シャットアウラ「ここは……」冥土帰し「病院だね?」 (38)

注意事項

・上条×シャットアウラ=セクウェンツィア
・シャットアウラは映画キャラだからネタバレされたくない人は見ないでください
・口調がおかしいかもしれない
・オリキャラとか出たりするかも


初SSです

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一端覧祭も終わり、再び忙しいムードが漂いはじめた学園都市。

最先端の科学を扱い学園都市のとある病院では一人の少女が目を覚ました。

「ここは……」


少女の最後の記憶はあの少女と最後に歌った事だ。

それからの記憶が無い。あの崩れゆく建造物の中でどうやって助かったのか。

その時、カエル顔の医者がノックもせずに入ってくる。目を覚ましている少女の顔を見て少し驚いたカエル顔の医者だったが、何故か薄く微笑んだ。

「ここは……どこなの?」

「ここは病院だね?」

「病院……」


少し窓が開いているらしく寒い風が入ってきた。体を震わせる、というアクションを起こす前に疑問が生まれた。

今はいったい何月何日かという事。寒い風、窓から見える枯れ木。道行く人々の服装。

それらがもう冬だという事を示していた。


「今は、一体何月何日!?」

「11月の21日だね。宇宙エレベーターの件からは二ヶ月ほど経っているよ」

「あれから……二ヶ月?」


少しだけめまいがした。二ヶ月もの間少女は眠ってしまっていたのだ。

気持ちを落ち着かせようと、息を吐いて再び寝転がった。

窓から見える景色はまさしく冬で、最後に見た景色は夏も抜け切れていない暑い街だったから、少し違和感を感じる。

最後どうなったか、なんてのは知らない。

レディリー=タングルロードは死んだか、上条当麻は死んだか、鳴護アリサは結局消えたのか。

考えても無駄なのに、考えてしまうのは人並みの感情を持っているからか。

微妙に開いている窓から、ピアノの音が入り込んでくる。ノイズになることもない、音程だって把握できるし、何より音楽は綺麗だという事も理解できる。

少女の名前はシャットアウラ=セクウェンツィア。

シャットアウラは突っ立っているだけの冥土帰しに質問した。


「あれから、何があったの?」

「学園都市は何の問題もなく大覇星祭を行ったよ。その一ヶ月後には第三次世界大戦が起こったんだね」

「はぁ? 第三次世界大戦?どことどこの国が?」

「学園都市とロシアが表立って戦っていたね。君を助けた上条当麻君が黒幕を倒して、この前一端覧祭が行われたんだね?」



さっぱり意味がわからない、という表情をするシャットアウラに一つの携帯端末を渡す冥土帰し。

これで調べろ、という事らしく冥土帰しは小言を言った後に退室する。

その携帯端末で第3次世界大戦を検索し、原因や詳しい内容を目で追っていく。しかしどれも憶測や信憑性のない情報ばかり。

闇に近い場所に居たシャットアウラからすればソースが明記されていない情報は信用出来ない。

溜息をついて、携帯端末を机の上に置いた。

「……暇」


三年前のオリオン号事件から休む事などなかった。やっと訪れた休養の時間だ。

そう思いながらシャットアウラはまぶたを閉じた。


                          *



「不幸だ—っあああ!!」



と叫びながら走るのは第三次世界大戦の英雄である上条当麻だ。

左手元には買い物袋があって、ロゴが近くのスーパーのものだった。

彼の右手には一回り小さい手があって、上条に引っ張られる形で逃げている女子生徒がいた。

後ろからは鬼の形相で追いかけてきているスキルアウトの連中。

路地を抜けると大通りに出て、右左を確認して左に走った。人の多さ、障害物の有無などの条件を確認したまでだ。

スキルアウトは逃げ慣れしている上条に巻かれそうになっていたのだが、執念の力だ踏ん張っていた。

その時だった。どこからか現れた電撃が宙を斬り裂いて、直撃した十数人のスキルアウトは悲鳴を挙げて気絶する。


「ったく……アンタはまた」

帰りなのか、学生鞄を持っている学園都市第三位のレベル5。御坂美琴。

隣には呆れ顔の風紀委員、白井黒子が居た。

「はぁ、おジョーサマなんだからもうちょっと節度を持ってだな」

「このおさるさんに同意するのはアレですが……正論ですわね」

「そんなの犬にでも食わせておきなさい、それよりあなた。大丈夫?」

上条と一緒に逃げていた少女はありがとうございます!と何度も頭を下げていた。

どうやら霧ヶ丘女学院の生徒らしく、更に風紀委員だとか。腕章は忘れたそうだが。

霧が丘女学院の生徒なのに追い払えなかったのかと言うとレベル3の感触変化という妙な能力なんて戦いに活かすことなどできず怯えていたらしい。

そこを上条が通りかかって、いつも通りの知り合い作戦で少女を連れ出したが顔を覚えられていたらしくこうなった。

「その……連絡先とか訊いていいですか?」

「俺?」

「はい……とその後ろの常盤台の」

「私も?」


よくわからないまま少女とメアド交換を済ませる。

上条当麻ははてなマークを浮かべたまま、御坂と黒子と別れ寮へ帰ってくる。

中では禁書目録とスフィンクスが昼寝していて、起こさないように静かに歩く。

制服を脱いでジャージに着替えると、晩御飯の具材があるか、と気になり冷蔵庫の中をチェックする。


(あっ玉ねぎ買うの忘れてた。……仕方ねぇ買いに行くか)


思い上条は再び制服に着替え直す。インデックスの寝顔を一瞥すると近いスーパーへと向かった。

                               *


「少し散歩に行ってくる」


シャットアウラはカルテを見ている冥土帰しに言う。


「そう、日暮れまでには帰ってくるんだよ?」


カルテから視線を外さず、一言だけ注意すると再びカルテに集中した。

シャットアウラは少し着込んだ程度の服装で街に出た。病院着にダウンジャケット。下にはジャージといった具合に適当という印象が強い。

あのスーツは着ていない。流石にあれで街に出るのは恥ずかしいからだ。

コンビニで紅茶でも買うか、と近くのコンビニを探して歩く。

といってもあまり第七学区に来ないせいか、どこになにがあるかを把握できずついつい地図を見てしまう。

地図から見れば病院からだとコンビニは少し遠い。

携帯端末片手に溜息をつくと、最寄りのコンビニへ向かう。

人通りが多く、見回せば色々な店舗がある大通りを歩いていると、

通りすがる群衆の中に見知った顔があった。ツンツン頭で、やる気の無さそうな顔をしていて、かつて自分を助けた人物。

シャットアウラは少し震えた声で言った。


「か、上条……当麻?」


そしてその上条当麻も、信じられないといった表情で同じように名前を呼んだ。


次はもっと多めに投下します。
文章に違和感

文章に違和感……台本形式のほうがいいかな
投下します

「シャットアウラ……?」


上条当麻もその名を呟いた。

まだあの事件からの記憶は新しい。忘れたくても忘れられない友人との日々の中の一つのピース。

「ひ、久しぶりだな……どこいってたんだ?」

「今の今まで病院だった。それより、上条当麻だったか?レディリー=タングルロードはどうなった?」

上条は思い出す素振りをした。

「レディリー……?ああ、オービット・ポータル社の社長か……知らないな」

「そうか」


シャットアウラは興味が無い、という感じでコンビニに入ろうとする。

コンビニの自動ドアの前で立ち止まって横目で上条を見た。


「なんで着いてくる?」

「いや、折角会ったんだしさ」


鬱陶しい、そう思ったシャットアウラは無視してコンビニの中に入った。

余り食べるとまたカエル顔の医者がうるさいだろうな、と思いカゴに焼きプリンを一つ入れた。

上条はシャットアウラの隣で、卵と睨めっこしていて貧乏臭さが滲み出ていた。

はぁ、と溜息をつくと上条の手元から卵を奪い取ってカゴの中に入れる。

「ど、どうしたんだ?」

「買ってあげる、貧乏臭さが滲み出てて恥ずかしいの」


ありがとございます!シャットアウラお嬢様!と叫ぶ上条を冷たい目で見ながら会計を済ます。

何年も無欲な生活をしていたせいか、お金なら有り余っているのだ。

使うのは家賃と最低限の惣菜だけだ。料理なんてする気もないし出来ない。

三十路を過ぎた独身OLか、とシャットアウラは少し落ち込んでコンビニを出た。

卵を上条に手渡すと、適当なベンチに越しかける。袋の中から焼きプリンを取り出して、口に運んでいった。


「……美味しい」


上条はその隣でプリンを食べているシャットアウラの以外な表情に驚きながらも、微笑ましく見ていた。

食べ終えたプリンカップをゴミ箱の中に投げ捨てる。

少し大きい溜息をついたシャットアウラは、空を見上げた。夕陽に染まった白い雲がふわふわと浮いていた。

これからどうすればいいのか。

シャットアウラは相談する相手を探していた。しかし友人なんてものは居らず、学校も特例公欠だし、相談できるのは冥土帰しや上条当麻しか居なかった。


「相談があるんだけど」

「どうしたんだ?」

「住んでた寮が二ヶ月分の家賃滞納と、音信不通で強制立ち退きさせられたらしくて、家具なんかは病院の荷物置き場にあるらしいんだけど。
どうすればいいと思う?」

「……うーん、新しく借りればいいんじゃないか?」

「……そうだな、そうすることにする」


シャットアウラは立ち上がって上条へ視線を向ける。少し暗くなってきたような気がする。

それにしても寒いな、とシャットアウラは思った。

上条も立ち上がって、本来の目的であるスーパーへ向かうことにした。

帰ろうとしたシャットアウラを引き止めて、唐突に「そうだシャットアウラ、携帯持ってるか?」と訊いた。

シャットアウラは唖然としたが、少ししてから返答した。


「持っていないことはないが、余り使わないな。緊急的な連絡時のみだ」


上条のポケットに入ってあった紙に持ち合わせのボールペンでメールアドレスを殴り書きした。

その紙をシャットアウラに渡すと、上条は時計を一瞥した。

時間は既に4時を回っていて、あまり遅いとインデックスに小言を言われるな、と上条はシャットアウラと別れた。

シャットアウラは上条に貰った紙をポケットに押し込んで、病院へと戻っていった。



                                       *




退院の日、シャットアウラと上条当麻は対面していた。

場所はおしゃれなカフェテラスで紅茶とケーキが置いてあった。

そう、これは退院祝い。いつからこんなに親しい間柄になった?と訊きたくなるが敢えて答えない上条だった。

ここの支払いは上条持ちらしく、シャットアウラは少しだけ嬉しかった。

お金を節約できるとかそういう意味ではなく、そういう事で祝ってくれる人が居ることに。

父親のディダロス=セクウェンツィアが死んでから、誕生日も、何かの祝い事も、卒業式も祝ってくれる人なんて居なかった。

それだけで、胸がいっぱいだった。

「上条さん今回はかなり持って来ましたからね?存分に頼んでくれ」

「あ、ありがとう」


お礼なんて、何年ぶりにしただろう。

フォークで小さいケーキを刺して、口の中に放り込んでいく。

美味しい、流石は元常盤台中学専属のパティシエが建てた店だ。

上条も紅茶を飲んで、びっくりしたような表情を作っていた。

「お嬢様推薦の店は違うな……値段もな」


メニュー表には0が一つ多いのではないか、というぐらい値段が高かった。

シャットアウラの飲んでいる紅茶で1200円、ケーキ一切れで1900円。あまり頼めないな、と思いシャットアウラは遠慮する。

周りは常盤台の生徒や霧ヶ丘女学院、長点上機学園などの有名校の制服を着た生徒が多く、少し場違いだった。

「シャットアウラ、お前ってどこの高校行ってんだ?」

「霧ヶ丘女学院。能力が珍しいから」

「へェー、霧ヶ丘に通ってんのか。俺の知り合いも霧ヶ丘だったな」

「一応、公欠扱いにはなってるけど」


シャットアウラは少しため息を付いた。


「で、住む所決まったか?」

「まだ……結構時間かかる。それまでの宿を探している所だ……」

「……じゃあ俺ん家来るか?」

「上条当麻の家?」


シャットアウラは怪訝な視線を上条に送った。それに気付いた上条はやましい心なんてない!と弁解する。

「わかってるって」

そう言ってシャットアウラは微笑んだ。

からかっていただけか、と安心した上条は紅茶を口に含んだ。


「いいの?」

「ああ、既に居候は二人もいるしな。二人も三人もさほど変わんねーよ」

「……悪い。お世話になっていいか?」



上条は頷いた。

シャットアウラは目を伏せてバッグの中から財布を取り出して三万円ほど取り出して上条に渡した。

居候するための家賃みたいなものらしい。

上条は受け取れないとは言ったが、シャットアウラは無理矢理押し付けた。


「会計は上条当麻がしてくれるんだっけ」

「ああ、あれだけで5000円か……少し高いけどこんなもんか」


と上条は支払いを済ませるとシャットアウラの鞄を持った。

そして二人は上条の寮へ向かっていく。

シャットアウラは少し緊張していた。上条の居候がどんな人か、場違いじゃないだろうかと。


「なぁシャットアウラ……お前。丸くなったよな」

「は……?」

「いや、二ヶ月ぐらいまえはさ虫みたいなロボ使って超過激に戦ったじゃん。今じゃそんな面影もないし。もちろん良い意味だけどな」

「そう……だろうか」

終わりです。
シャットアウラの口調が……

あの状態からどうやって助かったんだ上条さんは?
宇宙だぞ宇宙
不思議で不思議でたまらんのだが…

>>1です
一レスだけ出来たので投下します


感想を返し忘れてすみません!

>>15
それは謎のままですよね。
多分誰かが助けに来たんじゃないでしょうか?


「御坂さん、そういえば、鳴護アリサさんってどうなったんでしょうね」

こうやって集まるのも数週間ぶりだったが、懐かしいなんて雰囲気は無かった。
超電磁砲……御坂美琴は唐突に話題を振られて少し焦った。
鳴護アリサはどうなったのか。御坂はそれを知らなかった。上条も教えてくれないし。

「ごめん、良く知らないの」

「まぁそうですよね。いやぁ最近、『助けてカブトムシさん』とか『その幻想をぶち殺す!』とかの都市伝説が流行ってて」

御坂は一瞬耳を疑った。『その幻想をぶち殺す』。そのフレーズはどこかで聴いたことがあって……
横からノートパソコンのキーボードを叩いている初春が解説する。

「助けてカブトムシさんは一端覧祭前後にとある幼稚園が発祥となり広まったそうですね。その幻想をぶち殺す!はロシアの学園都市の特殊能力研究機関が発祥となった
噂ですね。なんでも『その幻想をぶち殺すさん』は世界でもかなり希少な能力らしくて、学園都市を何度も救ってきたヒーローと。本当に実在するかは知りませんけどね」

御坂はそれが誰かを知っていた、上条当麻という人だ。
『幻想殺し』という世界で一つしか無い能力を持ちながら、勇敢に巨大な敵に立ち向かっていく。
学園都市を何度も救ってきた、というのは本当だろう。実際、エンデュミオンの事件も上条当麻が居なければどうなっていたか分からないし第三次世界大戦に終止符を
打ったのも上条だ。
御坂は純粋に上条を尊敬している。

「でね、御坂さん。私はこれから学園都市のヒーローってのを調べたいと思うんですよ!」

「佐天さん……貴女はまたそのような与太話を……」

「白井さんにはロマンがないなぁ、なんかこうヒーローって憧れるじゃないですか」

「わたくしはヒーローなど興味がありませんの。というよりヒーローって聴くとあの類人猿を思い出してしまうのはわたくしだけでしょうか?あらおかしい」

「類人猿?」

「なんでもありませんの」

かくして、佐天とその愉快な仲間たちの『その幻想をぶち殺す!』探しは始まる。
一方、その元ネタとなっている上条当麻は同居人のインデックスとフロイライン=クロイトゥーネの目の前で正座させられていた。

「で?帰りが遅くなった理由はなんなのかな?」

「実は……スキルアウトたちに追い掛け回されて気がついたらもう日暮れ前だったという事でございまして……」

「ふろいらいん!」

「わたしが、当麻を、やればいいの?」

「ま、まてフロイライン!学習能力の良いお前なら判るはずだ!な?インデックスの口車ァーっ!」

フロイラインの無差別攻撃が始まった、
全身に謎の攻撃が規則的に上条を襲い、右手を大きく振ると破壊音がなった。
その瞬間に攻撃は止み、上条は溜息をついた。

改行は少し見にくいような気がしてやめました
おやすみなさい

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