かのん「雨の日のコーヒー」すみれ「二杯目」 (31)


ー渋谷ー



~♪

すみれ「……~♪」フンフン


すみれ「Just know that i would die for you~♪」


トテテ


すみれ「Baby, I would die for you…♪」


「……なんて意味?」


すみれ「……かのんのあんぽんたんって意味」


かのん「そんな訳無くない!?」


すみれ「もちろん嘘ったら嘘よ」デコピン


かのん「あてっ、じゃあホントの意味教えてよー」


すみれ「はいはい……その内ね」


かのん「むー……」


すみれ「ほら、行きましょ」


かのん「…うん!」


https://youtu.be/xuNMsMpVaho



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1669450003

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー109ー



すみれ「で、どんなのを見に来たの?」スッ


かのん「んー、ジーンズとアウターかな。最近一気に寒いじゃん、新しいの欲しいなって」


すみれ「確かにね。いつもはどんなのを買うの?」チラッ


かのん「パーカーとか多いかな、色々着るのは面倒でねぇ」


すみれ「あんた大体オーバーサイズのプルダウンパーカーよね。まあ似合ってるから良いんだけどさ」カシャッ


かのん「おっきめのパーカー着とけば、色々考えなくて済むからさ」


すみれ「ちょっと位は考えなさいよ」チラッ


かのん「……なーに?何か思うところあり?」


すみれ「少しあるわ。ただ、私の着せ替え人形になる覚悟がかのんにあるならの話だけど」カシャッ


かのん「えー……まあ、すみれちゃんならいっかな」


すみれ「そうと決まればはいコレ」スッ


かのん「はっや!!もしかして今まで手に取ってた服、すみれちゃんが買う奴じゃ無かったの!?」


すみれ「そうよ?これ私の着るタイプじゃないでしょ、ほら着るったら着る」


かのん「やけに何かこっち見ながら取るなーって思ってたんだよね!!確かに、すみれちゃんがいつも着てる感じじゃ無い服だしね!!」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


『試着室』



すみれ「着た?」


シャーッ


すみれ「うんうん、オーバーサイズのマリーゴールドカラーのプルダウンパーカーに、黒色のMA1ジャケット、下はデニムのフレアパンツ……良いじゃないの、どうよ」


かのん「……結構合ってて悔しい」


すみれ「いつもあんたパーカー1着だけでしょ、上に何か着た方がもっと可愛いわよ」


かのん「かわ……///」


すみれ「……それで、帽子はいる?」


かのん「あ、あると嬉しいかも…このコーデ的にはどう?」


すみれ「いつもじゃ無いけどたまに被ってるわよね?その感じならバケットハットもキャップも合うわよ」


かのん「あー、どうしよっかな……?」


すみれ「はい選んで」スッ


かのん「も、もう持ってた……じゃ取り敢えず、その緑キャップで」


すみれ「ん」


スッ


かのん「……一気にストリート感出るね」


すみれ「うん、まあぶっちゃけどっち被ってもストリート感は拭えないけど……そこは好みね」


かのん「いつもキャップが多いから、たまにはバケットハットにしよっかな」


すみれ「ん、こっちね。カーキのバケットハット」


かのん「……よし、ありがとうすみれちゃん。このまま買っちゃおっと」


すみれ「今日のあんたの服装なら、MA1は着っぱで良いわね」


かのん「すみれちゃんは何か買わないの?」


すみれ「もう買ったわよ」


かのん「え、どれ?」


すみれ「それ」


かのん「……ぅえ!?このバケットハット!?何で!?」


すみれ「今日誘ってくれたお礼、あんたの付き添いとは言えね」


かのん「え、凄い嬉しいけど結構いい値段なんじゃないかな!?てか、私がこっち選ぶって分かってたの?!」


すみれ「その位大した事ないわよ、っショーウビジネスじゃあ、ファッションの手ほどき位は当然だからね!!無論、あんたがそっちを選ぶ事も織り込み済みよ!!」


かのん「ならもう絶対、こっちが払うべきだよね……?!」


すみれ「いーの、お礼ったらお礼よ」


かのん「……」


すみれ「……イヤ?」


かのん「イヤな訳ない……」


すみれ「そう…」


かのん「……ありがと」ギュッ


すみれ「それでいいの」


かのん「もうずっと被っとく」スポッ


すみれ「いや、ずっとは被んなくて良いでしょ……」



ーー
ーーーー
ーーーーーー


ポツポツ……



すみれ「被ってて正解ね……」


かのん「あちゃー、降ってきたねぇ」


すみれ「どうしましょっか……」


スッ


バサッ


すみれ「!」


かのん「持ってきてて良かった、折畳み傘」


すみれ「……ありがとう」


かのん「いいの」


すみれ「……ねぇかのん、この近くに良い喫茶店を知ってるんだけど……どうかしら」


かのん「え、ほんと?うちよりも?」


すみれ「うーんとごめん、かのんの喫茶店が1番なのを前提に……ね」


かのん「えへへ、言わせちゃった」


すみれ「それはほんとだもの……ほら、行きましょ」


かのん「うん!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ー喫茶 フォルテー


~♪

https://youtu.be/p5zbke2L7QY



「ふぁ~あ…雨が降るんじゃ、今日は誰も来なさそうね……」



<カランカラン……



「あ、いらっしゃいませ」


すみれ「こんにちは、お久しぶりね」


かのん「こんにちはっ!」


「……あら、すみれ?ちょっと、久しぶりじゃない」


すみれ「2人なんだけど、いいかしら?」


「ええ勿論、こちらへどうぞ」


ーーーーー
ーーー
ーー



「雨、どんな感じ?」


すみれ「パラつき出した所よ、予報的には止むと思うけど」


「そう、ならいいけど。ただでさえ遠い客足がもっと遠くなっちゃうわ」


すみれ「ふふ、知る人ぞ知る名店、でいいじゃない」


「ありがと……これメニューね」


かのん「ありがとうございます!」


「決まったらまた呼んで」


かのん「……すみれちゃん、あのかっこいい人とどういう関係?」


すみれ「何、嫉妬?お母さんの友達よ、昔はピアニストだったんだって」


かのん「ああ、だからあんな綺麗な指してるんだね」


すみれ「あんた、よく見てるわね……」


かのん「何となく見ちゃった、あそこに大きいピアノもあるし」


すみれ「良い推理ね、名探偵かのん」


かのん「えへへ……私はカフェオレにしよっと」


すみれ「私は……うーん……」


かのん「出た、すみれちゃんの特殊スキル、優柔不断」


すみれ「いらないデバフよ……どうしようかしら」


かのん「……これとか、どう?」


すみれ「黒糖オレか……うん、良いかも」


かのん「決まったね、すいませーん」


「はいはい、お決まりかしら?」


かのん「カフェオレをひとつと、黒糖オレを下さい!」


「ん、かしこまりました」


すみれ「この子の実家、喫茶店なのよ」


「あら同業者?ウチの秘伝『トマトコーヒー』のレシピは教えないわよ」


かのん「いや奪いませんよ!?」


「冗談よ。まあ素人コーヒーだけど、期待してくれていいわ」


かのん「はいっ」


すみれ「……トマト、コーヒー……?」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お待たせ、黒糖オレとカフェオレね」


かのん「わーい、ありがとうございます!」


すみれ「ありがとう」


「あとこれ、サービスでトマトのパウンドケーキ」


すみれ「え、いいの?」


「久しぶりに来てくれて嬉しかったのよ、良かったらどうぞ。トマトは好き?」


かのん「大好物です!」


「ふふ、良かった。ごゆっくりどうぞ」


かのん「ありがとうございます!!」


すみれ「良かったわね、トマト好きだったものね」


かのん「いい事ってあるもんだねぇ」


すみれ「じゃあ」スッ


かのん「…あそっか、乾杯ね……」


すみれ「やるでしょ、普通は」


かのん「そうかなぁ……」スッ


キン…


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ザーッ…


かのん「うげ、かなり降ってきたね」ズズ…


すみれ「甘っ……天気予報も信頼し過ぎ無い方が良いわね…」ゴクッ


かのん「最近はめっきり寒くなってきたし雨もしばらく無いかと思ってたけど……降る時は降るもんだ」


すみれ「時期もあるし、いちいち冷たい雨でやんなっちゃうわね」


かのん「まあ、コーヒー飲むには最適だけど」


すみれ「流石、喫茶店の娘は言う事が違うわね」


かのん「でもそうじゃない?冬なら暖かい、夏なら涼しい室内で飲むコーヒーの優越感って、他に替えがたいものでしょ?」


すみれ「分かるわ……そこに雨が降ってたら余計ね。傘をさして道歩く人を見ながらのコーヒーってのは……『オトナ』よね」


かのん「お互い良い趣味持ってるよね、自慢じゃないけど」


すみれ「昔はこんな苦い飲み物の何が良いのよって思ってたけど、ちょっとでも歳を重ねるとこうも認識が変わるものだったとはね」


かのん「…小さい頃、ウチの店でお客さんが掃けたあと、お父さんとお母さんが窓際でコーヒー飲んでる所見ててさ」


すみれ「……うーわ、考えるだけで凄いオシャレねそれ」


かのん「ボリューム絞ったジャズと、お父さんが吸ってたタバコーーー今は辞めたけどーーーそれと、コーヒーの湯気がさ……」


かのん「……ちょっと、カッコよすぎたんだよね」ズズ…


すみれ「目に浮かぶわ、その光景」ゴクッ


かのん「あそうそう、その時何故かコーヒーじゃなくて、お父さんのタバコに凄い注目しちゃってたな」


すみれ「ふふ、何でよ。そこはコーヒーじゃないの?」


かのん「何か、いつも嗅いでるコーヒーとは違う、煙と香りが気になってさ……確かピースって奴だったかな。何でか凄い良い香りで…」


すみれ「何処かで聞いた事あるわ、ピースはコーヒーに1番合うタバコって」


かのん「でもピースだけだとあんまりなんだよね。いい香りはいい香りなんだけどタバコはタバコだから、単体だと私は苦手だったよ」


すみれ「じゃかのんは、タバコ嫌い?」


かのん「うーんどうだろ……分かんない」


すみれ「そっか」ゴクッ


かのん「……え、すみれちゃん吸ってるの?」


すみれ「んごふっ、げほっごほっ!」


かのん「あ、ごめん」


すみれ「ごほっ、吸ってないわよ!何でそうなるの!?」


かのん「いや何となく、すみれちゃんなら吸っててもあんまり違和感ないし」


すみれ「大人っぽいという褒め言葉として受け取っておくわ……まず前提として未成年よ、私たち」


かのん「まあそうだけど」


すみれ「あとウチは両親共に吸ってなかったから、あまりタバコに触れた事無いわ。周りに吸ってる大人もいなかったし」


すみれ「確かに映画とか、それこそかのんのお父さんとかの話みたいなのを聞いてかっこいいなとは思った事あるけど、流石にまだ吸った事は無いわよ」


かのん「……ほーん」ゴクッ


すみれ「…何見てんのよ」


かのん「いや……今すみれちゃんが片手にタバコ持ってたとしたら……凄い似合うなって」


すみれ「そう言うならあんたも似合うわよ、ナナミ達にキレかけたあの時とか」


かのん「あ、あれは私の勘違いだったから……悪い事しちゃったよ」


すみれ「あの時のかのんは……セブンスターをこう、人差し指と親指で持ってそうね」


かのん「え、こう?ストローだけど」スッ


すみれ「あっははは!!そうそう、顔は!?」


かのん「えーと、こうかな」クワッ


すみれ「たっwww……っwwww…っwwww」


かのん「笑い過ぎじゃない?え、そんなに似合ってない?」


すみれ「逆ったら逆よ、似合い過ぎてんの!!」


かのん「それはそれで、何か嫌だなぁ…」



「……え、あの子なんであんな厳つい顔してるの……?」


ザーッ…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すみれ「……おいしっ、トマトとパウンドケーキって合うのね……」モグモグ


かのん「……これは、レシピ聞いちゃおうかな」


すみれ「出た、スパイ」


かのん「いやいやお店では出さないけど、個人的にまた食べたいなこれ」モグモグ


すみれ「確かに美味しいわ……考えてみればフルーツトマトとかはもう、デザートみたいなものよね」


かのん「一時期イエロートマトの甘さにどハマりしちゃって、2週間くらい毎日食卓に出た事あるなぁ」


すみれ「出過ぎじゃない?飽きないのそれ」


かのん「うん、しっかり飽きた」


すみれ「本末転倒じゃないのよ笑」


かのん「何事も程々が1番だねぇ、トマトも、音楽も」


すみれ「音楽?」


かのん「私この曲好きだなーってなるとついつい聞きすぎちゃって、飽きちゃうんだよね」


すみれ「分からんでもないわね。良い曲ってのは確かにずっと聞いてたくなるわよね」


かのん「ずーっとスマホからその曲流しっぱとかしてると『……違うのにしよ』って次の曲押したりするの。我ながら嫌なクセなんだけど」


すみれ「ヘビロテするのは良いけど、たまには切り替えないとダメよ?私なんかはそうなりたくないから、ある程度聴き込んだらLチューブの『あなたへのおすすめ』から発掘したりするわよ」


かのん「あ、私もする。ずっとLチューブで音楽聞いてると、段々この子も私の事を"理解"ってくるよね」


すみれ「何かこう、AI的な事は何も分からないけど、ふと再生した曲がとんでもなくぶっ刺さる時って『凄い』通り越して『怖っ!!』てなるわ」


かのん「分かるー!!私も最近おすすめされたKan Sanoって人がもう最高で……」


すみれ「最近新譜出したわね、『Tokyo State Of Mind』と『おやすみ』がオススメよ」ゴクッ


かのん「……あと、Mabanuaって人も中々なんだよね」


すみれ「私は『Fade』のビートが好きね。あと『Imprint』のメロウさと、サビが刺さるのよ。あ、Mabanua好きならMndsgnも好きだと思うわ」


かのん「ま、マインドデザインね……」ズズ


すみれ「『Cosmic Perspective』のファンク感とグルーヴは最高よ。でもやっぱり『Where Ever U R』に帰ってきちゃうのよねぇ~」


かのん「……あ、あのさ、この前もそうなんだけど…私が知ってる奴、すみれちゃん全部知ってない?」


すみれ「たまたまじゃない?私とかのんは音楽の趣味が近いのよ、稀によくあるわ」ズズ


かのん「……や、やっぱ洋楽だよね!Mac Ayersとか」


すみれ「『The Devil's in the Details』よね~!!『Lonely』も捨て難いけど」


かのん「ねぇ待って、いくらなんでも守備範囲広過ぎない?」


すみれ「音楽に貴賎なしよ、何でも聞くのが1番」


かのん「ロック」


すみれ「SlipKnoT、DragonForce、Korpiklaani、Bon Jovi……うーん、StarsetとSet it off。あとSkillet」


かのん「……ヒップホップ」


すみれ「東はA Trive Called QuestとNotorious B.I.G.ね。西は80'sから90's全部、強いて挙げるならSnoop Doggy Doggと2pac」


かのん「レゲエ!!!」


すみれ「そうねぇ、NinjamanとShabba Ranks、Sizzla、Buju、Damian Jr、Sean Paulかなぁ……あ、Gregory IssacsとDennis Brown忘れてたわ。Freddie McGregorもかな。勿論ボブとウェイラーズも」


かのん「ぜぇ、ぜぇ、何か日本の奴……」


すみれ「安全地帯と山口百恵とハイ・ファイ・セットと濱田金吾、大貫妙子、山下達郎に……加山雄三、細川たかしに小坂忠、村下孝蔵とあとは…橋幸夫にディック・ミネ。あ、あとアリス」


「……クラシックは?」


すみれ「あら店長、そうね……ラヴェル、シューベルト、スメタナ位かしら、私クラシックは『あまり知らない』のよね」


かのん「や、やっとすみれちゃんから『あまり知らない』を引き出せた……Liella入ってくれてほんとありがとう…」


すみれ「はい?」


かのん「あと、店長もありがとう、ございます…がくっ」


すみれ「え?私何かした?」


「彼女を起こさないであげて、死ぬ程疲れてる」


すみれ「???」


「……りえら?」


すみれ「あ、そうなの。今私達『スクールアイドル』をやってるのよ、Liellaっていうの」


「…へえ、あのすみれが……スクールアイドルしてるのね」


すみれ「ええ、意外?」


「いや、いつかはそういう道に進むんだろうなって思ってたから、そんなに驚かないわ」


すみれ「あらそれは残念」


「アナタも一緒に?」


かのん「そうですぅ……あ、ちょっと御手洗ー……」スクッ


トテテ


すみれ「あの子、かのんはリーダーよ。私達9人でやっててね」


「……ふーん、9人か」


すみれ「ま、これからのショーウビジネスの道の為に、Liellaを超有効活用させて貰うわぁ!かのんには申し訳無いけど、私の栄光の礎になってもら」


「ねぇ、あんたあの子の事好きでしょ」


すみれ「ぎゃらぁっ!?///な、何で急にそうなるのよ!?」

「見てりゃ分かるわよ、伊達に年くってないんだから」


すみれ「自虐……?」


「……で、どうなの?」


すみれ「……それは……」


「ま、急に言われても何も言えないわよね、ごめん」


すみれ「…」


「でも決断の時ってのは、急にすっ飛んでくるものよ。いざそうなっても焦らないように、心の隅に留めときなさい」


すみれ「……はーい」


「あんた、昔から変わんないわね……絶対聞いてないでしょ」ウリウリ


すみれ「撫でくり回すな!!///」


「てかあんたのさっきのぎゃら?って、もしかしてコールとか?」


すみれ「そう、ギャラクシーポーズよ!バズらせるわよ私は!!」ギャラー


「……左手も同じ手にして」


すみれ「え?こう?」


「で、両手をそのまま、こめかみに持ってきて」


すみれ「え?何よ」スッ


「……」


すみれ「……」ニッコニッコニー


「……ぶふっ」


すみれ「なんで笑うのよぉっ!?///」


かのん「はあ、さっぱりした……すみれちゃん何それ、ポーズ新しくしたの?」


すみれ「ちちち違うのよ!!これは真姫さんがこうしろってっていなぁぁぁい!!?」


かのん「なんかいいじゃんそのポーズ。そのまま全体を前に出す感じで『ギャラクシー!』って言えば、小悪魔感出るよ」


すみれ「なんか違うったら違う~っ!!」




真姫「……ふふふ、なんかちょっとだけ似てるわね」


ーーーーーー
ーーーー
ーー


ポツポツ……



真姫「どうもありがとう、また来てちょうだい。2人で」


かのん「え、私達限定なんですか?」


すみれ「……」


真姫「ええ、他のメンバー来てもあなた達以外入れてあげないわ」


すみれ「ぶはっ!?」


かのん「えぇ!?なんでです!?」


真姫「大嘘よ。いつでも皆でいらっしゃい、9人でね。貸切にしたげる」


かのん「よ、良かった……ありがとうございます」


すみれ「……ほんと冗談好きよね、真姫さん」


真姫「まあね、足元に気を付けて行きなさい」


すみれ「ありがとう、また来るわね」


かのん「ご馳走様でした!また私とすみれちゃんと来ます!!」ガシッ


すみれ「いやだから他の子も連れてきたげなさいよ!!」


<……で、次はどこ行くのよ?


<ちょっと行ってみたいとこあるんだよね~……



トテトテ……




真姫「……はいはい、心配しなくても奪ったりしないっての……ふふ」フリフリ


真姫「……さて、どうなるかしらね」


ザーッ……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーマンハッタンレコードー



~♪


https://youtu.be/2Sd_mvOotaA



かのん「おおう、音楽の宝庫!」


すみれ「たまーに来るのよ、何か掘り出し物無いかなって」


かのん「あ、お父さんが持ってたやつ」


すみれ「ハンク・モブレーね、私これ島耕作読んでたら知ったのよ」


かのん「きっかけおもしろっ」


すみれ「ジャズなのは分かってたからすぐ検索して聞いたわ、良い時代になったものね」


「あえて逆行する人も多いけどねぇ」


かのん「え、そうなんですか?」


「うん、ネットだと有難みが薄れるって、未だにレコードとかCDしか買わない人いるよ」


「まあもうこればっかりはしょうが無いね、またレコードも流行ってるし、時代は回るだけだよ」


すみれ「シティポップの影響かしらね、レトロが流行るのは良い事良い事」


かのん「お姉さんはどっち派なんですか?」


「ん、音楽が聞けるなら何だっていいかなん」


かのん「すみれちゃんと同じタイプだ」


「よく来てくれるよね、キミも私と同じなんだ?」


すみれ「まあ、折角こんな時代に生まれたんだから全部享受するわよ。今更媒体に拘らないわ」


すみれ「…といっても、レコードとかは流石に憧れるけど」


かのん「普通は再生機器なんて家に無いもんね。ウチはたまたまあっただけだし」


「悩んだら買っちゃえ!こういう"環境がある内"だよ、何だかんだと"スマホだけで完結"しないでさ」


「そういう"勢いありきの気持ち"ってのは大事にしな。いつその心が、"消えちゃう"かも分からないんだから」


すみれ「……」


かのん「お姉さんもオールドタイプじゃないですかー」


「へへ、やっぱオールドスクールだよ」


かのん「うーんそうなると、あのクマの着ぐるみ着た人のTシャツ欲しいな……なんか可愛いし」


「あ、カニエの馬鹿のジャケ写のシャツね、お買い得だよー」


かのん「かにえのばか!?」


すみれ「勢い……気持ちが消える……」ブツブツ


かのん「すみれちゃんどういう事?カニエの馬鹿って」


すみれ「でも勢いなんて……いや、これからも環境が整ってる保証は…」


かのん「んう?何また、特殊スキルの優柔不断が発動してるの?」


かのん「そういう時は思い切っちゃえ!ね、お姉さん!」


「そうそう、勢いを止めるヤツはビンタしちゃえ」


かのん「ぼ、暴力はやめましょ……」


「そう?私が見る限りキミもいい顔してるけど……目力だけで睨み殺しそう」


かのん「なんて事言うんです!?」


すみれ「……そうね」


かのん「すみれちゃんまでぇ!」


すみれ「勢いを大事にしましょう、この瞬間だけの気持ちでも……!!」


かのん「お、何か決心ついた?何買うの?」


すみれ「あんたよ」グイッ


かのん「ぅうえっ!?あ、あた……!?///」


すみれ「ごめんお姉さん、またゆっくり」


かのん「あぁぁぁ~……っ!?」ズルズル


<スタスタ


「……え?何事かなん?」


ヒョコッ


「……今急いで出てった人達どうしたの?また何か、要らんこと言ったんじゃないでありますか?」


「え、いつも通りの事しか言ってないけど……」


https://youtu.be/pi1-YyFFYdA


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


シトシト…



「ちょ、すみれちゃん!どうしたのさ!?」



パチャパチャ……


ピタッ



「や、やっと止まってくれた……」


「……ねぇ、かのん」


「んー?」


「ちょっと言いたい事、あるのよね」


「……なぁに?」


「少しばかり、急ではあるんだけどさ」


「じゃあ、雨に歌いながら言って」


「……やっぱあんた、良い趣味してるわ」


「ふふ……で、なぁに」


「……」


「?」



グイッ



「わっ!?///」


「……」ギュッ


「な、す、すみれ、ちゃん……?///」

「…決断なんて待ってやらない、私から言ってやるわ」ボソッ


「ぅえ……?」


スッ



「かのん、好きよ」


「……っ!!」



ザーッ……



「……今日初めて知ったけど、私って環境に左右されやすいタイプなの。自分でも驚きだけど」


「え……?」


「雨の日に、あんたと服買ってコーヒー飲んで、アホみたいに音楽の話して……」


「……あのお姉さんのせいかしら、『伝えるなら絶対今』ってなったのよ。今、この機会を逃したら、ズルズル遅くなるだけだと思うから」


「…」


「多分これからも、何処かでもう一度……いや、何度も言うと思う。ぶっちゃけ、こんなの数には入らないだろうから」


「勢いだけなのは認める。かのんにとってムードもへったくれも無いのも分かってる!!……でも今、伝えさせて、かのん」


「……あなたが好き、今はそれだけ」


「すみれ、ちゃん……っ」


ギュッ


「…私から伝えたかったのに……先越されちゃった」


「あんたが私を好いてくれてるのが分かってなかったら私、一生押し殺してたと思うわ」


「勢いって怖いね、あのすみれちゃんが…こんな事してくれるなんて……」


「私も驚いてる、これ1時間後位に悶えまくる奴よ」


「私は悶えないよ、嬉しいから」


「……じゃあ、私も我慢するわ」



スッ



「あ……」



チュッ…



「……ん」


「……コーヒーの香りね」


「すみれちゃんは、甘い味」


ポツポツ……

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カランカラン……


真姫「あら……ふふ、他の子達は?」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーCASTー



平安名すみれ


澁谷かのん


喫茶 フォルテのマスター:西木野真姫(特別出演)


マンハッタンレコード店長:松浦果南


マンハッタンレコード店員:渡辺曜



ーMUSICー


https://youtu.be/xuNMsMpVaho
(edbl & Issac Waddington - The Way Things Were)


https://youtu.be/p5zbke2L7QY
(Tommy Flanagan - Nascimento)


https://youtu.be/2Sd_mvOotaA
(Joji - YUKON(INTERLUDE) )


https://youtu.be/pi1-YyFFYdA
(Kan Sano - Flavor)



ーBased On A Story Byー


ラブライブ!スーパースター!!


Kan Sano - Flavor

コーヒーが美味しいネ
過去作抜粋


絵里「雨の日のコーヒー」

穂乃果「第一次音ノ木坂抗争」

絵里 「ゲームセンターに行きましょう!」 にこ 「拒否」 希 「話を聞こう」

絵里 「真夜中に」 にこ 「愚痴を肴に」 希「姦しく」

花陽「都市伝説!」 絵里「対決よ!」

絵里「ノッキン・オン」 にこ「ヘブンズ・ドア」

海未「ふぁ~あ・・・眠いな・・・」 ことほの「「!?」」

絵里「ただ、ありふれた夜」

聖良「夜も更けて」 ダイヤ「姉会ですわ」

聖良「私達の」 ダイヤ「日常」

絵里「壊れた世界で、ただ1人」

海未「あなたは」 ことり「サマーガール」

希「ライブ?」 真姫「そうよ」

LINEグループ 9人の女神達

ダイヤ「お休みは」 聖良「言わないで」

穂乃果「ここどこ!?」 カイマン「ん?ここは"ホール"だぜ」 ニカイドウ「ギョーザ、食うかい?」

にこ「あなたの目には」絵里「私たちの姿が」

かのん「雨の日のコーヒー」

穂乃果「もう自衛隊入るしかないよ」海未「何を言ってるんですか」

善子「覚えてる?9月の事」梨子「そう、あの夜の事」

恋「ひっぷほっぷを聞きます!」すみれ「良いんじゃない?」

曜「水飛沫が光って」 梨子「月の光が輝いて」

果南「やらせクレーマー撃退選手権!!」絵里「お陰様で生きております!!!」

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