伊織「すこしは反省しなさいよね」 サウザー「省みぬ!!」 (81)

レイ「頭がPの形をした男を知らんか?」 やよい「(プロデューサーのことかな?)」の続き

とってもゆっくり進行。

リクエストによりサウザーの次はシン。その次はまた最後に決めます。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1376581740

社長「レイくんに引き続き今回も期間限定ということで新しいプロデューサーがやってくる」

皆「へぇー」

やよい「うう、レイプロデューサーに会いたいですぅー」

伊織「まあまあ生きてれば、また会える日が来るわよ」

社長「ちなみに、今回の新プロデューサーには伊織くんを担当してもらう」

伊織「ええ私!?」

社長「うむ、本人の意向だ」

P「(嫌な予感しかしない)」

社長「では、入ってくれ」

サウザー「新プロデューサーのサウザーだ。俺のプロデュースに構えはない。ただ全身制圧あるのみ」

伊織「(やよいのプロデューサーより危険な匂いがするわ)」

社長「では、伊織くんとサウザーさん以外は各々の仕事に励んでくれ。では解散」

P「(どう声をかければいいんだろう。レイはいいやつだからいけたけど。まぁ気楽に行くか)」

P「サウザーさん、コミュニケーションが大事ですよ」

サウザー「ほぉ、でかい口を聞くな。小僧」スッ

P「(か、髪が少し持って行かれた)」

サウザー「しかし、貴様の言うことも最もだ」

P「(助かった)」

サウザー「おい、貴様」

伊織「な、何よ」

サウザー「名前は何という」

伊織「伊織よ、スーパーアイドル水瀬伊織ちゃんよ!」

サウザー「ほぅそうか。伊織よ、南斗十字星を知っているか?」

伊織「南斗十字星?……聞いたことないわね」

サウザー「ならば教えてやろう。このサウザーの星、極星、南斗十字星を」

サウザー「貴様が今から目指すもの、それが南斗十字星だ」

伊織「はぁ何言ってんのよあんた」

伊織「たかだか星じゃない」

サウザー「この南斗十字星は別名極星。極星は誰も寄せ付けぬ圧倒的存在。貴様はそれを目指すのだ。周りが霞むほどの強さの光をな!」

伊織「ふーんなかなかいいじゃない。乗ってやるわ。この伊織ちゃんにかかれば造作もないことだけどね。にしし」

サウザー「フハハハハハ! 俺が貴様に守ってもらうとは三つ。退くな、媚びるな、省みるな。これだけだ」

伊織「よくわからないけど頑張るわよ」

伊織「じゃあ私はレッスンに行ってくるからあんたも頑張りなさいよね!」

サウザー「ふん、俺に意見するか。生意気なガキよ」

サウザー「レイが作ったというマニュアルでも見るとしよう」

サウザー「……基本は仕事を奪い、アイドルを活躍させることか。それではまず仕事を奪いに行くとしようではないか」

サウザー「……テレビ局で一番おかしな格好をした奴に話し掛ければいいと書いてある。出世したいという思いが普通の人をも狂わすということか」

テレビ局

サウザー「おかしな格好をした輩……はいないか」

偉い人「今日もおつかれー。明日も頼むよぉ!」

サウザー「や、奴か! 確かにおかしい。俺のバイクの比ではない」

サウザー「おい、そこの貴様」

偉い人「ん? 私かい?」

偉い人「(ちょ、こいつどこのスタントマンだよ。恐いって、適当なこと言ってさっさと帰ろ)」

サウザー「貴様、俺に、いや765プロの水瀬伊織に仕事を寄越せ」

偉い人「え? 何言ってんの君。てか水瀬? だっけ? って誰?」

サウザー「む?」

偉い人「とにかくダメダメ。どこの奴かもわからんのに仕事なんてやれないよ。じゃあ、急いでるんでね」

サウザー「ほぉ、俺に意見するか」ヒュッ

偉い人「へ?」スパ

サウザー「ふん、その醜い体も俺にはただの肉塊同然。この紙のように切れてしまう」ヒュ

偉い人「なんなのさ君! この私にそんなことをしてもいいと思ってるのか!?」

サウザー「この私? 貴様一体何様だ。この聖帝サウザーに向かってこの私などと……片腹痛いわ!」ヒュンヒュン

壁「」スパスパ

偉い人「」

サウザー「このサウザーに楯突くとは愚かだったな。自分の行いを悔いて死ねい」グア

偉い人「あげます、仕事あげますから命だけは!」

サウザー「ふん、それでいいのだ。素晴らしい仕事をよこせ。さもなくばもう一度貴様を殺しにくる」

偉い人「誰がお前のアイドルなんかに」ボソ

サウザー「俺はアリの反逆も許さんぞ?」

偉い人「ひぃ!!」

サウザー「いい知らせを待っている」

ガチャ

サウザー「戻った」

伊織「ねえ、プロデューサー。仕事取れたわけ?」

サウザー「取れた。素晴らしい仕事がな。直に内容は届くだろう」

伊織「はぁ? 何言ってんのよ」

小鳥「え、あ、はい! 分かりました。あ、ありがとうございます。では失礼いたします」

伊織「どうしたのよ小鳥」

小鳥「あの、あのね伊織ちゃん。よぉく聞いてね」

伊織「え、ええ」

小鳥「月9に出れるわ」

伊織「月9?」

小鳥「月曜九時のドラマよ。主演とかじゃないけどわりと重要ポジションらしいわ」

伊織「え、え。えええええええ!!??」

サウザー「あの豚も少しは役に立つようだな。命だけは許してやるか」

サウザー「どうだ、伊織。満足か?」

伊織「え、ええそうね。満足よ」

サウザー「ではお前もレッスンに励め」

伊織「もちろんよ!」

サウザー「レイの奴は南斗水鳥拳を伝授したようだが俺にはそれが出来ん。伊織には俺の教えることのできる全てのことを教えねばならん」

伊織「教えるって何よ」

サウザー「聖帝の力を貴様に叩き込み、お前を必ずトップアイドルに導く。今だけ俺は南十字星では無くお前を南十字星に導く星になろう」

伊織「何よ、やけに熱いわね」

サウザー「これは俺の師が教えてくれた愛というものだ」

伊織「いきなり何を言い出すかと思えば、なーんかロマンチックねぇ」

サウザー「それでも構わん。俺には愛が必要。ぬくもりが必要なのだ」

サウザー「まあよかろう。さっさとレッスンに行くがいい」

伊織「言われなくても行くわ」

ガチャン

サウザー「俺を育てていた頃のお師さんもこのような心情だったのだろうか。ふ、一度は愛と情を捨てた身。このような醜態を晒せばシュウにはトチ狂ったと笑われるな」

小鳥「あの、サウザーさん。伊織ちゃんの仕事ですけどどうやって取ったんですか? 月9だなんて」

サウザー「マニュアル通りにしたまでよ。衛星も少しは役に立つ」

小鳥「マニュアル?」

サウザー「レイが作った『世紀末の脳筋でも分かる! これで完璧Pマニュアル』だ」

小鳥「ちょ、ちょっとそれ見せてください」

サウザー「まぁ隠すほどの物でもあるまい」

小鳥「こ、これは!?」

小鳥「第一条 担当アイドルには己の人生懸けて全てを叩き込むべし」

小鳥「第二条 仕事を取る際にはどんな手を使おうとももぎ取るべし」

小鳥「第三条 アイドルとは積極的にコミュニケーションを取るべし」

小鳥「第四条 アイドルのピンチの際には命を投げ出して助けるべし」

小鳥「第五条 アイドルの要望には応えコンディションを維持すべし」

小鳥「第六条 邪魔をする者は速やかに排除し現世から消し去るべし」

サウザー「どうだ。これさえあれば完璧だ!」

小鳥「ちょっと、二条と六条……やばくないですかね」

サウザー「んん~?」

サウザー「何がおかしい」

小鳥「あの、この排除とかもぎ取るとか消し去るとか」

サウザー「言葉通りの行動を取るのみ」

小鳥「それはまずいですってば」ガシ

サウザー「ぬっ、貴様。この聖帝を止めようとは肝の据わった奴よ。その勇気に免じて少し和らげてやるとしよう。フハハハハハハ!!」

小鳥「(これとずっと一緒なんて伊織ちゃんも大変ね)」

翌日

サウザー「伊織、レッスンの調子は」

伊織「まぁまぁじゃないかしら」

サウザー「そうか……」

伊織「どうしたのよ、悩むなんてあんたらしくないわよ?」

サウザー「どうすればお前が最も輝くのかを考えていたのだ。どうすればお前を導けるのかをな」

伊織「ふ、ふーん。まぁ頑張りなさいよね」

サウザー「伊織、その、欲しいモノはあるか?」

伊織「はぁ?」

サウザー「ピラミッドの様な自分の根城だとか豪華に飾りすぎた感溢れるバイクだとか」

伊織「何で例えがそんなに具体的なのよ」

サウザー「ぐっ、それはよかろう! お前には無いのか。欲しいものは」

伊織「ないわ。私は欲しいものは自分で手に入れるようにしてるの」

サウザー「そ、そうか」

伊織「でも何でいきなりそんなことを言い出したのよ」

サウザー「俺にはわからぬのだ。孤児だった俺には人がされて嬉しいことが分からぬ。ただ、唯一お師さんとの交わりもお師さんから受けたばかりで俺は何もしてやれなかった。俺がする側になった今、伊織に何をしてやればいいのか分からぬ」

伊織「何よ、そんなこと簡単じゃない」

サウザー「な、何ぃ!?」

伊織「あんたは私を必死にプロデュースすればいいのよ。私がトップアイドルになれるようにね。その分私だって頑張るわ。だからあんたもそんなこと考えてないで頑張りなさいよね! にひひ」

サウザー「……ふ、フハハハハハハハハハ!!」

伊織「い、いきなり何よ!?」

サウザー「そうか、そうだな。その通りだ。俺は退かぬ、媚びぬ、省みぬ! 俺に逃走はない。俺が間違っているなどありえぬ。伊織よ、貴様は俺についてくるだけでいい。俺についてくれば必ずトップアイドルにさせてやろう! だが、道のりは果てしないぞ。覚悟はあるか?」

伊織「当たり前よ! 私にできないことなんて何も無いんだから!」

サウザー「よく言った! それでこそ俺のアイドルよ。お前に俺の拳法の名を教えてやろう」

伊織「拳法? あんた本当は何する人なの?」

サウザー「それは聞くな」

伊織「まぁいいけど」

サウザー「我が拳は南斗鳳凰拳。我が拳に構えは無く、敵はすべて下郎。そして鳳凰の翼は何人にも砕く事は出来ぬ」

伊織「何て言うか、強そう……ね」

サウザー「強そうではない。強い。俺はシュウややよいのプロデューサーであったレイを束ねる将星。俺は南斗六星で最強だ」

伊織「最強……何よ、この伊織ちゃんにぴったりじゃない!」

サウザー「まずは月9ドラマで足がかりを掴む。そこからが貴様の腕の見せどころだ。ドラマでお前の全てを見せろ」

伊織「分かったわ。これから忙しくなることを願ってる」

サウザー「ふん、俺は愚かではない。お前の願いなど三倍にして返してやろう」

伊織「にしし、じゃあ期待してるわ」

サウザー「俺達の天翔は今からだ。ぬかるでないぞ」

伊織「ええ、じゃあレッスンに行ってくるわ」

ドラマ一話 撮影日

偉い人「ちっ、せっかく人気アイドルを使えたのに、あのスタントマンプロデューサーのせいで、誰ともわからん無名アイドルを使うことになるなんて……」

サウザー「いつから豚は主に対して不満を述べるようになったのだ?」

偉い人「はっ!? す、すいません。じゃあさっそく撮影を始めますので役者が揃うまでお待ちください」

サウザー「そこまで焦らずとも良い。殺しはせぬ……俺を裏切らなければなぁ?」

偉い人「は、はい。ではお待ちください」

伊織「……あんた一体あの偉い人に何したのよ」

サウザー「何もしてはおらぬ。少し力の差を見せてやっただけだ」

偉い人「それでは、撮影を始めます。今日はよろしくお願いします」

伊織「……おねがいします」オドオド

サウザー「何をしている。貴様は極星。伊織より上の存在などおらぬ。気を張れ」

伊織「わ、分かってるわよ……ありがとう」ボソッ

サウザー「うむ、それで良い」

監督「今日はよろしくお願いしますね。765プロの水瀬さんでしたか? 今回は失礼なことを言わせてもらえば大抜擢ですが周りを気にすることはありません。自分の全てを出してください」

伊織「は、はい! よろしくお願いします」

サウザー「監督、少し話がある。いいだろうか」

監督「? はい。分かりました」

サウザー「今回、伊織は初めてのドラマで緊張しているだろうが、それに構わず指摘をしていってほしい。俺には演技のことは分からない。プロデューサーとして不甲斐ないがよろしく頼む」

監督「……そういう風に言って来たのは貴方が初めてです。普通なら初めてだからあまり指摘はしないでくれと言うのですが」

サウザー「厳しいが伊織が辛いと思うことはないだろう。いや、無い。それほど伊織には期待をしているのだ」

監督「分かりました! 私も精一杯頑張らせていただきます」

サウザー「うむ、こちらからも頼む」

監督「それでは戻って撮影に入りましょう」

伊織「~~~~~」

役者「ーーーーーーー」

サウザー「……」

監督「カァット! 水瀬さん。もう少し柔らかい感じでお願い!」

伊織「は、はい!」

サウザー「……」

伊織「~~~~~」

役者「ーーーーーーー」

サウザー「(目に見える変化は無いが、いや俺が分からないだけかもしれないが、一度監督に言われたことはそれ以降全く言われていない。伊織はまだ緊張しているようだが、それが今はプラスに働いているようだな)」

伊織「~~~~~~~~~」

監督「カァット! はいオッケーです!」

伊織「!」

伊織「……」タッタッタ

伊織「ど、どうだった? 私、よくできたかしら?」

サウザー「俺にはわからん。だが貴様が一心に励んでいるのは見えた。それだけでも俺は嬉しい」

伊織「撮影も終わったし、あとは帰るだけね。オレンジジュースが飲みたいわ。買ってきて」

サウザー「む、まぁよかろう。褒美だ。少し待っておけ」

伊織「ええ、じゃあ、お金」チャリン

サウザー「いらぬ。ジュース程度奢ってやるわ」

伊織「あらそう。じゃあお言葉に甘えるわ」

サウザー「うむ、では行ってくる」

伊織「はーい」

サウザー「(お師さん、俺はようやく愛すべき存在を見つけました。お師さんが俺にぬくもりをくれたように、俺も伊織にぬくもりを与えたいと思います。上手くできるかはわかりませんが見ていてくださいお師さん)」



伊織「遅かったわね。買ってきた?」

サウザー「当たり前だ」ポイ

伊織「わかってるじゃない。ちゃんと100パーセントを買ってくるなんて」

サウザー「うむ、今日はよく頑張った伊織。これから人気になれば困ることも出てくるだろう。そういう時は俺を頼れ。戦うことにしか力を発揮できない俺が言うのもおかしいことかもしれんがな」ギュ

伊織「な、何よ。いきなり。まぁ、あんたに頼ったらすごいことになりそうだけど、あんたはとっても頼りになる私のプロデューサーだし、頼ってあげるわよ。それにあんたはとっても暖かいわ。家じゃ感じられなかった暖かさがある」

サウザー「家族はいいものだ。大切にしろ。お前は俺の二人目の家族だ。家族には悩みを打ち明け、頼れ……それだけだっ!」

伊織「何、顔赤くして照れてんのよ。今更恥ずかしくなったのかしら?」

サウザー「照れてもおらぬ、恥じてもおらぬ! 俺はお前にぬくもりを……」

伊織「分かってる。もう貰ったわ。あんたの気持ちで私はもう暖かいわよ」

サウザー「ふ、愛は人を狂わす。昔、俺が言ったことは正しかったな」

伊織「どうしたのよ」

サウザー「なんでもない。帰るぞ」

眠いので今日は寝ます

伊織「ふんふんふーん♪」

P「お、何だ。伊織。随分とご機嫌じゃないか。サウザーとはうまくやれてるのか?」

伊織「そうねぇ、あんたの百倍は頼りになるわよ」

P「まぁそりゃそうだろうな」

伊織「で、あいつは?」

P「サウザーなら朝早くに出てったよ。何か嬉しそうだったけど」

伊織「ふーん、今日のスケジュールなんにも聞かされてないのよね」

P「え、そうなのか!? サウザーの奴、どうしたんだ」

ガチャ

サウザー「む、もう来ていたか。伊織」

シュウ「この子がお前のアイドルか。ははは、お前も丸くなったものだな」

サウザー「俺にも愛と情を注ぐ者ができたのだ。お前のようにな」

シュウ「フフ、そうか、また強くなったなサウザー」

伊織「ちょ、ちょっとあんたこの人は誰なの?」

シュウ「ああ、すまない。私はシュウ。サウザーの友だ。そしてトレーナーをやっている」

サウザー「そういうことだ。今日はシュウのもとでレッスンをする」

シュウ「今日はよろしく頼むよ。伊織」ニコ

伊織「あ、よろしくお願いします」

シュウ「お前とは似つかないいい子だな。サウザー」

サウザー「別に構わんだろう」

伊織「あ、あの、シュウ……さんは目が……」

シュウ「む、ああ、これか。これはな輝く未来の光のために置いてきた私の誇りだ。気にしないでくれ」

伊織「は、はい」

伊織「……」キョロキョロ

サウザー「何をしている。早く来るがいい」

伊織「ここどこなの?」

サウザー「南斗の道場だ。今はシュウの運営している道場だがな」

シュウ「伊織、今日は君に南斗十人ライブをしてもらう。十人に勝ち続ければ君の勝ち。ただし、一度でも負ければ待っているのは地獄のような特訓だ」

サウザー「今回、貴様に選択権は無い。お前にはできると信じている」

伊織「えっと、それで近づけるんですよね?」

シュウ「ん?」

伊織「これで近づけるんですよね。トップアイドルに」

サウザー「当たり前だ。これが一番相応だと俺が直接頼み込んだのだ」

シュウ「ああ、初めてサウザーが頭を下げたところを見た。君にためだと言ってね。本当は二ヶ月待ちなんだが輝く光は放っておけないのだ。君には誰よりも誰よりも強く激しく輝く可能性を秘めている。期待しているよ」

伊織「が、頑張ります」

サウザー「フハハハハハ!! いいぞ、伊織。たった十人如き蹴散らして来い!」


伊織「はぁはぁ。お、終わりかしら」

シュウ「よく頑張った。これで南斗十人ライブは終わり。君の勝利だ」

サウザー「よくやったぞ、伊織。フハハハハ!」

サウザー「汗を拭いてやろう。こんなに汗をかいてフルパワーで踊り続ければこうもなる」ゴシゴシ

伊織「ふ、ふん。当たり前じゃない。何事にも本気をだすのよ」

サウザー「よい心がけだ。今日は世話になったシュウ。これで伊織もまた多くのことを学ぶことができたであろう」

シュウ「いや礼を言われるほどではない。また用があればいつでも呼んでくれ」

伊織「今日はありがとうございました」

シュウ「フフフ、君はいつか私の想像を超えるほどに強く輝くだろう。私の失った光の分も存分に輝いてくれ」

サウザー「伊織、帰るぞ」つオレンジジュース

伊織「あ、ありがとう、サウザー」

サウザー「ふ、名前で呼ばれるのは初めてだな。悪くない」

伊織「別にいいじゃない。何だか呼んでみたくなったのよ」

伊織「それに言われなくても買ってきてるなんて気が効くじゃない」

サウザー「アイドルの好みなど知らない方がおかしいというものだ」

サウザー「たまには歩いて帰るのも悪くないな」

伊織「まぁ、たまにはいいわよね」

サウザー「こうして歩いていると、昔お師さんと共にいた頃を思い出す」

伊織「それがあんたの一人目の家族の人なの?」

サウザー「覚えていたか。そうだ、名前をオウガイという」

伊織「その人は今どこにいるのよ」

サウザー「もうこの世にはおらん」

伊織「あ、そ、そうなの」

サウザー「だが、は

伊織「あんたも大変なのね」

サウザー「そうでもない。お師さんは俺にぬくもりをくれた。その時代があったから今の俺がいる」

伊織「なんだかいい話じゃない。私もそんな人に出会ってみたいわ」

サウザー「何を言っている。既に出会っているではないか」

伊織「自分とでも言いたいわけ?」

サウザー「違う、奴だ。Pだ」

伊織「あんなダメプロデューサーがねぇ……」

サウザー「確かに今は無能だと感じるかもしれん。だが! 奴はいずれ大きくなり強くなる! そして頼れる奴になるだろう。その時に気づけばよい。奴に出会えてよかったとな」

伊織「わ、私にはあんたがいるからいいわよ」

サウザー「ふ、フハハハハ。そうか。お前はいい子だ。最初にここへ来るときはどんなガキかと思っていたが」

伊織「私も新しいプロデューサーがあんたみたいな人だとは思わなかったわよ」

サウザー「だが、それもそろそろ終が近い」ボソッ

伊織「ん、何か言った?」

サウザー「いや、何もない。明日はCMの撮影だ。気合を入れろ」

伊織「ええ、分かってるわ」

サウザー「もう伊織の家か。では俺はもう帰る」

伊織「じゃあ、また明日ね。にひひ」

サウザー「む、なんだあの人だかりは?」

おじさん「レシート千円分でくじが一回引けるよぉ! 一等は何とハワイ旅行! やってかないかい!」

サウザー「……ほぅ……」

三十分後

サウザー「一回だ」

おじさん「はい、どうもぉ! じゃあこれを回してねぇ」

サウザー「……」ガラガラ

おじさん「えっと四等だ! 四等はこれ。特別製写真立て。思い出の写真を飾ってくれよ!」

サウザー「……」スタスタ

おじさん「まいどありぃ!」

サウザー「戻った」

P「あ、サウザーさん。お疲れ様です。ん、それ何ですか?」

サウザー「さっきくじで当たった。写真立てだ」

P「へぇ、そういえばさっき音無さんも引いてたな。確か、三等でアクセサリーだったとか」

サウザー「!? そ、それは本当か? 小鳥はどこにいる!?」

P「ど、どうしたんですか? 音無さんは今は春香のCD販売の手伝いをしてると思いますよ」

サウザー「そうか、ならばここで待つしかないか」

小鳥「すみません、遅くなりました」

P「あ、お疲れ―

サウザー「小鳥ぃ! 貴様が当てたと言う三等のアクセサリーを出せい! 今すぐにだ!」クワッ

小鳥「へぅ!? あ、アクセサリー!? あ、これですか?」

サウザー「今日のくじで当てたアクセサリーだ。わからん訳が無かろう!」ヌッ

小鳥「こ、これです! 差し上げますからどうか命だけは!」

サウザー「これか、お前には俺の当てた写真立てをやろう」

小鳥「……怖いィィィ」パクパク

P「伊織に上げるんですか?」

サウザー「そ、それはどうでもよかろう」

P「まぁ、いいですけど」

サウザー「俺にはお師さんとの形に残る思い出というものは無い。この受け継いだ南斗鳳凰拳と俺の脳内の記憶だけだ。だからこそ、伊織には俺がいたという形に残るものをあげたいのだ」

P「じゃあ、そっちの方がいいんじゃないですか?」

サウザー「……写真立て」

P「伊織はその方が喜ぶと思いますよ」

サウザー「馬鹿な。俺が知る女は煌びやかな物が好きなのだ!」

P「伊織が水瀬財閥のお嬢様だって知ってますよね?」

サウザー「ぬ、し、知っているが」

P「俺は前に一度家に行ったんですが、彼女の家には彼女と家族が皆笑って写っている写真は一つもありませんでした。その中に一つくらいみんな笑った写真があってもいいんじゃないですか?」

サウザー「俺にはそのようなことは出来ぬ。この南斗の帝王が」

P「そんなことないですよ。最近、伊織と一緒の時のサウザーさんは凄く自然に笑ってて楽しそうですよ」

サウザー「そうか。俺は伊織にぬくもりを与えようとしていたが、また俺がぬくもりをもらっていたか」

P「伊織も随分と笑うようになりました。それもサウザーさんのおかげですよ」

サウザー「フハハ、昔の俺とは大違いだな。残虐非道な俺とは。伊織の純粋な思いが俺を変えたか」

P「どうしますか。選択はあなた次第ですよ」

サウザー「写真立てだ。数日後、写真を撮る」

P「はい! カメラは任せてください。ね! 音無さん」

小鳥「ピヨ!? わ、私ですか!?」

サウザー「うむ、任せたぞ。では俺はもう帰る」

P「お疲れ様でしたー」

~翌日~

サウザー「ぬぅ、伊織はまだ来ぬのか」

P「遅いですねえ。せっかくの休みでカメラの準備も完璧なのに」

Prrrrrr

小鳥「あ、はい、765プロダクションです。え!? いえこちらには。はい。分かりました。はい。失礼します」

サウザー「どうした」

小鳥「伊織ちゃんのお母様からで、伊織ちゃんはこっちに来てないかって」

P「え、じゃあ、家にいないんですか!?」

小鳥「ええ、恐らく」

P「サウザーさん! あれ、いない」

サウザー「くっ、こんな時にいなくなりおって。伊織め」

サウザー「誰だ、伊織を、伊織をさらった輩は!」

近所のおばさん「あ、伊織ちゃんのボディーガードの方じゃない。そんなに慌ててどうしたの?」

サウザー「ボディーガードではないと何度。いや今はいい。伊織だ。伊織を見ておらぬか!?」

近所のおばさん「え? 伊織ちゃんなら黒い服きた人たちと街の方へ行ったわよ? 貴方の同僚じゃないの?」

サウザー「くっ!」

近所のおばさん「あら、大丈夫かしらねぇ」

サウザー「くっ、男に流される伊織ではない。何があった」

黒服s「そこまでだ。サウザー、貴様を通すわけにはいかない」

サウザー「自分でも丸くなったとつい最近実感していたが早くも昔に戻るとはな。さぁかかってこい」

黒服A「何故構えない」

サウザー「構えとは防御の型。俺の拳にあるのはただ全身制圧のみ」

黒服B「ふざけたことをっ! かかれ!!」

サウザー「伊織は絶対に貴様らには渡さぬ!!」

黒服s「でやあああああああああああ!!」



サウザー「ふん、これで全員か。口ほどにもない。おい、貴様、伊織はどこだ。吐けい!」

黒服C「あ、ああああ。向こうです! あのビルです!」

サウザー「やはり俺も甘くなったものだ。今までなら殺しているはずだが貴様らごとき殺す気も起きぬ。ん?」

黒服「死ねぇえ!」つピストル

パァン

サウザー「ぬぅ、この程度では死ぬ訳もない」

黒服「う、嘘だろ!? 間違いなく心臓を貫いたはずなのに」

サウザー「貴様にいいことを教えてやろう。俺の心臓は右にある」ヌッ

黒服「ううわあああああああああああ!!!」

サウザー「恐怖で気を失ったか。弱き男よ」

サウザー「さて、ビルに向かうとしよう。久々に仮面をつけてな」

黒服「く、第一集団が突破されたか。皆、かかれ!」

サウザー「無駄なことを」ズバババババ

黒服「へっ!? そ、そんな」

サウザー「こんな廃墟では誰も人はおらぬ。まぁ殺してはおらんがな」

黒服「ひゃあ!? 逃げるしかねえ!!」

サウザー「逃げるのならこちらから行くぞ!」ドン

サウザー「ぬぅん」ボッ

黒服「アプァー!!」ズバズバ

サウザー「殺しはせぬ。伊織はこの中にいるのか?」

黒服「い、いる! だから助けてくれ!」

サウザー「その程度の程度のキズなら動けるであろう。俺は知らん」

サウザー「階段か……一歩一歩、思いをかみしめて登る……か」

サウザー「結局、屋上まで誰もおらぬではないか」

ギィィィ

サウザー「き、貴様は!」

首領「て、てめえは誰だ!? 水瀬と関係のない奴に用はないわ!」つピストル

サウザー「当たるわけがなかろう。そんな遠い場所から」

サウザー「こちらの番だな。極星十字拳!」ドン ズバッズバ

首領「が、ああああああ!!」

サウザー「ふん、貴様など殺す価値もない。貴様、何故伊織をさらった」カメンハズス

首領「金だよ! 金。水瀬家にボディーガードとして勤めて早十年。やっとこの計画を成し遂げたと思ったのに!」

サウザー「昔の俺なら血の粛清で貴様を血祭りに上げていただろう……が、今回は伊織の判断に任せよう。伊織、大丈夫か」ベリ

伊織「サウザー、と、とっても怖かったんだからぁ!!」

サウザー「そうか、どうする。この男を」

伊織「もうどうでもいいわよ。助かったんだから!」

サウザー「ということだ。どこへでも消えろ」

首領「は、はいいい、すみませんでしたぁ!!!!!」ダッ

伊織「え、えぐ、ひっぐ。サウザーぁ」

サウザー「何だ」

伊織「あの、私ね。今日、あげるつもりだったの」

サウザー「何をかを言わねばわからんだろう」

伊織「写真立て。昨日街のくじで当てたの。でもね、さっきの奴に壊されちゃってぇ……」

サウザー「気にするでないわ。俺も同じことを考えていた。同じ写真立てがある」

伊織「え?」

サウザー「俺も昨日くじをひいて同じ写真立てを当てたのだ。今日は写真を撮るつもりだったのだが、あのような奴らに邪魔をされてな」

伊織「じゃ、じゃあ! 事務所に帰ったら一緒に写真を撮るわよ!」

サウザー「む、いつもの調子が出てきたな。それでこそ伊織よ!」

伊織「ふん、ちょっと怖くて泣いちゃったけどこの伊織ちゃんには敵わないの!」

サウザー「フハハハハ! 腰が抜けて立てない奴が何を言うか。さぁ帰るぞ。乗れ」

伊織「え、そんな恥ずかしいこと……」

サウザー「いいではないか。たまには」

伊織「しょうがないわね……」

サウザー「事務所に戻ったらまずはその泣き顔を戻せ。写真が撮れん」

伊織「分かってるわよ。でもあんたが来てくれてほんとに助かったわ……ありがとう」

サウザー「素直に礼を言うとは素直になったな」

伊織「私は元から素直よ!」

サウザー「ふ、そうか。貴様は昔の俺そっくりでわがままな王様という感じだ」

伊織「なによー」ポカ

サウザー「フハハ、その程度では蚊ほども効かんわ」

伊織「んむぅぅぅ」ポカポカ

サウザー「フハハハハ、事務所に戻るまでに俺に痛いと言わせられるかな?」

伊織「言わせてやるわよぉ!!」

サウザー「戻った」

P「サウザーさん! 伊織は!?」

サウザー「ここにいる」

伊織「し、心配かけたみたいね」

P「よかった、よかったよ伊織」

伊織「ちょ、ちょっと、顔洗ってくる!」

P「あの、サウザーさん。伊織はどこにいたんですか?」

サウザー「廃ビルの屋上だ。誘拐されてポールにくくりつけられていた」

P「え、じゃあ……」

サウザー「ああ、戦った。誰も殺してはおらんが」

P「よ、よかった」

サウザー「それはあとで話すが、伊織が戻ってきたら写真を撮るぞ」

P「はい、任せてください!」

伊織「こ、これで大丈夫かしら?」

小鳥「ええ、大丈夫よ。とっても可愛いわ」

伊織「当たり前よ! なんたってスーパーアイドル水瀬伊織ちゃんなんだから」

P「伊織、準備はいいか?」

伊織「ええ、ばっちりよ」

P「じゃあ、サウザーさんのとなりに座って」

伊織「嫌よ。ここがいいわ」ポス

サウザー「おい、これでは俺が前が見づらいではないか」

P「膝の上か。まあいいんじゃないか?」

サウザー「ふむ、しょうがなかろう」

P「じゃあ、撮りますよ。はいチーズ」

パシャ

伊織「どう? 完璧でしょ?」

P「うん、完璧だよ。じゃあ、これを写真立てに入れよう。じゃあ写真にしてくるから」

サウザー「うむ」

伊織「にひひ、これからもずっとよろしくね、サウザー!」

サウザー「……そうだな」

P「写真できましたよー。じゃあ、これを写真立てに入れてと。はい、サウザーさん」

サウザー「うむ」

サウザー「伊織よ。これを自分の部屋に飾っておけ。皆が笑顔の写真は無いと聞いた。これが最初だ。俺との思い出だ」

伊織「あ、ありがとう。サウザー。やっぱりあんたは出来る男ね!」

サウザー「当たり前だ」

伊織「じゃあ、私はレッスンに行ってくるわ」

サウザー「うむ、行ってこい」

サウザー「……ずっとよろしくか」

P「辛いですか。伊織と分かれるのは」

サウザー「辛い……ということが分からない。が、ここが痛む」

P「心が痛いんですよ。伊織のことを思って出来た貴方の心が」

サウザー「心。愛、情。俺がかつて捨て去ったものか。伊織が俺に心を吹き込んでくれたのならば、俺は」ガタッ

P「サウザーさん?」

サウザー「俺は決めたぞ。P! 早急に水瀬家へ連絡しろ。伊織のプロデューサーが行くとな!」

P「え!? わ、分かりました!」

サウザー「伊織の家か。外からしか見たことはなかったがデカいな」

番犬「バウバウババウウ!!!!」

サウザー「黙れぃ!」ギロ

番犬「クゥ~ン」

サウザー「……」スタスタ

サウザー「……鍵がかかっているな。だが! 俺に静止はない!」ズバズバ

警備員「な、何者だ!!」

サウザー「フハハハハハ!! 我が名は聖帝サウザ-。伊織のプロデューサーだ!」

警備員「お前のような野蛮な者が伊織様のプロデューサーなわけがない! かかれ!!」

サウザー「ふんっ」ドスッ

サウザー「せい」ドガ

サウザー「ハァァァ」ズドン

サウザー「うりゃ!」ズバッ

警備員「お、お前、本当に何者―」

サウザー「せやっ」ドズ

サウザー「傷を追わせていないだけでも感謝するがいい。さて、貴様、伊織の父はどこにいる?」グイッ

警備員「貴様に言えるわけがないだろう!」

サウザー「……殺されたいのか?」クワッ

警備員「くっ、うう、三回の一番奥の部屋だ」

サウザー「よかろう」パッ

サウザー「ここか」

ギィィ

伊織父「誰だね。君は」

サウザー「俺は聖帝サウザー。そして伊織のプロデューサーだ」

伊織父「ふむ、ここの警備と警備員をくぐり抜けてここまで来るとは中々やるではないか」

サウザー「ほぉ、貴様は随分と余裕があるな」

伊織父「私に用があるのではないのか?」

サウザー「ああ、そうだが」

伊織父「言ってみなさい」

サウザー「どうか伊織との時間を増やしてやって欲しい」ドゲザ

伊織父「なっ!? 君、何も頭を下げなくても」

サウザー「俺はプロデューサーだ。だが、本当の家族にはなれん。だから伊織に親のぬくもりを愛を情を注いでやってほしい」

伊織父「ふむ、君の意見は分かった。だが、私も仕事が忙しくてね、伊織との時間は中々作れないのだよ」

サウザー「そこをなんとか頼む! 俺は直にいないなる。次に伊織に愛情を注ぐのはPになる。だが、奴は他の十一人の面倒も見ねばならん。短い時間でもいい。親子水入らずで過ごして欲しいのだ」

伊織父「ぬう、頭を上げてくれ。分かった。これからはできるだけ伊織との時間を増やす。妻にも言っておこう」

サウザー「本当か!? すまない。これで俺は」

伊織父「君には負けたよ。まさか娘のために土下座してくるとは」

サウザー「俺は孤児だから。家族がいる伊織には家族とのぬくもりを知ってほしかったのだ」

伊織父「そうか、分かった。次の明日、ちょうど日曜日だ。そこで家族揃って遊園地にでも行こう」

サウザー「すまない。伊織にはよろしくと伝えておいてくれ」

伊織父「あい、わかった」

翌日

P「今日は伊織は休みですよ?」

サウザー「良い」

P「何書いてんですか?」

サウザー「手紙だ」

P「見せてください」

サウザー「ダメだ」

P「まぁまぁ」

サウザー「おい、貴様、やめろ!」

P「伊織へ。この手紙を読む頃には俺はもういないだろう。突然の別れで悪いが俺はいつでもお前を信じている。もし、寂しくなったらこれからはPに頼れ―」

サウザー「ふんっ」パシ

P「あ」

サウザー「俺はもういなくなる。だから最後くらいと思ってな」

P「へえ。何かいい話ですねぇ」

サウザー「貴様、侮辱するか!」ヌッ

P「うおっ!? そんなんじゃないですよ」

サウザー「さて手紙も書き終わった。俺はもう行く」

P「短い間でしたけど楽しかったですよ。また来れたら来てくださいね」

小鳥「うう、なんだか、悲しいです」

サウザー「伊織が帰ってきたら手紙とこれを渡してくれ」つ仮面

P「この仮面……」

サウザー「写真と一緒に飾っておけと言っておいてくれ。ではな」

ガチャ

伊織「あ、あんた、何勝手にいなくなろうとしてんのよ!!」

サウザー「い、伊織!? 馬鹿な。貴様は今、遊園地にいるはずでは」

伊織「お父様に聞いたの。サウザーが直にいなくなるって。だから私がいない今日なんじゃないかって」

伊織「あんたねえ、言いたいことがあるならはっきり私に言いなさいよね!!」

サウザー「う」

P「サウザーさん、最後ですから」

サウザー「伊織。よく聞け」

伊織「ええ」

サウザー「P、手紙だ」

P「え、はい」つ手紙

サウザー「自分の口から伝えるならこんなものは要らぬ!」ビリィ

サウザー「伊織よ。今日から俺はいなくなる。突然の別れですまんがこれからはPに頼れ。だが、俺は伊織のことをいつも信じている。だから俺がここにいたことを忘れないで欲しい。俺がここで伊織と関わったことをいつまでも忘れないで欲しい」

伊織「……グス」

サウザー「俺はここに来て辛い、楽しい、悲しい、嬉しいなどど多くの感情を伊織に貰った。誰かのために何かをしたいと初めて思った。伊織よ、俺はお前のことを娘のように愛していた」ポロポロ

伊織「……泣いてんじゃないわよ。ヒック、グス」

サウザー「今日まで充実した素晴らしい日々を過ごせたことを感謝する! ありがとう!!」ポロポロ

伊織「う、ひく、えぐ」

サウザー「さらばだ」ギュ

伊織「嫌だよぉおおおお!!」ギュウ

サウザー「ふ、何が素直だ、やはりわがままではないか」

伊織「嫌なの! サウザーがいないなんて……嫌よ! あんたと一緒にいるのが一番楽しいんだからぁ!」

サウザー「フハハハハ! 伊織よ。確かに俺はいなくなる。だが、この大空の下に俺たちはいる。また会える日は来る」

伊織「だって、だってぇ」

サウザー「もう泣きやめ。この程度でそこまで泣いていたら極星の名が泣くぞ。お前は極星には宿命があるのだ。トップアイドルになるまではその涙は使い切るでない」

伊織「う、うん」

サウザー「伊織よ。俺がいなくなっても強く逞しくアイドルとして頑張るのだ。俺はいつでもいつまでも応援しているぞ」ギュ

伊織「そんなことしたらまた泣くって何で分かんないわけ? すこしは学習しなさいよ」

サウザー「俺も辛いのだ」ギュ

伊織「もう、また。すこしは反省しなさいよね!」

サウザー「俺は省みぬ!! ではな」



終わり

はい、約二ヶ月お付き合いありがとうございました。無事完結できましたので次の次、誰をやるか決めます。
ちなみに次は雪歩とシン。よろしくお願いします

アミバ「私の出番はあるかな?」
ジャギ「それより、この北斗も南斗も使える俺をだな」

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