【ミリマスR-18】木下ひなた(経験済)にPが迫られてしまう話【要注意】 (20)

こんばんは。

【注意】
「北海道の田舎で暮らしている間にもう経験済み」な木下ひなたさんが登場します。
倫理的には非常に問題アリな話だと思うのですが、それでも大丈夫な方はよろしくお願いします。
14レス分続きます。

 スケジュール通りならば日帰りで済むはずだった地方ロケの仕事は、結局泊まり込みになってしまった。大寒波の影響で記録的な大雪が見込まれており、既に激しい降雪が観測されている地域もあったために新幹線も止まってしまっていたのだ。家が雪に沈むかもしれないという声すら、駅からの道中で聞かれた。陸の孤島から無理矢理帰ることのできるルートが無いものか。手を尽くしてはみたものの、社長からの鶴の一声で、宿泊先を確保する方が先決となった。

「悪いな、ひなた。明日学校を休ませることになってしまって」
「大丈夫だよぉ。お仕事だからしょうがないべさ。それにね、お天気が悪いときにはあんまし無理しない方がいいんさ」
「……ひなたがそう言うと、説得力があるな」

 見込まれている、という予報だった雪は、ここ富山には既に降り始めていた。街灯やガードレールにはもう、うっすらと白いベールがかかっている。逃げるようにして宿泊先のホテルに到着した俺のビジネスコートにも、ひなたのダウンジャケットにも、斑点のように雪がついていた。息をする度に視界が白くなった。北陸の雪は北海道よりも水分が多く、この分だと、積もった雪の重みで潰れる建物も出てしまうかもしれない、とひなたはこぼしていた。祖父母から教わったらしかった。

 落ち着いた色合いのロビーはひっそりと、閑散とすらしていた。この悪天候の中、日が落ちてからホテルへチェックインしようとする宿泊客もそういないだろう。フロントの従業員に事情を説明してチェックインの手続きを済ませ、二人分のルームキーを受け取った。都合よく二つ並んで空いていた部屋を割り当てられたようだ。
 フロントで着替えになるものが売っているだろう、という俺の予測は見事に外れた。撮影地だったショッピングモールで間に合わせを購入していくことを提案してきたひなたが正解だった。ランドリーサービスは当然頼むものとして、今夜一晩過ごすだけなら浴衣やらバスローブやらがあれば十分だと俺は思っていたが、ひなたにそうさせるわけにはいかなかった。

「ひなた、これを」

 ホテル内のレストランで夕食を済ませ(一応領収書は切ってもらったが、経費になるかどうかは分からない)、客室に戻る前に、もらったもののお裾分けをしようと思ってひなたを呼んだ。

「わあ……これ、みんなあたしがもらっていいのかい?」
「今日のひなたはいつも以上によく頑張ってたからな。ちょっとしたご褒美だと思ってくれ」

 撮影現場で差し入れとしてもらったチョコレート詰め合わせだ。モールのイベントでやってきた有名店の、並ばないと買えないような品物だったらしい。ウイスキーボンボンも箱でもらっていたが、アルコールの入っているそちらは俺が引き取るつもりだった。

「したっけ、また明日ねぇ」とほくほく顔で自室へ入っていくひなたを見送って、俺もカードキーを読取部に当てた。

 スケジュール通りならば日帰りで済むはずだった地方ロケの仕事は、結局泊まり込みになってしまった。大寒波の影響で記録的な大雪が見込まれており、既に激しい降雪が観測されている地域もあったために新幹線も止まってしまっていたのだ。家が雪に沈むかもしれないという声すら、駅からの道中で聞かれた。陸の孤島から無理矢理帰ることのできるルートが無いものか。手を尽くしてはみたものの、社長からの鶴の一声で、宿泊先を確保する方が先決となった。

「悪いな、ひなた。明日学校を休ませることになってしまって」
「大丈夫だよぉ。お仕事だからしょうがないべさ。それにね、お天気が悪いときにはあんまし無理しない方がいいんさ」
「……ひなたがそう言うと、説得力があるな」

 見込まれている、という予報だった雪は、ここ富山には既に降り始めていた。街灯やガードレールにはもう、うっすらと白いベールがかかっている。逃げるようにして宿泊先のホテルに到着した俺のビジネスコートにも、ひなたのダウンジャケットにも、斑点のように雪がついていた。息をする度に視界が白くなった。北陸の雪は北海道よりも水分が多く、この分だと、積もった雪の重みで潰れる建物も出てしまうかもしれない、とひなたはこぼしていた。祖父母から教わったらしかった。

 落ち着いた色合いのロビーはひっそりと、閑散とすらしていた。この悪天候の中、日が落ちてからホテルへチェックインしようとする宿泊客もそういないだろう。フロントの従業員に事情を説明してチェックインの手続きを済ませ、二人分のルームキーを受け取った。都合よく二つ並んで空いていた部屋を割り当てられたようだ。
 フロントで着替えになるものが売っているだろう、という俺の予測は見事に外れた。撮影地だったショッピングモールで間に合わせを購入していくことを提案してきたひなたが正解だった。ランドリーサービスは当然頼むものとして、今夜一晩過ごすだけなら浴衣やらバスローブやらがあれば十分だと俺は思っていたが、ひなたにそうさせるわけにはいかなかった。

「ひなた、これを」

 ホテル内のレストランで夕食を済ませ(一応領収書は切ってもらったが、経費になるかどうかは分からない)、客室に戻る前に、もらったもののお裾分けをしようと思ってひなたを呼んだ。

「わあ……これ、みんなあたしがもらっていいのかい?」
「今日のひなたはいつも以上によく頑張ってたからな。ちょっとしたご褒美だと思ってくれ」

 撮影現場で差し入れとしてもらったチョコレート詰め合わせだ。モールのイベントでやってきた有名店の、並ばないと買えないような品物だったらしい。ウイスキーボンボンも箱でもらっていたが、アルコールの入っているそちらは俺が引き取るつもりだった。

「したっけ、また明日ねぇ」とほくほく顔で自室へ入っていくひなたを見送って、俺もカードキーを読取部に当てた。

 一人分にしては広い。部屋の内装も、思っていたより上品だ。どうせ小さなユニットバスだろうとたかをくくっていたが、バスルームの浴槽で体を伸ばすぐらいはできそうだ。天候に恵まれず帰れなくなるとは不運だったが、居心地のいい夜を過ごすことができそうなのは僥倖だった。

 暖房の効いた部屋の中は十分に暖かく、上半身はTシャツだけで十分だった。折角ホテルに泊まるのだから、こっそり一杯やりたかった。チョコレートに合う酒……とネットで軽く検索してみると、ワイン、日本酒……というラインナップの中にビールが混ざっていた。意外だった。

 果たしてどうなんだ、と疑問に思いつつ、自販機コーナーから調達してきたのは、何となく色合いが似ていたからというだけの理由で選んだ黒ビールだった。どうやら相性はさほど悪くないらしいが、酒の入ったチョコレートを酒で迎えるのも如何なものか。まあいいか。

 部屋に戻ってきて、ビールの缶を開けて一口。その一口が美味くて、ついごくごくと音を鳴らして飲み下してしまう。仕事でくたびれた精神に、滑らかな喉越しが沁みる。エンジンに熱が入るような、体にアルコールの回る感覚も心地よい。
 さてツマミに、とウイスキーボンボンの箱を開けようとしたが、蓋の中に広がっているのは、色とりどりの紙に包まれた、バリエーション豊かなチョコレートの群れだった。こっちは詰め合わせの方だ。ということは。

 飲み込んだばかりのビールが腹の中で更に冷たくなった。未成年飲酒の片棒をかついでしまったかもしれない。ひなたに手渡してからそれほど時間は経っていないが……。

 考える余裕を根こそぎ奪い取るかのように、ドアをノックする音がした。扉の向こうにいるのは、さっき廊下で別れたばかりのひなただった。

「ひなた、ちょうどよかった。すまん、間違って、ウイスキーボンボンの方を渡しちゃったみたいなんだ。渡そうとしたのはこっちだったよ」

 頭一つ低い所から、ひなたが俺を見上げた。

「そうだったのかい? 何か変だとは思ったんだよぉ。甘いと思ったらなんかヒリヒリするものが入ってたからねぇ」
「あっ……食べちゃったか?」
「二、三個ぐらい摘まんだけども……でも、美味しいねぇ、あの店のチョコレート。チョコって、甘ければどれも同じだと思ってたよぉ」

 二、三個食べた。確かにひなたはそう言った。表情を窺う。露骨な赤ら顔ではない。いつも通りの、健康的な顔色だ。皮膚の下を走る血管から浮き出るヘモグロビンの色が、ぴちぴちした白い肌をうっすらと桃色に染めている。

「気分は大丈夫か?」

 うん、と頷きながら、ひなたはまだ部屋と廊下の境目で立ち尽くしている。互いの持っていたチョコレートの箱を交換したとき、ほんのりとアルコールの匂いがした。ウイスキーボンボンの箱が妙に軽い。

「プロデューサー、あのね……ちょっこし、お邪魔してもいいかい? まだ寝るには早いし、お話したいなぁって」
「ああ、いいよ」

 一人用の客室だからか、テーブルに備え付けられた椅子は一脚だけ。自分の向かいに座らせるつもりでベッドに腰かけたが、ひなたは俺の隣に腰を下ろしてきた。

「えへへ……」

 スズランを思わせる上機嫌な笑顔。そのあどけなさに、思わずこちらも頬が緩んでしまった。シャワーか風呂を既に済ませているのか、シャンプーの香りが濃く漂ってくる。少々距離が近かったが、彼女の広いパーソナルスペースでは、これぐらいが普通だった。ひなたが買ってきたと思しき、モコモコしたルームウェアが前腕に触れてくすぐったい。

「ひなた、酔ってないだろうな」
「ん~……平気だよぉ。お酒飲んだことなんてないっけ、分からんけどねぇ」

 もう一度顔を確かめた。赤くはない。隙を窺って軽くスマホで調べてみた限り、アルコールを含むチョコレートは酒類には該当しないため、法律上は未成年飲酒として大問題になることは無いようだった。だから、もしひなたが酔っていたとしても、鎮まるまで見守っていればよかった。
 夜に寝るのも早いと言っていたひなたのことだ。話し相手になっている内に眠くなって、部屋へ戻っていくだろう。

 だが、収録の話、レッスンの話、学校の話と、舌足らずのゆったりした口調ながら、ひなたは饒舌に話し続ける。話せば話すほど、酸素と一緒に活力を取り入れているみたいだった。

「ひなた、随分元気だな。眠くないのか?」
「眠くないよぉ、だって……」

 無邪気に俺の顔を見上げていた瞳が妖しく光った。今のは、見間違いだろうか。「え」と間の抜けた間投詞を口からぶら下げながら覗き込む。いや、見間違いなんかではなかった。

「これから、プロデューサーと遊ぶんだからねぇ」
「なっ……遊ぶ……って、何をして――」

 小さな掌が、太腿を撫でた。内側へ忍び寄ってきた。そのまま、脚の付け根を目がけてよじのぼってくる。数センチ空いていた隙間が詰められた。寄りかかってきたひなたの体温は高い。

「そんなの、決まってるべさ……」

 くすくす、と無邪気なはずの笑みが、ひどく艶めかしい。舌なめずりをしながら、ひなたがフリースパーカーのファスナーを一息に下ろした。ふわっとしたそれは、音も無くベッドの下に落ちた。下にシャツは身に着けていない。グレーのスポーツブラと、電灯の光に照らされた真っ白な肌とのコントラストが、虹彩を射抜いた。

 嘘だろう。あんな純朴で、清浄潔白の象徴みたいなひなたが。

 ひなたが、男を誘い込む表情をしていた。

 あまりの光景に、思考回路が幾つか焼け切れてしまったかもしれない。ひなたのしようとしていることと、俺の脳裏に「そんなのありえない」とよぎったものは――恐らく、寸分違わず一致していた。
 ぐらぐらする俺をよそに、ひなたはさっさとショートパンツも下ろしてしまった。視界に入れてしまった。男物のボクサーブリーフみたいなショーツは、ブラとお揃いのグレーだった。

「ちょ、ちょっと待て、ひなた」
 
 やっとのことで喉から絞り出せた一言だった。大慌てで視線を背けたが、下着しか身に着けていない発展途上のシルエットは、もう瞼の裏にくっきりと焼きついていた。ひなたの肌は傷一つなくて、つるつるしていた。

「ほら、服を着て。いきなり脱ぎだすなんて何を考えてるんだ」
「何を考えてるんだ……って、あたしはプロデューサーと遊びたいだけだよぉ?」
「こんな遊びがあるわけないだろう」
「男と女でこういうことをするのは普通のことっしょ。早い子は小学校の高学年に上がる頃にはもう済ませててねぇ、あたしは中学に上がるぐらいの頃だったから、周りと比べても遅い方だったんさ」

 絶句した。思わず首をひねって、ひなたと視線を合わせてしまった。瞳孔が広がってキラキラと潤んだ瞳――目蓋の縁が男の本能に語りかけてくる――いや、そんな生易しいものではない――掌握してくるかのようだ。口角がゆっくりと上がった。肉の交わりあいを知っている女の顔だ。この年齢の少女がする顔ではない。

「翼ちゃんにね、『初めてはいつだったのかい?』って聞いてみたことがあるんだけども、すっかり黙り込んで、顔を真っ赤にしてたんだよぉ。めんこかったけども、都会の子って、そういう所は遅れてるんだろか?」

 背筋に寒気が走った。嫌悪感からではない。声色に溶け込んだ淫らな誘惑に乗ってしまいそうな自分がいることへの恐れだった。

「ひなた、こういうことは、将来、大事な人とすることなんだ」
「それは知ってるよ。そういう人と出会った時のために、お友達でいっぱい経験積んで、慣れておくのが普通だっしょや」
「……っ」

 二の句を注げなかった。

 ひなたの口ぶりからすると、彼女の出身地ではそうする慣習があるのかもしれない。頭ごなしにこちらの――人口比率的には多数派の――常識を押し付けるのは簡単だ。しかし、ひなたの生きてきた世界を「間違っている」と断言できるだけの自信は、どれだけ頭の底を漁っても見つかりそうになかった。

「で、でも……」
「そんなに深く考えないで、楽しもうよぉ」

 耳に入り込んでくる、のんびりした語り口。その調子はいつもより甘えを若干含んでいるに過ぎないはずなのに、精神の奥底に閉じ込められているリビドーを強く揺さぶってくる。
 どうやって制止すればいい。どくんどくんと心臓が鼓動を強めている。心の内に突風が吹き荒れている。止めなければ、と警鐘がけたたましく鳴っているのに、その手段を思いつかずにまごついている俺の顔が、ひなたのぱっちりした瞳に映りこんでいた。

「どうしても嫌なら、やめとくけども……」
「俺はひなたのプロデューサーで、ひなたは――」

 両手が伸びてきて、視界が暗くなった。両手で顎を掴まれたのだと認識した時には、唇が塞がり、俺の抵抗は、ひなたの口に飲み込まれていた。

「さすがにね、誰にでもこったらことしないよ。あたしが特に仲良くしてる人だけだべさ。でもね、こっちに来てからはそういう人も全然いなくてねぇ……。あたしが訛ってて田舎っぽいせいか、東京の男の子とはうまく馴染めなくて……。それで、ちょっこし人肌が恋しいんだわ」

>>2 >>3は二重投稿になっていました。すみません。

それはそれとして、以上になります。ここまでお読み頂きまして誠にありがとうございます。

ネタが降ってきた、というのが動機の一つでしたが、渋のタグ数を(簡単に)調べた所、木下ひなたのR-18小説は10本と少々しか現存せず、そういった過疎の領域に一本投げ入れてみたかったという好奇心もありました。「田舎は性体験が始まるのが早い」とは耳にしますが、実際にはそういったことは、いわゆる創作物の中だけの話かもしれません。

感想とか頂けると嬉しいです。また何かできたら書きにきます。

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