ロリコンだけど質問ある?(46)

男「なんでも答える っと…」

男は椅子に座った状態で伸びをした。

建てたスレッドを開き書き込みがあるのを待つ。


2:名無しがお送りします
 無い


3:名無しがお送りします
 >>2 (´・ω・`)


4:名無しがお送りします
 >>3 馴れ合い厨きっしょ死ね


男は項垂れた。

確かにこんなスレッドが伸びるわけがない。

書き込み数3でスレッドは落ちた。

一日中パソコンを触っていたので気分転換がてらコンビニに行くことにした。

これがニート男23歳の転機だった。

近所のコンビニまで徒歩7分。

レジ横のアメリカンドックが男のお気に入りだった。

気温は32℃。

汗を垂らしながら歩く、やや肥満体型のニート。

どう見ても不審者だった。

「すみません。少しお時間いいですか?」

不審者の自覚のあった男は職質かと思い振り向く。

そこにいたのはワイシャツを着たいかにもサラリーマンといった風貌の男だった。

整髪料で髪を整え、高そうな生地のスーツのズボンを履いた、彫りの深い顔をした、いかにも清潔感のある若い男だった。

男「なんでしょう」

イケメン「男さんですよね?私、厚生労働省の無職再生課の山本ともうします。あ、こちら名刺です。」

男「どうも」

イケメン「はい、で、要件の方はですね、男さんの就職の斡旋というふうになります」

男「就職ですか…?」

というのも実は男、大学を中退後就職した会社がブラックだったため、就職にあまり良いイメージが無かった。

イケメン「はい、そうですね。立ち話もなんですし、男さんのお宅にお邪魔してもよろしいでしょうか?」

男「別に構いませんけれども」

現在午後10時。こんな時間に働いてるなんて大変だなあと思いながら男は了承した。

男「どうぞ上がってください。スリッパはこちらを使ってください」

イケメン「お邪魔します」

男はイケメンをリビングに通した。

男「どうぞ座ってください」

イケメン「失礼します」

男「お茶は麦茶でいいですか?」

イケメン「ありがとうございます」

男は台所の冷蔵庫から麦茶ポットを出し、湯呑に注いでイケメンの前の机においた。

男「で、なんでしたっけ」

イケメン「男さんの就職斡旋の話ですね。えーっと、どこやったかな、あったあった」

イケメンはビジネスバッグからファイルを取り出した。

イケメン「男さんの就職先はですね、自衛隊になります。」

男「自衛隊…ですか?いやいや、見ての通り僕はこんなナリですし流石にそれは厳しすぎませんか?」

イケメン「いえ、男さんにご紹介するのはですね、いわゆる自衛隊員というものではなくてですね、自衛隊で用いられる新型兵器のモニターとその実用になります」

男「人体実験的なやつですか?それなら無職じゃなくて死刑囚にやらせるんじゃないんですか!?」

イケメン「いやいやその言い方には語弊があります。というのはですね、現在日本の軍需企業が新しく開発した防衛兵器があってですね、PATRIOTIC ARTEFACT MACHINERY 通称パムと呼ばれる防衛兵器の運用になりますので、薬物の実験台というようなことはないですよ」

男「なるほど。でもどうして僕が選ばれたんです?」

イケメン「それは男さんが無職であったことと、男さんが最近流行りのサバイバルのロボットゲームのBGIRでトップランカーだからですよ。パムというのはですね、非常に自然な、生身に近い操作性が長所に挙げられるのですが、重要なのが長時間の集中力だとか、高いエイム力だとか、立ち回りなどになります。それで、トップランカーの男さんに白羽の矢が立ったわけです」

男「なるほど。もしかして、BGIRの運営が軍需企業の子会社ってのは…」

イケメン「ええ、このためですね」

男「えぇ…だからあんなにテレビとかでもコマーシャル流してたんですね…」

イケメン「ええ。それでわかっていただけたでしょうか?」

男「わかったんですが、もう少し検討させていただいてもいいですか?」

イケメン「どうぞ。名刺に連絡先が書いてあるので、そちらの方に連絡ください。あと、こちら資料になります。一度目を通していただいてもよろしいですか?」

男「はい。」

渡されたファイルの中の薄い冊子を開けて読む。

イケメン「これがパムになります。だいたい10FEET、バスケットボールのリングまでの高さと同じくらいの大きさですね。えーっとメートルに直すと3mくらいになります」

男「あれ?これって…」

イケメン「そうです。男さんがなさっていたBGIRの影匣と同じ機体です。細かい所は若干違うんですけど、性能、機能、デザインなどは忠実に再現されています。まあ、忠実に再現してるのはこちらの兵器ではなくてゲームの方なのですが。」

男「なるほど、搭載武器とかはどうなってるんですか?」

イケメン「流石に弾数無限の標準装備のマシンガンみたいなものはないですが、ほとんどゲームのままです。」

ねる

男「サイト(照準器)の見え方はどうなってるんですか?」

イケメン「ある程度は同じです。手ブレ等がありますので全く同じというわけには行かないんですが...」

男はスナイパータイプのプレイングをするため、重要な事だった。

男「操作はどうなるんですか?」

イケメン「脳波操作ですね。序盤の使い始めはなれないかもしれないですが、慣れるとコントローラーよりも使いやすくなりますね。」

男「コントローラーで操作できないんですか?」

イケメン「ゲームはプログラミングされた動きをするんですけど、その動き方を現実でしてしまうと、転倒します。ラグは小さくはなるんですが、実用段階には至りませんでした。」

男「やけにお詳しいですね」

イケメン「まあ、パムの開発研究所で働いているので。便宜上無職再生課とは言いましたが、籍のほうは研究室ですよ」

男「なるほど、影匣だけじゃなくて他の機体は用意されてるんですか?」

イケメン「ええ、雹匣や燃匣などメジャーなものは一通り。このパンフレットの序盤は機体についての説明ですね。」

男「僕以外にモニターは?」

イケメン「いらっしゃいますよ、まあ、男さんと同じく交渉段階なので断言はできないですが」

男「ちなみに何人くらいと交渉してるんですか?」

イケメン「現在4人ですね、男さんも含めると5人です。」

男「全員ランカーですか?」

イケメン「えぇ、皆さん自営業と無職と引きこもりのランカーの皆さんです」

男「えぇ...その言い方すると労働環境に不安が出てくるのですが...」

イケメン「トップランカーの皆さんは皆さん頭の回転が早いので、BGIRみたいな頭脳系のゲームは特に。男さんの前の職場みたいにパワハラみたいなアホなことする人はいないでしょう」

イケメン「多分」

男「最後の一言で一気に不安になったんですが...」

イケメン「まあ、あまりにも性格に難ありだと思ったら交渉段階でお断りさせていただくので...」

男「うーん...」

イケメン「次ですね12ページ開いていただいていいですか?」

イケメンは はなし の ほこさき を そらした!

イケメン「基本給は月80万になります。休みは週一回。労働時間は訓練によってまちまち変わります。寮付きです。えーっと次のページですね」

男「80万も貰えるんですか!?」

イケメン「まあ、男さんにはそれほど責任のある仕事を任せる訳です。国防の枢要部分を任せるんですからね。もちろん低給料だと金欲しさに軍事機密を漏らす輩が出るので、口止め料も含みますよ」

男「寮は新築ですか...」

イケメン「えぇ。先週内装工事が完了したばかりです。」

おまいらもladybabyを聴け

イケメン「12畳間一部屋風呂トイレ付きです。光熱費や水道代はこちらの方で払います。食堂も1階にありますよ。一応ドリンクバーもありますのでご自由に使ってください」

男「いたれりつくせりですね」

イケメン「まあそれだけ厚遇する理由があるんですよ。私も使えるんなら住みたいんですけどね」

イケメン「まあ都心から遠いのはマイナスポイントですけどね。」

男「所在地は...あった!えーっと...岐阜...ですか...」

イケメン「訓練予定地が日本アルプスから北陸地方までの過疎地がいいということになったので...そこは勘弁してください」

男「まあ問題は無いんですが...」

イケメン「最近はAmazonとかあるのでそういうのを利用して下さい。寮周辺には映画館などの娯楽施設を誘致する事が決定してますのでそこまで不便ではないと思います。」

イケメン「以上で説明は終わりになりますが、なにか質問は?」

男「...あっ!寮に持ち込み不可な物はありますか?」

イケメン「特にはないですが、機密保持の為にカメラや携帯等には届出を出してください」

イケメン「あとは銃刀法違反になるようなものだとか爆弾みたいな法律に抵触するもの以外は持ち込みokですよ」

男「わかりました。ありがとうございました。後日また連絡します」

イケメン「いいお返事お待ちしております。パンフレットの方はですね機密保持という名目で回収になります。すみません」

男「いえいえ」

イケメン「夜分遅くに失礼しました。」

男「いえいえ、ありがとうございました」

イケメン「それでは」

男「気をつけてお帰りください」

男はソファにもたれ掛かり深く息を吐いた。

男は今にでも踊り出したい気持ちだった。

こんなしみったれたつまんねえ生活を送るよりも山本の勧誘に乗った方が良いに決まっている。

そろそろ貯金が切れかけそうだった時に舞い込んできた金の成る木の話だ。

乗らないわけがない。

男の本能が これが自分の人生の転換期 だと叫んでいた。

男はソファに体を預け、そのまま意識を手放した────。

起きた時にはもう10時を過ぎていた。

男は基本3時に寝て9時には起きるという生活を送っていたのでまあ許容範囲。そんな感じだった。

寝起きの一杯のコーヒーを挽いて飲んだ。

徐々に男の意識は覚醒する。

部屋に充満するコーヒーミルから薫る豆の焙煎した香りが鼻をくすぐった。

そうして徐々に昨日の興奮が蘇ってきたのだった。

男「どうしよう」

答えは決まっている。

男「どうしようか」

拒むわけがないのだ。この機を逃してしまえばもう一生こんなチャンスは訪れないのはわかりきっていた。

男「どうしよう!」

はい

男は顔を冷水で洗って一息ついた。

目の前の机には携帯と山本の名刺。

時刻は11時を回ったところだった。

携帯を持ったその時────...

ジリリリリ!!!!!!!

けたたましい音が鳴り響く。

音の発生源は携帯。

男は着信音を黒電話の音にしていた。ゆえに誰かから電話が来たということになる。

名前を見ると、母親からだった。

男「もしもし…」

母「男!起きたんか!近所の大林さんからジャガイモもろたんやけどなぁ!男ジャガイモ好きやろ!ふかしたやつ夜作るからな!いっぱい食べてな!」

男「お、おう...」

母「ほなまたな!ああ、あんたリビングのクーラー昨日つけっぱなしにしてたやろ!タイマーでちゃんと時間設定しなあかんて言ってるやろ!ああ、そうそう、帰って来るまでにリビングのクーラーつけといてな!暑くてかなわんわ!」

男「了解」

プツ

一方的に喋って一方的に切る母親だった。

男「よーっし...今度こそ....」

男は携帯を手に取る。

男「080の...」

名刺を見ながら少しずつ番号を打ち込んでいった。

男の心臓は触らなくてもドクドクと音が響き、指も緊張で思うように動かない。

なんとか最後の番号を打ち終わり、発信ボタンを押した。

Prrrrrrrr......

Prr「もしもし、男さんですね。お待ちしておりました。」

男「昨日の件ですが、どうぞよろしくお願いします」

イケメン「かしこまりました。そうですね、改めて、またそちらにお邪魔してよろしいでしょうか?」

男「はい。日にちはいつでもいいですが...」

イケメン「今日の午後はどうでしょうか?」

男「大丈夫ですよ」

イケメン「ありがとうございます。では4時頃にお邪魔させていただきます」

男「わかりました。それでは。」

イケメン「それでは。」


男は大きく息を吐き、自室へ向かう。

パソコンの画面のスイッチを入れ、BGIRを開いた。

クランチャットを開く。

男「わりい、職が決まったからIN率落ちるかも知んねえ」

侍「フォポカヌゥwwww男殿wwww奇遇ですなwwww 実 は 拙者もwwwwヒッキー卒業決定でござるwwww」

男「おめ!」

侍「サンクスでござるwwww男殿もおめでござるよwwww」

ここ2年ほど同じクランにいた侍もまた、引きこもりを卒業するようだ。

職をやめた直後にBGIRのサービスが開始し、なんとなくゆるーくやれそうなクランに入った男だったが、いつの間にかトップクランとして名を馳せていた。

──メンバーが皆暇人だったからだ。

ということもあり、侍とは馴染みの仲であった。

男「学校に行くことになったのか?」

侍「いえwwww中退で就職wwww拙者中卒決定wwwwまあ、通信制高校で高認は取るつもりでありますwwww」

男「頑張れよ」

侍「男殿もお達者でwwww」

忍「はぁ!?お前ら俺に内緒で警備員卒業すんのかよ!許さねえぞ!」

忍「まあ俺も就職決まったんだけどねww」

男「いやお前もかーい!」

男「なにちょっとタイミング揃い過ぎて怖いんだが」

騎「私も就職決まったけど質問は?」

忍「ない」

騎「(´・ω・`)」

男「ちょっと待て、勤務地いっせーのせで言わないか??」

侍「いっせーの」

忍「せ」

「「「「岐阜」」」」

忍「安定のヘッドハンティングwwww」

騎「まあそらそうですわ」

侍「オフ会wwww開催地wwww岐阜wwwwスレ立てるおwwww(立てない)」

男「まじかー...」

2年間も連れ添ってきた友人達と一緒に勤務できるというのは正直言って『不安』でしかなかった。

男(いや、だってコイツらマトモじゃねえし....)

一抹の期待と仰山の不安を抱きつつ男は画面を眺めた。

ピコ-ン

男(フレンドチャット...誰からだ)

銃「うはwwww就職決まったwwww
男は自宅警備員のままだろ?悔しいのうwwww悔しいのうwwww」

男「はいはい岐阜岐阜」

銃「(´;ω;`)」

銃「ネタ潰しとか酷いよ男くん(´;ω;`)」

男「じゃあの」

仰山の不安って表現違和感あるからそこは脳内補完オナシャス

男→長距離射撃。ヤシマ作戦の初号機イメージ

侍→近接。二刀流。

忍→爆弾と中距離射撃。

騎→壁役。タワーシールドによる撲殺担当。

銃→近距離射撃。二丁拳銃と徒手格闘を組み合わせた感じ。

銃は別クランです。

男「おい、銃」

銃「なに?ついにデレる気に...?」

男「は?」

銃「えっ?」

男「久々にDuoでやるぞ」

銃「デレてるじゃないですかぁぁぁああああ!!!」

男「デレてないんだよなあ…」

銃「デレてるよなぁ?」

男(パーティ申請はっと...)

部屋にクリック音が響いた。

銃「これが 結 婚 届 !!!」

男「パーティ申請が婚約届けなら毎日何回入籍してるんだろうなぁ...」

BGIRにおけるDuo戦とは...

2vs2(もしくは2vs2vs2)の旗取りゲームである!

プレイヤーは敵を撃破し!エリア内に散らばる旗を奪取しリスポーン地点を前進させ!

20分以内に敵の本丸を落とすか、20分経過時点で取得旗数の多い方が勝ちである!

銃「準備出来たよ!

男「おk」

男は出撃準備完了のボタンを押した。

すぐにリロード画面に切り替わる。

数秒待つと、マッチング完了の文字が。

男「今回は2vs2vs2か...」

2チーム戦と3チーム戦はランダムで決まってしまう。

前衛が銃、後衛が男という構成だと、3チーム戦では不利になってしまうのであった。

ステージに移動中という画面が出る。

そして男と銃はステージにスポーンした。

ステージはランダム構成なため、一番初めは地形把握が重要になる。

男「今回は砂漠だな...」

男は砂丘に登り、光学迷彩を起動、そしてライフルの最大倍率500倍のスコープを覗く。

男「r ne. g nw」
(赤チーム 北東に本丸、緑チーム北西に本丸)

銃「了解」

男(最初の一発!くらえ!)

敵の銃身が太陽光を反射し、光った事を視認した男はトリガーを引いた。

銃声がサイレンサーによって抑制された音が響く。

画面右上に1kill ×1.05の文字が出現する。

1kill毎に攻撃力が乗算されるのだ。
ちなみに1deathするとリセットされる。

男「gへ タンク頼む」

銃「了解」

白銀のアーマーの敵が盾を構えこちらへと歩みを進めていた。

男はその後ろに追従する形でついてきていた盾を構えた敵の味方に照準を合わせ、トリガーを引いた。

2kill ×1.1

という文字が右上に出る。

銃が盾を構えた敵の横方向から近寄り発砲する。

足払いスキルを起動し、敵に転倒ダメージを与える。

そして盾から露出した敵の頭部に銃弾を2発打ち込みkill。

そして銃は一番近くのフラッグを奪取した。

はい

しかし敵の剣は明後日の方へ飛んでいった。

その隙を逃さず銃は敵をkill

そして危なげもなくもう一体の敵をkillした。

といった調子で旗を奪取していき、男と銃は戦闘に勝利した。

銃「乙!」

男「gg」

銃「いやぁ...私たち良いコンビだよなぇ...新しい職場でも仲良くしてね!」

男「もちのろんよ じゃあまた」

銃「うん」

男はパソコンの電源を消してリビングに行く。ソファに寝転びテレビをみる母親の姿があった。

男「就職決まったわ」

母「あらそうなの」

あまり興味が無いように母親はこたえた。

男「今日就職斡旋の人が就職の内容詰めにうちくるから」

母「あらそうなの、いつごろ?」

男「三時とか」

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