〜宿屋〜
デボラ「ねぇ、お腹空いたから朝ごはん作ってよね」
主人公「ん… ? ね…眠い… まだ朝の5時じゃないか…」
デボラ「仕方ないでしょ。私の目が覚めちゃったんだから」
主人公「昨日は夜中まで歩き通しだったんだ… 頼むからもう少し寝かせてくれ…」
デボラ「あら? 私だって同じでしょ?」
主人公「…デボラは馬車で寝てただけだろ…」
デボラ「とにかく! お腹すいたんだから早くご飯作りなさいよね!」
主人公「……」
デボラ「あんた結婚式の時に『汝は眠い時も疲れた時も妻にご飯を作ることを誓いますか?』言われて『はい』って答えてたでしょ?」
主人公「…そんな事誓った覚えは無いかと…」
デボラ「そんなに眠いなら私が一発気合いを入れてあげようか? この魔人の金槌で」
主人公「ひぃ〜っ! 分かりました! 作ります! ご飯作りますから!」
デボラ「最初っからそう言えばいいのよ。あ、目玉焼きの黄身は半熟にしてね」
主人公「…はい」
デボラ「ちょっと! 目玉焼きは半熟って言ったでしょ! 中まで固くなってるじゃない!」
主人公「この宿屋のコンロは火力調整が難しくて…」
デボラ「私、黄身がパサパサの目玉焼きって嫌いなのよ。作り直しなさい」
主人公「…でも、それが最後の1個で、もう卵が…」
デボラ「じゃあ買ってくればいいじゃない」
主人公「こんな朝早くからやってる店は無いかと…」
デボラ「店主を叩き起して買ってくればいいでしょ! いちいち私に聞かないで少しは自分の頭で考えなさいよ!」
主人公「うぅ… 分かりました…」
主人公「一体なぜこんな事になってしまったんだ… これじゃあ奴隷やってた頃の方がまだマシだ…」
主人公「離婚したいなんて言ったら、逆ギレされて殺されかねない… いったいどうすれば…」
主人公「そうだ! いい事を思いついたぞ」
〜妖精の城〜
妖精人「この絵は心をうつし出す不思議な絵。あなたを思い出の場所にはこんでくれるでしょう。
さあ、絵の前に立ち、心を開くのです」
主人公「よし! 戻るぞ! あの頃に戻って人生を変えるんだ!」
――
―――
――――
―――――
〜10年前 サラボナ〜
主人公「…いよいよ明日、花嫁を選ばなければならないのか… フローラとビアンカ…どっちを選べばいいんだ…」
謎の男「ちょっとそこの君、話があるんだ。聞いてくれ!」
主人公「うわっ! 誰ですかあなたは!?」
謎の男「そんな事はどうでもいい。これから君の一生を左右する重大な事を話すからよーく覚えておくんだぞ!」
主人公「は…はぁ…」
謎の男「いいか! デボラだけは選んじゃダメだ! デボラには注意しろよ! 忘れるなよ! デボラだ! デボラだぞ!
お前はデボラを選ぶが、それはダメだ、デボラには気をつけるんだ!」
主人公「はぁ… でも、僕は明日フローラかビアンカを選ばなくてはならないんですが…」
謎の男「いや! お前は絶対デボラを選ぶんだ! だから忠告しに来たんだ! デボラだけは… うっ!」ゴホゴホ
主人公「だ…大丈夫ですか!?」
謎の男「…どうやら日頃の疲労とストレスのせいで、転移した時に身体にダメージを受けてしまったようだ…」
主人公「は…はぁ? 転移?」
謎の男「僕はこれで戻るが、あとは任せたぞ…」
主人公「はぁ、さようなら。――って、消えた!?」
―――――
――――
―――
――
〜宿屋〜
王子「あっ! お父さんが戻ってきた!」
主人公『息子と娘の髪が金髪になってる!? …という事は、運命が変わってビアンカと結婚できたのか…!』
王女「お父さんどこ行ってたの? お母さん怒ってるよ!?」
主人公「はっはっは、大丈夫だ! ビアンカならいくら怒られたところで大したダメージは――」
デボラ「ちょっとあんた、卵買いに行くのにどこほっつき歩いたのよ! 」
主人公「な…なぜデボラが! さっきの子供達の髪色は何なんだ!?」
王子「ふぅ、やっぱりかつらって暑いなぁ」
王女「ねぇお父さん、ブラウン(ブラウニー)の毛が伸びてきたから、刈り取ってかつらを作ってみたんだけど、金髪の私たちってどうだった? 似合う?」
主人公『やっぱり子供達は黒髪のまま… という事は…』
主人公「あの…デボラさん? あなたは僕の妻だったりしますか…?」
デボラ「当たり前でしょ! 何わけわかんない事言ってんのよ! さっきビアンカとか言ってたけど、まさか私に内緒で女と会ってたんじゃないでしょうね?」
主人公「ち…違うんだ! 誤解だ! 絶対に浮気なんかしてない!」
デボラ「じゃあ今までどこ行ってたのよ? 」
主人公「そ…それは、、その…」
デボラ「なんか怪しいわね、これはお仕置が必要かしら?」
主人公「 ま…まて!話せばわか―― ぎゃーぁぁあ!」
王子「今日もお父さんとお母さんは仲が良いねー」
王女「ほんと、毎日ラブラブだから見てるこっちが恥ずかしくなっちゃうよ」
〜その日の夜〜
主人公「いてて… ようやく動けるようになってきた… デボラのやつ全く手加減ってモノを知らないんだから…」
主人公「それにしても、過去の自分にあれだけ忠告したのに、なぜデボラと結婚したんだ? 」
主人公「……うっ! 頭の中に今まで無かった記憶が流れ込んでくる!」
――
―――
――――
―――――
〜10年前 ルドマン邸〜
ルドマン「――それでは、誰を選ぶか回答を聞かせてもらおうか」
主人公「ええっと… すみません最後に少し考えさせてください…」
主人公『うぅ… 散々悩んだが決められない! 』
主人公『そう言えば昔、父さんが「息子よ、迷った時は心を無にするのだ。そうすれば自ずと答えが現れるであろう」って言ってたな…』
主人公『心を…心を無にするんだ!』
主人公『そう言えば昨晩会った謎の男は何だったんだろう… ? 父さんの声に少し似ていたけど…』
主人公『何か、デボラがどうとか言ってたな… 眠かったし考え事してたからよく覚えてないや…』
主人公『確か… デボラが…デボラに…何だったっけ? デボラ、デボラ、デボラを選…』
ルドマン「どうかね? 誰を花嫁に選ぶか決まったかね?」
主人公「はい! デボラにします!」
―――――
――――
―――
――
主人公「そ…そうだったのか!」
主人公「心を無にしてデボラの事だけを考え続けていたから、デボラを選んでしまったのか…」
主人公「父さんのバカーっ!!」
続く
〜グランバニア城〜
デボラ「ちょっと! ふくろの中がごちゃごちゃしてきたから整理しておいてって言ったじゃない! 何でやってないのよ!?」
主人公「そ…そう言われても一応僕はこの国の王様だし、ここのところ政務で忙しくて…」
デボラ「明日から、旅行――じゃなかった、冒険に出発するんでしょ? 」
主人公『今、冒険のことを旅行って言ったぞ… いつも僕は最前列で死ぬ思いをしているのに…』
デボラ「いいから、いらないものは捨てて、さっさと整理整頓しなさい!」
主人公「…はい」
主人公『認めるのは悔しいが、確かにふくろの中に物がたくさん詰め込んであるな…』
デボラ「何? この古くて汚いリボンは? 捨てなさいよ」
主人公「その(ビアンカの)リボンを捨てるなんてとんでもない…!」
デボラ「じゃあこっちのボロボロで傷だらけの剣なんていらないでしょ?」
主人公「その(パパスの)剣を捨てるなんてとんでもない…!」
デボラ「ゴミばかり取っておくんじゃないわよ! 断捨離ができない男は嫌われるわよ!」
主人公「預かり所に預けてくるから、どうか捨てないで〜!」
デボラ「仕方ないわね、さっさと行ってきなさい」
主人公「はい! すぐ行きます! 」
〜預かり所〜
主人公「えーと、コレとアレとソレも預けて…」
主人公「これはフック付きロープか、これももう要らないな…」
主人公「…待てよ! これを使えば… 今すぐルーラだ!」
〜妖精の城〜
妖精人「この絵は心をうつし出す不思議な絵。あなたを思い出の場所に――、ってまたあなたですか!? 」
主人公「 この前は失敗したけど、今度こそ… 運命を変えてみせる!」
――
―――
――――
―――――
〜10年前 サラボナ〜
主人公「…いよいよ花嫁を選ぶ日になってしまった。ルドマン邸に行かなければ…」
謎の男「待つんだ!」
主人公「あ…あなたは、昨晩の! いったい何なんですか!?」
謎の男「ルドマン邸に行ってはいけない!」
主人公「なぜですか!?」
謎の男「なぜなら、お前はデボラを選ぶからだ」
主人公「…え? 僕はこれからフローラかビアンカを選ばなければならないんですけど」
謎の男「とにかく、お前はデボラを選んでしまうんだ! だからルドマン邸に行くな! 」
主人公「あっ! もうすぐ約束の時間だ! すいませんが急いでるんでどいてください!」
謎の男「ダメだ!」
主人公「手荒なことはしたくないけど… どかないと力ずくで通りますよ!」
謎の男「無駄なことはやめておけ」
主人公「これ以上邪魔をするなら容赦しませんよ!」
主人公 の こうげき!
謎の男は ひらりと みをかわした!
謎の男「だから言っただろ、君の実力では僕を倒すことはできない」
主人公「くそっ! もう一度!」
主人公 の こうげき!
謎の男 に ダメージをあたえられない!
主人公「つ…強すぎる…」
謎の男「君にはしばらくここで大人しくしていてもらおうか」
謎の男 は フック付きロープを つかった!
主人公 は グルグル巻きに されてしまった!
主人公「う…動けない…!」
謎の男「ルドマン邸には代わりに僕が行こう。その後は任せたぞ」
主人公「ま…待てっ!」
〜ルドマン邸〜
ルドマン「おぉ! 待っておった…ぞ…?」
主人公「どうかしました?」
ルドマン「いや、こころなしか昨日と見た目が違うのでな…」
主人公「気のせいですよ」
ルドマン「…なんと言うか、1日で貫禄がついたと言うか、年をとったと言うか…」
主人公「『男子三日会わざれば刮目して見よ』と言いますからね」
ルドマン「そ…そうか… でもまだ1日しか経ってないぞ?」
主人公「色々苦労がありまして、老けて見えるのかも知れませんね。でもすぐにもとに戻るので心配しないでください」
ルドマン「…うむ、まぁそれならば良いのだが。して、花嫁は――」
主人公「フローラです!」
ルドマン「おぉ! そうか! 本当にフローラで良いのだな?」
主人公「はい! フローラにしようと10年間思い続けてました! もうフローラしかいません!」
ルドマン「…でも10年前にフローラの事を知っておったかのう?」
主人公「え…そ…それは! その…、昔父と旅をしていた時に会っていたような… 多分… 」
ルドマン「まあ良い。フローラもそれで良いのだな?」
フローラ「嬉しい! きっと良い妻になりますわ!」
ルドマン「よし、分かった! ではさっそく結婚式の準備に取り掛かろう!」
主人公『これでいいんだ… あとは任せたぞ! 過去の自分!』
―――――
――――
―――
――
〜グランバニア城〜
フローラ「あら? おかえりなさい。お出かけしてらしたんですか?」
主人公「これだよ! これ! 僕が待ち望んでたのはこれだ! …フローラありがとう!」
フローラ「はい? …わたくしがどうかしました?」
主人公「やっぱり君が一番可愛くて美しくて心優しい女性だ!」
フローラ「…まぁ! 嬉しい。でもそんな事を言うとデボラ姉さんに怒られてしまいますわよ?」
主人公「え…!?」
デボラ「…ちょっと、あんたさっきから何してんのよ。まさかフローラを口説いてたんじゃないでしょうね?」
主人公「あ…あの… デボラさん?」
デボラ「何よ?」
主人公「あなたはもしかして… 僕の妻だったりする可能性がございませんか?」
デボラ「あたりまえでしょ! なに急に他人行儀になってんのよ! 気持ち悪い!」
主人公「じゃあ、どうしてフローラがグランバニアに!?」
フローラ「船で近くを通りかかったので寄らせていただいたのです。みなさんお元気そうで安心いたしました」
主人公「そ…そうだったのか!?」
デボラ「ねぇ、あんた。さっきフローラになんて言ったのか答えなさい!」
フローラ「…恥ずかしくて、とてもわたしの口からは言えないような事ですわ」////
主人公「えーっとその――」
デボラ「あんた最近、城に籠って働き詰めで、陽の光に当たってないわよね?」
主人公「え…? まぁ… そうかな」
デボラ「健康的に日焼けでもしてみた方がいいんじゃない? 何なら私が手伝ってあげるわよ …ベギラゴンで!」
主人公「ま…まて、デボラ! これは誤解なんだ…! そもそもベギラゴンは健康的ではない!」
デボラ「うるさい! 逃げるな! 待て!」
〜その日の夜〜
主人公「熱かった… ようやく火傷が治ってきたな…」
主人公「でも、今回はフローラと結婚したんじゃなかったのか!? 何でまたデボラなんだ!?」
主人公「…うっ! また頭の中に記憶が流れ込んでくる!」
――
―――
――――
―――――
〜10年前 サラボナの道端〜
主人公『くそっ! 変な男にロープでグルグル巻きにされしまった! 動けない!』ジタバダ
主人公『だ…誰か! 助けてくれ!』
デボラ「…ん? あんたは確かフローラの婿でしょ? 」
主人公「た…助けて!」
デボラ「こんな所で何やってんのよ? そういう性癖でもあんの?」
主人公「違うんです! 突然ロープで縛られてしまって…」
デボラ「情けないわねー、こんなロープくらい引きちぎればいいでしょ? 」
主人公「む…無理です! 固く縛られてて…」
デボラ「ほら!」ブチッ
主人公「あ…ありがとうございます…」
主人公『なんて力強くてカッコイイ女性なんだ… 』////
〜ルドマン邸〜
ルドマン「おぉ! 戻ってきたか! 急にいなくなったから心配したぞ!」
主人公『え!? いつの間にかフローラと結婚する事になってるし!? 何でだ!』
ルドマン「では式の準備を――」
主人公『本当にこれでいいのか!? 僕は変な男に簡単に負けてしまうほど弱い存在だ… この先、旅を続けてフローラを守っていけるのか!?』
主人公『僕が本当に求めているのは、デボラさんのような強い女性じゃないのか…!』
ルドマン「…ん? 婿殿? どうかしたのかね?」
主人公「あの…ルドマンさん、大変申し訳ないのですが――」
ルドマン「――なんと!フローラとの結婚を取り止めてデボラと結婚したいと申すか!」
主人公「…はい!」
ルドマン「うーむ、しかしもう決まってしまったからのう。フローラはどうなのだ?」
フローラ「デボラ姉さんをここまで慕っていただける男性は初めてお会いしました」
ルドマン「まぁそうだが…」
フローラ「わたしからもお願いします! わたしとの結婚は取り止めて、どうかデボラ姉さんと結婚してあげてください!」
ルドマン「…そうか 。フローラがそう言うのなら仕方がない。よし!デボラとの結婚式に変更する!」
―――――
――――
―――
――
主人公「なんて事だ! 過去の自分に実力差を見せつけたせいで、フローラとの結婚を躊躇してしまったのか!?」
主人公「そしてデボラの力強さに惚れてしまったとは…」
主人公「自分のバカーっ!」
〜グランバニア城〜
デボラ「いつまで寝てんのよ! 早く起きなさいよ!」
主人公「はっ…はい! ごめんなさい! 」
デボラ「早く顔を洗ってきなさいよ、ついでに隣の部屋から私の服を持ってきてよね」
主人公『…もしかして服を取りに行くのが面倒だから自分は起こされたのか…』
デボラ「何か文句あるの?」
主人公「いえ! ありません!」
主人公「服と言ってもたくさんあるな… どれを持っていけばいいんだろう…?」
主人公「このピンクのワンピースでいいかな…」
・
・
・
デボラ「遅かったじゃない!何やってたのよ!」
主人公「ご…ごめん。でもちゃんと服を持ってきたから、ほら」
デボラ「何でピンクなんか持ってくるのよ!? 昨日もピンク系の服だったでしょ! 2日続けて同じ色の服なんて着られないじゃない!」
主人公「ごめんなさい! 違うの持ってきます!!」
・
・
・
主人公「じゃあ…この黒のドレスでいかがでしょうか…」
デボラ「黒なんて葬式じゃあるまいし、暗すぎるでしょ! 」
主人公「ごめんなさい! 違うの持ってきます!!」
・
・
・
主人公「…では、この赤のローブは?」
デボラ「今日は赤って気分じゃないし、ローブなんて年寄りみたいでしょ! 何で私が着たくない服ばっかり選んで持ってくるわけ!?」
主人公「うぅ… そんな事言われても…」
デボラ「わかったわ! 私に服を着るなって言いたいんでしょ!? 」
主人公「い…いや! そんなことはないから!」
デボラ「もういいわよ! 今日は下着姿で出歩いてやるわ! 国内外で噂になるかもしれないけど全部あんたのせいなんだからね!」
主人公「ごめんなさい、お願いだからそれだけはやめてください〜!」
主人公「うぅ… もうやだよぅ…こんな生活…」
主人公「今度こそ運命を変えてやる!」
〜妖精の城〜
妖精人「この絵は心をうつし出す不思議な――、ってまたあんた来たの!? 」
主人公「今度こそ僕は運命を変えるんだ!」
妖精人「運命ってのは初めから決まってんだから過去に戻ったって変えられないよ!? いいかげん気付きなさいよ!」
主人公「そうなのか… 何となくそんな気はしていたが…」
妖精人「あたりまえでしょ! 」
主人公「じゃあ何でデボラ以外と結婚できないのか、その理由を教えてくれ! そうすれば僕も諦めがつくんだ!」
妖精人「そんなの知らないわよ、でも世界を統治するマスタードラゴンさまなら知ってるんじゃない?」
主人公「そうか… マスタードラゴンに聞けばいいのか…」
〜天空城〜
主人公「――という事があったのですが、運命についてお尋ねしたい事がありまして…」
マスタードラゴン「ふむ、運命について知りたいというわけか」
主人公「はい、何度か過去に戻って行動してみたものの、デボラと結婚する事には変わりがなかったのです…」
マスタードラゴン「そうだな、運命というのは神が定めたものだが、変えられる部分と変えられない部分が存在する」
主人公「……?」
マスタードラゴン「例えばこの部屋から天空城の外に出るには、いくつかのルートがあるだろう?」
主人公「ええ、はい」
マスタードラゴン「どのルートを通っても最終的に城の外に出るというのは一緒であるな?」
主人公「そうですね」
マスタードラゴン「どのルートを通るかは変えられる部分。天空城の外に出るというのは変えられない部分なのだ」
主人公「すると、デボラと結婚するというのは…」
マスタードラゴン「変えられない部分であろうな」
主人公「それじゃあ何回過去に戻って行動したとしても…」
マスタードラゴン「デボラとの結婚を決意する理由やタイミングが変化するだけで、結婚するという運命は変えられない」
主人公「そ…そんな!」
マスタードラゴン「運命とはそういものなのだ」
主人公「でも何でフローラやビアンカと結婚できないんですか! やはりデボラだけが伝説の勇者の子孫だからですか!?」
マスタードラゴン「いや違う、フローラやビアンカも勇者の血を受け継いでいる」
主人公「では、どうして運命の神様はフローラやビアンカと結婚させてくれなかったのですか!?」
マスタードラゴン「恐らくは、その2人と結婚した場合は勇者が生まれてこないためであろうな」
主人公「……! どうしてですか!」
マスタードラゴン「私には運命を変える力は無いが、運命を外れた道がどうなっていたかを予見することはできる。見てみるかね?」
主人公「はい! ぜひお願いします!」
マスタードラゴン「そうだな。まずはフローラと結婚した場合を見てみようか――」
――
―――
――――
―――――
〜宿屋(結婚初夜)〜
フローラ「……」
主人公「……」
フローラ「……」
主人公「…まぁ、結婚して今日から夫婦になったわけだし… 夫婦なら子作りをしないとならないわけで…」
フローラ「…はい、覚悟はできております」
主人公「…じゃあ、さっそく」
フローラ「…あっ! 待ってください!」
主人公「どうしたの?」
フローラ「わたしの裸なんて、とてもお見せできるようなものではないので… 灯りを消してもらえますか?」
主人公「恥ずかしいの? うん、わかった…」
フローラ「…ありがとうございます」
主人公「じゃあ、ほら、ベッドに横になって… 」
フローラ「…はい」
主人公『…とは言ったものの、僕もセックスするの初めてだからな… 暗くてよく見えないけど、おま〇こってこの辺かな…?』
フローラ「…きゃっ!」
主人公「ご…ごめん! 大丈夫!?」
フローラ「…はい、そんなところを人に触られるの初めてだったので…」
主人公「そっか… じゃあ、挿れるよ…」
フローラ「…はい」
主人公『あ…あれ、なかなか入らないぞ…! もうちょい下の方かな?』
フローラ「…っ!」
主人公『は…入った! うっ! すごい締め付けだ…!…これがセックスなのか…! 』
主人公「…フローラ、大丈夫?」
フローラ「…は…はい」
フローラ『…えっ! せっくすというのは、前の方の穴を使うと思ってたのですが、おしりの穴でするものだったとは…! わたしはなんて無知だったのでしょう…!』
主人公「緊張してる? もっと力を抜いてリラックスして…」
フローラ「…はい」
主人公「…じゃあ動くよ」
フローラ「…はい、…あぁぁっ!!」
主人公「うっ… もぅ…! フローラ! 中に出すよ!」ドピュドピュ
フローラ『あぁ…! なんて気持ちいいのでしょう…! これがせっくすなのですね…!』
〜10年後 ラインハット〜
ヘンリー「お前のところはまだ子供できないのか。 夜の営みが少ないんじゃないのか〜?」
主人公「ははは… 一応それなりにはしてるんだけどね」
ヘンリー「勃たないのならいい性欲剤があるぞ、よかったら持ってけよ!」
主人公「い…いや! 大丈夫だって!」
ヘンリー「こっちは女性用の媚薬だ、マリアも時々飲むんだが、これを飲むと一晩中寝かせてもらえなくなるくらいよく効くぞ」
フローラ「まぁ! 素晴らしいものをありがとうございます!」
主人公『ほぼ毎晩してるのに… もう勘弁してよ… フローラは恥ずかしがり屋だからまだ真っ暗闇でしかセックスさせてもらえないけど…』
―――――
――――
―――
――
マスタードラゴン「――と、まぁこのような感じだな」
主人公「……」
マスタードラゴン「フローラは生涯処女のままなので、伝説の勇者は生まれてこないというわけだ」
主人公「アナルセックスしかせずに一生を終えるなんて、こんな人生嫌すぎる!」
マスタードラゴン「そなたに、もう少し性知識があれば良かったのだがな」
主人公「じゃあ、ビアンカは!? ビアンカと結婚した場合はどうなっていたのですか!?」
マスタードラゴン「では、その場合も見てみるとするか」
主人公「お願いします!」
――
―――
――――
―――――
〜宿屋(結婚初夜)〜
ビアンカ「…さて、じゃあそろそろ寝ましょうか」
主人公「そ…そうだね!」
ビアンカ「何、意識してんのよ! 夫婦なんだから、あたりまえの事をするだけでしょ!」
主人公「…それはそうだけど、こういう事をするのは初めてだから…」
ビアンカ「ふーん、そうなんだ」
主人公「ビアンカの方が年上なんだから、どうすればいいのか教えて欲しいんだけど」
ビアンカ「わ…私だって初めてなんだから、年上とか関係ないでしょ!」
主人公「じゃあどうすれば…!?」
ビアンカ「と…とりあえず服を脱ぎましょ!」
主人公「…で、裸になったけど、本当にビアンカに挿れてもいいの?」
ビアンカ「いちいちそんな事言わなくていいから! 当然でしょ! 」
主人公「…じゃあいくよ」
ビアンカ「…うん」
主人公「あ…あれ!? 入らない! 」
ビアンカ「…もうちょっと下の方」
主人公「ここ?」
ビアンカ「もぅ! …恥ずかしいからいちいち聞かないでよ!」
主人公「ご…ごめん! じゃあここでいいのかな?」
ビアンカ「ちょっと! そこは違う穴でしょ!」
主人公「ごめん! じゃあこの辺かな? ……っ! 入った!」
ビアンカ「痛っ! だーかーら!そこはお尻の穴だって言ってるでしょ!」バシッ
ビアンカは 蹴りを放った!
主人公の睾丸に 290の ダメージ!
主人公「ぬわーーーっっっ!!!」
主人公の睾丸は しんでしまった!
ビアンカ「ご…ごめんなさい! 変なとこ蹴っちゃったみたいだけど大丈夫だった?」
主人公「」
ビアンカ「あれ? もう眠っちゃった? まぁ焦る必要も無いし、続きはまた明日にしよっか! じゃあ、私も寝るね。おやすみ」
―――――
――――
―――
――
マスタードラゴン「――そしてその後は、回復魔法でも睾丸は蘇らず、種無しになってしまったというわけだな」
主人公「見てるだけでも痛い…!こんなの嫌すぎる…」
マスタードラゴン「ドラゴンである私が言うのもアレだが、いくら童貞とはいえ、間違えすぎだと思うぞ」
主人公「……うぅ」
マスタードラゴン「普通は年頃になれば、異性に興味を持って自分から知ろうとするものではないのか?」
主人公「…奴隷やっててそんな余裕は無かったから…」
マスタードラゴン「いや、ヘンリーは普通にセックスしているからな、お主の性格の問題だと思うぞ」
主人公「…そうだったのか、そう言えばヘンリーはオラクルベリーでエッチな本を買ったり娼館に行ったりしてたな」
マスタードラゴン「そなたも本を見たり娼館に行ったりしなかったのか?」
主人公「父さんから『エロい事は悪い事だ』と教えられてきたせいで、そういうのは一切軽蔑してたから…」
マスタードラゴン「そんなんで結婚するとは呆れたやつだな。いや、むしろ真面目すぎと言うべきか…」
主人公「父さんのばかーっ!」
マスタードラゴン「ところで、デボラとの結婚初夜は一体どうしたのだ?」
主人公「えっ! そ…それは…」
マスタードラゴン「子供がいるということは、上手くできたという事だな? 」
主人公「ええ…まぁ…」
マスタードラゴン「私は過去を見通すこともできる。興味が湧いたから見てみるとするか」
主人公「…ちょっと!やめてー! 勝手に見ないでー!」
――
―――
――――
―――――
〜宿屋(結婚初夜)〜
デボラ「さーて、夜になってきたし、そろそろヤるわよ」
主人公「やるって何を? …トランプでもする?」
デボラ「 新婚初夜にトランプで遊ぶ夫婦がどこにいるのよ! セックスに決まってるでしょ!」
主人公「せ…セックスって!? まだ付き合い初めたばかりなのに…!?」
デボラ「付き合うも何も、もう結婚しちゃったんだから問題ないでしょ。 それとも私とはセックスしたくないの!? 」
主人公「い…いえ!そんなことは無いです!」
デボラ「てかあんた童貞? まぁいかにも童貞クサい顔してるから童貞なんでしょうけど」
主人公「…おっしゃる通りです」
デボラ「ま、いいわ。じゃあ裸になってベッドに横になりなさい」
主人公「えっ…! でもこういうのって、2人でなんかイチャイチャしながら服を脱いで一緒にベッドに入るものじゃないの!?」
デボラ「童貞のくせに、そんないい雰囲気作りながらのセックスなんてできるわけないでしょ!」
主人公「うっ… それは…」
デボラ「じゃあ試しに私の服のボタンを外してみなさいよ」
主人公「えっ!いいの!?」
デボラ「早くやってみなさい」
主人公『……! なかなか外れない! 人の服のボタンを外すのってこんなに難しいのか…!』
デボラ「で、どうなのよ?」
主人公「凄く… 難しいです」
デボラ「ボタン1つ外すのに、こんなにもたついてるのに雰囲気なんか作れるわけないでしょ」
主人公「…はい。よく分かりました」
デボラ「分かればいいのよ、じゃ裸になって横になりなさい」
主人公「…あの」
デボラ「何よ?」
主人公「普通、こういう時って女性が下になって男性が上に乗っかるようなものなのでは…?」
デボラ「正常位でしたいの? 童貞には難しいからやめときなさい」
主人公「…確かに童貞だけれども、それくらいなら」
デボラ「じゃあ、あんたマ〇コがどこにあるか分かってんの? 私のパンツの上から触ってみなさいよね」
主人公「えーっと、この辺りかな…?」
デボラ「そんな上の方にあるわけないでしょ。まぁ、人によって多少個人差があるだろうけど」
主人公「そ…そうなの!」
デボラ「そんなんでうまく挿れられると思ってんの? どうせ挿れる場所が分かんなくてアナルに挿れちゃったりするだけよ」
主人公「さ…さすがにそれは無いかと」
デボラ「例え話よ。まぁいくら童貞力高くてどんなに間違えてもアナルに挿れるバカはいないと思うけどね」
主人公「…はい」
デボラ「とにかく、私が筆下ろししてあげるから、あんたは黙って横になってればいいのよ」
主人公「…はい、お願いします…」
デボラ「じゃあいくわよ。ふふ、 結構立派なイチモツ持ってるじゃない…」
主人公「あぁぁっ!!」
―――――
――――
―――
――
主人公「恥ずかしいから見ないで〜!」
マスタードラゴン「…なんと言うか、もし私が運命の神だったとしても、そなたとデボラをくっつけていただろうな」
主人公「うぅ… 」
マスタードラゴン「だが、これで理解できただろう。そなたはデボラと結婚するために生まれてきたと言っても過言ではない」
主人公「…はい」
マスタードラゴン「分かったのなら早く帰ることだ。そなたの童貞の呪いを解き、一人前の男にしてもらった愛すべき恩人の元にな」
〜グランバニア城〜
デボラ「こんな時間までどこいってたのよ!? グランバニア中探したんだからね!」
主人公「…デボラ」
デボラ「…何よ?」
主人公「うぅ… 全部僕が悪かった…! だからどこにも行かないでくれ! 」
デボラ「ちょっと…! どうしちゃったのよ!? 何も泣くことないでしょ! 大体、勝手にどっかに行ったのはあんたでしょ!」
主人公「…デボラ! 好きだ!愛してる! もう僕にはデボラしかいないんだ! だから見捨てないで〜! 」
デボラ「突然何なのよ!? もう…! そんな事言われたら、私だって変な気分になってきちゃうじゃない…」
王子「うわぁ… 今日はいつもよりラブラブだね!」
王女「二人とも熱いね〜!」
デボラ「…これからパパとママで大事なお話してくるから、あんた達はどっかで遊んできなさい。 しばらく寝室に入ってきちゃダメよ!」
王子「はーい!」ニヤニヤ
王女「はーい!」ニヤニヤ
デボラ「さて…と、邪魔者もいなくなったわね。私をここまで焚き付けたんだから最後まで責任取りなさいよね!」
主人公「…はい!」
デボラ「ここ最近ご無沙汰だったし、最低3回は射精するまで許さないわよ」
主人公「あのー、最近仕事が忙しくて疲れてるので、1回じゃダメでしょうか…?」
デボラ「はぁ!? そんなんで私が満足できると思ってんの!? ただでさえあんたは早漏なんだから!」
主人公「…でも、明日からまた冒険に出るわけだし、あんまり疲れるのはどうかと…」
デボラ「そんなに疲れてるなら、横になってるだけでいいわよ。 …私が一滴残らず搾り取ってあげるわ」
主人公『うぅ… デボラに愛してるなんて言うんじゃなかった…!』
主人公「た…助けてー!」
終わり
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