アルミン「シンデレラ」(30)

アルミン『昔々ある所に、シンデレラという美しい娘がおりました』

サシャ「シンデレラ!シンデレラー!」

クリスタ「なんでしょうか。サシャ姉様」

サシャ「なんですかこれは!全く掃除がなってませんよ!やり直しです!」

クリスタ「すいません……」

ベルトルト「シンデレラー!ちょっとこっちへ来なさい!!」

クリスタ「!?」

ベルトルト「洗濯が出来てないじゃないの!早くしなさい!」

クリスタ「は、はい。すみませんベル姉様……」

ベルトルト「さっさとしなさい!」

クリスタ「はい……」

ライナー「シンデレラァァァァァ!!!!」

クリスタ「!?」

サシャ「お母様よ!」

ベルトルト「ライナーお母様がいらっしゃったわ!」

クリスタ「何この人選……」

アルミン『シンデレラは意地悪な継母と姉にいじめられていました』

クリスタ「女の子が一人しかいないんだけど」

ライナー「大丈夫よ。見てこの上腕二頭筋」ムキッ

クリスタ「意味がわからない」

ライナー「シンデレラ。私たちはこれから出かけてきます。掃除と洗濯をやっておくのですよ」

クリスタ「分かりました……ライナーお母様……」

アルミン『雑用を申し付けられたシンデレラは、早速作業に取り掛かりました』

クリスタ「とりあえずお掃除からやろうかな」

クリスタ「はぁ……」

アルミン『シンデレラはボロボロの服を与えられ、辛い仕事を押し付けられていましたが、強く生きていました』

クリスタ「頑張れ私。大丈夫。やっていける。だって私は美しいもの」

アルミン『シンデレラはちょっと自尊心の高い性格でした』

アルミン『ある時、お城の王子様がお嫁さんを選ぶ為の舞踏会が開かれることになりました』

ベルトルト「お母様!私達のところにもお誘いが届きましたわ!」

サシャ「行きましょう行きましょう!」

ライナー「あら。私も誘われてるわ。未亡人だからセーフよね。結婚しよ」

クリスタ「わあ。私も行きたいです!」

サシャ「ダメ!シンデレラはお留守番です!」

クリスタ「えー!」

ベルトルト「まぁ家を空っぽにするのは防犯上ね」

ライナー「そうそう。この家鍵付いてないし」

クリスタ「鍵どころかハリボテでしょこの家!」

ライナー「ハハハ。大丈夫大丈夫」

クリスタ「大丈夫じゃないよ!せめてセコムつけて!」

サシャ「シンデレラー。髪結んでくださーい」

クリスタ「サシャ姉様自分でやってくださいよ」

ライナー「シンデレラー。私もー」

ベルトルト「あ、じゃあ私も」

クリスタ「どこをどう結ぶの……」

ライナー「この……うなじの辺りを」

アルミン『ブーブー言いつつもなんだかんだシンデレラは支度をしてあげました』

アルミン『シンデレラは母と姉を送り出したあと、途方に暮れていました』

クリスタ「あーん。私も行きたかったなあ」

クリスタ「かっこいい王子様と美しい私……絵になっただろうになあ」

アルミン『シンデレラはちょっと唯我独尊気味な性格でした』

クリスタ「私はこのボロ家で待つしか無いのね……」

クリスタ「お城に行こうにも、こんな格好じゃ……」

クリスタ「うう……可哀想な私……」シクシク

アルミン『シンデレラが悲壮感に酔っていたその時でした』

ミカサ「泣かないでシンデレラ」

クリスタ「だ、誰!?」

ミカサ「私は魔法使い……魔女だったっけ?」

クリスタ「不審者ー!不審者がいるー!」

ミカサ「落ち着いてシンデレラ」

クリスタ「だから鍵つけといてって言ったのにー!セコムー!セコムの人ー!」

ミカサ「落ち着いてって言ったでしょ……」ガッシィ

クリスタ「ちょ、ごめんなさいミカサ……アドリブ入れてみただけだから……頭掴んで徐々に力込めるのやめて」

アルミン『魔女のミカサが現れました』

ミカサ「あなたはいつも頑張っている。とても。ので、舞踏会に行かせてあげよう。行け」

クリスタ「本当に?」

ミカサ「もちろん。ではまず馬車を用意しよう」

クリスタ「わーい」

ミカサ「えーと、そこのカボチャで良いか」

ミカサ「それ。キョジーン・クチーク・イッピキノコラーズ」シャランラー

アルミン『魔女のお婆さんが杖を一振りすると、カボチャが立派な馬車になりました』

ミカサ「魔女のお姉さん」

アルミン『魔女のお姉さんが』

ミカサ「ん」

クリスタ「わあー!すごい!」

ミカサ「次は馬車を引く馬を用意しよう。では今度はあのネズミを」

ミカサ「そーれ。ナンノ・セーカモ・エラレマセンデシター」シャランラー

ジャン「ヒヒーン……またこんな役回りかよ……」

アルミン『魔女のお姉さんが杖を一振りすると、今度はネズミが馬になりました』

クリスタ「わー……ジャンだー……」

ジャン「文句ありげだが、一番文句言いたいのは俺だからな」

ミカサ「では最後にそのばっちい服を」

ミカサ「ほい」シャランラー

アルミン『魔女のお姉さんが適当に杖を一振りすると、ばっちい服が綺麗なドレスになりました』

クリスタ「すごーい!完璧だよ!」

ジャン「御者は?」

ミカサ「ジャンが一人で馬車を引いていくからいらない」

ジャン「そうかよ……」

ミカサ「その魔法は12時に解けるから注意」

クリスタ「はーい」

ミカサ「あ、あとこれも。ガラスの靴」

クリスタ「重要なアイテムだもんね」

ジャン「今それを言うのか?」

アルミン『重大なネタバレをしつつ、シンデレラはお城へと向かいました』

ジャン「ぐおおおお……!」ガラガラ

クリスタ「ジャン大丈夫……?」ガタゴト

ジャン「これはなかなかの重労働だ……!」ガラガラ

クリスタ「頑張ってジャン!あと少しだから!」

ジャン「ぬううう……!!」

アルミン『ジャン、時間ちょっと押してるからもう少し急いで』

ジャン「お前いい加減にしろよ!」

アルミン『頑張ったらきっとミカサも見直すよ』

ジャン「今この場にいねえんじゃアピールにならんだろうが!」

アルミン『ミカサならずっと馬車に乗ってるよ』

ジャン「うそぉ!?」クルリ

ミカサ「ずっといた」ガタゴト

ジャン「通りで!クリスタ一人分にしちゃやたら重いなと思ってたんだよ!!」

アルミン『さあ歩いて歩いて』

ジャン「ぬおおおお……!!」ガラガラ

アルミン『さぁなんだかんだでお城に到着しました』

ジャン「はぁー……はぁー……ついたぞ……」ゼエゼエ

クリスタ「お、お疲れ様ジャン……」

ジャン「はよ行ってこい……」

クリスタ「う、うん」タタタ

ミカサ「ジャン、ありがとう。お疲れ様」

ジャン「ミ、ミカサ……!」

ジャン(生きててよかった)

アルミン『(ジャンちょろいな……)』

アルミン『さて、所変わってお城の中。現在舞踏会の真っ最中です』

ライナー「フフ……御覧なさい。皆が私を見ているわ」

ベルトルト「流石ですライナーお母様」

サシャ「ドレス着たマッチョがいたら誰だって見ますよ」

アルミン『せっかくの舞踏会なのに、王子様は浮かない顔でした』

ユミル「はぁ……」

エレン「ユミル王子」

コニー「随分乗り気じゃねえな」

ユミル「おう……なんだ下僕共」

コニー「下僕じゃねえ。近衛兵だ」

エレン「なにため息なんてついてんだ」

ユミル「お前らあれが見えねえのか」

コニー「サシャが見えるな」

エレン「着飾ればあいつもなかなかだな」

ユミル「そっちじゃねえよ!芋女の横にいるあの二体の気持ち悪い生物だよ!」

コニー「俺には何も見えん」

エレン「俺もだ」

ユミル「あまりの事態に脳が受付を拒否したか……」

ユミル「とにかく、嫁探しなのにあんなクリーチャーが来りゃ乗り気にもならねえよ」

エレン「ハハハ。嫁って言ってもお前女じゃん」

コニー「大丈夫か?ブスこじらせたか?」

ユミル「お前ら極刑にすんぞ」

アルミン『二人の尊い命が消えようとしていたその時でした』

クリスタ「たのもおおおおおう!!」バァァン!

アルミン『颯爽とシンデレラが登場しました』

コニー「お、きたぞ」

エレン「主役の登場だ」

ライナー「あ、あれは!」

ベルトルト「いったい誰なんだー!」

サシャ「おー。クリスタ綺麗ですねえ」

アルミン『美しいシンデレラの登場に会場がにわかに喚き立ちます』

ユミル「あれだ!あれ!あれ嫁にすんぞ!絶対あの子嫁にする!」

エレン「落ち着けバカ王子」

クリスタ「えーと王子様はどこかな……」キョロキョロ

ユミル「私を探してる!ちょっと行ってくる!」ダッ

コニー「がんばれよー」

ユミル「そこの美しいお嬢さーん!」

クリスタ「はいなんでしょうか!」

アルミン『シンデレラは美しいという単語にノータイムで反応しました』

ユミル「一曲踊っていただけますか?」

クリスタ「喜んで!ユミル似合ってるね!」

ユミル(結婚しよ)

アルミン『シンデレラと王子はつかの間の幸せな時間を噛み締めました』

アルミン『しかしその時、無情にも12時の鐘が鳴り響きました』

クリスタ「あ!12時の鐘が!私帰ります!」ダッ

ユミル「そんな!待って下さい!」

クリスタ「門限あるので!」

ユミル「門限かあ……」

アルミン『魔法が解けると元のばっちい服に戻ってしまいます。シンデレラは急いで帰ります』

クリスタ「急げ急げー!あ、階段にこのガラスの靴をおいて、と」

アルミン『狡猾なシンデレラは応じが後で自分を追えるようにガラスの靴を置いていきました』

クリスタ「これでよし!ジャーン!ミカサー!」

ジャン「あ、帰ってきた」

ミカサ「おかえりなさい。どうだった?」

クリスタ「完璧!」

ミカサ「では帰ろう。ジャン」

ジャン「また俺が引いていくのかよ!」

アルミン『一行はえっちらおっちら元の家に帰りました』

ユミル「行ってしまった……」

ユミル「あ、あれは……!」

アルミン『一方王子はシンデレラの残していったガラスの靴を発見していました』

ユミル「間違いない!彼女のものだ!これを使って探しだすぞ!」

コニー「冷静に考えると気持ち悪いなこの王子」

エレン「執念っていうのか?そういうのが凄いよな」

ユミル「うるせえな!」

アルミン『気持ち悪い王子は翌日からガラスの靴の持ち主探しを始めました』

アルミン『噂はたちまち町に広がり、大騒ぎになりました』

ミーナ「ねえねえ。なんでもあの靴が履けたら王子のお嫁さんになれるんだってさ」

アニ「興味ないよ」

マルコ「またまたアニったらー」

アニ「!?」

アルミン『町娘たちはこぞってその靴を履こうとしました』

コニー「はい次の人ー」

ミーナ「はーい!よろしくお願いしまーす!」

ミーナ「よいしょ……は、履けない……!」

エレン「はいありがとうございましたー。次の人ー」

ミーナ「しょぼん……」トボトボ

マルコ「次は私が」

コニー「お前帰れ」

マルコ「そんな!」

コニー「なんでお前が町娘なんだよ!」

マルコ「知らないけど、与えられた役はキッチリこなすよ」

ジャン「お前損な性格してるなあ」

エレン「あ、ジャンだ。お前また動物役かよ」

コニー「似合ってんぞ」

ジャン「うるせえ!」

アルミン『しかし、なかなか合う娘は現れませんでした』

ユミル「もうわかってるんだから一発でクリスタの家に行こうぜ」

アルミン『そういう話の筋だから仕方ないの』

サシャ「あ、あそこですよお母様」

ライナー「あれが履ければ玉の輿よ!」

ベルトルト「負けられないわねお母様!」

サシャ「ではまず私が」

コニー「ほれ」スッ

サシャ「よいしょ……入りません」

エレン「オッケー。帰れ」

サシャ「雑過ぎないですか!?」

ライナー「では次はこの私が」

ユミル「お前ら二人は論外だ。帰れ」

ライナー「そんな!」

ベルトルト「酷いよ!」

クリスタ「じゃあ次は私が」

ユミル「きたぁ!」ガタッ

コニー「アホ王子まだはえぇよ」

アルミン『シンデレラがガラスの靴へ足を入れると、見事にピッタリ一致しました』

ユミル「決定ー!嫁決定ー!」

ライナー「そんな!あのシンデレラが!おめでとー!」

ベルトルト「おめでとー!」

サシャ「お祝いに美味しいもの食べに行きましょう!」

ユミル「お嬢さん、お名前は?」

クリスタ「シンデレラと言います」

ユミル「ではシンデレラ。私と結婚しよ」

クリスタ「喜んで!」

アルミン『シンデレラは見事玉の輿に乗ったのでした』

ミーナ「わー!おめでとー!」

アニ「おめでとー」

マルコ「国をあげてのお祝いよー!」

ジャン「もうお前その口調やめろ……」

ミカサ「おめでとー」シャランラー

エレン「ミカサ!お前魔法の垂れ流しはやめろ!」

サシャ「ぎゃああ!!コニーが芋になりましたよ!」

ライナー「晩餐会にでも出すか」

ベルトルト「それはどうだろう……」

アニ「ろくなもんじゃないね」

ユミル「シンデレラ、なにか欲しいものはあるかい?なんでも買ってあげるぞ!」

クリスタ「え!えーと……じゃあ……」

クリスタ「家にセコムつけて下さい」



めでたしめでたし

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