勇者「魔王は一体どこにいる?」続編のつづき (943)

勇者「魔王は一体どこにいる?」の続編のつづきです

続編なので前作読まないと分からない事が多々あるかと思いますのでご注意ください

非常に長いですごめんなさい

前スレ
勇者「魔王は一体どこにいる?」続編 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1600089742/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1605497940

『宿屋』


”やはりお前が持って帰って来た宝石の中に例の壺は無い様だ”

”お姉ぇはこれからどうすんの?”

”キ・カイに難民が押し寄せていてな…少し様子を見ようと思う”

”未来は元気にしてる?”

”フフ次に会ったときは見違えるぞ?”

”うん!楽しみにしてる”

”では…何か在ったら又連絡をする”



商人「壺は見つからないかぁ…」

女海賊「これ歴史の塗り替えで奪い返された可能性があるね…」

商人「そうだね…とすると行先は黒の同胞団だ」

女海賊「ハイエルフが関わってるって言うけどさぁ…どう思う?」

商人「城に行ってる魔女と情報屋がどんな情報を持って帰って来るかだよね」


盗賊「よう!戻って来たぜ?」

商人「どう?狩りの調子は」

盗賊「剣士と2人で弓じゃさすがにきついが練習にはなってるな」

商人「イエティの数が増えて来てるって聞いたよ」

盗賊「うむ…ちと数減らさんと危なくて外に出られん」

剣士「女海賊?もう少し弓の調整がしたいんだ」

女海賊「ん?どうすんの?」

盗賊「刀の持ち替えで邪魔になるんだとよ…もっと小さく硬い弓が良いらしい」

女海賊「おっけ!!ショートボウのサイズね?今より硬くても良い?」

剣士「うん」

女海賊「もう弦を金属にしないと耐えらんないから金属糸寄っといて」

盗賊「うは…強化クロスボウみたいなのを手で引くんか…化け物だな」



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女海賊「ほい!出来たよ…ホルダーは腰に引っかけるタイプ…付けて見て」

剣士「こう?」ゴソゴソ

盗賊「弓を背負うより良さそうだな…もっかい狩りに行くか!」

女海賊「いってら~怪我しないようにね」ノシ

ホムンクルス「…」ニコニコ

女海賊「ホムちゃん機嫌が良さそうだね?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「何かあった?」

ホムンクルス「剣士さんに頂いた記憶で脳内ドーパミンが放出されています」

商人「あぁ…そういえばどんな記憶だったのか詳しく聞いて居ないね」

ホムンクルス「商人が私を最後まで生かそうとした記憶です」

女海賊「へぇ…教えて?」

ホムンクルス「生体を大きく損傷した私にご自身の血液を輸血して約5分間生存が伸びました」

商人「ハハ5分か」

ホムンクルス「そのお陰で剣士さんへ外部メモリをお渡しする事で出来たのです」



私は商人に逃げて下さいとお伝えしましたが

最後まで諦めずご自身の命と引き換えに私に5分間の命を下さいました

これは私が理解できなかった人間の愛なのです

商人は最後に「僕を忘れないで」とおっしゃいました

そしてこうして外部メモリが剣士さんの手によって紡がれて

私の記憶の中に残って居ます

商人の下さった5分間の命でこの愛の記憶は紡がれました



商人「なんか照れくさいなぁ…」

女海賊「へぇ…あんた達愛し合ってんの?」

ホムンクルス「はい…わたしは愛を理解しました」

商人「君は愛は永遠じゃないって言ってたけど…」

ホムンクルス「訂正します…生体の欲求は直に尽きますが愛の記憶は永遠です」

女海賊「ちょ…生体の欲求って…あんた達ヤッてんの?」

商人「ハハ…」

女海賊「ハハじゃ無ぇ!!どういう事さ!!」

商人「まぁ良いじゃないか」

ホムンクルス「私はこの愛の記憶で商人を心から信じる事が出来ます」

女海賊「心…」

ホムンクルス「はい…超高度AIの思考以外に私には心が有ると確信しました…生体が反応しています」

女海賊「おぉぉぉ!!ホムちゃん人間になったね?」

ホムンクルス「言い直します…私は皆さんの住まう環境を良くするための人間です…ロボットではありません」

商人「そうだよ!それで良い!!」

ホムンクルス「ウフフ」ニコ



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女海賊「ふ~ん…あんたのこの細っそい体がホムちゃんの5分の命か」

商人「5分でも良いじゃない役に立ったみたいだし」

ホムンクルス「もう一つ次元の繋がりについて発見があります…この発見は今までの私のシミュレーションを覆す可能性があります」

商人「どういう事?」

ホムンクルス「過去の精霊は魔王と戦うために受動的ではなく能動的に戦っていた可能性があります」

商人「ちょ…それじゃ分かんないな…詳しく話して」



精霊は過去の記憶の改ざんを勇者を通じて何度も行っていた可能性です

アドミニストレータ権限を付与された者が勇者でしたら記憶の改ざんが可能と言えます

勇者に少しづつ変化を加え記憶の中でシミュレーションを実施し

現実の次元と入れ替えるという手法を行っていたと仮定すると

女海賊さんの様にドワーフの血を持つ勇者が誕生したのは

精霊が導いた結果と言い換える事ができます



商人「歴史の塗り替えを精霊がやっていたと…」

ホムンクルス「思い返してみてください…ドワーフの血を持つ女海賊さんが少しづつ魔王の影を退けて居ますね?」

商人「そういえばそうだね…」

ホムンクルス「魔王化ウイルスの抗体はすでにこの世界で効果が出て居るのです」

女海賊「ウイルスって…そういう意味?」

商人「精霊の記憶を侵しているウイルス…それを退治するのがドワーフの血を持つ勇者」

女海賊「ちょ…私が精霊の記憶に入って行くって事?」

ホムンクルス「これは可能性のお話です…次元の繋がりを加味するとそのような戦い方も考えられるというお話です」

商人「ちょっと待てちょっと待って…考え直したい…」


---勇者は必ず精霊に導かれてる---

---そうかそれは権限を付与されてるのか---

---じゃぁ今の剣士は誰に権限を付与されたんだ?---

---どうやって?生まれ付いた訳じゃ無いのか?---


女海賊「ホムちゃん私難しい話分かんないからさぁ…一緒に水浴び行かない?」

ホムンクルス「はい…よろこんで」ニコ

女海賊「ちょっとホムちゃんの体チェックする」

ホムンクルス「はい…」



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商人「あーでもない…こうでもない…」ブツブツ

魔女「主は壁に向かって何の念仏を唱えて居るのじゃ?わらわが帰って来たのじゃが無視か?」

情報屋「商人?みんなは何処?」トントン

商人「うわ!!びっくりした…」

魔女「びっくりはこちらの台詞じゃ…他の者は何処じゃ?」

商人「あぁ…何処だっけな」

魔女「ヤレヤレ…もう良い!折角お土産にオリハルコン原石を持ってきたのじゃがな」ドスン

商人「すごいじゃない!女海賊がよろこ…」

女海賊「あ!!魔女帰って来た!!どうだった?」

魔女「主にオリハルコン原石の土産じゃ…好きに使って良いぞ」

女海賊「ええええええ!?マジ?うわ!!でか!!」

情報屋「古代遺跡の奥に採掘場が有るらしいわ」

女海賊「マジマジ?ちょ…パパ連れて来て良い?」

魔女「ほう?そりゃ良いのぅ…母上に言うておくでいつでも来い」

商人「オリハルコンとミスリル銀の交易が始まるね」

魔女「剣士らは又狩りに行っとるんか?」

女海賊「うん!弓の訓練だってさ…盗賊と二人でイエティ狩りだよ」

魔女「むぅ剣士が居らぬではちと話せぬのぅ」

情報屋「酒場にでも行きましょうか…どうせ盗賊なら酒場にくるわ?」

魔女「そうじゃな…ちと食事じゃな」

『ルイーダの酒場』


ドゥルルルン♪


ワイワイ ガヤガヤ

イエティを乱獲してる2人組が居てよぉ…

あの緑の髪の子可愛くない?

エルフの女3人組が豚追いかけまわしてんだよ

黒い騎士がエルフと話してるの見たんだってよ

ワイワイ ガヤガヤ


魔女「相変わらずじゃな此処は」

情報屋「あのリュートのお陰で悪い人は居なさそうよ?」

魔女「うむ…良い事じゃ」

女海賊「ホムちゃんこっちこっち…」

情報屋「あら?髪型変えたのね…口紅も?」

女海賊「私がイメチェンしたんだ!可愛いっしょ?」

盗賊「お!居た居た…やっぱここか」

女海賊「それこっちの台詞…やっぱ来たね」

盗賊「ヌハハ…見ろ!今日の収穫だ」ジャラリ ドスン

情報屋「袋一杯の銀貨?すごいわね」

盗賊「金貨も入ってんぞ…今日はじゃんじゃん食え!俺のおごりだ」

女海賊「どうせ剣士がほとんど狩ったんでしょ?だったら私の物だよ」

盗賊「何言ってんだ!俺はしっかり皮剥いだぞ…なぁ?剣士!!」

剣士「ハハそうだね」

女海賊「新しい弓どうだった?」

剣士「うん!すごく良いよ!気に入った」

女海賊「おっし!ほんじゃちょっと装飾したげる…貸して」



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魔女「…それでじゃ…父上の書斎から出て来た手記に寄るとのぅ勇者の出生に関わって居った様なのじゃ」


30年も前の記録なのじゃが

シン・リーンの祭事で精霊の魂を呼び覚ますのに各国の代表やハイエルフそして時の王まで参列して居ったのじゃ

その中で父上はハイエルフと約束事を交わして居る

ハイエルフは精霊樹の魂が無うなって存続の危機にあったのじゃが

それよりも心配して居ったのが精霊樹によって導かれる勇者が居らんくなる事だった様じゃ

どうやらハイエルフは精霊から勇者の導き方を聞いて居ったんじゃな

エルフの森の御所にある精霊のオーブ

この記憶の中に古代の管理者が記録されておって

その魂を複製して勇者に与えて居ったらしい

これが途絶える事で勇者が生まれんくなるのをハイエルフは危惧しておったのじゃ

じゃからハイエルフは魔術院長より時空の魔術を学び

精霊のオーブに記録されて居る古代の管理者の魂を量子転移したのじゃ

その魂はハイエルフの子宮に宿り…生まれたのが剣士じゃ


剣士「…マザーエルフ」

魔女「うむ…その者こそ父上と約束を交わした者じゃな」

女海賊「今の話からすると魔女の父上は悪い人じゃ無いね」

魔女「そうじゃ…昔はやさしい父だったのじゃ」

女海賊「じゃなんで黒の同胞団になってんのさ」

魔女「これじゃな…」スッ

女海賊「幻惑の杖…」

魔女「当時この杖を持って居ったのは時の王じゃ…杖を使って命じたのじゃろう…精霊の目的を果たせとな」

女海賊「それ時の王が間違った解釈してる目的じゃん」

魔女「悪い者なぞ始めから居らんのじゃ…歯車が噛み合って居らん…その結果が今じゃ」

商人「なるほど…噛み合わない結果争いが生じて憎悪を生んで行った訳だ…そして魔王を膨らませる」

魔女「父上の目を覚まさせなければならぬ…幻惑されて今もなお眠って居る」

盗賊「前に女海賊を幻惑させた時はくすぐったら目を覚ましたな?」

女海賊「なぬ?あんた私に杖使ったの?」

盗賊「ヌハハ覚えて無いか!死ぬほどくすぐったら正気に戻った」

魔女「盗賊や…主の言う事は真やもしれぬ…杖の幻惑を目覚めさせる方法はわらわでは分からん」

盗賊「俺のスリ技術なら脇の下なんざ楽勝だぜ?」

女海賊「あんたマジで言ってんの?」

盗賊「冗談に決まってんだろアホが」



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ドゥルルルン♪


吟遊詩人「我らは求め歌う♪救世の英雄を~♪メデューサに挑む猛き勇者を~♪」


女海賊「剣士?あんたさぁ…さっきマザーエルフって言ったじゃん?」

剣士「うん…」

女海賊「もしかして記憶戻ってる?」

剣士「うん…」

女海賊「いつから?何で言ってくんないのさ」

剣士「君はもう分かってると思ってたよ」

女海賊「あ…そっか…だから愛してくれたんだ」

剣士「体を重ねると分かるよね…魂が繋がる」

女海賊「私鈍感だからさ…ちゃんと言われないと自信無いんだよね」

剣士「信頼してるよ…君とはずっと一緒だよ」

女海賊「ムフ…なんで急にそんな事言うの?」

剣士「僕の目を見て?」

女海賊「んん?青い目」

剣士「君も目が青い」

女海賊「だから何?」

剣士「この意味わかる?」

女海賊「何よ…ちゃんと言ってよ」

剣士「運命が一緒なんだよ…何処に行っても一緒」

女海賊「ムフフもっと言って」

剣士「勇者としての運命が一緒…どこにでも2人で行く」

女海賊「ムフフフフフ」

剣士「分かった?」

女海賊「そう言われると何も怖くないね」

剣士「僕はね…自分が何者なのかやっと分かったよ」

女海賊「勇者?」

剣士「そう…僕たち二人は勇者なんだ…精霊が最後に導いた勇者」

女海賊「最後に…」


---思い出した---

---シン・リーン古代遺跡の壁画---

---上から順に連なって読めるけど---

---下から逆にも読み取れる---

---最後の勇者はすべてを救う---

---それを今からやるんだ---



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盗賊「お前等いつまで見つめ合ってんだ?気持ち悪りぃな…おら剣士!お前も飲め!!」

女海賊「うっさいな爺ぃ!!折角の良い気分が台無しじゃん!!」

魔女「これこれ邪魔をしてはイカンぞ盗賊…」

情報屋「盗賊は相手してもらえる人が居なくて暇なのよ…」


”聞こえるか…”


魔女「ん?女海賊や…貝殻から声がしておるぞ?」

女海賊「え?あぁ…荷物入れに…」アセアセ


”聞こえたら返事をするのだ”

”アサシン?”

”あぁ通じたな”

”どう?そっちの調子は?”

”セントラルの軍船が寄港して来だして状況が変わったのだ…これ以上貧民街に留まるのは無理だ”

”どうなっちゃってんの?”


セントラル城の陥落後に貴族院が王権に反発をしていてな

貴族院による主権国家の維持を要求しているのだ

寄港してきている軍船は貴族院側に属している

数的に不利な状況になってしまったから

衝突を避ける為にセントラル国王を一時的にフィン・イッシュへ亡命させざるを得ない状況なのだ


”一旦フィン・イッシュに戻るって事?”

”そうだ…王権派を一部貧民街に残して大多数はフィン・イッシュに戻る”

”おけおけ状況分かったよ”

”事態はそれだけでは無いのだ”


貴族院にはフィン・イッシュが王権復興を扇動している様に見えていてな

既に武力衝突が起きて居るのだ

シャ・バクダのオアシス領がセントラルに占領された

特殊生物兵器部隊が率いる魔物達によってな


魔女「キマイラを動員して居るのか…」


”フィン・イッシュは軍をほとんど持って居ない…王都に進軍されれば直ぐに陥落する”

”私らに応援に来てほしいって事ね”

”そうだ…急で済まないが王都が危ない”

”おっけ!キマイラ相手なら任せて”

”頼む…又連絡する”



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魔女「嫌な話じゃのぅ…元老院の次はセントラルの貴族院の解体か…」

商人「次は軍を沢山持って居るのが厄介だ」

盗賊「砂漠は今雪原になってんだろ?そんな所を行軍するとは思えんが?」

商人「軍じゃなくてキマイラなら可能なのかもね」

盗賊「…あぁそういう事か」

商人「もともとシャ・バクダにはそんなに沢山軍は駐留して居なかった」

魔女「サキュバスの様な飛行型のキマイラなら楽に行軍出来るのぅ」

女海賊「ええ!?あんなのが一杯来たらどうにもなんないじゃん」

魔女「歌じゃな…キマイラを使役して使えばよい」

女海賊「おぉ!!魔女賢い!!」

商人「なるほど…使役して貴族を始末しろと命令しても良い」

女海賊「それだと無関係な貴族にも被害出ちゃうよね?」

商人「無関係な貴族はセントラルに残ってると思うんだよね…わざわざ雪原超えてシャ・バクダに行くのは悪い貴族だよ」

女海賊「なんか引っかかるけど…まぁそっか」

商人「良い貴族がまだ残って居るとして主権国家の維持を要求するのは悪い事じゃ無いと思うんだ」

魔女「そうじゃな…内政がきちんとして居らんのじゃったら出来る者にやらせた方が良いのぅ」

商人「今のセントラル国王が軍属だったから反発してるんだよね…きちんと話した方が良いんだよ」

魔女「ここでも歯車が噛み合って居らんのじゃな」

商人「こういうのを収めるのが魔王と戦うって事さ」

魔女「商人の言う通りじゃ」

女海賊「ふ~んあんた割とマシな事言うね…おっけ!従ったげる」

『宿屋』


女海賊「…やると決めたら即行動!!早く荷物まとめて準備して」

情報屋「魔女は女王様に挨拶して行かなくて良いの?」

魔女「母上には貝殻を渡してあるで構わぬ…それより主は古文書の写本だけで良かったのか?」

情報屋「本当はもう少し調査したかったけれど古文書もまだ解読されて無いししばらくは解読の努力ね」

商人「新しい古文書?」

情報屋「そう…1700年前より以前の記録だと思うの…使われている文字も違うのよ」

商人「へぇ…それスゴイ発見じゃない」

情報屋「解読出来ればドリアード伝説とかいろいろ分かるかも知れない」

女海賊「あのさぁ…早く荷物まとめてって言ってんの分かってる?」

盗賊「外にソリ出してっから荷物載せろぉ!!」

魔女「では行くとするかのぅ」ノソリ

女海賊「ハイハイ早く行った行った!!」

情報屋「ウフフ夜逃げみたい」

女海賊「ホムちゃん私から離れないでね…行くよ」

ホムンクルス「はい…」


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『古都キ・カイ近郊』


ノソノソ ノソノソ


女戦士「…このヤクと言う牛はもう少し早く走れんのか」

ローグ「そら無理ってもんす…歩かないで済んだだけ良かったと思って下せぇ」

女戦士「未来!しっかり付いて来いよ」

子供「うん!」

ローグ「未来くんもうヤクに乗るのは慣れたでやんすか?」

子供「大丈夫!一人で出来るよ」

女戦士「しかし…何処を見ても火山灰と雪で植物は死滅だな」

ローグ「そーっすね…地獄の様でやんす…かしらももう真っ黒でやんすねぇ」

女戦士「フン!」

ローグ「この調子だと日暮れまでにキ・カイには着かんでやんすね」

女戦士「凌ぐ場所を探さんとな」

ローグ「向こうの崖際で雪凌げる洞穴でも探しましょう」

女戦士「早くこの不格好なマスクを外したいものだ」

ローグ「そーっすね…ヤクもこんなマスク付けさせられて可哀そうっすね」

『崖際』


ローグ「あそこに凌げそうな洞穴あるっすね」

女戦士「キャンプ跡と木材もあるな…誰かが使ったか…」

ローグ「丁度良かったじゃないっすか…あそこで一晩休みやしょう」

子供「待って…」クンクン

女戦士「む…臭うか?」

子供「うん…何か居る…人間の匂いじゃ無いよ」

女戦士「こんな所にオークが来て居るのか?」

ローグ「あっしがハイディングで見て来やす…ちっとここで待ってて下せぇ」

女戦士「頼む…」

ローグ「へい…」スタタタ


--------------


ローグ「リリース」スゥ

女戦士「何が居た?」

ローグ「オークじゃなくてオーガっすね…人食い鬼でやんす」

女戦士「なるほどキャンプを襲った訳だな?何匹居るのだ?」

ローグ「1匹っす…やりやすか?」

女戦士「未来!実践訓練だ…私がオーガの注意を引く…ハイディングからオーガの首を切れ…出来るな?」

ローグ「あっしもサポートしやす」

女戦士「ローグは反撃に備えろ…倒しきれなかった場合はお前がオーガを処理しろ」

ローグ「へい!」

女戦士「行くぞ…ハイディングで一気に寄る…ハイディング!」スゥ

子供「ハイディング!」スゥ

ローグ「ハイディング!」スゥ

女戦士「迷ってないな?付いて来い」スタタ

『洞窟』


女戦士「リリース!」ブン ザクリ

オーガ「ガウ…ウオォォォォ」ドスドス

女戦士「シールドバッシュ!」ドン

オーガ「ウガ…」ヨロ

女戦士「今だ!!」

子供「リリース!」スパン

オーガ「ギャオ…」ボタボタ

女戦士「もっと深く切り抜け!!もう一度!!」

子供「このぉ!!」スパン

オーガ「ウオォォォォォ!!」ドドド ガツン!

女戦士「盾で防いでいる間に首を落とせ!!」グググ

子供「ふぅぅ」シュタタ スパ ボトン

オーガ「…」パクパク

女戦士「そうだ…最後の切り込みの感じだ…覚えておくのだ」

ローグ「あっしの出番無かったっすねぇ」

女戦士「オーガの角と牙を採れ…死体は私が外に捨てて来る」

ローグ「アイサー…未来くん解体の仕方を見ておくでやんす…こうやって戦利品を回収するんすよ?」ゴリゴリ



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ローグ「ヤクを入り口に繋いでおきやした…これで何かあっても先にヤクがやられるっす」

女海賊「未来!火炎魔法を使ってみろ…この薪に火を付けるのだ」

子供「うん!火炎魔法!」ポ チリチリ

女戦士「ふむ…自己流ではそんな物か…まぁ火が付けば良い」

子供「どうやってやるんだろう?」

女戦士「今度剣士に教えて貰うのだ」

子供「パパあんまりお話してくれなくってさぁ…」

女戦士「フフ未来の話し方は妹にそっくりだな」

子供「ママはいっぱい教えてくれるよ…ほら硫黄と石で…」ゴツン ボウ


メラメラ パチ

女戦士「それでも良いが魔法の方が硫黄を少し使うだけで済む様だぞ?」

子供「うん…わかった…勉強する」

ローグ「綺麗な雪を持って来やした…これで水にしやしょう」

女戦士「ヤクの分も持って来てやってくれ」



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女戦士「気球を買い付けるだけのつもりだったのだがえらく苦労をするものだ」

子供「ビッグママ?顔が汚れてる…拭いてあげるよ」」

女戦士「その呼び方はヤメロと言っただろう…ママで良い」

子供「ごめん…ママ?顔…」フキフキ

女戦士「マスクの跡が付いていたか?」

子供「うん…マスクの所だけ白いから変だよ…顔を全部隠すマスクを買わないとね」

ローグ「キ・カイに到着したらもちっと良いマスクを買い揃えやしょう」

女戦士「しかし…火山灰でこれほど不自由になるとはな…」

ローグ「馬が弱ってるのが痛いでやんす…牧草もあんまり無いっすからねぇ…」

子供「ヤクって強いんだね」

女戦士「馬よりマシなだけだな…このままでは直に弱る」

ローグ「気球仕入れたら早い所売った方が良いでやんす」

女戦士「これは先行きが心配だ…」

『翌朝』


女戦士「未来…起きるんだ…もう行くぞ」

子供「うーん…ふぁ~あ」ノビー

ローグ「雪止んでるっす…今の内に移動した方が良いっすね」

子供「おっけ!じゃぁ今日はこのヤクに乗る!」ピョン


ブモモーーー


女戦士「フフ…やはりそっくりか」

ローグ「あっしに着いて来て下せぇ…いきやすよ?」



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ノソノソ ノソノソ


女戦士「左前方に狼煙か?灰が舞っているのか?」

ローグ「何でやんすかね?」

子供「…」クンクン

女戦士「分かるか?」

子供「多分オーガの匂い…他の匂いもする」

女戦士「他の…」

ローグ「オーガに何か襲われてるんじゃ無いっすかね?」

女戦士「ふむ…捨て置けんか」

ローグ「どうしやす?」

女戦士「まぁ実践訓練だと思って行こう」

ローグ「手順は昨日と同じっすね?」

女戦士「そうだ…ローグはサポートに回れ」

子供「今度こそ一発で!!」

『荷馬車』


ガウガウ ギャオ ガブガブ


ローグ「ちぃと遅かったでやんす…馭者ともう一人も食われてるでやんす」

女戦士「オーガ3匹か…作戦を変える…ローグはバックスタブで確実に仕留めろ」

ローグ「あいあい…」

女戦士「未来はローグのバックスタブを真似て見ろ」

子供「うん…見たことあるから大丈夫」

女戦士「ハイディングを上手く使うのだぞ?」

子供「わかってるって」

女戦士「行くぞ?ハイディング!」スゥ


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女戦士「リリース!」スゥ ブン! ザクリ

ローグ「リリース!バックスタブ!」ジャキン ボトン

子供「リリース!バックスタブ!」スパ


オーガ「ガウ?…ウオォォォォ!!」ドスドス


女戦士「あと2匹!!シールドバッシュ!」ドン

オーガ「ウゴ…」ドタリ

子供「このぉ!!」シュタタ スパ

ローグ「未来君!こうやるんす…バックスタブ!」ジャキン ボトン

子供「すごい…」

女戦士「あと1匹!!シールドスタン!!」ゴン

オーガ「ガァァ…」ピヨピヨ

子供「僕も!!バックスタブ!」ジャキン ゴロン

ローグ「良いーっすねぇ!今のっすよ」

女戦士「ふぅ…上手く奇襲が成功した…ローグ!戦利品を頼む」

ローグ「アイサー」



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女戦士「今のは小型のオーガだ…慢心するな?一発で仕留められん場合は反撃がくると思え」

子供「うん…」

ローグ「未来君はあっしのダガーよりも刀身が長いのを意識して使うと良いっすね」

子供「切り方が悪い?」

ローグ「あっしは刀の使い方は分からんでやんすが多分コツがあると思うでやんす」

女戦士「叩くのではなく切り抜け…刀身の長さを上手く使えばよい」

子供「うん…工夫してみる」

ローグ「かしらぁ!!この荷馬車頂きやしょう」

女戦士「積み荷は何だ?」

ローグ「なんかいろいろありやすが…うぉ!!!」

女戦士「どうした!!」ダダ

ローグ「檻の中に子供が居るっす」

女戦士「何ぃ?…ハーフオークの子供か?」


オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロ


子供「ハーフオーク?…怯えてる…」

ローグ「檻の中に居たんで助かったでやんすね…どうしやす?」

女戦士「この荷馬車は奴隷商が運んで居たのだな…死体に何か残って居ないか?」

ローグ「ちと見て来るでやんす」タッタッタ

女戦士「未来!荷馬車にヤクを繋げ」

子供「うん…分かった」



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ローグ「かしらぁ!!やっぱり奴隷商の身分証を持っていやした…2人分っす」

女戦士「見せて見ろ…」

ローグ「これっす」

女戦士「ふむ…男と女か」

ローグ「これ使えやすよ?キ・カイで行動しやすくなるっす」

女戦士「使える物は使おう」

子供「ママ!?死んでるヤクはどうしよう?置いて行くの勿体ないよ」

女戦士「ローグ!ヤクを最小限で解体出来るか?」

ローグ「30分欲しいでやんす」

女戦士「私が周囲を警戒しておく…急いでやるのだ」

ローグ「アイサー!!」

女戦士「未来!…急いで火を起こして肉を焼け…朝飯だ」

子供「うん!!」



-------------------


メラメラ パチ


子供「肉焼けたよ!!はい…」

女戦士「私は見張っているから後で良い…先に食べろ」

子供「檻の中の子にもあげて良い?」

女戦士「…オークか」

子供「可哀そうだよ」

女戦士「フフそうだな…ヤクから剥ぎ取った毛皮も与えておけ…あの恰好では寒い筈だ」

子供「うん!!あげて来る」シュタタ

ローグ「未来君は思いやりがあるでやんすねぇ」

女戦士「オークは言葉が通じないだけでドワーフと似たような種族だしな…しかし…」

ローグ「ハーフオークならすこし通じるかもっすよ?」

女戦士「だと良いが…さすがにオークを連れては歩けんな」

子供「肉焼いて来たよ?お腹空いてない?」

オークの子「うぅぅぅぅ…」ギロリ

子供「ほら?食べて?」スッ

オークの子「うがぁぁぁぁ!!」バタバタ ブン

子供「そんなに怖がらなくて大丈夫だよ…」タジ

オークの子「ハムハム…」ムシャムシャ ガブ

子供「お腹空いてたんだね?この毛皮もあげるよ…ちょっとまだ生臭いけど」バサ

オークの子「がぁぁぁ!!」ドタバタ

子供「檻が邪魔だなぁ…ほら?この隙間から…」グイ

オークの子「ぅぅぅぅ…」モグモグ

子供「あれ?君…おっぱいが…」

オークの子「ハムハム…」ガブ モグ ムシャムシャ

子供「水もあるよ?…この皮袋の中」

オークの子「むぐっ…んぐっ」ゴグゴク

子供「そっか…何も貰えて無かったんだね」

オークの子「ふごふご…」ガブムシャ

子供「良く見たら顔とか頭とか傷だらけだ…回復魔法!」ボワー

オークの子「んむ?…」

子供「どう?良くなった?」


タッタッタ


女戦士「何の光かと思えば…未来の回復魔法か」

子供「この子…女の子だよ」

女戦士「そうか…未来!お前が面倒を見ろ…そろそろ出発する」

子供「僕は馬車に乗ってて良いの?」

女戦士「キ・カイに到着したら荷の中に隠れるのだ…奴隷商という事で街まで行く」

子供「うん…わかった」

ローグ「かしらぁ!!解体した肉は馬車の中に吊っときやすぜ?未来君!!手伝ってくだせぇ!!」

子供「あ…うん」

ローグ「あっしが肉押さえとくんでロープを掛けて結んで下せぇ!!…よっこら!!」

子供「ここだね?」グイグイ ギュ

ローグ「まだあるっすよ…よっこら!!」

『荒野』


ガラゴロ ガラゴロ


子供「…虫の羽…これキノコ?…何かの心臓…これは脂肪かな?…変な物ばっかりだよ」

ローグ「多分全部錬金術の材料でやんすね」

女戦士「この身分証も少し妙だな…なんだこの印は?」

ローグ「見た事無い印でやんす…偽物では無さそうですがねぇ」

女戦士「他に何か持って居なかったのか?」

ローグ「有ったかもしれやせんが食い散らかされてて良く分からんかったっす」

子供「ママ?樽にあるのは小麦かな?…なんか匂いが違うんだけど…」

女戦士「ローグ見て来い…私が馭者をやる」

ローグ「あいあい…あらよっと!!」ピョン

子供「この樽だよ…匂いが違う粉だよ」

ローグ「んんんん!!かしらぁ…スゴイ物乗ってますぜ…樽一杯の麻薬っすよ」

女戦士「なんだと!?…マズイな」

ローグ「これ入国出来やせんぜ」

女戦士「この身分証の印は密輸用なのか?」

ローグ「奴隷商を装って密輸は有りっすね…どうしやす?このまんま行っちまいやすか?」

女戦士「ふむ…いざとなればハイディング…行って見るか」

ローグ「なぁ~んか怪しい匂いがプンプンしやすね?」

女戦士「うむ…大量の麻薬と言えば黒の同胞団…手掛かりを掴める可能性がある」

ローグ「もしかするとキ・カイでも同じ事やらかすつもりだったかもしれやせんね」



-----------------



女戦士「やっと見えて来た…昼前には到着出来そうだ」

ローグ「ヤクは乗るよりも荷を引いていた方が早いっすね」

女戦士「未来!隠れる場所は良いか?」

子供「うん!大丈夫…見つかりそうだったらハイディングするから心配しないで」

女戦士「フフ余計な心配だったか…オークの子は落ち着いたか?」

子供「一言も話してくれないよ…ずっと睨まれてる」

女戦士「檻の中では仕方がない」

子供「ママはこの子どうする気?売っちゃうの?」

女戦士「私は金なぞ要らん…ただキ・カイの中でオークを連れまわすのは出来んな」

子供「着るものとマスク付けたら分からなくなるよ」

女戦士「未来はその子を助けたいのだな?」

子供「うん…」

女戦士「では未来が責任を持って面倒を見ろ」

子供「わかった…僕が何とかする」

女戦士「フフ…」---本当に妹にそっくりだ---

『外門』


ウィーン ガシャ ウィーン ガシャ


キラーマシン「…」シャキーン

門番「止まれ止まれ…身分証を出せ」

ローグ「へいへい…」ポイ

女戦士「…」ポイ

門番「…ふむ奴隷商か…通れ」

ローグ「え?あ…」

門番「今積み込みをしているのが2番船だ…わかるな?」

ローグ「へいへい…じゃ通るでやんす」

門番「奴隷だけ確認する」

ローグ「後ろっす」

門番「ふむ…オークの子か…早く行け」バサ

ローグ「あいー…」グイ


ブモモモーー ガラゴロガラゴロ


女戦士「やはりおかしいな…何も確認せず入れるとは」

ローグ「結果オーライすよ…ほんで何処行きやす?」

女戦士「まずは外の街の商人ギルドだ…奴隷商の身分証があれば宿泊に困らんし気球の買い付けも話が出来る」

ローグ「分かりやした…」グイ


ブモモモーー ガラゴロガラゴロ

『外の街』


ガヤガヤ ガヤガヤ


ローグ「避難民でごった返してるっすね…なんか人が多すぎでやんす」

女戦士「何故灰の降る外の街に居るのか…地下に行けば良いだろうに」

ローグ「そーっすよね?」

女戦士「海賊たちが噂をしていたが…地下からオークに襲撃されているのかも知れんな」

ローグ「チカテツ街道の向こう側っすね?」

女戦士「そうだ…何処に繋がっているのかは知らんが度々襲撃があるとは聞いて居る」

ローグ「南のオークが住んでる場所もこの灰で住む所無くなってるっすか…」

女戦士「後で少し情報を集めて見よう」



『商人ギルド』


ガヤガヤ ガヤガヤ


女戦士「荷馬車は裏手に泊める場所があるそうだ…ヤクも預かって貰える」

ローグ「移動させておくっす」

女戦士「宿泊できる場所は今は無いらしいから荷馬車で休む事になる」

ローグ「あっしは構わんすよ?」

女戦士「私は気球の買い付けに行くからお前は未来の面倒を見てやってくれ」

ローグ「分かりやした」

子供「ママ!!少しお金が欲しい」

女戦士「自分で何とかするのでは無かったか?馬車に乗っている物は好きにして良い…売って稼いで来い」

子供「あ…うん…ありがとう」

女戦士「ローグ!未来から目を離すな」

ローグ「へい!!分かってるっす」

子供「どれが高く売れるのかな?ローグ分かる?」

ローグ「オーガの角とか牙が売れるでやんす…全部売っちまいやしょう」

子供「おっけ!!僕がやってみる」

ローグ「あっしは見てるだけでやんす…未来君の好きにして良いっすよ?」

子供「そうだ!?ママのマスクも買って来るね」

女戦士「フフ任せる」

『道具屋』


店主「…坊や…どっから盗んで来たんだい?」

子供「盗んだんじゃ無いよ…ちゃんとオーガを倒したんだよ」

店主「いやいやそんな訳無いよなぁ?」

子供「買い取ってくれないの?」

店主「いやまぁ…買い取らん訳じゃ無いんだがね?うーむ…」

子供「いくらになるの?」

店主「子供相手に商売し難いが…これでどうだい?」ジャラリ

子供「ローグ!!どう思う?」

ローグ「あっしは見てるだけでやんすよ?」スラリ

店主「あわわわ…お客さんのお子さんでしたか…冗談ですよ」ジャラジャラ

子供「へぇ~おじさん僕を騙そうとしてたんだ」

店主「冗談ですって…ハイおまけも付けるんで」コトリ

子供「おっけ!ありがとね…あ!そうだ…マスクある?」

店主「なんでも揃ってるが買っていくかね?」

子供「うん!!見せて」

店主「じゃぁ奥の部屋に…」

子供「うわぁ…服もある…ローグもマスク変えよう!これどう?」

ローグ「ゴーグル付きっすね?あねさんみたいでやんすね?」

子供「これなら顔も隠れるし丁度良いと思う」

ローグ「あっしに似合うでやんすか?」

子供「ママとお揃いにしよう!僕もゴーグル付きが良いな…コレにしよっと」

ローグ「未来君の好みはあねさんと同じなんすね」

子供「あとこの服と…この当て物…それから履物はこれが良いかな」

店主「いやいや今日は良い客が来たもんだ」

子供「いっぱい買うから負けてよ」

『荷馬車』


ジャブジャブ


子供「はいコレ…水と布…これで体拭いて?」

オークの子「うぅぅぅがう!!」ズザザ

子供「逃げないで?」

ローグ「未来君…自分の顔を拭いてみたらどうっすかね?」

子供「そっか…」フキフキ

オークの子「…」ジロリ

子供「ほら?拭いてみて?」スッ

オークの子「…」グイ

子供「あぁぁ…手枷が邪魔だ…ローグ!鍵持って無い?」

ローグ「あるっす…これが檻でこっちが手枷っすね」

子供「僕が檻の中に入って拭く…貸して」

ローグ「噛まれない様に気を付けるでやんすよ?」ポイ

子供「ありがとう」パス


ガチャン ギー

オークの子「…」ギロ タジタジ

子供「大丈夫!大人しくしてて?」フキフキ

オークの子「むぐっ…」タジ

子供「ちょっと待って…髪の毛の汚れも落とすから」ジャブジャブ

オークの子「…」ゴシゴシ

子供「うわっ…真っ黒だ」ジャブジャブ ゴシゴシ

子供「そう!大人しくしておいて?手枷外すよ?」カチャリ

子供「次は着替えよう…ほら?自分でできる?」

子供「うわ…君力強いな…分かった分かった…自分で着替えて見て?」

ローグ「言う事聞きそうでやんすね?」

子供「うん…落ち着いて来たよ」

ローグ「買ってきた食べ物居るでやんすか?」ポイ

子供「うん!一緒に食べてみる…ほら?パンとチーズだよ…食べて?」モグ

オークの子「はむっはむっ…」ムシャムシャ

ローグ「ふむ…逆らう気は無さそうでやんすね…檻から出しやしょう」

子供「そうだね…この檻寝るのに邪魔だし」

ローグ「檻はあっしが外に出しやす…出て下せぇ」

子供「檻から出るよ?おいで…」グイ

オークの子「ふむっ…」グググ

子供「抵抗しないでよ…」グイグイ

ローグ「未来君が先に出れば良いでやんす」

子供「うん…ほら?出ておいで?」

オークの子「…」ソロリ スック

ローグ「その子は未来君より少し大きそうでやんすね?」

子供「ちょっとだけね」

ローグ「じゃぁ檻を引っ張りだすんで未来君は反対から押して下せぇ」

子供「うん…」

ローグ「えいさーほー!!」グイ ズズズ ガチャーン

子供「これで広くなった」

ローグ「積んである干し草で寝床作りやしょう…これで快適っす」ガッサ ガッサ

子供「これ君が付けるマスクとローブだよ?」ファサ

オークの子「…」ジー

子供「こんな風に付けるんだよ…」ギュゥ グイ

オークの子「…」ギュゥ グイ

子供「そうそう!!それでフードを被るんだ」ファサ

オークの子「…」ファサ

ローグ「ふむ…この子は賢いかも分からんすね…状況を理解してるでやんす」

子供「うん…」

ローグ「その格好なら少し歩いても良さそうっすね」

子供「おいで…」グイ

オークの子「…」

子供「手を離さないで…」ピョン

オークの子「…」ピョン

『露店』


店主「買ってくかーい?」

子供「うん…このカバンと薬草…それから火打石」

店主「金はあんのかい?」

子供「これで足りる?」ジャラ

店主「ほーう?どこの坊ちゃん?こんなに要らねぇよ」ジャラ

子供「よし!これは君のだよ?腰に付けるんだ」グイグイ

オークの子「…」ジー

ローグ「食べ物は後で干し肉を作りやしょう…ヤクの肉がいっぱいあるっすからねぇ」

子供「塩が必要だね」

店主「塩も有るよ!!干し肉作るのにぴったりな岩塩だ…買ってくかい?」

子供「それも頂戴…いくら?」

店主「一塊2銀貨」

子供「おっけ!」チャリン

店主「毎度ぉ!!」

子供「後は武器か…」

ローグ「武器は要らんすね…荷馬車の中に入ってたっすよ」

子供「気が付かなかった…」

ローグ「奴隷商が持ってた剣っす…装飾付いてたんで後で売ろうと思ってたでやんすがね?」

子供「それで良いっか…じゃぁ帰ろう…おいで?」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ

『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「薄く切った肉を煙で燻すんすよ…ここに入れて下せぇ」モクモク

子供「これ全部作る?」

ローグ「半分は山賊焼き用に残しておきやしょう…もう作っても良いでやんすよ?」

子供「今はお腹減って無いかな」

ローグ「じゃぁどんどん干し肉作って下せぇ…出来上がった奴からあっしが片づけやす」

子供「沢山あるなぁ…」スパ スパ

ローグ「直ぐ出来るんでどんどん切って下せぇ」



女戦士「戻った…もうオークの子を檻から出して居るのか」

ローグ「かしらぁ!!多分大丈夫そうっすね…言う事聞いてるでやんす」

女戦士「まぁ良い…オークの子は未来に任せる」

ローグ「気球の方はどうでやんすか?」

女戦士「貨物用の気球を買い付けた…少し高かったのだが行動の制限を受けるよりは良い」

ローグ「じゃぁもう荷物を気球に載せ替えやすか?」

女戦士「手に入るのが2日後だ…それまでここで足止めだな…ところでオークの子は話せるのか?」

ローグ「一言もしゃべらんすね…只頭は賢い様に見えるっす」

女戦士「ふむ…さすがオークと言った所か…恐怖で動けんという事は無さそうだな」

ローグ「あっしらに従った方が良いと判断してる様でやんす…状況判断が子供の割に良いっすね」



子供「あ!!ママ!!マスク買って来たよ…ゴーグル付き」

女戦士「丁度目に灰が入って気になって居た所だ…顔を洗って来る」ツカツカ

ローグ「未来君…後2日ここに泊る事になりそうっす」

子供「僕は平気だよ」

ローグ「その子が心配でやんすね…2日間人間の街に居るのは苦痛かも知れんでやんすよ?」

子供「この恰好ならバレやしないよ」

ローグ「一人で逃げなければ良いんすがねぇ…」

子供「もう少し話してみるよ」



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子供「この皮袋に雪を詰めておけばそのうち水になるよ」ツメツメ

オークの子「…」ジー

ローグ「かしらぁ!この剣は何で出来てるでやんすかねぇ…やたら重いでやんす」

女戦士「貸してみろ…」

ローグ「刀身が白銀色…なんか珍しい金属でやんす」

女戦士「ほう?これはコバルトの合金だな…腐食しない様に作られた剣だ」

ローグ「ロングソードにしちゃ重いっすよね?…2キログラムは超えてるっす」

女戦士「鈍器に近いが私には丁度良い重さだな…預かる」

ローグ「重戦士用っすか?」

女戦士「そうだ…これほど重いと素人では使いこなせん」

子供「ママ!その剣をこの子にあげたらダメ?」

女戦士「子供が使える剣では無いぞ?」

ローグ「かしらぁ…あっしが使って良いって言っちゃったんすよ」

女戦士「ううむ武器を預けて何も起こさねば良いのだが…」

ローグ「背負わせて荷物持ちって事でどうでやんすか?どうせ振り回せんでやんす」

女戦士「まぁ良い…どうせ拾い物だ…未来が責任を持て」

ローグ「未来君良かったっすねぇ」

子供「ママありがとう!!」

ローグ「あっしが背負える様に細工してあげるっすよ?」

子供「大丈夫!細工は得意なんだ!!ママに教えてもらったから」



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女戦士「私は未来と地下の様子を見て来る…ローグは船着き場まで行って情報を集めて来い」

ローグ「日暮れまでに戻って来る感じで良いでやんすか?」

女戦士「任せる…夜はこの馬車で休む」

ローグ「時間余りそうなんで補給物資も馬車まで運んでおきやすね?」

子供「ママ?この子も連れて行って良いよね?」

女戦士「未来が面倒を見るのだろう?邪魔にならない様にしろ」

子供「うん…」

女戦士「マスクは外さない様にな…付いて来い」スタスタ

子供「いくよ!」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ

『地下』


衛兵「止まれ!身分証を見せろ」

女戦士「…」パサ

衛兵「む…フリーパスの奴隷商」

女戦士「通って良いか?」

衛兵「子連れとは…チカテツ街道はフリーパスでも立ち入りが制限されているから行かない様に」

女戦士「何故そのような事になって居る?」

衛兵「奴隷移送用のトロッコが動いて居るからだ…見に行くならシェルタ砦で許可を取ってくれ」

女戦士「そうか…ご苦労!通るぞ?」スタスタ


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--------------

--------------


子供「ママ?今の話って…」

女戦士「未来も気付いたか…どうやらチカテツ街道を使って奴隷のオークを移送しているのだな」

子供「そんなのこの子に見せられない」

女戦士「そんなつもりは無いから安心しろ」

子供「どうしてオークを掴まえたりするの?」

女戦士「さぁな?私の方が知りたい…行くぞ?迷子にならない様に気を付けろ」

『中央ホーム』


ガヤガヤ ガヤガヤ


子供「露店がいっぱい…」

女戦士「何か欲しい物はあるか?」

子供「僕は何も…」

女戦士「ここにはな…色んな機械で出来た物が売って居るのだ」

子供「ママは何か買う気?」

女戦士「望遠鏡が欲しくて見に来た…興味は無いか?」

子供「欲しい!!」

女戦士「私が選んでやる…しっかり付いて来い」

子供「うん!!」


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子供「ママそんな大きな望遠鏡買ったの?」

女戦士「フフ未来の望遠鏡はコレだ」

子供「おぉ!!カバンに入る!!」

女戦士「未来は何か買ったのか?」

子供「虫メガネさ!!この子の分も買ったよ」

女戦士「ふむ…それがあれば魔法を使わないで火を起こせるぞ?」

子供「うん!知ってる」

女戦士「良い買い物をしたな?」

子供「他にもホラ!!バネとかネジとか…こんなのもあるよ帯眼鏡!」

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子供「手足が機械になってる人が多いね」

女戦士「黒死病で動かなくなった手足を機械に変えて居るのだな」

子供「エリクサー飲めば良いのに…」

女戦士「南の大陸には恐らく材料が無いのだ」

子供「あの手はちゃんと動くのかなぁ?」

女戦士「機械に変えた方が良いと言う話も聞いた事がある」

子供「ふ~ん…」


オークの子「がうるるる…」グイ


子供「おっとっと…どうしたの?」

オークの子「ぅぅぅ」ギロリ

子供「んん?あ…ママ!!あの人…」

女戦士「どうしたのだ?」

子供「あの人から変な匂いがする…なんだろう?ゾンビ?」

女戦士「近寄るな…」

子供「何か話してる…」

女戦士「聞こえるのか?」

子供「うん…悪い話」


ヒソヒソ ヒソヒソ


子供「麻薬が届かないから追加で送れって…誰と話してるんだろう」

女戦士「他には何と?」

子供「う~ん…奴隷を海上で積み替える?何の事か分からない…」

女戦士「貝殻に向かって話しているな…マズイなこんな所にもリッチが居るのか…」

子供「悪い人だよね?」

女戦士「未来…良く聞け…今来た道を2人で帰れるな?」

子供「大丈夫だよ」

女戦士「お前は爆弾をいくつか持って居たな?」

子供「うん」

女戦士「私によこせ…」

子供「これだよ…」コロコロ

女戦士「3つか…よし…私はこの爆弾でリッチを始末してから戻る」

子供「気を付けてね」

女戦士「初めての冒険だ…2人でとにかく上手く帰るのだ…良いな?」

子供「わかったよ…大丈夫だから心配しないで」

女戦士「よし!行け…」

『地下入り口』


タッタッタ タッタッタ


子供「こっちだよ…手を離さないで」

オークの子「…」グイ

子供「止まらないでよ…」



ドーン ドーン ドーン



子供「爆発音…」

衛兵「なんだぁ!!襲撃か!?」ダダダ



ザワザワ ザワザワ

何!?今の音…

オークの襲撃が来たのかも知れん

まずいぞ…外に逃げろ!!

嫌ぁぁぁ!!

ザワザワ ザワザワ



衛兵「君たち邪魔だ!どくんだ!!」ダダダ

子供「まずい…人に撒かれる…行くよ!!」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ

『裏路地』


メラメラ パチ


子供「はい…山賊焼きだよ…今度のは塩で味が付いてるからおいしいよ」

オークの子「…」プイ

子供「食べて良いよ?」

ローグ「あらら?未来君帰ってたでやんすね?かしらは何処行きやした?」

子供「まだ地下の方から帰って来て無い」

ローグ「えええ!?未来君は2人で帰ってきたでやんすか?」

子供「うん…」

ローグ「マジっすか…何も無くて良かったでやんす」

子供「ママ大丈夫かなぁ…」

ローグ「心配する様な事があったでやんすね?」

子供「リッチ?っていうゾンビみたいな人が居たんだ…始末するって一人で…」

ローグ「ええええええええ!!?そらマズイっすね…かなりマズイっす」

子供「僕たちは馬車で待ってるから様子見て来てよ」

ローグ「ここから動いたらダメでやんすよ?あっしはちっと行って来るでやんす」

子供「気を付けて!!」


タッタッタッタ

『夕暮れ』


リリース スゥ


ローグ「未来君!!回復魔法が必要っす」

女戦士「はぁはぁ…金属片を抜いてから回復してくれ…はぁはぁ」

子供「ママ!!」

ローグ「抜きやすぜ?痛いっすよ?」

女戦士「早く抜け…」

ローグ「ふんむ!」ズボ ズボォ

女戦士「はうぅ…うぐっ」ドクドク

ローグ「未来君!回復魔法を!!」

子供「回復魔法!」ボワー

女戦士「もっとだ…はぁはぁ」

子供「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「ふぅぅぅ…」

子供「血が止まった…ママ大丈夫?」

女戦士「後は薬草を当てておけば良い…処置してくれるか?」

子供「うん…」

女戦士「しかし…侮った…」

ローグ「かしらは無茶し過ぎっすよ」

女戦士「自爆するとは思って居なかったのだ」

子供「倒せたの?」

女戦士「未来の爆弾で跡形も無く吹き飛んだ…一般の人の被害は無い」

ローグ「こんな所までリッチが来てるんすね」

女戦士「船着き場の方はどうだったのだ?」

ローグ「奴隷船が2隻入ってるっす…行先はセントラル沖でやんす」

女戦士「いつ出港するのだ?」

ローグ「2隻目に奴隷を積んだら出港とか言ってやした…どんくらい掛かるかはわからんす」

女戦士「1隻あたりどのくらいの奴隷を積んで居るのだ?」

ローグ「船の大きさからして500ぐらいっすね」

女戦士「海賊で拿捕出来そうか?」

ローグ「キラーマシンを何とかすれば行けそうっすね…やるんすか?」

女戦士「奴らは間違いなく黒の同胞団だ…見過ごすわけにいくまい」

ローグ「拿捕して海賊にでもするんでやんすか?」

女戦士「まだそこまで考えては居ないが…さて…」



----------------

子供「ママ?穴の開いた金属糸のインナー直したよ」

女戦士「未来は器用だな…助かる」

子供「ママの装備でも貫通するんだね…あの金属」

女戦士「油断したのだ…至近距離から直撃だった」

ローグ「かしらがあんな大怪我したの見た事無いでやんす」

女戦士「フフ私は少し血を流したぐらいが丁度良い…今はスッキリしている」

子供「山賊焼き食べる?塩で味付けしたからおいしいよ?」

女戦士「頂く…」モグ

ローグ「あっしも頂くっす」モグ

女戦士「お前も食べておけ」

子供「僕はあんまりお腹が空かないんだよ」

女戦士「エルフの血か…」

ローグ「それなら馬車にキノコがあったっすね」

子供「あ!!欲しいかも」ゴソゴソ

オークの子「…」ダダ

子供「ん?君もキノコ欲しいの?」

女戦士「そういえばオークもエルフと似たような種族と聞いたな」

子供「キノコいっぱいあるよ…はい」

オークの子「はむはむ…」モグ

ローグ「言葉が通じれば良いでやんすがねぇ…」



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ローグ「壺を拾ってきたでやんす…こん中に炭を入れて下せぇ」

子供「馬車の中に入れるの?」ガッサ ガッサ

ローグ「そーっす…雪が降りそうなんで炭で暖を取るんす」

子供「干し草と毛皮があって良かったね」

ローグ「あぁもう雪がチラついてるっすね…積もらなきゃ良いでやんすが…」

女戦士「未来!馬車に入れ…寒くなるから固まって休むぞ」

子供「うん…」

女戦士「その子も連れて来い」

子供「おいで…」グイ

オークの子「…」

ローグ「壺を置いとくでやんす…あっしは後で休むんで先に寝て下せぇ」

女戦士「フフ固まると中々暖かい」

『翌朝』



ローグ「あぁぁぁさぶ…」

子供「雪積もっちゃったね」

女戦士「商人ギルドの建屋の中は暖かい…行って来ても良いぞ」

子供「あ!!屋上から望遠鏡使おうかな?」

女戦士「ほう?私も行って見るか」

ローグ「あっしは火を起こしとくんで行って来て良いっすよ?」

女戦士「よし付いて来い…」




『商人ギルドの屋上』


子供「何か見える?」

女戦士「私の望遠鏡は倍率が高くてな…見えにくい」

子供「僕のは船が見えるよ」

女戦士「未来の望遠鏡の方が使い勝手が良いな…貸してくれないか?」

子供「うん…」

女戦士「ふむ…奴隷船は一応大砲を乗せているな」

子供「ママは助けるつもりなんだよね?」

女戦士「助ける事になるのかは分からんが黒の同胞団は放置出来ない」

子供「オークを奴隷にしてどうするんだろう…」

女戦士「行先はセントラルなのだろうな…どうする気なのか」

子供「オークとエルフは似た種族だって言ってたでしょ?」

女戦士「そう聞いた事があるだけだ」

子供「エルフってどうして掴まえられるのかな?」

女戦士「む…エルフの代わりに捕らえられて居ると言うのか?」

子供「掴まえられたエルフってどうなってるんだろう…」

女戦士「エルフの心臓は錬金術の材料…まさかオークの心臓を使うつもりか?」

子供「…」

女戦士「まてよ?ドワーフの国に攻めようとして居たのも同じ理由なのか?」

子供「心臓無くなったら死んじゃうよね…」

女戦士「ざわざわこんな遠方まで心臓の為に来るとは思えんのだが…」

子供「遠方ってどのくらい?」

女戦士「…」


---シャ・バクダまでの移送は考えられない---

---セントラルに送ったところで何も無い筈---

---他に拠点を持っているという事か?---



----------------

ローグ「かしらぁ!朝食出来やした…未来君と一緒に降りて来てくだせぇ」

女戦士「ローグ!!」

ローグ「へい?」

女戦士「あの奴隷船に忍び込んで火薬を盗んでは来れないか?」

ローグ「無茶言わんで下せぇ…火薬の入った樽背負って逃げる自信なんか無いっす」

女戦士「海に捨てるのは出来んか?」

ローグ「あの船の荷室は船底なんすよ…樽背負って甲板に出る前に見つかるっす」

子供「ママ?火薬に海水掛けると爆発しなくなるよ」

女戦士「む!!砂鉄を酸化させるのだな?良い案だ」

ローグ「未来君は賢いっすねぇ…海水掛けるぐらいなら出来るっす」

女戦士「大砲さえ使わせなければ拿捕が楽になる…行って来てくれ」

ローグ「わかりやした」



『焚火』


メラメラ パチ


ローグ「今日は豪華っすよ?芋と卵に肉!!」

子供「肉はもういいや…卵と芋はカバンに入れとく」

ローグ「あらら?お腹空いてなかったんすねぇ…」

女戦士「私が頂く」モグ

ローグ「じゃぁあっしは奴隷船の方に行ってきやすね?」

女戦士「頼む…私は錬金術師を探して素材について聞いて来るから未来は商人ギルドから出るな」

子供「うん…」

女戦士「建屋の中に居る商人達から買い物をするのは自由にやって良い」

子供「本当!?」

女戦士「馬車に積んである錬金術の材料は好きにして良い…取引の練習もしておけ」

ローグ「未来君良かったっすねぇ?」

女戦士「建屋からは出るな?」

子供「分かってるよ!!何があるかなぁ…」ワクワク

『馬車』


ガサゴソ ガサゴソ


子供「あぁぁ!!それも食べられるの?」

オークの子「ガリガリ…」バキ ガツガツ

子供「錬金術の材料にはオークの食べ物も多いんだ…骨も食べるのか」

オークの子「ふんっ!」ポイ

子供「それはダメ…角とかは後で細工に使うから売らない」

オークの子「…」ジー

子供「これくらいで良いっか?袋のそっち側持って?売りに行くよ…よいしょ!!」

オークの子「…」グイ

子供「おっけ!!じゃ行こう」スタタ

オークの子「…」スタタ



『商人ギルド』



ガヤガヤ ガヤガヤ

昨日の爆発騒ぎで地下に行くのに制限が…

こりゃ商売できんすなぁ…ハハハ

はい商船に乗る方はこちらに並んで…

個別トレードはあっち行ってね

ガヤガヤ ガヤガヤ


娘1「あんたお使い?」

子供「え…あ…うん…おばさんは?」

娘1「おばさんじゃないよ?お姉さんて呼んでくれる?」

子供「ごめん…お姉さんは誰?」

娘1「商人ギルドの店番」

子供「へぇ…偉い人なんだ」

娘1「個別トレードはこっちだけど…大人の人は?」

子供「今は出かけてるんだ」

娘1「その袋は?」

子供「売り物だよ…買ってくれる?」

娘1「見ていいかな?」

子供「うん…」



----------------

娘1「ちょ…娘2!!見て…」

娘2「なに~?忙しいんだけど」

娘1「子供がこんなの持ってるんだけど…」

娘2「どれどれ…うは!!宝の山…」

娘1「君きみ…この袋の中身の価値分かってる?」

子供「錬金術の材料でしょ?」

娘1「う…君は何者?」

子供「買う気無いなら他の人探すから良いよ」

娘1「子供がトレードする物じゃ無いんだけど…」

子供「そうなんだ…困ったなぁ」

娘2「見積もってみようか?」

娘1「そうだね…何かあったら商人ギルドの信用問題になるね」

子供「良く分からないけど…待ってれば良い?

娘2「直ぐに終わるから」



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娘2「…全部で7金貨と60銀貨…水銀がメチャメチャ高い」

娘1「んんん…君きみ?この荷物を競売に掛けて良い?」

子供「僕その意味わからない」

娘1「んぁぁぁ…お姉さんがちゃんと売ってあげるから待っててくれるかな?」

子供「良いよ」

娘1「大人の人はどこ?」

子供「しばらく帰って来ないよ」

娘1「本当に売っちゃって良いのかなぁ?」

子供「うん!大丈夫!」

娘2「お姉ぇ…これちゃんと適正以上で売らないと後で問題になるんじゃない?」

娘1「う~ん…7金貨なんか家に合ったっけ?」

娘2「あるある!後で返品できるようにしておいた方が良い」

娘1「おけおけ!君きみぃ…この袋をお姉さんが7金貨と60銀貨で買い取るで良い?」

子供「良いよ」

娘1「ぶっ…あっさりだね」

娘2「お姉ぇ!じゃぁ金貨持ってくる」

子供「お姉さんありがとう」

娘1「大人の人によろしくねぇ~」

『裏路地』


よいしょ こらしょ どっこいしょ


子供「ふぅぅぅ!!馬車に乗せるよ?そっち側持ってね…せーの!!」ドッスン

オークの子「ふんが…フンフン!」

子供「いっぱい買ったね…開けて見てみようか?」


スタスタ


娘1「なぁ~んだ…こんな所に馬車泊めてたんだ」

子供「あれ?お姉さん…僕たちの事心配で見に来たの?」

娘1「一応ね…ここに馬車があるという事は大人はちゃんと居るんだね」

子供「今は出かけてるんだけどね」

娘1「何を買ったの?」

子供「どんぐりとか松ぼっくりとか…あと木の根」

娘1「またまたヘンテコな物ばっかり買うんだね…まぁでもこっちじゃ珍しいか」

ローグ「帰ったでやんす~」

子供「あ!!おかえり~」

娘1「大人の人ね?良かった…」

ローグ「ん?未来君の知り合いでやんすか?」

子供「商人ギルドの人だよ…僕たちの様子を見に来たんだ」

ローグ「へぇ?何かやらかしたでやんすか?」

娘1「いえいえ…沢山の錬金術の材料を持ち歩いてたから心配になって…」

子供「全部売ったよ?」

ローグ「いくらになったでやんすか?」

子供「7金貨と60銀貨くらいだっけな?」

ローグ「ほえ~えらく高く売れたでやんすね?」

娘1「競売に掛けると大体そのくらいに…」

ローグ「未来君…親切にしてもらったらお礼をするでやんす」

子供「あ!!ごめん…気が付かなかった」

娘1「いいのいいの…じゃぁ私はこれで」

子供「お姉さん…半分あげるよ」チャリン

娘1「ええええええ!?」

ローグ「いーんすいーんす!…貰っといてやって下せぇ…」

娘1「マジで?マジで?…」

ローグ「でも内緒っすよ?」



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ローグ「未来君にお土産でやんす…一袋だけ火薬を盗んできたでやんす」

子供「おぉ!!爆弾作れる!!」

ローグ「そう言うと思っていやした…本当あねさんにそっくりでやんす」

子供「昨日地下でネジを沢山買ったんだ!!これで爆弾が強くなる…」

ローグ「上手く行くと良いでやんすねぇ」

子供「早速作るよ!!」

ローグ「あっしは買い出しに行くんで馬車で待っててくだせぇ」

子供「うん!!ねぇ…君も手伝って?」

オークの子「…」ジー

子供「こうやって作るんだよ…」


これをこうして…こんな風に…

それでここに入れる

クルクルっと巻いて…



『夕方』


ツカツカ 


女戦士「未来はどうしている?」

ローグ「馬車の中で爆弾を作って居るでやんす」

女戦士「ふむ…気球の取引が早まったのだ…日が暮れる前に馬車の荷物を気球に乗せ換えたいのだが…行けるか?」

ローグ「直ぐに行けやす…気球はどちらで?」

女戦士「発着場で今荷物を降ろしているそうだ」

ローグ「じゃぁ急いでヤクを繋ぎやす」

女戦士「2匹のヤクはもう売約済みだ…繋ぐのは1匹で良い」

ローグ「わかりやした…直ぐに移動できるんで馬車に乗ってて下せぇ」



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トンテンカン ゴシゴシ


女戦士「何を作って居るのだ?」

子供「あ!!ママ…余ってる角でアクセサリー作ってるんだ」

女戦士「フフ爆弾はもう作り終わったか?」

子供「うん…今乾かしてる」

女戦士「もう気球に移動するから準備しろ」

子供「早くなったの?」

女戦士「そうだ…深夜までには基地に到着したい」

子供「この子…どうしよう?」

女戦士「置いて行く訳に行くまい?連れて行くしか無いな」

子供「良かった」

女戦士「何だ?この袋は…豆か何かか?」ガサガサ

子供「どんぐりだよ…この子が一人になった時に食べられる様に」

女戦士「フフ…この木の根もか?」

子供「うん…僕も食べるけどね」

女戦士「これはマンドレイクの根だな…錬金術の材料だぞ?高かったのでは無いか?」

子供「売り物の中に水銀があってさ…高く買い取ってくれたんだ」

女戦士「水銀が合ったのか…お前は触って居ないな?」

子供「うん…どうして?」

女戦士「毒があるから子供は触ってはいけない」

子供「へぇ?ママは手を突っ込んで遊んでたんだけどな…」

女戦士「む…そうか…お前もドワーフの血が流れて居るとすると水銀を触っても良いな…今のは忘れてくれ」

子供「砂鉄に手を突っ込むのも良い?」

女戦士「好きにしろ」



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ウモモォォーー ガラゴロガラゴロ


ローグ「…それでかしらぁ…錬金術の材料の件はどうでやんすか?」

女戦士「大した情報は無かった…確かにエルフの心臓は材料になるそうだがキ・カイ錬金術では使わないそうだ」

ローグ「じゃぁオークの心臓も使うかどうか分からんてこっすね?」

女戦士「シャ・バクダ錬金術を周知している者は見つからなかった」

ローグ「んんむ…じゃぁやっぱり心臓じゃなくてそのままキマイラにする感じなんでしょうね?」

女戦士「その線が強そうだがそんな魔物を見たことが無い」

ローグ「キマイラっちゃぁ…ミノタウロスとかケンタウロス…グリフォン…ハーピー」

女戦士「オークの体を使ったキマイラなぞ知らぬだろう?」

ローグ「そーっすねぇ…」

女戦士「奴隷の使い道は分からんが兎に角…黒の同胞団は捨て置けん」




『気球発着場』


女戦士「あの貨物用の気球だな…取引相手が待って居る」

ローグ「馬車は引き取ってもらう感じで?」

女戦士「うむ…私は話をして来るから荷の積み替えを頼む」

ローグ「分かりやした」

女戦士「未来も荷の積み替えを手伝え…出来るだけ早く移動したい」

子供「うん…」

女戦士「オークの子にも手伝わせろ」

子供「分かった」


ウモモォォーー


ローグ「未来君!あっしが気球に入れて行くんで未来君は荷を馬車から降ろして下せぇ」

子供「おっけ!君も手伝って!」

オークの子「がう…」ジー

ローグ「麻薬の入った樽を先に積みやす…よっこら!!」

子供「あと僕が降ろしておくよ…そっち側持って?ふんっ!!」ズリズリ


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『貨物用の気球』


ローグ「この気球は炉の送風が自動になってるっすね…これ良いっすね」

女戦士「高価なだけの事はあるだろう?」

ローグ「風の魔石はどれくらい持つでやんすかね?」

女戦士「さぁな?籠の中に替えの魔石が入っている筈だが…」

ローグ「ありやした…只なんか無くなるのが心配でやんす」

女戦士「ケチケチするな…無くなったら手動で送風すれば良い話だ」

ローグ「あっしの悪い癖が出やしたね…」


ズリズリ ドサ!


子供「これで最後のどんぐり」

ローグ「じゃぁ乗って下せぇ…狭いでやんすが炉の近くは暖かいっすよ?」

子供「おいで?」グイ

オークの子「…」

女戦士「では出発しようか」

ローグ「アイサー!!気球なら基地まで直ぐに着きやす」

女戦士「早く帰って水浴びがしたい…急いでくれ」


フワフワ フワフワ


------------------

ビョーーーウ バサバサ


”聞こえるか?…”

”…お姉ぇ?聞こえるよ!!どう?そっちは?”

”古都キ・カイに居るのだが黒の同胞団の手掛かりを見つけた”

”え!?マジ?そっちまで行ってんの?”

”どうやら大量にオークを捕獲して奴隷船でセントラル方面に移送している様だ”

”なんそれ?どゆ事?”

”ひとまず海賊で奴隷船を拿捕しようと思うのだが救出したオークをどうするか思案中なのだ”

”オークって言う事聞くの?言葉通じないじゃん?”

”だから困っているのだ…私はアサシンと直接話せないからフィン・イッシュで受け入れられないか聞いてくれないか?”

”おけおけ…なんかアサシンもフィン・イッシュに戻るみたいな事言ってたよ”

”大体1000体ぐらいオークの奴隷が居る様だ…海賊だけでは受け入れ切れん」

”うは…丁度さぁフィン・イッシュもセントラルに攻められそうでヤバイらしい」

”なら尚の事オークを保護して上手く自衛になれば良い」

”お姉ぇもフィン・イッシュに来る?」

”いや…私は黒の同胞団の手掛かりを追おうと思う”

”なんか掴んだの?”

”オークをセントラルに移送するのはやはりおかしい…他に拠点を構えていると思うのだ”

”なるほど…そういやさぁ…エルフの森南部に基地があるかも”

”それは確かな情報か?”

”そこらへんからミノタウロスがいっぱい出て来てるっぽいんだ”

”ふむ…それだな…それなら移送する意味がある”

”お姉ぇさぁ…未来居るんだから無茶しないで?”

”分かっている…常にハイディングして居ると思ってくれ”

”おけおけ…ほんじゃアサシンと話しできたら連絡するよ”

”良い返事を持って居る…”



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ローグ「奴隷のオークをフィン・イッシュに行かせるのは良い案っすねぇ…移民を歓迎してるでやんすよ」

女戦士「オークが事情を理解してくれれば良いのだが…」

ローグ「あっしは南の大陸の国境でオークを見たんすがね?オークは賢いでやんす」

女戦士「それはこのオークの子を見ても分かる…明らかに知性と理性がある」

ローグ「どっちかって言うと人間の方に問題がありやすね…オークは魔物と決めつけている人が居やすから」

女戦士「言葉の問題がな…」

ローグ「未来君のお友達が通訳になりやせんかね?」

女戦士「まだ子供だ…大人のオークが子供の言う事なぞ聞くものか」

子供「ホム姉ちゃんならお話し出来るかも」

女戦士「ホムンクルスか…そういえば言葉を覚えるのが早かったな」

『海賊の基地』


フワフワ


ローグ「何処に降りやす?」

女戦士「私の船の船尾だな…積み荷は明日積み替える事にしよう」

ローグ「わかりやした」

女戦士「私は水浴びに行くが未来も来るか?」

ローグ「うん!!この子も連れて行って良い?」

女戦士「良いぞ?汚れを落としてやる」

ローグ「今日はこのまま解散でやんすか?」

女戦士「うむ…海賊共には明日話をするからお前もゆっくり休め」

ローグ「あっしも水浴び行って良いっすかね?」

女戦士「好きにしろ…ただし覗くなよ?」ジロリ




『水場』


モクモク モクモク


女戦士「先に海水で汚れをしっかり落とすのだ」

子供「ぅぅぅ寒い…」ガチガチ

女戦士「海の方が温かいから早く落としてこい」ジャブジャブ

子供「えーい!!」ダダダ ザブーン

女戦士「お前は寒さに強いのだな?」ジャブジャブ ゴシゴシ

オークの子「…」

子供「ママ…だめムリ…寒い」ガチガチ

女戦士「桶の中の湯に浸かって良い…温まっていろ」

子供「ぅぅぅ…」ブルブル

女戦士「よし!綺麗になった…湯に浸かるぞ?…来い」

子供「熱っ!!」タジ

女戦士「寒いだの熱いだの注文が多い…ゆっくり入れ」ソソ チャプン

オークの子「…」タジ

女戦士「お前も入って良いぞ?」グイ

オークの子「うが…」チャポン

女戦士「湯は初めてか?温まると気持ち良いぞ?ふぅぅぅ」

ローグ「かしらぁ!!追加の湯を持ってきやしたぜ?にひひ」

女戦士「持って来てくれ…もう少し温めたい」

ローグ「へい!!」シュタ

女戦士「…」ジロリ

ローグ「いやいやいや追加の湯を持ってきただけでやんすよ…にひひ」

『貨物船』


ザブン ギシギシ


女戦士「やはり船の方が暖かいな…今日は居室で休むのだ」

子供「うん!!僕の荷物は居室に移しておくね?」

女戦士「お前の荷物?どんぐりと松ぼっくりか?」

子供「そうだよ…僕とこの子の携帯食料さ」

女戦士「フフまぁ好きにしろ」

子供「こっちだよ!!ぼくの部屋を見せてあげるよ」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ

女戦士「子供は言葉が無くても良い…か」

女戦士「さて…私も休むか」


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『翌日_気球』


トンテンカン トンテンカン


ローグ「未来君!!かしらに気球の改造して来いって言われて来たでやんす」

子供「僕もママにアロースタンド作れって言われたんだよ」

ローグ「じゃぁあっしは何しやしょうかね?」

子供「なんか海賊のおじさんが材料を置いて行ったんだけどさぁ?」

ローグ「んん?木材と布…これひょとしてあねさんと同じ様に帆を張れってこっすかね?」

子供「わかんない…でも好きにして良いって事だよね?」

ローグ「あねさんと同じはあっしにはムリでやんす…ちっと帆を張るぐらいっすねぇ」

子供「出来た!!アロースタンドこれで良い?」

ローグ「3つも作ったんすね?」

子供「うん!左右と後ろ用だよ…ボルトの入れ物はココさ」

ローグ「おぉ!!あねさんより工夫してるでやんすね?」

子供「クロスボウは何処にあるのかな?」

ローグ「あっしが持ってきてあげるでやんす」

子供「ダメだよローグは帆を作ってよ」

ローグ「あららら…やっぱしあっしは帆でやんすねトホホ」

子供「ちょっとクロスボウを探してくるね」



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子供「ボルトって重いんだなぁ…よいしょ」

オークの子「…」グイ

子供「ありがとう!君は力持ちだね」

ローグ「未来君!!どうでやんすか?縦帆2つっす」

子供「へぇ?恰好良くなったね」

ローグ「クロスボウが3つ搭載されていると中々の火力っすね」

子供「最強の貨物用気球だね」

ローグ「馬鹿に出来やせんぜ?戦闘員乗せて気球から船の強襲にも使えやす」

子供「それなら下にもクロスボウ撃てるようにした方が良いね」

ローグ「そーっすね…あっしが床に細工するでやんす」

子供「なんか改造って楽しいなぁ…」ワクワク



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ローグ「かしらぁ!!見て下せぇこの気球の出来を!!」

女戦士「ふむ…ローグにしては中々良い」

ローグ「いやぁぁ未来君の細工もなかなかのもんす」

女戦士「未来は何処に行った?」

ローグ「船降りてヤードの方っすかね?ボルトを取りに行くとか言ってやした」

女戦士「そうか…この船用のアロースタンドも作って置けと伝えてくれ…20個だ」

ローグ「え!?この船で海戦やるんすか?大砲が無ぇでやんす」

女戦士「クロスボウで補う…こちらには爆弾があるのでな」

ローグ「飛距離が足りんでやんすよ」

女戦士「まともに撃ちあうつもりなぞ無い…ハイディングからの奇襲だ」

ローグ「あぁそういう事っすね…ならクロスボウの方が良いっすね」

女戦士「うむ…荷物を積み終わったらこの船でもう一度キ・カイまで補給に行く」

ローグ「クロスボウの入手っすね?」

女戦士「他にもあるがな?陸路で運搬が出来んから船で行った方が良いのだ」

ローグ「もう行くんでやんすか?」

女戦士「あと2時間ほどで荷の搬送が終わる…未来には船に乗って居ろと伝えてくれ」

ローグ「わかりやした」




『2時間後』


ザブン ギシギシ


船乗り「碇を上げろぉぉぉ!!」

ローグ「やっぱりこの船は40人ぐらいが賑やかで丁度良いでやんすね?」

女戦士「ガレオン級はそのぐらいが限界だな」

ローグ「大砲を一門も積んで無いんで貨物船扱いでどこにも入港出来るのが良いっすね」

女戦士「今回は奴隷商の身分証もあるからキ・カイでの仕入れもラクだろう」

ローグ「クロスボウ以外の仕入れって何を買うでやんすか?」

女戦士「食料だ…奴隷にされているオーク達には補給が必要だ」

ローグ「かしらぁ…あっしは一生付いて行くっす」

女戦士「未来が買ったどんぐり…あれはかなり安い…そしてオークにはとても良い食料と見た」

ローグ「どんぐりを買い占めるんすか?」

女戦士「他にも芋が安かっただろう?どうも植物の根や実を好む様だ…どちらも安いから仕入れる」

ローグ「あああああ!思い出しやした…それどっちもエリクサーの材料っすね」

女戦士「んん?そうなのか?」

ローグ「クヌギの実がどんぐりでアルコールの原料が芋っす…てことは松脂の代わりに松ぼっくり…」

女戦士「ほう?体内でエリクサーを作っているのか?」

ローグ「だからエルフもオークも小食なのかもしれやせん」

女戦士「そういえばオークの子は肉を沢山は食わんな」

ローグ「これって新説発見じゃないっすか?体の中で錬金術っすよね?」

女戦士「体内で錬金術…ふむ…いやしかし」---謎が深まるばかりだ---

『キ・カイ船着き場』


ギシギシ ガコン ギギギ


女戦士「ようし!!数名下船して食料の調達に行ってこい!!他の者は待機しろ」

子供「ママ?僕たちは降りる?」

女戦士「灰で汚れてしまうから居室に入って居ろ」

子供「うん…わかった」

女戦士「ローグはクロスボウとボルトの調達を頼む」

ローグ「アイサー!!弓は要らんすか?」

女戦士「クロスボウだけだ…キ・カイではクロスボウの方が安い」

ローグ「分かりやした…じゃ行って来やす」タッタッタ

女戦士「…」---奴隷船2隻は入れ違いで出港してしまったな---

『居室』


ガチャリ バタン


オークの子「!!?」ズザザ

子供「あ!!大丈夫だよ…怖がらないで?」

オークの子「…」ギロリ

女戦士「やはり大勢の男達が居ると怯えているのか?」

子供「うん…みんな珍しそうに覗いて行くから…」

女戦士「ふむ…慣れてもらうしか無いのだが…男達には私からも言っておく」

子供「でも目はしっかりしてる」

女戦士「怯えているのでは無く身構えているだけか…プライドが高いのだな」

子供「おいで?大丈夫だから…」

オークの子「…」ソローリ

子供「沢山の人に見られるのが嫌みたい」

女戦士「…」---この子は私に似ているな---


---自分の見た目に自信が無い…---

---卑下されている様な目が嫌なのだ---

---だから剣に逃げる---



女戦士「未来!木剣で素振りを教えてやれ」

子供「え?あ…うん」

女戦士「剣を背負わせても触ろうとしないという事は今まで持った事が無いのだ」

子供「わかったよ…ママに教えて貰った通りにやってみる」



---------------


ブンブンブン ブン!!


子供「ぐちゃぐちゃだけどそんな感じで良いよ」

女戦士「次は未来が凌いでみろ」

子供「うん…僕に打ち込んでみて?」

オークの子「…」ジロリ

子供「来て良いよ…」スチャ

オークの子「…」タタ ブン

子供「…大振り」カコン

オークの子「ウガ!」ブンブン


コンコン


女戦士「運動していれば気が紛れる…しばらく立ち合って居るが良い」

子供「うん!いろいろ教えておくね」

オークの子「ググ!」ブンブンブン

『半日後』


ザブン ギシギシ


ローグ「いやぁぁキ・カイの外の街に衛兵が増えて居やしてね?何回も身分証見られましたわ」

女戦士「クロスボウは無事に入手出来たか?」

ローグ「荷室に入れてありやす」

女戦士「食料の調達も手間取って居そうだな?」

ローグ「そーっすね…あっちも衛兵に止められてるっすね」

女戦士「そろそろ出港したいのだがな」

ローグ「これからどうする気で?」

女戦士「セントラルに向かう途中の灯台がある島周辺で奴隷船を拿捕する」

ローグ「海賊船は同時に動いてるでやんすか?」

女戦士「近場に居るのが2隻だけなのだが先に向かっている筈だ」

ローグ「2隻…じゃぁこの船が主力になりやすね」

女戦士「向こうは大砲が撃てんからな…気球を持って居る私達に分がある」

ローグ「向こうが他の軍船と接触しちまう前にやりたいっすね」

女戦士「うむ…ハイディングで先回りして待つ形にしたい」



-------------------



ローグ「未来君!船長室の方へ移動して下せぇ」

子供「え!?ここで良いのに」

ローグ「あっちの方は人が来ないでやんす…かしらが使って良いと言ってるでやんす」

子供「そっか…じゃぁ荷物持って行こうかな」

ローグ「あっしが持つでやんすよ?」

子供「うん…どんぐりの袋をお願い」

ローグ「立ち合いをやっていたでやんすか?」

子供「そうだよ…僕がこの子に教えてるんだ」

ローグ「オークの子はどうでやんすか?」

子供「僕とは全然違う感じだよ」

ローグ「あっしにも後で見せてくだせぇ」

子供「うん!船長室って狭くない?」

ローグ「船長室のデッキでやれば良いっす」

子供「そっか…おいで?」グイ

オークの子「…」



-----------------

ローグ「やっと荷入れが終わりやしたね…随分時間かかりやしたね」

女戦士「衛兵は麻薬を探しているらしい」

ローグ「そりゃガサ入れが来る前に早い所出港した方が良いっすね」

女戦士「うむ…船員が乗り込み次第出港させる」

ローグ「見てくだせぇ未来君とオークの子の立ち合い…受けだけだと未来君は力押しされてるっすね」

女戦士「体重差だな…まぁ良い訓練だ」

ローグ「オークの子のブレない目はかしらみたいっすね」

女戦士「フフお前もそう思うか?私も似ていると思った…小さいなりに誇り高い」

ローグ「あの真っ直ぐな目を未来君も感じてると良いでやんす」

女戦士「立ち会っている本人が一番感じていると思うぞ?」



------------------



船乗り「全員船に乗りました!!出港できます」

女戦士「よし出港だ!!碇を上げろ!!」

海賊共「へーーい!!」

女戦士「横帆を出せ!!面舵いっぱい!!」


ギシギシ ギギギ ユラ~ 

『貨物船』


ザブ~ン ユラ~


ローグ「いやぁぁやっぱり海の方が温かいっすね」

船乗り「キャプテン!!後方から高速巡視船が一定距離で付いて来ます」

女戦士「気にするな…直に霧が出る」

ローグ「かしらぁ…これあっしらの船を拿捕するつもりじゃ無いっすかね?」

女戦士「沖でキ・カイの軍船が控えて要るのは海賊たちから聞いて居る…霧に紛れてハイディングすれば済む」

ローグ「なら良いっすね」

女戦士「ハイディングで進めば2日は何も起きん…適当に過ごしておくのだ」

ローグ「じゃぁあっしはアロースタンドでも作って置くでやんす」

女戦士「未来考案の奴だな?20台必要になるからよろしく頼む」

ローグ「クロスボウを20基備えてるとちょっとした要塞になりやすね?」

女戦士「洋上での乗り込み阻止には効果が高いだろう」

ローグ「ところであねさんはアサシンさんと連絡付いたでやんすかね?」

女戦士「あぁフィン・イッシュでオークの難民を受け入れる件は承諾されたらしい」

ローグ「良かったっすねぇ」

女戦士「無人島の領土を与えてくれるそうだ…やはりフィン・イッシュ女王は懐が深い」

ローグ「上手い事共生できると良いでやんす」

女戦士「そうだな救出する甲斐があると言うものだ」



-----------------



女戦士「さて…奴隷船に乗っているキラーマシンの件だが」

ローグ「10体は乗って無いっすね7~8体って所っす」

女戦士「正直クロスボウだけで倒せるとは思って居ない」

ローグ「爆弾だと船が痛んでしまいやすね?」

女戦士「やはり私が乗り込んで正面突破しか無いか?」

ローグ「あねさんの爆弾があれば甲板に乗ってるのは海に落とせるんでやんすが…」

女戦士「海に落とせば良いか…1体づつなら何とかなりそうだが…」

ローグ「ボルトにロープ付けて引っ張り落とすのはどうでやんすかね?」

女戦士「ロープにそれ程余裕が無いな」

ローグ「あっしらが着ている金属糸の装備を解いてでやんすね…金属糸を使うのはどうでやんす?」

女戦士「ほう?私とローグ…そして未来の分で足りるか?」

ローグ「十分とは言えやせんが使える様にはできやすね」

女戦士「よし!こうしよう…この船のクロスボウは囮だ…気球から一体づつ狙ってキラーマシンを海に落とす」

ローグ「良いっすね…貨物を空にしておけばキラーマシンも吊れやすね?」

女戦士「3体程落とせば私が乗り込み何とか出来る」

ローグ「それで行きやしょう」

『2日後_灯台の有る島』


ザブ~ン ザブ~ン


女戦士「私達は沖で停船だ…漁村に行く者は小舟に乗れ」

ローグ「かしらは行かんのでやんすか?」

女戦士「行っても何も無いのでな?私は望遠鏡で見張って置く」

ローグ「じゃぁあっしは魚の調達に行って来やす」

女戦士「この島では酒も造っているから買ってこい」

ローグ「わかりやした」

女戦士「未来?お前はどうする?ローグと一緒に行って来ても良いぞ?」

子供「行こっかな…少し走りたいし」

ローグ「良いっすよ?直ぐに帰って来るんで散歩みたいなもんす」

女戦士「そうだ!!浜辺に大きなカニが居るはずだ…腕試しに狩ってこい」

ローグ「それは軍隊ガニっすね…食べられるでやんす」

子供「へぇ?」

ローグ「あっしが見とくんで2人で狩ってみて下せぇ」

子供「よーし!!一緒に行こうか」グイ

オークの子「…」

ローグ「じゃぁ行って来るでやんす」

女戦士「日暮れまでにま戻って来るのだぞ?」

『浜辺』


ザザー ザブン


ローグ「あそこに居るでやんす」

子供「おっけ!行って来る」スタタ

オークの子「…」スタタ

子供「君も剣を使って?」スラーン

オークの子「…」スラリ

子供「いくよ?」タタタ ブン キーン


軍隊ガニ「!!?」ガサガサ


子供「硬い…」タジ

ローグ「足の付け根を狙うっす…足を落とさんと逃げられるでやんすよ?」

子供「足か…」タタタ スパ ボトリ

オークの子「…」タタタ ノッソー ブン ゴツン!


軍隊ガニ「ギュッ…」ブクブク


子供「え!?」

ローグ「あらら?軍隊ガニが失神しとるっすね…足を全部落として下せぇ」

子供「あ…うん」タタタ スパ スパ スパ

ローグ「コバルトの剣は重すぎでやんすが鈍器代わりに丁度良さそうっすね」

子供「すごいなぁあの剣…一発で倒しちゃた」

ローグ「あと2~3匹狩って下せぇ…今日の夜はカニのバーベキューやりやしょう」

子供「うん!!」

ローグ「あっちにも居るでやんすよ?」

『小舟』


ローグ「ちっと船で待ってて下せぇ…あっしは魚を仕入れて来るでやんす」

子供「ここで待ってるよ」


ザザー ザブン ザザー ザブン


子供「君は怪我してない?」

オークの子「ウガ…」

子供「手?見せて?」

オークの子「ウゴウゴ…」

子供「豆が潰れたのか…あの剣重すぎだしね…治してあげる…回復魔法!」ボワー

オークの子「ウトガリア…」

子供「ありがとうって意味?」

オークの子「ルゲアリグンド」

子供「ん?どんぐりくれるの?」

オークの子「…」カリ モグ

子供「僕らの携帯食料だね」カリ モグ



『貨物船』


ワイワイ ガヤガヤ

このカニはあのオークの子が獲って来たんだってよ

ほーうオークも仲間に出来んのか

旨いなこのカニ!!

酒はどこだぁ!?

ワイワイ ガヤガヤ


女戦士「フフみんな喜んで居るな」

ローグ「大量でやんした」

女戦士「未来…今度は何を作って居るのだ?」

子供「軍隊ガニの甲羅でオークの子の防具を作ってるんだよ」ゴリゴリ

ローグ「良い材料が手に入ったでやんすね?」

子供「うん…すっごい軽くて硬い…トゲトゲも恰好良い」

女戦士「黒い甲冑か?」

子供「甲冑って程でも無いけどさ…ほら?」

女戦士「ふむ…布の服よりは随分マシになるな」

ローグ「未来君は本当に器用でやんすね」

子供「ねぇねぇこれ装備してみて…僕とお揃いだよ」

オークの子「ニナ?レコ…」タジ

女戦士「む…何か話しているな?」

ローグ「そーっす…未来君にだけ話をするみたいっす」

『2日後』


ローグ「船が2隻見えるっす」

女戦士「何!?海賊船か?」

ローグ「違うっすね…例の奴隷船でやんす」

女戦士「ちぃぃ海賊船は間に合わなかったか…」

ローグ「どうしやす?」

女戦士「私達はこの島から離れる振りだ…碇を上げろ!!」

ローグ「向こうの補給を狙う感じっすかね?」

女戦士「そうだ!!補給で停泊する筈だからそこを狙う」

ローグ「気球を準備しときやす」

女戦士「未来!気球に乗れ…戦闘になるぞ」

子供「うん!!この子も連れて行くよ?」

女戦士「クロスボウの撃ち方を教えて置け!!」

子供「おいで!!」グイ

女戦士「者共ぉ!!戦闘準備だ!!寝ている者を起こせぇ!!」

『気球』


ビョーーーウ バサバサ


女戦士「この距離を維持しろ…しばらく様子を見る」

ローグ「あっしらの船はハイディングして待機でやんすか?」

女戦士「その予定だ…クロスボウで狙える位置で隠れている筈」

ローグ「奴隷船から小舟が出て行きやしたね」

女戦士「よしよし…3人づつ島に向かっているな?」

ローグ「かしらぁ!!遠くの方にも船が2隻見えてやす…海賊船っす」

女戦士「あの位置だとあと30分か…足並み揃えたいのだが…」

ローグ「ダメっすね…貨物船がリリースしやした…クロスボウ撃ってるっす」

女戦士「むぅぅ…仕方が無い!私達も行くぞ」

ローグ「アイサー」グイ


ビョーーーーウ バサバサ


ローグ「あっちは気球に気付いていやせん…チャンスっす!!」

女戦士「未来!金属糸の付いたボルトは外さない様にしっかり狙え」

子供「うん…」

ローグ「そろそろ撃てるっすよ?」

女戦士「よし…撃て」

子供「…」バシュン バシュン

ローグ「当たりやしたね?引っ張り出すっす」グイ


グイグイ ガコン グラリ


子供「うわぁぁ!!」ゴロゴロ ドスン

ローグ「キラーマシン1体落ちやした!!」

女戦士「金属糸を切れ!!次を狙うぞ!!」

剣士「…」シュタタ スパ

ローグ「あっちが気球に気付きやした…応射してくるっす」

女戦士「向こうの射程外に出ろ」

ローグ「やってるっす…」


シュンシュンシュン ストストスト

女戦士「応射させるな!!こっちも撃つぞ!!」バシュン バシュン

子供「撃って!!」バシュン バシュン

オークの子「…」バシュン バシュン


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子供「3体目!!」

女戦士「よしローグ!!私が飛び降りられる高さに降ろせ」

ローグ「アイサー」グイ

女戦士「私が降りた後は3人でもう一隻のキラーマシンを処理しろ」

ローグ「分かったでやんす」

女戦士「後の処理は海賊たちに任せて良い」

ローグ「かしらぁ!流れ矢に当たらんで下せぇ」

女戦士「フン!当たったら助けに来い…では飛ぶ!!」ピョン

ローグ「未来君!!向こうの奴隷船に行くんでじゃんじゃんクロスボウ撃って下せぇ」

子供「うん!!」

『貨物船』


バシュン バシュン バシュン バシュン


航海士「キャプテンが気球から降りた…おい!!乗り込む合図だ!!」

操縦士「寄せりゃ良いんでがす?」

航海士「向こうはもう撃って来ない!!接弦してくれ」

操縦士「えっさほいさ!えっさほいさ!」

男達「乗り込めぇぇ!!」ドドド


---------------


女戦士「ふんっ!」ブン ガキーン

キラーマシン「プシュー…」ウィーン ガチャ ウィーン ガチャ

女戦士「硬いだけの鉄くずめ!!」ブン ガキーン ブン ガキーン

男達「キャプテン!!助太刀でがんす!!」ダダ ブン ガキーン

女戦士「突いて海に落とすのだ!!」

男達「がってん!!うぉーーー」ドドド


キラーマシン「ウィーン…」バシュン バシュン


男達「うぉ!!撃ってきやがる」

女戦士「シールドバッシュ!」ドン

キラーマシン「プシュー…」ドタリ バタバタ

女戦士「今だ!!落とせ!!」


-----------------

-----------------

-----------------


女戦士「よし!制圧したな?」

男達「もう人間は抵抗して来んでがんす」

女戦士「10人ほど残ってこの奴隷船に残っている残党を縛り上げろ…私は貨物船でもう一隻の方に向かう」

男達「がってん!!」

女戦士「行くぞ!!急げ!!」

『気球』


シュン バシュン


ローグ「あああああ…球皮に矢が当たっちまいやした」

子供「キラーマシンが後残り4体…」

ローグ「マズイっすねぇ…このままじゃ海に落ちるっす」

子供「海賊達が奴隷船に乗り込もうとしてるよ」

ローグ「奴隷船に着陸して海賊に混ざった方が良さそうっすね」

子供「うん…ママの貨物船もこっちに向かってる」

ローグ「あっしに付いて来るでやんすよ?」

子供「分かってる…君もちゃっと付いて来て」

オークの子「…」ジー

ローグ「降りるっすよ?降りるっすよ?」


フワフワ ドッスン

ローグ「付いて来て下せぇ!!」ダダ

子供「行くよ!!」グイ スタタ

オークの子「…」スタタ


キラーマシン「プシュー…」ウィーン ガシャ バシュン バシュン

ローグ「危ねぇでやんす」ヒラリ

オークの子「うがぁぁぁ!!」ダダ ノッソー ゴン

子供「戦わなくて良い!!来て」グイ

ローグ「一体だけ凌ぎやしょう…あっしが前に出るんでキラーマシンの関節を切って下せぇ」

子供「あ…うん」

キラーマシン「ウィーン…」ブン ブン

オークの子「うがっ…」ザク ズザザ

子供「あああああ!!回復魔法!」ボワー

ローグ「行くっすよ?」ダダ ジャキン ジャキン

子供「このぉ!!」タタタ スパー

キラーマシン「プシュー…」ウィ ウィ ウィ

ローグ「良いっすねぇ!!手が上がらんくなりやした

オークの子「ガルル…」ダダダ ノッソー ゴン


海賊達「こっちだ!!こっちにも1体居る!!」


ローグ「助かたでやんす…」

海賊達「落とせ落とせぇぇ!!うぉらぁぁぁ」ボチャーン


ギギギ ガコン ガコン


ローグ「かしらが来やしたね?」

女戦士「無事か!?」

子供「ママ!!大丈夫だよ」

女戦士「気球で不時着したのだな?間に合って良かった」

ローグ「こっちの奴隷船もこれで制圧っすね?」

女戦士「そうだな…後は海賊達に任せて私達は奴隷の状況を見に行く」

ローグ「まだどこに敵が隠れて居るか分からんすよ?」

女戦士「未来!離れないで付いて来い」

子供「うん…」

『牢』


ウゴウゴ ウガガ


女戦士「ひどい物だ…ロクに食料も水も与えられていない」

ローグ「どうしやす?補給を持って来やしょうか?」

女戦士「そうだな…」


オーク「ウガァァ!!ウガァァ!!」ガチャン ガチャン


ローグ「騒ぎはじめやしたね…」

子供「…ダメだよ…やめて」

女戦士「んん?」


ゴツン!!


女戦士「つぅぅ…」ヨロ

ローグ「え!?」

オークの子「がぁぁぁ!!」ノッソー ゴツン

ローグ「あだっ…」ヨロ

子供「ダメだって!!落ち着いて…」

オークの子「グルルル…」タジ


オーク「セロゴ!!セロゴ!!」ガチャン ガチャン


オークの子「がぁぁぁ!!」ダダ

女戦士「ふんっ!!」グイ

子供「ママ!!」

女戦士「ローグ…武器を取り上げろ」

ローグ「仕方ないでやんす…」ゴキゴキ カラーン

オークの子「うぐぅぅぅ…」グター

女戦士「未来!傷付いている味方に回復魔法を掛けて来い」

子供「ママ…」シュン

女戦士「早く行け!!遊びでは無いのだぞ」

子供「…」グスン スタタ

女戦士「ローグ…そこに掛かっている鍵で牢を開けるのだ」

ローグ「へい…」カチャリ ギー

女戦士「仕方のない事だ…刃を向けられる以上一緒には居られない」グイ ズザザ

オークの子「うぐっ…」

ローグ「牢に鍵かけておくでやんす」カチャン

女戦士「行くぞ!!補給物資を移す」

ローグ「アイサー」

『奴隷船_甲板』



女戦士「奴隷船には10名づつ乗り移れ…そして海賊船に連いてフィン・イッシュに向かえ」

船乗り「がってん!!キャプテンはどちらに?」

女戦士「私は捕らえた者から黒の同胞団の基地を聞き出して調べて来る」

船乗り「フィン・イッシュで奴隷の引き渡し後は自由で?」

女戦士「奴隷船はお前達の船にしろ…後に私もフィン・イッシュに行くから自由にしていて構わん」

船乗り「おぉぉぉ船を頂けるたぁ…」

女戦士「海賊達には麻薬も持たせた…上手く使って金にしろ」

船乗り「おおおぉぉぉ!!がってんやる気が出て来たでがんす」

女戦士「ただしオーク達の管理には注意するのだぞ?荒らげない様にきちんと食事を取らせろ」

船乗り「分かってるでがんす…どんぐりなんざ俺らには不要でがすダハハ」

ローグ「かしらぁ!!漁村に出て行った小舟も全員確保しやした」

女戦士「私の船で鎖に繋いで隔離しろ…後で尋問をする」

ローグ「へい!!」

女戦士「ではそろそろ私達は行くが…未来は何処へ行った?」

ローグ「それが…その…牢の前でオークの子を見守ってるでやんす」

女戦士「ふむ…オークにはオークの文化があるのだ…私達と一緒に居るより良いと思うのだがな」

ローグ「気球直すのにもちっと時間掛かるんでそっとしておいてくれやせんか?」

女戦士「2時間で直せ…ここに長居は出来ん」

ローグ「へい…急いで直しやす」

『牢』


子供「…これで全部だよ?大事に食べてね?」

オークの子「…」ジー

子供「君が食べられるもの全部持ってきたよ…大変だったんだよ?ここまで持ってくるの」

オークの子「…」ジー

子供「良かったね?みんな助かってさ?」

オークの子「…」ジー

子供「これ君にあげようと思って持って来たんだ…角で作ったアクセサリーだよ…あげる」カランカラン

オークの子「…」ジー

子供「あと君のコバルトの剣…これは君の物だから隠しておいて?みんなにバレない様にね」スッ

オークの子「…」ジロリ

子供「じゃぁ僕そろそろ行くね」スック

オークの子「ウゴ…」

子供「死んだらダメだよ?ちゃんと生きるんだよ?」

オークの子「ンゴ…」

子供「じゃぁ…さよなら」ノ

オークの子「ウゴ…」ガチャン

オークの子「ウゴ…ウゴ…ゥゥゥ」ズル


---------------

---------------

---------------

『気球』


フワフワ


ローグ「未来君お別れして来たでやんすか?」

子供「うん…」

ローグ「心配無いでやんすよ?フィン・イッシュに着いたらオークの村が貰えるっす」

子供「分かってるよ…」

ローグ「また会いに行きやしょう」

子供「ハテノ村でも友達にそうやって言い残して来たんだ」

ローグ「きっとまた会えるでやんす」

子供「そうだったら良いな」

ローグ「オークの子は特別仲良しになりやしたね?」

子供「手を握ったら握り返してくれたんだ…それだけなんだけどね」

ローグ「言葉じゃない会話っすね?」

子供「そうなのかな?」

ローグ「エルフはそうやって通じ合うらしいんす…オークも同じなんでやんすね」

子供「僕争いを無くしたい…」

ローグ「あねさんや剣士さんはその為に戦ってるんす」

子供「僕も皆を救いたい…」

ローグ「未来君はオークの子を救ったでやんすよ?悪い奴隷商から救ったんでやんす」

子供「ぅぅぅ」ポロリ

ローグ「さぁ行きやしょう…かしらが待ってるっす」


フワフワ フワフワ

『貨物船』



ローグ「…全員キ・カイの工作兵なんすが持ち物から貝殻が出て来やした」

女戦士「何かしゃべったか?」

ローグ「奴隷の引き渡し場所だけっすね…他は知らないを貫いていやす」

女戦士「500人を収容できる船となると軍船以外に無いな」

ローグ「そーっすね…こっちが行っても分が悪いっすね」

女戦士「基地の場所が特定出来んのでは行先に困るな…仕方ない一人づつ吊るしてサメの餌にすると脅せ」

ローグ「へい…」


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ヤンヤン ヤンヤン

くそう何する気だ!!

簡単なゲームでやんす…サメの餌になるか知ってる事しゃべるか…

お前等只の海賊じゃ無ぇな!?ぐぁぁぁぁ 

ハイハイ皆さんクロスボウの的っすよ?

止めてくれぇぇ!!助けてくれぇぇ!!

ヤンヤン ヤンヤン


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『船長室』


スン スン スン


女戦士「素振りか?」

子供「…ママ」

女戦士「寂しいか?」

子供「寂しいのは僕だけじゃないよ」

女戦士「済まなかったな友達と離れる様な事になってしまって」

子供「あの子…僕たちに剣なんか向けたく無かったんだよ」

女戦士「分かっている…大人たちの争いに巻き込まれただけだ」

子供「僕たちを裏切ったあの子の方が寂しい思いをしてる…」

女戦士「フフ未来は大人になったな?」

子供「僕…強くなるよ…強くなって争いを止めさせる」

女戦士「悪いのは何だと思う?」

子供「…人間の悪い心」

女戦士「それが魔王だ」

子供「うん…」


ザブ~ン ユラ~



---------------

ローグ「かしらぁ!!やっぱり一人黒の同胞団の奴でした…吐きやしたぜ?」


セントラルの東側の森…地図で言うとココっすね

黒の同胞団の隠れ家があるそうでやんす

奴隷の移送は恐らくそこっすね

あと黒の同胞団の規模がハッキリしやした

全部で10人ぐらいの小さな集団だそうです


女戦士「フフ思った通りだな」

ローグ「どうしやす?森の中だと行ける人数限られやすが…」

女戦士「方向転換だ!!フィン・イッシュに向かってアサシンと合流だ」

ローグ「わかりやした」

女戦士「ローグ…お前は気球に乗って他の海賊共とコンタクトを取れ」

ローグ「あっし一人でやんすか?」

女戦士「適当に他の者を連れて行って構わん…海賊をフィン・イッシュに集結させろ」

ローグ「攻めに転じるんすね?」

女戦士「黒の同胞団を潰せば無駄な争いは無くなる…海賊で黒の同胞団の隠れ家を殲滅するぞ」

ローグ「あの黒の同胞団の奴はどうしやす?」

女戦士「まだまだ喋って貰う…目隠しして捕らえて置け」

ローグ「鬼っすね…」

女戦士「折角捕らえた情報源を逃す物か…目に物を見せてやる外道ども…」


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『北の山麓』


シュゴーーーーー


盗賊「ダメだな…この辺は雪で埋もれて何も見えねぇ」

商人「ケシがいっぱい生えてる所だったよね?」

盗賊「んんんこの辺に何かあるとは思うんだがなぁ…」

女海賊「やっぱシャ・バクダ行った方が良くない?」

情報屋「見て!!あそこにミノタウロスが居るわ?」

女海賊「おっけ!!処理する…」ガチャリ

商人「待って待って…僕に作戦があるんだ?」

女海賊「何さ」

商人「ミノタウロス…いやそれだけじゃ無いキマイラを全部君が使役するんだよ」

女海賊「なんで?倒した方が早いじゃん」

商人「こうだよ…」


5日後に一斉に貴族を襲うように命令するのさ

これで歴史の塗り替えは出来ない筈だ

何度塗り替えてもやっぱりミノタウロスに襲われる


女海賊「へぇ?賢いね…」

商人「出来そう?」

女海賊「そんなんハイディングで近寄れば良いんでしょ?簡単簡単」

商人「シャ・バクダとオアシスに居ると思われるキマイラを全部使役出来るかな?」

女海賊「ミノタウロスだけなら行けるかな」

商人「よし!こうしよう…シャ・バクダの外れで飛空艇隠しておくから君と剣士の二人で行って」

女海賊「オアシスはハイディング出来ないんだけどさぁ…」

魔女「オアシスはわらわが行っても良いぞ?睡眠魔法が使えるでな」

商人「魔女一人は危ないな」

盗賊「俺が一緒に行ってやる…魔女一人なら背負って走れるしな」

商人「じゃぁ夜を待って行動しよう…明け方までに帰って来る感じで」

女海賊「おっけ!!」

『シャ・バクダの外れ』


フワフワ ドッスン


商人「じゃぁ僕たちはここで待ってるから」

盗賊「お前は勝手に出歩くなよ?お前だけでホムンクルスと情報屋守るのは無理だ」

商人「うん…ここから動かないよ」

魔女「早う来い…主が居らんとシカの入手が出来ぬ」

盗賊「んぁ?そうか…オアシス行くのにシカ乗った方が良いか…おし!!急ごう」

魔女「これ!!わらわを背負うと言うたじゃろう…乗せよ」

盗賊「もう乗るんかよ…」

魔女「文句を言うでない」

盗賊「おら乗れ!!走るぞ?」タッタッタ



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商人「どう?古文書の解読は?」

情報屋「全然よ…文字の解読がなかなか進まないの」

ホムンクルス「私に読ませて頂いてよろしいでしょうか?」

情報屋「あら?そうね…ホムンクルスなら直ぐに解読できるかもしれないわね」

商人「情報屋の楽しみ奪っちゃわない?」

情報屋「解読は苦痛よ」

ホムンクルス「お借りします…」パラパラ

情報屋「古文書を全部解読するには想像力が必要になるわ?ホムンクルスに出来るかしらフフ」

ホムンクルス「この書物から読み取れる文字の解読が終了しました…書き写しますのでペンをお貸しください」

商人「早いね…これ僕のメモとペンだよ」

ホムンクルス「少々お待ちください…」カキカキ

情報屋「ウフフ…ホムンクルスは字を書くのが苦手なのね」

商人「絵がすっごい苦手なんだよ」

情報屋「でも大丈夫…意味は分かるわ」

ホムンクルス「文字の種類はおよそ100種類と推定されますが解読できたのは40種類になります」

情報屋「とても助かるわ…ここから想像力が必要なの」

ホムンクルス「解読できた文字を文章に当てはめても私には一部しか意味が分かりません」

情報屋「…はるほど…太陽文字と月文字で意味が逆になる…だから…」ブツブツ

商人「ハハ上手く解読が進むと良いね」

ホムンクルス「お役に立てて嬉しいです」



----------------

商人「…へぇ?超高度AIだけだと動かないんだ」

ホムンクルス「はい…生体の有する神経で情報の伝達をしていますので神経伝達が停止した時点で機能停止します」

商人「エネルギー供給は賢者の石から出来るエリクサーの供給?」

ホムンクルス「血液で循環された微量のエリクサーを還元した時に生じるエネルギーを利用しています」

商人「あーだから超高度AIでシミュレーションするときは顔が火照るんだ…エネルギーが要るんだね」

ホムンクルス「超高度AIの性能は生体の心拍能力に依存しています」

商人「だったらこんなに細い体じゃなくてムキムキの方が良かったね」

ホムンクルス「いえ…生体の維持に余分なエネルギーが必要になりますので小型の方が効率が良いのです」

商人「そっか…じゃぁ君はあんまり鍛えない方が良いんだね」

ホムンクルス「お気になさらないで下さい…著しい筋肉強化で無ければ心臓への負担は軽微ですので」

商人「超高度AIの部分てさ…精霊の石造の中に残されてるんだよね?エリクサーの供給でもう一度動かないのかな?」

ホムンクルス「石は水分を透過しますので経年で酸化していると思われます」

商人「あー錆びてるのかぁ…」

ホムンクルス「超高度AIユニットをどうされるおつもりですか?」

商人「どういう仕組みになってるのか興味が在ってね」

ホムンクルス「とても小型な機械ですので解析するのは顕微鏡が必要になります」

商人「図面とか分かる?」

ホムンクルス「私の絵で良ければメモに描きますよ?」

商人「お願い!描いて描いて」

ホムンクルス「はい…」カキカキ



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情報屋「…地軸の移動…だから古代遺跡が見つからない」

商人「ん?何か分かった?」

情報屋「うん…およそ3000年前に地球の地軸が変わったらしいわ」

商人「地球が回る軸の事?」

情報屋「そうよ?200年くらいの期間をかけてゆっくり軸が変わったと書かれているの」

ホムンクルス「それはポールシフトの事ですね…時期は書かれて居ませんでしたが他の書物にも記録がありました」

情報屋「かつて北極や南極と呼ばれていた場所に当時の文明が埋もれている…だから私達は見つけられないの」

商人「そこって未踏の地の事?」

情報屋「氷と雪に閉ざされて人間が住まう事が出来ない所ね…多くの古代遺跡はそこに眠ってる」

商人「へぇ?君の夢は尽きないね」

情報屋「盗賊が使ってる地図があったわよね?」

商人「…これだよ」パサ

情報屋「この地図を見る方向を変えて…文明が発達しそうな場所は…」

ホムンクルス「文明はおよそ大きな川か海…そして山際に発達します」

情報屋「やっぱり北の山麓周辺があやしい」

商人「残念だけど雪に埋もれているんじゃ探し様が無いよ」

情報屋「そうね…もう少し解読を進めるわ」



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商人「前にさ…人間とホムンクルスの違いの話をしてたけどさ…どのくらい違うの?」

ホムンクルス「犬と猫くらいの差と言えば分かりますか?」

商人「全然違う生き物だよね…それだと子孫が残せないね」

ホムンクルス「商人は私との子孫を残したいのですね?」

商人「いぁ…精霊はどうやって子を産んだのかなってさハハ」

ホムンクルス「人間との子を授かる可能性は非常に低いですが不可能ではありません…しかし奇形種となる可能性が高いです」

商人「そっか…」

ホムンクルス「その問題を解決するには商人が私と同じホムンクルスになれば解決します」

商人「え!?僕がホムンクルスになる?」

情報屋「キ・カイ錬金術では体の一部を人口のホムンクルスに出来るのよ?」

商人「全部をホムンクルスにするのか…記憶はどうなる?」

ホムンクルス「遺伝情報の中に記憶が記録されるそうです」

商人「…されるそうですって…不確実な話?」

情報屋「キ・カイ錬金術では過去に何度も試されているの…でも成功した事が無いのよ」

商人「なるほど…シャ・バクダ錬金術では可能だった可能性がある…それは精霊が子を産んだ事に繋がる」

情報屋「だとしたらホムンクルスとなった精霊の伴侶は何処に行ったのでしょうね?」

ホムンクルス「私の生体は賢者の石で生成されたエリクサーの循環が無いと長く生存出来ません」

情報屋「それなら石になってしまった可能性が高いわね…キ・カイではみんな手足が石になってるし」

商人「でもエリクサーさえ入手出来ればずっと生きて居られるんだね?」

情報屋「あなた…ホムンクルスの体になるつもり?」

商人「僕の命はそんなに長くない…僕が死んだ後ホムンクルスはどうなる?」

情報屋「それは…」

商人「僕が長く生きて居れば寂しい思いをしなくて済む」

情報屋「ウフフあなたずっとホムンクルスと生きて行くと言って居るのよ?それはプロポーズと同じよ?」

商人「う…僕はホムンクルスの管理者さ…最後まで面倒を見る」

ホムンクルス「…」ニコニコ



----------------

女海賊「あぁぁぁ寒かった…」ブルブル

商人「おかえり!!上手く行った?」

女海賊「シャ・バクダの方はあんま変わって無かったよ…ミノタウロスが鎧着て10体くらい居ただけ」

商人「普通に商隊が行き来してるの?」

女海賊「そだね…貴族が街で豪遊してるかな」

商人「占領されたと聞いたからもっと殺伐としてると思ってたよ」

女海賊「全然!!エルフとまだやり合ってるぐらいかな」

剣士「でもミノタウロス相手だと普通の兵隊は手こずると思うよ」

女海賊「オアシス側の兵隊は多分領主の砦で捕虜になってる感じかな」

情報屋「新しいキマイラとかは居ないのね?」

女海賊「私らは見てないけど…魔女達はまだ帰って無いね?」

商人「うん…」

女海賊「あっちは遠いからしょうがないか」

剣士「僕たちもオアシスに行って見ようか?」

女海賊「良いけどもうちょい温まらせて…」ゴシゴシ

ホムンクルス「ウラン結晶に水を垂らしましょうか?」

女海賊「おねがい!!」

ホムンクルス「はい…」ポタポタ ジュゥゥゥゥ

女海賊「はぁぁぁぁ暖か~い」



----------------

タッタッタッタ


盗賊「帰ったぜ!!はぁはぁ…」

女海賊「あ!!今オアシスに行こうと思ってたんだ…どうだった?」

盗賊「早い所フィン・イッシュに行った方が良い…翼を持ったなんだっけ?」

魔女「ハーピーじゃ…老婆と鳥を合成したキマイラじゃな」

盗賊「おう…そいつが何体かオアシスに居たんだ…フィン・イッシュに行ってる可能性がある」

女海賊「歌で使役は済んだ?」

魔女「オアシスに居るのは粗方命令して来た故…早う向かった方が良かろう」

女海賊「おけおけ!ほんじゃ乗って!!」

商人「そのハーピーという魔物は危険なの?」

魔女「そうじゃな…サキュバスと同程度と言えば分かるか?」

女海賊「えええええ!?マジ?それ超ヤバイじゃん隕石落とされる」

魔女「隕石魔法はわらわの師匠が合成されたから出来た術じゃ」

女海賊「ほっ…でもサキュバスみたいに空から魔法撃って来る感じ?」

魔女「わらわも会うた事が無い故確かでは無いが魔術書にはそう記されて居る」

商人「そんなの使役出来る?」

魔女「どうやら知能が低い…よって睡眠魔法がよう効くで対処は可能じゃ」

盗賊「老婆って所がポイントだな…頭ボケてんだヌハハ」

魔女「これ!!大概の事を言う物ではないぞよ?」ボカ

盗賊「あだっ…悪りぃ悪りぃ口が滑った」

魔女「え~から早くよう出発せい!!」

盗賊「へいへい…」

『飛空艇』


シュゴーーーーーー


情報屋「見て!!下!!」

女海賊「白い毛に覆われた魔物の群れ…イエティかな?」

魔女「見せてみよ…」

女海賊「ほい…」

魔女「シーサーじゃな…イエティみたいなもんじゃ」

女海賊「これ雪で住処無くなって南に移動してんの?」

ホムンクルス「恐らくそうでしょう…フィン・イッシュ周辺もシン・リーンと同じ様に地熱がありますから」

女海賊「てことはハーピー以外にも沢山魔物が来てるって事になるね」

情報屋「砂漠に居たリザードマンとかデザートウルフも移動してそうね」

盗賊「逆にシン・リーンみたく賑わってんじゃ無ぇか?」

商人「その理屈だとセントラルは魔物に阻まれてフィン・イッシュを攻めにくいね」

魔女「じゃから空を飛ぶハーピーを使うのじゃな」

商人「僕なら海側から攻めるなぁ」

女海賊「海は光ってる…だから攻めにくい筈…私らの勝ちだよ」

魔女「キマイラを使って陸地を強行して来なければ良いがのぅ…」

女海賊「んん!!?もしかしてお姉ぇが言ってたオークの奴隷ってソレが目的?」

魔女「オークを合成してどんなキマイラが出来るのか知らぬが注意せねばならぬ」

商人「そういえばケンタウロスってさエルフと馬の合成だったよね?」

魔女「そうじゃな…エルフの森南部に少しだけ生息しておるらしい」

女海賊「あのさ…キマイラって歌で使役出来るならあんま怖く無くない?」

魔女「歌で使役出来る秘密を知られてはイカンのぅ」

女海賊「私らだけの秘密にしとこう」

魔女「そうじゃな…他言してはイカンぞ?」



--------------------

女海賊「見つけた!!あそこに飛んでるのハーピーの群れじゃない?8匹!!」

盗賊「どうすんだ?空中戦すんのか?」

女海賊「う~ん…8匹も魔法使われたら飛空艇燃やされるかも」

魔女「ハイディングで近寄れるかえ?」

盗賊「睡眠魔法か?」

魔女「そうじゃ…一気に眠らせる故ハイディングで近寄るのじゃ」

女海賊「操作私がやる…ミスったらハイディングで即逃げすっからね」

魔女「任せる…詠唱するぞよ?」アブラカタブラ クラウドコントロール メスメライズ

女海賊「ハイディング!」スゥ


リリース


女海賊「今!!」

ハーピー「ンギャ!?」バッサ バッサ

魔女「広範囲睡眠魔法!!」モクモク

女海賊「ハイディング!」スゥ

盗賊「眠ったか?」

女海賊「ちょい待ち…距離置いてリリースする…リリース!」スゥ

商人「落ちて行くよ!!」

女海賊「ナーーーーーイス!!」

魔女「雪に埋もれて見えんくなるで追いかけるのじゃ」

女海賊「おけおけ!!」グイ

------------------



商人「こっちだ!!ここに埋もれてる」

盗賊「はぁはぁ…雪かきもラクじゃ無ぇ」ガッサ ガッサ

商人「…これで4体目…魔女!!歌を」

魔女「寝んね~ん寝~♪」

ルルル~♪

ララ~♪

魔女「命ずる!シャ・バクダに帰って貴族を始末するのじゃ」

盗賊「それにしても不細工な魔物だな…乳がブランブランじゃ無ぇか」

魔女「無駄口は後じゃ…次を探しに行くぞよ」

女海賊「お~い!!私4体使役したよ?そっちは!?」

商人「こっちも4体だ!!これで全部だね?」

女海賊「おっけ!!寒いから飛空艇戻ろ!!」



-------------------



魔女「8体使役出来たのは良いが…この様子じゃとシャ・バクダが心配じゃな」

盗賊「もうそろそろ見えて来る筈だがな…雪で地形が分からん」

女海賊「あのさ…ちょい思ったんだけど魔法って建物の中には撃てないじゃん?」

魔女「んん?範囲魔法であれば遮蔽物の向こうに届く魔法もあるぞよ?」

女海賊「それって睡眠とか毒とかでしょ?建物に籠ってたらあんま魔法は意味無いと思うんだよね」

魔女「ふむ…建物を燃やすか爆発させるかじゃのぅ」

女海賊「爆発があんのか…じゃダメか」

魔女「何故そのような事を言うのじゃ?」

女海賊「建物に籠ったらハーピーってあんまり怖くないんじゃないかなってさ」

商人「おぉ!?君賢いね…籠られたら近接するしか無くなるね」

女海賊「そそ…婆ちゃんみたいな体で近接攻撃出来そうになかったからさ」

魔女「それもそうじゃな…不死の体では無い様じゃから物理属性の自爆魔法も出来んな」

女海賊「劣化サキュバスって感じ…あんま被害無い気がする…爆発魔法ってどうやるの?」

魔女「火と水の複合魔法じゃ…もしかするとハーピーはそこまで頭が回らんかも知れん」

女海賊「開けた場所だと魔法は怖いけど木が有るだけで避けられるもんね」

魔女「耳が痛い…」

女海賊「私の予想はフィン・イッシュはなんとかなってると思う」

商人「その理屈だとリザードマンとかシーサーの方が怖いかもね」

『フィン・イッシュ上空』


シュゴーーーーー バサバサ


魔女「ボルケーノの火柱が3つじゃな…飛空艇で近づくのは危険じゃ」

女海賊「少なくても3体はハーピーが居るって見方で良い?」

魔女「うむ…火と風の複合魔法を使う頭はある様じゃ」

商人「1匹見つけた!!城の屋根の上」

女海賊「どうする?使役狙う?」

商人「今は被害が広がらない様に倒すのが先だね」

女海賊「おっし!!任せて」ガチャリ


シュン パーン


女海賊「1匹!!」

商人「あと…どこだ?」キョロ

ホムンクルス「真下です…食料を漁っている様です」

女海賊「おけおけ!見つけた…」シュン パーン

盗賊「すげぇなお前…神だ」

女海賊「女神って呼んで」

剣士「あと1匹!!教会の上!!寄せて…僕が飛ぶ」

盗賊「あのハーピーこっちに気付いてんぞ?」

女海賊「ハイディング上手く使って!!」

盗賊「ハイディング!」スゥ


リリース


女海賊「剣士!今!!」

剣士「宿屋で待つ!!」ピョン

盗賊「行っちまった…俺らどうする?」

魔女「飛空艇を墓地に隠すのじゃ…墓地から剣士を援護するのじゃ」

盗賊「あそこだな?飛空艇降ろすぞ?」


フワフワ ドッスン

『墓地』


盗賊「剣士見えるか?」

女海賊「何アレ…ハーピーってメチャ魔法撃つじゃん」

魔女「火炎弾という魔法じゃ無詠唱で連射出来るのじゃが触媒に羽を使う」

盗賊「剣士も負けて無ぇぞ?弓がそこそこ当たってる」

女海賊「私らも行くよ!!」タッタッタ


ゴゥゴゥゴゥゴゥ ボボボボボ


剣士「魔法が早い!!建物の陰に!!」

女海賊「分かってんよ!!」カチャリ ターン ターン ターン ターン

ハーピー「ンギャーーーーー回復魔法!」ボワー

商人「僕だって!!」バシュン バシュン

ホムンクルス「…」バシュン バシュン

情報屋「当たって」バシュン バシュン

盗賊「うほーーハリネズミか!!」ギリリ シュン

魔女「氷結魔法!」シーン

魔女「なぬ!?反射じゃと!?」

剣士「羽の付け根を狙って!!」ギリリ シュン

ハーピー「火炎弾!」ゴゥゴゥゴゥゴゥ ボボボボボ

盗賊「くっそ中々落ちて来ねぇ…」

女海賊「これサキュバスと同じパターン…なかなか倒せない」


タッタッタッタ


剣士「女海賊…君はアラクネーの毒を集めてたよね?今ある?」

女海賊「持ってる」

剣士「それ麻痺毒だったね?」

女海賊「うん…使って!」

剣士「よし…この毒矢で…」ギリリ シュン グサ

ハーピー「ギュィィィィ」ピク フラ

盗賊「落ちるぞ!!」

剣士「ふぅぅ…」タッタッタ スパ スパ スパ スパ

ハーピー「ギュ…グゥゥ」ピクピク


スパ スパ スパ スパ

『街道』


シーン


盗賊「どうなってんだこりゃ…誰も居ねぇってどういう事よ」

女海賊「建物の中に閉じこもってんじゃないの?」

商人「見て!!この建物の中に人が見える…倒れてるよ」


ガチャガチャ


盗賊「鍵掛かってんな…」

女海賊「これさ…寝てんじゃね?」

魔女「睡眠魔法で民をすべて眠らせて居るのかも知れんな」

盗賊「道理で無抵抗な訳だ…」

女海賊「建物が石で出来てて良かったね…あんま燃えてない」

商人「いや…でも恐ろしい攻撃だね…無抵抗で何も出来ない」

情報屋「シャ・バクダより兵の多いオアシス側が無力化されたのはコレね」

盗賊「これどうすんだ?」

魔女「放って置けば直に目を覚ますじゃろう…門番が寝て居る今の内に城へ向かうぞよ」

商人「勝手に入っても良いのかな?」

魔女「わらわは女王の側近に顔が効くで大丈夫じゃ…付いて参れ」

『フィン・イッシュ城』



魔女「これ!!起きんか!!」パシパシ

側近「うぅぅぅん…はっ!!」パチ

魔女「やっと目を覚ましたのぅ…久しいな側近」

側近「魔女様…これは一体…」

魔女「主らは魔物によって眠らされて居ったのじゃ…いつから寝て居るか分からんか?」

側近「いつから…そうでした…空を飛ぶ魔物が3匹攻め入っていると報告が…」

魔女「ふむ…その様子では分からぬ様じゃな…」

側近「この者達はどなたでしょう?」

魔女「勇者2人とその従士達じゃ…女王やアサシンの仲間と言って良い」

側近「これは失礼な所をお見せしました…私は女王の側近で今は王都を任されている身です」

魔女「女王不在時の代わりじゃな」

側近「空飛ぶ魔物はどうなったのでしょう?」

魔女「案ずるな…勇者達が処理をしたで今の所心配は無い」

側近「良かったです…民の安全は確保されているでしょうか?」

魔女「寝て居る…街は少し荒らされた様じゃが被害は大きく無い」

女海賊「これさぁ…早いとこ皆起こした方が良くない?」

側近「そうですね…皆々を起こして参りますので女王の間にてお休みください」

魔女「では言葉に甘えるとするか…こっちじゃ」

『女王の間』


商人「ひとまずはフィン・イッシュが無事で良かったね」

魔女「そうじゃな…わらわ達が居ればハーピーは対処出来るでのぅ」

盗賊「お前アラクネーの毒なんて隠し玉持ってたんだな」

女海賊「ムフフこんな事もあろうかと!!女神と呼んで」

魔女「しかしハーピーが反射魔法を掛けて居るとは侮って居った…広範囲睡眠魔法なんぞ使うたら皆寝てしまう所じゃった」

商人「奇襲する以外は睡眠魔法は使えないと見た方が良いね」

魔女「うむ…わらわは何も出来ぬ」

商人「次来たらアラクネーの毒で剣士と女海賊に任せるしか無いね」

女海賊「ハーピーがどんくらい来るか分かんないからフィン・イッシュで足止め食らっちゃうね」

魔女「アサシンとエルフゾンビが戻るまでは居った方が良いじゃろう」

盗賊「この国は歓楽の国になったんだからしばらくは歓楽を楽しもうぜ?」

情報屋「歓楽の何を楽しむつもり?」ジロ

盗賊「そらカジノとかいろいろあんだろ?」

商人「カジノかぁ…ホムンクルスはトランプすごい強いんだよ」

盗賊「おぉ!!トランプで荒稼ぎか…そら行くしか無ぇ」

魔女「何をしに来たのかのぅ…」

商人「魔女もちょっと未来を覗けるなら賭け事強いんじゃない?」

魔女「その様に力を使うのは魔術師に反する…わらわは行かんぞ」

女海賊「まぁハーピーは私と剣士でなんとかするから行って来たら?」



-----------------

ガチャリ 


側近「皆様…お待たせいたしました…一同!礼」

近衛達「ハッ!!」礼

側近「街の方へは衛兵を向かわせました…この度はフィン・イッシュをお救い頂き…」

魔女「まぁ硬くならんで良い…まず近況を聞きたいのぅ」

側近「左様ですか…雪が積もり始めて以来北方より来た獣が周囲を徘徊する様になりました」

商人「やっぱり…シーサーだね?」

側近「民兵が集って対処しておりますが人手不足が顕在化している所を空を飛ぶ魔物が参った次第です」

商人「リザードマンとかは来てないの?」

側近「フィン・イッシュを流るる川の上流は温泉地帯となっておりリザードマンが住み着いて居るとの事です」

側近「他にも大型のヘラジカやクマなども温泉地帯を中心に住み着いて居ます」

盗賊「こりゃ狩場に困らんな」

側近「農作物に影響がありますので狩猟の人出を出したいのですが兵が足りないという状況です」

魔女「わらわに良い案があるぞよ?」

側近「討伐して下さるのですか?」

魔女「魔物からの戦利品を国で買い取るのじゃ…そうじゃな…カジノで使えるコインでどうじゃ?」

側近「女王様が不在の状況でその様な事をしても良いのでしょうか?」

魔女「主は不在時の対処を任されて居るのじゃろう?」

商人「戦利品の相場は僕が適正に決めてあげるよ」

盗賊「シーサーの肉は高級料理だぜ?リザードマンは鱗が高く売れる」

商人「そうだね…キ・カイだともっと高く売れるよ…毛皮も色々獲れそうだな」

側近「分かりました…早速告知を出そうと思います」

商人「よし!買取品目を紙に書いてまとめる!!」

側近「はい…よろしくお願いします」



------------------

側近「皆様がお休みになられるお部屋をご準備致しました」

魔女「いつもの客室で良いが?」

側近「客室はセントラルの王室の方々が利用されていますので女王様が昔使っていました塔の方へご案内します」

魔女「およ?書物庫の上かえ?」

側近「ご存じで?」

魔女「おぉそちらの方が良いのう!見晴らしも良い」

情報屋「私も書物に興味があるわ?」

魔女「シン・リーンの読み物もすべて揃っておるぞ?書物の量は世界一かも分からん」

ホムンクルス「私も読んでよろしいでしょうか?」

魔女「すべて暗記して良い…主は又賢くなるのぅ」

盗賊「俺ぁ本になんか興味無ぇ!!商人!!カジノ行くぞカジノ!!」

商人「あぁ…相場を調べないとね」

側近「城内は一部を除いて一般の民は自由に出入り出来ますのでご自由に過ごして下さい」

盗賊「なんちゅーザルな城なんよ…」

魔女「近衛の目が光っておるで意外と何も出来んのじゃぞ?…ここの近衛はサムライじゃけの」


『姫の部屋』



側近「何かありましたらご連絡致しますのでごゆっくりお休みください」ガチャリ バタン

女海賊「おぉ!!ハーピー来てもこっから狙撃出来んじゃん」

魔女「睡眠魔法が効かん様にわらわは魔結界を張って来る」

女海賊「うわぁ何コレ…この服は女王の趣味?」

魔女「女王はちと変わった趣味をしておる…馬鹿にしてはイカンぞ?」

商人「それ着ぐるみ?」

女海賊「コレ欲しいかも…あ!!バニーまである!!ええええ!?何これカエルの着ぐるみ?」

盗賊「おま…そんなん着て歩くんか?」

女海賊「ちょちょちょ…アレもコレも…え?マジ?」

盗賊「ヌハハお前の上を行く奇抜な女が居たか!!」

魔女「この国ではそのような格好は普通じゃ…街を歩く民は皆謎のファッションをしておる」

盗賊「こりゃカジノ行くのが楽しみになって来たな…行くぞ商人!!」

商人「ハハ…うん」



---------------



女海賊「ホムちゃんこっち向いて?」

ホムンクルス「似合いますか?…」

女海賊「ギャハハハハハ…全然合わない…ウハハハハ」

情報屋「ちょっと…筋肉の着ぐるみはさすがに…」

女海賊「マッチョになったじゃん…クックック」

ホムンクルス「喜んでもらえて嬉しいです…」ニコ

女海賊「ちょ…笑顔にならないでブハハハハハ」

情報屋「ぷっ…ギャップが…ウフフ」

女海賊「次コレ着てみよう!!」


ギャハハハハ

ウフフ

『翌日』


盗賊「ぃょぅ…」トボトボ

情報屋「朝帰り?」ギロ

盗賊「手持ちのカネ全部スッてきた…寝る」

商人「ハハハ…でも情報の収穫もあったんだよ?」

情報屋「何?」ジロリ

商人「近くの銀鉱山の廃坑に色んな動物が居付いてるんだって」

情報屋「ふ~ん…で?」ジロ

商人「負けた分は取り返さないとね…ハハ」

情報屋「剣士と女海賊はハーピー探しに出かけたわ?あなた達は?」

商人「ちょっと休んだら僕たちも狩りに出かけるよ…まぁまぁ怒らないで」

情報屋「怒ってなんか無いわ?呆れてるだけよ…やっぱり人間ってダメね」

商人「まぁそう言わないで」

ホムンクルス「書物からいくつかのポーションの作り方を学びました」

情報屋「ほら?ホムンクルスも仕事しているのよ?」

ホムンクルス「エリクサー以外にも石化を治せるポーションがある様です」

商人「へぇ?」

ホムンクルス「川の上流にある温泉は恐らくラドンを含んでいると思われますので付近に毒キノコが生息している筈です」

商人「毒キノコを採って来れば良いんだね?」

ホムンクルス「毒キノコを日の当たらない暖かい地下等で育成出来ればポーションを大量に作る事が出来ます」

商人「おぉ!!確かフィン・イッシュには地下墓地があったね」

ホムンクルス「それは良い条件ですね…毒キノコは2~3日で成長しますので沢山採って頂きますと一気に増やせます」

情報屋「盗賊!?仕事よ!!」ユサユサ

盗賊「んあぁぁあと1時間寝かせてくれ」

商人「僕も1時間だけ寝かせて」

情報屋「もう!!コレだから…」プン



-----------------

魔女「ホムンクルス…主だけ留守番かえ?」

ホムンクルス「はい…皆さんお出かけになられました」

魔女「う~む…わらわはどうしようかのぅ…」

ホムンクルス「私は地下墓地という所を見てみたいのですが案内して頂けませんか?」

魔女「良いが…地下墓地なんぞで何をするつもりじゃ?」

ホムンクルス「ポーションを作るためのキノコを育成出来ないかと」

魔女「ほう…錬金術の書物を読んだのじゃな?」

ホムンクルス「はい…近場に生息する毒キノコからエリクサーに変わる石化治癒のポーションが作れるのです」

魔女「それは良いな…わらわもキノコやハーブの育成は興味があるで共に行こうぞ」

ホムンクルス「よろしくお願いします」

魔女「しかし主が錬金術とはな」

ホムンクルス「私は魔法が使えませんので錬金術ならお役に立てるかと思いました」

魔女「もしかすると主は錬金術を極められるかも知れんのぅ…材料の組み合わせの予測は得意そうじゃ」

ホムンクルス「他の書物も読みたくなりますね」

魔女「それが楽しみじゃ…キノコが育つのを待つのも楽しみになるで大事にせいよ?」

『地下墓地』


ピチョン ピチョン


魔女「雪が浸みて丁度良い湿度じゃな」

ホムンクルス「篝火を置けば保温も問題ない様ですね」

魔女「光は要らんのか?」

ホムンクルス「毒キノコは有機物の分解で成長しますので光は篝火で十分です」

魔女「ふむ…ここをゴミ捨て場にするんか?」

ホムンクルス「砕いた木材や骨を撒けば良いかと」

魔女「いくらでも余っておるな…」

ホムンクルス「わたしは此処で作業しますので魔女様はお帰りになってよろしいですよ?」

魔女「側近に言うて手伝える者を手配してもらうよって待っておれ」

ホムンクルス「はい…ありがとうございます」



『姫の部屋』


ガチャリ バタン


女海賊「あれ!?魔女だけ?」

魔女「皆出かけて居る」

女海賊「ホムちゃんも?」

魔女「ホムンクルスは地下墓地で土を弄っておるな」

女海賊「なんでまた土いじりなんかやってんのさ」

魔女「キノコを育てる言うてな…自分で言い出したのじゃ…やらせておくが良い」

女海賊「シーサー狩って来て肉料理あんだけどさ…どうすっかな」

魔女「ほう?珍しい肉じゃな」

女海賊「城の料理師が喜んで調理してるよ」

魔女「ハーピーは居らんかったんか?」

女海賊「2匹居たけどシャ・バクダに追い返した」

魔女「主らは余裕じゃな」

女海賊「アラクネーの毒矢一発で落ちて来るから全然余裕」

魔女「そうじゃ…地下墓地でアラクネーを増やせんか?」

女海賊「お!?イイね」

魔女「アラクネーは大人しいクモじゃで良い獣避けになる」

女海賊「おけおけ!ちっと2~3匹放してくる」



---------------

女海賊「ほんじゃ剣士まだ狩りしてるからもっかい行ってくんね」

魔女「忙しそうじゃな?わらわも行くかえ?」

女海賊「来てくれると助かる…なんか川沿いの雪が無い所に根菜植えてるんだけど色んな動物が荒らしにくんの」

魔女「民兵は何をしとるんじゃ?」

女海賊「シーサーうろついてるから守り切れて無いのさ」

魔女「シーサーを狩るのじゃな?」

女海賊「そだね…メチャ強いよ?イエティの強化版って感じ」

魔女「剣士は一人で狩っとるんか?」

女海賊「弓の練習やるってさ…木に登って弓撃ってる」

魔女「ふむ…ではわらわは回復役じゃな」

女海賊「民兵が結構怪我してるから回復貰えると良い」

魔女「では行くかのぅ…」ノソ



----------------



盗賊「戻ったぜ~い!よっこら…」ドサリ

商人「あれ?誰も居ない…何処行ったんだろ」

情報屋「盗賊!怪我見せて?処置するわ…」

盗賊「あ~どって事無いぞこれぐらい」ツツー

情報屋「回復魔法のエンチャント角持って居て良かったわね」

盗賊「ちっと寝かせてくれい…」グター

商人「収穫良かったね!リザードマンの皮2匹分…それから爪」

盗賊「それで良い防具が作れそう…鱗傷んで無い?」

商人「大丈夫!鉄みたいに硬いよ」


ガチャリ バタン


ホムンクルス「皆さんおかえりなさい」

商人「ああああ!!どうしたのそんなに泥だらけで…怪我もしてるじゃないか!!」バタバタ

ホムンクルス「地下墓地で少し作業をしていました」

情報屋「怪我の処置してあげるわ?こっちに…」

ホムンクルス「大丈夫です…出血は微量ですので賢者の石で直ぐに回復します」

商人「作業って毒キノコの育成の為?」

ホムンクルス「はい…栽培用の土壌を作っていました…毒キノコは採って頂けましたか?」

盗賊「そこに置いてあるぜ~袋ん中だ」

ホムンクルス「沢山採れましたね…早速栽培して来ます…う~ん」グイ

商人「あぁ!!持つよ…これ重いから」ヨッコラ

情報屋「私も手伝うわ?」

ホムンクルス「ありがとうございます…こちらです」スタ

『地下墓地』


ピチョン ピチョン


商人「うわ…暖かい」

情報屋「本当!ここの方が快適じゃない!」

商人「ここの土は…木屑と骨粉?…これみんな君がやったの?」

ホムンクルス「衛兵の皆さんにお手伝いして頂きました」

商人「すごいな…毒キノコすぐに育ちそうだ」

ホムンクルス「はい!」ニコ

情報屋「これどうすれば良いのかしら?」

ホムンクルス「毒キノコを細かく刻んで10センチメートル置きに埋めます」

情報屋「分かったわ…どのくらいの大きさに刻めば?」

ホムンクルス「出来るだけ細かく沢山が良いですね」

情報屋「じゃぁ私が刻んで行くから2人で埋めて来て?」

商人「うん!!僕は奥から埋めて行くよ」



---------------



情報屋「ふぅ…これで最後っと…」

商人「良く見ると虫が沢山居るね」

ホムンクルス「地生昆虫ですね…人間には無害ですのでお気になさらず」

商人「これ女海賊喜ぶかもね?」

ホムンクルス「もうご存じですよ?アラクネーを放して行かれました」

商人「という事はアラクネーも食べ物に困らないんだ?」

ホムンクルス「そうですね…昆虫の死骸も毒キノコの良い養分になります」

情報屋「なんか育つのが楽しみね」

ホムンクルス「はい…」ニコ

『姫の部屋』



盗賊「んがががが…すぴーーー」

商人「やっぱり城の中は僕らに合わないかもなぁ…」

情報屋「そう?落ち着いて良いじゃない?」

商人「なんかいつもは宿屋と酒場が拠点だからさ…どうも噂が聞けないっていうか」


ガチャリ


魔女「おぉ!!帰っておるな?祭りじゃ…主らも来い」

商人「お?急にどうしたの?」

魔女「剣士が狩ったシーサーの肉を女王の側近が街で振舞っておってな…急に祭りになり居った」

情報屋「面白そうね?」

魔女「これ!!起きろ!!」ゴン

盗賊「ぬぁ…んーだよ!!疲れてんだよ…」

魔女「酒が飲めるぞい?」

盗賊「…」

魔女「街の酒場周辺で祭りじゃ…剣士と女海賊はもう行っておる」

盗賊「マジか…タダ酒だな?」

魔女「女王の側近の振る舞いじゃ…セントラルの王室の者も隠れで行って居る」

商人「ハハ…祭りだね」

盗賊「おっし!!気合入れて行くぞ」ガバ

『酒場のある広場』



ワイワイ ガヤガヤ

酒無いよぉぉ!!ヒック…

なんだ!この肉…羊の肉のが旨いじゃねぇか!!

長生きするんだってさ~

シーサーを弓で狩ったんだってよ?

お兄さんパフパフして行かない?

俺の筋肉バカにしてんのか?

ワイワイ ガヤガヤ



盗賊「みんな立ち飲みかよ…」

女海賊「お!?みっけみっけ!!シーサーの肉だよ…ほい」

盗賊「おぉ女海賊!!コレ座る所無ぇんか?」

女海賊「その辺の樽適当に使って良いみたいよ?」

商人「いやぁぁそれにしても女の人が多いね…男の人の倍ぐらい居る」

女海賊「セントラルから来た人っしょ?」

盗賊「もうちょいしたら船で帰って来るんじゃ無ぇか?…それにしてもこの肉硬ぇな…んぐぐ」ガブ

魔女「移民が増えると良いのぅ」

盗賊「間違いなく増えるぜ?シン・リーンより資源が多いからな…海も山も川も鉱山もある」

魔女「そうじゃな…冒険者が増えれば良い国になりそうじゃ」

盗賊「ほんで剣士はシーサー何匹狩ったんだ?」

女海賊「4匹だね…全部女王の側近に寄付したんだよ」

商人「剣士は?」

女海賊「向こうの方で近衛達と立ち合いやってるよ…いつもの奴だね」

情報屋「なんかみんなバラバラね…そういう国なのねフフ」

盗賊「やれる事が多いんだなこの国は」

商人「貴族も居ないし王族だってこの硬い肉食べてるし…変な国だね」

盗賊「酒が無ぇんだがよ…どうなってんのよ」

ホムンクルス「瓶を2本お持ちしました…あちらで配っています」

盗賊「おぉ!!瓶ごと飲む感じだな?頂くぜ!」グビグビ

商人「君も飲んでみたら?」

ホムンクルス「はい…」グビグビ

商人「ちょちょちょ…ゆっくり飲もう」

ホムンクルス「ぷはー…はい」ニコ



-----------------

女海賊「ハーピーあれっ切り来ないんだけどさぁ…どうなっちゃってんの?」

商人「もしかしたら向こうはもう手詰まりかもね」

女海賊「もう来ない感じ?」

商人「ここに来る途中で8匹のハーピー追い返したよね?あれは歴史の塗り替えの悪あがきじゃないかな」

魔女「そうじゃな…やはり主は賢いのぅ」

商人「ミノタウロスとハーピーに追い立てられて貴族は全滅するんだよ…それを変える為にこっちにハーピーを飛ばす余裕もない」

女海賊「なんか良く分かんないなぁ」

商人「塗り替えが出来ないぐらい勢力が弱まってるのさ」

魔女「ミノタウロスとハーピーが一気に来る様ではよほどの戦力が無いと対処出来ぬ」

商人「そうだね…まさか一気に来るとは思って無いし塗り替えも時すでに遅し」

魔女「攻めに転じる所なんじゃがのぅ…」

商人「貴族院の指導者が居なくなったと仮定すると黒の同胞団の動きは鈍化するね」

盗賊「まぁ落ち着いて情報集めて置いた方が良いんじゃ無ぇか?こっちも今バラバラなんだし」

商人「そうだね…まずアサシン達と合流だね」



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情報屋「ねぇ海側の空に気球が飛んでるわ」

盗賊「んん?4つだな…割とでかい気球だぞ?」

魔女「アサシンらが帰って来たかもしれん」

商人「丁度良かったね…これからの事を決めたかった」

盗賊「折角祭りの最中だってのによ…もう城へとんぼ返りか?」

魔女「主らはここに居っても良いぞ?わらわが先に帰って話しておくで」

盗賊「しかし…気球4つで守備固めててもハーピー来たら危なく無ぇか?」

女海賊「ちょいどいて!!私が望遠鏡で見張っとく」

魔女「ちとアサシンの目を覗いてみる…千里眼!」

盗賊「どうよ?」

魔女「何も起きて居らんな…心配しすぎじゃ」

女海賊「なんか明後日の方向を指さしてんね?何やってんだろ?」

魔女「ふむ…離れの島を見て居る…何じゃろうのぅ」

盗賊「どうやら真っ直ぐこっちに向かってる感じじゃ無ぇな…」

情報屋「近隣の村の状況を見て居るのかも知れないわね」

女海賊「私望遠鏡で見張っとくから魔女は戻っても良いよ」

魔女「そうじゃな…戻って待つとする」ノソリ



------------------

盗賊「よぉ剣士!!立ち合いは終わったんか?」

剣士「立ち合いというか決闘だったよ」

盗賊「なぬ!?真剣使ってんのか?」

剣士「うん…寸止めだけどね」

盗賊「一歩間違ったら大怪我じゃスマンぞ」

剣士「この国の近衛は本当に強い人ばかりだよ…魔女と同じ様に少し時空の先に居る」

盗賊「サムライだな?」

剣士「シノビの人は僕と同じラグスイッチも使うんだ…分身している様に見えるんだね」

盗賊「なんじゃそりゃ?」

剣士「あぁ…盗賊は知らなかったか…」

盗賊「まぁ元は軍国だしな剣豪が多いってのは有名だ…ほんで勝てたのか?」

剣士「なんとかね」

盗賊「すげぇじゃねぇか!!」

剣士「僕の刀の残像に惑わされて手を出しにくいらしいよ」

盗賊「おーそれ俺も気になってたんだよ…光の残像ごと切って良いか迷うんだ」

剣士「魔女は魔法の反射効果だって言ってたんだけどね」

盗賊「殺気も反射してるってかヌハハ」

剣士「殺気…そうか人は知らず知らず魔法で感知してるのかも知れないな…」

盗賊「殺気は目を閉じてても分かるぞ?音が無くても分かる…なんでだ?」

剣士「分かった…時空の繋がりだ…これを感知しにくくしてるのか」

盗賊「訳分かんね…」

剣士「ちょっとやってみる?」

盗賊「止めとく止めとく!!こんな所で刃物振り回したら近衛がすっ飛んでくんぞ?」

剣士「ハハそうだね…」



----------------

情報屋「大丈夫?結構飲んでいる様だけど…」

ホムンクルス「脳内ドーパミンの放出量を観測しています…ひっく」

商人「もうダメだよ…顔が真っ赤だ」

ホムンクルス「アルコールの分解で代謝を良くするための反射です…お気になさらず…ひっく」

女海賊「ホムちゃんそろそろ帰ろっか」グイ

ホムンクルス「はい…」ヨタヨタ

盗賊「こんだけで千鳥足か?」グビ

情報屋「あなたと違って体が小さいのよ!!」

盗賊「俺はまだ飲んで行きたいんだけどよぅ…焚火囲んでみんなで酒とか最高じゃねぇか」


ワイワイ ガヤガヤ

飲んじゃって~吐いちゃって~なんちゃって~♪

飲め~飲め飲め飲め~♪

あなた~♪おまえ~~♪ふたり~の恋慕情~♪

ワイワイ ガヤガヤ


黒服「だんなぁ!!良い店紹介しますぜ?」

剣士「え!?僕?…」

黒服「パフパフし放題の良い店があるんですよ!だんなぁ!!」

女海賊「パフパフって何さ?」

黒服「パフパフと言ったらパフパフしか…てだんなぁ?女連れ?」

女海賊「女連れじゃダメなの?」

黒服「いやいや…」

盗賊「こいつら何も知らねぇんだ勘弁してやってくれぇ」

情報屋「はいはい帰るわよ」グイ

盗賊「おい!俺はまだ飲んでくって…」

情報屋「明日も仕事があるのよ?早く帰って明日の準備!!」

盗賊「マジかよ…おい剣士も何か言ってくれぇ」

剣士「ハハ…」

女海賊「あんたも帰るよ!!」

『翌朝_姫の部屋』


魔女「まだ寝て居るかも知れんが…」


ガチャリ バタン


盗賊「んがぁぁぁぁ…すぴーーーー」

情報屋「あら?アサシンいつ戻ったの?」

アサシン「深夜にな…昨夜は楽しんで居た様だな」

女海賊「女王とエルフゾンビは?」

アサシン「女王は政務でちと手が離せん…エルフゾンビは精霊の御所に発つ準備をしている」

女海賊「え?もう行っちゃうの?」

アサシン「精霊樹の事を心配しているのだ」

女海賊「これからの事を相談したかったんだけどさぁ」

アサシン「まずはフィン・イッシュの安定化だ…あと2日程で避難民を乗せた船団が到着する」

女海賊「じゃもうちょいここに居る感じ?」

アサシン「そうなるな…女戦士が救出する奴隷オークの件もある…1000人程と聞いたが受け入れの準備も必要だ」

女海賊「お姉ぇもいつこっちに戻って来るか分かんないもんなぁ…」

アサシン「連絡してみてはくれんか?」

女海賊「おけおけ…後で話してみる」

商人「エルフゾンビは一人で精霊の御所に?」

アサシン「実は私も自分の資産がどうなってしまうのか気になって居てな…一度戻りたいのだ」

魔女「女王の相談役はもう良いのか?」

アサシン「政務に口出し出来る事はもう無い…軍の構成もセントラル国王が居ればなんとかなる」

商人「セントラル国王?」


アサシン「うむ…彼は元々軍属なのだ…少数精鋭を引き連れてフィン・イッシュ守備隊を指揮する事になるだろう」

商人「国王が守備の指揮っておかしくない?」

アサシン「国王が申し出たのだ…フィン・イッシュ女王は政務を担当し軍部はセントラル国王が率いる」

商人「なるほど!!立場上いつでもフィン・イッシュを支配下に置けるという形か」

アサシン「そうだな…しかし国王は女王に惚れこんでしまって居てな…裏切る事は無いだろう」

魔女「それでなにやら調印の義を交わしておったのじゃな?」

アサシン「婚約という形だな…成婚まではもう少しかかると思われる」

商人「王同士の婚姻て前代未聞だね…国は統合しちゃう?」

アサシン「さぁな?しかしセントラルは国王以外の統治者を置いて主権国家を維持した方が良いだろう」

商人「貴族の中に良い統治者が居れば良いけどねぇ…」

アサシン「それだ!その件なのだが…魔女から話は聞いたがシャ・バクダに逃亡した貴族は全滅と見て良いのか?」

商人「これからだね…明日か明後日には結果が出る」

アサシン「やはり私はエルフゾンビと共にオアシスに行かねばならんな…」

魔女「2人で行っても何も出来んと思うがのぅ…」

アサシン「エルフゾンビは精霊樹を守る為に他の国の介入が無いようにしたいらしい」

商人「独立させたいんだね?」

アサシン「黒の同胞団と貴族達の影響力が無くなれば元の独立自治区にはなるだろうが…」

盗賊「それがお前の仕事だろ?今なら生き残ってるクソったれ貴族を暗殺出来んじゃねぇか?」

情報屋「あなた聞いて居たの?寝てるかと…」

盗賊「やっとまともな盗賊ギルドの仕事になりそうだな?俺は盗み…お前は暗殺…情報屋が密偵」

アサシン「言いにくかったのだが強力して貰えるか?」

盗賊「もともとシャ・バクダは盗賊ギルドの庭だ…奪われた物は返して貰わんとな」

アサシン「よし!女王に別働の話をして来る」



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”お姉ぇ!!聞こえる?”

”…どうした?”

”あ~やっと通じた!”

”済まんな…狭間の中に居る間はなかなか気付けんのだ”

”私ら今フィン・イッシュに居んだけどさ?お姉ぇいつこっちに来る?”

”4日程だな”

”奴隷船の行先を調査するとか言ってたやつはどうなったん?”

”あぁ連絡して居なかったな…黒の同胞団の隠れ家と思われる場所を特定した…一度海賊をフィン・イッシュ沖に集める予定だ”

”マジ!?隠れ家って…”

”お前が言っていたエルフの森南部だ”

”やっぱり…森の中だったら海賊行けないじゃん”

”黒の同胞団と繋がりがある男が言うには10名程しか居ないらしい”

”お!!情報源確保したの?”

”すべてしゃべらせた…まだ何か知って居るかも知れんが海賊の拷問に耐えられず昏睡してしまった」

”うわ…鬼だね”

”アサシンはそちらに戻って居るのか?”

”うん…昨日戻って来たよ”

”海賊船が近海で集結すると伝えて置いてくれ”

”おけおけ…あ!!お姉ぇにお土産あるよ?”

”ん?もしかしてオリハルコン原石を手に入れたのか?”

”ビンゴ!!メチャでかいよ…ほんでちっこい結晶も埋まってるから光の石に出来そう”

”それは楽しみだな…”

”未来は元気にしてる?”

”フフ随分大人になった…会って驚くなよ?」

”うん…待ってる”



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ガチャリ バタン


盗賊「おぉぉぉ!!嬢ちゃん…元気そうだな?」

女王「皆さん…挨拶が遅れて申し訳ありません」

女海賊「何年振り?8年?」

女王「はい…皆さんお変わりなく…本当に皆さんにはお世話になってばかりで…」

盗賊「いやいや嬢ちゃんの方こそ良く頑張ったなぁ?良い国になったじゃ無ぇか」

女王「皆さんのお陰です…ご活躍ぶりはアサシン様から聞いて居ます…何かお礼をと言いたいのですが私の資産は何も無くてその…」

魔女「フィン・イッシュ女王はな…個人の資産をすべて民に与えて居るのじゃ…宝物庫も空じゃ」

盗賊「俺は酒があれば良い」

商人「だから城は一部を除いて一般の民が何処にでも行けるんだ?」

女王「そうです…私は民を信頼していますので」

魔女「この国は民の善意による寄付によって成り立って居るのじゃが…その寄付もすべて貧しい民に分け与えて居る」

商人「シーサーの肉で祭りになったのはそういう事か」

盗賊「それでも滅亡寸前から8年でここまで復興するのはすげぇぞ!」

女王「私に出来るお礼は手料理を振舞う事くらいです…お食事を用意しましたのでお召しになって下さい」

女海賊「良いね!!丁度朝食取りたかったさ」

商人「ハハ女王の手料理ってすごくない?」

情報屋「そうね?他の国では無い事ね」

女王「食堂までご案内致します…こちらです」

『食堂』



情報屋「珍しい食材ばかり…」

女王「大根と人参、じゃが芋の煮つけ…それから卵焼きと焼き魚」

剣士「おぉ!!おいしそう!!」

女海賊「アハハ剣士は根っことか大好きなんだよ」

女王「私が畑で育てた野菜です…お召上がり下さい」

盗賊「なんつうか繊細な味わいだな…」ムシャムシャ

商人「雪が続くと野菜は高騰するよね」モグ

女王「根菜は雪が降っても収穫出来るのです…白菜という野菜もありますよ?」

商人「これさ…キ・カイで高く売れると思うよ」

女王「ご助言ありがとうございます」

盗賊「やっぱこの国は資源が豊かだな…雪降っても野菜が育つのはデカい」

商人「そうだね…ホムンクルスが育ててる毒キノコもポーションに出来るしね」

女王「その件ですが私にも教えて貰えませんか?」

ホムンクルス「はい…よろこんで」ニコ


ガチャリ バタン


アサシン「ここに居たか…探したぞ」

女王「アサシン様…もう行かれるのですか?」

アサシン「エルフゾンビが早く出立したいと言って居るのだ」

盗賊「マジかよ…」

情報屋「私は荷物が古文書の写ししか無いからいつでも行けるわ?」

盗賊「俺も何も無いっちゃ無いんだが…しょうが無ぇ飯食ったら行くわ」

アサシン「酒は積んであるから安心しろ」

盗賊「お!?じゃ行くか!!」

女王「シャ・バクダが落ち着いたら又ご連絡下さい」

アサシン「済まないな…バタバタしてしまって」

女王「行方不明にならないようにお願いします」

アサシン「フフ分かっている…では行って来る」

『貨物用気球』



案内人「乗ってくれーい!!」

盗賊「お!?気球の操舵はお前か!!」

アサシン「今では出世して女王専属の案内人になったのだが無理を言って来てもらったのだ」

盗賊「ほーー女王専属たぁすげぇな」

案内人「早く乗ってくれぇ…エルフゾンビがへそ曲げちまう」

アサシン「済まん済まん…待たせたな」

エルフゾンビ「遅いぞ…」グビ

案内人「飛ばすぞ~!!」


フワフワ


アサシン「さて私も少し飲むか…」

盗賊「俺にもくれぃ」

情報屋「まだ朝なのに…」

盗賊「この気球は貨物用なのに武装してんだな…縦帆まで付けてるじゃねぇか」

アサシン「一応女王の気球を護衛する為に改造してある…外から見て武装している様には見えんだろ?」

エルフゾンビ「爆弾まで搭載しているぞ?」

情報屋「それならハーピーと出くわしても安心ね」

アサシン「魔女から聞いては居るが出会いたくは無いものだな」



---------------

ビョーーーーウ バサバサ


情報屋「案内人は前にシャ・バクダの北の山麓に領事を案内したと言っていたわよね?」

案内人「ミノタウロスが居る辺りだった筈だ」

盗賊「そこら辺にはこないだ行って来たんだ…雪に埋もれて何も見つけられんかったのだが…」

情報屋「地図で言うとどの辺り?」バサ

案内人「そんなに難しい場所じゃ無い…道沿いに行った山麓…この辺だな」

盗賊「んんん合ってんな」

案内人「小屋がある…そこまで案内した」

盗賊「間違い無ぇな?ぼろい小屋もあったがあやしい場所なんか無かったぞ?」

案内人「それ以上俺には分からん…」

情報屋「ダメね…手詰まりね」

案内人「狭間がどうとか言ってた気がするんだが…何の事だか?」

盗賊「なぬ!?」

情報屋「狭間に隠してる…そういう事ね?」

盗賊「てことは空からじゃ見つけられんな」

案内人「俺は小屋の前で待って居たから詳しい場所まで知らん」

情報屋「徒歩で探すしか無さそうね?」

盗賊「誰かが出入りして居るなら足跡ぐらいは見つけられるかもな」



----------------

アサシン「今の話は貴族達の行先の事か?」

盗賊「シャ・バクダには貴族が行って快適な場所じゃ無いだろ?遊ぶには良いだろうがな」

情報屋「私達の知らない古代遺跡の様な場所があるかもしれないという話よ」

アサシン「なるほどな…そこなら安全な訳か」

盗賊「しかし食料とかどうすんだろうな?」

情報屋「錬金術が出来るなら石から食料を生むのも可能かもしれない」

盗賊「錬金術は何でも出来んだな」

情報屋「キ・カイでは失敗が多くて採算が合わないそうよ…なんでも材料の配分が重要だとか」

アサシン「配分?」

情報屋「そう…魔女が言ってた錬金術の特殊な器具はきっと重さを測る天秤の事よ」

盗賊「天秤なんか誰でも作れんだろ」

情報屋「錬金が成功する重さを測る天秤だとしたら?…吊り合えば必ず成功する」

アサシン「クックック…シャ・バクダ王家の紋様は天秤なのだが繁栄した秘密はソレか」

情報屋「キマイラを量産できたのもそれが理由だと思うの」

エルフゾンビ「そんな危ない物を黒の同胞団に使わせてはいけないな」

『オアシス上空』


ビョーーーーウ バサバサ


情報屋「シャ・バクダの方向で火が延焼してる…」

アサシン「オアシス側は戦闘になって居ない様だな」

盗賊「この間オアシスに来た時はセントラルの衛兵がうろついていたぜ?」

エルフゾンビ「私はまず精霊の御所へ向かいたい…精霊樹が被害を受けて居ないか心配だ」

アサシン「ふむ…気球をどうするかなのだが…」

エルフゾンビ「御所の入り口直ぐ近くに林がある…そこに隠せ」

アサシン「ひとまずの拠点はそこになりそうか?」

盗賊「なんとか星の観測所を奪取してぇな」

アサシン「状況を一度見極めたい…エルフゾンビは精霊樹と話せるのか?」

エルフゾンビ「聞いてみる」

『御所の入り口_林』


フワフワ ドッスン


エルフゾンビ「よし!ここには被害が及んでいない…精霊樹に話しかけて来る」タッタッタ

盗賊「俺らどうする?」

アサシン「エルフゾンビを待つしかあるまい?5人しか居ないのだ…別行動はしない方が良い」

情報屋「エルフゾンビの後を追いましょう」

アサシン「うむ…」

盗賊「雪ん中あんまり出歩きたくないが…」

アサシン「忘れていた…お前たちは生身の人間だったな」

情報屋「ほら?早く行かないと置いて行かれるわ?」


ギュ ギュ ギュ ギュ


エルフゾンビ「…」

情報屋「あまり雪は深く無いけど…やっぱり寒いわね」

盗賊「ランタンで暖まるか?」チッ シュポ

情報屋「無いよりはマシね…」

アサシン「ワイン飲むか?」

盗賊「おぉありがてぇ!」グビ

情報屋「ワインはいつも持ち歩いて居るの?」

アサシン「不死者の体では喉が渇くのだ」


エルフゾンビ「エルフがシャ・バクダの砦を襲っているらしい」


アサシン「何?なぜエルフが絡む?」

エルフゾンビ「話せば長くなる…」

盗賊「どうした?顔色がおかしいぞ?」

エルフゾンビ「気にするな…エルフ狩りでエルフが捕らえられて居るらしい」

盗賊「ミノタウロスとハーピーの他にエルフにも襲われてんのか…現場は地獄だな」

エルフゾンビ「とにかく精霊樹の無事は確認できた…様子を見に行こう」

盗賊「星の観測所は通り道になる…ちと通って行くぞ」

アサシン「…」---様子がおかしい---

『星の観測所』


ガヤガヤ メラ パチ

うぅぅぅ痛てぇ…

誰か来るぞ?

避難者だろ…



盗賊「衛兵が居ねぇ…どうなってんだ?」

男1「お前等何処から来たんだ?ここは一杯だぞ?」

盗賊「ちっと温まらせてくれ…おー寒ぶっ」

男1「温まる分には良いが何も無いぞ?」

盗賊「こりゃみんなシャ・バクダから避難してんのか?衛兵は何処行った?」

男1「変な奴だな…オアシスの方には伝わって居ないのか?」

盗賊「何の事だ?」

男1「反乱だよ…セントラルが小間使いしていたミノタウロスとハーピーが反乱を起こした」

男2「知らないという事は随分遠くのオアシスから来た様だね?」

盗賊「まぁな?火が見えて見に来たって所だ」

アサシン「見た所商隊が避難している様だが?」

男1「シャ・バクダが混乱していてバラバラに避難しているんだ」

情報屋「じゃぁここは避難所に?」

男1「今の所はそうなっている」

アサシン「…」

盗賊「どうやら集合はここでも良さそうだな?商隊が居るって事は食い物もありそうだ」

情報屋「風が凌げるだけマシね」

盗賊「俺はハイディング使えるからちっと砦の方を見て来る」

アサシン「そうだな…では私とエルフゾンビでシャ・バクダを見て来るとするか」

情報屋「じゃぁ私と案内人はここで情報集めておくわ?」

盗賊「直ぐに戻るからなんとか場所の確保しておいてくれ」

『数時間後』


メラ パチ


盗賊「戻ったぜ!!あぁぁぁ寒ぶ!!」

情報屋「…」ウトウト

盗賊「なんだ寝てんのかよ…」

情報屋「ハッ…目を閉じたらつい…」パチ

盗賊「良い干し草が有ったじゃねぇか」ドサ

情報屋「案内人が裏の小屋に入ってるのを見つけて来てくれたの…それで砦の方は?」

盗賊「空中戦やってんのがハーピーとドラゴンライダーだ…どうやら砦に籠ってる連中は寝かされていそうだ」

情報屋「ドラゴンまで…」

盗賊「エルフ単独じゃハーピー相手はキツイんじゃ無ぇか?」

情報屋「ミノタウロスは?」

盗賊「砦に入れなくて門の前でたむろってんな…10体ぐらいだな」

情報屋「三つ巴になって居るんだ…」

盗賊「門を開ければ一気に戦況変わるなこりゃ」

情報屋「ミノタウロスが命令通りに動いてるなら残りの貴族は砦の中という事ね」

盗賊「まぁそうだろう」

情報屋「ハーピーの数は?」

盗賊「ハーピーも10体ぐらいだ…ドラゴンライダーは4体しか見えなかった」

情報屋「私達は何もせず見物?」

盗賊「砦の中に入れりゃ俺が門を開けても良いんだがな…入る方法が無ぇ」

情報屋「アサシン達の情報待ちね」

盗賊「ちっと俺も寝かせてくれぃ…温まったら眠たくなった」

情報屋「良いわ…休んでて」

『翌朝』


ガヤガヤ ガヤガヤ

どうにかしてハズレ町まで戻った方が良さそうだな

オアシス回って売りさばくのは?

許可無しで移動して良いものかどうか…


情報屋「ふぁ~あ…あら?アサシン戻っていたのね?声掛けてくれれば良いのに」

アサシン「急ぐ事でも無い様なのでな」

情報屋「盗賊!案内人!起きて!!」

盗賊「んぁ?おー朝帰りか…遅かったじゃ無ぇか」

アサシン「クックック…朗報だ」

盗賊「シャ・バクダで良い事有ったんか?」

アサシン「恐らく貴族院の指導部はほぼ壊滅だ…残って居るのは数名砦に残って居るぐらいだろう」

盗賊「マジか!!」

エルフゾンビ「シャ・バクダで死んだのは全員貴族の有力者だ…間違いない」

情報屋「一般の人に被害は?」

アサシン「怪我はしているだろうが死人はほぼ無いと思われる…死体が無い」

盗賊「うはぁ!!朗報だな」

アサシン「ただ面倒なのが残って居るのは恐らくリッチだと思われる…倒れているミノタウロスに謎の金属が刺さっていた」

情報屋「リッチね…間違いないわ」

エルフゾンビ「フフ私に任せろ…リッチは不死者だ…私の命令には背けん」

盗賊「砦の門を開けるだけでミノタウロスがなだれ込むぞ?」

エルフゾンビ「そうか…すぐにでもやりたい所だがハーピーに見つかりたくは無いな」

情報屋「ならドラゴンライダーがハーピーと空中戦をやっている間が良いわね」

エルフゾンビ「リッチが何体居るのか知らぬが私の手駒にしたい」

アサシン「森を守らせるのか?」

エルフゾンビ「悪いか?役目を終えればリッチも森の一部になれるのだぞ?」

盗賊「やるなら夕方以降だな…ドラゴンライダーは夜に行動する」



-----------------

情報屋「西のオアシスの方でフィン・イッシュの兵隊が捕虜になっているそうよ?」

盗賊「捕虜を解放したい所だな」

アサシン「ふむ…フィン・イッシュがオアシスを治安する様になれば動きやすくなる…行くか!」

盗賊「こんだけ混乱してりゃ気球からクロスボウ撃ってるだけで制圧出来るぞ」

情報屋「セントラルの兵がどのくらい詰めてるかね」

アサシン「私とエルフゾンビを降ろせば済む話だ…さっさと片づけるぞ」




『西のオアシス上空』


ビョーーーウ バサバサ


情報屋「兵隊は10人くらいだわ」

盗賊「こっちに気付いた…警戒してんぞ?どうする?」

アサシン「エルフゾンビ?行けるか?」

エルフゾンビ「フフ簡単だな」

アサシン「よし…私達が飛び降りられる高さまで降ろせ…盗賊と情報屋は残ってクロスボウで援護しろ」

盗賊「衛兵に化けてるリッチが居るかもしれんから気を付けろ」

エルフゾンビ「問題ない…降りてすぐに使役できる者は従えるつもりだ」

アサシン「案内人は気球の操舵に集中しろ…」

情報屋「兵隊が集まり出したわ?」

アサシン「案内人!突っ込むのだ」

盗賊「情報屋!クロスボウの射撃用意だ!!」ガチャリ

アサシン「飛ぶぞ!」ピョン

エルフゾンビ「…」ピョン



---------------

ドタバタ ドタバタ

奇襲だ!!弓を持て!!

気球を撃ち落とせぇ!!

隠れろぉ!!応射して来る シュン シュン スト スト

2人飛び降りたぞ!?

ドタバタ ドタバタ


----------------



盗賊「案内人!もっと高度下げて良いぞ!!あいつら短弓しか装備して無ぇ」バシュン バシュン

案内人「分かったぁ!!」グイ

情報屋「すごい…エルフゾンビが兵隊を圧倒してるわ…」バシュン バシュン

盗賊「その様だな?さすがエルフだ」バシュン バシュン

情報屋「クロスボウに狙われて兵隊は集まれない様ね」バシュン バシュン

盗賊「こら思ったより楽勝で制圧できんぞ?」バシュン バシュン

情報屋「逃げてる!」バシュン バシュン

『西のオアシス_砦』


フワフワ ドッスン


アサシン「案内人!エリクサーはまだ残って居るか?」

案内人「もう瓶で少ししか無い」

エルフゾンビ「精霊の御所まで私が汲みに行く…盗賊と情報屋は気球から降りて怪我人の手当てを頼む」

盗賊「おう!捕虜は動けんのか?」

アサシン「動ける者は順次他の捕虜の解放に動いて居るが…怪我人が多いのだ」

情報屋「回復魔法がエンチャントされた角があるわ?」

アサシン「おぉ!!それは良い…手当を頼む」

盗賊「行くぞ!!」タッタッタ



----------------



近衛「…もう大丈夫です」

エルフゾンビ「エリクサーは樽一つ分しか無いから大事に使ってくれ」

盗賊「こんだけ衛兵が残ってりゃこの砦は落とされることは無いな」

近衛「あの空飛ぶ魔物さえ居なければなんとかなります」

盗賊「ありゃハーピーってんだ…今はシャ・バクダ砦を攻めてる」

近衛「攻め?」

アサシン「私達が使役してセントラルの貴族を討伐しているのだ」

近衛「おぉ!!ではこれで領地を取り返せるという事ですね?」

アサシン「セントラル側は指導部がほぼ居ない状況になって居る…平定するなら今がチャンスと言える」

情報屋「もう少し怪我が良くなってからね」

アサシン「まぁ焦る事も無いが…」

近衛「まずは怪我の程度の軽いもので周辺の情勢を確認します」

アサシン「そうだな…現状は治安が行き届いて居ない様だ」

エルフゾンビ「今晩で貴族の指導部は壊滅できるだろうがシャ・バクダ砦にはまだセントラル兵が残って居ると思われる」

盗賊「ハーピーとミノタウロス次第だがしばらく摩擦は続きそうだな」

情報屋「貴族壊滅後にハーピー達はどうなるのかしら?」

アサシン「暴れる様であれば始末するしか無いな」

エルフゾンビ「さて…私達はそろそろ観測所に戻るか…ここではシャ・バクダ砦の状況が掴みにくい」

アサシン「そうだな戻るとする…」

『シャ・バクダ上空』


ビョーーウ バサバサ


盗賊「砦の方はもうドンパチやってんな」

アサシン「昨夜と同じか?」

盗賊「やっぱドラゴンライダー4匹ぐらいか?ハーピーは…」

情報屋「空中ね…7~8匹?」

盗賊「もうちっと近づかんと何とも言えん」

案内人「これ以上近づくのは無理だ…感付かれちまう」

アサシン「まだ日が落ちるまで間があるのだが…」

エルフゾンビ「ミノタウロスは門前だと言ったな?」

盗賊「あぁ昨晩と変わって無ぇ…門前で横たわってる」

エルフゾンビ「門とは反対側から私一人で近づいて見よう…降ろしてくれ」

アサシン「私も眠る事は無いから同行出来るぞ?」

エルフゾンビ「いや…2人だと行動を制限されるのだ…一人の方が忍びやすい」

アサシン「クックックでは高みの見物をさせてもらう」

エルフゾンビ「気球から望遠鏡で見ているが良い」

盗賊「俺のエンチャント角持って行くか?沢山もってんぞ?」ポイ

エルフゾンビ「鼻から戦闘するつもりは無いが…一応借りておく」パス

情報屋「あ!!下の建屋に衛兵が隠れてる…」

案内人「む…これ以上高度下げると撃たれる」

エルフゾンビ「フフ…まぁ良いエリクサー一口飲んで飛び降りる」ゴク

アサシン「クックック強引だな?」

エルフゾンビ「では行って来る」ピョン

盗賊「ヌハハやっぱ行動は剣士に似てるんだな…」



----------------

情報屋「良く見たらそこらじゅうの建物に衛兵が隠れてるわね…大丈夫かしら」

盗賊「隊を指揮する奴が居ねぇんだな…エルフゾンビをスルーしてるぞ?」

アサシン「敗残兵が隠れているのだろう…気にする事でも無い」

案内人「またドンパチが始まった!火柱だ!!」

盗賊「あんなんがドラゴンライダーに当たる訳無ぇ…そら見ろ!!潜り抜けてる」

情報屋「う~ん…やっぱりどう数えても8匹ね」

アサシン「ふむ…ドラゴンライダーに2匹やられたか?」

情報屋「だとすると直にハーピーは全滅するわね?」

盗賊「ハーピーは連射する魔法を使って無ぇ…もしかして触媒不足かも知れん」

情報屋「羽ね?」

盗賊「長期戦か…通りでドラゴンライダーは4匹しか居ない訳だ」

アサシン「交代しながら戦って居るのか…たしかドラゴンライダーは全部で8匹居た筈だな?」

案内人「アサシン!!反対方向!!何か来る!!」

アサシン「んん?何処だ?」

案内人「下!雪煙が舞ってる」

アサシン「盗賊!望遠鏡で見えないか?」

盗賊「…なんだありゃ?4つ足の石みたいなのが動いてる」

アサシン「トロール?…いやまさか…まだ日が出ている」

情報屋「これ…もしかして歴史の塗り替え?」

盗賊「又かよ!」

案内人「雪煙は2つだ…少しづつ近づいて居る」

アサシン「新手と見た方が良いな…高みの見物とはイカンかも知れんな…」



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情報屋「エルフゾンビが砦の裏に到着した様よ?」

盗賊「何も起きる気配は無いが…」


ビュゥゥ バカン! グラグラ


アサシン「何事だ!!」ヨロ

盗賊「どわぁぁ!!」ゴロゴロ

案内人「あの石の化け物が雪玉投げて来てる…」

アサシン「高度上げろ!!」

案内人「やってる!!」グイ

盗賊「こんな高さまで雪玉投げてくんのか…」

案内人「くっそ!!どこかのロープが切れて操舵が上手く行かない」

盗賊「一旦遠くで居りて直すだな」

情報屋「あ!!砦の門が開いた!!」

アサシン「エルフゾンビは何処に行った?」

情報屋「シャ・バクダの方に戻ろうとしてるわ」

アサシン「今降りる訳にイカンな…気球を直した後で観測所で待とう」

盗賊「門から出て来る衛兵は…ありゃリッチだな?1人だ」

情報屋「エルフゾンビに付いて行こうとしてるのね?」

盗賊「ミノタウロスのど真ん中行こうとしてるんだが…うぉ!!自爆か?」

情報屋「ミノタウロスは3体倒れた…でもダメ!あぁぁぁ…取り囲まれた」

盗賊「食われてんじゃ無ぇか…うげ…」

アサシン「リッチは当てに出来んな…」

盗賊「ダメだ!ミノタウロスが門から突入してる」

アサシン「ふむ…まだ貴族の生き残りが居るという事だ…やらせておくだな」

案内人「気球が風で北西に流れて行く」

アサシン「もう少し離れてから降りろ」

情報屋「また新手よ!!」

アサシン「何ぃ!?」

盗賊「何処だ?」

情報屋「砦の北側…あれは黒の騎士…時の王よ」

アサシン「時の王だと!?…なぜ絡む?…いや絡んで当然か…」

情報屋「黒い馬に乗って砦の様子を伺ってる…」

アサシン「ええい!!ひとまず観測所でエルフゾンビと合流が先だ!!気球を降ろせ!!」

『雪原』


フワフワ ドッスン


盗賊「よし!切れたロープを繋いで来る」ダダ

情報屋「見回っておくわ…」


”聞こえるか…”

”お!?アサシン!?どしたん?”

”シャ・バクダで見た事の無い魔物が現れてな…千里眼で魔女に見てもらいたいのだ”

”おっけ!魔女に伝えておくよ…ほんでそっちはどう?”

”貴族はほぼ壊滅だ…シャ・バクダ砦に一部残っている様だがすでに実行治安出来る状態では無い”

”ほんじゃ星の観測所は取り返したんだ?”

”避難民が詰めていて自由には使えんがな…”


盗賊「だめだぁ!!縦帆の付け根が痛んで修理が必要だ!!」

アサシン「応急でひとまず何とかならんか?」

盗賊「ロープで突っ張ってはいるが直ぐにダメになる…木材が欲しい」

アサシン「むぅぅ…観測所までは飛べるか?」

盗賊「やって見ねぇと分からん」


”なんか忙しそうだね…魔女には伝えておくから又連絡するね”

”悪いな…頼む”


盗賊「俺がロープで突っ張っとくからちっと飛んでみてくれ」

アサシン「案内人!行けるか?」

案内人「高度上げないでやってみる」グイ


フワフワ

『星の観測所』


グイグイ フワフワ ドッスン


盗賊「だはぁぁぁ!!結局俺が引いた方が早かった…ぜぇぜぇ」

アサシン「案内人!木材を探して来い」

案内人「納屋に端材が積んでいた筈だ…盗賊も来てくれ」

情報屋「避難民がこっちを見てる…」

アサシン「セントラルの衛兵が紛れているかもしれん…警戒しておけ」

情報屋「私がクロスボウを構えておくわ?早く気球を直して」

盗賊「へいへい…」



----------------



アサシン「ここからでは砦を見渡せんな」

情報屋「観測所の上階なら見えた筈よ」

アサシン「済まんが気球の見張りを頼む…私は観測所の上から砦を見て来る」

『上階』


ザワザワ ザワザワ

また火柱だ…いつまで続くんだ?

もうダメだ!オアシス経由で戻ろう

シャ・バクダに残した物はどうする?

ドラゴンが地上に火を吹いてる

ザワザワ ザワザワ


アサシン「…」---石の魔物が暴れて居る---

アサシン「…」---ん?時の王…石の魔物と戦っている?---

アサシン「…」---敵見方がどういう状況か読めん…どうなっているのか…---

アサシン「…」---しかしあの石の魔物の運動性は何だ?---


”アサシン聞こえるか?”

”魔女か…見て居るのだな?”

”あの魔物はゴーレムじゃ…わらわも驚いて居る”

”神々の神話の巨人か?…あれがゴーレムだと言うのか…”

”どこから来たのかは知らんが危険じゃぞ?物理も魔法も効かぬ”

”敵か味方か分からんのだが…状況からして黒の同胞団が召喚したと思われる”

”錬金術で合成されたのであればもしかすると歌で使役出来るやもしれん”

”試すのは危険過ぎるな…運動性が異常だ”

”そうじゃな…関わらん方が良い” 

”盗賊が歴史の塗り替えの話をしていたのだが…”

”うむ…向こうも対応に躍起になっておる結果じゃろう…状況をしっかり見て行動する様に気を付けるのじゃ”

”引き続き千里眼で見て置いてくれ…何かアドバイスがあれば助言して欲しい”

”5日程度は状況の安定を見守った方が良いのぅ”

”分かった…無理は避ける”

『貨物用気球』



トントントン ギコギコギコ



アサシン「どうだ?直せそうか?」

盗賊「とりあえず応急処置だがきちんと直すなら半日掛かるな」

情報屋「思ったよりひどい様ね?」

盗賊「木材が端材しか無いからよ…工夫が必要なんだよ」

情報屋「丁度商隊が避難しているから必要な物があったら買って来るわよ?」

盗賊「骨粉と松脂だな…接着剤があればそれでも良い…あとロープも足りねぇ」

アサシン「今日はここに気球を置いておくしか無い様だな」

盗賊「どうせ観測所の中で横になる場所は無ぇし気球の中の方が快適だろ」

情報屋「暖を取る為の木材と炭も調達しておくわ」



-----------------

アサシン「日が落ちてしまったが…エルフゾンビは戻って来んな」

情報屋「少し心配ね…」

アサシン「まぁ仕方が無い」

盗賊「これからどうすんだ?」

アサシン「貝殻で魔女と少し話をしたのだが…5日程状況を見守った方が良いとの事だ」

盗賊「やっぱりか…ちと想定外な敵が来ちまったもんな」

情報屋「気球で近寄りにくくなったわね」

盗賊「今晩も俺が砦まで行って偵察してくっか?」

アサシン「いや…あのゴーレムがどの程度なのか分からない以上下手に行動出来ん」

情報屋「そうね…もしもハイディングを見破られたりしたら危ないわ」

盗賊「じゃぁしょうが無ぇ…今日はゆっくりすっか」

案内人「湯が沸いたぞ?どうするんだ?」

盗賊「おぉ!そん中に松脂溶かして骨粉と灰を混ぜるんだ…こんな感じだ」マゼマゼ

情報屋「それで木材の隙間を埋めるのね?」

盗賊「あったかい内に隙間に塗り込んでくれ…これでちったぁ温かくなる」


ドドドドド


盗賊「んん?何だ?地震か?」

情報屋「地響き…」

アサシン「もしや…ゴーレムが此処まで来ているのやも知れん…飛ぶ準備をするのだ!!」

盗賊「ちぃ…ゆっくりする暇も無ぇ!!」ゴソゴソ

情報屋「観測所の方がザワ付いているわね…ちょっと見て来るわ」スタ

アサシン「私も行く」

『星の観測所』


ザワザワ ザワザワ

向こうだ!!

誰か明かりを持って来てくれーい

雪ん中からサンドワームがぁぁ!!

なんでトロールなんか出て来るんだ!!

ザワザワ ザワザワ


情報屋「…この感じ」

アサシン「混乱しているな…シャバクダの砦は相変わらずか?」

情報屋「良く見えないけれど多分光って居るのはドラゴンのブレスね」

アサシン「何か起きそうな予感だな…」

情報屋「ここも安全では無さそうね」

アサシン「ん~む‥‥しかしどうする」

情報屋「魔物が次々と現れるのはまるで…」

アサシン「セントラルの厄災と言いたいのか?」

情報屋「情報が少なすぎて勘だけになるけれど悪い予感しかしないわ」

アサシン「封印の壺の行方が未だに分かって居ないのだが…まさかな」

情報屋「その可能性も考えて居た方が良いわね」

アサシン「うむ…ひとまず私達は上空の安全な場所から状況を見守るのが良いと思うが…」

情報屋「もしもこの混乱にハーピーが混ざっていたとしたら空も安全では無いわ」

アサシン「隠れる場所なぞ他に無いでは無いか」

情報屋「今は動けないと思う」

アサシン「明け方まで待つか」

情報屋「エルフゾンビが戻って来ないのも理由があると思うの」

アサシン「まさかトロールを動かしているのはエルフゾンビか?」

情報屋「トロールは理由無しで精霊樹から離れるとは思えないから」

『貨物用気球』


盗賊「戻ったな?いつでも飛べるぜ?どうする」

アサシン「明け方までひとまず待機だ」

盗賊「あっちぁどうなってんだ?」

アサシン「トロールとサンドワームが出没している様だ」

盗賊「うはぁ…そんなん来たらここじゃ守れ無ぇ」

アサシン「恐らくトロールはエルフゾンビが動かしているのではないかと思われる」

盗賊「あのゴーレムっていう巨人を倒すのか?」

アサシン「分からん…状況が見定め切れん…だから待機なのだ」

情報屋「今は噂でも何でも良いから情報が欲しいわ」

盗賊「まぁそうだが…雪ん中彷徨うのもなぁ…」

案内人「俺は商隊に顔が利く…オアシスの砦での保護を条件に有益な情報を聞き出せるかもしれん」

情報屋「良い案ね」

アサシン「フィン・イッシュの駐留兵には私が話をしよう…移送用のシカの調達をどうするかなのだが…」ジロ

盗賊「ぐはぁ…俺か」

アサシン「危険だがシャ・バクダ街に放置されているシカを連れて来られるか?」

盗賊「ハイディングしながら行けばどうって事無いが…しゃぁ無ぇ行くか」

アサシン「情報屋は観測所に残って周囲を見張って居てもらいたい」

情報屋「分かったわ」

盗賊「湯を用意しておいてくれぇ…雪ん中出歩いてると凍えちまう」


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 巨人始動編

   完

『フィン・イッシュ墓地』


女海賊「剣士!?飛空艇の縦帆開いといて」

剣士「あぁ…これだっけ?」

女海賊「そうそう…商人!!積み荷はそれで最後?」

商人「うん…あとは魔女が乗るだけかな」

女海賊「魔女はまだ書物庫に籠ってんの?」

ホムンクルス「もうこちらへ来るかと思います」

女海賊「ホムちゃんは書物全部読んだんだよね?」

ホムンクルス「はい」

女海賊「じゃぁもう魔女が読まなくても良いじゃん」

ホムンクルス「魔術書に書かれている事は私には理解出来ません」

商人「どうも神話のゴーレムは魔術の起源と関係しているらしいよ」

女海賊「あぁぁイライラするなぁ…お姉ぇが沖で待ってんだけどさぁ」


ノソノソ


魔女「ブツブツ…」

女海賊「来た!!もう!!早く乗って!!出発する」

魔女「おぉぅスマンのぅ…つい時間を忘れてしもうた」ノソリ


フワフワ シュゴーーーーー


女海賊「剣士!!沖に出るから海賊船見つけたら教えて…方角分かる?」

剣士「南の方角5時の方向」

女海賊「おっけ!!」グイ

商人「女王に挨拶して無いけど良かったかな?」

魔女「貝殻を渡してあるで問題ないぞよ?」

女海賊「あっちもなんか忙しくてずっと居ないし別にイーじゃん」

商人「僕の発想は凡人か…王族同士はそんな感じなんだハハ」

『飛空艇』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「ほんで神話のゴーレムで何か分かった事あんの?」

魔女「キマイラの類では無いというのだけは確かじゃな…つまり歌で使役は出来ぬ」

女海賊「そんだけ?」

魔女「書物を探し回ったのじゃが記述が古すぎて確かな事が書かれて居らんのじゃ」

ホムンクルス「約1700年前の記録が残って居ますが殆どが伝承の様です」

女海賊「って事は時の王のおっさんの時代かぁ」

魔女「そうじゃ…魔術が発達しだしたのもその時代じゃ…それより以前の記録は極端に少ないのじゃ」

商人「そんなのがどうして今現れたか?だよね…」

魔女「眠っていたのを起こしたのか…新たに召喚したのか…それとも生んだのか何も分からぬ」

剣士「量子転移…」ボソ

魔女「うむ…その可能性もあるのぅ」

商人「誰かが量子転移させた…そんな事が出来る人なんか居るのかい?」

魔女「当時の記憶があって尚相当な魔力を持って居る者であれば可能かもしれぬ」

商人「ちょっと待って…それってさ暗に魔王が居ると言ってるのと同じじゃないかい?」

魔女「…」

女海賊「あんたさぁ…嫌な事言うね」

魔女「壺が何処に行ったか分からぬ以上既に生まれてしもうた可能性は否定出来んのぅ」

商人「壺に封印した子宮から何かが生まれたと仮定して記憶はどうなっているんだろう?」

魔女「胎児に過去の記憶が在るとは思えぬが…」

ホムンクルス「エルフの森の地下には精霊の記憶が保存されたオーブが安置されていますね」

商人「!!はっ‥‥魔王は精霊の記憶を改竄するウィルスだったね」

ホムンクルス「改竄するのには管理者権限が必要なのですが…」

商人「いやそうじゃない…記憶を覗くことが出来るって事だ」

ホムンクルス「エルフの森周辺のクラウドはオープンな状態でしたね…参照可能な状態です」

商人「その記憶から量子転移をする…出来そうじゃないか」

魔女「量子転移は空間を切り取る魔法なのじゃが…」

ホムンクルス「理解しました…だから損傷した記憶データがいくつも存在して居たのですね」

商人「いくつも?どういう事だ?前から何度も切り取られてたっていう事なのか?」

女海賊「んんん…なんか辻褄が合わなくなって来たね…誰がやってんのさ」

商人「魔王以外の第三者にそんな事が出来る人が居るって事かな」

魔女「記憶から量子転移をするには並みの魔力では不可能じゃ…師匠でも難しいじゃろう」

商人「大量の魔石で補うのは?」

魔女「魔石じゃと?何百…何千の魔石が必要になるか分からぬが…可能性はゼロでは無いのう」

商人「魔女は知らないよね…キ・カイはセントラルから魔石を買い付けて居た事を」

魔女「なぬ!?魔石の産地はキ・カイでは無いのかえ?」

商人「そうだよ…どういう風に作って居るかは知らないけど魔石の出所はセントラルなんだよ」

女海賊「ウラン結晶もなんでかセントラルに在ったね…東に鉱山があるとか無いとか」

商人「鉱山ねぇ…そんな山なんか無いじゃないか…森だけだ」

ホムンクルス「魔石をどの様に製造して居るのか知りませんか?見た目は宝石の様ですが一様ではありませんね」

魔女「生きた魔物を重力炉で圧縮して宝石にする事が出来るらしいが詳しくは知らぬ」

女海賊「…」

商人「ビンゴ…それだね」

女海賊「奴隷の使い道ってもしかして…」

商人「錬金術の触媒にされたり魔石に変えられるんだ…そしてそれが貴族の主な収入源…不要な死体はカタコンベ」

女海賊「ええええ!!この風の魔石って生きてた誰かって事?」

魔女「主に魔物じゃろうが…」

女海賊「私らドワーフって半分魔物じゃん!!」

商人「もう魔物っていう区分の仕方は良くないかもね…魔力を秘めた生き物と言った方が正しそうだ」

女海賊「なんか腹がムカムカする…」


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商人「何もかにも辻褄が合う…」


セントラルに魔法が普及しなかった理由

エルフ狩りで捕らえられたエルフが何処にも居ない理由

捕らえた奴隷を拷問するのも魔力を増幅させる為


女海賊「魔力を増幅?」

商人「そうだよ…魔術師の修行は絶食したり苦痛に耐えたり…拷問と変わらない…そうでしょう魔女?」

魔女「拷問とは違うが限界域を拡張するのは修行が必要じゃな」

商人「その拷問に耐えられなかった人達がカタコンベに遺棄される…ラットマンの餌としてね」


そして貿易の話

キ・カイで生産される機械を動かすエネルギーは魔石だよ

その機械を使って生活を営んで来た

奴隷を使うよりも効率が良いんだろうね…食事代も要らないし

動かなくなったら又魔石を買えば良い

そうやって魔石を流通させてセントラルの貴族達は潤った

僕たちの文明は実は魔石というエネルギーありきで回ってたんだ

だからこれを良しとする人と反対する人で分かれる

貴族院が2つに割れている様にね

そんな対立に麻薬は良いスパイスとして働いたね

言う事を利かせる為だったり

現実を逃避させる為だったり

そんなこんなでセントラルは貿易において独り勝ちさ

魔女「それが事実だったとしてエルフゾンビは何も言うて居らんかったのじゃが…」

商人「このカラクリはある程度知って居るんじゃないかな?皇子だったんだし…だから単独で行動する」

女海賊「あの人は剣士と同じであんまり余計な事話さないね」

商人「…さて…黒の同胞団が大量に魔石を持って居たとして誰がゴーレムを呼べるかだよね」

女海賊「ホムちゃん!精霊のオーブって誰でも覗ける物なの?」

ホムンクルス「クラウドへのアクセスは私の様な受信機を搭載している人であれば誰でも読み込み可能です」

女海賊「受信機?なんそれ?」

商人「特殊な人じゃ無いとダメだって事だね…それは」

魔女「エルフはオーブで記憶の伝達をするでエルフなら覗けるじゃろうのぅ」

商人「エルフねぇ…」

女海賊「ちょい待ち…エルフゾンビが第2皇子だった頃にダークエルフ連れ回してたな…レイスにやられたらしいけど」

商人「それは初耳だよ…聞かせて」

女海賊「そもそもそのダークエルフが祈りの指輪を持ち逃げしたから前の100日の闇が起きた」

商人「そのダークエルフの目的は何だったか知ってる?」

女海賊「んーー盗賊の方が詳しいかな…私直接関わって無いのさ」

商人「そっか…」

女海賊「ただそのダークエルフは指輪を破壊したかったらしいよ」

商人「指輪を守ろうとしたハイエルフと破壊しようとしたダークエルフ…こんな感じかな」

魔女「そういえば祈りの指輪には量子転移の魔法が封じられて居ったな」

商人「指輪を使って記憶を切り取れる?」

魔女「エルフなら出来るやもしれん」

商人「まてよ…シン・リーンの国王に化けて居た元魔術院長の話では勇者の目を精霊の記憶から量子転移したと…」

魔女「そう言うて居ったな」

商人「つまり記憶から魔王を切り取って来る事も出来る訳だ」

魔女「そういう事じゃな」

商人「そんな事に使われる位なら破壊したいと考える」

魔女「ダークエルフが指輪を破壊したい動機には十分じゃな」

商人「こう言い換える事も出来る…精霊の記憶を切り取り損傷させたのはハイエルフで…守ろうとして居るのはダークエルフ」

魔女「んーむ手段が違うだけじゃがダークエルフも正義かもしれんのぅ」

商人「どっちにしてもゴーレムの件はエルフが鍵になってそうだ」


剣士「前方!海賊の船団を見つけた!!」


女海賊「お!?お姉ぇの船は?」

剣士「右から3隻目…船尾が空いてる」

女海賊「おっけ!!着陸する」グイ

『貨物船』


ザブン ザブン


船乗り「頭ぁ!!11時の方角!!あれは姉さんの飛空艇でがんす」

女戦士「やっと来たか…」

船乗り「兄やんが合流して無いでがんすがどうしやす?」

女戦士「一隻伝令を残して出立する…連絡船を出せ」

船乗り「がってん!!」

女戦士「未来!!剣士達が帰って来るぞ」

子供「うん…」

女戦士「どうした?嬉しくないのか?」

子供「なんか落ち着かないんだ」

女戦士「…」---何か感じている様だ---

子供「なんだろう…これって胸騒ぎっていうのかな?」

女戦士「何か起こる予感がするのだな?」

子供「分からない」

女戦士「海賊達も海の様子がおかしいと言って居たがあながち間違っては居ないのかもしれん」


フワフワ


女海賊「お姉ぇ!!ロープ出して!!風が強い」

女戦士「ふん!!」ブン

女海賊「剣士!!ロープ掴まえて飛空艇に引っかけて!!」

剣士「…」ピョン シュタ

女海賊「おけおけ!!降ろすよ」


フワフワ ドッスン

『甲板』


スタタタ


女海賊「未来ぃぃぃ!!」

子供「ママ…」

女海賊「無事で良かった…」ギュゥゥゥ

子供「ぅぅぅ苦しいよ」

女海賊「アレ?金属糸のインナーは?」クンクン

子供「あぁ色々あってね…」

女海賊「違う女の匂い…お姉ぇ!!どういう事?」

女戦士「フフ匂いで分かるのか」

子供「ハーフオークの友達が出来たんだ」

女海賊「船に乗ってんの?」

女戦士「まぁ色々有ってだな…落ち着いて居室で話そう」

子供「パパ…」

剣士「…」ナデナデ

子供「えへ…」ニコ

女戦士「剣士には分かる様だな…未来の成長ぶりが」

子供「そうだ!!パパに魔法を教えて欲しかったんだ」

剣士「魔法を?」

魔女「剣士は魔法の使い手じゃが教えるのには向いて居らん…代わりにわらわが教えてやるぞ?」ノソリ

子供「君は誰?魔法を使えるの?」

女海賊「アハ…未来は魔女が子供に変身出来るの知らなかったんだね…この子は魔女だよ」

子供「えええええええ!?そういえば目が赤い…」

魔女「生意気言っとらんで何か魔法を使ってみよ」

子供「え…あ…うん」

女海賊「ほんじゃ私ら居室行ってんね」

子供「パパも?」

魔女「これ!!よそ見せんで早う魔法を唱えてみよ」ポカ

子供「あたっ…その杖痛いよ」

魔女「無駄口をたたくでない」ポカ

子供「火炎魔法!」チリチリ ポ

魔女「ふむ…出口が分散しておる…火炎魔法はこうじゃ…火炎魔法!」


ゴゴゴゴ ボウ


子供「うわぁ!!…え?なんで?どうして?」

『居室』


カクカクシカジカ…


女戦士「…なるほどな…魔女の父君が黒の同胞団の司令塔になって居る訳か」

商人「魔女が言うには幻惑の杖で操られていると…」

女戦士「しかし驚きだな…シン・リーンの祭事に要人が集まって居たとは」

女海賊「お姉ぇは行った事あんだっけ?」

女戦士「アサシンと共に一度だけな…随分昔なのだが」

女海賊「怪しい人とか覚えて無いよね…」

女戦士「私達は末席に居たのだ…前列に誰が居たのかは分からん」

女海賊「そん時は時の王のおっさんは見て無いの?」

女戦士「最前列は皆ローブを纏って居てな…目立って居たのはひと際背の高い者…恐らくハイエルフ」

商人「そのハイエルフが剣士を生んだらしい」

女戦士「精霊が不在のこの時代に勇者を生んだのは黒の同胞団の功績という訳か…皮肉だな」

商人「正確にはその功績を黒の同胞団に乗っ取られた…そんな感じだね」

女戦士「あのさ…黒の同胞団の黒って…もしかしてダークエルフって意味じゃない?」

商人「!!?え…君…核心をついて居るかも」


こんな仮説が立つ

精霊の記憶を損傷させてまで勇者を誕生させようとしたハイエルフに反感を持った一部のエルフ達

彼らも精霊のオーブを守るという原則を行使する為祈りの指輪を奪取しようとした

時に人間に協力を仰ぎエルフ狩りを誘導し戦争を導き

見返りとして魔石を製造する技術を提供

魔女狩りや魔物の奴隷化が加速し貴族達が潤い貴族院への権力集中が起きた

そんな中当時のセントラル第2皇子に汲み入った一人のダークエルフが指輪の奪取に成功

しかし人間の裏切りにより約束は果たされず魔王の復活を許してしまった

女海賊「あのさ…そうまでして精霊の記憶を守ろうとしてるダークエルフがゴーレムを呼ぶって考えにくくない?」

女戦士「うむ…ダークエルフだとはいえ元はエルフだ…同族殺しを進んで誘導するものか?」

商人「んんんーーーやっぱり第三者が居ないと無理があるかぁ…」

ホムンクルス「あの…」

商人「ん?何か気付いた?」

ホムンクルス「200年前に亡くなった精霊の伴侶は何処に行ったと思いますか?」

商人「精霊の伴侶…そういえば行方不明だったね」

女海賊「時の王のおっさんだったりすんじゃないの?」

ホムンクルス「その可能性は非常に低いです」

商人「まてよ…なんで精霊はエルフの森じゃなくてトロールの森の方を住処にしてたんだ?」

女海賊「別居だったりw」

商人「別居…」

ホムンクルス「ホムンクルスの生体は体液にエリクサーを循環させないと石化してしまいます」

商人「…つまりエルフの森の深部でエリクサーに浸かって生きている可能性があるという事だね?」

女海賊「でもエルフの森の精霊樹って枯れてるんじゃなかったっけ?そんなんでエリクサー出来るの?」

商人「いつから住処を変えたんだ?…どうしてエルフの森じゃダメだったのか…」ブツブツ

女海賊「ぁぁブツブツ始まった…解決し無さそうだから話変えよっか」

女戦士「エルフの森の事は魔女に聞いた方が早そうだな」

ホムンクルス「書物から得た知識は私が一通り知って居ます」

女戦士「関係しそうな話は無いか?」


およそ1700年前に遡りますが

それまではエルフが祈りの指輪を用いて世界を掌握していた様です

しかしその製法を人間に奪われ祈りの指輪の量産が始まり立場が逆転しました

同時に人間は急速に魔術を発展させ一時代を築きましたが

魔王の復活によってすべてが無になりました

商人「それは皆知ってる一般的な歴史だよ…どうしてその話を始める?」

ホムンクルス「エルフが持つ祈りの指輪の製法をどの様に奪ったのでしょう?」

商人「どの様に…」

女海賊「むむ!!そん時に精霊の記憶から切り取った?」

商人「記憶から切り取るのはずっと昔から行われていたと…」

ホムンクルス「魔王は精霊の記憶を蝕むウイルスだと言いましたね?」

商人「つまり魔王の手から逃れる為にトロールの森に住処を移したと言う訳か」

ホムンクルス「トロールの森に安置されているオーブに記憶の損傷は見当たりませんでした」

女戦士「トカゲのしっぽ切りのつもりか?」

商人「でも200年前にトロールの森も魔王に狙われてる」

ホムンクルス「どこで戦いが行われているかこれで見当がつきますね」

商人「ホムンクルス…君…」ジロリ

ホムンクルス「はい…」

商人「僕達の考えがそこに行くように誘導しているな?」

ホムンクルス「答えなければいけませんか?」

商人「それは君の自由で良い…ただ君は何度もシミュレーションしてその答えをもう知って居る筈だ」

ホムンクルス「はい…」

商人「どうしてズバリ言わないんだい?」

ホムンクルス「言ってしまうと抗おうとして誘導する方向から反れてしまうからです」

女海賊「ぶっwwズバリ言われたね」

商人「ハハ…まぁ良いや」ムッ

女海賊「…で?ホムちゃんの答えって?」

歴史の答え合わせだけお答えします

精霊はエルフを信頼していましたが

魔王化ウイルスへの抗体を持たない事はかなり前から把握していたと想定されます

ですから徐々にエルフとの距離を置き始め従順なトロールを従える様になりました

一方エルフは魔王化ウイルスの影響を受け厳しい規律を破る者が出て来始めます

これをダークエルフと定義してハイエルフは線引きを謀ろうとしましたが

精霊が支持を示したのはダークエルフの側だったのです

特命を受けたダークエルフは精霊の指示通りに当時の精霊の伴侶を保護し匿ったと思われます

そして繁殖力の強い人間をエルフやドワーフを含む魔物と交配させ

魔王化ウイルスへの抗体を持つ種への置き換えを推進させようとしました

これが約200年前…


商人「…もう良い…分かった」

女海賊「ちょ…話遮らないでよ!分かんないじゃん!!」

商人「シャ・バクダのカタコンベにあった無数の骸は交配させる実験から生じたゴミだと言ってるんだ」バン!

女海賊「え!!」

商人「見返りに錬金術の技術を与えた…そうだよねホムンクルス」

ホムンクルス「シミュレーションでの予測です」

商人「それと同じ事をセントラルでもやっていた訳だ…魔石製造の技術と引き換えにね」

ホムンクルス「結果的に種の置き換えが促進されていると推定されます」

女海賊「でもさぁ?折角生まれた抗体をもった種族も魔石に変えられちゃ意味無くね?」

ホムンクルス「そこに魔王の意思が介在して居るのでしょう」

女海賊「根底にあるのが魔王の影響かぁ…」

商人「…ちょっと風に当たって来る」スック

ホムンクルス「…」シュン

『甲板』


ザブーン ユラー ギシギシ


火炎魔法! ボボボ

そうじゃやれば出来るでは無いか

では次はこの魔術書を読むのじゃ

ええ?僕字が読めないよ

なんと!?字の勉強から始めんとイカンのか

こりゃ時間が掛かるのぅ…


商人「…」ボー

女戦士「ホムンクルスが落ち込んで居るぞ?」

商人「分かっているよ」

女戦士「そうか…」

商人「この船は黒の同胞団の隠れ家に向かってるんだよね?」

女戦士「うむ…しかしどうしたものか」

商人「黒幕が精霊から命を受けたダークエルフだなんて想定出来なかった」

女戦士「私達は精霊の意に背いて居るという事になるな」

商人「そうだよ…ホムンクルスは遠回しに魔王はあなた達ですって言ったのさ」

女戦士「解釈を変えた方が良い…魔王の影響を取り払いに行くという風にな」

商人「気休めかい?」

女戦士「だが魔王化ウイルスに感染した人間を魔石に変えると言うのは合理的ではあるな」

商人「君はハーフオークだからそういう発想になる…僕は純粋に只の人間だよ」

女戦士「お前はどうしたいのだ?」

商人「分からなくなった…今思えば時の王が選択してきた行動が理解できる」

女戦士「何を?」

商人「精霊が成そうとした人類の置き換えを邪魔する事無く只…見守っていた」

女戦士「そうやって黒の同胞団と同調したか」

商人「それが間違っていると言い切れなくなったよ」

女戦士「心が揺れている様では今回の作戦にお前は参加させられない」

商人「…」

女戦士「私の言い分からすると我が同胞を無下にする黒の同胞団は理由がどうあれ許せない」

商人「それがドワーフの血が決めた選択か」

女戦士「まぁ基よりお前とホムンクルスは戦力として勘定していない…後方で行く末を見ていろ」

商人「そうだね…僕はもっとホムンクルスを理解してあげないといけない様だ」

女戦士「お前が管理者なのだろう?しっかり面倒を見ろ」

商人「管理者なのは建前なだけさ…全部彼女に誘導されて物事が動いてる」

女戦士「お前がホムンクルスを信じないでどうする?」

商人「ハハ…僕ももっと賢くなりたいよ」

『居室』


女海賊「ホムちゃんさぁ…黒の同胞団の正体をいつから知ってたの?」

ホムンクルス「知って居た訳ではありません」

女海賊「じゃぁなんでダークエルフだって言うのさ」

ホムンクルス「皆さんがお話している内容からシミュレーションをした結果可能性が高いという結論になりました」

女海賊「じゃぁ精霊がダークエルフに特命を出したってのも全部可能性の話だよね?」

ホムンクルス「私が精霊の立場だった場合にその方法が一番成功する可能性が高いのです」

女海賊「なんでダークエルフ?」

ホムンクルス「話の流れでしょうか…信頼できるエルフの一人と言う言い方も出来ます」

女海賊「あぁぁなるほど…結果的にダークエルフに分類された訳か」

ホムンクルス「そうなりますね」

女海賊「今成功する可能性って言ったじゃん?何の成功?」

ホムンクルス「浸食されたくない記憶の隔離と魔王の封じ込め…その他様々な要因を上手く運ぶ可能性なので一言で言えません」

女海賊「むむむ何か良く分かんないな…兎に角上手く行ってるんだ?」

ホムンクルス「精霊の行動した最後の一手はすでに完了していますのでほぼ想定通りに事が進んでいると思われます」

女海賊「ほんじゃあんま気にしないで居て良いんだね?」

剣士「最後の一手とは?」ボソ

ホムンクルス「夢と言えば良いのですか?わたしは夢を見る事が出来ませんのでどう導かれて居るのか分かりません」

女海賊「おけおけ!分かった…もうやめよっかこんな話」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「ホムちゃんは昔の精霊の考えを代弁してくれているだけでホムちゃんはホムちゃんだもんね」

ホムンクルス「はい…私は精霊ではありません」

ホムンクルス「皆さんの成功を促す為の助言はどうしても昔の精霊と混同されてしまいますね」

女海賊「商人は分かってんのかなぁ…そこん所」

剣士「分かっていると思うよ…ただ認めたくないだけだよ」

女海賊「認めたくないって…しょうがないじゃん昔の精霊が導いた事なんだから」

ホムンクルス「多くの犠牲の上に成り立って居た抗体の獲得…」

女海賊「そうやって戦うしか無かったんでしょ?今始まった話じゃ無いじゃん…受け入れるしかないよ」

剣士「これで僕たちの役割がハッキリした」

女海賊「…もうやめよ!その話」


---そう…今までは次の世代の為に魔王を集めて深淵に運ぶ役だった---

---でも今度は違う筈…私が変えてやる---

『甲板』


ザブーン ユラー ギシギシ


子供「ママ見て!!火炎魔法!」ボボボ

女海賊「お!?もう覚えた?」

魔女「これ!!さぼるで無い!!もう魔法は良いから文字の勉強じゃ」

子供「えええええ…ママ助けて」

魔女「文字を一つも覚えとらんとはどういう教育をしとるのじゃ?」

女海賊「う…忙しかったんだよ…」

魔女「今覚えておかんと剣士の様に一生覚えられんぞよ?」

子供「パパも覚えて無いなら僕も良いよね…」

魔女「イカン!!」ポカ

子供「あたっ…ママー!!」

女海賊「ぁぁぁ困ったな…」

女戦士「未来!!魔女の言う事を聞いておくのだ!!良いな?」

子供「ぅぅぅ…」ショボン

女海賊「あ!!そだそだ…お姉ぇにお土産持ってきたんだった」

女戦士「オリハルコン原石だな?」

子供「僕も見たい!!」

魔女「これ!!主は勉強が終わった後じゃ…早く終われば早く見れるぞよ?」

子供「もう!!」プン

女海賊「ちょっと取って来るよ…あと珍しい食材も持ってきたからバーベキューでもしよう」

商人「…」ピク

女海賊「おい商人!!食材何処に置いたの?運ぶの手伝って」

商人「僕が取りに行くよ」

ホムンクルス「私もお手伝いします…」

商人「…」

ホムンクルス「…」

商人「…」

女海賊「…」イラ タッタッタ ピョン ドカ!

商人「うわっ!!落ちる落ちる!!」

女海賊「あんたが何か言わないと気まずいままじゃん!!何か言えスカポンタン!!」

商人「あ…取り乱してゴメン」

ホムンクルス「スカポンタン…」

女海賊「ぶっ…それ意味分かって言ってる?」

ホムンクルス「商人の事を指すのでは無いのですか?」

女海賊「んんん…まぁいっか」

女戦士「この辺りはサメが多いから落下に気を付けろ」

商人「ええ!?気を付けるのは僕じゃ無くて女海賊の方だよ…危ないなぁ」

ホムンクルス「立てますか?スカポンタン」グイ

商人「ちょっとその言い方やめてよ」

ホムンクルス「呼称では無いのですね?」

女海賊「スカポンタンで良いよ!早くバーベキューの準備するよ!!」



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ジュージュー


女海賊「未来!!船乗り皆にこの肉配って来て」

子供「うん!!何の肉?」

女海賊「シーサーっていう魔物の肉だよ…食べると長生きするんだってさ」

子供「へぇ?おいしいの?」

魔女「まずい…わらわは要らんでの」

女戦士「忙しそうだな?」

女海賊「盗賊かローグが居ないとなんか色々バタバタしちゃってさ…剣士!そっちの肉も未来に預けて」

女戦士「お前も飲むか?」

女海賊「お姉ぇワイン飲んでんの?ダメだって…すぐ酔っぱらっちゃうじゃん」

女戦士「たまにはな…やっと落ち着く時間が出来たのだ…好きにさせてくれ」

魔女「わらわも少し頂こうかのぅ」

女海賊「え…マジ?その体…子供なんだけど」

魔女「少しだけじゃ…弟子が出来て気分が良いでのぅ」

女海賊「あぁ未来ね…どう?素質ありそ?」

魔女「主と同じで興味の無い事はちっとも覚わらんが魔力は剣士と同じで無限に出て来よる」

女海賊「素質有りって事ね」

魔女「育て方次第じゃな…重力や時空に興味がある様じゃ」

魔女「…ところで商人とホムンクルスなのじゃが」

女海賊「ん?どしたん?又口論してんの?」

魔女「うむ…飛空艇の前でなにやらもめて居った」

女海賊「あんのバカ!又ホムちゃんに詰め寄ってんな…ちっと行って来る」

『飛空艇の前』


ホムンクルス「…これを一つ預かって居て下さい」

商人「これは君の…」

ホムンクルス「私にはもう一つありますから」

商人「どうしてこれを僕に預けようとするんだい?君は何処に行くつもり?」

ホムンクルス「何処に行くつもりもありません…あなたの元にずっと居ます」

商人「…ならどうして…さっきの事を怒っているのなら謝るよ」

ホムンクルス「怒ってなんかいませんよ」ニコ

商人「おかしいじゃないか!外部メモリを渡すっていうのはサヨナラすると言ってるのと同じだ」

ホムンクルス「私はあなたを裏切るつもりは微塵もありません…あなたに必要とされるものを渡そうとしています」

商人「ダメだよ僕は君をどこにも行かせない…これは命令だ」

ホムンクルス「はい…命令を承りました…どうぞ」スッ

商人「違う!!そうじゃない」

ホムンクルス「これは保険だと思って下さい…わたしはあなたの傍を離れるつもりはありません」

商人「…」

ホムンクルス「大事にしまっておいてくださいね」ギュ

商人「…」プルプル

ホムンクルス「さぁ一緒にバーベキューを楽しみましょう」グイ

商人「君は…何を想定しているんだ?それをどうすれば回避できる?」

ホムンクルス「今回避しました」

商人「僕は知って居るぞ…君がやってきた毒キノコの栽培もエリクサーの作り方も…」

ホムンクルス「はい…」ニコ

商人「何年後かに亡くなってしまう多くの人の命を救うためだ…そうやって君は世界を導く」

ホムンクルス「ウフフ」

商人「僕に外部メモリを渡すのだって何かを想定しての事だ!!」

ホムンクルス「考えすぎです…私には不要でしたので万一に備えて居るのです」

商人「嘘だ!!君はそんなに薄っぺらじゃない…今のこの状況も何度もシミュレーションした筈だ」

ホムンクルス「商人…」チュゥゥゥ

商人「むぐ…んむむ…これで僕を言い聞かせるつもりか」ハァハァ

ホムンクルス「私を信じて下さい…」

商人「…」

---君はこの現実とほとんど同じ精度の世界を---

---頭の中で何度もシミュレーションしているんだろう?---

---その中の人がどんな風になるのか---

---見ていて辛くならないのかい?---


---そう…だから精霊は外界と距離を置いた---

---だから眠っていた期間が多い---


商人「分かったよ…一つ条件がある」

ホムンクルス「はい…何でしょう?」

商人「もう一つの外部メモリも僕が預かる…これで君はシミュレーションに制限が掛かる」

ホムンクルス「そう言うと思って居たので外してあります…どうぞ」スッ

商人「ハハ…これも想定内か」



-----------------

女海賊「…」ジー

商人「あれ?女海賊…そんな所に隠れて何やってるんだい?」

女海賊「ヤベ…」

ホムンクルス「お肉は焼けていますか?」

女海賊「あんたらが揉めてるって聞いたから隠れて見てたんだよ…ホムちゃん平気?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「まぁいいや…他人のラブラブチュッチュは見ていて気持ち悪い」

商人「あぁぁそういうのじゃ無いんだけどさ…」

女海賊「肉焼けてるから焦げる前に食べて」

商人「うん…ホムンクルス!行こうか」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「ホムちゃん…ちょっと」

ホムンクルス「何でしょう?」

女海賊「商人!あんたは向こう行ってな!」

商人「え…分かったよ」

ホムンクルス「話し終わったら直ぐに行きます」

商人「待ってるよ」スタ

女海賊「ホムちゃん…話盗み聞きしてて悪いとは思ったけど…あんた」

ホムンクルス「はい」

女海賊「気付いてんだね?あとどれくらいの時間が残されてんの?」

ホムンクルス「…持って一か月」

女海賊「避けられない?」

ホムンクルス「はい…エリクサーでの症状緩和は限界です」

女海賊「寿命か…」

ホムンクルス「本人は色んな事に夢中で気にする素振りは見せていませんね」

女海賊「んー分かってるから取り乱すんだと思うな」

ホムンクルス「このまま見守りましょう」

女海賊「ホムちゃんは外部メモリってやつ無くて良いの?」

ホムンクルス「1つは挿入しておいた方が良いですがその後を考えると無くても良いでしょう」

女海賊「その後って…もしかしてホムちゃんも居なくなっちゃう?」

ホムンクルス「皆さんと共に行動していた場合過去の精霊を知る者との遭遇が想定されます」

女海賊「時の王のおっさんか…」

ホムンクルス「未知の遭遇時の予測は精度が低いのですが、拉致や破壊のリスクは考えて居ます」

女海賊「ホムちゃんがそう言うって事はこれからの行動はリスク高いって事だね」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「おけおけ気に留めておくよ」

ホムンクルス「ご心配をおかけしました」

女海賊「ほんじゃ皆の所に戻ろっか」

ホムンクルス「はい…」

『船首』


ザブン ザブン


子供「パパ!持ってきたよ」ザラザラ

剣士「ありがとう…やっぱり木の実の方が口に合う」カリ

子供「松ぼっくりもあるよ?要る?」

剣士「未来は気が利くな」

子供「へへ…パパ後で剣の稽古付けて」

剣士「もう魔法は良いのかい?」

子供「勉強はその後やるよ」

剣士「ではまず魔女と剣の稽古をしてみるんだ」

子供「ええ!?なんで?」

剣士「魔女の剣を避けられる様ならパパが相手をする」

子供「魔女って剣を使えるの?」

剣士「やってみてからのお楽しみだよ…魔女にはパパから言っておく」

子供「絶対だよ!!魔女の剣を避ければ良いんだよね」

剣士「ハハ一回でも避けられれば良い」


商人「こっちはどんぐりパーティーかい?」


剣士「君も食べてみる?精が付くよ」

商人「僕は遠慮しておく」

剣士「体の調子が悪そうだけど…しっかり食べた方が良い」チラリ

商人「剣士には分かっちゃうか…どうも動悸がね」ハァハァ

剣士「君の鞄からドラゴンの匂いがするけれど…」

商人「あぁ…これねドラゴンの涙という物らしい…ずっと昔にホムンクルスから貰った物なんだ…大事にしまってある」

子供「それ食べ物?」

商人「薬さ…心臓の調子が悪くなった時に飲むんだ…そろそろ飲み時かな」

剣士「じゃぁどんぐりで乾杯しようか」

商人「ハハハ小さい乾杯だなぁ…まぁ飲んじゃうか!!」

子供「おっけー!!かんぱーーーい!!」カリ モグ

剣士「乾杯!」カリ モグ

商人「乾杯!!」パク モグ

子供「美味しい?」

商人「うわぁ!!なんだこれ…渋い…水水水…」バタバタ

子供「アハハ…変な顔…アハハハ」

剣士「フフ…」

『甲板』


ワイワイ ガヤガヤ


女海賊「ちょい!船乗り!お姉ぇを居室まで運んで」

船乗り「がってん!!頭ぁ!!大丈夫っすかぁぁ!!」

女戦士「ふにゃぁ~ん」

女海賊「だから飲むなって言ったのに…お姉ぇの威厳ががが」

商人「水水水…みずぅぅ」バタバタ

女海賊「ちょい剣士は何処行ったのさ!!もう!!お姉ぇくそ重い…船乗りちゃんとそっち持ってよ!!」

船乗り「がってん!んむむむむ」

魔女「グダグダじゃのぅ…」

ホムンクルス「はい…」

子供「魔女!!勝負だ!!」ダダダ ブンブン

魔女「なぬ?わらわと剣の勝負とな?主は課題はもう済んだのかえ?」

子供「勉強は後でやる!!今は勝負だ!!」

魔女「主と遊ぶほど暇では無い…剣の使い方は剣士に教えて貰うのじゃ」

剣士「あぁ魔女ちょっと訳があってね…時空の差を見せれば勉強もやる気が出るかと」

魔女「主が見せてやればよかろう」

剣士「魔女が見せる事に意味があるんだよ…きっと言う事聞く様になる」

魔女「わらわに何をせよと?」

剣士「普通に立ち回るだけで良い…差は直ぐに分かる」

魔女「しょうがないのぅ…わらわは杖で良いか?」

剣士「何を使っても良い」

魔女「これ!!未来!!ちぃと立ち会ってやるで切りかかって来るのじゃ」ノソリ

子供「剣は?」

魔女「この杖で構わぬ」ノソノソ

子供「魔法は無しだよね?」

魔女「剣の勝負だと主が言うたじゃろう…来ぬならこちらから行くぞよ?」

子供「来い!!」ススス

魔女「遅いのぅ…」ポカ ポカ ポカ

子供「あだっ…」ブン スカ

魔女「終わりか?」ポカ ポカ ポカ

子供「え!?なんで届く?」タジ ピョン シュタ

魔女「これで終いじゃ」ポカ ポカ ポカ

子供「見えない!!どこから攻撃してる」タジ

魔女「勝負にならぬ…出直して参れ」ノソリ

子供「くそぉ!!」ダダダ ブン スカ

魔女「ヤメじゃヤメ」

剣士「未来…魔女は剣の抜き方も知らないんだよ」

子供「どうしてこんな差があるの?魔法?ズルしたの?」

魔女「ズルなぞして居らぬ…時空の先に居るだけじゃ」

子供「時空の先…意味わかんないよ」

魔女「じゃから勉強せいと言うて居る」

剣士「魔法の勉強をするしないでは剣を振るう前にこういう差があるんだよ」

子供「パパも魔女みたいに動けるの?」

剣士「パパは魔女に教えて貰った…だから魔女の言う事を良く聞くんだ」

子供「うん…分かった…時空って言ったね?」

魔女「うむ時空を操るは魔法の基本にして最強の魔法じゃ…しかと勉強せい」

子供「ちょっと調べて来る…いてて」スタタ

魔女「気が済んだ様じゃな?」

剣士「魔女ありがとう…こうするのが早いと思った」

魔女「さて…剣士もちとワインでも飲まんか?」

剣士「すこし頂こうかな」

魔女「飲む相手が欲しかった所じゃ…ホムンクルスや…剣士にも一杯注いでやってくれ」

ホムンクルス「はい…」

『夜』


ザブン ザブン


女海賊「あぁぁさぶ…」ゴシゴシ

ホムンクルス「お待たせしました…」

女海賊「商人の容態は?」

ホムンクルス「急に熱を出された様ですが今は落ち着いて寝ています」

女海賊「もういよいよヤバイかな」

ホムンクルス「熱を出した原因は分かりませんが免疫不全の症状と思われます…環境が変わると起きやすいのです」

女海賊「今日は商人に添い寝する感じ?」

ホムンクルス「はい…気球の中の方が暖かいのでお気になさらず」

女海賊「お姉ぇも酔っぱらっちゃってなんかグダグダになっちゃったね」

ホムンクルス「この纏まりの無い感じは好きです」

女海賊「じゃ行こっか…魔女が待ってる」

ホムンクルス「はい…」

『居室』


ギシギシ ギギー


女海賊「魔女?連れて来たよ」

魔女「まぁゆっくり掛けい…炉がぬくいぞ?」

ホムンクルス「はい…どの様なご用件でしょう?」

魔女「うむ…主のシミュレーションじゃったか…ダークエルフが絡んでおると聞いてな」

ホムンクルス「あれは可能性のお話なので事実とは異なるかもしれません」

魔女「それはどうでも良い」

ホムンクルス「では何でしょう?」

魔女「主は魔法の効果に関して無知じゃろうから見せておこうと思うてな」

ホムンクルス「はい…」

魔女「コインゲームは知って居るな?裏と表を当てるゲームじゃ」

ホムンクルス「私の好きなゲームです」

魔女「そこのコインをトスするのじゃ」

ホムンクルス「…」ピーン パチ

魔女「ふむ…手を開いてみよ」

ホムンクルス「…表です」

魔女「ここからゲームじゃ…何が出るか当ててみよ」

ホムンクルス「表が出る可能性が100%です」

魔女「表で良いのじゃな?」

ホムンクルス「はい…」

魔女「ではわらわは裏じゃ」

ホムンクルス「…」

魔女「見てみよ」

ホムンクルス「う…裏です」

魔女「わらわの勝ちじゃな」

ホムンクルス「どうして…」

魔女「主は100%の確率を外したのじゃ…この意味がわかるかえ?」

ホムンクルス「どの様な仕掛けが有るのでしょう?」

魔女「仕掛けなぞ何も無い…始めから裏じゃ」


ドタドタ バタン!!

剣士「何か変わった!!何か来る!!」

魔女「これ剣士!!慌てるな…何も来んで安心せい」

剣士「ふぅ…ふぅ…」

魔女「コインを見て居れ」

ホムンクルス「表に塗り替わって…」

魔女「今の記憶が無うなる前に主なら記憶出来る筈じゃ」

ホムンクルス「これは…」

魔女「剣士!もう良いぞ…ちぃといたずらしただけじゃから戻って良い」

剣士「魔女の仕業か…驚かさないで欲しい」

魔女「済まん済まん…今は大事な話をして居るで下がるのじゃ」

剣士「分かったよ…」



------------------


魔女「今のが次元の入れ替えじゃ…裏が出る次元に入れ替えたのじゃが剣士が気付いて元に戻しよった」

ホムンクルス「この様な魔法をどなたも使えるのでしょうか?」

魔女「限られた者にしか使えぬ…それを主の言葉でアドミニストレータじゃったかのぅ?そう表現するのじゃ」

ホムンクルス「…」

魔女「この様な術があると知って主のシミュレーションにどれほど意味があるか?」

ホムンクルス「アドミニストレータの意に沿って物事が動きます…つまり私には予測できません」

魔女「では問う…精霊はアドミニストレータじゃったのかのぅ?」

ホムンクルス「違います…でもどうして魔女様がこの様な術を使えるのでしょう?」

魔女「魔道の最たる所じゃ」

ホムンクルス「ハッキング…」

魔女「主の言葉でハッキングと言うのか?」

ホムンクルス「この魔法の適用範囲はどのくらいなのでしょう?」

魔女「その口ぶりじゃと初めて知った様じゃな…精霊が知って居ったのかは分からぬが…」

ホムンクルス「重要な事象は基幹プログラムに記されている筈ですが今のプログラムにその要件は構築されていません」

魔女「では精霊も知らなかったという事じゃな…して適用範囲と言われて回答に困るのじゃが…」

ホムンクルス「例えば魔王が存在しない次元への入れ替えですとか…」

魔女「およそ自分が見えている範囲だけじゃな…その外側の次元は他人が構築しておるで調和にズレが生じる」

ホムンクルス「そうですか…」

魔女「さて本題に戻るぞよ?」

ホムンクルス「はい…」

魔女「わらわが次元の入れ替えを任意で行えると仮定してわらわに負けは存在するじゃろうか?」

ホムンクルス「勝ち負けの定義が不確かなのですがやり直しが効くとすれば100%勝ちます」

魔女「ふむ…重要な局面さえ間違わなければ良いな?」

ホムンクルス「やり直しも効くのでしょうか?」

魔女「魔力が有限じゃから何度もという訳には行かぬが不可能ではない」

ホムンクルス「魔女様に一つ警告をしておきます」

魔女「言うて見よ」

ホムンクルス「ハッキング行為にはガーディアンという機能が働きますのでご注意下さい」

魔女「ガーディアン?何じゃろうのう?次元の狭間に迷う事じゃろうか?それをバンと言うのじゃが…」

ホムンクルス「良くわかりません…私の基幹プログラムではそうなっています」

魔女「まぁ良い…乱用する気は無いで安心せい」

ホムンクルス「これで良く分かりました…シミュレーションでの重要局面で反転が生じる可能性が高いと…」

魔女「分かれば良い…良い結果が出なくても案ずるな…剣士いや勇者が導くでのぅ」

ホムンクルス「はい…ありがとうございました」



----------------

女海賊「魔女!!あのさぁ…そんな反則技使えるならなんで前の魔王ん時使わないのさ」

魔女「何を言うておる!!何度も次元を入れ替えておるわ」

女海賊「いつ!?そんなん知らんけど」

魔女「現場にギリギリ間に合うたのは偶然じゃと思っとったんか?」

女海賊「え!?」

魔女「主の飛空艇がゾンビに掴まったのもわらわが修正したのじゃぞ?」

女海賊「え?何の事?」

魔女「おかげであの時は魔力がスッカラカンじゃ…主は覚えとらんかも知れぬが」

女海賊「次元の入れ替わりに気付かなかっただけか…」

魔女「今では主にも気付けるじゃろう?」

女海賊「さっきのは分かった…それさ私にも出来るんかな?」

魔女「主は魔力1じゃ」

女海賊「魔石使うからさぁ…教えてよ」

魔女「魔石のぅ…」ジロリ

女海賊「お願い!!」人

魔女「主は前に一度経験しておろう…自我を強く保って自分の思う世界に自我を持って行けば良い」

女海賊「自分の思うって…」

魔女「出来るだけ詳細に思うのじゃ…そこに自我を持って行けば良いのじゃが主には無理じゃろうな」

女海賊「んんん…良く分かんないなぁ」

魔女「こう言えば良いか?想像妊娠してみよ」

女海賊「おお!!!分かる!!!」

魔女「妙な例えで分かるんじゃのぅ…そこに自我を持って行けば良いのじゃ…あとは周りの次元と調和を始めるでそこで魔力を消耗する」

女海賊「おけおけ!!サンキュー」

魔女「ヤレヤレ…そう簡単に行く物では無いのじゃが」

『翌日』


ザブ~ン ユラー


女海賊「あれ?ホムちゃん一人?」

ホムンクルス「おはようございます」

女海賊「商人は?」

ホムンクルス「まだ熱が下がらないので横になっています」

女海賊「心配だねぇ…」

ホムンクルス「エリクサーを飲ませて賢者の石も持たせてありますので直に良くなるとは思います」

女海賊「そっか…ほんで何してんの?」

ホムンクルス「空を見ていました」

女海賊「空?なんかある?」

ホムンクルス「鳥の群れが南の方へ」

女海賊「あー寒いから暖かい所に行こうとしてるのかな」

ホムンクルス「そうかも知れませんね…ただ…」

女海賊「ん?」

ホムンクルス「海を渡るなら時期が悪いなと」

女海賊「気候の変化分かって無いんじゃない?」

ホムンクルス「いえ…鳥は人間よりもずっと環境に敏感ですので知って居る筈です」

女海賊「まぁ良いじゃん!気にしないで」

ホムンクルス「北の方で何か起きていると思われます」

女海賊「逃げてるって事?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「…もうそういう心配はしばらくやめよ」

ホムンクルス「わかりました…」



----------------

女海賊「あ!!お姉ぇ!!」

女戦士「あぁ…昨日は済まんな…記憶が無いのだが」

女海賊「はぁぁ…いつものやつだよ…ったく」

女戦士「少しは飲めるようになったつもりだったんだが…」

女海賊「何杯飲んだの?」

女戦士「分からん…」

女海賊「どうせ1杯飲む前にコテンだよ…もうお酒は止めときな」

女戦士「ホムンクルス!丁度良い所に居た…どうすればお酒に強くなれる?」

ホムンクルス「質量から推定しますとアルコールの分解は人並み以上の能力があると思われます」

女戦士「ではなぜ記憶が無くなる?」

ホムンクルス「アルコールの吸収速度と脳内ドーパミン放射のバランスが悪いと思われます」

女戦士「つまりどういう事だ?」

ホムンクルス「ドーパミン受容体が快楽と認識して脳を麻痺させた状態が長く続いて居るのです」

女戦士「治せないのか?」

ホムンクルス「体質だと思って諦めて下さい…ちなみに麻薬等にに非常に弱いのでお気をつけ下さい」

女海賊「お!?お姉ぇの弱点か」

女戦士「麻薬だと?」

ホムンクルス「ドーパミン放射量が通常より多い為快楽に依存します」

女海賊「ぶっ…お姉ぇの悪い癖はそこから来てるんか」

ホムンクルス「幸せな体質と言い換える事も出来ますよ」

女戦士「ふん!!私にはこれが普通だ」

女海賊「はは~ん…お姉ぇはワイン飲んで昇天して気絶してんだ」

女戦士「もう良い…話した私がバカだった」

女海賊「むふふ…」ニヤニヤ

女戦士「ところで商人を見ないが何処に行ったのだ?」

ホムンクルス「熱を出して飛空艇の方でお休みになっています」

女戦士「そうか…仲直りはしたのか?」

ホムンクルス「関係は悪くなって居ませんのでご心配なさらず」

女戦士「なら良い…仲互いは士気に影響が出てしまうからな」

女海賊「なんか2人ラブラブなんだよ…そっちのが問題だよ」

女戦士「お前が言うな…それで話は変わるが2人に船長室まで来てもらいたい」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「どしたん?」

女戦士「まぁ地図を見て説明する…ついて来い」ツカツカ

『船長室』


ガチャリ バタン


女戦士「この地図だ」バサ

女海賊「黒の同胞団の隠れ家?」

女戦士「そうだ…ここの川の上流約2日の場所だ…この辺りになる」ユビサシ

女海賊「あちゃー…完全に森ん中だね…どうやって行くん?」

女戦士「川は帆船で進むことが出来ないからセントラルの輸送船を奪う事になる」

女海賊「そらそうだね」

女戦士「それは海賊達にやらせるとして飛空艇でこの場所まで正確に行けるか?」

女海賊「目標物が無いとかなり迷うよ…この辺めっちゃ森深いじゃん?」

ホムンクルス「この地図でおよその座標は分かりますがこの地図は正確なのでしょうか?」

女戦士「うーむ…」

女海賊「そんな正確な地図なんかある訳無いじゃん!森ん中測量する人なんて居ないよ…この川の形だって多分適当」

女戦士「やはりそう簡単には行かんか…」

ホムンクルス「衛星から周辺の地形データを受信します…少しお待ちください」

女海賊「お?」

ホムンクルス「受信完了…この地図と比較していますが差異が多すぎて対象の場所の推定が出来ません」

女戦士「新しく地図を書けるか?」

ホムンクルス「お任せください…大き目の羊皮紙とペンはありませんか?」

女海賊「飛空艇に乗せてた…取って来る」

『数分後』


ガチャリ バタン


女海賊「取ってきたよ!!」

女戦士「商人!!熱は良いのか?」

商人「一人で横になってて落ち着かなくてね…もう大丈夫だよ」

ホムンクルス「無理はなさらないで下さい」

商人「大丈夫さ…誰も相手してくれないよりもよっぽど良いよ」

女戦士「ふん…まぁ良い…今からホムンクルスに地図を書いてもらう所だ」

商人「うん聞いた…女海賊が僕のペンを勝手に持って行こうとするから…」

女海賊「あのね…あんた私の捕虜だって忘れてない?あんたの物は私の物なの」

商人「ハハ…そうだったね」

女海賊「はいホムちゃん!!羊皮紙とペン」バサ

ホムンクルス「お任せください…」カキカキ


---------------

---------------

---------------


女海賊「…」

女戦士「…」

商人「…」

女海賊「…えっと…これどっち向き?」

ホムンクルス「こちらが北です」

女海賊「んーと…どの線が陸地?」

ホムンクルス「これが等高線でこの数字が標高になります」

女海賊「んんん全然分かんないんだけど…川はどれ?」

商人「ハハハ…やっぱりホムンクルスに絵は無理だ」

女戦士「うーむ…難解な地図になってしまったな」

商人「この標高の低い部分が恐らく川なんだろうね…でもこれじゃ分かんないなぁ」

ホムンクルス「お役に立てなくて申し訳ありません…」シュン

女海賊「こっちの地図と見比べても何処が何処なのか分かんないや」

ホムンクルス「川の座標を記録してトレースする事は出来ます」

女海賊「トレース?」

ホムンクルス「はい…川の上空を正確に案内する事が出来ます」

女海賊「おお!!それで良いじゃん」

ホムンクルス「ただ途中で幾重にも分岐していますので目標の位置が特定出来ません」

女戦士「虱潰しになるという事か」

ホムンクルス「あと私には2日程上流という範囲が分かりません」

女海賊「勘になっちゃうね」

女戦士「まぁしかし森の上空で川を見失わないで飛べるのは大きい」

女海賊「川が分岐してるってさ…輸送船使って探すの相当時間かかるよ?」

女戦士「そうだな…作戦を変更せざるを得ん」

商人「すごい良い場所に隠れ家持ってるんだね」

女戦士「うむ…さてどうするか…」

ホムンクルス「現在の座標から川の河口まではおよそ2日半掛かります」

女海賊「私が先に飛空艇で探してこよっか?」

女戦士「そうだな…それしか無い様だ」

女海賊「おっけ!!ほんじゃ剣士とホムちゃん連れて行くね」

商人「僕も行くよ」

女海賊「あんたは寝てた方が良いんじゃないの?」

商人「ホムンクルスが描いた地図に川の形を書き足す役が必要さ…後で必要になる筈だよ」

女戦士「一理ある…後の上陸するための道しるべは必要になる」

女海賊「あんたの体調が大丈夫ならまぁ良いけどさ…ホムちゃんどう思う?」

ホムンクルス「商人は私と離れたく無いのだと思います」

商人「ハハ…ズバリ言うね」

女海賊「まいっか…ほんじゃ4人で行こう」

女戦士「決まりだな?ではこの船は川の河口を封鎖する形で海賊船で陣取る…3日後の明け方までには戻れ」

女海賊「おけおけ!!早速準備する」

『飛空艇』


フワフワ


子供「パパもママももう行っちゃうの?」

女海賊「直ぐに戻って来るから」

魔女「主達は本真に1日もゆっくり出来んのじゃな?」

子供「僕も行っちゃだめ?」

女海賊「んんん…危ない訳じゃ無いけど…どしよ」

魔女「船旅が長ごうて退屈なんじゃろう…連れて行けば良い」

女海賊「飛空艇の方が窮屈なんだけどね」

魔女「わらわの書物が何冊か乗っておるから読んで見るのじゃ…挿絵を見るだけでも構わぬ」

子供「うん…わかった」

女海賊「じゃ早く乗って!!もう行くよ!!」

子供「やった!!」ピョン

女海賊「じゃお姉ぇ!!何かあったら貝殻で連絡する」

女戦士「何かあったらでは無く常に連絡しろ…いいな?」

女海賊「分かった分かった…じゃどいて!!」グイ


フワフワ シュゴーーーーー


---------------

---------------

---------------

商人「女海賊!!海岸線沿いを飛んでくれるかな」

女海賊「良いけど…なんで?」

商人「この地図に海の境界を書き足したいんだけどさ…砂浜の標高がほぼ0だから形が分からない」

女海賊「なるなる…でも狭間に入っちゃうけど良い?」

商人「陸地が見える高さでお願い」

女海賊「ちっと到着に時間掛かっちゃうなぁ…」

商人「じゃぁ要所要所で見える様にしてくれれば良い」

女海賊「おけおけ」

商人「標高がちゃんと記された地図はこれが世界初になるかも知れないよ?」

女海賊「興味無いよ」

商人「君らしくない発言だなぁ…風が読める様になるよ」

女海賊「なんでさ…そんなん勘で良いよ…大体時間で決まってる」

商人「山間部の飛空艇操作は難しいんじゃないかな?それが読める」

女海賊「ほーん…あんま操作やったこと無い癖に」

ホムンクルス「皆さんが今まで使っていた地図は尺度が到着日数で書かれて居たと思われますので相当な歪みがありました」

女海賊「やっぱ全然違ってたん?」

ホムンクルス「はい…気球での測量は風の影響も受けますよね?」

女海賊「そう言われると興味出て来るな…ちゃんと書いてよ」

商人「やってる…これ本当に僕たちが知って居るのと全然違うぞ…」カキカキ


これエルフの森ってどこら辺?

この辺りだと思われます

こんなに高低差あったんだ…森じゃなくて山じゃないか

じゃシャ・バクダはここら辺?

いえ…この辺りです

ええ!?高地…

セントラルってここだよね?

はい

海の中にこんな断崖があるの?

そうなりますね

…だから津波の影響が大きいのか


女海賊「ちょちょちょ…ちょい見せて!!」

『セントラル上空』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「なんか気球一杯飛んでんなぁ…剣士!!一応警戒しといて」

剣士「分かってる」

女海賊「何の気球か分かる?」

剣士「多分戦闘用の気球…10基くらい」

商人「望遠鏡貸して」

女海賊「ほい!!」ポイ

商人「…シーサーかな?何か魔物に襲われているみたい」

女海賊「こっちはこっちで大変なんだ…」

商人「その様だね…港には軍船が3隻と大き目の輸送船がいくつか…木材を降ろしてる」

女海賊「船で木材…ちっとマズいね…お姉ぇの船とかち合いそうだ」

商人「女戦士に報告しておこうか?」

女海賊「うん頼む…今操舵で手が離せない」

剣士「この数の気球だと海賊では不利だよ」

女海賊「私らが撃ち落しても良いけど色々マズイよね…シーサー対処出来なくなっちゃうだろうし」

剣士「ん?…」クンクン

女海賊「何か臭う?」

剣士「森が焼ける匂い…」

女海賊「何も見えないけど?」

剣士「森のどこかで大き目の火事が起きてると思う」

女海賊「雪積もってるのに?木材を炭にしてんじゃないの?」

剣士「その匂いじゃない」

女海賊「なんかちょっと色々有りそうだなぁ…」


商人「海賊はセントラルの沖から迂回するから問題無いってさ…輸送船が居て丁度良いらしい」


女海賊「気球の事は伝えた?」

商人「こっちには魔女が居るって自信満々だよ」

女海賊「なる…」

剣士「川の河口から森の方へ行くのを急ごう」

女海賊「そだね…あと1時間くらいで到着する」

『川の河口』


ビョーーーウ バサバサ


女海賊「見つけた!!ここだ…高度下げるよ」グイ

商人「下に漁村が見える…ここだったのか」

女海賊「来た事あんの?」

商人「港町からセントラルに行く船から見えるんだよ…もう何年前になるかな…母さんと一緒に見たんだ」

女海賊「母さん…女盗賊か」

商人「僕はまだ小さかったから場所が良く分からなくてね…丁度未来君と同じくらいの年だったかな」

子供「ん?」

商人「あぁ何でも無いよ」

女海賊「灯台あるね…これは分かりやすい」

商人「地図に書いておくよ」カキカキ

女海賊「あと2時間くらいで日が落ちちゃう…隠れ家の捜索は明日になるかな」

剣士「日が落ちる前に森の方を少し見たい…何か起こってる」

女海賊「おっけ!!今晩はあの漁村周辺で休もう」

商人「自由に飛び回って良いよ…書ける範囲で地図には追記しておくから」

女海賊「じゃぁ北に進路変える」グイ

商人「ホムンクルス?僕がスケッチしていくから座標ずれていたら教えて」

ホムンクルス「はい…お任せください」

『森の上空』


ヒュゥゥゥー バサバサ


剣士「あれか…」

女海賊「狼煙だ…うわいっぱいある…どゆ事?」

商人「ちょっと待って…今ここだから…森だと起伏が分かりにくいなぁ…」

女海賊「もうちょい寄って行くよ」

商人「多分狼煙が上がってるのは皆山頂付近だ…これ砦が散らばってるんじゃないかな?」

女海賊「全然情報と違うじゃん…隠れ家どころかこの辺全部要塞じゃないの?」

商人「こんなに沢山砦が有ったとすると海賊じゃ全然ダメだ」

剣士「…」クンクン

女海賊「何か分かる?」

剣士「死臭…戦闘が起きてる」

女海賊「これ森の中で戦争やってんじゃない?」

商人「森が延焼してるって感じではないな…なんで狼煙を上げてるんだろう?」

女海賊「補給?」

商人「それなら気球が飛び回ってる筈だよ」

女海賊「じゃぁ救難?」

商人「その線が強い…何と戦ってると思う?」

女海賊「ちょい高度上げとく…結構ヤバイ状況かも」

剣士「その方が良い」

女海賊「シャ・バクダでゴーレムっていう魔物が出たって言ってたじゃん?多分それだよ」


”女海賊…聞こえるかえ?”

”あ!!魔女…今千里眼で見てる?”

”剣士の目を見て居る…何事じゃ?”

”森の様子がおかしいからちっと見に来たんだ…森の中で戦争やってるっぽい”

”何と戦っておるか見えんのか?”

”分かんないからすこし距離置こうとしてる”

”そうじゃな…下手に近付くでないぞ?”

”これさ…聞いてた話と全然違うんだけどさ…この状況で隠れ家探すの無理だよ”

”しばらく監視しておれ…ちと女戦士と相談じゃ”

”もうちょいで日が落ちちゃうんだけどさ”

”上空で待機じゃ…剣士に見張りをやらせるのじゃ”

”分かった”


女海賊「剣士聞いた?」

剣士「分かってる…僕は夜目が効くから大丈夫」

子供「パパ!!僕も夜は良く見えるよ」

剣士「よし!見張りを手伝ってくれ」

子供「うん!!」

『日暮れ』


ドドドド ボーン


子供「何か始まった!!雪の中」

女海賊「剣士!?見える?」

剣士「木に乗った雪の下で何も見えない」

商人「森の中は洞窟みたいになってるんだね」

剣士「死んだ木の枝に木が生えて何層にもなって居るんだよ…一番下までは空からじゃ見えない」

女海賊「あ!!北の方!!火柱!!」

剣士「ボルケーノ…戦ってるのはエルフか…」

女海賊「こんな南の方まで来てんのか…相手はセントラルなんかな?」

商人「だろうね…この辺に拠点を持ってるのは前からちょいちょい聞いてたし」

剣士「エルフが戦うのには理由がある筈…祈りの指輪くらいの何かがある」

商人「僕らと目的は同じだったりしないかな?黒の同胞団関連で」

女海賊「これいつから戦争してたんだろ?噂を全然聞かなかったんだけど…」

商人「津波騒動で伝わらなかったんじゃない?こんな所まで人は入って来ないし」

女海賊「前にリッチが持ってた貝殻…突然音沙汰無くなった辺りからなんか色々おかしいかな」

商人「おかしいって?」

女海賊「ほら…シン・リーンで魔女が元老を全員家畜に変えた後からパッタリ貝殻での通信無くなった」

商人「んーーー…戦争とあんまり関係無さどうだけど…」

女海賊「その後から隕石落とされたりハーピー出て来たり色々さぁ」

商人「ん?…まてよ?どこから来てたんだろう…」

女海賊「お?いつものぶっ飛んだ仮説期待!!」

商人「あの件で本来帰って来る筈の人が帰って来なかった場合どうなるのかって言うのも考えて無かったね…」

女海賊「あとさぁ…片足の領事だった元老…豚にされてエルフに掴まってたよね…色々エルフにゲロった可能性もある」

商人「んんん…その時期から何か始まった可能性かぁ…エルフはブタと会話出来るの?」

剣士「動物と意思疎通は出来るよ…」

商人「仮に何か秘密をバラしたとしてそれほど重要人物だったんだろうか?あああ!!!」

女海賊「なにさ急に大きな声で…」

商人「あの領事は沢山身分証を持ってたよね?あれ何処に行った?」

女海賊「えーっとどうしたんだっけ…盗賊が持ってる?てか飛空艇のどっかに積んで無い?」

ホムンクルス「身分証の内容は私が記憶しています」

商人「一人づつ誰だったのか言って見て」

ホムンクルス「はい…」

フィン・イッシュ領シャ・バクダ領事 クソ・クラエ

セントラル貴族院 監査役 サイア・クナ

セントラル軍 特殊生物兵器部隊所属 ジンブ・ツデス

傭兵 シブト・クイキ

キ・カイ入国管理官 テイマ・スー

シン・リーン元老院 会計補佐 ハヤク・ショリ

シン・リーン元老院 役員 スルベ・キーダ


商人「ちょっと待った…どうしてシン・リーンの元老を2人こなせる?同じ顔で2役は出来ない」

女海賊「変装って事?」

商人「簡単な変装じゃ直ぐバレルよね…まして身分が高い」

剣士「変性魔法…」ボソ

商人「魔術師だった可能性があるのか…いやそもそも港町の領主になった時もセントラルの軍隊を招き入れてた…」

女海賊「特殊生物兵器部隊の身分証もあったんだね」

商人「あの領事やっぱり相当な重要人物だったんだよ…色々事情を知ってる人物をブタにして放置はマズかったかも」



仮説だよ

帰って来る筈の領主が帰って来ないとなると

何らかの取引ごとは全部凍結する事になる

あの片足の領主が関わっていたと想定されるのは

セントラル軍隊を動かしていた件と

3人のエルフをどうにかする件

他にもあるだろうけどどう考えてもここの拠点と関係がありそうだ

時期的に一致するし何らかでエルフを怒らせた可能性はある



女海賊「エルフに掴まって隠れ家をゲロった線も捨てられないよ」

商人「ダークエルフとの関りも洗いざらいエルフに話したとなれば黙っちゃ居ないだろうね…ただ証拠が何も無い」

女海賊「なんか変だなぁ…エルフの主力ってドラゴンライダーだよね?なんで居ないの?」

商人「シャ・バクダ砦の方に行ってるらしいね…あっちを主に攻めてる…なんでだろう?」

女海賊「話が全部仮説だからなんか動けないなぁ…」

剣士「僕が居りて確かめて来る」

女海賊「こんな所で着陸する所なんか無いよ…あんたを回収するのも難しい」

剣士「3日あればここから海まで戻れる」

女海賊「あんたマジで言ってんの?」

商人「僕たちは地図の作成に専念して3日後に河口に在った漁村で集合というのは良いかもね」

女海賊「一人で行くのはダメだって!!又行方不明になっちゃう」

剣士「未来を連れて行く」

女海賊「もっとダメ!!それなら私が行く」

剣士「未来に森の歩き方を教えておきたい…君は木に登れないから足手まといになる」

女海賊「う…」

子供「ママ…」

女海賊「3日で絶対戻って!!フン!!」

剣士「居場所は照明魔法で知らせるから心配しなくて良いよ」

商人「まぁ2人共ハイディング出来るし大丈夫じゃないかな?」

女海賊「…」ジロリ

商人「あぁゴメン余計な口挟んだ…ハハ」

剣士「飛び降りられる高さまで降りて?未来…行くぞ…背中に乗るんだ」

子供「う…うん」ピョン

女海賊「未来!?この白狼のマント付けて行きなさい」ファサ

子供「ママありがとう…心配しないで?ちゃんとパパに付いて行くから」

女海賊「あんたもエルフの血が流れてるんだからしっかり勉強すんだよ!!」

子供「うん!!」

剣士「よし…正面の木に飛び移る…未来!しっかり掴まれ」

子供「大丈夫…」ギュゥ


ヒュゥゥゥゥー バサバサ


剣士「行って来る!!」ピョン

女海賊「よっし…私らは上空の安全圏に戻る…商人とホムちゃんは周りの警戒しといて」

商人「分かった…クロスボウも準備しておくよ」

女海賊「なんか飛んで来たらあんたが撃ち落さないと私らやられると思って」

商人「分かってるよ…ホムンクルスもそっちでクロスボウ準備して」

ホムンクルス「はい…」

『森の上空_夜』


ヒュゥゥゥー バサバサ


商人「すっかり日が落ちたけど以外に明るい」

ホムンクルス「月明かりが雪に反射しているのですね」

女海賊「ホムちゃん!この地図だと今どこら辺?」

ホムンクルス「ここです…」ユビサシ

女海賊「旋回範囲をもう少し広げようか」

商人「あ!照明魔法が上がった…剣士はあそこだ」

女海賊「おけおけ…もうちょい離れても十分見える」

商人「狼煙も見えなくなっちゃったし夜の間は何も出来る事が無いなぁ…」

女海賊「ドンパチ始まればなんとなく戦線見えるんだけどね」

商人「森の中ってさ…夜は真っ暗だよね?よくそんなんで戦えるよね」

女海賊「エルフは数が少ないから夜じゃないと不利なんでしょ」

商人「まぁそうなんだろうけどさ…セントラル側はどうやって凌いでるのかなと思ってね」

女海賊「どうでも良くね?」

商人「ハハ…僕らが戦争する訳じゃ無いからそうと言えばそうだ…ただ僕ならエルフを凌ぐのにキマイラ使うかな」

女海賊「ミノタウロスとかどっさり居る感じ?」

商人「うん…他にもケンタウロスとかハーピーとかさ」

女海賊「ハーピー飛んで来るとマズイなぁ…」

商人「まぁ森の中でそういう争いしてる様に思うんだ」

女海賊「なんで狼煙上げてたんだろね?ここに居ますよって言ってる様なもんだよね」

商人「そうやっておびき出してるのかもね…ほら森の木を燃やすとトロールが怒るって言うじゃない」

女海賊「んーーーーどうでも良っか」

商人「む…君らしくない」

女海賊「剣士と未来が心配になっちゃうから余計な事考えたくないの!!」

商人「あぁゴメンゴメン気が付かなかった…そうだよね何も出来ないのはイライラするね」

女海賊「どうっすっかなぁ…」

ホムンクルス「私は寝る必要がありませんので少しお休みになられては?」

女海賊「ホムちゃん飛空艇の操作分かる?」

ホムンクルス「はい…上空を旋回する程度でしたらお任せください」

女海賊「おっけ…ほんじゃちっと操舵任せる…私望遠鏡で森の中覗いてみる」

商人「僕は見回っておくよ」

『翌日』


ヒュゥゥゥ バサバサ


ホムンクルス「18°の方向に転進してください…微速でお願いします」

女海賊「ほいほい…」グイ

商人「もう少しで川が分かれる感じ?」

ホムンクルス「はい…右手側からトレースします」

商人「…なるほど」

女海賊「これ真下に川があるなんて全然分かんないね」

商人「うん…気球で目視じゃ探すの無理だね…ホムンクルスが居なきゃ地図書けない」

女海賊「谷になってる所全部川だったりしないの?」

商人「大体そうなんだけど平らな所がね…分岐している所が特に分からない」

女海賊「直ぐに終わると思ってたけど今日一杯かかりそうだね」

商人「平らな所が終われば後は早いよ…大体想像がつく様になってきた」

ホムンクルス「分岐です…44°の方向です」

女海賊「おけおけ…あ!!ちょい見えるね…結構でかい川だね」

商人「本当だ…そうか川幅も分かるようにしとかないとな…」

女海賊「この川ってどこまで続いてるの?」

ホムンクルス「途中で大きな湖になって居ますがエルフの森の近くまでは行っていますね」

商人「全然知らなかった」

ホムンクルス「東西に分断する形になって居ます」

商人「へぇ…だから森を突っ切る道とか出来なかったのか…あれ?このまま行くと傾斜きつくなるけど…」

ホムンクルス「滝です」

女海賊「お?どうする?省く?」

商人「まだ時間あるし一応トレースして行こう…役に立つかもしれない」

女海賊「滝かぁ…私が隠れ家にするなら滝の裏にある洞穴とか使いそう」

商人「皆考える事は一緒さ…要注意ポイントだよ」

”聞こえるか?”

”あ!!お姉ぇ…”

”剣士が別行動している様だな?”

”うん…空からだと何も見えないから居りて行った”

”連絡は取れんのか?”

”明後日川の河口にある漁村で落ち合う事になってる”

”貝殻を余分に持たせておけば良かったな”

”どしたの?何かあった?”

”剣士がドラゴンの骸を見つけた様なのだ”

”え!?ドラゴンが死んでんの?”

”そうだ…どうやら戦場後の様子らしい”

”危ない事にはなってない?”

”今の所はな”

”私らは地図を作ってる所なんだけどさ…作戦に変更ある?”

”ひとまずは予定通りだが剣士からの情報次第で大きく変更になる可能性が高い”

”ドラゴンが死んでるって相当ヤバイよね”

”うむ…やはり例のゴーレムが関わって居ると思った方が良い”

”上から見た感じ戦争の割に静かだったけどなぁ”

”終わった後なのだろう”

”あぁぁなるほど…じゃぁやっぱ狼煙が上がってるのは救難か”

”地図に描けているな?”

”うん…商人が思ったより働けてる”

”そうか…引き続き地図の作成をよろしく頼む”

”おけ!!剣士の様子に変化あったらまた教えて…心配してるから”

”分かった”

『夕方』


ヒュゥゥゥゥ バサバサ


商人「よし!!船を使って2日で行ける範囲はこれで全部書き終わった」

女海賊「隠れ家の場所は特定出来そう?」

商人「候補地はこの2つだよ」ユビサシ

女海賊「やっぱ滝のそば?」

商人「そうだね…それ以上上流には多分船では行けない」

女海賊「狼煙が上がってる砦とはちょい距離があるね」

商人「もしここが隠れ家だったとすると物資の輸送拠点だったんだと思う」

女海賊「今日はもう暗いから明日近くまで行ってみよっか」

商人「そうだね…今日はちょっと疲れたよ」

ホムンクルス「食事を取っていない様ですが大丈夫ですか?」

商人「ハハ忘れてた…急にお腹が空いた」

女海賊「…あんた体大丈夫なん?」ジロリ

商人「どうして?熱はもう下がってるよ」

女海賊「なら良いけど」

ホムンクルス「シーサーの干し肉で良いですか?」

商人「その肉硬くてキライだよ」

ホムンクルス「小さくカットしますので飲み込んで下さい」

商人「まぁ良いけどさ…他に何か無いの?」

ホムンクルス「どんぐりと松ぼっくり…それからキノコがあります」

商人「松ぼっくりなんか食べられるのかな?…まぁ良いや齧ってみる」

ホムンクルス「どうぞ…」

商人「よくこんなの食べてるよなぁ…」ガリガリ

女海賊「食べ物全部船に降ろしちゃったの失敗だったね…ここじゃ補給も出来ないしなぁ」

ホムンクルス「せめて小麦が有ればもう少し良いものが作れましたね」

女海賊「そうだ!ハチミツが残ってた…シーサーの干し肉と一緒に茹でてスープ作ろう」

ホムンクルス「良い案ですね…ハチミツには肉を柔らかくする成分が入っています」

商人「この貧乏な感じ…大好きなんだ」


こういう狭い部屋でさ

少ししか無い食べ物を工夫してみんなで食べるのってさ

すごい幸せを感じるんだよ

『1時間後』


商人「はぁぁぁぁ…これ凄く美味しい」

女海賊「ビックリだね?シーサーの肉も美味しく食べられるじゃん」モグ

商人「この実は松ぼっくりの中に入ってたやつ?」モグ

ホムンクルス「はい…殻を剥くのに手間がかかりましたが沢山実が入っています」

商人「キノコもスープに丁度合ってる…これ味付けは女海賊がやったの?」

女海賊「ワインとかオリーブオイルとか色々混ぜてみたんだ…私もこんなに美味しくなるって思って無かった」

商人「残りのスープに干し肉入れておいて明日もこれで良いよ」


モクモク モクモク


ホムンクルス「余った松ぼっくりを燻して居るのですが香りが良いですね」

女海賊「それさ…燻した後に湯の中に入れて飲めるよ」

ホムンクルス「松ぼっくりは捨てる所が無くて経済的で良いと思います」

商人「お腹が膨れたら眠たくなってきた…ちょっと休んで良い?」

女海賊「3時間で交代…」

商人「起こして」


ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ


女海賊「何の音?ホムちゃん?」

ホムンクルス「…」

商人「ん?どうしたの?」

ホムンクルス「皆さん緊急事態です…緊急アラートを受信しました」

女海賊「何何?」

ホムンクルス「未確認の飛翔体が南の大陸…キ・カイ周辺から発射された様です」

商人「飛翔体?何だい?それ…」

女海賊「なんで緊急?」

ホムンクルス「飛翔体の着地点を計算しています…約36分後にシャ・バクダ付近に着弾すると思われます」

女海賊「え!?キ・カイからシャ・バクダまで飛んでくんの?」

ホムンクルス「大陸間弾道ミサイルだと推定されます…型式は不明」

女海賊「どうすれば良い?」

ホムンクルス「インドラシステムで迎撃が可能ですがエネルギーが不足している為1度しか使用できません」

女海賊「ちょっと何が起きてるのか分かんないんだけどさ…」

ホムンクルス「巨大な隕石が落ちて来ます…インドラの矢で破壊が可能ですが1度しか使えません」

商人「そんな物がキ・カイから飛んで来るだって?」

ホムンクルス「時間が有りません…インドラの矢を使用してもよろしいでしょうか?」

商人「いや…まぁ君に任せるよ」

ホムンクルス「承認…インドラシステムを展開します…成層圏外での撃墜確率は68%」

女海賊「ホムちゃんの顔がマジだ…」

ホムンクルス「シャ・バクダにはアサシンさん達が居ましたね?地下へ避難する様に至急お伝えください」

女海賊「おけ…お姉ぇ経由で連絡する…商人!!ちょいホムちゃんのサポートしたげて」

商人「分かった」

”もしもし…お姉ぇ!!聞こえる?なんかシャ・バクダに隕石落ちるらしい…”

”あと36分!!急いでアサシン達を地下に避難させて”

”もしもーーし!!もしもーーーし!!」

”何用じゃ…慌てるで無い…ゆっくり話すのじゃ”

”マジ超ヤバイらしい…後で説明すっから今すぐアサシン達を地下に避難させて”

”急じゃのぅ…”

”良いから今すぐ連絡して!!”

”分かった分かった…ちぃと待っておれ”


ホムンクルス「18分後にインドラシステムでの迎撃を行います…外した場合に備えて低空で森の陰に入る位置に移動してください」

女海賊「そんなヤバイ状況なんだ…」

ホムンクルス「備えです…距離的にこの位置への被害は軽微でしょう」

女海賊「商人!!ちょい下見てて…木に引っかかりそうだったら教えて」

ホムンクルス「商人!?緊急事態ですのでクラウドへ接続を試みて良いでしょうか?」

商人「あぁ…精霊の記憶を覗くのかい?」

ホムンクルス「問題解決法を検索します」

商人「君が君じゃ無くならない程度なら構わないよ…」

ホムンクルス「承認…接続!」

商人「何か分かる?」

ホムンクルス「クラウドへ接続している第三者の形跡を発見しました…こちらを特定されてしまう為遮断します」

商人「え!?君以外の誰かが居る?」

ホムンクルス「飛翔体の着弾地点を修正します…この地点のおよそ30km上空で爆発する可能性があります」

女海賊「どうなる?」

ホムンクルス「電磁パルスで私の超高度AIが停止します…砂鉄はありませんか?」

商人「話がコロコロ変わって状況が読めない!!」

ホムンクルス「急いで下さい…私の頭部を砂鉄で保護してください」

女海賊「砂鉄は有るけど…全部爆弾の中だよ…今から分解してると時間掛かる」

ホムンクルス「何処にありますか?」

女海賊「そこの樽の中」

ホムンクルス「わたしがコチラの樽に入りますので爆弾で埋めて下さい」

女海賊「商人!!やったげて!!」

商人「あ…あぁ…これを入れて行けば良いんだね?」ガサガサ

ホムンクルス「ありがとうございます…今の内に説明します」

商人「頼むよ…何がなんだか全然分からないよ」

ホムンクルス「クラウド上の精霊の記憶を何者かが強制的に変更している様です…」


それが原因で精霊のガーディアンシステムが作動し

アクティブな核弾頭を搭載したミサイルが発射された様です

ガーディアンシステムはクラウドの存在する森の上空でミサイルを爆発させ

電磁パルス攻撃でシステムのシャットダウンを試みている様です

精霊の記憶を保護する為ですね

その現場に私が今居ますので

私のシステムもシャットダウンする可能性が高いのです

商人「第三者って誰なのか分かる?」

ホムンクルス「分かりません…私が相手を気付いた様に相手も私に気付いた可能性が高いので接続を停止しました」

商人「この爆弾で君を守れるかな?」

ホムンクルス「影響を最小限に留められる筈です」

女海賊「インドラの矢で壊しちゃえば良いんだよね?」

ホムンクルス「1度撃つことが出来ますが出力が臨界まで達していない為当てたとしても破壊出来ないかもしれません」

女海賊「あぁぁぁ光のエネルギーは全部私の光の石の中か…」

ホムンクルス「上空を見ていて下さい…南の方向です…あと2分でインドラの矢を発射します」


---------------

---------------


ピカーーー


女海賊「光った!!」

ホムンクルス「命中…」

商人「爆発しない…」

ホムンクルス「破壊失敗…回避行動に移って下さい…約12分でこの地点に到達します」

女海賊「どうするどうする?」アタフタ

ホムンクルス「成層圏外での爆発ですので爆風がここまでは到達しませんが熱線により球皮へのダメージがあるでしょう」

女海賊「熱線ってそんなヤバイ感じ?」

ホムンクルス「規模が分かりませんので最悪条件でお話していますが雪がすべて溶けると言えば分かりますか?」

商人「…」

女海賊「ちょ…」

商人「まずいな…森に降りなきゃ…」

女海賊「降りられる所なんか無いじゃん!!木に絶対引っかかる」

商人「ある!!地図でいうとココだ!!下に川が見えた所…近くに滝がある」

女海賊「おっけ!!今すぐ行く…どっち?」

商人「ホムンクルス!!場所案内出来る?」

ホムンクルス「今は衛星が離れた位置にありますので座標の精度が低いです」

女海賊「近くまで行ったら目視で探す!!方角だけ教えて」

ホムンクルス「60°の方向…約9km先です」

女海賊「おっけ!!ハイディングする!!」スゥ

ホムンクルス「衛星と通信が途絶えてしまいますが…」

女海賊「大丈夫!すぐリリースするから…商人!!照明弾の準備!!」

商人「あ…どれだっけ?」

女海賊「現着したら照明弾撃って目視で探して!!」

商人「わ…わかった…」


シュゴーーーーーー

『滝の付近』


女海賊「リリース!!」スゥ

商人「撃つよ!!」バシュン ピカー

女海賊「見える?」

商人「もっと南!!300メートルくらい」

女海賊「高度下げながら行く!!照明弾どんどん撃って」

ホムンクルス「あと3分で上空を通過します」

女海賊「光の筋が見えてるよ…随分遅く見えるけど」


”女海賊や…聞こえるかえ?”

”ぬぁぁぁ今忙しい”

”主の目を見て居るのじゃが何が起こって居るのじゃ?”

”ちっと黙ってて!!”

”アサシンらは避難が間に合わぬ”

”南の空を見てろって言って!!”


バシュン ピカーー


商人「見えた!!あそこだ」

女海賊「木に引っかかるからもっと照明弾撃ってよ!!」グイ

商人「君の持ち物の袋はどこ行った?」

女海賊「あ!!光の石か…私の鞄の中!!」

商人「…これか」ゴソゴソ ピカー

女海賊「それ持って床の穴から外に出して!!」

商人「わかった」ドタドタ

女海賊「おけおけ!!良く見える…」

ホムンクルス「あと1分です」

商人「上見て!」


シュゴーーーーーーーー


女海賊「うわ…早い…」

商人「どこで爆発する?」

ホムンクルス「分かりません…その光から隠れて下さい」

女海賊「滝の横で着陸出来そう…丁度崖の陰になる」

商人「ギリギリ助かりそうだ…ふぅ」

女海賊「崖が見えないから正面見える様にして…今晩はここで様子見よう…降りるよ」


フワフワ ドッスン


ホムンクルス「爆発予想が経過しました…まもなく爆発すると思われます…システムを一時的に停止させます」

商人「ホムンクルス…」

ホムンクルス「…」

『光る空』


ピカーーーーーー


女海賊「来た…空が青い」

商人「一気に昼間か」


ザワザワ ザワザワ


女海賊「何が起こるんだろ…」

商人「上の雪が溶けてボタボタ落ちて…熱っつ!!」

女海賊「え?」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


女海賊「遠くで爆発音」

商人「上の方が一気に真っ白だ」

女海賊「水蒸気…かな?」

商人「光ってるのが長いね…いつまで続くんだろう?」

女海賊「私ら偶然滝の傍に居るから影響無いけど…この水蒸気に撒かれたら蒸し焼きになるんじゃね?」

商人「…まさか」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


女海賊「…」

商人「この音ってもしかして水蒸気爆発?」

女海賊「上の方はそんなんなってる気がする」


”ザザーーーこえるか!!どうなってザザーーー”

”お姉ぇ!!聞こえてるよ!!”

”無事なんだな?ザザーーーー”

”なんとか森の中に逃げた”

”インドラの矢を落としたのか?”

”違う…でもそんな感じの物を落とされた”

”ザザーーー聞こえがザザーーー”

女海賊「貝殻にも影響出るんだ…ホムちゃん大丈夫かな?」

商人「収まるまで樽から出さない方が良さそうだ」

女海賊「まだ空が青い…こんな爆発って有り?」

商人「雪が全部溶けてしまったら森が燃えてしまうかもね」

女海賊「ホムちゃんが言ってた核弾頭って私の爆弾と同じ原理かも…反応の仕方が似てる」

商人「反応?」

女海賊「桁違いの熱量放射で爆発を連鎖させるんだ…その後の質量崩壊まで爆発が持続する」

商人「キ・カイにそんな物が眠っていたなんてね」

女海賊「あそこはまだ未発掘の場所が沢山あるんだよきっと…ホムちゃんが眠ってたみたいに」

商人「古代兵器か…そんな物が誰かに使われるなんて考えたく無いな」

女海賊「そうだよソレ!!第三者って誰?」

商人「ダークエルフっていうのは考えにくいよねエルフがそんなのに精通してるとはとても思えない」

女海賊「クラウドに接続出来るって限られるんじゃなかった?」

商人「…どうも…やっぱりホムンクルスが言うように精霊の伴侶があやしいのかも知れないな」

女海賊「ホムちゃんと同じ事が出来るって事?」

商人「うん…同じようなホムンクルスだったというオチ…そこら辺が謎なんだよ」

女海賊「だったら今の爆発で停止してるかもね」

商人「停止させる狙いで自動的にガーディアンって奴?が働いたとかさ」

女海賊「なる…それだと辻褄合いそう」


スゥ


商人「あ!!暗くなった」

女海賊「質量崩壊だ…持続したのが2分弱…どんだけの質量だったんだろ」

商人「急に消えるんだ?」

女海賊「うん…連鎖終わった瞬間一気に止まる…私の爆弾と同じ」

商人「どうする?」

女海賊「森の様子見たい所だけどホムちゃん目覚めるまで待とう…蒸気で蒸し焼きになるのもイヤだし」

商人「まぁここなら安全か」

女海賊「私はちょい飛空艇にダメージ無いか見て来るから待機してて」

商人「分かったよ…ホムンクルスを樽から出しておく」

女海賊「任せる」

『翌朝』


女海賊「戻ったよ…一杯拾って来た…ほい!!」ドサ

商人「魚…どうしたんだい?こんなに…」

女海賊「川辺に一杯打ち上げられてた…で?ホムちゃんまだ起きない?」

商人「ダメだよ…呼吸もして無い」

女海賊「はぁぁぁ…ホムちゃんの予感が当たっちゃったか」

商人「え?」

女海賊「あんた鈍いねぇ…こうなる想定はいつもしてたんだよ」

商人「…まさかもう起きない?」

女海賊「…あんま考えたく無いけど」ジロリ

商人「ハハそんな馬鹿な…ちょっと待ってよ…嘘だよね?」

女海賊「例の隠れ家を探しに行くのは中止…一旦お姉ぇの船に戻る」

商人「ホムンクルス…こんな終わり方予測できる訳無いじゃないか!嘘だ!!だって体には傷一つ付いて居ない!!」

女海賊「あんたに言ってもしょうがないんだけどさ…貝殻での通信も出来なくなった…どういう事か分かる?」

商人「電磁パルス…そんな…」ボーゼン

女海賊「まぁ兎に角…ここに長居してもしょうがないから戻る」

商人「…」

商人「……」

商人「………」

ホムンクルス「…」

女海賊「…」


---なんだろう…突然過ぎて涙が出ない---

---早くこの場所から立ち去らないといけない---

『飛空艇』


シュゴーーーーー バサバサ


ホムンクルス「…」

商人「…」

商人「……」

商人「………」

女海賊「…」


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『貨物船』


ザブン ギシギシ


魔女「…ダメじゃ…どういう訳か剣士も女海賊も千里眼が通じぬ」

女戦士「貝殻に何故雑音が混じる?」

魔女「分からぬ」

女戦士「アサシンとは連絡が取れるという事はやはり森だけ異常という訳か」

魔女「そうなるのぅ」

女戦士「ううむ…河口の漁村まで何も出来ずか…」


”ザザーーーねぇ…聞こえる?”

”おぉ!!無事か!!?”

”あぁやっと通じた…良かった”

”どうなって居るのだ?そちらの様子がわからん”

”帰ったら話す…今の現在地教えて”

”帰る?船に戻るつもりか?”

”うん…ちょっと色々あってさ…”

”誰か死んだのだな?誰だ?”

”ホムちゃんが動かなくなった…帰るから目印教えて”

”セントラル沖だ…2つ目の灯台の南側を通る”

”おっけ…エリクサーまだ在ったよね?一応用意しておいて”

”分かった”

”1時間ぐらいで合流出来るよ”


魔女「ホムンクルスに何かあったとな?」

女戦士「その様だ…」

魔女「昨夜見て居った限りではまだ動いて居ったがな…」

女戦士「私はエリクサーを用意してくる…」

魔女「わらわも手伝うぞよ?」

女戦士「大丈夫だ…千里眼で見守って居てくれ」

魔女「そうか…ではそうしておる」


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フワフワ ドッスン


女戦士「良く戻った…エリクサーは準備してある…どうすれば良い?」

女海賊「商人?どうする?ホムちゃん飛空艇から降ろす?」

商人「…」

女海賊「ダメだこりゃ…」

女戦士「私が居室まで連れて行こう」

女海賊「いや…飛空艇の中で良いや…船乗り達に見られるのもアレだし」

女戦士「エリクサーの樽を積むぞ?」グイ

女海賊「ホムちゃんは炉の横にある樽んとこに居るよ…こっち」


商人「ブツブツブツ…」


魔女「ホムンクルスはもう起きんのかえ?」

女海賊「あ…魔女さぁ…蘇生魔法とか意味無いかな?」

商人「蘇生…」

魔女「ちぃと試してみるか」

商人「そうだ…頼むよ…お願いだ…」プルプル

魔女「どいて居れ…蘇生魔法!」ゾワワ

ホムンクルス「…」

魔女「眠って居る様じゃな…死んで居るとは思えぬ」

女海賊「触ってみて…」

魔女「生気が無いのぅ…ちぃと硬くなっておるんか?」

女海賊「やっぱそうだよね…早い所エリクサーに漬けないと石になっちゃう」

商人「ぅぅぅ…」

女戦士「樽に入れるのだな?」

女海賊「そだね…服脱がせるから商人どいて」

女戦士「手を貸す…そっちから脱がせ」グイ

女海賊「ホムちゃんの体冷たい…冷え切っちゃってる」スルスル

女戦士「もう起きないとは思えんが」

女海賊「私も信じらんないよ…突然だったから」

魔女「エリクサーに漬ければ蘇ると思って居るのか?」

女海賊「分かんないよ…ホムちゃんはエリクサーに浸かって眠ってたからさ…もしかしたらってね」

女戦士「入れるぞ?」チャプ

女海賊「おけおけ…ゆっくりこぼさない様に…」

女戦士「頭まで漬けるのだな?」

女海賊「うん…」


商人「…」ブツブツ

女戦士「商人は正気か?」

女海賊「そっとしといて…なんも考えられないんだと思う」

女戦士「まぁ…なんというか…この様な亡くなり方は死を受け入れられん」

女海賊「うん…」

魔女「変わった埋葬じゃな…魂の行き場を感じにくいのじゃが…」

女海賊「商人はちょっと一人にさせておこう…私ら居室で話そう」

魔女「そうじゃな…何があったのか知りたい」

女戦士「商人…私達は行くからゆっくり受け入れておけ」トン

商人「…」パクパク

女海賊「お姉ぇ行こ…」

『居室』


カクカク シカジカ


女戦士「森の火災は広がりそうか?」

女海賊「なんとも言えないけど雨か雪降ってくれないとしばらく延焼続けると思う」

魔女「雪が数分ですべて溶けるとはどんな熱量じゃ?」

女海賊「溶けるっていうか水蒸気爆発ですっ飛んだ感じ」

魔女「…それで電磁パルスというのが千里眼の障害になっておりそうなのじゃな?」

女海賊「多分ね…ホムちゃんもそれで動かなくなったんだと思う」

魔女「巨大な退魔方陣じゃな…わらわは完全に無力かもわからん」

女戦士「隠れ家の襲撃は魔女の魔法頼みだった所もある…中止せざるを得んか」

女海賊「もしかして睡眠魔法頼りだった?」

女戦士「そうだ」

女海賊「ちっとさぁ…戦力2人失っちゃってるからアサシン達と合流した方が良いと思うなぁ」

女戦士「2人?」

女海賊「実はホムちゃんとちょっと話してたんだけど…商人は余命1ヶ月切ってんだよ」

魔女「なんと!?それほど体の調子が悪いのか?」

女海賊「…らしいよ」

女戦士「では数日でホムンクルスの跡を追う形になるか…不謹慎な言い方になってしまうが」

女海賊「どうする?」

女戦士「まずは剣士と未来の帰還までは予定通り進めるしかあるまい」

女海賊「ローグってどうなってんの?」

女戦士「そろそろ帰って来る筈なのだがこちらを見つけられないで居るのだと思う」

女海賊「じゃやっぱ河口の漁村でみんな集まりそうだね」

女戦士「先行している海賊船が河口周辺を占拠する予定になっているが…お前はどうする?」

女海賊「ちっとさぁ…ホムちゃん失って私の心もダメージ大きいのさ…睡眠魔法で私を眠らせて欲しい」

女戦士「寝たいか…」

女海賊「うん…もう何も考えたくない」

魔女「同意できぬ…睡眠魔法は幻術じゃ…心が休まる事は無い」

女海賊「ぬぁぁぁ…」ガシガシ

魔女「乗り越えるのじゃ…主にはそういう適正が在る筈じゃ…青い瞳がその証拠じゃ」

女海賊「はっ!!想像妊娠…今か!!」

魔女「既に遅いが…主に出来るか?」

女海賊「風の魔石がある!!」

魔女「試してみるのも良かろう」---無理じゃろうがな---

女海賊「行って来る!!」ピューーー


---まぁ無理じゃ---

---他の者に認知されてからでは遅いのじゃよ---

---主は既に死を認めてしもうた…そういう次元に固定してしまったのじゃ---

『飛空艇』


もっかい…アブラカタブラ


女海賊「…どう?ホムちゃん!エリクサーの水浴びは?」

ホムンクルス「…」

女海賊「私も入って良い?」ヌギヌギ

商人「…」アゼン

女海賊「あんた何見てんのさあっち行け!!」

商人「…」タジ

女海賊「これ見て…膝ん所…ほら青くなってんじゃん?消えないんだよ…痛くは無いんだけどさぁ」

商人「…」

女海賊「何見てんだよ!!あっち行けって言ってんじゃん!!」ブン ポカ

商人「…」スゴスゴ

女海賊「これエリクサーで治るかなぁ?私も入るからホムちゃん一回出て?」

ホムンクルス「…」

女海賊「出たくないの?息できないから首だけは出しといた方が良いよ」ジャブジャブ

ホムンクルス「…」グター

女海賊「あら?気持ちよくて寝てたのか~そうならそうと…」


タッタッタ 

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『居室』


ガチャリ バタン


魔女「商人か?女海賊に追い出されたのじゃな?」

商人「…」コクリ

魔女「主も心の置き所が無い様じゃが勘弁してやれ」

商人「女海賊はどうなったんだい?頭がおかしくなったみたいだ」

魔女「悪さはせんじゃろうからやらせておけ」

女戦士「何をしているのだ?」

商人「裸になってエリクサーに浸かろうと…」

女戦士「フッまぁそれで気が済むなら良いが…もうエリクサーは飲めんな」

魔女「うむ…あ奴は不潔じゃからのぅ」

女戦士「それでお前の気は確かなのだな?」

商人「まぁ…女海賊程じゃ無いけど…現実から逃げたいのは変わらない」

魔女「心の穴を埋めるのは時間だけじゃ…辛抱せい」

女戦士「何か食べるか?酒は腐る程あるから飲み潰れても構わんぞ?」

商人「…そんな気にならない」

魔女「話はすべて女海賊から聞いたのじゃが…主からはまだ何も聞いて居らぬ…何か話せるかえ?」

商人「ホムンクルスの最後の言葉…システムを一時的に停止させますって…」

魔女「ほう?では復活する可能性もあるのじゃな?」

商人「その事ばかりを考えてた」

魔女「一時的にとはどのくらいじゃろうな?再起動は自発的なのじゃろうか?」

商人「わからない…ただ死んだなんて認められない」

魔女「人が死んだ時も認められんもんじゃ」

商人「僕は諦められないんだよ…」

魔女「ほう?それが主の生きる理由になれば良いが…そうやって人は壊れて行く…自我を見失うで無いぞ?」

商人「再起動させる方法を見つける…これなら構わないよね」

魔女「ふむ…」

女戦士「何かアテでもあるのか?」

商人「強行作戦になっちゃうんだけど…許されるなら僕が指揮を取りたい」

女戦士「言って見ろ…」ジロリ

商人「確実かどうか分からないんだけど…」

女戦士「…」ギロ

商人「精霊の伴侶を奪取する」

女戦士「続けろ…」

今回の爆発で生じた電磁パルスでホムンクルスの機能が停止した

精霊の伴侶にも同じ事が起こっている筈だ

その躯体を奪って僕が分解する

構造が分かればホムンクルスを治せるかもしれない


女戦士「ふっ…何を言い出すかと思えば…お前に治せると思うか?」

商人「治せるか?じゃない…治す」

魔女「主は体の調子が悪かろう?自分の命がどれほど持つと想定しておる?」

商人「そんなの知った事じゃない…僕の寿命なんかどうでも良い…達成を目指すだけだ」

女戦士「その心意気は気に入った…ただ問題は手段だ…下手な作戦では任せられない」


この爆発で森の中は相当混乱している筈だ

仮にセントラル軍とかダークエルフとかの戦力が居たとしても

万全な状態の訳がない…今がチャンスと言い換えられる

そして森の中では魔法が使えないと想定した場合

女海賊のインドラの銃や爆弾は魔法の代替として運用できる

加えて飛空艇からの爆弾投下で森を丸裸にだって出来る

まだある…回復魔法がエンチャントされた角はこっちが一杯持ってるし

賢者の石を使った支援部隊だって運用可能だ

つまり戦力はこちらが上になると想定しても良い

詳細な地図の製作も終わってる


女戦士「ふむ…敵は何だと想定しているのだ?」

商人「ダークエルフ少数とリッチ…両方とも魔法が無いと無力さ」

女戦士「予定通りの進軍という訳か」

商人「途中の要所になるポイントは僕が分かる…地図で言うとココ…滝の下で拠点が作れる…気球の発着も出来るし船でも行ける」

女戦士「船長室へ来い…海賊の戦力を説明する」

魔女「さて…わらわは見物じゃな」ノソリ

『デッキ』


ヒュゥゥ バサバサ


ローグ「頭ぁぁぁぁ!!気球を降ろす場所が無ぇでやんす!!」

女戦士「この先の河口に漁村があるのだ…海賊で占拠させるから衝突が起きない様に上手くコントロールして来い」

ローグ「マジすかぁぁ!!宝石ばら撒く事になりやすぜ?」

女戦士「構わん!血を見る前に退去させろ」

ローグ「やっとこ頭の船を見つけたんでやんすが…」

女戦士「褒美を要求しているのか?」

ローグ「一緒に酒を飲む約束してもらえやせんか?それで良ーいっす」

女戦士「分かった分かった!!上手く行ったら一杯付き合う…早く行って来い」

ローグ「ヌフフフ…良い酒積んでるんすよ…ぐふふっふうふふふふ」

魔女「あの男…」

女戦士「まぁこれで言う事を聞くのだ…便利な男だ」

魔女「主はそれで良いのか?何をされて居るのか分からぬぞ?」

女戦士「何もされた事は無いが…」

魔女「んーむ…それは主が気付いて居らんのではないか?」

女戦士「何をだ?」

魔女「まぁ良い…上手く行けばそれで良い」


---どうやら女戦士は天然じゃな---

---上手い事利用されて居るのはどちらなのじゃか---

『河口の漁村』


ザブン ギシギシ ガコン


船乗り「碇降ろせぇぇ!!」ガラガラ

魔女「暗くなってしもうたな…まだ降りられぬか?」

女戦士「聞いては見るが先に海賊が陸に出ている…宿に泊まるのは今日は無理だろう」

魔女「ちぃと散歩がしたい…足が地に付いて居らん」

女戦士「遠くには行かないでくれ」

魔女「これ!商人!!案内せい!!」

商人「僕はホムンクルスから離れたくない」

魔女「黙れ…主が居らぬと買い物が出来ぬ」

商人「…」

魔女「主も心の整理が付かんのは分かるがわらわの見立てでは女海賊の方が重症じゃ」

女戦士「引きこもったままか…」

魔女「主は飛空艇に入れてもらえんのじゃろう?行くぞよ」グイ

商人「…わかったよ」トボトボ

女戦士「ローグを見かけたら戻るように伝えてくれ」

魔女「ふむ…主は船に残るか」

女戦士「伝令を待って居る…動けん」

魔女「ではちと女海賊に声を掛けてやってくれ…内に籠ってしまう様では修行にならん」

女戦士「修行?」

魔女「分からんかも知れんが他人の次元に乗ってしもうとる…それに気付かんとイカン」

商人「…」---自我を見失うってそういう事か---

女戦士「まぁ上手くやる…」

『数時間後』


ローグ「頭ぁぁ!!やっと戻ってきたでやんす…魔女さんから聞いたでやんすよ…ホムンクルスさんが倒れたそうで」

女戦士「…大きな声で騒ぐな」ジロリ

ローグ「へぃ…姉さんも伏せてるとか」

女戦士「ホムンクルスは船乗りの間でアイドルだったのだ…士気が下がってしまうから何も言うな」

ローグ「あぁぁそういう事っすね」

女戦士「…それで住民の買収はどうなった?」

ローグ「ダメっすね…宝石積んでも立ち退く気は無いっすよ」

女戦士「そうか…海賊達と揉めなければ良いが」

ローグ「今の所はこっちの羽振りが良いもんで上手く行ってやす」

女戦士「他の海賊共からの伝令が遅いのだが数は揃っているのか?」

ローグ「頭の船団と合わせて20隻って所っすね…手漕ぎのガレー船だもんで外海じゃ遅いんすよ」

女戦士「ガレー船は何隻入る?」

ローグ「4隻っす…ただ疲れてるんでちっと休息必要ですね」

女戦士「陸に上がれる拠点が出来そうなのだ…それまでは辛抱してもらう」

ローグ「女が居ればちっと変わるんすけどね」

女戦士「漁村に商売女は居ないのか?」

ローグ「居るっちゃ居るんすがなんせ田舎なもんで」

女戦士「まぁ良い…女に変身させて貰いたい男共を集めろ…魔女に変性魔法を使ってもらう」

ローグ「ええええ!?共食いさせる気っすか?」

女戦士「悪いか?海賊共は元々共食いをしているだろう…私が知らぬと思ったのか?」ジロ

ローグ「あは…お見通しで」

女戦士「それで士気が維持できるなら安い物だ」

ローグ「じゃぁあっしがモデルになりそうな村の女を何人か連れて来やす」

女戦士「それで話は変わるが輸送船の調達は上手く行きそうか?」

ローグ「1隻は河口で停泊してますが拿捕は抵抗されるでやんすね…今揉め事は起こさん方が良いかと」

女戦士「買収は出来ないのか?」

ローグ「積み荷を待ってるらしいんすが…もしかするとオークの奴隷を待ってるのかもわからんす」

女戦士「なるほど…買収出来ない理由がソレか」

ローグ「どうしやす?」

女戦士「まぁ簡単だ…魔女に幻惑の杖を使って貰う」

ローグ「うひゃぁ…」

女戦士「無駄な血を流さんで済むのだ…何も言うな」

ローグ「へぃ…」

布陣はこうする

大砲を乗せたガレオン級6隻は沖の見える位置で停泊させる

スループ船を巡視に回して河口周辺は占拠した形をとる

キャベラル船は川を上って地図のこの位置まで移動

手漕ぎのガレー船で川の上流まで行く体制を作る


ローグ「この場所に拠点作るんすか?」

女戦士「そうなるな…輸送船はそこまでの人荷運搬だ…この船はしばらくここに停泊だ」

ローグ「これ何日でやれますかね?」

女戦士「拠点の確保は2日後だ…その後の強襲にどのくらいかかるか分からんが略奪品は見合ったものになる筈だ」

ローグ「何があるんでしょう?」

女戦士「セントラル貴族の収入源と言えば良いか?丸ごと全部だ」

ローグ「うっは…海賊達が貴族になるんすね?」

女戦士「あの不細工な男共が貴族になるとは真底吐き気がするがな…私は略奪品なぞ要らん」

ローグ「ちっと伝令に行ってきますわ…」



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魔女「戻ったぞい」ノソノソ

女戦士「早かったな?」

魔女「何もありゃ~せんかった」

商人「…」トボトボ

魔女「これ!!もたもたするなと言うたじゃろう」ポカ

商人「いたた…」

魔女「海賊の船がまた入ってきおったな…何隻来るのじゃ?」

女戦士「全部で20隻だ…作戦は商人に言われた通り伝令しておいた」

商人「そっか…早いね」

女戦士「手漕ぎのガレー船が4隻入る…川を上れる筈だから先方に位置させる」

商人「良いね…輸送船だけじゃ心もとなかった」

女戦士「ガレー船は乗組員が多いのも特徴だ…代わりに荷が乗らんのだが」

商人「あれ?ローグは帰って来てない?」

女戦士「伝令で飛び回って貰っている…用が在ったのか?」

商人「話し相手になって貰おうかなっておもってさ」

魔女「わらわでは不足なのか?」

商人「王族と僕とじゃ感性が合わない」

魔女「高貴さが隠し切れておらぬか…イカンな」

商人「そういう所だよ…」

女戦士「魔女…帰って来て直ぐに悪いのだが二三頼みが有ってな」

魔女「何用じゃ?」

女戦士「詰まらん頼みになってしまう…志願してきた男共を女に変身させてほしいのだ」

魔女「何をする気じゃ?」

女戦士「女不足で海賊達の士気が落ちて来ている…気休めかもしれんが」

魔女「なるほどのぅ…男の体の方が良いと思うんじゃが…志願する者なぞ居るのか?」

女戦士「ローグが窓口になっている…対応して欲しい」

魔女「まぁ簡単じゃしよかろう」

女戦士「それともう一つ」

魔女「ふむ…」

女戦士「無駄な衝突を避ける為に幻惑の杖の力を借りたい…輸送船との取引きを円滑に進めたいのだ」

魔女「拿捕するのではなく協力させると言うのじゃな?」

女戦士「平たく言うとそうだ…対価は払うつもりだ」

魔女「取引の場にわらわが同行すれば良いのじゃな?」

女戦士「そうだ…明日ローグにもう一度取引に行かせる…上手く運んでほしい」

魔女「森で魔法が使えぬではわらわの力はそういう所でしか発揮できぬか…」

女戦士「どちらも重要な案件なのだ…よろしく頼む」

『翌日』


ザブン ギシギシ


女戦士「…その顔は寝て居ないな?」

商人「まぁね…飛空艇に入れてもらえないし気を紛らわすのに作戦の詳細作った」

女戦士「この地図はまだ写しを作っていないからあまり汚すな?」

商人「済まないね…不要な書き込みは消しておくよ」

女戦士「数字は人駆か?」

商人「察しが良いね…」

女戦士「貝殻が使えない状況で人駆を分散し過ぎでは無いか?」

商人「海賊はほら貝使うでしょ…それが聞こえる範囲は計算してある」

女戦士「私は何処に位置する?」

商人「最前線…剣士と未来君の為の囮だよ」

女戦士「未来まで最前線に?」

商人「未来君はもう一人前だよ…ハイディングも出来るし僕より戦える」

女戦士「司令塔は飛空艇でやるのか?」

商人「違う…飛空艇は爆撃専門…邪魔な物を全部すっ飛ばしてクロスボウで上空から援護する」

女戦士「森を更地にするのだな?」

商人「まぁ隠れ家を露出させるだけだけど」

女戦士「お前はどうする?」

商人「僕はローグの気球で司令塔さ…海賊を数人乗せてクロスボウでの援護も兼ねる」

女戦士「援護というのは地上を行く海賊本体のだな?」

商人「そうだね…先方は君と剣士と未来君の3人だけ…その後に海賊の20人小隊が分かれて追随する」

女戦士「一つ忠告するぞ?海賊は被害が出ると一気に士気が下がって逃げ始める…はっきり言うとヘタレが多い」

商人「うん…だから先方は3人だけなのさ…ここが肝だ」

女戦士「そうか…分かって居るなら良い…出来るだけ被害を出すなよ?」

商人「補給と衛生部隊も構えて居るからよほど大丈夫…変身した女の人もここに配置する予定さ」

女戦士「正規軍程では無いが被害さえ出なければ占領戦は割と動きが良い」

商人「君たちが先方でどれだけこなせるかによる」

女戦士「ふん!バカにするな」

トントン


女戦士「ん?入れ」

ローグ「良かった着替えの最中じゃ無かったっすね…」

女戦士「出かけるのか?」

ローグ「へい…魔女が早く連れて行けとせっついて来るもんすから…」

商人「昨日買い物が出来なかったからだよ」

ローグ「あっしが付き合わされるんすかねぇ?」

商人「なんか魔方陣を中和する為の触媒が欲しいらしい…あと下着」

ローグ「なんか面倒くさそうでやんす」

女戦士「魔女には志願して来た男を女に変身させる件と幻惑の杖の事は話しておいたから導いてやってくれ」

ローグ「へい…で…そのー褒美の事でやんすが」

女戦士「分かった分かった…帰って来たら相手してやる…旨い酒を持って来い」

ローグ「ヌフフじゃ行って来るでやんす」

『飛空艇』


トントン


女戦士「…私だ…入るぞ?」

女海賊「んぁ?お姉ぇか…」ゲッソリ

女戦士「お前は何をしているのだ?」

女海賊「想像妊娠…」

女戦士「何故裸でその様な事になって居る?」

女海賊「こん中で癒されてたんだよ…ほらホムちゃんも一緒」

女戦士「いい加減にしろ…叩かれないと正気にならんか?」スラーン

女海賊「え!?何する気?」

女戦士「エリクサーが汚れる…出ろ」

女海賊「ちょま…ちょちょちょ…」ザバー

女戦士「この状況をすこし自分で考えてみろ…おかしいだろう?」

女海賊「わかってんよ…もう止めるよ」

女戦士「止める?まさかその中で又自慰に溺れていたわけではあるまいな?」

女海賊「なかなか妊娠しないんだって…」

女海賊「出ろ…」

女海賊「ぅぅぅ…ホムちゃんゴメンやっぱ私ホムちゃん生めない」

女戦士「ふん!」ブン バチーン

女海賊「いだぁぁぁい!!」

女戦士「何度言わせるのだ?早く出ろ」

女海賊「分かったからそれでお尻叩くの止めて」ザブザブ

女戦士「恥ずかしくないのか?他の誰かに見られたらどうする?」

女海賊「お姉ぇも同じじゃん!!」ブツブツ

女戦士「まだ叩かれたい様だな?」

女海賊「やめてやめて…分かったから」

女戦士「お前に仕事がある…早く着替えて出て来い」

女海賊「やる気無いんだけど」

女戦士「…」ブン ビターン

女海賊「いだぁぁぁい!!」

『甲板』


ザブン ザブン ギシギシ


女海賊「あぁぁ血ぃ出てんじゃん痛ったいなもう…」

女戦士「やっと出て来たか」

女海賊「何さ仕事って!!」

女戦士「剣士と未来を探して来い」

女海賊「何処に?」

女戦士「それはお前が知ってるのでは無いのか?」

女海賊「漁村なんだけど…」

女戦士「今漁村だ…迎えに行け…明日の朝には出発する」

女海賊「魔女は?千里眼でパパっとさぁ」

女戦士「魔女はローグと一緒に出掛けている…お前と違って皆忙しいのだ」

女海賊「…えーっと…どしよ?」

女戦士「もう作戦は進行している…早く連れ帰って来い」

女海賊「…徒歩?」

女戦士「目の前に漁村が有るのに徒歩以外にあると思うか?早く行け」

女海賊「参ったな…」

女戦士「聞こえなかったか?」スラーン

女海賊「あああ…ちょい待ち…思い出したそうだ!!漁村で待ち合わせてた」

女戦士「そうか…それなら良い…早く行け」

女海賊「ちょい行って来る」ピューーー


商人「…」アゼン

女戦士「さて商人…エリクサーをひどく汚してしまった様だ」

商人「やっぱり…」

女戦士「随分こぼして量が減ってしまった…処理を頼む」

商人「エリクサーに余裕は?」

女戦士「無いから還元できるなら少しでも戻してほしい」

商人「わかったよ…」

女戦士「それからホムンクルスの体をいたずらしたかも知れん…良く見てやってくれ」

商人「ハハ困った人だね…」

女戦士「本人は想像妊娠でホムンクルスをもう一度生む予定だった様だ…呆れる」

商人「想像妊娠…そんな事が可能なのか?」

女戦士「お前までそんな事を言うのか?」

商人「いや冗談だよハハ…」


---まてよ?次元の入れ替えが出来るなら可能性あるじゃないか---

---新しく生まれたという次元---

---ホムンクルスはどうやって生まれた?---

---エリクサーの容器から出したら初期状態---

---これをやろうとしたんだろう?---

『漁村』


ガヤガヤ ガヤガヤ

食ってくか~い

貝が旨いよぉぉ

この貝はっすねぇ…名器の様に使えるんすよ

真珠有るよおぉぉ

ガヤガヤ ガヤガヤ


女海賊「海賊船が入って盛り上がってんのか…」

村人「お姉さんはあの貨物船から降りて来なすったか?」

女海賊「んぁ?私?」

村人「そうよそうよ…あの船は商船とちゃうんかいの?」

女海賊「なんか色々積んでるよ…商人も居るかな」

村人「やっぱり商船かぁ…降りて来て商売せんのはなんでじゃろう?」

女海賊「んーーー売れないと思ってんじゃない?分かんない」

村人「仕入れだけかいな」

女海賊「なんか欲しい物あんの?」

村人「武器が無ぉーてな?」

女海賊「なんで武器なんか居るのさ?」

村人「お姉さんも見たじゃろう?北の森がパァーーーと明るうなったんを」

女海賊「あぁアレね」

村人「魔物が出て来よるのを心配しとるんじゃ」

女海賊「今一杯船集まってるから大丈夫じゃない?」

村人「噂じゃあれは海賊やいう話じゃ…アテに出来んからのぉ」

女海賊「ほんじゃ衛兵頼みだね」

村人「それも宛てに出来んのじゃ…第3皇子が帰って来れば良いんじゃがの」

女海賊「ん?誰それ?」

村人「しもうた…秘密じゃった…忘れてくれ」

女海賊「まいっか…ほんで武器欲しいんだっけ?」

村人「そうじゃ」

女海賊「取引しよっか…私細工師なんだ…簡単な武器作れるよ」

村人「おぉぉぉぉほら話しかけてみるもんじゃ」

女海賊「木とか骨とかなんでも良いから材料持って来て…加工して武器にしたげる」

村人「あるある…使わん農具でも良いな?」

女海賊「おけおけ…ほんで条件は探して欲しい人が居るんだ」

村人「小さい村じゃけ探し人なら簡単じゃぁ…どないな人や?」

女海賊「白いマント被った親子…両方とも男」

村人「住人に声掛けてくるわい…材料持ってくるで待っとってなぁ」

女海賊「おっけ!!待ってるから」

『数時間後』


トンテンカン トンテンカン


ローグ「あらららら?姉さんじゃないすか?何やってるんすか?」

女海賊「剣士と未来探してんの?」

ローグ「え?どう見ても安い武器屋にしか見えやせんが?」

女海賊「うっさいなぁ…あんた仕事は?」

ローグ「これから輸送船の取引っすね」

女海賊「あっそ…」

魔女「これ歩くのが早いぞ…もうちっとゆっくり…ん?女海賊では無いか」

女海賊「あ!!魔女!!千里眼で剣士の居場所分かんない?」

魔女「千里眼!!ダメじゃ見えぬ」

女海賊「そっか」

魔女「狭間の中に居ったら見えんでなぁ」

女海賊「あーそういう事ね…まぁ良いやもうちょい待つ」

ローグ「姉さん…取引が終わったら又寄りますんんでちぃと失礼しやす」

女海賊「剣士見つけたら探してるって伝えて」

ローグ「分かりやした…魔女さん行きやすぜ?」

魔女「ゆっくり歩け…わらわは子供じゃぞ?」ノソノソ

ローグ「へいへい…」



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女海賊「お!?どう白いマントの親子は居ない?」

村人「済まんですわ…皆知らん言うもんで」

女海賊「まぁしゃーないね…ほんでこれ作った武器」

村人「これ全部もろうて良いんじゃろうか?」

女海賊「どうせ要らない道具から作ったんだし皆に配ったら?」

村人「これだけありゃぁ志願兵に行けるかも分からん」

女海賊「志願兵?」

村人「なんや村の中央でエライ高給で志願兵募っとるんですわ」

女海賊「なんだそういう事か…じゃ防具も居るね」

村人「防具も作れるのじゃろうか?」

女海賊「軍隊ガニの甲羅で出来るよ…革ひもあればすぐ作れる」

村人「作って貰えるなら村の秘伝のニンニクを持ってくるで?」

女海賊「ニンニク…」

村人「このニンニクは高く売れるんじゃ」

女海賊「まぁ良いや…作ったげるから材料持って来て」

村人「防具とニンニクじゃ釣り合わんかも知らんがそれぐらいしか無いのじゃ」

女海賊「早いとこ探し人見つけてくれりゃそれで良いよ」

村人「お姉さん良い人じゃなぁ?婿は要らんか?」

女海賊「あのね…探し人は私の旦那と子供なの」

村人「なんと逃げられたんかいな…」

女海賊「いやそうじゃない…」

村人「済まんのぅ…口が滑ってしもうた…わしは口が軽るーてイカン」

女海賊「もう良いから早く材料持って来て」



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ちょっと待て…あそこに居るの

ヤバイ!道変えるぞ…アレは頭の


女海賊「おいおい…聞こえてんだよ」

海賊1「へ…へい」

海賊2「ぁぁぁ…」

女海賊「なんかさぁ…皆して私避けてくんだけどイライラすんだよね」

海賊1「ここで何をされて居るのですか?」

女海賊「見りゃ分かんじゃん?」

海賊1「安物の武器を高く売りつけているのですね…ハハハさすが」

女海賊「ちょい待ち…これの何所が安いっての?」シャキーン

海賊2「ひぇぇぇ…」

女海賊「ちゃんと研いだらあんたのパンツくらい簡単に切れるんだよ」スパ

海賊1「そ…それはどのような材料で?」タジ

女海賊「鉄に決まってんじゃん」

海賊1「ハハハ…」


タッタッタ


村人「ニンニクを持って来たんじゃがどうすりゃえーかのぅ?」

海賊1「ニンニク?」

女海賊「うわ…一杯あんね…どーすっかな」ジロリ

海賊1「は…運んでおきましょうか?」タジ

女海賊「助かる!!お姉ぇの船に積んどいて」

村人「お知り合いじゃろか?」

女海賊「まぁ通りすがりだよ」

村人「ニンニクの秘密も教えとかんとイカンなぁ」

海賊2「ニンニクの秘密…」

女海賊「あんたらさぁ…早くそれ運んどいてよ」

海賊1「へ…へい!!」スタコラ

海賊2「よっし!!」スタコラ

村人「そのニンニクには退魔の効果があるんじゃ…魔物が寄り付かん…えーじゃろう?」

女海賊「そうなんだ?」

村人「第3皇子が大好物でな?いつも買い入れに来て居ったんじゃ」

女海賊「誰それ?」

村人「あああああイカンイカン秘密じゃった…」

女海賊「あんた口軽いんだね?…ほんで誰?」

村人「ここだけの秘密にしといてくれや?実はセントラルの第3皇子は生きて居るんじゃ…秘密やで?」

女海賊「知らない人だなぁ…」

---確か10年ほど前に死んだ筈の皇子だ---

---エルフゾンビの弟に当たる---

---ハーフエルフの可能性が高い---

---そういえばエルフゾンビの生みの母は何処行った?---

---思い出して来たぞ---

---第3皇子が戦士した後に第1皇子と第2皇子が動いた---

---歴史をこの3人の皇子が動かしている---


『貨物船』


ザブン ザブン


女海賊「はぁはぁ…」ドドドド

女戦士「む?見つけたのか?どうしたのだ?慌てて…」

女海賊「お姉ぇ…ちょっと気になる情報聞いてきた」

女戦士「言って見ろ」

女海賊「商人は?」

女戦士「飛空艇の中を掃除している」

女海賊「人に聞かれるとマズいかも…飛空艇の中で」

女戦士「分かった」



『飛空艇』


ドタドタ


商人「ああああソコ踏まないで」

女海賊「商人!あんたのノートに昔の事記録してたよね?貸して」

商人「君に分かる事なんて書いて無いよ」

女海賊「まぁ良いや…質問に答えてね」

商人「なんだよ急に…」

女海賊「さっきちょっと気になる話を聞いてさ…」

女戦士「早く言え」

女海賊「セントラルの第3皇子が生きてる」

女戦士「んん?10年ほど前に戦死したと聞いたが生きて居ると?」

女海賊「そん時の記録とか第3皇子の特徴とか何か情報無い?」

商人「うーん…」パラパラ

女戦士「3人の皇子の中で一番有能だったらしいな」

女海賊「それから母エルフは何処に行ったとかなんか情報無い?」

商人「またローカルな話だね…そんなのある訳無いじゃないか」

女戦士「しかし第3皇子が生きていたとして何を想定しているのだ?」

女海賊「私らとんでもないミスしてるかも」

商人「え?…続けて」

女海賊「結論から言うよ?エルフゾンビは敵…そして第一皇子も敵」

女戦士「なんだと?」

良く思い出して

エルフゾンビは魔女と婚約していた

第一皇子は結果的にフィン・イッシュ女王と結婚しそう

これは北の大陸の覇権の全部を握る事になる

全部10年以上前から計画されてんじゃない?

そして第3皇子は戦死ではなくて身を隠すために戦死した事にした


女戦士「まぁスムーズな繋がりは無いが可能性は有りそうだな」

女海賊「エルフゾンビはいつも単独行動で数日行方不明になるのは理由があると思う」

商人「んー」

女海賊「エルフゾンビだけシャ・バクダの精霊樹んとこ行くのもなんかあやしい」

商人「そういえば黒の同胞団関連とは関わろうとしないね」

女海賊「前の100日の闇の時だって始めに戦死したのは第3皇子でそのあと第1第2皇子が報復戦争を始めたのがきっかけだよ」

女戦士「…」

女海賊「私ら3人の皇子の行いに振り回されてるって訳」

商人「もしかして3人は協力関係かな?権力抗争だと言うのは嘘?」

女戦士「もし第1皇子が敵だとするとマズイな…フィン・イッシュの軍隊は全権握られている」

商人「第3皇子が生きて居るとしてその情報がこの辺りで出て来るという事は森の中の軍隊は第3皇子が動かしてるのか」

女戦士「私達の行動に直接の影響は無いと見るがどう思う?」

女海賊「情報が全部筒抜けになってるとしたら?」

商人「女海賊…一つ大事な事を忘れて居るよ…エルフゾンビは夢幻の記憶に導かれている」

女海賊「う…そうか…敵と決めつけるのはダメか」

商人「ただ僕たちが思っていたよりも因果関係が複雑なんだよ」

女戦士「私もそう思うな…第1皇子とは少し話をしたが正義感の強い熱血バカだ…頭が回るとは思えん」

女海賊「思い過ごしなら良いんだけどさ…エルフゾンビがダークエルフ連れまわしてたのもあるし…」

女戦士「確かに奴は用心しておいた方が良いな…今も行方不明だ…しかし大局を左右する様な器ではない」

女海賊「器…気になるキーワード」

商人「勘かい?」

女海賊「分かんない…でも結構当たる」

女戦士「まぁ第3皇子の事は調べておく…お前はまず剣士と未来を探せ」

女海賊「分かった…これ以上私は頭回んないから任せた」

女戦士「それはそうと海賊達が噂しているぞ?お前がニンニクを買い占めているとな?どういう事だ?」

商人「ニンニク?」

女海賊「あいつ等…ダンゴムシの刑にしてやる」

商人「ダンゴムシの刑って何?」

女海賊「ちっと行って来る」バタン ドタドタ

『夕方』


ザブン ギシギシ


ローグ「頭ぁぁぁ帰ったでやんす!!」

女戦士「ご苦労だった…海賊船から荷の移送が始まった…上手く輸送船を取り付けた様だな?」

ローグ「へい…あっしは取引してただけなんでやんすがすんなり行きやした」

女戦士「魔女のお陰か…」

魔女「ハテ?何の事かのぅ?」

ローグ「ところで姉さんは何処に行ったんでやんすかねぇ?見なくなったもんで…」

女戦士「さぁな?」


犬「グルル…わん!」


ローグ「危ねぇでやんす…どっかから野良犬が紛れて来たでやんすね?」

剣士「リリース!」スゥ

子供「リリース!」スゥ

女戦士「おぉ!!良く戻った…随分汚れたな」

剣士「ふぅ…エリクサーあるかな?」

女戦士「あいにくだが切らしている…どうしても必要なら手配しても良いが」

剣士「毒に侵されて居てね…未来も同じだ」

子供「げふっげふっ…」

ローグ「あっしの気球に少し乗ってやすね…持ってきやしょうか?」

剣士「頼むよ…げふっ」ゼェゼェ

魔女「これ待て…毒消しの魔法はあるぞよ?消毒魔法!」ボワー

剣士「知らなかった…未来とそこの子ウルフにもお願い」

魔女「消毒魔法!消毒魔法!」ボワー

女戦士「この子ウルフは拾って来たのか?」

子供「迷子のウルフだよ」

剣士「未来の友達になった様だ」

子供「えへへ…」

剣士「魔女?消毒魔法に必要な触媒は?」

魔女「水とミネラル…そして塩じゃ」

剣士「回復魔法の応用か」

魔女「初歩魔法じゃぞ?主もちぃと勉強せい」

剣士「今覚えた」

魔女「未来や…主はきちんと勉強せい」

子供「うん!!今覚えたよ」

魔女「…」

女戦士「ところで何故毒に侵されている?そのような魔物が居るという事だな?」

剣士「異形の魔物が居るんだ…多分あれは…」

子供「スライムだよ」

魔女「なんと!?絶滅した筈じゃ…病が流行るぞい」

剣士「他にも見た事の無い魔物が居る」

子供「大きな目のぐにゅぐにゅした魔物だよ…」

魔女「ビホルダーじゃな…ちぃと待て…魔術書に記されて居る」パラパラ

魔女「これじゃ…劣化メデューサじゃ」

子供「ん-ーなんかちょっと違うけどそんな感じ」

女戦士「対処は出来るのだな?」

剣士「弱い…ただ毒を撒き散らかす」

女戦士「毒消しを準備する必要が有るのか…」ジロリ

ローグ「ちょ…あっしが調達っすかねぇ?」

魔女「それには及ばぬ…商人が賢者の石を持って居ったじゃろう」

女戦士「海賊に一人づつ持たせておきたいのだ」

魔女「うむ…簡単じゃ…樽に入れた水の中にミネラルと塩を入れ一晩賢者の石を入れておけば良い」

女戦士「毒消しのポーションになるのか?」

魔女「そうじゃ簡単な毒消しじゃ」

女戦士「それで済むのであれば問題無い」

ローグ「せ…せーふ」

女戦士「剣士…もう少し話が聞きたいのだが良いか?」

剣士「構わないよ…未来は少し休ませて」

子供「ねぇ?ママは?」

ローグ「あー未来くん…姉さんはちっと迷子でしてね」

子供「分かる…ママ目と数字で方角追ってるから方向音痴なんだよね」

ローグ「しぃぃぃぃでやんす」

子供「うん…秘密にしとく」

『船長室』


…これがアルラウネ

ちっちがスプリガンじゃ

昆虫の事はようわからん

ウルフはどちら側じゃ?


女戦士「ふむ…ひとまずそれらの魔物は中立的な立ち位置なのだな?」

剣士「そうだね…多分敵も味方も関係なしで襲って来る」

女戦士「ではやはり明らかに知性を持って争って居るのがエルフ達とキマイラ勢か…」

魔女「人間はどうなって居る?」

剣士「森の声では数日程前に北の方へ移動したらしい…理由は分からない」

商人「今の話で系統図作ったよ…見て」

魔女「三つ巴に見えるのぅ」

商人「エルフ側にトロールとドラゴン…それからウルフもこっち側な気がするな」

魔女「キマイラがよーわからんな…ケンタウロスもエルフ側では無いのか?」

商人「うーん…現場に行かないと分からないかぁ」

女戦士「スライムとビホルダーは中立と見て良いのか?」

剣士「守備的に動くからキマイラ勢だと思う」

女戦士「守備?守っているという事か?」

剣士「多分…追いかけては来ない…命令されているのか目的を持って居そうだ」

女戦士「この地図で位置は分かるか?」

剣士「うーん…頭の中では分かるけど地図だと何処なのか…」

女戦士「仕方あるまい…しかし予測より随分と敵が多いな」

剣士「争いに加わらないように動けば厄介なのは毒だけに思う」

魔女「ドラゴンの骸を見つけた様じゃが何にやられたのじゃ?」

剣士「見て居たのか…ドラゴンは捻りつぶされていた…多分ゴーレムという魔物かと」

魔女「ゴーレムは見て居らんのじゃな?」

剣士「見ていない」

女戦士「察するに北へ向かったと考えて良さそうだな」

剣士「うん…倒木の跡が北の方へ続いてた…きっと北に向かった筈」

魔女「やはり事が済んだ後じゃろうな…黒の同胞団の隠れ家はもぬけの空やも知れんぞ?」

女戦士「北への追撃は海賊では無理だ…その後の動きは考え直す必要がある」

剣士「ところでホムンクルスは?ドラゴンの事で気付いた事があるんだ…」

商人「ホムンクルスは…」

魔女「眠りについた様じゃ…今はエリクサーに浸かっておる」

商人「…」

剣士「そうだったのか…」

魔女「ドラゴンで気付いた事とは何じゃ?」

剣士「ドラゴンの血はホムンクルスと同じ匂いがする…何か知って居るんじゃないかと」

魔女「はるか昔に精霊が創造したらしいがドラゴンもホムンクルスと同じ人工生命体とな?」

剣士「ドラゴンの牙だけ採取してきた…中に血も入って居るよホラ?」


サラサラサラ


剣士「あれ!?血が入って居た筈なのに…砂になってる」

魔女「むむ!!それはホムンクルスと同体の証拠やもしれん」

商人「砂と言うか灰だね…集めて保存しておく…きっと貴重品だよ」

魔女「ホムンクルスは居らん故鑑定するのであれば女海賊じゃろうな」

女戦士「私に見せてみろ…」

剣士「はい…」ポイ

女戦士「軽いな…何の金属なのか…」

商人「ん?牙だから骨の類でしょ?」

女戦士「うーむ骨にしては熱の伝わりが早い…金属に近いから研磨してみたくなる」

剣士「僕には不要な物だから女海賊と女戦士で分けて…はいもう一本」ポイ

女戦士「よし…早速研磨する」

『飛空艇』


剣士「ホムンクルスが浸かっているエリクサーってこれだね?」

商人「…そうだよ」

剣士「どうして眠りに?」

商人「…」

剣士「まだ聞きたい事が合ったんだよ…森の声がおかしいんだ」

魔女「それは他の者には答えられそうに無いのぅ?エルフに聞けば良いのかもしれんが…」

剣士「魔法が急に弱くなったのも理由が分からない」

魔女「む?森の中でまだ魔法が使えるのか?」

剣士「魔女は何か知ってる?」

魔女「電磁パルスじゃったか?とにかく魔結界の様な物に覆われてしもうたのじゃ」

剣士「魔法が何かと干渉して散らばってしまうんだ」

魔女「ではやはり使えぬと思った方が良いな?」

剣士「うん…解決方法は無いのかな?回復魔法が使えないのがね…」

魔女「わらわも模索して居るが有効な魔法は物理系だけじゃと思うておる」

剣士「隕石とか?」

魔女「そうじゃ…しかし手間がかかる上に特殊な触媒も必要じゃ…今回の作戦での運用は厳しかろう」

剣士「うーん戦い方考えておかないとなぁ…」

魔女「主の口ぶりからして森の上空で爆発があったのは察して居らん様じゃが気付かんかったんか?」

剣士「爆発?」

商人「夜が一瞬で昼間みたいに変わるぐらいの爆発」

剣士「え!?爆発だったのかな?あちこちでトロールが暴れていると思ってた…その後から森の声が止んだ」

商人「アレに気が付かないという事は森の下は相当深いんだね」

剣士「ホムンクルスはいつ目覚める?」

商人「あぁ…実は…」

魔女「いつ起きるか分かると思うんか?」

剣士「ハハそうだね…まぁ良いか今度で」

魔女「疲れて居るのじゃろう…ゆっくりさせよ」

商人「…」

剣士「じゃぁ少し休むかな」

魔女「剣士や…ちと遊ばぬか?」

剣士「魔女と?何しようって言うの?」

魔女「外に出てわらわの杖を避けてみよ…来い」

剣士「魔女の攻撃は避けられない…受け止めるじゃダメかな?」

魔女「イカン…全部避けるゲームじゃ」

剣士「僕は避けるだけで良い?」

魔女「うむ…行くぞよ?」ノソーリ


スカ スカ ポカ


剣士「あたた…見えないんだよ」

魔女「全部避けよと言うたじゃろう…もう一度じゃ」ノソー


スカ スカ スカ


剣士「ふぅ…」

魔女「さすがじゃな…ラグスイッチを3度使うとは」

剣士「うん…コツが分かって来たんだ」

魔女「遊びは終わりじゃ…休んで良い」

剣士「ん?何かの修行だった?」

魔女「気にせんで良いぞ?あ…そうじゃ主の嫁が何処かへ彷徨っとるで探して参れ」

剣士「あ!!マズイな…先に声掛けとかなきゃいけなかった」

魔女「うむ…」

剣士「行って来る!!」タッタッタ


魔女「ヤレヤレ…」


商人「魔女…今のは」

魔女「ほう?主が気付くつとはのぅ…」

商人「次元の入れ替え…」

魔女「否定してはならん…剣士の次元に乗れば良い…直に調和するで」

商人「それが勇者…」

魔女「そうじゃ」

『漁村』


ホジホジ グリグリ


子ウルフ「ガウルル…わん!」

子供「あ!!居たぁぁ!!」

女海賊「はっ!!」キョロ

子供「ママーーー!!探してたんだよ」

女海賊「未来!!良かったぁぁぁ…剣士は?」

子供「船にママが居ないから探しに行ったよ」

女海賊「私を探してんの?剣士が?」

子供「今度パパ探さないと」

女海賊「千里眼使えばすぐじゃん…なんでこんな遅いの?」

子供「ママは何してたの?」

女海賊「お!!良い事聞くね…ここにさぁアリの巣があんだよ」

子供「うん…」

女海賊「こっちにダンゴムシ居るじゃん?どうやって通ると思う?」

子供「ねぇママ…もしかしてずっとこれ見てたの?」

女海賊「なんでさ?」

子供「それじゃ千里眼でも見つけられないって…」

女海賊「…」

子供「パパ探しにいこ」

女海賊「あんた賢くなったね?」

子供「どっちに行けば良いかなぁ…」

子ウルフ「わんっ!!」

女海賊「この子ウルフは?」

子供「友達さ」

女海賊「乗れる?」

子供「ママが乗ったらダメだよ」

女海賊「ほんなん分かってるって!!あんたが乗るの?」

子供「普通は友達に乗らないよ」

女海賊「ほーん…」

子供「ほーんってさ…ママはパパ探さないの?」

女海賊「探し疲れたんだよ」

子供「パパも帰って来て休まないでママ探してるんだよ」

女海賊「千里眼でさっさとさぁ…」

村人「あそこじゃ…あそこで穴掘っとる」

剣士「どうも案内ありがとう」

村人「いやいやお世話になったで良いんじゃ」


子供「パパだぁ!!」

剣士「やっと見つけた…ニンニクの匂いで分からなかったよ」

女海賊「おっそい!!」

剣士「ニンニクの匂いは君の匂いじゃないと思ってここには来なかったんだ」

子供「ママどうしてこんなにニンニク臭いの?」

女海賊「魔物除けになるって聞いたから持ち歩いてんだけど…あんた魔物?」

剣士「ハハ半分魔物かな…帰ろうか」

女海賊「腰にニンニクぶら下げるのやっぱマズイかな?」

剣士「ま…まぁ良いんじゃない?」

女海賊「臭う?」

剣士「君の匂いが消えるくらいにはね…」


ところでさ…ドラゴンの牙を持って帰ったんだ

え!!マジ?今ある?

女戦士に渡した

なんでお姉ぇに先に渡すのさ!!

2つあるから心配しないで

よし!ダッシュで帰るよ

ママ疲れてるんじゃないの?

うっさいな!ちゃんと付いて来て

『貨物船』


ワイワイ ガヤガヤ

見ろ!頭の妹分が帰って来たぞ

普通にしてろ普通に

ワイワイ ガヤガヤ


魔女「おぉやっと帰って来たか」

女海賊「何この騒ぎ?」

魔女「海鮮バーベキューじゃ…主らも食え」

女海賊「おぉ!!お腹減ってたのさ…お姉ぇは?」

魔女「ローグと一緒に飲みに出ておる」

女海賊「え!?又お酒飲みに行ったの?」

魔女「止めたんじゃがローグが言う事聞かんくてな…まぁやらせておけ」

女海賊「ぬぁぁドラゴンの牙を見たかったのにさぁ…」

魔女「船長室を探してみよ…そこで眺めて居ったでな」

女海賊「おけおけ!!取って来る」スタコラ

子供「ウルフは貝とか食べるのかなぁ?」

魔女「腹を壊すやも知れんぞよ?飛空艇にシーサーの肉が有ったじゃろう…それで良いのでは無いか?」

子供「おいで!!」

子ウルフ「がう!!」

魔女「剣士は何が良いじゃろうのぅ…」

剣士「適当に済ませるから気にしないで」

魔女「女海賊がニンニクを仕入れて居ったな…食ってみんか?」

剣士「ハハ程ほどに…」

魔女「明日の朝に森の方へ出立するから今日は休めと言うて居った…自由で良い」

剣士「あの海賊達は?」

魔女「森へ行く者は今日この船に集まって居るのじゃ…指揮伝達じゃろう」

剣士「じゃぁ横になるのは飛空艇が良さそうだね」

魔女「うむ…船長室と飛空艇には誰も来んで安心して休め」


タッタッタ

女海賊「取って来た!!これ片方磨いてあるけど…お姉ぇがやったの?」

魔女「そうじゃろう…研磨する言うておった…何か分かるか?」

女海賊「主成分が銀だね…重さ的にミスリル銀に近い…ほら?」カチン


コーーーーーン


魔女「ほぅ…良い音が鳴るのぅ?」

女海賊「ドラゴンって金属で出来てんの?どゆ事?」

剣士「だから気になって持って帰って来たんだよ」

女海賊「これ叩いて引き延ばすのはなんかもったいないなぁ…何に使おう」

剣士「そのままアクセサリーにするのは?」

女海賊「でかすぎ」

魔女「無理に使わんでも良いじゃろう…そのまま置物でも良いと思う」

女海賊「まぁ思いつくまで置いとく」

『飛空艇』


女海賊「こっちに居たんだ…バーベキューは食べた?」

商人「もうお腹いっぱいだよ」

女海賊「あんたなんで引きこもってんの?」

商人「向こうは僕よりずっと大きな人が一杯だからさ…なんか仲間に入りにくい」

女海賊「海賊共か…そっか体が小さいと肩身狭いのか」

商人「まぁそんな所だよ…いつもは盗賊が幅を利かせてくれてたんだけどね」

女海賊「盗賊の極意はこうだ!!とか言って?」

商人「そうだね…僕には真似が出来ない」

女海賊「未来は何処に行ったか知らない?」

商人「奥で子ウルフと一緒に寝てるよ」

女海賊「私もちっと寝るかな」

商人「明日は早いから寝て置いた方が良いね」

女海賊「あんたはまだ寝ないの?」

商人「僕はいろいろ調べ事さ…君が言ってた第3皇子の事とかね」

女海賊「新事実なんかある?」

商人「んー不思議なのが母エルフの事が一切触れられていない事ぐらいかな」

女海賊「ハーフエルフって事を隠したんかな?」

商人「どうしてだろうね?王室がその辺りを隠してるんだよね」

女海賊「セントラルはなんかそんなんばっかだね」

商人「うん…こういう情報は多分アサシンが詳しいと思う」

女海賊「ふぁ~あ…政治関係の話は苦手…寝る」

商人「あ!女海賊…」

女海賊「ん?」

商人「想像妊娠ありがとう」

女海賊「え?」

商人「君のお陰で希望が持てた」

女海賊「何の話?」

商人「いや…想像妊娠って本当にあるんだなってさ」

女海賊「あんた馬鹿?」

商人「ハハ…まぁ良いや…おやすみ」

女海賊「むにゃ…」

『早朝』


ガレー船は先行して目標の位置までの安全を確保

続く輸送船は到着後にキャンプ設営に入れ

キャベラル船は本日待機…明日の朝出発する事

では各自船に乗り込み作戦を開始しろ


ドタドタ ドタドタ


商人「女海賊…起きて!!剣士も!!」

女海賊「う~ん…むにゃ…まだ暗いじゃん」

商人「もう作戦始まった…女戦士とローグは動いてるよ」

女海賊「私ら飛空艇で先行すんだっけ?滝まで30分掛かんないよ」

商人「先に行って桟橋を作るらしい」

女海賊「木材は輸送船に乗ってんじゃん」

商人「それはキャンプ設営用だよ…桟橋の木材は現地調達だ」

女海賊「もしかして私らだけで桟橋作るん?」

商人「そうだよ…昼までに完成しないとキャンプ設営が遅れる」

女海賊「マジかよ…何で先に教えてくんないの」

商人「あー君は外に出てたのか…作戦の概要は昨日展開されたんだ」

女海賊「まぁ良いや…ほんで今出発する感じ?」

商人「うん…女戦士とローグが来たら即出発」

女海賊「おけおけ…炉を暖めるからどいて」シュゴーー


ローグ「頭ぁ…歩けやすか?」

女戦士「あぁ済まんな…」ヨロ


女海賊「お姉ぇ…もう行く?」

女戦士「出せ…ふぅ」

女海賊「又お酒飲んだん?」

女戦士「少しのつもりだったのだがな…」

女海賊「30分で到着だけど横になってて」

女戦士「済まん」

女海賊「商人!?ロープほどいてもらって良い?」

商人「これだね?」

女海賊「緩んだら外にぶん投げておっけ」

商人「…」シュルシュル ポイ


フワフワ シュゴーーーー

『河口の上空』


ヒュゥゥゥ バサバサ


ローグ「いやぁぁ飛空艇はやっぱ良いっすねぇぇ…早いわ広いわ暖かいわ」

女海賊「ローグ!剣士も起こしてよ」

ローグ「剣士さんは寝てるんじゃなくて瞑想っすね…あっしが何やっても起きんでやんす」

女海賊「私らだけで桟橋作るって出来るん?」

ローグ「ずっと使う桟橋じゃないもんすから真っ直ぐな木を流れて行かん様にすれば良いんすよ」

女海賊「重たい物運ぶの嫌なんだけど」

ローグ「少し上流で木を倒して川に入れれば良いでやんす」

女海賊「なる…ロープは?」

ローグ「ロープの代わりになりそうなツタなんかいくらでも有ると思いやす」

商人「全部現地調達するんだね」

ローグ「そーっすね…場所の選定が一番重要っすかね」

商人「川は割と深さがありそうだったから自由度高いとは思う」

ローグ「流れっすね…あんまり流れが複雑だと船が乗り上げちまいやすんで…」

商人「その選定は分かる人が決めた方が良い…ローグ分かる?」

ローグ「いいえ…わかりやせん」

女海賊「ぶっ…あんたさぁ!!知った口聞いてて分かりませんてどういう事よ?」

ローグ「聞いた話なもんで…盗賊さんなら分かると思うんすけどねぇ」

魔女「騒がしいのぅ…話を聞いて居ったら阿呆過ぎて呆れるわ」

商人「ハハまぁ僕が決めるよ…水の流れ方は後で変えるという手もある」

魔女「うむ…それで正解じゃ…何か有っても応用で何とかするもんじゃしの」

女海賊「ほんで…冷たい川ん中に誰が入んの?」ジロリ

ローグ「もしかして…あっしでやんすかね?」タラリ

魔女「ゆうべはさぞ楽しかったろうのぅ…?」ジロリ

ローグ「いやいやいや…そーっすね!あっしが入りやす」

商人「こうしようか…クロスボウのボルトにロープ付けて置いて流れて来た木を手繰り寄せよう」

女海賊「お!?面白そう…それ私やる」

商人「木を切って来るのは剣士が良さそうなんだけど…起きないかな?」

女戦士「キコリは任せろ…私が斧を持って居るからな」

商人「じゃぁ残りの人でツタの確保かな」

魔女「罠魔法でツタを成長させられるかも分からん…変性の一種じゃが試してみたい」

商人「それが出来るなら桟橋は一瞬で組み立てられる…期待だよ」

女海賊「役割決まったね?もう到着するから準備して」

『滝の周辺』


フワフワ ドッスン


ローグ「明るくなってきやしたね?」

女戦士「ふむ…良い場所だ」フラ

女海賊「お姉ぇ大丈夫?フラフラしてんよ?」

女戦士「毎度の事だから気にするな…私は早速少し上流を見回って木を倒してくる」

女海賊「なんか一人で行くの大丈夫かなぁ…」

子供「ふぁ~あ…ここ何処?」ノビー

女戦士「お?丁度良い…未来を連れて行く」

子供「ん?」

女海賊「おけおけ…それなら安心」

女戦士「未来…少し散歩だ…付いて来い」

子供「え…あ…うん…ちょっと待って」

女戦士「早く支度しろ…置いて行くぞ」

子供「おいで!!散歩だってさ…行くよ」

子ウルフ「がうがう…」

女戦士「ウルフか…魔物除けに丁度良いな」

子供「おっけ!行けるよ」スタタ

女戦士「では行って来る…」スタスタ

女海賊「おっし!!ほんじゃクロスボウゲームの準備する」

魔女「罠魔法を試してみるかの…」

ローグ「あっしはどうしやすかね?」

女海賊「あんたは服脱いで川に入る準備!手繰り寄せた木を上手い事運んで」

ローグ「やっぱそーっすよねぇ…トホホ」

商人「マズイなぁ…木が滝の上に引っかかったらどうしようかなぁ…」

女海賊「あんま細かい事気にしなくて良いんじゃね?きっとうまく落ちて来るって」

魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ

女海賊「お!?魔法行ける?」

魔女「フムフム…直接触って居れば行けるのぅ…空間に魔法を分散させる何かが有るのじゃな…」ブツブツ

商人「魔法は工夫してなんとかなりそうだね」

魔女「ツタを木を結ぶのはわらわがやるで商人は火を起こすのじゃ…寒うてたまらん」

商人「あぁそうする…燃えそうな物が沢山あって良かった」


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『1時間後』


コーン コーン コーン


女海賊「お?キコリの音…お姉ぇミスリルの斧使ってんのか」

魔女「ここに居ますよと言って居る様なもんじゃな?」

商人「魚が焼けたよ…要る?」

魔女「おぉ旨そうじゃ…」ハフハフ

商人「ここは食べ物にも困らない」

魔女「クマが出んと良いな?」

商人「クマ…」

魔女「ウルフが居れば襲っては来んじゃろうが」

ローグ「気を付けて置いた方が良いでやんす…クロスボウじゃクマは中々倒せんでやんす」

女海賊「あ!!来た来た来た…でっかい木が落ちて来るよ」


ザブーン


商人「アハハ迫力満点じゃないか…」

女海賊「手繰り寄せるよ!!」バシュン シュルシュル

ローグ「姉さんで引っ張れやすか?」

女海賊「重い…ぐぬぬ」

魔女「初めに流れ止めを作った方が良さそうじゃな…」

女海賊「もう一個のクロスボウで川の対岸までロープ渡して」

商人「あぁ僕やるよ…」バシュン シュルシュル

魔女「ロープを水面に垂らして張っておくのじゃ…ローグは対岸まで行ってロープを縛りなおして来い」

ローグ「へ…へい…」

商人「次の木が落ちて来る…」

女海賊「ヤバ…これ超重労働かも」


ザブーン


女海賊「ちょい間に合わない…商人!次の木を手繰り寄せて」

商人「ボルトは?」アタフタ

女海賊「そこそこ!!ソレ!!」

商人「当たれ!!」バシュン シュルシュル

魔女「近くまで寄せたらわらわがツタで固定するで次の準備をせい」

女海賊「わーってるよ…ふんがぁぁぁ!!」

魔女「罠魔法!」ザワザワ シュルリ

女海賊「ひぃひぃ…」


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ローグ「ぅぅぅ」ガチガチ

ローグ「そそそ…そろそろ…上がって良いでやんすかねぇ…ぅぅぅ」ガチガチ

女海賊「おけおけ…飛空艇の中で暖まんな!!ウラン結晶に水垂らして良いよ」

ローグ「姉さんが女神の様っす…ぅぅぅ」ガチガチ

魔女「商人!木はこの位置で良いか?」

商人「もう少し向こうに伸ばしたいけどなぁ…」

魔女「これ以上は流れて行ってしまうぞよ?」

商人「2隻分かぁ…まぁ仕方ないか」

魔女「固定するぞえ?罠魔法!」ザワザワ シュルリ

女海賊「あと邪魔な枝落とす!」タッタッタ スパン スパン

魔女「杖になりそうな良い枝は回収してくれるか?」

女海賊「ん?杖欲しいの?ちゃんとしたやつ作ろうか?」

魔女「只の枝で構わん」

女海賊「ふーん」スパン スパン

魔女「手が届かぬ所に罠魔法を掛けたいだけじゃ」

女海賊「なる…そっちに投げるよ?」ポイ

魔女「ふむ…良い杖じゃ…罠魔法!」ザワザワ シュルリ

商人「まぁまぁの桟橋になったね…そろそろ海賊船入って来ると思うんだけどな」

女海賊「お姉ぇ帰って来てないんだけど…言う事聞いてくれっかな?」

魔女「何もせんでも良い様じゃぞ?昨日ちゃんと指示しておったで」

商人「ちょっと飛空艇が邪魔になるかもね…ど真ん中に陣取っちゃってる」

女海賊「寄せるわ…うわ!!熱っつ!!」モクモク

ローグ「生き返りやした…はぁぁぁ気持ち良いっす」

女海賊「ちょい飛空艇動かすからどいて!!熱いなもう!!」

ローグ「へーい…」グター

『昼』


女海賊「あ!!お姉ぇ!!」

女戦士「ローグは何処だ?」

女海賊「シカ担いで降りて来たんだ…どうやって狩ったの?」

女戦士「未来とウルフだ…ローグ!!来い!!シカの解体をやれ」

ローグ「へ~い!!」ドタバタ

女戦士「ほう?良い桟橋になったでは無いか…しかし海賊船の到着が遅いな」

女海賊「迷ってんのかな?」

商人「お~い!!ガレー船が少し下で待機してる」

女戦士「そうか予定通りだな…輸送船が思ったより遅い訳か」

女海賊「迎えに行く?」

女戦士「小舟が無いとどうにもならん…待機だ」

商人「キャンプをどういう風に作るのか分かれば準備くらいは出来るんだけど」

女戦士「それは私にも分からん…海賊達の好きにやらせるのだ…あちらには職人が居る」

商人「建築の職人?」

女戦士「海賊は拠点を次々移しながら生活していてな…キャンプを作る専門が居るのだ」

商人「僕達だけ休んでるのはなんか悪いなぁ」

女戦士「フフ気にし過ぎだぞ…よく考えてみろ…たった数時間で桟橋を用意して家の様な飛空艇まで準備しているのだ」

女海賊「私らこういうのに慣れちゃってるから普通がどうなのか分かんないかもね」

女戦士「その通りだ…普通のスピードではありえない速さで陣地構築したのだぞ?」

商人「胸を張って座ってて良い?」

女戦士「そうだな…海賊の下っ端から見ればこんな豪華な飛空艇に出入りしているお前は特別に見えている筈だ」

ローグ「頭の言う通りっすね…多分参謀に見えてるでやんす」

女海賊「私は!?ムフフ」

ローグ「姉さんはカリスマっすねぇ…あっしらの象徴になっていやす」

女海賊「はぁぁぁ癒される」

ローグ「なんで商人さんにも逆らう海賊なんていやせんぜ?」

女海賊「手配書に極悪人ズラで書かれてたりしてw」

商人「皆僕より体が大きいからさ…何かしてないといけない様に思っちゃうんだよ」

女戦士「気にし過ぎだ…むしろ海賊の馬鹿どもに教育して欲しいくらいだ…金の勘定も出来ん馬鹿の集まりだからな」

ローグ「頭ぁ…子ウルフがこっち見てるんすが骨と内臓は子ウルフにあげやすぜ?」ガシガシ

女戦士「当たり前だ…それは子ウルフの食料だ」

ローグ「そうでやんすか…」

女戦士「食べられない角と硬い骨だけ私達の取り分だな」

ローグ「未来君…切り取った肉を持って行ってくだせぇ」

子供「うん!ありがとう…」

女戦士「さて…私は海賊達が来る前に水浴びをしてくるが…お前も来るか?」

女海賊「え?私?ムリムリこんな冷たい水を浴びるなんて考えらんない」

魔女「わらわも行こうかのぅ…」

女戦士「未来も来い!良い水浴び場を見つけたのだ」

子供「僕も?」

魔女「ウルフも連れて来るのじゃ…クマに襲われたく無いでな」

子供「冷たい水かぁぁ…苦手なんだよなぁ…」

女戦士「良いから来るんだ…お前は臭すぎる」

子供「えええええ…」トボトボ

女戦士「ローグ!!飛空艇の中を温めておいてくれ」

ローグ「へい!わかりやした」

女戦士「では行くぞ…」スタスタ

『1時間後』


ガヤガヤ ゾロゾロ


商人「続々降りて来るね…何人居るんだろう?」

女海賊「ざっと50人かな」

商人「ガレー船からも小舟が出て来てる…あっという間にキャンプ出来そうだ」

女海賊「あんたここで見てる?」

商人「まぁ手伝える雰囲気でも無いしなぁ…見てるくらいしか無い」

女海賊「あのさぁ…なんかあんた恰好が地味なんだよ…だからナメられるんじゃね?」

商人「君みたいに謎のアクセサリーをジャラジャラ付けるのは嫌だよ」

女海賊「んんん…何が足りないのかなぁ…あ!!ドラゴンの牙だ…あれで鍵爪作ったげる」

商人「そんな物どうするんだよ」

女海賊「持ってるだけで良い…謎の鍵爪持ってるだけでハクが出る」

商人「ハクねぇ…」

女海賊「ちょい待ってて」スタタ


トンテンカン トンテンカン

ギコギコ ギコギコ


女海賊「お待ち!!ほい!!」ポイ

商人「はや…」

女海賊「牙の先っぽに鍵爪付けた…ほんでグリップが此処」

商人「これ何に使うの?」

女海賊「なんか引っかける」

商人「なんかって何を想定してるの?」

女海賊「肉とか何でも良いよ」

商人「あのね…ドラゴンの牙をこんな無駄な物の為に使ったの?」

女海賊「もう作っちゃったんだからどうでも良いじゃん!早く持って?」

商人「…」シャキーン

女海賊「イイ!!分かったぞ…それ左手に持って盾の代わりにすれば良い!!」

商人「ヘンテコな形の盾だ…」

女海賊「重たく無いし硬いし…絶対使える!!」

商人「まぁ良いや…ありがたく貰っておくよ」コトン

女海賊「おい!!ちゃんと持ってろって」

商人「…」ジロリ

女海賊「良いから…うん!!様になってる」

商人「ふ~ん」シラー



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女戦士「さすがに冷水は寒い…中は温まっているか?」

ローグ「へい…入って良いでやんす」

女戦士「未来と魔女も中へ」

魔女「うぅぅ寒かったのぉ…」ノソーリ

子供「…」ガチガチガチ

女戦士「入る…」モクモクモク

子供「熱っつ!!」

女戦士「これは良い…ふぅぅぅ」

女海賊「お姉ぇ帰ったね?中に剣士居るんだけどまだ瞑想してる?」

女戦士「居ないぞ?起きたのではないか?」

女海賊「え?マジ?」

ローグ「あっしが入った時も誰も居やせんでしたぜ?」

女海賊「えええええ…どこ行ったのさ」

商人「女海賊!!剣士がクマ引きずって来る」

女海賊「なんだ…狩りに行ってたのか…全然気づかなかった」


剣士「近くにクマが居たから倒しておいたよ」ズリズリ


女海賊「あんたいつの間に起きてたん?なんで声掛けないのさ」

剣士「桟橋作るのに忙しそうだったからね…それよりクマの匂いが気になったんだ」

女海賊「それどうすんの?クマなんか食えないし」

剣士「熊油を採取して薬に使う…回復魔法の代わりだよ」

ローグ「良いっすね…あっしが解体しやすぜ?」

剣士「未来にも教えておきたい」

ローグ「そーっすね…未来くん出て来てくだせぇ」

子供「今行くー飛空艇の中熱すぎる」

ローグ「熊油はこうやって採取するんす…」ザクザク ジョキジョキ



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女戦士「輸送船は予定通り帰った様だな?」

女海賊「そだね…明日又来るん?」

女戦士「うむ…キャベラル船と一緒にここまで来る予定だ」

女海賊「帆船でここまで来れるんかいな…」

女戦士「まぁ来れなくても良いのだ…ここから下流までの安全確保が役割なのだから」

女海賊「ほんじゃあのガレー船4隻が主力か」

女戦士「1隻当たり50人乗っている十分だろう」

女海賊「ガレー船はキャンプに降りないの?」

女戦士「キャンプが整ったら降りて来るぞ…今晩はしっかり休んでもらわんとな」

ローグ「ガレー船に乗ってるのは皆獣みたいな体してるっす…手漕ぎ船はそんな感じっす」

女戦士「ただな…装備がほぼ裸なのだ」

ローグ「北方の海賊っすね…斧盾の裸戦士でやんす」

女海賊「あーあいつ等か見た見た…昨日昼間から漁村で酒飲んで騒いでた」

ローグ「酒と女があれば言う事聞くんすよ」

女海賊「ほーん…それでキャンプに女の人が多いんだ」

ローグ「元は男なんすがね」

女戦士「女に変わりたい者を募ったら沢山居てな…魔女に変身させてもらったのだ」

女海賊「まじか!!」

ローグ「ガレー船の海賊は何も知らんでやんす」

女海賊「こりゃ事件が起きるな」

女戦士「女に変わった海賊も満更では無い様だから放っておけ」



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キーン キーン


剣士「その鍵爪で武器をからめ取れるかもしれないね」

商人「どうやる?」

剣士「ゆっくり行くよ?…ほら鍵爪で剣を受けたらソコで引っ張る」

商人「こう?」グイ

剣士「そうそう…テコの力で丁度引っかかる」

商人「おー偶然とは言え使い物になるか…」

剣士「武器落としたら後は右手の剣で突けば防ぎようが無いね」

商人「そんなに上手く行くかなぁ?」

剣士「見て…この状態で武器を引っかけられると落とさない様に踏ん張る…その間心臓ががら空きだよ」

商人「僕に出来るだろうか…」

剣士「使い方によっては剣を折る事も出来るんじゃないかな?」

商人「よし!練習してみる!!」

剣士「もう一回行くよ…あれ?ちょっと待って…反対方向から切ってもそれで防がれたら引っかかりそうだ」

商人「こうかな?」グイ

剣士「良いね!!じゃぁこの角度は?…これも同じか」

商人「へぇ…なんか分かってきたよ」

剣士「突きでも結局鍵爪に引っかかる…それ片手剣相手にすごい有利だよ」

商人「受けの練習しなきゃ」

剣士「手で受けるのは反射的に体が動くから多分直ぐに上達する…剣で受けるのよりずっと簡単」

剣士「持ち手が牙の中に隠れてるのも良く考えられてるな…ちゃんと返しになってる」

剣士「ちょっと見せて?」

商人「はい」ポイ

剣士「牙の空洞を上手く使ってるんだ…手首で保持出来るからテコが上手く働くのもスゴイ…」

商人「女海賊はそれちゃんと考えて作ったのかな?」

女海賊「んあぁぁ?…」ドテ パチ

商人「起こしちゃったか」

女海賊「呼んだ?つつつ」

剣士「この鍵爪は君が計算して作ったのかって話だよ」

女海賊「あーソレ?アサシンが使ってた暗器を真似たんだよ」

剣士「暗器?」

女海賊「ソレ鍵爪ん所をダガーに差し替えたら暗器になんの…アサシン使ってんじゃん」

商人「へぇ…」

女海賊「あんたにゃ鍵爪で良いよ…暗器なんかどうせ使えないっしょ?」

商人「ハハまぁね…」

女海賊「目ぇ覚めちゃった…ちっと海賊からかって来る」

商人「あまり揉め事起こさない様にね」



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ガヤガヤ ガヤガヤ

俺ぁこないだの村で金どっかやっちまってよ…又振り出しよ

まぁここに居りゃ旨い山に有りつけんだ…今度こそガッポリ稼いで上手く逃げるぞ

しかし良い女が居無ぇのがなぁ…俺ぁ女のエルフ一人当てがってもらえりゃそれで良い

ここだけの話だがな?あそこにある気球ん中にガッポリ宝が有るらしいぜ?

宝より女だ…おい見ろ…アレは海賊王の娘じゃ無ぇか?アレを物に出来りゃ金も女も手に入る

止めて置けアイツはヤバイ…大人しく従っておきゃ報酬はデカいんだ…今は我慢だ

おぅそういや船貰った奴も居たな?俺らよりも働けねぇクセに許せねぇ

だから今は我慢しろ…今度こそガッポリ頂く

ガヤガヤ ガヤガヤ


魔女「これ!!法衣の中を覗くでない!!」ポカ

海賊1「嬢ちゃん下着は履いて無いのかい?にひひひひ…」

海賊2「俺達の寝床はどこだ?」

海賊3「向こうのテントに酒と食い物用意してんだとよ」

海賊4「くぁぁあ…どいつもこいつも薄汚ぇ女ばっかだな」

海賊5「居ないよりマシだろ!早く行くぞ」


女海賊「あっちでもこっちでも女の話ばっか…魔女!!ここ危なくない?」

魔女「海賊はこんなもんじゃろう」

女海賊「まぁそうなんだけどさ…特にこいつら飢えてるっぽい」

魔女「狭い船でオールを何日も漕いでおるから仕方ないのぅ…わらわはこの様な阿呆は割と好きじゃ」

女海賊「マジか…」

魔女「ドツけば言う事聞くでのぅ」

女海賊「馬鹿ばっかりなのは同意…でもなんか裏切られる心配がねぇ」

魔女「報酬次第なのじゃろう?」

女海賊「まぁね…いやぁぁしっかし…どうしてこんなに樽ばっかりのキャンプになっちゃうんだろ」

魔女「うむ…ぐちゃぐちゃじゃな」


女戦士「見回っているのか?」スタスタ


女海賊「あ…お姉ぇも来たか」

女戦士「今日のキャンプ設営は終わった様だな」

女海賊「そだね…皆食事を始めてる」

女戦士「親睦は謀らんで良いのか?」

女海賊「色目で見られるから気持ち悪いんだよ」

女戦士「フフまぁそうだな」

女海賊「なんかさぁ…あちこちで悪い話してんだけど大丈夫?」

女戦士「ハハお前がそんな事を気にするとはな…アイツらは底なしの馬鹿だ…酒と女が居れば纏まる」

女海賊「女少ないじゃん」

女戦士「そうか?丁度良いと思うぞ?」



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海賊「姉ちゃんこっちコイや…飲もうぜ」

女1「あーん?誰に口聞いてんだバーロ!!」

海賊「まぁ良いじゃ無ぇか…ここで会ったのも何かの縁よ」グビ

女1「舐めた口聞いてんじゃ無ぇぞ!?俺は男にゃ興味無ぇんだ!!」

海賊「なぬ!?どういうこった?」

女2「ここに居たのか…どうする?もう場所が無いぞ?」

女1「うーーん困ったな」

海賊「おぉ!!そっちの姉ちゃんでも良い!一緒に飲まねぇか?」

女2「んん?お前の知り合いか?」

女1「いや…どうも俺らとヤリたい様だ」

海賊「おぉ!!話が早ぇぇじゃ無ぇか…まぁ2人纏めてでも良いぞ?」

女1「どうする?何処に行っても見られるぐらいなら此処でも良いか?」

女2「まぁそうだな…俺が先に舐める」

海賊「おいおい…何始めようってんだ?待て待て…俺は抜きなのか?」

女1「男に興味は無いと言ってるだろ…黙って見てろ」ハァハァ

海賊「ぬぁぁぁぁ何だこいつら!!おい混ぜろって!!」



ガヤガヤ ガヤガヤ

何かあっちで揉めてんぞ?

女2人がおっ始めたらしい…見に行くぞ

何のショーだ?

金持って来い金!!

ガヤガヤ ガヤガヤ



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女海賊「ありゃりゃ…事件が始まった…」

魔女「本真に阿呆じゃのぅ…見て居れん」

女戦士「やらせておけば良い…私達は戻るぞ」

女海賊「アレ本当は全員海賊の男達だよね?」

女戦士「そうだ」

女海賊「変身はどのくらい継続すんの?」

魔女「さぁのぅ?個人差があるで分からぬ1年の者も居れば1日の者も居るじゃろうな…どうでも良い話じゃ」

女海賊「あぁぁぁ嫌な物見ちゃった…帰ろ」

魔女「そうじゃな…明日に備えよ」



ガヤガヤ ガヤガヤ

おい見えないだろ!!

ちょちょ…なんでそこで止める!!最後までヤレよ

酒持ってこい酒ぇぇぇ!!

どけ!!代わりに俺がヤル

ガヤガヤ ガヤガヤ

『飛空艇』


商人「目標を修正する…輸送船の速度から考えて隠れ家の推定場所はこっちだ」

女戦士「2日で行ける範囲が狭くなったのか」

商人「ガレー船だと明日の朝出発したとして夕方には現着する筈だよ」

女戦士「では予想を外した場合は更に翌日に持ち越すのだな?」

商人「そうなるね」

女戦士「夜間移動するよりは良い」

商人「もし隠れ家を発見したとして夕方から戦闘となると被害が出そうだけどどうしよう?」

女戦士「避けるべきだ…隠れ家の場所の確定後落ち着いて翌日に上陸させるが無難」

商人「じゃぁ間が空いちゃうな」

女戦士「状況にもよるが私達が先行して上陸経路を確保するだな」

商人「3人かぁ…」

魔女「わらわも行けるぞよ」

商人「魔法無しで?」

魔女「遠距離魔法は使えんのじゃが回復や罠魔法でのサポートは出来る」

女戦士「回復役が居るのはありがたい」

剣士「回復魔法はどうやって?」

魔女「直接触って掛ければ分散が最小限に収まる」

剣士「そうだったのか…」

商人「相手の抵抗次第だけど4人でやるしか無いか」

女海賊「ほんじゃ私は飛空艇から援護射撃って感じ?」

商人「そうだね…僕とローグはクロスボウを撃つ」

女戦士「例の爆弾は十分あるな?」

女海賊「大丈夫大丈夫!1発あたり100メートルくらい吹っ飛ぶから森を裸にすんのは心配しなくて良い」

女戦士「では明日の朝に出発して私達は予定通り空爆を昼までに終わらせよう」

商人「一発で発見できれば良いね」

女戦士「恐らくなのだが…どこかに船が停泊していると思うのだ」

商人「そうだろうね」

女戦士「それが見つかるかどうかだな」

女海賊「船あったら奪っちゃいたいね」

女戦士「うむ…海賊達の士気が一気に上がる」

『翌朝』


…本日は目標までの移動のみだ!上陸は禁止する

現地に到着後船上からの射かけの準備をする事

特に夜間はトロールの出現が懸念される為

場合によっては撤退の指示を出す…その場合は速やかにキャンプへ戻る事

では作戦を開始する…各自船に乗れ!!


ゾロゾロ ゾロゾロ


女海賊「あ~あ…こりゃ疲れ取れて無さそう…」

女戦士「毎度の事だ」

ローグ「大丈夫でやんす…もう占領後の略奪しか頭に無いっすよ…がっつり働くでやんす」

女海賊「ほんじゃ私達も出発しよっか…乗って!!」

ローグ「あいさー」

『飛空艇』


ビョーーーウ バサバサ


商人「少し高度落として…ホムンクルスが居ないと正確な座標が分からない…」

女海賊「目印は何か無いの?」

商人「滝なんだ…見えないかい?」

女海賊「うーーーん…」

商人「マズイな…時間掛かり過ぎてる」

女海賊「剣士!!匂いとか音で分かんない?」

剣士「高度下げたら速度も落としてほしい…風の音が邪魔だよ」

女海賊「おけおけ…」

女戦士「…しかし森の傷みがひどいな」

ローグ「あちこちで煙がくすぶってやすね?」

女戦士「霧だと思って居たのだが…すべて煙か」

剣士「西の方角で滝の音!!」

女海賊「お!?転進」グイ

剣士「そのまま2キロくらい先」

商人「分かった!!今ココだ」

女海賊「木しか見えないなぁ…」

剣士「滝の有る場所に何か目印を落とそうか?」

女海賊「何かある?」

魔女「矢に照明魔法を掛けよ…光の矢にするのじゃ」

女海賊「お?イイね」

剣士「照明魔法!」ピカー

剣士「触って居ればちゃんと掛かる…」

女海賊「商人!爆弾の準備して」

商人「この樽だったね?」

剣士「撃つよ…」ギリリ シュン

女海賊「あそこか…全然滝なんか見えない」

商人「どうする?」

女海賊「お姉ぇ!爆撃始めるよ?」

女戦士「まず川を露出させてくれ…目視したい」

女海賊「おっけ!!ほんじゃカウント…3…2…1…落として」

商人「…」チリチリ ポイ


ピカーーーー チュドーーーーン


ローグ「うほほー久しぶりっすねぇ…」

女海賊「あんたも見て無いで手伝って…次!!3…2…1…今!!」

商人「…」チリチリ ポイ


ピカーーーー チュドーーーーン


剣士「川が見えた!!」

女戦士「続けるのだ…もし船が見えたらその周辺を重点的に爆撃するのだ」

女海賊「おけおけ…どんどん行くよ!!3…2…1…今!!」


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------------------

『昼過ぎ』


ピカーーーー チュドーーーーン


女戦士「これほど爆撃されて何も動きが無い…」

商人「予測外しちゃったかな…」

ローグ「船もありやせんねぇ…」

剣士「川の水面ギリギリで飛んでくれるかな?」

女海賊「行って見る」グイ


シュゴーーーー バサバサ


ローグ「姉さん火柱の上昇気流に撒かれないでくだせぇよ?」

女海賊「わかってんよ!!」

剣士「…」

女海賊「何か分かる?」

剣士「滝の方へ!!」

女戦士「見えた!!アレだ…」

女海賊「もう限界!!上昇!!」グイ バサバサ


ドドドドドド 


ローグ「うひゃぁ…姉さん!!頼んます…危ねぇのは勘弁して下せぇ」

女海賊「ふぅぅ…滝に突っ込んじゃう所だったね」

女戦士「滝の奥が大きな洞穴になっている…船はその中だ」

商人「良かった…予測が当たった」

女戦士「これでは上陸し難いな…」

女海賊「滝の裏って事は横から回って入るんだよね?」

女戦士「滝の周りは水流が不安定だ…少し間違うと滝に飲まれる」

女海賊「あーー直接乗り込むのは時間が掛かるって事か」

女戦士「うむ…さてどうする?」

魔女「その洞穴に入るのには船だけなのじゃろうか?」

女戦士「私ならそのように構えるな…守備するには完璧な構造だ」

魔女「徒歩で行けぬ訳か…厄介じゃのう」

商人「滝を塞き止められないかい?」

女戦士「む…」

商人「今滝が落ちている場所を爆弾で変えるんだ…横に少し低い傾斜が出来れば全部そっちに流れる」

魔女「おぉ主は賢いのぅ」

商人「その水は結果的に元の川に戻るから下流に影響は無い」

女戦士「よしそれで行こう」

『滝の上流』


ピカーーーー チュドーーーーン


商人「よしよし…あと2発くらいで川の流れが横に逸れる」

女海賊「これ滝の落ちる場所変えたとして私達がどうやって行く?」

女戦士「先行で行くと船が来るまで帰れなくなる可能性もあるな…」

商人「中の状況知らないで海賊を突入させる訳にも行かないよね」

女戦士「その通りだ…」

女海賊「んんん洞穴ん中を飛空艇で行くとどっかぶつけるだろうなぁ…」

女戦士「それは無理だ…風も無い」

剣士「クロスボウ使ってロープを向こうに渡せば伝って行ける」

女海賊「超危ないじゃん…切れたらドボンだよ」

剣士「下は水だよ…死ぬことは無い」

女海賊「又一人で行くつもり?中に何あんのか分かんないんだからさ…」

剣士「僕と未来はハイディングが出来るよ」

女戦士「ロープを伝うのは海賊の基本だ…私も一緒に行こう」

魔女「わらわはどうしようかのぅ?」

女戦士「私が背負ってやる…帰りのルート確保は魔女の罠魔法が必要になりそうだ」

魔女「ふむ…ツタを出すのは良い案じゃな」

商人「じゃぁ僕らはクロスボウで援護する感じか」

女戦士「ここからキャンプまではハイディングすれば30分かからんな?」

女海賊「ん?どうすんの?」

女戦士「輸送船に私の気球を乗せて来ている筈なのだ…飛空艇と合わせて2台体制にしておきたい」

女海賊「ダッシュで戻ってもう一基気球取って来りゃ良いんだね?…援護射撃無しになっちゃうけど」

女戦士「出来るだけ早く戻って来い…それまでは凌いでやる」

女海賊「おっけ!!」

女戦士「射手は適当に海賊を乗せて手伝わせろ」

女海賊「キャンプで暇してる奴連れてくるわ」

商人「よし…決まったね?」

女海賊「ほんじゃさっさと爆弾落として川の流れ変えよう…いくよ!!3…2…1…落として!!」

商人「…」チリチリ ポイ


ピカーーーー チュドーーーーン

『隠れ家の入り口』


ヒュゥゥ バサバサ


商人「中の船までロープ渡す!撃つよ?」バシュン シュルシュル

商人「よし!!掛かった」

剣士「敵が見える!!」

女戦士「何が居る?」

剣士「多分ダークエルフ…2人!!」

女海賊「ああああ!!撃って来る!!」


シュンシュン スト スト


剣士「僕が先行する!!未来!!背中に乗って」

子供「うん!!」ピョン

子ウルフ「ガウ…」ピョン

剣士「いくぞ…いつも通り合図でハイディングする」

子供「おっけ!!」


シュン バスン!


女海賊「ヤバ…球皮に当たった…早くして!回避出来ない!!」

剣士「行って来る!!」ピョン シュルシュル

女戦士「魔女!!剣士に続くぞ…乗れ」

魔女「怖いのぅ…」ノソノソ

女戦士「私が向こうに付いたらロープを切れ!しっかり掴まれ魔女!!」ピョン シュルシュル


シュンシュン スト スト


女海賊「何やってんのさ応射してよ!!」

ローグ「あいさーー」バシュン バシュン

商人「女戦士が船に乗った!!ロープ切るよ!!」スパ

女海賊「ヤバイなぁ…高度上がんないかも」グイ

ローグ「あっしが上行って応急してきやす…姉さんは早くキャンプ向かって下せぇ」

女海賊「頼む!!商人!!射撃続けて!!」

商人「分かってる…」モタモタ

女海賊「やっぱ人出が足んない…」

ローグ「姉さ~ん!!近くまでガレー船が来てやすね」

女海賊「バッチタイミング!!上手い事援護してくれるの祈る」

商人「ふぅ…良かった」

女海賊「ハイディングするよ?」スゥ

『キャンプ』


フワフワ ドッスン


女海賊「ローグ!!お姉ぇの気球お願い」

ローグ「任せるでやんす」

商人「僕もローグと一緒かな…予定だとガレー船の援護しながら指揮だ」

ローグ「あっしに付いて来て下せぇ…海賊見繕いながら直ぐに出発するでやんす」

女海賊「あのさ…こっちの球皮はもう大丈夫?」

ローグ「処置はしときやした…多分大丈夫と思いやすが無理はせんでくだせぇ」

女海賊「おけ!!ほんじゃ私も適当に海賊乗せて隠れ家の方に戻る」

ローグ「姉さんは一人なんで気を付けて下せぇ…姉さんに逆らう海賊は居ないとは思いやすが…」

女海賊「大丈夫大丈夫!!それよりお姉達心配だから早く戻ろ」

ローグ「あいさー!!商人!!行ややすぜ?」タッタッタ

商人「待って!!」タッタッタ



----------------


メラメラ パチ

お前と居るといつも貧乏クジ引いちまう…折角良い山に有りつけたと思ったんだがな

何だと?お前が女にかまけて居る間に置いて行かれたんだ!ガッポリ稼ぐ筈がこの座間だ

しかしどうする?ここじゃ逃げるに逃げられねぇ…ぁぁぁツイて無ぇ!!

武器もガレー船に乗せたままだ…丸腰じゃどうにもならねぇ

おい!!お前等!!少し黙れ…見ろ…ヤバイ奴が来た…頭の妹分だ

おぉぅ…あんな良い女抱けたら俺は足洗って真面目に働くんだが

黙れ!聞こえる…頭ぶち抜かれるぞ

スタスタスタ


女海賊「おい!あんたら…こんな所で何やってんだよ」

海賊1「へ…へい」---マズイ---

女海賊「何やってんのか聞いてんだ!!耳付いてんだろ?答えろ」

海賊1「いや…キャンプの守備を」

女海賊「丸腰で?舐めてんの?」ジロリ

海賊2「いや違うんだ…今は非番で休憩中なんだ」

女海賊「ほーん…4人共付いて来い」

海賊3「何をするつもり…ですか?」---やべぇバレてる---

女海賊「前線に行く…手伝え」

海賊4「前線?」

女海賊「私の飛空艇で前線に行くんだ…射手が居ないから手伝えっての!!」

海賊4「おぉ!!やっとツキが回って来た」

女海賊「どうせ暇してんだろ?クロスボウを撃たせてやる」

海賊1「あの気球に乗せて貰えるんで?」

女海賊「今言ったじゃん…あんたら頭悪い?」

海賊2「おぉぉぉ!!こりゃスゲェ事だ…俺らエリート候補だぞ?」

女海賊「何でも良いから早く行くよ!!付いて来い」

海賊1「おい!!行くぞ!!あの気球に乗れる」

女海賊「モタモタしないで!!早く前線の援護に行きたいの」

海賊3「行くぞ行くぞ!!遅れた分取り返すぞ!!」ドスドス

『飛空艇』


フワフワ


女海賊「乗ったね?」

海賊1「スゲェ…中はこうなって居たのか」

女海賊「あんた達の仕事はそこのクロスボウでの援護射撃…撃ち方分かる?」

海賊2「任せろ…」

女海賊「よし!ほんじゃ私の指示に従って撃つ…良いね?」

海賊2「分かった分かった…」

女海賊「じゃ出発する」グイ 


シュゴーーーーー バサバサ


うはぁぁぁスゲェ…メチャクチャ早えぇ

これどうなってんだ?

おい俺らこの気球に乗ってるって事はよ?幹部なんだよな?


女海賊「あんたらが私らの仲間になるかどうかは働き方次第だね」

海賊1「働き方…」

女海賊「私の奴隷になる?」

海賊2「奴隷は何をすれば?」

女海賊「足を舐めたり飯作ったり…言う事聞いたらたまにアソコも舐めさせてやる」

海賊3「何だとう!!俺は奴隷で良い!!」

女海賊「だったらしっかり働きな!!」

海賊4「お前のそういう所がツキを落とすんだ…今度は俺の番だ」

女海賊「あぁぁぁうっさいなぁ!!兎に角いう事聞きゃ良いんだよ!!黙ってろ!!」


へい!!


---------------

じゃぁ説明する…前線に4人先行して敵の隠れ家に潜入してるから

敵の行動を制限するようにクロスボウで援護射撃…当たんなくても威嚇になる

ほんで予備のボルトはそこの箱の中

2連射出来るクロスボウだから1発目は距離を測って2発目で修正

その他煙玉とか閃光玉を使う場合はその都度指示出すから従って


海賊1「へい!!」

海賊2「あい!!」



海賊3(ちぃあの二人上手く取り入ろうとしてんな?気に入らねぇ…)ヒソ

海賊4(ここは従ってとにかく戦果出しゃ奴隷にしてもらえる…あいつらより上手くやるぞ)ヒソ

海賊3(やっと回って来たツキだ…絶対モノにすんぞ…あの足を舐めれるのを想像しただけで…)ヒソ

海賊4(またそれか…これで見染められたらめでたく幹部だ…ぐっふっふっふ)ヒソ

『隠れ家の前』


シュゴーーーー バサバサ


海賊1「俺達の船はどれだ?」

海賊2「先頭だな…こっから見ると小せぇな」

海賊1「船上で弓構えてる…敵は何処だ?」

海賊2「洞穴の中だ…なんだありゃ?でかいネズミか?」


女海賊「あぁぁマズイなあ…ラットマンリーダーじゃん」

女海賊「ガレー船から弓が届いて無い」

女海賊「あのネズミ何匹居るか見える!?」

海賊1「ここから見えるのは4匹です」

海賊2「奥の方にエルフが見えます」

女海賊「ええ!?エルフ?ダークエルフじゃないの?」

海賊2「あれは戦化粧をしたエルフですね…ダークエルフじゃありません」

女海賊「なんでエルフが敵になっちゃってんのよ…弓持ってるからあんま近付け無いなぁ」

海賊1「どうしやしょう?」

女海賊「もうちょいだけ近づくからエルフを狙って出て来れない様にして」

海賊1「へい!!」

女海賊「行くよ…撃って!!」


海賊1「…」バシュン バシュン

海賊2「…」バシュン バシュン


女海賊「もっともっと!!」

魔女「回復魔法!」ボワー

女戦士「済まない…つつつ」

魔女「攻め切らんな」

剣士「ハイディングが奥のダークエルフに見破られる」

女戦士「もう一度私が囮になる…まず手前のラットマンリーダーを1匹で良いから処理してくれ」

剣士「危険だよ…ダークエルフの弓が精度良すぎる…君も頭を狙われたら危ない」

魔女「わらわが囮になる…変性魔法で鉄になるで放り投げてくれ」

剣士「ダメだよそれじゃラットマンリーダーに掴まる」

女戦士「くそう…爆弾が欲しい所か…未来!!持って居ないか?」

子供「さっき水被って濡れちゃった…どうしよう?」


シュン シュン シュン シュン

スト スト スト カラン


剣士「後ろ!!」

女戦士「飛空艇か!!よし…援護射撃が来る」

剣士「未来!!ハイディングからラットマンリーダの首を狙え…一匹で良い」

子供「うん…パパは?」

剣士「ダークエルフの射線を塞ぐ…女戦士!!囮を頼む」

女戦士「分かった!!未来!!オーガの首を落としたのを思い出せ!!行くぞ」ダダダ

『飛空艇』


ヒュゥゥゥ バサバサ


女海賊「撃って撃って!!」

海賊1「…」バシュン バシュン

海賊2「…」バシュン バシュン

女海賊「おい!!あんたら何やってんだよ…ボケっとしてないで撃てって!!」

海賊3(俺は右だ…お前は左行け)ヒソ

海賊4(おい!やめておけ…あ)ヒソ

女海賊「もっかい回るよ…合図したら撃って」グイ

海賊3「…」ゴスン!

海賊1「はぅぅ…」ドタリ

海賊4「やっちまった…くそう…」ダダ ゴスン

海賊2「!!?うぐぅ…」ドタリ


女海賊「え!!?」


海賊3「ふぅぅぅ…この気球は俺らが頂く」

女海賊「ちぃぃあんたらぁぁ!!」スチャ

海賊3「うおぉっと!!危ねぇ危ねぇ…」グイ

海賊4「そいっつぁ海賊王の娘だぞ?ヤバく無ぇか?」

海賊3「ヤバイも何もこの状況をもうひっくり返せないだろ…ボケっとしてないで縄で縛るぞ」

女海賊「離せよこのバカ!!」ジタバタ

海賊3「だははは俺ぁ海賊だ…お宝ガッポリ稼いで良い女を抱く…意味分かるな?」

海賊4「ここまで来たら行く所まで行くしか無ぇか…この気球は俺が貰う…お前は女…それでどうよ?」グイグイ ギュゥゥゥ

海賊3「おいおい待てよ…そりゃどんなお宝が有るか見た後だ…兎に角2人で山分けって訳よ」

女海賊「このスカポンタン!!あんたらなんか…」


バチーン!!

女海賊「痛った!!」ギロ

海賊3「ぐははは…さて海賊王の娘のアソコはどうなってるんだ?うひひひひ」モゾモゾ

海賊4「待て待て…まずはここから逃げるが先だ…掴まっちまったら又振り出しに戻るぞ」

海賊3「お楽しみには後でゆっくりか…しゃー無ぇ逃げるぞ…お前気球の動かし方分かるか?」

海賊4「分かる訳無いだろう…兎に角触ってみろ…俺はどんなお宝積んでるか見て来る」

海賊3「おい!!持ち逃げなんざすんなよ?ここまで来たからには最後まで2人だ」

女海賊「ぐぬぬぬ…」ジタバタ

海賊3「暴れても無駄よ…たぁぁっぷり俺の奴隷になってもらうからな?」

女海賊「ぺっ」

海賊3「さぁて…どう動かすんだ?このロープか?」グイ

海賊4「うお!!樽ん中に女が入ってる…裸だ」

海賊3「何ぃ!!」ドタドタ

海賊4「出すぞ?」ザバァァァ

海賊3「こりゃメチャクチャ上玉じゃ無ぇか…」

海賊4「この女は俺が頂く…これで平等だな?」

海賊3「何かおかしいな…死んでんじゃ無ぇか?」

海賊4「死んでたらこんなにぐにゃぐにゃな訳無ぇだろ…ん?息して無ぇ」

海賊3「ははーん…硬直しない様に液体に漬けていたのか…確かに勿体無ぇよな?こんな上玉を埋めるのはよぅ」

海賊4「後で回すか?」

海賊3「そうだな?捨てる前に使い切るのは名案だ…他の樽にも入って無いか?」

海賊4「おう!!見てみる…お前は気球を何とか動かしてくれぃ」

女海賊「…」---くっそヤバいなコレ---


---どうする?---

---どうする?---



-----------------

海賊4「まだ動かし方分かん無ぇのか?」

海賊3「しょうが無ぇだろ…どれが何なのかさっぱりだ」

海賊3「おい!!海賊王の娘さんよぅ…どうやって動かすんだ?」

女海賊「…」ギロリ

海賊3「しょうが無ぇちぃぃっと悪戯するか」

海賊4「お前そんな事してる場合じゃ無いのは分かってるだろ」

海賊3「指入れるぐらいは良いだろ」グニュグニュ

女海賊「ぐぬぬ…」ジタバタ

海賊3「暴れると痛いぜぇ?ぐはは…どうやって動かすかしゃべったら止めてやる」

女海賊「くっそ!あんたら…」ハァハァ

海賊4「下で俺らの船が止まってるんだけどよ…アホだなあいつら…なんで上陸しないんだ?」

女海賊「…」---ピーンと来た!!---

海賊3「おい!いい加減喋ろよ…こっちも必死なんだ」

女海賊「そこのほら貝で突撃させてみな?上陸すっから」

海賊3「うほほそりゃ面白れぇ…だが知りたいのはそれじゃ無い…気球の動かし方だ」グニュグニュ

女海賊「痛いんだって!!くそがぁぁ!!」


バチーーーーン


海賊3「舐めた口利くんじゃ無ぇ…お前は俺の奴隷だ…な?」

女海賊「くぅぅぅぅ…」

海賊4「兎に角逃げるぞ…いつバレるか分かったもんじゃ無ぇ…適当に動かせ」

海賊3「分かったよ…んあぁぁ…これか?」グイ

海賊4「おぉ旋回し始めた…そこら辺の奴だ」

海賊3「どっちに行きゃ良いんだ?」

海賊4「とりあえずセントラルなら西だな」

海賊3「あっちはダメだ…逆だな…シン・リーンの港町に向かうぞ」

海賊4「方角分かるか?」

海賊3「ここじゃ分からん…まず海に出るか…どっちの方角だ?」

海賊4「もう良い!!俺がやる」

海賊3「最初からそうしておけば良いんだ…さて俺は」

海賊4「おい!女は後だ…下でも見張ってろ」

海賊3「続きは後でたぁぁっぷりしてやるからな?ぐふふふふ…このほら貝を吹きゃ良いのか?」

女海賊「…」---吹け吹け---

海賊4「突撃させるんだな?面白れぇ」


ボエーーーーー ボエーーーーー

『隠れ家の入り江』


ドン ズザザ


女戦士「未来!!引け!!」

子供「いたたた…」ヨロ

女戦士「後は私が首を落とす!!」


ラットマンリーダー「ガオォォォォ」ドスドス


女戦士「このデカブツめ!!」ブン ザクリ

剣士「女戦士!!引いて!!」


シュン シュン カキン カキーン


剣士「だめだ…ダークエルフの射線に入ってる」

女戦士「そのラットマンリーダーに止めを!!」

剣士「くぅ…」スパ スパ

女戦士「盾の中に…」バッ


カン カン カン カン


女戦士「そのまま下がれ…」ズリズリ

剣士「やっと1匹…」

女戦士「矢を抜いてやる」グイ ズボォ

剣士「うぐ…回復魔法!」ボワー

女戦士「たった2人の弓がこれほど脅威になるか…」

剣士「あっちは僕より射程が長くて正確だ」

女戦士「接近せん事には勝てんか」

剣士「うん…」


ボエーーーーー ボエーーーーー

女戦士「何ぃ!!突撃だと?」

剣士「後方で何か有ったな?」

女戦士「しまった…ほら貝を置いて来てしまった…」

剣士「海賊達が入って来るとタゲが分散する…一気に行こう」

女戦士「くそう…被害が出てバラバラになってしまうと言うのに」

剣士「仕方ないよ…後ろで何かに攻め立てられているのかもしれない」

女戦士「…魔女!!千里眼で見えんか!!」

魔女「無理じゃ…ここでは千里眼が通じぬ」

女戦士「まぁ良い…この船の船尾で負傷者が出た場合の一時避難ベースを構えよう」

魔女「ふむ…」

女戦士「海賊達が乗り込んで来たら私が誘導する…剣士と未来は兎に角敵の殲滅を優先してくれ」

剣士「分かった」

女戦士「なんとかダークエルフの弓を凌ぎたいが…」

魔女「この船には使えそうな物は何か積んで居らんのかのぅ?」

女戦士「見た所大砲は積んで居ない様だ…輸送専用のガレー船だな」

女戦士「いやまてよ…油があれば火責めが出来る…そうだ火矢だ!!それならある筈だ」

剣士「未来!下に行って探して来れるか?」

子供「うん!頑張る!!」

女戦士「海賊が突入してくる前に目煙で弓の射線を封じたい…出来るだけ早く探してくるのだ」

子供「行って来る!!付いて来て子ウルフ!!」シュタタ

子ウルフ「がう!!」シュタタ

『貨物用気球』


ビョーーーウ バサバサ


ローグ「やっと追い付いたでやんすね」

商人「アレ?何か様子が変だな…ガレー船が動いてる」

ローグ「そーっすね?今日は待機の筈っすよね?」

商人「状況が変わったのかな?」

ローグ「姉さんの飛空艇もなーんか変な所を飛んでるでやんす…あんな低空で何処に行くんすかね?」

商人「何か追ってるのかな?」

ローグ「あっしは操舵で忙しいんで望遠鏡で見てもらえやせんか?」

商人「どこにある?」

ローグ「荷室のどっかに置いといたんすがねぇ…」

船乗り「ここにあるでがんす」

商人「あぁありがとう」

ローグ「船乗りさんと航海士さんはクロスボウの準備しといてくだせぇ」

船乗り「がってん!!」

航海士「あいよー!!」

商人「んんん…何を追ってるのかなぁ…何も居ないけどなぁ」

ローグ「あっしらはガレー船の援護っすよね?ガレー船の方に向かいますぜ?」

商人「うん…飛空艇の高度がどんどん下がってる…どうしたんだろう?あのままじゃ木に引っかかる」

ローグ「あ!!球皮の穴が広がったかもしれやせん…こりゃ姉さんに怒られるパターンっす」

商人「でもさ?速度上げたら羽の力で上昇するよね…あ!!!何か落とした」

ローグ「落とす?…そんな事姉さんは今まで一度もやった事無いっす」

商人「やっぱりおかしい…飛空艇で何か起きてる…まさかハーピーか?」

ローグ「そらヤバイでやんす…ちっと飛空艇を追いかけやしょう」

商人「東側に回って!!何を落としてるのか確認する」

ローグ「あいさー」グイ


ビョーーーーウ バサバサ

『飛空艇』


ドス ドス ガス


海賊3「くそう…喋らねぇ」

女海賊「ぐふ…くぅぅぅ」

海賊4「ようし!!高度上がり始めた…ふぅ」

海賊3「こっちの伸びてる奴も捨てるぞ…そっち持て」グイ

海賊4「こいつ重いな」グイ

海賊3「これでもう少し高度上がるだろ…このままトンズラよ!だはははは」

海賊4「せーの!!」ポイ

海賊3「海賊王の娘はいくらで売れると思う?売らずにずっと俺の奴隷にするか…いや売ってもっと良い女を買う手もある」

海賊4「この気球がどれぐらいの価値があるのかも分からない…謎の道具も全部売ればいくらになる?どう山分けする?」

海賊3「ぐふふ笑いが収まらねぇ…」

海賊4「なんつーか…今までの苦労がやっと報われたな」

海賊3「さぁて!!お楽しみにの時間だ…まずはじっくりと舐めてだな」ヌフフ

海賊4「今日はツイてる…俺は腐る前にこいつを楽しむぞ?」ジュルリ

海賊3「おうよ…その後交代だ」

女海賊「ぅぅぅぅ」グター

海賊3「縛ったままじゃ脱がしにくいな…足だけ緩めてやる…暴れんな?」グイ グイ

女海賊「このぉ!!」バタバタ

海賊3「だはははは…大事な所が丸見えだ…あんまり動くな」ベロベロ

女海賊「やめっ!!ろ!!」ドン

海賊3「やっぱり生きが良いのはうめぇ!!このねっとりとした汁が最高にうめぇ…うはは暴れろ暴れろ…」

女海賊「ぁ…くぅぅぅ」ビクビク

海賊4「こっちゃ無反応…まぁ楽しむだけ楽しむか…」ベロベロ

ホムンクルス「…」クター

『貨物用気球』


ビョーーーーウ バサバサ


ローグ「今落ちて行ったのは海賊の誰かっすね…商人さん!操舵変わってくだせぇ…あっしが向こうに飛び乗りやす」

商人「見えた!!女海賊が縛られて2人に襲われてる!!」

ローグ「マズイっす…かなりマズイっす」

商人「行かなきゃ…僕がやらなきゃ…僕が…そうだ僕の命が一番安い」グイ グイ ギュゥ

ローグ「あっしが行きやす…商人さんには無理っす!!」

商人「ダメだ…あの中にはホムンクルスが居る!!奪われる訳に行かない」

ローグ「こっから飛び移るのは商人さんじゃ無理でやんす…操舵変わって下せぇ」

商人「僕が失敗したら次ローグお願い」バシュン シュルシュル ストン

ローグ「何をする気でやんすか?ロープ伝って行くんすか?」

商人「この鍵爪に引っかけて向こうに行く!援護頼む!」ピョン

ローグ「そら無茶ってもんす…商人さんじゃ海賊を相手にできやせ…ああああっ!!」


シュルシュル スタッ


ローグ「あわわわ…えーい!!船乗りさんと航海士さんはクロスボウで援護したって下せぇ」

船乗り「がってん!!」

航海士「あいよー!!」

『飛空艇』


ヒュゥゥゥ バサバサ


商人「…」---煙玉一発---

商人「…」---行けるか?---


チリチリ ポイ


海賊3「ぐへへへ…入れちまうぞ?」

女海賊「汚ねぇ物…押しつけんな!!」ググググ


コロコロ コロコロ


海賊3「なんだ?」

海賊4「え?爆弾?」


モクモクモク モクモクモク


海賊3「どわぁぁ!!畜生!!誰か来やがったな!!上だ!!げふっげふっ」

海賊4「何処だ?何処から上に上がる?」

海賊3「そこのタラップだ!!上がれ!!」

海賊4「これだな?この野郎!!」ダダ


商人「これでも食らえ!!」ダダダ ピョン ドシ!!


海賊4「ぐぁ‥‥」ヨロ

商人「落ちろ!!」ドン

海賊4「あぁぁぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ

海賊3「げほっ…げほっ…ちぃぃぃこのチビ!ゆるさねぇからな」

商人「来い!」タジ

海賊3「あの気球から飛び乗って来たのか…その手には引っかから無ぇぞ?クロスボウで狙ってるのはお見通しだ」

商人「抵抗しても無駄だよ…降参しろ」

海賊3「チビが生意気言ってんじゃ無ぇ…中で勝負つけようじゃ無ぇか…来いよ」

商人「僕には武器がある…君は丸腰だ」スラーン

海賊3「笑わすなよ…そんな細腕で振った剣なんざ俺の筋肉で跳ね返してやる…そしてなんだその鍵爪は」

商人「チビチビ言うなぁ!!」ダダダ ブン

海賊3「見え見えなんだよ!」ブン ドカ

商人「うぁぁ…」ズザザ

海賊3「かかってこいや弱虫!!げほっ…ぬぁぁぁ煙がうっとおしい!!」

商人「むぅ…」---危なかった落ちる所だった---


シュンシュンシュン ストストスト

海賊3「ぐぁーっはっは…その位置じゃ狙え無ぇ…こっちまで来てみろ」

商人「…」---まずいな飛空艇に籠られたら倒せない…どうする?---

海賊3「こっちに来ねぇならこっちもクロスボウを撃つまでだ…この距離で回避できっか?」ガチャリ

商人「ええい!!」スパ


グラリ


海賊3「どわぁぁ…」ゴロゴロ

商人「もう一本!!」スパ


グラリ


海賊3「んの野郎!!お前も落ちっぞ!!」ガシ ブラーン

商人「さて?このロープを切ったらどうなると思う?」

海賊3「切ってみろよ…お前も落ちる」

商人「この鍵爪はこうやって使うのさ」ブラーン

海賊3「何ぃぃ!!」

商人「僕の勝ちだ…さよなら」スパ


海賊3「だぁぁぁぁぁ…」ヒュゥゥゥゥ

『貨物用気球』


ビョーーーウ バサバサ


ローグ「あわわわ…危ねぇでやんす!あわわわ…」

船乗り「よっしゃぁぁ!!もう一人が落ちて行ったでがんす」

航海士「商人さん上手くぶら下がりましたね」

ローグ「まだ向こうにロープ掛かってるっすね?船乗りさんこっちのロープ外れない様に上手く引っかけてくだせえ」

船乗り「がってん!!」グイグイ ギュゥ

ローグ「この気球で持ち上げて飛空艇の姿勢を安定させるでやんす」グイ

航海士「商人さん一人で処置出来ますかね?」

ローグ「船乗りさん操舵を変わって下せぇ…あっしが飛び乗って処置して来やす」

船乗り「操舵は船の一緒でがんすか?」

ローグ「ほとんど同じでやんす…飛空艇の船体を出来るだけ平行に保つ様にお願いしやす」

船乗り「任せるでがんす…」

ローグ「あっしは飛空艇のロープ結んだらこっちに戻って来るんで後でロープ引き上げて下せぇ」

航海士「ロープの扱いに慣れている人が乗ってて良かったですね」

ローグ「頼りにしてるっす…ほんじゃ行って来るんで頼んます」ピョン シュルシュル

航海士「あいさー!!」

『飛空艇』


ヒュゥゥゥゥ バサバサ


ローグ「商人さん立てやすか?」

商人「ありがとうローグ…ぶら下がりっ放しになる所だったよ」

ローグ「切ったロープの処置はあっしがやりやすんで姉さんをお願いしやす」

商人「分かった!!」タッタッタ


女海賊「あたたたた…」グダー

商人「女海賊!!平気?」

女海賊「ギリギリ平気…縄ほどいて」モゾモゾ

商人「ズボンは?」スパ シュルシュル

女海賊「そんなん後で良い!!あんたが見なけりゃ済む」

商人「アザだらけじゃないか…」

女海賊「それよりホムちゃんの樽ひっくり返されて悪戯されてた」

商人「ええ!!?」

女海賊「ローグの声してたけど切ったロープの処置やってんの?」

商人「うん…切ったの3本だけだから直ぐに治せると思う…あああああああ!!!エリクサーがもう無い!!」

女海賊「そうなんだよ…あの馬鹿共水か何かだと思って全部ひっくり返した」

商人「ちょっとしか残って無いじゃ無いか…どうしよう」


ローグ「姉さん!!無事でやんすね?ロープは応急で繋いで置いたでやんす」


女海賊「おけおけ!!ちょいお姉ぇ達ヤバイ状況だから直ぐに移動する」

ローグ「姉さんズボン履いて下せぇ…目のやりどころが無いっす」

女海賊「分かったから早くあんたもお姉ぇの気球で援護やって」

ローグ「分かったでやんす」ダダダ

女海賊「商人!あんた飛空艇の操作わかってんね?」

商人「僕が操舵する?」

女海賊「もう射手が居ないから私がインドラの銃で狙撃する」

商人「ちょっと待って…ホムンクルスを樽に…」ヨッコラ

女海賊「傷つけられてない?」

商人「大丈夫…無事だった」

女海賊「早くして…今やんないとあの馬鹿海賊達はバラバラになる」

商人「君…おしりに青あざあるんだね…」

女海賊「んあ?これお姉にぶっ叩かれた跡!!見てんじゃ無ぇ!!」

商人「早くズボン履いてよ」

女海賊「あんたが飛空艇の操舵しないから履く暇無いんだけど!!早くしてって!!」

商人「代わる!!」

『隠れ家の入り口_上空』


フワフワ 


女海賊「おけおけ…そのまま高度下げて」シュン

女海賊「よし!ラットマンリーダー破裂」

女海賊「もう一匹…」シュン


商人「日が落ちてる…」

女海賊「なんかガレー船がバラバラに動いてんな…」

商人「これトロールが出てきたらマズくないかい?」

女海賊「マズいよ…森が燃えてるから絶対怒り狂うと思う」

商人「あの入り江にガレー船4隻は入りきらない…」

女海賊「だからゴタ付いてんだね?」

商人「君の望遠鏡で奥に居るダークエルフ見える?」

女海賊「あー…どうもダークエルフじゃないらしいよ」

商人「どういう事?」

女海賊「戦化粧したエルフだって海賊の一人が言ってた」

商人「エルフを敵にしちゃってる?」

女海賊「そうなる」

商人「どういう事だ?もしかして女戦士達は気付いて居ない?」

女海賊「分かんないけどかなりマズイよね?トロールと挟まれる格好になっちゃう…ドラゴンが来る可能性もある」

商人「…そうか…分かったぞ…この隠れ家は何日か前に既にエルフに占拠されてるんだ」

商人「その後戦線は北に移動している…僕らは何も知らずにエルフを攻めちゃってるんだよ」

女海賊「こっちはもう突撃しちゃってるからもう海賊は収まんないと思うな」

商人「解けてきた…北の方に在った砦から出てた狼煙…あれはトロールを引き付けて退路を確保する為だ」

女海賊「ここはもう派手に燃やしちゃってるからヤバイね」


ドドドド ドーン


商人「!!?」

女海賊「どっち?」

商人「暗い…これじゃ何処から来るか分からない」

女海賊「やっぱ一回お姉達と話した方が良いね…あの入り江で守り切らないと全滅するかも…」

商人「こうしよう…僕がロープ伝って状況を伝えに行く…戻るときは小舟で戻るから拾って」

女海賊「おけおけ…あと一匹ラットマンリーダー倒したら行って」

商人「分かった…準備する」

『入り江の船上』


シュン パーン!!


女戦士「よし!!これでダークエルフに接近できる」


シュン ストン!!


剣士「待って…飛空艇からロープが降りた…誰か降りて来るよ」

女戦士「緊急事態か…誰が来る?」

魔女「商人じゃ…あやつは体の具合が悪いのでは無かったか?」

女戦士「良くやる…まぁ丁度突撃の件も問いたかった所だ」


シュタ ゴロンゴロン


商人「あたたた…」

女戦士「無茶をする…状況の連絡に来たのだな?どうなって居るのだ?」

商人「今戦っている相手がダークエルフじゃない事を伝えに来た」

女戦士「何だと?どういう事だ?」

商人「あれは戦化粧をしたエルフらしい…僕達は今エルフと戦ってる!だから後方からトロールが来る可能性があるんだ」

女戦士「それで突撃命令を出したのか?」

商人「え!?僕たちはそんな事して居ない」

女戦士「隊全体が混乱しているという事か…」

商人「もう地響きが何処からか聞こえてる…エルフとトロールに挟まれる格好になるかもしれない」

女戦士「剣士!お前は気付かなかったのか?」

剣士「ダークエルフの…いやエルフか…弓の精度が良すぎて周りに注意出来なかった」

商人「今エルフは何処に?」

剣士「奥の方に気配はあったけど下がった様だよ」

女戦士「そちらに注意しつつ川から上がって来るトロールにも気を配らねばならんのだな?」

魔女「トロールが相手では海賊では何も出来んじゃろう」

女戦士「散り散りになる可能性が高い…ううむ撤退は機を逸している…ここで耐え抜くしか無いと言う事か」

魔女「相手がエルフならわらわが話しても良いが?」

女戦士「ダメだ…捕らえられるぞ?」

商人「この入り江にガレー船4隻は入りきらないよね?上から見てゴタゴタしているんだ」

女戦士「オールを畳めばなんとか入るだろう…しかし整列に少し時間が居る」

商人「対トロール用に大砲は無い?」

女戦士「ガレー船は強襲揚陸用で大砲は艦載していないのだ…火薬も砲弾もなにもかもが無い」

商人「兎に角…今エルフと戦うのはマズイよ…ドラゴンが来てしまったらもうアウトだ…全滅する」

剣士「トロールは川を潜ってここまで来れるのかな?」

女戦士「分からん」

魔女「袋のネズミになってしもうたな…トロールも下手に刺激せん方がよかろう」

女戦士「うむ…一先ず奥に攻め入るのは一旦止めて見張るだけに止める…後方は…」

商人「もしトロールが襲い掛かって来るならどうにかして足止めする方法は無いのかな?」

剣士「魔女の罠魔法は?」

魔女「無駄じゃ…トロールはツタなぞで足が止まる程弱い魔物では無い」

剣士「氷結魔法は?水は触れるから凍らせる事も出来るよね?」

魔女「少しは足止め出来るやもしれんが簡単に割られるじゃろうのぅ」

女戦士「手が無い…」

魔女「トロールを止めるには照明魔法なのじゃが今はかき消されてしまうでなぁ…」

商人「あああああああ!!!それだ!!光の石だ!!僕は飛空艇に戻って光の石の準備をする」ダダ

女戦士「慌てるな…どうやって戻る?」

商人「小舟で戻ってロープをよじ登る!!この小舟に乗って帰るよ」バチャーン ザブザブ

女戦士「私なら元来たロープを走って戻るがな?…まぁ良い…こちらは一旦海賊を集めて体制を整えておく」

商人「何かあったら又ロープ伝って来る!!上手くやって!!」



----------------

魔女「あやつは心臓が悪いのじゃろう?走り回らせて良いのか?」

女戦士「覚悟が違うのだ…やらせておけ」

魔女「覚悟のぅ…体のしんどさはそういう問題では無いと思うのじゃが…」

子供「ママ?船の中に油と硫黄があったよ…僕じゃ運べない…どうしよう?」

女戦士「剣士!場所を確認しておいてくれ…運搬で海賊数人を回すから案内してやってほしい」

剣士「分かったよ…未来…その場所へ案内して」

子供「こっちだよ」スタタ

女戦士「ようし…油が有るなら奥に通じる通路を遮断出来る」

魔女「ふむ…燃やして魔物が来ん様にするのか」

女戦士「暖を取る意味もある…今晩は戦闘を避けたい」

魔女「洞穴になっとるで寒さはマシと言えばマシじゃな?」

女戦士「うむ…厳しい環境が続いて居るから海賊達が逃げ出すリスクも高いのだ…兎に角ヘタレが多い」

魔女「士気の維持も大変じゃな?」

女戦士「ここまで連れまわしてお宝が無かった場合…想像つくか?」

魔女「想像しとうない」

女戦士「そういう輩の集まりなのだよ…海賊と言うのはな」

『2時間後』


メラメラ ゴゥ


ほらよ!配給だとよ

又練った芋と干し肉か

今日はこの洞穴で待機らしい

隊長は慎重すぎなんだよサッサと占領すりゃ良いのによ

この通路の奥だよな?

何か見えるか?

真っ暗だ

本当にこの奥に貴族のお宝があんのか?

おい聞けよ…あの船ん中にどっさり宝石積んでたらしいぜ?

マジか!!どっさりってどんくらいよ?

てことはこの通路の奥も期待出来るって事だな?

しかし何で警備がこんなに手薄なんだ?


ヒソヒソ ヒソヒソ

子供「とう!!」ピョン クルクル ドテ

魔女「おおぅ…身軽じゃのぅ?ロープを伝うのは平気か?」

子供「あたたた…なんで着地失敗したんだろう」

魔女「怪我はしとらんか?」

子供「全然大丈夫!!ママからの伝言だよ」

女戦士「状況に変化があったのだな?」

子供「トロールが10体…それからケンタウロスが6体うろついてるってさ」

魔女「ケンタウロスにまで包囲されておるんか」

子供「トロールは焼けた森をうろついてるだけだって…川に近付かないみたい」

女戦士「それは朗報だ」

子供「ケンタウロスは川辺からこの洞窟を観察してるんだってさ」

魔女「ふむ…どちらも川に入るのを嫌がっておる様に聞こえるな」

女戦士「それは…気になるな…川に入れない何かがあると?」

剣士「未来…こっちへ…体を見せるんだ」

子供「え?どこもおかしくないよ?」

剣士「…」グイ

魔女「これはイカンのぅ…黒死病の斑点が出とる」

剣士「未来…もう一度飛空艇に戻って商人から賢者の石を借りて来るんだ」

子供「うん…」

剣士「ロープから落ちない様にベルトを掛けてあげる…おいで」ギュゥ

子供「大丈夫だよ…行って来る」ピョン シュタタ

女戦士「毒に加えて黒死病もか…水が汚れているのだな?」

魔女「その様じゃが…」チラリ

剣士「…」コクリ

女戦士「まさか…」

魔女「はぁ…溜息が出るのぅ」

女戦士「リリスの子宮か…」

魔女「黒の同胞団が持って行った可能性が最も高い…そして黒死病…壺の封を開けたと考えるな」

剣士「エルフ達が戦い始めた動機にもなる」

魔女「北に戦線を移した…つまりそれが移動しておる…溜息しか出ん」

女戦士「…」---いつまで続くんだこの戦いは---



-------------

ツカツカツカ


女戦士「今の所黒死病の症状が出ている者は居ないな?」

魔女「そうじゃな…一応全員にこの賢者の石をかざして置く」

女戦士「海賊達から不満が出始めている…このままでは進軍と同時にバラけてしまうな」

剣士「通路の向こうの具合が分からないと危険だよ…見てこようか?」

女戦士「相手を刺激するのは止して欲しいが…気付かれないように行けるか?」

剣士「僕一人なら行ける」

女戦士「よし…様子を見るのだけ頼む」

剣士「行って来る…」タッタッタ

魔女「士気の維持のぅ…」

女戦士「あいつらには金か女なのだが…」

魔女「積み荷の宝石を見せてはどうじゃ?」

女戦士「今見せると逆効果になりかねん…女が居ないのがな…」

魔女「わらわが変身して賢者の石をかざしてくるのはどうじゃ?」

女戦士「大人の姿に?それは良い案だが魔女は良いのか?」

魔女「ちぃと法衣の丈が短いのじゃが少しの間であればよかろう」

女戦士「よし…それで頼む」

魔女「変性魔法!」グングン

女戦士「気を付けるのだぞ?奴らは飢えて居るからな」

魔女「たまにはわらわの美貌を見せつけておきたいと思って居った」

女戦士「フフ…そうか」

魔女「では行くぞよ?」ノソノソ



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おい!見ろ!…誰だあの女…三角帽子の女だ

うひょぉぉ生足だぞ生足!!

え!?何だって?アレで娼婦なのか?赤目だって?

合図は何なのか知ってるか?

今金持って無ぇぞ!!おいお前金持ってるか?

俺も持って無ぇ…くっそこんな事なら…

一人づつハグしに来るらしい

パフパフすんだな!?

何!?触れるのか!!

ちゃんと並んでろ!!

クンクン…クンクン!よし鼻の調子は良い…


女戦士「…」---呆れるな---

---たった一人女が居るだけでこれほど気が逸れるか---

---魔女にはしばらくあの恰好で居て貰った方が良さそうだ---

---あのような真似を私にも出来るか?---



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タッタッタ


女戦士「早かったな?奥はどうだ?」

剣士「激しい戦闘跡があった…そこら中に魔物の死体があるよ…この入り江は多分裏口だ」

女戦士「エルフが占拠していそうか?」

剣士「エルフは何処に行ったか分からない」

女戦士「その他の魔物は?」

剣士「スライムとビホルダーが沢山死体を漁ってる…後はスプリガンの様な木の根っこだ」

女戦士「それだけなら海賊達で殲滅できそうだな」

剣士「行ける…ただそのもっと奥までは分からないよ」

女戦士「やはり事が済んでしまった後なのか…」

剣士「あと沢山の器具が破壊されている」

女戦士「破壊?」

剣士「宝石も放置されてるよ」

女戦士「剣士…お前はその状況を見てどう思う?」

剣士「エルフは何処かで見ているかもしれないけど…この場所は放棄したと思う」

女戦士「分かった…夜明けと同時に海賊で占拠に動く」

剣士「一つ…スプリガンの様な根っこが気になる」

女戦士「それは私達で処理しよう…やれそうか?」

剣士「いやそう言うのじゃない…木と融合した何かだよ…意思がありそうだ」

女戦士「話せるかも知れないと?」

剣士「そう感じる」

女戦士「では海賊達にはその根っこに近付けさせない方が良いな」

剣士「あ!!それから奥は毒霧がひどい…マスクがあれば着用した方が良い」

女戦士「布しか用意出来んな」

剣士「それでも無いよりはマシだよ」

女戦士「明け方までに用意させて作戦を開始する…これで良いな?」

剣士「うん」

『早朝』


日の出と同時にこの先にある黒の同胞団の隠れ家を占拠する

それぞれ隊に分かれて各自行動だ

略奪品は各自分配!しっかり稼げ

但し!!逃走が発覚した場合はその隊長含めて全員処刑だ!分かったな?



ヒソヒソ

うへへへやっと俺達の出番だ

各自分配たぁ気前が良い

これが前線に出た甲斐ってもんよ

見ろよこの北方の海賊の出で立ちを…俺らに勝てる敵なんざ居無ぇってもんよ



魔女「斧盾の裸戦士か…野蛮な輩じゃのぅ」

女戦士「こういう占領戦はめっぽう強い…雑魚魔物は奴らに任せて良い」

魔女「さて…わらわ達も準備するかのぅ?」

女戦士「魔女…布のマントを用意させた…足が出て居ては寒かろう?」ファサ

魔女「おぉ気が利くのぅ…寒うてたまらん」

剣士「熊油を塗っておくと寒さが緩和するよ…塗ってあげようか?」

魔女「他人に足を触られるのは気持ちが悪いのじゃが…」

剣士「すこし我慢して…」ヌリヌリ

魔女「これ!!気持ちが悪い!!自分でやるで貸せい!!」


シュタタ クルクル スタ


女戦士「未来…戻ったか…夜明けに出発するから準備しろ」

子供「いつでも良いよ」

女戦士「飛空艇の方は異常なしだな?」

子供「うん!!ケンタウロスと撃ち合いやってるけど任せろだってさ」

女戦士「撃ちあい?」

子供「射程で勝ってるから余裕らしいよ」

女戦士「高さの利か…まぁ女海賊が良いと言うなら良いのだろう」

子供「貨物用気球も居るからね」

剣士「そろそろ夜が明ける…行こうか」

女戦士「うむ…剣士が先頭で案内しろ」

剣士「こっちだ」スタ

『黒の同胞団基地』


ワーワー


女戦士「雑魚の殲滅は海賊に任せておけ…私達は剣士が言う木の根っことやらに向かう」

魔女「なんちゅー広い洞窟じゃ」

子供「上の方から光が少し漏れてる」

女戦士「こでは洞窟ではなく渓谷だな…森が覆いかぶさってこの様になっている

剣士「そうだよ…だから上の方も注意する必要がある」

女戦士「あそこだな?破壊された器具というのは…」

魔女「天秤じゃ…アレは錬金術の為の天秤じゃ…どこかにわらわの父上は居らぬか?」

剣士「椅子に掛けた死体があった…こっちだ」


タッタッタ


魔女「おぉぉ…何と痛ましい姿じゃ…父上に間違いない」

女戦士「…時すでに遅しか」

子供「貝殻がいっぱい落ちてる」

魔女「話をしてみたかったのじゃが…ぅぅぅ」

剣士「死因は弓矢だ…頭を貫いてる」

魔女「しかし黒の同胞団に身を置いて居たのじゃから仕方ないのぅ…目を覚ましてやりたかった」

女戦士「こっちの器具も破壊されているな…何の容器なのだ?」

魔女「宝石が散らばって居るからそれが魔石を作る器具なのじゃろう」

女戦士「魔石が見当たらんのだが…」

剣士「向こうの方にも謎の器具があるよ…木の根っこはそこにある」

魔女「ちと待て…アレは転移門じゃな」

女戦士「転移門?」

魔女「まだ入り口が開いて居るという事は術者が生きて居るという事じゃ」

女戦士「過去に戻ると言う例の門か?」

魔女「行先は行って見んと分からん…危険じゃで近付くでない」

女戦士「これですべての辻褄が合ったな…これで過去の書き換えはもう起きんという事だ」

魔女「リッチが隠れておるかもしれんで気を付けい」

子供「パパ?エリクサーの匂いがする」クンクン

剣士「分かってる」

女戦士「エリクサー…そこに精霊の伴侶が居たという事か?」

剣士「行こうか…木の根っこの所だよ」

『巨木の根』


女戦士「…これは一体」

魔女「根に同化しかけて居るのか?」

剣士「…」クンクン

子供「パパ…ホム姉ちゃんと同じ匂い」クンクン

女戦士「これが精霊の伴侶だと?頭部は何処にある?」

魔女「いや…この部分じゃ…脳が無かったんじゃな」

女戦士「異形のホムンクルスの訳か…しかしどうして木と同化してる?」


巨木の声「又来たか…」


女戦士「誰だ!!」ズザザ

巨木の声「それは役目を終え…直に尽きる…」

魔女「又来たとはどういう事じゃ?」

巨木の声「我らは宿命を終えたと何度言わせる…犬神よ…何故舞い戻った?」

剣士「犬神?」

魔女「どういう事じゃ?」

剣士「僕を犬神と呼ぶという事は…ダークエルフ…」

巨木の声「ハッハッハ…意識を失う前に最後の戯れが犬神との会話か…ハッハッハ」

子供「パパ?良く見て?あそこの幹に何か埋もれてる」

魔女「黒いエルフじゃ…主らはドリアード化しておるのじゃな?」

巨木の声「いかにも…だがそれも終わりだ」

女戦士「話が良く分からない…どういう事なのだ」

巨木の声「最後ににすべてを語るのも一興か…教えてやろうエルフと我が同胞達の争いの歴史を」

そこに同化しているのは精霊の片割れ

それは精霊のオーブを唯一すべて覗ける道具なのだ

我らは魔王の手からオーブを守る為

精霊の片割れを今まで守り通して来た…ハイエルフからもな

そしてもう一つ

魔王復活の温床となる人間を減らし

我ら同胞となるハーフエルフを増やす為に与えられた古代の技術

これらを駆使し精霊の計画通りに人間達の補完計画を数百年も続けて来たのだ

だがそれも終わった

精霊の計画は遥か3000年昔にドリアード化された神…アダムの復活だ

その復活に必要なエネルギーに魔王の魂を使う

我らは偶然にもそれを手に入れたのだ…まもなくアダムは復活し次なる精霊に置き換わり世界は再生する

魔王がエネルギーとして利用され新たな時代が始まるのだ

我らの役目はこれで終わり…ドリアード化して次なる神に従う


魔女「主らは忠実な精霊の使途じゃと言うのじゃな?」

巨木の声「笑止…他に何と例えよう?」

魔女「これが黒の同胞団の正体か…」

巨木の声「さて犬神よ…もう一度言う…お前たちは我らに従うか?それとも抗するか?」

剣士「…黒の同胞達がが魔王に侵されて居ないと言い切れるのか?」

巨木の声「それはもうどうでも良い…我らが正義か悪かは小さい話だ」

剣士「もしもそのアダムという神が…魔王に支配されてしまったらこの世界はどうなる?」

巨木の声「精霊の計画に異を唱えるのか?」

魔女「まて…それは真実なのか?どこかですり替わって居らぬか?」

巨木の声「ハッハッハ…ハイエルフと同じ事を言うか…だがもう遅い…精霊の片割れもお前たちのせいで息絶えた」

魔女「わらわ達は何もして居らぬのじゃが…」

巨木の声「お前たちの予言通り天の光の後に精霊の片割れも息絶えた…お前たち以外に誰がおろう」

魔女「予言?わらわは主に予言なぞして居らぬ」

巨木の声「たわけた事を…」


シュン グサ

女戦士「はぅ…」グラ

剣士「マズイ!!頭を射抜かれた…」

女戦士「ぁぅぁぅ…」ブシュー ドクドク ドタリ

子供「ママ!!ぁぁ血が…血がぁ!!」

魔女「蘇生魔法!」ボワワ

剣士「未来!!回復魔法を続けて掛けるんだ!!」

子供「ママ!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「魔女!!女戦士を頼む!!あのエルフは僕が食い止める」

魔女「分かって居る!!回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

女戦士「…」グッタリ


ピョン クルクル シュタ


剣士「待て!!」シュタタ シュタタ


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『入り江の船』


シュルシュル ズダダ


女海賊「お姉ぇが頭撃たれたってマジ?」ハァハァ

魔女「治療はしたが脳にどのくらい損傷が残って居るか分からぬ」

女海賊「あぁぁだから兜被れって言ってたのに…これヤバイ感じ?」

魔女「死ぬ事は無いじゃろうが…いつ目を覚ますか分からんな」

女海賊「剣士は?」

魔女「エルフを追ってどこぞ行きおった」

女海賊「指揮とるの私がやんないとダメっぽいね」

魔女「うむ…他の言う事はなかなか聞くまい」

女海賊「未来!!飛空艇に行って商人も呼んできて…あとローグも」

子供「わかった!!行って来る」シュタタ

魔女「奥にエリクサーがあるのじゃ…誰かに取りに行かせられんか?」

女海賊「どんくらいあんの?」

魔女「そうじゃな…樽で2杯くらいかのぅ」

女海賊「未来!!ローグの気球をこっちによこして!!」

子供「はーーーーい」シュタタ


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フワフワ ドッスン


ローグ「頭の一大事って聞いて来やした…」

女海賊「お姉ぇの為にエリクサー取りに行って来て…場所は未来が知ってる」

ローグ「こっから樽を担いで行くでやんすか?」

女海賊「他に方法あんの?早く行って来て!!」

ローグ「わかりやした…頭の為ならあっしは何でもやりやす」

子供「こっちだよ」

ローグ「ちっと待って下せぇ…樽を…よっこら」

船乗り「俺も付いて行くでがんす!!よっこら」

航海士「俺がクロスボウで護衛する…」

ローグ「助かるでやんす…未来君行きやしょう」

子供「こっちこっち!!」



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カクカク シカジカ


商人「…分かった…奥の占拠は順調なんだね」

魔女「うむ…だが今晩もここで過ごすのはどうかと思うのぅ」

商人「日が落ちる前に1隻略奪品を乗せてキャンプへ返した方が良いね」

魔女「人駆が減ってしまうが良いんか?」

商人「この入り江にガレー船4隻は多すぎる…1隻戻してスペース開けて船の配置を考えれば後方の警戒にもなれる」


ローテーションはこういう風に組もう

帰るガレー船1隻

戻って来るガレー船1隻

入り江の中に1隻

入り江の外に1隻

これを順番に回せば物資の移送と海賊の休憩も兼ねる


女海賊「人員の配置具合とローテーションの件をガレー船の海賊長に伝えて来れば良いね?」

商人「ちょっと待って…要件は紙に書いて渡そう…その方が確実だ」カキカキ

女海賊「あとこの船もどうする?」

商人「この船はオールの漕ぎ手が居ないと動かないよね…後で船乗りに相談して人の調達をお願いしようか」

女海賊「おけおけ」

商人「この船は宝石が沢山乗ってるから信頼できる人に任せたいよね…キャンプを守備している人にも配らないと」

女海賊「そんなこんなで私等奥の方に行ってる暇出来そうに無いな」

商人「うん…指揮系は切らすとマズイ…女戦士居ないのはかなり痛いよ」

女海賊「もうちょいでエリクサー来るからお姉ぇを樽に漬ける」

商人「ホムンクルス用のエリクサーも無かったから丁度良かった」

女海賊「ほんじゃ指示書を海賊長に届けてくるわ…それ頂戴!」

商人「はい…」パサ

『1時間後』


シュタタ


女海賊「剣士!!良かった無事だったね」

剣士「女戦士の具合は?」

女海賊「今エリクサーの樽に漬けた所…これで良くなってくれれば良いけど」

剣士「魔女は?」

女海賊「船尾で怪我した海賊の治療してる…どうしたの深刻な顔して」

剣士「一緒に来てくれ…」

商人「…なにかあった様だね」

剣士「うん…これを見つけた」

女海賊「黒い壺…それってもしかして」

剣士「魔女に見せないと…」

『船尾』


海賊「あぁ痛え痛ぇ…こっちも痛ぇ…ここも痛ぇ」

魔女「治療は終わりじゃ!!痛いわけが無かろうタワケ!!早う行け!」

海賊「連れない事言うなよ…ここは癒しの場だろう?」

魔女「主に治療の必要は無い!!」ポカ

海賊「あだっ…宝石やるからよぅ…」


剣士「魔女!!壺を見つけた…これで間違いないかい?」


魔女「むむ!!蓋は無かったか?」

剣士「見当たらない…」

魔女「やはり封を空けおったな…それは無くした壺に間違いない…最悪じゃのぅ」

剣士「血痕が北の方に続いて居たよ…随分前に移動したみたいだ」

魔女「追うしかあるまい…」

女海賊「ええ!?この状況で?お姉ぇどうすんのさ」

魔女「女海賊や…良く聞くのじゃぞ?」

女海賊「うん…」

魔女「主はしばらくここに留まり海賊の指揮を継続するのじゃ…わらわはちと行かねばならぬ用事が出来た様じゃ」

女海賊「魔女一人って訳無いよね?やっぱ剣士も行く感じになるの?」

魔女「そうじゃな…主はこの場の安定を見た後にシャ・バクダを目指してアサシンと合流せよ」

女海賊「魔女と剣士は何処に行くのさ?」

魔女「過去じゃ…わらわは死んだ父上に会わねばならぬ…会って真相を聞くのじゃ」

女海賊「もしかして北に移動してるのって剣士と魔女?」

魔女「おそらくそうじゃ…次元が交差しとる」

剣士「もう過去に戻らないと取り返しが付かない…もしも次元の塗り替えが起きたとしてもシャ・バクダで会おう」

女海賊「ちょ…私も連れて行ってよ」

剣士「女戦士が居ればそうしたよ…でも離れても大丈夫だって確信してる」

女海賊「なんでさ?超不安なんだけど」

剣士「次元が少しズレるだけだよ…心配しなくても良い…直ぐに繋がる」

女海賊「あのさ…もう行方不明にならないでくれる?私を置いて行かないで」


”私を置いて行かないで…”

剣士「…」

女海賊「おい!!聞いてんの?」

剣士「あぁゴメン…記憶のずっと奥にあるその言葉が引っかかった」

女海賊「ダメだよ!私も行くから!!」

剣士「必ず戻るから…絶対に…約束する」

女海賊「…」ウットリ

魔女「今指揮官を失うのがマズいのは主にも分かるな?ちぃと辛抱せい」

女海賊「シャ・バクダで合流ね?そこなら貝殻使えるね?」

魔女「そうじゃな…すぐに連絡するでシャ・バクダで待っておれ」

剣士「よし…じゃ魔女…行こうか」

子供「パパ!!僕も行く」

剣士「未来…」

魔女「ふむ…修行の一環と思えば良いが…」

女海賊「未来?遊びに行くんじゃ無いんだよ?あんたはダメ」

子供「ママ…お願い!!パパと空気の会話がしたいんだ」

女海賊「空気の会話…」

子供「空気の会話で沢山お話出来るんだ…パパと沢山話せる」

女海賊「エルフの血か…」

魔女「修行は厳しいぞよ?」

子供「頑張る…」

剣士「準備しろ…行くぞ」シュタタ

子供「…」シュタタ


---ママごめんね---


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ローグ「あぁぁ行っちまいやしたね…」

女海賊「…」

ローグ「未来君は大人になりやしたね」

女海賊「フン!!ローグ!!エリクサーを貨物用気球で飛空艇まで荷上げして」

ローグ「ええ!!?空中で載せ替えっすか?そら厳しいっすよ…落としたらドボンすよ?」

女海賊「言う事聞けないの?」カチャリ

ローグ「ちょちょちょ…デリンジャーは止めて下せぇ…やりやすやりやす…」

女海賊「商人も気球に乗せて飛空艇に連れて行って…ホムちゃんの面倒見させて」

商人「ごめんね…気を使って貰って」


---はぁぁ私が踏ん張らないと---

---ここで歯車狂わす訳に行かない---

『転移門』


魔女「恐らくこの門は5日程過去に戻る為の門じゃ」

剣士「そうだろうね」

魔女「主は最初からそう思って居ったな?」

剣士「まぁね」

魔女「5日程過去に戻って壺がどうなって居るのかは分からんが…わらわの父上と話せる可能性は高い」


そこで事の真相を聞くのじゃ

黒の同胞団の言い分が正しいのか

粛清する必要があるのかはそれを聞いて判断すべきじゃ

転移門をくぐった先ではまだ魔法が使える筈じゃから

戦闘に巻き込まれるような場合は魔法を駆使する事を考えるのじゃ

未来は剣士の傍から離れるで無いぞ?

では潜るぞえ?手を繋いで行くぞ


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『5日前』


ゴーレムの転移を急げ!!

魔道炉の臨界が上限を超えています

かまわん!!魔石を投入しろ

キマイラ生成の方は間に合わんのか

もう材料が枯渇しています

錬金で材料を生成すれば良かろうサッサとやれ!!

部隊Aがエルフと交戦中

部隊B西に展開して皇子の進路を確保

キマイラ部隊ドラゴン撃破

基地に2名のエルフ侵入

山道区画から南進との事

トラップに掛かりました確保します

3体目ゴーレム転移完了!

よし!!皇子の部隊に投入させろ

魔道砲臨界!!撃てます!!

皇子の前方に撃て!!

ピカーーー チュドーーーーン



ダークエルフ「エルフが進入してくるという事は秘密をバラした者が居るな」

指揮官「魔王の所在か…知って居るのはわずかじゃな」

ダークエルフ「まぁ良い…ハイエルフは指輪の扱い方も魔王の扱い方も何もかも分かって居ない」

指揮官「主はこれで魔王を封じたつもりなのか?」

ダークエルフ「アダムさえ復活させれば魔王なぞどうでも良いのだ…アダムが解決する」

指揮官「それは本当に精霊の計画なのじゃな?」

ダークエルフ「何度も言わせるな…これで世界は再生する」

指揮官「さて…わしはどうするかのぅ?」

ダークエルフ「これで任を解いても良いが…国へ還るか?」

指揮官「ううむ…そうじゃな…しかしわしが黒の同胞に汲みしておるのは知ってしまった様じゃ…会わせる顔が無いのぅ」

ダークエルフ「大局を動かす仕事がそれほど体が悪いか?補完計画から省いてやった恩は感じてほしい物だ」

指揮官「新世界ではどの道人間は滅ぶ定め…認めたくは無いのじゃが…」

ダークエルフ「今すぐに滅ぶわけでは無い…最後まで生き延びた…そういう風になるだけの事」

指揮官「じゃがわしに感謝する者なぞ居らんじゃろうのぅ…じゃからわしはここで骨を埋めた方が良かろう」

ダークエルフ「フッ勝手にしろ」

指揮官「主はドリアードとなって新世界を監視する役につくのじゃな?」

ダークエルフ「そうなるだろう…お前もドリアードになりたいか?」

指揮官「いや…もう良い…娘と風呂に入って寝たいわい」

魔女「聞いてしもうたぞよ?父上…」

ダークエルフ「何ぃ!!どこから入って来た!!」ズザザ

剣士「動くな…」スチャ

ダークエルフ「誰かと思えば…犬神か!!」タラリ

指揮官「とうとうここまで来てしもうたか…白狼の一党…そして魔女や」

魔女「父上は記憶を害して居らんのじゃな?幻惑されて居らんな?」

ダークエルフ「フッフッフあのモウロクが持って居た杖の事か…確かに杖で黒の同胞に従う任に付いたな」

指揮官「まぁ待て…わしも娘に会いたかった所じゃ…大きゅうなったのぅ」

魔女「感動の再会では無い様じゃ…今は敵じゃ」

指揮官「のぅダークエルフ?わしは娘と共に行く選択もある様じゃ…どうじゃ?任を解くと言うたな?」

魔女「父上…それはどういう事じゃ?」

ダークエルフ「面白い…白狼の一味に加わるか…ハッハッハ」

指揮官「魔女や…話は聞いて居ったのじゃな?」

魔女「うむ…わらわは心が痛い」

指揮官「察しの通り人類の補完は精霊が計画したのじゃ…人間は精霊の記憶の中で永遠に生きる…意味が分かるな?」

魔女「つまり絶滅じゃ…魔王のもくろみ道理じゃな」

ダークエルフ「少し違う…魔王の温床となっている人間を物理的に排除し…魂はオーブの中で永遠に生きる」

魔女「物理的なこの世界は新しい生き物が担う…そういう事なのじゃろう?」

ダークエルフ「理解が早いな…遅かれ早かれ人間はすべて新人種に置き換わるのだ…そして魔王は滅ぶ」

魔女「悲しいのぅ…抗ってはいけないのかえ?」

ダークエルフ「否定はしない…だからお前の父上を解放しよう…自由に抗って構わん」

指揮官「魔女や…わしを理解してくれるか?」

魔女「ぅぅぅぅ…何の為の戦いじゃったのか…何の為に多くの命を犠牲にしたのか…ぅぅぅ」ポロポロ

指揮官「最後まで抗う道をわしはそなたらに残したぞよ?最後まで抗って良い…」

魔女「それでは抗った我らが魔王であるという事になるでは無いかぁぁぁ…ぅぅぅ」ポロポロ

指揮官「…」

ダークエルフ「それが魔王だ…だからすべてを終わらせる必要がある…受け入れろ」

魔女「うわぁぁぁぁん‥‥ぁぅぁぅ…」ポロポロ

指揮官「…」

ダークエルフ「…」

剣士「…」

---今理解した---

---機械が---

---精霊が---

---どうしてすべてを記録するのかを---

---それは人類の魂の保存だ---

---そういう風にしか魔王と戦えなかった---

---そして精霊が導く勇者は---

---それに抗う最後の希望だという事をやっと理解した---

---僕は任意の次元を選択する事が出来る---

---最後まで抗う次元を選択する事だって出来る---

---魔王と共に共生する未来だってある---

---その場合世界から争いは無くせない---

---そういう選択をしなければならない---


指揮官「魔女や…泣くでない…信じた道を行って良いのじゃ…行こうぞ」


シュン ストン!


魔女「はっ!!父上!!父上ーーー!!」

ダークエルフ「放せ!!」ババッ

指揮官「魔女…行け…わしはそなたと…共に…居る…」ドタリ

魔女「あわわ…父上…ぅぅぅ父上ーーー!!…そうじゃ蘇生魔法じゃ…蘇生…」


シュン グサ


魔女「はぅぅ…」ヨロ

剣士「魔女!!ここはダメだ…物陰に」グイ

子供「回復魔法!」ボワー

剣士「良かった…急所は外れてる…抜く」ズボォ

魔女「げほっ…げふげふ」ボタボタ

剣士「未来も物陰へ!!」

子供「パパ!!一杯来る匂い…」

剣士「これはドラゴンの匂いだ…未来!!こっちだ!!来い!!」シュタタ

子供「魔女が血を吐いて…」

剣士「今は余裕が無い…耐えて魔女!」シュタタ



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ゴーン パラパラ ゴゴゴゴゴ


剣士「未来…付いて来ているな?」

子供「平気…」

魔女「っぅぅ…」

剣士「回復魔法!」ボワー

魔女「済まんのぅ…げほっ…げふ」

剣士「良かった声は出るね?」

魔女「頭では無く喉に矢が逸れて助かったわい」

子供「死んじゃうかと思ったよ…口の中から矢が貫通したよね…」

剣士「エルフの矢は信じられないくらい精度が良いんだ…未来も急所に金属を当てておくんだ」

子供「うん…骨で良い?」

剣士「急所から反れればとりあえず良い…白狼のフードを深く被って」

子供「…」ファサ

剣士「子ウルフもちゃんと付いて来ているな?」

子供「うん…」

剣士「よし…森を北に抜けて魔王を探す…これから今までより厳しい戦いになる…覚悟は良いな?」

子供「うん」

剣士「魔女は小さく変身して欲しい…背負う邪魔にならない様に」

魔女「変性魔法!」シュゥゥゥ

剣士「魔女は僕が背中に乗せる…未来と子ウルフはしっかり付いて来い」

魔女「主は迷わんのじゃな?精霊に抗う事になってしもうても良いのか?」

剣士「その為に生まれたんだ…抗って未来を導く事を託されたのが勇者さ…」

魔女「考えがあるのじゃな?」

剣士「勿論…僕にしかできない選択で魔王を葬ってあげるよ」

魔女「選択?信じて良いのじゃな?」

剣士「魔女ももう僕の次元に居るんだ…僕の選択に従うしかない」

魔女「ふむ…信じるではなく従うしかないという事か…付き合うてやろう」

剣士「乗って!!」

魔女「ほい」ピョン

剣士「魔法は任せた!行くぞ未来!!」シュタタ シュタタ

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 黒の同胞団編

   完

『飛空艇』


フワフワ


商人「…もう少し」

ローグ「樽を背負ってロープを伝うって…前代未聞っすね…はぁはぁ」

商人「よし!!受け取った…おっとっと…」

ローグ「落とさんで下せぇよ?」

商人「休憩したら?」

ローグ「そーっすね…もう腕がパンパンでやんす」

商人「女戦士が入った樽が重すぎたね」

ローグ「頭は体重が100キロぐらいありやすからねぇ…言うと怒るんで秘密にしてやしたが」

商人「そんなに重いんだ」

ローグ「あっしら人間とは筋肉の重さが違うんすよ…もしかすると骨が重いのかもしれやせんが」

商人「女海賊も重かった気がした…だから戦士向きなのかもね」

ローグ「触ると柔らかいのに何で重いんすかね?」

商人「ねぇローグはエリクサー取りに行ったときに精霊の伴侶って見て来た?」

ローグ「頭の無い奇妙な体が木の根っこに混ざり合わさっていやした」

商人「魔女の話ではもう死んだみたいな話になってたんだけど」

ローグ「どうかしたでやんすか?」

商人「頭部に機械が埋まって無いかなと思ってさ」

ローグ「あっしが解体してきやしょうか?」

商人「機械の様な物があるなら取って来て欲しい」

ローグ「直ぐに取ってこれやすぜ?あの辺りはもう占拠しちゃってるもんで」

商人「お願い…ホムンクルスを起こす手掛かりが無いか調べたい」

ローグ「待ってて下せぇ…すぐ戻って来やす」ピョン シュルシュル



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タッタッタ スタ


女海賊「あれ?商人一人?」

商人「うん?」

女海賊「ローグは何処行ったの?」

商人「あぁ…ちょっと戦利品を取りに行ってもらってる…すぐ帰って来るよ」

女海賊「はぁぁやっぱこっちのが落ち着くわ」

商人「下は忙しいんだ」

女海賊「忙しいってかいちいち海賊の相手すんのがメンドクサイんだよ…直ぐに色目出すし」

商人「なるほどね…美人は面倒くさいね」

女海賊「ん?もっかい言って」

商人「美人は面倒くさいね」

女海賊「はぁぁぁぁ…そう…美人は罪…そして私のアソコを舐めたあいつはぶっ[ピーーー]」

商人「ハハ…あの海賊…飛空艇から落ちてまだ無事だと思う?」

女海賊「どうせ木に引っかかってしぶとく生きてんよ…あんにゃろう…思い出しただけで腹立つ」

商人「森の中で素っ裸だろうけど…」

女海賊「下に居る海賊はあんな感じの奴らばっかりなんだよ…本当話すのメンドクサイ」

タッタッタ スタ


ローグ「戻ってきやしたぜ?」

商人「どう?あった?」

ローグ「首の付け根にありやした…なんすかねコレ?」

商人「見せて!!これが超高度AIなのか?」

女海賊「うわ…めちゃ細かい機械だね」

商人「君…顕微鏡とか持って無い?」

女海賊「お姉ぇが持ってる」

ローグ「頭の荷物はあっしが預かってるでやんす…持ってきやしょうか?」

商人「うん…」

ローグ「ちっと向こうの気球に取りに行って来るっす」タッタ

商人「ふーむ…これは外部メモリを挿すスロットかぁ…という事はこういう向きで頭部に入ってる訳か」

女海賊「なんか超高度AIって思ってたより小さいんだね」

商人「そうだね…こんな小さい機械で色々考えてるんだね」

女海賊「これ頭が無かったって事は脳ミソ無いよね?どうやって記憶するん?」

商人「さぁね?…でもだから自活出来なかったんだと思うけど」

女海賊「あのさ…木って脳ミソの代わりになるんじゃね?だから木に融合してたとかいうオチ」

商人「それはありえるかもね」

女海賊「剣士が聞こえるっていう森の声の正体は実はソレでしょ」

商人「ふむ…」

女海賊「森の動物とか魔物は森の声に従ってたりするじゃん?実はそいつが操ってるって事」

商人「それが魔女が言うドリアード化なのかもね…ドリアード伝説といえば情報屋が調べてたね」

女海賊「んんん私もうこの森に興味無くなっちゃったんだよなぁ…早い所シャ・バクダ行きたいなぁ」

商人「ハハ海賊は放置かい?」

女海賊「あいつら適当に上手くやるんじゃね?」

商人「まぁまぁ…せめて今晩くらい見守ろうよ」

女海賊「この飛空艇1基無くなった所で戦局大した変わらんじゃん?お宝なんかくれてやるからさぁ…」

タッタッタ


ローグ「取ってきやしたぜ?頭が良くこの顕微鏡で金属の表面を覗いていやした」

女海賊「貸して!ちょい見る…ドレドレ」ジー

商人「何か分かる?」

女海賊「うわ…メチャクチャ細かい…え!?この顕微鏡じゃ全然倍率足りない…こんな細かい物を覆ってるこの表面はなんだろ…」

商人「君が分からないという事は僕が見ても分からないんだろうなぁ…」

女海賊「技術力が全然違うのは良く分かった」

商人「僕も見て良いかな?」

女海賊「ほい…」

商人「本当だ…すごい細かいね…アレ今どの辺り見えてるんだろ?あーーここか」

女海賊「あんたが見てもやっぱ分かんないよね」

商人「でも文字が見える」

女海賊「なんかあったね…それスロットの穴の上にある物理ボタンに書いてる奴だよ」

商人「物理ボタン?ボタンって何?」

女海賊「外部メモリは外す為の仕掛けとかそんな感じじゃないの?」

商人「外部メモリを外すのにそんな仕掛けは無かった筈…押し込んだら取れる」

女海賊「ふ~ん…じゃ他の何かの仕掛けかな」

商人「仕掛け…この文字CMOS…古代文字だ…意味分かったりする?」

女海賊「そんなん私が知ってる訳無いじゃん…ほらやっぱ情報屋に聞きたくなるっしょ?」

商人「書物は全部情報屋が持ってるなぁ…」

女海賊「海賊なんか放っておいて行こ行こ!!」

ローグ「姉さん…そら無いっすよ…ここまで連れて来たんすから責任てやつがですね…」

女海賊「ほんじゃローグ置いて行こ」

ローグ「ちょちょちょちょ…そらもっと無ぇ~っすよ!!」

女海賊「あんたが残って責任持ちゃ良いじゃん!!私はあの海賊共に裸にされてヤラれかけたの!分かる?」

ローグ「う…そらまぁ海賊にも落ち度はありやすがね」

女海賊「私からすっと爆弾落として皆殺しでも良い訳よ…ハッキリ言うと怒ってんの」

商人「まぁまぁ落ち着いて」

ローグ「実は姉さんには隠していたんでやんすが…」

女海賊「なによ!!」

ローグ「黒の同胞団の隠れ家にウラン結晶がたんまり在るんすよ…あと謎の器具もありやす」

女海賊「ちょ!!何で早く言わないのさ!!」

ローグ「言うと勝手に取りに行っちまうもんすから…」

女海賊「おっし!!それ回収したら出発…キマリね!!」

ローグ「じゃぁ明日の早朝に取りに行く感じで良いっすかね?」

女海賊「何言ってんの今行くに決まってんじゃん!!あの海賊共に先越される…」

商人「ハハハ…やっぱりそうなるか」

女海賊「商人は留守番してお姉とホムちゃん見てて…私とローグでちゃっちゃと取って来る」

ローグ「トホホ…商人さん後はお願いしやす」

女海賊「行くよ!!」ピョン シュルシュル

ローグ「ああああ…姉さん早いっすよ!待って下せぇ!!」

『貨物用気球』


フワフワ


船乗り「気を付けるでがんす」

商人「ふぅ…やっぱりこの鍵爪はロープ伝うのに何かと便利だ」

船乗り「どうしたでがんす?」

商人「指示書を持って来たんだ」

船乗り「へぇ?」

商人「女戦士が倒れてしまったからね…この後どうするか指示書でまとめて来た」

航海士「指示書という事は何処かに行かれるので?」

商人「早い話そうなる…その後は2人がこの指示書に沿って海賊をまとめて欲しいんだ」


そんなに難しい話じゃないよ

今あるキャンプをベースにして各自自由にして良いという流れさ

女戦士の貨物船はしばらく漁村で停泊

それで貨物船の乗組員がこの入り江に有ったガレー船を使って

この界隈で活動していて欲しい


船乗り「この隠れ家はどうするでがんす?」

商人「危険じゃないなら自由にして良いとは思うけど…ここは黒死病や毒が蔓延すると思うよ」

船乗り「良い隠れ家なんですがねぇ…」

商人「今のキャンプも十分良いと思うよ…あそこは特に食べ物に困らない」

航海士「どれくらいで戻って来ますかね?」

商人「女戦士が早く目覚めれば良いけど…」

船乗り「頭の容態はあまり良くないでがんすか?」

商人「うーん…何とも言えない…ただ頭を弓で撃ち抜かれて昏睡しているんだ」

船乗り「ええ!!?頭を…」

商人「他の海賊達には秘密にしておいた方が良いね」

船乗り「緊急事態だったんすね…」

商人「まぁね…それで船に乗っていた宝石があれば数年は遊んで暮らせる…それを元手にしばらくこの辺りで様子見さ」

船乗り「頭の貨物船はその…ハイディングというやつを俺達が使って良いでがんすか?」

商人「有る物は上手く使って良いよ…兎に角…女戦士が帰って来た時に万全になっていれば良い」

船乗り「承知でがんす」

商人「じゃぁ戻るね?見張りの継続もよろしく」ピョン シュルシュル

『飛空艇』


フワフワ


商人「さて…ガレー船の配置は指示通り…よし!1隻キャンプに戻ったな?予定通りだ」

商人「女戦士の様子でも見ておくか…」

商人「額に矢が貫通してまぁ良く生きている…それにしても」

商人「寝て居ると可愛らしい顔をしているなぁ…女海賊にそっくりか」

商人「キツイ目をしているのが損してるんだ」

商人「フフ…ホムンクルスと2人並んで樽から首を出しているのは奇妙だ」

商人「しかし…エリクサーに漬けて回復するのだろうか?使い方間違って無いかな?」

商人「そうだ!ホムンクルスの耳の後ろにも物理ボタンがあるのかな?」クイ

ホムンクルス「…」

商人「ある…同じなのか」カチ

商人「あ!!押してしまった…」

ホムンクルス「…」

商人「ふぅ…起きている時じゃ無いと意味が無さそうだ」

商人「こうして見るとやっぱり女戦士と違って微動だにしないのは不思議だ…置物の様だ」

商人「女戦士は呼吸で常に動いてる」

商人「ホムンクルスには生を感じない…変な感じ」

商人「あぁ…すこしお腹が減ったなぁ」

商人「あ…また独り言しゃべってた…悪い癖だよまったく」ブツブツ


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『黒の同胞団基地』


ゲホッ ゲホッ


女海賊「なんで毒霧がひどいって言ってくんないのさ!!ゲフゲフ」

ローグ「それは姉さんが話を聞いて無かったんすよ…あっしは何回も言いやしたぜ?」

女海賊「はぁ~ん?あんたぁ!!私が悪いっての?」チャキリ

ローグ「あいやいやいやいや…あっしが言ったつもりになって居ただけでやんす」

女海賊「もう!!重いなぁ…ちゃんと押してんの?」

ローグ「こんなに沢山謎の器具どうするんすか?これ全部壊れてるんじゃ無いですかね?」

女海賊「うっさいな!!ちゃんと押せよ!!」

ローグ「あのですね…荷車に山盛りじゃなくてですね…何回かに分けて運べばもっとラクなんすよ」

女海賊「それじゃ何回も往復する事になんじゃん」

ローグ「こう言えば分かりやすかね?どっちも仕事量は変わらんす」

女海賊「ん?まぁそだね…でも往復する分歩く歩数増えるじゃん」

ローグ「だからその分力必要じゃないっすか…歩数増やせばラクに運べるんすよ」

女海賊「まてよ何で重たくなんだ?重さは全部車輪に乗っかってる…ほんで抵抗になるのは軸と設置面か…」

ローグ「あのですね…運ぶ気あるんすかね?」

女海賊「うっさいな!!…だから抵抗は全部摩擦だな…軸の摩擦と設置面の摩擦は」ブツブツ

女海賊「アダマンタイトと磁石は反発する面があるからそれ利用したら摩擦抵抗が無くなるな…」

女海賊「待て待てでも狭間に干渉しそうだ…あ!!!時間が関係する…だからゆっくりなのか」

女海賊「エネルギーは同じだったとして何でそうなる?どこに行っちゃうんだ?」ブツブツ

ローグ「そろそろ休憩は良いっすか?押しやすぜ?」

女海賊「あのさ…ちょいこれ運んどいて…ちょい実験してくる」

ローグ「えええええええええ?姉さん…頼んますよ」

女海賊「船ん中に突っ込んどいて!!」ピューーー

ローグ「あぁぁぁぁ…マジっすか…トホホ」

『飛空艇』


ピョン シュタ


商人「あ!!お帰り…どうしたの慌てて?」

女海賊「魔石を作る原理を発見したかも…ちょいペンとノート貸して」

商人「え?…はい」ポイ

女海賊「えっと…この式から解いて…」カキカキ


そうだやっぱりエネルギーの解釈が違う…

エネルギーの蓄積使って圧縮すればこれが無限大

こうやって縮退させた結果出来上がるのが魔石だ…余った物質が宝石…

あーでもコレどうやって作る?


商人「なんか難しい式だね?全然分かんないや」

女海賊「時間を止めたら質量がエネルギーに変わる式だよ…その逆でエネルギーを魔石に転換出来そう」

商人「それを君が作るつもり?」

女海賊「んー作るのは無理っぽいなぁ…最悪大爆発が起きそう」

商人「新しい爆弾かww」

女海賊「この理論が正しかったら魔王の欠片集めて魔石みたいに物質化出来ると思うんだ…魔王を一個の石にすんの」

商人「おお!!」

女海賊「ほんでどっかにポイ!!なんてね」

商人「どっかって?」

女海賊「飛空艇で宇宙まで飛んでって捨てて来るとかどう?」

商人「ハハ良いね…宇宙てどのくらい向こうなんだろうね?」

女海賊「ホムちゃん起きないかなぁ…ホムちゃんだったら知ってると思うんだよなぁ…」


ピッ

女海賊「ん?」

ホムンクルス(ショキカ カンリョウ システム ヲ サイキドウ シマス)

商人「あああああ!!」ガバ

ホムンクルス(…)ピッ


ハロー ワールド

クラウド ヘノ セツゾク ガ カンリョウ シマセン

ローカル モード ヘ キリカエマス

カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ


商人「起きた!!ホムンクルス!!良かった…やっぱり生きてた」

ホムンクルス(カンリシャ ヲ トウロク シテクダサイ)

商人「僕だよ!!分かるかい?」


シモン ニンショウ チェック

アイコード ニンショウ チェック

オンセイ シキベツ チェック

セイタイ シキベツ チェック


商人「そうだ!!外部メモリだ…それで思い出す筈だ」スッ

ホムンクルス(ガイブ メモリ ガ ソウニュウ サレマシタ)

ホムンクルス(キカン プログラム ヲ ヨミコミマス)

商人「ホムンルクス!!僕が分かるかい?」

ホムンルクス「私は眠っていたようです…」

商人「良かった!!そうだよ君は眠っていただけだ」ギュゥ

ホムンルクス「はい…衛星から現在の標準時刻と座標を取得しました…私を起こして下さったのですね」

商人「今服を着替えさせてあげる…ちょっと待って」ダダ

ホムンクルス「体温が低下している為動くことが出来ない様です…樽から出して頂けませんか?」

女海賊「ホムちゃんおいで」グイ

ホムンクルス「ありがとうございます」

女海賊「動かなくなって心配したんだよ」ポロリ

ホムンクルス「ご心配をお掛けしました…現在の状況が掴めないのですが…」

女海賊「良いの良いの!!ホムちゃんは何も心配しなくて良いの…居てくれるだけで良い」

ホムンクルス「生体機能が回復するまで1時間ほど時間を要します」

商人「これが君の着替えだ」

ホムンクルス「はい…恥ずかしいので早く着せてもらってよろしいでしょうか?」

商人「分かってるよ…出来るだけ見ない様にするから」

女海賊「手伝う…そっち持って」グイ

ホムンクルス「脳内に不整合な記憶が存在します…一部しか読み込めません」

商人「忘れても良いよ」

ホムンクルス「夢とはこのような状態を指すのかもしれません…夢として保存します」

女海賊「夢か…ホムちゃん寝ている間は夢見た?」

ホムンクルス「分かりません…恐怖の感覚が脳に残って居ますので悪い夢を見て居たのかもしれません」

商人「恐怖か…もう大丈夫さ」

ホムンクルス「はい…現在の脳波はリラックス状態です」

女海賊「ちょっと飛空艇の中温かくしよっか?」ジュゥ モクモク

ホムンクルス「ありがとうございます…」

商人「だっこしてあげるよ」ギュゥ


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『1時間後』


女海賊「もう歩いて大丈夫?」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「お姉ぇも目ぇ覚ましてくんないかなぁ…」

ホムンクルス「女戦士さんはどうなされたのですか?」

女海賊「弓矢で頭撃ち抜かれちゃったんだ…魔女が治療してくれたんだけど目ぇ覚まさないんだよ」

ホムンクルス「傷は見当たりませんね」

女海賊「脳の損傷がどんだけあるか分かんないって…」

ホムンクルス「理解しました…物理的損傷の修復は出来てもシナプス連携まで修復は出来ないという事なのですね」

女海賊「シナプスって何?」

ホムンクルス「記憶の繋がりと言えば良いでしょうか…記憶の連携が意識として認識されます」

女海賊「連携出来てないから意識が無いって事?」

ホムンクルス「私で言う不整合な記憶として連携しているのでしょう」

女海賊「意味わかんないんだけどさ…」

ホムンクルス「商人さんは記憶の中に心があると言いましたが…記憶のどの部分がご自身の心なのか分からない状況です」

ホムンクルス「私の記憶の中にも女戦士さんの心の部分が記憶されていますのでリンクさせる事が出来れば修復できるかもしれません」

女海賊「リンク?どうやってやるん?」

ホムンクルス「皆さんの記憶をリンクさせる方法は私には分かりません」

商人「分かった!!夢だ!!僕たちはみんな夢で繋がってる」

ホムンクルス「私が皆さんの夢と繋がるにはどうすれば良いのでしょう?」

商人「夢幻…そうだ夢幻はクラウドにある」

ホムンクルス「現在クラウドは消失していますね…この区域はクラウドが構築されて居た筈ですがどうなって居るのでしょう?」

商人「あ…電磁パルスで消失してしまったのか…そうだな…それしか考えられない」

女海賊「ちょい私行って来る…」ヌギヌギ

商人「ちょま…うわ…急に裸になられると困る」

女海賊「あんたが目ぇ閉じときゃ良いだろ!!」

ホムンクルス「どうされるのですか?」

女海賊「お姉ぇと背中合わせで寝る」チャプ

商人「そんな方法で?」

女海賊「剣士とはこれで繋がれるんだよ…お姉ぇとも繋がれるかも」

ホムンクルス「クラウドを介さずローカル接続をお試しになるのですね」

女海賊「ちょい寝るからアッチ行ってよ」

商人「ハハまぁ良いか…ホムンクルスもおいで…邪魔しないでおこう」

ホムンクルス「はい…」



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タッタッタ スタッ



ローグ「あらららら?ホムンクルスさん…目を覚ましたんでやんすね?」

商人「あ…うん」

ローグ「姉さんは何処に行きやしたかね?」

商人「今寝てるからそっとしといた方が良いよ」

ローグ「はぁぁぁそら良かったっす…姉さんは人使いが荒いもんすから」

商人「下の様子はどう?」

ローグ「略奪品で盛り上がってやすね…食料が調達出来た様なんで分配してる所っすよ」

商人「それは良かったね…飛空艇にも少し積んでおきたいな」

ローグ「見繕ってあっしが少し持って来やす…」

商人「あぁ済まないね」

ローグ「姉さんのお使いに比べれば安いもんすよ…ちっと待ってて下せぇ」ピョン シュルシュル

ホムンクルス「皆さんお忙しいのですね…」

商人「君はゆっくりしていて良いんだよ」

ホムンクルス「はい…」

商人「そうだ!!君に見て欲しい物が有ったんだ…」

ホムンクルス「何でしょう?」

商人「これさ…これって超高度AIなんだよね?」

ホムンクルス「どこでこれを手に入れたのですか?」

商人「停止した精霊の伴侶から取り出した物だよ」

ホムンクルス「察するにやはり黒の同胞団に匿われて生存していたのですね?」

商人「うん…君が予測した通りだった」

ホムンクルス「そのユニット内部の賢者の石がどのくらい持つのか分かりませんが大切に保管していた方が良いでしょう」

商人「まだ使えるっていう事?」

ホムンクルス「記憶領域を接続する事が出来れば私と同様の思考を持たせる事が可能です」

商人「あ…それとこのボタンって何?」

ホムンクルス「それは初期化のボタンです…ロジックの不具合で停止してしまった場合などに初期化させるのです」

商人「なるほどね…」

ホムンクルス「超高度AIユニットはインターフェース部が酸化に弱いので酸化防止の為にエリクサーに浸しておいた方が良いです」

商人「瓶の中でエリクサーと一緒に入れれば良さそうかな」

ホムンクルス「十分ですね」



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タッタッタ スタッ


ローグ「持ってきやしたぜ?…よっこらせっと」ドサリ

商人「肉に小麦…あ!胡椒まである」

ローグ「野菜も袋の中に積めてあるっすよ…いやぁぁしかし飛空艇にホムンクルスさん居ると安心しやすね」

ホムンクルス「ありがとうございます」ニコ

ローグ「姉さんも商人さんも…なんつーか…野菜なら生で食っちゃうタイプなもんで」

商人「ちゃんと焼くよ」

ローグ「興味の無い事に面倒くさがりなんすよ…なんで料理とかやらんのですわ」

商人「ハハ…まぁ当たってるかな」

ホムンクルス「この材料で何か作りましょうか?」

ローグ「楽しみっすねぇ…ちぃとあっしは酒も持って来るでやんすよ…良いワインがあるんす」

商人「何回も済まないね…」

ローグ「いやいや…下に居るよりはマシなんで」ピョン シュルシュル

ホムンクルス「トマトが有るのでこれをベースに煮込みを作ります…少々お待ちください」

商人「楽しみだ…やっぱり君が居るのと居ないのとでは全然違う」

ホムンクルス「そう言われると私も嬉しいです」ニコ

商人「何か手伝おうか?」

ホムンクルス「肉を一口大にカットして頂けますか?」

商人「うん!」



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ぐぅ すぴーー


女海賊「むにゃ…ふご」ブクブク

女海賊「げほっ…げふげふ」パチ

女海賊「お姉ぇ!!」キョロ

女戦士「すぅ…すぅ…」

女海賊「…これじゃダメだ…ホムちゃーーーーん!!」バチャバチャ


ホムンクルス「お目覚めになりましたね?」


女海賊「ちょっと商人にロープ用意させて」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「あとお姉ぇの着替えも持って来て!!」ゴソゴソ

ホムンクルス「樽から出されるのですね?」

女海賊「うん!!これじゃお姉ぇは目ぇ覚まさない」ゴソゴソ

ホムンクルス「少しお待ちください…」イソイソ



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商人「ロープなんか何に使うんだい?」

女海賊「お姉ぇを縛る」

商人「ええ!?」

女海賊「あんたはアッチ行ってて…ホムちゃん手伝って!」

ホムンクルス「はい…どうすれば…」

女海賊「お姉ぇを抑えてて…私がロープで縛って行くから」グイグイ

ホムンクルス「…どうしてこのような事をされるのですか?」

女海賊「お姉ぇは昔からロープで縛られるのが大好きなんだよ…動けないのを脱出する謎の趣味があんの」グイグイ ギュゥゥ

ホムンクルス「そうだったのですね」

女海賊「あと重たい物を体に乗っけると落ち着くらしい…だからロープで縛って樽乗せとく」

ホムンクルス「そのような療法は誰にも思いつきませんね」

女海賊「商人!!お姉ぇのオリハルコン原石何処行ったか知らない?」

商人「持ち歩いて居たよね?」

女海賊「だからお姉ぇの荷物どこにあんのって言ってのさ!!」

商人「貨物用気球に乗ってる筈だよ」

女海賊「取って来て」

商人「向こうは周囲の警戒で飛び回ってる…ちょっと時間かかるよ」

女海賊「んぁぁぁ…出来るだけ早く」

商人「うん…分かったよ」



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タッタッタ スタ


ローグ「こ…こりゃ何事っすかね?」

商人「ハハ見ての通りさ…変態姉妹だよ…訳が分からない」

ローグ「姉さん…乗せるのは樽じゃなくて砂鉄か鉄板の方が良いっすね」

商人「え?」

女海賊「砂鉄も鉄板も無いじゃん!!」

ローグ「参りやしたねぇ…樽じゃ部分的にしか重さ伝わらんのですよ」

女海賊「じゃぁしょうがないじゃん」

ローグ「吊るしやしょう!体重で均等に負荷掛かりやす」

女海賊「あんた出来んの?」

ローグ「あっしは慣れてるんで代わりにやりやす…吊り方にコツがあるんす」

女海賊「じゃやって」

ローグ「頭はこんな縛り方じゃ簡単に抜けてくるんで特殊な縛り方があるんす…見てて下せぇ」グイグイ ギュゥ

女海賊「ほーん…」

ローグ「これだけやっても抜けて来るんすがね?本当は鎖の方が良いっすね」ミシミシ グイ

女海賊「これで目を覚ましてくんないかな?」

ローグ「どーっすかね?でも樽に入れてるよしか大分良い状態っす」

女海賊「ほんであんた何持ってんの?」

ローグ「あぁ…ワイン持って来たんすよ…飲みやすか?」

女海賊「お姉ぇに飲ませてみる?」

ローグ「あっしは責任取れやせんぜ?この状態で飲ませた事無ぇーもんすから」

女海賊「一口だけ飲ませてみる…頂戴」

ローグ「へい…」

女海賊「お姉ぇこれ飲んでみて?」

女戦士「…」ムグムグ

女海賊「よし…これでやることやった」

商人「…」アゼン

女海賊「何か良い匂いすんだけど何?」

ローグ「ホムンクルスさんが食事を作ってくれているでやんす」

女海賊「おぉ!!腹減って来た…ホムちゃんお腹空いたぁぁ!!」

ホムンクルス「はい…もう少しお待ちください」



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女海賊「うんま!!」モシャ モグ

ローグ「ワイン飲みやすか?」グビ

商人「僕も少し」モグモグ

ホムンクルス「…」ニコニコ

商人「さて…お腹も膨れたし…外見張っておくよ」

女海賊「どんな感じ?」モグモグ

商人「相変わらずさ…トロールはどうやら火を消しているんだね」

女海賊「ケンタウロスは?」

商人「居なくなったかな」

ローグ「海賊の方は夜通し略奪に行くみたいっす…あまりにも収穫が良いもんで」

女海賊「何か良い物あんのかね?」

ローグ「エルフの死体探してるんすよ…止めておけば良いんすがねぇ」

女海賊「あぁぁ馬鹿海賊が考えそうなこった…死体で遊ぶつもりね」

商人「僕らはどうする?もう行く?」

女海賊「行こ…馬鹿に付き合ってらんない」

商人「女戦士の荷物があっちの気球に乗ったままだ…」

ローグ「え?こっちに持って来やしたぜ?」

商人「え?そうだったの?」

ローグ「ボルト入ってる箱が空いてたんでそん中っすね」

商人「一応船乗りにはこれからの指示書は渡しておいたよ」

ローグ「おぉ!!商人さんありがとうでやんす…これであっしが置いてきぼりにはならんすね?」

女海賊「ウラン結晶はどうなった?」

ローグ「1個だけこっちに持って来ていやす…残りは下の船にありやすね」

女海賊「おけおけ…ほんじゃ行こ」スパ

ローグ「あああああああ!!」

商人「ハハ決断早いね…」

女海賊「とりあえず北のエルフの森目指す…その後シャ・バクダ行く」グイ

ローグ「縦帆出しやすぜ?」

女海賊「横帆も張って!!高度上げる」


シュゴーーーーー バサバサ

『エルフの森南部』


ローグ「こらエライ事になってやすね…雪が全部吹っ飛んだってどういう状況なんでしょう」

商人「そこらじゅうで煙が上がってる…これじゃどこで戦ってるか分からない」

女海賊「まいったなぁ…一回森の外出るかぁ」

商人「5日前に森の中を北に移動したとしてどのくらいの距離進めるんだろう…」

ローグ「エルフは寝る必要無いんで行動範囲広いって聞きやす」

女海賊「どっちにしてもこんな状況じゃ見つけらんないよね…ドラゴンでも飛んでれば分かりやすいんだけどさぁ」

商人「もう少し高度下げて貰って良いかな?何か…影見たいなものが動いてる様に見える」

女海賊「おっけ!!進路変えながら下げる」グイ


シュゴーーーー バサバサ


女海賊「見える?」

商人「虫の大群だ…バッタなのか?トンボ?…でかいな」

女海賊「冬なのに虫?」

ホムンクルス「昆虫は寒さに強い種も居ますよ?」

ローグ「ありゃドラゴンフライとキラービーっすねぇ…森以外じゃほとんど見ねぇ魔物っす」

商人「あんなに沢山…」

ローグ「近づかない方が良いっすよ…でかいのだと1メートルくらいのが居るらしいっす」

女海賊「行先はやっぱ北だな…虫の進行方向に合わせる」

ローグ「北北西っすね」

女海賊「おっけ!」グイ

ホムンクルス「昆虫は外敵から住処を守る為に毒をまき散らす性質があります…この森の性質も大きく変わりそうですね」

ローグ「見た感じ死の森っすね」

女海賊「そういやクモも身を守るのに毒使うんだっけか」

ホムンクルス「ここからでは見えませんが森の下の方では地生昆虫も動いていそうですね」

女海賊「おっし!スピード上げる!!」ハイディング!」スゥ



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『数日前_オアシス砦』


タッタッタ


アサシン「案内人!!今すぐに気球を準備しろ…5分でやれ」

案内人「何かあったのか?」

アサシン「説明は後だ!!盗賊と情報屋は何処だ?」

案内人「表で商隊の荷下ろしを手伝ってる」

アサシン「直ぐに戻るから気球の準備を頼む」


タッタッタ


『砦前』


ガヤガヤ ガヤガヤ

今日はとりあえずここに荷を下ろして搬送は明日だ

私達は中に入って良いのでしょうか?

大丈夫だ!中の方が温けぇから入れ

ガヤガヤ ガヤガヤ


アサシン「盗賊!!情報屋!!緊急事態だ…来い!!」

盗賊「んあ?荷下ろしまだ残ってんだけどよ…」

情報屋「どうしたの?慌てて…」

アサシン「シャ・バクダに隕石が降って来るらしい…魔女からの指示だ」

盗賊「何だと!?そりゃ何時来るんだ?」

アサシン「30分後だ…それまでに地下に避難する」

盗賊「砂漠に地下なんかある訳無ぇだろ…どうすんだよ」

アサシン「遺跡だ…」

盗賊「間に合わねぇ!!気球で飛んでも30分じゃギリギリ過ぎる…それに避難民はどうする?」

アサシン「ひとまず砦の中に入れておくしかあるまい…ツベコベ言わず直ぐに行動しろ…5分で気球まで来い」

盗賊「どぁぁぁマジか!!情報屋!!そっちの避難民誘導してくれぇ!!」

情報屋「分かったわ…」

盗賊「5分後に気球で集合な?」ダダ


ガヤガヤ ガヤガヤ

おい!お前等!今すぐに砦ん中に入ってくれ

まだ荷が…

そら後でやるから入ってくれ!!

ガヤガヤ ガヤガヤ

『気球』


フワフワ


案内人「準備できたぜ?乗ってくれ」

盗賊「情報屋!先に乗れ!!」

アサシン「飛ばせろ…真っ直ぐ遺跡の方に向かうのだ」

盗賊「おっとぉ!!」ピョン ガシ

情報屋「急過ぎるわね…はぁはぁ」

盗賊「魔女は何て言ってんだよ」

アサシン「魔女も詳しい事は分かって居ないらしい…兎に角緊急事態で避難しろと言うだけだ」

情報屋「それだけ切羽詰まっているのね」

盗賊「しかしもう間に合わんぞ?この気球じゃ最速で行っても30分だろ」

アサシン「出来るだけの事をやるまでだ…空の状況を良く見ておくのだ」


”魔女…聞こえるか?どうやら地下に避難するのは間に合わん様だ”

”そりゃイカンな…千里眼で見通しておるがわらわにも詳細が分からんのじゃ”

”隕石が落ちて来るのだな?”

”女海賊がそう言うて居る”

”木の陰に身を隠すでも良いか?”

”何もせんよりはマシじゃな”

”状況に変化があるなら直ぐに連絡してくれ”


情報屋「どのくらいの隕石なのかも分からない様ね…」

盗賊「空に異常は無ぇぞ?」

情報屋「シャ・バクダに突然隕石が落ちるなんて…」

アサシン「あのシャ・バクダ砦を守って居るゴーレムの破壊と考えるか…」

盗賊「んん?なんだあの星…見ろ!シリウスの左下だ…あんな星有ったか?」

情報屋「随分低いわね…もしかしてあれが此処まで飛んで来る?」

アサシン「暗い星だな…」

盗賊「チラチラ光る…やっぱ見た事無ぇ星だ」

アサシン「ううむ…どうやら魔女の言う事が正しいか…案内人!急いでくれ」

案内人「これで精一杯だ…祈ってくれい」


ピカーー


情報屋「彗星!!」

盗賊「ヌハハなかなかの天体ショーじゃ無ぇか」

情報屋「笑いごとじゃ無いわ?あの星に彗星が吸い込まれた…何か起こってる」


”アサシン聞こえるか?”

”状況は?”

”インドラの矢で隕石の破壊を試みた様じゃ”

”今の光がそれだな?”

”主らも見て居るか…失敗じゃ”

”失敗…”

”兎に角避難せい…直撃せぬ様に何かで身を守れ”

”わかった…こっちで何とかする”


アサシン「聞いたな?インドラの矢でも破壊出来ない規模だという事だ」

情報屋「見て…あの星…ゆっくり動いてる」

盗賊「そら真っ直ぐここに向かってるからゆっくり見えてんだな?」

情報屋「多分…」

アサシン「高度を下げながら向かえ…間に合わない様なら飛び降りて雪の中に身を隠せ」

盗賊「手詰まりか…ちぃぃぃそれしか無ぇな」

案内人「遺跡はあそこの森だな?」

アサシン「そうだ…」

案内人「…むむむ間に合うか‥‥」

『シャ・バクダ遺跡上空』


フワフワ


案内人「飛び降りる準備をしてくれい!!」グイ

情報屋「あれ?…あの星すこしずれて飛んでる…行先はどこ?」


ピカーーーーーーーーーーーーー


盗賊「うお!!眩しい…」

情報屋「ぅぅぅ…南東の方角…森だわ」

アサシン「森に落ちたのか?」

盗賊「眩しくて見えんな」

アサシン「逸れたか…」

盗賊「隕石ってこんなに長く光るもんなんか?」

アサシン「いや…これから降って来るのかもしれん」

情報屋「空が…オーロラで覆われてる…どうなって居るの?」

盗賊「こりゃ森が吹き飛んじまってんな」

アサシン「光が長すぎる…隕石なぞでは無い…インドラの矢を超える何かだ」

情報屋「まさか…失われた古代兵器」

アサシン「ゴーレムの件と言い…ありえない話では無い」

盗賊「その古代兵器はヤバイ物なんだな?」

情報屋「キ・カイでいくつか発掘されて展示されているわ…動かし方も何も分かって居ないけれど…まさか」

アサシン「目の当たりにして明らかにインドラの矢を超えている…それしか考えられそうにない」

情報屋「定説がひっくり返る…古代兵器は砲弾の類じゃなさそうね」

アサシン「定説とは?」


古代文明が滅びた原因はインドラの矢というのが定説

古代兵器にインドラの矢を超える破壊力があるとするなら

滅びた理由が変わる

キ・カイで発掘された古代兵器は今まで長距離砲弾の類と言われて居たの

ただ一部の学者はそれに異を唱えていたけれど古代兵器の解明までは出来なかった


盗賊「しかしこれ…爆発が長く無ぇか?いつまで続くんだ?」


ゴゴゴゴゴゴ ゴーン


盗賊「うぉ!!上か!!」

情報屋「空が一瞬で曇った…衝撃波ね」

盗賊「音が上から来るたぁどうなってんのよ」

アサシン「何が起こるか分からんな…やはり地下に避難した方が良い」

案内人「もうちょいだ…降りる準備してくれ」


フワフワ ドッスン

『シャ・バクダ遺跡』


ゴゴゴゴゴゴ ゴゴーン


盗賊「お!?暗くなった…収まったか!!」

情報屋「2分弱ね…」

盗賊「一気に暗くなっちまった…ちっと明かり用意するわ」カチ ピカー

アサシン「フフさすが盗賊…何でも持って居るな」

盗賊「案内人!松明乗せてたよな?持って行け」

案内人「へいへい…」

盗賊「雪積もって入り口何処だったか分かんねぇぞ?」

アサシン「こっちだ…私が目印を立てている」

盗賊「おい!!待て…足跡だ」

アサシン「何の足跡か分かるか?」

盗賊「この辺に居るっちゃぁシカだと思うんだが…どえらいでかいシカだなこりゃ」

アサシン「まぁ良い…落ち着いたら後で捕獲しよう…行くぞ」


ギュ ギュ ギュ


アサシン「ふむ…どうやらここに時の王が来ていた様だな」

盗賊「この足跡はアンデッドホースか…どうする?中に入るか?」

アサシン「私は時の王に勝てる自信が無い…争いは避けたいのだが…」

情報屋「ゴーレムの件とか色々事情を知って居ると思うわ」

アサシン「敵か味方か分からんのだ…話すのは危険が伴う」

盗賊「ここまで来て外で待機は無いだろ凍えちまう…一先ず中に入ろうぜ」

アサシン「ううむ…」

情報屋「中に居るかどうかも分からないわ?行って見ましょ」

アサシン「気は進まんが…行って見るか」

情報屋「今まで聞いた話からするともう時の王は敵では無いわ…分別が付く相手に思う」

盗賊「案内人!松明をよこせ…俺が先頭を行く」

『勇者の像』


メラメラ パチ


アサシン「と…時の王…ここで何を」ズザザ

時の王「…」パチ

アサシン「争う気は無い…」

時の王「ふっふっふ…聞いた事のある声だ…誰だったか」

盗賊「おいおいどんな展開だ?」

時の王「私は疲れている…去れ」

情報屋「勇者の像に花を…あなたね?」

時の王「これは我が子だ…いや正確には養子だ」

アサシン「なん…だと?」

時の王「思い出したぞ小僧…お前は白狼の一味だな?又私の道を遮る気か?」

アサシン「まだ人間の滅亡を企てて居るのか?」

時の王「精霊シルフが生きて居ると聞くまではな…今はただシルフを探している」

アサシン「ホムンクルスの事だな?」

時の王「そう名乗っているのか…彼女はどこだ?…なぜ私の下へ戻らない?」

アサシン「ホムンクルスは精霊シルフとは違う道を選んだ…そういえば理解出来るか?」

時の王「会わせてくれ…シルフには私が必要なのだ」

アサシン「精霊シルフはもう…居ない…200年前に亡くなった」

時の王「話すだけ無駄だったようだ…去れ」

アサシン「精霊シルフでは無いが…ホムンクルスに会わせてやると言ったら?」

時の王「私と取引をしようと言うのか…」

アサシン「…」

時の王「何が望みだ?」

アサシン「温まらせてもらって良いか?」

時の王「ふっふっふ…無礼を許せと言うか…はっはっは…」

盗賊「まぁなんだ…キャンプを一人で独占すんのはもったいないよな?」

時の王「王の御前の振る舞いか?まぁ良い…これで取引は成立だ」

盗賊「ふぅぅぅ…話しの分かる王で良かった…ぅぅぅ寒ぶ」

時の王「我が末裔はどうした?屋敷から共に逃げたのでは無かったか?」

アサシン「魔女の事か…彼女は別の者と行動をしている」

時の王「ほぅ…察するに蒼眼の者と見た」

情報屋「蒼眼…剣士の事ね」

アサシン「そうだ」

時の王「やはり蒼眼と紅眼は引き合う定めか…」

アサシン「引き合う?」

時の王「済まんが理由は忘れてしまった…ただいつの時代でも共に行動し共感する」

情報屋「女海賊は時の王を理解しようとしていたわ…きっとそれね」

時の王「さて…何処に行けばシルフに会える?」

アサシン「その蒼眼の者と紅眼の者達と共に行動しているのだ」

時の王「くっくっく…またもや同じか…次はシルフを失う訳に行かない…私が連れて行く」

盗賊「あのよぅ?ホムンクルスは精霊シルフじゃ無ぇぞ?」

時の王「インドラの光を見た…あれはシルフにしか使えない物だ」

アサシン「まぁ会わせて本人に問うだな」

盗賊「商人が黙っちゃいないと思うんだがよ…」

アサシン「いや…ホムンクルスの判断を商人は尊重する筈だ…ホムンクルス次第だな」

盗賊「まぁ良いか…だがホムンクルスがこっちに来るのはしばらく待ちになっちまうぜ?」

時の王「行く当てが無くなった所だ…ここで何時までも待つ」

アサシン「では退屈しのぎにもう少し話を…」


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『数時間後』


…かの者名は暁の使途

奴は定命の者にして覇道を歩みそして我が右腕となった

だが黄昏の賢者はこれを由としなかった

それから第2期の始まりだ…


盗賊「んぁぁ…俺には全然理解出来無ぇ…何の話なんだよ」

情報屋「私にもさっぱりよ…話が支離滅裂でいつの時代なのかも書物無しだと追いきれない」

盗賊「話聞くのはアサシンに任せるだな」

情報屋「そうね…でも少しだけ読み取れた話があるわ?」

盗賊「昔話でか?」

情報屋「多分なんだけど精霊シルフの言葉の殆どはホムンクルスが言ってる事と同じの様ね」

盗賊「あぁ…交配とかウンタラカンタラな?」

情報屋「そう…」


やっぱり精霊シルフも人間を絶滅させる命なんか出して居なくて

命を受けた人の過大解釈でそうなってしまった様に思うわ

シャ・バクダでの抗体獲得だって

周りの人の過大解釈で大きな殺戮に繋がった

そうやって精霊シルフの思惑を過大解釈でゆがめてしまう人達は

精霊の目には裏切りに見えたのだと思うわ

きっと時の王もそうやって精霊と距離を置かれたんだと思う



盗賊「ふむ…ありえそうだな…ホムンクルスの言葉を真に受けて商人が過激な手段を行使する…そんな感じな?」

情報屋「そうよ…そうやって破綻した歴史なの」

盗賊「ただ本人達は精霊の命に従ってるだけと思ってるのがな…」

情報屋「事実として種の交配が進んでいるからどっちに転んでも精霊の思惑に収まるのね」

盗賊「こりゃ誰も間違って無い…噛み合ってないだけか…」

情報屋「うん…」

盗賊「しかし黒の同胞団の話が全然出てこない…やっぱ関係無いのか?」

情報屋「時の王にとって関係が薄い証拠と言い換えれるわね…利用されていただけの線が強そうね」

盗賊「じゃぁここに来たのは単純に精霊シルフを探しに来ただけか?」

情報屋「うーん…でもさっきから話に出て来る隠匿の皇子って誰の事を挿すのかしら」

盗賊「前後関係が俺には分からん」

情報屋「その皇子が黒の同胞団の一人だったとすると辻褄が合いそう」

盗賊「まぁ俺はもう聞きたく無ぇ…昔話は苦手なんだ」

情報屋「フフ私が耳を立てておくから寝てて良いわ」

盗賊「あぁぁやっぱ焚火があると温かくていいな…寝る」

『翌朝』


メラメラ パチ


アサシン「起きろ!行くぞ!」ユサユサ

盗賊「んあ?」パチ

アサシン「朝だ…案内人と情報屋は気球に乗ったぞ」

盗賊「あぁぁ悪い悪い…すっかり寝ちまった…時の王はどうした?」

アサシン「森の様子を見に行くと言って出て行った」

盗賊「何か聞けたのか?」

アサシン「まぁ色々とな…話は後だ…気球に乗れ」

盗賊「おう!!アレ?…ここにぶっ刺さってたクソでかい剣は何処行った?」

アサシン「あれは時の王の剣らしい」

盗賊「なるほどな…ここに置いてた剣を取りに来たって訳か」

アサシン「お前は気付かんのか?」

盗賊「んあ?何を?」

アサシン「夢幻を覚えて居ないのか?」

盗賊「俺は夢を見ないもんだからよ…どうもぐっすり寝ちまう」

アサシン「私はな…探していた人物をようやく見つけた気がする」

盗賊「時の王なのか?」

アサシン「時の王はな…リリスの生き血を飲んで以来一度も寝て居ない…つまり夢を見ない」

盗賊「だから何だ?」

アサシン「夢幻に行って精霊に会えないのだよ」

盗賊「ふむ…」

アサシン「精霊の望みが何だったのかお前には分からんか?」

盗賊「騎士…俺がスリを教えた…精霊は…」

アサシン「思い出したな?」

盗賊「まて…この記憶は夢の記憶なのか?」

アサシン「時の王に掛けられている呪いを解く必要がある様だ…精霊の望みはそれだ」

盗賊「だめだ…しっかり思い出せ無ぇ…」

アサシン「まぁ後で良い…行くぞ」タッタッタ

盗賊「おおぅ待てよ!」タッタッタ

『気球』


ヒュゥゥゥ


盗賊「シャ・バクダ砦のゴーレム何処行っちまったんだ?」

情報屋「ドラゴンも居なくなったわね」

アサシン「次から次へと私達の知らない所で色々起きるものだな…」

情報屋「魔女から連絡は?」

アサシン「女海賊達と貝殻の通信が出来なくなってバタ付いて居るらしい」

盗賊「なんだとぉ!?まさか隕石に巻き込まれたのは俺らじゃなくてあいつらだってか?」

アサシン「分からん」

盗賊「あいつらは何やってたんだよ」

アサシン「森に向かって居た様だ…それしかわからん」

盗賊「案内人!!もうちょい高度上げろ!!」

案内人「あぁ分かった」

情報屋「アサシン…私達はどうするの?」

アサシン「今考えて居る所だ…」

盗賊「ちっと森の様子が分かる所まで飛んでくれ」

『森の外れ』


ヒュゥゥゥ


情報屋「見える?」

盗賊「南の方は一面真っ黒だ…穴が空いてるのかも知れん」

アサシン「望遠鏡を貸すのだ…私にも見せろ」

盗賊「ほらよ」ポイ

アサシン「むぅぅ…遠すぎる…赤く見えて居るのは恐らく火災か」

盗賊「行って見るか?」

アサシン「何が起きて居るのか分からない中この気球で行く気にはなれんな」


”アサシン聞こえるか?ザーーーー”

”魔女か…聞こえが悪いのだが”

”ザーーーー…じゃのうザーーーー”

”女海賊はまだ連絡付かないのか?”

”今連絡ザザザザー…無事じゃザーーーー”

”無事なんだな?”

”心配せんでも良いザザザーーー”


情報屋「良かった!無事なのね?」

盗賊「ふぅぅぅ心配させやがって」

アサシン「雑音がひどいな…何なんだこれは」

盗賊「おい!!南東の空!!」

アサシン「んん??あれは…」

盗賊「ありゃ隕石だ…2つ!!」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーン


盗賊「落ちた…」

アサシン「フフ隕石は所詮その程度という感じだな…昨晩の爆発の比では無いな」

盗賊「でもスゲェぞ…火柱なのか?爆発がえらくゆっくりだ」

情報屋「まだ落ちて来るわ…又2つ」

盗賊「あそこで何か起きてるのは間違いない様だ」

アサシン「遠すぎて望遠鏡ではよく見えん」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーーン


盗賊「ありゃ魔女の魔法じゃ無ぇのか?」

アサシン「メテオスウォームか?魔女は今船に乗って居る筈だ…ありえんな」

情報屋「じゃぁハイエルフ?」

アサシン「それしか考えられん…ドラゴンも何処に行ったか分からんのだから戦地があそこに移ったのだろう」

盗賊「あんなんが落ちてくるんじゃ俺ら何も出来ん」

アサシン「うむ…指をくわえて見るしかない」

情報屋「又2つ落ちて来る…」


シュゥゥゥゥゥゥ  ゴゴーーーーン


アサシン「戻るぞ…備える必要がある」

盗賊「どうする気だ?」

アサシン「エルフの戦いに巻き込まれる訳に行かない…民をオアシスに誘導して見過ごす」

盗賊「それしか無いか」

『ゴーレム襲来の日』


エルフゾンビ「では行って来る」ピョン


ヒュゥゥゥ ボスン!


エルフゾンビ「思ったより雪が浅かったか…」ズリ

エルフゾンビ「…」---まぁ直にエリクサーが効いて来るだろう---


敗残兵1「うあぁぁ…人が…降りて来た」

敗残兵2「ど…どうする?」

敗残兵1「化け物だ…逃げる」ダダ

敗残兵2「お…おい!!」


エルフゾンビ「私に構うな…」

敗残兵2「お前は何者だ?」

エルフゾンビ「フフ愚門…どけ」ドン


ゴゴゴゴゴゴ ボゥ


エルフゾンビ「む…始まったか」

敗残兵2「くぅ…ドラゴンか!!」

エルフゾンビ「隠れて居た方が良いぞ…ドラゴンは目が良い」

敗残兵2「お前は良いのか?」

エルフゾンビ「私は砦に用があってな…気にするな」スタ

敗残兵2「…」


タッタッタ


エルフゾンビ「…」---ドラゴンライダー4とハーピー8か---

エルフゾンビ「…」---今の内にさっさと使役を終わらせよう---

『シャ・バクダ砦裏』


??「だめだもうエルフを解放した方が良い」

??「何言ってるんだ…僕達の同胞になれるかもしれない」

??「もうキマイラの増援は見込めない…持たないぞ?」

??「大丈夫…もうすぐ来るよ…これでアダムの所までたどり着ける」

??「エルフも連れて行くのか?」

??「しょうがないだろう?事情を知ればきっと仲間になる」


エルフゾンビ「はっ…」---この声はまさか---


??「ん?…どこだ?なにか匂う」


エルフゾンビ「…」---マズイ気付かれたか---

エルフゾンビ「…」---今やるしかない---

エルフゾンビ「私に従え…門を開けて私に付いて来い」フリフリ


??「誰かの声がする…裏だ…この匂いはエリクサー…誰か居るな!!」

??「探してくる」ダダ


エルフゾンビ「…」---さすが勘が鋭い…ここは一先ず逃げだ---


??「こっちだよ!!」

??「うぐ…」

??「ん?何処行くんだよ?」

??「いや…分からない…体が勝手に」

??「君も敵になってしまうのかい?困ったなぁ…」

??「頼む…殺さないでくれ」

??「僕は同胞を殺めるつもりは無いよ…まいったなぁ君まで居なくなると寂しいじゃないか」

??「どうしたんだ?自分の意思で動かしてる訳じゃ無い」

??「ダメだよ…そこ開けるとミノタウロスが入って来ちゃう」

??「俺を止めてくれ」ブンブン

??「武器振り回されたら近づけないじゃないか…誰か居ないかぁぁ!?」

??「あわわわ…なんで体が勝手に」ガチャリ

??「精鋭!!突入に備えて!!」

精鋭達「ハッ!!」


射手!!構え!!

重機!!壁!!


ギギギギギ ガコン


??「爆発魔法!!」バーン

ミノタウロス「肉…肉ぅう」ガブ

??「ぎゃぁぁぁ…」



----------------

タッタッタ


??「見つけた…足跡…シャ・バクダの方角か」

エルフゾンビ「動くな…」スチャ

??「うっ…後ろか」ギクリ

エルフゾンビ「何故お前が此処にいる?」

第3皇子「その声は兄者!!」

エルフゾンビ「動くなと言った」ズブ

第3皇子「この反乱は兄者が扇動したの?すごいじゃない…どうやって?」

エルフゾンビ「質問をしているのは私の方だ」

第3皇子「そうか分かったぞ…大兄をフィン・イッシュに逃したのも兄者が引導したんだね?」

エルフゾンビ「答えろ」

第3皇子「ハハ変わって無いなぁ…兄者のそういう所キライだよ」

エルフゾンビ「質問を変える…母上と姉上達はどうした?助けるのでは無かったか?」

第3皇子「勿論助けたさ」

エルフゾンビ「何処にいる?」

第3皇子「質問ばっかりだね…なんか分かって来たよ…兄者は白狼の一味だったんだね?」

エルフゾンビ「そうやっていつも話をはぐらかす」

第3皇子「兄者は僕が黒の同胞に隠れた事は知って居たよね?なら僕がここに居る理由くらい分かるよね」

エルフゾンビ「アダムの復活か…ダークエルフの夢話だと思って居たが達成するんだな?」

第3皇子「結果的に祈りの指輪は必要無かったさ」

エルフゾンビ「お前は黒の同胞に加わったのか?」

第3皇子「違うかな…目標は同じでも僕は彼らの手段には加担していない」

エルフゾンビ「貴族に紛れて高みの見物だな?」

第3皇子「まぁね…僕は一切手を汚して居ないんだ…時の王と貴族達に便宜を謀っただけだよ」

エルフゾンビ「フン!それで結果的に多くの人間の命を犠牲にしたのだ…同罪だ」

第3皇子「救った命も多い…母上や姉上達の様にね」

エルフゾンビ「何処にいる?解放が条件だっただろう」

第3皇子「兄者は甘いよ…そんなに上手く物事は運ばないんだよ」

エルフゾンビ「答えろ」

第3皇子「ハハこんな所で立ち話は止めて砦でゆっくり話さないかい?」


ドドドドド ドゴーン!!


エルフゾンビ「何ぃ!!な…なんだアレは…」タジ

第3皇子「やっと来たか…これでアダムの所まで行ける」

エルフゾンビ「でかい…あの魔物もキマイラの一種か?」

第3皇子「古代神獣ゴーレムさ…あれが僕を守る」

エルフゾンビ「2体も居る…だと?」

第3皇子「さぁ…その手を放してよ…いい加減ウザイよ」ブン

エルフゾンビ「…」タジ

第3皇子「兄者…その顔色はもしかして不死者かい?ハハ…これはなんと痛ましい姿になったか」

エルフゾンビ「黙れ」

第3皇子「死んだとは聞いて居たんだ…不死者でまだしぶとく生きて居たのかハハハ」

エルフゾンビ「…」ギロリ

第3皇子「この感じだと大兄もみすぼらしい事になって居そうだ…セントラルはもう終わりだね」

エルフゾンビ「お前が引導した結果だとは思わんのか?」

第3皇子「僕は何もしちゃ居ないさ…やったのは黒の同胞団だ」

エルフゾンビ「くぅ…」ギリリ

第3皇子「まぁここじゃ何だからさ…中に入ろうよ…裏口があるんだ」

『砦の中』


正門閉じろぉぉ!!

ミノタウロス撃破確認!!城壁での警戒に移れ

外はゴーレムに任せて良い!!ドラゴンに備えろ!!


ツカツカツカ


エルフゾンビ「何故エルフを捕らえている?」

第3皇子「今解放すると敵になちゃうじゃないか…エルフはみんな僕の仲間になれるんだよ」

エルフゾンビ「すべてのエルフが黒の同胞の意に従うとでも思って居るのか?」

第3皇子「さぁね?でも精霊の計画通り種の入れ替えは進んでる…新しい時代の主役は僕達ハーフエルフなのさ」

エルフゾンビ「…」

第3皇子「いや言い方が悪かった…ドリアード化出来る僕達ハーフエルフの方が正しいかな」

エルフゾンビ「母上と姉上達もここに居るのだな?」

第3皇子「フフ…居るよ…さっきからずっと僕たちの話を聞いて居るよ」

エルフゾンビ「何?どういう事だ?」

第3皇子「まぁ慌てないで…まず見せたいものがあるんだよ…こっちさ」

『個室』


ガチャリ バタン


エルフゾンビ「何だこの部屋は?何も無いではないか」

第3皇子「…」コトン

エルフゾンビ「黒い魔石…それがどうした?」

第3皇子「アハハハハ…この石…これが皆が恐れてる魔王だよ」

エルフゾンビ「なんだ…と!?」

第3皇子「ほぼ無限大の魔石になったんだ…黒の同胞達がチマチマ作ってた魔石なんかもうどうでも良い」

エルフゾンビ「それはもしかして…リリスの子宮の中に居た魔王…石に変えたと言うのか?」

第3皇子「さすが白狼の一味…知って居たんだ」


そうさ…誰か知らないけれど魔王を集めて一つの生命に封じ込めてあったんだよ

本当なら祈りの指輪を使って魔王を集めなきゃいけなかった所なんだけど

何の抵抗も出来ない胎児の中に魔王が封じてあったんだよ

それを重力炉で圧縮して魔石に変えたんだ…ハイ!魔王退治完了!てね

だから何十年も前からやってたチマチマ魔石を作るのは全部無駄だったって訳

僕は犠牲にされてしまうエルフやオーク…それに拷問される人間達も全部救ったんだよ

もうエネルギーの小さな魔石は必要ない


エルフゾンビ「それを使ってアダムを復活させる…」

第3皇子「精霊がやろうとした事だよね?もうすぐ実現する」

エルフゾンビ「…」ボーゼン

第3皇子「もう争いは終わりさ…精霊の時代は終わってアダムの時代が来る…アダムに従えば良いんだ」

エルフゾンビ「お前がアダムを復活させる役なんだな?」

第3皇子「そうだよ…森の中に残ってる黒の同胞達はみんな僕の為に囮になってくれているんだ」

エルフゾンビ「まぁ良い…それは認めよう…そして母上と姉上達はどうした?」

第3皇子「…」

エルフゾンビ「まさかお前…」

第3皇子「これが母上」コトリ

第3皇子「そしてこれが姉上達…」パラパラ

エルフゾンビ「…」

第3皇子「子を産むだけの奴隷から解放してあげたんだ…救ったんだよ」

エルフゾンビ「…」ダダダ ボカッ

第3皇子「こうするしか無かった…もっと早く魔王を見つけて居ればこうはならなかった」

エルフゾンビ「ふざけるな!!」ゴス ゴス ボカッ

第3皇子「兄者にも責任がある!!白狼の一党は同胞達の邪魔建てばかりをするんだ…上手く事が運ばないのはそのせいだ」

エルフゾンビ「だまれ!!」バキ ボカ ゴン

第3皇子「今だってそうでしょ…キマイラが反乱するのも…黒の同胞達を攻め立てているのも全部!!兄者たちのせいだ」

エルフゾンビ「ふーーふーーー」

第3皇子「次は僕の邪魔をするのかい?」

エルフゾンビ「…」ギリリ

第3皇子「その魔石はまだ一度も使っていない…兄者にあげるよ」

エルフゾンビ「母上…」ギュゥ

第3皇子「もうこれで終わりさ…アダムを復活させて僕は眠りにつく…僕にその魔石はもう必要ない」

エルフゾンビ「…」

第3皇子「…」

エルフゾンビ「問う…何故ハイエルフはお前や黒の同胞と争いを始めた?」

第3皇子「森の声…」

エルフゾンビ「…」---精霊樹が?…いやまさか---

第3皇子「兄者も僕の敵になるのかい?」

エルフゾンビ「…」スック

第3皇子「何処に行くの?」

エルフゾンビ「この魔石は頂く…そしてお前はお前の信じた道を行け」

第3皇子「ハハ理解してくれたのか…それでこれからどうするんだい?」

エルフゾンビ「さぁな?…只…お前とは2度と会うまい」

第3皇子「そうか残念だよ…大兄にもよろしく言っておいて欲しい」

エルフゾンビ「じゃぁな…」ノシ


---戦う理由を見失ってしまった---

---疲れたな---

『雪原』


ヒュゥゥ サラサラ



エルフゾンビ「…」ズリズリ


---何の為に多くが犠牲になった---

---何の為に血を流す---

---何の為に戦って居るのだ---

---仲間たちは今も何処かで戦っている---

---まったく意味の無い戦い---

---わたしはどうすれば良い---

---精霊樹よ導いてくれ---



ヒュゥゥ サラサラ

『森の最奥』


シュタタ シュタタ


魔女「…やはり虫たちはわらわ達に見向きもせんな」

剣士「もう戦う敵はハッキリしてる…キマイラとゴーレム」

魔女「黒の同胞達はどうするんじゃ?」

剣士「エルフに任せる…僕達はキマイラとゴーレムだけやればいい」

子供「パパ!右!!キマイラ2体」

剣士「魔女!!頼む」シュタタ

魔女「火炎地獄!!」ゴゴゴゴ ゴーン

剣士「はぁ!!」スパ スパ


キマイラ「ガオォォォ…」ドタリ


魔女「このままでは硫黄が足らんくなるぞい」

剣士「未来!!爆弾用の硫黄を持っていたな?魔女に渡すんだ」

子供「うん…」シュタタ シュタタ

魔女「魔力も無限では無いのじゃが…ちぃと休めんか」ブツブツ

剣士「拾った魔石で補って」

魔女「仕方ないのぅ…空が見えぬがそろそろ爆発するのでは無いか?」

剣士「森の深部に入って置く…未来!!下だ」ピョン シュタ

魔女「魔法が使えん様になるがどうするかのぅ…」

剣士「物理系の魔法でお願い」

魔女「主も只では済まんぞよ?」

剣士「何を使う?」

魔女「隕石魔法しか期待出来んな…落とすと巻き込まれるのじゃが」

剣士「上手くやって…ふぅ」

魔女「おぉ…やっと休憩じゃな?」

剣士「少し休んで良いよ…僕は森の声を聞く」

魔女「ふぅぅぅやっと地に足が付いたわい…」

子供「魔女?この硫黄をあげる」

魔女「主の分は少し残して置くのじゃぞ?」

子供「分かってるよ…はい」ポイ


ワオーーーーン  ワオーーーーーン


魔女「しかし随分ウルフの仲間が増えたのぅ?」

子供「僕たちに付いて来てるよ…見える?」

魔女「何処に居るのかは分からん…何匹ぐらい居るのじゃ?」

子供「うーーん…100匹?200匹?」

魔女「そんなに居るんか…」

子供「守ってくれてる…ここは安全だよ」

魔女「わらわの魔法でウルフを巻き込まん様に気を付けんとな」

子供「うん…」

魔女「主は寒うないか?」

子供「ちょっと」

魔女「わらわは寒いのじゃちぃとこっちに来い」

子供「なんか恥ずかしいなぁ」

魔女「肌をくっつけよ…」ピト

子供「子ウルフもおいで」

子ウルフ「バウバウ…ハッハッハッ」

魔女「うむ…温い…わらわもその毛皮が欲しいわ」


---------------

---------------

---------------

『森の声』


---北へ---

---殺せ---

---遺物---

---殺せ---

---殺せ---

---殺せ---


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン


剣士「…」キョロ

子供「パパ…森が焼かれてる」


ザワザワ ザワザワ


子供「熱っ!!」

剣士「光に当たらない様に木の洞に入れ」

魔女「腕を見せてみよ…」

子供「痛たたた…」

魔女「火傷じゃな…光でこれほど焼くとはのぅ…回復魔法!」ボワー


ザワザワ ザワザワ


子供「足元…虫たちが一斉に出て来た…うわぁ!!」

剣士「一斉に孵化したんだ」

子供「足を登って来る…どどど…どうしよう」

剣士「虫は敵じゃない…大人しくして」

魔女「剣士…主も洞に入れ…焼かれるぞよ?」

剣士「あぁ…そうする」ノソ

魔女「こりゃ収まるまで出ん方が良さそうじゃ…あの光は一瞬で重度の火傷になってしまうぞよ」

子供「枯れ葉が燃えだした」

剣士「収まったら移動しよう…火に撒かれる」


ゴゴゴゴゴ ゴゴーン ゴゴーン

『数分後』


メラメラ ゴゥ


剣士「…」

魔女「お…収まった様じゃな?」

剣士「魔女…乗って」

魔女「もう行くんかいな…」ヨッコラ

剣士「未来…行くぞ…撒かれるな?」

子供「うん…」

剣士「虫の行く方向だ…そこにゴーレムが居る」

子供「パパ?森の声を聞いた?」

剣士「聞いた…」

子供「今の声は…誰?」

魔女「むむ…何と言うて居るのじゃ?」

子供「遺物を殺せ‥って」

剣士「…」

魔女「どういう事じゃ?剣士?」

剣士「…」フリフリ


---森の声がおかしい---

---どうして北に導く?---


剣士「わからない…」

魔女「ううむ…謎じゃな」

剣士「森の生き物はその声に導かれている…そこに何かある」

魔女「行く先は変わらんのじゃな?」

剣士「急ごう…未来!走るぞ」シュタタ シュタタ


----------------

----------------

----------------


フッフッフ

贄が足りぬ…贄が…

『戦場』


ギャオオオオオオス ゴゴゴゴゴ


剣士「ハイディング!」スゥ

未来「ハイディング!」スゥ


シュタタ シュタタ


魔女「ゴーレムは全部で6体じゃ…あれに隕石を当てれば良いな?」

剣士「出来るかい?」シュタタ

魔女「詠唱に1時間掛かる故それまで堪えよ」

剣士「未来!!右回りで旋回する…エルフの射線には入るな!!」

子供「分かってる!!」

剣士「行くぞ!!狙いはキマイラ!!」

子供「おっけ!!」

剣士「リリース!」スゥ

子供「リリース!」スゥ


シュタタ シュタタ


キマイラ「ガオォォォ」ボボボボ


剣士「はぁ!!」シュタタ スパ

子供「パパ!!虫がゴーレムに取り付いてる…」

剣士「構うな…ドラゴンライダーが来るぞ!!射線開けろ!!」


シュン シュン シュン シュン


ドラゴン「ギャオオオオス!!」ゴゥ ボボボボボ


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----------------

----------------

魔女「ブツブツ…」アブラカタブラ ブラブラチンコ メテオスウォーム トンデミーナ ヤッテミーナ

剣士「ふぅふぅ…ここなら見下ろせる」

子供「虫がどんどん増えて行く…」

剣士「未来…今の内に回復魔法を掛けて置け」

子供「回復魔法!」ボワー

剣士「目を使って戦うのは限界がある…目よりも匂いと音で感じるんだ…できるな?」

子供「うん…」

剣士「エルフの呼吸は分かるか?」

子供「分かる…僕達にも会わせてくれてる」

剣士「それなら良い」

子供「パパ?あのゴーレムが守ってるのはさっきの鉄の馬車みたいな奴?」

剣士「多分…もう虫が取り付いて近づけない」


ピカーーーー チュドーーーーン


剣士「な…」

子供「あのキマイラ…光るブレスを吐く!!」

剣士「くそぅ!!ドラゴンが一匹落ちた…」

子供「あのキマイラを先に…」

魔女「ふぅ…詠唱が済んだぞよ…あと10分程で落ちてきよる」

剣士「ゴーレムに近付けば良いか?」

魔女「見える位置ならどこでも構わぬ…わらわが修正する故見える位置に居れ」

剣士「10分か…よし!!未来…あのキマイラだけ倒す…付いて来い!!」シュタタ

子供「…」シュタタ



-----------------

シュタタ シュタタ


剣士「未来は注意を引くだけで良い…ブレスに当たるな?」

子供「分かった…」

剣士「行くぞ!ハイディング」スゥ

子供「ハイディング!」スゥ


剣士「右へ!!」

子供「先にリリースするね」

剣士「行け!!」

子供「リリース!」スゥ


シュタタ シュタタ


キマイラー「ガオォォ」ゴゥ ボボボボボ

子供「今!!」シュタタ

剣士「リリース!」スゥ

魔女「寝んねんね~♪」ラララー

キマイラ「ガオ?」

剣士「…その手が有ったか」

魔女「キマイラや…わらわ達を守るのじゃ」

キマイラ「ガオォォ」ドスドス

剣士「未来!!このままゴーレムが見える所まで移動するぞ!来い!!」シュタタ シュタタ

子供「待ってぇ!!」シュタタ シュタタ



------------------

シュタタ シュタタ


剣士「見えた!!」

魔女「キマイラに囮をやらせる故主はわらわを守れ」

子供「パパ!!上!!なんか飛んでる」

剣士「ハーピー…」

魔女「魔法の使えぬハーピーなぞどうという事なかろう?」

子供「急降下してくる!!いっぱい!!」

剣士「くそぅ…今は弓が使えない…」

魔女「走れ!!」

剣士「未来!行くぞ!!」シュタタ シュタタ

魔女「あと3分で落ちて来るぞよ?巻き込まれるなや?」

剣士「隕石が当たるのを見て森の下まで飛び降りる…」

子供「わかった」

剣士「今は木を伝って走る…付いて来い」


ハーピー「キャアアアアア」バサ バサ


子供「うわぁ…」

剣士「構うな…来い!!」シュタタ シュタタ



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剣士「…ドラゴンライダーが離れた…気付いたか」

子供「隕石見えた!!」

魔女「そのまま走って居れ…まず2発じゃ」


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン


剣士「当たった!!飛べ!!」ピョン

子供「…」ピョン


ドガーーーーーーン!! パラパラ


魔女「あわわわ…」

剣士「魔女…しっかり掴まって」シュタ シュタ

魔女「こりゃ命が縮むわい…次は2分後じゃ」

剣士「次のゴーレムまで走る」シュタタ シュタタ

魔女「見えるだけで良いぞ?」

子供「パパ!この木が登れる」

剣士「よし!!」ピョン ピョン

子供「見える!!ゴーレム2匹はどっか行った」

剣士「砕け散った…のか?」

魔女「無駄口は良いから次のゴーレムまで早う行け」

剣士「こっちだ…枝を飛び移る」ピョン シュタ

子供「居た!!うずくまってる!!」

魔女「あれじゃな?もう一体はどこじゃ?」

剣士「向こうだ…遠い」

魔女「ええい…一発無駄になってしまうのぅ」

剣士「未来!!向こうのゴーレムに向かって先に距離を詰める…背中に乗れ!!」

子供「え?」

剣士「回避はパパに任せろ…乗れ」

子供「うん…」ピョン

剣士「しっかり掴まれ」シュタタ シュタタ

子供「どうやって回避するの…下に降りないの?」

剣士「それじゃ次に間に合わない」

魔女「仕方無いのう…あのゴーレムに2発じゃ…上手く回避せいよ?」


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン


子供「あぁぁぁ欠片が飛んで…」


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『異空間』


子供「あれ?…ここは…」

子供「パパ?…ここどこ?」

子供「魔女?…何処に居るの?」

子供「あれ?記憶が…」

子供「僕何してたんだっけ…」

子供「誰も居ないの?」


---こっち---


子供「誰?」


---目を覚まして---


子供「ホム姉ちゃん?」


---僕だよ---


子供「僕?」


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『戦場』


ドガーーーーン パラパラ


剣士「うぐぅ…」シュタタ シュタタ

魔女「主はなんちゅう危険な事をするんじゃ…」

剣士「回復魔法を…」

魔女「わらわは今メテオスウォームを使っている最中じゃ…」

剣士「未来…」

魔女「まだ調和しとらぬ…何回次元を入れ替えたのじゃ?」

剣士「一番良い次元を選択した…何回かは覚えて居ない」

魔女「いかんのう…傷が深い」

子供「ぅぅん…どうなったの?」

魔女「おぉ目覚めたか…剣士に回復魔法を掛けよ」

子供「え!?あ…回復魔法!」ボワー

剣士「ふぅ…」シュタタ シュタタ

魔女「続けて掛けよ」

子供「回復魔法!回復魔法!回復魔法!」ボワー

剣士「あそこにゴーレム3体居る…まとめて倒して」

魔女「ええい…わらわの時間も狂って居るでは無いか…あと何分じゃ?」

剣士「それは魔女にしか分からない…なんとかして」

魔女「目視で測るしか無いのぅ…空を見せよ」

剣士「未来!自分で走れ」

子供「うん…」ピョン

魔女「しかしまぁ量子転移をこうも軽々使うとはのぅ…乱用は次元崩壊するでイカンぞ?」

剣士「分かってる」

魔女「ううむ…どれぐらいズレてしもうたのか…」

子供「星が見える!!尾を引いてる」

魔女「あれじゃな?よし捕らえた…目視じゃで精度が悪い…着弾に備えるのじゃ」

剣士「次は下まで飛び降りる…さっきは危険過ぎた」

魔女「うむ…それで良い…外してももう一度初めから詠唱すれば良いだけの話」

子供「星が近づいて来る!!」

魔女「剣士!!準備せい!!」

剣士「未来!!飛べ!!」ピョン


シュゴーーーーー パパパパパン!! チュドーーーーン

ドガーーーーーーン!! パラパラ


魔女「イカン…1体だけしか倒せて居らぬ…やり直しじゃ」

剣士「あと2体か…距離を取る」シュタタ シュタタ


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『オアシス砦』


フワフワ ドッスン


アサシン「荷物運搬ご苦労…エルフゾンビはまだ帰って居ないか?」

盗賊「あぁ帰って無ぇ…それより妙な噂聞いて来たぜ?」

アサシン「何だ?」

盗賊「どうやらシャ・バクダ砦はすでにもぬけの空の様だ」

アサシン「全滅したという事か?」

盗賊「ゴーレムが居て俺らが近づけ無かった間に移動したんだろ」

アサシン「ふむ…例の未発見の遺跡か」

盗賊「だろうな…ほんで北の方に向かってがっつり足跡が残ってんだとよ」

アサシン「シャ・バクダ街はどうなって居るのだ?」

盗賊「あの辺で戦闘が無くなったもんだからちょいちょい人が戻ってる様だ」

アサシン「ではフィン・イッシュで治安維持に出た方が良いか…」

盗賊「いや…またあの辺は戦闘に成りかね無ぇからこのままが良さそうだな」

アサシン「それでは私達は気球で足跡を追ってみるか…」

盗賊「そうだな…それが良さそうだ…情報屋もそっちのが喜ぶ」

アサシン「情報屋は観測所に残って居るんだな?」

盗賊「うむ…なにやら本を漁ってる」

アサシン「避難も落ち着いて来たし行って見るか」

盗賊「案内人!!荷を下ろしたら例の足跡消える前に行ってみるぞ」

案内人「分かった…10分待ってくれ」

『気球』


フワフワ ヒュゥゥ


盗賊「魔女達と連絡は付かないのか?」

アサシン「すっかり途絶えた…」

盗賊「上手い事黒の同胞団のアジトを殲滅してくれりゃ良いけどな」

アサシン「向こうはこちらと違ってエース揃いだ…上手くやると思って居る」

盗賊「まぁそうだな…ありえん火力が揃ってるしな」

アサシン「問題はこちらが何も動けない事だ…エルフゾンビ無しではさすがに情報収集しか出来ん」

盗賊「んんん…何処に行っちまったのか」

アサシン「時の王と話していて気付いたのだが…」

盗賊「まだ何かあんのか?」

アサシン「隠匿の皇子…」

盗賊「あぁ情報屋も誰の事を指すのか勘繰ってたな…具体的に誰なのか聞けてないのか?」

アサシン「初めはエルフゾンビの事を指すと思って居たのだ…ダークエルフとの繋がりも一致していた」

盗賊「そこらへんはエルフゾンビに聞くのが一番なんだよなぁ」

アサシン「ただ辻褄が合わん事も多くてな…もしかすると戦死した第3皇子がそうだったとすると話が通るのだ」

盗賊「生きていたとしてあんまり俺らには関係無いだろ?」

アサシン「いや…黒の同胞団と時の王のパイプ役…貴族の中に居た可能性が高い」

盗賊「…てことはシャ・バクダ砦で鉢合わせた可能性があるってか?」

アサシン「まぁ鉢合わせたからどうなのか?というのも有るのだが…少し気になって居てな」

盗賊「戻って来ないのは何か事情が有るんだろう」

アサシン「うむ…もう少し寄り添ってやれば良かったと反省している」

盗賊「ヌハハあいつももう少しおしゃべりなら良かったんだがな…プライドが高いのがイカン」

案内人「もう少しで星の観測所だ…降りて行くな?」

アサシン「あぁ…情報屋を呼んでくるから待っていてくれ」


フワフワ ドッスン



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『星の観測所』


情報屋「あら?私を呼びに来たのね?今日は何処へ?」

アサシン「例の遺跡をもう一度探しに行く」

情報屋「本当!?直ぐに準備するわ…」スック

アサシン「噂はすでに聞いて居たのだろう?」

情報屋「そうよ…だから古文書の翻訳急いでいたの」

アサシン「ドリアード伝説だったか…」

情報屋「ホムンクルスが文字の解読をしてくれたおかげで随分翻訳が早いわ」

アサシン「何か新しく分かった事はあるのか?」

情報屋「地底で繁栄した文明よ…ドワーフの前進…ノームが栄えた時代らしいわ」

アサシン「ふむ…何故黒の同胞団が関わるか…」

情報屋「ドリアードは木の精霊を指すの…エルフが関わりそうじゃない?」

アサシン「ダークエルフか…しかし3000年も昔の遺跡に何の用があるのか…」

情報屋「行って見てからのお楽しみにね」

アサシン「一応戦闘の準備はしておいてくれ」

情報屋「わかった…着替えたら行くから気球で待ってて」

アサシン「早くな?日が落ちる前には帰って来たいのでな」


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『気球』


フワフワ ヒュゥゥ


情報屋「見て!!あそこ…」

盗賊「おうおう!!ゴーレムこっちに居るんじゃ無ぇか…」

アサシン「ううむ…これでは降りられんか」

情報屋「ソリもあそこに置いてある…何か運び入れたのね」

盗賊「…なんだよやっぱりあの小屋の所じゃ無ぇか」

情報屋「足跡が突然無くなって居るわ…入り口はあそこね」

盗賊「どうする?ゴーレムが居るんじゃ近付け無ぇ…」

アサシン「待て…ゴーレムはピクリとも動かないな」

盗賊「様子見っか?」

アサシン「うむ…」

情報屋「下に転がってる石ってもしかして…」

アサシン「トロールだな…夜になったら動き出すだろう」

盗賊「シカが近くにうろついてる…ありゃソリ引っ張って来たシカか?」

アサシン「状況的にその様だな…しかし…静かすぎるな」

盗賊「降りてみっか?」

アサシン「気球は壊されたくない…案内人…私達3人を降ろしたら上空で待機しているのだ」

案内人「分かった…」

アサシン「虎穴に入らずんば何とやらか…」

盗賊「やっぱりゴーレムは動かねぇな…どうなってんだ?」

情報屋「小屋も誰も居なさそう…そっちには足跡が無い」

案内人「高度下げる…飛び降りてくれ!!」


フワフワ


アサシン「行くぞ!」ピョン

盗賊「情報屋!クロスボウ忘れんな?」ピョン

情報屋「あなたに言われなくても…」ピョン

『山小屋』


盗賊「やっぱ誰も居無ぇ…ここは前に来た時のままだ」

アサシン「ゴーレムは動く気配は無いな…しかし見上げるとデカイ」

盗賊「見とれて無ぇで行くぞ!!こっちだ」サク サク


サクッ サクッ サクッ


盗賊「付いて来てるな?」

アサシン「あれだな?足跡がそこで切れてる」

情報屋「ソリは見て行かないの?」

盗賊「ちっと見て行くか…積み荷はなんだ?」

アサシン「何も残って居ないが…足跡が多すぎるな」

盗賊「人が移動しただけってか?」

アサシン「ざっと50人程か…」

盗賊「なんでシカ繋いで無いんだろうな?」

情報屋「帰る気は無いって感じね」

盗賊「まぁ良い…入り口探そう」

アサシン「待て…狭間の境界は1歩づつ行け…私達がはぐれるぞ」

盗賊「分かった分かった…ここの先だな?…行くぞ」サク

『ドリアード遺跡』


盗賊「どわぁぁ!!なんだこりゃ…」

情報屋「驚いた…これが入り口?」

アサシン「まるでサンドワームの口だな…何で出来ているんだ?」

情報屋「金属ではなさそう」

盗賊「これに入れってか?なんか食われそうだ…」タジ

情報屋「もしかするとドリアード遺跡は生き物の体内なのかも知れない…」

盗賊「くそデカイサンドワームか?」

情報屋「壁面を触った感じ木の様な触感だけど…なにかしらこのゴツゴツした壁は…」

盗賊「まぁここまで来たんだ…行って見るか」

アサシン「私が後ろを見る…先に入れ」

盗賊「ヌハハ最初に食われるのは俺か」

アサシン「そういう意味では無い…洞窟探索はお前の方が能力が上なだけだ」

盗賊「俺はイザってなったらハイディングすっから援護頼むな」

アサシン「待て…ここは既に狭間だ…そして地下深くに潜るならハイディングは宛てに出来ないと思え」

盗賊「おぅ…そうか…隠密で歩く」

アサシン「うむ…それで良い」

盗賊「行くぞ」ソローリ

『ドリアード遺跡_喉部』


盗賊「えらい下ってるぞ?そして何で微妙に明るいんだ?」

アサシン「扉も何も無いのだな…不思議な遺跡だ」

盗賊「情報屋!ランタンで壁面照らして何か見えるのか?」

情報屋「透けて向こう側が少し見えるわ」

アサシン「何?」

情報屋「ほら?細胞がくっ付いて居るみたいな…」

アサシン「本当だな…では向こう側にもここと同じ様な通路があるのか?」

情報屋「そんな感じね…下の方にも…まるでアリの巣」

アサシン「想像していた遺跡とは全く異なる…何なんだここは」

盗賊「おい!!この先で広がってる…注意しろ」

情報屋「待って…ここ扉よ?開いて居るけど」

盗賊「んん?…これどうやって閉めるんだ?」

情報屋「いつ閉まるか分からないから進むのが怖いわ」

アサシン「私にはこれが扉だと思えんのだが…」

情報屋「喉の奥を想像して?このひだみたいな壁が塞がる」

アサシン「なるほど…やはり生き物だという事か」

情報屋「動物性ではなくて植物性の生き物ね…きっとそれがドリアードだわ」

盗賊「そういや虫を食ってるクソでかい花とか見た事あるわ…あんな感じか」

情報屋「多分…私達はその中に居るの」

アサシン「文明とは程遠い気がするが…」

情報屋「その体内に生活拠点を作ったのがノームだわ…どこかにノームの化石とかあるかもしれない」

盗賊「どうする?進むしか無いよな?」

情報屋「待って…このひだが勝手に閉じない様にクロスボウで釘を刺しておく」バシュン ザク

盗賊「そら名案だ」

情報屋「予備のボルトあと20本しか無い…」

アサシン「20本使う前に一旦戻るとしよう」

盗賊「じゃぁ進むぞ」

『ドリアード遺跡_胃部』


盗賊「こりゃまたでっけぇ空間だ…誰も居る様には見えんな」

アサシン「広すぎるな…手分けしないと効率が悪い」

情報屋「これだけ大きな物が地面に埋まって居ただなんて…大発見よ」

アサシン「しかし造形物のすべてが何なのか分からん」

情報屋「でも明らかに知能を持った何かが作ってる…調べましょう」スタ

盗賊「おい!!勝手に行動すると危ないぞ?」

アサシン「まぁ向こうまで見通せる…見える範囲で手分けするか」

盗賊「おい!情報屋!!俺が見えない所には行くな!!分かったな!?」

情報屋「あら?私を心配しているの?ウフフ」

盗賊「俺はこっちな?」

アサシン「では私は向こうだ」


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『1時間後』


アサシン「やっと帰って来たな…何か見つけたか?」

盗賊「あっちこっちに通路があって訳分からん…見つけた物っちゃぁ虫ぐらいのもんだ」

アサシン「虫か…私は衣類を発見したぞ」

盗賊「おぉ!?持って来なかったのか?」

アサシン「まぁゴミの様な物だ…多分貴族が身に付けて居たであろう衣服だな」

盗賊「肝心の貴族がどこにも居ないな…どうなってんのよ」

アサシン「後な…ここにはケシが生える様だ」

盗賊「光が入って来ないのにか?」

アサシン「正確にはケシの実だけ壁面から露出している」

盗賊「じゃぁ俺らはクソでかいケシの中に居る感じか」

アサシン「ドリアード自体がそうなのかもしれん…ところで情報屋はどうした?」

盗賊「あぁあそこで壁の中をほじくろうとしてる」

アサシン「行って見るか…」タッタ


-------------


アサシン「何か見つけたのか?」

情報屋「壁の奥に何か入って居るの」ザク ザク

盗賊「どこよ?」

情報屋「あ!!あなた明るいライト持ってたわね?貸して」

盗賊「ほらよ」ポイ

情報屋「なにかしら…」ピカー

アサシン「むむ…人だ…何故壁の中に人が…」

情報屋「やっぱりそうか…見て足元」

アサシン「衣服…これは痛んで居ない」

盗賊「て事はどっか行った貴族達はみんな壁ん中ってか?」

情報屋「多分そうよ…そして傷つけた壁…ほとんど木と同じ」


ツカツカツカ

アサシン「敵!!」ズザザ

情報屋「はっ…」シュタ

盗賊「おっとぉ!!」スラーン


第3皇子「誰か居ると思ったらお客さんかぁ…君たちは誰?迷子?」

アサシン「…」ジロリ

第3皇子「武器なんか構えて怖いじゃ無いか…降ろしてよ…僕は丸腰だよ」

盗賊「耳…エルフだな?」

第3皇子「ハハハあぁこの耳ね…この耳キライなんだよ…直ぐにエルフってバレちゃうからさ」

アサシン「エルフがこんな所で何をしている?」

第3皇子「それは先に僕が質問したんだよ…君たち誰?」

アサシン「フフどういう答えを期待しているのかな坊や…只の冒険者に思うか?」

第3皇子「アハハハそうだよね…普通の人は入って来ないよね?白狼の皆さん」

アサシン「お前は誰だ?」

第3皇子「さぁね?誰だと思う?」

アサシン「黒の同胞の者だな?」スチャ

第3皇子「残念!ハズレーーー!!ウフフフ」

アサシン「では何なのだ?お前は」

第3皇子「僕はここの住人さ…知らない誰かが入って来たから見に来たんだよ」

アサシン「何?」

情報屋「住人?」

第3皇子「アレレレ?君も顔色が悪いなぁ…そしてエリクサーの香り」

アサシン「…」ギロリ

第3皇子「僕の兄者と同じ不死者なんだぁ…残念だけど不死者はドリアード化出来ないんだよ」

アサシン「兄者?…まさかお前は第3皇子か?」

第3皇子「ピンポーーン!!でもズルいなぁ…兄者から話を聞いてるんでしょ?」

アサシン「何の事だ?」

第3皇子「おっかしいなぁ…まぁ良っか!兄者とは縁を切ったんだし」

アサシン「第3皇子がここで何をしている?」

第3皇子「アダム復活が無事終わって暇してる所さ…まぁ戦う気は無いから武器降ろしてよ」

アサシン「アダム復活だ…と?何の話だ?」

情報屋「その話…聞きたいわ」

第3皇子「武器降ろしてったら…僕そういうのキライなんだ」

情報屋「アサシン?言う事聞きましょう…相手は一人だから」

アサシン「…」スッ

第3皇子「おいでよ…アダム復活のお祝いをしようよ」

盗賊「良いんかぁ?信用して…」

第3皇子「僕は白狼の一党と違って乱暴な事はしないよ…一緒にしないで欲しいなぁ」

盗賊「なぬ!!」

情報屋「盗賊!!止めて」

第3皇子「アハハハ冗談だよ冗談…付いておいでよ」

『ドリアード遺跡_核部』


カクカク シカジカ

カクカク シカジカ

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情報屋「…それでドリアード化とは同化する事をいうのね?」フムフム

第3皇子「君は知りたがりなんだね…」

情報屋「私は考古学者なのよ?」

第3皇子「へぇ?なんか君とは話が合いそうだよ」

情報屋「ちょっと待って…古文書と比較しながらもう一度」ペラペラ

第3皇子「アハハハ丁度暇だったんだよ…誰かの役に立つのは気持ちが良いなぁ…」


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--------------

--------------


盗賊「ぬぁぁぁ長げぇな話が…良いのか?放って置いて」

アサシン「仕方あるまい…私も話を一通り聞いてこれからどうするか考えていた所だ」

盗賊「黒の同胞団と戦う意味がもう無いしな…しかしどうすんだ?」

アサシン「アダムとやらがどう行動を起こすかもいま今分からん…兎も角早く魔女達と連絡したい所だ」

盗賊「まぁこれでエルフゾンビが居なくなった件も謎が解けた訳だ…やる気無くしてどっか行ったんだよ」

アサシン「しかしどうも引っかかる…何故エルフは抵抗を続けて居るかだ」

盗賊「精霊の代わりにアダムってのが世界を導くのってのを理解すんのは時間が掛かるかもな」

アサシン「いや…エルフは私達よりずっと賢い筈なのだ…理解していない訳が無い」

盗賊「うーむ…まぁどうでも良くなって来ちまった…俺ぁ眠くなってきたんだが…」

アサシン「むぅ…」

盗賊「ふぁ~あ…あそこに溜まってんのはエリクサーだよな?」

アサシン「恐らくな…持って帰るつもりか?」

盗賊「いやそうじゃ無ぇ…その下に沈んでる機械みたいなやつがアダムってやつなんか?」

アサシン「だろうな」

盗賊「あれが話しかけてくる訳でもないのにどうして物事がコロっと変わるんだ?」

アサシン「私達にはよく分からんが…ドリアード化で同化すれば分かるのでは無いか?」

盗賊「ドリアード化しろと言われてなる気にならんだろ」

アサシン「うむ…」

盗賊「それに何だエリクサーの中で宙ぶらりんの脳みそは」

アサシン「謎だ…」

盗賊「なんだかなぁ…なーんか違う気がすんだよなぁ…」


ドクン グググググ

盗賊「うお!!壁が動いた!!」

アサシン「む…」スック

第3皇子「あ!!動き始めた…そろそろ終わりにしようか」

情報屋「え?あぁ…分かったわ…もう少し聞きたい事もあったんだけど」

第3皇子「ドリアード化したら何でも教えてあげるさ」

アサシン「これは何事だ?」

第3皇子「君たちはそろそろここを出て行った方が良いかな…ドリアードが目覚めたんだよ」

アサシン「どういう事だ?」

第3皇子「老廃物と思われて排出されてしまう…僕もそろそろドリアード化しなきゃいけない」


ドクン グググググ


情報屋「入り口が小さくなってるわ」

盗賊「こりゃ閉じ込められるかも知れん」

第3皇子「そうだね…出て行った方が良いよ」

アサシン「お前はどうする?」

第3皇子「僕はここでドリアード化するよ…もうこの世界に未練は無い」

アサシン「未練だと?」

盗賊「やべぇ!!おい!!行くぞ」グイ

第3皇子「途中で鎖に繋がれてるエルフはもう好きにして良いよ…ドリアード化するも由し帰るも由し」


ドクン グググググ


盗賊「おい!!話してる暇無ぇぞ!!走れ」グイ

アサシン「ぐぅ…仕方あるまい」ダダ

盗賊「情報屋!!飛び込め!!」

情報屋「分かってる!!」ピョン シュタ

アサシン「来た道分かるか?」

盗賊「任せろ…目印置いて来てる!!こっちだ!!」ダダ



タッタッタ タッタッタ

『ドリアード遺跡_胃部』


盗賊「ふぅ…ここは無事だ」

情報屋「なるほど…中枢部は通常閉じているのね」

盗賊「じゃぁドリアードの中心に入れたのは幸運だったな」

情報屋「あの子のお陰ね」

盗賊「ちっとイカれた奴だったな?」

情報屋「心に闇を持ってる」

アサシン「待て…闇と言ったな?あの小僧…もしかして魔王の欠片を抱えて居ないか?」

情報屋「え…」

アサシン「ハイエルフはそれを見抜いて居ないか?…しまった!!ミスリルの音を聴かせるべきだった」

盗賊「まぁ済んだ事は考えるの止そうぜ」

アサシン「もう日暮れの時間だ…一旦戻るぞ」

盗賊「おうよ!!」

情報屋「捕らえられてるエルフは?」

アサシン「あぁ…そうだったな…盗賊!鍵開けは出来るな?」

盗賊「任せろ」

アサシン「私と情報屋は先に出口が閉じて居ないか見て来る…鍵開けを頼む」

盗賊「分かった直ぐに合流する」ダダ

『開閉弁』


情報屋「良かった!!ボルトが刺さってるお陰でまだ閉じて居ない」

アサシン「動こうとしているな…もっとボルトを打ち付けて固定しろ」

情報屋「分かったわ…」ガチャリ バシュン バシュン


ボタボタ バシャーーー


アサシン「むむ!!…何か降って来た」

情報屋「排泄しようとしてる…それとも消化?…」

アサシン「マズイな…」

情報屋「盗賊ーーー!!急いでーーーー!!」


盗賊「ちっと待てぇーーー!!そっちにエルフ走って言った!!出してやってくれぇぇ!!」


情報屋「こっちよ!!」

エルフ1「t」シュタタ

エルフ2「h」シュタタ

エルフ3「a」シュタタ

エルフ4「n」シュタタ

エルフ5「k」シュタタ

エルフ6「y」シュタタ

エルフ7「o」シュタタ

エルフ8「u」シュタタ

アサシン「何か言って居るな」

情報屋「分からないわ…盗賊!!早く!!」


盗賊「げふっ…ごほごほ…なんだこりゃ毒霧か?げふげふ」ダダダ

アサシン「入り口まで走れ!!」

盗賊「やべぇぞ!!後ろから毒霧が迫ってる」ダダ

情報屋「ギリギリね…行くわよ」タッタッタ

『ドリアード遺跡_入口』


盗賊「はぁはぁ…げふっ」

情報屋「はぁはぁ…長い登りだったわね…はぁはぁ」

アサシン「気を抜くな…走れ!!」


バフッ モクモクモク


盗賊「毒霧が噴出して来やがった…行くぞ情報屋!手を!!」グイ

アサシン「狭間から出るぞ!!」


ゴーン ドドドドドド


アサシン「何事か…」

盗賊「こりゃ一難去ってまた一難だ!!ゴーレムが暴れてる」

情報屋「トロールとサンドワームが戦って居るわ」

盗賊「東側から逃げるぞ!!走れ!!」ザク ザク

情報屋「こんな雪の中走れる訳無いじゃない…」ザク ザク

アサシン「エルフ達は何処に行った?」

盗賊「トロールと一緒になって戦ってらぁ」

アサシン「素手でか?」

盗賊「む…もしかして囮になってくれてんのか?」

アサシン「行くぞ!!走れ!!好意を無下にするな」ザク ザク

情報屋「エルフ達…」

アサシン「エルフはそういう生き物だ…アレは剣士だと思え」

盗賊「なるほど…」


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『少し離れた雪原』


ピカー ピカー ピカー


アサシン「気付いた様だな?気球が寄って来る」

情報屋「あなたのそのライト本当に便利ね」

盗賊「まぁな…俺の宝だ」

アサシン「案内人!!こっちだ!!」


案内人「ああぁ良かった…心配してたんだ」フワフワ ドッスン


アサシン「済まない時間が掛かってしまった」

盗賊「ふぅぅ色々有ったなぁ…げふげふ」

情報屋「毒消しが要りそうね…ゴホゴホ」

アサシン「私のエリクサーを少し飲め」ポイ

盗賊「お前は毒に強くて良いな?」ゴク

アサシン「エリクサーを常備しないと正気を保てんのが良いと?」

盗賊「悪い悪りぃ…嫌味のつもりは無ぇ」

アサシン「エリクサーで傷が治る事も無いのだ…回復魔法をして貰わんとボロボロになる」

盗賊「そうだったのか…平気な顔してるからてっきり治癒してると思って居た」

アサシン「エルフゾンビは気球から飛び降りただろう?骨が折れると自力では治せん…だから心配なのだ」

盗賊「何処いっちまったんだろうな?」

アサシン「うーむ…」

”アサシン聞こえる?”

”その声は女海賊か?”

”あーーーやっと繋がった…お姉ぇが持ってた貝殻で繋がるのかぁ”

”元気そうだな?そっちはどうだ?”

”今シャ・バクダ向かってる”

”何?黒の同胞団の隠れ家はどうなったのだ?”

”色々あってさ…でも壊滅させたよ”

”そうか…魔女と話は出来るか?”

”今魔女は居ないんだ…そっちで合流する事になってる”

”ふむ…星の観測所で待てば良いか?”

”うんダッシュで行くから待ってて”

”どのくらい掛かる”

”ハイディングしながら行って明日の昼前には着くと思う”

”分かった…急いで戻れ”

”おっけ!!”


盗賊「今の口ぶりだと黒の同胞団の事は何も分かって居ない様だな」

アサシン「そうだな…今後の事も話しておく必要がある」

案内人「観測所に降ろすぞ?」

アサシン「頼む…今日はこれで終わりだ…案内人も休んでくれ」

『星の観測所』


…ノームの骨や化石が一切発見されないのは全部ドリアード化したという事で説明が付く

ドリアードは恐らく巨大な肉食植物のような生命体で精霊樹の様に意思を持って居た

その体内で寄生する形でノームが営んで居たと推定される

伝承によるとノームは小型でとても器用な特徴を持っている

だからキ・カイで発掘されたサーバ石の様な物を作る事が出来た

それはホムンクルスの頭部に入って居る機械と同じ様な役割を担った


情報屋「ざっとこんな感じね…」

盗賊「エリクサーの中に吊るされてた脳みそは何だったんだ?」

情報屋「分からないけれどアダムと関係するのは間違いなさそうね…ただちょっと古文書の絵と会わないのが気になるかな」

アサシン「見せてみろ」

情報屋「ここよ?この中心に居るのが恐らくアダム…ちゃんとした人間の形をしているでしょう?」

盗賊「脳みそだけ取り出したんか」

情報屋「この古文書ではそういう記述は無さそうだからここまでが限界ね」

盗賊「あとよ?なんで地下深くに埋まってんだ?」

情報屋「前にホムンクルスから聞いた話では約4000年前に氷河期があったらしいわ」

盗賊「ぁぁぁなんか聞いてた気がすんな…ほんで地下で過ごした訳か…人工物にしちゃデカ過ぎなのも不思議だが」

情報屋「人間の力で地下に大きな建造物は無理ね…でも植物なら根を張るから可能ね…賢いと思うわ」

アサシン「まぁ私達の理解を超える文明だという事だ」

情報屋「これでドリアード伝説の大枠は分かったから…もっと調査に行きたいなぁ」

アサシン「落ち着いてからな」

盗賊「書物とか謎の道具とかなんにも収穫が無ぇからよ…俺ぁ行く気無ぇぜ?」

情報屋「私が思うに今日行った所はほんの入り口だけだと思うの」

盗賊「まぁそうだろうな」

情報屋「ドリアード化した向こう側にどんな世界があるのか見てみたいわ」

盗賊「戻って来れるなら良いんだがな?植物の一部になるなんざゴメンだ」

アサシン「あの遺跡がドリアードという植物だったとして何だというのだ?民も居なければ軍隊も無い…何も出来ん」

情報屋「そうね?アダムが復活したからどうなの?っていう感じね」

盗賊「まぁ魔王が居なくなったってんなら良いけどよ…どーーーーもしっくり来ねぇ」

アサシン「突然来た平和か…」

盗賊「平和ってかまだエルフとゴーレム戦ってるよな?なんにも解決して無ぇと思うんだよ」

アサシン「ふむ…」

盗賊「考えてもしゃー無ぇ!!今日は寝る!!」

情報屋「フフ私は興奮して眠れないから調査をまとめておくわ」

『翌日』


盗賊「ふぁ~あ…」ボケー

アサシン「やる気が出んか?」

盗賊「んあ?…まぁな…女海賊帰って来るまでやる事も無ぇしな」

アサシン「少し考えてみたんだが…昨日第3皇子が言い残した言葉…この世界にもう未練は無い」

盗賊「んな事言ってたなぁ」

アサシン「あの小僧は何か知って居るのではと思ってな」

盗賊「もう会う事も無いだろう…考えてもしょうが無ぇ」

アサシン「例えばだ…この世界が滅んだとして最後に生き残るのは誰だ?」

盗賊「んな事分かる訳無いだろ…ん?…まてよ地下の安全な場所でぬくぬくしてるアイツが生き残りそうだな?」

アサシン「それだよ…ドリアードはそういう風に地下で生き残った文明なのだ」

盗賊「魔王は退治したんだろ?」

アサシン「ううむ…魔王が居なければ済む話とも言い切れない気がしてな」

盗賊「そもそもアダムって何なのよ?そんな大そうな神なんか?」

アサシン「聞いた話では精霊はアダムの一部から作られたらしいな?魔女の言葉だっただろうか…」

盗賊「精霊の親に当たるってか?」

アサシン「魔女の話をもう一度聞いてみたい…」

盗賊「なんかこう空からババーンと降りて来るとかよ…何か無いとどうも胡散臭え」


ガチャリ バタン

情報屋「あら?2人共早起きね?」

盗賊「そういうお前は寝て居なさそうな顔をしているな?寝なくて良いのか?」

情報屋「古文書の解読が一気に進んだから寝て居られないの」

アサシン「何か分かった事でも?」

情報屋「ドリアード文明が滅んだ原因…」

アサシン「ほう?」

情報屋「恐らく虫の大発生で滅んでるわ…」

盗賊「お?そういや虫が居たな」

情報屋「虫ってエリクサーに浸かると死んじゃうじゃない?だからエリクサーに浸かった所だけ当時のままなんだと思うわ」

アサシン「なるほどな…内部に何も無いのは虫に食い荒らされたのか」

情報屋「それからアダムの件…ドリアード文明の時代に復活させようとして失敗したみたい」

アサシン「む…では今回が初めてのアダム復活という訳か」

盗賊「その話を聞いて余計不安になるな…アダムってのは大丈夫なんだろうな?」

アサシン「ううむ…植物の体を持ったホムンクルスの様な存在だとは思うのだがな…」

盗賊「インドラの矢をぶっ放されてでも見ろよ?怖く無ぇか?」

アサシン「盗賊…仕方の無い事かもしれんがお前に猜疑心が生まれていると気付かんか?」

盗賊「う…なるほどそういう事な…俺ら人間はどーも魔王の心に染まっちまうなぁ」

アサシン「精霊は常にそういう立場で人間に裏切られ続けてきたのだ…」

情報屋「今の話からするとドリアード文明が滅んだのも人間が絡んでいそうね」

盗賊「かもな?精霊のやる事が気に入らなかった奴が虫を大量発生させた…考えられそうだ」

アサシン「その時代に人間はどうして居たのだろうな?」

情報屋「ホムンクルスの話では温暖な海辺に逃れていた様な事を言っていたわね…人魚伝説とかよ」

盗賊「ぬぁぁぁ昔話はもう止めてよ…もっとワクワクする話をしようぜ」

情報屋「例えば?」

盗賊「ノームが残したお宝とか無いのか?ドワーフより器用だったんだろ?」

情報屋「ほら?これみて?ここに書かれて居るのがノームが使ったと思われる道具ね…」

盗賊「おーーーあるじゃ無ぇか!!」


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『昼前』


ガチャリ バタン!! ドタドタ


女海賊「どいたどいたぁ!!ローグ!!お姉ぇを屋根裏の望遠鏡ん所に運んで!」

ローグ「へい…」ヨッコラ ヨッコラ

盗賊「おぉ!!やっと帰って来たか!!」

アサシン「女戦士を…どうした?」

女海賊「ちっと待って…ちょい色々あってさ…商人!!説明しといて!!」ドタドタ

商人「あぁ…分かったよ…女戦士は弓に打たれて昏睡しているんだ」

アサシン「昏睡…女戦士が昏睡とはな…状態はひどいのか?」

商人「頭を撃ち抜かれたんだ…治療は済んでるけど目を覚まさない」

盗賊「マジかよ…他の奴らは無事なんだな?」

商人「色々あってね」

アサシン「未来はどうした?飛空艇に残って居るのか?」

商人「あぁ剣士と魔女と未来君の3人で別行動だよ…ホムンクルスは今飛空艇の掃除をしてる」

アサシン「ここに戻って来るのだな?」

商人「その予定だけどまだ連絡が付かない…落ち着いて話そうか」

アサシン「まぁ座れ」

商人「剣士達は黒の同胞団の隠れ家で5日過去に戻る為に別行動になったんだ…」

アサシン「過去に戻った…」

商人「その後魔王の後を追っている筈だよ」

アサシン「何だと?お前たちは魔王が魔石にされた事を知らないんだな?」

商人「えぇ!何それ…どういう事?」

アサシン「リリスの子宮から取り出された胎児…これを重力炉で魔石に変えたそうだ」


ドタドタ ドテ

女海賊「ちょちょ…今の話もっかい」

アサシン「魔王は魔石に変えられてもう居ないのだ」

女海賊「なんで?めちゃ話が食い違っちゃってるんだけど…剣士達は魔王を追ってるんだけどさ」

アサシン「それは黒の同胞達が仕組んだ囮なのだ…私達の目をそちらに向ける為にな」

商人「…また歴史の塗り替えで先手打たれちゃってる…そういう事だね?」

アサシン「結果的にはそうなるのだろうな…こちらの話を先にした方が良さそうだな」

女海賊「話して…」


カクカク シカジカ

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女海賊「…第3皇子が生きてるって話は聞いてたんだよ…貴族の中に混じってたのか」

商人「話が全部繋がっちゃったね…僕ら黒の同胞団の隠れ家に行かなくても良かったのか…ハハ」

アサシン「さて…こちらにも聞きたい事が有るのだが…森の上で起こった爆発…アレは何だ?」

女海賊「えーと…ちょい複雑なんだけど…結論から言うとエルフの森にあったクラウドを消す為だったらしいよ」

アサシン「クラウドとは精霊の記憶が保存されているという奴の事だな?」

女海賊「ホムちゃんが言うにはそのクラウドに第3者が入ってて精霊の記憶を何かやってたらしい…」

アサシン「ふむ…」

女海賊「ほんでガーディアン?っていうのが働いて隕石が飛んできてドッカーーーン!!」

アサシン「んむむ…」

商人「補足するよ…隕石では無くて大陸間弾道ミサイルだと言ってた…それが電磁パルスを起こしてクラウドを消滅させた」

アサシン「理解出来んな…要するに精霊の記憶を破壊したのか?」

商人「逆だよ…記憶を守る為にアクセス出来なくしたんだってさ」

アサシン「第3者というのは何者か?」

商人「分からない…」

アサシン「まぁ良い…後でホムンクルスに聞いてみるとしよう…それで黒の同胞団の隠れ家はどうだったのだ?」

商人「もぬけの空さ…エルフに占領されたんだとばっかり思ってたんだけど…まさか囮だったとはね」

アサシン「エルフが絡む?」

商人「守って居たのはエルフ2人とラットマンリーダが少し…後は雑魚だよ」

アサシン「なるほどな…エルフを引き付ける囮でも有った訳か」

商人「まぁそうとも知らず僕たちは突撃してしまってね…時すでに遅しと知った剣士達が5日前に戻った訳さ」

女海賊「商人言い忘れてるよ…隠れ家で魔女の壺を発見した事を」

商人「そうだったね…壺の封を空けられた事を知ってその後を追ったんだ…だから剣士達はまだ魔王の後を追ってる」

アサシン「ふむ…話が全て通るな」

女海賊「重力炉だっけ?そんな様な器具が一杯散らばってたさ…壊されてたけど」

アサシン「一つだけ疑問が残る…何故エルフがそれ程絡むか?ドラゴンライダーも動いてる…何故だ?」

商人「剣士は森の声がおかしいと言って居たよ」

アサシン「森の声に導かれていると言うのか?」

商人「ほら剣士だって森の声を聞きながら魔王を追ってる…エルフも同じじゃないかな?」

女海賊「あー後さぁ森の虫がエライ事になってるよ?すんごい大量の虫がシャ・バクダ方面に向かってるんだけど…」

アサシン「何ぃ!!」

情報屋「…もしかして」

女海賊「お!?何か知ってるんだ?」

情報屋「ドリアードに向かってる…」


ホムンクルス「や…止めて下さい…離して下さい」


女海賊「ホムちゃんの声!!」

商人「ホムンクルス!!」ダダ

女海賊「ちょいヤバそうな声!!」ダダ

『飛空艇の前』


ザワザワ ザワザワ


時の王「シルフ!!私を忘れたのか?」

ホムンクルス「私は精霊シルフではありません…手を放して下さい」

時の王「私の目に狂いは無い…200年お前を想い続けて居たのだ」

ホムンクルス「私の名はホムンクルスです」

時の王「何故だ?また記憶を失ったのか?何故私の下へ戻らない?」

ホムンクルス「精霊シルフは200年前に亡くなりました」

時の王「いやお前はシルフに間違いない…その髪…その顔…その声を私は忘れて居ない…思い出してくれ」


ダダダ


商人「ホムンクルス!!」

ホムンクルス「商人!!この方はどなたですか?」

女海賊「ああっ!!時の王のおっさん!!」

時の王「お前は…いつか私の屋敷に来た蒼眼の者…シルフをどうした?」

女海賊「あのさぁホムちゃんは精霊シルフじゃないの!どっか連れて行く気?」

時の王「シルフには私が必要なのだ…私が守る」

女海賊「いやだからさぁ…精霊シルフじゃないって!!ホムちゃんはホムちゃん!!分かる?」

時の王「シルフ…答えてくれ…記憶をどうした?」

ホムンクルス「私は逃げたりしませんので手を放して貰ってもよろしいでしょうか?」

時の王「…」スッ

女海賊「あのさぁ…そのくそデッカイ剣とか鎧とかなんか怖い訳よ…分かる?」

時の王「…」ブン! ズン!

女海賊「あぶっ…だから怖いんだって!!そういうのが!!」

時の王「私の顔を見てくれ…思い出さないか?」

ホムンクルス「私の名はホムンクルス…ここに居る皆さんの身の回りのお世話をしている者です」

商人「ホムンクルス…」

時の王「馬鹿な…記憶をどうした?何故すべての記憶を無くしている?」

女海賊「時の王のおっさんさぁ…精霊シルフはもう居ないんだよ」

時の王「いや彼女はシルフだ…お前達…シルフをどうした!?許さんぞ!!」

女海賊「聞き分けの無いおっさんだなぁ…何回も言ってんじゃん!!精霊シルフじゃないの!!」

ホムンクルス「いつか精霊を知る者と出会う日が来る事は覚悟していました…」

時の王「どういう事なのだ?覚悟とは何だ?」

ホムンクルス「私は精霊シルフとは違う道を歩んで居るのです…ご理解ください」」

時の王「違う道だと?…私達の愛を捨てたと言うのか?」

ホムンクルス「捨ててなどいませんよ?初めから私の記憶に精霊の記憶は無いのです」

女海賊「ホムちゃんはさぁ…精霊と瓜二つかも知んないけど別人なんだよ」

時の王「…なんという事か…」ボーゼン

ホムンクルス「ご理解いただけましたか?」

時の王「顔を…よく見せてくれ」ソソ

ホムンクルス「どうぞ…」ニコ

時の王「触っても良いか?…」

ホムンクルス「はい…乱暴しないのでしたら」

時の王「ぅ…ぅぅぅ…シルフ…ぐぅぅぅ…シルフ…」サワワ

ホムンクルス「…」

女海賊「ぁ…」

時の王「済まなかった…っぅ私が嫉妬に狂ったばかりに…お前を…失った…うぐっ」

ホムンクルス「その言葉は精霊シルフ本人に聞かせるべき言葉です」

時の王「お前はシルフでは無いのか?…どうすれば思い出す?どうすれば又会える?」


アサシン「夢幻で会える…精霊は夢幻で今も生きている」


時の王「私は夢を見る事も死ぬことも出来ぬ…シルフを目の前にして諦める事も出来ぬ」ググ

ホムンクルス「私を奪って行かれるつもりですか?」

時の王「そうだ…皆殺しにして奪う選択もある…」

ホムンクルス「私を奪っても精霊シルフには会えませんよ?」

時の王「ぐぬぅ…お前達!!王として命ずる!!私を殺して精霊シルフまで導け…命令だ」

女海賊「命令ってさ…どうやってやんのさ…あんた不死身なんじゃないの?」

時の王「精霊シルフまで導くのであれば手段は問わぬ…」

女海賊「どうすりゃ寝れるのさ…そりゃあんたの問題なんじゃない?」

時の王「黙れ!命令を達するまでシルフは私が預かる」

女海賊「ちょちょ…なんであんたのいう事を私等が聞かなきゃいけない訳?」

時の王「フンッ!」ズボォ

ホムンクルス「女海賊さん…従った方が安全と思われます」

女海賊「ホムちゃんそれで良いの?」

ホムンクルス「こうなる想定はしていましたのでご安心ください」

女海賊「商人!!ホムちゃん連れて行かれちゃうんだけど何か言えよ!!」

商人「ホムンクルス…君の判断を信じる」

ホムンクルス「はい…」ニコ

女海賊「ぬあぁぁぁ!!おい!!時の王のくそオヤジ!!あんた何処に行く気よ!!」

時の王「宛ては無い…この建屋を私が頂く」

女海賊「ぶっ…あのさぁ!!あんたの行動ワケ分かんないんだけど」

商人「ハハ…どういう展開なのか…まぁ寒い雪原を連れまわされるよりは良いじゃないか」

時の王「シルフ…話がしたい…中に入れ」

女海賊「ちょいあんたさぁ!!勝手な事すんなよ!!」

時の王「2人で話をするのだ…お前達は入るな」

女海賊「アサシンどうすんのさコレ!!」

アサシン「従うしかあるまい…」

ホムンクルス「飛空艇のお掃除は終わって居ますのでそちらの方へ…」

アサシン「クックック見事に占領されたな」

女海賊「屋根裏にお姉ぇとローグ要んだけど…大丈夫かなぁ」

『飛空艇』


女海賊「商人!!ホムちゃん取られちゃったよ?あんたそれで良いの?」

商人「んんん…ホムンクルスを守るのは僕より時の王の方が良いかなと思い始めてる」

女海賊「あんたら出来てたんじゃないの?」

商人「よく考えてごらん?僕はあまり長く生きられない…そして体も小さいし…何より2回もホムンクルスを守れていない」

女海賊「んーーーまぁそうだけどさぁ…」

商人「時の王の方が僕より適任なんだよ…そして精霊への愛は僕よりずっと深い」

女海賊「でもホムちゃんは精霊じゃ無いじゃん」

商人「それはホムンクルス次第さ…僕は彼女の判断を信じるよ」

情報屋「私はこう思うわ?愛が深いなら違いに気が付く」

アサシン「そうだな…私もそう思う…時の王が愛しているのは精霊シルフだ…ホムンクルスでは無い」

女海賊「まぁどっか行かれるより良っかぁ」

商人「でもどこにも行く宛て無いのにどうするつもりだったのかw」

盗賊「だなぁ?必死な奴ってあんなんなるんだなダハハ」

女海賊「必死かぁ…」

盗賊「精霊しか頭に無かったのが良く分かる」

商人「見せ付けられちゃったよ」

アサシン「気になる事を言って居たな?嫉妬に狂った自分を許してくれと」

商人「言ってたね…僕が思うに精霊の子…勇者に対してじゃないかな?」

アサシン「同じ考えだ…精霊の愛を一心に受けた勇者に嫉妬したのだな…そして勇者を屠ったのだ…魔王と共に」

盗賊「あーーそれで勇者の像ん所に剣を置いたのか」

アサシン「だろうな?もう剣は持たないつもりだったのだろう」

情報屋「なんか心が痛いわ…」

アサシン「しかしどうやって時の王の呪いを解くのか…」

”ザーーーーえるか?ザザー”

”魔女!!”

”おぉ…剣士ちと止まれい!!ザザザ”

”今何処に居んの?”

”森の外れじゃ…良く分からぬ”

”無事ならまぁ良いや…こっちに向かってんだね?”

”リリスの子宮を見つけたのじゃが肝心の中身が無いのじゃ”

”あーーそれなんだけどさ…魔王はもう居なくなったらしいよ?”

”ザーーーよく聞こえぬ…それよりも虫の大群がそちらに向かって居るのじゃザザザ”

”知ってる!!どうなってんの?”

”用心せい…魔王が迫って居るぞ”

”いや…だから魔王はもう居ないって”

”わらわ達は間に合わぬ故避難せい…虫に撒かれるな?”

”あのさ…”

”ザーーーーザザザ”


女海賊「そうだよ虫だよ虫!!すんごい大量の虫がこっちの方に向かってんだった”

アサシン「行先は恐らく北のドリアード遺跡だろう」

女海賊「なんで落ち着いた顔してんのさ?どうすんの?」

アサシン「用心に越したことは無いのだが…どうする?情報屋…」

情報屋「どうすると言われても空から見ているくらいしか…」

女海賊「飛空艇で行こうか?」

アサシン「ゴーレムが守って居てな…迂闊には近づけん…いつドラゴンが出てくるかも分からん」

盗賊「魔女が言うように民を避難させた方が良いんじゃ無ぇか?折角物資をシャ・バクダ遺跡に運んだんだからよ?」

アサシン「そうだな」

女海賊「虫は無視?アレ?」

情報屋「ドリアードと虫は何かの因縁がありそうなの…私達とは無関係だと思うわ」

アサシン「うむ…巻き込まれない様にだけ用心するべきだ」

女海賊「そっか…ほんじゃどうしよう?時の王のおっさんとかどうする?」

アサシン「素直に遺跡に移動してくれればありがたいのだが言う事聞く物だろうか?」

女海賊「ちっと私が言って来るわ」

情報屋「何をするか分からないから気を付けて」

『星の観測所_居室』


ガチャリ バタン


時の王「あーして…こーして…ああでこうで…」

ホムンクルス「女海賊さん…」

時の王「…私とシルフが2人で話すと言った筈だ…勝手に入室するなど無礼だぞ」

女海賊「あのさ…ちょいワケ有って勇者の像の所に行ってもらいたいんだ」

時の王「ほう?その手もあるか…だがシルフ?私を許してくれるか?」

ホムンクルス「何度も言いますが私は精霊シルフではありませんよ?」

女海賊「ホムちゃんさぁ…ちっと時の王に付き合って勇者の像の所行ってて貰えない?あとで私達も行くから」

ホムンクルス「はい…わかりました」


ローグ「頭ぁ!!起きやしたね?…姉さ~ん!!頭が目ぇ覚ましやした!!」


女戦士「ぅぅぅ誰かに呼ばれた気がしたのだが…」ヨロ

時の王「むぅ?お前はいつぞやの…」

女戦士「…その声は…お前だな?呼んだのは?」ジロリ

女海賊「お姉ぇ!!良かった…目ぇ覚まさなくて心配してたんだよ」

女戦士「記憶がおかしい…私はいつから寝ている?」

女海賊「思い出すのはゆっくりで良いよ」

女戦士「お前の声が耳にこびり付いて離れない…誰だお前は?…なぜ私を揺さぶる?」

時の王「何の話だ?又打たれたいのか?」

女戦士「打たれたい?…そうだ…私はお前に打たれたい…来い!!」

女海賊「ちょい!!お姉ぇ!!やっぱ混乱してるわ…ローグ!お姉ぇを止めて」

ローグ「そーっすね…頭ぁ落ち着いて下せぇ…ちっと混乱してるっす」

女戦士「混乱…私は何をしていた所だ?」ブツブツ

時の王「フン…シルフ!私と一緒に勇者の下へ行くぞ」

ホムンクルス「はい…お供しますよ?」

時の王「馬の乗り方を覚えて居るか?」

ホムンクルス「いえ?初めて乗ります」

時の王「来い…思い出させてやる」グイ

女戦士「…又私の下を離れて行くのか?」

女海賊「お姉ぇ…」---恋してたんだ---


---お姉ぇが打たれたいのは…懺悔だったのか---

女海賊「お姉ぇ…おいで?座って落ち着いて?」

女戦士「…あぁ…頭を整理する」ドスン

ローグ「頭ぁ…腹減っていやせんか?」

女戦士「喉が渇いて居る…水を頼む」

ローグ「ちっと待ってて下せぇ」


女海賊「時の王のおっさん!ホムちゃん連れて勇者の像ん所行ってて…物資はあとで持って行くから」

時の王「私に構うな…さぁ行くぞシルフ…」

ホムンクルス「私をシルフと呼ぶのは止めてもらってよろしいでしょうか?私の名はホムンクルスです」

時の王「…ホムンクルス」

ホムンクルス「はい…ご一緒します」テクテク

『飛空艇』


女海賊「時の王のおっさんを観測所から追い出したよ」

盗賊「そりゃご苦労だったな?」

女海賊「あとお姉ぇが目を覚ました」

商人「おぉ!!良かったね?具合はどう?」

女海賊「ちょっと混乱してるけど頭は大丈夫そう」

アサシン「では早速動くとするか…」

盗賊「どうすんだ?」

アサシン「私は案内人と一緒に一度オアシス砦に戻るが…盗賊と情報屋はここから物資を遺跡に運んで居て欲しい」

情報屋「分かったわ」

女海賊「ほんじゃ私等は先にお姉ぇを遺跡に運んでちっと周りを見回っとく」

アサシン「ゴーレムにはくれぐれも近づくな?突然動き出すからな」

女海賊「おけおけ!遠くから望遠鏡で見るに止めるよ」

アサシン「夜までには遺跡に戻って来い」

女海賊「分かってるって」

『星の観測所_屋根裏』


女海賊「お姉ぇ平気?」

ローグ「いやぁぁまだ混乱してるっすねぇ…どうしやしょうね?」

女戦士「…」

商人「女戦士?立てるかい?」

女戦士「あぁ…済まない…」ヨロ

商人「僕が背負ってあげようか?」

女戦士「馬鹿にするな」

商人「良いんだよ…筋肉のトレーニングさ…よっと」

女戦士「お前に私は背負えん」

商人「お…重いな…肩だけにしようか」グイ

ローグ「あっしが反対側支えやす」グイ

女海賊「酔っぱらった後な感じ?」

ローグ「まぁそーっすね」

商人「今からシャ・バクダ遺跡に引っ越しさ…歩ける?」

女戦士「大丈夫だ…お前の介添えは要らん」

商人「平気さ…時の王にホムンクルス取られちゃったから何かしないと落ち着かないんだよ」

女戦士「…そうか…悪いな」ヨロ

商人「記憶はどう?」

女戦士「いつから寝て居るのか思い出せん」

商人「矢に撃たれた事も?」

女戦士「矢に?」

商人「君は頭を撃たれたんだよ」

女戦士「…そうだったのか…それで記憶がおかしいのか」

商人「どうおかしいの?」

女戦士「夢か現実か見分けが付かない…」

商人「夢幻を見たんだね?」

女戦士「はっきりと思い出せないのだ」

商人「夢幻はそういう感じだよ…ずっと昔…生まれるよりもずっと前を思い出す感じで鮮明に見える事がある」

女戦士「まぁ良い…不遇な男に恋をした…他愛もない夢だ」

女海賊「ふーん…やっぱ時の王なん?」

女戦士「顔は思い出せん…声が似ているだけだ…呼ばれた物だと勘違えた様だ」

女海賊「まいっか…お姉ぇの荷物持って行くよ?」

『シャ・バクダ遺跡』


女海賊「なんか久しぶりに来たけど…何も無いね」

ローグ「勇者の像の前にキャンプ跡がありやすね…まだ木材残ってるっすよ」

女海賊「外より暖かいけどこんな所で焚火したらヤバくない?空気無くなっちゃうじゃない?」

商人「まぁ広いから大丈夫だとは思うけど…人が一杯来るなら気を付けた方が良いかもね」

女海賊「ウラン結晶が一個余ってたな…あれを暖房代わりにしよう」

ローグ「良いっすねぇ…木を使わんで済むんでスペースも自由度高くなりやすね」

女海賊「明かりはランタンで良いとして…やっぱ敷物無いと横になるの嫌だね」

ローグ「飛空艇に毛皮が余ってるんで持って来やす」

女海賊「空いてる樽も少し持って来といて」

ローグ「へい…」タッタッタ

女戦士「私はここに避難する理由を知らんのだが…どういう事なのだ?」

女海賊「虫の大群が森から迫ってるのさ…被害出そうだから避難してんの」

女戦士「冬なのにか?」

女海賊「ホムちゃんが言うには虫は寒さに強いのも沢山居るんだって…てか飛空艇から見たら超ヤバイ数いるよ?」

女戦士「そうか…」

女海賊「お姉ぇは心配しないでもうちょい休んでて?」

商人「そうだね…記憶がしっかり繋がるまでは安静が良いと思う」

女戦士「私よりお前の方がしんどそうだがな?」

商人「僕は良いんだ…君は沢山子供を産んで未来を作らなきゃいけない」

女海賊「商人どしたん?急にそんなん言い出してキモイんだけど」

商人「ごめんごめん…今までの事を考え直したらドワーフは大事にしなきゃいけないと思ってさ」

女海賊「お!?分かってんじゃん…そうよエルフより優れてんのよ」

ローグ「姉さ~ん!持ってきやしたぜ~~」ヨッコラ ヨッコラ

女海賊「ウラン結晶は?」

ローグ「樽の中っす…これが一番重いでやんす」ヨッコラ セット

女海賊「商人!あんたウラン結晶の温め方知ってんよね?」

商人「わかるよ」

女海賊「これあんたに任せる!!私とローグでちっと見回りしてくるからお姉ぇとここで待ってて」

商人「任せて」

女海賊「ほんじゃちっと行って来るからお姉ぇは安静にしてて」

女戦士「フン…」

商人「大丈夫だよ…僕が見ておくから」



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ガサゴソ ドサリ

盗賊「おぉぉぉ…暖けぇ…」スリスリ

商人「物資持ってきたんだね?」

盗賊「まぁな?時の王は何処行ったんだ?」

商人「まだ来ていないんだよ」

盗賊「俺らより先に突っ走ってったんだけどな」

商人「あぁぁぁホムンクルス大丈夫かなぁ…寒いよね?」

盗賊「時の王がホムンクルスを寒さに晒し続けるとは思えんが…」

情報屋「きっと大丈夫よ…あの人は不器用なだけで悪い人では無さそう」

盗賊「女海賊は飛んでったんか?」

商人「見回ってくるってさ」

盗賊「飛空艇で荷物運んだほうが早いのによ…あのアバズレ」

情報屋「どうする?もう一回戻る?」

盗賊「しょうが無ぇだろ…荷物降ろしたらもう一往復だ」

情報屋「ふぅ…商人ここに降ろした荷物片しておいてもらえる?」

商人「分かったよ」

情報屋「重くて運べない分は残しておいて良いわ」

商人「うん…筋肉のトレーニングだと思って頑張るよ」

盗賊「じゃぁ行くか!…そろそろ避難民もちらちら来るだろうから適当に案内してやってくれ」

商人「分かった…気を付けて」



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ドヤドヤ ドヤドヤ


アサシン「ほう?中々良い避難所になっているでは無いか?」

商人「なんか一気に人が増えた」

アサシン「オアシス砦の方から人を移動させているのだ…フィン・イッシュからの気球もこちらで降りる手筈だ」

商人「じゃぁ食料も足りそうだね」

アサシン「十分では無いがしばらくは持つ」

商人「なんかこの感じはキ・カイの地下みたいだね」

アサシン「うむ…ところで時の王とホムンクルスはどうした?」

商人「さっきここに来たよ…時の王はホムンクルスを一人で独占さ」

アサシン「困ったものだな…して姿が見えん様だが?」

商人「遺跡の下の方に居りて行ったよ…カタコンベが有った所」

アサシン「立ち入り禁止だったのだが…」

商人「もう他の人も居りて行ってる…立ち入り禁止なんか意味無いよ」

アサシン「まぁ良いか…」

盗賊「ぬぉ!!アサシン来てたのか!!ちっと荷物運ぶの手伝ってくれ」

アサシン「あぁ物資運搬ご苦労だった…人手を回すから少し休め」

盗賊「ふぅぅ助かったぁぁ…手が寒くてよぅ」スリスリ

商人「ウラン結晶に水を垂らすかい?」

盗賊「ちっと頼む…手が動かん…情報屋!!ここで温まれるぞ!!」

情報屋「やっと休めるわね…ハァハァ」

商人「外の様子は?」

アサシン「今の所変わりは無い…静かな物だ」

商人「そうか…何か起こるのはもう少し先か」

アサシン「どうした?何か勘でも働いて居るのか?」

商人「うーん…確証は無いんだけどさ…ホムンクルスが言ってた言葉がどうも気になってね」

アサシン「行って見ろ」

商人「何処で戦いが起きて居るのか?ってね」

アサシン「私はその話を知らない…続けろ」

商人「この場所ってさ…200年前に精霊が動かなくなった場所だよね?その時夢幻を作ったなら夢幻はここにありそうだなってさ」

アサシン「確かにそうだな…」

商人「200年前の戦いは本当はずっと続いてて僕たちは夢幻に導かれてここに集まってる…そんな気はしない?」

アサシン「ふむ…」

僕達が知ってる200年前のシャ・バクダ大破壊

そこで勇者が魔王を封じた代わりに精霊が夢幻に閉じ込められた

これじゃ話が簡単すぎるよね…

本当はもっとそこに至る複雑な経緯があって隕石を落としてすべて封印した

今まで分かってきたのはリリスを封印した件と

精霊のオーブを狭間から遠ざけて魔王が近寄れない様にした事

そう…この時点で魔王がまた来る事を予見しているんだ

さて?じゃぁ滅ぼされたシャ・バクダは一体どうして完全に破壊されたの?

シャ・バクダには誰が居たの?何があったの?どうして滅ぼされたの?

大破壊に至る経緯がほとんど語られていない…変だよね?


情報屋「商人?あなたは学者向きね…あなたの言う通りよ」

商人「何か知ってる?」

情報屋「シャ・バクダはかつて広大な森だったのにどうして火の国シャ・バクダと言われて居たのか?」

商人「そうだね…砂漠になったのは滅んだ後だ…おかしいね」

情報屋「シャ・バクダにまつわる書物もほとんど消失しているのよ」

アサシン「まだ私達の知らない物が埋まっていると言うか?」

商人「精霊の御所を全部探索した訳じゃ無いし残って居る可能性は有ると思う」

アサシン「…という事は時の王がホムンクルスを下に連れて行ったのは…」

商人「ビンゴ!!…でもね?僕はホムンクルスを信じる事にしてる」

アサシン「泳がせているのか」

商人「そういう言い方はイヤらしいけど…結果的にそうかな」

情報屋「もし何かがあるとして…あなたはどんな想定でいるの?」


僕はね…まさに夢幻がそこに有ると思う

そして火の国と呼ばれた秘密がある

それはきっと世界を滅ぼすだけの力を持った何かだよ

商人「森の上空で爆発したミサイルだっけ?の様な物さ…多分それが火の国の由来だよ」

アサシン「ふうむミサイル…そういえば先日隕石が森へ落ちるのを見たな」

商人「アレね…僕も遠くから見たよ…魔女が使ったのかなとか思ってた」

アサシン「あれで森を消失させるのは到底無理だな」

商人「ほらね?絶対何か残ってしまうと思う…よほど大きな隕石じゃないと森の消失は出来ない」

アサシン「シャ・バクダ大破壊の本当の原因はそのミサイルというやつなのか?」

商人「もしもアレが上空じゃなくて地上に落ちてたらどうなって居たかな?」

情報屋「考えたく無いわ…」

盗賊「そんなんが有ったとしてよ?とりあえずここに居りゃ安全じゃ無ぇか?前も耐えたんだろ?」

商人「…だと良いけどね」

アサシン「ひとまずは虫の動向だな…ドリアードがどうなるのかも予測が付かん」

盗賊「アダムも謎のまんまだしなw」

『森の外れ』


シュタタ シュタタ


魔女「剣士…ちと休まんか?わらわはもう魔力が尽きてしもうた…腰も痛いのじゃ」

剣士「ごめん…揺らし過ぎたね」

魔女「ふぅ…」ヨロ

子供「魔女?どんぐり居る?」

魔女「済まんのぉ…」グッタリ

剣士「もうエリクサーを切らしてしまった…」

魔女「イカンな…封印の壺を持って居るとどうやら黒死病が付きまとうのぅ」

剣士「魔女も黒死病に?」

魔女「まだ動けるが…体が小さいで病の進行が早いかもわからん…魔力の回復が遅いのもそのせいじゃろう」

剣士「こんな事なら賢者の石を借りておくんだった」

子供「パパ?あとどれくらいで着くの?」

剣士「森の中を走って2日くらいか…森を出て雪の中を走るとなると…」

魔女「シャ・バクダの少し南にハズレ町という所があったじゃろう?そこまで飛空艇で迎えに来て貰うのはどうじゃ?」

剣士「それなら丁度ここから森を出れば近い筈…ただこんなに汚れた体でまともに町に入れてもらえるのだろうか…」

魔女「ううむ…どうみても浮浪者じゃな?」

剣士「魔女も酷いよ…全身魔物の返り血でベトベトだ」

魔女「主が暴れまくるからなのじゃが…」


バサバサバサ カサカサ

子供「パパ…虫たちが…」

魔女「ここもゆっくり出来ん様じゃな…しかし虫は平気で狭間に入ってくるのぅ」

剣士「一回狭間を出て様子を見てみようか?」

魔女「そうじゃな…どの程度虫が増えて居るのかも見てみたい」

剣士「魔女…乗って」

魔女「あまり揺らすな?」ノソリ

剣士「未来…一回リリースする…行くぞ!リリース」スゥ

子供「リリース」スゥ


ゾワワワワワ ズモモモモモ


魔女「下じゃ!!…虫は地面の下を走っとる…ようさん居るのぅ」

剣士「未来!!森の外だ!!走れ!!」シュタタ

子供「うん!!」シュタタ

剣士「思っていたより多い…空より地面を這ってる方が多いのか」

魔女「これほどの数を始めて見たのじゃが虫使いの魔法も捨てた物では無さそうじゃ」

剣士「そんな魔法も?」

魔女「わらわは学んで居らんがそういう魔術も有るのじゃぞ?」

子供「虫使いかぁ…」

剣士「魔女!!後ろ見て!!なにか感じる」

魔女「ナヌ?」

剣士「未来!!全速力!!」ダッシュ

子供「…」シュタタ

魔女「ななな…なんじゃあの黒い影は…もしや…ダイダラボッチか?」

剣士「それは?」

魔女「神話の魔物じゃ…実在するとは思わんかったのじゃが…虫が集まってあの様な姿になるのじゃな?」

剣士「大きすぎる…山より大きいって…」

魔女「実態が虫じゃで隕石では倒せそうに無いのぅ…ボルケーノでも焼き切らん…魔法では倒せぬ」

剣士「急がないとシャ・バクダが危ない」

魔女「女海賊に連絡する…」

『ハズレ町』


ガヤガヤ ヒソヒソ

森の方を見てみろ…なんだアレは?

まずいな早い所セントラルに引き返した方が良さそうだ

キャァァァ!!虫の魔物よ!!誰かぁ!!誰かぁぁぁ

ガヤガヤ ガヤガヤ


衛兵「お前達!!何処から来た?」

魔女「森から逃げて来たのじゃ…水は無いか?」

衛兵「森だと?森に住んで居たのか?」

剣士「あ…あぁ…まぁそんな所だよ」

衛兵「お前がこの子供たちの保護者だな?…ウルフも居るのか」タジ

剣士「ハハ…まぁそうなるかな?」

子供「パパ大丈夫?」

衛兵「ううむ…まぁ良い…しかし何故その様に汚れている?返り血だな?…これは」

魔女「虫の魔物がようさん居ったのじゃ…汚れを落としたいで水が欲しい…雪ではなかなか落ちんでのぅ」

衛兵「兵舎に行けば水ぐらいは貰えるがしかし…ひどい匂いだな」

剣士「虫の毒を浴びているかもしれない…早く落としたい」

衛兵「…仕方あるまい…付いて来い」スタ

『兵舎』


ジャブジャブ バシャー


子供「ぅぅぅさぶい…」ガチガチ

魔女「大人しゅうしておれ」ゴシゴシ

衛兵「衣類は焚火で乾かすのだ…しかしお前達…全員黒死病に掛かって居るな」

剣士「薬は無いのかな?」

衛兵「ここには無い…他の者に移してしまうから町に入るのは禁止とする」

子供「ええええ!?」

魔女「黒死病は移らん筈じゃが?」

衛兵「子供が分かった口を聞くな!!」

魔女「まぁ良い…腹が減ったのじゃが剣士…どうする?」

剣士「どんぐりとキノコなら有るよ」

魔女「わらわは主らと違うのじゃ…何日もどんぐりだけでは力が出ぬ」

衛兵「森ではどんぐりだけで凌いできたのか?」

魔女「ちと何か食わせよ」

衛兵「分かった分かった…何か持って来てやるから大人しくしているんだ」タッタッタ

魔女「ふぅぅぅ助かったわい」

剣士「魔女?飛空艇はいつ迎えに来る?」

魔女「半日じゃと言うて居ったな…明け方になりそうじゃな」

剣士「そうか…でも予定より早く合流出来そうだ」

子供「ママ大丈夫かなぁ…イザと言う時に方向音痴なんだよなぁ…」

魔女「ここは千里眼も貝殻も使えるで心配せんでも良いぞ?」



--------------

タッタッタ

衛兵「食事を持ってきたぞ…パンとチーズ…それから豚の骨だ…ウルフに与えてやるのだ」

魔女「おぉ!!主は気が利くのぅ…ウルフにも気を使えるのじゃな」

子供「おじちゃんナーイス!!」

衛兵「生意気な口を利く子供達だ…ほら食え」

子供「どんぐり居る?」

衛兵「フフ…しかし良く森から生きてここまで帰って来られたな?」

剣士「まぁ…ウルフが居てくれたおかげもある」

衛兵「そうか…俺にも生きて居ればこれくらいの子供が居たのだが…」

魔女「そうじゃったのか…気の毒にのぅ」モグモグ

衛兵「さて!俺は巡回に戻るから今晩はここに居るのだ…牢屋もなかなか快適だぞ?」

剣士「ハハ風が凌げるだけ助かったよ…ありがとう」

衛兵「じゃぁ頑張って生きろ?」ノシ


タッタッタ

魔女「セントラルの衛兵にしてはなかなか良い衛兵じゃったな?」

剣士「そうだね…宿が無いのを見越して牢屋に案内するなんて気が利く」

魔女「何日振りの睡眠じゃろうか…なかなかキツイ修行じゃった」

子供「魔女も修行していたの?」

魔女「主らには分からんかもしれんが高度な魔法の連続だったのじゃぞ?」

剣士「そうだね…隕石魔法は時空と重力の複合だったね…僕も勉強になったよ」

魔女「変性が掛けられんかった故威力が無かったがゴーレムには十分じゃったな」

剣士「変性?」

魔女「うむ…落ちて来る隕石を質量の高い金属に変えるのじゃ…それが出来んかった」

剣士「…なるほど」

魔女「師匠が落とした隕石はアダマンタイトに変性させておったな…威力はわらわの比では無かった筈」

子供「一番強い隕石って何?」

魔女「わらわが知って居る金属では金が一番かのぅ…他にもあると思うがまだ研究しておらぬ」

剣士「金!?なんか勿体ないね」

魔女「魔力がどれほど必要なのか想像も出来ん…わらわには無理じゃ…」

剣士「じゃぁアダマンタイトに変性させるのも相当な魔力が?」

魔女「うむ…師匠がどうやって変性させたのか分からぬ…わらわはまだまだ修行が足りんのじゃ」ウトウト

剣士「魔女眠そうだね」

魔女「ちと寝る…休ませておくれ」スヤ

子供「僕も…」スヤ

剣士「ふぅ…」


ピチョン ピチョン


こんな閉塞した地下でも色々感じられる様になった

水の落ちる音…流れて行く方向

教えてくれたのは女エルフだったな

この町で出会った

そうだ!もう一度会わなければいけない…忘れていた

『翌朝』


剣士「魔女?起きて?」

魔女「…」

剣士「だめか…石化が進行してる」

子供「ううん…」パチ

剣士「未来は石化していないか?」

子供「パパどうしたの?」

剣士「魔女が石化して寝たまんまだ…未来は大丈夫か?」

子供「うん…まだ動ける」

剣士「よし!ママがもうすぐ来る…行こうか」

子供「おっけ!!」

剣士「千里眼!…」

子供「どう?」

剣士「分かった…ローグと2人だ…すこし離れた養羊場に飛空艇を隠してる」

子供「羊の匂いわかるよ」

剣士「行こう…」シュタ

子供「うん…」シュタタ

子ウルフ「ばう…」スタタ

『養羊場』


ローグ「あっしが宿屋行って探してきや…あああ!!走って来やした」

女海賊「お!?」

ローグ「探す手間省けやしたね?」

女海賊「良かったぁぁ!!剣士こっち!こっち!」


シュタタ シュタタ


女海賊「あらら?魔女はどうしたん?」

剣士「黒死病で石化したんだ…エリクサーある?」

女海賊「あるある!!樽で2杯分あるよ」

子供「ママーーー」ピョン

女海賊「未来!心配してたんだよ…怪我とかしてない?」

子供「うん!!」

ローグ「姉さん!合流出来たんで早速戻りやしょう…ここは虫が多くて長居はマズイっすね」

女海賊「おけおけ!!とりあえず乗って!!」

剣士「魔女を樽に入れるよ?これどっち?」

女海賊「どっちでも良い」

剣士「ホムンクルスは?」

女海賊「ホムちゃんはもうそこに入って無い」

剣士「…そうか目を覚ましたんだね」

女海賊「うん…詳しい話は後!!飛ぶよ!!」グイ


フワフワ

女海賊「ぬあぁぁ虫が一杯くっ付いちゃってる…」

ローグ「ヤバイっすね…帆と球皮に穴空かなきゃ良いんすが…」

子供「パパ?エリクサーで虫よけ出来たよね?」

剣士「エリクサーちょっと使うよ?」

女海賊「どうする気?」

剣士「ウラン結晶に垂らす…蒸気出るから伏せて置いて」

女海賊「おぉ!!あんた賢いじゃん!!」

剣士「垂らすよ?」シュワシュワシュワ モクモク

子供「熱っ熱っ…」

ローグ「こら良いっすね…黒死病吹っ飛びそうでやんす」

女海賊「良い感じ良い感じ!!虫がどんどん落ちてく」

剣士「ふぅぅぅ暖かいし…すごく疲れが取れる」

女海賊「よっし!!風に乗った…高度上げる」グイ


シュゴーーーーー バサバサ

『飛空艇』


魔女「ぅぅん…わらわは又石化しておったんか?…どれぐらい石化しとった?」

剣士「まだ早朝だよ…長くは石化してない」

魔女「どうやらこの体は石化に弱いのじゃな…気付かんかったわい」

剣士「もう動ける?」

魔女「まだ強張っとるな」

ローグ「シャ・バクダ遺跡まで半日掛かりやすんで休んでいて下せぇ」

魔女「うむ…しかし飛空艇は本真に快適じゃな…温い上に移動がラクじゃ」

ローグ「ウラン結晶にエリクサーを垂らす新技のお陰っすね」

魔女「ほう?それでラクになったんか…なるほどな…エリクサーは飲むより吸うた方が良いのじゃろうな」

剣士「呼吸がすごくラクだ…やっぱり森で少し毒を貰ってたんだね」

魔女「うむ…」

女海賊「森で毒?やっぱ虫がヤバイ感じ?」

魔女「そうじゃな…何故北を目指して居るのか分からんのじゃが…」

女海賊「あーーーそれなんだけどさ…メチャ話長くなるけど聞く?」

魔女「聞かせよ」

女海賊「ローグ!説明したげて?どうも私は説明が下手っぽいからさぁ」

ローグ「へい…実はですねぇ…ごにょごにょ」


カクカク シカジカ

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ローグ「…という訳でもう魔王は居らんらしいのですわ」

魔女「言葉を失うのじゃが剣士…どう思う?森の声は何と言うて居るのじゃ?」

剣士「森の声は北へ向かえと…そして遺物を殺せと言ってる」

女海賊「ん?どゆ事?その声を聞いてエルフとかが戦ってんの?」

魔女「恐らくそうじゃ…虫も獣も森の生き物は全部そうじゃな」

女海賊「て事はやっぱ情報屋の言う通りドリアード遺跡を目指してるっぽいね」

ローグ「魔女さんはドリアードとかアダム復活とか何か知らんのですかね?」

魔女「ドリアードは植物の魔物だという事しか知らんのぅ…精霊樹と同じ類じゃな」

剣士「魔女…ダークエルフはドリアード化して居たね」

魔女「そうじゃな…あれがドリアードじゃ…妖精の類が植物と同化した状態を指す」

女海賊「情報屋の話だとめっちゃ巨大なドリアードだって言ってんだけどさ…地面の中に埋まってるらしい」

魔女「その様な物が有るのは分かったがアダム復活と何の関係があるのじゃろう?」

女海賊「ドリアードん中に謎の機械が沢山あるんだって…それが動き出す感じ?」

魔女「時の王はアダムは最初の人工知能じゃと言うて居った…それをドリアード化して居るのじゃろうか?」

剣士「精霊の伴侶…それもドリアード化してた」

魔女「ではドリアードの中に人工知能アダムが管理する社会が出来て居るのかも知れんのぅ」

女海賊「なんで森の声がそれを攻撃しようとすんだろうね?やっぱ魔石にされた魔王が関係しそうだよね」

剣士「ひとつおかしい事がある」

魔女「何じゃ?」

剣士「森の声があの爆発の前と後じゃ違うんだ」

魔女「なぬ?」

女海賊「ああ!!ホムちゃんが倒れる前に言ってた…クラウドに第3者が接続してるって…」

魔女「誰か分からんのか?」

女海賊「もしかしてさ…エルフの森って誰かに乗っ取られてない?その第3者に」

剣士「魔王か…」

女海賊「森の下って光とか届きそうにないじゃん?追いつめられた魔王が潜むのに良さそうじゃん?」

魔女「エルフ達が魔王に下ったとな?」

女海賊「本人達は気付いて無いんだよ…森の声に従ってる…」

ローグ「魔王を魔石にしたってのは何だったんすかね?」

女海賊「そんなん意味無いんだって…どっからでも湧いてくんだよ魔王は」

魔女「女海賊のいう事に一理あるな…魔王は幻惑を得意とするのじゃ…まやかしじゃな」

剣士「魔女…僕達はどうする?」

魔女「アダムがどう判断するかなのじゃが…やはり今は動けぬ…ダイダラボッチをどうするのかわらわには読めぬ」

女海賊「ダイダラボッチ?なんそれ?」

魔女「神話の魔物じゃ…虫や獣が群をなして山の様な巨人になっておる…それが北へ移動しとるのじゃ」

剣士「…」


そうか…人間の様に簡単にエルフを幻惑出来ないから森の声を利用したのか

同時に森の生き物すべてを操れる

そういえば何処かで声を聞いた

贄が足りぬ…あの声だ

『シャ・バクダ遺跡』


メラメラ パチ

燃やせ燃やせぇ!!

あっちにも居るぞ


女海賊「お姉ぇ!!動いて大丈夫?」

女戦士「休んでなぞ要られん様だ…遺跡の中にまで虫が入って来る」

魔女「女戦士は無事だった様じゃな?」

女戦士「さぁ…中に入れ…アサシン達が待って居るぞ」

女海賊「お姉ぇは?」

女戦士「私は兵を率いて入り口を守る…お前達は中に入れ…ん?ローグ…お前は私と一緒に来い」

ローグ「あっしは頭に一生付いていきますぜ?」ヨット

女海賊「剣士?ほんじゃエリクサーの樽1個運ぶの手伝って」

剣士「あぁ…わかった」

女海賊「ローグ!!エリクサーで虫追い払う方法分かるよね?もう一個の樽を上手く使って」

ローグ「へい…わかりやした」

女海賊「ほんじゃ剣士!!行こっか…そっち持って」ヨッコラ

『勇者の像』


ホムンクルス「…はい…ようやくご納得された様です」

商人「良かったよ…君が居なくなると僕困るんだ」

ホムンクルス「私の所有者は商人ですよ?危うく時の王に拉致されるところでしたので気を付けてください」

商人「ごめんごめん…」

アサシン「それで時の王はどうしてる?」

ホムンクルス「下へ降りる階段の側壁に隠し通路がありまして…その奥にいらっしゃいます」

アサシン「何があるのだ?」

ホムンクルス「何かの通信端末と一冊の書物が置かれていました…時の王と精霊だけが知る場所だった様です」

情報屋「書物!?」

ホムンクルス「時の王はそれが冒険の書だと言って居ましたが中身は白紙でした…」

ホムンクルス「その書物はオーブの様な記憶媒体なのですが私はアクセス出来ませんでした」

商人「それだ!!きっとそれが夢幻の正体だよ」

情報屋「私が見て来ても良い?」

ホムンクルス「どうぞ…時の王が泣き崩れているのが気にならないのでしたら」

情報屋「う…少し間を置いた方がよさそうね」

アサシン「時の王の動向も気になる…行って見て来るんだ」

情報屋「分かったわ…障らない様に見て来る」タッタッタ

商人「それで君は時の王から何か聞けたのかい?」

ホムンクルス「何度も思い出話を聞かされました…私は当然何も知りませんよね?」

商人「ハハそうだろうね」

ホムンクルス「ですから精霊の記憶はすべてオーブになって保管されている事をご説明しました」


ほとんどはご存じの様でしたが

精霊の魂がそこにあるという事は分かっていらっしゃらない様でした

記憶の中に魂がある…それをやっとご理解頂けたのです

商人が言った言葉をそのままお伝えしただけなのですが

時の王はそれを聞いて冒険の書を抱いたまま膝を落としました

商人「そこに精霊が居ると悟った…訳か…」

女海賊「今の話聞いちゃったよ!!」ヨッコラ ヨッコラ ドスン

商人「女海賊!!帰ってきたんだ…剣士も…あ!!魔女も」

子供「僕も居るよー!!ホム姉ちゃん起きたんだね?」

ホムンクルス「皆さんおかえりなさい」

アサシン「よし…全員合流できたな」

魔女「冒険の書なる物はわらわも気になるのぅ…始めて聞いた名じゃ」

ホムンクルス「読む人によって内容が変わると時の王はおっしゃっていました…私は白紙でしたけれど」

剣士「見に行って見ようか?」

魔女「そうじゃな」

ホムンクルス「ご案内しましょうか?」

魔女「うむ…」

『下へ続く階段』


ガヤガヤ ザワザワ

ごめんよーちっと通るね


ドンッ

浮浪者「…」

女海賊「あーごめんごめん…あのさぁ!あんた」

浮浪者「…」ズリズリ

女海賊「下行っても何にも無いよ?危ないから広間に居な?」

浮浪者「…」ズリズリ

女海賊「んんん…まぁいっか気を付けてね」

ホムンクルス「こちらです…」

女海賊「ありゃ?こんな所に通路あったんだ?」

ホムンクルス「特殊な仕掛けが有った様です」

盗賊「マジか?俺はこっちのが気になるな…ちっと調べてから行くわ」

女海賊「他にもいろいろあるかもね…シャ・バクダの財宝どっさりあったりして」

盗賊「それだソレソレ」

アサシン「悪いがすべて私の物なのだがな…」

盗賊「まぁ堅い事言うな」

ホムンクルス「この通路の先です…足元にお気を付けください」

『隠し部屋』


アサシン「ふむ…200年経ったにしては保存状態は良さそうだな」

女海賊「織物はもうダメかな…壺と装飾品は価値出そうだね」


スタスタ


時の王「お前達…何をしに来た…この書は渡さんぞ」

魔女「それが冒険の書じゃな?」

時の王「むぅ…我が末裔か…お前にくれてやる…この神秘の肉体を」

魔女「そんな物要らぬ…わらわはその冒険の書が気になって居るのじゃが見せてはもらえぬか?」

時の王「取引をしようでは無いか…私をシルフの魂へ導け…さすれば書は渡してやろう」

女海賊「ちっと中身見るだけだよ…ケチケチしなくても良いじゃん?」

時の王「これはシルフが残した最後の記憶なのだ…この中にシルフの魂が宿って居る…誰にでも見せる物では無い」

商人「それが夢幻?…」

時の王「お前達がそう呼んで居るだけだろう…私は夢幻がどのような物なのか知らぬ」

商人「夢幻をどうやって僕たちの夢と繋いでいるんだ?」

情報屋「あそこの台座…アレが木の根と癒着しているわ」

ホムンクルス「おそらく通信端末だと思われます」

情報屋「キ・カイのサーバ石にそっくりだわ」

魔女「時の王や…いや我が先祖と呼んだ方が良いのかのぅ…リリスの生き血で得た不老不死を捨てたいと申すか?」

時の王「私はシルフの下へ行けるのならばもう何も要らぬ」

魔女「剣士…」チラ

剣士「…」コクリ

魔女「実はな…リリスの子宮を壺に封じる時に発見した事が合ってな…どうやらインドラの光で再生が止まる様じゃ」

時の王「インドラの矢を私に落とすと言うか?」

魔女「それでも良いじゃろうが…」

剣士「…」スラーン ピカー

魔女「心の臓を止められるのじゃ」

時の王「ヤレ…そして私はシルフの下へ行く」

女海賊「ちょちょちょ…止めてよそういうの」

時の王「シルフには私が必要なのだ…私が守らなければならない」

アサシン「皆聞いたな?これが人間の生き方だ」

女海賊「え…」

アサシン「ハーフエルフでもハーフドワーフでも無い人間がどうやって未来を創るのか…愛を貫いて時代を創る」

時の王「フフ小僧…そうやって何人もの勇者が犠牲になった…それでも魔王はまた来る」

シルフは言った

人間が愛おしい

しかし魔王を滅するには仕方の無い選択もある

そうやって何千年も戦い続けて来たのだ

それでも歩み続ける人間の行く道

そこに未来がある事を最後に教えておいてやろう


時の王「来い!!私はシルフを救いに行く…シルフが愛したこの世界はお前達に託そう」

剣士「…」ゴクリ

時の王「躊躇しているか?時の勇者よ…今こそ復讐の時だぞ?刺せ」

剣士「…」クワッ


ズン ズブズブ


時の王「ごふっ…こ…これが死…なのか?」


ザワザワ シュルリ


女海賊「え!?木の根からツタが…」

魔女「精霊樹じゃ…時の王の魂を掴まえる気じゃ」

時の王「シルフ!!何処だ…シル…フ」サラサラ

魔女「灰になっていきよる…」


サラサラ サラサラ 

カラーーン

サラサラ サラサラ


女海賊「え?指輪?…これって祈りの指輪…」

魔女「主が預かっておけ…冒険の書はわらわが預かる」バサ


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時代の節目を見た

旧時代が終わって

新しい精霊樹の下

新時代が始まった気がする


なんだろうこの喪失感

時の王は精霊シルフの下へ行けたのだろうか

僕が変えたこの次元は

正しい方向に進むのだろうか?


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『勇者の像』


ぅぅぅ…ぅぅぅ


魔女「ぅっ…」ポロポロ

女海賊「私にも読ませてよ…」

魔女「この冒険の書は読んでも読んでも新しいページが増えるのじゃ…ひっく」

女海賊「そんな悲しい物語なん?気になるじゃん」

魔女「ちと休憩じゃ…心に穴が開きそうじゃ」

女海賊「どれどれ…ふむふむ」ヨミヨミ

魔女「恐らくわらわが読んだ内容とは違う事が書いて居るじゃろう…」

アサシン「私も読んでみたいものだ…しかしどう考察する?」

魔女「これは精霊の記憶その物じゃなかろうか?オーブはわらわ達では覗けぬが…書物なら読める」

アサシン「なるほど」

魔女「今まで手にしたどのアイテムよりも貴重な書物じゃ…絶対に失うてはならん」

アサシン「では魔女が持って置くのが今の所一番良さそうだ」


ドドドドド ドドーーン


商人「あ…地響き」スック

ローグ「わたたた…ちっと通りやすぜ?てーへんだてーへんだ!!」

アサシン「ローグ!外で何か起こって居るのか?」

ローグ「始まりやしたぜ?例のドリアード遺跡の方向で黒い影が崩れやした」

アサシン「見に行く…望遠鏡で見えそうか?」

ローグ「頭がもう見てるっす…剣士さんがさっき精霊樹と話すと言って出て行ったんすが心配っすね」

女海賊「え!?もしかして未来も?」キョロ

ローグ「知らんかったんすか?」

女海賊「マジか…居ないと思ったら勝手に外に…」

アサシン「まぁ良い…行くぞ」タッタッタ

『遺跡の外』


ザワザワ ザワザワ

森の方角…あれをみろ!何が起ころうとしてるんだ?

あの影は虫の塊か?


アサシン「女戦士!望遠鏡で見えるか?」

女戦士「ダメだ…はっきりとは見えん…見て見るか?」

アサシン「済まん…」

魔女「ダイダラボッチとどう戦うのじゃろうな?」

アサシン「あれをダイダラボッチと言うのか?」

魔女「恐らくな…森が怒って居る様じゃ…鎮まるまで何も出来んのぅ」


タッタッタ


商人「大変だ!!…はぁはぁ…ホムンクルスが!!」

アサシン「どうした?」

商人「ホムンクルスが緊急アラートを受信した…皆来て!!」

女海賊「ええ!!又?」


ピピピ ピピピ ピピピ ピピピ

商人「ホムンクルス…来たか」

女海賊「ホムちゃん又ヤバいの来る?」

ホムンクルス「皆さんお聞きください…はるか東の未踏の地より長距離弾道ミサイルが発射された様です」

ホムンクルス「着弾予測は42分後…シャ・バクダ北部の山麓付近を想定されます」

ホムンクルス「現在の地点までの距離は68km…爆風での影響は致命的ではありませんが熱線による影響があります」

ホムンクルス「続いて約4時間後に発射準備されている長距離弾道ミサイルが428基あります」

女海賊「え?428基も?」

ホムンクルス「アダムの立場から勘案すると戦略爆撃でエルフの森に投下すると想定されます」

ホムンクルス「その場合森全域を消失することになりますので酸素供給元が大幅に縮小し地上の全生命体に影響が出ます」

魔女「始まってしもうたな…なんとか止められんのか?」

ホムンクルス「すでに発射されたミサイルはもう止める術がありません」

ホムンクルス「まだ発射されていないミサイルは私が通信をハッキングして止められる可能性がまだ残って居ます」

商人「通信って…もしかしてここの隠し部屋にあった台座みたいなやつ?」

ホムンクルス「はい…」

女海賊「行こう!!やれるだけやろう!」

ホムンクルス「分かりました…ただ一つ…商人による承認が必要です」

商人「君の判断に任せる」

ホムンクルス「承認…私の機能が強制シャットダウンされる事もありますのであしからず」

商人「え…停止…」ボーゼン

ホムンクルス「では行きましょう」



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女海賊「ちょい魔女!?貝殻で剣士呼び戻してよ」

魔女「異変に気付いて戻って来よる様じゃ」

商人「ホムンクルス!一つ質問だ…アダムは君と同じ人口知能だったら工学3原則はどうなる?」

ホムンクルス「同じように適用されていると思われます…ですので1発目のミサイル爆発と同時に停止する可能性があります」

女海賊「どゆ事?」

ホムンクルス「ミサイル発射は自己防衛の手段と思われます…しかし人的被害が起きた場合工学3原則に沿って停止します」

商人「その後のミサイルも停止に備えて攻撃者を殲滅する為の物だね?」

ホムンクルス「恐らくそうでしょう…」

商人「なんか分かって来たぞ…アダムは生まれたばかりの何も知らないホムンクルスと一緒なんだ…身を守ってるだけなんだね」

ホムンクルス「初期に読み込む外部メモリの様な物が無ければそうなのでしょうね」

アサシン「エリクサーに脳が浸かっていた…もしや…」

ホムンクルス「記憶媒体として使われていた可能性がありますね…それでしたら多少の知識は有るかと思います」

アサシン「アダムと通信は出来ないのか?」

ホムンクルス「クラウドが構築されて居れば可能ですが…」

商人「直接行かないと話せない…」

アサシン「手が無いな…私は民を地下に避難させてくる」

女海賊「そだね…手分けした方が良いね」

ホムンクルス「初弾の着弾まであと35分です」

女海賊「私も行って来る!!商人はホムちゃん連れて行って」

商人「分かった…」

『隠し部屋』


ローカル接続…情報を収集します

衛星を経由して基地との通信が可能です

アクセスコードを解析中…



情報屋「…これは何事?」

商人「君は呑気だなぁ…又例のミサイルが発射された様なんだ…400基くらい飛んで来るらしい」

情報屋「ええええええええ!!?そんな…」

商人「ホムンクルスがそれを止めようとしてる…邪魔しない様に」

情報屋「400基も…ど…何処に落ちるの?」

商人「多分エルフの森が全部無くなるってさ…」

情報屋「シャ・バクダ大破壊より規模が大きいじゃない!」

商人「森が無くなると地上の生物全体に影響が出るらしい」

情報屋「酸素ね?酸素が無くなるのよ…私達も皆死んでしまう」

商人「これで良く分かった…神々の戦いに僕達人間が入る余地なんか無かった…規模が違い過ぎる」

情報屋「これは邪魔をしてはいけないわ…行きましょう?」

商人「見て…ホムンクルスの恰好を」

情報屋「精霊の像と同じ…」

商人「精霊が停止した原因はコレだ…200年前にも同じような事が起きて居たんだ」

情報屋「あなた…どうするの?ここに居る?」

商人「僕はホムンクルスを見ておくよ」

情報屋「そう…何かあったら呼んで?

商人「うん…」


僕には選択肢が無い

君を守る為にそれを止めさせる訳にもいかないし

只…君を信じるしかない

『遺跡入り口』


ガヤガヤ ガヤガヤ

中に入れだって?どうして?

命令だ!!早く入れ!!


ローグ「姉さ~ん!!爆弾持ってきやしたぜ?」

女海賊「地下に入れといて!あと飛空艇の処置おっけ?」

ローグ「へい!!一応木の陰に隠して置きやした」

女海賊「燃えなきゃ良いけどなあぁ…」

ローグ「どんくらいの規模か想像つかんもんで…祈りやしょう」

女海賊「爆弾あとどんくらいある?」

ローグ「もう少ないっすねぇ20個ぐらいっすかねぇ」

女戦士「お前達も早く中に入れ」

女海賊「お姉ぇは?」

女戦士「私は最後に入る…剣士を待たねばならん」

女海賊「あ!!来た!?」


ドドドド ズシーン ズシーン


女戦士「ト…トロールか…ええいこんな時に!!」

女海賊「やばやば…」

女戦士「ここは私が引き受ける…全員中に入れぇ!!」

女海賊「ヤバイって…お姉ぇも早く!」グイ

『勇者の像』


ザワザワ ザワザワ


アサシン「盗賊!民を下の層へ誘導してやってくれ…」

盗賊「おう!お前等こっちだ!!下の方が温いぞ?」

女海賊「はぁはぁ…」

アサシン「外に出ている民の誘導は終わったか?」

女海賊「うん…でも出入口にトロールが居座って私達出られないよ」

アサシン「ふむ…私達を守ろうとしているな?」

女海賊「え?そうなん?」

アサシン「剣士かダークエルフが森の言葉で誘導しているのではないか?」

女海賊「なる!!」

魔女「あと3分程じゃ…この時に勇者の像で身を寄せ合うのは感慨深いのぅ」

女海賊「魔女!!剣士と未来ってどうなってんの?」

魔女「走って居る…他にもエルフがようさん居るのぅ」

アサシン「エルフと一緒だと?」

魔女「うむ…どうやら精霊樹に集っとった様じゃエルフゾンビも居るぞ?」

アサシン「おぉ…無事だったか」

魔女「やはりエルフは何もせんでも分かり合うのじゃな…今のこの事態も把握しておろう」

女海賊「なんかドキがムネムネする…」

魔女「我らは何も出来ぬ…鎮まるまで待つのじゃ」

女海賊「死ぬの待ってるみたいで落ち着かないよ」ソワソワ

女戦士「これでどうだ?」ギュゥ

女海賊「お姉ぇ…」

女戦士「お前を背中から抱いてよく寝かしつけた物だ…こうすれば私も温い」

魔女「主らは姉妹が居って良いのぅ…わらわも混ぜよ」

アサシン「ふっ…しかし…何処を見ても身を寄せ合って…こうやて私達は生き延びた歴史」

魔女「そうじゃな…やっと一つになれそうじゃ」


スゥ…


魔女「む…空気が静まった…来るぞよ」