天狗娘「えへへ…きちゃった」 男「帰れ」(192)
天狗娘「そんなぁ、折角来たのにひどいなぁ」
男「いや、うちはマンションの7階にあるって話なんだが」
天狗娘「そんなもの私の羽があればひとっ跳び」バッサバサ
男「目立つって話なんだが」
天狗娘「天狗の隠れ蓑があれば」ブワッ
男「だからってそこに滞空するなよ」
天狗娘「いいじゃない、使えるものは使えないと み○を」
男「入るなら普通に入れって言ってるんだ」
天狗娘「えー?」
とだけ考えた 烏天狗ちゃん羽撫でたいもふもふしたい
男「取り敢えず窓から突撃してくるんじゃありません」
天狗娘「わかったよぉーいけずぅー」ヒュルルル
男「急降下するな!あぶねえ!」
天狗娘「大丈夫ですよぉー………」
男「…ふーっ」
チャイム「ちょ、そんな押さんといてあかんってぇ」ピンポンパンポンピンポンピンポン
男「!?」
天狗娘「来ちゃった」ガチャァン
男「帰れ」
これだな
取り敢えず好きな天狗は何ですか?烏天狗それとも鼻高天狗?木の葉天狗か白天狗?
私は烏天狗一本だわぁ・・・うん
天狗娘「正面から堂々とはいってきました!」
男「迷惑だから帰れ」
天狗娘「か弱い乙女が殿方と二人きりってシチュに興奮しないんですか?」
男「蹴りで大の男を40m飛ばした奴に言われたくないんだがな」
天狗娘「えへへ・・・つい」
男「照れるな、なぜ照れた」
天狗娘「そんな事より喉が渇いた」
男「麦茶出すから飲んだら帰れ」
とか言っちゃうずうずうしさMAXの天狗ちゃんを結局居座らせちゃう男の話見たい
俺は大天狗ちゃん!!
>>7 大天狗は割と尊大そうなイメージがあるけどそれがいいわぁ
一人称「わらわ」とかそんな感じ
天狗娘「人間さん、これ」ドサドサ
男「お、山菜か?」キラッ
天狗娘「山の美味しい山菜の選別です」
男「ふむ・・・(こいつと付き合ってるとこういうメリットがあるからなぁ)」
天狗娘「私山菜ピラフとか食べたいなぁ」チラッチラッ
男「いいなぁそれ、良し作るか」ホクホク
天狗娘「(ちょろいわーまじちょろいわー)」
的な、天狗娘的に打算と好意が入り混じってるみたいな
訂正 選別→餞別
天狗娘「はやくぅーはやくぅー」カンカン
男「行儀悪い事するんじゃありません!」
天狗娘「はーい」グーキュルルル
男「…お前何日飯食ってないんだ?」
天狗娘「山菜取ってたらつい二日間」
男「即行で作るから待ってろ、後でお前説教な」
天狗娘「そんな殺生な!?」
男「当たり前だ馬鹿たれ!」
みたいなのをね、うん
夜ごとにボチボチすすめていきたいわさ
前作(鬼娘)は急ぎすぎたので思い付くのをまったりと
どんな話にしようか考えとります
天狗といえば隠れ蓑だよな
天狗って飛べるよね?
隠れ蓑って姿消えるよね?
誰にも見られることのない空中青k(ry
>>13 >>14
天狗娘「だそうですよ?人間さん」
男「今料理に忙しいんだ」
天狗娘「もう・・・折角こんな美少女が誘っているのに」ピラッ
男「ピラフお前の分つくらんぞ?」
天狗娘「御免なさい許してくださいなんでもしますから」
男「じゃあそこで座ってろ」
天狗娘「全く…人間さんには欲望ってのが無いんですか?」モシャモシャ
男「普段そういうのを見慣れているせいで全然」パクパク
天狗娘「おっ、このぜんまい美味しい」ムシャムシャ
男「良い喰いっぷりな事で」モゴモゴ
天狗娘「ふふ…人間さんの事も食べちゃいますよ」ニヤリ
男「じゃあまずはその顔についた米粒を取ってからだな」カチャカチャ
天狗娘「全く人間さんはイン○かホモですか?」カチカチ
男「食事時に汚い言葉を使うな」ングッ
天狗娘「ごちそうさま!」カチャン
男「どういたしまして」カチャン
男「・・・・・」シャカシャカ
天狗娘「・・・第一ですよ?」シュッシュ
男「あーん?」ゴシゴシ
天狗娘「可愛い女の子に皿洗いさせるってのは」ムギュムギュ
男「食ったら働け」
天狗娘「働いたじゃないですか、山菜」
男「じゃあピラフの分働け」
天狗娘「だからその分がさんさ」
男「HATARAKE」
天狗娘「Yes sir.」
天狗娘「・・・・・・」カチャカチャ
男「・・・・天狗?」チラッ
天狗娘「・・・・・・・・」ムッスゥーッ
男「ああ、やっぱりむくれてんのなお前」
天狗娘「知りません!」カチャカチャ
男「ガリガリ君買ってやるから」
天狗娘「本当ですか!?」バッ
男「分かったらさっさと終わらせような」
天狗娘「はい!私ソーダ味がいいです!」カチャカチャカチャカチャ
男「(ちょれぇわー)」
天狗娘「人間さん!ガリガリくんですよガリガリくん!」
男「俺ハーゲンダッツ買うから」
天狗娘「騙されたぁ!」ガビーン
男「騙してないだろ、どうせ両方俺が買うんだし」
天狗娘「ハーゲンダッツとガリガリくんの違いは天と地ほどの差があるんですよ!?」
男「二本買ってやるから」
天狗娘「やったぁ!」グッ
男「(ちょれーわー)」
ハーゲンダッツ紳士「アイスの価値は”値段”ではない…”誰に食べられたか”で決まる」
男「美味いか?」
天狗娘「コーンポタージュ味ってこれ冷製コーンポタージュじゃないですか」
ガリガリ君「あんさん…」
ハーゲンダッツ紳士「ガリガリ君、君は最高の幸せを手に入れたのだ」
男「いやぁ、やっぱハーゲンダッツは美味いな」ムシャリ
ガリガリ君「あんさーん!」
天狗娘「いいなー、欲しいなー」ペロペロ
男「やらんぞ」ムシャムシャ
天狗娘「えー…」
天狗娘「あづーぃ…」
男「早く食わんとアイス溶けるぞ」
天狗娘「頭キーンとするんだけどね」
男「ごねてるとほら、早くもシャリシャリ君に」
天狗娘「ええいやんぬるかな……うっ!」ガツガツガツ キーン
男「ざまぁねぇ」
天狗娘「うっ、頭に何かが話しかけてくる…」
男「そりゃすごいですねー」
天狗娘「ちょっとは乗ってくださいよー」ケロッ
男「さっさといくぞー」
天狗娘「・・・・・」ジリジリ
男「・・・お、もう夕方だな」
天狗娘「ああ、もう限界!」バッサァッ
男「おい、こんな場所で羽だすなって」
天狗娘「大丈夫大丈夫、隠れ蓑使うから」バッサバッサ
男「・・・・・」ジーッ
男「・・・いや、使わんでいいだろ」
天狗娘「はい?」
男「ここら辺には人居ないし、俺はお前が飛んでるところ見ていたい」
天狗娘「新手の告白ですか!?」
男「ちゃうわ」
天狗娘「じゃぁ張り切っちゃいますよー!」バヒュッ
男「・・・」ビュォォォ
天狗娘「ひゃっほぉーっ!」ビュバッ ヒュゥーッ
男「・・あいつは、ああしている時が一番楽しそうなんだよな」
天狗娘「人間さーん!見てますかー!」バッサバサ
男「ああ、見てるよ」
天狗娘「このまま家まで駆けっこはどうですー!?」
男「勝てる気がしないので却下」
男「どちらにしてもこれから買い物だし」テクテク
天狗娘「こないだ一緒に行ったじゃないですか」バッサバサ
男「どっかの誰かさんが大喰らいだからすぐなくなる」ピタッ
天狗娘「食材いっぱい持ってくるじゃないですかー」ヒュッ
男「それでもすぐなくなるんだよ」テクテク
天狗娘「・・・すみません」シューン
男「今日はエビチリ作るぞ、二人前」テクテク
天狗娘「二人前ですか?」ピコピコ
男「・・・食うんだろ?どうせ」ハァ
天狗娘「ありがとう人間さん!大好き」ビュォォッ
男「滑空しながら近づいてくんな!怖いわ!」ダダダダダ
今日はここまで 天狗ちゃんは快活スピード狂可愛いを前面に出したい
そんな感じです
女の子っぽく着崩したりアレンジしてるとグッド
翼さえ生えてなければ普通の年頃の外見をイメージしてます
天狗娘「海!海に行きましょう人間さん」
男「やだ」
天狗娘「そんな殺生な!」
男「天狗って山の方の妖怪じゃなかったっけ」
天狗娘「普段山に居るから海に行きたいんですよ!」
天狗娘「今なら私の過激なビキニ姿見放題」
男「いらん、お前こないだ下着姿で突撃してきたろ」
天狗娘「あれはほら、ミスですよミス」
男「それ以前にあれを見ても興奮していない俺に気が付いた」
天狗娘「可愛そうに…」
男「誰のせいだと思っているんだ」
天狗娘「ごめんなさい」
天狗娘「取り敢えず水着じゃないんですよ」
男「ほぉ?」
天狗娘「海すれすれを滑空したら気持ちよさそうだなって」
男「お前ってどうしていつもそんなこと考えるの?」
天狗娘「いえ、友人がそんな事を言ってて試してみたいなって」
男「天狗ってどうしてそうスピード狂でスリル依存症が多いの?」
天狗娘「人間さんも飛んでみればわかりますよ、やみつきになるのに」
男「残念ながら人間は羽を持っていないので」
天狗娘「残念だなぁ、人間さんと空中ランデブーしたいのに」
男「どうせお前は一人でどこかにすっ飛んで行くんだろうに」
天狗娘「やだなぁ…そんなことしませんよ」
男「本当に?」
天狗娘「いやぁー…嘘かも、えへへ」
男「照れてんじゃないよ」
海
天狗娘「いやっほぉーっ!」ズバビュゥン
男「やっぱこうなるんだな」
天狗娘「見てますかーっ!?」
男「見てるぞー 寒いぞー」
天狗娘「もうちょっとーっ」シューッ
男「はいはい」
天狗娘「やっほーっ!」シャーッ
男「(本もってくりゃ良かった)」
天狗娘「目を離さないでくださいよーっ!」スバァンッ
男「無茶言うな」
天狗娘「もうひとぉっ!」ヒュオッ
男「水平線の向こうまで行ってどうする」
天狗娘「ひゃっはぁーっ!」ボビュッ
男「遠近法って偉大だよな」
天狗娘「ふぅーっ…さっぱりしました!」
男「こっちはなにも面白くないけどな」
天狗娘「えっ、じゃあ時折見えるパンチラとか」
男「見えねーよ」
天狗娘「そんな、折角勝負下着着て来たのに」
男「まさかそんな下心があったとは」
天狗娘「男さんのエッチ!」
男「それが言いたいだけだろ」
天狗娘「誤算だった…あまりにも楽しくて飛ぶのに気を取られ過ぎたっ…!」
男「本当にスピード狂だよなお前は」
天狗娘「畜生!ガッデム!」バァン
男「今日はカレーだぞ」
天狗娘「まじですか!?行きます行きます」
男「さっさと帰るぞー」
天狗娘「はーい」
男「お前って本当に飛ぶの好きだよな」
天狗娘「天狗は皆飛ぶのが好きですよ!空を裂き誰よりも早く飛ぶ事!」グッ
男「あーはいはい」
天狗娘「遥か上空から急降下するスリルと頬を風が突き抜ける快感!…って聞いてます?」
男「お前らが総じて警察が居たら絶滅するぐらいスピード狂だってことはわかるから」
天狗娘「警察もスピード狂なので大丈夫です」
男「もう駄目だなこりゃ」
天狗娘「男さんにも翼があったらいいのになぁ・・・」
男「悪いがお前とは張り合えんぞ安全第一だからな」
天狗娘「つまんない人ですねー」
男「そっちがおかしいんだ」
天狗娘「えー…」
天狗娘「もしも人間に翼が生えてたら」
男「もしも天狗に翼が生えてなかったら」
天狗娘「そりゃもう天狗じゃないですよ」
男「翼が生えた人間なんて人間じゃない」
天狗娘「そうなんですよねー」
男「そうなんだよなー」
天狗娘「でもそれぐらいの違いですよね、外見は」
男「外見はな?あくまでも」
天狗娘「つまり私が人間になれば男さんを!」
男「嫌だね」
天狗娘「へ?」
男「翼の生えてないお前なんてお前じゃないさ」
天狗娘「それって褒めてるんですか?」
男「どうだろうな」
天狗娘「褒め言葉として受け取っておきます!」
男「お前はいつでも前向きだよな」
天狗娘「ちょっとやそっとじゃへこたれません!」
男「良い事なんじゃないかな」ヤレヤレ
天狗娘「ちょっとー 聞いてますー?」
男「話半分で」
天狗娘「ちょっとー!」
やっぱり天狗ってのは群れてるんだろうか
天狗娘「そうですねー 大体500から1000ぐらいでしょうか」
男「随分多いんだな」
天狗娘「だって天狗って人間の中で十分生活できますし」
男「ほほぉ」
天狗娘「その中には結構地位の高い所に居る天狗も居ますからね」
男「初めて知った」
天狗娘「このご時世、そうでもしなきゃ生き残れませんよ」
男「大変だなぁ」
天狗娘「妖怪も大変なの、力を持ってても生き残れない」
男「力が全てとかどこの世紀末だ」
天狗娘「今から百年ぐらい前までは正に世紀末だったんですよ?」
男「えっ」
天狗娘「力ある妖怪が頂点に立ち、力ない妖怪は這い上がる事すら難しい」
男「天狗はどうだったんだ?」
天狗娘「天狗は、空を飛ぶ事と簡単な妖術を使えるぐらいなんですよ」
男「つまり低かったと」
天狗娘「力のある者はそりゃ強かったですが全体としては弱者でしたね」
天狗娘「力のある妖怪ってのは規格外でしたよ、本当に」
男「俺からすれば空を飛べるのも凄いがね」
天狗娘「空を飛ぶだけじゃ弱いですよ、百里を一瞬で移動する者、羽無くとも空を闊歩するもの」
男「そりゃぁ・・・」
天狗娘「拳で山を割り、海を割り、天を割る・・・そんなのが強者の中にはごろごろいました」
男「想像もつかんな」
天狗娘「その中でも最も強かったのが鬼、ですね」
男「鬼」
天狗娘「言葉に出すのもおこがましい純粋な力の塊です」
男「…恐ろしいのか?」
天狗娘「…彼らは恐怖の対象でした、人間にも妖怪にも」
男「ほほぉ」
天狗娘「略奪の限りを尽くし、暴風の様な暴力を持って蹂躙する…そんな存在です」
鬼娘「へくちっ」
??「どうした?鬼」
鬼娘「誰かが噂してる、鬼の耳は地獄耳なんだ」
天狗娘「ひぃっ!?」ゾワッ
男「どうした?」
天狗娘「なんか悪寒が・・・」
男「鬼がお前を見ていたりな」
天狗娘「じょ、冗談じゃないです!」
天狗娘「とにかく、天狗は弱いので鬼の腰巾着として生きてきたわけですよ」
男「(天狗っぽいな)」
天狗娘「ちょっと、今失礼な事を考えてませんでした?」
男「いや?」
天狗娘「むぅーっ…」
天狗娘「と言う訳で、その適応力を生かして天狗は大活躍中なのです!」
男「ご飯できたぞー」
天狗娘「わーい」
男「今日は焼きビーフンだ」
天狗娘「人間さんの料理はおいしいです!」
男「天狗の中には料理好きなの居ないのか?」
天狗娘「どうでしょう、割かしばらばらに生きてるので」
男「そうなのか…寂しくないか?」
天狗娘「男さんがいるので!」バッ
男「そうかそうか」サッ
天狗娘「ガッデム!」
ぼちぼち書いていきます
ぼちぼち書いていきます
男「そういえば」
天狗娘「なんでしょう?」
男「この前しれっと100年前の話してたけど…」
天狗娘「し、してませんよ?」
男「・・・・・」
天狗娘「私のログには何も残ってませんよ?」キョドキョド
男「どのぐらい生きてるんだ?」
天狗娘「十七歳です」
男「しれっと分かりきった嘘をつくな」
天狗娘「……さ、さんじゅうよんさい」テレテレ
男「何かずれてる気がする」
天狗娘「……いわなきゃだめですか?」
男「気になるだろ」
天狗娘「に…にひゃくごじゅうはっさい…」
男「はい?」
天狗娘「258歳…」
男「2世紀半か…」
天狗娘「嘘です、324歳です」
男「鯖読むってレベルじゃないな」
天狗娘「年齢聞かれちゃった…」テレテレ
男「正直300歳とか言われても規模が分からん」
天狗娘「人間でいう22歳ぐらいですよ」
男「本当か?」
天狗娘「だって妖怪なんて生きようと思えば生きれますし?気分ですよ気分」
男「妖怪ってのはやっぱりあれだな、よく分からん」
天狗娘「違いますね、訳が分からないのが妖怪なんですよ」
男「…つまりどう言う事だ?」
天狗娘「訳のわからない存在が妖怪なんですよ、つまりは」
男「ははぁ」
天狗娘「人間が闇夜を畏れた事から妖怪は生まれたともありますし」
男「と言うと妖怪は人間から生まれたのか?」
天狗娘「さぁ?」
天狗娘「妖怪なんてよく分からないものなんですよ、私だってそうですし」
男「そんなもんなのか」
天狗娘「まあ、私はこうして生きている訳ですから」
男「あー…食材なくなってきたな」
天狗娘「一緒に買いに行きますか?」
男「どうせ空飛びたいだけだろ」
天狗娘「デートです!デート」
男「はいはい買い出し買い出し」
天狗娘「人間さぁーん!」バッ
男「甘い」サッ
天狗娘「不覚!」
男「天狗って、どいつもこいつも・・・そうなのか?」
天狗娘「そう?」
男「貞操観念薄そう」
天狗娘「そんなことありませんよ!」
男「だって、告白もしてない相手にアプローチされてもなぁ」
天狗娘「押せばいけるって経験則ですよ!」ムッフゥ
男「恋人とか、どれぐらい居たんだ?」
天狗娘「そりゃもう、昔はとっかえひっかえ」
男「ふぅん…」ムスッ
天狗娘「あれぇ~?やきもち焼いちゃってます?」
男「いや、彼女が居た事ないから苛ついただけ」
天狗娘「つまりどうて」
男「シャラップ」
天狗娘「まあ人間さんよりは経験豊富ですよ!はっはっはぁ~!」
男「キスとか」
天狗娘「ひゃいっ!?」
男「したことあるのか?」
天狗娘「せ…接吻…?接吻ですか…?」
男「彼氏がいたならするだろ」
天狗娘「も、勿論したことありますよ…」カァァァァ
男「やっぱりレモンの味とか、陳腐な表現だがそんなのか?」
天狗娘「そうですね!そんなのですよええ!人間さんには分からないでしょうけどね!」
男「じゃあその先とか」
天狗娘「人間さん!パン買い忘れてますよパン!私食パン大好きなんですよ!」
男「お、ありがと」イソイソ
天狗娘「…ふぅ」
男「それで、その先とか」クルッ
天狗娘「ににに人間さん!?公共の場所でそう言う事は恥ずかしいですから!」
男「…それもそうだなぁ、行くか」
天狗娘「………ふぅぅぅ~っ」
天狗ちゃんは耳年増だと良いと思う とっても
―――――
男「青いなぁ」
友「は?」
男「いや空が」
友「ああ…そうか?」
男「いや、なんか妙に空が青い気がしてな」
友「なんかろ~まんちっくぅ~なこと考えてたからじゃね?」
男「そうかもなぁ」
友「お、俺ちょっと寄り道するわ」
男「珍しいな」
友「なんかなー、こっちに行けば何かあるっての?」
男「あーはいはい、またいつもの放浪癖な」
友「放浪癖とか言うな!」
友「待ってろよ!いつかお前をぎゃふんと言わせてやる!」
男「どこの古典だよ…」
友「じゃーなー!」タカタカ
男「おー待ってるぜー…ん」クイッ
男「…やっぱり、空が青いなぁ」
男「こんな日は何かが起こりそうと言うか…」
男「…バカバカしい、あいつに感化されたかな」
天狗娘「そうなんですか?」
男「おんわぁぁぁっ!?」
天狗娘「そんなに驚かれるとは…ショックです」
男「…は?どこに居るんだ?」
天狗娘「ここですよここ、あなたの真上」
男「真上…っ!?」
天狗娘「いやーんパンツ見えちゃうー!」
男「いや、逆さまに滞空されると見えないから」
天狗娘「言葉の綾ですよぉ」
天狗娘「あれ?案外驚かないんですね」
男「いや…正直驚きの範疇外と言うか…」
天狗娘「よし決めた!あなたが私の恋人です!」
男「…は?」
天狗娘「だーかーらー!あなたは私の恋人なんです!」
男「ちょっと待て、いろいろ聞きたい事がだな」
天狗娘「四の五の言わずに私の胸にカモン!ヘイカモン!」
男「断る」
天狗娘「えっ!?」
天狗娘「こんな美少女が来いって言ってるのに来ないんですか!?」
男「だって宙に浮く人間なんて不気味だし」
天狗娘「やだなぁ、人間な訳ないじゃないですか」
男「は?」
天狗娘「天狗ですよ天狗、妖怪」
男「妖怪?」
天狗娘「よ・う・か・い、ドゥーユゥーアンダスタンド?」
男「駄目だな、こりゃ白昼夢だ」スタコラサッサ
天狗娘「ちょっと!?なんで逃げるんですか!?」
男「ええい白昼夢が喋るな、追ってくるな」ダダダダダ
天狗娘「ごめんなさい!私の話をちょっとは聞いてください!」ビュォッ
――――――
―――
男「あー…あの時捕まって無きゃな」
天狗娘「人間さん、私達の馴れ初めについて考えてるんですか?」
男「どちらかというと押しかけられた感じなんだが」
天狗娘「同じですよ」
男「同じじゃないだろ」
男「妖怪なんて、いるんだな」
天狗娘「案外そこらへんに妖怪っているんですよ?」
男「天狗が居るぐらいだからな」
天狗娘「ちょっと!それってどういう事です!?」
男「自分で考えな」スタスタ
天狗娘「待ってくださいよぉ!」スタスタスタ
男「言っておくが絶対人前で飛ぶんじゃないぞ?」
天狗娘「分かってますって…今まで守ってたじゃないですか」
男「信用が置けないんだよ、あんまり」
天狗娘「信用してくださいよぉ…」
男「あんな初対面を迎えた奴を完全に信頼しろなんて無理だし…」
男「(今でもこいつがなぜいきなり告白してきて、そしてこうして絡んでくるかは分からない)」
天狗娘「人間さん?今日はオムレツですか?」
男「(だが、時々いつもは鬱陶しいこいつが視界の隅に居る事が)」
天狗娘「人間さん?聞いてます?」
男「ああ、今日はオムレツだ」
天狗娘「楽しみだなぁ、えへへ」
男「……」
男「(堪らなく、安心する事がある)」
一応着地地点は決めてありますが
どう着陸するかはわからない
男「・・・暇だ」グデー
男「普段は天狗が来るからいいんだが、こないな」チラッ
男「この間は家を空けてたらむくれられたし…どうするか」ハァ
男「・・・・・そろそろか?」チラッ
チャイム「まだやで」
男「来ないか・・・」
チャイム「あっ」ピンポンピンポンピンポンピンポン
男「来たか」
天狗娘「開けて~!人間さん開けてください!」ピンポンピンポンピンポーン
男「なんだ、後うるさい」
天狗娘「いいじゃないですかー、人間さんと私の仲ですし」
男「なんだそりゃ・・・取り敢えず麦茶しかないぞ」
天狗娘「麦茶!いいですねー」
男「お前の事だから”ジュースじゃなきゃ飲まない”とか言いそうだと」
天狗娘「そんなに不遜じゃないですよ」
男「そうなのか?」
天狗娘「だって一応私は昔の妖怪ですし…」
男「…昔?妖怪って今も増えてるのか?」
天狗娘「人が怖れればそれが妖怪になるんですよ、つまり」
男「良く考えると恐ろしい事だなおい」
天狗娘「最近なら”妖怪リモコン隠しとか”」
男「えっ」
天狗娘「えっ」
天狗娘「妖怪なんてそんなもんなんですよ、ええ」
男「随分適当だなおい」
天狗娘「当時の人間ってのはそれよりはるかに適当でしたよ?」
男「ああ、なんか納得」
天狗娘「角やら羽やら見ても『すげえや!』で済ませてましたし」
男「そりゃちょっと違うんじゃなかろうか」
天狗娘「…まあ、あなた達を見てると思うんですよ」
男「うん?」
天狗娘「天狗と人間の関係も随分変わったなって…」
男「なんか穏やかじゃない話だな」
天狗娘「あ…すみません、つい思い出しちゃって」
男「まあ、話したくないならいいんだが」
天狗娘「…はい」
天狗娘「ですが、天狗が今こうして人に紛れて生きている裏には色々あったんですよ」
男「…色々」
天狗娘「狡猾じゃなければいけない、裏切らなければ生き残れない…そんな時代を生きていた天狗は多いんです」
男「それは、お前もか?」
天狗娘「・・・・・・」
男「なあ」
天狗娘「・・・どうでしょうね」
天狗娘「何か…辛気臭くなっちゃいましたね、すみません」
男「あ?ああ…別にいいんだが、興味深いし」
天狗娘「そうですか…」シュン
男「(やっぱり、いつものあの顔は演技なのか?)」
男「おい、今日は鉄板焼き作るから手伝え」
天狗娘「鉄板焼き!?私大好き!人間さんも大好きです!」バッ
男「(それとも素の表情なのか?分からない…)」サッ
天狗娘「畜生!」スカッ
男「あ、材料がない」
天狗娘「一緒に買いに行きます?」
男「いや、今日はちょっと家で待っててくれ」
天狗娘「いいんですか?私にかかればこの部屋に隠されたあんなものやこんなものを」
男「それやったらもう部屋に入れんぞ」ガタッ
天狗娘「やだなぁ、冗談ですよ」
男「じゃ、行ってくるわ」
天狗娘「いってらっしゃーい」
男「・・・ったく、やっぱりわからん」テクテク
男「あいつはなんであんな事をしてるんだ?いきなり告白して来たり引っ付いて来たり…ん?」
茶髪女「・・・・・・」キョロキョロ
男「なんだ?初めてなのに、なんであいつが気になるんだ?」
茶髪女「・・・・・・」ブツブツ
男「なんで・・・っ」
茶髪女「・・・!」ギョロッ
男「・・・!」ゾワッ
男「(やばい、なにかがやばい・・・危険だ!)」
茶髪女「・・・・」ブツブツブツブツ
男「くっ・・・何なんだ一体!」ダッ
茶髪女「・・・見つけた、見つけたわ・・・人間」
天狗娘「ふんふーん…おるすばーん」
天狗娘「……」チラッ
天狗娘「ひとりでおるすばーん、ひとりきりでおるすばーん」
天狗娘「………」チラッ
天狗娘「この隙に人間さんの部屋に!」バッ
男「おっすー帰ったぞー」バーン
天狗娘「ひゃぁん!?」
男「……」ジトーッ
天狗娘「私何もしてません、嘘ついてません」
男「しようとしたよな?」
天狗娘「未遂なので大丈夫!」キラッ
男「…………」ジトォーッ
天狗娘「……駄目?」ダクダクダクダク
男「…はぁ」
天狗娘「ありがとう人間さん!大好き!」
男「ほら、さっさとつくるぞ」ドサドサ
天狗娘「はぁーい」ワクワク
男「いやぁ、しっかしびびったな」
天狗娘「ははぁ、普段は鉄面皮の人間さんでも驚く事ってあるんですね」
男「まあな…しっかしなんでだろうな、ただ茶髪の女に睨まれただけなのに」
天狗娘「!!」
男「なんか尋常じゃ無い殺気を感じたんだが…身に覚えがない」
天狗娘「……人間さん、ひょっとしてなにかその女に既視感を覚えたとか」
男「ああそうだ、既視感を感じたから嫌に気になったんだな…そうか」
天狗娘「………」
男「…どうした?」
天狗娘「いえ?」ニコッ
男「ま、無理はするなよ…おお焼けてきた」ジュゥジュゥ
天狗娘「……あ、そこのお肉取ってください!」
男「自分で取れよ」
天狗娘「そんなぁ!」
時間が出来たので今日明日中に仕上げられると思います
男「天狗にとって飛ぶって言うのは どんな事なんだろうな」
天狗娘「そうですねぇ…つまり生きる事ですかね」
男「大きく出たな」
天狗娘「天狗にとって飛ぶ事はつまり、そう言う事なんですよ」
男「飛ぶ事、ねえ」
天狗娘「もっと速く、もっと速く…それに対して力を注いできたのが天狗なんです」
男「・・・やっぱり、分からん」
天狗娘「人間と妖怪って、やっぱり違うんですね」
男「同じだったら怖いだろうが」
天狗娘「いや、そうなんですけどね?…やっぱり違うなって」
男「変な事を言うな、いやいつも通りか」
天狗娘「あ、また酷い事を言う!」ムスッ
男「だって天狗ってそんな印象しかないし」
男「俺が知っている天狗はお前しかいないんだから、当然だろう」
天狗娘「…そうですね、まあ人間が天狗に会うこと自体珍しいんですが」
男「割かしすんなり会えたんだがな」
天狗娘「それはあなたが特殊だったからなんですよ」
男「どちらかというと特殊なのはお前じゃないのか」
天狗娘「やだなぁ、そんな事ないじゃないですか」
男「気になるんだがな」
天狗娘「何がです?」
男「その他の天狗ってのが」
天狗娘「やめた方がいいですよ」
男「は?」
天狗娘「知らない方がいい事もあります、そう言う事なんです」
男「でもさ…」
天狗娘「駄目です!」ギリッ
男「お・・・おう」ビクッ
天狗娘「……は、あ…ああ、すみません人間さん」
男「いや、いいんだ…なんか事情があるんだろうよ」
天狗娘「ええ、まあ」
天狗娘「人間さんにも話せない事があるんです…」ヨヨ
男「見え見えの泣き真似なんかするんじゃない」
天狗娘「あ、ばれました?」ケロッ
男「ばれるわ!」
天狗娘「やだなぁ、絶対にばれないと思ったのに」ケラケラ
男「・・・なあ、お前何か隠してないか?」
天狗娘「ええ?なんでですか?」
男「いや、無いならいいんだがな」
天狗娘「あらぬ疑いをかけるなんて男さんってばひどい!」
男「・・・気のせいか?」
男「んじゃ、ちょっと買い物行ってくるわ―」
天狗娘「いってらっしゃーい」
男「おう、行ってくる」バタン
男「…いつもなら『私も行く』とか言うくせに」
男「一体何があったんだ?」
―――――――
天狗娘「いってらっしゃーい」
バタン
天狗娘「………正直、驚きました」
茶髪女「まあ人間にしては鋭い方ね」
天狗娘「何の用ですか」
茶髪女「近況報告、彼氏とのあまぁ~い生活を聞かせてもらおうかしら」
天狗娘「私に彼氏なんていませんよ」
茶髪女「とぼけんじゃないわよ、それがあんたの任務でしょう?」
天狗娘「・・・・・・」
茶髪女「”人間を籠絡し、天狗の良いように動く駒を作る”、あんたの任務を忘れたの」
天狗娘「…忘れてませんよ、一度たりとも」
『妖怪大辞典』
妖怪の中には人間に対して友好的な感情を抱く者もいたがそれは少数派だった。
大部分の妖怪は人間の事を敵視し、またそうで無い者は見下す態度を取っていた。
”天狗”と言うのはつまり、その最たる例だ。
彼らは大変高慢な性格を持っていて、常に上に対する反感を持ち、下には見下した態度を取る。
時偶にその慢心が人に突かれる事があり、天狗の隠れ蓑の話などはこれが元となっているのかもしれない。
天狗はその気になればあらゆる環境に適応できる社交性とその能力を持っている。
故に気を付けなければならない、彼らが人のよさそうな笑みで近づいてきたときは猶更。
いかに仮面を被っていようと天狗も、人の恐れから生まれた妖怪なのだから…。
茶髪女「大天狗様に言われたでしょ?この作戦の重要性」
天狗娘「まあ、一通りは」
茶髪女「人間の男なんて堕とすの楽じゃないの、所詮人間だから」
天狗娘「・・・はい」
茶髪女「一発やって適当に愛の言葉とやらを囁きゃ簡単よ?ねえ?」
天狗娘「・・・」ブルッ
茶髪女「え?なに?あんたまだやってないの?へー珍しー…純情ねぇ」ニタッ
天狗娘「・・・はい」ギリリ
茶髪女「あんたって処女だっけ?くだらなっ…そんな事に拘ってんの?」
天狗娘「・・・」
茶髪女「なんか言いなさいよ」
天狗娘「・・・いえ」
茶髪女「だったらとっとと押し倒すなり誘い込むなりしなさいよ、それでも天狗?」
天狗娘「・・・はい」
茶髪女「怖いの?もしかして」
天狗娘「いえ」
茶髪女「出来ないとか?穴なし?」ケラケラ
天狗娘「いえ」
茶髪女「テクが無いのが心配?」
天狗娘「いえ」
茶髪女「もしかして…本気で惚れた?」
天狗娘「・・・・・!!」
茶髪女「まさかのビンゴ・・・恐れ入ったわー、人間を好きになるとか正気?」
天狗娘「そんな、ことは」
茶髪女「じゃあ殺せる?」
天狗娘「殺すのとは違うでしょう!」
茶髪女「あ~あ~…やっぱり惚れてるのね、あほらし」ギロッ
天狗娘「・・・く」
茶髪女「人間に惚れるとか・・・うわ、鳥肌立ってきた」
天狗娘「そんな事・・・」
茶髪女「触らないで、きもいのが移る」バッ
天狗娘「・・・・・・」
茶髪女「とにかくこの事は大天狗様に報告ねー」
天狗娘「・・・っ!それは・・・」
茶髪女「可愛そうに…懲罰房送りの後どうなるかしらねぇ、生きてりゃまし?それとも死んだ方がましかしら」
天狗娘「・・・」ガタガタガタ
茶髪女「あはは!その顔最高・・・じゃ、精々震えてなさい?」ガラッ
天狗娘「・・・・・」ブルブル
―――――――
天狗娘「んー…今回の目標はっと、あの人間ね」
友「なんかろ~まんちっくぅ~なこと考えてたからじゃね?」
男「そうかもなぁ」
天狗娘「…あれね」
天狗娘「(・・・正直、やりたくない 誰かを騙すなんて)」
天狗娘「(でもやらなきゃ、やらなきゃ酷い目に合うから)」
友「待ってろよ!いつかお前をぎゃふんと言わせてやる!」
男「どこの古典だよ…」
友「じゃーなー!」タカタカ
天狗娘「1人になった…今ね」
天狗娘「(事前調査だと人間の雄は空から降ってきた女の子に弱い)」
天狗娘「(つまり私がこうして空からやってくれば一発間違いなし!)」
男「………」ジトーッ
天狗娘「驚かないんですね(あれ?あれっ?)」
――――――
天狗娘「(ただ、最初は出来るだけ無心で終わらせようと思っていて)」
男「天狗、何か食いたいか?」
――――――
天狗娘「(早く終わらせるために積極的にくっついて)」
男「何の用だ…まあ、そこに座れ」
――――――
天狗娘「(恋愛なんてわからないから、分からないから)」
男「天狗、ありがとう」
―――――
天狗娘「(次第に、私は)」
男「天狗」
天狗「(私は)」
男「ただいま」ガチャッ
天狗娘「あ・・・」
男「・・・なにがあった?」
天狗娘「なんでも、ありませんよ」
男「気になるんだが」
天狗娘「乙女には隠し事がですね」
男「乙女・・・?」
天狗娘「なんで疑問系なんですか!」
男「まあ、何があったかは知らんが」
天狗娘「女には隠し事が多いんです」フンスッ
男「あまり、そんな悲しそうな顔をするな」
天狗娘「・・・は」
男「なんだ…なんかあったら話していいからな、これ以上迷惑が掛かっても変わらん」
天狗娘「人間さん!(私は)」
男「飯つくるぞー」
天狗娘「時々不本意な事言いますが優しい!(あなたが)」バッ
男「だからもっと工夫しろって」サッ
天狗娘「いじわるぅぅぅ!」スカッ
天狗娘「(大好きです)」
大体落ち所が見えてきてほっとします
とある山の最深部
茶髪女「・・・以上が報告になります」
大天狗「成程、未だ成功していない理由は”意志はあるが実力がない”と、そう言う事か」
茶髪女「・・・はい、一応はっぱは掛けておきましたが」
大天狗「ふむ・・・これで我々に従う意思がないとあれば処分するほかなかったが、さてどうするか」
茶髪女「処理は、先送りと言う事ですか?」
大天狗「そうだ、あくまで先送りだがな」
茶髪女「そうですか・・・」ホッ
大天狗「安心しているのか」ギロッ
茶髪女「いえ、そのような事は」ビクッ
大天狗「・・・まあいい、しかし時間がない」
茶髪女「時間?」
大天狗「知っての通り、『人間の代わりに天狗が実権を握ろう』と考える天狗の一派は全体の中で少数派だ」
茶髪女「嘆かわしい事ですね」
大天狗「全くだ・・・野心のある者が少ないので”交渉”して引入れなければならなかった」
茶髪女「あの天狗もですか」
大天狗「そうだ、あれは脅したら呆気なく従いおった」
茶髪女「・・・」
大天狗「天狗にあるまじき軟弱さだが…まあ駒としては丁度いい」
茶髪女「・・・ええ、そうですね」
大天狗「おい茶髪」
茶髪女「はい」
大天狗「最後通告を入れてこい」
茶髪女「最後通告・・・なるほど」
大天狗「あと一週間以内でおとせなければ我々としても待っていられないからな」
茶髪女「・・・はい」
―――――
―――
天狗娘「私の命もあと一週間、かぁ」
天狗娘「どうやって殺されちゃうんだろうな」
天狗娘「痛いのは嫌だな、苦しいのは嫌だな、辛いのも嫌だな」
天狗娘「・・・怖いな」
男「おい、どうした」
天狗娘「あ、あわわ人間さん!?いつからそこに」
男「さっきから」
天狗娘「気付きませんでしたよ、あはは」
男「・・・」
天狗娘「・・・もしかして、聞いてました」
男「ばっちりな」
天狗娘「・・・南無三!」
男「なんかあるとは思ったんだ」
天狗娘「・・・すみません」
男「そりゃいきなり過ぎて全く訳のわからないうちに付き纏われて、こっちはお前が天狗だって事しか分からなかったし」
天狗娘「私が憎いですか?嫌いになりました?」
男「いや、安心した」
天狗娘「は?」
男「だってやっとこさもやもやが取れたしな・・・どこか行くか?」
天狗娘「ちょ、ちょっと待ってくださいよ人間さん!」
天狗娘「私はあなたを騙してたんですよ?」
男「そうだな」
天狗娘「騙して、駒にしようとして」
男「だが出来なかったんだろう?」
天狗娘「・・・はい」
男「なら、いい」
天狗娘「なんで・・・」
男「知らん、少なくとも俺は怒ってない」
男「それじゃ駄目か?不都合でもあるか?」
天狗娘「・・・ううん、ありませんよ」
男「じゃあさっさと立ち直れよ」
天狗娘「はい」
男「なんか、お前がそんな顔してると調子狂う」
天狗娘「ふふ、人間さんも遂に私にでれる様に!」
男「調子に乗るな」スパーン
天狗娘「痛いぃ!?」
―――――
茶髪女「・・・失敗ね」スッ
大天狗(もしあいつが失敗したならまずは人間を消せ)
大天狗(目撃者から消した後天狗を連れて帰れ、生死は問わん)
茶髪女「あの子には悪いけど」ゴォッ
茶髪女「天狗礫(石が突然飛んでくる現象)で一撃で仕留める」ギュゥッ
茶髪女「・・・はあっ!」ビュアッ
天狗娘「人間さん」
男「なんだ?」
天狗娘「今までありがとうございました」
男「・・・は?」
天狗娘「私、すっごく嬉しかったですよ」ダッ
男「おい、なにがあって」
ビュオッ
男「なんでお前、俺に近づいて」
パリン
メキョッ
男「お前、なんで 倒れて」
茶髪女「・・・庇った!?天狗の方を倒すつもりはなかったのに!」
男「おい、天狗、起きろ」
男「なんで寝てるんだよ、起きろよ」
男「おい、なんで血を流してるんだよ」
天狗娘「・・・・・・」
茶髪女「くっ・・・しかし幸い天狗は虫の息、今度は人間の方を」ギュィン
男「・・・おい」ギョロッ
茶髪女「!?」ゾワッ
男「誰かは知らん・・・いやあの時の女か?生憎天狗みたいに目は良くないからな」
茶髪娘「見えて無い筈なのにこの殺気・・・いったい何が」
男「分からねえ、分からねえけど・・・許せねえ」ギリギリ
男「絶対許せねえ!」
男「こいつを傷つけやがって、許さねえぞ・・・」ギリギリ
茶髪女「くっ・・・ひとまず退散しなければ」バサッ
男「・・・はぁ はぁ」
茶髪女「失敗か・・・」バヒュンッ
男「おい天狗、死んでないよな?」
天狗娘「・・・・・・」
男「生きてると、生きてると言ってくれよ・・・なあ、頼むよ」
天狗娘「・・・かってに、ころさないで・・・」
男「天狗!生きてるか!」
天狗娘「なんとか・・・」ゼェゼェ
天狗娘「あの茶髪さんの妖力なら死ぬはずでしたが・・・手加減してたみたいですね」ヒュゥヒュゥ
男「それで、生き残ったと」
天狗娘「人間さん・・・生きてて、よかった」
男「馬鹿言うなよ・・・お前が死んで俺が生きてても、嫌だよ」
天狗娘「なんで・・・・・・」
男「俺に聞くなよ・・・とにかく病院に行こう」
天狗娘「病院は・・・だめ」
男「はあ!?」
天狗娘「下手な場所に行くと、人間じゃないってばれちゃうから・・・」
男「だったらどうすりゃいいんだよ!このままじゃお前・・」
茶髪女「おい、人間」
男「おまっ・・・てめえ!」グイッ
茶髪女「そう言うのは後でいい、こいつを病院に連れて行く」
男「大丈夫なのか?ってなんでお前が」
茶髪女「詳しい事情は後で話す、病院は天狗の里の病院だ」
男「こいつだけで行くのか?」
茶髪女「・・・お前も連れて行く、こい」バッサァ
男「待て、俺は飛べんぞ」
茶髪女「お前とこいつを抱えていく、舌を噛むなよ」バビュッ
――――――
男「・・・飛んでる」
茶髪女「当たり前だ、天狗だからな」バッサバッサ
男「いや、こうして空を飛んだのは初めてだ」
茶髪女「幸運だな、そう言う人間は少ないんだ」ビュオッ
男「・・・お前は、一体何なんだ?いきなり攻撃して来たり助けたりで天狗よりも訳が分からん」
茶髪女「そうだな、人間の言葉にするとスパイだ」
男「スパイ?」
茶髪女「以前から不穏分子が動いているという情報はあったがそいつはえらく用心深くてな、中々尻尾を見せなかった」
男「それで、誰かがスパイになる必要があったのか」
茶髪女「時間と犠牲は必要だったが、やっとこさ信頼を得る事が出来た」
男「すぐに潰すわけにはいかなかったのか?」
茶髪女「そいつは天狗の中でも強力な部類に居る、下手に手を出せば返り討ちだ」
男「じゃあ、天狗が集まれば」
茶髪女「昔はともかく今は天狗たちは散らばってる、集まるのにも時間がかかるのさ」
男「そうか・・・」
茶髪女「しかし、運が良かった」
男「は?」
茶髪女「もうじきあの大天狗様は蜂の巣だろうよ・・・ちょっと遅かったがな」チラッ
男「・・・そうだな」
茶髪女「こいつを傷付ける気はなかったんだ、ただちょっとの期間だけ延命できれば間に合うつもりだった」
男「お前は・・・一体何なんだ?なぜ天狗を助ける?」
茶髪女「昔な、遊びが過ぎて子供を産んじまった天狗が居たのよ」
男「!!」
茶髪女「面倒だから適当に捨てちまった屑の極まったような天狗が居たのさ」
男「それって・・・」
茶髪女「その事を今更悔いて、なにか為になる事をやろうと思って・・・スパイになって」
茶髪女「だけど今度はその娘が脅されて入ってくるとは、お天道様は何でも御見通しなんだな!」
男「・・・・・・」
茶髪女「・・・許してくれとは言わんけど、流石に堪えたよっと・・・あそこだ」
男「・・・天狗の里」
茶髪女「そうだ」
茶髪女「ちょっと待ってろ、こいつを届けたら迎えに行く」ストッ
男「でも、あの家には戻りたくない・・・」
茶髪女「そのつもりは無い、この件が終わるまでお前はここに拘束するからな」
男「え」
茶髪女「ちょいとお前は天狗について、この件について知りすぎたんだ・・・すまんな」
男「・・・殺されないよな?」
茶髪女「普通の天狗はそんな物騒な事せんさ、昔はともかく今は人当たりも良いんだ」
男「・・・・・暇だ」
爺「人間かえ?」
男「まあ、人間だが」
爺「ひゃぁ、人間なんて久しく見たわ」ケラケラ
男「爺さんも天狗か?」
爺「天狗も何もここには天狗しか居ないわ」
男「・・・ああ、ここは天狗の里か」
爺「人間との生活に慣れなかった者が暮らしておるよ、あの子もここで暮らしておった」
男「へぇ、やっぱりそう言う天狗が居るんだな」
爺「ファッファ!わしゃ爺さんにしては元気がありすぎるでの!」
男「(社会不適合者って意味でもないのか)」
爺「まっさかあの子があんな目に合うとは・・・許せんの」ニカリ
男「えっ?」ゾワワッ
爺「まあ外見はこんなんじゃがまだまだ現役じゃよ、ファッファ!」
男「あ、はい、そうですね」
爺「まああの茶髪が案内してくれるじゃろて・・・心配はいらん」
男「いえ、まあ、心配は・・・」
爺「あの子か?」
男「・・・そうなんだろうな」
爺「はぇーっ!こりゃたまげた!」ケラケラ
男「はい?」
爺「随分鈍い若造もいたもんだ!若いっていいのぉ!」ワッハッハ
茶髪女「よぉ」
男「天狗は!?」
爺「・・・いいのぉ、うんうん」シミジミ
茶髪女「一命は取り留めた、力を抜いておいて助かったよ」
男「・・・よかったぁ」
爺「心配するな、天狗の医者は人間のよりはるかに凄いぞぉ!」
男「ほんと・・・よかった」
茶髪女「天狗の回復力を舐めるな・・・まあ流石に焦ったが」
男「あれが治癒するのか」
茶髪女「手が切断されても直るぐらいだ、まあ医療天狗が居ればだが」
男「・・・やっぱりやばかったんだが」
茶髪女「私も肝が冷えたよ」
男「・・・」
茶髪女「一発殴るか?いや気の済むまで殴っていいが」
男「・・・なんか、あいつが治ったからそんな気分じゃない」
茶髪女「そうか・・・」
茶髪女「まあ、生活に関してはこちらですべて用意するので心配しなくていい」
男「散策は?」
茶髪女「里からでなければ好きにしていい、迷ったらそこらの天狗に聞けば教えてくれるだろう」
男「あいつに会いたい」
茶髪女「ちょっと待ってろ、数日後には会えるようになる」
男「待てって事か」
茶髪女「住む場所はあの子の家だから我慢しろ」
男「あいつの家か?…興味があるな」
茶髪女「・・・気付いてないのかお前」
男「なにを?」
茶髪女「まあいい、幸せにしてやれ」
男「あいつは今まででも幸せだったと思うが」
茶髪女「まあ、生活に関してはこちらですべて用意するので心配しなくていい」
男「散策は?」
茶髪女「里からでなければ好きにしていい、迷ったらそこらの天狗に聞けば教えてくれるだろう」
男「あいつに会いたい」
茶髪女「ちょっと待ってろ、数日後には会えるようになる」
男「待てって事か」
茶髪女「住む場所はあの子の家だから我慢しろ」
男「あいつの家か?…興味があるな」
茶髪女「・・・気付いてないのかお前」
男「なにを?」
茶髪女「まあいい、幸せにしてやれ」
男「あいつは今まででも幸せだったと思うが」
茶髪女「あ、そうだ」
男「うん?」
茶髪女「こういう場所に来たからにはこの言葉がいいな、うん」
男「何の話か分からん」
茶髪女「人間よ、ようこそ天狗の里へ」
多分もうすぐ終わります…けど ちょっと続き書くかも
天狗っぽさを出したい
茶髪女「ここだ」ガチャッ
男「あいつは、有名なんだな」
茶髪女「まあ…ある意味ではな」
男「ん?」
茶髪女「今の天狗は人間の社会にすぐ慣れる事が出来るが・・・あいつは無理だったんだ」
男「割かしよくやってると思ったがな」
茶髪女「空を飛べない事が辛かったらしいな、人間の社会では確かに飛ぶ機会がない」
男「あいつは本当に好きだったんだな、飛ぶ事が」
茶髪女「だからここに引き戻されたのだが・・・近い年頃のが里にはもう居ないんだ」
男「確かに、あいつみたいに若いのはいなかった」
茶髪女「もう天狗の住む場所は人の中だ、あいつは珍しいんだよ・・・そこを狙われたらしい」
男「じゃあ、彼氏とかは」
茶髪女「居る訳なかろう」
男「だよなー・・・」ホッ
茶髪女「随分安心してるな」
男「そうか?」
茶髪女「ああ」
男「いや、どうせ嘘ついてるんだろうなーとは思ってたが」
茶髪女「お前は居たのか?」
男「いや、一応告白はされたんだけどな」
茶髪女「なんだ、勿体ない」
男「なんか受ける気になれなかった」
男「なんか好きだと言われても、全然嬉しくないんだ」
茶髪女「じゃああいつは?嬉しかったか?」
男「さぁ」
茶髪女「・・・そうか」
男「ただ・・・嫌ではなかった」
茶髪女「ほぉ」
男「あんなに生々しい感情をぶつけられたことはなかったから、戸惑ったのかもしれない」
茶髪女「人間とは違う?」
男「なんだろうな・・・今はあいつの笑顔とか、泣き顔とか、そんなのばっかり考えて」
男「あいつが飛んでる時が一番楽しそうだった」
男「あいつがさも楽しそうに飛ぶから、俺も飛んでみたいと思った」
男「あいつが・・・あれ、なんで、涙が」ポロリ
茶髪女「・・・ここでの時間はたっぷりある、考える時間なんて沢山あるさ」
男「ああ、そうか」
茶髪女「あいつの容体が安定してきたら連絡を入れる」
男「お願いするよ」
男「・・・誰も居ないな」チラッ
男「(質素な部屋だ、何もない)」
男「(下手に詮索するのは良くないな…あいつが帰ってきてからでいいか)」
男「・・・なに、あいつが帰ってきてからのこと考えてるんだ」
男「寝よう、どこか寝る場所は」チラッ
男「あいつの布団しかないか・・・そうだろうな」
男「・・・床で寝るか」
数日後
茶髪女「どうも」ガラッ
男「おう」
茶髪女「だいぶ慣れた様だな」
男「・・・良いところだな、ここは」
茶髪女「自然が全てと言う訳では無いが、人間よりは上手くやって行けてるさ」
男「自然と暮らすってやつか?」
茶髪女「違うな、自然はそもそも共存ではなく適応して暮らすものだ」
男「・・・なんか、納得した」
茶髪女「ああそうだ、あいつの面会の許可が下りたよ」
男「本当か!?」
茶髪女「今から行くからついてこい」
茶髪女「病院と言うより規模としては診療所に近いな、天狗は強靭だから滅多に入院しないから」
男「妖怪ってのは皆そうなんだな」
茶髪女「まあ鬼に比べれば脆いが・・・あれと比べるのは根本的におかしいからな」
男「…鬼か」
茶髪女「っと・・・ここだ、中は小奇麗だから心配しなくていい」
男「おう」
医療天狗「ああ、あの子の面会?」
茶髪女「と言うよりそれしか無いだろう」
医療天狗「はっはっは、冗談だよ」
茶髪女「容体は?後遺症とか」
医療天狗「無いね、あの子は空を飛ぶ事が大好きだから翼を見たけど特に問題ない」
茶髪女「良かった・・・」ホッ
男「ここか」
茶髪女「あいつと会うのはお前1人な」
男「お前は?」
茶髪女「どの面下げて会えって言うんだ」ポリポリ
男「・・・いつかちゃんと会えると良いな」
茶髪女「・・・ああ」
天狗娘「・・・」ボー
男「お邪魔する」ガチャッ
天狗娘「・・・・」ホケーッ
男「天狗?」
天狗娘「・・・あー?」
男「天狗」
天狗娘「・・・・・?・・・・・!?・・・・!!!!!」ビクッ
男「なんだその顔」
天狗娘「おおお、人間さんじゃないですか!」
男「いや、そうだが」
天狗娘「なんでここに!?」
男「あー・・・あいつ説明してなかったのか、面倒くさい」
男「(色々と説明した、まああの茶髪の事は触れないでおくのが親切ってやつか)」
天狗娘「はえー・・・そんな事が」
男「(面倒だとは思ったが久しぶりに話す事が出来て何というか、安心した)」
天狗娘「・・・人間さん?」
男「あ?ああ」
天狗娘「じゃあ、私はもうあなたを騙さなくていいんでしょうか」
男「いいんじゃないか?そもそもばれてたし」
天狗娘「・・・良かった」ニコッ
男「まあ、お前にとっちゃよかったんじゃないか」
天狗娘「やっと、余計な事を考えずに言える」
男「あん?」
天狗娘「人間さん、私の目を見て」ジッ
男「・・・ああ」
天狗娘「私、あなたが好きです」
天狗娘「始めは何のことは無い、ただの男でした」
天狗娘「でも、あなた話しているうちに不思議と嬉しくなって」
天狗娘「いつもは一人で飛んでいたけど、あなたの前で飛ぶといっそう早く飛べる気がして」
男「・・・・・」
天狗娘「迷惑ならいいです、今まで騙していた奴が何を言うで責められても良いです・・・でも、私はちゃんと伝えたくて」
男「迷惑じゃない、責めもしない」
天狗娘「・・・どう、ですか?」
男「・・・ちょっと考えさせてくれ」
天狗娘「そうですよね・・・いきなりこんな事を言われても、駄目ですよね」
男「じゃあまた来る、絶対に来る」
天狗娘「はい、待ってます」
男「・・・はぁ」ガチャッ
茶髪女「断らなかったんだな」
男「盗み聞きとは気分悪い」
茶髪女「聞こえてしまっただけだ・・・で、どうなんだ?」
男「考えてると言っただろ」
茶髪女「いいじゃないか、お前はどっちがいいか聞いても」
男「いや?俺が考えてるのは答えじゃないよ」
茶髪女「はい?」
男「俺が考えてるのは―――――」
数日後
天狗娘「・・・・・・人間さん、どうしてるかなぁ」
男「ここに居る訳だが」
天狗娘「あ、人間さん!」パァッ
男「一応毎日会いに来てると記憶してるんだがな」
天狗娘「まあ、そうなんですけど・・・」
男「・・・天狗、先日総攻撃が入ったとの一報があった」
天狗娘「・・・!」
男「あの大天狗は、天狗の秩序を乱すものという事で滅されたらしい」
天狗娘「・・・そう、ですか・・・」
男「終わったんだよ、全部な」
男「お前と一緒にここに来るときな、飛んだんだよ」
天狗娘「それは、聞きましたけど」
男「多分あの天狗の全力に近いスピードで空を飛んだんだ、普段安全運転とか言ってる俺がだ」
天狗娘「怖くありませんでした?」
男「興奮したんだ」
天狗娘「え」
男「小さい頃は空を飛ぶ事が夢だったんだ、でも大人になるにつれてそんな事は出来ないって分かって」
天狗娘「・・・人間に翼は無いですからね」
男「だから、自由に空を飛べるお前に憧れたんだ」
天狗娘「・・・えっ?」
男「お前の飛ぶ姿があんまりにも綺麗だから、俺も空を飛んでみたいと思ったんだ」
天狗娘「でも、人間さんは空を飛べないんじゃないですか」
男「俺が空を飛ぶ事が出来なくても、お前が飛べばいいんだ」
天狗娘「空を・・・」
男「お前が空を飛んでいる時のあの顔が見れたら、きっと同じ気持ちになれるんだ」
天狗娘「人間さん、それって」
男「お前が空を駆ける姿を、その表情をずっと見ていたいんだ」
男「お前の隣に居たいんだ、お前と一緒のものを感じたいんだ」
―――――
男「答えは出てるんだよ、もう」
茶髪女「鈍いのかそうじゃないのか、分からん」
男「言葉を探してるんだ、あいつに相応しい言葉を」
茶髪女「ロマンチックな奴をか?」ケラケラ
男「そうじゃなくてもいいんだ、あいつの好意、あいつの覚悟、それら全部に対する言葉」
茶髪女「じゃあそれは告白じゃなくて、あいつのこれまで対する言葉だな」
――――
天狗娘「・・・・・・」
男「これが前置きだ」
天狗娘「えっ!?これで答えだと思ったんですけど!」
男「駄目か?」
天狗娘「駄目じゃないですけどね」
男「ならいいじゃないか」
天狗娘「・・・えへへ」テレテレ
男「何がおかしい」
天狗娘「じゃあ早速人間さん大好きー!」バッ
男「・・・」ガシッ
天狗娘「はうっ!初めての感触ですよ人間さん!」
男「・・・好きだ」
天狗娘「・・・・・・・・・・・」カァァァッ
これにて終わらせていただきます
なんか途中えらいグダりましたすみません(DOGEZA
誰か人外物書いてください私じゃ役者不足です
天狗娘の翼もふりたい
一応後でちょこちょこと書けなかったおまけを書く予定です
でも大体180ぐらいには終わらせます 長引くとこれ以上にグダるので
おまけ1
男「まあ、ここで暮らすわけにはいかんのだがな」
天狗娘「えっ」
男「だってこっちにも生活があるし」
天狗娘「仕事と私どっちが大事なんです!」
男「逆に聞くが仕事せずぐーたらな俺でいいのか?」
天狗娘「うっ・・・!」
男「まあ休日にはこっちに来よう」
天狗娘「でも男さん飛べませんし、ここ天狗しか来れない場所ですよ?」
男「その件については既に話をつけてある」グッ
(茶髪女「娘を頼むわ」グッ)
天狗娘「?」
男「(あいつも大概親バカだな)」
おまけ2
天狗娘「翼のお手入れは大事ですね」シュッシュッ
男「・・・やっぱりあれなのか?翼ってのは大事な所なのか?」
天狗娘「そうですねー…やっぱり同属の天狗にも触られたくないですね」
男「(薄い本の知識だとそこは…いや止めておこう)ほほー…」
天狗娘「デリケートなんですよねー、変に弄ると最悪曲がっちゃいますし」
男「直らなかったりはするのか?」
天狗娘「まあ場合に寄りますけど大抵直ります…けどまあ、すっごく痛いですね」
男「触られると気持ちいいとか」
天狗娘「いえ?まあ人間でいうと頭を撫でられるのが近いでしょうか」
男「・・・」ナデナデ
天狗娘「ひゃぁん!」
男「・・・なんかすまんかった」ナデナデナデナデ
おまけ3
茶髪女「・・・・・・」
天狗娘「あ、あの・・・」
茶髪女「この前はすまなかった」ペコリ
天狗娘「はいぃ?」
茶髪娘「はっぱをかける必要があったんだが・・・やりすぎたな」ボリボリ
天狗娘「いえ、そのことでお礼を言おうと・・・」
茶髪女「お礼だぁ!?」
天狗娘「はい、あの時は私の事を考えてああ言ってくれたんですよね」
茶髪女「・・・口下手だからさ、どうやったらいいか分かんなくて・・・」
天狗娘「最初は怒りそうになったけど、考えれば全部私が生き残る事を考えてくれてて・・・」
茶髪女「まあ、うん・・・そうだな(むざむざ殺されたくはなかったんだよ)」
天狗娘「あの、ありがとうございました」
茶髪女「・・・ああ、ありがと」
天狗娘「?」
茶髪女「あんたのおかげで少し・・・救われた気がしてさ」
天狗娘「なんだかわかりませんが・・・それでは!」
茶髪女「あー・・・そいじゃぁ」
男「へたれだな」
茶髪女「うっさいわ」
男「・・・別に、あんまり縛られるのも良くないと思うがな」
茶髪女「そうもいかないんだ・・・天狗ってのは仲間意識が強いんだよ」
男「それで若さゆえの過ちを今更後悔と」
茶髪女「あー・・・でもくっそ、私から生まれたとか信じられないぐらいいい子だわあれ」
男「幸せにするよ」
茶髪女「そうして」
おまけ4
爺「あー・・・ええのぉ、若いってええのぉ婆さん!」
婆「そろそろ行きますよ?」バッサァ
爺「幸せになりなされー!」バッサバサ
男「・・・天狗って噂伝わるの早いのな」
天狗娘「翼が生えてますから、文字通り」
男「あれからなんか怒涛の如く来たな」
天狗娘「大天狗様が来た時は心臓が止まるかと思いましたよ!」
男「冗談じゃなく酷い顔をしてたなお前」
天狗男「そこの」
男「はい?」
天狗男「ほぉ・・・成程成程、ふむ」
男「どちらさま・・・って天狗!?」
天狗娘「あわわわわわわ・・・」フラッ
男「大丈夫か!?」ガシッ
天狗男「いいのぉ・・・うむ、よし」
男「あんたは・・・」
天狗男「幸せにしたりなさい、儂は天魔という」
男「天魔?」
天狗男「じゃぁの」ブワァッ
男「・・・今までで一番でかい」
天狗男「フットワークの軽さが天狗の売りじゃけぇ!」ビュォォッ
男「うおっ!?凄い風圧!」ピシピシ
天狗娘「・・・うーん」
男「おい、さっきの天魔ってなんなんだ」
天狗娘「お偉いさんもフットワークが軽いのが天狗なんです・・・」
男「はぁ?」
おまけラスト
男「帰って来たわけだが」
天狗娘「全く変わってませんねぇ」
男「変わったところがあったら恐ろしいわ」
チャイム「あ、久しぶりの感覚」ピンポンピンポンピンポンピンコピンポーン
男「誰だ?」
友「おっす!相変わらず一人寂しくシコシコ・・・ってえ?」
男「なにか?」
友「この靴誰のだよ」
男「俺の彼女」
友「・・・はぁぁぁ!?嘘だろ!?」
男「いや本当に」
友「見せろよ、ちょっくら顔拝ませろ」バッ
男「あ、ちょっと待て!(もしも天狗ってばれたらやべえ!)」
天狗娘「ふぃー…手を洗ってきましっ…」
友「おお、これが彼女さっ…」
男「・・・・・・・」
友・天狗娘『こいつ天狗じゃん』
男「は?」
―――――
―――
男「こんな身近に天狗がいるなんて思わんかった…」
天狗娘「案外身近にいるんですよ、天狗って」
友「そうそう、居るもんだ…まさか人間と付き合うとは思わなかったが」
天狗娘「人間さんの事後で詳しく聞かせてください」
友「おうよ!同族のよしみだ!」
男「勝手に喋るな」
友「まあ飲め、飲め」ダババババ
天狗娘「はいどうぞー!」ドボボボボボ
男「そんなに飲めんぞおい」
友「大丈夫、天狗ならいける量」
天狗娘「酔いもしませんよ、天狗なら」
男「絶対酔い潰す気だろお前ら!」
男「・・・・・・うぐぅ・・・」
天狗娘「大丈夫ですかね」
友「やりすぎたな」
天狗娘「つい・・・ね?」
友「いやぁ・・・楽しくて」
天狗娘「・・・人間さん?」
男「・・・」グゥグゥ
友「じゃ、俺帰るわ」
天狗娘「へぇっ!?」
友「後は二人のお楽しみにー」バタン
天狗娘「そんなぁ・・・」
天狗娘「・・・・・・」チラッ
男「・・・・・」スゥスゥ
天狗娘「・・・・・」ソーッ
男「・・・・・」
天狗娘「人間さん」ピトッ
男「・・・天狗」グゥ
天狗娘「私はいつか、あなたと一緒に飛べる様になりたいです」
天狗娘「・・・人間さんは、飛べなくても満足だって言いましたけど」
天狗娘「私も、いつかは・・・」バタン
男「・・・ん」パチッ
男「一応酔いつぶれたふりをして助かったな、やれやれ」ブンブン
男「飛ぶ、か」チラッ
天狗娘「・・・・むにゃ」スゥスゥ
男「・・・・・そうだな」
―――――
天狗娘「人間さん!見てください!」ヒュゥン
―――――
天狗娘「空を飛ぶってとっても素敵なんですよ!」キラキラ
―――――
天狗娘「私、人間さんと一緒に飛びたいです!」
―――――
男「・・・・・・」
男「ああ、そうだな」ニカッ
これで終わりにいたします
見て下さった方に感謝 はい
次があればぬらりひょんを書こうと予定しております はい
それでは
人外娘ってどのレベル?
無機物?妖怪?
>>188
なんでもいい!とにかく人外物をください!
でも個人的には日本の妖怪が好きです
畳娘というのはよく分からんので調べてくるですわ
でも日本の妖怪って大別しちゃうと割かし種類が少ないので・・・
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