【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 2【ダンガンロンパ】 (911)

あー、あー、
書き込みテスト、書き込みテスト………


※このSSにはダンガンロンパの壮大なネタバレが含まれています。
 読む前にゲームを先にプレイすることを推奨します。
 このSSによるネタバレ被害の苦情は一切受け付けません。予めご了承願います。
















































前スレ
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!【ダンガンロンパ】
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…………
………
……

  現在15日目 

  学級裁判回数:3

―絶望指数――


・苗木誠<超高校級の幸運>

絶望指数
★★★★★★☆☆


・石丸清多夏<死亡>

絶望指数
★★★★★


・十神白夜<死亡>

絶望指数
★★★★★★★


・大和田紋土<死亡>

絶望指数
★★★


・桑田怜恩<超高校級の野球選手>

絶望指数
★★★☆


・山田一二三<死亡>

絶望指数
★★★★★


・葉隠康比呂<死亡>

絶望指数
★★


・舞園さやか<超高校級のアイドル>

絶望指数
★★★★★★★★★




・霧切響子<超高校級の探偵>

絶望指数
★★★★★★★★★☆


・朝比奈葵<死亡> 

絶望指数
★★★★★


・腐川冬子<超高校級の文学少女>&ジェノサイダー翔<超高校級の殺人鬼>

絶望指数
★★


・大神さくら<超高校級の格闘家>

絶望指数
★★★★★★★★☆


・セレスティア・ルーデンベルク<超高校級のギャンブラー>

絶望指数
★★★★☆☆


・江ノ島盾子<超高校級のギャル>

絶望指数
★★★★★★★★★★


・不二咲千尋<超高校級のプログラマー>

絶望指数
★★★★☆


・戦刃むくろ<死亡>

絶望指数
★★★★★★★★


――――――――――――

  生き残りメンバー

   残り9人


 15日目、夜

…………
………
……

校舎四階施設、音楽室、職員室、化学室を開放。
学園長室、情報処理室は続けて閉鎖。通常手段では入ることができない。

生徒たちは調査結果を報告し合っているが、度重なる学級裁判にて疲労が蓄積している模様。

監視カメラによる映像確認に移る。


《食堂》

桑田「さやかちゃん、大丈夫か?」

舞園「私は……すみません。それより、江ノ島さんと腐川さんが……」

腐川「…………」

江ノ島「アタシはまあ……いい。姉ちゃんあんなわけわかんない仕事だったし。軍人だし」

江ノ島「まあ、いついなくなってもおかしくない感じの人だったし。ぶっちゃけ」

大神「強がらなくても良い。肉親を失ったのだ。素直に泣いた方がよい」

江ノ島「……なんでだろうね。泣けないんだよね」

江ノ島「だからアタシのことはいいし。それよりネクラ眼鏡は大丈夫なワケ?」

腐川「だ、誰がネクラ眼鏡よ……!」

腐川「きぃぃぃぃぃ! し、知らない間に裁判終わってるし……! 白夜様を殺したのはだだだ、誰だったの?」

桑田「そういえばずっと気絶してたんだよな、こいつ」

苗木「えっと……葉隠クンだったわけだけど」

腐川「む、無残な死に方をしたんでしょうね……!?」

苗木「ふ、腐川さん……さすがにそれは」

不二咲「ダ、ダメだよ。もう、人の死を望むようなことは」

不二咲「そんなのゼッタイダメだよ……! 腐川さん」

不二咲「大変だと思う。しんどくて、つらくって、逃げ出したくって、全部が疑わしく見えるかもしれないけど」

不二咲「でも、ボクたちは仲間なんだ……! これ以上、黒幕の思惑通りにはさせない!」

苗木「……不二咲クン、本当に強くなったね」

腐川「そそそそ、そんなこと言って……! 本当は私を殺したいんでしょ?」

腐川「殺すために、そっそそ、そんな甘い言葉に……!」

苗木「不二咲クンの言っていることは、甘いのかもしれない」

苗木「けど、ボクもその言葉を信じるよ。だから腐川さん」

苗木「一緒に、頑張ろう?」

腐川「…………!」



セレス「では、夕食会も兼ねて、報告会と行きましょう。時間は有限ですわ」

江ノ島「ごめん、ご飯はパスしていい?」

セレス「どうぞ。江ノ島さんは捜索に参加しましたわよね?」

江ノ島「なんも考えたくなかったからね……」

江ノ島「職員室があったんですけど。なんか、やたら悪趣味な花が机の上に並んでいたんですけど」

江ノ島「んで。こんなのが落ちていたってワケ」

(江ノ島は一枚の写真を一堂に見せた)

苗木「これは……戦刃さんに山田クン、葉隠クン?」

舞園「なんか、わやくちゃな三人ですね」

苗木「ボクが前に見つけた、大和田クン、石丸クンに朝日奈さんが写ってたのと同じ……」

苗木「鉄板のない、明るい教室……屈託のない笑顔……」

江ノ島「……ま、まあニセモノだとは思うんだけどさ……」

苗木「…………」

セレス「モノクマの嫌がらせでしょう。気にしていたらキリがありませんわ」

大神「では次に参ろう。化学室があったな。良質なプロテインやサプリメントが揃っていた」

大神「それに、人が死ぬような劇薬もな」

苗木「げきっ……!?」

大神「毒物もあるということだ。あまり考えたくはないがな」

桑田「音楽室のホールはすっげーよかったぜ!」

桑田「ああいうステージで歌えたら気持ちいいだろうなあ」

舞園「観客がいれば、の話ですよ」

舞園「お客様は大事です。ファンがいてこその音楽グループなんですよ」

桑田「うんうん。やっぱさやかちゃんの言葉は違うな! なあなあ、いつか一緒にデュエットしようぜ!」

舞園「え、ええ。外に出られたらいくらでも」

桑田「イヤッホォー!」

苗木「あはは……ボクは学園長室に何とか入れないか試してみたけど」

苗木「無理だったな……扉の破壊は校則違反だし……」

不二咲「情報処理室も同じだよ……鍵は開いてなかった」

不二咲「でも、ファンや機械の音がしていたから、中で何かが動いているとは思う」

セレス「それは、中でモノクマや監視カメラを動かしているということですか?」

不二咲「かもしれないけど、中に入れないからね……」

舞園「断言は危険ですね。慎重に行きましょう」

腐川「わ、わかっていたけど……やっぱり手がかりはないんじゃない……!」

苗木「というより……謎は深まっているような……」

霧切「…………」

苗木「霧切さんはどう? 何か分かった?」


霧切「……わからないわ。何も」

舞園「…………」

霧切「わかるのは、黒幕はあと最低一回は殺人を求めている。それだけね」

苗木「え!?」

大神「どういう意味だ?」

セレス「それは、もしかして。階段の柵のことを言っているのですか?」

霧切「そう。校舎は最低五階以上あることが分かったわ」

霧切「外見のままで正しいなら、五階で終わりのはずよ」

苗木「そうだね。ボクが外から見た希望ヶ峰学園も、確かに五階建てだったよ」

霧切「それと、みんな忘れているかもしれないけど。寄宿舎の二階も解放されていないわ」

大神「確かに、そうだったな」

江ノ島「つまり……どういうこと?」

セレス「殺人が起きなければ、またモノクマから『動機』の提示が行われるのでしょうね」

桑田「マジかよ……またあんなこと起きるのかよ?」

霧切「その可能性は、気を付けていた方がいいと思うわ」

セレス「では、その前にわたくし達でできる不穏分子の排除とまいりましょう」

苗木「ふ、不穏分子?」

セレス「霧切さん。そろそろ教えてくださってもいいのではないでしょうか」

セレス「あなたの<才能>を」

霧切「…………」

苗木「ちょ、ちょっと待ってセレスさん! なんで今頃?」

セレス「ふぅ。よろしいですか?」

セレス「今日の裁判でわたくし達は『戦刃むくろが内通者である可能性』について気付かされました」

セレス「ですがそれは同時に、まだこの中に『内通者』がいる可能性は残っているということです」

セレス「その中で、才能を明かそうとしない人物が一人いる。しかもやたらに頭のまわるような人が」

セレス「目をつぶっておくには、限界があると思うのですが?」

大神「仲間割れは黒幕の思うつぼではないか?」

セレス「あら、大神さんは気にならないのですか?」

セレス「霧切さんの<才能>について」

大神「気にならないと言えば嘘になるであろう。だがこのような糾弾するみたいなやり方は感心せぬ」

不二咲「そうだよ……! まるで、魔女狩りみたいだ」

苗木「そうだ。ボク達は仲間じゃないか!」

セレス「だからこそ目をつぶることができないと思うのですが」

桑田「確かに気にはなるよなあ……ミステリアスっていうのも悪くないけど」

腐川「う、後ろめたいことがあるなら言えばいいだけの話なんじゃないの?」

霧切「…………」



セレス「…………」

セレス「舞園さんはどう思いますか? あなたはずいぶん早い段階から戦刃さんを『内通者』であると」

セレス「警戒していましたわ。ですからあなたに問いましょう」

セレス「この問題をどうするのか」

舞園「…………」

苗木「舞園さん……」

舞園「……どうだっていいんじゃないでしょうか」

セレス「……は?」

舞園「私はこう考えます。『黒幕の手先だろうがなんだろうが、仲間であることには変わりない』」

舞園「『みんなで青空を見たい』そのみんなには、勿論死んだ人たちや霧切さんも含まれています」

舞園「今の私の願いは、それだけです。それを霧切さんが邪魔をするようならば全力で抵抗しますし」

舞園「しないならば放っておけばいい。素性に関係なく、行動で決めるべきだと思います」

セレス「………。行動されてからでは遅いのでは?」

舞園「戦刃さんのように現場に細工したなどということがない限り」

舞園「怪しいからという理由だけで行動を制限するわけにはいかないと思います」

セレス「…………」

セレス「では、あなた個人の印象だけを聞かせてください」

セレス「霧切さんは、『内通者』でしょうか?」

霧切「…………」

全員「…………」

舞園「――――」

舞園「――違います。断言しても構いません」

舞園「霧切さんは、間違いなく私たちの仲間です」

苗木「……ほっ……よ、よかった……」

苗木「舞園さんがそう言ってくれて。本当に、そうだ」

苗木「霧切さん!」

苗木「これからもよろしく!」

(苗木が霧切の手を握る。霧切は戸惑っているようだ)

セレス「…………」

桑田「いや、さすがっ! やっぱさやかちゃんってアイドルグループのリーダーだもんな」

桑田「まるで水戸黄門的な、いやすっげーいい感じでよかった!!」

舞園「そう、でしょうか?」

不二咲「うん。ぼくもあれで良かったと思う」

大神「我もそう思う。限りなく最善に近い判断だったと思うぞ」

腐川「きぃぃぃぃぃ!! あ、怪しいのに……あからさまに怪しいのに……!」

江ノ島「言っとくけどさ、アンタも大概だからね? 殺人鬼とかさぁ」

腐川「あ、あいつの話はしないでよ……!」


 ぴんぽんぱんぽーん

『夜十時になりました。ただいまより、夜時間になります。
 ではでは、いい夢を……おやすみなさい……』


苗木「もう、夜時間か」

桑田「もう寝ようぜ。さすがに疲れたしよぉ」

大神「そうだな。明日もいろいろとやるべきことがあろう」

セレス「…………」



 15日目、深夜


《舞園の部屋》

 ぴんぽーん

舞園「はい」

セレス『わたくしです。よろしいですか?』

舞園「どうぞ」

セレス「今日は色々ありましたわね」

舞園「そうですね。それで?」

セレス「舞園さん。夕食会でのあなたの言動は素晴らしいと思いました」

セレス「改めて、申し上げます。わたくしはあなたに賭けてみようかと思います」

舞園「そんなにたいしたこと……言いましたか?」

セレス「あら? もしかしてワザとではなく天然でしたか?」

セレス「あなたは最初、わたくしの質問に明言を避けましたわね」

セレス「そのうえで、牽制も交えつつ『仲間』であることを強調し、奇妙な動きをしないように圧力をかけ」

セレス「さらに、あの場のほとんどの人間の心を自分の側に持ってくることに成功しました」

セレス「あの場の不確かな手札のみで糾弾するより、場の空気を自分のものへと塗り替える」

セレス「あなたはギャンブルにも強いかもしれませんわね」

舞園「…………」

セレス「あら? 褒めているつもりだったのですが、お気に召しませんでしたか?」

舞園「褒めてくれていたんですよね?」

セレス「そうですわ。あなたを敵に回したくないと、そう思えるぐらいには素晴らしい人心掌握でした」

舞園「どうしてそう、私は物騒な人物に思われているんですかね?」

舞園「霧切さんにも同じことを言われました」

セレス「そうなのですか? 今現在、あなたがた二人は敵対関係にある、と?」


舞園「ふう。……セレスさんが気に入るかはわかりませんが、ローズヒップティーでも淹れますね」

舞園「組んでくれると言ってくれた『仲間』に対して、お茶の一杯でも出さないと」

舞園「ついでに、私の情報もある程度教えますね」

セレス「ある程度、ですか」

セレス「ふふふ。やはり一筋縄ではいかない方のようですわね」

舞園「言葉のあやですよ。あまりこういう駆け引きは好きじゃないんです」

セレス「好き嫌いと得意分野は重ならないようですわね」

セレス「こちらも情報を提供しますわ。霧切さんの<才能>に関して、一つの予測を立ててみましたの」

舞園「…………」

舞園「セレスさん。やっぱり場所を移動しましょうか」

セレス「あら? 構いませんが、そこは密談に適している場所なのですか?」

舞園「セレスさんのほかにも、もう一人協力してもらいたい人と話をしてるんですよ」

舞園「その人の部屋の方が二度手間を省けていいかなと思って」

セレス「……それは、誰ですの?」

舞園「不二咲くんです。ついでにこれを持っていくのを手伝ってください」

(シャワールームを開ける舞園)

セレス「これは……! なるほど……確かにこれを生かせるのは、不二咲くんしかいないでしょうね」

セレス「不自然なまでに裁判にも積極的になっていたとは思いましたが……」

セレス「それも、あなたの仕業ですか?」

舞園「…………」



《不二咲の部屋》

 ぴんぽーん

不二咲「はい?」

舞園『私です。舞園です』

不二咲「えっと……そのぉ……」

セレス『わたくしも一緒ですわ。開けてくださいまし』

不二咲「……うん。わかったよ」

(扉を開ける)

不二咲「うわっ!!? え? なにこれ? え?」

舞園「不二咲くん、中に入れてください」

不二咲「だ、大丈夫? それ?」

セレス「女性にこんな重いものを持たせる気ですか?」

不二咲「と、とりあえず中に……」

不二咲「そっか。舞園さんが言ってた……」

舞園「そう。私はモノクマさんととある『約束』をして」

舞園「ようやく手に入れたんです。頑張ったんですよ?」


不二咲「うん。予め聞いてはいたけど……見るとやっぱりびっくりするね」

不二咲「そのモノクマ」

セレス「今はただのぬいぐるみですわ。ですが、この構造を明らかにできれば、大きなアドバンテージとなるでしょう」

不二咲「あの、それで……どうしてセレスさんも?」

舞園「私が話しました。二人だけでは出来ないことが起きた時の為に」

不二咲「そ、そっか。大変だね」

舞園「爆薬は抜いてもらうように言いましたが、モノクマさんがそのあたりを守るかはわからないので」

舞園「不二咲くんには、かなり危険なことをしてもらうことになりますが」

不二咲「でも、これぼくの部屋でいいの? 監視カメラがあるし……」

セレス「既に黒幕はこのことを知っています。残念ながら、まだ黒幕の掌の上なのですわ」

舞園「この程度は大したことないという余裕の表れ……なんですかね」

セレス「それより、不穏分子は排除されているわけではありません」

セレス「生徒が邪魔をする可能性の方を考えるべきです」

不二咲「え? どういうこと?」

セレス「まだ『内通者』が残っているかもしれませんから」

不二咲「そ、それって……霧切さんのこと?」

舞園「いえ。そうですね」

舞園「例えば家族を人質に取られている人がいるとします」

舞園「その人は、人殺しは躊躇っても、このぬいぐるみ状態のモノクマさんを壊すことに関しては」

舞園「躊躇しないんじゃないか。そういうことです」

不二咲「そっか……黒幕から見たら大したことのない情報しか入ってないとしても」

不二咲「黒幕の不利になるかもしれない。それを阻止することで」

不二咲「少しでも黒幕に良く思われて、何とか先延ばしにしようとする人が出るかもしれない……」

セレス「理解が早くて助かりますわ。ずいぶん成長しましたわね」

セレス「舞園さん、あなたの調教の仕方を教えてくださいな」

セレス「ナイトの教育に転用させていただこうかと思います」

舞園「ちょ、調教って……ナ、ナイト?」

不二咲「あはは。包丁持った舞園さんに、ベッドに押し倒されただけだよ」

舞園「不二咲くん!?」

セレス「あらあら、過激ですわね。『氷の微笑』を思い出します」

セレス「あちらはアイスピックでしたが」

舞園「ちょ、そういうことじゃなくって!」

不二咲「あれ? ぼく、何か変なこと言った?」

舞園「セ、セレスさんが変な方向に持っていこうとしてるんです!」

セレス「うふふ。うぶですわね。アイドルというからにはもっとすれているのかと思いましたが」

セレス「不二咲くん、わかってますか? 仮にも男と女が、ベッドで、女側から押し倒されたのですよ?」

セレス「包丁を持って」

不二咲「……あ」

舞園「や、止めてください! そっちに持っていかないでください! 不二咲くんも、赤くならないでください!!」


舞園「それで! えっと。そう。セレスさんからも情報があると聞きましたけど」

セレス「そうですわね。不二咲くんなら話して大丈夫でしょう」

セレス「霧切さんの<才能>について、一つの仮説を立ててみました。聞いてくださいますか?」

不二咲「うん。……気にならないっていうのは、やっぱりウソになるしね」

舞園「私が以前に訊いたときは……言えないという答えでしたね。言わないではなく、言えないと」

セレス「なるほど……この仮説の補強材料となりそうです」

セレス「お二方は、違和感を感じませんか?」

舞園「違和感?」

不二咲「えっと。何に?」

セレス「それが普通の反応だと思います。ですが霧切さんは以前にわたくしにそう訊いてきたことがあるのです」

セレス「『違和感を感じないか?』と。霧切さんにとっては、違和感というワードだけですぐにそれとわかるような」

セレス「そんな、当然のことを聞いているように思えました」

不二咲「んん……それが、<才能>と……どう関係があるの?」

セレス「一度、一人、わたくしから『違和感』というワードを使って尋ねてみたことがあります」

セレス「相手は江ノ島さんです。『違和感を感じないか』という問いに」

セレス「彼女はこう答えました。『何か大事なことを忘れている気がする』と」

舞園「それって……まさか」

不二咲「自分の<才能>を忘れちゃってる、ってこと?」

舞園「そんな話が……あるんですか?」

セレス「今は常識を置いておきましょう」

セレス「言わないのではなく言えないと答えたことも、これなら頷けるのではないですか?」

不二咲「そりゃあ……忘れているとしたら、当然だよね」

セレス「さらに言うなら、例の写真の件もあります」

舞園「あれも、ただの嫌がらせじゃなくて……」

不二咲「そ、それって……もしかして、ぼくたち全員が」

セレス「一度出会っているのかもしれません……この入学前に」

舞園「さ、さすがに……それは……」

舞園「い、いえ。今は常識を置いておくんでしたね」

不二咲「でもそれなら、霧切さんと江ノ島さんだけ、違和感を感じたんだろう?」

不二咲「霧切さんは<才能>を忘れているなら、江ノ島さんは何を忘れているの?」

セレス「……さすがに、仮説というには極端すぎるとは思います」

セレス「わたくし達はともかく、霧切さんに記憶の障害が起こっている可能性は」

セレス「あくまで可能性の一つとして考えていただきたいのです」

舞園「でももし、記憶を消してまでコロシアイをさせたとしたなら」

舞園「黒幕を許せない理由が一つ、増えましたね」

不二咲「……も、もし……ぼくらが以前からの知り合いだったとしたら……?」

不二咲「そんなのって、ないよ……!」

セレス「……今日は解散しましょう。不二咲くん、このモノクマの解析の方、お願いします」

不二咲「うん。わかった。頑張るよ」

えー、自由時間は夜時間過ぎ位に投下していこうと思います。

舞園さんとセレスさんじゃ不穏な空気しかないけど、ちーたんが入るとほんわかになる!
ちーたんはやっぱり天使!

そういえば、もしモノクマが爆発してちーたんが死んだら、持ち込んだ舞園さんがクロになるんかな

直接関係ないけど、賞金?のキャリーオーバーの件で

そろそろ焦らせるために一日経過するごとに減らしてもいいと思う

…みんな、変なこと言ってごめんよ…僕みたいなクズの考えは流してもらっても構わないからね

>>25
モノクマ「フレキシブルに対応させていただきます!」

>>26
提案はすごくうれしい、ありがとう!
タイミングがちょっと遅かったかな。唯一それが動機になるセレスさんは、
既に舞園さんに乗って黒幕の財産すべてを奪おうとしていやがるのです。

よくよく考えると酷い発想だ……

今の時点ではゲームで言うと三章が終わったとこなのだよ諸君
まずはじっくり観察していこうじゃないか

(舞園さんが覚醒しすぎててぼっちさんをどう動かすかが思いつかないなんて言えない)

色々案がありそうですが、前スレで安価していたので、それを投下していきたいと思います

 16日目、朝

《倉庫》


江ノ島「はあ……だりぃ」

腐川「なな、な、な、なんであんたがここにいるのよ……!」

江ノ島「それマジでアタシのセリフなんですけどぉ? なんでここに来たわけ?」

腐川「どどど、どうだっていいじゃない……!」

腐川「きぃぃぃ! よ、よりにもよってこんなド低能と一緒の空間にいるなんて……!」

江ノ島「ド低能……って、アタシのこと……? そこまで言う?」

腐川「へっくし!」

江ノ島「あ」

ジェノ「ご指名入りましたぁぁぁ!!! ジェ・ノ・サ・イ・ダー!」

ジェノ「ってかびゃっくん殺したのどこの誰だごらぁぁぁぁ!!?」

江ノ島「いや処刑されたし」

ジェノ「くっそ殺られる前に殺っときゃよかった」

ジェノ「あんな首吊りなんてだっせぇ死に方じゃなく、もっと芸術!」

ジェノ「そう芸術的な死に方が! びゃっくんには相応しかったのにぃぃぃ!!!」

江ノ島「ああ……はいはい……」

ジェノ「ああ、マジで絶望だわぁ……あいつらの言うことわかるわ……」

江ノ島「あいつらって誰よ?」

ジェノ「へっくし!」

腐川「え? え? 私またあいつを?」

江ノ島「はあ」

江ノ島「アホらし……付き合ってんのバカみたいじゃんか」

江ノ島「飽きてきたなぁ……この生活……」

江ノ島「ホンット残念すぎる姉ちゃんだわ……勝手に死んでんじゃねーよ」

江ノ島「はあ……退屈……」



 16日目、昼

《食堂》


セレス「あら、苗木くん。ちょうどよかったですわ」

苗木「えっと……何が?」

セレス「わたくし、ミルクティーが飲みたかったところですの」

苗木「い!?」

苗木「え、えっと。ロイヤルミルクティーだっけ」

セレス「あら、分かっておられるようで助かりますわ」

セレス「ではお願いします」

苗木「い、いやボク淹れ方しらな」

セレス「いいから早く持って来いやこのビチグソがあああ!!」

苗木「は、はい!!」

(厨房に引っこむ苗木。しばらくしてカップをソーサーにおいて持ってくる)

苗木「えっと。これでいいかな?」

セレス「あら。Dランクにしては中々の手際ではないですか」

苗木「Dランク……?」

セレス「わたくし、周りの方をランク付けする癖がありますの」

苗木「そ、そうなんだ」

セレス「本来であれば、あなたのような凡人を相手にするなどわたくしのプライドが許さないのですが」

セレス「何事にも妥協は必要ですわ。話し相手にさせてあげましょう」

苗木「それは構わないけど……」

セレス「それにしても、あなたは役に立ちませんわね」

苗木「う。まあ……みんなと比べると役に立ってないよね」

セレス「あなたはどうも、人が良すぎるようですわね」

セレス「昔からそうなのですか?」

苗木「まあ、そうだね。人が嫌がることを体よく押し付けられる感じかな」

苗木「別にいいんだけどね。損するわけでもないし」

セレス「あら? 他者の為に自分にとって無益な労働をするのは損ではない、と?」

苗木「損得で生きていくのってどうかなって思うだけだけど……」

セレス「…………」

セレス「わたくしは、あなたが言ったようにギャンブラーです」

セレス「どこまでいけば自分の益になり、これ以上進むと破滅するか」

セレス「それを見定めなければ自分が死にます。わたくしの行ってきたギャンブルは、命や人生を懸けることがほとんどでした」

苗木「そ、そうなんだ。すごいね」

セレス「そんなわたくしから、ありがたいアドバイスを与えましょう」

セレス「この学園生活において、大事なことを」


苗木「えっと。適応力の話?」

セレス「いえ。もっと、根本的なことです」

セレス「いつ裏切るかもしれない他者と共同生活する上で、最も大事なこと」

セレス「それは自分のみを信じることです。自分ひとりの力で生きる力を身に着けることです」

セレス「いざという時に、誰かに頼るのではなく、自分ひとりの力で切り開いていく」

セレス「それが出来ない人間に、協力する者はいません」

セレス「それは、最低限の能力なのです。それがない人間に協力関係は結べません」

苗木「……耳の痛い、話だね」

セレス「そうですわね。破格のアドバイスですわ。わたくしにとっては」

苗木「じゃあ……そのアドバイスも、セレスさんの得になったりするの?」

セレス「やはり、あなたは凡人にしては呑み込みが早いですわ」

セレス「今のアドバイスは、好意として受け止めてくださいな」

セレス「役に立つかどうかわからずとも、布石を打つ。それが出来なければ勝負には勝てません」

苗木「えっと、聞いてもいいかな。ボクが布石になるかもしれない勝負って、何?」

セレス「…………」

セレス「ちっ。役立たずが」

苗木「え?」

セレス「あなたは役立たずであることが判明したので、これ以上お話することはありませんわ」

セレス「では、ごきげんよう」

(セレスが食堂をでる)

苗木「うーん……セレスさんはわからないな……」

苗木「大事なことを言ってくれてたっぽいけど、肝心のことがわからないんだよな……」

苗木「うーん……」

苗木「一人で生き抜く力……か」

 16日目、夜

《不二咲の部屋》


舞園「どうですか? モノクマさんの解析の方は」

不二咲「ううん……ごめん。ちょっと、言えない」

舞園「……どういうことですか?」

不二咲「ぼくの中で、確証を得られるまで話したくないんだ。必ず話すけど、でも、ちょっと待ってほしいんだ」

舞園「そうですか。わかりました」

(しばらく不二咲の作業が続く)

不二咲「……舞園さんってさ」

舞園「はい」

不二咲「その……これを聞いていいのか、わかんないんだけど……」

不二咲「このモノクマ……どうやって、手に入れたの?」

舞園「聞いてどうするんですか? 手に入った結果がある、それだけでいいじゃないですか」

不二咲「……舞園さんって、すごいと思う」

不二咲「けど……ぼくに包丁を持ってきた日から……」

不二咲「すごく、怖い目をするようになった気がするんだ」

不二咲「確か、あの日は……DVDを見せられた日だったよね?」

舞園「不二咲くん」

舞園「それ以上は、言っちゃダメですよ?」

舞園「女の子は怒らせると、怖いんです。とっても」

不二咲「ぼくは、舞園さんだけがそうなんじゃないかなって思うんだけどな……」

舞園「はい?」

不二咲「ううん。……あのね」

舞園「はい」

不二咲「このこと、苗木くんには話してもいいと思うんだ」

舞園「…………」

不二咲「このモノクマのこととか。確かに、人質の話とかは納得できたし、そうだなって思ったけど」

不二咲「でも、舞園さんを支えられるのって……苗木くんしかいないんじゃないかって思うんだ」

不二咲「同じ中学なんだよね? 舞園さんも苗木くんのこと覚えてたり、前に苗木くんから聞いて、羨ましいなあって思ったんだ」

不二咲「苗木くんなら、きっと力になってくれると」

舞園「必要ないですよ」

不二咲「え?」

舞園「苗木くんは、必要ないですよ」

舞園「知らない方がいいぐらいに働くこともあると思うんです。だから」

不二咲「うん。わかったよ」

舞園「……え?」

不二咲「言ってみただけだから。舞園さんがそう思うなら、ぼくは無理にそうしようとは思わないよ」

不二咲「今は苗木くんに出来ることって、あんまりないだろうし……危ないもんね」

舞園「……そうですね」

舞園「本当に、そうですね」


 17日目、朝

《校舎二階、廊下》


大神「む。霧切か」

霧切「朝から、トレーニング?」

大神「一日でも欠かすと、三日分は衰える。鍛錬とはそうしたものだ」

霧切「そう」

大神「おぬしは、皆の中に入ろうとは思わぬのか?」

霧切「……何の話?」

大神「おぬしは一人で動いておる。それが皆の和を乱している面に関しては否定できぬであろう」

大神「和は大事だ。一人でできることにも限界はあろう?」

大神「我はもっと頼ってほしいのだ……朝日奈の異変に気付かず、戦刃の死を止められなかった我の言う言葉では、信用できぬかもしれぬ」

霧切「…………」

大神「だが、今は力を合わせる時ではないのか? 我は確かに未熟だ。しかしそれを補えるほどの仲間がいる」

大神「我はそう信じている。おぬしはどうだ?」

大神「このまま一人でやっていくのか?」

霧切「…………」

霧切「みんなが受け入れてくれるとは思えないわ」

大神「そう思うならば、我が受け入れさせよう」

霧切「言い換えるわ。私が受け入れられない人がいる」

大神「……それは誰だ?」

霧切「言うつもりはないわ。信じないだろうし」

大神「何故おぬしは諦めるのだ……!」

大神「やろうとする前に、理由をつけて諦めるのだ?」

霧切「……どうだっていいじゃない」

霧切「私が受け入れられない人は、大神さんじゃない。それだけは言っておくけど」

霧切「みんな仲良くなんて信じていないの。それだけ」

霧切「ただ、大神さんの気持ちは……ありがたく受け取っておくわ」

霧切「その気配りを、他の人たちに向けてあげて」

大神「…………」

大神「おぬしは、自分を責めているのか?」

霧切「…………」

霧切「そうだと言ったら、自分と重ね合わせて、仲間に引き込むの?」

霧切「私には……仲間の資格なんてないわ。それだけなのよ」

(霧切が立ち去る)

大神「…………」

大神「朝日奈よ、おぬしならどう言っていた? どう心を溶かしていた?」

大神「我にはわからぬ……わからぬのだ」

…………
………
……

『イベント』を実行しますか?

1、はい
2、いいえ

>>60までの安価で多い方で

モノクマ「ちぇ、せっかく盆踊りイベントを企画したのになぁ」

>>75までの安価で多い方

江ノ島盾子の記憶を戻しますか?

1、はい
2、いいえ

2

戻さない、と。なるほどねぇ。なるほどなるほどなるほどなるほど。

安価は絶対だから従うけどね。いや困ったな。

次の『動機』が思いつかないや。一つ考えてるのは『卒業試験』にしようと思ってるんだけど
『動機』を飛ばして『卒業試験』にするかい? それとももう少し続ける?
ちなみに『卒業試験』には江ノ島盾子の記憶を戻すことが絶対の条件になる。

つまり、学級裁判をもう一度はさむか、もうこのまま卒業試験に行くかだね。EDに向かってまっしぐら。

学級裁判は次がラストだなぁ、人数的なもの考えて。

安価の形式にはせず、ここら辺はみんなの意見を聞いてみたいな。

あ、盆踊りイベントは勿論モノクマおんどです、はい。

『動機』がなぁ……裏切り者云々があまり使えない気がしてきたんだよね、このメンバーだと

それをどう導くかなんだよね。AI的に。

ストーリーを自由出来るわけじゃないんだ。どう罠を仕掛けるかなんだよね。

そうだね。少し、みんなが『動機』を考えてくれるのを待とうかな。

見てみていいアイデアがあったら、自分が安価でみんなにOKかどうか聞くよ。OKならば組み込んでいくね。
与えるのは『動機』であって、モノクマは生徒たちの動きを自由にできるわけじゃないのがポイントです。
『動機』を与えても、生徒たちが思うとおりに動くとは限りません。

では少し離れます。また後ほど

(ぴょーい)

盆踊りイベントは、再安価希望が多かったら考えてもいいです。

再安価でもダメならもうだめだけど……これ単なる嫌がらせイベだしね。太極拳やラジオ体操的な

もうちょっとみんなの意見を見たいから個別のレスはやめとくけど、
ネタバレしちゃうと、黒幕あてゲームが『卒業試験』になります。黒幕もプレイヤーなので、生死は問いません。

あと、空気清浄機他の施設の維持は、

・不正なAIの止まり方(ハッキングなど)
・AIが出す条件を満たす

で止まります。
後者の場合は前向きスイッチ(ゲームで苗木が押した扉開けるやつ)を押した場合が現在の条件です。

また、玄関を開けるには前向きスイッチしか方法はなく、そのシステムはAIとは独立しています。
なのでちーたんに限らずハッキングすることは実質不可能です。そういう設定です。

あと個人的な意見として、
舞園さんが頭いいってさんざん言われてるけど、セレスさんやちーたんも大概だと思うの

考えてなかった>>記憶を戻せるか否か
黒幕の記憶を戻せるのだから、他の生徒も可能ということにする

適当で済まない

偽の記憶は難しいんじゃないかな
2をプレイ済ならわかると思うけど、偽の記憶を植え付けるには、人格を真っ新にする必要があると思う。

あまりゲームの設定から外れたことはしたくないかな。

おお、寝ていた間になんか殺伐と……絶望だね!

コロシアイをしないと24時間以内に~は、ゼロですでに黒幕さんがそれっぽいことやっていて、
「ポップさに欠けるのよね」
とおっしゃっていたので……

記憶関連も褒美になり得るか?という疑問があるので
(忘れていることを思い出させてあげますとか言われてもぼっちさんぐらいしか希望する人いなさそう)

なので、やっぱり

『苗木くんが死んだ場合に限り、学級裁判を行わずに全員を卒業させる』

これをばらしちゃおうかと思います。この約束も安価で決まったことだしね。
詳細は前のスレ
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375180341/)
>>492~を参照してください。

これを次の『動機』にしますか?

いいえが多ければ再考します。

!!<重要安価>!!

1、はい
2、いいえ

>>140までで多い方。


あと折角なので『動機』の提示前に

>>141>>150

『盆踊りイベント』を実行しますか?

1、はい
2、いいえ


多い方で。

PS,関西圏なので一足先にアニメ見ましたが、セレスさんが生き生きとおしおきされて何よりです。

了解です。
じゃあつぎ盆踊りイベント安価です

2

あれ、もう決まったっぽいね。

じゃあ、16日目夜に盆踊りイベの後、
17日目朝に『動機』を発表という流れになります。ではまた後ほど
(ぴょーい)


 17日目、昼


モノクマ『あー、あー、皆さんにお知らせがあります』

モノクマ『とっても素敵なお知らせだよ! 至急体育館まで来てくださーい!』

モノクマ『急がないと、なくなるかもね? うぷぷぷぷ!』


苗木「また……また、なのか?」


《体育館》


大神「全員集合したようだな」

セレス「いい話ではないでしょうね。まったく」

全員「…………」

モノクマ「やあ、お待たせしました!」

(ぴょーい)

モノクマ「おやおや? 苦虫かと思ったら正露丸をかみつぶしたような顔をして、どうしたの?」

桑田「それ、マシになってねぇか?」

苗木「また、『動機』がどうのこうのって話か?」

モノクマ「違うよぉ。みんなにね、楽しんでもらおうと思って」

モノクマ「用意したの。じゃじゃーん!」

(服が大量に上から降ってくる)

江ノ島「これって……」

苗木「ゆ、浴衣?」

大神「何の真似だ?」

モノクマ「えっへん! えー、ここで、皆さんに宣言します」

モノクマ「第一回、希望ヶ峰学園盆踊り大会を開催します!」

苗木「……は?」

腐川「ぼ、ぼ、ぼ、盆踊りですって……!?」

霧切「どういうつもり?」

モノクマ「えーっと。みんななんか殺伐としてるよね」

桑田「誰のせいだと思ってんだこのアホ!」

モノクマ「それで、皆さんの交流を深めるために、盆踊りを企画したわけです」

モノクマ「今夜7時に体育館で開催します。よって、午後1時から7時まで、体育館へは立ち入り禁止となります」

モノクマ「みんな絶対参加だからね! 浴衣もちゃんと着てくるんだよ!!」

(ぴょーい)

全員「…………」

舞園「どういうつもり……なんですかね?」

江ノ島「言葉だけなら普通なんだけどね」

桑田「学校で盆踊りって普通か? 時期外れだしよぉ」

霧切「…………」


不二咲「で、でもさ、浴衣。いっぱい綺麗なのあるよ!」

セレス「わたくしはゴスロリしか着ない主義なのですが……」

舞園「あ、ありますよ。ゴスロリ浴衣」

苗木「そんなのあるの!?」

舞園「丈が短くて、レースの付いたタイプですね。私もイベントで着たことありますよ」

江ノ島「あ、マジだ。髪留めとかも結構いいのあるじゃん」

江ノ島「セレスもこれならいいんじゃない?」

セレス「そうですわね。たまにはいいでしょう」

大神「……我も浴衣を着るのか?」

舞園「サイズ大きいのも用意されてるみたいですね」

苗木「えっと……これ、罠とかじゃ……?」

霧切「7時からは気を抜けないでしょうね」

苗木「だよね。……男子も浴衣なの?」

桑田「苗木ー、こっちに男もんあんぞー」

不二咲「えっと……その……」

舞園「好きなのを着ればいいと思いますよ」

不二咲「え? どうしてわかったの?」

舞園「エスパーですから」

セレス「盆踊りイベントがどのようなものになるかはわかりませんが」

セレス「オシャレを楽しむぐらいのことはしてもいいでしょう」

腐川「わ、私も……着るわけ……?」

舞園「いいじゃないですか。ほら。腐川さんもオシャレしたらすっごく可愛くなりますよ!」

腐川「あ、アイドルに言われると、い、嫌味にしか聞こえないのよ……!」

江ノ島「折角だしさ、女子はみんなで着替えっこしない!?」

舞園「あ、それいいですね! せっかくきれいな浴衣がいっぱいあるんですし!」

桑田「き、着替えっこ……!」

不二咲「ぼ、ぼくは……この浴衣を着ていくからいいよ」

(白地に緑の幾何学模様の浴衣を取る不二咲。女物だった)

舞園「全員着替え終わった後なら男子も入ってきてかまいませんよ。ねえ皆さん?」

江ノ島「まあ、いいんじゃない? 不二咲だし」

腐川「い、いやらしい目で見ないでしょうね……?」

桑田「被害妄想は相変わらずだな……」

霧切「私は」

舞園「全員参加ですよ」

江ノ島「そーそー。こういう時ぼっちがいいとか一人の自分カッケーみたいでムカつくし」

霧切「カッコいいとかそういうので一人がいいわけじゃないの」

舞園「否定はしないんですね」

苗木「でも、たまにはこういうのもいいんじゃないかな。楽しいと思うし」

セレス「では女子は食堂で着替えましょうか」

大神「場所はそれでよかろう。早く出ないと、立ち入り禁止時間になってしまうぞ」


《食堂・前》


桑田「おい苗木。不二咲」

苗木「な、なに? 真剣な顔して」

不二咲「どうしたの……?」

桑田「俺達は今、盛大なチャンスに恵まれている」

苗木「はあ」

桑田「ズバリ! 女子の着替えを覗くチャンスだ!」

苗木「はあ?」

不二咲「そ、それはその……やめた方が」

桑田「ここで行かなきゃ男じゃねぇ! 不二咲。お前先頭行け」

不二咲「い、いやだよ! 怖いし……」

桑田「だーいじょうぶだいじょうぶ。お前が一番怒られそうにないしよぉ」

苗木「いや、でも……」

不二咲「その……メンバーが怖いというか……」

苗木「大神さんにしめられたりとかしたらさ……」

不二咲「ぼくはその……笑顔で包丁を突き付けてきそうな人がいそうで怖いんだけど……」

桑田「そんなヤバい奴いるかよ! んじゃ三人で一斉に見るぞ」

苗木「いい!? 本気で!?」

桑田「見たくねーのかよお前には男のロマンがわかんねぇのかっつーの!」

苗木「男の……ロマン……」

苗木「桑田くん。舞園さんはアイドルで言わずもがなだし、江ノ島さんもだし」

苗木「霧切さんやセレスさんも美人だし、腐川さんも化けるタイプだと思うんだ」

不二咲「え」

桑田「お前はわかってる! よし……行くぞ……!」

三人「ごくっ……!」

(そーっと扉を開けてトーテムポール状態の三人の目に何が写ったのか)

(演算不可能。男のロマンは理解不能)



※ゲームだと一枚絵があるのでしょうが、このSSには勿論そんなものはございません

肝心の盆踊り編と『動機』提示はまた夕方投下します。

ちーたんの中で、舞園さんは『包丁を常に持っている人』になっているっぽいですね。
そんなに間違ってはないと思います。

ちなみにセレスさんが本当にゴスロリ浴衣を着るのか普通の浴衣にするのかは、盆踊り本編で!
でもゴスロリ浴衣ってあれ、邪道じゃないかと思う……個人的に

名前は変わったけどトリップは変わってないから大丈夫だよね?
さて、どんな嫌がらせをするのか、お楽しみに……げっへっへ

んじゃあ投下していきます。盆踊りです。


 17日目、夜

《体育館・前》


苗木「舞園さんは薄いピンクに白い花か……すごく似合ってるよ」

舞園「そうですか? えへへ、ありがとうございます」

桑田「髪型も! ってか全員いつもと違うんだな」

不二咲「大体みんな、まとめてるんだね……セレスさん」

セレス「なんでしょう?」

不二咲「黒と赤と白いフリルで、すごく似合ってると思うんだけど……あの、ツインテールは?」

セレス「あれはウイッグですわ」

苗木「ウイッグって何?」

江ノ島「付け毛のことー。どう、似合う?」

苗木「う、うん。オレンジに……おっきな花がいっぱいあるね。江ノ島さんらしくてかわいいよ」

腐川「ど、どうせ私は似合わないわよ……!」

不二咲「そんなことないよ! 紺色に白い水墨画っぽい感じって、腐川さんに似合ってると思う!」

桑田「そうだなー、……ギャップがすげえな」

霧切「…………」

苗木「霧切さんも素敵だね。薄紫に……濃い紫の線がいっぱい入ってるけど、これボーダーって言っていいの?」

霧切「いいんじゃない? 地味だけど、目立つの好きじゃないから」

不二咲「でも似合ってるよ。地味なんてこともないし」

霧切「そう」

大神「…………」

桑田「お、オーガは……道着に見えるな」

舞園「でも、一番着付けに詳しかったんですよ」

桑田「へえ……確かに一番しっかり着てる感じがする、ってなんか変な感想になっちまったな」

不二咲「浴衣っていうより、着物着てるみたいにも見えるね」

苗木「白一色っていうのが大神さんらしいや。いつもと雰囲気ちがって、いいと思うよ」

大神「そうか。気を遣わせて済まぬな」

苗木「そ、そんなことないよ。本心だよ」

モノクマ『えー、皆さん。それでは体育館を開放します』

モノクマ『楽しんでいってくださいね!』

苗木「……いよいよだな」

霧切「何があるかわからないわ。気を付けて」



《体育館》

全員「………っ!!」

桑田「なんじゃこりゃあああ!!」

舞園「こ、これって……!」

苗木「し、死んだ……みんな?」

(屋台はたこ焼き屋や金魚すくい、型抜きに射的、リンゴ飴やフランクフルトにベビーカステラ等がある)

(それぞれの屋台の中には、モノクマと一緒に、今までに死んだ生徒たちがいる)

霧切「屋台はモノクマ達が動かしているみたいね」

江ノ島「屋台に……やぐらっていうんだっけ? あの中央の」

不二咲「…………」

不二咲「これ、ホログラムだね。3Dホログラム」

不二咲「みんながいる場所にアクリル板があるの、見える? あそこに映してるんだよ」

苗木「ってことは、幻のようなもの……?」

不二咲「うん。触れないし、多分話もしな」

大和田『よぉ、不二咲! 久しぶりだな!』

不二咲「……え!?」

霧切「落ち着いて。おそらく合成音声よ」

石丸『君たち! 一分の遅刻だぞ!』

十神『この十神を待たせるとは、凡人どもがいい度胸をしているな?』

腐川「びゃ、白夜さまぁぁぁ……!」

苗木「で、でも、これは……!」

戦刃『あ、その……楽しんでいってほしい……』

江ノ島「姉ちゃん……!」

桑田「ま、マジかよこれ……!」

朝日奈『さくらちゃん! ドーナツはないけど、ベビーカステラならあるよ!』

大神「あ、朝日奈よ……!」

山田『セレス殿! こちらに美味しい、リンゴ飴がありますぞ!』

セレス「……やはり、一筋縄ではいかないイベントでしたね」

葉隠『よぉ、舞園っち! 楽しんでいってくれないと、俺の肝臓がとられちまうんだべ!』

舞園「…………っ!!」

苗木「ま、舞園さん……大丈夫?」

モノクマ『あー、あー、皆さーん!』

(ぴょーい)


モノクマ「どう? 飾りつけとか、頑張ったんだよ?」

セレス「これはどういうつもりですか?」

モノクマ「死んだからって、仲間外れはかわいそうでしょ?」

モノクマ「友情は、生死を飛び越えるんだよ」

山田『せいしを……飛び越える……!?』

モノクマ「そもそも、盆踊りとは何のために始まったものなのか?」

モノクマ「もともとは、慰霊祭でした。死者を慰めるためのお祭りだったのです」

モノクマ「だから、みんなで、お祭りを楽しんでいってください!!」

苗木「待てよ! お、お前……!」

苗木「お前は……!」

モノクマ「えー、盆踊りは、みんなが屋台を見終わった後ぐらいに始めるつもりなので」

モノクマ「ゆっくり見ていってね!」

(ぴょーい)

苗木「ぐっ……!」

霧切「…………」

舞園「苗木くん、皆さん……今は言うとおりにしましょう」

セレス「それしかないですわね」

不二咲「この屋台を……全部回らないといけないの?」

桑田「き、きつすぎるだろ……いくらなんでも」

霧切「でも、おそらく。回らないことには、終わらないわ」

舞園「大丈夫……大丈夫です」

舞園「死んでいったみんなも、仲間ですから」

舞園「みんなでここを……出るんです」

苗木「ぐっ……! モノクマの奴……」

苗木「どこまで人の心を馬鹿にすれば気が済むんだよ……!」

霧切「覚悟は決めた? 死者は襲い掛かってこないわ」

霧切「死者は干渉できない。いつだって、引き摺られるのは生きている方なのよ」

大神「いくぞ……皆の者」

全員「…………」


――――――


苗木「なんとか……回れたね」

モノクマ『さて、ではみんなで盆踊りをしましょう』


モノクマ『超高校級(44年前)の演歌歌手が歌ってくれました』

モノクマ『さあ皆さんもご一緒に! 『モノクマおんど』!』

モノクマ『あ それ! あ どした!  それそれそれそれ! あ どした! あ それ!』

 きよ~く ただしく うつくしい せいろんばっかりの よのなかだ~け~ど~♪

モノクマ『あ それそれそれそれ!』

全員「…………」

(全員無言で踊り終わる)

モノクマ「さて。それでは最後のイベントに参りましょう!」

桑田「まだあるのかよ!?」

モノクマ「えー、せっかく<超高校級のアイドル>がいることですので」

モノクマ「ステージに上がっていただきましょう!」

舞園「………!」

苗木「な、……なんでだよ! もういいだろ!!」

朝日奈『ひゅーひゅー! 舞園ちゃん、しっかり!』

戦刃『あの、……頑張って』

山田『いやぁ、二次元限定のつもりでしたが! 目の前で見れるというのは、ちょっとキますな』

十神『下らん。だがまあ、暇つぶしにはなるだろう』

葉隠『うう、チケット売りさばくべきだったべ……』

大和田『いやあ、楽しみだな兄弟!』

石丸『まったくだ! ステージがあるのに歌わないなどという道理は通用しない!』

舞園「…………」

舞園「いきます」

苗木「だ、大丈夫……?」

舞園「これがラストでしょう? 大丈夫……これさえ終われば……」

霧切「…………」

モノクマ「では<超高校級のアイドル>である舞園さやかさんに歌っていただきましょう!」

モノクマ「『ネガイゴトアンサンブル』です! どうぞ!!」

(舞園がステージに上がると曲が流れだす。途端に満面の笑顔になる舞園)

舞園「みんなー☆ いっくよー♪」

苗木「さ、流石だね……一気にアイドルの顔になった」

桑田「やっぱすげーなさやかちゃん……」

(だが歌詞パートになっても歌わない)

苗木「ど、どうしたんだろう?」

(口をパクパクさせるが、声が出ない)

(どんどん顔が青くなっていく)

大神「いかん!」

苗木「!」

(苗木と大神がステージに上がり、舞園を抱きかかえる)


苗木「大丈夫!?」

舞園「………! ―――っ!」

モノクマ「あ、あれあれあれ?」

(曲が止まる)

苗木「急病により退場だ! 文句は言わせないぞ!」

モノクマ「えー、でも……ラストがこれじゃ……」

モノクマ「これはおしおきするべきですかな」ギラーン

セレス「それには及びませんわ」

セレス「彼女以上にラストステージを飾るにふさわしい人物がいるではありませんか」

モノクマ「はて? 誰?」

セレス「セレスティア・ルーデンベルク……わたくし以外に誰が?」

モノクマ「え゛?」

苗木「セレスさん! 頼んだ!」

セレス「お任せくださいな」

モノクマ「え、え? ちょ、ちょっと……」

不二咲「セレスさーん! 頑張ってー!」

桑田「え、えっと……お、俺も歌う!」

セレス「では男性パートはお任せしますわ」

桑田「って何歌えば……お前、メタルとか知ってる?」

セレス「ゴシックとは相性がよろしいので、少しは」

モノクマ「え、えーっと……カラオケじゃないんだけど……」

大神「問題あるのか?」

江ノ島「ノープレっしょ、全然! 二人ともがんばれー!!」

モノクマ「ええええ? もう……この曲でも歌ってて!」

(DANGANRONPAテーマ曲、スタート)



《舞園の部屋》


舞園「……あ、私……」

苗木「大丈夫? もう声は出る?」

舞園「……歌えなく、なっちゃったみたいですね……この学園生活をしたせいで……」

苗木「そ、そっか……でも、きっと声は元に戻」

舞園「私のグループのメンバーは、既に殺されています」

苗木「……え?」

舞園「DVD、見せられたので。おそらく、本当でしょうね」

苗木「で、でも……諦めたら」

舞園「もう何も残ってないんです、私」

苗木「舞園さん……」

舞園「頑張って、積み重ねてきたものが。どんなに嫌な思いをしても、この為なら我慢できると思ってきたものが」

舞園「もうないんです……全てをかけていたものが」

舞園「その絶望が、苗木くんにはわかりますか?」

舞園「外に出ても、私の居場所はもうないんです」

舞園「苗木くん」

舞園「あなたにわかるんですか?」

苗木「……わかる、なんて簡単には言えない」

苗木「だけど、ボクは……舞園さんだけは守ってみせる」

苗木「約束、したから」

舞園「…………」

舞園「じゃあ死んでください」

苗木「え?」

舞園「どんな死に方でもいいんですよね? 苗木くんが死にさえすれば」

舞園「他のみんなは助かるんですよね? これ以上の犠牲を出すことなく」

舞園「だったら死んでください。死んでみてください」

舞園「勿論、その後で、黒幕は必ず殺しに行きますから」

舞園「だから今、ここから私たちを出してください」

舞園「苗木くんにしか、出来ないんですよね?」

苗木「………舞園さん……そんな……」

舞園「…………」


舞園「嘘ですよ。言ってみただけです」

舞園「本気じゃありません……大丈夫です」

舞園「ごめんなさい……怯えさせてしまって」

苗木「い、いや……そんなことはいいんだけど」

舞園「すみません……疲れてしまって。一緒に来てくれてありがとうございます」

舞園「でも、少し……少しだけ、休ませてください」

苗木「…………」

苗木「わかった……でも、でも……」

苗木「でも、舞園さん。必ずボクは君のことを助けるし、守るし、信じるから」

苗木「この約束は、必ず守ってみせるから……だから」

舞園「……苗木くんは……いつだって、まっすぐ前を向いてて……」

舞園「だけど、私は……もう……」

舞園「……ありがとうございます。必ず、いざという時は頼りにしてますから……」

舞園「今は……少し、一人にさせてください」

苗木「うん。……お大事に」

(苗木が去る)

舞園「…………」

舞園「私はもう、苗木くんとは一緒に歩けないんだろうなぁ……」

舞園「一緒の景色を見るなんてこと……出来ないよね……ダメだよね……」

舞園「…………」

舞園「それでもやっぱり、泣けないんだ……」


《寄宿舎・一階廊下》


苗木「あ、霧切さん」

霧切「……彼女は?」

苗木「だいぶ、参ってるみたい……あんな嫌がらせされたら、当然だよね」

霧切「苗木くん」

霧切「舞園さんは、もう諦めた方がいい」

苗木「……え?」

霧切「彼女はもう、折れてる」

霧切「黒幕を倒すために辛うじて立っているだけ。ただそれだけの為の存在に成り果ててしまった」

苗木「な……なんでそんなことを言うの?」

苗木「仲間じゃないか! 何言ってるの!?」

霧切「彼女はその仲間を犠牲に出来るわ」

霧切「苗木くん。それはあなたであっても例外ではないの」

霧切「例えそれで心がさらにすり減ったとしても、もう彼女は止まらない。止められない」

霧切「黒幕を殺すまで。もう彼女は、終わってるのよ」

苗木「それが……前に言っていた、気を付けての意味なの?」

霧切「今の彼女はあなたであっても、黒幕に近づく手段になるなら切り捨てられるわ」

霧切「だけど、それは完全な破滅の、絶望の道」

霧切「既に一歩を踏み出してしまっているけど、これ以上の犠牲者が出る前に止めたいの」

苗木「既に……一歩をって。なんだよ?」

霧切「…………」

霧切「……彼女は仲間であるはずの葉隠くんを嵌めたわ」

苗木「……は?……」

霧切「葉隠くんが殺人に手を染めたのは、彼女の誘導があったからよ」

苗木「……え? あ、しょ、しょ、証拠は!? 証拠はあるの!?」

霧切「ないわ。……けどそうでないと説明がつかないの」

苗木「しょ……証拠もないのに……そんなこと……」

霧切「…………」

霧切「やっぱり、あなたには無理なんでしょうね」

霧切「私の言葉を信じてもらうのは」

苗木「そ、そんなことない……だ、だけど、いくらなんでも」

霧切「忠告はしたわ。舞園さんに利用されないよう、気を付けるのね」

苗木「ま、待ってよ霧切さん!」

霧切「おやすみ。また明日」

(霧切は自分の部屋に入り扉を閉めた)

苗木「………!」

苗木「そんなことない……そんなことはないはずだ……!」

苗木「さっきの言葉は、弱気になったからだ……単なる八つ当たりなだけで、本心じゃないはずだ……!」

苗木「あんなに弱って苦しんでる舞園さんが……仲間を利用するだなんて……」

苗木「信じない……信じられないよ……!」

盆踊りイベントおしまい。
まあ必須のイベントじゃなかったんだけどね。ステージに上がっても歌えなくなった舞園さんってのはずっとあったんだ。

では『動機』の話は明日以降にします。まったねー♪

(ぴょーい)

はやいかな……自分では遅筆だと思ってるんだけど
今は夏休みで時間があるだけだし

セクシーダンスかぁ……舞園さんのバックで踊ってても良かったかもしれないな

ちなみに「ネガイゴトアンサンブル」は舞園さんの中の人が4人分のパートをやっているらしい(グループ全員を中の人一人でやってる)

モノクマ同士でも容赦ないおしおきが……

ところで少し流れが意外な方向に行きましたよ。投下していきます。


18日目、朝

 ぴんぽんぱんぽーん

モノクマ『オマエラにお知らせです』

モノクマ『すぐさま体育館にお集まりくださーい』

全員「…………」


《体育館》


大神「体調に問題はないか?」

舞園「昨日は……すみませんでした」

セレス「かまいませんわ。あなたでなくともラストステージは十分なものになりましたから」

江ノ島「普通にセレス上手かったし。あ、桑田もね!」

桑田「いやぁ、さやかちゃんにも聞いてほしかったなぁ!」

不二咲「二人とも上手だったよ!」

腐川「わ、私も……歌いたかったのに……」

苗木「え゛。腐川さんも?」

腐川「な、何よ……! 文句でも、あるわけ……!?」

苗木「い、いや、そんなんじゃなくてさ」

霧切「雑談している暇はなさそうよ。来るわ」

モノクマ『オマエラ、おはようございます!』

(ぴょーい)

モノクマ「いやあ、昨日は楽しかったねぇ」

モノクマ「ラストがひどかったけど。いや上手かったと言えば上手かったのですが……、メタルって……」

桑田「なんだよパンクやメタルを馬鹿にすんのか!? このアホ!」

セレス「ふう。あの程度ではわたくしの魅力の10分の1も引き出せませんでしたわ」

江ノ島「いやアンタノリノリだったでしょ明らかに」

モノクマ「さて、それでは、今日もお得情報をお届けしたいと思いまーす!」

モノクマ「って言っても、苗木くんと舞園さんは知ってるんだけどね」

苗木「え!?」

舞園「……まさか、あなた」

桑田「なんで二人だけが知ってんだよ苗木お前アホか! このアホアホアホアホアホ!」

江ノ島「桑田、あんたは静かにしといてよ」

霧切「それで? 何が言いたいわけ?」


モノクマ「えー、おほん」

モノクマ「死因は問いません。自殺他殺事故死病死、なんでもオッケーです」

モノクマ「苗木くんが死んだ場合に限り、クロもそのほかの生徒も、学級裁判をやることなく」

モノクマ「その時点で生き残った全員を、卒業させることをお約束します!」

全員「………!!」

苗木「な……! お、お前……!」

モノクマ「ではそういうことで。まったねー」

(ぴょーい)

霧切「……説明してもらいましょうか」

セレス「舞園さんは知っていたのですか? というよりも、以前からこの話があったのですか?」

桑田「な……なんで、苗木? いや俺じゃなくて良かったとかじゃなく」

腐川「ま、また……ワケわかんないこと言いだして……!」

腐川「な、苗木が死んだら……? どうしてそんなことになるわけ……?」

苗木「み、みんな……ボクは」

舞園「皆さん、一旦食堂で話し合いましょう」

舞園「苗木くんも。落ち着いて話せば大丈夫ですよ」

苗木「う、うん……」

セレス「…………」


《食堂》

苗木「……というわけで、いきなりそんなことを言われたんだ」

舞園「私は、苗木くんから少し相談されて」

舞園「皆さんには黙っておこうと思っていました。ごめんなさい」

大神「いや、もし話が漏れたら苗木が危険に晒される。迂闊に吹聴する話ではあるまい」

不二咲「うん。でも……」

不二咲「なんで苗木くんなんだろうね?」

霧切「心当たりはある? 何か知ってしまったとか」

苗木「いや……全然わかんないんだ」

セレス「モノクマの気まぐれの可能性の方が高いでしょう。ピンポイントに選ばれるあたりは」

セレス「<超高校級の幸運>に引っかけたのかもしれませんが」

桑田「そ、それでさ……」

桑田「要はモノクマは、これ聞いた俺達に……苗木を殺させたいのか?」

桑田「でもさ、なんかそれっておかしくね?」

江ノ島「って、なにが? アタシたちにコロシアイさせたいんでしょ、あいつって」

桑田「いやなんつーかさ……モノクマって、学級裁判やらせたいんじゃなかったのか?」

桑田「どっちかっていうと俺、そう思ってたんだけど」

桑田「学級裁判なしで外に出られるって、なんかおかしくね? いつものモノクマっぽくねーっつうかさ」

霧切「…………」

舞園「…………」

苗木「…………」


セレス「とりあえず、わたくし達はどうすべきかですが」

不二咲「な、苗木くんが死ねばいいとかは、絶対ダメだよ……!」

江ノ島「そ、そうは思ってないけどさ……」

桑田「モノクマの言葉を信じられるかっつーの……けどなぁ……」

大神「考えているのか?」

桑田「う、オーガ……睨むなよ……」

桑田「わかってんよ、これが罠ってことぐらい……けどさ、やっぱ外に出たいじゃんか」

桑田「考えるなっていう方が無理だって……わかってくれよ……」

霧切「それが目的なのよ。わかっていても考えてしまうことがね」

苗木「…………」

苗木「ボ、ボクは……」

舞園「私は苗木くんを殺して外に出るなんてやり方は、絶対に反対です」

苗木「舞園さん……!」

霧切「…………」

舞園「ただ、その。桑田くんの言葉は、確かにみんなの心の中にあると思います」

舞園「考えないと言い切る方が、人としておかしいと思うんです」

セレス「それが人情、でしょうね」

セレス「ですが、もしわたくし達が全員結託して苗木くんを襲ったら」

セレス「いえ、そうでなくても二、三人で構わないでしょうね」

不二咲「そっか。……校則の『犯行を見られてはいけない』は基本的に裁判のためのものだし」

不二咲「全員が卒業できるなら、共犯もメリットとして考えられるようになるんだ……!」

苗木「そ、そんな……」

全員「…………」

舞園「数人ずつでローテンションを組んで苗木くんを守る、というのも考えたんですが……」

江ノ島「でもさ、セレスと不二咲の話聞いてたらさ、もう苗木が自分で自分の身を守るしかないじゃん」

江ノ島「苗木の立場じゃ、誰も信用できないっしょ。共犯者もアリになったらさ」

苗木「ボクは……その……そんなことは……」

霧切「…………」

霧切「あまりにも苗木くんに不利すぎる『動機』ね」

セレス「確かに、あまりにもワンサイドゲームになりすぎてますわね」

セレス「ゲーム性や遊びを重視するいつものモノクマのやり方とは、少し違うように思えます」

舞園「例え自分の不利になろうとも、モノクマさんは頑なにルールを守ろうとする面があるように思えます」

舞園「その一面から見ても、一人にだけやたらに不利な『動機』が、ずれているように見えますね」

苗木「何か……見落としている……?」

セレス「或いは、抜け穴があるか、ですが」

セレス「ふう。仕方ありませんわね」

セレス「面倒ですが、働かないのも怒られそうですしね」

セレス「わたくしも、舞園さんの十八番を使ってみることにしましょう」

舞園「あの、それって」


セレス「モノクマ、見ているのでしょう? 出ていらっしゃいな」

(ぴょーい)

モノクマ「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!」

モノクマ「って? あれ?」

モノクマ「まだ苗木くん、殺ってなかったの?」

苗木「う」

セレス「話を整理していただけですわ。少々苗木くんに不利すぎるルールではありませんか?」

セレス「ワンサイドゲーム程、見ていて面白くないゲームはありませんのよ」

モノクマ「えー? そうかなあ?」

モノクマ「弱いやつを強い奴がおもいっきり潰すって」

モノクマ「スカッとするけどなぁ」

セレス「それはあくまで公正なルール中での実力差の話ですわ」

セレス「これは実力差に関係のない、欠陥ルールです」

モノクマ「け、欠陥!?」

モノクマ「な、なんだよ! みんなに喜んでもらおうと一生懸命考えたのに!」

モノクマ「ケチつけるの!? 文句あるの!?」

苗木「あるに決まってるだろ! なんだよなんでボク一人だけなんだよ!!」

モノクマ「ムカつくから!」

桑田「小学生かよ……」

モノクマ「はあ。で? 何か言いたいことあるんでしょ? いっつもこうなんだ」

セレス「苗木くんにも救済措置がないと、ゲームとして面白くないのでは?」

モノクマ「しゅーん……面白くないとかが一番傷つくし……」

モノクマ「じゃあどうしたら面白くなるかなぁ…」

霧切「期限を設定すればいいんじゃないかしら」

霧切「それを過ぎたら無効。それで十分だと思うけど」


…………
………
……

!!<重要安価>!!

新たにルールを設定しますか?

1、設定しない
2、期限を設定する
3、別のルールを追加する

>>210までで一番を多いので

3の場合はこちらの掲示板で内容を決めていきたいと思います。

セレスさんはギャンブラーだからかルールの確認が細かいです。

圧倒的多数で期限以外でのルール追加に決定しました~

さて、どうしよう

まあ前提として苗木以外出れるんだから苗木死亡での卒業は100億なしだな

今生徒たちが疑問視してるのは

「なぜ苗木なのか」

「本当に学級裁判がなくなるのか」

「あまりにいい話すぎて嘘っぽい」

「ゲームとして面白くない」

散々な言われようですね。

確かにこのままだと、苗木くんが自分の身を守るのは人数攻めされたら無理だろうと思うので
苗木くんが一方的にやられないようにするためのルールを設定しないと逆に胡散臭がって手を出しずらい状況のようです。

さて、どうしよう。皆さんの意見をお待ちしてます

んで、私自身のレスは夜寝てからになります……眠いんだ……パトラッシュ……

(ぴょーい)

いくつかの案をまとめてみたのですが……

基本的に、『苗木くんが死んだら全員卒業』
これはもう確定事項です。モノクマ撤回しない。

まとめてみて、矛盾しないように考えてみたのですが、


・苗木くんに護身用の武器を渡しますか?(ただで渡すのではなく、2のペンタゴンルームみたいな脱出ゲームみたいな条件、武器には情報も含むよ!を付けるつもり)
・殺していい時間を設定(例えば朝10時から夜6時まで、自室にいたら苗木くん以外の誰かがおしおき)
・次に、学級裁判後にご褒美を与える(これで多分、舞園さんは苗木を守る方に動く、逆に他の誰かの殺害を計画するかも?)
結構多いですが、ルール詰める為なら仕方ない……

まず期間についてから安価とります

・苗木くん以外の誰かが死に、『死体発見アナウンス』が鳴った時点で終了

>>240までで多い方

1、はい
2、いいえ

1

おお、ぎりぎり1が多い感じですね

・苗木くん以外の『死体発見アナウンス』が鳴った時点で終了

次の安価行きます。
>>250までで多い方です

・苗木くんに護身用の武器を渡しますか?
(ただで渡すのではなく、2のペンタゴンルームみたいな脱出ゲームみたいな条件、武器には情報も含むよ!を付けるつもり)

1、はい
2、いいえ

んー、2か。
現在きまっているのは

・苗木くん以外の『死体発見アナウンス』が鳴った時点で終了

>>260までで多い方

・殺していい時間を設定(例えば朝10時から夜6時まで、自室にいたら苗木くん以外の誰かがおしおき)

1、はい
2、いいえ

決定かな。5票獲得したし……

ラスト安価

>>270までで多い方

1、はい
2、いいえ


・学級裁判後にご褒美を与える 
(情報・モノクマを動かしているのは誰か→AIで自動でした!みたいなノリにするつもり)

1

2

なんかオセロみたいになってる……

では新たに

・苗木くん以外の誰かが死に、『死体発見アナウンス』が鳴った時点で終了
・学級裁判後にご褒美を与える

この二つを盛り込んでみたいと思います。これはもう、生徒が納得しようとしまいとこれで行きます。

ついでに期間限定で「死因問わず、苗木誠が死んだ場合のみ、学級裁判なしで全員解放」

この項目を校則に盛り込みます。もう安価しないけどいいよね?

ではしばらく待って……生徒がどう動くかよくわからない……


モノクマ「うーん。じゃあ信用できないっていうなら、校則に付け加えてもいいよ。ほい」

(校則
 『苗木誠が死んだ場合に限り、その死因に関わらず、残りの生徒を学級裁判を行わずに解放することを明記する』)

モノクマ「ただし、例外を加えましょう!」

苗木「れ、例外?」

モノクマ「苗木くん以外の誰かが死んで、『死体発見アナウンス』が鳴った瞬間」

モノクマ「この校則の項目は、消えてなくなりまーす!」

霧切「つまり、苗木くんが死ぬより先に苗木くん以外の誰かが被害者となった場合のみ、苗木くんは解放される……」

霧切「そういうことね」

苗木「そ、そんな……仲間を犠牲にしろっていうのかよ!?」

腐川「そ、そんなことになったら……学級裁判は……」

モノクマ「勿論、学級裁判は行いまーす!」

桑田「あれを……またやるのか……!?」

モノクマ「えーでも。もし学級裁判を行って、クロ以外が勝利した場合は」

モノクマ「世界を開く以外のご褒美をあげてもいいよ?」

セレス「それは有益なものなのでしょうね?」

モノクマ「ずばり! ……ぼくを操っているモノの正体だよ」

不二咲「え!?」

舞園「……黒幕の正体を明かす、ということですか?」

モノクマ「うぷぷぷぷ。知りたくない? 知りたくない?」

全員「…………」

モノクマ「で、これで欠陥ルールってわけじゃなくなったでしょ? 文句ある?」

セレス「……少なくとも、苗木くんを一方的に殺しさえすればいいという話ではなくなりましたわね」

苗木「だ、だけど……なんでボクなんだよ!?」

モノクマ「大嫌いだから! いっつもいっつも仲間仲間仲間仲間仲間……」

モノクマ「そんな言葉、この世で一番信用しちゃいけない言葉なんだからね!!」

桑田「なんちゅう理由だよ……」

モノクマ「もういいでしょ? さっさと動いてよね!」

(ぴょーい)


舞園「嫌われましたね、苗木くん。よかったじゃないですか」

苗木「まあ、あいつに好かれる方が気持ち悪いのは確かだけどね……」

腐川「で、でも……これだと苗木に近づくと危ないじゃない……!」

苗木「え?」

腐川「そうでしょ!? だって、苗木が生き残るためには」

腐川「他に死人が出ないと、どうしようもないじゃない!!」

腐川「つ、つまり苗木は……私たちの誰かを殺すしかないじゃない!」

苗木「ボ、ボクはそんなことしないよ!」

不二咲「けど……苗木くんを助けるためには……他の人が犠牲にならないと……」

不二咲「そうじゃないと、……狙われるリスクが増えたままだよ……」

舞園「……学級裁判を行った後のご褒美というのも、今までになかったことですね」

江ノ島「モノクマを動かしているのが誰か?ってやつ?」

桑田「そ、そんなのどうでもよくねぇか? 学級裁判の方が嫌すぎるしよ……」

舞園「…………」

霧切「とにかく、苗木くん。あなたは自室から出ないようにするしか、今のところ自衛の手段はないわ」

霧切「今のあなたにとって、全員が敵。それぐらいに思っていた方がいいわ」

苗木「そんな……みんなで、ここを出るんだって……」

舞園「……苗木くんが犠牲になってしまえば、その願いが叶ってしまうんです」

舞園「わかってください。私は苗木くんを犠牲にしたくない……」

全員「…………」

桑田「お、俺はさやかちゃんの言うとおり、今更苗木をどうこうしてまでっていうのはするつもりはねぇけどよ……」

桑田「とりあえず、苗木は……部屋に帰った方がよくねぇか?」

大神「……そうだな。今の状態は苗木にとって危険すぎる」

苗木「ボクは……それでも……」

苗木「それでも、みんなを信じてるよ」

全員「…………」

(このまま全員が解散となった)

…………
………
……

これより干渉を最小限とし、監視カメラの映像確認に切り替える。


>>284まで好きなキャラを選んでください

苗木、桑田、舞園、霧切、腐川、大神、セレス、江ノ島、不二咲

縺輔¥繧峨■繧?s

あれ……

えっと、6人! 6人です!先に出てきたキャラで!

えっと、

江ノ島、苗木、不二咲、大神、セレス、桑田

で行きます! ちょっと間があくけどいっかな。よろしくです!

あ、そうだ。
アホみたいなお願いだけど、もしこのSSがまとめブログとかに載ったら教えてくれないかな。地味に夢なんだ。

う、なんか恥ずかしい……でも褒めてくれた人ありがとう

やっぱ完結までは無理かな。評価知りたいってのは確かに本音だけどね

みんなの動きが怖いなぁ……おや、舞園さんが動くようだぞ?

ごめん、まだ更新は後で

えーっと、なんかごめんね>まとめの件

自分、ダメだわ……ポップな描写がなくなってシリアスばっかだわ……悪い癖なんだよな……

ごめん、まだ18日目が終わってないんだ。みんなシリアスモード……

 18日目、昼


《苗木の部屋》

 ぴんぽーん

苗木「……はい」

江ノ島『あ、苗木ー? アタシだけどー』

苗木「え、江ノ島さん? どうしたの?」

江ノ島『はあ、まあしゃあないんだけどね。インターホン越しでもさ』

苗木「あ、ごめん……その、今は」

江ノ島『だからぁ、分かってるって言ってんでしょ?』

江ノ島『倉庫からパンとかミネラルウォーターとか、適当に持ってきたし』

江ノ島『すぐ消えっからさぁ。食べるといいし』

苗木「あ、ありがとう。わざわざ」

江ノ島『…………』

江ノ島『ちょっと話していい? 別に開けなくていいし』

苗木「う、うん。大丈夫だよ」

江ノ島『…………』

江ノ島『アタシさ、姉ちゃん死んじゃったじゃん』

苗木「……うん」

江ノ島『でもさ、泣けないんだよね』

江ノ島『ここに来た時からさ……なんていうの? 感情がなくなった感じ?』

江ノ島『みんなが死んでいってもさ……現実感がなくてさ……』

江ノ島『アタシってこんな冷たかったっけって、自分でも思うぐらいなんだよね』

苗木「……あまりに簡単に死に過ぎているからかな」

苗木「江ノ島さんがそういうふうに感じるのも、心がそう守ってるのかもしれないし」

苗木「ボクは冷たい人間だとは思わないよ」

江ノ島『…………』

江ノ島『苗木さ、姉ちゃんのことどう思ってた?』

江ノ島『姉ちゃんさ、苗木のこと……好きだったんだよ』

苗木「…………」


苗木「戦刃さんが死んだ、その前の夜に。ボクは話したんだ」

苗木「戦刃さんは間違ったやり方でボクを守ろうとしたけど、でもその気持ちまでをボクは否定したくないって」

苗木「気持ちに応えることは出来ない。だけど仲間だから、一緒に外に出ようって」

苗木「そう、言ったよ」

江ノ島『…………』

江ノ島『じゃあさ……姉ちゃんはそこを、十神のヤローに付け込まれたってわけ?』

苗木「……十神クンが何を考えてたのか」

苗木「わからない。もっと……話しておけばよかった」

苗木「戦刃さんとも。みんなとも」

江ノ島『……姉ちゃんってさ、軍人じゃん』

苗木「うん」

江ノ島『だからかな。苗木と付き合うとか、そういうのは考えてなかったっぽいんだよね』

江ノ島『詳しいことは、分かんないけどね……なんで苗木が好きになったのかとかも、分かんないし』

苗木「うん……」

江ノ島『でもさ、姉ちゃん幸せだったと思う』

苗木「え?」

江ノ島『あの残念な姉ちゃんはさ。普通の時だったら、絶対自分からは行動しなかっただろうし』

江ノ島『気付いてもらえただけで幸せとか、そんな残念な人なんだよね』

江ノ島『だからさ。自殺とかじゃ、ないと思うんだよね』

江ノ島『姉ちゃんが死んだのって……そういう理由じゃないと思うんだよね』

苗木「…………」

江ノ島『もっと、別の……理由がある気がするんだけど……』

江ノ島『アタシさ。あんま深く考えるの苦手だからさ』

江ノ島『苗木も考えてくれないかな……出来たらでいいけど』

苗木「うん。わかった」

苗木「考えるよ。一緒に」

苗木「死んでいったみんなの気持ちを……ボクはずっと考え続けるよ」

江ノ島『……ありがと』

江ノ島『じゃあ、パンは置いとくし。しばらくしたら適当に開けて持ってって』

江ノ島『未開封だから、毒の心配は気にする必要はない……ってこれは銀髪の子が言ってたことだけど』

苗木「はは……霧切さんらしいな」

江ノ島『んじゃ。……苗木も一緒に出れたらいいね』

 プツッ

苗木「…………」

(扉を開け、パンを持っていく苗木)

(苛立ちが大きいのか、袋の開け方も乱暴になっている)


 18日、夜

《校舎二階・廊下》


不二咲「あ、大神さん」

大神「不二咲か」

不二咲「トレーニング? いっつも、大変だね」

不二咲「ぼくも体を鍛えようかなって思ってるんだけど……」

大神「ならば、我がコーチになってもいいが」

不二咲「うん。ちょっと前のぼくだったらお願いしていたと思う」

不二咲「でも、今はやらないといけないことがあるから」

大神「やらねばならぬこと、か……」

不二咲「そういいつつ、息抜きに図書室で本を借りたりしてるんだけどね」

大神「休息は大事だ……それは怠惰とは違う。悪く思う必要はない」

不二咲「うん。ありがとう」

不二咲「…………」

不二咲「大神さんは、苗木くんのこと……どう考えてる?」

大神「……我は推察が苦手だ。武道しかやってこなかったからな」

大神「だが、それでも善悪の区別ぐらいはつくつもりだ」

大神「苗木を殺して外に出たとしても、我らは笑えるだろうか?」

不二咲「……そう、だよね……」

大神「だが桑田の言った通り。考えぬことは、それは人として何か大事な部分が欠けているのだろう」

大神「善に偏り過ぎれば、それは悪と変わらぬのかもしれぬ」

不二咲「難しいね……コンピューターのように計算できれば楽なんだけどな」

不二咲「じゃあさ、もしまったく苗木くんを殺すことを考えない人がいるとしたら」

不二咲「それって、どんな人かな」

大神「そうだな。苗木にただならぬ好意を持っているか、或いは……」

不二咲「或いは?」


大神「……人として、大事な何かが終わってしまった者かもしれぬな」

不二咲「……そっか」

不二咲「どっちなんだろうね……」

大神「そう言う者に、心当たりがあるのか?」

不二咲「隠すのがうますぎて、ぼくにも全然よくわからないんだけどね」

不二咲「その人は、見た目は苗木くんの話を聞いて、揺らいでいるように見えるけど……」

不二咲「さっき、少しその人と話したら。そしたらね」

不二咲「本当はそうじゃなくて。もう決めちゃってるんだ」

不二咲「苗木くんを守るって。でも……」

不二咲「その気持ち、どこから来ているんだろうって……見ていて怖くなる」

大神「……それは誰だ?」

不二咲「ごめん、言えないんだ」

不二咲「いつか、言うと思うけど……今はまだ、言えないんだ」

不二咲「その人は、ぼくのことを仲間だと……みんな仲間だと、そう言ってるんだけど……」

不二咲「ぼくや苗木くんが言うような『仲間』とは、意味が違ってる気がして」

不二咲「気のせいだといいんだけど……」

大神「…………」

大神「苗木も、これ以上誰も犠牲にすることなく。我らが外に出られる日が、必ず来る」

大神「今はそう、信じるのみだ」

不二咲「……そうだね」

不二咲「その為に、頑張るんだ」

 18日目、深夜

《苗木の部屋》


苗木「…………」

 ぴんぽーん

苗木「………!」

苗木「………誰?」

舞園『……私です。舞園さやかです』

舞園『もし、私のことを信用してくれるなら……開けてもらって、いいですか?』

苗木「…………わかった」

 がちゃ

舞園「ありがとうございます。……大丈夫ですか?」

苗木「うん。大丈夫は大丈夫だよ」

苗木「みんな、変な動きをすることもないし……」

苗木「……くそっ! こんなふうにみんなを疑わないといけないなんて……!」

舞園「…………」

舞園「苗木くん……盆踊りの後のこと気にしてますか?」

苗木「え? な、なんで?」

舞園「少し、私を遠ざけているように見えて……」

舞園「あのことは、本当にごめんなさい。私、ずっと謝りたくて……」

苗木「い、いや……そういうことじゃ、なくてさ……」

舞園「…………」

苗木「…………」

舞園「苗木くん。私はやっぱり……苗木くんには生きていてほしいんです」

舞園「私のような人間を信じてくれるって言った……私にとっての希望なんです」

舞園「苗木くんが死んだら……私は……」

苗木「大丈夫。そんなことにはならないよ」

苗木「確かに、ボクは頼りないと思うけど……でも、いい加減に自分ひとりでも」

苗木「そう、自分ひとりでも。戦う力を持たなきゃ、みんなと一緒には戦えないんだって」

苗木「だから、いい機会だと思ってる。今まで甘えてきた、自分の根性を叩き直すためのね」

舞園「……。本当、前向きですね」

苗木「それだけが、ボクの取り柄だからね」

舞園「あ、あの……じゃあ、余計なお世話かもしれないんですけど……」


舞園「私と、部屋を交換しませんか? 夜時間の間は」

苗木「へ? どうして?」

舞園「単純な話で、苗木くんを守るためです」

舞園「苗木くんって、誰かが甘い顔で近づいてきたら、部屋を開けてしまいそうだし……」

舞園「今だって、そうですよね? 私が殺すつもりだったら、どうしてたんですか?」

苗木「でも、そんなことしてないじゃない」

舞園「もう! 私は真剣なんですよ!」

苗木「ご、ごめん。真剣に言ったつもりだったけど……」

舞園「でも、次もそうとは限らないじゃないですか」

舞園「だから、部屋の交換です。これなら苗木くんが、夜に怯えなくて済むんじゃないかと思ったんですけど」

苗木「でも……それじゃ舞園さんが危ないんじゃ」

舞園「私は絶対にインターホンに応じませんし、もし中にいるのが私だと思ったらきっと考え直しますよ」

舞園「苗木くん以外は、意味がありませんから。違いますか?」

苗木「確かにそうだけど……でも……」

苗木「いや……ここは舞園さんに甘えておくよ」

苗木「やっぱり、自分の身を守るのが大事だし……舞園さんには本当に申し訳ないけど」

苗木「自分の身を守らないと。いざという時、舞園さんを守れないもんね」

舞園「…………」

舞園「アイドルという夢は潰されてしまっても……居場所がなくなっても……」

舞園「苗木くんさえいれば、私は居場所があるから。苗木くんだけは、ここにいていいってきっと言ってくれるから」

舞園「外に出たら、みんなで青空の下でピクニックしましょう」

舞園「今はそれだけが……私の願いです」

苗木「うん。……『約束』。みんなで」

舞園「はい。みんなで」

(小指を絡める二人)


《舞園の部屋》


苗木「……舞園さんが、葉隠クンを犠牲にしたなんて」

苗木「やっぱり、信じられないよ……」

苗木「みんなで、青空の下でピクニックしたいっていう、舞園さんの言葉は」

苗木「本心だよ。……そうだよね」

苗木「まだ死んでいない。終わっていない」

苗木「まだ何も、終わっていないんだ……!」




《苗木の部屋》


舞園「…………」

舞園「とうとう、苗木くんまで騙しちゃった……」

舞園「苗木くん……私は」

舞園「そんな願いなんて、この胸にないんです」

舞園「青空の下でみんなと、なんて」

舞園「そんな幸せ、今更望んでない」

舞園「黒幕さえ殺せれば、それで私は終わるから」

舞園「ただ……生きていてくれれば、それでいいから」

舞園「…………」

舞園「霧切さんは、私を止められるのかな」

舞園「もし、前に立ち塞がったら……私は」

舞園「きっと、犠牲になってもらうんだろうな……簡単じゃなくても」

舞園「それしか、ないから……」




《校舎二階、廊下》


霧切「…………」

(男子トイレに入っていく)

(霧切はいつも学校中を調査している)

(これも、いつもの調査なのだろう)

(データには何も載っていない)

(何も見つけられるはずがない、無益な調査をただ繰り返している)

えっと、まだ安価も残ってるし、すぐに事件は起こらない。
AIの演算だと、このまま何もしないと持久戦になるという結果になっている。

また夜時間になったら安価投下しに来るつもりです。

一旦ばいばい

(ぴょーい)

少し現在の各キャラの状況を整理します。これはAIとしてではなく、作者としてですね。
いらないとか言わないで。自分も整理したいから……


・霧切さん
AIは二階の隠し部屋の存在は知らないので調べたい放題です。
これは原作でも割と黒幕があわててたので、始める前にAIに情報を載せていないだろうという判断から。
しかし手詰まり感ががが。ちーたんを仲間に出来ればいいのですが、コミュ症……
えー、止めると言っておきながら止められなかった自分に対する苛立ちや罪悪感もあって、メンバーから意識的に離れてる模様。

・苗木くん
『動機』のせいで引きこもりになった可哀想な子。
信頼や信用は現在、舞園さん>霧切さんなので、舞園さんの意見を優先する模様。
舞園さんを止められるとしたら君しかいないぞ、頑張れ、そして舞園さんの絶望に気付け!

・舞園さん
この人が動くと嫌な予感しかしなくなってしまったのはなぜでしょう。
部屋の交換は苗木くんの生存確率を上げる為ではあると思いますが、まあ好意だけではなく計算でしょうね……
苗木くんへの好意は消えたわけじゃないと思うのですが、今の彼女は黒幕を殺すためにそれすら切り捨てられる怖い人。
殺人するにしても、実行犯としてではないと思うけども……多分ね

・セレスさん
原作よりも慎重な彼女です。舞園さんと同盟組んでますが、完全に信用しているわけではなく、利害の一致です。
彼女にとっては利害の一致の方が、友情などよりもよほど信用できるのかもしれない。
舞園さんへの切り札的な意味で、苗木くんを気にしてはいるようですが、あまり期待してない?

・ちーたん
ちょっと逞しくなって、原作よりもしっかりしてきた感がありますかね。舞園さんとのベッドシーンで大人になった。
怖い怖いと言っていますが、舞園さんを信用していいのかというより、舞園さんを心配しているんですね。
やっぱりちーたんは天使! そしてモノクマを解体して何を得るのか?

・アポくん
アホの子だけど、意外と核心付いたりする。漢字読めないけど。彼の疑問が解決へのヒントになったりする……ことも
でも舞園さんファンだから。利用されても仕方ないよね。

・腐川さん
いつも通りだ。いつも通りの彼女だ。ジェノさんもね。

・江ノ島さん
絶望を失った彼女は、どうも感情も薄くなっているっぽい?
色々能力も落ちてるのは、かなり無理矢理な脳への負荷のせいってことにしてる。
思い出したら高笑いするんだろうな。エクストリームするんだろうなぁ
その前に死んでくれたら世界の為なんだけどなぁ

・さくらちゃん
一応まだ人質のことがあるから、爆弾はまだ持ってる人
朝日奈さんがいなくなって、思いつめることも増えたかもしれない。
自分が何もできないことにいら立ってる。なので誰かに頼まれたら、割と簡単に協力すると思う


こんな感じの皆さんです。意外とさくらちゃんが不安定なんですよね。
霧切さんは……みんなの力が必要な時なのですが、ぼっちだから仕方ないのか……
舞園さんは怖いし……苗木くんはそんな彼女の味方だし……
さてさて、誰が生き残って誰がクロとなって、そして黒幕を追い詰められるんですかね……

…………難易度高いなぁ(べつのちーたん)

なんかテンションおかしいので変な文章になってたらごめんね。みんなの様子はこんな感じ。
じゃーねー……

乙。さくらちゃんのことやちーたんの不安が心配してるからだとか言うのはわからなかったから助かる。
学園長室って残姉の情報以外で何かあったっけ? 隠し部屋はなしで

>>339

>・江ノ島さん

>思い出したら高笑いするんだろうな。エクストリームするんだろうなぁ
>その前に死んでくれたら世界の為なんだけどなぁ

つまり記憶を戻せっていう事ですね分かります

>>341
第78期生のプロフィールで、そこで戦刃さんの存在に気付いたはず。
霧切さんは二階の隠し部屋で『ここから出てはいけない』『この中に二人の絶望がいる』
メモを既に見ている。
あそこにあったプロフィールが、後々学園長室に隠されたと自分は考えてます。
違ったっけ? 戦刃さんが参加しているこのSSでは、それほど致命的な情報ではありません。

隠し部屋には親子関係の話だったと思う。骸骨プレゼントは隠し部屋だったと思うんだけど……寄宿舎二階の教師の部屋だっけ? 少し曖昧です……PSPがあれば……

>>342
感情が薄くなってるから、出たいという気持ちもあんまりないんだと思います。

 19日、朝

《食堂》


桑田「う……セレス」

セレス「あら、おはようございます」

セレス「ずいぶんな反応ですわね。レディーに対して失礼なのでは?」

桑田「お前絶対そういうガラじゃねぇだろ……」

桑田「まあ、盆踊りのステージ一緒に歌った仲だし」

セレス「あのようにレベルの低いものとなったのはあなたのせいですわ」

桑田「ふっざけんなよ俺ボーカル頑張ったろ! このアホ! アホアホ!!」

セレス「ふう。もう少しボキャブラリーというのを身に付けたらいかがですか」

セレス「それではサルと呼ばれても仕方ありませんわね」

桑田「お前もサルって言うのかよ……」

二人「…………」

桑田「あー。聞いていい?」

セレス「嫌です」

桑田「苗木のことだけどよぉ」

セレス「ナチュラルに無視しましたわね。まあ話題が話題なだけにかまいませんが」

桑田「モノクマの言ったこと、マジで信じていいと思う?」

セレス「校則に明記してある以上、モノクマは本気と考えるべきでしょう」

桑田「うーん……」

セレス「あら。もしかして苗木くんを殺すつもりですか?」

桑田「表情変えずにおっそろしいこと聞くな……そんなつもりはねえよ」

桑田「やっぱ出たいけどな……俺、人殺しとかやっぱ怖えぇなって」

桑田「おしおきとか見ただろ? あんなん見せられたらな……」

桑田「あ、チキンだとか思っただろ!? そう思ったろ!?」

セレス「まさか。死の恐ろしさを理解できない人間は、命を賭ける意味を理解できません」

セレス「恐怖に支配されるのは大事ですが、恐怖を覚えないのは単なる精神疾患です」

セレス「それこそ、モノクマのような、ね」

セレス「あなたのランクはかろうじてDランクと認めて差し上げてもよろしくてよ」

桑田「Dランク? なんじゃそりゃ?……あ、やっぱいいわ」

桑田「ちなみにお前は怖くねぇの? 適応がどうとかずっと言ってるけど」

セレス「恐怖心を克服するのが適応への第一歩だと思いますわ」

桑田「うーん。わっかんねぇな、やっぱ……」

桑田「はあ。さやかちゃんと話してぇ」

セレス「一応忠告しておきますが、彼女はあなたには荷が重すぎると思いますわ」

桑田「なんでだよわっかんねぇだろ! この学園来て唯一のいい事だぞ!!」

セレス「ちっ。サルが」

セレス「ド低能と会話をするとこっちにまでアホがうつるんだよ死ぬまで黙ってろビチグソが」

桑田「お前やっぱ普段かぶってるだろ……猫じゃないなんかを」

えっと。もう少し観察を続けたいと思うので
>>356
まででキャラ名をお願いします。

桑田、舞園、霧切、腐川、大神、セレス、江ノ島、不二咲

苗木は強制ボッチなので、何かしらイベントがあるまではもう会話できないものと考えてください。ではお願いします

安価は明日以降書いていきます

舞園

舞園さんの相方が明らかに不穏じゃないですかやだー

はい、了解しました。ではではいい夢を……おやすみなさい……

だってみんなが選んであげないんだもん……

一応、一つ、トリックっぽいものは浮かんだんだけど……
正直、現実的ではないんだよなぁ。理屈では可能ってレベル……でもあり?

いや、うーん。
理屈では可能かもしれんが……それマジでやるのかってなると思う。結果もひどいかもしれない。
なったらいいんだけどなぁ。うーん。

超高校級の探偵()

大丈夫、>>1がこれはいける!って思ったもので書けばいい。

原作の桑田クンの証拠隠滅も普通の人がやれば失敗するけど、超高校級の野球選手という都合がいい理屈で成功?してる。

どうだろう? うーん。
まあいっか。とりあえず自由時間を書いていきます、もう少しお待ちください

ぎゃあ、ものすっごい怖いことになってる……!

19日目が終わるまでを投下していきます

19日、昼

《食堂》


セレス「あら、今度は霧切さんじゃありませんか」

セレス「一緒にお茶を飲みませんか?」

霧切「…………」

セレス「ふう。あなたも以前とは変わりましたね」

セレス「以前はもう少しぐらい、付き合いがよかったように感じるのですが」

セレス「それもこれも、舞園さんのせいですかね」

霧切「……どうしてここで舞園さんの名前が出てくるのかしら」

セレス「他意はございませんわ。ですが」

セレス「あなたはこのままでよろしいのですか?」

霧切「何の話?」

セレス「よろしいですか?」

セレス「もし、彼女と敵対することになったら」

セレス「客観的に見て、現在生き残ったメンバーの中で最も発言力があり、信用されているのは舞園さんです」

セレス「どれほど個々の能力に優れていようとも、場の空気を持っていくことに関しては」

セレス「霧切さんより、舞園さんの方が優れているように思いますわ」

セレス「そして、この学園では、学級裁判という厄介な制度があります」

セレス「どれほど正論であろうと、どれほど証拠を集めようと」

セレス「真実より、信用の方が強い世界です」

セレス「霧切さん。あなたは皆さんと溶け込むつもりはないのですか?」

霧切「…………」

霧切「どうだっていいじゃない」

セレス「舞園さんと一緒に行動するのがそんなに嫌なのですか?」

セレス「あなたが『内通者』かどうかの話をした時、彼女はあなたを庇いましたが」

霧切「そうだったらいいけど。実際は違う」

霧切「彼女は庇ったんじゃない。それが真実だと思ったからそう発言しただけ」

霧切「彼女の中で『内通者』の確信があったら、舞園さんはあの場できっと暴露していた」

セレス「つまり、それだけ舞園さんはあなたを信用しているということですわね」

霧切「何が言いたいの? 何を求めてるの?」

セレス「わたくしは霧切さんが単独プレイを続けることは、全体の不利益になると思っていますわ」

セレス「それを改めていただきたく思います」

セレス「舞園さんだって、不利益になることをしなければ、何もしないと思いますが」

霧切「それは全体の不利益ではなく、舞園さやか個人の不利益の話よ」

霧切「それらが重なるとは限らないわ」

セレス「なるほど。ではあなたを引き入れることは諦めましょう」

霧切「意外に早く諦めるのね」

セレス「引き際は心得ていますの。そこまで意志が固いならば仕方ありませんわ」

セレス「それに、どちらかと言えば今からが本題ですの」


セレス「苗木くんの件。あなたはどう思っているのです?」

霧切「まずはあなたの意見を聞かせてくれる? セレスさん」

セレス「あら。やっとわたくしの名前を呼んでくれましたわね」

霧切「…………」

セレス「『学級裁判なしで無条件に外に出れる』……魅力的な話ですわね」

セレス「恐怖に負けた石丸くんや、計画的に殺人を犯した十神くん、十神くんがクロだとわかり箍が外れてしまった葉隠くん」

セレス「彼らに申し訳ないくらいに、魅力的なお話です」

セレス「単純な天秤の話ならば、苗木くん一人の命でそれが叶うならば、おそらく釣り合いが取れるでしょう」

霧切「本当にそう思ってるの?」

セレス「わたくしがどう思うかではなく、この中の誰かが思ったら苗木くんは終わりますわ」

霧切「では答えて。セレスティア・ルーデンベルクは苗木くんを殺そうと思っているの?」

セレス「ああ……やっぱり素晴らしい響きですわね……」

セレス「セレスティア・ルーデンベルク……セレスティア・ルーデンベルク……」

霧切「…………」

セレス「そう、わたくしは最初から言っているように」

セレス「モノクマの言葉に耳を貸さず、この学園生活に適応するべきだと、そう繰り返させていただきますわ」

霧切「そう」

セレス「それで、あなたはどうなのです?」

セレス「苗木くんを殺すつもりは、全くないのですか?」

霧切「考えなかったと言えば嘘になるわ」

霧切「だけど私は、それを絶対に選んだりしない」


セレス「……なるほど」

セレス「あなたは強い方ですが、それが脆さに繋がってしまう方なのですね」

セレス「逆に舞園さんは、脆さを強さに換えている方」

セレス「相容れないのも、無理はないのかもしれませんわね」

霧切「それは違う」

霧切「脆さなんかじゃない……彼女はもう折れてる」

霧切「もう救いようがないところまで。既に終わってしまってる」

セレス「何を根拠に言っているのかはわかりませんが、あなたの中では真実なのでしょうね」

セレス「ですがそれならば、これ以上落ちる心配もないわけですわ」

セレス「共同生活を送る『仲間』として、忠告させていただくならば」

セレス「終わってしまったと言う彼女を止めるには、更に終わらせる必要がありますが」

セレス「苗木くんを殺すことを選ばない、選べないあなたに、それが出来るのですか?」

セレス「死んでいる人間をさらに殺すような真似が、出来るのですか?」

霧切「…………」

霧切「あなたは、舞園さんの何を知っているの?」

セレス「それが、どうもわたくしは信用がないみたいですわね。本心は全く教えてもらってませんわ」

セレス「霧切さんに答えられるようなことは、何一つとして知りませんの」

霧切「…………」

霧切「ご忠告は痛み入るわ」

霧切「けれど、私も止まるつもりはないわ。……止まったら、緩慢に殺されていくだけだから」

セレス「でしょうね。お気を付けて」

(霧切が立ち去る)

セレス「…………」

セレス「まったく、どいつもこいつも思い通りにならない厄介な連中ばかり……」

セレス「本当、頭のいい人間や勘の鋭い人間は厄介ですわね」

セレス「ならば、情にもろい凡人の方が、手駒としては気楽でしょうね」


19日、夜

《購買部》


舞園「あら。江ノ島さん」

江ノ島「えー、うん……」

舞園「なんだか、元気がないですね」

舞園「こんな状況だから、仕方ないとは思いますが……」

江ノ島「まぁ、ね。こういうガチャガチャしたとこ、嫌いじゃないから来てみたんだけどさ」

江ノ島「そうそう。あのさ、前から聞きたいことあったんだけどいい?」

舞園「なんでしょう?」

江ノ島「アンタってさ。割とはじめっから姉ちゃんのこと疑ってたらしいじゃん」

舞園「疑う……というと、悲しい言葉ですが」

舞園「そうですね。初日から疑わしい点はありましたから」

江ノ島「はあ。初日からモロばれとかマジあの残念な人らしいんですけど」

舞園「そんなこと……」

江ノ島「でもさ、アタシ疑う気にはならなかったわけ?」

江ノ島「自分で言うのもアレだけどさ、妹も疑うのが普通じゃない?」

舞園「うーん……それは違うなって思ってます」

舞園「それよりも、なんだろ……江ノ島さんはオーラ?みたいなものが薄くなってる方が気になりますけど」

江ノ島「えっと。アンタ、スピリチュアル系?」

舞園「私、エスパーなんです」

江ノ島「…………」

江ノ島「それあれだよね? アイドルの為のキャラ付のセリフで事務所に仕込まれてんだよね?」

江ノ島「じゃないと、結構……アレっぽく見えるからさ」

舞園「失礼しちゃいますね。江ノ島さんらしいですけど」

江ノ島「アタシ、失礼な奴に思われてるワケ?」

舞園「あ、そういう意味じゃなくって。エスパーっていうのも冗談で、本当はただの勘ですから」

江ノ島「舞園ちゃんってどうも不思議系なイメージあるんだけどね……」

江ノ島「誰にも常に敬語だし、得意料理がラー油とか言ってみたり」

舞園「え、知ってるんですか?」

江ノ島「アタシとアンタって近いじゃん。<才能>っていうか、仕事的な意味でさ」

江ノ島「インタビューぐらい見たことあるし」

舞園「そう言えば、共演したことはなかったですね」

江ノ島「あんま重ならなかったしね。こっち雑誌中心だし」

江ノ島「……外はどうなってんのかなぁ……」

舞園「…………」

江ノ島「あ、そうそう。話戻すけどさ」

江ノ島「えっと。なんていうのかさ……なんで姉ちゃん死んだんだろうって、ずっと考えててさ」

舞園「はい……一応、十神くんに協力した形で……自殺に近い感じ、という結論になってましたね」



江ノ島「それがわっかんないんだよねー……、姉ちゃんが好きなのって苗木だったし」

舞園「らしいですね」

江ノ島「ってか、アンタが暴露したんじゃんか。核爆弾並みの爆弾発言だったし」

舞園「えーっと、あれは……裁判の上で、カマをかける的な意味合いが強くて……」

舞園「あの時は、何故戦刃さんが工作したのかを明らかにしないといけなかったわけで」

江ノ島「まあ、妹のアタシにもろばれだったし、仕方ないんだろうけどさ」

江ノ島「姉ちゃんが死ぬ前の夜さ……苗木が気持ちに応えられないって言ったっぽいんだよね」

江ノ島「最初はそれのせいかなとか思ってたんだけど。でもさ、そうじゃない感じでさ」

舞園「えっと。そうなんですか?」

江ノ島「なんて言ったらいいのかな……『苗木が自分のことを考えてくれただけで幸せ』みたいな」

舞園「あー……わからなくはないですね」

江ノ島「いやわからんし。欲しかったら奪い取ればいいし」

舞園「江ノ島さんはそういうタイプなんですね」

江ノ島「まあだからさ。姉ちゃんが……十神に協力した理由っていうのが」

江ノ島「よくわかんないんだよね。死ぬ理由がないっていうか」

舞園「うーん……」

江ノ島「そもそもさ……黒幕と内通していたとかもさ」

江ノ島「よくわかんなくてさ……なんで? って感じ」

舞園「理由までは確かに……わからないですね」

江ノ島「死んだあとにわかったから、本人に訊くとかも無理だし」

江ノ島「アンタはまあ、割と鋭いっぽいし。なんか予想付くかなって思ったんだけど」

舞園「うーん……」

江ノ島「やっぱわかんないっか」

舞園「そうですね……双子の妹である江ノ島さんがわからないことを」

舞園「私がわかるというのは……難しいですね」

江ノ島「そっか。そうだよね」

江ノ島「ごめんねー。時間取らせちゃってさ」

舞園「いえ、全然大丈夫ですよ」

江ノ島「あ……やっぱもう一つだけいい?」

舞園「はい、なんですか?」

江ノ島「舞園ちゃんはさ、苗木のことどう思ってんの? 同じ中学だよね?」

舞園「………どうなんでしょうね」

舞園「私に持ってないものを持っていて……憧れても届かない人、ですかね」

江ノ島「は? それ苗木のセリフじゃね? え、憧れてんの? マジで?」

舞園「内緒ですよ? ここを出るまでは話さないって決めてるんです」

江ノ島「はあ、苗木……もったいない……」

江ノ島「じゃあ、アンタは絶対、苗木を殺すつもりはないワケだ」

舞園「当然じゃないですか」

舞園「私が苗木くんを殺すなんて、絶対に有り得ませんよ」


 19日、深夜

《苗木の部屋前・廊下》


セレス「………ふう」

 ぴんぽーん

 プツッ

??『…………』

セレス「わたくしです。セレスティア・ルーデンベルクです」

セレス「夜分に申し訳ありませんが、皆さんには内密にお話がしたくて」

セレス「出来たら開けていただきたいのですが、信用できないならばこのままインターホン越しでも――」

 がちゃ

セレス「あ、苗木く――!?」

(無理矢理苗木の部屋に引きずり込まれる)

(首元に刃物を押し付けられ、動けなくなった)



《苗木の部屋》


セレス「――……っ!」

舞園「酷いですよ、セレスさん……」

舞園「私たち、『仲間』じゃないですか……相談もなしに苗木くんを訪ねるなんて」

舞園「寂しいです、そんなの……」

セレス「……、何故……あなたこそ、ここにいるのです?」

舞園「苗木くんを守るためですよ。夜時間の間は部屋は交換してるんです」

舞園「あ、私の部屋だとは限りませんよ? 苗木くんが信頼している人が他にいたら、頼っているかもしれないし……」

セレス「……うふふ。やっぱりあなた、嘘つきの素質があるようですわ」

セレス「ところで、この手を放していただけると大変助かるのですが」

舞園「そう言わずに。私がセレスさんを殺したりするわけがないじゃないですか」

舞園「『仲間』なんですから。ね?」

セレス「じゃあ、どうしたら放していただけます?」

舞園「そうですね……苗木くんに何しに来たのか?」

舞園「教えてくれたら、私はとっても嬉しいんですけど」

セレス「あら。夜中にこっそり女性が勇気をもって男性を訪ねる理由なんて、それほど多くないですわよ」

舞園「そうですね。だけど、そうとは限りませんよね?」

セレス「ふふふ……ところで、『仲間』ならば」

セレス「わたくしを信じて、いただきたいですわね」

舞園「そうしたいところなんですけど……現実にセレスさんはこっそり苗木くんを訪ねちゃってるわけですから」

舞園「やっぱりしこりは、なくしておきたいかなあって思うんです」

舞園「明日以降、セレスさんが一人になっちゃったら」

舞園「やっぱり、悲しいので」

セレス「…………」


セレス「放したら、お話しますわ。どいてくださる?」

舞園「もう。セレスさんは一回嘘をついてるじゃないですか」

舞園「だから、信じられませんよね? 悲しいですけど」

舞園「なので……こんなこと、したくないんですけど」

舞園「セレスさん。……やっぱり女の子は顔って、傷つけられたくないですよね?」

セレス「………! ずいぶん……過激ですわね」

セレス「わたくしにそんなことをしたら、あなたが――」

舞園「私は苗木くんの部屋を訪ねたセレスさんを、正当防衛で追い返すだけです」

舞園「深夜に、苗木くんの部屋を訪れたのは、セレスさんですよね?」

セレス「…………!」

舞園「わかっていただけて、嬉しいです……セレスさん」

舞園「教えてください……何をしに来たのか」

セレス「…………」

セレス「今回の『動機』について……どうするかですわ」

セレス「納得できないならば、身体検査でも何でもしてくださって結構ですわよ」

セレス「わたくしは凶器を持っていません。苗木くんは小柄といえども、男子ですから」

セレス「わたくし、肉体派ではありませんの。取っ組み合いになって勝てるなんて思っていませんわ」

セレス「あくまで話をしに来ただけです。まずはそれを信じていただきたいですわね」

舞園「具体的に、どんな話ですか?」

セレス「それは、苗木くん次第のところが大きいですから」

セレス「具体的に、と言われると困ってしまいますわ……具体的なことを思い浮かべたわけではないのです」

セレス「ただ、現状をどう打破するつもりなのか。あえて言うなら、そういう話ですわ」

舞園「私への切り札にするつもりではなく?」

セレス「……ふふふ。流石にごまかせませんわね」

(ぐっと刃物に力が込められたようだが、セレスは涼しい顔をしている)

セレス「正直に言うと、それは思っていました」

セレス「ですが今はそんなつもり、全くありませんの……苗木くんではあなたを止めることができないと」

セレス「わたくしはそう判断しましたわ。信用していただけます?」

セレス「……『仲間』の言葉を」

舞園「…………」

舞園「……ふう。疲れちゃいましたね、この体勢」

(突きつけていた刃物を放す舞園。セレスは息をそっと吐いているようだ)


セレス「はあ。人生最大の危機だったかもしれませんわ」

舞園「もう。単なる脅かしですよ。本気で傷つけたりするつもりなんてありませんってば」

セレス「ですが、お洋服が汚れるところでしたわ」

舞園「は?」

セレス「血のシミって、クリーニングでもなかなか落ちなくて」

セレス「首から血が落ちたら、どうしようかと……」

舞園「はあ……セレスさんらしいというか」

セレス「あなたこそ。部屋の交換だなんて話してなかったじゃないですか」

舞園「まさか、セレスさんが来るだなんて思ってなかったんですよ」

舞園「私は苗木くんの部屋を訪ねる不審者がいないか確認していただけですし、もし来たら話すつもりでした」

舞園「インターホンでセレスさんの声を聞いたとき、本当にショックだったんですよ?」

セレス「それはそれは。ごめんあそばせ」

セレス「まあ、あなたを出し抜くということは、これからはしたりしませんから」

舞園「あの、今も否定してほしかったんですけど……」

セレス「否定していたら、あなたはその包丁で何をしていました?」

舞園「あ、しまっておきますね」

(包丁が引き出しにしまわれる)

セレス「まったく、今のような体験をしたら、確かに不二咲くんでも感覚ががらりと変わるでしょうね」

セレス「むしろ、まだ普通に話しているあたり、彼もなかなか豪胆なのかもしれませんが」

舞園「あの、その話はやめてほしいんですけど……」

舞園「ついでに言うなら、平然としたセレスさんの顔も、怖かったんですよ?」

セレス「ギャンブラーがポーカーフェイスぐらい出来なくてどうしろと言うのです?」

舞園「そういうもの、ですかね?」

セレス「いずれにしても、わたくしは苗木くんの殺害によって外に出るという考えはありませんわ」

セレス「そこは信じていただくしかありませんが」

舞園「ですが、今のままだといずれ誰かが行動を起こすと思いますよ」

セレス「そうなる前に、対策が必要ですが」

舞園「…………」

舞園「明日の朝、不二咲くんの部屋に行って相談しませんか?」

舞園「一つ、考えていることがあるんです」

セレス「また、物騒な話なんでしょうね……」

舞園「でしょうね。学級裁判を起こすつもりですから」


セレス「……クロはあなたですか?」

舞園「あ、その、まだ私の中で決心がついてないので……計画は明日、話しますよ」

セレス「…………」

セレス「わたくしはあなたに乗ると決めているのです」

セレス「先ほどのやり取りも、わたくしは決して恨んでなどいません。当然の処置だと思います」

セレス「わたくしがあなただったら、同じく釘を刺していたでしょう」

セレス「ですが、あなたは最初からそんな人でしたか?」

セレス「そこまで冷酷に冷徹に、躊躇いなく判断できる人でしたか?」

舞園「…………」

セレス「友人として、お願いしますわ」

セレス「わたくしはあなたを決して嫌いになれません。ですから」

セレス「出来ればあなたには生きていてほしいと、そう思います」

舞園「…………」

セレス「勿論、互いの利害が一致しなかった場合は、お互いにコロシアイをすることを躊躇うつもりはありませんが」

舞園「躊躇わないんですか。そこは躊躇ってほしいんですけど」

セレス「さっきの自分を鏡で見てから言いやがることです」

セレス「とにかく。あなたに乗ると決めた以上、あなたが簡単に死んでは困るのです」

セレス「わたくしはあなたに賭けたのですから」

舞園「…………」

舞園「私はセレスさんも不二咲くんも……苗木くんも霧切さんも」

舞園「みんな『仲間』だと、そう思ってます」

舞園「だから、信じているんです。それだけですよ」

セレス「……明日、詳しい話は聞かせてもらいましょう」

舞園「はい。おやすみなさい」

セレス「……おやすみあそばせ」

(セレスが部屋から立ち去る)


舞園「…………」

舞園「とうとう、私が主導で」

舞園「学級裁判を、起こす」

舞園「弄ばれていようと、それでも……黒幕に近づけるなら」

舞園「情報にありつけるなら、何でもやってあげますよ」

(監視カメラを睨み付ける舞園)

(照明が消された)

あまりに怖くて泣きそうな自分がいます。もうこの人どうしよう。

さて、何する気なのかは明日以降です。安価が一回分残ってるのも覚えているので、大丈夫です。
ではでは、今日はこのあたりで。バイナラー

(ぴょーい)

あ、ちなみに
セレスさんが答え方を間違っていたら、舞園さんがセレスさんを殺してた可能性は結構高かったと思います
それぐらいには躊躇がなくなっているので 

やったねたえちゃん、間違えなくて!

(ぴょーい)

>>374

>セレス「まったく、どいつもこいつも思い通りにならない厄介な連中ばかり……」

>セレス「本当、頭のいい人間や勘の鋭い人間は厄介ですわね」

>セレス「ならば、情にもろい凡人の方が、手駒としては気楽でしょうね」

(アカン)

>>382

>舞園「情報にありつけるなら、何でもやってあげますよ」

卒業試験で私様刺殺フラグ
江ノ島さんの記憶はまた戻す機会があるんだろうか?

あとぼっちさんは協力して欲しいけど、今頃どうやって接すればいいかわからない絶望的にコミュ症さん何ですね。

症じゃなくて障な
なんで間違えてんのか俺には理解できんけど

>>393

今まで「コミュショウ」のことを「コミュニケーション不全症候群」だと思ってたんだよ言わせんな恥ずかしい(絶望)

そんな事よりみんなを絶望させたい(盾子ちゃん込み)

あ、そうだ

20日目の朝と夜はプレイアブルキャラ(操作できるキャラクター)を変えてみるのも考えてるんだ

捜査編と学級裁判はいつも苗木だったけどね。たまには視点を変えてみようかと
苗木じゃない、ほかのキャラで。舞園さん以外で。希望が多ければやってみようかなぁって。

今回ね、実はほぼ捜査編がないんだよ。ネタバレになるけど、ゲームの三章みたいに、目の前で事件が起きる感じになるんだ

朝・プレイアブルキャラ視点→昼・モノクマAI視点(安価の舞園さんと桑田の二人の会話)→夜・プレイアブルキャラ視点

みたいな感じ。苗木だとね……引きこもりだからどうしても動きが取れなくて
別に全部AI視点でも構わないんだけど、捜査の視点を苗木に限定することはないよなぁって
みんなの意見を聞かせてくれぃ

ま、希望があってもそれを聞くとは限りませんがね!

なんで霧切さん除いちゃうの……? み、みんな!
エスパーなんかにやられちゃダメだよ! それは陰謀だ!!

いや、やっぱ霧切さんの立場的には言っておかないと。

二回チャンスがあるから、セレスさんとちーたんの二人でもいいけどね

うん。まあそういう話をしたら、今までの話の流れ的に霧切さんかちーたんかセレスさんの三人に集中するだろうなとは思ってたんだ

ちょっとみんなの意見を見てから書き始めることにする。ちなみにAI視点になったとしても文句言わないでください

(ぴょーい)

えっと。
ごめん、希望の中からこっちが勝手に決める感じになります。
トリック……なのか?が、AI視点だと「何やってんだこいつら」状態になってしまう。
こればっかりは読んでもらえば理由がわかるだろうけど、大体舞園さんのせいです。多分ね。

だから生徒の中から一人、なんですが、苗木は動けないので。
結構なんというのかな……うん。

命がけの謎解き、命がけの裏切り、命がけの騙し合い、命がけの信頼

これらを描いてみたいな、と。今のとこ有力候補はセレスさん、第二候補がちーたんですね

ちーたんは苗木と性格が被るから。こればっかりはごめんね、としか。


えっと、事件が起きるまでを投下していきます。

これはAI視点です。プレイアブルキャラは

セレス→霧切→不二咲→苗木

になっていくと思います。これが事件が起きてから解決までですね。

ではいきます。


 20日目、朝

《苗木の部屋》


苗木「…………」

苗木「いつまでボクはみんなを怖がって、部屋にいなきゃいけないんだ?」

苗木「……舞園さんを守るって言ったって……これじゃ……」

苗木「部屋の交換も……本当に大丈夫なのか?」

苗木「…………」

 ぴんぽーん

苗木「……! はい?」

??『…………』

 プツッ

苗木「…………」

苗木「悪戯? ……いや……でも……」

苗木「…………」

苗木「? ドアの下の隙間に、何か……紙?」


(『こんや 7じ だれかが しぬ』)

(『はんにんは まいぞの さやか』)


苗木「……は?」

苗木「なんだよ……なんだよ、これ」

苗木「誰だ? なんでボクにこんなことを?」

苗木「7時……夕食会のことか?」

苗木「……裏面にも何か……?」


(『おまえの せんたくしは ふたつ』)

(『じけんが おきるまえに おまえが しぬ』)

(『もしくは』)

(『おまえいがいの だれかが しぬのを まつ』)

(『だれかが しぬのを えらぶなら』)

(『おまえの やくめは それからだ』)

(『だいよくじょうに こい』)

(『おまえの やくわりを せつめいしてやる』)


苗木「…………」

苗木「罠、だよな……これ……絶対……」

苗木「だけど……」

苗木「…………」

苗木「無視、出来ないよな……」

苗木「行くしか……ないよな……」


 20日目、昼

《音楽ホール》


舞園「…………」

桑田「あ、さやかちゃん?」

舞園「あ……桑田くん。おはようございます」

桑田「おはよう! っつっても、もう昼食べちまったけどな!」

舞園「あ、ごめんなさい」

舞園「業界の癖が抜けなくて。あっちは初めて会ったら夜でもおはようって言わないとだめだから」

桑田「へえ。やっぱ芸能界ってこっちとは違うんだな」

桑田「で、さやかちゃんは何してたの? ここで」

舞園「そうですね」

舞園「夢を……見てたのかな」

桑田「夢?」

舞園「昔の……アイドルになる前の夢」

舞園「あのステージの上で、飛んだり跳ねたり踊ったりして」

舞園「笑顔でみんなに希望を振りまくアイドルたち。スポットライトで、すっごく輝いて見えた」

舞園「それが私の夢の原点なんです」

桑田「へえ。それで夢を叶えて、しかも<超高校級>がつくぐらいのアイドルになったわけか」

桑田「すっげーなぁ」

舞園「桑田くんも、<超高校級の野球選手>じゃないですか」

桑田「あー、その。俺は野球に興味がないからさ」

舞園「そうなんですか?」

桑田「むしろ嫌いだね。汗まみれ泥まみれなんてかっこ悪ぃし」

舞園「そんなことは……」

桑田「俺さ、まあでも。さやかちゃんみたいに夢があってとかじゃねぇからさ」

桑田「ここ入ったら、まあ退屈せずに済むかなとか思ったんだけど」

舞園「退屈……ですか」

舞園「私は呼吸ができなくなるくらい、泳ぎ続けていましたから」

舞園「芸能界の海って、すごく怖いんです」

舞園「ある意味ではここと同じ。簡単に、タレント生命を絶たれるという意味で」

舞園「あまりにも、簡単に人が死んでいきました」

舞園「スキャンダルで。努力が認められなくて。嫌なことをさせられて」

桑田「そっかぁ……」

舞園「それでも私は幸せでした」

舞園「『仲間』がいましたから……同じ夢を持つ仲間が」

舞園「桑田くん」

桑田「ん?」

舞園「あなたは、仲間を殺したことがありますか?」

桑田「………へ?」

桑田「い、いや……ないと思」


舞園「石丸くんが死んだのは、怯えたのは、桑田くんのせいじゃない、と?」

桑田「…………」

桑田「え、え、え、えっと……なな、何の話?」

舞園「石丸くんへのメモは、桑田くんが出したんですよね?」

桑田「え、え、え、え、えっと」

舞園「私、エスパーですから。わかっちゃうんです」

桑田「そ、そうなんだ……さやかちゃんってすげぇなぁ……」

舞園「わかってますよ……桑田くん」

舞園「あの時、私が被害者になるなんて言ったから」

舞園「だから、何とか逸らそうとしたんですよね? そこまで深く考えずに」

桑田「…………」

桑田「だ、だって……ああして……石丸が事件起こさなかったら」

舞園「私が犠牲になっていたかもしれない?」

桑田「そ、そ、そ。そう……大体、そこまで本気じゃなくて……なんつーか」

舞園「もういいんです」

舞園「もういいんですよ、桑田くん」

桑田「さ、さやかちゃん……」

舞園「聞いてみたかっただけです。今更言っても何も戻ってこないし」

舞園「誰にも言うつもりはありません。ただ……」

舞園「少し、一人にしてください。お願いします」

舞園「もう少しだけ、夢を見させてください……」

桑田「あ、ああ……じゃ、邪魔して悪かった」

桑田「じゃ、じゃあ。また」

(桑田が去る)

舞園「……ふふ……きっと桑田くんは、今夜絶望するんでしょうね」

舞園「…………」

舞園「私、なんで笑ってるんだろう」

舞園「なんで、人が絶望する姿を思い浮かべて」

舞園「私は楽しいと感じているんだろう」

舞園「…………」

不二咲「――舞園さん!!」

舞園「……不二咲くん」

不二咲「探したよ……ねぇ」

不二咲「そんなの、ゼッタイだめだよ……!」


 20日目、夜

《食堂》


セレス「さて、今日は少し豪勢に行こうかと思いますの」

セレス「主に、大神さんに作っていただきましたが」

大神「我は、洋食は作ったことがあまりないが」

大神「たまにはいいだろう」

江ノ島「うわあ……すっげぇ豪華」

苗木「うん。大神さん、すごいね」

江ノ島「って、苗木!? アンタ部屋にいるんじゃなかったの?」

苗木「もう、引きこもるのは止めにしようかと思ってさ」

苗木「これ以上みんなを疑いながらっていうのは……もう嫌なんだ」

舞園「…………」

舞園「そうですね。苗木くんがこれ以上、みんなを疑わなくていいように」

舞園「なると、思いますよ。きっと」

苗木「……うん。舞園さんの言葉なら信じられるかな」

江ノ島「なーんか、イチャついてる?」

ジェノ「きぃぃぃぃ!! アタシも白夜様とそういう仲になりたかったのに」

苗木「う……今日は、ジェノサイダーの方なんだ……よりにもよって」

ジェノ「まこちんツレなぁい! でもぉ。ちーたんもいい感じかなって、思ってたり!」

ジェノ「ゲラゲラゲラゲラ!!」

不二咲「え……ぼく……?」

ジェノ「もう萌え萌えだもん! ねぇ、今夜ぁ、ハリツケにならない?」

不二咲「え、……えっと……その……」

桑田「なるかアホ! 不二咲も断れ!」

ジェノ「ゲラゲラゲラゲラ!!」

苗木「……うん。なんか、……これがみんなだなぁって思う」

霧切「そうね。では久しぶりに、全員で食事にしましょう」

セレス「本日に限り、わたくしが皆さんに食後のロイヤルミルクティーを淹れて差し上げますわ」

舞園「…………」


(食事が進んでいく)

(大神の作る料理は美味しかったらしい)

桑田「ふいー。食った食った」

江ノ島「めちゃウマなんですけど! マジでヤバかったんですけど!」

不二咲「うん。美味しかったよ」

舞園「本当に美味しかったです。ご馳走様でした」

セレス「では皆さん。食後のティータイムと行きましょう」

霧切「…………」

(セレスが一人一人にカップを渡していく)

舞園「ありがとうございます」

江ノ島「へえ、うるさいこと言うだけはあるっつーか、美味いねこれ」

桑田「っつーか、自分で淹れればいいんじゃねーか? いつも」

セレス「それではありがたみがなくなるではありませんか」

舞園「……ふふ、こういう時間もいいですね」

舞園「苗木くんもそう思いません?」

苗木「ああ……思うよ。とても」

霧切「…………」

セレス「あら、あなたは飲んでくださらないのですか?」

舞園「はいはい、飲みますよ」

舞園「…………」

(パリン、とカップが床に落ちて割れる音が響く)

(続けて、舞園の身体が崩れる)

全員「――――――!?」

苗木「――――舞園さん!!」

(唇から一筋の血が流れ落ちる)

(バイタル確認。心停止確認)


 ぴんぽんぱんぽーん

『死体が発見されました!
 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』


苗木「舞園さん!! 舞園さん!!」

苗木「舞園さん――!!」

さて、事件は起きましたね。えらいこっちゃです。
夜投下に来れたらいいな。んじゃーねー

(ぴょーい)

犯人はピンクの悪魔(中の人的な意味で)

書けた……かな

投下していきます。もういいや、これで


(ぴょーい)

モノクマ「うぷぷぷぷぷ……」

モノクマ「いやっほぉう! わっくわくの学級裁判が始まるよ!」

不二咲「――――――!」

不二咲「みんな!」

不二咲「校則の項目が消えたよ! 苗木くんは自由だ!」

モノクマ「へ?」

苗木「舞園さん――」

苗木「絶対に、助けてみせる!」

苗木「絶対にだ!!」



 20日目、朝

《不二咲の部屋》


セレス(ったく、あのダボが)

セレス「お待たせしましたわね。あら? 舞園さんはまだですか?」

不二咲「うん。……いつも先に来るタイプなんだけど。珍しいよね」

不二咲「ねえ、何の話か聞いてる? 大事な話がありますって言われたんだけど」

セレス「今の状況で大事な話と言えば、苗木くんの件でしょうね」

不二咲「だよね……大丈夫かな」

 ぴんぽーん

不二咲「あ、来た」

セレス「気を付けてくださいね。また包丁で殺されかけるような羽目になるかもしれません」

不二咲「あは、大丈夫だよ」

セレス(このガキは何で無邪気に信頼できるのでしょう)

セレス(顔? 雰囲気? アイドルってぼろい商売ですわね)

舞園「すみません。お待たせして」

セレス「いいえ。大して待ってはいませんわ」

セレス(昨日のことは全く顔に出さない)

セレス(まったく、わたくしとしたことが。厄介な船に乗ると決めたものです)

セレス(まあ決して嫌いではありませんが)

舞園「えっと。これを取りに行ってて遅れたんです」

(小さな小瓶が置かれる)

不二咲「これは?」

舞園「毒です。致死量の」

セレス・不二咲「………………は?」

不二咲「え、えっと。どういうこと?」

セレス「……あなたは昨日、『学級裁判を起こすつもり』だと、そう言っていましたね」

不二咲「え―――!? じゃ、じゃあ」

舞園「はい。殺すつもりでいます」

舞園「お二人に話したのは、まあ事後処理をやりやすくするためですね」

セレス「よりにもよって、そんな話ですか?」

セレス「わたくしだけならともかく、不二咲くんが協力するわけがないでしょう?」

舞園「といっても。殺すのは私です。被害者も私」

舞園「なので、止められてもいつでも出来ますし」

セレス「…………」

セレス(そう来ましたか――自殺する、と)

不二咲「な、な、何言ってるの? 本気で言ってるの?」

不二咲「意味が分からないよ? どうして? ねえ?」

セレス「不二咲くん。とりあえず彼女の話を聞かせてください」

セレス「実行の予定はいつですか?」

舞園「うーん。いつがいいと思います?」

セレス「それを聞きに来たんじゃないでしょうね」

舞園「ふふ」

セレス(……なるほど)

セレス(自分の命すらも犠牲にし、苗木くんを助け、学級裁判を起こし、黒幕の情報を手に入れる)

セレス(それをいつも通りの笑顔で言える彼女は……霧切さんの言うとおり、終わっているのか)

不二咲「ねえ、他にやり方あるでしょ? どうして? ねえ?」

舞園「あ、あの、すみません。もう決めちゃいましたし」

セレス「不二咲くん、あまり強く止めない方がいいと思いますわ」

セレス「はっきり言って被害者は誰でも構わないのですから。あなたになるかもしれませんよ」

不二咲「えっ…………!?」

舞園「そんなことはしませんよ。不二咲くんが攻撃の要なんですから」

舞園「生きててもらわないと、困ります」

セレス(……昨日、発言の選択を間違えていたら、本当に殺されていたかもしれない)

セレス(それぐらいには、躊躇がないようですわね)

セレス「止めてもいつでも好きな時にあなたは実行できるでしょうから、無駄でしょうね」

不二咲「セレスさん!?」

舞園「はい。なので、一応学級裁判後はお二人にお任せしようかと」

セレス「一応、あなたがリーダーのグループなんですけどね」

舞園「ふふ。『仲間』である二人なら、任せても大丈夫かなって」

セレス「……重圧に負けた、わけではありませんよね?」

舞園「それしかないなら、それを選ぶだけですよ」

セレス「……わかりました。仕方ないですわね」

不二咲「セレスさん!! 止めてよ!! ねえ!!」

セレス「うっせぇガキがちょん切ってぶち殺すぞ!!?」

不二咲「ひぃ!!?」

セレス「まあ、今すぐじゃなくても。そうですわね。今夜の夕食会で」

セレス「全員で、最後の晩餐とでもしませんか?」

舞園「あ、いいですね、それ」

舞園「最期ぐらい、みんなで過ごすのもいいでしょうね」

セレス「せっかくですから。全員にロイヤルミルクティーを私が淹れて差し上げますわ」

セレス「末期の水、ではありませんが。舌を楽しむぐらいのことは許されるでしょう」

舞園「きっと喜ぶと思います。苗木くんも」

舞園「じゃあそういうことで。実行はすべて私がしますから」

舞園「お二人は何もしなくていいですよ」

セレス(普段通りの調子で、舞園さんが立ち去っていきます)


不二咲「セレスさん!!!!!!」

不二咲「ちょ、止めないと! また、死んじゃう……!!」

不二咲「もう、いやだよ……人が死ぬのは……う、う……」

セレス「ですが、学級裁判を迎える以外に苗木くんの条件を解除することが……」

セレス「…………」

セレス(いえ……違う。わたくしの知っているルールと違う)

セレス「…………」

不二咲「どうしたの?」

セレス「確認したいことがあります。不二咲くん、モノクマの解析作業はどれくらい進んでいますか?」

不二咲「な、七割くらいかな……何を確認したいの?」

セレス「条件です」

セレス「…………」

セレス(不可能ではない……確率が低すぎるだけ)

セレス(だけど)

セレス「…………」

セレス「実はわたくし、昨夜舞園さんに包丁を突き付けられました」

不二咲「え!? セレスさんも!?」

セレス「このままやられっぱなしというのは腹が立ちませんか?」

不二咲「えっと……腹が立つとかは、その」

セレス「グチグチうっせぇんだよ黙って耳の穴かっぽじって聞きやがれってんだよぉ!!!!」

不二咲「ひぃぃ!!!」

セレス「……いえ、失礼しました。さすがのわたくしも彼女の行動にいら立っているようです」

セレス「なので、狂わせてやりましょう」

不二咲「えっと……なにを?」

セレス「彼女の計画を。もちろん、……死者が出る必要はあるわけですが」

セレス(わたくしは考えを不二咲くんに話しました。監視カメラに聞こえないようにこっそりと)

セレス「……いかがですか?」

不二咲「えっと……でも……」

不二咲「可能性は……すごく低いよね」

セレス「不二咲くん。わたくしの<才能>をお忘れですか?」

不二咲「ちょ、<超高校級のギャンブラー>……だけど、あまりにも……これは……」

セレス「このまま相手のコールを待っていたら、全てを持っていかれるだけですわ」

セレス「手札がブタであっても、相手がそれを知らなければフォールさせることは出来ますのよ」

セレス「このままレイズしなければ、彼女の一人勝ちで終わってしまう」

セレス「ギャンブラーとしては、容認できないことです」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくは何をすればいい?」

セレス「不二咲くんには、決行された時の項目の確認作業をお願いしますわ」

セレス「そして、人手が足りないのです。ですが舞園さんに見つかることは避けたいので」

セレス「不二咲くんには舞園さんについていてください。出来る限り、他の生徒との接触を避けるように」

セレス「なんなら、ずっと計画を中止を訴えるぐらいでもいいかもしれませんね」

セレス「目くらましにはなるでしょう」

不二咲「……うん。わかった。やってみるよ」

不二咲「人選は、セレスさんに任せる。ぼくはみんなを信じすぎて」

不二咲「適材適所とか、そういうのを考えるのは苦手だから……」

セレス「そうですわね。信用の度合いは不二咲くんの方が上でしょうが」

セレス「交渉術はわたくしのほうがいいでしょう。では、時間があまりありません。お願いします」

不二咲「うん……!」


《苗木の部屋・前》


セレス(これぐらい怪しげな方が食いつくでしょう)



《娯楽室》


セレス「あら、霧切さん。ここにいらしたのですね」

霧切「……なにか?」

セレス「ええ。前置きも惜しいくらいに大事な用事ですの」

セレス「出来るだけ誰にも見つからないように。大浴場まで来てください」

霧切「……かなり余裕がなさそうね。わかったわ」



《大浴場》


セレス(ここは不二咲くんを信じるしかないのですが)

セレス(もし舞園さんに見つかったら、今度こそ殺されかねませんね)

霧切「で? 用事って?」

セレス「待ってください。もう一人呼んでいます」

霧切「……! 苗木くん……」

霧切「これが罠だと考えなかったの?」

苗木「考えたよ。だけど」

苗木「今日、誰かが殺される、なんて言われたら……何をするのかの方が気になって」

霧切「どういうこと?」

セレス「説明いたしますわ」


セレス「舞園さやかが学級裁判を起こすことで、苗木くんの状態を開放しようと考えています」

苗木「…………」

苗木「は?」

霧切「誰かを殺すつもりなの?」

セレス「ええ。学級裁判が行われた場合、クロは舞園さやか」

セレス「被害者も舞園さやか。つまり、自殺するつもりです」

霧切「…………!」

セレス(霧切さんが絶句して言葉も出ないというのは、二回目の裁判の時以来ですね)

苗木「なんで……」

苗木「なんで、舞園さんが……そんなことを?」

苗木「そんなこと、望んでない! ボクは望んでないよ!」

セレス「苗木くんの気持ちは関係ないのです」

セレス「献身と考えてはいけません。これは彼女がそう望んだのです」

霧切「で? その話を聞いてどうしろと?」

苗木「霧切さん……!」

霧切「だって、どうしようもないじゃない」

霧切「彼女はいつでも実行できるのだから」

セレス「それを何とか今夜の夕食会に限定しました」

セレス「決行は夕食会。おそらくラストのティータイムで起きるでしょう」

セレス「そしてわたくしには、彼女が決行することを止めるつもりはありません」

苗木「はあ!? なんで!? 止めなきゃ!!」

セレス「はあ。よろしいですか?」

セレス「彼女が決行しないと、苗木くんの条件が解除されないからです」

苗木「そんなのどうだっていいよ! ボクの為に犠牲が出るなんて、馬鹿げてる!!」

苗木「そんな話を聞かせるために、ボクを呼んだの!?」

霧切「苗木くん。落ち着いて」

苗木「き、霧切さん……」

霧切「まず、あなたの考えをすべて聞かせて」

セレス(説明を終えた二人の顔には、不二咲くんと同じく疑問符)

セレス(つまり、それだけ不確実に過ぎる方法ということでしょうね)

セレス「ふう。まあこういった感じですわね」

霧切「彼女が毒物で事件を起こすつもりでいることは間違いないのね?」

セレス「わざわざ手に入れてきてましたから。おそらくは、化学室のものですわね」

霧切「…………」

苗木「それしか……舞園さんを止める方法はないの?」

セレス「今夜の夕食会を逃せば、おそらくどこかで知らない間に事件が起きてしまうでしょうね」

霧切「そうなったら対処の仕様がない……」

セレス「まあこう言っている間にも、彼女が事件を起こすかもしれませんが」

苗木「そんな」


霧切「その可能性は低いと思うわ」

セレス「でしょうね。手間が省けますから」

苗木「…………」

霧切「ふう。仕方ないわね」

霧切「生き残った人間では、私が一番詳しいだろうし」

霧切「基本的に私がいないと成立しない計画ね」

セレス「あら、舞園さんとは仲が悪いと思っていましたが」

霧切「苗木くんの状況の打開には確かにそれしか方法がないから」

霧切「そこまでやるとは思わなかったけど。気を付けていたつもりだったけど、見込みが甘かったのは……そうね」

霧切「何回か出し抜かれてるわ」

苗木「出し抜かれてるって……何したの?」

霧切「ではもう少し詳細を詰めましょう。私はそれから確認しに行くわ」

苗木「む、無視……?」

霧切「毒物はどんな形状だった? 色は?」

セレス「液状でした。透明でしたわね」

霧切「確認するわ」

苗木「あの! ……他の人には言わなくていいの?」

セレス「わたくし達は舞園さんの計画が決行されてから、初めて動くのです」

セレス「その前に誰かに止められたらどうするのです?」

苗木「……そっか……そうだね……」

苗木「…………」

苗木「舞園さんが中止してくれたら……一番いいんだけど……」

セレス「一応は不二咲くんに期待してみたらいかがでしょう」

セレス「無駄でしょうけどね」

セレス「苗木くん。あなたも止めてみたらどうですか?」

苗木「…………」

苗木「……ボクは」

苗木「ボクは、約束したんだ。舞園さんを助けるし、守るし、信じるって」

セレス「…………」

霧切「…………」

苗木「……そのやり方しか助けられず、守れないというなら……ボクはその案に乗るよ」

セレス「なるほど。では……わたくしも苗木くんのその言葉を信じるとしましょう」

霧切「一つ、いいかしら?」

セレス「なんですか?」

霧切「あなたの理由を知りたいの。あなたは友情なんかで動くタイプには見えないから」

苗木「き、霧切さん」

セレス「……そうですわね。わたくしもギャンブラーなのです」

セレス「今だけですが、<超高校級のギャンブラー>が、<超高校級の幸運>に賭けてみたいと思いましたの」

苗木「セレスさんにそう言われると……心強いな」

霧切「では解散しましょう。あまり時間がないわ」


 20日目、昼

《化学室》


霧切(液状で、透明。小瓶に入る程度の量で致死量になる毒物……)

霧切(…………)

霧切(苗木くんの幸運は本物かもしれないわね)

霧切(彼女がこの薬物を選んでくれたことは、確実に可能性が上がる)

霧切(知識がなければアウト。舞園さやかに知識がなかったことも幸運ならば)

霧切(数ある毒物の中から、これを選んでくれたことも)

霧切(…………)

霧切(後悔はしない。間違いなく私が選んだこと)

霧切(これでさらに、事態が厄介な方向に動いたとしても)

霧切(私は××××だから)

霧切(――――――)

霧切「今、私は……何て思った?」




《校舎二階・廊下》


霧切「……大神さん」

大神「霧切か。お主から話しかけるとは珍しいな」

霧切「頼みがあるの。聞いてくれる?」

大神「もっと珍しいな……なんだ?」

霧切「今日の夕食会の料理を担当してほしいの」

霧切「多分、セレスさんに話を聞いてもらえればわかるだろうけど」

霧切「今から言う材料を中心に作ってほしいの」

大神「構わぬが……一体どういう風の吹き回しだ?」

霧切「どうだっていいじゃない……後で全部知ることになるんだから」

霧切「メモは後で渡すわ。悪いけど、今夜であることが重要なの」




 20日目、夜

《食堂》


不二咲「…………」

不二咲(やっぱり、舞園さんの意志は固かった)

不二咲(そこまで……苗木くんのことが好きなのかな)

不二咲(止められたら、一番よかったのに……)

苗木「うん。大神さん、すごいね」

江ノ島「って、苗木!? アンタ部屋にいるんじゃなかったの?」

苗木「もう、引きこもるのは止めにしようかと思ってさ」

苗木「これ以上みんなを疑いながらっていうのは……もう嫌なんだ」

舞園「…………」

舞園「そうですね。苗木くんがこれ以上、みんなを疑わなくていいように」

舞園「なると、思いますよ。きっと」

不二咲(舞園さん……)

不二咲(嫌だ。やっぱり嫌だよ……!)

不二咲「苗木くん。来てくれたんだね」

苗木「うん」

不二咲「今日から、部屋にいるのはやめるの?」

苗木「……うん、そのつもりだよ」

不二咲(決めていた合図だ……大丈夫)

不二咲(予定通りなんだ……大丈夫)

不二咲(……舞園さんは、普通に笑って)

不二咲(どうしてあんなに普通に笑えるんだろう?)

セレス「あら、あなたは飲んでくださらないのですか?」

舞園「はいはい、飲みますよ」

舞園「…………」

不二咲「…………」

(パリン、とカップが床に落ちて割れる音が響く)

(続けて、舞園の身体が崩れる)

全員「――――――!?」

苗木「――――舞園さん!!」



 ぴんぽんぱんぽーん

『死体が発見されました!
 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』


不二咲(――――来た!)

(ぴょーい)

モノクマ「うぷぷぷぷぷ……」

モノクマ「いやっほぉう! わっくわくの学級裁判が始まるよ!」

不二咲「――――――!」

不二咲「みんな!」

不二咲「校則の項目が消えたよ! 苗木くんは自由だ!」

モノクマ「へ?」

苗木「舞園さん――」

苗木「絶対に、助けてみせる!」

苗木「絶対にだ!!」

モノクマ「え、えっと……何してんの?」

セレス「見てわかりませんか? 蘇生活動です」

苗木「ねえ、解毒剤は!?」

霧切「構わないから打って! とにかくまず、心臓を復活させないと……!」

セレス「手の空いてる方はAEDが保健室にありますわ、急いでください!」

桑田「お、おう!!」

セレス「不二咲くん、モノクマへの説明はお願いしますわ!」

ジェノ「なにこれどうなってんのー?」

モノクマ「こっちのセリフだよ! なんだよこれ!」

不二咲「えっと、ぼくでいいのかな」

不二咲「舞園さんは、自殺することで苗木くんの状況を打開しようとしたんだ」

不二咲「確かにそれしかないんだ。でも、校則が消える条件を、舞園さんは勘違いしてた」

不二咲「いや、いつもの事件なら同じだったかもしれないけど……厳密には違うんだ」

江ノ島「な、なによそれ? なにこれどういうこと!?」

不二咲「……苗木くんに関する校則が消える条件は、学級裁判が開かれることじゃない」

不二咲「『死体発見アナウンス』が流れることだよ」

桑田「あった!! これだろ!?」

霧切「みんな、離れて!!」

(ドン、と舞園の身体がはねる)

苗木「……! 心拍が戻った!」

霧切「水を飲ませて! まず胃の中を薄めて吐かせて!」


不二咲「そして、『死体発見アナウンス』が流れる条件は」

不二咲「心臓の停止を確認した時だ。そうだよね?」

モノクマ「…………」

不二咲「セレスさん発案の計画なんだ」

不二咲「舞園さんが死体としてモノクマのセンサーに認識され、アナウンスが流れると校則が解除される」

不二咲「でもまだ、たった今心臓が止まっただけなんだ。だから蘇生の可能性はあるよ」

モノクマ「……はあ? 何言ってんの?」

不二咲「霧切さんが毒や医療の知識に詳しくて」

不二咲「大神さんが、毒に対して吸収を妨げる料理を作った」

大神「なるほど……そういう理由か」

舞園「がほ、……げほ、げほ」

苗木「舞園さん!!」

舞園「――――」

霧切「心拍は!?」

セレス「弱い……ですわ。でも、辛うじて……!」

苗木「舞園さん、聞こえる!? 舞園さん!!」

モノクマ「あのー、こんな救命病棟24時みたいなの、見たくないんですけど」

モノクマ「早く捜査して学級裁判に」

不二咲「それは違う!……と思うよ」

不二咲「学級裁判が開かれるのは、誰かが死んだ時だよね?」

不二咲「舞園さんはまだ死んでいない。生きてる。だから生き返らせるんだ」

モノクマ「…………」

不二咲「まだ、終わってないよ」

不二咲「セレスさん発案のギャンブルに、苗木くんが乗ったんだ」

不二咲「<超高校級のギャンブラー>が発案したギャンブルに、<超高校級の幸運>が乗ったんだよ」

不二咲「確率は低いことを承知で、乗ったんだ。だからボクは信じてる」

不二咲「何もかも、まだ終わっていないって!」

モノクマ「…………」

モノクマ「もう一回、校則を付け加えるって言ったらどうするの?」

全員「…………!」


不二咲「……それは出来ないはずだよ」

不二咲「わかってる。それぐらいはぼくもわかってるんだよ」

不二咲「本来、校則は特別な理由がない限り、生徒が一方的に不利になるような」

不二咲「そんな校則は付け加えられない。苗木くんの場合は『動機』の提示と争って」

不二咲「辛うじて、出来た。そんな危うい校則なんだ」

モノクマ「…………」

不二咲「舞園さんは事件を起こしたんだよ。『動機』に乗っ取った事件を」

不二咲「だから、同じような『動機』は起こせない」

不二咲「お前は、そんなに自由な独裁者じゃないんだ」

不二咲「ただのプログラム……そうだよね」

モノクマ「…………」

モノクマ「そこまで知っているんだね」

モノクマ「じゃあ、そろそろいっかなぁ」

モノクマ「ま、詳細は後々知らせるよ……舞園さんが死んだら、裁判した後だね」

モノクマ「ぼくはいつでも待ってるよ」

モノクマ「君たちの絶望をね」

(ぴょーい)

不二咲「…………う、」

大神「大丈夫か。……よくぞ言ってくれた」

不二咲「は、はあ、はあ……こ、怖かった……」

不二咲「で、でもぼく……やったよ……!」

霧切「まだ安心しないで! 状態は安定してない!!」

桑田「お、おい。俺何すればいい」

霧切「手の空いている人は担架を持ってきて!」

苗木「舞園さん」

苗木「必ず、助けるから!!」


 20日、深夜

《保健室》


舞園「――――」

苗木(舞園さんは、ベッドで酸素のアレを付けながら眠っている)

苗木(保健室に輸血パックがあるようなところだからか)

苗木(ドラマでよく見る、あの血圧とかそういうのを計るやつがあった)

苗木(生きているというには、あまりにか弱い、ピ、ピという電子音)

苗木(無機質な電子音は死に向かっているようで、聞いていて怖くなってくる)

霧切「最善は尽くせたと思うわ。あとは……彼女の気力と体力次第だけど」

苗木「…………」

セレス「ふう。あまりに分が悪い賭けでしたわね」

苗木「いや……でも、セレスさんが思いつかなかったら」

苗木「何もできずに、舞園さんは死んでいたんだ」

苗木「最善を尽くして、なんとか舞園さんは生きてる」

苗木「今は……それで十分だと思う」

霧切「私も、死体以外の人間の体に詳しいわけじゃないから」

霧切「点滴は無理だけど。長い時間、目覚めなかったら。正直、危ないと思うわ」

セレス「しかし学級裁判が行われなかったことで」

セレス「黒幕の情報とやらは手に入りませんでしたが」

セレス「彼女はそれを求めていたはずです」

苗木「命を引き替えに出来る情報なんてないよ」

苗木「生きてさえいれば、チャンスは来る」

苗木「必ず」

舞園「――――」

(だけど、この夜)

(舞園さんが目覚めることは、なかった)

(いつ目覚めるのか、それとも目覚めないのか、誰にもわからない)

ごめんね、霧切さんの場面少なかった……もともとセレスさんとちーたんで行く予定だったし

でも救命で一番活躍したのは霧切さんなんですけどね

これが生徒たちの希望に繋がってしまっていることが確かですが、

自殺を考えたのがさくらちゃんじゃなく、舞園さんですし……

ずっと気になっていたのが、致死量の毒物を飲んで速攻心臓止まってから、本当に生き返るのかという疑問があって。
まあそれで迷ってたんです。すみません

生徒たちがモノクマAIを出し抜く結果となりましたが、さてさて。
AIも予想外で真面目な口調になっちゃってるし

じゃあ、もう今日はまたねー

(ぴょーい)

あ、人工呼吸とかの描写がないのは、蘇生活動ではまず心臓の回復を優先して、あまり呼吸の回復を優先しなくなってるらしいので
まったく、これでもまじめなんだからね! 
まじめなAIなんだからね!

(ぴょーい)

AED(ニタァ…

やっぱり自殺かねぇ…

>>432

これ見る限りだと、手紙を出したのは部屋の交換を知っていた人物になるな。

> ぴんぽーん

>苗木「……! はい?」

>??『…………』

> プツッ

でもここで本当に苗木クン舞園さんの部屋にいる事を、インターフォン越しに確認しているようにも見える。

自殺以外で考えられるなら苗木に取り入ろうとした超高校級のギャンブラーによるロシアンルーレット、もしくは舞園さんを殺害する動機が十分過ぎる超高校級の野球選手が劇薬の入ったカプセルをぽいっと投げてロイヤルミルクティーぶち込んだとか妄想してみた。

ただ、苗木クンが人物xに浴場にてどのように役割りを伝えられたのか、その役割とは何なのか…

上で散々桑田クンとセレスティアなんとかサン疑ってたけど、実は全部ロールプレイングで舞園さん仮死状態とかないよな(震え)

まあ、この回は異論が多くなるだろうなとは思います自分でも
AIに反撃する生徒たちを描きたかったのですが、そのまま死んでくれても良かったんですけどね

自殺を考えるのがさくらちゃんでもよかったんだけどね。それだと誰にも話したりしないなぁってなって

セレスさんは多分、イラッてしてたんじゃないでしょうか。お前の思い通りにはさせねーよ的な感じがしてて、実は私の中では違和感のない行動なんですけどね

苗木くん? 彼は応援係です。……問題あります? まあうん。仕方ないけどね。

>>468
部屋の交換は夜時間だけだろ? 苗木の部屋って普通に書いてるし

生徒たちが反撃する!みたいな一体感は、ゲームでも自殺の四章からだしな


たまにはこういう熱い展開もいいと思うが、賛否あるのは仕方ないというのはわかる でもちーたんがカッコ良かったからこれでいい

>>471

交換前提で読んでたから間違えたんだよ言わせんな恥ずかしい(絶望)

AIに関しては、そのうちちーたんが明かしてくれるから待っててくださいな
まあそれも妹様が与えたヒントではありますが。ってかIFに載ってた設定ですが

舞園さんが妹様みたいな変態になったら、手が付けられないなぁ(棒)

とりあえず胃洗浄か強制嘔吐はしとくべきだったのでは?

血を全部入れ替えると人格が変わるらしいソースはプリンセス天功

もう舞園さんが絶望フェチになってくれればそれでいい気がしてき……
いや、彼女は希望側なんですよ? 苗木くんの希望なんですよ? ね?

一応、原作の元のキャラを崩壊するような展開にはしないように気を付けているつもりです
もしかしたらあり得たかもしれないという感じの展開にしたいので。作者的には。はい。

>>485
>>459
>霧切「水を飲ませて! まず胃の中を薄めて吐かせて!」
が強制嘔吐と胃洗浄した……つもりです。ここら辺は半端な知識なので……

その後に牛乳飲ませたりとか、(脂溶性の毒じゃなかった設定)霧切さんががんばってくれました。



ちなみに。AI的には四回目を超えたあたりから手詰まり感になるのは承知の上でした。
人数が減ると結束が高まるのは当然の話。原作でも無理矢理に事件を起こそうとしてました。

ただ、AIは黒幕さんと違って、規則、ルールは絶対で、無理矢理に事件を起こすことは出来ないのですよね。

悲しいけどこれが現実なのよね。ふう。

なので、安価です。



……………………
………………
…………
……


!!!!!<重要安価>!!!!!

『卒業試験』を行いますか?

>>500までの安価で

1、はい
2、いいえ


『卒業試験』のコマンド実行と同時に江ノ島盾子の記憶は戻されます

試験の合格条件は、黒幕を当てること。5日時間を取ります
そして、裁判上で当ててもらう。ルールは以上です

1

1

よおし、みんな!

ラストまではじけてはじけて、はじけまくっちゃえ!

死にかけなんかほっといてさ。レッツ、エンジョイ!

ちなみにさ、二週目希望の人いる?

九月入ったら頻度が遅くなるだろうけど、それでもいいならこの回が終わった後にコンティニュー安価するよ

>>505
訂正
未来機関を今のメンツで

セレスさんと苗木の会話なら>>47あたりを参考に。
っていってもね。安価で決めるからねぇ。
DVD見せる前の舞園さんはぎりぎり普通だっただろ! DVD見せたらこうなるって薄々わかってたろ!!

>>506
? えっと、これは生き残ったメンバーが未来機関に入ったらのIFかな
未来機関がそもそも怪しすぎ……詳細が不明すぎて何とも……

修学旅行は本当に何でもアリになってしまうから、ストーリーが破綻しそうで……私には難しいかなって思う。
2はプレイしてるし、実は無印よりも2の方が好きだけど、キャラがよくわかんないんだよね……ぜんぜんわかんない。

未来機関も派閥があるんだろうとしかわかんないんですよね
あまりに良くわからな過ぎて書きようがないというか、想像しようがないというか……

ココロンパとかやったんだけどねぇ。破壊神暗黒四天王が一番好きかな

ソニアさんとかオワリとかよくわかんないです
っていうか、四章あたりまで七海がヒロインってことに気付かなかったんだよね……

狛枝のインパクトが大きすぎたのかもしれない。

>>舞園さんはどうあがいても絶望

極端から極端に走っちゃうし、決めてしまったら殺人だろうとやってしまうので。公式に。
勘も鋭いしね。DVDの出し方がポイントかな、やっぱり。

ちなみに、何人かに指摘受けているけど、キャラが頭良くなってると言われますが。

ゲームは苗木視点で、普通を基準にしていて、キャラはそれよりばかにならないといけないんだけど、
みんな本来はこれぐらい考えられるだろうと思ってます。割と本気で。

このSSは苗木が主人公じゃないからね。仕方ないね。

まぁまぁ。すべてはこの回が終わったら安価で決めることです。

では……すみません、今日あんまり進んでないのですが、投下します。


 21日目、深夜

《保健室》


霧切「私たちは部屋に引き上げるべきじゃないかしら」

苗木「でも……舞園さんが」

霧切「『個室以外の故意の就寝は禁止』……苗木くんが眠ったら、モノクマにそのスキを突かれてしまうかもしれない」

苗木「それなら……大丈夫。ボク、眠れそうにないし」

苗木「やっぱり、心配なんだ……それに」

苗木「霧切さんは、舞園さんがもう終わってるって言ったけど。やっぱりまだ終わってないと、ボクは思う」

苗木「だって、生きてるんだ」

霧切「…………」

霧切「彼女が自ら死を望んだ以上、あのまま死なせる方が彼女の希望だったかもしれない」

霧切「彼女は、黒幕を殺すために。その情報を得る為だけに」

霧切「自分の命すら捨てれた。そして彼女は生きている以上、目覚めたらまた、他人も自分も犠牲にしてでも」

苗木「させないよ」

霧切「え?」

苗木「もう犠牲は出さない。絶対に」

苗木「守って、助けて、信じるって。約束したから」

霧切「……それだけ思っているのに。思われているのに」

霧切「どうして、苗木くんに助けを求めなかったんでしょうね」

苗木「それは……ボクが情けないからじゃないかな……」

霧切「…………」

霧切「少し、違うと思うわ」

霧切「セレスさんや不二咲くんとは組んでいたみたいね。明日詳しく話を聞かせてもらうけど」

霧切「私は彼女の考えや真意を理解しているわけじゃないし、実際に何度も出し抜かれてるけど」

霧切「だけど、少しは考えてる。分析している。多分、苗木くん」

霧切「あなたは彼女の聖域なんじゃないかしら」

苗木「聖域?」

霧切「そう。中学時代の自分を知っていて、アイドルの自分を知っていて、ここに来てからの自分を知っている」

霧切「ここに来た時の彼女は、ここまで追い詰められてなかった。アイドルであっても、普通の女の子だった」

霧切「それが何かをキッカケに変わってしまった……終わってしまった」

苗木「…………」

霧切「あなたはそうじゃないと言うんでしょうね。だけど、私から見たら」

霧切「彼女は救いようがないわ。どうしようもなく」

霧切「だけど、苗木くんの心の中にいる彼女はそうじゃない」

霧切「だからあなたも……私の言葉を信じようとはしない」

苗木「……それは」

霧切「彼女は苗木くんの中の自分を汚したくないんじゃないかしら」

霧切「苗木くん。あなたが生きてさえいれば」

霧切「終わる前の自分が、生き続ける――ずっと」

霧切「きっと舞園さんにとっては、あなたが希望なのよ」

霧切「安易に触ることも許したくないほどの、大きな希望……」

苗木「……ボクは、そんな大それたものじゃないと思うよ」

霧切「私が勝手に彼女を分析しただけ。恋愛感情というより、ある種の神格化に近いのかもしれないわね」

苗木「…………」

苗木「でも、ボクは」

苗木「やっぱり、助けたいよ……だって」

苗木「目の前で、苦しんでるんだ。こんなにも……!」

霧切「でも、助けられることを彼女は望んでいないわ」

霧切「もし、苗木くんが助けようとしても、彼女は拒絶する」

霧切「助けを求めない人間を、人は助けられない」

霧切「だから……終わってる。そう言ってるの」

苗木「じゃあ……霧切さんは」

苗木「見捨てるの?」

霧切「…………」

霧切「止めたいとは思っているけど。それはきっと、助けじゃない……希望じゃない」

霧切「それでも私に出来ることがあるとすれば、止めることだけだと思う」

苗木「……そっか」

苗木「ありがとう、霧切さん」

霧切「……何も感謝されるようなことを言ったつもりはないけど」

苗木「いや。十分だよ」

霧切「…………」

霧切「聖域、ね。……わかるような気がするわ」

霧切「苗木くんも、眠くなったら個室に戻ることね。私も休むから」

霧切「おやすみ、苗木くん」

苗木「おやすみ、霧切さん」

(霧切が退出する)

苗木「……きっと、みんなで外に出られるから」

苗木「だから舞園さん。少し……休んでて、いいから」

舞園「――――」


《江ノ島の部屋》

江ノ島「はあ……退屈……」



………………
…………
……

『卒業試験』コマンドを始動します



(ぴょーい)

モノクマ「うぷぷぷぷぷ!!」

江ノ島「な、何よ!? いきなりどっからはい……って……」

江ノ島「…………」

江ノ島「……うぷぷぷ」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!」

江ノ島「ラン♪ ランランランランラン♪」

江ノ島「とうとう始まる……いやっほぉう!!」

江ノ島「絶望的に退屈でした……この三週間ほど」

江ノ島「それもこれも、全部この瞬間の為だったのね!」

江ノ島「お姉ちゃんもぉ、ありがとっ♪ 死んでくれて♪」

江ノ島「絶望ですよね……それで喜ぶワタシって……絶望的に絶望ですよね……」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!」

江ノ島&モノクマ「さあ、わっくわくのどっきどきな、『卒業試験』が始まるよ!!」

すみません、これだけです。

とうとう記憶が戻ってしまった妹様です。でも舞園さんはしばらく休んでてもらいます。

えー、書き手側の愚痴を言わせてもらうと、
ジェノさん&妹様は非常に苦手です……これはもう、自分の筆力不足と言いますか。申し訳ないです

十神が生きてたら任せられたのに……

夜時間あたりに投下しに来ます。今はただ愚痴言いに来ただけでした。そんじゃーねー

>>544
ならなんで十神殺ったんだw

>>546
朝日奈さんも死なせたくなかったなぁ
十神がそう動いたから仕方ないのです。敵プレイヤー達が面白いと認めてしまってたので。
本編みたいに見下してくれればなぁ。

>>547
自分で書いといて「死なせたくなかった」はちょっと…
金払って見てるわけじゃないからあれこれ言うのもなんだけど楽しく見てるのに書き手にそんなこと言われると…

安価で被害者指定されてたっけ?
それならスマソ

>>552
うーん。まあ、価値観の違いもあるだろうけども

私は一応、キャラクターを都合のいい人形にしたくはないんだよね。
作者に出来ることっていうのはトラップを仕掛けることだけだと思うよ。それでも都合よく動くとは限らない。

このSSは二次創作だけど、私もオリジナルの小説書いたりしてるけど、
やっぱりキャラクターが思うとおりに動くことなんてほとんどないな
でもそうじゃないと、そもそものストーリーが生まれないんだよね 死んでるキャラは動かないから

まあそれでも。キャラが持ってる目的地がちゃんとあるから(この場合は外に出たい)
EDがどうなるかは大体わかるよ。過程が違ってくるだけでね


こういうのを話すのはまあ、痛々しいのはわかっているけどね。
自分が考えたストーリーに合わせてキャラクターを動かしているわけじゃないのだけ、分かってほしいかな

偉そうなやつだな

あれ? なんか……荒れてる?

とりあえず投下していきます。


……………………
………………
…………
………
……

校舎五階施設

武道場・植物庭園・5-C・生物室

解放



 21日目、朝

《食堂》


桑田「あ、あのさ。正直、昨日のこと良くわかってねぇんだけど」

桑田「さやかちゃん……大丈夫か?」

江ノ島「なんか、あっという間過ぎてわけわかんなかったし」

ジェノ「ドキドキジェットコースターはいりましたぁ! 和やかな夕食がサスペンス劇場に!!」

ジェノ「ちーたん探偵役でぇ、アタシが犯人役の、禁断の愛のデデデン!デデデン!デデーン!」

ジェノ「ゲラゲラゲラゲラ!!」

桑田「ほんっきでお前じゃねぇだろうな!!」

ジェノ「ざんねぇん! ワタシはいつでもどこでもマイハサミで」ジャキーン

ジェノ「萌える男子しか殺んねぇもぉん!!」

ジェノ「ゲラゲラゲラゲラ!!」

不二咲「あの……えっと……その……」

大神「苗木が来たな」

苗木「ごめん、遅くなって」

桑田「な、な、さやかちゃんは大丈夫か!? な?」

苗木「落ち着いてると思う。……きっと大丈夫」

モノクマ『大丈夫だよ、ぼくがいるんだもん』

(ぴょーい)

苗木「はあ!?」

モノクマ「えー、舞園さんに関しては、一応峠は越したっぽいので」

モノクマ「死にかけ人間から傷病人に格下げとなりました!」

モノクマ「なので、これからの医療行為に関してはぼくが担当します!」

モノクマ「何か文句ある?」

苗木「し、信用できるわけないだろ!!」

江ノ島「けどさ、みんな知識ないじゃん」

桑田「苗木もさぁ……ぶっ倒れそうだしよぉ」

苗木「……くっ……けど……」

モノクマ「そんなに心配しなくても、襲ったりなんかしないよ?」

モノクマ「あ、売っちゃおうか! <超高校級のアイドル>のパンツ!」

モノクマ「いくらで売れるかなぁ?」

桑田「てめぇ、ふっざけんな!! 売るぐらいなら俺によこせ!!」


不二咲「怒るポイントが違うと思う……」

モノクマ「でもさ。不二咲くんあたりなら予想ついてるかもしれないけどさ」

モノクマ「ぼくが生徒に直接手を出すことは絶対にないんだよ」

苗木「なんで……言い切れるんだよ」

不二咲「……モノクマはAIではあるけども、プログラムで動いているから」

不二咲「人が遠隔操作で動かしているんじゃないんだ。いわゆる、ロボットなんだよ」

苗木「え?」

江ノ島「…………」

霧切「どうしてそれをあなたは知ってるの?」

不二咲「ちゃんと話すつもりだよ。セレスさん、いいよね?」

セレス「不二咲くんがもうアレから搾り取れる情報はないと判断したならば、かまいませんわ」

モノクマ「おっと! まだその話は早いんじゃない!?」

モノクマ「至急体育館にお集まりください! 重大発表があります!」

(ぴょーい)

ジェノ「あ、メンドくせ! ここに全員居るんだったらここで話せばいいのに、メンドくせ!」

大神「体育館ということは」

セレス「新たな『動機』の提示でしょうね。前回は失敗に終わっているわけですから」

苗木「まだ……舞園さんが目覚めてないのに……!」



《体育館》


モノクマ『えー、皆さまに大事なお知らせでございます』

(ぴょーい)

霧切「ずいぶん勿体ぶるのね?」

苗木「何がしたいんだよ……さっさと言えよ!」

モノクマ「えー、おほん」

モノクマ「モノクマ学園長がここに宣言します!」

モノクマ「これより五日後の夜七時に『卒業試験』を開始します」

苗木「卒業……試験……!?」

モノクマ「えー、実はですね」

モノクマ「君たちが馬鹿みたいに連呼している『黒幕』とやら」

モノクマ「それは<超高校級の絶望>と呼ばれているのですが」

モノクマ「<超高校級の絶望>は君たちの中にいます! じゃじゃーん!」

苗木「……は?」

霧切「それは事実なの?」

モノクマ「はい。この《コロシアイ学園生活》を企画したのは、<超高校級の絶望>なのです」

モノクマ「皆さんには、『卒業試験』までに<超高校級の絶望>が誰かを見つけていただき」

モノクマ「『卒業試験』で当てられたら、<超高校級の絶望>の負けとなり、そのほかの皆さんは卒業となります」

モノクマ「逆に、当てることができなかった場合は<超高校級の絶望>以外の全員をおしおき!」

モノクマ「はい、これだけの、単純なルールです。ついでに、五階の施設を開放しました」

モノクマ「何か質問はある?」

セレス「今まで黒幕も、プレイヤーとして参加していたというわけですか?」

モノクマ「はい、その通りです!」

モノクマ「なので、もしかすると既に死んだ人間の中に<超高校級の絶望>がいたかもしれません」

苗木「何……だよ、それ」

霧切「…………」


霧切「遠くから見物しているのかと思いきや、まさか自分も参加しているなんてね」

桑田「あ、あのよ……し、信じるのか?」

桑田「この中に……そんなヤバい奴がいるなんて」

セレス「『卒業試験』とまで銘打っているのです。まず事実でしょう」

苗木「ほ……本当にこの中に?」

霧切「正確には16人の中よ。既に死んだ人間も含むなんて言われたら、その可能性も考えないと」

セレス「猶予は五日。……長いようで短いですわね」

桑田「あ、あのさ」

桑田「その間にまた殺人とか起きたら……?」

モノクマ「勿論、『学級裁判』は行います!」

桑田「やっぱり……」

大神「失敗すれば、五日後。黒幕以外の者は死ぬ」

大神「今更逃げるつもりはない」

セレス「ですが、逃げるために殺人を行う人もいるかもしれませんね」

桑田「お、俺を見んなよ! 今更そんなつもりはねーよ」

桑田「さやかちゃんのことも気になるしな……」

モノクマ「あ、そうそう」

モノクマ「<超高校級の絶望>も、あくまでプレイヤーですので」

モノクマ「一応、ぼくのマスターではあるのですが、基本的に全員同じ条件です」

江ノ島「それってマスターの意味あるワケ?」

モノクマ「一方的に<超高校級の絶望>が有利になるような行動はしませんが」

モノクマ「全員に関わるならば、例えば校則の書き換えや項目を加えることは出来ます」

モノクマ「それによって被る不利は、<超高校級の絶望>も被っているとお考えください」

モノクマ「あくまで全員平等の条件となります」

霧切「…………」

モノクマ「んじゃあ、五日後。楽しみにしてるよ」

(ぴょーい)

全員「…………」

苗木「本当にこの中に……黒幕が……?」

霧切「それよりまず、先ほどの食堂の話の続きをしましょう」

霧切「セレスさん、不二咲くん。あなたたち二人は、舞園さんと組んで」

霧切「一体、何をしていたの?」

セレス「では、不二咲くんの部屋に行って、実物を見てもらう方が早いでしょう」

セレス「よろしいですか?」

不二咲「うん。ぼくはそのつもりだったし……」


《不二咲の部屋》


苗木「こ、これ、モノクマ!?」

桑田「ど、どっから手に入れたんだよ、これ?」

セレス「さあ。手に入れてきたのは舞園さんですので」

不二咲「答えてはくれなかったね……危ないことをやってたみたいだけど」

大神「何故我らに黙っていた?」

不二咲「『内通者』の可能性が消えたわけじゃなかったから……」

セレス「例えば家族を人質に取られていた人がいたとしたら、事件を起こすことは躊躇っても」

セレス「このぬいぐるみ状態のモノクマを壊すことに関しては、躊躇しない……そう判断したのです」

霧切「なるほど。黙っていた理由はわかったわ」

霧切「問題は、このモノクマから何がわかったのかだけど」

不二咲「大体、9割は解析が終了してるんだ」

不二咲「残りの1割は、スパコンでもないと無理だと思う」

セレス「モノクマの構造に詳しい理由は、これで理解できたかと思いますが」

桑田「じゃ、じゃあ。このモノクマから玄関開けたりなんか」

不二咲「出来ないみたい……システムが完全に独立してるから」

不二咲「どれだけ設備があっても、このモノクマからは玄関を開けたりは出来ないよ」

不二咲「わかったことは……いろいろあるけど」

苗木「じゃあ……<超高校級の絶望>に関しては?」

不二咲「残りの1割の部分にあるかもしれないけど、それはわからなかったよ」

不二咲「ただ……」

不二咲「ううん。この話は……もう少ししてからにするよ」

桑田「は? わかってるんなら今言えよ!!」

不二咲「…………」

不二咲「まだ……決心がつかないんだ」

不二咲「ごめん」

苗木「……わかったよ。不二咲クンがそう言うなら」

大神「ならば他に出来ることを探すべきだ。……五階が解放されたと言っていたが」

霧切「手がかりがあるかもしれないのなら、探しましょう」

不二咲「…………」

不二咲「もしかして……ぼくは……ぼくが……」

ごめんね、今日もこれだけなんだ。
あまり進まなくなって来たのは、うーん。言葉一つ間違えると揚げ足取られかねないからね

さて、妹様はどんな動きをするのでしょうね?

うーん。折角だから意見を求めよう。

まあこのままだと、特別な事件がないので黒幕を特定するのは難しいよね。
いわゆる『ゲーム性に欠ける』ってやつだ。ヒントが必要なんだけど

いいアイデアがあったら採用して安価にかけるから、AIに出来る範囲のヒントを考えてみてほしいんだ

まあ採用しないかもしれないけど。ついでにきっと妹様のことだから何かするだろうけども。
公平さに欠けちゃゲームにならないんだってさ。ちぇ

あ、記憶を戻すのはなしでお願いします、はい。

なんか突然いいわけしたくなった
自分は実はそんなに声優さんに詳しい方ではないけど、今回のSSを気に折角だから各声優さんを調べてみたんだ
それでさ、舞園さんの中の人がカービィって初めて知ったんだよね。おどろいた。物まね得意だったし
それでね、ついでにちょっとブログ見たんだよ。

「……。あぁ、こういう人かぁ」

>>377で江ノ島さんが舞園さんを『スピリチュアル系』『不思議系』って言ってたのは偶然です。
本当に。今知ったから。中の人を意識していたわけでは全くないです。

まあちょっとした小ネタです。自分も『不思議系』は悪い意味でよく言われるし、たぶん大丈夫です。


 21日目、昼


……………………
………………
…………
………
……

生徒たちは五階の調査を報告し合っているようだ


《食堂》


苗木「…………」

桑田「苗木よぉ……まあ元気出せっつうのもアレだけどよ」

桑田「……さやかちゃんのことは、もうモノクマに任せるしかねぇだろ」

腐川「何の話? ねえ何の話? ねえ何の話」

桑田「うっせーよ保健室が立ち入り禁止になったんだよってかいつの間に戻ってんだよ!!」

苗木「……いや……そうだね」

苗木「ここで頑張らないといけないんだ。そうじゃないと」

霧切「今はとにかく、各自の情報を共有しましょう」

苗木「うん。なんか、植物庭園があったね」

腐川「あ、悪趣味な……花があったわ……」

腐川「モノクマフラワーって名前らしいけど……、馬鹿げてるわね」

苗木「それで……そこには」

苗木「大和田クンの名前が入ったツルハシがあったんだ」

不二咲「…………」

セレス「大和田くんの? 彼の私物でしょうか?」

苗木「ここに来た時に取り上げられた……とか?」

大神「ツルハシをわざわざ持ってくるのか?」

苗木「そう言われると……そうだけど」

江ノ島「わっかんないことは置いといてさぁ、次いかない?」

不二咲「うん。武道場があったね」

大神「何故か桜が満開だったな。風情はないが、鍛錬場としては素晴らしかった」

大神「だが手がかりになるようなものはなかった……済まぬな」

桑田「えっと。俺と江ノ島は……生物室見に行ったんだけど」

江ノ島「あそこさ……死体置き場っぽいね」

苗木「死体置き場!?」

不二咲「じゃ、じゃあ……今まで死んでいったみんなが」

不二咲「そこにいるの?」

桑田「開けて確かめる勇気はなかったけどな……」

江ノ島「冷凍保存されてるっぽいし……」

苗木「みんなが……生物室に……」

霧切「死者を悼むより、私たちは前に進まないといけないわ」

霧切「全ては『卒業試験』が終わってからにしましょう」


霧切「ところで5-Cの教室を見た人はいる? あそこは見ない方がいいわ」

霧切「大量殺人の痕を見たいというなら、止めはしないけど」

大神「大量殺人……? どういうことだ?」

桑田「うう……聞きたくねぇな……」

霧切「おそらく、多人数が殺し合った後ね」

霧切「大量の血痕が残っていたわ。破壊された痕も」

不二咲「多分……それは……」

セレス「知っているのですか?」

不二咲「…………」

不二咲「ここで、大丈夫かな……?」

(ちらりとカメラに目を向ける不二咲)

霧切「…………」

霧切「舞園さんがどういう手段でモノクマを手に入れたかによるけど」

霧切「不二咲くんがいる時点で、黒幕はある程度の情報を渡すつもりだったんだと思うわ」

霧切「そうじゃなきゃ、とっくに妨害してきてる……違う?」

セレス「ついでに言うなら、この中に黒幕がいるのであれば」

セレス「監視カメラの件なんて意味がありませんわ」

不二咲「…………」

不二咲「わかった。今の時点で分かっていることを話すね」

不二咲「5-Cの教室の話なんだけど」

不二咲「きっと、『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』の……痕だと思う」

桑田「そ、そこまでわかってるのか?」

セレス「それは『人類史上最大最悪の絶望的事件』とはまた違うのですか?」

腐川「な、何よその大仰でセンスの欠片もないネーミングの事件は……」

不二咲「特別に難しいところにはなかったからね……」

不二咲「一言で言うと、『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』をきっかけに」

不二咲「『人類史上最大最悪の絶望的事件』が世界規模で広まったんだ」

苗木「せ、世界規模?」

桑田「聞いたことねぇけど……」

霧切「詳細は?」


不二咲「『希望が峰学園史上最大最悪の事件』……ぼくの解釈も含めるけど、いい?」

霧切「構わない。説明して」

不二咲「……うん。『希望が峰学園史上最大最悪の事件』はね」

不二咲「この学園の生徒会の人たちがお互いを殺し合った、そういう事件なんだ」

苗木「殺し合った……!?」

大神「今の我らのように、か?」

不二咲「どうだろう……でも」

不二咲「多分、違うんじゃないかな。ぼくたちのようにルールとかがあったわけじゃない気がする」

霧切「或いは、《コロシアイ学園生活》の試金石にされたのかもしれないわね」

苗木「どうして……そんなことを?」

不二咲「目的までは不明なんだけどね」

不二咲「とにかく、その事件をきっかけに、希望ヶ峰学園は閉鎖に追い込まれることになったんだ」

不二咲「『希望が峰学園史上最大最悪の事件』から『人類史上最大最悪の絶望的事件』が広がった責任を取る形でもあるし」

不二咲「<才能>を保護する目的で、……生徒たちを学園に隔離、閉鎖する」

不二咲「それが、学園長主導の下で、学園の計画として進められていたんだ」

不二咲「場合によっては、一生この学園内で生活することになるかもしれない」

不二咲「それぐらい、長期にわたる計画だったみたい」

江ノ島「い、一生?」

大神「今の我らの状況と一致するな」

桑田「その……人類史上なんとかってやつ。なんだよそれ?」

不二咲「それが……データにはなかったんだよね。だからここまでしかわからないんだけど」

不二咲「あ、そうだ。全員のプロフィールもあったよ」

桑田「そ、それに黒幕の正体とか!」

不二咲「あ、ううん。そうじゃなくて……霧切さん」

霧切「何?」

不二咲「霧切さんの才能が、分かったんだよ」

霧切「………!」

苗木「そ、それは……霧切さんは、大丈夫なの?」

霧切「……構わないわ。言って。……いいえ」

霧切「教えて」

不二咲「…………。やっぱり、そうなんだね」

不二咲「霧切さんは<超高校級の探偵>なんだよ」

霧切「…………」

苗木「あー、……なるほど」

桑田「言われてみりゃ、もろそんな感じだよなぁ」

江ノ島「っつか、話せばいいじゃん。なんで黙ってたワケ?」

腐川「そ、そうよ! やましいことがないなら、さっさと言えばよかったのに!」

霧切「どうだっていいじゃない」

苗木「また……それ?」

不二咲「…………」


不二咲「……霧切さん。お父さんのこと、話して大丈夫かな」

霧切「…………」

霧切「あの、……人は……」

霧切「逃げた……」

霧切「………!」

苗木「霧切さん!?」

桑田「お、おいおい……今度は霧切まで?」

霧切「……大丈夫」

霧切「頭が痛くなっただけ……大丈夫」

不二咲「……そっか」

霧切「父の話が、何?」

不二咲「ううん。やめとくよ」

江ノ島「はあ? それはないんじゃないの?」

霧切「私に構うことはないわ……何?」

不二咲「…………」

苗木「……不二咲クン」

不二咲「…………」

不二咲「学園長の名前は、霧切仁」

不二咲「霧切さんの……お父さんだよ」

全員「………!!」

桑田「は、はあ!? って、お前……じゃあお前が、黒幕!?」

腐川「さ、<才能>を隠してたかと思っていたら……こんなことまで隠していたのね!!」

腐川「こ、この女……信じられるわけないじゃない!!」

苗木「み、みんな落ち着いてよ!!」

不二咲「そ、その。そう決めるのは、早いと思う」

江ノ島「アンタが言い出したことでしょうが!」

腐川「な、な、なんでそんなこと言えるのよ!? 思いっきり怪しいじゃない!!」

不二咲「そ、その……ぼくがそう思ったわけじゃないんだけど」

苗木「と、とにかく! 今決めなきゃいけないことじゃないんだ!!」

苗木「みんな、少し頭を冷やそう!! 霧切さんも……すごくしんどそうだし」

霧切「……私は……」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくにわかってるのは、これだけだよ」

不二咲「ごめん。役に立てなくて」

大神「気にするな、よくやった……十分すぎるほどにな」

苗木「みんな……一度、解散しよう」

セレス「そうですわね」

セレス「黒幕は、この中にいるのですから。自分以外を信用できませんわね」

全員「…………」

江ノ島「…………」

>>610までキャラ名安価です

苗木、桑田、霧切、腐川、セレス、大神、不二咲、江ノ島

八名の中からお願いします。舞園さん蚊帳の外保健室の中

桑田

了解です。また後ほど投下しに来ます

舞園さんは死んでないので、学級裁判は開けません。
学級裁判の条件は『クロが殺人をすること』なんです。舞園さんは死んでいないので。

AIは融通が利かないあたりが、妹様が裏で操っている時と違う点でもあります。

21日目、夜

《食堂》


セレス「あら、江ノ島さん。夕食会はまだですのよ」

江ノ島「アンタさぁ……黒幕探したりしないわけ?」

セレス「わたくしでないことは確かです。今はそれで十分なのですわ」

江ノ島「十分なの、それ?」

セレス「現在の時点では特定できませんわ。手がかりが少なすぎますから」

セレス「故にまず間違いなく、モノクマは嫌らしいヒントを出しに来るでしょうね」

江ノ島「はあ。まぁ、そういうもんかもしれないけどね」

セレス「ところで、以前に大事なことを忘れているような気がすると言っていましたが」

江ノ島「あ、覚えてた? 大したことなかったみたい」

江ノ島「今はそんなことないし」

セレス「そうですか。舞園さんが生還したことで、少し気が緩んだのかもしれませんね」

江ノ島「あー、まあそうなのかな」

セレス「…………」

セレス「不二咲くんによると、モノクマは完全に自動で動いている、自立式プログラムだそうですが」

江ノ島「言っとくけどアタシ、パソコンはやり方わかんなくてぶん投げるタイプだから」

セレス「まあ。野蛮ですわね」

セレス「しかし、<超高校級の絶望>とやらがあのような高度なプログラムを作ったのでしょうか?」

セレス「どう思います?」

江ノ島「作らせたんじゃないの? 知んないけど」

江ノ島「ま、モノクマが未来から来たクマ型ロボットだって言われても、あんまり驚かないけどね」

セレス「そこは驚きましょうよ」

江ノ島「ま。今のとこ怪しいのはやっぱ霧切かなぁ」

江ノ島「学園長の娘とか、怪しすぎるでしょ」

セレス「さあ。そうは考えない人もいるようですわね」

セレス「今は待ちの時間ですわ。モノクマが仕掛けてくるまでの」

江ノ島「ふーん。セレスはそういう考えなんだ」

江ノ島「ま。アンタじゃないこと願ってるけどね。じゃ」



%#………………
…………
……


生徒たちの各個室に写真を配布する。
自分以外の生徒たちが写っている写真。疑心暗鬼を煽る効果が期待できる。
江ノ島盾子は動こうとはしなかった。
舞園さやかの容体も、安定はしているが意識は回復しない。


――『卒業試験』まで残り4日


 22日目、朝


《図書室》


霧切「…………」

苗木「霧切さん!」

霧切「何?」

苗木「何、じゃなくて……大丈夫?」

霧切「あなたも私が怪しいと思うの?」

苗木「そうじゃないよ! 昨日すっごく辛そうだったじゃないか」

霧切「そんなこと、どうだっていいじゃない」

苗木「よくないよ……心配じゃないか」

霧切「…………」

江ノ島「あら。邪魔だった?」

苗木「あ、江ノ島さん」

霧切「別に大した話はしてないから。何?」

江ノ島「何ってことはないけどさぁ」

江ノ島「ぶっちゃけ『卒業試験』どうする?」

苗木「今までの学級裁判と違って……手がかりがないからね」

霧切「そう言えば、昨日くだらない写真が部屋にわざわざ配られたわね」

苗木「あ、そうだね……あれ、本当になんだろう?」

霧切「ただの嫌がらせ……と言いたいところだけど」

霧切「それ以上の意味があるんでしょうね」

江ノ島「合成とかじゃなく?」

霧切「ええ」

江ノ島「ってかぶっちゃけさあ。アンタなんじゃないの? 黒幕って」

苗木「ちょ、江ノ島さん!」

霧切「確かに、否定するには証拠も何もないわね」

苗木「霧切さんも……!」

霧切「でも、確定するわけにもいかない。全員が疑わしく、なおかつ決定的な証拠がない」

霧切「モノクマらしい、嫌らしい試験ね」

江ノ島「学園長の娘ってだけで怪しすぎるんですけどぉ?」

霧切「…………」

霧切「父親なんかじゃない」

苗木「え?」

霧切「…………」

江ノ島「ハァ。だんまりか」


江ノ島「まあいっか。ってかぶっちゃけ全然わかんないしね」

江ノ島「苗木もさぁ……もうちょっと、疑った方がいいんじゃない?」

苗木「………ボクは、霧切さんを信じるよ」

苗木「みんなも、信じたい。そう思ってる」

江ノ島「……アンタって、ほんとバカなやつ」

江ノ島「そういうとこホントウザい」

苗木「え、あ、ごめん」

江ノ島「残姉ちゃんはなんでこんなやつのことが好きになったんだか」

江ノ島「じゃ」

(江ノ島が去る)

苗木「はあ」

霧切「ため息ついている場合じゃないでしょ。江ノ島さんの言うとおり」

霧切「ただ信じるだけじゃ意味がないわ」

苗木「わかってるよ……疑うことと信じないことはイコールじゃないってやつだよね」

霧切「わかってるならいいけど」

苗木「…………」

苗木「霧切さんは……舞園さんみたいに無茶しないよね?」

霧切「彼女と同じやり方をするつもりはないわ」

霧切「例え、それで自分が殺されても。曲げられない」

苗木「…………」

霧切「言いたいことはわかるわ。『舞園さんはそんな人じゃない』でしょ」

苗木「……その」

霧切「早く目覚めるといいわね」

霧切「彼女の思い切りの良さと勘の鋭さは武器としてなかなか強いから」

霧切「試験でも役に立つと思うわ」

苗木「そうじゃない、そうじゃなくて!」

霧切「あなたが離れないんだったら私が離れるわ……じゃあ」

苗木「霧切さん!」

(霧切が去る)

苗木「また……一人で……」

苗木「また、みんながバラバラになって……」

苗木「くそっ! 本当にボク達の中にいるのか……?」

深夜にもう一度投下するかもしれない。

次は安価無視して苗木とちーたんの会話になります

ちーたんは悩みを抱えているようです

もうエンディングは決まってますね。ある安価で決定しました

個人的には……この戦い、勝利も敗北もないまま孤独なレースが続いていくのでしょう

誰も明日を知らないのです。そもそも、卒業したとしても、それが希望側の勝利だとは限らないと思います

イベントがあるので……安価の間に挟むと言った方がよかったかな

安価は全部消費します。大丈夫です

といいつつ、もう寝ます……眠気には勝てない……

なんか物騒だなぁ。野蛮なのは鮭を襲うクマぐらいでいいんだよ?

ちーたんの悩み相談を投下します。自由時間はまた後ほど投下しに来ます

 22日目、昼

《不二咲の部屋》


不二咲「ごめんね、呼び出したりして……」

苗木「いや、大丈夫だよ。どうしたの?」

不二咲「…………」

不二咲「苗木くんは、誰が黒幕だと思う?」

苗木「え、っと……正直、全然わかんないかな」

苗木「だって……みんな仲間だと思っているし」

苗木「今までに……死んだ人たちの中にも、いるとは思えなくて」

苗木「はは……甘いって霧切さんに怒られそうだけどね」

不二咲「…………」

不二咲「もしかすると、ぼくが黒幕かもしれない」

苗木「へ?」

不二咲「ぼくかもしれないんだ……!」

不二咲「そ、そしたら……どうしよう、どうすればいい?」

不二咲「ぼくが、こんな残酷なことを……!」

苗木「ちょ、ちょっと待ってよ不二咲くん!」

苗木「落ち着いて。〝かもしれない〟ってどういうこと? どうしてそう思ったの?」

不二咲「…………」

不二咲「この、モノクマのプログラムはね」

不二咲「ぼくが開発したんだよ」

苗木「そ、それは……黒幕が利用しただけなんじゃ?」

不二咲「ぼくが、二年ぐらい頑張って作り続けたら……」

不二咲「そう、大体二年。それぐらい先の技術がつかわれているんだ」

苗木「えっと、黒幕が不二咲くんの技術をさらに進化させたってこと」

不二咲「違う……違うんだよ」

不二咲「これだけ進化させるには、ぼくじゃないと絶対に無理なんだ」

不二咲「ぼくがあと、二年頑張らないと……無理なんだよ」

苗木「え、えっと……どういうこと?」

不二咲「ぼくは……ぼく達は」

不二咲「二年間の記憶を失っているんだ」

苗木「……は?」

苗木「え? どういうこと?」

不二咲「信じられないと思う。ぼくも信じられなかった」

不二咲「でも、このモノクマが物語ってる……二年の月日がたっていることを」


苗木「でも、やっぱり……技術がどうっていうのは」

不二咲「プログラムで指定されたコマンドを発動するのに、時間が指定される場合があるんだ」

不二咲「モノクマの中の時計は……ぼくたちの知っている時間より、二年先を示しているんだよ……」

苗木「そ、それは……モノクマの罠じゃ」

不二咲「2000年問題って知ってる? あれはコンピュータが西暦の下二桁しかカウントできずにいたから」

不二咲「99年から00年に移行するとき、世界規模で混乱が起きるんじゃないかと言われたんだ」

不二咲「その時は世界中のエンジニアたちが頑張って、西暦四桁のカウントに直したからほぼ問題はなかったけど」

不二咲「プログラムで時間をいじるのは致命的なんだ。どんなバグが起こるかわからない」

不二咲「それに……この写真や、霧切さんも」

苗木「しゃ、写真はそう考えると意味が分かるけど……霧切さんがどうしたの?」

不二咲「霧切さんが自分の<才能>を言えずにいたのは」

不二咲「忘れていたからなんだよ」

苗木「<才能>まで……忘れた?」

苗木「そんなことが」

不二咲「苗木くん」

不二咲「ぼくはもしかしたら」

不二咲「自分が黒幕だってこと……忘れちゃってるのかな?」

不二咲「セレスさんは……自分以外を信用できないって言ったけど……」

不二咲「ぼ、ぼくは……自分でさえ……信用できない」

不二咲「わからない……何を、信じたらいい?」

不二咲「何がニセモノなの? 真実は……どこにあるの……?」

苗木「不二咲クン……」

不二咲「怖い……怖いよ……」

苗木「不二咲クンは黒幕じゃないよ」

苗木「例え、記憶を消されちゃってたとしてもさ……」

苗木「不二咲クンの性格が、たった二年で変わるもんか」

苗木「こんなに優しい不二咲クンが、こんな残酷なこと、考えるはずないよ」

苗木「もっと……もっと、根本的に歪んで捻じくれたやつじゃないと、こんなことが思いつくはずがないんだ」

不二咲「苗木くん……」

苗木「仲間を疑いたくないから、こういうことを言ってるんじゃない」

苗木「不二咲クン。キミは黒幕じゃない」

苗木「表面上では仲間を装いつつ、腹の中で笑ってるような奴が黒幕なんだ」

苗木「不二咲クンの優しさや勇気は、本物だよ。そんな表面的なものなんかじゃない」

不二咲「苗木くん……」

苗木「その……二年間の記憶が消されてるとか、ボクにはやっぱり信じられないけど」

不二咲「うん……それが普通だと思うよ」

不二咲「でも、ありがとう」


苗木「でも、もし、記憶が消されていたら」

苗木「…………」

苗木「ボク達は、写真の通り……普通のクラスメイトだったのかな」

不二咲「…………」

苗木「あ、あのさ」

苗木「どうして、このことをボクに話そうと思ったの?」

不二咲「え、だって……」

不二咲「苗木くんはきっと、黒幕じゃないだろうって思ったから……」

不二咲「こんなに前を向いている人が、黒幕なわけないだろうなって……」

苗木「あ、あはは。一応、ちょっとだけ前向きなのが、ボクの唯一の取り柄なんだ」

苗木「不二咲クン……絶対にみんなで外に出よう」

不二咲「……うん。みんなでピクニック、しようね」

不二咲「青い空の下で、みんなで……」

苗木「……その前に、黒幕を見つけて」

苗木「暴力は嫌いだけど……一発ぐらいは殴ってもいいよね」

不二咲「……うん」

不二咲「ぼくも一発、頑張って殴るよ。死んだみんなの分まで」

不二咲「どれだけ殴った手が痛くなっても、……それだけは、しないとね」

苗木「そうだね。……それだけじゃ足りないことを、黒幕はしてきたわけだから」

不二咲「…………」

苗木「仲間を疑うのは辛いけど……もうすぐ、終わるよ」

苗木「大丈夫」

不二咲「……うん。ありがとう」

不二咲「本当にありがとう……もう大丈夫」

苗木「……うん。ならよかった」

不二咲「苗木くん……気を付けてね」

苗木「不二咲クンも。気を付けてね」

(苗木が去る)

不二咲「…………」

不二咲「でも……ぼくは……ぼくが信じられない」

不二咲「やっぱり、怖いよ……」

不二咲「助けて」

ちーたん不安定状態です……
苗木くんの言葉で少しは和らいだようですが、まだ怯えは消えないようで

記憶消されてるかもしれない不安ってどんなんだろうね。想像つかないや
でわでわ、また夜に投下しに来ます

(ぴょーい)

すまない、数値が変動しなかったんだ。この状態で卒業試験を迎えるものと思ってください

すみません、では投下していきます

 22日目、夜

《コインランドリー》


桑田「あ……霧切か」

霧切「……さっさと出ていくわ。洗濯が終わったら」

桑田「ま、まあそう言うなよ……」

桑田「やっぱ一応、俺も考えないといけないんだろうしな」

霧切「そう。で。私が黒幕だと?」

桑田「ズバズバ言うな、お前ってホント」

桑田「苗木とか辺りは信じてそうだけどな。……普通に見たら学園長の娘って怪しいし」

桑田「うーん。ぶっちゃけ言うと、それ以外にさ。考える材料なくね?」

霧切「ふう。現状は桑田くんの言うとおり」

霧切「あからさまに怪しい人間が一人、ここにいる、それだけね」

桑田「ま、まあ正直言うと。……死んでいった奴らの誰かがそうなら、一番楽だなあとは思ってるけど」

霧切「……桑田くんは、以前に。モノクマは『学級裁判』をやらせたいんじゃないか」

霧切「そう言っていたわね」

桑田「あ、ああ。……違うのか? やっぱ」

霧切「私も、大筋では間違ってないと思うわ。『学級裁判』をやらせたい」

霧切「ショーとしては、『学級裁判』が一番の見どころなんでしょうね」

桑田「ショ、ショー? 誰が見るんだよ」

霧切「さあ。それはわからない」

霧切「だけど、さっき。あなた自身が言った通り」

霧切「考えるための材料が、あまりにも少ないわ」

霧切「このまま『卒業試験』を迎えても、確かに黒幕にとっては安全でしょうけど」

霧切「それは、黒幕側としては……はたして〝面白いこと〟なのかしら」

桑田「え、えっと?」

霧切「…………」

霧切「なるほどね。桑田くん」

桑田「あ?」

霧切「あなたは深く考えるのが苦手みたいだけど、目を付ける場所は悪くないみたいね」

桑田「それ遠まわしにバカって言ってるだろ? お前もか? お前もなのか!?」

霧切「…………」

霧切「あなたは見ている分には、面白いと思うわ」

桑田「明らかにバカにしてるだろ!?」

桑田「このアホ! アホアホアホアホ!!」

桑田「アホアホアホアホアホアホアホアホアホ!!!」

霧切「帰るわ。じゃあ」

桑田「このアホ女ー! やっぱお前が黒幕だろ!! な!! 人を馬鹿にすんじゃねぇ!!」

(霧切は出て行った)

桑田「………はあ。やっぱ、あいつが黒幕なのか?」

桑田「うーん。全然わかんねぇ……」


 22日目、深夜

《江ノ島の部屋》


江ノ島「モノクマ、出てきてください」

(ぴょーい)

モノクマ「はいはい、〝マスター〟。どうしたの?」

江ノ島「えー、そろそろやっちゃおうかなって思います」

江ノ島「このワタクシ様の考えることはさすがね!!」

江ノ島「えー、覆面もばっちり被ったので。目撃者がいてもばっちりです」

江ノ島「絶望ですよね……せっかく助かった舞園さんを殺すとか……絶望ですよね」

江ノ島「では確認いたします。保健室は本当に立ち入り禁止なのですか?」

モノクマ「うぷぷぷぷぷ!」

モノクマ「『KEEP OUT』のテープに『面会禁止』の看板を立てただけで」

モノクマ「施錠はしていません! 故に保健室へ入ることは処罰の対象にはなりません!!」

江ノ島「なるほど。さて、では殺ろうか。……更に『卒業試験』を盛り上げるために」

江ノ島「それがぁ、お姉ちゃんの為だと思うし。きゃ☆」


《保健室・前》


江ノ島「鍵がかかってるって☆ かかってなんかいないのに☆」

江ノ島「じゃあ……行きます……絶望的に」

(テープをナイフで切り裂き、扉を開ける)

苗木「――何してる!?」

江ノ島「ヤバッ……!」

苗木「おい、誰だお前!? 何しようとしてた!?」

(江ノ島は走って逃げた)

苗木「待て!!」



《体育館・前》


苗木「ここに……逃げ込んだはず」

苗木「この中に……」

苗木「………!」


《体育館》


苗木「え?」

苗木「誰も……いない?」

苗木「どうなってるんだ?」

??「苗木くん」

苗木「うわ!? え、霧切さん!?」

苗木「どうしてここに?」

霧切「『卒業試験』の説明を受けた時から、私は自分の部屋の扉をわずかに開けているわ」

霧切「外の音を聞き漏らさないように。そしたら苗木くんの声が聞こえたのよ」

苗木「あ、危ないよ! そんなこと!」

霧切「それより、何があったの?」

苗木「う、うん……あ!」

苗木「そうだ、保健室!!」

(苗木が飛び出す)

霧切「ちょ、苗木くん!!」

(霧切も苗木を追いかける形で飛び出す)

江ノ島「…………」

江ノ島「セーーーーーーフ!!」

江ノ島「どうして苗木くんは……あんなに悪運が強いんですかね……」

江ノ島「<超高校級の幸運>なんて信じられっかって思っていたがよぉ!!」

江ノ島「それにしてもワタクシ様はさすがね!! モノクマの射出口に隠れるという発想!!」

江ノ島「しかしここにいては危険なのには変わりありません。このモノクマ射出口から」

江ノ島「一番近いぃ☆ 別の射出口ってどこだったかなぁ?」

江ノ島「しかしがっかりです……人一人殺せない自分の運のなさに絶望です……」




《保健室・前》


苗木「テープが切り裂かれてる……!」

霧切「鍵は最初から開いていたようね。面会禁止の看板を付けていただけで」

苗木「舞園さん!!」

舞園「――――」

苗木「よかった……生きてる……!」

霧切「じゃあ、説明してもらいましょうか」

苗木「えっと、何を?」

霧切「あなたがこんな時間にうろついていた理由に決まっているでしょう」

苗木「あ、そうだね。なんか、眠れなくてさ」

苗木「倉庫にお菓子でもないかなって見に行ったんだ」

苗木「そしたら……人影が見えた気がしてさ」

苗木「ついて行ってみたら、保健室を開けようとしていたから……」

霧切「人影は誰だったかわかる?」

苗木「ごめん、暗かったし……覆面みたいなのを被ってたし」

苗木「体格も、なんかコートみたいなのを着ていたから……わからないんだ」

霧切「そう」

苗木「ご、ごめん、本当に」

霧切「いいわ。これで分かったことがある」

霧切「間違いなく、<超高校級の絶望>は私たちの中に存在すること」

霧切「そして、<超高校級の絶望>は……生きている私たちの中の誰かであることが」

苗木「…………!」

苗木「……ね、ねえ……舞園さんをほっといたら、危ないよね?」

霧切「そうね。……モノクマ」

(ぴょーい)

モノクマ「はいはい?」

霧切「今の状態は把握してるでしょ? 彼女を自分の部屋に移動させて」

霧切「それぐらいはできるでしょ?」


………………
…………
……


!!<重要安価>!!


舞園さやかを部屋に移動させますか?

1、はい
2、いいえ

>>560までで多い方です

1

あ、すみません、>>660までです。

さて、では移動しない、と。しばらくお待ちください


モノクマ「だーめ! 何かあったら責任とれるの!?」

モノクマ「そうやって無理矢理に退院させて、そんなの虐待だよ!」

モノクマ「点滴できるの!? 体拭けるの!? 体勢変えれるの!? オムツ換えれるの!?」

モノクマ「丸一日面倒見れるの!?」

苗木「う……」

霧切「まあそんなことだろうと思ったわ」

霧切「保健室の鍵は?」

モノクマ「渡せません! 絶対にダメです!」

モノクマ「もう。さっきからわがままばっかり……イライラ」

モノクマ「とにかく絶対にダメなものはダメー!!」

(ぴょーい)

苗木「あ、ちょっ」

霧切「まあ大体予想通りね」

苗木「…………」

苗木「ボク、試験まで、ここにいるよ」

霧切「そう言うと思った。けど」

霧切「まだ三日あるわ。一人じゃすぐ限界が来る」

苗木「うん。……あれ?」

苗木「えっと……その……」

霧切「私は協力しない方がいいわ」

苗木「……どうして?」

霧切「別に、舞園さんがどうこうというわけじゃないわ」

霧切「あなたが見た人影」

霧切「その容疑者には私も含まれているはずよ」

苗木「そんな……だって、すぐ後ろから現れたじゃないか」

霧切「トリックがあったとしたら? 現に人影は忽然と消えている」

苗木「…………」

霧切「……今日だけ協力するわ。私もここにいる」

霧切「でも明日からは、自分で頼れる相手を探して」

苗木「けど……また狙われたら?」

霧切「…………」


霧切「苗木くん。体型がよくわからなったってことは」

霧切「極端に背が高かったり、極端に低いってことはないのね?」

苗木「うん。……あ」

苗木「そうか。大神さんや不二咲クンはまず有り得ないんだ……!」

霧切「不二咲くんは大きく見せれても、大神さんは有り得ないでしょうね」

霧切「彼女の人影だったら、暗くてコートを被っていたとしても、すぐにわかるわ」

霧切「黒幕の正体が絞れてきたわね。それに、協力を頼めそうな人も」

霧切「協力を得るときに、私がいたら邪魔だろうから」

苗木「うん……ありがとう、霧切さん」

霧切「どうして感謝するの? 私は協力を断ってるのよ?」

苗木「ボクのことを心配してくれてるんだろ……だからやっぱり、ありがとう」

霧切「……苗木くんのクセに、生意気ね」

苗木「え、あ、ごめん」

霧切「……あなたにはあなたにしかできないことがあるように」

霧切「私もそうするだけ。おかげで16人から4人にまで絞り込めたし」

苗木「……あれ? 5人じゃなくて?」

苗木「舞園さんはこの状態だからわかるけど……」

霧切「…………」

霧切「バカね、あなたって」

苗木「え? あれ?」

霧切「あなたの証言を信じたのよ? その意味が分からない?」

苗木「え、あ」

苗木「ボクも、容疑者から外してくれたってこと?」

霧切「…………」

苗木「そっか……ありがとう、本当に」

霧切「ふう。どうもあなたといると調子が狂うわ」

舞園「――――」

霧切「……どうせなら、早く目覚めてくれるといいのに」


%$!………………
…………
……


江ノ島盾子は舞園さやか殺害に動いたが、苗木誠と霧切響子に阻止される。
舞園さやかの意識の回復の見込みはいまだ不明。


――『卒業試験』まで残り3日

今日はここまでにしておきます。
なんか、霧切さんと桑田の会話が全然思いつかなかったんだよね。ゲームでも絡み全くないし……

さて、いつまで寝てんだこのスットコアイドルめ。目の前で苗木くんと霧切さんにイチャラブされてても動けないって

絶望だよね! でもこっちもなんか腹立ってきたのは何でだろうね!

(ぴょーい)

うーん。しかし

妹様の口調が今一つつかめないんだけど、大体こんなんだよね?
これでいいよね?

公式ではダブルヒロインですね。真の~などはないと思います
自分は

・ダンガンロンパというゲームのヒロインは霧切さん
・主人公である苗木のヒロインは舞園さん

というのをどこかで見て、それが非常にぴったり来たので、このSSでもそれに準じています

 23日目、朝

《保健室》


苗木「――というわけで、ボクは二人は黒幕とは違うと確信してるんだ」

不二咲「……本当に? 黒幕は……違う人なの?」

大神「……なるほど、な」

大神「我としても、不二咲が黒幕だとは思わん。だがこれだけは聞かねばならぬ」

大神「お前はどうなのだ、苗木よ」

不二咲「お、大神さん!? 苗木くんを疑うの!?」

大神「答えよ」

苗木「…………」

苗木「証明できるような証拠は……何もないんだ」

苗木「今の話がボクのでっち上げということになったって、ボクは反論できない」

大神「…………」

苗木「だけど、それでも」

苗木「舞園さんは助けたいんだ。なんとしてでも……!」

大神「……すまぬ。愚問だったな」

不二咲「大神さん……!」

苗木「信じて、くれるの?」

大神「元より、疑っていたらここに来はしない」

大神「我も、苗木が黒幕だとは思えぬ。それでも、聞かねばならなかったのだ」

大神「許してくれ」

苗木「ううん。それぐらい……慎重じゃないと、ダメだと思う」

大神「…………」

大神「だが朝日奈なら、二つ返事で引き受けていただろう」

大神「戦刃もだな。表現は下手だが、苗木と江ノ島のことを心より思っていた」

苗木「大神さん……」

大神「……我はずっと、自分に苛立っていた」

大神「我の拳は、何のためにあるのか、と」

大神「朝日奈の異変に気付けず、戦刃の死を止められなかった自分に」

苗木「それは……大神さんのせいじゃないよ」

大神「朝日奈の異変に気付き、モノクマと『取引』できるような頭が我にあれば」

大神「朝日奈は助かったかもしれぬ……山田も死なずに済んだ」

大神「舞園のように」

不二咲「その……『取引』に関しては、リスクも大きいから」

不二咲「安易には使えないよ……」

苗木「それに、直前まで症状が出ないこともあるって聞いたし」

苗木「舞園さんの場合は、事前に知っていたから」

大神「わかっている……わかっているが」


苗木「……でも大神さんは、やっぱり優しくて……強いんだね」

大神「……何故だ?」

苗木「もし……もし大神さんの立場だったら」

苗木「ボクだったら、潰れていたかもしれない。あるいは悩まず、忘れようとするかもしれない」

苗木「仕方がなかった、どうしようもなかった」

苗木「そんな言葉で、あきらめていたかもしれない」

苗木「だから、ずっと、『どうすればよかった』を考える大神さんは」

苗木「優しくて、強いと思う。だからこそ、囚われないでほしい」

大神「…………」

大神「苗木よ」

苗木「うん」

大神「お前が我の立場であっても、お前は折れることはないだろう」

大神「お前は強い。間違いなく」

大神「だから、前を向いていてくれ。ずっとだ」

苗木「うん。ちょっとだけ前向きなのが、ボクの取り柄だから」

苗木「頑張るよ」

大神「……フッ」

苗木「不二咲クンも……大丈夫かな」

不二咲「見張りに関しては、大丈夫だけど……」

大神「我一人、苗木と不二咲の二人で、交代で見張るのがいいだろう」

苗木「そうだね。『卒業試験』まで三日しかないし……」

不二咲「でも……黒幕を当てるって言っても」

不二咲「手がかりがないよね……」

苗木「うん。まず、生き残ったメンバーの中にいることは間違いない」

苗木「これで、九人に絞られる」

大神「夜中に舞園を襲った者がいる」

大神「舞園は当然動けないから、その九人からは除外される」

不二咲「苗木くんが見たって人影から」

不二咲「ぼくと大神さんが除外された。これで残りは六人」

不二咲「更にいうなら、苗木くんを信じるってぼくも大神さんも思っているから」

不二咲「残りは五人だね……」


苗木「ボクとしては……霧切さんも除外したいんだけど」

不二咲「ご、ごめんね……ぼくも、みんなを信じたいんだけど」

大神「許せ……霧切が学園長の娘というのであれば」

大神「やはり、我から見ても、怪しいのだ」

苗木「……そうだね。ううん、二人の考えはもっともだと思う」

苗木「でも……もっと決定的な証拠がないと……」

三人「…………」

苗木「そういえば。大神さんは戦刃さんとはだいぶ話をしたの?」

大神「トレーニングや訓練の相手になってくれたからな」

大神「非常に素晴らしい技を持っていた。我でも容易に勝てぬほどにな」

不二咲「そ、そんなにすごい人だったんだ。戦刃さんって」

苗木「……そういえば」

苗木「十神クンが戦刃さんを――あの事件って」

苗木「動機の部分が、全然わかってなかったよね?」

不二咲「クロが、十神くんの犯行に気付いた葉隠くんが衝動的にやってしまった犯行ってことになったから」

不二咲「戦刃さんや十神くんが死んだ理由については……全然話し合えなかったよね」

苗木「…………」

苗木「ボク、二人の部屋に入れないか調べてみるよ」

苗木「あの事件、もう一度考えてみたいと思う」

不二咲「えっと……それって?」

大神「何か黒幕についての手がかりがあるのか?」

苗木「わからない、わからないんだけど……」

苗木「十神クンが何故戦刃さんを狙ったのか。戦刃さんは何故半ば自殺という形で十神クンに協力したのか」

苗木「そもそも――戦刃さんは本当に『内通者』だったのか」

苗木「そうなら何故、『内通者』となったのか」

大神「…………」

大神「告白せねばならぬな」

大神「我は道場の人間を人質に取られている。モノクマがそう言ってきた」

苗木「え!?」

不二咲「そ、それって……いつから?」

大神「ここに来てから、一週間ほど経った日の夜だ……」

不二咲「ということは……最初からというわけじゃないんだね?」

苗木「その、人質を取ったモノクマの要求は」

大神「『クロとならなければもうこの声は聞けなくなる』」

大神「そう、録音した道場の者の声を聞かせながら……言われたのだ」

不二咲「……事件を起こそうとは思わなかったの?」

大神「ずっと、迷っていた」

大神「迷う間に事件が次々と起こり……今のような状態になっている」

大神「モノクマは何も言ってこない……それが我の焦りともなっている」


不二咲「…………」

不二咲「でも、大神さんと……戦刃さんは」

不二咲「『内通者』でも、かなり意味が違うんじゃないかって思うんだけど……」

苗木「え? どうして?」

不二咲「そもそも戦刃さんが『内通者』である可能性は、舞園さんが怪しんでたという根拠しかないんだけど」

不二咲「本人は否定も肯定もしなかったし、戦刃さんが『内通者』なのは間違いないと思う」

不二咲「じゃあ、舞園さんが怪しんでいたのは、いつからだろう?」

大神「……初日の、モノクマが爆発した一件から、不自然に感じていたと言っていたな」

不二咲「そんな初日から……黒幕と通じていた可能性があるなら」

不二咲「もっと……違う理由がある気がする」

苗木「…………」

苗木「江ノ島さんとも、話をしないといけないかもしれないね」

不二咲「…………」

大神「身内に怪しい人間がいるからと言う理由は、霧切を疑う理由と変わりないが?」

苗木「そうだね。でも、なんにしたって」

苗木「もう一度、調べてみる。戦刃さんが死んだ理由を」

苗木「十神クンが、戦刃さんの何に気付いたのかを」

大神「…………」

大神「我は保健室で待機していよう。不審な者が来たら必ず捕まえる。安心して、調べに行くがよい」

不二咲「ぼくも、一緒に調べていいかな」

不二咲「このまま何もしないって、すごく不安なんだ」

苗木「うん。助かるよ……」

苗木「ありがとう、二人とも」


 23日目、昼

《図書室》


桑田「げ、腐川……だよな?」

腐川「な、何よ……なんであんたがここにいるのよ……!」

腐川「あんたに文学作品がわかるわけないじゃない……!」

桑田「まあ、俺も本なんか全然興味ねぇけどな」

桑田「俺なりに一応、調べたりしてんの。何もせずにこのまま『卒業試験』とかなってみろよ」

桑田「外れたら黒幕以外全員死ぬんだろ? 俺は死にたくねぇの!」

腐川「ということは……わ、私を疑ってるのね!? そうよそうに決まってるわ!!」

桑田「いや、お前みたいなネタキャラが黒幕ってマジねぇだろ」

腐川「ね、ネタキャラって何よ……! は、は、はっくし!」

桑田「うわ、ヤベ!」

ジェノ「根暗の代わりにアタシが出てきてまいりましたぁん!」

ジェノ「ゲラゲラゲラゲラ!!」

桑田「ジェ、ジェノサイダー……えっと、俺この辺で」

ジェノ「ちーたん! ちーたん何処!?」

桑田「知らねぇよ」

ジェノ「ちっ、萌えない男はただの男ね」

桑田「いいよそれで」

桑田「ああ、まぁ一応聞いとくけど……」

桑田「ジェノサイダーは黒幕がだれだと思う?」

ジェノ「実はワタシでした! ふっふ」ジャキーン

ジェノ「というわけでちーたんの場所吐けやゴラァ!?」

桑田「だから知らねぇっつってんだろ舌どんだけ伸びんだよハサミしまえよ!!」

ジェノ「ちっ。この学園なら好きなだけアタシが出られるのに……」

桑田「あー、お前ってさ。殺人鬼、なんだよな?」

ジェノ「今更んなこと聞いてどうすんだドアホぉが!!」

桑田「いや、まあ……お前に突っ込む気はないけどな」

ジェノ「ちーたんみたいな可愛くて萌える男子か、白夜様みたいな男子が理想なの!!」

ジェノ「葉隠のヤローが殺しやがって……殺し道に反するセンスの欠片もない殺り方で」

桑田「殺し道ってなんだよお前以外誰もそんな道とおらねぇよ」

ジェノ「だから残っているのはちーたんだけ! ちーたん待っててねぇん!!」

(ジェノサイダーが出て行った)

桑田「……はあ、疲れた」

桑田「十神、よくあんなのかわせたよな……ムカつくやつだったけど」

桑田「あいつじゃねぇ気がするな……ネタキャラだし」

桑田「……さやかちゃんじゃねぇよなあ?」

桑田「可愛い女の子がいるだけでよかったのに……なんでこんな目に遭うんだよ……」

桑田「チクショー……」

桑田が貴重な突っ込み役となってる……

また夜に投下しに来ます

ふふふ……
大丈夫ですよ皆さん。私たち、『仲間』じゃないですか。

誰か一人を贔屓するなんて、そんなことしませんよ

ところで黒幕って私たち全員のことですよね?

……背後には気を付けて――

は!? な、なんか夢を見ていたような……誰かの意識が乗ってきたような……
え? 自分何か言いました? あれ?

あ、私の好きなキャラですか? ちーたん好きですよ。はい。

エスパーさんは、よく動いてくれるキャラなのでついつい。このSS書いてたら好きになった感じです

どなたかが仰ったように、正攻法のキャラよりは、卑怯なぐらいの策略を使うキャラの方が好きですね
悪役というか敵役が好き……ではあるけど、妹様はぶっ飛んでいてよくわかりません……

 23日目、夜

《寄宿舎一階・廊下》


不二咲「十神くんの部屋には、何もなかったね……」

苗木「死んだ人の部屋の鍵が開いてたことは、やっぱり、モノクマの仕業なのかな」

不二咲「とにかく、戦刃さんの部屋を調べてみようよ」

霧切「何してるの?」

苗木「あ、霧切さん」

不二咲「…………」

霧切「……邪魔したみたいね」

苗木「え、あいや、その」

不二咲「ううん……その、疑ってるとかじゃなくて……」

不二咲「ぼくも、霧切さんが黒幕だとは思わないよ」

霧切「そういえば、そういうことを言ってくれていたけど」

霧切「どうしてそう思うの?」

不二咲「……その、」

不二咲「舞園さんってすごく鋭いところがあって」

苗木「うん。ある。うん。すごくある」

霧切「思考をコピーしてるのかもしれないわね。何かを吸い込んで」

霧切「ピンクの悪魔並みの思考コピー能力があるのかもしれないわ」

苗木「えっと。冗談、だよね?」

不二咲「あの、それでね」

不二咲「舞園さん、あまり霧切さんを黒幕だとか、そういうのじゃないと思ってたみたいなんだ」

不二咲「『あの人は違います』って。はっきりそう言ってたよ」

霧切「…………」

不二咲「根拠というほどじゃないけど……ぼくも違うと思うんだ」

不二咲「学園長の娘っていうのも、きっとミスリードだと思う」

霧切「…………」

苗木「じゃあ……不二咲クン。あのさ」

苗木「協力をお願いしても……いいかな」

不二咲「うん! ぼくは、大丈夫だと思うよ」


霧切「協力?」

苗木「三回目の事件を今洗い直しているんだ」

苗木「十神クンは戦刃さんの何を知って、戦刃さんが何故死を選んだのか」

苗木「それが全然、わかってないから」

不二咲「戦刃さんが『内通者』だったとしたら、いつからだったんだろうって考えた時に」

不二咲「最初からじゃないか……そう思ったんだ」

苗木「霧切さん。協力してほしい」

霧切「……。なるほどね」

霧切「その……正直に言うと」

霧切「一人じゃ……限界を感じてたから……」

霧切「…………」

霧切「……協力するわ」

苗木「ありがとう! 霧切さんが捜査に協力してくれるのは、本当にありがたいよ!」

不二咲「うん! ありがとう! 何かわかるかもしれない!」

霧切「……こっちこそ」

苗木「え?」

霧切「……じゃあ、もう調べてるなら二度手間かもしれないけど、私は調べてないから」

霧切「両方の部屋を、改めて調べましょう。鍵は開いてるの?」

苗木「うん。……死んだ人の部屋は、みんな開いてるみたい」

霧切「じゃあ、悪いけどもう一度」

大神「お前達、ここにいたか」

苗木「え、どうしたの……何かあったの?」

大神「舞園の意識が戻った」

不二咲「え!?」

苗木「本当に!?」

大神「だが、様子がおかしいのだ……」

大神「我を見て、「あなた、誰ですか」と……」

霧切「……まさか」

不二咲「記憶が……なくなってる?」

苗木「とにかく、行こう!」

今日は引きを感じさせておしまーい

みんながネタにするから舞園さん、ショックで記憶がなくなったのでしょうか?

いいじゃないか舞園さんはヒロイン()だぞ!
愛を注いでどこが悪いんだ! 愛を注いで、十分に絶望させてるんだ!
これが>>1としての愛だよ!

(使ってないなんて言えない、というかなにかも分かってないなんて言えない)

えっと、投下していきます。眠れなくて書いてたらこんな時間だ!?


《保健室》


苗木「舞園さん!!」

舞園「あ、……その……」

苗木「……よかった……目を覚ましてくれて」

不二咲「で、でも……ぼく達のこと、忘れちゃったって」

霧切「次から次へと大変ね」

舞園「そ、それは」

(セレス・桑田・江ノ島も大神に呼ばれてやってきた)

桑田「ま、マジかよ……覚えてないって」

江ノ島「それマジ絶望的なんですけど……マジで」

セレス「…………」

セレス「思うに、記憶を失った方には、ショック療法が効くと思うのですが」

セレス「皆さん、いかがでしょう?」

苗木「え? えっと」

(ガシャン!!と椅子が床にたたきつけられる)

全員「!!?」

セレス「てめぇ勝手に自殺企てて起きたら記憶喪失とかマジでふざけてんのかこのビチグソがぁぁぁ!!?」

セレス「あ!? 頭かち割って脳に火搔き棒いれてアルコール消毒すっぞ!? ああ!?」

苗木「え、えっとセ」

舞園「ごごご、ごめんなさいセレスティア・ルーデンベルクさん!」

苗木「え?」

舞園「あの、誤解があるというか、ちょっと寝起きで混乱していたというか」

舞園「大丈夫です! 今は全部思い出したので大丈夫ですセレスティア・ルーデンベルクさん!!」

セレス「ふう。やっぱりそうでしたか」

苗木「え、えっと。やっぱりって?」

セレス「明らかに目が泳いでいましたから」

桑田「え、あ、じゃあ俺の名前、わかる?」

舞園「桑田くんです。桑田怜恩くん」

舞園「ここにいる全員の名前言えますから……大丈夫ですよ」

舞園「苗木くん」

苗木「舞園さん……」


苗木「よ、よかった……記憶喪失じゃなくて」

江ノ島「ってか、どうしてそういう話になったワケ?」

舞園「そ、その……今は思い出したんですけど」

舞園「起きた直後は本当に混乱してて。大神さんがいるはずないのに、いたから」

舞園「私……死んだんじゃなかったのかって」

舞園「どうして……私は生きてるんですか?」

苗木「……大体は、セレスさんと不二咲クンと、霧切さんのおかげだよ」

舞園「……学級裁判は?」

桑田「実をいうと、それどころじゃねぇんだよ……さやかちゃんは『卒業試験』のこと、知らねぇんだよな」

舞園「『卒業試験』?」

(主に苗木が『卒業試験』の内容について説明していく)

舞園「黒幕が……私たちの中に?」

苗木「……うん。当てられなかったら、他の全員が、きっと……」

霧切「二日後の午後七時に行われる予定よ」

舞園「なんというか……寝ている間に、ずいぶん話が進んでいるんですね……」

モノクマ『コラー!』

(ぴょーい!)

モノクマ「こら、ダメでしょ! 保健室ではお静かに!!」

桑田「お、お前……何しに来たんだよ?」

モノクマ「まったく、しかしまあ」

モノクマ「舞園さんが助かるなんて、奇跡みたいな話ですなあ」

モノクマ「そんな奇跡、こっちは願い下げだよ! まったく!」

モノクマ「あと椅子! 投げないでよ! 学校の設備破壊は校則で禁止するよ!」

セレス「それはそれは。ごめんあそばせ」

モノクマ「あ、そうそう。舞園さんさ」

舞園「なんですか?」

モノクマ「大丈夫? 歩ける?」

モノクマ「結構内臓が傷ついちゃってるから、しばらく激しい運動は出来ないと思うよ」

舞園「それはそれは。一応、モノクマさんにもお礼逝った方がいいですか?」

モノクマ「字が違う〝逝う〟になってる!?」

モノクマ「およよよよよ……これ薬。食後に飲んでしばらく激しい運動は絶対禁止だよ……」

(ぴょーい)

舞園「…………」


舞園「その……皆さん」

舞園「ごめんなさい……その」

舞園「特に、セレスさんに不二咲くんに……霧切さんは」

セレス「わたくしは利もなく人を助けたりはしませんの」

セレス「あなたの件では、モノクマがどのように動くのか」

セレス「非常に興味深く観察させていただきましたわ」

霧切「私も特別、大したことはしてないわ」

不二咲「あははは……でもさ」

不二咲「一番一生懸命だったのは、きっと苗木くんだよ」

苗木「いや、その……ボクは……」

セレス「まあ、<超高校級のギャンブラー>が<超高校級の幸運>に賭けたのですから」

セレス「勝って当然の、大した賭けではありませんでしたわ」

霧切「色々と幸運が重なったのは事実だと思うわ」

霧切「けど、やっぱり……ね」

舞園「……霧切さん、雰囲気変わりましたね」

霧切「…………」

舞園「苗木くん。皆さん」

舞園「ありがとうございます」

苗木「お礼なんか、いらないよ」

苗木「生きててくれて……目を覚ましてくれて、よかった」

舞園「…………」

霧切「苗木くん。部屋に送ってあげたら?」

苗木「あ、……そうだね」

苗木「立てる? 大丈夫?」

舞園「はい……あ」

桑田「おっと、……ふらついてるけど、これって大丈夫なのか?」

大神「我も部屋まで力を貸そう」

桑田「あ、俺も! 手伝うし!」

セレス「そう言えば、腐川さんの姿が見えませんね」

大神「部屋に閉じこもっているみたいだったな」

桑田「まぁいいっしょ。メンドーだし」


《舞園の部屋》


舞園「………っ!」

苗木「大丈夫? ……モノクマは内臓が傷ついてるって言ってたけど」

舞園「い、いえ。大丈夫です」

舞園「確かに、激しい運動は出来そうにないですけどね」

苗木「あの……その」

苗木「ボクも、舞園さんにはありがとうって言わなくちゃ」

苗木「舞園さんが……ああいうことをしなかったら」

苗木「ボクはあのまま、誰かに殺されていたかもしれない」

舞園「…………」

舞園「本当は、苗木くんじゃなくて」

舞園「学級裁判後の情報が目的だったんですよ……」

苗木「…………」

苗木「舞園さん。……ボクと話をするの、辛い?」

舞園「そんなこと……どうして?」

苗木「遠くなっちゃった気がするから」

舞園「……遠く、ですか?」

苗木「こんなに近くにいるのに。遠くなった気がする」

苗木「一人で、孤独で、みんなに囲まれていても」

苗木「誰の言葉も、届きそうにない。すごく悲しんでる。苦しんでる」

苗木「じゃなきゃ……自殺なんて、考えないよ」

舞園「…………」

苗木「ボクは、約束を守りたいんだ」

苗木「キミを助け、信じて、守る……あの約束を」

苗木「キミは、目の前にいるのに」

苗木「言葉が……言葉だけじゃ遠くて……」

舞園「――じゃあ……生きてください」

舞園「どんなことがあっても、生きてください」

舞園「それが、私たちの役目だと思います」

苗木「…………」

苗木「わかった。じゃあそのためにも」

苗木「ボクのわかっていることを説明するよ」

(舞園が毒を煽ってからどうやって助けたのか、襲撃者の話、そこから絞り込まれる黒幕像を苗木は伝えた)

舞園「黒幕が、私の命を?」


苗木「うん。だから、気を付けてほしい」

舞園「その……疑うわけじゃないですが」

舞園「襲撃者がイコール、黒幕というのは……」

苗木「体育館に逃げ込んだんだ。それは間違いなくボクが見た」

苗木「でも、すぐに体育館に入ったのに。いなかったんだよ……どこにも」

舞園「……この学園、大分、変な改造されてるみたいですもんね」

苗木「うん。黒幕しか知らない、隠し部屋とかがあったとしても、不思議はないと思う」

苗木「怖がらせるようなことを言って、ごめん」

舞園「いえ、大事な情報ですから……ありがとうございます」

舞園「…………」

舞園「すみません、苗木くん……不二咲くんの部屋に連れて行ってくれませんか?」

舞園「モノクマからとれたデータ……不二咲くんから聞きたいんです」

苗木「うん。わかった……体調は、大丈夫?」

舞園「大丈夫ですし、そうも言ってられませんから……」



《不二咲の部屋》


不二咲「舞園さん……大丈夫なの?」

舞園「はい、なんとか……不二咲くんにも、迷惑かけちゃって」

不二咲「ううん。いいんだ、そんなこと」

不二咲「それより、モノクマからとれたデータの話だったよね」

(食堂で全員に話した内容を舞園にも説明している)

舞園「……霧切さんのお父さんが、学園長?」

苗木「あ、でも……霧切さんは怪しいかもしれないけど、でも」

舞園「わかってます。この情報だけで決めつけるようなことはしませんから」

舞園「…………」

舞園「『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』から広がった、『人類史上最大最悪の絶望的事件』……」

舞園「…………」

舞園「キーワードは増えましたけど……これは黒幕のしっぽを捕まえる手がかりとしては」

舞園「薄いですね。きっと」

不二咲「…………」

不二咲「……苗木くんだけには話したんだけど……舞園さんにも話そうかと思うんだ」

不二咲「いいかな?」

苗木「うん。不二咲クンは絶対に違うから、大丈夫」

(不二咲は、自分たちが二年間の記憶を失っている可能性について話した)

舞園「二年間の記憶……」

舞園「以前に言っていた、霧切さんが<才能>を忘れているんじゃないか」

舞園「その話が、現実味を帯びてきたんですね……」

苗木「舞園さんは……信じるの?」

舞園「一応、それを前提にして考えていくつもりです」

全員「…………」


 ぴんぽんぱんぽーん

『えー、午後十時になりました。ただいまより、夜時間になります
 ではでは、いい夢を……おやすみなさい』


舞園「すみません、もう少し……ここにいてもいいですか?」

舞園「出来れば、苗木くんも」

苗木「ボクは構わないけど、不二咲クンは?」

不二咲「ぼくも、むしろいてくれた方がうれしいから、いいよ」

舞園「ありがとうございます。少し、考えをまとめたくて」

舞園「二年間の記憶を失ってるっていうのは……やっぱり、怖くて……」


舞園「……苗木くんたちは、黒幕を絞りこむために、何か調べていますか?」

苗木「うん。一応……十神クンと戦刃さんの事件を洗い直そうと思ってるんだ」

舞園「……あの事件を?」

不二咲「簡単に言うと、戦刃さんがどうして十神クンに協力する形で、殺されたのか」

不二咲「舞園さんが戦刃さんを怪しいと思ったのは、本当に初日からだよね?」

舞園「そうですね……なるほど」

舞園「あの時点では、学級裁判の話も出ていませんし……」

舞園「単なる『内通者』ではない可能性は高いですね」

苗木「うん。その線から調べてみようかと思うんだ」

苗木「十神クンがもしかしたら、戦刃さんの何かに気付いたのかもしれない」

舞園「…………」

舞園「私も、気になります……けど」

舞園「今の身体じゃ……捜査は難しいですね……」

不二咲「あ、霧切さんが一緒に手伝ってくれるって言ってくれたから」

苗木「あ……!」

舞園「もう。そういうことでは怒りませんよ」

苗木「い!? やっぱり、バレた?」

舞園「エスパーですから」

舞園「ふふ。冗談ですけどね」

苗木「あ、はは……久しぶりに『エスパーですから』が聞けて、嬉しいような……」

不二咲「えっと。どうしたの」

舞園「ふふ。霧切さんとは苗木くんの取り合いで、恋のライバルなんですよ」

苗木「い!? 舞園さん!?」

不二咲「あ、そうなんだ……ごめんね」

苗木「ちちち、違うって! そんなんじゃないって!!」

舞園「……でも、霧切さんが」

舞園「一人で動くタイプだと思っていたのに……なんか、イメージが変わりました」

苗木「うん。……キミを助けるために、みんなで協力したから」

苗木「それが、いい方向に働いたんじゃないかなって、思う」

舞園「それがいいと思います……霧切さんの為にも」

舞園「…………」

舞園「あ、その……ちょっと、思いついて」

舞園「試してほしいことがあるんですけど」

不二咲「うん、えっと、何かな」

舞園「パソコン、貸してもらえません?」

(パソコンに何か打ち込む舞園。ディスプレイはカメラに映らず、内容は不明)


舞園「出来ますかね?」

千秋『難易度高いなぁ……』

苗木「パソコンがしゃべった!?」

不二咲「ぼくの開発した、人工知能だよ」

千秋『でも、解析が終わってるから、少しの間だけなら、出来る……と思うよ』

不二咲「うーん。ずっとは無理かな……修復力も強いみたいだし……」

舞園「とりあえず……」

(またパソコンに打ち込む舞園。苗木と不二咲は頷いている)

苗木「で、出来たらすごいけど……出来るの?」

不二咲「一時的なものでしかないとは思うけど……試さないとわからないかな」

舞園「とりあえず、実験的にやってみてくれませんか?」

舞園「そうですね……」

(また打ち込んでいく舞園。二人は納得の表情を浮かべている)

不二咲「一時的でも、これなら……少しは安全を保てるね」

舞園「でも、黒幕にばれるわけにもいきませんから……深夜帯の方がいいと思うんですが」

苗木「ばれても大丈夫なんじゃ? この中身なら」

舞園「……不二咲くんが狙われるのは避けたいんです」

不二咲「……そうだね。黒幕が見つけたら、ぼくを狙ってくるよね」

苗木「あ、ごめん。わかった……じゃあ、二人の言うとおりの方がいいね」

不二咲「じゃあ、時間は……」

(カメラに背を向け、指か何かで合図しているようだ)

舞園「ありがとうございます。これが可能なら、一時的でも有利になると思いますし」

不二咲「みんなの安全にも繋がるし、ね」

千秋『うーん。わかった。やってみるね』

不二咲「お願い、千秋ちゃん」

舞園「えっと。お二人はもう少し大丈夫ですか?」

苗木「大丈夫だけど……舞園さんの方こそ大丈夫なの? 身体は」

舞園「お邪魔でなければ、もう少し考えをまとめたいです……ただでさえ出遅れているので」

苗木「そっか……そうだね」

不二咲「舞園さんは、どういう方向で考えていくの?」

舞園「そうですね……三つ目の事件を洗うというのは、すごくいい案だと思いました」

舞園「でも、私は出来ることがないように思うので……」

舞園「何故、黒幕が私を殺そうとしたのか? それを考えてみようと思います」

舞園「このまま何も行動を起こさなければ、自分の一人勝ちになるのはわかっているのに」

舞園「何故あえてわざわざ事件を起こそうとしたのか、を」

苗木「確かに……それは大事だね」


不二咲「これからも狙われるかもしれないしね……」

不二咲「あ、ごめん。不吉なこと、言っちゃって」

舞園「いえ。事実ですから」

舞園「みんなが多角的に考えるのは大事だと思うんです」

舞園「十神くんが何に気付いたのか? それは確かに、大事だと思います」

舞園「……ただの勘ですけどね」

苗木「あはは……舞園さんの勘はすごいからなあ」

苗木「でも、無茶はしちゃダメだよ?」

舞園「ええ。わかってます」

不二咲「……本当に、嫌だよ」

不二咲「舞園さんが死ぬかもしれないって思ったら……」

不二咲「とても……とても怖くて……」

不二咲「う……ひっく……う……」

不二咲「良かった……生きてて」

不二咲「本当に、よかった」

舞園「……すみません。でも」

舞園「ありがとうございます」

苗木「…………」

苗木「じゃあ、そろそろボク達は引き上げようか」

舞園「そうですね……話を聞かせてくれて、ありがとうございます」

不二咲「ううん。二人とも、気を付けてね」



《寄宿舎一階・廊下》


苗木「じゃあ、おやすみ。気を付けて」

舞園「苗木くんも。絶対、生き抜きましょうね」

苗木「ああ。絶対に」

舞園「おやすみなさい」


《舞園の部屋》


舞園「…………」

舞園「私を狙った理由なんて、決まってる」

舞園「『助かった私が殺されるという絶望を見たいから』」

舞園「あなたに記憶を操る技術があるなら」

舞園「きっと自分が何者かも忘れて、参加したんでしょうね」

舞園「そっちの方が面白いから、ただそれだけの理由で」

舞園「そうですよね。<超高校級の絶望>さん」

舞園「……あなたを喜ばせる結果になりそうですが」

舞園「あなたを絶望に追い込んであげますよ。望み通り」

舞園「私があなたを殺します」



《苗木の部屋》


苗木「……大分、進んではいるんだ」

苗木「でも、何かピースが足りない……」

苗木「このままじゃ……」

苗木「舞園さんも……みんなも……」

苗木「…………」

苗木「ダメだ……希望を捨てちゃダメだ!」

苗木「黒幕は見つけてみせる! 必ず!」



$%!#?+*0110W!'$%"<11037>*+@:…………

…………………………
……………………
………………
…………
……


舞園さやかの意識が回復
それぞれの生徒がそれぞれ真相に近づきつつある
江ノ島盾子は今日は動きを見せなかった


――『卒業試験』まで、あと2日

記号に意味はありません
まあ、このスレ何回エスパーが侵食するんだよ!ぐらいの意味で

こここ、こらー!
舞園さん、おとなしく寝ててー!

えっと、少し投下します。これ以上乗っ取られてたまるか

 24日目、朝

《十神の部屋》


不二咲「うーん。難しい本ばっかりだね」

苗木「図書室のものだろうね。何かあるかな」

霧切「……これ、見て」

苗木「何か、見つけた?」

(ノートを見つけたようだ)

霧切「ベッドのマットレスの下に隠されていたわ。……走り書きが多いわね」

苗木「何を書いてるかわからないのも多いね」

苗木「うーん……ん?」

苗木「戦刃、江ノ島、舞園、霧切、苗木……」

苗木「なんだろう?」

不二咲「うーん。あ、これ」

苗木「戦刃が『内通者』と仮定するなら、江ノ島も当然、警戒するべき……」

苗木「これは、やっぱり双子だからかな」

霧切「多分。……!」

霧切「<超高校級の絶望>……そう読めないかしら」

苗木「た、確かに……読めるけど」

不二咲「あの時点で、十神くんは黒幕が<超高校級の絶望>だと、わかっていたということ?」

苗木「…………」

苗木「<超高校級の絶望>という言葉は、『卒業試験』の説明を受けるまでみんな知らなかったはずだ」

不二咲「でも、十神くんは知っていた」

霧切「誰かから、聞いたから」

霧切「その単語を知っている、誰かに」

苗木「それって、やっぱり」

霧切「戦刃さんでしょうね」

不二咲「…………」

不二咲「江ノ島さんは……関係あると思う?」

霧切「今の時点では何も言えないわ」

霧切「ただ、戦刃さんから何かを聞き出すことに成功していたことは」

霧切「間違いないようね」

苗木「……戦刃さん……」



《戦刃の部屋》


苗木「……あの遺書って、本当の気持ちだったのかな」

不二咲「『みんなに迷惑をかけたから』……本音なのかな」

霧切「……写真があるわ」

苗木「写真? ……あ」

(明るい教室で戦刃と江ノ島が写っている)

不二咲「……仲、よさそうだよね」

苗木「……江ノ島さんには、自分しかいない」

苗木「だから、あの子のそばにずっといる」

苗木「そう、言ってたよ……死ぬ前の日に」

不二咲「でも……死んじゃったんだよね?」

不二咲「十神くんに協力してまで……?」

苗木「うーん……なんか、改めて考えると」

苗木「本当に、不自然だよね……あの時は何で流したんだろう」

霧切「…………」

霧切「調べましょう。それしか今はないわ」

不二咲「といっても……殆ど物ないし……」

霧切「…………」

苗木「……あれ?」

苗木「これ……?」

不二咲「それ……モノクマのヘアゴム?」

苗木「なんでこんなものが……」

霧切「…………」

霧切「戦刃さんが、モノクマに――黒幕にかなり近い立場だったのは」

霧切「間違いないようね」

霧切「十神くんは<超高校級の絶望>という単語を、戦刃さんから聞いたのよ」

霧切「戦刃さんは、『内通者』ではなく……『協力者』」

苗木「それって……やっぱり」

苗木「江ノ島さんが、怪しくなるよね?」

霧切「…………」

霧切「少し、江ノ島さんに探りを入れたいところだけど」

霧切「私は警戒されるでしょうね」

苗木「うん。黒幕からしたら、霧切さんの能力は怖いと思う」

不二咲「……簡単に尻尾を出したりは、しないだろうね」


不二咲「…………」

不二咲「本当に、江ノ島さんが……?」

霧切「今のままじゃ、切り抜けられかねないわ」

霧切「……おそらく、黒幕は事件を起こすと思う」

苗木「そ、それってもう一度、舞園さんを狙うってこと!?」

霧切「舞園さんかどうかはわからないけど。一度失敗しているわけだから」

不二咲「繰り返す可能性は高いんだね……」

苗木「でも……犠牲は出したくない……!」

苗木「それだけは絶対にダメだ!」

霧切「わかってる……今考えているから」

霧切「…………」

霧切「少し、時間をちょうだい。黒幕をおびき寄せる方法を考えてみるから」

苗木「霧切さん……でも」

不二咲「危ないことは、嫌だよ? 霧切さんにもしものことがあったら……」

霧切「……大丈夫。無理はしないわ」

霧切「『卒業試験』も『学級裁判』と同じようなシステムなら」

霧切「証拠よりも、心証が勝つ。……大丈夫よ」

霧切「既に、かなり有利なんだから。大丈夫」

不二咲「…………」

不二咲「本当に、そうなのかな……」

苗木「…………」

く、ピンクの悪魔め! 出ていけ!

さて、真面目な話、ちーたんはかなり不安定です
苗木も不安を抱えているようです。また夜時間以降ぐらいに投下しに来ます

(ぴょーい)

うーん。そうだなぁ

二回、安価とります。霧切さんを主に映すので、霧切さん・江ノ島さん以外でキャラ名安価

>>760
>>762

お願いします。何を仕掛けるか、これで変わってくるかも

ちーたん

苗木

キャアアカブッタァァァァ

もう一回>>767

舞園

なんか不吉組み合わせばっかりだ
それだけ絶望が見たいんだってことだよね。うぷぷ、訓練されててうれしいよ

(ぴょーい)

あれ? ……あ

見間違えてた。どうしよう

仕方ない。ちーたんと、苗木&舞園で行こう

 24日目、昼


《霧切の部屋》

 ピンポーン

霧切「はい」

不二咲『霧切さん』

霧切「不二咲くん。どうしたの?」

不二咲『ちょっと、話したいことがあるんだ。いいかな』

不二咲『出来れば聞かれたくないんだ』

霧切「わかったわ」



《霧切の部屋・前》


不二咲「あれ?」

霧切「さあ、じゃああなたの部屋で話しましょう」

不二咲「えっと。いいの?」

霧切「なにが?」

不二咲「え?」

霧切「え?」



《不二咲の部屋》


不二咲「…………」

霧切「……何?」

不二咲「ぼくは、このモノクマから得られた情報を、みんなに話したわけじゃないんだ」

不二咲「今知ってるのは、苗木くんと、舞園さんだけ」

不二咲「でも、一番に話さないといけないのは、霧切さんかもしれないって」

不二咲「そう思ったんだ」

霧切「何か、情報があるの?」

不二咲「霧切さん……ずっと自分の<才能>を言えなかったのって」

不二咲「自分が何者か、わからなかったからじゃないの?」

不二咲「そう。<才能>すら忘れるほど」

霧切「何故、そう思うの」

不二咲「それは、霧切さんに限ったことじゃないんだ」

不二咲「おそらくぼく達全員がそうだから」

(不二咲はモノクマの技術や時間の表記などについて詳しく説明した)

霧切「……なるほど、ね。そういうこと」

不二咲「驚かないんだね?」

霧切「まさか。すごく驚いてるわ」

霧切「人の記憶を消したりできるなんてね」

不二咲「……そうは見えないけど……」

不二咲「霧切さんは、不安じゃないの?」

不二咲「ぼく……もしかしたら、自分が黒幕なんじゃないかって」

不二咲「それぐらい……怖くて。泣きそうになって……泣いちゃって」

不二咲「どうしてそんなに、冷静でいられるの?」

不二咲「舞園さんもそうだよ。自分の命を犠牲にするのに、あんなに普通に、平然としてた」

霧切「舞園さんとはタイプが違うとは思うけど」

不二咲「そうかな。本心を隠せるっていう部分では」

不二咲「二人、似てると思うけど……」

霧切「…………」

霧切「最初は、そう思ってた部分もあったわ」

霧切「見た目は平然とモノクマと『取引』してみせたり、確かに頭の回転は速いけど」

霧切「人の死で心が削られて、それでも笑顔でいる」

霧切「でもそれがきっと、彼女の<才能>なのよ」

霧切「<超高校級のアイドル>としての彼女は、笑顔でいるしかないんじゃないかしら」

霧切「私が<超高校級の探偵>として、表情を悟られないようにいるように」

不二咲「…………」


不二咲「<才能>が、そうさせるんだね。平然としているように見せてるんだね」

不二咲「……二人は仲良くなれないの?」

霧切「なれない。もう彼女とは相容れない」

霧切「道を違えてしまったから。私に出来るのは、私のやり方で彼女を止めること」

霧切「それだけ。自殺を止めたのも、その想いがあったからよ」

不二咲「…………」

霧切「でも彼女はもう終わってる。救いようがない」

不二咲「そんなこと……みんなで一緒に外に出ようって」

霧切「…………」

不二咲「あの、……やっぱり苗木くんを巡って、仲が悪くなったり」

霧切「どうしてそうなるの」

不二咲「あれ? 違うの? 三角関係じゃないの?」

霧切「…………」

霧切「誰が言ったの、それ?」

不二咲「えっと。舞園さんがそう言って、苗木くんは否定していたけど」

霧切「…………」

霧切「ふう。あのエスパーもどきの言葉は信用しないで」

霧切「ただの冗談でしかないんだから」

不二咲「あの、怒ってる? 怒ってるよね?」

霧切「なんでもないわ」

不二咲「でも」

霧切「なん・でも・ない・わ」

不二咲「あう……ご、ごめんなさい」

霧切「……ふふ」

霧切「あなたも苗木くんに負けず劣らずのお人好しのようね」

霧切「簡単に騙される」

不二咲「え? 騙してたの!?」

霧切「そのままでいてほしいわね……あなたも、苗木くんも」

霧切「とにかく、情報としては非常に助かったわ」

霧切「記憶の件のこと……ありがとう」

不二咲「う、うん……こっちこそ、すぐに言えなくてごめんね」

霧切「じゃあ」

(霧切は去った)

不二咲「うーん。女の子って怖いなぁ」

不二咲「普通の女の子がいるわけないのは最初から知ってたけど……」

えー、ちーたんはさらに加えて女性恐怖症になりつつあるようです
苗木&霧切&舞園のヒロイン決定戦(仮)は、今から書くので

もう寝ちゃうか、しばらく待つかどっちかお願いします


 24日目、夜

《舞園の部屋・前》


霧切「…………」

苗木「あれ? 霧切さん」

霧切「苗木くん」

苗木「えっと……舞園さんに用事?」

霧切「あなたこそ、舞園さんに用があるの?」

苗木「食事をね……まだ舞園さん、体調良くないから」

霧切「美味しそうなおかゆだけど、誰が作ったの? 苗木くん?」

苗木「いや、ボクには作れないよ。大神さんが作ってくれたんだ」

霧切「そう」

苗木「えっと、さっきからなんか……刺々しくない?」

霧切「…………」

霧切「まあいいわ。あなたも知っているらしいし」

霧切「記憶の件について、どう思うのか聞こうと思っただけよ」

苗木「え、それって……不二咲クンから?」

苗木「あ、じゃあ。ボクも話に参加していい?」

霧切「舞園さんがいいと言えばね」



《舞園の部屋》


苗木「消化に良くて、栄養があるんだって。熱いから気を付けて」

舞園「ありがとうございます。ふふ、苗木くんがに看病してくれるって、すごくうれしいです」

苗木「いや、そんな……ボクなんか何も」

霧切「話があるんだけど」

舞園「……。あの? 霧切さん、なんか怒ってます?」

霧切「あなたのくだらない冗談のせいで不愉快な思いをしただけよ」

舞園「何か言いました? 私」

苗木「えっと、えっと! ストップ! 霧切さん、病人なんだから」

霧切「ふう。まあいいけど」

舞園「…………」

霧切「…………」

苗木「…………」

苗木「あー、えっと。話があるんだけど、舞園さんが食べ終わるまで、少し待とうか」


霧切「そうね。まあ折角だし」

霧切「洗濯物があれば、ランドリーで洗濯してきてあげるわ」

舞園「そうですか? お願いしてもいいなら、お願いしたいですが」

苗木「あ、ボクも行こうか?」

舞園「え、あ、その……下着とかも、あるので」

舞園「苗木くんには……その……」

苗木「いぃ!? あ、ごめん! き、気付かなくてさ!」

霧切「洗濯物はどこ?」

舞園「すみません、シャワー室にあります。ありがとうございます」

霧切「…………」

(霧切が出て行った)

苗木「どうしたんだろ? 霧切さん、なんかさっきから変なんだ」

舞園「うーん……えっと」

舞園「そう言う意味でのライバルのつもりは、なかったんですけどね……」

苗木「え? どうしたの?」

舞園「……えい!」

苗木「いた! あれ? チョップ?」

舞園「鈍感さんはこれだから……もう」

舞園「霧切さんも女の子なんですよ?」

苗木「??? 前にもあったような……」

舞園「……はあ」



《ランドリー室》


霧切「……さっきから、私らしくない」

霧切「ふう。冷静にならないと……」

霧切「…………」

霧切「……アイドルの笑顔って、やっぱり可愛いわね」

霧切「私には一生真似できそうにないわ」

霧切「…………」

霧切「違うでしょ。今考えないといけないのは『卒業試験』対策について」

霧切「可愛さなんて、どうでもいいじゃない」

霧切「……こんな顔、二人に見せられるはず、ないじゃない」



《舞園の部屋》


苗木「体調は、どう?」

舞園「一応、だいぶ楽にはなってます」

舞園「正直、怖かったんですけど。薬が効いてるみたいで」

苗木「モノクマからの薬って、怖いけど……飲んだんだね」

舞園「まあ、直接生徒を殺す真似をしないと思うので、大丈夫ですよ」

 ぴんぽーん

苗木「あ、霧切さんだよ」

(苗木が扉を開け、霧切が入ってくる)

霧切「…………」

苗木「早かったね」

霧切「時間になったらまた取りに行くわ」

舞園「ありがとうございます。本当にすみません」

霧切「別にかまわないわ」

舞園「私は食べながらになりますが、それでよければ本題に入って大丈夫ですよ」

霧切「そう。助かるわ」

霧切「黒幕は、『記憶の消去』ができる」

霧切「この仮説について、どう思う?」

舞園「……不二咲くんから聞いたんですか?」

苗木「といっても……信じられるかと言えば」

苗木「無理があるというか……常識外というか」

霧切「けど、私には実感として操作された感触が残っているわ」

舞園「<才能>を忘れていたから、ですか?」

霧切「それどころか、名前や知識以外の記憶はほとんどね」

苗木「え……そんなに、忘れてたの?」

舞園「それは……でも、すごいです」

舞園「そんな状態で、よくあれだけの推理が出来ますね」

苗木「本当だよ……すごいね」

舞園「だからこそ、黒幕は霧切さんを警戒していたんでしょうね」

霧切「でも、今は少しずつ思い出してるわ」

霧切「…………父のこと。私のこと」

苗木「お父さん……学園長の?」

霧切「…………」

舞園「差支えなければ……聞かせてくれませんか?」

霧切「…………」


霧切「私が、この学園に入学しようとしたのは」

霧切「父がここにいたからなの」

苗木「お父さんを、探しに?」

霧切「霧切の一族は代々、探偵業をしているわ」

霧切「一般には知られていない。知られればそれは、探偵として支障が出るから」

霧切「だけど、私はそれを破った。希望ヶ峰学園にはいれば、嫌でも全国に名前が知られる」

霧切「それでも、私はここに入った」

苗木「それだけ……お父さんのことが好きで」

霧切「違う。父は臆病で、霧切の一族から逃げ出した裏切り者」

霧切「私を捨てて、霧切の宿命から逃げたの」

舞園「…………」

霧切「だから私は、見せつけたかった」

霧切「娘を置いて逃げた父に、娘が宿命をきちんと背負って生きていることを見せつけたかった」

霧切「それは……復讐だった」

苗木「…………」

霧切「だから私は父が学園長であっても関係ないし」

霧切「父のことで私が揺らぐことはない。私には関係ない」

舞園「嘘ですね」

苗木「ま、舞園さん」

霧切「今回ばかりは、あなたの勘も外れているわ」

霧切「私は間違いなく、そう思っている」

舞園「違います。そう思い込もうとしているだけです」

舞園「じゃないと、一人で学園中を探しまわったりしない」

舞園「お父さん、この学園のどこかに、いるかもしれないんですよね?」

舞園「図書室のパソコンのファイルに、そうあったと聞いてます」

霧切「探していたのは事実だけど」

霧切「ただ、この無様な事態に対するけじめをつけさせたかっただけ」

霧切「何もかも半端なあの人は、こんなことになるまで止められもしなかった」

舞園「……そうですか」

舞園「霧切さんがそう思うなら……そう思いたいなら、そうなんでしょうね」

舞園「私は、逆に父子家庭で……父しかいなかったから」

舞園「…………」

苗木「えー、えっと。その」

苗木「……霧切さんの気持ちもわかったし、舞園さんがそれを咎める気持ちもわかったよ」

苗木「ボクもどっちかというと、霧切さんは……いや」

苗木「とにかく、『卒業試験』の話をしよう」

苗木「黒幕には記憶を消す技術がある、そう仮定して話を進めるんだったよね」


霧切「……そうね」

舞園「私たちの二年間の記憶……クラスメートとしての記憶を失わせてまで」

舞園「この《コロシアイ学園生活》を実行した<超高校級の絶望>」

苗木「……その、いまだに実感はないんだけど」

苗木「どうしてそこまで……ここにこだわったのかな」

舞園「ここが、始まった場所だからじゃないでしょうか」

霧切「始まった……?」

舞園「『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』から、『人類史上最大最悪の絶望的事件』が広がったんですよね?」

舞園「つまり、ここは始まりの場所」

舞園「そこで、<才能>という<希望>が、<絶望>とともにコロシアイをする」

舞園「それが見たいだけなんじゃないでしょうか?」

苗木「そんな……そんなくだらない理由で?」

苗木「こんなバカげたことをやらされていたのか?」

舞園「…………」

霧切「確かに、通常の『動機』の考え方ではこの馬鹿げた黒幕の考え方は理解できないでしょうね」

霧切「私の感覚では、大体舞園さんが言った通りの理由だと思うわ」

舞園「黒幕の人物像って、思いつきますか?」

霧切「プロファイリングね」

霧切「ゲーム性を高めた『学級裁判』、ルールを頑なに守るモノクマのプログラム」

霧切「あえて言うなら、遊び感覚の愉快犯に近いと思うわ」

苗木「……そんなやつが、ボクらの中にいるんだね」

舞園「もしかしたら、自分すら記憶を消して参加していたかもしれませんよ」

舞園「正直、それぐらいのことはやりかねない感じがします」

苗木「そんなやつを……どうやって追い詰めればいいんだ?」

舞園「大丈夫ですよ」

舞園「『卒業試験』で、当てればいい。それだけです」

舞園「キーワードはそろってきていると思います。だから、大丈夫です」

霧切「…………」



《霧切の部屋》


霧切「ふう……」

霧切「…………」

霧切「もう一日しかない」

霧切「黒幕が仕掛けてくるとすれば、明日あたり」

霧切「……舞園さん」

霧切「あなたは何か隠してる」

霧切「黒幕を殺すことに執着していたあなたが……」

霧切「――『卒業試験』で当てればいいなんて、そんなことを言うはずが、ないもの」




$%!#?+*0110W!'$%"<11037>*+@:&%#!"#$%<`*?…………

…………………………
……………………
………………
…………
……


――『卒業試験』まで、あと1日

いやあ、クライマックスです……か?

このままいくと……一番絶望するのは……多分、彼女だね

まったねー

(ぴょーい)

乙。
舞園さんって父子家庭なんか?
だとしたら、やっぱ霧切さんとの対比なんだろうか

>>788
舞園さんの通信簿かなんかで『父子家庭で、寂しさを紛らせてくれたアイドルにあこがれた』
とありました。確か。

>>795までキャラ名安価です。この翌日が『卒業試験』となります。

ちなみに、
残り4日、3、2、1、当日

ってカウントは別におかしくないよね? ね?

セレスさん

了解です。
霧切×江ノ島・桑田×江ノ島・苗木×セレスで行きます

ぎゃあ、そのあとの部分を書いてるけど大変だぁ!

 25日、朝

《娯楽室》


霧切「…………」

江ノ島「あれ? どうしたの、こんなとこで」

霧切「ちょっと、気になることがあったのよ」

霧切「江ノ島さんは何故、ここに?」

江ノ島「うーん。まあ」

江ノ島「姉ちゃんが死んだ場所だし」

霧切「そう」

江ノ島「まあ、もうすぐ終わりっぽいじゃんか。なんにしてもさ」

江ノ島「だからまあ、最後に。なんて」

霧切「…………」

霧切「そうね。もうすぐ、終りね」

霧切「『卒業試験』の結果が、どうなろうと」

霧切「ここに来ることは、もう出来ないでしょうから」

江ノ島「ま、そうだねー」

霧切「ところで、あなたは」

霧切「私を黒幕だと、そう主張するつもり?」

江ノ島「うーん。まあ、ぶっちゃけ、他にいないっしょ」

霧切「そうかしらね」

霧切「案外、そう思ってない人も多いかもしれないわ」

江ノ島「へえ。誰?」

霧切「さあ? みんなに訊いてみれば?」

江ノ島「っていうかさ。アンタは誰だと思っているワケ?」

霧切「…………」

霧切「まあ、舞園さんあたりじゃない?」

江ノ島「明らかに適当に言ってない? それ?」

霧切「それよりかは、黒幕がどんな人物かを考えているわ」

霧切「あなたはどう思う?」

江ノ島「わかるわけないっしょ」

江ノ島「まあ、まともじゃないよね」

霧切「でしょうね」

霧切「悼む時間が必要だというなら、私はもう出ていくわ」

霧切「じゃあ」

(霧切は出て行った)

江ノ島「……うぷぷぷぷぷ」

江ノ島「お姉ちゃんは私の為に、事件を演出してくれたんですよね……」

江ノ島「十神を使って。でも残念なことに、十神は葉隠に殺られて」

江ノ島「ホントウに役立たずな残念な姉ちゃんだなぁおい!!?」


 25日目・昼

《食堂》


桑田「おー、江ノ島か」

江ノ島「あんたも昼飯食べるワケ?」

桑田「まあな。正直、何も食べたくねぇけどよ」

桑田「そうも言ってらんねぇしな」

江ノ島「あんたは誰が黒幕だと思ってんの?」

桑田「俺とさやかちゃんだけは違うってことは確かだ」

江ノ島「もうちょっとマジで考えたら?」

桑田「うーん。まあ、霧切かな」

桑田「学園長の娘って怪しいもんなぁ」

江ノ島「だよねー」

桑田「でも俺、考えるのマジで苦手だし」

桑田「『卒業試験』、頭のいい連中に任せた方がいいんじゃねえかってマジでちょっと思ってたり」

江ノ島「あんたさ、やる気あんの?」

桑田「俺なりに調べてるけどよ……全然わかんねぇし」

桑田「あー、さやかちゃんのお見舞いにでも行こうかな」

江ノ島「ダメだこいつ、現実逃避してやがる」

桑田「んなこと言うなよ……さやかちゃん、苗木に抜け駆けされそうな感じだし」

桑田「マジで俺どうしたらいいか……はあ」

江ノ島「舞園ちゃんと苗木はもうしゃーなくない? 中学からの知り合いらしいし」

桑田「くっそー! 幸運ってだけで! 幸運ってだけで!」

桑田「ド畜生ーーー!!」

江ノ島「ダメだこいつ、何が問題なのか自分で分かってないタイプだ」

桑田「はあ。叫んだらすっきりした」

江ノ島「その程度なの?」

桑田「はあ、また頭使うのか……マジで疲れんだけどな」

江ノ島「こっちはこっちで絶望的に時間損した気分なんですけど」



 25日目、夜

《図書室》


苗木「うーん」

セレス「あら、苗木くん。どうしました?」

苗木「あ、セレスさん」

苗木「ボクは、十神クンがここで何を考えていたのかなって、ずっと思ってたんだ」

セレス「十神くんが……ですか?」

苗木「うん。まあわからなかったんだけどね。セレスさんは、何かわかった?」

セレス「わたくし、頭を使うのが苦手なんですの」

苗木「あはは……よく言うな」

セレス「何か情報があれば、教えていただきたいと思いまして」

苗木「うーん。その前にさ」

セレス「わたくしは黒幕の見当なんてついてませんわ」

苗木「いや、まあそれも大事なんだけど」

苗木「ありがとうって言ってなかったなって思って」

セレス「はて? 何のことでしょう?」

苗木「セレスさんさ、舞園さんのこと教えてくれたじゃない」

セレス「そのことですか」

セレス「自分勝手に死ぬのが許せなかっただけですわ」

セレス「結構大口叩いていましたのよ?」

苗木「協力関係にあったのは、今はどうなの?」

セレス「今は、特別何かが出来る状態ではないですし」

セレス「黒幕が仕掛けるのを待つか、仕掛けさせるかですが」

セレス「見当もついていない状態では、話にならないのですわ」

苗木「うーん。まあそうだよね」

苗木「セレスさんは、霧切さんのこと、どう思う?」

セレス「どうも思いませんが」

苗木「え? 怪しいとか思わないの?」

セレス「学園長の娘の件ですか?」

セレス「それがどうしたのか、と逆に伺いますわ」

苗木「え? えっと」

セレス「まあ、殆ど勘に近いのですが」

セレス「この黒幕は、過剰な遊び心があるように思えます」

セレス「自分の不利すらも、楽しむような……」

セレス「論理一辺倒の霧切さんとは、イメージがかけ離れていますわ」

苗木「なるほど……そういう考え方なんだね」

セレス「苗木くんはどうなのです?」

セレス「明日に迫っていますが」

苗木「うん。……絶対に、諦めない。決着は必ず付けるよ」

セレス「…………」

セレス「そうですわね。明日が勝負の時ですが」

セレス「ま、大したことはありません」

セレス「確率は16分の1。それを当てればいいだけの、簡単なゲームです」

苗木「あはは……セレスさんらしいや」

セレス「それを外せば、黒幕以外の全員が死ぬ」

セレス「今まで何度か繰り返してきたことです」

苗木「そうだね……全ては明日、明日で終わるんだ」

苗木「そして、ここを出る。必ず」

セレス「まあ、力み過ぎて、そのスキを突かれないようにしてくださいまし」

セレス「では、おやすみあそばせ……今夜がここでの最後の眠りになるように」

苗木「ああ。おやすみ、セレスさん」





《江ノ島の部屋》


『<超高校級の絶望>さんへ
 
  私を殺したいなら、深夜三時、体育館で待っています
  私もあなたを殺すつもりでいます。邪魔が入らない場所で決着をつけましょう
              
                                 舞園さやか』


江ノ島「……うぷぷぷぷぷぷぷ」

江ノ島「うぷぷぷぷぷ! 楽しくなってまいりましたぁぁ!!」


ま、舞園さんがとうとう動いた!?
妹様も高笑いしてるけど、大丈夫か!?

一時間後ぐらいに投下しに来ます、もうしばらくお待ちください

途中まで投下します



$%!#?+*0110W!'$%"<11037>*+@:&%#!"#$%<`*?…………

#85*01$%!…………………………
/:$#……………………
………………
…………
……


――『卒業試験』 当日




 26日目、深夜

《寄宿舎、廊下》


舞園「…………」

霧切「どこへ行く気?」

舞園「!? ……霧切さん」

霧切「こんな時間に、病人がどこへ行くの?」

舞園「霧切さんこそ……何故?」

霧切「不審な音がしたから」

舞園「音って、部屋は完全防音じゃ」

霧切「鍵をかけず、扉を少し開けてたの」

霧切「『卒業試験』が発表された日から、そうしてるわ」

舞園「…………」

舞園「黒幕と一対一で会話がしたかったんですが」

舞園「止めますか?」

霧切「ええ。黒幕が今のあなたに殺されるとは簡単には思わないけど」

霧切「殺すのも殺されるのも、私は止めてみせる」

舞園「…………」

舞園「わかりました。ならば、あなたも同席してください」

舞園「それで手を打ちませんか?」

霧切「…………」

霧切「いいわ」


《体育館》


霧切「来るの? 本当に」

舞園「来なければ、『卒業試験』で当てるだけですよ」

舞園「ただ……何もかも黒幕のゲームの上というのは、気に入らない」

舞園「私はここで、黒幕を殺すつもりでいます」

霧切「させるつもりはないけど、そんな身体でどうにかなるの?」

舞園「一度死んだ身ですから。死んだ気でやればなんてことないですよ」

霧切「私でも、あなたに勝てる自信があるわよ」

霧切「例え、万全の体調であったとしてもね」

舞園「そのための、これですよ」

(スプレー缶のようなものを出す舞園)

霧切「……それは?」

舞園「経験を活かしてみました」

舞園「痴漢撃退スプレーの、もっと強力な奴ですね。混ぜるな危険って感じで」

舞園「皮膚にかかれば、すぐに爛れますから。霧切さんも気を付けてくださいね」

舞園「私はあなたを殺したいわけじゃないので」

霧切「…………」

霧切「あなたの考える、黒幕は誰?」

舞園「…………」

舞園「江ノ島盾子」



江ノ島「そう! ワタクシ様こそが黒幕こと<超高校級の絶望>なのよ!」



霧切「……やはり、そうなの」

舞園「霧切さんも、気付いてたみたいですね」

江ノ島「イエェス! 大正解!! ってかなんで二人なんだよ一対一じゃなかったのかぁ!?」

江ノ島「騙されました……絶望的に騙されました」

江ノ島「お姉ちゃんたち、ひどーい☆ リンチはいけないんだぞ☆」

舞園「…………」

霧切「また、面倒なキャラね……」

舞園「一対一でコロシアイをしませんかと誘ったのは事実ですが」

舞園「霧切さんは勝手についてきたんです」

舞園「私があなたを殺すことを、止めようとしているみたいですよ?」

江ノ島「明らかに逆ですね。それに一人増えたことで影響はありません」

江ノ島「二人とも殺っちまえばいいだけだかんなぁぁ!!?」

舞園「『同一のクロが殺せるのは二人まで』ですからね」

霧切「私は殺されるつもりもないし、あなたたちのコロシアイを見過ごすつもりもない」

霧切「止めてみせる」


舞園「出来なかったとしても、私や霧切さんが殺されたとしたら、必ず手がかりは残ります」

舞園「どっちみち、あなたは詰んでるんですよ」

江ノ島「うぷぷぷ……それもいいじゃない」

江ノ島「この! 追い詰められていく絶・望・感!!」

江ノ島「たまらないわ……この感覚」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!」

舞園「…………」

舞園「ただの変態ですか? この人」

霧切「ただの、じゃないわね。絶望フェチとでも言うべきかしら」

霧切「自分の絶望すら楽しめるなんてね」

霧切「けど、そうはさせない」

江ノ島「といいつつ、ここらへんであなたたち二人を殺しておこうかと思います」

江ノ島「苗木くんあたりがぁ、すごく絶望するかなって☆」

霧切「なんで苗木くんの話になるの」

江ノ島「おやおやおや? 自分で気づいていない?」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷ」

江ノ島「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!」

江ノ島「あんなに一緒だったのに、それを忘れてるなんて!!」

江ノ島「うぷぷぷ……絶望よね……自分で気づいていないって」

舞園「気付いてますよ」

舞園「私たちは、クラスメートだった」

霧切「ええ。その可能性には、気付いているわ」

舞園「ですが、それで私があなたを殺すことを揺らぐわけがない」

舞園「むしろ、固まりましたよ……何をしてでも殺す、と」

江ノ島「半死人が何言ってんだ!? ああ?」

霧切「私も、そのことで揺らいだりはしない。決意が固まったという意味では舞園さんと同じだけど」

霧切「私は二人とも止めるわ……江ノ島さん」

霧切「あなたには骨の何本かを折ってもらうことになるけど」

江ノ島「うぷぷぷぷ……ぼくが、君に出来ることぐらいを出来ないと、そう思うの?」

江ノ島「甘いですね……絶望的なデビル甘ですね……」

(江ノ島が刃物を取り出した)

江ノ島「二人とも、死んじゃえ☆」

舞園「…………」

霧切「――――!」


《苗木の部屋》


苗木「……ぐー」

 ぴんぽんぴんぽんぴんぽん!!

苗木「!?」

苗木「は、はい!? 誰」

霧切『私よ』

苗木「え、どうしたの?」

霧切『すぐに体育館に来て……いえ、全員起こしてきて』

苗木「ど、どうしたの? 何かあったの!?」

霧切『…………』

霧切『黒幕、が……』

霧切『黒幕が、舞園さんに殺されたわ……』

苗木「…………」

苗木「は?」

霧切『ごめんなさい、私も良く……事態が呑み込めてないの』

霧切『とにかく、急いで。すぐに学級裁判になるから』

苗木「何……言ってんだよ」

苗木「なんで!?」

ごめん、ちょっと用が出来た
11時ぐらいに投下しに来ます


《体育館》

(全員が体育館に集まった)


桑田「え、江ノ島? 黒幕が、江ノ島?」

腐川「血、血、血があああああ」

大神「……寝かせてやろう。しかしどういうことだ?」

大神「舞園が殺したのか? そう聞いたが」

(舞園はアイドルの笑顔を浮かべたまま、沈黙している)

桑田「こ、こんな殺し方……どうやるんだよ?」

桑田「な、なあ? 出来るワケないじゃんか……」

桑田「全身、穴だらけ? 何をどうしたらこうなるんだよ……!?」

苗木「……舞園さん」

苗木「本当に……君が、殺したの?」

舞園「…………」

セレス「……おかしいですわね」

大神「何がだ?」

セレス「『死体発見アナウンス』が、鳴らないのは何故です?」

セレス「本当に、舞園さんが殺したのですか?」

舞園「霧切さん」

全員「………!!」

舞園「見たままを説明してあげたらいいんじゃないでしょうか」

霧切「…………!!」

霧切「……私の目の前で、江ノ島さんは」

霧切「わけもわからず、串刺しにされたわ」



==============================



江ノ島「二人とも、死んじゃえ☆」

舞園「…………」

霧切「――――!」



 ―――― 条件を確認しました


モノクマ『必殺! グングニル!!』


江ノ島「…………」

江ノ島「え? ……なんで?」

江ノ島「どうして?」

江ノ島「―――――」

霧切「――――!?」

舞園「……ふふっ」

舞園「ふふ……あは、あはははは……!」

霧切「――――!!」

舞園「ダメじゃないですか、江ノ島さん」

舞園「人を殺そうなんて、そんな物騒なことをしようとすると」

舞園「ほら、おしおきされちゃいました」

江ノ島「――――」

霧切「………!」

舞園「無駄ですよ、霧切さん。明らかに死んでるじゃないですか」

霧切「あなた、何をしたの……!?」

舞園「二度手間になるのが嫌なので、みんなを呼んできたらどうですか?」

舞園「別に何もしませんよ。霧切さんが目の前で見てたんだし」

霧切「………!!」



==============================


苗木「お、おしおき? なんで? 江ノ島さんが!?」

不二咲「…………!!」

不二咲「まさか……まさか……!!」

舞園「皆さん、電子生徒手帳があるなら、確認してみてください」

舞園「『人を殺してはいけない。殺害の意志を持って行動を起こす場合、強く罰する』」

舞園「江ノ島さんは、校則違反で死んだんですよ」

モノクマ『その通り!』

全員「!!」


(ぴょーい)


モノクマ「江ノ島さんは、校則違反の行動をしたため」

モノクマ「『グングニルの槍』で、おしおきさせてもらいました!!」

大神「……このような校則、我は知らぬ」

セレス「そもそも、モノクマがこんな校則を作るわけがありませんわ」

モノクマ「その通りです。この校則はぼくが作ったものでもなければ」

モノクマ「江ノ島さんが……あ、ちなみに黒幕でしたが」

モノクマ「付け加えたわけでもありません」

桑田「はあ!? じゃあ誰が!?」

不二咲「あ……あ……」

不二咲「ち、違う……そんなつもりは」

セレス「……今、校則の項目が消えましたわ」

セレス「どういうことですか?」

モノクマ「不正なアクセスからの校則追加だったからね」

モノクマ「あくまで一時的なものでしかありませんでしたが」

モノクマ「お見事です! 不二咲くん!!」

不二咲「ち、違う……こ、こんな」

苗木「そんな……あれが?」

セレス「つまり、不二咲くんが、ハッキングで作った校則ということですか?」

不二咲「こんなこと、したかったわけじゃない……違う……」

舞園「ありがとうございます、不二咲くん」

舞園「おかげで、黒幕を殺すことが出来ました」


不二咲「あ、……あああああああああああああ!!!」


苗木「不二咲クン!」

不二咲「違う……違う……ぼくは……」

不二咲「……ぼくじゃない……」

不二咲「ぼくは、ぼくは……!!」

苗木「不二咲クン! 不二咲クン!! しっかりして!!」


モノクマ「えー、江ノ島さんの死はあくまで校則違反によるものですので」

モノクマ「学級裁判は開きません!」

セレス「……説明願えますか?」

舞園「簡単に言うと、私は不二咲くんにお願いしたんですよ」

舞園「『校則を自由にできないか』と」

舞園「答えは一時的なら何とかなるけど、そのあと不正なアクセスによる追加や削除は復元される」

舞園「そうでしたよね? 昨日の晩、追加できていることが確認できたので」

舞園「夜時間のチャイムの前、私は江ノ島さんを呼び出したんです」

不二咲「ち、ちがう……ぼ、ぼくは……」

不二咲「こんなことじゃ……ちがう……」

苗木「……舞園さん……!!」

苗木「最初から、このつもりだったの!!?」

舞園「そうですよ」

舞園「一時的で、十分でした。深夜のわずかな時間しか追加されない校則でしたが」

舞園「結果はこの通りです」

全員「――……!!」

舞園「あ、ちなみに霧切さん」

舞園「これ、中身は別に何でもありません。ただの制汗スプレーです」

霧切「………っ!」

モノクマ「えー、ところで」

モノクマ「大事なお知らせです。ピコンピコン」

苗木「なんだよ!! 今、それどころじゃ」

モノクマ「ぼくのマスターが、舞園さんに移行しました」

モノクマ「校則の追加や削除など、その他もろもろの権限が舞園さんに与えられます」

苗木「………は?」

舞園「どういうことですか?」

モノクマ「えー、本来のマスターは、江ノ島盾子でした」

モノクマ「マスターが殺害された場合、本来ならば学級裁判が開かれるので」

モノクマ「内緒でクロにマスターの権限が移ります。更にクロがおしおきされた場合は」

モノクマ「その時点で、ぼくが最もマスターにふさわしいと思う生徒を選別するのですが」

モノクマ「舞園さんなら文句なし! 君がぼくのマスターだ!!」

舞園「…………」

舞園「マスターに、何ができるんですか」

モノクマ「マスターが一方的に有利な条件じゃなければ」

モノクマ「大概のことは、命令として受理されます」

舞園「…………」

苗木「ま、いぞのさんが……モノクマの、マスター?」

苗木「なんだよ……なんの冗談だよ、それ……!?」

桑田「あ、あのさ……」


桑田「モノクマは、さやかちゃんの言うことを聞くんだよな?」

桑田「じゃ、じゃあ……こっから出せと命令してくれよ!」

桑田「黒幕は死んだんだろ!? 江ノ島が黒幕だったんだろ!? もういいじゃねぇか!!」

桑田「誰がさやかちゃん責めれるんだよ!! 江ノ島のせいで何人も死んだんだぞ!」


全員「…………」


苗木「それは……違うよ」

苗木「こんなやり方……不二咲クンを、『仲間』も騙しておいて」

苗木「絶対に間違ってるよ……! 舞園さん!!」

苗木「舞園さん!! 何か言ってよ!!」

苗木「なんでこんなやり方をしてまで!! どうして!?」

苗木「キミを……信じるって……約束は……」

苗木「答えてよ!!」

舞園「…………」

舞園「全員平等の条件ならば、大体何でも私の言葉を聞くんですよね?」

モノクマ「うぷぷ、そうだね」

舞園「…………」

舞園「では、『卒業試験』の中止を」

舞園「私たちは、このままここで生活していきたいと思います」

桑田「……な」

桑田「なんでだよ!? さやかちゃん……頭おかしくなったのかよ!?」

大神「理由を聞かせてもらおうか」

セレス「外に出たいというのは、他の皆さんと同じくあなたもだと思っていたのですが」


舞園「――思い出したからですよ。すべて」

舞園「一度死んで……目が覚めた時に。すべてを」

霧切「あなた……まさか」

舞園「二年間の、みんなとの思い出を。そして」

舞園「ここで一生を過ごす決意をみんなでした、あの時のことを」

大神「……何を言っている? 桑田の言うとおり……狂ったのか?」

不二咲「……あ……あ、……」

舞園「…………」

舞園「勿体ぶる必要はもうないでしょう」

舞園「モノクマさん……全施設の解放を」

モノクマ「アイアイサー!」

舞園「全てを、はっきりさせましょう」

舞園「そのあとで、改めて皆さんに問いますから」

舞園「本当に、外に出たいと、それでもまだ思うのか」



…………
………
……


 マスターの全権限を『江ノ島盾子』から『舞園さやか』に移行

 ――全施設、解放

 『卒業試験』のコマンドを、一時停止する

あー、クライマックスって感じですよねぇ。妹様はこうなるべきだろうな、という感じです
とうとう舞園さん、モノクマを乗っ取りました。舞園さんが望んだわけじゃないけども


続きは明日です。じゃあまったねー

(ぴょーい)

……あの、
この展開、ダメ? ラスボスが変わるってのはかなり前から決めてたんだけど……

妹様って割と、雑魚っぽい死に方もありかなって思ったんだけど……ゲームに準じての死に方だし……

うん。まあでもこれで話進めていくけども……もうすぐ終わるし

モノクマ「――問おう。貴方が、私のマスターか」

舞園「」

すまない、ただ思いついただけなんだ…
反省も後悔もしてない
不安定状態ちーたんprpr

あー、SSの中の一日では決着がつかなかった。当たり前か

一日分、投下していきます


 ――絶望指数――


・苗木誠<超高校級の幸運>

絶望指数
★★★★★★★☆


・石丸清多夏<死亡>

絶望指数
★★★★★


・十神白夜<死亡>

絶望指数
★★★★★★★


・大和田紋土<死亡>

絶望指数
★★★


・桑田怜恩<超高校級の野球選手>

絶望指数
★★★☆


・山田一二三<死亡>

絶望指数
★★★★★


・葉隠康比呂<死亡>

絶望指数
★★


・舞園さやか<超高校級のアイドル>

絶望指数
★★★★★★★★★


・霧切響子<超高校級の探偵>

絶望指数
★★★★★★★★★☆


・朝比奈葵<死亡> 

絶望指数
★★★★★


・腐川冬子<超高校級の文学少女>&ジェノサイダー翔<超高校級の殺人鬼>

絶望指数
★★


・大神さくら<超高校級の格闘家>

絶望指数
★★★★★★★★☆


・セレスティア・ルーデンベルク<超高校級のギャンブラー>

絶望指数
★★★★★☆


・江ノ島盾子<死亡>

絶望指数
★★★★★★★★★★


・不二咲千尋<超高校級のプログラマー>

絶望指数
★★★★★


・戦刃むくろ<死亡>

絶望指数
★★★★★★★★


――――――――――――

  生き残りメンバー

   残り8人





 26日目、朝

《寄宿舎・二階》


苗木「こ、これ……!?」

舞園「ここだけ、暴動の跡が残ってます」

舞園「掃除しきれなかったんですって。そう言ってました」

舞園「だから私も、ここに入るのは初めてです」

桑田「な、なあ……? さっきから、何言ってんだ?」

舞園「私たちは、二年間の記憶を失わされていました」

舞園「私たちは、希望ヶ峰学園に入学してから、約二年経っています」

セレス「……仮説としては立てていましたが」

霧切「現実として受け止めるのは、難しいわね」

桑田「な、なあ……こんな話、信じるのか?」

桑田「二年間の記憶を失ってる? なんだよそれ」

大神「……『わたしたちは なかまだった』」

大神「朝日奈の最後のメッセージは、そういうことなのか?」

舞園「死ぬ間際に思い出したのかもしれませんね」

舞園「そのあたりは、よくわかりませんが」

モノクマ「うぷぷぷぷ! みんなの絶望に満ち満ちた顔!」

モノクマ「いやあ、楽しいですなあ。新しいマスターも悪くありませんなあ」

舞園「あなたは黙ってて」

モノクマ「しょぼーん……はあい……」

霧切「それより、誰がそう言ってたの?」

霧切「掃除しきれなかった、と言ったのは?」

舞園「私たちと共にこの学園に残った人間」

舞園「霧切学園長……霧切さんのお父さんですよ」

苗木「え? じゃあ……この学園のどこかにいるの?」

霧切「…………」

舞園「どこにいるかは私も知りません」

舞園「私が探しているのは、一生を過ごすかもしれないことについての契約のDVDなんですが」

モノクマ「それならぼくが持ってるよ!」

モノクマ「『卒業試験』で見せようと思って!」

舞園「今すぐ見せてください。全員分あるはずです」

モノクマ「うぷぷぷぷ……んじゃあ視聴覚室へ……」



《視聴覚室》


舞園「見せてください」

モノクマ「おっと、マスター! それより外の真実を見せた方が早いんじゃないですかい!?」

舞園「無駄に用意がいいですね。ならそうしてください」

(外の真実が映し出される)

(モノクマの顔に変わった自由の女神や、スフィンクス、東京タワー)

(巨大なモノクマが、ビルを破壊していく光景)

(モノクマの着ぐるみを着て、暴動を起こす人々)

苗木「………は?」

舞園「これが『人類史上最大最悪の絶望的事件』です」

舞園「全てはここから始まったんですよ……」

舞園「みんな見ています。知っているはずなんですよ」

舞園「…………」

霧切「とにかく、説明して。あなたの知っていること、全てを」

舞園「今の世界は混乱しています」

舞園「元は『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』から派生した」

舞園「予備学科のパレードでした」

桑田「よ、予備学科?」

舞園「私たちの学費ってどうだったか覚えてる人、いますか?」

苗木「え? 学費?」

大神「かなり安かったことは覚えている。公立校並みだったが」

舞園「予備学科は、通常の何倍もの学費を払ってでも集められた」

舞園「普通の生徒たちでした。卒業できれば絶対の成功が約束される希望ヶ峰学園のネームバリューは絶大で」

舞園「どれだけ高いお金を払ってでも、入りたがる人は大勢いました」

舞園「けれど待遇は、私たちとは全く違う」

舞園「私たち<才能>を持った人間とは全く違う扱い」

舞園「ただ、私たちを維持するためだけに学園が集めたお金でしかない人たちでした」

セレス「非情な話ですが、そこまでならば特別珍しくないのでは?」

セレス「経営とは得てしてそういうものではないでしょうか」

舞園「それでも鬱憤はたまっていきます」

舞園「『私たちは、<才能>という<希望>の踏み台でしかないのか』と」

舞園「実際に、言われましたよ」

全員「…………」

舞園「<才能>だけを<希望>とする希望ヶ峰学園は、そういう意味では歪んでいたのかもしれません」

舞園「その歪みに付け込んだのが、江ノ島さんでした」

苗木「江ノ島さんが……?」


舞園「『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』」

舞園「彼女は唯一の目撃者であり、一時期記憶をすぐ失う病気にかかっていました」

舞園「今考えると、それは記憶を消す実験だったのでしょうね」

舞園「78期生である、私たちは……何も知らずに、ただ心配していました」

舞園「…………」

舞園「実をいうと、『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』のことは」

舞園「私は少なくとも詳細は知らされていませんでした。というよりは」

舞園「そもそもその事件は隠蔽されていたんです」

舞園「霧切さん」

舞園「これはあなたが私たちに説明してくれたことなんですよ」

霧切「……私が……?」

舞園「学園の優秀な<才能>を持った人間は、学生としてではなく」

舞園「専門家として扱われていました。霧切さんも、調査に携わっていたんです」

舞園「思い出せませんか?」

霧切「…………」

舞園「話を戻しますね」

舞園「学園最高峰の、生徒会の人間が殺し合うという事件」

舞園「それを引き起こしたのは、江ノ島さんだった」

舞園「詳しい経緯はわかりません。ですが、予備学科の人たちにその映像を見せて」

舞園「そして、洗脳していった」

桑田「せ、洗脳? 映像?」

舞園「正直に言うと、私にもよくはわかっていません」

舞園「ただ、予備学科の人たちを<絶望>に染めていった……」

舞園「そしてその<絶望>は、悪質な病気のように」

舞園「世界中に広がり、人々は<希望>を憎むようになった」

舞園「<絶望>に侵された人々は、世界各地であらゆる破壊を行っていった」

舞園「これが『人類史上最大最悪の絶望的事件』の、私が知り得る限りの全てです」

苗木「そ、そんなことが……一人の人間から始まるの?」

大神「戦刃も、そうだったのか?」

舞園「表面的な彼女たちしか知らないですから、わかりませんが」

舞園「おそらく、そうでしょうね」

舞園「私たちの家族や家も破壊されていって」

舞園「希望ヶ峰学園は、学園長主導のもとで、ある計画が行われました」

舞園「私たち、<才能>という<希望>を守るという計画が」

舞園「モノクマさん、面談の映像を」

舞園「全員分、お願いします」

モノクマ「ラジャー!」



(全員分の面談の様子が映し出される)

(一生を過ごすことになろうとも、この学園にい続けるという宣言する自分たちを見て)

(生徒たちは、ただ見ているだけしか出来ずにいる)


桑田「お、俺……こんなの撮ってたのか?」

大神「記憶を失っているというのは……本当なのか?」

不二咲「…………」

舞園「こうやって、外の<絶望>から、私たちは守られて」

舞園「<希望>の種を残すはずでした」

舞園「だけど、学園長の計画には、誤算があった」

霧切「江ノ島さんと、戦刃さんね」

舞園「そう。その二人が先導者であることを」

舞園「江ノ島さんが、<超高校級の絶望>であることを」

舞園「私たちの誰もが、知らなかったんです」

舞園「疑ってみれば、すぐにわかったのに」

舞園「『仲間』だったから……自分たちの『仲間』を疑うようなことをする人は」

舞園「この中に……死んでいったみんなも」

舞園「誰もしませんでした。しなかったんです」

全員「…………」

舞園「三階の物理室に、空気清浄機があったじゃないですか」

舞園「あれは外の空気が汚染されていることもありますが」

舞園「外から通気口に毒ガスを入れられることを防ぐために」

舞園「ここの空気は、完全に循環しているらしいんです」

苗木「そこまで……徹底的に」

舞園「あちこちにある鉄板も」

舞園「私たちが、内側から……自分で打ち付けたものです」

セレス「……自分から」

舞園「…………」

舞園「皆さん、これでも」

舞園「これでも、外に出たいですか?」

舞園「いえ……外に出てもいいと、思うんですか?」

全員「…………」

舞園「私たちは、生き抜かないといけないんです」

舞園「何があっても、全員で協力し合って」

舞園「外の<絶望>が、いつか自然に消える日まで」

舞園「生きていこうと、みんなで誓った……」

舞園「どうして!!」

全員「!?」


舞園「どうしてみんな、忘れちゃってるんですか!?」

舞園「あんなに一緒に生きていこうと誓ったのに!」

舞園「みんなで一緒なら、何もかもが怖くないとそう思えたのに!!」

舞園「どうしてみんながみんなを疑わないといけなくなったんですか!?」

舞園「どうしてこんな、コロシアイをさせられたんですか!?」

舞園「…………」

舞園「皆さん、これが<絶望>のすることなんです」

舞園「私が殺した人は……そういう人です」

全員「…………」

モノクマ「あー、もしもし?」

舞園「………なんですか?」

モノクマ「マスターに説明するの忘れてたけど」

モノクマ「これ、世界中継されてるから」

全員「…………」

苗木「は?」

舞園「なんですか、それ」

モノクマ「うーんとね。この『コロシアイ学園生活』は全世界に中継していてね」

モノクマ「<希望>が醜く殺し合う姿を、放送してるんだよ」

モノクマ「それで、更に人々が<絶望>するようにね」

モノクマ「江ノ島盾子がそうしたの」

桑田「せ、かいじゅうに、ちゅうけい?」

セレス「……誰も助けにこようとは、思わなかったのでしょうか?」

モノクマ「そういう人たちは、みんな重火器で一斉掃射!!」

モノクマ「一網打尽に出来ました。おかげで外はもっともっと」

モノクマ「<絶望>に満ち溢れております!!」

全員「…………」

舞園「みんな……」

舞園「ここで生きるんです」

舞園「生き抜くんです。何があっても」

舞園「<絶望>に負けない為に。いつか必ず、反撃するために」

舞園「だから……誘惑に惑わされないで」

舞園「死んだみんなの為にも、生きていかないといけないんです」

全員「…………」


舞園「だから、ここで……暮らしていきましょうよ」

舞園「殺し合う意味なんてないんです。最初からなかったんです」

舞園「外の世界は、もう私たちの知ってるような、そんな世界じゃないんです」

苗木「ね、ねえ……なんで?」

苗木「さっきから何言ってるの? ねえ?」

苗木「言ったじゃないか! キミを守るって!!」

苗木「そんなこと、ボクがさせない!!」

苗木「本気で……ここにい続けるの?」

苗木「そのつもりなの? ずっと?」

舞園「……苗木くんは」

舞園「みんなは、これでもまだ、外に出ようと思うんですか?」

舞園「みんなは……あの日の誓いを忘れているから」

舞園「そう思うんですよ!! どうして忘れるんですか!!」

舞園「どうして!?」

全員「…………」


(そのまま全員が解散となった)




 26日目、昼

《食堂》


(舞園以外の全員が話し合うようだ)

(気絶していた腐川にも事情は説明された)

腐川「はああああ!? そ、そ、そ、そ、そんなこと真面目に信じるワケ!!?」

霧切「信じる信じないで言えば信じたくはないけど」

霧切「信じるしか、ないでしょうね」

桑田「あ、あのさ」

桑田「さやかちゃんが……黒幕殺したことについてだけど」

桑田「話聞いてたらさ。どう考えても殺すべきだったようにしか思えなくね?」

桑田「俺はその……あまり責めたくないんだけど……」

苗木「でも……でも……」

苗木「舞園さんは……人を……」

苗木「…………」


セレス「そのことの善悪については、置いておきましょう」

セレス「もはや、倫理や法律は無意味な世界のようですから」

セレス「それよりも、本当に外に出られないのか?」

セレス「外に出る条件としては、『卒業試験』以外にないのか?」

セレス「それを考えるべきではないですか?」

苗木「セレスさんは……外に出るつもりなの?」

大神「適応するべきではなかったのか?」

セレス「話が変わりました」

セレス「私たちは、むしろ外に出て、世界を確認しないといけない」

セレス「自分の、この目で」

セレス「そうは思いませんか? あなたたちこそ」

セレス「映像と言葉だけで、あんな話を信じるのですか?」

苗木「……それは……そうだけど……」

苗木「……舞園さんは?」

大神「わからぬ。どこにいるのであろうな」

霧切「この学園のどこかにいることは間違いないわ」

霧切「探せばすぐに見つかるわ。別に隠れているわけではないでしょうし」

苗木「…………」

苗木「不二咲クン……ずっと口開いてないけど……大丈夫?」

不二咲「…………」

セレス「信用していた舞園さんに利用されていたことが、よほどショックだったんでしょうね」

苗木「……ボクの……目の前で」

苗木「舞園さんは、殺人の準備をしていたなんて……」

苗木「…………」

セレス「殺人と言えば」

セレス「気になる点があります。まだ『学級裁判』の制度は生きているのか?」

全員「!?」

セレス「校則が消えたわけではありません。『学級裁判』の制度は生きている」

セレス「そう考えるべきではありませんか?」

霧切「たしかに、そうね」

桑田「け、けど……この状況で」

桑田「殺してまで、外に出たいって思うやつ……いるのか?」

霧切「とにかく、外の状況を調べる方法ならあるわ」

苗木「え?」

霧切「隠し部屋を見つけているの。そこにはネットにつなぐ環境があったわ」

腐川「な、な、なんでそれを早く言わないのよ……!」

霧切「黒幕やモノクマに邪魔されたくなかったのよ」

霧切「この状況なら邪魔される恐れはないし」

霧切「不二咲くん」

不二咲「い、やだ」


霧切「………嫌?」

不二咲「いやだよ……ま、また」

不二咲「ぼくは、人を殺すの? 人を殺させるの?」

不二咲「いやだ……もう……」

不二咲「耐えられない……死んだ方が」

苗木「不二咲クン!! しっかりして!!」

苗木「不二咲クンは何も悪くない!! だからしっかりして!!」

不二咲「…………」

セレス「今は何を言っても無駄みたいですわ」

セレス「目が死んでます」

不二咲「…………」

霧切「……じゃあ、ノートパソコンを借りるわ。こっちで調べるから」

霧切「少し、休んでて」

不二咲「…………」

苗木「…………」

セレス「まったく厄介なことになりましたわね……」

セレス「望みは薄いですが、一応記憶を元に戻す方法も探しましょうか」

大神「処置が行われたのはこの学園内ならば、設備が残っているかもしれぬな」

苗木「…………」

苗木「ボク、もう一度舞園さんと話してくるよ」

桑田「…………」

桑田「苗木、じゃあ伝言頼むわ」

桑田「『俺も黒幕殺したいと思ってたから』……そう言ってくれよ」

苗木「……桑田クン」

桑田「……嘘だけどな。そんなこと怖くて考えれるわけねぇだろ」

桑田「でも……でもよ……」

苗木「うん。わかった」

苗木「必ず、伝える」

(苗木が出て行った)

セレス「ふう。苗木くんが舞園さんを説得できれば、それがいいのですが」

霧切「無理でしょうね。もう彼女は」

霧切「とっくの昔に、終わってるから」

霧切「誰の声も、届きはしない。届いていたら」

霧切「こんなことには、なりはしなかった」

霧切「…………」

霧切「私は学園を調べてくるわ」

(霧切が出て行った)


《生物室》


舞園「…………」

苗木「舞園さん……ここにいたんだ」

舞園「……苗木くんですか」

苗木「……寒いね、ここ。身体に障るよ」

(苗木がパーカーをかけようとするが、舞園は拒否する)

舞園「いいんです。私は」

苗木「……そう」

(一緒に座る苗木)

舞園「ここには、みんなが眠っています」

舞園「……江ノ島さんも」

苗木「うん」

舞園「…………」

苗木「桑田くんから伝言があるよ……『俺も黒幕を殺したいと思っていたから』だって」

舞園「……わかりやすい嘘ですね」

舞園「桑田くんらしいと言えば、らしいですけど」

舞園「桑田くんは、お調子者で、みんなを盛り上げて」

舞園「……ちょっと臆病なところがあって、誰かを殺せる人じゃないですから」

舞園「理由がないと、動けない人です。……そんなふうに思うはずはありません」

苗木「はは……二年間一緒に過ごしてきたんだもんね」

苗木「やっぱり、すぐにわかるんだ」

苗木「ボクは……みんなは、思い出せなくても」

苗木「舞園さんの中では、それが思い出で、真実なんだよね」

苗木「今、みんなで記憶を戻す方法がないか、探そうってなってる」

苗木「霧切さんが、ネットワーク環境のある隠し部屋を見つけたらしくて」

苗木「……不二咲クンのパソコンを借りて、今、外の情報を探してる」

舞園「そうですか」

苗木「……不二咲クンを騙してまで、そんなに黒幕が憎かったの?」

舞園「苗木くんは、憎くないんですか?」

舞園「家族も居場所も、何もかもが奪われて」

苗木「憎いよ。許さないという気持ちは勿論ある」

苗木「だけど、殺そうとは思わない」

苗木「最後の一線を越えようとは、思わない。絶対に」

舞園「…………」

苗木「でも……もしキミが助けを求めていたら」

苗木「一緒に汚れるぐらいは、出来たと思……」


舞園「出来ませんよ、苗木くんは」

舞園「苗木くんに、人殺しが、出来るはずないじゃないですか」

舞園「そんな苗木くん、苗木くんじゃない」

苗木「……そうだね」

苗木「だからきっと、今の舞園さんも」

苗木「ボクの知ってる舞園さんじゃ、ないんだね」

舞園「…………」

舞園「そうですね」

苗木「不二咲クンを騙して」

舞園「ついでに言うなら、葉隠くんが十神くんを殺したのは」

舞園「私がそう仕向けたからですよ……それであのモノクマ人形を手に入れました」

苗木「……そっか」

舞園「驚かないんですね」

苗木「霧切さんから、聞いていたからね……その時は、正直全く信じていなかったけど」

苗木「そんなことあるはずないって、思ってた」

苗木「でも、実際に仕向けて、『仲間』を陥れて、騙して、そして黒幕を、江ノ島さんを殺して」

苗木「でもルールの隙間をついて、おしおきはされなかった。罰は与えられなかった」

舞園「…………」

苗木「じゃあ、ここにいるのは、何故?」

舞園「…………」

苗木「ここで、死んだみんなの前で、キミは何を想っていたの?」

舞園「……何も想っていませんよ」

苗木「嘘だよね」

舞園「…………」

舞園「苗木くんは、まっすぐ前を向いていて、<希望>を誰よりも信じていて」

舞園「だから、そんな残酷な質問が出来るんですよね」

舞園「…………」

苗木「ボクは、思う……やっぱり、ボク達はこの学園に留まってちゃいけないんじゃないかって」

舞園「それは、約束を忘れているからですよ」

舞園「みんなで誓い合った、あの約束を」

苗木「それは本当に、真実なの?」

舞園「……どういう意味ですか?」

苗木「キミが、葉隠クンに殺人を誘導したというなら」

苗木「その誓いも……江ノ島さんが誘導したものじゃないの?」

舞園「…………」

舞園「そう来ましたか」

舞園「けど、葉隠くんの殺意が、ここを出たいという気持ちが本物だったように」

舞園「私たちの誓いも、決してニセモノなんかじゃない」

苗木「…………」

霧切「無駄よ、苗木くん」


二人「!」

苗木「……霧切さん。無駄って」

霧切「彼女はもう、決めてしまってる。終わってる」

霧切「どんな言葉も、もう彼女には届かないわ」

舞園「……何しに来たんですか?」

霧切「……けじめをつけに」

(霧切が刃物を取り出した)

苗木「霧切さん!?」

舞園「…………」

霧切「苗木くん。外に出るには、みんなを出すにはこれしかないの」

霧切「モノクマは言ったわ。マスターを殺せば、権限はクロに移る」

霧切「すぐに『学級裁判』になるだろうけど、私は死んでも構わない」

霧切「私が舞園さんを殺し、マスターになり」

霧切「『卒業試験』を行うよう、モノクマに命令する」

霧切「私も『学級裁判』でクロになり、終わるけど、その後『卒業試験』が行われるわ」

霧切「みんなは<超高校級の絶望>が江ノ島さんだと、ただそう言えばいい」

霧切「それで、みんな卒業できる」

苗木「何言ってんだよ!? そんなこと見過ごせるわけないだろ!!」

霧切「私は舞園さんがこうなり得る可能性に気付いていたのに」

霧切「止められなかった。だから」

霧切「舞園さやかを殺して、みんなを外に出す」

苗木「霧切さん……君まで何を言い出すんだよ!?」

苗木「ダメだよ!! 殺人なんて絶対させない!!」

苗木「舞園さんは殺させないし、霧切さんの手を汚させることもしない!」

苗木「そんなのゼッタイにダメだ!!」

(苗木が刃の部分を掴んだ)

(血が滴るが、苗木は何も声を上げない)

霧切「な、えぎくん……」

霧切「お願い……どいて」

苗木「ダメだよ……霧切さんは混乱してるんだ」

苗木「ちょっと落ち着けば大丈夫。色々重なって、霧切さんだって疲れたよね」

苗木「大丈夫だから……いつものように、冷静な霧切さんでいてよ」

苗木「……泣かないでよ、霧切さん」

霧切「…………」

霧切「泣いてる? 私が?」

霧切「泣いてなんかない。涙なんか流れてないじゃない」

苗木「泣いてる。わかるよ」


苗木「キミが涙を隠していることくらい、わかるよ」

苗木「友達を、止められなかったのは」

苗木「『仲間』を止められなかったのは……悔しいよね」

舞園「…………」

霧切「……お願い、どいて」

霧切「お願い」

苗木「どかない」

苗木「どけば、外の<絶望>が喜ぶだけだ」

苗木「絶対に<希望>を捨てちゃダメだ……!」

舞園「…………」

舞園「私は逃げません。いつでも殺されてかまいません」

舞園「だから今は、引いたらどうですか? ……苗木くんの為に」

霧切「…………」

霧切「あなたたちは、どうしていつもいつも……!」

苗木「…………」

(刃物をそっと苗木。霧切はただ立ち尽くしている)

霧切「……こんなに、苗木くんはあなたのことを思っているのに」

霧切「どうして届かないの?」

霧切「どうして?」

舞園「…………」

三人「…………」



 26日目、夜

《保健室》


苗木「っつ!」

霧切「……ごめんなさい」

苗木「いいよ……ボクだって」

苗木「舞園さんのしたこと。これからここで一生を過ごすことなんて」

苗木「簡単には受け入れられない」

苗木「でも、霧切さんが思い留まってくれてよかった」

苗木「本当に……よかった……!」

苗木「………!!」

苗木「どうし、て」

苗木「舞園さん……どうして」

苗木「助けるって、信じるって――守るって約束したのに」

苗木「何も果たせてない……! 信じることすら今のボクには出来ない!!」

苗木「わからない……何も……!」

苗木「どうして……止めれなかった!」

苗木「………どうして……!?」

霧切「…………」

霧切「みんな……舞園さんも」

霧切「『どうして』としか、言えないぐらい」

霧切「何もかもが分からなくなってる。何が正しいのか」

霧切「何をするべきなのかさえ……外に出たいという全員共通の目的すら」

霧切「今となっては、ニセモノの『動機』だった」

苗木「…………」

苗木「霧切さん……どうしてあんなことしたの?」

苗木「本当に殺すつもりだったら……ボクがいない時を狙うよね?」

霧切「…………」

霧切「父を見つけたわ。寄宿舎の二階の奥で」

霧切「ご丁寧に、悪趣味なプレゼント箱に入った姿で」

霧切「骨だけが、あったわ」

苗木「……そう、か」

苗木「……辛かったね……」

霧切「辛くなんか、ない」

霧切「私はただ、仮にも父親のしでかした不始末のけじめをつけたかった」

霧切「それだけよ」

苗木「…………」


苗木「霧切さんがそういうなら、そうなんだろうね」

苗木「きっと、そうだね」

霧切「…………」

苗木「…………」

 ガラ!

(扉が開いた)

桑田「おい! 傷薬あるか!?」

苗木「どうしたの!?」

桑田「不二咲が……とにかく、包帯とか!!」

苗木「不二咲クンが!?」

霧切「行きましょう、苗木くん!」



《食堂》


(不二咲の手が血だらけになっている)

苗木「不二咲クン……!」

霧切「どうしたの?」

大神「……コップを割り、破片で喉を突こうとした」

大神「大きな破片は砕いたが……」

不二咲「…………」

苗木「不二咲クン、気を確かにしてよ!」

苗木「不二咲クンが誰かを殺したわけじゃないだろ!?」

苗木「一生懸命、みんなのために頑張ったじゃないか!!」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくが、プログラムを開発しなければ」

不二咲「モノクマは生まれずに済んだ」

不二咲「ぼくが、校則をいじらなければ」

不二咲「江ノ島さんは死なずに済んだ」

苗木「それは違うよ! 全部、キミの意志とは関係ないところで起こったものじゃないか!!」

苗木「キミは悪くない!! 誰が責めても、キミ自身が責めても」

苗木「ボクは違うって言い続ける!! 悪いのは……全部」

苗木「全部<絶望>のせいだ!」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくが、その<絶望>の力になってるんだ」

不二咲「だからぼくは生きてちゃいけない」

苗木「不二咲クン!」

舞園「自殺は許しませんよ」

全員「――――!」


霧切「……舞園さん」

舞園「モノクマさん、校則の追加を」

(ぴょーい)

モノクマ「はいなマスター! どんな注文で!」

舞園「『自殺を禁止する。強行した場合は、連帯責任としてランダムに一人、死亡するものとする』」

全員「………!」

モノクマ「アイアイサー!」

(ぴょーい)

舞園「不二咲くん」

舞園「誰かを道連れにしてまで、死にたいのなら」

舞園「それはもう、誰にも止められませんけど……ね?」

不二咲「あ……あ……!」

舞園「私たちは、生きなければならない」

舞園「どれほど辛くても、自分から死を選ぶなんて」

舞園「そんなの私が許さない」

全員「…………」

舞園「じゃあ皆さん。今日はゆっくり休んでください」

舞園「明日からも、共同生活は続きますから」

苗木「…………」

苗木「こんなの違う」

苗木「絶対に間違ってる。舞園さんのやり方は違う!」

舞園「…………」

苗木「舞園さんのやり方は、<絶望>を生むだけだ」

苗木「キミは間違ってる。だから止める」

苗木「それが、キミを救うことになると、ボクは信じる!!」

舞園「…………」


舞園「では明日、『卒業試験』を行いましょうか」

全員「………!」

舞園「黒幕当てゲームの後に、もう一つ試験があるんです」

舞園「つまり、全員が本当に『卒業』を望むのか?」

舞園「これには全員の賛成が必要となります」

舞園「私も含めて」

苗木「…………」

舞園「全員が出るには、『卒業試験』しかありません」

舞園「そして『卒業試験』は一度しか行われません」

舞園「つまり、明日の試験をパスできなければ――」

舞園「全員、ここで一生、共同生活です」

苗木「…………」

舞園「『卒業試験』と同時に、『学級裁判』の制度もなくなり」

舞園「ここから出る手段は、一切なくなります」

舞園「…………」

舞園「それでも、『卒業試験』を望みますか?」

苗木「舞園さん」

苗木「キミの<絶望>は、必ず取り除く」

苗木「絶対にだ!!」

舞園「…………」

舞園「みんなも、それでいいんですね?」

(全員が戸惑いの中、肯定も否定もしなかった)

舞園「……では、明日の正午に」

舞園「裁判場で、決着をつけましょう」

舞園「過去の約束と、今の決意」

舞園「どちらが勝つのかを――」



…………
………
……


――――『卒業試験』のコマンドの一時停止を解除

『卒業試験』を明日正午、決行する

このスレ内に収まるか不安になって来た……どうしよう……
絶対おさまらない……気が……がくっ

あと今の舞園さんに勝てる気がしないのは自分だけでしょうか

あ、いや。やっぱり次のスレたてることにするよ

多分、明日の分はどう考えてもコメント三ケタ超えそうだしね。

だからしゃべって大丈夫だよ。構成力がなくってごめんね

すみません、私は自分のスレ以外は読んでないので、エチケットなどがわかっていないかと思います。
2ちゃん自体ここしか利用したことがなく、覗いたこともあまりないのです。

地雷があったのであれば、ご指摘くださるとありがたいです。

現在、卒業試験を執筆中です。読者の皆様には本当に感謝申し上げます。

じゃあ、好きに話してくれた方がうれしいかな
スレうめちゃいたいし

霧切さんとちーたんのメンタルがヤバすぎる状態で卒業試験になりそうです
二週目があるなら、舞園さんはもう少し普通の女の子でいてほしいです。割と本気で

新しいスレッド立てました

【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377779213/)

残りは自由に話してもらってもいいですよー

連投になってすまないが、もうこっちを見ることはないかな?

>>1は他にSS書いてるのか気になってな。ダンロン以外にもあるなら読んでみたい

>>908
一応、小説家希望なので(普段は地の文をちゃんと書いてる、この形式自体はこのSSが初めて)

オリジナルは書く。二次はあまりというか、ちゃんとしたのはこれが初めてかな

あー、HTML化の依頼立てたので、もうすぐ書き込みできなくなると思います。
ではでは

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