男「ふっ。宿題か」 (29)

男「手段、過程は関係ない。つまりは9月1日までに終わらせればよいのだ」トゥルルルルル

男「もしもし、私だ」

女『なんだ、手短に話せ』

男「時に、小腹は空いてないかね?」

女『確かにちょうどおやつが恋しくなる時間帯ではある』

男「ここにかの有名な洋菓子店、うまい堂のシュークリームがある。食べたいかね?」

女『…ほう。まあ電話ではなんだ。今から君の家に行こう』プツッ

男「ふ。計画通りだ」

ピンポーン

男「はやいな」

女「お邪魔しよう」ガチャリ

女「さあ、シュークリームはどこだ。冷蔵庫か」ガサゴソ

男「手もはやいな」

女「御馳走様でした」ゲプー

男「食うのもはやいな」

女「お邪魔した」ガチャリ

男「帰るのもはやいな」ガシッ

女「なんだ。離せ。」

男「手短に話す。宿題を手伝ってくれ。」

女「断る。お邪魔した」ガチャリ

男「おいふざけるな。頭おかしいんじゃないのかお前」ガシッ

女「離せ。お前の宿題を手伝ってやる義理はない」

男「にわとりかお前は。今シュークリーム食っただろうが」

女「宿題を代わりにやるなど聞いてないぞ」

男「シュークリーム食っていいとも言ってないな」

女「論破された」

男「やってくれるか」

女「嫌だ。お前の宿題を手伝ってやる義理はない」

男「今のやりとりの時間を返すんだよ」

女「ちっ。とりあえずあとどれぐらい残っているのか見せてみろ」

男「ひとつも手をつけていない」

女「ファック」

男「さあ手伝ってくれ。なんのために隣町までシュークリームを買ってきたと思ってるんだ」

女「買いにいく暇があるなら宿題をやれと言いたい」

女「手伝うといってもふたりで終わる量ではないな」

男「他に手伝ってくれる奴を探すか」

女「いい感じにゴミだなお前は」

男「そうだ、お前の友達に成績学年トップの天才がいるだろう。さあ早く呼ぶんだ」

女「見ず知らずの奴の宿題を手伝わせるためにか。友情に亀裂が走り抜けるわ」

男「俺は見ず知らずの奴との友情がどうなろうと構わないぞ」

女「どんな脳みそを持てば今の話の流れでお前の事だと思うんだ」

女「というかお前の友達を呼べばいいじゃないか。多少気まずくとも私は構わないぞ」

男「ダメだ。俺の友達も今頃宿題にひーこら言ってるころだろう」

女「"類は友を呼ぶ"とはこのことだな」

トゥルルルルル   トゥルルルルル

男「むっ。友から電話だ。"噂をすれば"とはこのことだな」ピッ

友『今暇け?』

男「宿題なら手伝わないぞ」

友『ひーこら』

男「図星か」プツッ

女「"当たらずと言えども遠からず"とはこのことだな」

男「なんだか、宿題するの面倒臭くなってきたな。"案ずること生むが易し"というしな」

女「"一瞬の油断が命取り"ともいうぞ」

男「それは・・・くっ。駄目だ思い浮かばない」

女「ふっ。勝った」

男「待て。異議ありだ。当たらずも遠からずはかなり怪しいぞ」

女「負け惜しみだよ。負けず嫌いもほどがあるぞ」

男「当たってるんだから、当たらずとも遠からずではないはずだ。そもそもよく知らんが一瞬の油断が命取りってことわざなのか。この勝負は不正が行われた疑いがある。引き分けというところが妥当なはずだ」

女「土俵際での頑張りが凄いな」

男「どすこいどすこい」

女「では、私はそろそろ帰るぞ」

男「おい待て。俺の宿題はどうなった」

女「案ずること生むが易しじゃないのか」

男「あれはお前の喧嘩に対抗するための嘘だ。俺は先生に叱られたくない」

女「"嘘つきは泥棒の始まり"と言うぞ」

男「おいなにを第2ラウンドに突入しようとしているんだお前はやめろ宿題が進まないだろ」

女「逃げるのか」

男「逃げるのではない。平和的解決をしたのだ」

女「言い訳だよ」

女「ん。おお。花火があるじゃないか」

男「やらないぞ。やるなら宿題終わってからだ」

女「さっきことわざ対決で負けただろう。敗者は勝者の言うことは聞くものだ」

男「そんなルール知らんし別に負けてねーし」

女「ちっ」

男「どの道まだ夕方だしな。まだやる時間帯ではないだろう」

女「それもそうだな」

男「お遊びは終わりだ」

女「か、かっこいい!私も一度はそんなセリフを言ってみたい」

男「まずは君がすでに終わらせている宿題を家からとってくるんだ。こうなれば丸写しだ」

女「は、はいキャプテン!」

男「いいか、必ず・・必ず生きて帰ってこい。これは命令だ。いいな」

女「はい!」ガチャリ

五分後

トゥルルルルル トゥルルルルル

ピッ

男「ど、どうした!」

女『す・・・すみませんキャプテン・・・やられちゃいました・・・命令・・守れなか・・った・・』

男「嘘を吐くな」

女『ちっ。今から戻る。チョコとバニラどっちがいい?』

男「バニラかな」

女「了解した」

女「今戻ったぞ」
男「よくぞお戻りに。こちら麦茶でございます」

女「うむ。くるしゅうない」ゴクゴク

男「して、バニラアイスは」

女「?」

男「チョコかバニラか聞いただろうが」

女「持ってくるとは言ってないな」

男「脳に障害があるとしか思えん」

女「冗談だ。ちゃんと持ってきたさ」

男「やればできる子」

女「でも途中で溶けたから食った」

男「脳に障害があるとしか思えん」

女「二回言われるとさすがにこたえる」

男「アイスはもういい。宿題は持ってきたんだろうな」

女「・・・」

男「脳に障害があるとしか思えん」

十分後

女「持ってきたぞ」

男「助かる」

女「もう出迎えのチャームギはないのか」

男「さっきのでゴーサイだ」

女「チャームギなしではこの暑いなか宿題などとても乗り切れんぞ」

男「ふっ。これをみろ」

女「それは・・!水で薄めるやつのカルピス!」

女「でかしたぞ。君にしては上出来だ」ゴキュッゴキュッ

男「フグオの気持ちがわかるな」ゴキュッゴキュッ

プハー

男「さあ宿題をやろう」

ピンポーン

男「むっ。誰だ」ガチャリ

友「来ちゃった」

男「宿題はどうした」

友「もう諦めた。夏休み最後だし遊ぼうぜ」

男「俺は先生に叱られたくない」

友「ふざけるなお前も道連れだ。お前は俺と一緒に明日居残りするんだよ」

女(やっぱりゴミはゴミと友達になるんだな)

男「というか見ての通り今友達と宿題してる最中だ」

友「カルピスを嗜んでるようにしか見えないが」

男「今からするんだよ。お前らも見ず知らずで気まずいだろ」

女「私は構わないぞ」

友「俺も構わないぞ」

男「俺が構うわ」

友「そこをなんとかお願い」サワサワ

男「やめろケツを撫でるな。気持ちよくなっちゃうだろ」

友「気持ちいいのかよ」

女「気持ち悪いな」

男「ならお前も宿題を手伝ってくれ」

友「なんで宿題から逃げてきたのに他人の宿題をやらなあかんのや。泣きっ面に宿題とはこのことや」

女「おっ第二ラウンド開幕か」

友「え?」

男「気にするなこっちの話だ」

女「大丈夫だぞ見知らぬ少年よ。宿題の手伝いとは名ばかりでただダベってるだけだ」

友「そうなのか見知らぬ少女よ。なら我が輩も宿題を手伝おう」

男「お前らなあなあでなんやかんや宿題せずに終わるだろうと思ってるかもしれないけどそうはいかないかんね。まじで俺やらせるかんね」

友「まあまあ。とりあえず俺にもカルピスくれ」

女「私もおかわり」

男「飛びきり薄くしてやる」

女「こうなったら私の友達も呼ぶか」ゴクゴク

男「俺んちのカルピスを枯渇させる気か」ゴクゴク

友「にしてもうまい。フグオの気持ちがわかるな」ゴクゴク

男「それもう言った」

女「もしもし?今暇け?」

女「うん。おお。じゃ遊ぼうぜ」

女「んっとね、男んち。え?大丈夫大丈夫馬鹿だから」

男「ぶっ殺すぞ」

友「どんな会話か大体わかるな」

女「じゃとりあえず私んち来てくれ。うん。近いから大丈夫。うん。あ、そうだ。オマケもいるけど大丈夫だから」

友「ぶっ殺すぞ」

男「知り合って数分でよくオマケ扱い出来るな」

女「あい。あい。んじゃ」プツッ

女「んじゃ私友達迎えに行ってくる」

男「ほい」

友「いってら」

十五分後

女「帰ったぞ」

女友「こんにちは」

男「どうもこんにちは」

友「誰かと思ったら女友か」

女友「なんだ。誰かと思ったらオマケじゃない」

女「知ってんの?」

女友「うん。幼馴染み」

男「いいな幼馴染み。俺も欲しい」

女「喧嘩売ってんの」

友「そういえばお前らも幼馴染みか」

女友「女ちゃんオマケと仲良かったんだ」

女「いや今知り合ったばっか」

女友「なんだそりゃ。そんな謎メンツでなにやってたのよ」

男「そうだ。天才で有名な女友様。俺の宿題を手伝ってくれ」

女友「なるほどそういうことね」

友「さすが天才飲み込みがはやい」

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