こんばんは。今回はミリではなくデレでのお話になります。大体スレタイの通りです。
【概要】
・ネタ元にしたイラストを解釈した結果、初Hな話になった
・特に危ないプレイはしてない
19レス分になると思います。
如月の中旬、暦の上ではもう春も近いというのに、屋外に吹きすさぶ風は鋭く肌を引っ掻いていく。芸能プロダクションでアイドルのプロデュースを務める彼は、外回りの営業から帰ってきた所だった。事務所のエントランスを通り過ぎるなり、瞬く間に彼の視界が曇る。煩わしさを覚えつつ、コートを脱ぐよりも先に彼は眼鏡を拭いた。
「プロデューサーさん、お帰りなさい」
「お疲れ様です、なんとか仕事を取ってこられましたよ」
絶え間なくキーボードを叩き続ける事務員の千川ちひろに、右手を挙げて挨拶を交わす。デスクのマグカップからはまだ湯気が立っていて、澄んだ紅茶がエアコンの風に乗って香ってきた。時刻はもう夜の八時を回っていた。事務スペースに屯するちびっ子達は姿を消している。コートをハンガーにかけている間に、身支度を整えて事務所を後にするアイドルもいた。
「何か、変わったことはありましたか?」
「いえ、特には……あっ、一つだけ、ありました」
「どんなことでしょう?」
「亜季ちゃんがですね、大きな欠伸を噛み殺していたり、しきりにまぶたを擦っていたりしたので、どうかしたのか尋ねてみたんです。なんだか、最近寝つきが良くないそうですよ。どこか悪いのでしょうか」
「えっ、亜季が? ……それはちょっと見過ごせませんね。まだいるようならちょっと話してきます」
大和亜季、サバゲ―マニアのアイドル。日常的にプロテインを摂取して筋トレに励む彼女は健康そのもので、この事務所で最も体調不良という言葉が似つかわしくない。デビュー以来、頭痛や腹痛を訴えた所すら、目撃証言が無かった。これは明日、大雪でも降るかもしれないな、と思いつつ、プロデューサーは彼女の名前と居所を探り出した。ホワイトボードを見るに、まだレッスン中のようだ。
人気の少ない廊下に乾いた靴音が響く。曲がり角を通り過ぎた瞬間、突如彼の視界に人の姿が飛び込んできた。身を引こうとしたが間に合わず、歩いてきた女性とぶつかってしまった。
「あっ、プロデューサー殿! これは大変な失態を……お怪我はありませんか?」
「そんな大袈裟なものでも無いよ。ちょっとよろめいただけだから。……今、レッスン終わりか?」
「はっ! 大和亜季、本日の全行程を終え、これより撤収、ベースへ帰還する所であります!」
背筋をぴんと張り、足を揃えて亜季が敬礼した。腹から張り上げた声がよく通る。
プロデューサーは亜季の顔を眺めた。薄いメイク越しにでも分かる新陳代謝の活発な肌はつやつやで、吹き出物やニキビのつけ入る隙を与えていない。クマのできている様子も無い。調子の悪い所は無さそうだが、違和感があった。目だ。生命力に漲った瞳の輝きが、今この瞬間においては僅かにくすんでいる。
「……どうかされましたか? 私の顔に何か?」
「いや、顔に出るほど調子は悪くなさそうだな、と思って」
「私はいつも通り順調ですとも」
「聞いたぞ亜季。最近寝つきが悪いらしいが……大丈夫か? ストレスか?」
「えっ」
亜季の眉がぴくりと動いた。
「し、心配はいらないのであります。自主練の……せいなので」
筋トレ好きの亜季が発したはずの『自主練』は何とも頼りない痩せっぽちで、とても彼女の口から出てくる言葉とは思えなかった。眉根を寄せて口ごもる姿を見るのは、彼女の担当になって以来、初めてのことだった。
「自主練? 眠らずにずっと夜中にトレーニングしてるのか?」
それは睡眠不足になっても当然だ、オーバーワークの危険性を知らないはずがないだろう、と彼は付け足す。
「そっ……それについては……!」
ぎゅ、と亜季は唇を結んだ。数秒間の沈黙が、廊下の空気を固まらせた。紡ぐべき言葉を掘り起こしているのか、所在なさげな指が頬を掻いている。
「プロデューサー殿には相談に乗って頂きたいのですが、人目につくような所では、少々、話し辛いことでして……」
奥歯に物が挟まったような語り口だった。普段は肩幅程度に脚を開いていることが多いのに、デニムのミニスカートから伸びる太腿をぴたっと閉じて、モジモジさせている。溌溂とした担当アイドルが見せた、自信の無い表情。彼の胸の内で、生真面目なプロデューサーとしての使命感が奮い立った。
「分かった。なら、話す時間を作ろう。差し迫った業務だけどうにかして、今日は早く上がることにするよ。待てるか?」
「待ち合わせ場所を決めておきましょう。フタイチマルマルに、ここの駅で……」
「どれどれ……そこか。うーん、もう三〇分かかるかな」
「了解です。ではフタイチサンマルで」
「分かった。じゃあ、後でな。気を付けるんだぞ」
「はっ、それでは、失礼します!」
時刻を読み上げる内、亜季の声には張りが戻った。再び敬礼して立ち去る背中には、シュシュで簡素に束ねた髪がしなやかに踊っていた。
だが、亜季の姿が見えなくなってからも、どこか煮え切らない、不安のような何かに曇った顔つきは、プロデューサーの心に引っかかりを残していた。
待ち合わせ先の駅は、亜季の自宅の最寄りだった。それを思い出したのは、駅近くの有料駐車場に車を停めている最中だった。到着した旨をメッセージアプリに打ち込んでいる最中に、彼を呼ぶ声がした。
亜季の部屋に招かれるのは初めてではなかった。フローリングの木の色を除けば、ミリタリーグリーンが目立つ。壁一面のラックには、もうこれ以上設置する場所がない程にエアガン(もしくはガスガンや電動ガンかもしれないが、彼にはその区別が明確では無かった)が掛けられている。
空いた壁のスペースは戦争映画のポスターでぎっしり埋め尽くされていて、そこに映っているのはいずれも屈強な男たちばかり。ヘルメット、モスカート、グレネードが段ごとに整然と並んだメタルラックにぶら下げたハンガーには、コートやジャケットではなく、ボディアーマーが吊るされている。
武器庫か兵舎。プロデューサーが抱いて戸惑いを覚えた第一印象と、全く変わっていなかった。
しかし、壁に寄せたベッドの掛け布団は整っているようで、どこか乱れが生じている。壁のフックには、亜季がよく着ているワインレッドのパーカーがハンガーから下がっている。
彼女は寝る時パジャマに着替えるタイプでは無さそうだった。だが、ここで彼女が睡眠を取るのは確からしいし、すれ違ったりする度にほんのり漂う亜季の匂いが、この空間には色濃く満ちていた。女性らしさの欠片も無い部屋だが、こんな夜に女性の部屋へ招かれた事実が眼前には横たわっている。男の胸は、妙な動揺と緊張に高鳴っていた。
「相変わらず、すごい部屋だな」
「気になるものがあったら、手に取ってもいいですぞ」
一つしか無い椅子を差し出されて、腰を下ろす。亜季はベッドに座った。立てかけてあったライフルに手を伸ばし、あちこちを目視して点検している。サッと構えた銃口の先には、彼女が表紙を飾ったサバゲ―雑誌があった。
「物が溢れてるけど、散らかってはいないよな。部屋の中央なんて結構広いし、筋トレぐらいならできそうだ。ここで夜中まで『自主練』をしてる、ってことか?」
サイトを覗き込んでいた亜季がピタリと静止した。
「そ、そのことなのですが」
ライフルを下ろした彼女の顔に、緊張が走った。咳払いをしたり、視線を忙しなく泳がせたり、明らかに動揺している。
「さっきも、自主練の話が出た時、妙にソワソワしてたよな。違法薬物を使ったりしているわけじゃないんだろう?」
「あの……いえ……」
赤面することすら珍しい白い肌が、茹蛸のようになっている。
「じ……自慰のことで……あります」
「G? 何かの略称か? 一体どんなトレーニングなんだ?」
「トレーニングではなく……その、マスターベーション……で、あります……」
「あっ……」
合点のいったプロデューサーが間の抜けた呟きを漏らすや否や、亜季は森久保乃々よろしく視線を外してしまった。自主練が筋力トレーニングのことだとばかり考えていた思慮の浅さを、プロデューサーは反省したくなった。
かけるべき言葉が脳神経で通行止めになって天井を見上げたが、そこにも貼ってあったポスターの男に睨まれてしまい、すぐに彼は視線を下げた。天井のどこを見ても益荒男が下界を見下ろしていて、この状況から逃げ出すことを断固として許さなかった。
「最近うまくイけず……その、不完全燃焼で、ずっと……その……あの……えと、ううっ……」
いつもの気概はどこへやら、言葉を紡ぐのに苦労しながら亜季は話し続けた。
「オカズをずっと探してしまったり……あっ、いっそのこと、プロデューサー殿が男性器を見せてくれたら、ちゃんと満足できる自慰ができるかも――」
「!?」
「な……なんちゃって……であります……」
アハハ、と亜季が乾いた笑い声をあげた。
「……マジ?」
最近上手くイけない。
オカズを探す。
男性器を見せてくれたら。
満足できる自慰。
(おいおいおい、どういうことだ、どうなってる)
日々の鍛錬に磨かれた、引き締まりつつも出る所の大きく出た体型をしているのに、下品なイメージを驚くほどに抱かせない──そんな健康的な「セクシー派・大和亜季」の口から機関銃のように繰り出されたパワーワードに、彼の思考はこんがらがった糸になっていた。
「……正直、かなり見たいであります。見せて……ください……」
尻すぼみになった声で、亜季はとんでもない要求を口にしていた。プライバシー中のプライバシーだ。個人が表に出すことはまず考えられないカミングアウトをしてハイになっているのか、それとも自棄っぱちになっているのか。
「ま、待て。亜季、ちょっと整理させてくれ。寝不足気味なのは、何ていうか……アレだ。『自主練』がうまくいっていないからなのか?」
「……そ、そうであります。タンパク質を多く摂取し、筋トレや負荷の高い運動も日常的にやっているせいか、私は普通の女性よりもテストステロン──男性ホルモン──の分泌が多いようなのです。男性的、といいますか」
「ああ……そう言われてみれば確かに、亜季ってサバサバしているというか。男勝り、っていうのは違うけど……」
「それで、その……せっ、性欲も強く……欲求不満なのであります」
枕元に置かれたライフルに手を伸ばそうとしては引っ込めている。いくら男性的な面が強いとはいえ、性的なことを口にしようとすれば声のトーンを落とす辺りは、恥じらいのある女性であった。
「段々、そういうのがエスカレートしているっていうことか……しかし、どうしたものか……」
性欲の増大と欲求不満。プロデューサー自身も、顔のあちこちにニキビを作っていた中学生の頃に、身を以って実感していることであった。年頃の少年は誰もがサルになっていた。初めての彼女がいた高校時代も……と思い出そうとして、彼の視界に亜季の顔が入り込んできた。
「……却下、でしょうか? 兄に話せるわけはありませんし、こういったことを打ち明けられそうな男性は、プロデューサー殿をおいて、他にはいないのであります……」
「うーん……」
目の前で困っている担当アイドルがいる。他の男性に任せるとなると、社外の人間は論外だった。となれば、社内の他の人間、例えば──
それを考えた瞬間、彼は胸に刺すような痛みを感じて、かぶりを振った。
(自分の担当だ。亜季の悩みは、自分が解決せねば──)
彼は自分にそう言い聞かせ、気乗りはしないながらも、亜季の頼みを聞き入れることにした。
「……安心したのであります。拒絶されたら、どうしようかと」
「見せるだけで、いいんだよな?」
「はい。私、あの、何といいますか、新兵でして……実物は……」
「サバゲ―仲間と、そういう関係や雰囲気になったりしたことも?」
「……私の恋人は、銃とプラモと筋肉でありましたから」
「すまん、野暮なことを聞いた」
眉を吊り上げる亜季に、彼は頭を下げた。
視線が下がったついでに、ズボンのファスナーに指をかけた。いつもは気に留めることも無い金具の音が、耳にこびりつく。単に数cm手を引き下げるだけの挙動を、亜季は食い入るように見つめている。音を立てたくなくて、彼は息を吐きながらゆっくりファスナーを下したが、却って生々しい脱衣の音に、亜季が前のめりになるだけだった。
社会の窓の内側へ指を突き入れ、心の動揺そのままに大人しい性器を掴む。視線を上げると、亜季のぱっちりした目がそこにあった。彼が異性にペニスを見せるのは初めてでは無かったが、亜季との今の関係を思うと、引きずり出すにはいささか勇気を振り絞らなければならなかった。
三度呼吸を繰り返し、彼は意を決した。
「ほ……ほら、出したぞ」
「おぉ、これが……! ですが、まだ小さいようですな」
「マジで刺さるから、『小さい』だけは言わないでくれ……」
「しっ失礼しました! えと……臨戦態勢ではない、と……」
「まぁ、そういうことだが……」
男のしもべは、主の失意を受けてがっくりと項垂れている。
「動画サ……あ、いや、資料映像で見た限りでは、もっと……こう、仰角90°ぐらいはあったような……」
「いや、さすがに直角にはならんぞ。自分の意思でコントロールできない部分もあって、何かしらの外部的要因がいるんだ」
「外部的要因……」
襟の大きく開いた七分丈のTシャツを大きく盛り上げる胸元に、深い谷間。チラリと覗き見た男の視線に、亜季は気が付いたようだった。
「大和亜季……キャストオフするのであります!」
「なっ……!」
「見られるのに抵抗はありますが、貴殿にお見せできないほど情けない体はしておりません!」
気合一閃、Tシャツの裾に手がかかり、亜季はそれをガバっとまくりあげた。下に身に着けていたタンクトップも巻き込まれてめくれ上がり、腹部が露わになる。ここまでは彼も幾度と無く目にしていた。光を浴びれば陰のできる、六つに割れた腹直筋のシルエット。腹斜筋もうっすら浮き出ている。だが、日常的にプロテインを飲用し、事あるごとにこちらまで筋トレに巻き込もうとする亜季でさえ、男であるプロデューサーより体の線は当然細いし、ウエストのくびれたラインは間違いなく女性のものだ。
男女のテストステロン分泌レベルには非常に大きな差があり、男性の5~10%しか女性は分泌しない。ゆえに、アナボリックステロイド等を服用しない限り、どれだけ女性がトレーニングを重ねても男性のような筋肥大はせず、引き締まった体になるようにできているそうだ。以前、露出度の高い衣装に身を包んだ亜季自身がそう言っていたことを、彼は思い出していた。
頭からTシャツが抜かれた瞬間、裾に引っかかっていた豊かなバストが重力に弾んで、たぷっと揺れた。タイガーストライプ迷彩のタンクトップも、交差した腕に持ち上げられている。つるっとした脇から連続する横乳が、男の欲求をかりかりとくすぐった。
「水着姿も披露しておりますが……流石に恥ずかしいですな……」
視界に大きく広がった肌面積と、次第に赤らんでいく亜季の顔に、プロデューサーは両脚の付け根にさざ波が立つのを感じていた。この疼きに身を任せてしまえば無事に戦闘の準備が整い、それを見せればお役御免である。彼は亜季のプロデューサーのままでいられるのだ。
だが彼は、耐えようとしてしまった。まだ男性自身には俯いたままでいてもらえば、目の前で展開するストリップの続きを見られる。そんな欲求の溶け込んだ期待を持ってしまったのだ。
数秒の躊躇の後に、亜季は胸を反らしてタンクトップも脱ぎ去った。姿を現したのは、モスグリーンに赤い刺繍が入っていて、所々がレースに透けた、品の良いブラ。肩に食い込んだ紐が、双丘の重みを物語っている。精神の底がぐらぐらと揺れた。
「……意外と、いや失礼。上等なのを着けてるんだな」
「いつもはもっと機能重視ですから……先程、着替えたのであります……」
(一度家に帰っていたのか。そのために──)
男の意識に埋まっていた地雷が弾けた。その爆風が精神の襞に焼け跡を残していく。今まで性的対象として見てこなかった女のフェミニンなランジェリーは、それほどに強烈な色気を感じていた。じわり、じわり。招集のかかった血液が、一点を目がけて行軍を開始した。
亜季が背中に手を回すと、音も無く肩紐がたわみ、ぴったりと胸部を覆っていた布がはらりと剥がれ落ちていく。体をくねらせて肩から紐を抜いていく様はスローモーションのように滑らかだ。男は瞬きする間も惜しんだ。
「……これぐらいしなければ、フェアではありません」
微かな摩擦音を立てて、肌の上を滑り落ちたブラは、そのまま枕元へ。下着の支えがなくても上向きに堂々と威張るバストを、恥じらいつつも亜季は隠さなかった。首から下へ広がる広大な白い平原に双丘はそびえ立ち、頂点は色素の濃いピンクに色づいている。
きわどい衣装であってもしっかりと隠されていた、女の秘められた領域──そこが暴露される瞬間に立ち会ったプロデューサーは息を呑んだ。そして、亜季の一挙一動に合わせて扇情的に揺れる果実を前に、とうとう水門の鍵が開いた。喉の渇きを覚える彼の股間が、ぐんぐん持ち上がっていく。
「あっ」
亜季が緊張に息を潜めた。大きな目を皿のようにして、男性器に血液が流れ込んで膨らむ様を眺めている。感嘆のこもった視線を浴びせられた彼は、辱めと興奮の入り混じった奇妙な感覚に襲われていた。一度始まった勃起は鎮まることも無く、瞬きする度にトップレスの亜季が彼の視界に入り、拍動して流れ込む血液は流量を増していった。
「これが……」
「……そ、そんなにじっと観察するものでもないって」
「デリンジャーがドラグノフ狙撃銃に……いや、AK-47のアサルトライフル……?」
「そりゃ言い過ぎだ。せいぜい拳銃だろ」
「では、デザートイーグルのような大型の……いやはや、こんなに大きく膨らむのでありますな……」
勃起したペニスを銃になぞらえる亜季。頬を染めてはいるが、怖気づく様子を微塵も見せないのは豪胆な彼女らしいと感じていたが、デリケートな生殖器に関心を注がれる彼は、体温が上昇する思いだった。
「臨戦態勢時にはカバーが外れ、マズルが剥き出しに……。射出口はぴたりと閉じていて……弾倉は思ったよりも垂れ下がっているのですな……」
ぽつりぽつりと奇妙なレビューをしながら、亜季が前のめりになって、少しずつ彼の下半身に近づいてくる。そんなに顔を近づけてはダメだ、と制止した男の言葉に反して、屹立したペニスは更に角度を高めていく。
「はぁ……はぁっ……」
浅い呼吸を繰り返しながら、亜季が腰に手をかけた。ベルトもボタンも外して、スカートがゆっくりと下りていく。デニム生地はみっちりとした太腿の間で引っかかりながら、緩急のはっきりついた綺麗なふくらはぎを滑り、足首から抜かれて床に落ちた。それを拾い上げようと手を伸ばす背中の向こう側で、パツンと張った臀部の始まりが、ハーフバックのショーツから露出していた。起こした体の下腹部はフロントも浅く、ほんの数mmズレただけで女の秘境がはみ出してしまいそうだ。
股間を僅かに覆ったに過ぎない亜季は、限りなく全裸に近い。キメの細かい柔肌はLEDの室内灯を受けてぼんやりと光っている。担当アイドルのヌードから目を離すことができない彼は、今にも本能を剥き出しにして襲い掛かりそうであった。だが、プロデューサーである彼の倫理観が、かろうじて綱にしがみついて踏ん張っていた。
「プ、プロデューサー殿の前で、たいへん品が無いことは承知しておりますが……許して欲しいのであります」
細い指が、閉じられた股の内側へ滑り込んだ。左手の甲がショーツの向こう側へ隠れてもぞもぞと何かをいじり出すと、切なげな声を発して、亜季の肩がぴくりと跳ねた。
「ん……あは……っ!」
陰茎の幹に巻き付いた血管の輪郭を舐め回すように、女は男の股間を見つめている。そして、性行為のための器官をまじまじと観察しながら「自主練」を始めてしまった。その倒錯的な光景を直視するのに耐えられず、男は彼女のつむじを見て、なるべくこの場に関係の無い思考で脳を誤魔化そうと試みた。だが、現実へ意識を引き戻すかのように、亜季の発情した視線と何度も正面衝突を起こしてしまい、ロックオンされたペニスは膨らむ一方だ。潤沢に血液を貯め込んだそれは、リアルタイムでいやらしさを増していくオカズを前に、目で犯されて喜んでいる。
「はー……はーっ……指よりも、ずっと太くて長い……これが殿方の……!」
薄いショーツの表面が蠢動している。呼吸の音に混じって、ちゅくちゅくと水っぽい音が聞こえてきた。彼は悟った。濡らしている、それもかなり。自分が担当するアイドルが、いきり立ってパンパンになった剛直を凝視して、恍惚としている。そしてあろうことか、己の眼前で裸体を晒し、淫欲に瞳を潤ませ、指を出し入れして自分を慰める様を見せびらかしてさえいる。呼吸のペースが上がり、閉じられていた脚が徐々に弛緩していく。身の内を掻きむしられる強烈な疼きが、男にねっとりと絡みついてくる。沸きあがる唾を何度も飲み込み、膝の上で拳を握り固め、蜘蛛の糸のような理性へ必死に縋り付いた。
「んっ……あっ、んんっ、見られてる……!」
水音のテンポが速く大きくなっていく。右手をついて体を支える亜季は「見られている」と言いつつも、激しく秘所をいじくりまわす手を止める気配は無い。クロッチの脇から、粘膜が見え隠れしている。見ていてはいけない。そう考えれば考えるほど、男の意識は女の両脚の付け根に集中してしまう。沸騰した肉欲を体外へ漏らすまいと歯を食いしばるプロデューサーだったが、その本心がいかなるものであるかは、びくんと首を振って暴れては空気をかき混ぜる男性器が、雄弁に語っていた。
「ふぅ、ふっ……! あ、うぅ……うまく、イケそう、で……あります……こんな、早く……」
膣口が中指を根元まで受け入れて広がっている。引き抜かれる指は分泌物にコーティングされている。絞り出される声と共に指が沈み込むと、孔の縁から蜜が溢れ出して、裂け目の外へとろとろと流れ出す。充血した粘膜は、ぬらぬらと妖しく光を反射している。押し退けられたショーツの緑と、赤みがかった性器のコントラストに、男の心臓は波打っていた。それと気づかぬ内に、彼もまた、亜季と同様に、昂りを肺から吐き出し、欲望の肉塊から先走りを滲ませている。触れているのは空気だけなのに、逃げ場のない快感が打ち付けてきて、腰の奥から切羽詰まった感覚が込み上げてすらいた。
「あ……亜季……」
「プロデューサー殿っ、み……見ていて、ください……あ、い……イクっ……んうぅっ~~~~!!」
突き出した腰をかくかくと震わせながら、亜季が絶頂を迎えた。きつく目を閉じて、足の指が床を握り締めている。
「ん、あ……はああ……っ」
やがて大きく息を吐いて、亜季は体の緊張を解いた。秘部から抜き取った左手はべちゃべちゃになっている。発散された欲求の残り火が、濡れた睫毛の狭間に灯っていた。
「……っ」
会陰の辺りに思い切り力を入れて、身を押し流す大波の中で踏ん張った彼だったが、気力の隙間を縫った劣情が一滴、鈴口から押し出されて玉になった。じんじんとした焦燥感はそのままに、一粒の白濁液が亀頭にべっとりと張り付いたまま、ずり落ちていく。全く手を触れることなく迎えた、煮え切らないエクスタシーだった。
「……満足できたか? 亜季……」
息をするばかりで、亜季からの返答はない。緩んだ口元に、とろんとした目でこちらを見つめる彼女は、この上なく蠱惑的だ。特上の御馳走を前にして、飢餓感が募る。
自分の役目はここまで。彼女が満たされればそれでよい。亜季のとんでもない秘密を見てしまったが、見なかったことにするのに彼女なら同意してくれるだろう。健全な関係は保てる。早く、早く「満足できたのであります」とでも言って欲しい。
彼はそう願った。そうしてくれなければ、今にも手を伸ばしそうだったのだ。腰かけたままのプロデューサーは、懸命に尻を椅子に押し付けた。
しかしながら、亜季は首を横に振った。枕を手に取って体の前面に抱え、もごもごと何か言いたそうにしている。
「……ま、まだ……です……」
「う……マ、マジかよ……」
「自主練はうまくいきましたが、その……だ、男性器への好奇心……もっと言えば……せ……性交……も、してみたくて……」
「何だって」
「プロデューサー殿にお相手して頂ければ、本望であります……」
「亜季」
「ぜひとも、貴殿と一戦交えたく……」
男の体内で、本能が歓喜に色めき立った。サウナの蒸気にも似た炎熱を感じて、毛穴から汗が滲み出す。「本気で言っているのか」と問う彼に、亜季は静かに頷いた。
「……本気でなければ、いくらなんでも裸は見せないのであります」
「しかし、アイドルとプロデューサーがそんな――」
「この秘密基地では、全てが厳重な機密事項。この空間においては、アイドルもプロデューサーもありません。それに……」
亜季が指さす先では、キリンの首が、不完全燃焼のまま硬さを保っている。
「お、おち……えと、男性器は、宣戦を布告しており……」
亜季の指摘する通りであった。上半身と下半身が矛盾している。正論に逃げようとする彼よりも、素直な欲求を秘匿しない生殖器の方が、よほど説得力のあるメッセージを発信していた。
「分かった、正直に言おう。……こんな光景を見せられて、興奮しないわけがない。ぶっちゃけた話、今……めちゃくちゃ亜季とヤリたい。だが、いいのか、こんな、担当アイドルに欲情するような人間が相手で。初めてなんだろう?」
「……一人の男性として、貴殿を慕っております。は……初めてだからこそ、あなたがいい……」
のであります。
いつだってハキハキと話す亜季が、消え入りそうな声でそう付け足した。遠まわしな言い方で秘めた心まで差し出してしまった亜季を前に、彼のシーソーは遂に大きく傾いた。ジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩め、逸る気持ちそのままに脱ぎ捨てられた衣類が、乱雑に椅子へ重なっていく。
キスしたことは。気が急いた男の問いかけに、亜季は首を振った。
「亜季、一つ言っておくことがある」
「はい、何でありましょうか」
「ずっと大事に思ってきたのは確かだが……異性としての大和亜季には、まだ惹かれ始めたばかりだ。すまん、魅力的だとは思いつつ、今までそういう対象として見ないようにしていたから……」
「……これからに、期待していいのでありますな」
「……ああ」
ベッドの隣に腰を下ろしたプロデューサーに頬を撫でられて、亜季はむず痒そうにはにかんだ。
「優しくするよう努力はするが、相当に昂ってる。乱暴になったらすまん」
「心配ご無用であります。鍛えておりますから」
見つめられた亜季は、唇がカサついていないことを舌で確かめて、男を迎えた。そっと重ねられた唇にも、身じろぎ一つせずにいる。
「……こんなに顔が近いと、緊張しますな」
「舌、入れるぞ」
「ンっ……!」
唇を割って、男が侵入を試みた。体温をまとった舌を亜季はたどたどしく受け入れ、勝手もよく分からないまま唾液を絡めあう。口元が濡れるのも意に介さない男に学ぶ亜季の顎もまた、べとべとになった。
焦れに焦れていた彼が肩や背中に触れる度に、火が入ったままの亜季は息を漏らし、身をよじる。デコルテの下に割り込んだ手に、ずっしりとした豊乳が乗った。
「デカいとは思ってたが……手に収まりきらないな」
「こ……これでも、拓海には及ばないのであります……」
「こらっ」
乳房から離れた手が、大福のような亜季の頬をそっとつまんだ。
「マナー違反だぞ。他の女の名前を出すなんて」
「ひっ、ひふれいひまひた!」
「今は、亜季だけしか見ていないんだから」
「……嬉しいですが、顔が熱くなってしまいます……」
異性との慣れない距離感に、亜季は戸惑っていた。初心な照れ顔に内心をくすぐられるのを覚えながら、男は先を急ぎたくなった。満足な射精はお預けのままなのだ。亜季だってもう慣らしているのだから、すぐに挿入することだってできたかもしれない。だが、健康的なイメージの彼女が、全身を触られてどんなメスの貌を見せてくれるのか、舌なめずりする下品な興味が勝ち、男は寄り道することを選んだ。
シルクの滑らかさを持った肌の奥から、密度の高いゴムのような筋肉が指や掌を押し返してくる。ぞわぞわと亜季が身を震わせて力が入れば、それはギュっと硬直する。障壁を想起させるその硬さは、亜季が浴びる刺激の強さを示しているようだった。ベッドに組み敷かれ、仰向けになっても、鍛えた大胸筋に支えられた山脈は地滑りを起こさない。それでいて、たっぷりに膨らんだ乳房の優しい柔らかさは、彼が思い描いた以上に女体そのものだ。
餅のような触感の乳房に指を沈めて愉しんでいた男は、音を立てて、綺麗なピンクを吸い上げる。
「ひゃ……っ……! 吸っても、何も……!」
唾液を塗り付けて転がす刺激に、亜季はたまらず素っ頓狂な悲鳴をあげた。
「これだけ中身がたっぷり詰まってれば、何か出てきそうじゃないか?」
「……もし出たら、ん……ぁ、飲んでくれるのでありますか……?」
「腹いっぱい頂くよ。おっぱい小さくなっちゃうかもな」
「ならば、張り切って、栄養を取らねばなりませ……んんっ……ぁ、はぁ……あっ、あ……きもちいぃ……!」
ほんの直径数cmの領域をねちっこく責められて、亜季は肩をぴくぴく震わせている。舐られる蕾はたちまち張り詰めて、一回り大きく膨らんだ。単なる皮膚刺激による反射であったが、男はそれが興奮のもたらしたものだと思い込み、熱を余計に高めていった。押し付けるように両の乳房を寄せれば、乳首同士を擦り合わせることも、左右を同時に口に含んで味わうことも容易だった。硬く尖ってコリコリになった乳首に吸い付かれる度、蜂蜜みたいにとろりと甘い鳴き声が、狭いベッドの空気を満たした。
公に発表している3サイズ以上の存在感に男が満たされ、乳首の表皮がてかてかするまでしゃぶりついていた口を離す頃には、亜季は胸郭を広げて大きく呼吸し、くたっと脱力していた。
男の手が胸部から腹部へと下っていく。そこには、努力の積み重ねが刻まれている。
「あの……」
「どうした?」
「……自慢の腹筋ではありますが、その……」
「触られるのは嫌か?」
「と、殿方は、敬遠するのでは、と……。今まで意識したことも無かったのですが、急に……」
「そう恥ずかしそうにされると、触らずにはいられないな」
「っ……くふっ、く……くすぐったいのであります……!」
陰を作る凹凸は、立派なものであった。腹直筋にとどまらず、脇腹の外腹斜筋も、皮膚のすぐ下で存在感を主張している。女性の肌触りの下に、女性らしからぬ力強さが潜んでいる。両手に広がる不思議な感触に、男は無性に嬉しくなった。
「あ……う、何だか、ヘン……で、あります……」
上腹部をぐにぐにと揉まれ、臍周りから下腹部を撫でられている内、こそばゆそうに笑っていた亜季の声は次第にふにゃっと緩んだ。
「じんじんして……き、気持ちいい、かも……」
微かに漏れ聞こえる声と共に、腹筋がきゅ、きゅっと収縮する。
「ここ、亜季の性感帯かもしれないな」
「そ、そんなことは! ドキドキして、神経過敏になっているだけであります!」
(そういうのが「性感帯だ」って言うんだけどな)
「それに……あの、お腹よりも下の、その、塹壕を……」
「……そろそろ、おまんこ触って欲しいのか?」
「っ! も、もう少し、婉曲的に……!」
外から見ても明らかな程、ショーツは粘膜の輪郭に沿って色濃く変色している。男が手を差し入れた先は、ふわっとした陰毛からしてもう湿地帯になっていた。照れ隠しに亜季が発した「塹壕」は、水はけの悪くドロドロになった様を連想させ、却って生々しい比喩は男を燃え上がらせた。
「ひぁ……!」
自ら燃やした末に上半身から愛撫を受け続け、女の大切な所はびちゃびちゃの大洪水だった。裂け目の輪郭をぬるぬるとなぞっただけで、亜季は腰を跳ねさせた。蒸しタオルから立ち上る蒸気のような熱が、粘膜から伝わってくる。ショーツの端を摘ままれて何をされるかを悟った亜季は、黙って腰を持ち上げた。くちゃ……と皮膚から布が剥がれ、ねばついた糸を引きながら股間を離れていく。照明を受けて、クロッチの内側はてかてかと光っていた。
衣服が全て剥がれた亜季の裸体。磨き上げてきた肉体の美しさに男は目を見張った。解いた髪を見たくなった彼はシュシュも取り払い、望んだ以上のつやつやした黒髪が、白いフィールドに散った。首からさがった革紐のチョーカーが、99%生まれたままの姿から匂い立つ色香を強調している。「綺麗だ」と口にすることにむず痒さを覚えながら、体内への入り口を探り当てた男は、指を沈み込ませた。
「は……あっ……」
膣口付近の抵抗は、男の予想に反してほぼ無かった。自分で指を入れて慣らしているからか、ある程度の所まではすんなりと男の指を受け入れる。だが、根元まで入れようとするにつれて段々と抱擁は圧迫に変わり、中指が埋没するまで挿し入れると、血流が阻害されるほどの強い締め付けが男の指先に襲い掛かってきた。
以上になります。目を留めてここまでお読み頂き、誠にありがとうございました。
Twitterで見かけた1枚のイラストが元ネタでした。アレ本当に良かった。
感想やご指摘(ここがダメ、みたいなのも歓迎)あったら非常に嬉しく思います。
亜季より雪美が好きな人だけど、一応修正を
まず、自衛隊風の時刻の呼称ならフタイチマルマルでなくフタヒトマルマルね
それからドラグノフは全長120超えだけど、カラシニコフは90ないから表記としては逆かも
(連射できる的意味とか、撃っても当たらない的意味ならいいけど)
あと、みんな第二配備の男性器をデリンジャーって言うが、たまにはリバレーター扱いをして欲しいな
例 ありす「プロデューサーさんの男性器は、普段はリバレーターですが、私と一戦交わる時はGM6リンクスサイズになって338ラプア弾で子宮の奥まで突いてくれるんです!」
「どうですか。50口径といえども所詮は拳銃弾では敵うはずがありませんよ。論破です」フンヌ
>>23
訂正、ご指摘ありがとうございます。こういうの貴重です。時刻の誤りは痛い……。
ミリタリーや銃器周りはほぼ全く知らないなりに調べて臨んだのですが、やはり粗がありましたね。
こっちは直しようがないので渋の方を修正します。
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