【たぬき】五十嵐響子「年末お掃除黙示録」 (39)
モバマスより小日向美穂(たぬき)の事務所のSSです。
独自解釈、ファンタジー要素、一部アイドルの人外設定などありますためご注意ください。
前作です↓
【たぬき】小日向美穂「魔女とケーキと誕生日」
【たぬき】小日向美穂「魔女とケーキと誕生日」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1544969606/)
最初のです↓
小日向美穂「こひなたぬき」
小日向美穂「こひなたぬき」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508431385/)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1546178879
―― 12月某日 事務所
P「ちひろさーん。こっちのファイルどこでしたっけー?」
ちひろ「そこの棚の一番右上ですー」
茄子「神棚のお掃除終わりました~」
奈緒「この衣装ってどこに返せばいいんだー?」
フレデリカ「うえきちゃんって放置で良かったっけ~?」
志希「ひまわり星人はー?」
藍子「写真はアルバムにまとめておきますねっ」
みく「みんな持てる私物は持って帰ってねー!」
ワイワイ テキパキ …
P「……ふ~、事務所の大掃除おしまいっ!」
ちひろ「おつかれさまでした♪」
みんな『おつかれさまでしたー!』
P「うん、これで新年もさっぱりした気持ちで迎えられそうだ」
茄子「あとは年末年始のお仕事ですね。任せてくださいっ♪」
P「茄子さんを筆頭に、みんなまだまだ仕事があるからな。ここからが頑張りどころだぞ」
P「帰省の予定がある子は今からでも遅くないから言ってくれよー。融通利かせられるから」
みんな『はーい』
〇
P「綺麗になった事務所のソファは格別だぜ」
響子「はいプロデューサーさん、お茶どうぞ」コトリ
P「ありがとう響子。うまい」ズズズ
美嘉「響子ちゃん、大掃除大活躍だったね★」
美穂「寮の大掃除でも凄かったんだよ。もう助かっちゃって!」
P「お、寮も終わらせてたのか。さすがだな」
響子「えへへっ……年に一度の大切なお仕事ですから!」フンス
P「そうか、感心感心。今年の汚れは今年のうちにって言うしな」
響子「はい♪ プロデューサーさんは、おうちの大掃除終わってますか?」
P「あっ」
美穂「『あっ』……?」
美嘉「プロデューサー?」
P「あ……ああ、俺んちね。俺んちの大掃除はえっと………………してま………………すん」
響子「……してませんね?」ジトーッ
P「ウッ図星」
響子「もうっ、どうしてサボっちゃうんですか! 今年の汚れは今年のうちにってさっき言ったじゃないですか!」
P「いやでもほら、ほぼほぼ寝に帰ってるだけみたいな部屋だし、わざわざ掃除する必要も……」
響子「ありますっ!」
P「でもですね……」
響子「あ! り! ま! すっ!」
P「ふぇぇ……」
美嘉「め、目の色変わってる……」
美穂「響子ちゃん、家事のことになると本気だから……」
まゆ「話は聞かせてもらいましたぁ」ズアッッ
美穂「わぁ!? まゆちゃん!?」
まゆ「んもぅプロデューサーさんったら、だらしない人。でもそんなとこも素敵……♡」
まゆ「おほん、ともかく。聞く限り、プロデューサーさんはご自分で大掃除をすることはないでしょう」
美嘉「というと?」
まゆ「つまり……まゆ達がおうちにお邪魔して、代わりにお掃除をしてあげるべきなんですよぉ!」バババーン
P「待て待て待て」
美穂「ぷ、ぷ、プロデューサーさんの家に……!?」
美嘉「確かに、放っておくと大掃除どころか普段のお掃除もしないかも……」
P「ちょっとちょっとちょっと」
まゆ「そう、彼のおうちはまゆが管理してあげるべきなんです」
P「いくらなんでもそれは」
響子「行きましょうっ。善は急げです!」(フル装備)
P「準備するの早くない!? ま、待て! そればっかりはマズいぞ!」
◆◆◆◆
―― 都内某所 Pのマンション前
美穂「こ、ここが、プロデューサーさんの……!」
美嘉「意外と普通っぽいじゃん」
まゆ「ふふ、うふふ、そうなんですねぇ。ここが彼のハウス……うふふふふふふ……っ」
響子「まったく! 全然お掃除してないだなんて」フンス
美穂「あれ? そのプロデューサーさんは今どこにいるの?」
響子「先に戻ってお部屋に立てこもってますっ」
P「やらせはせん! やらせはせんぞぉ!!」(ドア越し)
美穂「ど、どうしちゃったんですかプロデューサーさん!?」ピンポンピンポン
P「どうもこうもねぇよ! お前達を部屋に入れるわけにはいかねぇーッ!」(ドア越し)
美嘉「この期に及んで何言ってんの! お掃除されるのそんなにイヤ!?」ドンドンドン
P「そうじゃない! アイドルが四人も一人暮らしの独身男性宅に入っていいわけないだろ!」(ドア越し)
P「ただでさえ嫁入り前のうら若い乙女! 最悪、悪徳記者にパパラッチされてフライデーの紙面を飾ることになりかねん!」(ドア越し)
まゆ「つまり嫁入りしちゃえば問題ないってことですよねぇ?」
P「問題しかねぇ! 帰りなさい! こんな男やもめの魔窟に入るもんじゃないよ!」(ドア越し)
美嘉「ていうかその独身男性宅の玄関先に四人そろって立たせっぱなしの方がマズいと思うんだけど」
P「だから早く解散すればいいんだってばよ!」(ドア越し)
響子「はぁ、もう。仕方ないんだから……」ゴソゴソ
美穂「響子ちゃん?」
響子「どこにしまってたっけ……確かここに……あった♪」チャリン
P「あっ」(ドア越し)
美穂「あっ?」
響子「鍵、開けちゃいますからねー」カチャ
美嘉「え? 鍵!? 合鍵あるの!!?」
P「し、しまったァ!!」ガチャッ
響子「失礼しますっ。ほらほら早く入れてください!」ズイズイ
〇
―― P宅 中
美穂「プロデューサーさん……?」ジー
美嘉「……響子ちゃんに合鍵あげてたの?」ジトー
まゆ「どうして? ねえ、どうして? どうしてなんですかぁ?? ねぇ???」ゴゴゴゴゴ
P「いえそれはワタクシもすっかり忘れていたことでして……そういえば前に預けたような預けなかったような……」
響子「プロデューサーさんが風邪引いて寝込んじゃった時、色々お世話したんです。その後も必要になるかなーってずっと持ってて」
美嘉「どうしてそんな大事なこと言わないの!!!!」ムギギー
P「むぎぎぎぎ心配かけるかと思っふぎぎぎぎぎぎ」ムニニィー
まゆ「いいんですよぉプロデューサーさん。まゆにも合鍵を渡してもらえれば……さあ、さあさあさあ……」ズイズイズイ
響子「ほらほら、それより大掃除始めちゃいますよ。みんな準備してくださいっ!」パンパン
響子「わ、フライパンほこり被ってる。自炊してないじゃないですか!」テキパキ
響子「も~またペットボトル溜めて……。ちゃんとゆすいでラベルも剥がして潰してっと」テキパキ
響子「あっルンバさん……って全然使ってない! せめて買ったものは有効活用してあげてくださいっ!」テキパキ
美穂「すっごくテキパキ動いてる……さすが……」
美嘉「はぁ。じゃあとりあえずお掃除から済ませちゃおっか」
P(助かった?)
まゆ「む~……合鍵の件については、のちほどゆぅっくりお話を聞かせていただきますねぇ……?」
P(アッハイ助かってませんね)
〇
美穂(ていうか冷静に考えたら、わ、私プロデューサーさんのおうちにお邪魔したの初めてっていうか、男のひとの部屋に入ったこと自体生まれてはじ、は、はじ)
美穂(わぁぁ……思ったより散らかってはいないけど、なんていうか生活感ていうか、ベッドとかあるし、いつもここで暮らしてるんだよね……)
響子「洗濯物溜まってるし……。まとめて洗っちゃいますからねー?」
P「ウッスよろしくお願いしまッス」
美穂(せせせせんたくもの!!)
美穂(こ、こ、これってあれだよね男のひとの下着を干したりってそういう感じのシチュエーションでわわわわわ)
響子「美穂ちゃん? えっと、どうしたんですか?」
美穂「ぽこァ!? あ、な、なんでもないよ!?」
響子「? あ、じゃあリビングのお片付けお願いしていいですか? 結構ものが増えてきてるみたいだから」
美穂「う、うんわかった。がんばるっ!」ポコッ
〇
美嘉「ふ~~~ん……ここがプロデューサーの部屋なんだ……へぇ~♪」
美嘉(ザ・一人暮らしの男の人って感じ。まあ他の人の部屋なんて知らないけど)
美嘉(私生活は結構いい加減だったりするのかな? まったく世話が焼けるんだから……♪)
美嘉「あ、クローゼットここか。こんな小さなとこに服全部入るの?」
美嘉(そだ。どんな服持ってるのかチェックしちゃおーっと★)ガチャ
ズラァァアーー
美嘉「まったく同じスーツが十着ずらっと並んでるーっ!!?」ヒエエーッ
P「ん? ああ、どうせスーツしか着ないんだからそっちの方が便利だと思ってな」
美嘉「し、し、し、私服……は……?」
P「とりあえずこれだけ」チマッ
美嘉「オール無印良品!!」
P「いやまあ、基本ビジネススーツ着てりゃどこいても不自然じゃないし……」
美嘉「かりすま」パタッ
美穂「ああっ美嘉ちゃんが倒れた!?」
まゆ「常におしゃれ最前線を走り続ける美嘉ちゃんには、このおしゃれ偏差値の低さが毒になったんですねぇ……」
P「そんなことってある!?」
響子「いけないっ、とりあえずどこかに寝かせとかなきゃ!」ワタワタ
美嘉「う~~~ん…………スーツが……スーツと無印が迫ってくるぅ……」
~しばらくして~
美嘉「――――ん、ぅ……あれ? ここは……アタシ、どうして……?」
美嘉(お布団あったかい……枕ちょっと高い……ベッドの中? え? 何やってたんだっけ――)
美嘉「!!!!!!!」
美嘉(え!? これ!? ぷろっ、プロデューサーのベッド!? ウソ!? アタシなんでここに寝かされてるの!!?)
美嘉(あ、ていうか意識するとなんか、プロデューサーの匂いでいっぱいで、全身包まれて、あ、あ、ぁ……♡)スンスン
美嘉(うそ、うそうそうそっ。これヤバい、やだ、これダメぜったいダメ♡ ヤバいよぉ……♡♡)クンクンクン
美穂「な、なんかお布団もぞもぞしてない……?」
響子「あれ? 美嘉ちゃん気が付いたのかな。美嘉ちゃーん? 起きてますかー?」
美嘉「ね、ねてるぅ……♡」
まゆ「起きてますねぇ」ブワサァッ
美嘉「ああっ!?」
響子「良かったぁ、なんともないですか? あ、お布団干しちゃうから手伝ってください♪」
美嘉「干しちゃうの!? なんで!?」
響子「なんでって……お天気いいし、日が落ちる前にやっとかなきゃって」キョトン
美嘉「あ、それもそっか……いやでももう少し待ってくれても……」
響子「待ちませんっ。ん~、いいお天気♪」ガララ
美嘉「あっあっあーっ!」
美穂(美嘉ちゃんこの中で寝てたんだ……わ、私も同じことしたらどうなっちゃうんだろ……)ドキドキ
まゆ(合法的にプロデューサーさんのベッドの中に入るなんて、なかなかやりますねぇ……)
~一方その頃~
P「トイレ掃除たーのしー!!」ガッシュガッシュ
〇
まゆ「溜まった洗い物と、ついでに水回りのお掃除も済ませて……」
まゆ「冷蔵庫はここですねぇ。コンセントは……えいっ」カチャッ
まゆ「これから何度もお邪魔することになるお部屋だもの。どこに何があるか覚えておかないと♡ えいっ」カチャッ
美穂「まゆちゃん、それ何くっつけてるの?」
まゆ「盗聴器です♪ 見つかりにくくって、収音性もとっても高いんですよぉ♡」
美穂「当たり前みたいに盗聴器仕込んじゃダメだよ!!?」
〇
P「トイレ掃除終わったぞい」
美嘉「お疲れー。これどこに置こっか?」
P「ああ、それはこっちの棚に頼む」
美穂「変わったものが色々置いてあるんですね」
まゆ「ご趣味ですかぁ? このハードカバーなのに何も書いてない本とか……」
P「夜市とかで買ったやつ。それは古本屋さんとこで10円だったんだよ」
まゆ「……本というか、自由帳じゃないですか?」
P「俺もそう思ったんだけど、何書いてもすぐ真っ白に戻っちゃってな」
響子「これ、おにぎりですか? ずいぶん前からしまってあるみたいですけど……全然新鮮ですね」
P「茄子さんちからお土産にって貰った。何故か腐らないし、食べても減らないのだ」
美嘉「これ何? つるつるしてて綺麗な石」
P「芳乃がお守りにくれたやつ。そのおかげか両隣が火事になってもここだけノーダメだった。出火元はすぐ下の階だったらしいが」
美嘉「お隣さんとか全然いないのってそれが理由だったの!!?」
美穂「それじゃあ、この植木鉢は……?」
P「それは花屋さんで買った。何の花かは知らないんだけどさ」
美嘉「芽が出てる……のかな?」
まゆ「ぴょこぴょこしてますねぇ」
響子「弟がフリップフラップ(※)っておもちゃを持ってたけど、それみたい」
芽(……)ピョコピョコ
※フリップフラップ:
光に反応してぱたぱた動く卓上おもちゃ。植木鉢から双葉の芽が出ているような形。
P「芽が出てるばっかで一向に花が咲かないんだけど、なんか愛着が沸いてな。毎日水をやってるんだ」
美穂「へぇ~……」マジマジ
芽(……)ピョコピョコ
芽(…………)フルフル
まゆ「あら? なんだか……動いてませんか?」
P「え? あ、マジだ! 植木鉢ごと震えてる!?」
芽(…………!!)プルプルプル
美嘉「うそ、咲くの!? 今咲いちゃう!?」
響子「どんなお花なんでしょうか……!?」ワクワク
芽(………………!!!)ガタガタガタガタ
美穂「わ、わ、動きが激しくなって……!!」
???「んごっ!!」ズボッ
美穂「ぽこーーーーーーーーーーっ!!?」
響子「きゃああっ!?」
美嘉「えええええぇぇぇぇっ!!?」
P「植木鉢から人間の生首がーーーーーっ!!?」
まゆ「はふぅ」パタリ
美穂「まゆちゃーーーーんっ!!」
美嘉「おおお落ち着いてみんな! 大丈夫っこのくらいなんてことないから!」
???「ん~……あ、おはようございます!」
響子「喋りましたよ!?」
P「いやこえーよ!! 完全にトマック(※)じゃん!!」
※トマック:
韓国のメーカーから発売された「植木鉢から生えた生首」がヒロインの恋愛シミュレーション。
ストーリーとしては平凡だが、いかんせん絵面がシュールすぎるため奇ゲー・バカゲーのカテゴリにある。
ちなみに続編もあるのだが、こちらは何故か生首を操作するSTGとなっている。狂気。
~しばらくして~
P「……ええと、それで君は一体?」
あかり「辻野あかりです。りんごの精です!」ペカー
P「りんごの精」
あかり「何か?」
P「いや……たいがい慣れてきたつもりだけど、まだまだ世界は広いなぁと……」
あかり「まあまあ。私のことはお気軽にあかりんごって呼んでください! あは♪」
美嘉(んご……)
響子(お掃除してたらとんでもない子と出会っちゃいました……)
まゆ「う~ん……がみんさま……」(気絶中)
美穂「そ、それでどうして、植木鉢の中に?」
あかり「ええと、山形から来たんですけど、色々ありまして!」
P「色々あったんだ」
あかり「色々ですっ。みなさんは何をされてる方なんですか?」
P「あ、自分の経歴今ので全部流しちゃう感じ? 細かいこと考えたら負けなの?」
美嘉(……ひとまず無害っぽくない?)ヒソッ
P(敵意は感じないな、とりあえず)ヒソソッ
美穂(うえきちゃんとか、ひまわり星人みたいなものなのかな……)ヒソヒソッ
響子(りんごの精霊さんってこういう感じなんですね……)
P(これを一般的なケースと思ってはいけない気がする)
美穂「えっと私達はアイドルで、ここはそのプロデューサーさんのおうちで……」カクカクシカジカ
あかり「アイドル!? ほえーすごい、都会っぽい!」
あかり「あれ? アイドルの皆さんがどうしてプロデューサーって人の家にいるんです? 拉致?」
P「言うに事欠いて」
まゆ「うぅん……まゆは拉致をするのもされるのもOKですけどぉ……」モゾモゾ
美穂「あっ、まゆちゃん! 大丈夫!?」
まゆ「なんとか……うぅ、プロデューサーさんのベッドに寝かせてもらえるわけではないんですねぇ」
響子「お布団干しちゃってますから……」
美嘉「お布団……そうだ、アタシら元々プロデューサーの部屋の大掃除に来てて」
あかり「なるほどなるほど。男の人のお部屋をお掃除…………」
あかり「それはお嫁さんのやることじゃないんご!!?」ンゴーッ
P「発想が飛躍しすぎだろ!!」
美穂「そそそそそうだよっ! およっ、お嫁さんはまだ! まだだからっ!」
まゆ「まあ間違ってはないですねぇ」
響子「家事全般はお嫁さんにとって大切なスキルですからね」
あかり「東京っていうのは一夫多妻もOKな感じなんです?」
P「違うよ! 初登場なのにエグいブッ込みしてくるなこいつ!!」
美嘉「キャラ立ての方向性が貪欲すぎない!?」
~しばらくして~
あかり「光合成~♪」ポカポカ
P「ひとまずあかりんごはベランダでゆっくりしてもらうとして……」
美穂「お掃除、一通り終わりましたねっ!」
響子「これからは自分でお掃除しなくちゃダメですよ?」
P「いやはや面目次第もない……」
まゆ「いいんですよぉ。もしお部屋が散らかっちゃったら、まゆがいつでもお掃除に伺いますから♡」
美嘉(あ、お布団お日様の匂いする。ちょっともったいなかったかな……)スンスン
P「ともかくありがとう。大したお礼もできないが、お茶くらい飲んでいってくれ。えーと確か貰い物の高級和菓子が……」
美穂「あ、お構いなくーっ! ……行っちゃった」
美嘉「ふぅ。最初ちょっと緊張したけど、結局いつも通りってカンジだったね?」
響子「あかりちゃんのことは、さすがにびっくりしちゃいましたね」
まゆ(う~ん。せっかくお邪魔できたんですから、もうちょっとカメラなり侵入経路なりを確保していたいところですけどぉ……)
まゆ(たとえばこの本棚の裏なんかは…………あら?)コンコン
美穂「まゆちゃん? どうしたの?」
まゆ「…………本棚の裏にドアがあります」
響子「えっ……!?」
美嘉「それって……隠し部屋ってこと?」
まゆ「いえ、というより、間取り的にもう一室あるのを、棚で無理やり隠してるみたいな……」
美穂「そんな、それって……。じゃあ、隠された部屋の中には……?」
美穂(ぷ、プロデューサーさんの、秘密……!?)
まゆ(もしかして、ご実家に関わる何かが……?)
響子(まだお掃除の済んでいないお部屋が……!)
美嘉(そういえば男のヒトが大抵持ってるアレとかああいう感じのやつ全然無かったけどまさか……!!)
まゆ「――入ってみますか?」
美穂「ちょっと、見るだけなら……」
響子「散らかってるかもですから」
美嘉「一応、ね? 一応ちょっとチェックだけする感じで……!」
ゴソゴソ モゾモゾ
ガラララ……
美穂「こ、ここは……!?」
まゆ「四畳ほどの狭い空間にテレビ、ずらっと並んだ本や何かのソフトに、これは……」
美嘉「ゲーム機……?」
響子「弟たちが持ってるのとは全然違いますね……」
P「――――ここは『セガの部屋』だ」ヌッ
美穂「ぽこっ!?」
美嘉「せ、せがのへや……!?」
P「俺が実家から持ち出した、あるいは上京後に秋葉原のジャンクショップを巡って買い集め、時には夜市さえ頼ったセガハード……」
P「SC-3000から始まりSG-1000(Ⅱ含む)、セガマークⅢ、マスターシステム、メガドライブにメガCDと32X、ゲームギア、サターン白黒そしてドリームキャスト……!!」
P「手に入る限り全てのセガハードとソフト、周辺機器に関連書籍を網羅したコレクション! それがこの、セガの部屋なんだ……ッッ!!」
まゆ「せが? はーど……???」
P「ここを見つけ出すとは……お前達の気持ちはよくわかった。それじゃあ最新機種であるドリキャスから始めようか!」
美嘉「やる流れになってる!!?」
美穂「最新って、でも確かドリームキャストは20年くらい前のゲームなんじゃ……」
P「セガが新ハードを温存している限りはこれが最新さ。安心しな、まずは入りやすいところから始めてやるよ」
カチッ ピィィーーーーーーーー!!!
P「あぁ~! ビジュアルメモリの起動する音ォ~!!」
美穂「プロデューサーさんが少年のようなキラキラした目にっ!?」
美嘉「ビジュア……? うわコントローラーでっか! え!? 何これマイク付いてるの!?」
響子「ゲームなんですよね?」
まゆ「な、何が始まるんですかぁ……?」
P「シーマン」ニコッ
美穂「人面魚ーっ!!?」
ポコォォォーーーーーーーーーーーーーーーッ…………
あかり「う~ん……」ポカポカ
あかり「体、生えないかなぁ」
◆◆◆◆
―― 事務所
周子「あ、おつかれー。プロデューサーさんちどうだった? エロ本あった?」
美嘉「アップ……ダウン……アップアップダウン……レフトライトアップダウン……」ブツブツ
まゆ「いきなりなりきりヒーロー……おまたーせーさーまでーしーたー……」ブツブツ
美穂「10年早ぇんぽこぉ……」ブツブツ
周子「え、何みんなハイライト消しちゃって……なんかあった?」
輝子「あ……これは……」
小梅「……ヤっちゃった……みたい……だね」
周子「ヤった!? 一線越えたの!? 一気に!!?」
美玲「通報か!? ケーサツに教えるかッ!?」
輝子「い、いや、違うんだ……これは、多分……」
小梅「沼に……引きずり込まれた……」
周子「沼!?」
P「いやぁ楽しかったなぁ! 昔は周りみんなロクヨンとかばっか持っててさぁ一緒にやってくれる奴いなかったんだよはっはっはっは!!」
響子「まったくもう、みんなピコピコばっかりしてっ」プリプリ
P「すまんすまん、たまの息抜きで勘弁してくれ。今度はいつセガ回やろっかなー!」
みく「もう定例化する気マンマンにゃ」
周子「てか響子ママ強すぎん?」
美穂「あーしたのあおぞらにー……しーろいーはねひろげー……」
美嘉「アークアマリーンのそらー……
まゆ「フラーイハーーイ……とーびたーてー……」
周子「いや今年最後のオチがこんなんでええんかい」
~JUST DO IT! JUST BURNING RANGERS~
〇オマケ
―― 後日 P宅
P「ふぅ……ただいまー」ガチャリ
あかり「おかえりなさーい♪」
P「家帰ったら鉢植えの生首が待ってる生活って凄まじいよな。ほい水」シャワー
あかり「ん~♡」バシャバシャバシャ
P「聞いてくれよあかりんご。年末年始のスケジュール管理がもう大変でさぁ」
あかり「ふむふむ。年末年始は人間さんも大変なんごねぇ」
P「……あのさ。体生えてきたりはしないの?」
あかり「もうちょっと栄養を蓄えたら出てこられるかもですねっ」
P「栄養かぁ。肥料とか買っといた方がいいのかな」
あかり「あ、ラーメンあります?」
P「その体でラーメン好きなの!!!!????」
~オワリ~
以上となります。今年最後の更新です。
思いついたので急遽やってしまいましたごめんなさい。
お付き合いありがとうございました。良いお年を。
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