聞こえるか、助手よ


この歓声が

君も、ファンの皆も、ずいぶん待たせてしまったな


博士号を取ることに専念するためにアイドル活動を一時休止するという私のワガママを聞いてもらえて、本当に助かったよ

おかげで今や一家に一台ウサちゃんロボとまで言われる時代が来た

どうだ、凄いだろう？

フフン、もっと褒めてもいいんだぞ？

ともあれ、私はアイドルの舞台に帰ってきた

ブランクがあるにも関わらず、これだけの人が集まってくれたのは本当にありがたい限りだ

周りの仲間たちには大きく差を付けられてしまったがな

まあ、すぐに巻き返して見せるさ



ところで助手よ、私がアイドルになったばかりの頃に言ったことを覚えているか？

「アイドル道もロボも極めてみせる、だよな？」

フフッ、さすが私の助手だ

覚えていてくれたか



自分で言っておいてなんだが、この言葉について私はずっと考えていた

極めるとはどういうことだろう？

どうすれば極めたことになるのだろう？

・・・とな


例えば、スポーツやゲームならば

オリンピックで優勝したり世界規模の大会で一位を取るなど

誰もが認める大きな功績を残したなら極めたと言えるかもしれない


私が作ったウサちゃんロボは今や世界中に普及している

無論、まだまだ発展・改良の余地はあるが、これだけの結果を出したのだ

傲慢に聞こえるかもしれないが、ロボットに関しては一応極めたと言っても差し支えないだろう

ではアイドルを極めるとはどういうことなのか？

古典文学というものがあるな


国語の教科書に載る紫式部や清少納言

今尚、幾度となく舞台で演じられるシェイクスピア

あらゆるメディアでモチーフとされ、様々にアレンジされ続けるドラキュラ伯爵


人の心を掴んで止まないこれらの物語は、時代を超えて語り継がれている

このように人々の記憶に残り、永遠に忘れられることのない存在となれば・・・

極めたと言えるのではないか？


私はそう考えた

と、言うわけでだ・・・

今日は改めてアイドルを極めるための第一歩だ



忘れられないライブにしてやろう！！


語り継がれるライブにしてやろう！！


皆の心に刻んでやろう！！


池袋晶葉というアイドルを！！



私の逆襲はここから始まるのだ！！！

それでは助手よ、行ってくる！！！



「ああ、行ってこい！！」


「皆、晶葉の声を聞ける時をずっと待っているんだ！！！」





おわり

過去作宣伝

全て晶葉推しSSです。


池袋晶葉「逆襲の谷」

池袋晶葉「逆説の楽」

鷺沢文香「逆光の園」

池袋晶葉「逆調の星」

池袋晶葉「逆睹の衣」

池袋晶葉「逆賭の衣」

池袋晶葉「逆感の僕」

池袋晶葉「逆月の兎」

池袋晶葉「逆胴の道」

池袋晶葉「逆火の倣」

池袋晶葉「逆悪の華」

池袋晶葉「逆比の山」

池袋晶葉「逆導の幸」

池袋晶葉「逆転の蹴」

池袋晶葉「逆柱の女」

池袋晶葉「逆循の音」

古澤頼子「逆馬の友」