※亜也子×北条時行のR18SSです。
※精通、筆下ろし、孕ませ、破瓜、同世代おねショタ、伊東ライフ、妊婦要素あり
「夜伽、ですか……」
頼重に呼ばれた亜也子は部屋の中央にて姿勢を正し、彼の言を聞いていた。
いつもは泰然自若とし、諏訪大社の大祝として皆を纏めている彼だが、今日はどこか様子がおかしい。
「まあその……当面は大丈夫……かも……と思うが
何分あの御方は北条家の希望。もし、その……万が一何かあるとすれば血筋が、そう、血筋がね……」
いつになく煮えきらない切り出しの頼重だったが
そういった姿は娘の雫をはじめ側近たちにも時折見ているので、亜也子もさして不思議には思わなかった。
「しかし私は卑賤の身ですので……家柄的には雫様の方が……」
「もちろん娘には相談したとも。しかしだ、それを口に出すと
顔を赤くして……うう……このように……!」
頼重の差し出した右頬には、子供の手型が赤くくっきりと浮かんでいた。
「もうこの際、家柄は問わない。ただただ、健やかな御子を授かればそれで良い。
それに……なまじ名家の息女であれば敵に目をつけられやすいだろう。
その点、お前の身の上ならば敵も欺けよう。
そして間違ってもヒョロヒョロとした童など産まれまい」
「はぁ……」
「……というか、頼む! 雫はもう怒ってしまって話も聞いてくれぬのだ!」
頼重は両手を合わせて拝み倒した。ここまでされては彼女も嫌とは言えない。
北条時行の夜伽役として白羽の矢を立てられたのはこういう訳だった。
# # #
「また、頼重殿が妙な気を配り始めたのか……」
夜に閨を訪れた亜也子を一瞥し、時行は眉を顰めた。
亜也子はとりあえず若君をなだめながら、寝物語に稽古の話などを交わす。
すると最初こそ会話していた彼だったが、やがて相槌ばかりとなり、そのうち目を逸らし始めた。
「若様、信濃の冬は寒いですよ。さぁ……もっとお互い体を寄せ合わないと……」
そう言っても肌を合わせようとしてこないので亜也子は自分から彼の方へと寄り添った。
すると彼女の太腿に妙に逞しい強張りが当たる。
足と足の間に、小さな足が生えているかのようだ。
鼻先が触れ合うかどうかという所まで寄ると、その強張りは三度に分けて膨らみ、ほのかに熱まで持ち始めてきた。
「えっ、これは……?」
不思議に思った亜也子が布団を捲くると、時行の装束の一部がピンと張り詰めている。
夜伽に先立ち、経験豊かな年増の女官たちの話を思い出す。
閨でどのような作法があるのか、彼女はまだ知らずにいたのだ。
女たちは皆ウブなこの少女をコロコロと笑いながら、からかうように教えた。
「年頃の男は女と異なり、しばしば股間が膨れるのよ」
「そうそう。そのままにしておくと苦しいから、夜伽の女は手で優しく撫でてあげないと」
「まあ。手だけじゃ寂しいわ。私は口でしているけどいつも夫は喜んでくれるんだから」
彼女たちはそれからずっとこの話で盛り上がっていた。
話についていけなかった亜也子だったが、こうして目の当たりにすると
「百聞は一見に如かず」という唐土の言葉が良く分かる。
「痛たたたたた! あ、亜也子! やめッ……!」
布地の上から手で愛撫しようとした亜也子だったが、どうも勝手が分からないでいた。
哀れな時行は急所を潰れんばかりに彼女に握られ、高い悲鳴を上げる。
生来類稀なる膂力を持って生まれた彼女には、どうにも難しい仕事だったようだ。
しかし、女官はこうも言っていた――手だけでなく口でしても良い、と。
果たしてどのようにするのか――少なくとも手でやるよりは
良いだろうと思い立ち、無礼を承知でやおら主君の袴を下ろした。
この時、生まれて初めて亜也子は男の宝剣を目にした。
「えっ……あっ……」
亜也子は目を丸くしながら、まろびでたそれを顔を近づけてまじまじと観察する。
巾着のように先を窄めている塔のようなモノが、芯を通したように股からピンと突き出ていた。
無論、女のものとは似ても似つかない。
それにしても何でこんなヘンテコなモノが生えているのだろうか。
前にニュッと硬く突き出ていたら邪魔にしかならないのに、男の体というものは本当に不思議だ。
「失礼します……」
亜也子は教えられた通りそれを口で撫でる事にした。
鼻先を近づけるとしきりに据えた臭いがくすぐってくる。
恐る恐る小さな舌を尖らせてチロチロと塔頂を舐めていると、酷く妙な味がする。
探り探りしばらく舌で戯れていた彼女は、若君の顔を上目遣いに伺った。
彼は思いの外心地良さそうに、目を細くしている。
このような愛撫がそれほど良いのか不思議で仕方ないが
とにかく彼女は頼重から受けた夜伽役を全うせんと一生懸命だった。
彼女は若君の股に深く顔を埋ると、猫が水を舐めるように口全体で慰め始めた。
「んんッ……んッ……はふ……んうッ……ちゅぷ……」
亜也子の口の中で若君の土筆は幾度も妖しくしなり、悶えた。
熱はますます籠もっていくが、厚い包皮は少しずつめくれ返り
ゆっくりと中にあった芯を露わにしていく。
「はぁッ……んッ……! 亜也子ぉ……そこぉ……はぁんッ……!」
一生懸命口で奉仕を務めていると、若君は可愛い声を切ない吐息と共に漏らした。
その様があまりにも可愛らしかったのでつい亜也子も嬉しくなって
ジュプッ、ジュプッと唾汁を淫らに泡立たせながらその若筆を丹念にしごきまくった。
彼女の唇肉に責め立てられ、彼のが強かに疼く。
そして目覚めかけている雄を頬張っていると、彼女自身にも相手の興奮がひしひしと伝染していった。
彼女の体奥は人知れず、徐々に湿り気を帯び始めていく。
「……ッ……! はぁッ……はぁッ……亜也子ぉ……!」
するとそれまで大人しかった時行は急に腰をクンと突き出し、半ば泣きそうな声を上げた。
次瞬、咥えていたその雄から急に喉奥へ向けてドプドプと重く熱い蜜が噴き溢れていく。
「んうッ……ぃやぁッ……!」
いきなり出現した生臭い体液に驚いた少女は、思わず口を離してしまった。
しかし、それの暴走は止まらない。
皮半被りしたままのそれは身を前後に激しく跳ねさせながら
亜也子の綺麗な顔へと白蜜をなお乱れ散らしていく。
若君はこの時初めて、自らの芯に精を通した。あまりに早い春の萌しが年若い男児に訪れたのだ。
「はぁッ……はぁッ……これぇ……」
ムッとする青臭い香りに包まれながら、亜也子は少しぼんやりとした眼のまま回らない頭を巡らす。
臭いといい色といい、これはどうも膿のようなものだろうと彼女はおぼろげに見当を付けた。
このようなものが芯に籠もっていれば、確かに熱は出るし腫れるに違いない。
もしかするとまだこの中に残っているかもしれないと考えた彼女は
恐れを捨てて顔も拭わないまま屈み込み、再び若君の肉槍を口に咥えて吸い出していく。
「やぁんッ……! だ、ダメぇ……!」
敏感な箇所を立て続けに口舌で愛撫された若君は
四肢に全く力が籠もらず、もう亜也子の舌のなすがままになっていた。
当の彼女は若君の様子も顧みず、ただひたすら彼の体から悪い膿を吸い出す事に腐心した。
朱色の女唇をキュッと窄めてチュプッ、チュプッ、と雄の突起をしゃぶり抜く。
時行は髪を振り乱し、快涙を滲ませた末に、二発目の胤もまた亜也子の口に捧げた。
「亜也子……」
こうして図らずも濃厚な少女の口奉仕を受けた時行は
心底から亜也子を愛しく思い、その桃色の頬に優しい接吻を下賜した。
まだ男女夫婦の交わりがどういうものなのか知らない二人の精一杯の睦言だった。
# # #
そのような夜も三日目となった。
一部始終を話した女官たちに、亜也子はこう諭された。
「あのね、男の出すアレは大切なやや子の種なのよ?
それは女の腹の中にある畝に蒔いて初めて子供になるの。
だから若君に可愛がってもらったら、それを体の中へと納めなさい」
亜也子は腹の上を不思議そうに撫でていた。この中にそんな畑が果たしてあるのだろうか。
ともあれ幼い二人はその夜もまた恋人のように互いの唇を甘く吸い合った。
接吻に飽きると決まって亜也子は彼の肉槍を口で慰めた。
そうしながらも、どのように子胤を腹の中の畝へと納めればいいのか思いつかないでいた。
「亜也子……」
この夜、時行は図らずも先手を打った。
彼は早めに口淫を切り上げると、竿内の美酒が溢れる前に持ち前の雄槍をそれらしく構えてみせた。
先走りと唾液に塗れたそれを窪んだ箇所に押し当て、知らずのうちに夫婦の儀を結ぼうとした。
「いやぁッ……! んうッ……!」
思わず身構えるような痛みが処女の象徴に訪れた。
まさかこのようなやり方で胤を授かるとは考えもしなかったのだ。
「す、すまない、亜也子……! 痛いか? 痛いようなら……」
腰を引こうとする若君を亜也子は制した。
「……私なら平気です……平気ですから、どうか子種を……」
普段姉のように接している手前、亜也子は情けない姿を晒し難かった。
これも務めと言い聞かせながら、彼女は奥歯を噛み締めて堪えた。
若君の雄は幸いにしてそれほど堪え難い大きさではなかった。
しかしそれでも、体芯に己でない異物感が痛みと共に存在を主張してくる。
「はぁッ……! はぁんッ……! 亜也子ぉ……!」
時行は小さな身体に有り余る肉欲に翻弄されながらも、細く小さな腰を幾重に振り乱し、亜也子の体を犯した。
どうした事か普段の力の十分の一も籠められない状態に陥った彼女は、そのまま若君の抜き挿しに身を任せるしかなかった。
刀遣いの才は欠片も見当たらない彼だが、不思議とこの肉色の宝剣の扱いには目を見張るものがあった。
喘ぎに喘ぎながら的確に奥へ奥へと隘路を穿ち、相手の幼穴に雄の象徴を刻み込んでいく。
「あはぁッ……すごいよ君のナカ……狭くて温かくて……
ああッ……蕩け落ちてしまいそうだぁ……」
夢中で腰を振る時行の下で、亜也子はひたすら堪え忍んでいた。
何度か訪れる緩やかな山を越えた先に、時行はその蜜酒を
開拓したばかりの奥室へとたっぷりと注ぎ入れる。
「はぁんッ……若様ぁ……!」
亜也子は訳の分からないままに時行の身体を熱く抱き締めた。
骨が軋みかねない力だったが、彼は強かに律動を刻み、余さず少女の苗床へ種を撒く。
彼女は喘ぎに溺れながらも、奥に賜った胤の重みと温もりを感じ入っていた。
# # #
一度色を知ると男であれ女であれ、とにかく交わりに心を奪われるものだ。
時行もまたその例に漏れなかった。
彼は稽古で毎回クタクタになりながらも、亜也子を抱かない日は無かった。
彼女はまだ疼痛が収まらないものの、君命という事もあり、断り切れなかった。
おまけに彼は閨では普段よりも雄々しく、何度も組敷いては彼女の深奥に熱い蜜胤を注いだ。
何度も若君によってそのように愛されていくうち、いつしか鈍い痛みは心地良い痒みに代わっていった。
「はぁッ……はぁッ……! 亜也子……!」
微かな灯火の照らす深閨で、若さに満ちた交音が絶える事無く響き渡る。
時行と亜也子はそれぞれの柔頬を朱に染めながら、ようやく実った淫果を分かち合っていた。
目覚めたばかりの雄獣はその勇猛振りを幼気な少女の肢体に遺憾なく発揮した。
主人である少年を幾度も翻弄し、どっぷりと肉悦の深みへと誘う。
彼はまだあどけない隘路に激しく雄を突き入れ、痴悦に喘ぎながら若い獣欲を満たさんとしていた。
百を越えた辺りから少女の穴はようやく濡れ始め、具合が良くなっていく。
尖端から根元まで余す所なく挿姦し、己の形を覚え始めた穴を彼は堪能した。
「あはぁ……若様ぁ……!」
亜也子は主君の雄に責め立てられながら、相手の首に腕を巻きつけて接吻をしきりにねだる。
舌が舌を、唇が唇を、唾汁が唾汁を呼び求め、絡み合った。
己の膣内でますます勢いを増していく雄を愛しく思う。
もうすぐ出したくて仕方ないのにもったいぶって我慢している若君を愛していた。
「亜也子ッ、私はもう逝くッ、逝かせてくれ……!」
「はぁんッ……若様ぁ……もっと、もっと頑張ってぇ……♪
私、若様と一緒に……果てたい……♪」
そうねだられた時行は接吻を交わして唾を飲み合いながら、小休止を挟んだ。
既に臨界寸前の雄を持て余し気味にしつつ、亜也子の前では男でありたい一心で射精を堪えている。
しかし、いざ抜き挿しを始めると五合目でもう発射欲が込み上げてきて続かない。
「んっ……若様ぁ……♪」
蕩けかかっている若君を鼓舞するように亜也子は囁く。
それに応えたい彼は耐え難きを耐えながら挿姦を重ねていった。
「くッ……! ……うぅ……! もぉ、ダメだぁ、亜也子ぉぉぉッッ……!」
限界の限界まで来ると時行はここを先途と小尻を大きく跳ねさせて亜也子の奥を貪った。
彼女は主君の身体を四肢でしっかりと抱き据えながら、雄攻に喘いだ。
やがて彼は深奥を強かに突き入れたままドップドップと宝精を注ぎ満たした。
「はぁんッ……若様の子種ぇ……♪
元気一杯に跳ねてるうぅ……♪ 孕むぅ……やや子、孕むぅ……♪」
少年の逞しい律動に呼応して、少女のそこも秘かに痙攣する。
その肉体の波に乗りながら、蜜胤は次々と彼女の壺に注がれていく。
時行は悩ましい射精感に耽溺しながら、ようやく一息ついた。
熱の引いた肉槍を引き抜くと、ツツと粘り気のある糸が名残惜しそうに門戸と亀帽を繋いでいる。
宝胤を授かった箇所はとろりと飲み切れない白い恵みを覗かせている。
「あっ……亜也子……!?」
落ち着いた時行と異なり、体の温まった亜也子は若君の白股に顔を挟ませ、頭を垂れているその肉穂をツプと咥えた。
「んッ♪ んうッ♪ チュルッ♪ チュバッ……ッポォ……♪
フフ、若様の素敵な雄マラ……♪
んッ……ヂュルルルッッ♪ ヂュポォ……ヂュポォ……♪」
亜也子は楽しげに時行のそれを舐め清めていく。
口さがない女官たちが教えてくれたおかげで、彼女の口技は日を追う毎に巧みになっていった。
あどけない柔らかな唇を妖しく窄め、嬲るように雄筆をしごきながら上目遣いに相手の様子を伺う。
ただそれだけで男はもう天に昇る心地になるという。
最初は半信半疑だった彼女も、彼の反応をつぶさに観察しているうちに自然とツボを覚え込んだ。
自らの唇を性器に変え、掌に宝袋を恭しく乗せながら
ジュッポジュッポと卑しい音をことさら立てて積極的に弄ぶ。
少年は少女の口淫の前にはもう骨の髄まで蕩け、腰をクンと浮かしながら喘いだ。
「亜也子、許してくれ! 私はもう、果て……」
「駄目ですよ若様ぁ♪」
濡れた口を離して、亜也子はたしなめた。唾汁の架橋がそそり立つ肉塔まで続いている。
「大切な御胤なんですから、無駄撃ちさせては私が明神様に叱られてしまいます」
そう言いつつ赤い舌でベロベロと右に左に肉塔を打つ。
その度に時行は少女のような声を漏らして喘いだ。
鴨の嘴のようにした唇を亀帽に添わせ
鈴口からじわりと垂れる先走りを音を立てて吸うともう何も考えられなくなった。
「だから、全部亜也子の『ここ』に、射精してくださいねぇ♪ ……んッ♪」
腰上に跨った亜也子は主君の肉塔に手を添わせて、ゆっくりと尻を下ろしていく。
まだ蜜の乾き切らないあの牝壺に、彼のが再び潜っていった。
「んうッ……?……あれぇ、若様ぁ……?」
蛙のように股を開いて座り、亜也子は首をかしげながら下方の若君を見つめた。
彼はもう半身を潜らせた途上でピュッピュッと
彼女の穴に精を漏らしてしまったようで、バツの悪そうに目を背ける。
下腹ではまだ肉の徳利がトクントクンと疼いて、蜜酒を溢れさせていた。
「あらら……そんなに私のナカ、気持ち良かったんだぁ……フフ♪」
亜也子はにんまりと微笑むと若君の両手を握り、指を絡めたまま女尻を盛んに上下させた。
射精途上の雄槍は隘路に締め付けられ、蜜襞の歓迎を受ける。
淫らにうねる乙女穴に、少年はどうにかなってしまいそうだった。
「亜也子、頼む! もう少し、そっ、そっと……はぁんッ……♪」
「ふふふ……♪ ダメですよ、若様ぁ♪
我慢しないで私の奥に若様のマラ種、みーんな注いでくださいね♪
そぉれっ、頑張れぇ♪ 頑張れぇ♪」
亜也子の丸く大きな尻は若君のをしっかりと咥え込んだまま、幾度も弾んだ。
彼女は主君の身体を存分に貪っていく。
魂も肉体も虜にし、しっかりと繋がってひたすら彼の宝精を啜り尽くさんと望んだ。
若君が肉悦に悶え狂う様を見下ろす時、無上の歓びを感じていた。
「あっ、あはぁッ♪ 若様ぁ♪ 来ますぅ♪ 亜也子と一緒に昇りましょう♪
切ない私の奥にまたあの蜜酒を恵んでください♪
んんッ♪ はぁんッ♪ く、来るぅ……♪」
もう最後になると、亜也子自身すら前も後ろも分からない有様となった。
大きな身体を前に屈めて愛しい若君の艶やかな唇を吸い食みながら、ひたすら大尻を弾ませて責め立てる。
堪らず若君は脚をピンと伸ばしたまま彼女の尻肉に十指を食い込ませて、ドプンッ、ドブプッと熱い胤を迸らせた。
亜也子は舌を深く絡ませながら、下腹を打つ愛しい少年の律動を感じていた。
「んんッ♪ 若様ぁ……好きぃ……♪
亜也子、元気なやや子……きっと授かりますぅ♪ んんッ♪」
やがて、ヌルンと滑るようにして精魂尽きた雄槍がひり出された。
そして開いた牝門から、濃厚な白酒がとろとろと糸を引いてその上に溢れた。
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若君と肉を交わらせてからというもの、亜也子は心身共に変化を覚え始めた。
月を追う事になだらかだったあの胸が張り、ゆっくりと乳肉を盛り上がらせていく。
あの怪力は早くから頭打ちとなり、打ち合い稽古では狐次郎に負ける日がどんどん増えていった。
そのうち、どうあっても狐次郎に勝てなくなってしまった。
そんな身の変化に戸惑いながらも、閨で若君に囁かれる優しい言葉に耳を喜ばせてときめいている自分がいた。
――彼女はようやく、自分が女になった事を自覚した。
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「若様!」
――鎌倉を奪還させて二十日の事である。
京から破竹の勢いで攻め上がってきた足利尊氏の軍勢は瞬く間に時行の軍を各所で負かしていった。
直義相手に連戦連勝だった彼らも、この悪鬼と見紛う軍神には流石に恐れをなし
今や散り散りとなって敗走を余儀なくされた。
最早軍隊としての態勢すら保てなくなっていたのだ。
総大将の時行はというと、乱戦に次ぐ乱戦で頼みの逃げ足を負傷してしまっていた。
ほうほうの体で夕闇に紛れて山中へと逃げ込んだが、勢いづいた敵兵はなおも彼の後を追ってくる。
窮地に陥った彼の前に、一頭の早馬が諏訪の方面から駆けてきた。
馬上には亜也子の姿があった。
「亜也子!? 君は先に鎌倉を出るよう言ったはずだ!」
時行がそう言うのも無理はない――亜也子は時行の御胤を身籠っていたのだ。
彼としても、身重の彼女を戦場に立たせたくはなかった。
足利勢の連勝の報を聞いた彼は、いの一番に彼女に休養するようにと諏訪へと逃していた。
「若様! 私は貴方様の臣下です。主君の命危うい時に何もしてなど居られません!」
「しかし……!」
降りた亜也子は有無を言わさず時行を馬上に乗せた。
軽装故に大きな下腹が殊更目立つ。いつ産まれてもおかしくはない。
一緒に逃げようとする彼を振り切るようにして、彼女は馬の尻を蹴った。
馬は大きく嘶き、来た山道を全速力で駆けていく。
「――亜也子!」
「逃げ延びて下さい、若様! 私はここで……!」
若君は何かを叫んでいたが、馬の脚は速く、すぐに聞こえなくなった。
彼の後ろ姿を見守っていた彼女は、帯を締め直して、暗い深藪を睨んだ。
所々で藪がガサガサと鳴り、一つまた一つと地獄の業火を思わせる松明が近づいていく。
足利の残党だ――亜也子は薙刀を構えて握り締めた。
追っ手の数は二十、三十と増えていった。
ここは諏訪領へと続く要所である。是が非でも敵を食い止め、守り切らねばならない。
諏訪頼重の尊い犠牲に報いるためにも――命を賭して!
(せめて若君が安全な所まで逃げ延びるまでは……!)
「……ほぉ、この小娘どうも身籠っておるようだぞ」
「本当か、何やら腹に宝でも隠してるのではないか?」
「どっちでもいい、殺して腹を割いてから確かめようではないか」
やってきた武士たちは相手が身重の少女と知るや、好色で残忍な目を向けて襲いかかってきた。
彼女は重い下腹を庇うようにして、薙刀を奮う。
一人二人と首級を飛ばし、三人四人の胴を薙いだ。
刀を奮うキレは思いの外悪く、気を抜くと返す刃で切り負けそうになった。
このような雑魚たちに遅れを取るほどに力を失った自分の体が恨めしかった。
そうした中で血飛沫乱れる死闘を重ね、瞬く間に死体が地に折り重なっていく。
死に物狂いで二十人ほど仕留めた時、彼女は下腹に耐え難い痛みを覚えた。
それが腹中の赤子に由来するものと知ると、歯を食いしばる。
(お願い……! いい子だからもう少し我慢して……!)
若き母はそう強く念じながら、主君と己と、そして自らの子を守る為に薙刀を構え直す。
追っ手はとうに五十人を超えていたが、彼女の身体に先程とは打って代わり
何やら底知れぬ巨峰のような気力が漲り始めていた。
子を想い護る母の力の前には、幾百もの武士たちなど物の数ではなかった。
最初こそ辱めてやろうと意気込んでいた男たちも
彼女の鬼気迫る威勢の前に戦慄し、一人また一人とその場から立ち去った。
去り際を誤った男たちは尽く彼女の刃の下に倒れ伏した。
「はぁッ……はぁッ……はぁッ……」
山中から篝火が消え、辺りにようやく静寂が訪れた。
下から立ち込める据えた血肉の臭いには思わず胸が悪くなった。
死闘の果てに精も魂も尽き果てた亜也子は、最早憑き物が落ちたかのように
ヘタヘタと木に寄りかかり、そのまま根元で蹲った。
息は一層荒く、苦しいものに変わっていった。
闇の静寂に乙女の寂しくも激しい声が響き、やがて後から小さな命の泣き声が聞こえてきた。
産まれた子供は豊島景村という将に預けられた――かの家の養子となったその子が
豊島輝時と名乗るのは、もう少し後の話である。
以上です。逃げ若のSSもっと増えてほしい
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