女勇者「こんな高い山に住んでる賢者って聞いたから期待してたのに…」

賢者「そいつは残念だったな」

女勇者「とんだ腑抜けね」

賢者「あﾞ？」

女勇者「あら？違うの？魔王って名前にビビっちゃったんじゃないの？」

賢者「挑発のつもりか知らんがその手には乗らんぞ」

女勇者「チッ」

女勇者「ていうかおおよそ賢者に見えないのよね、その体格、どう見ても戦士とかでしょ」

賢者「賢者がみんなヒョロい優男だと思ったら大きな間違いだ」

女勇者「でもガタイが良い割にビビリと」

賢者「まだ言うかテメェ」

女勇者「こんなか弱い女の子が頼んでるって言うのに…」

賢者「そのか弱い女の子とやらが蹴散らせるような魔物はこの近辺にゃ１匹たりとも居ねえぞ、化け物女」

女勇者「ちょっと表来いよ、久々にキレちゃったわ」

女勇者「」ﾎﾞﾛｯ

賢者「やれやれだぜ…」

女勇者「なんでそんな強いのよ…」

賢者「そりゃこんなトコに住んでりゃ当然だろうが」

女勇者「な、なんで…ぐすっ…こんなに必死にお願いしてるのに…」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ…

賢者「お、おい…」

女勇者「…てづだっでぐれでもいいじゃなぃぃ…」ﾌﾞﾜｯ

賢者「ちょっと待て、泣くな！？」

賢者「あﾞー…メンドクセェ…」

女勇者「ぐすっ…ひっく…うﾞぅﾞぅﾞぅﾞ…」

賢者「しゃぁねぇな…手伝ってやるｋ」

女勇者「ホントにっ！？」ﾊﾞｯ

賢者「変わり身早すぎだろテメェ…！！」

女勇者「てへぺろ☆ﾐ」

賢者「何がてへぺろだ、つかさっきのは嘘泣きか！？」

女勇者「ふっ…涙は女の最大の武器よ」ﾄﾞﾔｧ…

賢者「ウゼェ…」

女勇者「で、男に二言は無いわよね？」

賢者「チッ…しゃあねぇな、ちょっと待ってろ…今支度をしてくる」

女勇者「逃げんじゃないわよ？」

賢者「誰が逃げるか…」

女勇者「あれ、でも支度っていうけど家の中殆ど何もなかっｔ…」

賢者「『其は荒れ狂う焔の暴君』…蹴散らせ！！」ﾄﾞｺﾞｫﾝ!!!

女勇者「」

女勇者「ちょちょちょちょっと！？何自宅をふっ飛ばしてんのよ！？」

賢者「あ？仮住まいの後片付けだが？」

女勇者「後片付けっていや確かに跡形もなく吹っ飛んだけど！？」

賢者「ぎゃあぎゃあ喚くな、荷物は空間魔法でしまってある」

女勇者「そ、そうなんだ…っていうか移動する時いつもこんな事してるわけ？」

賢者「長旅から帰って来てコソ泥に物色され尽くしてんのも癪だろ」

女勇者「いや…まぁ、賢者の持ち物って例え研究途中の資料でも高値がついちゃうものね」

賢者「そういうことだ、何であれ悪用されたらかなわんからな」

賢者「で、これからどこへ向かうつもりだ？」

女勇者「んー、とりあえず今は瘴気に侵食された炎竜の鎮圧かな」

賢者「鎮圧だ？討伐じゃねぇのか」

女勇者「本来ヒトに味方してる竜、現地じゃ守り神扱いよ？殺しちゃマズいでしょ」

賢者「なるほど、瘴気の侵食と言っていたが…魔王の呪いか」

女勇者「大正解、現地の神官が浄化を試みたけど駄目だったの」

賢者「複雑な術式の呪詛は対属性の相殺じゃ消せねぇからな」

女勇者「詳しいわね、何とか出来そう？」

賢者「さてな、実物を見てみない事には何とも言えん」

女勇者「ふふ、まぁ、頼りにしてるわ」

女勇者「はい到着っと」ｽﾀｯ

賢者「瞬間転移魔法、腐っても勇者か」ｽﾀｯ

女勇者「腐ってない！！　ぴっちぴちだし！！　腐女子でもないし！！」

賢者「で、あの登山口から登れば目的地か？」

女勇者「シカトすんなこのガチムチ賢者！！」

女神官「あの…」

女勇者「ちょっと黙っててよ！！　今コイツに文句言ってるんだから！！」

女神官「ひぃっ…！」

賢者「おいおい、神官にあたってんじゃねぇよ」

女勇者「」

女勇者「神官さん！？ごごごごめんなさい！？」

女神官「あ、い、いえ…お取り込み中に声をかけたわたしくが悪いのです…」

賢者「アンタがこの街の神官か」

女神官「は、はい…女勇者さん、この方が例の魔岩山の…？」

女勇者「そ、山頂に住んでた賢者、ディスペルがディスペル（物理）になる可能性が微レ存…」

賢者「黙ってろ脳筋女、まぁ完全に解除できる保障はねぇのは確かだ」

女神官「あの、どうか炎竜様をよろしくおねがいします…」

賢者「ふん…」

賢者「じゃあさっさとそこへ連れてけ脳筋」

女勇者「まぁ連れてくけどその前に１発ぶん殴っていい？」

賢者「やれる、もんなら、やってみろ」ﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯ

女勇者「このっ！このっ！このっ！」ﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯ

女神官「あ、あの…！！」

賢者「なんだ？　まだ、何か、用か？」ﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯｶﾞｼｯ

女勇者「うぁ！？捕まれたっ！？　はっなっせっ！！　って、何っ？神官さんっ」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝｯ

女神官「そ、その、わたくしもまた連れて行ってくださいませんか？」

女勇者「あら！むしろこっちからお願いしたいくらいだわ！！」ﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯﾌﾞﾝｯ

賢者「テメェは、殴りかかるか、喋るか、どっちかにしろ、馬鹿女」ﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯﾋｭﾝｯ

女神官「よ、よろしくお願いいたします…」

女勇者「」ｾﾞｪﾊｧｾﾞｪﾊｧ…

賢者「手の内は終まいか？」

女勇者「はぁﾞっ…はぁ…っ」ｷﾞﾛｯ

賢者「睨みつける元気はあるようだな、とっとと行くぞ」

女神官（…すごい、この近辺の魔物すらものともしない勇者さんを…）

女勇者「あんの…マッスル賢者、めぇ…っ」ﾊｧ…ﾊｧ…

女神官「はい、お水をどうぞ」

女勇者「ありがと…」ｺﾞｸｯｺﾞｸｯ…

女勇者「はー…ホント嫌な奴…実力は本物みたいだけど…ホンット嫌な奴！！」

女神官「２回も言うほどですか…ですが、随分と打ち解けてらっしゃるようですが？」

女勇者「…まぁ、ハナから喧嘩売ってきてたし、気を遣う必要無かったかな？」

女神官「ふふ…気を遣わずに接することが出来る、つまりもう彼は『仲間』という事ですね」ﾆｺ…

女勇者「…まぁ、そういうとらえ方も出来るのかしらね、そっか、仲間か…」

<ﾊﾔｸｼﾔｶﾞﾚ!ｵｲﾃｲｸｿﾞ!!

女勇者「うっさい！！今行くっての！！　…はぁ、行きましょっか、神官さん」

女神官「クスッ…はい♪」

女勇者「『貫け氷矢』！！…ふぅ、雑魚はたいしたことないけど…この暑さはキツいわね」ﾋﾝﾔﾘ

賢者「『其は地を這う氷河』…全くだ、活火山に登山用の洞窟とはな…」ﾋﾝﾔﾘ

女神官「（…先程から氷魔法ばかり…って、勇者さんは２度目でしたね…）『我等を包め風の衣』」

女勇者「お、おぉ？…これは…涼しくて気持ちぃー…」

賢者「ほう、風の防壁…それも周囲の自然環境や気温すら遮断出来るレベルか」

女神官「これでむやみに氷魔法で涼む必要は無くなりましたね？」

勇・賢「……………。」

賢者「…ん、出口が見えてきたようだな」

女神官「さらっとスルーされましたね、まぁ宜しいですが」

女勇者「神官さん…何気に怒ってる？」

女神官「いえ？ただ魔力を道中でこんなに浪費して炎竜様を何とか出来るのでしょうか、とは…」

女勇者「…ごめんなさい、すみませんでした、許して下さい」

賢者「…出口か」

女勇者「って、いつまでスルー決めてんのよ！？アンタもさっさと謝りなさいよ！？」

女神官「」ﾆｺｯ

賢者「……………。　…悪かったな（…笑顔がシャレにならん位薄ら寒ィ…）」