【神様になった日】阿修羅「もう一度バスケに挑戦しようと思うんだ」 (27)

陽太「それ、本気なの?」

阿修羅「勿論!やっぱ俺には、バスケしかないなって思ってさ」

陽太「もしかして、やっぱりインターハイ予選のこと…」

阿修羅「いやいや。予選のことは何も後悔してないし高校バスケにはやり残したことなんて何もねえよ」

陽太「じゃあ…なんで?」

阿修羅「そうだな。強いて言えば、ひなちゃんと陽太のおかげだな」

陽太「僕と、ひなの?」

ひな「う?」

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陽太「なんで、僕とひな?僕達何かしたっけ?」

阿修羅「まあ直接何かしたとかそんなんじゃねえよ。生き方に勇気を貰ったんだ」

陽太「生き方?」

阿修羅「ひなちゃんはハンデを抱えながらでも毎日を必死で生きて、陽太はそんなひなちゃんを支えて、果ては浪人してまでひなちゃんの病気を治す方法を探すって……」

阿修羅「そんなお前らを見てさ、テメェのドジで怪我した癖にバスケ諦めようなんて格好悪いと思うようになったんだ」

陽太「……そっか」

ひな「あしゅら、バスケする?」

阿修羅「おう!今からいつもの場所でフリースローの練習するんだ」

ひな「ひなもするー!」

阿修羅「お、じゃあ一緒にやるか?」

ひな「うん!」

陽太「…阿修羅にやりたい事が見つかってよかったよ。でも、リハビリしながらこれから1年受験勉強も掛け持ちするって大変じゃない?阿修羅も浪人するんでしょ?」

阿修羅「それぐらい、お前らに比べたら大した事ねえって!」ニッコリ

それから時は過ぎ、4月になった

陽太と阿修羅が二度目の受験シーズンを迎えたある日のこと…

阿修羅「…」ウトウト

陽太「阿修羅…阿修羅…」トントン

阿修羅「ハッ!すまん助かった…」

陽太「だいぶ眠そうだね。毎日朝から予備校に通って受験勉強。昼は公園でバスケの練習して…帰ったらまた勉強、大変じゃない?」

阿修羅「まあ正直言うとな…これでも毎日7時間くらい睡眠取ってるんだけどな。疲れが溜まるせいかとてもそうとは思えないくらい眠い」

陽太「あはは…」

阿修羅「ふぃ~…なーがかった……けど今日はこれで解放された!早速バスケしに行くぜ!」

陽太「じゃあ僕はこれで。後でひなと一緒に練習見に行くよ」

阿修羅「サンキュー!」

ブウウウン!

阿修羅「じゃあな陽太ー!」

陽太「うん!また後でー!」

阿修羅「…」

ダム!ダム!

阿修羅「っ!」

キュッ!

フワッ…

阿修羅「…シュッ!」

ヒュルルルルル

ポスッ!

阿修羅「んー、入るんだけどなんかしっくり来ねえんだよな。次はもっとタメ短くするか?けどあんまし速く動くと膝痛くするし…どうしたもんか」

阿修羅「…」

ダム!ダム!

阿修羅「……いいや、痛いのが怖いとか言ってたら、いつまでも前には進めねえよな」

阿修羅「~っ!」

フワッ…

阿修羅「そらっ!」

ヒュン!

ガン!

阿修羅「クソ!もう一回!」

















ガン!

阿修羅「ハァ…ハァ…クソ!」

阿修羅(膝やっちまった影響で高く飛べねえ…仮に膝やってなかったとしても元々背もジャンプも高くねえんだ。速さでしか勝負出来ないってのに…速さを重視した途端にこのザマだ。ははっ、情けねえ……)

阿修羅「…けどやるんだ。ハァ……ハァ……陽太は諦めなかったんだ。なら俺も、諦める訳には!」

フワッ…

阿修羅「行かねえんだよ!」

ヒュン!

ガン!

阿修羅「ハァ……ハァ……まだまだぁ!!」

阿修羅「ハァ……ハァ……まだまだぁ!!」

陽太「阿修羅…」

ひな「よーた、あしゅら、こわい……」

陽太「…僕も、あそこまで鬼気迫る顔の阿修羅は初めて見るよ」

ひな「…」

陽太「今日は、帰る?」

ひな「…」フルフル

ひな「あしゅら、がんばってる。ひな、よーたとおーえんしてあげたい」

陽太「……うん。そうだね。行こう」

ひな「…」コクン

ガン!

阿修羅「クソ!」

陽太「頑張れ阿修羅ー!」

阿修羅「!」

ひな「がん、ば……れ!」

阿修羅「陽太…ひなちゃん…」

陽太「頑張れ阿修羅!でも顔が険しくなってるぞ!もっとリラックスした表情で!力んでるといつまでもゴールに入らないぞ!力まずに行こう!」

阿修羅「…ははっ。力まずに行こうって…簡単に言ってくれるよな」(^_^;)

陽太「頑張れーーー!!!」

ひな「がん…ば………れ…」

阿修羅「スーーーー、ハァ…」

阿修羅(けどまあ、そう言ってくれたおかげで肩の力がだいぶ抜けた)

阿修羅(そうだよな。焦らなくていいんだよな)

フワッ…

阿修羅(また1つ、お前らに助けられたぜ)

ヒュン

ポスッ

陽太「いよっしゃああああああ!!」

ひな「おー!」

阿修羅「なんだよ。無人のゴールに1本決めただけだぜ。大袈裟だって」

陽太「そんな事ないよ。だって、もう二度とバスケ出来ないって言われてた阿修羅が…ここまで……」ポロポロ

ひな「よーた、ないてる?」

阿修羅「お前最近涙もろいよな」

陽太「だっで……」ポロポロ

ひな「…あしゅら!」

ひな「よーた、なかす!」ニパ---

阿修羅「…そうだな。もう1本、いや、なんども連続で決めて陽太の顔をさらにぐちゃぐちゃにしてやろうか」ニヤリ

ひな「おー!」

ポスッ

阿修羅(その後もシュートを決めて…家に帰ったら受験勉強して…朝にはまた予備校行って……)

ポスッ

ひな「おー!」

伊座並「凄いわ国宝君。打ったシュートがほとんど入るようになってきた」

陽太「それだけじゃないよ。動きのキレがどんどん良くなってる!」

阿修羅(昼はいつもの場所でバスケの練習。最近は陽太達以外にも応援に来てくれるようになった)

さらに時は過ぎ、6月

陽太「やあっ!」

パシン!

陽太「そう簡単には打たせないよ!」

ポーン…ポーン…

陽太「貰った!」

フワッ…

阿修羅「させるかよ!」

パシン!

陽太「流石…」

この頃には陽太と互角に渡り合えるくらいにまで力を付けていた

空「またどっちもシュート打てなかったし!?」

伊座並「お互いに手の内を知ってるからこその均衡…崩れるなら、どちらかのスタミナが尽きた時!」

神宮司「どっちが…勝つのかな?」ゴクッ

天願「……ふん。たかが子供の球遊びじゃない。そんなのでドキドキしたりする私ではないわ」ソワソワ

阿修羅「まだまだ!」

陽太「負けないよ!」

予備校が終われば必ずコートには寄った

ただそれでも毎日バスケが出来るとは限らなかった

子供A「いくぜー!」

子供B「おれのディフェンスをぬけるかな?」

阿修羅「っと…子供いるのか。しゃーね。今日は勉強だけするか」

伊座並「だったら家に寄って行かない?今日はもう授業ないから」

阿修羅「マジで!?サンキュー杏子ちゃん!」

コートに先客が居る時は受験勉強の時間を増やした

そんな毎日を繰り返して…9月

後輩A「国宝先輩、受験の合間に毎日バスケやってんスよね?」

後輩B「俺達にもリハビリ手伝わせて下さい!」

阿修羅「え?けど、お前ら今年受験だろ?」

後輩A「それは国宝先輩だって同じでしょ?」

後輩B「遠慮なくコキ使って下さい!」

阿修羅「お前ら………ありがとう」

バスケ部を引退した後輩達も阿修羅とバスケをするようになった

阿修羅「そんじゃ行くぜ!」

後輩A「はい!」

それからさらに1ヶ月が過ぎた10月…

この日も阿修羅と陽太で1on1の真剣勝負をしていた

空「兄貴、負けるなし!」

神宮司「どっちも頑張って!」

阿修羅「っ!」

ダム!ダム!ダム!

陽太(また格段と動きが速くなってる!まずい、これは…)

阿修羅「っ!」

クルッ!

伊座並「国宝君が成神君を抜いた!」

後輩A「すげえ!」

阿修羅「~~~~っ!」

ギューーーーーーン

陽太「え?」

空「と、飛んだし!?」

伊座並「まさか…!?」

阿修羅「らあっ!」

ドーーーーン!

阿修羅「…」

スタッ

阿修羅「………今の、俺?」

陽太「阿修羅あああっ!」

後輩A「国宝先輩!」

阿修羅「うおっ!?」ビクッ

陽太「凄いよ阿修羅!ダンクだよ!ダンクシュート!」

空「ダンクとか初めて見るし!ねえもう一回!もう一回やって欲しいし!」

後輩A「今の痺れました!こんなに痺れたの中学の時以来です!」

後輩B「国宝先輩!次俺と勝負して下さい!」

阿修羅「なんでお前ら俺より喜んでるの……」

そして阿修羅はダンクを決めた

一度はバスケなんて二度と出来ないと言われていた男が、自分の力で復活した瞬間であった

さらに時は流れ、季節も移り行き…2月

伊座並「成神君、国宝君、大学合格おめでとう」

空「おめでとうだし!」

ひな「おめで…とう!」

パチパチパチパチ

陽太「えへへ…///ありがとう///」

神宮司「今日は貸切だよ」

天願「代金は全部私が出してあげるわ」

陽太「お二人とも、ありがとうございます!」ペコリ

阿修羅「神宮司さんはともかく天願さんまで優しいとか何事!?明日雷でも落ちてくるのか?」

天願「あんたの代金だけ出さなくてもいいのよ…」イラッ

阿修羅「冗談ッスよ冗談…」

陽太「ふー…ふー…はい、あーん」

ひな「あーん」

チュルチュル

陽太「美味しい?」

ひな「うん!」ニパ---

ズルズル!

阿修羅「うんめ~!」

陽太「…阿修羅」

阿修羅「ん?どうした?」

陽太「合格、おめでとう」

阿修羅「ありがとな。そっちこそ、合格おめでとう」

陽太「ありがとう」

陽太「阿修羅は、大学でバスケ部入るんだよね?」

阿修羅「勿論。その為に今日まで練習してきたんだからな」

阿修羅「…お前や皆には感謝してる。もう二度と飛べないと思ってた俺が、皆のおかげで今までで一番高く飛べるようになったんだからな」

陽太「そう言ってくれるなら、協力した甲斐があったよ」

陽太「…僕達はこれから、それぞれ違う道を歩むことになる。けど応援はずっと続けるよ。交流だって、ずっと続く。だよね?」

阿修羅「おうよ。困ったことがあったらいつでも呼んでくれ。すぐに駆けつけてやるからさ」

陽太「……ありがとう///」

阿修羅(こうして俺の受験勉強は終わった。けど、バスケの道はまだ始まったばかりだ)

阿修羅(皆に支えて貰ったこの1年間の思い出を武器に、大学バスケに旋風を巻き起こす。そんな未来を描きながら…ラーメンを食べた。それからの俺のバスケ人生は)





阿修羅「もう一度バスケに挑戦しようと思うんだ」






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