ひかり「お互いにお互いの悪口を吹き込んで幻滅させましょう」

なな「了解」（小学生みたいな作戦だなぁ）



ひかり「華恋はダメな子よ」ﾋｮｺｯ

純那「突然何」

ひかり「考えなしだし、だらしないし、騒がしいし……」

純那「そうかしら。私は華恋のそういう所好きよ？見てるだけで心が和らぐっていうか、元気にしてもらえるもの」

ひかり「分かる……！」



なな「純那ちゃんはダメな子だよ」ﾋｮｺｯ

華恋「え？何？」

なな「心配性だし、融通が利かないし、厳しいし……」

華恋「えー？私はじゅんじゅんのそういう所好きだよ？私達のことをよく想ってくれるし、優しい所も際立つし！」

なな「分かる！超分かる！」



なな「どうだった？」

ひかり「ダメだった……そっちは？」

なな「……まぁ、悪口は良くないよね。悪口は」

なな「じゃあ次は、私達を褒めあってイメージアップしよう」

ひかり「小学生みたいな作戦ね」（了解）

なな「私はちゃんと言わないであげたのにさぁひかりちゃんさぁ」



なな「ひかりちゃんはいい子だよ」ﾋｮｺｯ

華恋「こ、今度は何？」

なな「ひかりちゃんはね……えっと……その……」

華恋「……？」

なな「……顔が良いよね」

ひかり「表出ろ大場」



ひかり「ななはいい子よ」ﾋｮｺｯ

純那「また来た」

ひかり「気配り上手で、影から皆を見てて、とっても一途で……」

なな（うんうん）

ひかり「一途すぎてあなたのことを盗撮してるぐらい……」

純那「！？」

なな「表出ろ神楽」

なな「なんでバラすの！？これじゃイメージダウンしちゃうよ！？」

ひかり「あなただってろくに私のこと褒めなかったじゃない！」

なな「ひかりちゃんに褒める所がないのが悪いんでしょ！？」

ひかり「あるでしょ！」

なな「例えば！？」

ひかり「……ミ、ミステリアスな所、とか」

なな「自分で言っちゃったら全然ミステリアスじゃないよ！」

純那「この映画が気になってて」

華恋「私も！今度二人で行こっか！」



なな「ほら見てよ！ひかりちゃんのせいで二人がデートの約束までしちゃったよ！？」

ひかり「ななのせいで二人がデートの約束まで……」

なな「こうなったら仕方ないね。助っ人を呼ぼうか」ｼﾞｭｰｯ

真矢「香しき焼き菓子の香り……！お呼びでしょうか」ｼｭﾀｯ

なな「チンピラの役をして、純那ちゃんを強引にナンパしてきて欲しいの。報酬はこのパンケーキ」ｽｯ

真矢「御意」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

なな「ふふ……ろくに守ってくれない華恋ちゃんに幻滅すること間違いなしだよ」

ひかり「はぁ？華恋のかっこよさを舐めないで。真矢風情のチンピラなんて軽くあしらっちゃうんだから。ここは華恋自身をナンパするべきよ」

なな「はい？純那ちゃんもここぞというときは守ってくれる王子様属性持ってますけど？」

ひかり「いやそれでもここは華恋を……」

なな「いや純那ちゃんの方が……」

真矢「おかわりはありませんか？」ｸｲｸｲ

デート当日



なな「んもー！ひかりちゃんが口答えするせいで真矢ちゃんのおかわり焼いてあげられなかったじゃん！」

ひかり「あの助っ人コスパ悪くない？」

ひかり「……真矢を頼れない今、私達が直接二人のデートを邪魔するしかないわね……！」ﾀﾞｯ

なな「……待って」ｸﾞｲｯ

ひかり「何？」

なな「二人共……すごく楽しそう」

ひかり「……」

なな「……ねぇ、もうやめにしよう？」

ひかり「でもっ……！」

なな「純那ちゃんが笑顔なら、私にとってそれが一番なの。ひかりちゃんもそうでしょ？」

ひかり「……！」

なな「……おとなしく見守ろう。私達の大好きな人が、世界で一番幸せになるのを」

なな「ただいまー……」

ひかり「ただいま……」

華恋「二人共おかえりー」

純那「なな、神楽さん。もう門限ぎりぎりよ？こんな時間まで何してたの？」

なな「あはは……ちょっとね……」

ひかり「そ、そうそう。なんでもないわよ」

なな（失恋して、やけ食いしてたなんて言えないもんね……）

華恋「……」ﾓﾔｯ

純那「……」ﾓﾔｯ

純那「ねぇ神楽さん。今いいかしら？」

ひかり「……何」

純那「えっと、その、華恋はいい子よ」

ひかり「……？」

純那「素直だし、朗らかだし、元気だし」

ひかり（何これは……惚気？）

ひかり（いや違う。この不自然に誉めたてる感じ、覚えがある……まさか……）

なな「純那ちゃーんっ！」ｶﾞﾊﾞｧﾂ

純那「ななっ！？」ﾄﾞｻｯ

なな「私純那ちゃんのいい所いっぱい知ってるよ！華恋ちゃんに言われるまでもないよ！」ﾑｷﾞｭｰｯ

純那「へ、へぇー！華恋が何か言ってたの？」ｽｯﾄﾎﾞｹ

ひかり（……どうやら、向こうでも同じことが行われていたらしい。私もななと同じことをすべく、華恋の下へ向かった）

ひかり（まったく……似たもの同士ね、私達）



　　－終わり－

おまけ



クロ「ななに習って、私もパンケーキを作れるようになったわ！これで天堂真矢をこき使ってやれるわね！」ｼﾞｭｰｯ

真矢「なんなりと」ｼｭﾀｯ

真矢（クロディーヌがパンケーキを練習してまで私にして欲しいこと……一体どんな命令をされてしまうのでしょうか……♪）ｿﾞｸｿﾞｸ

クロ「肩を叩いてちょうだい！」

真矢「あなたにはがっかりです」

クロ「なんでよ！」



　　－終わり－