先生「えー、今日からこのクラスで幼女を飼います」(133)

ざわざわ、ざわざわ

先生「はいはい静かにー!」

「先生、俺たちもう高校生ですよ。そんな小学生みたいなことするのはちょっと」

「ソウデスヨー」「ナー」

ざわざわ・・・

幼女「ふぇぇ……」

「!」

先生「この子が幼女ちゃんだ。昨日先生が公園で落ちてたのを拾ってきた」

先生「中々可愛いだろう? ここは男子高校だし、こういう可愛い女の子は一際輝いて見えるな」

先生「……えー、先生は、このクラスでこの子を飼い育てて、みんなにこの幼女ちゃんを卒業日に」

先生「犯してもらおうと考えています」

ざわざわ!

先生「はい落ち着けー。みんな動揺しすぎだぞー」

「先生一体どういうつもりなんだよ!」「残酷だー!」「こんなに可愛いのに!」

幼女「ふぇぇ……」ビク

「かわいい!」

先生「お前たちが大きな声で騒ぐから幼女ちゃんが脅えてるじゃないか」

先生「この子はこれからクラスの一員になるんだから、優しくしてやってくれよ」

「で、でも最後には俺たちでその子を輪姦するんだろ……」

先生「ああ、そうだよ」

先生「先生はな、この幼女ちゃんを通してみんなに『幼女とは何か?』学んで貰おうと考えている」

「…………」

先生「これは普通の学校の授業では学べない大切なことだと思う」

先生「そういうわけで……勉強だと思って幼女ちゃんをこの一年間大切に飼育して、最後にはみんなで美味しく食べような」

先生「それじゃあ幼女ちゃん。お兄さんたちに挨拶をしよう!」

幼女「イレ……」ボソ

「……?」

幼女「オトイレ……おしっこいきたいよぉ……」ぷるぷる

「!!」

「おい、どうすんだよ!」「誰か連れていってやれよ!」「漏らすぞ!」

先生「だから一々動揺するなって!おい、誰でもいいからトイレにこの子を連れてけ!」

「せ、先生が連れて行けばいいだろ!」

先生「あぁ!?」

幼女「…………」ジョボジョボ…ピチャ、ピチャ

「あっ……」

先生「……えー、というわけで当番制で幼女ちゃんのお世話をすることにします」ゴシゴシ

先生「このクラスの生徒数は全員で16人。4グループに分けて、一週間でローテーション交代な」

先生「細かい話はお前たちで話し合って決めるように。以上」

「先生は手伝ってくれないのかよ?」

先生「もちろん手伝うぞ。だってこの子はこのクラス全員で育てるんだからな」

先生「困ったこと、分からないことは先生に何でも聞きにきなさい」

「はーい」

先生「……それと一つ約束して欲しい」

先生「恐らくいつどのタイミングかは分からんが、その子に欲情する奴が数人は出てくるはずだ」

先生「いいか? 抜け駆けして先に一人でこの子を犯すことだけは絶対に許さん。それだけは約束しろ」

先生「もし、何かあったと分かった時はそいつの授業単位を他の先生方と相談して取り消す」

先生「かならず約束は守るんだ。そして、我慢したすえにみんなで一緒にこの子で楽しもうじゃないか」

「はい……」

この日から、僕たちと先生、そして『幼女』との奇妙な学生生活がはじまった。

「いきなり飼うとか言われてもよー、俺ら今年から受験生なんだぜ」

「そうじゃなくても就職目指す奴とかいるのに」

「何が勉強だと思ってだよ。あの人よく分からねぇな」

「……でもマジであの子俺らで犯すことになるのかな」

幼女「ちょうちょ! おそとにちょうちょいるの!」ピョンピョン

「…………」

「あの子がいる前でそういう話止そうや」テイウカ キョウシツニ オキッパニスンノカヨ

「そうっスね」

幼女「おそと、おそと……」ピョンピョン

幼女「ん~><」グググ…

「おい!窓から身乗り出してんぞ!」「危ないぞバカ!」「とめろとめろ!」



わーーー……

「ひぃ、ひぃ…………」

幼女「たのしかった!もっとあそんでほしいの!」

「おい……誰か遊んでやりな……ガキ好きな奴一人や二人おるやろ?」

「そいつらだけに任せようたってそうはいかんぞ。全員だ。こいつは連帯責任だ」

「何だよ!? 元はと言えばあの先生が悪いんだろ!?」「ソウダ」「ソウダー」

「アイツが勝手に拾ってきて、俺らに押しつけてんだよ!」

「でも今さら断れないだろ。大体アイツこんな事に単位の話結びつけてきやがったし、下手に逆らえんぞ」

「じゃあ脅されたって他の大人に助けてもらおうよ。女の子……しかもあんな幼女育てるなんて僕らには難しい」

「それ、最後の手段でいいだろ」

「今使うべき手段だろうが!」

がやがや、がやがや・・・

幼女「…………」

幼女「ふぇぇ……」グス

「おいマジでこれどうすりゃいいんだよ!」「俺たちガキ構ってる暇なんてないからな!」

「でも……最後にはあの子とヤれるんだぞ……」

「それお前だけの話じゃねーからな!俺ら穴兄弟になるかもなんだぞ!」

「穴兄弟? え、俺たち兄弟になれるの? やった、俺ひとりっ子なんだ」

「馬鹿じゃねーの」「デヒュフwwwしかしあのような幼女にマイサンを出し入れできる経験なんてこの先二度もありえませんぞwww」

「二度もあればやばいよ。一回でもアウトだが」

「…………おい、お前ら少し静かに」

「?」

グスン、フェェ~……ン……

幼女「ふぇぇ~……」ポロポロ

「ああっ!」

「バカ!誰だよアレ泣かしたのは!」「俺じゃねーよ、知らねーよ」「またトイレじゃないの?」

「…………おい、何泣いてんだお前」

「!」

(いった!)(ていうか、アイツが誰かに話しかけるところ初めて見たぞ)(もしかしてペドなんじゃね?)

幼女「えっとね、えっとね……あそんでって、いったのにね? みんなあいてしてくれなくなっちゃってね?」

幼女「ざみ゛じぐなっ゛だのぉっ……!」グズッ

「…………おい、この子寂しいって言ってるぜ。シカトしてやるなよ」

「別に無視とかしたわけじゃねーよ……ただ」

幼女「それにね? みんな、おこったかおして……おっきな、こえだして、こわかったよぉ……」

「あー…………」

「おい、お前……あの子の相手してやってくれよ」

「嫌だね。何で俺に押しつけてくるんだ? 俺が今何してんのかお前分からねぇのかよ」

「あの子の相談なら俺抜きで話し合え。それで決まった事には黙って従う。ただ、押しつけみたいな真似だけは止せよ」

「……分かったよ」

幼女「まだ、だいじなおはなしおわらないの?」キョトン

「すっかり泣き止んでるぜ、この子」「さっきは俺らが無視してたのが原因だったからね」「この子も輪に入れてやろうぜ」

「とりあえず先生言ってた班決めから話しあうかね。4班に分けるぞ」

「……あ、その前にちょっと待って」

「なぁ、キミの名前は? さすがにダイレクトに『幼女』なんて俺呼びたくないよ」

幼女「おなまえ?」

幼女「わかんない!」ニッコリ

「わかんないって事はないだろ。難しい字だから伝え辛いって感じか?」「流行りのキラキラネームだ!」「じゃあとんでもねぇ名前だったのかもなぁ」

「でも、この子公園に落ちてたんだろ?」

「それだよね。もしかして捨て子とかじゃ」「そうじゃなけれりゃー、ウチらの先生人攫いだべ」

「……とりあえず、名前わかんないだね?」

幼女「しーらない」

「じゃあ俺たちで勝手に名前付けてあげようぜ。その方がこれから接しやすくなると思うんだ」

「これからって……お前育てる気満々なのね」

「そうじゃない、とりあえずだってば」

幼女「ふぇ?」

「んじゃ~よぉ~、まず全員で紙に名前書いて、この箱の中に突っこめ」

「……全員入れ終ったぞ?」「そしたらよ、その子に一枚だけ箱から紙を取って貰おうぜ」

「その紙に書いてあった名前が、この子の新しい呼び名っつーわけさ」

幼女「これにおてていれたらいいのー?」

「うん。そしたら中にいっぱい紙切れが入ってるからさ、キミがその中から一枚だけ選んで取って欲しいんだ」

「紙で手切らないよう気をつけろよー」「絶対5、6枚出すに100円賭けるわ」「言ったな?」

幼女「ん~……ん~~~……ほんとにいっぱいはいってるよ!」

幼女「たのしいねっ」

「かわいい!」

「いやいや……ほら、早く一枚取り出して見せて?」

幼女「はぁーい」ガサガサ…

幼女「はい!あげる!」

「はい、どうも。…………え~っと」

「誰が書いた奴?」「おら、早く100円寄越せよ」「お前何も賭けてなかったじゃねーか!」

「一同、静粛に」

「この子の名前はー…………>>22に決まりました」

「!」

名前は幼女のままで

というか主要に喋ってる人だけでも数字付けしてくれるとありがたい

陽菜

>>21 これから男どもにも適当に名前付けるよ~


「……なんかよぉ、俺は少し拍子抜けしちまったぜ」「俺のゲレゲレとプックルはー?」「さり気なく二枚入れてる奴いんぞ」

「いや、良い名前だろ。『陽菜ちゃん』は悪くないんじゃねーか?」

「これ読みは?」「ひな?」「はるなじゃねーの?」

「幼女的に陽菜(ひな)ちゃんにしようずwwwwwwひなだおwwwwww」「まぁ、呼ぶのに困らない様に付けた名前だ。深くは考えなくていいだろ」「決め方も決め方だったしな」

「つーか誰書いた名前だ?お前?」「いや、違うけれど」「だからそんなのどうでもいいだろー」

幼女あらため陽菜「おにいちゃんたち、こんどはなんのおはなし……?」

「あ、あー、無視してるわけじゃないからコレ。今日からお前の名前は陽菜ね」

陽菜「ふぇー?」キョトン

「じゃあこのまま班も適当に決めちゃおうぜ」「またこのくじ引き方式でいいだろ?」「俺ら一緒になりたいんだけど」


こうして幼女の名前も決まり、僕たちはようやくスタートラインへ立った。

『今週の陽菜係当番:1班』

先生「無事に決まったみたいだな。さすが高校3年生!」

「子ども扱いにも程があると思うんですけど」

先生「ところで幼女ちゃんに名前を付けたらしいけど」「ア、ムシサレタ……」

「『陽菜ちゃん』って付けたんだ。勝手に名前決めたのは良くなかったか、先生?」

先生「いや……先生も一緒に決めたかったなーって……」ムスッ

「…………」

先生「ていうか1班の奴らはどこ行った?HRもうすぐ終わるのに教室いないとか舐めてるな……」

「先生。アイツらはさっそく陽菜ちゃん係してるっス」「トイレに連れて行ったんだよ~」

先生「ああ、そういえば幼女ちゃ……陽菜ちゃんもいないな」

先生「それにしても、いきなりアイツらかぁー」

1班メンバー:坊主、フケ、髭、眼鏡


眼鏡「……おーい、まだ小便終わらせらんないのかよ?」

『急かすんじゃねーよ!大体小便させるなんて経験ねーし!』『しかも女の子のとかね』

『でそぉ~~~……』 『あぁ、出てる!』『すげー!こうやって出すんだな女って!』

眼鏡「変態ども! ジロジロ見てやってんじゃねーよっ!」

髭「ていうか二人も個室に入るこたねぇだろうが。狭くねぇか?」カギシメテルシ

『だってゲレゲレが開けっぱはスースーして嫌だって言うもんだから』

髭「陽菜ちゃんな。ゲレゲレはお前猫か犬にでも付けてやれ」

『すっきりしたぁ~!』

眼鏡「ようやく終わりそうか。長かった。ていうか俺ら二人まで付いてくる必要なかったじゃん……」

『いや待て!!』

眼鏡「あぁ!?」

『うんこ出るって……』『すげー!ここからウンコ出るんだぁー!』 『んんん~~~……』

眼鏡「聞いてるだけで疲れるわ」 髭「んん~、女の糞でも俺らと同じ臭いだよなぁ。姉ちゃん入ったあとのと似てるかも」

ジャー!

陽菜「すっきりしたよ!じょうずに、おといれ、できたからね!」エッヘン

坊主「俺とフケ男のお陰でな!」 フケ「色々と初体験だったわ。ふふっ……www」

眼鏡「はいお疲れさん。ちゃんとケツは拭いてやった?」

フケ「忘れるわけないっしょー? 俺がしっかりフキフキしてやったよ」

髭「……ん、待てよ。お前ら、陽菜ちゃんのアソコもちゃんと拭いただろうな?」

坊主「アソコって……まんこ?」

髭「バカ野郎っ、子どもの前でそんな汚ねェ単語使ってんじゃねーよ」

髭「この子の前では気を使って、言葉使いに気をつけろよ。今みたいな時に使っていい言葉は『おまた』か『あぺちょ』だ」

眼鏡「……あぺ、なんて?」

髭「あぺちょ。え、知らんの?マジで?」 フケ「髭、お前山形の言葉ここで使っても俺らわかんないよ」

髭「とにかく、この子は俺らみたいなのと比べてデリケートなんだよ。そこんとこ忘れないで」

坊主「うっす!」

眼鏡「髭さんやけに詳しいじゃん。実は子どもいるんじゃねーの?」

髭「俺が?まだ童貞だけど?」

髭「ちげーよ。俺んちの姉ちゃん何年前かに子ども産んだから、その世話してるの見て色々覚えたんだ」

坊主「なんだつまんねぇ」 フケ「ていうか、陽菜ちゃんいなくない?」

「…………!」

坊主「お、俺今から部活だから! 後輩待たせるとか許されねーから!」

眼鏡「ろくに練習もしない弱小野球部のくせに今から張り切んなよ。つーか逃げんな」ガシッ

坊主「面倒なのいやなんだよぉぉぉ~~~……」

眼鏡「うっせ、誰だってそんなの同じなんだよ!!」

フケ「話してるよりまず、陽菜ちゃん探そうよ。不審者に誘拐されたら大変だぞ」 髭「つーか既に誘拐された後なんだけどな」

フケ「陽菜ちゃーん、陽菜ちゃーん?」 髭「かくれんぼのつもりかなぁー? げへへ」

眼鏡「髭さんそれ怪しすぎ」 髭「お前たちは真面目に探せよ。俺とコイツだけだぜ真面目」

坊主「だって面倒くせーし!」

眼鏡「俺も面倒くせー……正直早く帰りたいんだよな。今日他校の女子と会う約束してんだわ」

坊主「じゃあお前だけは帰らせらんねー」 眼鏡「冗談だって……」

フケ「あっ」

坊主「フケ男どうした」 フケ「いや、あそこ…………」


教室に戻ると、夕日が差しこむ教卓に寄りかかって眠っている陽菜ちゃんを僕たちは見つけた。

眼鏡「おい、おいってば。起きなって」ユサユサ

陽菜「ん…………ん~……」

髭「ぐっすりだな。無理もねぇか、今日は色んなことがあったんだしよ」

フケ「とりあえず、誘拐されてなくてよかったね」 坊主「だから誘拐は既にされた後なんしょ?」

眼鏡「ていうか、このままここで寝かせておこうぜ。この隙に帰っちまえば」

髭「バカ野郎。俺らは今週の陽菜ちゃん係だぞ。そんなことしたら後で何言われるかわかんねぇべ」

眼鏡「じゃあ……せめて保健室に移してやるか」

フケ「……その後は?」 眼鏡「あ? もちろん帰るに決まってんだろうが」

髭「だからそれはまずいって言ってんだろボケ」 

坊主「でもさー! 俺もそろそろマジで部活行かないと」

陽菜「…………むにゃ」

坊主「げっ」

陽菜「……ふぇ? あれ、おにいちゃんたち……おはよー……」

眼鏡「ほら、お前がウザいから起きちゃったじゃねーか!」 坊主「俺だけの責任にすんのか!」

髭「俺ら全員が悪ィんだよ。……陽菜ちゃん大丈夫か?」

陽菜「よくわかんないけど、だいじょーぶっ」

陽菜「いっしょあそぼっか! みんなどっかにいっちゃってひまなの!」

フケ「みんなって……教室に残ってた奴ら? アイツみんな部活か帰宅だろうな。こんな時間だし」

陽菜「……おにいちゃんたちも、どっかいっちゃうの?」

坊主「あ、俺は部活に!」 眼鏡「俺も帰る気満々」

髭「空気読めないバカ野郎しかいねぇな。お前らの血は何色だ?」

眼鏡「じゃあ髭さんとフケ男で遊んでやれよ。つっても、もうすぐ5時なるぜ?」

フケ「俺も……そろそろ帰らなきゃ」

髭「いや、帰る帰るってよー……そしたらこの子はどうすんだ」

髭「帰る家もねーぞ、陽菜ちゃんは」

「あっ」

先生「何?陽菜ちゃんの住むところはどうするかって?」

先生「……あー、みんなで話合えばいいんじゃない?」

フケ「話し合って決めるにしたって、今日はもう遅いじゃないですか」

眼鏡「俺らてっきり先生が持ち帰ってくれるとばかり思ってたんだけど」

先生「バカ言え。先生のとこのアパートは幼女禁止なんだ。見つかればその子もろとも追い出されるよ」

「…………」

先生「そうだ!こういうのはどうだ!」

先生「お前たち当番が交代で家に泊めてあげるんだ。きっと陽菜ちゃんも喜ぶぞー!」

髭「先生、それも無茶っス」 坊主「そうだよ。大体いきなり泊めさせるとか親から何言われるかわかんねー」

眼鏡「俺もやだ」 フケ「ちょっとなぁ……」

先生「じゃあどうしようか……んー」

女先生「先生? 生徒も交えて何のお話です?」

先生「あっ! いやぁ~……ちょっとね」

ギュッ

女先生「……あら?」

陽菜「すき~」スリスリ

先生「げっ!」4人「ああっ」

女先生「…………」

女先生「可愛らしい女の子ですね。いつ職員室に入ったのかしら」

先生「あ、その子はですね!? こいつの妹でして、今家に親がいないから急きょ…」

眼鏡「おー!待てや先生! 俺に擦りつけんじゃねぇ!」

髭「ていうか、うちの担任他の先生に内緒でいたのかよ……」 フケ「バレたら大変だろうしな」

坊主「じゃあこれってチャンスじゃね?」

眼鏡「……女先生、実は!」

先生「単位……」ボソ

眼鏡「くそが……」

女先生「あのー?」

陽菜「~♪」ペタペタ

先生「とにかく、何でもないんですよ。どうかお気になさらず~」

女先生「そうですか? じゃあ放っておかせてもらいます……」

先生「はははは……はぁ」

髭「あんた本当にどうするつもりなんだよ?」

先生「一応上には話を通して許可も得ているぞ。まだ話が伝わってない先生方もいるようだが」

フケ「じゃあ何故女先生に隠そうとしてたんですか?」 坊主「そうだよ。バレたらまずいみたいな反応してさー」

先生「…………だって、仮にも俺はお前らに陽菜ちゃんを犯させようとしてるんだぞ?」

先生「そんなのが女先生に知れたら軽蔑されちゃうじゃないか!!」

眼鏡「知るかよ!!」 髭「あんたがそんなこと俺らにさせようとしてんのが一番悪ィんだろ!!」

先生「……まぁ、成るように成らせるしかないさ。学びにリスクは不可欠だ」

坊主「もっと安心して学べる勉強を教わりたいんスけどね」

先生「とりあえず話を戻そう」

陽菜「ねーねー? みんなでなんのおはなししてるの? ひなもまぜてよぉ~」

フケ「……今ね、みんなでキミのおウチのことを話し合ってるんだ」

フケ「決まらないと、陽菜ちゃんが帰る家がないままになっちゃって」

眼鏡「おいフケ男。そこまで話すことはねーよ」

坊主「あ、そうだ!」 髭「どうしたオイ?」

坊主「学校に陽菜ちゃんを住まわせてやりゃいいんだよ~!」

髭「……お前、さっきまでの話覚えてねぇのか? それがまずいから今こうして色々考えてんだろ」

先生「いや、もうそうするしかないと思えてきたぞ」 髭「先生も正気か!?」

先生「よし、これから俺たちで陽菜ちゃんの家を作ろう。許可は先生が貰ってくる」

先生「任せろ! きっと大丈夫だよ!」

「うそだろ…………」

先生は見事校庭へ陽菜ちゃんの家を作る許可をもらって、満足気そうに僕たちの元へ帰ってきた。

すぐにゴミ捨て場へ詰まれたダンボールと木材を5人で持ちこみ、僕たちの陽菜ちゃんハウス作りが始まる。

時間は既に6時を回っていたという。

眼鏡「明日でいいだろー?」 髭「じゃあ今日は眼鏡ん家に陽菜ちゃんを泊めるってなら、それで構わねェよ?」

先生「ほら、早く済ませたいならさっさと働けー」

フケ「こんな簡易な住まい作っても、風に吹かれてぶっ飛びそうじゃない?」 坊主「なんとかなるっしょー?」

眼鏡「……ていうか、家作るのはいいけど」

眼鏡「ここに陽菜ちゃん一人で住まわせるわけ?それ大丈夫なわけ?」 髭「そこだよな。一人で暮らせる歳でもねぇだろ」

坊主「じゃあ誰か一緒に泊まってやりゃいいんじゃねーの?」 フケ「え゛っ」

先生「そうだなー……じゃあそれは係の奴らで話し合って……」

眼鏡「待てよ、ここまで来たら先生にも責任あるぜ!他人みたいな顔してんじゃねーよ!」

先生「じゃあお前らは先生がこのボロ小屋で陽菜ちゃんと生活しろってのか? それはどうかと思うんだけど」

髭「結局どうすんだよ……あんたがこの子拾って来たんだからもう少し考えろ!」

先生「そうねぇ~……とりあえず家作っちゃおうよ」

眼鏡「……結構、デキは悪くないんじゃね?」 坊主「俺が張り切って作ったからな~当たり前だろ~」

先生「うんうん、上々の出来じゃないか。これなら多少の雨風程度なら防げるだろう」

陽菜「ここ、ひなのおうちになるの!?」 フケ「そうだよ。立派な家で良かったな」

陽菜「わぁーい! うれしいよぉ!」ピョンピョン

髭「嬉しがってくれてるのは良いけど……それからどうするんだ?」

先生「いやぁ、参ったね」 髭「参ったじゃねーっスよ。俺らも参ってるんだからよぉ」

眼鏡「責任取って先生がここで一緒に暮らすに一票」 坊主「俺も~」 フケ「だな」

先生「待てまて……お前ら薄情だなぁ~……」 坊主「ほら、先生」

陽菜「また……みんなけんかするの……?」

眼鏡「喧嘩じゃねーよ。この先生があまりにも無責任だから、俺らが」

陽菜「こわいかおしないでよぉ……やだよぉぉぉ……」

眼鏡「一々泣くなよー……」 髭「まだ小さいんだから仕方がねェさ。それより」

先生「……そうだな。わかった、先生がここで――」

「…………何これ?」

「!」

眼鏡「何だ転校生じゃねーか……いきなりビビらせんなっつーの」 フケ「こんな時間まで学校にいたの?」

転校生「それはこっちの台詞だ。お前ら何してんだ?」

髭「見ての通り陽菜ちゃんの家作りしてたとこだよ。たった今済んだけどな」

転校生「あっそ……ていうか、そいつ一人で住まわせる気か?」

先生「それを今みんなで話し合っていたところだ。お前も参加してくれよ」 転校生「……」

坊主「つーか!先生が一緒に住んでやるってことに決定しただろ!」

先生「まぁ……でもー」

転校生「先生も煮え切らないって感じスか」

陽菜「おにいちゃんがまたふえた!」ペタペタ

転校生「おい、あんまりベタベタ触るんじゃねーよ……」

坊主「てことで、先生。俺らそろそろ帰るわ」 眼鏡「もう遅いしな。腹減ったし帰りラーメン食い行こうぜ」 フケ「安いとこで頼む」

先生「お前ら先生一人置いて帰るのかぁ!」

髭「元はと言えば先生の自業自得だろ。俺たちはやれることやった上で言ってるんだからな」

髭「……なぁ、転校生。お前もよかったら飯食いに」 眼鏡「おい……」

転校生「……いや、行かねぇ。誘ってくれたのに悪い」 髭「あ、いいんだ。気にすんなよ……」

先生「じゃあ代わりに先生が行ってやるぞ!仕方がないな!」 眼鏡「やだよ、そんなの」

フケ「先生は早く小屋の中に陽菜ちゃんと一緒に入ってあげて、ご飯食べさせてあげてよ」

先生「あー……そうだな。何か買ってくるか。ていうか俺はアパートどうしたらいいんだよ……」

転校生「…………」

坊主「じゃあまた明日な、転校生!」「アー ハラヘッタシ」「トンコツ クオウゼ、トンコツ…」「クドイ ノ スカネェヤ」

先生「あんなに可愛い幼女放っておくとか最近の高校生どうかしてるわ、まったく……」ガチャリ

陽菜「あ! センセーおかえりなさい!」

先生「はい、ただいま~……ありゃ?」

転校生「……おかえり」

先生「お前。本当に一緒に留守番してくれてたのか。てっきり帰ってるとばかり」

転校生「別に帰っても良かったっス」

先生「まぁ、ありがとうな。お礼に飯食ってけ。色々買って来たんだ」

転校生「いや、そんな……」

陽菜「あのね!あのね!このおにいちゃん、いっぱいあそんでくれたよ!」

陽菜「しりとりとかね、おうまさんごっことか! いっぱい!」

先生「そっかぁ~!いいお兄ちゃんと遊んでもらえて良かったなぁ!」

陽菜「うん!」

転校生「じゃあ俺そろそろ帰りますから」

先生「待ってって。お前一人暮らしだったろ?食費浮かせる為にも食っていきなさいよ」

陽菜「ひなもね!おにいちゃんといっしょにごはんたべたいよ!」

先生「ね?」

転校生「……ごちそうになります」

先生「おう、素直で宜しい。先生もな、アパート暮らしで色々苦労してるからお前の気持ち分からなくもないんだ」

先生「何か困ったことあれば遠慮なく言ってくれよ」

転校生「……」モグモグ

陽菜「おにぎり、おいしいね!」モグモグ

転校生「お前、頬っぺたに米粒ついてる」

陽菜「えへへぇ~♪」

先生「陽菜ちゃんお腹いっぱいになったかなー?」

陽菜「うん! ……あとつかれた」

陽菜「……すーすー」

転校生「食ってすぐ寝るとか、牛みたいな奴だな」

先生「今日はもう疲れたんだろう。周りに、俺に振り回されてばかりいたからな」

先生「お前もお疲れさん」

転校生「俺は別に何もしてねぇよ。さっきの係の奴らが一日世話してたんだろ」

先生「まぁ、いいじゃない」 転校生「……ていうか、何でいきなり幼女育てるんスか」

先生「え? いやだから~」 転校生「先生が話してたこと、俺にはさっぱりだった」

転校生「正直バカみてぇだなって……」 先生「お前なぁ……」

先生「……なぁ、お前はこの子のこと可愛いと思う? 好きか?」 転校生「え?」

転校生「別になんとも思ってないよ。ただチビだなって」

先生「それでいい。それがいずれ幼女を愛でる気持ちへ変化していくんだ」

先生「いいか? 幼女について今から学んでおいて悪いことはない。むしろ今でも遅いくらいだぞ」

転校生「はぁ……」

先生「それにしても、これから俺どうしようかな……卒業までこの子と小屋暮らしか……」

転校生「先生の家に泊めてやればいいじゃないか」

先生「あー、俺のアパート幼女持ち込み厳禁だから。下手すりゃ追い出される」

先生「……お前のところはどうだ?」 転校生「いや、俺のとこも幼女との同棲は拒否られてる」

先生「なら、この小屋で飼ってやるしかないか。今は幼女も生き辛い世の中になったもんだな」

転校生「先生が若い頃の幼女の扱いって、どんなだった?」 先生「えー?」

先生「今よりは愛されてたよ。若いのから年寄りまで。だがな、あまりに幼女を大切にしすぎた世の中だったもんで」

先生「男女かまわず、幼女の半径5m以内に入った場合はすぐ警察に御用になる時代だった。身に覚えのない件で通報も珍しくない」

先生「当時、幼女はまさに『羊の皮を被った悪魔』だったわけさ。それが今じゃ幼女はゴミのような扱いに」

先生「この学校にいる奴らは幼女に理解を示している者が大半だが、中には幼女を嫌悪する奴もいる。そうだろ?」

転校生「ああ、そうかも」

先生「今じゃ幼女はそこらのペットで良いところ。捨て幼女も珍しくなくなってきたんだな」

先生「だから先生はお前たちへ幼女をわかってもらいたい、再び愛する心を取り戻して欲しいと思って、この子を拾ってきた」

先生「放っておけば、市の幼女処分センターへ送られて殺処分を受けちまってたしな……」

転校生「なんか、可哀想だな。親にも誰にもちゃんと愛してもらえないのって」

転校生「まるで……」 

転校生「あ、なんでもないっス」 先生「あ、ああ」

先生「……もちろん。いくら捨て幼女でも黙って拾ってくるのは良くないことだ。国へバレれば極刑ものだろう」

先生「いやぁ、校長たちが良い人ばかりで本当によかった……本当に」

先生「知っていたか? 彼らも過去に幼女事件の犠牲になったペドフィリアだったって」

転校生「えっ」

先生「酷い事件だった。ただ幼女を歩いて追い抜いただけで、即豚箱さ」

先生「また復帰するまで6年は掛ったそうだ」 転校生「……それ本当の話?」

先生「本当だよ。幼女のせいで人生に汚点がついたというのに、彼らはまだ幼女を愛することを止めなかった」

先生「何故か? 幼女を愛する心を捨て切れなかったからさ……」

先生「……それに今の時代、男が子を生む時代へなってしまった。昔は幼女が成長した『女』が子を生んでいたんだが」

先生「女先生がいるだろう? 彼女は元男だったが、性転換して今の容姿を得たんだ」

先生「男ばかりの社会の中、彼女は勇気を出して、自らの体で訴えているんだ……こんな社会は狂っていると」

転校生「へー……」

先生「女先生だけじゃない。髭に姉がいるのは知っているか? その姉も女先生と同じさ」

先生「……幼女どころではない、今や女性は奴隷だ。本来備わった機能をもう活用させる必要がなくなった彼女たちは」

先生「ただの『豚』になったのさ」

転校生「豚って……奴隷どころか、家畜じゃねーか」

先生「言ってしまえばそうだろう。今の社会、何処へ出ても女性はまるで家畜を見る様な目で疎まれている」

先生「俺は、こんな狂った世界にお前たちを出す前に色々学んでほしいんだ」

先生「だから……お前らには幼女を愛でる気持ちを知り、犯して女性の体の素晴らしさを知ってもらいたい」

先生「俺の勝手で行っている授業だ。しかし」

先生「この授業を経験して、ひん曲がった現状を正す奴が生まれてくれることを俺は信じている」

先生「全て、俺の勝手だ。だから責められて当然だと思う……」

転校生「何ていうかさ、ただ昆虫飼うみたいな軽いノリじゃないことはわかった」

転校生「俺は、先生が話してくれたことも考えも、否定する気ない」

先生「そっか。ありがとな……」 転校生「別に」

転校生「生き辛い世の中か……本当にな」

転校生「……先生、今日は家に帰れよ」 先生「えっ、でも」

転校生「今日だけは俺が特別に小屋に陽菜と一緒にいるっスよ。だから安心して帰って」

先生「お前だけでか? でもお前だって」

転校生「だから特別だってば。いいんだよ、どうせ帰っても暇なんだし」

転校生「ほら、朝飯だって残り物がまだある……十分だよ……」

先生「…………わかった。じゃあ今日はお前に任せるよ」

先生「何かあれば先生に電話掛けてくれ。すぐに駆けつけるぞ」

転校生「ああ、じゃあね」 陽菜「すーすー……」

翌朝になり1班の僕たちは同時に校門前で勢ぞろいした。これはただの偶然。

ただ、みんなあの子が心配だったという気持ちは一緒だったらしい。

髭「……よぉ、早起きだな」 坊主「俺は朝練があるからさー……」

眼鏡「ウソこけ。朝練なんて今まであったことなかっただろ」 フケ「じゃあ、みんな同じ理由で集まったわけか」

「…………」

眼鏡「だって、いくら先生が付いてても、あの先生だぜ? 全く安心できねぇんだよな」

髭「その通りだ。もし陽菜ちゃんに何かあれば俺たちが責められちまうしよ~」

坊主「俺は……朝練だし……」 フケ「とりあえずみんなで様子見に行こうぜ。俺朝飯余分に持ってきたんだ」

「オレモ」「オレモダ」「トチュウ コンビニデカッテキタ…」

眼鏡「……何なんだよ、気色悪ィなお前ら」

坊主「お前も同じことしてんじゃねーかよ!」

「シンデタリシテネーヨナ?」「ヨル ケッコウヒエタシナ」「オッカネー」「ショニチデアウトカ」

坊主「オーッス! 陽菜ちゃん生きてるかー!」

転校生&陽菜「すーすー…………」

坊主「お、おい……先生じゃねぇ。転校生がいんぞ!」

眼鏡「は!? 何で!?」 髭「あの先公、押しつけやがったか」

フケ「……なぁ、転校生。大丈夫か?」ユサユサ 眼鏡「おい、止めとけって……」

転校生「んっ……ふぁ……ん~…………」モゾモゾ

坊主「それにしてもよー、この転校生改めて見てみると綺麗な顔してんよなー」

髭「美少年ってやつだな。男臭い中だと目立つ顔なのに、こいつ影薄いんだよな」

眼鏡「……ていうか、こいつが俺たちと関わる気ゼロなんだよ。昨日まで声も聞いた事なかったぜ」

フケ「なんか二人仲良さそうに寝てるね。起こすの少し可哀想だ」 髭「だな」

眼鏡「つーか、先生は帰ったのか? 何が薄情だよ。どっちがだっつーの」

坊主「ていうか生きてたんならもう放っておこうぜー。そのうち起きてくるって」

フケ「まぁ……大丈夫かな?」 髭「やっぱり起こしとくか……いや、もうちょっと寝顔見てようぜ」

髭「ほら、陽菜ちゃんも転校生も寝顔かわいーしよ」 眼鏡「バカ」

坊主「にしても急に転校してきたよな。しかもこいつ一人でアパート暮らししてるみたいだぜ?」

フケ「へぇ~、初めて知った。親御さんとは仲悪いとか、それとも」

転校生「…………お前ら何ジロジロ人の顔覗いてんだよ」

「!」

転校生「朝っぱらから気持ち悪ィな……何か用?」

眼鏡「別に用ってわけでもねーよ」 髭「陽菜ちゃんが心配だったから様子見に来たんだ。まさかお前がいるとは思わなかったぜ」

転校生「ん、昨日だけ俺が泊まった。それだけだから」

坊主「ほれ、転校生。これやるよ!」 フケ「ああ、俺も。ほら」

転校生「……? 何の真似だ、これ……」

坊主「何って朝飯だっつーの。食うもん何もねーだろ……って、あんじゃん」

眼鏡「んだよ、せっかく持ってきたの無駄になっちまったじゃねーか」

転校生「……お前らで食えばいいだろ。俺とこの子は大丈夫だから」

髭「……なら、せっかくだし全員でここで朝飯としようや。腹減ってきたしな」

転校生「ちっ……」

坊主「……」ジロジロ 転校生「……何だよ。こっち見ながら食ってんじゃねぇ」

坊主「お前って、やっぱり先輩たちに掘られたか?」 眼鏡「ぶふぉっっっ!!」

髭「バカ、飯食ってるときに変な話すんじゃねー!」 坊主「いやでもよぉー、正直そんな顔いいならさぁ」 髭「そういう問題じゃねぇ」

フケ「気にするなよ、転校生。こいつバカだから空気読めないんだ」

転校生「あっそ……」 坊主「で、実際のところどうなワケ?」

眼鏡「飯不味くなるからやめろバカ。大体こいつは先輩たちにも気付かれないぐらい影薄くて……」 フケ「お前もバカ。やめろ」

転校生「…………いや、本当のことだしいい。目立つの好きじゃないんだ」

転校生「……俺、一度家戻って必要な物取って来るから。あとは世話係のお前たちが面倒見てやれよ」

髭「あっ……行っちまった。お前らがバカ言ってるから居辛くなっちまったんだぞ」

坊主「ケツの危機を感じ取ったのかもしれねぇーぜ」 眼鏡「お前、マジでそれやめろ。キモい」

とりあえずここまで

あんまり長くならないようにしよう

髭「なぁ、先生……」 先生「はいな?」

フケ「転校生に押しつけて自分だけ帰るなんて酷いぞ!」 坊主「自分だけ暖かい布団で根やがって!」

先生「あ、あ~……そうだな。先生も反省している」

先生「今日からは俺があの小屋で陽菜ちゃんと暮らすからな。悪かった」

髭「謝るなら転校生に言ってくださいよ」 眼鏡「まぁ、でも俺らも先生責められた立場でもねーな」

坊主「教師と生徒だぜ。大人と子どもの違いだってあるべ、責任が違う」

眼鏡「いや、そういう問題じゃないっていうか……」 フケ「……眼鏡の言うことも分からなくもないや」

フケ「俺たちも自分さえ良ければって思ってたんだしさ」

髭「……悪かったよ、先生」

先生「いや、こちらこそ。あとでみんなで転校生に謝りに行こう」

先生「あとお礼ね」

「うっす」

先生「いやぁ、やっぱり悪いことしたよな。俺も無責任すぎたというか……」

先生「それにしても遅刻魔のフケと坊主がこんな時間に、HR前に学校いるなんて珍しいや」

先輩先生「あの子ら、朝早くに登校して例の幼女へ会いに行ってたぞ」

先生「え?」

先輩先生「何だかんだいって心配だったんだろう。良い生徒を担任に持てて羨ましいな」

先生「そうだったんですか……あいつら……」

先輩先生「まだ始まって1日しか経ってないが、どうだい? 様子は?」 先生「ええ」

先生「最初は……というか、今でもみんな戸惑っていますよ。当たり前だとは思うけど」

先輩先生「今までに『幼女を学校で飼う』なんて前例もないしね。お前がしっかりみんなを助けてやりな」

先輩先生「それが大人として、教師としての責任」ポン

先生「ふふふ、ですね」

女先生「……あの、先生?」 先生「はい!?」

女先生「他の先生方からお話お聞きしました」 先生「流石にもう伝わり始める頃だよなぁ……」

女先生「それで、その……何と仰っていいのか……えっと」

先生「頭おかしい奴だと思っていられるんでしょう?」 女先生「そ、そんな」

先生「分かってますよ。自分でも変なことさせてるってのはね」

先生「でも、俺はあいつらに『幼女』と『今の社会』について学んで欲しいのです」

先生「これは一教育者として。俺自身として!」

先生「勝手すぎて笑えてきますよね~本当に。俺、頭大丈夫かな」

女先生「……私は、先生の行っていることに全て賛成できる気はしません」

女先生「彼らにも何を学ぶか、それを選択する自由があります。これは強要です。個人の勝手の押しつけです」

女先生「確かに……私も今の社会に反発している立場です。ですが、あなたは関係のない生徒たちに……」

先生「いいんですよ」 女先生「え?」

先生「あいつらがこの勉強を通して何を思おうが、影響を受けようが、最終的には彼らの自由です」

先生「何とも思わない奴がいたって、それに文句をつけることもしない」

先生「……これってやっぱり無責任ですかね?」 女先生「正直呆れました」

女先生「話を変えます。あの幼女……陽菜ちゃんはどうするつもりなんですか?」

女先生「あなたの行いは、幼女をけして『人間』のように扱っているように見えません」

女先生「他の男たちが彼女たちを『動物』として扱ったりするのと同じ……」

女先生「幼女を知って欲しい、今の社会を知って欲しいと言いながら!」

女先生「あなたがしていることは、この間違った社会と同じではありませんか!?」

先生「そ、それは…………」

先輩先生「どうした大きな声あげて。少し落ち着きなさい」 女先生「教育に犠牲は付きものだと考えていられるのでしょうか!?」

女先生「1年間散々あの幼女で遊ばせて、最後には犯す! その後はどうするつもりですか!」

先生「俺が……処分を考えています」 女先生「最低っ」

女先生「この学習を通して何を学ぼうが自由? 関係がない? 何も得られなかった場合、陽菜ちゃんは無駄な犠牲に変わるだけですよ!?」

先生「いや、無駄なんかじゃない!これだけは譲れない!」 女先生「何の根拠を持って言えるんですか!」


先輩先生「オイ」   先生&女先生「…………」


先輩先生「朝から熱くなるのは若さの賜物か。二人ともコーヒー淹れたからHR前に一杯飲みなさい」

先輩先生「落ち着くからさ。はい」 先生&女先生「ど、どうも……」

女先生「……私は、先生。私はやっぱり反対です。陽菜ちゃんをセンターへ引き渡しましょう」

先生「……正気ですか?」 女先生「私としても不本意ですよ」

女先生「ですが、陽菜ちゃんは幼女であると同時に一つの命です」

女先生「勉強とはいえ、命を軽々しく扱って、弄ぶことはけして許されない」

先生「だから、センターでさっさと陽菜ちゃんを殺処分してもらえと?」 女先生「今なら生徒たちも、あの子も苦しまずに……」

先生「それこそ俺はごめんです。言い方は悪くなるが、どうせ死ぬしかない運命なら、俺はあの子へ生きた意味を残させてあげたい」

先生「今はあなたの提案は拒否させていただきます。これからは俺とあいつら、みんなであの子の生き方を決めていく」

先生「それが陽菜ちゃんを飼う俺たちの責任です。これだけはかならず全うしますので」

女先生「……そうですか」

女先生「朝から怒鳴ったりしてすみませんでした。私、そろそろ教室へ向かいますので」

先生「ええ。こちらこそ怒らせてしまってごめんなさい」

先生「…………ありゃ完全に脈なくしたな。……あーあ」

陽菜「それでね!おにいちゃんがこれこれで~……」

「驚いたな。転校生、お前結構面倒見いいじゃねェか」「やっぱりペドなの?」

「ガキとお話できるのに俺らはシカトかよ」「少しは仲良くしてくれてもいいじゃん」

坊主「おう、お前ら!転校生は俺らと違ってデリケートってやつなんだよ。あんま虐めるなって」

「ただのコミュ障にしか見えんが」

転校生「そこどいてくれ」 「え?何だよ?」

転校生「トイレ……」 「あ、ああ」

眼鏡「……正直俺らと関わるのあんまり好きじゃねーんだろ。目立つのが苦手なんだってよ」

「だから放って置いてやれってか?」「ていうか、今さら関わる必要もねーんだよなぁ」

髭「腫れもの扱いだけはやめてやれよ。逆にかわいそうだぜ」

陽菜「おにいちゃん……」ギュッ

髭「え?」 陽菜「おなかいたいよぉ……」

「おい、腹痛いって」「やべーよ。当番トイレか保健室連れていってやれよ」「お前ら悪いもん食わせたんじゃないだろうな?」

フケ「陽菜ちゃん動ける? つらい?」サスリサスリ  陽菜「うぅ……」

先生「お前ら何ざわついてるんだ?」

陽菜「いたい、いたいよぉ……」 保健医「うーん……」

眼鏡「お、おい!こいつ病気とかじゃねーよな!?」 坊主「ノロウィルスだ!」

保健医「少し落ち着きなさい(苦笑)」

保健医「ただの食べすぎかもね。今朝は何食べさせたの?」 フケ「パンとかおにぎりとか……あ、からあげも」

髭「確かに調子乗って色々口に入れてたかもな。持ってきた俺らも悪いが」

保健医「そっかそっか。じゃあ……陽菜ちゃん、少し横になっておやすみしてる?」

陽菜「いたいいたいいたいっ!」 坊主「死ぬなぁぁぁ!!」 フケ「死なねェから」

保健医「横になるのもつらいのかな……。トイレ行ってうんち出してきた方がいいかもしれない」

保健医「どうしてもダメなら病院に連れて―――」

保健医「あ、無理か」 髭「……どうしてっスか?」

保健医「その子は捨て幼女だったのを、キミらの担任が無断で拾ってきちゃったわけだし」

保健医「身分も分かってないし、保険証もないだろう? 診断受けられないどころか、国にバレちゃうよ」

保健医「一気にキミらの担任は犯罪者になってしまう」

髭「マジかよ……」

先生「陽菜、大丈夫でしたか?」 坊主「遅ェーよ! 何してたの!」

保健医「健康的には特に悪いところは。食べすぎが原因かと思われますね」 先生「そ、そうですか」

フケ「先生、ごめん。俺たちが面倒しっかり見てないから……」 眼鏡「でも勝手にバクバク食ってたのは陽菜ちゃんだろ」

保健医「子どもは自分の限界も分からないし、何でも口に入れたがるから」

先生「すみません。俺の責任です……」

髭「先生、もしこの子が病院に行かなきゃならなくなったら、あんたどうするんだ?」

先生「もちろん連れて行くよ。苦しませるわけにもいかないからな」

先生「お前らは教室に戻ってろ。授業始まるからな。あとは俺がやっておく」

フケ「でも、俺たち陽菜ちゃん係ですよ」 坊主「俺らにもこうなった責任ってあるからよぉー……」

先生「行きなさい」

「…………はい」

「あ、戻ってきた」「おい!陽菜ちゃんどうしたんだよ!」「やっぱ変なもん食わせたんじゃねーのか?」

数学先生「授業中に騒ぐんじゃあないぞッ!!」

転校生「……おい、あいつは」

髭「少し朝飯食い過ぎだったみたいだ。特に悪いとこはないってよ」

髭「何だ心配なのか?」 転校生「……別に」

「ただの食いすぎかよ~驚かせやがって~」「お前ら今週の当番なんだからしっかりしろやボケ」

坊主「うるせェな!俺らだって分かんないことだらけなんだよ!仕方がねーだろうが!」

数学先生「話はあとにして、さっさと席に座れ! まずは授業に集中しろ!」

フケ「……やっぱり心配だな」 眼鏡「俺らで腹痛使って授業フケちまわねェか?」

眼鏡「せんせー! 俺たち腹痛くなってき―――」

バタバタバタバタ!

陽菜「あーそぼっ!!」

「!?」

「陽菜ちゃんじゃねーか!」「腹痛いの治ったのかよ!」

髭「陽菜ちゃん、お腹はもう大丈夫なのか?」 陽菜「うん!もういたくなくなったの!」

眼鏡「なんだよ……余計な心配してたぜ、俺ら」 フケ「けど無事でなによりだよ……」

陽菜「みんななにしてるの?ひなもいっしょにあそぶっ」

坊主「先生ー、陽菜ちゃんと遊んでいいですかー」

陽菜「わーい!」

数学先生「いいわけないだろ…………早く席に座れよッ!!」


こうして僕たち一斑の陽菜ちゃん係初の一週間は無事に過ぎていった。

騒がしかった教室は彼女が加わったことで、さらに騒がしく、賑やかになる。

少しづつ、僕たちはこの幼女と暮らす学校生活に慣れ始めた。

先生「いや、本当に申し訳ありません……はい」

数学先生「全くですとも!!」 先生「はぁ」

数学先生「先生、クラスで幼女を飼う事についてはもう私は言及はしない。だがしかし」

数学先生「あの娘がいるとまともな授業が行えないのだ!おまけに生徒は幼女に視線を向けてばかり!」

数学先生「ここは幼稚園か何かか?違うでしょう。学校だ、高校だ。お遊戯の時間は一切必要ない!」 先生「じゅ、重々承知していますよ。あははは…」

数学先生「……とにかく、奴らに授業を受けさせてくれよ。このままでは前期試験の結果が恐ろしいわ」

先生「……はぁ」 先輩先生「お疲れのようですなぁ」 先生「先輩……?」

先輩先生「こうなる事は予想できてはいただろう?」

先生「まぁ、はい……」 先輩先生「じゃあ責任は持たなくちゃな」ポン

先生「というわけだ」

「……って言われても俺らにどうしろっつーんスか?」

先生「いやだから皆真面目にお勉強しようねって話!」 「してるしてるー」 「捗ってるよなぁ、陽菜ちゃんのお陰でよぉー?」

陽菜「ひなね!みんなといっぱい おべんきょーしてる! このまえすーじの1から10おしえてもらったよ~!」

先生「そっかそっかぁ~! 陽菜ちゃんは凄いなぁ~! ……いいかお前ら」

先生「陽菜ちゃんはお前らとは違う。幼女だ。まだ字も書けない幼女だ」

フケ「あの、回りくどい言い方やめて早く話進めましょうよ」 先生「じゃーかしぃ!」  「ナニオコッテンダヨ…」「ソモソモ ヒナチャンツレテキタノ アノヒトナノニ」

先生「前回の数学で小テストがあっただろう。先生、数学先生からみんなの答案用紙を見せられたんだ」

先生「あまりに酷くて泣きそうになった……」  「…………」

陽菜「ひな、たしざんもおそわったの! 1+1は、たんぼのた!」

陽菜「でもねー? たんぼってなーに?」

先生「……お前ら、一週間ぶりの陽菜ちゃん会議を開く」

2班メンバー:金髪 筋肉 ガリ 細目


細目「で、会議とか言っておいて僕らに丸投げじゃないか」 筋肉「まぁ、ある程度予想はついてたわな」

金髪「あの先公!調子乗ってんじゃねーか!?あ!?」 ガリ「いやっ、俺に当たられてもどうしようもねーよ!?」

筋肉「それにしても俺たちだけでどう考えろって話だよな。だって俺らだけの問題じゃないんだぜ」 ガリ「マジそれよなぁー……」

金髪「大体成績悪いのも あの授業が糞ほどつまんねぇのが原因なんだよ!!」

細目「……とりあえず、どうする?」 ガリ「どうするって、どうにかするしかねーじゃん?」

ガリ「ようは先生方は陽菜ちゃんが俺たちと一緒に授業受けてるのが問題だと考えてるみたいだし」

ガリ「いっそのこと陽菜ちゃんは授業のときだけ あのボロ小屋で待機させる。これしかねーんじゃないの?」

筋肉「あの子一人でか? それはいくら何でもって感じだぜ」 金髪「あぁ? じゃあよ~……職員で暇な奴が預かるってのが一番じゃねーの」 細目「僕もそれが良いと思うわ」

金髪「へい。会議しゅーりょ。ていうかぶっちゃけていーい?」 筋肉「あん?」

金髪「俺、ぶっちゃけガキとか好かねェんだわ。別にあの子が女だからってわけじゃねーぜ」

金髪「お前らはイラつかねーのかよ。アイツと毎日一緒で、うぜぇ甲高い声で騒がれて」

筋肉「おいおい……」

金髪「俺は心底嫌気が刺すね。冗談じゃねーよ。俺らは学校に何しに来てんだ? 俺らは保育士か?」

細目「今さらそんな不満言ったってどうしようもないだろ。それに陽菜ちゃんはまだ小さいだから仕方がないさ」

金髪「仕方がないって何? 大体意味わかんねェんだよ、一年もガキのお守とかよぉー……」

ガリ「おい、陽菜ちゃんに聞かれたらどうするんだよ……やめとこーぜ……」  金髪「ちっ」

筋肉「ふー……とりあえず授業中は誰かに預かってもらうって事でいいんだな。先生に報告しに行こうや」

細目「そうするしかないもんねぇ」 ガリ「でも、陽菜ちゃん俺たちと一緒に勉強できてスゲー嬉しそうにしてるんだぜ?」

ガリ「本人がめちゃ嫌がるんじゃないかな」 金髪「知らねーよ。一々ワガママ聞き入れてちゃ何にもなんねェわ」

先生「お?」 筋肉「あっ、どもっス……」

先生「お前たちどうした。雰囲気悪いぞー」 金髪「誰のお陰で…」 ガリ「しーっ!」

細目「先生、僕たち4人で相談した結果なんですけど、やっぱり授業中は手が空いてる先生方に預かっていただこうと」

先生「はぁー、だよねぇ……それしかないんだよねぇ……」 金髪「分かり切ってたなら相談必要なかっただろ!!」

先生「いや、こうやってみんなで何かを考え合うってのは良いことなんだ。どんな些細な問題でもな」

先生「にしてもやっぱりそうだよなー……恐らく校長辺りが喜んで引き受けてくれそうではあるが……当の陽菜ちゃんはどうなることやら」

先生「……そーだ。お前たちでやんわりとこうなる事をあの子へ伝えてやってくれよ」  「はぁ?」

先生「みんなとお勉強はできなくなるけれど、校長先生のおじさんが遊んでくれるよってな」

金髪「……つーかよ、もし校長辺りに任せるんだとしたら、俺らが陽菜ちゃん育てる必要もうなくね?」 細目「あっ」

金髪「俺らは一日授業ばっかり、あの子の相手してやれる時間なんて本当に限られちまう」

金髪「そんで授業中のお世話は他の先生が担当してくれるんだろ? じゃあ何も意味ねーよ、この幼女飼うって行為は」

先生「……うーん、お前たちには朝のHR前、それから昼休み、放課後のお世話で精一杯だよな。分かってる」

先生「……すこし、やり方を考え直すべきだろうな」  陽菜「なんのおはなしですか!」 筋肉「陽菜ちゃんっ」

陽菜「ひなも、おはなしに まーぜてっ!」 金髪「…イライラ」 ガリ「ちょっと、相手は子どもだぜ?」

先生「ん~~~? えっとね、このお兄ちゃんたちが、陽菜ちゃんと一緒にお散歩に行きたいんだって~良かったなぁー!」 陽菜「えええぇぇ~~~! おさんぽっ、おさんぽ行くの!?」

「はぁ!?」

金髪「おー先公ッ!! 黙ってれば何勝手言いやがるんだよ!!」 先生「いやいや、ちょっとね!」

先生「ほら、散歩ついでにさっきの話を頼むよ~……先生はちょっとこれから忙しくてな」

ガリ「いきなり過ぎんだろマジで……」 筋肉「まぁ、でも散歩に付き合うのも悪くないんじゃね?へへっ」

陽菜「ほんとーに!ほんとーに!おにいちゃんたち、ひなとおさんぽいきたいんだね! ね!」ガシッ 金髪「おっ…!?」

陽菜「しかたがないです! ひなは、みんなと おさんぽにいったげるよ! えへへっ♪」

「…………」

細目「じゃあ陽菜ちゃん行こうか。陽菜ちゃんはどこへ遊びに行きたいんだ?」 陽菜「こーえんがいい!」

筋肉「あんな可愛いのに嫌いだとか、お前はわかんねェ野郎だぜ」 金髪「あぁ!?」

先生「ふふっ、じゃあ……行ってらっしゃい。車には気をつけるんだよー?」 陽菜「はぁーあい! いってきます!」パタパタパタ…



先生「やっぱり、難しいもんだな…………あはは」   女先生「何がです?」 先生「!」

筋肉「そーら 陽菜ちゃん? 胸筋ピクピクーっ」ピクピク

陽菜「きゃー! ぴくぴくしてるよ! ねぇねぇ! もう一回ぴくぴくして!」 筋肉「ほらほらぁ!」

細目「公園なんて久しぶりに入ったよな。昔はこの辺でよく遊んでいたっけ……遊具減ったな」

ガリ「ブランコなんかも今じゃ危険だからほとんど撤去してるらしいぜ。生まれるの遅かったら何にもなかったかも」

細目「父親に感謝だね」 ガリ「だな。……で、いつあの話を陽菜ちゃんに切り出そうか」

細目「下手に回りくどく話ても理解してくれなさそう。ここはストレートに……可哀想だけど」

細目「あの子、本当に僕たちと勉強ができて楽しそうだったんだぜ。それを、さ」

金髪「バーカ。ガキは俺らと遊んでるぐらいにしか考えてねーよ」

ガリ「でも、俺らがひらがなとか数字教えたら、ちゃんと覚えてくれたんだぞ。 たとえ本人は遊びと感じていても立派な勉強になっていた」チラ

筋肉「おー……胸筋攣った……陽菜ちゃん、休憩……」 陽菜「やだーっ」

「…………」

金髪「なぁ、俺らがそこまでガキの面倒見る必要なんてないんだぜぇー? どうせあいつと関わろうが、来年になればバイバイだろ」

ガリ「だからって今さら放っておけって酷くね。もう俺らと陽菜ちゃんは知らない仲じゃないぞ?」

金髪「面倒くせェなッ!!」ガシッ  ガリ「!」

細目「お、おい……」 金髪「アレの世話して俺たちに何の見返りがある!? ……なんもねーよ! だろ!?」

ガリ「いや……それは……」 金髪「お前でも分かるだろーが……俺、バカだけどよぉー、こんなの意味ないってことは理解できるぞ」

筋肉「どうして? 陽菜ちゃん、こんなに可愛い子なんだよ?」 金髪「あぁ?」

筋肉「そりゃあこの子勉強を教えるとかは俺らがやる事じゃない。だけど1年間陽菜ちゃんと一緒に過ごすって最初に全員で決めただろう」

金髪「俺はまだ賛成したわけじゃ」 筋肉「あの時お前一言でも「嫌だ」って言ったか? それを今さらになってケチつけるのは」

筋肉「女々しい男がすることだぜ」 金髪「……ヤロー……喧嘩売ってんのか……!?」

細目「も、もう止せよ……! 他の人らが見てるだろ。陽菜ちゃんだって近くにいるのに」

金髪「だってこいつが……チッ」 筋肉「俺は陽菜ちゃんが好きだ。愛着も沸きまくりだ。今さら放棄なんて御免だぜ」

ガリ「まぁ、好きとまではいかねぇけどよ、俺も嫌いじゃないよ。だからこそ 今こうして一緒に授業受けないで、と言い出せずにいる」

ガリ「あの子がいると妙にクラスが纏まってる気がすんだよなー……」  金髪「別にガキがいなくても纏まりはあったろうが」

ガリ「いや、そういうのじゃなくて……何て言ったらいいんだ? 心が一つ的な?」 筋肉「それ、寒いわ」 ガリ「おい、真面目に言ったんすけど……」

金髪「お前らマジ意味不明。信じらんねぇ、どうかしてんじゃないの……」

細目「賛成ないからって落ち込むなよ。だけど俺らは陽菜ちゃんの味方だからね」

金髪「別に俺だって今すぐやめろって言ったわけじゃねーよ! ……んだよ、俺ばっかり悪者みたいな」

陽菜「ねぇねぇ」グイグイ  金髪「うひっ!? な、何だ……何か用かよ……!」

陽菜「だっこ!」  金髪「あぁ!?」 陽菜「ひなを! だっこして! ムキムキおにいちゃんと せーくらべするの!」

筋肉「あっ! 不正する気だな! ズルーっ!」 陽菜「ちがうもん! おにいちゃんが おっきいから、ひなはいいのー!」

陽菜「ねーねー! いそいで! おにいちゃん!」グイグイ 金髪「お、俺より他の奴に頼めよ……嫌だよ、俺は……!」

陽菜「…………いやだよって、いわれちゃったぁ」

金髪「あっ……いや、えっ……泣くなよ…おい……!」

筋肉「よいしょ~!」ヒョイ  陽菜「あぁー! きゃー、たかいたかぁーい!!」

ガリ「ほら、グズグズしてっから筋肉に取られちまったぜ?」  金髪「はぁ? しらねーし……!」

細目「なぁ、そろそろいいんじゃない? 遅くなると余計に話づらくなりそうだよ」

ガリ「あー……じゃあ、陽菜ちゃ―――」

『ワァーワァー』 『キャッキャ、キャッキャ』 『キヲツケテ アソブンダゾー』

細目「なぁ、あれ」 金髪「あ? 近所のガキどもじゃねーか」

ガリ「……やばくないか、アレ」 細目「え? どうして」

ガリ「早く場所変えようぜ。おい、筋肉―――」

男の子「ちょっとー! オレたちの砂場だぞ! なに勝手に使ってんだよー!」

陽菜「ふぇ?」

筋肉「お……おいおい、公園は誰のもんでもないぞ。みんなで仲良く使わなきゃ……」

男の子「でもいつもオレたちだけが使ってんの。だめー!」 陽菜「お、おにいちゃん」 筋肉「だからぁ……」

陽菜「うぅ~……じゃあね、いっしょに ここであそぼ?」

男の子「えぇー! やだぁー! 知らない奴とあそぶのこわい!」

男の子「ねぇ、こいつよく見たらオンナじゃん!!」

筋肉「!」

「うわっ、オンナだぁー!」 「変なのー! オンナやだー!」 「うわぁー!」

陽菜「えぇ……ふ、え……」アタフタ

筋肉「お、女の子がいてもいいだろ! そういうのやめてくれ」

「やなもんはやなんだもん! お兄ちゃんもオンナと一緒にいるから、オンナだぁー!」 「やーい!オンナ!」

細目「アレマジでやばい!!」 金髪「……」

ガリ「筋肉! 帰ろう!」 筋肉「いいやっ、こいつら間違ってやがる! どうして陽菜ちゃんがバカにされなきゃいけないんだ!?」

金髪「くそガキ相手に何マジになってんだよ……カッコつかねー……」 ガリ「言ってる場合か!」

陽菜「ひぅ!」ビチャ!  筋肉「あっ!?」

男の子「出てけよ! 今度はもっと泥なげるぞー!」

筋肉「……何でそういうことするんだよ。おい」  ガリ「お、おい! あのバカ止めなきゃ……」

男の子「オンナは汚いってパパとママ(男)がいつもいってるんだよ! だからオンナはくるな!」

男の子「やーい、ブタぁー! ぜったいさわるなよ! オンナ菌がうつっちゃうから!」

陽菜「ふぇ……ふええぇぇ…………っ」ポロポロ

筋肉「このくそガキ!!!」 男「すみません!!」 筋肉「……え?」

男「どうも、すみませんでした……うちの子たちが失礼を……ほら、お兄さんに謝りなさい」

男の子「えぇー? オレたちなにも悪いことしてない!」 男「いいから早くしなさいッ!」

男の子「……ごめんなさーい」  陽菜「うう、うぅ……」ポロポロ

筋肉「…………これからは、気をつけてほしいっス」 男「あ、ああ……わかってるよ……」

男「ほら、家の中で遊びなさい。外はばい菌でいっぱいだからね」  男の子「はぁーい」


男の子たちは親に連れられて、あっさり公園から出て行った。
この時、彼らの親が「アレは汚いから関わってはいけない。近づくな」と優しく撫でながら教えていたことを 僕らは嫌に覚えている。
あらためて思い知らされた。陽菜ちゃんは、幼女であり、女であることを。

細目「陽菜ちゃん、これで顔拭いて。服は帰ってから洗濯しようね」 陽菜「ふぇぇ……」

筋肉「俺……なんかショックだわ……何にも言えないよ」 ガリ「まぁ、な」

金髪「外に出せばこうなることもあるだろうって、最初から分かってただろ」

金髪「あの反応が普通なんだ。俺たちは割と異端な方なんだよ、この国からしたらなぁー」

金髪「お前らも一回ぐらいあんな光景を見たことあるだろーが。ガキに関わらず大人の女だって同じだったろ?」

金髪「女は、人間じゃない――」 筋肉「お前……続き話してみろよ、ぶっ飛ばしてやる!」

ガリ「ま、マジにすんなよ……別にこいつの言ってることって間違いじゃないぜ」

細目「…………なぁ、思ったんだけど」

細目「俺たちが学校卒業した後って、この子はどうなるのかな?」

「あっ……」

ぐぅー   「!?」

陽菜「……おなかすいたぁ、ぐすん」

店員「おまたせしました。ハンバーガー5つとポテトLサイズ1つになります」

細目「どうもー……」  店員「ありがとうございましたー」


筋肉「おっ、帰ってきたぞ~。ほら、陽菜ちゃん ハンバーガーだってよ!」 陽菜「なぁにそれ? おいしーの?」

金髪「つーか量多くねぇか。誰がそれだけ食うんだよ?」  ガリ「俺ですけど……」  金髪「何でお前それでデブらねぇんだよ!」

筋肉「本当は店の中でゆっくり食わせてやりたかったけど、ごめんなぁ 外で」

陽菜「ううん、いいよ! みんなでおそとで ピクニックみたいでたのしい! おさんぽだけどっ、えへへ…」

細目「いい子だな、陽菜ちゃん……あのさ」 陽菜「おいひぃ~! こ、これすっごくおいひぃよぉー!!」

細目「は、えっ?」 陽菜「おいしい、おいしい! おにいちゃんもたべて! はいっ!」

細目「ど、ども……(話切り出そうとしたのに、またやりづらくなったぞ)」

陽菜「ねっ! めちゃめちゃおいしいです!」モグモグ

筋肉「かわいい!」

陽菜「おなかいっぱーい。もうたべられないよぉ」 筋肉「おいしかったね~よかったなぁ」

金髪「また腹痛いとか騒がれたら面倒だし、食わなくていいっての」

細目「陽菜ちゃん、今日はごめんな。僕たちがしっかりしてればあんな事にならなかったのにさ」

陽菜「ふぇ? ひな、おにいちゃんたちといっしょいて、すっごくたのしいよ? なんでごめんねするの?」

陽菜「ひな、わるーいことした……!?」 細目「い、いや! 楽しかったなら……いい」

金髪「何だよなんとも思ってねーじゃん」 ガリ「でも、子どもって嫌なことはしっかり覚える生き物だぜ。ちゃんとケアはしてやらんと」

金髪「ペットかよ……だから面倒なんだよな」 筋肉「そんな事言ってここまで付き合うお前は人が良いよな」

筋肉「さっきはー……なんか、悪かったよ。俺も頭きてて冷静になれんかった」

金髪「一々謝らなくていいわ別に。そういうのウゼーからよぉ」

金髪「…………なぁ、オイ 陽菜」 陽菜「はーい! なんでしょー!」

金髪「お前さ、明日から俺たちと一緒に勉強できないから。ワリィけど」

陽菜「え?」  ガリ「お前いきなり過ぎんだろ!?」 筋肉「だからバカなんだよ バカ!!」

金髪「うるせぇー! どのみち言い出さなきゃいけないことだ、今でいいだろ」

陽菜「どーして、ひな、いっしょにおべんきょうダメなの? いっしょがいい……」

細目「……ぼ、僕たちも陽菜ちゃんと一緒に授業うけたいよ。でもな? それ、無理なんだって」

陽菜「わかんない。ひな、わかんないよぉ……」

細目「あー……何て言い直せば分かるかな……」 ガリ「どけ素人! 俺がやる!」

ガリ「陽菜ちゃん。陽菜ちゃんと俺たちとじゃ、お勉強の内容が違いすぎる。陽菜ちゃんにはまだ早いんだ」

陽菜「でもでも……ひな、ひらがなかけるもん。いちから、じゅうまで きちんといえます」

陽菜「ダメ?」 ガリ「うん。それだけじゃないんだ、俺らのは」

ガリ「このままだと俺ら先生たちに怒られて、陽菜ちゃんと一緒にいられなくなっちまうかもしれない」 筋肉「あっ、バカおい!」

陽菜「ふぇ……いっしょ、できなくなるの……」 ガリ「あっ……ああっ!」 細目「何が素人だ! アホ!」

細目「ひ、陽菜ちゃん。俺たちもまだ陽菜ちゃんと一緒がいい。だから、勉強を頑張らなきゃいけなくて……」

陽菜「やだぁ~……ひな、おにいちゃんたちといっしょいたいぃ……!」

細目「いや、俺らもいたいから! だから―――」

金髪「陽菜! ……いいか 陽菜? よく聞きなさい」 

陽菜「ふぇぇ……」

金髪「お兄ちゃんたちは学校で遊んでばかりなのはダメなんだ。お勉強が、本当に大切で、学校に来ているんだ」

金髪「もちろん……陽菜のことは大切に思っている。だけど、お勉強も大切だ」

金髪「お兄ちゃんたちはな、大人になるために頑張ってお勉強しなきゃいけない。大人になるには今が大切なんだよ」

陽菜「おとなに、なるの……? おべんきょうはたいせつ……? ひなよりも?」

金髪「本当のこと言うと、陽菜よりも大切だ。だけど陽菜のことはみんな嫌いじゃない。可愛いと思っている……そうだろ」

三人「」コクコク

金髪「だから、陽菜。陽菜はとても良い子だ。お願いだから、お兄ちゃんたちに頑張って勉強をさせてくれ」

金髪「陽菜のことは忘れないし、大事にするし、一緒にいてあげるって約束するから。お願いだ、陽菜」

陽菜「……うん。まだね? ひな、よくわかんないけど……いうとおりする」

金髪「ああ、陽菜は偉いな。我慢できて」ナデナデ 陽菜「へへっ…」


ガリ「お前誰だよ……」 細目「左に同じ……」 筋肉「こわっ」

金髪「あぁー!? 死ねくそがッ!!」

陽菜「なんかね? ひな、おにいちゃんたちと べんきょー むりなんだってー。おとなになるからって」

先生「ん? ……あ、あー。そっかそっか! 残念だったなぁ! でも、陽菜ちゃんにはおじさんたちが特別に、特別に! お勉強教えてくれるらしいぞ!」

陽菜「えええぇぇ~~~!? ひな、まだべんきょーしてもいいの!? ひなも、べんきょーおっけーなの!?」

先生「ああ、いいぞ!! やったな 陽菜ちゃん! やったぜー! あははははー……ふぅ」

先生(お前らGJ!)グッ   四人(うわ、うっざ!!)

陽菜「おにいちゃん!おにいちゃん! なんかね、ひなもね、べんきょーおしえてもらえるって!」

筋肉「マジで!? 良かったな 陽菜ちゃーん! 俺たちと一緒じゃないけど、陽菜ちゃんも勉強頑張って!」

陽菜「うん! ひなも、いっしょにがんばります!」

ガリ「この子本当にわかってんのかねぇ……」 金髪「俺が上手くやったんだ、何とかなんだろ」

細目「ていうか、まださっきの奴きもいんだけど」  金髪「お前マジで殴んぞ」

細目「止せって。まぁ、お前のお陰だよ 上手くいったの」

細目「でも、『ガキ』は嫌いじゃなかったわけ? 気でも変わった?」 金髪「勘違いすんじゃねーよボケ。ガキは嫌いに決まってんだろ」

金髪「ああでもしなきゃ陽菜がグズって面倒臭くなりそうだと思ったんだよ。へっ、これであいつの顔を見る時間が減って清々するわ!」

筋肉「でも、寂しいでしょう? ……んふ」 金髪「えっ……なんだよ、きもいぞマジで……」

筋肉「寂しかったら俺が抱きしめてあげるからさ。なぁ」トン 金髪「やめろ……ほんと、無理……!」

女先生「ほんと、あなたたちもよく頑張ってるね」 ガリ「あ、女先生?」

陽菜「ああっ! このひとすきーっ」ギュウ 女先生「わぁ……もー甘えん坊さんだ。ふふ」

女先生「この子のことは私たち教師に任せて、あなたたちはしっかり授業に集中すること。いいね?」

「「「「うーっす」」」」

ガリ「……でもさぁ、これで陽菜ちゃんと顔会わせる時間かなり減るよな」

筋肉「そうなる。でももう決まったことだしよぉ、今さらケチつけるわけにも……」

先生「お前ら、結構愛着持ててきたんじゃないか。やっぱり少しでもこの子と離れるのは寂しいだろ~? このこのぉ~!」

金髪「あぁ? じゃあ何だ。今度はどうしろってんだよ。結局同じ教室でお勉強しますってオチか? え?」

先生「いーや、残念ながらそれは叶わん。期待しているような展開もない」

先生「お前たち当番は朝のHR前、それから昼休み、放課後でこの子のお世話をしてもらう」

先生「それがベストだし、限界だ。休日も相手をしろだなんて無茶も言わない。その辺りはお前らが相談して決めるか、気分で相手しにいくかだ」

ガリ「……なんか、想像してたよりフツーなんスね?」 先生「先生も鬼じゃない。見ろ、こんなに優しい顔してるぞ」 金髪「オイ 鼻毛、でてんぞ」

先生「フンフンッ……とにかくこれ以上は俺からお前らに求めない。これは俺が先生たちとした約束でもある」

女先生「そういうこと。学ぶために陽菜ちゃんと接していることを忘れないでね? この子が負担になれば、それは叶わなくなってしまうのだから」

陽菜「むずかしいはなし、ひなにがてー」 先生「実は先生もなのよぉー、やだねぇー?」 陽菜「ねぇー」

女先生「……」 先生「…ゲフンゲフンッ」

ガリ「まぁ、大体は分かりましたよ。俺たちも努力しますから」 筋肉「陽菜ちゃんが大事だからな!」

女先生「……そう、分かってくれたのなら嬉しいわ」

細目「あの……話の途中でごめんなさい。質問いいですか? 先生?」 先生「ほえ? 難しくない質問でよろしく」

細目「その、僕たちが卒業したあと、陽菜ちゃんはどうなるんですか」

先生「…………」  陽菜「せんせー、むずかしいおはなしだねぇー?」

先生「あ、ああ」  陽菜「でもね、ひな、これからいっぱい べんきょーおぼえて むずかしいのも かんたんにするように がんばるよぉ!」

陽菜「ひなも、いっぱいがんばれば、おとなになれるかなぁー。えへ」

先生「……ああ、なれるさ。……きっと いつか」


そう言って陽菜ちゃんの頭を撫でる先生の態度は、どこか煮え切らないものに見えた。

ふぇぇ・・・まだのこってたなんて、ほんとびっくりしたよぉ・・・

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