ジャン「進撃のウ段」(157)
クース「貴様は何者だ!?」
ウルミン「シガンシナ区出身!ウルミン・アルレルトです!!」
クース「そうか!バカみてぇな名前だな!!」
クース「貴様は何者だ!」
ジャン「トロスト区出身!ジャン・キルシュタインです!」
クース「なっ…?!」
クース「…もう一度名前を言え」
ジャン「ジャン・キルシュタインです!」
「あいつ今なんて言った…?」
「確か…ジャンなんちゃらって…」
「頭おかしいだろあいつ…」
ジャン「?!」
クース「そうか…ジュンの間違えではなく、か?」
ジャン「はい、そうですが…」
ルイナー (あいつマジでか…)
ブルトルト (ある意味すごいな…)
クース「お前はその名前で通すつもりなのだな?」
ジャン「質問の意味が分かりません!」
ユミル (まさかあいつ自分が浮いてることに気づいてないのか…)
クース「まあ…良い。辛いこともあるとは思うが、その頑張れよ」
ジャン「?!は、ハッ!」
ジャン (なんなんだ一体?!)
クリスタ「…。」
言い忘れ
9巻か10巻のネタバレ含みます
ワイワイ
ムルコ「僕はムルコ・ボット。よろしくねクニー」
クニー「おお、ムルコ」
ムルコ「それにしても、驚いたよね」
ツーマス「ああ、ジャンって奴のこと?」
フランツ「ああいう人いたんだね、知らなかったよ」
ウレン「オレはこの世から一匹残らず巨人を駆逐してやる!」
ジャン「おいおい正気か?」
ウレン「お前…確かア段の」
ジャン「は?」
ウルミン「ウレン!」
ウレン「あっ…いや、そのごめん」
ムカサ「…。ウレン、名前のことを言ってはだめ」
ジャン (なんなんだよさっきから!!!)
ジャン (でも綺麗な黒髪だ…)
クニー「なぁお前ってさ」
ジャン「なんだよ?」
クニー「なんで名前、ア段なんだよ?」
ウルミン「…!」
ウレン「…!」
ムカサ「…!」
クリスタ「…!」
ウニ「…!」
ジャン「は……?」
ムルコ「クニー!なに言ってるんだ」
クニー「えっ、まずかったか?」
ジャン「まずくはねぇけどよ…名前に深い意味なんてねーよ」
ユミル「なに言ってんだお前」
ジャン「あ?」
ユミル「気づけよ…。ここにいる中でお前だけがウ段じゃないことに」
ジャン「?!」
ルイナー (あいつどストレートで行きやがった)
ブルトルト (さてどう出るア段)
ジャン「それのどこが問題なんだよ?」
スシャ「?!」
ブルトルト (なん…だと…)
クリスタ (…!)
ユミル「いや大問題だろ、どんな親持ってんだてめえは」
ジャン「オレの名前がそんなにおかしいなら…」
ルイナー「もうやめろお前ら」
ルイナー「今言い争ってもこいつの名前が変わるわけじゃねぇだろ?」
ジャン「なんで変える必要があるんだよ?!」
ルイナー「すまん、そういう意味じゃないんだが」
ムーナ「ア段の人怖い…」
ヅズ「こりゃウ段外なわけだ」
ジャン (オレがおかしいのか?何がなんだかさっぱりわかんねぇ…)
「だいたいよぉ、なんでウ段外の奴が訓練兵になんかなれたんだよ?」
「ジャンってなんだよジュンだろ普通は」
クリスタ「み、みんなやめようよ!」
ユミル「…。」
クリスタ「ジャンの言うとおり、段なんか関係ない、仲良くしようよ…!」
(天使…)
(神様…)
ジャン (女神…?)
ルイナー (結婚しよ)
ユミル「…なんだお前、いいこちゃんぶって」
クリスタ「!わ、わたしはそんなつもりじゃ」
ジャン「やめろよ、なんで他の奴にも当たり出すんだてめーは」
ユミル「お前には関係ないね」
ジャン「さっきから言わせておけばなぁ…!!」
ムルコ「ま、まあまあ。もうすぐ消灯だよ」
ジャン「なんなんだここは…」ブツブツ
クリスタ「ジャン、あのねちょっといい?」
ジャン「!さっきの…」
クリスタ「クリスタ、クリスタ・レンズだよ」
ジャン「さっきは助かった。ク…お前もウ段なのか」
クリスタ「…。うん」
クリスタ「お節介かもしれないけど、ジャンは詳しくないみたいだから私なんかで良ければ説明できないかなと思って」
…
クリスタ「わたしもそこまで詳しくはないんだけどね、どうも兵士になるものはウ段でなくてはならないっていう暗黙の了解があるみたいなの」
ジャン「なんだそりゃ…全然知らなかった」
クリスタ「変だよね。その変な慣習の影響で、男の子の名前はほとんどウ段になって」
クリスタ「最近は女の子もウ段が大半だよ」
ジャン「なんでオレの両親はそれを知らなかったんだよ…」
クリスタ「ジャンに…兵士になって欲しくなかったか、そういうの気にしなかったから、かな…?」
クリスタ「知らなかったってことはないと思うんだけどなぁ」
ジャン「手紙で問い詰めてやる」
クリスタ「あ、でもね、名前は改名できるようになったから変えられるんだよ」
ジャン「マジかよ?」
クリスタ「うん、ジャンみたいな境遇の人がこんな名前じゃ笑われるから、って」
ジャン「…」
クリスタ「ジャンは、改名したい?」
ジャン「あー…」
ジャン「まだ混乱してるからよくわかんねーよ」
クリスタ「!そうだよね、ごめん」
ジャン「謝ることねぇって」
ジャン「それより、詳しく聞かせてくれて助かった」
クリスタ「こんなことくらい、いつでも教えるよ」ニコッ
ジャン (女神…)
ムルコ「おい、そろそろ起きた方がいいよ」
ジャン「うっせーよばばぁ…」ムニャムニャ
ムルコ「…!」
ムルコ「ぷっ」
ジャン「!」ガバッ
ジャン「お前、聞いて…!!」
ムルコ「聞いてない聞いてない」ククク
ジャン「てんめっ…覚えとけよ…!」
ムルコ「せっかく起こしたのにそれはないんじゃないかな?」
ジャン「くっ…」
ジャン「それはどうもありがとうございましたー」
ムルコ「もっと感情をこめて言えよ」
ジャン「注文が多いんだよ」
ムルコ「名前、ジャンであってるんだよね?」
ジャン「おう」
ジャン「変わった名前なんだろ?」ハッ
ムルコ「うーん、最初はびっくりしたけど僕は個性的でいいと思うけどな」
ジャン「嘘つけ」
ジャン (全員オレを避けてくると思ったがムルコは違うみたいだな)
ブルトルト「あ、ムルコおはよう」
ムルコ「おはようブルトルト!」
ムルコ「ほら、ジャンも」
ジャン「お、おはよう」
ブルトルト「おはよう、ジャン」
ジャン (ブルトルトも無視はしないんだな)
ブルトルト (ア段君ことジャン…僕は影ながら君を応援するよ)
クリスタ (昨日はびっくりしたなぁ)
クリスタ (まさか、ウ段じゃない人がここにも…)
クリスタ (私もあんな風に堂々と…)
ジャン「お、クリスタ」
クリスタ「あっ!ジャン、おはよう」ニコリ
ジャン「おう」
ルイナー 「ク、クリスタおはよう!」
クリスタ「おはよう、えっと…」
ルイナー「ルイナーだ」
クリスタ「ごめんね、おはようルイナー」
ルイナー (俺もア段だったら名前覚えてもらえていただろうに…羨ましいぜア段…)
ウニ (私たちでさえウ段のことは知っていたのに…)
ウニ (ジャン・キルシュタイン…一応監視しておいた方がいいかもね)
ルイナー (俺改名しようかな…)
ウニ (ルイナーも真剣に考えてるみたいだ)
ウレン「今日から訓練開始か!頑張ろうぜウルミン!」
ウルミン「そうだね」
ムカサ「無理はしないで、ウレン」
ウレン「わかってるよ」
ジャン (あいつ羨ましい…)
ムルコ「ジャンはどこの兵団志望なの?」
ジャン「憲兵団に決まってんだろ」
ムルコ「僕も憲兵団志望だよ!一緒に頑張ろう」
ジャン「あー、でも」
ムルコ「?」
ジャン「この調子じゃウ段じゃなきゃダメだったりするのか?」
ヅズ「当たり前だ、ウ段外が憲兵団に入れるわけない」
ムルコ「いや、そういうルールはないはずだけど…うーん」
ジャン「あーあ、本当恨むぜくそばばぁ」
ウレン「おいお前」
ジャン「なんだよ?」
ウレン「まさか、憲兵団に入りたいがために改名するとか言わねぇよな」
ジャン「場合によってはあるかもなぁ?」
ウレン「はっ?!」
ジャン「なんて冗d
ウレン「このクズ野郎が!!」
ジャン「んだとぉ?!」ブチッ
ウルミン「2人ともやめなよ!」
「うわー、またあいつだよ」
「ウ段外人怖い…」
「大丈夫だよフンナ、僕が守る…!」
「フランツ…!」
ジャン「まだ訓練一日目なのになんでカップルが生まれてんだよ!羨ましい!!」
フランツ「えっ、お似合いだって?」
フンナ「やだ、はやく結婚しろなんて…」
ジャン「ごめん一言も言ってない」
フランツ「フンナは渡さないよ」
フンナ「やだ…フランツったら」
ジャン「あーもう!勝手に結婚式あげてろよ!」
フランツ・フンナ「ジャンっていい人だね…」
ウニ (こいつらちょろい)
ヅズ「おいお前らウ段外人になに言ってんだ」
フランツ「僕のフンナをお前呼ばわりするな!」
フンナ「ジャンのことをウ段外人なんて言うのやめなよ!差別だよ!」
ヅズ「お前も言ってたじゃ…
フランツ「お前呼ばわりするなー!」
ヅズ「」
ジャン「ど、どうなってんだ」
ブルトルト (キルシュタイン、恐ろしい子…。一気に2人も味方につけた…だと)
ウレン「おい!話は終わってねーぞ!」
ジャン「あってめえよくもクズ呼ばわりしやがったな!!」
ウルミン「いやだからやめなって!」
ブルトルト (あれから数日が経ち)
ブルトルト (無視等する人もいたが少しずつア段は馴染んでいった)
ブルトルト (そんなある日)
スシャ「今日はお肉出るって本当ですか?!」
クリスタ「そうみたい。何かの記念なのかな」
スシャ「なんにせよラッキーです」
クニー「肉か…」ワクワク
ジャン「ヨダレ垂れてんぞクニー」
クニー「うっせーよ!」
ヅズ「まさかウ段外の奴、自分にも肉がまわると思ってんじゃねーだろうな」
フランツ「そりゃそうでしょ」
ツーマス「もういいじゃないか、ヅズ。ジャンだって、ウ段外になりたくてなったわけじゃないんだ」
ヅズ「なんだよお前ら!!手のひら返しやがって…」
ヅズ「俺がおかしいのか?!」
ム(モ)ブ「いや分かるぜヅズ。ウ段外を受け入れてるあいつらの方が異常なんだ…」
ヅズ「!だよな…」
スシャ「わー!本当にお肉です!!」
クリスタ「美味しそうだね…ってあれ?」
クリスタ「…。」
スシャ「クリスタ?」
スシャ「…!」
スシャ「え、これって…」
スシャ (ウ段外人専用って書かれた紙)
クリスタ (その紙の目の前にある皿にだけお肉がない…)
クリスタ「誰が…こんなこと…」
ヅズ「おいこれはやばいんじゃねーのか?」ヒソヒソ
クズ「お前が言い出したんだろうが」ヒソヒソ
ジャン「おいクリスタどうしたんだよ?」
クリスタ・スシャ「!!」
スシャ「な、なんでもないですからまだあっち行ってて下さい!!」
ジャン「は?おいどけよ」
スシャ「嫌です!」サッ
ジャン「はぁ?」ヒョコッ
クリスタ「あっ!」
ジャン「!」
ジャン (そういうことかよ…胸くそわりぃな)
ジャン「どこの誰だか知らねーが…」
ウレン「何してんだ、お前ら」
ウレン「…!」
ウルミン「えっ、これって…」
ムカサ「…。」
ウレン「ウ段外人ってのはジャンのことか?」
シーン
ジャン「オレしかいないだろ、常識的に考えてよ」
ウレン「…。」
ウレン「恥ずかしい真似しやがって、誰だよ」
ヅズ「…。」ビクビク
ウレン「オレ達は巨人に立ち向かって行かなきゃならないんだぞ?」
ウレン「名前の段とか些細なことでごちゃごちゃ言ってる暇はねぇんだよ」
ムカサ「…ウレンの言うとおり」
ムカサ「こんなことはウレンとジャンの喧嘩より役に立たないこと。」
ムカサ「恥ずかしい行為。こんなことをした人は、ジャンに謝るべき。今すぐに」
クズ「…。」
ヅズ「…。」
ムカサ「…今すぐに」
クズ「すいませんでしたオレとヅズがしました!」
ヅズ「すいませんでした!」
ウルミン (ムカサ効果やばい)
ウレン「お前らかよ…」
ヅズ「ひぃっ、すいませんでした」
ヅズ「本当二度としません」
ムカサ「…。」
ヅズ「す、すいませんでした」
クズ「すいませんでした」
クリスタ「ウレンやムカサに謝っても意味ないよ」
クリスタ「ジャンに謝らなきゃ…」
ジャン「よくぞ言ってくれたクリスタ」
ジャン「今ならお前らの肉二個分で許してやるぜ?ほら、渡せよ」ニヤァ
ヅズ「やめてくれ…!オレ達の希望の食糧なんだ…!」
ジャン「こんな陰湿なことしといてよく言えるな」
ジャン「というかオレの分の肉どうしたんだよ」
クズ「捨てた」
スシャ「はっ?!?!?!」
バキッ
ヅズ「イタイイタイイタイ」
スシャ「貴重な食糧捨てるとか舐めとん?」
ウルミン「スシャ口調口調!」
ジャン「本当に捨てたのかよ?!」
ジャン「…ありえねー」
ジャン「絶対にお前から肉を奪ってやる!!!」ガシッ
ヅズ「おい、やめろって!!」グググ
ジャン「離せよ!!!オレの肉だろ!」
ヅズ「ゴミ箱でも探せよウ段外!!」
クズ「知らねー、と」
ムカサ「…」ガシッ
クズ「」
ワーワーギャーギャー
バタン
ルイナー「なに騒いでんだお前ら!教官が…」
クース「これはなんの騒ぎだ…」
ルイナー「ほらー…」
ムカサ「!」ピタッ
クズ「」ボロボロ
ムカサ「…正当防衛です」
クズ「その…通り…です…」グハァ
クース「…まあ良かろうお前らは」
クース「ただ」チラリ
ジャン「あーくっそ!返せ!オレの肉!!!」
ヅズ「やめろ!!ひっぱんな!!」
クリスタ「2人とも!教官がっ」オロオロ
クース「あいつらを許すわけにはいかん」
ジャン「お前のせいだぞ」タッタッタッ
ヅズ「いや、お前のせいだ」タッタッタッ
ジャン「やってられっかよ、消灯まで走れとか…」タッタッタッ
ヅズ「なんでウ段外なんかと…」タッタッタッ
ジャン「…。」タッタッタッ
ジャン「オレの名前は確かにウ段じゃない」タッタッタッ
ジャン「…お前も気持ちも一定の理解はできる」タッタッタッ
ヅズ「!」タッタッタッ
ジャン「けどなぁ、お前らのやってることは胸くそわりぃんだよ」タッタッタッ
ジャン「確かに、お前達にとってオレの名前はおかしいんだろうが」タッタッタッ
ジャン「だからってオレは納得はしない」タッタッタッ
ヅズ「お前と仲良くしろってのかよ」タッタッタッ
ジャン「そんなこと言ってねぇだろ」タッタッタッ
ジャン「オレだって立場が逆だったらクリスタやムルコ達みてぇになれるかは怪しい」タッタッタッ
ヅズ「偽善者だろあいつらは」タッタッタッ
ジャン「お人好しなだけだろ、あいつらのことを悪くいうのはよせ」タッタッタッ
ヅズ「…お前はさっきから何が言いたいんだよ!」タッタッタッ
ジャン「オレに文句あるなら今みたいに直接言えってことだよ」タッタッタッ
ヅズ「!」タッタッタッ
ヅズ「直接ウ段外はお家に帰れって言ってもいいってことかよ」タッタッタッ
ジャン「少なくともあんな真似されるよりはマシだと思うがな」タッタッタッ
ヅズ「お前こそオレに文句があるんならはっきり言ったらどうなんだ」タッタッタッ
ジャン「言ってるじゃねぇか」タッタッタッ
ヅズ「大人な対応する自分に酔ってんのか?」タッタッタッ
ヅズ「ウレンへの態度とはえらい違いだな、ウ段外さんよぉ」タッタッタッ
ヅズ「さっきの肉必死にとろうとしてた野蛮人から成長しましたってか?」タッタッタッ
ジャン「あーー、もううざってぇな」タッタッタッ
ジャン「言っただろうが、お前の気持ちも理解できるって」タッタッタッ
ヅズ「は?」タッタッタッ
ジャン「異質な存在を受け入れることの難しさってのはオレにだって分かる」タッタッタッ
ジャン「オレにとってウレンがそうだ」タッタッタッ
ジャン「あいつはこの現実を知っててまだ巨人に立ち向かおうとしてる」タッタッタッ
ジャン「周囲を巻き込んで調査兵団に入ろうとしてやがる」タッタッタッ
ジャン「異質だよあいつは」タッタッタッ
ヅズ「…。」タッタッタッ
ジャン「オレは巨人が怖いから内地を目指す奴だしな」タッタッタッ
ヅズ「卑怯者」タッタッタッ
ジャン「お前には言われたくねぇよ!」タッタッタッ
ジャン「…オレはあいつが腹立たしいし、ムカつくし、気に食わねぇ」タッタッタッ
ジャン「受け入れ難い存在だ」タッタッタッ
ヅズ「つまりお前のウレンに対する気持ちがオレのお前に対する気持ちと同じだと言いたいんだろ?」タッタッタッ
ヅズ「見当違いもいいとこだ」タッタッタッ
ジャン「なんでだよ?」タッタッタッ
ジャン「根本的な所は同じじゃねぇか」タッタッタッ
ヅズ「お前のは内面的な問題だろうが!」タッタッタッ
ヅズ「根本的って言えばいいってもんじゃねぇぞウ段外」タッタッタッ
ジャン「じゃあなんでオレのことが嫌いなのかたっぷり聞かせて貰おうじゃねぇか」タッタッタッ
ヅズ「…はっ?そんなのウ段外だからに決まってんだろ」タッタッタッ
ジャン「ならなんでウ段外を嫌うんだよ」タッタッタッ
ヅズ「なんでって、そんなの自分で考えやがれ」タッタッタッ
ジャン「…オレが知りたいのはお前がどう思っているかであって」タッタッタッ
ジャン「オレの考えじゃねぇ」タッタッタッ
ヅズ「…ああ、教えてやるよ」タッタッタッ
ヅズ「気持ち悪りぃんだよお前は」タッタッタッ
ジャン「…。」タッタッタッ
ヅズ「ウ段外の奴が訓練兵になるってこと事がまず異常なのによぉ」タッタッタッ
ヅズ「受け入れられて当然みたいな顔しやがって」タッタッタッ
ヅズ「ムカつくんだよ」タッタッタッ
ヅズ「自分が異常だと思わねぇのかよ?!」ダッ
ジャン「おい待てって!」ダッ
ヅズ「追っかけてくんなよ!!」ダダダッ
ジャン「そっちこそ急にスピード出すんじゃねぇよ!!」ダダダッ
ヅズ「オレの自由だろうが!!」ダダダッ
ジャン「じゃあオレが追いかけるのも自由だよなぁ?」ダダダッ
ヅズ「…チッ…本当ムカつくなお前」タッタッタ
ジャン「お前のほうがムカつく」タッタッタ
ヅズ「…」タッタッタ
ジャン「なぁ」タッタッタ
ジャン「受け入れられたいと思うのはそんなに悪い事か?」タッタッタ
ジャン「オレの名前は確かに異常かもしれねぇけどなぁ」タッタッタ
ジャン「やっぱ納得できねぇんだよ」タッタッタ
ヅズ「…知らねーよそんなの」タッタッタ
ジャン「ああそうかよ」タッタッタ
ヅズ「なんで」タッタッタ
ジャン「あ?」タッタッタ
ヅズ「なんでウ段外なんだよ名前」タッタッタ
ジャン「!」タッタッタ
ジャン「そもそもよ、名前の事まったく知らなかったんだよここに来るまで…」タッタッタ
ジャン「だから母親に手紙で問い詰めたんだよ」タッタッタ
ヅズ「本当に知らなかったのかよ…バカだな」タッタッタ
ジャン「うっせ」タッタッタ
ジャン「で、この間返事が来たんだけど」タッタッタ
ジャン「…。」タッタッタ
ヅズ「…。」タッタッタ
ジャン「…。」タッタッタ
ヅズ「おい早くいえよ」タッタッタ
ジャン「…思い出すと腹が立ってきた」タッタッタ
ヅズ「?」タッタッタ
ジャン「ウ段のことは知らなかったわけじゃないがそこまで重要なことだとは思わなかった、ってよ」タッタッタ
ヅズ「はぁぁ~?マジかよ」タッタッタ
ジャン「それから親が付けた名前を変えるなんて許さないからね、ときたもんだ」タッタッタ
ヅズ「鬼だな」タッタッタ
ヅズ「親の承認なしじゃ変えられないのか?」タッタッタ
ジャン「しらねぇけど…まあ改名はしねー」タッタッタ
ヅズ「は?」タッタッタ
ジャン「変えられるわけねぇだろ」タッタッタ
ジャン「あのババァ、手紙にオレの名前の由来を長々と書き連ねやがって」タッタッタ
ヅズ「…。」タッタッタ
ジャン「それで変えられる奴がいたら尊敬するぜ、逆に」タッタッタ
ヅズ「……。」タッタッタ
ヅズ「お前、バカだな」タッタッタ
ジャン「はあ?!」タッタッタ
ヅズ「バカだよ、お前」タッタッタ
ジャン「なんで二回言ったんだよ?!」タッタッタ
カンカンカンカン
ジャン「!」
ヅズ「!」
ヅズ「就寝時間だ」ホッ
ジャン「やっと終わりやがった…」ゼーゼー
クリスタ「ジャン!」タタタ
ジャン「クリスタ?!」
クリスタ「教官がもう終わっていいって伝えろって」
クリスタ「お疲れ様…大変だったね」
ジャン「まったくだぜ、オレはただ肉が欲しかっただけなのに…」
クリスタ「そう言うと思って…」
クリスタ「冷めちゃったけど、とって置いたの」
ジャン「マジか?!」
ジャン「ってこれ、お前の分だろ?もらえねぇよ」
クリスタ「私はいいの、お腹いっぱいだから」
ヅズ「オレの分は?!」
ジャン「お前まだ言うか…」
クリスタ「ヅズの分はサシャが食べたの」
ヅズ「?!」
ジャン「当然の報いだろ」
ヅズ「あの芋女…!」
クリスタ「サシャを悪く言わないで、ヅズ」
クリスタ「ジャン、遠慮しないで食べていいよ?」
ヅズ「いらないならオレにくれよ」
クリスタ「ヅズってとことん恥知らずだね…」
ヅズ「」
ジャン「クリスタにも言われるレベルなことを自覚しろよ」
ジャン「あー、クリスタ、気持ちはありがてぇけど…」
クリスタ「冷めてたら美味しくないかな…」
ジャン「いや、そういうわけじゃ」
クリスタ「なら食べてみて!美味しいってみんな言ってたよ!」ニコ
ジャン「なら半分こしようぜ」
クリスタ「えっ?!」
ジャン「オレだけ食べたら罪悪感感じるし」
ジャン「だからクリスタも食べろよ」
クリスタ「!」
クリスタ「罪悪感なんか感じる必要ないのに」フッ
クリスタ「分かった、半分こしよう」
ヅズ「三分こしようぜ」
ジャン「黙れ」
ジャン「うお、うまい」バクバク
クリスタ「美味しいね!」モグモグ
ヅズ「…。」
ジャン「…そんな目でみるな!自業自得だろ?!」
クリスタ「ヅ…ヅズ」
クリスタ (て、だ、だめだめ!元はと言えば本当にヅズが悪いんだし、ジャンにひどい事したんだし!)
ヅズ「いいなぁ、美味しそうだなぁ」
クリスタ「…。」
ジャン「…。」
ジャン「…はぁーー。やればいいんだろ?一口だからな」
ヅズ「え、マジ?」
クリスタ「え、いいの?!ジャン」
ジャン「しゃあないだろ、ほら」
ヅズ「…。」
クリスタ「ならわたしも一口譲るね」
ヅズ「お前ら…。」
ジャン「ただしこれで借り一つだ。調子乗るんじゃねぇぞ」
ヅズ「うっま!」バクバク
クリスタ「話聞こう?!」
ヅズ「あー食った食った、さあ寝るか」
クリスタ「ヅズ!」
ヅズ「な、なんだよ」
クリスタ「せめて、ジャンにはお礼を言ったほうが…」
ヅズ「クリスタありがとよ」
クリスタ「私じゃなくて!」
ジャン「一発殴っていいかこいつ」
ヅズ「お礼言えばいいんだろ、」
ヅズ「ジャン様どうもありがとうございましたー」
ジャン「お前本当に…!」
ジャン「…あっ!」
クリスタ「えっ?」
ジャン「お前、はじめてオレの名前…」
ヅズ「…。」
ヅズ「とりあえず、ウ段外って呼ぶのは辞めてやるよジャン・キルシュタイン」
ジャン「何様?」
ヅズ「ただしオレは改名した方がいいと思うがな!」スタスタ
スシャの名前間違えてるぞ
>>139
本当だ、ごめんなさい
クリスタ「…行っちゃったね」
ジャン「まああんな真似はもうしないだろ」
クリスタ「ジャン、ヅズと何か話したの?」
ジャン「ちょっとな」
ジャン「オレらも帰ろうぜ」
クリスタ「うん、そうだね」
クリスタ (何を話してたんだろ?)
ヅズ「…。」
ブルトルト「ジャンって呼ぶことにしたんだ?」
ヅズ「うわっ!!」ビックー
ヅズ「き、聞いてたのかよ!!…誰だっけ」
ブルトルト「ブルトルトだよ…。地獄耳ってやつさ」
ブルトルト「それで、どういった心境の変化があったの?」
ヅズ「なんでわざわざ言わなくちゃ…」
ブルトルト「前の訓練で吐いてたこと、みんなが知ったらどう思うかな」
ヅズ「言う!言うからぁ!!」
ブルトルト「話が分かる人で良かったよ」ニコッ
ヅズ (なにこの人怖い)
ブルトルト「ジャンのこと好きになったんだ?」
ヅズ「なってねぇよ!!」
ヅズ「ただ…」
ブルトルト「ただ?」
ヅズ「あいつも人間なんだなと思っただけだ」
ブルトルト「ウ段外は人並みの感情がないものだと思ってたってこと?」
ヅズ「そこまでじゃないけど、まあ」
ブルトルト「…あるに決まってる。どんな特殊な人にだって、感情はあるよ」
ヅズ「いや、感情ないとは言ってないけど!」
ブルトルト「あ、そうなんだ」
ヅズ「あいつが母親のこと話すのを聞いたら同じだと思っただけだよ」
ブルトルト「母親?」
ヅズ「ああ、母親から名前の由来がぎっしり書かれた手紙が送られてきたんだとよ」
ブルトルト (…そういうことか)
ブルトルト「人間味を感じちゃった訳だ」
ヅズ「…オレにだって家族を思う気持ちは理解できるからな」
ブルトルト「…ヅズって結構マザコン?」
ヅズ「そ、そんなわけねぇだろ?!」
ブルトルト (マザコン確定)
ジャン「じゃあな」
クリスタ「うん、おやすみなさい」
ジャン「今日は色々ありがとな」
クリスタ「そんな、わたしは…」
ジャン「謙遜すんなって!」ワシャワシャ
クリスタ「ちょっ、ジャン!」
ジャン「お前本当小ちゃいなぁ」
クリスタ「怒るよ?!」
ジャン「わりぃって。じゃあな、また明日」
クリスタ「もう!」
クリスタ「…ねぇ、ジャン」
ジャン「?」
クリスタ「ジャンはどうしてそんなに強くあれるの?」
ジャン「はぁ?!」
ジャン「オレが強いィ?」
クリスタ「うん、いつもそう思うよ」
ジャン「技術面ならともかく…お前が言ってんのは精神面ってことだろ?」
クリスタ「そうなると思うけど…」
ジャン「なら大ハズレだぜ」
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ヅズって発音一緒じゃね?