女勇者「違和感を覚える」 (93)
戦士「どうしました?」
弓使い「さっきの村で買い忘れたものでもありました?」
魔王「ホント、勇者さんはどじな部分がありますよね」
女勇者「いや、なんかおかしいなと思うわけよ」
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女勇者「いやさ、私ら、魔王を倒すために村を出発したわけじゃん」
魔王「そうですね」
女勇者「幼なじみの4人集まってファイトおーといったわけじゃない」
魔王「そうですね」
女勇者「旅して長いけど、魔王はおろか、なんつの? 中ボス的な奴にも会ってない」
魔王「まだ旅をし始めて一年ですからね」
女勇者「それこそ魔物ですらほとんど戦ってないじゃん!」
魔王「魔物は怖いですからね」
女勇者「私は知ってる、魔王に支配された土地というのがどういうものか」
戦士「ええ、言うのもおぞましい」
弓使い「だからあんまり知らないですね」
女勇者「あんたはそうなんでしょ! 違うわよ!」
魔王「まあまあ、このジンジャーティーでも飲んで下さい」
女勇者「ぷはーっ! しょうがくせー!」
戦士「まあ、この子はともかく魔王に支配された土地というのは」
魔王「人間が誰も存在しないという話ですね」
弓使い「それじゃ、現状わからないじゃん……」
女勇者「魔王が復活してからおよそ16年、魔物が現れて多くの人が被害に遭っているという」
魔王「そうですね」
女勇者「沢山の人が故郷を無くし」
魔王「魔物が現れたにかこつけて、税対策に走ったという話ですね」
女勇者「国王から魔王排除令が発令された」
魔王「どこにいるかもわからない魔王を倒せっていう命令ですね」
戦士「そうだね」
弓使い「あたしスライム倒すの飽きたー」
女勇者「ちげぇよ! あんたたち本当緊張感ねえな!」
魔王「やっぱりさっきの村に戻ってスパセンターに戻るべきですかね」
女勇者「違うよ! 疲れてるわけじゃないんだよ!」
弓使い「憑かれてるの?」
女勇者「違うよ! 臨死体験だってしたことねえし!」
戦士「魔王がいるから衣食住バッチリだし」
女勇者「そこだよ!」
魔王「山がありますね」
女勇者「方向じゃねえ!」
戦士「いやいや、この子は名前こそ魔王だけど、お触れがでてる魔王とは違う魔王だよ」
弓使い「そうそう、あたしこの子のおしめ替えたことあるし」
女勇者「デタラメ言うなよ! 弓使い年下じゃんってちげぇよ!」
魔王「まあまあ、このジンジャーティーでも飲んで」
女勇者「ぷはーっ! って違うよ!」
魔王「アップルティーがお好みでしたか?」
戦士「女勇者の好みはワガママだからね」
弓使い「これだからうるさいのは」
女勇者「あーもう、いったん黙って!」
女勇者「私は昔から魔王の力というのはよく知ってる」
女勇者「そのおかげで私たちも、国外の王国のお偉いさんから目をつけられるくらいには強くなれた」
女勇者「それで私たちは勇者メンバーとして魔王の討伐に向かってる」
女勇者「しかしながらその魔王は私たちのパーティメンバーである」
女勇者「この矛盾だよ! 倒すべき相手が間近にいるじゃん! なんでわざわざ旅をするんだよ!」
三人「「「……」」」
女勇者「なんか言えよ!」
魔王「と言われましても、私たちリトルバスターズですし」
女勇者「違うよ! ただの幼なじみ集団だよ!」
弓使い「501?」
女勇者「それも違う」
戦士「女勇者の言いたいことは分かるよ」
女勇者「でしょう! やっぱり戦士は言葉がわかる!」
戦士「結成して一年なのにパーティ名が決まってない」
女勇者「わかってねぇな! 私の言いたいこと一部たりともわかってねえ!」
魔王「真面目な女勇者さんをいじるのはともかくとして」
弓使い「そうだねえ、確かに旅をして一年、あたしら結果を残してない」
戦士「勇者としての仕事より、そこらの使用人をしている仕事をしてる期間も長いしね」
魔王「世知辛いですからね」
弓使い「女勇者の知名度が高かったら補助金でウッハウハなのに」
女勇者「いじるのはともかくとしてじゃねえ! 更にイジられてんじゃねえか!」
女勇者「ともかく魔王!」
魔王「あ、そういえば以前買ったアップルパイの消費期限が」
弓使い「賞味期限と消費期限ってどう違うの?」
戦士「食べた時に当たったら賞味期限切れなんじゃね?」
魔王「大丈夫ですよ、食べて死んでも魔法を使えば」
弓使い「あっはっは、そんなんで死にたくねえ!」
女勇者「聞けよ! ここから話がシリアスになってく展開だろ!」
女勇者「魔王、私は決めた。私とあんたは親友だけど、切る!」
魔王「はい、これ」
女勇者「あ、うん、魔王は優しいなあ、ちゃんと一口サイズ」
弓使い「皆からも評判いいしね」
戦士「私ら魔王がいなかったらとっくに村に帰ってたわー」
魔王「そんなに褒めないで下さい」
女勇者「褒めてねえよ!」
魔王「え、もしかして腐ってました」
女勇者「うまいよ!」
弓使い「まあまあ、このままじゃ埒が明かないから宿に戻ろう」
戦士「そうだね、そろそろ暗くなってきたし」
女勇者「真っ昼間だよ!」
魔王「あ、魔王ネットワークで確認したところ高温注意情報が出てますよ」
弓使い「マジで! あー、これは帰るしか無いわー」
戦士「温暖化が進んでるよねえ、この世界」
魔王「これも魔王のせいですね、あ、私魔王でした」
「「あっはっは!」」
女勇者「もうやだこのパーティ」
と、このようなほのぼのとした展開で作品が展開していきます。
ほのぼの百合っぽく。
読んでいただきまして本当にありがとうございました。
女勇者「はい、第20回、魔王をどうやって倒せばいいか枕パーティー!」
魔王「わー!」
弓使い「おー!」
戦士「あ、お酒ちょうだい」
女勇者「あ、ワンカップ横綱でいいの?」
戦士「前頭の方」
女勇者「ほんとあんたって、安酒好きよね……って違うわよ!」
魔王「あ、女勇者さん、コーヒーカルーアでいいですか?」
女勇者「うん、ありがと」
弓使い「ほんと、女勇者は甘いお酒が好きだよね」
戦士「味覚が子どもっぽいんだな」
魔王「可愛いですね」
弓使い「オムライスも食べられないとか言ったりして」
女勇者「誰が婚活中の女子か! 私はまだ10代だ!」
魔王「もう、腰掛け20ですけどね」
女勇者「うっさい!」
戦士「あれ、弓使いノンアルコールビールじゃないの?」
弓使い「飽きた、今の時代はウイスキー」
戦士「アルコール度上がりすぎじゃん……」
女勇者「ともかく! 私らは世界中から期待されている勇者パーティ!」
魔王「国王様の信頼もあついですね」
戦士「コーヒーカルーアのむ女勇者を見たら卒倒するね」
女勇者「ほらそこ! 外野は黙って!」
女勇者「ともかくだ、私たちは魔物に怯える人々のために旅に出た」
女勇者「最初こそは苦戦したものの、慣れていくうちに強くなったと思う」
女勇者「そろそろ、村がある大陸から離れて、新しい島へと向かうべきだと思う」
女勇者「そこでだよ! 明日の目的地は東3キロ方向にあるミズホ村だ!」
女勇者「明日、朝早いから!」
「「「」」」
女勇者「なんか反応しろよ!」
弓使い「いや、別に目的地はいいんだけどさ、短すぎね?」
女勇者「あんたらがちんたら歩くせいで数十キロの道のりなんて歩けないでしょうが!」
弓使い「いやいやいや、私らも本気を出せば強いよ」
女勇者「強さ関係ねえ! 歩行距離の問題だ」
戦士「まあまあ、落ち着いて」
女勇者「落ち着くか! 何勝手にもう一杯飲んでんだ」
魔王「あ、流れ星」
女勇者「私の話聞いてねえ!」
弓使い「ここの温泉宿がいけないんだよ、気分よくて湯治したくなっちゃう」
女勇者「どこ癒やすんだよ! ろくにすっぽも戦ってないのに!」
戦士「最近足が蒸れる」
女勇者「裸足じゃねえか! 旅立つ前に気がつけよ!」
魔王「まあ、正直倒すべき魔王はここにいるんですけどね」
「「それもそーだ!」」
女勇者「今ここでみじん切りにしてあげましょうか」
魔王「まあまあ、待って下さい。私魔王でもいい魔王ですよ」
女勇者「わけがわからない!」
戦士「そうだぞ、女勇者。この子を殺すくらいなら、もっと他に殺すべき人間がいるんじゃないか」
女勇者「私たちの存在意義は!?」
弓使い「必殺仕事人?」
女勇者「違うよ!」
魔王「暗殺者?」
女勇者「そんな影の職業じゃないよ!」
戦士「キルミーベイベー!」
女勇者「言いたいだけか!」
弓使い「女勇者は真面目だなあ、だいたい魔王を倒す必要がどこにあるんだい」
女勇者「魔王を倒すために結成して旅だったからでしょうが!」
魔王「IH炊飯器に釣られて」
戦士「IHヒーターに釣られて」
弓使い「ピクニックで」
女勇者「子どもか! 特に最後! ピクニックってなんだ!」
弓使い「言葉通り」
女勇者「言葉通りだから問題があるんだよ!」
魔王「パソコンやテレビジョンが発達してる世の中で魔王を倒すとかナンセンスですよ」
女勇者「魔王が言えた台詞か!」
戦士「まあ、たしかにこの前も強いとされてる魔物が特急列車に跳ね飛ばされてダイヤが乱れたね」
女勇者「そうよ! 魔物がいなかったらこんなこと起こってない!」
弓使い「今でも人身事故でダイヤが乱れるけどね」
女勇者「それも魔物のせいよ! 仕事がなくなったんだわ!」
弓使い「むしろ魔物が出てから人身事故の割合が半分になったんだけど」
魔王「まあ! もっと魔物を増やすべきかしら」
女勇者「ちげえよ! なんでみんな、その案があったかみたいな顔してんだよ!」
戦士「でもさあ、野球のアンゴルモア有はすごいよね」
魔王「さすが魔族と人間のハーフですね」
弓使い「ねー」
女勇者「まて、まって、お願い、私の話を聞いて」
弓使い「聞いてるよ」
女勇者「じゃあこっち見てよ! なんで三人でテレビ見ちゃってんの!」
戦士「だってネット見ると女勇者の悪口しか書いてないから……」
女勇者「だったらお気に入りから外せよ!」
魔王「あ、私が実況してるんで勘弁して下さい」
女勇者「なにをだよ!?」
女勇者「とにかく、私たちの目的を思い出す、はい、戦士!」
戦士「夏に向けて痩せる」
女勇者「婚活か! はい次!」
弓使い「彼氏作る」
女勇者「婚活か!! 次!」
魔王「胸がもう少し大きくなると……」
女勇者「いじらしいな!」
弓使い「女勇者も言うほど大きくないけどねー」
女勇者「あんたが言えた義理か!」
女勇者「それじゃあ、明日はミズホね、いい絶対よ、絶対だからね!」
魔王「はい、そうですね」
女勇者「やる気が感じられない!」
戦士「大丈夫だよ、いざとなれば列車に乗れば」
女勇者「見映えが悪いでしょうが!」
弓使い「交通網が発達した世の中で魔物を倒しながら行くとかどう考えてもナンセンス」
女勇者「じゃああんた今から、魔王城近くまで飛行機で行くの!」
弓使い「いや、魔王城近くまで飛行機飛ばせるなら魔王倒す必要ないじゃん」
魔王「ねー」
女勇者「ねえじゃない!」
魔王「にー」
女勇者「言葉を変えろって言ってんじゃないわよ!」
弓使い「やれやれ、やっと寝たよ」
魔王「本当ですねー」
戦士「あ、魔王ちゃんもう一杯」
魔王「はいはいー」
弓使い「あ、ウーロン茶」
魔王「はいはいー」
戦士「しかし女勇者は真面目だよね」
魔王「そうですね」
弓使い「私ら時代遅れなのにね」
魔王「そうですね」
今回の投下はここまでです。
アナウンス「この電車は各駅停車、上ミズホ行きです。なお途中、ハギで特急列車の通過待ちを致します……」
女勇者「帰省ラッシュに巻き込まれたわ……」
魔王「まあ、ミズホは有名な観光地であり、人材育成地ですからね」
女勇者「どうすんのよ! 私たち剣とか弓持ってんのよ! 満員電車じゃ迷惑じゃない!」
弓使い「じゃあ、次の電車待とうよ」
女勇者「一刻も早くミズホに行きたいじゃない!」
戦士「じゃあ、勇者パーティらしくバスの旅に出る?」
女勇者「地味! すごい地味!」
女勇者「しかも弓使いの弓がでかいせいで、荷物でもう一人分かかるじゃない!」
弓使い「そこらで捨ててくから、ミズホで新しい弓買ってよ」
女勇者「なんでよ!」
弓使い「一人で二人分かかるのが嫌なんでしょ?」
女勇者「折ればいいじゃない」
弓使い「無理無理」
魔王「無理ですね」
戦士「ムリダナ」
女勇者「その口調やめて」
女勇者「ああ、なんでここ特急列車とまんないんだろ」
弓使い「ミズホライナーだからね」
女勇者「え?」
弓使い「一部の駅でしか乗車できない、ほぼ降車専用の電車」
女勇者「知ってたし! 十年前から知ってたし!」
戦士「しかも乗車駅は私たちの村の故郷」
女勇者「ああ、中途半端に遠出するんじゃなかった!」
魔王「そもそもこの交通網が発達した世界で徒歩の旅っていうのはちょっと……」
女勇者「だって、勇者って行ったら歩き旅じゃん」
魔王「勇者だって物語の後半ではワープ魔法や飛行兵器を使います」
女勇者「いや、だって私たちレベル5くらいだし」
魔王「一応全世界の中で最強です」
女勇者「そ、それに魔王に勝てるかどうかわからないし……」
魔王「大丈夫です、命までは取りません」
女勇者「ああもうややこしいなこの状況!」
弓使い「いやいや、ややこしくないって」
弓使い「あ、電車来たよ!」
女勇者「ああ、もうみんな、迷惑にならないように荷物しまって! ほら戦士! そのデカイ剣何とかしなさい!」
戦士「えー、じゃあ、魔王ちん袋だして」
魔王「はい」
弓使い「じゃあ私の武器もしまってー」
魔王「はい」
女勇者「あ、じゃあ、私の武器も」
魔王「はい」
女勇者「って、無限収納できる袋があるなら最初から出せよ!」
今回はこれで終了です。
ほのぼのし過ぎな気もします。
女勇者「はあ、ここがミズホか」
魔王「長い旅乗りでしたね」
弓使い「電車乗ってただけだけどね」
戦士「知ってる? このミズホでは温泉があるらしいんだよ」
弓使い「あるらしいっていうか、それしかないって話だけど」
女勇者「じゃあ、旅の疲れをって、行くか! まだ旅立ってもない!」
弓使い「ちっ」
魔王「ですが、このミズホでは特別魔物が悪さをしてるという話もないですしね」
女勇者「魔王だったら魔物の一つくらい連れてきてよ!」
戦士「本末転倒じゃん」
女勇者「まあ、ここは勇者らしく、困ってる人を助けましょうか」
魔王「そうですね」
弓使い「見たところ農作業に勤しんでる人しかいなさそうだけど」
戦士「いいカモが見つかるといいね、鴨を使った水田だけに」
女勇者「すみませーん、なにか困ってることありませんかー?」
村人「ここはミズホの村だよ」
女勇者「イラッ」
村人「いやあ、ごめんごめん、ちょっと村人らしいことをしようと」
魔王「ナイスジョークでした」
戦士「ちょっとこの女勇者、沸点低くて」
女勇者「とーもーかーく、なにか困った事はありませんか?」
村人「強いて言えば」
女勇者「強いて言えば?」
村人「なんか武装した変な四人組に話しかけられてる」
女勇者「イラッ」
魔王「私たちしばらく、この村に滞在しようと思ってるんですが、仕事はありませんか?」
村人「そうだねえ、勇者パーティらしいことをさせようとすると難しいなあ」
弓使い「いや、いいんですよ、普通に働きますんで」
村人「じゃあ、村おこしでもして貰おうかな」
女勇者「え?」
弓使い「村おこしというと、何かイベントでも起こすんですか?」
村人「そそそ、イベント。でもこの村それほど若い人がいなくてねえ」
戦士「力仕事なら手伝いますよ」
村人「それで、老人同士で合コンでもしようかと」
女勇者「二人で葬式の相談でもすんのか」
魔王「ですけどこの村って、確かアニメの聖地ですよね」
戦士「あ、知ってる。新世紀田舎ゲリオンっていう」
弓使い「四話に一度は総集編放送するアニメだね」
女勇者「なにそれ」
村人「そうなんだけど、そのアニメに詳しい人がいなくってねえ」
女勇者「私たちに何をしろと」
魔王「じゃあ、私絵が得意なのでアニメの絵を描きます」
戦士「それでは私が、その絵を貼るための土台作りをしようか」
弓使い「んじゃ、私はホームページでも作るよ、観光科行って」
村人「ありがたい!」
女勇者「あんたらなんでそんなにやる気なの?」
女勇者「ざーんこーくな田舎の過疎地! って何この歌詞」
弓使い「田舎ゲリオン」
女勇者「いや。それは分かるんだけど、なんで残酷なの?」
魔王「ミズホの方言で、ザンコっていうのは唐揚げのことなんですよ」
女勇者「ザンコ食う!?」
女勇者「ああ、だから敵が餃子とかラーメンなのね、仲良くしろよ」
弓使い「まあまあ、女勇者も全話見ればハマるからさ」
女勇者「ったくしょうがないわね」
戦士「あ、魔王ちゃん、ザンコ一つ」
魔王「はーい」
女勇者「ミズホに慣れきっていらっしゃる!?」
女勇者「もう一週見ない?」
「「「ハマっていらっしゃる!」」」
今回は投下終了です。
「逃げちゃダメだべ逃げちゃダメだべ逃げちゃダメだべ……」
「僕がコンバインのパイロットいかりやシンジです!」
「普通に言えよ」
女勇者「わかるわー、ツッコミばかりで疲れるわー」
弓使い「なんか物語とは関係ないところで共感してる……」
魔王「明日はついに草刈りですね」
弓使い「女勇者がコンバインに乗りたいって言うから」
女勇者「仕方ないでしょ! あんなアニメ見せられておいて!」
戦士「最後の方は自分で見てたけどね」
弓使い「だけども、草刈りといえば私たちはベテランだからね」
戦士「そうね、草刈りで鍛えたこの剣術!」
女勇者「やっぱり、コンバインに乗る時は掛け声をかけるべきかしら……」
戦士「さっき普通に言えよに共感してたのに」
明くる日
女勇者「お、おう……こ、こいつ! 動くぞ!」
戦士「いや、動かなかったら不良品だから」
女勇者「草を……食ってる……!」
弓使い「食ってない食ってない」
女勇者「負けてらんないのよぉ! 雑草なんかにい!」
魔王「キャラが変わられましたね」
魔王「さて、土ならしは女勇者さんに任せて、私たちはできることをしましょう」
弓使い「じゃあ、私はカラスでも追っ払ってくるかな、魔王ちん矢ちょーだい」
魔王「はい」
戦士「じゃあ私は大地を切り裂くほどの威力で女勇者を手伝いましょ」
弓使い「やめなよ、女勇者がキレるよ」
魔王「大地についての心配はないんですね」
女勇者「ヒャッハー! 汚物は消毒だぁ~!」
戦士「ストレスが溜まってたんかね」
弓使い「思い当たる点がないね」
魔王「きっと魔王を倒すプレッシャーに日々苦しんでいたんでしょう」
戦士「って、あんた魔王じゃん!」
「「「あっはっは!」」」
女勇者「コンバトラーフォォォォォォォォ!」
村人「そろそろ休憩すんべー」
女勇者「あ、はーい」
戦士「休憩には食いつくんだ!?」
女勇者「って、ちょっとまってよ、なんで私たち農作業してんの!」
弓使い「やっと気づいた……」
戦士「だってあんたがコンバイン乗りたいって言うから」
女勇者「だって……だって……」
魔王「最初の目的は村おこしなんですけどね」
「「「そうだった!」」」
魔王「……あれ、私今ぼけたつもりだったんですが」
村人「いやあ、村おこしよりも農作業手伝ってくれたほうがいいべさ、このまま永住してくれればなおよしや」
魔王「いえいえ、一応私たち勇者パーティですので」
女勇者「魔王が言った!?」
村人「魔王よりも、そこんところの山賊とかのほうがこええべな」
魔王「そうですよね、遠くの悪人よりちょっと悪い隣人のほうが迷惑ですよね」
女勇者「ご近所トラブル感覚!?」
弓使い「まあ、私も経験があるから分かるよ、IHS」
女勇者「アイエイチエス?」
弓使い「一度話しただけで好きになる男」
女勇者「略すなよわけわからねえ!」
戦士「迷惑だよね-」
魔王「愛情はいいんですが……」
女勇者「みんな経験していらっしゃる!?」
女勇者「いいんだいいんだ、私勇者だもん……」
魔王「いいじゃないですか、男の人なんて星の数ほどいますよ」
弓使い「星に手は届かないけどね」
女勇者「ウワァァァアァァ!」
村人「あ、そっちは山賊のアジトがある方向だべ!」
女勇者「山賊シメてきた」
「「「スッキリしてる!」」」
ここまでで投下終了です。
こんにちは
読者の皆様、魔王です。
私たちは今
アルバイトをしているんですよ
女勇者「ウガァァァァァ! お前を蝋人形にしてやろうぉかぁ!」
「「「「「ギャァァァアァァァァ!」」」」」」
お化け屋敷で
というのも
事の起こりは3日ほど前。
弓使いさんが遊園地に行きたいと駄々をこねました。
女勇者「子どもか! 何が遊園地だ!」
弓使い「だって最近激戦続きで疲れたし!」
女勇者「いつしたんだ!」
弓使い「いーきーたーいー!」
結局弓使いさんの熱に負けて
私たちはとある都市の遊園地に行きました。
しかしながらとあるアトラクションの前でトラブルが起こりました。
女勇者「……必然性を感じない」
戦士「いやいや、お化け屋敷に限らず、アトラクションなんて騒いでナンボでしょ」
弓使い「あれー、もしかして女勇者幽霊怖いのかなー?」
女勇者「そ、そんなことない!」
結局この発言は後で大嘘ということが分かるのですが。
私たちは女勇者さんに見栄を微笑ましく思って何も言わなかったのです。
それが全ての間違いでした。
幽霊「グガァァァァァ!」
女勇者「うをぉぉぉぉぉぉぉ!」
ゴースト「ウケケケケケケ!」
女勇者「うぎゃあああああああああああ!!」
パンプキン「モケケケケケエーーーーーーーー!」
女勇者「のああああああああああああ!!!」
魔王「あ、肩にゴミついてますよ」
女勇者「きゃああああああああああああ!!!!!!!」
恐怖に恐怖を感じた女勇者さんは。
女勇者「私の敵は世界の敵だ! とっちめてやる!」
と、どこか逝ってしまった目で、
女勇者「くらえ! スピキュール! うぉー! あっちぃー!」
戦士「うわあああああ、女勇者を止めないと!」
魔王「はい、お化けの皆さんとお客さんは魔法で外に退避させましたよ」
弓使い「私たちは!?」
魔王「あ」
お化け屋敷のアトラクションは全焼しました。
という訳で私たちは、このお化け屋敷の修復が終わるまで。
お化けとして遊園地を盛り上げているのです。
女勇者「ぐああああ! コノウラミハラサデオクベキカ!」
「「「「ぎゃあああああああ!」」」」
女勇者さんはなんか勘違いしてますが。
私たちはあくまで盛り上げるのが役目です。
別に怖がらせる必要はありません。
別の日のことです。
女勇者「いやあ、労働は気持ちいいね!」
私たちはまだバイトをしていました。
というのも、なんだか別の方向に張り切ってしまった女勇者さん。
働く意欲に満ち溢れています。
なんだかすっかり勇者としての役割を忘れてしまったようです。
しかし。
大魔王「グハハハハハ! 俺様は大魔王カス!」
魔王「カス?」
大魔王カス「カスっていうな! 前に大魔王をつけろ!」
弓使い「うん、わかった、カス」
戦士「そうだな、カス」
大魔王カス「グアアアアアアアア!」
弓使い「しかし、なんでカス?」
魔王「あ、それならこの魔王図鑑で」
戦士「え、なにそのポケ○ン図鑑みたいなの」
魔王「あ、出てきましたよ」
だいまおうカス
だいまおうから生まれる。
生まれたと言ってもただのだいまおうのしぼりカスである。
戦士「なんだ本当にカスなのか」
大魔王カス「カスっていうな!」
女勇者「あー、ちょっと申し訳ないです、お化け屋敷は今修復中でして、はい、大変申し訳ありません」
魔王「しかし、カスはカスでも、元は大魔王ですから」
弓使い「しぼりカスって、大魔王のどこ絞ったんだろうね」
戦士「それは別に関係ないんじゃね?」
大魔王カス「勇者パーティ、俺はこの時を待っていた」
弓使い「あ、話進めた」
大魔王カス「お前たちを倒せば、俺は魔王の中でも味噌っかす扱いされずに済む!」
戦士「倒す動機レベルひく!」
女勇者「はっ、私は何を!」
カス「グハハハハハ! 女勇者よ、寝ぼけているうちに貴様を殺す!」
女勇者「え、なにこれ弱い」
カス「あ」
女勇者「……(にへら)」
カス「ひっ!」
女勇者「……(ジャキ!)」
カス「その、すんません、命だけは、お金なら払いますから……」
腐っても大魔王……のしぼりカスさん。
たくさんのお金を持っていました。
……一体何に使うつもりだったのでしょうか。
私にはあまり金銭欲というものがないのでわかりません。
女勇者「これで働かなくて済むな! ほれ、これが修繕費だ!」
社長「んなわけないだろ、アトラクションが復活するまで働いてもらうぞ」
「「「「ですよねー」」」」
しばらくバイト生活が続きそうです。
投下終了になります。
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