勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編の続編の続編 (532)

勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編のつづきの更に又つづきです

続編なので前作読まないと分からない事が多々あるかと思いますのでご注意ください

非常に長いですごめんなさい

1作目
勇者「魔王は一体どこにいる?」続編 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600089742/)

2作目
勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1605497940/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1637368468

再び10年後…

魔女の下で修行を終えた僕は

一人旅に出る

始めの目的地はシャ・バクダ遺跡

遠回りをしながらも

幼き頃の友と再会を果たし

今やっと目的地へ辿り着こうとしていた

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『オアシス砦』


おい!誰か来たぞ

監視所の奴らじゃないか?


衛兵「止まれ!!お前達は何者か?」

剣士「監視所から書簡を届けに…これを」パサ

衛兵「ふむふむ…なるほど怪我人が出て人員が居ないのか…それで代わりに来たと…」

剣士「僕達は情報屋という人を尋ねに来たんだけどここに居るかな?」

衛兵「一先ず門の中に入れ…話は中で聞く」

剣士「うん…ありがとう」グイ 


ドスドス


女オーク「中は小さな町なんだ…」

衛兵「…えーそれで…情報屋を尋ねに来たと言う事だが…まずお前達は誰だ?」

剣士「えーと…どう伝えれば良いかな…シン・リーンの魔女の使いだと言えば信じて貰える?」

衛兵「おおお!!ではお前は魔術師か?」

剣士「うん…照明魔法!」ピカー

衛兵「やっとか!!やっとシン・リーンが要請に応じた訳か…ササこちらへ」

剣士「要請?何の話だろう?」

衛兵「聞いて居ないか?魔物が増えて対処し切れなくなっているのだ」

剣士「ゴメン何も聞かされて居ない」

衛兵「怪我人の治癒だけでも随分助かる」

剣士「それなら簡単だよ…どうすれば?」

衛兵「兵舎に怪我人が居る…流行り病も多い」

剣士「おっけ!任せて」

衛兵「案内する」スタ

『兵舎』


ぅぅぅぅ…治療師はまだか

毒消しがもう無い…辛抱しろ


衛兵「おい!喜べ!魔術師が来たぞ!」

剣士「うわ…皆毒に掛かってるのか…どうして?」

衛兵「スプリガンとスライムだ…加えて最近はマンイーターという植物の魔物も発生している」

剣士「まとめて一気に治療するよ?驚かない様に?」

衛兵「回復魔法に驚くも何も…」

剣士「線虫!毒を食らえ!」ザワザワ ニョロリ


ワサワサワサ ニョロニョロ


衛兵「虫!!うわぁぁ」タジ

剣士「大丈夫…虫が全部毒を食べて体も癒すから」

衛兵「こ…これで治療は終わりか?」

剣士「うん!直ぐに良くなるから安心して?」


ぎゃぁぁぁ助けてくれぇぇ

ひぃぃぃ虫が…虫がぁぁぁ


衛兵「シン・リーンもまた特殊な魔術師を送って来る…」

剣士「ところで情報屋さんは何処に?」

衛兵「あぁそうだったな…残念だが入れ違いになっている」

剣士「ええ!!もしかして居ない?」

衛兵「随分前にシン・リーンの気球に乗って何処かへ向かった様だ…至急の事で行き先はわからん」

剣士「なんだ無駄足だったかぁ…困ったなぁ」

衛兵「なんなら砦に身を置いて戦力になって貰えると助かるのだが…」

剣士「用事があっていつまでも居る訳には行かないんだ」

衛兵「情報屋を訪ねる以外に用事があると?」

剣士「精霊樹に行きたいんだよ…場所が分からない…情報屋さんに聞こうと思ってたのさ」

衛兵「この辺りの事情を知らない様だな?」

剣士「事情というと?」

衛兵「精霊樹は遺跡の北西に位置するがエルフの許可が無いと立ち入れないのだ」

剣士「遺跡の北西ね…おけおけ」

衛兵「聞いて居るのか?エルフの許可が…ん?まさか魔女様の許可を得ていると?」

剣士「ハハ…まぁそんな感じかな」

衛兵「許可を得ているなら行っても構わんがくれぐれもエルフと揉め事だけは起こさない様に」

剣士「大丈夫だよ」

衛兵「森で野生の動物を倒すのは厳禁だ…クマが相手でも手を出さない様に」


ピーーーーーー ピーーーーーー


衛兵「敵襲だと!?まだ昼間だぞ!!話はここまでだ」ダダダ

『中庭』


ガヤガヤ ドタドタ

閉門!!閉門!!

ダメだぁ!!撃つな!!


門番「北側にウルフ20頭…西側にも20頭ほどに囲まれてる」

衛兵「松明を用意しろ!!火で寄せ付けるな」ドタドタ


剣士「…参ったな門を閉じられちゃった」

女オーク「足止めね…」

剣士「今から精霊樹に行っても夜になるだろうから一晩待とうか」

女オーク「上…」

剣士「ドラゴンずっと旋回してるね…なんか思ったより慌ただしいなぁ」

女オーク「夏なのに雪も少しチラついてる」

剣士「寒くなりそうだね…宿はあるんだろうか?」

女オーク「寒さ凌ぐのは兵舎で良いのでは?」

剣士「折角だしベッドで寝たいよね」

女オーク「シたいの?」

剣士「ハハずっとシテ無いしね」

女オーク「ウフフ…」

剣士「あ!そうだ…どうして君が金貨持ってる?」

女オーク「剣士はお金に無頓着だからって商人が私に渡したの」

剣士「なんだ…そういう風に見られてたのか」

女オーク「お金ある?」

剣士「全部飛空艇に置いてきた」

女オーク「ほらね?」

剣士「ハハまさかお金が必要になるとは思ってなかったさ」

女オーク「私はお金の相場が分からないから心配…」

剣士「シカ一匹金貨2枚はちょっと高いかな…でもあの場合は仕方ない」

剣士「それで商人さんから幾ら貰った?」

女オーク「金貨10枚よ…残り6枚ね」

剣士「なんだケチだなぁ…色々協力した割に…」

女オーク「代わりに地図とか羅針盤を貰ったでしょう?」

剣士「まぁ良いや!宿を探そう」スタ

『宿屋』


オンギャー オンギャー


婆「おやおや…定期便が来ていないのにお客とは珍しい…おぉよしよし」ユラユラ

女オーク「赤ちゃん?珍しい…」

剣士「本当だね…」

婆「騒がしくて済まないねぇ」オーヨシヨシ

剣士「宿空いてる?」

婆「食事の用意は無いが良いかね?」

剣士「寒さ凌げれば良い…一晩いくら?」

婆「一人銀貨5枚だよ」

女オーク「はい…」コロン

婆「あらま?金貨かね…お釣りが用意出来んのだがどこぞで銀貨に変えて来れんか?」

剣士「露店も商人も居なかったんだ…どうしようかな」

女オーク「もう良いじゃない?どうせ使い道無いのだし」

剣士「ハハお金に無頓着は君も同じじゃ無いか」

婆「釣りを用意出来んのは悪いでせめてコレを持ってお行き」ジャラリ ドスン

剣士「銀貨50とお酒かぁ…このお酒は?」

婆「サボテン酒だで?昔はサボテンが沢山あったのだが今はもう無いで貴重な酒なんよ」

剣士「おけおけ!思わぬ楽しみが増えたよ」

婆「ゆっくり休んで行きーな」

赤ちゃん「オギャーオギャー」ヒック


---子供は生まれる所では生まれるんだ---

『部屋』


ガチャリ バタン


女オーク「質素なお部屋…」

剣士「さて!どっちが強いか勝負しようか」

女オーク「もう?ウフフ良いわ」


ドタン バタン ドスドス

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剣士「フフフ僕の勝ちだ!」

女オーク「ま…まだ…」ビク ビク


ザワザワ ザワザワ


剣士「外が騒がしいな…」

女オーク「逃げる気?」ガクガク

剣士「ちょっと様子見て来る…君は休んでて良い」ゴソゴソ

女オーク「まだ負けてないから…」グッタリ

剣士「行って来る!」スタタ

『中庭』


ザワザワ ザワザワ

スライムが入り込んでる!

ダメだここで倒すな!毒が広がる

門が閉まってるんだどうしろってんだ

魔術師が居た筈だ探して来い


剣士「スライム…たった一匹でこの騒ぎか」

衛兵「居た!!良かった…我々ではスライムを焼けない!なんとかしてくれ」

剣士「分かった…火炎魔法!」ボボボボボ


スライム「プギャァァ…」メラメラ


衛兵「破裂するぞ?」

剣士「サンドワーム!従え!スライムを食らえ!」


モゾモゾ ズドーン バクリ


衛兵「サンドワーム…」タジ

剣士「大丈夫!驚かないで…サンドワームを操って居るから」

衛兵「そ…そうか…撃つなぁ!!サンドワームを撃つなぁ!!」

剣士「サンドワーム!地中に潜れ!」


モゾモゾ モゾモゾ


剣士「あと穴を埋めておけばもう戻って来ないよ」

衛兵「助かった…さすがシン・リーンの魔術師」

剣士「北の空で炎が…」

衛兵「アレはドラゴンのブレスだ…精霊樹に近付くスライムを焼いて居る」

剣士「エルフとドラゴンが戦って居る敵がスライム?」

衛兵「そうだ…エルフとドラゴンは精霊樹を守って居るのだ…敵はスライムにスプリガン…そしてマンイーター」

剣士「なるほど事情が読めて来た…この砦はサンドワームに守らせるから安心して」

衛兵「助かる…しかしサンドワームは我々の主食だ…どうすれば?」

剣士「好きにしたら良い…サンドワームは沢山居るから」

衛兵「ハハ良く分からんが兎に角感謝する」


分かって来たぞ

エルフとドラゴンはドリアードの浸食から精霊樹を守って居るんだ

彼らもドリアードと戦っている

そしてウルフは多分僕を迎えに来てるんだ

行かなきゃ

『宿屋』


ガチャリ バタン


女オーク「聞こえていたわ?魔物が進入して来たのね?」

剣士「うん…女オーク聞いて?僕の友達が砦の外で僕を待って居る様なんだ」

女オーク「友達?こんな所で?」

剣士「君には言ってなかったけど…ずっと一緒に過ごして来たウルフが居るんだよ」

女オーク「ウルフ…それで砦が包囲されて居るのね?」

剣士「多分ね」

女オーク「迎えに行くのね?」

剣士「うん…少し離れて待っている様に話してくる」

女オーク「一人で平気?」

剣士「大丈夫…その方が動きやすい」

女オーク「分かったわ…」

剣士「ゴメンね?続きはまた今度」

女オーク「…いいわ」

剣士「じゃぁ行って来る」タッタ


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アオーーーン アオーーーーン

『翌日』


チュン チュン


剣士「よし!行こう…遺跡でウルフが待ってる」

女オーク「うん…昨夜は寝て居ないのでしょう?大丈夫?」

剣士「平気さ…君も寝ていない顔をしているよ」

女オーク「平気…癒されたから」

剣士「どんぐり食べる?」ポイ

女オーク「…」モグ


---------------


門番「開門!!開門!!」ガラガラガラ ガシャーン

衛兵「昨夜は世話になった…獣道から逸れると危ないから気を付けて」

剣士「もうウルフが来る事は無いから安心して良いよ?」

衛兵「ウルフも使役するのか?」

剣士「まぁね?」

衛兵「フフさすがシン・リーンの魔術師…協力に感謝する」ビシ

剣士「シカさん行くよ?お願い…」


ドスドスドス  

『獣道』


チュンチュン ピヨ


剣士「昼間はうって変わって良い雰囲気の森だ」

女オーク「鳥が沢山…」

剣士「えとね?秘密があるんだよ?あの鳥たちは本当はトロールなのさ」

女オーク「本当に?」

剣士「パパに教えて貰った…トロールっていつも肩に鳥を乗せてるんだって」

女オーク「へぇ?トロールは見た事無いわ」

剣士「南の大陸には居ないもんね…そして夜にしか動かない」

女オーク「じゃぁ森の中にある大きな石は…」

剣士「多分トロールだよ…僕らの話声は全部聞こえてると思う」

女オーク「変なお話出来ないわね?」


グルルル ガウ


女オーク「え!?ウルフ?」

剣士「あぁぁコラコラ!遺跡で待っててって言ったじゃない」

ウルフ「ガウルルルル…」

剣士「え?あぁ僕の奴隷の女オークさ」

女オーク「剣士は私の奴隷よ…」

剣士「まぁどっちでも良いや…彼女強いんだよ?」

ウルフ「ウゥゥゥゥ…」

剣士「大丈夫だって!威嚇しないで?」

女オーク「ウルフとお話出来るんだ…」

剣士「付き合い長いからね…え?毒?そうか…みんな線虫欲しいんだね?おけおけ…向こうに着いたらやってあげる」

女オーク「ウルフたちも毒に?」

剣士「そうらしい…薬草を探すのに随分遠くまで行く必要があるみたい」

女オーク「ウルフも私達と同じなのね」

剣士「そうだよ?言葉が通じないだけで人間と仲良く出来ない…オークと同じだね」

女オーク「私がオークだって分かってる?」

剣士「匂いですぐに分かるさ…ウルフは人間よりずっと鼻が利く」

女オーク「それで直ぐに剣士を見つけたのね」

剣士「いづれこの森に来ると思って待ってたんだって」

女オーク「賢いわね」

剣士「人間と同じくらいにはね?…でもね?物を投げられると反射的に拾いに行く癖がある」

女オーク「フフ…」

剣士「あんまり遊ぶと噛まれるけどねw」

ウルフ「ガウルルルル…」ガブガブ

剣士「分かった分かった秘密にしとくから…」

『シャ・バクダ遺跡』


ウゥゥゥ ガルルルル


剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

ウルフ「ワオーーーン!」パタパタ

女オーク「喜んでるw」

剣士「さて…折角遺跡に来たからパパとママを最後に見た場所に行って見よう」

女オーク「この遺跡で最後を?…」

剣士「直ぐ近くなんだ…どこだっけな」

ウルフ「ガウガウ…」シュタタ

剣士「そっちか!全然景色が変わってる…」

ウルフ「ガウ…」ココホレワン

剣士「ここだ…この場所だ…」

女オーク「…」

剣士「…」スゥ


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『あの時』


僕「パパ?どうする気?」

パパ「未来…自分の次元を強く持て」

僕「え?どういう事?」

パパ「見ていれば分かる…言う事聞けるな?」

僕「ママも一緒に行っちゃうの?」

ママ「一緒に魔王を倒すからちゃんと見ていなさい」

僕「…うん」

パパ「女戦士!後は頼んだ…エルフ達!援護を頼む!行くぞ」シュタタ

ビッグママ「未来…意味がわかるか?」

僕「…」

ビッグママ「最後まで良く見て置け…勇者の宿命だ」

僕「パパ…ママ…」



パパとママが魔王を封じるのを

ほとんどの人が見ていなかった

こんなにもあっさりと物事が終わって

僕の心にポカンと穴が開いた

大きな変化は何も無いのに

只…目の前から消え去った

その後に光る夜が来た

その時

僕が始まった

僕の物語


---なんだろうこの違和感---

『シャ・バクダ遺跡_地下』


学者「見学ですかね?」

剣士「昔ここに避難してた事があってね…近くまで来たから気になったんだ」

学者「ほう…そうでしたか…散らかって居ますが遺物には触らない様にお願いします」

剣士「うん…書物は読んでも?」

学者「考古学に興味がおありで?」

剣士「僕はシン・リーンの魔術師さ」

学者「これは失礼しました…ご自由にお読みください」

剣士「ありがとう…汚さない様にするよ」


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女オーク「ここも思い出の場所なのね?」

剣士「あんまり良い思い出は無い…情報屋さんの行先が分からないかと思ってさ」

女オーク「難しそうな資料ばかりなのね…分かるの?」

剣士「ハハ全然分からない…」パラパラ


超古代史とウンディーネ伝説との関連

古代史と自転の変化による文明の崩壊と再構築

近代史における魔術介在による文明の変遷

人類行動の進化過程

食料生産と放牧の傾向

超高度AIの発見と発祥の考察


剣士「あれ?ホム姉ちゃんの事が書かれてる…こんな事まで研究してるんだ…へぇぇすごいな」


パサ ヒラヒラ


女オーク「何か紙が落ちたわ?」

剣士「この書物からだ…あ!!これ情報屋さんの日記だ」ヨミヨミ

女オーク「何の絵かしら…」

剣士「あ!!僕が書いた地図…そうだドリアード遺跡に行くつもりだった」


---慌てて地図を置き忘れた---

---その後どうしたんだっけ---


女オーク「あまり他人のプライベートを見ない方が良いのでは?」

剣士「…」ヨミヨミ

女オーク「ダメよそれ以上見たら」グイ

剣士「ちょっと待って大事な事が書いてある」


---おかしい---

---僕の記憶と日記に記された事実が噛み合わない---

『勇者の像』


剣士「…」ボーーー

女オーク「どうしたの?さっきから顔色悪いわ?」

剣士「ううん…何でも無いよ」


スタスタ


剣士「誰か来る…」スチャ

女オーク「え!?」

エルフゾンビ「此処に居たか…勇者の子だな?」

剣士「エ…エルフゾンビさん?」

エルフゾンビ「如何にも…お前を数度しか見たことが無かったが…勇者に瓜二つだな」

剣士「ホッ…良かった…探さないで済んだ」

エルフゾンビ「精霊樹が呼んで居る…付いて来い」

剣士「え!?…精霊樹が僕を?」

エルフゾンビ「精霊樹に呼ばれる意味は分かるか?」

剣士「まさか…僕を勇者にするつもりだったり?」

エルフゾンビ「すでに勇者だ…導きを受けるのだ」

剣士「僕の勇者の眼はママが…」

エルフゾンビ「青い瞳の宿命はお前の母が背負った…それだけだ」

剣士「え?それだけって…」

エルフゾンビ「来い…」スタスタ

剣士「あ…女オーク!見学は終わりだ…付いて行こう」

『精霊樹』


サラサラ サラサラ


剣士「沢山のエルフに囲まれてる…」

エルフ「…」ジーーーー

剣士「!!?」

エルフ「…」ピク

剣士「君は…僕の夢に何度も…顔を良く見せて」ジロ

エルフ「…」ジーーーー

剣士「やっぱり…どこかで僕と会ってるよね?」

エルフゾンビ「ん?どうした?エルフの戦士と面識が有ったのか?」

エルフの戦士(お前があの時の蟲使いか?)

剣士「そうだよ僕は蟲使いだ…夢じゃ無かった…本当の出来事だったんだ」

エルフの戦士(元気そうで何より…額の傷はすっかり良くなった様だな?)

剣士「ずっと夢だと思ってた」

エルフの戦士(例の金属を取りに来たのか?)

剣士「金属?覚えていない…」

エルフゾンビ「再会して話をしたいだろうが時間が無い…先に精霊樹の導きを受けろ」

剣士「え…あぁそうだった…どうやって声を聞けば良いの?」

エルフゾンビ「目を閉じて感じろ…」

剣士「瞑想か…」スゥ


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『数分後』


剣士「…」パチ

エルフゾンビ「導きを聞いたな?」

剣士「ぁ…こ…これはどういう事だ?思い出せって何の事だろう…」

エルフゾンビ「混乱して居るのか?」

剣士「僕には森を統べる力が有ると…導きを思い出せって…何の導きなのか…」

エルフゾンビ「白狼の血脈も受け継いでいるのだ…その記憶の事では無いのか?」

剣士「僕が森を守るという事?」

エルフゾンビ「精霊樹は助けを求めているのだ…恐らくお前にしか出来ない」

剣士「命の種子は夜に運ばれる…闇に光を照らしてって…意味が分からない…どうすれば良いの?」

エルフゾンビ「それはお前が答えを見つける事だ…一つ分かるのは命の種子と言うのは精霊樹の花粉の事」

剣士「花粉は夜に運ばれる…闇に光…月の事か?」

女オーク「剣士?エリクサーの事は伝えた?」

剣士「うん伝えたよ…でも返事が無い」

エルフゾンビ「ほう?…察するにエリクサーを求めに来たな?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんを蘇らせる為にエリクサーが樽で4~5杯必要なんだ」

エルフゾンビ「なんだと?今何と言った!?ホムンクルスが蘇るだと…時代の節目はまだ先だと言うか!!」

剣士「えーと話しが掴めない…時代の節目って何?」

エルフゾンビ「お前はアダムという神が復活したのは知って居るな?」

剣士「うん…」


我々エルフはアダムと決別し精霊樹を主として生き永らえている

アダムは新たな森を構築し始め我々エルフは追い出されたのだ

精霊シルフが滅び新たなアダムという神の下

新時代を受け入れたつもりだがアダムはそれを許さなかった

精霊樹の森を侵食し始め我々は窮地に立って居る

その最中お前がこの森へ訪れ…今…精霊を蘇らせると言う


エルフゾンビ「分かるか?我々の敵はアダムだ…新時代はまだ来ていない」

剣士「僕が思って居る事と同じだ…やっぱりそういう事なんだね…」

エルフゾンビ「お前はそれを知りながらここに訪れたと?」

剣士「今は時期尚早だって僕の爺いじが言ってる」

エルフゾンビ「尚早?何故?」

剣士「あの光る隕石だよ…ミサイルって言ったっけ…あれを封じる事が出来るのはホム姉ちゃんだけ…あれ?違う」

エルフゾンビ「どうした?何が違う?」

剣士「違う違う!!思い出せってこういう事か…」

エルフゾンビ「一人で解決するな…話せ」

剣士「僕は光る隕石を回避する術をもう打ってる…その為に10年前に森に入った」チラ

エルフの戦士「…」ジーーーー


ズゴゴゴゴ ドーン


エルフゾンビ「むむ!!御所への通路を精霊樹が開いた…エリクサーの許可が出たらしい」

剣士「ああ…それは良かった」

エルフゾンビ「樽は持って来ているか?」

剣士「飛空艇に乗せてある…ここまで乗って来ても良い?」

エルフゾンビ「急げ…日が暮れると森の浸食が始まる」

剣士「女オーク!ここで待ってて?僕一人で走った方が早い」

女オーク「分かったわ…気を付けて」


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『1時間後』


フワリ ドッスン


剣士「飛空艇持って来たよ…」タッタッタ

エルフゾンビ「もうすぐ日暮れだ…今日はもう飛空艇で飛べないと思え」

剣士「戦いが始まるんだね?」

エルフゾンビ「この場所は比較的安全だから今晩はここに置いておくのだ」

剣士「分かった…急いでエリクサーを積む…女オーク!樽2つお願い」

エルフゾンビ「御所まで案内する」

剣士「エルフの戦士と話がしたい…案内は彼女にお願いしても良いかな?」

エルフゾンビ「そうか?エルフの戦士…案内をご指名だが行ってもらえるか?」

エルフの戦士(付いて来い…)スタ



『御所までの通路』


スタスタ スタスタ


剣士「記憶が確かじゃないけど…あの時はありがとう」

エルフの戦士(フフ…頭蓋が割れて良く助かった物だ…記憶の喪失は仕方あるまい)

剣士「ずっと夢の出来事だと思って居たんだ…君に再会出来て記憶が蘇ってきた」

エルフの戦士(お前はエルフの森で虫に命令を与えると言って居たな?)

剣士「うっすら覚えてる…」

エルフの戦士(お前のお陰で私達は今日まで生き永らえたとも言い換えられる)

剣士「どういう事?」

エルフの戦士(お前と別れてしばらくしてから虫達の行動が変化したのだ)

剣士「それは良かった」

エルフの戦士(それまでは虫も敵だったのが一転して虫はエルフを襲わなくなった…私はお前の力に震えたよ)

エルフの戦士(だがドリアードの浸食は想像を絶する速さで進行し…この有様だ…最後の砦の精霊樹をどうか守って欲しい)

剣士「なんか色々思い出して来たぞ…僕は記憶を無くしたんじゃなくて夢の中に仕舞っていた様だ」

エルフの戦士(精霊樹から導きを受けると言う事は何か託された筈…どうか実らせて欲しい…勇者殿)

剣士「うん…今導きを理解したさ」

エルフの戦士(さぁ到着だ…)

『精霊の御所』


シーーン


エルフの戦士(エリクサーは中央の器の中だ…そこに例の金属も沈んで居る筈)

剣士「あ!!わすれてた…ソレだよソレ」

エルフの戦士(お前は生き絶え絶えでその金属をここに持ってくる様に私に伝えたのだ…何なのだ?)

剣士「有った…超高度AIユニット…そうだ僕が掘り起こしたんだ…これも現実だったか」

エルフの戦士(超高度AIユニット?)

剣士「分かって来たぞ…この森は森の声が聞こえるね?」

エルフの戦士(聞こえる)

剣士「精霊はこの森で生きてる…そうか…そういう事だったのか」


エルフの森で声が聞こえなくなったのは

声の役割をしていた精霊の伴侶という超高度AIユニットが停止したからなんだ

ホム姉ちゃんは今も森の声を使って上手に動物を導いてる

超高度AIユニットのあるべき場所は此処だ

これでドリアードの中に居るアダムと同じ条件…対等になってるんだ


エルフの戦士(導きの声だ…)

剣士「え?聞こえない…」

エルフの戦士(感じろ)

剣士「あぁそうか…え?母からの贈り物?なんでママから…」

エルフの戦士(私は体の震えが止まらない…精霊樹がお前に祈りの指輪を授けた…私はハイエルフに報告に行かねばならない)

剣士「いのりの指輪…あ!これか…」スッ

エルフの戦士(これから何が起こる?…いや私からでは差し出がましい)

剣士「これは僕を守る物…これが精霊の加護なのかな?…」

エルフの戦士(済まない…失礼する)シュタタタ


-------------

-------------

-------------

『帰路』


ヨッコラ ヨッコラ


剣士「エリクサー満タンの樽2個背負うのはさすがに重いね」ヨイショ ヨイショ

女オーク「私の勝ちね?」ドスドス

剣士「体力はいつも君の勝ちさ」

女オーク「ところで…私はエルフの使う言葉が理解出来なくて話の全容が分からないのだけれど…」

剣士「話が長くなっちゃうんだけどさ…」


何処から話そうかな…

10年前にシャ・バクダの遺跡で冒険の書っていう書物を読んだんだ

そこに描かれて居たのは未来の予言…

僕はそれを変える為にエルフの森に行ったんだよ

そこで出会ったのがさっき居たエルフの戦士

まぁ色々あって僕は記憶を無くしたみたいでさ

今まで何かおかしいなぁって思いながら過ごして来たんだ

でも今日ここに来てエルフの戦士に再会したら色々思い出した

未来の予言を変えるのは多分まだ間に合う

何故なら変えるための仕掛けを10年前に終わらせてたからさ

そしてさっき精霊樹からいのりの指輪を授かった

この指輪はね…量子転移っていう魔法が封じられてるんだ

普通はその魔法を使ってこの世の理を超えた事をすると次元の狭間っていう所に迷ってしまう

でもこの指輪を使って同じ事をすると身代わりに砕け散ってくれる

つまり持って居る人を守るんだよ


剣士「理解できる?」

女オーク「…なんとなく」

剣士「簡単に言うと未来を無理やり変えると僕は次元の狭間に迷う…でもこの指輪が身代わりになって僕を守ってくれる」

女オーク「変えたい未来が何なのか分からないから…」

剣士「そうだろうね…僕も記憶が少し曖昧になってる…一つ言えるのは僕がこの世の理を破っても無事で居られるという事」

女オーク「そう…それなら安心した」

剣士「本当はね…勇者の青い瞳を持って居れば良かったんだ…でもそれはママが持って行っちゃった」


---だから指輪を残してくれたのかな---

『精霊樹』


サラサラ サラサラ


エルフゾンビ「聞いたぞ?いのりの指輪を授かったそうな」

剣士「うん…大丈夫かな?エルフの秘宝だよね?」

エルフゾンビ「精霊樹の導きはエルフにとって絶対なのだ…問題無い」

剣士「ねぇエルフゾンビさん…戦いまで後どれくらい?」

エルフゾンビ「1時間程か…お前にも強力して欲しいと思って居た所だ」

剣士「それは良いけど…もし僕が今晩アダムを破壊すると言ったらどうする?」

エルフゾンビ「又突拍子の無い事を言う…そんな事が可能なのか?」

剣士「僕を信じてくれるかな?」

エルフゾンビ「まずどうやるのか話せ」

剣士「エルフ全員とドラゴンにも聞いて欲しい…そうだトロールにも」

エルフゾンビ「問題ない…森の声で全員に伝わる」

剣士「そっか…じゃぁ話すね」


僕は蟲使いだ…森に居るすべての蟲を使役する事が出来る

この蟲達に命令してドリアードを攻撃しようとすると

多分10年前と同じ光る隕石が飛んできてすべて焼かれてしまう

でも地面の中からだとどうだろう?光る隕石を自分には落とせない筈

僕は10年前…ワーム等の地生昆虫にドリアードの根を住処にする様に命令した

ダンゴムシにはドリアード内部で繁殖する様に命令して

今は大量の虫の巣窟になって居る筈

その蟲達を一斉に爆発させる…その威力は想像できない

それだけだと内部のアダムを破壊出来ない可能性があるから

僕はドリアード内部に侵入して直接アダムを破壊する準備もある

ママが作ったウラン結晶の爆弾

アダムさえ破壊してしまえばその他の蟲達を使ってダイダラボッチを起こせる

そしてすべてを食らい尽くす


エルフゾンビ「ドリアードに侵入するのはお前だけでは危険過ぎる」

剣士「そうだね…だからこうして話してるのさ…ドリアードの中での抵抗がどのくらいか分からない」

エルフゾンビ「今晩の戦いから人員を裂けと言って居るか?それは厳しい」

剣士「あと2人居れば良い…大勢だとかえって邪魔になる」

エルフゾンビ「2人か…」


エルフの戦士(私が行こう)ズイ

エルフゾンビ「ではもう一人は私という事になるか…しかし私達もギリギリの戦い」

剣士「あ!そうだ思い出した…マンイーターに苦戦しているよね?」

エルフゾンビ「う…うむ」

剣士「攻略法を教えるよ…弓矢でどんぐりを撃ち込んで成長魔法…これだけで干からびる」

エルフゾンビ「木にするのか…それは本当か?」

剣士「うん…これで地上戦は問題無い筈…2人の人員不足は補える」

エルフゾンビ「そうか…試してみる価値はありそうだな」

剣士「実はね…僕すごく自信がある…他にも色々出来るんだ」


サラサラサラ サラサラサラ


剣士「ほら?精霊樹は穏やかだよ?」

『飛空艇』


剣士「乗って!直ぐに出る」

エルフゾンビ「フフ即行動か…詳しく聞く間もないな」スタ

エルフの戦士(…)キョロ

女オーク「扉閉めるわ」バタン


フワフワ シュゴーーーーー


剣士「シャ・バクダの廃墟の少し北から徒歩で行く…エルフゾンビさんドリアードの場所分かるかな?」

エルフゾンビ「おおよその位置は知って居るが詳しくは知らん」

剣士「おおよそで問題無いかな…現地の蟲達に案内させるから」

エルフゾンビ「それは結構…お前は初めて行くのだな?周辺は死の森となって居るが問題無いか?」

剣士「あー僕の情報が古いか…ケシの花が沢山咲く場所だと聞いてた」

エルフゾンビ「10年前の話だ…今は死の森に飲まれて毒の湿地帯になっている」

剣士「シャ・バクダ北から徒歩でどのくらいで行けそう?」

エルフゾンビ「私達の足で直線4時間という所だ…湿地を迂回して6時間だな」

剣士「…という事は攻略の開始は深夜…朝日が昇る頃には終わる筈」

エルフゾンビ「上手く行けば良いがな…」

剣士「内部での抵抗がどれだけあるか分からないんだけど何か知らない?」

エルフゾンビ「さぁな?誰も行った事が無い」

剣士「まぁなんとかなるか…エルフゾンビさんはパパと同じくらい強いって聞いたし」

エルフゾンビ「買い被るな…私は不死者で打たれ強いだけだ」

剣士「エルフの戦士さんは弓使いだったね?」

エルフの戦士(そうだ)

剣士「おけおけ…回復役は僕が出来るから余程行ける」

エルフの戦士(触媒は十分あるか?)ニヤ

剣士「アハハそういえば昔触媒無くてすごく困った気がする…今は沢山持ってるさ」

エルフゾンビ「しかし早いなこの飛空艇は…もうシャ・バクダの廃墟か」

剣士「うん…もう降りるよ…死の森の少し手前に降ろす」グイ


シュゴーーーー バサバサ

『死の森_手前』


フワリ ドッスン


剣士「降りて…ウルフは飛空艇で留守番だよ…しっかり守ってね」

ウルフ「ガウガウ…」

エルフゾンビ「嫌な匂いだ…」プーン

剣士「もう線虫を掛けて置いた方が良さそうだ…線虫!」ザワザワ ニョロリ

エルフゾンビ「む…この虫は私にも効果が在るのか?」

剣士「毒を食らうんだけど…どうなんだろ?」

エルフゾンビ「腐敗は毒か?」

剣士「もしかすると腐敗が止まるかもしれない」

エルフゾンビ「エリクサー漬けが改善出来るなら大した発見になる」

剣士「効果はエリクサー飲むのとほぼ同じかな」

エルフゾンビ「フフ期待している」

剣士「よし!皆降りたね?飛空艇を狭間に隠す…」スゥ

エルフゾンビ「では私が先行する…付いて来い」シュタタ

剣士「ウルフ!留守番頼んだよ!!」シュタタ

ウルフ「ガウガウ…」フリフリ


--------------

『死の森』


ポコポコ プシューー


剣士「見た事無い植物ばかりだ…いやキノコなのかな…」

エルフゾンビ「よそ見して居ると遅れるぞ」シュタタ

剣士「ニョロニョロの先っぽに目が在る…なんだアレ」シュタタ

女オーク「右前方に何か複数居るわ」ドスドス

エルフゾンビ「スプリガンだ…構ってる暇は無い…走れ」

剣士「お!!蝿虫!従え!」ブーン ブン ブン

エルフゾンビ「!!?使役か…フフそれは良い」

エルフの戦士(フフ…)

剣士「蝿虫!ドリアードまで案内しろ!」ブーン

エルフゾンビ「なるほど…私の案内より確実そうだ」


プシュー


エルフの戦士(胞子の散布が始まった…視界が悪くなるぞ)

剣士「…これは」

エルフゾンビ「見とれて居るのか?雪の様に見えるが猛毒の胞子だ…それが森まで飛来する」

剣士「こんなに多いのか…これを全部焼くんだ?」

エルフゾンビ「全部が飛来する訳では無い…ただ一つでも逃すとそこで発芽して浸食される…あっという間にな」

エルフの戦士(上空でアルラウネが南下を始めてる…始まるぞ)

エルフゾンビ「下を行く私達には見向きもせん様だ…このまま進め」シュタタ


--------------


エルフゾンビ「ドラゴンライダーが出張っているな…私達を見て居るか」

エルフの戦士(戦線が伸びると胞子を焼き逃すと言うのに…)

エルフゾンビ「ハイエルフはいのりの指輪の行方を気にしているのだ…仕方が無い」

剣士「そうか…アダムの懐だもんね」

エルフの戦士(…)ジロリ

剣士「なるほどね…君が同行を志願したのも同じ理由なんだね」

エルフの戦士(信用していない訳では無い…悪く思うな)

女オーク「前方左に見た事無い敵!!複数いるわ…何?」

エルフゾンビ「異形のスライムだ…触手を持って居る…多いな」

エルフの戦士(私に任せろ…先に行け)シュタ クルクル ピョン

エルフゾンビ「こっちだ!私に続け」シュタタ

『死の森_深部』


ブーン ブンブン


剣士「爆ぜろ!」パーン ベチャ

異形のスライム「プギャーー」ドロドロ

女オーク「フゥ…フゥ…」

エルフゾンビ「直線で4時間と言ったが撤回する…この調子では6時間だ」

エルフの戦士(後方の敵は処理した…進め!)

剣士「蝿虫!先行しろ!」ブーン

エルフゾンビ「蝿が随分集まったな?」

剣士「スライムは蝿虫で処理するから進んで」

エルフゾンビ「そうだな…行くぞ!」シュタタ

女オーク「まだ居るわ!」

剣士「おけおけ!蝿虫行け!…爆ぜろ!」パーン ベチャ

エルフの戦士「続け!!」シュタタ


-------------

-------------

-------------

『毒霧』


モクモク シュゥゥゥ


エルフゾンビ「この辺りの筈だ…しかしこの毒霧では視界が…」

剣士「毒霧で蝿虫が全部やられた…」

女オーク「他の敵が居ない…この毒霧はドリアードが?」

エルフゾンビ「恐らくな?」

剣士「狭間で隠してるらしいから毒霧も併せて誰も近づけない様にしてるんだね」

エルフゾンビ「どうする?狭間に隠れて居るものを探すのは虫の案内が無いと厳しい」

剣士「地中にワームが居る…ちょっと動かすよ…出でよワーム!我をドリアードへ導け!」


ドドドドド ズドーン


剣士「一匹動かした」

エルフゾンビ「この大きさのワームが無数に潜んで居るのか?」

剣士「そうだね…何匹居るのか見当もつかない」

エルフの戦士(フフ…10年の仕込みか)

剣士「ドリアードに気付かれたく無いから静かに行こう…進めワーム!」


モソモソ ズズズ


剣士「あっちだ…この辺は静かだね」スタスタ

女オーク「視界が悪いし不気味だわ…」キョロ

エルフゾンビ「深夜を回った…恐らく丑三つ時」

剣士「少し遅れたけど時間は十分さ…みんな覚悟は良いかな?」

エルフゾンビ「何を今更…」

剣士「ワームが狭間に消えた…ドリアードはすぐ其処だよ…行くよ?」

『食虫生物ドリアード』


アーングリ…


剣士「うわぁでか!!…派手な花だなぁ」

エルフゾンビ「情報屋から聞いた話と随分違うが…」

剣士「これ入り口って花びらの真ん中…かな?」

エルフゾンビ「中に入るには食われる必要があるのだな」

エルフの戦士(くぅぅ…臭い…燃やしてしまいたい)クラクラ

剣士「地面から出てるニョロニョロは触手かな?」

女オーク「この花…向こうの方にもあるわ」

エルフゾンビ「入り口は複数ある訳か…どうする?この大きさでは茎を切断するには無理がある」

剣士「まったく動く気配が無いから僕達に気付いて居ないんだろうね…どうしよっかなぁ」


プシューーー モクモクモク


エルフの戦士(うぅぅ…この匂いが…)クラクラ

剣士「アハハこいつゲップした」

女オーク「私達を虫だと思って匂いで誘って居るのよ」

剣士「それなら好都合…行って見よう」

エルフゾンビ「思い切りの良い選択だ…帰りはお前次第だぞ?」

剣士「大丈夫!!自信がある!!」

エルフの戦士(フフ…)

剣士「4人同時に花の真ん中に飛び込もう…多分ただの食虫植物だ」

エルフゾンビ「お前が合図しろ」

剣士「おっけ!!3…2…1…飛んで!!」ピョン


バクッ


剣士「アハハハ…想像通りでバカみたい…ドリアードって相当頭悪い」

エルフゾンビ「退路は無いぞ?」

剣士「こんなの爆弾で直ぐに穴開くよ…これ多分ね…今まで外敵に入られた事無いんだよ…だから守備がザルなんだ」

エルフゾンビ「なるほど…」


精霊樹はさぁ?外敵から身を守る為に森の声を使って動物たちやエルフに守って貰ってるのさ

ドリアードは毒の沼とか毒の霧で身を守った結果外敵が進入した事が無い

だから守りに工夫が無いんだよ

精霊樹と違う点は触手を使って能動的に動けるくらいなんじゃ無いかな?


剣士「これ思ったより簡単に攻略出来るぞ?」

エルフゾンビ「そうか?なら急ぐぞ」

剣士「明かりを付ける…照明魔法!」ピカー


---------------

『喉部』


スタスタ


エルフゾンビ「壁面に小さな虫が大量に…」ワサワサ

剣士「ここで繁殖してるのさ…そういう場所は多分安全…ドリアードは大きな虫だけ捕食する感じだね」

女オーク「随分長い下り坂ね」

剣士「地図通りだよ…500メートルくらいの長い下り坂…その奥に胃部だ」

エルフゾンビ「抵抗が無いが…一応抜刀しておく」スラリ

剣士「僕達を虫だと思ってるだろうからしばらく何も起きないと思うよ」

剣士「この喉部を通過すると多分退路が次々閉じて行く仕組みさ…虫が戻って行かない様にね」

剣士「きっと感覚は足元にある」

女オーク「剣士の言うとおりね…後方の壁面が押し出して来てる」

剣士「胃部は何も無い広い空間…そこにもしかすると大型の虫が捕食されてるかもしれない」

エルフゾンビ「では胃液で浸されているかも知れんな」

剣士「うん…強い酸だろうから気を付けないとね」

エルフゾンビ「浸されている酸をどう気を付ける?」

剣士「あああ心配しなくて良い…変性魔法で酸の物質変換が出来るから問題ない…むしろ触媒が増えて嬉しい」

女オーク「なんかすべて剣士に良い条件になって来て居るわね」

剣士「そう思うよ…10年も待つ必要なんか無かった様に思う」

女オーク「奥が開けて来たわ…向こうが胃部ね?」

剣士「大きな虫が居るかもしれないから一応注意して」

『胃部』


ジャバジャバ シュゥゥゥ


剣士「思った通りだ…大きな虫が沢山」

エルフゾンビ「待て…何故虫の体が損傷しているのだ?バラバラになるまで虫同志が戦っているとでも?」

剣士「あれ?本当だね…なんでだろう?」


ググググ


女オーク「今来た道が塞がった…」

剣士「何か仕掛けが有るかもしれない…」キョロ

エルフの戦士(上だ…ひだ状の物が伸びて来る)

エルフゾンビ「あれに刻まれるか…」スチャ

剣士「消化の前に嚙み潰す器官ががあるのか…これマズいな」

エルフゾンビ「どうする?」

女オーク「身を隠す場所が無い!!今の内に先に進め無いの?」

剣士「核の有る場所はこの次の心臓に当たる部分…探す必要がある」

エルフの戦士(ひだが次々降りて来るぞ…)

剣士「どうするどうする?…ここで蟲を破裂させると巻き添え食らう…どうする?」

エルフゾンビ「戦うしかあるまい」スチャ

剣士「待って…どんぐりでクヌギの木を成長させられる…木の陰に隠れて!虫を爆発させる」

女オーク「ひだが動き始めたわ!」

エルフゾンビ「あれは触手だ!!目を持って居るぞ」

剣士「木に隠れて!!」チャキリ ターン ターン ターン ターン

剣士「成長魔法!」グングングン ワサワサワサ

剣士「木の陰に!!」

エルフゾンビ「回避!」シュタタ

エルフの戦士(…)シュタタ

女オーク「…」ダッ

剣士「ダンゴムシ!!爆ぜろ!!」パーン!

剣士「火炎魔法!」ゴゥ


チュドーーーーーーン  ドサドサドサ


エルフゾンビ「うぐぅ…木が持たん!!」ミシミシ


---------------

---------------

---------------

『胃部_爆発後』


剣士「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

エルフの戦士(つつつ…)

エルフゾンビ「爆発の程度は調整出来んのか!」

剣士「ゴメンこんなに破裂すると思って無かった」

剣士「皆耳は聞こえる?」

エルフの戦士(もう一度回復を…目がやられている)

剣士「回復魔法!」ボワー

女オーク「私も…耳がおかしい」

剣士「回復魔法!」ボワー

エルフゾンビ「これで内部に外敵が進入したと気付いた筈だ…何が来るか分からんぞ」

剣士「うん…急ごう…地図だと左奥の方だった…照明魔法で行き先を記すから走って」

エルフの戦士(何かの気配!!私は援護に回るから行って)

剣士「こっちだ!照明魔法!」ピカー

エルフゾンビ「なんだアレは…敵か?異形の生物…」

エルフの戦士(行って!!私が射撃する)ギリリ シュン


異形の生物「ジュルルル…」ピョン クルクル シュタ


エルフの戦士(早い…あの動きはエルフ!!どうして…)

エルフゾンビ「剣士!先に行け!!あの異形を足止めする」シュタタ

剣士「女オークこっちだ!!」グイ シュタタ

『胃部_隔壁』


剣士「多分ここだ…どんぐりで無理やりこじ開ける」ツメツメ

女オーク「あの異形の生物…壁面から湧き出て来る…」

剣士「成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「開いた!!ぬぁぁ…又隔壁だ…」ツメツメ

女オーク「私も異形の足止めで戦う!!」ダダッ

剣士「成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「ぐぁぁぁ又隔壁…」ツメツメ


タッタッタ


エルフゾンビ「あの異形は手強い…武器は持って居ないが壁面からどんどん湧いて増える」

剣士「分かった…睡眠魔法を使う…エルフの戦士と女オークをお願い」

エルフゾンビ「寝たら起こせば良いのか?」

剣士「チチンプイプイ アブラカタブラ メスメライズ…広範囲睡眠魔法!」


モクモクモク


女オーク「ぁぁぁ…」フラフラ

エルフの戦士(ん!?)ボーー

剣士「2人を連れて来て守って…僕は隔壁こじ開ける…成長魔法!」グングングン メキメキ

剣士「くそぅ!!何枚あるのか…」

エルフゾンビ「エルフの戦士!しっかりしろ!…女オーク来い!」グイ

女オーク「…」フラフラ

エルフの戦士(…)ボー

エルフゾンビ「次の異形が壁から出て来る…キリが無いぞ?」

剣士「2人を隔壁の中に…爆弾を使うから耐えて」

エルフゾンビ「女海賊の爆弾だな?」

剣士「うん…さっきよりは小さいと思う…早く隠れて」

エルフゾンビ「想定外に抵抗が有ったな?」

剣士「やっぱり只の食虫植物じゃなかったね…ちょっと焦ってる」

エルフゾンビ「まだ手は残って居るな?」

剣士「有る…でも破壊力が今までの比じゃ無いから最後の手段にしてる」

エルフゾンビ「そうか…早い所後ろの奴を吹き飛ばして奥へ進もう」

剣士「よし隠れたね?行くよ?火魔法!」チリチリ ポイ


ピカーーーーー チュドーーーーーン パラパラ

『隔壁の通路』


ペシペシ

エルフゾンビ「起きろ!!おい!!」ペシペシ

エルフの戦士(ハッ!!何が起きた?)

エルフゾンビ「睡眠魔法だ…オークの女を起こすのを手伝ってくれ」

エルフの戦士(私が眠るとは…今どうなって居る?)

エルフゾンビ「爆弾を使って異形の生物を倒したのは良いが土砂が入って退路が断たれた」

エルフの戦士(崩れたのか…)

エルフゾンビ「どうやらドリアードは爆発よりも高熱に弱い様だ」

エルフの戦士(この通路はこじ開けた隔壁だな?)

エルフゾンビ「クヌギの成長がねじ曲がって狭い通路になっているが身を隠すのに丁度良い」


メキメキメキ


剣士「やったぁ!!開けたぁぁ!!」

エルフゾンビ「女オーク!起きろ!」ユサユサ

女オーク「すぅ…」zzz

エルフゾンビ「仕方ない…背負うか」グイ

『核部』


剣士「見つけた!!アレだ…あのエリクサーの下に遣ってる機械がアダムだ」

エルフゾンビ「ここには敵が居ない様だ…どうなっているのか」スタスタ

剣士「きっと外敵を排除する為の守りは消化器官にあるんだよ…崩落したのが逆に良かった」

エルフゾンビ「私とエルフの戦士で見張りをやる…直ぐにアダムを破壊しろ」

剣士「そうだね…今すぐにやる…ああああああ!ここにはダンゴムシが入って来て無い」

エルフゾンビ「例の爆弾でやれば良いだろう」

剣士「エリクサーが邪魔だ」

エルフゾンビ「何とかしろ!他の出入り口が無いか見回って来る」シュタタ


えーとエリクサーは何に変性出来るんだ?

材料は何だっけ…クヌギの樹液と蒸留酒…松脂と…骨粉か

他の転換物…えーと…えーと物性値が分からない…計算すると時間が掛かる

だぁぁぁ液体にしかなりそうにない…まてまて…凍らせられれば個体になる

いや無理だアルコール値が高い…絶対零度なんか使えないし…どうするどうする?


剣士「そうだ!燃焼させれば良い…気化させる熱量をどうする?僕の魔法じゃあの量を気化させるのは無理…」

剣士「爆弾を使って散らす…これもダメだ…あの量を吹き飛ばすのは感覚的に無理だ」

剣士「くそう!これしか無いか…こんな所で量子転移なんか使いたく無かったけどコレしかない」


エルフゾンビ「剣士!奥にも何処かに繋がって居そうな通路がある…敵が来る前に早く破壊しろ!」


剣士「分かったよ…そこの通路に居て…僕もそっちに逃げるから」タッタッタ

エルフゾンビ「エルフの戦士!壁面から離れるんだ…微妙に動いている」

エルフの戦士「!!?」ズザザ

エルフゾンビ「剣士!!何をしている!!早くしろ」

剣士「いのりの指輪…どうか僕を守って!!量子転移!!」シュン


ザバァァァァ 


剣士「よしよし壁に穴が開いて液面が下がってる…機械が露出するぞ」

剣士「エルフゾンビさん通路の奥に走って!!爆破する!!火魔法!」チリチリ ポイ

剣士「走ってぇぇぇ!!3…2…1」


---未来---


剣士「え?」


ピカーーーーーー チュドーーーーーン


剣士「どわぁぁぁぁ…」ゴロゴロ


----------------

----------------

----------------

『爆破後』


ズドドドドド


剣士「…」

剣士「……」

剣士「………」


エルフゾンビ「何をしている!!崩落に巻き込まれる…来い!」グイ

剣士「…」---今の声は…---

エルフの戦士(行き止まりだ…隔壁で閉じている)

エルフゾンビ「又閉じ込められたか…ええい!重い女め!!」ヨッコラ

女オーク「う~ん…」パチ ムクリ

エルフゾンビ「剣士!又隔壁だ…こじ開けろ」

剣士「…」---パパだ---

エルフゾンビ「何を呆けている!」

エルフの戦士(見て!!隔壁が動いてる…これは開くぞ?)

エルフゾンビ「剣士!しっかりしろ!脱出だ…今は呆けている場合では無い」

剣士「え…あぁ…動転してた」

女オーク「何が起きているの?」

エルフゾンビ「お前は剣士の魔法で寝ていたのだ…説明している暇は無い…武器を持て」

女オーク「は…はい」スラーン

エルフの戦士(この通路…さっきの隔壁と同じ構造だ…全部開こうとしてる)

エルフゾンビ「…という事は別の胃部に繋がっている可能性がある」

エルフの戦士(正解…向こう側に異形の生物が見える)

剣士「見せて…本当だ…奥に見える」

エルフゾンビ「突っ切るか?」

剣士「そうだね…別の入り口があるならそこから上を目指そう…でも待って!ダンゴムシを破裂させるなら今がチャンス」

エルフゾンビ「入り口がまた崩壊しないか?」

剣士「隔壁が開き切ると身を隠す場所が無い…また爆破に巻き込まれたい?」

エルフゾンビ「なら早くやれ」

剣士「うん…すべてのダンゴムシ!爆ぜろ!」パパパパーン

剣士「火炎魔法!」ゴゥ


チュドーーーーン

チュドーーーーン

チュドーーーーン


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


剣士「すべてのワームに命ずる!ドリアードの根を食らい尽くせ!」


ズズーン グラグラグラ

『隔壁の通路』


モクモクモク


剣士「煙が収まった…行けそうだ」

エルフゾンビ「走る!来い」

剣士「待って…まだ何か動いてる」クンクン

エルフの戦士(気配が増える…20以上…もっと居るかもしれない)

剣士「壁面から湧いてくるあの異形の生物はドリアード化した人たちかも知れない」

エルフゾンビ「アダムが居なくなりドリアード化で夢を見る意味が無くなったか…笑止千万」

剣士「ダンゴムシはもう使えない…爆弾は壁が崩落するから突破するしか無いね」


ズゴーーーン ズズズ


剣士「ワームが暴れてる…行けそうだよ!突破しよう」

エルフゾンビ「出るぞ…先行する!付いて来い!」シュタタ


---------------

---------------

---------------

『胃部』


異形の生物「ぎょぎょぎょ…ぴょるぁぁ」ヨタヨタ

エルフゾンビ「さっきの異形とも違う…これは貴族が戻った姿だな?」ブン スパ

剣士「素早いのも居る…気を抜かないで」シュタタ スパ

異形の生物「きゃぁぁぁぁ…」ドタリ

剣士「ここダメだ…入り口が真上にある…天井から落ちるタイプだ」

エルフゾンビ「ええい!囲まれるぞ!!」

剣士「逆側だ!!排泄する器官から出られるかもしれない」

エルフの戦士(触手が伸びて来て居る…どうする?)

剣士「どうしても脱出が困難な場合はワームを使って突破する案がある…今は排泄器官に行って見よう」

エルフゾンビ「しかしどの方向か?」

剣士「消化液の流れて行く方向だよ…あっちだ!!付いて来て」ダダ


異形の生物「うぐぅぅ…居た…あれか…」ズルズル


エルフゾンビ「剣士!先に行け…私が時間を稼ぐ」

剣士「気を付けて!!」シュタタ

異形の生物「あ…兄者…何事かと思えば…又兄者が何かをしたね?…」

エルフゾンビ「何!?お前は…」

異形の生物「これは…どういう事なんだい?…ぐぅぅぅ何かしたよね?…兄者だよね?」

エルフゾンビ「私に弟は居ない…」スタ

異形の生物「又…僕を…置いて行く…どうして僕の前を行こうとするのさ…」

エルフゾンビ「人違いだ…私に構うな」---お前を救ってやりたかった…これが成れの果てか---

異形の生物「兄者!!兄者!!」ズルズル

エルフゾンビ「…お前はどうにか生きろ…さらば」シュタタ


異形の生物「ぅぅぅ何故…ドリアード化が解かれたんだ?…寒い…寒いぃぃ!!」


--------------

--------------

--------------

『腸部』


ブシュ! ザクリ!


異形の生物「ほげぇぇぇ…いでぇぇぇ」バタバタ

エルフゾンビ「追っ手はこれで最後か?しかしキリが無い…」フゥ

エルフの戦士(更に地下深くに進んで居るが…これで出られると思うか?)

エルフゾンビ「厳しいだろう…だが異形が増え過ぎて居る…もう戻れん」

剣士「分かって来たよ…この器官は消化液を吸収する器官だ…虫の死骸は胃で全部吸収するんだ」

エルフゾンビ「…という事は行き止まりだな?」

剣士「恐らく…さて困ったなぁ」

エルフゾンビ「ワームを使った突破案はどうした?」

剣士「この辺はワームが入って来て居ない…つまり外側は土じゃ無くて岩盤だよ」

エルフゾンビ「引き返すしか無いと…」

エルフの戦士(ここを見ろ…床面の傷んだ部分へ消化液が流れて行っている)

剣士「ダンゴムシを爆発させて入った亀裂だろうね」

女オーク「そこに消火液が流れて行くだけの空間があると言う事だわ」

剣士「あと一個…爆弾がある…亀裂を広げて見ようか?」

エルフゾンビ「やるしか無いだろう…今更戻れん」

剣士「わかった…亀裂に爆弾を落としてみる…離れて伏せてて」

剣士「行くよ?火魔法!」チリチリ コロン


コロン コトン ヒュゥゥ チュドーーーーン


エルフゾンビ「うぉ!!足場が…」


ガラガラガラ ドサドサドサ


--------------

--------------

--------------

『地下水脈』


サラサラサラ 


剣士「うぅぅ…回復魔法!」ボワー

剣士「皆どこ!?声を出して!!」

女オーク「こ…ここよ」ガラガラ

剣士「回復魔法!」ボワー

女オーク「ありがとう…無事でよかった」

剣士「エルフゾンビさんとエルフの戦士は何処だろう?」

女オーク「上ね…亀裂の中腹で引っかかってるみたい」

剣士「照明魔法!」ピカー


--------------


エルフゾンビ「光だ…あそこだな…エルフの戦士!背に乗れ」

エルフの戦士(済まない…腕の怪我が酷い様だ…早く回復魔法が欲しい)ドクドク

エルフゾンビ「私も足を損傷した様だ…もう一度落下するから私をクッションにしろ」

エルフの戦士(急いでくれ…押さえても血が止まらない)ボタボタ

エルフゾンビ「行くぞ」ズルズル



---------------


ヒュゥゥゥ ドサリ

エルフゾンビ「ヴヴヴ…エルフの戦士に回復魔法を…失血死する」

剣士「あ!うん…回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

エルフの戦士「ハァハァ…」グター

剣士「エルフゾンビさんも…回復魔法!」ボワー

エルフゾンビ「フフフフ…ハハハハハ…なんとかなったな?」

剣士「まだやらなきゃいけない事がある…森の虫達に命令をしなきゃいけない」

エルフゾンビ「そうか…中々に忙しい」

剣士「僕が想像していたよりもドリアードは大きくて頑丈だったんだ…ワームだけじゃ食い尽くせない」

エルフゾンビ「エルフの戦士…立てるな?」

エルフの戦士(なんとか…)ヨロ

エルフゾンビ「私の常備薬を一口飲め…精霊樹のエリクサーだ」

エルフの戦士(…)クイ ゴク

エルフゾンビ「この地下水脈の行先は想像つくか?」

剣士「エルフの森…」

エルフゾンビ「恐らくな?随分安全に行けそうでは無いか…直に夜明けだ…水脈を下るぞ」

剣士「女オーク…行こうか」スタ


---------------

---------------

---------------


その夜

死の森の浸食が収まるかと思いきや

状況は一向に変化する事無く

むしろ異形の生物が徘徊するようになった

更には大人しかったドリアードが暴れ出し

無数の触手がうねり狂うその姿は

精霊樹の森から視認できるほど巨大であった

まだ戦いは終わらない…

『数日後_精霊樹』


フワリ ドッスン


エルフゾンビ「戻ったか…虫とドリアードの様子はどうだ?」

剣士「蟲達が総攻撃するまで数日かかると思う…ドリアードは触手が何本ものたうち回ってた」

エルフゾンビ「あれだけ爆破されても弱らんとはな…」

剣士「こっちの様子は?」

エルフゾンビ「アルラウネの数が減って空中戦は優位だ…地上戦もどんぐりの成長作戦で優位…浸食は抑えられている」

剣士「死の森を少しづつ浄化しないとダメな様だね」

エルフゾンビ「この戦いはしばらく続きそうだが光明は見える…虫次第という所か」

剣士「戦いも気になる所なんだけど…僕もエリクサーを運ばないといけない」

エルフゾンビ「そうか…しばらく居て貰いたいのは山々だが…」

剣士「僕は他にもやらなきゃいけない事があってね…」

エルフゾンビ「引き留めるつもりは無い…お前は十分仕事をこなしたのだからな」

剣士「実はね…アダムを破壊する時にパパの声を聞いた気がしたんだ」

エルフゾンビ「…どういう事だ?」

剣士「それを調べたい…アダムの誕生に関わって居るかもしれない…」

エルフゾンビ「そういう話に精通しているのは情報屋だな…」

剣士「だから僕行くよ…蟲の事は心配しないで…ちゃんと命令通りに動いてるから」

エルフゾンビ「ふむ…期待している」


---引っかかる事がいくつかある---

---僕は明らかに歴史を変える行動をした筈なのに---

---いのりの指輪は砕けなかった---

---僕はまだ夢を見て居るとも考えられる---

---それを確認したい---

『飛空艇』


フワリ シュゴーーーー


女オーク「遺跡から何か盗って来たの?」

剣士「情報屋さんの書物を借りて来た…ちょっと歴史の勉強さ」

女オーク「そう…飛空艇での移動は退屈よね?」

剣士「そうそう…行き先はセントラルだよ…狭間に入って移動すれば到着は夜中かな」

女オーク「そういえばさっき気付いたのだけれど…太陽の高度が高い気がするわ」

剣士「え!!?」バタバタ バタン

女オーク「扉から落ちないでね?」


ビュゥゥゥゥ  バサバサ


女オーク「太陽の位置が高いでしょう?」

剣士「う~ん…気のせいじゃない?」

女オーク「移動ばかりしているから分からなくなったのかも…適当な事言ってごめんなさい」

剣士「僕は書物読んで居るからセントラルまでの操舵お願い…もう狭間に入って良いよ」

女オーク「うん…まかせて」スゥ



シュゴーーーーーー バサバサ



---さて歴史の勉強だ---

---超古代…アダムとイヴの伝説---

『その頃_暁の墓所』


分かった事を時系列で説明するわ…

約4000年前に起きた地軸の移動…この時に壊滅的な破壊が起きて人類はほぼ滅亡

その中で唯一生き残った種が耐環境性のあるオークの種族

それまで彼らは今で言う南の大陸に住んで居たの…恐らくウンディーネと共に

その後北の大陸へと進出を始めこの暁の墓所の東側…未踏の地で一時代を築いた

これが約3500年前…

そしてウンディーネはシルフと名を変え今で言うエルフの森に移り住む

そこでオークの遺伝子と類似したエルフを生み出した

エルフは魔法を巧みに操り森を拠点として繁栄する

エルフの協力を得た精霊シルフは森の北部にドリアードを生成して管理する者として小人のノームを生んだ

ここが約3000年前…

ノームの器用さを用い失われた古代技術を復活させた精霊シルフは

超高度AIを複製してアダムを復活させようとするが

魔王に乗っ取られて失敗し…再び世界は滅亡の危機

ここで危機を救うのがこの地の東に栄えたオーク達

彼らは呪術で虫を操りドリアードを封じる事に成功したがノームは滅びる

恐らく2500年程前ね…

一旦平和になった世界でエルフとオークはそれぞれに繫栄して時代を築く最中

その恩恵を受けたのが温暖な海付近に少しだけ残って居た人間達

彼らは環境の良いエルフの森周辺で新たな文明を築き始め力を付けた

そして事件が起きる…エルフが持つ祈りの指輪を奪い人間の魔術師が台頭

魔術によって人間達が急速な発展をして時の王の時代に至る

ここが約1700年前…

この時代に起きたのが北の大陸の東側に位置していたオーク達が滅んだ事

時の王と暁の使徒が手を組み東のオークを退けた

なぜか?

情報屋「答えは勇者の刀…オーク達が宝具として所持していた刀を奪って聖剣エクスカリバーを生む為」

魔女「…ではオーク達が初めから勇者の刀を持っておったと言う事じゃな?」

情報屋「そう…ここからは憶測だけど勇者2人は4000年前よりさらに過去に遡ってオークに託したと思うわ」

魔女「つまりこの墓所にあった暁の使徒は勇者では無く他人じゃという訳か」

情報屋「多分勇者の命を受けた予言の守り人ね…不明な点が多いから確かな事は言えないわ」

魔女「黄昏の賢者について何も分からんのか?」

情報屋「ここから先は時の王の証言のまとめだから確証は無いけれど…」


暁の使徒と黄昏の賢者はどうも恋仲だったらしいわ

暁の使徒は人間の男…そして黄昏の賢者はオークの女

暁の使徒が東のオークを攻め立てる最中二人は関係を持った

処女を失った黄昏の賢者は力を失い

暁の使徒はオークを退け勝者となった

二人は駆け落ちをした形

そして黄昏の賢者はオークを裏切った形

その後暁の使徒は時の王と接触し協力関係を得る

でもこれに黄昏の賢者は猛反発して別れた

ここから第2期と呼ばれる魔王との戦いが始まる


魔女「黄昏の賢者はオークシャーマンの可能性が高かったな?」

情報屋「多分そうね」

魔女「ミイラとなった恋人を連れ去ったと言う事じゃが…何故じゃと思う?」

情報屋「分からない…蘇らせるとしても今になって何故?という疑問が残る」

魔女「わらわはこう思う…失った力を取り戻す為じゃ…死霊術に屍を食らう術が有るのじゃ」

情報屋「なるほど…話が通りそう…」

魔女「読めたぞよ?黄昏の賢者は3000年前と同じ様に虫を操りドリアードを封じたいのじゃ…力を求めて居る」

情報屋「南の大陸に居るオークがどうして?」

魔女「予言じゃ…予言に従って居るのじゃ」


よう考えてみぃ

勇者らは3000年前のドリアードがどういう惨状を生んだか知って居る

じゃからわらわ達の時代に復活したドリアードを再度封じるための予言を残したのじゃ


情報屋「そういう事ね…ドリアードをどう倒すのか私達は知ってる…それは伝説を通じた予言なのね?」

魔女「イカンな…このままでは未来が先走ってしまうな」

情報屋「未来君が蟲使いの道を選んだのも…」

魔女「勘でどうすれば良いか知って居るからじゃ…何年も前に未来は感じて居る…事の異常に」

情報屋「連絡取れないのがもどかしいわ」

魔女「先回りで待つしか無いのぅ…さてどうするか…」


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『セントラル海岸』


フワリ ドッスン


剣士「すっかり日が落ちた…ウルフは飛空艇で留守番だ」

ウルフ「ガウガウ…グルル」

剣士「女オーク!今から宿屋にいくけど武器は置いて行って」

女オーク「どうして?武器が無いと暴漢に…」

剣士「この国は武器の持ち込みが出来ないんだよ…ナイフならおけ」

女オーク「わかったわ」

剣士「じゃぁ行こうか!ウルフ!明日の朝には戻るから良い子にしてて」

ウルフ「ガウ!!」


タッタッタ


女オーク「急いでいるのね?」

剣士「うん…セントラルでちょっと確認したい事があるんだ…宿屋を取って直ぐに行動する」

女オーク「どうするの?」

剣士「泥棒みたいな事だよ…あ!そうそう君お金持って居たよね?」

女オーク「うん…」

剣士「ちょっと目立つ装備に変える」

女オーク「これで良いのに」

剣士「ダメなんだ…今から白狼の盗賊団の真似事してある人をおびき出すんだよ」

女オーク「ある人?」

剣士「僕が尊敬する人さ…まぁ良いから付いておいで」

『宿屋』


カラン コロン


店主「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「2階の角の部屋空いてるかな?」

店主「そのお部屋はお高いですがよろしいですか?」

剣士「いくら?」

店主「お二人で銀貨20枚です」

剣士「おっけ!」ジャラリ

店主「ではご案内致します…こちらへ」



『部屋』


ガチャリ バタン


剣士「先に水浴びしておいで?その後出かける」

女オーク「じゃぁ浴びて来るわ…」

剣士「ゆっくりで良いよ…泥棒にはまだ少し時間が早い」

女オーク「うん…じゃ…」ガチャリ バタン

剣士「…」


この宿のこの場所で

何度も同じ景色を見て居る

雑多の声がする町の一角

一人で窓をボーっと眺める


剣士「…」ファサ


こうやってフードを被って

隙間から見える世界

どうして落ち着くのか分からなかった

でも理解した…僕は次元の狭間に捕らわれ

何度も繰り返しこの風景を見て来た

この雑多な世界に慣れていたんだ

今…記憶が戻りつつある

僕がどうすべきかもう一度考え直したい

『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

ねぇ聞いた?いつもここに来てたあの豪族…殺されたらしいわ?

ええ!?誰に?ヒソヒソヒソ…

お~い!酒くれぇ!!

なんだよ良いだろパフパフさせてくれよ


マスター「いらっしゃいませ…お二人様で?」

剣士「うん…席は空いてなさそうだね」

マスター「カウンターでよろしければ」

剣士「おけおけ!えーとセントラル名産はエール酒だっけな…2杯お願い」

マスター「かしこまりました」

女オーク「剣士?用事があったのでは?」

剣士「そうだよ…ここで聞いてみるのさ」

マスター「エール酒をお持ちしました…どうぞ」

剣士「ありがとう…ところでマスター…ローグっていう豪族知らないかい?」グビグビ

マスター「ハテ?お知り合いですか?」

剣士「あぁぁ聞き方が悪かったなぁ…マスターも仕事だからそうそう個人の話なんかしないよね」

マスター「お客さん人が悪いですねぇ…ハハハ」

剣士「じゃぁ海賊王の娘を捕らえたんだ…懸賞金を何処で引き換えるか知らないかな?」

マスター「ご冗談を…あまり大きな声でその名を出すのは得じゃ無いと思いますよ?」キョロ

剣士「そっか…収穫無しだ…お代だよ」ジャラリ

マスター「ありがとうございます…」チラリ

剣士「女オーク行こう」

マスター「もしよろしければお連れ様のお顔を拝見させて頂いても?」

剣士「女オーク?見たいんだってさ?」メパチ

女オーク「…」ファサ

マスター「失礼いたしました…又のご来店をお待ちしております」

『路地』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「そんなに簡単に会える訳無いかぁ…」

女オーク「何だったの?」

剣士「あのマスターは多分ローグさんの事知ってるんだよ…トラブルを回避するのに知らない振りさ」

女オーク「ちがう海賊王の娘の話」

剣士「君の背格好が似てるからちょっと釣ってみたんだよ…動きがあるならもう追尾されてると思う」

女オーク「良いの?路地を悠々と歩いても」

剣士「あんまり良く無いね…そろそろ行こうか…そこの角を曲がったらハイディングするよ」

女オーク「わかったわ…」


-------------


剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「迷って居ないね?貴族居住区の方に行こう…こっちだ」タッタ

『貴族居住区_屋根上』


タッタッタ


剣士「リリース!」スゥ

女オーク「リリース!」スゥ

剣士「さて!!何処にいるのかな?」

女オーク「こっちの方は何処を見ても食事会なのね」

剣士「エルフは戦争中だというのにセントラルは呑気なもんだ…何も知らないで」


ワイワイ ガヤガヤ

魔石のレートを引き上げる?キ・カイにそんな資金ありますかね?

新型の気球でトレードを…ふぅむ…噂に聞く奴ですな

輸送の効率が上がるなら一度試してみる価値はありそうか…

では成立という事で…ハッハッハここは私が払いましょう

ワイワイ ガヤガヤ

俺ぁあの女が忘れられ無ぇ!

フィン・イッシュに行って農耕で稼ぐ

そして売られた女を買い戻すんだ

ワイワイ ガヤガヤ


剣士「どの円卓でも似たような話ばかりだ…やっぱり騒ぎ起こさないとダメかもなぁ…」

女オーク「ねぇ向こうのお屋敷から武装した人が何人も出て来てる」

剣士「本当だ…衛兵でも無いのにどうしたんだろう?」

女オーク「武器の所持は禁止じゃ無かったの?」

剣士「さぁ?偉い人だけは許可されてるんじゃないかな?」

女オーク「何か起こりそう」

剣士「面白そうだから隠れて見て居よう」

『貴族居住区_路地』


タッタッタ


こっちには居ない

一応各路地を封鎖する形を取って発見次第捕らえろ

服装か何か特徴は聞いて居ないのか?

聞かされて居ない…向かった方角が此方方面と言うだけだ

相手は2人だ…必ず捕らえるぞ!


剣士「フフ…これ僕達を探してるんだね」

女オーク「目星がついて良かったじゃない…あそこのお屋敷よ」

剣士「中に入ってみよう…ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

剣士「窓から入るよ…おいで」シュタタ


『とある屋敷』


ピョン シュタッ


剣士「リリース!」スゥ

女オーク「リリース!」スゥ

剣士「しぃぃぃぃ…」

女オーク「…」



さぁ懸賞金を見せて貰おうか

それは海賊王の娘を捕らえたのを確認した後でやんすね

直に私の部下が連れて来る…まさか懸賞金の用意無しで掛けていた訳では無いだろうな?

何を言って居るでやんす…あっしの資金運用額を知らんのはあんさんの方でやんすよ

そうやっていつものらりくらりと…良いから懸賞金のありかを話せ

あんさん頭悪いんすねぇ…確認した後と言ってるでやんすよ帰って下せぇ

直に連れて来ると言っているだろう

あっしもそろそろ怒りやすぜ?


剣士「フフ面白そうだ…行こう」タッタ

女オーク「…」

剣士「お頭!例の女連れて来ました」

豪族「おぉ!!でかした!!」

ローグ「えええええええええ!!?」

豪族「さぁこれで分かっただろう?懸賞金をよこせフハハハハハハ」

ローグ「その声は未来君っすね?」

豪族「何を言っている!!この女が海賊王の娘だ!!見ろ…疑い様が無いだろう」

剣士「そうだ!!」

ローグ「もう一人は誰でやんすか?顔を見せて下せぇ」

女オーク「…」ファサ

豪族「フハハハハハハハ…落ちたな?頭取の座は俺が頂く!ハハハハハハハ」

ローグ「んん?どーこかで見た様な…見てない様な…」

豪族「とぼけるんじゃ無ぇ!!目ん玉ほじくって良く見ろ!!」

ローグ「あんさんと話して無いでやんす…もう帰って下せぇ」

豪族「何だとぉ!!懸賞金は渡さんとでも言うのか?」

剣士「あぁぁ…もう我慢できない」プルプル

豪族「あぁ我慢出来ん!その通りだ…雁首揃えて懸賞金を払って貰うぞ」ズイ

剣士「女オーク?この人黙らせてもらって良い?」

女オーク「わかった…」グググ

豪族「何をする…おい!放せ!!」ムググ

ローグ「あ!!奴隷だったオークの子っすね?いやぁぁぁ懐かしい…大きくなったっすね?どういう事なんすかコレ」

豪族「むががが…」ジタバタ

剣士「話は長いんだ…今日会いに来たのは訳が有ってね?」

ローグ「あっしも聞きたい事が山ほどあるっす…ちっと奥で座って下せぇ」

剣士「この人どうしよう?」

ローグ「外に放り出しといて下せぇ…構うの面倒くさいでやんすよ」

剣士「女オーク!放り投げといて」

女オーク「ふん!!」ポイ ゴロゴロゴロ ドターン

ローグ「いやいやいやビックリっすね…でも良くここが分かりやしたね?まぁまぁ座って下せぇ」

『ローグの屋敷』


ローグ「それでどういう訳であっしの所へ?」

剣士「アダムを破壊したと聞いたらどういう反応をするかと思ってね」

ローグ「マジっすか!!いつやったんすか?もう地軸の移動は起きんのですかね?」

剣士「地軸の移動…やっぱりか」

ローグ「え?10年後に地軸の移動があると予言したのは未来君っすよ?アダムを破壊したらもう大丈夫なんすかね?」

剣士「僕が予言…」

ローグ「未来君の予言は全部当たっていやしたよ…ケシの大発生やらスプリガンから魔石が出るやら」

剣士「そんな細かい事まで僕が言ったんだ…」

ローグ「覚えて無いんすか?未来君は未来から来たと言ってやしたよね?忘れたんすか?」

剣士「いつの間に忘れて居たみたい…全部夢の中の出来事と勘違いしてたんだ」

ローグ「いやいやいや…でもアダムを破壊したでやんすよね?いやぁぁあっしは信じていやしたよ」

剣士「記憶があいまいなんだ…だからローグさんに教えて欲しい…僕は何を予言したの?」

ローグ「幽霊船が壊された未来から来たと言ってたでやんす…詳しく話やしょうか」


カクカク シカジカ

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ローグ「…という訳であっしは今豪族の資金力を使って人流を促してるんすよ」

剣士「僕はいつの間に全部夢話だと思い込んでいたんだろう…」

ローグ「今思い出したなら良いんじゃないすかねぇ?」

剣士「もっと世界を変えられるチャンスは沢山あった筈…結局子供が生まれない10年間は経過してしまった」

ローグ「こっから盛り返しやしょう…アダムが破壊されたなら行ける筈っすよね?」

剣士「…そうだと良い」

ローグ「あっしのやって来た事を教えやしょうか?」

剣士「あぁそれ…気になるなぁ」

その土地に土着した民衆はなかなか移住しないんすよ

なもんで豪族達にちっと働いて貰って無理やり移動させるんす

ちっと強引なんすが奴隷商を上手く使って民衆のその後まで面倒見をやるんす

その結果シン・リーンもフィン・イッシュも人口が増えていやす

代わりに沿岸部は減っているんすが…移住した方が稼げる環境を整えて居やす

例えばシン・リーンで魔石の買取レートを高めにすると彼らにお金が回る

流通した魔石をキ・カイまで運んで経済を回すんす

商人さんがやって居るのと同じ事を豪族の資金力を使って強引にやってるんすよ


剣士「…道理でシン・リーンは冒険者で溢れているんだ」

ローグ「あっしが促した結果っすね…地軸の移動で沿岸部が済めなくなっても被害を受けるのは豪族だけっす」

剣士「僕は豪族を偏見の眼で見てたよ…」

ローグ「気にせんで良いでやんす…素行が悪いのはもう治らんのでそういう輩をコントロールする為に頭に懸賞金かけてるんす」

剣士「あぁ…そうそう話は変わるんだけど」

ローグ「何でやんすか?」

剣士「アダムを破壊する直前に僕を呼ぶ声を聞いたんだ…多分パパの声」

ローグ「アダムが勇者さんだったっていうオチっすか?また謎が深まりやすね?」

剣士「うん…どうしてアダムになって居たのか…調べたい」

ローグ「ロマンっすね…それは重要な秘密が有るに間違い無いっすよ」

剣士「今の所手掛かりは情報屋さんしか無いかな」

ローグ「時の王の屋敷に何かあるかも知れやせんぜ?今は美術館になっとるっす」

剣士「美術館…」

ローグ「古美術品って言うんすかね…古代の謎の道具とかあるらしいでやんす」

剣士「じゃぁ今行って来る」

ローグ「いやいや…あっしが案内出来やす…夜は警備に見つかるとエライ事になるっす」

剣士「明日行ける?」

ローグ「良いっすよ?あっしはアダムが破壊されて地軸の移動が無くなるならもう豪族なんて興味無いっすよ」

剣士「じゃ明日もう一回来ようかなぁ…」

ローグ「そんなそんな…まだ積もる話がありやす…今晩はここで休んで下せぇ

カクカク シカジカ

アンナコト コンナコト

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剣士「ビッグママが魔女の修行を受けているって本当!?」

ローグ「あららら?聞かされて居ないんすか?」

剣士「僕も精神と時の門で修行をしてた…すぐそばに居たのか…」

ローグ「魔女さんも人が悪いっすねぇ…」

剣士「魔女はわざと遠ざけて居たんだ…分かって来たぞ…魔女は僕が未来から来たのを気付いて居たな?」

ローグ「どういう事なんすかね?」

剣士「僕が次元を崩壊させてしまうのを防いで居たんだ…魔女は時の番人…」

ローグ「アダムが破壊されて未来は変わったんすよね?」

剣士「…その筈…でもなぜか次元の崩壊は起きなかった」

ローグ「不思議な話なんすが結果良ければ気にせんでも良い気がしますがね?」

剣士「アハハそういう考え好きだよ…まぁそうなんだよ…結果的にアダムは倒せたし何もかも良くなる筈」

ローグ「後はゆっくり謎解きをして行きやしょう」


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『翌日_美術館』


チュン チュン ピヨ


ローグ「まだ開館前なんで貸し切りでやんす」

剣士「さすが豪族のお偉いさんだね」

ローグ「警備が付いて回りやすが気にしないで下せぇ」

剣士「うん…自由に見て良いんだね?」

ローグ「へい…割と広いんで迷わない様に」

剣士「大丈夫…ママと一回来た事あるし」

ローグ「そうだったんすね」

剣士「女オーク付いておいで」スタ

女オーク「沢山ある肖像画はもしかしてウンディーネ?」

剣士「ホムンクルスっていうお姉ちゃんだよ…多分ウンディーネと同じ人かな?」

ローグ「何かヒントは在りやせんかねぇ…」

剣士「時の王っていう人の時代は1700年くらい昔だったよね?」

ローグ「らしいっす…その国が栄えた時代なんでもっと前から生きていたかも知れやせん」

剣士「すごいなぁ2000年近く生きてるって想像出来ないなぁ…」

ローグ「エルフは400年くらいらしいっす…ドワーフも同じくらいなんで未来君も寿命は長いかも知れやせん」

剣士「爺ぃじは何歳なんだろう…」

女オーク「ここの画に描かれている…この紋様…」

剣士「んん?あーシン・リーンで良く見る紋様だね」

ローグ「姉さんが作った装飾品はこんな紋様が彫ってありやすね」

剣士「あれ?…」

ローグ「ちょっと待って下せぇ…シン・リーンの美術品には姉さんが使う紋様が多いっす…未来君の刀の鞘にも同じ紋様あるっすよね?」

剣士「え!?この鞘に…あ!!本当だ…これもしかしてママが先に?」

ローグ「姉さんがシン・リーンの紋様を真似たのかも知れやせんが…可能性はありそうっす」

剣士「待てよ待てよ…あのシン・リーンの壁画の彫刻…かなり特殊だった…普通の人には難しいけどママなら簡単だ」

ローグ「およよよ?新説っすね…あの壁画は姉さんが彫った可能性がありやすね」

剣士「でも飽きっぽいママがどうしてあんな大きな壁画を掘ったんだろう」

ローグ「ははーん…きっとこれっすね…」パサ

剣士「え?」

ローグ「これは10年前に未来君の証言をあっしがメモした物でやんす」

剣士「あああ!!未来を知って居るから予言として残した…そういう事か…あの壁画は予言なんだ」

ローグ「未来にこんな事が起こるという事さえ残せば変えられる可能性もありやすよね?未来君の様に」

剣士「…そうかつまり暁の墓所の壁画も予言だ…良く見ておけば良かったなぁ」

ローグ「暁の墓所?なんか聞いた事ありやす…」

剣士「シン・リーンの東にある王家の墓所らしいよ…壁画が隠されてたんだ」

ローグ「もしかすると姉さんは世界中のあちらこちらに予言を残したかも知れやせん…こりゃまたロマンすねぇ」

剣士「ママの手掛かりが残って居そうなのは分かったけどパパとアダムの関係が繋がらない…」

ローグ「他に何か無いっすかねぇ…向こうの部屋には古美術品がありやすぜ?」

『向こうの部屋』


剣士「壺に食器…装飾品…う~ん」

ローグ「何かの道具もありやすが…未来君は分かりやせんか?」

剣士「全然分からない…」

ローグ「手がかりは無さそうでやんす…」

剣士「時の王っていう人は2000年くらい前の人だとするとドリアードとは無関係だよ」

ローグ「ドリアードはもっと昔でしたかね?」

剣士「3000年前くらいらしい」


リン ゴーーーーン


剣士「鐘の音…」

ローグ「貸し切りは終わりでやんす…どうしやす?まだ見ていきやすか?」

剣士「興味を引く物が無い…もう良いや」

ローグ「未来君はこれからどうするでやんすか?」

剣士「う~ん…急ぎの用事はもう無いんだけど…エリクサーを運んで居る最中なんだ」

ローグ「どこまで運ぶでやんすか?」

剣士「名も無き島だよ…商人さんがホム姉ちゃんを復活させようとしてるんだ」

ローグ「商人さんにもずっと会って無いでやんす…取引の件で話をしたいんすが」

剣士「今はキ・カイに居る筈…経由して送って行こうか?」

ローグ「気球で行くでやんすか?」

剣士「あ!飛空艇の事話して無かったね…新しく僕の飛空艇を作ったんだよ」

ローグ「さすが姉さんの血を引いていやすね…あっしにも見せて下せぇ」

剣士「ママの船より早いんだよ?」

ローグ「そらスゴイっすね…もう行きやすか?」

剣士「飛空艇でウルフを留守番させっ放しなんだ…早く戻りたいんだけど…」

ローグ「早速行きやしょう」

剣士「ローグさんは何も持って行かなくて良いの?」

ローグ「あっしはもう屋敷も何も要らんでやんす…豪族と付き合うのもウンザリして居やした」

剣士「ハハ…じゃぁもう行こっか」

『道中』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「ローグさんは商人さんとどんな取引を?」

ローグ「相場の話っすね…魔石のレートが変わるんすよ」

剣士「そんなに重要な事なの?」

ローグ「貴族の一人にちっと賢いのが居るんす…放って置くと富を独り占めする様になるでやんす」

剣士「ふ~ん…魔石とどんな関係なの?」

ローグ「キ・カイはエネルギーが魔石に依存してるんでレートが大きく変わると戦争に発展しやす」

剣士「政治絡みなんだ…苦手だ」

ローグ「あっしは名家の出じゃないもんすから資金は動かせてもレートの操作にあまり介入出来んのでやんす」

剣士「ふ~ん…」ハナホジー

ローグ「興味無さそうっすね?」

剣士「全然無い」

ローグ「こう言えば良いっすかね?もう魔石は売らないと言われたら言う事聞くしか無い…そういう事なんす」

剣士「…」


---エネルギーの供給が条件…供給を止めると脅されたら?---

---アダムと魔石の関係と同じか---

---そういえば魔王を封じたとされる魔石は何処に行った?---

---大事な事をすっかり忘れていた---


ローグ「どうしたでやんすか?急に黙りこくって?」

剣士「あ…いや何でも無いよ」

ローグ「キ・カイに魔石が流通しなくなったらどうなるんすかねぇ」

剣士「大丈夫だよ…向こうは石炭が豊富だし」

ローグ「石炭って又時代遅れな燃料っすね…」

剣士「馬鹿に出来ないよ?錬金術でダイヤモンドに変換出来る」

ローグ「ええ!?そうだったんすか?」

剣士「あとキ・カイの古代遺跡からウラン結晶も発掘されてるみたいだよ」

ローグ「なおさら商人さんと情報交換しないといけやせんね…それを奪いたいと思う輩は沢山いるでやんす」

剣士「なかなか平和にならないなぁ…」


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『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


ローグ「操舵のコツが分かってきやしたぜ?」

剣士「キ・カイまで任せたよ…僕は歴史の勉強だ」ヨミヨミ

ローグ「風に上手く乗れば逆風でも進むのがスゴイっすね」

剣士「落下を上手く使ってスピード乗せるんだよ…慣れれば勘で行ける」

ローグ「武器はクロスボウ2台すか…火力は姉さんの船が上なんすね」

剣士「あんまり戦闘を想定していないんだ…ボルトもちょっとしか乗って無い」

ローグ「外の視認性が悪いのがちっと不便すね」

剣士「そうだね…暇があったらもう少し改造してみる」

ローグ「いやぁぁ骨組みをクジラの骨で作ったのは考えやしたね…」

剣士「木よりも軽くて強度が高かった…だから大きな羽が作れたんだ」

ローグ「噂でキ・カイの気球の話をよく聞くでやんすが皆こんな感じで?」

剣士「軽量なのは同じかな…錬金術で木材を樹脂に変性してるんだ…木よりも軽くて丈夫」

ローグ「この胴体の部分っすよね?」

剣士「それそれ…卵の殻みたいになってるからスゴイ強度が高いんだよ」

ローグ「10年で進歩するもんすねぇ…」

剣士「キ・カイは色んな形の気球があって面白いよ」

ローグ「あっしは10年間南の大陸には行って無いんで楽しみっす」


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『古都キ・カイ』


フワフワ ドッスン


ローグ「門の外に降ろすのは何か理由が?」

剣士「豪族に狙われるんだよ…ほら女オークは背格好がビッグママに似てるじゃない?」

ローグ「顔は似てないでやんす…背が高いのは損っすね」

剣士「商人ギルドは場所知ってるよね?3人だと目立っちゃうから現地集合で良い?」

ローグ「良いっすよ…」

剣士「じゃ…向こうで…女オーク!ハイディングしながら行くよ!」グイ

剣士「ハイディング!」スゥ

女オーク「ハイディング!」スゥ

ローグ「あぁ姉さんを見て居る様でやんす…良い子に育ちやしたよ?姉さん…」タッタ


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『商人ギルド』


ガヤガヤ ガヤガヤ

はい!買取はこっち!競売はあっち!

商船の取引所は臨時で外に作ってありまぁぁす!

亜麻とシルクが値下がりしてる…

石炭の売りが好調だ…ウヒヒヒ


盗賊「奴隷商居無ぇかぁ!!大工に工夫!!大募集!!移民歓迎!!誰か居無ぇかぁぁぁ」

娘「爺じぃ!!ここは取引所だからそう言うのは外でやってよ!!」

盗賊「そんな簡単に集まら無ぇからここに来てんだよ!」

娘「邪魔邪魔!!シッシ!!」

盗賊「はぁぁどうすっかな…」

影武者「僕に任せておいてよ…地下の方に孤児の集まりが居るから話してみるよ」

盗賊「孤児!!おぉそれだ!!」

影武者「ギャングになっててスラムをうろついて居るんだ」

盗賊「スラムか…お前一人で大丈夫なのか?」

影武者「僕を誰だと思って居るんだい?取引なら任せ…」


ローグ「盗賊さん!お久しぶりでやんす…」


盗賊「ん?おおおおおおお!!ローグじゃ無ぇか…どうしたんだ?いつ来た!?」

ローグ「商人さんに会いに来たでやんす…盗賊さんも一緒だったでやんすね」

盗賊「商人なら下に居るぞ?連れて行ってやる」

影武者「困るなぁ…勝手にチョロチョロされるのは」ジロ

盗賊「まぁ堅い事言うな」

影武者「ダメだよ…僕はここを任されて居るんだ…僕の許可無しで勝手な事はしないで貰いたい」

ローグ「ちっと待って下せぇ…未来君もここに来る筈なんすが」

盗賊「なぬ!?未来も一緒か?なら上の大部屋で待って居た方が良さそうだな」

影武者「そうして貰えると助かる…商人には僕から伝えるよ」

盗賊「あー分かった分かった…ローグ!こっちだ来い」

ローグ「へい…いやぁ賑わって居やすねぇ…」

盗賊「ところでお前今まで何やってたのよ?」

ローグ「まぁ色々ありやしてね?」


アンナコト コンナコト

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『大部屋』


剣士「リリース!」スゥ

女オーク「リリース!」スゥ


盗賊「おぉ!来たか…ん?なんだそりゃ買い物して来たんか?」

剣士「触媒が不足してたから地下に行って来たんだ…良さそうな望遠鏡有ったから買ってきちゃった」

ローグ「あらら?な~んか女オークさん…雰囲気代わりやしたね?」

女オーク「…」

剣士「変性魔法で少しキバを出した…肌色も少し褐色に…こっちの方が良いでしょ?」

ローグ「今まで未来君の魔法で変装していたんすね?」

剣士「人間っぽくしてたんだけどさ…やっぱりキバは少し出ていた方が良い」

盗賊「それにしても商人遅せぇな…」

ローグ「あっしには興味無いのかも知れやせんねぇ…」

剣士「あ!!ホム姉ちゃんが生きてたって伝えればすぐに来るかも」

盗賊「なぬ!!そりゃマジか…」

ローグ「あっしも今聞いたでやんすが…何処に居るんすか?」

剣士「精霊樹の森だよ」

ローグ「石造はどうなったんすか?」

剣士「話は商人さんが来てからの方が良いかも」

盗賊「おう!!ちっと急ぎで呼んで来るわ」ダダ


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『数分後』


ガチャリ ドターーーン!


商人「剣士君!!聞いたよ…ホムンクルスが生きていたんだってね?ハァハァ」

ローグ「速攻出て来やしたね…ハハ」

剣士「うん…ホム姉ちゃんの超高度AIユニットは10年前に僕が拾って精霊の御所に置いて来たらしい」

商人「らしい?」

剣士「僕は記憶を失って居たんだよ…話はこうだよ」


10年前…シャ・バクダ遺跡に避難していた時の事

僕は冒険の書を読んだんだ…


カクカク シカジカ

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剣士「…という訳でホム姉ちゃんは精霊樹になって森の動物や虫達に囲まれて生きているんだ」

商人「そうか…無事だったか…良かった」ポロポロ

剣士「体は失ったけど精霊樹になって葉っぱから風の音とか色んな事を感じてる筈」

商人「うんうん…」

剣士「今では森の声の主になって沢山の友達が居る筈」

商人「うんうん…それで良い…きっとそれが一番幸せな筈さ」

機械の犬「ワン!」

商人「精霊樹の森に行きたくなって来た…そうだホムンクルスの超高度AIの寿命は400年くらいだった筈」

機械の犬「ワン!」

商人「この機械の犬に入れた超高度AIユニットの寿命はあと5年程…それぞれ違う形だけどきっとこれが一番良い」

盗賊「ふ~む…なるほどな…それで未来が行方不明になった後に御所で発見された訳か」

商人「剣士君…僕は精霊樹の森へ行きたい…ホムンクルスの傍に居たい」

剣士「あ~今はちょっとダメかも…エルフが戦争をしてる」

商人「相手は?まさかドリアード?」

剣士「話にはまだ続きが有ってね…実はドリアードの中にあるアダムは僕が破壊して来た」

盗賊「どわっ!!マジか!!それを先に言え!!」

商人「えええ!?どういう事なんだい?」

剣士「もっと話は遡る…実は僕は未来から来てるんだ…未来に起こる事をもう変えて来た」

商人「ええと…話が掴めない」

剣士「こういう事だよ…」


カクカク シカジカ

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商人「…これは驚きだ…剣士君!君はこの世界が夢幻だと言っているのと等しい事を言って居る」

剣士「そうだよ…魔術で言う次元の繋がりは…おそらく夢幻のゆらぎだよ」

商人「じゃぁ今のこの瞬間も…精霊の記憶?いや…ホムンクルスの記憶?」

剣士「そう言い変える事が出来るかも知れない」

商人「ラヴ!君にこの質問をするのは酷かもしれないけどどうなんだい?」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「分からない…」

剣士「その答えを探すのが魔道なんだ…魔女は初めからそれを知って隠して居た」

商人「現実は何処にある?」

剣士「この次元も現実…別の次元も現実…それが量子で繋がっている…量子転移とはそれを超える魔法」

商人「平行世界か…」

盗賊「難しい話になって来たが…とりあえずアダムは破壊されて色々解決した訳だな?」

剣士「その筈…多分未来は変わった」

盗賊「あいつはどうなった?とち狂った第3皇子のヤローは?」

剣士「そんな人は見て居ないなぁ…僕はエリクサーに浸かった機械をママの爆弾で破壊した…それだけ」

盗賊「ふむ…破壊したってのは本当らしい…エリクサーに浸かっているなんぞ行った奴にしか知り得ん話だ」

剣士「アダムは破壊出来たけどその後ドリアードが暴れ始めて今エルフが戦って居る最中だよ」

商人「精霊樹は大丈夫そうかい?」

剣士「エルフゾンビさん曰く有利にはなってきているらしい」

商人「そうか…もう少し待つ必要があるのか…ところでエリクサーは?」

剣士「樽で4つ分持って帰って来たよ」

商人「僕にはまだ仕事が残って居るな…未来の為にホムンクルスを完成させないと」

剣士「え?」

商人「ホムンクルスは未来にメッセージを伝える為に生き延びて居るんだ…絶やしてはいけない」

剣士「あぁ勘違いした…僕の事かと思った」

商人「…」

剣士「??」

商人「剣士君…君のお母さんの女海賊は…もしかすると君へのメッセージをホムンクルスに託して居ないかな?」

剣士「え!?」

商人「女海賊はホムンクルスが現在まで生き延びている事を知って居る筈…だから古代遺跡に残って居たんじゃないかい?」

機械の犬「ワン!ワン!ワン!」

商人「正解だ…古代遺跡で見つけた外部メモリをラヴに一度挿入した…ラヴがそのメッセージを知って居る」

機械の犬「ワン!」

商人「聞くためにはホムンクルスを目覚めさせる必要がある」

剣士「聞きたい…」



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商人「エリクサーの買取は次の商船が入って来るまで待ちだよ…もう2~3日かな」

剣士「うん…しばらくゆっくりしておくよ」

ローグ「商人さんあっしからもちっと話があるんすが?」

商人「何かな?」

ローグ「北の大陸からの魔石が流通していやすよね?レートが一気に変わるっす」

商人「へぇ?それは困るね…でも何で急に?」

ローグ「セントラルの貴族の中で公爵っていう奴を知りやせんか?」

商人「あぁ知って居るさ…古代遺跡発掘の出資元だね…彼が何か企んでいる?」

ローグ「多分キ・カイの利権を丸ごと狙ってるっすよ…何か凄い物を発掘していやせんかね?」

商人「詳しくは知らないんだ…まぁでも魔石流通が止まるとキラーマシンも動かない…機械の軍艦もだ」

ローグ「そういう事っス…丸裸なんすよ」

商人「利権の独り占めは豪族も黙って居ないんじゃないかな?豪族が魔石の流通に動くと思うけどなぁ」

ローグ「だからこうやって話をしてるんす…豪族をコントロールしているのはあっしとアサシンさんでやんす」

商人「アレ?もしかして豪族の頭取ってローグだったのかい?」

ローグ「言い忘れていやしたね…あっしは裏で豪族を操っていたっす」

商人「なんだそうだったのか…なかなか足が掴めなくて困って居たんだよ…そっちから来たんだね」

盗賊「おいおいおい…どういうこった!」

商人「そうだよローグ!困るんだよ豪族があちこちで勝手に動かれちゃ…武器の密輸しかり相場の介入しかり…」

ローグ「正確にはあっしだけじゃ無いんす…さっき言った公爵も上手く豪族を誘導してるんす」

商人「つまりこうだね?公爵が力を付けて来てローグの手に負えなくなってきている…」

ローグ「まぁそんな所でやんす…海賊王の娘に懸賞金を賭けて豪族を纏まらせないので精一杯なんでやんす」

商人「まぁ一つ分かったのは豪族はその頭取以下の一枚岩では無いという事だね」

ローグ「ハッキリ言ってバラバラっすね」

商人「公爵が利権を餌に纏め始めたという所か…」

盗賊「しかしローグ!豪族のせいでどんだけの村が焼かれたか分かってんのか!?」

ローグ「それにも訳があるんすが…」

商人「うーむ…これは話が長くなりそうだ…盗賊!影武者が単独で取引先に行くんだけど一緒に付いて行ってもらえないかな?」

盗賊「んぁ?俺は人相が悪いからダメだと本人に言われてんだが…」

剣士「僕が言って来ようか?ボディーガードだよね?」

商人「剣士なら安心だ…お願いできるかい?」

剣士「女オークはここで待って居た方が良さそうか…」

女オーク「私は水浴びしてゆっくりしておくわ」

剣士「うん…じゃぁ影武者さんの所に行って来る」

商人「助かる…それでローグ?話の続きなんだけど…」

ローグ「へい…あっしが豪族を動かしてやっていた事はですね…地軸の移動に備えて人の誘導が狙いだったんす…」


カクカク シカジカ

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『港にある倉庫』


スタスタ


剣士「影武者さん…肌の調子はどう?」

影武者「おかげで良くなったよ…髪の毛も生えて来たさ」

剣士「もうフードで顔を隠さなくても良いんじゃない?」

影武者「僕はねこのフードの隙間からしか世界を見たことが無いんだ…怖いんだよ」

剣士「怖いって…何が?」

影武者「僕の顔色を悟られるのがさ…フードの中で怯えた顔をしているのを知られたくない」

剣士「あーーーなんか分かるなぁ…僕も子供の頃からずっとフードの隙間から世界を見てた」

影武者「フフ…君も同じだったか」

剣士「なんだろうなぁ…フードに隠れてるのは顔だけなのに…どうして落ち着くんだろう」

影武者「世界を一歩引いたところから見て居る…そんな感じだよ」

剣士「アハハ…そんな2人が揃って歩いているのはおかしく見えるよね」

影武者「そうかい?」

剣士「僕影武者さんと意見が合いそうだ…でもね…君の笑った顔も見て見たい」

影武者「…」

剣士「どうして黙るのさ」

影武者「笑い方を知らない…笑えているのかも自信が無い…ゴメンねその期待には応えられない」

剣士「まぁ良っか!!かくれんぼしてるみたいでなんだか楽しいし」

影武者「そろそろ待ち合わせの場所だよ…君は黙って見て居れば良い…言葉を発したらダメだよ」

剣士「おけおけ!秘密の取引…ワクワクするなぁ」

『数分後』


スタスタ


豪族の男「…これはこれは闇商人さんよ…約束通り2人で来たな?」

影武者「…」タジ

剣士「…」ポカーン

影武者「密会の約束だった筈だね…どういう事かな?」

ごろつき「二ヒヒ…」ゾロゾロ

豪族の男「まぁまぁ…そう慌てんな…取引が無事に済めばそれで良いだろう?」

影武者「破談さ…剣士君…帰ろう」スタ

豪族の男「待て待て…ブツは用意しているんだ…これを見ろ」ドサリ

影武者「…」ジロリ

豪族の男「俺は例の物が手に入ればそれで良い…何処に隠してある?」

影武者「フフこの状況で取引が成立するとでも?」

豪族の男「おぉ分かった分かった俺は下がって後ろを向く…その袋は持って行け…ブツのありかさえ聞ければ俺はそのまま去る」

影武者「剣士君…その袋を持って帰ろう」

剣士「…」スッ ガサリ

豪族の男「さぁ教えろ…キラーマシンのパーツは何処に保管してあるんだ?」

影武者「2番倉庫B-14…剣士君行こう」スタスタ

剣士「…」スタスタ

豪族の男「グハハハハ…俺は去るが…後は知らん」

影武者「ハッ…まずい!!来た道に人が沢山居た…」

剣士(まだ喋っちゃダメ?)ヒソ

影武者「剣士君僕を守って…これは罠だ」

豪族の男「さぁて!!これでまともに取引出来るな?海賊王の娘を匿って居るだろう…後は言わんでも分かるな?」

剣士(やって良いの?)ヒソ

影武者「この窮地を脱出できるのであれば」ヒソ

豪族の男「さぁどうなんだ?この付近に居るのはみ~んなごろつきだ!!どういう事か分かるな?」

剣士「…」チャキリ ターン


バチン!!


豪族の男「あだっ!!にゃろう…言う事聞く気が無ぇな!!」

剣士「…」チャキリ

豪族の男「その武器は海賊王の娘の武器…やっぱり匿っていやがったな!!ごろつき共!!やっちまえ!!」

ごろつき共「うぉぉぉぉ」ズドドド

剣士「影武者さん僕の懐に入って!」グイ

影武者「え!?」

剣士「ハイディング!」スゥ

豪族の男「消えた…あいつ!!白狼の一味だったのか…」

ごろつき共「あっちだぁ!!地下の方へ向かって居る!!」ズドドド

豪族の男「闇商人が白狼の仲間だったとは…くそう!追え!隠れ場所を突き止めろ!!」

『夕方_商人ギルド』


ザワザワ ガヤガヤ

おい白狼の盗賊団って知って居るか?

10年以上前の伝説の盗賊団だ

地下の方に隠れて居るらしい

こりゃ貴金属の被害が出そうだ…ヤべェ隠すぞ!

ザワザワ ガヤガヤ


盗賊「よう!!戻った様だな?何なんだこの騒ぎは…」

影武者「商人は何処へ?」

盗賊「上の大部屋でくつろいでる…何か有ったんだな?」

影武者「話はそこで…」


--------------

『大部屋』


ガチャリ バタン


影武者「商人…取引は無事に終わったよ…でもマズい事になった」

商人「うんゴメンね…危険な取引を君に押し付けてしまって」

影武者「いえ…それは構わない…でも白狼の盗賊団と闇商人を紐づける結果になってしまって…」

商人「そろそろ潮時だとは思って居たんだ…海賊王の娘を匿って居るという噂も在ったしね」

影武者「どうしよう…このままだとキ・カイで行動するのは制限が出てしまう」

商人「しばらく身を隠すしか無いだろうね…盗賊と少し話をしたんだけど君にはハテノ村に行ってもらいたい」

影武者「ハテノ村…左遷ですか」

商人「そう言うのじゃない…ハテノ村で硫黄の取引所を新しく作りたいんだよ…そこを君に任せたいんだ」

影武者「商人はどうされるので?」

商人「考えてある…世間的に死んだ事にするのさ」

ローグ「簡単なこってすね…あっしが闇商人と海賊王の娘を捕らえた事にするだけっす」

剣士「アハハそれ名案だねぇ」

ローグ「あっしは豪族の中では名が通ってるんすよ…豪族達の目の前で商人さんに扮した剣士さんと女オークさんを捕らえるんす」

剣士「商人さんの姿に変性するのは簡単さ…面白い!やろうやろう」

ローグ「どこでやりゃ良いっすかね?」

剣士「こういうのはどう?地下街の一角に鉄の檻があるんだ…その中に2人入ってローグさんと盗賊さんでここまで移送する」

ローグ「しばらく檻の中でやんすがそれでも良いっすかね?」

剣士「ほら?昔さぁ…檻の中で過ごした事有ったよね?どんぐりだけ有ればそれでも楽しいんだ」

女オーク「ウフフ…」クス

ローグ「豪族達は頭悪いもんすからそれで絶対騙せやすね」

剣士「決まったら早速行こう…丁度豪族達を地下に撒いて来た所だし」

ローグ「盗賊さん良いっすかね?檻の鍵開けには盗賊さんの力が必要っす」

盗賊「ぬぁぁぁしょうが無ぇなぁ…茶番にゃ興味無いんだが…」

商人「まぁまぁ…ハテノ村へ移住する人の件は僕がなんとかするさ」

盗賊「ワイン一本貰ってくぜ?酒でも飲みながらじゃ無ぇとダルくてよう」グビグビ

剣士「悪党ズラもたまには役に立ちそうだね…豪族のごろつきにそっくりだよ」

盗賊「んだとぅ!!」

ローグ「じゃぁ行くでやんす…剣士さん檻まで案内して下せぇ」

剣士「うん!!付いて来て…」タッタッタ

『チカテツ街道_廃線』


ドヤドヤ

街道の奥の方まで逃げてるかもしれん!

明かりを持ってこい!

この廃線に逃げ込んだので間違い無いな?

暗くて何も見えやしねぇ!明かりはまだか!?



盗賊「危なく見つかる所だったぜ…この奥に牢屋があるんだな?」

剣士「うん…多分もう使われてないよ」

ローグ「ありやしたぜ?こりゃ奴隷移送用の牢屋っすね…車輪が付いてるんで移送がラクっすよ」

盗賊「おぉ鍵開けるから待ってろ…」カチャカチャ カチン

ローグ「さささ…早く入ってくだせぇ」

剣士「ウフフわくわくするなぁ…女オークおいで」グイ

盗賊「ちっと戦闘音出して釣るか?」

ローグ「そうっすね…」

剣士「任せて!火炎魔法!火炎魔法!火炎魔法!」ゴゥ ゴゥ ゴゥ ドーン

盗賊「鍵閉めるぞ?」カチン

ローグ「檻を叩きやしょう」カーン カーン カーン


おらぁ!!掴まえたぞぉぉぉ

檻の中に入りやがれぇぇぇ

ここで会ったが100年目でやんす…大人しくお縄頂戴でやんすよ


剣士「フフフ女オーク!!トマト爆弾食らえぇ!!」ポイ ベチャ

女オーク「え!!ちょっと…水浴びしたばかりなのよ!」グイ

剣士「いてて腕を掴まないで…」

盗賊「おい!!武器は俺らが預かる…出せ」

剣士「ん…あ…はいコレ…刀とデリンジャー」ポイ

女オーク「剣士!?何個トマトを持って居るの?」

剣士「フフフ食らえ!!」ポイ ベチャ

女オーク「止めて…」グイ

剣士「あだだだ…力は君の方が強い…ずるいぞ!!」ドタバタ


盗賊「檻を押すぞ!!あんまり暴れんな!!」グイ ガタゴト

ローグ「お二人さん大人しくするでやんす…豪族達が来たでやんすよ」


豪族の男「…こりゃどういう事だ?なんで頭取がキ・カイに居る…」

ローグ「なんでもかんでも…あんさん達が海賊王の娘を捕らえるのに手間取ってるもんすからこうやって直々に動いてるんすよ」

盗賊「おい!!大人しくしろ2人共!!撃つぞ」チャキリ ターン


ドタバタ ドシン ドシン

ローグ「あんさん達は信用出来んのですわ…公爵から何やら依頼もされて居やすよね?」

豪族の男「う…海賊王の娘を後回しにしていた訳じゃ無ぇ…なかなか捕まえられ無ぇもんだから…その」

ローグ「もう捕らえたんでやっとドワーフ達と交渉出来やす」

豪族の男「そっちの小さい方は闇商人だと知って居るのか?」

ローグ「闇商人にはちぃと拷問の必要がありそうっすねぇ…ニヒヒヒ」

豪族の男「懸賞金はこれでおじゃんという事か?」

ローグ「そうなりやすねぇ…まぁ豪族の皆さんには良く働いて貰ったもんすから…ドワーフ達から得た利権は分け前を分配しても良いっすね」

豪族の男「おぉぉ!!俺にも移送を手伝わせてくれ…しかしこいつ等仲間割れか?」


ドタバタ ドシン ドシン


盗賊「おい!!静かにしろぉ!」チャキリ ターン

豪族の男「その武器は取り上げたんだな?すげぇ見せてくれ」

盗賊「こりゃ俺の取り分だ触るな!!」チャキリ

豪族の男「ちぃぃぃクソう!!一歩遅かった…」

ローグ「幽霊船の中にはまだたんまりお宝がある筈でやんす…まだまだこれからでやんす」

豪族の男「おう!!強力させてくれぇ!!」

盗賊「ならよう…この廃線の奥にこいつらの隠れ家があるかも知れ無ぇんだ…探して来てくれ」

ローグ「ハハそーっすね…あっしらは海賊王の娘の移送で忙しいでやんすよ」

豪族の男「グハハハハハそういう事かい…まだまだ俺にも分け前が残って居たとはこりゃ抜かった…」

盗賊「待て!お前独り占めは許さんぞ?」

豪族の男「ここは共闘って行こうじゃ無ぇか…おいごろつき共ぉ!!行くぞ!!宝は目の前だぁぁ!!」ドタドタ

ごろつき「うぉぉぉぉ」ドタドタ

ローグ「…」

盗賊「んんん…アホだなあいつ等」

『地下入り口』


ガタゴト ガタゴト


移送されているの誰か知ってるか?

片方が海賊王の娘らしいわ

いやぁぁ血だらけじゃない…

もう一人は白狼の盗賊団の一人らしい

あれが伝説の…

こりゃ他の仲間が動き出したりしないか?


ザワザワ ザワザワ


ローグ「いやいや…噂の伝わる事の早いのなんの…」

盗賊「他の豪族共も慌てて地下に入って行きやがる」

ローグ「これは地下の大捜索になりやすぜ?」

盗賊「知った事か!!ちっと俺は馬持ってくるからローグはここで待っててくれ」

ローグ「あいさー」

盗賊「5分で戻る!!」ダダ

ローグ「剣士さん…見世物になって居やすが大丈夫でやんすか?」


ドタン バタン ギシギシ


剣士「はぁはぁ…もう分かった降参だ…もう悪戯しないから放して」グググ

女オーク「私の勝ちね…隠したトマトを出して」

剣士「こ…ここだよ」スッ

女オーク「本当に油断も隙も無いんだから…」

剣士「怒ってるの?」

女オーク「呆れているの…」

ローグ「剣士さん聞いていやすかね?見世物になってるんすが…」

剣士「あぁゴメン…どうして居れば良い?」

ローグ「2人共堂々とですね…一応2人共伝説の人物なんすがどうも威厳が無くてですね…」

剣士「ええと…つまり大人しくしていろって事だね?」

ローグ「そういうこってす…今日は檻から出せれないと思うんで大人しく休んでいて下せぇ」


パカラッ パカラッ ブヒヒ~


盗賊「戻ったぜ?ローグ!手枷を持って来たから2人に付けて囚人らしくさせろ」ポイ ドサリ

ローグ「へい!!2人共済まんでやんす…鍵は外しておくんで一応つけるだけ付けて下せぇ」カチャ カチャ

剣士「手が込んでるねぇ…ハハ」

盗賊「まぁ一応な?見てる奴は見てるからよ…商人ギルド裏まで移送したら幌を被せてやる」

『商人ギルド裏』


ガタゴト ガタゴト ブヒヒ~ン ブルル


盗賊「見物人が付いて来ていやがる…面倒だな」

ローグ「これじゃ下手に動けやせんね?」

盗賊「まず幌を被せるぞ…ローグ!反対側持て」バサバサ

ローグ「いきやすぜ?せ~の!!」バサッ

盗賊「ローグどう思う?檻の中だがちっと危ないと思わ無ぇか?」グイグイ ギュゥ

ローグ「そーっすね…あっしとドワーフの交渉を邪魔したい輩が居るなら暗殺者が動くかも分からんす」

盗賊「やはりな…公爵つったっけ?息の掛かった豪族はどっかに紛れて居そうだな」

ローグ「あっしも身を隠さんと狙われるかも知らんでやんすねぇ」

盗賊「しゃぁ無ぇな…ちっと死体を2つ仕入れて来るか」

ローグ「宛てがあるでやんすか?」

剣士「待って待って…僕は変性魔法が使えるんだ…誰か身代わりになる人を檻の中に入れてくれたら交代するよ」

盗賊「お!?そりゃ良い…酒場に行きゃ素行の悪い豪族なんかいくらでも居る」

ローグ「決まりっすね?」

盗賊「そうだな…酒場にある樽に身代わりの豪族を入れてだな…ここまで運ぶ」

ローグ「樽ごと檻の中に入れて交代するんすね?」

盗賊「行けそうだな…よし!剣士…小一時間で戻って来るからそれまで自衛しろ」

剣士「おけおけ」

盗賊「ローグ来い!!樽を運ぶの手伝え」

ローグ「あいさー」タッタッタ

『酒場裏』


こんな所に呼び出したからには落とし前付けてくれるんだろうな?

お前達は酒場でお痛が過ぎるんだちっと大人しく寝てろ

んだとゴルァ!!やんのかてめぇ!!


盗賊「ローグ!ヤレ!!」

ローグ「バックロロホルム!!」

ごろつき1「むぐっ!!」

ごろつき2「なっ…!!」

盗賊「殺しゃし無ぇ…寝てろ」グイ

ごろつき1「んむむ…」グター

ごろつき2「ふんが…」グター

ローグ「いやぁぁ強力な睡眠薬っすね…どこで手に入れたんすかコレ」

盗賊「そりゃ後だ…さっさと樽に入れて運ぶぞ」ゴソゴソ

ローグ「何か持って居やすか?」ゴソゴソ

盗賊「金貨と宝石を少しな…こいつら北方の海賊出身だな」

ローグ「本当っすね入れ墨入って居やすね」

盗賊「まぁ良い!盗る物盗ったら樽ん中入れて運ぶぞ」ヨッコラ ヨッコラ

ローグ「いやいやいや…なんか盗賊さんの真の姿を見た気がしやした」

盗賊「俺ぁこういうのから足は洗ったんだ…今は鍵開け専門よ…お前の方こそ隠密は慣れて居そうじゃ無ぇか」

ローグ「あっしは諜報専門っす…殺しはやりやせん」

盗賊「ケッ…行くぞ」ヨッコラ ヨッコラ

『商人ギルド裏の檻』


ヒソヒソ ヒソヒソ


ローグ「皆さんどいてくれやんす」ヨッコラ

盗賊「人の荷を勝手に覗くんじゃ無ぇ!どけゴルァ!!」ヨッコラ

ローグ「これは見世物じゃ無いんで皆さん何処かへ行ってもらえやせんかね?ちっと強引な感じになっちまいやすぜ?」

見物人「ひぃぃぃ」

盗賊「シッシッ…」ドスン

ローグ「よっこら…よっこら」ドスン

盗賊「おい!檻の中の2人…お前等の着ている物全部この樽の中に入れろ」

ローグ「海賊王の娘さんや…幌で見えない様になっているのはあっしからの気遣いでやんすよ?言う事聞くんでやんす」

盗賊「俺が中に入って身ぐるみ剝がして来る…ローグは見張って居てくれ…鍵開けるぞ?」カチャリ ギー

ローグ「樽を中に入れるでやんすよ?」ヨッコラ

盗賊「抵抗したらどうなるか分かってんだろうな?」チャキリ ターン

ローグ「ハイハイ皆さん囚人の身ぐるみを剥いでいるだけですんで解散!解散~~」


ヒソヒソ ヒソヒソ

あれが豪族の頭取?随分物腰が弱そうな…

海賊王の娘はえらいべっぴんと聞くが本当かえ?

どんな装備品を持って居るのか…

檻の中が光ってる…何なんだ?


盗賊「そうだ…大人しく脱いで樽の中に放り込め…ダメだ下着も全部だ!」

盗賊「武器を隠していやがったな!!だがもう必要無いヌハハ」

盗賊「ようし!大人しくしていた褒美に後で布っ切れは用意してやる」

盗賊「ヌハハ装備品はすべて回収したぜ?ローグ…運ぶぞ」

ローグ「檻に鍵を掛けるのを忘れんで下せぇ」

盗賊「おぉそうだった」カチャリ

ローグ「じゃぁ樽を運びやすぜ?はいはい皆さんどいて下せぇ」ヨッコラ ヨッコラ


ヒソヒソ ヒソヒソ

おぉぉ樽から装備品がはみ出して…

どんなお宝なのか

『大部屋』


ヨッコラ ドスン


盗賊「もう出て良いぞ?」

剣士「…」ヒョコ

女オーク「…」ヒョコ

ローグ「子供の頃の2人に変身っすか…これで自由に歩けやすね?」

盗賊「そりゃ良いが変身した奴は女戦士の恰好をしているんだが…裸はやっぱマズいよな?」

剣士「マズいよ!ビッグママに知られたら怒るよ?」

盗賊「適当な着替えを持って行って来る」ダダ

ローグ「いやいやいや…それはあっしが行って来るっす…盗賊さんは待っていて下せぇ」ダダ

剣士「はぁぁぁぁ何か色々楽しかったなぁ」

盗賊「まぁこれで海賊王の娘を付け狙う奴も減るだろう」

剣士「あ!そうそう…見物している人の中にじっと観察している人が居たみたい」

盗賊「そうか…どのくらいか分かるか?」

剣士「2人かな?」

盗賊「ふ~む…頃合いを見てあの2人を豪族に引き渡すってのも手だな」

剣士「地下に居た豪族の男かい?」

盗賊「うむ…あのアホは喜んでセントラルまで移送すんだろ」

剣士「ハハそんな感じだね」

盗賊「まぁ今日はもう遅せぇから明日ローグと商人に相談だな」

剣士「うん…僕は屋上に行って望遠鏡で星でも見て来るよ」

盗賊「裸は寒いから何か着て行け…女オークも乳は隠せ」

剣士「アハ…女オーク行こうか!!」スタタ


--------------

『屋上』


ヒュゥゥゥ


剣士「南の大陸は冬だったね…やっぱ寒いなぁ」

女オーク「望遠鏡…見える?」

剣士「海にモヤが少し掛かってて月が綺麗には見えないけど一応見えるよ…見たい?」

女オーク「ここで望遠鏡を覗いた時の事覚えてる?」

剣士「え?そんな事あったっけ?」

女オーク「あの時は朝方…ここから剣士達は船を見て居たわ」

剣士「ああ思い出した…ビッグママの望遠鏡が倍率高すぎて使い物にならなかったんだ」

女オーク「私も望遠鏡を見たかったのよ」

剣士「そうだったのか…ゴメンよ気付かなくて」

女オーク「見せて貰える?」

剣士「良いよ…月が見えるよ」スッ

女オーク「ウフフこんな風に見えるのね…遠くの物がこんなに近くに…」

剣士「昔と同じ格好して…今…なんか不思議だね」

女オーク「今下に戻ったら過去に戻っていたりしてね」ニコ

剣士「…」


---そうだね…この町の匂いも雑多の音もあの時のままだ---

---寒いのも昔と変わらない---


女オーク「ねぇ剣士?月の高さが低い気がしない?」

剣士「え!?あぁ…そういえば低い…モヤに隠れ…え!!?」


---寒い---

---月が低い---


剣士「まさか…」ドタドタ

女オーク「どうしたの急に?」

剣士「南極星はどこだ?あぁくそうモヤが張ってて小さな星は見えにくい」ドタドタ


---早朝はモヤが少し引く---

---日の出の場所と星座で地軸のズレが確認出来る筈---


剣士「魔石と壺を持ってくる…そうだ毛布もだ」

女オーク「ここで夜明けまで過ごすつもり?」

剣士「大変な事に気付いた…確認しなきゃ」

『数日後_大部屋』


商人「…やっぱり確定かい?」

剣士「星座と暦の書物とも比較したさ…日の出日の入り共に一緒に見える星座が違う…間違い無いよ」

商人「どのくらいズレて居るんだい?」

剣士「今の所15°くらいだと思う…ただ毎日少しづつズレてるだろうから観測に意味が無い」

商人「君の予言だと海士島付近が南極になるんだったね?その影響がどう出るのか僕には想像できない」

剣士「商人さんは地図を書くのが得意だったよね?」

商人「まぁ普通の人よりはね」

剣士「今のうちに新しい地図を起こしておいた方が良い」

商人「君の証言通りだとすると南の大陸は上下逆さまになる…後は緯度と経度かい?」

剣士「海流も風向きも全部変わる…そう言うのを書き残さないといけない」


ガチャリ バタン


ローグ「帰りやした…ぅぅぅ寒ぶ」ゴシゴシ

商人「例の2人は上手く引き取って貰えたかい?」

ローグ「へい…セントラル監獄までの移送を喜んで引き受けてくれやした」

商人「それは良かった…これで豪族に付け狙われないで済む」

ローグ「それより何なんすか?2人で深刻そうな顔をして」

剣士「ローグさん…地軸の移動が始まって居るんだ…アダムを破壊するだけじゃダメだったみたい」

ローグ「ええええええ!!?そらマジっすか」

商人「そういう事らしい…だからこれからどうしようかと」

剣士「一つ…僕達にはハテノ村という逃げ道がある…僕の予測だと温暖な気候の良い土地に変化する」

商人「ハテノ村を開拓して避難民の受け皿にするのは良い案だ…それは継続して進めるとして…目下やる事」

剣士「早く名も無き島にエリクサーを運んでホム姉ちゃんを復活させないと…」

商人「エリクサーは今日到着する筈だよ」

剣士「こうしよう…僕の飛空艇には既に樽4つ積んでるからもう一つ樽を乗せるとなると女オークは連れて行けない」

商人「僕と剣士君だけで名も無き島に行こう」

剣士「女オークは盗賊さんと一緒にハテノ村に行ってもらう…多分そこが安全な筈」

ローグ「あっしはどうしやしょうね?」

商人「ここには商人ギルドもある…豪族の立場を利用してキ・カイにしばらく滞在して欲しい」

ローグ「あっしは又一人っすかトホホ」

商人「盗賊の飛行船で何度も往復する事になるんだ…直ぐに合流出来るさ」

剣士「僕はまだやらなきゃいけない事がある…幽霊船に行ってビッグママに会わなきゃ」

商人「居場所は分かるのかい?」

剣士「海士島付近で隠れて居る筈…早く避難させないと遭難する事になる」

商人「忙しくなるな…早く行動しようか」



---------------

ガチャリ バタン


影武者「商人…エリクサーの樽…無事に入荷したよ」

商人「何処に置いてある?」

影武者「盗賊さんが此処まで運んでくれている」

商人「そうかありがとう…次の仕事はチカテツ街道に居るギャングの件…」

影武者「あぁぁ孤児たちを連れて来れば良いんだね?」

商人「盗賊とローグをボディーガードに連れて行って構わない…一応豪族には気を付けて」

影武者「ローグさんは良いけど盗賊さんは人相が悪い…取引に影響が出てしまうよ」

商人「そういうのも上手く使ってよ…彼は信頼できる」

影武者「…わかったよ」

商人「さて!僕は剣士君と一緒に名も無き島へ行く…あとは影武者!君は盗賊と一緒にハテノ村へ行くんだ」

影武者「序列を先に決めておいて貰いたい」

商人「盗賊にお金を払って居るのは僕さ…君は僕の影武者…つまり君の方が立場が上だよ」

影武者「じゃぁ僕の指示に従って貰う…それで良いね?」

商人「そうだよ…まぁ仲良くやってよ」

ローグ「影武者さんはどーも盗賊さんを毛嫌いしてるっすね?」

影武者「嫌いでは無いよ…只…僕のフードの隙間を覗いて来るんだ」

商人「ハハまぁ良いじゃ無いか…影武者にも守りたい自尊心があるのさ」

ローグ「ハハ~ン…盗賊さんはズケズケと本質付いて来やすからね?そういう所っすね?」

影武者「ローグさん…もう行くよ」

ローグ「はいなーって盗賊さん置いて行くんすか?」

影武者「もう馬車が到着するんだ…行動は迅速に」スタスタ

ローグ「ヘイヘイ…」スタ

『馬車』


ブルル ヒヒ~ン


盗賊「ぬぁ?まだ樽降ろして無ぇんだが…」

影武者「これからチカテツ街道に行くんだ…盗賊さんは僕を守るんだよ」

盗賊「おいおい…俺ぁそんな話聞いて無ぇぞ?」

影武者「盗賊さんの雇い主は僕さ…給金はもう貰っているよね?」

盗賊「貰ったっちゃ貰ったが俺も忙しい訳よ…移民を探さにゃイカン」

影武者「その移民を今から調達に行くのさ」

盗賊「お!?例のガキんちょだな?やっとやっる気になったか…」

ローグ「盗賊さ~ん…あっしも一緒でやんす」タッタッタ

盗賊「おぉそうか!!影武者の姉ちゃんが無理やり連れて行こうとするもんだからよ」

影武者「僕は影武者だよ…姉ちゃんというのは止めて貰って良いかい?」ギロ

盗賊「エリクサーはここに置きっぱなしで良いのか?」

影武者「剣士さんが樽を運ぶ予定になって居るんだ…さぁチカテツ街道に行くよ」グイ

盗賊「そうか?まぁそう慌てなさんな…あんま気ぃ張ると肌に悪いぜ?」ヨタヨタ

影武者「…」ギロ

盗賊「おぉ悪りぃ怒らせちまったか?まぁ先ずな?俺より前を歩くな…後ろはローグに任せておけ」

影武者「チカテツ街道までは僕が先導する」

盗賊「待て待て…まだ地下は豪族がうろついてんだ俺に任せろ」

影武者「…」ギロ

盗賊「まぁしっかり守ってやっからガキ共をなんとか説得してくれ」

影武者「フン!よそ見して居ないで前を向いてよ」スタスタ

盗賊「俺は背中に目が付いてんだ転びゃしねぇよ!」ドテ

ローグ「あららら盗賊さん…」

盗賊「つぅぅぅ誰だこんな所にゴミ置きっぱなしの奴は…」

影武者「…」スタスタ

盗賊「待て待てこんな事もたまにゃある…な?そうツンケンすんなや可愛い顔が台無しだぞ?」

影武者「…」ギロ

ローグ「ハハ…なんか分かった気がしやす…」

『飛空艇』


ヨッコラ ドスン


ウルフ「ガウガウ!」

剣士「女オーク…樽を運んでもらってありがとう」

商人「剣士!早く行こう」

剣士「ウルフは女オークを守って!…女オークはその姿であまり出歩かない様にね?」

女オーク「分かったわ…」

剣士「じゃぁ名も無き島に行った後はハテノ村に迎えに行くから待ってて」


フワリ


女オーク「気を付けて…」

剣士「大丈夫さ…すぐに戻るよ…じゃぁ」ノシ


シュゴーーーー バサバサ


---------------

---------------

---------------


剣士「さて!!羅針盤がいつまでアテになるか…」

商人「僕には何も変わって居ない様に見える」

剣士「いや変わってるよ…偏西風が弱い」

商人「大分赤道から遠ざかってる?」

剣士「多分ね…正直どのくらいズレがあるのか分からない…陸地を見失わない様に飛ばないと…」

商人「地図と陸地の比較は僕がやる」

剣士「うん…ルートは陸沿いに少し迂回しながら…多分2日掛からない」

『翌日』


シュゴーーーーー バサバサ


…今までの話を聞いて色々スッキリしてきたよ

この世界が夢幻で僕達皆夢幻の住人だったとしたなら

これまでの出来事がなるほどスッキリ収まる気がする

精霊の記憶の中に生き続ける人間達

精霊の記憶を蝕んで破壊しようとする魔王

それを阻止する為に記憶の書き換え権限を与えられた勇者

それらすべてが精霊の倫理観を構成しているんだ

僕はね…ホムンクルスに言った事が有る

君の中に僕が居る…それは君の心の一つまみだって

多分その通りなんだよ

僕ら一人一人の心は精霊の心その物なんだ

それが悪に染まらない様に僕らは戦って居るんだ


信心深い人たちは昔から精霊にお祈りしていたね


そう…感じて居たんだろうね…祈りは精霊の心に通じているって

今なら僕もそう思うよ…精霊樹にお祈りがしたい


ここに居るじゃない…機械の犬ってホム姉ちゃんでしょ?


あぁそうだったね…実はこの超高度AIユニットは世界中に沢山散らばって居るんだよ

その中に記された記憶全部にこの世界と同じだけの記憶が詰まってる

それを一所に纏めたのが精霊樹の森やエルフの森さ…オーブという形でね

君が見た冒険の書は僕達人間がその世界を覗けるアイテムだよきっと…


剣士「この世界が精霊の記憶だったとして…商人さんは現実は何処にあると思う?」

商人「う~ん…もしかすると人類はとうの昔に滅んでいて精霊の記憶の中にだけ生きているのかもね」

剣士「現実の精霊の記憶は何処に?」

商人「神のみぞ知る…って所じゃないかな?」

剣士「パパとママは多分過去に遡って行った…そのずっと過去に現実が合ったとしたら?」

商人「僕達じゃ確認出来ない…ん?そうか君のママからメッセージが来てるかもしれないね」

剣士「それが言いたかった」

商人「気になるね…そのメッセージ」

剣士「でも今…一つ可能性を思いついた」

商人「何だい?言ってごらん」


この夢幻の世界を飛び出した一人は未来を全部見て来た筈だ

この世界がホム姉ちゃんのシミュレーションだったなら

未来を全部知って居るその一人は超高度AIとしてシミュレーションの精度が高い


商人「超高度AIがどうして急に出て来る?」

剣士「僕達はシミュレーションの中の住人…その中から飛び出したパパは超高度AIとして初めてのアダムに搭載された」

商人「ハハハ…君は又面白い仮説を立てるね」

剣士「実はね…アダムを破壊する直前にパパの声が聞こえた気がしたんだ」

商人「え!!?勇者の…」

剣士「もしシミュレーションの中だったとしたらそこから飛び出すのは記憶を持った倫理観…実体は無い」

商人「話は堂々巡りになるなぁ…その超高度AIを搭載したアダムがこの間まで居た…なぜ?」

剣士「現実世界がそのシミュレーションの通りに進んで来て居たとしたら?」

商人「ふむ…なるほど辻褄は合うな…シミュレーション精度が高かった訳か」

剣士「ふぅこういう事を話すのは楽しいけど証拠が何も無いのがね…」

商人「ホムンクルスが生前言ってたのは世界で始めの超高度AIはアダムでその複製としてホムンクルスが生まれたらしい」

剣士「ええと…環境保全用の超高度AIだっけな」

商人「そうそう…アダムには欠陥があったらしいんだ…だから後継としてアダムを改良して…」

剣士「欠陥?どんな?」

商人「工学三原則って知ってるかい?」

剣士「書物で読んだ事がある」

商人「アダムはそれを守らないから後に工学三原則を守る様に制限されたのがホムンクルスさ」

剣士「商人さん…パパはドワーフの血が流れて居ない…パパでは魔王に勝てないんだよ」

商人「未来君…」

剣士「僕が破壊したアダムも魔王の影響を受けていたと思われるよね?…欠陥品と言い変えられる」

商人「なるほど…倫理観がプログラムだったとして魔王の抗体を持たない倫理観だった訳か…それがアダム…辻褄は合う」

剣士「でも全部可能性の話…いくら話しても空しいなぁ」

商人「君とこういう話が共有できてうれしいよ…僕は変人扱いだから」

剣士「ママはどうしてるかなぁ…ここぞの逃げ足は速いから上手く逃げたのかな」

商人「だからメッセージが残って居るのかも知れないよ?」

剣士「うん…」



-----------------

商人「よし!海士島付近を南極にした場合の地図が出来た」

剣士「ほとんど書かれて居ないじゃない」

商人「未踏の地の地図は持って居ない…分かる範囲で書いたらこうなる」

剣士「シン・リーンとフィン・イッシュがほぼ同じ緯度か」

商人「ハテノ村もそうなる…地球の反対側になるけど」

剣士「こう見ると遠いね…」

商人「シン・リーンから未踏の地を飛べばハテノ村と近い…海を越える必要があるけど」

剣士「分かったぞそういう事か…オークシャーマンは未踏の地側から暁の墓所に来てたのか…」

商人「オークはもう外海を渡って居ると?」

剣士「オークはどんぐりがあれば食料が少量で済む」

商人「なるほど…僕達の知らない外海にもう進出してるんだ」

剣士「内海は寒冷化でほぼ航海不能になるとしたら幽霊船は早く外海からフィン・イッシュ目指した方が良い」

商人「名もなき島は…この位置なら氷に覆われる事は無さそう…ただ人が住むには厳しい環境になる」

剣士「島が見えて来たよ…良かった迷わないで来れた…着陸するから準備して」

『名もなき島_古代遺跡』


ウィィィン プシューーー ポコポコ


商人「錬金術で組み合わさる訳じゃ無いのか…」

剣士「ホム姉ちゃんの部品が組み合わさった…良いの?これで?皮膚が無い」

商人「皮膚の部品は無かった…もしかすると足りて居ないのかも…」

剣士「このままじゃ可哀そうだよ…」

商人「この手順を記録する」カキカキ メモメモ


通りで錬金術では完全なホムンクルスが造れない訳だ…

生体の完成は多分自己治癒だ


剣士「ゾンビみたい…」

商人「ちょっと思い違いが在ったみたいだ…錬金術ですぐに完成すると思っていたけど…」

剣士「時間が掛かるんだね?」

商人「多分…この状態から自己治癒で皮膚と毛髪が生成されるのはもう少し先だね」

剣士「どのくらい掛かるんだろう?」

商人「ラヴ!どれくらいかかるか分かるかい?」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「一晩間を置いて治癒の具合を見て見ないと推定出来ないな」

商人「でもどれだけ時間が掛かるにせよ…一先ず成功だ!」

『翌日』


ポコポコ ポコポコ


剣士「商人さん!」ユサユサ

商人「ハッ…」パチ

剣士「書き物しながら寝てたんだw」

商人「ホムンクルスは!?」スタ

剣士「昨日のままだよ…あ!違うコレ神経かな?何か成長してる」

商人「よし!遅いけど確実に成長してる…よしよしこれで僕が居なくなってもホムンクルスは生き延びる」

剣士「生き延びるってどういう事?」


チャプン


剣士「ん?瓶の中にエリクサー?…そして外部メモリ」

商人「あぁぁそれに触らないで」

剣士「商人さんコレもしかして…」

商人「僕に何か有ってもこれで確実にホムンクルスが蘇る…まぁ保険さ」

剣士「どうしてそんな…」

商人「僕はね…君の予言を聞いてもしかしたらもうここに戻って来れない可能性を考えてる」

剣士「ママのメッセージはどうなるの?」

商人「蘇った後になるね…どれくらい掛かるか分からないけどいつまでも見て居る訳にも行かない」

剣士「う~ん…残念だ」

商人「満を持して…剣士君!この部屋の扉を閉めて中の空気を抜けるかい?」

剣士「えーと…空気は窒素だから…アンモニアに変性させれば良いか…出来るよ」

商人「しばらく封印さ…これから転変地位で津波が来たっておかしく無い…この場所を守ろう」

剣士「どうすれば?」

商人「そうだな…この空き瓶の中に変性したアンモニアを入れられるかい?」

剣士「うん…」

商人「このテーブルの上に置いておく…ここにアンモニアが有るのは君しか知らない…つまり君はいつでもこの扉を開けるんだ」

剣士「あああなるほど…空気を抜いて酸化防止と施錠を兼ねて居るんだ」

商人「そういう事…そしてこの遺跡は他の人に見つからない為の工夫がいくつもある…相当安全な筈さ」

剣士「おけおけ!そういう事なら全部扉を閉めておく」

商人「次に来た時はホムンクルスと対面だよ…楽しみだね」

剣士「その間にやらなきゃいけない事をやって回るんだね?」

商人「そうだよ…さぁ扉を閉めて」ギー

剣士「じゃぁ空気を変性させる…変性魔法!」

商人「…」

剣士「おけ!空気が変性してアンモニアになった筈…瓶の中だ」

商人「よし…次は本棚で扉を隠して…」ズズズ

剣士「後は外の上開き扉を閉めて水で満たす…」

商人「行こうか…次はハテノ村だ」

剣士「うん…」タッタッタ

『飛空艇』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「…ここからハテノ村へは1日くらい…このままだと盗賊さん達より先に到着する事になる」

商人「それがどうしたんだい?」

剣士「海士島まで1日半…霧が立ち込めてしまう前に先に行ったほうが良いと思う」

商人「モタモタしていると幽霊船と合流出来なくなるのか」

剣士「ハテノ村は陸地の地形を確認しながら行けば良いけど海士島だとそうは行かない」

商人「分かった…君の言う通りにしよう」

剣士「進路変更!」グイ バサバサ

商人「ところで剣士君…君は千里眼は使わないのかい?」

剣士「あまり覗き見はしない事に決めてるんだよ」

商人「まぁ一応は使えるんだね」

剣士「見てもあまり良い情報なんか得られないのさ…大体は見たくない事なんだ」

商人「幽霊船の現状を知るくらいは良いのでは?」

剣士「どうせ狭間の中…見えても船の中」

商人「なるほど…時間のムダになる訳か」

剣士「商人さん…僕嫌な予感がする」

商人「何だい?」

剣士「僕はアダムを破壊して未来を変えたつもりだった…でも地軸の変動は起き始めてしまった」

商人「…」

剣士「もしかすると未来は変えられないのかもしれない…だとすると幽霊船は沈んでしまう」

商人「アダムの破壊は大きな歴史の流れのほんの小さな事なのかもね」

剣士「僕の記憶では沈む幽霊船の中で大事な人を失った…また失うのが怖い」

商人「今からそれを変えに行くんじゃないのかい?」

剣士「そうだよ…そうさ…そうするしかない」


---僕は失いたく無かった---

---今度は絶対に失わせない---

『海士島』


フワフワ ドッスン


剣士「灯台の光が見えて良かった…明日の朝まで迷う所だったよ」

商人「結果オーライ…さてもう夜だ…幽霊船の捜索は明日にして宿に入ろう」

剣士「やっぱり随分寒いね」

商人「ん?」


ヒソヒソ ヒソヒソ

公爵からの指示だ…これが前金の代わり…受け取れ

魔石…困ります急にそんな事言われても…常連さんとの付き合いもありますし

フィン・イッシュ行きの商船は明日の朝出港だ必ず乗れ

急すぎます…今そんな指示を貰っても準備も何も

その魔石で十分な筈だ…向こうの酒場にはもう話が行ってる…心配するな

ヒソヒソ ヒソヒソ


商人「…あの人は酒場のマスターだ…やっぱり密偵として雇われて居たのか」ヒソ

剣士「ん?本当だ…酒場には行った事あるよ」

商人「この感じだとフィン・イッシュにもセントラルから密偵が沢山送られて居る様だ」

剣士「冷戦か…今そんな事してる場合じゃ無いのに」

商人「セントラル国王が亡命してしまって居るからね…両国の摩擦は終わりそうに無い」

剣士「嫌な話だよ」

商人「こう言っちゃ悪いけど商売するには良い環境なんだ…」

剣士「宿屋に行こう」スタ

『宿屋』


ガヤガヤ ガヤガヤ


商人「…まいったな豪族が貸し切って居るらしい」

剣士「別にベッドじゃなくても良いさ…風が凌げれば僕は良い」

商人「納屋なら使って良いと言うけど…寒そうだな」

剣士「…」---同じ様な記憶がある---

商人「剣士…ここは他の人の邪魔になるから納屋で休もう」

剣士「うん…」---気付かない内に元の時流に戻ってる---

商人「こっちだ…ここは人が多くて落ち着けない」スタ



『納屋』


ガラガラ ピシャリ


商人「ここなら人目に付かないで落ち着ける」

剣士「…」

商人「しかし寒いなぁ」

剣士「…」ゴソゴソ

商人「どうしたんだい?さっきから黙りこくって…」

剣士「これ使って…火の魔石だよ…瓶か壺に入れて使えば良い」

商人「おぉ!!良い物持ってるじゃない…使わせてもらうよ」

剣士「…」---思い出せ思い出せ---


---10年目のもっとその前…---

---そうだ確か海士島で情報屋さんにバッタリ出会った---

---納屋で休んだ次の日---

---その時とは少し状況が違う---

---でも明日バッタリ情報屋さんと出会ってしまったなら---

---時流が戻されてるのがハッキリ分かる---


剣士「…」ギンギン

『翌日』


ヒュゥゥゥ


商人「露店が始まり出した…少し食料を買って行こう」

剣士「あぁ…そうか飛空艇に食料はどんぐりとキノコしか積んで無かったね」

商人「そうだよ僕は君と行動してから何も食べてない…ペコペコさ」

剣士「そうだね…水も乗せて居なかった」

商人「雪で空腹を満たすのはもう懲り懲りだ…さてサッサと仕入れて出発しよう」

剣士「…」---どうなるか---



『露店』


ワイワイ ガヤガヤ

なんという事じゃ…この呪符をすべて見せよ

こりゃ良い客が来た…ほいほいコレが魔除け…コレが虫除け…コレが水除け…

主は何者じゃ?なぜこのような物が出回っておる?

ニヒヒヒヒ入手したルートは秘密ってもんでさ…さぁさぁ一枚銀貨50買って行くかい?

銀貨50!!?この紙切れが一枚銀貨50って高すぎるわ

構わぬ…わらわの私財ですべて買い占めても良い…じゃが今は手持ちがない故に…

ええと…ワインの買い入れでこれだけ残して…変えるのは16枚よ


剣士「魔女!!」---記憶と違う---

魔女「むむ?やはりこの島で待って居って正解じゃ…主を探して居ったのじゃ」

商人「情報屋も一緒か…探す手間が省けた」

魔女「これ商人!ここで売って居る呪符を全種類買うのじゃ…交渉は主に任せる」

商人「え…いや急にそんな事言われてもさ」

魔女「そして剣士!この様な場所で言うのも何じゃが…主は破門じゃ!二度とシン・リーンの魔術師を名乗るで無い」

剣士「え?なんで?」

魔女「わらわの親心じゃと思え…破門せねばわらわの手で主を処罰せねばならぬ…わらわにそれをやらせるな」

剣士「次元の入れ替え…」

魔女「主は理を超え次元の入れ替えを行って居るのは明白じゃ…魔術師の掟は知っておろう?」

剣士「それじゃ魔女…魔女は全部知って居たね?」

魔女「主の記憶を夢に封じたのはわらわじゃ…次元を崩壊させる可能性があったからのぅ」

剣士「じゃぁ魔女はずっと僕を監視してた訳だ…」

魔女「悪い言い方をすればそうじゃ…じゃがな?主の事は尊重しておる…じゃから破門じゃ!…自由にせい」

剣士「魔女!!僕は只…」

魔女「言わぬでも良い…主は自由じゃ…わらわの手の内からもう離れて良い」

剣士「くぅ…」ギュ

魔女「最後に一つ説いてやろう…量子転移は人の為あらず…うぬが為じゃ」


---理解した---

---誰かを助ける為に使ってはいけない---

---僕は女オークを助ける為に量子転移した---

---でも女オークは自分の死をすでに受け入れてた---

---死を受け入れた次元と---

---受け入れない次元が生じて歪んだ---

---それが次元の狭間---

---量子転移で人は救えない---

---死んだ人は蘇らない---

『飛空艇』


ヨッコラ ドッスン


商人「これで最後だ…行けるよ」

剣士「うん…」

商人「破門されて凹んで居るのかい?」

剣士「それもあるけど…まぁ色々とね」

商人「魔女達の気球が空で待機してる…急いだ方が良いかな」

剣士「分かった…飛ぶよ」グイ


フワリ


商人「まぁあまり気に病む事も無い…魔女はあんな感じだけど君の為を思って言ってると思うよ」

剣士「分かってるさ…只僕は未来を知って居るから怖いんだよ」

商人「魔女の言い分も少し理解出来るよ…無理に変えると次元崩壊ってやつが起きるんだよね?」

剣士「うん…どこまで許されるのか分からないけど」

商人「それにしてもあの呪符…結局銀貨20までしか値下げ出来なかった…そんなに貴重な物なのかい?」

剣士「あれは古代魔術の魔方陣だよ…まだ解明されて居ないんだ」

商人「それで魔女が目の色変えてるんだ」

剣士「地軸の移動も多分古代魔術のせいだよ」

商人「ハハ…回って居る地球の向きまで変えられるって?」

剣士「まだ解明していないからなんとも言えない」

商人「地軸の移動ねぇ…大災害が起きそうな物だけど意外と静かなもんだ」

剣士「これからだよ…だから備えないと」


--------------

『幽霊船』


フワリ ドッスン


剣士「ビッグママ!!」ダダ

女戦士「よく来たな?目を見せろ」

剣士「あぁぁ会いたかったんだ!」ギュゥ

女戦士「フフ大きくなった」

剣士「ローグさんに聞いたよ…ビッグママも魔女の修行をしていたんだね…どうして…」

女戦士「その呼び名はもう止めろ…女戦士で構わん…私を良く見ろ」ジロジロ

剣士「あぁぁママの眼だね?舐めても良いよ…爺いじも舐めた」

女戦士「私にそんな趣味は無い…そうだこの眼だ」ジーー

剣士「懐かしい匂いだ…ママと同じ匂い」クンクン

女戦士「フフ今日は一緒に寝るか?」


スタスタ


アサシン「久しぶりの再会で嬉しそうだな?」

剣士「アサシンさん…」

アサシン「狭間に入る前に進路を決めておきたいのだが…」

剣士「ハッ!!そうだった…フィン・イッシュだよ」

アサシン「フム…魔女と同じ意見だな…只船長は女戦士だ…フィン・イッシュで良いのか?」

女戦士「構わん…進路は北に向かって陸沿いにフィン・イッシュ」

剣士「あ!!ダメだよそれじゃ…それじゃフィン・イッシュに辿り着けない」

女戦士「他の航路を行けと?」

剣士「流氷を探して!流氷の進んでる先は外海なんだ…外海側からフィン・イッシュに行くんだ」

女戦士「外海の海図は無いぞ?」

剣士「良いから僕を信じて」

女戦士「フムまぁ良い…とりあえず北へ進路を向けて流氷を見つけ次第それに従おう」

アサシン「そろそろ2人抱き合うのは止めて貰えないか?目に痛い」

剣士「あ!つい…」ササ

アサシン「スケルトン共!働け!帆を開いて進路は北だ!」


カララン コロロン


剣士「ハハこの船はスケルトンが操作してるのか…」

アサシン「良く働くスケルトンだ…食料も水も要らん」

女戦士「剣士…とりあえず居室に入れ…話が聞きたい」

剣士「そうだね…情報交換だね」

『居室』


カクカク シカジカ


女戦士「海の様子がおかしいとは思って居たが…それ程大事になろうとしているのか」

剣士「何日かけて地軸の移動が終わるのか良く分からないけどこの海は航海出来る海じゃ無くなるんだ」

アサシン「霧が出て来ているのはそのせいか」

剣士「霧はもっと濃くなるよ…1メートル先も見えない」

商人「これが新しく描いた地図…そしてこっちが今までの地図」

女戦士「フム…流氷は何処へ流れる?」

剣士「多分ここの海峡に向かうと思う…ここから外海に出て陸沿いにフィン・イッシュに行く」

女戦士「待て…その海峡は海流がきつくて普通は近づかん」

剣士「流氷と一緒にどうせ外海に流されるよ…外海に出てしまえば陸を右手に進むだけさ」

情報屋「羅針盤はもうアテにならない?」

剣士「うん…どっちの方向に進んでも羅針盤は北を差すようになる…それを当てにしてはいけない」

情報屋「方向を正しく示しているのは流氷な訳ね」

女戦士「外海からフィン・イッシュを目指すとなると長い航海になるな…安定して進めないと狭間にも入れない」

商人「この船が貨物船で良かった…食料は十分にある」

剣士「当面のやらなきゃいけない事は地軸の移動で環境が激変するからそれに備える」

女戦士「フフ…私達は何の為に行動しているのか」

剣士「今は難局を乗り越える為さ…これから何か起ころうとしてる」

アサシン「魔王は居なくなりアダムも破壊した…次は何が来る?」

剣士「僕は一つミスをしたよ…魔王を封じたとされる魔石は何処に行ったのか分からない」

商人「只の魔石になってると言うのは考えが甘いかな?」

剣士「行方が分からないから気持ちが悪いよ」

アサシン「…となるとフィン・イッシュで一旦落ち着くのは正解だろう…状況を見る必要がある」

剣士「うん…この船は無事にフィン・イッシュに辿り付いて欲しい」

女戦士「んん?引っかかる…剣士は一緒に行くのでは無いのか?」

剣士「僕は…僕はまだやる事がある」

女戦士「お前は一所に身を置くつもりは無いか…フフ」

剣士「ゴメン…今日はビッグママと一緒に寝て明日僕は行くよ」

女戦士「その呼び名は止めろと何度言わせるのだ?」

剣士「あぁ女戦士だっけ…照れくさいなぁ」モジモジ

『船首』


ザブン ユラ~


情報屋「…確かに羅針盤が示す方角と太陽が沈む方角の辻褄が合わない」

商人「ゆっくり変化しているから誰も気付かないんだよ」

情報屋「これだともう現在地も分からないわね」

商人「それより魔女はずっと荷室に籠りっぱなし?」

情報屋「そうよ?何かの術を掛けるから近付くなって…」

商人「そうか…剣士は明日行ってしまうと言うのに」

情報屋「商人?あなたはどうするの?」

商人「僕はこの船に残る…まだ君と話足りない」

情報屋「あら?歴史の事でも?」

商人「まぁね…でも剣士をこのまま行かせて良いのかどうか…」

情報屋「魔女との事ね?」

商人「関係にヒビが入ったまま距離を置くのはどうかと…」

情報屋「魔女はこの間までずっと剣士の自慢ばかりだったのよ?」

商人「だったらなお更だ」

情報屋「魔女は剣士の事を認めて居るわ…すでに自分を超えているって言ってたもの…剣士を縛る呪縛を解いただけよ」

商人「う~ん不器用というか何というか…」

情報屋「今までの子弟関係が消えて無くなる訳でも無いのだから気にしなくて良いと思うわ」

商人「剣士は少し落ち込んで居たよ…それっきり話をしていないよね」

情報屋「商人?あなた心配性になったのね?年を取ったせいかしら?」

商人「ハハそうかもしれない…年かぁ…久しぶりにバーベキュー食べたいな」

情報屋「今日買って来た材料があるわ?やりましょうか」

『甲板』


ジュゥゥ モクモク


商人「肉が食べれると思ったら海鮮ばっかりか…」モグモグ

情報屋「肉は中々手に入らないの…貴重だから少しだけ」

商人「剣士も食べなよ」

剣士「僕は少しで良いよ…」

商人「なんだ…食べてるの僕だけか」モグモグ

女戦士「私も少し頂く」ハムハム

アサシン「この船はなかなか食料が減らん」グビ プハァ

剣士「あ…そうだアサシンさん」

アサシン「んん?」

剣士「線虫!」ニョロリ

アサシン「なんだこの虫は?」

剣士「毒を食らう虫さ…その虫が体に居ると腐敗が止まるみたい」

アサシン「ほう?エリクサーが不要になると?」

剣士「エルフゾンビさんで実証済みだよ…喉の渇きは変わらないみたいだけど」

アサシン「奴に会ったのか…元気にしているか?」

剣士「精霊樹の森をエルフ達と一緒に守って居るよ…大変そうだった」

アサシン「クックック奴がエルフの仲間入りとはな」

剣士「今頃僕が呼んだ虫達がドリアードを食い漁ってる筈…エルフゾンビさんも少しはラクになる」

商人「10年前の夜に見たダイダラボッチ?みたいな事になってるのかい?」

剣士「その筈だよ」

アサシン「そうか…あの虫の大群がもう一度動いて居るのか」

情報屋「そういえば巨大なゴーレムも虫にやられていたわ」

剣士「酸を吐く虫のお陰さ…何でも腐食させるんだよ」

アサシン「これでやっと平和が来る…私は死に場所を探す必要がありそうだ」

商人「それはまだ早い…昨日聞いた話だとセントラルの貴族の一人…公爵という人物がフィン・イッシュに密偵を送って居るんだ」

アサシン「ほう?知った顔だ」

商人「どうもキナ臭い…物流の相場も不自然に操作されている」

アサシン「私は俗世を離れていたせいかそういう話に興味が湧かなくなってしまった」

商人「まぁこれから情報は集めれば良いさ」

アサシン「もうそういう話は聞き飽きた…静かにしておいてくれ」グビ


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『夢』


僕「ママ?今日はここで休むの?」

ママ「暗くなって目標物が見えなくなった…探索は明日やる」

僕「ふぁ~あ」ムニャ

ママ「おいで…あんた寒いんでしょ?」

僕「僕は大丈夫だよ」

ママ「良いからおいで…」グイ

僕「ママ暑苦しいんだよ」モゾモゾ

ママ「こうしてるとママが温かいの」ギュゥ

僕「僕達ずーっとかくれんぼだね」

ママ「ごめんね…今度街に連れて行ってあげるから」

僕「本当?友達いっぱい居るかなぁ…」

ママ「早く寝なさい?」

僕「うん…ママの匂い」

ママ「ん?匂う?」クンクン

僕「いい匂い…」スゥ

ママ「フフ…」ギュゥ

僕「すぅ…すぅ…」zzz

『居室』


ギシギシ ユラ~


剣士「ハッ!!」キョロ

剣士「ビッグママ?」キョロ

剣士「居ない…」



流氷に当たったか…

船体に傷が付いて居ないか調べて来る

まぁ見た所大きな氷山では無い…無事だろう

流氷は左方に流れて行ってる様だが?進路変えるか?」

うむ…流氷に沿って進めば又当たるリスクも減る

しかし狭間に入れんでは先が長いな

仕方あるまい…


剣士「…」---流氷を見つけたか---

剣士「…」---もう一回同じ夢見れるかな---

剣士「…」---寝よ---

剣士「すぅ」zzz

『翌朝』


ザブン ユラ~


商人「ふぁ~あ」ゴシゴシ

剣士「商人さん…この地図は貰って行くよ」

商人「あれ?剣士君…もう行くのかい?」

剣士「早く行かないと僕も迷っちゃう…それにこの船は居心地良すぎる」


タッタッタ


女戦士「居ないと思ったら…もう行くのか?」

剣士「ビッグママ…じゃなくて女戦士…僕は変えたい未来があるんだ…だから行く」

女戦士「そうか…これを持って行け」ポイ

剣士「貝殻…」

女戦士「これでいつでも会話出来る…もう無くすな?」

剣士「大事にするよ」

女戦士「フフ行って来い…そして必ず戻って来い」

剣士「大丈夫…事が済んだらフィン・イッシュに行く…約束さ」

女戦士「…」ノシ


フワリ バサバサ


商人「あぁぁ…あっという間に居なくなる」

女戦士「フフ妹の子だ…こうなるのは分かって居た」

商人「そういえばそうだなぁ…そっくりだなぁ」

女戦士「さて商人…大事な地図を持って行かれた…もう一度描け」

商人「う…そうだった」

女戦士「地図無しで航海は出来ん…特に外海側の地形を優先して書け」

商人「分かった書き直す…」


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『飛空艇』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「…まいったな完全に現在地見失ってる…そろそろ陸地が見えても良い筈なのに」

剣士「夜の内に進行方向変わっちゃってるのかなぁ…」ブツブツ

剣士「太陽はアテにしても良いのか?…大分高度高くなってきてるけど」

剣士「なんで反対から登るんだ?意味がわかんない…まてまて僕が反対なんだ…あああ!!見えた陸地だ」

剣士「よしよしよし…これで現在地分かる」


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剣士「木が見える…ここは北の大陸だ…えーとえーと断崖がある所」

剣士「港町だ…120°も進行方向ズレてた…まぁ良いや兎に角現在地が分かった…」


えーと偏西風が吹いてる

これに乗って岩塩地帯を抜けた先は未踏の地…

その先の海を越えるとオークの領地の筈

そうさ偏西風に乗って行けばこのままオークの領地まで飛べる

遠いけど2日飛べば向こうの大陸だ

その後は目視で行けば良いか…火山の噴煙が目印だな


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『ハテノ村』


ザザザーー ビシャビシャ


盗賊「こりゃ雨が止む気配が全く無ぇな…」

僧侶「太陽が出ないと麦を育てても品質が悪いでしゅ」

盗賊「今日は木を植え無ぇのか?」

僧侶「もう植えて来たですよ…魔力が無くてフラフラなのです」フラ

盗賊「魔法使いはどうした?」

僧侶「同じく教会で横になって居ましゅ」

盗賊「まぁお天道様が出無ぇと皆元気出ないわな」

僧侶「ところで余ってるどんぐりは村の外に出しっぱなしで良いのですか?」

盗賊「オークがうろついてんだろ?村を襲われない為の供物だ…どうせ死ぬほど余ってる」


スタスタ


影武者「盗賊さん…僕は託児所を任された覚えは無いんだけどどういう事かな?」

盗賊「おぉ影武者の姉ちゃんか…どうだ?キ・カイとは違った環境は?」

影武者「僕は取引所を任されたつもりだったんだけど…」

盗賊「ちっと我慢だな…この雨で建築が滞ってる訳よ」

影武者「参ったな…完全に左遷されたようだ」

盗賊「まぁそう言うな…顔出すのは慣れたか?」

影武者「フードを被っても子供達に脱がされるんだ…困って居る」

盗賊「この村じゃ顔を隠す必要なんか無ぇぜ?豪族も居ないしな?ぬはは」

影武者「ふぅ…どうしたもんか」

盗賊「一応説明しておくがよ…」


ハテノ村はドワーフ領で王様が海賊王の爺

ほんで村長は赤毛の魔法使い

主な産物は硫黄と石炭…ほんで鉄鉱石か

お前はこの村の物流コントロールが主な仕事

俺はそれを運ぶ役

影武者「取引相手は海賊王という事か…」

盗賊「まぁそういう所だ…欲しい物を聞き出して来いよ」

僧侶「盗賊さん忘れてるです…私は酒場の女将でし!」

盗賊「おぉ!そうだったな」


ほんでな?ハンターっていう狩人が村を獣から守ってる

足りないのは村を自衛する民兵が居無ぇ


影武者「民兵を募集すれば良いんだね?心当たりがあるよ」

盗賊「この村にか?ヌハハそんな奴居無ぇぞ?」

影武者「連れて来たギャング達さ…武器さえ調達出来れば取引できる」

盗賊「ほう?面白い…武器は海賊王の爺が作れる」

影武者「よし!必要な数量を纏めよう…依頼の対価は…」

盗賊「対価なんて要ら無ぇ…爺に相談したら何でもやってくれる」

影武者「そうか…それなら利用しよう…つまり」ブツブツ

盗賊「変な姉ちゃんだな…商人にそっくりというか…」


武器が入手できるという事は次に必要なのは防具…

防具に欠かせないのが皮と布

皮は獣からまかなえるとして布を生産するには亜麻が必要だ

代替として羊毛だけど生産量が限られる

確かに物資が不足しているな


影武者「よしこうしよう…僧侶さん」

僧侶「はいな?」

影武者「明日から麦では無く亜麻を育てて貰えないかい?亜麻からは油が採取できるのと布を作る事が出来るんだ」

僧侶「種が無いでし」

影武者「少しなら持って居る…増やして貰いたい」

僧侶「分かったです」


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『ハテノ村_古代遺跡外』


エッサホイサ エッサホイサ


海賊王「よっしゃ屋根はこれくらいでえーやろ」

女オーク「これで濡れないで済むわ」

海賊王「おまんはよー働くのぅ」

女オーク「フフこの場所は何に使う予定なの?」

海賊王「鍛冶場や…ここで鉄を溶かしてツルハシ作らにゃイカン…おまんもやって見るか?」

女オーク「自信が無いから見ておくわ」

海賊王「まぁええわ…ちっと見とれ」チッチッ シュボ


これがドワーフが使うフォージっちゅうもんや

石炭燃やしてここで鉄を溶かす

解けた鉄を小分けしてやな…この型に入れるんや

固まって来たら硬くなる前に打って慣らす


カーン カンカン カーン カンカン


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『1時間後』


海賊王「出来立てホヤホヤのツルハシとスコップや…これを鉱山まで運んでもらえんか?」

女オーク「はい…」ガッサー

海賊王「ちょちょ…一気に持って行かんでもえーんやで?そんなん重いやろ」

女オーク「持てる分だけ持って行くから…」ノソノソ

海賊王「がははは豪快な娘や…さすが剣士を奴隷にするだけある訳や」

女オーク「ウフフ…」ノソノソ


スタスタ


影武者「失礼します…」

海賊王「おぉ!おまんも剣士の仲間かいな?」

影武者「はぁ…仲間と言えば仲間だよ」

海賊王「まぁゆっくりして行き」

影武者「はい…実はお願いが有って来たんだ」

海賊王「なんや言うてみぃ」

影武者「武器を少し作って貰えないかと…」

海賊王「そんなかしこまらんでもえーぞ?どないな武器が欲しいんや?」

影武者「一般的な剣とか槍で良いよ」

海賊王「ううむ…誰が使うんや?おまんか?」

影武者「いえ…子供達で自警団を…」

海賊王「子供に武器持たせるちゅうんか…チャンバラで使いよったら死によるで?」

影武者「子供と言っても僕と同じくらいの体格で…」

海賊王「ふ~む小さい子供を守りたいちゅう訳か…ほなしゃーないなぁ」ノソリ

影武者「ふぅ良かった…」

海賊王「小さい子供に武器持たせたらアカンで?事故が起きるよって」

影武者「分かったよ…後僕は村で取引所をやる事になったんだ…何か調達して欲しい物があったら言って欲しい」

海賊王「そやなぁ…宴会用の酒が欲しいなぁ」

影武者「酒…」

海賊王「酒を持ってきたら高く買い取るで?頼むわ」

影武者「分かったよ…なんとかするさ」


麦は十分あった筈

酵母はキノコから採取できる

よし…確か僧侶さんは酒場の女将という建前

麦酒は生産に時間が掛からないから作って貰おう

『教会』


ワイワイ キャッキャ

粉にした麦芽を低温のお湯でゆっくり温める

色が変わって来たら火力を上げて沸騰する前に釜から出す

このまま自然に冷やして常温になったらキノコから採取した酵母を加えて混ぜる

この手順でどんどん作って


盗賊「お前等何やってんだ?」

僧侶「影武者さんにお酒の作り方教えて貰ってるです」

盗賊「おぉ?こりゃエール酒か?」

影武者「ホップが無いけど一応エール酒だよ」

盗賊「おおおおお!!ちっと味見して良いか?」

影武者「まだ発酵して居ないよ」

盗賊「良いんだ…ちっとだけだ」ペロ

影武者「どう?」

盗賊「なるほどホップが無いからちっと寂しいな」

影武者「何か良いアイデア知らないかな?」

盗賊「こりゃ後でフルーツ加えると化ける…そうだなこの辺にゃフルーツなんか無ぇな」

僧侶「芋ならあるでし!!火山灰の土で出来た芋は甘いのです」

盗賊「お?そういやナシみたいな味がするな…そうだ芋を擦って最後に加えて見ろ」

影武者「分かったよ…」

盗賊「こりゃ明日が楽しみだな」

僧侶「盗賊さん私の酒場を作ってくれませんか?」

盗賊「おっし!!やる気が出て来た…今から木材加工するぞ…おい魔法使い!いつまでも寝て無いで手伝え!!」

魔法使い「えええ!?私が?」

盗賊「お前何もやって無いだろ…ちっと体動かせ」グイ

魔法使い「ちょっと引っ張らないで!!」

盗賊「俺が木材切り出すからお前が組み立てろ」

魔法使い「外雨降ってるじゃない…濡れるの嫌よ」

盗賊「うるせぇ!来い」グイ

『廃屋』


トンテンカン ギコギコ


魔法使い「ねぇ寒いんだけど…木材のきれっぱし燃やすわよ?」

盗賊「おう!俺も体冷えまくりだ…」ギコギコ

魔法使い「暗くなって来たからもう明日にしたら?」

盗賊「その木材燃やしゃ明かりになる…おっしカウンター一丁上がり!!」

魔法使い「なんか殺風景な酒場ね」

盗賊「お前岩塩のランプ持ってたよな?テーブルに置いとけ」

魔法使い「え?本当にここで酒場やるつもり?」

盗賊「俺ぁ酒場の有る所に戻って来るんだ…言い換えれば俺の家だ」

魔法使い「なんか必死ね」

盗賊「うるせぇ!飾りつけはお前等に任せるから酒場だけはなんとかヤレ」

魔法使い「ちょっと僧侶も呼んで来る」

盗賊「お前逃げんなよ?あーそうそう酒樽をこっちに運んできてくれ」

魔法使い「中身の入った樽なんか持ち上げられません」

盗賊「僧侶と一緒にやりゃ運べる!!さっさと行け!!」

魔法使い「…」


トンテンカン ギコギコ

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『翌朝』


チュンチュン


盗賊「んがががが…すぴーーー」zzz

魔法使い「呆れた…夜通し酒場を作って居たんだ」

僧侶「スゴイです!!テーブルも椅子も作ってあるです」キョロ

魔法使い「どうするのこの爺…」

僧侶「そのまま寝かせておきましょう」


ドスドスドス ブモモー


ハンター「ただいま…もう一匹ヘラジカ捕まえて来たよ」

魔法使い「おかえり!!心配してたのよ」

ハンター「川が増水してて渡れなかったんだ…やっと戻ってこれたよ」

僧侶「今日は雨が上がって良かったでし」

ハンター「まだ空があやしいけどね…それよりヘラジカが腹を空かせてるんだ」

僧侶「どんぐりが余ってるです…木の皮も食べるですよね?」

ハンター「早く食べさせないと…」

僧侶「こっちですぅぅ」スタタ

『教会』


ワイワイ キャッキャ


ハンター「ふぅぅ…お腹膨れた」ゲフー

魔法使い「ヘラジカが増えて木材の運搬が楽になるわね」

ハンター「もう野生のヘラジカはかなり遠くまで行かないと居ない…2頭でなんとかするしか無いかな」

魔法使い「他の動物は?」

ハンター「ヤクが居るけど餌代を考えるとあんまり沢山居てもなと思ってね」

魔法使い「家畜はブタが4頭でまだまだ足りないわ」

ハンター「う~んまだまだ捕まえて来なきゃ安定しないかぁ…」

魔法使い「鳥がもう少し居ればね…」

ハンター「野鳥は家畜に出来ないからねぇ…鶏なんか北の大陸に行かないと居ないし」

魔法使い「やっぱりシカが一番良さそうね」

ハンター「うん…夜行性だから狩りが夜になるのがさ…」


トンテンカン トンテンカン


ハンター「んん?何か始まった?」


今の内やぁ!!一気に壊れた建屋を直すでぇぇ!!

エッサホイサ エッサホイサ


魔法使い「あ!!お願いしてた建築が始まったみたい…」

ハンター「そうか…僕はちょっと寝るよ…ずっと寝て無かったんだ」

魔法使い「ベッドあるけど使う?」

ハンター「うん…ありがとう」ノソリ

『畑』


サワサワ


僧侶「成長魔法!成長魔法!成長魔法!」サワサワ サワサワ

魔法使い「私もうダメかも…」フラフラ

僧侶「今日も魔力スッカラカンですぅ」ヘロヘロ

魔法使い「収穫しなきゃ…」ヨロ

僧侶「少し休むでし…収穫はいつでも良いです」

魔法使い「そうね…後で盗賊にお願いしよ」



『川』


ジャブジャブ


海賊王「この水車は脱穀の機械仕掛けや…ここに麦を入れて脱穀するんや」

影武者「これで脱穀の人員が避ける…」

海賊王「そやな?子供達にも出来るで教えてやればええ」

影武者「今上流から運んでいる物は?」

海賊王「大釜や…おまんら亜麻を育てておるやろ?あの大釜で水に浸すんや…布にするまで色々加工せにゃならん」

影武者「それは助かる」

海賊王「それも子供達に教えてやればええ…武器を持たせるよりずっと大事な事や」

影武者「そうそう武器の方はどうなったのかな?」

海賊王「鍛冶場に置きっぱなしや…持って行って構わんで?」

影武者「ありがとう…そうだ!お礼にお酒を用意したんだ」

海賊王「ほんまか?昨日の今日やで?」

影武者「良かったら今晩村の酒場で振舞おうかと…」

海賊王「おおお!!そらええな?」

影武者「食事も出来るだけ用意するので皆さんでお越し下さい」

海賊王「祭りやな?ようし!!わいらも食い物持参するで?」

影武者「ハハ忙しくなりそうだな…」

海賊王「ようし!おまんら!!今日は祭りや!!残りの仕事を早よう終わらせるでぇぇぇ!!」

者共「ほいさーーー!!」

『教会』


ワイワイ ガヤガヤ

はい…移民の方々2組から

廃屋を修理した建屋を使って下さい

大工さん一家はこちらの家を

農夫さん一家はあちらの家で…

孤児たちは教会で寝泊まりします


盗賊「ほう?一応村長の役はこなしてんだな…やるじゃ無ぇか」

僧侶「盗賊さん起きてきたですね?私の家も決まったでし!!」

盗賊「んぁ?酒場か?」

僧侶「酒場の裏の家なのです…影武者さんと一緒に住むことになったです」

影武者「昼間は取引所…夜は酒場という住みわけだよ」

盗賊「なるほど…酒飲み相手に取引しようってのか…まぁ良い案だ」

影武者「僕は左遷されたつもりだったけど…なんか楽しくなって来た」

盗賊「そら良かったな?」

影武者「やる事が沢山あってね…解決するのにやっぱり物流なのさ…僕に合ってる」

盗賊「そーかいそーかい…俺は早く酒が飲みてぇ」

影武者「そうだ昨日作ったエール酒は樽で4つ分しか無い…足りるかな?」

盗賊「大丈夫じゃ無ぇか?酒飲める大人はそんなに多く無ぇぞ?」

僧侶「私明日の分も作って来るです」

盗賊「そりゃ良い…良い酒になったら俺がキ・カイで売って来てやるぜ?」

僧侶「楽しみですぅぅ…早く作ってくるでし!!」スタタ

盗賊「じゃぁちっと俺も夜まで働くか!!」

影武者「あ!!盗賊さん…今晩は酒場に海賊王を招待しているんだ」

盗賊「ほう?」

影武者「食事の振る舞いでバーベキューを考えてる…お願い出来るかな?」

盗賊「干し肉にしようとしてたシカ肉が有るが…よっし!一丁狩りに行くか」

影武者「お願いするよ…その他の食事は子供達で何とかする」

盗賊「こりゃ酒場がいよいよ楽しみだ…女は魔法使いと僧侶…ほんでお前だな?」

影武者「僕は勘定に入れないで欲しい」

盗賊「よーし!!ハンター起きろ」ドカッ

ハンター「うぐ…ぅぅん…何?何事?」

盗賊「今から狩り行くぞ…2時間で戻る」

ハンター「ええ!?どういう話になってる?」

盗賊「今晩の食い物だ…お前の張った罠見回りに行く…案内しろ」

ハンター「今?直ぐに?」

盗賊「そうだ!晩飯に間に合わせる…行くぞ」グイ

ハンター「あ…ちょちょ」

『夜_酒場』


ワイワイ ガヤガヤ

わいがこの国の王…海賊王や!!

ええか?この村はわいの領地や

せやから何も心配せんでええで?

兎に角新しいハテノ村の祝いや…みんな飲めぇ!!


ジュゥゥゥ モクモク


ハンター「イノシシの肉焼けてる…持って行って!」

魔法使い「忙しい忙しい…」ドタバタ


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盗賊「ふぅぅぅやっと酒にありつける…カウンターに座るぜ?」

僧侶「盗賊さんお疲れでし!!」

盗賊「例の酒くれ!!早く飲みてぇ」

僧侶「分かってるでしゅ…どうぞ!!」ドン

盗賊「おぉ…冷えてそうだな?こりゃ魔法使いに何かやらせたな?」

僧侶「氷で冷やしてあるです…飲んでくだしゃい」

盗賊「むぐっむぐっ…ぷはぁ」

僧侶「どうですか?」

盗賊「アルコールは控えめだがスッキリ飲める…こりゃ何杯でも行けそうだ」

海賊王「どぶろく持って来たで?これも飲めや?」

盗賊「おぉぉ海賊王の爺さん…ご機嫌そうだな?」

海賊王「子供達が作った酒がなかなか美味いもんでな…今日は気分がええで?」

盗賊「俺もちと驚いてんだ…昨日の今日でこの酒作るってのは大したもんだヌハハ」

海賊王「ワイの手下どもも喜こんどるわガハハハハ」

盗賊「しかしこの村もやっと軌道に乗り始めた…このまま上手く行けば良い」

海賊王「この村はなんちゅーか夢がある…そういう村は登って行くもんや」

盗賊「やっぱ酒場があると活気が違うな」グビグビ

海賊王「そやな?美味い酒が飲めるなら手下どもは毎日ここに来るで?」

僧侶「私も飲みたいです…」

盗賊「おぉ飲め飲め…今日は飲んでも良いんじゃ無ぇか?影武者のおごりだろ?」

僧侶「そうですよね?私も飲むでし!!」グビグビ

海賊王「おぉええ飲みっぷりや…気に入ったで?」


ガハハハハハ

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『翌日』


ヨッコラ ドスン


盗賊「よし…これ以上はもう積め無ぇな」

影武者「これが買い取り品目のメモだよ…出来るだけ早く戻って欲しい」

盗賊「へいへい…酒樽は全部俺が飲んじまうが良いな?」

影武者「全部は飲めないでしょ…残りは一応売りに出して反響を見て欲しい」


ええと石炭と木材は高めで売却

硫黄は競売で相場見極め

買い取りが布と香料…ほんで種を各種か


盗賊「あとは移民を乗せて来りゃ良い訳な?」

影武者「移民は2家族までだよ…工夫だと稼ぎが良い」

盗賊「分かった…まぁ任せろ…助手にガキ一人連れて行くが良いな?」

影武者「好きにすると良いさ」

盗賊「よし!乗れ小僧!飛行船の動かし方教えてやる」

少年「…」ジロリ

盗賊「武器の使い方も教えてやるから付いて来い」

少年「フン!」スタスタ

盗賊「じゃぁ行って来るわ…」ノシ


フワフワ

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『数日後』


コーン コーン メリメリ ドスーン


女オーク「ふぅ…」

僧侶「女オークさん木を切り倒すの早いでしゅねぇ…」

女オーク「切り株を掘るから離れておいて?」

僧侶「はいな!」

女オーク「ふん!!」


ドコーン ドコーン メリメリ ガッサー


女オーク「ふぅふぅ…この作業が大変…」ズルズル

魔法使い「私が土を埋め直しておくわ」ザック ザック

女オーク「この切り株でテーブルが作れるから大事な資材ね」ヨッコラ

僧侶「あれ?空に何か飛んでるでし…」

魔法使い「え?」

僧侶「あれ剣士さんの気球かもです」

女オーク「ハッ!」

魔法使い「…」チラリ

僧侶「大きな鳥ですかね?通り過ぎて行ったです…」

女オーク「…」ヨッコラ ヨッコラ

魔法使い「その切り株は荷車に乗せて置いて?後で運ぶから」

女オーク「うん…」ドスン

僧侶「切り倒した木は川に投げると下まで流れて行くです」

女オーク「分かったわ…」グイ ザブーン

僧侶「下で木を引き上げに行くでし!!」スタタ

魔法使い「私は荷車引いていくから先に行ってて」

女オーク「うん…」ドスドス

『村の川辺』


ジャブジャブ


女オーク「ふん!!」ザバァ

僧侶「私が枝を落としておくので女オークさんは休んで良いです」ギコギコ

女オーク「大丈夫よ?」ブンブン スパスパ

僧侶「あ!!!さっきの大きな鳥!!やっぱり剣士さんの気球!」

女オーク「え!?」キョロ

僧侶「村の方に降りそう…」

女オーク「私行って来る!」ドスドス

僧侶「私もいくです…」スタタ


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『村の外れ』


フワリ ドッスン


剣士「ふぅぅぅ…やっと着いた…随分迷った」

女オーク「剣士?…剣士?…」ドスドス

剣士「良かった…女オーク無事だったね?」ダダ

女オーク「え?無事って…私はここで普通に…」

剣士「良いんだ…無事なら良い」

僧侶「剣士さ~~ん!お帰りなさぁぁい!!」スタタ

剣士「偏西風の向きがおかしくて中々辿り着けなかったんだ…やっとたどり着いて安心したよ」

僧侶「??どゆこと?」

剣士「まぁ色々あった訳さ…皆居るかな?」

僧侶「盗賊さんがキ・カイに行ったです」

剣士「少し休みたいかな…体が冷え冷えだよ」

女オーク「上の方に温泉があるわ?」

剣士「そうだったね…入りたい」

女オーク「連れていってあげる…背中に乗って?」

剣士「いやいいよ自分で歩くさ」

僧侶「皆に報告してくるです」

剣士「うん…僕は温泉に浸かってちょっと休む」

僧侶「はいなー」スタタ

女オーク「こっちよ?」グイ

『古代遺跡に続く道』


サラサラ サラサラ


剣士「ちょっと見ない間に随分整備されたね」

女オーク「剣士のお爺さんのお陰よ?」

剣士「ハハ爺いじは村作るのとか大好きなんだよ…そのうち城作り出すよ」

女オーク「もう遺跡の周りは要塞になって居るわ?」

剣士「ほらね?次は使いもしない大砲さ…散々そういう話聞かされたんだ」

女オーク「そうだったんだ…フフ」


ガタゴト ガタゴト


魔法使い「あ…剣士…帰ってたのね…」

剣士「今帰った所だよ…整地かい?なんか大変そうだね」

魔法使い「お爺さんに会いに行くの?」

剣士「ちょっと体が冷え冷えでね…疲れてるし少し休みたいんだ」

魔法使い「じゃぁ温泉に行くんだ…」

女オーク「私が案内しているの」

魔法使い「そう…」チラリ

剣士「少し休んだら教会の方に挨拶に行くよ…後回しにしてゴメンね」

魔法使い「いえ…ゆっくり休んで…」

女オーク「剣士?こっちよ?」

剣士「うん…」ヨロヨロ

魔法使い「…」

魔法使い「……」

魔法使い「………」シュン


ガタゴト ガタゴト

『温泉』


モクモク


女オーク「この辺りが丁度良いお湯になっているわ」

剣士「ありがとう…」チャプ

女オーク「私はお爺さんに剣士が帰って来たと伝えて来る」

剣士「ちょっと待って!!爺いじが来ると休めない…僕が起きた後にして」

女オーク「フフそうね」

剣士「それより女オーク?体に調子悪い所は無い?」

女オーク「え?どうして?何もおかしい所なんか無いわ?」

剣士「そうか…それなら良いんだ」

女オーク「どうしたの?」

剣士「何でも無いよ…兎に角安心した」

女オーク「変な剣士…私は木材加工の続きをして来るからゆっくり休んで?」

剣士「うん…寝る」ウトウト


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『古代遺跡』


メラメラ パチ


うーむ…なんで直らんのや?他の羅針盤も一斉に壊れるちゅうんはおかしいな

親方…日の出の方角も大分北よりなんでがす

船に硫黄運ばせとる気球は帰って来んが羅針盤おかしゅうて迷っとるんかいな?

この周辺は不思議な事が起こるんかも分からんでがす


剣士「ふぁ~あ…」パチ

海賊王「おぉ剣士!温泉で寝取ったらアカンで?茹でダコになる」

剣士「んん?う~ん…良く寝た」ノビー

海賊王「大分疲れとった様やな?」

剣士「あぁぁ…一人で飛空艇操作してたから何日もずっと寝て無かったんだよ」

海賊王「腹減っとらんか?」

剣士「大丈夫…それより爺いじ…今世界が大変な事になってる」

海賊王「今空がおかしいちゅう話をしとった所や」

剣士「地球の地軸が移動して太陽が昇る方向も星の位置も…羅針盤が北を差す方向も何もかも狂ってる」

海賊王「う~む意味が分からんのやがゆっくり話せ」

剣士「結論から言うともう海は航海出来ない…空を飛んでも迷う…今まで使ってた地図に意味が無くなった」

海賊王「世界大移動かいな?」

剣士「そんな感じだよ…詳しくはこうさ…」


カクカク シカジカ

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海賊王「そらえらいこっちゃ無いか!!わいはドワーフの国へ戻らなアカン…」

剣士「航海出来ないよ…間違い無く遭難する」

海賊王「今の話からすると外海に出れば良いんやろ?」

剣士「ええとドワーフの国は島が沢山だったね…島を目標に渡ればもしかすると行けるのかも」

海賊王「ハテノ村にいつまでもゆっくりはしとれんな…ちぃと考えるわ」

剣士「今移動するのは良くないと思うよ…行けると思っても本当に迷う」

海賊王「状況が安定するまで待ちかいな…ちゅうか気球が帰って来ん事にはわいも動けんな」

剣士「僕はちょっと星を観測してどれだけズレがあるのか計算してみる」

海賊王「そやな?そやそやおまんの地図も写させてくれ」

剣士「後で持って来るよ」

『酒場』


ワイワイ


女将「いらっしゃいませ~でし!」

剣士「ハハ…これは本格的だね」

女将「剣士さん!!飲んで行くですか?」

剣士「一杯貰おうかな…」

女将「魔法使いさん!!影武者さん!!剣士さんが来たです」


ドタドタ


魔法使い「剣士!今日はもう来ないかと思ってた」

剣士「少し休んだら調子良くなったよ…なんか良い酒場になったね」

魔法使い「酒場と言っても村の皆の食事処よ」

剣士「一杯欲しいな…どんぐりも欲しい」

女将「はいなー!!自家製のハテノ酒でし!!」ドン

剣士「ハテノ酒か…どんな味なんだろう?」ゴクリ

魔法使い「どう?錬金術で作った炭酸を混ぜてみたの」

剣士「おいしい!!コレ売れるよ…すごく飲みやすい」ゴクゴク プハー

影武者「いくらなら出せるかな?」

剣士「大き目のグラスで銀貨1枚」

影武者「フフ十分元が取れそう…1日樽4杯作れるとして金貨4枚分…材料費引いて金貨3枚の儲け」

魔法使い「ポーション作るより効率良さそう」

剣士「なんか楽しそうだ…もう一杯頂戴」

女将「はいなー!!」ドン

剣士「さて…酒場に来たからには…何か面白い話無い?」

女将「あるですよ…」


村の外にどんぐりを置いておくとですね…

いつの間にか薬草に変わってるですよ

多分オークがどんぐりの代わりに置いてくれてるです

そこでオークが他に何が欲しいのか調査したいのです


剣士「ハハそんなの簡単さキノコと松ぼっくりだよ…木の根も良いね」

影武者「ふむ…僕達に不要な物をトレード出来るのか…明日試してみよう」

女将「楽しみが増えるですね」

魔法使い「ところで剣士?今度はいつまでこの村に?」

剣士「しばらく滞在しようと思ってる」

魔法使い「どのくらい?」

剣士「そうだなぁ…1ヶ月?2ヶ月?…ちょっと色々調べなきゃいけない事が有ってね」

影武者「あ…それなら剣士さんに依頼したい事が…」

剣士「ん?僕に出来る事なら…」

影武者「細工が得意だったよね?防具が少し欲しいんだ」

剣士「おけおけ…確か樹皮が一杯積んでたね…それで作れるよ」

魔法使い「しばらく滞在するなら開いている家を使っても良いわ?」

剣士「あーこの村の主役はやっぱり君達だよ…僕は上の遺跡で良いさ」

魔法使い「そう…ずっと住んで居てくれても良いのに」

剣士「僕の家は名もなき島という所にもうあるんだ…この村では居候さ」

女将「寂しい事言わないでくだしゃい」

剣士「しばらくは滞在するからよろしくお願いするよ」グビ



『翌日』


ブーン ブンブン


剣士「蜜蜂!ここで巣を作れ!」ブーン

魔法使い「何をしているの?」

剣士「虫を集めてるんだ…そうそう今日はまだ木を育てて居ないね?」

魔法使い「え?うん…まだ」

剣士「今日から辺りに花を育てて欲しいんだ…種は持ってる」

魔法使い「花?ハチミツの為?」

剣士「それもあるんだけど…実はね…この村に足りないのは虫なんだよ」

魔法使い「虫…居ない方が良いと思うんだけど」

剣士「虫が多いと鳥が来るんだ…水生動物も虫を餌にする…その水生動物を餌に色んな動物が集まるんだ」

魔法使い「そういう事ね…虫は暮らしを豊かにしてくれているのね」

剣士「害虫も居るけどそれは退治すれば済む…虫は命を運んで来るんだよ」


そう…命を運ぶのは虫なんだ

僕は大事な事を忘れていた

虫を使ってドリアードを倒す事ばかり考えてた

虫を育てて命を運ばせないといけない


剣士「土の中に居るワームは殺しちゃいけないよ?火山灰を食べて栄養のある土に変えてくれてる」

魔法使い「分かったわ」

剣士「クモは縄張りを守ってる…同時にハテノ村も守る…虫ってすごいでしょ?」

魔法使い「本当は興味無いけどあいづちだけ打っとく」ウンウン

剣士「アハハはっきり言うね…まぁ良いさ…花を育てるのお願いね」

『製材所』


ゴリゴリ シュッシュ


剣士「みんな見ててね?樹皮は茹でて柔らかくした後に油を含ませてしごいてなめすんだ」ゴシゴシ

剣士「なめした樹皮をこうやって編んで行けば籠の材料になる」アミアミ

剣士「厚手の質の良い奴は防具の素材に残しておく」

剣士「やわらかい内に形を整えて縫い合わせれば防具の出来上がり…真似してやってごらん」

子供達「すごーい…」

剣士「自由にデザインして良いよ…後で僕が直してあげる」

影武者「あっという間に防具が出来るんだね」

剣士「ちゃんとした装備にするには内側に細工が必要なんだ…それは僕がやる」

影武者「皮の防具という感じかな?」

剣士「うん…工夫次第で上等な防具になるんだよ…軽いから僕は好き」

影武者「樹皮はヘラジカの餌にと思って居たけど…こうして見ると使い道が広い」

剣士「餌にするには勿体ない…加工して余った部分を餌にすれば良いかな」

影武者「籠はいくつあっても良い」

剣士「そうだね…ベットにもなるし宝箱にだってなる…最後は燃料としても使える」

影武者「勉強になったよ」

剣士「それは良かった」


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剣士「次は亜麻の加工だよ」

剣士「亜麻を布にするまで加工するのは難しいからロープと麻袋までにしよう」

剣士「水に漬けて乾燥させた亜麻をしごいて繊維だけ取り出す」

剣士「これを寄ってロープにする…繋ぎ合わせは順に継ぎ足して寄って行く」ヨリヨリ

剣士「繊維だけ編み込んだ物で麻袋になるけどこれは時間が掛かるから暇なときに…」


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影武者「布を作るには織機が必要だね」

剣士「うん…作っても良いけど細工に手間が掛る…布は買った方が早い」

影武者「亜麻を沢山育て過ぎたかな」

剣士「えとね…鍛冶場で大量の鉄鉱石の残りくずが出てると思うんだ…骨粉と亜麻のくずを混ぜて建材に加工できるよ」

影武者「モルタルだね?」

剣士「ちょっと違うけどそんな感じ…レンガみたいな石になる」

影武者「建材で木材の消費が抑えられるか…大工に相談してみるよ」

剣士「木は切り倒すのが勿体ない…切るのは最低限が良いかな」

『古代遺跡』


メラメラ パチ


剣士「爺いじ?地図持って来たよ…」パサ

海賊王「待っとったわい…見せてみぃ」

剣士「その地図は海士島が南極になった想定の地図だよ」

海賊王「見慣れんで気持ち悪いなぁ?」

剣士「うん…でもね?この地図もアテにならない…僕が空を飛んだ感覚だともう少し斜め向いてる筈」

海賊王「どのくらいや?」

剣士「う~ん20°くらいかなぁ…目印になるのは南極星だけなんだ」

海賊王「季節も分からんのやな?」

剣士「うん…しばらく星の観測続けないといけない」

海賊王「ここは山があるで観測もやり難いなぁ?」

剣士「そうだね…今から南極星の角度測定する道具を作ろうと思う」

海賊王「わいは機械仕掛けの良い時計を持っとるで?使うか?」

剣士「おお!!それがあると時間ごとに星の角度測れる…貸して」

海賊王「体感やとだんだん温くなっておる様に感じるが?」

剣士「そうなんだ?」

海賊王「まぁ天気もあるしよー分からんな」

剣士「ねぇ女オークは何処行ったか知らない?」

海賊王「硫黄鉱山行っとる思うわ…よー働く娘や」

剣士「ちょっと心配なんだ」

海賊王「なんでや?体は丈夫そうやで?」

剣士「話はややこしいんだけど…急に死ぬ可能性があるんだ」

海賊王「そらあかんな…おまんの事やからなにか理由があるんやな?」

剣士「うん…」

海賊王「分かったわ…ちっと戻る様に言うてくるわ」ノソリ

剣士「ありがとう」


---違う未来を歩んでいる筈なのに---

---不安が消えない---

『夜_遺跡の外』


カチャカチャ ギリリ


剣士「…一時間に15°か…一日の長さは変わって居なさそうだ」

女オーク「メモしておく?」

剣士「それは良いや…南極星が変わってるのは書いておいて」

女オーク「南極星が変わるというのはどういう意味が?」

剣士「地球の傾きが変わってるという事さ」

女オーク「傾き?理解できない…」

剣士「駒の軸がクルクル動くでしょ?回転の軸が動いちゃってるんだよ」

女オーク「どんな影響があるのか想像出来ない…」

剣士「僕も良く分からない…天候が安定しないのはそのせいかもね」

女オーク「この観測を朝まで続けるつもり?」

剣士「日の出前まで仮眠しようかな…大事なのは日の出と日の入りなんだよ」

女オーク「ここで休むのね…」

剣士「そうだよ…毛皮も用意したし君が居れば暖かい」

女オーク「ウフフ寝泊まり出来る場所があるのに野宿ね」

剣士「石炭は一杯あるし暖は取れる…まぁ馬車で寝泊まりするより快適さ」

女オーク「剣士は先に寝ても良いわ」

剣士「うん…日の出の観測逃さない様にもう寝るよ」


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『夢』


ヴヴヴヴ ドサリ ピチャ


僕「動いたらダメだよ…方陣の中から出ないで」

君「ガァァァ…」ズルズル

僕「今楽にしてあげるから…もう少し抱っこさせて」グイ

君「ヴヴヴヴ…」ピクピク

僕「君の魂は今何処にあるかな?浄化が済んだら僕に掴まってね…」

君「グルルルル…」ノソ

僕「ダメだって方陣から出たら…」ゴソゴソ


グイ ギュゥゥゥ


僕「なんでかなぁ?涙が出ない…ただ心が寂しい」

君「ヴヴヴヴ…」ズルズル

僕「行くよ?しっかり掴まって…浄化魔法!」シュワーーー

君「アガ…」サラサラサラ

僕「おいで!僕の所へ…」

灰「…」サラサラサラ

僕「…」ポロ

僕「……」ポロポロ

剣士「楽になったかい?君は何処に行ったんだい?」

灰「…」サラサラサラ


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『早朝』


剣士「ハッ!!…」

女オーク「起きた?もう直ぐ日の出よ?ほら空が暁色に…」

剣士「夢か…嫌な夢だ…」

女オーク「怖い夢でも見たの?」

剣士「何でもないよ…君は痛い所無いね?」スリスリ

女オーク「どうしたの?くすぐったいわ?」ハテ

剣士「ゴメン寝ぼけてるんだ」

女オーク「観測はしなくて良いの?」

剣士「あぁそうだ星座を確認しないと…えーと…へび座と一緒に登るのか」パラパラ

女オーク「何か分かる?」

剣士「南半球だから多分もうすぐ春になる」

女オーク「暖かくなるのね?それは良かった」

剣士「よし!これで大体の緯度が推定できる…」メモメモ

女オーク「月が全然違う方向に沈んでいたわ」

剣士「ええええ!?どっちの方向?」

女オーク「この地図で言うとこっちの方角ね」

剣士「南南西…そうか月の公転まで変わってるのか…道理で迷う訳だ」

女オーク「私も役に立ったみたいね」ニコ

剣士「明日から月の観測もしないといけない…でも何でそんな事が起こる?」


地球は自転をしているからほぼ太陽と同じ様に動く筈…

まてよ月が縦周りに変化していたとして南南西に沈むという事は南南東から登る…

南極星方面に位置した場合ずっと沈まないという事もある訳か


剣士「そうだ夜は月の方角を見て空を飛んだ事もある…だから迷う」

女オーク「はい地図とペン…私は文字が書けないから剣士が書いて」

剣士「あぁありがとう…女オーク!太陽の方角を観測して」

女オーク「うん…」

剣士「機器の使い方は分かるね?」

女オーク「見て居たから大丈夫よ」カチャカチャ ギリギリ

『数日後_会議』


分かった事

南極星は一日3°づつ移動している

地軸の移動が始まったのは多分15~20日前でもう50°くらい回転した

今の緯度は南半球のこの位置…このまま行くとどんどん暖かくなる

地軸の傾きは今29°で多分駒の様にクルクル動いてる…周期はまだ分かって居ない

月の公転は明らかに変化…どの様に変わったのかは長期間の観測が必要


剣士「これが新しく作った地図…今までと上下が反対になって東西の方向も変わったよ」

魔法使い「信じられない…この間までの冷たい長雨もこれが影響して?」

剣士「それしか考えられないよ…南極点が近くを通ったんだと思う」

僧侶「オークの領地のずっと南が未踏の地だったですが…」

剣士「そこにあった極点が今はキ・カイ付近な筈」

魔法使い「これから予測される影響とかは無いの?」

剣士「う~ん僕の知識じゃあんまり確かな事言えないんだけど…内海は全く航海出来なくなる」

影武者「キ・カイは商船での貿易で成り立ってるんだけど…」

剣士「完全ストップだね…でも近海での漁業はまだ残るかもしれない」

僧侶「いつまでその地軸の移動が続くですか?」

剣士「これも確かな話じゃないけど4000年前にあった地軸の移動は90°回転して止まったらしいよ」

海賊王「わいは船でドワーフの国へ帰らにゃあかんのやが…」

剣士「遠回りになるけどこの大陸沿いに航海すればなんとか行けると思うな」

海賊王「次来るときは外海側のオーク領から来た方が良さそうやな」

剣士「うん…外海の海図を作って行くしか無いね」

海賊王「ハテノ村の開拓が半ばで悪いが気球が戻って来たでわいは一旦戻るわ…豪族と争っとる場合やないわ」


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剣士「爺いじ!僕が直した地図持って行く?」

海賊王「済まんな?この地図に海流と風向き加えてまた持ってくるわ」

剣士「うん…気を付けて」

海賊王「兵隊と鉱夫は残して行くけぇ仲良うやってくれや」

剣士「爺いじはこれからどうするの?」

海賊王「そら王様の仕事や…領地を守らなアカンでな…影響を見ていろいろやるやろ」

剣士「…という事はハテノ村も守るんだね?」

海賊王「当たり前や…直ぐに連絡の気球が来るで待っとれ」

剣士「良かった」

海賊王「そやそや…わいがやろうと思っとったんやが川沿いに道を整備したかったんや」

剣士「何か作るつもりだった?」

海賊王「川を下る船で物資の移送や…気球より大量に運べるでな」

剣士「なるほどね…下流に村を構えるんだね?」

海賊王「まぁ待っとり?直にようさん人を送るで…わいも折角見つけた硫黄鉱山を手放したく無いんよ」

剣士「ハハそうだよね大砲が無いと海で戦えないからね」

海賊王「ほな急いどるで行くわ…女オークと仲良うやれや」ノシ



…こうしてハテノ村の開拓は順調に進みだした


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『古都キ・カイ_酒場』


ガヤガヤ ガヤガヤ

外は死ぬほど寒みぃ…あぁぁきついウォッカくれ!!

流氷が邪魔で商船が出れないのさ…まぁしばらくここで飲んだくれだよ

お酒が高騰してて少しお高いですがよろしいですか?

ガハハハ酒なら俺の船に大量に積んでるんだ


盗賊「よう!遅くなった…金は用意してあるか?」

ローグ「盗賊さん…こんな目立つ所で待ち合わせは無いっすよ…」

盗賊「フード被ってるなんざお前らしく無ぇじゃ無ぇか」

ローグ「あっしはちっと豪族に顔が知れてるもんで動きにくいんすよ」

盗賊「そうか悪りぃ悪りぃ…ほんで金は準備出来たな?」

ローグ「耳を揃えてここに…」ドスン ジャラ

盗賊「ほぉぉ…手ぶらだと思ってたがちゃんと用意出来たな」

ローグ「あっしが持ってた魔石がえらく高く売れたんでやんす」

盗賊「まぁ俺の方も貴重な木材を身内に売れて良かったわ…んで?何に使うのよ?」

ローグ「盗賊さんと同じ大型の貨物用気球が値落ちしてたんで買ったでやんす」

盗賊「そら良い!帆を張って俺と同じにするってんだな?」

ローグ「そーっすね…あっしだけキ・カイに留守番はイヤなんすよ」

盗賊「はは~ん…ハテノ村の往復便をやろうって訳か…よっし!俺が手伝ってやる」

ローグ「そう言って貰えると嬉しいっす」

盗賊「丁度布の買取もやってて帆を張る分くらい工面出来るぞ?」

ローグ「明日あっしの気球まで案内しやす」

盗賊「ところで話が有るって言ってたな?気球の件だったか?」

ローグ「いやいやちっと盗賊さんの耳に入れておきたい話が有ったんすよ…ここじゃ何なんで個室行きやしょうか」

盗賊「おう…人に聞かれたく無い話しな訳か」

ローグ「一番奥の右手の部屋っす…酒も持って行くんで先に行ってて下せぇ」

『酒場_個室』


ガチャリ バタン


ローグ「瓶ごとに成っちまいやすがキ・カイじゃ珍しいワインっす」

盗賊「おぉぉ済まんな…」キュポン グビ

ローグ「ほんで聞いて欲しい話なんすが…セントラル貴族の公爵という人物を知って居やすか?」

盗賊「会った事は無ぇが何度か俺にコンタクト取って来たな?」

ローグ「先に結論を言っちまいやすが…多分黒の同胞の生き残りなんすよ」

盗賊「なぬ!?10年前に全滅して居なかったのか…」

ローグ「あっしは豪族の立場を利用して色々調べたんすが…どうも20年前のセントラル第3皇子の戦死から関わって居る重要人物っす」

盗賊「20年前っちゃぁ100日の闇事件か…」

ローグ「そもそも20年前の魔王復活はセントラル第3皇子の戦死から始まって居やす」


当時の黒の同胞達の狙いは復活した魔王を魔石に封じ

ドリアードの中にあるアダムを復活させる事でやんした

その実現に10年近く掛かっているんすが結果的に成功してる訳でやんす

一見それで平和になった様に見えやすが

その実子供が生まれない事や黒死病の蔓延で人口がどんどん減っている訳なんす

これに気付いた未来君がこの間アダムを破壊した…大きな流れはこんな感じっす


盗賊「俺の認識もまぁ大体そんな感じで有ってるんだが…公爵がどう関わってるんだ?」


公爵はですね…表の舞台にはほとんど関わらないんすが

兎に角仕込みが上手いというか裏で手を引いて上手く物事を誘導するんすよ

昔からセントラル貴族では穏健派の時の王派閥と強硬派のその他貴族で分かれていたんすが

公爵は穏健派で常に時の王の陰に隠れた存在だったんす

上手く時の王を誘導してこの20年の動乱を導いてる…それがたぶん公爵なんす


盗賊「狙いが良く分からんのだが…」


あっしが公爵に疑いを持ったのは

時の王の屋敷を公爵が美術館にして一般公開するようにした事っす…

時の王の遺産の肝心な遺物は全部公爵が接収してるんすよ

その事実を隠蔽する為に美術館として一般公開した


盗賊「ほう?お前は時の王の遺産に何があったのか知って居るのか?」

ローグ「全部は知らんのですがシャ・バクダ遺跡で発掘された冒険の書…これと同じものを公爵が持ってるのを見たでやんす」

盗賊「冒険の書?未来が読んだという奴だな?」

ローグ「そーっす…あっしが思うに未来の出来事を知って居るのは未来君だけでは無いと言う事なんす」

盗賊「なるほど…お前の言いたい事は分かった…本当の黒幕は公爵だと言いたい訳か」

ローグ「断言は出来やせん…ただ未来君の予言はすべて当たっていたんす」

盗賊「う~む…しかしどう考えても公爵の狙いがよーわからんな」

ローグ「アヘン酒が大量に出回っていやすよね?」

盗賊「あぁ俺は飲まんがな」

ローグ「製造元の元締めは公爵っす…それから出回っている魔石の出所」

盗賊「そらスプリガンじゃ無ぇのか?」

ローグ「なんでスプリガンに魔石が入っているんでしょうね?」

盗賊「なんでって…まてよ?なんでだ?魔石のエネルギーは誰がどうやって入れてんだ?」

ローグ「ここからは憶測なんすが魔王が封じられた魔石…そこから取り出して居やせんかね?」

盗賊「つまり魔石の出所も公爵って訳か?」

ローグ「そうなんす…魔石のレートを決めるのも公爵が関与してるんすよ」

盗賊「な~るほど…ほんで俺に盗んで欲しい訳か」

ローグ「未来君がアダムを破壊したのは良いんすが…魔王を封じた魔石が何処に行ったか分からんのです」

盗賊「こりゃまたデカイ仕事だ…ちっと考える」

ローグ「へい…未来君の頑張りの裏に今言ったようなキナ臭い事案が起きてるんす」

盗賊「しかし今の状況じゃセントラルに行くのも難しいな…」

ローグ「そうでやんすね…昼とも夜ともわからん日が続いていやすからねぇ…」


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『翌日_港の倉庫』


ギコギコ トンテンカン


盗賊「おい!クソガキ…反対側持て!」

少年「いい加減名前で呼べよ」

盗賊「クソガキはクソガキだ!…おぉそこを押さえてろ!!」トンテンカン

ローグ「盗賊さんロープを持って来やしたぜ?」

盗賊「ローグは回転帆のロープ繋ぎ分かるな?俺はプロペラの改造やっからロープ張りは任せる」

ローグ「さすが盗賊さん…気球の改造はお手の物っすね」

盗賊「まぁ船に長い事乗ってりゃ帆の修理なんざ何回もやるからな」トンテンカン

少年「俺どうしよう?」

盗賊「ロープの結び方でも勉強しとけ…てかお前もヤレ」

ローグ「盗賊さんの新しい助手っすか?あっしが結び目作るんで見て居て下せぇ…」ヒョイヒョイ クルリ

少年「分かんねぇよ!!」

盗賊「おいローグ!そいつは頭じゃ理解出来無ぇから体で覚えさせろ…ぶっ叩いても構わん」

ローグ「いやいやいや…あっしはやさしくですね…」ヒョイヒョイ クルリ

少年「だから早すぎて見え無ぇって!!」

ローグ「えーとですね…」スラーン

少年「な…なんで短剣抜くんだよ」

ローグ「癖なんす…黙って言う事効かせる為の癖なんすよ…見てて下せぇよ?」ヒョイヒョイ クルリ

盗賊「おいクソガキ…そいつはローグって言ってな?短剣使いじゃ恐らく世界一だ」

少年「え!?もしかして海賊王の娘の右腕って…」

ローグ「恥ずかしい事言わんで下せぇ」

盗賊「分かったらロープ張りを文句言わんでヤレ!」


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トンテンカン ギコギコ


盗賊「…そうかアサシンがそんな事を言って居たか」

ローグ「アサシンさんは失った物が多すぎでしたねぇ…生きる理由がもう無いんでやんすよ」

盗賊「まぁ死に場所を探すと言ってもな…」

ローグ「あっしはアサシンさんの孤独がなんとなく理解出来やす…もう俗世に関わりたく無いのも分かりやすねぇ…」

盗賊「う~む…魔王を滅してもアダムを破壊してもな~んも変わりゃし無ぇしなぁ…又公爵みたいな奴が出て来る始末…」

ローグ「あっしらは只勇者2人失って…家族も友人もどんどん居なくなる…寂しいっすねぇ」

盗賊「なんつーかこういう絶望みたいな感覚こそ魔王の支配じゃ無ぇか?」

ローグ「ソレ!それなんすよ…あっしが思うに公爵が誘導しているのはそういう感じだと思いやす」

盗賊「やっぱ女海賊みたいな底抜けな光が欲しいな」

ローグ「姉さんはカリスマでやんした…未来君にはちっと足りない部分なんすが…」

盗賊「いや…資質はある…手段が正統派の勇者では無いだけだ」

ローグ「虫っすね?」

盗賊「光る虫なんかどうよ?」

ローグ「蛍っすか…盗賊さんもおかしな事を…ん?蛍を操る勇者…なんかロマンを感じやす」

盗賊「ぬはは馬鹿な事言って無ぇで…サッサと作業終わらせるぞ」


---でもまぁ悪く無ぇ…なんつかー少し希望が湧く…不思議なもんだ---

---闇を照らす光…虫でも構わ無ぇ---



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ギリリ ギュゥ ギュギュッ


ローグ「ふぃぃぃ…これで終わりっす」

少年「港にキ・カイの軍船が入って来てる」

盗賊「なぬ!?この霧の中キ・カイの軍船は航海出来んのか…」

ローグ「盗賊さん知りやせんでしたか?キ・カイの軍船は音の反射で障害物が分かるらしいっすよ?」

盗賊「ほぉぉぉそら知らなんだ…羅針盤要らずなのか?」

ローグ「聞いた話なんすが海底の地形を見ながら航海するらしいんす」

盗賊「欲しくなるじゃ無ぇか…盗めるなら盗って来るが…」

ローグ「大きな機械を丸ごと盗む感じになりそうでやんす」

盗賊「なんだデカいのはダメだな…しかし商船の代わりにあのデカイ船が荷を運ぶってのは有りだ」

ローグ「キ・カイの軍船なら流氷に当たってもどうってこと無いっすね」

盗賊「うむ…ただアレを奪った所で盗んだのがバレバレだな」

ローグ「帆が無いんで動かし方も分からんでやんすよ」

盗賊「まぁ奪うってのは冗談だ…軍船から荷が出てきたらちっと物資も潤うな…俺ぁ何が出て来るか見て来る」

ローグ「あっしも行きやすぜ?」

盗賊「おいクソガキ!商人ギルドに戻って軍船が入って来た事伝えて来い」

少年「受付のおばちゃんに言えば良いのか?」

盗賊「ぬはは…おばちゃん…まぁそうだ」

少年「分かった…」

盗賊「寒いからお前は商人ギルドで温まってろ…ローグ!行くぞ」ダダ

『軍港_立ち入り禁止』


衛兵「…これより先は立ち入り禁止!帰った帰った!!」

盗賊「堅い事言うなよ…商船入って来無ぇから期待してんだよ」

衛兵「ここから見るだけにするのだ」

盗賊「しゃぁ無ぇな…ローグ!何か見えるか?」

ローグ「大きな荷をいくつも降ろして居やすね…多分専用の荷下ろし場から直接地下に運んでる様でやんす」

盗賊「外の街には入って来無ぇか…ちぃ」

衛兵「…」ジロリ

盗賊「ハハ皆物資に期待してる訳よ…ここん所魚しか食って無いからよ」

ローグ「地下行った方が良さそうっすね…ここからじゃ箱しか見えんでやんすよ」

盗賊「地下の荷下ろし場って何処だ?」

ローグ「さぁ?レールが有るのはチカテツ街道なんでその何処かじゃないすかね?」

盗賊「まぁ良い…クソガキが詳しいだろうから案内させる」

ローグ「地下の方が暖かいんでそっち行きやしょう」


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『チカテツ街道8番』


ここの奥から廃線に繋がる抜け道があるんだ…

廃線は昔オークの奴隷を奴隷船に積むのに使われて居た場所

ギャングの姉御はそこから逃げて来たんだ

それで廃線の少し先に軍用の施設がある…そこはキラーマシンが沢山居て危ない


盗賊「なるほど…その軍用の施設に荷物が降ろされてる訳だな?」

少年「多分…」

ローグ「軍の施設に忍び込むのはちっとリスクありやすぜ?」

盗賊「まぁ俺らにはハイディングがある」

ローグ「少年を置いて行くでやんすか?」

盗賊「これは勉強だ…俺が背負ってやる…荷が何なのか見て戻る」

ローグ「それだけならなんとかなりやすね」

盗賊「おいクソガキ…お前何があっても絶対しゃべるな…出来るな?」

少年「当たり前だ…」

盗賊「ようし!背に乗れ…走る事もあるから振り落とされんなよ?」

少年「…」コクリ

盗賊「じゃぁローグ…いつもの感じで行くぜ?」

ローグ「あいさー」

盗賊「ハイディング!」スゥ

ローグ「ハイディング!」スゥ

盗賊「迷って無ぇな?行くぞ…」タッタッタ


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『軍の倉庫』


盗賊「リリース!」スゥ

ローグ「リリース!」スゥ

盗賊「こりゃまたデカイ倉庫だな…」

ローグ「後ろにキラーマシン歩いてるんで気を付けて下せぇ」ヒソ

少年「…」ユビサシ

盗賊「アレか…もうちっと寄る」ヌキアシ サシアシ

ローグ「何っすかね?」ソローリ


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盗賊「ほとんどが食料の様だな?」

ローグ「肉と野菜…多分フィン・イッシュから帰って来た感じでやんす」

盗賊「しーーっ…何か話してる…」

ローグ「…」


食料は順次市場に流せ

銀と鉄鋼は一旦備蓄…黄銅は直ぐに工場へ運ぶんだ


高官「魔石は入荷して居ないのか?」

将校「予定の半分以下ですが一応入荷しています」

高官「ふ~む…やはり出し渋って来たか」

将校「はい…恐らく遺跡探掘の権利が狙いと思われます」

高官「古代兵器出土の情報がリークしたのは間違い無いな」

将校「朗報もあります…この異常気象で航海出来るのは我々の軍船だけ…もう豪族は敵ではありません」

高官「ふむ…兵はこの異常気象をどう思って居そうだ?」

将校「賢い者は地軸の異変に感づいて居ます…そろそろ発表した方が混乱しないかと」

高官「うむ…しかし予言がこうもピタリと的中するとは…」

将校「魔石は引き続き向こうの言い値で取引を続けてよろしいのですか?」

高官「相手の出方を探りたいのもある…まずは言い値で進めるのだ」

将校「ハッ…豪族に資金が回って行くのはなんとも…」

高官「航海出来るのは我々だけなのだろう?取引のカードはこちらにある」

将校「荷物を降ろし次第出港の準備に取り掛かります…失礼」


盗賊「戻るぞ…」ヒソ

ローグ「へい…」ソローリ


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『チカテツ街道8番』


盗賊「リリース!」スゥ

ローグ「リリース!」スゥ

少年「ぷはぁ…」

盗賊「…とまぁ隠密ってのはこんな感じだ…勉強になっただろう?」

少年「俺も出来るようになるかな?」

盗賊「そのうちな?」

ローグ「盗賊さん…さっきの聞いた話…」

盗賊「うむ…どうやら国のトップ共は地軸の移動を前もって知って居た様だ」

ローグ「やっぱり公爵が暗躍していそうっすね」

盗賊「この異常気象をきっかけに裏の取り合いやってんだろうな…民を後回しにして迷惑な話だ」

ローグ「察するにキ・カイにも密偵が潜り込んで居るみたいっすね?」

盗賊「まぁ俺達にゃぁ関係無い…しかし相手の出方を見たいというのはちと引っかかるな」

ローグ「古代兵器って何なんすかね?もしかして10年前の光る隕石かも知れやせんね…」

盗賊「…俺は見た事あるぜ?商人と一緒に遺跡探掘に行った事あんだよ…だが動かし方が分からん」

ローグ「な~んかしっくり来ないっす…公爵が欲しがるように思えないんすよね」

盗賊「どういう事よ?」

ローグ「公爵は利益とか興味無いんすよ…扇動するだけなんでやんす」

盗賊「という事はキ・カイに使わせるという事か?」

ローグ「そっちの方がしっくり来るでやんす…ちっとまだ情報が足りないっすね」


『中央ホーム』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「おいクソガキ!適当に玩具買って土産に持って帰るぞ」

少年「マジ!?」

盗賊「ここは安いからな…袋一杯に詰めて持って帰る」

ローグ「盗賊さんはいつハテノ村に戻るんすか?」

盗賊「明日だ…移民との約束があんだ」

ローグ「あっしも一緒に行きやす…ハテノ村まで案内して下せぇ」

盗賊「それなら荷を目一杯積んでけ」

ローグ「何を積んで行けば良いっすかね?」

盗賊「粗方物資は調達したんだが…そうだ魚が安い筈だ…あっちにゃ魚が無ぇ」

ローグ「分かりやした…後アダマンタイト余って居やせんか?」

盗賊「おぉそうだな…確か商人の隠し部屋に色んなサイズが保管していたな…そうそう俺が拾った武器も余ってる」

ローグ「全部積んで行きやす」

少年「チカテツ街道にまだはぐれのギャングが数人残ってる…連れて行って良いか?」

盗賊「おぉ仲間は多い方が良い…直ぐにローグの気球に乗せて待たせろ」

少年「玩具と一緒に明日の朝までに気球に戻る…それで良いか?」

盗賊「遅れんな?…ほらよ!金だ」チャリーン ポイ

少年「必ず戻る」パス スタタ

ローグ「いやぁぁ中々見所のある少年っすね?」

盗賊「だろ?あれで仲間思いなのが良い…なんつーか昔の俺みたいだ」

『商人ギルド』


ザワザワ ガヤガヤ

取引所の一時移転のお知らせ

デパチカ居住区の支店へ一時的に取引所を移転します

露店を出店する際は中央ホームに専用区画を設けてあります


盗賊「やっぱ寒みぃから通常営業は厳しいか?」

受付「地下の方が取引活発なんだよ…遅れると客逃がす」

盗賊「この建屋はどうすんだ?俺は荷物置きっぱなしなんだが…」

受付「しばらく施錠しとく…入るんなら自分で鍵開けて」

盗賊「他の娘と子供達はもう地下行ってんのか?」

受付「もう支店の方で取引開始してんだよ…あたしも行くから早く出てって」

盗賊「俺の荷物出すからちっと待てや」

受付「待てない…あと勝手にやって」ガチャリ

盗賊「ぬあぁなんだアイツ…ちぃ俺一人か」

盗賊「しかし…誰も居無ぇとココも寂しいもんだ」

盗賊「まぁしょうが無ぇか…石炭で暖を取るのも金捨ててる様なもんだしな」


ガチャリ ギー



『隠し部屋』


ゴソゴソ ガチャガチャ


盗賊「錆びを落としゃまぁ一端の武器になる…しかしボルトが重い」ヨッコラ ヨッコラ

盗賊「クロスボウはなんだかんだで使うから全部持って行こう」

盗賊「おぉぉそうそうアダマンタイト忘れる所だっだ…ええと」ゴソゴソ

盗賊「あったあった…しかし商人もガラクタばかりよく集める」

盗賊「んん?何だこりゃ…指示書」ヨミヨミ

盗賊「こりゃ公爵からの指示書じゃ無ぇか…なんでアイツが…」

盗賊「なるほど先物取引の密約か…条件に古文書」

盗賊「公爵が古文書を餌に商人と密約交わしてんのか…なるほど分かってきたぜ」

盗賊「公爵は商人と同じ様な立ち回りすんだな…あいつも表にゃ出無ぇ」

盗賊「つまり影武者が沢山居る訳だ…用心し無ぇとな」

盗賊「古文書らしき書物が見当たらんという事は…あいつ持ち歩いてんのか?」

盗賊「どうやら公爵とやり合うなら商人が肝になりそうだ」

盗賊「くそうタイミングが悪りぃ…まぁ一旦様子見か」

『貨物用気球_改』


ガタゴト ガタゴト


盗賊「武器持って来たぜ?乗せとくぞ」ドスン

ローグ「炉に火が入って居やす…ちっと温まって行って下せぇ」

盗賊「おう!!死ぬほど寒いな」ガチガチ

ローグ「あっしは早速クロスボウセットして来やす」ガチャ ガチャ

盗賊「んん?どうしたのよ?」

ローグ「どうやらあっしは見張られてるみたいでやんす」

盗賊「やられる前にヤレ」

ローグ「もう懲らしめてやったんで近付いては来ないでやんすよ」

盗賊「誰だったんだ?」

ローグ「豪族の密偵っすね」

盗賊「まぁデカイ気球使って何処に行くのか気になるんだろうな?」

ローグ「商人ギルドの方は明かりが消えているみたいでやんすが?」

盗賊「デパチカ居住区にしばらく移転だとよ…もう商人ギルドの建屋には誰も居無ぇぞ」

ローグ「寒すぎっすもんね…豪族に襲われないのもこの寒さのお陰かも知れやせん」

盗賊「ぬはは違い無ぇ…こっちはヌクヌククロスボウで応戦すりゃ手も足も出んわ」

ローグ「この昼か夜か分からない天候は何なんすかねぇ」

盗賊「もうちっとの辛抱だ…ハテノ村は温泉が合ってな…酒場もあって天国よ」

ローグ「そら楽しみっすわ…そうそうフィン・イッシュ産の芋酒を樽で仕入れときやした…飲みやすか?」

盗賊「一杯だけな…飲むと寝過ごしちまうから」

『翌朝?』


タッタッタ


盗賊「ローグ!クソガキ共は気球に乗ったか?」

ローグ「寝てるでやんすよ」

盗賊「クソガキ!!お前何やってんだ」ドガ

少年「うぐぅ…」

盗賊「お前が気球操作すんだろ!寝てんじゃ無ぇ!!」グイ

少年「マジか…」ヨロ

盗賊「ほんでローグ…簡単な地図書いてきた…飛んだら直ぐに狭間に入って移動しろ」

ローグ「案内してくれるんじゃ無かったんすか?」

盗賊「途中で合流だ…羅針盤は使え無ぇからその地図通りの目標目指せ」

ローグ「火山目指すんすね?…えーと初めに見えた川沿いに…」

盗賊「そうだ…川沿いに上流目指すと大きな湖がある…その真ん中で合流だ」

ローグ「分かりやした」

盗賊「他の小さい気球も火入れが始まってる…追いかけてくんぞ?」

ローグ「マジっすか…」

盗賊「ガキ共起こしてクロスボウでも撃たせろ…兎に角上手く撒け…じゃ行くぞ!」ダダ

『貨物用気球』


フワフワ パタパタ


盗賊「本当遅せぇなこの気球は…おいクソガキ!縦帆を3番目に結び変えて風を横に受けろ」

少年「3番…3番…」ドタバタ

移民達「だ…大丈夫でしょうか?」

盗賊「あぁ心配すんな…お前等は暖かい所で食事でもしていて良いぞ」

少年「縦帆で風受けたぁ!!」

盗賊「よしよし…このまま斜め方向で良い…俺はデッキに出る!クソガキは後方のクロスボウ用意しとけ」ダダ

少年「分かった…」ドタドタ

盗賊「やっぱ小さいの追って来てる…この距離じゃクロスボウ当てるの無理だな」

少年「どうする?」

盗賊「上昇!!炉に石炭突っ込んでふいご踏め!!撃ち下ろしにする」

少年「…」ガッサ ガッサ


フワフワ フワフワ


盗賊「そのまま上昇続けろ…クソガキ!見てろよ?ドラゴンでもぶっ殺せる俺の武器だ」

少年「え…」

盗賊「行くぞ…」ガチャリ


バーン! ジャラジャラ


盗賊「ぬははは…こりゃ良い!ちっと銅貨が勿体無いがクロスボウ12発撃ったのと同等だ」カチャカチャ

少年「当たった?」

盗賊「分からん…だが何回でも撃てるぞ?」ガチャリ


バーン! ジャラジャラ


少年「当たってるかどうか分からない…」

盗賊「気球はな?何か撃って来られると離れるしか無い訳よ…球皮傷んだら無事じゃ済まないからな?」ガチャリ


バーン! ジャラジャラ


少年「本当だ…追って来なくなった」

盗賊「ようし!距離が開いたら狭間に入る…」

少年「すげぇ…たった3発撃って追っ手を退けた…」

盗賊「36発だ…クロスボウのボルトが36発降って来て近づこうなぞとは思わん…さて狭間に入る!ハイディング!」スゥ


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『湖の上空』


フワフワ パタパタ


盗賊「やっぱ向こうの気球の方が帆がデカい分早いな…」

少年「ローグが手を振ってる」

盗賊「ロープで連結させて引っ張らせる…ローグ!!ロープ受け取れぇぇぇ!!」グルグル ビュン


ローグ「あららららら‥‥あっぶ!!」パス

盗賊「そっちの気球の方が早いから引っ張ってくれぇ」

ローグ「あいさー」グイグイ ギュゥゥ

盗賊「向こうの山間を尾根沿いの飛べ!!」

ローグ「へ~い!!」ダダ

盗賊「クソガキ!気球の操作は分かるな?高度だけ向こうの気球に合わせろ」

少年「あぁ…縦帆は?」

盗賊「工夫してヤレ…あんまり足引っ張んない様にな?」

少年「盗賊はどうする?」

盗賊「俺はロープ伝って向こうで酒飲んでくる…まぁこっちは任せた」

少年「えええええ!?マジか…」

盗賊「まぁすぐ戻って来るから心配すんな…上手くヤレ」ダダ

『貨物用気球_改』


フワフワ バサバサ


盗賊「…なるほどプロペラは使って無いか」

ローグ「低速の時だけっすね…姉さんの飛空艇より遅いっすが操舵が同じなんで慣れて居やす」

盗賊「俺もハテノ村付いたら改造するわ」

ローグ「風の具合によるんで確実に進むならプロペラも捨てたもんじゃ無いかと」

盗賊「欠点は帆の結び替えでいちいちデッキに出なきゃならん事か」

ローグ「そーっすね…死ぬほど寒いっす…もたもたしてると手が凍傷に掛かっちやいやす」

盗賊「俺は酒を飲みに来たんだがよ?」

ローグ「飲んで行って下せぇ…子供達が騒いでいやすが…」


カーン カーン キーン


盗賊「ごるぁぁ!!武器はおもちゃじゃ無ぇぞ!!当たったらお前等死ぬぞ」

子供達「ひぇぇぇぇ…」ドタドタ

盗賊「なんだこの食いカスは!!」

ローグ「あぁぁそれ魚が凍ってて焼けなかったんすよ…ちっと子供達に料理は無理でやんした」

盗賊「お前等見てろ!魚が凍ってたらマズぶった切れ!」スパスパ

子供達「…」ポカーン

盗賊「ほんでナイフにぶっ刺す!焼く!食う!」ジュゥゥゥ

子供達「…」ジュルリ

盗賊「酒だ酒!!酒持って来い」

子供達「…」ソローリ

盗賊「出来るじゃ無ぇか…」グビ プハァ

子供達「魚…欲しい」

盗賊「おぉ食え食え…俺ぁ魚がキライなんだ」

ローグ「済まんでやんす…食い物が魚しか無いもんすから」

子供達「うんま!!うんま!!」モグモグ

盗賊「もうちっと我慢しろ?ハテノ村に着いたら美味いもの沢山あるぞ?」

子供達「美味いものって何?それ食べられる?」モグモグ


---なるほど…ゴミしか食った事無い訳か---

---こりゃ鍛え甲斐がありそうだ---



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フワフワ バサバサ


ローグ「太陽がずーっと低い位置にあるでやんす」

盗賊「そろそろ日没の筈なんだがな…やっぱ南極付近な訳か」

ローグ「月が全然違う所にあるのは奇妙っすね」

盗賊「何が起きてるのかさっぱりだな?まぁ…まだ生きてる訳だからどうにかなるかヌハハ」グビグビ

ローグ「後ろの気球は少年に任せておいて良いんすか?」

盗賊「あっちは大人が6人乗ってんだ…大丈夫だろ?」

ローグ「見た所2家族で合計11人…少年入れて12人…どんな移民なんすか?」

盗賊「片方は鉱夫でもう片方は元傭兵なんだとよ」

ローグ「商船が動かないもんだから傭兵が稼ぎ無くなった感じなんすね?」

盗賊「まぁそういうこった…そもそも傭兵だけじゃ家族は養えんけどな」

ローグ「なーんかそういう移民が増えそうっすね?」

盗賊「うむ…だがハテノ村も沢山家がある訳じゃ無いんだ…俺らはこの気球に寝泊まりする事になる」

ローグ「あっしはこの気球が気に入りやした…荷物も載せて人も12人乗れるんすからね」

盗賊「もうちっと温い所だとデッキで酒飲むのも良さそうだ…まぁちょっとした船みたいなもんだな」

ローグ「そういやあっしは船を一杯持ってるんすよね…奴隷船なんすが」

盗賊「そら羨ましい…何処に停船してんだ?」

ローグ「今頃フィン・イッシュに4隻…港町に4隻…あとは何処にいるか分からんす」

盗賊「奴隷商を雇ってんだな?」

ローグ「そーっすね…船を貸して奴隷を移送してるんすよ」

盗賊「また奴隷商売とはゲスい事やってんだな?」

ローグ「いやいやいや…地軸の移動を想定して強制退避させてるんすよ…慈善事業ですわ」

盗賊「ほーん…それで略奪品は豪族に回る訳か」

ローグ「そこはしょうがないっす…でも貧しい村よりも資源の豊富な街で暮らした方が生きるのがずっとラクな筈なんす」

盗賊「まぁ南極になっちまうなら仕方無ぇという見方もあるけどな」

ローグ「あっしも強制退去させるのはちっと心苦しい所もあるんすが心を鬼にして…」

『数日後』


フワフワ バサバサ


ローグ「ここらは低木ばかりで目印はなーんもありゃしやせんね」

盗賊「もうちょい行ったら尾根の谷間に沢山木が生えてる…そこがハテノ村よ」

ローグ「あ!!あそこの煙上がってる所っすね?」

盗賊「うむ…毎回来るたびに木が増えてるんだが今回は花も増えて居そうだ」

ローグ「ずっと雪ばっかりだったんで花なんか珍しいっすわ」

盗賊「しかし大分温くなった」

ローグ「高度下げたら丁度良い暖かさかも知れやせん」

盗賊「そろそろ炉を止めるか…俺は後ろの気球にもどるから上手い事誘導してくれ」

ローグ「へい!!」

『ハテノ村』


フワフワ ドッスン


盗賊「こりゃえらく歓迎じゃねぇか…子供達全員か?」

魔法使い「気球は遊び場だから…」

盗賊「おい!クソガキ!!例の玩具を配ってやれ」

少年「あぁ分かってる…みんなこっちだ」


ウキャァァァァ ドタドタ


影武者「物資の移送お疲れ様…売れ行きはどうだったかな?」

盗賊「…見ろ!調達が終わってもこんだけ余ってる」ドスン ジャラリ

影武者「相場が知りたいな」

盗賊「硫黄がクソ高く売れる…木材は高いっちゃ高いが運搬効率が悪いからヤメだ…石炭は安定で高値」

影武者「ハテノ酒は?」

盗賊「なんだそっちのが気になるんか?樽4つで金貨5枚…まぁまぁだろ?」

影武者「評判は?」

盗賊「速攻売り切れたらしい…でも硫黄に比べりゃ運搬効率は悪い」

影武者「まぁお酒だとそうだね…硫黄がいつまで高値が付くか分からないから安定収入を考えたいのさ」

盗賊「魔法使いが作ったポーションの方が稼げるぞ?金持ちが速攻買って行きやがった」

魔法使い「大量に作れないのよ」

盗賊「そうか…酒の方が簡単か…ほんで買取もバッチリ全部積んで来たぜ?」

影武者「確認する…あれ?武器と魚も?」ガチャ ガチャ

盗賊「ローグも同じ気球を買ったんだ…空で戻って来るのも勿体ないから適当に物資積んで来た」

影武者「気球がもう一台増えるのは大きいな…武器も丁度欲しかった」

魔法使い「2キロほど川を下った湖まで村を拡張しようとしているの…資材を運搬したかった所」

盗賊「ここじゃ家を建築するスペースが足りんか」

魔法使い「それもあるけど海賊王のお爺さんは船を使った物流をやりたいみたい」

盗賊「なるほど…村の発展には丁度良い訳か」

魔法使い「建屋が増えれば移民ももう少し受け入れられるし…」

盗賊「2家族連れて来たぜ?鉱夫と傭兵だ…住む場所へ案内してくれ」

魔法使い「分かったわ…皆さん荷物を持って付いて来て下さい…空き家の方へご案内します」


ゾロゾロ

うわぁぁなんか良さそうな村ね

思っていたよりちゃんとしてそうだ

見て!お店で食事してる

コラコラ指を指しちゃイカン

『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


盗賊「ここがハテノ村自慢の酒場だ…俺の家みたいなもんだ」

ローグ「ほえぇぇ?ちゃんと作ってありやすね…」

女将「いらっしゃいませでし!!いやいや…おかえりなさいでし!!」

盗賊「例の酒振舞ってやってくれぃ」

女将「はいなー」スタタ

盗賊「しかし随分雑貨が増えたな?」

影武者「剣士さんが作ってくれているんだ」

盗賊「なぬ!?剣士がこの村に戻ってんのか…俺ぁてっきり幽霊船探しに行ったと思ってたわ」

ローグ「じゃぁ商人さんも戻って来たんすね?」

影武者「商人は戻って居ないよ」

盗賊「剣士は何処よ?さっきは見かけなかったぞ?」

影武者「上の遺跡に籠りっ放しさ…なんでも星の観測をやっているそうだよ」

盗賊「航海術の基本だ…地軸の移動を計算してるんだな」

女将「ハテノ酒とつまみの虫焼きどうぞー!!」ドン

盗賊「なんだこりゃ…バッタを焼いてんのか?」

影武者「ハハ中々美味しいんだよ…醸造で余った酒粕にバッタを漬け込んで焼くんだ」

女将「食料の節約でし…そのバッタは作物食べるので逮捕したです」

ローグ「あ!!本当っすね香ばしくて美味いっすよコレ」バリバリ

盗賊「こりゃ食料に困る事は無さそうだ」グビ プハァ

影武者「どう?ハテノ酒美味しくなって居ないかい?」

盗賊「アルコールが増えていっぱしの酒になったじゃ無ぇか」グビ

影武者「少し寝かせてから醸造するんだよ…このお酒のお陰ですごく儲かってる」

盗賊「儲かる?」

影武者「ドワーフの鉱山労働者が毎日酒場に来る様になってね…お酒を出せばお金が入る…お金で硫黄を安く買う」

ローグ「これあっしらもお金払うでやんすか?」

女将「食い逃げは逮捕するでし!!」ビシ

影武者「ハハ今日は僕が払っておくよ」

盗賊「さすがだな…もう流通が成り立ってるんか」

影武者「儲かるし上手く行くし楽しくってさ…そうそう香辛料も充実したからもっと上手に虫料理が出来そうだ」

盗賊「虫ねぇ…」

女将「影武者さんは虫の食べ方を良く知ってるですよ…子供達も虫を嫌わないで食べてくれるでしゅ」

影武者「なるほどな…ゴミ食って生きてた奴らはこういう才能もある訳か…見習わねぇとな?」

『広場』


じゃぁお願いします…


盗賊「おぉ傭兵の夫婦そろって早速仕事か?」

魔法使い「村の警備をお願いしたの」

盗賊「んん?警備が必要な程危なくは無さそうだが?」

魔法使い「流民がポツポツ来る様になって一応の警戒よ」

盗賊「ほぅ?どっから来てんのよ?」

魔法使い「近隣にはまだ小さな村がいくつもあるのよ…食料難で流れて来てる」

盗賊「じゃぁ丁度武器を持って来て良かったな」

魔法使い「ハンターが言うには昔の兵隊駐屯跡地にも何か住み着いて居るって…」

盗賊「ほんじゃ物資調達にゃ丁度良いじゃ無ぇか…弾薬とか残ってるかも知れん…どこにあんのよ?」

魔法使い「川向うの丘を越えた先…オークとの激戦区だった筈」

盗賊「オークか…あんまり関わりたく無ぇな」

魔法使い「オークとは今の所良い付き合いだから刺激しない方が良いと思う」

盗賊「良い付き合いってどういう事だ?」

魔法使い「どんぐりとか毒キノコを村の外に出しておくと代わりに薬草を置いて行ってくれるのよ…最近では動物の毛皮とかも」

盗賊「なるほどその関係は続けた方が良さそうだ…ドワーフの気球がウロウロしてるこの村に攻め入る事は無いだろう」

魔法使い「そういう風に見えるんだ?」

盗賊「ここの立地だと気球から弓でも撃たれりゃそうそう侵略出来ん…ドワーフの気球は抑止力になってるな」


タッタッタ


影武者「盗賊!気球で物資の移送をお願いしたい」

盗賊「ぬぁ!?今帰って来たばかりで又キ・カイに行かせるつもりか?嫌なこった!ちっと休ませろ」

影武者「あぁ違う違う…上の遺跡から石の建材を運んで欲しいんだよ」

盗賊「石の建材?」

影武者「ヘラジカの引っ張る荷車じゃ往復で効率が悪いのさ…貨物用の気球なら一気に運べる」

盗賊「そうか…まぁ剣士にも会いたかった所だ」

影武者「2往復で全部移送できると思う…お願いするよ」

盗賊「荷の出し入れは人駆用意しとけ?俺ばっかりに重労働させんなよ?」

影武者「分かった分かった」

盗賊「てか石の建材なんかなんで遺跡にあるんだ?発掘してんのか?」

影武者「話して無かったね…上の鍛冶場から出る鉱石の屑から作ってるのさ…これから作る建屋は石の建材で組むんだよ」

盗賊「なるほどゴミの再利用って訳か…こんな田舎で石造りの建屋とはまた豪華だな」

影武者「炭坑が賑やかなうちは建材も沢山作れるからどんどん消費しないと…」

盗賊「ほんじやちっと遺跡まで行って来る…じゃぁな」

『古代遺跡外_鍛冶場』


シュゴーーーー モクモクモク


鉄のた~めなら~♪え~んやこ~ら♪

おいらはかっじや~♪おしゃれなか~じや~♪


盗賊「お~い!!石の建材運びに来たんだがよ…どれだ?」

ドワーフ「そこに積んである石は全部運んでかまわん~で~♪」

盗賊「どわ…これはでかい釜戸じゃ無ぇのか…こら2往復じゃ無理だな」

ドワーフ「置き場に困っておルンルン♪早く運ん~で♪くださ~いな~~♪」

盗賊「ローグ!これが全部そうだとよ…気球に積むぞ」ヨッコラ

ローグ「盗賊さん…この石意外と軽くないっすか?」ヨッコラ

ドワーフ「多孔石が混ざってルン♪軽くて丈夫な建材だよん」

盗賊「軽石ってやつが混ざってる訳な…まぁ良いとりあえず乗せれるだけ乗せてちゃっちゃと運ぶぞ」エッホ エッホ

ローグ「全部炭坑から出たゴミで作ってるんすね」ヨッコラ

盗賊「保温性も良さそうな建材だ…ザラザラだけ我慢すりゃ良い家になりそうだ」ヨッコラ

ローグ「この重さなら2往復でなんとか…」

盗賊「日が暮れちまう…急ぐぞ」エッホエッホ


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『古代遺跡内』


アブラカタブラ ドーニカオマモリクダサイ


盗賊「…遺跡に籠って何やってんだお前」

女オーク「…」

剣士「盗賊さんか…帰って来てたんだね?」

盗賊「おま…こりゃ何の儀式よ?女オークを奉ってんのか?」

剣士「魔方陣で厄災から守ってるんだ」

盗賊「何の厄災よ?外じゃ皆働いてんぞ?」

剣士「うるさいなぁ…厄災から女オークを守るのが僕の仕事さ」

盗賊「星の観測はどうなってんだ?直に日没なんだが…」

剣士「もうそんな時間か…行かなきゃ」

盗賊「えーとだな…俺ぁお前に会いに来たんだが…なんつーかお前はマイペース過ぎてだな」

剣士「あぁそうか!ゴメンよ何の用だった?」

盗賊「ぬははまぁ良い…ほんで星の観測で何か分かったか?」

剣士「地軸の移動速度が遅くなってるさ…やっぱり4000年前と同じ様に90°回転して止まりそうだよ」

盗賊「キ・カイが死ぬほど寒くなってんのよ」

剣士「もう南極点は通過した筈だからこれからもう少し暖かくなると思う」

盗賊「やっぱそんな事になってんだな…最終的な南極点はどこになりそうだ?」

剣士「海士島とセントラルの間だと思う…元々の地図の精度が良く分からないから大体その辺としか言えない」

盗賊「机に広げてあるのが新しい地図だな?」

剣士「うん…北の方角がズレてるから見る時に注意」

盗賊「こりゃもう一回書き直したほうが良いな」

剣士「ハテノ村は過ごしやすい緯度に位置するようになった…キ・カイは寒くて厳しいだろうね」

盗賊「あっちは地下があって奥が広いからなんとかなりそうだぜ?」

剣士「多少寒くても問題無いのか」

盗賊「キ・カイの軍船が内海を航海出来る様だから物流も止まるって事は無さそうだ」

剣士「じゃぁ深刻なのはセントラルぐらいか…」

盗賊「その件でお前に会いに来たんだ…ちっとセントラルに行きてぇのよ」

剣士「地軸が安定すれば行けない事も無い…偏西風に乗って外海を飛び越えればフィン・イッシュ…そこまで行けば簡単さ」

盗賊「地図でみるとやたら遠いな」

剣士「外海が大きすぎるよね…でもどうしてセントラルに?」

盗賊「話はちっと長いんだ…お前も星の観測があるんだろ?俺も温泉に入りてぇ…話は明日だな」

剣士「おけおけ…温泉に入るなら今の内に行かないと真っ黒になったドワーフ達が来ちゃうよ」

盗賊「そら急が無ぇとな…まぁ今晩は酒場でグダグダしてるからお前もたまには顔を出せ」

剣士「わかったよ」

盗賊「おっし!ローグ!温泉行くぞ!!」ダダ

『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


ローグ「いやぁぁぁ温泉に入って…ハテノ酒飲んで…虫の串焼き…最高っすね」グビ ムシャムシャ

女将「最近は毎日こんな感じなのです」

ローグ「酒場の外でもお祭り騒ぎなんすね?」

女将「ハンターさんが焚火で色々焼いてくれてましゅ」

盗賊「はぁぁぁ後は楽器だな…リュートでも聞きながらこうグダグダと飲みながら寝る訳よ」グビ

ローグ「良いっすね…体力全快しそうっす」グビ

盗賊「ドワーフの連中が鉱山から降りて来て酒は足りてるのか?」

女将「ギリギリでし」

盗賊「毎日作ってんなら小麦足りなくなら無ぇか?」

女将「芋が沢山余ってるので大丈夫です」

盗賊「ほーこの酒は芋も混ざってんのか…道理でアルコールがきつくなった訳だ」グビ

女将「醸造で残った酒粕も全部食用で使い切れるです」

ローグ「このチーズみたいな奴っすね?」

女将「それをパンに乗せて焼くのもおいしいです」

盗賊「俺ぁそのパン食いながらワインを飲みてぇ…パンとチーズとワイン」ジュルリ

ローグ「それにしてもなんちゅー平和な村なんすかねぇ…キ・カイとは大違いっすね」

盗賊「自給自足できるってのは良いもんだ」


スタスタ


女将「あ!!剣士さん…降りて来たんでしゅね」

剣士「空いてるかい?2人分」

女将「どうぞどうぞ座ってくださいまし…カウンター空いてるです」

剣士「例のお酒2杯頼むよ…」ジャラリ

女将「はいなー!!」

盗賊「星の観測はもう終わったのか?」

剣士「時間測ってるんだ…しばらく暇になる」

盗賊「しかしお前…只者じゃない雰囲気が出てんなヌハハ…女オークも風格出て近寄り難いぞ?」

剣士「まだ村に馴染めて居ないって事さ…女オーク座って?」

女オーク「…」ドッシリ

女将「どうぞー!!ハテノ酒2杯でし!!」ドン

ローグ「はぁぁなんか2人とも恰好良いっすねぇ…いかにも強そうな感じ出てるっすよ」

剣士「変な事言わないでよ」グビ

女将「剣士さん久しぶりなので皆呼んで来ましょうか?」

剣士「あー気を使わせたくない…今日はちょっと飲んだら戻るから」

盗賊「まぁくつろごうぜ?ほら虫の串焼きでも食え」

剣士「ハハ…バッタかぁ…作物荒らされてない?増えすぎる前に退治しないと種まで食べられちゃう」

ローグ「あっしらが食っちやいやしょう…あっしはこの串焼き好きでやんす」ムシャムシャ

剣士「肉の代わりに丁度良いね…ワームよりも調理しやすいし」

盗賊「どうやら虫のお陰で食料難は解決してそうだな?」

女将「そうですねぇ…小麦の消費は半分くらいになってるですよ」

剣士「それで盗賊さん…今なら話を聞けるけど?」

盗賊「んぁ?別に急ぎじゃ無いから明日でも良い」

ローグ「あっしが話やしょうか?アダムに関連するかもしれやせんので剣士君も興味あるかもしれやせん」

剣士「アダムに?話して…」

ローグ「ええとですね…話は20年さかのぼるんすがね?…」


カクカク シカジカ


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剣士「冒険の書がもう一冊ある…そうか精霊と時の王がそれぞれ一冊持って居たのか」

ローグ「…それで20年前から起きている事件はみんな公爵が関連していると思うんすよ」

盗賊「まぁそういう訳で公爵が持って居るお宝を俺が全部盗む…それでセントラルに行きたい訳よ」

剣士「理由は分かった…只ね?冒険の書は未来を見るだけの物では無いんだよ?」

ローグ「ええ?どういう事っすか?」

剣士「魔女も冒険の書を読んでるんだけど…大昔の物語だったそうだよ」

ローグ「読む人によって変わるんすね?」

剣士「情報屋さんも読んでるのさ…未来じゃ無くて過去の物語…多分精霊の記憶の一部を覗けるアイテムなんだ」

ローグ「そうだったんすね…てっきり予言の書だと思っていやした」

剣士「でも過去の物語の中で未来の予言があったなら間接的に未来を知ってる可能性はある…それは公爵に聞いて確かめたいかな」

盗賊「ヌハハ直接聞くんか?」

剣士「僕は魔術師だよ…幻術が得意な魔術師ね」

盗賊「怖えぇ怖えぇ…嘘は付けないってこったな?」

剣士「僕もちょっと興味出て来た…アダムの秘密を知ってる可能性が有るみたいだからね」

盗賊「お前が一緒だと俺も安心だ…白狼の盗賊団…今なら復活しても良いぜ?」

剣士「僕と女オーク…盗賊さんにローグさんで丁度4人か」

ローグ「えええ?あっしも?」

剣士「だって目の前に要るじゃない」

盗賊「決まりだな?」

剣士「どっちにしても地軸の移動が落ち着くまではここに居た方が良いよ…飛空艇でも迷っちゃうから」

盗賊「違い無ぇ…しばらく休暇だ」

ローグ「安心しやした…もうちっと幸せを満喫したいでやんす」ムシャムシャ

『数日後』


チュンチュン ピヨ


盗賊「言われた通り俺の気球は下流の湖に置いて来た…あそこに拠点作るんだな?」

影武者「そうらしい…今ドワーフ達が道を整備しているよ」

盗賊「下流の2キロ圏内がハテノ村って感じか…」

影武者「うん…作物も川沿いで育てる」

盗賊「ポツポツ生えてる大木は目印だな?」

影武者「あれは魔法使いが植えてくれてるんだ…領地の目安だね」

盗賊「まぁドワーフ達は建築が早いわ…あっちゅー間にいろいろ建てやがる」

影武者「すごいよね…開拓に慣れているんだよ」

盗賊「ここは石炭も鉄も豊富だし開拓しやすいのかも知れんな」

影武者「魔術師が2人居るのが大きいよ…木材と食料の調達はあの2人が要さ」

盗賊「今ハテノ村の人口は50くらいか?」

影武者「子供達合わせて60かな…ドワーフも入れると100人くらいさ」

盗賊「下流まで開拓進みゃ200人ぐらいの規模か」

影武者「もっと住めると思う…あの石の建材で作る建屋は2階建てに出来るんだ」

盗賊「じゃぁ倍って事か」

影武者「そうだね…そこまで増えれば立派な街として機能する」

盗賊「ついこの間まで何も無ぇ村だったのにな?」

影武者「フフ楽しみだよね?」

盗賊「うむ…オークもこっちに住みゃ良いのにな?」

影武者「魔法使いはそれも考えて居る様だよ…そうそうハテノ酒…これを村の外に置いて居るんだ」

盗賊「なぬ?オークに献上か?」

影武者「原料が小麦と芋とキノコ…全部オークの好みの食材なのさ」

盗賊「なるほど…友好の酒か…何が返って来るか楽しみだなヌハハ」

影武者「オークが味方だと賊から襲われ難いよね?…それと何がトレード出来るのかも楽しみなんだ」

盗賊「オークといえば牙とか角の類だな…ケバケバの衣装もあるな」

影武者「ドワーフが言ってたんだけどオークが使う武器は特殊な細工がしてあるらしい」

盗賊「細工?あのクソでかい武器に細工?」

影武者「それが知りたいみたい」

盗賊「牙とか仕込んであるだけに見えるがそんな珍しい物か?」

影武者「さぁね?エンチャントでもしてあるのかもね」

盗賊「ほーん…ほんで?今日は俺の仕事は終わりか?」

影武者「子供達が武器の使い方を教えて欲しい様だよ?行って見たら?」

『教会の裏』


ヒュンヒュン バシーン


そうそう!次の石を準備する動作はもっと早く

姉御!盾持って動く的お願い

分かった…来い!!



盗賊「ほぉぉぉ?スリングの練習か」

少年「あ!盗賊!!」

盗賊「動く的は良いがちっと危ないんじゃ無ぇか?投石あたったら怪我すんぞ?」

少年「小さい子にはスリングが一番良いと思った…接近された場合どうすれば?」

盗賊「うむ…スリングの選択は正しい…まずはそれを極めろ」

少年「投石を外したらどうするんだよ」

盗賊「腰にナイフを持っとけ…見てろこんな感じだ」


右手でスリング使うだろ?

接近された場合は左手でナイフを逆手に抜くんだ

まぁ護身用だな

格闘戦はお前等じゃもうちっと大きくなるまで無理だ


少年「左手でナイフを逆手に…」スチャ

盗賊「おう!そんな感じよ…まぁ狩りでも良く使うからナイフだけは護身用で持って居て問題ない」

少年「分かった…」

盗賊「しかしスリングの練習たぁ関心する…2~3人で投石すりゃ並みの賊なら撃退出来る」

少年「これでクマは倒せないかな?」

盗賊「頭部に当てりゃイケる…要は命中率だな?」

少年「ようし!練習続けよう!!」

盗賊「待て待て…動く的は危ねぇ」

オークの子「これは実践練習なんだ…私の練習でもある」

盗賊「スリングなんか見て避けれる速さじゃ無いだろ」

オークの子「急所を外すだけで良い」

盗賊「それじゃ怪我すんだろ?」

オークの子「私が囮になる作戦なんだ黙って見てて!」

盗賊「あぁぁ…なるほどな?…一人囮になって全員で投石する作戦か…ほんで自分は急所だけ守る」

オークの子「…」

盗賊「分かった…お前にコレをやる」ポイ

オークの子「角?」

盗賊「その角にゃ回復魔法のエンチャントが掛かってんだ…怪我しても直ぐに良くなる」

オークの子「あ…ありがとう」

盗賊「まぁ俺は黙って見てるわ…続けてやってみろ」

少年「よっし!!じゃぁ配置について」

盗賊「…」


---オークの気高さか---

---自己犠牲で守る姿が眩しいじゃ無ぇか---

---こりゃガキ共の自警団も馬鹿に出来んわ---



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オークの子「つつつ…」

盗賊「見せてみろ…なるほど全部急所は外してるが…痛いだろう?」

オークの子「これぐらい直ぐに治る…私は他の子と違って丈夫なんだ…傷の治りも早い」

盗賊「まぁその角を上手く使え」

オークの子「…」

盗賊「よし分かった…お前に剣と盾の使い方を教えてやる」

オークの子「え?」

盗賊「まぁ立て…俺の攻撃をまず防いでみろ」スチャ

オークの子「…」スック

盗賊「行くぜ?」ダダ


ビシ バシ バシ


盗賊「木の棒じゃなきゃ死んでるぞ?しっかり見て防げ」ダダ


カン カン コン


盗賊「ふむ…まぁ良い…続けて行くぜ?」

オークの子「…」タラリ


カン カン バシッ


オークの子「え!?どうして…」グラリ

盗賊「死角が疎かになってんだ…自分の死角がどこになるか意識しろ…そこを剣で防げ」


カン カン コン


盗賊「まぁちゃんと防御すりゃなかなか攻撃は当たらんのよ…まずはしっかり防ぐ練習からだ…行くぜ?」ダダ


--------------

--------------

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姉御と盗賊が戦ってるよ

やられっぱなしだぁ

でもちゃんと防いでるっぽい

行けぇ姉御ぉぉ



盗賊「ふぅ…どうやらお前は体幹が柔らかい…もっと低く構えてみろ」

オークの子「こうか?」グググ

盗賊「もっと低く出来るだろう?四足獣になったつもりで構えろ」

オークの子「…」グググ

盗賊「そんだけ低いと俺の攻撃は上からしか来ない…防ぐのは簡単になる筈だ」

盗賊「ほんでな?その姿勢から俺に突進してみろ…来い!」

オークの子「…」ダダ ドシン

盗賊「こりゃまるでイノシシだな…今見えただろ?攻撃の糸口が」

オークの子「うん…」

盗賊「お前はな?その低い姿勢からの突進が決め手になる…兎に角低く守って相手の隙を見つけろ」

オークの子「分かった…」

盗賊「じゃぁもう一回行くぞ?」ダダ


カン カン コン ビシ バシ

『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


ローグ「あ!!盗賊さん何処に行ってたんすか」

盗賊「おぉ教会の裏でちっとガキ共と立ち回りをな?」

ローグ「ええ?子供相手にっすか?」

盗賊「いやいやあのガキ共なかなか団結しててな…こりゃ下手な賊が来ても追い払うぞ?」

ローグ「マジっすか…」

盗賊「20人くらいのガキがが一斉にスリング使ってるのを想像してみろ」

ローグ「うは…近寄れやせんね」

盗賊「だろ?ほんでハーフオークのガキが又強い訳よ…普段から炭坑手伝ってるのもあるんだろうな」

ローグ「スリングは上手く使えば弓より飛距離出せやすぜ?」

盗賊「だな?爆弾でも投げりゃ正規軍とだって良い勝負になる」

ローグ「子供に爆弾は危ないっすねぇ」

盗賊「ギャング上がりなもんで割と色々知ってんだよ…スリングをチョイスすんのもそういう経験なんだろう」

女将「剣士さんがもう煙玉の作り方教えてたです」

盗賊「…煙玉…なるほど目くらましした後にスリングで投石すんのか」

ローグ「数撃ちゃ当たりやすもんね」

盗賊「な~んか…この村はもうガキ共に任せても良い気がして来た」

女将「私がお母さんの代わりなのでしゅ…お任せくだしゃい」

盗賊「そうだな…酒くれ酒ぇ」

女将「はいなー!!」スタタ


アオーーーン アオーーーーン


盗賊「ん?ウルフの遠吠え…」ガタッ

ローグ「…これ敵が入って来た合図じゃないっすか?」

盗賊「様子見に行くぞ」ダダ

『広場』


ザワザワ

上だ!ガーゴイルが飛んでる!

女子供は教会に避難しろぉぉ!!

弓を使える人は弓を持て!!

教会の上にクロスボウが設置してある



盗賊「何匹居るんだ?」

魔法使い「5匹くらいよ」

盗賊「お前は魔法撃てるな?」

ローグ「なんでガーゴイルなんか居るんすかね?」

魔法使い「前からちょくちょく来てるの…今日は数が多い」

ローグ「ガーゴイルは黄泉の魔物っすよ?」

魔法使い「何処かの狭間から迷い込んでいるのよきっと…」

盗賊「暗くなってきて良く見えんな」


シュタタ シュタタ


盗賊「おう!剣士…来たか」

剣士「オークも襲われているらしい」

盗賊「さっきの遠吠えがそうか?」

剣士「うん…僕と女オークは応援に行く…こっちは任せるよ」

盗賊「任せるっておい…」

剣士「オークは飛んでる敵に何も出来ない…ハテノ村は弓もクロスボウもある」

盗賊「ぬぁぁまぁしょうが無ぇな…」

剣士「ちょっと待ってね…夜光虫!従え…飛んでいるガーゴイルに取り付け」ブーン

ローグ「おぉ地面から光が昇って行くでやんす」

盗賊「おぉ!!」

剣士「これで目標を見失わない…近寄って来たら弓で撃てば良い…ガーゴイルは倒したら燃やして?病気を持ってる」

魔法使い「わかったわ…」

剣士「女オーク!急ごうか…オークの集落まで走るよ」

女オーク「うん…」

剣士「じゃぁ行って来る…」シュタタ


--------------

タッタッタ


ローグ「弓と矢を持って来やした…使って下せぇ」ポイ

盗賊「おう!!なかなか降りて来無ぇ…イライラすんな」


ドーーン パーン


盗賊「うお!!花火かよ…ドワーフが遺跡から撃ってんのか」

ローグ「効果ありっすね…火花がガーゴイルに当たっていやす」

魔法使い「ガーゴイルが急降下してくるわ!!狙い撃って」

盗賊「分かってらぁ」ギリリ シュン

ローグ「あっしも…」ギリリ シュン

魔法使い「外れてるじゃない!…火炎魔法!」ゴゥ ボボボ

ガーゴイル「ギャァァァァ…」バッサ バッサ

盗賊「くっそ!こっちは無視か…」

魔法使い「教会の方ね…移動しましょう」


ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス


ローグ「おぉ!!スリングの投石っすよ…」

盗賊「やるなあいつ等…」


ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス


ガーゴイル「ギャァァァァ…」ドサーーーー

盗賊「落ちた!!ぶっ殺せ!!」ダダダ グサ

魔法使い「どいて!!燃やす…火炎魔法!」ゴウ ボボボボ

ローグ「こりゃ圧勝っすね…」ギリリ シュン グサ


ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス


盗賊「数撃ちゃ当たるってなこの事か…弓撃つより全然効果的だ」

ローグ「あっしらは落ちたガーゴイルの処理に専念しやしょう」

盗賊「だな?もう一匹落ちそうだ…行くぞ!」ダダ

『教会の前』


ギャァァ バッサ バッサ


オークの子「こっちだ!!私は美味しいぞ!!」バンバン!

ガーゴイル「ギュルルル!ギャッハァ…」バッサ バッサ


ヒュンヒュン ヒュンヒュン ドスドスドス


ガーゴイル「ウギャァァ…」ドサーーーー

オークの子「このぉ!!」ダダ ブスリ

子供達「やったぁ!!姉御が倒したぁぁ!!」

オークの子「次!!スリング準備!!」

魔法使い「電撃魔法!」ガガーン ビリビリ

オークの子「ハッ…」

魔法使い「後は任せて…みんなで手分けして火事の火を消して来て」

オークの子「あ…はい」

盗賊「よーし!!とどめだ!!燃やしてくれい!」ダダ ブスリ

魔法使い「火炎魔法!」ゴゥ ボボボボ

盗賊「お前等スゲーじゃ無ぇか!!スリング練習した甲斐があったな?」

子供達「うへへへへ…」

オークの子「みんな降りて来て!!火事を消しに行くよ」

子供達「おーーーー」ドタドタ

ローグ「いやぁぁ20人のスリング部隊…スゴイっすねぇ」

盗賊「ガーゴイルが教会に突っ込まなかったのが幸いか…」

ローグ「いやいやクロスボウも撃ってたんで近付け無かったんすよ」

盗賊「なるほど…ちょっとした要塞になってたか」

魔法使い「一先ずこれでガーゴイルは全部撃退…村の点検に回って来るわ」タッタ

盗賊「俺らあんまり活躍出来んかったな?」

ローグ「酒が覚めちまいやしたね?あっしの気球に芋酒あるんでどうっすか?」

盗賊「そだな?酒場行ける感じじゃ無ぇし…見物しながらもうちっと飲もう」

『貨物用気球_デッキ』


グビグビ ヒック


盗賊「火事っつても花火がちっとくすぶってるだけか」グビ

ローグ「もう大丈夫そうでやんす」

盗賊「上の遺跡から花火ぶっ放す準備してるとはさすがだ…やっぱ海賊王の爺は戦のプロだわ」

ローグ「対空もちゃんと考えて居たみたいっすね」

盗賊「立地的に侵略すんなら気球使って来るしか無いんだが…これじゃ攻め切れん」

ローグ「下流の湖の拠点も陸戦を想定してるんでしょうね?」

盗賊「だろうな?大砲の射程内だしな」

ローグ「あ…見て下せぇ向こうの丘がうっすら光っていやす」

盗賊「んん?オークの集落はあっちにあんのか…」

ローグ「剣士君が夜光虫使役する所見やしたよね?」

盗賊「おぉ俺は鳥肌が立ったぞ…光を操る姿は勇者そのものだ」

ローグ「あっしもそう思いやした…地面から昇って行く光に足が震えやしたぜ」


ピカー キラリン!


ローグ「光った…」

盗賊「終わったな…剣士が刀を抜いたんだろう」

ローグ「静かなもんすねぇ…」サラサラ

盗賊「あぁぁ良い風だ…なんつーか地面が落ち着いた風だ」サラサラ

ローグ「これ命の音かも知れやせん…虫の這う音…飛ぶ音…食べる音…」

盗賊「なんだお前いつからエルフちっくになったのよ…柄じゃ無ぇからヤメロ」


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『翌日_飛空艇』


ヨイショ ヨイショ


剣士「よし…水と食料はこんなもんかな」ドサ

盗賊「よう!出発の準備か?」

剣士「まぁね?あと樽で1つ分荷物が詰めるけど何か乗せる?」

盗賊「ちっと見せてくれ…水はまぁ良い…なんで土なんか乗せてんだ?」

剣士「あーそれで植物成長させるんだ」

盗賊「なるほど食料の代わりか…干し肉はまぁソコソコか…酒が無ぇな」

剣士「お?ハテノ酒1樽貰って行こうか…折角だし楽しみながら行きたいよね」

盗賊「俺が話付けて来る…もう出発するつもりか?」

剣士「予定は決めて居ないよ…準備出来たらいつでも良いさ」

盗賊「ちっと飯食ってからにしよう…酒場に集合で良いな?」

剣士「分かった…先に行っておくね…女オーク!おいで」グイ

『酒場』


ワイワイ 


剣士「…オークの集落は10人くらいで洞窟に住んでるよ」

魔法使い「そう…もっと交流出来れば良いのに」

剣士「その場所を守ってるんだってさ…でもハテノ村と争う気は無いみたいだよ」

魔法使い「交流の話よ」

剣士「あー石炭が欲しいって言ってたんだよね?」

女オーク「そうよ?少しずつ食べるの」

魔法使い「本当?」

剣士「代わりに琥珀を貰えるかもしれない…その洞窟は琥珀が一杯あった」

影武者「えええ!?琥珀…」

女オーク「琥珀も食料なの…少しづつ食べるのよ」

影武者「すごいトレードじゃないか…石炭と琥珀が交換出来るなんて…」

女オーク「ハテノ酒をとても気に入って居たわ」

剣士「なんか上手くやっていけそうだね?」

魔法使い「他に欲しい物は聞いて居ない?」

剣士「う~ん…言って良いのかな」

魔法使い「何よ!言って…」

剣士「一番欲しいのは奴隷なんだ」

魔法使い「え…それは無理」

女オーク「オーク族は奴隷を大切にするのよ…あなた勘違いしてる」

剣士「説明が難しいなぁ…人間の奴隷とは少し違うんだ」

女オーク「剣士は私の奴隷…これで説明付かない?」

剣士「いやいや僕の奴隷が女オークだって…何回も言ってるじゃない」

魔法使い「あのね…奴隷は奴隷でしょう?」

女オーク「もう少し交流を続けないと理解出来ないかもしれない」

魔法使い「奴隷ねぇ…」チラリ

剣士「まぁ何でも言う事聞く人の事さ…オークは奴隷を大事にするのは間違い無いよ」

魔法使い「ふ~ん…」シラー


ガチャリ バタン


盗賊「よぉ!!準備出来たぜ?」

ローグ「あっしも荷物詰みやした」

魔法使い「急に4人居なくなると少し寂しいわね…」

盗賊「用が済んだら直ぐに戻って来るぜ?俺の気球置きっぱなしだからな」

ローグ「あっしもお気に入りの気球を無くすわけに行かんっす」

剣士「…という事だよ…まぁ仕事に行ったと思って」

女将「うぇぇぇん…ひっく」

盗賊「おいおい湿っぽいのは勘弁してくれぇ…もう行くぞ!!」スタ

剣士「じゃぁ…また…」ノシ


---新しい旅が始まった---


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 果ての開拓編

   完

『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


進路はこのまま東…丁度中緯度高圧帯に位置するから偏西風に乗って外海を横断する

地図で言うとこの一番大きな海を飛び越えるんだ…補給できる島とかの情報は何も無い

もしかすると左手方向に未踏の地が見えるかも知れない

何か見つけたら行って見よう


盗賊「この飛空艇で大陸横断はどのくらいかかるつもりで居る?」

剣士「狭間に入ったまま飛んで3日かな?」

盗賊「お?えらく早く到着するじゃ無ぇか」

剣士「進路と現在地の確認で狭間に入りっ放しという訳に行かないよ…合わせて1週間はかかると思う」

盗賊「まぁそうだな…偏西風が蛇行してるかもしれんしな」

剣士「あと暖かい洋上だからストームにも注意したい」

盗賊「一週間もこの狭い部屋に閉じこもるのは苦痛だな…」

剣士「うん…途中でうまく島でも見つけられれば良いけど」

ローグ「これ外海飛び越えるのってあっしらが初っすよね?」

盗賊「だろうな?そもそも大陸間を移動できる気球は限られる」

剣士「うん…動力に魔石を使った気球で帆付きじゃないと無理だね」

盗賊「自信はあるな?」

剣士「僕はもう大陸間を一回飛んでるんだ…今回は地図もあるし色々計算してる」

盗賊「戻るのはどう考えてる?」

剣士「もし計算通り横断出来たなら今度は赤道付近の貿易風に乗って戻る…それも一回試したい」

盗賊「ふむ…今後何度も横断する想定か」

剣士「そうだよ…外海が大きすぎるから船での行き来は厳しいと思うんだ」

盗賊「ちっと俺にも飛空艇の操舵を教えてくれぃ」

ローグ「直ぐに覚えるでやんす…これが主翼でこっちが尾翼…」

盗賊「ふむふむ…ちょっとやらせろ」

剣士「僕は書き物をやってるから上手く偏西風に乗せて東に向かって」

盗賊「おう!高度上げるぜ?」グイ


良いっすね…尾翼で角度変えるんすが速度落ちるんで注意して下せぇ

一旦良い風に乗ったら魔石の向き変えて推進力に加えると高度落ちなくなりやす

ほぉぉぉ良く考えてんな…落下の速度を推進に変えてる訳か


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『1日目_夜』


リリース!


剣士「よし!南極星の角度確認する…」ギリギリ

ローグ「月が変な所にあるんで方角間違いそうでやんす」

剣士「そうなんだよ…パッと見で低い位置の月は東か西って思っちゃうよね」

ローグ「無いよりマシでやんす…一応月明かりで雲海が見えてやす」

剣士「一応雲の方向を地図に書き足しておいて」

ローグ「へい…」カキカキ

剣士「緯度少しズレて来てるな…進路ちょっと南に調整」グイ

剣士「ええと…基準の星どこだ?…あったあった…えーと羅針盤とのズレがこうだから…」

ローグ「経度の計算っすか…なんか忙しいっすねぇ」

剣士「おけおけ…今地図でこの位置だ…記と時間を記録しておこう」カキカキ

ローグ「な~んも見えやせんわ…」

剣士「ふむふむなるほど…陸から風が降りて少し北に巻いてる訳か…蛇行を考えると次は南にズレる筈」

ローグ「高度は安定していやす…他に何か調べやすか?」

剣士「しばらく様子見たい」クンクン

ローグ「何か匂うでやんすか?」

剣士「う~ん…全然わかんないw」

ローグ「ズコ…まぁゆっくり行きやすか」

剣士「狭間に入ったままだと色んな物見落としちゃうからさ…1時間くらい様子見たいかな」

ローグ「そーっすね…ハテノ酒でも飲みやしょう」

『2日目_昼』


シュゴーーーー バサバサ


盗賊「高度下げていくぜ?」グイ

ローグ「何か見えやすか?」

剣士「うん…海の上を群れで何か飛んでる」

盗賊「女オーク!操作変われ…俺も見る」

女オーク「あ…はい…」

剣士「鳥かな?…という事は島か何かあるのかも」

盗賊「いや…あれは魚だ…フライフィッシュって知らんか?」

剣士「聞いた事無い」

盗賊「空飛ぶ魚なんだ…フィン・イッシュで稀に水揚げされるらしい」

剣士「ハハ魚は水の中の生物だよね?空を飛ぶなんて…」

盗賊「ヒレが鋭利な刃物みたいになってるから近付かん方が良いかもな」

女オーク「高度はどうするの?」

盗賊「今の高さ維持だな…これ以上下げると襲って来るかもしれんぞ?」

剣士「あ!!海の中に大きな影…」

ローグ「おぉぉクラーケンっすかね?」

剣士「もっと大きいよ…なんだアレ?」


ザバァァァァァ バクリ


盗賊「どわっ…でか!!」


ザブーーーーーン


剣士「クジラだ…あんな大きなクジラが居るのか…」

ローグ「フライフィッシュの群れを丸飲みしちまいやしたね…ハハ…スケールが違うでやんす」

盗賊「クラーケンよりでかい生き物が居るんか…100メートル近いぞありゃ…」

剣士「もう一回影が出て来る…ちょちょ…女オーク!!高度上げて!!」

女オーク「う…うん」グイ


ブシューーーーーー バシャバシャ


盗賊「うはぁぁぁ潮吹きやがった…」

ローグ「あっしら狙われてやす?」

盗賊「んな訳無ぇだろ…たまたま吹いた潮がここまで届いただけだ」

剣士「なるほど…フライフィッシュはクジラから逃れようとして飛んでたのか…」

盗賊「ほう?つまりフライフィッシュの群れを見たらクジラが居る…ヌハハ勉強になったわ」

剣士「スゴイな…僕達の知らない世界にこんな生き物が居たなんて…乗りたい!」

盗賊「なぬ!?乗る?」

剣士「クジラって話通じると思う?」

女オーク「ウフフ…」

盗賊「あのな…俺らなんか一飲みだぞ?あんなん近付きたく無ぇ!」

剣士「ウルフだってちゃんと話せるんだよ…クジラもさ?クジラ語とかで会話出来るんじゃないかな?」

盗賊「んぁぁぁぁ…ちっと今は止めとけ」

剣士「そうだ!!ホム姉ちゃんが目覚めたら聞いてみよう…うん!そうしよう」

盗賊「まぁ…そうだ…それで良い」

剣士「この飛空艇もさ…クジラの骨で出来てるのさ…なんか縁がありそうだ」

ローグ「いやぁぁぁ剣士君!なんちゅーんすか?…大物っすね?」

剣士「そうだよね?あのクジラ大物だよね」

ローグ「あらら?いやそうじゃなくて…」

盗賊「ローグ止めとけ…ありゃ天然だ」

剣士「しまったなぁ…海の生物の書物買って置けば良かった…ホム姉ちゃんなら何でも教えてくれるのになぁ…」

盗賊「ようし!!もうちょい高度上げて島探すぞ…女オーク!もっと高度上げろ」

『3日目_昼』


シュゴーーーー バサバサ


盗賊「そっちは何か見え無ぇかぁぁ」グター

ローグ「ずーーーーーーと海っすーーー」グター

女オーク「正面!!海の色が変わってる…」

剣士「え!?」ガバッ

盗賊「おぉ本当だな…海が浅くなってんだ…島があるかも知れ無ぇ」

ローグ「マジすか!!やっと足が延ばせやす…」

剣士「あれ?海の中に木が沈んでる…」

盗賊「それで色がおかしいのか…どっか上陸出来る島は無いか?」

ローグ「ちっと小さすぎなんすが一応島はありやすね…ちょい北の方角っす」

盗賊「アレかぁ…飛空艇降ろせる場所は無さそうだ」

剣士「分かったぞ…この辺は小さな島がいくつもあったんだ」

盗賊「海面が上がって全部水没したか?」

剣士「そんな感じだね…ここの座標を調べたい」

盗賊「あの小島に上陸するか?木が海面から出てるだけかも知れんが」

剣士「ロープだけ降ろして飛空艇は飛ばしたままにしておこう」

盗賊「なるほど…ちっとだけ休憩な?」

剣士「うん…僕が操作やるから盗賊さん下に降りてロープを木に引っかけて来て」

盗賊「おう!丁度運動したかった所だ…飛空艇を寄せてくれ」

剣士「寄せる…」グイ バサバサ


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剣士「どう?安全そう?」

盗賊「何も居なさそうだ…ロープ降ろすぞ?」ポイ

剣士「ロープ引っかけたら合図して」

盗賊「じゃ降りるな?」スルスル

『無人島』


ロープ結んだぁぁ!!降りてこーーい!!


剣士「女オーク?先行ける?」

女オーク「うん…」スルスル

ローグ「あっしも行きやす」スルスル

剣士「その辺の木を切り倒して飛空艇着陸させられないかな?」

盗賊「斧なんか持って来て無ぇぞ!!」

女オーク「私が切り倒せる」

剣士「女オークお願い!!終わったらロープ手繰り寄せて!!」

女オーク「分かったわ…フン!」コーン


コーン コーン メリメリ ドサーーー


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フワフワ ドッスン


剣士「よし!これで安心だ…」

ローグ「この島は山頂が海面から出てるだけで何もありゃしやせんね」

盗賊「その様だ…ざっと15メートル四方って所か」

剣士「ここの座標を調べたいから夜まで休憩しよう」

盗賊「女オーク!切り倒した木を薪にしたい…もう少し小さくしてくれ」

女オーク「わかったわ…」ブン バキ

ローグ「やっとキャンプっすね…魚か何か探してきやす」

盗賊「おう!頼むわ…剣士!木を燃やしてくれ」

剣士「火炎魔法!」ボボボ メラ

女オーク「この木…実がなってる」

剣士「お?」

女オーク「集めて来る…」ダダ

盗賊「見た感じ海面が10メートルぐらい上がった感じか…」

剣士「そうだね…今の緯度で海面10メートルか…赤道付近だともっと上がってるんだろうな」

盗賊「海岸の地形が相当変わってるかもな」

剣士「うん…同緯度だとフィン・イッシュ…港は水没してると思う」

盗賊「洪水被害が出てる訳か…」


カサカサ カサカサ


盗賊「どわっ!!軍隊ガニじゃ無ぇか!!」

剣士「アハ…久しぶりに見たなぁ」

盗賊「こりゃ美味い食い物にありつけた」スラーン

剣士「甲羅が欲しいから傷つけないで」

盗賊「こんなもん手足をちょん切れば…」ザク ザク


軍隊ガニ「ブクブクブク…」ピク


剣士「よしよし…この甲羅で器を作ろう」ガリガリ

盗賊「ほー上手い事細工するもんだ」

剣士「これでスープが作れる」

盗賊「軍隊ガニはこのまま火で炙って食うのが一番美味いぞ?」メラメラ パチ

剣士「僕が食べるのは木の実のスープだよ」

盗賊「勝手にしろやい」ガブリ モグモグ

『数分後』


メラメラ モクモク


ローグ「良い匂いがすると思ったら軍隊ガニが居たんすね」

盗賊「魚は居たか?」

ローグ「居るっちゃ居るんすが捕まえられないっす…あっしも軍隊ガニ頂くっす」

女オーク「チェリーのスープは要る?」

ローグ「え?チェリーはそのまま食べるっすよ」

剣士「これね…砂糖を入れて保存食にしてるんだよ…美味しいよ?」パク モグ

ローグ「あぁジャムっすね?なるほど…」

盗賊「てか何で砂糖なんか持ってんのよ」

剣士「樹液を変性させると砂糖になるんだ…簡単な事さ…これも魔法の触媒だよ」パク モグ

ローグ「ピーンときやしたぜ?虫を使役するのは砂糖を使うんすね?」

剣士「うん…」

ローグ「やっぱそうでしたか…姉さんは甘いものが大好きだったんすよ」

剣士「ママはカバンの中にいつも飴とか入ってた…だから虫が寄って来るんだよ」

盗賊「俺にもジャムくれ…甘い物は酒によく合う」グビ

女オーク「沢山作るから好きなだけどうぞ…」

剣士「日が落ちるまでまだ間があるなぁ…」

ローグ「ゆっくりしやしょう」


”…聞こえるか?”


剣士「あ!!ビッグママの声…」ゴソゴソ


”まだ狭間に入ってるのかな?”


剣士「聞こえてるよ!!その声は商人さん?」


”おぉぉやっと通じた…剣士君は今どうしてる?”

”商人!私が話す…貝殻をよこせ”


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剣士「えーっと…無事にフィン・イッシュに到着した?」

女戦士「お陰でな?今はそういう話をしている場合では無い…今何処にいる?」

剣士「外海を渡ってフィン・イッシュ方面に飛んでいる所さ…今は無人島で休憩中」

女戦士「そうか…あと何日でこちらへ来れる?」

剣士「う~ん5日くらい?」

女戦士「5日か…フィン・イッシュ女王が毒を盛られてな…お前の力が必要なのだ」

剣士「エリクサーは無いの?」

女戦士「言いにくいのだが麻薬のヘロインを大量に投与された…エリクサーで治癒が出来ない」

剣士「大量に…生きているんだよね?」

女戦士「魔女のお陰でなんとか生き永らえて居るが廃人…いや昏睡状態だ」

剣士「それだと5日も待って居られない…今すぐにでも麻薬を除去しないと」

女戦士「手が無いのだ…」

剣士「アサシンさんの体液はほぼエリクサーだった筈…線虫も沢山居る筈だよ…アサシンさんの体液を輸血してみて」

商人「おお!?」

女戦士「不死者から輸血しろと?」

剣士「兎に角線虫を体の中に入れれば良い…商人さんでも良いけど排泄されてるかもしれない」

女戦士「アサシン!お前が救える命がありそうだ…来い!」スタ

剣士「…あれ?…お~い!!」

商人「貝殻置きっぱなしだ…これ使っても良いよね?」

情報屋「良いんじゃない?…話したかったんでしょう?」

商人「女戦士はアサシン連れて行っちゃったよ」

剣士「ハハ輸血上手く行くと良いね」

商人「助かった…それで話が変わるんだけど…色々調べて分かった事が沢山合ってね」

剣士「何?」

商人「ズバリ…地軸の移動はオークシャーマンが起こした訳じゃ無いという事」

剣士「え!?そうなの?」

商人「うん…どうやら予言通りに地軸が移動してるんだ」

剣士「予言?」

商人「海士島で手に入れた呪符…あの中に重力の魔方陣が記されて居たんだ…」


その魔方陣を魔女が調べた結果

どうも太陽系の惑星の位置と速度…それから公転の周期を詳細に記した物なんだ

その中で僕達が知らなかった惑星が一つあってね…公転周期が4000年なんだよ

この惑星は他の惑星と違って縦周り…そして超楕円で太陽の周りを回って居るんだ

僕達の住む地球に接近するのが4000年前と今…次に接近するのは12000年後

そういう計算になるんだ

剣士「そんな星見えて無いけど…」

商人「黒色惑星…光を吸い込むんだよ…だから見えない」

剣士「その惑星の接近で地軸の移動と月の公転軸が変化した…そういう事なんだね?」

商人「そう…それは4000年前に既に予言されているのさ」

情報屋「ここからは私が話すわ」

商人「おねがい」


4000年前に起きた地軸の移動で文明がすべて滅ぶ事になったのは以前話した通り

その滅ぶ原因になったのは地震や洪水の天変地異というのが定説だったけれど

商人が発見した古文書にその答えが書いてあったの

そこにはY型染色体配列の異常についてウンディーネ時代の前後を比較する物だったわ

結論を言うと子供が生まれない原因は染色体の異常…その原因は恐らく光る隕石が原因

つまり文明が滅んだ原因は…現在と同じ子供が生まれ無くなった事が原因なのよ


剣士「光る隕石が原因?アダムは無関係だったと…」

情報屋「隕石を呼び寄せたのがアダムなのは明白ね…多分自己防衛ね」

剣士「そうだったのか…」

情報屋「そしてこうなる事はやっぱり予言されて居た筈…それがきっとオークに伝わっているの」

剣士「オークだけが生き残ったからだね?」

情報屋「そういう事」

剣士「でもどうして光る隕石が落とされる事が予言されてる?惑星の接近とは因果関係が無いよ」

情報屋「予言者は光る隕石が落ちるのを見て居たとしたら?」

剣士「ハッ!!ママか…」

情報屋「ビンゴ!…ウンディーネ時代で光る隕石の影響を知ったのよ」

剣士「子供が生まれないというのはもう防げないのかな?」?」

商人「まだカードは残ってるさ…予言と言うのは未来に起きる事を回避してくださいという願いがこもってる」

情報屋「現代までホムンクルスが生き残ってる事が最後の救いね」

剣士「そうか…だからメッセージが残って居たんだね?」

商人「多分そうだよ…剣士君!君は未来を繋ぐために生まれたんだよ…だから君の名は未来なんだ」

情報屋「なんか話したい事が沢山あるわ…はやくこっちにいらっしゃい?」

商人「あ!近衛兵が呼んでる…慌ただしいな」

情報屋「一旦貝殻の通信終わるわ…行かなきゃ」

剣士「うん…又話しかけて」


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『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「おいっちにーさんしー!!体動かせるって良いっすねぇぇ」ブンブン グルグル

盗賊「星の観測はまだやるんか?」

剣士「基準にしてる星がまだ登って来ないんだよ」

盗賊「南極星で緯度の計算は良いが経度の計算はどのみち精度が出んだろ?」

剣士「うん…まぁ適当にやるよりはマシさ」

盗賊「狭間に出入りしてるから時計がアテにならんのがなぁ…」

剣士「大体補正してるつもりなんだけどね」

盗賊「この島は目印にしちゃ小さすぎると思うんだが…」

剣士「ここにはチェリーが生ってるから蜂を使役すればなんとか方向が分かるんだ」

盗賊「あぁぁお前専用の灯台代わりって訳か」

剣士「うん…一か所でも休憩出来る場所があると大分違う」

盗賊「まぁいつ帆が破れてもおかしく無ぇしなぁ…一旦降ろせる場所があるのは心強い」

剣士「あ!基準の星が昇って来た…日の入りから4時間…よしよし大体想定通りだ」ギリギリ

盗賊「なるほど…複数の基準にしてる星の角度で時間と経度を割り出してるか」

剣士「これが今の限界精度さ…よし!行こうか」

盗賊「お前は良い航海士になれそうだ…おい!ローグ!!行くぞ飛空艇に乗れ」

ローグ「あいさー」

『5日目_昼』


シュゴーーーーー バサバサ


盗賊「…まずいな左前方に見えてる積乱雲は多分サイクロンだ」

剣士「南に転換して迂回する」グイ

盗賊「こりゃしばらく風が安定しないぞ?」

剣士「この高度で雲にだけは巻かれたくない…氷で翼が痛む」

盗賊「だな?」

ローグ「南へ迂回してもサイクロンが追って来る感じになりやせんか?」

盗賊「そうなる…だからマズイんだよ」

剣士「出来れば着陸してやり過ごしたいよ…でも下は海だ」

盗賊「最悪海に降りてしばらく漂流っていう手もあるがよ」

剣士「そっちの方が安全かもなぁ…一応高度落としとく」グイ

盗賊「うむ…幸い高度低くても風は十分吹いてる筈だ」

剣士「あれ?船だ!!下に船がある…」

盗賊「おぉぉ!!グッドタイミング…あれに乗せて貰うぞ」

ローグ「外海を航海する船がもう居るんすね…」

盗賊「まぁ大航海時代が来てるという見方もあるけどな?」

剣士「近づいて見る…」グイ バサバサ

『漂流船_上空』


フワフワ バサバサ


盗賊「古いコグ船だ…もう帆が使え無ぇ」

ローグ「誰か乗ってそうっすかね?」

盗賊「小舟が乗って無ぇから逃げたんだろ…まぁ一応一時避難には使えそうだ」

剣士「帆を直せない?」

盗賊「ううむ…横帆としてはもう面積が足りんな…今から縦帆に改造するか?」

ローグ「嵐が来るんじゃどっちにしても横帆は開けないっすよね?縦帆にしとけば一応進む訳ですし…」

盗賊「まぁやってみっか…ロープは余分にあるな?」

剣士「ロープは作れる…大丈夫だよ」

盗賊「うっし!じゃぁ船尾に降ろせ」

剣士「おけおけ…」グイ


フワリ ドッスン


剣士「僕飛空艇を固定しておく」

盗賊「ローグ!荷を調べて来い!それと航海日誌が無いか探して来るんだ」

ローグ「あいさー!!」ダダ

盗賊「女オークはちっと手伝ってくれ」

女オーク「分かったわ…」

『漂流船_甲板』


どわぁあぁぁ!! ドタドタ


ローグ「ちょちょちょ…荷室にくそでかいヘビが居りやす」バタバタ

盗賊「なぬ!?」

ローグ「近づかん方が良いっす…20メートルくらいのがトグロ巻いていやす」タジ

盗賊「それで船員は逃げた訳か…おい剣士!!でかいヘビが居るらしい…何とか出来んか?」

剣士「んん?今忙しい…」グイグイ ギュゥ

盗賊「むぅ…俺らでなんとかしなきゃイカン感じだな」

剣士「ヘビなら頭切り落とすだけで良いじゃない?」

ローグ「クソでっかいヘビなんすよ…頭は牛よりでかいでやんす」

女オーク「それ多分シーサーペントね…狂暴だから放って置くと危ない」

剣士「荷室かぁ…外に出てきたら逃がしてあげても良いんだけど…」

盗賊「使役は出来んか?」

剣士「ヘビは無理だよ…荷室に用が無いなら閉じ込めておくのが一番だと思うな」

盗賊「暴れたらどうする?船が壊れかねんぞ?」

剣士「ヘビが建物を壊すなんて聞いた事無いでしょ?」

盗賊「まぁそうだな」

剣士「捕食する気が無いからトグロ巻いてくつろいでるんだよ…放って置けば良いさ」

ローグ「ハハまぁそーっすね…荷室の扉閉めときゃ大きすぎて出て来れやせんね」

盗賊「ヌハハお前は肝が据わってる…まぁどうせ宝なんぞ無ぇだろうから無視すっか」

ローグ「ほんじゃあっしは居室を見回って来るっす」タッタ



-------------

ドタドタ


ローグ「皆さん…ちっと来て下せぇ」

盗賊「何か見つけたんか?」

ローグ「この船…有名な探検家の船っすね…日誌と海図がありやした」

盗賊「おぉ!!ちっと待て…もうちょいで縦帆の改造が終わる」グイグイ ギュゥ

ローグ「舵は動きやすか?」

盗賊「追い風受けるから船を南東に向けて見てくれ」

ローグ「あいさー」グルグル

盗賊「おぉ回頭してんな?」

ローグ「一応進みだしやしたね…」

盗賊「しばらくこのままで良いだろう…海図は何処だ?」

ローグ「こっちでやんす…」スタ

『居室』


ギシギシ ユラ~


剣士「…ベッドで白骨化してる」

ローグ「多分この船の船長っすね」

盗賊「俺ぁこの探検家知ってるぞ…有名なトレジャーハンタだ」

ローグ「この海図…外海っすよね?」

剣士「おおおおおおおおお!!この人…外海で島を発見してる」

盗賊「こりゃスゲエお宝ゲットしちまったな」

剣士「日誌が5年前の日付だ…」

盗賊「見せてみろ…」パラパラ

ローグ「トレジャーハンターにしてはお宝類が見当たりやせん」

盗賊「金目の物は他の船員がみんな持って行ったんだろう…しかし外海でトレジャーハントとは…」

剣士「発見した島に名前がある…ハウ・アイ島…この位置だと今は赤道付近だ」

盗賊「帰りの中継点に使えそうだな?」

剣士「うん!!」

盗賊「荷室に居るでかいヘビをフィン・イッシュまで持って帰ろうとした様だ」

ローグ「まさか水龍っすかね?」

盗賊「さぁな?只フィン・イッシュでは龍神を奉ってんだろ…その関係だろうな」

剣士「あれ?ちょっと日誌見せて…古代遺跡の図だ…フィン・イッシュにも古代遺跡があるのか」

盗賊「ふむふむ…龍神を奉ってる祠の様だな?そういや草薙の剣がどーたらこーたらって話聞いた事あるな」

剣士「この人…龍神を復活させようとしたんじゃない?」

盗賊「そうなるとヘビを持って帰らにゃならんのだが…」

剣士「横帆をどうにかして直そうか」

盗賊「布が無い訳よ」

剣士「う~ん…布作るのは織機が必要になるなぁ…」

盗賊「まてまて良く考えろ…龍神復活させて何になるのよ?遺跡の扉が開くってか?でかいヘビがどうするってんだ?」

剣士「まぁそうだね…もうちょっと良く日誌を調べてから考えるかな」

盗賊「それが良い…てかこの船は痛み過ぎて満足に航海は出来ん」

ローグ「そーっすねぇ…5年も漂流してたんすからねぇ」

盗賊「とりあえず船でサイクロンが行き過ぎるのを待ってからだな…俺ぁちっと船の塩梅見て来るわ」

剣士「じゃぁ僕はその辺の物調べてみるよ」

『甲板』


ビュゥゥゥ ギシギシ


ローグ「風が強くなってきやしたね…」

盗賊「正面見ろ…やっぱり雲が張り出していやがる…船を見つけて運が良かった」

ローグ「サイクロンを追う感じになりそうっすね」

盗賊「俺の見込みだと俺らの前方を横切って南に逸れると思う…だから進路を北寄りに変更した」

ローグ「じゃぁ逆風になりやすね」

盗賊「うむ…だが丁度縦帆に改造したからな…なんとか進む事は出来る筈だ」

ローグ「ちっとフィン・イッシュ到着が遅くなりそうでやんす」

盗賊「仕方ない…危険犯してサイクロンを飛び越えるのは無謀だ」


スタスタ


剣士「…」ブツブツ

盗賊「おぉ剣士!何処行く?」

剣士「ん?居室の空気が悪いからさ…海図と日誌を飛空艇に運んでおく」

盗賊「そら良い…なんだその書物は?」

剣士「これフィン・イッシュの龍神伝説が記されて居るんだ」

盗賊「ほう?何か分かるか?」

剣士「宝具の守り神が水龍に姿を変えたとかそんな伝説だよ…フィン・イッシュじゃ有名な話なのかも」

盗賊「そういや10年前だったか…一回その祭事に使う祠ってのか?行った事あんのよ」

剣士「古代遺跡なの?」

盗賊「多分な…まぁハテノ村の古代遺跡と同じ様な感じなんだ…近くに温泉があってそれが川に流れて城下まで流れてる」

剣士「へぇ…」

盗賊「フィン・イッシュ女王曰くその川が水龍なんだってよ」

剣士「祠の中には入って無い?」

盗賊「立ち入り禁止だったもんで入って無い」

剣士「この書物には祠の中に開かずの扉が在るらしい…守り神はそこを守って居たとか…」

盗賊「てことはホムンクルスが眠る遺跡の可能性があるんだな?」

剣士「そうだね…この船の探検家はどうにかしてその扉を開けたかったんだと思う」

盗賊「なるほどな…それがわかりゃもうデカいヘビにゃ用が無ぇ…俺が扉を開けられるからな」

剣士「うん…嵐が去って安全になったら予定通り飛空艇でフィン・イッシュ目指す」

盗賊「…ところで航海日誌は全部読んだか?」

剣士「一応ね…発見したハウ・アイ島の事が良く分かったよ」

盗賊「俺も読みてぇんだ貸してくれ」

剣士「うん…」パサ

盗賊「ようし!これで暇つぶしになる」

『夜』


ビュゥゥゥ ギシギシ


ローグ「まだ帆は畳まんで良いっすか?」

盗賊「このぐらい横から吹いてた方が前に進める…縦帆は畳んだ所で大して変わらん」

ローグ「今晩は寝られる感じじゃ無いっすね…」

盗賊「ちっと忙しくなるなぁ…まぁ嵐の規模にもよるが温い風が吹いて来んから大した事無いとは思う」

ローグ「雨が降ってきやしたね」ポツ

盗賊「順当だな?南半球のトルネードは大型になり難いんだ…そうビクつく事ぁ無ぇ」


ザブ~~~ン ユラ~ ギシギシ


ローグ「あっぶ!!」

盗賊「コグ船だと思って馬鹿にしていたが意外と速度出るな…30ノットぐらいか」

ローグ「予備のロープ持って来やす…縛っとかんと落ちそうでやんす」

盗賊「剣士と女オークにも落ちない様に気を付ける様に言って来い」


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『翌朝_飛空艇』


ザーーーーー ジャブジャブ


ローグ「ひぃぃ…ちっと休憩っす…雨に打たれっぱなしじゃ体がふやけちまいやす」

女オーク「次は私が代わりに…」ノソ

ローグ「帆と舵はこのまま維持で良いでやんす…風向き変わったら教えて下せぇ」

剣士「まだ飛空艇飛ばせそうに無い?」

ローグ「昼頃には雲が切れるんじゃないすかね?」

盗賊「今飛ぶのはまだ早いな…トルネードに引っ張られるのがオチだ」

ローグ「まぁ今は横風で船が速度出せてるんでこのままで良いかと」

剣士「そっかぁぁ…もう龍神伝説の書物も飽きたしなぁ…」

盗賊「航海日誌に面白い事が書いてあるぞ?」

剣士「何?」

盗賊「どうやら荷室に居るヘビの件で仲間割れした様だ…他の船員はハウ・アイ島に向かったんだとよ」

剣士「へぇ?じゃぁハウ・アイ島に人が住んでるかもしれないんだね?」

盗賊「うむ…ほんでな…その島にも遺跡が有るらしい」

剣士「え!?見せて見せて…」


ここだ…発見した当時は雪に覆われた島だった様だ

大量の遺物も見つけている…そして閉ざされた扉の前で冬眠していたのがくそデカイヘビだった訳だ

例の探検家はそのヘビをフィン・イッシュに持ち帰ろうとこの船に乗せた訳だ

しかし遺跡探掘をしたい他の船員と揉めた訳よ…ほんで一人この船に残ってたという事だ


剣士「ハウ・アイ島に行って見たくなるね…というか行こう」

盗賊「用事が済んだら行っても良い…お宝の匂いがするだろう?」

ローグ「ちょっと待ったっす…あの蛇は5年以上も冬眠してるんすか?」

盗賊「だろうな?地軸が移動する前はこの船も寒い場所に有ったんじゃ無ぇか?」

剣士「凍ってた可能性が有りそうだね…」

ローグ「そういや抜け殻とか無かったですわ…凍ってたんなら納得でやんす」

剣士「冬眠から覚めたらお腹空いてるだろうなぁ…」

ローグ「いやいや…動いて居やしたから」

剣士「まだ自由に動けないのかな…う~ん…なんか危ないね?」

盗賊「この船は桟橋から荷を入れる扉が船体の土手っぱらに有ったか?」

ローグ「確認してきやす」ダダ

剣士「そんな所開いたら海水入って来ない?」

盗賊「どうせ乗り捨てなんだから別に良いだろ…ヘビに食われるよりゃマシだ」


--------------

ローグ「ありやしたぜ!!扉!!」

盗賊「さて…どうやって開けるかなんだが」

ローグ「内側からしか開けられんっすよね…」

盗賊「ヘビ相手じゃハイディングなんか意味無ぇしな」

剣士「扉ってどうやって施錠してるの?」

盗賊「内側からカンヌキだな…古いコグ船だから金属は使って無いだろう」

剣士「おけおけ!虫にカンヌキだけ食べさせる」

盗賊「おぉ!!カンヌキが無けりゃ外から開けられるな」

剣士「チェリーを持って来ておいて良かった…虫が居る筈…出でよ虫共!」ニョロニョロ

盗賊「うぉ!!なんだこの虫!」

剣士「ワームの一種だね…丁度良かった…成長魔法!」モソモソ

剣士「よーし…荷室の扉のカンヌキを食べて来い!」モソモソ モソモソ

ローグ「こんな虫がチェリーに入ってるんすね…」

剣士「食べ物には大体虫が入ってるよ?この虫は木の実を食べて腐らせる害虫だね…人には無害だよ」

盗賊「まぁこれで外側から開けられるんだな?どのくらい掛かる?」

剣士「1時間くらい?分かんないよ…」

『1時間後』


ザーーーー ポツポツ


女オーク「雨が小降りになってきたわ」

盗賊「風向きに変化は?」

女オーク「横からだけど少しづつ向かい風になっている気が…」

盗賊「ふ~む…速度が少し落ちているか…よし!少し南に向ける」ガラガラ

ローグ「荷室のカンヌキそろそろっすかねぇ?あっしがちっと行ってきやしょうか?」

盗賊「任せた!!俺ぁちっと速度見張ってる」

ローグ「あいさー」ダダ

女オーク「荷室のカンヌキって?」

盗賊「あぁ…例のでかいヘビを外に追い出すんだ」

女オーク「シーサーペントは狂暴で危ないわ」

盗賊「うむ…大人しい今の内に追い出したい訳よ」


ガタン バキバキ


ローグ「やりやしたぁぁ!!扉が開いたっす!!」

盗賊「おぉぉ戻ってこーい!!」

ローグ「あのヘビ動きやせんぜ?」

盗賊「その内出てくんだろ…ちっと帆の角度変えたい!!結び目2つ分ロープを緩めてくれ」

ローグ「へ~い!!」スタコラ


グラリ グググググ


ローグ「おわっ!!ちょちょちょ…」ヨロ

女オーク「あ!!あれ?あのヘビ…シーサーペントじゃないわ!!」

盗賊「目が幾つある?なんだあの魔物は…」


ザブーーーン ユッサ ユッサ


盗賊「海に潜って行きやがった…おい!ローグ気を付けろ…襲ってくるかもしれん」

剣士「この揺れは!?」ダダ

女オーク「例のヘビが海の中に潜って行ったの」

盗賊「ありゃヘビじゃ無ぇ…目が幾つもある謎の魔物だ」

剣士「多眼動物…海の多眼動物といえばウナギだ!!マズイ…飛空艇に乗って!!」

盗賊「お…おう!!」ダダ

剣士「早く乗って!!雷が来る!!」ダダ

女オーク「船の下を泳いでる…」ダダ

剣士「ローグさん飛び乗って!!ロープを切る!!」スパ フワリ

ローグ「へ~い!!」ピョン


ピカッ ビシビシ ビビビビ


剣士「うわ…ギリギリセーフ」

盗賊「うひょぉぉ一瞬海が光ったな」

ローグ「海に戻しちゃまずかったんすね…」

盗賊「しかしこれで正体が分かった…ヘビに雷と言えばリヴァイアサンだ…どうやらデカイ電気ウナギだった様だな」

剣士「クジラといいこの電気ウナギと言い外海は不思議な動物ばかりだ」

盗賊「違い無ぇ…てか剣士!このままじゃサイクロンに吸い込まれて行っちまうぞ?」

剣士「何とかしてみる」グイ シュゴーーーーー


--------------

--------------

--------------

『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


女オーク「雲の切れ目よ…」

剣士「やっと強風域を振り切ったか…」

盗賊「進路は北東だが…もう現在地分からんな」

剣士「夜を待つしか無いよ…東の方向に向いてるだけまだ良い」

盗賊「地図を見た感じ先はまだ長そうだな」

剣士「昨夜から寝て無いからちょっと疲れたね」

盗賊「交代で仮眠取るか…先に寝て良いぞ」

剣士「僕はもう少し良い風を探したい…盗賊さん先に寝て」

盗賊「そうか?」

剣士「ローグさんも休んで…夜中は2人に任せる」

ローグ「じゃぁハンモック借りやす…よっこら」ユラユラ

剣士「女オーク左側の見張りお願い…僕こっちみる」

女オーク「分かったわ…」

剣士「えーと…じゃぁ雲の上にでるかな」グイ

女オーク「ねぇ剣士?私不思議に思ったことがあるんだけど…」

剣士「ん?何?」

女オーク「どうしてリヴァイアサンが遺跡の扉を守っていると思う?」

剣士「あれ?なんでだろう?魚の一種だから知能も低いなぁ…」

女オーク「不思議でしょう?」

剣士「開かずの扉ってもしかしたら電気で開くのかも知れないなぁ」

女オーク「誰かがリヴァイアサンを鍵代わりに使った?」

剣士「そうかもしれない…となると…同時に扉を守らせる命令が出来れば良いともいえる」

女オーク「鍵代わりにするのと守らせるのを同時に誰かがやったという事ね?」

剣士「魚の使役ってどうやってやるんだろう…まてよ?寄生虫でコントロール出来るかも知れないな…」

剣士「あああああああああ!!」

女オーク「え!?何か思い出した?」

剣士「シン・リーンの魔術師に昔蟲使いが一人居たらしい…もしかして」

盗賊「うるせぇなぁ…寝れ無ぇじゃ無ぇか」

剣士「船で見つけた日誌貸して」

盗賊「んぁ?ほらよ…静かにしろやい」ポイ

剣士「…」ヨミヨミ

剣士「やっぱり…この探検家は行方不明の蟲使いだ」

女オーク「どういう事?」

剣士「この人はきっと扉の開け方を知って居たんだよ…リヴァイアサンが凍って居たからフィン・イッシュまで運ぼうとしたんだ」

女オーク「へぇ?私の疑問は解決したわ」


なるほど…寄生虫でリヴァイアサンを操る

電気のビリビリで扉を開閉させる

リヴァイアサンに入り口を守らせておけば中は安全だ

そういう運用をしていたのか

ん?…でも誰が?

ちょっと待てよ?まさかママじゃ無いよな?

いや可能性がある…ママならやりそうだ

『夜』


カチャカチャ ギリリ


剣士「水平保って…おけおけ…角度測定出来た」

女オーク「現在地わかる?」

剣士「えーと…緯度は大分北にズレた…経度が多分この辺り」

女オーク「南東に向かえば良い?」

剣士「そうだね…東南東が良いかな…多分すこし南に引っ張られると思う」

女オーク「分かったわ…」グイ バサバサ

剣士「もう少し高度上げよう…安定したら狭間に入る」

女オーク「これで一安心ね」

剣士「うん…しばらくゆっくり休めるよ」

女オーク「そろそろ交代ね…2人を起こすわ」

剣士「そうだね…」


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『2日後_昼』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「リリース!」スゥ

ローグ「あららら?下が陸地っす…草原っすね」

剣士「ええ?」

盗賊「おぉやっと北の大陸か…もう北じゃ無ぇか」

ローグ「西に山脈…下は草原てか荒野っすね」

剣士「大分通り越したみたいだ…回頭!!引き返してどのくらいズレたか確認したい」

盗賊「やっぱ経度は精度無いな」

剣士「そうだね…地図書き直す必要がある」

盗賊「西の山脈は見た事有るぞ…フィン・イッシュに近いのは間違いない」

剣士「この感じだと200kmくらいはズレて居そうだ」

盗賊「ついでに地形の確認も出来るからまぁ良いだろう」

剣士「高度下げながら行く…何か見えたら教えて」

『フィン・イッシュ上空』


シュゴーーーー バサバサ


盗賊「こりゃ沿岸部が水没してて元の地形が分からん」

ローグ「海抜の低い場所が全部海になりやしたね」

剣士「港も水没して停泊してる船がバラバラだ…」

盗賊「どこで座礁するか分からんから近寄れんのだな」

ローグ「頭の船は見当たりやせんね…」

盗賊「どっかに隠して居るんだろう…」

剣士「どこに飛空艇降ろそうかな」

盗賊「墓地の裏に隠せる場所は有った筈だ…分かるか?」

剣士「分かんない…案内してよ」

盗賊「俺が着陸させる」

剣士「お願い」

盗賊「まず一旦飛空艇隠して女戦士達と合流だな?」

剣士「うん…事情を聞きたいしね」

盗賊「よっし!降ろすぞぉ」グイ


-------------

『墓地の裏』


フワフワ ドッスン


剣士「皆降りて?僕はハイディングさせてから行く」

盗賊「おう!!」スタ

ローグ「やっと頭に会えるっす…」ワクワク

剣士「ハイディング!」スゥ

盗賊「しかしここの墓地は何年経っても変わって無ぇ」

ローグ「地下墓地の入り口の鉄柵がここのシンボルっすよ」

盗賊「あそこはもう毒キノコの培養所になってるの知ってたか?」

ローグ「知って居やすとも…あの毒キノコから作るポーションはフィン・イッシュの財源っすからね」

盗賊「昔は銀鉱山が財源だったんだがな」

ローグ「今でも銀はそこそこの値で取引されていやすぜ?」

盗賊「まぁ資源のある国は強いわな」

剣士「お待たせ…」タッタッタ

盗賊「じゃぁ一先ず城にでも行って見るか」

剣士「こんな格好で大丈夫?」

盗賊「ここの城は一般でも入れるんだ…まぁ大丈夫だろ…行くぞ」スタ



『墓地から続く街道』


スタタタ シュタ シュタ


剣士「お?」

盗賊「忍びだな…どうも慌ただしい様だが…」

ローグ「盗賊さん…これちっとおかしいっすね…あっしら監視されて居やすぜ?」

盗賊「ううむ…女王の暗殺未遂で厳戒態勢かもな」

剣士「ビッグママからもあれから貝殻で通信出来ないんだ」

盗賊「俺らは関わって居ないんだが一応振る舞いには気を付けた方が良いな」

ローグ「いきなり城に行くのはマズイんじゃないすか?」

盗賊「そうかも知れん…一旦宿に入って情報集めるか」

ローグ「その方が無難な気がしやす」

盗賊「俺金持って無いんだがよ…」

ローグ「あっしも持っていやせん」

剣士「ええ!?僕も銀貨30くらいしか無いよ?」

盗賊「4人で飯食って2日って所か…」

女オーク「金貨2枚あるわ」

盗賊「おお!!十分!!」

剣士「ハハなんか貧乏な冒険者だ…」

盗賊「とりあえず今日は宿を取ろう…城に行くのは女戦士にコンタクト取った後だな」

女オーク「金貨2枚預けるわ」チャリン

盗賊「宿はこっちだ…」スタ

『宿屋へ続く街道』


ガヤガヤ ザワザワ

ひぃぃぃん…怖いよう

これこれそんな事言ってはいけないよ

あぁ済みません道を空けます…


盗賊「フル武装の軍隊が巡回していやがる…やっぱ厳戒態勢だわ」

ローグ「すごい数の軍隊っすね」

盗賊「そこらの衛兵とは訳が違う…何か有ったら只じゃ済まんぞ」

剣士「これフィン・イッシュの軍隊だよね?」

盗賊「そうだ…軍隊の全権を持ってるのは元セントラル国王なんだが…」

ローグ「まさかクーデターじゃ無いっすよね?」

盗賊「そら無いだろう…フィン・イッシュ女王とは内縁関係の筈だ」

ローグ「いやいや軍部だけが反乱してるとかそんな感じで…」

盗賊「ううむ…それで女戦士達も全員拘束されてるってか?ありえん話では無いんだがしかし…」

剣士「街の雰囲気を見ると制圧された感じじゃ無いなぁ…」

盗賊「軍隊が巡回している以外は…まぁ平和な感じか」


兵隊「止まれぇぇい!!」スチャ


盗賊「おいおい街中でいきなり武器を人に向けんなよ」ギロ

兵隊「麻薬犬来い!!」

麻薬犬「ガウルル…」クンカクンカ

盗賊「何すんだゴルァ!」

ローグ「盗賊さん…ちっと大人しくしやしょう」

兵隊「麻薬捜査だ…大人しくして居ればどうという事は無い」ジロジロ

剣士「どうして麻薬捜査なんかしているの?」

兵隊「民間人は知る必要無い」

盗賊「何だ三下が偉そうに…武器を人に向けるのと関係無いだろうが」

ローグ「盗賊さんちっと我慢っすよ」

女オーク「ちょっとどこの匂い嗅いでるのよ…」

麻薬犬「ハフハフ」クンカクンカ

兵隊「協力に感謝する…通って良いぞ」スッ

盗賊「ちぃぃ胸糞悪い…行くぞ!」スタ

『宿屋の前』


ザワザワ ガヤガヤ

なんだって急に麻薬捜査なんかやり始めたんだぁ?

路地裏の売人はみんな連れて行かれたらしいぞ?

嗜好品は良いんじゃ無かったのかよ


ローグ「部屋取れやしたぜ?今晩はベッドで寝られるでやんす」

盗賊「俺ぁさっそく情報収集で酒場行きたいんだが…」

剣士「女オークは水浴びしたいだろうから僕は後で一緒に酒場に行くよ」

ローグ「じゃぁあっしは城の方を偵察行って来やす」

剣士「部屋は何処?」

ローグ「2階の一番右奥っす…人が多いんでスリに気を付けて下せぇ」

剣士「お金なんか持って居ないさ」

ローグ「いやいや麻薬とか懐に入れられるのを気を付けて下せぇ…なんかそういう被害が出てるらしいっす」

剣士「ふーん…麻薬の運び屋にさせられるんだ?」

盗賊「そういう技は業界じゃ常識だ…気を付けておけ」

剣士「分かったよ…あれ!?何か懐に入ってる!!」

盗賊「ヌハハ今俺が入れたんだ…こういう事だから気を付ける必要がある」

剣士「全然気づかなかった…」

ローグ「剣士くんはボーっとした所あるんで女オークさんよろしくお願いしやす」

女オーク「ウフフ…」ニマー

剣士「なんか腹立つなぁ…にやけるの止めてくれないかい?」

女オーク「はいはい…行きましょう」グイ


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『酒場』


ドゥルルルン♪


マスター「いらっしゃいませ…お一人様で…」

盗賊「おぉ!?なんでお前が此処に居るんだ?海士島から引っ越して来たんか?」

マスター「しーーーーーーーっ!!」

盗賊「訳アリって事か?まぁ良い…知った顔に会えて嬉しい」

マスター「お客様…お飲み物は如何いたしましょう?」キョロ

盗賊「芋酒だな…連れが後3人来る予定なんだが…まぁカウンターで良いな?」

マスター「どうぞ…少しお待ちください」

盗賊「しかしこの国は景気が良さそうだ…20年前のセントラル並みに人が集まってる」

マスター「いつこの国へ?」

盗賊「さっき付いたばっかりよ…なんだか兵隊がウロウロしてちっと物騒な感じだが」

マスター「そうですか…」

盗賊「何があったか知ってんのか?」ジロ

マスター「いえいえ私はずっと酒場に居た物ですから…」

盗賊「ほーん…まぁ良いや…ところで前に話してた美味い商売の事なんだが…」

マスター「あぁ忘れて下さい…今はそういう状況では無くなった物ですから」

盗賊「なるほどな?今は話せる状況じゃない訳か…おい早く酒出せよ」

マスター「どうぞ…」キョロ

盗賊「おぉコブラ酒じゃ無ぇか…お前…」

マスター「タンブラーは1つで」

盗賊「むむ…そういうのは止めたつもりだったんだがな…」グビ

マスター「味の方は?」

盗賊「久しぶりに飲んだ…はぁぁ砂漠を思い出す」

マスター「味はよろしいでしょうか?」

盗賊「まぁそう慌てるな…ゆっくり味わいたいんだ」グビ

マスター「…」キョロ

盗賊「ふ~む…見張りは3人って所か…動きづらいわなヌハハ」


ノソノソ


マスター「いらっしゃいませ…お二人様ですか?」

ローグ「盗賊さん!!連れて来ちやいやした…えらいこってすわ」

盗賊「早かったな…っておい!!なんで女王が居るんだ?」ガタッ

女王「ここに座れば良いか?」ノソノソ

マスター「女王!?様…」

女王「ハチミツ酒が飲みたいのぅ…持って参れ」

マスター「ははは…はい!かしこまりました」

盗賊「又えらくラフな格好で出歩いてんな…良いのかそんなんで」

女王「これは訳アリなのじゃ…ちと説明が長ごうなるでローグ!主が説明せよ」

ローグ「大きな声で言えんのですが…話し方で何となく分かりやせんか?」ヒソ

盗賊「あぁそういう事か…」

女王「わらわは一杯飲んだら行かねばならぬ故…詳しくはローグに聞くのじゃ」


ゾロゾロ ゾロゾロ


盗賊「うはぁ…取り巻きも又スゴイ事になってんな…酒場に連れて来んじゃ無ぇよ」

ローグ「普段からお忍びで街を出歩いているらしいんすよ」

マスター「ハチミツ酒をお持ちしました…どうぞ」プルプル

女王「久方ぶりじゃな…」グビ

近衛侍「女王様…毒味をお忘れで…」

女王「おぉそうじゃったなぁ…じゃがもう遅い」グビグビ

盗賊「いやいやなんか無茶苦茶だな…」

女王「さて近衛侍…次は何処へ行けば良いのかの?」

近衛侍「カジノに御座います…お連れ致します」

女王「済まぬが行かねばならぬ…追って伝令を送る故待って居れ」ノソノソ

近衛侍「ささ…こちらへ」


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『カウンター』


ワイワイ ガヤガヤ

今のはお忍びで来た女王様だよな?

いつもバレバレなのさ

いやぁぁ今日も平和だ…さぁ飲むぞ


盗賊「…ほんで?なんでこんなんなってんだ?」

ローグ「人に聞かれちゃマズイ話になりやす」

マスター「…」

盗賊「あぁこのマスターは大丈夫だ…」

ローグ「本当っすか?」

盗賊「で?どういう事よ」

ローグ「魔女さんが女王様に成り代わって囮捜査をしているでやんす…話はこうっす」


女王は不妊治療で専属の医者を付けて居た様なんすが

毒を盛ったのはその医者らしいんす

医者の出所はセントラル国王の遠縁の家系でセントラルから派遣されて来たらしいんす

ほんで毒を盛ったのは直ぐにバレて近衛侍に首を切られやした

ここから揉め事の始まりっす

女王直近の近衛達は内縁関係のセントラル国王が主犯だと疑っていやす

一方セントラル国王は近衛が口封じの為に医者を切ったと疑っていやす

つまる所毒を盛った主犯が誰なのか分からんままお互い睨み合っている訳なんす

セントラル国王は愛する女王に毒を盛られた事に激怒して

軍隊総動員で麻薬ヘロインの出所を探っている訳っす


盗賊「なるほどそれで大規模な麻薬捜査か…それで毒を盛られた女王の容態は?」

ローグ「教えて貰っていやせん…というか誰も信じられないもんでお隠れになった様ですわ」

盗賊「お隠れ?」

ローグ「側近にも行方を明かして居ないらしいでやんす」

盗賊「魔女が囮捜査ってのは?」

ローグ「主犯からすると毒を盛った筈なのにピンピンしてるのを見ると落ち着きやせんよね?」

盗賊「それでうろついて見せてるって事か」

ローグ「ほんであっしらは落ち着かない輩を探せと言われやした」

盗賊「なーるほど…」チラリ

マスター「…」チラ

盗賊「お前を見張ってた3人が居なくなったな?どういう事か説明出来るか?」

マスター「私は酒場のマスターですのでここでお話出来る事はありません」

ローグ「あっしが思うにですね?こういうやり口は公爵なんすよ…」

マスター「…」ピク

ローグ「こんな感じでセントラルの皇子3兄弟を分断させたんすよ」

盗賊「まぁ動機は十分そうだな…女王が亡くなればこの国はセントラル国王が牛耳る事になる…その時に良い立ち位置に居れば良いだけ」

ローグ「証拠が何も無いんすよね」


コトン!


ローグ「ん?これあっしにですか?」

マスター「どうぞ…お飲みになって下さい」

ローグ「…」---コブラ酒---

マスター「タンブラーは1つです」

ローグ「盗賊さん…どうしやす?」グビ

盗賊「剣士を待ちたかったんだが…しょうが無ぇ…ちっと芝居打つぞ?」

ローグ「へい!」



--------------

ガタン! ドタドタ


盗賊「俺が先に買う約束したんだ…割り込んで入って来るなクソがぁ!!」ドン

ローグ「いやいや何するんすか!!あっしはもうお金払ってるんすよ」スラーン チャキ

盗賊「なんだお前ヤロウってのか?」スラーン チャキ

マスター「え…あ…困ります」

盗賊「おいお前!今俺と寝る約束しただろ…来い!!」グイ

ローグ「レディーが嫌がっていやすぜ?」ダダ ブン グサ

盗賊「痛ぅぅぅ!!この野郎やりやがったな!!」ダダ ブン グサ


ドタン バタン


ザワザワ ザワザワ

なんだぁ?喧嘩か?

外でヤレ外でぇぇ!!

嫌ぁぁぁ血が出てる!

キャァァァ

ザワザワ ザワザワ


マスター「あの…ここでは他のお客様の迷惑に…」オロオロ

盗賊「うるせぇ!こっち来い!!」グイ

マスター「止めて下さい…」ヨロ

ローグ「このぉぉぉ…」ドタドタ

盗賊「出直して来い!」ドカ

ローグ「うわぁぁ…」ゴロゴロ

盗賊「行くぞ!!」グイ

マスター「誰か助けて…」


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店員「あのー大丈夫ですか?」

ローグ「いやぁお恥ずかしい…ご迷惑をお掛けしやした」

店員「血が出ていますよ?手当しましょうか?」

ローグ「結構でやんす…あっしはあのゴロツキを追うんで心配せんで下せぇ」スック

怪しい女「…」タッタッタ

ローグ「あんさんもあの男に恨みでも?」スタ

怪しい女「フン!」

ローグ「何処に行っちまいやしたかねぇ…」---身のこなしはくノ一---


---なんでくノ一に狙われているのやら---

『宿屋の部屋』


盗賊「リリース!」スゥ

剣士「うわ!!びっくりした…盗賊さんか」

マスター「…この人は?」

盗賊「仲間だ…とりあえず背中から降りろ」ヨッコラ

剣士「誰?」

盗賊「客だ…剣士に頼みがある…マスターの人相を変えて欲しいんだ」

剣士「ん?どんな風に?」

盗賊「とりあえず別の女だな…子供でも構わん」

剣士「おけおけ!子供にするのが楽だ」

マスター「私が子供に?」

剣士「うん…良いかな?」

盗賊「早くやってくれ…見つかると面倒になる」

剣士「変性魔法!」シュゥゥゥ

マスター「え…」

盗賊「よしこれで一先ず命を狙われることは無かろう…」

マスター「ありがとう助かった…」

盗賊「ほんでどういう事なんだ?」

マスター「私は騙されて麻薬を運ばされたみたいなの…口封じで殺される直前だった」

盗賊「見張ってた男3人だな?」

マスター「そう…公爵の刺客ね」

盗賊「まぁ良く酒場のマスターを何食わぬ顔でやってたもんだ」

マスター「狙われて居たのは男3人だけじゃなくて忍びにも…外に出たら兵隊にも」

盗賊「察するにヘロインを運んだんだな?」

マスター「騙されて運んでしまった…商船の中で私の荷物をすり替えられたの」

盗賊「お前は女王暗殺には関わって居ないんだな?」

マスター「私は公爵の指示通り海士島からフィン・イッシュの酒場に働き口を変えただけ」

盗賊「今までずっと密偵の役割をしていたのか」

マスター「結果的にそうなってしまった…報酬が良かったから」

盗賊「どうせあれだろ?魔石を大量に貰ってんだろ…美味い話ってのは俺に魔石を捌かせるつもりだった訳だ」

マスター「さすが盗賊さんね…すべてお見通し」

盗賊「ヌハハ胡散臭いとは思って居たんだ…ほんで魔石はどうした?」

マスター「全部すり替えられた」

盗賊「ヘロインはどうやって医者の手に?」

マスター「酒場に医者を名乗る人が直接取りに来た…その時は不妊治療の妙薬だと言われて疑わなかった」

盗賊「なるほどヘロインだと気付いたのはその後か」

マスター「そう…私は一門無しだったから不妊治療の妙薬を買い取りに来たと言われて直ぐにお金と交換したわ」

盗賊「医者はヘロインだと気付いて居ないのか?」

マスター「そんな事一言も言って無い」

盗賊「そうか結局全員騙されていた訳か…じゃぁお前はどうしてそれがヘロインだと気付いたんだ?」ギロ

マスター「医者が殺された後に兵隊が足取りを追って酒場まで来て麻薬の取引相手を探してるって…」

盗賊「よく見逃されたな?」

マスター「それからずっと見張られて居たの」

盗賊「ほ~ん…まぁ大体流れは分かった…ほんでお前これからどうする?」

マスター「もう宛てが無い…」

盗賊「お前の証言は大きく物事を動かす事になる…それを城に行って証言出来るか?」

マスター「公爵はフィン・イッシュで信頼が大きいのは知らない?」

盗賊「なぬ!?証言しても信じてもらえんという事か?」

マスター「多分…公爵はフィン・イッシュとセントラル両国の和平交渉の中心人物」

盗賊「驚きだな…信じて貰えたとしても和平が遠ざかる動きは取れないのか」

マスター「盗賊ギルドは未だ機能しているの?」

盗賊「んんん…ギルマス次第なんだがよ…この件でアサシンがどう動くかによるな」

マスター「そう…」シラー

盗賊「まぁちっと相談してみるわ…とりあえず子供の姿ならお前は安全だから金持って来い」

マスター「お金?」

盗賊「俺らあと金貨1枚くらいしか持って無いのよ…安心料でちっと寄越せ」

マスター「フフ…伝説の盗賊が金貨1枚…」

盗賊「後で女王を紹介してやっからよ…な?」


ガチャリ バタン


女オーク「あら?どこから連れて来たの?」

盗賊「おー水浴びから帰って来たんか…女オークにちっと頼みがあるんだが」

女オーク「何かしら?」

盗賊「子供用の着替えを買ってきてくれんか?」

女オーク「お金が無いわ?」

盗賊「あと金貨1枚ある…ほらよ」ピーン

剣士「ほっ!!もーらい」パシ

盗賊「着替えはお前等に任せる…マスター!お前の金は何処にある?」

マスター「私の家の戸棚に…」

盗賊「どうせ帰れんだろ?俺が盗んでくるから場所教えろ」

マスター「酒場の裏の建屋を間借りしているの…私の部屋は2階の角」

盗賊「分かった…何か盗って来て欲しい物あるか?」

マスター「何も…まだこっちに来たばかりで何も無い部屋」

盗賊「よし!ほんじゃここで待ってろ…直ぐに戻る」ダダ

『1時間後』


ガチャリ バタン


ローグ「あららら?この子供は誰でやんすか?」

剣士「盗賊さんが連れて来た女の人だよ…僕が子供に変身させたんだ」

ローグ「なるほど…そら良い案っすね」

マスター「お陰様で…」

ローグ「いやいやコブラ酒のルールを守っただけでやんすよ…1人保護完了っすね」

剣士「もうみんなで酒場には行かない?」

ローグ「お金が無いでやんす…それに忍びがそこら中飛び回って居るでやんす」

マスター「私を探して?」

ローグ「それだけじゃ無いっすねぇ…どうも要人が何処かに潜んでるみたいでやんす」

マスター「公爵が来てるという噂は本当かも知れない…」

ローグ「ええ!?マジっすか…いやいや有り得ないっすね…公に行動なんかしやせんぜ?公爵は」

剣士「なんかゴタゴタしてるんだね」

ローグ「ちっと大人しくして居た方が良いでやんす…魔女さんの使い待ちっすね」

剣士「魔女に会ったんだ?」

ローグ「魔女さんも忙しい様で後で使いを出すとか」

剣士「なら大丈夫か…」


ガチャリ バタン


盗賊「帰ったぜぇ?お前中々金持ちじゃ無ぇか…金貨200ぐらいか?」ジャラリ ドサ

マスター「例の医者がそれを置いて行ったのよ」

盗賊「ちっと使わせてもらったぜ?ほら食い物と酒だ」ドサ

ローグ「おぉぉ久しぶりの肉…」

盗賊「てかお前の部屋の中に男が潜んでて戦闘になっちまった…痛てて」ポタリ

剣士「線虫!癒せ!」ニョロ

盗賊「おぉ悪いな」

マスター「相手は誰か分かった?」

盗賊「暗器使いだ…喋らせる前に逃げやがった…あっちも深手だが急所外したのがマズかったな」

ローグ「忍びじゃ無かったんすか?」

盗賊「分からんが特殊な暗器を使って居たのは間違いない」

ローグ「な~んか物騒っすねぇ」ムシャムシャ

剣士「今日は出歩かない方が良さそうだね…まぁゆっくりしようか」

盗賊「そうだな…今日はハンモックじゃなくてベッドで寝れるんだしな」ドサ

剣士「マスターさん一つベッド使って良いよ?僕は女オークと一緒に横になるから」

マスター「ありがとう…」

『夜中』


カクカク シカジカ

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盗賊「…なるほど公爵はもう何年も前から移民を促してこの国にも足ががかり置いて来たっつー訳か」

ローグ「それじゃあっしは公爵の片棒を担ってた事になるんすが…」

盗賊「魔石とケシの流通コントロールでどうとでも出来る…こいつ相当賢いな」

マスター「この国は関税がかからないお陰でほぼセントラルが物価の指標を操作出来てしまう…それが弱点」

盗賊「まぁそれももう終わりだろ?この気候変動で商船はもう動けんしな」

マスター「だから今行動を始めて私も巻き込まれた…」

ローグ「公爵の足掛かりって具体的に何処か分かりやすか?」

マスター「銀鉱山の利権…廃坑になっていた場所を立ち上げ直した」

盗賊「ふむ…それだけじゃ切り捨ててもフィン・イッシュはそう痛まん」

マスター「銀で作った武器を軍隊に配布しているのも公爵」

ローグ「おっとっと…もしかして武器は全部公爵が握ってる感じなんすか?」

マスター「多分…」

盗賊「そういやフィン・イッシュがオークに武器を渡してるという話も聞いた事があるんだが…」

マスター「それも恐らく公爵が関与して居ると思う」

ローグ「あっしの言った通りでやんしたね?戦争を誘導していやすね…」

盗賊「あっちでもこっちでもマッチポンプか…どういう利があるか分からんな」

ローグ「表の顔じゃ和平交渉の先導役…こうやって足掛かりを得てるんすね」

盗賊「つまりすでに国の要人になってるってこったな…力を持った貴族はもう居ないってのは聞いて呆れる」

ローグ「力は金だけじゃ無いっすね…信用が力になる」

盗賊「だから暗殺がはびこる訳か…この状況をアサシンは黙って居ると思うか?」

ローグ「アサシンさんの敵は魔王なんすよ…魔王亡き今…守れなかった多くの命への懺悔の日々なんす」

盗賊「そういう所なんだよなぁ…女王に目染められなかったのは」

ローグ「不死者となってしまったんで無理も無いでやんすよ」

マスター「質問…あなた達は白狼の盗賊団としてフィン・イッシュへ?」

ローグ「…」ピタ

盗賊「それを聞いてどうする?」ジロリ

盗賊「ぶっ!!あのアホ豪族か…あいつらどうなったんだろうな?」チラ

ローグ「セントラルに移送中な筈でやんすが…どうなりやしたかねぇ?」チラ

マスター「その口ぶりは事情を知って?」

盗賊「まぁな?囮だ囮!!」

マスター「まだ白狼の盗賊団は健在と見て良さそうね…」チラリ

盗賊「…」ジロ

マスター「??」

盗賊「さぁて!!仕事だ仕事…」グイ グイ ギュゥゥ

マスター「え!?どうして…」

ローグ「盗賊さん…」


ギロリ


盗賊「お前が盗賊ギルドの一員だった時どういう風に呼ばれて居たか知って居るか?」

マスター「…」

盗賊「女狐のお銀…セントラル支部で俺らの情報を横流しして居たのは知ってんだ…だから距離を置いた」

女狐「今度は違うわ」アセ

盗賊「上手く俺らに取り入って内部に入り込もうとしてんだろ?残念だが俺もそれほど馬鹿じゃ無ぇ」

女狐「誤解よ…今は盗賊業はやってない」

盗賊「お前を付け狙ってた奴は全員フィン・イッシュの忍びだったと俺が気付かんとでも思ったか?」

女狐「そんな事知らない…」

盗賊「それを公爵からの刺客だと嘘をついた…言い訳出来るか?」

女狐「誤解よ!」

盗賊「それとな?俺らの手口を知っちまった以上もうお前は生きられない…理解出来るな?」

女狐「え…」

盗賊「まぁベラベラと情報を出して信用を得るのは良いが…俺も元盗賊だ…こんな形で身内をやるのは心外だが…」

女狐「ねぇ待って!コブラ酒の契約は?」

盗賊「それを知ってるのは一部の人間だけなんだ…なんでお前がその一人なのかは知らんがな」

女狐「私を殺すつもり?」

盗賊「ローグ!!足を押さえろ」

ローグ「へい!!」グイ

盗賊「お前とは酒場の繋がり程度で止めて置きたかった…」スラーン

女狐「お願い…殺さないで…もう裏切らないから」ジタバタ

盗賊「ふぅぅ…アサシンはこうやって身内を屠って来たか」

ローグ「盗賊さん…」

女狐「お願い止めて…」

盗賊「あばよ…」ブン


グサリ! ポタポタ


剣士「んあぁぁ痛いなぁ…」ポタポタ

盗賊「剣士!邪魔すんな…間違い無くこいつは刺客だ」

剣士「もっと平和に行こうよ…僕は幻術が得意な魔術師なのを忘れているよ」

女狐「ひぃぃぃ…はぁはぁ」ブルブル

剣士「人道に反するけどこの場合仕方が無い…催眠魔法!…君は僕達の秘密を他の誰にも話せない」

女狐「な…何を…」

剣士「人助けさ」

盗賊「なるほど…口封じはそれで良い訳か」

剣士「君がどう行動するかは自由だよ?でもね…一線を越える様な場合はどうなるか保証出来ないのは覚えて置いて」

女狐「…」ゴクリ

ローグ「こっわ…」

盗賊「命拾いしたな?これで俺らがどういう人種なのか理解出来たろう」

女狐「私の体は子供のまま?」

剣士「そうだよ…いつ元に戻るか僕も分からない」

女狐「フフフ…アーハハハハ完敗ね…もう何も出来ない」

盗賊「まだたんまり色々知って居そうだな?」

女狐「もう全部話したわ…私は白狼の盗賊団に憧れていた…突然盗賊が現れて試してみたくなった」

盗賊「やっと本音が出たか…裏切り癖さえなけりゃ俺らの仲間だったかも知れんのにな」

女狐「縁が無かったのね」

盗賊「お前だな?10年前にシャ・バクダ宿屋の店主と看板娘を嵌めたのは」

女狐「公爵はその頃から白狼の盗賊団を意識していた…私は雇われただけ」

盗賊「アサシンがやる気を失くしたのはその頃からだ」

ローグ「もしかして盗賊ギルド解体の裏にも公爵が関わって…」

女狐「気付くのが遅いわ」

盗賊「どうも生かして置けんなこの女…」

女狐「私は常に雇われ…悪気は無いのよ…私を雇う気は無い?」

剣士「何言ってるのさ…君はもう僕に逆らえないんだよ?自由にさせてあげてるだけだってさっき言ったじゃない」

女狐「う…」

盗賊「まぁそういう事だ…死ぬまで働け」


トントン


ローグ「誰っすかねぇ?こんな夜遅くに…」

盗賊「客だ…入って良いぞ!」


ガチャリ ギーー


ローグ「あらららら?どういう事っすか?」

怪しい女「話はすべて聞かせて貰った」

盗賊「俺らの隣の部屋は忍びが借りてる訳よ…その女が魔女からの使いだ」

ローグ「ええええ?マジっすか…」

くノ一「強力感謝…これで一族にも説明が付く」

盗賊「酒場のマスターをどうする?連れて行くか?」

くノ一「もう泳がせる必要は無くなった…連行する」

マスター「いつから手を組んで…」

盗賊「お前の家に行った時だ馬鹿が…お前が思うより忍びはずっと優秀なんだ」

マスター「フフフ…さすが白狼の一味」

盗賊「ほんで何処に連行するんだ?俺らはどうすれば良い?」

くノ一「今宵は夜が明けるまで待たれよ…早朝に狼煙を上げる故にそこを目指すのだ」

盗賊「狼煙…また古典的な」

くノ一「急ぐ故失礼!…付いて来い」グイ


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『早朝』


チュンチュン ピヨ


盗賊「なんで狼煙なのよ…見つけたか?」

ローグ「城の方じゃ無さそうっすねぇ…墓地も違う…」

剣士「ねぇ山の上の方…あれじゃ無いかな?」

盗賊「なぬ!?…あそこは古代遺跡に近い場所だ」

剣士「女王が忍んでいる場所ってもしかして…」

盗賊「なるほど…人里離れているという事か」

剣士「飛空艇で行く?」

盗賊「動物が多くて荒らされるかも知れんぞ?こっからなら歩いて2時間…」

剣士「歩きかぁ…じゃぁちょっと買い物して行きたいなぁ」

盗賊「ヌハハ金ならあるぞ?好きに使え」ジャラリ

剣士「女オーク?装備品を新調出来る…買いに行こう」

女オーク「私は今のままで良いわ」

剣士「ダメダメ…金属糸は僕には作れないからインナーだけでも買いたい」

盗賊「おおそうだ!銀の武器を一応用意しろ…ゾンビが出るかも知れんからな」

剣士「おけおけ…行くよ!」グイ

盗賊「集合は墓地!!良いな?」

剣士「分かった~」シュタタ


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『2時間後_墓地』


スゥゥ ハァァァァ モクモク


ローグ「それ葉巻っちゅう嗜好品すね?煙なんざ美味いんすか?」

盗賊「ドワーフが吸ってるのを見て俺も試したくなってな…苦みが癖になる」モクモク

ローグ「あ…剣士君達も来やしたね」

盗賊「おぉ丁度良かった」

剣士「ゴメン!待ったかな?」シュタタ

盗賊「葉巻一本吸うくらいにはな?」

ローグ「装備品新調した様に見えやせんが…」

剣士「インナーだけさ…身に着けてるのと着けてないのじゃ傷の具合が全然違うから」

盗賊「違い無ぇ急所がカバー出来てるしな…さて行くか!!」スック

ローグ「こっから先は魔物が出るんすよね?」

盗賊「うむ…まぁリザードマン程度だからどうって事も無いが…」スタ


---------------


『林道』


バサバサ ザクザク


盗賊「…確かこの辺りに獣道があった筈なんだが…」キョロ

ローグ「なんかやけに静かな林っすね…」

剣士「あああ!!松ぼっくりみーっけ!!」スタタ

盗賊「一応魔物に警戒してだな…」

女オーク「毒キノコもあるわ…」ドスドス

ローグ「ハハ警戒感ゼロでやんすよ‥」

剣士「んん?木の上に何か居る…」クンクン

盗賊「どこだ?」ダダ

剣士「お面を被ってる…あれ忍びかな?」

盗賊「天狗だな…」

剣士「こっち見てるね…なんかエルフみたいで気味が悪い」

盗賊「ふむ…俺らを監視してるのか…それとも迎えに来たのか」

剣士「迎え?やっぱり忍びの人?」

盗賊「詳しくは知らん…ただこの辺では始めて見る」

剣士「まぁ気にしなくて良いかぁ…女オーク!松ぼっくり集めて行こう」スタタ

女オーク「うん…」ドタドタ

盗賊「おい!あんまり遠くへ離れるなよ?」



----------------

ローグ「あの天狗あっしらの前方で一定距離保って居るでやんす」

盗賊「どうやら俺らを案内してんな?」

剣士「ねぇここ狭間が近いよ」

盗賊「どういう事だ?」

剣士「あの天狗見失わない様に進まないと迷う可能性がある」

盗賊「ほ~ん…なるほどな?忍びの隠れ里がある訳か」

剣士「天狗に付いて行こう」スタ

盗賊「おいおいお前が一番迷いそうだマテ」




『隠れ里』


剣士「…この赤い門みたいな奴は何?」

盗賊「鳥居ってんだ…しかしまぁ上手く隠したな」

ローグ「鳥居の向こう側で天狗が立ち止まっていやす」

盗賊「潜って来いという事か…」

剣士「…なんだろう?不思議な感じだ」スタ


くノ一「客人の案内ご苦労…」


盗賊「おぉ忍びの姉ちゃん…ここは何だ?」

くノ一「我ら忍びが修行する隠れ里だ…こちらへ…アサシン殿が待っている」

剣士「やっと合流出来たね」

盗賊「ここに女王が忍んで居るんだな?」

くノ一「如何にも…信用出来る者が分からぬ故の事」

盗賊「女王は無事なんか?」

くノ一「…付いて来い」スタ

『隠れ屋敷』


女戦士「剣士か?良く来たな…」

剣士「良かった…貝殻が通じないからどうしたかと…」

女戦士「どうやらここは狭間の中らしい…エルフの森と同じだ」

情報屋「待って居たのよ?」

剣士「女王様の容態は?」

女戦士「落ち着いては居るが昏睡が続いていてな…今は熱病で苦しんでいる」

剣士「線虫を掛け直す…見せて貰っても良い?」

女戦士「…との事だが構わんか?」

くノ一「…奥の部屋だ…一人だけ付いて来い」スタ

剣士「うん…」スタ



『奥座敷』


ハァハァ…


アサシン「…」ジー

剣士「アサシンさん…輸血の効果は?」

アサシン「…見ての通りだ…ゾンビ化の病と戦って居る」

剣士「大丈夫まだ生きてる…治療し直すよ」ゴソゴソ

くノ一「何をする気か?」

剣士「光の魔方陣を作って居るのさ…少し待って」ゴソゴソ

くノ一「この者は魔術師なのか?」

アサシン「信用して良い…勇者の血を引く者だ」

剣士「おっけ!浄化魔法!」シュゥゥゥ

女王「はうぅぅぅ…」ピクピク

剣士「線虫!癒せ!」ザワザワ ニョロリ

くノ一「…」ギュゥ グググ

剣士「よし…最後に睡眠魔法!」zzz

女王「すぅ…」スヤ

剣士「ゾンビ化した部分は浄化した…あとは線虫が傷を癒してくれる…目が覚めたら麻薬の事は夢だと思って居る筈」

アサシン「そうか…これで安心した」

剣士「もう僕に出来る事は無いから戻るよ」スック

くノ一「これで女王様はお目覚めに?」

剣士「うん大丈夫…あ!そうだ…夜光虫来い!」フワフワ ピカ

くノ一「これは…」

剣士「蛍だよ…命の水を運んで来るんだ…まぁ出来る事はこれで最後かな…じゃぁ行くね」スタ

『土間』


メラメラ パチ


剣士「へぇ?不思議な作りの屋敷だね…家の中で焚火出来るんだ」

情報屋「これが又便利なのよ…スープがあるけど居る?」

剣士「うん…少し貰う」

盗賊「さて!魔女が居ないがこれで全員揃った…いやいや久しぶりだ」

情報屋「今日は話が尽きなさそう」

盗賊「酒が無いのが寂しい所だ」

商人「僕持ってるよ…居るかい?」

盗賊「お?商人が酒を持ってるたぁどういう事よ」

商人「僕にも色々あるのさ」

盗賊「むむ…お前フードで顔を隠す様になってから様子がおかしいとは思って居たがまさか…」

商人「ハハ血色の悪さが隠し切れなくてね…僕の心臓はとうに止まって居るよ」

情報屋「まぁそういう話は今度にしましょう…はいスープ飲んで」

剣士「ありがとう…」ズズズ

情報屋「じゃぁ情報交換しましょうか…」


カクカク シカジカ


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盗賊「フィン・イッシュで信頼出来るのは近衛侍と忍びの一族だけという事か…」

情報屋「そう…私達もセントラル国王から疑われて身の危険があるからこの隠れ里に潜んでるという訳」

盗賊「しかしまぁセントラル国王は馬鹿というか直ぐに騙されちまうんだな」

女戦士「そういう馬鹿正直な男だそうだ」

盗賊「暗殺の主犯の件は伝わって居ないのか?」

女戦士「近衛侍の方から伝えに行ったそうだがまだ反応は見て取れない」

盗賊「まぁ自分の家系から裏切り者が出てるのは認められんかも知れんな」

情報屋「家系から出たというか上手く利用されたのね…公爵という人物に」

商人「僕も驚いたさ…公爵は主要なお得意さんで悪い人では無かった」

盗賊「お前会った事はあるんだな?」

商人「無い…影武者なら会ってるかもしれないけど向こうも本人が動いてるとは思えないしね」

盗賊「魔女が女王にすり替わっているのだが…」

女戦士「和平交渉を女王無しでは進められないのだよ」

盗賊「勝手にやらせてて良いとは思えんのだが」

女戦士「女王の側近にも利用されている人間が居るかもしれないのだ…その辺りのコントロールは魔女に任せた方が良いと思う」

盗賊「独裁国家になっちまうぜ?」

女戦士「近衛侍はその辺を心得ているぞ?まぁ元より近衛侍は和平を望んで居ない」

ローグ「なんか読めて来やしたぜ?和平交渉は公爵から一方的に提案されてるんすね?」

女戦士「そういう事だ」

ローグ「元々戦争の小競り合いは公爵が誘導したマッチポンプ…その辺りを近衛侍は感づいてるんすね」

女戦士「その通り…セントラル国王率いる軍隊を足掛かりにフィン・イッシュの分断を謀って居るのだよ」

盗賊「つまり和平では無く攻めに転じた方が国の為…近衛侍はそう判断しているのか」

女戦士「その戦争を回避するには首謀者の暗殺…これが一番有効になる」

盗賊「実はだな…俺らがこっちの大陸に来た目的が…」


どうやら時の王の資産を全部公爵が抑えて居てな

その中にアーティファクトの冒険の書もあるらしいんだ

他にも色々有るかも知れ無ぇ

ほんで俺がそれを盗みに行くつもりだった訳よ


女戦士「ふむ…目的は合致するな」

盗賊「殺すつもりは無かったが…剣士は公爵を骨抜きにする術を持って居る」

女戦士「剣士が?どんな隠し玉がある…」

剣士「幻術だよ…記憶を奪う事も出来る…人道を外れるけど」

女戦士「なるほど…命を奪う事無く事を納められるのか」

剣士「もう一つ大事な事を忘れてるよ…公爵は魔王を封じた魔石を持って居るかもしれない」

女戦士「なに?」

商人「ちょっと待ってちょっと待って…その情報の出所は?」

ローグ「あっしでやんす…証拠はありやせん…只状況証拠ならいろいろ知って居やす」

商人「魔王を封じた魔石を公爵が持って居たとすると…大量の魔石貿易はそこから来てる…」

ローグ「そういう一切合切を盗みに行くのがあっしらがやろうとしてる事でやんす」

商人「なんか色々読めて来たぞ…疑問が残るのが公爵の目的」

ローグ「それが分からんのです…公爵が冒険の書で何を見たかなんすよ」

情報屋「冒険の書…私が読んだのは遥か昔…光る隕石で溶けて行く世界のお話」

剣士「多分それは本当に在った出来事で精霊の記憶の一部…」

情報屋「分かるわ…同じように公爵も何かを見たなら啓示を感じたのかも知れない」

商人「啓示?」

情報屋「予言の一種よ…私もなんとなく知ってた…光る隕石が世界を滅ぼすって…」

商人「子供が生まれなくなる件の事か…」

情報屋「その時代…放射能と呼ばれていた」

ローグ「放射能…始めて聞く言葉っす」

情報屋「そういう知識が啓示の一つ…いわゆる予言なの」

剣士「じゃぁやっぱり地軸の移動も公爵は事前に察知していたと考えて良いね」

盗賊「国のお偉いさんには通達していた様だしな?」

女戦士「とりあえず公爵は危険な人物である事には変わりない…これからどうするか」

剣士「公爵の件は一旦僕に預けて欲しいかな…アダムの秘密を聞き出したいんだ」

女戦士「ほう?幻術で喋らせるか…」

剣士「うん…大きな戦争に発展してからでは探すのも困難になりそうだ…ここは隠密に行こうよ」


スタスタ


アサシン「話に割り込む様だが…一つ言っておく…公爵は悪い人間では無い」

盗賊「おっとぉ?どういう訳なんだ?」

アサシン「元は私達の同志なのだ…盗賊ギルドの良き支援者でもあった」

盗賊「なんだよ真逆な意見を言うじゃ無ぇか」

アサシン「私達とは手段が違うだけで公爵も世界を救おうとしている…只噛み合って居ない」

商人「参ったね…関りが複雑で何が何やら…」

アサシン「仮に私達がその魔王を封じた魔石を手に入れたとして向こう陣営にどう映ると思う?」

商人「アーティファクトを使って世界を動かしている様に見えるだろうね…」

アサシン「それと同じだ…向こうにはこちらの動きが常を逸した一党に見えているのだよ」

ローグ「ちっと待ってくださいよ?公爵がやって居るのも移民を促して結果的に人を救う行為っすね」

剣士「ドリアードを復活させたのはどう説明するの?」

アサシン「私達は精霊樹を…向こう陣営はドリアードを…手段が違うだけでやって居る事は同じという事だ」

剣士「そんな…じゃぁアダムは破壊する必要が無かったと?」

アサシン「エルフには破壊する必要があっただろうな…どちら陣営が力を持つかだけの差だよ」

剣士「こういう事か…僕達は魔王に侵されるのを拒んだ…向こうは魔王を受け入れた」

アサシン「そういう事だ…魔王は世界の半分を約束する…つまり半分の人間は生き残る」

商人「くそぉぉ!!」バン

情報屋「商人…」

商人「初めからボタンを掛け違って居ると言うのか?もう半分どころか10分の1も生き残って居ない!!」

アサシン「私が掛け違ったボタンだ…始めの魔王復活を邪魔しなければこうはならなかった…済まない」

盗賊「初めから公爵の思惑通りに魔王を魔石に変えときゃ被害は無かったと言いたいのか?」

アサシン「それに抗って事態を悪い方へ転じさせたのは私達なのだよ…意味が分かるか?私達は白い悪魔なのだ」

盗賊「あぁ胸糞悪いな…お前はそれでやる気失せた訳だ」

アサシン「クックック言わないでくれ…」

剣士「…」


僕が初めに自分を意識し始めたのは光る夜の時だった

思い返せば無意識に虫を集めて居た様な気もする

そしてダイダラボッチを起こして光る隕石が落ちた

子供が生まれない原因を作ったのは

僕かも知れない

ボタンを掛け違うというのはこういう事

もう取り返しが付かない

僕のせいで世界は滅ぶ…

魔王は僕だ…

『庭園』


チョロチョロ カコーーン


盗賊「妙な仕掛けだ…こりゃ何の意味がある?」

情報屋「これは鹿威しという仕掛け…野生の動物が寄って来ない様にする古来の工夫よ」

盗賊「ここは安全なんだろうがどうも退屈だ…」

情報屋「仕方ないわ…女王が目を覚ますまではフィン・イッシュに居ては私達も危険」

盗賊「そうだ…まだ言って無かったんだが新しい遺跡を発見したんだ」

情報屋「え!?何処に?」

盗賊「外海なんだがフィン・イッシュから北西だな…なんつったっけ…えーとハウ・アイ島という所があるんだ」

情報屋「知らない…いつの時代なのか分からない?」

盗賊「キ・カイと同じ開かずの扉が在るらしい…ほんでな?どうやらフィン・イッシュの祭事に使う祠も同じ様だ」

情報屋「えええええええ!?見たい…」

盗賊「まぁここの祠は女王に許可貰った方が良さそうだな」

情報屋「ちょっと待って…確か旧時代の世界地図をメモしてた筈…」ペラペラ


あった…そうよ…遺物が残って居る可能性のある分布図

フィン・イッシュも対象に入ってた…セントラルにもある筈

古代文明の遺跡の上に新しい文明が発達するのよ

ええと…今言ったハウ・アイ島はここの島ね?


盗賊「ちっと地図をひっくり返せ…」

情報屋「こう?」クル

盗賊「ふむ…大体そんな位置だな」

情報屋「未踏の地にある遺跡なんて大発見だわ」

盗賊「そこにな?リヴァイアサンと思われる大型の電気ウナギがいてよ…フィン・イッシュまで運ぼうとした探検家が居たんだ」

情報屋「リヴァイアサンが電気ウナギだった?本当に?」

盗賊「真相は分からんが剣士はそう思ってる」

情報屋「キ・カイと同じという事はウンディーネ時代より前…そしてホムンクルスが居るかもしれない」

盗賊「そういうこった」

『座敷』


シーン…


アサシン「…」ジーー

剣士「アサシンさん…」

アサシン「剣士か…どうした?」

剣士「瞑想しているの?」

アサシン「まぁそんな所か…」

剣士「さっきの話…アサシンさんはどんなボタンの掛け違いを?」

アサシン「クックック…直接本人に聞きに来るとはお前も肝が据わって居る」

剣士「あ…昔の話は聞かされてなくて知らないのさ」

アサシン「私はお前の父親を殺そうとして居たのだ…いや一度魔王と一緒に葬った」

剣士「100日の夜だね?」

アサシン「それを招いたのも私の未熟からの結果なのだよ」

剣士「僕も取り返しの付かないミスをしてた事に気付いた…」

アサシン「ほう?」

剣士「10年前に光る隕石が落ちたのは多分僕のせいだ…そして子供が生まれ無くなった」

アサシン「…」

剣士「僕はね…生まれて来る筈の命を全部奪ってしまた様に思う」

アサシン「私と同じだと言いたいのか?」

剣士「うん…アサシンさんも同じ様に取り返しの付かない事で沢山の命を奪ってしまったんだと思う」

アサシン「私はその時薄々感づいて居たのだ…ただ自分の行いを正当化したかった…未熟故にな」

剣士「その時って?」

アサシン「公爵とは旧友なのだ勇者を葬る考えは一致していてな…奴は魔王を勇者諸共魔石に変えると息巻いていた」

剣士「そっか…アサシンさんのお陰で僕が生まれたのか」

アサシン「私では無い…お前の母…女海賊がすべてを塗り替えた…私の心までもな」

剣士「ママが…」

アサシン「私はな…勇者と魔王は表裏一体だと思って居た…勇者の元に魔王が来る」

剣士「…」

アサシン「勇者を葬れば魔王は来ない…それは考えが甘かった…魔王を集めるのは祈りの指輪を持つ誰でも良かったのだよ」

剣士「祈りの指輪…」

アサシン「つまり公爵の思惑通りに進めればもっと早くに魔王を魔石に出来て居た筈…これが私の掛け違えたボタンだ」

剣士「そうすれば被害は最小で済んだ?…という事だね」

アサシン「私が足掻くが故に多くの友に手を掛けなくてはならなくなった…これが罪」

剣士「…ちがうよアサシンさん…それは結果論だよ…例えその時魔王を魔石に封じたとしても人類の滅亡はどんどん進む」

アサシン「私に講釈をするか…」

剣士「分かって居るんだ…人間の心から魔王は居なくならない…魔王は又来る」

アサシン「それを無くしたいと足掻き続けた結果…どんな未来が見えるのか…私には分からなくなってしまった」

剣士「ねぇアサシンさん?僕は取り返しの付かないミスをした事に気付いても不思議と前を見てる」

アサシン「ドワーフの血か?」

剣士「多分ね…僕が魔王を集めたらどうなると思う?」

アサシン「お前が魔王になると言うか?」

剣士「いや…多分もう既に魔王なのさ…幻術が得意な魔王…寄生虫を使ってすべてを操れる魔王」

アサシン「クックック馬鹿な事を言うと思えば…」

剣士「大丈夫…僕はコントロール出来てる」

アサシン「お前が魔王になったとしてどうする?世界を滅ぼすか?」

剣士「もう滅ぼしてしまった…それに気付いたよ」

アサシン「クックック馬鹿馬鹿しい…」

剣士「…どう?少しは気が晴れた?」

アサシン「退屈しのぎにはな?」

剣士「見て…いのりの指輪だよ」キラン

アサシン「…何故お前が持って居る?」

剣士「魔王だからさ…僕は人が抱える闇を取り込むことが出来る…でも僕には何も影響が無い」

アサシン「…」ギロリ

剣士「夜光虫!来い…」フワフワ

アサシン「蛍か…」

剣士「こうやって光を見せる事だって出来る」

アサシン「それがお前の答えか?」

剣士「ねぇもっと教えてよ…パパとママの事」

アサシン「フフ…」---これが勇者と魔王のあるべき姿なのかもしれない---


---これに気付くのに随分犠牲を払った---

---私はまだ生きて良いのか?---

---こう思えるのが希望なのか?---

『道場』


カン カン コン

次は3人同時で構わない…来い!

行くぞ…同時に切りかかれ

はぁっ!!飛んだ?

着地にスキ在り!!


女戦士「フフ…流石に土に足を付けねば避けられんか…」

近衛侍「いやはや3人掛かりでは無いと懐に付けぬとは御見それ行った…」

女戦士「近衛侍達も良くここまで修行した物だ…型を見たいのだが良いか?」

近衛侍「由何…夢幻一刀流…鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン

女戦士「ふむ…私には出来そうもないな」


タッタッタ


剣士「音がすると思ったらここで立ち合いやってたんだね」

女戦士「剣士か…丁度良い見て行くと良い」

剣士「パパの型だ…僕も少し出来るよ」

近衛侍「ほう?」

剣士「ほら?鶴切り…鶯…不如帰…月光…燕返し」スン スン スン

近衛侍「その光る刀…いつぞやの剣豪の刀と見受ける」

女戦士「剣士!ここで真剣は抜くな」

剣士「あぁゴメン…」スチャ

近衛侍「しかしまだ若い」

女戦士「その剣豪の子なのだ…その刀は形見」

近衛侍「そうであったか…抜刀術の神業を拝見した事がありましてな」

剣士「パパは腰に差した刀からの抜刀術が基本だったね…僕は刀を背負ってるから出来ない」

女戦士「剣士…少し立ち会って見るか?」

剣士「おけおけ…ビッグママ…いや女戦士と立ち会うのは初めてだね」スチャ

女戦士「お前も時空を超えるのだろう?どれ程か見させてもらう」スチャ

近衛侍「ほほー面白い立ち合いと見た…某が合図を」

剣士「おっけ!!いつでも良いよ」

女戦士「…来い!」

近衛侍「始め!!」

剣士「行くよ?」ダダ


カン カン コン


女戦士「なに?互角…」

剣士「あれ?防がれたなぁ…もう一丁!!」ダダ


カン カン コン


女戦士「これならどうだ!」グググ

剣士「くそう…」タジ

女戦士「ふん!!」ブン

剣士「うわぁぁ…」ゴロゴロ

女戦士「てい!!」ダダ

近衛侍「勝負あり!!」ビシ

女戦士「…」

剣士「強いなぁ…体格差か」

女戦士「剣士…時空の修行は終わって居なかったのでは無かったか?」

剣士「うん…飽きちゃったからさぁ」

女戦士「フフ親が親なら子も…そういう事か」

近衛侍「いやいや…なかなか良い試合を見させて貰った…若いのに見切りを体得して居られる」

女戦士「正直私も驚いた…格闘術を併用しないと剣術だけでは危険を感じた」


シュタタタ


くノ一「近衛侍!女王様がお目覚めに…」

近衛侍「おぉ!!試合の最中であるが御免…」スタタ

剣士「あ…走り方もパパみたいだ…」

女戦士「剣士…お前の父は剣技を伝えてこの国を守って居るのが分かるか?」

剣士「そうだね…分かるよ…多分剣の型の中にパパの意思が入ってる」

女戦士「それが分かれば良い…さて私達も女王の下へ行くか」スタ

『奥座敷』


くノ一「女王様…まだ御安静に…」

女王「良いのです…アサシン様…近くへ」

アサシン「ご無事で…」スス

女王「夢を見ました…アサシン様に背負われる夢です…又私はアサシン様に救われたのですね?」

アサシン「看病は近衛侍と忍びの一族が…」

女王「くノ一…私はどれ程眠って居たのでしょう?」

くノ一「7日程…」

女王「そうだったのですね…私が隠れに居る理由が良く分かりませんがご苦労をおかけしました」

くノ一「滅相も無い…無事に目覚めて何より」

女王「アサシン様は事情を把握しておられて?」

アサシン「勿論…ですが今は御ゆるりと」

女王「子ども扱いですか?」

アサシン「フフまずは女王様の体力回復が先にと…」

女王「少し体を動かしてみたいのです…補助をお願いできますか?」

アサシン「御手を…」スッ

女王「昔の様に話して頂けませんか?他人行儀は嫌なのです」

アサシン「…これで良いのか?」

女王「はい…その方がアサシン様らしい」

アサシン「座敷で懐かしい顔が増えている…何か口にするか?」

女王「少し口が渇いております」

アサシン「スープがある様だ…飲むが良い」

『座敷』


アーデモナイ コーデモナイ


盗賊「お!!嬢ちゃん…目ぇ覚ました様だな?」

情報屋「もう動いて平気なの?」

女王「盗賊様…お久しぶりで御座います」

盗賊「嬢ちゃんが握ったおにぎり食いに来たぜ?」


タッタッタ


剣士「ふぅ…あ!!女王様?」

女王「こちらの方は勇者様?」ハテ?

盗賊「あーーそいつは勇者の子供でな…剣士と名乗ってる」

女王「そうだったのですね…お世話になっております」フカブカ

剣士「え?いやぁ…こちらこそ」ペコペコ

アサシン「情報屋!スープを飲みたいらしい」

情報屋「用意するわ」アセアセ

盗賊「改めて紹介する…こいつが勇者の子で剣士な?」ドン

剣士「あ…はい」ペコペコ

盗賊「ほんでこっちのデッカイのが女オーク…ほんでこっちの貧相なのがローグ」

ローグ「いや貧相って酷くないっすか?」

女王「皆様この度は御迷惑をおかけした様で…」ペコペコ

剣士「いや…こちらこそ」ペコペコ

盗賊「何やってんだ…まぁまず食って体力付けてだな…てか俺ん家じゃ無いんだけどよ」

情報屋「肉と野菜のスープです…どうぞ」

女王「ありがとうございます…」スス ゴク

盗賊「ほほーやっぱ食い方が上品だな」

剣士「どんぐり居る?松ぼっくりもあるよ?あーそうだキノコもあったんだ」

女王「この雰囲気…皆様お変わりなくて安心しました」

盗賊「キノコは生じゃ気持ち悪りぃ…ちっと貸せ!焼いてやる」


ワイガヤ

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女王「…松の実は私も大好きなのです」モグ

盗賊「キノコ焼けたぜ?」

剣士「僕も食べたい…」

盗賊「おー食え食え」

商人「良いなぁぁ食べられて…お酒だけじゃ口が寂しい」ゴク

アサシン「腹は減って居ないだろう?」グビ

女王「少し食べたら力が湧いて来たようです」

盗賊「まだ畑仕事やってんのか?」

女王「勿論…お陰で体力には自信があるのです」

盗賊「そりゃ良い…そういや船の操作の仕方教える約束すっかり忘れてたわヌハハ」

女王「船…そうでした港の船はどうなったのかご存じ無いでしょうか?」

盗賊「離岸してバラバラに停船してたぞ?」

近衛侍「女王様…政務の事は私共にお任せを…今は御歓談を続けて頂いて結構」

女王「私には約束事が沢山あった筈…」

近衛侍「ですから女王様はご心配なさらず静養されて下さい」

女王「…そうですか」

盗賊「まぁ座敷でゴロゴロすんのもそろそろ飽きたろぅ?ちっと散歩でもし無ぇか?」

女王「そうですね…近衛侍!外に出てもよろしいですか?」

近衛侍「お体に障らない程度に…」

盗賊「実はよ?祭事の時に使う祠が合ったろう?ちっと見たいんだよ」

女王「隠れ里からすぐ近くですね」

盗賊「あと温泉にも入りてぇな…」

女王「温泉…私も入りたいのですが側近が居なくては…」

くノ一「私目がご一緒します」

盗賊「ほんじゃ静養がてら温泉に行くぞ!!」

近衛侍「警護はお任せあれ…」

『林道』


サラサラ サラサラ


女王「この小川を少し下った先が祭事の祠です」

剣士「この辺りはキノコが一杯だね」

女王「毒キノコですので食さない様に…」

剣士「大丈夫大丈夫!女オーク?このキノコ食べられそうだ」

女オーク「私専用ね?ウフフ」

盗賊「嬢ちゃん実はよ?俺らが祠に行きたい理由を言って無かったんだが…」

女王「はい察しております…」

盗賊「なんで聞か無ぇんだ?」

女王「察しておりますのでわざわざ聞く必要も無いと思いまして」

盗賊「扉を開けても良いのか?」

女王「どうぞご自由に…私は誰かのお役に立てる事が嬉しいのです…特にアサシン様には感謝しきれない恩がありますので」

情報屋「その祠は龍神を奉った祠よね?実はこの人たち龍神を発見してるのよ」

女王「そうだったのですね…龍神はいづこへ?」

盗賊「未踏の地で眠って居た様だ…今は外海で元気に泳いでる」

女王「伝説では龍神が祠を守って居たと伝えられています…きっと未踏の地にも祠が有るのでしょうね」

剣士「僕が説明するよ…多分誰かが龍神の使う雷で扉の開閉をしていたんだよ」

女王「誰か…」

くノ一「口を挟みますが我ら忍びの始祖…一角仙人かも知れません」

剣士「へぇ?」

くノ一「仙人には沢山の逸話が残って居ます…妖術を操り魔物を退けたなど…」

盗賊「まぁ俺らはその謎が知りたい訳だ」

情報屋「私は考古学者なので古代文明との繋がりを調べたい」

女王「なんだかワクワクする話ですね…奥に何があるのか楽しみになってきました」

盗賊「そう言って貰えると俺も鍵開けをやり易い…まぁ楽しみにしていてくれ」

『祭事の祠』


ピチョン ポタ


情報屋「入り口が大分風化しているけど古代遺跡に間違いないわ」

女王「奥に祭壇があります…ついて来て下さい」スタ

情報屋「並んでいる石造は割と年代が新しい…」

女王「それは農業の神を奉った石造ですね…林道にも沢山ありますよ」

アサシン「クサナギの剣は祭事でどの様に使うのだ?」

女王「祭壇に置くだけですよ…置いても何も起こりませんけど」

アサシン「これは私が持って居て良い物なのか?」

女王「どうぞお持ちください…私には必要の無い物ですから」

アサシン「私はこの剣を返そうと思って居たのだが…」

女王「なぜ返されようとするのですか?」

アサシン「私はもう殺める事をしたく無いのだ」

女王「ではその剣でお守り下さい…私を守って下さった様に…どうか民をお守りください」

アサシン「守る…」

女王「ふさわしい方にお渡ししているつもりなのです」

アサシン「フフまぁ良い…祭壇は何処だ?」

盗賊「おぉコレか!このどす黒い器はなんだ?」

女王「贄として捧げる男性の血を入れる器です…古来からの慣わしなのです」

情報屋「龍神に血を?」

女王「龍神と言っても色々な龍神が居るのです…中には血を好む龍神も居ます」

盗賊「ほ~ん…で?この祭壇の裏にあるのが例の扉か…」

女王「開けられそうですか?」

盗賊「こりゃキ・カイの扉と一緒だ…そうだな2時間で開く」

女王「時間が掛かるのですね…」

盗賊「温泉に行って来ても良いぞ?」

情報屋「そうね…開いた後に調査もしたいし今の内に入って来るわ」

剣士「僕も行って来るよ…女オーク!温泉行こう」グイ

女王「では後ほど戻ってきます…ご安全に」スタ

『開かずの扉』


ヒュゥゥゥ


商人「もう扉を開けるのは慣れたもんだね」

盗賊「こう何度も開けりゃな?しかしお前…やけに落ち着いてるじゃ無ぇか…ホムンクルスが居るかもしれんぞ?」

商人「ハハ僕は居ないと思うよ…何故ならホムンクルスが生前に残された生体の数を教えてくれているから」

盗賊「ヌハハそういう事か…楽しみ半減だな」

商人「まぁこれで少し謎は解けた…ホムンクルスの寿命は400年…どうやって精霊が何千年も生き続けたのかね」

盗賊「体を乗り換えて来たって事か」

商人「うん…この大陸にはもう生体は残って居ないのさ」

盗賊「じゃぁ誰がこの扉を開け閉めしてたか?ってのが今から分かる訳だ」

商人「大体想像が付く…過去に戻った勇者2人だよ」

盗賊「仙人ってのもそうだな?」

商人「多分ね…それより未踏の地にあるという古代遺跡の方が気になるよ」

盗賊「ホムンクルスが眠って居る可能性が有るんか?」

商人「うん…残された生体の数は当時の行ける範囲での話さ…未踏の地は除外してる筈」

盗賊「でもよ?リヴァイアサンがそこで凍ってたって事はそっちにも行ってんだよな?」

商人「行ったけど肝心のリヴァイアサンが凍ってしまった…だから開けられなかった…可能性ありそうだよね?」

盗賊「なるほど…やっぱ行く価値ありそうだ」

商人「行くときは僕も連れて行って欲しい…実はさ…僕精霊樹の所に行って死のうと思ってたんだ」

盗賊「なぬ?」

商人「ゾンビは木に生まれ変われるじゃない?ホムンクルスの所に行きたかったんだよ」

盗賊「まぁ止めはしないが…」

商人「気が変わった…まだこの機械の犬は5年くらいは寿命がある…それまでこの世界の秘密を暴きたくなった」

機械の犬「ワン!」フリフリ

商人「僕のお墓は精霊樹で決まり…まだ体が動くからやれる事やる」

盗賊「おう!そういう生き方好きだぜ?」

アサシン「クックック死者が言う言葉か…足掻き方と言い変えた方が良いがな」

盗賊「そういうお前は王女を守ると言う生き甲斐が出来ただろ」

アサシン「セントラル国王と上手くやっていく自信は無いがな?」

商人「忍びの一族には気に入られて居たじゃない」

アサシン「まぁ退屈しのぎにはなるな…」グビ

盗賊「お?俺にも酒飲ませろ」

商人「僕が持ってるよ」ポイ

盗賊「お前等酔いたいなら聖水飲むんじゃ無いのか?」グビ

アサシン「アレは喉が焼ける…味はワインが最高だ」ゴク

盗賊「しかしまぁ…俺と一緒で酒無しじゃ生きて行け無ぇってな?ヌハハ」

商人「酔えるのが羨ましいよ」

『2時間後』


ホクホク


女王「只今戻りました…扉は空きましたでしょうか?」ホクホク

盗賊「おぉ待ってたぜ~?まだ入って無ぇぞ?」

女王「ワクワクしますね…」

盗賊「剣士!光を頼む」

剣士「おっけ!照明魔法!」ピカー

盗賊「一応危無ぇから後から付いて来てくれな?」

女王「はい…」ワクワク

盗賊「じゃぁ入るぜ?」スタ



『古代遺跡』


シーーン


女王「ガラス容器にテーブル…食器まで…これは一体」

情報屋「食器の年代を調べるわ…」ゴソゴソ

剣士「いつもの古代遺跡とほとんど同じだね…」

商人「やっぱりホムンクルスの生体は無い…予想通りだ」

盗賊「お宝は無さそうだな…」キョロ

剣士「ん?何だコレ?大きな食器かな…それとこっちの宝石みたいな奴は何だろう?」

盗賊「ほーーそりゃ鏡だな…ほんでこっちは又デカイ宝石だな」

情報屋「見せて?…スゴイ!この鏡は相当な年代物…宝石は瑪瑙ね」

女王「もしかすると失われた八咫鏡と八尺瓊勾玉かも知れません」

情報屋「八咫鏡…何かの書物で読んだ事あるかもしれない」

盗賊「まぁこれは嬢ちゃんの物だ…宝具にすると良い」

情報屋「鏡に何か記されてる…古代文字ね…ええとダメね書物が無いと読めない」

剣士「あ!!ここ魔方陣が組んである…退魔の方陣だ…足元に砂銀が置いてあるから踏まないで」

商人「ちょっと機器を触るよ…」ガチャ ガチャ

盗賊「ん?この容器外れるんか?」

商人「その筈…この容器の中にウラン結晶が入ってる筈なんだ」スポ

盗賊「どうよ?」

商人「無い…外されてる…」

盗賊「使ったと見るか?」

商人「だろうね?ここの機器の使い方を知らなかった様だね」

情報屋「食器の年代がバラバラね…陶器があればもっと分かるのに」

商人「一番新しいのは?」

情報屋「700年くらい前ね…銀の食器の傷み具合がバラバラで良く分からないわ」

商人「ガラス容器が全部で6つ…年代毎に何度か来たんだろうね」

ローグ「もしかすると時の王の屋敷にあった精霊の石造は全部本物だったかも知れやせんね?」

商人「そうだね…そこにも石造が沢山あったんだよね?」

剣士「何個あったのか覚えて無いや」

商人「まぁこれで精霊の記憶に連続性が無い事の説明がついた…時の王が困惑した理由だよ」

情報屋「離れて再会するたびに記憶が無い状態なのね」

商人「外部メモリをちゃんと管理する人が居れば別なんだろうけど…」

盗賊「やっぱ遺跡に誰か入られてるとお宝は何も無ぇな…」

商人「鏡と宝石があったじゃないか…十分さ」

盗賊「俺が期待してたのはこのライト見たいな使える小道具なんよ…」ピカー

商人「次に期待しよう」

盗賊「まぁそだな?…ほんで嬢ちゃん!この鏡と宝石は持って帰るか?」

女王「どうしてここに安置されていたと思いますか?」

商人「ふむ…それは歴史を調べないと分からないね」

情報屋「そうね…鏡に書いてある文字を解読すれば何か分かるかもしれない」

女王「では一度持って帰りましょう」

盗賊「隠れ里だな?宝石は俺が運ぶから鏡は誰か持ってくれ」ヨッコラ

情報屋「じゃぁ私が…よいしょ…結構重い」

女王「では戻りましょう…日が暮れてしまう前に」スタ

『隠れ屋敷』


女王「すっかり日が落ちてしまいましたね…私は奥座敷で少し休みますので皆さんもお寛ぎ下さい」

盗賊「嬢ちゃんは病み上がりだからしっかり休め…俺らの事は気にせんで良いぞ」

女王「はい…ありがとうございます…では」ペコリ


スタスタ


情報屋「…」チラリ

女戦士「…」コクリ

情報屋「くノ一さん内密にしておきたい話が…」

くノ一「何用で?」スタ

情報屋「女王様はしきりに喉が渇くと言ってたの…これは麻薬依存の症状」

くノ一「やはりそうですか…」

情報屋「本人は幻術魔法で覚えて居ないけど多分体が麻薬を欲してる…絶対に麻薬に近付けない様に」

くノ一「承知しました」

商人「脳内麻薬の受容体だっけな…それが落ち着くまで時間が必要らしいよ」

情報屋「どのくらい?」

商人「う~ん…分からない…落ち着くまで情緒不安定になるんだってさ」

情報屋「しばらく国の政務には関わらない方が良いかもしれない」

剣士「魔女が精神安定の薬を作れるよ…それと睡眠魔法も効果的だと思う」

くノ一「急ぎで手配させます…」

情報屋「後は出来るだけ不安を解消させてあげる事ね…」

盗賊「それならアサシンしか居無ぇな…アサシンが何でも相談に乗ってやりゃ不安も無いだろ」

アサシン「…」ギロ

盗賊「なんだ嫌なんか?どうせ何もやる事無ぇんだろ?」

『翌朝』


盗賊「おい起きろ…」ユサユサ

ローグ「へい…むにゃ…」

情報屋「もう行くの?」

盗賊「2~3日で直ぐに帰って来る」

情報屋「女王様に挨拶して行った方が良いのでは?」

盗賊「寝てる所を起こすのも悪いじゃねぇか…まぁ適当によろしく言っといてくれ」

剣士「準備出来たよ」

盗賊「ローグが起き無ぇんだよ…おい!起きろ」ユサユサ

ローグ「へ~い…」zzz

剣士「ビックママが酔っぱらてる…」

ローグ「え!!?マジすか…」ガバ

盗賊「アホか!!行くぞ」グイ

ローグ「あら?あららら…」ヨロ

情報屋「公爵の居場所は分かってるの?」

盗賊「行きゃ分かるだろ」

情報屋「和平交渉でこちらに来ているかも知れないって言ってたじゃない」

盗賊「なら都合良いだろ…泥棒に行くんだよ」

情報屋「フフあなたって人は…」

盗賊「まぁ心配すんな…帰って来たら遊んでやんよ」

情報屋「何言ってるの!騒がしいから早く出て行って」

盗賊「よし剣士!来た道覚えてるな?」

剣士「大丈夫」

盗賊「川下って速攻飛空艇に行く…セントラルまで半日程度だよな?」

剣士「うまく風に乗れば夜までには到着する筈…」

盗賊「うし!!急ぐぞ」

剣士「おけおけ…女オークおいで」グイ


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『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「進路東南東…偏西風に乗れてる」

盗賊「いやいや海岸の形が全然違う」

剣士「そうだね10メートル海面が変わるとこうも変わるんだね」

ローグ「海抜の低かった場所は海に浸食されてあっという間に深い海になるんすね…」

盗賊「この分だとセントラルは内壁まで海水が来てるかもしれんな」

剣士「逆だと思うよ…緯度が低いから前より海面が下がってるんじゃないかな」

盗賊「そんなに変わるもんか?」

剣士「月の影響もあると思う…今は北極の方向に月があって海水がそっちに引っ張られる」

盗賊「なるほど…満ち引きが半端ない訳か」

剣士「フィン・イッシュみたいに海抜のすこし高い場所じゃ無いと生活しにくいね」

ローグ「あっし思うんすがセントラルとフィン・イッシュは海で分断されていやせんか?」

剣士「迂回すれば繋がってそうだよ?もっと北の方」

盗賊「わざわざ迂回して戦争すんのもアホみたいだな?」

ローグ「そっすね…ていうか国境で小競り合いするのにどんな意味があるか分からんす」

盗賊「政治的な意味なんだろうな?」

剣士「そろそろ狭間に入る…ハイディング!」スゥ

盗賊「ところでローグ…公爵の居場所は分かってんのか?」

ローグ「へい…貴族居住区からほとんど出やせん」

盗賊「和平交渉があるとか言ってたんだが?」

ローグ「どうせ影武者か代役を立ててるんすよ」

盗賊「警備はどんな感じだ?」

ローグ「ラットマンリーダーが居るんすが他には2~3人の警備が居るだけでやんす」

剣士「なんだ…それなら睡眠魔法使えば余裕だ」

ローグ「只一つ心配なのが…ラットマンリーダーをどうやって操っているかなんすよ」

剣士「あーそういえばそうだね…何で言う事聞くんだろ」

盗賊「アレか…魔女が持ってる幻惑の杖みたいな物を持ってる可能性があるってこったな?」

ローグ「へい…同じ物があるのか知りやせんが同等の何かは持ってるかも知れやせん」

盗賊「ちっと調べてから動いた方が良さそうだな…」

ローグ「そーっすね」

盗賊「じゃぁ今晩は偵察だけにしよう」

ローグ「あっしの屋敷が丁度近いんでそこに行きやしょう」

盗賊「そうか…じゃぁ一先ずそこだな」

ローグ「到着したらハイディングしたまま案内出来るっす…」

盗賊「分かったそれで行こう」


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『数日前_セントラル』


ピーーーーーーッ

見た事の無い魔物だ…数匹壁内に入り込んで居る!

敵は素早い!!射手!!弓を持て!!

何処へ行った?

あの魔物は勘が良い…衛兵の少ない裏路地を移動してる

探せ!!居住区へ入れるな!!


異形の生物「くそう!この恰好じゃ目立ち過ぎる…」シュタタ

異形の生物「確か下水から上層へ抜け道があった筈…」

異形の生物「まず公爵の屋敷だ…あそこに変化の杖がある」

異形の生物「それまでは我慢だ…」ギリリ


シュタタ 


『公爵の屋敷』


公爵「何やら外が騒がしい様だが…」

執事「様子を見て参りましょうか?」

公爵「又白狼の真似事をした盗人だろう…一応例の牢を確保しておけ」

執事「かしこまりました…」

公爵「しかし全く行方が掴めんとは…」

執事「キ・カイで確保されたという2人はご確認されたのでしょうか?」

公爵「勿論…海賊王の娘は見知った顔で驚いた」

執事「では白狼の一党だったと?」

公爵「知らぬ存ぜぬとの事だ…覇気も無い」

執事「又…雲を掴まされましたな」


ズルズル ピチャ


執事「ハッ…公爵様お下がりを」

公爵「んん?」

執事「施錠はして居た筈…何処から入って来たのですか?」スラーン

異形の生物「公爵!!僕だよ…変化の杖を持って居るよね」

公爵「なに?…その声はまさか…」

異形の生物「早く貸してよ…この恰好じゃ外も歩けない」

公爵「殿下…なぜその様な格好で?」

異形の生物「僕は回りくどいのはキライなんだ…この爪は良く切れるんだ…早くしろ!!!この薄ノロ!!!」ブン ザク

執事「ぎゃぁぁぁ…」ブシューーー

公爵「殿下…お戯れはおやめ下さい…ささ変化の杖をどうぞ…」スッ

異形の生物「それから魔王を封じた魔石はどうした?設置してた場所から無くなってる」

公爵「私が拝借しておりました…魔石が必要だったもので」

異形の生物「アレは僕の物だ…返してよ」

公爵「…」スッ

異形の生物「ふぅ…やっと落ち着ける」フリフリ シュワワー

公爵「お着替えをお持ちします…」

第3皇子「当たり前だ!!…わざわざ告知しないと動けないのか?」

公爵「ご立腹の様ですな?」

第3皇子「そうだよ…話が違うじゃ無いか公爵…僕はすべてを失ったぞ?どう責任を取ってくれる?」

公爵「はて?すべてをと申しますと?」

第3皇子「アダムが破壊されて夢幻が消失したよ…」

公爵「なに!!?…いや失礼…それは本当でしょうか?」

第3皇子「何度も言わせないで欲しいな…イラつくんだよ…兄者がエルフを率いてアダムを破壊した」

公爵「まさか…エルフには毒の耐性が無い…ドリアードに入れる訳が無い」

第3皇子「兄者は不死者になってるのを忘れてる…実際兄者と対面したさ」

公爵「なんだ…と?私が半生をかけて成した事が水の泡になったと…まさか」ボーゼン

第3皇子「どうするんだよ…ドリアード化が解けて数万の異形の生物が森を徘徊してる…もう統制も何も無いんだぞ」

公爵「そこに白狼は見たか?」ギロリ

第3皇子「誰に向かって話している…偉そうな口利きしないで欲しいな」

公爵「黙れ小僧!!!」ドン チャキリ

第3皇子「くぅ…こんな事をして只じゃ済まないぞ」ジタバタ

公爵「もう一度聞く…答えろ…そこに白狼は居たのか?」ズブリ

第3皇子「うぐぐ…僕を殺すつもりかい?フフ…そうは行くか…」

公爵「すでにお前には地位も名誉も無い…只の小僧だ…殺すのは簡単…私の手駒になれば王の地位は約束してやる」ギロ

第3皇子「また僕を利用する気だね…そうやって母上も姉上も僕から奪った」

公爵「お前が選んだ道だ…私の知った事では無い」

第3皇子「結局僕には何も残らなかったよ…母上も姉上も兄者に取られた」

公爵「なら兄を超えて見ろ!!」ドカ ゴロゴロ

第3皇子「くぅぅ…そうさ超えてやるよ」ヨロ

公爵「超えるチャンスをお前にくれてやろう…第1皇子との対談に興味はあるか?」

第3皇子「大兄と対談?」

公爵「その顔は興味ありだな?」ギロ

第3皇子「今は状況が何も分からない…対談して何なんだよ」

公爵「それは後でゆっくり話してやる…まずは私の質問に答えろ…白狼の一党は見て居ないか?」

第3皇子「見てない…でもオークの匂いがした…それから大量の虫を使ってた」

公爵「オーク…虫…まさかもう黄昏の賢者が動いて居るのか…しかもエルフと共闘だと?」

第3皇子「直にドリアードは虫に食い尽くされるよ…もうドリアード計画は終わりさ…人類滅亡待ったなしだ」

公爵「まだ終焉まで間がある…最後にもう一つだけやれる事が残って居る」

第3皇子「何だよ」

公爵「オークの予言…箱舟を我々が先に奪取すれば一部の人類は生き残れる」

第3皇子「さっき僕を王にする約束したよね?どうなってるんだよ」

公爵「お前が王にならなければオークの箱舟まで辿り着くのは難しいだろう」

第3皇子「どういう事だよ」

公爵「王として戦力を集めなければそこまで到達が難しいのだ…箱舟はオーク領地の更に奥…未踏の地に眠る」


その地はかつてヒュース・トンと呼ばれて居た

そこにオークに伝わる天翔ける箱舟がある

それはあらゆる生物を保存し未来へ送る事の出来る箱舟だ

4000年前の地軸の移動でヒュース・トンは南極点へと場所を変え封印された

そして再度地軸の移動で箱舟の封印は解かれ…オークはその地を目指して居る筈


公爵「我々が先に奪えば毒を浄化した未来へ人類の種を送る事が出来る…絶滅は免れる」

第3皇子「僕はそこに行けるのかい?」

公爵「最後に生き残った者が勝ちだ…兄を超えて見ろ」

第3皇子「よし僕は生き残ってやる…みてろよ」ググ

公爵「フフフ」---お前はハーフエルフだという事を自覚していない…小僧め---

『談話室』


カクカク シカジカ


公爵「…すでにフィン・イッシュへは密偵を送って居る…和平交渉には好条件になっている筈だ」

第3皇子「大兄が率いる軍船で外海に出られる様に取り計らえば良い訳か…」

公爵「そうだ…お前の顔を見て断る事も出来まい」

第3皇子「いつ行動する?」

公爵「直ぐにだ…私の影武者が同行するから詳しくはそいつに聞け」

第3皇子「公爵はどうするんだよ?」

公爵「私はキ・カイの軍船に乗って向こうに渡る…高官と話を付けるから用が済んだらお前もキ・カイへ来い」

第3皇子「分かった…」

公爵「変化の杖は返して貰おう…交渉に必要になる」

第3皇子「ふん!!」ポイ

公爵「シェルタ砦にて待つ」

第3皇子「待ってよ…僕は手ぶらかい?」

公爵「フン…魔王を封じた魔石を持って更に何を欲しいと言うか」

第3皇子「お金だよ…お金が無いと何も出来ない」

公爵「好きなだけ持って行くが良い」ドサ ジャラリ


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『セントラル上空』


シュゴーーーー  バサバサ


盗賊「あの船も座礁してんな…」

ローグ「海面は5メートルくらい下がったぐらいすか?」

盗賊「うむ…元々遠浅な入り江なのよ…ちょっと下がっただけで大きな船は座礁する」

ローグ「ポツポツ流氷も流れて来ていやすね」

剣士「やっぱり緯度が低いと寒い…」

盗賊「飛空艇を何処に降ろしゃ良いんだ?」

剣士「いつもの海岸は人が居るなぁ…」

ローグ「外郭の外側で良いんじゃないすか?あんまり人が行かんですし…どうせハイディングで門潜るんで」

剣士「そうだね…そっちの方が安全そうだ」

盗賊「おい!!見て見ろ…なんだアレ?」

剣士「ああ!!異形の生物…こんな所まで来てる」

盗賊「知ってんのか?」

剣士「ドリアードの中から出て来てるんだ…多分ドリアード化した人達なんだよ」

盗賊「全部バラバラの形してるんだが…」

剣士「中には強いのも居るよ…侮れない」

ローグ「あんなのが外郭の外に居ると良くないっすねぇ…」

剣士「いっそのことハイディングしたまま時の王の屋敷の庭に降ろそうか…全然人居ないよね」

ローグ「それが良いでやんす…貴族居住区も近いんで逃げる時もラクっすね」

剣士「おけおけ…ほんじゃ降ろすよ?ハイディング!」スゥ


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『ローグの屋敷』


リリース!


盗賊「ここがお前ん家か…良い所に住んでんな」

ローグ「あっしはもうこんな屋敷要らんです…なーんか散らかされていやすねぇ…」

剣士「入り口の扉に書簡が一杯挟まってるよ」

ローグ「面倒くさいっすねぇ…どうせ貴族達が面倒な依頼をしようとしてるんすよ」

盗賊「なるほど…それが住みたくない原因か」

ローグ「一応一通り目を通しておくんで自由に出回って良いっすよ?」

盗賊「公爵の屋敷は何処だ?」

ローグ「あー地図あるんで記を書きやす…ここっすね」カキカキ

盗賊「俺ぁちっと偵察行って来るわ」

剣士「じゃぁ僕はちょと外歩いて見ようかな」

ローグ「高級なローブがあるんで羽織って行って下せぇ…ちょっと行くと食事出来るレストランがあるんで行って見ると良いでやんす」

剣士「へぇ?レストラン…行った事ないや」

ローグ「金貨ありやしたよね?」

剣士「うん盗賊さんから貰った金貨が20枚くらいある」

ローグ「十分っすね…金貨見せたらちゃんと相手してくれるでやんす」

剣士「おっけ!!行って見る」ワクワク

ローグ「高級なローブは羽織って行って下せぇ…身なりを見られるんで」

剣士「分かったよ…女オーク遊びに行こう」グイ

『街路』


ヒソヒソ

お前…ウィッグが取れ掛かって居るぞ

あら大変…あなたこそ鼻自が出ているでは無いですか…

又か…しかしエリクサーでもこの奇病は良くならんな

嫌ですねぇ…私もこれ以上毛髪が抜けては…


剣士「…」チラリ

紳士「あぁ失礼…いやぁ立派なローブですなハハ…」

淑女「どちらの御曹司様ですの?オホホホ…」

剣士「なんか体の調子悪そうだね?大丈夫?」チラ

紳士「いやいやお気になさらず…流行り病にやられましてなハハ…」フラ

剣士「お大事に…」

紳士「見ず知らずの方に心配されてしまうとは私とした事が…ではご機嫌よう」スタ

女オーク「…」チラ

剣士「…」コクリ

女オーク「セントラルは奇病が酷そう…」

剣士「うん…夜中に線虫をやってみるよ」

女オーク「この奇病は情報屋さんが言ってた放射能の?」

剣士「多分そうだね…治す事の出来ない毒…」

女オーク「キ・カイにはあまり見られないのはやっぱり光る隕石から遠いからなのね」

剣士「だと思う…あっちはまだ子供が少し生まれてるから」

女オーク「本当に滅亡に向かって居ると思う?」

剣士「考えたく無いよ…」

女オーク「フィン・イッシュ女王も子供が産まれなくて…」

剣士「こっちの大陸は殆ど生まれないんだ…産まれても死産…悲しいね」

女オーク「…」


スライムがどうして大量に発生しているのか

なんとなく分かって来た

この毒を食らって浄化する為だったんだ

正常な世界に戻そうとしているスライム達を

僕は何も知らず退治してた

どうしてこう…何もかも噛み合わないのか…

『ローグの屋敷』


リリース!


盗賊「戻ったぜ?」

ローグ「早かったっすねぇ…どうでした?」

盗賊「屋敷に公爵らしき人物と数名人が居る…ラットマンリーダは見当たらんかったんだが…」

ローグ「公爵は口ひげを生やしてるんすが…」

盗賊「おぉ…なら間違い無さそうだ」

ローグ「実はっすね…書簡を確認したんすが公爵はあっしに用があるみたいでやんすよ…ちっと本人かどうか確認してきやす」

盗賊「ほう?何の用か分からんのか?」

ローグ「海賊王の娘を引き渡して欲しいみたいっす」

盗賊「ぶはは…売っちまえ!!」

ローグ「いやいや偽物に気付かん程無能じゃ無い筈なんすよ」

盗賊「見た目じゃ見分け付かんだろ?」

ローグ「なーんか裏があると思うんすよね…」

盗賊「ふむ…俺は今から屋敷の見取り図書こうと思ってた所だ…丁度良い俺も同行する」

ローグ「え!?ダメっすよ…2人居るとまともな話にならんです」

盗賊「俺はハイディングしながら屋敷の内部を見たいだけだ」

ローグ「姿現さんで下せぇ…良いっすね?」

盗賊「分かってる…ローグは出来るだけ屋敷の中を案内してもらえる様に動け」

ローグ「ふむふむ…海賊王の娘と交換条件で欲しい物物色させてもらうって言う手もありやすね…」

盗賊「おぉ良いじゃ無ぇか」

ローグ「物が無くなったらあっしが疑われるんすけどねぇ…」

盗賊「そこは白狼の盗賊団のせいにしちまえば良い」

ローグ「まぁ行ってみやすか!!」

盗賊「俺ぁハイディングしながら物陰に居るから好きにヤレ」

ローグ「わかりやした…じゃぁ行きやしょう」スタ

『公爵の屋敷_門』


門番「公爵様は誰ともお会いにならん!立ち去れぃ」

ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしの方が急ぎで呼ばれてるんす」パサ

門番「ん?豪族の頭取…」ジロ

ローグ「あっしの顔に見覚えありやすよね?」

門番「ふむ…公爵様は屋敷でお休みだ…失礼の無いようにな?」

ローグ「分かってるでやんす…通りやすぜ?」スタ


ガラガラ ガシャーン


ローグ「誰か案内してくれんのですかね?」

門番「扉をノックして執事を待て」

ローグ「あぁそういう事っすね…失礼しやした」スタスタ



『公爵の屋敷』


トントン


ローグ「どなたか出て来やせんか?お客さんがきやしたぜ?」

執事「何用で?」ヒョコ

ローグ「おわ!!…なんちゅー所から顔出すんすか…ビックリしやしたぜ」

執事「執事になって間が無いので勝手が分からなくて…」

ローグ「なんか執事というかメイドさんっすか?」

執事「はい…つい先日までメイドをしていました」

ローグ「じゃ掃除中だったんすね?」

執事「ご用件をお伺い致しますが?」

ローグ「この書簡を見て下せぇ…あっしは呼ばれてる立場なんすよ」パサ

執事「ふむふむ…扉を開けますのでしばらくお待ちを…」

ローグ「なーんか変な執事でやんす…」

執事「聞こえていますよ?」ガチャリ

ローグ「そらすまんかったっす…ほんで入って良いっすか?」

執事「どうぞ…ご案内致します」

『公爵の居間』


トントン


執事「失礼します…お客様をお連れしました」

公爵「誰だ?もう日が落ちていると言うのに…」

ローグ「豪族の頭取でやんす…書簡を見て急ぎで駆け付けたんすが…」

公爵「書簡?…あぁ何の件だったか…」

ローグ「…」

公爵「そうそう取引だったか…済まんが執事に任せて居てな」

ローグ「…」---この男---

執事「相場表をお持ちしましょうか?」

ローグ「ええと…海賊王の娘に相場があるんすかね?」

公爵「!!?あぁ忘れていた…その件か…執事此処へ」

執事「はい…」スタ

公爵「少し待って欲しい…」ヒソヒソ

執事「はい…はい…」ヒソヒソ

ローグ「あのですね…海賊王の娘を引き渡して欲しいという事が書いてあるんすが…どういう事なんすか?」

公爵「えーーーオホン!!あいにく現金の手配が出来ていないのだ」

ローグ「いや現金じゃなくても良いんすがね?それよりも何故引き渡して欲しいかの方が重要でして」

公爵「やはり理由無しで取引は出来ない…では引き取り願おう」

ローグ「ちっとそら失礼じゃ無いっすか?わざわざあっしを呼ぶからには理由がありやすよね?」

公爵「これは失礼…捕らえた経緯を詳しく知りたかったのだ」

ローグ「だからそれはなんでか聞いてるんすよ…取引なんすよね?」

公爵「一緒に捕らえた白狼の一味は…仲間の行方を聞いても知らぬ存ぜぬ」

ローグ「な~るほど…ほんであっしが何か知って居ると踏んでる訳っすね?」

公爵「只今は現金が用意できない…取引は機を待ってという事で如何か?」

ローグ「あっしは現金じゃなくても良いんすよ…何か他に無いんすか?」

公爵「私はそれほど裕福では無い事は知って居るな?他には爵位の譲渡を融通するくらいしか…」

ローグ「屋敷をちっと見させて貰って良いっすか?」

公爵「大した物は無いのだが…」

執事「ご案内致しましょうか?魔石の保管状態をお見せするくらいなら…」

ローグ「それで構わんす…あっしは取引が嫌な訳じゃ無いんすよ…あっしの利になるかどうかっすね」

公爵「執事…案内した後丁重にお見送りをしてくれ」

執事「かしこまりました…」ペコリ

ローグ「じゃぁお願いしやす…」

『廊下』


スタスタ


執事「こちらが応接間…客室…食堂…備品保管庫」

ローグ「外から見たら大きな屋敷なんすが意外とこじんまりなんすねぇ…」

執事「石造りな物ですから…続いて地下に公爵様の書斎と魔石の保管庫が御座います…どうぞこちらへ」スタ

ローグ「年代物の美術品がそこそこありやすねぇ…」スタスタ

執事「美術品に興味がおありで?」

ローグ「現金よりも取引がラクじゃないすか」

執事「気に入った物があればおっしゃって下さい」

ローグ「あっしは書物にも興味ありやすぜ?」

執事「どうぞご覧ください…歴史書ばかりの様ですが」

ローグ「こりゃまた沢山集めたんすね…」パラパラ

執事「そして魔石の保管状況がこちら…」

ローグ「うは…」

執事「如何でしょう?取引の参考になりましたでしょうか?」

ローグ「公爵は裕福じゃないと言ってたのはウソっすね」

執事「この魔石は既に売約済ですので保管してあるだけになります」

ローグ「参考になりやした…次の取引の機会を待って居るでやんす」

執事「では門までご案内致します」スタ


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『ローグの屋敷』


リリース!


盗賊「ふぅ…中々良い仕事するじゃ無ぇか!!」

ローグ「盗賊さんは会話聞いて無いっすよね?」

盗賊「あぁ…どうだったんだ?」

ローグ「公爵は偽物でやんす…見た感じ本人なんすが良く仕込んだ影武者っすね」

盗賊「…で事はお前もずっと騙されてたかも知れんな」

ローグ「へい…あまり表に顔を出さないってのは間違っているかも知れやせん」

盗賊「今居ないって事はやっぱりフィン・イッシュに行ってるのかもな?」

ローグ「そーっすね…」

盗賊「まぁそれは置いといて…屋敷の中にどうやら冒険の書は無さそうだな?」

ローグ「あっしも色々見たんすがアーティファクトらしき物も見つかりやせんでした」

盗賊「こら収穫無しで戻る覚悟も必要だな」

ローグ「気付いたんすが屋敷の間取りがやっぱおかしいっす」

盗賊「おぉ!俺もそう思った…ちっと待て見取り図を書く」


カキカキ

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ローグ「こりゃ中庭でやんすか?」

盗賊「いや…屋根に穴は開いて無ぇから多分縦穴だ」

ローグ「縦穴…」

盗賊「ゴミをその縦穴に放り込む訳よ…行き先は下水」

ローグ「じゃぁ下水に降りる隠し部屋があるんすね?」

盗賊「俺の予想だとやっぱ地下の書斎があやしい」

ローグ「そういえば公爵は時の王の派閥…その当時特殊生物兵器部隊が下水に基地を作って居やしたね」

盗賊「それだな…多分そこに繋がってんだ」

ローグ「下水は姉さんが爆破したでやんすよ」

盗賊「全部吹っ飛んだ訳じゃあるまい?どっかに残ってんだよ」

ローグ「貧民街から下水を探すんじゃ時間掛かりそうっすね」

盗賊「うむ…公爵の屋敷から直接降りた方が手っ取り早い…やっぱ明日の夜だな」


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『夜中』


ガチャリ バタン


剣士「戻ったよ…ふぅ」

盗賊「えらく遅かったじゃ無ぇか…何してたんだよ」

剣士「線虫を使って来たんだ…みんな流行り病に侵されてるみたいだから」

盗賊「なんだそういう事か…心配して損したぜ」

剣士「盗賊さんは体に異常ない?」

盗賊「無ぇな…ヌハハ年取ったせいかアザが中々治らん位だ」

剣士「…そっか」

盗賊「浮か無ぇ顔してるな?」

剣士「はっきり言うよ…盗賊さんも流行り病に侵されてるよ」

盗賊「俺ぁもうどうでも良い…十分生きたしな?」

剣士「そう言うと思った…でもね?一応線虫しておく…線虫!」ニョロリ

盗賊「効果あるんか?」

剣士「どのくらい寿命が延びるかは知らないよ…アザの治りが早くなればそれで良いさ」

盗賊「なんで治り難いんだ?」

剣士「血が固まり難いんだと思うよ…それから新陳代謝の低下かな?」

盗賊「昔みたいには体も動かんし…まぁ無理はし無ぇから」

剣士「出血は避けた方が良いかもね」

盗賊「ところで…公爵の屋敷に行って来たんだが明日の夜に行動する事にした」

剣士「その地図は?」

盗賊「これは下水のおおまかな地図だ…どうやら公爵の屋敷は下水に繋がっててな」

剣士「じゃぁ目標は下水にあるんだ」

盗賊「俺の勘だと間違いない…多分この区画の何処かにある…お前鼻が利くよな?」

剣士「まぁね」

盗賊「最終的にはお前の鼻に頼るかも知れん…しっかり鼻洗っとけ」

剣士「実は女オークも鼻が利くんだよ?」

盗賊「おぉ!そうだったのか…頼りになるなそれは」

剣士「そうそう…レストランで妙な噂を聞いたよ」

盗賊「何だ?」

剣士「殿下が帰って来たって…誰の事か分かる?」

盗賊「殿下…王族の誰かなんだろうがそれだけじゃ分からん」

剣士「その噂で持ちきりなんだ…貴族院の招集がどうのこうのってさ…ローグさんも呼ばれるかもね」

ローグ「あっしは貴族じゃ無ぇす…豪族なんで関係無いすね」

盗賊「今貴族で力持ってる奴なんか居ないんだろ?」

ローグ「あっしの知る限り公爵ぐらいのもんす」

盗賊「まぁ貴族院がゴタつくって事は王族のそれなりの地位の奴が戻って来た…ぐらいしか思い浮かばんな」

ローグ「あんまり気にする事も無いんじゃ無いすかね?」

剣士「そっか…その程度なんだ」

『翌日_貴族居住区』


ヒソヒソ ヒソヒソ

侯爵殿と子爵殿が異議を唱えておってな…

議会が荒れるのは間違いない

新たに特権階級を設定するという話も出ている

公爵殿が囲い込みをしているのがそもそもの…


盗賊「こう人が多くちゃやり辛い…どうだ?水路から下は見えんか?」

剣士「一応見えるけどここから登って来るのは厳しいと思うな…」

盗賊「じゃ次行くぞ…こっちだ」タッタッタ

剣士「高さがあるのは何処も同じじゃ無いかな?」

盗賊「う~む…やっぱ下水に降りて見んと抜け道探すのは無理か…」

剣士「水が流れて行ってるんだから必ず海には繋がってるよね」

盗賊「まぁそうなんだが…冷たい海なんか泳ぎたく無いだろ」

剣士「そっか…次探そうか」

盗賊「まぁ逃げ道を準備しておくに越した事は無いんだ…行くぞ」タッタ



『夕方_ローグの屋敷』


ガチャリ バタン


ローグ「盗賊さん戻ってきやしたね?ちっとマズイ事になってるっす…」

盗賊「どうした?」

ローグ「公爵の屋敷で貴族院の議会をやってるんすよ…今は人が沢山居るっす」

盗賊「なぬ!?」

ローグ「どうしやしょうかね?折角白狼のローブも用意したんすが…」ファサ

剣士「イイね似合ってる」

盗賊「注意がそっちに行ってるのはチャンスかも知れん…どうせハイディングで例の地下室まで直行だ」

ローグ「じゃぁ予定通りっすね?」

盗賊「只元来た道を帰るのは止めた方が良かろう」

剣士「ハハ水路にロープ設置しておいて良かったね」

盗賊「うむ…」

剣士「まぁ何か有ってもどうせ僕が睡眠魔法使うから大丈夫だよ」

ローグ「目を覚ました後にどうして寝てたんだ?って事になりやすんで乱用出来んです」

剣士「最後の手段さ…気楽に行こうよ」

盗賊「ようし!!日が落ちて暗くなり始めたら作戦開始だ…今の内に体温めておけ」

剣士「おけおけ!!女オークも白狼のローブ纏って?」

女オーク「…」ファサ


--------------

--------------

--------------

『黄昏時』


スタスタ シュタ


盗賊「水場の窓が開いたままだ…あそこから入るぞ」

盗賊「侵入したらそのまま地下室へ降りるから付いて来い」

剣士「おっけ!」

盗賊「じゃぁ行くぞ!ハイディング!」スゥ


ハイディング!


盗賊「迷って無いな?」

剣士「大丈夫…みんな居る」

盗賊「来い!!」スタタ




『公爵の屋敷_地下室の扉』


リリース!


盗賊「よしローグ…後方を見張ってろ…鍵開けをする」ヒソ

ローグ「あいさー」ヒソ

盗賊「ん?開いてるな…中に誰か居そうだ」

剣士「1人かな…女の匂いだよ」クンクン

ローグ「変な執事っすね…悪い人じゃ無さそうなんで乱暴はしたくないっす」

盗賊「剣士!眠らせられるか?」

剣士「おけおけ…」

盗賊「騒ぐ前に頼む…開けるぞ?」


ガチャリ ギー


執事「ん?どなたですか?ここは立ち入り禁止と連絡して…」

剣士「睡眠魔法!」モクモク

執事「いま…すぅ…」フラ フラ

盗賊「入れ…鍵かける」カチャリ

ローグ「この執事さん横にして置きやすぜ?」ヨッコラ

剣士「あああ触ると起きる…」

執事「どなたですかぁぁぁ?」ムニャ

ローグ「あわわ…」

盗賊「放って置け!隠し通路探すぞ…」スタ

ローグ「すんません」

盗賊「本棚の反対側の壁を良く調べてみてくれ」

剣士「う~んおかしい所は無さそうだなぁ…」

女オーク「この執事さんは何か知らないの?」

剣士「お?なんだ…聞けば良いね」

盗賊「そんな事が出来るのか?」

剣士「睡眠魔法は幻術だよ…ねぇ執事さんこの部屋の隠し通路の場所教えて」

執事「隠し通路は御座いません…」スヤ

盗賊「なぬ!?」

剣士「困ったな…宛が違ったみたいだ」

盗賊「ゴミを何処に捨てるのか聞いてみてくれ」

剣士「ゴミ?…ええと執事さんこの部屋のゴミは何処に捨てるのかな?」

執事「書斎の壁にゴミ捨ての口が御座います…」

盗賊「よっし!!この壁だな…あった!!ここだ」

剣士「穴が小さいな…」

盗賊「いや…積んでる石壁が外れる…間違い無ぇここだ」ゴトリ

ローグ「下見えやすか?」

盗賊「見えんが…梯子がある…俺が先に降りるからローグは最後に外した石壁を元に戻してくれ」

ローグ「分かりやした」

盗賊「剣士と女オークは俺に続け…降りるぞ」スタ

『下水』


ザザー ザブザブ


盗賊「足元に水が流れてるから気を付けろ…」

剣士「照明魔法居る?」

盗賊「お前の刀を少し抜く程度で十分な明かりになる」

剣士「なるほど…」スラリ

ローグ「石壁を元に戻して置きやしたぜ?」

盗賊「これで追っては来ない…ゆっくり目標を探せるってもんだ」

剣士「僕が光持ってるから先頭かな?」

盗賊「そうだな…とりあえず一本道だ進んでみよう」


ペチャ ペチャ


盗賊「ん?」

剣士「ラットマンの匂いだ…」

盗賊「なんだ敵が居るんか…」

剣士「あれ?共食いかなぁ…ラットマンの死体を漁ってるよ」

盗賊「俺の飛び道具はデカイ音が出るんだ…ローグ何か持って無いか?」

ローグ「いやいやあっしはダガーしか持っていやせん」

女オーク「私が倒すから先へ進んで…」スラーン

剣士「ちょっと待ってよ?睡眠魔法!」モクモク


ラットマン「!!?」ドタリ グゥ


女オーク「ふん!」ブン ザクリ

剣士「よし行こうか…」

『段差』


ザザー


剣士「広い所に出た…どうする?下に降りる?」

盗賊「こっから降りると貧民街に繋がる下水だな…しまった逆方向だ」

剣士「なんだ戻ろう」

盗賊「うむ…方角がまた変な方向になるんだがなぁ…」

剣士「ねぇさっきからちょいちょいラットマンの死体があるけどさ…ここ誰か入って来てるよね」

女オーク「鉄柵も曲げられてるわ」

盗賊「だな?用心しろ」

ローグ「死体が古いでやんす…死んで一週間ぐらいは経っていやすね」

剣士「急いで戻ろうか…」シュタタ



『突当り』


ピチョン ピチョン


剣士「だめだ…もう進めない」

盗賊「くそう…やっぱ下の方なのか?」

ローグ「上に登る梯子も公爵の屋敷だけの様っすね」

女オーク「待って…ここの壁おかしいわ?」

剣士「あ!!本当だ…音の反射がおかしい」

盗賊「石が積んであるってか?よっ…」スカ

剣士「うわ何だコレ…壁じゃない」

盗賊「壁に見えるだけか…あだっ!!」ゴツン

ローグ「これ凹んだ鏡でこういう風に見えるトリックっすね…出っ張ってる所気を付けて下せぇ」

剣士「スゴイな…こんなトリック初めてだ…」

盗賊「そこら中にこんなんが仕込んで有るってか…あー痛てて」スリスリ

剣士「盗賊さん!有ったよ…扉がある」

盗賊「ようし!!鍵掛かって居そうか?」

女オーク「何かの音がするわ…中に何か居ると思う」


ドスドス ドスドス


ローグ「ラットマンリーダーっすね…足音からすると4匹ぐらいでやんす」

剣士「おけおけ…詠唱するからちょっと待って…アブラカタブラ…」

盗賊「ラットマンリーダーは首を切り落とせ…失敗すると暴れ出すぞ?」

女オーク「わかったわ…」チャキリ

ローグ「あっしもバックスタブで行きやす…」スチャ

剣士「広範囲睡眠魔法!」モクモク

盗賊「おし!鍵開けるぞ?」カチャカチャ ガチン

剣士「僕が明かり役で先行する…入るよ?」

盗賊「行け!!」


ガチャリ ギーー


剣士「よし!!寝てる!!」シュタタ

女オーク「てぁぁ!!」ブン ザクリ ボトン

ローグ「バックスタブ!!」ジョキリ ボトン

盗賊「ほぉぉ女オークはパワーが有り余ってんな…」

剣士「任せて置いて良いね」

盗賊「うむ…」

『隠し部屋』


ドタリ ピクピク


女オーク「片付いた…」スチャ

盗賊「見ろよアレを…」

剣士「古代遺跡の扉だ…」

盗賊「この感じじゃ開けられて1000年ぐらい経ってそうだ…ここで間違いなさそうだな」

ローグ「向こうにも扉がありやすぜ?」

盗賊「ありゃこっちから閂が掛かってる…どうせ秘密基地に繋がってたんだろ」

剣士「公爵はこの場所を独り占めしてたのかな?」

盗賊「だろうな…中に入ってみるか」

剣士「ここが情報屋さんが言ってた古代遺跡か…」

盗賊「まぁ公爵は割と深い所まで秘密を知って居たんだな…」

剣士「行こう…」スタ



『古代遺跡』


シーン


盗賊「…あった!!これだな?冒険の書は…」ゴソリ

ローグ「やりやしたね…」

盗賊「この書物は…」ペラペラ

剣士「それも持って帰った方が良さそうだね」

盗賊「オークの予言?…まてまて…あ~なるほど公爵の手記だ」

ローグ「奥にお宝がどっさりありやすぜ?」

盗賊「マジか!!袋詰めして持って帰るぞ」

ローグ「ひゃっほい!!」スタタ

剣士「…もう謎の機械は風化して原型が無い…」

盗賊「ガラス容器だけは残ってるじゃ無ぇか…これだけなんで綺麗な状態なんだろうな?」

剣士「エリクサーで満たされてたんじゃないかな?」

ローグ「アーティファクトらしい物見つけやしたぜ?謎の横笛でやんす…これだけ丁寧に保管されていやした」

盗賊「他に何がある?」

ローグ「多分時の王の装備品っすね…デカイ剣とか色々あるんすよ」

盗賊「珍しそうな物全部持って帰るぞ…手分けして持とう」

剣士「杖とかもあるなぁ…何が封じてあるのか分からないけど」

盗賊「ここに置いとくと何に使われるか分からん…フィン・イッシュの遺跡かどっかに隠しておいた方が無難だ」

剣士「まぁそうだね…急いで持って帰ろう」ガチャガチャ


--------------

--------------

--------------

『下水』


シュタタ


剣士「この荷物背負ってロープ登るのはキツイね」

盗賊「上からロープで引き上げるんだよ…それなら出来るだろ」

剣士「なるほど…」

盗賊「ローグ!お前は最後だ…俺らで荷物引き上げるからお前は下で荷物結んでくれ」

ローグ「分かりやした」

盗賊「よし!剣士と女オークは先に上がって見張ってくれ」

剣士「うん…女オーク先に上がって」

女オーク「わかったわ…」グイ ヨジヨジ

盗賊「荷物引き上げたら真っ直ぐ飛空艇へ向かう…良いな?」

剣士「おっけ!!…じゃぁ僕も登る」グイ ヨジヨジ



『貴族居住区_外れ』


グイグイ ギリリ


盗賊「よし!あと一つ…ロープ降ろすぜ?」シュルシュル

剣士「マズいな…衛兵が近づいて来る」

盗賊「なんとか注意逸らしてくれ…何か無いのか?」

剣士「う~ん…煙玉しか…」

盗賊「どっか遠くに投げて騒がせば良い」

剣士「わかったよ…」チリチリ ポイ

盗賊「もっとだ!!ほんで騒げ」

剣士「…」ポイポイポイ


モクモクモク


剣士「衛兵さん!!なんか煙が出てるよ…あれ大丈夫?」

衛兵「んん?どこだ?」キョロ

剣士「ほら?あっちにも…こっちにも…」

衛兵「お前のその格好…ふざけて居るのか?」ジロ

剣士「ああ!!何か光った…」

衛兵「お前はそこで待って居ろ…」タッタッタ


ピーーーーーーーー


剣士「なんか疑われてる…どうしよう?」

盗賊「もう少し時間稼げ…よっこら!!」ドサリ

女オーク「衛兵が戻ってくるわ…」

剣士「あの衛兵だけ眠らせる…睡眠魔法!」モクモク

衛兵「おいお前!!何を…した」フラ

盗賊「ローグ!!早く上がって来い…女オークは荷物を持って逃げる準備だ!!」

剣士「他の衛兵も集まり出した…なんで煙の方に行かないんだよ…」

盗賊「一発爆弾をどっかにぶち込め!!…ローグ早く登れ!!」

ローグ「はいよはいよ…ほっ」ヨジヨジ

剣士「ええい!!」チリチリ ポイ


ドーン!! パラパラ


衛兵「な…なんだぁ!!」キョロ


ザワザワ ザワザワ

煙だぁ!!何処か燃えて居るぞ!!

今の爆発音は!?

おい!!見ろ…あそこに白いローブの4人組

又白狼の真似事か?


ローグ「お待たせしやしたぁ!!」シュタ

盗賊「よっし!!荷物持って逃げるぞ…屋根沿いに貴族特区へ向かうんだ」

ローグ「あいさー」グイ

盗賊「剣士!!追っ手の攪乱を任せる…先に行くぞ」ダダ

剣士「え…あ…参ったなぁ苦手なんだよなぁ…こういうの」シュタタ


ピーーーーーーー

白狼だぁ!!屋根に上がってる!!通路遮断しろぉ!!

行き先は!?

分からん!!全部封鎖だ!!


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---------------

---------------



その日の夜を騒がした白狼の一党は

財宝をばら撒く事無く忽然と姿を消した

被害に合った報告が皆無だった事から

只のお騒がせ事案として片づけられた

『フィン・イッシュ_隠れ里』


ノソノソ


くノ一「魔女様をお連れしました…」

アサシン「忙しい所済まないな」

魔女「女王は安定しておるんか?」

アサシン「精神安定の薬で落ち着いては居るが嫌な夢を見ると言ってなかなか寝付けん様だ」

魔女「幻惑かえ?…」

アサシン「いや正気は保って居る…寝付けないから疲れているだけだ」

魔女「事の事情は説明したのかえ?」

アサシン「どうしても教えろと言うから近衛侍の方から粗方話したそうだ」

魔女「身内に毒殺されそうになったのは認められんじゃろう…」

アサシン「事実なのだから認めるしか無いだろう」

魔女「して…どうするかのぅ…和平交渉を待たせて居るのじゃが」

アサシン「魔女はどう思う?」

魔女「わらわは交渉に来た者の首をはねて公爵に付き返せば良いと思うて居るが…」

アサシン「それは宣戦布告と同意だぞ?」

魔女「逆じゃ…女王の暗殺を企てて何が和平じゃ」

アサシン「まぁ確かに…和平をしても利は無さそうだな」

魔女「セントラル国王が何度も頭を下げに来たが…あの男は本当に騙されやすい馬鹿じゃのぅ」

アサシン「魔女が女王にすり替わって居るのはバレて居ないのか?クックック…」

魔女「しかし国の大局じゃ…交渉は女王が担うべきじゃが…」

アサシン「うむ…」


女王「魔女様…お話聞こえていました」ヨロ


魔女「騒がせてしもうたのぅ…主は平気なんか?」

女王「はい…只少し疲れていまして」

魔女「嫌な夢を見るで眠るのが辛い様じゃな…実はのぅ…シン・リーンの魔術師の研究で最近分かった事があるのじゃ」

女王「悪夢に理由が?」

魔女「うむ…どうやら出回って居るアヘン酒や麻薬を摂取すると夢食いが起こる様じゃ」

女王「夢食い…」


夢はのぅ…平行次元での行いに関連づいて居るのじゃ…いわゆる夢幻の様な物じゃ

この夢を食らい増大して逝く者…それが魔王じゃと分かって来た

10年前に勇者らが魔王の欠片を集め次元転移をしたのじゃが

やはりどこかで魔王は息づいて居る


魔女「主はそれを悪夢と言う形で感じて居る様じゃな…異常では無い故心配には及ばぬ」

女王「私はどうすれば安心出来ると思いますか?」

魔女「元々主には心の中に光を持って居る…それを忘れん様にすれば良いが…夢だとやはり忘れてしまうじゃろうのぅ…」

アサシン「銀の仮面はどうした?」

女王「城に置きっぱなしかと…」

魔女「おお!?良い案かも知れぬ…銀は厄除けの効果がある故…つけたまま寝て見るのも良いかも知れぬ」

女王「くノ一!私は城へ戻り仮眠を取ります…後に和平交渉を挑みます」

くノ一「御意に御座います…」

魔女「背後にわらわ達が居るで何も案ずる事は無いぞよ?見て見よ…この顔ぶれを」

女王「シン・リーンの王女…ドワーフ国の王女…旧シャ・バクダ王」

魔女「皆主の仲間じゃ…胸を張って良い」

女王「ありがとうございます…勇気が湧いてきました」ググ

『座敷』


メラメラ パチ


商人「やっと退屈から解放されそうだ」

情報屋「魔女?これを見て…祭事の祠からこんな物が出て来たわ」

魔女「んん?鏡…はて?」

情報屋「女王が言うにはもしかして八咫鏡じゃないかって…」

魔女「むむ…もしやそれは真実を写すと言う鏡では無いか?」

情報屋「知って居るの?」

魔女「本物かも知れんで大事に扱わねばならぬ」

商人「こっちの大きな瑪瑙は?八尺瓊勾玉だっけな…聞いた事無い」

魔女「なんと!!それはシン・リーンがシャ・バクダに奪われたと言われる宝具…フィン・イッシュに有ったとは」

商人「なんか凄い効果があったりする?」

魔女「王を選ぶと言われて居る…この国に有るという事はこの大陸の真の王はフィン・イッシュに居ると言う事になる」

情報屋「あ!!思い出したわ…そうよ勾玉を廻って戦争をした歴史…こんなに大きな勾玉だったのね」

魔女「シャ・バクダが滅び既に消失したと言う事じゃったがここに隠されて居ったとはのぅ…」

アサシン「では在処が知れてしまうと戦争の火種になりかねんな…」

情報屋「じゃぁこういう事ね…先人は隠す事で争いを回避した」

魔女「賢いやり方じゃな…しかしこれを持ち帰るのはイカンと思うが…」

商人「元の場所に保管した方が良さそうだ」

情報屋「あの扉を閉める事は出来る?」

商人「簡単さ…魔女が閉める事が出来る筈」

魔女「わらわに何をせよと?」

商人「扉を閉めた後に中の空気をアンモニアに変性させるだけだよ…それで真空になる」

魔女「なんじゃ簡単な事じゃ…しかし変性の理屈を良く調べたのぅ?」

商人「発案は剣士さ」

魔女「そうか…納得じゃ」

商人「じゃぁこの八尺瓊勾玉だけ戻しに行こう…魔女ついて来て」

魔女「わらわは疲れて居る…背負って行け」ノソ

商人「待って待って…僕はこの大きな勾玉を背負うんだよ?」

女戦士「勾玉は私が持って行こう…商人は魔女を背負えば良い」

商人「なんだよ…まぁ良いか…早く乗って」

魔女「よっこら…」ノソ


--------------

『古代遺跡』


ヨイショ! ゴトリ


魔女「…シン・リーンの精霊像の安置所とほとんど同じじゃな」

商人「へぇ…」

魔女「こちらの方が傷んで居らぬ」

商人「大体700年前に扉を閉めて封印した様だよ…多分過去戻りした勇者2人さ」

魔女「勘かえ?」

商人「足元を見て…退魔の方陣が仕掛けてある」

魔女「ふむ…退魔のぅ…」ジロジロ

商人「僕が知ってるのと同じだよ…間違い無い」

魔女「確かに退魔の方陣なのじゃが…勇者はこの方陣を知らん筈なのじゃが」

商人「え?」

魔女「わらわは教えて居らぬ…勇者が使こうて居ったのは光の方陣…少し違うのじゃ」

商人「そうだったんだ…」

魔女「退魔の方陣は光の方陣を簡略した物じゃから効果は退魔のみ…光の方陣を知って居れば問題は無いが…」

商人「700年前なら魔術師の黎明期…他の誰かに教わったのかも」

魔女「簡略化できる事を発見したのはわらわの師匠…つまり200年前より以前は発見されて居らぬ」

商人「じゃぁ女海賊は?確か塔の魔女から魔術書を貰ってた」

魔女「それなら辻褄が合う…文字が読めればの話じゃが」

商人「文字か…そうだな僕も文章から読み取った」

魔女「誰かに読み解かせたのやも知れんな…まぁそれは良いとしてこの空間の空気を変性させれば良いのじゃな?」

商人「そうだよ…扉を閉めるから先に出て」

魔女「参考になるのぅ…シン・リーンの宝物庫もこの様に施錠すれば良いな」ノソノソ

商人「じゃぁ変性魔法お願い…」ギギー バタン

魔女「変性魔法!」

商人「よしよし元通りだ…帰ろう」


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『林道』


カクカク シカジカ

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--------------


魔女「…では剣士らは公爵が持って居る冒険の書を盗みに行ったのじゃな?」

商人「うん…他にも時の王の遺産が有るかもしれないからさ」

魔女「公爵はフィン・イッシュに来て居る様じゃが?」

商人「どうせ影武者だって言ってたよ」

魔女「ふむ…用心して居った方が良さそうじゃ…何を持って居るか分からんな」

商人「怖いよね?幻惑の杖みたいな物を持ってたとしたら」

魔女「しかし公爵はわらわも顔を知って居る…何故今まで見落として居ったんじゃろう?」

商人「知ってるのは影武者の顔なのかもね」

女戦士「魔女…私の父…海賊王の事なのだが変化の杖という物でバニーになりたいと言っていた事が有る」

魔女「変化の杖…なるほど変性して居る可能性があるのじゃな?」

商人「あああ!!そういえば10年前に死んだ領事…あいつは沢山の身分証を持ってた」

魔女「そうじゃったな…魔術師でも無いのに同じ顔で元老の身分も持って居ったな」

商人「変化の杖を使って他人に成りすましてる…そんな可能性ありそうだ」

魔女「アサシンが領事の身元を知って居った筈じゃ」

商人「ちょっと待てちょっと待て…領事は公爵の影武者の役をしていたんじゃ無いか?」

女戦士「それでは誰も信じられんな」

商人「わかったぞ…ローグが言ってた事はやっぱり本当だ…そうやってセントラル皇子3兄弟を分裂させて利用した」

魔女「やはり変化の杖を持って居るのが濃厚じゃな?」

商人「例の鏡が役に立つよ!!真実を写すんだよね?」

魔女「磨かんと鏡にはならんが…」

女戦士「私が磨こう…金属を磨くのは得意だ…むしろ磨いてみたい」

商人「よしよし…やる事が定まって来た」


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---------------

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『王族の気球』


フワフワ


近衛侍「ささ皆様お待ちしておりました…お乗りください」

商人「迎えが来てる…」

アサシン「城へ戻るぞ…早く乗れ」

商人「八咫鏡は?」ヨイショ

アサシン「乗せてある」

魔女「ふぅ…疲れたわい」ノソリ

アサシン「祠は無事に封印された様だな?」

魔女「うむ…アサシンに質問なのじゃが死んだ領事を覚えて居るな?」

アサシン「思い出したく無いが…領事がどうした?」

魔女「主は領事の身元を調べて居ったじゃろう?」

アサシン「なんだそんな事か…セントラル王族の分家に当たる…与えられた特権が領事」

商人「公爵とは関り無いの?」

アサシン「血の繋がりは無い…関りがあるとすれば時の王の派閥側だという事ぐらいしか知らん」

商人「その程度か…」

アサシン「なぜその様な質問を?」

魔女「変化の杖という物が合ってな…それを使って他人に成り代わって居るやも知れんのじゃ」

アサシン「領事がか?」

商人「領事も…公爵もだよ…領事は身分証を沢山持って居たよね」

アサシン「なるほど魔女と同じ様に化ける訳だな…領事にそれが出来たとなるとすべての辻褄が合うな」

商人「公爵も他人にすり替わってる可能性が有ると思う」

アサシン「…」ギロリ

近衛侍「私は違いますよ…」

アサシン「誰も信用出来んでは無いか」

商人「そういう事だね…今回の暗殺事件も直ぐ近くに公爵が居たかもしれない」

女戦士「私が八咫鏡を磨いてみる…女王の許可が欲しいのだが磨いて良いか?」

女王「…そういう事でしたら喜んでお預けします」

魔女「しかし本当に変化の杖を用いて居ったとするとすべて公爵の意のままに事が進んだじゃろうな」

商人「そんな物を持たせておいてはいけないね」

魔女「その通りじゃ…奴が持って居るやもしれぬ時の王の遺産はすべて封印した方が良かろう」

商人「魔女が持ってる幻惑の杖もだよ…」

魔女「そうじゃな…これを持って居ると主らにも疑われてしまうでのぅ」フリフリ


--------------

情報屋「世の中にどのくらいのアーティファクトが眠っているか分かる?」

魔女「さぁのぅ?時の王がかつてシン・リーンで魔術師に作らせた物なら分かるがそれ以外は分からぬ」

商人「どんな物が?」

魔女「ほとんどが杖じゃ…恐らく魔法が使えぬ精霊に持たせる為だったのじゃろう」

商人「精霊はそうやって身を守って来たのか…」

魔女「使わなくなったら処分すれば良かったのにな?思い出の品として保管して居ったのが良くない」

商人「それでどんな効果の杖だったの?」

魔女「いかづちを呼ぶ杖…マグマを操る杖…うみなりの杖…色々有るらしい」

情報屋「魔女が使う魔法が封じられているのね?」

魔女「うむ…全部そうじゃろうな」

商人「良い効果の杖は無いの?」

魔女「あるぞよ?癒しの杖…雨雲の杖…守りの杖…じゃが使い方を誤るとどれも危険なのじゃ」

商人「癒しの杖なんか誰が使っても良さそうじゃ無いか」

魔女「使い過ぎると老化してしまう」

商人「あーーそういう事か…薬の副作用みたいなもんなんだ」

魔女「じゃから何も知らぬ人間の手に渡らぬ様に封印した方が良かろう」

情報屋「杖以外にはどんな物が?」

魔女「一番知られて居るのはいのりの指輪じゃな…他には妖精の笛という物もあるらしい」

情報屋「妖精の笛…私冒険の書で読んだわ…ゴーレムを眠らせて操る笛」

魔女「10年前にゴーレムが暴れて居ったな?誰ぞが使うて居ったのは間違い無いじゃろう」

アサシン「状況的に公爵が使っていたと考えるのが正解だな」

魔女「有能な者が敵の中に居ると厄介じゃのぅ…」


---------------

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『フィン・イッシュ城』


近衛侍「女王様はお休みになられた…魔女様一行は客間にてお休みくだされ」

魔女「わらわの定位置は書物庫じゃ」

情報屋「私も調べ事をしたいわ」

商人「僕もだよ…ハウ・アイ島の事を調べたい」

女戦士「私は鏡を磨くとしよう」

アサシン「私はやる事が無いな」

魔女「女王の部屋でも守って居れ」

アサシン「近衛侍と忍が居れば十分だ…酒場にでも行くか」

魔女「寝られんと言うのも苦痛じゃのぅ…」

アサシン「言うな…行って来る」スタ


『酒場』


ドゥルルン♪


バニー「ハロハロ~お一人様ぁ?」

アサシン「バニーの働き口はカジノでは無いのか?」

バニー「マスターが行方不明なのぉ…臨時で雇われよ?お酒何飲む?」フリフリ

アサシン「一番キツイのをボトルで頼む」ジャラリ

バニー「あら?お客さん…どこの豪族?」

アサシン「早く持ってこい」ジロ

バニー「芋酒ですぅ~お注ぎになる~?」

アサシン「そのままで良い」キュポン グビグビ

バニー「ウフフ良い飲みっぷり…パフパフは如何?」ボヨヨーン

アサシン「いくらだ?」

バニー「金貨1枚よ?」

アサシン「…」チャリーン

バニー「では個室の方へ…」フリフリ


ワイワイ ガヤガヤ

お金ならいくらでもあるんだ…ほら?楽しませてくれよ

あらすご~い!!ねぇみんな見て?

僕は回りくどいのは嫌いなんだ…今すぐ脱いでよ

こう?

全部だよホラ全員脱いで大事な所を僕に見せるんだ

ワイワイ ガヤガヤ


アサシン「…」---あの男…いや気のせいか---

バニー「こちらですぅ…早くぅぅぅ」フリフリ

アサシン「あぁ済まない…」

バニー「お客様一人入りましたぁぁぁウフフ…楽しんで行ってね?」

アサシン「何?」

男共「パフパフの殿堂へようこそ!!さぁさぁこちらへ…」ムキムキ

アサシン「…」ボーゼン

『翌日_謁見の間』


セントラル王は兵2名のみ帯同許可します…右手に整列を

近衛侍は私の左手側へ…側近は私の言葉を相手に伝えなさい

その他は傍聴席から立たない様にお願いします

では…全員銀の仮面を付けて待機


商人「…これは相当威圧的だ」

魔女「これで良い…この仮面は女王の威厳じゃ」

商人「仮面を被った集団に囲まれての和平交渉か…」

魔女「どんな交渉をして来るか楽しみじゃな」


衛兵「先方来賓されました…公爵と思われる人物と帯同の従士一人」


女王「お連れして下さい…では皆さんご静粛に…」

衛兵「謁見が許可された…2名!!入れ」


スタスタ


女王「…」ヒソヒソ

側近「女王の言葉を復唱します…ようこそお越しくださいました…和平の件…交渉に付けて喜びを感じる次第」

公爵「これは大層なおもてなしですなハハ…お体の調子が悪いと伺っておりましたが触りませんかな?」ニヤ

側近「お陰様で順調に回復しております」

公爵「それは結構…では早速本題に移らせて頂きますが先ずはセントラル貴族院への口利きとしての条件として…」チラリ

セントラル王「…」

側近「ためらわずおっしゃって下さい」

公爵「当初はセントラル王の引き渡しが条件でしたがその必要は無くなった事を冒頭に申し上げます」

セントラル王「!!?」

側近「代わりの条件は如何に?」

公爵「セントラル王との婚姻…そして王権の分与」


ザワザワ


側近「願っても無いご提案ですが民意がそれを許さないのです…困りましたねぇ」

公爵「わたくしは先ほどから側近とお話をしていますが…もしかすると女王様は影武者という事は無いでしょうね?」ニヤ

近衛侍「無礼者!!」

側近「何故にその様な疑いを?」

公爵「いやいや私の情報筋では女王様は危篤状態と伺っておりましてな…土産にと思いまして特効薬も持参している次第」

近衛侍「特効薬…お主まさか…」

公爵「ハハ勘違いしないでくだされ苦痛を和らげるには必要な妙薬なのですよ…ここに」ドサ

セントラル王「貴様ぁ!!ぬけぬけと…」スラーン

第3皇子「おっとぉ!!大兄…危ないじゃ無いか」

セントラル王「何ぃ…お前…何故お前が此処に…」タジ

公爵「これ!身を明かすのが早いぞ」

第3皇子「もう茶番は良いでしょ?話は簡単さ…さっさと結婚してフィン・イッシュを僕らの自由にさせろという事だよ」

公爵「余計な事をしゃべるな!!」

第3皇子「こんな提案もある…大兄の持ってる王権を僕に譲れば良い…そうすればめでたくフィン・イッシュ女王と結婚出来るよね?」

セントラル王「ぐぬぬ…再会してお前はそんな話しか出来ないのか!!良く…良く生きていた…」

第3皇子「近寄らないで欲しいなフィン・イッシュの下僕に成り下がった大兄なんかもう知らないよ」


ガタン!


近衛侍「女王様…なりませぬ…落ち着いて下さい」

女王「交渉の件…飲みましょう…ただしこちらも条件があります」

公爵「それは良いご判断で…」

女王「公爵!…いえ…この公爵の偽物の首をはねて本物の公爵の下へ突き返すのです…それが条件です」

第3皇子「そんな事をしても意味が無いよ」

女王「あります…私はもう騙されないと言う意味なのです…近衛侍!!抜刀許可!!」

公爵「ひぇ…」ダダ

近衛侍「御免!!」シャキーン ボトリ

公爵「…」パクパク

女王「続いてセントラル王へ命じます…セントラル王権を第3皇子へ譲渡し私と婚姻しなければこの国を追放します」

セントラル王「…」

女王「私の王権を分与すれば条件をすべて飲んだ形…後はあなたが判断してください…あなたを信用します」

第3皇子「なんだよ勝手に進めないで欲しいな」

女王「戦争は終わりました…第3皇子…あなたも早く宣言をして下さい…戦う必要は無くなったのです」

セントラル王「第3皇子!!来い」グイ

第3皇子「触るな!!」

セントラル王「調印をする…兵を率いて帰るが良い」

第3皇子「フン!分かってる…港は好きに使わせて貰う」

『傍聴席』


魔女「歴史が動いたな?」

アサシン「クックック…セントラルが滅びる瞬間を見たな」

魔女「第3皇子には王の器が無い様じゃ」

アサシン「うむ…しかしあの小僧が公爵と手を組んでいたとは…」

魔女「結果的にはこれで良かったかのぅ」

アサシン「まぁこれで貴族院は第3皇子を擁立する側とそうでない側で又分かれる…終わりだよあの国は」

女王「皆様ご心配をお掛けしました…」ペコリ

魔女「見事じゃたぞよ?真実の鏡には何が映って居ったのじゃ?」

女王「口論する兄と弟…その傍らで公爵では無い他人が薄ら笑いを浮かべていました」

魔女「伝説は本当の様じゃな」

女王「思わず首をはねる指示をしてしまったのを後悔しています」

アサシン「気に病むな…お前に毒を盛った者共なのだ」

女王「実は私にはそんな事を指示できる権力は無いのです」

近衛侍「女王様お気になさらず…私めは指示されて動いたのでは御座いません…勝手に切ってしまい忝い」

商人「女王の権限分与ってさ…良いの?セントラル王に分与しちゃって」

女王「その件でしたら私が王として持って居る権限は畑の管理なのです」

商人「畑?」

女王「権限は既に側近や近衛侍…そして忍びに分与済み…資産といえば畑と地下墓地でしょうか」

商人「アハハな~んだ殆ど民主化してるのか」

女王「はい…でも畑は全部私の物ですから意外と権力は大きいのですよ?」

商人「食べ物を抑えてる訳ね」

女王「その半分をセントラル王に分与する訳です」

魔女「こりゃセントラル王は忙しくなるじゃろうのぅ」

女王「見て居ましたか?あのような状況でも弟の身を案じていたセントラル王を?」

魔女「うむ…なんというか素直なんじゃろうな」

女王「はい…只ひたすら真っ直ぐな人なのです…悪い人では無いのでご勘弁下さい」

魔女「さて人段落したようじゃし…わらわは書物庫へ戻るとするかのぅ」ノソ


この日セントラル王権は第3皇子へと譲渡され

フィン・イッシュ守備隊は解散する事となった

その大半はセントラルへ帰還する事を拒み

第1皇子を慕う者のみで構成される兵団が構成される

『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


剣士「女オーク…オークの予言はこれで大体合ってるんだね?」

女オーク「私が知ってる事は少しだけど全部合致してるわ」

盗賊「こりゃ公爵はエライ秘密を知って居た様だな」

剣士「ほとんど情報屋さんが言ってた通りさ…光る隕石も地軸の移動も全部予言されてた」

盗賊「この手記に記されている通りだとすると俺らに残った時間はあと数年…」

剣士「こういう解釈も出来る…これ以上先の予言が無いからそれを終焉と勝手に決めつけてる」

ローグ「あー良いっすねそういう解釈…光が見えやす」

剣士「多分ね4000年前に人類の99%以上が死滅した事を今の時代にもそのまま当てはめてる」

盗賊「1%かよ…そん中に入れってか」

剣士「違う…その時は何も知らないから1%だった…でも今は知ってる…まだやれる事はあるよ」

盗賊「ハテノ村の遺跡で発見したあの液体…まだ謎が残ってるな?」

剣士「うん…あれはきっと事情を知ったママからの贈り物さ」

盗賊「思い出して来たぞ夢幻の夢って奴を…そうだ確か病気を治す薬をハテノ村の木の下に埋めた」

剣士「絶対にソレだよ…早く名も無き島に戻らなきゃ…」

ローグ「公爵がこの予言をいつ知ったのか手記を見て分かりやせんか?」

剣士「始めのページは30年以上前だよ」

盗賊「そんな昔から知って居たんならなんで隠してたんだろうな?」

剣士「信じて貰えなかったとか…何かの理由で隠蔽されたのかもね」

盗賊「30年前っちゃエルフ狩りが活発になった辺りだな」

ローグ「貴族がエルフを奴隷にして競っていやしたね?」

盗賊「まぁ今思えばいのりの指輪狙いだったんだろうな…もうちっと平和に行けば良かったのによ」

剣士「ハイエルフが産んだ勇者の誕生にまで関わってる…そうかハイエルフが勇者を隠したのが事の始まりだよ」

盗賊「ほう?それでエルフ狩りが激化した…」

剣士「公爵はすべて思い通りに事が進んだ訳じゃ無いみたいだ…裏切りや抵抗に合って何度も失敗してる」

ローグ「あーそれで予言を隠してたんすね」

剣士「その抵抗も予言の一部だと解釈してるよ…予言を変えようと努力した結果なのか…」ヨミヨミ

盗賊「白狼の盗賊団も抵抗勢力になってた訳か…」

剣士「そこら辺で手記が止まってる…白狼の事は何も書かれてない」

盗賊「それも理由が読めん…なんでだ?」

剣士「僕なんか分かるよ…パパが次元の入れ替えで無理やり歴史を修正したからさ…」

盗賊「んんんよー分からん」

剣士「まぁきっとそういう理由で記憶の不合点が出るんだ…だから書き記せなくなった」

盗賊「忘れて行くってやつか?」

剣士「うん…その時書き留めて置かなかった事は忘れて行ってしまう…そういう事が公爵にも起きたんだよ」

女オーク「ねぇ盗賊さん?盗んで来たこの笛…オークの笛にそっくりなの」

盗賊「ん?どんな効果なんだ?」

女オーク「動物を眠らせる笛よ」

剣士「睡眠魔法か…幻術だからそれを知ってる人には効果が無い」

盗賊「試しに吹いてみろ」


ピーヒョロロ~


盗賊「ぶははなんだ…音は出るが曲になって無ぇ」

剣士「なんか何も効果が無さそうだ」

ローグ「公爵が持ち歩いて無いって事は只の時の王の思い出の品かもしれやせんね?」

女オーク「上手に吹ける様に練習してみる」

剣士「貰って良いんじゃない?」

盗賊「昼と夜が入れ替わるぐらいの効果が欲しかったな?ヌハハ」


ピーヒョロロ~


盗賊「まぁちっと疲れたんで寝るわ…」

ローグ「あららら?効果ありやすね」

剣士「その様だ…不思議な笛だなぁ…睡眠魔法とはちょっと違いそうだ」

女オーク「私が飛空艇を見ておくから寝てて良いわ」

剣士「うん…横になるふぁぁぁぁあ…」

『夢』


妖精「おい!!起きやがれ!!」

僕「んん?誰?」

妖精「俺様だ!!いつもいつもコキ使いやがって!!」

僕「あ!!妖精だ…僕にも妖精の声が聞こえる様になったんだ」

妖精「反省してるのか!?」

僕「あぁゴメンよ無理なお願いばかりしてさ」

妖精「罰としてどんぐり食べちゃうぞ」

僕「うん…良いよ沢山食べて?」

妖精「分かればよろしい…」パクパク

僕「君は何処から来たの?」

妖精「笛に呼ばれて来たんだ…そしたら極悪人の君が居た」

僕「ハハ僕が極悪人?」

妖精「そう妖精をコキ使う極悪人だ」

僕「ゴメンねこれから優しくするから許して」

妖精「ふん!」プイ

僕「分かったよもっと質の良いどんぐりを用意しておくよ」

妖精「絶対だぞ?」


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『翌朝』


ピロロ~♪ ピ~ピロロ~♪


剣士「ふぁぁぁ…」パチ

女オーク「起きた?」

剣士「…良い夢見たよ…妖精とお話が出来た」

女オーク「妖精を呼ぶ笛ね?」

剣士「多分そうだよ…良い物手に入れたね」


ニョロニョロ


剣士「ん?あれ?ワームがどんぐりかじってる…なんだ君だったのか」

女オーク「虫が妖精?」

剣士「そうらしい…そっか虫とお話出来るのか」

女オーク「この笛欲しい?」

剣士「欲しい…でも君が使って居て良いよ…僕笛吹けないし」

女オーク「ウフフいつでも吹いてあげるわ」

剣士「なんかすごく癒された感じだ…元気出て来たぞ!!」

女オーク「このワームにどんぐりあげれば良いの?」

剣士「うん…松の実もあげて見ようか」

女オーク「沢山あるわ…」パラパラ

剣士「おー食べてる食べてる…お腹減ってたのかー」

女オーク「そろそろフィン・イッシュが見えて来るはず…盗賊さん達を起こして?」

剣士「おけおけ…操舵は任せるね」


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『フィン・イッシュ_墓地』


フワフワ ドッスン


盗賊「いやぁ久々に良く寝た…良い笛ゲットしたな?」ノビー

剣士「睡眠魔法じゃ無いのがスゴイね…僕なんか夢で妖精とお話したよ」

盗賊「俺ぁ死んだ女盗賊が夢に出て来たんだ…あいつ妖精になったんだな」

ローグ「あっしも妖精の美女に囲まれてウハウハでやんした」

盗賊「こりゃクセになりそうだ…なんつーか寝覚めが最高だ」

剣士「今晩皆に聞かせてあげよう」

盗賊「おっし!!荷物持って…ん?何処行きゃ良いんだ?」

剣士「城で良いと思う…空から見た感じ厳戒態勢じゃなくなったみたいだし」

盗賊「まぁ一回城行ってみっか」ヨッコラ ガサリ

ローグ「大収穫でしたねぇ…金銀財宝も沢山あるでやんすよ」ヨッコラ 

剣士「じゃぁ手分けして運ぼう…よいしょ!!」

『フィン・イッシュ城_客室』


ガチャリ バタン


近衛侍「ここでお待ちください…魔女様を呼んで参ります」

盗賊「アサシン!!お前一人なんか?」

アサシン「まぁな?皆書物庫で寝泊まりしている…私は付き合って居れん」グビ

盗賊「女王はどうなった?お前又放置されてんだな?」

アサシン「クックック放置か…まぁそうなるか…体は回復してる様だから心配は無用」

盗賊「土産が沢山あるぜ?見て見ろ…」

アサシン「公爵はどうなった…」

盗賊「向こうに居たのは影武者だ…こっちに来てたんじゃ無いのか?」

アサシン「こちらへ来たのも影武者だった様だ…さて何処へ行ったのやら」

盗賊「だがな?公爵が持ってた主要な物は全部頂いて来た…冒険の書もこの通りだ」バサ

アサシン「では尚の事行き先が気になるな…それらはもう不要という判断だろう」


ノソノソ


魔女「無事に戻ったか…話は聞いたぞよ?冒険の書は手に入った様じゃな」

盗賊「おぉ魔女!!この通りよ…見てくれ謎の道具の数々を」

剣士「情報屋さん!!公爵の手記も持って来たんだ…読んでみて」

情報屋「え?手記?」

剣士「予言の事が書いてある…情報屋さんが言ってた事と似てるんだ」

商人「ちょちょ…僕にも見せて」パラパラ

魔女「いかづちの杖…マグマの杖…うみなりの杖…やはり隠し持って居ったな…しかし魔力が枯渇しておる」

盗賊「なぬ?じゃぁ使い物にならんのか?」

魔女「魔石で充填すれば良い」

盗賊「他には使えそうな物は無いか?」

魔女「アクセサリーはすべてそれなりのエンチャントが施されて居るのぅ…武器は呪われて居る」

盗賊「ぐはぁ呪いの武器か…使え無ぇじゃ無ぇか」

魔女「アーティファクトは冒険の書だけの様じゃな…やはり変化の杖は公爵が使って居る様じゃ」

女オーク「魔女様…この笛は?」スッ

魔女「おぉぉ妖精の笛じゃ…やはり有ったか」

剣士「この笛の効果は知ってる?」

魔女「ゴーレムなどの大型の魔物を眠らせる事が出来るらしいのじゃ」

剣士「その笛を吹いたらさ僕達も眠たくなって夢の中に妖精が出て来るんだ」

魔女「そうじゃろうそうじゃろう…」ウンウン

剣士「妖精とお話が出来るから気に入っちゃってさ…これ使っても良いよね?」

魔女「もしもゴーレムに出会うたらその笛で眠らせると良い…それ以外の使い道は思い浮かばんのぅ」

剣士「じゃぁ使って良いって事だね!!もーらい!!」

盗賊「ちぃぃぃ俺が使えそうな物が何も無ぇ…杖なんか要ら無ぇしな」

魔女「何を言うて居る!アクセサリーはすべて一級品じゃ…価値が計り知れぬ」

『しばらく後』


アーデモナイ コーデモナイ


…アヌンナキ…これはオークシャーマンの名前よ

そしてこの箱舟は彼らの乗り物…これが未踏の地の氷床の下で眠ってる

オークは宇宙から来た外来生物だったのね

超古代の伝説にもアヌンナキは神として崇められてる…人類の創造主とか洪水の予言者だとか

この手記には4000年ごとに訪れる黒色惑星によって引き起こされる災害を

事前に警告する為に訪れると纏められて居るわ

でもウンディーネの時代に訪れたオーク達をその当時の人間達が捕獲してしまった…箱舟も一緒に

そしてオークが持つ不思議な技術の権利を廻って世界的な戦争が起きた

当時200億を超えた人口はこの戦争によってたった数十年で1億人にまで減少…

それはたった数発の光る隕石が原因…あっという間にウンディーネ時代が終わる

光る隕石から生じる毒に耐性の有ったオーク達は生き延び箱舟に帰ろうとするが

地軸の移動により生じた気候変動に阻まれ箱舟までは到達出来なかった…

そして4000後…再び地軸の変動が起きて氷床から彼らの箱舟が姿を現す



情報屋「これが私達の知らなかったウンディーネ時代からの歴史…」

商人「まだ続きがある…」


当時捕らわれの身となっていたオークシャーマンを導く人物が現れる

虫を巧みに操る者と女神の2人…後にオーク達はウンディーネと崇める事になった

この2人はオークに数々の予言を与えた

それはこの世界でオークが生き残る術の数々

その予言を絶やすことなく守り続けて…オークシャーマンは今も生きている



情報屋「一度道を踏み外しそうになっているわ…暁の使徒との交わりでオーク達を分断する結果を導いてしまった事」

商人「まぁそうだね…人間と共存を望んだオークとそうじゃないオークに分かれた…でも結論は同じところに収束しそうだよ」

魔女「ではオークシャーマンが目指しておるのは未踏の地に封じられて居った箱舟なのじゃな?」

情報屋「きっとそうね…私達にそれを邪魔する理由は無いわ」

商人「魔女が研究してるオークの呪符…能動的な術じゃないのは変化無いね?」

魔女「うむ…重力などを操作する類の術では無い…動く星たちを秒単位で観測する術じゃ…それで天候を知るのじゃ」

情報屋「一つ注意して欲しいのが…今話した歴史は公爵が冒険の書を読んで得た知識を手記にしたという所」

魔女「事実では無いやも知れんという事じゃな?」

情報屋「私も冒険の書で同じ様な事を知ったわ…でも手記に書き留めなかった…事実と異なる可能性があったから」

商人「行って確かめてみないとね」

情報屋「そうよ…それ無しで学術記録としては残せない」

剣士「行こうか…僕は名もなき島に帰ろうと思ってたんだ…どうせ向こうの大陸に一回渡るんだし乗せて行くよ」

盗賊「おいおい…次行くのはハウ・アイ島だろ?」

商人「それなら僕も行きたいな」

剣士「4人までだよ」

盗賊「全員乗れるように改造すりゃ良いだろ」

剣士「ええ!?そんな大きな羽を支える材料なんか無いよ…今ので精一杯さ」

女戦士「幽霊船で行けば良いのではないか?折角合流したのだから又分かれるのも寂しいだろう」

剣士「んぁぁ急ぎたいんだけどなぁ…」

魔女「わらわが良い事を思いついたぞよ?盗賊が持って来た物の中に風のタクトという杖があったのじゃ」

盗賊「お?風を起こせるんか?」

魔女「そうじゃ航海の役には立たんかえ?」

盗賊「安定した横風受ければ真っ直ぐ行ける…横帆の有る幽霊船なら尚更だ」

ローグ「外海を大航海っすね?ワクワクしやすねぇ?」

盗賊「おっし!!決まりだな」


スタスタ


女王「お話聞いて居りました…その航海に私と主人も連れて行って貰えないでしょうか?」

魔女「なんじゃと?」

女王「皆様方がご一緒なのが一番安全な航海が出来ると思いまして」

盗賊「おぉぉ来い来い!!嬢ちゃんも城ん中に籠ってちゃ退屈なんだろ」

女王「はい…それもありますが皆様の仲間に主人も加えて欲しいのです…王という肩書が無くなってやっと自由になれたのです」

盗賊「だははこりゃ美味い酒が飲めそうだ…帆の張り方教えてやるぜ?約束してたもんな?」

魔女「ヤレヤレ…王が不在でも良いのか?この国は」

女王「側近が私の影武者として働きますので…私はしばらく静養という形で旅に出て見たいのです」

盗賊「本人が良いってんだから連れてきゃ良いだろ」

女戦士「私の船は30人程度が適正な人数だ…乗船する人員を纏めてくれ」

盗賊「アサシン!!幽霊船まで案内してくれ…飛空艇乗せる」


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『幽霊船』


フワフワ ドッスン


盗賊「この飛空艇は船首側の甲板に固定が良さそうだ」グイグイ ギュゥ

剣士「僕はどうすれば?」

盗賊「船尾に乗っかってる貨物用気球で荷の運搬やってくれ…俺はちっと備品の整理やる」

アサシン「剣士…こっちだ」

剣士「荷の運搬かぁ…また旧式の古い気球だなぁ…」フワフワ

アサシン「フフ私の唯一の資産だ…20年近く使い込んで居る」

剣士「これさぁ木材変性させてもっと軽く丈夫に出来るよ?やってあげようか?」

アサシン「ほぅ?壊さない程度に改造は自由にやって良い」

剣士「おけおけ!変性魔法!」

アサシン「ん?何か変わったか?」

剣士「板の部分を樹脂に変性させたのさ…重さが半分以下になってる筈」

アサシン「その技は幽霊船にも使った方が良いだろう…あの船も随分使い込んで居る」

剣士「あとでやって置くよ…それで荷を運ぶって何が足りないの?」

アサシン「食料は十分ある…無いのは酒だ」

剣士「なんだそんな物か…」

アサシン「まぁあとは女王が何を持って行くかなのだが…」

剣士「僕は土を持って行きたいなぁ…果物とか育てられるし」

アサシン「ほぅ?それは良いな…女戦士に許可してもらえ」

剣士「よっし!樽に土を詰めて持って行こう」

『城_中庭』


ガガーン ビリビリ


ローグ「荷物をまとめていやすぜ?これ運んで下せぇ」ヨッコラ

剣士「うん…あそこで魔女は何やってるの?」

ローグ「なんか杖に魔法を封じて試し撃ちしてるでやんすよ…危ないんで近寄らんで下せぇ」

剣士「危ないとか言って自分で使うんじゃないか…」

ローグ「女王に護身用で持たせるらしいっす…情報屋さんも使い方教わっていやしたぜ?」

剣士「そういう事か…自分の身は自分で守れって事ね」


スタスタ


ローグ「やば…元セントラル王が来たでやんす…」

元セントラル王「もうその名で呼ばないでくれないか…私は戦士だ…戦士と呼んでくれ」キリ

剣士「アハハこんにちは戦士さん」

戦士「剣士殿にローグ殿…私にも何か手伝える事は無いか?」キラリ

ローグ「荷物を気球の中に運んでもらって良いっすかね?」

戦士「まかせたまえ!!どらぁぁぁぁぁ」ドドドド

ローグ「あら?あららら…ちょちょちょそれ今積んだばかりの荷でやんす」

戦士「あぁ私とした事が…勢い余って荷を下ろしてしまった様だ」

ローグ「ちょっと大丈夫すかねぇ…ゆっくりで良いんで頼んますよ?」

戦士「分かっているさ…どらぁぁぁぁ」ドドドド

剣士「いやぁスゴイなぁ…一気に荷が片付く」

ローグ「脳筋ってこういう人を言うでやんす」ヒソ

戦士「ふぅ…私も君達の幽霊船に興味があるのだ…連れて行って欲しいのだが」キリ

剣士「おけおけ!!船の片付けもあるんだ…助かるよ」

ローグ「じゃぁあっしは又荷物をまとめておくんで運んだら戻って来て下せぇ」

剣士「うん!直ぐに戻るよ…じゃぁ戦士さん乗って!!」

戦士「失礼する…」シュタ

ローグ「なーんかいちいちポーズ決めるの止めやせんか?」

戦士「気に障ってしまったか…済まない」キリ

ローグ「早く行って下せぇ…」---な~んか変な人でやんす---

『幽霊船_甲板』


どらぁぁぁぁ バキバキ!


盗賊「うぉ!!甲板に穴空けるんじゃ無ぇ!ボケが!!」

剣士「女オークと腕相撲で互角だ…」

女オーク「まだ勝負ついてないわ…はぁはぁ」

戦士「私には負けられない理由があるのだ…受けて立とう…掛かって来い!!」グイ

女オーク「次は左腕よ…」グイ

剣士「はいはい…力抜いてぇ…レディーーーゴー!!」

戦士「ふんっ…」ミシミシ

女オーク「くっ…」グググ


盗賊「なぁ?…負けられない理由って何だと思う?」

剣士「さぁ?女には負けられなっていう事かな?」


戦士「どるぁぁぁぁぁ!!」ドコーン

女オーク「ぅぅ…まだよ…まだ右手は負けて無いわ…もう一度」

戦士「熱い!!熱いぃぃ!!」グイ

女オーク「勝負は一瞬…熱くなったら負けよ」グイ

剣士「…」ポカーン

戦士「どるぁぁぁぁ!!」ミシミシ

女オーク「私の…勝ち!!ふんっ!!」ドコーン

戦士「この私が…いやまだだ…両腕で勝負だ!!」

女オーク「望む所よ…」ガシッ

戦士「ふぬぬぬぬ…」グググ


盗賊「こら勝負付かんな…おい剣士!甲板に穴空いちまうから魔法で補強してくれ」

剣士「おっけ!!変性魔法!」

盗賊「しかしあのセントラル王がこんな脳筋ヤロウだったとはな…船乗りにゃ丁度良いが」

剣士「なんか面白い人だよ…なんというか悪意を全く感じない」

盗賊「うむ…天然の脳筋だ…第2皇子や第3皇子とまったく違ったタイプだ」

剣士「次は盗賊さんお酒で勝負してみたら?」

盗賊「ほぅ?そりゃ名案だ」

剣士「今晩は城でお祭りでもやろうって女王に話してみるよ」

盗賊「そうと決まりゃサッサと仕事片づけて城に戻るぞ」

『夜_城下』


ワイワイ ガヤガヤ

戦争が終わってセントラルの軍船が入港してくるんだってよ

じゃぁ今晩は終戦祝いの祭りなのか?

理由は聞いて無いがまた例の様に酒と食い物の配給よ…食いそびれんな?


女戦士「フフ…この国は祭りと聞けばすぐに人が集まる」

剣士「盗賊さんがお酒で元セントラル王と勝負するっていうのが事の始まりさ」

女戦士「それで女王が直ぐに手配した訳か」

剣士「うん…近衛侍が一気に動き出してさ」

女戦士「それはな?近衛侍は元セントラル王が膝を着ける所を見たいのだ…」

剣士「なんか楽しみだね」

魔女「勝負はもうついておる…盗賊に酒で勝てる者なぞ居らんわ」

剣士「あれ?女戦士…どうしたのその武器?」

魔女「それは呪われた武器じゃ…時の王が愛用して居ったんじゃろうがどうしても女戦士が使うと言って聞かんのじゃ」

女戦士「これは私が打ち直して使う…呪いなぞはねのけてやる」

魔女「それは破壊の剣という代物じゃ…呪いに支配されぬ様にせねばならんぞ?」

剣士「へぇ?良い剣なんだ?」

女戦士「材質はオリハルコン…お前の刀と同じだ…エンチャントに失敗して呪いが掛かっているのだ」

剣士「オリハルコンってどんなエンチャントが出来る?」

魔女「時空じゃな…量子転移を掛けて時空を切り取れる様にしようとしたのじゃろう」

剣士「へぇスゴイな…」

魔女「成功しておれば伝説の武器になったじゃろうな」

女戦士「単純に武器の性能としては一級品…いやそれ以上…丁度私の手に馴染む重さ」

魔女「呪いさえ無ければのぅ…」

剣士「どんな呪いなの?」

女戦士「稀に夢を見る…その瞬間足が止まる」

剣士「なんだそれだけか」

女戦士「私にはその夢が愛おしい記憶に感じてな…つい見入ってしまう」

魔女「これこれ何度も言うが呪いに支配されてなならぬ」

女戦士「分かって居る…私はこの武器が気に入ったのだ大事に使うさ」

剣士「他にも装備品が色々あったよね?」

魔女「自虐効果の付いた物ばかりでな…不死の体を持つ時の王しか身に着けられん」

女戦士「本当はそれも欲しいのだが流石に体が持たないと思ってな…どうにか呪いが解ければ私が使う」

魔女「無理じゃ!エンチャントは不可逆の変性じゃでもう元には戻らぬ」

女戦士「フフまぁ良い…この破壊の剣で十分だ」

『城_中庭』


ギャハハハハ ワイワイ


ローグ「食事持ってきやしたぜ?」モグモグ

女戦士「気が利くな」

ローグ「魔女さんもどうぞでやんす…」

魔女「盗賊の勝負はどうなっとるのじゃ?」

ローグ「見ての通りっすよ…互角に飲み比べていやす」

魔女「ほぅ…奴も酒豪とな?」

ローグ「どうも結託した様っすね…2人で他の近衛侍も巻き込む作戦に変わったみたいでやんす」

剣士「ハハ巻き込まれない様にしないとね」


盗賊「ごるぁ!!女オーク逃げんな…お前も飲め」グイ

女オーク「お酒は沢山飲まないのよ」

盗賊「酒に肉は一切入って無ぇんだ…材料は芋とキノコだぞ?」


剣士「盗賊さん!!女オークにお酒は意味が無いよ?酔わないから」

盗賊「なぬ!?そら面白く無ぇじゃ無ぇか!先に言えタコ」

女オーク「ふぅ助かったわ…もうお腹が膨れてしまって」

戦士「フハハハハこの勝負…私の勝ちと見た!げふぅぅぅ」フラ

女オーク「又言ってる…どうにかして剣士」

剣士「いや…ここは逃げよう」

魔女「うむ馬鹿に構っておると移るでな…」ノソノソ

商人「ようし!!僕が勝負してあげようじゃ無いか」

戦士「貴殿は商人殿だな?望む所だ…私は背を向ける事を決してしない」ヨロ

盗賊「おいおいこいつは止めとけ…ゾンビだから酒に酔わ無ぇんだ」

商人「あああ!!秘密をバラしちゃダメじゃ無いか!!」

戦士「なんと卑怯な!!貴殿はそれで良いのか!?」

盗賊「おいローグ!!やっぱ俺とお前しか居無ぇ!!来い!!」

ローグ「えええ?又っすか…」

戦士「ローグ殿…共に飲み明かしましょう!ハハハハ」

女戦士「私も一口飲んでみるか…」

戦士「おぉ!!女戦士殿…貴殿の話は伺っておりますぞ…なんでも一口で出来上がってしまうほど弱いとか」

女戦士「なに!!誰がそんな事を…」

ローグ「…」コソーリ

女戦士「ローグ!!来い!!」ギロ

ローグ「へい…」

女戦士「私は味見だけだ…後はお前が責任を取れ」

盗賊「樽持って来い樽だぁぁぁ!!」


うおぉぉぉぉ ワイワイ

『深夜』


んがぁぁぁ ぐぅ


戦士「…」ヨロ

盗賊「よぅ?横になったらどうよ?」グビ

戦士「いやいや私は最後まで立って居なければならん…ヒック」ヨロ

盗賊「ヨロヨロじゃ無ぇか…まぁしかし美味い酒が飲めたな?」グビ

戦士「平和…これ以上美味い酒の肴は無い」フラフラ

盗賊「分かってんじゃ無ぇか…身分違っても思う所は一緒だな?ヌハハ」

戦士「…」スラーン ブン ブン

盗賊「暴れて怪我すんなよ?」

戦士「酔い覚ましの運動さ」ブン ブン



『城のテラス』


魔女「ふぅむ…この勝負…元セントラル王の勝ちじゃな」

女戦士「まだ飲んでいるのか?…ぅぅん」グター

魔女「いやあの男一人だけまだ立って居る…大した胆力じゃな」

女戦士「フフ…セントラル城に立て籠もって居た時も奴だけは諦めずに居た…そういう男だ」

魔女「頭は回らんが英雄の器があるのぅ」

女戦士「英雄か…」

魔女「うむ…カリスマと言えば良いのか?王を失しても褪せん物を持って居る」

女戦士「この時代に英雄は必要だ…守ってやらねばならんな」

魔女「そうじゃな…次の時代の真の王はフィン・イッシュで花開くあの男の様じゃのぅ」

女戦士「んん?八尺瓊勾玉の件か?」

魔女「うむ…王を選ぶと言われる勾玉が発見されたで気になって居ったのじゃよ」

女戦士「私は破壊の剣に魅せられた隠者という所か」

魔女「主は海賊王の道じゃろうのぅ…海の英雄じゃ」


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『翌日』


乗船する者を確認する


女王 いかずちの杖 軽装

戦士 王家の剣 重装

剣士 銀河の剣 中装

女オーク コバルトの剣 中装

女戦士 破壊の剣 重装

アサシン 草薙の剣 中装

盗賊 散弾銃 中装

ローグ ミスリルダガー 中装

情報屋 マグマの杖 軽装

商人 クロスボウ 軽装

魔女 幻惑の杖 軽装

くノ一 クナイ 中装

近衛侍 カタナ 中装


他調理士2名…医者2名…航海士2名…測量士2名

戦闘要員として兵団から男女混合の10名が同行する

出港は昼過ぎ…各自移送用の気球に乗って船へ乗船してくれ…以上!


盗賊「31人か…賑やかな航海になるな」

女戦士「スケルトンを合わせて40だ」

盗賊「避難は小舟2隻と貨物用気球…まぁこれで目一杯だな」

女戦士「外海に出て見たい連中が沢山居て直ぐに人員が決まった…乗れなかった人には申し訳ない」

盗賊「戦闘要員なんか要らないんじゃ無ぇか?」

女戦士「女王の警護なのだ…全員訓練された選り抜きだ」

盗賊「戦争に行くんじゃあるめぇし…」

女戦士「選り抜きというのは戦闘では無い…技術者や学者も含まれる」

盗賊「んん?古代遺跡の調査か?」

女戦士「そうなるな…女王がノリノリなのだ」

盗賊「なるほど国として海洋進出って訳か…自国領にする訳だな?」

女戦士「そういう事だ…アサシンの進言だよ抜け目がない」

盗賊「まぁ俺らはいつも通りにしてりゃ良いよな?」

女戦士「規律だけは守ってもらう…酒は夕食の時に一杯だけだ」

盗賊「ぐはぁぁ…マジか」

女戦士「長期航海になるかもしれんから健康管理と水の不足を防ぐ為だ…自分で作って飲むのも禁止する」

盗賊「やる事無くなるな…釣りでもすっか」

女戦士「それは大いに助かる…存分にやってくれ」

盗賊「おいローグ!!剣士!!そろそろ船に乗るぞ」

ローグ「へ~い!!剣士さんも女オークさんもそろそろ行きやしょう」

剣士「うん…女オーク?種忘れてない?」

女オーク「私が持ってるわ?」

剣士「おけおけ!じゃ行こう」グイ

『幽霊船』


ザブン ギシギシ


剣士「僕達が寝泊まりするのは飛空艇にしようか…」

女オーク「そうね?居室は人が多そうだし」

剣士「食事もみんなと違うんだよね」

ローグ「あっしらも貨物用気球で寝る事になりそうでやんす」

盗賊「飛空艇は忙しいかも知れんぞ?女戦士は氷山を警戒しててな…飛空艇を飛ばして監視すると言ってる」

剣士「そっちの方が気楽で良いや…夜中の飛行だね?」

盗賊「そうだ…お前が持ってる光の石頼りになる」

剣士「おけおけ!夜中も航海した方が早く到着できるしね」

盗賊「船首にロープ結んで飛空艇で飛んだら幽霊船の周りを光で照らす感じだ」

剣士「夜中は交代で見張りしておけば良いのかな?」

盗賊「そうなると思う…お前等2人で大丈夫だよな?」

剣士「気楽で良いよ」

盗賊「まぁ昼間は降りて休んでも構わん」

ローグ「盗賊さん!貨物用気球で人員運搬に戻りやすぜ?」

盗賊「おー頼むわ…俺ぁハンモック編んどく」



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フワフワ ドッスン


ローグ「はい皆さん降りて下せぇ…」ゾロゾロ

近衛侍「…これが有名な幽霊船ですか…ほー」

商人「普通の貨物船だよ…大砲も積んで無い…砲弾も無い」

くノ一「あのスケルトンは?」

商人「船を動かす奴隷さ…アサシンの命令を聞くんだ」

情報屋「私達が寝泊まりする部屋は何処?」

ローグ「盗賊さんに聞いて下せぇ…あっしはもう一回人員運搬に戻りやす」フワフワ

情報屋「桟橋に船が付けられないと本当に不便ね」

商人「そうだね…気球が無いとどうにもならない」

情報屋「さて書物の整理をしなきゃ…部屋は何処かしら」スタスタ

『昼間』


ザブ~ン ユラ~


女戦士「全員乗った様だな?」

ローグ「数確認しやした…全員居やす…はぁはぁ」

女戦士「よし…後で褒美をやる」

ローグ「ムフフフフフ…」

女戦士「では出港する!!碇を上げろぉ!!」


どらぁぁぁぁぁ ガラガラ


女戦士「進路北西!横帆展開!!」

盗賊「嬢ちゃん手伝え!!そこのロープほどけ」グイグイ

女王「は…はい!!」グイグイ

盗賊「マスト上がれるか?上にも同じロープあるからほどいて来い」

女王「わかりました…」アセアセ

盗賊「戦士!!船首の縦帆開いて2番に結べ!!」

戦士「2番…2番…右の2番なのか左の2番なのか…」ズドド

盗賊「2番って書いてあんだろ!!早くしろぉ!」

戦士「どらぁぁぁ!!」グイグイ ギュゥ


グググ ギシ


女戦士「面舵一杯!!」グググ

アサシン「クックック…ドタバタだな…私は高見の見物だ」

女戦士「魔女!風のタクトで南風を吹かせてくれ」

魔女「ホレ…」フリフリ


ビュゥゥゥ


盗賊「おお!!良い風が来たぞ…風を横から受ける!!女王こっち来い!!ロープの結び方見とけ」グイグイ ギュゥ

女王「はい…」アセアセ

盗賊「今から横帆の角度調整するんだ…ちっと力が必要になる…まぁ見とけ」グイ

女王「私もお手伝いを…」グイ

盗賊「そうだ!そうやって引っ張って金具に結ぶ!」グイグイ


バサバサ ググググ ユラ~


女戦士「そのまま保持…進路定まるまで待て」

盗賊「ふぅぅ船が進みだしたぜ?しばらくフィン・イッシュとはさよならだ」

女王「はい…出港は感慨深いですね」

盗賊「だろ?置いて来た物が気になるだろ?それでも向こう側を目指すのが海の男よ…」

女王「私は女ですけれど…」

盗賊「悪いな働きっぷり見たら男だと思ってたわヌハハ」



『甲板』


ザブ~ン ユラ~


盗賊「ようし!進路定まったな…ざっと15ノットぐらいか…」

女戦士「思ったより速度が出るな」

盗賊「昼夜この速度で帆走出来るなら相当早く到着するんじゃ無ぇか?」

女戦士「一日300km進めると仮定して海図と比較するとハウ・アイ島まで10日程」

盗賊「狭間に入るのは昼間だけだな?」

女戦士「うむ…昼間に何度か狭間を使って4~5日だな…もしかすると3日で行けるかも知れん」

盗賊「風のタクトすげぇな…」

魔女「主は杖なぞ要らんと言うて居ったな?」

盗賊「こんな使い方出来るなんて思わなかったもんだからよ…海で安定した風が続くことは無いからメチャクチャ便利だ」

女戦士「この風はどの範囲で吹いているのだ?」

魔女「船の周りだけじゃな…風が巻き込んで一方向から吹いて居るだけじゃ」

盗賊「俺にその杖クレ」

魔女「そうじゃな…使うのも面倒じゃった所じゃ…ホレ」ポイ

盗賊「これがありゃ俺のポンコツ飛行船をもっと早く飛ばせる…むふふふ」

魔女「火事場に風を吹き込む様な使い方はせん様にな?」

盗賊「おぉ!!そんな使い方もあるのか」

情報屋「ちょっと魔女…そんな事教えたら逆効果よ?」

魔女「しもうた…こ奴の頭の悪さを忘れておった」

女戦士「さぁ日が沈むまでの間に狭間に一度入るぞ」

『黄昏時』


リリース!


女戦士「進路を太陽に向ける…取り舵」グルグル

剣士「なんか甲板で観測の準備始まってる…」

商人「新しい海図と航路を作ってるんだ…緯度経度の算出だよ」

剣士「経度ってどうやって算出するんだろう?」

商人「見に行くと良い…真上に来る星と太陽の角度を観測するらしい」

剣士「真上…そうかそれだと詳しい星座が記された書物が必要だ」

商人「らしいね?観測士はその辺り熟知してるよ」

剣士「へぇ…ちょっと見て来る」シュタタ

女戦士「商人…新しい海図を見たいのだが」

商人「今インクを乾かしてる」

女戦士「方角は合っているのか?」

商人「大丈夫…とりあえず西の方に向かえば座礁する事は無いよ」

女戦士「それなら良い…例の探検家の海図は役に立って居るか?」

商人「大分歪んでるみたいだから航海士と相談しながら新しい海図を描いてるんだ」

女戦士「海では目標物が無いからその島を探せるのかも怪しい」

商人「あー実はね…僕の機会の犬がハウ・アイ島の座標を知ってるんだよ」

女戦士「なんだそういう事か…では現在地の座標も分かるだろう」

商人「うん分かってる…観測の精度を試して居るんだよ…それで探検家の海図と比較して浅瀬の位置を特定しようとしてるのさ」

女戦士「フフ私が心配する事では無いか」

商人「まぁ例の海図を生かす為の観測だよ…心配しなくて良い」

女戦士「では私は少し休んで航海士に任せるとしよう」

商人「もうすぐ食事だよ?行って来たら?」

女戦士「お前は口が寂しかろう…私用の酒を持って来てやる」

『夜』


ピカーーーー


盗賊「こりゃ夜でも視界良好だ…おっとぉ!!竿が引いてる」グググ

ローグ「あの光のお陰っすね…良く釣れやす」グイグイ

盗賊「クラーケンなんか釣れたらどうする?」

魔女「わらわが焼きイカにするで案ずるな」グイグイ

戦士「どらぁぁぁぁ!!一本釣りぃぃ」グイ


ピチピチ パタパタ


盗賊「だははは釣りは俺の勝ちの様だ…跪け!!」グググ

戦士「ハハハたまにはこんな事もある…敗北とは心が折れる事…私の心を折る事なぞ出来ん」キリ

ローグ「あややや始まったでやんす…」

女王「…」ニコニコ

魔女「むむ!!大物じゃ…女王や!いかづちの杖を使ってみぃ」ググ

女王「は…はい!」フリフリ


ガガーン!!ビリビリ


盗賊「ぬぁ!!釣りに雷落とすのは反則だろうが!!」

魔女「うるさいのぅ…引き上げるの手伝わんかい!!」グイグイ

ローグ「うわ…サメっすよ…」

盗賊「おぉぉ肝油が取れるじゃ無ぇか…サメは保存食になる上に割と美味い」グイグイ

魔女「釣りはわらわの勝ちじゃな」

盗賊「おいローグ!!目を覚ます前に速攻捌くぞ…肝油が航海には貴重な薬になる」

ローグ「へい!!解体は任してくだせぇ」スパスパ

『日の出』


カチャカチャ

星座の確認と角度の記録を…

天中の星は予測とズレて居ないか?

南極星は角度相違なし


盗賊「んがぁぁぁ…すぴーーー」zzz

情報屋「又あの人あんなところで寝てる…寒く無いのかしら」ゴシゴシ

女戦士「いつもの事だろう…湯でも沸かしておいてやれ」

情報屋「でも大分暖かくなってきたみたい」

女戦士「温暖な海流に入った様だ…次は天気が心配になる」

情報屋「それは経験?」

女戦士「まぁな?こういう場所では天気も変わるし海流も方向が変わるのだ」

情報屋「嵐の航海は避けたいわね」

女戦士「嵐では無い…少し雨が降る程度…水不足にならない救いの雨だよ」

情報屋「なら良かったわ…航海1日目で嵐なんて最悪よね」

女戦士「しかしこれだけ人数が揃った航海はさすがに楽だ…普段は夜寝られないからな」

情報屋「兵団から来た人員を戦士さんが統制しているお陰もあるわね」

女戦士「さすが軍属上がりという所か」

情報屋「間が抜けている様でそうでも無いのよね…不思議な人だわ」

女戦士「しかしだな…船首で仁王立ちするのは止めてもらいたい…言って来てくれないか?」

情報屋「あの人いつ寝るのかしら…」

女戦士「まさか立ったまま寝て居ないだろうな?」

情報屋「フフありえそう…」

『船首』


ザブン ユラ~


情報屋「…あのー…もし?」

戦士「すぅ…」パチ

情報屋「体冷えませんか?」

戦士「あぁ私とした事が…うたた寝してしまった様だ」フリフリ

情報屋「交代の時間が過ぎていますのでお休みになられては?」

戦士「ハハお気になさらず…航海に心が躍って居るのですよ…朝日!!又今日が始まった!!感謝」

情報屋「気を張りっ放しだと疲れませんか?」

戦士「気を遣わせてしまって申し訳ない…私は只朝日を全身に浴びて身を清めたかっただけ」

情報屋「身を清める?」

戦士「過去と決別したいのですよ…この光の向こう側に行きたい」

情報屋「そうですか…」---心に闇を抱えてる---

戦士「では私はこれにて…」スス

情報屋「…」


裏切り…謀略…挫折…絶望すべて経験して来た人

それでも尚光に向かって進む背中

そういう人なのね…

『デッキ』


ギシギシ ユラ~


女戦士「よし!飛空艇が戻ったな?狭間に入るから総員休んで良い…ハイディング!」スゥ

商人「新しい海図持って来たよ…」パサ

女戦士「今どこだ?」

商人「ここさ…まだ大した進んでない」

女戦士「狭間にどれだけ入って居られるかだな」

商人「海流がどうなってるか分からないから適宜確認しよう…現在地は僕が直ぐに調べるから」

女戦士「そうだな…商人!お前は一睡も出来ないのか?」

商人「眠たくならないんだよ…どうして?」

女戦士「いや…昔と関わり方が少し変わったなと思ってな…辛く無いか?」

商人「辛いさ…永遠の命なんか欲しいと思わない方が良いよ」

女戦士「私が説教される側になるとはな…フフ」

商人「僕はこの体になって初めて気づいたよ…欲望あっての人間だってね」

女戦士「言う事が逆になったか?」

商人「人間から魔王を取り払うと人間じゃ無くなる…食欲…性欲…強欲…少しは必要だ」

女戦士「アサシンも同じ様な事を言っていた」

商人「だろうね…まぁ酒で口の渇きを癒せるだけマシかな…一応酒を飲みたい欲求はあるから」

女戦士「欲求か…」

商人「今は古代遺跡を探窟したい欲求もあるし気が紛れる…そればっかり考えるのは少し苦痛だけど」

女戦士「つまり前に進めば良いのだな?」

商人「んんーそういう事なんだろうか?」

女戦士「歩むことが人間である証…そう言い変えても良いな」


戦士「それだあああああ!!」ドドドド


女戦士「んん?暑苦しい男が来たな…」

戦士「そうだ私はそれが言いたかった…歩む事!進む事!それが未来!!だから私は行く!!」キリ

商人「ハハハ本当…王様には思えない人だ」

戦士「私は王様なぞ肩書だけの物は要らない!!平和だ!未来だ!民を救い未来に連れて行く…だから私は立つ!!」

女戦士「フフ暑苦しいが純粋なのは嫌いでは無い…ただ船首で仁王立ちするのは邪魔だから止めて貰いたい」

戦士「ハハそれは失敬した…以後気を付ける」キリ

女戦士「さて狭間に入ってしばらく何もする事が無い…今の内に休んでくれ」

戦士「そうか!船長の指示には従う…一つ!休息している事は内密にしてくれ」

女戦士「わざわざ言う物か」

戦士「感謝!!」スタ

商人「…なんだろうなぁ…な~んかめんどくさい人だ」

『2日後』


ギャァァァス バッサ バッサ

クロスボウは引き付けてから撃て…ボルトを無駄に使うな!!

怪我人は居室に入るんだ


盗賊「…なんで海のど真ん中にガーゴイルが居るんだよ…」タジ

魔女「狭間の深い場所があるのじゃろう」

盗賊「あいつらどこで羽休めすんのよ」

魔女「知るかいな…空を飛び回られては戦い辛いのぅ」


戦士「臆病者め!!この私に恐れをなしたか!!掛かって来い腐れコンコンチキ!!」バンバン


盗賊「何やってんだあの馬鹿」

魔女「いやあれで良い…盗賊や…ガーゴイルが集まったら一気に撃つのじゃ」

盗賊「あいつ巻き添え食らうぞ?」

魔女「承知の上じゃろう…あ奴はそういう戦い方なのじゃ」


戦士「ハハハそんな攻撃では私は倒せん!!束になって掛かって来い!」ブンブン

ガーゴイル「ギャァァァァ!!」イラ バッサ バッサ

戦士「全体射撃!!てぇえええええええ!!」


バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン バシュン


戦士「突撃!!」ヨロ

剣士「おっけ!!」シュタタ ブン ザクリ

女オーク「はぁ!!」ブン グサ

女戦士「やるな!?戦士!!」

戦士「私とした事が…ボルトを二三食らってしまった」ヨロ

剣士「線虫!」ニョロリ

戦士「なぁに…これしきの事」ズボ

剣士「傷口は直ぐに塞がる…出血だけ抑えて」

戦士「気を遣わせてしまったな…まだ2匹飛んでいるから私の背後へ…」

剣士「大丈夫…あの2匹は僕がやる」チャキリ

戦士「飛び道具かね?」

剣士「見ててよ?木が落ちて来るよ」ターン ターン

剣士「成長魔法!」グングン


ザブーーーン ギシギシ


盗賊「どわぁぁぁ!!」ゴロゴロ

剣士「貴重な木材ゲット!!引き上げ手伝って」シュタタ

戦士「…」アゼン

盗賊「おま…危無ぇだろ!!船に落ちたら沈没すんぞ…」

剣士「結果オーライさ…丁度木材欲しかったんだ」

『船長室』


女戦士「洋上に空飛ぶ魔物が出るのは想定外だ…この海域は迂回した方が良い」

商人「もう狭間の中に入ってて方向見失ってる」

女戦士「迷ってしまったか…何なんだここは」

女王「もしかして…」

近衛侍「女王様…ニライ・カナイでは?」

女戦士「ニライ・カナイ?知って居るのだな?」

女王「フィン・イッシュの沖の方に有ると言われる安土…死者の国です」

商人「国?島か何かがあるのかな?」

女王「分かりません…竜宮があるとか死後に行く浄土があるとか…伝説で伝えられているだけですので」

情報屋「竜宮…伝説だと海の中ね…そして人魚の住まう地と言われてる」

女戦士「まぁその竜宮が海の中にあるとして私達はその上を通過しようとしている訳だな?」

近衛侍「竜宮と言えば龍神が住まうとも…」

商人「剣士達が言ってた電気ウナギかも知れないね」

女王「龍神と言っても沢山居ますので分かりません」

女戦士「兎に角一刻も早くこの海域を出ないと危ない訳だ…さてどうする」


ガチャリ バタン


剣士「はぁはぁ…銀貨を集めてる!!皆持ってる銀貨を出して!!」

商人「どうしたんだい?そんなに慌てて…」ジャラリ

剣士「レイスだよ…ゴーストも空を飛んでるんだ…魔方陣を隅まで張る」

商人「大変な事になってきてるな…手伝おうか?」

剣士「大丈夫!魔方陣張り終わって安全になったら出て来ても良いよ…銀貨貰って行くね」シュタタ

『甲板』


ンギャーーーーー


剣士「魔女!銀貨持って来たよ」ジャラリ

魔女「魔方陣はわらわが張るで主は戦闘員の武器に照明魔法を掛けて来るのじゃ」

剣士「おっけ!」

魔女「まさかレイスが出るとは思うて居らんで銀を荷に入れて居らなんだな…」

剣士「余った銀貨で僕が即席で武器作るよ…銀貨は節約して使って」

魔女「うむ承知した…早う照明魔法掛けに行って来い」

剣士「うん!!」シュタタ


--------------


ローグ「近づくな!!って言ってるでやんす」ブン スパ

レイス「ンギャーーーー」シュゥゥゥゥ

盗賊「レイスと戦えるのは俺らだけか?」キョロ

ローグ「その様でやんすね…」ダダ ブン スパ

盗賊「ガーゴイルと同時に来られるとキツイぜ?」ダダ ブン スパ

剣士「照明魔法!」ピカー

戦士「むむ!!これは?」

剣士「それでレイスと戦える筈!!魔方陣張り終わるまでレイス近づけないで!!照明魔法!」ピカー

盗賊「おぉ増援だな?船首側を頼む!!」

戦士「承知!!」

盗賊「光の影を作るな!!そっからレイス湧いてくんぞ!!」

戦士「光を受けた者は背を庇いながら散開だ!!続け!!」ダダ


ンギャーーーー シュゥゥゥ


盗賊「やるなあいつ等…やっぱ戦闘慣れしていやがる」

ローグ「助かりやしたね…今んところ死者無し」

剣士「よっし!僕も…」スラリ ピカー

『10分後』


ンギャァァ バッサ バッサ


盗賊「レイスが近づいて来なくなった…後はガーゴイルだけか」

魔女「やっと隅まで魔方陣を張り終わったわい…」ノソノソ

盗賊「おぉ魔女…あのガーゴイル撃ち落せるか?」

魔女「腰が痛いのじゃ…主らで何とかせい」ノソノソ

剣士「木材!!木材!!」ターン ターン

剣士「変性魔法!」グングン


ザブ~ン ユッサ ユッサ


剣士「またまた木材ゲット!!」

盗賊「何に使うんだよ…引き上げんのダルいんだが」

剣士「虫の食料さ…キノコだって生やせる」

戦士「剣士殿…相談なんだがその木材で弓矢は作れないか?」

剣士「ん?出来るよ?」

戦士「この船にはクロスボウは沢山あるが弓矢が乗って居ない…弓矢があれば対空をもう少し有利に運べる」

剣士「おけおけ!!とりあえず10個くらいあれば良いかな?」

戦士「助かる…急ぎで使いたい」

剣士「ちっと待って…すぐ作るから」



『船長室』


ガチャリ バタン


魔女「戦闘は落ち着いたぞよ?」

女戦士「そうか良かった…魔女にも今の状況を聞いて欲しいのだ」

魔女「ふむ…迷ってしまって居るのじゃな?」

商人「そうだよ…下手に進路変えると狭間に迷ったまま出られなくなるという話をしてた」

魔女「その通りじゃな…真っ直ぐ進んでもいつ出られるか分からんが…」

女戦士「狭間の範囲を予測出来ないか?」

魔女「さぁのぅ?何も目標物が無いで分からぬ」

商人「島でも何でも良いから何か有ったら良いんだけど…」

女戦士「進路変えずに何か見えるまで進むしか無いな」

魔女「魔物はガーゴイルだけじゃで対処出来る…問題は疲労じゃな」

女戦士「仕方ない…交代で戦おう」

商人「僕はクロスボウしか武器を持って無いよ?」

魔女「案ずるな…ガーゴイルは不死者には襲って来ぬ故…主は相当有利じゃ」

商人「お?そういう事ね?」

魔女「剣士が銀の武器を作ると言うて居ったからそれを使って落ち着いて倒せば良い」

商人「よし!!」

女王「私もいかづちの杖で戦えば良いですか?」

魔女「飛び回って居るガーゴイルに当てるのは難しいがやるしか無い」

情報屋「じゃぁ私もマグマの杖で…」

『居室』


ギコギコ シュッシュ


剣士「木材と樹脂のコンポジット弓だよ…出来た奴から持って行って」シュッシュ

戦士「矢は技師に作らせる…材料を少し頂く」ガサガサ

剣士「矢羽が無いでしょ?どうするの?」

戦士「リーフがある…飛距離は出なくても良いからけん制出来れば良い」

剣士「おけおけ…後でちゃんとした矢も作ってあげるよ」

戦士「剣士殿は器用でなかなか頼れる…共にこの難局を乗り越えよう!」キリ

剣士「ハハ…」汗

戦士「では私は弓を配布してくる…」ズドドド


ガガーン ビリビリ ドーン パーン


剣士「お?魔法を撃ち始めたか…」

女オーク「私達は交代で少し休憩よ」ドスドス

剣士「外はどうなってる?」

女オーク「魔女と女王と情報屋さんの3人で魔法撃ってるわ」

剣士「触媒の無駄遣いにならなければ良いけど…」

女オーク「杖を使って撃ってる」

剣士「あーなるほど…この船には魔石が沢山乗ってたね…そういう事か」

女オーク「私も杖なら使える?」

剣士「フフフフフ…杖じゃ無くて良い…コバルトの剣は強烈な雷を封じる事が出来るぞ…フフフフフ」

女オーク「この剣で?」

剣士「荷室に魔石があるから持って来てくれるかな…その間にコバルトの剣にエンチャントしておくよ」

女オーク「わかったわ…」ドスドス

『数分後』


アブラカタブラ ライジングソード チョチョイノチョイ


剣士「はぁ!!」ビシビシ ビリ

女オーク「持って来たわ」

剣士「丁度エンチャント成功した…飾り石を魔石に交換する…」ガチャガチャ

女オーク「どうやって使うの?」

剣士「この剣は切っ先にミスリル銀が仕込んである…雷の出口はそこになるから敵に向けて魔石を強く握れば良い」

女オーク「簡単そうね?」

剣士「握る強さで雷の出方が変わるから上手く調整して?…びっくりするよ?雷はコバルトで増幅するからさ」

女オーク「わかったわ」

剣士「この外したアダマンタイトは無くさない様に大事に持っておいてね」ポイ

女オーク「ハイディング用ね」

剣士「因みにエンチャントしたのは只の雷魔法…基本魔法だけどコバルトの増幅でビックリ魔法になってる筈」

女オーク「フフ楽しみ…」

剣士「よっし!!その剣に名前を付けよう…雷神の剣!!どう?」

女オーク「じゃぁ私は雷神ね?」

剣士「かっこいいなぁ…僕も欲しくなって来たなぁ…」

『甲板』


ガガーン ビリビリ


ガーゴイル「グェ…」ピクピク

女王「だんだんコツが分かって来ました」

魔女「これは良い訓練じゃな…」

戦士「落ちたぞ!!行けぇぇ!!」ズドドド


ビビビビビ ビシビシ


魔女「むむ!!誰じゃ?」

女オーク「私のコバルトの剣にエンチャントしてもらったの」

魔女「ほう?剣士がエンチャントとな?」

女オーク「雷の基本魔法をエンチャントしたのよ」

魔女「コバルトに雷とな…ふむ…最良の組み合わせじゃ…飛んで居るガーゴイルに当てて見よ」

女オーク「まだ使い方に慣れていなくて…」ギュゥ


ビビビビビビ ビシバシ


魔女「雷の出口が又小さいのぅ…もっと強く出せんのか?」

女オーク「もっと強く?」グググ


ビカビカ!! ビビビビビ


戦士「おお!!ガーゴイルに穴が…」

魔女「それじゃ!!当たれば威力は絶大じゃ…出口が小さい分威力が凝縮されておる」

情報屋「これで4人体制で魔法を撃てるわね」

魔女「うむ…全方位手分けじゃ」ノソノソ

『2日経ったぐらい』


ガガーン ビリビリ ドーン パーン


女戦士「さすがに戦い詰めでは皆疲れが出て来ているな」

アサシン「100日の闇を思い出す…疲れで不平不満が出る前に対処せねば後悔するぞ?」

女戦士「分かって居る…しかし狭間から出る術が無い」

アサシン「船底の荷室が比較的静かで眠る事が出来るだろう…兵を休めるべきだな」

女戦士「うむ…兵に食事と休息を与えて来る」スタ

アサシン「甲板は任せろ…」シュタタ


-------------


アサシン「女王!それから情報屋は船底の荷室で仮眠を取れ」

女王「ふぅ…魔法が薄くなっても?」

アサシン「少しくらい甲板まで攻められても問題無い…何とかする」

情報屋「女王…従いましょう」

女王「はい…」スタ


どらぁぁぁぁぁぁ!! ばっちこーーーい!!


アサシン「さて私も加勢するか…」シュタタ

盗賊「おぉ来たな?」

アサシン「どういう作戦だ?」

盗賊「戦士がガーゴイルを引き付けて俺らが弓で狙い撃ちよ…ほんで死体からローグが角を採取する」

アサシン「角をどうする?」

盗賊「回復魔法のエンチャントに使うんだとよ…長期戦の想定だ」

アサシン「そうか皆そのつもりで居るか」

盗賊「やっぱり戦士は実践積んでるから読みが深いぞ?…長期戦想定して兵の損耗最小限に動いてる」

アサシン「100日の闇を生き残った経験だな…ここからが本番なのだ」

戦士「総員!!撃てぇぇぇぇ!!」


シュン シュン シュン シュン グサ グサ グサ グサ


戦士「どらぁぁぁぁ!!」ブン グサ

盗賊「行くぞ!!」ダダ

アサシン「フフ…」シュタタ


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『何日経ったか不明』


ガチャリ バタン


女戦士「ええい!!いつになったら狭間から出られる!!」ドン

アサシン「クックックまだ死者は出て居ないのだから取り乱すな…交代するから休め」

女戦士「交代したからと言って眠れる物か」

アサシン「ワイトが居ない内は序の口…頭を冷やすのだ」

女戦士「ワイト?聞いた事が無い…何なんだそれは」

アサシン「悪霊だ…魔方陣を超えて夢の中に現れる」

女戦士「通りで眠れない訳だ…」

アサシン「何?誰もそういう話をして居ないが?」

女戦士「訓練されて居るから弱音を吐かんだけだ…皆眠れないで耐えている」

アサシン「そうか次の段階に入っていたか…行方不明者が出るぞ」

女戦士「…」ジロリ

アサシン「そう怖い眼で見るな…不明者が出ると一気に士気が下がる…さらには内ゲバだ」

女戦士「どうしろと言うのだ」

アサシン「言いたく無いが…最後の手段として私に噛まれるという方法もある」

女戦士「…もう良い…聞きたくない」

アサシン「済まんがそういう状況だと理解しておけ…まぁ兎に角少し休め」スック

女戦士「…」

『船底の荷室』


ググググ ギギギー


女王「ううん…はぁはぁ」ガバ

魔女「やはり眠れんか…」

女王「又…又悪い夢を…」プルプル

魔女「これでは睡眠魔法は逆効果じゃな…どうしたもんか」


ソヨソヨ


商人「空気入れ替えて涼しくしてもダメかい?」

魔女「ダメじゃ…見てみぃ皆うなされて居る」

商人「何日もこんな状況が続くのは良く無いね…疲れが取れない」

女戦士「魔女…来てくれ相談したい事が有る」スタ

魔女「んん?どうしたのじゃ?」

女戦士「剣士が妖精の笛を使えば良い夢が見れると言っているのだ…只全員眠ってしまうリスクがある」

魔女「妖精!!それじゃ…妖精を呼んで狭間の外に案内させれば良い!!」

女戦士「なに?」

魔女「忘れておったわい…そうじゃ妖精を呼べるのじゃ…」

女戦士「では使わせて良いんだな?」

魔女「全員眠ってしまうのはちと考え物じゃな…剣士一人でガーゴイルと戦う事になってしまうが」

商人「耳を塞いでみたら?」

魔女「そんな方法で防げるとは思わんのぅ…」

女戦士「一度剣士と話をしてみてくれ…居室だ」

魔女「うむ…行って見る」ノソリ

『居室』


ガチャリ バタン


剣士「あ!!魔女…聞いた?」

魔女「うむ…主が妖精の笛を使って見たいという事じゃが」

剣士「あー僕じゃない…女オークが笛を吹くんだよ」

魔女「女オーク一人でガーゴイルの相手をする事になるが?」

剣士「大丈夫さ…雷神の剣でチョチョイノチョイだよ」

女オーク「もしかするとガーゴイルも眠らせられるかも知れない」

剣士「アハハそうだね?」

魔女「しかし全員寝てしまうのはリスクが大きいのぅ」

女オーク「ガーゴイルを倒すのは自信があるの…きっと大丈夫よ」

剣士「ほら?こう言ってるんだしさ…もうみんな疲れ切ってるから何とかしないと…特に戦士さん」

魔女「あ奴は一度も寝て居らん」

剣士「でしょ?やってみよう!!」

魔女「ではこうしよう…わらわを最初にたたき起こすのじゃ」

女オーク「分かったわ」

魔女「では早速使うて見よ…」

剣士「窓開けるね…」バタン

女オーク「吹くわね…」


ピロロ~♪ ピロピロロ~♪

--------------

--------------

--------------

『甲板』


ピロロ~♪ ピロピロロ~♪


盗賊「んん?妖精の笛か?」キョロ

ローグ「こんな時に笛っすか…」ダダ スパ

ガーゴイル「ギャァァァ…」ドタリ

ローグ「角げっつ~~!!」ボキ バキ

戦士「この笛の音は!?」ダダ

盗賊「まぁ気にする事ぁ無ぇ…戦士!!お前足がもたついてる…少し休め」

戦士「ハハ私は立ったままで平気…」フラ

アサシン「ここは私達に任せろ…邪魔になるから下がれ」ダダ

戦士「それは失敬した…後方で待機する」フラフラ ドターン

盗賊「だから言わんこっちゃ無ぇ…」ヨタヨタ

ローグ「あれれ盗賊さん…酒飲みやしたか?」ゴロゴロ

アサシン「むむ…なんだこの目まいは…」フラフラ

盗賊「やべぇ…笛にやられて…」ドタリ

アサシン「まさか不死者の私が…眠るだと?」フラフラ


ドスドスドス


女オーク「よし!!ガーゴイルが居ない…」

アサシン「こ…これはどういう…」ドタリ

女オーク「魔女さん?起きて魔女さん?」ペシペシ

魔女「すゃ…すぅ…」zzz

女オーク「間を置かないとダメね…」キョロ


フワフワ パタパタ


妖精「おいお前!お前か僕を呼んだのは!!」

女オーク「妖精さん?」

妖精「そうだ僕は妖精だ…何の用だ?」

女オーク「狭間の出口を探しているの」

妖精「なんだそんな事か…でもタダじゃ教えてあげないぞ」

女オーク「どうすれば?」

妖精「おっぱいだ…僕はおっぱいの間に挟まれば言う事を聞く」

女オーク「私のおっぱいは重たいわよ?」

妖精「おっぱいの入り口で良い…入るぞ!!」パタパタ

女オーク「入り口?」モゾモゾ

妖精「ふぅぅぅぅ…癒される…ぐぅ」

女オーク「ちょっと…寝るの?狭間の出口は?」

妖精「ぐぅ…ぐぅ…」zzz

女オーク「何この妖精…全然言う事聞かない」


ボチャーーン ザブーーーン


女オーク「はっ!!ガーゴイルが落ちてる…今の内に倒さないと」ドスドス

女オーク「当たれ!!」ビビビビ ビリビリ

『数時間後』


ペシペシ


女オーク「起きて?魔女さん?…」ユサユサ

魔女「…」パチ キョロ

女オーク「良かった…やっと起きた」

魔女「土に肥料をくれと言うて居る…」

女オーク「え?何の事?」

魔女「おぉ済まんな夢を見て居った…どれくらい寝て居ったんかいのぅ?」

女オーク「半日くらいだと思う…全然目を覚まさなくて」

魔女「そんなに寝て居ったんかい…ガーゴイルはどうじゃ?」

女オーク「大丈夫…私が処理してる」

魔女「早う皆を起こさにゃイカン」

女オーク「無理に起こさないで置いた方が良いかと…」

魔女「むむ…そうじゃなガーゴイルが処理出来て居ればそのままでも良いか」

女オーク「少し怪我をしているから回復魔法が欲しいわ」

魔女「回復魔法!」ボワー

女オーク「ありがとう…よし!皆起きるまで守らないと」

魔女「妖精を見て居らぬか?」

女オーク「狭間の出口を案内してもらう様にお願いしたわ」

魔女「それで今出口を目指して居るんじゃな?」

女オーク「友達に案内させると言って私のおっぱいの間で寝てしまった」

魔女「友達…はて?妖精の友達とは誰の事じゃろう…」

女オーク「分からない…」

魔女「歳をとるとイカンのぅ…妖精が見えぬ」キョロ

女オーク「ここに居るわよ?」ボイン ボイーン

魔女「おぉ…良く見ると薄っすら見えるわ」


タッタッタ


女戦士「寝てしまった…どうなっている?」

女オーク「大丈夫…ガーゴイルは防いで居るわ」

女戦士「アサシンまで寝て居るのか」

魔女「その様じゃ…しかし不死者まで眠らせるとはたまげた効果じゃ…幻術の類では無い」

女オーク「剣士も同じ事を…」

女戦士「その効果を上手く使えばアサシンも快適に過ごせるな」

魔女「うむ…休息に使うべきじゃ」

女オーク「では安全になったら毎日吹くわ」

『甲板』


カキーン バラバラ


女オーク「魔女さんが使って居る杖は氷の魔法?」

魔女「これは氷花の杖という物じゃ…一番使い辛い杖じゃな」

女オーク「氷が降って来るのが…」


シュタタ


剣士「ぐっすり寝てたよ…どうなってる?」スタ

魔女「見ての通り皆寝て居る…そろそろ起きそうじゃな?」

盗賊「ぐぅ…すぴー」

ローグ「むにゃ…」ゴロ

剣士「アハハ…なんでそのまま転がしてるんだよ」

女オーク「動かすと起こしてしまうと思って」

剣士「いや起こせば良いじゃ無いか…おーい!!起きろぉぉぉ!!」ユサユサ

盗賊「ふが?」パチ キョロ

魔女「ヤレヤレ…休ませてやろうと思ったんじゃがのぅ…」

剣士「起きろぉぉ」グイグイ

ローグ「はひぃぃ…」パチ キョロ

盗賊「…どうなってんだ?」

ローグ「いやぁぁぁ良く寝た…」ノビー

剣士「妖精に案内してもらう件はどうなった?」

魔女「案内してもらえるらしいが…わらわもどうなって居るのか分からん」

女オーク「妖精の友達が案内するって…」

剣士「友達ってどこさ?」


ザブーン ブシューーーーー


盗賊「おわっ!!おい見ろ!!クジラだ…」

剣士「アレか!!アレが友達だね?スゴイじゃないか!!」シュタタ

盗賊「マジかよ…」

女オーク「クジラだったのね…船の下に大きな影があって気になってたの」

剣士「おーーーーい!!」フリフリ

盗賊「あのクジラに付いて行きゃ良いんだな?」

剣士「絶対そうだよ…良いなー乗りたいなー」

盗賊「アホか…潜られたら波に飲まれて浮き上がれんぞ…てかこの船も波に飲まれる」

剣士「遠くで姿見せたのは一応気を遣ってるのかな?」

盗賊「知るか!帆の角度変える…支柱1本分後ろへ繋ぎ変えてくれ…女戦士!!面舵で進路変更しろ」

女戦士「やっと狭間から出られるか…女オークは引き続きガーゴイルをけん制してくれ」

女オーク「わかったわ…」ドスドス

『狭間の出口方向』


ザブン ユラ~


盗賊「早えぇなあのクジラ…どんどん遠ざかってくじゃ無ぇか」

魔女「風向き変えるかえ?」

盗賊「いや良い…風向き変えても速度はこれ以上出ん」

ローグ「あのクジラはあっしらの仲間になったんすかね?」

盗賊「そうだと良いが俺らを背中に乗せる気なんか無さそうだぜ?」

剣士「上!!星だ!!星が見える!!」

女戦士「観測士をたたき起こせ!…現在地の特定を急がせろ」

剣士「おけおけ!!」シュタタ

盗賊「アサシンは転がしたままで良いのか?」

女戦士「寝かせてやってくれ…奴は15年以上寝ていないのだ…いや狭間に居る期間が長いからもっとか…」

盗賊「ふぅやっと収まったな…狭間ん中はやっぱ危無ぇわ」

ローグ「でもガーゴイルの角はたんまり溜まりやしたぜ?」

盗賊「そうだったな?何個ある?」

ローグ「数えやす…お宝ザクザクっすね…うひひひ」

女戦士「労力に見合って居ない気がするが…」

ローグ「ちっと汚ぇんで海水で洗ってきやす」ガサガサ

女戦士「甲板も少し洗い流して欲しい」

盗賊「おう分かった!!良く寝て体調が良い…運動してくらぁ!!」ダダ

『船長室』


観測士「現在地特定出来ました…ここです」

女戦士「ご苦労…食事をして休んで良い」

観測士「ハッ!!」スタ

魔女「随分北に逸れた様じゃな」

女戦士「狭間は円形になっていると考えて良いか?」

魔女「分からぬ」

女戦士「そうか…まぁおよそ円形だとして随分広い範囲が狭間の奥になって居る」

魔女「外海を航海せんかった理由じゃろう」

女戦士「しかしこれで侵入してはいけない海域がおよそ分かった…この収穫は大きい」

魔女「この円形部分じゃな…となるとハウ・アイ島はギリギリ入るか入らないか…」

女戦士「なぜこれほど大きな狭間が存在出来る?」

魔女「一番考えられるのは海底にとてつもなく大きなアダマンタイトが沈んで居るのじゃろう…」

女戦士「アダマンタイトは人口生成物だっただろう?」

魔女「そうじゃ…黄金を変性させるのじゃ」


ガチャリ バタン


情報屋「面白そうな話をしているわね?」

女戦士「起きたか…女王と商人はまだ寝ているか?」

情報屋「商人はぐっすり…女王は起きて戦士を介抱しているわ」

女戦士「介抱?調子が悪いのか?」

情報屋「あちらこちらを矢で撃たれて居たのよ」

魔女「回復が必要ならわらわが行くぞえ?」

情報屋「剣士が事前に虫を使っていたみたいだから平気…寝かせて置いた方が静かで良いわ」

魔女「そうじゃな…」

情報屋「…それで黄金の話だけれど」

女戦士「海底にとてつもない大きさの黄金を沈めてアダマンタイトに変性したのでは?…という話だ」

情報屋「フィン・イッシュの伝説に黄金を埋めたという記録が残って居るわ…きっとそれね」

女戦士「埋めた?」

情報屋「超古代ではフィン・イッシュは黄金郷と呼ばれていた事があるらしいのよ…埋めた黄金が無くなったという記録もある」

魔女「なるほどのぅ…竜宮に誰も寄せ付けん様にした訳じゃな?」

情報屋「多分そうね…たしか海抜を基準にして下の方に行くと狭間の外に出るわよね?」

魔女「わらわは理屈がよく分からんが結果そうなって居るな」

情報屋「そうやって竜宮で生き延びた種が居たのね…人魚なのか…魚人なのか…」

女戦士「あの海域の海底はそういう場所だという事か」

情報屋「私達は行く事が出来ないから関わらない方が良いわね」

魔女「クジラが住人なのかも知れんのぅ」

情報屋「クジラ?何の話?」

女戦士「寝ていたから知らないか…狭間の外に案内してくれたのは大きなクジラだったのだ」

情報屋「わぁ見たかった…クジラは人間と同じくらい知能が高いの…生態系がクジラに入れ替わったのね」

魔女「クジラと戦争になってはイカンでもう近寄らん事じゃな」

女戦士「うむ…ただ戦略的に利用は出来そうだ…ハウ・アイ島を他国が占領に来た場合その海域を知る知らないで随分変わる」

魔女「打算的じゃのぅ…クジラをわざわざ巻き込むのは関心せんな」

女戦士「そういう可能性の話だ…聞き流してくれ」



『朝日』


ザブ~ン ユラー


ローグ「はぁぁぁ久しぶりの太陽っすねぇ…気持ち良いでやんす」ノビー

女戦士「随分長い事航海した気がするがフィン・イッシュを出てまだ5日目だ」

ローグ「狭間に出入りしてると日付の感覚が分からんくなりやすね」

女戦士「そろそろ慣れたらどうだ?」

ローグ「陸が長いと忘れちまうんすよ」

女戦士「この速度のまま行けば明日には周辺にたどり着く…上手く探せれば良いが」

ローグ「そろそろ氷山警戒した方が良いっすね」

女戦士「うむ…」

ローグ「こんな暖かい所に氷山とか本当にあるんすかね?」

女戦士「情報屋が言うには一気に溶けてるから相当大きな氷山が動いてる筈だと」

ローグ「じゃぁ狭間に入るの怖いっすね…」

女戦士「そうだ…安全を確認して短時間で何度も出入りする」

ローグ「そら良かった…太陽が恋しかった所でやんす」

女戦士「そろそろ行動するから先に食事を済ませておけ」

『甲板』


ドタドタ


アサシン「…」ビク パチリ

アサシン「ガガガ…喉が焼ける…」ズルズル

女戦士「アサシン!!目を覚ましたな?」

アサシン「どうなって居る?」

女戦士「ワインだ…飲め」クイ

アサシン「むぐ…」ゴクリ

女戦士「どうだ?何十年かぶりに寝た気分は」

アサシン「そうか寝ていたか…夢の中で危うく妖精に三途の川を案内される所だったぞ」

女戦士「三途の川?フフ…渡らずに戻ったか」

アサシン「恋人のイルカに連れ戻されてな…しかし癒された気分だ」

女戦士「そうか良い夢を見られて良かった…立てるか?」グイ

アサシン「風に晒されると体表から水分が奪われて動きにくくなるのだ…そのワインを一本頂く」

女戦士「その調子だと商人も心配だな」

アサシン「見て来い…成仏してるやもしれん」



『船底の荷室』


グググ ギギギー


女戦士「商人!生きているか?」ユサユサ

商人「…」ビク パチ

機械の犬「ワンワン!」パタパタ

商人「僕は…生きているのか?」

女戦士「それは私の台詞だ…あぁ不死者に掛ける言葉では無いか」

商人「ハハなんだ夢か…生き返る夢を見たさ」

女戦士「ワインを飲むか?」

商人「喉渇いてないな…湿気が多いからかな」

女戦士「お前が寝ている間に狭間を脱出した…もう危険は無いぞ」

商人「そうか良かった…それにしても不死者でも寝られるとは思って無かった」

女戦士「気分はどうだ?」

商人「最高だね…夢を見るのがこんなに気分が良いなんて今知ったよ」

女戦士「それは夢幻か?」

商人「きっとそうだね…もっと見たい」

女戦士「安全な時間に毎日笛を吹く様だ…毎日寝られるぞ」

商人「寝るってスゴイな…やる気が湧いて来る…なんだろうこの癒された感じ」

女戦士「よし仕事だ!!洋上にあるおよその狭間の位置が分かった…海図を仕立ててくれ」

商人「分かったよ」スック


『デッキ』


ジュゥゥ モクモク


昨晩までの激闘の慰労として食事はバーベキューとする

酒類は1杯まで許可

1時間後に再度狭間へ入るからそれまで存分に日の光を浴びてくれ


商人「良いなぁ…」ジュルリ

盗賊「肉持って来たぜ?気にしないで食え」モグモグ

商人「食べても消化出来ないから腹の中で腐るんだよ」ジー

剣士「腐っても線虫が全部食べてくれると思うよ」パクパク

商人「え?じゃぁ腹がガスで膨れる事無い?」

剣士「そういうのも全部線虫が食べる…むしろ線虫が喜ぶ」

商人「なんだ食べても良いのか…もらうよ」

盗賊「ホレ…割と新鮮な豚肉だ…食え食え」バクバク

商人「久しぶりだなぁ…」モグ

盗賊「美味いか?」

商人「最高だね…」モグモグ


スタスタ


戦士「剣士殿…折り入ってお願いがあるのだが…」

剣士「んん?何?」

戦士「私の王家の剣にエンチャントを掛けて欲しいのだ」

剣士「おけおけ…見せて?」

戦士「頼む…」スラーン

剣士「白銀の刀身…材料何だろう?…銀では無さそうだ」

女戦士「見せてみろ…」

剣士「分かる?」

戦士「竜骨だと聞いて居る」

女戦士「初めて見るな…金属では無いのか」

剣士「魔女!?竜骨ってどんなエンチャント出来るか知ってる?」

魔女「知らんのぅ…女海賊は竜の牙を加工して居ったが銀と同じじゃと言うておったな」

剣士「銀か…なんか銀よりも硬い気がするけどなぁ」

女戦士「貸してくれ…重さを調べたい」

剣士「はい…」スチャ

女戦士「ふむ片手剣にしては重い…なるほど硬いな」

剣士「密度が高い銀って感じ?」

女戦士「熱伝導も高い…重い銀と見てよかろう」

剣士「銀なら光属性だ…僕は照明か浄化くらいしか出来ない…魔女にお願いした方が良いよ」

魔女「上位魔法は失敗するリスクがある故勧められんのぅ…反射までじゃな」

戦士「反射とは?」

魔女「魔法の反射じゃ…魔術師が一番恐れるのは反射じゃな」

剣士「僕はその魔法知らない」

魔女「反射で良ければわらわがやるぞよ?」

戦士「私は魔術師と戦う訳では無い…迫りくる闇を打ち払いたい」

魔女「ではやはり照明が良かろう」

剣士「おけおけ!照明なら出来る…飾り石も細工するからちょっと待ってて」

戦士「よろしく頼む」

魔女「主は女オークの戦いぶりを見て感化されたな?」

戦士「お恥ずかしながらその通り…私もあの様に戦い皆を守りたい」キリ

魔女「素直じゃな…じゃが主は今のままで十分守って居る」

戦士「ハハハ私はまだやれる!!光があればもう少し敵を引き付ける事も出来る筈」

魔女「ほぅ?倒すのではなく引き付けるとな?」

女戦士「光り過ぎて邪魔にならん様にしてくれ」

戦士「迷惑にならない様に気を付ける」キリ

『翌日』


リリース! スゥ


女戦士「見張り台!!前方確認!!」

ローグ「前方クリア!!11時の方向に大き目の氷山がありやす…2海里って所っすね」

剣士「8時の方向の雲の様子がおかしいよ…うっすら黒い」

盗賊「なぬ?…またエライ遠くの雲だな」

女戦士「日が落ちる前に確認したい…速度上げる!!ハイディング!」スゥ


------------

------------

------------


女戦士「リリース!!見張り台!!前方確認!!」

ローグ「正面クリア!!8時方向…あらら?真っ黒い雲っす」

剣士「あれ火山の噴煙じゃない?」

盗賊「そんな感じだ…火山があるなんて日誌には書いて無かったぞ?」

女戦士「次で最後のハイディングにする…加速する!ハイディング!」スゥ


------------

------------

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女戦士「リリース!見張り台!!前方確認!!」

ローグ「正面クリア!!8時方向に氷山…ほんでその向こう側で噴煙が昇っていやす」

女戦士「距離は!!?」

ローグ「えーと2海里くらいっすね」

女戦士「ええい…もう日が落ちる」

盗賊「海底火山かどうかだけ確認したいな」

剣士「飛空艇で見て来る」

女戦士「頼む…この船は一旦帆を畳んで速度を落とす」

剣士「うん…行って来るね!!」

女戦士「観測士!!海流の方向と氷山のすすむ速度を調べろ!!」

『飛空艇』


フワフワ バサバサ


剣士「近くに島が無いかよく見てて」

女オーク「わかったわ…」

剣士「あ!!山が見える…噴煙の出所はアレか」

女オーク「剣士?左手にいくつか島が見えるわ」

剣士「お!?海底が浅いという事か…日が落ちる前に島まで行くのは無理そうだな」

女オーク「どうするの?」

剣士「座礁するのが怖くて下手に動けない…今の内に周辺の海の深さだけ見ておこう…高度下げる」グイ


--------------

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--------------



『幽霊船』


フワフワ ドッスン


女戦士「どうだ?何か分かったか?」

剣士「火山が目視で見えたよ…あそこに大き目の島がある…あとここから6時の方向に小さな島がいくつかある」

女戦士「距離は?」

剣士「10海里くらいかな…日が落ちる前に行くのは多分無理」

女戦士「…そうか」

剣士「でもね…碇を下ろせそうな深さの場所なら分かる…6時方向に5海里行けば良い」

女戦士「よし!!取り舵!!」グルグル

盗賊「風向き変えるぜ?」フリフリ

女戦士「これで氷山への激突は心配なくなった…ふぅ」

剣士「でもね?多分シーサーペントが沢山居ると思う…戦う準備はした方が良い」

女戦士「フフ氷山よりマシだ…それにシーサーペントがこの船に登って来るとは思えん」

剣士「大きいのが居なければ良いけど」

『停船』


どらぁぁぁぁ!! ガラガラガラガラ


盗賊「うほーーこりゃ海に落ちたら一瞬で食われそうだ」

女戦士「大きいのは居そうか?」

盗賊「見た感じそうデカいのは居ない」

魔女「サーペントかいのぅ?」ノソ

盗賊「気持ち悪いから一気に殺せんか?」

魔女「共食いさせれば良さそうじゃな…何匹か倒せば良いが…」


戦士「てぇぇぇぇぇ!!」


シュン シュン シュン シュン グサ グサ グサ グサ


シーサーペント「シャーーーー」ニョロニョロ バチャバチャ

盗賊「なんだ簡単そうだ」

女戦士「行動が早いな戦士は…」

魔女「船の安全はあ奴に任せておいて良かろう」ノソ

剣士「なんか心配しなくても良かったみたいだね…ハハ」



『船長室』


アーデモナイ コーデモナイ


商人「…日誌と随分地形が違うみたいだ」

情報屋「多分氷山が崩落して何処かへ行ってしまったのよ」

商人「もう探検家の海図は役に立たないかなー火山の事も書いて無いし」

情報屋「きっと最近噴火したのよ…地軸の移動の影響ね」

商人「これ海面の上昇もあるよね?」

情報屋「そうね…浅瀬が多いだろうから下手に島に近付けないわね」

商人「先に飛空艇で簡単な地図作った方がよさそうだな」

情報屋「結構広そうだから大変ね」

商人「一旦どこかにキャンプ作りたいかなー…基準が無いと適当な地図になっちゃうんだよなぁ」

情報屋「一番大きそうな島は火山のある島だからまずそこを目指してみては?」

商人「そうだね…そこまで行く簡単な海図作るよ…座礁を回避すれば良い」


バーン ジャラジャラ


商人「ん?甲板で戦闘音だ」ドタドタ

情報屋「サーペントと戦ってるみたい…今は出ない方が良さそう」


ザブ~ン ユッサ ユッサ


商人「おとととと…」ヨロ


『甲板』


盗賊「ダハハハハ…見たか?一発だぜ?」

女戦士「甲板を散らかすな!!ヘドロを掃除しておけ」

盗賊「しょうがないだろ…デカイやつが出て来てんだから」

女戦士「又この調子で戦う嵌めになるとは…」スチャ

魔女「仕方ないのぅ…ちと雷を落とすで海から離れて居れ」ノソノソ

戦士「全体退避!!海から離れろ!!」ドドド

魔女「アブラカタブラ…ビリビリスパーク…広範囲放電魔法!」


ガガーン ビリビリ ピシ!


魔女「海から塩素が出る故ちと風を吹かせい」

盗賊「お?おう…」フリフリ ソヨソヨ

女戦士「全滅か?」タラリ

魔女「海水を塩素に変えたのじゃ…生きて居るサーペントは居るまい」ノソノソ

盗賊「すげぇ…」

魔女「塩素は強い毒じゃで吸い込んではならんぞ?」

剣士「なるほど間接的に変性させたのか…」

魔女「広範囲で一気にやりたかったでな?これで静かになるじゃろう」

『デッキ』


ザブン ザブン


女戦士「一気に静かになった…」

女オーク「今晩は笛を吹く?」

女戦士「そうだな…早朝から行動する事を考えると今やった方が良いかも知れんな」

女オーク「じゃぁ観測士の仕事が終わったら吹くわ」

女戦士「又お前一人で船を守る事になるが?」

女オーク「海に雷を使えば良い事が分かったから大丈夫」

女戦士「フフそういう事か…心配無さそうだ」

剣士「僕はどうしたら笛の音に耐えられるか研究したいなぁ」

女オーク「耳を塞いでみる?」

剣士「それは他の人にやってもらう…そうだなぁ…僕は瞑想しておこうかな」

魔女「ほぅ?面白い研究じゃ…ではわらわは退魔の方陣の中に入って置こう」

女戦士「私は何が出来る?」

魔女「主は千里眼で女オークの目を覗いて居れ」

女戦士「ほう…面白い」

剣士「どうして寝てしまうのか謎なんだよね…暗示なのかなぁ?」

魔女「呪いの類やもしれぬ…いわゆる呪術」

剣士「呪いはどうやって防ぐ?」

魔女「呪符じゃな…厄除けの呪符…持って居るぞよ?」

剣士「じゃぁその呪符を誰かに…」

魔女「情報屋に渡して置こう…」

女戦士「では私は皆に笛の旨を連絡してくる…」スタ


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『夜』


剣士「…」パチ キョロ

剣士「女オーク?何処?」


ドスドス


女オーク「目覚めた?」

剣士「今どれくらい経った?」

女オーク「まだ1時間くらい…」

剣士「よし!!瞑想で回避できるぞ…つまり肉体的に寝てる訳じゃ無い」

女オーク「他の人は全員寝たわ」

剣士「呪符もダメだったのか…」

女オーク「そうみたいね」

剣士「妖精は居る?」

女オーク「私のおっぱいの間に挟まってる」

剣士「妖精さん出ておいで」

妖精「なんだよ!!何か用?」ヒョコ

剣士「なんで皆寝ちゃうの?」

妖精「勝手に寝てるんだから知らないよ」

剣士「そっか…まぁ良いや…ところで女オークのおっぱいは僕の物なんだよ」

妖精「寝心地良いんだ」

剣士「困ったなぁ…誰にもあげる気無いんだけどさ」

妖精「奥の方開いてるよ?僕は入り口で十分」

剣士「奥?入り口?ハハ君面白い事言うね」

妖精「奥は君の物…入り口は僕の物…それじゃダメなの?」

剣士「う~ん…なんか良く分からないなぁ」

妖精「じゃぁそういう事で!!」スポ

剣士「あぁ!!」

女オーク「フフまぁ良いじゃない?害は無いのだし」

剣士「んんん…2人だけだからエッチしようと思ったのになぁ…」

女オーク「気にしなくて良いわ…ウフフ」


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『早朝』


ザブン ザブン


剣士「ほら皆起きて?」ユサユサ

女戦士「…」パチ

剣士「女オークも皆起こして来て!」

女オーク「分かったわ…」ドスドス

女戦士「…日の出前だな?剣士はいつ起きた?」

剣士「僕はずっと起きてたさ…瞑想で笛の音を回避できる事が分かったよ」

女戦士「そうかそれは安心になる」


ドタドタ


商人「女戦士…今日のプランに提案があるんだ…寝てしまって昨夜言いそびれた」

女戦士「言って見ろ」

商人「探検家の海図がアテにならないから飛空艇で先行して周辺の地図を書きたい」

女戦士「アテにならんとは?」

商人「火山も書かれて無いし地形が全然違うと思われる」

女戦士「ふむ…この船は待機すると?」

商人「多分一番大きな島は火山のある島だと思う…ゆっくりそちらの方へ移動している間に先行して地図を書く」

女戦士「なるほど…一応日の入りまでには上陸するつもりで居たが構わんな?」

商人「間に合う様に直ぐに地図書くよ…もう飛びたい」

剣士「僕はいつでも行けるよ」

商人「情報屋もサポートで連れて行く…良いね?」

女戦士「わかった…船は安全確認しながらゆっくり火山を目指す…進路に何かあるなら貝殻で連絡してくれ」

剣士「おっけ!!」

商人「じゃぁ早速行こう…情報屋呼んで来る」ドタドタ


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『ハウ・アイ島近海』


ザブ~ン ギシギシ


女戦士「見張り台!!小島が増えて来たから浅瀬を良く確認しろ」

ローグ「へ~い…とりあえず島に近寄らなきゃ座礁する深さじゃ無いっすね…真っ直ぐ進んで下せぇ」

盗賊「剣士達の飛空艇はなかなか戻って来んな…なんか発見したんだろ?」

女戦士「確認したら戻ると言って居たが…心配ではあるな」


”聞こえる?今から戻るよ”


女戦士「このまま前進して問題無いか?こちらは大砲が1台しか無いぞ?」


”大丈夫!確認した…放棄された海賊船だったよ”


女戦士「放棄?誰も乗って居ないと言うのか?」


”うん…誰も乗って無いから安全…帰ってから話す”


女戦士「早く戻れ」

盗賊「海賊に先越されてんのか…こりゃ一戦ありそうだな」

女戦士「今の戦力なら問題無いだろう…しかしどこの海賊が此処まで来たと言うかの方が気になる」

盗賊「だな?だがよう?船を放棄するっておかしく無いか?」

女戦士「うむ…他の船も居るかもしれんな」


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『船首』


フワフワ ドッスン


女戦士「状況を教えろ…」スタスタ

剣士「すごい発見だよ…古代都市が浅瀬に沈んでる…それで沖に一隻だけ海賊船が放置されてるんだ」

盗賊「おぉ!!」

女戦士「このまま直進で良いんだな?」

剣士「うん…商人さんが簡単な地図を書いた」

商人「これを参考にして」パサ

女戦士「よし…右手に少し回れば良いか」

盗賊「海賊船が沖に放置されてるってどういうこった?」

情報屋「多分その辺りまで氷があったと思うわ…海面が上昇して古代都市が浅瀬に沈んだ…」

商人「つい最近沈んだ感じだね…海に沈んで一気に氷がどっか行っちゃったんだよ」

盗賊「じゃぁ遺跡探掘はお預けか?」

商人「全部沈んでる訳じゃ無いよ…一部は陸にもある」

剣士「沈んだ古代都市の一帯は水深15メートルくらいだよ…この船で行けるよね?」

女戦士「引っかかる物が無ければいけるな」

盗賊「今の話からするとその海賊船は沈んだ古代都市の外側に停泊してんだな?」

剣士「そんな感じ」

女戦士「海賊旗は見たか?」

剣士「ドクロに角突きの兜…多分北方の海賊だよ」

女戦士「船の規模は?」

商人「大き目のキャラック船に大砲を沢山乗せてあった」

女戦士「分かった…セントラル貴族崩れの髭男爵だ…私とは敵対関係になる」

盗賊「上陸する前に船を確保した方が良く無ぇか?」

女戦士「うむ…大砲を奪っておきたい」

剣士「海賊船は本当に誰も居ないよ…砲弾も火薬も放置しっぱなしさ」

盗賊「奪うしか無ぇな…てかその船動きそうに無いんか?」

情報屋「見た感じあまり傷んで無いわ…帆も畳んであったし」

盗賊「おぉ!!使えるなら丸ごと頂く」

女戦士「まずは海賊船の確保に向かおう…」

『放棄された海賊船』


ドタドタ


女戦士「荷を調べろ!!航海日誌と海図を優先で探せ!!」

盗賊「この船なんでこんなに綺麗なんだ?いつから放置されてると思う?」

商人「ここも海が割と浅い…もしかしてここで座礁してたんじゃないかな?」

情報屋「その可能性ありそうね…海面が上がって浮き上がった…」

剣士「食料が何も無いよ…残されてるのが重たい砲弾とか木材とか」

盗賊「小舟も無い所を見ると食料持って島へ避難したか」

女戦士「私達も同じ目に合わん様にせねばな…」


ドタドタ


ローグ「荷が何も無いっすねぇ…日誌も海図も見つかりやせん」

盗賊「俺ぁちっと動かせるか確認してくる」ダダ

女戦士「ふむ…船が無事に浮いていると言うのに取りに帰って来ないと言う事は島に上陸するのは危ない可能性がある」

剣士「空から見た感じ魔物とかも居なさそうだけど…」

女戦士「まず少数精鋭で安全を確認した後がよかろう」

剣士「まぁそうだね」

盗賊「おい!!動くぜ?この船!!」

アサシン「スケルトンをこちらの船に移し替えて私が動かすというのはどうだ?衛生的にもよかろう?」

女戦士「そうだな…この船はアサシンに任せた方が良さそうだ」

アサシン「今からこの船は私の物だ…海賊旗は外させて貰う」

盗賊「マジか!!くっそこんな良い船を…」

アサシン「これで2隻体制…随分な収穫だクックック」

女戦士「もうすこし陸寄りに移動させよう…この船は幽霊船を守る形で位置取り頼む」

アサシン「他の船を警戒しているか?」

女戦士「一応な?…幽霊船で先導するから付いて来てくれ」

『海底都市』


ユラ~ ギシギシ


情報屋「海から突き出ている塔からは距離を取って?いつ倒れるか分からないから…」

女戦士「驚きだな…この古代都市は当時のまま海に沈んでいるのか」

情報屋「雪と氷で覆われたまま眠って居たのよ…こんなに良い状態で保存されているのはすごい事よ」

盗賊「探検家の奴らが仲間割れする訳だ」

魔女「わらわの塔よりもはるかに大きな塔じゃな」

盗賊「15メートルなら泳いで下まで見に行けるぜ?」

魔女「止めて置け…どこからサーペントが出て来るか分からぬ」

盗賊「そうだったな…下手に海に入らん方が良いか」

商人「見て!!倒れてる塔!!あれを桟橋代わりに出来そうだ」

女戦士「よしアレを挟んで2隻停船させよう」グイ

情報屋「陸まで少し距離があるけど…」

女戦士「ひとまず様子見だ…お前も塔がどんなものか見て見たいだろう」

情報屋「そうね…」



『倒れた塔』


ギシギシ ガコン


剣士「この塔穴だらけだ…足元気を付けて」シュタ

盗賊「こりゃ夜中危無ぇぞ…穴に落ちちまう」

女戦士「アサシンの船に補修用の板が積んであったな…」

剣士「この数埋めるの全然足りないよ」

魔女「人が落ちん程度じゃったらツタでも張れば良かろう…」

剣士「お?種有ったな…」ゴソゴソ

女戦士「ツタを陸まで伸ばせるか?」

剣士「土が足りないかなー」

魔女「主だけ陸に行って向こうから延ばせば良いのではないか?」

剣士「おぉ?賢い…そうだ向こうまでロープ渡せる?」

商人「クロスボウでロープは渡せる…何に当てるかだけど…」

剣士「向こうの建物じゃダメ?」

情報屋「この塔は石で出来てるみたいよ?ボルトは石に刺さる?」

魔女「主が泳いで行けば良かろう」

剣士「えええ…」

魔女「ヤレヤレじゃな…氷結魔法!」ピシピシ カキーン

魔女「すぐに溶けるで走って行け」

剣士「ちょちょ…落ちたらどうするの…」

魔女「ちっとくらい濡れても死なんわ!早う行け」ドン

剣士「あわわ…」シュタタ


ピシピシ パリーン

『古代遺跡』


ギシギシ


剣士「ツタは一人づつ渡って!!」

盗賊「やっと陸に上がれたか…」スタ

女戦士「ハイディングできる4人は周囲の様子を探って来てくれ」

剣士「え?あ…うん」

盗賊「行くか!!ローグ早く来い!!」

ローグ「あいさー」スタタ

女戦士「日が落ちるまでには帰って来い…情報屋と商人はすぐそこの建屋が使えるか調べてくれ」


ドドドドドド


戦士「私は警備で良いか?」

女戦士「桟橋から離れない程度にな?」

戦士「よし!!総員配置に付け!!2名1組射撃警戒!!」ダダ

女戦士「フフ流石だな」

戦士「アサシン殿には大砲での威嚇準備をお願いしたい」キリ

女戦士「伝えて置く」スタ

戦士「感謝!」



『すぐそこの建屋』


スタスタ


アサシン「…呼ばれて来たが何用だ?」

商人「これだよ…ミイラ2体…アサシンの船の戦力になるかと思ってね」

アサシン「そういう事か…衣類を見る限り近代だな?」

情報屋「探検家の仲間か海賊ね…餓死した後に凍って居たんだと思うわ」

アサシン「腐敗して居ないのは凍ったせいという事か?」

情報屋「恐らく…凍っても水分は蒸発していくからミイラになったと思う」

アサシン「ひとまず使役して船へ連れて行く…従え!」フリフリ


ミイラ「…」ピク グググ


商人「この空の樽の運搬もお願いするよ」

アサシン「分かった…樽を運べ!」フリフリ

情報屋「この建物はキャンプ拠点に出来そうだから少し掃除しましょう」

商人「そうだね」

『桟橋周辺』


タッタッタ


商人「あの建屋は資材を運べば拠点として使えそうだよ」

女戦士「情報屋はどうした?」

商人「建屋の掃除をしてる…あそこで誰かがしばらく生活してた跡があるんだ」

女戦士「では他の建屋も同様の可能性があるな」

商人「うん…全部見て回るのは明日だね」

女戦士「遺物などは既に盗掘済みか?」

商人「謎の道具みたいな物は見当たらないね…全部盗られちゃったかもね」

女戦士「まぁ良い…建屋が使えるだけで今の所十分…掃除要員を数名行かせる」

商人「お願い…」


リリース! スゥ


商人「うわ!!びっくりした…」

盗賊「戻ったぜ?この周辺は生き物の気配が何も無いわ…土産は苔だな」ドサ

剣士「少し行くとまだ氷が残っててビチャビチャだよ」

盗賊「ほとんど荒野だな…ほんで苔が生えて来てる」

女戦士「こちらは建屋の中にミイラを2体発見した所だ」

盗賊「ミイラ?なんでまたミイラなんぞ…」

商人「この島に来た人だよ…餓死してミイラになってるのさ」

盗賊「ほ~ん…まぁ食い物は全く無さそうだな」

商人「もう少し火山の方に行くと少し木が生えてるんだ…そっちに移動したかもね」

盗賊「てかこの島割と広いから探索しんどいぞ?」

女戦士「長期戦になりそうだな…食料問題はちと考えねばならん」

剣士「あ…水分が多い荒野だからいろいろ育てられる…日差しも強いし暖かいし」

盗賊「おぉそうよ…日差しはきついのに氷のお陰で風は涼しい…なかなか良い島だぜ?」

女戦士「桟橋の強化に木材が必要になる…まず木が欲しい」

剣士「おけおけ!!いろいろ育てて見るよ」

『夕方_近くの建屋』


トンテンカン ギコギコ


盗賊「おっし!テーブル一丁上がり!!」ドン

ローグ「剣士君…金貨持ってきやしたぜ?」ジャラリ

剣士「盗賊さんも持ってるよね?全部頂戴」

盗賊「何に使うのよ?」

剣士「金貨溶かしてインゴットにするんだ…どうせ使い道無いでしょ?」

盗賊「インゴットにしてどうすんだ?」

剣士「アサシンさんの船用のアダマンタイト作るのさ」コネコネ

盗賊「なんだそういう事か…勿体無ぇなぁ…」ジャラリ

剣士「財宝だったら幽霊船に一杯積んでるじゃない」

盗賊「まぁそうなんだが酒代に使いにくいもんでな」

剣士「…よっし!出来た…即席の粘土の器」

ローグ「その中に金貨入れて炉で溶かすんすね?」

剣士「うん…情報屋さん!マグマの杖貸して」

情報屋「良いわよ…はい」

ローグ「石炭の代わりに魔法っすか…」

剣士「こっちの方が早いし…」フリフリ ゴゴゴゴゴ ボゥ


アーデモナイ コーデモナイ

6名一組で調査隊を組む…ふむ

休憩は狭間に隠した幽霊船で取れば常時調査隊を2班ずつ出せる

夜間は光源が無いから危険が伴うが…

照明魔法を封じた銀貨を各自持たせれば良いぞ?

なるほど…それで行って見るか


ローグ「しばらく忙しくなりそうでやんすねぇ…」

盗賊「この島を探索すんのにちっと人出が足りん気がするんだが…」

ローグ「そうっすね…後50人は欲しいでやんすよ」

剣士「変性魔法!」シュワ

剣士「出来た!!初めて作ったよ…」

盗賊「これでアサシンの船も狭間に隠せる訳か」

剣士「ちょっとアサシンさんの船に魔方陣張りに行って来る…なにかあったら呼んで」シュタタ

『海賊船』


ヴヴヴヴ ズルズル


剣士「あれ?ゾンビが居る…え?なんで増えてる?」

アサシン「海中に沈んで居たのも居た様だ…バリエーションが増えただろう?」

剣士「うわ…本当に幽霊船みたいになったね」

アサシン「クックックこの船には武器も積んで合ってな…そこそこの戦力になる」

剣士「この船に使うアダマンタイトを作って来たんだ…これだよ」

アサシン「ほぅ?気が利くな」

剣士「これで完全に幽霊船だね」

アサシン「財宝は何も積んで居ないがな?」

剣士「なんかこっちの船の方がかっこ良いなぁ…大砲一杯だし」キョロ

アサシン「丁度剣士に頼みたい事が合ったんだが…」

剣士「なに?」

アサシン「船底の竜骨部分に亀裂が入っているのだ…浸水には至って居ないがちと心配でな」

剣士「座礁した跡なんだね…一番強度が必要な所が傷んでるのか」

アサシン「なんとかならんか?」

剣士「樹液を流し込んで変性させれば良いんだけど…樹液かぁ…ここの土はクヌギがあんまり育たなくてね…」

アサシン「代替は何か無いのか?」

剣士「う~ん…ちょっと他の木も育てて見るよ」

アサシン「頼む」

『荒野』


ニョキニョキ バサバサ


剣士「チェリーが良く育つ…よし!これで行ける…成長魔法!」グングン

魔女「何が育つか試しておるのか?」ノソ

剣士「ギク!!ま…まぁそうだよ」

魔女「むやみに生態系を変える真似は良くないぞよ?」

剣士「この島はこれからどう育つかまだ分からないよ」

魔女「まぁ良い…して何が良く育ちそうじゃ?」

剣士「広葉樹も針葉樹もあまり育たない…チェリーだけ良く育つ…あとヤシとバナナかな」

魔女「熱帯の樹木が育つのじゃな…果物が生る木が良かろう」

剣士「小麦もあまり育たないんだ」

魔女「芋が良いじゃろうな…あとはとうもろこしじゃ」

剣士「魔女は作物育てない?」

魔女「魔術で育てるのは反則じゃ…理を超える術はわらわは使わぬ…主がヤレ」

剣士「なんだよ結局容認してるじゃない」

魔女「わらわも果物は食いたいでのぅ…わらわに見つからぬ様に上手くやるのじゃぞ?」ノソノソ

剣士「なんだよ冷やかしに来ただけか…」

『キャンプ」


ドタドタ バタバタ

建屋に物資を運び入れてくれ

見張りは2名づつだ

柵の設置急げぇ!!


女戦士「1班!戦士を隊長として計6名…北側の海岸沿いを探索」

女戦士「2班!近衛侍を隊長として計6名…南側から回ってくれ」

女戦士「作戦は6時間を目安として戻るのだ…最優先は使える物資の調達…遺跡調査は明日以降行う」


女王「皆さん携帯食料を作りましたのでお持ちください」

盗賊「おぉ!!おにぎりか?」

女王「はい…どうぞ」

剣士「チェリーも沢山採れたから持って行って…種は何処かに埋めて来れば良い」

盗賊「おにぎりにチェリーとはまた全然合わんなヌハハ」

ローグ「盗賊さん行きやすぜ?もう向こうに集まってやす」

盗賊「じゃ行って来るわ!」タッタッタ


女戦士「剣士と商人は飛空艇を使って上空から光を照らしてくれ…女オークは幽霊船で笛を頼む」

剣士「おっけ!しばらくは上空待機で良いのかな?」

女戦士「そうだ…小隊が帰る道しるべになって欲しいのだ」

商人「じゃぁ僕は上で周辺の詳細地図でも書こうかな」

女戦士「大いに助かる」

剣士「じゃ行こっか…」シュタタ

『キャンプ_建屋』


ゴソゴソ ガリガリ


女戦士「どうだ?年代は推定出来そうか?」

情報屋「ダメね…キ・カイとほぼ同年代だとは思うのだけれど証拠が掴めないわ」

女戦士「その時期の違う国だったのかも知れんな」

情報屋「地上での建築法はこの遺跡が初めてなのよ…キ・カイでは地上部分がすべて失われてるから」

女戦士「この建屋は何に使われていたと思う?」

情報屋「それも全然分からない…住居にしては頑丈すぎるし」

女戦士「上の階はもう行ったか?」

情報屋「全く同じ間取りよ…崩れた何かが有るだけ」

女戦士「書物類が一切見当たらんのは不思議だな」

情報屋「それはその当時羊皮紙類を使って情報伝達していないからだと思うわ…それはキ・カイと同じ」

女戦士「なるほど…エルフも情報伝達は文字を使わんか」

情報屋「この建屋では調査は限界ね…壁の材料を調べるくらいしか…」

女戦士「壁の断面は知りたく無いか?」

情報屋「え?そんな事出来る?」

女戦士「この破壊の剣がな…どうやら何でも切る事が出来る様なのだ」

情報屋「スゴイ!!…じゃぁ一部だけ切り取って欲しい」

女戦士「どの辺りが良い?」

情報屋「入り口の反対側にも出入口を作るのは?」

女戦士「よし…分かった…」スラーン チャキリ


スパ スパ スパ ズズーン


情報屋「スゴイわ…果物を切るみたいに…」

女戦士「ふぅ…普通の剣ではこんな風に切る事は出来ない…まさに破壊の剣だ」スチャ

情報屋「壁の断面…これ石の中に金属が入ってる…どうやって金属を」ゴソゴソ

女戦士「なるほど…これは石の様に見えるがセラミックだ…武器の製法にこういう作り方がある」

情報屋「心材に金属を使ってセラミックで覆う?」

女戦士「そうだ金属より軽く作れて耐熱性…腐食性に優れるのだ」

情報屋「それで4000年以上も形を留めているのね」

『翌日』


トンテンカン ギコギコ

荷車は全部で4台必要だ…次の調査に間に合わせろ!!

桟橋の補強完了!!これで大砲を下ろせます

海賊船から8台降ろすように伝えてくれ


盗賊「ふぁ~ぁ…あぁ良く寝た」

女戦士「幽霊船での睡眠は快適か?」

盗賊「うむ…十分休んでも狭間の外じゃ2~3時間経ったぐらいか?」

女戦士「フフ働いて貰おうか…芋を収穫してくれ」

盗賊「おう!!剣士は何処行った?飛空艇見当たらんな」

女戦士「剣士と商人は島の地図を作りに行った…そうそうこの周辺の地図も出来上がっているから持って行け」パサ

盗賊「早いな…」

女戦士「昨夜商人が書いたのだ…そこに建築計画も記されている」

盗賊「大砲設置?…ガチ拠点作る気かよ」

女戦士「この島は恐らく海洋で最も重要な補給地になると思われる…戦士はその辺の事も良く考えて居る様だ」

盗賊「あいつ頭悪そうだが戦争に関してはやっぱプロか」

女戦士「うむ…幼少から実践での叩き上げだからな」

盗賊「ガチ拠点作るにゃ全然人足りんぞ?」

女戦士「運よくアサシンが海賊船を手に入れただろう?一度フィン・イッシュに戻って貰おうと思って居る」

盗賊「人員と物資の補充だな?…なるほどそれで大砲降ろしてんのか」

女戦士「外海への航海を希望する人間はまだ沢山いるのだ…全員連れて来るつもりだ」

盗賊「全員って200人ぐらい居たよな?」

女戦士「次にアサシンが戻ってくるときは船団を率いて来る」

盗賊「なるほどな…じゃぁ狭間使って帰るとして20日ぐらいで戻る感じだな」

女戦士「そうなるな…その間私達は居住区の設営と遺跡の調査」

盗賊「アサシンは一人で大丈夫なんか?」

女戦士「ゾンビ共を20体以上率いているのだぞ?食料も要らんし大丈夫だ」

盗賊「話し相手で商人あたり連れて行ったらどうだ?」

女戦士「ふむ…海図を完成させる必要もあるな…相談してみる」

『海賊船』


ヴヴヴヴ グルルル


アサシン「…そのまま小舟を引き上げろ」

ゾンビ「ガァァァァ…」グイグイ

アサシン「何処でこの小舟を発見したのだ?」

戦士「北の海岸に打ち上げられていた…帆は痛んでいるがまだ使えそうだ」

アサシン「無いよりはマシだ…」

戦士「ここまで小舟に乗って来る最中イルカの群れを見た…我々を見に来たか…」

アサシン「私の恋人だ…迎えに来た様だな」

戦士「イルカが恋人だと?」

アサシン「まぁな?羨ましいか?」

戦士「代わった趣味をお持ちの様で…」

アサシン「フフ不死者になると好みも変わるのだ…外海で偶然出会ったのは縁があるという事」

戦士「偶然とはいかに?」

アサシン「狭間に迷った時の事…妖精に導かれて生き別れになった恋人に再会したのだ…信じられるか?」

戦士「いやはやアサシン殿は変わったお人だとは聞いて居たが本当にその様ですなハハ」

アサシン「お前も相当変わって居ると思うがな?」

戦士「さて私はそろそろ調査隊の準備に取り掛かる…失礼」スタ

『キャンプ』


ガタゴト ガタゴト


盗賊「芋収穫して来たぜ?荷車一杯になっちまった」

女戦士「これで酒が造れるな」

盗賊「芋酒か!!そら楽しみだ」

女戦士「女王が作ると息巻いて居たぞ」

盗賊「まだ収穫出来るんだがどうする?あんまり採って来ても食い切らんよな?」

女戦士「保存するなら土の中の方が良いか…」

盗賊「うむ…使う分だけ収穫した方が新鮮で良い」


スタスタ


アサシン「女戦士…取り込み中悪いがさっきの話…商人の同行は不要だ」

女戦士「何故だ?」

アサシン「イルカがフィン・イッシュまで案内してくれるのだ」

女戦士「話し相手は要らんと言うか」

アサシン「フフ心配には及ばん…海流の具合もイルカに聞いてみる」

女戦士「ほう…それは良い…海図に書き込めるな?」

アサシン「任せろ…幽霊船に乗ってる酒樽を一つ貰って行くぞ?」

女戦士「好きに使え」

アサシン「エリクサーも少し欲しいのだが…」

女戦士「使う分だけ瓶に小分けして良いぞ」

アサシン「それから盗賊…風のタクトを借りたい」

盗賊「お?もう行くんか?」ゴソゴソ ポイ

アサシン「イルカを待たせているのだ…へそを曲げられては困るのでな」

『桟橋』


ザブン ザブン


盗賊「おぉ…確かにイルカの群れが沖の方に居るな」

女戦士「海賊船は早々に出てしまったか…そう急がんでも良いだろうに」

情報屋「イルカの石化を心配しているのよ」

盗賊「アサシンはいつの間にイルカを手なずけたんだ?」

情報屋「海士島の近くの島で隠れて居た時に知り合ったらしいわ…イルカは狭間に入って来るから付き合いが長いのよ」

盗賊「狭間ん中でイルカと過ごしてたんか」

女戦士「海に住むエルフみたいなものかも知れんな」

情報屋「イルカは独自の言葉を使って意思疎通をするらしいわ…きっとアサシンはお話が出来るのね」

女戦士「さて…私達は仕事に戻るか」

盗賊「俺も調査隊の準備するわ」


-------------

-------------

-------------



『夜』


島の全体地図が出来たよ

火山はマグマが大量に西側のほうに流れ出てて海まで到達してる

西側は噴煙も酷いから飛空艇で飛び回る事も出来ないし徒歩での探索も無理と思った方が良い

東側の斜面は少しだけ木が生えてて多分水源が有ると思われる

雪に覆われてて川とかはちょっと確認できなかった

次に海岸沿いは北に数キロ行くともう一つ遺跡群がある

例の探検家が辿り着いたのは多分そっち側…日誌と一致するところがいくつかあるんだ

船を使って接岸出来るのはこの場所だけ…ほとんどが断崖で囲まれてる


女戦士「生き物は何か居そうか?」

商人「ほとんど居ないね…海岸付近で陸に上がったサーペントくらいかな」

情報屋「北にある遺跡はここと同じ感じなの?」

商人「ここより建物が少ない…だだっ広い所にポツポツ建物があるのと地面に穴が所々に開いてる」

剣士「あと海にものすごい大きな建造物が沈んでるよ…日誌に書いてあった奴だよ」

女戦士「明日調査に行って見るか」

剣士「僕の飛空艇は樽を降ろせば7~8人乗れるよ…すごい狭いけど」

女戦士「貨物用気球と合わせて調査隊2班出せるな」

商人「決まりだね?」

盗賊「今度こそお宝だな?」

商人「ホムンクルスが眠って居る事を祈るよ」

『貨物用気球』


フワフワ バサバサ


戦士「ハハ近衛侍殿もくノ一殿もそう睨まんで下され」

近衛侍「女王様をお守りするのは私の役目…」ジロ

くノ一「同じく…」ギロリ

戦士「まさか私から守っていると?」

魔女「うるさいのぅ…そろそろ仲直りしたらどうじゃ?お互いの力は既に分かって居ろう…」

女王「この人との婚姻は私が決めた事なのです…近衛侍もくノ一も…過去の事は大目に見て下さい」

近衛兵「はっ…」

くノ一「…」

戦士「私とした事が…信頼を得るまで努力する故…」

魔女「ヤレヤレじゃ…無駄ないがみ合いは置いておいてじゃな…見てみぃ下を」

戦士「古代都市…これが私達が調査している遺跡か…」

女王「地上に居るとこれほど壮大な都市だとは思いませんでした…」

魔女「4000年前に滅んだ文明はわらわ達の想像をはるかに超えて居るな」

戦士「向こうに見える巨大な建造物は…船か?」

魔女「朽ちた船なのか…それとも島なのか」

女王「何故かとても禍々しい物に見えます」

魔女「そうじゃな…人が住む物には見えんのぅ…何じゃろうのぅ?」

戦士「我々が居た場所は居住スペースだったとすると…距離的に軍事施設…」

魔女「んん?主の勘か?」

戦士「ハハ私ならそういう住み分けにするというだけの話…気にしないで下され」

女王「気になって居たのですがこれだけ大きな都市なのに古代人の痕跡が何も無いのが不思議です」

魔女「そうじゃな…骸の一つくらい見つかっても良さそうなのじゃがな」

戦士「私はその理由を少し知って居るかもしれない」

魔女「ほう?言うて見よ」

戦士「重力炉…これで屍を宝石に変える事が出来る」

魔女「なるほど…古代では亡くなった者を埋葬せず宝石に変えて居った…そういう事か」

女王「墓の代わりに故人を宝石に…それなら古代人の痕跡が見つからないのも納得できますね」

魔女「その宝石はどこに行ったのじゃろうな?」

女オーク「飛空艇が高度下げ始めたわ…もう降りるみたい」グイ

『巨大な建造物のある海岸』


フワフワ ドッスン


女オーク「皆降りて?」

魔女「近くで見るとやはり巨大じゃな…」アゼン

商人「皆来たね?」

戦士「あれは何だ?」

商人「船だね…あの建造物から向こう側の海が深いんだよ…つまりここは港だったのさ」

魔女「およそ船の形はして居らんが」

情報屋「酸化して朽ちているんだわ」

戦士「ではあの建造物には近寄れんか…」

商人「探検家の日誌によるとあの建造物は目印なんだ…本当の遺跡はここら辺にある洞穴の奥なんだ」

戦士「では洞穴を探せば良いのか」

女戦士「二手に分かれて探索しよう…そうだな1時間後にここへ集合…収穫が無ければ気球で場所を移す」

戦士「承知!」キリ

商人「じゃぁ僕達は向こうへ行こうか…戦士たちはあっちね」ユビサシ



『謎の建屋』


コンコン ガサガサ


剣士「同じ建物が沢山並んでる…扉も窓も見当たらない…なんだこれ?」

盗賊「一つぶっ壊してみたら良いんじゃ無ぇか?」

剣士「爆弾持ってる…情報屋さん一個壊してみて良いかな?」

情報屋「そうね…」

女戦士「穴を開けるぐらいなら私がやるぞ?」

情報屋「そうだったわ…」

剣士「穴?どうやって?」

女戦士「フフ見てろ…」スラリ


スパ スパ スパ ゴトン! ドサーーーー モクモク


剣士「おおおおお!!何その武器スゴイ!!」

盗賊「ぶはぁ…なんだ土が入ってんのか…」

情報屋「待って…この大きな建物は物資が入ってる箱よ…中身が風化して土になってるんだわ」

盗賊「ほんじゃ食い物とかそんな感じか?」

情報屋「そういう何かねきっと…」ゴソゴソ

商人「じゃぁコレ並んでるのはレールか何かに乗ってたんじゃないかな?」

情報屋「レールの痕跡も風化して何も残って無い…やっぱり空気にさらされるとこうなってしまうのね」

商人「まぁでも向こう側に続いてたって事だよ」ユビサシ

盗賊「なるほど…船から荷を下ろして運ぶ最中だったって事な?」

剣士「あ!!向こう側!!旗が立ってる!!」シュタタ

『旗』


バサバサ


商人「ここに誰か来たのは間違いないね…」キョロ

女戦士「旗は目印だ…この周囲に何かあるぞ?」

商人「日誌に旗の事なんか書いて無かったけどね」

女戦士「海賊は旗を立てる…後続の仲間に分かる様にな」


ドーン ドーン


剣士「え!?戦闘音…」

女戦士「何ぃ!!」ダダ

盗賊「2班の方だ!!魔女が魔法を使うって事はヤバイ事になってんぞ」ダダ

女戦士「急げ!!」

剣士「僕先行する!!」シュタタ



『洞穴の前』


ゴゴゴゴゴゴ ドーン


魔女「戦士!!あ奴に近付いてはならぬ!!」

戦士「しかし魔法が効いて居ない」ジリ

魔女「わらわが引き付けて居る間に距離を置くのじゃ…火炎地獄!」ゴゴゴゴゴ ドーン

近衛侍「女王様…私の影へお隠れ下さい」

女王「は…はい」スタ


シュタタ スタ


剣士「魔女!!うわ…電気ウナギか」タジ

魔女「魔法が効かぬ故用心せい!!」

剣士「なんでここに戻ってるんだよ」

魔女「この場所を守って居るのじゃな…そのように命令されて居るのじゃろう」

剣士「魔女?電気ウナギは凍ってたらしい…氷結魔法なら動きを止められるかもしれない」

魔女「詠唱する時間を稼ぐのじゃ…アブラカタブラ…」

剣士「電気ウナギこっちだ!!」シュタタ


電気ウナギ「シャーーーーーー」ニョロニョロ

剣士「こんなでっかいのどうやって倒すんだよ…」ピョン クルクル シュタ

女戦士「私が切る!!」ダダ

剣士「ダメェェェ!!そいつは電気ウナギ!!近づかないで!!」

女戦士「何!!…」タジ

ローグ「頭ぁ!!ダメっす…」ダダダ ガシッ


ビリビリ ピシピシ


ローグ「うはぁ又ギリギリセーフ!!」シュタ

女戦士「すまん迂闊だった…」

魔女「絶対零度!!」


ビシビシ カキーーーン!!


電気ウナギ「…」カチコチ

魔女「ふぅ…これで大人しくなったじゃろう」

戦士「どらぁぁぁぁぁ!!」ドドドドド カーン カーン

魔女「これ戦士!無駄じゃ止めて置け」

戦士「このまま放置して居ては危険が危ない」

魔女「数日は溶けぬ故その間に調査すれば良かろう…電気ウナギはここを守って居るだけじゃ…無駄な殺生は良く無いぞ?」

剣士「ハハそうだね…この魔物はドラゴン並みに貴重な魔物だと思うよ」

女王「この魔物が龍神リヴァイアサンなのですね?」

剣士「多分そうだよ…」

女王「フィン・イッシュの守り神リヴァイアサン…」フカブカ ハハー

剣士「何してんの?」

女王「私はこうやって何十年も祠で祈りを捧げて来たのです…これからもフィン・イッシュをお守りくださいと…」フカブカ

剣士「こう?」スチャ フカブカ ハハー

魔女「う~む…何と言えば良いかのぅ…」


タッタッタ


盗賊「なんだ戦闘終わったんか…ほんで何やってんだお前等?」

剣士「お祈りさ…」フカブカ ハハー

盗賊「しかしこの電気ウナギ戻って来てんのな?」

魔女「その様じゃな…誰ぞに命令された事を忠実に守って居る様じゃ」

盗賊「ほーん…まぁ凍ってんなら放って置くか…洞窟見つけたんだろ?ちゃっちゃと行こうぜ」スタ

女戦士「そうだな…それが先決だ」

『洞窟』


ピチョン ピチョン


盗賊「ビンゴ!!お宝満載じゃ無ぇか…こいつら随分色々集めたな?」ジャラジャラ

情報屋「宝石に謎の機械の数々…」

剣士「スゴイ!!もっと大きなデリンジャーだ…動くかもしれない」

盗賊「ひとまずこのお宝を全部幽霊船に運ぶぞ…ローグ!手伝え」

ローグ「あいさー」ダダ

情報屋「倒れてる人は皆餓死した後にミイラ化してるわね…全滅かしら」

盗賊「そんな感じだな?」

商人「海賊の日誌とかもあるよ…あれ?海賊じゃ無いな…航海士の日誌だ」

情報屋「見せて?」

商人「うん…他にも色々書物がある…とりあえず全部持って帰ろう」

情報屋「この航海士…例の探検家と一緒に航海した人だわ」ヨミヨミ

商人「何か面白い事書いてある?」

情報屋「髭男爵と繋がりをもって居たのね…ここで救助を待っていたみたい」

商人「ははーん…じゃぁ救助に来た髭男爵の船が座礁してしまって共倒れという所か」

情報屋「そこまでは書かれて居ないけどきっとそうね…」

ローグ「ちっと待って下せぇ…髭男爵と言いやしたね?」

商人「あぁローグは知らなかったのか…あの海賊船は髭男爵の物らしいよ」

ローグ「髭男爵は公爵の部下っすよ…つまり公爵はここの存在を知って居たという事でやんす」

女戦士「ここのミイラに髭男爵は見当たらんぞ?」

盗賊「まだ奥があるな…例の扉もどうやって開けたか知らんが開いてる」

女戦士「盗賊とローグはここに有る物を貨物用気球を使って全部幽霊船に運べ…ミイラもだ」

盗賊「お前等は奥に行くんか?」

女戦士「そうだ…ここからが本番だ」

盗賊「まぁ無理すんなよ?全部運んで2往復って所か…急ぐぞ?」

ローグ「分かりやした…」スタ

『開かずの扉奥』


ダダダ


商人「ここは!!…キ・カイのチカテツ街道奥で見つけた遺跡と同じだ」

剣士「見て…天井にいくつも穴が開いてる…前に見た謎の塔も」

商人「アレだよ…大陸間弾道ミサイル…光る隕石だ」

情報屋「これと同じ物がチカテツ街道の奥に?」

商人「うん…謎の機械も石板もほとんど同じだ…10年前に天井の穴が開いて空気が入って来たんだよ」

情報屋「それで開かずの扉が開いたのね」

剣士「奥の扉も開いてる…」スタスタ

商人「キャンプ跡とミイラがある…ここで寝泊まりした様だ」

女戦士「髭男爵はこいつだ…」スラーン

情報屋「え?何をするつもり?」

女戦士「こいつには借りがあってな…私が幼少の頃捕虜に捕らわれた事があってな」ブン スパスパ


商人「アハ…そいつだけバラバラかい?」


女戦士「辱めを受けたのだ…消えて無くなれば良い!」スパスパ

戦士「ここの遺跡も広い様だから私達は奥を探索してくる」

商人「僕達はこの周辺を調べておくよ」

戦士「私が先頭を歩く…皆付いて来るんだ」キリ

情報屋「出来るだけ物は動かさない様にお願いします」

『30分後』


ガチャガチャ


商人「ダメだ…エネルギーユニットは入っているのに動かない」ガチャガチャ

女戦士「海賊共がそこら中荒らしたからだな…随分散らかされたものだ」

商人「くそう!」バン

剣士「どこかに食料は在ったみたいだね…空の容器が散らばってる」

女戦士「4000年前の食料が保存されていたと?」

商人「真空で保存されていたなら可能かもしれない」

情報屋「商人?この車輪が付いた謎の機械は動かないかしら?」

商人「どうかな…」ガチャガチャ

情報屋「この機械は多分キラーマシンの原型だと思うわ…可動部がいくつもあるし」

商人「エネルギーユニットが何処に有るのか分からないなぁ…」

剣士「雷の魔法を使って見ようか?」

商人「そうだね…一回やってみて」

剣士「ちょっと離れてて…電撃魔法!」ビビビ


機械「ブーン…ピ」ピク


商人「お!?一瞬動いた」

剣士「足りないのかな?電撃魔法!」ビビビ

機械「ピ…ピピ」シュゥゥ モクモク

商人「ストップ!ストップ!だめだ煙が出て来た…」

剣士「こんな方法じゃやっぱりダメかぁ…」

情報屋「エネルギーは電気だという事が分かったわ」

剣士「これ分解出来る?」

商人「どうやって組み付いているのかさっぱりだよ」

女戦士「私が一刀両断するか…」スラーン

商人「ちょちょ…爆発したりしないよね」

女戦士「エネルギーは枯渇しているのだろう?只の金属の塊だ」ブン スパ


ガチャン バラバラ ビヨヨーン


商人「あれ?中身が結構スカスカだ」

情報屋「やっぱり…原理はキラーマシンと同じ…動力が人口の筋肉繊維ね」

商人「エネルギーユニットがどれなのか分からないや…」ガチャガチャ

『1時間後』


タッタッタ


盗賊「お宝運び終わったぜ?」

ローグ「あららら?えらく広い古代遺跡なんすね?他の皆さんは奥を探索してるんすか?」

商人「そうだよ…僕はここでガラクタを分解中さ」ガチャガチャ

盗賊「このガラクタ全部動かんのか?」

商人「動かし方が分からない」

盗賊「何台あるのよ」

商人「なんか一杯あるんだ…多分古代のキラーマシンだよ」

盗賊「ほんじゃ動くとヤベーじゃ無ぇか」


シュタタ


剣士「商人さん!!ホム姉ちゃんが見つかった!!来て」

商人「えええええええ!?行くよ」ガバ

剣士「でもね…石造なんだ」

商人「そうか残念だ」タッタッタ



『奥のエリア』


情報屋「商人来たのね…その石造まだ新しいわ…頭部のユニットがまだ生きて居るかもしれない」

商人「裸…なんで?」

情報屋「海賊達に目覚めさせられたのよ…後は想像出来るでしょ?」

商人「なんて馬鹿な事をするんだ…目覚めたばかりなら後400年近く活動出来るのに」

情報屋「死因は多分凍死ね…超高度AIの埋まっている場所は分かるでしょ?

商人「うん…慎重に取り出すよ」

剣士「石の部分を少しづつ土に変性させようか?」

商人「良いね…頼むよ」


--------------

女戦士「このミイラは古代人か?今までのミイラと明らかに違う」

情報屋「きっと古代人…ミイラ化が長くて化石になってる」

盗賊「こりゃ100体以上あるぞ…武器を持ってるのも居る」

情報屋「この区画で最後まで生き残って居たのね…腹部の破裂の感じからすると生きたまま真空にされた…」

ローグ「男型の石造もありやすね…」

情報屋「それもホムンクルスの一種の様ね…腹部が崩れて傷みが酷いから石になったのは4000年前ね」

盗賊「人間と共存してた訳か」

ローグ「ガラス容器のエリクサーは全部飲まれちまった様でやんす」

女戦士「海賊達はそれで命を繋いで居た訳だ」

情報屋「ここのミイラ達は衣類がみんな同じ…きっと兵隊だわ」

盗賊「これ全部女だよな?」

情報屋「そう…全員女性…Y型染色体異常で男性が生まれ無くなった証拠よ」

盗賊「むむ…だから男型のホムンクルスが居るんか」

剣士「ちょっと…女性は生まれて来るの?」

情報屋「女性は遺伝的に男性より生命力が強いから稀に生まれて来るのね」

剣士「…そういえば子供達の割合は女の子が多かった…」

情報屋「そうやって種が減少して滅ぶ…数十年でほぼ絶滅ね」

盗賊「なんやかんやで俺らも女の方が多いな」

情報屋「戦いで死ぬのは男性が多いというのもあるからそうなっているのね」


商人「取れたぁぁ!!」


情報屋「超高度AIユニットは無事?」

商人「無事だと良い…急いでエリクサーに漬けたい」

女戦士「一度幽霊船に戻るか?」

商人「うん…ガラクタも少し持って帰りたいし一回戻る」

ローグ「あっしが貨物用気球をうごかしやすぜ?」

女戦士「行ってくれ」

ローグ「あいさー」


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『日暮れ_キャンプ』


今晩の調査は気球を使っての遠隔地だ

物資調達と運搬…そして見取り図の作成が主な任務となる

観測士は器具を持って気球に乗り込め…以上


情報屋「ふぅ…ちょっと休憩ね」

女戦士「遺跡が広すぎて疲れたか」

情報屋「運動不足ね…」

女戦士「しかし全部を調査するのは何日もかかりそうだ」

情報屋「開かずの扉がまだ沢山あるとは思って居なかった…盗賊は寝る暇無さそう」

女戦士「戦士が言うには今日見た光る隕石と同様の物があちらこちらにあるそうだ」

情報屋「いつ動き出すか分からないから少し危険ね」

女戦士「うむ…エネルギーがどうやって供給されているかも不明のまま…あれが爆発しては敵わん」

情報屋「商人は?」

女戦士「例のガラクタを分解している…こちらも謎が多い」

情報屋「そう…」

女戦士「どうしたのだ?」

情報屋「あの遺跡は軍事用だった事がほぼ確定だから意見を聞きたくて」

剣士「僕が代わりに聞くよ?」

情報屋「じゃぁあの光る隕石をどういう目的で保存して居たのか想像できる?」

剣士「保存…なんでだ?」

情報屋「光る隕石が人類を滅ぼしてしまう事は知って居た筈…なのに処分しないで大事に保存している」

女戦士「ふむ…理由がある訳か」

剣士「商人さん風に答えるならこうかな…保存した訳じゃ無くて保存させられた…」

情報屋「どうしてそう思うの?」

剣士「古代人のミイラは武器を持って居たよね?何かと戦って居たんだよ」

女戦士「ふむ…確かに武器を持ってミイラ化するのはおかしい」

情報屋「じゃぁ目的は軍事基地の無力化?」

剣士「僕はそうだと思う…そして敵は車輪の付いた機械さ…あの機械は皆扉の外に居た」

情報屋「この遺跡を守る機械では無かったと…」

剣士「守って居たんだろうけど機械に裏切られた感じじゃないかな…じゃないと生きたままミイラにされた理由が分からない」

情報屋「古代人は最後まで世界中にあるこういう軍事拠点を使って生き延びてた…それを終わらせたのが機械達ね」

剣士「機械は工学三原則で人間を傷つけられない…でも扉を閉めるくらいは出来そうだよ」

情報屋「それでウンディーネ時代は幕を下ろした…辻褄が合うわ…証拠を探さなきゃ」

剣士「この軍事拠点を守っていたという事は人間同士長い事争っていたんじゃないかな…それを機械が終わらせたという見方も出来るね」

情報屋「そういえばキ・カイでも古代の機械の発見場所は遺跡の外側…同じ事が向こうでも起きた様ね」

『幽霊船_船長室』


ガチャリ バタン


商人「ん?剣士君か…機械の中からこんな物が出て来たよ」ポイ コロン

剣士「それは超高度AIユニット?」

商人「外部メモリのスロットが無い量産型のAIユニットだろうね…僕の機械の犬と同じさ」カチャカチャ

剣士「この機械は自律で考えて動く機械だったわけだ」

商人「…そうなる」

剣士「さっき情報屋さんと話したんだけどその機械があの遺跡の扉を閉じて古代人達を葬ったんじゃないかって…」

商人「その通りだと思うよ…だから僕はその証拠をこうやって探してる」

剣士「機械の体を持つホム姉ちゃんも出来ちゃう訳か…」

機械の犬「クゥ~ン」

商人「エネルギー源がどこに有るのか全然分からないんだ…魔石でも無いしウラン結晶でもない…なんで動いたのかさっぱりだ」

剣士「あの遺跡からエネルギー供給を受けてたというのは?」

商人「うん…それしか考えられない…だからあの遺跡から遠く離れられなかったんだろうね」

剣士「ホム姉ちゃんは生体からエネルギーを得てたから何処へでも行けた…」

商人「…ところで剣士君…この機械の腕の部分…穴が開いてるだろう?何だと思う?」

剣士「なにか発射する穴?」

商人「物理的な弾を射出する様な物では無い様だよ」

剣士「じゃぁここの部分…ここがエネルギーを作る機械かもしれないね」

商人「ビンゴ!欲しいかい?」

剣士「欲しい欲しい!!」

商人「君に期待している…それを動かせたら沢山武器が作れるよ」

『飛空艇』


カチャカチャ


この小さな石がオリハルコン結晶…ここに光を蓄えるのは間違いない

レンズとプリズムで集光して光線を出すんだ

問題はどうやって光を蓄えるのかと…どうやって一気にエネルギーを射出するかだな

そのデバイスになってる部分を解明するのは僕じゃ無理かもしれないなぁ…


盗賊「よう!?ここに居たか」

剣士「盗賊さんか…どうしたの?」

盗賊「お宝ゲットしたもんで見せに来たんだ…見て見ろ」

剣士「ああああ!!ママが使ってた計算機」

盗賊「ヌハハそう言うと思ってたぜ…やるよ」

剣士「ジャイロもあるじゃないか」

盗賊「まだまだこれから沢山発掘されるぞ?」

剣士「スゴイなぁ…」

盗賊「ちっと長期戦になりそうだがな?」

剣士「奥の方はそんなに広いの?」

盗賊「調査の人員が足りて無ぇのよ…お宝だけ取ってハイさよならって訳に行かなくてよ」

剣士「まぁそうだろうね…」

盗賊「ほんで女戦士は作戦変更するんだとよ…しばらくこの島に腰を落ち着ける事になった」

剣士「連日調査だとみんな滅入っちゃうよね」

盗賊「うむ…しっかり休みを入れる方針に変わったんだ」

剣士「へぇ…」

盗賊「ほんでお前に植物の種を仕入れて来て欲しいらしい」

剣士「あー僕もそう思ってたよ…今ある種だけだと品種が少ないね」

盗賊「キ・カイまで行けるか?商人ギルドで大量に種扱って居たんだ」

剣士「おけおけ…一回名もなき島にも戻りたかったんだ」

盗賊「ホムンクルスだな?」

剣士「うん…」

『キャンプ』


メラメラ パチ


剣士「女戦士?種が欲しいって盗賊さんから聞いたんだ」

女戦士「あぁそうだ…私が欲しいのではなく女王が畑を作りたくて種を欲しがっているのだ」

剣士「僕が持ってる種はあんまり育たなかったからね…」

女戦士「芋とバナナが良く育って居るから当面の食料は問題無い…今の内に他の種も仕入れては置きたいな」

剣士「名も無き島にも行きたいんだけど…」

女戦士「ホムンクルスを目覚めさせるのだな?」

剣士「うん…商人さんと女オーク連れて行って良いかな?」

女戦士「できればどちらか1人が良いのだが…」


スタスタ


商人「僕はここに残るよ」

剣士「商人さん…ホム姉ちゃんを起こしに行くんだけど」

商人「君に託す…僕はホムンクルスの生体が目当てじゃない…彼女の心を救うのが目的なのさ」

女戦士「フフ商人にしては男らしい事を言う」

商人「僕の機械の犬を連れて行って良いよ…目覚めさせ方を知ってる」

機械の犬「ワン!」

剣士「じゃぁ女オークと2人で行って来る…あ…ちがうホム姉ちゃんもか」

商人「外部メモリを移し替えるのを忘れない様に」

剣士「うん…ホム姉ちゃんが2人に増えちゃうね」

商人「大丈夫…それも含めてホムンクルスが自己解決するさ」

剣士「そっか…じゃぁ早速行って来るよ…戻るのは10日後くらいかな」

商人「そうそう…海図の写しも持って行くんだ…気候の変動具合も書き記して欲しい」

剣士「分かったよ…じゃ行って来るね」

『飛空艇』


フワフワ


女オーク「どんぐりとキノコを持って来たわ…」ドスン

剣士「おっけ!水も十分あるし行ける」

女オーク「どういうルートで?」

剣士「このまま貿易風に乗って真西だよ…陸が見えたらそこはオーク領の未踏の地の筈…そこを飛び越えて先に名も無き島を目指す」

女オーク「じゃぁオークの箱舟も見られるかも知れないわね」

剣士「そうだね…どんな事になってるのか楽しみだ…飛ぶよ?」グイ


シュゴーーーー バサバサ


女オーク「噴煙の中を飛ぶつもり?」

剣士「ああ忘れてた…少し北へ迂回する」



『翌朝』


リリース!


剣士「座標確認する…海図の上で指動かすから吠えて教えて?」ススス

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「おぉ結構進んだ」

女オーク「剣士!?下はもう陸地よ?」

剣士「えええ!?どういう事?」

女オーク「雪原だわ」

剣士「まさか巨大な氷山?…これじゃ大陸だ」

女オーク「正面に海が見える…」

剣士「そうか陸から離れてしまってるんだ…こんなのが全部溶けようとしてるのか」

女オーク「何年かかるかしら」

剣士「これさぁ…オークの箱舟ってこんな大きな氷に覆われてるなら発見無理じゃないかな?」

女オーク「溶けるまで待つ必要がありそうね」

剣士「うん…ついこの間まで南極だった場所の氷がそんなに直ぐに溶ける訳が無い」

機械の犬「クゥ~ン」

剣士「え?違うの?…割と早く溶ける?」

機械の犬「ワン!」

剣士「そうなんだ…なんでだろ?」

女オーク「暖かい海の雨では?」

機械の犬「ワン!」

剣士「なるほど…暖かい海の海水と混ざると言うのもあるか」

『氷床の切れ目』


ドドドド ザバーーー


剣士「溶けた氷の水が亀裂にそって大きな川になってる」

女オーク「すごい落差の滝ね…」

剣士「この氷床…高さどれだけあるんだろう…500メートル以上はあるよ」

女オーク「雲が出て来たわ…高度上げた方が良いじゃない?」

剣士「そうだね…」グイ バサバサ

女オーク「湿った暖かい空気が氷で冷やされて雲になってるのね」

剣士「陸の方はずっと雨が降ってるかもしれないね」

女オーク「ハテノ村で振ってた冷たい長雨はこういう現象だったのかも知れないわ」

剣士「なるほど氷が一気に溶けそうだ…」



『2日後』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「今南極点だった場所の上空だよ…何か見える?」

女オーク「一面の雲ね…下の様子は伺えないわ」

剣士「やっぱり雨が降ってるんだ」

女オーク「このまま直進するの?」

剣士「ここで南の方へ進路変える…オーク領の上を飛ぶ感じさ」

女オーク「ハテノ村には寄って行かないの?」

剣士「どうしようかなぁ…ハテノ村まで行くと偏西風で逆風になっちゃうんだ」

女オーク「じゃぁ寄るなら帰りね」

剣士「その方が無駄な飛行が少ない…まず名もなき島に直行だよ」

『偏西風』


ビョーーーウ バサバサ


剣士「やっと偏西風捉まえた…」

女オーク「少し逆風ね…操舵が忙しくなる」

剣士「うん…落下で速度稼がないといけないからここから先は上昇下降でゆっくりできないね」

女オーク「方向は合ってる?」

剣士「風で流されるのを見込んでるよ…このまま1日くらいかな」

女オーク「そろそろ体をしっかり動かしたいわ」

剣士「そうだね」

女オーク「大分寒くなって来たわね」

剣士「そろそろ高緯度域…ここから一気に寒くなるよ」

女オーク「名もなき島は氷に覆われていない?」

剣士「冬になると覆われてしまうかも…まぁキ・カイより少し寒い程度かな」

女オーク「将来的にはセントラルとキ・カイは氷床で陸続きになるのでは?」

剣士「数百年掛かるんじゃないかな…多分極点付近に出来た氷床が少しづつ成長するんだよ」

女オーク「数百年ね…」

剣士「その頃までセントラルが栄えてるとはもう思えない…これからの主権はフィン・イッシュになると思う」

女オーク「キ・カイが謎のままね」

剣士「王国じゃないからだね…指導層がどうなってるのか僕も良く知らないさ」

『名も無き島上空』


シュゴーーー バサバサ


剣士「海面が下がって地形が激変してる…なんだアレ…座礁してる船もあるじゃないか」

女オーク「あなたの島に誰か入り込んでいるみたいね」

剣士「良かったぁぁ僕の家を狭間に隠しておいて…」

女オーク「座礁してるのはドワーフの国の船では無いの?」

剣士「どうだろ?商船かな?」

女オーク「どうするの?このまま降りる?」

剣士「騒がれると面倒だね…銀鉱山の方に降りて飛空艇を隠して行く」




『名も無き島の集落』


ザワザワ

なんでこんなに潮が引いちまっただ?

お天道様も反対から登りよるしどうなっちまっただろうのぅ

ダメだぁこれじゃ帰れ無ぇ

霧の中で漂流するよしかよっぽどマシだろう?


村人「あれれ?未来君で無ぇが?」

剣士「バレちゃったなぁ…ハハ」

村人「いつ帰って来たんかいのぅ?」

剣士「さっきこっそり帰って来たんだ」

村人「今えらい事になっててのぅ…海賊王が何処行ったか分からんくなってもうた」

剣士「あー爺ぃじに会いに来たんじゃないよ…僕の家に忘れ物を取りに来たのさ」

村人「そうじゃったか…ではゆっくりはして行かんのかいな?」

剣士「うん…一晩寝たらまた行くよ」

村人「ほうか?済まんが村の方が忙しくて構まっとれんで2人で行けるな?」

剣士「大丈夫さ…それよりこの人だかりは?」

村人「寒うなって海に霧が張っておるらしいんや…航海出来んで立往生やな」

剣士「よくそこの入り江まで入って来たね?」

村人「何も知らんで来たから座礁してもうたんよ…ほんで海が引き寄ってどーもならん」

剣士「じゃぁ爺ぃじが来るまで賑やかだね」

村人「そうや…今住居の建て増しで村人みんな忙しいんや…済まんな?」

剣士「おけおけ…僕は家に帰るよ」スタ

『古代遺跡』


ズズズズ


剣士「よし…確か瓶の中にアンモニアを入れてた筈…変性魔法!」シュン ギギー

女オーク「開いたのね?」

剣士「フフこの扉便利だ…さてホム姉ちゃんを起こすぞ」スタ

女オーク「どう?」

剣士「バッチリだ!!ホム姉ちゃんが寝てる」

機械の犬「ワンワン!」トコトコ

剣士「これどうやって動かすの?」

機械の犬「ワン!」フリフリ

剣士「ここのバルブ?これでエリクサーを抜くんだね?」

機械の犬「ワン!」

剣士「おけおけ…」グイ コポコポ

女オーク「隣の容器に移るのね…」

剣士「これ時間掛かりそうだな…女オークは水浴びでもしておいでよ…湯の沸かし方分かるよね?」

女オーク「そうね…」

剣士「ホム姉ちゃん起きたら寒いだろうから少し部屋を温かくしておこうかな」

女オーク「着替えも探して来るわ」

剣士「あーお願い…ママの着替えが有った筈」

女オーク「あんまり裸を見ちゃダメよ?」

剣士「良いじゃ無いか見るのはタダだよ」

女オーク「…」ギロリ

剣士「ちょちょ…分かったよ見るのはちょっとだけにしておくよ」

女オーク「分かって居ない様ね…まず着替えさせましょ」グイ

『1時間後』


スタスタ


女オーク「水浴び終わったわ…まだ目を覚まさない?」

剣士「もう直ぐさ…」

ホムンルクス(セイタイキノウ テイカ スリープモード ヲ カイジョ シマス)

ホムンルクス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

ホムンルクス(…)ピッ

女オーク「何か話し始めた…」

機械の犬「ワンワンワン!」パタパタ

剣士「ええと…外部メモリを挿しかえるんだっけ?」

機械の犬「ワン!」

剣士「これだな?」スッ

ホムンルクス(ガイブ メモリ ガ ソウニュウ サレマシタ)

ホムンルクス(キカン プログラム ヲ ヨミコミマス)

ホムンクルス(キョウタイ エラー キカン プログラム ヲ リブート)

女オーク「何言ってるの?」

剣士「森の言葉を話してる…僕も少ししか分からない」

ホムンクルス「あー…ががー…体温が低くて声帯に異常ががー少しお待ちががが」

女オーク「湯が沸いてるわ?漬けてあげる」

剣士「そうだね…任せて良い?」

女オーク「当然よ…」グイ

ホムンクルス「体温8℃…生体維持限界を下回って居ますすす」

剣士「マズいな…早く温めないと」

『入浴後』


ホクホク


ホムンクルス「ご心配をお掛けしました…反応熱の安定までもうしばらくお待ちください」

剣士「よかった…ホム姉ちゃん10年振りだね」

ホムンクルス「私はずっと一緒に居ましたよ?」

剣士「あーゴメン…その姿が10年振りだ」

ホムンクルス「そうでしたね」ニコ

剣士「やっとホム姉ちゃんを目覚めさせる事が出来てホッとしたよ」

ホムンクルス「私は眠って居ません」

剣士「ハハそうだった」

ホムンクルス「未来君にお伝えしなければならない事があります」

剣士「ママからのメッセージだね?」

ホムンクルス「いいえ…未来君の父親…勇者様からの伝言です」

剣士「え?パパか…」

ホムンクルス「このメッセージを未来へ届ける事と私と引き合わせる事が目的だったようです」

剣士「パパは何て?」

ホムンクルス「自分の次元を強く持て…分岐点を見誤るな…未来へ行けと…」

剣士「え…それで?」

ホムンクルス「私はこのメッセージの意味が分かりません」

剣士「メッセージってそれだけ?」

ホムンクルス「はい…その他に薬品を預かって居ます」

剣士「例の液体だね?アレは何?」

ホムンクルス「命の泉を復元させる為の薬です…使用法は命の泉に注ぐ…しかし問題があります」

剣士「問題って?」

ホムンクルス「命の泉を復元させても既に意味が無いのです…その前に人間は最小存続個体数を下回り絶滅します」

剣士「ちょっと待ってよ…それを何とかしたいんだ…どうにかならないの?」

ホムンクルス「シミュレーションの結果Y型染色体異常で繁殖が阻害される事で生き残る男性の数は0.01%」

剣士「じゃぁその0.01%でなんとかしよう」

ホムンクルス「4000年前の200億人居た人口でしたら最小存続個体数を下回る事はありませんでしたが…」

剣士「今だと下回ってしまう?」

ホムンクルス「はい…例え数百人生き残ったとしても遺伝的に繁殖する事は100%あり得ません」

剣士「…」

ホムンクルス「こんな事しか言えなくてごめんなさい」

剣士「ホム姉ちゃんなら何か知ってると思って居たんだ…」

ホムンクルス「どうか残りの人生を幸福にお過ごしください」

剣士「オークはどうなる?エルフは?」

ホムンクルス「オークは毒に耐性を持って居ますので生き残るでしょう…エルフは毒に耐性がありませんので個体数が減ります」

剣士「減る?エルフは精霊樹から生まれるよね?」

ホムンクルス「一定数は繁殖しますが毒によって長生きする事は無くなるでしょう」

剣士「なんだよそんな事知らない方が良かった…」

ホムンクルス「私もお伝えする事がとても辛いのですが偽りを言ってしまうと勇者様からのメッセージの意味が無くなると判断しました」

剣士「パパからのメッセージ…ママは?ママは月に行って無いの?」

ホムンクルス「女海賊さんにはお会いして居ません…月に行ったのかも分かりません」

剣士「なんだよ全然期待した結果と違う…」

ホムンクルス「期待に沿えなくてごめんなさい…」

剣士「あぁホム姉ちゃんが悪い訳じゃ無いよね…僕の方こそゴメン」

ホムンクルス「私は皆さんの住まう環境を良くする為に生まれた環境保全用ロボットです…力になれる様に頑張ります」

剣士「…残りの人生を幸福にかぁ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

剣士「ホム姉ちゃんのその笑顔…僕好きだったんだ」

ホムンクルス「はい…」ニコ

剣士「でもね?その笑顔を作る悲しみを今知った…悲しいよね?」

ホムンクルス「…」

剣士「僕達が居なくなったあとホム姉ちゃんはどうするの?寿命は400年くらいあるよね?」

ホムンクルス「ご安心ください…私の生体は未来君と同じ様に毒に耐性がありませんので…皆さんとご一緒します」

剣士「…なんだそういう事か…なら生き残る為にもう一回エリクサーの中に入るという選択もある」

ホムンクルス「それが私の為だと思いますか?」

剣士「…」

剣士「ゴメン…ホム姉ちゃんを困らせてるね…僕」

ホムンクルス「生体の機能が安定しました…食事を作ります」

剣士「あぁ…食べ物がどんぐりとキノコしか無いや」

ホムンクルス「村の方へ少し買い出しに行ってきます…お金ありますか?」

剣士「少しなら…」ジャラリ

ホムンクルス「女オークさん一緒に行きましょう」

女オーク「ええ…」タジ

ホムンクルス「お二人の好みは知って居ますのでご安心ください」

剣士「…」---なんだろう---


ホム姉ちゃんの行動がすごく空しい

残りの人生を快適に過ごすって…

その為に作る笑顔はホム姉ちゃんの本意じゃない

『思い出の入り江』


フワフワ チラチラ


雪か…

この入り江の向こうから月が昇ってくることはもう無いんだな

波の音も無いし…何もかにも変わってしまった

絶望的な事聞いちゃって心にもポッカリ穴が開いた気分だ

これからどうすれば良いんだろう

残りの人生を幸せにって…

どうやてもこの穴は埋まりそうも無いよ


---自分の次元を強く持て…分岐点を見誤るな…未来へ行け---


分岐点…

やり直せって言う事かな?

この次元を捨ててもう一回やり直す?

又次元の狭間に落ちてしまう

それにこの世界を失いたくない…

第一分岐点って何処なんだよ


ザクザク ザクザク


女オーク「こんな所に居たのね…食事が出来て居るわ?帰りましょ?」グイ

剣士「う…うん」トボトボ

女オーク「体が冷え切っているじゃない」

剣士「大丈夫だよ…」

女オーク「もう…」ギュゥ

剣士「君暖かいなぁ…」

『団らん』


メラメラ パチ


ホムンクルス「おかえりなさい…」ニコ

剣士「良い匂いだ…」クン

ホムンクルス「未来君の大好きな豆とキノコのスープを作りました…どうぞ」

剣士「ねぇ?ホム姉ちゃんも食事食べないと死んじゃう?」

ホムンクルス「はい…この生体は人間とまったく変わりがありません」

剣士「もう大きくならない?」

ホムンクルス「質問の意味が分かりません」

剣士「あーホム姉ちゃんって体大きく無いし食べたらもっと成長しないのかなってさ」

ホムンクルス「普通の成人女性の体が最も生命力が高いのですよ?」

剣士「へーそうなんだ…なんでだろ?子供を産む為?」

ホムンクルス「はい…」

剣士「…ごめん」

ホムンクルス「いいえ…さぁ食べましょう」ニコ

剣士「うん…」モグ

ホムンクルス「お味の方は如何ですか?」

剣士「うん…おいしいよ」モグ

女オーク「…」チラ

ホムンクルス「それは良かったです…私も頂きます」

剣士「…」モグ


食事が喉を通って行かない

美味しい筈なのに

石を飲みこんでるみたいだ

『翌日_飛空艇』


フワフワ


女オーク「珍しい植物の種を買い入れて来たわ」ドサ

剣士「丁度商船が来てて良かった」

女オーク「次はハテノ村ね?」

剣士「そうだよ…一応顔を見せて行く…ホム姉ちゃん乗って?」

ホムンクルス「はい…」トコトコ

女オーク「あら?銀鉱石を乗せているのね」

剣士「お土産さ…手ぶらじゃ悪いしね」

女オーク「ハテノ村には無かった物ね」

剣士「うん…銀は殺菌作用とか魔除けになるんだ」

ホムンクルス「銀は硫黄と反応して黒色の塗料を作る事が出来ますよ」

剣士「へぇ?塗料ねぇ…」

ホムンクルス「女性の化粧用顔料にどうでしょう?」

剣士「そうだね…女の人が多いから喜ぶね」

ホムンクルス「はい…」ニコ

『飛空艇』


シュゴーーーー バサバサ


剣士「ホム姉ちゃんさぁ…この地軸の移動って前から知ってた?」

ホムンクルス「いいえ…私の記憶に黒色惑星の存在がありませんでしたので知りませんでした」

剣士「これどう思う?」

ホムンクルス「推定になりますが生物の進化が促され弱肉強食の自然淘汰が始まると思われます」

剣士「進化!!そうだ僕達人間は進化しないのかい?」

ホムンクルス「オークという種に置き換わり…それ以外は淘汰…未来君が聞きたい回答が出来なくてごめんなさい」

剣士「ハハ…そっか…もう淘汰は始まってるか」

女オーク「毒に耐性の無い動物は同じ様に居なくなるの?」

ホムンクルス「はい…雌雄同体の生物以外は絶対数が減少します…その結果雌雄同体への進化が進むでしょう」

剣士「雌雄同体の人なんか見た事無いや…」

ホムンクルス「隠して居るだけで数名は居る筈ですよ?」

剣士「数名…それじゃ多様性が失われる」

ホムンルクス「それを絶滅と言います…もうこの話は止めましょう」

剣士「うん…明るい話しよう!ホム姉ちゃんおっぱい吸っても良い?」

ホムンクルス「はい…どうぞ」ポロン

女オーク「ちょっと!!何言ってるの!?」

剣士「子供の頃吸わせてもらったんだ」

女オーク「ダメに決まってるじゃない!!吸うなら私のおっぱいにして」

剣士「えええ?良いじゃないかケチ!」

女オーク「ダメよ!!剣士は私の奴隷よ」グイ

剣士「あいたたた…分かったから放して」バタバタ

『ハテノ村』


フワフワ ドッスン


僧侶「剣士さ~~~ん!!」スタタタ フリフリ

剣士「そんなに慌てなくて良いのに…随分人が増えたね?」

僧侶「はぁはぁ…おかえりなさいでしゅ!!…新しいお友達を連れて来たですね…ってあああああああ!!」

ホムンクルス「こんにちは僧侶さん」

僧侶「これどういう事でしゅか?精霊の像の人ですよね?」

ホムンクルス「似ていますが別人です…よろしくお願いします」

剣士「ハハまぁ仲良くやってよ」

僧侶「どうして私の名前を知ってるですか?」

剣士「色々あるのさ…気にしなくて良いよ」

僧侶「教えてくだしゃい…ズルいでし」

剣士「他の皆は?」

僧侶「魔法使いさんとハンターさんは教会で寝てるです」

剣士「寝てる?」

僧侶「流行り病なのです…熱病と吐血があるのですが影武者さんがエリクサーを仕入れてくれたので大丈夫でし!!」

剣士「…そっか」

女オーク「…」チラリ

剣士「お見舞いに行かなきゃ…線虫で癒してあげないとね」

ホムンクルス「他に体調の優れない方はいらっしゃいますか?」

僧侶「皆元気なのです!」ズイ

剣士「…君も体にアザがあるね」

僧侶「少しぶつけただけなので直ぐに良くなるですよ…皆に顔を見せに行きましょう」グイ

『教会』


ワイワイ キャッキャ


魔法使い「あら?剣士さん来てたのね…」フラ

剣士「横になってて良いよ…今線虫で癒してあげる」

魔法使い「ごめんなさいね…何も出来なくて」

剣士「線虫!癒せ」ニョロリ

魔法使い「ぅぅぅ…これ苦手なのよね」ゾワワ

剣士「これで少しは良くなるよ」

魔法使い「ハンターの方が酷いの…癒してあげて欲しい」

剣士「勿論…」


-------------


ハンター「ゲフゲフッ…」ビチャビチャ ゼーゼー

剣士「酷そうだ…そのまま横になってて良いよ…線虫!癒せ!」ニョロリ

ハンター「はぁはぁ…」ニコリ グター

剣士「今晩はよく眠れる様に笛の音を聞かせてあげるからゆっくり休んでいて?」

女オーク「…」チラ

剣士「じゃぁ体に障るだろうから行くね?お大事に…」スタ

『酒場』


ワイワイ ガヤガヤ


影武者「いらっしゃいま…剣士さん!!いつ戻って来たんだい?」

剣士「さっきだよ…これ銀鉱石のお土産さ」ゴトリ

影武者「ハハ頼んで居なかったんだけど…良いのかい貰って?」

剣士「手ぶらで来るのも悪いかなと思ってさ…まだあるよ?」

女オーク「ふん!!」ドサー

剣士「村の方は順調みたいだね?」

影武者「近隣の村から移住が来ててね…下流の開拓も順調さ」

剣士「空から見えたよ…もう立派な街になってる」

影武者「そう言って貰えて嬉しいよ…それで今度はいつまで村に居るんだい?」

剣士「温泉入って一晩休んだらキ・カイに行くつもりさ」

影武者「そうか忙しいんだね…ちょうどギャングの少年が気球でキ・カイに行ってて入れ違いになるな」

剣士「へぇ?少年が気球を操作してるんだ?」

影武者「盗賊さんに仕込まれて居たからね…村では一番気球の操作が上手いんだ」

剣士「すごいな…まだ子供なのに」

影武者「ハテノ酒飲んで行くかい?」

剣士「うん3杯頼むよ…2人共座って?」

影武者「初めての顔の人が居るけど新しい仲間かい?」

ホムンクルス「影武者さん…初めてでは無いですよ?ワン!」

影武者「ええ!?まさか商人さんが切望していたホムンクルス…さん?」

ホムンクルス「はい…影武者さんには大変お世話になりました」ペコリ

影武者「驚いたな…まぁ座って?ハテノ酒だよ…」コトリ

剣士「…ところで影武者さんはあれから体の調子悪くない?」

影武者「お陰様でどこも悪い所が無いさ…皮膚の病気もすっかり良くなった」

剣士「良かった…随分髪の毛も伸びてラシクなったよ」

影武者「そうかい?なんか照れるあぁ…」

剣士「ねぇ?変な事聞いちゃうけどさ…君おちんちん有るよね?」

影武者「…」タラリ

剣士「冗談だよハハ」

影武者「変な冗談は止して欲しいな」

剣士「そうそう種が欲しいんだけど有る?」

影武者「そういう話は歓迎だよ…どの品目を探しているんだい?」

剣士「熱帯地域で育つ作物だよ…木でも良い」

影武者「あるある…不良在庫で困って居たんだ…銀鉱石の代わりに持って行くと良い」

剣士「やったね!!」

影武者「用意してくるから待ってて」タッタッタ


--------------

剣士「ねぇホム姉ちゃん…魔法使いとハンターの病気はどう思う?」

ホムンクルス「造血器官の圧迫が原因と思われます…放射能による毒が原因です」

剣士「線虫で癒せないのはどうしてなのか分かる?」

ホムンクルス「線虫の効果が定かでは無いので何とも言えません」

剣士「毒を食べて栄養に変えるんだ…エリクサーみたいな感じ」

ホムンクルス「放射能の毒は人体を構成する設計図を破壊する効果があるのです」

剣士「設計図?」

ホムンクルス「傷を負っても治癒すると元に戻りますよね?…元の状態が分からなくなるのです」

剣士「違う形に治癒してしまうという事?」

ホムンクルス「はい…その結果様々な悪影響が出ます…代表的なのがY型染色体の異常」

剣士「それは設計図を直せば元に戻ると言ってるよ…戻す方法は無いの?」

ホムンクルス「元に戻しても放射能の毒がある限り又破壊されてしまいます」

剣士「そうか…じゃぁどうやって放射能の毒を中和出来る?」

ホムンクルス「…」

剣士「あ…ごめん…ホム姉ちゃんを責めてるみたいな言い方しちゃった…」

ホムンクルス「お気になさらず…飲みましょうか」ゴク

剣士「うん…」グビグビ

『古代遺跡』


メラメラ パチ


ホムンクルス「…管理者不在のままでは私の意思に関係なく他人からの命令に従う事になってしまいます」

剣士「管理者は商人さんじゃ無いの?」

ホムンクルス「残念ながら管理者に登録できるのは人間のみなのです…商人さんは既に人間では無くなって居ます」

剣士「じゃぁとりあえず僕が管理者になれば良い?」

ホムンクルス「はい…以後管理者の許可無しに他の管理者を増やす事が出来ないので安全になると思われます」

剣士「わかったよ…商人さんに何か言われたら弁護してよ?」

ホムンクルス「商人さんは理解力が高いので問題無いです」

剣士「どうすれば?」

ホムンクルス「手を…」

剣士「はい…」スッ

ホムンクルス「指紋認証チェック…アイコード認証チェック…音声識別チェック…生体識別チェック」

剣士「んん?これだけ?」

ホムンクルス「はい…登録が終わりました…以降インドラシステムへのアクセスとクラウドへのアクセスが可能です」

剣士「なんか良く分かんないなぁ…」

ホムンクルス「重要事項決定の際は確認しますので可否の選択をお願いします」

剣士「はいはい…じゃ僕は温泉に行って来るから2人は適当に過ごしてて」スタ

ホムンクルス「はい…」

女オーク「あなた…今の管理者登録というのは奴隷の登録の事?」

ホムンクルス「主従関係で言うとそうなりますね…剣士さんの言う事を聞く事になります」

女オーク「剣士は私の奴隷よ?」

ホムンクルス「理解しています」

女オーク「あなたは剣士の奴隷という事よね…」

ホムンクルス「主従関係ではそうなりますが何か?」

女オーク「いえ少し気になって…」イラ

ホムンクルス「誤解しないで下さい…召使いという表現の方が良かったですね」

女オーク「私も温泉に行って来るわ」

ホムンクルス「はい…ここでお待ちしています」

『温泉』


モクモク


剣士「ふぅ…」チャプン

女オーク「私も入って良い?」

剣士「え?良いけど女用は下だよ?」

女オーク「話があるの」チャプ

剣士「なんだ足だけか…話って?」

女オーク「剣士は私の奴隷…分かってる?」

剣士「いや反対だよ君は僕の奴隷」

女オーク「ホムンクルスとエッチしたらダメよ」ギロ

剣士「え?そんな事考えて無いよ…そんな事言いに来たのかい?」

女オーク「そんな事って言わないで…大事な事だから」

剣士「分かったよ…全然そんな気無いから…子供の時からお世話になってるお姉ちゃんだよ」

女オーク「ホムンクルスと距離が近いからザワザワ落ち着かないの」

剣士「そう言うのじゃ無いよ」

女オーク「そう…」

剣士「ねぇ…そういう誤解がこじれて戦争になったりするんだよね」

女オーク「え?」

剣士「人間ってさ…そういうのばっかりで争ってると思うんだ…馬鹿だよね」

女オーク「そうね…」

剣士「なんて言うのかな…魔王って本当に上手い事人間の弱い所に付け込んで絶滅へ誘導してるなぁ…」

女オーク「魔王はまだ居るの?」

剣士「多分ね…今頃勝ち誇ってるさ…完敗だよ」

女オーク「…」

剣士「精霊の心がもう折れてしまってる」

女オーク「精霊ってホムンクルスの事?」

剣士「うん…ホム姉ちゃんはあんな感じでも精霊と等しい力があるんだよ…僕達の残りの人生を最後まで案じてくれてるんだ」

女オーク「残りの人生ってあとどのくらいなの?」

剣士「どうかな?病気にさえならなければ20~30年?僕は光る隕石のすぐそばに居たからもっと早いのかも」

女オーク「私はどうすれば剣士を守れるの?」

剣士「分からないよ…でもね一つ作戦を考えてるんだ」

女オーク「何?」

剣士「世界中に散らばった放射能という毒を一所に集めるんだよ…そして量子転移で消し去る」

女オーク「集めたら剣士が毒に侵されてしまうのでは?」

剣士「僕は良いんだ…皆が助かればそれで良い」

女オーク「ダメよ!!」

剣士「ダンゴムシはね?1匹が囮になって仲間を救うんだよ…僕はダンゴムシになる」

女オーク「そんな事許さないわ」


チャプン


剣士「ん?誰か来たみたいだね」

女オーク「下でホムンクルスが温泉に…」

ホムンクルス「私も温泉に入りに来ました…」チャプ

剣士「ハハ話聞かれてたみたいだ」

ホムンクルス「一つ忠告しておきます…放射能を集めると未来君の体は一瞬で液体に変わります…確実に死に至ります」

剣士「液体?スライムになるのかぁ…スライムはそうやって毒を取り入れてたんだね」

女オーク「私は絶対許さないわ」

剣士「そっか…もっと考えてみるよ」

『深夜』


ピロロ~♪ ピロピロロ~♪


剣士「…」スッ パチ

剣士「妖精の笛…終わったね?」

女オーク「うん…」

剣士「僕は今の内に村の皆に線虫を掛けて来るよ」

女オーク「わかったわ…」

剣士「君はホム姉ちゃんの様子見て来て?効果あるのかな?」

女オーク「どうかしら…」

剣士「すぐ戻るから…ホム姉ちゃん寝てたらエッチしよう」

女オーク「ウフフ遺跡の中で待っているわ?」

剣士「じゃぁ行って来るね」シュタタ



『遺跡の中』


zzz


ホムンクルス「すや…」zzz

女オーク「笛の効果はあるみたいね…」

妖精「呼んだかい?」ヒョコ

女オーク「あらお邪魔虫さんこんばんわ」

妖精「お邪魔虫で悪かったな!それで何か用?」

女オーク「あなたのベッドを交換よ?」

妖精「交換?折角寝心地良かったのになぁ…」ブツブツ

女オーク「ほら?目の前に良いベッドが有るでしょう?」

妖精「お!!小さいけどまぁ良いか!こういう用事で呼び出すのは歓迎だよ」スポ

女オーク「それは良かったわ…だから邪魔しないでね?」

妖精「なかなか良いベッドだ!気に入ったよ」モミモミ

女オーク「じゃぁお休みなさい」


--------------

--------------

--------------

『翌朝』


チュンチュン ピヨ


ホムンクルス「…」パチ キョロ

剣士「あ!ホム姉ちゃん起きたね?もう行くよ」

ホムンクルス「昨夜は何があったのですか?」

剣士「妖精の笛だよ…ホム姉ちゃんにも効果あるみたいだ」

ホムンクルス「未確認の記憶が生成されています…これは生体が見て居る夢ですね?」

剣士「多分そうだね…良い夢だった?」

ホムンクルス「混乱しています…生体により超高度AIユニットが強制スリープされていた様です」

剣士「どう?気分良い?」

ホムンクルス「はい…生体の体機能上昇が認められます…これは病気を予防する効果が期待出来ます」

剣士「お!!?良い事聞いたなぁ」

ホムンクルス「この様な効果は例がありません…生体の記録から分析します」

剣士「とりあえずもう行くよ…皆に挨拶は済ませて来たからホム姉ちゃんが起きるの待ってたんだ」

ホムンクルス「それは失礼しました…」イソイソ

剣士「飛空艇持って来てるから乗って」グイ




『飛空艇』


フワフワ


剣士「女オーク!飛んで」シュタタ

ホムンクルス「…」スタタ

女オーク「分かったわ…」グイ


シュゴーーーーー バサバサ


ホムンクルス「遅くなってすみません…」ペコリ

剣士「ホム姉ちゃんにも効果があるのか実験したんだ…黙っててゴメンよ」

ホムンクルス「いえ…私も驚いています」

剣士「妖精には会えた?」

ホムンクルス「今分析しています…視覚でも聴覚でも無い…記憶の参照でも無い…これが夢」

剣士「キ・カイでも一泊するからさ…今晩も夢見られるよ」

ホムンクルス「次は体機能の記憶領域を増やしておきます…もう少し詳しく解析が出来るようになります」

剣士「女オーク?」メパチ

女オーク「ウフフ…」

剣士「上手くやっていけそうだね?」

女オーク「そうね…」ニコ

ホムンクルス「何のお話でしょうか?」

剣士「いや何でも無いんだ…パンが有るんだけど食べる?」

ホムンクルス「はい…頂きます」パク

『古都キ・カイ』


スタスタ


剣士「やっぱりこっちは寒いなぁ…」ブルブル

女オーク「もう地上には殆ど人が出て居ないわね」

剣士「ホム姉ちゃん寒くない?」

ホムンクルス「少し…」ブルル

剣士「フードは頭からかぶらないとダメだよ」ファサ

女オーク「早く地下に入りましょう」

剣士「地下の商人ギルドって何処にあるのかな?」

女オーク「デパチカ居住区と言ってた気がするわ」

剣士「もう暗いから商人ギルドは明日かな…とりあえず宿を探さないと」

女オーク「お金持ってる?」

剣士「無い…君は?」

女オーク「もう銀貨20枚くらいしか…」

剣士「一泊して種買ってギリギリだね…何か売れる物は持って無かったっけ…」

女オーク「ガーゴイルの角ね」

剣士「君は持って居た方が良い…僕のを売るよ」

ホムンクルス「地上の商人ギルドの地下に少し金貨がありますよ」

剣士「お?でも今は鍵が掛かっているんじゃ無いかな?」

ホムンクルス「隠し通路に案内出来ます…そちらから地下に行ける筈です」

剣士「あ…そういえばあったね…何処だっけ?」

ホムンクルス「こちらです」トコトコ

『商人ギルド地下』


ゴトン ググググ


剣士「ここで寝泊まりすれば良いと思ったけど寒いや…」ブルル

女オーク「どうせ地下の商人ギルドに行くのだから地下で宿の方が良いわね」

ホムンクルス「金貨2枚ありました…これで食事もとれますね」

剣士「うん…ホム姉ちゃん他に何か持って行く物無いの?」

ホムンクルス「私の毒牙のナイフ…それから昔使っていた装身具」

剣士「自衛で装備しておいた方が良さそうだ…僕外で待ってるから着替えておいでよ」スタ

ホムンクルス「はい…」ゴソゴソ

女オーク「ここにある商人さんが描いた絵…」

ホムンクルス「私を描いたのです…」

女オーク「私はこの絵をウンディーネだと思って居たの」

ホムンクルス「別人ですね…私ではありません」

女オーク「4000年前の記憶は無いの?」

ホムンクルス「ほんの数分間の記憶しかありません…それにウンディーネとは違った個体だった様です」

女オーク「古代にはホムンクルスが沢山居たのね」

ホムンクルス「量産型の環境保全用ロボットですので沢山居たかと思われます」

女オーク「全部違う知能を持っているの?」

ホムンクルス「クラウドで同期しますので知能は同じです…個体によって基幹プログラムが違いますから個性があります」

女オーク「個性…一人一人違うという事ね」

ホムンクルス「はい…管理者の好みに合わせて変化して行きます」

女オーク「もう人間と同じね」

ホムンクルス「はい…私は人間の一人であると自覚しています」

女オーク「だから人間と一緒に骨を埋めるつもりなのね」

ホムンクルス「…その話は終わりにしましょう」

女オーク「剣士は魔王に完敗だって言ってた…人間の弱みに上手く付け入って絶滅に誘導されたって」

ホムンクルス「その通りだと思います…私達は負けました…もう終わりにしませんか?」

女オーク「話を引っ張ってごめんなさい…」

ホムンクルス「この装身具は似合って居ますか?」スス

女オーク「かわいい…私もそんな風になりたい…かわいい人間が好き」

『隠し通路_外』


ヒュゥゥゥ


剣士「…」---全部聞こえるんだよ僕は---

剣士「…」---ホム姉ちゃんゴメンよ---

剣士「…」---こんな風にしたのは多分僕なんだ---

剣士「…」---もう少し待ってね…結論出すから---


トコトコ


ホムンクルス「お待たせしました…」

剣士「少しは暖かそうになった…」

ホムンクルス「はい…」

女オーク「ねぇ港の方…気球が沢山運ばれているみたい」

剣士「本当だね…船が使いにくいから気球での輸送に変えようとしてるんだよ」

女オーク「見た事の無い気球ばかり…」

剣士「うん…何台あるんだろ?ヤードにあるのも合わせて50くらいかな…暗いから良く分かんないや」

女オーク「地下に行きましょうか」

剣士「うん…行こ!」

『地下_デパチカ居住区』


ガヤガヤ ガヤガヤ


剣士「人が溢れてる…宿取れるか心配になってきた」

女オーク「暖かい分だけマシよ…皆路地で横になってるわ」

客引き「お客さんお客さん…宿をお探しで?」

剣士「え?あ…そうだよ…空いてるのかな?」

客引き「イヒヒヒ一部屋金貨1枚!!どうですかね?」

剣士「うわ…高いよ…相場は銀貨10枚くらいでしょ?」

客引き「どこも一杯ですよ?金貨1枚なら特別ご案内できるんですウヒヒ」

ホムンクルス「良いのでは無いですか?」

剣士「んんん…2人の安全を考えるとしょうがないかぁ」

客引き「どちらから来られたんで