安価とコンマで異世界転生!その11 (323) 【現行スレ】
~前回までのあらすじ~
異世界に転生した男は仲間を募り、
世界を救うことを目標に行動する
仲間が突如救世主や魔王の力に目覚めたり、
彼も多くの神を奉ずる教団を創立したりしているが、実際に神の奇跡を代行することができる
大魔王ベリアルの配下によって産み出された人形の少女を生者にしようもフェニックスの稚児の肉を食べさせた所、不死鳥の力を手に入れてめちゃくちゃ明るくなった
現在はフェニックスの素材を手に入れるために、
極北にある『不死鳥の尖塔』を登っている
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極北「そうだ、言い忘れたことがあって……」
男「なんだよ!?」
またオーロラがかかってそれは現れた
いちいち演出が入るのが、
一行は逆に鬱陶しくなってきた
極北「ここ、少し明るくなってきただろう?」
中華「そ、そうだね……」
本日はここまでです
ありがとうございました
その存在の指す通りだった
二階に登ってきたときにやや明るくなっていたと一行は思っていたが、そのときよりもさらに建物が明るくなっている
氷魔「……ですが……ここまで明るかったでしょうか……?」
極光「オーロラが差す度に、少しずつこの塔は明るくなっていく」
やる気「つまり、あんたが現れると明るくなっていくってことっすね」
極光「そうなるね」
ぶりっ子「でも、それそのものの理由が分からないですねぇ」
極光「だろうね」
炎魔「それも、いずれ分かると言うんでしょう?」
極光「よく分かってるじゃないか。……では、またね」
そして、いつものようにその姿を消した
狙撃少女「……まぁ、暗いよりはよくなっている気分がしますけれど」
男「そうだな。周りも見やすくなってきてるし、どんどん行こう」
>>下1コンマ……探索判定
1~30……階段発見
31~60……魔物出現
61~80……トレジャー!
それ以上……!?
本日はここまでです
ありがとうございました
リロールです!
中華「でも、あれだよね」
氷魔「……なんですか……?」
中華「どんどん明るくなるんだったら、いつか眩しくてなにも見えなくなっちゃいそう」
やる気「あー、それはあるかもしれないっすね」
ぶりっ子「炎魔さぁん、熱感知とかでレーダーできませんかぁ?」
炎魔「ふっふっふ……流石に無理!」
>>下1コンマ……探索判定
1~25……大階段発見
26~50……極光カウンター+2
51~75……レアトレジャー!
それ以上……!?
!?
突如地鳴りのような音がする
何事かと一行は周囲を確認するが、
なにか特別な変化が生じた様子はない
怪盗「ま……魔物でしょうか?」
狙撃少女「だとしたら最悪ですが……気配は今のところありませんね」
男「いつもダンジョンアタックはうまく行っていたが……今回は波乱に満ちているな」
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「底力が重要だね」
氷魔「……そうですね……それと……」
やる気「なんすか?」
氷魔「……恐らく……先程の振動は……地形の変化によるものですね……」
彼女は自身の魔力感知能力でそれを感じていた
そして、それができる者はもう一人いる
炎魔「私もそう思います」
>>下1コンマ……探索判定
1~20……大階段発見
21~40……極光カウンター+2
41~60……魔物出現
61~80……レアトレジャー!
それ以上……!?
ぶりっ子「でっか!」
巨大神殿の入り口かと思うほどの巨大な階段が、
突如として見えたのだ
怪盗「これで、大分頂上に近付けそうですね」
狙撃少女「運が向いてきたかもしれませんね」
段数も尋常ではなかったが、
それを苦にする者はいなかった
遠くから見れば坂のようなそれを登り切り、
辿り着いたのはやはり塔の内部だった
男「流石に、まだゴールじゃないか」
中華「そうだねぇ」
氷魔「……おや……」
彼女が振り返ると、一行も振り返る
そこにあったはずの大階段はなくなっており、
通常の階段のみがそこにはあった
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「……ま、いいっす。どのみち進むしかないっすからね」
ぶりっ子「そうですねぇ。どんどん行きましょう」
来た頃とはすっかり様変わりして、
いやに明るくなった無機質なダンジョンを、
確実に前進していくのであった
>>下1コンマ……探索判定
1~20……大階段発見
21~40……極光カウンター+2
41~60……魔物出現
61~80……レアトレジャー!
それ以上……!?
突風が突如として一行を襲う
その風に乗って、流動するオーロラが吹き付ける
怪盗「な、なんです!?」
狙撃少女「まさか、奴が……?」
猛烈なそれが過ぎ去る頃に、それは現れた
虹鳥「………………」
炎魔「不死鳥……?いや、違う!」
それは大きな鳥の姿をしていたが、
不死鳥のように煌々とした炎を纏ってはいなかった
代わりに絢爛たる極彩色のオーロラを纏い、
仇なす者たちに睨みを利かせていた
虹鳥「クキキキキ……」
男「尋常ではない敵意を感じる……戦闘は避けられそうにないな」
中華「フェニックスの前哨戦ってことかな?美味し……面白そうだね」
本日はここまでです
ありがとうございました
怪盗の【素早さ】355
虹鳥の【素早さ】300
やる気「では、参るとしよう」
氷魔「……奴がどの程度物理に耐性があるかは未知数です……お気をつけて……」
ぶりっ子「よぉし、私もぶちかましますよぉ!」
怪盗「では、私も!」
三人は三者三様の武器を振るい、
おぼろげな鳥へ攻撃を仕掛ける
>>下1コンマ下一桁×21.5……連携攻撃のダメージ
107ダメージ!
やる気、ぶりっ子は2レベルアップ!
怪盗は3レベルアップ!
ぶりっ子の斬撃が虹鳥を苦しめ、
やる気のドリルのごとき槍がその身を刺し穿ち、
怪盗のハンマーが怯んだ敵を高速で吹き飛ばして壁に叩きつけた
虹鳥「キェーーッ!」
やる気「うむ、よい当たりだ」
怪盗「あいつ軽いですね、このハンマーがめちゃくちゃ効きますよ」
狙撃少女「……ふむ、あいつは炎が苦手そうですね」
炎魔「私の出番!と言いたい所ですが……邪な感じはしないので、私の炎じゃ倒せなさそうですね」
男「なら、俺だ」
狙撃少女「頼みますっ!」
彼女はそう言うと同時にパチンコを勢いよく引く
そして、その射線を通すように男は魔法を撃ち込む
男「上級炎魔法!」
狙撃少女「発射!」
弾は魔法と合わさり、燃え盛りながら鳥へ飛んでいく
>>下1コンマ下一桁×7.5……魔法射撃の威力
本日はここまでです
ありがとうございました
弱点属性(200%)!
120ダメージ!
男と狙撃少女は2レベルアップ!
流星のごとき橙色の弾が、軌跡を描いて虹鳥を貫いた
虹鳥「キェェ……!」
鳥そのものの肉体は燃え、纏っているオーロラも隅から焦げて失くなっていく
男「よし!完璧だっ!」
戦闘は終了したのでレベルアップ処理をします
今回も多いので本編と同時進行とします
中華「まさに狙撃手の活躍だったね」
狙撃少女「ありがとうございます。……少し、自信に繋がりました」
一行が安堵していると、死した虹鳥の死体が突如として発光する
氷魔「……なんですか……!?」
男が2レベルアップです
>>下1・2コンマ……男の成長
~男の成長テーブル~
01~20で筋力+3
21~40でHP+3
41~60でMP+3
61~80で素早さ+3
81~90で全能力+4
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
男の【HP】71【MP】120
その死体からオーロラの奔流が迸り、一行を包む
やる気「……ここは……?」
そこは、前に向かってオーロラの流れる空間
全方位をオーロラに囲まれ、足場すらもオーロラだ
極光「ふふふ……まずはおめでとう、と言っておこうか」
そして、オーロラの進む先にそれは現れた
わざとらしく大きな拍手をしている
やる気が2レベルアップです
また、レベル30になるので一度上のテーブルに移動します
>>下1・2……やる気の成長
~やる気青年の成長テーブル~
01~40で全能力+6
41~60で習得『ブレイブハート』
61~80で習得『看視の魔眼』
81~90で上記全て
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
~やる気青年の成長テーブル~
01~20で筋力+3
21~40でHP+3
41~60でMP+4
61~80で素早さ+4
81~90で全能力+5
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気の【HP】63
やる気は『ブレイブハート』を習得しました
精神干渉を無効化することができます
ぶりっ子「あなたがけしかけたんですか、あの鳥」
極光「おいおい、そう睨まないでほしいね……こちらとしては、善意で行ったのだから」
怪盗「思いっきり襲いかかってきましたよ!?」
極光「だね。……焦れったくなってしまってさ。もうこちらで全ての試練を代行してしまおうと考えたのさ」
狙撃少女「……ということは」
極光「オーロラの流れに沿って進むといい。面倒な探索は終わりだ、直接フェニックスに会えるよ」
ぶりっ子が2レベルアップしました
>>下1・2コンマ……ぶりっ子の成長
~ぶりっ子の成長テーブル~
01~20で筋力+3
21~40でHP+2
41~60でMP+5
61~80で素早さ+4
81~90で全能力+5
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
ぶりっ子の【HP】??+34【MP】150
そう言い残して、極光はオーロラの流れに吸い込まれて消えていった
男「……行くか」
中華「そうだね……ついにここまで来たんだね」
氷魔「……感慨に浸るのは……まだ早いですよ……」
やる気「そっすね!」
一行もまた、オーロラに従って光の中へ消えていくこととなる
怪盗が3レベルアップしました
>>下1・2コンマ……怪盗の成長
~怪盗の成長テーブル~
01~20で筋力+1
21~40でHP+1
41~60でMP+3
61~80で素早さ+5
81~90で全能力+3
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
怪盗の【筋力】121【MP】139
だんだんと視界を光が埋め尽くし、
それがついに穏やかな暗黒へと転じたとき、
塔の頂上へと辿り着いたということが分かる
ぶりっ子「寒い……空気薄い……」
炎魔「しょうがないですね、私が暖めてあげますよ」
怪盗「あ、私もお願いします」
狙撃少女がレベルアップしました
>>下1コンマ……怪盗の成長
>>下2コンマ……狙撃少女の成長
~怪盗の成長テーブル~
01~20で筋力+1
21~40でHP+1
41~60でMP+3
61~80で素早さ+5
81~90で全能力+3
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
~狙撃少女の成長テーブル~
01~20で筋力+5
21~40でHP+2
41~60でMP+5
61~80で素早さ+2
81~90で全能力+4
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
怪盗の【HP】??+2
狙撃少女の【素早さ】??+14
いつもの調子の三人をよそに、
狙撃少女は幻想的な空間を噛み締めていた
塔の中にあったようなものではない、
穏やかなオーロラが夜空に漂っている
狙撃少女「すごい場所に来ちゃいましたね」
男「ああ、そうだな……」
そう話していると、
突如として鳥の嘶きが聞こえてきた
本日はここまでです
ありがとうございました
夜空を焦がしながら、それは飛来する
燃え盛る深紅の体に、やはりオーロラを纏って、
巨躯の不死鳥が現れた
中華「こ、こいつが……」
氷魔「……フェニックス……ついに……ご対面ですか……」
それは大きく羽ばたくと、口を開いた
不死鳥「>>下1」
狙撃少女のレベルアップ処理が残っているので行います
>>下2コンマ……狙撃少女の成長
~狙撃少女の成長テーブル~
01~20で筋力+5
21~40でHP+2
41~60でMP+5
61~80で素早さ+2
81~90で全能力+4
それ以上またはゾロ目で何かが起こる
狙撃少女の【MP】148
不死鳥「定命の者よ退くがよい、これより先は神域である」
やる気「神域……?」
ぶりっ子「なんだか知りませんがぁ、この先に進むつもりはありませんよぉ」
不死鳥「ふん……どうだかな」
怪盗「私たちはあなたに用があって来たんですからね」
本日はここまでです
ありがとうございました
不死鳥「我に用とな……?」
話の最中、どこからともなく極光が現れた
極光「いかにも、その通りでございます」
不死鳥「ほう……何用だ?申してみよ」
狙撃少女「あなたの骨が必要なのです。それを用いて作られた武器が、大魔王を打倒するのに使えるとのことなので」
不死鳥「>>下1」
不死鳥「お前達にとって私の骨と同価値だと思う物をなんだ?それと交換にしよう」
そう、その炎の化身は告げた
男「……難しい問いだな」
中華「単純に考えても、世界を救いうるようなものでしょ?」
氷魔「……そんなものは……持っていないでしょうね……」
やる気「ってか、目の前に本人がいて、『これと同価値だ』なんて言いたかないっすね」
本日はここまでです
ありがとうございました
炎魔「私とか、どうですか?」
彼女はそう言い放って、不死鳥の前へと歩み出た
誰よりも前に立ってしまったため、
一行の誰も、彼女の表情を知ることはできない
不死鳥「……ほう」
炎魔「私にも不死鳥の力はありますし、純粋なそれではないにしても、骨と同じくらいのパワーはあるんじゃないかなぁ……って」
ぶりっ子「ちょっと、炎魔ちゃん!?」
炎魔「世界を救うなんて大それたこと、今はまだできませんけど」
不死鳥「………………」
炎魔「それはほら、将来への期待も込みってことで!」
怪盗「ダメです!そんなことしちゃいけませんから!」
狙撃少女「そうですよ、思い直すべきです」
男「そうはさせない!」
彼は炎魔の肩を掴み、引き戻す
そして、不安げなその顔を覗く
炎魔「私は、それでもいいんですよ。みなさんの役に立てれば」
男「俺が嫌だと言っているんだ。みんなもそうだ」
炎魔「………………」
男「フェニックス!もし魂を持っていくなら俺にしてくれ。……あとは、世界樹の露なら持っているぞ」
不死鳥「>>下1」
不死鳥「同価値出ない以上骨は渡さん」
と、フェニックスはきっぱりと言ってのけた
頑固なものだが、
後ろにいた仲間たちは胸を撫で下ろすこととなる
通っていれば、死人が出ていたのだから
中華「さて、どうしようか……」
氷魔「……私に案があります……」
やる気「お、なんすか!?」
本日はここまでです
ありがとうございました
氷魔「……なければ……作るのですよ……!」
ぶりっ子「ど、どうやってぇ?」
氷魔「……中華さん……料理をしましょう……!」
突然の提案だった
だが、もしかしたらやれるかもしれないという期待も一行によぎった
中華本人も、やや逡巡してから答えを出す
中華「分かった!やってみよう」
怪盗「幸運にも、肉はまだありますからね!」
中華「そういう訳で、どうですか?」
不死鳥「ヒトの料理で我を満足させると?」
中華「勘違いされては困りますね。僕はこう見えて神なんですよ」
不死鳥「ほう」
中華「あと救世主で……魔王でもありますよ」
不死鳥「つくづく強欲な奴め……ふん、いいだろう」
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「さて、キッチンはどうしますか?」
中華「そうだね……流石にキッチンがないと料理できないや」
まだ力が足りていないためか、あるいはそういうものなのか、神にも厨房は必要なようだ
極光「ご心配なく。手は打とう」
炎魔「本当ですか!?」
極光「>>下1」
1.厨房を造り出す
2.基地までのポータルを作る
3.自由安価
極光「厨房を造り出すことにしようか」
手をかざすと、突如塔の頂上に立方体の部屋が現れた
中を見ればそこは本格的な厨房であり、
一行が拠点としている館のものよりも豪華だ
男「すげぇ!」
極光「こちらとしても、君たちの料理に興味がある。行き倒れた人間の食料を漁っても、保存食か気持ち悪い鳥しか入っていないのでね」
中華「と、いっても……肉しか出せないけどね」
不死鳥「美味いものは美味い……バリエーションなど不要だ」
フェニックスはもしかしたら偏食をするタイプなのかもしれない、と男は思った
中華はそれを聞くと、そのまま料理の下準備を始めた
氷魔「……うまくいくと……いいですね……」
本日はここまでです
ありがとうございました
しばらく待てば、香ばしい匂いが漂ってくる
もう夜なのもあって、一行もみな腹が減っている
やる気「早く食べたいっすね」
ぶりっ子「そうですねぇ、これだけ動き回ったんだから、お肉食べても太りませんよねぇ?」
怪盗「きっとそうですよ!沢山食べましょう!」
中華「お待たせー」
彼は厨房からいつものように配膳カートに料理を乗せて出てきた
いつもと違うところといえば、
神格としての力を込めたからか、
料理がやや輝いていることぐらいだ
狙撃少女「早速食べましょうか……」
一行はみな迷わず食事を始め、
中華は完成した料理を一皿、フェニックスに捧げた
不死鳥はそれを神通力で取って、口に運ぶ
不死鳥「>>下1」
不死鳥「!!!」
突如フェニックスは目を見開き、
そのまま力なく倒れ込んだ
男「……え?」
極光「……ふむ、脈がないですね」
エネルギーの塊のごときその肉体に脈拍があるのかは分からなかったが、死んでいるようだ
そして、その肉体はだんだんと昇華されていく
中華「えっ、えっ、これダメなやつかな!?」
本日はここまでです
ありがとうございました
慌てる中華をよそに、
不死鳥の肉体はどんどん失くなっていく
極光「そういうわけで、ほら。どうやらうまくいったみたいだよ?」
極光が指差す先には、
死したフェニックスの骨と、一つの卵があった
氷魔「……なるほど……転生したのですね……」
中華「あ、そういうこと?よかったぁ……」
中華は不死鳥の骨を回収し、食卓に戻る
やる気「確かにこりゃ死ぬほど美味いっすね!」
中華「君も食べなよ。作ってあるからさ」
彼は極光に手招きする
極光「……そうだね。折角だしいただこう」
同じく食卓に着き、食器を手にする
肉料理を口に運ぶため、その外套が外される
>>下1……極光の素顔
その素顔や髪は極北を覆う氷雪のごとく純白だった
断定するのにやや時間がかかったものの、
中性的なだけでおそらく女性であろうと推察される
ぶりっ子「お、女の子だったんですねぇ!?」
極光「それはそうだろう。だってさ、ボクが不死鳥本人でないなら……巫女に決まっている」
怪盗「ああ……そういうことなんですね」
極光「色々あって姿は隠しているから、よく分からないかもしれないけどね」
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「巫女をやられて何年になるのですか?」
極光「うーん、数えてないけど……結構長いよ。多分半世紀はやってるね」
男「え"っ」
中華「歳を取らないってことかな?」
極光「そう。先代までは普通の人間と同じように扱ってたらしいのだけれど……ここ、人いなさすぎるから人材が足りないまたいで」
不死鳥も人材不足に喘ぐのだなぁ、と一行は思った
氷魔「……正気を保っていられるのは……すごいことのように思います……」
極光「君たちのような冒険者がときおり現れるから、結構退屈はしないよ」
やる気「へぇ、来るもんなんすね」
極光「そうだね。それだけの気骨があるのだから、やっぱり不死鳥が誘っても巫女や司祭にはなってくれないみたいで」
確かに、冒険のために極北まで来るような者は本物だ
一行もやってきてはいるが、
明確な目的あってのことであるからだ
本日はここまでです
ありがとうございました
談笑しているうちに、料理は全てなくなった
目的のものも手に入れたため、
一行はその場を去ろうとする
ぶりっ子「じゃ、ぼちぼち帰りましょうかねぇ」
極光「おっと、一ついいかな?」
怪盗「なんでしょう?」
極光「不死鳥の骨……武器にするんだよね?」
狙撃少女「そうですが……なにかまずかったですか?」
極光「ああいや、そんなんじゃないよ。ただ……」
狙撃少女「?」
極光「ボクはフェニックスの巫女だから、今ここでそれを武器に昇華することもできるんだ」
中華「へぇ……じゃあ、やってもらう?」
男「そうだな」
巨大な不死鳥の骨を極光に渡すと、
彼女はそれをどうにか掲げて祈りを捧げた
夜空の彼方からオーロラが到来し、
骨を包み込んでいく
次第にそれは姿形を変容させ、新たな武器となる
>>下1……どんな武器になった?
よくよく考えてみればでっかい不死鳥の骨なので武器一つにしかならないのはやや不自然でした
なので、上記三つの安価は全て採用させていただきます
氷魔「……三つ……ですか……」
ゆらめく光の帯が去っていくと、
そこには武器が残った
その一つは深紅の日本刀であった
男「……暖かい」
なんとなくそれを拾った彼は、
自らの掌から臓腑にじんわりと温もりが抜けていくのを感じた
やる気「……そして、槍があるっすね」
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気は剣の傍らに落ちていた槍を拾った
柄には螺旋の細工が施されており、
美術品としての武具のようにも見える
だが、拾ってみればそれは手に馴染む
ぶりっ子「変わった槍ですねぇ」
やる気「そっすね。男も言ってたっすけど、なんか暖かいっすね」
その螺旋の模様は不死鳥の輪廻転生を暗示しているかのようだった
狙撃少女「あ、銃もありますよ。ほら、これライフルです」
怪盗「随分綺麗なライフルだよね~」
スタイリッシュなその銃身は紅く華やかで、
形状としては赤い羽根がモチーフになっていることが明らかだ
狙撃少女「使います?」
怪盗「美術品としては欲しいけど……それ、私には扱えないかな」
極光「気に入ってもらえたかな?」
男「ああ。美しく、強靭だしな」
極光「そう。それはよかった」
中華「お世話になりっぱなしだね」
極光「全部仕事だから気にしなくていい。さ、そろそろ帰るべきだ。風邪をひいてしまうよ?」
夜の極北は冷える
標高高き塔の頂ともなればその寒さはいっそう強く、
フェニックスの卵が暖房のようにはたらいてはいるものの、それでも寒かった
本日はここまでです
ありがとうございました
氷魔「……そうかもしれませんね……」
極光「ボクが送ってあげるよ。さぁ、目を閉じて」
彼女に促されるまま、みなが目を閉じた
そうしてしばらくじっとしていると、
上空から不死鳥の鳴き声が聞こえた
やる気「っと!」
目を開ければ、そこは塔の外だった
声のする方を見れば、
極光と産まれ直した不死鳥が一行を覗いている
フェニックスの体はかなり小さくなっており、
産まれ直したことが際立って分かるだろう
ぶりっ子「また会いましょう!」
極光「ああ、またね!」
不死鳥「キーンッ!」
お互いに手を振り合いながら、極北の山を下っていく
怪盗「さて、これからどうします?」
狙撃少女「図書館の街に直行……と言いたい所ですが、極北戦士さんに報酬を渡していませんね」
一行は山をひたすら下り、
極限まで冷えた極北の夜を歩く
だが、不死鳥の骨から作られた武器がほんのりと温かく、極端に凍えることはなかった
男「そろそろキャンプだな」
中華「ああ、なんか今日はどっと疲れたよ」
炎魔「確かに、早く寝たいです」
氷魔「……これまでの中でも……かなり激動の日だったと言えそうですね……」
本日はここまでです
ありがとうございました
しばらく歩いて、
基地にある極北戦士の小屋までやってきた
やはりボロボロで、風が抜けている
やる気「すみませーん」
極北戦士「……む、君たちか」
ぶりっ子「えぇ、お陰様であの子たちは安全な場所まで移動させられましたよ」
極北戦士「そうか、それはなによりだ」
怪盗「そういう訳で、お礼をしに参りました」
極北戦士「別に、仕事のつもりではなかったのだがな……」
炎魔「そう言わずに、感謝の気持ちです!」
【ギルドの資金】72160295
極北戦士「十万も!?」
狙撃少女「これでも少なすぎるぐらいです。沢山の子供たちの命を守ったのですから」
極北戦士「うむむ……わ、分かった。受け取っておこう……」
本日はここまでです
ありがとうございました
貰った大量の貨幣を不安そうにタンスへ押し込む彼を背に、一行は再び極北の大地へと足を踏み入れた
男「今日中に図書館の街へ行きたいな」
中華「無理だと思ってたけど、塔で夕食が摂れたのはラッキーだったね」
氷魔「……もう……極北ともお別れですか……」
感慨深く、氷魔は月下に照る大地を眺めている
白銀と満月とで夜なのに眩しい行軍の最中、
進行方向から謎の轟音が響く
やる気「な、なんすか!?」
狙撃少女がスコープで確認すれば、
そこにいたのは>>下1だった
狙撃少女「キューブです!大きい……!」
あまりにも巨大なその姿は、
残りの一行にもすぐ把握できた
その表面には謎の紋様が描かれており、
得体の知れなさが深まる
ぶりっ子「ど、どうするんですか、あれぇ!?」
怪盗「私の腕力じゃぶん殴ってかっ飛ばすのは無理そうです」
それは氷上を滑走し、一行へと向かってくる
炎魔「どど、どうしましょう!?」
男「あれが墓石になるのが嫌なら、とにかく避けるしかないだろ!」
中華「追いかけてこないといいけど……」
男「あの図体でホーミングしてきたらビビる!」
氷魔「……いきなり……あんなのが走ってくる時点で……かなり恐怖ですけどね……」
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「ぶっ壊すのはどうっすか?」
ぶりっ子「やれるんですかぁ?」
やる気「そりゃやってみないと分かんないっすけどね」
まだ避けようのある距離にいるため、やる気は余裕そうだ
狙撃少女「じゃあ、やってみますか。折角なら、不死鳥から貰ったライフルを使いたかったのですが……」
彼女は巨大なスナイパーライフルを構え、
身を低くして狙いを定める
そして、突貫する立方体に向かって射撃する
それは正確な弾道を描き、見事直撃した
>>下1……立方体はどうなった?
その直撃に呼応してか、紋様が明滅する
移動する立方体はその動きを止めた
怪盗「おお、止まりましたよ!」
男「良かった……こいつがなんだったのかはまるで分からないが……」
一行の安堵をよそに、キューブは蠢き出す
だが、それは氷上を滑走するための予備動作ではなかった
中華「な、なに!?」
それは物理法則に逆らって展開し、
八つの立方体に別れた
それらは輪っかを象るように位置取ると、
それぞれが魔力の鎖で繋がれ、中にゲートが現れた
炎魔「げ、ゲート……!」
氷魔「……おっと……今回は勝手に突入しないでくださいね……」
炎魔「……分かりました」
彼女は待てをされた犬のようにうずうずしている
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「でも……結局は入ってみるしかないんじゃないすか?」
ぶりっ子「まぁ、そうしなきゃ向こうがどこなのかは分かりませんよねぇ」
怪盗「いつもなら無視してもいいんですが……極東のことがありますからね」
狙撃少女「違うのならばすぐ出ればいいですし……みんなで行ってみましょうか」
一行はゲートに入る覚悟を決めた
そして、全員でゲートに飛び込む
>>下1……ゲートの向こう側
男「……なんだ、ここ」
そこに広がっていたのは、
底冷えするほど整然とした町並みだった
完全に立方体の建物が立ち並び、
モノトーンの世界が広がっている
中華「街?」
氷魔「……にしては……静かすぎますね……」
遠くには謎の力で浮遊する大地が見える
太陽と月の他にも、
人工的な機械が多く空を彷徨っている
やる気「少なくとも、古寺とかある感じには見えないっすね」
ぶりっ子「誰か居れば、話を聞けるんですけどねぇ」
怪盗「悲しいくらい静かですね……」
誰もいないのに、都市が自然に侵食されているような兆候は見受けられない
それだけの技術力がこの世界にはあるのか、
あるいはそれ以上の理由があるのかは定かではない
狙撃少女「少し探索しますか?」
本日はここまでです
ありがとうございました
男「……そうだな、少しだけ探索しよう」
炎魔「いいですね!」
一行は近くにある建物の一つに入ってみることにした
それはマンションのような建物であり、
いくつものドアが並んでいた
中華「どこか入ってみようか?」
氷魔「……そうですね……」
近くにある適当なドアにドアノブ型生命体を取り付け、捻る
当然というべきか、その扉は解錠され、
向こう側へと続く
>>下1……部屋の中の様子
部屋に入れば、美味しそうな匂いが鼻を包む
しかし人の気配はなく、警戒しながら進んでいく
リビングとおぼしき場所に出れば、ダイニングテーブルの上にできたてのシチューがあった
白い蒸気を漂わせていて、とても食欲をそそる
やる気「……なんで人がいないんすか?」
ぶりっ子「おかしいですねぇ。ゴミなんかも適度に落ちてますしぃ……」
怪盗「どこかに出掛けた……はずもないですよね」
炎魔「こんなシチューを放って出かける用事はそうないでしょうね」
部屋はワンルームで、
諸々の家電やキッチンが凝集されている
狙撃少女「やはり……結論を出すのは簡単ですが、過程がさっぱり分かりませんね」
男「ああ……そもそも、あのゲートはなんのためのものだったのだろうな」
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「うん……美味しいね」
氷魔「……あの……いきなり知らないものを食べるのは危険ですよ……」
中華は手持ちの食器を使ってシチューを食べている
彼の様子を見る限りでは、食事にも問題はなさそうだ
やる気「総合的に考えれば……なんらかの理由でこの街の人々は突然、抵抗もできず、一瞬で消滅してるっすね」
ぶりっ子「しかもぉ、私たちが来るほんの少し前みたいですよぉ」
怪盗「なんか、まずい予感がぷんぷんしますね……」
炎魔「手遅れな可能性もありますけど、ついさっき消えたっていうなら助けるチャンスもありそうな気、しません?」
狙撃少女「そうですね……ですが、誰がやったのかも分からないですしね」
しばらく一行は思考に唸り、
結局決め手がないので外に出ることにした
空気すら無機質で、毒にも薬にもならない
男「意味もなくあのゲートが稼働していたようには思えない。タイミングがよすぎるし、ゲートについて調べてみるのがいいんじゃないか?」
本日はここまでです
ありがとうございました
手がかりのなさに絶望しかけている一行は、
藁にもすがる思いでゲートに戻った
それは対称的で、来たときと同じものだった
中華「うーん、どう見てもただのゲートだよね」
氷魔「……そうですね……」
男「……ん、このミニキューブ、なにか書いてあるな」
やる気「これ文字なんすか?」
そこに描かれていたのは、シンボルの羅列だった
そういう意匠に過ぎないと誰もが思っていたが、
男だけは自分のスキルによってそれを読むことができた
男「象形文字ってやつだな」
ぶりっ子「なるほど……完全に模様だと思ってましたねぇ」
怪盗「ささ、読んじゃってくださいよ」
男「そうだな……えーと、>>下1」
男「この『門』の修理等の問題は『管理者』まで……って書いてある」
狙撃少女「おぉ、『管理者』がいるんですね」
炎魔「なるほど……普通に考えるなら、一番偉い人っぽいですね?」
男「そうだな、単に管理者としか書かれていないから、広範に種々の管理をしている可能性がある」
果たして、管理者はこの事態への回答を持っているのだろうか
そもそも、その人物はまだこの世界に存在できているのか
そうした疑問が一行を包む
中華「ま、会ってみるしかないよね」
張り詰めた思考と空気が、
彼のお気楽な一言によって緩む
氷魔「……順当に考えれば……あそこにいそうですね……」
彼女が指差す先には、超高層ビルがあった
まるで塔のごとく聳えるそれは街の中心にあって、
もっとも高い建物であった
本日はここまでです
ありがとうございました
街は決して狭くなかったが、道は整備されている
一行にとってはさして時間をかけずに移動できる距離だった
やる気「うっし、昇るっすよ」
ぶりっ子「……流石にこの高さは骨が折れそうですけどねぇ」
男「俺の推測としては、昇降機があるだろう。それに乗るべきかな」
施設の扉は自動ドアで、
中はいかにもビルの一階といった受付の様相だ
だが、やはり人の姿はない
怪盗「はぁ、寂しいですね」
狙撃少女「最上階を目指しましょう。そかには誰かいるかもしれません」
東西にあるカウンターを抜け、
北側にある昇降機へ向かう
その脇には階段もあるが、わざわざ使う意味もないだろう
巨大なエレベーターに乗り込むと、
階数を示すボタンは夥しい数並んでいた
炎魔「五十階建てですね!こんな大きな建物そうありませんよ!」
男「確かに珍しい。あの図書館はどのくらいの高さなんだろうか」
中華「ここと同じくらいじゃない?」
鈍い音を立てて動く箱の中で、他愛もない会話をする
異常事態に慣れすぎて、
喫緊の危険以外に怯えなくなってきているのだ
本日はここまでです
ありがとうございました
しばらくすると、電子音が短く鳴ってドアが開く
そこは街を一望できる巨大な展望台であったが、
同時になにかのラボのような設備も張り巡らされていた
氷魔「……ここは……」
ゆっくりと室内へ入る一行
室内にいる何者かの気配に気付いたのはやる気だった
やる気「後ろ、誰かいるっす」
誰もが振り向けば、そこにいるのは>>下1だった
半透明「やぁ、よく来たね」
そこにいたのは青年だった
にこやかに笑う彼だが、その姿は半透明で、
うっすらとその後ろが見えている
ぶりっ子「え、え!?なんか透けてません!?」
半透明「ああ、そうだとも」
彼は近くにあった小さく低い背もたれもない椅子に座って、リラックスする
怪盗「……で、なにが起こってるんですか?」
半透明「気付いているんだろう?人々が忽然と姿を消したことに」
炎魔「そりゃまー……でも、あなたは?」
半透明「正確には『生きている人々』が消えたんだ。僕はこの事態を予期して、半死半生の状態になっていたのさ」
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「その様子だと、賭けだったようですね」
半透明「うん、これで助かるんだったらみんなこの状態にするし」
彼は慣れた手つきでお茶を淹れると、
デスクを片付け、それを置いた
男「……待っていたのか、俺たちのことを」
半透明「誰か来てくれないかな、とは思っていた」
中華「……それで、なんでこんなことになったの?普通じゃないでしょ、この状態」
半透明「>>下1」
半透明「あの『門』自体にここまでの問題を孕んでいたなんて、暴走する直前まで誰も気にしていなかったのが最大の過ちだったんだ」
デスクの椅子の背もたれに寄りかかり、
ため息をついて天を仰ぐ
氷魔「……私たちが通ってきた……あれそのものが原因だと言うのですか……」
半透明「ああ、そうとも。僕の権限で管理していたが……いや、できていると思っていたのだが」
やる気「あれは、単なるゲートじゃないんすか?」
半透明「最初はそう思っていた。様々な場所______平行世界を含む______に移動しうる、便利なものだと思っていたから、研究をしていたんだ」
直感的に、ゲートは対称的に繋がっているものだと一行は思っていた
だが、極東から繋がっていたものも、
そしてここのものも必ずしも対称的に繋がるものではないと理解できた
ぶりっ子「暴走……ですか」
本日はここまでです
ありがとうございました
半透明「……あれは、人々を飛ばしてしまった」
怪盗「なぜ、あなたは助かったのですか?半霊体化できるほどの隙があったのですか?」
そう聞けば、彼は一つの機械を指した
それはタイプライターのようだったが、
ボタンはなかった
半透明「そこから出力される紙には、『未来』がある程度示されている」
狙撃少女「未来を、予知できる装置……!?」
半透明「もっとも、今はもう動かないがね……」
男「……動いていれば、俺たちが来ることも予見できていただろうしな」
半透明「そうだね。ちなみに、住人からちょっとずつエネルギーを貰って動いている装置だから動かないんだ」
そう言いながら彼はいくつかの機械を操作している
水や汚れには強く作られているようで、
コーヒーを溢した跡が多く付いている
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「……で、これからどうするつもりなんですか?」
聞けば、彼は振り返った
半透明「……必ず、去ってしまったみんなの世界にゲートを繋げてみせる」
氷魔「……そこに……行ってほしいと……?」
半透明「そうだね。でも、今すぐにはできない。準備ができたら連絡をするから、どうかまたゲートの所まで来てほしい」
そう話されて一行は一旦その世界を去ることとなった
彼からは受話器のような形の連絡端末を渡された
やる気「じゃ、いつかまたってことで」
半透明「ああ、君たちには感謝しているよ。まだそのゲートは元の世界に通じているはずだ」
ぶりっ子「それではっ!」
ゲートに入り、極北へと帰った
穏やかな気候は去り、凍える風が身を責める
月夜の中山を登り、
図書館の街へと繋がるゲートへ辿り着く
怪盗「足跡はすっかり消えてましたね」
狙撃少女「ですが、どうにかここまでやって来れました。ゲートに入りましょう」
ゲートを越えれば、
やはりそこは公園のような場所だった
前と違うのは、市長のホログラムの一つが一行を待っている所だ
本日はここまでです
ありがとうございました
市長「待っていましたよ」
男「随分待たせた」
市長「その日のうちに帰ってくるとは思っていませんでしたよ」
炎魔「極北にいるよりはここにいる方が遥かに楽ですしね」
街を褒めると、市長は微笑んだ
市長「すっかりお疲れの様子ですし、まずはお休みにでも」
彼女は一行を市長運営の宿泊施設に案内する
中華「これで、目的を一旦は絞れるわけだね」
氷魔「……そうですね……」
やる気「ちなみに、こっから極東ってどのぐらい遠いんすか?」
市長「そうですね……>>下1」
市長「200キロメートルくらいですかね」
男「思ったより近いな」
男はなんの気もなしにそう言った
だが、その基準となった世界の200キロメートルと、
この世界の200キロメートルには乖離がある
平成少女「それは、直線で移動できるならの話です。『高速の乗り物』や舗装された道はおろか、間には海だってありますからね」
ぶりっ子「あ、平成少女ちゃん来てたんですねぇ。おひさー」
本日はここまでです
ありがとうございました
前に会ったときはどこか影を忍ばせる雰囲気だったが、随分明るくなったように見える
どこで用意したのか、眼鏡までかけて理知的な装いだ
男「なんか、雰囲気変わった?」
平成少女「市長さんの所で色々勉強してるんですよ」
怪盗「ま、炎魔さんに比べれば誤差ですけどね」
炎魔「その気になれば、いつでも元のノリに戻れますよ!」
わいわいと話しながら一行は宿泊施設へと到着し、
部屋へと通されるのだった
狙撃少女「ひどく疲れました……」
中華「まったくだね、体が重いよ」
氷魔「……すぐに寝ましょう……気力がもうありません……」
みな次々にベッドへ横になり、
入室から十分ほどで全員眠ってしまった
本日はここまでです
ありがとうございました
~翌日・陽週水曜日~
朝食を食べていると、モニターに市長が映った
市長「おはようございます」
やる気「おはようっす。なんかあったっすか?」
市長「えぇ、みなさんがいない間に地下空間の調査をしていたのですが……面白いことが分かりまして」
ぶりっ子「なんですかぁ?」
市長「地下の空間は、その歪みによって……地上を歩くよりも早く移動できるそうなのです」
怪盗「そんな感じはしませんでしたけどね」
市長「体感では速くなってはいません。位置情報の追跡を行ったところ、本来移動できる距離の三倍ほど遠くまで移動できることが分かったのです」
狙撃少女「それは便利ですね」
男「と、いうことは……地下道の安全性を確保できれば、移動に使えそうだな」
市長「そうです。舗装はされていませんし、直線でもありませんが、これなら200キロも移動しやすいでしょう」
市長は惜しげもなく一行に情報を提供する
中華「つまり、あれだ。僕たちが地下の調査をして、情報分の利益を出せばいいってことだね」
市長「そんなところです。長距離の移動に関してはまだ分からないことも多いですしね」
本日はここまでです
ありがとうございました
子供たちを安全に送り返すため、
そして市長の期待に応えるため、
一行は地下水脈まで来ていた
氷魔「……では……ひたすら東に歩くとしましょう……」
不均一にどこまでも続いていく窖を、
無心で歩き続ける
やる気「……向こうになんか見えてきたっすよ」
地下だというのに霧がかかっていて、
とても遠い場所の様子は伺い知ることができない
それに近付いてきたことで、その姿を視認できたのだ
>>下1……なにがあった?
重騎士「………………」
それはただ静かに、そこに佇んでいた
趣味の悪い置物ではないか、と思ったものもいたが、
静かながら、それからは確かに息遣いが聞こえる
ぶりっ子「え……?」
炎魔「生きてます、よね……?」
狙撃少女「近付いてみましょうか。魔物でなければよいのですが……」
本日はここまでです
ありがとうございました
男「すみませーん」
重騎士「………………」
近寄り、声をかける
だが、それでも無反応だった
中華「もしもーし?」
重騎士「………………」
男「ふぅん……せやっ!」
なにを思ったか、男はその頭部をひっぱたいた
ぺちん、と軽い音が響く
重騎士「>>下1」
重騎士「ぴゃん!?」
可愛らしい悲鳴が上がった
喜ばしいことに、中身はちゃんとあるようだ
氷魔「……ああ……よかったです……呼吸の真似事をしているだけの……アンデッドもいますからね……」
重騎士「だ、誰がアンデッドですか!」
やる気「なんだ、思ったより元気なやつっすね」
ぶりっ子「こう、よくありますよねぇ。甲冑がひとりでに動いて襲いかかってくるやつ」
怪盗「分かるー。ああいうのから武器をかっぱらうのが楽しいんですよ」
重騎士「……え、私……今から追い剥ぎに……?」
怪盗「いやいやいや!しません!しませんよ!?」
少なくとも悪人ではなさそうな雰囲気だが、
なぜ彼女がここにいるのかは明らかではない
狙撃少女「……ところで、なぜこんなところに?」
重騎士「>>下1」
本日はここまでです
ありがとうございました
重騎士「待っている人がいるのですがなかなか来なくて…」
突然不穏な可能性が臭ってきた
こんなところで待ち合わせをする人間とは、
どのような存在なのだろうか、と何人かは思った
男「そ、そうか……じゃあ、俺たちは行くから」
触らぬ神に祟りなしともいう
彼女はともかく、
その待ち人までもが善良である証拠はないのだ
重騎士「あ、はい……」
またも不動となった彼女を尻目に、
一行はその道をさらに進む
中華「……あの子、多分寝てたよね」
氷魔「……そうですね……」
やる気「寝るぐらい待たせるってヤバくないすか?」
ぶりっ子「もしかしたら、どこでもすぐ寝ちゃう子なのかもしれませんよぉ」
本日はここまでです
ありがとうございました
怪盗「意外と知られてるんですかね、この水脈」
狙撃少女「この大陸の冒険者について、私たちはほとんどなにも知りませんからね。もしかしたら、そうかもしれません」
それからはしばらく、
なにか知的生命体と出会うことはなかった
どこまでも変わらない景色を歩いていると、
本当に進めているのか不安になるだろう
精神の弱い者なら気が狂ってしまいそうな、
ある種の牢獄を思わせる状況の中で、
ついに変化が現れた
炎魔「これは……!?」
水脈の壁面に、一つの梯子がかかっていた
ハッチになっているようで、
登って外に出ることができそうだ
男「久しぶりに外の空気が吸いたい気分だ」
中華「僕も~」
一行は気分転換や距離の確認のため、
早速その梯子を登って外に出た
>>下1……どこに出た?
やや埃っぽい空気が肺に侵入していく
それもそのはず、一行が出たのは寂れた教会だった
氷魔「……ここは……」
視界に飛び込む光はステンドグラスを通じて送り込まれたもので、
並ぶシックな長椅子や一つの祭壇などから、
ここが教会であると推測することができるのだ
やる気「教会っすね。空気はあんまよくないっす」
本日はここまでです
ありがとうございました
ぶりっ子「新鮮な空気を吸いたいですねぇ……」
彼女は吸い寄せられるように大扉に手を掛け、
外へと歩き出した
そこは森になっており、
新鮮な空気が肺いっぱいに吸える
怪盗「うーん、随分遠くまで来たんじゃない?」
狙撃少女「そうですね……少なくとも、あの街の塔はもはや見えません」
具体的にどの程度離れたか分からないので、
誰かに話を聞きたいとみな思っていた
ハッチがあるぐらいなので、
どこかに人がいるだろうと仮定して探すこととした
男「この森の中で人を探すのか……」
中華「案外小屋とかあるかもよ?」
炎魔「じゃ、私が空から探しましょうか?」
などと話していると、大扉の後方より、
また別のドアが開く音がする
教会には、人がいたのだ
>>下1……教会にいた人はどんな人か
本日はここまでです
ありがとうございました
気弱少女「あ……」
教会の奥にある、聖職者が待機する部屋の扉
その向こうから、
いかにも気弱そうな少女が顔を覗かせていた
氷魔「……あ……どうも……」
気弱少女「………………」
彼女は震えていた
こんな場所にわざわざ現れるのだから、
賊の類ではないかと疑っていた
やる気「俺っちらは怪しいもんじゃないっすよ」
警戒を解こうと試みるが、彼女の緊張は解けない
ぶりっ子「私たちは冒険者ですよぉ」
気弱少女「ほんと……?」
炎魔「はい!」
怪盗「ま、こっち来てくださいな。悪いようにはしないよ」
気弱少女「は……はい……」
お互いは歩み寄り、
教会内のベンチの辺りで顔を突き合わせる
狙撃少女「……随分、服がボロボロですね」
気弱少女「あ……そうですね……」
男「どうも、事情がありそうだな」
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「……それより、僕たちはここがどこなのかを知りたいんだ」
男がまた人の事情に入り込みそうになったので、
それは一旦後に回すべきだと中華は考えていた
気弱少女「見ての通り……教会です……」
氷魔「……ああ……そういうことではなく……私たちは……西にある図書館の街から来たのです……どの程度離れたのでしょうか……」
気弱少女「>>下1」
気弱少女「図書館から、だいぶ離れてると思う。」
やる気「そうなんすか?」
見事、地下空間の異常を利用したショートカットに成功したということになる
気弱少女「ここは帝国領の帝都に当たる処だから、結構遠い、です」
ぶりっ子「帝国っていうとぉ……まぁ、遠いんでしょうねぇ」
気弱少女「あなたたちは、『図書館』の人?」
炎魔「司書ってことですか?だったらそうだったこともありますけど」
気弱少女「……あっ、えっと……あの街に住んでいるんですか?」
怪盗「ああー……帝国ではあの街を『図書館』としか呼ばないんだ。そうでしょ?」
気弱少女「はい……」
狙撃少女「違いますよ。そこから来たのは確かですけれど」
気弱少女「……帝国は、『図書館』を侵略しようとしているんです。うまく行ってはいないようですけれど」
本日はここまでです
ありがとうございました
男「ま、あそこの首長は切れ者だからな」
気弱少女「人工知能が支配している、だなんて帝国は言いますけど……そんな訳ないですしね」
中華「………………」
彼は絶句した
それと同時に、
確かにそれは信じがたいことだと再認識した
気弱少女「な、なんですか……?本当に帝国だとそう言われているんですよ……バカバカしいですけど」
氷魔「……それは……真実です……」
気弱少女「冗談ですよね?」
やる気「マジ寄りのマジっす。俺っちらが東を目指してるのにも実はその市長が絡んでるっす」
ぶりっ子「あっ、このことは言わないでくださいねっ!私たち、追われちゃうかもしれないのでっ!」
気弱少女「……それは、もちろんです」
怪盗「随分信用してくれてるみたいですね」
気弱少女「そうかもしれません。……ここには滅多に人が来ませんから……帝国の兵士に見つかる可能性はありません」
炎魔「いいですね、事は荒立てたくありませんから」
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「寂しいのですか?」
気弱少女「……どうでしょうか」
ステンドグラスを通したやわらかな光に照らされて、
その少女は儚げに見えた
男「……あっ、忘れてた」
気弱少女「は、はい?」
男「どうしてそんなボロボロの格好でこんなとこいるんだ?もし俺たちが盗賊かなんかだったら、危なかったぞ」
気弱少女「>>下1」
気弱少女「ここでは神様が守って下さりますから」
中華「へぇ……」
気弱少女「……ひどい嵐の日、ここへ呼ぶ声がしたのです」
氷魔「……ふむ……?」
気弱少女「私には帰る場所がありませんでしたから……吸い寄せられるように、ここへ来ました」
やる気「やっぱり、そうだったんすね」
気弱少女「私を追って、どうにかしてしまうと考える人たちもいました」
ぶりっ子「……あなた、やっぱりただの子供じゃないんですねぇ」
気弱少女「……彼らはみな、ここの前で雷に打たれて絶命しました。神様が、私を守ってくださったのです」
怪盗「随分パワフルな神ですね!」
気弱少女「はい……ここにいれば安全だということがよく分かりましたので、私はずっとここにいるのです」
狙撃少女「なるほど……」
気弱少女「私はただの子供ではありませんでしたが、ここにいるうちはただの子供でいられます」
本日はここまでです
ありがとうございました
男「場合によっちゃ、さっき不用意に外歩いてたら雷に打たれてたかもしれんな」
しばしの休養を取り、
位置関係を把握することもできたので、
一行はまた地下へ戻ることにした
中華「じゃ、僕たちは行くよ。ここのハッチからはなにが出てくるか分かったもんじゃないから、注意しといてね」
気弱少女「あ、はい……」
そうして、またも暗い地下水道へと戻るのであった
氷魔「……これで……東に素早く進めることは分かりましたね……」
やる気「そっすね、結局歩きっすけど」
ぶりっ子「ですが、私たちには手ぶらでも速く移動する方法がありますよねぇ?」
彼女がそう言うと、男や中華、氷魔にやる気もなにかを察したが、他のメンバーはよく分かっていないようだった
怪盗「え、なんですか?普通に走ればいいんじゃないんです?」
狙撃少女「それで異常に速いのはあなただけです……」
炎魔「分かりました!飛ぶんですね!」
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「違うね。でも炎魔はそれでもいいかも」
男「じゃ、頼むぞ氷魔」
氷魔「……極大……氷魔法……!」
彼女が十八番を放つと、
地下水道の中央を流れる水が瞬く間にして凍りつく
氷の帯がどこまでも延びていくのだ
やる気「おーっし、行くっすよ!」
やる気は意気揚々とその上に飛び出し、
スピードスケートのようなフォームで東へと滑り始めた
ぶりっ子「久しぶりですねぇ、この感じ」
怪盗「ああ、そういう……」
狙撃少女「……私、アレできるんでしょうか?」
次々に滑り出す仲間を見て、彼女は不安を覚えた
炎魔「あ、でっかいライフルは私が持ちますよ」
狙撃少女「ありがとうございます」
ぶりっ子「じゃ、私の手を取ってください」
狙撃少女「……はい!」
ぶりっ子「勇気、伝わりましたよ!じゃあ行きますねっ!」
ぶりっ子は狙撃少女の手を取り、滑走し始める
狙撃少女も最初は必死で姿勢を制御していたが、
数分滑っているうちに、
自発的に滑れるようになってきた
炎魔「おお、筋がいいんじゃないですかね?」
怪盗「私にも翼が欲しい!」
炎魔だけは滑らずに一行と同じ速度で移動できている
本日はここまでです
ありがとうございました
それから、長い時を滑走姿勢で過ごし、
ひたすら滑り続けて二時間ほどが経った
男「お、遠くにまたハッチが見えてきたぞ」
中華「じゃ、減速しようか。みんな!減速するよー!」
氷魔「……はい……」
やる気「ふぃー……」
みな速度を落としていく
やる気に至ってはその場に座り込んで速度を落とした
かなりの距離を移動したとおぼしき一行にとって、
このハッチの向こう側への期待は高かった
誰もがかけられた梯子を勢いよく昇る
ぶりっ子「さぁて、外はどうなってるんでしょうか!」
怪盗「……そういえば、この地下水道、大陸の地下に広がっていると聞いたけれど」
狙撃少女「なんだか、大陸の端ぐらいまでは来られてそうですよね」
>>下1……地上の様子
地上に出た彼らの鼻腔を、
甘美なる花の香りが満たしていく
遮るものなき夕陽が西から東へ、
燃えるような光を迸らせている
炎魔「わーお!すごい光景です!」
男「ああ、壮観だ……」
全方位、見渡す限りの花畑
色とりどりの花が咲き乱れ、まるであの世へ来てしまったかのような雰囲気にただただ圧倒される
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「いい香りだ……」
氷魔「……ですが……ここがどこかは……さっぱり分かりませんね……」
やる気「そっすね……こっから離れたらハッチ見失いそうで怖いっすし」
あまりにも茫漠としたその花畑に、
目印にできるようなものはなに一つとしてなかった
ぶりっ子「てか、これサイズによっては遭難しますよぉ」
怪盗「花畑で遭難なんて、メルヘンですね」
狙撃少女「うーん……」
どうにか外と連絡をしたいが、
狙撃少女の眼をもってしても、
周囲に人間の姿は認められなかった
炎魔「いやぁ、困りましたね」
どうしたものかと考えているうちに、
完全に陽は沈みきり、夜になってしまった
優しい夜風が一様な向きで花々を震わす
本日はここまでです
ありがとうございました
仕方がないので、
一旦地下に戻ろうかと考えていた所で異変が発生した
???「………………」
突如として地面から人型のなにかが出現した
それは花と人間が一体化したような姿をしている
肉体の器官の一部が、花に置き換わっているのだ
男「な、なんだ急に!?」
???「>>下1」
ドリアード「魔王様からあんたたちを招待したいから誘って来てくれ言われて来たんだよ!」
中華「魔王っ!?」
みな物騒な単語に身構える
ここには二人の魔王がいたが、
それでも怖いものは怖いのだ
ドリアード「そうさね」
氷魔「……招待……パーティかなにかでしょうか……」
ドリアード「そんなところ」
やる気「俺っちらと敵対するつもりはないんすね?」
ドリアード「うーん……そりゃ魔王様次第だろうね。問答無用で襲わせてないし、友好的なんじゃない?」
ぶりっ子「はぁ、そうですか……」
炎魔「質問っ!」
ドリアード「なに?……あ、燃えそうで怖いからちょっと距離取って」
炎魔はアグレッシブな性格で、全体的に距離が近い
植物の肉体を持つものにとっては、
恐怖そのものだろう
炎魔「あなたたちの言う、魔王とは?」
ドリアード「我らが魔王の?」
炎魔「ええ、中華さんもやる気さんも魔王ですけど、結局どういう存在が魔王なのかよく分かってなくて」
ドリアード「肉体の形にはとらわれやしないよ、魔王の資格はね」
怪盗「心ですか」
ドリアード「そうとも、この花畑は魔王様の領域。美しき花をどこまでも愛する心が生んだ世界なの」
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「へぇ……」
ドリアード「それで、来てくれるの?」
男「どうしようか……」
中華「ま、行ってもいいんじゃない?」
氷魔「……他の魔王と知り合えるというのは……またとないチャンスかもしれませんしね……」
行く方向で話は決まった
ドリアードはほっとした表情で、一行を案内し始めた
ドリアード「じゃ、ついてきて」
彼女について行けば、
だんだんと遠くに建物が見えてきた
それは確かに城であったが、
魔王の居城というには些か絢爛すぎた
やる気「な、なんじゃありゃあ……」
ドリアード「我が主の趣味です」
花畑をずっと歩き、ついにその前までやってくる
護衛の兵士たちもその肉体が花に置き換わっていた
彼らはドリアードの姿を見ると門を開けた
いかにも中世風の門が低い音を立てる
ぶりっ子「はぁ、いつかはこういう城に住みたいもんですねぇ」
怪盗「分かる~」
狙撃少女「私は持て余しそうですね……」
ドリアード「こっちよ」
入った所にある大階段を昇るよう誘導される
正面には深紅の扉がある
本日はここまでです
ありがとうございました
真っ白な壁面と赤黒いそれのコントラストはエレガントだった
ドリアード「私が居られるのもここまで。あなたたちだけで中に入るの」
男「分かった」
去っていくドリアードを見送り、
一行は扉をゆっくりと開いた
そこはまさしく女王の部屋と言うべき内装が広がっており、中央に置かれたテーブルの上にはティータイムの用意がされていた
中華「っ!」
そして、テーブルに添えられた純白の椅子に魔王は鎮座していた
>>下1……魔王の姿
オネエ魔王「ようこそ、どうぞおかけになって」
氷魔「……え……えぇ……」
やる気「失礼するっす」
そこに待っていたのは、花柄のドレスを着た______少なくとも肉体的には______男性の魔王だった
ぶりっ子「すっごい……」
鍛え抜かれたその肉体は、本人のたおやかな振る舞いを以てしてもなお隠し通せないほどの覇気を放っている
風貌と服装のミスマッチではない、
本人が持つその風格は充分な重圧を放っていた
オネエ魔王「そう緊張しないで」
短く、しかしどこか女性的に切り揃えられた髪をいじり、物憂げに告げる
怪盗「すみません、気を遣わせちゃって」
狙撃少女「『本物』のオーラを感じます……」
本日はここまでです
ありがとうございました
それから、一行は勧められるままに紅茶を飲んだ
香り高く、当然茶葉にもこだわっているようだった
炎魔「おいしいですね!」
オネエ魔王「ありがとう」
男「……本日はご招待いただき、ありがとうございます。不躾ですが……一体なぜ、我々を呼んだのですか?」
オネエ魔王「>>下1」
オネエ魔王「貴方に依頼を受けてこの茶会を開いたのよ。」
中華「ははぁ……」
オネエ魔王「依頼の成功・失敗は問わないから、報酬は心配しないでちょうだい」
魔王から依頼とは、と緊張が走った
だが、彼はすかさず付け加えてそれを緩和させようとしている
氷魔「……ご寛大なのですね……」
オネエ魔王「美しいものに倣っただけ。それがポリシーだから」
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「それで、なにして欲しいんすか?」
オネエ魔王「随分せっかちね」
ぶりっ子「ま、色々立て込んでもいますからねぇ」
オネエ魔王「ふぅん、なにかあったの?」
怪盗「子供たちを預かっていまして……極東までどうにか帰さなきゃいけないんですよね」
オネエ魔王「……そう、あなたたちがよければ、一旦ここに連れてきても構わないけれど」
狙撃少女「……それは、仕事が終わってからにしましょうか」
彼がそんな人物であるとは思っていなかったが、
万が一のことを考えると見ず知らずの人物______加えて言えば、魔王などという肩書きを持っている存在______に子供をいきなり預けるつもりにはなれなかった
オネエ魔王「そうね……巻き込むのも悪いし」
男「……俺たちはいつでも動けます。もう夜ですが……なにをして欲しいんですか?」
オネエ魔王「>>下1」
オネエ魔王「とある場所にこの花を届けて欲しいの」
そう言って、一輪の花を差し出した
それは水色に輝くバラであった
炎魔「わぁ、綺麗!」
中華「なるほど……して、どこに届ければよいのですか?」
問えば、彼は地図を渡してきた
それがどこかの街の地図ならよかったものを、まさかの世界地図であった
本日はここまでです
ありがとうございました
オネエ魔王「ここ」
だが、目的地に印はつけてあった
場所としては、先ほど通過した帝国の領内であった
氷魔「……ふむ……帝国ですか……」
オネエ魔王「なにかおあり?」
やる気「いや、特にないっす」
ぶりっ子「誰に渡せばいいんでしょう?」
オネエ魔王「行けば分かるわ」
怪盗「では、向かいますか?」
オネエ魔王「もう夜だから、ここで休んでいきなさい」
実際、地下水道をひたすら滑走したために疲れている
休んだほうがいいだろう
狙撃少女「……では、お言葉に甘えて」
オネエ魔王「夜はちゃんと寝ないと、美しさを損なうからね。身も心も」
魔王がそう言うとひとりでに入ってきた扉が開く
そこには先ほどのドリアードが控えていた
炎魔「あっ、さっきの方」
オネエ魔王「案内して差し上げて」
ドリアード「御意」
ぴりっとしたやり取りを交わし、
それからドリアードは大きな寝室へと一行を案内した
本日はここまでです
ありがとうございました
巨大な寝室で一行は寛いだ
フローラルな香りが安心感を出している
男「今日も慌ただしかったな」
中華「……大丈夫かな、帝国に行って」
氷魔「……私たちのことは……知られていないはずです……安心しましょう……」
と、明日のことについて散発的に話している
出かけるには遅い時間なのは言うまでもなく、
しかし寝るにもまだ少し早かった
男は誰かと話して時間を潰そうと考えるのだった
>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と話す
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.自由安価
疲労を匂わせる彼らの中にも、
そういった気配をまるで感じさせない者がいた
それが炎魔である
男は、彼女に話を聞いてみることにした
男「炎魔、疲れてないのか?」
炎魔「結構疲れてますよ」
男「そうか?全然そんな感じがしないな」
炎魔「今ならぐっすり寝られますよ!」
本日はここまでです
ありがとうございました
男「……寝相ヤバいよな、炎魔」
一昨日の朝、華麗な軌道で空を回転していた彼女を思い出す
炎魔「私は夢の中でも飛び回ってますからね!」
男「そんな気がするわ……」
いつでも楽しそうな炎魔からは、
誰でも元気をもらうことができるだろう
炎魔「そういえば男さん、>>下1」
炎魔「もし不死鳥と戦闘になってたら勝算はあった?」
その質問に、男は一瞬驚いたような顔をした
だが、すぐに自信満々に答える
男「あるわけないっ!」
炎魔「ええっ!?」
男「最初はどうにかなるかもなーって思ってたが、実際目の前にするとダメだな、ありゃ」
炎魔「男さんがどうにかしてくれるって思ってたのに……」
男「そりゃむしろこっちの考えだ」
炎魔「え?」
男「火力勝負してやるって意気込んでただろ?だから色々と炎魔に任せるつもりだった」
炎魔「え、えぇ……」
彼女は複雑な表情をした
一意に定まらない感情を持っているのだろう
男「悪いな、頼りなくて」
炎魔「確かに、あそこで矢面に立たされるのは勘弁ですが……私を頼ってくれたことは素直に嬉しいです!」
男「そんなにか……?」
ずいぶんポジティブに捉えているのだな、
と男は思った
炎魔「色々と世話になっていた期間の方が長いですから、少しでも恩返しがしたいのです!」
男「そうか、不死身だからと言って頼りすぎるのも悪いと思っていたんだが……」
炎魔「なんでも任せてください!」
本日はここまでです
ありがとうございました
今度からは炎魔をもっと頼るようにしよう、
と男は思うのだった
~翌日・陽週木曜日~
昨晩はボロボロだったので入れなかった風呂に軽く入ってから、一行は朝食の時間を迎えた
中華「昨日ので体も慣れたし、あの頃のように滑れそうだよ」
氷魔「……あの頃に比べれば……身体能力も上がっています……私はもっと綺麗に……滑りたいですね……」
やる気「じゃ、行ってくるっすねー!」
荘厳な城と、そこからこちらを見守る魔王にしばしの別れを告げ、花畑を歩く
ちゃんと先日見つけたハッチの元まで戻ることができた
ぶりっ子「まずは、あの教会を目指しましょうかぁ」
怪盗「どうします?雷なんて落とされたら……」
男「ふむ……その時は炎魔、頼んだぞ」
炎魔「ま……任せてくださいっ!」
本日はここまでです
ありがとうございました
昨日来た道を戻り、あの教会の下まで来た
まだ塞がれていなかったそのハッチを開き、
埃っぽい教会へと再びやってきたのだ
気弱少女「………………」
そういえばあの少女はどこにいるのか、
と誰もが思った
見れば、教会の中心で静かに祈っていた
狙撃少女(お取り込み中ですね……)
一行は彼女を刺激しないように、
静かに教会を出ることにした
男「………………」
なるべく静かに入り口の大きなドアを開く
少しだけ、木材の軋む音はするだろう
炎魔「すぅ……」
軽く息を吸って、彼女は一歩教会の外へと歩み出た
>>下1……異変は起こったか
目に見えて異常な変化が確認されなかったので、
炎魔に続いて一行も外に出た
中華「うん……?」
炎魔「あ、やっぱり変な感じしますよね?」
誰もが違和感を感じている
炎魔はそれを言語化することはできなかったが、
氷魔にはなんとなく分かっていた
氷魔「……これは……加護が失われた状態……でしょうね……」
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「ああ、この教会の神が守ってくれてたんすね」
ぶりっ子「あの女の子がここから出たがらないのも納得ですねぇ」
帝国領内に入ることは成功したものの、
現在位置は正確には不明のままである
怪盗「ともかく、この森を抜けましょう」
一行は静かな森をひたすらに進む
ずっと地下を移動していた彼らにとって、
森の清廉な空気は非常に心地よいものだった
狙撃少女「森の向こうに……ありますね、街が」
男「相変わらずだが……よく見えるな」
狙撃少女「空気が澄んでいるので、いつもよりちょっと遠くまで見えます」
中華「それで、どんな街が見えるんだい?」
狙撃少女「あれは……>>下1ですね」
1.辺鄙な村
2.普通の街
3.城下町
4.城塞都市
5.商業都市
6.自由安価
狙撃少女「辺鄙な村ですね……あまり沢山の人はいなさそうです」
氷魔「……好都合ですね……あの教会から出てきたことを含め……叩けばホコリが出る身ではありますから……」
遠くにその村が見えてきた
居住地をはるかに上回るスケールの農園と、
こじんまりとした居住区が特徴的だ
やる気「あとは、どれだけ警戒されないかっすね」
本日はここまでです
ありがとうございました
村に入った一行は、
農作業を終えて日陰で休んでいる老人に遭遇した
ぶりっ子「こんにちは~!」
全力で愛想を振り撒くのはまさしく彼女の得意分野だった
自らの孫を思い出したか、
老人はかなり上機嫌で挨拶を返してくる
老人「おお、こんにちは。旅の人かい?」
怪盗「はい、そうです!」
老人「それはそれは……元気がよくて結構なことじゃ」
炎魔「私なんかは元気が取り柄みたいな所ありますからね!」
狙撃少女「……つかぬことをお聞きしますが」
老人「うん?なんじゃ?」
狙撃少女は、彼に地図を見せた
すみません寝落ちしました
狙撃少女「ここは、この地図で言うとどの辺りでしょうか?」
老人「そうじゃな、だいたいこの辺じゃ」
狙撃少女「ありがとうございます」
礼を言ってから、その老人と別れた
狙撃少女は老人に言われた場所に印をつけている
男「それで……ここから目的地までは大体どのぐらい歩けば着きそう?」
狙撃少女「>>下1」
狙撃少女「馬車に乗って1日くらいかな」
中華「うーん……結構遠いね」
氷魔「……帝国領は……かなり広いんですね……」
やる気「ま、のんびり行くっすよ。馬車は途中で拾えたらラッキーってことで」
実際、この農村に馬車は来ないだろう
作物を輸送するための馬車なら来るかもしれないが、
今は時期ではないと一行は判断した
ぶりっ子「こういうとこを歩くのって、随分久しぶりな気がしますねぇ」
長閑な街道を進みながら、ぶりっ子はそう溢した
怪盗「確かに、最近はもっぱら馬車移動か、変な場所しか歩いてないかも」
狙撃少女「そうですね……散歩みたいで気分が楽です」
炎魔「天気もいいし、楽しいですね」
本日はここまでです
ありがとうございました
ひたすら歩き、太陽が西に傾きだした頃
街道のど真ん中に止まっている馬車のキャラバンを見つけた
男「ん……?」
どうやら彼らは何らかの事情で足踏みを余儀なくされているようだった
嘆息がときおり聞こえてくる
中華「なんだろう、あの商隊」
氷魔「……どうしたのですか……?」
脇から回り込み、
商隊の戦闘にいるリーダーらしき男性に話を聞く
商人「向こうの峠で土砂崩れがあったらしくてな、街道が使えないんだ」
やる気「ええっ!?」
商人「お前さんたちは歩きだろう?歩きなら、越えられないこともないはずだ」
本日はここまでです
ありがとうございました
ぶりっ子「そ、そうですかぁ……分かりました、気をつけますねぇ」
商人「ああ、まだ危険なことに変わりはないからね」
すぐ先は林道になっており、
そこを歩いていけば件の峠に出た
怪盗「うわぁ……行けるっちゃ行けるけど結構道塞がれてる……」
一行はどうにか堆積した土砂を避けたり、
あるいはその上を越えたりして進んでいく
狙撃少女「……んっ」
炎魔「どうしました?」
彼女はまた目敏くなにかを発見したようだ
狙撃少女「あそこ……なにかが露出していますね」
それは土砂が崩れてきたと思われる急斜面の上だった
崩れたぶんの土が抉れているが、
その奥になにかが見えていた
やる気「じゃあ、確認してみるっすよ!」
男「え?」
やる気は跳び上がり、斜面の上に着地する
そしてそのまま自身の槍で勢いよく土を薙ぎ払う
中華「……あれは」
取り払われた土砂の下から顔を出したもの
それは>>下1だった
本日はここまでです
ありがとうございました
すみません夕方ごろ書き込みに失敗してました
氷魔「……箱……?」
やる気「そうみたいっすね……っ!?」
彼は早速それを掴み取ったかと思えば、目を丸くした
ぶりっ子「ど、どうしましたぁ?」
やる気「……これ、生きてる気がするっす」
怪盗「どういうことです!?」
彼は実際に体感してもらったほうが早いとばかりに飛び降り、箱を差し出す
見れば色合いは深い青がまばらな濃淡を作る青銅のそれであった
炎魔「……うわっ!ほんとだ!」
炎魔はそれを触るや否や驚いて手をどけてしまう
狙撃少女「確かに……この感触、生命のような鼓動を感じます」
男「……確かにそうだな、なんというか……どう見ても金属なのに、触感だけ有機的だ」
中華「ってことは生きてるんじゃない?」
氷魔「……ありえますね……なぜそんなものがここにいるのかはまったく不明ですが……」
一行は珍妙な生物に慣れ始めており、
多分これは生き物だ、
という直感を信じるようになってきた
やる気「で!一番気になるのは……中身っすよね!?」
本日はここまでです
ありがとうございました
炎魔「それはそうですけど……」
ぶりっ子「ちゃんと箱としての機能があるならいいんですけどぉ……」
怪盗「がっつり生命体だったら内臓が飛び出ちゃうかもしれませんね!」
狙撃少女「私は……目を閉じておきます」
不安そうにしている者もいる中、
やる気は好奇心の赴くままにその箱を開ける
やる気「そりゃっ!」
>>下1……その中身
それを覗くやる気の瞳孔は真っ黒に染まった
無論彼の生得的な性質ではない
箱の中に広がっていた闇があまりにも広大で深いものだったからなのだ
男「お、おい……?」
やる気「ふんぬっ!!」
彼は思い出したかのように勢いよく箱を閉めた
それは驚くほどあっさりと閉じられ、
世界にはなんの残滓も残らなかった
本日はここまでです
ありがとうございました
中華「な、なんだったの?」
氷魔「……なにか……ものすごい力を感じました……大きく……重い……」
やる気「なんつうんすかね?『闇』が入ってたっすよ」
ぶりっ子「闇ぃ?」
やる気の判断は正しかったが、あまりにも早すぎた
その場にいた者のほとんどが、その話に対しては懐疑的だった
炎魔「ちょっと確認しますねー」
彼女は迷わずやる気から箱をひったくる
そして少しだけ箱を開けて中身を見た
怪盗「どうですか!?」
炎魔「うん……?」
炎魔は不思議そうに鼻を鳴らしている
狙撃少女「闇じゃないんですか?」
炎魔「なんか美味しそうな匂いがします!」
彼女は開きかけていた蓋を勢い良く取り外す
そこに入っていたのは先ほどまでやる気が見ていた闇ではなく、大量の食べ物が密集したものだった
男「随分詰めたなー……」
中華「肉系のものが多いね」
すみません寝落ちしました
氷魔「……あまり……開け閉めしないほうがいいのかも……?」
やる気「そっすね……」
中華「ああ待って閉じないで。食材だけ回収するから」
彼がいくつかの食材を回収した後、
再びそれは閉じられた
ぶりっ子「また妙なものを手にいれちゃいましたねぇ」
一行は謎の箱を手に入れ、
その後は特にアクシデントもなく峠を越えた
怪盗「夕方ですねー」
そろそろ太陽がオレンジになる頃合いで、
どこか泊まれる場所を見つけたいところだった
炎魔「どうですか狙撃少女さん!街見えますか!?」
狙撃少女「はい、>>下1が」
1.辺鄙な村
2.普通の街
3.城下町
4.城塞都市
5.商業都市
6.自由安価
狙撃少女「『街』ですね……なんか妙な雰囲気ですけど」
男「安全そうか?」
狙撃少女「うーん……まぁ……そうですね……」
歯切れの悪い狙撃少女だったが、
強くは否定されなかったので一行は向かうことにした
中華「た、確かに……変わってるね」
近づくにつれ、その住民を確認するよりも前に奇妙な街の外観が確認できる
本日はここまでです
ありがとうございました
魔界のようと形容できるおどろおどろしい尖塔があったり、
高度な科学技術を感じさせる工場があったり、
あるいはオリエンタルな木造の建物があったりする
氷魔「……警戒はしましょう……」
一行が街に入れば、そこは活気に満ちていた
人々の多くは楽しそうで、
あるべき街の風景が繰り広げられている
ただし、それはものの見た目に頓着しない者に限っての認識だ
やる気「ど、どうなってるんすか、ここ?」
メインストリートを歩くは、
明らかな亜人、悪魔の要素が混じったような人間、
それどころではなく無機質な機械的パーツで人体を構成する人間までもが闊歩しているのだ
ぶりっ子「入って大丈夫なんですかねぇ、ここ?」
炎魔「いいんじゃないですか?むしろ居心地がよさそうです!」
炎魔は無邪気にはしゃいで街へと入っていく
男「んー……まぁ多様性ってやつか」
と言って男までもが入っていくので、
結局みな足踏みはできなかった
怪盗「半魔とか亜人って、まだちょっと慣れないんですよね」
狙撃少女「私はサイボーグの方が怖いですが……」
中華「機械化されてる人って、味覚あるのかな?」
本日はここまでです
ありがとうございました
一行はしばらく街を歩き、宿らしき建物を発見した
そして早速そこへ入っていった
氷魔「……すみませーん……」
女将「はーい、旅の方ですか?」
やる気「そっすよ、宿開いてるっすか?」
女将「はい、まだあります」
ぶりっ子「ここ、すごい色んな見た目……種族?の方がいらっしゃいますけどぉ……なんでなんですかぁ?」
女将「>>下1」
女将「彼らはそれぞれの種族が文明の中心となった複数の平行世界から突然この世界に飛ばされたみたいなの」
怪盗「へ、平行世界……?」
狙撃少女「……不思議なこともあるものですね、なぜここに……?」
奇妙極まりない風景や不思議な風貌の種族たちが共存できていたのはそういう理由なのだろう
女将「それがまだよく分かってないのよ。……この辺りの時空が不安定だって話は聞くけれどね」
男「……結構最近のことなんですか?ここは昔から街だったのでしょうか」
女将「元々ここは普通の街だったけど、それぞれの元の世界に帰還するまで互いに協力するために今みたいな街になっていったのよ」
中華「よく平和が保たれてますね、あの状態で……」
女将「元々はみな不干渉だったわ。なんならうっすら敵対してて、嫌な雰囲気が街を覆っていたの」
氷魔「……そちらの方が……むしろ自然ですけれどね……」
誰もが分かり合えるなどあくまで理想論だと、
一行の多くも薄々思っていた
女将「ただ、帝国も異常に気付いたらしくてね……当時街の権力を握っていたのも平行世界から来た人たちだったから、自治を求めて内戦になったのよ」
本日はここまでです
ありがとうございました
やる気「この分じゃ、勝ってそうっすね」
女将「ひとまずはね。帝国の敗因としちゃ、人間用の武器や戦術が効かないやつと、魔物用のそれらが効かないやつらの混成部隊に苦戦したってのが大きいのよ」
この街の住人に適合する戦法が見つかれば、
帝国はこの街を攻め滅ぼすのだと彼女は暗に示している
ぶりっ子「やっばり、兵力差はキツいんですかぁ?」
女将「そうね、街一つと国一つじゃあねぇ……」
怪盗「でも、放っておけばこの街ももっと強くなりそうじゃないです?」
女将「私もそう思うわ。けれど帝国が次来るときは兵力を結集してくるはずよ」
狙撃少女「この前はそうじゃなかったんですか?」
女将「どうもそこかしこと戦争しすぎて、兵力が分散していたようなのよ。それで、今度からはもっと束ねて兵力を使うみたいよ」
この街がそれで滅びるかもしれない、
と一行は思ったがそれ以上の懸念があった
市長のいるあの街も戦争の対象だという点だ
本日はここまでです
ありがとうございました
炎魔「……大変ですね」
女将「ま、私もなんだかんだでこの街が好きだしね」
しばらく立ち話をして、一行は部屋に通された
商隊向けの部屋だったが、
そうでもなければ全員は一部屋に入らないのだ
まだ夕食までは時間がある
>>下1……なにをする?
1.中華と話す
2.氷魔と話す
3.やる気と話す
4.ぶりっ子と話す
5.怪盗と話す
6.狙撃少女と話す
7.炎魔と話す
8.自由安価
狙撃少女「ふふ……」
特になにか面白いものがあるわけでもないのに、
彼女は笑っていた
男はそれを不思議に思ったので声をかけることにした
男「……狙撃少女?どうした?」
狙撃少女「あ、いえ……」
男「なにか面白いものでもあったのか?」
狙撃少女「前にもお話したと思うのですが、私は小説などお話を書くのが趣味なのです」
男「ああ、なにせ読ませてもらったしね」
狙撃少女「最近は不死鳥に会ったり、テレポート装置を見つけたり……この街のように、不思議な場所を見つけたりして……とっても想像が膨らむんですよ」
男「なるほど、確かにインスピレーションを与える出来事は多かったな」
彼女はやたらに目がいいが、
自分の世界にそれを落とし込む洞察力とも関係しているのではないか、と男は考えた
本日はここまでです
ありがとうございました
狙撃少女「そうなんです、だからどんなお話を書こうかなって……考えてたんです」
男「なるほどな……」
狙撃少女「でも、扱える題材が多すぎて……取捨選択して、まとまりのある話にはしなきゃいけませんし」
男「そうだな」
狙撃少女「そこで!男さん……私を手伝うと思って、ジャンルだけでも指定していただけませんか!?」
と、彼は突如頼られる
ジャンルについて考えていたわけではなかったので少々驚いたが、どうにか答えを出すだろう
男「>>下1」
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