春香「私がアイドルだから」 (605)


私は765プロのみんなが嫌い

歌が上手い千早ちゃんが嫌い

真面目にやればなんでもできる美希が嫌い

綺麗で可愛くい貴音さんが嫌い

みんな嫌い

可愛くて、優しくて、気が利いて……

スタイルだって悪くない。それなのに自分をダメだという雪歩が大嫌い

大嫌い。

みんな、みんな嫌い

自分を普通だといえるみんなが大嫌い

天才だから普通って言える

普通は普通だなんて言えない

普通はダメとしか言えないのに。

私にはない特別を持つみんなが――大嫌い

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みんなからの評価が普通である私でも、

アイドルというものになれてしまう

ううん、なれてしまった

そこまでに必死な努力があった

だけど、それだけ。

努力をしただけでアイドルという、

女の子にとっては特別なものになれた

普通の私が。

だから私は学校では特別

男子はアイドルというだけでなんやかんやと寄ってくる

でも、女子は違う。

羨ましいとか、すごいとか、

尊敬している気持ちなんて欠片もない

『なんでアンタみたいなのがアイドルなの』

と、妬まれ、恨まれ、憎まれ、嫌われる

私がアイドルだから。

だから私は学校でも特別

一人孤立する虐められる少女という特別

仲良かった子はもう仲が悪い

仲良くなかった子も仲が悪い

学校に私の居場所はない

学校には――私にとっての光は欠片もない


「っ!」

トイレという、学校の中でもそうでなくても汚い場所で、

私は転んだ。

違う、倒された

「春香ちゃん。あざときたなーい!」

「あははっ、トイレでもドジっ子アピールお疲れ様でーす!」

立ち上がろうとすると、

制服からポタポタと水が滴る

「………………」

わざわざ私が来るのを調べて、

わざわざ床を水浸しにしてくれて

本当にありがとう。面倒くさかったよね

なんて心の中で皮肉ぶる

「えへへ、つい」

「気をつけてよ。まったく」

彼女達は去っていく

教科書は大丈夫かなぁ

中断


小鳥「っていう妄想をーー」

P「社長、この人クビで」

高木「準備はしておいたよ」つ解雇状

小鳥「ピヨォォォォォォォォッ!」


「ふふっ安心してよ。カニバリズムな趣味は無いし、こんな奴を春香ちゃんには食べさせられないよ」

「え?」

冗談にしては雰囲気に余裕がなかった

迫真の演技というレベルではない。

本気でやろうとしているという恐怖があった

もちろん、彼女ならやりかねないという恐怖観念によって、

雰囲気の危険度が増長させられたからかもしれないけど。

「安心した?」

「っ……でも、やよいをここに連れてきたってことは」

「うん、この子も帰れない」

そこでにこっと笑う彼女はやはり狂っていると思う

……正直なところ、私自身の常識さえも滅茶苦茶にされそうで怖い

もうすでに壊れてしまっているかもしれないけど……


「春香ちゃんが悪いんだよ? やよいの料理が食べたいだなんて言うから」

「そんな望み叶えるくらいなら私を帰して! もうこんなことやめて!」

「それは無理だよ。ダメだよ」

彼女は感情を宿すことなくそう言うと、

やよいを見下ろした

「……さて」

彼女の足が振り上がっていく

「や……ダメ!」

「起こさないとダメでしょ?」

それはサッカーボールを蹴るようになめらかに。

優しさも、手加減も、何一つなく

力のみが込められた蹴りだった

「あ゛っ!?」

「起きてよ、ほら。早く。今すぐ。春香ちゃんがアンタの料理を待ってるんだから――さッ!」

彼女は2度、3度とお腹を蹴り上げる

「うぇっ……えふっ……あぁ……っ」

縛られた体を丸くし、呻くやよいを私は見ていることしかできない

それが私の心と精神を更に追い詰めていく


「……やよい。見ないで」

「は、春香……さん?」

行方不明だった私が、

全裸で手を吊り上げられているのだから、

やよいが驚くのも無理はない

恥ずかしくて顔が赤くなる。

だというのに、体を隠すことなんて一切できない私は、

ただ顔を背けるだけだった

「どうして、こんな……痛っ!」

「綺麗だよね? 見とれちゃうよね? でもさ、アンタは今すぐやるべきことがあるんだよ?」

彼女はやよいの髪を引っ掴み、

キッチンへと連れて行く

見えないキッチンから鈍い音が聞こえ、

やよいの痛そうなうめき声がそれに続いて耳に響く

「止めて、やよいを傷つけないで! お願い!」

「ふふっ大丈夫だよ。この子が忠実ならね」

彼女の声は嬉しそうで、楽しそうで、

私には塵ほどにも大丈夫だと思うことはできなかった


やがて戻ってきたやよいは、

「えへ……へ……」

ガタガタと体を震わせながら、笑顔で食事を運ぶ

もちろん、喜楽の感情での笑顔ではないことは、

やよいの服の乱れと片頬の痛々しい赤さが物語っていた

「春香ちゃんについて少しうるさいから教育してて遅くなっちゃった。ごめんね?」

「教育って……」

そんな生易しいものじゃない。

虐待とか、そういうレベルの……

「だ、大丈夫、で、です……は、るかさん」

やよいはそう言って微笑むと、

ゆっくりとしゃがみ、床へと料理をおいた

「……ご飯だよ?」

ジャラッという音と共に私の体は床に崩れ落ちてしまう

私のせいでやよいが悲惨な目に合うことになってしまったということが、

私の精神と心を大きく抉る

立つ気力など、食べる気力など。湧くわけがなかった


「ほら、やよいに見せてあげて? 春香ちゃんの良い姿」

「っ……嫌」

あんな醜態を晒すなんて嫌だった。

でもそれ以上に、

やよいの目の前で彼女に従順に従う自分の姿を見せたくなかった

「せっかくやよいが作ったんだけど……っていうか、要らないならこの子もいらないよね?」

「え?」

「ぁ……」

再び縛られて動けないやよいはうつ伏せの形で床に押し倒され、

俯く私とやよいの視線がぶつかった

「包丁でいいかな」

いつも携帯しているのか、

赤黒い汚れを残す包丁を彼女はやよいの喉元に押し当て笑う

「どうする? 春香ちゃん」

「は、春香さん……無理する必要はないかなーって……」

やよいの空元気な微笑み

醜態を晒すか、やよいを死なせるか

選択肢と呼べるようなものはなく、私は犬のように料理へと口をつけた


「は、春香さんっ!」

「ふふふっ、どう? やよい。綺麗だよね? 可愛いよね?」

彼女たちにお尻を向けているせいで表情は見えない

けれど、彼女は狂った笑顔なんだろうと簡単に想像できた

「最低です……春香さんが何したんですか!?」

「ううん、何もしてないよ?」

「ならどうして……」

「好きだから。どうしようもないほどに愛してるから」

彼女に対して、やよいは私のために強く言い放つ

「好きなら。愛してるなら。春香さんを不幸にはしないはずです!」

「大丈夫、いずれ幸せになれるから」

「え?」

「ひっ!?」

会話が途切れたと思えば、

私のお尻に誰かの……いや、彼女の手が触れた


「や、止めて!」

そう怒鳴ると、彼女は簡単に手を離してくれた

「ふふっまたあとで」

彼女の言葉は私の心を大きく揺さぶる

またあんな醜態をさらさせられる?

やよいの目の前で狂わされる?

口での反抗は惨めなだけでしかない

私が押し黙ると、

彼女はまた「ふふっ」と笑いをこぼした

「春香さんになにを……」

「あとでやよいにも見せてあげるし」

そのあとに続いた言葉は、

絶対に許したくないような言葉だった

「ちゃんと、シてあげるから」


どんなにゆっくり食べたとしても、

時間が経てば食べ終わってしまう

「はい、食べ終わったね?」

「っ………」

私が先延ばしにしようとゆっくり食べていたことは明白。

彼女は特に怒る素振りもなく言っているけれど、

言葉に刺があるように感じてしまう

「さて、貴女も一応つけようね?」

「あ……ぅ……」

私と同じような首輪をやよいに付けると、

逃げられないように天井の輪っかと鎖で繋いだ

「やよい……ごめん」

「春香さんは何も悪くないですっ 全部この人が」

「それは違うよ。私が悪いんじゃなく、私が異常にならなければいけなかった世界が悪いんだよ」

彼女は私のリードを握り、それをやよいへと渡す

「立たせて」

「え?」

「思いっきり引っ張れば吊り上げられるから」

私を吊り上げるという行いを、

彼女はやよいにやらせるつもりなのだ


「そ、そんなことできな――」

「立たせてって私は言ったんだよ?」

「でもっ」

「だからさ……」

彼女は呆れたため息をつき、やよいの頬を引っぱたく

唖然と頬を抑えたやよいは彼女と視線を戻した

「ぁ……」

元気と明るさが取り柄というやよいであっても、

まだ中学生であり、さっきの暴行の恐怖もあって涙を溜め込んでいた

「やれって言ったらやって?」

「ぅ……うぅっ……」

震える手で鎖を持ちながら、やよいは私を見つめてくる

許可が欲しいのかもしれない。

そう思った私はいつものように微笑み、小さく頷いた

こんなことになったのは私のせいだ

最低で、最悪だ……ごめんね、やよい

ゆっくりと吊り上げられていく私に、

やよいはちいさく「ごめんなさい」と呟いた


「今日はもう派手にやったし、軽いので我慢しておくね?」

「貴女の軽いが私たちの軽いとは限らないよ」

「ふふっ、そうだね」

大丈夫。

あの溜まりに溜まったものは解放した

だから軽いなら耐えられる。

ううん、耐えてみせる。

やよいの前でこれ以上醜態晒すなんて嫌だから

「それじゃぁやよい。ちゃんと見ててね?」

「は、はぃ……」

彼女の後ろでやよいが私たちを見つめる

今になって思うことだけれど、

彼女はキスが好きなのかもしれない

今回も初手はキスだった

どこまでも全能感に満ち溢れていて頑なに警察を頼ろうとしないあたり完全にイカれてる
ヒーローじゃあるまいし助けに行っても自分には何もできないばかりか足手まといになることは分かりきっているんだからさ

だいたい伊織は取り巻きに助けてもらうか同行してもらえばよかったじゃん
雪歩の家は建設会社という描写があったからてっきりヤクザ路線では進めないものだと思い込んじゃったし
面子を最も大事にするヤクザが一人の少女ごときにコケにされる描写もおかしい

たとえ頭が人質になろうと暴力団ならメンツを最優先するはず
でなければ九州で抗争なんぞ起きてない

>>553
そう思うんなら、お前が「全能感に溢れていなくて警察も頼るイカれてないアイドル」とか「メンツを最優先にするヤクザ」が出て来るss書けばいいんじゃねえの?
フィクションなんだから多少設定が間違ってたり話の流れがおかしかったとしても、面白けりゃいいんだよ


ていうか、「続きキター」と思って開いたらお前のつまらん屁理屈だったとか超萎えるんですけどww
早急に謝罪と賠償を要求するニダ


彼女は中学まではごく普通かつ、平凡な家庭だったが、

中学1年の時に父親が会社をクビになったことで家庭崩壊

酒浸りになった父親によって母親と共に暴力を振るわれ続け半年

そして、父親の代わりに仕事をしていた母親が過労に加えて過度の暴力により死亡

その結果……父親は借金をすることでお金を作り豪遊

そして酔って車道に飛び出し――死亡

そこからがもっと最悪だった

彼女の地獄はむしろそこからなのだから

「…………」

仕事のない人間にお金を貸すなんて裏の人間しかいない

そして当然、そんな人たちにとっては相手が死んでも関係なく、

母親がいるなら母親にいき、娘がいるなら……娘に行く

「……中学の欠席数増加、成績の急激な低下」

表面ではそう書かれているが、裏の事情は酷かった

借金返済のための強制的な身売り

学校に行くことさえもままならず、朝から晩まで相手をさせられていた……ね

その結果、彼女は心身ともに壊れていって借金取り、及び相手の男性を殺害

精神障害および、彼女の経歴から罪は減刑され、

3年の更生期間と学習期間を経て、人との接触が少ないだろう春香の地元でひっそりと学校に通うことになった……と

上記のことは殺人で捕まった際に当人から直接話を聞いた担当女性からの情報らしい。

まるでどこかのドラマみたいな展開

……だけど、笑うようなものでもない


春香曰く『あの子は死ぬことを考えてた』らしい

これだけの壮絶な人生を生き抜いてなお、

生きていたというのになんで?

経験していない私には到底計り知れないけど……でも

彼女は『特別』になりたかったわけではなく、

むしろ、普通が良かったのかもしれない

だからこそ、普通である春香を。

普通でありながらアイドルという女子にとっての特別に足を踏み入れた春香を。

彼女は狙ったのかもしれない

「…………何も言えないわね。何も」

貴音は奇跡的に後遺症もなく、普通にアイドルに復帰し、

春香とやよいも両親の反対を押し切って復帰した

だけど、春香もやよいも心身共に受けた傷は小さくなく、

春香は現在、高槻家に住み込み、

春香とやよいは片時も離れることなく一緒にいる

『一度壊れたものに完璧な修復などなく、脆く儚い過去の模造品でしかないのです』

その貴音の言葉は、春香とやよいを見ての言葉

……私達は元に戻ったように見えるだけで、

いつ崩壊するかも解らない恐怖に私達は怯え続けなければいけない。ということなのかしら

そう聞いても貴音は答えてはくれなかった


終わりです

ただ春香が虐められるSSを書くはずだったのに、1日2日で書ききらなかったせいでおかしくなった



申し訳なかったと反省してます。はい

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