男「別れよう」ヤンデレ「……!」(880)
ヤンデレは某蔵などのことみんをイメージしています。
脳内CV:能登でお楽しみください。短いです。
ヤンデレ「別れる……? わかった。死ぬね?」
男「待て、落ち着け。今お前に足りないものがある。わかるか?」
ヤンデレ「ロープと椅子?」
男「違う。冷静さと正常な思考能力だ」
ヤンデレ「……?」
男「そこで『ん? この人は何を言ってるんだろう?』と可愛らしく小首を傾げるのはおかしい」
ヤンデレ「もしかして……私に不満があるの?」
男「もしかしなくても、そうだろうな」
ヤンデレ「……直す」
ヤンデレ「だから、別れるのは嫌……」
ヤンデレ「別れるのは嫌だから、直す」
ヤンデレ「だから、そんなこと言わないで?」
男「……はぁ」
男「しょうがないなぁ、ヤンデレは」
ヤンデレ「えへへ」
男「じゃ、まずは……一日に100通を超えるメール送ってくるのやめてくれる?」
ヤンデレ「……?」
男「小首ー!」
ヤンデレ「わっ……びっくりした」
男「困るんだよ……重要なメールとか見過ごすし、何よりお前だって疲れないか?」
男「毎日毎日『好き?』だの『今どこにいるの?』とか『もう私に飽きたの?』とか」
男「そんなに俺って信用ないのか?」
ヤンデレ「違う……けど」
男「じゃあ、なんで」
ヤンデレ「落ち着かないから」
男「落ち着かないって……はぁ」
男「俺の都合は考えてくれないのか?」
ヤンデレ「世間一般的に、」
男「は?」
ヤンデレ「恋人からメールが来ると、嬉しい」
男「え、まぁ……そうだな」
ヤンデレ「男が嬉しいと、私も嬉しい」
男「そりゃあ、いいことだな。幸せスパイラルだ。こまりちゃんもびっくりだ」
ヤンデレ「なので、私は男にいっぱいメールを送っても大丈夫です」
男「それは違う」
ヤンデレ「……?」
男「限度があります。多すぎます」
ヤンデレ「え、まだ少ない方……」
男「しゃらっぷ! あとメールだけじゃなくて、電話もやめてください」
ヤンデレ「え、無理……」
男「すぐに無理とかいうのは、ゆとりの悪い癖です。悔い改めてください」
ヤンデレ「ゆとってない……。それは言いがかり」ボソッ
男「メールと電話、それぞれ一日20件と2件を目標にしてください」
ヤンデレ「わかった。じゃあSkypeを20回加えてください」
男「悪化した! 確実に悪化したよねその状況!」
ヤンデレ「いつも、大切な人とつながるために――Skype」
男「なんでCM風に言った?」
ヤンデレ「オファー、待ってます」
男「こねぇから! 俺しか聞いてないから!」
ヤンデレ「男、面白い」
男「からかいがい、ある?」
ヤンデレ「ある」
男「じゃあ俺は口を閉ざします。物言わぬ貝になります」
ヤンデレ「だめ」
男「俺が喋ろうが喋るまいが、それは俺の自由です」
ヤンデレ「そんな我儘言ってたら、社会でやっていけないよ……? 私、男のことが心配……」
男「その社会不適合者予備軍がお前なんだけどな!」
ヤンデレ「……?」
男(突っ込まないぞ……)
男「……おほん」
男「だいたい、なんでそんなに俺のこと好きなわけ?」
ヤンデレ「面白い」
男「え? 面白いところ?」
ヤンデレ「……そう」
ヤンデレ「『だいたいー、なんでぇー、そんなに俺のこと好きなわけぇ?』」
男「恥ずかしいこと言ったのはわかるけどチャラ男風に真似するのやめて! ってか元々お前のせいだから!」
ヤンデレ「今のは……冗談。私ってお茶目……」
男(自分で言っちゃうところね)
ヤンデレ「好きなところ……。全部……かな」
ヤンデレ「優しいところ、面白いところ、私を笑わせて、ホッとさせてくれるところ」
男「お、おお」
ヤンデレ「その、『自分で好きなところ言わせておいてなんだけど、まぁ満更でもないな(照)』って顔も好き!」
男「それ完全に蛇足だから言わないで! ねぇ気づいてる!?」
ヤンデレ「ねぇ、好き……。好きなの……」
男「お、おう……」
男(急展開だなコイツ)
ヤンデレ「ねぇ、男……、目ぇつむって?」
男「……え? あ、ああ」
ドキドキ。
ヤンデレ「……ふっ、ちょろ可愛い」ボソッ
男「よし別れる。ぜってー別れる」
ヤンデレ「あ、うそ。うそだから。ごめんなさい」
ヤンデレ「あ、でも好きなのは本当。ちょろいのは……ほ、嘘」
男「本当って言いかけたよね!?」
ヤンデレ「好きなの、大好き。愛してる……」
男「う……、おう」
いいね、期待
ヤンデレ「あ……口に出したら、興奮してきちゃった」
ヤンデレ「口に出したら……? な、なに言ってるのよ、もう……男、えっち」
男「いま勝手に一人で暴走してたよね!?」
ヤンデレ「若さって、罪……」
男「ああ。お前は罪な女だよ。別な意味で」
ヤンデレ「……ぽっ」
男「馬鹿な……、皮肉が通じない……だと?」
ヤンデレ「ふふふ、私の弱点は、男。貴様の接吻だけだ。わっはっはー」
男「なんだって……じゃあキスするしかお前を倒す方法はないのか……! ええーい、ままよー! ――とは、ならない」
ヤンデレ「かーらーのー?」
男「ねぇよ! 『かーらーのー?』じゃねえよ! 今時の若者風に煽るな!」
ヤンデレ「ちぇ」
ヤンデレ「でも男、ノリがいい」
男「そうだな。今後は控えるよう検討する」
ヤンデレ「やだ。そんなの面白くない……そんな男、いらない」
男「がーん! お、お前、あっさりと『いらない』とか言うなよ! お前ヤンデレだろ!? もっと俺を求め……はっ!」
ヤンデレ「わかった。超求める。もう絶対離さないし、ずっと私が面倒見てあげる」
ぎゅー。
男(こいつ……狙ってたな)
ヤンデレ「えへへ」
男(結局、こいつの掌の上が、俺の居場所なんだろうか)
ヤンデレ「男、あったかい」
男「そうかよ……」
バカテスの雄二と翔子みたいで、見てて楽しい(*´∀`)
ヤンデレ「不満?」
男「……いや」
男「不思議と、嫌な気分じゃないさ」
男(そもそも誰かに求められるってのは、悪いことじゃあないんだ)
男(束縛されすぎるのが、他者との関係の障害になるから困るってだけで)
男(家族以外で無償の愛を注いでくれることは、本当は、とっても……)
ヤンデレ「えへへ」
男「嫌いじゃないぞ、お前のこと」
ヤンデレ「え?」
男「そもそも……まぁ、なんだ、その。好きじゃなかったら付き合ってすらいないわけだしな」
ヤンデレ「……男」
男「へへっ」
ヤンデレ「たまにくさいこと平気で言っちゃうところも、私は全然、好きだよ?」
男「だからそういうこと言わないでーー!」
END.
>>21 期待してくれてありがとうこのざまです。面白かったなら幸い。
>>27 バカテスわかんないですw 機会あれば、是非。こういうほんわかした
やりとりが好きなので。
ひとまず終わったけど、第二部書く?
要望あったら書くけど、べ、別に期待なんかしてないんだからねっ!
第二部はよ。
>>33 まじかよ……俺明日会社だぞ。支障でない範囲で頑張る。
第二部「その日暮らしの男君」
実は甲斐性なしで割とダメ人間の男君(とヤンデレちゃん)の日常を
書いていく予定。予定は未定。つまり思いつき。下記溜めはないし、
悪いけど寝落ちする可能性大。了承してねっ
ぐぎゅるるる。
男「は……腹減った」
ヤンデレ「男。何か、食べる?」
男「うん。お願いします」
ヤンデレ「カップめんでもいい?」
男「全然かまわないっす」
ヤンデレ「そう……じゃあ、3分立つまでのつなぎとして」
男「お、なに? お菓子とか用意してくれるの? さっすがヤンデレ」
ヤンデレ「わたしを食べて」
男「……さっすがヤンデレ」
男(想像はできた。俺が悪い)
ヤンデレ「あ、でも……3分以上は確実にかかるから、ラーメン伸びちゃうね……ハァハァ」
男「ハァハァすな! 食べるのはラーメンだけ!」
ヤンデレ「ひどい……私のこと飯炊き女くらいにしか思ってないのね……」
男(こいつは一体どこでこういう言葉を覚えてくるんだろう……)
ヤンデレ「ところで、男」
男「なに?」
ヤンデレ「今日、デートにいっちゃったりしちゃったり、しっぽり決め込んじゃったりしませんか?」
男「あー……その、うん」
男(なんだよいっちゃったりしちゃったりって。しっぽりって)
ヤンデレ「わくわく」
男「ちょっと、金が……」
ヤンデレ「え……」
男「いや、ちょっとさぁ、ほら、俺って多趣味じゃん?」
ヤンデレ「……そうだね」
ハァ…ハァ…
>>40 ハァハァすなww
ヤンデレ「……そうだね」
ヤンデレ「表向きは、読書に、芸術に、創作だけど」
ヤンデレ「要は『漫画』に、『アニメ』に、『同人誌』……」
ヤンデレ「お金、いくらあっても……足りないよね」
ヤンデレ「お前を見ているぞー」
男「最近今更ながらプレイした某タイムリープADVのネタで返されたっ!」
ヤンデレ「わたし、優先順位、低い?」
うるうる。
男「ぐっ……!」
男(まいった……確実に、世間一般的にもこの甲斐性なしっぷりは、俺が悪い)
男「いやあ、優先順位とかそういう問題じゃなくってさあ。例えば」
ヤンデレ「例えば?」
男「お前、クレープ好きだろ?」
ヤンデレ「うん。『男の次に』、好き」ジトッ
男(やべ、地雷踏んだ)
ピピピピピピピピ……
ヤンデレ「カップめん、できた」
男「ああー、そうな、カップめんな」
ヤンデレ「うん。食べさせてあげる」
男「いやー、いつもすまないねぇ」
ヤンデレ「それは言わない約束」
ヤンデレ「で?」
男「うまいなぁ。ヤンデレの作るカップめんは最高だよ」
ヤンデレ「そ、そう、かな」
ヤンデレの彼女欲しいなぁ
>>46 俺も
男(ちょろインだな、こいつ)
ヤンデレ「あ、でも、だめ……私の優先順位について、その案件が可及的速やかに解決するまでは……」
男「ヤンデレ、あーん」
ヤンデレ(……男からおねだりなんて、レア!)
ヤンデレ「しょ、しょうがないなぁ、男は。もう」
パクッ。
男「美味しいよ、ヤンデレ」
ヤンデレ「や、やだぁ、もう……私が美味しいなんて」
男(そんなことは一言も言っていないが)
男「ヤンデレ、好きだよ」
ヤンデレ「……うん。私も、いいよ」
男「うん?」
ヤンデレ「真昼間から、しっぽり決め込んじゃう……」
男「待った。お前は思考が飛躍しすぎだ。走り幅跳びの選手並だ」
ヤンデレ「あんまり上手いこと言えてないけどそのドヤ顔は好き……」
男「ごめんなさいでしたぁあ! 余計なこと言うなっつの!」
ヤンデレ「冗談……面白かった?」
男「お前はどっからどこまでが冗談かわかんねーよ……」
ヤンデレ「お詫びに、今日のデートは私のおごり」
男「え……?」
ヤンデレ「最初からそうするつもりだったの。ごめんなさい」
ヤンデレ「男の困った顔が見たくて……つい……」
男「ヤンデレ……」
男「でも、優先順位の件は本気で怒ってたでしょ」
ヤンデレ「え、もちろん……」
男(ですよね!)
男「例えば、ご飯より睡眠よりその人が好きだとしても、ご飯は食べなきゃいけないし、睡眠はとらなきゃならないだろ?」
ヤンデレ「悲しいことに」
男(こいつは飯・睡眠抜きって俺が言ったら死ぬまで実行しかねないな……)
男「つまりは、そういうことだ」
ヤンデレ「漫画を読まなくても、死なない……」
男「ヤンデレ、そんなに細かいことが重要か? 『俺たちの』、今日のデートプランを考える以上に?」
ヤンデレ「男……!」
このヤンデレは良いヤンデレ。
ヤンデレ「ど、どこでする? 青いのはちょっと抵抗あるけど、男がどうしてもっていうならそういうプレイも、」
男「ゴールから逆算することは重要だが、お前のそれは間違っている!」
~書店~
男「おっ、東いおり先生の新作出てるじゃーん。俺好きなんだよねー」
ヤンデレ「むすっ」
男「口でムスッとしている状態をわざわざ伝えてくれてありがとう、お前が初めてだよ。んで、俺が何か粗相をした?」
ヤンデレ「いおり……別の女を彼女の前で『好き』とか言うのはどうかと思う」
男「はっはっは、ヤンデレがそう言うことは見越していたぜ」
ヤンデレ「え、じゃあまさかわざと嫉妬させるために……? もう、そんなことしなくったって、私はあなたのものなのに……身も心も」
ヤンデレ「な、なんなら今この場でおっぱじめる……? ハァハァ」
男「うわぁ」
ヤンデレ「……引かないでほしい」
>>54 こんなヤンデレが欲しいです。
男「全く……。いおり先生は男性だよ、安心しな」
ヤンデレ「男……ホモだったの? がーん」
男「お前の思考は俺の一手先を行くから困る!」
ヤンデレ「手間のかかる彼女ほど?」
男「可愛い――とは言わない。それを言うなら『子供』、だしな」
ヤンデレ「ああ……っ! 焦らしプレイ……好き……」
男(こいつ、結局何でもいいんじゃね?)
男「まぁとにかく、俺が好きなのは女だから安心しろ」
ヤンデレ「安心できない」
男「ん……? ああ、そういうことね」
男(『女』じゃなくて、好きなのは『ヤンデレ』だけって言ってほしいわけか)
男「でも言わない」
ヤンデレ「ああっ……おあずけ……切ない……!」
男(こいつMっ気増してないか……?)
デパート ~フードコート~
ヤンデレ「はい、あーん」
男「ばっ……! 恥ずかしいからやめろっての」
ヤンデレ「どうして? いつもお家でやってる……」
男「ひ、人目があるだろ」
ヤンデレ「……? あそこのカップルはやってる」
イチャイチャ。
男「がーん!」
ヤンデレ「はい」
男「……うっ、うっ、あーん」
ヤンデレ「泣くほど嬉しい?」
男「そうだな、お前のプラス思考が羨ましい……」
ヤンデレ「えへへ……褒められた」
男(そういうところー! 言わないけどぉぉ!)
ヤンデレ「というか、私がお金を払っているので、そもそも男に拒否権はない……と思う」
男「ぐっ」
ヤンデレ「あ、今のはちょっと意地悪だった。ごめん……」
男「いいよ、確かにそうだよ」
男「元はと言えば、俺に計画性がないのが問題だしな……ふっ」
ヤンデレ「ふふっ、人のお金で食べるご飯、美味しい?」
男「なぁ、それは意地悪とは言わないのか?」
ヤンデレ「ごめん。男が面白くって、つい……」
男「全く……俺はモルモットかってーの」
ヤンデレ「どちらかというとハムスターだけど……」
男「俺、ちゃんと人間として扱われてる!? ねぇ!」
ヤンデレ「男、ほっぺにケチャップついてる」
ペロッ。
ヤンデレ「はい、とれた」
男「なっ……! ば、ばかっ!」
ヤンデレ「……ほわっとする」
男「なにが!?」
ヤンデレ「照れてる男、可愛い」
雑貨屋
男(だめだ、今日はなんかコイツのペースだ……思うようにいかない)
ヤンデレ「わぁ……見て見て、これ可愛いー」
男「クマのぬいぐるみか」
男(コイツもこういうふうに、女の子らしいところあるんだな)
ヤンデレ「ふわふわー……ねぇ、男も触ってみて」
男「どれどれ」
ヤンデレ「私の身体と、どっちがふわふわ?」ボソッ
男「ぶっ!」
男「お前、外でなんてこと言うんだ!」
ヤンデレ「ふふっ、意識……しちゃう?」
男「そんなこと言われたら嫌でも意識するわ!」
ヤンデレ「嫌……なの?」
男(これみよがしに、しゅんとした態度を見せて俺の同情を誘う作戦だろう)
男「それは落ち込んだふりだ」
ヤンデレ「……ちぇ、つまんない」
男「当たりかよ……」
ヤンデレ「カマをかけるのはよくない……。私にかけていいのはアレだけ」
男「下ネタに走るのも俺は良くないと思う!」
ヤンデレ「ちぇ」
支援
別れ話はどうなったんだ
はよ
まだかな
服屋
ヤンデレ「これ、似合う……かな」
男「ん? ああ、良いと思うぞ」
ヤンデレ「……いま、別の女、見てた」
男(す、鋭い! 一瞬気を取られただけなのにっ)
男「はっはっは、俺の目にはヤンデレしか映らないよ」
ヤンデレ「怪しい」
男(『俺は逃げ出した! しかし回りこまれてしまった!』)
ヤンデレ「で、でも、嬉しい……」
男(ちょろいなこいつ)
ヤンデレ「……次、いこっか」
男「はい」
ヤンデレ「もう、見るもの、ないよね?」
男「うん……だって、女物の店だからね……はは」
ヤンデレ「そう、よかった」
ヤンデレ「お気に入りの服が汚れないで、よかった」
ヤンデレは『名状しがたいバール』のようなものを懐にしまった。
男「……」
ヤンデレ「……」
ヤンデレ「……今のは魔法のステッキです。」
男(絶対嘘だ!)
ヤンデレ「浮気、だめ、ゼッタイ」
男「イエス。ユアハイネス」
ヤンデレ「そう。男は良い子。良い子にはご褒美をあげなくちゃ」
男「えー、なんだろうちょーたのしみ(棒)」
ヤンデレ「これを」スッ
男「なに……『しょっけん』? 食券? 手作り感満載なんだが」
ヤンデレ「違う。お触り券。略して『触券』」
男「なん……だと……」
ヤンデレ「その紙一枚で、私に触り放題。きゃっ」
ヤンデレ「子供がお父さんにあげる『肩たたき券』のようなもの……」
男「子供の純真とその欲望の紙切れを一緒にするな!」
ヤンデレ「……いらないの?」
男「いらないわけがないだろう」
ヤンデレ「男はなんだかんだ言って自分の欲求に忠実……」
男「うるさいよ!」
ヤンデレ「もぅ、えっちなんだから」
男「あー、はいはい」
ヤンデレ「じゃあ、夕飯を食べに行きましょう。もちろん男の分は私が」
男「大丈夫なのか? そんなにお金使ってもらって……なんか、悪いんだが」
ヤンデレ「大丈夫。男は私のことを財布だと思ってくれればいい」
男「嫌な言い方するなよ! 俺が最低な男に思われるじゃないか!」
ヤンデレ「いいの。男がどんなに最低でも、私の気持ちは変わらない」
男「そうか。例えば俺が浮気しても?」
ヤンデレ「……」
ヤンデレは 名状しがたい以下略を とりだした!
ヤンデレ「魔法のステッキを一振りすると、」
ブン!
男「あぶねっ!」
ヤンデレ「あら不思議。魔法の力で願いがなんでも叶っちゃう☆」
男「それは魔法の力でも不思議でもなく、何の変哲もない物理的な暴力だ!」
ヤンデレ「……?」
男「小首を傾げるな。小首を」
ヤンデレ「ふふ、男って面白い」
男(面白いことにされた!)
~夕食後~
ヤンデレ「ふぅ、美味しかった」
男「ごちです」
ヤンデレ「いいの。生活能力に乏しい男は、私の母性本能をくすぐりながら上手に生きていけばいい……」
男「さ、さいですか」
ヤンデレ「……そういう役割の、人が居てもいい」
男「ん?」
ヤンデレ「甘える人間がいて、甘えさせる人間もいる」
ヤンデレ「人は誰かに頼られることで……意義を持てる。存在できる」
ヤンデレ「そうやって、世界は回ってる。」
ヤンデレ「そう……そぅれはまるでぇ、車ぁ輪のようにィ」
男「とっつぁん!?」
男「久々に良いこと言ってるなと思ったら車輪だった!」
ヤンデレ「南雲さんが……好き」
男「最初に死ぬ人だよねぇ!?」
ヤンデレ「冗談……。ホントはセピア」
男「まだ冗談のほうがマシだった!」
ヤンデレ「……今日は、楽しかった」
男「ああ、そうだな。久々にデートらしいことしたな」
男(全て奢ってもらったのは心苦しいが)
ヤンデレ「あ、間違えた……」
男「?」
ギュッ。
ヤンデレ「手、握って良い?」
男「事後承諾かよ」
ヤンデレ「うん」
男「……で、何を間違えたって?」
ヤンデレ「『も』」
男「も?」
ヤンデレ「今日『も』、楽しかった」
男「……そ、そうか」
ヤンデレ「男、なんで目を逸らした?」
男「な、なんでもない」
ヤンデレ「顔赤い」
男「ちょ、覗き込むな!」
ヤンデレ「ちょっと、いやかなりキュンときた? ハァハァ」
男「自分で言うな! ハァハァするな!」
ヤンデレ「もーう、男が可愛いから襲っちゃうぞ?」
男「やめれー!」
きてたー
ヤンデレ「いやよいやよも好きのうち……、」
シュルッ
男「上着を脱がすなー!」
ヤンデレ「よいではないか、よいではないか」
男「あーれー、ってばか!」
ヤンデレ「……続きはウェブで。男くんの結末や、いかに!」
男「ノリノリだな」
ヤンデレ「男ほどではない……」
ヤンデレ「それに、さすがに人前では恥ずかしい。まだ」
男(まだ?)
ヤンデレ「だから――帰ったら、大人のキスをしましょう」
男「微妙に間違えてるし、お前が言うとただの痴女だし」
ヤンデレ「今、自分の彼女に痴女って言った?」
男「まあ、なんにせよ」
>>106 キタヨー
男「今度は、俺がリードするから」
ヤンデレ「ほんと……?」
男「ああ」
ヤンデレ「ほんとのほんと……?」
男「ああ」
男「だけど、期待はするなよ。一応釘を刺しておくが」
ヤンデレ「いいよ……? 男になら何を刺されても……?」
男(あ、そこでボケるんだ)
ヤンデレ「楽しみ……」
男「だからあんまり期待するなって」
ヤンデレ「あ、でも男が自立したら私はいらなくなっちゃう……」ボソッ
ヤンデレ「無理しないで……?」
男「完全に自分の都合で気遣ったよね?」
ヤンデレ「わ、私がんばるから……!」
男「やめて! それだと俺、ずっとダメなままだぞ?」
ヤンデレ「ダメなままでいい……」
男「よくねぇよ」
ヤンデレ「私は一向に構わんっ」
男「どこの海王だよ」
ヤンデレ「だって、男が真人間になったら私いらない……」
男「お前のために真人間になろうとしてるんですが!?」
ヤンデレ「え、お前のためって、そんな……嬉しい……」
男「今頃!?」
~第二部・END~
第三部マダー?
>>122 今更だけど部、じゃなくて話だよなこれ。まいっか、てへぺろー
第三部「ヤンデレの冒険」
ある日、男君がヤンデレちゃんの部屋で某有名RPGをプレイしていたそうな
ヤンデレ「……」
男「このボスつえーな、おい」
ヤンデレ「……むう」
男「回復回復……っと」
男「分身から倒すのが定石だよな、やっぱ」
男「いや、でもそう思わせといて7のヘ○クラウウダーさんみたいに本体からという可能性も……」
男「ヤンデレ、どう思」ヤンデレ「えいっ」
ブチッ
―砂嵐―
男「う……」
ヤンデレ「ねぇ……、かまって?」
男「お……、おお、俺の3時間半が、」
男「一瞬で水の泡に」
男「おお、男よ死んでしまうとは情けない……」
ヤンデレ「ねぇってば」
男「えぇー、いやだって、ゲーム外攻撃は防ぎようがないっすよ王様……」
男「ばっかもーん、貴様それでも勇者かー! いかなる逆境をも跳ね返す気位がないと世界再生などできはせんのだー」
男「うふふ。なんだかそれってとってもシンフォニア」
男「リフィル先生もびっくりだー」
ヤンデレ「お、男……?」
男「ああ……ははは、脳天に瞬迅剣を喰らった気分さ」
男「今なら傘で虎牙破斬もできそうさ。なんならアバンストラッシュもできそうさ……」
ヤンデレ「だ、だいじょぶ……?」
男「どんなボスより強いっすよ強制リセットは」
男「あ……圧倒的物理的ダメージッ……!!」
男「そう、これはまるでレベルを上げて物理で殴られたような」
男「ストⅡプレイ中にリアルファイトに発展して後ろで見てただけなのに灰皿ソニックを食らったような」
ヤンデレ「わわ……どうしよう、私のせいで男が意味不明な言葉の羅列を……」
男「人生ゲームで結婚したプレイヤーに何の祝福の感情も抱いてないのに強制的に御祝儀持ってかれるような」
男「グラツーでちょっとハンドル操作誤っただけですぐ操作効かなくなってスピンしてしまうような」
男「ポケモンで目があっただけなのに勝負を挑んでくるトレーナーのような」
男「あ……圧倒的、理不尽ッ!!」バタッ
ヤンデレ「男ーッ!?」
~数時間後~
男「なんとか一命を取り留めた」
ヤンデレ「ごめんなさい……男がゲームに夢中になりすぎてるから、つい」
男「う……うぉおお、そうだ、俺の3時間半……ッ!」
ヤンデレ「ご、ごめん」
男「謝っても俺の3時間半は帰ってこないのさ……」
ヤンデレ(やたらと3時間半に細かい……)
ヤンデレ「わかった、私がなんとかする」
男「え……?」
ヤンデレ「男の、失われた3時間半を私が取り戻して見せる」
男「でも、お前、RPGなんてやったことあるのか……?」
ヤンデレ「……ない!」
男「すげーきっぱり否定したね! いいよ……俺が自分でやったほうが早いよ……」
ヤンデレ「私に任せて」
男「いや、だからいいって、謹んで辞退させていただくって」
ヤンデレ「私に任せるがよい」
男「口調変えてもお前がずぶの素人であることに変わりはないからな」
ヤンデレ「お兄ちゃん……私に任せて?」
男「なんでいきなり妹キャラだよ」
ヤンデレ「お兄ちゃんどいて! そいつ殺せない!」
男「今この場で全然関係のない懐かしいネタを!」
ヤンデレ「うふっ、お姉さんに任せなさい?」
男「貴様……俺が姉萌えであると知った上での振る舞いか?」
ヤンデレ「え、姉萌えだったの?」
男「うん」
ヤンデレ「お、お姉ちゃんって呼ぶ……?」
男「嘘だよばーか!」
~~
ズバッ!
主人公は魔物の群れを倒した!
経験値54EXPを得た!
お金を34GOLD手に入れた!
魔物はやくそうを持っていた!
ヤンデレ「おかしい……」
男「どうした、部屋に間接照明でもなかったか?」
ヤンデレ「テキ、やくそうを持っているなら使えばよかったのに……なぜ?」
男「そういうものなんだよ」
ヤンデレ「プレイヤー側にとって都合の良い存在」
ヤンデレ「経験値はくれるしお金も持ってるし……そういえばお金って使うのかな? 魔物」
男「さぁ、魔物だから買い物できないんじゃね?」
ヤンデレ「そもそもそのお金はどこから……」
男「冒険者のものを奪ったんでしょうよ」
ヤンデレ「な、なんの目的があって……?」
男「そりゃお前……そういうものなんだよ」
ヤンデレ「二回目……」
男「悪いか、だいたい何でもかんでも理由を求めるなよ」
男「冒険を進めるためには経験値を積んでレベルアップしなきゃいけないし、」
男「お金をためていい装備を買わなきゃならないんだから」
ヤンデレ「強さの果てに何を望む?」
男「どこのタカの目だ、お前は」
男「とにかく、うだうだケチ付けてたら先に進まないの」
ヤンデレ「苦手……」
男「システムじゃなくて世界観というか設定に苦手意識を持つ奴初めて見たよ!」
ヤンデレ「でも頑張る。不慮の事故で3時間半の戦果を失った男のために」
男「不慮じゃねーよ、心当たりあんだろお前、胸に手を当てて自分に問うてみろっつんだよ」
ヤンデレ「わかった」
ふにっ。
男「おっ、俺の手をお前の胸に当ててどうすんだよ! ってか比喩だっつーの! 言葉のあやだっつーの!」
ヤンデレ「……咄嗟のハプニングエッチ。男は30のダメージ」
男「30どころじゃねーわ……」
ヤンデレ「村人Aに話しかける」
男「あ、それ町長だから。一応格上な。お前の中では全員村人Aかもしんないけど、一応な」
ヤンデレ「私にとって、男以外は全員村人Aだよ……?」
男「なにそれ嬉しいけどひく」
ヤンデレ「ちぇ」
ヤンデレ「この人、村が魔物に襲われて困ってるらしい」
男「そう。だから北のはずれの洞窟まで行って、村を襲うよう指示してる魔物のボスを倒してきてくれーって話」
ヤンデレ「モンスターに命令系統が機能するのって不思議」
男「強い奴には従うようにできてんだよ」
ヤンデレ「ちなみに私は男の命令なら絶対服従……だよ?」
男「……だよ? じゃねーよ」
ヤンデレ「たとえ男が私より弱くても、私は男を立てるよ?」
男「名状しがたいバールのようなものを躊躇なくぶん回すやつに勝てる人間はそうそういねぇよ……」
ヤンデレ「立てるし、立てるよ?」
男「……うん……?」
ヤンデレ「だから……男の男性じし、」
男「言わせねえよ!?」
ヤンデレ「洞窟ついた」
男「そうか。じゃあまず右の入口からはいって宝箱を回収するんだ」
ヤンデレ「宝ば、」
男「なぜ洞窟に宝箱があるのか。それは永遠のミステリー」
ヤンデレ「以心伝心……ぽっ」
男「今までのやりとりで、だいたいわかるわ」
ヤンデレ「男は私の全てをお見通しなのね……」
ヤンデレ「心も、体も……やだ、恥ずかしい……っ」
男(そういうところね)
ヤンデレ「おたから回収」
男「よくやった」
ヤンデレ「ご褒美は?」
男「ありません」
ヤンデレ「なでなでを所望します」
男「……」
男「……ほれ」
ヤンデレ「あっ……! 男……どこ、なでなでして……あぁっ!」
男「ほれほれ」
ヤンデレ「あっ! やっ! だめ……っ!」
男「なーでなで、なでなで。なでこなでこ」
ヤンデレ「ら、らめぇえええっ!」
男「……」
ヤンデレ「はぁ……はぁ……」
男「……悪ふざけしてみました」
ヤンデレ「……好き」
男「はっはっは」
ヤンデレ「メロメロ」
男「さて、気を取り直してダンジョン攻略だ」
男「ザガンはまだまだこれからだぞー」
ヤンデレ「違うダンジョンになってる気が……」
男「ハル○ール・インフィガール的なね」
男「さて、そろそろ中ボスのおでましな訳だが」
ヤンデレ「装備は万全」
男「うむ。ならばあえてここでセーブだ」
男「良い子の皆っ! セーブはこまめに、だよっ!」
ヤンデレ「誰に何を言ってるの……?」
男「視聴者の皆様」
ヤンデレ「メタなところも好き……っ!」
男「RPGの鉄則だ。食う時に食う。セーブできるときにセーブする」
ヤンデレ「襲えるときに襲う……」
男「それはお前の中での鉄則かもしれないな」
ヤンデレ「中ボス強い」
GAMEOVER
男「おおう!? いつの間に負けてんの!?」
ヤンデレ「フ○ーハかけないとブレス系で一網打尽……」
男「あー、よくあるな、それはな」
男「一応、慣れてきた感あるな」
ヤンデレ「慣れてきた。ガバガバ」
男「慣れることをガバガバと言う婦女子の存在を未だかつて俺は知らなかったし、知りたくもなかった!」
ヤンデレ「冗談。私ってお茶目」
男(だから、自分で言っちゃうところね。)
ヤンデレ「氷&炎対策―」
男「おっ、そうそう。後は効果が切れたら呪文かけなおして、好き放題ぼこればOK」
ヤンデレ「私も好き放題OKだよ……?」
男「アス○ロンッ!」
ヤンデレ「局部的に?」
男「やめて! 恥ずかしいから言わないでっ!」
ヤンデレ「超究武神はざーん」
男「どこの1stソルジャーだよ……せめてバトルアックスじゃなくて両手剣系の武器を装備させてやってくれ」
ヤンデレ「ぱぱぱぱーぱーぱーぱっぱぱー」
男「そういうことは知ってるのね」
ヤンデレ「有名……」
男「確かにね。でもぱぱぱぱっぱっぱっぱーでここはひとつよろしく」
ヤンデレ「ふんふふーんふーんふーんふんふっふー」
男「上機嫌だな」
ヤンデレ「好きかも、RPG」
男「ふぅん」
ヤンデレ「あ……ごめん、嫉妬したよね。大丈夫、私が一番好きなのは男だから」
男「嫉妬してねぇよ。なんでゲームに嫉妬しなきゃいけないんだよ……」
ヤンデレ「可愛い」
男「ツンデレって訳でもないからな!?」
ヤンデレ「そろそろボス戦……」
男「よし、代われ。もう十分だよヤンデレ。お前はよくやった」
ヤンデレ「ひどい……使うだけ使っておいてボス戦になったらポイなのね」
ヤンデレ「まるでボロ雑巾のように! ポイなのねっ!」
男「ボロ雑巾って言いたいだけだということは理解した」
男「さーて、やっるぞーリベンジじゃー」
ヤンデレ「ううっ……ひどい……私はしょせんレベル上げ要因だったのね……」
男(こいつ、自分がリセットボタン押したことがすべての元凶だということを忘却の彼方に置き忘れているよな)
男「……まったく、しょーがないなぁ」
ヤンデレ「いいの?」
男「一回死んだら交代だぞ」
ヤンデレ「うんっ!」
男(あれ、なにこいつ可愛い)
ヤンデレ「ふははー覚悟しろ魔王よー」
男「あ、すいません。魔王さんもっと後です」
ヤンデレ「ちっ、ただの雑魚モンスターかよ」
男「どんだけ強気!? 一応ボス級だからね!?」
ヤンデレ「メダ○ニ!」
男「それ効かないからぁああ!」
ヤンデレ「ラ○ホー!」
男「それもらめぇええええ!」
男「ていっ」
バッ
ヤンデレ「あっ」
男「ふふふ悪いな一回死んだら交代と言う約束、反故にさせてもらうぞ……」
男「お前はボス戦でやってはいけない禁忌を二度犯した。ボスにちゃっちぃ呪文は効かないのだ。なぜならボスだからだ」
男「ボス戦は神聖なのだ。小細工などいらん。純粋な力と力のぶつかり合いなのだ!」
ヤンデレ「がーん」
男「それが分からぬ貴様にボス戦に挑む資格はないっ!」
ヤンデレ「ががーんっ!」
男「ス○ルトッ!」
ヤンデレ「それは小細工ではないの?」
男「これは工夫だ」
ヤンデレ「違いがわからないよ……わけがわからないよ……」
男「ティロ・フィナーレ!」
ドガーン。
男「ふっ、虚しいものだな。容易に得られる勝利というのも」
ヤンデレ「割とターン数かかってたけど……」
男「しゃらっぷ! ボスはHP高いからしょうがないのだ」
ヤンデレ「そういうもの?」
男「そういうもの」
ヤンデレ「今度は私一人でやりたい」
男「えー、なに、ボス戦?」
ヤンデレ「うん。自分の力だけで倒す」
男「めんどくせー、次の町行こうぜ?」
ヤンデレ「やだのやだの! たおすのー!」
男「幼児逆行!? おっと、こんなに我儘なヤンデレちゃんは久しぶりだ!」
ヤンデレ「私も倒すのー!」
男「なぜそうまでしてこだわるんだよ。次のボス戦任せてあげるから、とかじゃだめなの?」
ヤンデレ「だめなのー! だって、だって男と同じ感情を味わいたいんだもん……」
男(正直めんどくせぇ)
男「わかったよ、ほら」
ヤンデレ「やん、男優しい」
男「そうせざるを得ないだけだ」
ヤンデレ「さー、倒すぞー」
ヤンデレ「あ、あれ……? 回復が上手くいかない」
ヤンデレ「ホ○ミかけても敵の二回行動でダメージ上乗せされて削られる……ジリ貧……」
ヤンデレ「男助けて?」
男「だー、言わんこっちゃない」
男「まずは防御を固めてだな、そしてCPUの戦略は命大事にすることを忘れてはいけない」
ヤンデレ「おおー」
男「いのちだいじに!」
ヤンデレ「うん……男の次に大事にするね?」
男「おお……お前はぶれないよな」
ヤンデレ「くらえーい、これが草薙の拳だぁー」
男「今のは草薙の拳ではない、メ○だ」
ヤンデレ「勝った! 嬉しい!」
男「そうか、よかったな」
男(これでようやく次の町に行ける……)
ヤンデレ「RPG面白い」
男「それは何よりだ。趣味を分かってくれる人が増えて俺は嬉しい」
ヤンデレ「なによりそれが彼女だっていうところが、ミソ?」
男「あの、自分で言うことによって俺の感情が若干しらける可能性をお前は考慮したことはないか?」
ヤンデレ「男が好きなものが好きになれて嬉しい」
男「そ、そうか」
ヤンデレ「照れてる?」
男「まぁ……若干な。面と向かって言われると、その、照れるよ」
ヤンデレ「素直……レア!」
パシャパシャ
男「わー! なんだなんだ! 写真を撮るな! 俺は零に出てくる幽霊ではないんだぞ!」
ヤンデレ「男が幽霊なら、一番弱いフィルムで何度でも取ってあげる。じわじわとなぶり殺しにするように、何度でも、角度を変えて取ってあげる……はぁはぁ」
男「こえぇよ」
ヤンデレ「それはそうと零シリーズの女の子ってみんな可愛い」
男「そうだな。俺は海咲ちゃん押しだな」
ヤンデレ「むっ」
男「自分で話ふっといて褒めるとこれだよ」
ヤンデレ「じゃあ私、海咲ちゃんのコスする」
男「まじで!?」
ヤンデレ「……やっぱやめた」
男「なんでさ!」
ヤンデレ「冗談。男面白い。コスプレ好きなの?」
男「コスプレしてるのを見てるのは好き」
ヤンデレ「じゃあ、RPGで次の町私に救わせてくれるなら、コスしてもいいよ?」
男「ふっ、ではこちらも条件を追加させてもらおう」
男「海咲とあやこちゃんコスだ!」
ヤンデレ「……いいだろう。結ぶぞ、その契約!」
男「性別的に台詞が逆な気がするが、これで私とお前は共犯者だーといったところか!」
ヤンデレ「では、次の冒険にれっつらごーなのです」
男「俺たちの冒険は、まだ始まったばかりだ!」
~とりとめもなくEND~
おまた
男くんの妹が重度のブラコンでヤンデレちゃんとなんやかんや
というありきたりな設定の第四部が始まるよっ!
~回想~
妹「おにいちゃーん、風船取れないよー」
男「全く、しかたないな妹は」
男「よっ……と、おわっ!」
妹「お兄ちゃん、危ないっ!」
ドシーン
男「いてて……」
妹「お兄ちゃん、大丈夫!?」
男「ああ、どうってことないよ……それより、」
男「ほらっ、大切なものを簡単に手離しちゃだめだぞ」
妹「うんっ! お兄ちゃんありがとー!」
妹(大切なものは手放しちゃだめ……か)
妹(お兄ちゃん……)
ジリリリリリ
男「うー……五月蠅い」
ポチッ
男「全く、何故この目覚まし時計と言うやつは人の耳朶を打ち、不快指数を増長させる音を的確に鳴らしてくれるのだろう」
シャーッ
男「カーテンの隙間から外の世界を覗いた。すると全てを洗い流すような大雨……が降っている訳でもなく、普通に晴れていた」
シャッ
男「もう一度カーテンを閉めると、ただでさえ薄暗い部屋の陰気が増した気がした」
男「特筆すべき点など無い。いつもと変わらない朝。部屋にこもる湿気と、夜を経て僅かに二酸化炭素が増した空気」
男「しかし、何故休みの日に目覚ましで起こされなければならないのだ、と憤りをぶり返してみるも、スイッチを切り忘れた昨日の自分に言えるはずもなく」
男「まだ7時の時計に焦点を合わせ、意味もなくボーっとしていると、たまらなく自分が無駄な時間を過ごしている気持ちになる」
男「あと3時間寝てから起きたって、午前中だ。十分健全の範囲内と呼べるだろう。なんてったって午前中なのだから」
男「しょうがないからプ○キュアでも見るか、等と考えつつ、僕は枕から頭を引きはがし、起床フェイズに移行した」
妹「お兄ちゃん、何言ってんの?」
男「……」
男「……僕は目の前で不思議そうな顔をしている少女を見つめた」
妹「え、ええ?」
男「この顔には見覚えがある。というか僕の妹だ」
妹「お、お兄ちゃん?」
男「先ほどまで『ラノベ風に起床でもしてみるか』なんて寝起きの発想で、一人狂言のようなセリフを垂れ流しつつ布団でもんどりうっていた僕の様子を、」
男「妹は『この人何してんだろう』という感じでじーっと見つめていたのだ」
男「さて、今のこの僕……というか、俺の気持ちを30文字程度で述べよ」
妹「!?」
妹「まぁ、多分『恥ずかしい』とか『びっくりした』とかそういうことだと思うんだけど、それって今のお兄ちゃんの気持ちを表すのに不十分だと思うの」
男「そうだな」
妹「それはあくまで、恥とか驚きみたいな一括りの言葉ではなくて、『ラノベ風に起床してみたら、それを妹に見られていた』という言葉でしか表せないんじゃ」
男「エレス・コレクート!!!」
妹「何語!?」
男「死因。恥ずか死」バタッ
妹「おおおお兄ちゃーん!?」
~~
男の部屋
男「全く、来るなら来ると連絡してくれれば良いじゃないか」
妹「したもん。でもお兄ちゃん無視するんだもん」
男「そんなわけ……ハッ」
男(ヤンデレからの着信が5分おきに来るから、携帯電源切ってた……)
妹「どしたの?」
男「いやいやいや、なんでもありませんでございますよ」
妹「なんで敬語が重複するんでございますですの? 怪しい」
男(妹が知ったら絶対心配するというか、別れろとか言って、ヤンデレの元に乗り込みかねないからな……)
男(……いやいや、俺がヤンデレと別れたくないとかじゃなくて、妹の身を案じてだな……)
男(そう、これは妹のため!)
男「いやいや、世の中には知らない方が良いこともあるあし、知らなくて良いこともあるんだよ」
男「深淵を覗く者は同様に深淵からもまた覗かれているのだ、的な言葉があってだな……」
妹「ふーん……? 深淵ってなに? 生き物?」
男「いや、まぁ、なんというか……」
妹「へへっ、それより、今日はお兄ちゃんにいっぱい甘えちゃおっ」
ギュ
男「こらこら、お前はいくつになっても甘えんぼだな」
妹「いいもーん、甘えんぼで」
男「はっはっは」
男(こんなところヤンデレに見られたら終わりだな)
ピンポーン
妹「誰だろう、お兄ちゃんとのラブラブタイムを邪魔する不届き者は……」
男「ちょ、ま」
妹「はーい」ガチャ
ヤンデレ「ちゃお」
男「深淵があらわれた!」
妹「ど、どちら様でs」ヤンデレ「男」
男「はい」
ヤンデレ「1つだけ……確認したいことがあるんだけど……」
男「うん、俺も一つだけ言っておきたいことがある。落ち着け」
ヤンデレ「わかった。深呼吸する。すーはー……すーはー」
ヤンデレ「うんっ……よし。お部屋の『お掃除』するから、包丁貸してもらえる?」
男「掃除に包丁は使いません!」
妹(ば……解体される!?)
ヤンデレ「……」
男「妹だ。ヤンデレ。い・も・う・と。ドゥーユーアンダスタン?」
ヤンデレ「妹……そう、妹だから、性別は女だよね」
男「!?」
ヤンデレ「自分の彼氏の家に彼女以外の女がいたら、ダメだよね……?」
妹「ひぃっ!?」
男(こんなときにアレだけど、お母さんが掃除しに来たとかでもダメ判定なのかコイツ?)
男「ヤンデレ。いいか? 家族に性別は関係ない」
ヤンデレ「……ん、男でも女でもオーケーという意味……?」
男「解釈おかしいだろ! つーか、そもそも妹を異性の対象として見たことなんかねぇよ!」
妹「がーんっ!」
男「え?」
妹「いやいやいや、なんでもございませんですのよ」
ヤンデレ「……なんで敬語が重複するの……? 怪しい……」
妹「なななな何をおっしゃるんですか、だ、大体あなた、お兄ちゃんの何なんですかっ!?」
ヤンデレ「何って……ポッ」
男「口に出して『ポッ』って言うてもーたよコイツ」
男「妹、まぁこの際だからもうバラすが、この女が俺の彼女だ。ヤンデレだ」
ヤンデレ「初めまして」
妹「え、え? は、初めまして……?」
ヤンデレ「ええ、そしてさようなら」
妹「!?」
~惨劇の後(嘘)~
男「落ち着いたか?」
妹「う、うん……」
妹(この人が本当にお兄ちゃんの彼女……? 確かに可愛いしサラサラ黒髪ツインテールだし、物静かで知的な感じだし……うぐ、胸も大きい)
ヤンデレ「ほんの冗談だったのに……」
男「そうか。だったらバールしまえよ」
ヤンデレ「念のため」ジッ
妹(すっごい見てくる! すっごい見てくるよヤンデレさん!)
ヤンデレ「……」ニコッ
妹「」ビクッ
ヤンデレ「なかよくしよう……ね?」
妹「は、はぁ……」
ヤンデレ「ね?」
妹「はいっ!」
ヤンデレ「……」
妹「……」
男(どうしようか、この空気……)
男「あー、なんだ。とりあえずお前ら、お茶でも飲むか?」
ぐぎゅるるる
ヤンデレ「……」
妹「……」
男「あー、悪い」
妹「……あ、お兄ちゃんお腹空いてr」
ヤンデレ「食べる?」
男「……、一応聞くけど、何を?」
ヤンデレ「私を」
妹「!?」
男「予想はできた」
妹「お兄ちゃん何でそんな冷静なの!?」
男「慣れって恐ろしいな……とりあえずカップめん作るわ」
妹「ま、待って! 私こんなこともあろうかとお弁当つくってk」
ヤンデレ「もぐもぐ」
妹「ッキャー!」
妹「何してんですかあなた! 返しなさいよ私の手作り弁当!」
ヤンデレ「とても美味しかった……褒めて遣わす」
妹「あ、どうも。一応自信作なんですよー……じゃなくて!」
ヤンデレ「むっ……このノリの良さ……まさか男の妹というのは本当に……?」
妹「今頃!? ねぇ、今頃!?」
ヤンデレ「そうすると、将来的には私の……」
ヤンデレ「お姉ちゃん、って、呼んでみて? 『おねー』って伸ばした後に、『ちゃんっ』って可愛く」
妹「お断りしますけれど!? なにそのこだわり!」
ヤンデレ「うふふ、私の妹、か」
妹「か、勝手に貴女の妹にしないでください!」
ヤンデレ「私、ずっと妹が欲しかった。ひとりっこ」
妹「そ、そうなんですか」
ヤンデレ「棚ぼたとはこのこと」
妹「勝手にぼたもち扱いしないで……」
ピピピピピ
男「カップめん3人分おまち」
ヤンデレ「わーい、男の手作り」
妹「カップめんは手作りとは言わないです。ていうか、まだ食べるんですか」
ヤンデレ「男が私のために作ってくれたものは、いくらでも」
妹「さいですか」
ヤンデレ「妹ちゃん、塩と豚骨どっちがいい?」
妹「えっ? じゃ、じゃあ豚骨で……」
ヤンデレ「はい、どーぞ」
妹「あっ、ありがとう……ございます……」
妹(ちょっと優しいところもあるのかな)
男「おおお」
妹「?」
男「なんか仲良くなった?」
ヤンデレ「うん。既にお互い『妹ちゃんっ』『おねーちゃんっ』って呼び合う仲」
妹「そこまで仲良くなった覚えはありませんが!?」
ヤンデレ「うーん……『妹御よ』『なんだい姉貴』とかのほうがいい?」
妹「違う違う。根本的に違う」
ヤンデレ「ヤンデレシスターズ」
妹「某アララギさん家の炎姉妹みたいな名称つけないで!?」
ヤンデレ「……楽しい」
妹「何が!? ねぇ、お兄ちゃん、この人変だよ!?」
男「そうだな。突っ込みがいてくれるとこんなに楽なんだな……ふぅ」
妹「こっちはこっちで変な感動に浸っている!?」
ヤンデレ「マハラギ君、自分の本分を忘れてはだめよ?」
男「人のことをアトラス作品の魔法みたいな名前で呼ぶのはやめてくれ」
ヤンデレ「アトラスと言えば……P4よりP3が好き」
男「いきなりだなおい」
ヤンデレ「人間関係のドロドロした感じがリアリティあって……いいよね」ジッ
妹「そこでなぜ私を見るんですか!?」
ヤンデレ「いや、そういえば義理の妹という可能性があったなぁ……と思って」
シャキーン
妹「バールしまってください!?」
男「安心しろヤンデレ。こいつがたとえ義理の妹でも、俺は恋愛対象としてみない」
妹「がーんっ!!」
男「え?」
妹「いやいや、お兄ちゃん、妹がお兄ちゃんを敬愛するのは至極当然のことでございますのよ?」
男「そうなのか」
妹「そうなんでございますのよ」
男「……」
妹「だから、お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ!」
男「どっかで聞いたフレーズゥウ!」
ヤンデレ「何が関係ないのか詳しく」
妹「そりゃあ、『彼女がいること』とか『結婚できないこと』とか、ねっ!」
男「いや、関係あるだろ」
妹「ないもんっ!」
男「ええー!? なにその開き直り!」
妹「もういいもん! 私……だって、私、ずーっとずーっと前からお兄ちゃんのこと大好きだったんだもん!」
男「」
妹「兄弟同士でいけないことだってわかってるけど……でも、お父さんとお母さんには納得してもらうしかない……よね?」
男「『……よね?』じゃなくて、父母の前に俺が納得していないんですけど」
ヤンデレ「待って、私も納得してない……」
妹「だから……だから……!」
妹「あなたなんかにお兄ちゃんは渡さないんだからっ!!!」
妹「うぐ……っ、うっ、ふえーん!!!」
男(泣いちゃったよ……どうしよう……)
ヤンデレ「……」
男「……」
ヤンデレ「……ふぅ」
ヤンデレ「男」
男「はい」
ヤンデレ「なに、この可愛いいきもの」
妹「!?」
男「はい、妹という生物にございます」
ヤンデレ「妹ちゃん」
妹「なっ、なんですか」
ヤンデレ「妹ちゃんが妹じゃなかったら、魔法のステッキ一振りで問題解決だけど」
妹「えっ」
妹(それバールだよね)
ヤンデレ「その可愛さと、『どうせ男に恋愛感情ないし』、『妹だから結婚もできないし』、と言う事実に免じて」
ヤンデレ「許します」
妹「許されたっ!? しかも辛辣な言葉を並べられて!」
ヤンデレ「好きな人を取られる気持ちは痛いほどわかる」
妹「……」
男(ヤンデレがまともなことを言おうとしてる気がする)
ヤンデレ「でも、考えてみて?」
ヤンデレ「本当に好きなら、その人のことを応援してあげるべきじゃないのかな」
妹「……うっ、ヤンデレさん」
ヤンデレ「だめ。おねーちゃん」
妹「えっ、お、おねーちゃん」
男(言い直させたっ!)
妹「うん……おねーちゃんの言う通りかもしれない」
妹「だって私はブラコンでお兄ちゃんのことを心から愛しているけれど」
妹「所詮は妹だもの……」
ヤンデレ「そうそう。自分の立場がようやくわかってきたみたいね」
男「おねえちゃん酷いッ!」
妹「うん……私、二人の邪魔しちゃってたよね」
ヤンデレ「うん」
男「だから酷いッ!」
妹「あはは……今日は、もう帰るね」
妹「お兄ちゃん……私、お兄ちゃんのことが好き……」
妹「だから……応援するね、お兄ちゃんと、ヤンデレさんのこと」
男「お、おう……?」
妹「お幸せにっ!」ダッ
男「妹ー!?」
ヤンデレ「……一件落着」
男「どこがだよ……」
ヤンデレ「兄を愛する少女は、正妻を見て潔く身を引いたのであった。完」
男「いつ婚姻を交わしたんだよ、俺とお前が」
ヤンデレ「あ・な・た」
男「どうするかなー、妹が俺にそのような感情を持っていたとは……」
ヤンデレ(ガン無視……)
ヤンデレ「妹さんの気持ちに折り合いがつくまで、待とう」
男「そうだな……」
ヤンデレ「じゃあ、落ち着いたところでイチャイチャしよう?」
男「全然落ち着いてないから……」
~数日後、男宅~
妹「お・に・いっ、」
男「むっ、この気配はいも、」
妹「ちゃーんっ!」
ドゴフッ
男「ぐはっ」
男「妹よ、兄に背後からフライングボディアタックをしてはいけないとお母さんから教わらなかったか?」
妹「全然!」
男「おおう……なんか今日はやけにハイテンションだな」
妹「これ、見て、これ!」
ピラッ
男「なんだ……?」
妹「ほら、私たち、実は血の繋がってない兄妹なんだよ!」
男「はい?」
妹「お父さんとお母さんが、私たちがすっごーく小さいころに再婚してて、」
妹「それぞれの連れ子だった、というわけなのさ!」
男「……はい?」
妹「つまり、私たちは完全に血の繋がってない義兄妹! 結婚可能!」
男「え……?」
妹「だからー、要するに合体可能なの!」
男「待て、なにそのアクエリオン的結論」
妹「あなたと……合体したい」
ヤンデレ「その合体、ちょっと待った」
妹「なっ、ヤンデレさん、いつの間に!?」
ヤンデレ「ずっと前から」
男(こえぇよ)
妹「し、しかし! ヤンデレさんとて今や妹という枠組みに収まらない私を止めることなd」
ヤンデレ「黙れ、そして聞けい」
男「ゼ○ガー!?」
ヤンデレ「我はゼ○ガー・ゾンボルト。悪を断つ剣なりぃいー」
妹「ちょ、まっ」
ゴスッ
妹「がふっ」
妹(だから……それ……バールだよ……ね? 斬艦刀じゃなくて、ね……?)
ドサッ
ヤンデレ「悪は滅びた」
男「展開が急すぎてもう」
ヤンデレ「私はこの剣に誓おう」
男「剣じゃないとか、もうつっこまねぇ」
ヤンデレ「これから第二第三の妹が現れようと、この剣で悪を断ち続けると……」
男「あの、人斬りだけはマジでやめてね?」
ヤンデレ「妹襲来編・完」
男「勝手に終わらせられた!?」
~ありきたりな設定の妹編・完~
追いついた
ギャグがのテンポが銀魂とか、化物語に似てる。面白い
このスレと『別れ』るなんてやだよ
男「怪談百物語、はじまりはじまりー」
ヤンデレ「いぇーい、ドンドンパフパフ―」
妹「ううー……怖いの苦手なのに」
男「大丈夫だ妹よ、お兄ちゃんがついてる」
妹「お兄ちゃん……!」
妹(いや、そもそも断ったのを無理やり連れてきたのはそっちなんだけどね……?)
ヤンデレ「じっ」
妹「おねーちゃん、羨ましそうなもとい恨めしそうな目でこちらを凝視するのはやめていただきたい」
ヤンデレ「私も言われたい……」
男「何をだよ……」
ヤンデレ「とりあえず、男には私が憑いてるから大丈夫」
男「その誤植怖いんですけど」
ヤンデレ「誤植……?」
男「どうやら違った! 本気だったみたいだ!」
妹「うぅ……、とりあえずさっさと始めてさっさと終わらせようよぉ……」
ヤンデレ「では、僭越ながら私がトップバッターを」
男「お、やる気満々だな」
ヤンデレ「こほん。では……いきます」
ヤンデレ「むかーしむかしあるところに」
男「待て、それは本当に怪談か? 出だしからして昔話だぞ」
ヤンデレ「懐談」
妹「懐かしむんですか!?」
ヤンデレ「私ってお茶目……」
妹「あ、それ自分で言うんだ……」
ヤンデレ「いわゆる、てへぺろというやつ」
ヤンデレ「それはさておき……これは、私の知人が本当に体験した話です」
男「お前知人とかいたんだ」
ヤンデレ「……」
男「わ、悪かったよ。そんな涙目でにらむなよ」
妹「あ、ほら、続きは? おねーちゃんっ」ニコッ
ヤンデレ(妹ちゃん可愛い)
ヤンデレ「こほん。……私の知人はファミレスでバイトをしているのですが、その日は夜勤でお客さんの入りも少なかったそうです」
ヤンデレ「知人は暇な時間を掃除にあてがいながら、何気なくお客さんの数を数えてみました」
ヤンデレ「深夜1時の時点で1組のカップル、中年の男性、若者3人、中学生ぐらいの女の子の計7人」
ヤンデレ「やがて30分くらいでカップルが去り、しばらくすると中年の男性、若者グループが去りました」
ヤンデレ「残ったのは女の子だけだ、と思い席のほうを眺めてみると、誰もいません」
ヤンデレ「知人は首を傾げ、「さっき中学生ぐらいの女の子がいたよね」とシフトが同じ人に尋ねると、そんな女の子はいなかったの一点張り」
ヤンデレ「少し気味の悪さを覚えつつも、その日の業務は何事もなく終了しました」
妹「ごく……」
ヤンデレ「……」ソワソワ
ヤンデレ「それは……、お前だー!!」妹「ぎゃー!!!」
男「やめれ」
ビシッ
ヤンデレ「あうっ」
男「脈絡がなさすぎるだろ! それで驚く妹も重傷だが……」
妹「だ、だだだって! いきなりおっきい声出すんだもん!」
ヤンデレ「ふふ、妹ちゃん可愛い」
男(悪趣味っ!)
ヤンデレ「こほん。さて、続きです」
ヤンデレ「再び夜勤のシフトになった知人は、その日もお客さんの数を数えていました」
ヤンデレ「深夜1時の時点で計6人。この間の女の子は見当たりません」
ヤンデレ「なんだか落ち着かない様子でソワソワしていると、「すみません」と背後から声をかけられました」
ヤンデレ「びっくりして振り返ると、おばあちゃんが手を挙げていて、「コーヒーのおかわり」と一言。」
ヤンデレ「そのおばあちゃんの優しそうな顔にどこか安堵を覚え、「かしこまりました」と言って知人はキッチンに向かいました」
ヤンデレ「同僚が怪訝そうな顔でこちらを見ていましたが、気にせずコーヒーを注いで戻ります」
ヤンデレ「すると、僅か2分ほどの間だったにも関わらず、おばあちゃんの姿がどこにも見当たりません」
ヤンデレ「この間の女の子の件を思い出し、なんだか知人は背筋に寒気のようなものを覚えました」
ヤンデレ「思わず、近くの席に座っていた初老の男性に話しかけます。「失礼ですが、こちらに座っていたお客様って、お帰りになられたか分かりますか?」」
ヤンデレ「しばらく男性は面食らった後、「あなた、見える人ですか?」と聞いてきました」
ヤンデレ「その言葉で直感的に、知人は「ああ、あのおばあちゃんはこの世の者ではなかったのか」と納得しました」
ヤンデレ「「集まるところには集まるらしいですから……なあに、害はありませんよ」と男性。知人はお礼を言って、「もしよろしければ」と淹れたてのコーヒーを男性に差し出しました」
ヤンデレ「キッチンにトレイを下げに戻ると、やはり怪訝そうな顔をした同僚に「さっきのコーヒーは?」と聞かれました」
ヤンデレ「「ああ、多分聞かない方が良いよ。とりあえず別のお客様にあげちゃった」と答えると、同僚の顔がみるみるうちに青ざめていきます」
ヤンデレ「「言ってもいいかわかんないんだけど……うーん」と同僚は何やら考え込んでいる様子」
ヤンデレ「「どういう意味?」と尋ねると、「誰もいないんだよ」と同僚は答えました」
ヤンデレ「「……この間も、今日も、深夜1時のシフトが始まってから今の時間まで、この店にはお客さんなんて『誰一人』来ていないんだよ」」
ヤンデレ「果たして、知人の目に見えていたお客さんは、一体なんだったのでしょうか」
ヤンデレ「……以上。知人の実体験にもとづく怪談でした」
妹「お……おぅふ……」
男「すげー、そんなことってあるんだな」
ヤンデレ「ちなみにその場所っていうのが、」
妹「あーあーきこえなーい」
男「リアルでこんな事する人初めて見た!」
ヤンデレ「妹ちゃんの家の近くの」
妹「あーあー!」
ヤンデレ「……、うっそぴょんっ」
妹「ウソなの!? そしてなんでちょっと逡巡した後に可愛らしい言い方したの!?」
ヤンデレ「面白いかな、と。ちなみに本当の場所は……」
妹「あーあーあー!」
ヤンデレ(面白い……)
男「さて、じゃあ次は俺だな」
ヤンデレ「猥談?」
男「ちげーよ怪談だよ! なんで実の妹がいる前で猥談だよ!」
妹「うぅ……、怪談も猥談もいやぁ……」
男「だから怪談だっての……コホン、では」
男「あれは俺がまだ小学生ぐらいのときでした」
妹「待ってお兄ちゃん。それって実体験?」
男「ノーコメント」
妹「ふぇぇ……」
ヤンデレ「小学生時代の男……ハァハァ」
男「……ノーコメント!」
ヤンデレ「ちぇ」
男「まぁ、その頃クラスで怖い話とかが流行ってさ」
男「合わせ鏡を作ると悪魔が現れる、とかいうやつを実行してみたわけよ。夜12時」
妹「うわーん、やっぱり実体験なんだ!」
男「まあ、いいからいいから」
男「何のことはなかったよ。ただ鏡を持ってる俺がずーと写ってるだけで、悪魔なんて出てこなかった」
妹「ほっ」
男「うん、悪魔は出てこなかった」
妹「何が!? 何が出てきたの、お兄ちゃん!?」
妹「あっ! でもいい! やっぱり言わないでください!」
ヤンデレ「聞きたい……」
妹「いやー!」
男「まあ、ご想像にお任せするということで。それ以来俺は一生合わせ鏡をしないと誓ったけど」
妹「意味深すぎて逆に怖い!」
ヤンデレ「貞子的なやつ?」
男「いや、そこまでではない」
妹「『そこまでではない』!? 貞子以下の何かしらが出てきたの!? こえぇよ!」
ヤンデレ「怖さのあまり妹ちゃんの口調が崩壊を……」
男「いやぁ、実はあんまり思い出したくないんだよ」
妹「よし、じゃあもうこの話題やめよう! 次行こう、次!」
ヤンデレ「妹ちゃんが乗り気になってくれて嬉しい」
妹「ち、違うんだからね! 乗り気とかじゃないんだからね!」
男(ツンに見せかけたマジ否定とは、妹よいつの間にそんな高等テクニックを……)
妹「ていうか、次って順番的に私ですか? あんまり怖い話とかはちょっと……」
男「何でもいいぞ。天井のシミが人の顔に見えたー、とか」
ヤンデレ「微妙に部屋のレイアウトが変わってたり、自分以外の髪の毛が落ちていたりとか」
男「うん、それ俺の体験だね! そして犯人はお前だ!」
ヤンデレ「てへぺろ」
妹「あっ」
男「なにか見つかったか? 怖い話」
ヤンデレ「言っちゃいなよゆー」
男「どこのジャニーさんだよお前は」
妹「話とかじゃないけど……、お兄ちゃんとヤンデレさんのやりとりに慣れつつある自分の変化がちょっと怖い」
The・End
ヤンデレ「今回はきれいに落ちた。……ちょちょいのジョイやで!」
男「落ちてねえよ。落ちてるのは油汚れだけだよ」
ヤンデレ「更新遅かったね。私男とイチャイチャできるのをずっと待ってた」
男「更新とかメタな話はらめぇえええ!」
ヤンデレ「……実は今回の話、過去編のインタールードになってる」
男「そんな某巨人みたいな嘘まみれの次回予告はよくない。そしてやるなら笑いを取りに行けよ」
ヤンデレ「次回! 特に理由のない暴力が男を襲う編!」
男「丸パクリじゃねーか! 少しはひねりなさいよあなた!」
ヤンデレ「次回! 特に理由のないヤンデレが男を愛しすぎて夜も眠れない綿流し編!」
男「色々混ざってるし! 意味わかんねーし! 最後の物騒なんですけどL5発症したりしないよね!? ダイジョウブだよね!?」
ヤンデレ「こうご期待!」
よし期待
乙
>>302-306 待たせたな(キリッ
~第五部 ストーリーなんて飾りです。
偉い人にはそれが分からんのですよ編~
男「う……! うぁっ……!」
ヤンデレ「ねぇ……まだ……?」
男「ぐっ……ちょ、ちょっと待て」
ヤンデレ「はぁはぁ」
男「や、やめろ……ヤンデレ、それ以上は……っ!」
ヤンデレ「だめ。やめてあげない」
男「あっ……もうヤバい! だめだって!」
ヤンデレ「ふふ……男、今どんな表情してるの……? 暗くて良く見えない……」
男「ぐっ……! あぁ……来る! もう来るってば!」
ヤンデレ「ペースあげるね」
男「あっ! こら、だっ、だめ! 来ちゃう! 来ちゃうんだって!」
ヤンデレ「はぁ……はぁ……」
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン!
男「らめぇええそんなにチャイム鳴らしたらお隣さん来ちゃうのぉおおおお!!!」
~~
男「ていっ」
ヤンデレ「あうっ」
男「人がう○こしてる最中に訪ねてきやがって……しかも、なかなか出てこないから浮気と疑ったんだろどうせ」
ヤンデレ「……私よりう○こが大事なの? 私はう○こ以下のクソ女だって言いたいの? 男、ひどい」
男「ちげーよ、っつーかどこのミコノさんだよ」
ヤンデレ「あまたくん!」
男「ねーから。光の翼が足から出てきたりしないから」
ヤンデレ「まぁ冗談はさておき……」
男「近所迷惑っていう部分に関しては冗談になってないんだけどな」
ヤンデレ「ダイジョウブ。お隣さんが『いなければ』文句を言う人はいない……」
男「待て、お前……。201号室と203号室の人……どこにやった?」
ヤンデレ「……君のような勘の良いガキは嫌いだよ」
男「ニーナ、アレキサンダーッ!!!」
ヤンデレ「ジョバンニが一晩で殺ってくれました」
男「『やる』の意味が違うから!」
ヤンデレ「圭一君、お隣さんは『転校』したんだよ……だよ?」
男「サトシにぃにーーー!」
ヤンデレ「こほん。隣が留守であることは調査済み、男が最中であることも調査済み」
男「よかった……ほんとに。さーて、監視カメラどこだー?」
ヤンデレ「あう……」
~~
ヤンデレ「キスを……してみませんか、キスをして、いただけますか…違う……キスを……しま、キスをしましょう。阿良々木くん」
男「ガハラさんみたいな言い方してもダメだし、俺は阿良々木くんじゃないし」
ヤンデレ「ちぇ」
男「で、なに」
ヤンデレ「……?」
男「そこで小首を傾げるか。何の用か、ってこと」
ヤンデレ「用なんて……ないよ?」
男「なるほど。人の大便を邪魔する理由にはなってないな、という訳でゴーホーム!」
ヤンデレ「分かった。もっかい帰ってまた来るね?」
男「同じだから! 結果同じだから!」
ヤンデレ「じゃあ男の家に帰るね?」
男「ここだから! 俺の家! やはり結果変わってないから!」
ヤンデレ「じゃあ、男の実家に帰って挨拶してくるね?」
男「ここにいてくださいお願いします!」
ヤンデレ「やだもう男ってば……言われなくてもそのつもりなのに……」
男「……はあ、いい。いいよもう……居とけよ」
ヤンデレ「えっ……『俺の傍にいろよ』だなんて……男、ダイタン……」
男「言ってねえから。それは幻聴だから」
ヤンデレ「照れ屋……」
男「はぁ、とりあえず漫画でも読んどけよ。俺はもっかいトイレにこもらせてもらう」
ヤンデレ「わかった。出そうになったら言ってね?」
男「ああ、わかっ……いや言わねえよ!? さも当然の如く言われたけど、何するつもりなの!?」
ヤンデレ「大丈夫。さすがにそういうディープな趣味はない……けど、男の苦悶に満ちた表情をハァハァ」
男「十分ディープだし、最後ハァハァでいえてないし」
ヤンデレ「眉間にしわを寄せていきむところから出しきったところの解放感に満ち溢れた表情の一部始終を……」
男「いいから! 最後まで言わなくていいから!」
ヤンデレ「そう……じゃあ、漫画でも読むことにする。ちょうど……第五部だから、ジ○ジョ第五部読んでおく」
男「メタな話しちゃらめなのぉおおお!」
ヤンデレ「男はお腹の中のムーディー○ルースをトイレでエ○ロスミスッ! してきていいよ?」
男「いいよ? じゃねえよ! 荒○先生に怒られるぞお前!」
ヤンデレ「戻ってきたらブチャのかっこよさについて語ろう……」
男「くっ……大便とヤンデレの相手、両方やらなくっちゃあならないのが幹部の辛いところだ……ッ!」
~WC後~
男「アリーヴェデルチッ!」
ジャゴー(トイレの水を流す音)
男「すっきり!」
ヤンデレ「もう、男ってば……いっぱい溜めてたのね」
男「やめて! 何か違う別のものを溜めてたように聞こえるから!」
ヤンデレ「あ……ごめん、気づかなくて」
カチャカチャ
男「待て」
ヤンデレ「どうして止めるの……?」
男「普通いきなりズボンのベルトをカチャカチャされたら止めるだろう」
ヤンデレ「……。スティッキーフィンガーズッ!」
男「無駄無駄無駄ァッ! 読めていたぞッ!」
ヤンデレ「でも……男のスピ○ット・オブ・ソードもうこんなにダブルオーバーソウルだよ……?」
男「だよ……? じゃねえよ! 武井先生にも怒られるぞお前!」
ヤンデレ「あなたの甲縛式OSになりたい」
男「十分縛られてるんで遠慮します」
ヤンデレ「じゃあ、あなたと憑依合体したい」
男「どっちか死なないと無理!」
ヤンデレ「男が死んだら、持霊にしてあげる……」
男「まん太ぁあああ!」
ヤンデレ「リーパイロンみたいに身体そのままでゾンビ化も捨てがたい……かも」
男「何をする気だ、俺の体を媒介にして」
ヤンデレ「コホン。さて、今日は良いものを持ってきました」
男「うわーヤンデレは相変わらず唐突だなー」
ヤンデレ「良いもの、一体なんでしょう……?」
男「なんだ?」
ヤンデレ「ナウいものです」
男「うん、まずその言い方がナウくねーわ」
ヤンデレ「色のついた丸が描かれています」
男「……国旗?」
ヤンデレ「男面白い」
男「不正解なんだな。そうかそうか。いやー外れちゃったな残念だな。寝るわ」
ヤンデレ「あっ、待って待って……恋人同士で楽しむものです」
男(どうせツイスターゲームとかなんだろうな)
ヤンデレ「当たり」
男「マジだった! ていうか心を読むな!」
ヤンデレ「読唇術を以てすれば容易い……」
男「動いてないから! 唇は一切動いてないから!」
ヤンデレ「……?」
男「小首をかしげられても!」
~~
男「じゃあ次、緑な」
ヤンデレ「あっ……」
男「ほらほら次行くぞー、黄色」
ヤンデレ「んっ……だめ……!」
男「まだまだ行くぞー、おっと、ここで青」
ヤンデレ「ん……!」
男「次は……」
ヤンデレ「ちょっとタンマ」
男「どうした」
ヤンデレ「思ってたのと……違う」
男「そうか?」
ヤンデレ「うん……私が思ってたのは、そう、男と私が密着してイチャラブな感じの……」
男「残念だが、俺はここで針を回すことしかできない」
ヤンデレ「え……?」
男「だがヤンデレにはヤンデレにしかできない、ヤンデレにならできることがあるはずだ」
ヤンデレ「加持さん……?」
男「誰も強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」
ヤンデレ「じゃあ男と一緒にツイス」
男「誰も強要はしない。自分で考え、自分で決めろ」
ヤンデレ「昔見たMADを思い出す言い回し……」
男「分かってくれればいいんだ」
ヤンデレ「あぅ……」
~~
ヤンデレ「あ、昔のアルバムがある」
男「目ざとい奴だな」
ヤンデレ「これ、男が高校入学のときのやつ……」
男「うむ。いかにも」
ヤンデレ「ふふ。このとき、緊張しすぎて入学式初日から遅れちゃったんだよね……」
男「うむ! いかにも!」
ヤンデレ「こっちは文化祭……女装メイドの男可愛いかったなぁ」
男「黒歴史だからやめて……」
ヤンデレ「すね毛剃ったら女の子の足だよね……うふふ……」
男「やめてー! 見ないで―!」
ヤンデレ「こうしてると私たちが出会ったときのことを思い出すね……」
男「……」
ヤンデレ「……思い出すね?」
男「……その件なんだが」
ヤンデレ「なにかな? ……かな?」
男「俺、お前と出会った『記憶』が一切ないんだが」
ヤンデレ「それぐらい自然に男と仲良くなれたってこと……? 嬉しい……」
男「ははは……いや、そうじゃねーよ……」
男(……いや、ちょ、改めて考えると怖いなこれ……)
男(俺は『出会った覚えのない女』と付き合ってるということになるのか)
ヤンデレ「どうしたのかな? なんだか震えてるみたいだよ? ……だよ?」
男「いやぁ……ははは、ちょっと待って」
ヤンデレ「なんで後ずさるの? 逃げられたら追いかけたくなっちゃう……」
男「うん、よくよく考えたらおかしな話なんだよな……」
ヤンデレ「何もおかしいことなんてないよ……?」
男「いや……、おかしいんだよ。お前は……だって、『女子高』出身だろ? なんで他校の、共学の俺の様子を、自分の目で見たかのように事細かに知っているんだ? お前は何なんだ……?」
ヤンデレ「ふふ……おかしな男、私は私……だよ? 男のことが大好きな、私。男のことならなんでも知ってる、私」
男「……そうか」
ヤンデレ「……そうだよ? だよ?」
男「……」
ヤンデレ「……」
男(三十六計逃げるにしかず、と俺の中のヒューズ(故)が申している!)
男「……俺、ちょっとコンビニいっ」
ヤンデレ「だめ」ガシッ
男「なっ……!」
ヤンデレ「ちょっと痛いけど……我慢して、ね?」
ブスッ
男「な……それ……注射、器……?」
ヤンデレ「大丈夫。ちょっと眠るだけ」
ヤンデレ「起きたら全て終わってる。そう……ひぐらし的なものが泣く頃に」
男「ていうか、それ……ひぐらしだよね……!?」バタッ
ヤンデレ「……」
~~
男「はっ」
ヤンデレ「あ、男……気が付いた?」
男「う……、なんだかひどく嫌な夢を見ていた気がする」
ヤンデレ「うん。なんだか、うなされてたもん」
ヤンデレ「遊びに来たら、一人で床に寝てるんだからびっくりしちゃった……びつくり」
男「わざわざ小さい『っ』を『つ』に直す意味は分からんが、一人で……?」
ヤンデレ「そうだよ……? 一人で。」
男「うん……? おっかしいな……」
ヤンデレ「そんなことより、ご飯のこと考えよ? 夕飯、何がいい? 私好きなもの作ってあげる」
男「……」
ヤンデレ「男、どうせロクなもの食べてないでしょ……」
男「いや、おかしい」
ヤンデレ「……なにが?」
男「何か隠していることはないか?」
ヤンデレ「なんのことかな……ひょっとして男、まだ寝ぼけてる?」
男「そう、それだ」
ヤンデレ「えっ」
男「普通さ、寝てた人が起きたら『気が付いた?』って声をかけるかな……? と思って」
ヤンデレ「……」
男「いや、不思議ではないよ。でも、明らかに寝てるんなら、『あ、起きた?』とかいう反応になるんじゃないかな……と」
ヤンデレ「……ふふ、そんなの、どっちでもいいじゃない」
男「そうだな。どっちでもいいか、はっはっは」
ヤンデレ「そうだよ……。男、心配性」
男「そうだな。悪い悪い。ところでヤンデレ」
ヤンデレ「なに……?」
男「お前、いつから料理できるようになったんだ?」
~なんだかよくわからないがちょっぴりホラーEND~
ハッハッハ!どこへ行こうというのかね!
>>1!
乙
盛り上がってまいりました
まさかの連続更新か?
はよ
支援だ支援だわっしょいわっしょい
第6部~ツンデレ現るの巻~
ヤンデレ「男。鬼ごっこをしよう」
男「え……なんでそんな幼稚な遊び……?」
ヤンデレ「私が鬼。男が佐藤さん」
男「それ違う鬼ごっこだよね!?」
ヤンデレ「捕まったら……、うん」
男「うん!? 濁すなよ、怖いだろ!」
ヤンデレ「捕まったら手錠で両手両足を拘束して24時間私の監視下におく……二度と外出はできないし、男の口に入るものは全て私が作る」
男「待て。具体性を帯びてより怖くなったので先ほどの発言は撤回する」
ヤンデレ「もう……男ってば、かわずなんだから」
男「……ひょっとして『いけず』と言いたかったんだろうか」
ヤンデレ「蛙であってる……。私という井戸から逃れられない蛙さん……ふふふ」
男「こえぇ!」
ヤンデレ「鬼ごっこ。やりますか? やりませんか? 今なら可愛い妹もついてくるですよ?」
男「電話越しでマスター探す翠ちゃんみたいな言い方してもやりません。それに妹なら義理の妹がいるので間に合っています」
ヤンデレ「やるのかい? やらないのかい? どっちなんだい?」
男「な○やまきんにくんみたいな言い方してもやりません!」
ヤンデレ「ちぇ。じゃあ『はないちもんめ』」
男「おいおい。また懐かしい遊びを。っていうか、どう考えても2人でできるもんじゃないだろ。ははは」
ヤンデレ「男を一匁で私が買うゲーム」
男「あれ、俺が安値で買われて終わりじゃね!?」
ヤンデレ「シンプルイズベスト」
男「シンプルすぎるわ。まって、他の遊びをしよう」
ヤンデレ「じゃあ、どろけい」
男「なつっ! それ地域によって『けいどろ』とか言うアレだよね!? これもまた深刻な人数不足なんですけど」
ヤンデレ「大丈夫。警察に追われる泥棒が捕まって国家権力の犬に良いように凌辱されるゲームだから」
男「あー、遊びってそういう意味か。プレイ的な? で、何が大丈夫なんだ? ん?」
ヤンデレ「大丈夫。警察役は任せて……ハァハァ」
男「いやー!!! しかも俺が凌辱される側かよー!!!」
~学校~
???「ちょっと、そこのアンタ!」
男「んあ? 特にインタールードに意味はないけど……」
???「何、意味不明な寝言言ってんのよ。ほら、プリント落ちてたわよ。名前、これアンタのでしょ」
男「ああ、サンキュ……ええと、確か君は……」
ツンデレ「べっ、べつにアンタのためにやってあげた訳じゃないんだからね!」
男(うわぁ、ツンデレだ。金髪ツインテールとか。絵に描いたようだ……)
ツンデレ「な、なによ。アタシの顔になんかついてる?」
男「すごく……ベタベタだ」
ツンデレ「べっ、ベタベタ!? なにがついてるの!? 油汚れ的なナニカ!?」
男(すごくベタなツンデレだ)
ツンデレ「もういい! 鏡見てくる! あ……。アンタ、もうプリント落とすんじゃないわよ?」
男「わかった。以後気を付ける……ありがとな」
ツンデレ「なっ……! べっ、べべべ別にアンタのたたたたた」
男「わかった! わかったから! お礼が言いたかっただけだから!」
~図書室~
男(読みたい本が……結構高くにあるな)
男「よっ……と」
ツンデレ「よいしょっ……と」
男「ん?」
ピトッ
ツンデレ「ふえっ?」
男「ああ、悪い悪い。手が触れてしまった……って、なんだ君か……さっきはプリントありが」
ツンデレ「ぎにゃー!!!」
ドガッ!
男「とうっ!!!」
ツンデレ「あ、アアアンタ……この、この……うぅ……痴漢!」
男「ぐふ……っ、なお、加害者は殴るけるの暴行を加えた上に『置換』などという意味不明の言葉を発しており……」
ツンデレ「痴漢よ、痴漢! 別の言葉に置き換えてんじゃないわよ、『置換』だけに!」
男「おおっ、ツンデレは馬鹿と相場が決まっているがお前中々ウィットに富んだ返しをするじゃあないか!」
ツンデレ「な、なにがよ! なんでちょっと嬉しそうなのよ! そんなに湿った言い方したアタシ!?」
男(それはウェットだ……やはり馬鹿だ。よかった安心……)
男「……嬢ちゃん、良い後ろ回し蹴りだったぜ……がく」
ツンデレ「だ、誰が嬢ちゃんよ! って、え? だ、大丈夫!? ちょ、誰か消防車―!!!」
男(それは大げさだと思うが、せめて救急車を呼んでくれ……)
~保健室~
男「ん……」
ツンデレ「だ、大丈夫?」
男「俺は目を覚ました。すると目の前には金髪ツインテールのツンデレがいて、何やら意味不明の言葉を発していた」
ツンデレ「ア、アタシだって人の心配ぐらいするわよ! ていうかラノベ風に解説しないでよねっ!」
男「悪い悪い。強い衝撃を受けたおかげで持病の『自分がライトノベルの主人公だと信じて疑わない病』が再発してしまった」
ツンデレ「ず、随分器用な病気ね……ていうか、それ残念だけど中二病って言うのよ? 知ってた?」
男「驚愕の真実が俺に告げられた。俺は驚いてびっくりした」
ツンデレ「某作家みたいな言い回しはやめなさい。ダブってるからそれ」
男「中二病――ふ、断じて中二病などありえない」
ツンデレ「う、ううん……某菌糸類? 論者成分も入っている気が」
男「我は決して中二病などではありませんぞwww」
ツンデレ「いや、これ完全に論者だ!」
男「我の必然力によって今回も助かりましたなwwwメタな話をすると最近よく倒れている気がしますぞwww作者の展開力不足ですなwww」
ツンデレ「ああっ、それ以上言うと痛いことになるからやめたげて!」
男「とまあ、冗談はこのくらいにして……」
ツンデレ「はあ……まったく」
男「ツンデレ、今は西暦何年だ?」
ツンデレ「冗談よね!? それ冗談なのよね!? 何らかの使命を帯びてタイムリープしてきた未来人もしくは過去人みたいな言い回しやめて!?」
男「はっはっは、冗談だよ。ところで、さっきから抱えているその本は……」
ツンデレ「こ、これはその……アンタに貸そうと思って……」
男「ん? 何モジモジしてるんだ気持ち悪い。これはさっき俺が手に取ろうとして回し蹴りされた『今すぐ使える雑学大全集、特選256連発!』じゃないか!」
ツンデレ「ええ、工学系の学生が喜んで『キリがいい!』とか言い出しそうな微妙な数の雑学を収めた例の本よ。ところでアンタ今さりげなく『気持ち悪い』っつった?」
男「そんな訳ないだろう。……貸してくれるのか?」
ツンデレ「か、勘違いしないでよねっ! これは、その……と、とにかくこれで貸し借りなしなんだからねっ!」
男「ありがとう」
ツンデレ「なっ、なななな! アンタにお礼を言われる筋合いはないんだからねっ!」
男「素直じゃないな……ま、そういうところは可愛……おっと、チャイムだ」
ツンデレ「かっ……かわ、かわわわ! な、何言ってるのよアンタ馬鹿じゃないの!? ば、ばーか、ばーか! わ、私は授業あるから行くけど、アンタはもうちょっと休養していなさいよね! 後でまた様子見に来てあげないこともないんだからねっ!」
男「お前案外良い奴だな……」
ツンデレ「なっ……! か、かかか勘違いしないでよねー!」
バタバタ
男「行ったか……」
男(今度から関わるのが面倒なときは褒めちぎることにしよう……と固く心に誓った俺なのであった)
~第6部:完?~
乙!
これは危ない橋を渡りそうだな
支援!
面白いっす
乙
ツンデレに死亡フラグが立ちました!
支援
~翌日~ 通学路
ツンデレ「ちょっとアンタ!」
男「ん? ああ、ツンデレじゃないか。おはよう」
ツンデレ「お、おは、おはよう……。って、そうじゃなくて、その、昨日は」
男「なんだ?」
ツンデレ「昨日はその……、うぅ……ごめんなさい」
男「これはご丁寧に」
ツンデレ「な、なによっ! そりゃ謝るわよ! 謝らない方が不思議でしょ! ニヤニヤすんなっ! 笑うな!」
男「えっ、俺今ニヤニヤしてた? いやー、ごめん無意識だったわ―。完全に無意識だったわー」
ツンデレ「なんでちょっとミサワ風に言うのよ! と、とりあえず……ちゃんと謝ったんだからね!」
男「ち、ちゃんと謝られたんだからね!」
ツンデレ「ちょっ! 真似しないでよね!」
男「だ、誰がアンタの真似なんかするもんですか! 頼まれたってしないんだからねっ!」
ツンデレ「う、うわぁ……なんだか普段の自分を垣間見ているようで恥ずかしい気持ちになってきた」
男(面白い)
男(というか、昨日で一件落着して、お互い遺恨はないはずだが)
男「ま、このくらいにして……、用件はそれだけか?」
ツンデレ「そうよっ! 悪い!?」
男(なぜケンカ腰なんだ……ツンデレに理由を求めるほうが無粋というものか)
男「じゃ、用が済んだところで学校へ行くか」
ツンデレ「ふ、ふんっ。アンタがどうしてもって言うなら、その、一緒に登校してあげないこともないんだからねっ!」
男(……。なるほど、ツンデレは俺と一緒に学校へ行きたいからわざわざ通学路で待ち伏せして昨日のことを蒸し返してきたわけか。)
男(でも……これ言ったらまたシャイニングウィザード的なものが俺にヒットすること間違いなしだから言わないでおくか)
男「なるほど、ツンデレは俺と一緒に学校へ行きたいのか」
男(あれ、俺自殺願望でもあるのか!?)
ツンデレ「なっ!?」
ツンデレ「なっ、ななな……そ、そんな訳なくなくないんだからねー!!!」
男「あべしっ!」
あれツンデレさん本音が漏れてますよ!
乙
ヤンデレ…ツンデレ…
クーデレとリンデレも来るパターンですね!!
>>406
ヤンキーデレを忘れられちゃー困る
>>405 そ、そんなことないんだからねっ! >>406 フラグが立った
>>407 フラグが超立った
~保健室~
男「知らない天井だ……」
ツンデレ「……あんた馬鹿?」
男「ツンデレよ、さすがだ。ツンデレという言葉に市民権を与えた立役者の一人、某セカンドチルドレンの台詞を即座に反してくれるとは」
ツンデレ「いや、意味が分からないんですけど」
男「ちくしょう! 素かよ!」
ツンデレ「な、なによ! 私が何したっていうのよ!」
男「そうだな、俺が再びここへ運ばれたのは何故だ?」
ツンデレ「あ、アタシは悪くないもん! アンタが変なこと言うからでしょっ! 自業自得よ!」
男「なるほど。確かにあれは俺もどうかしていた」
ツンデレ「でしょ、ふふん」
男「それにしても……ツンデレと関わると気絶落ちの回数が増えてしょうがないな。マンネリだ。倦怠期だ。俺たち別れよう」
ツンデレ「いや、そもそも付き合ってないから!」
男「ひどいっ! 私のことは遊びだったのね!」
ツンデレ「アタシチャラ男かよ!」
男「所詮体目当てだったのね!」
ツンデレ「いや、違うけど! むしろいらないけど!」
男「どうせ別の女に乗り換えるんでしょう!」
ツンデレ「そ、そんな趣味ないわよ! 確かに後輩の女の子からラブレターもらうことはなくもないけど……ないわよ!」
男「さて、ところで俺は何回ボケたでしょう?」
ツンデレ「なにそのタイ○ショックの『ところで今何問目?』的な質問」
男「ふむ。素晴らしい反応だ。君ならゼロシステムを扱えるかもしれん」
ツンデレ「乗らないから。どこぞの自爆野郎じゃないから、アタシ」
男「或いはお前を見習うべきなのか……」
ツンデレ「ならひとつだけ忠告しておく。死ぬほど痛いぞ……って、だからどこぞのタンクトップ野郎じゃないから!」
男「お前が乗るんだ。シンジ」
ツンデレ「いや、サードチルドレンでもないから!」
男「お前が信じる、お前を信じろ!」
ツンデレ「しないから。天元突破しないから!」
男「今ならクロとシロもおつけしますよ」
ツンデレ「そんな気安くファミリアおまけしてもいいの!? いや、私魔装○神操者でもないから!」
男「じゃあ何に乗りたいんだよ」
ツンデレ「ロ、ロボットの話はもういいのよ! ていうか何気について行けてる自分が怖い!」
男「スパロボやってればそれくらいの知識は身につくさ」
ツンデレ「く……何故それを……っ!?」
男「あれ図星?」
ツンデレ「ちくしょう! 嵌められた!」
男「俺OGだったらエグゼク○バインが好きなんだよね」
ツンデレ「あー、完全に中二病ね」
ツンデレ「あの主人公然とした態度、身なり、ストーリ、そして機体性能。念動力まで……。何度も機体verアップするわBBCは追加されるわ。優遇されすぎなのよ」
男「がーんっ! だが、そこがいいんじゃないか! そういうお前は一体何が好きなんだよ!」
ツンデレ「やっぱりビルト系よね」
男「それこそツ○ンバードストライクするマシンじゃないか」
ツンデレ「いや、でも一番好きなのはシュナーベルかな」
男「渋すぎるっ!!!」
ツンデレ「し、渋くないわよ! あの機動性と眼鏡っ娘の組み合わせ最高でしょ!」
男「いやでも……うぅん……」
ツンデレ「な、なによ! 文句あるの!?」
男「いや、そういう人もいるか……」
OG知らない人ごめんね、sageるね。
とりまここまで。とりまとか言っちゃうけど。以下戯言
ズィー○ーリオンの機動性いいよね。搭乗者も。
改造ボーナスのそにっくあくせられーしょん消費EN減少もよいよね
そにっくあくせられーしょんする機械だったけど
ヤンデレブチギレターンまだ?
ヤンデレが見つけて発狂するのはまだですか?
>>421 >>422 ま た せ た な
本編開始
~放課後~
男「まいったな……雨か。傘を忘れてしまった……」
男(さすがに借りパクは気が引けるし、妹を呼ぶにしてもヤンデレを呼ぶにしても、それはそれで面倒だな)
男「晴れないかな……」
ツンデレ「ふん……晴れないわよ。今日は午後から降水確率100%だもの」
男「うおっ、いつから居たんだ!?」
ツンデレ「た、たまたまよ! たまたま! べ、べつにアンタの後をつけてきたわけじゃないんだからね!」
男(つけられてたのか!?)
ツンデレ「アンタ、今日傘持ってないみたいだったから、どうするのかちょっと気になっただけなんだから!」
男「あの……、俺のことよく見てるね……?」
ツンデレ「っ……!? べべべべつにアンタのことなんかくぁwせdrftgyふじこlp」
男「それどうやって発音してんの!?」
ツンデレ「と、とにかくっ! ア、アンタがどうしてもっていうなら私の傘に入れてあげないこともないんだからねっ!」
男「じゃあ遠慮なく」スッ
ツンデレ「は、はぁああー!? ちょ、そこは『いやそれはさすがに……』って遠慮するところでしょう!? 何をさも当然に入ってきてるのよ!? アンタ馬鹿なの!? 死ぬの!?」
男「ちょ、寒い寒い。濡れるって。いや……ツンデレが入れって言ったんじゃないか。」
ツンデレ「言ってないわよ! アンタがどうしても入れてほしいって言うのなら私が百歩譲って……!」
男「どうしても入れてほしいのでお邪魔します」スッ
ツンデレ「でてけー!!!」
ガスッ!
男「理不尽っ!!!」
ツンデレ「なめんな! ツンデレなめんな! ち、ちょっと優しくしたからって調子に乗らないでよねっ!」
男(この女めんどくせぇな)
男「わかった、わかった。じゃあ、駅前まで一緒の傘に入れてくれ、頼む」
ツンデレ「言い方がだめ。もっと取引先に言うみたいに」
男「カズマ!? 一体なぜ……ま、まさかツンデレつながりか!?」
ツンデレ「ほら早くしてよね! アタシだって暇じゃないんだから!」
男「ぐ……すみませんが、傘を忘れてしまったので、一緒の傘に入れていただけないでしょうか」
ツンデレ「い、いいわよ……しょうがないわね!」
男「はー、たかが傘に入れてもらうだけで一苦労だ」
ツンデレ「よし、そんなに濡れて帰りたいのね? ほらほら出て行きなさい」
男「冗談だよハニー、はっはっは」
ヤンデレ「はっはっは」
ツンデレ・男「!?」
ヤンデレ「……ふうん、仲よさそうだね誰その女っていうか私と言うものがありながら他の女と相合傘するなんて男ってばそんなに私に焼きもちを焼かせたいのいいよ焼いてあげる私の中で業火が燃え盛って今にもその女を消し炭にしてしまいそうなぐらいだよで、誰がハニーで誰がダーリンなのかな今すぐ教えてもらえるかなもちろんダーリンは男でハニーは私のことだろうけどえ、まさか別の女に向けて言ったのかなそんなことはないよねだって」
男「いやいやいやいやヤンデレさん! これには深いワケが」
ヤンデレ「ふうん深いワケ、不快な言い訳じゃなくて? そうか男にも言い分はあるもんね私ばっかり喋ってちゃ早とちりしてしまいそうだもんねごめんごめんいいよ、どうぞ好きなだけ弁解のチャンスをあげるよ今この場で仲よさそうに相合傘をして男が他の女と下校しようとしていた事実はなくならないしましてや、まんざらでもなさそうな顔をしていた両名だけれども、それがどうしてもこの雨の中一緒に帰らざるを得なくなった理由聞いてあげるどうぞ?」
ツンデレ「……。ア、アタシはこれで失礼して」スチャッ
ガシッ
ヤンデレ「うふふつーかーまーえーたっ。どこに行くのかなまだ話は終わってないよっていうか始まってすらいないよ当事者がいなくちゃお話にならないじゃない文字通り。ああそうか、初めて話す相手だから緊張してるんだねごめんなさい私の名前はヤンデレそこで小刻みに震えている男君の彼女です以後よろしくねそれで、お前いえ失礼あなたのお名前はなんでしょう? よろしければ聞かせてもらえるかしら冥土の土産に。もちろん、冥土に行くのはあなただけれど。ふふっ」
ツンデレ「いーやー!!!!」
男「久々の真ヤンデレモードか……」ガクガク
ヤンデレ「さぁ……お前の罪を数えろ」
ツンデレ「ウラタ○ス――!?」
ヤンデレ「一つ。私の男に半径1メートル以上近づいた罪。二つ。私の男と仲よさそうにそのペラペラ回る口で楽しそうにおしゃべりしていた罪。三つ。私の男を気安くアンタ呼ばわりした罪あなたがどれだけ親しいか分からないけれどクラスメイトの分際でよくもまぁいけしゃあしゃあと、どうしても用事があるときは『さん』づけでよそよそしく男を呼ぶことを許可しないでもないけれど(まぁ許さないけど)とりあえずそれが三つめ」
ツンデレ(漏れてる!? 心の声漏れてるよヤンデレさんっ!! そして私の罪はあなたが数えるんだね!)
ヤンデレ「四つ。私の男に私を差し置いてあろうことかハニーなどと呼ばれた罪」
ツンデレ(それ完璧にアタシじゃなくてコイツが悪いわよね!? 言ったら多分死ぬから言わないけど!)
ヤンデレ「五つ。私を差し置いて男と一緒の空気を共有した罪。六つ。男と相合傘なんぞにあやかろうとした罪、以上の六つに加えて七つ目の罪は私を怒らせた罪。そう、テメーは俺を怒らせた」
ツンデレ「じょうたろうっ!?」
ヤンデレ「あらあら誰が喋って良いと言ったのかしらお話をしようと言ったのは私だけれども人の話の途中で口をはさむなんて失礼じゃないかしらましてやツッコミができるなんていい度胸だと思うわ。いい度胸だと思います。まだ余裕があるならボケもツッコミもできないようにして差し上げる……これで」スッ
やんでれは まほうのすてっきを とりだした!
ツンデレ「バール!?」
ヤンデレ「これは魔法のステッキです。恋する乙女に無限大×死のパワーを与えたもう神聖にして真正なるレアアイテムです。ふるうのは私。ふるわれるのは貴女。ドゥーユーアンダスタン、ビッチ?」
ツンデレ(恋する乙女は死のパワーなんか使わないと思いますが!?)
ヤンデレ「綱紀粛正~」
ビュン
ツンデレ「がふっ!!」
男「脳天ッ!?」
ヤンデレ「その目その耳あけるなりかっぽじるなりしてよく見なさいそして聞きなさい。男の彼女は私です。私のものです。私の所有物です。私の愛玩物です。独占物件です。他人には渡しません。あなたには渡しません。触れさせません。近づけさせません。見ることも許しません。匂いを嗅ぐことも許しません。声を聞くことも許しません」
ヤンデレ「貴女は男に近づきすぎた。触れすぎた。おしゃべりをし過ぎた。見すぎた。私の許可なく。もちろん、許可なんて誰にも与えるつもりはないけれど、断りもなく貴女は当たり前のように話しかけた。コミュニケーションを取った。言葉のやりとりをした。距離を詰めた。それが私には許せないのです。それが私には耐えがたいのです。その感情全てがどうしようもなく、怒りに代わってしまうのです。ひとえに愛情ゆえです」
ヤンデレ「私は男が大好きです。私は男が超大好きです。私は男を愛しています。他の誰にも好きにさせない。他の誰にも渡さない。愛させない。惚れさせない。慕わせない。想わせない。その義務があり、その権利があります。私が男の彼女だからです」
ヤンデレ「私の気持ちが分かりますか? ド低能の貴女に分かりますか? 私の怒りが分かりますか? 私の感情が伝わりますか? しょうがないよね、だって好きなんだもん。私のものなんだもん。貴方だって人を想う気持ちがあるならわかるでしょう? わかってくれるよね? ううん、わかりなさい? これは当然のこと。人のものは取ったらダメ。触ったらダメ。馴れ馴れしくしたらダメ。オーケー?」
男(もの……ていうか、ツンデレ大丈夫か?)
ツンデレ「はにゃ……お星さまがみえる……」
男(全然大丈夫じゃない!)
ヤンデレ「お星さま? あなたこの状況で星空に思いをはせているの? ロマンティックね。斬新ね。まぁいいわ。初回だからこれくらいで許しま……あら? 許しま……あら、言葉がうまく紡げない。許し……許せ……ない……許s……まぁいいわ。許しませんけど、二回目はないわよわかる? なにがないって? あなたの命が。ふふふ。」
ツンデレ「うん……わかったよお星さま……」
男(全然大丈夫じゃない!)
ヤンデレ「わかったならいいの。とっとと消えなさい? 消え失せなさい? ゴーホームよビッチ?」
ツンデレ「うん……帰る……ビッチお家帰る……」
男(ET!?)
つんでれは ふらふらとしたあしどりで かえっていった!
ヤンデレ「さて男」
男「」
男(矛先が)
ヤンデレ「ねぇ男」
男「」
ヤンデレ「あ、耳が聞こえなくなっちゃった? あの女と喋ったせいで、声を聴いたせいで、耳が腐ってしまったのかしら大変。私の声が聞こえるなら返事をしてくれるかな? 男」
男「はい」
ヤンデレ「よかったぁ。ちゃんと聞こえるんだ……どうして黙ってたのかな。私とおしゃべりしたくないのかな? 可愛い彼女とお話ししたくないのかな? さっきの金髪ツインテールとはあんなに楽しそうにおしゃべりしていたのに? ああ、思い出したら殺意……いえ、愛情が裏返りかけちゃった。ごめんごめん。でも安心して? 私は男を傷つけるようなことはしないよ? 安心してね。ね? 男」
男(こ……こえぇー!!!)
ヤンデレ「で、男はもちろんあの女のことは遊びだったんだよね、遊びっていうかむしろ路傍の石ころを蹴ったくらいの何でもないことだったんだろうけど男にとっては。でも、私にとってはすごくすごく重要なことだったの、わかる? わかるかな? わかるよね? 私の彼氏だもん」
男「はい」
ヤンデレ「うふふよかったわかってくれて。どうしてあんなことしたのかな? 受け身だったらいいと思った? 主体的じゃなければ大丈夫だと思った? 勘違いしちゃったのかな? 男は私以外の女と楽しそうにおしゃべりしちゃいけないのに、そんな重要なことを忘れちゃってたのかな? ましてや私以外の女と相合傘だなんて、これは大事件だよ。とんでもないことだよ。雛見沢級だよ」
男(ひぃいー!!!)
ヤンデレ「さ、続きは帰ってからにしよう? 雨降ってて寒いし、ほらそうだ私傘を持ってきてるんだー、一本だけ。よかった、これで相合傘して帰れるね。男がさっきまでしたがってた相合傘。嬉しいよね? 嬉しくないはずないよね? 喜んでごらん?」
男「わ、わーい」
ヤンデレ「そう、そんなに嬉しいんだ。じゃあちょっと遠回りしてかえろっか。電車を使わないで帰ろうか。もう二度と他の女と相合傘なんてしなくてすむように、したいと思わなくなるように、たっぷり時間をかけて相合傘して帰ろうね」
男「ひぃいー!」
ヤンデレ「ひぃい? やだ男ってば、そんな奇声を発するぐらい嬉しいのね。私も張り切っちゃうぞー。ほら早く入って? 濡れちゃうよ? 風邪引いちゃうよ? まぁもちろん男が風邪を引いたら私が24時間体制でつきっきりで甲斐甲斐しく看病することもいとわないのだけれど、というか彼女としてそうする義務があるし、わたしがそうしたいからそうすると思うのだけれど」
男「入らせていただきます」
ヤンデレ「やだもう、ダイタンなんだから」
男「どうにでもしてくれ……」
ヤンデレ「うんわかった。煮るなり焼くなり愛でるなり撫でるなり嗅ぐなり触れるなり見るなり聞くなり私の好きにさせてもらうからね」
男「ひぃいー!」
ヤンデレ「だからそんなに嬉しがることないじゃない、男ってば。うふふ……」
その後、男の行方を知るものはいない。
~第6部 完~
ツンデレの会話書いてて楽しそうだな
ツンデレほど完全な被害者もいないけど
乙!
第7部マダー?
ツンデレはまだ出てきますか?
ほしゅ
あんっ……
>>447-448 楽しかったw
>>449-450 カミングスーンなのでしばしウェイトされよ
>>451 しばらくツンデレしかでてきません(嘘 >>452ほしゅ有
>>453 喘ぐなww
ちょっと脇道それるよー。とりあえずできてるとこまでうp
~第6.5部【番外編】とあるツンデレの日常~
ツンデレちゃんの日常を紹介します。
べ、べつにアンタに知ってほしくて紹介するんじゃないんだからねっ!
ツンデレの朝は早い。
まずアラームを止めることから彼女の朝は始まる。
ツンデレ「むにゃ……」
ジリリリリ!
ツンデレ「……ていっ!」
ツンデレ「べ、べつにアンタに起こされて起きたわけじゃないんだからねっ!」
ツンデレ「一人でも起きれるんだからねっ! 勘違いしないでよねっ!」
キタ
とまあ、このように目覚ましに向かって突っ込んでしまう可哀想な少女。それがツンデレなのである。
ツンデレ「はっくし!」
ツンデレ「だ、誰かがアタシの噂をしているわ……べ、べつに噂されても嬉しくないんだからね!」
ツン姉「アンタ、朝っぱらから何やってんの」
ツンデレ「お、おおおお姉ちゃん部屋に入るときはノックしてっていつもくぁwせdrftgyふじ」
ツン姉「どうやって発音してんの!? いいからアンタ落ち着きなさいよ」
ツンデレ「ふぁい……ほんの出来心だったんです……」
ツン姉「いや、いいんだけど……朝ごはん、どうする?」
ツンデレ「トーストとスクランブルエッグ、ベーコン、あとブラックコーヒーで。きりっ」
ツン姉「いや、メニューはもう決まってるんだけど」
ツン姉(ていうか、「きりっ」てなに)
ツンデレ「ブラックコーヒーは?」
ツン姉「アンタどうせ飲めないでしょ」
ツンデレ「えー」
ツン姉「カフェオレにしたら? 半分だけミルク混ぜて」
ツンデレ「カフェオレ! ……苦さ半分、甘さ半分。それはまるで究極のツン・デレね! さすがお姉ちゃん!」
ツン姉「いや、そういうつもりじゃ……」
ツンデレ「そうと決まればカフェオレよ! ちなみにエスプレッソにミルクを混ぜたものがカフェラテよ! 良い子のみんな、べつに教えてあげたかったわけじゃないんだからね!」
ツン姉「我が家の妹は今日も元気だなぁ」
乙!
でいいのかな
ツンデレは不憫な子かわいい
姉はそんなにツンデレじゃないのかな
>>457 貴様ッ、見ているなッ!
>>463 もうちっとだけ続くんじゃよ。あと、ツン姉は別にツンデレじゃないんだからね。勘違いしないでよね。ご理解ご協力のほどよろしくお願いいたします。
~学校~
ツン友「おはよう、ツンデレちゃん」
ツンデレ「おはよう。べ、べつにアンタに会いたかったわけじゃないんだからね!」
ツン友「うふふ、ツンデレちゃんは面白いなぁ」
ツンデレ「ツンデレだからね! さて、今日の授業は……あ! シュクダイ忘れた!」
ツン友「え、また忘れたの? よかったら私の見る?」
ツンデレ「べ、べつに見せてほしい訳じゃないんだからねっ!」
ツン友「ふうん。じゃあ見ーせない」
ツンデレ「えっ」
ツン友「ツンデレちゃんは偉いなぁ。宿題忘れたけど自分で頑張るなんて」
ツンデレ「ちょちょちょ、待った待った。いや、待ってほしくないんだからね! 待ってほしくないんだけどちょっと待って!」
ツン友「え……わけがわからないよ」
ツンデレ「QB!? タンマタンマ!」
ツン友「人生にタンマなんてないよツンデレちゃん」
ツン友「自分の言ったことには責任を持たなきゃ」
ツンデレ「いやいやいや、ツンデレが『いいえ』と言ったらそれは『はい』なのよ!」
ツン友「じゃあ突然だけどツンデレちゃん、今この場でツンデレちゃんはわさびとからしを鼻の穴に突っ込むことはできる?」
ツンデレ「はぁ? そんなの『できるわけない』じゃない。というかやりたくもな」
ツン友「そっかー、なるほどなー」
ズブニュッ
ツンデレ「ほあああ!? い、いきなりなにす……辛ーーー!!!?」
ツン友「ツンデレが出来ないと言えば、それはできる」
ツンデレ「できるわけないじゃない! アンタ馬鹿なの!? 死ぬの!? 辛っ! ちょ、ほんとに辛いんだけど!」
ツン友「ツンデレの辞書に、不可能と言う文字はない」
ツンデレ「あるわよ! ナポレオンじゃないんだから、あるわよ!」
ツン友「ツンデレは一日にしてならず」
ツンデレ「ちょ、ローマみたいに言わないでよねっ!」
ツン友「ツンデレ思う、ゆえにツンデレあり」
ツンデレ「それは全面的に同意だわ」
ツン友「えっ、なにそれこわい」
ツンデレ「えっ」
ツン友「こほん。ツンデレの、ツンデレによる、ツンデレのためのー?」
ツンデレ「えっ。……ツ、ツンデレ……?」
ツン友「正解!」
ツンデレ「いやいやいや、意味わかんないし!」
ツン友「時は金なり。じゃあツンデレは?」
ツンデレ「金髪なり……?」
ツン友「……! 大正解!」
ツンデレ「いやいや、だから意味わかんないし! 確かに上手いこと言った感はあったけれども!」
ツン友「ツンドラって十回言って?」
ツンデレ「は? なによいきなり……」
ツン友「いいから、はやく」
ツンデレ「はぁ? しょ、しょうがないわね……ツンドラツンドラツンドラツンドラ…………」
ツン友「さてここで問題です。タッ○ーの進化形は?」
ツンデレ「シー○ラ! って、さっきのツンドラは一体何の意味が!? 全く間違える要素ないわよね!? ていうかツンデレに関係する何かしらを言わせようとしたんじゃないの!?」
ツン友「ちっ」
ツン友「さてここで問題です。ツンデレと言えば」
ツンデレ「待って、今舌打ちしたよね」
ツン友「ツンツンデレデレした人のことを言いますが、普段は無口・無表情だけど好きな人の前だとデレッデレになる人のことは何という?」
ツンデレ「あ、シカトですか……えーっと、確かクーデレよね?」
ツン友「FF?」
ツンデレ「FAでしょ!? なんでファ○ナルファンタジー? って聞かれないといけないのよ!」
ツン友「ぶっぶー、正解はフロントエンジン・フロントドライブでしたー」
ツンデレ「あー、そっちかー……じゃなくて、問題変わってるし!」
ツン友「ツンデレよ、大志を抱け!」
ツンデレ「ビー、アンビシャース!! ってなによこれ!? いきなり何やらせんのよ!」
ツン友「山と言ったら川。ではツンと言ったら!?」
ツンデレ「デレ!! ……ってだからなによこれ!」
ツン友「デレと言ったら?」
ツンデレ「ツン!! って、逆になっただけじゃないの! なによデレツンて! 語呂悪っ!」
ツン友「吾輩はツンデレである。名前はまだない」
ツンデレ「……どこでこじらせたかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめじめした所で『か、勘違いしないでよねっ!』『べ、べつにアンタのためじゃないんだからねっ!』と言っていたことだけは記憶している……ってそんな訳ないんだからね!!」
ツン友「……!」プルプル
ツンデレ「自分から振っといてツボに入ってんじゃないわよ!」
ツン友「あー、満足満足。あ、ほらツンデレちゃん、涙出てるよ? ハンカチ」
ツンデレ「あ、ありがと……って、アンタのせいじゃないのよ! もう!」
ツン友「世の中には自業自得という言葉があってね、ツンデレちゃん。自らの業で、自分自身が得をするって意味なんだけどね?」
ツンデレ「それゼッタイ違う!」
ツン友「でも、おいしかったでしょ?」
ツンデレ「リアクション芸人じゃないからアタシ!」
キーンコーンカーンコーン
ツンデレ「宿題!!!」
ツン友「あうとー」
sageるぜぃ
とりあえずここまで。
ツンデレは一日にしてならず
ンッン? 名言だなこれは
乙!
これは乙じゃなくてポニーテールうんぬんかんぬん
私怨揚げ
ニャンコ
私怨揚げ
男「よう、ツンデレじゃないか」
ツンデレ「べ、べつにアンタに会いたかったわけじゃないんだからねっ!」
男「そうか、そんなに俺に会いたかったのk、あべしっ!」
ツンデレ「偶然よ! だいいち、なんでアンタが駅なんかにいるのよ!」
男「え、いや、帰るから……? 電車に乗って……」
ツンデレ「なんでちょっと引き気味なのよ」
男「いや、ちょっと頭おかしいのかなって」
ツンデレ「ちょ、ストレートに人をキ○ガイ扱いしてんじゃないわよ!」
男「ちょっと頭おかしいのかなって」
ツンデレ「二回も言わないでよ! どうせならオブラートに包んで言いなさいよっ!」
男「そこはビブラートに包むってボケろよ……」
ツンデレ「な、なんでアタシ引き気味でダメだしされてるの」
男「えー、じゃあ、『少し変わっているのかな』」
ツンデレ「悪くないわね」
男「『皆より一歩先を行っているのかな』」
ツンデレ「その調子よ」
男「『こいつアホだ』」
ツンデレ「オブラート破り捨ててんじゃないわよ!」
男「しまった! つい本音が!」
男「まぁそれは置いといてツンデレよ、この間はすまなかったな」
ツンデレ「へ? なにが?」
男「それは雨の降る放課後のことでした……」
ツンデレ「な、なによその怪談チックな語り口調は!?」
男「あれ、覚えてない? 名状しがたいバールのようなもので……」
ツンデレ「」ビクッ
男「……ああ、なるほどトラウマになっちゃったか」
ツンデレ「名状しがたいバールという名前を聞いた時に何かよくないことを思い出しそうになったわ……」
男「名状しがたいバールって、それきちんと名状できてるからな? まあとにかく、この間はヤンデレがすま」
ツンデレ「」ビクッ
ツンデレ「今の『ヤンデレ』という固有名詞を聞いた途端、ちょっと背筋に悪寒を感じたわ」
男「重傷だな……。おっと、まぁそういう訳で、悪いが俺はお前と喋ることはあまりできないんだ」
ツンデレ「え……」
男「まぁそう寂しそうな顔をするなツンデレよ」
ツンデレ「しっ、してないんだからね! さびしそうな顔とか! 全然!」
男「今生の別れっていう訳でもない。ただ、ほとぼりが冷めるまでお前との関係は無しだ」
ツンデレ「ちょ、アタシを愛人みたく扱わないでくれる!? どういう関係性よ私たち!?」
男「え……そう聞かれると返答に困るな。なんだよツンデレ、俺の口から直接言わせたいのか? 恥ずかしいじゃないか」
ツンデレ「な、ななな何を言うつもりなのよ、いいから言ってみなさいよ」
男「漫才コンビだ」
ツンデレ「は?」
男「俺がボケて、ツンデレがその強気なキャラで『なんでやねん!』と突っ込んでいく。たまにノリツッコミもする。いい相方だった……」
ツンデレ「いやいや、綺麗にまとめようとしないでくれる!?」
男「まあ、そういう訳だ。じゃあな」
ツンデレ「ちょっ……!」
男が電車に乗り込み、ドアがプシューという音を立てて閉まった。
ツンデレ「なによ……! 勝手なやつなんだから! もうっ!」
車内から男がこちらを見て、手を振り、さよならと伝えてきた。
アタシはいつもの「ふんっ!」という調子で、プイと顔を背けた。
男はアタシの様子がおかしかったのか、少しだけ口元を緩めた。
電車が動き出す。
男を乗せて、アタシを乗せていない電車が。
ゆっくりと動き出す。
アタシの知らないところへ帰っていく、男を乗せた電車が。
「あーあ……乗っちゃえばよかったかな」
でも、それからどうする? その先は? 一体アタシはどうしたいんだろう。……否、どうしたかったのだろう。
誰に言うでもなく呟いたその言葉を、『彼女』は聞いていた。
「いいえ、あなたは正しい選択をしたわ……」
「!」
鈍い衝撃。殴られたのだと気付いた時には、もう遅かった。
薄れゆく意識の中で、『でも、残念』という彼女の声を聴いた気がした。
~第6.5部 【番外編】とあるツンデレの日常 完~
おっと……
ヤンデレは人生を謳歌してるよね男の人生を犯しながら
おつ!
まだか
~第7部 クーデレ現る~
高校で図書委員を兼任している男君。
ある日彼は物静かな少女と出会う。
男「あのー、そろそろ閉めたいんだけど……」
?「……困る」
やあ、皆! 俺の名前は男!
男らしい名前だろ? なんせ男だからね! 野暮なツッコミは無しだぜ!
ある日俺は図書委員として働いていると、まるで長門……某ヒューマノイドインターフェース風の美少女と出会ったんだ。
彼女は図書館の奥のテーブルで一人、じっと読書にのめりこんでいたのさ。
青髪ではないのが残念だけれど、現実だからしょうがないよねっ! え、現実じゃない?
こ れ は 現 実 じゃ な い?
ルイズルイズうわぁあああああ!以下略
脳内で奇妙奇天烈なモノローグを再生していると、某長門風の美少女は無言でじっとこちらを見つめていた。
上目遣いだ。だが無表情だ。萌えである。
「いやでも、規則だから……俺も帰れなくなっちゃうし」
「……そう」
少女はポツリと呟くと、やはり無表情で帰りの支度を始めた。
ちら、と少女が読んでいたタイトルに目をやると、ドストの『罪と罰』、文庫本上巻だった。
「渋いな!」
思わず出たツッコミに少女が驚いて、一瞬ビクッと身体を震わせた。
男「こんなの読むのか……今時の女子高生は」
?「流行ってる」
男「嘘だッ!!!」
?「マイブーム」
男「って、お前の中だけかい! ……あ、悪い、勢いでお前とか言って」
?「別にいい」
男「そうか、なら良かった。……じゃあ、そろそろ暗いし、気を付けて帰ってな……ええと」
?「クー子。名前」
男「あ、ああ。クー子か、実にクーデレらしい名前だな、うん」
クー子「クーデレ?」
男「いやいやこっちの話だ。じゃあ、またな。クー子」
クー子「……じゃ」
彼女は片手を上げ、手のひらを僕のほうにビッと向けて颯爽とさっていった。
男「つかめない奴だ……一体何を考えているんだ、クー子よ」
ふむ
~翌日~
男「さて、本日も業務終了で閉館時間な訳だが……」
図書館の奥をのぞく。……いた。例のヒューマノイドインターフェース風の少女、クー子である。
今日も今日とて、閉館時間を過ぎたところで微動だにしない。
華奢な女の子が一人、放課後の図書室で本の世界に浸っているというのは非常に絵になる情景ではあるが、
しかしそれはそれ。これはこれである。
今日も俺は閉館のお知らせを少女に告げなければならない。
しかし昨日と同じように『あのー』などと他人行儀な声のかけ方をする無粋な俺ではない。
ここはひとつ、ジャ○ーさん風に言ってみよう。
男「ヘイ、ユー!」
クー子「……」
ガン無視だ。
男「閉館時間だし、ユー帰っちゃいなよ」
クー子「……」
男「ユ、ユー聞いてる?」
クー子「……」
男「ミーが扉をロックするからユーはゴーホームしちゃいなよ」
クー子「……」ペラ
男「ガン無視だッ!!」
しまいにはページをめくりやがった! ていうか最後ルーっぽくなってしまった!
思わず出た心の声に、またもやビクッと肩を震わせて驚くクー子。どうやら自分のことだと気が付いたらしい。
クー子「昨日の人」
男「おう。昨日の人だ。そして悪いが、今日も閉館時間なんでな、鍵をしめさせてもらうぜ」
クー子「わかった。私がやっておく」
男「おう。じゃあ後は頼んだぜ! これが図書室の鍵だ! ……とはならない」
クー子「なぜ……?」
男「いや、よくないっしょ。刑法的に」
思わず某くうきよめやさん風に突っ込んでしまったが、刑法はおそらく関係ない。
クー子「困る」
男「俺も困るぞ……はぁ」
視線をテーブルの上に落とすと、『罪と罰』文庫版下巻になっていた。
男「これ好きなのか?」
クー子「実に面白い」
クー子は眼鏡を中指でくいっと押し上げた。お前は湯川先生か。とツッコミそうになるのをこらえた。
男「湯川先生か! お前は」
こらえきれなかった。しかも倒置法になった。またお前と言ってしまった。
クー子「原書が読みたい」
男「ロシア語だぞ……」
クー子「この作者の違う作品も読みたい」
男「そうか。なら地下室の手記とかおすすめだぞ」
クー子「わかった」
スッと椅子を引いて、クー子は立ち上がった。
クー子「帰る」
男「いきなりだな……まあ、そうしてくれると助かるよ」
クー子「じゃ」
手の平を俺に向けて、少女は颯爽と去って行った。
男「本当によくわからんやつだ……無表情だし」
>>515 恐ろしく早いレス。この俺でなければ見逃しちゃうね
とりあえずここまで。
やっときたと思ったら終わってた
はよ続き
>>525 てへぺろ
もうちょっとだけうp
~翌日~
例によって閉館間際に奥のテーブル席を除くと、クー子がいた。
例によって俺は施錠をしなければならないのだが、やはり『閉館するから出て行け』などというお役所仕事をする気はさらさらない。
と言ったらお役所に失礼だが。
だからせめて彼女に少しでも楽しんでもらうため、という押しつけがましい優しさを上乗せしたテンションで俺は話しかけるのだった。
男「そしてーかーがやーくウルトラソウッ!」
クー子「」ビクッ
男「へい!」
クー子「……」ペラ
男「何事もなかったことにされた!」
クー子「ごめんなさい……でも、こんなときどういう顔をすればいいか分からないの」
男「笑えばいいと思うよ」
どこの綾波だ、お前は。
男「えー、本日も閉館と相成りましたことをお伝えする次第であります」
クー子「困る」
男「そうだな、困るな。だがそこをなんとか……ん?」
ふとテーブルの上を見ると、平置きにされた『罪と罰』文庫本下巻が置かれてあった。
男「もう読んだのか。早いな」
クー子「読んだ」
男「面白かったか?」
クー子「面白かった」
子供に学校の様子を尋ねる父親の気分だ。学校は楽しいか? 勉強はどうだ? みたいな。
男「どのへんが一番面白かった?」
クー子「ソーニャが拳銃を撃って、ラスコーリニコフに『キスでもしてるんだな……地面さんに、熱烈なやつをよォ』っていうシーン」
男「違うから! それグ○ード・ミスタがギ○ッチョに言うやつだから!」
十字路の真ん中に立って、貴方が汚した大地にキスしなさい的な感じだっただろうに。
ソーニャ拳銃撃たないし。
クー子「混ざった」
男「ジョ○ョにも精通しているとは、ただのビブリオマニアかと思いきや恐るべし」
クー子「面白ければなんでもいい」
男「雑食か……」
クー子「BL本も読む」
男「なぜこのタイミングで、そして一切の恥じらいも見せず腐女子カミングアウトを!?」
クー子「流れで」
男「流れぶった切ってたけど!」
クー子「……」ペラ
コイツ会話が面倒になりやがったな。
男「まぁ、そういう訳だ。今日のところはお引き取り願おう……あ、ちょっと窓の施錠してくるわ」
クー子「わかった」
意外とすんなりクー子は承諾し、俺が窓を閉めている間に「じゃ」と言って(例のポーズを取って)図書室から出て行った。
男「じゃ、俺も帰るか」
ふと、奥のテーブルの上に紙切れが乗っているのを発見した。
メモだ。
さっきまでなかった、ということはクー子の残したものだ。
男「どれどれ」
『地下室の手記も、読んだ。面白かった』
『橋の上でお偉いさんとすれ違うシーンがよかった』
男「読むの早いなー、アイツ。そしてわかってるな」
感想については、それ以上のことは記載されていなかった。
あとは、一番下のほうに小さく『次もおすすめ、おしえて』とだけ書かれていた。
男「わざわざメモで……口頭でいえばいいものを」
正直言って、萌えた。
とりあえずここまで
おつ
また被害者が増えると聞いて飛んできました
乙!
~翌日~
閉館時間30分前。
いつも5分前ぐらいに話しかけるのだが、今回はちょっと早めに行動してみた。
理由は、なんとなくだ。もう少しアイツと話がしたいとか、興味が湧いたとか、そういったものだ。
男「なぁ、クー子」
クー子「……」ペラ
男「おーい」
クー子「なに」
男「聞こえてんじゃんか、返事ぐらいしたほうがいいぞ。愛想は大事だ」
クー子「……」
男「あいそうですかー! つって」
俺の糞みたいなダジャレが炸裂した瞬間、クー子の表情が凍りついた。
クー子「」ガタッ
男「」ビクッ
なんか気に障ったのだろうか。俺がうざいテンションで話しかけたからか。
クー子はいきなり席を立つと、俺に顔を背けたまま、窓際まで行ってそこで立ち止まった。
男「ク、クー子さん……?」
気のせいか、肩をワナワナと震わせているような気がする。
怒っているのだろうか。
クー子「すぅ……はぁ……」
深呼吸している。あ、戻ってきた。
クー子「……」スチャッ
座った。
クー子「……」ソッ
差し出されたクー子の左手には、どこからともなく取りだされたイエローカードがあった。
男「もう一回言ったらどうなる?」
クー子「退場」
図書館の出入口を指さされた。
どうやらクー子はダジャレがあまり好きではないらしい。今後気を付けよう。
男「ところでクー子、今日は何を読んでるんだ?」
クー子「さあ、なんでしょう」
男「わからぬ。ヒントをくれ」
俺はエスパータイプではない。そもそもポケモンでもないが。
クー子「ヒントは……哲学」
手元を覗き込もうとしたら、本を閉じられた。文庫カバーがかかっているのでタイトルはわからない。
男「哲学ねぇ……ニーチェとかヘーゲルとか? そのへんあんまり詳しくないが」
クー子「ぶぶー」
『違う』とか言われるのかと思ったら可愛らしい効果音で返答された。
クー子「もっとなじみ深い」
男「なじみ深い哲学書に心当たりがないんだが……」
クー子「正解はこれ」
男「どれどれ……」
シャー○ンキングだった。
男「漫画かよっ!!!」
図書館全体に俺のツッコミが響き渡った。
幸い、俺とクー子の二人だけだったので事なきを得た。
クー子「考えさせられる」
男「それはそうだが!」
ずるいじゃないか。まさか漫画だなんて……あ、そういえばコイツジョジョも好きだったな。漫画好きなのか……。面白ければ何でもいいって言ってたしな。
クー子「ところで、まだ閉館には早い」
男「そうだな」
クー子「なぜ?」
クー子は小首を傾げてこちらを見た。
『なぜ?』とは、なぜ私に話しかけてくるのかまるでわからない、といったニュアンスを含んでいた。
男「それはな、お前が寂しそうだったからだ」
クー子「べつに寂しくない」
現実とはそういうものだ。
一人でいるやつほど、寂しさとは無縁だったりするのである。
つまり俺の余計なお世話だったわけだ。まずい、これは恥ずかしい。顔から火が出そうだ。
クー子「……」ペラ
男「今どのへん?」
クー子「ちびマルコ」
男「あぁ、ラキスト戦ね……」
クー子「詳しい」
男「そうでもないよ」
クー子「そう」ペラ
男「ところで」
クー子「なに」
男「ずっと座ってて、尻痛くならないか?」
クー子「……」
スッとイエローカードを差し出された。
男「なぜっ!」
クー子「だめ」
男「なにが!?」
クー子「めっ」
お尻に関するお話はダメらしい。
男は家に帰ったらヤンデレちゃんとイチャイチャしてんるどすか?
ほしゅ
~翌日~
男「よっ、クー子」
クー子「……よ。」
男「おぉ、まさか返事が返ってくるとは」
クー子「愛想、大事」
俺に向かってそう呟くと、クー子は再び本に目を落とした。
男「今日は何読んでんだ?」
クー子「本」
男「あー、なるほど、本ね。って、見りゃわかるわーい!」
クー子「……」ペラ
男「人が頑張ってノリツッコミしたのに……ひどい……」
クー子「こんなとき、どういう顔をすれば以下略」
男「笑えよ。笑ってくれよ」
クー子「……ふっ」
男「鼻で!?」
クー子「とりあえず、座るといいと思う」
クー子は自分の隣の席を指さした。座布団が敷かれてある。
男「図書館に座布団はなかったはずだが、私物か?」
クー子「そう。長時間座っても痛くない」
男「ほほう。それは俺に隣で長時間座っていて欲しいということかい? クー子ちゃん」
クー子「イエローカード、進呈。」
男「へいへい。以後気を付けます」
クー子「今日はこれ」
クー子が差し出した本の表紙には、『斜陽』と書かれてあった。
斜陽。人間失格の人が書いた、没落貴族のお話である。
男「良いセンスだ」
クー子「そう」
最近、クー子の「そう」にも色々なニュアンスがあることが分かった。
今のは、褒められてちょっと嬉しいけどそれを表に出すのは恥ずかしいときの「そう」である。
男「恥ずかしがることないんだぞ、クー子よ」
クー子「……?」
違ったみたいだ。不思議そうに小首を傾げている。
男「忘れてくれ……」
クー子「わかった」
~翌日~
男「お前、整った顔立ちしてるよな」
クー子「……」ペラ
クー子は無言でページをめくった。心なしか、顔が赤く染まっているように見える。
男「照れてるのか?」
クー子「照れてない」
男「そうか。でも、本当にお人形さんみたいだな」
クー子「……」ペラ
男「赤くなった」
クー子「なってない」
男「いや、ほんと赤いって」
クー子「気のせい」
男「照れt」
クー子「照れてない」
クー子はこちらに表情が見えないよう、本で顔を覆うように読み始めたのだった。可愛い奴め。
男「ちなみに俺の今日のおすすめはこれだ」
クー子「……じゅっかくかん」
男「そう。綾辻先生の館シリーズ第一作目だ。オチも有名な、1行で全ての謎が分かる例のアレだ」
クー子「ごくり」
男「どうだ、興味をそそられるか?」
クー子「面白そう」
男「そうか。だったらその斜陽読み終わったら借りるといい」
クー子「わかった」
男「また、感想教えてな」
クー子「うん」
クー子たんprpr
もしかしてクー子しんでしまうん?
~翌日~
図書館の一角。クー子がいつも座っているテーブル席を覗くと、お菓子が山盛りになっていた。
男「持ち込んだのか」
クー子「そう」
男「一応、禁止なんだけどな……」
クー子「汚したら掃除する」
男「まぁいいけどさ。他にも食ってるやついるし」
クー子「わかった」
クー子はそういうと、隣の席を引いてポンポン、と叩いた。座れ、ということなのだろうか。
男「フレンドリーだな、今日は」
クー子「そうでもない」
男「そうでもないことないと思うけど」
クー子「お菓子、食べていい」
クー子は山盛りのチョコ、キャラメル、ビスケット類を指さした。
男「くれるのか」
クー子「一人じゃ食べきれない」
男「そうだろうけどさ」
やっぱりコイツ、今日フレンドリーだな。
クー子「今日はこれ」
クー子が差し出した本は、工学者森先生のS&Mシリーズ第一作だった。
天才がOS作ったり、萌えーな女の子が256の2乗を計算するお話だ。なんのこっちゃ。
男「ほほう。それは文庫版の表紙に書いてある現実に関する考察が良いよな」
クー子「現実、普段それは存在しない」
男「中二病が読んだら将来建築学科への道を志しかねない作品だよな……」
クー子「タバコも吸うようになる。きっと」
男「まぁ、それぐらい魅力的なキャラクタだよ。犀川先生は」
クー子「萌絵たんも」
男「たん!?」
クー子「もう読んだ」
男「早いな……そうだ、犀川先生が同じ靴下ばかり買う理由知ってる?」
クー子「知らない」
男「多分後から分かると思うけど、片一方無くしても大丈夫だから、だってさ」
クー子「無くすこと前提……」
男「そういう意味では、人間味あるよなぁと思って印象に残ってんだよな。そのくだり」
クー子「人間味……犀川先生でも物をなくすことがある、という部分?」
男「いいや。靴下1つを惜しむ庶民的な感覚を所有しているんだなって」
クー子「なるほど」
クー子がふむふむと頷く。
そのとき、後方から女子生徒の声がかかった。
女子生徒1「あのー、ちょっといいですか」
男「おっと、また後でな」
クー子「……」
女子生徒1「探してる本が見当たらなくって、ちょっと貸出状態調べてもらっていいですか?」
男「はいはい。ちょっと待ってね。タイトルは?」
女子生徒1「『ロータリーエンジンの歴史』っていう本なんですけど」
男「渋いな! 今時の女子高生ってそんなもの読むのか!?」
女子生徒1「えっ? いや、まぁ……」
男「ああ、悪い悪い。思わず突っ込んでしまった。えっと……あれ、返却されてるはずなんだけどな」
女子生徒1「えー、本棚になかったと思うんですけど……一緒に探してもらっていいですか?」
男「ああ、わかった……」
クイッ
男「ん?」
ふと横を見ると、クー子が俺の袖を引っ張っていた。
男「なんだ?」
クー子「急にお腹が痛くなった」
男「へ?」
クー子「動けないくらい痛いので、保健室まで連れてって」
男「あー、なるほど。お腹がね。って、思いっきり立って歩いてるやーん!」
華麗なノリツッコミが炸裂した。
クー子「早く」
スルーされた。
男「いやいやお前、ゼッタイ嘘だろ」
クー子「ほんと」
男「いやいや……」
クー子「痛くて死にそう」
女子生徒1「あー……なるほど、なんかごめんね、1人で探すよ。悪いね邪魔しちゃって!」
男「邪魔?」
なんだそれは。どういう誤解だ。
女子生徒はパタパタと足早に本棚のほうへ向かっていった。
男「おいおい。お前どうしたんだ?」
クー子「……」
男「まぁいいけど、ほら、保健室行くぞ?」
クー子「……治った」
男「は?」
クー子「治った。でもまた急に痛くなるかも知れないので、男は私の傍に居ておくべき」
男「なんだそりゃ」
クー子「いいから」
男「はぁ……しょうがないやつだな」
その日俺は、クー子に一日中べったりせざるを得なかった。
~某日~
俺は例のクー子の変化を『発作』と呼ぶことにした。
それは、決まって俺が他の生徒、しかも女子生徒の相手をしているときに起きる。
女子生徒2「すいませーん、この本延長したいんですけど」
男「はいはいちょっと待って……ん?」
クー子が袖を引っ張っている。
男「どうした?」
クー子「急にあの高いところにある『雪国』が読みたくなった」
男「そうか」
クー子「届かないから取ってほしい」
男「後でな」
クー子「今すぐ読まなければ」
男「なにゆえ!?」
クー子「なにがなんでも」
男「わけがわからないよ……」
~~
女子生徒3「恋海っていう恋愛小説がー、めっちゃ泣けるらしいんですよー、図書館に入れてもらえませーん?」
男「いやちょっと俺の一存では」
女子生徒3「まじでぇー、感動するらしいんですよー。恋愛小説とか読みませーん?」
男(ごめん、全然読みませーん!)
クイッ
男「なんだクー子」
今回ばかりは渡りに船だ。ナイスタイミングだクー子。なんでもいいぞ、我儘を言ってみろ。
クー子「こんなものが……」
しかし、今回は違った。
我儘とかそういうんじゃなくて、このくだらない日常に亀裂が走るような、そういった類の出来事だったのである。
男「なんだ? 紙切れ……?」
クー子から渡されたノートの切れ端には、こう書いてあった。
『男へ。――それ以上、他の女子と仲良くしたらコロス』
男「……!?」
クー子「……私のいつも座っている机に置いてあった」
男「……」
女子生徒3「いやマジでー、入れるべきだってー」
男「ちょっとごめん、先生と相談してみて」
女子生徒3「えー」
男「クー子、ちょっと来い」
クー子「……わかった」
人気のない一角まで移動すると、俺は紙切れを食い入るように見つめながら言った。
男「いつからあった?」
クー子「さっき、席を外して戻ってきたときに、置いてあった」
男「さっき……」
今日、図書館には大勢の人が居た。試験前で勉強する輩が集まっていたからだ。
いつも閑散としているクー子の周りの席にも、ちらほら勉強している人がいた。
誰もが疑わしく、誰も疑えない。誰にでも可能である。
男「……少し、距離を置こう」
せめて、誰がこんなことをしたのか分かるまでは。
~某日~
誰かに後をつけられている、と気づいたのは電車を降りて数分した頃だった。
暗い夜道を自分以外の、もう一人の足音がピタリと這うようについてくる。
振り返るが姿は見えない。おそらく電柱の陰、曲がり角、看板の後ろ。
しかし確かめる勇気はない。近づいたらアウトだ。
下宿まであと少し。
俺はペースを速めた。
後ろの足音のペースも上がる。
止まる。振り返る。誰もいない。その繰り返し。
一息つけたのは、一人暮らしの部屋にたどり着き、鍵とチェーンをかけた後だった。
男「誰だ……、お前は」
心当たりはある。ありすぎる。身近な人物だ。
最近姿を見ていない、ごく身近な人物だ。
~~
男「お前も、後をつけられているのか」
クー子「そう」
1週間ぶりの近況報告は、あまりよろしくない状況を俺に再認識させた。
周囲に自分たちを観察している人がいないか注意しながら、俺はクー子と小声で話をしていた。
話を聞くと、クー子にまとわりついている人影も、足音のみしか聞こえないらしい。
男「気味の悪い奴だ」
クー子「その人、きっと私に嫉妬してる」
男「俺と仲良くしているからか」
クー子「そう」
クー子は表情こそ変わらないが、手が小さく震えていた。
男「大丈夫だ。俺が……その、なんというか……守る」
クー子「ありがとう……」
それこそこんな場面を見られたら、殺されかねない。
誰に? しかし、そいつは……。
~某日~
午後8時。ひどく喉が渇いたので近くのコンビニまで出かけることにした。
コーラを買って飲みながら帰っている途中。
例のまとわりつくような足音が聞こえてきた。
緊張が頭のてっぺんから足先まで走る。
誰だ。いったい誰なんだ。
そして、何故なんだ。
男「お前か……?」
後方に向かって問いかける。
返事はない。
しかし、『アイツ』だったら、何故、姿を表さないのか。
曲がり角に差し掛かる。
俺は足早に角を曲がって見せた。すると、足音は慌てた様子でついてくる。
白黒つけなければいけない。
俺は勝負に出た。
まず見えたのは白い腕だった。右腕だ。
鼓動が早鐘を打つ。その白い腕を掴む。
小さい悲鳴が上がった。女のものだ。
女はジーンズに半袖。帽子を深くかぶっていて顔が見えない。
左手になにか持っている。それが電灯に光を受けて反射する。
カッターだ。
危険を察知し、咄嗟に手を放す。
女は脱兎のごとく駆け出した。
俺は腰が抜けて、それをただ見送るしかできなかった。
~~
近況報告。
やはりクー子のほうも相変わらずつけられているらしい。
顔がひどくやつれているように見える。
男「会わないようにしているのに、何故だ……」
クー子「マークされている」
男「執念深いやつだ」
クー子「そう。執念深い。男も被害が拡散しないよう、行動には制限を設けるべき」
男「被害……? ああ、そういうことか」
要するに、女子と積極的に話して、みだりにターゲットを増やさないようにするということだ。
男「しかし、おかしいよな。他の女子と仲良くしたらコロス。っていうのは、コロス対象は俺のはずだろう?」
男「何故、クー子が見張られる? 俺さえマークしておけばいいんじゃないか?」
クー子「それは……」
男「お前、その手、どうしたんだ」
クー子は右手にリストバンドを巻いている。
クー子「切られた」
男「はぁ!?」
もしそうだとしたら一大事、警察沙汰だ。
男「いつだ?」
クー子「昨日、8時頃」
俺がアイツに会ったときと、同じ時間帯……?
男「お前、そんときどこにいたんだ?」
クー子「家の近くの公園の脇を歩いて……」
……家の近く? 確かコイツの家は……。
男「なぁ……クー子。人ってさ、嘘をつくとき、完全な嘘はつけないって本に書いてあったんだよ。お前それ信じるか?」
クー子「……なんの話?」
男「例えば、右上を見ながらだと嘘をついている、とか、あるじゃん」
クー子「……」
男「お前の家って、反対方向の電車だよな」
クー子「……」
男「俺の家からだと、歩いても1時間以上はかかる」
クー子「……」
男「お前が腕を切られた時刻を尋ねられた時、咄嗟に8時と答えたよな。いや、『答えてしまった』」
クー子「……」
男「それはちょうど俺がアイツと出会った時間帯だ。しかし、待ってくれ。同時刻に、異なる場所に2人の人間が存在するのはおかしいんだ」
クー子「もしかしたら、犯人は複数……」
男「クー子。お前のリストバンド、外して見せてくれるか」
クー子「……!」
男「お前の言うことが真実なら、切り傷があるはずだ」
クー子「できない」
男「なぜだ」
クー子「人に見せられるようなものじゃない」
男「この状況でそんなことを言うのか」
クー子「できない」
男「いいから見せろ」
クー子「やっ……!」
強引にリストバンドを外すと、そこにはちょうど人に握られたような形で、くっきりと痣がついていた。
男「……やっぱりお前か」
クー子「……」
男「最初の手紙も、おかしな話だ。お前の周りに座っている人物に尋ねてみたんだよ。そしたら、お前は『ずっと席に座って本を読んでいた』らしい」
男「席を外してなんかいない。誰がお前に気付かれずに、手紙を机の上に置くことができたんだ?」
クー子「……」
男「答えは簡単だ。自分自身で書いた。置いた」
クー子「……!」
男「なぁクー子。教えてくれよ。なんでこんなことしたんだ?」
クー子「……」
男「だって、こんなことしなくったって、俺達は普通に仲良く、くだらない話とか、真面目な話とか、どうでもいい話とか、していたじゃないか」
クー子「……」
男「なんで、」
クー子「あはははははははは」
男「!?」
クー子「おかしな男。私じゃないのに……」
クー子「ほら、ストーカーの仕業だよ」
クー子は取り出したカッターで自分の左手首を切った。
赤く染まる制服。白い肌に飛び散る、赤。
男「お、おい! やめろクー子!」
クー子「来たら危ないよ」
ぶん、とクー子はカッターを振り回す。
本気だ。洒落にならない。説得はおろか近づくことさえできない。
クー子「ほら、ストーカーがまた」
言うが早いか、クー子は再び自分自身を切りつける。
ストーカーとは誰なんだ。クー子。それは他ならぬお前自身じゃないのか。
手首、足、腕、体のいたるところをクー子は切り刻む。
血飛沫。赤。紅。緋。
狂気。
俺は今、人間の狂気を目の当たりにしている。
少女がカッターで自傷行為を繰り返す。ただそれだけの現象。
しかし、そこに至るまでの過程。矛盾だらけの思考。
受け入れがたい現実を前にして、俺は吐いた。
少女の笑い声が響く。
残響。
赤い世界。
暗転する視界。
『なんで』
何に対してか、誰に対してなのか、判断のつかない疑問だけを残して、意識が薄れて行った。
~少女の日記~
私の世界に人が訪れた。
私以外の人間なんて久しぶりだ。
でもすぐいなくなってしまうだろう。
過度な期待などしない。私には本だけ。それだけ。
またあの人だ。
私とお話をしてくれた。
くだらない話だ。どうでもいい話だ。
久々にこんなにくだらない話をした。
私が読書の世界に没頭していると、決まって声をかけられる。
それが腹立たしくも、ひどく嬉しいことに自分自身驚いている。
私は変わってしまったのか。
いやだ。変わりたくない。
どうせ一人になるのなら、温もりなんか知らなくていい。
おすすめの本を教えてもらった。
あの人は色々な本を知っている。
私が好きな漫画も知っている。
でも、私のことは何も知らない。
知ってほしい。
そして、知りたい。
図書館で話すことが日課になってきた。
彼は私のことを目にかけてくれている。
そして私はそれに甘えている。
嫌だけど、嬉しい。
あの人は、麻薬だ。
そして私は狂ってしまっている。
あの人が他の人と話していると、イライラする。
私だけのものにしたい。
私だけを見ていて欲しい。
きっとこれは恋。いや、愛かも知れない。
私だけのものにしたい。
私にはあなたしかいない。
あなたにも、私だけしかいなくなればいいのに。
他の女の子なんか見ないで。私だけを……。
私だけを見て。
私だけに話しかけて。
私だけに構って。
私だけにやさしくして。
嫉妬。憎悪。愛情。
全ての感情がごちゃまぜになる。
こんな私はいらない。
こんな私は、私じゃない。
一人だけの世界でよかった。
こんなに苦しいものが恋なの?
こんなに苦しいものが愛なの?
いらない。でも欲しい。
欲さずにはいられない。
醜い私。
こんな私はなくなればいいのに。
こんな私はいらない。
こんな私は私じゃない。
あなたが憎い。貴方が愛しい。
こんなわたしは――
消しました。
~某日~
ヤンデレ「ちゃお」
男「なんだよ、来るなら来るって連絡しろよな」
ヤンデレ「連絡したよ? 携帯に何回も」
男(着信がうるさいから携帯の電源切ってた……)
ヤンデレ「お邪魔しまーす。わ、すごい散らかってる」
男「ああ、色々探し物してたんだよ」
ヤンデレ「昔隠したAVとか?」
男「そうそう……って、ちゃうわーい!」
ヤンデレ「私ってばお茶目」
男「自分で言うな、っと」
タークス風になってしまった。
ヤンデレ「これは……」
ヤンデレは一冊のノートに目を落とした。
男「日記だ」
ヤンデレ「……」
男「お前に出会ったのは、大学の入学式だったな」
私のこと、覚えてますか? って素っ頓狂なことを聞かれたのを覚えている。
俺は「初対面だ」と言った。
それにしても、自分のタイプな女の子だと思った。
あの事件が衝撃的過ぎて、情けないことに俺は記憶喪失になっていたらしい。
ヤンデレ「男……?」
男「でも、それは間違いだ。大学が初めてじゃない」
ヤンデレ「……!」
男「そして、お前が女子高出身だというのも正しいが、正確ではない」
男「お前は共学から女子高に転校したんだ」
ヤンデレ「……」
男「元々は一緒の高校だった。そこで出会った」
ヤンデレ「男、記憶が……?」
男「思えばくだらない話を色々したよな」
男「『ツインテール』が好きだとか、『巨乳』が好きだとか、どういうくだりでそういう話になったのかもわからんが」
ヤンデレ「……!」
男「まぁとりあえず、再会の挨拶でもしようか」
男「久しぶり、クー子」
~第8部 END~
第7部、ENDでした。てへぺろ。
なるほど
続き気になるわこれは
>>642-653 おまた
この作品に足りないもの、それは情熱理想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ、そしてなによりぃッ……!
速さが足りないっ!
あと、男キャラ
~第8部 ニートじゃないけどかっこいいニートはジャ○ル・ニート編~
男「何も考えずに走れ!」
ヤンデレ「……?」
男「まぁ小首を傾げるな、ヤンデレよ。それよりP○Mについて話そうぜ」
ヤンデレ「二章はアレだね、ちょっと戦闘シーン改善されてたね」
男「そうだな。あと、まぁ散々ネットでも言われているが、カットイン欲しいなーと思う」
ヤンデレ「三章に期待……」
男「例の死神君も出てくるしな!」
ヤンデレ「リーダー?」
男「そんな嵐を呼ぶ展開にはならない」
ヤンデレ「むじょう…きょうじ…だったっけ?」
男「それはアルターの人だから違う」
ヤンデレ「太いんだよ! 硬いんだよ! 暴れっぱなしなんだよぉ!」
男「それもアルターの変態だから違う!」
ヤンデレ「俺は! すぺしゃるで! 2000回で! 模擬戦なんだよぉ!」
男「炭酸!」
ヤンデレ「俺はここでスイカに水をやることしかできない」
男「リョウジ違いっ!」
男「……なんで一回炭酸挟んだ!?」
ヤンデレ「まぁ、アイちゃんはわりかし動いてたな……と思う」
男「そうだな。予算かけてるなと感じた」
ヤンデレ「そのぶん他のシーンが静止画だったり明らかな尺取り虫だったり、」
男「おっとヤンデレ! 大人の事情はそこまでだいっ!」
ヤンデレ「てへぺろ」
~某コンビニ~
男(今日は平日。そしてその始まりの日。つまり月曜日。ということは、だ)
男(世のヤングメン達の心のオアシス、活劇冒険譚、友情努力勝利のあの雑誌の発売日ということだ!)
店員「らっしゃーせー」
男(いらっしゃいませだっつーの。ちゃんと発音しろよなー)
男(こんなこと考えてるあたり心が狭いのかもなぁと思うわ、自分自身)
男(……そんなことより、早く雑誌を購入して、家に帰って偽恋の続きを読まなければ)
男(雑誌とコーラだけ買っていくか)
店員「250円が一点、130円が一点、会計380円になりまぁーす」
男(えーっと、小銭は……)
店員「あたためますか?」
男「何を!?」
男(思わず突っ込んでしまった! というか、マジで何を!?)
店員「えっとぉ……コーラ?」
男「あー、なるほどね、コーラね。って、爆発するやないかーい!」
店員「あー、素晴らしいノリツッコミっすね。まじパネェっす。雑誌のほうはいかがしやすか?」
男「あ、お願いしますー……って、言うとでも思ったか!? チンするのか? お、今週のジャンプは熱いねーって、物理的に!?」
店員「じゃあ懐であたためておきやす」
男「秀吉かっ! すげー時間かかるし、全然コンビニエンスじゃないよ!」
店員「……もっと熱くなれよ!」
男「修造っ!?」
店員「熱くなーれ! たっかーなるーあっこーがーれー!」
男「なぜアンタのような見るからにチャラ男が○ッターを!?」
店員「いやマジ○ッターぱねぇっすよ、熱いっす。男じゃなくて漢っす。漢字で書くと痴漢の漢っす」
男「なんで最後印象下げるようなこと言った!?」
店員「あ、レシートよろしーっすか?」
男「あ、いいですー……って、いきなり普通に喋られると戸惑うんだけど!」
店員「じゃあアニメの話しますか。おにーさんアニメ好きそうだし」
男「てめぇ今言っちゃいけねえこと言ったな!? 人を外見で判断しちゃいけないんだぞ!? アメリカだったら訴訟ものだよ全く!」
店員「あるぇー? でも、おにーさんさっき俺のこと見るからにチャラ男とか言ってませんでしたっけ?」
男「ぐぬぬ」
店員「こうみえて俺けっこーアニメ好きっすよ。バイト仲間では多分一番のアニオタで、すごいマニアックな作品とかも見てますね」
男「ほう……じゃあ最近はまってるアニメは?」
店員「ワンピっすね」
男「矢○真理かよっ!」
店員「という、一連のくだり」
男「どーでもいいですよ。って、だ○たひかるかよ!」
店員「ボケとツッコミの化学反応!」
男「イ○パルス! ……貴様、エンタばっかり見てたな!?」
店員「はい。一番好きな芸人はギター侍です」
男「そこは羽○陽区じゃねえのかよ……っていうか、つまんねえだろ……古いし……」
店員「あ、人の好みディスったらダメっすよ。斬られますよ? ざんねーん! 三刀流……鬼斬り! つって」
男「ワンピに変わってんじゃねえか!」
店員「フヒヒ、サーセン」
男「……! キモオタ笑いをナチュラルに反してくるとはこやつ……できる!」
店員「少しは俺の実力、分かってもらえましたかねぇ?」
男「ああ、いいだろう。貴様……バイトは何時に上がるんだ?」
店員「えっ……そんな、まだ出会って間もないのに、私、心の準備が……」
男「やらないか(アニメトーク)」
店員「うほっ、良い男!(もちろんです)」
~公園~
妹「ふんふーん、今日はいい天気だなー」
妹(こういう日は、お兄ちゃんと一緒に散歩でもしたいな……昔みたいに)
妹「ん? あれは……!」
男(おや、なんだろう。急に嫌な予「お兄ちゃーんっ!」メコッ 男「ゴルバチョフッ!」
妹「お兄ちゃん、こんな平日の夕方からリストラされたサラリーマンみたいに公園のベンチでジ○ンプなんか読んでどうしたの!? 友情・努力・勝利なんて言ってる場合じゃないよ! お兄ちゃんに今必要なのは、妹・妹・妹だよ!」
男「そうか、よくわかった。ところで妹よ、人の括弧書きを突き破ってドロップキック登場してはいけないとお母さんに習わなかったか?」
妹「全然!」
男「おお……お前テンション高いな」
妹「うん! お兄ちゃんは相変わらずメタいね!」
男「言うな! 消されるぞ!」
妹「えへっ」
男「全く……。妹、なんかジュースでも飲むか?」
妹「うん! お兄ちゃんは相変わらずメタいね!」
男「言うな! 消されるぞ!」
妹「えへっ」
男「全く……。妹、なんかジュースでも飲むか?」
妹「投稿かぶったね」
男「言うな! 消されるぞ! マジで!」
妹「じゃあお兄ちゃんが飲んでるやつ」
男「わかった、ちょっと待ってな」
妹「え? いやいや、違う違う。座って座って。買いに行く必要ないよ?」
男「どゆこと?」
妹「お兄ちゃんが飲んでるやつって言ったでしょ? くれないの?」
男「もしかしてこの飲みかけのジュースのことを言ってるのか?」
妹「もしかしなくてもそうだよ? 新しいジュース買ってきちゃったら、お兄ちゃんと間接キッスできなくなっちゃうじゃない?」
男「ばんなそかな!」
思わず阿部寛になってしまった。阿部繋がりだ。嘘だ。
妹「ばんなそかなも、そんなばかなもないよ。ほら、おとなしくそのジュースを私に渡しなさい! あ、ダジャレになっちった、てへっ」
男「きゃーっ! やめてーっ!」
妹「へっへっへ、抵抗するだけ無駄だぜお嬢ちゃん。万年引きこもり気質のお兄ちゃんが力で私に敵うはずないじゃない……!」グイグイ
男「いやーっ! 堪忍してー!」
妹「おらおら、痛いのは最初だけだってば。生娘じゃあるめーしよぅ」
それにしてもこの妹、ノリノリである。
男「いやー!」
店員「……なにしてんすか」
男「おお、チャラ男君じゃないか。今は見ての通り、俺の貞操が危険にさらされているのだよ。助けてくれ」
妹「わっ! 知らない人に変な場面見られちゃったよぅ……うう、恥ずかしい……!」
いもうと は にげだした!
店員「男同士でアニメ語りする気で来たら、まさかの場面に出くわした俺の身にもなってくださいヨ……」
男「お、おう」
店員「ていうか!」
店員「マジありえなくねっすか! あんな可愛い彼女に逆レ○プされかけるとか……!」
店員「男さん、大事な話があります」
男「おう」
店員「俺と身体交換してください」
男「物理的に不可能だよ……あと、アイツは彼女じゃねえよ、妹だよ……」
店員「は、妹?」
男「おう、義理のな」
店員「え……、それなんてエロゲ?」
男「エロゲじゃねーよ……」
店員「まじっすか……世の中不公平すぐる……。俺には朝起こしに来てくれる幼馴染も、義理の妹も、やたらと俺を目にかけてくれる近所のお姉さん(生徒会長もしくは風紀委員)も、両親が海外旅行中という設定でお世話をしにきてくれるメイドやイトコも、カリバー的なものを所有してる騎士王のサーヴァントも、何一つないというのに……!」
男「ふぇぇ、エロゲのやりすぎだよぅ……」
店員「男さんはしないんですか、エロゲは」
男「まぁ、エロ含むアドベンチャーは色々やったけどさ……クロちゃん、ふぇいと、つ○きす、りとばす、くらなd」
店員「え、エロナドはクラゲじゃないもん!」
男「馬鹿にしてんじゃねーか」
店員「ふひひw」
男「いや、普通に面白かったけどな……あと、カミカゼエクスプ○ーラー、グリザイア、愛しい対象○守り方、車輪、さやうた、家計、エアー、みず○ろ……」
店員「グリザイアは3作やったんですか」
男「もち。あれってさ……えっちシーンさ……」
店員「はい。……いらなかったっすよね」
男「うん……ギャグだけでよかったのよさ……」
店員「アニメ化しますね」
男「そうだな、アニメ始まるまで死ねねーわ」
店員「カミカゼは意外とよかったっすね」
男「まぁな……、歌とかBGMよかった。あと、シナリオも割といい感じ。グラがちょっと全員乳デカすぎてうぅん……ってなったけど」
店員「主人公の能力発現したときのBGMとか、いいっすよね」
男「そうだな、まさに切り札って感じの主人公補正かかった能力で、実によかった」
幼女「ママー、あのお兄ちゃん達なんの話してるのー?」
母親「しっ、近づいちゃいけません!」
男「……」
店員「……」
まだかな
>>696 おまた
ちょっとだけ更新
~???~
許せないことがある。
人には、許容できるものとそうでないものがある。
それは正常な人間の、正常な感覚である。
では何を以て異常とするのか。
それは、許せないことの『基準』だと私は考える。
許せない。断じて許せない。
私は許せない。
いや――許さない。
好きなのだから。
私は、好きなのだから。
彼のことが、どうしようもなく好きなのだから。
だから、許せない。
許容できない。
私以外の人と、二人っきりで。
しかも、男だなんて。
女だったら尚更だけれど。
でも、よりにもよって、男だなんて。
許せない。
許せない。
粛清――するしかない。
~男宅~
ヤンデレ「お帰りなさい、あ・な・た」
男「ただいま……っつか、なんでいるんだよ」
ヤンデレ「ノーマル? アブノーマル? それとも……マ・グ・ロ?」
男「待って色々違う! 前提からして違うし、新婚じゃねーし、なんでプレイ内容なんだよ! なんだよマグロって! 『おまえ』決定かよ!」
ヤンデレ「もう、男ってば元気なんだから」
男「今ので元気なくなったわ……」
ヤンデレ「……? くんくん」
男「な、なんだよ」
ヤンデレ「……別の男の匂いがする」
男「どきっ」
ヤンデレ「ふぅん……『私の知らない』ところで、男同士でイチャイチャしてたんだ……」
男「ち、ちげーし! イチャイチャはしてねーし! ホモじゃねーし!」
ヤンデレ「でも、長いこと二人っきりで過ごしていたみたい」
男「嗅覚鋭すぎるだろ!」
ヤンデレ「私の鼻に嘘は通用しないクマー」
男「くそ……こうなったら、トラフーリ!」
ヤンデレ「しかし回りこまれてしまった」
男「ぎゃー! それは別ゲーだよぅ!」
ヤンデレ「大丈夫。男の全身、私の匂いで満たしてあげる……」
ヤンデレ「そして私は男の匂いに包まれて……うふふ」
男「いやー!!!」
ヤンデレ「あ、そうだ」
男「急に素にもどるなよ」
ヤンデレ「封筒届いてた。男宛」
男「そりゃ俺んちだから、俺宛でしょうよ!」
ヤンデレ「中身を見たんだけど、どうもおかしい」
男「どういうこと……? ってか、ナチュラルに他人のプライバシー侵害するのやめてもらえませんか」
ヤンデレ「紙が入ってた。どうも新聞の切り抜きで作られた文字っぽい。これはまるで犯行予告のよう」
男「いつぞやの事件を思い出すな」
ヤンデレ「私じゃないもん」
男「どれどれ……? 『それ以上イチャイチャしたら、コロス』」
男「……いつぞやの事件を思い出すな」
ヤンデレ「私じゃないもん!」
男「いやしかし、物騒だな……」
ヤンデレ「まぁ、私がいる限り大丈夫だけど……むしろ返り討ちっていうか、何気軽に男のことを殺すとか、言ってるのですかっていうか、ほんと差出人の方をブチ転がして差し上げないと……」
男「お、落ち着けヤンデレ!」
ヤンデレ「コロスコロスコロスコロス……はっ、大丈夫。ちゃんと『処理』するから」
男「何一つ大丈夫じゃない! ていうか処理ってなに! ……やっぱやめて、聞きたくない!」
ヤンデレ「足がついたら、男と一緒にいられなくなっちゃう」
男「ひぃいいい! 手紙の主さんよ、どうか無事に生きのびてくれ!」
ヤンデレ「命を狙われている相手の命を心配するだなんて、男ってば優しいんだから……まぁ、そこも好きなところなんだけど……」
男「いいこと言われてるっぽいけど、物騒すぎて戦慄しかないよ」
ヤンデレ「それはともかく、こうした手紙が来るという以上『住所』は知られているということ」
男「……!」
ヤンデレ「これは危険が身近に迫っていると考えて問題ない」
男「お、俺は一体どうすれば……」
ヤンデレ「簡単です。解決方法はあります」
男「さっすがヤンデレ! んで、その方法と言うのは?」
ヤンデレ「私の家にて24時間体制で男を監視下に置きます。セキュリティは万全です。衣食住と性に関して不自由することもありません。私も一挙両得な素晴らしいアイディアです」
男「……さっすがヤンデレ」
男(予想はできていた。やはり俺が悪い)
ヤンデレ「そうと決まれば、早速私の家に監禁……いえ、避難しよう?」
男「ひぃい! 危険を回避するはずが更なる危険地帯に!?」
ヤンデレ「大丈夫。すぐ慣れるよ……うふふふふ」
男「いやー、やめてーー!」
そういえば、こうして生娘のように抵抗するのは本日二回目だな、などと考える男であった。
いいね、④
そしてはよ
>>715-719 おひさー
ちょっと更新
~コンビニ~
どうにかこうにかヤンデレ宅に監禁と言う魅惑のシチュエーションを謹んで辞退させていただいた俺は、条件付きで仮釈放となった。
その条件とは、自分の家から半径2キロ圏内で生活するというものだった。
つまり、直径4キロである。蛇足だ。
要は、ヤンデレの目の届く範囲かつ何かあったらすぐに助けに行ける距離にいなさいという意味だ。
ちなみに俺がどこにいるのかは、GPSで把握しているらしい。
発信機はどこ? と聞くと、内緒だと言われた。怖すぎる。
男「うっす」
店員「こんちゃーす……じゃないや、いらっしゃいませー」
男「やっぱり夏はコンビニだよね。さながら都会という名のコンクリート砂漠に潤いをもたらすオアシスのようだよね」
店員「それを言うならコンクリートジャングルじゃ? あと、砂漠にオアシスはドミナント展開してないと思うっスけどね……ていうか」
店員「最近、男さん、やたらうちのコンビニ来てません?」
男「……色々あるんだよ」
店員「はぁ、そうスか」
男「色々あるんだよ!」
店員「な、なぜ二回も」
男「それはそうとさ、アイスクリームとラクトアイスの違いって分かる?」
店員「えっ? いや……言われてみれば、わかんねッス」
男「乳固形分と乳脂肪分が違うんだよ」
店員「へー」
男「乳固形分が15%以上、かつ、乳脂肪分が8%以上のものがアイスクリームっていうらしいね」
男「んで、ラクトアイスに乳脂肪分の規定はないんだけど、乳固形分が3%以上あればラクトアイスって言うらしい」
店員「……へー」
男「そのトリビアに一体何の意味が? と思ったそこのあなた、ここで問題です」
店員「!?」
男「皆大好きガリガ○君、分類は?」
店員「あ、氷菓ッスね」
男「えるたそー、正解!」
店員「ぶひぃいい! 可愛い! 可愛いよえるたそー!」
男「私、気になります!」
店員「私も、気になります!!!!」
店員「えっ、えるたそー! ほああー! えるたそー!!!!」
バイトリーダー「おい、そこの残念イケメン! ブヒってないで真面目に働け!」
店員「接客してるから、俺、ちゃんと仕事してます」
バイトリーダー「そういう接客は違うの!」
男「し、仕事だったのね! 私とは所詮ビジネスライクな関係だったのね!」
バイトリーダー「!?」
男「悪いな、邪魔して」
店員「またのご来店をお待ちしております」
バイトリーダー「ありがとうございましたー」
バイトリーダー(できればあまり来ないでほしい……)
~翌日~
男「よっ」
店員「よっす。あ、いらっしゃいませー」
男「いやー、放置してたらいつの間にか秋になってたねー。ビバ、紅葉っつか俺四季の中で一番秋が好きだわ―」
店員「サラッとメタ発言するのはいかがなものかと」
男「ハロウィーンフェアとかやらんの? コスプレせんの?」
店員「コスプレなんて、そんな張り切って店の売り上げに貢献しようとするのはバイトリーダーくらいですよ」
バイトリーダー「してねえよ!?」
店員「ハロウィンフェアはやってますけどね。ハロウィン関連のスイーツが売れ筋です」
男「何がおすすめ?」
店員「1番クジですね」
バイトリーダー「クジかよ!」
店員「ハロウィンのコスフィギュアが人気ですね。僕の中で」
男「ふむふむほむほむ」
男「じゃあ、肉まん2つくれ」
店員「かしこまりー」
バイトリーダー「クジ買わねえのかよ!」
男「フィロ」
店員「……! よくわかりましたね」
バイトリーダー「え? え!? 全然ついていけねぇ! なに!?」
男「ああ、いや、エレメンタルジ○レイドの話です」
バイトリーダー「ネタ細かすぎるだろ!」
店員「ああっ、お客様に突っ込んではダメですよリーダー!」
バイトリーダー「はっ、これは失礼……って、そもそもお前が仲良く喋りまくるからいけねえんだろうが」
店員「てへぺろ」
男「じゃ、今日はこのへんで……アディダス!」
店員「ラティオス!」
バイトリーダー「あ、ありがとうございましたー」
バイトリーダー(スポーツブランドとポケモンの名前にしか聞こえないがアディオス的な意味なんだろうな!)
期待
はよ
ほ
~???~
それは、桜舞う4月のことでした。
私が初めてあなたに出会ったのは。
それまでの私にとって、人生とは私だけのものであり、
私が好きなものは私だけであり、他人など入る余地のない存在でした。
私にとって他人というのは、理解が出来なくて、
本当に存在しているのか、
本当に自分と言うものを持っているのか、
機械仕掛けのような、
例えばこの世界に組み込まれた、世界を正常に回すただの歯車、部品のように思えてならなかった。
私も、多分そうだったに違いない。
ただ、私が居てもいなくても同じように回っていくであろうこの世界のパーツとして、
何の変哲もない、代わり映えのしない日常を構成していくだけだったのだ。
そう、あなたに出会うまでは。
~コンビニ~
男「よっすよっす」
店員「いらっしゃーせー」
男「いやすっかり冬だね」
店員「そっすねー」
男「物語シリーズで誰が好き?」
店員「あいさつ代わりにいきなりそれとは」
男「なー、誰が好きなんだよー、ほら言ってみろよー」
店員「やめてくださいよその修学旅行男子のノリ!」
男「僕は撫子ちゃん!」
店員「あっ、ずるい! 僕も撫子ちゃん!」
店員「撫子ーっ! なでこ可愛いよ、なでこーっ!! ほ、ほああー!」
バイトリーダー「いや、ガハラさん一択だろJK」
男「なっ、あなたは……!」
店員「バイトリーダー!」
バイトリーダー「チャラ男、シャフトってすごいな……」
店員「でしょー」
男(バイトリーダーさんに一体何が……)
店員「また新しいの出たら貸しますんで」
バイトリーダー「おう、よろしく」
男「チャラ男、お前……」
店員「薦めました。ハマりました」
男「すんげー簡潔な説明なのよさ!」
男「あ、そういやグリザイアアニメ始まったっつか果実おわったね」
店員「おわりやしたねー、アニメなんか失禁シーン多いですね。あとトラブル並にナチュラルにパンチラしまくってますね」
男「迷宮もその調子で是非お願いしたい」
バイトリーダー「よしこが走るわけない」
店員「走ったぁああ!」
男「うわ! リアルでこのノリをやられるとつらい! とてもつらい!」
バイトリーダー「もちろん、よしこ派です」
男(俺この人の好み大体わかったわ……)
店員「僕はマキナちゃん! そしてお姉ちゃん!」
男(うん、こいつはロリコンだな)
男「そして俺は女装ユージ」
店員「え……どんびき」
バイトリーダー「お客様の性癖は機密保持扱いさせていただきますので」
男「嘘だよ、なんやかんやで天ねぇが好きだよ」
店員「あー、わかりやすい」
男「お前にだけは言われたくないけどな!」
店員「ちっぱいは、正義! 紳士の嗜み!」
バイトリーダー「お客さん来たから大声でちっぱい言うな!」
店員「ふひひ、さーせんw」
乙
>>756-770 おまたん
ちょっと更新
~男宅~
ヤンデレ「お帰りなさい、あ・な・た」
男「ただいま。お風呂にする!」
ヤンデレ「ごはっ……ボケ潰し……!」
男「……一緒に入るか?」
ヤンデレ「それは当たり前だけど、どうかしたの? 男、いつもそんなこと言わないのに……風邪?」
男(ボケ返そうとしたのにナチュラルに一緒に入ることが前提だった……)
ヤンデレ「人間スポンジするにあたって、恥らいながらも彼のためと思って恐る恐る背中に胸をくっつける感じのシチュと、上だろうが下だろうが豪快にまさぐっちゃうオネショタ系のシチュどっちがいい?」
男「偏ってるんだが」
ヤンデレ「私のバストが?」
男「ちっげーよ」
ヤンデレ「あ、もしかして洗う側がいいの……? やだ、エッチ……」
男「ちっげーよ。大事なことなので二回言いましたけど!」
ヤンデレ「ちぇ」
男「なんかこういうやりとり久しぶりだな」
ヤンデレ「うん、最近倦怠期だったからね」
男「ん? お、おう……?」
男(え……ヤンデレの口からあろうことか『倦怠期』だって? 何かの罠か? だってコイツは、そういうの意地でも認めなさそうなタイプなのに……?)
男(多分、ここで肯定する発言をすればおそらく理不尽でちょっとだけグロテスクな展開になることは目に見えている……となれば、かくなる上は……!)
男「で、でも、俺たちなんだかんだでラブラブだよなー」
棒読みである。
ヤンデレ「もう、男ってば恥ずかしいんだから……きゃっ!」
男「ああ、俺の口からそういうことを言わせたかったのね……ちくしょう!」
ヤンデレ「ところで」
ヤンデレ「最近、あの男とはどういう関係なの」
男「はいぃ!?」
ヤンデレ「恋や愛は時として年齢や性別さえも超える……。最近そう思うの」
男「待て、早まるな。男相手に恋なんかするわけないだろう? あのコンビニ店員とはちょっと仲良しなだ、」
ヒュン。
男「あの、包丁が頸動脈を掠めたんですけど」
ヤンデレ「つい」
男「あと一歩で鮮血の花火が上がっていたんですけど」
ヤンデレ「いやん、男の血で出来た花火なんて、ロマンチック」
男「や、やややや、ヤンデレさん、それはロマンともマロンともかけ離れているわけですが」
ヤンデレ「ロマンもマロンもマカロンも皆似たようなものだよ? とっても乙女チックかつエキセントリックかつエキサイティングなんだよ?」
男「超! エキサイティン!?」
ヤンデレ「エレス・コレクート」
男「ペヨ○テ風に返されたッ!!」
ジャリ……。
ヤンデレが動きを止めた。
玄関に向けて、いや、その向こう側にいる『ソイツ』を見るように、ヤンデレはゆっくりと振り返った。
ヤンデレ「誰かな。……こんな夜中に、私たちの愛の巣に」
男「なにがだ……? そしていつのまにラブ・ネストになったんだ俺の家は……?」
男は気づかない。
研ぎ澄まされた獣のような聴力で、ソイツの接近を探り当てたヤンデレの視線の意味に、男は気づかない。
ヤンデレ「……消えた」
ヤンデレは一瞬困惑した後、元のポーカーフェイスに戻った。
男「どういうことだ?」
ヤンデレ「知らなくていい。でも、私が守ってあげる。神に誓って。私に誓って」
男「その守ってくれる方に○されそうになってたわけなんですが」
ヤンデレ「生殺与奪権を持ってるイコール相手は絶対服従イコールなんでも言うこと聞くイコール男は私のもの」
男「ねじまがった論理!」
ヤンデレ「男は……渡さない」
玄関を睨むヤンデレの目には、ゆるぎない信念が宿っているように見えて、一瞬だけかっこいいと思ってしまった。
待たせてごめん。そろそろ終わらせよう。
季節は過ぎる。
時間は流れる。
止まることのない車輪のように。
ぐるぐると、惰性で、個人の意志など関係なく、
介在する余地もなく。
回転し、今を過去に、記憶に変えていく。
そのような不安定な世界で、
そのような不明瞭な世界で。
確かに意味を持つものなど、多くはない。
だからこそ、個人の興味が、個人の執着が、その対象が
その対象に対して思う感情こそが、
世界で最も意味を持つものなのだと私は思う。
その価値観で言えば、私の彼に対する愛情そのものこそが、
この世で一番正しく、意味を持ち、そして尊いものなのだと思う。
~某コンビニ~
俺は相談を受ける羽目になっていた。
きっかけはチャラ男店員君の一言だ。
「仮にですけど、俺みたいなやつをストーキングする酔狂な方がこの世に存在する確率って、微レ存ですかね」
俺は答えた。
「ハウスダストぐらいの確率で存在するかも」
彼のバイト終了後、場所を変えて、俺たちは話をすることにした。
男のアニメ談義もといエロゲ談義もといただの猥談を繰り広げた例の公園だ。
男「詳しく聞こうか」
俺は自販機で買った缶コーヒーを店員に渡し、自分のものを開けた。
男「何があった?」
店員「いや、なんていうか……ちょっとオカルトチックな話も絡んでくるんですけど」
男「オカルト……?」
店員「はい……。ーー完全な密室だったんですよ」
店員はおそらく、今から話すことの根幹に関わる、最重要な部分をまず一番に言いたかったのだろう。しかし、それはあまりにも説明不足で、一体なんのことやらさっぱりだった。
男「まあ、『完全な密室』という言葉自体がもはやオカルトみたいに懐疑的な存在であるわけだけれども、それは置いといて、君が一番そこに疑問を抱いているであることも置いといて、何があったかを極めて俗っぽく話してほしい」
店員「誰かに侵入されたようなんです」
男「君の家?」
店員「はい。ワンルームなんすけど、角にテレビがあって、中央にテーブル。テーブルの中心には雑誌。隅っこにリモコンが置いてありました。あとーー灰皿」
男「あれ、タバコ吸うんだ」
店員「昔吸ってました。でも、今は吸わない。だから灰皿だけはあるけど、今は必要がない」
男「じゃあいらないんじゃ……?」
ここまで言って、店員が話そうとしていることに大方の察しがついた。
店員「いらないんです。いらないのに、あるんです。しまうこともできずに、置いてあるんです」
思い出だから、と付け加え、店員の目つきが急に真剣味を帯びた。
店員「帰ったら、俺のものではない吸い殻が、一つありました」
男「そうか。不審者が君の家で一服して帰って行ったわけだ。部屋を荒らすでもなく、悠々と。はは、そりゃ不気味」
不謹慎な発言に苦言を呈するでもなく、店員は淡々と、どこか虚ろな表情で続けた。
店員「メンソールでした。吸い口にほんのりと紅色が付着していて、半分まで吸われたそれは、くの字に折れ曲がっていて」
ということは、女性のものだろう。ストーカーか? いや、しかしさっきの思い出という言葉が引っかかる。よくわからない胸騒ぎを感じる。
男「鍵は?」
何か、とんでもない爆弾が待ち受けているような気がして、自分の理解の範疇を超える事実が店員の口からのべられようとしている雰囲気を察して、焦燥に駆られて話題を現実的な方向へシフトした
店員「かけてました」
男「窓も?」
店員「すべて」
男「じゃあ、鍵という部分に関しては『密室』なわけだ」
店員「そうなんです」
男「誰かが合鍵を持っている可能性については?」
店員「……今は、ありえません」
男「今は?」
店員「昔、付き合っていた彼女がいたんです」
男「やるね」
店員「今は、もういません」
男「……」
店員「俺はセッター吸ってましたけど、彼女はメンソールの煙草を愛飲していました。いつも口紅が吸い口についてて、吸い殻をくの字に折るのが癖でした」
男「その、今はもう『いない』ってのは……」
店員「ええ」
彼は顔を伏せた。そして、単語を区切るように次の言葉を発した。
店員「今は、彼女は、もうこの世にはいません」
冬の寒風のせいだけではなく、ぞわりと、静かに自分の背中に鳥肌が立つのがわかった。
〜男宅〜
男「なあ、ヤンデレ」
ヤンデレ「なあに、あなた」
男「新婚ごっこはいいから。お前、結構本読んでたけど、推理小説とかも読んでたか?」
ヤンデレ「もち」
男「完全な密室って、現実に存在すると思う?」
ヤンデレ「ありえない」
ヤンデレは即答した。
俺は一瞬面食らったが、まあそりゃそうだと納得する。
現に、今までプライバシーを守るために鍵を変えたり試行錯誤しても結局ヤンデレはどういうわけか密室へ容易に出入りすることが可能だったのだから。
男「じゃあ、幽霊って存在すると思う?」
ヤンデレ「……」
それこそ、即答するかに思えた質問に対しヤンデレは押し黙った。
ヤンデレ「わからない」
男「なぜ?」
ヤンデレ「悪魔の証明」
男「そっか。いないことは証明できない、ね。なるほど」
現実に存在するものならば物なり人物なりの証拠を提示することで存在を証明できる。
しかし、いないことの証明は、「見たことがない」というだけで「いるかもしれない」という可能性を否定することにはならない。
未だにジレンマが生じそうな理論ではあるが、確かにそうだと思う。
ヤンデレ「男は幽霊信じるの?」
男「俺は見たことがないものを信じられない」
ヤンデレ「私も、そうだと思う」
店員のシフトは朝の8時から夕方17時まで。
不可解な現象が起こった、その週のものだ。
もしこれが現実の人間による行いであれば、そいつは店員のシフトを把握していた上で犯行に及んだのか。
死んだ彼女を偽って、嫌がらせのようなことをした?
店員に恨みを持つ人物に心当たりはないと言う。
彼が悪い奴じゃないのは俺もわかる。
だからこそ、もし、これが実際の人間の犯行であれば不可解としか言いようがなかった。
それはこの言葉に尽きる。
「なんのために」
〜某喫茶店〜
店員は彼女のこと、ユウコのことを少しずつ語り出した。
外見は小柄で、髪型は茶色に染めたショートカット。
服装はボーイッシュなものを好み、キャップをかぶることが多かった。
人当たりのいい性格で、明るく、友達は多い方だったという。
店員「この間、彼女の命日だったので墓参りに行ってきたんです。既に新しい花がいくつか添えられていました。彼女の好きだったメンソールの煙草も。俺以外にも彼女のことを悼んでくれる人が、友達がいて、ちょっとだけ、救われた気持ちになりました」
店員は寂しそうに笑う。
店員「特にユウコと仲の良かったトモミっていう子がちょうど墓前に手を合わせていて、少し話をしました。そのとき、ちょっと不思議なことがあったんです」
男「不思議なこと?」
店員「はい。以前よく嗅いだメンソールの、懐かしい匂いがしました。トモミもどうやら気付いたみたいで、多分、俺の勘違いではないと思います。トモミにも例のことを話したら、『ユウコが寂しがってたのかもね』って」
男「……じゃあ、あれは死者からのメッセージ、という感じか」
私のこと、忘れてないよね? という意味だろうか。非現実的だ。
店員「そうかも知れません。あいつ、割と嫉妬深いほうだったし、俺に他に女ができるのとか嫌なのかも」
照れ臭そうに、彼は口元だけで笑う。
男「色男だね」
店員「茶化さないでくださいよ。だいたい、男さんだってーー」
ふいに、店員の言葉が途切れた。
店員は窓のほうを向いて目を見開いている。
男「どうした?」
俺も窓の方を振り返る。
喫茶店は往来の多い通りに面していて、行き交うスーツや買い物帰りのおばちゃん等で溢れていた。その中で、一人、小柄で、目深に帽子を被った女性が通り過ぎて行く。
髪色は茶髪だった。
店員「ユウコ……?」
疑問が口をついた瞬間、店員はもう既に立ち上がり、駆け出していた。
男「ちょ、まっ」
俺も後を追って走ろうとしたが、勘定を払っていないことに気づき、手早く会計を済ませる。
しかし、店外に出た時はもう既に店員の姿は見当たらなかった。
男「ちっ」
ヤンデレ「お困り?」
人ごみの中、気付いたらヤンデレが後ろに立っていた。
男「うおっ!?」
ヤンデレ「ベタなリアクションする男も好き」
男「それは良かった! ていうか聞いてくれ! 今まさにとんでも体験をしたところなんだよ!」
おそらくヤンデレはGPSで位置情報を察し、店外から見張っていたのだろう。窓に背を向けていたので気付かなかったが。
ヤンデレ「どうしたの? 幽霊でも見たような口ぶり」
男「勘鋭すぎるだろ! そうなんだよ! 見たんだよ!」
興奮した心に冷水をぶっかけるかのごとく、ヤンデレは静かに言い放った。
ヤンデレ「幽霊なんて嘘。見間違えただけ」
男「でも! 特徴が一致していた!」
ヤンデレ「脳は容易く騙される。そして、私は今からそれを証明してみせる」
ヤンデレは、GPS受信機を『2つ』取り出した。
〜路地〜
店員「ユウコ!」
その女は、路地の奥まった先で、向こう側を向いたまま佇んでいた。
女はこちらを振り返らないまま、言葉を発した。
?「久しぶりね」
店員「やっぱり……お前なのか、ユウコ」
一歩、店員が踏み出す。
?「私のこと、今でも想ってくれてる?」
店員「ああ、もちろんだ」
数年前病気により他界した、俺の大切な人。
忘れない。忘れられるはずがない。
この想いだって、あの時から薄れていやしない。
?「嘘」
店員「嘘じゃない」
?「だったら、あの男はなに」
店員「へ?」
存外シリアスな場面で、間の抜けた声を出してしまう。
男とは? 男さんのことか?
?「いつもいつもベタベタして、馴れ馴れしくして。あなた、私のことなんか忘れて楽しくやってるように見える。よりにもよって、男だなんて」
店員「はあ……」
こいつって、男にまで嫉妬するタイプだったけ。
確かに他の女と楽しそうに話していたりしたら、例えそれが『自分の親友だったとしても』むくれるようなタイプではあったし、そこがちょっと可愛いと思ってしまう自分もいたけれど。
?「私のこと想ってくれてるなら、もう不必要な関係は構築しないで。生きていく上で不要な人との関わりは避けて。それ以外の時間は、ずっと私のことだけを想っていて」
店員「そんな……」
?「その代り、私はずっと傍にいる。あなたの傍にいてあげる」
店員「でも、お前は」
?「そう。私はもう死んでいる。だから、この子の身体を依代にして、あなたの傍にずっといる」
店員「『この子』、だって?」
〜〜
ヤンデレに誘導されるまま、男は路地を右へ、左へと曲がる。
男「なあ、そのGPSって」
ヤンデレ「1つは男の。もう一つは、あの店員の」
男「わお。いつの間に」
ヤンデレ「コンビニでお弁当の温めをしてもらう間に」
男「手際よすぎるだろ……」
ヤンデレ「でも、それが今こうして役に立ってる。不本意ながら」
男「まあ、そりゃそうかも知れないけど」
ふと、男は思う。
ヤンデレはこの件についてどこまで『情報』を知っているのか。
ヤンデレ「幽霊はいない。でも想いは存在する。それを受け継ぐのはいつだって『生きている人間』」
男「言っている意味がよくわかんねーです」
そして、この件の行き着く先はどこなのか。
ヤンデレ「大丈夫、もうすぐわかる」
やがて細い路地に出た。
店員と、先ほどのユウコさんらしき人影がいた。
男「チャラ男!」
店員「男さん……」
困惑の表情でこちらを見る。そしてヤンデレのほうを見る。
ヤンデレ「さて、じゃあ吐いてもらいましょうか。あなたが一体誰なのか。死んでいるのか、生きているのか。そしてーー」
人影がゆっくりと振り返る。目深にかぶった帽子を外す。
店員の顔が驚愕の色に染まる。
ヤンデレ「あなたはユウコさんなのか、それともーー」
店員「トモミ……?」
薄闇の中で、ボーイッシュな女性は意味深な笑みを浮かべた。
〜〜
雨が降り出しそうなどんよりとした雲が広がる。
薄闇の中で、トモミさんはこちらに一歩、近寄る。
トモミ「私はーーユウコ。いわゆる憑依状態となって、トモミの身体を借りて現世に帰ってきた」
店員「じゃあ、やっぱりお前は」
男「いや、しかし……!」
ヤンデレ「幽霊は、現実に存在しない」
バッサリと、その場の空気ごと、ヤンデレが切り捨てる。
トモミ「いいえ。それは違うわ。だって、今、ここにいるじゃない」
トモミーーいや、ユウコが不敵な笑みを浮かべる。
ヤンデレ「ここにいる、のではなく、『いるように見せかけている』だけ」
男はその言葉を反芻する。
では何か? つまり、トモミさんはユウコさんの存在を、いるように見せかけているだけ? 憑依状態という現象を体現することによって、騙っている?
店員「なんのために……?」
トモミ「ふうん、疑うんだ。ずっと一緒だった私のことより、これからも一緒にいる私のことより、そんなわけのわからない巨乳ツインテール女のことを信用するんだ」
ヤンデレ「ずっと一緒だったのは、あなたではなく、ユウコさんでしょう?」
トモミ「黙りなさい。あなたは何も知らないでしょう。彼が不思議な体験をしたことも」
そうだ。確かに、あれには説明がつかない。
完全な密室などなくとも、あの状況を説明出来る論理はない。
鍵は過去に失われた。ユウコさんとともに。
トモミ「ポルターガイスト、つまり私による存在の証明だったのだけれど、彼はそれでも私のことを考えてくれる様子がないから、こうしてここにいる」
ヤンデレ「ポルターガイスト? 確か密室という話だったけれども」
男「ああ、そうらしい」
トモミ「霊は物体をすり抜けることができる。密室なんてないも同然。だけど、強く念じれば物体を浮かせたり、火をつけたり、物理的な干渉もできるようになる。人間にはできない」
ヤンデレ「それは違う。密室を構築するのは幽霊ではなく、人間。そして、『完全な密室などない』。そこのチャラ男君の2○1号の鍵はいわゆる普通のシリンダータイプ。推理小説マニアだったり、防犯対策に詳しい人なら知っていると思うけど、これを開けるのは、実は造作もない」
トモミ「だから、鍵なんて開ける必要がないんだってば」
ヤンデレ「すりぬけられるから? じゃあ、聞くけど。チャラ男君はセッターを吸っていたのよね。そもそもタバコ自体やめている。では、2○1号室にメンソールのタバコはなかった。外部から持ち込まれたことになる。幽霊ってタバコを買えるのかしら。そもそもお金は持ってるのかしら。あと、幽霊って口紅つけるのかしら」
怒涛の勢いでヤンデレがまくし立てる。
トモミ「こじつけは勝手にすればいい。でも、彼はもう一つ不思議な体験をしている。私の墓前に供えてくれた煙草を、私は吸った。吸うイメージを以て、トモミと彼に匂いを共有させた。そうよね?」
店員「ああ、確かにあのとき、トモミと俺は煙草の匂いを嗅いだ。ユウコの好きな銘柄だ。間違いない」
ヤンデレ「それはもっと簡単。思い込みよ」
男「思い込み?」
ヤンデレ「さっき、ここへ到着する前に大きい声がしたわ。『ユウコ』ってチャラ男君が叫ぶ声。なぜ、あなたは彼女をユウコさんだと思ったの?」
ここへきて、ああ、そうかと思う。
ミステリでも見かけられる手法だ。例えば殺人事件が発生して、遺体の特徴の一部だけを見て、それを『別人』だと判断してしまうこと。その場合、だいたい首なし死体だとか、顔がわからない状態である場合も多いが、何より、非常時に人は簡単に騙される。
ヤンデレ「茶髪。小柄。帽子。この3つの要素だけで、簡単に騙される。大方、あなた『も』チャラ男君にGPSか盗聴器を仕込んで会話を伺っていたのかも知れないけど。そりゃ騙されるわよね。死んだ彼女の話をしているときに、死んだ彼女に似た誰かが偶然通りかかったら、まさかと思う」
トモミ「騙すも何も、生前私が好きな格好をして何が悪いの。この子だって私の意志を汲んでくれた」
ヤンデレは彼女の言い分を無視して続ける。
ヤンデレ「さて、チャラ男君が墓参りに行った時に嗅いだ匂いは一体何だったのか。男ならわかるよね」
突然話を振られて戸惑ったが、俺はもうわかりきった答えを、それでも律儀に答える。
男「それは、トモミさんの『服』に染み付いた煙草の匂いだ」
ヤンデレ「正解。よく言うわよね、禁煙している人は煙草の匂いに『敏感になる』って」
店員は過去を振り返る。
例えば休憩から戻ったバイトリーダーとすれ違った時に感じた、煙草を吸った後の残り香。
作業服姿の客に染み付いた汗と、煙の匂い。
他にも思い当たる節は色々あるが、そう言われればあの時の匂いはトモミから発せられたようにも思う。人の記憶というのは、こんなにも簡単に揺らぐものなのか。
店員は、情けない気持ちと、どうしようもないやるせなさに頭をうなだれた。
トモミ「どうしたの? あなたは私のこと、こんなことで信じられなくなったりしないよね? ね?」
トモミは、すがるような目を店員に向ける。
彼はゆっくりと頭を上げる。
トモミをまっすぐに、悲しそうな目で見つめた。
店員「薄々、わかってたんだ。自意識過剰だと思って、あんまり深く考えないようにしてたけど」
彼は、曇天の空をわずかに見上げた。
店員「ユウコよりも先に、トモミが俺に好意を寄せていてくれたこと、俺は知っていたんだ」
あれは桜舞う4月のことだった。
高校デビューならぬ大学デビューというやつか、一浪して入った大学で、俺ははっちゃけようと思っていた。髪を染め、ピアスを開け、誰にでも連絡先を聞き、明るいやつを装った。偽装した。その中で、同じ一浪仲間を見つけるまでに時間はかからなかった。トモミだ。
トモミとは気が合った。その彼女の親友であるユウコと知り合い、俺は恋に落ちた。1年ほどして、俺はユウコと付き合い始めた。トモミは涙を流して祝福してくれた。元々仲が良かったトモミと楽しそうに喋っていると、ユウコはトモミに気づかれないように俺の袖を引っ張ったり、背中をつねったりした。
そんな彼女が愛おしかった。
20歳になり煙草を覚え始めた頃、彼女も吸うようになった。同じ秘密を共有している気分になって、特別な関係がさらに深まった気がした。トモミは「私はいいや」と言って吸わなかったが、いつも一緒にいたから銘柄を言えるほどには知っていた。
ユウコが病気を抱えていることを知ったのは、大学3年生に相当するころだった。その頃には既に同棲していたが、病状はかなり進行していて、余命あとわずかだった。教えてくれたのはトモミだった。気づかなかった自分の不甲斐なさが歯がゆかった。情けないと思った。ユウコは、心配をかけたくないみたいだったので、俺は知らないふりをした。しかし、それは長くは続かなかった。
ユウコは病院生活を余儀なくされた。トモミとしょっちゅうお見舞いに行った。いつも嬉しそうにしている反面、「浮気したらダメだからね」と自分の体より、俺との絆を心配してくれた。そんな心配はいらないのに、とトモミにぼやくと、彼女は曖昧に頷いた。
そして大学3年の冬、彼女は静かに息を引き取った。
まるで現実味のないまま彼女の葬儀が終わり、彼女の両親から合鍵を返された。
行き場を失った合鍵は、もう役目を果たしたと感じ、鉄くずと一緒に捨ててしまった。
思い出は、自分の中にあれば十分だと思った。
季節は巡り、俺は就職活動もろくにせず、レールから外れフリーターになった。気ままな生活はいいと思った。その日暮らしも悪くない。働いて、好きなアニメを見て、漫画を読む。その日を怠惰に楽しむ。先のことはわからないが、それでいい。
だって。
君を失ったこの世界で、どうやって明日のことを考えればいい。
〜〜
雨が降り出した。
トモミはなおも店員に訴えかけている。私は本物だと、私はユウコなのだと。
見ていられなかった。
現実に幽霊は存在しない。
ならばトモミさんがユウコさんを騙った、これは茶番なのだ。
ヤンデレ「もうそのくらいでいいでしょう」
トモミ「あなたには関係ない」
ヤンデレ「なくはない。あなたはそう、病んでいる。私との共通項」
トモミ「私はそんなんじゃない」
ヤンデレ「では、あなたの心を暴いてみせましょうか」
ヤンデレが静かに、一歩踏み出す。
ヤンデレ「ホワイダニット。なぜ、あなたはこんなことをしたのか。それはチャラ男君のことがすきだから。同時に、故人であるユウコさんのことも好きだったから。もちろん、それは友達として。親友として」
ヤンデレ「あなたはユウコさんが好きだった。ユウコさんの何もかもが好きだった。ユウコさんのポジション、つまりチャラ男君の彼女であるという事実も羨ましくてしょうがなかった」
ヤンデレ「あなたはやがてこう考える。ユウコさんになりたい、と。なぜあの人の隣にいるのが私ではないのかと。でも、親友を押しのけてまでチャラ男君に迫る勇気はない。あなたは二人とも好きなのだから。異性として、友達として」
ヤンデレ「その歪んだ心はやがて、彼女の死によって、悲しみによって、大きくねじれてしまう。それは、単純にユウコさんが死んだという事実以上に、あなたにとってはショックなことだった。それはなにか。親友がいなくなり、そしてチャラ男君の心が一生ユウコさんに囚われたままになるということ」
ヤンデレ「あなたは同時に2つのものを失った。それでも生きていかなければならない。ならば、あなたにできることはなんなのか。あなたが失った2つのものを『取り戻す』には、一体どうすればいいのか。やがてあなたはある一つの結論にたどり着く」
トモミが虚ろな目でつぶやく。「嫌……」
ヤンデレ「死者は蘇らない。ならば、私が彼女の意志を継ごう。私がユウコとなって、彼と添い遂げよう。そうすれば、私は、親友も、大好きなあの人も手に入れられる。失ったはずの2つが戻ってくる」
トモミ「やめて……」
ヤンデレ「なんて可哀想な人。そんなことをしても、死んだ人は戻らないのに。彼の心も手に入らないのに。そうやって、死人のために自分を殺して、彼の心までも故人に縛り付けて、いったい誰が幸せになるの? いったい誰を幸せにする物語が紡がれるの?」
トモミ「やめて……!」
ヤンデレ「核心についてまだ触れてない。あなたは、彼を好きである自分が、自分自身で許せなかった。ユウコさんに対する背信のように感じていた。誰かに肯定して欲しかった。せめてもの、自分自身の嘘偽りない正直な、ただ、『人を好き』というだけの純粋な気持ちを。誰にも否定されたくなかった。罪悪感に身をやつしたくなかった。だから、今回の件の背景には、あなたの自分を正当化したいという思いが隠れている」
ヤンデレ「あなたはだから、本当は、ユウコさんがチャラ男君に忘れられないように彼女を騙ったわけではなく、本当は自分を正当化するために、誰にも否定されない『好き』を彼に伝えるために、その手段を用いて、実行したのではーー」
トモミ「もうやめて!」
絶叫が薄暗い路地に響き渡った。
店員「トモミ……」
トモミ「ええ、そうよ。私はユウコじゃない。私は、私はーー」
彼女が嗚咽交じりにヤンデレの言葉を肯定した。そういう旨の言葉を紡いだ。醜態を隠すことをやめた。彼女の涙はやがて雨粒と溶け合い、大量の水となってアスファルトへと消えていく。その間、ずっと彼女は「ごめんねユウコ」と、繰り返していた。店員はトモミを抱きしめ、一緒になってその路地に吸収される水の量を、静かに増やした。
〜エピローグ〜
男「名探偵ヤンデレ、事件解決の巻だな」
俺はわざと明るい口調でわざとらしく言った。
ヤンデレ「あんな稚拙な件は、事件でもなんでもない。というか、あの女は、最初から間違っていた」
男「お、おう」
どうやら相当ご立腹らしい。俺がツンデレとイチャイチャしていたときのように怒りが尾をひくことは、ヤンデレにしては珍しいとも言えた。
ヤンデレ「どうして最初から、言わないのかな」
男「私はトモコじゃなくてユウコです、って?」
ヤンデレ「違う。もっとずっと前。トモコさんがチャラ男君に会って、仲良くなったとき。もしくは、ユウコさんに対して嫉妬を覚え始めたとき」
男「あー、なるほど」
言わんとすることを、俺は察したのだった。
ヤンデレ「彼女は、親友の彼氏だからとか、二人の関係がすでに出来上がっているとか、そんなことを気にするべきじゃなかった。遠慮すべきじゃなかった。考慮すべきじゃなかった。自分の気持ちをひた隠しにしたり、親友に罪悪感を感じている場合じゃなかった。全てが遅かった。後の祭りだった」
男「言いますね、先生」
ヤンデレ「言いますよ。だって、『好き』なんだもん。しょうがないじゃない」
男「ふむ」
自分の気持ちに、正直に、愚直に、しかし誠実に向き合っているこいつだからこそ、それが許せないのかもしれない。ヤンデレが自分に正直すぎる結果、俺は24時間監視体制に置かれているわけだが。
ヤンデレ「引け目を感じたっていい。罪悪感を感じたっていい。それで親友や意中の人との関係が破綻することになってもいい。ただ、自分の気持ちに正直に、好きだっていうことを伝えていれば、それでよかったの」
ふう、と一つため息を吐き、ヤンデレは不満やモヤモヤも同時に吐き出しきったのか、ソファに座る俺の膝に頭を乗せてきた。逆膝枕というやつである。
男「仮にさ、仮にだよ? 仮定の話であって実在する人物・地名・団体とは一切関係のないフィクションの話なんだけど」
ヤンデレ「なに?」
男「俺がお前のこと嫌いだって言ったら、どうする?」
ヤンデレ「死ぬ」
男「いや待てだから早まるな俺が悪かった! その頸動脈に当てた包丁をしまえ! ていうかどっから出した!?」
ヤンデレ「冗談。私ってばお茶目」
男「だから自分で言うなと」
ヤンデレ「でも、仮に男が私のこと嫌いだって言ったら、好きになってもらえるよう努力する。どこが嫌いかを徹底的に聞いて、好きになってもらえる自分になる」
男「うーん。でもさ、そしたらヤンデレ自身はどうなってしまうんだ? 俺に好かれるための『なにか』に、つまり別のものになっちゃうんじゃないか? それって、他人のために自分を捨てていることにならないか?」
何気に、人間一人の存在の根幹にかかわる質問をしたつもりだった。
ヤンデレ「ふっ、違うのですよワトスン君」
男「誰だお前は、ホームズか」
シリアスな話をしているのに使い古されたボケをかまされるとは。
ヤンデレ「私が私である理由、そして存在証明は『男を好きである』これのみに尽きる。そもそも男のことが好きである、という私なのだから、あとは全てオプションみたいなもの。でも、好きな相手には好かれたいって思うのが普通だし、好かれるように努力するのも自然だと思う。むしろ、努力しないなんて怠慢」
男「ストイックなのかイカれてるのかわかんねーよ」
ヤンデレ「そんな女は嫌い?」
男「嫌い? と聞くことにより相手から好意的な返事を聞き出したいわけか」
ヤンデレ「うん」
どこまでも素直すぎるこいつだった。
男「しょうがないなぁヤンデレちゃんはー」
ヤンデレ「なぜどら○もんが秘密道具を出すみたいに……」
男「じゃあ一回しか言わないからな」
ヤンデレ「割と何回か聞いてるけど、好きって」
男「今日は一回しか言わないからな!」
ヤンデレ「やん、私は何回でもOKなのに」
男「とりあえず恥ずかしいから目を瞑るが良い」
ヤンデレ「その恥ずかしさに満ちた男の顔を視姦したい。穴があくほど見つめたい。ハァハァ」
男「よし、やーめた」
ヤンデレ「あ、うそ。うそだから。目つむる。はい」
膝の上でまぶたを閉じた女の子の顔は、人形みたいに綺麗だった。
長いまつげを見つめる。
おでこの上に片手を乗せる。
俺はそっと身をかがめる。
唇と、唇が触れ合った。
言葉にしなきゃわからないことが多々あるように。
行動で示さなきゃ時として伝えられないこともあるのだと、俺は思った。
男「やっぱ好きって言うのやーめた」
ヤンデレ「なんで? 私のこと嫌い?」
男「いや、違う。そうじゃない」
可愛くて、ひたむきで、正直で、時々とんでもないことをするこいつだけれども。
愛が重すぎて耐えきれなくなって逃げ出したくなる時があるけども。
男「愛してる」
そのせいで「別れよう」なんて言って、距離を置いてみたりもするけれど。
それは、愛されすぎるのが怖いから。
そして、愛しすぎてしまうのもまた、怖いから。
なのかもしれない。
〜おわり〜
このSSまとめへのコメント
続編希望!!!
誰かあこのssを同人漫画にしてうp
してくれェ
くっっっっっっそ面白い。このノリ大好きだ
ヤバイww
メチャクチャ面白かった
これ....大好物ですわ
続編読みたいー(>人<;)
みんないいキャラしてるうううー
漫画やアニメになっていいくらいのクオリティでした(´∀`)
大変面白かったです‼︎
続編よみたい…
早く続編がみたい
誰か書いて!
続編はよ
好きや、
可愛い(◜௰◝)
いいね!
GJアンタ・・・かっこいいよ
ヤン化する過程が良い
つながってる感じがいいね
なんか感動した…
理解できない俺の頭が悲しいぜ☆
。゚(゚´Д`゚)゚。
早く次!!
続編希望!
続きはよ!
続き気になりすぎて禿げそうだ
続きはよ!
漫画やアニメになるほどではない。良作ではある。
まさかクー子がヤンデレだったとは……。
見せてもらおう…
今後の展開とやらを。
こんないい作品をくれて作者さんに一つありがとう。また会えるのお楽しみにしています
(続編を)歓迎しよう 盛大にな!
俺はこのノリが大好きだ!
やっぱりヤンデレは最高だぜ!!
これ好きすぎるw
マジで最高です、
掛け合いおもしろすぎます笑
やらないか(続編)
ツンデレ「べ、べつに続編やってほしいんじゃないんだからねっ!
え、でもやっぱりやってほしかったりもするけど···」
続編期待!
久しぶりにはまった
早く続きがみたいっす
つづきはよ
おもしろい
アタシ男みたいな人と付き合いたい。いや、アタシの男が男みたいになってくれればいいのよね。処理しなきゃ♡
ダメだ・・・面白すぎだ。男のノリすげえ。続編まだかな~wkwk
続きを!
はやく続きを!
続きが早く見たいな!
店員と男の会話8割オレと友人の会話に似てて二人して爆笑した
続きを!!!
続きはよ!
さぁ見せてもらおうか。貴様の力を、そして続編を…。
神スレだわ
是非とも自分のペースでいいので続きを書いて欲しい
まだ続いとんのか
面白い…面白いw
ヤンデレさんとの会話が和むw
めっちゃ面白い…
ヤンデレさんかっこいい…w
ヤンデレ「早く続編を書かないと…1の頭部と体を繋いでる部分(=首)を切っちゃうよ?」
という訳で続編期待
ましで続きみたい
頼むー!
更新ktkr!待ったかいがあったわ
素晴らしかった。続編期待www
お疲れ様でした
え?おわり?そんなぁー
とても好きな内容でした。
続編期待してます。
ほんとに面白かった!