉でした。恋愛は、【まずは仕事に励め】とのことです」

江ノ島「当たってんね。つまりあたしのも当たって……ふふ、あはは、すこーし絶望的だわ……」

江ノ島「だがしかし!」

江ノ島「この程度で私様を絶望させられると思うたか! こんなおみくじ括り付けてくれるわー!」フハハハ

戦刃「盾子ちゃんみてみてー! わたし大吉だった!」

江ノ島「お姉ちゃんと私との差っていったい……絶望的です……」グスン

舞園「ああもう! ほら括りに行きますよ!」

苗木妹「お兄ちゃんはどうだったの?」

苗木「そういうお前は?」

苗木妹「中吉だったよ。【主役になれるかも】だって!」

苗木「へえー」

苗木妹「で、お兄ちゃんは?」

苗木「……末吉」

苗木妹(び、微妙……『超高校級の幸運』なのに……)


苗木「さて、そろそろ帰ろうか」

舞園「私、苗木くんの家に行ってみたいです!」

江ノ島「おっいいねー!」

苗木妹「わぁ! 是非どうぞ!」

苗木「そんないきなり!?」

ドンッ

苗木「あ、ごめんなさ―――」

???「あ、あら奇遇ですわね」

??「偶然苗木くんに出会うなんて、これは運命というやつかしら?」

苗木「え? セレスさんと霧切さん……?」

霧切「わざわざ学校から離れた神社に来たのに。ああ、苗木くんの幸運のおかげね」

セレス「私たち、初詣に来たのですけどご一緒にいかがですか?」ニコッ

苗木「ええ?」

江ノ島「いや、もう帰るとこなんだけど」

霧切「えっ」

セレス「えっ」

苗木「あはは……また学校でね!」

霧切「」

セレス「」

季節イベント書きづらすぎぃ
霧切さんもセレスさんも本当は好きなんです!あとでちゃんとした出番あるんです!たぶん


am 6:00

江ノ島「うぅ~ん」モゾ

江ノ島「……」

江ノ島「さっむ……」ブルッ

江ノ島「なにこれ寒すぎ……」

江ノ島「外もまだ暗いじゃん……」

江ノ島「……」

江ノ島「雪降ってる!!?」

江ノ島「ひゃっはー! お姉ちゃーん雪降って――――」

江ノ島「……」

江ノ島「少しだけ。少しだけ苗木と2人で遊ぼ」

江ノ島「別に誘わなくてもみんな勝手に起きてくるだろうしね。うん!」


prrrrr, prrrrr!

苗木「ふぁい……もしもし……」

苗木「雪……?」

苗木「えぇ……今から……?」

苗木「5分で出て来い……?」

苗木「はい……はい……頑張る……」

苗木「うぅ……」モゾモゾ


グラウンド

江ノ島「おっはよー苗木!」

苗木「おはよ……まだ暗い……」

江ノ島「そのうち明るくなるって」

苗木「そういう問題……?」

苗木「にしても、うーん。結構積もってるね」

江ノ島「でしょでしょ!」

苗木「他のみんなは?」

江ノ島「誘ってないよー」

苗木「えっ、僕らだけ?」

江ノ島「苗木くんは私と2人になるのが嫌なんですね……悲しいです……」

苗木「そ、そういうわけじゃないよ!」

江ノ島「みんなが起きてくる前に雪ですごい物を作るのだ!」

苗木「へえ。何作るの?」

江ノ島「えっ?」

苗木「えっ?」

江ノ島「……」

苗木「何も考えてなかったわけね」

江ノ島「ごめん……」

苗木「とりあえず雪だるまでも作ろうか?」

江ノ島「うんっ!」

苗木「じゃあ僕が下の玉作るから、上お願いね」

江ノ島「違うんだよなあ……そうじゃないんだ……」チッチッチ

苗木「へ?」

江ノ島「うぷぷぷ。どっちがすごい雪だるま作るか勝負だよ、苗木くん! おっさきー!」ダッ

苗木「え、江ノ島さん!?」

苗木「行っちゃった……雪だるまで勝負ってどうするんだろ……」

――――

――


江ノ島「ふふん、雪だるま勝負は私様の勝ちだな!」


【オーガ雪像】


苗木(……)

苗木(えっ? これ雪だるまじゃなくて雪像じゃない?)

苗木(大神さんの雪像だよね? 無駄にクオリティ高いよ江ノ島さん!?)

江ノ島「このぎりぎりのバランスで成り立つ芸術性! ちょっと風が吹いたら倒れそうなドキドキ感がたまらないわああ!」

苗木「確かに、足らへんが折れちゃいそうだね」

ヒュオオオ…

江ノ島「風つめたっ」

ポキッ

苗木「あっ」

グシャア

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「ふ、ふふ……」

江ノ島「本当に倒れちまいやがった! 倒れるかもしれないと予測できていたのに防げなかったこの悲劇! はああぁん絶望的いいぃぃい!!」

江ノ島「ううぅ……せっかく作ったのにぃ……みんなを驚かせたかったのにぃ……」グスッ

苗木「他の作ろう、ねっ! まだ時間あるから!」

江ノ島「うん……」

苗木「何か作りたいのある?」

江ノ島「かまくら作るぅ……」


苗木「そういえば……」ヨイショ

苗木「かまくら作るのって、初めてだ」ペタペタ

江ノ島「あー。あたしも作ったことないや」

江ノ島「なかなか雪積もらないもんね、ここらへん」

苗木「はは、じゃあお互い初めてだね」

江ノ島「お互いに……初めて……」

江ノ島「……」///

苗木「江ノ島さん? どうかした?」

江ノ島「なんでもない! どうもしてない!」///

苗木「?」

江ノ島「ほら、みんなが起きる前に完成させるよ!」

苗木「うん!」

江ノ島(このサイズだと、2人入ったらぎゅうぎゅうになっちゃうかな……)

江ノ島(苗木と密着しちゃったりして……)

江ノ島(……)

江ノ島(よし頑張るぞー!)


苗木「で、できたあ……」

江ノ島「な、なかなか疲れたね……」

苗木「そうだね。すごい汗かいたよ」

ヒュウゥ…

江ノ島「うわっ、動かなくなった途端さむっ!」

苗木「中入ろうか」

江ノ島「うん!」

苗木「よいしょ……」

江ノ島「んしょ……」

苗木「んん……」

江ノ島「苗木、もうちょい詰めて」

苗木「これ以上は無理……かな……」

江ノ島(思ったよりも狭かった!)

江ノ島(そして予想外に苗木と密着してる! 完全に密着してるよねこれ!?)///

苗木「あはは、お、思ったより狭いね……」///

江ノ島「う、うん……」///

苗木「……」

江ノ島「……」

苗木「あったかいね」

江ノ島「ん。あったかい」

苗木「ふふっ」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「……」コトン

苗木「え、江ノ島さん!?」

江ノ島「早起きしたから絶望的に眠い……肩貸して……」

苗木「う、うん……」

苗木(うぅ……意識するな……意識するな……)///

江ノ島(えへへ、あったかいや)///

――――

――


ベシャッ

戦刃「わわあ!?」

桑田「はっはっは! 勝てる! 雪合戦なら戦刃ちゃんにも大神にも勝てるぜ!!」

戦刃「ううぅ……冷たいよぉ……」

桑田「雪合戦してるときは戦場にいるのと同じだぜ戦刃ちゃん! 油断大敵だ!」

戦刃「……戦場?」ピクッ

桑田「そりゃ! どんどんいくぜ!」シュババッ

戦刃「……」スゥ…

ズババッ

桑田「」

戦刃「ふぅ……」

桑田「アポ?」

不二咲「桑田くんが投げた雪玉を全部斬った!? あれは……バタフライナイフだ!」

戦刃「戦場なら……わたし負けないよ……?」

桑田「ひいっ!?」

ギャアー!



セレス「それにしても……」

セレス「早起きしてかまくら作るなんて、貴女は子供ですか」

江ノ島「そのかまくらに入りながら言ってもねえ」

セレス「入れと言ったのは貴女でしょう?」

江ノ島「暖かいっしょ!」

セレス「ええ、まあ……」

江ノ島「へへっ」

セレス「ですが、2人で入るとかなり狭いですわね」ギュウ

江ノ島「そだね。作ってみたら思ったより小さかったかも」ギュウギュウ

セレス「……」

セレス「苗木くんと密着した感想はいかがでした?」

江ノ島「なあっ!?」///

セレス「あら。一緒に入ったのでしょう?」

江ノ島「うぅ……」

江ノ島「あ、あったかかったぁ……」///

セレス(私も何か理由をつけて苗木くんと入ることにしましょうか……)

かまくらはこのあと朝日奈がさくらちゃん入ろうとして壊れました
雪だるまは……このグラウンド芝生ってことで……


1月11日

放課後の教室

戦刃「盾子ちゃんのバカー!」

江ノ島「お姉ちゃんのわからずや!」

戦刃「もう知らない!」ダッ

ドン

苗木「うわっ!?」

苗木「戦刃さん……?」

江ノ島「ふん! 残姉ちゃんってばまじわかってないんだから!」

苗木「江ノ島さん、戦刃さんと何かあった……?」

江ノ島「別にっ」プイ

苗木(ええぇ……)

江ノ島「あたし帰る!」

苗木「ちょ、ちょっと江ノ島さん!」

苗木「はぁ……」

苗木「珍しいな、戦刃さんが江ノ島さんに怒るなんて……ちょっと様子見てくるか……」


学生寮・戦刃の部屋

苗木「えっと……」

戦刃「……」

苗木「江ノ島さんと、その……何かあったの……?」

戦刃「……盾子ちゃんが悪いんだもん」

苗木「な、なんで?」

戦刃「だって盾子ちゃん、せっかくの鏡開きなのにぜんざい作るって言うんだよ!?」

苗木「……へ? ぜんざい?」

戦刃「そう!」

苗木「ぜんざいって、お餅と餡子で作るあのぜんざい?」

戦刃「うん! ありえないよ、お餅はお雑煮が一番おいしいって決まってるのに!!」

苗木「」

戦刃「ね! 苗木くんもそう思うよね!?」

苗木「え、鏡開きの餅で何作るかで喧嘩してたの?」

戦刃「そうだよ?」

苗木「……」

苗木「ちょっと江ノ島さんの部屋行ってくるね……」

戦刃「盾子ちゃんによーく言い聞かせてね!」

苗木「あはは……」


江ノ島の部屋

苗木「……」

江ノ島「……」ズーン

苗木「あの、江ノ島さん……」

江ノ島「あのお姉ちゃんがあそこまで怒るなんて……絶対嫌われました……絶望的だよぅ……」グスン

苗木「えっと、たかかがお餅でそこまで……」

江ノ島「たかが!? 餅はぜんざいに決まってるでしょ!! これだけは絶対譲れないんだから!」

苗木「えぇ……」

江ノ島「甘い方が美味しいに決まってるじゃん!」

苗木「でも妥協しないと戦刃さんと仲直りできないよ?」

江ノ島「ぜんざいを取るか……お姉ちゃんを取るか……絶望的に迷います……」

苗木「迷うんだ!?」

江ノ島「苗木ぃ……ぜんざい食べたいしお姉ちゃんとも仲直りしたいよぅ……」ウルウル

苗木「えっと……」

苗木「……」

苗木「ぜんざいと雑煮、両方作るっていうのはダメなの?」

江ノ島「……へっ?」

苗木(あ、その発想はなかったって顔してる)


1時間後・食堂

江ノ島「う~ん、ぜんざい甘くておいしぃ~!」

戦刃「お雑煮おいしい!」

江ノ島「あ、雑煮ちょっとちょーだい」

戦刃「いいよ!」

江ノ島「んっ、はむ……雑煮も美味しいじゃん!」

戦刃「でしょでしょ!」

戦刃「ぜんざいも一口ちょうだいっ」

江ノ島「はいはーい」

戦刃「あむ……」

戦刃「おいしい!」

江ノ島「でしょー!」

戦刃「お餅と甘いのも合うねえ」

江ノ島「雑煮もなかなかだったよ」

苗木「はは、仲直りできてよかったね」

戦刃「うんっ!」

江ノ島「そういえばさ、苗木は餅だと何で食べるのが好きなの?」

苗木「えっ、僕?」

苗木「うーん。僕は焼き餅かな」

江ノ島「えっ……」

戦刃「ちょっとそれは……」

江ノ島「いくらなんでも……」

苗木「ええ!?」

短くてすまぬ…
雑煮食べたい


1/21

放課後・教室

キーンコーンカーンコーン

江ノ島「苗木ー、これから暇?」

苗木「え? まあ予定はないけど……」

江ノ島「じゃあさじゃあさ! デート行こ!」

舞霧セ「」ガタッ

苗木「どこか行きたいとこでもあるの?」

江ノ島「うぷぷぷ~。事務所にこれ貰ったんだよねっ」ピラッ

苗木「えっと……お化け屋敷招待券……?」

江ノ島「そう、来週オープンするお化け屋敷の先行体験チケット! 行こうよ行こうよー!」

苗木「この時期にお化け屋敷? 普通は夏じゃない?」

江ノ島「なんかさー、屋内でできるアトラクションだから実は冬に向いてるんじゃないかってさ」

苗木「へえ……」

苗木「そのお化け屋敷、すごく怖かったりしないよね?」

江ノ島「さあねー」ニヤニヤ

苗木「うわあ……」

江ノ島「ほんとは残姉ちゃんと行こうと思ったんだけどねー。怖いの無理って言うから」

苗木「僕もそういうの得意ではないんだけど……」

江ノ島「で、行くの? 行かないの?」

苗木「行くよ。特に予定はなかったし、お化け屋敷なんて小学生以来だから結構楽しめそうだしね」

江ノ島「やったー!」

霧切「……」

霧切「……尾行するわよ」

セレス「ですが、先行体験ということですし招待券がない私達は中に入れませんよ?」

霧切「くっ……!」

舞園「まあまあ。来月は苗木くんの誕生日ですし、そこで挽回しましょうよ」


お化け屋敷前

受付「本日は招待券を持っている方のみのご案内となっておりまーす」

苗木「ここか……『超絶望ハイスクール』……?」

江ノ島「廃校になった高校をモチーフにしたお化け屋敷らしいよ」

苗木「外から見るとわりと普通だね。ちょっと荒れてるけど」

江ノ島「あっでも窓全部塞いであるよ」

苗木「えっ、じゃあ中は真っ暗なの?」

受付「はい、そうですよ。非常灯と懐中電灯で進んでいただくことになります」

苗木「へえ、怖そうですね……」

江ノ島「これチケットでーす」

受付「はい! ではこちらの懐中電灯と、予備の電池をどうぞ。それではあちらから、矢印に沿ってお進みください」

江ノ島「どうもー」

苗木「うわあ、緊張するなあ……」

江ノ島「だいじょーぶ、だいじょーぶ! 泣いちゃっても皆には黙っててあげるからさ!」

苗木「さ、さすがに泣きはしないよ!」

苗木(たぶん……)

受付「……」

受付「カップルか……」

受付「ていうか希望ヶ峰の制服だったよな。こんなとこで何やってんだろうな、俺……」ハァ…


苗木「ん? 『この部屋で懐中電灯の準備をしてお待ちください』だって」

江ノ島「はい、苗木の懐中電灯だよ」

苗木「ありがと」

江ノ島「説明とかあるのかな?」

苗木「いよいよかあ……」



フッ…



苗木「わっ、電気消えた!?」

ドンッ

江ノ島「きゃっ!」

江ノ島「もう、苗木ってば動揺しすぎでしょー」ケラケラ

苗木「と、とりあえず懐中電灯点けないと……」

苗木(あれ? 江ノ島さん、僕とぶつかったと思ってる?)

苗木(僕は何にもぶつかってないのに……?)

カチッ

パッ

江ノ島「ん、明かりありがt――――」



女の子「う……あ゙ぁ……」



苗木「うわあああっ!?」ビクッ

江ノ島「」

苗木(さっき江ノ島さんにぶつかったのは……)

苗木(いつの間にか天井から吊るされていた、制服を着た女の子の……)

苗木(……蠢く死体だった)


苗木「電気消えたときに上から落とされたのか……うわ、左腕ないし……」

苗木「こ、これはビックリしたね……」

苗木「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「ううぅ……」ビクビク

苗木「……」

苗木(気がついたら江ノ島さんが僕の後ろに隠れて怯えてるんだけど)

苗木「えっ、江ノ島さんってこういうの大丈夫なんじゃなかったの?」

江ノ島「よく考えたら更生前にホラーを楽しんでたのは怖さに絶望を感じていたからだった気がします……今は普通に怖いんですけど……」

苗木(ええええ!?)

苗木「えと、とりあえず進む……? 電気消えてる間にドアも開いたみたいだし」

江ノ島「もっちろん! こ、これくらい余裕だっつうの!?」

苗木「はは……」

苗木(怖いの僕だけじゃなくてよかった……。まあ、こういうのは怖がった方が楽しめるしね)

ギュッ

苗木「江ノ島さん!?」

江ノ島「……」

江ノ島「怖いから……手、繋いでてよ……」///

苗木「う、うん……」///

女の子(死体役の前でイチャついてんじゃねーよ! 爆発しろ! 泣きわめいて破局しろ!!)

>>117
まだ読んでくれてるかわからないけど、お化け屋敷回ですー

飯できたんで食ってくる

日向くん苗木たち入学時には予備学科でかつ実験中だと思うんだが別人?


苗木「塞がれてた窓って、鉄板が打ち付けられてたんだね。まったく光漏れてこないや」

江ノ島「ちょっと苗木! 前! ちゃんと前照らしててよ!?」

苗木「おっと、ごめんごめん」

苗木「って、江ノ島さんも懐中電灯持ってるじゃん」

江ノ島「明るいに越したことないでしょー!」

苗木「ふふっ」

江ノ島「な、なによっ」

苗木「いやあ、怖がってる江ノ島さんて新鮮だなって思って」

江ノ島「……」

江ノ島「べ、別に怖くなんてないしー?」

苗木「じゃあ手は離しても大丈夫?」

江ノ島「それはダメー!」


ガタタッ


苗木「!」

苗木「今の音、聞こえた……?」

江ノ島「この教室から、だよね……」

苗木「じゃあ入ろうか」

江ノ島「やめとこ」

苗木「え?」

江ノ島「迂回しよ!」

苗木「いや、廊下はここで塞がれてるし……」

江ノ島「よじ登れば向こう側行けそうじゃない?」

苗木「いやいやいや! 僕が先に入るから、ね?」

江ノ島「うん……」

苗木「よし」


ガラッ…


苗木「ひっ!?」

江ノ島「なに!? なんなの!?」

苗木「だ、大丈夫……人形みたい……」

苗木「全部の座席に、人形が座らされてる……」


江ノ島「……」チラッ

江ノ島「ほんとだ、ただの人形だね……」ホッ…

苗木「後ろのドアから廊下の向こう側に出れそうだね」

江ノ島「は、早く行こうよ!」

苗木「はいはい」

苗木「……あ、黒板に何か書いてあるよ」


『 返 し て 』


苗木「返して? 何を……?」

江ノ島「……」

江ノ島「ね、ねえ……苗木……」

苗木「ん?」

江ノ島「この人形、どれも左腕がない……」

苗木「ほ、ほんとだ……」

江ノ島「気味悪いよ……早く出ようよぉ……」ウルウル

苗木「そうだね……」


カツ カツ


苗木(もうすぐドアだ……)

江ノ島「ふぅ……」

苗木(あれ? 教室から聞こえてきた音って結局なんだったんだ?)

江ノ島「ドア開けるよ!」

苗木「ねえ、さっきの音って――――」


男子生徒「うああ゙あ゙ああ!!!!」ガシッ


江ノ島「いやあああああああ!!?」

苗木「うわああああああ!!?」


苗木(最後列の、ドアに一番近い席に座ってたのは人形じゃなかった)

苗木(叫び声をあげながら、ドアを開けようとした江ノ島さんの手首を掴んで……)

苗木「だ、大丈夫……?」

江ノ島「だいじょばない……もう無理……絶望的に怖い……」ガクガクブルブル

苗木(江ノ島さん、廊下に出てうずくまっちゃった……)

苗木(腕を掴まれたのが僕だったら、僕がこうなってたかもなあ)

江ノ島「ううぅ……」

苗木「ほら、がんばろ?」ギュッ

江ノ島「……」

江ノ島「うん……」グスン

江ノ島(苗木の方から手を繋いでくれた……)

江ノ島「……絶対リタイアしないから」

苗木「うん」


テクテク


江ノ島「あ、階段だ」

苗木「2階に上がるのか……」

江ノ島「何も飛び出してこないよね……」

苗木「……」

江ノ島「……」ビクビク

苗木「2階到着っと。何もなかったね」

苗木「あ、次の教室、中から光が漏れてるよ」

江ノ島「あんまり怖くなさそうだね! 行こっ!」

苗木「あっ待ってよ江ノ島さん!」


ガララッ


江ノ島「図書室……だよね……?」

苗木「そうみたいだね」

江ノ島「ん? 机にコーヒーが置いてあるんだけど」

苗木「誰かがさっきまでいたってことかな?」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「なんでそう怖くなるようなこと言うの!?」

苗木「えええ!?」


江ノ島「よし、次行こう。さっさと進もう」

苗木「うん」ガタッ

苗木「あれ?」

江ノ島「どしたの?」

苗木「このドア、開かないんだけど……」

江ノ島「え?」


バサバサッ


江ノ島「本棚から本が落ち……ひいっ!?」ビクッ

苗木「ひ、左腕だ! しかもたくさん!?」ゾクッ

苗木(切り取られた左腕がなんでここに? 本の後ろに隠してあったのか?)

苗木「こ、これでここのは終わりかな……?」

江ノ島「このドアが開かないとなると……次はあっちのドアか……」

苗木「閉架書庫みたいだね。開けるよ?」

江ノ島「うぅ……」


ギィ…


江ノ島「こっちは明かり点いてない……」

苗木「結構広いね……」

江ノ島「よし、行くよ」

苗木「うん」

江ノ島「……」

苗木「……」

苗木「な、なんだか本棚の間から何か飛び出してきそうだね」

江ノ島「……やっぱ苗木先に行って」

苗木(僕も怖いんだけどなあ……)

苗木(ていうか江ノ島さん、手を繋ぐどころか腕に抱きついてるの気づいてるのかな)///



「――、――――」


苗木「……」

苗木「今の聞こえた?」

江ノ島「うん。話し声、だよね……?」


「――――!」


苗木「この書庫の出口、あの声の方なんだろうなあ……」

江ノ島「だよね……」

苗木(少しすると、話している人たちに近づいたのか、ぼんやりと会話が聞き取れるようになってきた)


「あ――君――――に綺麗だよ……僕とずっと――――てくれ――?」


江ノ島「他の参加者……じゃないよねえ……」

苗木(2人いるみたいだけど、片方の声しか聞こえないな)


「――かい!? 僕――んて幸せ者なんだろう! いや、君のこと――――幸せにしてみせるよ!」


苗木「いた……」

苗木(出口のドアの隣に、人影がうずくまっていた。誰かと会話していたようだけど、傍には誰もいない)

苗木(僕らはもう1人を探そうと懐中電灯を横に向けようとした。その時――――)


フッ…


江ノ島「えっ!? なんで懐中電灯消えてんの!?」ビクッ

苗木「こんな時に電池切れ!?」



「おや? 誰かいるのかい?」


苗木(突然明かりが消えたせいで僕らの目は暗闇に順応していない。うずくまっていた男が立ち上がったようだけど、姿は全く見えなかった。やけにゆっくりと足音が近づいてくる)

江ノ島「ひいぃ……」グスッ

苗木(江ノ島さんは半泣きみたいだ。僕もわりと泣きそうだけど)


「もしかして、告白するの聞かれてたかな?」

「はは、ちょっと恥ずかしいね」

「見てよ、付き合い始めたばかり彼女なんだ」

「……明かり、点けてくれるかい?」


苗木(そう言って男は、右手に持ったランタンに、左手で小さな火を灯した)

江ノ島「」

苗木(青白い肌。見開かれた目。幽霊のような白い髪。僅かな光が、男の顔を中途半端に照らす)

苗木(その男が嬉しそうに彼女を紹介してくる)

苗木(本当に嬉しそうに、左腕に頬擦りしている)

苗木(本来その男の左腕があったであろう所には、可愛らしいマニキュアが塗られた女の子の腕が縫い付けられていた)

江ノ島「いやああああああああああああああ!!!!!!???」

苗木「うわああああああああああああ!!!!!??」



「走っちゃ危ないよー」

「って、もう聞こえないか……」

「まさかあんなタイミングで2人とも懐中電灯の電池が切れるとはね。なんて『不運』な人たちだろう」

「いや、結果としていい演出になったし、やっぱり僕にとっては『幸運』だったかな」

「この恐怖を乗り越えて、彼らの『希望』が輝くといいなあ!」

「あはは。日向くんにアルバイト誘ってもらってよかったよ」

「……なんだか苗木くんに似た声だった気がするけど、さすがに気のせいかな」

――――

――


江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「クリアできたね……」

苗木「なんとかね……」

江ノ島「絶望的に怖かったです……絶対今日の夜あたり夢に出ます……」

苗木「……」


「見てあれー!」
「きゃーラブラブ!」
「初々しいねえ」
「爆発しろ!」


苗木「江ノ島さん、その……人が見てるとこで抱きつくのはちょっと……」

江ノ島「むりぃ……お願いだからもうしばらくこのままでいて……」グスン

苗木「はは……」

苗木「……」

苗木「ねえ」

苗木「すごい怖がってたけど、楽しめた?」

江ノ島「……うん」

江ノ島「そりゃ怖かったけど……」

江ノ島「苗木と一緒なら、何してても楽しいし……」

苗木「そうなの?」

江ノ島「だ、だって好きだもん」

苗木「……」

江ノ島「……」

苗木「そっか……」///

江ノ島「うん……」///


日向(終わったらさっさと帰ってくんねーかな……なんで受付の目の前でイチャついてんだよ……)

そういえばビビリすぎてお化け屋敷とか行ったことない
行ったら間違いなく泣きます

>>848
何故あれだけでバレたし!?
実験とかなかった設定です。希望ヶ峰は平和な学園です
たぶんもう出番はないので、深く考えない方向でお願いします…!

怖すぎて一人で眠れない江ノ島が、
苗木と同衾する展開はよ


am 2:00

苗木「……」

苗木「……」

苗木「どうしよう、眠れない」

苗木「お化け屋敷けっこう怖かったなあ」

苗木「あのタイミングで2人して同時に電池切れって……」

苗木「……」

苗木「はぁ……」

コン…

苗木「」ビクッ

苗木(な、なんだ今の音……?)

コン、コン…

苗木「……!」

苗木「ドア……ノックされてる……?」

コンコンコンッ

苗木「こんな時間に誰か来るわけ……ないよな……」

苗木「もし来るなら電話なりメールなりしてくるだろうし」

苗木「……」ゴクリ

ドンドンッ

苗木「ひっ!?」

ドンドンドンッ!

苗木「あ……うわ……」

『ねえ……開けてよ……』ドンドン

苗木「聞こえない……僕には何も聞こえないぞ……」

『開けてよ……!』ドンドンドン!

苗木「聞こえない聞こえない聞こえない聞こえない……」

『開けてよぉ……苗木ぃ……』グスッ

苗木「……」

苗木「えっ?」

苗木「江ノ島さん!?」

ガチャッ

江ノ島「なんですぐ開けてくれないのよぉ……うぅ……」ウルウル

江ノ島「誰もいない廊下すっごい怖かったんだからね!?」

苗木「な、何してるのさ江ノ島さん!? こんな時間に!」

江ノ島「いやー、その……」

江ノ島「1人じゃ怖くて……眠れなくて……」

苗木(江ノ島さんもか……)


苗木「それなら戦刃さんの部屋行けばよかったんじゃない?」

江ノ島「寝てる残姉ちゃん起こそうとしたら命がいくつあっても足りないっつーの!」

苗木「あぁ……でもせめて先に連絡してよ!」

江ノ島「苗木、ケータイ電池切れになってない?」

苗木「え? あれっ本当だ、ごめん!」

江ノ島「というわけで一緒に寝よ!」

苗木「うん……」

苗木「……」

苗木「うん?」

苗木「ね、寝る!? 一緒に!?」///

江ノ島「なっ、顔赤くしないでよ! 何想像してんの!?」

江ノ島「1人で寝るの怖いから同じ部屋で寝よってだけだから! 深い意味はないから! ほんとに!」///

苗木「ああ、そういうことか」

苗木「じゃあ僕は床で寝るから、江ノ島さんベッド使ってよ」

江ノ島「へっ?」

苗木「え?」

江ノ島「えっと……その……」

江ノ島「べ、べつに同じベッドで寝ればいいんじゃないかな……」

江ノ島「あたし痩せてるし? 苗木小柄だし?」

江ノ島「ねっ!」

苗木「いやダメでしょ!? 完全にアウトだよ!」

江ノ島「な、なによ! アウトになるようなことあたしにしたいわけ!?」///

苗木「そうじゃなくって! やっぱり不味いよ!」

江ノ島「でも私……ベッドに1人だと怖くて眠れないです……」

苗木「えぇ……」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「お願い……」

苗木「わかったよ……背中合わせだからね?」ハァ…

江ノ島「うんっ!」

――――

――


江ノ島「……ねぇ、もう寝ちゃった?」

苗木「ううん。まだ起きてるよ」

江ノ島「そっち向いて抱きついていい?」

苗木「ダメだって……」

江ノ島「ちぇー」

苗木「もう……」

江ノ島「ねえ」

苗木「なに?」

江ノ島「背中、あったかいね……」

苗木「……うん」

江ノ島「なんだか……安心する……」

苗木「そうだね」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「ねえ……」

苗木「なに?」

江ノ島「今日は……ありがと……ね……」

苗木「どういたしまして」

江ノ島「楽しかった……よ……」

苗木「僕もだよ」

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「……」zzz

苗木「寝ちゃった……かな……?」

苗木(おやすみ、江ノ島さん)

苗木(……)

苗木(さて……)

苗木(ここからが問題なんだよなあ)

苗木(うぅ……江ノ島さん意識しちゃって眠れる気がしない……)

>>859
こうですかー

言われてる通り、腕云々は吉良さん意識してました

だいじょばないって中の人ネタかと思ったけど気にしすぎか


1月27日

放課後

苗木「あ、江ノ島さん今日は撮影なんだね」

江ノ島「ふふふ、セブンティーン4月号の表紙はこの私様であるぞ!」

苗木「へえ。また持ってきてくれるんでしょ? 楽しみにしてるよ!」

江ノ島「うん! 見本届いたらすぐ持ってくるよー、じゃあね苗木くんっ!」

苗木「うん、じゃあね!」

苗木「……」

苗木「はぁ……」

セレス「あら、撮影について行ったりはしないのですね」

苗木「えっ?」

セレス「最近の苗木くんはよく江ノ島さんと一緒にいるようでしたから」

苗木「……そうかな」

セレス「ええ。ところで苗木くん」

苗木「ん、なに?」

セレス「私、オセロがしたくなってきましたわ」

苗木「へ?」

セレス「どうせ暇なのでしょう? 娯楽室でオセロでも打ちませんか」

苗木「……何も賭けないよね?」

セレス「あら。賭けてもいいですけど?」ニコ

苗木「い、いや賭けるのはさすがに遠慮しとくよ!」

セレス「いつか確かめてみたいものですけどね。貴方の『幸運』というものを」

苗木「はは……」

苗木(何があってもセレスさんと賭け事はやりたくないなあ……)

セレス「では行きましょうか、娯楽室に。うふふふ」

苗木「うん!」


娯楽室

セレス「オセロをはじめとして、駒を交互に動かすボードゲームというのは運の絡む要素が極端に少ないもの」

苗木「……」

セレス「つまり、特殊なルールでもない限り実力が反映されやすいということですわ」ニコッ

苗木「ははは……」

苗木(セレスさん強いな……これ何敗目だっけ……)

セレス「ふう……もし賭けていたら、今頃苗木くんは全裸でしたわね」

苗木「脱衣オセロなの!?」

セレス「それとも、窮地に立たされると貴方の『幸運』が発揮されるのでしょうか」

苗木「オセロは運があまり絡まないって言ったばかりじゃないか……」

セレス「私が黒と白を見間違えたり、置く場所を間違えたりするかもしれませんよ」

苗木(それはさすがにないんじゃないかなあ)

セレス「けれど……」

苗木「どうかした?」

セレス「勝ち続けているのに何も得るものがないというのは、少々つまらないですわね」

苗木(なんか嫌な予感がするぞ……)

セレス「そうですわ!」

苗木「な、なにかな……?」

セレス「全て自分の色で統一して勝ったら、相手になんでも1つ命令できるというのはいかがですか?」

苗木(全部自分の色に……さすがにそれはセレスさんでも無理だよね……?)

苗木「まあ、それくらいならいいよ」

セレス「本当ですか?」

苗木「うん」

セレス「ではこの列、いただきましたわ」パタン

苗木「あっ」

セレス「まあ! 綺麗に黒一色になりましたわね!」

苗木「」

セレス「さて。苗木くんには今日1日、私のナイトになっていただきましょうか」ニコッ


苗木「……へっ? ナイト!?」

セレス「そうですわ」

苗木「それって……具体的には何をするのかな……?」

セレス「わかりやすく言うと執事のようなものですわね」

苗木「執事!? む、無理だよ!」

セレス「賭けで負けたというのに、なんて往生際の悪い……」ハァ…

苗木「そもそもセレスさん、勝てるってわかっててあの条件出したよね」

セレス「……なんのことでしょうか」プイッ

苗木「セレスさん?」

セレス「……」

セレス「はぁ……ではもっと簡単なものでいいです」

セレス(まったく、いつになったらあのテイルコートを苗木くんに着せられるのでしょうか……)

苗木(助かったー!)

セレス「では……」

苗木「……」ゴクリ

セレス「これから1時間、私の質問にはきちんと答える。これでどうでしょう」

苗木「えっ、そんなのでいいの?」

セレス「ええ」

苗木「よかったあ、それくらいなら全然大丈夫だよ」

セレス「では最初の質問をしましょうか」

苗木「どうぞ」

セレス「苗木くん」

セレス「貴方は今……その……」

セレス「す、好きな異性はいますか……?」///

苗木「ブッ!!? は、えええ!?」

セレス「ど、どうですの……?」

苗木「ええ!? その……」

セレス「……」

苗木「い、いない……かな……」

セレス「……そうですか。それは本当なんでしょうね?」

苗木「う、うん」

セレス「……」

セレス「江ノ島さん」ボソッ

苗木「え?」

セレス「最近、江ノ島さんと……仲が良さそうだったではありませんか」

苗木「なっ! そ、そういうわけじゃ!」///

セレス「……そうですか」


セレス「江ノ島さんといえば」

苗木「ん?」

セレス「先ほどの教室でのため息ですが……」

苗木「……」

セレス「貴方らしくもなく、随分とネガティブなものでしたわね」

苗木「そうだった? 気のせいじゃないかな、はは……」

セレス「これでも他人の感情の機微には敏い方ですのよ?」

苗木「……」

セレス「江ノ島さんについて何か悩みでもあるのではなくて?」

苗木「……僕って、そんなにわかりやすいかな?」

セレス「ええ、とても」フフッ

苗木「そっか。そうだよね、ははっ」

苗木「……」

苗木「話、聞いてくれる?」

セレス「オセロをしながらでよろしければ」

苗木「……ありがと」

セレス「……」

苗木「江ノ島さんの……ことなんだけどさ……」

セレス「……」

苗木「告白されたんだ」

セレス「……は?」

セレス「はあああああああ!!?」

セレス「いつ!? いつですか!!?」グイッ

苗木「うわあ!?」

苗木「ク、クリスマスパーティのときだけど」

セレス「そうですか……」

苗木「……」

苗木「疑わないんだね」

セレス「嘘だったのですか?」

苗木「そ、そうじゃないよ!」

セレス「冗談です。彼女が貴方に想いを寄せていることは知っていましたわ」

苗木「えええ!?」

セレス(それも、本人が自覚するよりも前から……)


セレス「……で?」

苗木「え?」

セレス「告白されて、それで? 私に話したかったことはそれで全部ですの?」

苗木「……」

苗木「不思議なんだ」

セレス「不思議?」

苗木「うん。江ノ島さんがどうして僕を……その……好きになったのか、不思議なんだ」

セレス「それは自分を卑下しているのですか?」

苗木「そ、そういう意味じゃ……僕が疑問に思ってるのは、もっと根本的なことだよ……」

セレス「……」

苗木「今の江ノ島さんとは仲良くしてたから、なんとも言えないけど」

苗木「けど、更生する前の江ノ島さんだったら……」

苗木「僕を好きになるなんてあり得ないって、断言できる」

セレス「自分で言っているでしょう?」

セレス「更生後は仲良くしていた。更生前はそうではなかった。それが全てではなくて?」

苗木「……」

苗木「そう、かもしれないね……」

苗木「けど僕は、江ノ島さんの人格を書き換えている」

苗木「その時の書き換えが、何か影響しているんじゃないかと思って……」

セレス「……」

セレス(なんと言いますか……)

セレス(真面目な話をしているはずなのに、惚気られているようにしか聞こえないのは何故なんでしょうねえええ!?)

セレス(要は、告白されたけどどうして僕のこと好きなんだろう? ねえなんでだと思う? ねえねえ? という話じゃねえかこの鈍感男が!!)


苗木「ねえ、セレスさんはどう思う?」

セレス(……私は知っている)

苗木「根拠も何もない、胸騒ぎがするってくらいの疑問なんだけど……」

セレス(私だけが、江ノ島さんさえ知らないその答えを知っている)

苗木「自分でも心配のしすぎかなって思ってて、誰にも言ったことなかったんだ」

セレス(そんな私にこの話をした。そういう運命だった、ということですかね……)

セレス「……そうやって疑問に思う貴方なら、遅かれ早かれ知ることだったのでしょう」

苗木「……」

セレス「江ノ島さんの更生……いえ、人格の書き換えに使われた標準人格データ」

苗木「標準人格データ……?」

セレス「そのデータには、貴方に好意を寄せるパラメータが混入していました」

苗木「!」

苗木「じゃ、じゃあ……江ノ島さんの人格にも……」

セレス「貴方のことが好きである。そのように書き換えられた可能性は高いかと」

苗木「なっ、そんな……僕は……!」

セレス「事故みたいなものです。ボタンを押した貴方にも、プログラムを作成した不二咲さんにも責任はありませんわ」

苗木「……」

苗木「そっか……そうだったんだ……」


セレス(しばらくして、苗木くんは寮へと戻った)

セレス(江ノ島さんの好意が書き換えによる物だというのは、予想通りショックだったようですね)

セレス(……)

セレス「ショックを受けるのは予想通りでしたが……あそこまで深刻に受け止めるとは予想外ですわ……」

セレス「ねえ? 葉隠くん?」

『』ガタッ

セレス「そろそろ出てきてはいかがですか?」

葉隠「……いつから、俺がロッカーに入ってるって気づいてたんだ?」

セレス「最初からですわ。貴方が苗木くんのため息を気にしていたようですから、わざわざ隠れる場所のある娯楽室に移ってあげましたの」

葉隠「は、はは……」

セレス「そもそも最近、苗木くんを気にかけすぎですわよ」

葉隠「そ、そうか……?」

セレス「まさか貴方……」

葉隠「……」

セレス「ホモなのですか?」

葉隠「ちげえべ!!? 酷い風評被害だべ!?」

セレス「冗談です。占いですわよね?」

葉隠「……」

セレス「どんな結果が出たのですか?」

葉隠「いい結果じゃねーぞ」ハァ…

セレス「わかっています。だから注意深く苗木くんを見ていたのでしょう? 外れることを祈って」

葉隠「さすが、ギャンブラーにはお見通しか」

セレス「貴方も苗木くんも、わかりやすすぎるだけですわ」

葉隠「ははは……」

葉隠「占ったのは、江ノ島っちが更生して半月ちょっとの時だったべ」

葉隠「結果はこうだ……」

葉隠「【更生プログラムを使用しなければ苗木誠は『超高校級の絶望』になる】」

セレス「なんですって?」

葉隠「そして、さっきのを見た感じだと……たぶんこの占いは、三割に入ってる」

セレス「……!」


prrrrr, prrrrr!

江ノ島『苗木だー!はーいもしもーし!』

苗木「あ、いきなりごめんね江ノ島さん。ちょっと聞きたいことあるんだけど」

江ノ島『なにー?』

苗木「あのさ……えっと、僕のこといつから好きだったの?」

江ノ島『はにゃ!? なっ、何よいきなり!?』///

苗木「あはは、ちょっと気になってさ……」

江ノ島『えっと……確か最初にデートした帰りだったかな、自覚したのは』

苗木「……そっか」

江ノ島『これ改まって言うの絶望的に恥ずかしいんですけど……苗木くんってサドなんですか……』

苗木「ごめんごめん、ありがとうね。それじゃ」

江ノ島『うぅぅ、苗木のバカー!』///

pi

苗木「最初のデートってことは、更生プログラムから半月くらいか」

苗木「どう考えても早すぎる……書き換えたせい、か……?」

苗木「はぁ……」

苗木「これが、江ノ島さんの言う絶望的って感覚なのかな」

間空いちゃってごめんなさい!
更生編、恋愛編ときて最後は絶望編です。もうしばらくお付き合いください

このスレ内で終わるか不安なため1レスに詰め込んでます、読みにくかったらすみません…


>>869
ギャルっぽいかと思って使ってたんですけど元ネタとかあるんですかー!これからは控えます!


1月29日

放課後・教室

十神「全員揃ったようだな」

朝日奈「苗木と江ノ島ちゃんと舞園ちゃんがいないよ?」

十神「あの3人は今は学校を離れている。……おい、間違いないんだろうな?」

霧切「ええ。苗木くんは舞園さんが連れ出しているわ」

戦刃「……盾子ちゃんは、今日も撮影だよ」

十神「ふん。では、これより学級裁判を始める」

桑田「ちょっと待てよ。いきなり集められて意味がわかんねーっつうの」

セレス「それは私から説明させていただきますわ」

大神「……何人かは事態を把握しているようだな」

セレス「女子は私、霧切さん、戦刃さん、舞園さん。男子は十神くんと不二咲くん、そして葉隠くんがすでに知っています」

桑田「葉隠ぇ? その面子だとなんか葉隠だけ浮いてね?」

葉隠「桑田っちいくらなんでも酷いべ!? そもそも俺がきっかけなんだぞ!」

石丸「なに! 葉隠くんがきっかけということは占い関係かね!?」

セレス「そう。彼が2ヶ月前に占ったことが当たりそうなのです」

山田「えーっと、その占いの結果というのは……?」

葉隠「……」

葉隠「【更生プログラムを使用しなければ苗木誠は『超高校級の絶望』になる】」

桑田「は?」

石丸「なん……だと……?」

山田「はああああ!?」

大和田「な、なんだよそりゃ……!?」

大神「なんと……」

腐川「ぐぬぬ……なんで白夜様が知っていたのに私は知らないのよ……わ、私が汚いから誰も教えようとしなかったのね!? そ、そうに決まってるわ!」

十神「腐川、貴様は黙っていろ」

腐川「……」


朝日奈「な、なによそれ! どういうこと!?」

セレス「そのままの意味ですわ。今日はその結末を回避するために集まったのです」

十神「とは言ってもその方法も占いに出ているがな」

不二咲「更生プログラムの……使用だね……」

霧切「そう。あれを正しく使えば問題ないわ」

桑田「待てよ! あの前向きが取り柄って自分で言うくらい前向きな苗木だぞ!? あいつが『絶望』とかあり得ねーだろ!」

戦刃「桑田くん……」

セレス「すでに兆候は見えていますわ。……私のせいで」

霧切「セレスさん、貴女のせいではないわ。遅かれ早かれ苗木くんは知ってしまっていた」

桑田「兆候だあ? だ、だとしてもよお、葉隠の占いが当たる確率は三割だろ? 残りの七割はハズレってことだ! 途中まで合ってたからって、ぴったり一致するとは限らねーだろ!」

葉隠「桑田っち……俺の占いは、当たりか外れかしかねえんだ……」

桑田「は?」

十神「そいつはなんの予備知識も無しに三割の確率で占いを当てる。少し外れるも少し当たるもない、ぴったり当たるか完全に外れるかの2つだけだ。だから、『超高校級の占い師』なんだよ」

石丸「つ、つまり……その占い結果の兆候が見られたということは、当たるのが確定しているということか……?」

葉隠「そうだべ……」

桑田「じゃあ、じゃあよ! 占いが当たるってんなら、更生プログラムを使えば苗木は『絶望』しないんだな!?」

十神「最初からそう言っているだろう。正しく使えればの話だがな」

大神「しかし、更生プログラムの使い方に正しいも正しくないもないのではないか?」

不二咲「……」

霧切「不二咲さん、説明してあげて」


不二咲「あれは、名前こそ更生プログラムってなってるけど……実はそれ以外のことにも使えるんだよ……」

朝日奈「それ以外?」

不二咲「まず、ベースにしたい人格データさえ準備できればその人格に書き換えることができるんだ」

大和田「あん? そうやって更生させるんじゃねーのかよ?」

不二咲「たとえばの話なんだけど……もし『絶望』してる人の人格データで上書きすれば、普通の人を『絶望』させることもできちゃうんだ……!」

山田「そ、それでは丸っきり更生の逆ではありませぬか!?」

不二咲「そしてもう1つ」

桑田「な、なんだよ……」

不二咲「不完全だけど……」

不二咲「記憶領域を空白で書き換えることで、記憶を消すこともできる……と思うよ」

山田「記憶を消すううぅ!? ちーたん怖いですぞ!?」

霧切「今回重要なのは記憶を消す機能よ。それを使うか使わないか。判断を下すのに、このクラス全員の意見が必要だと思ったの」

戦刃「……」

十神「そもそも何故苗木が『絶望』するのかについてだが……」

十神「要因は2つある。1つ目は――――」

クシュンッ

十神(今の音……まさか……!)

ジェノ「久しぶりに出て来てじゃじゃじゃじゃーん! あれ? 何みんな集まってんの? そんな辛気臭い顔してると殺っちゃうぞッ!」エヘッ

ジェノ「まあお前ら萌えねーから白夜様とまーくんとちーたんしか殺んねーけどな!! あっでも3人もいると鋏より重い物は持てないか弱い殺人鬼には重労働かも? ゲラゲラゲラ!」

ジェノ「って、全員いるのかと思ったらまこぴょんいねえじゃんシィット!!」

十神「ジェノサイダー、少し黙っていろ」

ジェノ「はーいっ」

戦刃「今ね、葉隠くんの占いについて話し合ってるの。占いの結果は、更生プログラムを使わないと苗木くんが『超高校級の絶望』になるっていうもので……たぶん当たり……」

ジェノ「えっなに、まこちん『絶望』しちゃうの? 弱っちゃうの? 儚い系男子なの? はああぁぁあんんん萌えるわあああぁぁぁ!!!」

十神「黙っていろと言ったはずだが……?」ゴゴゴ

ジェノ「……」オクチチャック


十神「……では話を続けるぞ。1つ目の要因は、苗木が更生プログラムのスイッチを押したことだ」

大和田「はあ? なんでそれが『絶望』に繋がるんだよ?」

十神「奴は、江ノ島の人格を書き換えたことに罪悪感があった。自分がスイッチを押し、元の江ノ島盾子の人格を消去したと考えている」

石丸「更生させたのだから彼は正しいことをしたはずだぞ! 何を恥じる必要があるのだね!」

十神「それはお前の考えであって奴の考えではない、自分の価値基準が他人にも適用されると思うな。苗木はお人好しすぎる。奴でなければここまで責任を感じていないだろうな」

霧切「でも、お人好しの彼以外は誰もスイッチを押す覚悟がなかったのだから仕方ないわね」

桑田「……2つ目はなんだよ」

セレス「人格の書き換えに使われたベースとなる人格データに、苗木くんのことが好きだというパラメータが混入していました。それにより江ノ島さんは、苗木くんが好きであるように人格を書き換えられましたの」

山田「ああ、それでああいうことに……爆ぜろリアル弾けろシナプス爆発しろ苗木誠殿!!」

セレス「苗木くんは、江ノ島さんの人格を書き換えたことに負い目を感じていながらも、『今の江ノ島さんが幸せならそれでいい』と思っていたようなのです」

朝日奈「けどその『今の江ノ島ちゃん』の恋心も、苗木が書き換えた結果だった……てこと……?」

セレス「ええ。それを知り、彼は酷く深刻に受け止めているようですわ」

霧切「根拠としては、難しい顔で上の空になる時間が以前の8倍、溜息の回数が以前の6倍になったわ。これはそのことを知った日からどんどん増えているわ」

朝日奈「……」

セレス「……」

桑田「うわあ……」


十神「これらを元に、俺は苗木の人格書き換えによる更生と、江ノ島を更生プログラムにかけてからの記憶の消去を提案する」

戦刃「!」

桑田「苗木の……記憶を消す……?」

十神「認められないか」

桑田「たりめーだ! なんであいつが記憶を消されなきゃなんねえんだよッ!!」

十神「江ノ島の人格書き換えのスイッチを押したのが自分であると知らなければ、苗木が絶望することはないんだ」

桑田「でも……!」

戦刃「待って十神くん。スイッチを押したっていう記憶だけを消せばいいんじゃないの? それ以降の記憶はそのままでも……」

十神「それでは苗木がスイッチを押したことを後悔していた記憶は残る」

不二咲「そもそも、そんなピンポイントには消せないよ……長期間をまとめて消去するしかないんだ……」

戦刃「それじゃあ……盾子ちゃんとの思い出は……」

十神「これが俺の考える最善だ。思い出はまた作ればいいだろう」

桑田「ふざけんなよ十神! なんの権利があって苗木の記憶をお前が……!」

十神「黙れ愚民が。俺が好き好んで苗木の記憶を消したがってるとでも思うのか? 他により良い方法があるなら従ってやる」

桑田「くっ……!」

ジェノ「んー……」

十神「なんだ、ジェノサイダー」

ジェノ「いやー、江ノ島盾子の人格をもう一度最初の通りに書き換え直しちゃえばいいんじゃね?」

戦刃「……!」

十神「なっ!?」

不二咲「ええ!? 確かに江ノ島さんの元の人格データは残ってるけど……」

セレス「……なるほど、苗木くんが『絶望』する要因は2つとも取り除かれますわね。そして占いの結果とも合致します」

霧切「けど代わりに江ノ島さんが『超高校級の絶望』に戻るわよ」

十神「却下だ、却下! それでは振り出しに戻るだけじゃないか!」

ジェノ「ちぇー、いい方法だと思うんだけどなー」


桑田「やっぱ、十神の方法しかねーのかよ……」

石丸「くうぅ……!」

大神「……」

朝日奈「そんな……」

十神「異論はないな。では、実行日についてだが……」

霧切「ちょっと待って。それについて舞園さんから伝言を託されているわ」

十神「舞園だと?」

霧切「ええ。貴方はどうせ明日にでも実行したいんでしょう? 苗木くんが『絶望』する前に、できるだけ早く」

十神「……」

霧切「舞園さんの伝言は、『1週間待ってほしい』ということよ」

セレス「1週間後というと、確か……」

霧切「2月5日。苗木くんの誕生日ね」

十神「理由は?」

霧切「江ノ島さんが、嘘をつかず、これまで通りの接し方で苗木くんの誕生日を祝える最後の機会。だそうよ」

セレス「十神くんの提案を完全に予測していたということですか」

十神「ふん。現状考えうる最善の方法なだけだ、舞園が思い至っても不思議ではない」

霧切「じゃあ、更生プログラムの使用は2月5日の夜。苗木くんが寝ている間に行うということでいいかしら?」

桑田「……」

戦刃「……」

十神「決まりだな。……おい、戦刃むくろ」

戦刃「なに?」

十神「わかっているとは思うが、江ノ島にこのことは絶対に話すなよ。奴が知るのは全てが終わってからだ」

戦刃「……うん、わかってるよ」


同1月29日

放課後・公園

舞園「あっ見てください苗木くん! あのクレープ美味しそうですよ!」

苗木「わあ、いろんな種類があるんだね」

舞園「キャラメルクッキーバニラください」

ハイヨッ

苗木「ってもう買ってるし!」

舞園「クレープは一期一会なんです。見つけたらすぐ買わないと!」

苗木「へえ、そうなんだ」

オマチドウ!

舞園「嘘ですけどね」アリガトウゴザイマスー

苗木「嘘なの!?」

舞園「はい、苗木くん! 一口どうぞ!」

苗木「ありがと……えっ、このまま?」

舞園「もちろんです、これはデートなんですから! はい、あーんっ」アーン

苗木「うぅ……あむ……」パクッ

舞園「美味しいですか?」

苗木「うん、美味しいよ……」

苗木(けどそれ以上に恥ずかしいよ! すっごいじろじろ見られてるし!)///


苗木(舞園さんだってバレてないよな……?)

舞園「大丈夫ですよ。まだバレてません」

苗木「あっ……」

舞園「ふふっ、私――――」

苗木「エスパーだから?」

舞園「ああー! 人の決め台詞取らないでくださいよ!」

苗木「ええっ、決め台詞だったの!?」

舞園「なーんてねっ」

苗木「はは……」

苗木(舞園さんには敵わないな……)


bbb…


舞園「あっと。ごめんなさい、ちょっとクレープ持っててもらっていいですか?」

苗木「うん」

舞園「ありがとうございます」


pi

『from 霧切さん
2/5の夜に決まったわ』


舞園「……」

苗木「舞園さん?」

舞園「……クレープにアイス入ってるから、ちょっと冷えてきちゃいましたね」

苗木「あー、そうだね」

舞園「そろそろ戻りましょうか」


苗木「うん。はい、クレープ」

舞園「……」

舞園「食べさせてください」

苗木「えっ?」

舞園「苗木くんが食べさせてください」

苗木「ええ!?」

舞園「せっかくのデートなんですから!」

苗木「うぅ……」

苗木(デートって言われると、そんなわけないってわかってても少し期待しちゃうよなあ……)

苗木「ほら、あーん……」

舞園「あむっ……なんだか自分で食べるより美味しい気がします!」

苗木「そ、そうかな?」///

舞園「はい!」

舞園「……」

舞園「ねえ、苗木くん」

苗木「なに?」

舞園「私、忘れませんよ。こうして苗木くんと遊んだこと」

苗木「え? 僕だって忘れないよ」

苗木(ていうか、忘れられるわけないよ!)

舞園「ふふっ、じゃあ今度こそ戻りましょう!」

苗木「うん!」

舞園(そしてきっと、江ノ島さんも忘れない)

舞園(苗木くん……たとえあなたが忘れてしまっても、私たちはちゃんと覚えていますから……)



夜・江ノ島の部屋


コンコン


『盾子ちゃん、ちょっといい?』

江ノ島「どうぞー。鍵開いてるよー」

戦刃「お邪魔するね」

江ノ島「お姉ちゃんどうしたの?」

戦刃「あのね……」

戦刃(わたしは……他の誰よりも、盾子ちゃんのために……)

江ノ島「ん?」

戦刃「盾子ちゃんに、お話ししたいことがあるんだ」

戦刃(だから……)

江ノ島「何よ?」

戦刃「今日の放課後のことなんだけどね――――」

戦刃(ごめんね、十神くん)

ぎゃー昨日投下したの間違い多すぎい!


苗木『以前の江ノ島さんの人格を壊したのは僕だ』

苗木『ならせめて今の江ノ島さんには幸せになってほしいと思った』

苗木『けど、今の江ノ島さんの恋心を偽造したのも僕だった』

苗木『僕が江ノ島さんに好かれるなんて、普通に考えればあり得ないだろう?』

苗木『結局、僕は江ノ島さんを狂わせているんだよ』

苗木『ははは、あはははは……』

――――

――

苗木「ふあ……」

苗木「んー、なんか嫌な夢を見た気がするな……」

苗木「まあいいか。いつも通り、前向きに行こう」

苗木「いつも通り……いつも通り……」

苗木「って、もう授業始まる時間ぎりぎりじゃないか!?」



1月30日



江ノ島「苗木なに遅刻してんのよー。夜更かしでもした?」

苗木「えーっと、そういうわけじゃないんだけど……なかなか寝付けなくてね」

江ノ島「なになに? あの熱い夜のこと思い出しちゃった?」ニヤニヤ

舞園「な、なんですか熱い夜って!?」ガタッ

苗木「何もなかったからね!? 一緒のベッドで寝ただけだよ!」

セレス「一緒のベッド……ですって……!?」

苗木「はっ!? い、今のは言葉の綾っていうか――――」

霧切「浮気するなんて酷いわ苗木くん! 私のことは遊びだったの!?」

苗木「えええ!?」

苗木「た、助けてよ江ノ島さん!」

江ノ島「うぷぷぷ~」

戦刃「盾子ちゃん楽しそうだね」

江ノ島「ああ、絶望的に楽しいぜ!」

苗木(うわあ、絶望的だ……あっ、江ノ島さんの口癖移っちゃった)


1月31日

化学実験室


ボンッ


霧切「……」

霧切「この薬品、消費期限が切れているわ」

江ノ島「いやいやあり得ねーって。ベタすぎるって。どう失敗すれば化学実験で爆発すんだよ!」

霧切「滑りをよくしようとグリセリンを使ってみただけよ。もう一度やってみるわ」

江ノ島「ねえそれニトログリセリンじゃない? ねえ? どこから持ってきたのよ、ねえ!?」


ボンッ


苗木「なんか今、高校の実験で聞こえるはずのない音が聞こえなかった?」

戦刃「今の音はニトログリセリンだね」

苗木「音だけでわかるものなの!?」

戦刃「戦場で物資が足りないとき、自分で手榴弾とか作る必要があるから」

苗木(忘れがちだけど、戦刃さんってすごい軍人なんだよなあ……)

苗木「じゃあ化学実験みたいなのは得意なんだ?」

戦刃「うんっ! お姉さんに任せなさい!」エッヘン!

苗木「あはは、戦刃さんとペアになれてよかったよ」

戦刃「ほんと? えへへっ」///

戦刃「よし次いこー!」

苗木「うん!」


ボンッ


苗木「」

戦刃「あれ!? 滑りをよくしようとグリセリン使っただけなのに!?」


2月1日

土曜日


苗木妹「おっ邪魔しまーす!」

江ノ島「妹ちゃんいらっしゃーい!」

戦刃「ようこそー!」

舞園「初詣以来ですね!」

苗木「……ここ僕の部屋なんだけど」

苗木妹「へえー、お兄ちゃんこんな広い部屋に住んでるんだ! さすが希望ヶ峰だね!」

苗木「あのさ、僕は入校パス発行した覚えないんだけど……だいたい予想はつくけどさ……」

江ノ島「はいはーい! あたしが発行しておきましたー!」

苗木「やっぱり……」

苗木妹「だってお兄ちゃん、もう3学期だっていうのに1回も呼んでくれないんだもん」

苗木「はぁ……希望ヶ峰の中、案内しようか?」

苗木妹「うんっ!」



夜・食堂

苗木妹「うぅ~ん、希望ヶ峰の食堂おいしいー!」

苗木「……」

苗木妹「こんなの毎日食べられるんだ。お兄ちゃんの幸せ者っ!」コノコノー

苗木「……ねえ、いつ帰るの?」

苗木妹「え? 明日は日曜日だから泊まるけど?」

苗木「えっ」

苗木妹「せっかく来たんだもーん」

苗木「ええええ!? ぼ、僕は明日のパス発行しないからな!?」

苗木妹「実はもう舞園さんに発行してもらってたり」テヘッ

苗木「」

苗木妹「久しぶりにお兄ちゃんと一緒に寝ようかなーって。えへっ」///

舞園「ダメですよ。妹ちゃんは私のお部屋です」

苗木妹「ちぇー。でも舞園さんのお部屋も楽しそう! 夜更かししちゃいましょう!」

舞園「もう、少しだけですよ?」フフ

苗木(なんでいつの間にかどんどん超高校級のみんなと仲良くなってんの!?)


2月2日


ワイワイ


桑田「あれが苗木の妹か……アリだな……!」

山田「拙者、この学園に来てから3次元への理解が深まった気がしますぞ! ふぅ……」

苗木「ははは……妹に手を出したら怒るから」ボソッ

桑田・山田「「ゴメンナサイ」」

江ノ島「じゃあ苗木が手ぇ出しちゃったら?」ニヤニヤ

苗木妹「……!」ピクッ

苗木「なに言ってんの!?」

苗木妹「お、お兄ちゃん私のことそんな目で見てたの!?」///

苗木「なわけないだろ!」

江ノ島「あー苗木いじんの楽しい」

苗木「もう……」

苗木妹「……」ジー

苗木「なんだよ?」

苗木妹「もうちょっと背が高ければなあ……」

苗木「」

江ノ島「妹ちゃんの方が高いもんねー」

苗木「なんで女の子みんな僕より背が高いんだよ……絶望的だ……」

苗木妹「冗談だよー、恋に身長とか関係ないってばっ!」

江ノ島(惚れてる本人が言うと説得力あるよねー)

江ノ島(あたしもだけど)

江ノ島(あたしもだけどさ!)///

苗木妹「……ねえ、お兄ちゃん」

苗木「ん?」

苗木妹「江ノ島さんたちと、仲良くね」ニコ

苗木「へ? うん……」

苗木妹「そろそろあたし帰るねー」

苗木「送ってくよ」

苗木妹「いいっていいって。じゃね!」

苗木「あっ、おい! ……行っちゃった」

苗木妹(じゃあね……お兄ちゃん……)


2月3日


江ノ島「鬼は外ー!」ヒュッ

葉隠「……なんで俺が鬼なんだ?」ペチンペチン

セレス「やられ役のような髪型……でしょうか」

葉隠「人の体のことをからかうなんて酷いべ! どう考えてもオーガが鬼に相応しいべ!」

朝日奈「さくらちゃんのことバカにしてんの!? 葉隠サイッテー! やっちゃって戦刃ちゃん!」

戦刃「え、えっと……鬼は外……?」ビュンッ!

葉隠「ちょ!? いた、やめて手加減して!?」ビシッ バシッ!

江ノ島「でもって、福は内だよー」

苗木「……何この手?」

江ノ島「『幸運』の苗木くんにー、食べさせてあげようと思って! はい、あーんっ!」アーン

苗木「ああ、そういうことね。あー……」

苗木「……」

苗木「ねえ、その……」

江ノ島「ん?」ニコニコ

苗木「豆みたいに小さいものだと……あの……どうしても指まで口に……」///

江ノ島「うぷぷぷ、僕は苗木くんに指を舐められたって気にしないから大丈夫だよ」

苗木「僕が気にするんだよ!」

江ノ島「ごちゃごちゃ言ってないで私様に食べさせられなッ!」グイッ

苗木「もがっ!!? んー、んー!?」

江ノ島(あ、やばいこれけっこう……その……恥ずかしくなってきたんですけどおおお!?)///

苗木「ぷはっ!」

朝日奈「な、苗木の変態っ!」///

苗木「なんで!?」


2月4日

放課後


江ノ島「ねえ、苗木」

苗木「なに?」

江ノ島「明日の放課後って空いてる?」

苗木「明日? うん、空いてるよ。それがどうかした?」

江ノ島「ほら、明日って苗木の誕生日じゃん」

苗木「えっ、なんで江ノ島さんが知ってるの!?」

江ノ島「ふふーん! とある妹ちゃんからの情報よ!」

苗木「ああ……」

江ノ島「で、明日はみんなで軽く苗木の誕生日を祝います」

苗木「そうなんだ」

江ノ島「ちなみにサプライズです」

苗木「ええ!? それ言っちゃダメなんじゃ……」

江ノ島「サプライズ誕生会なんて絶望的につまらねえんだよ! 時代は逆サプライズだッ!!」

苗木「逆サプライズ……?」

江ノ島「うむ! 明日の授業が終わったら、一旦あたしが苗木を教室の外に連れ出すことになってるんだけ。その時あたしの部屋で逆サプライズの準備するからね!」

苗木「面白そうだね。うん、わかったよ」

江ノ島「じゃ、あたしは明日の準備してくるねー!」

苗木「じゃあね。……はは、逆ドッキリみたいなものか。うまく行くといいけどね」



夜・江ノ島の部屋

戦刃「盾子ちゃーん……お、終わったよ……」

江ノ島「あたしもうちょい。お姉ちゃん帰っていいよー」

戦刃「盾子ちゃんが冷たい……うぅ……」

江ノ島「冗談だって、ありがとね!」

戦刃「もう……盾子ちゃんもあんまり無理しないでね?」

江ノ島「わかってるってー!」

江ノ島(明日は苗木の誕生日か……)

次の投下はちょっと時間かかるかもです


2月5日

教室


キーンコーンカーンコーン


苗木「ふう。今日の授業も終わりか」

十神「……」チラッ

江ノ島「……」コク

江ノ島「ねえねえ苗木、面白いもの買ったから見せてあげるよ」

苗木「面白いもの? 変なものじゃないよね……?」

江ノ島「もう、苗木くんってば心配性なんだから。うぷぷ」ニヤニヤ

苗木「すごく嫌な予感がするんだけど……」

江ノ島「気にしない気にしない。あたしの部屋だよ、行こ!」

舞園「な、苗木くんを部屋に連れ込むんですか!?」

江ノ島「やましいことなんてしないから大丈夫だって。じゃあねー」

苗木「あはは……またね、舞園さん」

セレス「……行きましたわね。準備を始めましょうか」

霧切「まあ、飾り付けとかはしないからすぐに終わるでしょうけどね」

戦刃「……」


江ノ島「ふふっ、みんな予定通りだと思ってるね」

苗木「なんだか申し訳ない気がするなあ……」

江ノ島「ほら、とりあえずあたしの部屋行くよ!」

苗木「うん!」

江ノ島(お姉ちゃん、任せたよ)



江ノ島の部屋



ガチャッ

江ノ島「あたしの部屋へようこそー!」

苗木「そういえば江ノ島さんの部屋に入るのって初めてだね」

江ノ島「どうどう? 現役女子高生ギャルの部屋に入った感想は?」

苗木「ええ!?」

江ノ島「どうなのよー?」

苗木「うぅ……」

江ノ島「……」ワクワク

苗木「お、思ったより片付いてるね……」

江ノ島「そこ!?」

苗木(危ない……うっかりいい匂いがするって言うとこだった……!)///

苗木「と、ところでさ! 逆サプライズって何するの?」

江ノ島「んー……」

苗木「?」

江ノ島「もうちょい時間あるから、のんびりしてようよ」

苗木「え? うん」

江ノ島(もう少しだけ……いつものままでいてもいいよね……)


教室

十神「準備が整ったな。全員クラッカーは持っているか」

桑田「おいおい、まーたクラッカーかよ」

十神「ん? 祝い事にはクラッカーだと苗木に聞いたが?」

腐川「く、桑田の分際でなに白夜様に口答えしてるのよ……! ぐぎぎ……!」

桑田「俺への当たり強くね!?」

葉隠「桑田っちだからなあ」

山田「桑田怜恩殿ですからなあ」

桑田「ひでえ!」


ギャーギャー


セレス「では戦刃さん、江ノ島さんに連絡をお願いします」

戦刃「うん。15分くらいしたらこっち来るようメールすればいいんだよね?」

舞園「あれ? すぐには来ないんですか?」

セレス「すぐに教室に戻るのは不自然に思われるかもしれませんので」

不二咲「はぁ、緊張するなあ……」

朝日奈「元気出して不二咲ちゃん! 思いっきり苗木を祝ってあげようよ!」

大神「そうだな……それが、我らの責務だ」

戦刃「……」

霧切「私ちょっとお手洗いに行ってくるわ」

舞園「ちゃんと苗木くんより早く帰ってきてくださいよ?」

霧切「ええ、わかっているわ」


江ノ島の部屋


upp…

『from 残姉
こっちは準備できたよ。あと15分くらいで戻って来いって』


江ノ島「……」

苗木「あ、連絡きた? 僕らもそろそろ準備する?」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「ちょっと待ってて」ガサゴソ

苗木「?」

江ノ島「はい、苗木。これあげる」スッ

苗木「へ?」ウケトリ

苗木「……アルバム?」

江ノ島「うん。あたしたちが希望ヶ峰に入ってからの写真、集めたの」

苗木「へえ、いつの間に……」パラッ

江ノ島「最近ね」

苗木「あれ? 僕の写真多くない?」

江ノ島「うん。だってそれ、あたし達から苗木への誕生日プレゼントだもん」

苗木「あ、そうだったんだ」

苗木「……」

苗木「ええええええ!!? 今もらっちゃっていいの!?」

江ノ島「本当は教室で渡すことになってたんだけどねー」

苗木「へっ?」


江ノ島「それより見て見て! ここから先はあたしが写真選んだんだよ!」

苗木「……!」

苗木「これ……10月末……」

江ノ島「うん。更生したところから」

苗木「……」

江ノ島「ふふっ、次のページの写真見てよ」ペラッ

苗木「ちょ!? なんでワンピース着たときの写真なんて入ってるのさ!!?」

江ノ島「可愛いし?」

苗木「うぅ……他の人に見られたくないんだけどなあ……」///

江ノ島「観念しなさーい」

苗木「もう……」ペラッ

江ノ島「……」

苗木「調理実習……」

苗木(うっ……思い出したら胃が痛くなってきた……)

江ノ島「そういえばさ、結局誰の料理が一番美味しかったの?」

苗木「ええーっと……」

江ノ島「まあ、普通に舞園あたり?」

苗木「戦刃さんかな。意外性込みで」

江ノ島「えええ!?」

苗木「いやほんと美味しかったんだよ、レーション」ペラッ

江ノ島「うへえ、予想外すぎるでしょ……」


苗木「これはクリスマスパーティのときのだね」

江ノ島「ああ、十神がやけにそわそわとツンデレしてたクリスマスね」

苗木「それ本人に言ってないよね?」

江ノ島「その日のうちに言っちゃってたりー!」

苗木「ああ……だと思ったよ……」

江ノ島「あたしってば正直ちゃんだから」テヘッ

苗木「はは……」ペラ

江ノ島「あー! 信じてないでしょ!」

苗木「あ、初詣……やっぱりみんな着物きれいだね」

江ノ島「当然っしょ!」

苗木「これは雪降った日か」

江ノ島「このかまくら、すぐに壊れちゃったんだよねー」

苗木「そうだったね。また作るなら次はもっとちゃんと作りたいなあ」ペラッ

江ノ島「今度はみんなで作ろっか」

苗木「うん。あっ、これ……」

江ノ島「苗木がちょー怖がってたお化け屋敷じゃーん!」

苗木「……」

江ノ島「えと……せめてツッコんで……」

苗木「はは、ごめんごめん」

江ノ島「うぅ……」///


苗木「それにしても、つい最近のことなのに懐かしいね」

江ノ島「ふふん! 私様セレクションは気に入ったか!」

苗木「うん、もちろんだよ!」

江ノ島「へへっ!」

苗木「でも、プレゼントにアルバムって珍しいね」

江ノ島「……」

苗木「みんなで決めたの?」

江ノ島「うん」

苗木「へえ……」パラッ

江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「……苗木にね、ずっと覚えていてもらいたくて」

苗木「えっ?」

江ノ島「苗木が忘れてもまた思い出せるように、アルバムに決めたんだって」

苗木「はは、そんな簡単には忘れないよ」

江ノ島「ほんとにー?」

苗木「うん!」

江ノ島「ふふ。よかった」ニコ


江ノ島「あっ、でもね……」

江ノ島「アルバムにした理由、あたしはちょっと違うんだ」

苗木「違う?」

江ノ島「うん。少しだけ別の理由」

苗木「……?」

江ノ島「あたしがこうやって笑ってたことを、苗木に覚えていてほしいの」

苗木「それ、どういう……」

江ノ島「あっ、この写真見てよ! 小泉に撮ってもらったやつ!」

苗木「へっ?」

江ノ島「いい笑顔してるでしょ!」ニシシ

苗木「うん……可愛いね」

江ノ島「なっ、か、かわいっ!?」///

苗木「あっ!? いや、その!」

苗木(うわあ、思ったことそのまま言っちゃった!)///

江ノ島「……ねえ、あたしって可愛い?」

苗木「ええ!?」

江ノ島「答えて」

苗木「う……か……」

江ノ島「……」

苗木「か、可愛い……と思うよ……」///

江ノ島「……そっか」

苗木「ううぅ……」///

江ノ島「そっかそっか、うぷぷぷ」

苗木「え、江ノ島さんそういうの言われ慣れてるでしょ!?」

江ノ島「苗木に言ってもらうのが嬉しいの!」

苗木「もう……」

江ノ島「こーんな可愛い私様のこと、忘れないでよね?」

苗木「だから忘れないって」

江ノ島「ふふっ」


苗木「……」

苗木「ねえ、江ノ島さん。何かあった?」

江ノ島「え? なんで?」

苗木「いや……今日の江ノ島さん、いつもと違うから……」

江ノ島「へえ~、そんなにあたしのことよく見てくれてるんだ」ニヤニヤ

苗木「ちゃ、茶化さないでよっ」///

江ノ島「うぷぷぷっ」ケラケラ

苗木「ねえ、本当に……」

江ノ島「なんでもなーいー!」

苗木「……」ジッ…

江ノ島「……」

江ノ島「はぁ。しょうがないな……」

苗木「どうしたの……?」

江ノ島「ちょっと、いろいろあったんだ」

苗木「……?」

江ノ島「目、つむって」

苗木「えっ?」

江ノ島「そしたら教えてあげる」

苗木「う、うん……つむったよ……?」

江ノ島「……」


江ノ島「目、開けないでね?」

苗木「うん」

江ノ島「……」

苗木「江ノ島さん?」

江ノ島「もう少し、そのままでいて」

苗木「うん……」

苗木(そういえば前にもこんなのあったな……)

苗木(あ、江ノ島さん近づいてきた)

苗木(……)

苗木(いい匂いだな……なんか、安心する……)

苗木(また近づいてきた。江ノ島さんの息遣いが聞こえてくる……)

苗木(うぅ……まだ開けちゃダメなのかな……すごくドキドキするんだけど……)///


江ノ島「目、閉じたまま聞いてね……返事しなくていいから……」

苗木「……?」

江ノ島「……」

江ノ島「あのね……」

江ノ島「苗木……好きだよ……」


チュッ


江ノ島「ん……」

苗木「んぅ!?」ゴクン

江ノ島「ふうっ」

苗木「え、えええ江ノ島さん!?」///

江ノ島「ファーストキス、しちゃった……」

苗木「なっ!?」

江ノ島「えへへっ」

苗木「て、ていうか今……何か飲ませ……」フラッ

江ノ島「おっと、危ないよ」ガシ

苗木「あ、れ……?」

苗木(なんだこれ……)

江ノ島「安心して」

苗木(なんだか……眠く……)

江ノ島「ただの睡眠薬だから」

苗木(睡眠……薬……?)

江ノ島「罪木ちゃん特製のね。超即効性なんだ」

苗木(なんで……)

江ノ島「……」

苗木(江ノ島……さん……?)

江ノ島「ばいばい、苗木」

苗木(……?)

江ノ島「今の、このあたしのこと……忘れないでね……」

苗木(……)

江ノ島「じゃあね」

苗木(……)

江ノ島「……苗木のこと、好きになれてよかったよ」


キィ

バタン…

http://i.imgur.com/tDmAyY4.jpg

たぶん次で終わりです


戦刃『ねえ、盾子ちゃん』

戦刃『苗木くんが『超高校級の絶望』になっちゃうんだって』

戦刃『だから、苗木くんの人格を書き換えて……それから記憶を消すんだって』

戦刃『ねえ、盾子ちゃん』

戦刃『盾子ちゃんはどうしたい?』

戦刃『私は、どんなことがあっても盾子ちゃんの味方だよ』



セレス「戦刃さん」

戦刃「……」

セレス「戦刃さん?」

戦刃「あ、ごめん……なに?」

セレス「江ノ島さんから連絡はありませんの?」

戦刃「ないよ」

セレス「そうですか……苗木くん達、遅いですわね」

十神「確かにな。江ノ島は何をやっているんだ」

舞園「私ちょっと見て来ましょうか?」

セレス「そうですわね。お願いします」

舞園「はい、行ってきますね」

戦刃「……」スッ

舞園「戦刃さん?」

戦刃「……ごめん」

舞園「え?」

戦刃「ごめんね、舞園さん。ここは通せないの」

十神「……!」

舞園「それって、どういう……?」

戦刃「……」

十神「ちっ、そういうことか。貴様、江ノ島に話したな?」

舞園「ええっ!?」


戦刃「……」

十神「何を企んでいる?」

戦刃「苗木くんの記憶は……盾子ちゃんとの思い出は、消させない」

石丸「だ、だが! それでは苗木くんが『絶望』してしまうのだぞ!?」

戦刃「そんなことはさせない」

朝日奈「えーと……つまり……?」

セレス「……なるほど。江ノ島さんを『超高校級の絶望』に戻すのですね」

山田「なんですとー!!?」

戦刃「……」

十神「そこを通せ」

戦刃「嫌」

十神「ふん。……大神、戦刃を退けろ」

大神「しかし……」

戦刃「……」

十神「……今のうちにもう片方のドアから出ろ、桑田」ボソッ

桑田「……おう」スッ...


パァン!!


桑田「おおう!!?」

十神「なっ!?」

朝日奈「い、戦刃ちゃん……それ……銃!?」

戦刃「ゴム弾だから死にはしないよ」

セレス「本気なのですね」

戦刃「うん。私の戦場は、ここって決めたから」

大神「どうする。やはり我が行くか……?」

十神「……」


舞園「待ってください」

十神「なんだ?」

舞園「戦刃さん。これが、あなた達の選んだ答えなんですよね?」

戦刃「……うん」

舞園「後悔していませんか?」

戦刃「してないよ」

舞園「そうですか……」

戦刃「……」

舞園「では、仕方ありませんね」

戦刃「!」

十神「おい!」

舞園「本人が決めたことですし、それに……たぶん教室にいる私達じゃどうしようもないです」

十神「どうしてそう思う?」

舞園「ふふっ、ただの勘ですよ」

十神「……ちっ」

戦刃「……」

戦刃「ありがとう」



セレス「嘘がお上手ですね」

舞園「嘘は言ってないですよ。戦刃さんは誰も通さないだろうし、この教室にいる私達にはどうしようもないです」

セレス「まあ、そうでしょうね……彼と、彼女次第ですか……」

舞園「はい」

セレス(貴女はこれを見越して外に出たのですか? 霧切さん……)

――――

――



霧切「ふぅん。そういうこと」

霧切「とりあえず、そうね……」

霧切「江ノ島さんの部屋にでも行ってみましょうか」


物理準備室


江ノ島「懐かしいな……」

江ノ島「この機械で更生させられたの、もう3ヶ月も前なんだよね」

江ノ島「それとも、まだ3ヶ月かな?」

江ノ島「まさかもう一度使うことになるなんてねえ……」

江ノ島「うぷぷぷ。絶望的なジョークみたい」

江ノ島「うぷぷ……」

江ノ島「……」

江ノ島「よし……」ピッ


ジジ...ウイーン...


アルターエゴ『こんにちは、ご主人タマ!』

江ノ島「はは、なにこれ。不二咲ってばこんなの搭載してたんだ」

アルターエゴ『あ、あれ? 江ノ島さんがなんで……』

江ノ島「ごめんね。セーフモードに移行、っと」カタタ

アルターエゴ『待っ――――』ブツン

江ノ島「さーて、あたしの人格データはどこにあるのかなー?」


江ノ島の部屋


カチ…カチリ…

カタンッ


霧切「邪魔するわよ」ガチャ

霧切「苗木くんの部屋の鍵を開けてきた経験がここで活きるなんてね」

霧切「あら? これは……」

苗木「……」スー、スー


霧切「 苗 木 く ん が 1 人 で 寝 て い る で す っ て ? 」


霧切「これは……」

霧切「……」ゴクリ

霧切「ふ……ふふ……」

霧切「うふふ……失礼するわよ、苗木くん……」


ギシ…


苗木「……」スー、スー

霧切「ハァ……ハァ……」

霧切「やっぱり苗木くんに馬乗りになるのは最高ね」ゾクゾク

霧切「うっ、いけない、また鼻血が出てしまうところだったわ……」


霧切「ふう。落ち着いたかしら」

霧切「さて、それじゃ……」

霧切「失礼するわよ、苗木くん」


バシンッ!!


苗木「いったあああ!!!?」

霧切「おはよう、苗木くん」

苗木「き、霧切さん? 何を……?」

霧切「ええ、あなたの正妻の響子よ。寝ていたようだからビンタで起こしてみたの」

苗木「は? 正妻? へっ??」

霧切「そんな分かり切ったことよりも、今はもっと気になることがあるんじゃないの?」

苗木「気になること……? あ、あれ? そういえば江ノ島さんは?」

苗木(確か……ばいばい、って……)

霧切「おそらく物理準備室よ」

苗木「物理準備室?」

霧切「ねえ、苗木くん。あなたに面白い話を聞かせてあげるわ」

苗木「……?」

霧切「きっかけは、葉隠くんの占いだったわ――――」


物理準備室


『該当の人格データを発見しました』ピピッ


江ノ島「あったあった」

江ノ島「標準人格データサンプルフォルダ……こんな所に隠してたのね」

江ノ島「悪用されるのが嫌なら消しちゃえばよかったのに」

江ノ島「でもまあ、不二咲も苗木に負けないくらいお人好しだもんね。勇気がちょっと足りてないけど」

江ノ島「あたしの元の人格、消せなかったんだろうな……」

江ノ島「……」

江ノ島「さて、と」

江ノ島「確か頭にこの輪っかみたいなの着ければいいんだよね……」カチャッ

江ノ島「えーっと……」

江ノ島「フルインストール、かな?」ピッ


『人格のフルインストールが選択されました』

『部分インストールと違い、書き換え及び書き換え準備スキャンに時間がかかります』

『また、フルインストールでは人格の大幅変化による精神破綻の危険があります』

『人格のフルインストールを実行しますか?』


江ノ島「……」

江ノ島「怖くない……怖くないよ……」

江ノ島(苗木にもらったロケットペンダントがあるから……あたしは大丈夫……)ギュッ

江ノ島「……」

江ノ島「よし……」ピッ


『人格のフルインストールを準備しています』

『機器を頭に取り付け、横になってください』


江ノ島「このベッド、あんまり寝心地よくないんだよねえ。ははっ」

江ノ島「はは……」


『機器の接続が確認されました』

『既存人格のスキャンを行っています。しばらくお待ちください』


江ノ島「……」

江ノ島「はぁ……」パカッ

江ノ島「苗木と撮ったプリクラ、ここに入れといてよかった」

江ノ島「苗木の写真見ながらだったら、怖くないよ」

江ノ島「えへへ……」

江ノ島「……」

江ノ島「苗木、怒るかなあ……」

江ノ島「怒ってくれるといいな……」

江ノ島「でもね、あたしのせいで苗木の記憶がなくなるくらいなら……あたしはもう一度『絶望』に戻るよ……」

江ノ島「……ううん」

江ノ島「苗木のためじゃない」

江ノ島「苗木があたしとの3ヶ月を忘れるのが怖いから……」

江ノ島「結局は、あたしのためだし? 苗木のためじゃないし?」

江ノ島「そもそも苗木があたしとの思い出忘れたら、たぶんあたし『絶望』するもんね!うぷぷぷ!」

江ノ島「うぷぷ……」

江ノ島「……」

江ノ島「苗木ぃ……怖いよ……」ジワ…


バタン!


苗木「江ノ島さん!!」

江ノ島「なえ……ぎ……?」


ピー


『スキャンが終了しました』

『インストール人格を最適化しています。接続を解除しないでください』

『接続を解除した場合、人格構造に重大な問題が発生する可能性があります。接続を解除しないでください』


江ノ島「なんで……なんで苗木が……?」

苗木「霧切さんに、全部聞いたよ」ハァ、ハァ…

江ノ島「霧切……? ああそっか、お姉ちゃん残念だもんね、あはは……」

苗木「江ノ島さん、とりあえずその装置を外そう!」

江ノ島「さっきの警告聞いたでしょ? もう取り外せないんだよ」

苗木「そんな!」

江ノ島「来るのが少し遅かったね」

苗木「なんで、こんなことを……!」

江ノ島「……」

苗木「思い出ならまた作ればいいじゃないか! いくらでも付き合うから!!」

江ノ島「……」

苗木「せっかく……せっかく江ノ島さんは普通の女の子になれたのに!!」

江ノ島「……」

苗木「僕のせいだ……全部……」

苗木「ああ……全部、僕のせいだ……!!」

苗木「僕が君を壊した!! 僕が君を歪めた!!!」

江ノ島「それは違うよ、苗木」

苗木「でも! そもそも僕が君の人格を書き換えたから!!」

江ノ島「あたし、言ったよね?」

江ノ島「今が楽しいんだ、って」

江ノ島「更生させてくれてありがとう、って」


苗木「じゃあなおさらだよ! 江ノ島さんが『絶望』に戻る必要なんてない!!」

江ノ島「ううん……」

江ノ島「大好きな人が『絶望』するなんて耐えらない」

江ノ島「それを防ぐために、大好きな人の記憶から消えることは……もっと耐えられない……」

江ノ島「だから……」

苗木「でもっ!! その好きっていう感情だって、僕のせいじゃないか!?」

江ノ島「……」

苗木「普通の女の子になれた君の初恋は、僕が歪めてしまったじゃないか!!」

江ノ島「苗木……」

江ノ島「たとえきっかけがそうだとしても……」

江ノ島「あたしは、苗木を好きになれてよかったよ」

苗木「……え?」

江ノ島「理屈じゃないんだよ。恋愛を知ったばっかのあたしが言うのもなんだけどさ、好きになった理由なんてどうでもいいんだ」

江ノ島「きっかけが書き換えられたものでも構わない。江ノ島盾子は苗木誠に恋をした」

江ノ島「優しいところが好き」

江ノ島「一緒にいると安心できるところが好き」

江ノ島「苗木を好きになれて、あたしは幸せだったよ」

苗木「で、でも……!」


『インストール人格の最適化が整いました』

『残りおよそ3分で、人格のフルインストールを開始します』


苗木「……!!」

江ノ島「ねえ、苗木」

苗木「なに……?」

江ノ島「あたしね、『絶望』には戻るけど、幸せになるのを諦めてなんかないよ」

苗木「え?」

江ノ島「今度はね、この機械に頼らないで更生するの」

江ノ島「どんなに時間がかかっても……」

江ノ島「どんなに大変でも……」

江ノ島「絶対にいつか、もう一度更生してみせる」

苗木「更生……」

江ノ島「そしてね……」

江ノ島「そして、もう一度、苗木に恋をするんだ」ニコ

苗木「……!」


江ノ島「あたしは一度、『絶望』に戻るよ」

江ノ島「けどね、楽しかったこの3ヶ月の記憶がある」

江ノ島「苗木との……ううん、みんなとの思い出があるから……」

苗木「思い出……?」

江ノ島「舞園たちと仲良くなれた思い出がある」

江ノ島「妹ちゃんと友達みたいに遊んだ思い出がある」

江ノ島「お姉ちゃんの大切さを知った思い出がある」

江ノ島「大勢でパーティをして楽しんだ思い出がある」

江ノ島「そして……苗木に恋をした思い出がある」

苗木「……」

江ノ島「このたくさんの思い出が、あたしの『希望』なんだ」

苗木「『希望』……」

江ノ島「うん。だから、あたしは大丈夫」

苗木「……」

江ノ島「あたしも苗木も、一緒にハッピーエンドを迎えたい」

江ノ島「『絶望』なんかに負けないで、頑張ろうよ」

苗木「……」

苗木「江ノ島さんは、強いね……」

江ノ島「知らなかったの? 恋する乙女は強いんだから!」

苗木「はは……」

江ノ島「ふふっ……」


『残りおよそ1分で、人格のフルインストールを開始します』


江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「ねえ、あたしが『絶望』に戻っても見捨てないでくれる?」

苗木「当たり前じゃないか」

江ノ島「ほんと?」

苗木「うん」

江ノ島「ほんとにほんと?」

苗木「約束するよ」

江ノ島「もし更生できなかったら、一緒に『絶望』になってくれる?」

苗木「えええ!?」

江ノ島「ぷっ、くくっ、冗談だよ」クスクス

苗木「えっ酷い!?」


『残りおよそ30秒で、人格のフルインストールを開始します』


江ノ島「……」

苗木「……」

江ノ島「ねえ、苗木……」

苗木「うん?」

江ノ島「あたし、怖い……」

苗木「……」

江ノ島「頭、撫でててくれる?」

苗木「お安い御用だよ」ナデ…

江ノ島「えへへ……念願の苗木のナデナデだあ……」

苗木「念願って……はは……」

江ノ島「今までに2回も拒否られてるからね」

苗木「あ、あの状況じゃ仕方ないじゃないか!」///

江ノ島「でも今撫でてくれたから許す!」

苗木「ありがとうね、江ノ島さん」



『残りおよそ10秒で、人格のフルインストールを開始します』


江ノ島「ねえ……」

苗木「なに?」

江ノ島「あたし、更生できるよね……?」

苗木「もちろんさ。僕も手伝う」

江ノ島「ふふっ……そうだよね……」



江ノ島「あたしに『希望』を教えたのは苗木なんだから、責任とって更生させなさいよね!」



『エノシマさんがクロにきまりました』

『じんかくのフルインストールをかいしします』



end

終わったー!長かった!
本編はここまでです。
エピローグを明日1レスだけ投下するつもりだったけど、ちょっと唐突感があるんで今から書いてきます。


苗木(結論から言うと……)

苗木(江ノ島さんは1週間も経たずに更生した)



2月14日



江ノ島「苗木ー、あたしの本命チョコあげる!」

苗木「わあ、ありがとう江ノ島さん! 家族以外からチョコをもらうなんて初めてだよ!」

江ノ島「ふふん! 感謝するのだぞ!」

苗木「うん!」

江ノ島「ところでこのチョコレートですが……」

苗木「ん?」

江ノ島「私が一生懸命、それはもう頑張って作ったものです。プライスレスです」

苗木「うん……」

苗木(ああ、このパターンは……)

江ノ島「だからー、苗木くんからのホワイトデーの3倍返し、すっごい期待してるよー!」

苗木「あはは、頑張るよ……」

江ノ島「あたしが満足できなかったらその唇を奪うからなッ!」

苗木「ええ!?」

舞園「江ノ島さん!」

霧切「それは協定違反よ!」

江ノ島「協定? なんだっけそれ? うぷぷぷ!」


ギャーギャー


セレス「……」

戦刃「ふふふ、盾子ちゃん楽しそう」


セレス「なんともまあ、あっさりと更生したものですね」

戦刃「うん」

セレス「貴女は最初からわかっていたのですか?」

セレス「『絶望』に戻った彼女がすぐに更生すると」

戦刃「確証はなかったよ。でも、たぶんこうなるって思ってた」

戦刃「盾子ちゃんは産まれたときから『絶望』だったから」

セレス「どういうことですか?」

戦刃「産まれたときからすべてに『絶望』してた」

戦刃「産まれたときからすべてに飽きていた」

戦刃「産まれてときから『絶望』以外を知らなかった」

セレス「……」

戦刃「そんな盾子ちゃんが、『希望』を知ったから……」

戦刃「『希望』の暖かさを知ったから、盾子ちゃんの心は『絶望』よりも『希望』を選んだ」

戦刃「それだけの話だよ」

セレス「はぁ……」

セレス「まったく、学級裁判で騒いでいたのがバカらしいほどのハッピーエンドですわね」

戦刃「うん。よかったね」

セレス「……そうですわね」



江ノ島「だから最初に食べるのはこの私様のチョコに決まってんだろ!!」

舞園「いいえ私のです!!」

霧切「苗木くん、早く私を食べなさい!!」

苗木「」

セレス(まあ、苗木くんは今朝すでに私のチョコを食べているのですけどね)

戦刃「ふふっ」



End.

今度こそ終わり!
このあと妹様が苗木とくっつくかはご想像にお任せします。

最初は3,4回投下して終わりにするつもりでした。
ずいぶん長くなってしまったけど、最後までお付き合いくださり本当にありがとうございました…!

初めてのSSということもあって序盤とか見返すと書き直したくなるけど、楽しんでもらえてたら嬉しいです。
ではまたいつか!

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月16日 (月) 09:50:01   ID: 4etHzE71

続きありますよね?

2 :  SS好きの774さん   2013年09月18日 (水) 11:16:15   ID: pz37sMUV

盾子ちゃんかあいいっすね···続き待ってます!!

3 :  SS好きの774さん   2013年10月01日 (火) 23:05:50   ID: D_aDJQ2t

今北、かわいいよ妹様。
続き待っているでー

4 :  SS好きの774さん   2013年10月08日 (火) 13:25:56   ID: GZO_YWyR

続き頼む!

5 :  SS好きの774さん   2013年11月03日 (日) 23:34:22   ID: -jMfBdvh

もう少し続けて欲しいけど
この終わり方がベストだよね

6 :  SS好きの774さん   2013年11月03日 (日) 23:47:11   ID: BwPGc81g

ENDだけど続きが見たい!

7 :  SS好きの774さん   2013年11月05日 (火) 00:08:58   ID: y1SGGt91

やはり続き頼む

8 :  SS好きの774さん   2013年11月05日 (火) 10:07:35   ID: lf9iU38l

おもしろすぎて鳥肌(O_O)
続きみたいです!他の話も期待してます!

9 :  SS好きの774さん   2013年11月18日 (月) 22:25:24   ID: 9a78e1p8

これは最強だ
続編に期待です。
苗木君はハーレム系主人公でいいよホント

10 :  SS好きの774さん   2014年03月30日 (日) 20:05:28   ID: JsHWOI_2

ナイスSS!
乙。

11 :  SS好きの774さん   2014年04月10日 (木) 21:37:19   ID: tunDcZkY

こういうの好きだわ
作者さん乙っす!

12 :  SS好きの774さん   2014年12月28日 (日) 19:59:06   ID: 1iUR42WM

続きがみたい

13 :  禊 清暁   2015年02月16日 (月) 00:44:13   ID: VVbkQxLj

今まで見たssで一番良かったです!

ホントに面白かった!
江ノ島が好きになりました♪

14 :  SS好きの774さん   2016年07月31日 (日) 21:56:40   ID: TLOOHln0

まさかSSで泣かされるとは・・・(しかも号泣)
どうか続編が作られますように

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