女剣士「よし、ちょっと本気出さない」(515)




――旅人の酒場




マスター「おう、いきなりどうしたお嬢ちゃん」

女剣士「言葉通りの意味だ、他意は無い」

マスター「ほぉ、そりゃまたなんでなんだ?」

女剣士「いや、いつも本気を出していたわけじゃないんだが…――」




女剣士「――なんか、最近戦うのが面倒くさくてな、楽な仕事したい」

マスター「剣士やめろ」


女剣士「そうはいかない、一度剣の道を志した以上、貫かねばな」

マスター「でも嬢ちゃんほどの実力があれば、ほとんどの依頼は本気なんて出さずに終わるだろうに」

女剣士「あ、それと本気出さないとは言ったのはもう一つ訳があってだな」

マスター「あん?」

女剣士「有名になりたくない、何かと面倒だしな」

マスター「あんた本当面倒くさがりだな」

女剣士「つまり私は楽に遂行できてかつ世間で話題にならないような依頼で、生活できるほどの報酬が欲しいわけだが」

マスター「そんな都合のいい依頼があってたまるか」


女剣士「むぅ…ではどうしたものか…」

マスター「確かに嬢ちゃんの腕は確かだからそこらへんの剣士が苦戦するような依頼も簡単なんだよな」

女剣士「だがそんな依頼を受け続けていたら有名になってしまうからな」

マスター「…諦めるしかねぇんじゃねぇか?そこは雇われの宿命ってモンだろ」

女剣士「簡単すぎる依頼は報酬も雀の涙だ、生活していけるとも思えん」

マスター「それなりの依頼を受け続けていけばいいんじゃねぇのか?一定レベルの依頼しか受けなければ有名にもならんだろ」

女剣士「そうだな、そのあたりが無難、……ッ!?」

マスター「どうした嬢ちゃん」


女剣士「フフ…いい案を思いついたぞ!」

マスター「嫌な予感しかしないが、一応聞いてやるよ」

女剣士「この国の兵隊に完全に新米として入って、ある程度の地位まで頑張る…という考えなんだが」

マスター「うわ、普通にこの国なめられてる」

女剣士「…いい案だと思わないか?」

マスター「いや、新米として入るったってよぉ…すぐばれちまうんじゃねぇのか?潜在能力みたいなやつで」

女剣士「ふっ、舐めてもらっては困る。こっちはこの国にきてから実力を今まで隠し通してきたんだぞ?」

マスター「いやでも、来た当時から俺には嬢ちゃんが実力者だってわかってたぜ?俺にも分かるんなら城の奴らだって分かっちまうだろ」


女剣士「なら聞こう、私の本当の実力はどれくらいにみえる?」

マスター「んー俺にはそういうのよくわからねぇが…そうだな、この国の騎士と同じくらいなんじゃないのか?自信満々だし」

女剣士「答えはこの国位なら一人で滅ぼせるレベルだな」

マスター「」

女剣士「さらに言うと、この酒場に初めて来たときもわざとある程度の実力者だと思わせるようにしておいたぞ」

マスター「…話についていけねぇ、何でわざわざそんなことしたんだ?それにそんなに強いならこんなとこに来る事もなかっただろ」

女剣士「ある程度実力があると思われた方が依頼も手っ取り早く受けれるだろ?まぁ、この国を選んだのに特に理由はない。なんとなくだな」


マスター「つまりなんだ?その気になれば新米のペーペーみたいに見せる事も出来るってか」

女剣士「その通り。だからこの案はいいと思うんだが」

マスター「つかそれ俺関係無いよな、依頼ですらねぇよ」

女剣士「確かに国に仕える事になるからな。だが生活も安定するし」

マスター「でも毎日働き詰めで逆に面倒くさいんじゃないのか?こき使われるってよく聞くが」

女剣士「別に訓練などは私にしてみれば準備運動レベルだからいいんだが(ドヤ)、少し問題が」

マスター「さっきからさりげなく馬鹿にしてるわけだが」

女剣士「どの地位が一番いいのだろうかということと、兵士たちの弱さはどれくらいなのかということだな」

マスター「強さって表現しないあたり侮辱してるわ、うん」

女剣士「まぁそれは実際に入ってみれば分かる事だ。明日にでも早速城に行くか」

マスター「結局俺いらんかったよな」


女剣士「いや、話を聞いてくれて助かった。今まで世話にもなったしな」

マスター「嬢ちゃんうちで依頼受けたの2件だけだよな、しかもくっだらねぇ奴」

女剣士「ふむ、そう言われれば毎日ここと宿を行き来するばかりだったような気もするな」

マスター「この国に仕えるんなら家も必要だろ、どうすんだ」

女剣士「面倒くさい、どうせ寝る事にしか使わないんだししばらく宿でいい」

マスター「とことん面倒くさがりなのな」

女剣士「では私はそろそろ行くとしよう。あ、そうだマスター、今日の話は他には話さないでくれ。この国なら滅ぼせる、とか」

マスター「そんなこと信じる奴もいねぇと思うがな、まぁ分かったよ」

女剣士「恩に着る、これからもここを訪れることがあるだろう。その時も宜しく頼む」

マスター「あいよ、いつでも来な。嬢ちゃんのこれからも面白そうだしな」

とりあえず今日はここまでにします。
初投下なのでお粗末な出来ですが、今後から宜しくお願いします

なるほど、初挨拶のような物として書いたつもりだったのですが…
じゃあやっぱり初投下じゃないってことにしときます

言いたい事もありますが、これ以上は後出しじゃんけんのようなものですので、
私の言葉選びが適切でなかった事をお詫びします。すみませんでした

では再開します



~翌日~


――城・城門



女剣士(さて、宿に荷物も預けたし、準備は万端だが…)

女剣士(参ったな、一体どこへ話を通せばいいのだろうか)

兵士「おい、そこの女、こんなところで何をしている?ここは女子供が来るような場所では無いぞ」

女剣士(そっちから話しかけてくれるのは好都合…!)

女剣士「あ…すみません。私、この城で働かせて頂きたいのですが、どこへ行けばいいのか分からなくて…」

兵士「ほう、この城で?だが生憎、使用人は雇っ…」

女剣士「あ、いえ…使用人としてでは無くて、兵士としてなんですが…」


兵士「なるほど兵士として…え?それは本当か!貴方のような女性が…」

女剣士「女性では…駄目なのですか?」(そんな訳無いだろう速く話を通せ下っ端が)

兵士「いや…駄目というわけではないのだが…分かった。私が口出しすることでもない」

兵士「少し話をしてくる、ここで待っていてくれ」

女剣士「あ、ありがとうございます!」(とりあえずは成功か…ナイス演技だ私)

~~~~~~~~~~~

兵士「幸い今は新兵の募集中だ。早速軽い面接を受けてもらいたいのだが…」

兵士「担当が今日が忙しいみたいでな、また明日来てくれとの事だ」

女剣士「そうですか、では明日の同じ時間に、という事で。ありがとうございました」

兵士「いや、構わん。新しい仲間が増える事を楽しみにしてるよ」


女剣士(まさか面接などというものがあるとはな…クソ、これもこれで面倒だ…)



~さらに翌日~


――城内


兵士「この部屋で待っててくれ、では」


女剣士(全く、面接などする意味があるのかどうか…)

女剣士(まぁいい、一応愛想よく見せておくか)


使用人「お待たせしました、貴方がこの国の兵団に入団希望の方ですね?」

女剣士「はい!本日はよろしくお願いします!」
(こういうのに慣れていないから声が上ずってしまった…)

使用人「ふふ…そう堅くなさらずに。面接と言っても事務的な物がほとんどですので」

すみません、短いですが今日はここまでです。


使用人「では、まず最初にこういうことの経験というのはお有りですか?」

女剣士「えぇと、剣の経験なら少し…」(少し…どころではないのだがな)

使用人「そうですか。では魔法はどうでしょう?使えますか?」

女剣士「魔法…ですか」

女剣士(しまった…魔法の事をすっかり忘れていた…)


――魔法。


この世界では特に珍しいものではない。

誰でも使える、いや、「誰でも使える可能性がある」と言った方が正しいか。

人にはそれぞれ魔法の才という物が等しく備わっているらしい。しかしこれが厄介な事に、1人一種類の才しか無いのだ。

つまり分かりやすく例えれば、“火の魔法の才を持っている者は他の魔法の才が無い”という事だ。

才を持っていないからといってそれ以外の魔法を習得出来ない事は無いが、いかんせん無駄が大きくなってしまうものらしい。

…習得までに多大な時間を要す、上手く使いこなせない、等、とにかく無駄な事には変わりないそうだ。


そして、何故そんな中魔法を使えない者がいるのか。それには大きく分けて2つだ。


1つは単純だ。魔法を使う必要の無い生活をしている、という事。

普通に生活している人々に魔法がいらないのは当たり前で、稀に生活にも役立つ魔法の才がある人が習得している場合もあるが。


そして2つ目、これが一番重要で、魔法の本質も物語っている。

…それは、魔法の才の数があまりにも多すぎる事だ。

火の魔法一つを取って見ても、爆炎、焼却、熱線…まだまだある。それどころか、一体いくつあるのかすら分かっていない。

そしてもちろん、魔法の才には完全に用途が限られ、別の事に応用が利かない物もかなり存在している。

極端な例をあげると、“変声”。ふざけた才だが、実際に存在するらしい。

その名の通り声を変える事が出来るのだが、こんなもの戦闘にも生活にも向かない。まぁ、人を騙すのには使えそうなものだが。

つまりこういった、応用が利かないために仕方が無く使っていない者も少なからずいるということである。

…例外的に、単純に魔法を覚えるのが面倒だという輩もいるが。


魔法はきまった形を持たない。人により才も違うし、それを生かすも殺すも自由だ。

それに自分の才に気付くのにも時間がかかる。何せ前例などというものはほぼ存在しないのだから。

しかし魔法が使えないからと不利になる事はまず無い。精々相性の良し悪しがある程度だ。


私ももちろん習得している、だが私も特殊な魔法の才の持ち主の一人だ。

戦闘に向いていて、使い勝手がいいのだが余りにも魔法の扱いに長けてしまい、こればかりは初心者のように見せる事ができなさそうだ。

つまり私は、魔法を使えないということにしておくのである。誰も疑わない。そういうものと誰もが理解しているのだ。


女剣士「私は…魔法が使えません。まだ習得中というか…」

女剣士(私はこんなに軽々と嘘をつける性格だったとはな、我ながら複雑な気分だ)

使用人「分かりました。では一般兵部隊に入っていただく事になりますねー」

女剣士「え?あの、もう私の入隊は決まっているのですか?」

使用人「えぇ、まぁ。だから言いましたよね?事務的な物がほとんど、と」

女剣士(それは最早面接じゃないだろう。ただの手続きでは無いのか)

女剣士「ありがとうございます。実感が…あまりありませんね」

使用人「ふふ…気が早いんですね。ですが即入隊、というわけにはいきません」

女剣士「と、言うと?」

使用人「見たところまだ実力不足のようですので、しばらくの訓練の後、入隊試験という流れですね」

女剣士(意外とこの女、言い方に棘があるな…まぁ上手く実力を隠せているという事が証明されている訳だが)

女剣士「なるほど、分かりました。宜しくお願いします!」

女剣士(無駄に初々しい演技をしてしまったが、これで良かったのか?少し恥ずかしい…)




――街中



女剣士(そしてあの後少し説明をされた後面接は終了…)

女剣士(力を極端に隠して訓練するのも慣れ、あっという間に入隊試験の日になった)

女剣士(入隊試験も簡単な物で同期の訓練兵と戦い、一勝した時点で入隊というもの)

女剣士(もちろん接戦を演じてやった。本来なら素手でも一瞬だが)

女剣士(ただ思っていた以上に面倒くさかった。即入隊できるレベルの実力にしておくべきだったな…)


女剣士(入隊試験はクリア。晴れて明日から正式に城勤めになる訳だが…)

???「コソコソ」

女剣士(この、後ろからつけてくる奴は誰だ。それで気配を隠しているつもりか?)

女剣士(敵意も感じられないからほっといているが気になって仕方が無い)

女剣士(とりあえず人気の無い所へ移動するか…面倒くさいな)


人気の無い路地裏。謎の追跡者はまだつけているようだ。私は唐突に足を止め、呟く。

女剣士「おい、そこにいるのは分かっている。出てこい」

少しの沈黙。後に声が聞こえた。

???「すごい!気付いてたの?」

女剣士(…誰だコイツは、初対面の筈だが)

女剣士「誰だお前は、そもそも何故私を付けていた」

???「ひど~い!同期の顔も覚えてないの?」

女剣士(同期…?あぁ、思い出した…同期の中で女は私とコイツだけだったか)

女剣士「あぁ、確か私と同じ訓練兵だったな、名前は…」

女兵「女兵だよ!それにしてもすごいね!私尾行には少し自信あったのに…いつから気付いてたの?」

女剣士(あれで尾行のつもりだったとは…尾行のびの字すらなって無かったが)

女剣士「…初めからだ。あれで尾行のつもりだったのか」


女兵「け…結構ひどい事言ってくれるじゃない…」ググ

女剣士「事実だ。それより尾行した訳を聞きたいのだが」

女兵「えーっと、同期の女の子は私とあなただけだったでしょ?だから仲良くしようかな~って」

女剣士「…尚更尾行する理由が見当たらないが」

女兵「もう!ちょっとしたいたずらよ!すきんしっぷって奴よ」

女剣士「そうか、私はお前と仲良くする気はない、では」タッタッタ

女兵「ちょっひどっ!?待ってよ~!」

女剣士(ウザい…やたらとやかましいし、しつこい…無理矢理逃げるか?)

女兵「それにしても意外だなー、貴方がこんな人だとは思わなかった」

女剣士「…どういう意味だ」

女兵「そーいうとこ。こーんなにクールだったとはねぇ。新米っぽくないし、なんか隠してるでしょ!」

女剣士(しまったな、あまりにも普通に接しすぎた。向こうも違和感を覚えている…)

女剣士「別に何も隠してなどいない。これがいつもの私と言うだけの事」

女剣士「尾行に気づいたのもたまたまだ。先程は少しかっこつけた。すまないな」

女剣士(ナイスフォロー私。これなら怪しまれないだろう)

今日はここまで。そろそろ動きを付けていきたいです。
おやすみなさいませ


女兵「なぁんだ、やっぱりマグレだったのね。それにそんな嘘をついちゃうとこも意外だなぁ」

女剣士「…ならお前は私を何だと思っていたんだ?」

女剣士(今の私はそもそもが嘘だらけだがな…ふふ)

女兵「もっと明るい子なのかな~って。ほら、訓練では積極的だったしさ」

女剣士「…私は暗く見えたか?」

女剣士(明るい、か…)

女兵「いや…それよりも訓練の時と今のギャップかなぁ。あ、今のあなたも嫌いじゃ無いよ?」

女剣士「そこまで違うと思われるとは自分でも知らなかったな。まぁ、改めるつもりもないが」

女兵「でもこっちの方が素って感じでなんか可愛いなぁ。ね、笑ってみてよ!」


女剣士(…今、なんと言った?異性にすら言われた事ない言葉を言われた気が…か…か…)

女剣士「か…可愛い!?私がか!?」アワアワ

女剣士(ななな何を言ってるんだこの女は!そ…そんな…か…か…可愛いなんて///)

女兵「あはは、顔が真っ赤だよ?もう、恥ずかしがってる顔も可愛いなぁ」

女剣士「え…う…その…///」

女剣士(ああああやめろやめろ可愛いとかいうなぁぁぁぁ)

女兵「意外と純粋?それとも言われた事殆どないとか?まぁそうだよね~あなた外から見たらクールでかっこいいみたいな感じだもん」

女兵「凛としてて他人を寄せ付けない!みたいな?ねぇ、どうなの?」

女剣士(モウムリダ、タエラレナイ)

女剣士「う…うわあああぁぁぁぁぁぁ!!!!」ダッ

女兵「え?ちょっ逃げた!?しかも速すぎるよ!」

女兵「…ちょっとからかい過ぎちゃったかな?まぁでも、あの子とは仲良くなれそうだなぁ」




――旅人の酒場


マスター「で、ここまで逃げてきたってわけだ」

女剣士「極めて屈辱だ。弱みを握られた気分だな」

マスター「意外な弱点あるんだな嬢ちゃんも。普通の女の子は可愛いって言われたら嬉しいもんじゃないのか?」

女剣士「こういうことは本当に無理なんだ…今まで…言われたこともないしな…」

マスター「本当か?俺には綺麗な顔立ちした姉ちゃんに見えるけどな」

女剣士「…そういうのは平気なんだがな、どうしてもか…可愛いとかが無理だ。異常に恥ずかしくなる」

マスター(あーこれは自分に嘘ついちゃってるタイプだわ)

マスター「まぁ、あっちも悪気があったわけじゃねぇんだし気にすることないと思うぞ」

女剣士「そんなことは分かっているが…くそ、もう今日は寝る。寝て忘れる」

マスター「おう、明日から城勤めだろ?頑張れよ?手加減新米さん」

女剣士「あぁ、早くも面倒だと感じてきているがな」

マスター「駄目だコイツ」



――城内・訓練場


「諸君!この度は入隊おめでとうとまず言っておこう」

隊長「私は隊長だ。君たちには期待している。だが入隊はスタートラインにしかす…」

女剣士(…長い、くどい。もっと簡潔にまとめられないのか貴様は)

女剣士(…しかし幸い、例のあいつは遠くにいる。また昨日みたいになったらたまったもんじゃない)


隊長「…そして!今日君たちには私達と戦って貰いたい。どの程度の実力か見て見たいのでな」

隊長「安心してくれ。あくまで模擬戦だ、もちろん私達も本気はださん」

女剣士(おかしな話だ。本気を出していないのはこちらなのに)

女剣士(まぁ負けなければいけないのだろうな、勝つのは怪しすぎる)

隊長「組み合わせはこちらで適当に決める。運が良ければ勝てるかもしれないぞ」

隊長「では早速始めたいと思う。ではまず新兵1!前に出ろ!」

新兵1「はい!」

明日からやっと戦闘に入れそうです。ですが今回はこれで。
おやすみなさいませ


ガキン!!キィィン!!ウワァ!!

女剣士(てんで話にならないな、相手もほとんど実力を出していないというのに)

隊長「まだまだだぞ。精進しろ!よし次!」



女剣士(早6人は終わったところ…全員話にならないな。そこが知れてる感じだ)

隊長(もう6人も終わったというのに未だに勝つ者がいない…一応勝てるレベルで手加減しろと言ってあるのだが、今期は不作か?)



女剣士(残る3人、私と女兵と…誰だ、知らん)

隊長「次、女兵。お前、相手をしてやれ」

「はっ」

女兵(やっと私の番ね。絶対勝ってやるからね!)

女兵「よろしくお願いします!」

アノコカワイイナー、ヤロウドモバッカノナカニテンシガー!

女兵「…なんか調子狂っちゃうなぁ、はは」


女兵は剣をしっかりと構える。眼つきもしっかりし、いつでも踏み込める状態だ。

女兵「行きます!」スッ

一呼吸置いた後、一気に走り出す。速度は中々、そして間合いに入ると即座に振り下ろす。

ガキィン!!

相手の兵士は難なく剣で受け止める。が、本当の攻めはここからだった。

すぐさま次に横薙ぎに一閃、突き、回り込みつつの斬り払い。まさに流れるような連携だった。

それは女性ならではのしなやかな動きだった。攻撃をガードされた瞬間には既に次の攻撃へシフトしている。

当てるつもりは無いだろう。とにかく隙を作らせることが目的だった。

女剣士(まだまだ攻撃から攻撃までの動きには無駄が多いが…なるほど、大した物だ。)

女剣士(これほどの動きを短期間で出来るとは、これは才能だろうな)

流れる連撃は、ついに相手のガードをすり抜けた。女兵の突きが、相手の兵士の首元に突き付けられる。


隊長「そこまで!見事な実力だ。今後も期待しているぞ!」

女兵「はぁ…ありがとう…ございます…!」

一気に歓声が上がる。彼女も疲れたのか、座り込んでしまう。

「いい攻撃だったよ、君は強くなる」

女剣士(やはりまだ体の方が動きについていっていないか)

女兵「へへ…どんなもんよ…!少しは見直したでしょ?」

女剣士「…あぁ、凄かったな。だが大丈夫か?かなり無理をしてるみたいだが」

女兵「平気平気!こんなんでへばってちゃ駄目だからね!」

女剣士「今は強がる時じゃない。ちゃんと休んでおくといい」

女兵「…ありがと。じゃあ少しだけ。あ~疲れたぁ」


隊長「では次に移る!男兵!」

男兵「はい」

女剣士「うわ、私最後か」

他スレに誤爆してしまいました。ここでも謝っておきます。
すいませんでした。

死にたい…二重投稿までされちゃってたし…


隊長(この者は確か訓練なしの即入隊者だったか。)

隊長「おい、この者には少し実力を出しても構わんぞ」ボソッ

「では少しばかり…」



――戦闘は一瞬で終わった。辺りは騒然とし、状況を飲み込む事に必至だった。

男兵は剣を構え、ゆっくりと相手に向かっていた…が、かと思えば既に兵士の目の前におり、剣を突き付けていた。

兵士は、反応すら出来ていなかった。

女剣士(恐ろしい奴だ。あれは…緩急をつけた移動か)

緩急をつけた移動――初めに少しだけゆっくり動き、相手の感覚を騙す。まるでまだまだ近づいて来ない、と思わせるかごとく。

その後、今度は急に相手に接近。その結果、まるで一瞬で移動したかのように思わせるのだ。

体では分かっているのに、頭が状況を把握できない。そんな感覚に囚われる。

隊長「しょ…勝負あり!お前も見事だった!」

男兵「ありがとうございます」

ようやく状況が飲み込めて来た頃、再び歓声が上がった。


女兵「ねぇ、あれ何したの…?女剣士ちゃんわかった?」

女剣士「あぁ…あれは…ッ!いや、私にもよく分からなかったよ」

女剣士(あれに反応できるのは一兵士レベルじゃ無理だな)

女兵「なんかすごいってのはなんとなーく分かったんだけどね」



隊長(まさかここまでの逸材とはな…さて、次で最後のようだが)

???「おーおーアイツつえーなぁ」

隊長「よ…傭兵殿!いらしてたのですか」

傭兵「この試合から見てた。なぁ、俺も混ぜてくれよ」

隊長「傭兵殿が?御冗談を、いくらなんでも格が違い過ぎましょう」

傭兵「まぁそういわずにさぁ!ちゃんと手加減はするから」

隊長「そこまでいうなら断りにくいですな。分かりました、頼みましょうか」

傭兵「ありがとな。よし、早速やろうぜ」

隊長「分かりました。相手は訓練兵の中で一番見込みのありそうな者です、すこしはマシかと」

傭兵「そうか…って女の子じゃん!…ちょっとやりづらいなぁ」


女剣士(また面倒くさい事に…そろそろ勝ちたいと思っていたのだが、あれでは勝てないではないか)

女剣士(何故こうも面倒事が次々と…)


隊長「よし、女剣士!お前には傭兵殿と戦ってもらう」

隊長「傭兵殿はかなりの実力者でいらっしゃる。これは貴重だ。教わるつもりで戦ってくれ」

傭兵「ハードル上げないでくれよ、何も教えれないぜ?」

隊長「格上と戦うのはそれだけでかなりの経験になるのです。普通に戦って貰って結構です」

女剣士「…よろしくお願いします」

女剣士(経験も何も、コイツくらい倒すのは訳無いのだがな…)

傭兵「おう、よろしく。気楽に行こうや、俺も手加減はするからさ」

今日はここで終わります。
戦闘シーンは地の文を使用したのですが、会話シーンでも使っていいものなんですかね?
SSでは地の文がほとんどないイメージなので…

意見ありがとうございます。
読みやすくしつつ自由に書いてみたいと思います。


私は一応剣を両手で構える。相手は剣を片手で持ち、剣先は地面についている。

傭兵「おーし、どっからでもかかってこい」

遠慮なく、とは当然いかないのでどうしたものか。なんて事を考えつつまずは剣を振り下ろす。

剣同士がぶつかる音。相手は変わらず片手で持ったままだ。

舐めるな。お前なんてすぐ倒せるんだぞと心の中で毒づく。まぁこちらは新米という設定。方や相手は歴戦の傭兵。

片手くらいがちょうどいいハンデなんだろうが。

他の2人も目立っていたんだ。私も目に物見せてやる。

一旦私は後退し、距離を取る。そして一気に距離を詰める。

そして先ほどと同じように剣を振り下ろした――


――今度は金属音がしない。と、いうよりさせなかった。

剣でガードされる直前私は一旦剣を止め、剣同士の衝突を避ける。

相手は手ごたえが無い事に一瞬違和感を覚える。その一瞬、今度は体を一回転させ、相手を薙ぎ払う!

ようするにフェイントだ。私は直前で剣を止めるつもりだったが、相手もかなりの熟練者だ。一瞬戸惑っていたがすぐに薙ぎ払いを受け止めた。

決められなかった事は残念だが、十分だ。一泡吹かせてやったぞ。

傭兵「っと、あぶねぇ!結構やるねぇ、いい動きだ」

あぁもう今すぐ黙らせたい、斬り伏せてやりたい。このもどかしさはなんだ。


傭兵「じゃあ、次は…」

今度は相手が剣を構えた。相変わらず片手ではあるが。私も構えなおし、相手の行動に備える。

傭兵「俺も、いいもん見せてやるよ」

言い終わるとほぼ同時、こっちに走ってくる。そして私の目の前まで距離を詰めたその刹那――


――傭兵の姿が、視界から消えた。

皆さん意見ありがとうございます
では戦闘シーンは地の文を含めつつ、会話シーンはテンポよく会話のみで行きたいと思います。


消えた、と頭が理解する前に、体が反応していた。反射神経という奴だ。

無意識的に分かっていた。死角に回り込まれたと。

そう。なんの事は無い、傭兵はただ私の後ろに回っていただけなのだから。ただ、恐ろしいスピードで、だが。

振り向き終わった頃、ようやく頭が追いついた。そしてしまったとも思う。

こんな物普通の奴じゃ何をされたのかすら分からない。だが、ここで終わらせればただの反射神経が鋭い奴で終わる…はず。

そして私は振り向きこそはしたが何もできず、傭兵の攻撃で剣を飛ばされ、あっけなく勝負はついた。

傭兵「はい、終わり。悪い、ちょっとマジになっちまって」

スゲー!イマナニシタンダアノヒトー!!


隊長「女剣士もよく頑張ったぞ!傭兵殿、ありがとうございます」

傭兵「いや頼んだの俺だろ、こっちが礼を言う方なのに。それよりさ…」

傭兵「あいつ、アレに一応だが反応出来てた。すげぇ反射神経だ」

隊長「それは私も感じました。全く、今期は不作かと思ったら化け物までいるとは…」

傭兵(でも、何だ?少し違和感を感じたんだ、何かが…)


女剣士「いや、やはり負けてしまったな。正直話にもならなかったよ」

女兵「何言ってんの~前半はちょっと押してたじゃん!」

女剣士「いや、あの人だって全然本気を出して無かったんだ。完敗だよ」

女兵「も~女剣士ちゃん謙虚なんだから」クスッ

女剣士(いつの間にか打ち解けている…こういう性格か)


隊長「本日はこれにて解散とする!みなご苦労だった、各自体を休めておけ!」


女兵「終わったぁ~、じゃあ一緒に帰ろっか!女剣士ちゃ…あれ?」

女兵「もういない…やられたわ…」クッ



――旅人の酒場



マスター「つまり、嬢ちゃんだけ強い傭兵さんとやらされたわけだ」

女剣士「全く、色々危なかった。後数コンマ遅れていたら無意識に斬っていたよ」

マスター「聞いた事あるぜ、達人同士はもはや感覚だけで戦ってるってな」

女剣士「まぁそんなとこだ。それより、この国は戦争でもしてるのか?一見平和そうだが」

マスター「戦争ねぇ。昔はやってたがもう今はやってないぞ。なんでそんな事を?」

女剣士「いや、前から思っていた事なんだが」

女剣士「どうも戦う必要が無いのにも関わらず戦力を整えている気がするんだ」

マスター「でも、それが普通なんじゃねぇのか。強い軍隊が出来上がれば他国へのけん制にもなるしよ」

女剣士「それにしても新兵の数も多すぎる気がするし、第一傭兵を雇っているんだぞ?なんのために?」

女剣士「普通、傭兵に何の依頼もなく雇うとは考えにくい。つまり、傭兵を雇わざるを得ない状況という事だ」

女剣士「それは何か裏があるって事になる。戦争じゃ無くても、この国には何かありそうだな」


マスター「そういわれれば確かにそうだな。ちょいと不自然な所があるな」

マスター「それにこんな噂を聞いた事があるぜ。なんでもこの国をひっくり返そうとしてる輩がいるとかなんとか」

女剣士「ほぅ、こんな国をひっくり返して何かメリットがあるとは思えんな。まぁ、心には留めておこう」

マスター「まぁただの噂だ、有力な情報もないしな」

女剣士「まぁ兵士にならそのうち聞かされるかもしれないしな。あまり気にしないでおくか」

マスター「やっぱり嬢ちゃんは騎士とかにはなる気は無いんだろ?」

女剣士「あぁ、全くな。あんなもの国にこき使われて、休みもほとんどない、もう最悪」

マスター「ハハッ随分嫌ってるなぁ、普通名誉なもんなのに」

女剣士「私はほとんどの事柄を、面倒くさいかそうじゃないかで判断するんだ」

マスター「知ってた」

女剣士「ほら、今だって帰るのが面倒だからこうしてだらだらしてる」ダラー

マスター「知ってた」

今日はこれで。行きあたりばったりでストーリーはぶつ切りにしか考えて無かったので筆が止まってしまいました。
少しまとめてきます。おやすみなさいませ。



~翌日~



――街中



「なぁ、聞いたか?昨日の…」

「あぁ、聞いた聞いた。裏通りで人が惨殺されてたって奴だろ?」

「そうそれ。それにしてもあの辺りは前から強盗だの何だので危なっかしかったが、ついに殺しまで出てくるとはねぇ…」


女剣士「…どの国にもそんな闇の一面がある、か」

女剣士(惨殺…少し引っかかるな)

女兵「…女剣士ちゃん、つっかまっえた~!」ガバッ

女剣士「全く…」ヒョイ

女兵「うおっとと、やるわね…それにしても何考えてたの?真剣な顔つきだったけど」

女剣士「いや、お前も聞いているのか?昨日の惨殺事件の事」


女兵「あ~それね。全く物騒だよね、あの辺は昔からそうなんだ」

女剣士「まぁ、どこの街にも無法地帯というものは存在するからな。だが、気になったのは惨殺、という点だ」

女兵「何回も何回も痛めつけた、ってことだよね。そうとう恨みがあったのかな」

女剣士「そう、そこだな。話を聞く限り、あの辺りは犯罪も常習地帯という事だが」

女剣士「突発的な殺人ならそこまで執拗になることは無いだろう。つまりこれは明らかに殺しを目的としてる」

女剣士「ま、ただ気にかかっただけだな。無法地帯なら恨みなどそこらじゅうに転がってるだろうし」

女兵「な…なんか色々考えてるんだね…凄い」

女剣士「こういう性格だ。すこし物事を深読みしすぎる癖がある。行動に起こすのは、稀だが」

女兵「へー。それより今日は何しようとしてたの?今日は休日だし」

女剣士(…そういえば、私は何をしに出てきたのだったか)


女剣士(…あぁ、そろそろ家が必要だからと探しに…ん?)

女剣士(まずくないか?今まで家が無かったとか言えないぞ。どうする)

女剣士(いや、引っ越す、というのはどうだろうか。これなら今日一日くらいごまかせる)

女剣士「…引っ越そうか、と思っていてな。その物色、といったところか」

女兵「じゃあ私もついていっていい?今日暇だしね~」

女剣士「構わないが、家探しが面白いと思うか?」

女兵「違う違う、女剣士ちゃんといるのが面白いんだって」

女兵「だって、女剣士ちゃん、可愛いからね~」ニヤリ

女剣士「だ、黙れ!」カァッ

女剣士「い…いいか!次言ったら殴るからな!殴るぞ!」

女兵「そんな怒んないの。さ、早く行こ?」

女剣士「次言ったら殴る。本当だ」

女兵「はいはいごめんなさいっ!」

女剣士「よろしい」



~~~~~~~~~~~~


女兵「少し気になってたんだけど、女剣士ちゃんこの街に住んでないよね?毎日来るの大変じゃない?」

女剣士「あぁ、面倒だ。だから引っ越す訳だな」

女剣士(本当はこの街の宿にいるから意外と楽なんだな、これが)

女兵「だよね~、この街以外だと城から遠いから、引っ越して正解だよ」

女兵「あ、そういえば何でお城の兵士になろうとしたの?」

女剣士「理由、か。すまない、あまり人に言える事じゃないんだ」

女剣士(なんか、自分がとても馬鹿らしく見えてくるな)

女兵「訳あり、って訳ね。なんかごめん」

女剣士「別に構わないさ。そっちはどうなんだ?」

女兵「やっぱりそうなるよね~」

女剣士「嫌なら構わないぞ」

女兵「いや、隠すような事でも無いから。」


女兵「ただ、ちょっと恥ずかしいかな~、みたいな?」

女剣士「無理をするな、人には言えない事なんて誰にでもある」

女兵「え~と、実は私さ、ちっちゃい頃悪い人に攫われたことあるんだ」

女兵「すごく怖かった。殴られたりもしたし、流石にちっちゃかったからあんなこととかはされなかったけど」

女兵「そんなとき、助けてくれたのが兵士さんだったの。それも、女の人」

女兵「それから私は憧れてた。女でもこんなにかっこいい兵士になれるんだなぁ、って」

女兵「まぁ、そういうこと。ちょっとありきたりだったかな」

女剣士「いや、そんな事は無い。それも立派な理由だ」

女兵「魔法も使えるようになりたいんだけど、まだ才が何か分かってないからな~」

女剣士「焦る事じゃない。まずは剣から、だ」

女兵「そうだね。まずは強くならないと」


~~~~~~~~~~~~~~


女剣士「住む場所は見つかったがすっかり夜になってしまった」

女兵「もう今日は帰ろうか~」


男1「へっへっへっ…こんな時間に女2人だけで何やってんだぁ?」

男2「ちょっと俺らと来てくれよ、ちょうど2人どうしだしさぁ」ニヤニヤ

女兵「今時まだこんなのいるんだ…ださ」

男1「あぁん!?今何つったテメェ!クソが、痛い目にあいたいようだな!」

女剣士「少し黙れ」ガシ

男1「テメェも反抗する気か!まずは大人しくさせ…」

女剣士「オラァッ!!」ドッコォ

男1「ごっ!がふ…」バタ

女兵「ず…頭突き…しかもやけに男前…」

女剣士「下衆が、貴様らみたいなクズはさっさと消えろ」

男2「な…何だコイツやべぇよ…うわぁ!」タッタッタッ


女剣士「全く…」ムスッ

女兵「ほんとこういう女の子を食い物としてしか見て無い奴って最悪だよね」

女剣士「またこんなのに絡まれる前に帰るぞ」

女兵(今の頭突きみたら絡もうとする人もいないんじゃ…)

女剣士「そうだ、今日はもう遅いから私はこの街の宿に泊まることにする」

女兵「そうだね~今から帰っても大変だもん」

女剣士(まぁ、いつもの宿に戻る口実だな)


女剣士「全く…」ムスッ

女兵「ほんとこういう女の子を食い物としてしか見て無い奴って最悪だよね」

女剣士「またこんなのに絡まれる前に帰るぞ」

女兵(今の頭突きみたら絡もうとする人もいないんじゃ…)

女剣士「そうだ、今日はもう遅いから私はこの街の宿に泊まることにする」

女兵「そうだね~今から帰っても大変だもん」

女剣士(まぁ、いつもの宿に戻る口実だな)

あ…やってしまった。
今日はここまでになります。お休みなさいませ


~翌日


――城内



女剣士(ふぅ、今日は何の変哲もない訓練だけだったな、つまらん)

女剣士(ん?あれは…あの時の傭兵か…)


傭兵「お?君は確か…一昨日の…」

女剣士「はい。あの時は手合わせありがとうございました」

傭兵「こちらこそ面白かったからな。それと、俺はただの雇われだ。上下関係なんて無いから敬語じゃ無くてもいいぞ~」

女剣士「じゃあ遠慮なく、こっちも気が楽だ」

傭兵(え?順応早くない?もっと戸惑うかと…)

傭兵「そうだ、ちょっと君に聞きたい事があったんだけど」

女剣士「何だ?といっても、私が答えられるかは別だが」

傭兵(マジで遠慮ないな…これはこれで悔しいぞ)

傭兵「まー何だ。単刀直入に言うとだな。君、なんか隠してるよな?」


女剣士「何を根拠に。何も隠しているつもりは無いが」

女剣士(…っ!気付かれた…?何処で…)

傭兵「いや、隠してるね。少なくとも、君はあの時本気を出していなかった」

女剣士「…本気でやったつもりだったんだが。こちらのレベルが低すぎただけだろう」

女剣士(やはり直接戦うのはまずかったか)

傭兵「いや、目を見りゃ分かる。隠してたんだろうが、あの時の一瞬だけ眼つきが変わっていた」

女剣士(あの一瞬か…確かに無意識だったが)

傭兵「あの時だけは、歴戦の猛者、って感じだったぞ。少なくとも新兵の目じゃない」

女剣士(これ以上は…無理だな、仕方ない)

女剣士「分かった。お前には全て話す。が、条件がある」

傭兵「お、教えてくれんのか?意外だな。で、条件って?」

女剣士「一つ。ここでは言えない。誰が聞いてるかも分からないしな」

女剣士「だから私の家で話す。そしてもう一つ。この話はお前の胸にしまっておけ。いいな」

傭兵「まぁ訳ありなんだろ?了解だ。誰にも言わねぇよ」


女剣士「よし、いいだろう。なら、鍵は空けておく。私をつけるなり何なりして、なるべく気付かれないようにして入れ」

傭兵(やっぱりただもんじゃなかった。雰囲気がさっきとはまるで違う)

傭兵「おう、じゃあまた後で」


女剣士「全く…。傭兵だったから良かった物を、城の奴だったら一発でアウトだった」

男兵「お、アンタは」

女剣士(また面倒なことに…早く帰りたい)

男兵「女剣士、だったよな。俺は男兵だ。宜しく頼む」

女剣士「こちらこそ。聞いた話、君は即採用だと聞いたが」

男兵「あぁ。剣は前からやってたんでな。正直、そこらの兵士なんかよりは腕が立つと思ってる」

女剣士「一昨日の模擬戦は見事だったな。まさか何もさせないとは」

女剣士(全く、あの程度で自信満々とは。いけすかない奴だ)

男兵「世辞はよせ、アンタだって普通の兵士相手だったら勝ててただろう」

女剣士(アイツ相手でも勝ててたわ、アホめ)

女剣士「そうだな、相手が悪かった」


男兵「まぁ、お互い頑張ろう。アンタには負けないがな」フッ

女剣士(ちょっと面白くなってきた。これはまずい、笑える)

女剣士「あぁ、私も譲るつもりは無い」

男兵「じゃあ、俺はこの辺で。またな」

女剣士「あぁ、また」



女剣士(くくっ、いや、面白かった。人の勘違いがここまで面白いとは)

女兵「あ、いたいた!早く帰ろう?」

女剣士「あぁ、帰るか」

女兵「何でそんなに楽しそうなのよー。何かあったでしょ?」

女剣士「いや、別に」クスッ



~夜~


――女剣士の家




女剣士「来たか。昨日越してきてばかりで文字通り何も無いがゆっくりしていけ」

傭兵「お構いなく、とりあえず、誰にも見られてないと思うぜ」

傭兵(表情も、眼つきも、全然違う…妙に張りつめた緊張感…警戒してるなあ)

女剣士「ならいいがな。とりあえず座れ。何から話そうか」

傭兵「とりあえず、君が只者じゃないってことは分かるんだが、それ以外はさっぱりだ」

女剣士「そうだな、まず私は思っているとおり、新米なんかじゃない」

女剣士「自分でいうのもなんだが、相当経験を積んでる。魔法も使えるしな」

傭兵「実際、どん位強いんだ?やっぱり俺より強い?」

女剣士「ああ。本気でやったら一瞬で決着する位には」

傭兵(ヘコむわこれ…一昨日の俺馬鹿みたいじゃん…)


女剣士「そう気を落とすな。私から見てもかなりの腕前だと思うぞ」

傭兵「フォローになってねぇよ…」

傭兵(惨め!俺今すっごい惨め!やっぱ知らなきゃよかったかな…)

女剣士「で、進めるぞ。私はこれまで酒場で依頼をこなしつつ生活していたんだ。まぁ旅の剣士という奴だな」

傭兵「まぁそこは俺も同じだ。ある意味同業者だったってわけだ」

女剣士「だが私は少々面倒くさがりでな。楽な仕事はないかと思っていたんだ」

傭兵「面倒なのは分かるぜ。でも君ほどの実力があれば大抵の仕事は楽なんじゃないのか?」

女剣士「やはり似たような事を言うんだな。それは…」



~~~~~~~~~~~~~



女剣士「というわけだ。だから私は城の兵士になったというわけだな」

傭兵(なんつーか…想像してたのと違う…すごい敗北感…なんだこれ)

傭兵「まぁ大体の謎は分かった。いや、その行動原理は謎だけどな。普通そんな事思わねぇって」

傭兵「それにしても、何で君はそんなに強いんだ?実際、そこが一番気になるんだが」


女剣士「そうだな…言ってもいいか…実は私はこの国どころかこの大陸出身ですらない」

傭兵「それは…なんとなく分かってたけど。それが?」

女剣士「この大陸から隣の大陸をさらに越え、いくつも大陸をまたいだ所に、私の出身地がある」

女剣士「ここからだと気が遠くなるほど遠いな。一体、何年かかるか」

傭兵「そんなに世界は広かったのか…で、その大陸がどう関係してるんだ」

女剣士「そこは未だに魔物と人間との闘争が続く地だ。その強さは計り知れない」

女剣士「幼少の頃から、常に魔物の恐怖と隣り合わせ。自分の身は自分で守るのが当たり前だった」

女剣士「だから、だな。そもそも環境が違う」


傭兵「嘘だろ…魔物なんて、伝説でしかないと思ってた…。実在するなんて」

傭兵「なんか…信じられないな…色々想像を越えすぎてる」

女剣士「無理もない、ここらでは魔物もとっくに滅びているからな」

傭兵「なら、何で君はこの大陸に?わざわざこんな遠くまで」

女剣士「…よく、分からないんだ。そこの記憶が曖昧で、頭から抜け落ちてるんだ…気付いたら海の上で、私は何かから必死に逃げていたようだった」

女剣士「それでたどり着いたのがここだ。不思議と安心感があった」



女剣士「…こんなところだな。もう話す事もあるまい」

傭兵「なんか、色々凄い事を知った気がするよ…」

女剣士「…それにしても、ここまで話してしまうとは。不思議とお前には何でも話してしまうな」

傭兵「やっぱり…言いたく無かったか?」

女剣士「別に構わない。人にばれると面倒だから隠していただけだしな。打ち明けるような奴もいなかったし」

傭兵「じゃあ俺は結構信頼されてるってことか?」

女剣士「まあ、そういうことなのだろうな。正直、私もあって数回の奴にここまで打ち明けるとは思って無かったよ」

今日はここまでです。もう少し見やすくしたい物です。
ではお休みなさいませ

お待たせしてすみません。
なるべく毎日更新出来るように努力します。


傭兵「そうか?まぁそれも俺の人格の成せる技ってか、へへ」

傭兵(自分でも気付いているのか?この話をしてる時…お前の眼はとても悲しそうだった…)


女剣士「というわけだ。別にお前にどうしろとか言うつもりはない。他の奴に言わなければ好きにしろ」

傭兵「おう、約束は守るよ。あ、そうだ最後にひと…」

女兵「女剣士ちゃん!遊びにきたよ~…って」

女剣士・傭兵「「あ」」

女兵「…なんで女剣士ちゃんの家にこの間の傭兵さんがっ!?」

女剣士(そうだ、コイツは私の家を知っていたんだった…!完全に計算外だ)

傭兵(いや~まずいなこれ。色々勘違いされちゃうよね)

女剣士「いや、これはだな。その…」

女剣士(今回ばかりはいい言い訳が思いつかん…)

女兵「ふふふ…分かっちゃった。分かっちゃいましたよ女兵は!」

傭兵(まぁ、夜に男と女が一緒の家にいるってだけで、なぁ)


女兵「全くもうやるねー女剣士ちゃんも!」

女兵「でも、誰にも言わないでおいてあげる。女兵ちゃんは優しいのだ~」

女剣士「何の話だ。私は彼にただこの間の礼をしようと…」

女剣士(何この言い訳。自分でも何言ってるのかよくわからなくなってきた…)

傭兵(なんか、下手に俺が入ったらまずいよな。ここはお前に任せたっ)

女兵「へぇ~お礼、ねぇ~?」

女剣士「そうだ。手合わせしてもらった礼をな。それに、私はまだまだ未熟だから」

女剣士「私から頼んだんだ。彼は強かったから、付き合ってくれませんか?とな」

女剣士(これは自然な流れじゃないか?剣の修行に付き合ってもらった事にすれば誤魔化すことはできる…!)

傭兵(はあぁぁぁぁーー!?何言ってんのコイツ!?何でそこの誤解を解こうとしないの?それどころか事実じゃないのに認めちゃってるよ!)

女兵「意外と大胆だねぇ~いきなり自分の家まで呼ぶなんて。ふふ」

女剣士(よし、これは信じているな。何とか私の秘密を打ち明けたことについては回避できたようだが…)

女剣士「それは私のほうが家が近かったから、早く事を…」

傭兵「待てええぇぇぇぇえぇぇ!!!」


傭兵(よし分かった。これは俺が出ないと駄目だ。コイツは根本的に“勘違い”してるみたいだし)

女兵「どうしました傭兵さん?彼女はもう認めちゃってますよ~」

傭兵「いや、少し話を整理しようと思ってな。」

傭兵「女剣士。お前なんで俺を呼んだかもう一回丁寧に言ってみ?」

女剣士「だから、貴方が手合わせしてくれたことに対する礼と、私と少し剣の修行に付き合ってくれる、ということでしょう?」

女兵「え?」

傭兵(あ~、やっぱりな。コイツ、俺らがそういう関係になってると疑われてるなんて微塵も思ってなかった)

傭兵(おそらく色恋事に疎すぎるんだろう。あくまで何を隠してるのか疑われてると思っていたわけだ)

女兵「えぇえぇぇぇ~!?」

傭兵(そして焦ってだからか知らんが爆弾発言を次々と、ってわけだ。もちろん何の気なしにな)

女剣士「ん?お前は何だと思っていたんだ?」

女兵「いやいやいや、普通この流れは私達付き合ってます的なアレじゃないの?」

女剣士「おま…何をいきなり!?」カアァ

傭兵「女兵ちゃん、コイツは今まで全くそんなつもりで話してるつもりじゃなかったんだよ…」ポン

女兵「え…えぇぇ~」


傭兵「女兵ちゃん、コイツは今まで全くそんなつもりで話してるんじゃなかったんだよ…」ポン

女兵「え…えぇぇ~」

女剣士「え…何で…そ…」

女剣士(待て、夜…二人きり…よく考えたら…そういうことじゃないか…)

女剣士「あ…あうぅ…///」

女兵「女剣士ちゃん?お~い」

傭兵「駄目だ。今自分でも気付き始めてる」

女剣士(それに私はなんと言った?そんなことにも気付かずそれとないことを…)

女剣士「うぅ…」フラフラ

女剣士(それに…つ…つき…つつき合ってください…うああぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁぁ!!)

女剣士「はぅ…///」バタ

傭兵「駄目だ。気絶しちまいやがった」

女兵「女剣士ちゃん…ウブすぎるよ…」

傭兵「俺がいても気まずいし、後は女の子同士で何とかしてくれ…俺は帰る…」


女兵「分かりました。お疲れ様です」

傭兵「おう、んじゃまた」


~~~~~~~~~~~~~~


女兵「…でも、やっぱり可愛いなあ、女剣士ちゃんは」

女兵「顔立ちも綺麗だし、体もすらっとしてる。…胸まですらっとしちゃってるけどね」クスッ

女兵「やばい…無防備な女剣士ちゃん可愛すぎる。惚れちゃいそう…」

女兵「…ちょっとくらいいいよねー」ダキッ

女兵「おぉう、意外にすっぽり収まっていい感じ。あったかくて、気持ちいいな…」

女剣士「んん…うぁ…私は…何を…?」

女兵「ひやあぁぁ!?」ドキッ ポイ

女剣士「うお」ドテ

女剣士「気絶…してたのか…何で」

女兵「思い出さない方がいいと思うよ?」

中途半端ですがこれで。自分でも思う展開遅すぎわろた。
お休みなさいませ


女剣士「…思い出してしまった。うぅ…」

女兵「気絶はストーップ!気を確かにー!メーデーー!!」

女剣士「大丈夫だ。少し死にたいだけだから」

女兵「大丈夫じゃないってそれ」

女剣士「ところで…何故お前は私に抱きついていたのだ?」ゴゴゴ

女兵「え!?な…何の事かなー」

女剣士「まさか気絶してるのをいいことにか…かわ…うあぁあ!!…とにかくそんな事を言っていたのではあるまいな!」

女兵「えっなんでバレ…」

女剣士「ウオラアァァァ!!」バチコーン

女兵「ナイス…ゲンコツ…」バタ

女剣士「忠告したはずだ。次は殴るとな」シューッ

女剣士(勢いで殴ってしまったが女兵は何をしに来たんだろう…)




~同刻~


――街中



傭兵(はぁ…駄目だなぁ…俺)

傭兵(そういう勘違いされて…悪い気分じゃ無かった…むしろ少し嬉しかったな)

傭兵(女剣士が照れてる時…すげぇ可愛いって思っちまったんだよな…)

傭兵(でも…それは許されない…そんな事は自分が良く分かってる)

傭兵(アイツと…良く似てる…俺が、ただ影を重ねてるだけなのかもしれないが…)

傭兵(どちらにせよ、俺には何もできない。する資格がない。)

傭兵(これから…どう接したらいいか…)

傭兵「嫌な事思い出しちまったな…全く、恋の病って奴は厄介だな」

傭兵(俺は…あの時、決心したんだ)

傭兵(もう誰も、愛さない…ってな)


~翌日~


――城内



女剣士(この国がいったい何を隠しているのか…その内聞かされるものだと思っていたが、一般兵士には聞かされないのか?)

女剣士(とにかく、このままでは埒が明かない。傭兵に問いただしてみるか…)


女剣士「傭兵。少し話があるのだが」

傭兵「話?どんな?」

女剣士「…お前は一体何の目的で雇われたんだ?まさか、警備でもあるまい」

傭兵「…あ~、やっぱり気になるよな。昨日のもあるし、教えてもいいぞ」

女剣士「助かる。普通、城がわざわざ傭兵なんて雇わないからな。何か訳があるんだろう?」

女剣士(この反応…あまり言える事じゃないようだな…それほどまでの機密情報が…?」

傭兵「実はな…俺が雇われたのには…」

???「はい、そこまで」

今日はここまでで。もうお分かりかと思いますが結構な長編になってしまいそうです。
完結はさせますのでどうかお付き合いください。では

2日も空いてしまいました…すみません
多くの期待コメント、ありがとうございます


女剣士「!?」

女剣士(コイツ…どこから現れた…只者ではないみたいだが…)

傭兵「あ、貴方は…」

???「駄目だよ傭兵さん。ルールは守ってもらわないと。この件については口外を禁じてあるはずなんだけどなぁ」

傭兵「すみません女騎士様。つい口を滑らせる所でした。この者には借りがあったのでつい…」

女騎士「まぁ城外の人に言おうとするよりはいいけど、こんな一兵士に話しても何の意味もないよ」

傭兵「はい…分かっています」

女騎士「分かってくれればいいんだけどね。で、君が噂の“化け物”の一人か」

女剣士「お初にお目にかかります。そしてお言葉ですが化け物…とは?」

女騎士「あぁ、城の兵士たちの中じゃ君と、後2人…誰だったかな?まぁその3人を“化け物”って呼んでるんだよね」

女剣士「…あまり嬉しい気はしませんね」

女剣士(後2人…おそらく男兵と女兵だろうな、あいつらは筋がいい)


女騎士「でも、私自身から言わせてもらうと過大評価しすぎだと思うな」

女騎士「ちょっとここ最近才能あるやつが入ってないからって、すぐ騒ぎ立てるんだから…」

女騎士「君も見た感じ確かに才能あるとは思うんだけど、化け物なんて大層な物じゃないよね」

女騎士「でもね、もっと才能あるやつならもう既に小隊長位は任されてもいいんだよ」

女騎士「何がいいたいかっていうと、君そもそも兵士には向いてないんじゃない?」

女騎士「諦める物はさっさと諦めて分相応の仕事に就いたほうが幸せだよ?」

女剣士「…考えておきましょう」

女剣士(落ち着け…まだ平常心を保つんだ私…っ!)

女騎士「まぁ私が言いたいのはそれだけかな。じゃ、傭兵さんもくれぐれも例の件、気をつけてね」スタスタ


女剣士(殺す…あのクソ女殺してやる…殺す殺す殺す殺す…)ゴゴゴゴ

傭兵「お、おい…気にするなって…あの人はいつもそうなんだよ」

女剣士「…別に」ゴゴゴ…

女剣士「怒ってなんていないぞ?」ニッコリ(暗黒微笑)

傭兵(絶対怒ってる…笑顔がめちゃくちゃ怖いし…)


女剣士「全く…何なんだあの女は」

傭兵「この王国最強の騎士様だと。確かに実力は凄いんだが…性格がな」

女剣士「最悪だな。ああいう奴は一度痛い目にあった方がいいんだ。よし殺ってくる」

傭兵「落ち着けよ…あれでも馬鹿みたいに強いんだぞ。なんでも100万人に1人の才能があるとかなんとか」

女剣士「問題ない!確か私は1000万人に1人だった!」

傭兵「…本当にやめてくれ。マジで殺りかねん」

傭兵(洒落になってねぇ!!桁違いって言葉の本当の意味を初めて知った気がする…)

女剣士「もういい…疲れた…」ハァ

傭兵「で、あの人にはああ言ったけどさっきの話はお前にも伝えた方がいいと思うんだ」

女剣士「…雇われた理由か。お前が構わないならそれでいいが…」

傭兵「じゃ、また昨日と同じでいいか?そこが一番安全に話せそうだし」

女剣士「たった1つの問題があるがな」

女兵「たった1つの問題…何だろう?」

女剣士「お前だ」

傭兵「なんでいるし…」


女兵「私なのね…ところでまた2人で何話してるの~?」ニヤニヤ

女剣士「どうやらよほど殴られたいらしいな」

女兵「冗談です!ごめんなさい!…っていっても敬語じゃなかった所、信じ切れてないけど」

傭兵「それは俺が頼んだんだ。堅苦しいのは苦手でな」

女兵「じゃあ私もそうするね!」

傭兵(ちょっとは躊躇しろ!男兵もそうだったしお前らはふてぶてしさが“化け物”だよ!)

女剣士(こいつの気配がしたのはすぐ前だから肝心な事は聞かれていないだろう…)

女剣士「ところで私達は後で大事な話をするんだ。だから今日は私の家に来ないでくれるか」

女兵「分かりましたよーだ。私も仲間に入れてくれたっていいのに~」

傭兵「ごめんごめん、これはちょっと無理なんだ」

女兵「そこまで大切とは…やはり告白か!?」

女剣士「…なあぁ!?」スパーン

女兵「痛ったーーー!!冗談だって言ってるじゃない!」

女剣士「言っていい事と悪い事があるんだ!」


女兵「だからってそんなに本気で叩かなくても!ハゲになる!」

女剣士「なるか!そんな事言うお前が悪いに決まっているだろ!」

女兵「本気で言ったんじゃないのに…許してよ…」グス

女剣士「いや、そんな…泣かれても…その……なんてなるか!嘘泣きなんてすぐ分かるぞ!」

女兵「クッ…この騙された人は未だかつていないと言われた私の嘘泣きを…」

ワーワーガヤガヤ

傭兵(この2人仲いいなぁ、色々と正反対だけど)

傭兵(女剣士はクールで大人びた感じだな。胸ないけど)

傭兵(対して女兵ちゃんは元気いっぱいの子だな。おっぱいでかいし)

傭兵(案外、正反対の方が相性よかったりすんだよな…)

男兵「よう、何やら騒がしいから俺も来たぞ」

傭兵「帰れ」

女兵「帰れ」

女剣士「帰れ」

男兵「なっ!?」

~~~~~~~~



――女剣士の家



女剣士「じゃあ、早速話してもらうか」

傭兵「そうだな…まず、俺の依頼内容を話そう」

傭兵「俺の頼まれた依頼はこうだ。“この城にスパイがいると思われるからそいつを始末してくれ”だと」

女剣士「ちょっと待て、ただの傭兵にスパイの始末?それはおかしいんじゃないのか」

傭兵「それは俺がただの傭兵じゃないからだ。俺は主に裏の仕事ばかりしてる傭兵だったからな」

女剣士「なるほどな…なら模擬戦の時のあの動きも納得か」

傭兵「だが俺はそんな仕事は大分昔に足を洗ったんだ。正直、うんざりしていた」

女剣士「裏の仕事は危険も多いし、何より精神的負担もかかると聞いたことがあるな」

傭兵「まぁ、そういうことだな。で、話を進めるが俺はどうやらそっちの世界で有名になっちまってたらしい」

傭兵「で、どこからか俺を嗅ぎつけてきたんだよ。この国がな」

女剣士「だが、足を洗ったんだろう?何故依頼を受けた」


傭兵「俺も最初は断ったさ。でも、これがしつこかったんだ。毎晩毎晩家に帰る前に呼び止められ、報酬がなんだとかこの国の一大事だとか何とかな」

傭兵「俺はどんなに報酬を積まれてもこの依頼は受けないって決めてたんだ」

傭兵「でも、あまりのしつこさについ、口を漏らしちまったんだ。俺を倒すことができればいいぜってな」

女剣士「…まさか」

傭兵「俺は過信してたな。まさかこんな平和な国に俺より強い奴なんていないだろうと高を括ってた」

傭兵「そしたらなんだ、あの女騎士に負けちまったんだよ。惨敗だった」

女剣士「それはお前、かっこ悪いな」

傭兵「ナチュラルに人の傷をえぐるな!…そんで依頼を受けることになっちまったわけだ」

女剣士「で、お前はどこまで聞かされてる?そのスパイの目的とか、国の一大事とも言っていたらしいし」

傭兵「そうだな、俺には大体の事情は把握してるけど…核心の部分ははぐらかされてた」

傭兵「簡単に言えばこの国の王はすげー平和主義で、それをよく思わない奴がいるらしいんだと」

傭兵「で、そいつ等がこの国を崩壊、もしくは乗っ取る為に裏で色々とやってるらしい」

傭兵「…ざっくりだがこんなもんか。まぁ割とありきたりな話だな」

女剣士「ざっくりしすぎだろう。仕方ない、私から質問するぞ、いいな?」

傭兵「んー、まぁ答えられるだけな」


女剣士「まず、そいつ等の目的がわからん、こんな国を崩壊させる?あわよくば乗っ取る?…そんなメリットが存在するとは思えん」

女剣士「だってそうだろう。この国は平和主義らしいし、全く持って他国に不利益を与えてる訳でもない」

女剣士「つまり、この国を乗っ取ってまで欲しい何かがこの国にある」

女剣士「もしくは、平和主義と名打つだけで、実際は着々と侵略の準備を進めている、とかその辺りが考えられる」

女剣士「…私は前者だと思うがな」

傭兵「すごいな、たったこれだけでここまで考えられるか…」

傭兵「その通りだ。この国には重大な秘密があるんだとよ。あ、俺も知らないぜ?」

女剣士「やはりな、恐らく王とその血族や側近、あとはせいぜい騎士長が知ってるくらいの超極秘情報だろうな」

女剣士「そうすると次はどこからその情報が漏れたかだが…これはこの際どうでもいい」

女剣士「それよりもそのスパイたちの情報が欲しいな。何か分かっていることはないのか?」

傭兵「ん?何やら乗り気だけどお前も協力してくれるのか?」

女剣士「そのために私に話したんじゃないのか?それに私もこの国が何を隠しているか興味があるしな」

今日はここまでにします。
ではでは


傭兵(…これでスパイたちの強さとかどうでもよくなったな)

傭兵「んじゃよろしく頼むわ。それでそのスパイたちの事だがほとんど何も分かってないんだ」

傭兵「そもそもまだいる“かも”の段階だしな。尻尾も掴めないらしいからまだそんなに動きは無いらしい」

傭兵「後は…そうだな、情報を知ってる以上ある程度上の奴なんだろう、とは思う」

女剣士「手掛かりが少なすぎる…これでは相手の動きを待つしかないな」

傭兵「そうなんだよな…だから毎日暇でしょうがないぜ…」

女剣士「どうせ分かってからは忙しくなる。今のうちに暇を満喫しておけ」

傭兵「だな。あ、そうだ確か魔法使えるんだったよな?」

女剣士「確かに使えるが、それが?」

傭兵「どんな魔法なんだ?仲間の事情は把握しておいた方がいいしな」

女剣士「…あまり大層なものじゃないぞ」

傭兵「いいんだよ。実は俺はまだ魔法使えないから何か掴めるかもしれないしな」

女剣士「…分かった。ちょっと待っててくれ」


女剣士「先に言っておくが私のは一般に魔法と呼んでいるようなものじゃないからな」

傭兵「ま、驚きはしないさ。ところで剣なんて持ってきてどうするんだ?」

女剣士「まぁ見ておけ。これが私の魔法だ。……ふっ!」

――ブオォッ!

私が気合を込めると剣にもやがかかったようになり、白いオーラのような物を纏っている。

女剣士「どうだ?これが私の魔法だ」

傭兵「いや、どうって言われても見た目じゃ今一どんな魔法か分からないな…」

女剣士「単純に言えば攻撃力の強化だな。そうだな…オーラ…闘気…まあなんでもいい。それを剣に込めている感じか」

女剣士「だからオーラ自体は攻撃力は持たない。あくまで纏わせて効果を発揮するタイプだ。それに――」

もう一度剣に意識を集中させると、白かったオーラが赤に変わった。


傭兵「お?今度は赤くなったけど」

女剣士「これがこの魔法の本質だな。オーラの色によって効果が微妙に変わるんだ」

女剣士「大体色の持つイメージに近い効果になっているな。ちなみに、さっきの白色は全ての基本だ。効果も薄い」

女剣士「この色は主に“破壊力”が強化される。一撃一撃がより重みを帯びる」

傭兵「確かに、赤は攻撃的なイメージがあるな。…他の色もあるんだろ?」

女剣士「もちろんあるが、実はここからが重要なんだ。……っと」フワッ

力を抜くと、オーラは拡散していった。魔法を解いたのだ。

女剣士「実はこの魔法、少し厄介なんだ。私の感情と少し共鳴してるんだ」

傭兵「つまり、どういうことだ?今、赤に変えてたじゃないか」

女剣士「出せないことはない。ただ無理矢理出そうとしても不完全だし、自分の気分もしっくりこない」

女剣士「そのかわり自分の感情と共鳴した色を纏えば即座に出るし効果もさらに上がる、といった感じだ」


傭兵「結構気まぐれな魔法なんだな…感情と共鳴する、か」

傭兵(そんなに感情的な奴に見えないんだけどな)

女剣士「そういうことだ。赤は主に興奮状態が共鳴条件と言ったところか。これも色のイメージに準じている」

女剣士「他の色はそうだな、たとえば青。これは自分が冷静な時にでやすいな。効果は“切れ味”の強化か。斬る、という攻撃がより深く鋭くなる」

傭兵「へー、色々と便利なもんだな。汎用性に優れてる反面、感情に左右されるってことか」

女剣士「そういうことだ。ある意味自制の強化にもなっているな。メインはこの2色だし、他は面倒だから説明は省くぞ」

傭兵「やっぱりまだまだあるのか。よく考えてみたら剣に纏ってるから普段通りの戦い方に攻撃力が上乗せされてるだけ…すげぇ強いと思うんだが」

女剣士「そうだな。自分でもいい物を持ったと思うよ。あ、さらにな…」

傭兵「おい、まだあるのか!?」

女剣士「このオーラ、自分の身体にも纏わせられる。この場合肉体強化になるな」

傭兵「…どんどん反則じみてきたな…」

女剣士「いや、これは確かに便利だが魔力の消費が激しいんだ。余程の事がないと使えん」

女剣士「すごく疲れるしな。無理矢理ドーピングしてるようなものだ。体の負担が大きい」

傭兵「なるほど、諸刃の剣って奴だな」


女剣士「とまあ、私の魔法については以上だ」

傭兵「ありがとな。面白い魔法だったよ。くそぉ…俺も早く覚えたくなってきたな」

女剣士「じゃあ少しヒントをやろう。才に気付くためのな」

傭兵「お、助かるぜ!…といっても今さら覚えられるかどうかだけど…」

女剣士「いつからでも遅くないさ。コツだが、この魔法の才っていうのは案外性格に反映されてたりするんだ」

傭兵「性格…?つまり熱い奴は炎系とかってこと?」

女剣士「ああ。私なんかは面倒くさがりだからな。最初は魔法なんて覚えなくていいと思ってたんだ。もちろん面倒くさいからな」

女剣士「でも覚えてみたいという気持ちもあって、でも面倒なのは嫌だ。そんな事を日ごろ考えてたらコレに行き着いたな」

傭兵「そんなもんなのか…でも俺の性格、自分じゃよくわかんねぇしなー」

女剣士「なんとなくでいいんだ、自分はこうありたいとか、自分にはこんな魔法が合っていると思うとか。そのうち何かが見えてくるんだ」

傭兵「まぁ、頑張ってみるさ。その結果役に立ちそうになくてもそれはそれでいいしな。今まで通りだ」

女剣士(他にも手段はあるが、他のは少し荒技だからな…これが一番だろう)

女剣士「魔法なんて使えても使えなくても大差ない。それくらいに思っておくのがいい」

傭兵「今日は色々ありがとうな。んじゃ、そろそろ帰るとするか」

女剣士「ああ、気をつけて」

ここまでにします。テンポ遅いですかね?
私自信が遅筆なのもありますが…
では

念能力のような魔法だな

大変お待たせいたしました。申し訳ない

>>133
確かにそんなイメージですね…ですがそこまで似せる訳ではないつもりです。
そもそもこの原案はモンハンですしねw


~~~~~~~~


傭兵(くそ、会うたびに意識しちまう…恋って本当怖ぇなぁ、自分の決意なんて簡単に乗り越えてくる…)

傭兵(でも駄目だ。この思いは俺の心の中だけで、な)

傭兵(あ~、今日はヤケ酒だな。久しぶりにあそこ行くか)



~~~~~~~~



――旅人の酒場



マスター「おう、いらっしゃい。…ってお前傭兵か!?随分久しぶりだな」

傭兵「…あの時以来だったか。とりあえず久しぶり」

マスター「…で?どうしたんだ今日は、何かあったんだろ?」

傭兵「ん、まぁな…とりあえず酒くれ。飲まなきゃやってられない」

マスター(こりゃ重症だな。奢りにしといてやるか)


マスター「ほらよ、今日は俺の奢りだ、飲めよ」

傭兵「いいのか?じゃあ遠慮なく貰っておくよ」グビッ

マスター「少しは落ち着いたか?何があったかしらんが」

傭兵「あぁ、そうだな…確かに俺は誰かに聞いて欲しくてここに来たのかもな」

マスター「話してみるか?少しは楽になるだろ」

傭兵「実は――」


~~~~~~~~


傭兵「――というわけなんだ。ったく、自分でも嫌になるね」

マスター「なるほどなぁ。その女剣士って奴を好きになっちまったと」

マスター(…誰かと思えばあの譲ちゃんじゃねぇか。いやぁ、世界って狭いんだな)

マスター「で、お前はまだ許してねぇのか。――自分の事をよ」

傭兵「当たり前だろ。許せるわけねぇよ、あんな男…」

マスター「アイツはそんな事思ってるのかねぇ。そうは思えないが」

傭兵「俺自身のけじめだ、アイツは関係ねぇよ。アイツは許してくれるに決まってる。優しいからな…」


マスター「…俺はもう何も言わないけどな、これだけは言っとくぞ」

マスター「誰かを愛してやるって事に、権利なんて、ましてや許可もいらねぇんだぞ」

傭兵「…奥さんに逃げられた奴に言われても説得力ねぇな。はは」

マスター「お前、それ言わない約束だろ…」

傭兵「それに、さっきも言ったけどこれは俺のけじめだ、こうでもしないと俺は忘れちまう、そんでまた繰り返すかもしれない」

傭兵「…でもありがとう、少し楽になった」

マスター「なに、俺に出来るのは話を聞くことだけだ。大したことじゃないぞ」

傭兵「それがいいんだよ。さて、俺も帰るか。悪いな、とっくに閉店だろ?」

マスター「気にすんな。また来いよ、今度は昔話でも、な」


~~~~~~~~


傭兵(おぉ、寒いな、もう真夜中だ…風が身に染みる…ん?)

――ヒュオオオォォ

傭兵(あれ?今女剣士が見えたような…気のせいか?)

傭兵「参ったな、飲みすぎたか?」



~翌日~


――城内



女剣士(全く、この城の兵団はこんなに面倒くさい仕組みだったとは…)

女剣士(基本となる三部隊、戦士隊、魔剣士隊、魔導師隊…)

女兵「女剣士ちゃーん、次どうすんのー」

女剣士(戦士隊、魔剣士隊の上には騎士団…そして魔導師隊の上には数々の賢者達…)

女剣士(一体どの地位につけばいいのやら。変に評判になってしまっているから結構上は行けると思うんだが)

女兵「おーい、聞いてるのー」

女剣士(騎士団はパスだな。あそこまで行くと束縛の方が大きい)

女剣士(…じゃなかった。脱線していた、こんなに大きい組織じゃ的すら絞れん…)

女剣士(やはり相手が動くのを待つか…)

女兵「もう!無視すんなぁ!」

女剣士「どうした、さっきから1人で騒がしいぞ」


女兵「あんたが無視したんでしょーが!ひどいなあ」

女剣士「冗談だ。次は合同演習だったか」クス

女兵「そうそう、初の実戦訓練かぁ。他の隊とも交流するチャンスだね!」

女剣士「そういうのはあまり興味ないが、どんな奴がいるのかは気になるな」

女剣士(とにかく情報が欲しいからな)

女兵「素直じゃないなぁ全く。ま、お互い頑張ろうね!私は先に行ってるから~」タッタッタ

女剣士「ああ。私も直ぐ行く」

女剣士「…で、お前は何をしてる、傭兵」

傭兵「いや、楽しそうにしてたから入るタイミングが掴めなかっただけだよ」

女剣士「何か話があるのか?」

傭兵「そうそう、昨日の件だけど1つ思いだした事があってさ」

女剣士「おい馬鹿、こんなところでそんなこと口にするな。誰が聞いているか――」

女騎士「はーい、昨日の件って何?」

女剣士「――ほらな」ハァ

傭兵「…やべ」


女騎士「傭兵さん?もしかしてもしかすると喋っちゃった?喋っちゃったよね~」

傭兵「すいません…つい…」

女騎士「困るなぁ、そんなにベラベラ喋っちゃ。誰にも言わない約束だったのにな~」

傭兵「おっしゃる通りです…」

女剣士(一々嫌味ったらしい口調しやがって…そろそろ死ぬか?小娘)

女騎士「なーんて、昨日から思ってたよ。多分彼女に話すんじゃないのかなーって」

傭兵「…え?」

女騎士「釘を刺しても話すってことは何か理由があってなんでしょ?そんなに傭兵さんは馬鹿じゃないでしょ」

傭兵(いや、かなり心強いから話したとか言えないでしょ)

女剣士「女騎士様、申し訳ございません。これは私の勝手でした」…チッ

女剣士「私は何事も深読みしてしまう癖がありまして、それ故いらない事まで詮索してしまいました…」…ハァ

女剣士「ですが私もこの国を思っての事です。そこは分かっていただきたいのです」…ヤレヤレ

女騎士「ねぇ何か間にとても不適切なものが入った気がするんだけど」

傭兵「俺も女剣士の頭の良さには着眼しておりまして、何かのヒントになるのではと思い話してしまったんです…」

女騎士「スルーなの?ねぇ無かったことにするの?もう気のせいでいいけどさ」

今日はここまでです。書き溜めしなきゃ…
では


女騎士「とにかく、これは結構な事だよ。なんなら君たちを捕まえたりも出来ちゃうわけだ」

女騎士「でも、ここは見逃してあげる。だって彼女、傭兵さんが期待するくらい頭がいいんでしょ?もしかしたら有益になるかも知れない」

傭兵「その心遣い、感謝します」ホッ

女騎士「そのかわり、もし何の成果も上げられないようじゃ君たちの処遇も少し考えなきゃいけないね。君、女剣士…だっけ。出来るの?」

女剣士「はい、必ずやご期待に添いたいと思います」

女剣士(なるほどな…まさに猫の手も借りたい状況な訳か…しかし一体何が…)

女騎士「君も兵士なんかより参謀の方が向いてるんじゃないの?まぁ本当に頭いいのかは知らないけど」

女剣士「1つ質問が…そのスパイ達の狙いという物の詳細は…やはり教えては貰えないのですか」

女騎士「…無理だね。実を言うと、私も知らないし。知ってる人は王1人なんじゃないかって噂だし」

女剣士「そう…ですか。となるとスパイ達はどこでその情報を…?」

女騎士「それが分かれば苦労しないんだよ、そのくらい分かるよね?でも、この国にはこんな昔話があるそうだ」

女騎士「――大昔、まだ魔物がいた時代。この国は魔物達を全てどこかへ消し飛ばして平和を掴みとった――だっけな?ごめん、あんまり覚えてないや」

女剣士「それとこの件はつながりがあるのかは分かりませんが参考になりました。ありがとうございます」

女騎士「もっと知りたかったら書庫に本があった気がするよ。行ってみたらいいんじゃない?」


女剣士「分かりました。後で調べてみましょう」

女剣士(少しづつ明らかになってきたか…?)

女騎士「じゃ私はこれで。君も次、遅れちゃうよ?あ、傭兵さんはちょっと来てね」

傭兵「あ、はい」

傭兵(あれ、俺いらなくなってね?)

女剣士(貴様が話を長引かせたんだろうが、ったく)


女剣士「…そういえば、傭兵の言っていた思いだした事って何だ?」



~~~~~~~~



女剣士(やっと終わったか…さっさと例の書庫に行きたいのだが…)

女兵「女剣士ちゃん!お疲れー。やっぱりすごいね!女剣士ちゃんの班が一番成績よかったんでしょ?」


女剣士(…やはり捕まってしまったか。ある意味予想通りだったが)

女剣士(だが、正直ずっと考え事してたからな…訓練内容はおろか組んだ奴すらよく覚えてない…)

女剣士「ああ、そうらしいな。…所で、そいつは誰だ?」


女兵「そうそう、この子訓練の時一緒の班だったから仲良くなったんだ~。女剣士ちゃんにも紹介しようと思ってさ」


女兵「しかも魔導師隊の子だから、魔法が使えるんだよ!ね、魔法使いちゃん!」

魔法使い「はい、えと…その、初めまして…」オロオロ


女剣士「こちらこそよろしく頼む。…そう緊張しないでいいんだぞ?」

魔法使い「すいません…こういう性格なんですぅ…」


女兵「ちょっと人見知りしちゃう子だけどいい子だから、仲良くしてあげてね!」

女剣士(勘弁してくれ…苦手なタイプなんだよ…)


女剣士「仲良くするのは構わないが…別の隊だ。あまり会う機会はないだろうな…」

魔法使い「そう…ですよね。私なんかと仲良くしたくないですよね…すいません…」シュン


女剣士「オ…オイ、別にそんな事言ってないぞ?ただ会う機会があまりないと…」

魔法使い「分かってます…ごめんなさい!怒らないでくださいぃ…」ウル

女剣士「怒ってない!」

魔法使い「ひぃっ!?ごめんなさい!ごめんなさいぃ!怖いですっ…」ブワッ


女剣士「いや、泣かれても困るんだが!?す、すまなかった!そんなつもりがあったわけじゃ…」オロオロ

女剣士(やっぱり苦手だ…まるで思考回路が読めん)


女兵「もー!泣かしちゃってー。魔法使いちゃんは繊細なんだから!」

女剣士「いや、しかし私は何も…」

女兵「魔法使いちゃんにはその口調は怖く感じちゃうんだよ。もっと優しく話さないと」

女剣士(そんなこと言われてもな…これが普通の口調なのに…)


女剣士「と、とりあえずすまなか…いや、ごめんな?悪気はなかった。げ…元気出して?」

魔法使い「は…はひぃ…すびません…」グスッ

女兵(くくっ!その無理した口調不自然すぎるよ!)

女剣士(何故私がこんな目に…泣きたいのはこっちの方だ…)


女兵「魔法使いちゃん、大丈夫?やっぱりまだ慣れてないよね…ごめんね」ナデナデ

魔法使い「大丈夫です…ありがとうございます」グシグシ


女剣士「と…とりあえず私は用があるんだ。悪いがそろそろ行くよ」タタタ

女兵「ちょっと!逃げるなぁ!話は終わってなーい…って、行っちゃった」

魔法使い「仕方ありません…私が、不快な思いをさせてしまったから…」


女兵「魔法使いちゃんは悪くないよ。彼女もほんとは優しくて不器用なだけだから許してあげてね?」

魔法使い「はい…それは私もなんとなく分かりました。それなのに泣いてしまうなんて…うぅ」ジワリ

女兵「ちょっとストーップ!もう泣かないで、お願い!私も泣いちゃう!」

男兵の出番がが…
おやすみなさいませ



――城内・書庫



女剣士(ったく、一時はどうなる事かと思った…逃げた事は悪かったか?)

女剣士(まぁいい、とにかく今は情報収集に専念だ。まずはこの国の歴史に載っているのか確認だな)


~~~~~~~~


女剣士(あらかた調べたが歴史には残っていない…あくまで伝説か、それとも“揉み消された”か)

女剣士(仕方ない、直接聞いてみるか)


女剣士「すみません、私この国のあの昔話について調べているんですが…記述されている本がどうも見つからなくて…」

書士「ほう、それは魔物からこの国を守ったというあの話の事ですかな?それならあちらの方に色々とありますよ」


女剣士「ありがとうございます、やはり有名ですか、この話は」

書士「まぁ、子供でも知っているおとぎ話のような物です。あなたのような人もたまにいますしね。それに今日は先客もいらっしゃる。行ってみるといいですな」

女剣士「先客…ですか。分かりました、失礼します」


女剣士(確かに誰かいる。誰かは分からないが、大分着飾った格好をしている所それなりに偉い奴なのだろう)

女剣士(しかし、本棚の前に立って立ち読みしている…邪魔で取れないし、何かブツブツ言ってるし…)


女剣士「あの、すみません。少し横にずれて頂いても…」

???「あ、すみません。随分夢中になってしまっていたようだ」サッ

女剣士「ありがとうございます」スッ

???「おや、貴方もその本を?」

女剣士「…失礼ですがどちら様で?」


大臣「これは失礼しました。私この城の大臣をやっております。私を知らない所、貴方はまだ仕えて間もないようだ」

女剣士(だ、大臣だったのか…もっとふてぶてしいジジィがやるもんだと…)

女剣士「…!大臣様でしたか。こちらこそ失礼しました」


大臣「いえ、いいのです。それより話は戻りますが貴方もこの本に興味を?」

女剣士「あ、はい。少しこの話が気になりまして、それでここへ」

大臣「おとぎ話の究明とはいいものですな。恥ずかしながら私はこれは実在したと信じているんですよ」

女剣士「いいと思います。私もあったと思っていますし」

大臣「貴方とはいい話ができそうだ。だがもうこんな時間か。失礼、私はこれで。またお話をしたいものです」

女剣士「こちらこそ、また今度」


女剣士(さて…人がいなくなったのは好都合だな。誰にも邪魔されない)

女剣士(とりあえず一度読んでみるか。もしかしたら何か分かるかもしれない)


~まほうのとびら~


むかし、へいわなくにがありました。しかしそこにわるいまものがたくさんあらわれ、くにじゅうにわるさをしました。


「こまったものだ。だれかあのまものをたいじするのだ」

おうさまはへいしにめいれいし、まものをやっつけようとしました。

しかしそれはしっぱいしました。まものはとてもつよく、たおしてもつぎからつぎへでできました。


「だれか、だれでもいい。あのまものたちをどうにかしてくれ!」

おうさまはつぎにまほうつかいたちにめいれいしました。まほうつかいたちはひっしにかんがえました。

「たおせないなら、どこかへけしてしまおう」

まほうつかいたちはちからをあわせ、ひっしにそのほうほうをかんがえました。そしてしばらくあと、ついにそれはかんせいしました。


「よし、これでまものたちもいなくなる」

まほうつかいたちはまほうをとなえはじめました。するとどうでしょう。まものたちがつぎつぎときえていきました。

こうしてまものたちはいなくなり、まほうをおそれたまものたちもこのくににはちかづかなくなったそうです。へいわがまたおとずれました。


しかし、そのかわりにふしぎなことがおこりました。しろのなかにおおきなおおきなとびらがあらわれたのです。

あけようとしてもびくともしません。どこにつながっているかもわかりません。そんなときひとりがいいました。


「これは、たぶんまものたちをとじこめているんだよ。このとびらがまもってくれているんだ」

「そうだ、そうにちがいない。まほうのとびらだ!」

それからひとびとはこのとびらにかんしゃし、いつまでもへいわにくらしたそうです。


女剣士(おいおい…これは洒落になってないぞ、この話が本当ならな)

女剣士(だが、これが本当なら、この国のどこかにその扉とやらがあるのか。これが隠している事…なのか?)

女剣士(しかしただの作り話という事もあり得る。そもそも何かを無条件に消し飛ばす魔法なんてあるわけがない。リスクがない魔法なんてないからな)

女剣士(いや、だからこそ扉が現れたのか…?代償として、禁断の扉が…)

女剣士(そもそも表現が曖昧すぎるな。これだけでは全く推測の域を出ない)

女剣士(あくまで可能性の1つ、としてみるか)


女剣士(…ん?この本は何だ?随分古い本のようだが…)

女剣士(…なんだ、これは。文字もぐちゃぐちゃ、とても読めた物じゃないな。だが、なんだ?なにか感じる…っ!!)

女剣士(今、さっきの本が私の魔力に反応したような…?まさか…)

女剣士は少しづつ、ゆっくりと本に魔力を込めてみる。


女剣士(やはり反応している…こんな仕掛けがあったのか。内容も…変わっている)

女剣士(これは物に魔力を込めるタイプの魔法でしか解けないようになっているようだ。運が良かったな。どれどれ…)ペラペラ


女剣士(おい…嘘だろう、これは…)

女剣士(そういうことか、全て分かった。この国を狙う理由も、隠していることも)

女剣士(冗談じゃない!これはヤバすぎる…こんなことが…くそ!)パタン

女剣士(一体何が起ころうとしてる?面倒くさいことになった…!)

女剣士(とにかく今すぐ伝えに行かないと、王がこれを知っていたとするならこんなに焦るのも無理はない。行動など起こさせた時点でほぼアウトだ)ダッ


書士「おや、もういいのですかな?…どうしました?顔色が優れないようですが」

女剣士「大丈夫です。失礼しました」


~~~~~~~~


書士「おや、大臣様またいらっしゃいましたか」

大臣「あの女性はまだいらっしゃいますか?」

書士「それが先ほど違う様子で出て行きました。何かあったんでしょうか」

大臣「…そうですか」

今日はここまで。
プロットを作りこんである訳でもないので大筋以外はその場の気分で話作ってたりします。
おやすみなさいませ


~~~~~~~~


女剣士(いや、待て。先程は焦っていて気にも留めなかったが、あの汚い本は何だったんだ?)

女剣士(とにかくもう一度確かめなければ。さて、どちらを優先するか…)


使用人「あら?あなたは…」

女剣士(面接の時の…あの女か。こんな時に…)

女剣士「どうも、あの時はお世話になりました」

使用人「あら、覚えていてくれたのですか?ありがとう。それにあなた、結構優秀らしいと噂じゃないですか」

女剣士「いえ、それほどでもないと思います。まだまだ実力不足ですし」


使用人「あと、女騎士から聞きました。例の件も調べているようですね」

女剣士(この女も知っている、ということは結構な身分なのか)

女剣士(だが、知っているなら好都合か。少し話を聞こう)

女剣士「はい。それなら、先ほど分かった事があるのですが…少しお話よろしいでしょうか」


使用人「…分かりました。ここではいけませんので、こちらへ」


~~~~~~~~


使用人「どうぞ、座って待っててください。何か飲み物を用意しますので」


女剣士(しかし、どこから話すべきか…そもそもこれは私以外では確証が無い事実だ)

使用人「お待たせしました。こんな物しかありませんが、どうぞ」コト

女剣士「ありがとうございます」ゴク

女剣士(まぁ、あの本の事実から、だな。…美味いなこの紅茶)ゴクゴク


使用人「ふふ、おかわりもありますからね。遠慮なく」

女剣士「いえ、お構いなく。では早速分かった事について話そうと思います」

女剣士「女騎士様からこの国の昔話を聞きまして、それについて気になった物で先ほど書庫で調べていました」


女剣士「それで最初は何の変哲もないおとぎ話だ…う!?」グラ

女剣士「え…?うぁ…」

女剣士(何だ…!?体の自由が…くそ、これは…睡眠薬か!?)バタリ

女剣士「な…なんで…こんな事を…」


使用人「…」

女剣士(油断した…まさか、コイツがスパイだったって訳か…?もう…意識が…うぅ)


だが、私は見た。閉じて行く意識と瞼の中、見覚えのある、1つの影――


大臣「フン、下手に首を突っ込まなければこんな目にも会わなかったろうに」

大臣「それに貴様は…気付いてしまったからな。生かしてはおけん。そうだ、餌にでもなってもらおう」


そこで完全に意識は無くなった。もはや何を言っているかも聞きとれなかった。


使用人「これで…よろしいのですか!?本当に約束は…」

大臣「安心しろ、これで上手くいけば約束は守る。だから黙っていろ」

使用人(すみません…女剣士さん…これしかなかったのです)

大臣「そうだ、お前にはもう一つ仕事をしてもらおう」スッ

使用人「これは…?」

大臣「これをあの傭兵に届けろ。ククク、これで後は忌々しい騎士団の連中だけ…」

~~~~~~~~


女兵「ねーねー傭兵。女剣士ちゃん見なかった?」

傭兵「いや、見てないな。でも、なんかブツブツ言いながら書庫に向かっていったのはみたぜ」

魔法使い「それ私のせいじゃないですかぁ…」


女兵「書庫かー。なんか邪魔しちゃ悪いし、今日は帰ろっか魔法使いちゃん」

魔法使い「ふぇ!?わ、私なんかと一緒でいいんですか?」

女兵「もちろん、何遠慮してるの!可愛いなぁ」

魔法使い「は、恥ずかしいです…///」


傭兵(ったく、すっかり女剣士に言い忘れたぜ。大臣が怪しいって)

使用人「あの、傭兵さん。少しいいですか?」

傭兵「あんたは…いや、なんだ?」

使用人「これを…渡しに…」スッ

傭兵「これは…手紙?誰から?」

使用人「…すみません」タッ


傭兵「あ、ちょっと…どうしたんだ?まさかラブレターかっ!」

傭兵「んなわけないよな。何やってんだ俺。どれどれ内容は、と」ペラ


――女剣士は捕らえた。今日の夜中、街から外れた森に来い。さもなくば女剣士の命は無いと思え。

誰にもいうな、1人で来い。誰かと一緒と分かった時点でこれもまた人質の命は無い――



傭兵「…は?」

傭兵(いやいやいやいや、女剣士捕らわれちゃったよ!一体どうやったんだ!?あんなマジモンの化け物捕まえたとか信じられるかって)

傭兵(どうするか、これは明らかに罠だが。あいつならほっといても自力で脱出しそうなんだよな…)

傭兵(だが万が一というのもあるかもしれない。一応行くか…)

傭兵「…純粋に助けたいとか思っちまった」ハァ


傭兵(最悪のケースは女剣士より強い奴がいる時だが…まずないだろう)

傭兵(もしそうなら結構ヤバいな…あっちも多分俺を殺しに来てるだろうし)

傭兵(とにかく、巻き込んじまって悪いことしたかな…)

すいません、短いですがこれで。
期待、支援コメントの数々、本当にありがとうございます。
では



――???



フード男「おい、お前ら新しい人質だと。」ドサ

下衆男1「チッ、面倒が増えるだけだろ?コイツみたいに傷つけちゃ駄目とか言ってよ」

フード男「いや、ソイツはそのうち始末する。別に好きにしろ」

下衆男2「マジか!?後で無しとかいわねぇよな!?」

下衆男3「へへへ…ようやくか…さっさと犯してやりてぇぜ」

下衆男4「おいおい、起きてからにしろよ?」

フード男「…最低限何か情報でも吐かせておくんだな。あくまで人質だ」バタン


???「あの…やめてあげてください…」

下衆男1「あ?てめぇは自分が傷つけられねぇからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

下衆男2「コイツを連れてきたと思ったら手を出すな、見張ってろ、だからな。マジでキレそうになったぜあん時は」

下衆男3「だが、今度は好きにしていいからな…くそ、叩き起こしてやろうかコイツ」

下衆男4「焦るなよ。いくらでも時間は有るんだぜ…?」


~夜~

――街はずれの森



傭兵(とりあえず来てみたはいいが場所も時間も指定が曖昧だったからな…)

傭兵(俺を見てるやつが1人いるな…)

ガサ…

傭兵「…出てこいよ。他に誰もいないぜ、そっちの要求通りだ」

その刹那、傭兵の後ろに男が現れ、首筋に暗器のような物を突き付けられる。


傭兵(…ッ!速いな…こういうのは鈍ってるとはいえ反応しきれなかった)

フード男「…ついてこい、道中妙なまねをした時点で殺す」

傭兵「分かった…1つ、いいか?アイツは無事なんだろうな?」


フード男「さぁな、俺は好きにしろと言ってきただけだ」フッ

フード男「それと、いくつか移動しながら質問する。嘘をついた時点でその時も貴様を殺す」

傭兵(参ったな…この状況じゃ勝てなさそうだし…大人しく従っておこう…)


フード男「…それにしても、あの傭兵がここまで堕ちたか。俺ごときに後ろを取られるとはな」

傭兵「俺は堕ちるほど上った覚えはないけどな。周りが勝手に思ってることだ」

フード男「まあいい、さっさと移動する。ついてこい」



フード男「1つ目の質問だ。貴様はどこまで知らされた?」

傭兵「俺は殆ど何も。スパイを見つけて、始末してくれとしか」

フード男(嘘は…ついてなさそうだ。チッ…慎重な奴らめ…)


フード男「ならば次だ。貴様はどこまで知った?」

傭兵「お前らが中々動きを見せなかったからな。何も分かっちゃいないぜ」

フード男「動きがない…か。ククク…やはり貴様は堕ちてしまったな…」

傭兵「どういう意味だ」

フード男「答える義理もないが、着けば分かるだろう…」


フード男「じゃあ次だ――


~~~~~~~~



下衆男3「…あぁもう我慢できねぇ!!俺はもう起こすぞ!!」

下衆男4「ったく、しゃあねぇな。そこまで言うなら起こせよ。もううるさいだけだし」

下衆男2「ちゃんとしっかり縛っとけよ?抵抗されたらかなわないからな」

下衆男1「眼隠しも頼むぜ、興奮するからな…主に俺が」


下衆男3「これでいいか。おい、さっさと起きろ」ペチペチ

女剣士(…何だ?私は確か…)

下衆男3「よぉ、起きたか。待ってたぜぇ…!早速ヤラせてもらうとするか!」


女剣士(…気配から詩して男4人と…あと1人いるな…)

女剣士(そして今の言葉…つまりこの私を犯そうと…クソ共が…)モゾ

下衆男3「へへ…抵抗しても無駄だぜ、その拘束は外れないようにしっかりと縛ったからなぁ…?」


女剣士(自力では無理か…仕方ない、少しばかり魔法でも使うか)グッグッ

下衆男3「どうだ?解けないだろぉ?必死に抵抗しちゃって…」サワ…

女剣士(…触るなぁあぁあぁ!!気持ち悪いんだよこの下衆が!!)バタバタ

下衆男3「へっ、いいねぇその抵抗っぷリ、じゃあ早速服を脱がせてやるか…」

女剣士(もう我慢ならない…ほら…丁度私も昂ぶってきたからな…フフ)グググッ

下衆男3「大人しくやらせろって。それとも無理矢理されんのが好きなのか?」

女剣士(はははは!!余程コイツは殺されたいらしいな!なら望み通りに…)


女剣士(オッ……ラアァァァァ!!!!)メキメキメキ…

――ブチィ!!!

下衆男3「…は?」


予想だにしない行動に硬直している目の前の男に躊躇せず立ち上がりつつ顎を下から突き上げる。

アッパーという奴だ。無様な悲鳴が聞こえた。目隠しされているからよく分からないが…

ついでに猿轡と目隠しを取る。これで解放だ、この程度で拘束とは笑わせる…


女剣士「貴様ら…選べ。私に一瞬で倒されるか貴様らから倒されにくるか、な」

下衆男2「な…何しやがったてめぇ!」

下衆男1「どうせ拘束が弱かったんだろ?くそ、面倒事引き起こしやがってよ!」


そう言って二人同時に襲い掛かってくる。どうやら後者らしいな。

同時に拳を突き出してくる。1人は右、もう1人は左から。

受け止めて逆に拳を砕いてやるのもいいが、ここはいなすことにした。


両側から来る拳に一瞬だけ触れ、そのまま滑らせるようにして拳の上側に掌を移動させる。

そして少しだけ下に力を加えてやると拳は下にずれ、男2人はバランスを崩す。

その隙を見逃さず、次は男たちの後頭部を掴み。思い切り2人の頭同士を叩きつけてやった。


下衆男1・2「ごっ…!!」


だがさらに追撃をする。ひるんでいる男1人には無防備な腹に蹴りを喰らわせ吹き飛ばす。もう1人には裏拳を入れてやった。


下衆男4「何なんだてめぇは!くそ…もう容赦しねぇ…」

最後の1人がほざいているがこちらから言わせれば容赦しないのはこっちの方なんだよ。下衆共が。

イラついたのでこちらからやる事にした。一瞬で男の前に移動して、そのまま胸倉を掴む。

そして思い切り足を払ってやる。男の体が宙に浮いて、それに合わせ思い切り男を押す。


その結果男が回転し、頭と足が逆さまの状態で空中に浮いている。そしてその状態の男にさらに正拳を喰らわせる。男は吹っ飛び、壁に激突した。

全く、もう終わりか。まぁ私を人質にしようとしたのが間違いだったな。

今日はここまで。
ではでは

次はいつごろですか?


女剣士「ふぅ…少し熱くなりすぎたか…」パンパン

女剣士「さて…」

女剣士(この拘束されてる女は誰だろうか?まぁ、私と同じ理由でここへ連れてきたのかもしれないが…)

女剣士(随分怯えてるな…まぁ何も見えない状態で今のをを聞いたならそれもそうか)

女剣士「おい、大丈夫か?とりあえず拘束はといてやる」シュルル


???「あ、ありがとうございま…ヒッ!?」

女剣士(無理もない、男4人が全員ぶっ倒れてるからな)

女剣士「安心しろ。こいつらは私が倒しておいた。何もされてないな?」

???「はい…どうやら私だけ特別扱いだったようで…それにしてもお強いんですね」


女剣士「まぁ、この程度のゴロツキになら負けない」

???「ここに連れてこられたということは、貴方もあの事を探ったのですね…」

女剣士「あぁ。それにしてもアンタは誰だ?知ってるって事は城の奴なんだろうが…悪いがアンタに見覚えが無いからな」

姫「隠す必要もありませんね…私は…この国の姫です。情けない事に捕らわれてしまったのです」

>>181
基本的に1日~2日に一回投稿を予定しています
できれば1日に一回にしたいですね。


女剣士「ひ、姫!?そんな馬鹿な!?…第一奴らはまだ動きを見せてないはずじゃ…!?」

姫「…それは彼らの脅迫ではないのでしょうか?公表すれば私を殺す…とか」

女剣士「なるほど…あ、先ほどまでの無礼、お許しください。まさか姫様とは…」ペコリ

姫「お気になさらず。それにしても、ふふ…真面目なんですね」


女剣士「そのような言葉、私には勿体無いです。…それにしてもどうしましょう。恐らく脱出できると思いますが…」

姫「…それもいいですが、その前にあなたには全て話しましょう…この騒動の発端も…」


女剣士「そんな…私はまだ一般兵の身、そのような大事、身が重すぎるかと…」

姫「でも、連れてこられたということはかなり深く知ってしまわれたのでしょう?それなら知る権利は充分です」


女剣士(私は…多分この事実を恐れているんだ。覚悟を決めるか…)

女剣士「しかし、私が奴らの仲間だとしたら…?都合よく聞きだそうとしてるという可能性も」

姫「…そんな事をわざわざ言う人はいませんよ。仕方ないですね、ではこうしましょう」

姫「まずあなたの知ったことを教えてくださいますか?それなら私はあなたが彼らの仲間かそうではないか判断できると思いますので」

女剣士「…確かにそれならいいかもしれませんね。分かりました、では話しましょう――」


~~~~~~~~


フード男「チッ…目ぼしい情報も無かったか。嘘もついてないようだしな」

傭兵「だから言ったろ?俺は何も知らないって」


フード男「――やはり、貴様は腑抜けだ。あの女が死んでからもうどれくらいだ?」

傭兵「っ!てめぇ…本当に何者だ?」

フード男「…何を驚いている?裏の世界の住人なら誰でも知っている話だ。そうだろう?」

傭兵「そんなに有名な話か…!くそったれ…!」ググ

フード男「当たり前だ。忘れたか?貴様ら2人はトップクラスの暗殺者だったろう?」

傭兵「もう…その話はやめてくれ…頼む」


フード男「…あの一件以来、貴様は裏の世界から姿を消し…」

傭兵「やめろ!」

フード男「…いい顔だ。いい眼をしてる。それでこそ暗殺者だな…」

傭兵「うるせぇ…!」


~~~~~~~~


女剣士「――そして、それを確かめようと再び書庫に戻ろうとする途中、捕まった。というわけですが」

女剣士「恐らくあの古びた本は魔導書。アレを発動させるカギでしょう。私が話せるのはここまでです」


姫「そうですか。ならあなたは彼らの仲間ではありませんね。彼らにはそこまで知る術がありません。それにあなたの言っている話には重大な根拠が抜け落ちている、と思うでしょうし」

女剣士(やはり…な)

姫「ですがそこまで知っているなら話は早いですね。では次は私が」

女剣士「いいのですか?私が嘘をついている可能性も…」

姫「あなたは私を信じて話してくれた、それだけは分かりましたから。それだけでいいんです」

女剣士(まだ、純粋すぎる…こんな重要なこと、絶対に他言すべきでは無いはずなのに…)


姫「まずこの事は彼らが最も知りたい事。そして私とお父様しか知らない事です、心して聞いてください」

女剣士「…分かりました。覚悟を決めましょう」

今日はこれで失礼します。
改行の関係上中途半端な所で切る時もあって歯がゆいですね…
では。

お待たせしました、まとめるのに時間がかかってしまいました。
では投下します


姫「では、結論から言いましょう。あのおとぎ話は実際にあった話です」

姫「しかしそんな事はどんな歴史書にも書いてありません。それはその話に出てくる魔法が関係しています」

姫「そしてお分かりかと思いますがこの魔法、少なくとも2つ以上の魔法が関係しています」

女剣士「はい…それはわかります」

姫「1つはおそらく、その扉とやらを呼びだす魔法でしょう。そして他には魔物を消したと言われる空間魔法」

姫「空間魔法については特に問題はありませんね。今でもその魔法の使い手くらいいるはずです」

姫「問題は扉です。おとぎ話では魔物を閉じ込めてあると言ってありますが、実際のところ本当かどうかは分かりません」


姫「それよりもその扉を私達の血筋はこう呼んでいます。――“絶対封印魔法”と」

女剣士「絶対…封印。なるほど、封印術の1つだと思われたわけですね」

姫「はい。その魔法はまず扉を呼びだすことから始まります。そして次にその扉の中に閉じ込めたい物を閉じ込める」

姫「まぁ、これは推測ですけどね。おそらく魔物を閉じ込めたという事はそういうことなのでしょう。扉の奥には別空間に繋がっていると思われますが…これも確証はありません」


姫「そしてそれが完了したとき、この魔法の真の能力が発揮されると言います」

姫「そこからは完全に自動で事が運びます。しかも、術者にすら解除は不可能とされます」

姫「扉自体が自律して作動し、その扉に近づくあらゆる生命体を消す…いわば自動防衛システムが備わっています」

姫「その防衛力はすさまじく、1つの軍隊すら瞬く間に壊滅してしまうと聞きました」

姫「そしてそれ故に誰も封印を解くことはできない、つまり“絶対封印”というわけです」


女剣士「やはり古代の魔法ということで謎も多いですが…なるほど、基本的な効果は分かりました」

姫「そして薄々気づいていらっしゃるかと思いますが…この扉はまだ存在しているのです」

女剣士(やはりな…術者すら解除不可能な物が勝手に消えるはずもない…)

姫「城の地下深く…厳重に安置してあります…おそらく今でも近づけば自動防御システムが作動するのでしょう…」

姫「そして彼らが狙っている物こそこの自動防御システムそのものなのです…!」


女剣士「そしてあの古びた魔導書が、自動防御システムを停止させるカギになる…ということですか」

姫「その通りです。あなたの見解とは少しずれていますね」

女剣士「私は単に起動させるためだと思っていましたね…あの本の真の内容にはこの扉の能力は書かれていませんでしたし」

姫「そして、この情報をここまで隠すのには理由があります。それは、防御システムが停止してしまうと恐らく扉の封印も解かれるでしょう。つまり、魔物が再び現れる、ということを意味します」

姫「にわかには信じられませんが、これは当時の代の王から代々一子相伝で伝えられてきた事です。恐らく本物なのです」

姫「彼らはそんな事はどうだっていいのでしょう。そもそも魔物がいるというのも、封印魔法だというのも全て確証が無いことですしね。あくまで防御システムのみ――」


女剣士「それだけは確証がありますね…恐らく大臣にもその事だけは伝えられているのでしょう…?」

姫「はい、城の一部の者は特別な使命を課せられ、あの扉に誰も近寄らないようにしている訳です。しかし、まさか大臣が裏切るとは思いませんでした…」


姫「そうだ、あなたにも質問が。あなたの今話してくれた事は私の話と根本的に違いましたね。それに…その話は魔物がいることが前提のようですし…」

女剣士「一旦私の方も整理しましょう。まずあの本、魔力を込めると内容が変化したというのは話したはず」


女剣士「それは日記のような物になっていたのです。魔物が現れた頃から、いなくなった頃までの」

女剣士「とある魔法研究者の日記のようで、扉の魔法についても研究していたようです」

女剣士「そしてそれは最後にこう綴られていました」


――“どうやらあの扉、最初に開けた者に封印していた物を支配する権利が与えられるようだ。だとしたらあの扉を開ければあの中の魔物を支配し、無力化できる。僕は明日、あの扉を開けに行こうと思う”――


女剣士「そこで日記は終わり。恐らくこの日記に書かれていなかったので、防衛システムについて知らなかったのでしょう」

姫「…そんな事は初めて聞きましたね。恐らく発見したのはあなたが初めてなのでは…?」

女剣士「“発見したのは”に限ればそうだと思いますが、怪しんでいたのは大臣も同じのようです」

女剣士「恐らく調べていたのは主にあの魔導書だと思いますが」


女剣士「そしてその事実を知った私はこちらの方を奴らの狙いと思っていましたが、どうやら違うようで。ですが、結果は同じ事です。開けさせてはならない」

姫「そういうことになりますね。…1つ聞きたいのですが、あなたのその仮説には先ほども申し上げた通り魔物がいるという確証が無ければ成り立ちませんよね?なのになぜあなたは信じられるのですか?」

女剣士「…私も隠す必要はないみたいですね。私は実は魔物にあった事がある。ただそれだけの事です」


姫「そうなのですか!?…やはりまだ魔物は滅んでいなかったのですね。これでより彼らに扉を開けさせてはならなくなりました」

女剣士「そうですね。全てが本当なら、扉を開けさせてしまったら魔物も防衛システムも彼らの手に…最悪の結果になってしまいます」

姫「やはり、あの魔導書だけはこちらで確保しておくべきでしたね…」


女剣士「とにかく、自体は急を要します。今すぐにでもここを脱出しようと思うのですが、よろしいですか?」

姫「分かりました。ここにいる理由も無いですしね」


女剣士「…と、そうでした。姫様、これから嫌な物を見せてしまいます。目を伏せ、出来れば耳も塞いでおいた方がよいかと」

姫「何をなさるんですか?」

女剣士「こいつら4人…話を聞かれているかもしれませんので始末します。この場で」

姫「でも、気絶していらしてるんだし、聞かれて無いんじゃ?」

女剣士「あなたは純粋すぎます…。気絶したフリをしている事だって十分に考えられます。残酷ですが、この事は誰にも知られてはならないのです。出来れば私にも話してほしくなかったですね」

姫「やはり、あなたは真面目すぎます…でも、分かりました。私は目を閉じておきます」

女剣士「ありがとうございます。では、さっさと終わらせましょう…」


~~~~~~~~


女剣士「終わりました。もう大丈夫ですよ」

姫「…本当に死んでいらっしゃるのですか?先ほどと何も変わってないと思うのですが」


女剣士(全く…本当に純粋だな…とにかく質問したがるし…)

女剣士「首の骨を折りました。そのため外傷もありません」

姫「首の…骨を?素手でそんな事が出来たのですね…」


女剣士「まぁそんな事はいいでしょう、ではこの部屋からまず出ます。いいですか?私のすぐ後ろについて、私の肩にでも捕まっていてください」

姫「もぅ、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。私もいざとなれば自分の身くらい守れます」

女剣士「あなたは姫という自覚を持ってください…万が一姫様に何かあっては国に示しがつきません」

女剣士「とにかく私から絶対に離れないように。何があるか分かりませんからね」

姫「…分かりました、あなたにこの命、預けましょう」


~~~~~~~~


フード男「さぁ、そろそろだ」

傭兵「地下への階段…これがアジトってわけか」

フード男「まさか。ここはいわばキャンプ地にしかすぎん」

傭兵「そうかよ…」


フード男「ここに人質がいる。とりあえず案内しよう」

傭兵「どうせ始末するんだろ?ここがアジトじゃ無いにしろここまでこさせたんだからな」

フード男「さぁ、どうだかな…?」


傭兵(待ってろ…俺が助けるからな。)

傭兵(いや、そういうのじゃなくて!仲間としてだから!仲間として!)

傭兵(…なにしてんだろ、俺)


~~~~~~~~


フード男「ついたぞ、この部屋だ」

フード男「今頃、どうなっているのだろうな?動けない体で野蛮な男どもに放り込まれて無事でいられるとは思えんがな、クク…」


傭兵「やっぱりそういうことかよ…!クズ野郎が…!」


――ダンッ!!!


傭兵「おい!!大丈夫か!…てあれ?」キョトン

フード男「どうした…そんなに自分の眼が信じられ…何!?何だこれは?」ガラン


傭兵「伸びてる男が4人、いるだけだな」

フード男「まさか、あの状態から脱出しただと!?クソ!もう1人もいない!」

フード男「おい貴様ら、起きろ!この状況を説明しろ!」


フード男「…殺されている。綺麗に首の骨を折られて…こんな事があの女に…?」

傭兵(やっぱり取り越し苦労だったか。つか首の骨折るとかこえーっての、わざわざ殺すことも無かったろうに)

傭兵「今、もう1人っつったな?誰だよソイツは」

フード男「く、貴様に話す事など何もない…」

傭兵「もう俺には人質はいねぇ。立場逆転だぜ」

フード男「笑わせるな。ここは敵陣というのを忘れたか?貴様は逆に追い込まれているんだよ…」

傭兵「ああそうかい、やっぱり俺は始末される、と」

フード男「少し予定が狂ってしまったからな、やはり貴様は殺す。だが、俺は手を下さん、俺は退散するとしよう」

フード男「それに、あちらもこの部屋を抜け出そうともここはちょっとした迷宮だ、それに部下もまだまだいる。流石に多勢に無勢ではどうしようもないだろう…クク」


傭兵「俺は、お前を逃がさないけどな」

傭兵(昔、物量で攻めては負け続けたどこかの王子がいたっけ…)

今日はここまでです。あまり詳しい設定を決めたのは初めてなのでもしかしたら分かりにくい所や矛盾があるかもしれません。
もしそういう点があれば言っていただけたら幸いです。
ではでは


フード男「フン…今の貴様では俺には勝てん」

傭兵「言ってくれるな、俺だって何もしてなかった訳じゃないぜ」

フード男「そうじゃない、貴様のその折れたままの心では勝てないと言ったんだ」


フード男「その証拠に…」フッ


フード男が消えたかと思うと、既に部屋の外へ、傭兵の背後にいた。

フード男「この程度の動きにもついて来れない」


傭兵「なんとかついて行ってるぜ!」ブン

剣を抜き、後ろへ体を回転させつつ薙ぎ払う。だがフード男はすぐさま飛びのき、そのまま通路を走る。


フード男「フン…精々ついて来てみせろ…」タタタ

傭兵「逃がすか…」ダッ


――女剣士サイド



女剣士「ったく、こいつらキリが無い!これでは一向に外に出られん!」ドカッ

女剣士(全く、こんなに敵がいるとは聞いていない。雑魚ばかりだから大したことは無いのだがいつまで湧いて出てくるんだ?)


姫「大丈夫ですか?随分忙しそうですけど…」

女剣士「そりゃ、数が多いですからね、っと!姫様も守らないといけませんし」シュッ

女剣士「とにかく、これでは何も進みません、少し手荒ですが…」

かなり近い位置にいる敵を一気に倒していく。これで少しの余裕ができる。


女剣士「姫様、私の背に載ってください。一気に突破しますよ」バッ

姫様「え、でも一体どうやって?まだ敵はあんなに…」

女剣士「もう勝手に載せます!しっかり捕まっててくださいよ?」グイ

姫様「え、まだ私心の準備…きゃああああ!!」


姫を背中に担ぐと一気に走りだす女剣士。そして敵の集団の前で勢いをつけてジャンプ。敵たちの肩や頭を踏み台にしながらどんどん進んでいく。


女剣士「くそ…武器があればこんな事しなくて済むんだが…」トットットッ

姫「それにっ!してもっ…!速すぎますぅ…!」ガクンガクン

女剣士「すみません、もう後は走って逃げるだけです、頑張ってください」トン、ダッ


女剣士は集団を乗り越え、そのまま再び通路を駆け抜けていく。後ろから集団が追いかけて来ていたが、人一人担いでるとはいえ追いつくはずもなかった。


女剣士「それにしても出口が分かりませんね。どうしたものか…」

姫「どこかに地図でも置いてないのかしら…」

女剣士「…前から敵の気配がします、一旦あそこの部屋に隠れましょう」ギィィ…


~~~~~~~~


女剣士「おや、これは…」ペラペラ

姫「どうしました?」

女剣士「ここの地図と、本拠地の…位置?」

姫「やりましたね!お手柄ですよ!」

女剣士(いやいやいや、こんな作り話のような事があり得るのか?)

女剣士「信憑性がありませんが…まぁ一応持っておきましょう」

女剣士「ここの地図の方は今頭に入れます、少し待ってください」

姫「え、頭に入れるって暗記するということですよね?そんな事が?」

女剣士「…はい、終わりました。ここの構造も出口もこの地図が合っていれば把握しました」


姫「早すぎです!それにしても…ほんとにあなたは一般兵とは思えませんよ」

女剣士「そんな、私などまだまだですよ。さて、そろそろ行きましょうか」

姫「待ってください、1つだけ確認させてください。あなた、どこかで騎士をやっていらしたんでは?」


女剣士「…何をおっしゃいますか。私などが騎士の経験を?そんな事があるはずありませんよ」

姫「ふふ…誤魔化しても無駄ですよ。今までの私に対する言動や、先ほどの私を第一に考えた戦闘とその強さ。随分手慣れていましたよ?」

女剣士「本当にあなたは核心を突かれるのが上手い…確かに、誰かに仕えていた、という感覚は有りますね」

姫「またそうやって曖昧な答え方するんですね。まぁいいですけど!」プイ

女剣士「待ってください、誤解ですよ。私はあまり過去の事を覚えていません。ある時以前の事はうっすらとしか…」

姫「あ、そうなのですか?あなたも苦労してるんですね」


女剣士(いや、ある期間だけ、と言った方が正しいのかもな…)

女剣士「それと、私の事は城に戻ってからも他言しないでください。訳あって一般兵のままいたいのです」

姫「え、何でですか?勿体ない!」


女剣士「それも話すと長くなるんで、その話はまた今度でもいいでしょう?そろそろ行きますよ」

女剣士(ほんとにこの人は…まだ子供みたいに…いや、まだそんな年頃なのか?)

短いですがこれで、今度の土日には大量更新してみたいです…ご期待せずにお待ち下さい
では


女剣士「確かこの角を左に…そして突き当たりを右…そろそろ出口にも近く…ん?」


――ヒュン!!


女剣士(今、誰か通った…速くてよく分からなかったが…そしてあれは…)

傭兵「…っと女剣士!やっぱり無事だったか」


女剣士「なんでお前がここに?まさか私を助けに来た訳でもあるまい」

傭兵(その通りなんだよ…やっぱり俺行かなくてよかったじゃん…)

傭兵「いや、お前が捕まってそれをダシにされて俺も来たってわけだ」

傭兵「って、もしかしてお前の背中に乗ってる人、姫様!?」


姫「あなたは…傭兵さんでしたっけ?」

女剣士「面識があるみたいですね」

姫「えぇ、彼がこの依頼を受けてくれたときに少し」


傭兵「それにしても何でここに?まさか…」

女剣士「その通り、姫様は既に奴らに攫われていたんだ」

傭兵「そんなことにも気付けなかったのか…くそ、情けねぇ…」

傭兵「と、そんなことより今の見たろ?アイツを追いかける!多分色々知ってるみたいだしな」

女剣士「分かった、少し飛ばそう。…姫様?よろしいですね?」

姫「うう…我慢いたします…」

傭兵「じゃあ、行くか」タッ


~~~~~~~~


傭兵「よし!とりあえず外にはでたな」ズサー

女剣士「で、奴はどこに行ったんだ?」

姫「う…少し酔ったかもしれません…」

女剣士「少し飛ばしすぎましたか、申し訳ありません」


フード男(何…!?あの女、何故ここに?あの人数を突破したとでも言うのか!)

女剣士「!…あの木の裏か」ピク

傭兵「ああ、そうみたいだな。わざわざ待ってたみたいだぜ」

女剣士「…姫様、一度降りてもらえますか。戦闘のようです」

姫「あ、はい。頑張ってくださいね!」


フード男(チッ…とことん使えん奴らめ…だがどうする?姫も取り返されてしまっては…)

フード男(こんな所でコレを使うとはな…仕方がない)バッ


木の裏からゆっくりとフード男が現れる。


傭兵「よう、しっかり追いかけてやったぜ」

女剣士(素直に姿を現すか…何を狙っている?)

姫「あ、あの方です…私を攫ったのは…」ビクビク

女剣士「大丈夫です姫様。私も付いていますから」


フード男「まずはよくやったと褒めてやろう。だが生憎俺にはあまり時間が無いのでな」

傭兵「安心しろよ、こっちも一瞬で片づけてやるから」

女剣士「オイ、どうした?少し落ち着け。相手の挑発にのるな」

傭兵「…悪い、ちょっと今の俺おかしいよな…」


フード男「貴様には言ったろう?俺は手を下さんとな。貴様を殺すことは叶わなかったのが残念だが…」スッ

姫「…!気をつけてください!あれは…」フッ

その刹那、フード男の姿が消えたかと思うと、ほぼ同時に姫も消えていた。そして闇の中から声がする。

フード男「では…さらばだ」


傭兵「なんだとっ…!一体何をしたんだ!」

女剣士「気配はしている、逃がさん…」ダッ

女剣士「物凄いスピードで移動しているが、追いつけん事はな…ひゃうっ!?」ガッ


女剣士は気配のする方へ駆けだしたが、視界が悪いのが災いし木の根っこに躓いてしまう。

流石に予想外だったらしく、そのまま転んでしまった。


傭兵「大丈夫か!クソ…俺は反応できなかった…!もう気配も随分遠い…」

女剣士「別に…別に転んでなどいないぞ!///」

傭兵(うわ、可愛すぎるだろ…じゃねぇ!こんな事してる場合じゃ…)

女剣士「しかも私が付いていながらおめおめと姫を奪われてしまった…私が転んでしまったせいで…いや転んでないぞ!」

傭兵(分かった!分かったからそのちょっと涙目になってるのやめろ!)


女剣士「…すまん、取り乱した。確かに姫を奪われてさえしてしまったが直ぐに危害を加えるような事はしないはずだ」

女剣士「それよりも今のは魔法、一体どのような魔法かという方が重要だ。今の一回じゃ殆ど何も分からなかった」

傭兵「…でも!奴らに情報が…それに人質にされる可能性も…!」


女剣士「だから落ち着けと言っただろう。こっちにも手はある」

傭兵「これで落ち着いていられるのはお前くらいだよ…手があると言ってもな」

女剣士「実は先ほど信憑性はさておき奴らの本拠地の場所が知れた」

傭兵「本当か!なら…」

女剣士「ああ、恐らく奴も本拠地に向かったんだろうな。つまり、叩くなら今がチャンスというわけだ」

傭兵「よし、ならまずは城に戻ってこの事を報告しねぇと…」

女剣士「やっと落ち着いてきたようだな。とにかく早く戻るぞ」

傭兵(本当俺情けねぇな…アイツが見てたら殴られるぜ…って、何思いだしてんだ俺は…)

すみません、続きは明日にします。
では失礼します。


~~~~~~~~


――街中


女剣士「戻ってきた所でお前に言っておこう」

女剣士「いいか?今日の事は誰にも言わない方がいい。混乱を招くだけだ」

女剣士「それと…これが奴らの本拠地らしい。これはお前が伝えろ」


傭兵「分かった。上手く話しておくよ。それとやっぱり捕まったのって大臣の仕業か?」

女剣士「あぁ、そうみたいだな。さて、消したと思った2人が次の日に何の変わりもなくいたらどう思うのだろうな」クス

傭兵「それは傑作だな。さて、動きを掴めたと思ったらもう最終局面か。ったく、俺もまだまだだな」

女剣士「それはお前が本気を出していないからだろう?そこまでして剣士である必要もないだろう」


傭兵「…俺にも色々訳があるんだよ。まぁいいや、後は明日にしようぜ…もう疲れた」

女剣士「そうだな。明日も忙しくなりそうだ」

女剣士(今回ばかりは面倒くさいと言ってる場合じゃないからな…)


~翌日~



――城内


女剣士(さて、やはりと言うべきか…誰ひとり私がいつも通りな事に疑問を抱いていない…)

女剣士(流石に誰にも気付かれず姫を攫っただけはあるか。私を連れ出すのも完璧だったわけだ…ん?)


使用人「あなたは…!?何故ここに…!?」

女剣士「…どうも」スタスタ

使用人「何故いるのですか!確かに昨日…」


女剣士「…少しばかり声が大きいですね」

女剣士「大丈夫です、姫様はまだ何もされていません。それに相手の本拠地も把握しましたから」ボソ

使用人「え…え!?それは一体どういう…」


女剣士「では」ニコ

女剣士(さて、次は書庫だな…アレが回収されてなきゃいいが…)


~~~~~~~~


女騎士「…それ、本当?敵の本拠地が分かったって」

傭兵「はい、確かな情報源の筈です。おそらく姫様もそこにいらっしゃるかと」

女騎士「それを知ってるの?…このことは私と王様、使用人しか知らないんだけど」

女騎士「それを知ってるって事は、まさか君が攫ったんじゃないの?」

傭兵「な…!そんなことはありません!これはその情報を掴む時に…」

女騎士「それも怪しいんだよね。昨日まで何のそぶりも無かったのに今日になっていきなり情報を掴んだなんて信じられないしね」


傭兵「…仕方ありません。あなたには昨日あった事を話しましょう」

女騎士「なんの言いわけだか」


~~~~~~~~


女騎士「…事情はよくわかったよ。色々言いたい事もあるけど、一先ず君を信じよう」

傭兵「何とか信じてもらえてなによりです」

女騎士「でも、一度姫様を取り返したのにまた奪われたのにはがっかりだよ。君はもっとやるもんだと思ってたんだけどなぁ」


傭兵「返す言葉もありません…」

女騎士「しっかりしてよ。これじゃあ君を雇った意味がない。それとも、本当にこういう仕事はできなくなっちゃったの?」

傭兵「いえ、そういうわけでは…」

女騎士「ならちゃんとやってよね。とにかく、私は君の情報をもとに色々作戦とか決めてくるから。それまでは好きにしてていいよ」

傭兵「分かりました。今度こそは期待に添えるよう努力いたします」

女騎士「そ、頑張って。じゃね」スタスタ


傭兵(やっぱりうっぜえぇぇぇぇぇぇ!!一々ねちっこい所とかよぉ!そのくせ俺には全く興味ないみたいな態度とりやがって!あぁイライラする!)


――書庫


女剣士(あれは…大臣か。さて、どう出るかな…)

女剣士「こんにちは大臣様。今日もお会いしましたね」ニコ


大臣「…!?」ビク

大臣(何故だ…何故ここにいる!奴はこの女を逃がしたというのか!使えん奴め…)

大臣(だが、この女のこの反応…私の正体に気付いていないのか?)

大臣「あぁ、あなたですか。こんにちは。いきなり声を掛けられたものですから、少々驚いてしまいましたよ」


女剣士「すみません。それにしても、今日もあの本を見ているのですね」

大臣「ええ、この本はとても興味深いですから。あなたもそう思うでしょう?」

女剣士「ええ、まぁ。それにしても、そこにあったとても古い本が無いですね」

大臣「そういえばそうですね。誰かに借りられてしまったのでしょうか」


女剣士(お前が回収したんだろ?白々しい…)

大臣(全て知っている癖して…白々しい…)


女剣士「あの本を読みたかったのですが…仕方ありません、私はこれで失礼します」

大臣「そう気を落とさずに。また来れば帰ってきているかもしれませんし」

女剣士「ええ、そのつもりです。あ、そうだ――」


女剣士「――気付いて無いとでもお思いで?」ボソ


大臣「な、なんの事かね」

大臣(この女、最初から気付いていたな…!)

女剣士「いえ、なんでもありません。では」スタスタ


女剣士(焦ってる焦ってる、コイツは傑作だな。さて、あとは流れに任せるか…)

女剣士(おそらく明日にでも本拠地を叩きに出るだろう)

女剣士(そして、大臣は邪魔できまい。そんな事したら自分に疑いの眼がかかるからな)

女剣士(ここで誰かに告げてもまた、面白そうではあるがな)

本日はこれで。本来ならもう少し投下出来たのですが不慮の事故で少しばかり書き貯めが飛んでしまいました…
すみません

では


大臣「ま、待て!」

女剣士「…何か?」

大臣「あ…あれを探してたんだろう?気付いているとは思うが我々が確保しているんだ。どちらが上の立場か、よく考えるんだな」


女剣士「やれやれ…」ハァ

女剣士「立場が分かっていないのは貴様だ」

女剣士「今ここで貴様を消す事だってできる。だが、それをしないのは何故か」

女剣士それは、貴様には生きていてもらった方が後々面白い事になるからだ。楽しみにしておくんだな」

女剣士「分かったか?貴様は今生かされているんだ。精々今のうちに足掻いてろ」

女剣士(なんてな。脅しておいた方が抑止力になる。確かにアレが相手側にあるのは少し厄介だ)


大臣「…後悔するなよ小娘。こちらだって策はいくらでもあるんだ」

女剣士「楽しみにしておく」スタスタ

大臣(生意気な奴め…だが、その余裕が最悪の結果を招く事を教えてやろう…)


~~~~~~~~

女兵「あ、女剣士ちゃんだ。また書庫に行ってたの?」

女剣士「ああ、ちょっと調べ物があったからな」

女兵「それにしても一旦訓練中止って何があったんだろうね?」

女剣士「さぁな…何か問題でも起きたか」

男兵「他の奴らも何やら慌ただしいし、ただ事じゃなさそうだ」

女兵「…あ、隊長が帰ってきた。集まれって言ってるっぽいよ?」

男兵「仕方ない、行くか」



隊長「集まったな。諸君らに伝えるべき事がある。いきなりだが、明日実戦に出てもらうことになる。それについて今から約一時間後中央広場にて説明がある。それまで解散!」

ザワザワ…イキナリジッセン?ナニガアッタンダ?

女兵「ねぇ…今の本当かな?」

男兵「わざわざまた集まるんだ。本当だろう、怖気づいたか?」

女兵「そ、そんなことないけどさ…急にそんな事言われても心の準備が…」

女剣士(ここまでは大方予想通りか。敵の規模が分からないからほぼ全勢力を投入する気だな)


~一時間後~


――城内・中央広場



男兵「すごいな…全部隊が集まってるのか」ワラワラ

女兵「こんなに数いたんだね…知らなかったよ」

女剣士(…やはり改めてみるとこの兵の数、平和主義とは思えん。まぁ理由が理由だ。仕方のない事か)


「見ろ、あそこに女騎士様がいらっしゃるぞ!」

「あの若さで騎士長、さらに女性という異例ずくめの人だ。お目にかかれるとは光栄だ」

「まさか、女騎士様が直々に!?」


女騎士「諸君らに集まってもらったのは他でも無い!この国の一大事だ!」

女騎士「隠していたがこの国に仇なす者たちがいる!そして今回、敵の本拠地を突き止めた!」

女騎士「早速その本拠地を叩く!出撃は明日の早朝!」


女騎士「いきなりで困惑している者も多いだろう!だが、どうか力を貸してほしい!この国のために!」

女騎士「そして最後に!これは極秘事項とする!決して口外しないように!以上!」


――ウオオォォオォォ!!!


傭兵(いいとこ全部掻っ攫われてる…見つけたのはあんたじゃねーだろ!…俺でもないけど)

女剣士(いつもとはまるで別人だな。なるほど、この面だけ見せていれば尊敬されるのも当然というわけだ)


女兵「…かっこいい、ちょっと感動したかも」

男兵「ああ、流石と言うべきだな。誰1人否定する奴がいない」

魔法使い「私も、少しだけ勇気が出たような、そんな気がします…」

女剣士「随分と信頼されてるみたいだな」

女兵「すごいよね、憧れちゃうなー」

女剣士(やめておけ…性格最悪だぞ…)


~~~~~~~~



傭兵「女騎士様?こんなに大々的に発表してよかったので?」

女騎士「問題無いよ。一応最低限の兵力は残しておくつもりだし、大臣も下手に動けないよう監視も付けてる」


傭兵「ですが、まだスパイがいるという可能性もあるのでは?」

女騎士「大丈夫じゃないかな?一応兵士全員は洗ったことあるし」

傭兵「ならいいんですけど…」


女騎士「それに、これ以上隠すのも皆に悪いと思ってね」

傭兵「でも肝心の部分は隠してるじゃないですか。姫様が捕らわれてるのも言ってないですよね」

女騎士「そりゃ全部は言えないでしょ。姫様の事も今話しても指揮が下がるだろうし」

傭兵「確かに、都合の悪い事実を隠してきたっていう解釈もできますからね…」

女騎士「そういう事。ま、傭兵さんも明日に備えて今日はもう帰っていいよ」

傭兵「ではそうさせてもらいます。明日は、期待に添えるよう尽力しますよ」


~翌日~


女騎士「じゃあ行ってくる。城の安全は任せたぞ」

隊長「お任せください。何があってもお守りしましょう」


女騎士「よし、ではこれから出発する。先刻話した通りいくつかの纏まりに分け、それぞれで目的地に向かえ。ではまず1つ目、出発しろ!」

「はっ!」ダダダ


~~~~~~~~

女騎士「全員出発したみたいだね。じゃあ私達も行こうか」

傭兵(何故コイツと2人だけなんだ…)

女騎士「何その顔。何か不満でもあった?」

傭兵「いや、ないですけど」ムス

女騎士「本当は?」

傭兵「いやまぁ無いと言ったら嘘になります」

女騎士「やっぱりね」

~~~~~~~~


男兵「…なぁ、いつから俺たちはグループになってたんだ?」

女兵「確かに、いつものメンバーだね」

女剣士「この方が連携も取りやすいと判断したんだろう。面識が無い奴よりはマシだ」

魔法使い「迷惑かけないように頑張ります…」

女兵「大丈夫だよ!魔法使いちゃんも強いから!」

魔法使い「あ、ありがとうございます」テレッ

女兵「ふへへ…本当の事言っただけだよー」


男兵「なぁ、アイツ危なくないか?変な笑い声出して」

女剣士「同感だ」

女兵「ちょっ!私はノーマルよ!勘違いすんなっ」

女剣士「そうだったのか?そっちの気があるものだと」

女兵「ないわよーっ!」


魔法使い「ふふっ」

そのうちほのぼのとした会話を書きたいですね。議論とかばっかりで堅苦しい気がします。
ではおやすみなさいませ

~~~~~~~~


女騎士「…」スタスタ

傭兵「…」スタスタ

傭兵(…気まずい)


女騎士「ねぇ」

傭兵「はい?」

女騎士「彼女いる?」

傭兵「い、いきなり何を言うんですか!いませんよ!」

女騎士「でも、いたでしょ?」

傭兵「…まぁ、いた事はありますね」

女騎士「やっぱり」

傭兵「いきなり何で?」

女騎士「別に」

傭兵(何なんだ一体…)


女騎士「…なんで足を洗ったの?」

傭兵「言う必要ありますかそれ」

女騎士「いや、気になっただけ。大分有名だったみたいだし」

傭兵「まぁ、色々あったんですよ」

女騎士「…彼女?」

傭兵「…さぁ、どうでしょう」

女騎士「やっぱりそうなんだね。だから君は時々悲しそうな眼をしてるんだ」

傭兵「…そんな眼してます?俺」

女騎士「うん。誰かに許してほしいようなそんな眼」

傭兵「…嫌になっちゃうなぁ」

女騎士「でも、すごく眼が輝いてる時もあるよ」

傭兵「よく見てますね…そんな眼いつしてたっけなぁ」

女騎士「あの、女剣士だっけ?あの子と話してる時かな」


傭兵「…まぁ、話してて楽しいとは思います」

女騎士「好きなんでしょ?」

傭兵「ぶはっ!な、何言ってるんですか!」

女騎士「誤魔化すのへったくそだね」

傭兵「違いますよ…あれは好きとかそういうのじゃないです」

女騎士「ん?じゃあなんなのさ」

傭兵「…なんで聞こうとするかなぁ。言いたくないこともあるんですよ」

女騎士「強制した覚えはないよ?言いたくないならそれはそれで」

傭兵「じゃあいいません。っていうかなんでそんなに俺を詮索するんですか」

女騎士「んー、何でだろうね。なんとなく」

傭兵「はぁ」

傭兵(俺は忘れたいのか忘れたくないのか…どっちなんだろうな)

~~~~~~~~


――街外れの森・深奥


女騎士「へー、こんな森の奥に意外と立派なもん建ってるもんだね」


女騎士「よし、全員揃っているな。もう敵は目前だ。一気に畳みかける訳だが」

女騎士「まずは魔導師部隊が一斉に魔法で奇襲をかける、その後、残りの部隊が突入を試みる」

女騎士「――では、これより1分後、早速作戦を開始する。準備をしろ!」


女兵「…ねぇ、皆怖くないのかな…私は少し怖いよ…」

女剣士「怖くない訳ないだろう?全員少なからず恐怖は感じているに決まっている」

女剣士「全然おかしい事じゃない、安心しろ。誰でも戦場では恐怖と戦っているんだ」

女剣士「…と、聞いたことがある。だからあまり気にするな」

女剣士(危ない危ない。これでは戦場を経験しているような言い草だったな)

女兵「えへへ…ありがとう。少し気が楽になったよ」


女騎士「よし、1分だ!魔導師部隊、一斉攻撃開始!」


――その合図を皮切りに一斉に魔法が放たれる。実に多種多様なその魔法の数々は目の前の建物を捉える。


幾重にも重なった魔法の束は建物の入り口など容易く破壊し、壁にもその傷跡を残していた。

魔法が止むと、次は一斉にその開かれた入り口から突入する。中は入ってすぐから広い空間になっており、兵士たちは散らばっていく。敵も黙ってはおらず、次々に出てくる。

だが奇襲も効いたのか、相手には若干統率力が欠けていた。それ故戦況は確実に押しつつあった。



女剣士(…おかしいな、全てが上手く行きすぎている…)

女剣士(第一突入からそうだ。本拠地なのに防御結界も張っていないのか?)

女剣士(何事も無ければいいが、何か嫌な予感がするな…)


女兵「危ないっ!」ズバッ

女兵「もう、また考え事?危なかったよ?」

女剣士「すまない、助かった。…なぁ、少し確かめたいことがある。少し、私達は路線を変えよう」

女兵「別に大丈夫だけど、何する気?」

男兵「何か考えがあるんだろ?俺もアンタについていくぞ」


傭兵(本拠地って割には全然戦力も整ってない…何が狙いだ?やっぱりここは本拠地じゃないとか…?)

女騎士「変だね。戦況は押してる一方。いくら奇襲だったからってこんなに圧倒的にならないよね…」

傭兵「そうですね。敵も全然張り合い無いですし」

傭兵「何かの作戦でしょうか?何にしろ、少し気を引き締めないといけませんね」

女騎士「私的には姫様を取り返せれば今回の目的は達成かな」

傭兵「ここにいるかも怪しくなってきましたけど…」


女騎士「いないならいないで、大臣を絞るだけだけどね」

傭兵「最初からそれでよかったんじゃ?」

女騎士「そうもいかないよ。一応あれでも信頼は結構あるらしいから、下手に手を出せないんだよねー」

傭兵「…じゃあどうやって絞るんですか?」


女騎士「そりゃもうあれ、適当に理由つけて権力でゴリ押す」

傭兵「ひでぇ」

~~~~~~~~


女兵「ねぇ、どうしていきなり敵は最低限無視して建物を探索なんてしようとしたの?」

男兵「ああ、俺も気になる。訳を話してくれないか?」


女剣士「そうだな。話しておこう。まずはお前ら、何か気にならないか?」

女兵「え?何が?私は特に何も…」

男兵「俺も…特には」


女剣士「…敵の本拠地だと言うのに敵が弱すぎやしないか?」

女兵「そ、そういえばあんまり張り合い無かったかも…」


男兵「でも、もしかしたら敵はこの程度ってこともあり得るんじゃないのか?」

女剣士「それは無い。ほら、騎士長も言ってただろ?今まで隠してたって」

女兵「確かに、そんな事言ってたね」

女剣士「つまり、だ。それだけで敵は相当の実力者だと推測できるんだ」


男兵「すまん…どういうことだ?」

女剣士「すこし結論を急いだな。すまない」

女剣士「隠していたっって言ってはいるが、私達は城勤め、それに兵士だぞ?それなのに今まで一切情報が知らされてなかったんだ」

女剣士「つまりこれはこう考えられる。隠していたのではなく、少なくとも私たちでは気付けない程の秘密裏に行動が行われていた、と」

女兵「なるほど、隠していたんじゃなく、私達が気付けてなかったってことね」

女剣士「そういうことだ。だから本来私たちじゃ相手にできないような敵でもおかしくないってことだ。それらしい敵の報告もない」


男兵「ちょっと待ってくれ。ただ単に極秘情報扱いだから伝えられなかっただけとは考えられないのか?」

女剣士「…その考え方でももう答えは出てるじゃないか。極秘情報にしないといけないことを敵は狙ってたってことだ」

男兵「あ…そういえばそうだな…」


女剣士「で、これを踏まえるとここが本拠地じゃない可能性や敵の作戦の可能性などがある訳だ」

女兵「つまり、真意を探る為に雑魚は無視して探索、ってこと?」

女剣士「その通り。敵の作戦だったらなおさら、目の前の敵は囮ってことになるだろうしな」

男兵「その推理力、すごいな。俺には全く見当もつかなかったよ」


女剣士「かなり奥まで来たな…敵も全然見当たらない。何か匂うな」

女兵「いかにも何か隠してありそうな雰囲気だよね」


女剣士「よし、ここからは少し手分けしよう。何分か毎にここに戻ってくるを繰り返すんだ」

女剣士「だが、無理はするな。ここからは見るからに未知の領域だ。もしかしたら例の私たちじゃ手に負えない敵が潜んでるかもしれないからな」

男兵「分かった。俺はアンタに従うぜ。アンタの判断はいつも的を得ているからな」

女兵「女剣士ちゃんって指揮官とかに向いてるんじゃない?」

女剣士「世事はよせ、じゃあここで解散しよう。時間は…30分でいいか。よし、散ろう」


三人はバラバラに散っていく。少し離れて、女剣士は少し笑みを見せた。


女剣士(なんてな。この近くに来た時、姫の気配がした。場所も大体分かったし、向かうか)

~~~~~~~~


「き、貴様!何故ここが…えぇい!ここは通さんぞ!死守しろ!」


女剣士「邪魔だ」

実力の差は歴然であった。次々に敵はなぎ倒され、あっという間に全滅したのであった。


女剣士(どいつもこいつも二流か。どういうことだ…?本当に死守するつもりがあるとは思えないが)

女剣士「姫様!」バタン!


女剣士「…どこかで見たような構図ですね…ほら、取ってあげます」シュルル

姫「うわぁぁん怖かったですぅ…」エーン

女剣士「大丈夫ですか?やっぱり何もされて無いみたいですね」

姫「…助けてもらうのは二回目ですね、ありがとうございます」グスッ


姫「じゃなかった!大変、大変なんです!城が、城がぁ…!けほっ」

女剣士「どうしました?落ち着いて話してみてください」サスサス

姫「…ここに来たのは貴方だけじゃないですよね?」

女剣士「はい、本拠地がここということでかなりの数が。女騎士様もいらっしゃいます」


姫「そんな…いいですか?この本拠地はもう廃墟も同然なんです」

姫「今頃城には彼らの全勢力が襲っているんです…!」

姫「私がここに連れてこられたのも…あの時簡単にここの地図が手に入ったのも全て囮だったという訳なんです!」


女剣士「そんな!?それではもう城はかなり厳しい状況にあるのでは?」

女剣士(くそっ!一番悪い予感が的中した…!まだ間に合うか?)


姫「とにかく、早く戻らないとっ…」

女剣士「…分かりました。今すぐ引き返しましょう。」


女兵「何か見つかったの?大声出して…って誰その人」

女剣士「すまん、一々説明してる暇は無い。要点だけ話す」

女剣士「詳しいいきさつは彼女に聞いてくれ。私は今すぐ女騎士様の所へと行かねばならん」

女剣士「そっちは男兵と合流し、三人で戻ってきてくれ。なるべく迅速にな」

女剣士「最低限の事は伝えたぞ、私はもう行くっ!」ダッ


女兵「ちょっと!よく状況が…って行っちゃったし…で、君は誰なの?」

姫「私はこの国の姫です…とりあえず私も簡潔に話しますよ、急ぎですので」

女兵「ええぇぇ!?ひ、姫様!?」


女剣士「女騎士様!大変です!」

女騎士「どうしたの?君がそんなに取り乱して、何があったの?」

女剣士「それが、姫様が見つかったのですが…姫様が言うにはこの本拠地も姫様自身も全ては囮。肝心の奴らの主戦力は今頃城へ攻撃を仕掛けているそうです!」


女騎士「だからこんなに張り合いのない奴らだったわけね…じゃない、すごいまずい事になったね…今すぐ引き返さないと!」

傭兵「おい…今の話マジかよ…俺たちははめられたってことか!」


女騎士「とにかく、事態は一気に深刻になったよ。くそ、あいつら…私を出し抜くとはいい度胸だ…」スウゥ…


女騎士「聞こえている者だけでいい!!事態が急変した!今すぐ撤退する!真の敵は城にいる!」

女騎士「なるべく全兵士にこの情報を伝達しろ!実力のあるものは今すぐ私と撤退する!急げ!」


女騎士「これでよし。さ、早速城へ向かうよ!ちょっと飛ばすからついて来れないかもしれないけど!」ダダダッ!!

傭兵「俺も行くぜ、女剣士、お前は?」

女剣士「今は目立つ、後で追いつこう」

傭兵「了解だ。じゃ、またあとでな」


――街中


街には大量の軍勢が押し寄せていた。街中は瞬く間に戦場と化し、最低限の人員しかいない国軍は民間人の安全等を守ったりすることで精いっぱいだった。

しかし、これに騎士団が対抗。かなりの実力者集団ではあったが、数で圧倒的不利、後退しつつを余儀なくされ、敵の手練れを前に苦戦を強いられていた…




女騎士「見えてきた…けど、やっぱり火も上がってるし大混乱か…」

女騎士「…騎士団の皆、なんとか持ちこたえてね…!」


女騎士が街中に入ろうとした時、それは発動し、女騎士を拒絶した。

――バチン!!


女騎士「っつ…!これは…結界魔法?戻ってくる対策まで万全…完全にやられた」


傭兵「やっと追い付きましたよ…すっかり街中は戦場ですね…って、何で入らないんですか!?」

女騎士「街を囲むように結界が貼られてる。それもかなりの強度だよ…正直、お手上げなんだ」

傭兵「そんな…ここまで来て指をくわえて待てって言うのか…!」

今日はここまでです。大丈夫ですか?分かりにくくないですかね?

では。


女剣士(なんだ、割と遅めに来たのにまだ傭兵と女騎士しかいないじゃないか)ゴソゴソ

女剣士(それに、なるほどな…結界か。随分考えられているな)

女剣士(…結界は強さじゃどうにもならないからな、ここは私がやるしかないか)


女剣士は傭兵達とは離れた、また別側の入り口に向かう。


女剣士(おそらくこの結界は侵入を防ぐ事に特化した結界だな。力技では私でも越えられん)

女剣士(このタイプは魔法を遮断出来ないということを引き換えに物質に対しては絶対防御と言える)

女剣士(つまり、魔力は通す、ということだ。だから私がこうやってオーラを纏っていれば…)ブオォッ…


魔力そのものでもあるオーラに覆われ、淡く光っている彼女の体を、結界は拒絶しなかった。


女剣士(やはり、すり抜けられた。こんな事が出来るのはこの魔法のお陰だな。この魔法で良かったものだ)

女剣士(さて、後は術者を探して解除させるだけだな)

女剣士(だが、これでは私だとバレてしまうな…少し、姿を隠すか)

女剣士はそこらにあったぼろぼろの布切れを、頭からかぶる。それは丁度、ローブのようになった。

女剣士(これで、よし。じゃあさっさと私の役目を果たそうか)


~~~~~~~~


女剣士「おい、答えろ。この結界を張ってる奴はどこだ」チャキ

「さぁ、知らねぇなぁ…?」


シラをきろうとする男に女剣士は声の調子を変え、言い放つ。

女剣士「…いいだろう。まずは右腕から貰おう、次は左足…」スッ

極限の緊張感に男は屈し、半ば投げやりに吐く。

「ま、待て!そいつなら多分この街の中心地に隠れてるよ!」


女剣士「御苦労。じゃあな」

女剣士(意外とあっさり吐いたな。2、3人は覚悟していたが、手間が省けた)

~~~~~~~~


街の中心地。そこには1人の青年と、それを囲むようにして大勢の護衛が佇んでいた。


術師「奴ら、今頃帰って来たみたいだ。もう僕の結界は貼ってあるというのにね」

術師「彼の作戦は見事だね。こうも計算通りに事が運ぶなんて」

術師「さ、君達。しっかり僕を守ってくれよ?ま、僕までたどり着ける奴なんて…」


そう言いかけた時、突如女剣士は後ろに現れ、術師の首には剣が突き付けられた。術師は驚く感情すら抱くことができなかった。

ぼろぼろの布をローブのように着、突き刺さるような視線を放つ冷酷な眼、それはさながら“死神”を連想させるものだった。


女剣士「さあ、死にたくなければ今すぐこの結界を解くんだな」

術師「な、何をしたのか知らないけど、この数の中心に突っ込んでくるとはね。僕を殺しても、この結界は解けないし、次に殺されるのは君だ…」


そんな事はお構いなしにと女剣士は続ける。

女剣士「3秒以内だ。3秒たっても解除しない場合は殺す。3…」

その瞬間、女剣士の殺気に辺りはつつまれ、心なしか空気が冷たくなる。今、この瞬間からこの空間は彼女のものとなっていた。周りに大勢いるはずの護衛も、誰1人動けずにいた。

術師(これは…人を殺すのに何のためらいも無い殺気…それにこの状況を打破できると言わんばかりの自信…駄目だ、本当に殺される)ドクン


女剣士「2…」

術師(なんで、解除するくらいなら死んでもいいと思ってたのにこんなに僕は怯えているんだ?怖い…ただ単純に、恐怖しか感じない…)ドクン

絶対的恐怖。今まで全く体験したことのない、感情がぐちゃぐちゃに混ざり合うようなその感覚は術師の体中を駆け巡り、残ったものは――


女剣士「1…」

術師(怖い、いやだ、死にたくない死にたくないシニタクナイ…)

――生への執着だった。


術師「…分かりました…!解除します…!」グッタリ


――女騎士サイド


女騎士「え?結界が…消えていく…?」

傭兵「一体どういうことでしょうか…とにかく、これで突入できますね!」

女騎士「そ、そうだけど…うーん、考えても仕方ないか…」


女騎士「よし!突入だ!とにかく味方の援護に向かえ!」

――ウオオオオォ!!



女兵「なんか街に入れるようになったみたい!これで一先ず安心かな?」

姫「いえ、そうとも言えません…彼らも1人1人が確実な実力を持っているはずです。むしろ、戦いはこれからですよ!」

男兵「御忠告感謝します。必ずや勝利を収めてみせましょう」


女剣士「ふーっ、やっと着いた…」

女兵「あれ?女剣士ちゃん?先に言ってたんじゃないの?」

女剣士「あ…いや、その…だな、何というか、道に…迷ってしまったんだよ…不覚」ハァ


女兵「あははっ、女剣士ちゃんも意外な弱点があるのかな?」


姫「え、まさか?あなたともあろう人が道に…むぅぅ!?」ムニー

女剣士(言ったでしょう!?他の皆には私の事は隠してくださいと!)ボソッ

姫(ふぁ…ふぁい、気をつけまふぅ…)

女兵「ちょっと!?何してんの!姫様に向かって!?」


女剣士「はっ!すみません!その柔らかそうな頬を見て、つい…」

女兵「…いや、なにそれ。そ、そんなキャラだったっけ…」

女剣士「き、気にするな、そういうときもある」


女騎士「いや、何してんのさ。さっさと突入しなよ」

姫「あ、女騎士」


女兵「は、はい!今すぐ!ほら、2人とも速くっ!」タッ

女剣士「姫様、お気をつけてください」

男兵「…失礼します」


女騎士「で、姫様。私はまずあなたを安全な所まで連れて行きます」

姫「私ならここでもいいのに。それに、女騎士も守ってくれるんでしょう?」

女騎士「すみません…そうもいかないのです。私も一刻も早く援護に付きたい所でして…」

姫「…分かった。頑張ってね、死んじゃ駄目だよ」

女騎士「私はそう簡単に死にませんって。さ、じゃあ行きますよ」

~~~~~~~~

女兵「くっ!こいつら、手強いね…」キィン

男兵「さっきの敵とは段違いだぞ…」ガキン

女剣士「だが、倒せない敵ではないっ」ズバッ



女兵「ふぅ、とりあえずここら辺は街の外れの方だし、敵も少ないね」

男兵「城の方へ急ごう、一刻も早く合流するんだ。

傭兵「お、お前ら、無事だったみたいだな」

男兵「傭兵?なぜわざわざこんなところに?」


傭兵「いや、ちょっとな。それと会ったついでだ。女剣士、ちょっと話がある」

女剣士「…私か?何だ」

傭兵「ちょっとこっち来て話すか。あ、お前ら2人は先行っててくれ」


女兵「な、何よー。仲間外れにして!」

男兵「…よせ、大事な話なんだろ。俺らは先に向かった方がいい」

今日はここまで。女騎士の普段以外の口調が女剣士とかぶっちゃってますね。混乱したら申し訳ない。
ではおやすみなさいませ


女剣士「で、何だ話って。どうせ碌な事じゃないんだろ」

傭兵「戦況があまりよくないんだよ。敵が思いのほか強いみたいで足止め食らったりして、街の中心地は激戦だ」

傭兵「それに、その中でも頭一つ抜けてる強い奴も結構いるらしく、俺たちが戻ってきたのにも関わらず押され気味だ」

傭兵「騎士団は流石に長く戦いすぎてとてもその強い奴に勝てるとも思えない。つまり、だ」


女剣士「…私にその強い奴を倒せ、と?悪いが、断る」

傭兵「な、何でだよ!」

女剣士「私の正体がバレる。それに私はもう結界を解くという十分仕事をしたしな。疲れた」

傭兵「え?あれお前だったの?…じゃねぇ、なんだよそれ!アイツらにアレを奪われていいのかよ!」

女剣士「別に奪われていいとは言ってない。だが私が出るような相手じゃなさそうなんでな」


傭兵「おい、頼むよ…!この戦いは絶対に勝たないといけないんだぞ」

女剣士「お前が本気を出せばいいだろう。何を隠す必要がある」

傭兵「なら、これでもか!?既に城は占拠されちまってるんだよ!」

女剣士「馬鹿野郎、何故それを最初に言わない!…仕方ない、それなら私もやるしかないな」


女剣士「だが、少し待て。私は一度家に帰って準備をする」

傭兵「ああ、頼んだ。とにかく城を占拠されたからには時間が無い。急がないとな…」

女剣士「占拠したと言っているが、奴らは何を?」

傭兵「どうやら占拠には一部の奴が入って行っただけで、残った奴らは俺らの殲滅に当てられてるらしい…」

女剣士「なるほど、それでその手練れ達がまだ街中にいるという訳か」

傭兵「一般兵じゃとてもかなわねぇだろうな。男兵と女兵も出くわしたら危ないかもな」

女剣士「だがアイツらの実力はかなり成長している。いざとなれば逃げることくらいはできるだろう」

傭兵「俺ははやくあのフード男を見つけなきゃな…」

女剣士「アイツに何か因縁でもあるのか」

傭兵「というか…以前会ったことがある気がする…」


~~~~~~~~

女剣士「…待たせた。これなら私だと誰も分からないだろう」

――先ほどと同じようにローブで眼まで隠すように纏い、口元にはバンダナ。殆ど眼しか見えないようなその格好。


傭兵「そこまでしなくてもよかったんじゃないか?それにそれ、男装だろ」

そして、着ている者は全て男性用のものであった。目元しか見えず、男物の格好をしていれば、女と断定するのは難しいだろう。

女剣士「大丈夫だ、一応胸もサラシで巻いてある。声のトーンも抑えればまずバレやしないさ」

傭兵「いや、サラシで巻くほど目立ってたっけか?」

女剣士「だ、黙れぇ!!き、気にしてたのに…//」シュン

傭兵「ははっ、悪いな。でもまぁ、お前もそういうこと気にすんのなー」ニヤニヤ

傭兵(恥ずかしくなったりすると素に戻るみたいだな…やっぱり年相応の女の子なんだなぁ)

女剣士「ば、馬鹿野郎!!」ドコッ!!

傭兵「痛ぇ!わ、悪かったよ!」

女剣士「…さっさと行くぞ」プイ

~~~~~~~~


悪男「おいてめぇ…何で結界解きやがったんだ?」ガシッ

術師「…それは申し訳ないと思ってるよ…」

悪男「そのせいでこちとら敵の殲滅なんていうメンドクセー事やる羽目になっちまったんだぞ、クソが…」

術師「言葉を返すようだけど、あの場にいなかった君には何も言われたくない…!」

悪男「分からねぇな、今になって怖気づきでもしたか!?」

術師「それが…よく分からなかった…頭じゃとても理解できそうにないんだよ…!今思い出しても寒気がするんだ…!」

悪男「…俺らは少なくとも精神訓練くらいは受けてる筈だ。それなのに相手の殺気に飲まれたって事でいいんだな?」

術師「そう取って貰って構わないよ。とにかく、アイツはヤバい。あんな奴がこの国にいるなんて情報に無かったよ…」

悪男「おもしれぇ、俺がソイツをぶっ殺してやる…特徴は?」

術師「全身ローブ姿で良く分からなかったよ…顔も見てないしね」

悪男「チッ、仕方ねぇ、ローブ姿で強そうな奴を手当たり次第だな」

用心棒「へぇ、面白そうだな。俺もソイツとやってみたいねぇ!」

悪男「いつの間にいやがったてめぇ…まぁいいけどよ」

術師「じゃ、僕は他の奴を消してくるとするよ、せめてもの汚名返上にね」

~~~~~~~~


女騎士「騎士団の皆!大丈夫?」

男騎士「おぉ女騎士、戻って来たか。すまねぇ…城を取られちまった」

魔騎士「騎士長?その背中に乗ってらっしゃるのはまさか、姫様?」

女騎士「そうなんだ。本当は安全な所まで運ぶつもりだったんだけどね、ここで君達に守ってもらおうと思って」

男騎士「任せろよ。こんな傷だらけだが姫様をお守りするには充分ってもんだ」

魔騎士「全力でお守りいたしましょう」

姫「お願いしますね。でも、なるべく無理はなさらずに」


魔騎士「心配なさらず、仮にも騎士団の者ども。主をお守りするのが義務でありますから」

男騎士「で、女騎士はどこに行く気だ?まさか城に行くんじゃないだろうな」

女騎士「ん、そのつもり。手練れが街中にいる今がチャンスと思ってね」

男騎士「1人で行くのか?」

女騎士「最初はね、多分後から応援が来ると思う」


――魔法使いサイド


悪男(ローブの奴ローブの奴…お、あれか?)

魔法使い「誰もいない…はぐれちゃいました…」オロオロ


悪男「おい、てめぇ」

魔法使い「は、はい!」ビクッ

悪男「まさかてめぇが結界を解いた張本人か?」

悪男(こんな奴なわけねぇな…とんだ雑魚じゃねぇか)

魔法使い「な、何の事ですか…?」

悪男「やっぱり外れか、こんな弱そうな奴をぶっ殺しても全然面白くないが、殲滅って命令だ。死んでもらうぜ」スッ


魔法使い(そんな…この人強い…!に、逃げなきゃ…)ダッ

悪男「おいおい、鬼ごっこは好きじゃねーんだよなぁ」


――男兵・女兵サイド


女兵「全然敵がいない…城が堕ちたってのは本当みたい…」

男兵「まずいな、まずは合流を計らないと…っ!敵か!?」


2人の前に男女が立ちはだかった。1人は魔導師風の青年、もう1人は黒い装束を身にまとった女だった。

術師「やはり街外れに来て正解だったようだね、こういうはぐれ者がいる可能性は高い」

装束女「ただのおこぼれじゃない。ゴミ掃除と一緒よ、つまらない」


女兵「言ってくれるじゃない…?ゴミはどっちか思い知らせてやるっ!」シャキン

男兵(こいつら…強い、勝てるか…?だが、やるしか無さそうだ…)シャキン


装束女「あら、やるつもり?ならお譲ちゃん、私が相手してあげるわ。可愛がってあげる!」

術師「僕はあの男だね…殲滅ってことは殺していいんでしょ?なら話は早い…」


女兵(殺…っ!そうだ、何を驚いてるの!これは…戦場なんだ。負けたら死ぬのは当たり前でしょ!)

男兵(恐らく実力では敵わない…だが、付け入る隙はある…)


――女剣士・傭兵サイド


隊長「傭兵殿!無事でしたか!む、そちらの方は…?」

傭兵「コイツは俺の傭兵仲間ですごく強いから協力して貰ってるんだ」

女剣士「…よろしく頼む」

隊長「それは心強い…しかしその風貌、敵と間違われてしまいそうですな」

女剣士「すまない…これがいつも通りなんだ」


用心棒「3人発見~、お?ローブ着た奴がいるぞ」

隊長「!?コイツは…!危険です、騎士団の方でもなす術が無かったと…」

用心棒「おい、そこのローブの。俺はお前と戦いてぇな。ちょっと相手になれや」

女剣士(確かにかなり強い…傭兵と互角…それ以上か?)

女剣士「分かった。相手になろう。2人は先に行っててくれ」

傭兵(確かに…強い。時間も無いしここは任せるか)

隊長「しかし!奴は強すぎます!3人でかかれば…」

傭兵「大丈夫だよ、アイツは俺より強いから」

今日はここまで。
では


――城門


女騎士(やっぱりここまでたどり着いた奴がいないから警備も手薄だ、いける!)ザッ

守護人「おぉ、ついにここまで来れた奴がいたか!いやぁ暇でしょうがなかったぜ!」

女騎士「…」スッ

守護人「せっかくここまで来てもらったんだ、暇つぶしにさせてもらうぜ!」


女騎士「邪魔」

守護人「な、速っ…!」


――ズバンッ!

女騎士は呟くとほぼ同時に斬りかかる。その尋常ならざるスピードに守護人は反応出来ず、女騎士の無慈悲な斬撃は守護人の首を切り離した。


女騎士「久々に怒ってるなぁ、私」ブンブン

そう吐きながら剣を数回振って血を払う。その眼には確かに怒りの念が籠っているのを認められた。

女騎士(皆…ボロボロだった。こんな罠に引っ掛かった私の不甲斐なさに自分で情けない…!)

女騎士「いけない、少し冷静にならなきゃ」

つけ忘れました。1です。


――魔法使いサイド・路地裏


悪男「クソッ!出てきやがれ!こそこそ隠れやがって!」イライラ

魔法使い(はぁ…っ、とりあえずここに逃げ込めました…あとは…)


物陰に潜む魔法使い。逃げ切る事は無理と判断した魔法使いは路地裏に逃げ込み、反撃しようと考えたのだ。

瞳を閉じ、意識を集中させる。魔法を使うため、魔力を溜めているのだ。


悪男「マジで何処行きやがった…ウロチョロしやがって…絶対ぶっ殺してやる」

いつでも魔法を打てる状態になった魔法使い。相手の実力を考えると、チャンスは一回。さらに集中力を高める。


魔法使い(よし…ちょうどいい所に来てくれましたね…)

その時入り組んだ地形は彼女の味方をした。ちょうど相手の後ろを取る形になる事ができた。

それを見逃さず、彼女は魔法を唱えた。

――ボォウッ!!


悪男に掌を向けると、そこから火球が飛び出す。それはかなりの大きさで、悪男目掛けて飛来する。当たったら一たまりもないだろう。


悪男「なっ!?魔法だと!」

即座に気付き、振り返る悪男。火球はすでに悪男の近くまで来ていた。

悪男「だが、くだらねぇんだよ!!」ズバァン!!

しかし、その火球は悪男の剣により、あっさり両断されてしまった。そして悪男は魔法使いを睨みつけた。


魔法使い(そ…そんな、私にはもう、これ以上は…)オロオロ

悪男「雑魚の魔法なんざ、不意打ちでも何にもこわかねぇ。さぁ、とっととぶち殺されるんだなぁ!」


魔法使い「ご、ごめんなさいぃっ!!」ダッ

再び逃げ出す魔法使い。唯一のチャンスを容易く突破されてしまったからにはもう逃げるしかなかった。しかし再び補足されてしまっている今、中々距離は離せない。それどころか徐々に差は縮まっていく。


そして魔法使いが角をまがった時。非情な現実が彼女の前に立ちふさがった。

魔法使い「そんな…行き止まり…?」アタフタ


行き止まり。だがそんな現実を飲みこませるよりも前に、悪男が後ろから声をかける。

悪男「やっと鬼ごっこは終わったな。さて、精々抵抗してくれよ…?」


魔法使い(そんな…ここで、死ぬの…?やだよ…!)

その刹那、悪男が斬りかかってきた。反射的にかわそうとしたがかわしきれず、左肩を斬られてしまう。


魔法使い「っ…ああああ!!」

悪男「どうした?まだまだ本気なんか出しちゃいないぜ?」


魔法使い(嫌だ…死にたくないよぉ…)ドクドク

魔法使い(あ…そうだ…)

しかし魔法使いにはただ一つこの状況を打破する術があった。しかしそれは、彼女が望まない方法だった。

魔法使い(アレをするのは嫌だけど…ここには2人きり、それにこのまま殺されるくらいならやってやる…!)


魔法使い「ねぇ、私は憶病者なんです。なんでだと思います?」

ローブのフードを取りつつ悪男に問う魔法使い。既に雰囲気はさっきのそれとは違っていた。

悪男「あ?何言ってやがる。時間稼ぎのつもりか?」


魔法使い「嫌われる事がとても怖いからです。だからいつも敬語で話してますし、誰にも衝突しないように気を使っているんです」

魔法使い「でも、嫌われないようにしてるのは、もう1つ理由があるんです」


魔法使い「それは、この姿を誰にも見られたくないからです」

――ゴオオォォ!!!

その瞬間、魔法使いの右腕を中心に炎が溢れだす。右腕は完全に炎に包まれ、頭部も殆ど炎に浸食されていて、髪は逆立ち、炎に合わせゆらりと揺れていた。

悪男「…は?」

目の前の光景に呆然とする悪男。

魔法使い「この姿、醜いでしょう?こんな姿、誰にも見せられない…!」

確かにその容姿は醜悪と言っても過言ではなく、見る者に恐怖を与えた。

魔法使い「私の魔法は、一定以上力を出そうとすると、こんな姿になってしまう。だからさっきあなたに出した火球は10分の1にも満たないはずです」

魔法使い自身もこの魔法に恐怖を覚えていた。それ故いつも内向的で、自分を表現することが極端に苦手だった。自分の事を隠すことに必死だった。

魔法使い「私は…私が怖いよ。すごく怖い。人に嫌われることよりも」

悪男「さっきから訳わかんねぇことほざきやがって…!」


魔法使い「だって私、この姿になってしまうと――」

魔法使いは炎に包まれた右腕を上げ、悪男の方に向けた。

悪男「ちょ、調子にのるな!本気を出そうが俺の方が強い事はかわらねぇ!」ダッ

自らをふるい起し、魔法使いへ駆けだす。もちろん自暴自棄になった訳ではない、むしろ冷静だった。


魔法使い「――残酷になって、手加減ができなくなるから」

――ボグオォッ!!!


その右腕から放出されたのはもはや火球とは呼べなかった。それはまさに炎の塊。その炎の勢いは悪男を焼き尽くしてもなお止まる事を知らず、路地裏中を駆け巡っていた。

ようやく炎が収まってそこに残ったのは、魔法使いとかつて人間であったなにかであった。


魔法使い「もう…こんな魔法…やだよぉ」ポロポロ

既に魔法使いに纏っていた炎も消えたが、纏っていた部分は赤黒く変色し、激痛を伴っていた。

魔法使い「う…うぅっ…うあああん…!」

戦いを終えて残ったものは、深い後悔と自己嫌悪だった――。


――男兵サイド


男兵(恐らく相手は魔法が主体だろう…ならば、魔法を発動する前に叩く!)ダッ

先手必勝、とばかりに術師に向かって走り出す。接近戦を仕掛けにいけば、魔法を使わせる暇など無いだろう。

だがしかし、その計画も最初の一太刀でむなしく崩れ去る事になった。

――バチィィィン!

男兵の剣は術師に当たる前に結界に阻まれ、拒絶される。

男兵「結界!?そうか、あの結界はお前の仕業だったのか!」

術師「その通りだよ。結局解除はされちゃったけど時間稼ぎには充分だったよ」

術師「それと、残念なお知らせだ。君は絶対に僕に勝てない」


男兵「そこまでの自信があるか。確かに結界は厄介だが…」

術師「いや、そうじゃないよ。そもそも僕の結界は魔法は拒絶できない代わりに物体に関しては絶対的な防御力を持つんだよ」

男兵「なっ…!そういうことか!」

術師「そう、君は魔法が使えないんだろう?つまり僕に触れることすら出来ないんだよ」

男兵(確かにこれでは絶対に勝てない…ここはいったん引いて、態勢を立て直すしか…)


術師「あ、そうそう。結界は僕の周りと、ちょうど君の後ろ辺りにももう1つ貼っといたから逃げることも出来ないよ」

男兵「くっ…!だが、それではアンタも攻撃できないんじゃないのか?」

術師「そんな馬鹿な。最初に言ったよね、君を殺すって。結界といっても使い方は色々あるんだよ」ヒュイン

術師は掌をかざすと、その上に小さな球体が現れた。さしずめ小さな結界という奴だ。

男兵「何をする気だ…?」

術師はそのまま、指を男兵の方へ向ける。すると球体は男兵目掛けて飛んで行った。

男兵(意外と速いっ…!)


その球体は男兵の鎧を掠めた。その瞬間甲高い音が響き、掠った鎧の部分は抉れ、跡形も無かった。

男兵「そうか…これは小さな結界、つまり掠っただけでも今みたいに拒絶されるということか」

術師「いやーよくかわしたね。君に直撃すれば体に穴が空いてたよ」

男兵「なるほど、これなら確かに俺は攻撃できないが、アンタは俺を殺せるって訳か」

術師「さ、どこまで持つかな!?」ヒュイイイン

今度は両手に小さな球体を浮かべる。

男兵(理不尽だぜ…どうしようも無いじゃないか…)


~~~~~~~~


男兵「はぁ…はぁ…」

術師「はぁ…はぁ…」


術師「っ何で当たんないんだよっ!!キリが無いじゃないか!!」

男兵「知るか!!俺だって避けるので必死なんだよ!!」

男兵は避ける事のみに集中していた。相手の攻撃が直線しかないのもあって、避けるのは簡単だった。そのためお互いに体力を消費するだけだったのだ。


術師(くっ…このままじゃ魔力が持たない…!最初からコレを使っておくべきだったよ)

男兵(このままじゃジリ貧だ…どっちの体力が先に尽きるかだな)

術師「もうこんなのはヤメだ。次は趣向を変えよう」ヒュイン

今度は1つだけ球体を浮かべる術師。そしてそれを同じように男兵へ放つ。


男兵(何だ…?さっきとは特に違いは…)サッ

男兵も同じように横に跳び、避ける。しかしそこからが今までとは違かった。


――クイッ!

なんとその球体は、男兵目掛けて軌道を変えたのだった。

男兵「…!!そういうことかっ!」


間一髪、上体をそらしかわす男兵、しかしソレはまたも軌道を変え、男兵の元へ戻っていく。

術師「どうだい?面白いだろう。君を消すまで永遠に追い続ける!」


絶望的な状況、かと思われたが男兵はむしろ笑みを浮かべていた。

男兵(何を勘違いしている?最初の追尾で俺を殺せなかった時点でアンタの負けは決まったような物だ!)

男兵はここで力を振り絞り、目にもとまらぬ速さで移動する。その結果、男兵と球体の対角線上には、術師が。


術師(き、消えた?それにこっちに結界が向かって来ている!何故だ!)

どんどん距離は縮まっていく。魔法は拒絶しないという特性がこんなところで仇になっていた。

術師(あ、あんなところに!?そうか、だから僕の方に…自動追尾が仇になった!)


ついに避けるしか無くなり、横に飛びのく。と同時に結界も解かれる。その一瞬を逃す訳もなく、勝敗は喫した。


男兵「呆気なかったな」ズバッ!

術師「ぐああぁぁ!!」

体力も限界だった術師はそのまま倒れ込み、傷口を抑える。


男兵「自分の魔法に頼りすぎるからだ。少しは頭を使うんだな」

男兵「助かったよ。あのまま続けていたら、どっちが勝つかまだ分からなかった」

男兵「それにその魔法、自分が動いたら解除されるんだろ?それもバレバレだったしな」


術師「く…くそ…」バタン

ついに術師の意識は途切れた。敵の情報にでもなるだろうと殺しはせず、最低限の傷になるように力を抑えていた。

男兵「流石に疲れたな…だが、女兵も気になる、早く合流しなければ」

そう、女兵と装束女は戦闘を繰り広げているうち、段々と離れて行ってしまったのだった。

今日はここまでにしたいと思います。
では。


――女兵サイド


女兵は既に満身創痍だった。全身切り傷だらけで、肩で息をしている状態である。

女兵「…なんなのよ、痛めつけてから殺すってわけ?」


一方装束女は傷一つついておらず、実力差は歴然であった。

装束女「そうよ?その方が楽しいから。あなたは既に戦闘相手じゃなくて私のおもちゃなの」


女兵「馬鹿に…するなぁ!」ダッ

装束女に斬りかかる女兵。しかしそれは当たるはずもなく、それどころか後ろに回り込まれていた。

装束女「ふふ、こっちよお譲ちゃん」サワッ

女兵「ちょっ何処触って…ひゃうん!」

女兵「…いい加減にしろぉ!」ブオン

装束女「ふふ、また外れ」

女兵「くそぉ!」ブン

何度も容易く避けられ、後ろを取られる。それもそのはず、装束女は暗殺術に長けており、後ろへ回り込むことなど赤子の手を捻るように簡単だった。


女兵「はぁ…はぁ…」

装束女「う~ん、次はどうしようかな~」

襲い来る斬撃を次々にかわしながら悩みだす装束女。まさしく弄ばれていた。


装束女「決めたっ。苦痛と恐怖に歪む顔を見ましょ」ドコォッ!!

女兵「か…はっ…!」グラッ


隙をつかれ腹に拳をまともに受けてしまう。呼吸が上手く出来ない。足もともふらつき、膝から崩れ落ちる。

女兵「うぅ…ぐぅ、げほっ」

装束女「いい悲鳴、いい表情。やっぱりあなたは最高のおもちゃね」シャキン

装束女は短刀を取り出し、女兵に付きつける。

装束女「さて、次はそのキレーな顔に傷をつけてみましょうか」


女兵(痛い…痛いよ…こうして何も出来ないで殺されちゃうの?)

女兵(嫌だよ、誰か助けて――)


女兵(――助けて?違う、何を言ってるんだ私は)

女兵(もう、助けてもらう側じゃない)

女兵(あの人みたいになるって決めたんだ)

女兵(自分に甘えるな!しっかりと前を見ろ!)

女兵(私はもう守る側なんだっ!)

女兵(こんな所で死んでたまるかぁ!)グアァッ!!


その瞬間、女兵の体に活力が宿る。剣を取り、立ち上がりつつ切り上げる。

装束女「おっと、驚いたわ。まだそんな力が残ってたのね」スカッ

女兵「まだまだ、これからが本番よ!」

装束女「ふふ、今度はちゃんと楽しませてくれるんでしょうねぇ!」


それからの女兵の動きはそれまでとは別人のように変化した。むしろ、反応速度が上がったというべきだろうか。

女兵「そこっ!」

装束女「くっ!」スパッ

その斬撃は頬を掠める。ついに女兵の剣は装束女を捉えたのだ。


しかし、その後装束女の態度が急変する。怒りの表情を浮かべ、声もドスの効いた声になっている。


装束女「私が…顔に傷!?こんな女に…よくもやってくれたわね…!」

女兵「な…何?」ゾクッ

装束女「許さない…許さない!!」ゴゴゴゴゴ


装束女が鬼の形相で向かってくる。思えばあちらから仕掛けてきたのはこれが初めてだった。

女兵(今までとは雰囲気がまるで違う…気を入れなおさなきゃ)グッ

装束女「いつまで呑気に構えてるつもり?」シュッ

女兵「ぐぅっ!?」グラッ

いつの間にか装束女は後ろへ回り込んでおり、その無防備だった首筋に手刀を叩き込んだ。

しかしそれでは終わらなかった。よろけている間にもなお追撃は続いた。蹴り、掌底――さっきのまでのとはまた違った意味で痛めつけていた。

ようやく終わった執拗な攻め。既に立ち上がる気力すら失っていた。


女兵「ぐうぅ…うああぁ…」

装束女「無様ね、調子に乗るからこうなるのよ」


女兵「まだ…負けて…ない…」ググッ

女兵(駄目だ…本当に立ち上がれもしないや…でも、死にたくないなぁ)


装束女「立ち上がれない癖に何言ってるの?今楽にしてあげるわ。私に傷をつけたことを後悔しながら死になさい」

女兵「嫌だ…死にたくない…負けたく…ない!!」カッ

その時だった。装束女の足もとに魔法陣が現れた。それは装束女よりも大きく、大量の魔力も込められていた。

装束女「な…なんなのよこ…」

――ズオオォッ!!

その言葉を発する前に魔法陣から光の柱が立ち昇った。光は装束女を飲み込み、天にまで届くかのようだ。

女兵「え…なに…?」

困惑する女兵。光が柱が消え、倒れる装束女。

女兵「誰か…いるの?」キョロキョロ

辺りを見回すが、誰もいる様子は無い。

女兵「…私?」


――女剣士サイド


――カキィイン!!ギィイン!!


お互い一歩も引かぬ壮絶な攻防。……と思われたのだが。

女剣士(確かに強い事は認めるが、私にとっては相手にならないんだよなぁ)キン!

女剣士にとっては物足りないらしい。


女剣士(もう少し何かあるかと思ったが仕方ない、さっさと終わらせるか)

女剣士「…そら」ガキッ!!

力強く剣を振り、無理矢理相手を押し出す。

用心棒「お前、強ぇなぁ。まだまだ本気出してないんだろ?なぁ、試しに本気出してみてくれよ」

用心棒(コイツ…さっきから全然戦いに集中してねぇ!ムカつく野郎だぜ)


女剣士「興味が無い。この戦いにも、お前にも」ハァ

用心棒(しかも…コイツの眼…俺を見てねぇ。本当に興味が無いってか?舐めんじゃねぇぞ!)

その一言と態度により、用心棒に火が着いた。


用心棒「っざっけんじゃねぇぞ!!俺の事なんて眼中にねぇってか!?」

女剣士「そういうことだ」

用心棒「よぉし、そうかい。よく分かったよ。そんなに死にたいなら今すぐ送ってやるよぉ!!」ダッ


剣を構えながら突っ込んでくる用心棒。その構えは突きの態勢。女剣士はそれを弾くように剣を動かす。

剣と剣とが交錯する。――筈だった。


――ぐさり。


女剣士「…え?」

嫌な音がする。女剣士は自分の体を見てみる。そこにはなぜか剣先だけが見えており、わき腹を貫いていた。

つまり、後ろから刺された、ということだった。

女剣士「う…うああぁぁぁあ!?」ドクッ

――状況が理解できない。確かにさっきまで目の前にいたのに。直前で回り込まれた?いや、そんなタイムラグはなかったはず――

混乱する中、必死に状況を整理しようとする。脳内であらゆる考えがせめぎ合う。しかしそれを現実に引き戻すかのように引き抜かれる剣。


女剣士「ぐふっ…がああああぁああぁああ!!!」ドバッ

今日はここまでです。
ではおやすみなさい

この女剣士めんどくさい奴だな
頭悪すぎだろ

>>304
何かしらハンデを付けたかったので、油断のしすぎという事にしたのですが…
あえて例えるならベジータ?とかですかねw

少しだけ投下します


用心棒「ハハッ!ざまぁねぇな!今楽にしてやるよぉ!」ブン

止めをさそうと剣を振り下ろす。辛うじてかわすが、動くたびに激痛が走る。


女剣士「くっ…!!何が…どうなってる…」

女剣士(馬鹿か私は…!!完全に油断した結果がこれだ、とにかく長期戦はまずい…!)

女剣士の持つ剣はいつの間にか赤く光っていた。今持っているのは特注品で、特別彼女の魔力と反応しやすいように出来ている。

そのお陰で特に魔法を唱えずとも感情が動くだけで反応し、魔法が発動する。


用心棒「今さらその体で何しようってんだ!?俺を侮ってたのが間違いなんだよ!」

女剣士「それは…すまなかったな!」ダンッ!

猛スピードで用心棒に突っ込む女剣士。この速度で動くのはかなりの負担になったが、この傷では長引かせてはならないと判断した。

しかし、その攻撃も空を斬る。避けられた、というより斬撃の直前から姿が消えたことを今回は読みとる事が出来た。

用心棒「っと、あぶねぇ。まだそんな動きが出来たか」

女剣士(くそっ!また…)

女剣士(だが、少し分かったぞ…おそらく、空間転移魔法の一種、いわゆるテレポートとでも言う奴だな)

女剣士(だから予備動作すら一切無かったのか…!)


用心棒「だが、そろそろ限界なんじゃないのかぁ?」

女剣士「テレポート、だろ?」

用心棒「な、今の2回だけで!?チッ、ばれちまってんなら仕方ねぇ。ああそうだよ、正解だ」

用心棒「だが、分かった所でどうも出来ねぇ、その怪我じゃな」

女剣士「何を言ってる?正体が分かれば対策などいくらでも…くっ、できるぞ」ドプッ

用心棒「はっ!もう立ってるのもやっとの癖に何を強がってんだぁ?」

女剣士「なら、試してみるか…?」

女剣士の剣はいつの間にか先ほどまでの赤から、蒼い物に変わっていた。


女剣士(血が抜けて…冷静になったか。全く、最初からこうしておけばよかったな)カチャン

女剣士は剣を鞘にしまう。鞘にしまってもなお蒼いオーラはあふれ出ていた。

精神統一し、集中力を高める。その集中力は無心といっても過言ではなかった。

女剣士(何も考えるな…今は、目の前の敵を斬る。それだけだ)


血は相変わらず止まっていないが、今の彼女はそれを気にする様子も無く、呼吸も非常に落ち着いていた。手は収められた剣の柄に添えられている。

用心棒「剣なんか収めやがって、降参のつもりか?ふざけんな、まだまだ俺の気は…」

女剣士「――悪いな。もう斬った」

用心棒「…は?」

その刹那、用心棒の片腕が宙を舞った。女剣士の剣は、収められたままだった。

それは一連の動作すら見ることの叶わない神速の技。はるか遠くの大陸に住む戦士が使う奥義、“居合い”と呼ばれる物だった。


用心棒「な…なんなんだよおぉ!!ぐがぁあああぁあ!!!」

女剣士「見くびった事なら詫びよう。すまなかったな」ドスッ

用心棒「ぐ…が…」バタリ


女剣士「…ふぅ、まずは血を止めないと…っく」グラッ

しかし女剣士の体も限界が近づいていた。血を流しすぎた性で足元はふらつき、視界もぼやけ始める。

女剣士(格下相手に満身創痍…自業自得とはいえ、私もまだまだだな…)ドサ

女剣士(余裕ぶっておいてこのザマか…とんだお笑い者だな)

女剣士(まずい…意識も…)フッ


――城内



大臣「おい、どうなってるんだ!殲滅に向かった奴らが一向に戻ってこないぞ」

フード男「やられたのでしょうか…?まぁ奴らなどどうでもいいことです。計画は順調に進んでいますから」


大臣「だが城内にあの忌々しい女騎士が入ってきたらしいじゃないか。大丈夫なんだろうな」

フード男「大丈夫です、足止め用の罠も用意してあります。そう簡単には来れないかと」

大臣「ならいい。さっさと次の段階に取り掛かるぞ」


フード男「はっ」

大臣「お前は計画通りに準備を進めろ。私は…王に聞く事があるのでな」

フード男「かしこまりました」

大臣「任せたぞ」



フード男「多少の問題はあったが…いいぞ、俺のシナリオ通りだ」


女騎士「あーもうなんだよこれ!」イライラ

女騎士「さっきから同じところをぐるぐると…」

女騎士「幻覚魔法にでもかかっちゃったかな私」ギイィ

女騎士「…また同じ部屋だ…」バタン


女騎士「もう全部の扉は開けたんだけどなぁ。最終的に全部同じ場所に戻ってる」

女騎士「…まいった。どうすればいいんだろう」


女騎士「こんなことしてる場合じゃないのに…」

女騎士「王はなんとしても守り抜かなきゃ…」ギィィ

女騎士「同じ部屋…いい加減にしろ!」バターン!!


~~~~~~~~


大臣「王よ、少し話を聞かせてもらうぞ」

王「まさかお前が裏切るとはのう…わしびっくり」

大臣「もちろん、あの扉の事だ。私の質問に答えてもらうぞ」

王「えー、極秘情報じゃからやだ」

大臣(やりにくい…)

大臣「自分の立場を分かっているのか?あなたの愛しい姫様は我々が確保している事をお忘れか?」

大臣(大ウソだがな)

王「それは卑怯じゃ…答えるしかないのぅ」

大臣「まずは教えてもらおうか、この魔導書に見覚えはあるな?」

王「どうじゃったかのう…最近は部屋に閉じこもっておったし…覚えとらん」

大臣「まぁいい、だがこれを使えばあの扉の防御システムは停止する」

王「それやばくね?わしまたびっくり」


大臣「しかし、この書は古代文字で書かれている。代々王家だけに伝わる文字でな」

王「読めないんじゃのう…ざまぁみろという奴じゃのう」

大臣「だ、だから王よ、貴様に読んでもらおうか。姫の命が惜しくなければ読まなくてもいいぞ」ニヤリ

王「あ、わしも読めない」

大臣「何!?シラをきる気か!姫の命がどうなってもいいというのか」

王「本当に読めないんじゃ!実はのう」

王「わしが子供のころ、先代の王、つまりお父様にこの文字を教えられた時があったんじゃ」

王「でも、その時わしはお父様に“こんな文字覚えても何にも役に立ちませんよね?”っていったんじゃよ」

王「そしたらお父様も“実は私もそう思ってた。実際使った事無いし、おじい様も生涯使わなかったらしいし、もう教えなくていいか”といわれたんじゃよ。お父様も適当じゃな」

王「じゃから、わしはなーんも知らんのじゃ。わし嘘つかない」

大臣「な…なんということだ…ならどうすれば…」

王「辞めるのが一番じゃ。あの扉には関わらん方がええ」

大臣「そうは…いかないのだよ。ここまで来てな…」

王(実は読めるんじゃよなー。わし策士)

ここまでです。短くてすみません
いい夢見てきます

お待たせしました。たくさんの支援コメント本当にありがとうございます。
リアル事情が忙しかったのと、中々思うような物を書けなかったのもあってこのように遅れてしまいました、すみません。

って、そんなことより投下ですよね。


――傭兵サイド・城門


傭兵「ここら辺の敵が皆倒れてる…なにがあったんだ?」

隊長「恐らく女騎士殿でしょう。騎士団の方々から1人で城に向かったとききましたから」

傭兵「じゃ、もう城の中にいるのか。よし、俺らもさっさと入るか」

隊長「そうですね、いくら女騎士殿とはいえ、1人に任せてはおけませんしね」

傭兵「うわ、こいつなんて首を斬られてる。えげつねぇな…」

隊長「…ここまでするとは、女騎士殿も冷静ではいないようです」


傭兵「なんだろうな、何か嫌な予感がするんだけど考えすぎか…」

隊長「私もです。何事も無ければ…いや、それは既に起きているのかもしれませんね」

傭兵「怖い事言うなよ。まぁでも、考えてても仕方ないし行くしかないか」

~~~~~~~~


傭兵「城内も敵はなし…なんか不気味だな」

隊長「嵐の前の静けさ、という奴ですかね」

傭兵「っと、広い所に出たな」ギィィ

女騎士「また同じ部屋…ってあれ?」ギィィ

傭兵「え?女騎士?」

隊長「何故このような所に?とっくに城に入っていたのでは?」

女騎士「いや、実はね――」

女騎士「――こういうことなんだよ。いやーまいったね」

傭兵「既に敵の術中って訳か…こりゃ厄介だな…別の道は?」

女騎士「いや、調べてみたけどここしかないみたい。っていうかさ、何ナチュラルに敬語やめてんのさ」

傭兵「そういえば。まぁいいじゃん」

隊長「それにしてもどうした物でしょうかね。どこに行っても最終的にこの扉から出てくるとは…」

傭兵「扉ぶっ壊してみるとか」

女騎士「やってみる?」

~~~~~~~~


女騎士「何あれ、全くビクともしなかったんだけど」

傭兵「繋がってるっていう性質上矛盾が生まれるからだろうなー」

隊長「そうですね、もし壊せたら最初の扉も壊れる事にもなりますし」

傭兵「いやでもどうすんだこれ?」

女騎士「流石に何も策が無い事は無いと思うんだけどね」


隊長「ふむ、しかたありません。ここは1つ私が」

女騎士「あ、そういえば隊長の魔法なら何とかなるかも」

傭兵「お?どんな魔法だ?」ワクワク

女騎士「そんな子供じゃないんだからさぁ」


隊長「私の魔法は“探知”。一定範囲内の空間を把握することが出来ます。例え魔法で隠されていようとも」

隊長「少しお待ちください。すぐ調べ終わります」

傭兵「便利そうだな」

女騎士「便利だよー。物失くしてもすぐ見つけてくれるんだから」

傭兵「それはちょっと違うんじゃ」


隊長「…む、この不思議な空間を作り出している装置らしきものがありますね…」

女騎士「おお!流石だね」

隊長「ありがとうございます。場所は…あっちですね」

傭兵「やっぱり俺も魔法覚えたいぜー…」

女騎士「覚えてないの?意外だなぁ」プッ

傭兵「笑うな!そういうそっちはどうなんだ?」

女騎士「そりゃあ覚えてるに決まってるよ」

傭兵「う、マジかよ…俺だけ?」


――街中


女剣士(少し気絶してしまったが…大丈夫だ、生きてる)

女剣士(だが、血を止めるような物が無い…くっ、気を抜いたら今にもまた気絶しそうだ)

女剣士(…あれは、魔法使いか?)


魔法使い(これから…どうしましょう…そういえばはぐれてましたし…ひっ!)ビクッ

魔法使い(2人倒れてます…しかもどちらも酷い怪我…格好からして敵でしょうけど)トテトテ


女剣士(おいっ!?行くなぁ!そ、そうだ…変装していたのをすっかり忘れていた…仕方ない)

女剣士「おい…少し待ってくれ…」


魔法使い「ふぇっ!?わ、私ですかぁ!?」オドオド

女剣士「そうだ、少し手を貸してくれ…今にも死にそうだ」


魔法使い「いや、でも私何もできませんし…」

女剣士「確か、お前は火の魔法を使うと聞いたが」

魔法使い「な、何でそれを?あなたには会ったことがないのに…やっぱり怪しいです、敵ですね!」サッ

女剣士(くっ…やはり信用してくれないか…)

女剣士「ま、待て…!私だ、女剣士だよ」グイ

女剣士(命には代えられないからな…)


魔法使い「…っ!女剣士さん!どうして!?…えぇと、とにかく血を止めないと…」アワアワ

女剣士「いや、少し私に考えがあるんだが…」

魔法使い「血、血を止める物…わ、私のローブを…え?」

~~~~~~~~


魔法使い「…ほ、本当にやるんですかぁ?」

女剣士「ああ、頼む…時間が無い…早く準備してくれ」

魔法使い「分かりました…どうぞ」ボォッ


手に炎を出現させる魔法使い、女剣士はその手を取り――

女剣士「よし…ふっ!」ジュウゥゥ!!

――傷口に押し当てた。傷を焼いて固めようというのだ。

女剣士「~~~~~~っ!!」

想像を絶する痛みに幾度となく気絶しかけるが、何とか耐えている。


魔法使い「だ、大丈夫ですか!死んじゃいますよぉ」オロオロ

女剣士「…っ!よし、これでだ…大丈夫だ」グッタリ


魔法使い「全然大丈夫じゃないですよ…」

女剣士「あ、ありがとうな…このままじゃ野たれ死んでただろう」

魔法使い「そんな、私は何も…」

女剣士「だが、私は行かなければ…」ヨロリ

魔法使い「だ、駄目ですよ!そんな体で動いちゃ今度こそ死んじゃいます!」

女剣士「心配には及ばない、私はまだまだ元気だ」フラリ

魔法使い「どうしてですか?何でそんなにボロボロなのに、何処へ行こうと言うんですか」

女剣士「悪いな、質問なら全て終わってからにしてくれ。質問はそれだけじゃ足りないはずだ」

魔法使い「そ、それはそうですけど…」


女剣士「そして忘れるな、ここは戦場だ。こうしている今も戦いは続いているんだ、今は敵だけに集中しろ」

魔法使い「は、はいっ!」ビクッ

魔法使い「いきなり大きい声出さないで下さいって言ってるじゃないですかぁ…」


女剣士「わ、悪かったよ…じゃあ私は行くぞ、お前はどうする」

魔法使い「私は…女剣士さんについて行きます。あなたの事放っておけませんから」

女剣士「…分かった。だが、今の私はこの状態だ、お前まで守ってやれないかもしれないぞ」

魔法使い「だ、大丈夫です!自分の身は自分で…ですよね」

女剣士「その通りだ。よし行こうか」

魔法使い「はい!」

~~~~~~~~


男兵「女兵!大丈夫か!」

女兵「おー男兵だ、なんとか勝ったよ…いてて」

男兵「よく勝てたな…相当な相手だったと思ったが」

女兵「本当、死んじゃうかと思った」

男兵「ったく、ボロボロだってのにお前はいつも通りだな」

女兵「まーね、それが私のいい所?」

男兵「俺に聞くなよ」

女兵「で、これからどうするの?」

男兵「俺は城に向かおうと思う。戦える奴らは皆城に向かい始めてるからな」

女兵「じゃあ私も行こうかな~」

男兵「その体でか?無理するなよ、もう休んでたほうがいい。国民の避難所がある。そこへ行って手当してこい」

女兵「大丈夫大丈夫!まだ皆頑張ってるんだから動ける以上戦わないとね!」

男兵「本当に、大丈夫なのか?お前がそう思うならいいけど…」

女兵「問題なし!さ、そうと決まれば行くよー!」


――城門


女剣士「街中に敵兵がいないと思ったらやはり城へ集まっていたか…」

魔法使い「これじゃあ城へ入るなんて無理ですよ…」

女剣士「いや、そうでもないぞ?」ニヤリ

魔法使い「え?」

女剣士「戦闘でごった返している今、この入り口だけに目が行ってるからな」


女剣士「私に考えがある、少し場所を変えるぞ」

魔法使い「え?加勢しなくていいんですか?」

女剣士「今は少しの時間も惜しい、私もどこまで持つか分からんしな」

魔法使い「そ、そうですね…せめて無事でいてくれることを願います…」

~~~~~~~~


女剣士「よし、ここら辺でいいか」

魔法使い「?ここって…城の丁度横側ですけど…高い城壁があるだけですよ?」

女剣士「ちょっと離れてろ…」スッ

魔法使い「え?な、何ですか…?」


赤いオーラを纏わせる。紅き剣は全てを粉砕する破壊の剣。

――ズバァン!!…ガラガラガラ…


女剣士「よし、侵入だ」フーッ

魔法使い「な、何ですか今のぉ!いきなりびっくりしましたよ…」ビクビク

女剣士「一応離れてろと言ったんだがな…」

魔法使い「こんなことするなんて想像できませんよ…」


女剣士「それにしても…」

魔法使い「な、何ですか?」ピクッ

女剣士「…さっきから妙にオドオドしすぎじゃないか?」

魔法使い「そ、そんなこと無いですこういう性格ですから…」

女剣士「…そのローブの下の火傷の事か?」

魔法使い「…っ!?なんで分かったんですか…!」

女剣士「すまないな、さっき少し見えてしまった。何、理由は大体察しはついてる」

魔法使い「そんな…必死に隠してたのにぃ…」

女剣士「大丈夫だ、私は別に変に思ったりしない」

魔法使い「う…うええぇぇん」

女剣士「お、おい!何でそこで泣くんだ!?」

魔法使い「だ、だってぇぇぇ」ブワッ

~~~~~~~~


女剣士「なるほどな…そういう事か…」

女剣士(代償を伴う魔法か…そりゃ塞ぎこむのも頷ける)

魔法使い「だからぁ…ふぇ…私…全部が怖くて、どうしようもなくて…」

女剣士「安心しろ。私はお前がどんな魔法を使おうが、どんな姿になろうが嫌ったりしないよ」ポン

魔法使い「本当…?」ウルッ

女剣士「ああ、本当だ。すごい魔法じゃないか、逆に憧れてしまうよ」ナデナデ

魔法使い「あ…ありがとう…うえぇん」ギュッ

女剣士(全部一人で抱え込んで…だから周りが異常に怖く感じられたのか。辛かっただろう)ナデナデ

女剣士「まぁなんだ、今はそんな事してる場合じゃなかった。悪いがそろそろ行きたいんだが」

魔法使い「ふぇ?は、はい…そうでしたね!す、すみません泣きついちゃって…」バッ

女剣士「構わないさ、それでお前から1つ恐怖を取り除けたなら安いもんだ」

女剣士「それに、遠慮するな。敬語じゃなくていい」

魔法使い「え、えと…これだけはもう癖でして…えへへ」

女剣士「まぁいいか」クスッ

ここまでにします。相変わらず短めですみません…
ではおやすみなさい


――城内


傭兵「お、コイツが例の装置ってわけか。停止、っと」

隊長「これを中心に妙な空間が作りだされていたようです」

女騎士「ま、何はともあれこれで進めるね。ありがと、隊長」

隊長「お褒めに預かり光栄です」


傭兵「つーか、これのせいで混乱したがこの先どこに繋がってたんだっけ?」ポチッ

女騎士「確か中庭だったような。ほら、部隊が全部集結したあの」

傭兵「あーあそこな」

隊長「とにかく急ぎましょう。大分時間を食ってしまいました」

女騎士「そうだね、早く行かないと…」ギィィ


傭兵「…」

女騎士「二重トラップかっ!」

隊長「はぁ…これは骨が折れますな」


三人の眼前には中庭を埋め尽くさんばかりの敵兵。数はゆうに百は超えていた。


傭兵「おい…マジかよ…」スッ

女騎士「…お互い背中を合わせよう。死角を作ったらいけない」

隊長「承知しました。しかしこの数…一体どこから集めたのか…」


一斉に襲い掛かる敵兵。三人は近づいてくる敵だけを斬っていく。


傭兵「ったく、多勢に無勢ってか!」ズバッ

女騎士「でも雑魚ばっかりだし、何とでもなるよ」ザンッ

隊長「心強い限りですな、精々足を引っ張らぬようにしなければ」ガキッ

~~~~~~~~


女剣士「っと、そうだ」

魔法使い「どうしたんですか?」

女剣士「これから知ってる奴に合流しても私が女剣士だってことは隠してほしい」

魔法使い「…分かりました。うっかり話してしまわないように気をつけます」

女剣士「理由は聞かないんだな」

魔法使い「何か訳があるんですよね。大丈夫です、私は信じてますから」ニコッ

女剣士「…よせ、照れるだろ」

魔法使い「照れ屋さん…だったんですね」

女剣士「もう、からかわないでくれよ」カァ

魔法使い(確かに、女兵さんが可愛いって言ってたのも分かる気がしました…)



女剣士「…それより、話してて気付かなかったが同じ場所に戻ってきてないか?」

魔法使い「そ、そういえば…」


――城門


男兵「ふぅ、とりあえず城門は突破したぞ」

女兵「途中から騎士団の人が1人加勢してくれて、そこから一気に!って感じだったね」

男兵「そうだな、やはり騎士は強いな…士気も随分上がった」


魔騎士「嬉しい事を言ってくれますね」

女兵「魔騎士さんっ!?」

魔騎士「あなた方は筋がいい、しかし」

魔騎士「女兵さんでよろしかったかな?あなたはもう休んだ方がいい、動きが鈍ってきています」

女兵「いえ、私は大丈夫です!やらせてください!」

魔騎士「――なるほど、強い意志をお持ちのようだ。いいでしょう。でも無理はいけませんよ」

男兵「あの、すみません。もしかして背負われているのは…」

魔騎士「ああ、姫様ですよ。姫様がどうしても城に行きたいと申されたんでね」

姫「ど、どうも」

男兵(担がれ姫…)


――城門


男兵「ふぅ、とりあえず城門は突破したぞ」

女兵「途中から騎士団の人が1人加勢してくれて、そこから一気に!って感じだったね」

男兵「そうだな、やはり騎士は強いな…士気も随分上がった」


魔騎士「嬉しい事を言ってくれますね」

女兵「魔騎士さんっ!?」

魔騎士「あなた方は筋がいい、しかし」

魔騎士「女兵さんでよろしかったかな?あなたはもう休んだ方がいい、動きが鈍ってきています」

女兵「いえ、私は大丈夫です!やらせてください!」

魔騎士「――なるほど、強い意志をお持ちのようだ。いいでしょう。でも無理はいけませんよ」

男兵「あの、すみません。もしかして背負われているのは…」

魔騎士「ああ、姫様ですよ。姫様がどうしても城に行きたいと申されたんでね」

姫「ど、どうも」

男兵(担がれ姫…)


男兵(それにしても…姫を担ぎながら戦ってたってのか…?…いや、そんな訳無いか)

女兵「いくらなんでも危険すぎますよ!どうしてそんな無茶を」

魔騎士「…まさか無茶をしてる人に無茶と言われるとは思いませんでしたよ」クスッ

女兵「あ、いやぁ…あはは」

魔騎士「大丈夫です。何があろうと姫様はお守りする覚悟ですから」

魔騎士「ですが、流石に1人では万が一ということもある。あなた方2人にも近くにいて欲しいのですが」

男兵「はい、私達で良ければ全力で引き受けましょう」

姫「すみません…私の我儘で…」

魔騎士「おやおや、随分と私とは態度が違いますね?」ニヤリ

姫「そ、そんなことないですよ!いつも通りです!」

魔騎士「…まぁいいでしょう。では私達も城の中へ行きましょう。城を取り返すとなるとまだまだ時間がかかります」

女兵「そう…ですよね、頑張ります!」


――城内


女剣士「やられたな、完全に敵の罠だ」

魔法使い「同じところをグルグルと…どうしたらいいんでしょう?」

女剣士「そうだな…この空間を作り出している装置を見つけて停止させるか…」

女剣士「それか術者を見つけ出して解除させるかのどちらかだな」

魔法使い「でも、そんなのどうやって見つけるんですか?」

女剣士「気配はしないから恐らく装置なんだろう。となると手探りしかないな…」

魔法使い「け、結構広いですよねここ…」

女剣士「ああ、普通は…だがな?」ニヤッ

魔法使い(絶対悪いこと考えてます…)


女剣士「実はな、こういう空間系の魔法は結合部は異常に強く出来てるが、他はそうでもないんだ」

女剣士(ただ、それでも相当な実力が無いと駄目だが…)

女剣士「つまり、だ。確かこの壁の向こうは中庭だったな」

魔法使い「もう嫌な予感しかしません」

~~~~~~~~


傭兵「ちくしょう…数が減ってる気がしないぜ…」

女騎士「精神面に悪いね…心を折る気かな?」

隊長「ぜぇ…体力的にも削られていきます…いや、年は取りたくない物です」


――ドゴォォン!!

その瞬間、轟音が鳴り響き、壁が破壊された。

女騎士「な、何っ!?」

その場にいた全員が硬直する。煙の中には二つの影


女剣士「よし」フーッ

魔法使い「覚悟していましたけど…!やっぱりびっくりしましたぁ」

女剣士「っと、知り合いがいるな、敵も沢山」

魔法使い「あ、じゃあ気をつけ…ひぃっ!?なななんですかあの敵さんの数は!」


傭兵(あ、女剣士か。ったく、やることが違うぜ…)

女騎士「…誰?あいつら」

隊長「あの方は…傭兵殿の…」

女騎士「傭兵の?滅茶苦茶格好が怪しいんだけど」

傭兵「はは…ああいう奴なんだよ」

隊長「つまり、奴を討ち倒して追いつかれたと。確かにすごい実力ですな」

女騎士「なんだ、隊長も知ってたの?まぁ味方ならなんでもいいよ」


魔法使い「あ、あれ傭兵さんですよね!それに…誰でしょう?」

女剣士(隊長とクソ女か…)

女剣士「おい、敵が動揺してる今がチャンスだ。数を減らすぞ」ビュッ

魔法使い「え?あ、はい!」ゴオォッ


女剣士は敵の間を縫うように猛スピードで駆け抜ける。通った所から敵が次々に倒れて行く。


女騎士「な、何アレ…すごい強いじゃん」

傭兵「俺より強いからな…まさにバケモンだよ」

隊長「我々も負けてられませんな!ふっ!」ズバッ


ようやく状況を理解し始め、再び乱戦状態になる。

そんな中女剣士は敵の中心にいながら全ての攻撃を受け止め、いなし、斬り返していく。しかも、それを全方位である。

女剣士(無理矢理にでも体を動かしてないとぶっ倒れそうだな…やれやれ)


魔法使い「あの…後ろからの援護は任せてください…頑張ります」

傭兵「おう、頼むぜ」

女騎士「一緒に来てたのに、彼の援護はいいの?」

魔法使い「か、彼ですか?いやかの…いや!なんでもないです!」

傭兵(あ、バレちゃったのか)

傭兵「まぁ、あの様子を見る限り、援護は」

女騎士「…必要なさそう。ああもう!妙な敗北感っ!」

傭兵「まぁまぁ」

隊長「でやぁ!ぜりゃぁ!まだまだ若者には負けませんぞ!」ブン!

傭兵「ハッスルしてんなあ」


それからしばらく、ついに魔騎士率いる本隊も中庭に到着、全面戦争となった。


魔騎士「騎士長!やはりご無事でしたか」

女騎士「でも、ちょっと足止めばっかり食っちゃってね、まだ王は救出してない」


女騎士「っていうか姫様?なぁんでここにいるのかなぁ?」

姫「ご、ごめんなさい…私どうしてもお父様の事が気がかりで…」

女騎士「まぁ無事だからよしとしますけど、本当にやめてくださいよ?危ないんですから」

魔騎士「では騎士長、ここは我々に任せてください。あなたは一刻も早く姫様と先を急いでください」

女騎士「ん、そうさせてもらうよ」

魔騎士「それと、あなた方もご苦労様でした。次は騎士長についてあげてください」

女兵「よ、よろしくお願いします!」

女騎士「よろしく。おい傭兵ーあんたも行くよー」

傭兵「お、ついに進めるって事か」

魔法使い「私も…ついて行きたいです…」

女騎士「んーまぁ数が多いに越したことはないしね、いいよ」

女兵「魔法使いちゃーん!大丈夫だったんだねー!」ダキッ

魔法使い「ひゃあぁっ!?いきなりやめてくださいよぉ」アワアワ

男兵「…さっさと行くぞこのレズ」

女兵「だーかーらー、ノーマルだって言ってんでしょうが!」

今日はここまで
こんな作品でも目を通して頂いているようで、大変感謝しています
ではおやすみなさい


――大臣の部屋


大臣「お、おい!大丈夫なのか!もうすぐそこまで来ているじゃないか!」

フード男「ご安心を。もとより城の占拠など意味はありません。全てはただの時間稼ぎ」

フード男「そして作戦も最終段階です。そろそろ扉へ行ってもいい頃です」

大臣「だが、あの魔導書はまだ解析出来ていないぞ?今強硬手段を取らせているが…」


衛兵「大臣様、完了いたしました。こちらが成果です」

大臣「よくやった。これで後は…クク、扉へ向かうだけ…」

フード男「では、我々は敵の足止めでもしてきましょう」

衛兵「では、私は大臣様と…」

大臣「いや、ここからは私一人で行く。お前はフード男と一緒に足止めをしろ」

衛兵「はっ」

大臣「頼んだぞ。これが終わればお前の地位も確実だからな」ニヤリ

衛兵「よろしくお願いしますよ」ニヤリ

フード男「…」

~~~~~~~~

フード男「何故貴様と」

衛兵「ふん、それはこちらのセリフだ」

フード男「何故大臣はこんな奴を信頼してるのか、理解に苦しむ」

衛兵「調子に乗るな、日陰者の分際で」

フード男「城内にいながら情報を抜きとれなかった貴様が言うか」

衛兵「王から情報を吐かせたのは私だ。実力もこちらの方が上だ」

フード男「精々そう思っていればいい。衛兵どまりのクズが」

衛兵「それはあの女騎士のせいだ!奴は私の実力を認めようとしなかった!」

フード男「…呆れたな。自分の能力の無さを他人のせいにするか」

衛兵「黙れ!お前に私の何が分かるというんだ!」

フード男「話にならないな。やはり貴様とは相容れないようだ。俺は単独行動させてもらおう」

衛兵「ふん、こちらも願っても無いことだ。そうしよう」

~~~~~~~~


女騎士「さて、敵のお出ましかな」

フード男「6人か。それに、もう三度目か、姫よ」

姫「ひぃッ…」ビク

女騎士「そうか、お前が姫様を…」

フード男「フッ…もう姫には用は無い。用があるのはお前だ、傭兵」

傭兵「…」

フード男「貴様も、そうだろう?俺に用があるはずだ」

傭兵「ああ、分かったよ。皆、コイツは俺に任せて、先に行け」

女兵「でもっ!皆でかかったほう…」

傭兵「頼む」ゴオォ…

女兵「っ!」ビク

女騎士「分かった、アイツは任せたよ、私達は先に進もう」

男兵(何だ…こんな傭兵、今まで見たこと…)

魔法使い(こ、怖いし…冷たいです…)



傭兵「なぁ、お前一体誰だ?」

フード男「それを質問するか?もう分かっているんだろう?」

傭兵「知るかよ。ただ会ったことはあると思う、どっかでな」

フード男「クク…いいだろう、思い出させてやる…」バッ


フード男はそのフードを取り、素顔をあらわにする。


傭兵「…!てめぇは…!!」


その顔は傭兵には覚えがあった。忘れたくても、忘れられない顔。

フード男「久しぶりだな。あの時以来だ」

傭兵「黙れ…!よくも俺の前に出れたもんだ!」

フード男「貴様の相棒は?元気か?」ククッ

傭兵「てめぇが!殺したんだろうが!」ギリッ


その返答に意外という顔をしながら聞き返すフード男。

フード男「何を言ってる?記憶をすり替えるなよ」

傭兵「やめろ…!」

フード男「あの女を殺したのは、お前だろう」

傭兵「その原因を作ったのはお前だろうが!」

フード男「見苦しいな。手を下したのは貴様自身の癖に」

傭兵「うるせぇ!」

フード男「どうだ?最愛の人を自らの手で殺した感想は?」

フード男「感触は?気分は?表情は?」

フード男「あの女も無様だな。相棒に殺されるとは。傑作だ」

傭兵「…殺してやる」ブチッ

傭兵「殺してやる!!!」バッ


傭兵はもう感情を抑えきれず斬りかかる。しかしそれは簡単に避けられてしまう。

フード男「…いい眼だ。憎しみに溢れたその表情も。だが」

フード男「いつまで剣士のつもりでいる?貴様は暗殺者だろう?」

傭兵「違う…俺はもう暗殺者はやめたんだよ」

フード男「それでいっぱしの剣士気取りか。哀れな奴だ」

傭兵「剣士としててめぇを殺してやる、アイツの仇を…!!」

フード男「なら、俺が呼び戻してやろう…暗殺者の血をな」

傭兵「一々癇に障るんだよ!!」ブン


再び斬りかかる傭兵。同じように避けられるが、そこにはフード男の姿が無かった。

傭兵「…どこに消えやがった?」キョロキョロ

辺りを見回してもその姿は認められなかった。その代わり部屋にフード男の声が響く。


フード男「俺の魔法は闇に溶け込む魔法だ。一定の暗さがあれば俺は闇と一体化出来る」

傭兵「…だから薄暗いここを選んだってか…」

フード男「俺は闇。捉えることも出来なければ掴むことすら叶わない」バッ


突如傭兵の後ろに現れるフード男。まさに闇の中から具現化されたように出現し、傭兵に蹴りを放つ。

傭兵「ぐっ!」ヨロ

とっさに振り向くが、既に闇の中。かと思えば死角から再び攻撃を受ける。

フード男「どうした?貴様なら反応くらいは出来た筈だ!」ドコッ

傭兵「ぐあっ!」


―――
―――――――

傭兵「はーっ、はーっ…くそっ!」

最初は恨みで平常ではなかった心も、いくらか冷静になっていた。しかし一向にフード男の動きについていけなかった。

傭兵(確かに…昔の俺なら何とかなったかもしれないが…)

傭兵(剣士としてじゃ、無理なのか…?いや、それ以前に…)

傭兵(こんなに憎くても…殺してやりたくても…あの時の恐怖の方が大きくて…ちくしょう)

フード男「分かったか?そんな剣士気取りの状態じゃ話にもならん、さっさと暗殺者に戻るんだな」

相変わらず姿は無く、闇の中から声が聞こえるだけ。

傭兵「っざけんな…!剣士としてお前を倒さねぇと、いつまでも昔の俺のままなんだよ!」


フード男「…笑わせるなよ」ドコッ

傭兵「がぁ!」

そこで一旦姿を現すフード男。


フード男「過去の自分と決別…?それは違うな」

フード男「そう言い聞かせてあの出来事から逃げているだけだ」

傭兵「…っ!」ギリッ

フード男「図星か。それにもし剣士として俺を倒した所で何も変わらんさ」

フード男「貴様は何一つ守れなかった男なのだからな。その過去は絶対に消えない」

一度冷静になりかけた傭兵の心に、再び憎悪が宿る。それは段々と、影を落としていく。


フード男「もちろん、そんな己も変わる訳が無い」

フード男「当然だ。貴様は守るどころか、命を奪う仕事をしていたんだ」

フード男「奪う対象が、今度はあの女だっただけの事だろう?」ニヤリ


増大した憎しみは、この言葉を引き金にして、傭兵を黒く塗りつぶした。

傭兵「…あ?」ゾワッ

傭兵(やべ…スイッチ…入っ…)

溢れ出る殺気。既にその眼は暗殺者としての暗く、冷たい眼に変わっている。


傭兵「…」ギロリ

刺すような視線を突き付ける傭兵。

フード男「…やっとその眼になったな」ゾクッ

それと同時に再び闇に溶け込むフード男。

傭兵「…」カラン

おもむろに武器を投げ捨てる傭兵。剣士としての傭兵はもういなかった。

~~~~~~~~


傭兵の殺気は女騎士たちにも届いていた。異様な空気が場を包む。


女騎士「…っ!?」ゾクリ

女兵「何…コレ…心臓を掴まれたみたいな…」ビリビリ

男兵「殺気か…!誰の…」

女騎士「多分…傭兵かな」

魔法使い「う…ああ…押しつぶされそうです…」ガクン

姫「いやぁ…やめて…怖い…」ガタガタ

女騎士「大丈夫です。私がついてますよ」ギュッ

女騎士(何が…あったの…?)


衛兵「あちらは随分と面白い事になってるようだな」

女騎士「誰だ!?」

男兵「新手か…!」

衛兵「私を覚えてないか。まぁ当然だろうな」

女騎士「お前…衛兵か」

衛兵「覚えていたか。まぁそんな事はどうでもいい」

衛兵「よく頑張ったが、ここで終わりだ」

女騎士「何言ってるのさ?」


装束女「そういうことよ、お譲ちゃん!」ドカッ

突然背後から装束女が現れ、女兵を攻撃する。

女兵「うわっ!何でアンタがここに…!」

男兵「倒したんじゃなかったのか?」

装束女「あの程度じゃやられないわよ。よくもやってくれたわね…!」


女騎士「いつの間に…全く!」ダッ

援護しようと女兵達に近づこうとするが、もう1つの異変に気付く。

――バチン!!

術師「無駄だよ」

衛兵「くくく…よくやったぞ術師…」ニヤリ

装束女と同じくして追いついた術師は結界を張っていた。結界の中には女兵、男兵、魔法使い、装束女。衛兵と女騎士、そして女騎士の近くにいた姫だけが外側にいた。

女騎士「やられた…!けど、なんで私は外にいる訳?」

衛兵「誰にも邪魔させずに貴様と戦える。それだけだ」

女騎士「あっそ。っていうか、私を倒す気?」

衛兵「うぬぼれるなよ。貴様は過信しているようだが、周りを見なさすぎだ。私は貴様と同じ、いやそれ以上に強くなっているぞ!」

女騎士(余裕…とはいかないんだよなぁ。あながち本当かもしれないし。それくらい強い)

女騎士「いいよ、相手になってあげる」


女騎士「少し…離れていてください。危険ですので」

姫「う、うん…大丈夫だよね!女騎士は強いんでしょ?」

女騎士「…どうなんでしょう?でも、姫様に期待されては勝つしかありません」

姫「が、頑張って…」


女騎士「さ、やる?」

衛兵「流石の貴様もこの状況じゃ冷静でいられないようだな」

女騎士「どうかな?こっちとしてはやっぱり裏切ったか、って感じで想定内かな」

衛兵「“やっぱり”…だと?」

女騎士「バレバレだったよ。君、野心出すぎなんだよね」

衛兵「なら…わざとこの私を衛兵どまりにしたというのか」

女騎士「そういうこと。残念だったね」

衛兵「くそ…!!やはり貴様は許せん…私のプライドを弄びやがって、貴様を倒し、この屈辱をはらす!」

女騎士「精々頑張って」

~~~~~~~~


フード男「どうした!動きが変わっていないぞ!」ドカッ

傭兵「…っ!」

フード男「俺を…殺すんじゃないのか?」ドコッ

しかしそこで状況が変わった。傭兵がついにフード男の拳を捕らえる。


傭兵「…死ね」グイッ

そして掴んだその刹那、フード男の腕を捻り、そのまま折ろうとする。

フード男(まずい!折られ…ぐっ!?)

――メキメキ…

嫌な音を上げるフード男の腕。再び闇に溶け込んだが、既に腕は折られていた。

傭兵「チッ…」

フード男(何て速さの関節技だ…今の一瞬で完全に折るとはな…)


フード男(そうだ…思い出した…傭兵は完全に無手の暗殺者)

フード男(武器など一切持たない。強いて言えば腕そのものが武器)

フード男(そしてその実力は…右に出る物はいないと謳われたほど…)

フード男(俺の魔法のもう一つの能力…闇に引きずり込む能力も通用せんだろうな)

フード男(相手に触れて発動するのはいいが、逆に触れられたらその時点で引きずり込めん…)

フード男(…こちらも、本気を出そう)


フード男「…行くぞ!」バッ

再び闇の中から現れ、攻撃を仕掛けるフード男。その手には先ほどまでと違い、短刀が握られていた。

傭兵は斬撃を避けると同時にその腕を掴みにかかる。が、掴もうとした瞬間その腕は闇に消えた。そして間髪いれずに次は背後に現れるフード男。先程までとはスピードが段違いだった。

その神速の攻防に少しずつ傷を負っていく傭兵。流石に全てよけきるのは難しい物があった。

傭兵「ちぃぃ…!」


――勝負が動いたのは、一瞬だった。傭兵はフード男の攻撃を避けた瞬間、避けた勢いをそのままに後方へ回し蹴りを叩き込む。それは、まるで吸い込まれたかのようにフード男が蹴りの軌道に現れる。

フード男「ぐあっ!?」ドッシャァァ


完全に頭を捕らえた傭兵の蹴り。吹っ飛んでいくフード男を追いかけるように走り出す。一方フード男は頭に受けたせいで意識が少し虚ろになってしまっていた。

傭兵「まずは足からだ…」バッ

傭兵は軽くジャンプし、地面に横たわるフード男の足に、全体重を込めた膝を打ち付ける。

ぼきりという音が響いたのも束の間、即座にもう一本の足に組みつき、容赦なく折った。

フード男「ぐおぉぉぁぁぁああ!!」

傭兵「はははは!!無様なもんだな!!」


倒れているフード男を見下し、高笑いを上げる傭兵。フード男は抵抗する様子も見せず、ただ眼を閉じていた。

フード男「完全に俺の負けだ。こんな体じゃ何も出来ん」

フード男「そうだな…俺を負かしたついでだ、話をしてやる」

だが、憎悪で一杯の傭兵にはその言葉は届かなかった。止めを刺そうと、腕を振り上げる。

傭兵「知るかよ、死ね」


しかしその腕は振り下ろされる事は無かった。何者かに掴まれる腕。振り返ると見たことのある人物が立っていた。

女剣士「…少し落ち着け」

女剣士(この雰囲気…先ほどの殺気はやはり傭兵の物だったか…)

女剣士(随分と顔つきが変わった。これが本来の傭兵の顔か)

一瞬表情が変わったが、直ぐに元の冷たい表情に戻る。

傭兵「…うるせぇよ、お前には関係ないだろ」

女剣士「関係無いな。だが、こいつは今何かを話そうとしてただろう?」

傭兵「そんなのただの時間稼ぎだ、こんなクズの話なんて聞きたくねぇ」

女剣士「こいつとの間に何があったのか詮索する気はないが、少し頭を冷やせ」

女剣士「色々と情報を持っている可能性も高い。生かして置く価値は充分にある」

傭兵「うるせぇ!俺はコイツを殺してやらねぇといけないんだよ!」

傭兵「邪魔すんだったら、お前も敵とみなすぞ!」


その瞬間、女剣士の拳が飛ぶ。今の傭兵ですら反応出来ていなかった。

傭兵「…!?なにすんだよ!」

女剣士「好きなだけ、相手になろうか…?頭を冷やせと言ってる」

その威圧的な口調に、傭兵は少しひるむ。そのお陰ですこし平静を取り戻す。

傭兵「…あぁ、分かったよ。でも、コイツとは俺一人で話をさせてくれ」

女剣士「その言葉、信用していいんだな?」

傭兵「殺しはしねぇよ。コイツが余計な事言わなけりゃな」

フード男「安心しろ…今さら逆上させるような事は言わん…」

傭兵「だ、そうだ」

女剣士「そうか、分かった。じゃあ私は行くとしよう」

傭兵「…悪かったな。その…ありがとな」

女剣士「いや、気にするな」

女剣士(良かった。随分と憎しみに駆られているからどうしたものかと思ったが)

今日はここまでにします。

皆さん女剣士の強さを疑ってますね…これは私の表現の仕方を誤りました…
ですので少し女剣士無双を始めようかなと思います。

ではでは

さまざまな意見をありがとうございます。
これについては理由付けをしていきたいと思いますのでお待ち下さい。

では投下します


傭兵「で、話って何なんだよ」

フード男「…あの事件についてだ」

傭兵「ちっ…今さら何を話すっていうんだよ…俺のせいじゃないとでも?」

フード男「そんな事は言わん。原因は俺にあるのは事実だ」

傭兵「さっきとはまた随分と言い分が違うじゃねぇか」

フード男「そう睨むな。それも説明する」

傭兵「それに、お前随分と余裕だな。お前はこの計画の中心人物なんじゃないのかよ」

フード男「俺はもうやるべきことを果たした。全て計画通り…だから俺などもう必要ない」

フード男「貴様に負けることも計画通りと言えば計画通りだが…まさか四肢を三つも持っていかれるとはな」

傭兵「俺に負けるのが計画通り…?お前、一体何なんだ?」

フード男「それは今から俺が話すことには関係の無い話だ。悪いが答えられん」

傭兵「…分かったよ。俺は拷問には向いてないからな」

フード男「まずは何から話すか…」

傭兵(あの…事件か…)


―――
――――――

――――――――――――――――


~数年前~



傭兵「ふぁぁ、ねみ」ゴシゴシ

傭兵「ったく、深夜の仕事は眠すぎてやってられないぜ」

???「シャキッとしろっ!!」ドンッ

傭兵「うおおっ!いきなり何すんだよ…遅れてきた癖に…」

女暗殺者「ははっ、わりぃわりぃ。すねんなって」

傭兵「…すねてねぇ。さっさと仕事終わらせて帰るぞ。眠いし」

女暗殺者「あんた、暗殺者だってのに夜に弱いって…ねぇ?」ププッ

傭兵「笑うなよ!俺は昼型なんだ、健全なの!」

女暗殺者「の割に昼は寝っぱなしじゃねぇか」

傭兵「ほっとけ」


女暗殺者「んで、今日のターゲットは?」

傭兵「なんか、ある国の要人の暗殺だとよ。簡単だ」

女暗殺者「もうあんただけでやって来てよ。アタシは行かなくても大丈夫だろ?」

傭兵「駄目だ。俺だけ行くのは不公平だ。行くぞ」

女暗殺者「…ったくガキかよ。まぁついて行くけどさ」

傭兵「本当はついて行きたかったんだろ?」ニヤリ

女暗殺者「そんな訳あるかよ。寝ぼけてんじゃないのか」

傭兵「素直じゃねぁなあ」ニヤニヤ

女暗殺者「うるさい!オラ置いてくぞ!」タッタッタッ

傭兵「待てよ!すねんな!」

女暗殺者「すねてねぇ!」

~~~~~~~~


女暗殺者「あ、そうだ」

傭兵「どうした?忘れものか?」

女暗殺者「いや…いつものアレ、まだやって貰ってねぇ」

傭兵「ああ、アレな。別にいいけど…」

女暗殺者「早くしてくれよ。やってくれないと調子狂うんだよ」

傭兵「で?本当はどうだったんだ?俺について行きたかったんだろ?」

女暗殺者「な、なんでそんな事言うんだよ!関係ないだろ!」

傭兵「ほ~う?ならアレは今日はやめようかな~」ニヤニヤ

女暗殺者「ひ、卑怯だぞ!こんな時だけ!」

傭兵「なんとでも言え!はっはっはっ!」

女暗殺者「うぅ…ついて…い…いき…」

傭兵「聞こえねーなぁ?もっとはっきり言ってくれないと」

女暗殺者「い、意地悪すんな…」


傭兵「俺は意地悪なんかしてないぞ?お前の本心が聞きたいだけだ」ケラケラ

女暗殺者「馬鹿が…!わ、分かったよ!あ…あんたについて行きたかったんだよ…!///」

傭兵「よく言えました。最初から素直になりゃよかったのになぁ?」

女暗殺者「ほら!言ったぞ!いいだろこれで!」

傭兵「はいはい、ほらよ」ナデナデ

女暗殺者「ふへへ、やっぱりこれだな~」

傭兵「ほんと好きだなぁお前も」ナデナデ

女暗殺者「いやだって落ち着くんだもんよぉ…うへへ」

傭兵「顔緩み過ぎだっての。ったく可愛いなお前は」

女暗殺者「嬉しい事言ってくれるねぇ。惚れただろ?」

傭兵「まぁな」ピタッ

女暗殺者「あ!もう終わりかよ!もう少し!」

傭兵「やだよ。今日の分は終わりだ」

女暗殺者「ちっ!また明日だからな!」

~~~~~~~~


傭兵「おっかしーな…そろそろここを通るはずなんだが…そっちはどうだ?何か見えたか?」

女暗殺者「そうだな…こっちは…ぷはっ!変なおっさんが歩いてるぞ!なんだよあの格好…くくっ」

傭兵「変なおっさん…?って、ターゲットだよそいつ…明らか変装してるのバレバレじゃねぇか」

女暗殺者「お、そうだったのか?わりぃな」

女暗殺者「んじゃ、いってらっさい。アタシは見てるから」

傭兵「たまにはお前も行けよな…」

女暗殺者「…考えとくぜ」

傭兵「んじゃ一仕事しますかね」ヒュン



傭兵は段々と、ターゲットと呼ばれる男に忍び寄る。まだ、気付かれてはいないようだ。

彼はいつも、後ろから忍び寄り一瞬でターゲットの首の骨を折る。一般人相手なら一番確実である傭兵の常套手段だった。

傭兵はある程度距離を詰めると、一旦屈み力を込めた後、地面を蹴る。恐ろしい速度でターゲットに近づく。

そして今日も、それに乗っ取り首の骨を折って終わり。すぐに帰れる。全てがいつも通り。







――の、筈だった。







――“いつも通り”は、突然崩れ去る。







――音もせずに、ただ淡々と。

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ミスりました…






――の、筈だった。







――“いつも通り”は、突然崩れ去る。







――音もせずに、ただ淡々と。







傭兵「――っ!!」ピクッ

今まさに、ターゲットの首を折った瞬間。突如謎の影が傭兵を後ろから襲う。

その手には短刀。その牙は傭兵を捕らえんとしていた。


傭兵(なっ…!どっから現れた…いつから?気配すら…)


獲物を狙うその一瞬。そこをつかれてしまったのだ。しかも相手は気配すら、その手段すら理解させない程の使い手。

避ける術は、完全に無かった。全てが完璧なタイミングだった。


――スパァッ!


肉を斬り裂いた斬撃音。傭兵の眼には鮮血が宙に舞う様子。しかしそれは自分の物ではなかった。


女暗殺者「あ…ぐぅぅ…!!」ポタ…

女暗殺者「ま…にあったか…」ガク


斬撃を受けたのは女暗殺者だった。傭兵よりも早く影の存在に気付いた彼女は一目散に駆けだし、身代わりとなったのだった。

しかし女暗殺者は少し余裕があった分、致命傷は避けることができた。


傭兵「女暗殺者ッ!!」


すぐさま影の主を見る傭兵。その男は一瞬舌打ちした後、まるで溶けるように姿を消す。

女暗殺者「おお…いってぇ…無事で何より」

傭兵「んだよ、ちゃっかり軽傷ですましてんじゃねぇか!」

女暗殺者「感謝しろ感謝。殺されてたぞあんた」

傭兵「…ありがとな。それにしてもアイツはなんだ…?何が起きたか分からなかったぞ」

女暗殺者「アタシはずっと見てたけど、どう見てもいきなり現れたとしか…ぐっ?」ヨロッ


突然苦しみだす女暗殺者。

傭兵「大丈夫か!毒でも仕込まれてたのかもしれない…!早く治療に戻らないと」

女暗殺者「う…ぐああぁあ!!に…げろ…」

傭兵「え?何言って…」

女暗殺者「アタシから離れろっていってんだよ!!」ドンッ


思い切り傭兵を突き飛ばす女暗殺者。彼女はさらにも増してもがき、悲鳴を上げる。

女暗殺者「い…や…うあああああああ!!!」

傭兵「おい!どうしたってんだよ!」

ゆっくりと、ふらふらとしながら立ち上がる女暗殺者。その眼は焦点が合っておらず、狂気の色を映し出していた。

女暗殺者「アタシを…殺せ…もう…間に合わ…あああああああああ!!!」


突然奇声をあげ女暗殺者が傭兵に襲い掛かる。既に正気を失っていた。

傭兵「どうしちまったんだ…!おい!答えろよ!」


その言葉は届かない。得物を手にし、確実に殺しにかかっていた。

傭兵(焦点も合ってない…動きも滅茶苦茶…やっぱりあの武器に毒が…?)

傭兵(平常心や自制心…精神を破壊する毒…?聞いたこともねぇが、こうなったのはほぼあの攻撃を受けたことで間違いない)

傭兵(どうするか…気絶させれば楽だけど、コイツ相手にそう簡単にいかねぇしな…)

そう、2人の実力は拮抗していた。お互いにトップクラスの実力を持つ暗殺者同士だった。

それ故戦いは激しさを増してしまっていた。段々と、枷が外れていく。

自体は最悪の方向へ、転がりだす――

~~~~~~~~


傭兵(くそっ!強ぇ…全くの互角とは思わなかったぜ…こんな機会で戦うとは思わなかったが)


息もつかぬ攻防。壮絶な戦いは長く続いていた。しかし気を使ってしまっている分、傭兵がやや防戦よりだった。

この完成されたかのような戦いは、少しでも歯車が狂えば崩壊し、すぐさま決着がつくだろう。

傭兵(魔法を使ってこないのは助かるぜ…って、魔法を使われたら勝てないって事じゃねぇか…なんか癪だな)


一瞬の気の緩み、それが歯車を狂わせてしまった。女暗殺者が、傭兵の背後に回る。

傭兵(しまっ…)


本能的に命の危機を察知した事で、枷が外れてしまった。反射的に、腕を突き出す。

素手で戦う事を極めた傭兵のその腕は、時として剣にもなり得ていた。


――ずぶり。


傭兵「あ」

生々しい、人を貫く感触。気付いた時には傭兵の腕が、女暗殺者の胸を貫いていた…

~~~~~~~~


女暗殺者「ぐ…ふ…ああ…やったんだな…」

傭兵「あ…ああああ…」


俺は何をしている?俺は…

傭兵「お…俺は…なんで…うあぁぁ…違う…」


俺じゃないおれじゃないオレジャナイ…


女暗殺者「なんて顔…してんだ…げほっ」ビチャ

咳と同時に大量の血が。これじゃあ、もう…

傭兵「そ…そうだ!早く治療しねぇと…」

それでも、諦めずにはいられなかった。

女暗殺者「よせよ…この傷じゃもう無理だ」

その言葉に絶望するしかなかった。自分は何もできなかった。

傭兵「うるせぇ!諦めてんじゃねぇ!」

ぶっちゃけこの女剣士ならタイムリ-プくらいサラッとできるんじゃないかな~、と。


女暗殺者「まぁまぁ、聞いてくれよ…最後の言葉ってヤツをよ…」

なんでだ…なんで…

女暗殺者「そうだな…今までの事なんて語ってもなんの面白みもねぇよな、普通すぎる」

なんで…そんなに幸せそうな顔してんだよ…

傭兵「俺が…!悪かったよぉ!悪かったから…ごめん…!」ポロポロ

女暗殺者「分かってるよ。あんたは何も悪くない。大丈夫だ」ワシャワシャ

傭兵「ごめん…ごめんなぁ…!」

俺にはもう、謝ることしか、出来なかった。

女暗殺者「だから謝るなって。アタシは恨んでなんかねぇし、それにあんたに殺されんなら本望だーってな」クスッ

この態度を見てると、まだ生きれるんじゃないかと期待してしまう。それが余計に悲しかった…

女暗殺者「まぁ何だ…あんたを守ってやれたんだ。それだけで充分だぜ」

傭兵「逆だろ…!俺が守ってやるべきだったのに…」

女暗殺者「アタシも同じ気持ちだったってこった。分かってくれよな」

傭兵「分かんねぇよ!分かってたまるか…」

俺は…何のために力を持っていたんだろうか…


女暗殺者「1つだけ…さ。弱音吐いてもいいよな」


女暗殺者「もっと…ずっと一緒にいたかったなぁ…」

深く心に突き刺さった。もう…命の灯は僅か…そう訴えているようで…

女暗殺者「と、そうだ…ちょっと頼みがあるんだが」

傭兵「な、なんだ!何でも言ってくれよ!」

どんな事でもしてやる。お前が喜ぶなら。

女暗殺者「もう一回さ…撫でてくれねぇかな?今日の分は…もう使っちまったけどさ」

傭兵「いいに決まってるだろ…!いくらでも撫でてやるから…!」ナデナデ

これが…最後…?


女暗殺者「ありがとう…な…やっぱ…落ち着くなぁ」

ついに眼を閉じてしまった。待ってくれ、まだ行かないでくれ…

傭兵「おい、眼ぇ閉じてんなよ!俺を…ちゃんと見てくれよ…」

その思いが通じたのか、薄眼を開け、俺を…見てくれた。

女暗殺者「よう…へい…?」

声も…まともに喋れなくなってしまった。

傭兵「なんだ?まだ撫でてるぞ…!今日はいつまでも…こうしてやるから」ナデナデ


女暗殺者「…だい…す……き………だ」


アイツの時間が、止まってしまった。最後まで…笑ってた…

傭兵「うああああああああ!!!」

俺は…無力だ…泣き叫ぶことしかできない…


なんでこうなった?だれのせいだ?おれ…なのか…

でも、その時確かに感じた。目の前に、誰かいる。

傭兵「おまえは…!!」

さっきの男だ。そうだ、コイツのせいじゃないか。全部…コイツが…!!

傭兵「てめぇさえいなけりゃ…!!」ギリリ

顔は隠しててよく分かんねぇが…何だ…怒ってるのか…?

ふざけんなよ…キレてんのはこっちだ…


傭兵「うおおおおらあああ!!」

男に跳びかかったが、まるで幻影だったかの様に消え、俺は地面を転がった。


傭兵「くそ…くそおおぉぉぉぉおおお!!!!!」

何処にもぶつけられないこの感情をどうすればいいか分からない。それ以前にこれからどうすればいい…?

~~~~~~~~


それから、俺はアイツを埋めてやった。気が狂いそうになった。

死んだ眼で街に戻って、事情を聞かれたけど依頼は果たした事だけを伝えた。

後で聞けば、ずいぶんとおぞましい顔をしてたらしい。ブツブツ何か呟いてたみたいだ。

ああそうだ。たしか行きつけの酒場のマスターには話したんだっけ。


それから、俺は家に閉じこもっていた。何度かドアを叩く音がしたが、全部無視した。

完全に外との交わりを絶った。暗殺者も、やめた。

毎日、ベッドの上で寝ているだけ。このまま死んでもいいとさえ思っていた。

でも、アイツの事を思い出して、生きる事だけはしようと思った。


外に出たのは引きこもってから一年は経ったか。俺は引っ越すことにした。

だが、引っ越し先で眼をつけられちまった。毎日毎日この国がなんだとうるさい。

俺はもうやめたと言っても聞かない。俺はイラついて、つい俺を倒せたいいとか言っちまった。

多分、まだ正気じゃなかったんだろうなぁ。少しずつ立ち直ってはいたと思うが。

で、見事に負けた。また俺はこの世界に戻っちまった訳だ。

今日はここまで。結構ハードですが別に誰も闇落ちとかしないので安心を。

>>408
それチートすぎません?でもいいと思います。


ではでは

――――――――――――――――

――――――
――


傭兵「で、あの時俺を襲ったのはお前で間違いないんだろ?」

フード男「ああ。だが、驚いたぞ。一度引いて、また様子を見に行けば女が死んでいるのだからな」

傭兵「お前が…変なもん武器に仕込みやがるからだろうが!」

フード男「落ち着け。俺もそこがどうも腑に落ちん」

傭兵「あ?何言ってやがる。お前が仕組んだ事に何が…」


フード男「俺は…あの時武器に何も仕込んでいないぞ?」

傭兵「…え?」

フード男「本当の事だ。俺はいたって普通の短刀を使った。毒も何もついて無かった」

傭兵「そんな…じゃあ、まさか」

フード男「そういうことだ。元凶は俺じゃない。また別の第三者がいたということだ」

傭兵「そんなデタラメ…」

フード男「さらに信じられんかもしれんが、あの女…いや女暗殺者は俺の幼馴染だ」


傭兵「なっ…!?ま…待てよ、何がなんだか…」

フード男「そうだな、順を追って話そう」


フード男「俺は、貴様ら2人の排除を任されていたんだ」

傭兵「なんで…俺たちが狙われなきゃいけないんだよ」

フード男「…運が悪かった。その時は丁度、お互いの依頼人は敵対関係だったのだ」

フード男「だが、標的がまさか幼馴染とはな。俺は苦悩したよ」

フード男「悩んだ末、俺は決意した。せめてもと傭兵、貴様を狙う事にした。俺は最後まで女暗殺者を殺す決意はできなかったわけだ」


フード男「しかしそこで問題が起きた。俺はある時女暗殺者に気付かれてしまったんだ」

傭兵「え…?じゃあ、なんで…」

フード男「その時アイツはこう言った。“別に止めはしない。ただ、アタシ達はそう簡単に殺されないぜ?”とな」

傭兵「アイツ…らしいな」


フード男「俺は馬鹿馬鹿しくなったよ。俺は仕事を降りる事にしたんだが…」

傭兵「じゃあ…何で?」

フード男「上からの圧力がかかってな。降りる事が許されなかった」

フード男「それに、俺は貴様を殺したいと思ってしまった。あの言葉でどうやら俺はまた惚れてしまったらしい」

傭兵「“また”ってことは…」

フード男「ああ、一度は捨てた思いだ。道の違いで諦めていたが…」

フード男「…情けない話だ。ただの愚かな嫉妬だよ」


フード男「そしてあの日、俺は貴様を狙った」

フード男「しかし結果は知る通り、アイツに庇われ阻止された。俺は一度退散することにした」

フード男「そしてもう一度戻って来た時、俺は言葉を失ったよ」

フード男「大量に血を流しながら横たわるアイツと、血にまみれた傭兵」

フード男「俺は直感した。貴様が殺したとな。はらわたが煮えくりかえったよ」

フード男「そして貴様を殺してやろうと目の前に現れたはいいが、貴様は俺を見るなり鬼の形相で襲い掛かるときた物だ。とっさに逃げてしまったよ」

傭兵「だからあの時、怒ってたのか…」


フード男「そして後から一部始終を聞いて驚いたよ。すっかり俺が犯人だ」

傭兵「それなら早く言ってくれれば…」

フード男「もちろん、貴様に真相を話そうかと思ったが、恐らく話を聞かなかっただろう?」

傭兵「それは…否定できねぇ…」


フード男「それに、アイツは全てを見こしていたようだ」

傭兵「どういうことだ?」

フード男「あの日から数日後、自宅で手紙を見つけたんだ」

フード男「おそらくアイツは想定していたんだ、あらゆるケースをな」

フード男「一番望まない、最悪のケースになってしまったがな…」

傭兵「一体…いつそんな手紙を…」

フード男「アイツの魔法だろう…“物質転送術”なら容易い」

傭兵「確かに…でも、何で俺には何も…言ってくれなかったんだよ」

フード男「想定していただけで、最後まで…俺を信じていたんだろうな…」

傭兵「…1人で背負い込むのも、アイツの癖だったな」


傭兵「で、その手紙ってのは?」

フード男「驚いたよ。本当に何処まで見通していたのか…まず初めの言葉が“この手紙って事は、アタシは傭兵のために死んじまった訳か。”だからな」


傭兵「…っ」ズキ

フード男「その内容は、大きく分けて2つあった。1つは、俺についての事だ。これは貴様には言ってやらん」

傭兵「…まだ妬んでんじゃねぇか」

フード男「冗談だ。そしてもう1つは、貴様についてだ。」

フード男「これも面白いくらい当たっててな。多分暗殺者をやめるとか、自分のせいだと塞ぎこむとかな」

傭兵「はは…当たってやがる」

フード男「そして、そんな貴様を助けるようにと書いてあった。傭兵を、腐らせないでくれとな。全く、大物だよアイツは」

フード男「そして最後はなんて書いてあったと思う?“ごめんな”だと」

フード男「アイツは俺すらも許すどころか、自分のせいで周囲が悲しむ事に謝罪してたよ」

傭兵「…ったく、やさしすぎんだよ。少しは他人を頼れっての…」

フード男「その言葉、今の貴様にもそっくり返してやろうか?」


フード男「そして俺は考えた。どうやって貴様を助けるかをな」

傭兵「はははっ、俺を殺したいんじゃなかったのかよ」

フード男「馬鹿言え、惚れた女の頼みを断るやつがあるか」

傭兵「…違いねぇ」

フード男「だが、俺は建前上女暗殺者を殺した犯人…下手に接触すれば危険だと思った」

フード男「だから今…自分である程度立ち直った辺りを狙ったんだ」

傭兵「の割には全然助けるそぶりも無かったじゃねぇかよ」

フード男「このまま真相を語っても、本当の意味では吹っ切れないと思ったのでな」

フード男「それにアイツの頼みは腐らせないでくれだ。貴様にはちゃんと暗殺術も使ってもらわねば困る」


傭兵「だから…一々俺を挑発して…?」

フード男「そういうことだ。しかし挑発したのはもう1つ理由がある」


フード男「貴様は自分のせいだと背負いこみ、自分自身に楔を打ち込んでしまったそうだな」

傭兵「うるせぇ…それが俺の償いだよ。つーかなんでそんなこと知ってんだよ…」

フード男「旅人の酒場――あそこのマスターとは知り合いでな」

傭兵「そういう事かよ…マスター…人の事をベラベラと」

フード男「いや、俺が頼んだんだ。マスターにも貴様を本当の意味で立ち直させる事に協力してもらった」

フード男「話を戻すが、今のお前はあの事件を引きずっているだけで、立ち直るとは程遠い。何をするにもそれが貴様を縛り付けた筈だ」

フード男「だからわざとあの事件を再び思い出させた。どういう反応をするかとな」

フード男「結果、貴様は感情をむき出しにして、俺に襲い掛かった。ここまでは予想通りだ」

フード男「問題はそのあとだ。そのまま我を失い俺を殺すか。それとも思いとどまるのか」

フード男「前者なら…残念だが、この作戦は失敗。俺が貴様に真相を話す事も無かっただろう」

フード男「だが貴様は第三者から止められたとはいえ、思いとどまる事が出来た。ちゃんと話を受け入れる余裕が出来たというわけだ」

傭兵「…回りくどいというかなんというか…」

フード男「仕方あるまい。こうでもしなければ貴様と落ち着いて話も出来なかったろう」


傭兵「分かった…お前を信じてやる、お前を恨みもしねぇよ。でもな」

傭兵「原因がどうであれ俺が殺したっていう事実は変わらない訳だし、その事だけは俺は償っていかなきゃならないんだ」

フード男「アイツがそんなこと望んでいなくてもか」

傭兵「ああ…これは俺自身の問題だ。単なる自己満足かもしれないけどな」

フード男「何故そこまで背負いこもうとする?自分を許してやらない?」

傭兵「さぁな、自分でもよく分からない。ただ、ありがとよ。俺のために色々動いてくれた事には感謝してるぜ」

フード男「…」

傭兵「それよりも、その第三者ってのが気になる。事によっちゃソイツを…」グッ

フード男「悪いが俺には何も分からん。第三者がいるというのも仮定にしかすぎん、あくまで可能性の1つとして捉えておけ」

フード男「それよりも、長話が過ぎた。貴様も早くいってやれ。時間はないが、まだ間に合うはずだ」

傭兵「お前、本当に何者なんだ…?」

フード男「…そこは詮索しない約束だろう」

傭兵「…不思議な奴」

~~~~~~~~


フード男(結局、失敗か。傭兵はまだ引きずり続けるだろうな)

フード男(何が傭兵をそうさせているのか。おそらく恐怖と罪悪感)

フード男(また失うかもしれないという恐怖と、自分が殺してしまったという罪悪感)

フード男(そのしがらみを解いてやらなければ傭兵は吹っ切れない)

フード男(やはり、俺程度の言葉では駄目だったようだ…すまないな、女暗殺者…)

フード男(だが、傭兵には仲間がいる。後はそいつらに託すしかあるまい)

フード男(なれない事をしたな…人に気を使うなんて、俺には一番苦手な事なのだが)

フード男(さて、これからどうするか…身動きも取れん…)

~~~~~~~~


装束女「話にならないわね。2人がかりでその程度?」

手をひらひらさせながら呆れた顔で呟く装束女。その眼前には横たわる女兵と男兵がいた。


男兵(こいつ…強すぎる…!2人でも手も足も出ないなんて…)

女兵「るっさい…これからよ、これから!」ググッ

ゆっくりと立ち上がる女兵。その眼にはまだ闘志が宿っていた。

男兵(駄目だ…震えて立てない…何故女兵は立ち向かっていけるんだ…)

一方男兵は圧倒的な実力差による恐怖に押しつぶされそうになっていた。

女兵「…男兵?」

男兵(立たなきゃいけないのは分かってるのに…情けない…!)プルプル


装束女「あら、そっちの子はもう戦意喪失?実力もだけど、心も弱いのね」

男兵「っ…!」

男兵(何も…言い返せない…!)

女兵「馬鹿にするなぁ!」ブン

女兵が踏み込み、横なぎに剣を振り回す。装束女は容易く後ろに飛びのく。


装束女「あら、何で貴方が怒るの?面白いのね」

女兵「仲間を馬鹿にされて黙っていられるほど穏やかじゃないのっ!」

装束女「威勢がいいのは構わないけど貴方…そろそろ限界なんじゃないの?」

その言葉に一瞬顔を歪ませる女兵。確かに足も小刻みに震え、剣筋も段々と鈍っていた。


女兵「そ…そんなこと…」

装束女「それと…さっきの借りを返さないとね」ギロッ

恨みのこもる眼で睨みつける装束女。そして同時にその足で地面を蹴った。

装束女「精々、抵抗してみなさい!」

それは踏み込みというにはスピードが速すぎた。地面を蹴ったのも束の間、既に間合いに詰めよる。


女兵(速…間に合わない…!)

女兵の疲弊しきった体では反応する方が無理な話だった。避ける足もまともに動かず、ガードしようとする手も攻撃には追いつかない。

そして女兵の腹に容赦ない拳が飛ぶ。その拳はメリメリと音を立てながら女兵に深く食い込んだ。

女兵「あ…ふ…?」

装束女が拳を振りぬくと、女兵は少し吹っ飛び、そのまま倒れ込む。

女兵「かはっ…げほっげほっ…おうええぇ!」ビチャ

視界がチカチカする。意識も飛びそうで、呼吸が上手く出来ず、息を吐くとそれだけで血とともに嘔吐してしまった。

腹パンに定評のある女兵さん。絶対痛いです

とりあえずここまでにします。もしかしたら夜また投下出来るかもしれません。
では

乙が三連…これがジェットストリーム乙という奴ですかわかりません

では投下します。


男兵「女兵…!」

魔法使い「女兵さん!」

男兵(クソッ!何で動かない!見殺しにしていいのか!)

装束女「どう?今のは結構本気だったんだけど」

女兵「う…ぐううぅ…げほっ!」

女兵(痛いぃぃぃぃいぃ!全身がしびれる…息が…!)

装束女「喋れない程痛かったの。可哀想に…でもまだ寝るには早いの」グイッ

倒れている女兵の髪を掴み、無理矢理引き上げる装束女。

女兵「い…痛…きゃああ!」

装束女「またさっきみたいに魔法でも使ってみる?どうせまぐれだったんでしょうけど」

女兵「はな…してよ…!」

その反抗的な態度が、装束女の気を触れる。

装束女「まだそんな態度取れるの…!もっと痛めつけなきゃ分からないようね!」

男兵(動け…動けよ!まだ動くはずなのに何やってんだよ!悔しく…ないのか!)


装束女「生意気なのよ…雑魚のくせして気持ちだけは一人前みたいに…あら?」

魔法使い「離してください!」ボォッ

控えめの火球が装束女を襲う。が、腕で軽く吹き飛ばされる。

魔法使い(やっぱり…こんな程度じゃ効かないですよね…でも、こんなところで力を出したら皆死んじゃう…)

装束女「貴方、やっと攻撃したと思ったらそれ?話にならないわね」

装束女「正直いたのにも気付かなかったわよ。それとも何、貴方から死ぬ?」ギロッ

魔法使い「ひぃっ!」ビク

装束女「じゃあ黙ってなさい。いい?次出しゃばったらあなたから殺す」

魔法使い「は、はい…」

魔法使い(な、情けないです…)ショボン


装束女「さて、じゃあどうやって痛めつけようかしら…」

その時、装束女の視界に1つの影が映った。

装束女「…意外ね。もう立ち上がれないと思ったわ」

男兵「女兵を離せ…」

男兵(逃げるな…気持ちですら負けてどうする!)

装束女「いいわよ、代わりに貴方が遊んでくれるならね」パッ

女兵「あっ…ううぅ…」ドサリ

装束女から解放され、力なく倒れ込む女兵。


男兵「よくも女兵を…許さんぞ」

先ほどまでとは打って変わり、憶している様子は全くなかった。真っすぐ敵を見据え、勝つ事を考えていた。

男兵(駄目でもともとだ。精々足掻いてやるさ)

装束女「いい表情、ちゃんと期待に応えてよ?」

男兵「どうだかな、行くぞ!」

~~~~~~~~


男兵「が…はっ…」ガクン

膝から崩れ落ち、剣を杖のようにして踏みとどまる男兵。


装束女「やっぱり威勢がいいだけなのね、残念。いい線は行ってたと思うけど、まだまだね」

男兵「くっ…」

男兵(やはり気持ちだけでどうこうなる物じゃなかったか…)

装束女「もう貴方の実力は知れたし、今度は私の遊びをしようかしら」

男兵「遊びだと…?ふざけるなよ…!」

装束女「ふふっ、貴方に選択権はないのよ」

男兵(ヤバい…何かくる…)

装束女「またその心を折ってあげる。貴方には絶望を教えてあげる」

そして傍らに倒れている女兵に眼をやる。

装束女「貴方にも、ね。動けない体でお友達が壊されるのを見てなさい」

女兵「や…やめて…!」


魔法使い「はぁっ!!」ゴォッ

先ほどの物より数段大きい火球を放つ魔法使い。魔力を集中させやっとの事でギリギリの大きさにする事が出来た。

魔法使い「これなら…受けきれませんよ…!」

装束女「あら、言わなかった?出しゃばったら殺すって」

魔法使い「え?」

唐突に後ろから声が聞こえた。そしてすぐに首に衝撃が走り、意識が薄れていく。

魔法使い「くぅう…」バタリ

装束女「気絶してなさい。貴方は殺す価値も無いわ」

女兵「魔法使いちゃんまで…くそぉ…」


そして、再び男兵に向き直る。

装束女「さて、邪魔が入ったけど覚悟はいいかしら?そろそろ行くわよ」

男兵「来い…!俺は壊れん…」

装束女「そうこなくちゃね。壊しがいがある…」ニヤリ

そう吐き捨てると、装束女の姿が消えた。


いや、消えたのではない。正確には消えて見えるほどの速度で動きまわっているだけだった。

装束と言う動きやすさだけを追求した服装と、暗殺者特有の移動術がそれを可能にしていた。

男兵(…流石に想定外だ。本当に死ぬかもしれないな…)

――ドゴッ!

男兵「ぐっ…!?」

攻撃された、としか認識できなかった。拳か、蹴りか。それすらも分からなかった。

――ザシュッ!

男兵「ちぃっ!」

今度は斬撃。頬が切れる。相変わらず姿を捉える事は出来ない。

男兵(どこだ…どこから来る!)

――バキィ!

顎を打ち抜かれる。脳が揺れ、意識が朦朧とし始める。

よろけ、後ろに倒れ込む所に起きあがらせるかのように背中に衝撃が走る。


そこからは絶え間なく攻撃の雨が降り注いだ。意識が飛びそうになる衝撃でも、刹那の攻撃で無理矢理覚醒させられる。

そしてしばらくしてようやく攻撃が止んだ。無言でその場に崩れる男兵。悲鳴すら上げる事が出来なくなっていた。

男兵「う゛あ゛ぁ゛…」

装束女「どう?絶望の味は」

女兵「い…いや…男兵…」

冷徹な声で言葉を浴びせる装束女。

装束女「でも、そうねぇ。貴方には死んでもらおうかしら?」

装束女「貴方の反応も見てみたいし」

女兵「や、やめなさいよ!そんなことしたら…」

装束女「したらどうなるのかしらねぇ?ちょっと確かめてみましょうか」スッ

ぐったりとしている男兵に、装束女の腕が伸びる。


男兵「うぐっ?」

その腕は男兵の首まで伸び、締め付けた。

男兵(く…首を…息が…)

男兵「か…かはっ…ぎぃぃ…!」

その腕は徐々に力を増していく。ミシミシと音を立てる。

女兵「や…やめてよ…!死んじゃうじゃない!」



女騎士「ちょっと!ヤバいんじゃないの?」

衛兵「よそ見する暇があるのか!」ブオォン

鋭い突きが女騎士を襲う。

女騎士「っと!危ない…。っていっても助けることも出来ないし…」

衛兵「残念だったな。貴様は部下の命を見殺しにするしかないんだよ」

女騎士「分かった…せめて、君を倒す!」

衛兵「くくく…そうこなくてはな…」


装束女「そろそろ死んじゃうかしら?どこまで耐えるのかしらねぇ…」

男兵はもがくが、それはもはや抵抗にすらなっていなかった。

女兵「やめてぇぇぇぇーー!!」

女兵もまた、叫ぶしか出来なかった。


術師(可哀想に。彼女のおもちゃにされてしまっては同情するしかない)

術師(僕ですら恐怖するよ。でも、もう男兵は終わりだね。本当に殺され…うん?)


その瞬間、影が術師を覆った。


その影は術師の頭を掴み、そのままの勢いで速度を増し…

――ドガアァ!!

地面に思い切り叩きつけた。抉れる石作りの床。術師は何をされたかも把握しないまま意識を失った。


装束女「な…なんなのっ!?」

男兵「…っはぁあぁ!!げほっげほっ!」

その出来事に動揺し、腕が男兵から離れる。


影は、いつの間にか装束女の目の前にいた。その手には剣が握られており、既に振り上げる態勢だった。

装束女「は…!?」

――スパァッ

剣先が装束女を掠める。装束女はギリギリの所でかわしていた。


装束女「な、何なのよ貴方…!」ポタポタ

女剣士「ちっ…掠っただけ…か」

フードを深々とかぶり、目元まで覆うバンダナ。影の正体は女剣士だった。剣を二、三度振り、血を払う。


装束女「それ以前に何処から…?結界は貼ってあったはずよ!」

動揺しているのは装束女だけでは無かった。沈黙に包まれる空間。

女剣士「話す義理はない。勝手に想像するんだな」

女兵「誰…あの人…」


女騎士「本当に、いいタイミングだよ…!」ニッ

衛兵「何者だ…!結界をどうやって…?」

女騎士「ほら、よそ見しない!」

先ほどの仕返しとばかりに突きを繰り出す女騎士。

衛兵「くっ…だが貴様だけは逃がさんぞ!」

女騎士「望むところだよ」



装束女(この男…強いわね。本気出した方がよさそうだわ)

装束女「そう。なら貴方を殺すだけよ」

女剣士「…」カチャ

剣を納める女剣士。その行動が装束女の神経を逆なでする。

装束女「何舐めてるのよ!…いいわ、すぐに分からせてあげる!」

そして再び装束女の姿が消える。


しかし女剣士はあわてる様子を見せない。

女剣士「中々の速度だ。だが」

それどころか、今度は女剣士の姿まで消えた。


装束女(な…私でも見えない…何処に行ったの…?)

女剣士「後ろだ」スッ

お互いに消えるほどの移動をしながら、女剣士は装束女の後ろを取っていた。

装束女(しま…)クルッ

女剣士「オラアァァ!!」

振り返りすぐそこにあったのは、女剣士の頭だった…。

――ガツゥン!!

その瞬間2人の姿が現れる。装束女は顔から血を流しながら吹き飛ぶ。


女剣士「…ふぅ。中々石頭だな」シュウゥ

装束女は何か言いたげに上体だけを起こす。

装束女「なんなのよ…頭突き…って…」ガクッ

そして力尽きたかのように倒れるのだった。

今日はここまで
ここから女剣士さん無双です。突っ走ります

ではでは


女兵「なんか…これ前にも見た事あるような…」

男兵「終わったのか…?何が何やら…」

魔法使い「ううう…頭がくらくら…あれ?」


女剣士「大丈夫かお前ら。そうとうやられたみたいだが」

魔法使い「あ!来てくれたんですね!おんな…」

すぐに女剣士の視線が突きささる。

魔法使い「…じだったのに途中からいなかった時は心配したんです…」

女兵「取りあえず…助けてくれたって事は味方、よね?」

女兵(でも、違うよなぁ。どう見ても男の人だし。でもどこか似てる気も…)

男兵(今の間は何だったんだ?)

女剣士「おい、そっちは手を貸さなくてもいいのか」

戦っている2人に声をかける女剣士。


女騎士「大丈夫!先に進んで!」

とだけ帰ってきた。


女剣士「お前らはもう休め。そんな体じゃもう無理だろう」

男兵「いや…俺はまだついて行く」

女剣士「その体じゃ邪魔になるだけだ。足手まといは困るんだ」

女兵「私も…行きたい。迷惑はかけないから…!」

魔法使い「2人が行くのなら私も…」

女剣士「…全く、好きにしろ」

女剣士(本当は全くお前達の出番が無いから来る必要はないとは言えないしな)


傭兵「まぁまぁ、いいじゃねぇか。よく頑張ったなお前ら」

女剣士の肩を叩きながら現れる傭兵。

男兵「傭兵…!やったんだな」

傭兵「おうよ、快勝快勝」


女兵「嘘つき…思い切り殺気撒き散らしてたじゃない」

傭兵「あれ、そっちまで届いてたのか。悪い」

魔法使い「怖かったですよ…どうかしたんですか…?」

傭兵「んー、ちょっと…な」

女剣士「おい、そろそろ行くぞ。時間が無い」


姫「あ、あの…!扉の間への行き方はご存じなんですですか…?」

傭兵「そういえば。俺は知らないけど、お前は?」

女剣士「私もだ。案内してもらえるか?」

姫「はい、もちろんです。後…その、お父様が気になって…」

傭兵「大丈夫です。王さまも救い出しますよ」


傭兵「ところでさ」

女剣士「どうした」

傭兵「もう後は大臣だけだろ?楽勝なんじゃないのか?」

女剣士「いや…違うな、恐らく大臣が一番強い」

傭兵「は!?それマジで言ってんのか…何でそんなの分かるんだよ」

女剣士「会ったときから思っていた。奴の魔力は何か…異質な感じがした」

傭兵「異質…ねぇ。俺には分からねぇ世界だ」

姫「あの、少しよろしいですか」

傭兵「どうしました?」

姫「その…申し訳ないんですが…お父様の部屋は扉の間とは別方向でして…でも私は扉の間へ案内しなければなりませんし…」

傭兵「…あぁ、そういう事ですね。分かりました、俺は王様を探します。いいよな?」

女剣士「ああ、行って来い。後は俺だけでも充分だ」

姫「ありがとうございます!すみません、押しつけてしまって…」

傭兵「いいんですよ。気にしないでください」

傭兵(それにしても俺…か。徹底してんなぁ女剣士)

~~~~~~~~


女騎士「きっつ…君、こんなに強かったなんてね…」

衛兵「今さら気付いたか…ぜぇ…」

2人の戦いは熾烈を極め、お互い肩で息をしていた。勝負がつくなら、どちらの体力が先に無くなるか。


衛兵(もう互いに体力も無い…勝負を決めるなら、今!)ダッ

女騎士「ちょっ…」カキン

そこから、衛兵の猛攻撃が始まった。攻撃の隙を逆に攻撃に利用する、理想の連続攻撃。衛兵の執念がそれを可能にする。

ついに捌ききれず、衛兵の突きが女騎士の肩を斬り裂いた。

女騎士「うっ…」グラ

少しよろけるが、それとはお構いなしに衛兵が剣を振り上げる。

女騎士「…!」ニッ


その時、女騎士は笑みを浮かべる。そしてその振り上げた剣をかわそうとするどころか、逆に一歩、さらに踏み込んだ。

衛兵(踏み込んできただと…!?だが、私の方が一瞬早い!)

――ザシュッ!

女騎士「ぐっ…う…」ブシュッ

振り下ろした剣が肩に食い込み、鮮血が吹き出る。が、それでも踏み込むのをやめなかった。まるで何事も無かったかのように。

衛兵(な…なぜ斬られても立ち向かう…!く…くそぉぉぉ!!)

――ズシャア!

そして、そのまま剣を下から上に振り上げるようにして、衛兵の胴を斬り裂いた。


女騎士「…強かったよ。でも、大切なのは今みたいに大事な局面で踏み込んで行けるか、なんだ」ヨロッ

衛兵「だが貴様も…無事には見えんぞ。踏み込んだ結果がこれでは意味が無いだろう」

女騎士「大事なのは心意気だよ。君は危なくなると一歩引いた戦い方をしてた。踏み込めば勝てたかもしれない場面だって…ね」

女騎士「それに…私の場合、踏み込んで行けるのはもう1つ訳があるんだ」

女騎士は斬り裂かれ血があふれ出る肩に手をかざす。すると傷口を光が包み、みるみる傷が塞がっていった。

衛兵「まさか…治癒魔法の使い手だと言うのか…!」

女騎士「そういうこと。でも、戦闘中には使えない。とても集中しないといけないし、凄く体力も使う」

衛兵「悔しいが…完敗だ」

女騎士「…性根は腐ってないみたいだね。いい顔をしてるよ」

衛兵「何故だろうな…あれほど憎かった貴様に負けたのにむしろ清々しいよ」

女騎士「そりゃよかった」



――扉の間



そこには異質な空間が広がっていた。広大な空間と、その中央に鎮座する見上げるほどの巨大な扉。一体いつからここに居て、幾星霜の時を刻んだのだろうか。

いたるところに装飾をあしらってあるその扉は、異様な存在感と、禍々しい雰囲気を漂わせる。この空間にある物はそれだけだった。この空間には、時が流れていないようにも見える。

床には扉の周りを囲うようにして線が引かれている。それが防衛システムが作動する境界線を示していた。



大臣「ついに来た…この時がな」

大臣「さて、後はこれを作動させ、防衛システムを無効化すれば…」

大臣「なぁ、王よ」

王「なんじゃ、わしはやらんもんね」

大臣「ほう。あれほど痛めつけられてまだ抗う意思があるとは、感服するよ」

王「ほっほっほ、褒めても何もでんぞ」

大臣「…とにかく、王家の血筋でないとコレは発動できない事はもう分かった」

大臣「貴様の意思が固い事はよく知っている。しかしそれも予想済みだ…」



――扉の間



そこには異質な空間が広がっていた。広大な空間と、その中央に鎮座する見上げるほどの巨大な扉。一体いつからここに居て、幾星霜の時を刻んだのだろうか。

いたるところに装飾をあしらってあるその扉は、異様な存在感と、禍々しい雰囲気を漂わせる。この空間にある物はそれだけだった。この空間には、時が流れていないようにも見える。

床には扉の周りを囲うようにして線が引かれている。それが防衛システムが作動する境界線を示していた。



大臣「ついに来た…この時がな」

大臣「さて、後はこれを作動させ、防衛システムを無効化すれば…」

大臣「なぁ、王よ」

王「なんじゃ、わしはやらんもんね」

大臣「ほう。あれほど痛めつけられてまだ抗う意思があるとは、感服するよ」

王「ほっほっほ、褒めても何もでんぞ」

大臣「…とにかく、王家の血筋でないとコレは発動できない事はもう分かった」

大臣「貴様の意思が固い事はよく知っている。しかしそれも予想済みだ…」


大臣「…その前に、最後のゴミ掃除がいるようだな」


姫「お父様!」

王「おお、わが娘よ…いつ見ても可愛いのう…じゃなかった、何故来たんじゃ!」

姫「ごめんなさい、でも、お父様が気になって仕方が無かったんですぅ」

王「可愛いは正義とはこの事じゃな。もちろん許すに決まっておろう」

姫「そんな…お父様、御冗談はよしてください…」ポッ

姫「それより酷い怪我を!大丈夫ですか!?」タッ

王「心配してくれるだけでもう治ったようなものじゃ!」


女剣士(なんだこの王は…ふざけているのか?)

女兵(っていうか…傭兵完全に無駄足…)

男兵(駄目だこの親子、空気読めよ)

魔法使い(大臣…何なんでしょう、この魔力。人の物ではないような…?)

大臣(…もうこの親子には終わるまで好きにさせよう。付き合っていたら埒が明かん)


大臣「よくここまでたどり着いた物だ。そこは褒めてやろう」

大臣「だが、残念だよ。まさか私が戦わなければならないとはね」

女兵「何言ってるのよ、あんたが戦えるようには見えないけど」

大臣「くく…愚かだな。見かけで判断するのは愚者の表れだぞ?」

女兵(ぐ…ぐしゃ?何のことだろう…)

魔法使い「気をつけてください、この人…魔力が異常です」

女剣士「ああ、分かってる。お前らは手を出さなくていい、俺がやる」

男兵「全員でかかった方がいいんじゃないのか?ここで負けたら全て無意味に…」

女剣士「悪いが満身創痍のお前らなんてマイナスにしかならん、精々巻き込まれないようにしておけ」

魔法使い「大丈夫ですよ!この人すっごく強いですから」

大臣「相当の自信があるのか、単なる馬鹿か…まぁいい、始めるとしようか」

女剣士「残念ながら…前者だ」


大臣「魔人招来・“風魔”」

大臣「――完全憑依」

そう唱えると、この沈黙した空間に、流れるはずの無い風が巻き起こる。それは大臣に纏わりつくように吹き荒れる。

女剣士「よく見ておけ、魔法使い」

魔法使い「え?」

そして次に体に変化が訪れる。服を突き破り、翼が体現する。鳥のような羽毛のある大きく、漆黒の翼。体からも漆黒の羽毛は生え始め、四肢からは鋭利な爪が生える。

変貌したその姿は、鳥のようでありながら、人のように四肢を持ち、二本の足で立っていた。

女剣士「この魔法は、お前のと同じだ。系統はな」

魔法使い「私の…」


魔人招来。魔人と呼ばれる魔の者と契約を結び、その力を使用できる魔法。このように、魔人そのものを自らの体を媒体にさせ召喚する事も出来る。

そして大臣のそれは風魔。風をつかさどる魔人。鳥のような姿は、吹き荒ぶ暴風の体現。


大臣「この姿は久方ぶりだ。悪いが手加減など出来んぞ」

女剣士「構わん。すぐ終わる」

そう言い終わると、剣を構え大臣に向かっていく。その勢いは徐々に増し、速さの乗った突きを繰り出した。

しかしその攻撃は、大臣まで届く事は無かった。大臣より数歩手前で止まってしまっている。かわりに彼女のローブが、激しくたなびいていた。

女剣士(…何て風だ。これ以上…踏み込めないな)

大臣「残念だったな。貴様の攻撃は私には届かない」

その後、大臣が翼を勢いよく広げると、それに伴うようにして当たりを弾き飛ばすほどの風が吹く。女剣士は風に飛ばされ、後ろへ無理矢理押し戻されてしまう。

女剣士(厄介だな。もう少し勢いをつければあるいは…ん?)

その時、彼女は異変に気付く。大臣がとても驚いた顔をしていた。まるで、信じられない物でも見たかのような。


大臣「な…貴様は…」

異変は大臣だけではなかった。後ろからも驚いたような声が。

女兵「え…?何で…あれはもしかして…」

男兵「嘘だろ…?」

魔法使い(あわわわ…大変です…!)

女剣士「おい、何を驚いてるんだ?」

振り返る女剣士。すると魔法使いが頭を指さしていた。そして頭を確認してみると、ようやく異変の正体に気がついた。

女兵「なんで…女剣士ちゃんが!?」

そう。大臣の放った突風によって、ローブのフードが、脱げてしまっていた。

女剣士「あっ」

しかし何事も無かったかのように、そそくさとフードをかぶり直す。

女剣士「…さあ、始めよう」

女兵「ちょっと、それ無理が…」

無言で翼を掲げる大臣。強風が再びフードを弾く。

女剣士「あう」パサリ


大臣「…」

女剣士「…」

流れる気まずい雰囲気。最初に口を開いたのは、女兵だった。

女兵「その…女剣士ちゃんで…いいんだよね」

女剣士「…」プルプル

女剣士「…うあぁもう!!貴様のせいだ!貴様が風など起こさなければぁぁぁ!」

女剣士「許さん…!許さんぞ!よくも私の努力を無駄に…!」

女兵(なんかよく分からないけど…すごい怒ってる…)

男兵(女剣士なのか…本当に)

大臣「わ、私が悪いのか!逆恨みにも程があるぞ!」

女剣士「問答無用だ!覚悟しろぉ!」


先ほどよりも強い勢いで大臣に跳びかかる。風をものともせず、着実に大臣に近づき、剣を振り下ろす。

しかしその強力な筈の攻撃は、大臣の翼によりいとも容易く受け止められてしまう。

女剣士(この翼の硬さ…それに風で勢いも殺されてはこの程度か)

次に大臣は手を女剣士に向ける。そして直後、圧縮された空気の弾が発射された。


女剣士「お…っと」

後退しつつ避ける女剣士。後退、と言っても半ば風に押し戻される形で、だが。

空弾が壁に着弾すると、轟音が響き、その跡はぽっかりと抉られるように穴をあけていた。


女剣士「…まともに当たりたくはないな」

大臣(恐らく私より上手か…?だが、手負いのようだ…付け入る隙はある)


女兵「すごい…こんなに強かったの?」

男兵「ああ…俺も驚いてる…」

魔法使い(でも…あの傷…いつ倒れてしまうか分かりませんよ…)


女剣士「っ…」グラリ

膝をつき、少し顔を歪める女剣士。その瞬間を大臣は見逃さなかった。

大臣(今だ!)

大臣は再び手を向け、空弾を発射する。先ほどよりも速く、そして強く。

大臣(恐らくこれでも避けるかはするだろう…ならば…受けざるを得なくする!!)

その空弾は、女剣士には向かっていなかった。彼女の横を通り過ぎて行く。

女剣士「何処を狙って…、!?」


空弾は、女兵の元へと向かっていた。今にも女兵に当たりそうだった。

女兵「え…!?」

女兵(嘘…間に合わ…)

男兵「女兵!」

魔法使い「避けてください!」


女剣士「ちっ」

女剣士が力を込め床を蹴ると、とてつもない速度で移動し、空弾を追い越し女兵の前へたどり着く。

そして大きく腕を振るうと、空弾は方向を変え、壁に着弾した。先ほどよりも大きな後が残る。


女剣士「…間に合ったか」

女兵「あ、ありがとう!助かっちゃったよ」

男兵「今のを…弾くのか」

大臣(今のを容易く弾き、それに無傷だと…!一体どれほど…)

女剣士が、大臣を睨みつけた。その眼は呆れたような、軽蔑したような、そんな眼をしていた。

女剣士「滑稽だな」

鼻で笑う女剣士。

女剣士「私ではなく、他の奴を狙うなんてな」

女剣士「そうでもしないと私に勝てないとでも思ったか。浅ましいぞ」

女剣士「見せてやる。力の差をな」

すると剣が黄色く光りだす。が、今までとは決定的に違う部分があった。


大臣「な…何なんだ貴様は…!」

大臣(なんだ…剣に何を纏っている!)

まるで雷でも纏ったかのようにバチバチと音を立て、スパーク状に剣に纏わりつく。

魔法使い「すごい…」

男兵「これが女剣士の魔法か…?」


女剣士「行くぞ…」

剣先を相手に突き立てるようにして構える女剣士。

大臣(何かくる…!全力で迎え撃つ!)

そして女剣士が、跳んだ。一直線に、スパーク状のオーラを纏いながら突進するその姿は、まるで一本の槍にもみえた。

対する大臣は再び空弾を発射し、自身は今までより一番の強さで風を起こし、翼で覆い、防御の体勢を取る。

女剣士「…無駄な事を」


空弾は、あっさりとかき消された。突風の壁も、空気を切り裂いて行くが如く、貫いていく。

――バキィ…グシャァァ!!

その鋼鉄のような翼も、全く意味をなさなかった。いとも容易く貫き、そのまま大臣の胸まで突き刺さる事でようやく止まった。

大臣「ぐっ…があぁぁ…!!」

女剣士「終わりだな」ドシュッ

剣を一気に引き抜く。同時に大量の血が吹き出る。大臣は貫かれた部分に手を当て、苦しんでいる。


男兵「す…凄い…一撃か…!」

魔法使い「や、やりました!勝利ですね!」

しかし、大臣の周りに、再び風が集まっていく。眼は白目をむき、何やら呻いていた。

女兵「で、でも待って…!何か様子が変じゃない?」

女剣士「まだ…足りないのか?」


大臣「グ…グオォォォォアアァァァァ!!!」

大臣の咆哮が、広大なこの空間に響いた。

今日はここまでにします。次の投下で一段落つけて、ようやく最終章に入りたいと思います。
どうしてこんなに長くなった…
お休みなさい。


大臣「ニンゲン…フゼイガ…ヨクモ!」

明らかにおかしい様子が見て取れる。風は勢いを増し、空間中に吹き荒れる。


女剣士(大臣の生命力が消えかけているせいで魔人そのものが現れたのか…!?)

女剣士「おい、今すぐ逃げておけ。雲行きが怪しい」

女兵「さ、流石にそうさせてもらおうかなー」

男兵「確かに、さっきのように足手まといになるだけかもしれないしな…」


魔法使い(大丈夫ですか?いくら女剣士さんでもあの傷では…)ボソッ

女剣士(大丈夫だ。心配してくれてありがとうな)ボソッ


女剣士「後はあの馬鹿親子だが…」

女兵「…ねぇ、何処にもいないんだけど…いつの間に?」

女剣士「…分からん、とにかくここには私だけが残る」


大臣「ニガスカァ!ゼンインミナゴロシダ!」

大臣、いや風魔が咆哮を上げると、全身から四方八方に空弾が乱射された。


女兵「うわわ!?まずいんじゃないこれ!」

魔法使い「瓦礫も落ちてきて…うひゃあ!」

女剣士「早くここから出ろ、出てくまでは守ってやるから」

そう言いつつ片手間に空弾を弾き、落ちてくる瓦礫を粉砕する。

~~~~~~~~


大臣「チ…ニガシタカ…マァイイ、キサマダケデモトジコメラレタ」

辺りには瓦礫の山。ついでに唯一の通路の入り口も塞がってしまっていた。

女剣士「面倒くさい事をしてくれたな…」


大臣「フン、ソノクチモスグニキケナクシテヤロウ!」

風魔は翼を広げ力を溜める。風は今まで以上に激しさを増し、軽い瓦礫などは巻き込まれ小さく渦を巻いている。


女剣士「もういい」

小さく呟いた後、剣が蒼いオーラを纏う。それとほぼ同時。


女剣士「――さっさと死ね」

風魔の体が、真っ二つになっていた。剣を振り下ろした女剣士は、少し笑っているようにも見えた。

風魔は痙攣にも似たような動きをしていたかと思うと、すぐに絶命した。


女剣士「なんだ…?何か違和感が…」

一方女剣士は疑問を抱いていた。

女剣士「私が斬ったんだよな…実感が無い」

女剣士(…参ったな、血を流しすぎておかしくなってきたか?それより早くこんな所は出よう、あの扉、気味が悪い)

扉にも空弾や瓦礫が降り注いでいたのにも関わらず、全く傷ついていなかった。それどころか扉の周りだけは瓦礫がまるで落ちてこなかったかのように綺麗な状態のままだった。

女剣士「確か入口はこの辺りだったはず…あっ…」グラ

緊張の糸が切れたからか、女剣士が崩れ落ちる。

女剣士(あぁ、もう限界だったか。血が足りない)

女剣士(瞼も重いな…寝てしまうか…敵もいないし)

しかしその時、ついに部屋が耐えられなくなったのか、再び瓦礫の雨が降り始める。

女剣士(私も…運が無いな)

そうして女剣士はそのまままどろみに身を預けたのだった。ほどなくして、扉の間は瓦礫で埋め尽くされた。ただ、扉の周りを除いて。

~~~~~~~~


女兵「大丈夫かな…」

男兵「大丈夫だろう。胸を貫かれてるんだ、勝負にもならないと思うぞ」

魔法使い(おなか貫かれちゃってますけどね…)


女兵「いや、そっちじゃなくてさ、瓦礫で埋まっちゃったでしょ?」

男兵「そうだな、とにかく救出には人がいる。まずは合流をしないと」

魔法使い「誰か…こっちに走ってきますよ?」


傭兵「くっそ…なんだよここ…どう見ても城っぽい雰囲気じゃ無くなってるし…お?」

男兵「傭兵か?なんでここに」

傭兵「いやーそれが王を探しにあちこち駆け回ってたら迷っちまって…」

男兵「いや、王様ならもう見つけたぞ」

傭兵「え?じゃあ俺は一体何のために探したんだよ…」

女兵「ねぇ…ここって迷って来れるような所だった?」

魔法使い「いえ…到底思えません。奇跡としか…」


傭兵「もしかして…この先扉の間って奴なのか?」

男兵「そういうことだな」

傭兵「じゃあアイツは?まだ扉の間に?」

男兵「ああ、女剣士の事なら大臣と戦ってる。俺達は逃げて来たってところか」

傭兵「んじゃ俺は行ってやるとするか、…つか、なんで女剣士だって知ってるんだよ」

男兵「お前も知ってたのか?まぁ、不慮の事故と言うか…」

傭兵「まぁいいや、じゃまたあとでな」


女兵「行っちゃった、瓦礫で埋まってるの言い損ねたね」

男兵「そういえば」

魔法使い「また無駄足になっちゃいますね…」

~~~~~~~~

傭兵「おいおい…うそだろ…」

傭兵「なんだよこれ…瓦礫で埋め尽くされてやがる…」

傭兵「おい!聞こえるか!そっちにいるのかー!」

しかし傭兵の声がこだまするだけだった。

傭兵「…くそ!埋もれてやしねぇだろうな…!」

傭兵は瓦礫を掴み、1つづつ取りはらっていく。しかしすぐに無駄だと悟り、拳を瓦礫に叩きつける。

傭兵「ふざけんなよ…!どうして…」

そんな時、傭兵の視界の片隅に何かを捉えた。それは壁に寄りかかり眠る女剣士の姿だった。

傭兵「ったくよぉ…心配させやがって…」

傭兵は安堵し、女剣士を背負って扉の間を後にした。


その後、扉の間の前にフード男が闇から現れ、2人の背中を見つめていた。

フード男「…任務完了。無事扉の発動は阻止、大臣も始末成功」

そして、少し笑みを見せた。

フード男「また柄にもない事をしたな。まぁ…人助けも悪くない、か」

~~~~~~~~


衛兵「何?それは本当か!」

女騎士「本当だよ、君が心を入れ替えてくれるなら騎士団に入団するのを許可しよう」

衛兵「むぅ…だがそれでは貴様に乗せられている気がしてならん…」

女騎士「いやいや、そんなに強いならこっちが頼みたい位だよ。ただその力を正しい事に使ってほしいなぁって」

衛兵「そこまで言うなら…わかった、もうこんな真似はしないと誓おう」

女騎士「ありがとう、そしてよろしく、ちょっと気が速いけどようこそ騎士団へ」

衛兵「ついに…私の実力が認められたんだな…」

女騎士「皆にも説明はしておくから安心してね」

衛兵「思えば私は、誰かに認められたいだけだったのかもしれんな、それがいつからか道を――」ペラペラ

女騎士(あ、うん。コイツちょろいな)

~~~~~~~~


その後、すぐに決着はついた。敵の幹部や頭を倒した事による士気の減少が戦況を一気に変え、半ば降伏させる形で終結した。

兵士の被害は大きいが、幸い国民の被害は無し。王と姫はいつの間にか安全な避難所へと移動しており、人々を驚かせた。

戦いは終わったが、街や特に城の損害が激しく、しばらくの間改修で大忙しだった。


扉の間については、城の者には大々的に発表され、瓦礫で埋もれているならいっそこのまま封印させておく方がよいという結論に至る。

ちなみに王が出来たのは魔法を解除する魔法、通称“ディスペル”。王曰く、発動したら扉も消えてしまうから全く無意味なことだった、そうだ。

何故それで解除しなかったというと、あれほどまでに強大な魔力が込められた魔法を解除しようとすると命を代償にしなければならないからだ。

かくしてこの巨大な扉をめぐった戦いは幕を閉じたのだった。

すいません、キリがいいのでここで。
投下随分遅れたくせに少なくて申し訳ないです…
ちなみに女剣士さんの強さですが皆さんの思う通り今のところ一国を制圧できるほど強くはない設定です。
これについて次の投下から掘り下げて行きたいと思います。今までと違ってわりと考えてあるのでそんなに投下は遅くならないかもです

ではでは

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