カズマ「七夕ってなんだ?」 (36)

クーガー「いきなりどうした、カズヤ」

カズマ「カズマだ。この前市街に潜入した時に、誰かが言ってたんだ」

クーガー「ほう...珍しいな、お前がケンカとメシ以外のことに興味を持つなんて」

カズマ「なんだよ、ワリイかよ」

クーガー「いいや、いいと思うぞ。そういった探究心が文化的なものを生み出すんだ。そもそも文化というものは『知る』ことから発展してきたんだ。
それはテレビや本だけでなく、文字言葉機材といったあらゆるものを生みだす素材に、今俺達が着ている衣服、更には生きる上で欠かせない食糧も含まれるのだ。
もし、俺のような文化的紳士が大昔に誰もいなければそれらが発展することはなかっただろう。まあ、いなかったらいなかったで俺が文化の開拓者となっていただろうがな!
だが、計らずともそういった連中がいたために文化は発展してきたということだ。それはすなわち」

カズマ「だああ、うるせえよ!」

クーガー「スマンスマン、悪かったな、カズヤ」

カズマ「カズマだ!」

クーガー「あぁ〜スマンスマン」


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クーガー「それで、七夕についてだったか?」

カズマ「そうだ」

クーガー「七夕っていうのはな、日本にある伝統行事のことだ。願い事を書いた短冊を吊るすと、その願い事が叶うという話だ」

カズマ「本当か!?」

クーガー「んなわけないだろ。ただの願掛けさ」

カズマ「なんだよ、期待して損したぜ。...でも、なんで7月7日なんだ?」

クーガー「そうだな...色々と説があるが、実は詳しいことは分かってないんだ」

カズマ「クーガーでも知らねえことがあるんだな」

クーガー「そりゃあそうさ。俺もお前もまだ若い。いくら最速の俺でも、まだ知らないことなんざ腐るほどあるのさ」

カズマ「そういうもんなのか...」

カズマ「じゃあよ、おりひめとひこぼしって奴らは知ってるか?」

クーガー「知ってはいるが...それがどうした?」

カズマ「さっき言った奴らが言ってたんだ。だから七夕となんか関係あんのかと思ってよ」

クーガー「...お前、ホントにカズヤか?いつもなら、この時点で話を打ち切ってる筈だが...」

カズマ「気になる時があってもいいだろ。あと、カズマだっつてんだろうが」

クーガー「んー、簡単に説明するとだなあ...大昔に、織姫と彦星っていう大層な働き者がいた。その織姫の親父さんが、お偉いさん...市街でいう劉家みたいなもんでな。
その親父さんは、二人の働きに免じて、結婚を認めたんだ。ところが、その二人ときたら、結婚した途端、その楽しさのあまり仕事をサボるようになっちまった。
怒った親父さんは、天の川を作って、二人を引き離しちまった。だが、さすがに可哀想と思ったのか、年に一度だけ会える日を作ったのさ」

カズマ「それが七夕なのか?」

クーガー「そういうことだ」

カズマ「...なんだかよくわかんねえけどよ、そいつら馬鹿じゃねえのか?」

クーガー「何故そう思う?」

カズマ「だってそうだろ。川だったら、泳いでいけばいつでも会えるじゃねえか」

クーガー「ハハハハハ!泳いで渡る、か」

カズマ「なんだよ、なにかおかしいのかよ」

クーガー「いいや、お前らしい考えだ。だが、彼女たちも船を作って渡るくらいの考えは思いついただろうな」

カズマ「だったら、なんでやらねえんだ?親父がこええのか?」

クーガー「さあな。そこまでは俺にもわからん。だが、そうはいかない理由が、なにかあったんだろうな」

カズマ「そうはいかない理由...」

クーガー「俺にもそういう時があった。きっと、お前にもそういう時が来るだろう。
だから、その時に考えればいい。自分が、今何をすべきなのかな」

――――――――――――――

「カズマ...おい、起きろカズマ!」

カズマ「んだよ...なにか用か君島」

君島「なにか用かじゃねえよ。こんなところでグースカ寝やがって。いつかマジで死んでもしらねえぞ」

カズマ「なんだ...俺、寝てたのか」

君島「寝てたことにも気づかないなんてなぁ...君はスーパー馬鹿どすなあ!」

カズマ「歯ぁ食いしばれ、君島」

君島「待て待て待て!」

ブロロロ

カズマ「それで、依頼はなんだ?」

君島「依頼じゃねえよ。ただ、『最近カズくんと会えないなあ...』って、かなみちゃんがぼやいてたから、この君島さんが迎えに来てやったんだろうが」ボロッ

カズマ「そうかい。悪かったな、君島」

君島「ったく、ほんとだぜ。今日はあやせさんと楽しく過ごしたいって思ってたのによ。それに、謝るならかなみちゃんにだろ?」

カズマ「そうだな。最近、あいつのマズイ飯を喰ってねえしな」

君島「まぁたまた、そんなこと言っちゃってさ。ほんとは嬉しいんだろ?あの子のメシが食えるのが。俺だって作ってもらいたいよ」

カズマ「だったら、あいつに頼めばいいだろ」

君島「それができたら苦労しないっての。おっ、あやせさんだ!」

キキィ

あやせ「久しぶりね、カズマ」

カズマ「あ?そういや、いつぶりだったっけ...?」

あやせ「さあね。私もあまり覚えてないわ」

君島「あやせさん、こんなボンクラほっといてドライブでも行きましょうよぉ」

あやせ「はいはい。でも、ドライブはこの前行ったでしょ?また今度ね」

カズマ「そんじゃ、俺たちはかなみのとこに帰るから、また今度...」

ビフ「おおぉい!俺を無視してんじゃねえぞ!」

カズマ「あぁ?...誰だ、てめえ」

ビフ「俺だよ、俺!全てを打ち崩すアルター使い、ビフくんだよ!」

カズマ「いや、マジで誰だてめえ」

あやせ「あなたも何度か戦ったでしょ?」

カズマ「そうだったか?いや...そうだったかも...」

ビフ「こ・の・野郎...だったら、その身に覚え込ませてやる!ハン...」

クーガー「大は小を兼ねるのか?速さは質量に勝てないのか?いやいやそんなことはない速さを一点に集中させて突破すればどんな分厚い塊であろうと砕け散る!
ハッハッハッハッ、ハー!」ズガァァァァン

ビフ「マアアアァァァ!?」

クーガー「なんだか、知人Bらしき物体を轢いた気がするが...この際気にしないでおくとしよう」

カズマ「なんなんだよ、いったい...」

クーガー「よう、久しぶりだなカズヤ」

カズマ「カズマだ!いい加減覚えろ!」

クーガー「あぁ〜スマンスマン」

カズマ「ったく...そういや、さっきアンタの夢を見たぜ」

クーガー「ほう、どんな夢だ?」

カズマ「七夕がどうとかいう夢だ」

クーガー「七夕?...ああ、そんなこともあったなあ」

君島「あやせさん、何か美味い物でも食べにいきません?」

あやせ「あら、いいわね。ビフくんも一緒に行く?」

ビフ「いいのかよ?」

あやせ「一時期は組んでた仲でしょ。ねえ、いいかしら君島くん」

君島「まあ、あやせさんの頼みならしょうがねえや」

カズマ「おい、君島。かなみのとこに行くんじゃねえのかよ」

君島「かなみちゃんが待ってんのはお前だろうが。歩いて帰れよ」

カズマ「つってもよ、ここがどこだか...」

クーガー「お前が夢でみたって時のこと...覚えてるか?」

カズマ「あぁ?...なんかよくわかんなかったけどよ、会いたいと思っても会いにいけない理由がどうたらこうたら言ってたぜ。それが何か関係...」

クーガー「なら、分かる筈だ。お前は、お前が進みたい方に進めばいいのさ」

カズマ「俺が進みたい方って...」

―――『へへっ、いいなぁ、この車...言う通りに動く...クラクションまで鳴りやがる...』



カズマ「...!」




―――『私の気持ちだけ...押しつけて...ごめんね...』

―――『俺...ビフ...くん...』



カズマ「そうかい...」



―――『最後の頼みくらいきけよ。じゃあな、カズヤ』



カズマ「そういうことかよ...」


――――――――――――――




ザザッ

『こちら、Y部隊。応答せよ!』

『こちらU部隊...なんとか、ロストグラウンドの悪魔を...瀕死に追い込むことが...できました...』

『よくやった。トドメは刺して構わない。悪魔は、もう一人いるのだからな』

『それが...残存兵力は私だけで...もう、その余力も...』

『了解した。至急、増援を送ろう』

―――――――――――――――


クーガー「お前さんはよく頑張った。そりゃもう、誰もお前を責めることができないくらいにな」

カズマ「......」

クーガー「だから、ここから先はお前は好きにすればいい」

カズマ「俺の好きに...か...」

―――――――――――――――
橘「カズマと劉鳳...今頃なにをしてるんでしょうね」

水守「ええ。本当にね...」

かなみ「カズ...くん...」zzz

橘「...いつになったら、かなみちゃんに会いに来るんでしょうか」

水守「大丈夫よ。生きている限り、いつかは会える...そういうものでしょ?それに、そのための七夕ですから」

キャミィ「そうそう。あたしも、七夕の時に『あすかに会いたい』って書いたおかげで、こうして一緒に暮らせてるんだから」

橘「でも...さすがに、こうまで音沙汰がないと...」

水守「信じましょうよ。彼らは必ず帰ってくるって」



短冊

かなみ『いつかカズくんに、また会えますように』

水守『劉鳳とクーガーさんにまた会えますように』

―――――――――――――――――

カズマ「らしくねえこと言ってんじゃねえよ、兄貴。どっちを選ぶかって?聞くまでもねえだろうが」

クーガー「......」

カズマ「癪だが、確かに俺はあんたらに会いたいと思ってたみてえだ。けどな、俺があんたらのとこに行くにはまだ早ええ」


―――『カズくん!』


カズマ「―――まだ、やり残してることがあんだよ」

クーガー「...それが、お前の"理由"か」

カズマ「ああ、そうだ」

君島「そいつを聞いて安心したぜ。これでかなみちゃんも悲しまなくてすむってもんだ」

あやせ「女の子を泣かせたりしちゃだめよ、カズマ」

カズマ「ちっ。てめえら、回りくどいことしやがって...そういや、てめえには随分かなみが世話になったな」

ビフ「ギクッ!それは...その...」

カズマ「...ま、あれは蛇ヤローの仕業ってことはわかってるし、あいつはもうぶっ飛ばしたからよ。勘弁しといてやるよ、ビフ」

ビフ「!...おう、ありがとな!」

クーガー「それじゃあ、そろそろいいか?」

カズマ「ああ。後は自分で歩いてかえ...って、おい。なんでアルターフル装備してんだ」

クーガー「本当なら、歩いて帰らせるつもりだったんだが...あまり時間が無いみたいでな。てっとり早く、最速で叩き込むことにした」

君島「歯ぁ食いしばっとけ、カズマ」

カズマ「は?そりゃどういう...」

クーガー「ああ、ついでと言っちゃあなんだが...水守さんには、俺の代わりに謝っといてくれ、カズヤ」

カズマ「カズヤじゃねえ、カズマだ!てか、俺の質問はまだ...」






クーガー「いいからととっと帰りやがれ!瞬殺のぉぉぉ...ファイナルブリットォォォ!!!」

――――――――――――


「あれが、ロストグラウンドの悪魔...気をつけろ!油断はするな!」

ダース「シュコー」バァン バァン

「ミサイル用意!撃てえ!」



ドドドドドド

「...やったか?」

「ついにやった!ロストグラウンドの悪魔を、ついに」



バコオォォォォン


カズマ「ったくよ...最後まで名前間違えやがって...」



「ひ、ヒイイィィ!ピンピンしてやがる!」

「て、撤退!撤退しろ!」


カズマ(確かに、もういつでもあいつらにいつでも会えるくらいにボロボロになってるかもしれねえ。けどな、そんなことは関係ねえ。
俺はまたあいつに会うまで生き抜く!たとえ泥を啜ろうと生き抜いてやる!)

カズマ「どうした、意地を見せてみろ!そんでもってケンカだ!ケンカをやってやらああああぁぁ!!」

とりあえず、終わりです。
最終話のラストとリンクさせようとしたんですが...あまり七夕関係ないですね、コレ。
いつもみたいなダラダラ系をやる場合、別スレにした方がいいでしょうか?

おまけ かなみ編

水守「えっ?七夕?」

かなみ「はい。こっちだとそういう風習があまりなくて...」

橘「そういえば、僕が七夕について知ったのもHOLYに入隊してからだったっけ」

水守「七夕っていうのはね...」

キャミィ「とってもロマンチックな日なのよ!」ヒョコッ

かなみ「ロマンチック...?」

キャミィ「そう。恋人同士の引き裂かれた愛が、一年に一度だけ繋がる日...それを祝福するかのような綺麗な天の川...
う〜ん、ロマンチック!」

橘「...まあ、実は天の川は、こっちだとよく見れるんだけどね」

かなみ「そうなの?」

橘「ああ。ここは市街と違って夜は真っ暗だろう?だから、ワリと見れる機会が多いんだ」

かなみ「私、早く寝ちゃうから、気付かなかったなぁ...」

キャミィ「もう、あすかったら。ロマンを壊さないでくれるかな」

橘「あはは、ごめんごめん」

水守「それでね、七夕には織姫と彦星だけじゃなくて、笹に願い事を書いた短冊を吊るすと、その願いが叶うという言い伝えがあるの」

かなみ「願い事が叶う...?」

水守「まあ...それがいつ叶うかは分からないけどね」

キャミィ「書いた方がいいよ。あたしなんか、『素敵な人に出会えますように』って書いたら、その年に現れたからね」

橘「だ、誰だいそれは?...まさか、ふりn」

キャミィ「もう、言わせないでよ。あすかに決まってるでしょ///」

橘「キャミィ...///]

水守「願掛けにもなるから、書いてみたら?はい、短冊」

かなみ「ありがとうございます」

かなみ「でも、お願いって...何を書けばいいの?」

水守「自分の願いを書けばいいのよ。こんな感じでね」スッ

橘「やっぱり劉鳳のことですか...あれ、クーガーもですか?」

水守「なにかおかしいですか?」

橘「いや、てっきり水守さんはクーガーが苦手だと...」

水守「苦手...というわけじゃないんです。でも、本土には彼のような人はいなかったから、戸惑ってはいたかもしれないわね」

キャミィ「それじゃあ。クーガーさんのことは好きなの?」

水守「す、好きって...劉鳳のような感情は湧かないけれど...会えないと寂しいかしら」

かなみ「寂しい...」

水守「ひょっこり現れては、彼が私の名前を間違える...そんなやりとりが、もう随分と懐かしく思えるの」

水守(いつか...また、名前を間違えにきてくれますよね?クーガーさん...)

―――――――――――――――
橘「カズマと劉鳳...今頃なにをしてるんでしょうね」

水守「ええ。本当にね...」

かなみ「カズ...くん...」zzz

橘「...いつになったら、かなみちゃんに会いに来るんでしょうか」

水守「大丈夫よ。生きている限り、いつかは会える...そういうものでしょ?それに、そのための七夕ですから」

キャミィ「そうそう。あたしも、七夕の時に『あすかに会いたい』って書いたおかげで、こうして一緒に暮らせてるんだから」

橘「でも...さすがに、こうまで音沙汰がないと...」

水守「信じましょうよ。彼らは必ず帰ってくるって」



短冊

かなみ『いつかカズくんに、また会えますように』

水守『劉鳳とクーガーさんにまた会えますように』

―――――――――――――――

カズくんたちと別れてから数年が経ちました。

あれから、カズくんも劉鳳さんも一度も姿を見せません。

でも、それでも私は信じています。

例え、織姫様と彦星様より待つ時間が長くても構いません。

きっと会えると信じています。

その時がきたら、会えなかったぶん、笑顔で会おうね、カズくん。

――――――――――――――――
7月7日


ザッ

「......」

ザッ ザッ




ガチャッ

バタン

かなみ「ん...」モゾッ



コツコツ

かなみ「んん...」モゾモゾ




コツ...

かなみ「......」ニコッ




カズマ「よっ!」

かなみ「お帰り、カズくん!」



思いつきでやった分はこれで終わりました。
正直、七夕って思ったよりネタが思いつかねえ...
読んでくれた方はありがとうございました。次はもっとうまく纏めれるようにします。
なにかお題などがあれば、それで書いてみたいです。

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