美嘉「まったく、莉嘉ったら」 (27)
P「はは。待ちくたびれちゃったんだろ」
美嘉「それもあるだろうけど、勘が鋭いんだよねー。アタシに対して」
P「何の勘だ?」
美嘉「え。あ、えと。な、なんでもないよっ」
P「ふーん? まあ美嘉がそう言うならいっか」
美嘉「うんうん。言葉の綾だから気にしないで!」
P「りょーかい」
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P「で?」
美嘉「うん?」
P「電話の前に何か聞こうとしただろ? どうかしたか?」
美嘉「あ……いやその……。さ、最近寒いよねー★ って言おうとしただけ!」
P「もう冬だしな。寒いなら暖房上げようか?」
美嘉「う、ううん。このままでいいよ」
P「そっか」
美嘉「うん……」
P「……」
美嘉「……」
P「ちょうど信号赤になったし、ほら」
美嘉「え? い、いいってば!」
P「いいから羽織ってろ。風邪引かれたら俺も困るし。それともおっさんのコートは嫌か?」
美嘉「そ、そんなことない……けど」
P「よかった。断られたら俺の涙腺が決壊するところだった」
美嘉「なにそれ。ふふっ」
美嘉「あったかい……」
P「それはなにより」
美嘉「……ねえ、プロデューサー?」
P「ん?」
美嘉「も、もうすぐクリスマスだね」
P「ライブの予定もあるし、個人的には無縁なイベントだけどな」
美嘉「か、彼女が欲しいとか思ったりしないの?」
P「……はい?」
美嘉「やっぱ今のなし! な、なに言ってんだろねアタシ……」
P「……そりゃまあ、仕事でクタクタになって帰宅したりすると温かく出迎えてくれる彼女が欲しいなーと思う時はあるさ。うん、俺も男だし」
美嘉「へ、へえー」
P「でも今はいいかな」
美嘉「な、なんで?」
P「今はお前たちをプロデュースする方が楽しいし、彼女にの為に割く時間も無いしな」
美嘉「あ、アハハ★ 独り者の言い訳だー」
P「やかましい」
P「まあお前たちのおかげで事務所も潤してるし、そのうちプロデューサーも増えるだろう。そうなりゃ俺も考えるよ」
美嘉「ふ、ふーん。良い人見つかるといいね」
P「三十路迎えるまでには何とかしたいなー……」
美嘉「あ、礼子さんに言ってやろ!」
P「うそやだマジやめて下さいお願いします」
美嘉「アハハ。どうしよっかなー★」
P「本気でやめてくれ。責任取って嫁に貰えと言われたら断りきれん」
美嘉「……そ、それは可哀想だからやめてあげる」
P「そうしてくれ。俺もまだ独り身でいたいし」
美嘉「……プロデューサーって、どんなお嫁さんが理想?」
P「今日は随分突っ込んでくるな」
美嘉「た、たまには恋バナもいいじゃん! 他の人には言わないから!」
P「うーん……。理想って言われてもなぁ……」
美嘉「なんかあるでしょ。ほら、家事が得意とか」
P「家事は出来なくてもいいかな。俺も料理作るの好きだし掃除もマメにするし。あ、もちろん出来た方が嬉しいけどな?」
美嘉「じゃ、じゃあお金持ちとか」
P「そりゃ金はいくらあってもいいけど、それを基準に嫁を選ぶような最低な男にはなりたくないわ」
美嘉「な、なら。え、ええーっと……」
P「……そうだなー。一緒にいて安心出来る人、かな。うん」
美嘉「安心?」
P「一緒にいるだけで安心出来る人ってそうそういないし。結婚って、そういう人とするものじゃないかな」
美嘉「それがプロデューサーの理想なんだ」
P「おう」
美嘉「アタシは、安心出来る?」
P「……そういや二周年ライブよかったぞ。美嘉に任せてよか」
美嘉「はぐらかさないで」
P「美嘉、落ち着け。自分が何を言ってるのか分からなくなってるだろ」
美嘉「わかってるよ。わかってるから、体が震えてんじゃん」
P「寒いからだろ」
美嘉「怖いからだよ」
P「ならなんで聞いた」
美嘉「勢い。今すごく後悔してる」
P「聞かなかったことにも出来るけど」
美嘉「どうせ隠し通せる気がしなかったし、ちょうどいいや」
P「よくない」
美嘉「アタシがアイドルだから?」
P「それもあるけど、美嘉はまだ若いんだ。こんなおっさんを選ばなくてもこれからいっぱい良い人が見つかるさ」
美嘉「歳なんか関係ないよ。アタシはプロデューサーと一緒にいたいだけ」
P「美嘉は異性愛と友人愛を勘違いしやすい年頃だ。もう少し落ち着いて考えてみろ」
美嘉「アタシじゃ安心出来ない? それならそう言って。そしたら諦めるから」
P「…………」
美嘉「答えて。アタシもう我慢出来そうにないよ」
P「答えられるわけないだろ」
美嘉「……そう、だよね。ごめん、ムチャ言って」
P「ああもう。俺も泣きたいのに一人で泣くな」
美嘉「あ、アハハ。やだ、メイク落ちちゃう。こっち見ちゃヤー★ ……なんちゃって。あはは、はは……」
P「やめろ」
美嘉「……ごめん、なさい」
P「…………」
美嘉「ひぐっ……、ごめん、なざい……!」
P「…………」
美嘉「ごめんなさいっ……! あ、ああアああァァあああッ!」
P「……落ち着いたか?」
美嘉「……ん。ごめんね、メイク直し待ってもらっちゃって」
P「目の充血はどうしようもないか」
美嘉「ふふ。莉嘉に気づかれたらプロデューサーに襲われたーって言ってやる」
P「間違いなく俺のクビが飛ぶな」
美嘉「……うそ。そんなこと言わないよ」
P「……なんで俺なんだ?」
美嘉「え?」
P「芸能界なら美嘉好みの格好いい男性も多いだろ。なんでまたこんな冴えないおっさんを選んだ」
美嘉「さあ、なんでだろ?」
P「おい」
美嘉「仕方ないじゃん、気づいたら好きだったんだから。そんなもんなんじゃないの? 恋愛って」
P「聞かれても」
美嘉「だって初恋だし」
P「相手が悪かったな」
美嘉「アハハ、確かに」
美嘉「……んーん。やっぱりプロデューサーが初恋の相手でよかった」
P「……ありがとな」
美嘉「ふふっ。どう致しまして」
P「さあ、これ以上待たせたら莉嘉に怒られるから行くぞ」
美嘉「うん」
P「…………」
美嘉「…………」
P「……美嘉がアイドルとして輝いてられるのは何歳までだろな」
美嘉「うん?」
P「ファンたちが輝きに気づかなくなってしまうくらい美嘉がしわしわのお婆さんになっても、俺だけのアイドルでいてくれるなら……その……」
美嘉「……え?」
P「……待っててくれないか?」
美嘉「……待ってても、いいの?」
P「安心出来る人なんて、そうそういないと言ったろ」
美嘉「そっか」
P「うん」
美嘉「じゃあ待つ」
P「待ちくたびれて鞍替えしてもいいからな。今の俺に美嘉の人生を縛り付ける権限は無いし」
美嘉「プロデューサー。アタシのこと軽い女だと思ってない?」
P「思ってないが何年かかるか分からないんだ。その間に心変わりしてもおかしくないだろ?」
美嘉「しないよ、絶対。アタシ、こんなんだけど一途なんだから」
P「そっか」
美嘉「プロデューサーこそ、待たせたままにしないでよ?」
P「大丈夫だ。本心は今すぐ迎えに行きたいくらいだから」
美嘉「そ、そか……」
P「おう」
美嘉「信用して、いいんだよね?」
P「……一回だけだぞ」
美嘉「え?」
チュッ
美嘉「んんっ!?」
美嘉「ふぁ……」
P「約束手形ってことで」
美嘉「あ、あぅ……」
P「いつか必ず迎えに行くから。それまで待っててくれ」
美嘉「わ、わかった……」
P「だから頑張って顔赤いの隠せ。もう着くぞ」
美嘉「いじわる……。わかっててしたの?」
P「まさか。俺も顔真っ赤なのに」
美嘉「ぷっ……。アハハ、馬鹿だよプロデューサー」
P「悪かったな」
美嘉「罰として、アタシを幸せにしてよね★」
おわりん
どうしてSS書いてると眠くなるのか。
えらく時間かかって申し訳ありませんでした。
美嘉は処女可愛い。
これ入試に出るから受験生は覚えておくように。
お付き合い感謝ですよー。
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