結城晴「メイドちょー」 東郷あい「ん?」 (55)


あい「……晴君。いまなんと言ったかね」

晴「なーあいさん」

あい(スルーかい)

晴「今日は暑いなー」

あい「…」ハア

あい「そうだね。久し振りにいい天気だ」

晴「うん。だからなんか冷たいもんが飲みたい」

あい「…」

晴「飲みたいなー」

あい「…」

晴「なーメイドちょー」

あい「また呼んだね」



*のんびりするような。それだけですので。


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あい「いいかい。私はメイド長などでは断じてない」

晴「じゃあそのメイド服はなんだよ」

あい「? メイド服だが」

晴「……メイドじゃん」

あい「うむ。メイドではある。しかしメイド長ではない」キリ

晴「違うのか?」


あい「自分で淹れるといい。お茶くらいなら冷蔵庫にあるだろう」

晴「うえー。めんどくせ」ゴロン

あい「ずぼらだね」

晴「なー。メイドなんだろー。頼むよー」

あい「…べつに君のメイドというわけではないんだがね…」ハア

晴(じゃあだれのメイドなんだ)


晴「…」モグモグ

晴「じゃあ、はい」

あい「…。これは?」

晴「ガムあげる」

あい「ほう。私を買収するつもりか」

晴「これで今だけオレのメイドになってくれー」ゴロゴロ

あい「…」

晴「? なんだよ」

あい「…い、いや。なんでもない」

あい(な、なかなか格好いい台詞を言うじゃないか)ドキドキ


あい「しかし、ガムなどで私を雇おうなどと……」

あい「む?」

晴「?」モグモグ

あい「……これはガムなのか」

晴「は?」

晴「…え、ひょっとしてあいさん、十円ガム食うのは初めてなのか?」

あい「…十円ガムというのか。うむ。ボトルガムなら食べることもあるが…」

あい「……」ツンツン

晴(興味津々だな)プクゥ

あい「おおっ」


あい「し、仕方ないな。ひ、ひとまずこれは頂こうか」ウム

晴「うん」モグモグ

あい「……」ペリペリ…

あい「…む。なんだいこれは」

晴「迷路?」

あい「……うむ…」スス

あい「…出口に繋がっていないじゃないか」

晴「……うん、まあ、大体そうかな…」

あい「……なんだ、そうなのか」ショボ

あい「…ふん、子ども騙しだな」ペイッ

晴(面白いなこの人)モグモグ


あい「?」スス…

あい「まだなにかあるのか……。アタリと書いてあるが」

晴「お。すげーじゃん。おめでとあいさん、もう一個もらえるよ」

あい「! な、なに。それは本当か」

晴「うん」

あい「ほ、ほおー。なかなか楽しませてくれるじゃないか、十円ガム…!」

晴「……」クチャクチャ

晴「まあ、買った人じゃないと交換できないけどね」

あい「なっ」ガーン

晴「…」クス

晴「オレが持ってるガムと換えてやるよ」ハイ

あい「…! あ、ありがとう」ドウモ

あい「……、ふふっ♪ 増えた♪」ニコ

晴(…可愛い…)クチャクチャ


パク


あい「…」モグ

あい「…む、ずいぶん…甘いガムなんだな…」モグモグ

晴「まあね」

あい「……」モグモグ

あい「ん」ゴクン

晴「?」

あい「……飲んでしまった」

晴「…ああ…甘いしな。オレもたまにやるよ」

あい「…………」

晴「? どうかした?」

あい「…あ、ああ、いや……君がさっきしていたように、膨らませてみたいと思っていたのだが…」ショボン

晴「……」モグモグ

晴「もう一個あるじゃん」

あい「…?」

あい「あっ、そう言えば、そうだったか。よ、よし。今度こそ…」ペリペリ

あい「……。く、また繋がっていないじゃないか!」ペイッ

晴(意外と子どもだな、この人)


あい「……」スス…

あい「……」ハズレ…

あい「…」

晴「…、いやまあ、大体そうだから…気にするなよ」

あい「う、うむ」

あい「よし。では…」ハム

あい「……」モグモグ

晴「……」モグモグ

あい「……」モグモグ

あい「晴君」

晴「ん?」

あい「…これはどうすれば膨らませることができるのかな」

晴「教えたらお茶淹れてくれるか?」ゴロン

あい「……、ふふっ」

あい「君はなかなか駆け引きが上手いようだ。いいだろう。今だけは私を好きに遣いたまえ」

晴「サンキュー」







P「ただいまー」ガチャ

P「…?」

あい「む」クチャクチャ

P「……」

あい「ああ、プロデューサー君かい。おかえり」モグ

P「…あ、は、はい」

あい「…?」クチャクチャ

P「…えっと、…あいさん、その、格好もですが、…」

あい「?」プクゥ

P「!」

P「な、なにかあったんですか!? そんなにやさぐれてしまって…」

あい「?? なんの話だい」クチャクチャ

晴「あいさんお茶まだー」

あい「おっと。いま持って行くよ、ご主人様」

P「!? 晴! お前あいさんになにかしたのか!」

晴「なんもしてねえよ」ゴロゴロ

あい(…おいしいなー…)モグモグ

ここまで書き溜めでした。

また書き溜めたら、そのうち。
ひたすらゆるーい話を書きたいと思います。


晴「メイドちょー」

あい「こら」パシ

晴「いて」

あい「私はメイド長ではないと言っているだろう」

晴「叩くことねえじゃん」モグモグ

あい「他の子が真似をしたらどうする」

晴(フラグだぞ、それ)


晴「メイドさん」

あい「うむ」

晴(メイドさんはオーケーなのか…)

晴「退屈でさ。サッカーでもしに行かね?」

あい「…」

あい「ほう。このメイドを公園に誘うとは——面白い」ニヤ ゴゴゴゴゴ…

晴「なんで微妙に悪役っぽい台詞なんだ?」


晴「というか」

あい「うむ」

晴「オレ、公園とは一言も言ってないけど」モグモグ

あい「……、……」

晴「行きたかったの?」

あい「…うん」コク

晴(可愛いじゃねえか)モグモグ


あい「こほん」

あい「しかしただでというわけにはいかないな。私はそれほど自分を安売りするようなメイドではないんだ」フフン

晴(この前十円ガムで買収された癖に…)プクゥ

あい「…」チラ

晴「……」モグモグ

あい「……」プイ

晴「……」モグモグ

晴「…」プクゥ

あい「! …」チラッチラッ

晴(またガムが食いたいだけか、この人)ヤッス


晴「……なあ」

あい「なにかな」

晴「…十円ガムなら、いまどきコンビニにだって売ってるぞ」モグモグ

あい「! えっ」

晴(知らなかったのか)

あい「……冗談はよしてくれ。まさかそんな…」ガクガク

晴(なんの話だ)クチャクチャ… プクゥ

あい「!」チラ

晴(面白ぇー)


あい「それは…いいことを聞いた。ふふっ。晴君、君にはなにかお礼をしなければならないな」

晴(大げさな)

晴「…ん、じゃあ」

あい「?」

晴「公園、付き合ってくれよ」

あい「…ふ」

あい「そういうことでは、仕方ないな。私の華麗なボレーシュートを魅せてあげよう」

晴「へえ。楽しみにしとくぜ」

あい「うむ」


あい「では早速行くとしよう」

晴「…」

晴「ちょい待ち」

あい「? な、なんだ晴君。善は急げだ。時間は待ってくれないぞ」ソワソワ

晴「…うん、まあ…そうかもしれないけど…まあ落ち着けって」

晴「いや…あのさ。あいさん、その格好で外出るの?」

あい「? うむ」キョトン

晴「……、その格好で、サッカーすんの?」

あい「なにか問題でも?」

晴「……いや…あいさんがいいなら、べつにオレはいいけどさ…」

あい「そうか。ではなにも問題はないな。行こうか」♪

晴「……」ハア

晴(人、いねえといいな…)


あい「行きがてらコンビニに寄ることにしよう」

晴「はいはい」クス

晴「…」

晴(うえっオレメイドさんとコンビニ行くのかよ! ハードル高ぇ!)

あい「? どうした」

晴「…あ、いや…」

あい「?」ニコニコ

晴「……」ハア

晴「なんでもねえ。行くか」

あい「そうしよう」

晴(…ま、人のファッションに口出すのは…野暮だよな)ハア

晴(……それに、あんな楽しそうな顔されたら——なんも言えねぇや)







ウィーン


「ありがとうございましたー」


あい「♪」ガサ

晴「…」

晴(やっぱ恥ずいもんは恥ずかった…)ハア

あい「?」

あい「どうした晴君。元気がないようだが」

晴「……」

晴「…」ハア

晴「そんなことねぇよ。…それよりアンタは、気楽そうでいいな」

あい「ふふっ♪ さて早速一つ食べようかなー」フンフーン

晴「聞いちゃいねぇ」


あい「あむ」パク

あい「…」ムグムグ

あい「ん…」プゥ…スカ…

あい「……っ…」プルプル…

晴「焦りすぎだろ。もうちょっとちゃんと噛め」

あい「う、うむ。分かった先生」

晴「先生違う」


あい「…………」ムグムグムグムグ…

晴「…」ペリペリ

あい「……」モグモグ…

晴「…」アーン

晴「…」モグモグ

あい「…………」モグモグ…

あい「うぷ」

晴「どした?」

あい「…噛みすぎて気持ち悪い…」ウプ

晴「不器用か」


あい「…」オエ…

あい「? 晴君、それは?」

晴「あん?」ペロ

晴「ああ。ガリガリクンだけど」ペロペロ

あい「……はあ。アイスキャンディーのようなものか」

晴「…まあアイスだよ。一口いるか? 気持ち悪いんだったら、すっきりするかもよ」ホラ

あい「あ、ありがとう」ソーッ

晴「なんで棒の受け取りにそんな慎重なんだ?」


あい「あむ」パク

あい「……」シャクシャク…

あい「……」シャク…

あい「…おいしい…」

晴「よかったな」

あい「うん」

あい「…っと、ごめんよ。お返しするよ」ハイ

晴「いいよべつに。食べたかったら、あいさんが食べろよ」

あい「……、いや。そういうわけにはいかない」

あい「君にはすでに、十円ガムという新しい世界を教えてくれた恩があるんだ。それに重ねてガリガリクンまで奢ってもらうなどと、それはもう返し切れない多大な——」ブツブツ

晴(長ぇ)

あい「だ、だから、これはその…」タリー

晴「……」

晴「あいさん」

あい「な、なんだね」

晴「よだれ」

あい「はっ!?」バッ

晴(可愛い)


あい「むむぐ」グイグイ

晴「メイドさんがメイド服の袖でよだれを拭うなよ」クスクス

あい「う、うるさいなあ。出てしまったものは仕方ないだろう」グイ

晴「そうだな」

晴「ほら。遠慮せず食えよ」

あい「う…し、しかし——ひゃうん!?」ビクッ

晴「」ビクッ

あい「……つ、つめた…」


ポタ


晴「…ああ、アイスが融け出したのか…なにかと思った」

あい「え、え?」オドオド

晴「ほらほら。早く食わないと融けちまうぞ。食べちまえ」

あい「あわわわ」ペロペロ

晴(そこでかじりつかずに舐めに行くんだな…)ハハ


あい「…ん」ペロ…

晴「食べ終わったか?」

あい「ふふ。えい」

晴「もが」

晴「…」シャク

あい「最後の一口くらいは君に譲ろう。おいしかったよ。ごちそうさま」ニコ

晴「…ああ。そりゃよかった」

あい「うん」

晴「……」ハア

晴「…あ、アタリだ…」

つづく。
同じくらいの分量で、もう一投下の予定。







晴「……はー! 疲れた!」パタッ

あい「そうだね…」ハア

晴「……」

あい「どうかしたかい?」

晴「…その格好で寝転ぶのはどうかな…」

あい「なに。だれも見ていやしないさ」

晴「……」

晴「あ、そ」ゼェ

あい「うむ」


あい「ふふ。なんだい、晴君は私の下着に興味があるのかな」

晴(なんでそうなる)

晴「……そりゃまあ…」

あい「え、あるの」

晴「いや、変な意味じゃないぞ」

あい「ほうほう」

晴「ふくろうか」

あい「違うよ?」

晴「なんでここだけ急に素になるんだよ」


晴「…いや…ほら。あいさん可愛いし、大人っぽいし」

晴「オレも一応…アイドルやるんだから、まあ、知ってて損はねぇかなってハナシ」

あい「……」

晴「? どうかしたか」

あい「……」フルフル

あい「なんでもないよ」フフッ

晴「そう?」

あい「うむ」


ザッ


あい「さて。ご主人様のために、なにか飲み物でも買って来るとしよう」

晴「お、サンキュー。でもオレ、ガムはもう持ってないぜ」

あい「む。私がいつだって子供のようにガムを欲しがるような言い方だな。心外だ」プクー

晴「はいはい。悪かったよ」クス

あい「…ふん…いいさ。今の私は機嫌がいいのだ」

晴(のだ?)

あい「行って来るよ。ジュースの方がいいかな」

晴「なんでも」

あい「承った。では少し待っていたまえ」

晴「おう」


あい「はい」

晴「サンキュー。…お、コーラかー。いいチョイスじゃん」パキ

あい「それはよかった」フフ

晴「…あいさんのは?」

あい「ビックル」パキ

晴「買ってるやつ初めて見た」ゴク

あい「えっ」オイシイノニ…


晴「…」ゴクゴク

晴「…にしてもさ」プハー

あい「うん?」チビチビ

晴「あいさんって運動できないんだな」

あい「……」チビ…

晴「ボレーはまた今度か」ハハ

あい「う、うむ。いきなり披露しては、た、楽しみが減じるだろう? つまりそういうことだよ」フ、フ

晴「そーだなー」


あい「…その…」

晴「ん?」ゴクゴク

あい「……幻滅したかい?」

晴「……」ゴク

晴「…どうでもいいけど」

あい「?」

晴「三角座りだとパンツ丸見えなんだけど」

あい「見せているのだよ」

晴「ただの変態じゃねえか」ポコ

あい「いたいっ」


晴「……幻滅ねぇ」ゴク…

晴「べつに…いんじゃね? 下手くそなら練習すればいいじゃん」

あい「…」

晴「そうだよ。だからまたオレとサッカーしよう。そうしよう」ウンウン

あい「……」

あい「ふっ」

あい「晴君、君は……格好いいね。全く」

晴「アンタに言われちゃ嫌味みたいなもんだ」ハハ







あい「そろそろ戻ろうか」

晴「おう」

晴「…あいさん、今日はありがとな。楽しかったよ」

あい「ふふ。とんでもない。こちらこそ」

あい「それに私は晴君のメイドだからね。ご主人様に付き従うのは当然だよ」ニコ

晴「…あれ? でも一番初めに、だれかべつの主人がいるようなこと、言ってなかったっけ」

あい「あれは照れ隠しだよ」

晴「なんだそれ」オイ


晴「…ま、なんでもいいや」

あい「そうだね」

晴「帰るか」

あい「そうしよう」

晴「またコンビニ寄ってく?」

あい「……」

あい「うむ。晴君が行きたいと言うならば仕方ないな。お伴しよう」

晴「…はいはい」

晴「あ、そうだ。さっき当たったから、ガリガリクンもう一本もらえるぞ」

あい「なにっ!?」


・・・おわり

ほのぼのみたいなのしか書けんやで。オチもないような話ですまんな。

あいさん可愛い結婚してください。

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