とある指輪の魔法使い(マスクドライダー) (176)

・とある魔術の禁書目録×仮面ライダーウィザード


・変身するのは上条さんです


・ウィザード側のキャラクターは出ません


・両作ともの設定をかなりいじくります


・上条無双です


・初SSどころか完全新参者なので、こうすれば見やすくなる、呼称が違うなど教えてくださるとありがたいです


・拙い文章、表現ですがよろしくお願いします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372419670

期待

目の前で両親が潰れた。


建造中のビルの上空から、鉄骨が落ちてきたのだと思う。


しかし俺に向かってだ。


決してその鉄槌は俺以外に向いていなかったんだ。


けれど、潰れたのは父と母。


二人は俺を突き飛ばして、俺を庇って下敷きになってしまった。


「う、うああああああああッッ!!!」


わかってた。俺が【おかしい】ことなんて、もうずっと前からわかっていたじゃないか。


いつか、いつの日か俺の所為で大切な人が危ない目に遭うことは、知っていたじゃないか。

>>2
ありがとうございます!!
頑張りますのでよろしくお願いします

「父さんッ母さんッ!!」


這いずるようにして、俺は二人のもとに近付いた。何度も何度も父さん母さんと叫び続けながら。


そして、俺が鉄骨に触れそうなところまで近付いた時に、サーっと、赤い水溜りが俺の前まで広がって来た。


なんだこれ。


地面についた俺の両手に赤い水が触れる。


そして、理解した。


俺の手を、二人の血液が赤く、赤く染めているんだ。


「い、イヤだ!イヤだこんなのッ!何で!?何で二人なんだよ!?俺じゃないのか!?俺でいいじゃないか!!イヤだ!イヤだ!イヤだイヤだイヤだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッ!!!」


ギシギシと、何かが軋む。

>>4全レス返しはやめた方がいい。

仮面ライダー雑談総合スレver1

期待。まぁ、俺が言えたことじゃ無いけど、「乙だ!」→上条「乙だ!」

>>6
嬉しかったもので……
アドバイスいただきありがとうございます

二人を潰した鉄骨から聞こえる音か。いや、聞こえるハズがない。俺はこんなにも叫んでいるんだ、鉄骨が軋む音なんて知らない。


この音はもっと近い。近くで聞こえる。


ギシギシ、ギシギシ。


涙が地面に落ち、鼻水が垂れる。


音はどんどんどんどん大きくなる。


ギシギシギシギシギシギシ。


頭が痛い。胸が痛い。喉が裂ける。身体が裂ける。


ピシッ――


心が……砕け散る。


『来たか、当麻』


そして、俺は味わったんだ。


本当の【絶望】を。

プロローグはこれで終了です。

一応ステイルさん襲来までは書き溜めてあるのですが
正直口調などが不安なので皆さんの反応を見ながらゆっくり投下させていただきたいと思います

「」の前に名前了解しました


それといきなりですが今日は更新出来るか微妙です

初変身シーンの文章が中々練れなくて……

「」の前に名前了解しました


それといきなりで申し訳ないのですが
今日は更新出来るか微妙です

初変身シーンの文章が中々練れなくて……

うおおおミスった

書き込めてないと思ってました

次から気をつけます(´・ω・`)

とりあえずひと段落ついたので

一時間毎に1回ぐらいのペースで投下始めて行きます(´・ω・`)

_______________


7月19日。


不良A「待ちやがれこのウニ野郎!!」


不良B「逃げてばっかで情けなくねーのかヘタレ野郎がっ!!」


私、上条当麻は今日も絶賛不幸だった。


たまたま立ち寄ったファミレスで、女の子をナンパしていたチャラいヤツに「やめた方がいいですよ」と声を掛けたのがいけなかったらしい。


一人ならと思っていたのだが、背後のトイレの出入り口からぞろぞろと四、五人がくっちゃべりながら出てきやがった。

女子かオマエらは、と思った次の瞬間には「ああん?なんだてめえ」とこれまたテンプレートなセリフが ガン付けという形で投げ付けられる。


ここで暴れられると店が危ない。それはもう壊滅的な被害だ。不幸な上条さんはその後に訪れるだろう【請求書】から逃れるために全力で駆け出した。


そして、今に至るわけである。


上条「ヘタレ結構!そんなことよりも後ろに気をつけた方がいいぜ!!」


不良C「ああっ!?そんな手に乗るとでも思ってんのか馬鹿、が?」


バツンッと、何かが弾ける音がした。


俺をしつこく追っていた三人は、糸が切れた操り人形のようにドサドサドサと折り重なって地面に倒れる。


ああ、だからと言ったのに。


『やめた方がいいですよ』ってさ。

上条「よう、ビリビリ中学生」


???「誰がビリビリ中学生よ。もう一回走り回る?今度は私が鬼で」


明かりの消えた鉄橋。


彼女は暗闇から俺の前に現れる。


彼女の名前は御坂美琴。


この科学の街、学園都市に数多いる超能力者の頂点、七人にいるLevel5の第三位。


超電磁砲(レールガン)。


上条「勘弁してくれーもう走りたくねえよ。で、ちゃんとそいつら生きてんだろーな?」


御坂「当たり前でしょ。私を誰だと思ってるのよ、Level0(むのうりょくしゃ)の調理法ぐらい心得てるわ」

そんなことより、と言って彼女は右の手のひらに電気を纏わせる。


それに合わせて、茶色の肩まで届く短めのさらっとした髪と常盤台の制服のスカートがなびき、あたり一面に光が撒き散らされた。


御坂「約束のショータイムよ。次に会ったら観せてくれるって言ったわよね?つい昨日のことだし忘れたとは言わせないわ」


上条「おいおい!だから俺は無能力――



一閃。


彼女が空を薙いだ右手から雷が撃ち出され、俺の足元のコンクリートを穿つ。


破片が当たって痛えよ御坂お嬢様。

御坂「はいはいそんな【設定】はいいから、ちゃんと構えなさい【多重能力者(デュアルスキル)】。私はアンタのトンデモショーが観たいんだから!」


そう言った彼女は瞳(め)は子どもが見せる尊敬の眼差しのようにキラキラと輝いて見える。


ああ、全くもってめちゃくちゃなお嬢様だが、そんな眼で見られると……


上条「っああもうっ!不幸だっ!!」


いいぜ、そんなに観たいってなら魅せてやるよ。


俺はヤケクソになってベルトのバックル部分に右手をかざす。


右手の中指にはめている竜の頭部が正面を向き口を開けた彫刻が施されている指輪が発光し、黒い右手の手形のような形のバックルから音声が流れた。


《イマジンブレイカー・プリーズ》


さあ、お待ちかねのショータイムだぜお嬢様。

今日はこれでおしまいです

ちょっと小出しにし過ぎたかもしれませんがどうでしたでしょう

それでは次回は
三日以内に投下出来ればなと思います



補足という名の>>1の中二病発作症状

このスレだけの特殊なウィザードリング
【イマジンブレイカー・ウィザードリング】

説明
上条当麻に宿るチカラの一部が封印されたウィザードリング
通常のウィザードリングとは異なり魔法石部分は黒色
指輪を発動すると変身中のスタイルの魔法陣が右手のひらに浮かんで砕け、マスクと胸部の装甲が黒色に染まる

効果
あらゆる異能を打ち消す力を右手に宿す
発動から30秒で強制的に解除、さらに変身状態だと変身も解除される(変身に使っている魔力で指輪を封印するため)
強化スタイル中に使用すると使用時間が10秒に短縮されるが、右手だけでなく全身に幻想殺しの力が付加される


???「こういうの考えるの超楽しいですよね?」

細かいことだけど、W以降は
MASKED RIDER(マスクドライダー)じゃなくて
KAMEN RIDER(カメンライダー)やで

>>28
ありゃありゃそうなんですか(´・ω・`)
スレタイ決めた時は語感で決めたので
あんまり深く考えてなかったんです
知らせていただきありがとうございます




今日は投下出来そうです
夜9時か10時ぐらいから
例のごとくボトボト落としていきます

よろしくお願いします

_______________


上条「暑い……暑過ぎる」


翌日。茹だるような暑さで目を覚ました。


昨日はあの電撃お嬢様のせいで寝るのが遅かったというのに、全く不幸だ。


しかも、全力全開で電撃をぶっ放したもんだから、この辺り一帯で停電や電波障害が起きてさあ大変。


「まあ、上条さんのお家は魔力駆動なもんで影響ありませんけどね~」


ひとまず抜け切ってしまった水分を補充しようと冷蔵庫を開けて、冷んやり詰めた水をグラスに注ぐ。


それをクッと一気に飲み干すと、突然携帯電話の着信音が思っている以上の大きさで鳴り響いた。

恐らくポケットの中でボタンに触れてしまって音量が上がったのだろうが、とにかく水を飲み切った後でよかった。


危うく吹き出してしまうところだったと部屋に被害が出なかった小さな幸せを噛みしめ電話に出る。


鏡を見て髪をいじるという余裕の態度を見せていると、電話の向こうにいる担任の幼女先生から「上条ちゃんはバカだから補修でーす」と可愛らしく言われる。


上げてから落とされたので随分とテンションが下がった。気分転換に布団でも干そう。


布団を両手に乗せて持ち上げる。カーテンと窓を足で開け、いざ灼熱の大地へ……


上条「あれ?もう干してる?」


そう、ベランダにはすでに何かが掛かっていた。

何だこれ。布団じゃない。


当たり前だ布団は俺が持っているんだから。


白いシーツか何かがどこからか飛んで来たのか。


いや違う。これは……


上条「に、人間っ!?」


白いダボダボの修道着を着た少女がベランダの手すりのところに引っかかっていた。


今まで色々なものを見てきたが、これほど妙ちきりんなものは珍しい。


なんてことが頭を過る。そして、ベランダのシスターさんがお目覚めのようだ。


???「おな……」


シスターさんはグググっと頭がまるでものすごく重い物になってしまったかのように、ゆっくりと持ち上げて小さな声を出した。


そのまま滑って真っ逆さまなんてことにならないでくれよ。

???「おなか……へった……」


上条「はぃい?」


???「おなかへったって言ってるんだよ?」


それはわかってる。ただ俺が言いたいのはこの状況で言うことですかってこと。


シスターさんはじーっと俺を見つめる。ああ、綺麗な青い目が胸に突き刺さって痛い。


???「おなかいっぱいご飯を食べさせてくれると嬉しいな」


そしてこの弾けるような可愛らしい笑顔。


オーケー任せろ。と言ってしまった俺を誰が責めることができようか。


シスターさんをベランダから引っ張り上げ、部屋に招き入れる。


銀髪碧眼の修道着を着た幼い少女を。


分かり切ってはいたがなんて犯罪臭だ。

上条「とはいえ、今食える物っつったらドーナツしかねえぞ」


???「食べる!!」


元気のいい返事。そんなに空腹だったのだろうか。


一昨日買って来ていたスーパーなんかで売っている安っぽいドーナツを、ローテーブルに置く。


さすがにこれだけではけち臭いと思うので、何か作ってやるか。


上条「俺も朝飯まだだし適当に作って来るから、それ食べながら待っててくれよ」


???「うん!」


俺が冷蔵庫の中にあった野菜で野菜炒めを作っている間、シスターはパクパクモグモグドーナツを嬉しそうに貪っている。


というか、食べるスピードが早い。俺が野菜を切り終えた頃には「まだかなまだかな~」と体を左右に振りながら鼻歌交じりで料理を待っていた。


上条「そう言えば、まだ名前言ってなかったよな。俺は上条当麻だ」


ずいぶん暇そうにしていたから、何か話題を提供してやろうと自己紹介。


次は天気の話でもしましょうかね、なんて自分の引き出しの少なさを呪います。


???「わかった、とうまだね。私はインデックスって言うんだよ」


上条「んなッ!?」


さて、突然だが改めてもう一回自己紹介をしよう。


俺の名前は上条当麻。


【魔法使い(ウィザード)】だ。

今日はここまでです

やっとインデックスが登場
しかし、変身はまだ先になります

次はまた三日以内に更新出来ればなと思っています
ありがとうございました



ネタバレ
一方通行はファントム

今日は更新出来ませんが

明日は必ず!




???「魔法少女(メイジ)繋がりでSS(出番)が増えるかと思ったけどそんなことなかった……」

レポート進まなすぎワロタ……

むしゃくしゃするのでランダム投下を開始する

_______________

魔法使いなんてオカルト、まともなやつは信じているわけがない。


特にこの科学の街では。


御坂美琴がいい例だ。彼女は俺のことを学園都市の隠し球、多重能力者(デュアルスキル)だと思っている。


俺が指輪を使って魔法を使うのを、イメージにあった様々な指輪を使うことで【自分だけの現実(パーソナルリアリティ)】を強化し、多重能力の複雑な演算処理をより具体化しているものと解釈して俺を多重能力者と呼ぶ。


だが、実際俺は無能力者だ。


そう、科学的に見れば。


この世には科学で解明されていないチカラがある。それは【魔術】と呼ばれ、この世界の闇に紛れてはいるが確かに存在する。


俺のこのチカラはどちらかというと魔術側のモノだ。だから、ある程度そっちの知識もある。


だからこそ、このシスターが名乗った時に驚いた。


モグリの俺でも知っているような、隠しても隠し切れない超要人。


十万三千冊の魔道書を記憶した禁書の目録。

インデックス「というわけで!私は追われているんだよとうま」


上条「なるほどわからん」


しかし、俺がこの娘のことを知っていることは黙っていた方がよさそうだ。


下手に喋ってわざわざ警戒心される必要もないだろう。


インデックス「んもーッ!!なんでわからないかなー!!というか、理解する気があるの?」


上条「ははは!そう怒るなよインデックス。確かに理解はしてないが、オマエが追われてるって言うんなら好きなだけ匿ってやる」


俺がインデックスにそう言うと、さっきまであんなに楽しそうにおしゃべりしていた彼女は、グッと何かを堪えるようにして俯いてしまった。


そしてすぐに顔を上げてにっこりと笑う。

インデックス「ありがとうなんだよとうま。でも、私もう行かなくちゃ。これ以上いたらとうまも巻き込んじゃう。

野菜炒め美味しかったし、久しぶりにいっぱいお話しできて嬉しかったんだよ」


上条「おいおい、気持ちはそりゃ嬉しいけどアテはあるのか?」


インデックス「うん、教会まで行けば安全なんだよ。だから大丈夫」


嘘だ。


大丈夫なはずない。彼女の言う追跡者がそんな単純なことを見逃すわけないし許さないだろう。


きっと今も見ているんだ。どこからか、彼女が一人になるのをジッと。


インデックス「それにこの法衣は【歩く教会】っていってね?物理的な攻撃も魔術も全部受け流して吸収するんだよ。

私が屋上から飛び降りる気になったのもこれがあったからで――」


上条「なあインデックス!」


インデックス「ッ!……じゃあ、私と一緒に地獄の底までついてきてくれる?」


最高の笑顔で、インデックスはそう言った。

だけど、俺にはわかる。


つらいのを必死に堪えている顔だ。


泣き出しそうなるのを、助けを求めることを思いっきり唇を噛み締めて我慢している瞳(め)だ。


絶望しそうになる心を、壊れそうな心を、何とか繋ぎ止めているんだ。


インデックス「……なんてね、ありがとうとうま。じゃあね」


インデックスが立ち上がって玄関に向かおうとする。


全く、神様ってやつはどうしてこう悪趣味なんだろうね。


上条「待てよインデックス。俺はまだ返事を言ってないぜ?」


インデックスの手を掴む。


小さい手、小さい身体、だけどその背中にのし掛かるモノは途轍も無く巨大で、理不尽だ。

インデックス「ッ!手を離して!!君は【必要悪の教会(ネセサリウス)】を知らないから!あの組織は人を殺すことなんて躊躇わない!!戦う術のない君にいられると足手まといなんだよ!!」


足手まといね、怒っているのに優しいな本当に。


こんな優しい娘を、絶望させるわけにはいかねえよな。


上条「ということは、戦えれば問題ないわけだ」


学生服のズボンの左側から垂れる指輪のホルダーから、竜が眼から炎を噴き出しているような指輪を取り外し、右手の中指にはめる。


あとは例のごとくベルトの手形の部分にかざすだけだ。


インデックス「何を言って――」


《エキサイト・プリーズ》


上条「おおおおおおッ!!」


インデックス「ふぇ!?」


俺のシャツがバツンッと弾け飛ぶ。


これは【エキサイト】。【エキサイトウィザードリング】をベルトにかざすことで使用者の筋肉(特に上半身)を膨れ上がらせてムキムキマッチョにする魔法だ。


驚いているインデックスを他所にポーを取り、ビクビク筋肉を震わせる。



上条「オマエがいくら俺を拒絶しようとも、もう俺は絶対オマエを護るって決めたぜ」


決まった。


そして、頼もしさ全開のこのカラダを見せ付けるようにして俺はインデックスに宣言する。


上条「約束する……俺がオマエの最後の希望だ」


インデックス「」

というわけで今回分はこれで終わりです


次回も例のごとく三日以内で投下


できればいいなあ……





ネタバレ
ヘタ錬さんもファントム

今日誕生日だったけど
誰もお祝いしてくれなかったので
投下する










投下する……(`;ω;´)

お祝いしてくれてありがとう!!


やっぱり投下やめます!!

とんだ誕生日なんだよ(´・ω・`)




_______________________________

とあるファミレス。例のヤンキーどもと出会ってしまった店だ。


しかしながら、さすがにこんな真昼間からたむろしてはおらず、平日の学園都市という条件のせいでほとんど客もいなかった。


客がいないとは言っても、外を見れば途切れなく人が歩いているし、もちろん窓際からは離れた席にしてもらっている。


インデックス「ね、ねえ!こんなところにいちゃ危ないんだよ」


上条「ん?ああ、大丈夫大丈夫。この手の輩は極力秘密裏に事を済ませたいわけだろ?事後処理が面倒になるぐらい人が多いところの方がかえって安全だったりするんだ。それでなくとも奴らはアウェーなんだからな」


我ながらめちゃくちゃ言ってんなと思う。


インデックスが腑に落ちない様子なのも十分理解できるが、彼女にはメニューでも見ていてもらおう。

上条「腹減ったろ?何でも頼んでくれていいぜ」


今朝の時点で発覚したが、このシスターさんはかなりの大食いらしい。


お財布の心配はあるが、カッコつけた手前男らしく見せないといけない。


ような気がする義務感。


インデックス「じゃ、じゃあ、とりあえず全部」


上条「…………」


拝啓、お空のお母様。この一件が解決した後で、果たして上条さんはどうやって生きていけばよいのでせうか。


正直嘗めてましたです、はい。


まさか暴食の【ファントム】だとは思ってなくて。

インデックス「む!今失礼なこと考えなかった?!」


上条「滅相もない。さ!決まったならそこのボタン押して店員さんを呼ぶんだ。あ、連打すんなよ?」


インデックス「む~釈然としないけどわかったんだよ」


それからしばらくして、インデックスが運ばれて来る料理を恐るべきスピードで平らげる様を眺めながら、俺はショーの舞台を考えていた。


やっぱり広い場所がいい。出来れば人の少ない場所。


公園、河原、空き地、建設中の建物や放棄されたビル。


俺が戦うための舞台。


インデックス「ごちそうさまなんだよ!!」


上条「うるさっ!?」


そんなことを思考していて、インデックスの大声で現実に引き戻された。

ああ、いつの間にやら結構時間が経っていたんだな。


そして、俺が食う予定だったチーズハンバーグはどこに行ったんでしょうかねぇ。


上条「最後の晩餐のお味はどうでしたかシスターインデックス?」


インデックス「な!?なんでそういうこと言うのかな!!人間性を疑うんだよ!!」


上条「うるせえ!食い過ぎなんだよ暴食シスター!!俺のまで食いやがって!!」


インデックス「ムキーッ!!」


上条「ぎゃああああああっ!?理不尽だぁあああああ!!!」


テーブルの食器などを全部吹き飛ばして、インデックスが飛びついて来た。


いや、頭にかぶり付いて来た。


甘噛みやじゃれ付いているなんて優しいもんじゃねえ。本気だ。頭皮を噛みちぎるつもりなんだ。


やはり、暴食のファントム。


不幸だ。半分ぐらい自分のせいだけど。

頭痛と店員の冷ややかな視線に耐えながら会計を済ませて外に出る。


外を歩いていると、すぐに汗が出て来た。夏の太陽が肌をジリジリと焼いているようだ。


インデックスはそんな服装で暑くないんだろうか。歩く教会とやらは夏の暑さまでも防ぐのか。


ああ、そういえば補習サボっちまった。進級出来るかな俺。


インデックス「どうかしたとうま?」


上条「誰かさんに噛まれたところが炎症起こしてる気がする」


インデックス「あ、私ウニ食べたいかも」


上条「カニバリズムは神のご意志に反していると思いませんかシスターさん!?」


インデックス「でもウニだからセーフなんだよ」


上条「ウニウニ言うなよ!!カッコイイだろ?!」


インデックス「……はんっ」


上条「鼻で笑うなぁあああっ!!!」


まあ、幼女先生ならきっと別日で救済措置をとってくれるさ。


とってくださいお願いします。

御坂「アンタ……」


上条「ん?お、ミコっちゃんじゃねーか」


夕方。黄昏時。いい感じにお日様が傾きかけて空が薄く朱色に染まり始めた頃。


相変わらず一人でぶらぶらしている電撃娘とバッタリ出会った。


御坂「とりあえず誘拐で【風紀委員(ジャッジメント)】に通報しておくから」


上条「やめて!やめろよ、やめてください三段活用ぉッ!!」


御坂「あっ!コラ逃げんな!!」


しかし出会ったものの速攻で犯罪者扱いされたためにインデックスの手を引いて全力で走り出す。


状況を理解出来ていないインデックスはキョトン顏で一緒に走っていた。


インデックス「……ふふふ」


上条「あん?どうかしたかインデックス」


インデックス「ううん、ただなんだか楽しいなって。私誰かとこうして手を繋いで一緒に走った記憶がないから」


そして、この時の俺は、インデックスの言っていた意味をきちんと汲み取れていなかった。


『記憶がない』という意味を、追われているからしたことがないのだと勝手に解釈した。


その言葉がそのままの意味で、如何に残酷な現実なのか俺が知るのにそう時間はかからない。


???「全く……随分手間を掛けさせてくれたね」

今回はこれで終了です

謎のステイルさんが出てきましたが
未だに変身しない上条さん

スレタイ詐欺ではないか、そもそも需要があるのか心配になって来ました


では、次回もお馴染み三日以内には投下したいと思います





ネタバレ

強力なファントムの存在を知った上条は
なんやかんやで例の施設に辿り着き最愛ちゃんをそげぶ
結果的に布束砥信(ぬのたばしのぶ)を救った
そして、布束からもう一方の施設に御坂がいることを知らされ、救出に向かう……

布束ちゃん救出ルートみたいな感じ
ギョロ目布束ちゃんに演出責めされたいれふ(^q^)

今日も投下出来ないんで
オマケで許してください





大覇星祭~一日目~

オリアナ逃走中


オリアナ(逃亡中に偶然ぶつかった女の子がイギリス清教の十字架を首にかけていたので攻撃したら躱された)


姫神「……何か用?」


オリアナ「用があるのはそちらじゃないのぉ?イギリス清教のメス犬ちゃん」


姫神「……違う。私は【魔法使い(メイジ)】」


オリアナ「何を言って――」


《ドライバーオン・(ゴーン)ナウ》


オリアナ「はぁ!?」


《シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!(低音)》


姫神「……変……身」


《チェンジ・(ゴーン)ナウ》


ギューーーン、クォーーーン、ジャジャーーーン…(シャキィーン)ピュイーーイィン!!


メイジ『……さあ。終わりの時』


オリアナ「」




終わりです
クオリティ低くてすいません
明日は本編(?)投下します


姫神メイジ誰か書いてくれないかな……

さあ、振り切るぜ!!

というわけで投下していきます

_______________

どうやら敵さんは思っていたよりも堪え性がなかったようだ。


赤い長髪で長身。


真っ黒い法衣の神父がスクランブル交差点のど真ん中に陣取り、タバコをふかして苛立ちを隠さずに俺に話し掛けて来た。


インデックス「人払い!?そんな、私が気づかないなんて!?」


???「ああ、おかげで随分気を使ったよ。君に知られないように仕掛けるのは」


コツコツと神父が近づいて来る。両耳の大量のピアスと右の目の下にあるバーコードの刺青がはっきり見える範囲まで。


人払いだとかなんとか言っていたが、それは俺としてはかーなーりありがたいね。

???「さて、そっちの君?今その娘をこちらに引き渡すなら、僕らは君に危害を加えない。拒否するなら……わかるよね?」


上条「おいおい、そんな脅しで揺らぐくらいなら、最初から手を差し伸べるかよ。だいたい、寄ってたかって女の子を追い回しているような変態集団の言うことなんて信用すると思うか?なあ、【ステイル

なぜか途切れてますね?



???「さて、そっちの君?今その娘をこちらに引き渡すなら、僕らは君に危害を加えない。拒否するなら……わかるよね?」


上条「おいおい、そんな脅しで揺らぐくらいなら、最初から手を差し伸べるかよ。だいたい、寄ってたかって女の子を追い回しているような変態集団の言うことなんて信用すると思うか?なあ、【ステイル

色々とあるみたいよー。記号をかえると直るかも

なんでや?



???「さて、そっちの君?今その娘をこちらに引き渡すなら、僕らは君に危害を加えない。拒否するなら……わかるよね?」


上条「おいおい、そんな脅しで揺らぐくらいなら、最初から手を差し伸べるかよ。だいたい、寄ってたかって女の子を追い回しているような変態集団の言うことなんて信用すると思うか?なあ、【ステイル・マグヌス】」


ステイル

とりあえず
これでダメなら中止




???「さて、そっちの君?今その娘をこちらに引き渡すなら、僕らは君に危害を加えない。拒否するなら……わかるよね?」


上条「おいおい、そんな脅しで揺らぐくらいなら、最初から手を差し伸べるかよ。だいたい、寄ってたかって女の子を追い回しているような変態集団の言うことなんて信用すると思うか?なあ、【ステイル・マグヌス】」


ステイル・マグヌス。この神父の名前だ。14歳にしてルーン文字の解読に成功したとかいう天才魔術師。


禁書目録(インデックス)ほどではないにしろ、かなりのビッグネームだ。


そいつの名前を口にした瞬間、名前を言われた本人はもちろんだが、インデックスもまた驚愕の表情をして俺を見ている。


ステイル「……へえ、君もこっち側なんだ」


上条「便宜上は、な。だから魔術界の詳しい事情なんざ入って来ねえよ」


ステイル「だとしてもソレの危険性は知っているはずだ。僕らはその魔道書図書館を保護しに来たんだよ。それとも……」


ステイルは俺から視線をずらし、インデックスを見る。


意地の悪い笑みを浮かべて。

>>73
ありがとうございます
ステイルの名前の間に入れていた
イコールの記号が原因だったようです

流れが悪くなって申し訳ありません




ステイル「君も【ソレ】の頭の中にある魔道書が欲しいのかい?まあ学園都市なら凶悪な自白剤なんかあってもおかしくないからね」


ビクッと、インデックスの身体が一瞬震える。


それから、ゆっくりと首を上に向けて、すがるような怯えた眼で俺を見詰めた。


上条「はあ……なあ、インデックス。約束、覚えてるか?」


インデックス「……うん、とうまは私の最後の希望」


上条「ああ、そんで俺は何だ?」


インデックス「……魔法使いなんだよ!!」


上条「そう、だから俺を信じてくれ。下がってろインデックス」


インデックスの頭をポンポンと叩き、俺は右手の指輪、バックルと同じ黒い手形が装飾された【ドライバーオンウィザードリング】をベルトにかざす。


《ドライバーオン・プリーズ》


その音声と共に、このベルトは本当の姿を現した。


俺と指輪の力をシンクロさせ解放し、増幅する装置。


銀色の外装、お馴染みの黒い手形の【ハンドオーサー】という指輪を認識する機関を備えた魔装具【ウィザードライバー】。

ステイル「何をするつもりかな?」


上条「インデックスを護る。そして、お前も【ソコ】から引っ張り上げてやる」


地獄の底にいるのは何もインデックスだけじゃない。


コイツもまた、インデックスと同じで怯えている。地獄にいる。


理由は知らない、お節介かもしれない。だけど俺は手を伸ばさずにはいられないんだ。


俺の前で誰かが絶望するなんて耐えられない。あの苦しみを味わうのは俺一人で十分だ。


ウィザードライバーのバックル横にあるシフトレバーを操作し、ハンドオーサーを右手側から左手側へ傾けた。


《シャバドゥビタッチヘーンシーン!シャバドゥビタッチヘーンシーン!》


ふざけた音声が鳴り響く。正直真面目な時にこれは申し訳ないなって毎回思うよ。


だけど、この歌にもちゃんと意味はあるし、慣れれば緊張感が吹き飛んでいいもんだぜ。


ステイル「イライラさせるね君は……炎よ(Kenaz)!」


しかし、不良神父さんにはどうも合わなかったようで、苛立ちながらタバコを投げ捨て魔術を発動させた。


投げ捨てたタバコから一瞬で炎が膨れ上がる。


ステイルが右手を掲げると、掌の上に、まるで噴き上がる火柱ような形を成して移って行く。


ああくそ勘弁してくれ、やっと日差しから解放されたってのに。


俺は左手を顔のところまで持ち上げ、中指の指輪、燃え盛る炎の結晶のような大粒の丸い宝石、【フレイムウィザードリング】のカバーを下ろした。


ステイル「巨人に苦痛の贈り物をッ!!(PuriSazNaPizGebo)」


インデックス「とうまっ!!」


ステイルの掲げた手が振り下ろされる。轟々と唸り声をあげる人一人を丸ごと飲み込めそうな大きさの火の槍が俺目掛けて放たれた。


インデックスが俺を案じて叫んでくれたが、心配するな。


ショーの舞台は整った。


上条「変身!」


《フレイム・プリーズ》


さあ、ショータイムだ。

今回はこれで終わりです

ちょっとシステム的な問題でパニクってしまいました

次回も三日以内には投下したいです






ネタバレ
記憶は無くさない

三日以内と言ったな











あれは嘘だ

ネタバレ
ビーストはs……ん、なんだ?笛のお――


_______________________

《ヒーヒー・ヒーヒーヒー!》


炸裂した炎。爆音が鳴り響き、薄暗闇の空をオレンジ色に染める。


その全てを焼き尽くす猛火の中、人影が陽炎に揺れていた。


ステイル「何だ……何なんだお前はッ!!」


???『俺か……?』


人影は陽炎を踏み越え、現れる。


全身に纏う黒いローブ。胸部は宝石を模した紅蓮の装甲、頭部は丸い真紅の宝玉の仮面に覆われた異形の者。


???『俺は魔法使い(ウィザード)……』


俺の、上条当麻のもう一つの姿。


俺は、幻想(ぜつぼう)を希望に変える指輪の魔法使い。

ステイル「魔法使いだと!?クソッ!何なんだコイツは!!」


ステイルは動揺を隠し切れず、右手で頭をくしゃくしゃに掻き毟る。


気持ちは分かるぜ、俺だって最初は鼻水出たからな。


ウィザード『それで、どうする。尻尾巻いて逃げるか?』


ステイル「ふざけるな!僕はこんなところで逃げ帰るわけにはいかないんだよ!!灰は灰に、塵は塵に(AshToASh DustToDust)!」


ウィザード『そうかい』


魔術の詠唱。ステイルの両手に炎が灯る。


まだ戦意は残っているようで安心した。


これで絶望されたら何やってるんだよと言われてしまう。


誰に、とは言わないが。


《ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!》


ベルトのシフトレバーを操作し、ハンドオーサーを左から右に傾ける。


ホルダーから右の中指に付け替えたのは、竜が輪をくぐったような彫刻の指輪【コネクトウィザードリング】。


《コネクト・プリーズ》

指輪をハンドオーサーに認証させ、自分の手元の空間と離れた空間とを繋ぐ魔法陣を展開する。


体の右側に現れた魔法陣に手を入れて、戦うための魔装具を取り出した。


それは銀色の大型の銃。これの銘は【ウィザーソードガン】。名前の通り剣と銃、二つの姿を持つ武器だ。


その銃の、ウィザーソードガンの左側に備わったハンドオーサーを起動させる。


《キャモナ・シューティング・シェイクハンズ!》


そして、その起動させたソードガンのハンドオーサーに、フレイムウィザードリングをかざす。


《フレイム!シューティングストライク!ヒー・ヒー・ヒー!》


ステイル「吸血殺しの……紅十字(SqueamishBloody Rood)ッ!!」


ウィザード『シュートッ!』

ステイルが十字を切るようにして両手を振り、猛火の十字架を放った。


ステイルの十字架に合わせ、俺はソードガンの引き金を引く。


銃口から炎のエレメントが付加された魔力の弾丸がステイルの火球に向けて射出させた。


二つの火炎がぶつかり合い。衝撃が拡散する。


ステイル「クッ!」


生身のステイルはその爆風から身を守るために防御体勢を取らざるを得ない。


そしてその隙を、俺は見逃さない。


吹き荒れる炎の中から飛び出し、ソードガンを銀色の剣に変形させてステイルに刃を突き付け――


???「させません」


突如、俺とステイルの間に誰かが割り込んで来た。


出て来やがったか。


二人目の魔術師。

今回はこれでおしまいです

ステイル戦でしたが
すぐ終わってしまって
ステイル好きな人には申し訳ない展開になりました



次の更新は例のごとく三日以内
正直どのタイミングでペンデックス戦に入ろうかと悩んでます




ネタバレ
佐天さんはしゅんぺーポジション

今日は投下する



する!!

_______________

ステイルとの間に入って来た魔術師は背の高い妙にセクシーな格好をした女だった。


そいつは2mはありそうな長い刀の柄と鞘に収められた刀身の部分にに手を添えて横にし、ウィザーソードガンを防ぐ。


生身の人間に耐えられる衝撃ではないはずなのだが、そいつは頭の後ろでポニーテールに結った長い髪とデカい胸を揺らすだけで踏みとどまり、完全に剣と刀の押し合いの形にまで持っていかれた。


???「あなたがこの街の魔法使いですか」


ウィザード『あらら、俺って意外と有名人?』


鍔迫り合いの最中でも割と余裕そうな、神裂と呼ばれた女は俺に問い掛ける。


しかし、この状態でべちゃくちゃ喋るほど俺も馬鹿条さんじゃないんでね。


ソードガンにかける力を抜き、地面を思いっきり踏みつけて後ろに跳躍する。

ステイル「……コイツを知っているのか神裂」


神裂「あなたが戦闘を始めてすぐに何者からかの使いが飛ばされて来ました。それには【この街の魔法使いはお前達にとって最後の希望だ】と」


ステイル「……どういう意味だい、まさか信じるとでも?」


神裂「ええ、おかしな話です。しかし、私たちの知らない力、技術……そして、最後の希望というのはつまり……」


ステイル「おい、いい加減にしてくれ神裂!君はあんな訳のわからないヤツに彼女を託すというのか!?」


神裂「いいえ、ですから、試してみます。私が、あの魔法使いの力を」


ステイル「くっ……わかったよ。悔しくて腸が煮えくり返りそうだけど、どうもあいつと僕とは相性が最悪らしい。外も中身も」


神裂「ありがとうございますステイル」


神裂というらしいお姉さんが俺と向き合う。


彼女はTシャツを胸の下で縛り、ジーンズの左側を太腿の際どい所まで切断して露出している左右非対称な服装。


腰にはウエスタンベルトが巻かれていて、さっきの長刀はそこに差されていた。


途轍もなく綺麗で完璧な美女だが、酷く疲れた顔をしている。


インデックスやステイルと同じだ。地獄を彷徨って疲れ果ててしまったのだろう。

ウィザード『話は終わったか?』


神裂「ええ、お待たせ致しました。私は神裂火織、こちらのステイルと同じイギリス清教必要悪の教会(ネセサリウス)に所属しています」


ウィザード『ああ、名前は聞いたことがある。やたらめったら強いとも。それで、今度はオマエが相手か?』


神裂「はい、あなたが信用に足る人物かどうか……不躾ですが私が試させてもらいます」


しかし、その眼はまだ死んでいない。希望の火が灯っている。


理由は知らないけど嬉しいね、そんでこういう眼をしたヤツは強いんだ。


ウィザード『信用に足る人物かどうか、ね……じゃ、認められるように頑張らないとな』


神裂「参りますッ!」


ウィザード『さあ、ショータイムだ』


神裂「七閃(ななせん)!!」


ウィザーソードガンを銃形態に変形させ、神裂に銃口を向ける。


しかし、俺が引き金を引くよりも速く、神裂がすでに抜刀と納刀をすませ、俺の身体には斬撃が走った。


肩や胸など七箇所から火花が散り、俺の背後の街灯や停めてあった自動車が【ズレ落ちる】。


右手に持ったソードガンも弾き飛ばされてしまった。

ウィザード『やるな、ならこれで!』


《ランド・プリーズ》


ハンドオーサーを右から左へ、左手に取り付けた四角形の金剛の大地の結晶【ランドウィザードリング】を手形にかざす。


認証音声が響き、続いて詠唱を簡略化させたリズムと音声が作動した。


《ドッドッドッ・ドドドンドン・ドッドッドッ!》


足元から出現する黄色の魔法陣を潜ると、胸部と頭部の色は魔法陣と同じ黄色に染まり、マスクの形状は四角に変化した。


神裂「ハアッ!!」


神裂が長刀を掲げ跳躍する。


スタイルチェンジの隙をついて攻撃するつもりだろうが無駄だ。


神裂が振り下ろした長刀を、俺は全く動かず肩で受け止める。


悠然で悠久の時間を過ごす大地の力を身に纏うこのスタイルには、並大抵の攻撃は通らないぜ。

神裂「ッ!成る程、ただ姿が変わるだけではないのですね」


ウィザード『見掛け倒しじゃないんでね!』


神裂「くっ!」


神裂の鳩尾に掌底を叩き込む。


しかし、咄嗟に鞘から引かれた長刀の刃が盾となり、一撃は防がれてしまった。


それでも俺は腕を振り抜いて神裂を押し出すように殴り飛ばす。


神裂「フッ!」


すると、神裂は器用に空中で体勢を立て直し居合の構えをとった。


神裂が鯉口を切るような動作をすると、空中に幾何学模様が複数展開し、それらは怪しく輝き出す。


神裂「ハァアッ!!」


抜刀。そこからステイル程の大きさではないにしろ無数の火球と氷の飛礫が射出される。


さすがにこれを全て受け切るわけにはいかないな。


ウィザード『すげえよオマエ……だけど!』


《ディフェンド・プリーズ》


ハンドオーサーを素早く右に傾け、竜の胴体に盾を装着させたような彫刻の指輪【ディフェンドウィザードリング】を認証させる。


俺の前方三方向の地面に魔法陣が浮かび、アスファルトの分厚い壁が三つ突出した。


轟ッ、と地面が悲鳴をあげ砂煙が巻き起こる。


音が止むと、アスファルトの防壁はボロボロと崩れてしまった。だが、神裂の魔術も止んでいる。


そして、この砂煙の中、俺の目には確かにソレが見えた。


突破口だ。

今回はこれで終わりです

ぼくは神裂さん(太もも)もライダーもどっちも好きなので同じぐらいの戦闘力にしました(^q^)

次も多分三日以内です

セミの幼虫見つけて観察してるから

今日の投下はなしです

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《ハリケーン・プリーズ》


左手側に操作したハンドオーサーに、怒り狂う雷を閉じ込めたような逆三角の翠色の宝玉の指輪【ハリケーンウィザードリング】をかざす。


《フーフー・フーフーフーフー!》


左手を前に突き出し、展開した魔法陣に飛び込む。


姿を風のエレメントを取り込んだスタイルに変更。マスクは逆三角形の形状になり、その色は胸部と同様に緑色へと変わる。


神裂「速いッ!?」


ウィザード『セヤァッ!』


高速で風を纏い突進、回転し、すでに着地し構えている神裂の正面から前回し蹴りを叩き込んだ。


神裂「かはっ……!!」


それは神裂の脇腹にヒットするも、浅い。


またあの長刀を壁にされたことよって身体の深くにまで脚を沈められなかったからだ。

神裂「くっ……このッ!!」


ウィザード『マジかよ!?』


神裂はそのまま長刀を下から上に振り上げ、俺に一撃を浴びせようとする。


寸でのところで上空に飛翔して避けれたが、一体全体どんな構造してりゃ生身で魔法使い(かいじん)とタイマンが成立すんだよ。


神裂「避けたということは、その姿には私の攻撃が通るということですね……七閃ッ!!」


さらに神裂は追撃としてあの見えない七つの斬撃を繰り出す。


そんで正解だ。確かにオマエの攻撃はこの姿の俺に通るよ。


けどな、一つ見過ごしてるぜ。


ウィザード『その技はもう食らわねえッ!!』


《エクステンド・プリーズ》


負けるためにわざわざ姿を変えるわきゃねえだろうが。


【エクステンド】の魔法で伸縮自在となった腕を伸ばし、弾き飛ばされたウィザーソードガンを回収する。

斬撃が宙に浮かぶ俺に迫って来ているが、慌てるな。身体を回転させ急降下、そしてソードガンのハンドオーサーを起動させる。


《キャモナ・スラッシュ・シェイクハンズ!》


神裂「しまっ――」


ウィザード『はぁあああああーーーーッ』


空を見上げた。すっかり辺りは闇に包まれ、月明かりが街を照らす。


そして、夜空には七つの線が走っていた。


ソードガンのハンドオーサーに左手をタッチ、ハリケーンウィザードリングを認証させる。


《ハリケーン!スラッシュトライク!フー・フー・フー!》


ウィザード『セイヤァアアーーッ!!』


剣を横薙ぎに、風のエレメントを受けた烈風の刃が空を裂いた。


ぱらぱらと、極細の鋼糸(こうし)が落ちて来る。


これが俺が見た砂煙の中の突破口。


全く、魔術師って言うから魔術主体で来るのかと思って時間かかっちまったよ。

ウィザード『さて、まだ俺はオマエの信用を勝ち取れねえのか?』


長刀を片手に空を仰ぐ神裂に俺は問う。


その様子は儚げで、風景に溶け込んでしまっているかのようだ。


神裂「……【救われぬ者に救いの手を(Salvere000】」


ウィザード『はい?』


神裂「私の魔法名です。名乗るつもりはありませんでした……魔術師にとって魔法名は、殺し名と同義ですから」


そして、空気が変わった。


神裂の身体から抑えきれず溢れる魔力の風が俺を威圧する。

神裂「これが、正真正銘私の最後の【技】です。避けても、受けても、逃げても構いません。私は……斬ります」


ウィザード『いいぜ……』


俺の本能が告げていた「アレを食らうとマズイ」と。


でもここまで来たら、もうビビっても仕方ねえよな。


ウィザード『だったらその幻想(ぜつぼう)を……』


ハンドオーサーに澄んだ水の塊、ひし形の指輪【ウォーターウィザードリング】をかざす。


《ウォーター・プリーズ》


左手を前に出し、前方に魔法陣を展開。


神裂に向けて駆け出した。


そもそも俺には始めからこうして前に進む以外道はねえ。


俺の勝利を信じてくれているインデックスのためにも。


地獄の底で必死にもがくこいつらのためにも……


《スイー スイー スイー スイィー》


マスクの形は指輪と同じひし形。


基本色は蒼。水を司るスタイル。


ウィザード『希望に変えるッ!!』


神裂「……唯閃(ゆいせん)ッ!!」


ウィザード『但し方法は問わないッ!!!』


《リキッド・プリーズ》


得意なことは、液体になれるこの【リキッド】を筆頭に、相手を惑わせる不可思議な魔法を用いた変則的な戦闘。


そう、これは歴としたとした戦術なんだ。

今回は……
だいぶもたつきましたけど
これでおしまいです

次も三日以内で考えています

インデックスとステイルさんの描写が皆無だったのでとりあえずおまけで補完



そのころのいんでっくちゅとすているさんじゅうよんさい


ウィザ条・カンジャキ『「ワーワーギャーギャー!!ウソダドンドコド-ン!!」』


二人のどんぱち騒ぎで止めてあった乗用車がぶっ飛んでインデックスに迫るッ!


インデックス「きゃあ!」


ステイル「イノケンティウス!!」


颯爽登場!魔女狩りの王イノケンティウス。乗用車を灰塵と帰す。


インデックス「あなた……」


ステイル「勘違いしないでくれ、連れ帰るなら出来るだけ無傷な方が面倒がなくていいだけだ」


インデックス「……ありがとう」


ステイル「……フン」


インデックス「イノケンティウス」


ステイル「ファッ!?」


イノケンティウス三世「礼などいらん。当然のことをしたまでよ」


インデックス「うん、でもありがとうなんだよ」


ステイル「」


終わる

今日は投下日だよ(寝落ちしなければ)

_________________


試合に勝って勝負に負けた。


というのはこういうことを言うのだと、上条さんは身を以て経験させていただきました。


ステイル「僕は君を絶対認めない。神裂が何と言おうともだ」


神裂「しかし……斬れなかったのは真実ですから」


確かにね、液状化して斬撃を躱したのはズルいとは思うわけですよ。


その上【バインド】で拘束、【フレイムスタイル】にチェンジしてから【キックストライクウィザードリング】をプリーズして思いっきり飛び蹴りしましたよ。


でもですね、よく思い出していただきたい。神裂さんは避けていいって言ってたんですよ。

しかもね、上条さんは液体だったのにダメージはあった、もしあれが直撃だったと思うとゾッとするわけで……


何より神裂さんその後すぐ起き上がったんだよ。


神裂さん≧ウィザード≒ファントムという衝撃の事実。


だのに、なんでこんな残念な感じになってるんでせうか。


インデックス「アレは無いんだよ」


護っていたはずのインデックスからすらも、ジト目で引かれるこの始末。


だいたい戦闘中全く存在感なかったけど、どこにいたんだコイツ。


ま、歩くナンタラがあるんで大丈夫なんだろうけどな。


上条「……不幸だ」

そして現在。


完全下校時刻なんてとっくに過ぎた大人の時間。


俺たち【四人】はある御宅へと歩を進めていた。


それは例の上条さんの担任の幼女先生のお家。


そこに向けて歩きながら、ポツリポツリと、神裂たちがインデックスを取り巻く問題のことを話してくれている。


インデックスには一年より以前の記憶がないんだとステイルが言った。


自らの手で消し去ったと。


その理由はインデックスの脳がすでに85%もの容量を10万3千冊の魔道書で埋められ、残り15%も完全記憶能力を持つ彼女は一年で使い尽くして死んでしまうから。

だから一年ごとに記憶を消す。

そして最後に、ステイルも神裂も、全てはインデックスのために敵にまでなったのだと言っていた。


どれほど怖がられても、恨まれようとも、嫌われても、彼女の生を繋ぐためなら何度でも彼女の記憶を消すと誓ったと……


おかしいだろそんなの間違ってる。


なんて言うのは簡単だ。


けど、その【記憶を消せば、とりあえず彼女を生かすことが出来る】っていう残酷な方法は、神裂やステイルにとって確かに希望だったんだ。


それが例え自分達を着実に絶望させていく悪魔との取引だったのだとしても……


だから、このことを聞いて、どうするのか決めるのはインデックスだろうと思う。


俺に出来るのは、幻想(ぜつぼう)をぶち殺して希望に変えることだけ。

インデックス「すっごく怖かったんだよ」


ステイル「……すまない」


インデックス「わけもわからない。何も知らない。けど私は禁書目録(インデックス)で、逃げなきゃ、逃げなきゃって」


神裂「はい……」


インデックス「友達だったんでしょ?ねえ、私はそんなに酷い女の子に見えるかな?」


インデックスが立ち止まる。


彼女の頬を伝い、月明かりに照らされた涙がキラキラと落ちていく。


インデックス「友達に……そんな業を強いるように見えるのかな?」


ステイル「~~ッ」


神裂「ごめんなさい……ごめんなさいインデックス!!」


まあ、やっとこさひと段落ついたって感じかな。


根本的なところはまだ残ってるけど、まあ今それを言うのは野暮ってもんよ。

ということで
今回は終了です


お気づきだと思われますが
基本的にウィザ条さんは説教しません

あと、神裂さんとウィザードの力関係ですが
お互いまだ本気じゃないので別に聖人の方が強いとかライダーの方が強いとかはわかりません
ただ、通常スタイル4種では手加減している神裂さん相手でも割とガチでやって辛勝レベルじゃないかなと思っています
だいたい、神裂さんは生身で宇宙空間いけるぐらいめちゃくちゃだから当然ですよね


少し長くなってしまいましたが
これは蛇足でもいいから解説した方がいいなと思ってやりました

次回も三日以内を予定しています

_______________

上条「せんせー小萌せんせー」


色々と落ち着いてからまたしばらく歩き、やっと幼女先生のお住まいに着いた。


しかし、呼び鈴を鳴らしても、ドアの前で呼んでも出て来ないぞ。


おかしいなーふしぎだなー。


上条「……手土産にビール持って来ましたよ」


小萌「ごめんなさい上条ちゃんいま開けますー!」


ガチャリと玄関が開く、全く単純な幼女だ。


手土産なんて持って来てるわけがないだろう。


体を滑り込ませて扉の間に入る。これでもう閉めることは出来ないぜ。

小萌「せ、せんせーをだっ、騙したのですか!?」


上条「高校生がビール持って来れるわけねえだろうが全く……」


小萌「なんと!?補講にも来ないクズ条ちゃんなら可能性もあるのかなーと思ったのですが」


上条「んっふ」


あちゃー、そうでした上条さん補習サボったんだった。


俺はおもむろに両膝を地面に着かせ、三つ指添えて頭を垂れる。


後ろでインデックスが「おー!Japaneseドゲザ」だとか言ってるが、形振り構ってられないんだよ。


上条「お慈悲をッ!お情けをぉぉ!どうか、どうかッ!!」


小萌「馬鹿条ちゃんは置いておいて、後ろのみなさんはどうぞ上がってくださーい」


インデックス「お邪魔するんだよ!!」


神裂「し、失礼します……」


ステイル「まあ、せいぜい醜く額を擦り付けて頑張るんだね魔法使い」


扉が閉まる。カチャッ、短い金属音、どうやら鍵まで掛けられたようだ。


そんなことは別に構わないのだが、ステイルのあの去り際のほくそ笑んだ顔だけは忘れんぞ。


覚えてろ魔術師。

「上条ちゃ~ん!反省したなら入って来てもいいですよ~」


やれやれ、やっと入室許可が下りましたか。


かれこれ三十分は経つわけなんだが、上手いこと説明出来たのかねあいつら。


「お邪魔しますよせんせ。そんで相変わらずの汚部屋だこって」


何かの専門書の束を退かして腰を下ろすスペースを作りながら、女の子に幻想を抱いているヤツが見たらそれだけで絶望してしまいそうなぐらい散らかっている部屋を見渡して感想を言う。


確保した場所に胡坐をかいて座ると、先生が両手を振り上げて抗議をしてきた。


「う、うるさいのです!これでも初めて上条ちゃんが【お客様】を連れて来た時より綺麗にしてますからね!」


俺の胸の辺りをポカポカ叩いている薄いピンク色の髪のこの人こそ、我が担任の幼女先生にして、俺が魔法使いとして初めて救った人だ。


それ以来、公私ともになんだかんだで協力してもらっている。

「そんなフリフリのワンピースで凄まれてもなぁ。これじゃまだまだ結婚は先だわ」


「い、言っていいことと悪いことがあるのですよ上条ちゃーん!!」


協力とは例えば、ファントムという怪人に追われる人間、【ゲート】を匿ってもらったりだとか。


まあ、それでも今回のようなケースは初めてだけど。


そんな感じでいつものように小萌先生と戯れていると、なぜだかインデックスの視線がえらく鋭くなって来たので、さっさと本筋に入ることにしよう。


「それで……さ、先生。こいつらから話を聞いたと思うんだけど、どう思う?」


「そうですねぇ……そのシスターちゃんが完全記憶能力を持っていて、もしかして頭がパンクしちゃうんじゃ~って言う話ですよねぇ」


よかった、なんとか伝えられているみたいだな。


まあ、魔法使い(おれ)を知ってる分、魔術がどうこう言われても耐性はあるだろうからそこまで心配はしてなかった。


小萌「結論からいいますが、【科学的】には心配ご無用なのです」


そんなことよりも……


小萌「まず、人間の脳には優に200年分は記憶をすることが可能だとされてるのですが……そもそも知識とエピソードは記憶する場所が違いますし、思考能力や、特に生存に関わる脳の分野はそれらとは全く別のところにあるのです。つまり、いくら完全記憶能力を持った人であろうとも――」


先生がただ淡々と語る……


小萌「それが原因で命を失うなんてことは……科学的にはありえないのです」


この事実の方が問題だ。

今回はこれで終了です


今更ながら投下宣言いらんなと思いました


次回は一週間以内を予定してます
試験週間なんですいません

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沈黙。


重っ苦しい空気が部屋を漂う。誰も口を開こうとしない。


当たり前か、彼らにとって本当の敵は身内だったのだから。


「そ、それでは!先生は少し出掛けてくるのです!シスターちゃんお買い物について来てもらえますか?」


「……うん、わかったんだよ」


小萌先生が気を遣い、インデックスを連れて買い出しに出掛けてくれた。


ありがたい。さすが先生。


いってきまーす。と可愛らしい先生の声の後、バタンと扉が閉まる。


少し経って、俺は魔術師たちに聞いた。「さて、どうするんだ」と。


全てを知った上で、一体何がしたいのかと。


ステイル「出来るなら……救いたいさ」


神裂「しかし、私達に出来ることは全て試したのです」


そして、彼らはそう言って、また諦めようとする。


ああ全く、コイツらも進歩しねえな。

上条「でもそれは私達【二人の】出来ることは……だろ?」


神裂「あ……」


小萌先生の件で自分達だけなら限界があるって気付かなかったのかよ。


いいぜ、オマエ達が他人を頼れないってなら……


上条「今からは俺達【五人の】出来ることを考えようぜ


そんな幻想(ぜつぼう)、俺が希望に変えてやる。


オマエ達の最後の希望は、別に俺でなくたっていいんだからな。


ステイル「ふん……本当にキザったらしくてイライラするね」


神裂「ステイルッ」


ステイル「でも……彼女のためならそれぐらい、いくらでも耐えてやるさ」


上条「ははは、上等上等。なら、まず始めに俺のもう一つのチカラ……【幻想殺し(イマジンブレイカー)】について話しておこうかな」

幻想殺し(イマジンブレイカー)。


それは、俺が魔法使いになる前から、元々俺の右手に備わっていた【異能の力を打ち消す】チカラだ。


このチカラは、右手に触れた超能力や魔術によって発生した現象を片っ端から消し去る。


神の御加護すらも平等に。


だから俺はひたすらに不幸だったわけで、そしてそれは当然魔法にも適応されるんだが、このことについてはまた後日。


とにかく、何が言いたいのかと言えば、科学的にインデックスの状態はあり得ない。


だとすればその原因はもう一つの可能性、科学とはコインの表と裏の関係にある魔術。


もし、彼女に何かしらの魔術が掛けられているのだとすれば……

神裂「あなたの右手で打ち消すことが出来る」


上条「いや、触れなくてもイマジンブレイカーの指輪をインデックスに嵌めれば、一瞬だけだけどそのチカラをインデックスの全身に流すことが出来る」


しかし、これには問題がある。


インデックスに掛かるリスクの問題だ。


ステイル「危険だね……仮に解呪が出来たとして、その後どんなトラップが仕掛けられているのかわかったものじゃないし、最悪彼女はそれで死ぬことになるかもしれない。僕たちが記憶を消したのと変わらないよ。いや、【とりあえず】の確証すらもない最悪の選択肢だ」


上条「ああ、わかってる。だからこれは今のところインデックスが選択できる最後の手段の二つ目って感じだな。なあ、タイムリミットはいつなんだ?」


神裂「日本時間で七月二十八日の午前零時です」


猶予は一週間か。


その間に何が出来るか、だな。


上条「なら、まず先生達が帰って来たら、インデックスにこのことを伝えよう」


神裂「……はい」


ステイル「君に言われなくてもわかってるよ」


本当に可愛くねえなこいつは、さすがステイルさんじゅうよんさい。


魔術師としての仕事をしてるせいか余計に大人びて見えるというか、達観してるというか。


上条「おい、ステイルちょっと手ぇ貸せ」


何にしろ、ちょっとはガス抜きしてやらないとな。


と、優しい上条お兄さんは思いました。

ステイル「ハァ!?ふざけるな手を離せ魔法使い!!」


上条「まあまあまあまあ」


そんな上条お兄さんのご好意を無下にしようというのかステイルさんじゅうよんさい。


仕方ないので【例】の指輪をベルトにかざす。


《エキサイト・プリーズ》


上条「おおおおおッ!!」


ステイル「なッ!?」


強化された我が肉体をステイルごときの力では振りほどくことは叶わず、ステイルは俺に右手を掴まれ指輪を嵌めさせられた。


あとは、わかるよな。


《エキサイト・プリーズ》


ステイル「お、おおおおおおッ!?」


ステイルの服が弾け飛ぶ。


ふふ、素晴らしい筋肉だステイルよ。


俺のこの肉体に勝るとも劣らない。


さあ、ショータイ……


インデックス「ただいまなんだよ!」


小萌「喜べ野郎どもぉ!今日は焼肉パーティーなのです!」


上条「あっ……」


小萌「」


インデックス「」


ステイル「ひゃあああああああああああああああああああッ!!」


神裂(これは酷い)

今日は終了です


次回は明日を予定しています

_______________

その後、小萌先生と神裂に、インデックスの身体のどこかに魔術的なナニかがないのか一通り調べてもらった。


しかし、残念ながらナニかを見つけることは叶わない。


そして、俺たちは最終手段を執らなくてもいいようにもう一度、今度は科学・魔術の両面で出来ることを探し始めることにした。


それから数日が経過したが、俺たちは未だに何の手掛かりも見つけられずにいる。


「うわ~!速いんだよぉー!!」


「そりゃあ魔法使い仕様のマシンだからな、そこいらのものと比べてもらっちゃあ困る」


「でもこのヘルメットっていうのは邪魔かも、歩く教会があるから私には不要なのに」


「戒律だけじゃなくて法律も守りましょうねシスターさん?」

訂正

インデックス「うわ?!速いんだよぉー!!」


上条「そりゃあ魔法使い仕様のマシンだからな、そこいらのものと比べてもらっちゃあ困る」


インデックス「でもこのヘルメットっていうのは邪魔かも、歩く教会があるから私には不要なのに」


上条「戒律だけじゃなくて法律も守りましょうねシスターさん?」



本文

今、俺とインデックスは銭湯に行った帰りだ。


日はすっかり沈み、夜の公道を俺たちは走っている。


俺の愛車【マシンウィンガー】の後ろにインデックスを乗せて、火照った身体を冷ましながら。


正直、そんなに言うほどスピードは出ていないのだが、初めてバイクに乗った時に感じる風は、いつも受けている風とは違って鋭く、速く、心地良く思えるもんだ。


そんな詩的な気分に浸っていると、はしゃいでいたインデックスが俺の腰にギュッと手を回して、頭を背中に押し当てていた。


上条「どうした?まさか体調が!?」


インデックス「……ううん、違うんだよ」


上条「なんだ……じゃあ、眠くなったか?」


最近インデックスは時々頭痛を訴えるようになってきている。


タイムリミットは確実に迫っているのだ。


インデックス「もう、こども扱いしないで欲しいかも」


インデックスが頬を膨らませて不満げな声を出す。


心なしかインデックスの白い八重歯が輝いたようにも思うが、さすがに運転中にガブリンチョされるなんてことはないだろう。


ないよな……

上条「ははは!悪い悪い……で、どうしたんだ?」


インデックス「……あのね、とうま。私……今とっても幸せ」


上条「しあわせ?」


インデックス「うん。友達がずっと私のために頑張ってくれていたことを知ることができたんだよ……今だってそう。他にもいっぱい、全部とうまのおかげなんだよ」


少し先の信号が赤色に変わった。


俺はマシンウィンガーのスピードを落とし、その信号の前にゆっくりと停止させる。


そして、俺は正面を向いたまま、未だにギュッと背中に抱き付いているインデックスに応えた。


上条「俺は何にも出来てねえよ……結局今日だって、何故か現実世界に出て来た胎児みたいな巨大ファントムの相手してただけだったしな」


そうだ。ファントムを倒しに行ったことに後悔はない。


けど、それでも目の前でじわじわと追い詰められている女の子を放って行ってしまったことに自己嫌悪していた。

インデックス「それが魔法使いの使命なんでしょ?とうまはそれを果たしただけで、責任を感じる必要はないかも」


いや、たぶん俺はイラついているんだろう。己の無力さというやつに。


だから、俺はインデックスにこう答えてしまった。「救えないなら意味がない」と。


インデックス「……とうまは私の話をちゃんと聞いてたのかな?」


信号が青色に変わった。


周りの車と一緒に、マシンウィンガーを走らせる。


けれどインデックスの声は、はっきりと俺に届いた。


インデックス「私は幸せなんだよとうま。私はあなたに出逢って、あなたのおかげで救われたの」


上条「~~ッ」


ああ、俺はあの時から何にも変わってねえ。


俺は本当に馬鹿野郎だ。


約束したのは俺だろ、弱気になってんじゃねえよ。


本当これじゃどっちが魔法使いなんだかわかりゃしねえな。


上条「なあ、インデックス」


インデックス「なぁに、とうま?」


上条「うまいドーナツの店を知ってるんだ。お前と会った時のみたいな安っすいのじゃないヤツ……これが終わったら、みんなで行こう」


インデックス「……うん!」


上条「オッシャ!じゃあ、ぶっ飛ばすからしっかり捕まってろよ?!」


インデックス「え?あ、ちょ!ちょっと待ッひぃやぁああああああああっっっ!!」


まだ時間はある。


俺はオマエを救ってみせる。


必ず。

というようなところで今日は終了です



次回も明日を予定しています

_______________

転機というのは、やはり突然訪れるものである。


俺が魔法使いになった時と同じように。


その最初の出来事は、小萌先生がインデックスにしつこく歯磨きの指導を行っていた時に起こった。


「あれれ~?」という間抜け可愛い小萌先生の声が、朝飯のおかずのメザシを奪い合う俺とステイル、緑茶をすすってほっこりしている神裂の耳に入って来た。


その声に緊張感や緊迫感が含まれていなかったので、始め俺たちはそれをスルーしていたが、慌ててインデックスの手を引いて戻って来た先生の話を聞いて、そんな朝のひと時は崩壊した。


インデックスの口内、喉の辺りに探していたナニかがあるというのだ。


そして、二十八日。


俺たちにとっての運命の日。

インデックス「私はもうみんなのこと忘れたくないんだよ。だから……お願いとうま」


結局、打開策は見つけることは出来なかった。


俺たちは、最終手段のどちらか一つをインデックスに強いる。


記憶を消すか、魔術を消すか。


インデックスが選んだのは、とりあえずの命の保証も何も無い、俺が魔術を消すという選択肢だった。


せめてもの救いは、小萌先生がインデックスの口の中に魔術の記しを見つけてくれたこと。


そのおかげで、幻想殺しのチカラそのものを彼女に流すことはしなくて済む。


インデックス「ハア……ハア……」


ステイル「神裂、彼女を横にしてやってくれ」


神裂「わかりました」


インデックス「ごめん……ね?か、お……り」


地面の上に敷いた布団に、神裂が抱えていたインデックスをゆっくりとおろして寝かせた。

ここは、先日巨大ファントムが現実世界に顕現したとある研究施設の敷地。


何が起こるかわからない以上、小萌先生の家で魔術を消すわけにはいかないので場所を移すことにしたんだ。


ステイル「おい……あの小萌という人を巻き込みたくないのは僕も理解出来た。だが、これはどういうことだ」


移したのはいいんだが、その施設っていうのが実は原子力発電の研究所。


当然危険だ。


ステイル「もしかしてあれか?最悪あれでドカーンッと証拠隠滅とでもするつもりなのかな君は!!」


上条「お、落ち着けよステイル。ちゃんと考えてるから」


しかしながら、上条さんだってそこまで馬鹿じゃない。

携帯電話のアドレス帳から【友達】に電話をかける。

?ピ『あーカミやん、はよ始めへんか?もう僕この人と一緒にいてんのイヤやわ……』


一回の呼び出し音で出てくれた友達は、なんとも疲れた声でそう言った。


後ろで「いいか!魔力なんて根性でどうとにもなる!!」とか何とか言っているのが聞こえたから、きっと【もう一人のお友達】と仲良くお話でもしていたのだろう。


上条「上条さん今回その人には声掛けてないんだけど……まあ、よろしく頼む」


青?『貸し【二つ】やで?カミやん』


「えー?不幸だ……」


イレギュラーな存在のせいでまた上条さんのお財布が軽くなる。


いや、悪いヤツじゃないんだけどさ。むしろだからこそ腹は立つんだけど。


???『根性!変~~身ッ!!』


《セット!オープン!》


なんて思っていると、あの根性論の権現はなぜか変身し始める。


毎回毎回あいつのやることは本気で意味がわからない。


《L・I・O・N!ライオーン!》


アザゼル『わあー!もう最悪やー!!』


ボーンッ!!!!と、いう爆発音とともに電話が切られた。


ふざけんなと思いながら離れたところにあるその建物を睨みつけると、案の定屋上から虹色の煙が立ち登っている。


ステイル「あれは……なんだい?」


上条「もう一人の魔法使い……とだけ言っておくよ」


建物の周りを六角形で半透明のバリアーが取り囲んだ。どうやら電話の主の力で防壁が作られたようだ。


数十秒の間に色々あったが、ひとまずこれで準備は整った。

神裂「上条当麻!インデックスがッ!」


神裂が叫ぶ。インデックスの方も限界らしい。


俺は右手の指輪、幻想殺しの力が封印されている指輪をベルトにかざした。


《イマジンブレイカー・プリーズ》


その音声のあとに起こる右手がむず痒くなるような感覚。


幻想殺しが俺の右手に戻った感覚だ。


ステイル「……頼んだよ」


上条「ああ、行くぞ」

インデックスの傍に膝をついてしゃがむ。


普段あれ程元気だった彼女はもう声も出せないくらいに弱っていた。


上条「ごめんな、少しガマンしてくれ」


浅い呼吸を繰り返しているインデックスの口を開かせて、指を滑り込ませる。


ぬるっとした口内に指を這わせ、奥へと。


そして、俺の指先がインデックスの口の中のある部分に触れた。


実際に目に見えないからどんなものだったのか何とも言えないが、パキンッ、というナニかを壊した感覚が右手から全身に伝わる。


その瞬間、インデックスが目を見開いて、俺は【ソイツ】と目を合わせてしまった。

今日はこれで終了です


以前ビーストは?と聞かれたので
急遽ゲスト出演してもらいました

謎の似非関西弁の人はファントムですがグレムリン的な感じで自分は人間であるという自覚があります


次回も明日を予定しています


超電磁砲Sの二期OPカッケー

今日投下出来ると思っていましたが

ちょっとむりそうです

おまけ

AIMバースト『Gyaaaaaaa!!!』


御坂「ウソ……核は破壊したはずなのに」


AIMバースト『hfdtgcv苦sfy』ブンッ


御坂「このッ!」サッ

ドゴン!!

御坂(何とか避けれたけど、もう力が……)フラッ


AIMバースト『…………』


御坂(こんなとこで……)


AIMバースト『Aaaaaaaa!!!!』ブオンッ


御坂「くっ」

《チョーイイネ!サンダー!サイコー!》

バジュウッ!!

AIMバースト『gfd?tisee怒?vsy……』ビクッビクッ


御坂「電撃ッ!?一体誰が……」


ウィザード嵐竜スタイル『大丈夫か?』


御坂「は?え?つ、翼ッ!?人ッ!?な、なななんなのよアンタ!!」


ウィザード『あー?あれだ、通りすがりの仮面ライダーってやつだ』


御坂「仮面ライダー!?って……なんか佐天さんからそんな都市伝説聞いたことあるような……」


ウィザード『まあ、とりあえず手貸しな』


御坂「ちょっと!触らないでよ……この指輪!アンタは!」

《プリーズ・プリーズ》

御坂「力が戻った!?……ああもう!能力を打ち消す学生!脱ぎ女!幻想御手(レベルアッパー)!虚数学区!仮面ライダー!!都市伝説のバーゲンセールね全く!!」バチチチチッ


ウィザード『おーおー元気そうで何より』


AIMバースト『a、aa…』ズズ…


御坂「アンタ、このタイミングで出しゃばったんだからきっちり働きなさいよ」


ウィザード『言われなくても』


AIMバースト『Gyaaaaaaaa!!!!』


ウィザード/御坂『「さあ、ショータイムだ(よ)」』

_______________

上条「ッ!?」


咄嗟に腕を引いてインデックスの側から飛び退く。インデックスの瞳には赤い魔法陣が浮かび上がっていた。


操り人形が糸に引っ張られて立ち上がるように、グッとインデックスの身体が持ち上がる 。


インデックス「――警告、第三章第二節。Inedx-Librorum-Prohibitorum――禁書目録の【首輪】、第一から第三まで全結界の貫通を確認」


アレは何だ。


確かに姿はインデックスだが、俺を見ている彼女の紅く煌めく瞳はまるでファントムのものじゃないか。


インデックス「再生準備……失敗。【首輪】の自己再生は不可能、現状、10万3000冊の【書庫】の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」


膨大な魔力の奔流。


それは突風のような圧を持って辺り一面に吹き荒れている。

インデックス「――【書庫】内の10万3000冊により、防壁に傷をつけた魔術の術式を逆算……失敗。該当する魔術は発見できず。術式の構成を暴き、対侵入者用の特定魔術(ローカルウエポン)を組み上げます」


機械的に発せられる呟きとともに、溢れて漏れ出していただけのチカラの源が束ねられて行く。


これはおそらく強力な魔術だ。


俺を殺すための殺意の塊。


インデックス「――侵入者個人に対して最も有効な魔術の組み合わせに成功しました。これより特定魔術【聖(セント)ジョージの聖域】発動、侵入者を破壊します」


インデックスの眼前に魔法陣が展開される。


雷鳴のように大気を激しく叩きつける爆音が鳴り、辺りの空間に亀裂が走った。


そして、ぎょろりと目を剥いたインデックスが俺を【視る】。


上条「ヤバイッ」


インデックスの視点の先、上条当麻に向けて光の槍が放たれた。


グググと一瞬で伸びて来る矢尻に合わせ、反射的に突き出した右手が槍とぶつかる。


漏電のような小刻みな音を立てて、幻想殺しと光の槍は競り合っていた。


だが、光の槍は消えない。

インデックス「【聖(セント)ジョージの聖域】は侵入者に対して効果が見られません。他の術式へ切り替え、侵入者を破壊を継続して行います」


上条「ッ!!」


その状況を見たインデックスが機械的に呟き、魔術を次の段階へ移行させる。光の槍は、魔法陣の次元の裂け目から俺を丸々飲み込む程の巨大な光の柱に変わって放出された。


物凄い衝撃と圧力が右腕から全身へと伝わり、俺はもはやその異能の塊に右手を添えること以外出来なくなる。


上条「が……ぁあ!!」


右手の骨が軋み、肉が裂けて血が噴き出した。


これまで全ての異能を、神の加護すら消し去っていた幻想殺しが、この光の柱を打ち消せず、押し切られようとしている。


ステイル「【我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)】!!」


小さい舌打ちとともにステイルが魔法名を叫んだ。右手が掲げられ、カードが宙に放たれる。


ルーン文字が刻まれた無数のカードが周囲に散らばり、一斉に地面に張り付いた。

ステイル「全く、頼りない希望だ!神裂、時間稼ぎを頼む!」


言い切ると、ステイルは俺の背後で魔術の詠唱を始める。


人をタワーシールドかなんかと勘違いしてやしませんかね。別にいいですけど……


神裂「救われぬ者に救いの手を(Salvere000)……破ァッ!!」


神裂が長刀を鞘から抜き放った。七又に別れた鋼糸が、俺たちの脇をすり抜けてインデックスの足元の地面を砕く。


インデックスが盛り上がった大地に足を取られてバランスを崩した。


インデックスは仰向けに倒れていく、それに合わせるように光の柱もまた空に立ち昇る。


そして、何十枚もの純白の羽が舞い落ちて来た。


神裂「これは【竜王の殺息(ドラゴンブレス)】!?上条当麻!いくらあなたの右手でもそれと渡り合うのは不可能です!その羽一枚にでも触れれば大変なことに!!」


竜王の殺息(ドラゴンブレス)だがなんだか知らねえが、こちとらドラゴンとは付き合い長くてね。


ドラゴンがどれだけヤバイのかなんてわかってるよ。


上条「そんなどうでもいいこと言ってねえで、さっさとショーを始めようぜ!悪い魔術師に操られたお姫様を救う、サイコーにハッピーなエンディングのショーを!」


インデックスが倒れた時と同じ軌跡を描いて体勢を戻す。


竜王の殺息(ドラゴンブレス)が再び俺に迫った。

ステイル「ああそうだね……始めよう!【魔女狩りの王(イノケンティウス)】!!」


詠唱を終えたステイルが術名を叫び、巨大な熱源が俺の前に現れる。


煉獄の溶岩の魔人が、竜王の殺息(ドラゴンブレス)を阻む壁となっていた。


光の柱はイノケンティウスを削る。しかし、炎によって生成させる魔人は破損した先から再生し、怯みもしない。


ステイル「行け!魔法使い!!」


神裂「道は私たちが切り拓きます!!」


今だ。俺はインデックスに向かって駆け出す。


ただひたすらにいつも通りまっすぐ。


インデックス「――警告、第六章第十三節。新たな敵兵を確認。戦闘思考を変更、戦場の検索を開始……完了。現状、最も難度の高い敵兵【指輪の魔法使い】の破壊を最優先します」


天から降り注ぐ羽が、神裂の斬撃よって吹き飛ばされる。


インデックスまでの一本の道が、この時完全に拓かれた。


だが、ブレスをしのぐイノケンティウスがいつまで持つのかわからない。


ひらひらと降り続く羽の全てをいつまで神裂が払い除けることが出来るのかわからない。


だけど、あと少し、本当にあと少しなんだ。耐えてくれステイル、神裂。

インデックス「――警告、第二二章第一節。炎の魔術の術式を逆算に成功しました。曲解した十字教の教義をルーンにより記述したものと判明。対十字教用の術式を組み込み中……【聖(セント)ジョージの聖域】を第二段階へと移行。命名、【神よ何故私を見捨てたのですか(エリ・エリ・レマ・ サバクタニ)】」


機械的な詠唱。竜王の殺息(ドラゴンブレス)の質が変わる。見た目で言えば柱が赤い閃光を纏った。


その光線に当たった炎の魔人は、悲鳴のような音を立てながら消滅していく。


イノケンティウスを殺すための魔術を、インデックスは即席で組み上げたのだ。


上条「おおおおおおおッ!」


それでも、俺とインデックスの距離はあと少し。


手を伸ばせば届く。


あと一歩で届く。


なあ神様、俺はアンタが嫌いだよ。


だから、この世界が、人間がアンタの思い通りに動いているっていうなら……


上条「そんな幻想(ぜつぼう)俺が全てぶち殺すッ!!」


そして、俺の右手が、インデックスの顔に触れた。


パキン、というお馴染みな感覚。


魔法陣は崩れ、周囲にあった次元の裂け目も消え去った。


インデックスの瞳に映る陣がちかちか点滅している。


終わったんだ。

幻想殺しの効果が切れ、指輪に封印される。同時に一気に疲労感が襲ってきた。


幻想殺しは俺の魔力をも喰らう。今回はずいぶんと長く発動させていたからごっそりと持って行かれたみたいだ。


でも、それでも構わない。


インデックス「警……告、最終……章……第0……首輪……致命的な……破壊、再生……不可……」


あとは、ゆっくり倒れこむインデックスを抱きかかえて、神裂とステイルのところへ行くだけ。


これで、フィナーレ。ハッピーエンドだ。


そう……思った。


インデックス「自……壊、プログ……ラム……【邪悪な夜宴(サバト)】……発……ど……」


けれど、インデックスは呟いた。最悪の魔術の名前を。


ピシッ、聴き覚えのある、そして二度と聴きたくない高い音が響く。


絶望が、身体の内から這い出て来る前兆。


インデックスの身体中に、亀裂が走っていた。


インデックス「あ……うぁ、ぁぁ……」


瞳の魔法陣が消えて元に戻ったインデックスがうめき声をあげる。


心と身体、インデックスの命が悲鳴をあげているんだ。

ステイル「何だこれは!?」


上条「これは……人間が絶望してファントム(かいぶつ)を生む前段階」


神裂「絶望!?なぜです、彼女は!インデックスは救われたのではないのですか!!」


そう、救ったはずだ。


全て、俺の右手が打ち消したはずだ。


でも、あの時、豹変したインデックスが最後に呟いた言葉。


上条「サバト……っていう人間を強制的に絶望させる術が存在するって聞いたことがある。本来ならもっと限定的で広範囲なんだけど」


それが原因だとしても、その意図がわからない。


彼女を絶望させてファントムを生み出して、どうするっていうんだ。


一年おきに記憶を消去させるための首輪、書庫に不法に立ち入った者を排除するためのセキュリティ。


そこまでして手の内に留めておきたかった彼女を、なぜファントムに変える必要がある。


ステイル「そんなこと今はどうだっていい!!救えるのか救えないのか!答えろ魔法使い!!」


フラフラと歩み寄ったステイルが俺に掴みかかって怒鳴る。俺を見る眼は、大切な人を失う恐怖と絶望に染まっていた。


答えは、言うまでもない。


上条「救うに決まってる。俺が、オマエ達の最後の希望だ!」


ステイルの手を振り払う。


やることはわかってるんだ。むしろ、ここからは俺の領域。

《ドライバーオン・プリーズ シャバドゥビタッチヘーンシーン!》


上条「変身!」


イマジンブレイカーの指輪を外し、ベルトをウィザードライバーに変化させる。


ハンドオーサーを左に傾けて、フレイムウィザードリングを黒い手形にかざした。


《フレイム・プリーズ ヒーヒー・ヒーヒーヒー!》


左手を真横に差し、出現した魔法陣を潜る。


そして俺は、黒いコート、紅いマスクと胸部の魔法使い(ウィザード)に変わる。


ウィザード『待ってろインデックス。約束は絶対守るから』


インデックス「と……うま……」


うっすらと目を開けて、インデックスが俺の名前を呟いた。


俺は優しくインデックスの髪を撫でると、指輪のホルダーから【エンゲージウィザードリング】を外す。


ウィザード『ドーナツみんなで食いに行こうな』


インデックス「う……うん……」


笑顔で応えてくれたインデックスの右手をとり、その中指に、リングをゆっくりとはめた。


ハンドオーサーを右側に傾け、インデックスの白く細い右手を手形に当てる。


《エンゲージ・プリーズ》


指輪を認証したウィザードライバーから音声が鳴り、横たわるインデックスの体の上に魔法陣が展開された。


俺は両手を広げ浮かび上がり、その魔法陣に吸い込まれるように中へ入って行く。


紫色の空間を降りて、降りて……


インデックスの心の中(アンダーワールド)へ。

今日はこれでおしまいです


次回は……そのうち

よほどのことがない限り完結はさせるので
もし見てくれている人がいればそれまでお付き合いいただけると嬉しいです

乙です。

オールドラゴンくるか?

>>155
オールドラゴン戦にしてもいいんですが
なんかダラダラ長引いちゃいそうで迷い中です
安価で、とも思いますが
ただ私が恥ずかしくなるだけだと思うので……

まあ、この際なので投げるだけ投げときます

この下 2で

オールドラゴンありかなしか

つかなければなしで進みます

とりあえず

全部書き終えましたので

あと2回の投下で終わりになると思います

次回は明日に投下します

_______________

終着点。魔法陣から飛び出したところは部屋の中だった。


そして、ここには俺、ステイルと神裂、それに、小萌先生がいる。みんなに囲まれてインデックスは楽しそうに笑っていた。


でも、何もこんなところでまで俺とステイルもケンカしなくてもいいと思うんだけどな。


ウィザード『先生の部屋……これがインデックスの希望。幸せな、友人との本のひと時……』


その瞬間、光の柱が先生の部屋の屋根を貫き、俺の目の前を通って床に突き刺さる。


バキバキバキと、ナニかが無理やり穴の空いた屋根を剥がしていった。


そして、俺はソイツと【再び】目を合わす。


ウィザード『オマエが……インデックスのファントム!』

ソイツは巨大な石像だ。


巨大な聖母像。しかし、抱えているのは頭の無い赤ん坊。


その像の背中からは十字架に張り付けにされた神の子の上半身の像が生えている。


神の子の像の背中には、十二枚の天使の翼が無造作に無作為に突き刺さっていて、動かす度にパラパラと石像の欠片が落ちていた。


剥がされた屋根がスーっと、ファントムの前に動かされる。


どうやらアイツはテレキネスか何かそういう力を使えるらしい。


聖母像の眼が怪しく輝いた。先生の家の屋根は大きな音を立てて幾つかの破片にバラされる。


ずらりと等間隔に並んだその破片は、一斉にここに向けて撃ち出された。


明らかな殺意と悪意とともに。


ウィザード『クソッ!来い、ドラゴンッ!』


《ドラゴライズ・プリーズ》


ドラゴンの姿が彫刻された【ドラゴライズウィザードリング】をハンドオーサーにかざす。


破片の射線上に魔法陣が現れ、その陣を潜ってもう一体のファントムが召喚された。

俺の中にいるファントム。赤・金・銀のメカニカルな風貌をしたドラゴン。


インデックスのアンダーワールドに現れたそのドラゴンは、迫る破片に炎のブレスを放射し一瞬にして焼失させる。


そしてドラゴンは目の前にいる偽天使のファントムに向かって爆発のごとき雄叫びをあげた。


雄叫びが終わるとそれを合図にしていたかのように、二体の魔物は戦いという名の破壊行動を始める。


ウィザード『あの馬鹿野郎!』


《コネクト・プリーズ》


俺は慌てて家の外に出て、愛車を呼び寄せた。


なぜなら、あのドラゴンは手綱をしっかり握らないと周りの被害なんぞ一切気にせず戦うからだ。


呼び寄せたマシンウィンガーに跨り、一気に発進させる。


ファントムを目で追いながら道路を猛スピードで駆けた。

石像ファントムは、やはり見た目通り機動力があるわけではないようだ。


破片を投げ付けて来た位置からは一切動かず、翼を伸ばして打ち付けたり、舞い散る羽を矢のように飛ばしたりしていた。


対するドラゴンはそれらを機敏に躱し、火球を吐き出して石像に攻撃する。


しかし、その全てを聖母像が発する光の壁が防ぎ、微動だにしない。


これでは埒が明かないと思ったのか、ドラゴンはファントムの背後に回った。


そう神の子の正面に。


何と無く嫌な予感がした俺は、石像の打ち付けた翼により砕かれ、崩れてしまった住宅の瓦礫を利用して、ドラゴンに向けてバイクごと跳んだ。


空中に跳び出し、俺はマシンウィンガーを変形させる。


俺を運ぶ【足】ではなく、ドラゴンの手綱、名のとおり正真正銘【機械の翼(マシンウィンガー)】へと。


神の子の額に光が集中していく。


そして、苦悶の表情を浮かべた神の子から、インデックスが撃ち出したものの何倍も巨大な竜王の殺息(ドラゴンブレス)が放出された。


『させねえよッ!!』


周りの空間を破壊しながら突き進む神の鉄槌がドラゴンを裁く直前で、機械の翼をドラゴンに結合させることに成功する。


それはつまり、ドラゴンを操ることが出来るようになったということ。


俺はバイクを乗りこなす時と同じように、ドラゴンを制御し、彼の翼を一気に羽撃かせて、遥か上空へと飛翔する。

とにかくこれでわかったことがある。あの巨大ファントムは前後で役割を分けているのだろう。


おおまかに聖母像は守護、神の子は破壊といった感じだろうか。


ウィザード『今度こそ、終わりにしようぜ』


《チョーイイネ!キックストライク!サイコー!》


俺はドラゴンの背を踏み付けて跳び上がった。


それを合図に、マシンウィンガーとドラゴンが姿を変えていく。大型ファントムでさえも踏み潰せる巨竜の足を模した形態【ストライクフェーズ】へと。


ウィザード『ハァッ!!』


そして、ストライクフェーズに移行したドラゴンに右足を合体させ、巨大な自身の幻影と炎のエレメントを纏い急降下しながら、石像ファントムに飛び蹴りを放つ。


当然だが、ファントムも黙って喰らうわけがない。


聖母像の抱く頭の無い子どもが浮かび上がり、ファントム全体を魔力のバリアフィールドが取り囲んだ。


だが、そんなものに頼ったのが間違いだったな。

ウィザード『フィナーレだ』


《イマジンブレイカー・プリーズ》


紅蓮のマスクと胸部の装甲が漆黒に染まる。


黒炎を纏った飛び蹴りはフィールドをあっさりと打ち破り、砕け散った。


ウィザード『おおおおおおおッ!!』


そのまま俺のとっておきを、隕石のような威力と衝撃が篭った飛び蹴りを呆然と立ち尽くすしかないファントムに叩き込んだ。


巨竜の足はファントムの身体を貫き、聖母と神の子は断末魔の悲鳴あげて崩れる。


ウィザード『ふぃ~』


何とかなったと安堵のため息を吐き出して、ストライクフェーズから通常の姿に戻ったドラゴンとマシンウィンガーを元のところへ転移させた。


やがてファントムは砂のようになって、サーッと吹き飛ばされていく。


そうして完全にファントムが消滅するのを確認してから、俺も魔法陣を潜ってインデックスのアンダーワールドから脱出した。


天使の羽が一枚、俺の後ろに続いて魔法陣を通っていたことに気付かずに。

上条「神裂!ステイル!インデックスは?!」


現実世界に帰って来た俺は、直様インデックスの容体を二人に確認した。


普段ならアンダーワールドのファントムを倒しさえすれば、だいたい解決するもんなんだけど今回はちょっとレアケースだからな。


ステイル「魔法使い……」


ゆらり。


ステイルがゆらゆらと近付いて来る。


顔は真っ青で、今にも死んでしまいそうなぐらいに……


上条「お、おいおいなんだよその顔……まさか」


ガシッと俺は両肩を掴まれた。


俯き気味の角度でステイルが睨んでいる。


ステイル「よくやった」


上条「テメエ!紛らわしいんだよふざけんな!!」


ステイル「うるさいね、疲れてるんだ静かにしてくれ」


なんてやり取りをステイルと交わし、それなら眠り姫の寝顔でも拝もうかとそちらに視線を向けた。

よかった、よかったと言ってインデックスの頭を優しく撫でる神裂と安らかに眠るインデックス。


そして、彼女たちの頭上に純白の羽が一枚。


フラフラと、二人のどちらかに落ちて行く。


上条「羽!?まさか俺の魔法陣を通って!!」


ステイル「神裂ッ!!上だッ!!」


羽の存在に気付いたステイルが、神裂に羽を知らせようと叫んだ。


神裂は声を捉えて羽を認識したが、今更羽を吹き飛ばすほどの時間はない。


彼女はインデックスに覆い被さり、自分を盾にするしかなかった。


上条「クソッ!!」


俺にはもう魔力がない。魔法は使えない。


いや、使えたとしてもおそらくこうしていただろう。


そもそも自分で蒔いた種だ。俺は羽が神裂に触れるより先に二人を庇うようにして羽に向かって飛び込んだ。


それからどうなったのか、俺は覚えていない。

_______________

ここは、どこだ。


真っ暗な世界。周りがどうなっているのかわからない。けど自分の姿ははっきりと見えている。


【自分】っていうのが誰なのかはわからないんだけど……


『思い出して』


そして、何をするわけでもなくただボーッとしていると、突然どこからか女の人の声が聞こえてきた。


思い出してと言われても、何を思い出せばよいのやら。


『思い出して、あなたの希望を!』


「き……ぼう?」


ふと、俺だけだった世界にもう一人誰かが現れた。


若い女性。声の主だろうか。


その女の人は、俺にこれ以上ない優しい笑顔を見せた後、包み込むように俺を抱き締めて語りかける。


先ほどの声の人と、目の前の女性は別人だった。

『あらあら……私は、――さんが生まれて来てくれて幸せなんですよ?』


この人の声を聴くと優しく、柔らかで、懐かしい気分になる。なぜだ。


なぜだかわからない、なのになんで俺は涙を流しているんだ。


どうしてこんなに苦しいんだ。


『――さんが生きているだけで、毎日がとても楽しいんです』


スッと女性は俺から腕を離し、笑顔を浮かべたまま遠ざかって行く。


そんな。イヤだ、行かないでくれ。お願いだ、傍にいて欲しいんだ。


どんなに叫んでも、女の人は待ってくれない。どんどんどんどん遠ざかって……


『【当麻】さんは、私の……お母さんとお父さんの希望なんですよ』


そして、俺はまた暗闇で一人になった。


だけど、こんなに胸が苦しくて切ないのに、どうしてか俺は前をしっかり向いている。


そして、真っ暗な世界の中に、フワリと一つの光が舞い降りて来た。


『思い出して、あなたが何者なのかを』


光は俺に問い掛ける。


ああ、思い出したさ。


俺は【上条当麻】。


『そう、そしてあなたのもう一つの名……』


もう一つの名前。


そうだ、俺は……


「魔法使い(ウィザード)!!」

という感じで今回は終了です

明日エピローグを投下して
この物語は終わりになります

一ヶ月ちょっとでしたが楽しんでやれました

最後までよろしくお願いします



ウソ予告

目を覚ました俺の前に9人の怪人達が立ちはだかる。


『wもオーズもフォーゼも倒れた

あとはウィザード、お前だけだ』


何だかよくわからねえが、とにかく全員倒せばいいだろう?


さあ、ショータイムだ。


次回、とある指輪の魔法使い(マスクドライダー)。


  バ
  ト
仮 ラ

面 イ
舞 ド
踏 ・
会 ウ

  ォ
  |


科学と魔術が交差する時、物語は始まる!

_______________

気が付くと、目の前にインデックスがいた。


そして彼女は俺に向かって何か言っている。ポロポロと涙を落としながら。


インデックス「――――だったんだよ?」


上条「な、ナンダッテー!?」


インデックス「ふぇ!?」


何と言っていたのかまでは聞き取れていない。よくわからないから適当に驚いておいたというのが今の状況。


それなのに、よほどビックリしたのか、インデックスの涙は引っ込んでいた。


俺の顔を見て目をパチクリさせ固まっているインデックスから視線を外し、キョロキョロと周りを見る。


見渡した結果ここは明らかに病院で、上条さんは入院患者という状態なんだろうという結論に至った。


しかも、日付を見ると大分意識を失っていたことがわかる。


彼女の様子は泣いてる以外に変わりなく、ちゃんと救えたんだと実感出来た。


でも、こんな状態になってインデックスをかなり不安にさせてしまったみたいだな。

インデックス「と、とうま……なの?」


信じられないとでもいいたそうにインデックスが訊ねてくる。


正直上条さんには何のことだか意味がわからない。


上条「ああ当然!正真正銘……魔法使いの上条当麻だ。心配かけて悪かったな、壮大な夫婦喧嘩に巻き込まれててんやわんやだったんだ」


とはいえこれ以上心配させちゃいけないなと思って、出来るだけの笑顔を見せてみた。


のだが……


インデックス「ぅぇ……ぅぅ、うえぇえぇえええぇぇ!!」


上条「ちょま!?なんでそんな号泣!?」


インデックスの涙腺ダムが決壊。


遠吠えのように泣きじゃくり始めてしまった。


わからんわからんなんでなの。


インデックス「だって、だってもう目覚めないかもって……うぅううううう、とうまぁあー!!」


本当によくわからないが、まあ、とりあえず今は抱き付いてきたこの泣き虫さんを救えた温かさでも堪能することにしよう。


話なら、あとでいくらでも出来るんだからな。


それから、数日後。

結論としてインデックスは俺の家に居候することになった。


そこに行き着くまでには色々な人物の様々な思惑があっただろうし、今もそれは俺たちの知らないところで蠢いているのかもしれない。


けど、今インデックスは確かにここにいて、無邪気に笑っている。


俺にとって大切なことはそれだけだ。


ステイル「モノはとても美味しいが君のせいで味が落ちているような気がする。というわけで帰ってくれないか?」


小萌「こらまたそんなこと言って……いけませんよステイルちゃん」


インデックス「ふぁ~!これもあれもそれもどれも美味しいんだよ!」


神裂「そうですね、しかしこのマヨネーズのドーナツはちょっと……」


削板「なんだと!?マヨネーズの良さがわからんとは根性が足りんな!!」


青ピ「僕は特別マヨネーズが好きなわけやないけど~こない美人なお姉さんが白いもので口元汚してるのはなかなかそそるものがありますねえ」


御坂「悪いわねー私たちまで一緒させてもらちゃって」


佐天「ほ、本当にいいんですか御坂さん?私たちこの人と初対面なのに」


初春「そ、そうですよ、それにあの人苦笑いで尋常じゃない量の汗かいてますよ!?」


白井「いいんですのよ初春、殿方ならばこれくらいの甲斐性みせてもらいませんと」


そして、俺は約束通りインデックス達を例の美味いドーナツの店に連れて来ていた。


来たんだけどね……

店長「ねえねえ上条くーん?これ君支払い出来るのかしらぁ?」


上条「おおおおおおおちつけまだあわわわわてる時間じゃないはずだちょちょちょちょちょちょっとそこのコンビニでお金下ろして来てもいいいいいいいですかね店長さんんんんん!!」


店長「まあいいケド……大変ねぇ」


なんで全部俺がおごることになってんですか。


しかもなんだ、後半四人に至っては何で俺が奢ってやらないといけないのか全く意味わからんぞ。


みこっちゃんはレベル5なんだからむしろ俺に奢ってよ。


そんなことを思いながら、俺は信号を渡った先にあるコンビニに駆け込んでお金を引き下ろす。


ただでさえ少ない貯金なのにこれからどうやって生活していけというのか。


家にはもう一人よく食べる居候がいるんですよ全く。


次に奨学金が振り込まれる日にちを脳内カレンダーから思い出しつつ、多めに下ろしたお金が入ったサイフを落とすまいとしっかり持って俺はみんなのところに戻った。


インデックス「とうまとうま!」


すると、今の今までドーナツに夢中だったインデックスが俺を見つけて駆け寄って来る。口元にいっぱい砂糖やらなんやらをつけて。


上条「なんだ?」


インデックス「ありがとう!やっぱりとうまは私のヒーローなんだよ!」


インデックスがニコッと笑ってそう言った。


その笑顔が、いつかの母さんのものとダブる。


上条「ぷっ、くくくく……あ、あのなあ、そういうセリフはもっといい場面で言えよ。少なくとも口元綺麗な状態でさあ」


なあ、母さん。


俺は、たぶんこの先も色々と不幸だけどさ。


インデックス「あぅ!?今思いついたからそこまで考えてなかったんだよ。というかこっちみないで欲しいかも~!」


それでも、俺はやっぱり【幸せ】なんだと思うよ。


こんな笑顔を見られるんだから。


俺は、誰かの希望(ヒーロー)になれるんだから。


インデックス「も~笑わないでよぉ!!とうまのバカー!!」


だから、俺はこれからも戦い続けるよ。


彼女の、みんなのヒーローとして。




おしまい

……ふぅ

これで完結です


なんか
ここは終わった報告しないといけないんですよね

ちょっと練習させてください
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