アニ「もうひとりの私」 (38)

進撃のSSです。

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アニ「私がここに閉じこもってからどのくらいたっただろうか?」

アニ「3日?1週間?1月まさか1年くらいかな?」

アニ「もしかしたら50年くらい経っててみんな死んでしまっているのかな?」

アニ「時間の感覚がまったくないからわからない」

アニ「私の意識もあったり無かったりで大半が無いのだけど」

アニ「最近変な夢をみる」

アニ「私の夢をみる」

アニ「見た目もなにもかも私そっくりだ。けど」

アニ「私なんだけどどこか違う世界で暮らしているようだ」

アニ「ここまでだとただの夢のようだけど」

アニ(これだけでもおかしいかもしれないが)

アニ「やけにデティールがすごい」

アニ「文明がいまよりずっと進んでいる。なにやらわからない機械を」

アニ「使ってこいつは暮らしているようだ」

アニ「なによりこの世界には巨人はいないらしい」

アニ「いたって平穏にみえる」

アニ「なんでこんな夢を見るんだ」

アニ「そういえばこの前なんとなく声を出したら向こうの私が反応したように思えたな」

アニ(実際には声を出せないから声を出したように意識しただけだけど)

アニ「聞こえるかな?今机に突っ伏してるな・・・やってみよう」

アニ「おーい」

びくっ・・・

アニ「びくってなった・・・」

アニ「もう一回いってみるか」

アニ「おーい。聞こえる?」

・・・

アニ「今度は反応しないな・・・」

アニ「じゃ今度は・・・」

アニ「アニさーん。聞こえるでしょ?」

「チッ・・・なんだお前は!?出て来い。」

アニ(名前が同じでよかった・・・けど夢じゃ・・・ないのか?)

※ややこしいので巨人のいる世界をアニ、いないほうをレオンハートと表記します。

アニ「あーえっと出て行きたいのは山々なんだけど・・・」

アニ「とにかくはじめましてアニさん」

レオンハート「はぁ誰だお前は?なぜ名前を知っている?」

アニ「落ち着きなよ。声が聞こえる風に思えているだけで」

アニ「本当は頭の中で聞こえているでしょ?」

レオンハート「本当だ・・・」

アニ「私も信じられないけど私はあなたとは違う世界から」

アニ「あなたに話しているようだね」

レオンハート「違う世界?」

アニ「そう違う世界」

レオンハート「そうか・・・」

アニ「そう(信じたのか?)」

レオンハート「私は頭がおかしくなったのか・・・」

アニ(やっぱり信じられないか・・・私もそうだけど)

アニ(けど・・・今見ているこいつの部屋?は私の想像では絶対に考えられないものだ)

アニ(だからこそこれが別の世界だと思えた)

レオンハート「・・・私の頭がおかしいとしてお前は何者だ?」

アニ「違う世界のあなたってことになるね」

レオンハート「証拠は?なぜ違う世界と言える?」

アニ「証拠はない・・・けど私はあなたのいる世界が私には思いもつかないから」

アニ「私は別の世界だと思える」

レオンハート「・・・じゃあんたの世界のことを話してみなよ?」

アニ(それから私は私の世界のことを話した。巨人のこと私のこと最後のことを)

レオンハート「・・・違う世界の私は最悪だな・・・人を殺して」

レオンハート「最後は閉じこもって・・・」

アニ「うん・・・そう思ってもらってかまわない・・・」

レオンハート「・・・別にあんたを責めたわけじゃないよ・・・ただ」

アニ「ただ?」

レオンハート「違う私はもっと幸せに暮らしていると思っていた」

レオンハート「自分の弱さ境遇を認めて、それでも幸せになりたいと願うような」

レオンハート「そんな私がいるってそういう夢をみていたけど。」

アニ「私はそんなんじゃないよ・・・」

レオンハート「そう・・・」

アニ「そう」

アニ「ところであなたは私のことを信じたの?」

レオンハート「さぁ?」

アニ「さぁってなに?」

レオンハート「信じても信じなくても変わらないだろ」

レオンハート「ところでなんで私に話かけてるの?」

アニ「・・・暇だから」

レオンハート「迷惑だ。」

アニ「いやいいでしょ。付き合ってよ同じ私のよしみでさ」

アニ「あっじゃ悩みとか聞いてあげるよ。何かない?」

レオンハート「・・・ない」

アニ「本当に?」

レオンハート「本当に」

アニ「・・・あなたが持っているその絵ってなに?」

レオンハート「絵って携帯の画面のことか・・・あっ・・・これがどうかしたの?」

アニ「それ誰?」

レオンハート「誰でもいいだろ。それに言ってもわからないし」

アニ「エレンって名前でしょ。そいつ」

レオンハート「!なんで知ってる?」

アニ「私の世界にもいたから」

レオンハート「そう・・・じゃ参考に聞くけどそいつとはどうだった?」

アニ「どうだったって何?(聞きたいことはわかるけど)」

レオンハート「だから・・・仲は良かったの?」

アニ「(やっぱりそれを聞いてくるか・・・)良かったよ」

レオンハート「本当に?」

アニ「本当に(嘘だけど)」

アニ「という訳であなたはエレンと仲良くなる方法が知りたいと?」

レオンハート「はぁ?だれがそんなこと言った?」

アニ「じゃ知りたくない?」

レオンハート「・・・聞いてやるよ」

アニ「(ちょろいな・・・こいつ)ところでその携帯ってやつはどんな構造なの?」

アニ「それとこの絵が動いているやつとか天井で光ってるものってどうやって動いているの?」

レオンハート「(TVと室内灯のことか・・・)さぁ詳しくは知らない」

アニ「自分で使っているのに構造がわからないの?」

レオンハート「うるさいな・・・あんたは自分の世界のことが全て解っているのか?」

アニ(さすが私だ・・・全然親切じゃない)

アニ(可愛げがまったくない。愛想もない)

アニ(もし他人ならまったく仲良くはならないだろう)

アニ(・・・自分で思っていて空しくなってきた・・・)

アニ「あなたはエレンのこととか相談する友達いないの?」

レオンハート「・・・あんたは(いたの)?」

アニ・・・

レオンハート・・・

アニ「やめよう」

レオンハート「そうだね互いのためにならない」

アニ(やっぱり私だ)

レオンハート「で?」

アニ「ああそうだね(どうしようか。仲が良いなんて嘘だしね)」

アニ「えーと、あなたとエレンの接点はなにかないの?」

レオンハート「お父さんが空手教室をやっていてそこに通ってる。私もエレンも」

アニ「じゃまずは学校の帰りにでも一緒に行こうって誘ってみれば?」

レオンハート「いきなりハードルが高いね・・・」

アニ「本気でいってる?今まで話したり、一緒に訓練とかしなかったの?」

レオンハート「あいさつくらいは・・・一緒に組み手なんてしたことない」

レオンハート「近づくことさえできないのに。触れることなんてできない」

アニ(この子は・・・私以上かもしれない)

アニ「まぁがんばりなよ」

レオンハート「適当なこといって・・・」

アニ「応援してるから。がんばって」

レオンハート「・・・うん。そのときは一緒にきてくれないの?」

アニ「なんでかあなたの部屋しか私の意識は届かないみたい」

アニ「特別な場所なのかな?まぁそれだけでも十分な奇跡だけどね」

アニ「きっとあなたが意識を集中できるあなたの部屋でしか無理なんじゃないの?」

アニ「それとあなたが私を呼んだのかもね。だからあなたとしか通じあえないし」

レオンハート「私が呼んだ?なんで?何のために?」

アニ「さぁ?」

次の日

レオンハート「ただいま」

アニ「おかえり。うまくいった?」

レオンハート「今日は会うことはできなかったよ」

アニ「なんで?」

レオンハート「・・・雨だから」

アニ「雨だから?」

レオンハート「ほら天気が悪いとあれじゃない・・・その気が乗らない・・・かな?」

アニ「つまり誘ってもいないと・・・」

アニ「はぁーーーーーー・・・」

レオンハート「そんな全力でため息つかないでよ」

アニ「駄目だな・・・こいつ・・・けどがんばるしかないな」

レオンハート「どっちに言ってる?」

アニ「うるさい」

レオンハート「まぁがんばりなよ」

アニ(こいつ・・・踏み潰してやろうか?)

アニ(けどやっぱり私だな気持ちがわかる)

アニ(きっと雨が降ってほっとしたんだろうな・・・なぜか諦めがついて)

アニ・・・

レオンハート「なっ何?」

アニ「じゃあ・・・明日晴れたら会いにいこうね」

アニ「わかった?」

レオンハート「・・・わかった」

次の日

アニ「・・・どうしたの?そんなに落ち込んで?」

アニ(これは失敗だったね・・・)

レオンハート「駄目だった・・・」

アニ「(それは見ればわかるから)何が?」

レオンハート「知らない女と歩いてた・・・」

アニ「どんな・・・まさか黒髪で腹筋バキバキの女?」

レオンハート「?そんな女はいないよ・・・金髪で小さくて可愛い奴だった・・・」

アニ「(クリスタか?)名前は?」

レオンハート「違うクラスだから苗字しか知らないけど確かアルレルトさんだったかな?」

アニ「・・・それ多分男」

レオンハート「嘘いわないでよ・・・あんな男いるわけないじゃない?」

アニ「名簿でも調べてみたら?」

レオンハート・・・

アニ「どう?」

レオンハート「本当だ・・・男なんだ」

レオンハート「良かった」パァァ

アニ「(すごい笑顔だ)良かったね」

レオンハート「うん。・・・ありがとう」

レオンハート「あっ・・・けど」

アニ「けど?」

レオンハート「男が好きってことは・・・」

アニ「黙れ」

次の日

レオンハート「ただいまぁ」

アニ「おかえり(あぁうまくいったんだな)」

アニ「・・・(笑顔をなんとか抑えているけどまるわかりだ)」

レオンハート「今日は・・・聞かないの?」

アニ「・・・あっああ今日はうまくいった?」

レオンハート「いった」

アニ「(それは見ればわかるから)何が?」

レオンハート「今度の休み、一緒に空手の練習をすることになった」

アニ「へー良かったじゃない(良いのか?)」

アニ(それしか選択肢がなかったの?まぁいいか)

レオンハート「いいでしょ」

次の休みの日

レオンハート「ただいまぁ」

アニ「おかえり(わかりやすいな)」

アニ「でどうだったの?(聞かないと機嫌悪くなるからな)」

レオンハート「うん。楽しかったよ。私のほうが強くて技を教えてくれって」

レオンハート「目を輝かしちゃって・・・楽しかったなぁ」

レオンハート「それでこれから毎週一緒に練習することになった」

レオンハート「いいでしょ」

アニ「・・・すごーい(だから訓練とか以外でなんかしなよ)」

次の休みの日

アニ「あっおかえり。どうだった?」

レオンハート・・・

アニ「どうしたの?」

レオンハート「・・・今度引っ越すってエレン」

レオンハート「そうしたらもう会えなくなる・・・」

レオンハート「どうしよう・・・」ポロポロ・・・

アニ「そう・・・なのか」

アニ(何で・・・そんなとこまで私に似なくていいじゃない)

アニ(私は幸せにならなくていい。それだけのことをした)

アニ(けどこの子は別だ)

アニ(駄目だ。もう嫌だそんなの)

アニ「それであなたはどうしたいの?」

レオンハート「っえ・・・。もう会えなくなるからどうしようもないじゃない」

アニ「・・・言い変えるよ。あなたの気持ちはどうなの?」

レオンハート「・・・嫌だ。まだなにも出来てない。」

アニ「うん」

レオンハート「一緒にいたい、もっと話したい。それだけでいいのに・・・」

アニ「うん」

レオンハート「なんで・・・そんなこともできなくなるんだろう?」

レオンハート「気持ち一つ伝えることができないなんて・・・」

アニ「・・・ねぇ聞いて。私がエレンと仲が良いなんて嘘なんだ」

レオンハート・・・

アニ「あなたに言ったとおりに私は最悪で弱かったんだ」

アニ「私は何もせずに気持ちを伝えることできずに最後を迎えた」

アニ「もう永遠に何も伝えることはできない」

アニ「私の世界でエレンは私を憎んでいるだろうね」

アニ「それを変えることはできただろうか?」

アニ「そう考えてしまう・・・ずっと・・ずっと」

アニ「だから・・・あなたは私のようになってほしくない」

アニ「それでね。頼みがあるんだ」

レオンハート「頼み?」

アニ「そう。それは私にはできなかったことで」

アニ「それをあなたに頼むのははっきりいって無責任なのはわかってるけど」

アニ「あなたのその気持ちをエレンに伝えて欲しい」

レオンハート「わかったよ」

アニ「・・・っえ?」

レオンハート「わかったよっていったんだ。2度も言わせないで」

アニ「・・・ずいぶんと素直だね」

レオンハート「知ってるから」

レオンハート「私が意地っ張りだってことは」

レオンハート「そんな私が頼んだんだ。だからだよ」

アニ「ありがとう。私じゃないみたいだね」

レオンハート「それとあんたがついた嘘はバレバレだからね」

レオンハート「あんたみたいな性格で仲良くなれる訳ないじゃない?」

アニ「やっぱり私か・・・いいから言ってきな。いまから」

レオンハート「えっいまから・・・」

アニ「どうせ明日になったら雨が降っていたとか言い訳するんでしょう?」

レオンハート「わかったよ・・・もし駄目だったら慰めてね」

アニ「うん。でも泣かないでね。一緒にいるから。応援するから」

アニ「あなたは強いよ。だから、振り返らないで。前を向いて。・・・いってらっしゃい」

レオンハート「いってくるよ。あっそうだこれは言わなきゃ。あなたは自分のことを最悪とか言うけど私はそうじゃないからね」

レオンハート「世界中があなたの敵でも私はあなたの味方でいるから。あなたを助けるから待っててね」

アニ「うん・・・ありがとう気持ちは嬉しいよ」

レオンハート「本当だよ。じゃあ」タッタッタ・・・

レオンハート「ただいまぁ!」

アニ(これはうまくいったね。まったくわかりやすいんだから)

アニ(これ以上は私がいても邪魔だろうね・・・)

アニ(ありがとう・・・あなたが幸せになってくれて)

レオンハート「あれ?いないの?」

アニ(けど私はなんて我侭なんだろう。幸せな私を見るのは嬉しいけどつらい)

アニ「(だから・・・)さよなら」

レオンハート「っえ?」








アニ「また一人になったけど充分な奇跡だ。私にはもったいないくらいの・・・そしてあの子に会えてよかった」

アニ「あの子のそばにはあの子がいて喜んでくれる人がいる」

アニ「それは私にはできなかった。けどあの子はできた」

アニ「私は私の気持ちを誰にも伝えないまま・・・永遠に伝えられなくなってしまった」

アニ「それが正しいとかそうじゃないとかはもうどうでもいいけど・・・」

アニ「それができたらどうだっただろう?どんな気持ちをしただろう?」

アニ「考えると胸がぞわぞわして泣きたくなる。死にたくなる」

アニ「もうどちらも私にはできないけど」

アニ「けどあの子はできたんだ・・・」

アニ「それだけで私はこの暗闇の中でもなんとかやっていけると思う」

アニ「あのときの気持ちが伝えられたなら・・・こうだったかも知れないとか」

アニ「何を話しただろうか?きっと私のことだ。うまく喋れないに違いない。けど気持ちは伝わってほしいな」

アニ「想像するだけでもいいでしょ?もう一人の私を幸せにできたんだからそれくらいは」

アニ「手を重ねることを考えることくらい・・・」

アニ「・・・願うならあの子がいったように弱さ、境遇を認めそれでも幸せになるような」

アニ「私がいるといい・・・そんな私になりたかった」

アニ「じゃ・・・会えてよかったけど」

アニ「さよならだ。私は暗闇の中で・・・」

アニ「思い続ける・・・それしかできない」






アニ(あれからどれくらい経っただろう。もう解らない)

アニ(私は生きているのか、死んでいるのかどっちだろう?)

アニ(生きていても周りに何も影響を与えない人と、死んでいても影響を与え続ける人は)

アニ(どちらが生きているといえるだろうか・・・)

アニ(こんな事を考えてしまうなんて・・・もう考えるの辞めようかな)

・・・

アニ(あれっなんか眩しい)

「おいっ起きろ・・・」

アニ(騒がしい・・・)

アニ(聞いたことがある声だ・・・誰だっけ?)

「起きてくれアニ・・・」

アニ(・・・エレンだ)

アニ「どうしてここに?」

アニ(喋れた?まだ喋れたんだ?水晶がない?)

エレン「・・・よぉ久しぶりだな」

エレン「えーと・・・何話していいかわからないな」

アニ「なぜ?なんで私をここから出したの?」

エレン「いや外に出したのは俺だけどその水晶から出たのはお前が自分で出てきた」

アニ「そう・・・そういうこと」

アニ「なぜ外に出したの?私のこと嫌いでしょ?憎んでいるでしょ?」

エレン「俺の頭がおかしいかも知れないけど・・・違う世界の俺が俺に話してくるんだ」

エレン「お前の世界のアニを助けてやってくれって、せめて話合うだけでもいいからとか言うんだよ」

エレン「訳がわからないだろ?しかも違う世界の俺はその世界のアニに頼まれたらしい」

アニ「あの子の仕業か・・・なんてことを」

エレン「えーとそれで伝言だ。ややこしいけど違う世界の俺がその世界のアニから受け取ったものらしい」

エレン「「あなたは私があなたを呼んだって言っていたけどその逆じゃないの?」」

アニ「そうなのかな・・・そうかもね」

エレン「あっまだあるぞ「うまくいった?」だってなんだこれ?」

アニ「はっはは・・・あいつめ・・・」

エレン「ってどうしたんだアニそっぽ向いて?」

アニ「ちょっと少し見ないでくれないか」

アニ(きっと私は今すごくわかりやすい顔をしているだろうから)

これで終わりです。
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