以下の方は今すぐ戻ってください。
禁書のssは上琴に限る!
上条さんは悪をそげぶするんだ!
デルタフォース? 何それ食えるの?
黒子を出せ黒子を!
魔術サイドヒロインが出ないなんて俺は認めない!
暗部の話なんて誰得?
以上問題ない方はお付き合いよろしくお願いします。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1362919586
一人の少女が死んだ。
その名は禁書目録。
学園都市のとある実験に巻き込まれた結果の彼女の死。
それは、とある三角形の崩壊と共に生まれた新たなる物語の序章の一部に過ぎなかったーーー。
「野郎共?、子猫ちゃん達?、HRの時間で?す。皆席に着いて下さいね?」
とある高校のとあるクラス。
学園都市の七不思議と言われるロリ教師、月詠小萌はいつもの通りHRの時間ジャストに教室へ入り、生徒に着席を促した。
小萌先生をこよなく愛する生徒達は誰一人として逆らわず、皆席に着く。
身体が隠れながらも教壇に出席簿を置き、専用の踏み台に登った小萌は教室を見渡した。
「上条ちゃんと青髮ちゃんは今日も来ていないんですか……」
ポツンと空く二つの席を確認し、不安そうな表情を浮かべると、すぐにまたいつもの表情に引き締め、出席簿を開く。
出席のチェックが並ぶ中、空いている席の数と同様に二つの列だけ空欄が並んでいる。
当然だが、空いている席と出席簿の空欄列の人物は共に同一人物だということは言うまでもないだろう。
クラスの問題児であるとともにムードメーカーでもあったその2人の長期欠席は小萌先生にもこたえるものがあった。
片方はよく事件に巻き込まれて入院し、もう片方は休むことなどないような生徒であったから尚更だ。
「まったく……。バカ2人はどうしてるんだか……。土御門、貴様はあの2人と仲がいいわよね? 何か知らないの?」
おでこ輝くクラスの委員、吹寄制理がもう一人の問題児にして上条と青髮ピアスの親友、土御門元春に問いかける。
目にはサングラス、学ランの下にはアロハシャツと、奇抜な制服の着こなしをしている土御門は、いつもの気抜けた調子で返事をした。
「俺は知らないにゃー。まぁどうせ上やんのことですたい。どっかで女の子にフラグを立ててるか、入院でもしてるだけだと思うぜい?」
手を頭の後ろで組んで呑気に構えている土御門だが、実は2人の原因不明の欠席について、一番心中穏やかでないのは彼だったりする。
「(ステイルとねーちんに確認してみたが、上やんが今魔術関係で巻き込まれているなんてことは聞いていないと言った。ああは言ったが、病院には入院してかったし……。フラグは建てるが回収しない上やんがどっかで浮かれて遊んでる可能性もほとんどないだろう。唯一の心当たりといえば先日禁書目録が死んだことか……。下手に学園都市の闇に巻き込まれたりしなければいいが……)」
学園都市の闇を知っている土御門にとって、その闇に巻き込まれると一番やっかいなことになる人物は誰なのか、それははっきりと理解していた。
が、もう一人についても並々ならぬ心配をしている。
「(あの青ピがこうも続けて欠席とは何かがおかしい……。事件に巻き込まれたんなら揉み消された可能性はあるが、それに値する事件はここ最近一つも起こってない……。となるとその事件ってのが現在進行形で進んでいるのか……)」
それは土御門の勝手な憶測に過ぎず、また憶測を確信に持っていくほどの情報を土御門は持っていない。
「何だか嫌な予感がするにゃ?……」
空に浮かぶ白い雲を見つめながら吐いた呟きは、誰にも届くことなく、宙へ消えた。
「野郎共?、子猫ちゃん達?、HRの時間で?す。皆席に着いて下さいね?」
とある高校のとあるクラス。
学園都市の七不思議と言われるロリ教師、月詠小萌はいつもの通りHRの時間ジャストに教室へ入り、生徒に着席を促した。
小萌先生をこよなく愛する生徒達は誰一人として逆らわず、皆席に着く。
身体が隠れながらも教壇に出席簿を置き、専用の踏み台に登った小萌は教室を見渡した。
「上条ちゃんと青髮ちゃんは今日も来ていないんですか……」
ポツンと空く二つの席を確認し、不安そうな表情を浮かべると、すぐにまたいつもの表情に引き締め、出席簿を開く。
出席のチェックが並ぶ中、空いている席の数と同様に二つの列だけ空欄が並んでいる。
当然だが、空いている席と出席簿の空欄列の人物は共に同一人物だということは言うまでもないだろう。
クラスの問題児であるとともにムードメーカーでもあったその2人の長期欠席は小萌先生にもこたえるものがあった。
片方はよく事件に巻き込まれて入院し、もう片方は休むことなどないような生徒であったから尚更だ。
「まったく……。バカ2人はどうしてるんだか……。土御門、貴様はあの2人と仲がいいわよね? 何か知らないの?」
おでこ輝くクラスの委員、吹寄制理がもう一人の問題児にして上条と青髮ピアスの親友、土御門元春に問いかける。
目にはサングラス、学ランの下にはアロハシャツと、奇抜な制服の着こなしをしている土御門は、いつもの気抜けた調子で返事をした。
「俺は知らないにゃー。まぁどうせ上やんのことですたい。どっかで女の子にフラグを立ててるか、入院でもしてるだけだと思うぜい?」
手を頭の後ろで組んで呑気に構えている土御門だが、実は2人の原因不明の欠席について、一番心中穏やかでないのは彼だったりする。
「(ステイルとねーちんに確認してみたが、上やんが今魔術関係で巻き込まれているなんてことは聞いていないと言った。ああは言ったが、病院には入院してかったし……。フラグは建てるが回収しない上やんがどっかで浮かれて遊んでる可能性もほとんどないだろう。唯一の心当たりといえば先日禁書目録が死んだことか……。下手に学園都市の闇に巻き込まれたりしなければいいが……)」
学園都市の闇を知っている土御門にとって、その闇に巻き込まれると一番やっかいなことになる人物は誰なのか、それははっきりと理解していた。
が、もう一人についても並々ならぬ心配をしている。
「(あの青ピがこうも続けて欠席とは何かがおかしい……。事件に巻き込まれたんなら揉み消された可能性はあるが、それに値する事件はここ最近一つも起こってない……。となるとその事件ってのが現在進行形で進んでいるのか……)」
それは土御門の勝手な憶測に過ぎず、また憶測を確信に持っていくほどの情報を土御門は持っていない。
「何だか嫌な予感がするにゃ?……」
空に浮かぶ白い雲を見つめながら吐いた呟きは、誰にも届くことなく、宙へ消えた。
〜が上手く表示されない……
「野郎共〜、子猫ちゃん達〜、HRの時間で〜す。皆席に着いて下さいね〜」
とある高校のとあるクラス。
学園都市の七不思議と言われるロリ教師、月詠小萌はいつもの通りHRの時間ジャストに教室へ入り、生徒に着席を促した。
小萌先生をこよなく愛する生徒達は誰一人として逆らわず、皆席に着く。
身体が隠れながらも教壇に出席簿を置き、専用の踏み台に登った小萌は教室を見渡した。
「上条ちゃんと青髮ちゃんは今日も来ていないんですか……」
ポツンと空く二つの席を確認し、不安そうな表情を浮かべると、すぐにまたいつもの表情に引き締め、出席簿を開く。
出席のチェックが並ぶ中、空いている席の数と同様に二つの列だけ空欄が並んでいる。
当然だが、空いている席と出席簿の空欄列の人物は共に同一人物だということは言うまでもないだろう。
クラスの問題児であるとともにムードメーカーでもあったその2人の長期欠席は小萌先生にもこたえるものがあった。
片方はよく事件に巻き込まれて入院し、もう片方は休むことなどないような生徒であったから尚更だ。
「まったく……。バカ2人はどうしてるんだか……。土御門、貴様はあの2人と仲がいいわよね? 何か知らないの?」
おでこ輝くクラスの委員、吹寄制理がもう一人の問題児にして上条と青髮ピアスの親友、土御門元春に問いかける。
目にはサングラス、学ランの下にはアロハシャツと、奇抜な制服の着こなしをしている土御門は、いつもの気抜けた調子で返事をした。
「俺は知らないにゃー。まぁどうせ上やんのことですたい。どっかで女の子にフラグを立ててるか、入院でもしてるだけだと思うぜい?」
手を頭の後ろで組んで呑気に構えている土御門だが、実は2人の原因不明の欠席について、一番心中穏やかでないのは彼だったりする。
「(ステイルとねーちんに確認してみたが、上やんが今魔術関係で巻き込まれているなんてことは聞いていないと言った。ああは言ったが、病院には入院してかったし……。フラグは建てるが回収しない上やんがどっかで浮かれて遊んでる可能性もほとんどないだろう。唯一の心当たりといえば先日禁書目録が死んだことか……。下手に学園都市の闇に巻き込まれたりしなければいいが……)」
学園都市の闇を知っている土御門にとって、その闇に巻き込まれると一番やっかいなことになる人物は誰なのか、それははっきりと理解していた。
が、もう一人についても並々ならぬ心配をしている。
「(あの青ピがこうも続けて欠席とは何かがおかしい……。事件に巻き込まれたんなら揉み消された可能性はあるが、それに値する事件はここ最近一つも起こってない……。となるとその事件ってのが現在進行形で進んでいるのか……)」
それは土御門の勝手な憶測に過ぎず、また憶測を確信に持っていくほどの情報を土御門は持っていない。
「何だか嫌な予感がするにゃ〜……」
空に浮かぶ白い雲を見つめながら吐いた呟きは、誰にも届くことなく、宙へ消えた。
今度は上手く成功した。
「あ〜、もしもし。あたし、麦野だけど」
とあるファミレスの一角。
学園都市の闇組織、『アイテム』の集まりがいつものように行われていた。
その『アイテム』のリーダー、麦野沈利は現在電話中。
上からの仕事を終え、その報告を今しているのだ。
『あぁ、麦野さんか。どないしたん?』
「相変わらず変なしゃべり方ね。仕事の件なんだけど」
『関西弁バカにしたらあかんで? 仕事っちゅうことはもう片付いたん?』
「そういうこと。データとか後で浜面が送ると思うから報酬よろしく。出来るだけ多く貰えるように交渉してよね」
『了解了解。麦野さんみたいな美人の頼みは断れんからね』
「本当に変な気分…。あんたはあたし達の顔を知ってるのに、あたし達はあんたの顔知らないなんて不愉快この上ないわ……」
『そんなこと言わんでぇな。僕かて早ぉ会いたいんやで?せやけど麦野さんが嫌や言うから……』
「電話の会話だけで十分変態って分かるようなやつとわざわざ会うかっつぅの。ま、とりあえず後はよろしくね」
まだ向こうが何か言っていたが、麦野はそれを無視して電話を切り、ポケットに仕舞う。
そこで意識を仕事から目の前のシャケ弁へ。
ファミレスでシャケ弁など常識も何もあったものではないが、彼女はそんなことを気にする人間ではない。
店員の何とも言えない表情すら御構い無しである。
いただきます、と丁寧に手を合わせると弁当の蓋を開けた。
「毎日シャケ弁食べてて超飽きないんですか?」
「うっさいわね。別にいいでしょ」
「結局、いつも懲りずにB級映画ばっかり見てる絹旗も一緒って訳よ」
「超うるさいですフレンダ。私はC級映画も超チェックしてます。大体フレンダだって超サバ缶ばっかりじゃないですか」
「俺からしてみると三人共一緒だけどな」
「「「黙れバカ面」」」
「相変わらずの罵倒なこって……」
「超キモいですよ。どうせ私達の罵倒でハァハァしてるんですよね?超分かってます」
「誰がするかよ。俺はMじゃねぇ。つか、俺には滝壺がいるし」
「出たよノロケ。滝壺は浜面のどこがいいんだか……」
「はまづらはかっこいいよ?たまに変態さんだけどいつも優しくしてくれるし」
「結局、彼女にまで変態って思われてる時点で終わりな訳よ」
いつものやり取り、いつもの談笑。
闇に住む彼女達(+野郎)にとって、こよファミレスは至福の一時となっていた。
「ところで麦野、今の電話の人って一ヶ月前に変わったんでしたよね?」
「そうよ。それがどうかしたの?」
「いえ、その辺から麦野が電話掛けるのを超面倒臭がってるなと思っただけです」
「あ〜、分かる? そうなのよね……。相手がびっくりするくらいの変態でさ〜」
「電話で分かるレベルの変態って超どういうことですか……」
「変な話し方の野郎なのよ。あ〜あ…。あれなら前の電話の女の方が良かったわ……」
前の電話の女。
元々アイテムの連絡係は女だったのだが、一ヶ月前にその女がその仕事を降りたのだ。
理由は明かされていないが、電話の最後に『上にとって都合のいい入れ替え』と言っていたことから学園都市の闇に関する重要な人物が来ると麦野は予想していた。
が、いざ最初の電話で会話してみると出てきたのは先程の関西弁男。
期待外れもいいところで、重要な人物どころか、学園都市の闇に関わっているのかすら怪しい。
いや、アイテムの連絡係という時点で既に闇に関わってはいるのだが。
とはいえ第一印象だけで決めつけるのはよくないと麦野はしばらくはその男について調べまわったのだか、それは徒労に終わった。
別にただの少年だったとか、どうしようもない変態だったとか、そういうのではない。
ただ単に情報が手に入らなかったのだ。
何一つ、欠片すら。
疑問こそ出てきたものの、手掛かりすら見つけることの出来なかった麦野は男の正体を調べることを止め、ただの連絡係として関わることに決めたのだ。
当然調べたことや男に関しての疑問は他のアイテムメンバーに明かしていない。
そっちに時間を費やしてしまって本業の方を適当にされても困るし、本当に重要人物だった場合、他のメンバーであれば殺されかけない。
麦野自身はレベル5の第五位と並々ならぬ自信があったので単独で調べただけの話。
まぁ麦野の予想通り、この男は学園都市において重要な位置にいるのだが……麦野はそんなことを知る由もなく、目の前のシャケ弁に舌鼓を打つのだった。
訂正
5位→4位
「超暇ですね〜……」
絹旗は一人、街を歩いていた。
ファミレスでのアイテムの集まりは麦野の言った通り本当にただの報告会だったらしくすぐに解散。
基本的に映画を見る以外趣味を持ち合わせていない絹旗なのだが、なぜか今の時期にやっている映画の本数がいつもより極端に少なく、まだ月の半分だというに全て見終わっていた。
もう一度見たくなるような良作もなかったのでレンタルビデオ屋にでも行って何か適当に借りようかどうか迷っているところだ。
「大体浜面のくせに私の誘いを断るなんて超生意気です」
中学生の絹旗がR15以上の映画を見れる理由。
それは浜面が偽造の証明証を作ってくれたからだ。
その因果か絹旗は何かしらあると浜面を従えてどこかに行くのだが、今回浜面は滝壺とデートがあると絹旗の誘いを断っていた。
「ファミレスでも終始いちゃついてますし、見てるこっちが超恥ずかしいってもんです……」
別段、純情というわけではないのだが彼氏のいない絹旗にとって幾分羨ましいものではある。
また絹旗も暗部に属しているとはいえ、中学生。
彼氏なるものにはいくらか理想が伴ってしまうのも無理はない。
優しくて、カッコよくて、強くて……あと自分より収入がいい、とまで条件がつくのは暗部にいる性なのか。
暗部にいる時点で収入は半端ではなく、一般的な中学生や高校生は勿論のこと、大学生や大人ですら簡単に稼げる額ではないというのに、更に好条件が付くとなるとそんな人物は一握りもいない。
ましてやそんな人物と絹旗が運命的な出会いをするというのは白馬の王子様が迎えにきてくれるレベルである。
もっとも、絹旗はまだそのことに気がついていないが。
「あ〜……なんかあのいちゃいちゃカップルのこと思い出したらビデオ屋に行く気が超萎えました……。今日は大人しく帰って寝ましょう……」
今の状態で一人ビデオを見ても惨めなだけだ。
そう考えて、絹旗の足はレンタルビデオ屋の方向から自宅に向かった。
指摘ありがとうございます。
報告しました!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ん……」
少しずつ意識が戻ってきた。
まだ若干違和感の残る脳内だが、幾分マシにはなっているようだ。
「ここは……超どこでしょうか……?」
見知らぬ部屋、見知らぬベット。
生活感溢れる雑貨や家具が並べられていて、どうやら誰かの家のようだ。
「あ〜、起きたん? ごめんな。勝手に連れ込んだりして。せやけど起きそうにもなかったし、あんな路地裏で放っておくわけにもいかんやろ?」
部屋の奥から現れたのは、自分を助けてくれた少年だ。
すぐに、助けてくれた後自分を保護してくれたのだと理解した絹旗は礼を述べる。
「超ありがとうございます。あなたのおかげで助かりました。一時は超どうなるか気が気じゃなかったですから」
あの状況で出来たことといえば最悪な選択肢を免れることぐらいだ。
キャパシティダウンを向こうが持っているのであれば逆転の可能性は非常に低い。
「いいんよいいんよ。僕はただ可愛い子がお困りのようやったから助けただけやし。あ、別にやましい下心があったわけやないんやで?」
不思議だ。
たった一回言葉を交わしただけなのに。
この人は本当に下心は持っていない。
だから慌てるような様子もなくて、冗談交じりに場の雰囲気を和ませた。
心なしか、この人と話すのは心地よい。
絹旗はこの少年にそんな印象を抱いた。
暗部に関わり、人を疑うことを基本とする絹旗にとって、それは異常なことだ。
それでも、そう感じてしまったのだからしかたない。
「一応自己紹介しておきますね。絹旗最愛です。よろしくお願いします」
「絹旗ちゃんやね。よろしく」
「えっと…あなたの名前は?」
「僕?僕は青髪ピアスや」
「へ……? えと…名前を超聞いたんですが……」
「ごめんな。僕、あんまり人に名前教えたないねん。別に絹旗ちゃんのことが嫌いっちゅうわけやないんやけど」
「そうですか…。あなたが嫌なら超いいんです。私のことを嫌いなら助けてないでしょうし、何か目的があるなら寝ている間に超何かしてるでしょうし。………何もしてませんよね?」
「してないしてない! 僕は紳士やから!」
「ふふっ。超冗談ですよ。すみません」
「焦らせんといてえな……」
「じゃあ呼び方は青ピさんで超いいですか?」
「ええよ。友達からもそう呼ばれとるし」
「分かりました。ところで青ピさんはどうしてあの時弾を受けても平気だったんですか?」
「ん?何のこと?」
青ピはすっとぼけた。
まるでそんなことはなかったと言わんばかりに。
絹旗も察しの悪い方ではない。
きっと名前同様に深く追求されたくないことなのだろう。
助けてもらった身、彼がそうしてほしいなら自分はそれに合わせるだけだ。
「いえ、何でもないです。今じゃなく、いつか教えてもらうことにします」
「うん。僕、そんな風に察しのいい子は好きやで」
青ピはくしゃっと絹旗の頭を撫でた。
彼なりのお礼だった。
そのお礼を素直に受け取った絹旗は気持ち良さそうに目を細めた。
「そや。ちょっと僕今から出かけなあかんねん。絹旗ちゃんはどうする? まだ体動かせへんのやったら鍵置いてくけど。後でポストの中に鍵入れてくれたらいいし」
「あ、だったら帰りますよ。あまり長居させてもらうわけにも超いきませんから」
「そっか。そしたら気をつけて帰りいな」
「はい。………また会えますよね?」
「そやね〜。絹旗ちゃんが望むなら、かな」
「じゃあ超望みます。あなたにはお礼が超したいですし」
「お礼なんてええのに」
「こっちが超ダメなんですよ。そうですね、メルアドを超交換しましょう。それだと連絡も取れますし」
「ええよ」
断る素ぶりを見せず、素直に差し出された携帯を受け取り、絹旗は自分の携帯との通信を手早く済ませた。
青ピの名前が自分のアドレス帳に並んだのを見て、絹旗は何故だかわからないがほんの少しだけ嬉しさを感じる。
けれどそれを決して顔には出さずにパタンと携帯を閉じてから青ピに返した。
「これで超OKです。何度かメール送るので、その時に空いてる日を教えてください」
「了解や。一応こっちも出るかぎり合わせるようにはするよ。っと、もう時間や」
「それではもう出ましょうか」
絹旗は少し寂しさを感じるながらもまた会えるはずと割り切り、青ピの背中に手を振った。
なぜsagaではなくsageで投稿しているんだろう?
ここの青ピは男前だな
「……それは本当か海原?」
「仕事の内容です。僕が嘘を吐く利点がどこに?」
「………」
学園都市の闇、『スクール』の密会部屋。
集まったメンバー、海原、結標、一方通行、そして土御門の四人は次の仕事の内容を確認していた。
仕事の詳細を海原が終えた時、土御門が一人だけ渋い表情だ。
それを見て結標が珍しい物を見るような目で土御門を見ていた。
「珍しいわね。土御門が仕事の内容に疑問を持つなんて」
「そォだな。俺達はンなこたァ気にしねェで言われたことを手っ取り早くおわらせりァいいンだよ」
「……すまない。俺じゃなく海原に仕事の詳細が報告されたことなんて初めてだったからな」
「確かに。いつもは土御門が説明してるものね」
「どォでもいいだろ。依頼には変わりねェよ」
「まぁ、その点に関しては僕も少々疑問を覚えました。しかし聞いてみれば土御門に連絡がつかなかったと言っていましたが?」
「……本当か? 俺のところに連絡なんて来てないぞ?」
「携帯の番号でも変えたとか?」
「それはないぜい。俺はそんな面倒なことはしないからにゃ〜。それに、変更したならお前達にも連絡してるはずだろ」
「どうだか。あなたが番号変更メールなんてするような柄には思えないけどね」
「それは否定できないにゃ〜。っと、冗談はそこまでにして、今回の仕事が……」
「ええ。表で結成された対学園都市用高能力者集団『ミネルヴァ』の活動が活発になっているから鎮圧して欲しい、ということです。しかもその際、向こうを消してもいいという異例の指示ですね」
「ま、それほどまでにその集団が学園都市にとって危険粒子って訳なんでしょうけど」
何故土御門がこんなに渋い表情なのか。
それは無論、今回の依頼内容にあった。
暗部に入り浸っている土御門にとって人殺しなど何の躊躇いもない。
問題は『ミネルヴァ』の結成目的だ。
対学園都市。
恐らく、正確には対学園都市『上層部』。
自分達を含む学園都市の闇の存在に気がついた、あるいは知っている者で結成されたのだろう。
多分、闇に対する怨みなんてものを数えればキリがない。
多分、闇に対する怨みなんてものを数えればキリがない。
その闇に住んでいるやつらでさえ闇を怨んでいる者がほとんどなのだから。
けれど、過去にミネルヴァのような集団が存在しなかったのはあまりにも闇が深く、汚く、絶大過ぎたから。
となれば今回ミネルヴァを結成した者は余程の強者か感情任せに動く大馬鹿者か。
残念なことに土御門はそのどちらにも当てはまる親友を一人だけ知っている。
「(上やん……お前はミネルヴァに関係ないよな……?)」
上条当麻。
レベル0の最弱にして、そこにいる学園都市のトップ、レベル5第一位という最強を倒した少年。
勝因となった彼の右手は学園都市の根本を覆す、異能の力を消すものだ。
情に熱く、自分よりも他人を優先する彼だが普段ならこんな馬鹿げた組織をつくって反抗、なんて真似はしない。
しかしあの禁書目録の死因が学園都市にあると知った今の上条ならあるいは……。
「因みに、今回は僕達だけでなく他の暗部も同様の依頼を受けているそうです」
「あら、私達って随分と信用されてないのね?」
「それだけ早く鎮圧しろということですよ」
「(おいおい……暗部総出とは……。上やん……今回ばかりは俺も肩を持つことは出来ないぜい……?)」
>>23sageではなくsagaなんですね。次からそうします! ありがとうございます!
うがぁぁぁぁーーー!
ミスが絶えない!
しかも昨日はなぜかVIPに入れなかったという!
「……それは本当か海原?」
「仕事の内容です。僕が嘘を吐く利点がどこに?」
「………」
学園都市の闇、『グループ』の密会部屋。
集まったメンバー、海原、結標、一方通行、そして土御門の四人は次の仕事の内容を確認していた。
仕事の詳細を海原が終えた時、土御門が一人だけ渋い表情だ。
それを見て結標が珍しい物を見るような目で土御門を見ていた。
「珍しいわね。土御門が仕事の内容に疑問を持つなんて」
「そォだな。俺達はンなこたァ気にしねェで言われたことを手っ取り早くおわらせりァいいンだよ」
「……すまない。俺じゃなく海原に仕事の詳細が報告されたことなんて初めてだったからな」
「確かに。いつもは土御門が説明してるものね」
「どォでもいいだろ。依頼には変わりねェよ」
「まぁ、その点に関しては僕も少々疑問を覚えました。しかし聞いてみれば土御門に連絡がつかなかったと言っていましたが?」
「……本当か? 俺のところに連絡なんて来てないぞ?」
「携帯の番号でも変えたとか?」
「それはないぜい。俺はそんな面倒なことはしないからにゃ〜。それに、変更したならお前達にも連絡してるはずだろ」
「どうだか。あなたが番号変更メールなんてするような柄には思えないけどね」
「それは否定できないにゃ〜。っと、冗談はそこまでにして、今回の仕事が……」
「ええ。表で結成された対学園都市用高能力者集団『ミネルヴァ』の活動が活発になっているから鎮圧して欲しい、ということです。しかもその際、向こうを消してもいいという異例の指示ですね」
「ま、それほどまでにその集団が学園都市にとって危険粒子って訳なんでしょうけど」
何故土御門がこんなに渋い表情なのか。
それは無論、今回の依頼内容にあった。
暗部に入り浸っている土御門にとって人殺しなど何の躊躇いもない。
問題は『ミネルヴァ』の結成目的だ。
対学園都市。
恐らく、正確には対学園都市『上層部』。
自分達を含む学園都市の闇の存在に気がついた、あるいは知っている者で結成されたのだろう。
多分、闇に対する怨みなんてものを数えればキリがない。
その闇に住んでいるやつらでさえ闇を怨んでいる者がほとんどなのだから。
けれど、過去にミネルヴァのような集団が存在しなかったのはあまりにも闇が深く、汚く、絶大過ぎたから。
となれば今回ミネルヴァを結成した者は余程の強者か感情任せに動く大馬鹿者か。
残念なことに土御門はそのどちらにも当てはまる親友を一人だけ知っている。
「(上やん……お前はミネルヴァに関係ないよな……?)」
上条当麻。
レベル0の最弱にして、そこにいる学園都市のトップ、レベル5第一位という最強を倒した少年。
勝因となった彼の右手は学園都市の根本を覆す、異能の力を消すものだ。
情に熱く、自分よりも他人を優先する彼だが普段ならこんな馬鹿げた組織をつくって反抗、なんて真似はしない。
しかしあの禁書目録の死因が学園都市にあると知った今の上条ならあるいは……。
「因みに、今回は僕達だけでなく他の暗部も同様の依頼を受けているそうです」
「あら、私達って随分と信用されてないのね?」
「それだけ早く鎮圧しろということですよ」
「(おいおい……暗部総出とは……。上やん……今回ばかりは俺も肩を持つことは出来ないぜい……?)」
「ふぅん……『ミネルヴァ』ねぇ……。そんなのがあるんだ」
『そや。今麦野さんがミネルヴァについてどんな想像しとるんか分からんけど、侮ったらあかんで。レベル4も30〜50人くらいはおるっちゅう報告やし』
「ごろつきがいくら集まろうが私には一緒。第4位を舐めないで」
『複数八方から囲まれたら分からんもんやで。それにアイテムは麦野さんだけやないやろ?絹旗ちゃんや滝壺さん、フレンダちゃんかておるんやから。あ、浜面もか。そっちの心配もしとかな』
「………そうね。浜面はともかく、他の皆のことは考えとかないといけないかも」
『なんや。えらい素直やん。前に僕が似たようなこと言った時は凄く反発しよったのに』
「うるさいわね。そんなことより仕事はそのミネルヴァを始末することでいいの?」
『ああ、ちゃうちゃう。アイテムの仕事はミネルヴァの仕事を請け負った別の暗部組織がドサクサに紛れて学園都市側に攻撃仕掛けてくるかもしれへんから、そんな組織を潰す役割や』
「あら、えらく簡単じゃない。どこも反抗しなければ私らの仕事はなしで、しかも報酬まで貰えるんでしょ?」
『考えようやな。反抗してきた時は組織によってはミネルヴァより手強いわけやし』
「まぁいいわ。とりあえずすぐに動くなんてことはないようね。というか、その仕事内容ならさっきの滝壺達の心配の件はいらなかったじゃないのよ」
『少し恥ずかしかった?』
「う、うっさい!もう切るわ!」
相手に図星をつかれて何も言い返せない麦野は少々無理矢理に会話を終わらせ電話を切った。
疲れる会話に溜息を吐くと、先程まで寝ていたはずの滝壺が麦野に声を掛ける。
「むぎの随分慌ててたけどどうしたの?」
「何でもないわ。少し会話に疲れただけ……」
「また電話の男ですか?麦野も超大変ですね。一体どんな人なんですか?」
「う〜ん……掴み所がないから何とも言えないけど、一言で言うなら関西弁の変態?」
「変態はいつ聞いても変わらないんですね。私の知り合いにも関西弁の人がいますけど、超違いますね」
「へぇ。絹旗にも知り合いなんているんだ」
「む。超バカにしないでください。私だって知り合いの一人や二人います」
「二人も?」
「…………いえ、一人ですけど」
「結局、絹旗は見栄を張ったってわけよ」
「フレンダは超黙っててください。私は慎重に人を選ぶ人間ですから」
「あら、というとその知り合いは素晴らしい人間って風に聞こえるけど?」
「当然です! 優しくてかっこよくて背も高い超好青年です!」
「へぇ。男なのか」
「そうですよ。浜面なんかとは超違います」
「絹旗の知り合いが男でも女でもいいけど、私情をこっちに巻き込むのはやめなさいよ」
「そんなことは言われなくても分かってます」
「もしもの時は巻き込む前に私らに言ってここを抜けること。いい?」
「な、何言ってるんですか麦野。暗部を簡単に抜けれるわけ超ないじゃないですか」
「うん。簡単には、ね。でもそこは任せときなさい。私達で力添えするから」
「麦野……」
「むぎの、変わったね」
「そうかしら? 私だってリーダーとして仲間のことくらい考えるわよ」
などと言いながら麦野は手元の飲み物に手を伸ばす。
『変わった』
滝壺が言ったそれは確かに合っている。
きっかけはあの電話の男。
とある仕事を受けた時に麦野が仲間を見捨てるような発言をした時に一言。
『そこはあんたの居場所やろ?』
そこで初めて麦野は気づいた。
アイテムは自分を人生のどん底に落とした場所であり、自分の人生で最高の居場所なのだと。
だから麦野は変わった。
他の皆に負担をかけ過ぎないように。
出来るだけこの幸福が長く続くようにと。
「あ〜あ。絹旗抜けると寂しくなるわね〜」
「そうだな〜。ま、男が出来たんなら俺が絹旗に映画で駆り出されることもなくなるし」
「ちょっ! 何で私が超抜けることになってるんですか!? 全然そんな気はないですよ!? あと、浜面は超ブチ殺します!」
「何でだよ!? お前のせいで滝壺とのデート何回断ったと思ってるんだ!?」
「はまづら、私の誘い断ってきぬはたと映画デートしてたの?」
「滝壺さん落ち着いて! コップ! コップ割れそうだから!」
「はいはい。落ち着きなさい。滝壺は少しくらい広い心持たないといい彼女出来ないわよ。所詮絹旗の相手なんて子供の世話と大して変わらないんだから」
「私は超子供なんかじゃないですよ!」
『ハタから見たら暗部組織とは思えんやん。皆、いい顔しとる』
ただの中高生の集まりと化したアイテムのメンバーを、電話の男が近くで見ていたことを麦野達は知る由もなかった。
書き方大幅変更します。
絹旗最愛の機嫌は上々だった。
ただ何故かと問われると本人は分からないと答えるであろう。
それほどまでに訳もわからず、絹旗は今を楽しんでいる。
本来楽しませなければならない青ピよりも、だ。
絹旗「ん〜、これもいいですがこっちも超いいんですよね〜……」
青ピ「絹旗ちゃん。そんな悩まんでも僕は何でもええで?」
絹旗「そんなの超良くないです。待っててください。今青ピさんのピアスに超合うネックレスを選びますから」
そう言っていそいそとネックレス選びに戻る絹旗。
そんな彼女の手に取るネックレスを自分が着ける様子を想像し、苦笑する。
ただでさえクラスメイトからはチャラいだの変だの言われるのだ。
ここにピアスに合うネックレスなど着けていけば余計言われるに違いない。
青ピ「(学校……か…)」
そこで青ピはふと思い出す。
今自分が無断で学校を休みサボっているということを。
もしかするとここで買うネックレスをクラスメイトに見せる機会なんてないのかも。
何となく耳につけいるピアスに手を当てる。
絹旗「どうかしましたか?」
青ピ「あぁ、何でもないんよ? ただ少し考え事を」
絹旗「ならいいんですが……あ、これなんて超どうでしょうか!」
青ピ「星形かぁ。ええんちゃう? 色も青で」
絹旗「じゃあ超これにします!せっかくなんで私も買うことにしましょう!」
指差したネックレスとその隣にあった色違いのものを手に取り絹旗はレジに向かう。
選んだものはペアルックだったのだ。
青ピ「これじゃますますデートやなぁ……」
店員と話しながら、顔を赤くする絹旗。
何か言われたのだろう。
ああやって気が強そうながら恥ずかしがり屋なところは可愛らしいなと思う。
その時、少しばかり空気が変わったことに青ピは気がついた。
そんなことは露知らず顔を赤くしたままの絹旗が戻ってくる。
絹旗「これ絶対に着けてくださいね!超絶対ですよ!」
青ピ「うん、必ず着けるけど……ごめんな。ここでデートは終わりや」
絹旗「えっ!?それってどういう……」
青ピ「しーっ! あんまり大声出さんといて。ここは僕の言う通りにして」
青ピの真剣な表情から何かを悟った絹旗は小さく頷く。
やはり絹旗最愛、空気の読める女の子である。
絹旗「でもいくらなんでも切り上げが超早過ぎです……。まだ二時間も経ってないというのに……」
青ピ「あはは……埋め合わせはさせてもらうし、今回は勘弁してな?」
絹旗「仕方ないですね……。じゃあ青ピさん、お願いします」
青ピ「了解っと」
店を出て、何事も無かったかのように歩きはじめた二人は、ゆっくりと傍の裏路地へと入って行った。
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