CuP「お前PaPか?」PaP「そういう君はCuP」 (26)

CuP「奇遇だな」

PaP「バラエティの収録か?」

CuP「あぁ。そっちは?」

PaP「ドラマの撮影」

CuP「って事は、向井拓海が来てるのか」

PaP「あぁ、今着替え中」

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拓海『はぁーい、みんなー♪今日も元気にー?』

拓海『たくみーん、スマーイル☆』

『ウオオオオオオオオオオ……』



CuP「お、やってるやってる」

PaP「半月前の新曲ライブの時の映像だな」

CuP「それがもうランクインかよ、早いなー」

CuP「しっかし、カワイイよなー」

PaP「あぁ」

CuP「清楚で、おしとやかで……たくみんスマイルに、あのおっぱいだろ?」

PaP「……あぁ」

CuP「ホント逸材だよ。たまんねーわ」

PaP「………」

CuP「?……どうした?」

PaP「いや……そんなに気になるか?」

CuP「お前がスカウトしてなきゃ、俺がスカウトしてた位にはな」

PaP「そうか……」ハァ

CuP「何で溜息付くんだよ」

PaP「……お前、TVでしか拓海を見たことなかったっけ?」

CuP「まだ直接会ったことはないな」

PaP「あぁ、そうだったな。そうだった……」

CuP「何だよー、本性は違うってのか?」

PaP「ん……まぁ、元族だし」

CuP「えっ……」

PaP「あぁ、そういや公表してなかったっけか」

CuP「マジかよ。あのたくみんお姉さんがか」

PaP「そうだよ。ついでに言うと拓海はお姉さんってより、姐御肌だ」

CuP「いやいやいや、冗談だろ?」

PaP「マジだよ」

CuP「だってお前、デビュー当時からあのたくみんお姉さんだったじゃん」

PaP「ウチはそういう方針だったんだよ。良くある話だろ」

CuP「守ってあげたいオーラ、あんなに出してるのに?」

PaP「そりゃあ、みっちり演技指導してるからな」

CuP「おいおい、そんな夢壊すような事言うなよなー」

PaP「まぁ、むしろブッ壊してしまいたかったんだが……」

CuP「ん?」

PaP「拓海も好きであんなキャラしてる訳じゃあないんだ。性格的にも正反対だからな」

PaP「デビュー当初は気付かなかったが……あれを維持するの、相当ストレスになってんだよ」

CuP「……TVの向井拓海からじゃあ、全然分からないな」

PaP「そりゃ、アイドルだし。視聴者のファンに疲れた顔なんか見せられないだろ」

CuP「そんなにキツいなら、いっそ路線変更してみたらどうだ?」

PaP「あぁ、それもやってみたよ。先月辺りに」

CuP「先月って言うと……」

PaP「殺虫剤のCM」

CuP「悪い。知らん」

PaP「いや、3日で打ち切られたからな。知ってる方が珍しい位だ」

CuP「3日!?……何やらかしたんだよ」

PaP「やらかしたと言うか、周りが騒いだと言うか……」

CuP「どんなCMだったんだ?」

PaP「黒い虫に扮した連中を拓海がこう、バッタバッタとなぎ倒す無双系」

CuP「……あぁ、よくありそうな奴だな」

PaP「殺陣をやらせてもらえるからって、拓海もあの時は随分張り切ってたんだよな」

PaP「すごいノリ気だった記憶があるよ」

CuP「へぇ~」

PaP「……で、その放送直後からクレームが飛んできてな」

CuP「え?」

PaP「どうも内容をお気に召さなかった奴が、ネットの掲示板で晒し上げたらしい」

PaP「『たくみんはこんな事しない!』『たくみんに変な真似させるな!』ってね」

CuP「……あー、なるほどねー」

PaP「で、その掲示板から流行りのSNSにも拡散して、事務所の電話は鳴りっぱなし」

CuP「うわぁ……」

PaP「いやまぁ、それだけならまだマシだったんだが」

CuP「と言うと?」

PaP「他社のスポンサーからもクレームが付いちまった」

CuP「あちゃー」

PaP「『暴力を振るうアイドルは如何なものか』『イメージを崩してもらっては困る』」

PaP「……ってな言い分で、上から随分絞られてなぁ」

PaP「そんで、CMは打ち切り。謝罪文出して一応終息はしたんだが……」

PaP「一度こういう事があった以上、仕事は選ばなきゃならなくなっちまったよ」

CuP「キツいなぁ」

PaP「猫も杓子も『お姫様』なんだよなー」

PaP「今時は『強い』『カッコいい』アイドルなんか流行らねーんだろうし」

CuP「いや、そんな事はないと思うが」

PaP「……お前、もしかして知らないのか?今CoPんとこがどうなってんのか」

CuP「ん?」

PaP「あいつな、自分とこのアイドルの路線変更に躍起なんだぜ」

CuP「マジでか」

PaP「マジだよ。デレ期到来とか謳ってやがるけどな」

CuP「あいつんとこ、クールビューティー系アイドル多かったよな。確か」

PaP「それがな、何人かはスイッチ切り替えたみたいにカワイイ路線に一斉変更だよ」

CuP「げぇー、マジかそれ」

PaP「ライバルの現状位知っとけよ。その内お前んとこの分野まで食われちまうぞ」

CuP「……そう言うお前の方も、大分食ってるよな?現在進行形で」

PaP「あ、そこは気にすんなよー」

CuP「何でだよ」

PaP「……お前んとこのアイドルのようにさ」

CuP「ん?」

PaP「元から素でデビューさせていれば、また違ったかもしれないな」

CuP「自分を曲げないアイドルって、それはそれで大変だぜ?」

PaP「それでも今みたいに、拓海に苦労させっぱなしよりはなぁ」

CuP「ま、その内転機が来るだろうさ。その内……」



拓海「プロデューサー!」

PaP「お、来たか」

拓海「ごめんなさい、待ちました?」

PaP「いや、全然」



CuP「おい、全然姐御って風に見えないんだが」ヒソヒソ

PaP「そりゃ局内でも徹底させてるからな。ボロは出させねーよ」ヒソヒソ

拓海「……こちらの方は?」

PaP「あぁ、俺のダチだよ。丁度バッタリ会ってな」

CuP「どうも」

拓海「私、向井拓海です♪初めまして♪」ニコッ

CuP「あぁ、初めまして。TVでよく拝見してます」

拓海「ありがとうございまーす♪」

PaP「……じゃあ、そろそろ行くかな」

CuP「お、もう帰るのか」

PaP「いや、その前に必ず寄る所があってな」

CuP「へぇ、二人でか?……怪しいな」ニヤニヤ

PaP「バーカ、ジムだよ。スパーリングの相手するだけだ」

CuP「スパーリング?」

拓海「ちょ、ちょっとプロデューサー!」

PaP「良いストレス解消になるんだとさ。夢もクソもありゃしねーよ」

PaP「つーかこいつにそんな色気は、もっと付いててほしい位……」


ゴッ

PaP「」

拓海「おい、プロデューサー」

CuP「」ゾクッ

PaP「……拓海。まず落ち着こう、拓海。分かってる、今のは俺が悪かった」

拓海「あァ、今日はすっげー溜まってるから。5セット追加な」

PaP「わ、分かった……そ、それじゃあ、俺達はこれで」

CuP「お、おう」

拓海「あ、失礼しまーす♪」フリフリ

CuP「あいつもあれで、大変なんだなぁ……」

CuP「……路線変更、か」

CuP「………」





幸子「ここで待ってたんですか、プロデューサーさん」

CuP「おう」

幸子「さ、早く帰りましょう」

CuP「……なぁ、幸子」

幸子「はい?」

CuP「こないだお前に言った、『天使の舞台』なんだがな……」

CuP「やっぱり、やめとこうかなって」

幸子「どうしてですか?」

CuP「そんな事しなくたってさ、お前はもう充分カワイイと思うんだよ。うん」

幸子「……ボクは現状に満足はしていませんよ?プロデューサーさん」

CuP「幸子……?」

幸子「ボクの可愛さは、皆に知ってもらいたいんです」

幸子「その為の舞台があるのならば……」

幸子「どんな手段を使ってでも、その舞台に立つべきだと思うんですよ!」

CuP「そうか……上を目指したいんだな、幸子は」

幸子「もちろんです。ボクのカワイイに、妥協は許されませんからね!」ドヤァ



CuP「……分かった。そこまで言うなら、俺は幸子の意志を尊重しよう」

~数日後~


バラバラバラバラバラバラ……


幸子「ボボッボ、ボクはてっ、ててて天使なのでそ、そそ空から舞い降りますが」

幸子「ま、まっままさか本当に降りることになるとは、おっ、おお思いませんでしたよ!」

CuP「舞台はちゃんと用意したぞ!幸子ォ!」

幸子「き、きき聞いてますかプロデューサーさん!」

CuP「さぁ、天使になる時間だ!行くぞ、幸子ォ!!」

幸子「ヒ、ヒィィィィィッ!」



おわり

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