こんばんは。セレチケで頂いたカードに(何とは言いませんが)思う所があったりしたので書きました。
【備考】
・舞浜歩さんが出てきます
・特に危ないプレイはしてないと思います
・マイガ―1回
以下12レスほど続きます
楽屋の中のテレビモニターでは、ちょうど一つのステージが終わろうとしている所だった。ステージと言っても歌番組の中で割いてもらった数分間に過ぎないし、観客は自分のファンではなくて番組の観覧客だ。それでも、今日の歩はよくやっていた。ステージの脇から見たかったが、ついさっきまで打ち合わせで拘束されていたからやむを得なかった。こうしてモニター越しに見られただけでも十分だ。
程なくして番組全体の行程が終わり、数分も経たない内に楽屋のドアが勢いよく開いた。
「イエーイ!」
「おつかれさん……って、随分テンションが高いな」
「いやー、ステージ盛り上がってすごい楽しかったんだけど、一曲だけってのが物足りなくってさ、興奮が治まらないんだよ!」
興奮が治まらない、という言葉通り、歩は目を爛々と輝かせ、頬を上気させている。歩の出番の一つ前が、しっとりしたバラードであったことも影響していたかもしれない。テンポの速い曲で得意のダンスを前面に押し出したパフォーマンスがスタジオの空気を一変させていたのは、それほど大きくないモニター越しにでもよく伝わってきた。
「今日の衣装、スカートじゃん? 結構短かったし、あんまり派手に動けなかったのもあってさー」
「帽子が無い分動きやすそうだと思ったんだが、そうでもなかったか」
今回の歌番組はステージ衣装で出演することになっていた。ハロウィンの時期にリリースした曲を歌うにあたり、衣装もそれに合わせてダークネス・アメジスト(タグには++と付けられていた)を引っ張り出してきた。他の出演者とのバランスを取る兼ね合いで帽子は外すことになり、衣装にも多少の調整を加えてもらっていた。ぴったりフィットした暗い赤紫が、しなやかな体のシルエットを強調している。
大胆に晒した太腿を目が勝手に追ってしまった時、にじりよってきた歩が壁に両手を突き、背中が壁についた。俺が歩にそうするのならまだしも、頭一つ低い所から歩が壁ドンをしようとしても、下から懸命に手を伸ばして追い詰めようとしていてはどこか滑稽で、思わず口元が緩んでしまった。
「あとどれぐらいで、ここを出るの?」
「三〇分ぐらいかな。まだ仕事があるから、歩を送ったら劇場に戻るよ」
「それだけあればさ……」
顔を上げて俺を見つめる歩が、赤い舌の先端をぺろっと出して見せた。衣装に持たせたコンセプトの魔女みたいに、目を細めて悪戯っぽく笑っている。
「へへ……一回くらいは、できるよね?」
「何を?」
「えっと……何をって、そのー……えっち♡」
グロスを引いた唇が紡ぎ出した三文字は蠱惑的だったが、恥ずかしさは隠しきれていないようで、みるみる内に耳が赤くなっていく。初めてを経験してからしばらくの頃は、俺が求める度に縮こまってばかりだったのに、お調子者な歩は、気分がノッていれば、こういう濃密なコミュニケーションにかけても、『誘う所までは』随分積極的なアクションを見せるようになった。
「なんか不完全燃焼でウズウズしちゃってさ、こう、パーッと燃え上がりたい気分なんだ」
「……マジで言ってるのか? こんな所で?」
「鍵ならもう閉めてあるって。ねえ……い、いいだろ? せっかく、今日はソロのお仕事で、二人っきりなんだし……」
「だが……」
「プロデューサーだって……ムラムラしてるんじゃないの? この衣装着た時さ……その~、ちょっとエロい目で見てた気がするんだよねー……」
顎の先、Iの字のグラマラスな谷間が、つい目に入ってしまった。歩はその視線を目ざとく拾い上げて、「ほら、今だって」なんて得意気に唇を吊り上げている。暗いカラーリングが歩のむっちりした胸元や、ウエストからお尻にかけての曲線美を強調している。その膨らみの豊かさを目にして、前に彼女を抱いた時の記憶や感覚が、ありありと脳裏に甦ってくる。
「くそ……一回だけだぞ」
こんなに近くで、湯気を立てるビーフステーキを空きっ腹に見せつけられるような状況に置かれれば、ムラッと来てしまうのも認めざるを得なかった。できることなら、ベッドの上で雰囲気に酔わせながらじっくり全身を味わい、たくさんイイ声で鳴かせてやりたい。ここはテレビ局の楽屋。壁一枚隔てれば人が行き交っている。だが、そんな場所で猥褻な行為に及ぶのはこれが初めてでは無かったし――スリルの中で快感が高まることを、俺も歩も内心では経験として理解していた。
オファーのあったドラマ出演が決まり、与えられた役を演じるための訓練として始まった恋人ごっこ。クランクアップの後もそれは続いていて、いつの間にか、「ごっこ」は「ごっこ」ではなくなっていた。関係を定義する明確な宣言は、まだどちらの口からもされないままだ。しかし二人きりになれば、歩は好意を滲ませて距離を詰めてくるし、甘い言葉だって、顔を完熟トマトみたいにしながらぽつりぽつりと口にするようになった。
役割からもたらされたものなのかどうか分からなかったが、禁じられたことと知りながら歩を求めて焦がれる心理が、確かに自分の中に生まれていた。でなければ、踵の上がったブーツから更に背伸びして口づけを交わそうとする可愛らしい彼女に応えるはずもない。
「体、一応ちゃんと拭いてきたけど……汗臭くないよね?」
「別に気にしないのに」
「ア、アタシが気にするんだってば」
LEDの室内照明の下、歩の頬がますます色濃く染まった。加湿器から立ち上る蒸気が濃くなっている。伸びてきた両手に顎を掴まれて、再び歩の顔が近づいてきた。
「ん……っ、ちゅ……」
二度目のキスをする頃には、向こうから舌が訪れてきた。性急だが、それだけの性的欲求に突き動かされているのだと思えば、男を悦ばせるには十分だった。舌先同士が接触すると、根元からそいつを引き抜こうとばかりに、歩はどんどん口の中に押し入ってくる。
耳を澄ませば廊下の足音が聞こえてきそうな静寂の中、互いの呼吸と、どちらかがどちらかの唾液を啜る音を、鼓膜が懸命に拾い上げる。爪先立ちになった足がぷるぷる震えているのが、密着した胴体越しに伝わってくる。
「……触り方、なんか……すごくエッチ……」
「当たり前だろ。歩のお尻が魅力的過ぎるんだよ」
「っっ……っ!」
俺を壁に押し付けようとする歩のお尻をぐにぐに揉みしだく。筋肉に支えられたそのぷりんとした弾力を堪能していると、荒くなった鼻息が首元をくすぐった。尻から腰へ、脇腹へ、縦長に生地が切り抜かれて露出した腹部へ。交差した紐の隙間から覗いた臍へ指を沈めると、びくっと肩が跳ねて、体温が離れた。
「やっ……お腹は……!」
歩が俺の手を押さえようとしたが、もう遅い。ぬくもりがもう掌へ直に伝わっている。
歩が丹念な努力で磨き上げてきたダンスの技術は、困難な技も可能にするその体つきにもしっかり表れている。体重にも、出る所の出たスリーサイズにも。プロダクションに入ってきてだいぶ経ち、二十歳を越えた今となっては、裸で体重計に乗ってもとうとう五〇キロを切らなくなってしまった、と歩は嘆いていた。
少し力んだだけで、腹直筋の割れたシルエットが皮膚に浮き出てくる。未だに本人はそれを「女の子らしくない」と気にしているようだが、俺も含めて、健康的なセクシーボディのファンは多い。特に、筋肉の土台に支えられた胸や尻は、ボリュームがあるだけでなく、形だって綺麗だ。自分に自信を持つ一要因になりうるはずなのだが、踊り以外からっきしな歩は、ダンスが絡まない限り、せっかく作り上げた体をアピールするのに消極的だ。だから、未だに露出の絡む仕事はその気にさせるまでが大変なのだ。
「……おっぱい触りたかったんじゃないの?」
「歩だってここ触られるの、好きだろ?」
「そっ、そうだけど……あっ、違……そうじゃ……」
「ははっ、正直だな」
墓穴を掘った歩のポニーテールが、左右にさらさら揺れる。口ごもりながら顔では嫌がっているように見えるが、それもまた本音を隠す一つのポーズに過ぎない。その証拠に、筋肉の輪郭をなぞられ、シックスパックの表面を突っつかれて、溝をくすぐられても、歩は抵抗せずに息を荒げている。お腹を撫で回されて恥じ入りつつも感じている姿は、たまらなくそそるものがあった。
肌ざわりは女性らしく滑らかでふにっとしているのに、少し押せば強い弾力が指を押し返してくる。技術的に難しいダンスを支える体幹の筋肉は、小さく声を漏らす度に緊張し、興奮の度合いを表すように硬直した。まるで、ここも一つの性器であるみたいに。
「どうした歩? そっちから誘ってきたのに、されるがままになっているじゃないか」
「あ、あ……だ、だって……」
空いた左手で、豊熟した大ぶりの果実を弄びながら尋ねる。肩を出す衣装の都合上、ストラップレスのブラジャーを着けているようだ。二枚の布越しにうっすら感じられた突起を指でカリカリ引っ掻いていると、甘い溜息と共に、そこはぐんぐん硬く尖り始めた。壁についた手に体重を預けて、お腹をぴくりぴくりと硬直させながら、歩はペッティングに身を任せて可愛い鳴き声をあげている。抑えた声のトーンが、徐々に上がり始めた。肩幅に広げられていた両脚はもう内股になっていて、歩は密着させた太腿をもじもじと擦り始めた。
「も、もう……! アタシからも触るからね!」
襟元を引っ張り下ろして片側の乳房をぺろんと露出させる頃になって、ようやく歩はアクションを起こし始めた。壁についていた右手を離して俺の腰に当て、おずおずと股座の中心部へと近づけていく。ファスナーの下りる音が生々しく壁に反響した。
化粧台の前の椅子なり、奥の座敷なり、もっとマシな場所があったはずだ。それなのに、楽屋の通路の、それもドアが見えるような場所から動くことを、俺達は選ぼうとしていなかった。
「熱い……」
社会の窓の内側で握られた。刺激を受けないままで中途半端に勃起していたペニスが引きずり出され、互いの呼吸で湿った空気の中に晒される。
きゅ、と輪郭を確かめるように指が絡みついてきただけで、合図を待ちわびていたそれはぐんと膨らみ始めた。歩が手で扱き始める。血管を太く浮き上がらせて、男のシンボルは歓喜に打ち震えた。
「プロデューサーも、興奮してるね……手の中でビクビクしてるよ……」
「歩がエッチだからな」
「ア……アタシのせい?」
「俺をその気にさせたのはそっちだぞ?」
「……そうかもしれないけど――あうぅっ!」
臍の下、恐らく子宮が収められている辺り。膨らんだ乳首を捻られるのと同時にそこをぐっと圧迫されて、歩が仰け反った。そのまま探り当てたツボをトントンとタップしていると、ペニスを扱いていた手が徐々に緩慢になっていく。
俺が行為の度にお腹を愛でていたせいかもしれない。知らず知らずの内に、ポルチオを外から刺激される快感に歩は目覚めていた。下腹部を撫でられたり圧迫されたりしている内に絶頂してしまうことすらあった。もたらされる刺激は相当なものらしい。せがんでくることこそ無かったが、ひとたび腹部への愛撫が始まると、歩はいつも表情や声色や体の反応で、もっとそこを可愛がって欲しいとサインを出していた。
「あ……ッ、そこ……やっ、ああっ……!」
「ほら歩。手が止まってるぞ」
「そ、そんなこと言われても……あっ、あ、あっ」
俺の言葉に急かされて、陰茎を握る手の圧力が強くなった。性感帯と化した腹部を責められる快楽を誤魔化そうとして、弛緩した手が苦し紛れにペースを上げる。柔らかな掌の、心地よい力加減の手コキが甘やかな刺激をもたらし、抑えきれなくなった快感が呼吸に漏れ出す。呼び起こされた性欲が、下半身の突起一点に注ぎ込まれていく。
「プロデューサー……ちょ、ストップ……!」
「ん、どうした」
「ア……アタシ……もう……」
「……イキそうなのか?」
歩が頷いた。力強い吊り目も今は緩み、欲情の色に瞳が潤んでいる。
ペニスを握っていた手が離れ、タイトスカートの内側へ滑り込んでいく。陶磁器のように滑らかな白い太腿の上を、頼りない黒の布地がするする引き下ろされていく。黒いショーツの内側は、色濃く変色していた。
半分に畳んでテーブルの上に置かれるまでの間、湿ったショーツに視線を奪われ、パールピンクにてらてら濡れる割れ目の様を思い浮かべた。膣口は呼吸するように蠢き、男を受け入れる瞬間を待ちわびているのだろうか。クリトリスも包皮を押し上げて勃起しているかもしれない。心臓がどくんと強く脈打ち、生唾が喉を駆け下りて行った。
「い……挿入れて欲しい……ちょうだい……」
恥じらいに紅潮しながら、歩がおねだりした。耳を澄ませていなければ分からない、消え入りそうな声だった。挿入れて欲しいと率直な言葉で懇願されれば、その言葉通り挿入れたくなる。本能は正直だ。鞄を漁る掌が汗ばんだ。内ポケットのファスナーの奥へ封印してあったスキンは、残り二回分。
「体勢、入れ替えるぞ。壁に寄りかかって」
「あ……立ったまま、するの……?」
「ああ。すぐ欲しいだろ? 俺も、正直待ちきれなくなりそうなんだ」
「うん……」
タイトスカートをたくし上げ、上ずった声で照れ笑いを浮かべる歩の右脚を抱えた。互いの股間を接触させると、しとどに濡れそぼった裂け目にすぐ行き着いた。垂れてくる愛液を幹で受け止め、クレバスの表面へ塗り広げ「これから入れるんだぞ」と存在をアピールする。
「ね……あ、焦らしちゃ、やだ……」
「大声は出すなよ」
「が……がんばる……んぁ……入る……」
歩の背中を壁に押し付けて、腰を進める。肉を割る感覚を通り過ぎれば、招かれるように一気にずぶずぶと沈み込んでいく。焼けるように熱い。女体からすれば異物たる男性器を、よく濡れた女の肉が、力いっぱいに抱き締めてくる。足腰もしっかり鍛えている歩の膣は、ぬかるんでいなければ痛みを感じるぐらいに窮屈だ。
「~~~っっ!! ……あ、ま、って……いく、いって……る……!」
奥まで辿り着いて早々に、歩は大きく腰を震わせて、肩にぎゅっとしがみついた。ざらざらした天井が亀頭にぴったりと張り付いてくる。ひくひく内部を痙攣させる度に粘膜を吸い上げられるみたいだったが、程無くして漏れてきた大きな溜息と共に、窮屈な膣内はゆっくりと弛緩した。
「入れただけだぞ。ちょっと早過ぎないか?」
「し……しょうがない、じゃん……さっき、いい所だったから……」
「もう少し待った方がいいか?」
「ううん……動いてもいいよ」
「動いて欲しいんだろ?」
「うん……いっぱい、掻き回して……は、ァ……ッ」
動くぞ、と一声かけ、奥まで突き込んだ肉棒を引く。ずりずりと襞が擦りあげてきて、下半身がゾクゾクする。声を出すなと言ったこっちが声を出してしまいそうだ。さっき手で扱かれていた分の高まりがまだ残っている。この分では長持ちしなさそうだったが、制限時間があるのならば都合が良かったかもしれない。ゆっくり往復したのは始めの二、三往復程度で、すぐさまピストン運動にエンジンが入る。
「あ……あ……ん……はっ、ん、ん、んん……!」
ガサガサと布地が擦れ合う音の中に、男女の粘膜が熱烈なキスを交わしている。熱くしっとりした息遣いの中に、歩は喘ぎ声を溶け込ませてどうにか誤魔化そうとしていた。
映像出力の切られたモニターはもう沈黙している。加湿器の立てる僅かなモーターの音と、セックスに励む男女の呼吸と、水気を増していく生殖器の摩擦音、それが楽屋を支配していた。
歩は片手で俺の肩にしがみつきながら、声が出ないよう手の甲で口を押さえている。その手を引き剥がして壁に押し付け、唇を奪う。舌を差し入れて口の中も責めてやろうとすると、歩も負けじと舌を絡ませてきた。
唾液が唇の端から零れるのも構わず貪っている内に、最奥の壁が狭まってきていた。根元まで肉茎を押し込むと、コリコリしたものが先端に当たって、びっくりした膣がギュウッと狭く収縮する。
「う……あ……そ、そこ……だめ……っっ!!」
さっき外側から圧迫していたポルチオを直接ノックすると、息とも声ともつかない音を鼻から漏らしながら、歩は舌を止めてしまった。二度目の絶頂だった。下半身をがくがく痙攣させて、蕩けた秘肉が暴れまわる。汗ばんできた身体をよじってしばらくもがいた後に、やがて波は治まったようだ。くたっと脱力した体を支えながら、抱えていた脚を下ろした。
「き……きもちいぃ……」
「歩、壁に手をついて」
「……あ、後ろ……から……?」
「ああ。怖かったら教えてくれな」
突き出された尻を掴む。窄まりの下に位置する歩への入り口は、灯りを反射してぬらぬらと妖しく光っている。膨らんだ大陰唇を指で左右に広げると、くちゃっと音がして、穴から一滴の愛液が垂れてきた。背後から動物的にメスを犯す愉悦を期待したオスは、パンパンに張り詰めて、角度をますます高めている。
「うっ……んァ……硬い……っ」
挿入される感覚を噛み締めるように、うっとりした声が背中越しに聞こえた。涎でべとべとになった膣口が大きく広がって俺を飲み込む。女の中に入り込んで、愛液にたっぷりと濡れた膣壁に包まれる瞬間は、あまりにも甘美だ。
「歩の中、トロトロになってるな」
正面から入れた時とは異なる捻じれ方をする膣を、硬く張ったカリでゴリゴリと引っ掻く。エクスタシーの後で大量に分泌された愛液で滑りは良いが、歩の締め付けは強くなっていく一方だ。
グラインドの幅を狭めて奥を小刻みに犯していると、歩は呼吸で我慢しきれなくなって、よがり声を漏らし始めた。口を大開きにさせないようにしなければ、と思って咄嗟に人差し指を唇に当てた。俺の意図を読み取ったのか、歩は指を咥え、くぐもった声を鼻から漏らしながら、熱心にしゃぶりついてくる。
「!」
乾いた靴の音が、微かに聞こえた。腰を止める。それは歩も同じだったようで、半ば無理矢理に息を潜めている。歩の緊張が、膣肉へダイレクトに反映されている。俺を包む壁が強烈な圧力で押し潰そうとしてきて、思わず呻き声をあげてしまいそうになった。その刺激に驚いた男根が内部で大きく跳ねて、膣壁を突き上げられた歩の胴もぶるっと震えた。
「歩、締め過ぎだぞ」
「ぷっ、プロデューサーこそ、中でおっきくしないでくれよ」
「……もう行ったみたいだな。続けるぞ」
ぴったりくっつけていた腰を引き抜こうとすると、しばらく抱き合ってジッとしていた襞が、ぎゅっとへばりついてきた。ただでさえ締まりのいい膣が貪欲にしゃぶりついてくる。もっと、もっと味わいたい――足音に耳をそばだてる自分は瞬く間に消え去ってしまった。
俺の欲望を受け止める背中の向こう側では、大きい乳房がゆさゆさと揺れていて、手を伸ばせば、体が揺れる度に掌から零れそうになる。たぷんとした柔らかさを存分に愉しみたかったが、下半身へ断続的に走る、とろけて腰が抜けそうになる悦楽が、そうはさせてくれなかった。
腰を打ち付ける度に、濡れそぼった膣は複雑に捻じれて、男を求めてくる。種付けをねだるように、粘膜と皮膚の境目や、裏筋の縫い目、神経の集まったポイントにぴたっとフィットして、ピストンに合わせてちゅうちゅうと吸い付いてきた。
このまま腰を振り続けて射精に到達したい。まだこの快楽を享受していたい。いずれ行き着く先は同じでも、二つの思いが交錯していた。膣内を掻き回す度に揺れて乱れるピンクのポニーテールからは、歩が使っているシャンプーの、甘さと爽やかさが混在した香りがふわっふわっと立ち上る。そこには、この短時間のセックスでじんわりと滲んできた汗のにおいも、混じっている。
「歩、そろそろイくぞ」
「ん、うん……っ」
ペースを上げる。違う。ペースが上がった。膣口で押しつぶされた粘液が、ぐちゃ、ぐちゃっと粘っこい音を立てる。その卑猥極まりないサウンドが、楽屋の空間を何度も何度も駆け巡る。最早、声を押し殺す意味は無いも同然だった。
ウエストを掴んで、相手を気持ちよくさせるためよりも、自分が気持ちよくなるための、男の身勝手なピストンに打ち込む。動物の交尾みたいな体勢で亀頭を擦ることに夢中になり、射精のためのギアはあっという間に上がってきた。
「う……ぐ……っ!」
熱くなった肉の洞窟の中で、出来るだけ奥まで突き込んで、精液の奔流に身を任せる。意識の外からの力で、腰がぶるぶると震える。どくっ、どくっと拍動して、ポンプが白濁液を勢いよく押し出す。その律動に呼応して、絡みついてくる襞がペニスを握り締め、ありったけのスペルマを吐き出させようと奥へ引き込み、絶頂の最中にあって精子を噴き上げる怒張を扱き、追い打ちをかけてくる。
長い射精を終えて、全力疾走した後みたいに呼吸が乱れている。吐精の間、咥えさせた指に痛みが走っていたような気がしたが、歩の口から解放した人差し指はすっかりふやけていて、リング状に歯型も残っていた。
「……ごめん、頭、真っ白になってて……指、噛んじゃった」
振り向いた歩の顔は汗ばんでいて、前髪の一部は額に張り付いていた。温かな胎内から一仕事終えた息子を引きずり出し、じっとりと熱を持った身体を正面から抱き締める。接吻を交わして事後の余韻に浸ろうと思っていると、精液を受け止めたゴムもまだ外していない男性器に、細い指が絡みついてきた。
「ね……もう一回しようよ」
「は? 本気で言ってるのか?」
歩はあっけらかんとしていた。呼吸こそ平常時より早いテンポだが、俺とは違ってもう息が整いかけている。
「時間、まだ大丈夫じゃん、いけるって」
「そうは言うがな……」
俺がイエスと言っていないのに、使用済みのゴムが外されて口を閉じられた。少し離れたテーブルの上へそれを放り投げるなり、歩は足元に跪いた。
「アタシがすぐ元気にしてあげるからさ」
ぬるり。さっきまで指を咥えていた歩の口が、腰を下ろして一息つこうとしている男性器をぱくりと咥えこんだ。ねっとりした舌が、絶頂して敏感になった亀頭を優しく撫でる。それでいて、膣とは違い、男を気持ちよくしようとする意図に満ちた刺激が襲い掛かってくる。
派手な色の髪が揺れるのとシンクロして、溜め込んだ唾液が唇との狭間で擦れて、淫らな音がする。魔女を模した色っぽいステージ衣装のままでこんなことをしている状況をまじまじ眺めて、その背徳感を意識した瞬間、歩の口の中が狭苦しく感じてきた。
「ぷは……へへっ、もう元気いっぱいだね。……あ、胸でした方が良かった?」
はだけたバストを手で持ち上げながら、歩が調子のいい笑みを浮かべている。
「……ねぇ、あそこに座ってよ」
歩の指さしたのは、テーブルの足元に幾つか並んだ、直方体のスツールだった。促されるままに腰かけると、座った俺を見下ろす歩が、悪戯をしかける子どもみたいな顔になって、これからすぐに破くことが分かりきっているコンドームの小袋を、わざわざ口に咥えて見せびらかした。俺がそういう仕草を好むのを、歩は分かっていた。
「今度は……アタシが動くね」
いそいそとスキンを被せるなり、屹立した男性器の位置を見定め、歩が太腿を跨いできた。ちらりと腕時計を見た。歩との第二ラウンドを満喫するだけの時間があるかどうかは、微妙な所だ。
「歩、ステージ終えた分の消耗もあるのに、疲れてないのか?」
「いや、全然。これでもまだ動き足りないぐらいだよ」
「……若いっていいよな」
「プロデューサーだって若いじゃん。じゃ、いくよ……あ、あっ……あつい……」
サバサバと元気よく喋っていた歩の声は、粘膜同士が触れ合って、性感に蕩けた。重力に引かれるまま、ずぶずぶと腰が沈み込んできて、やがて陰毛が絡みあう。こつ、と子宮口に亀頭が口づけを交わす頃には、ペニスを丸呑みにして悦ぶメスの顔が、目の前にあった。
「この姿勢、いいよね……顔がすぐ近くにあって……」
対面座位になり、歩が抱擁を求めて背中に腕を回してきた。応じない理由はない。女性にしては逞しいとはいえど、男に比べればずっと細い体を抱き締める。
「ねぇ、もっとギューッてしてよ」
「これぐらいか?」
「もっと」
「どうだ?」
「もっと」
「痛くないのか? もう目いっぱいなんだが」
「これぐらいがいい」
これ以上の接近が不可能なぐらいに思い切り体が密着して、互いに言葉を発すれば耳元で囁き合うことになる。腰を揺すり始めた歩の湿った吐息が耳にかかってくすぐったい。それと同時に、「気持ちいい」「もっと欲しい」と訴えかける息遣いが、背筋にゾクゾク来る快感をもたらしてくる。自分で動くよりも摩擦が少ないはずなのに、どぷどぷとゴムの中に先走りが流れ込んでいくのが分かる。
性器の立てる音が、小さな喘ぎ声の混ざった息の向こうに聞こえる。根元から扱き上げられる刺激にこそ乏しいものの、ハグの力に比例するように内部がギリギリと締め上げてきて、一度精を放って生まれたはずの余裕がどんどん失われていく。
「プロデューサー」
「ん?」
「好き……」
「何だよ突然」
「こうして、ぴったりくっついてると、さ……すごくドキドキして、そういう気持ちが、溢れてくるんだ……」
「歩……」
「あ……今、中でビクッてした♡」
コンコン。
背筋がうすら寒くなった。ノックの音だ。腰かけたスツールからは死角になっている入口のドアからだ。さっきの足音とは違い、明確にこの部屋をターゲットにしている。反射的に腕時計を視界に引っ張り込むと、楽屋を後にする予定時刻まであと僅かだ。
「765プロさーん、まだ楽屋にいらっしゃいますか?」
間延びしたスタッフの声がする。歩の言葉が確かならば鍵は閉まっている筈だが、出来ればドアノブにすら触れさせたくなかった。ぴったりと密着した歩の鼓動が伝わってくるような気がしたが、それはもしかしたら自分の鼓動かもしれない。
「すみません、ちょっと片付けに手間取ってまして……」
「ああ、これは失敬。急かすつもりは無いのです。ただ、今回の出演者でお残りなのが765プロさんだけだったものですから」
「終わり次第、すぐに出ま――」
膣内で肉茎がびくんと跳ねた。ザラついた天井が亀頭に擦れたのだ。ぴたりと密着したまま、歩がもぞもぞと尻を揺すっている。
「(こら歩、じっとしてろって)」
「(い……イイ所をぐーって押されてて、ガマンできないんだよ……!)」
声を張り上げる必要がある程度に、部屋の入口とは距離がある。多少の声を漏らした所で外に漏れ聞こえることは無いだろうが、耳元で「あ」だの「ん」だの艶めかしく囁く歩の声、が体内で反響、増幅して、廊下の外にまで聞こえてしまいそうだ。
「どうかされましたか?」
「いっ、いえ、何でもありません、お気になさらず!」
早口で何とか言い終えた。歩は大人しくしていられなくて、とうとう腰を振り始めた。その度に生じる細かい往復運動の摩擦が下半身から俺を責め立て、うっとり囁く嬌声が、絶え間なく耳をくすぐって上半身から俺の興奮を煽り立てている。息をする度に、歩の肌の香りが肺を満たしていく。みるみる内に呼吸が浅くなって、射精欲求が指数関数的に増大してきた。
「……分かりました。それにしても、舞浜さんのステージ、すごかったですね」
「えっ……ええ、ウチの自慢の娘ですから」
今、俺は何と言った。ほんの一瞬前に口にした言葉が思い出せない。上からも下からも責められていて、頭がうまく回らない……。
「え、娘!? 舞浜さんのお父様でいらっしゃるのですか?」
「あっ、い、いえ、違います! ウチの事務所の自慢の娘ってことですよ、はっは」
「(も……イキそ……イッちゃう……)」
「(ま、待て、俺もヤバいんだ。もうちょっとこらえろ)」
「(うぅ、無理だよぉ……)」
「ああ、そういうことなんですねー。それじゃ、お気をつけてお帰り下さいね」
「は……はい! 本日はありがとうございました!」
かつ、かつ、かつ……。足音が遠ざかっていく。
全く音が聞こえなくなるまでは、もう待てなかった。
「この……歩っ」
「ひん……ッ!」
気怠い腰に鞭を打って、下から突き上げる。
「危ない所だったじゃないかっ」
「あっ、あっ……で……でも……っ」
「でも、何だ」
「き、気持ちよくて、何も、ッ……考えられない……!」
急激に高まった緊張が急激に緩んで、耐えていた分の快楽が土石流のようにドッと押し寄せてきた。もう辛抱が効かない。爆発しそうになっているペニスを、熱くぬるぬるする歩のナカに思い切り擦りつけたくてたまらない。
歩が上になっていると動き辛い。そう頭に思い浮かんだ時にはもう、しがみつく身体を持ち上げて、テーブルの上に組み敷いていた。白い板の上に歩の髪がぱっと散って、視界の中でピンクが広がっていく。
だるい、と下半身が零す疲労を、夢中になって性交を貪るオスの欲求が上書きして一色に染めていく。体重が乗ってガタガタ鳴る机の上で、脚が絡みついてくる。腰に巻き付いたそれは、欲深に男を求めるメスの本能でもあり、満足するまでは絶対に拘束を解かないという強制でもあった。
「おっきいの、来ちゃう……声、出ちゃう、大声……っん!」
我慢させずに思い切りよがり声をあげさせたかったが、今は……。なけなしの理性を振り絞って、涙目になった歩の唇を塞ぐ。
こっちももう、炸裂数秒前だ。硬い所に寝かせて申し訳ないが、のしかかってラストスパートをかける。噴火寸前の火山が、先走りのマグマを既に何滴か飛ばしている。すぐそこにあるはずの射精の瞬間が待ち遠しい。臨界点はあっという間に物凄い速度で背後へ通り過ぎていった。
「んふ……んんっ……んーーーーーーーー!!」
鼻からくぐもった悲鳴を漏れてくるのが遠くに聞こえた。ぷつんと袋の口が切れ、精巣でぐつぐつと煮えたぎっていた中身が怒涛となって噴き上げる。一度射精を経て疲労を覚えた後だというのに、放尿みたいにどばどばと景気良くザーメンが鈴口を押し広げて、押し合いへし合い飛び出していく。ひくひく震える膣は更なる熱情をねだるみたいに、吸い付きながら絞り上げてくる。おかげで、中々精液の排出が止まらない。
「ハァ……ハァ……ぁ、まだ、出てるね……ふふっ」
情けない声を漏らしながら、体外でも体内でも歩とハグを交わして、絶頂の快楽に酔い痴れる。ずっとこのままでいたい、という思いは、色を取り戻す視界の中で霧が晴れるように、次第に落ち着いていった。
「もう抜いちゃうの……?」
「……さすがに店じまいだ。もう、ゴムも品切れだしな」
「そっか……」
「満足できなかったか?」
「ううん、すごく満足してるよ。 ……ホントは、あと一回ぐらいしたいけど……」
もう行かないとね、と呟きながら、歩が愛情表現のキスを重ねてきた。
互いに着衣のままで、体液もそれほど飛び散っていなかったため、後始末にさほどの時間はかからなかった。すぐに済ませなければという焦りがある一方、もう少しイチャイチャしていたかった気分もあって、名残惜しさが腹の底に積もっていた。化粧台の上の壁掛け時計はもう、ここを出る予定時刻を数分過ぎてしまっていた。
「歩、奥の座敷の所で着替えちゃってくれ、さすがにもう出発しないとまずい」
「オッケー」
倦怠感に苛まれてげっそりしている俺とは対照的に、歩は何事も無かったかのようにけろっとしている。業務外でもっと体力をつけないと、スポーツ感覚で求めてくる歩についていけなくなるかもしれないな……と溜息をついていると、テーブルの上に黒いものが雑に置かれているのが目に入った。
「おい歩、パンツ忘れてるぞ」
「えっ……マイガーーーー! ごめん、取りにいくから……えっと、こっちを見ないでくれよ!」
別に見たっていいんじゃないか、今更。言われた通り座敷から顔を逸らすと、パタパタとスリッパの足音が近づいてきて、すぐに遠ざかった。
「歩、メシ食っていこうと思うんだが、来るか?」
「えっ、いいの? お仕事は?」
「劇場にはどの道戻るが、明日やれる仕事だから明日に回すよ。寿司屋でいいか?」
「葉ワサビ巻がある所?」
「ああ」
「お酒飲んでもいい?」
「ちょっとだけな。俺は車だから飲めないけど、せっかくソロの仕事なんだ、打ち上げも兼ねて付き合うよ」
子どもみたいな歓声が奥から聞こえてきた。やにわに衣の擦れる音が大きくなり、いそいそと身支度を整えた歩が顔を出した。
「えへへ……今日はサイコーの日だな~」
締まりの無い笑い声をあげて、歩はデレデレに口元を緩めていた。それを見ると、クタクタになった体を動かす元気も多少なり湧いてくるような気が、しないでも無かった。
終わり
以上になります。毎度のことですが、ここまでお読み頂きありがとうございます。
ひなたさんの時と同じく、「読みたい!でも供給が無さすぎる!ホーリーシット!!」が原動力になっていました。
舞浜さんはもう一本書き進めてるのでその内投下しに来ると思います。
真壁さんのリクエストをここで頂いていたのはちゃんと覚えてますので、気長にお待ちくださいまし……。
要望よりも自分の気まぐれが優先になっててすみません。
ご感想ご指摘など頂けると幸いです。渋もよろしくです。
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