阿見莉愛「許せない・・・! 七海やちよ! 絶っ対に許せないッ!!」 (40)


莉愛「あった・・・! これ! これよ! BiBi9月号!」

まなか「ほう・・・。これに載っているんですか? 先輩」

莉愛「そう! ふ~ん。ま、初登場にしては、私大きく掲載されてる方なんじゃない?」

まなか「どれどれ・・・。あっ、やちよさん」

莉愛「ハッ?! やちよっ!? 七海やちよっ?!」

まなか「ほう・・・。ドカンとぶち抜き8ページですか!」

莉愛「なによこの当てつけは!」


莉愛「許せない・・・! 七海やちよ! 絶っ対に許せないッ!!」







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洋食ウォールナッツ


まなか「はい、お待たせしました。メガ盛りオムライスとオニオングラタンスープと神浜トリュフパスタとカミハマカタツムリの姿焼きと季節の果実を使ったシャーベットとかなんやかんやです」コトッ

莉愛「まあっ、おいしそう!」

まなか「って、本当にいいんですか? こんなに食べちゃって。先輩は仮にもプロのモデルなんですよ」

莉愛「これが食べずにいられるっ?! 七海やちよ・・・! なんて憎たらしい!」ムシャコラ

莉愛「いつか私がトップの座から引きずり降ろして差し上げますからその首を洗って待ってなさい!」ムシャコラ

まなか「はー・・・。そんな小物感満載でやけ食いなんて・・・。どうなっても知らないですよー・・・」


ピロン

莉愛「あら、メールが」

まなか「センパイッ。まなかの料理を食べているときにメールなんて見ないでください。ちゃんと味わって食べてほしいです」

莉愛「ちょっとだけだから。あら、BiBi編集長からよ。次の仕事のお話かしらあ」

莉愛「・・・・てっ・・・ええっ?! こ、ここここれは、な、なんてこと?!?!」ガタッ

まなか「どうしたんですか? またなんかやらかしてクレームでもされました? ちょっと失礼」チラッ

まなか「なになに? 『BiBi10月号は、あのトップモデル七海やちよと、今話題沸騰中の原石女子、阿見莉愛の夢のコラボ企画! 二人のツーショット満載で新作コーディネートをお届け!』」

まなか「なんと! すごいじゃないですか先輩!! こんな短期間で本物のプロと肩を並べるなんて!」

莉愛「ふっ・・・ふっふっっ・・・。肩を並べる? いいえ、そんな生ぬるいもんじゃあないわね。これはまさに、トップモデル頂上決戦と言っても過言ではない! 七海やちよと、この阿見莉愛が正々堂々一騎打ちでトップモデルの座を奪い合うガチンコ真剣勝負!」 

莉愛「そして、勝つのはもちろん、この阿見莉愛よ!」

まなか「まあ、確かにすごいことですけど、あんまり天狗になっていると足元をすくわれますよ。先輩の悪い癖です」

莉愛「ふむっ、確かに・・・。今からしっかり準備を整え万全の状態で臨まないといけないわ。スキンケアを欠かさず、適度な睡眠と食事を・・・てっ、な、なによこれ?! この空っぽになったでかい皿の数々は?!」

まなか「いや~、あんなにたくさん作ったのに、先輩、全部綺麗に食べていただけましたね! やっぱり先輩には料理の作り甲斐がありますよ~」

莉愛「んも~! 胡桃さんのおバカ! 私の食事をマネージメントする役目をしっかり果たしなさいよ!」

まなか「知りませんよそんなの・・・。あっ、シャーベットが残ってますよ。じゃあ、これはまなかが食べちゃいますね」

莉愛「私の! むしゃぱくー!」

まなか「やれやれ・・・。こんなんで大丈夫ですかね・・・」








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撮影日当日
撮影スタジオ



カメラマン「レフ板もっと寄せて!」

スタッフ「はい、こうですか?」

カメラマン「オッケー! 照明は―――」

ザワザワ


莉愛「ふっふっふっ・・・・」

莉愛(プロのメイクアップアーティストさんにばっちりメイクをしてもらった私)

莉愛(最新のファッションを身にまとい最高にスタイリッシュにキメた私)

莉愛(間違いないわ。今日の私は、私史上最も美しい! つまり、世界一の美少女ということ・・・!)

莉愛(ついにやってきたのね。七海やちよがトップモデルの座から引きずり降ろされ、この阿見莉愛が誰よりも注目される今日という日が! 今までのたゆまない努力が実を結ぶ今日という日が!)

莉愛(さあ、いつでもどこからでもかかって来てよろしくってよ! 七海やちよ! そして私の美を間近に見て酔いしれなさい!)


莉愛「・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・」


莉愛(き、緊張してきた・・・)ドキドキ

莉愛(本当に今の私は美しいかしら・・・? 周りのスタッフさんたちは、私の事 “普通”とか思っていない・・・?)

莉愛(ええい、ひるんではだめ! 自信を持ちなさい! 私はあの莉愛様よ!)

莉愛(というか一体いつまで待たせるつもり?! 七海やちよ! 貴女は巌流島の宮本武蔵ですか・・・)

莉愛(ふっ、それだけ私の美貌に恐れ入っているということかしら・・・。その気持ちはよく分かるわよ。ただの人間が女神と同じフレームに入ったら、誰だって女神の方に注目するもの・・・!)

莉愛(ここは、落ち着いて、冷静に待つのみ。冷静に・・・冷静に・・・)


スタッフ「七海さん入りまーす!」


莉愛(きっ、きたっ?!)ドッキン

カメラマン「おはようございます!」

やちよ「おはようございます」ペコッ

カメラマン「今日もよろしくお願いします!」

やちよ「はい、よろしくお願いします」


莉愛「あっ・・・おっ・・・」

やちよ「?」

莉愛「・・・こ、こほんっ。ひ、久しぶりね、七海さん」

やちよ「ええ、お久しぶりね。ええと・・・・」


莉愛「・・・・・・・・」

やちよ「・・・・・・・・」


莉愛「・・・・・・・・」

やちよ「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・今日はよろしくね」

莉愛「阿見莉愛よ! また名前を忘れていたでしょう!? 共演者の名前くらい覚えてなさい!」

莉愛(きーっ! やっぱり憎たらしい! 許せない!)

莉愛(・・・それにしても、今日の七海やちよは・・・・・・)ジーッ


やちよ「?」


莉愛(プロのメイクアップアーティストさんにばっちりメイクをしてもらった七海やちよ・・・)キュン

莉愛(最新のファッションを身にまとい最高にスタイリッシュにキメた七海やちよ・・・)キュンキュン

莉愛(写真の七海やちよのことは、今まで雑誌に穴が開くほどずっと見てきたけど、こうして実物を間近で見るとやっぱり・・・)キュンキュン

莉愛(こら! 私の心臓! 今目の前にいる七海やちよは倒すべき相手なのよ! 恋する乙女じゃあるまいしさっきからときめいているじゃないわよ!) キュン....


カメラマン「それじゃ、お二人共、スクリーンに入って頂けますか?」

莉愛「はっはい!」

やちよ「分かりました」

カメラマン「ちょっと試し撮りしますねー。まだ楽にしてていいですよー」パシャパシャ


やちよ「・・・・・・」

莉愛「・・・・・・」


莉愛(・・・・私が・・・あの七海やちよと並んで、モデルとして写真を撮られている・・・)

莉愛(こ、これ、現実よね・・・? 魔法少女になる前の私からは全く想像もつかない・・・。七海やちよは・・・私がずっと憧れていた、私には手の届かない存在だったから・・・)

莉愛(魔法少女になってからも、その存在を超えることしか頭になかったけど、いざ、こうやってこの現実に直面すると・・・やっぱり緊張する・・・)ドキドキ

莉愛(んんんっ! 何をビビっているの阿見莉愛! 今の七海やちよは格下の存在! 私と一緒の写真に写って、七海やちよにもそのことを思い知らせて差し上げますわ!)


カメラマン「それじゃそろそろ本番いきまーす」

莉愛「!!」ビクッ

カメラマン「まずは、お二人背中合わせで視線だけ軽くこちらにください」


莉愛「はいっ!」クルッ

莉愛(こ、こんな感じでいいかしら・・・?)

カメラマン「はい姿勢はそのままで。阿見さんはちょっと表情が固いかなー? 自然な感じでお願いします」

莉愛「は、はいっ!」

莉愛(い、いけないいけない・・・。これは仕事。しっかりこなさないと・・・!)


カメラマン「いいですよ~。それじゃ撮ります」パシャパシャ

莉愛「・・・・・・」

やちよ「・・・・・」


莉愛(ちょっと出鼻をくじかれてしまった感はあるけれど・・・。これからは巻き返しの時! ふふふふふふっ、七海やちよ! せいぜい私の凛々しく可憐な姿に見惚れて顔を赤らめ、カメラマンさんを困らせなさい!)


カメラ「次のポーズ行きましょう。今度は二人向かい合わせで同じく軽く視線をこちらにくにださい」

莉愛「はいっ」クルッ

やちよ「はい」クルッ

莉愛「えっ・・・はわっ?!////」どっきーん

やちよ「・・・・・・」


莉愛(な、ななななっ!/// 七海やちよ?!/// なんかさっき話した時より雰囲気が全然違う!/// 凛々しくて可憐で・・・)

莉愛(こ、これが本気の七海やちよってこと・・・?/// 写真の七海やちよなら誰よりも見てきた自信があるけれど・・・やっぱりこうして間近で見る実物は違う・・・・)

莉愛(すごく真剣な表情・・・・。なんというか、顔もそうだけど・・・全身の雰囲気からして・・・その・・・・・・き、きれい)ポー


カメラマン「阿見さーん? 視線こちらにくださーい」

莉愛「・・・・はっ! す、すいませんっ!」

カメラマン「それとまた表情固くなってます。落ち着いて、リラックスリラックス」

莉愛(落ち着いて、落ち着いて・・・ふー・・・)

カメラマン「はい撮りまーす」パシャパシャ



莉愛(大丈夫大丈夫・・・! この場の主役は私! 七海やちよは二番手! 私は負けない・・・!)


カメラマン「今度は腕を軽く胸の下で組んでみてください」

莉愛「胸の下で腕を組む・・・」ムニュ

莉愛(胸の形が強調されそうなポーズね。あっ! これよ! 七海やちよに無くて私にある武器! そう! それは胸!)チラッ

やちよ「・・・・・・・」 ...ストーン

莉愛(ほら見なさいやっぱり! ふっふーん! この差は歴然! さあカメラマンさん! 男女を構わず視線を集めてしまう私の豊満で麗しい胸をしっかりお撮りなさい! そして私と七海やちよの差をしっかりと世間に見せつけておやり!)


カメラマン「はいオッケーでーす」パシャパシャ


莉愛(アーハッハッハッハァッ! 勝ちましたわねこの勝負! 七海やちよ! 恨むなら自分の生まれを恨みなさい! この差はこれからいくら努力しても覆らないわよ! つまり! 今度は私が七海やちよにとって手の届かない存在になったということ!)


カメラマン「それじゃ今度はお二人腕を組んでみてください」

やちよ「はい」ギュ

莉愛(はわあ?!///// 手が届いたー!///)


カメラマン「うーん・・・。やっぱりちょっと阿見さん表情固いかなー・・・」

莉愛「すみません・・・!///」

莉愛(意識しない、いしきしないイシキシナイイシキシナイ・・・・・・・・って無理よお!///  やちよちゃんはずっと前から私の憧れなの! 今でも雑誌の切り抜きを集めているくらい大好きなの! やちよちゃんはライバルである前にファンなの!)

莉愛(そんな私にとっての美しい女神様が私のすぐ隣にいて、人前で腕を組まれて平常心でいられるわけがないでしょう・・・!///)


カメラマン「あのー・・・阿見さん? 表情固いままですけど・・・・。お疲れですか? うーん・・・どうしようかなあ・・・。うーん・・・。ちょっと休憩入れますー?」

莉愛「はぁっ・・・// はぁっ・・・///」ドキドキ

莉愛(だ、ダメよ・・・私情を挟んでは・・・これは仕事なのだから・・・)

莉愛(で、でも・・・このままじゃ落ち着いてなんかいられない・・・。だからといって、撮影を途中で投げ出すなんてありえない・・・。続けるために・・・)

莉愛「はっ・・・/// す、すみません・・・。一旦休憩を・・・」

カメラマン「そうですかあ・・・・」

カメラマン(はぁ・・・。阿見さん・・・やっぱりいきなりトップモデルとのツーショットは荷が重すぎたみたいだなあ・・・。完全に呑まれちゃってる)

カメラマン(編集長も無理言うよ・・・・。どうするのこれ・・・・)

カメラマン「はーい・・・。分かりました、それじゃ休憩を―――」




監督「待てい」



莉愛「・・・・?」

カメラマン「監督? どうしました?」

監督「おい」チョイチョイ

カメラマン「なんなんすかもう」

監督「・・・・・・」コショコショ

カメラマン「ふんふん。あっ! なーるほど! それはいい考えだ!」

監督「やれ」

カメラマン「はい分かりました!」


莉愛「?」

やちよ「?」


カメラマン「すいませーん! 休憩待ってください! 撮影続けまーす!」

莉愛「えっ・・・・」

莉愛(そ、そんなこと言われても・・・。今の私じゃ自然な表情なんて作れないわよ・・・)

莉愛(だって私の隣には・・・)チラッ

やちよ「・・・・」

莉愛「っ////」どきどき


カメラマン「七海さんは自然な表情で! 阿見さんはそのままでいいですよー!」パシャパシャ


莉愛(えっ? このままでいいってどういうこと・・・? 今の私の顔、絶対だらしないのに・・・)

莉愛(・・・い、いやぁ/// は、恥ずかしい・・・・/// 撮らないでぇ////)


カメラマン「いいですよー! いい感じです! どんどん撮っちゃいます!」パシャパシャ

莉愛(もー!//// なんなのよ! なにがいいのよ!)


カメラマン「それじゃ次行きましょう! 七海さんは阿見さんの後ろに回ってください」

やちよ「はい」

莉愛(私の後ろに・・・? なんで? そんなことしたらやちよちゃんが隠れちゃうじゃない)


カメラマン「七海さんは阿見さんのお腹のあたりに手を回して後ろから抱きしめてください! そして阿見さんの肩に顔をのっける感じでお願いします!」

やちよ「はい」ギュ

莉愛「ひゃあ?!////」どっきん

カメラマン「七海さんは軽く微笑んでください! 阿見さんはそのままでいいですよ!」

やちよ「はい」ニコリ

莉愛「はわわわわ/////」どきどき

カメラマン「あら~! これはいい画だ! シャッターがとまらん!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ

莉愛(なによこれなによこれ!/// 何を考えているのーっ!///)どきどき


カメラマン「どんどん攻めましょう! 七海さんはそのままの体勢で右手で阿見さんの左頬を優しく包み込むように触れてあげてください!」

やちよ「はい」 ピトッ ふわぁ・・・

莉愛(なっなっなっ!?////  女神やちよちゃんの手があ・・・!//// いい匂いいい匂いいい匂い!!////)どきんどきん クンカクンカスーハースーハー

カメラマン「それから顔を阿見さんの方に向けて、おでこを阿見さんの頭に当てて、少しうつむき気味で慈愛に満ちた柔らかい微笑みをください!」

やちよ「はい」ニコッ

莉愛(ひーっ!//// やちよちゃんの吐息で死ぬっ! 死ぬっ! 死んでしまう////)どきんどきん

カメラマン「おほほ~! たまらん! 撮ります撮ります!!」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ

莉愛(なんで~?!/////)


カメラマン「よっしゃあ! 仕上げにあれだ!」

莉愛(仕上げ?/// 仕上げってなによ!/// これ以上なにがあるっての?!////)

カメラマン「スタッフー!」

スタッフ「はい! ただいま! よいしょよいしょ」


莉愛(な、なに・・・? スタッフさんが椅子を二つこちらに持ってきたけど・・・)

カメラマン「スクリーンの真ん中に二つ並べて置いて! なるべく寄せて!」

スタッフ「置きました!」

カメラマン「はい! お二人ともその椅子に座ってください!」

やちよ「はい」ストン

莉愛(ああ、今度は座っている画が欲しいのね)ストン

莉愛(うっ/// い、椅子が近くてやちよちゃんも近いけど・・・/// 今までみたいにくっついているのに比べたらまだ楽だわ。今のうちに気分を落ち着けて―――)


カメラマン「それじゃあ! ルミナスお願いします!」


莉愛「・・・・・・・・ッハァア?!/////」

莉愛(る、るるるるるるルミナスぅ?! 今、ルミナスって言った?!////)

莉愛(ルミナスと言ったらあの、前世の因果で結ばれ時空を超えて巡り合った運命の仲間同士が行う最上級の親愛の証と言い伝えられているあの伝説のルミナス?!///)

莉愛(ありえない!/// ありえないわよ!/// そ、そんなことをやちよちゃんとしたら私・・・・)チラッ


やちよ「・・・・・・」スーッ....

莉愛(ちょ、ちょっと、やちよちゃん・・・? お顔が私に近づいているけど・・・?)どきどき


やちよ「・・・・・・」ススーッ....

莉愛(あ、あのぉ! そのままじゃくっつきますわよ・・・? えっ? あっ・・・)どきんどきん


やちよ「・・・・・・」スッ

莉愛(あっ! ああっー、はっ、ぁーー・・・・・・・・・・)














ぴとっ☆







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撮影後



カメラマン「お疲れ様でしたー!」

やちよ「はい。お疲れさまです」

莉愛「お、お疲れです・・・・・」

莉愛(はーっ、はーっ・・・・。顔が・・・ほっぺたが・・・熱湯をかけらたみたいに熱い・・・・。しばらく洗えなくなっちゃったじゃない、もうっ・・・)

スタッフ「すいませーん。今日撮影した写真なんですけど、宣伝のためにいくつかWEB版で先行配信したいんですけど、いいですか?」

やちよ「かまいませんよ」

莉愛「私も・・・」

スタッフ「ありがとうございます! 今日中に配信しますね!」


やちよ「それじゃ、帰りましょうか」

莉愛「え、ええ・・・」


  キィン・・・・


やちよ「!」

莉愛(こ、これは・・・魔女の反応?! 近いっ)

やちよ「行ける?」

莉愛「えっ、あっ、も、もちろん!」


やちよ「それでは今日はこれで失礼します」ペコッ

莉愛「失礼しますわ!」

スタッフ「はい! またよろしくお願いします!」







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結界内部


やちよ「ハァッ!」バシュ

莉愛「はぁっ、はぁっ」


莉愛(七海やちよ・・・! 使い魔を倒しながらなのになんて速さで進んでいくの・・・! ついていくだけでやっと・・・)


魔女「グググググ・・・・・・」

やちよ「んっ、強い魔力。あれが魔女ね」


莉愛(ええっ・・・。もう最深部・・・?)

莉愛(せめて魔女相手だけでも私の見せ場を作らないと・・・! 多少出しゃばってでも・・・・・んっ、いえ、それでは前と同じね。きっととどめだけ七海やちよに持っていかれる・・・)

莉愛(だったら! 今はその時と逆をやればいいのよ! 私が大技を溜めて、その間に七海やちよが魔女を弱らせ、そして隙をついて私が華麗にフィニッシュ! ですわ~!)

莉愛(そうと決まれば早速・・・!)



莉愛「ベラッ―――」


やちよ「セイァッ!」バシュ

魔女「グギギギギ・・・・」



莉愛「ベラッ―――」


やちよ「イッヤァッッ!!」ズバンッ

魔女「ウグゥツ・・・・」



莉愛「ベラッ―――」


やちよ「貫くっ!」ザシュン

魔女「グッ・・・・・」




莉愛「べっ・・・べらべら・・・」

莉愛(ちょ、ちょっと・・・! 全然隙なんてできないんですけど・・・!! 魔女はもう虫の息だし、このままじゃ私の見せ場が・・・!)


やちよ「・・・・・・・」ジリッ...

魔女「フーフー・・・・」


やちよ(随分弱い魔女ね。後一撃か二撃で終わりそう)

やちよ(・・・・弱すぎる。神浜の魔女とはとても思えない。何かしらこの妙な違和感。考えすぎ?)

やちよ(・・・・いえ、やっぱり嫌な予感がする。致命打を与える前に少し離れて様子を見ようかしら)バッ

莉愛(離れた! 今よっ!)


莉愛「ベラッ! スピー ―――」

魔女「グフフフフフ・・・・・・・・!!!」グワッ

やちよ「っ?! いけない! 避けてぇっっ!!」ダッ

莉愛「えっ・・・・?」


サーッ・・・・・・・―――




・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ドサッ

莉愛「あぐっ?!」ズキン

莉愛「イタタ・・・・。な、なに? 何が起きたの?」

莉愛(あれ? なんで私目を閉じているのかしら。真っ暗で何も見えない)

莉愛「・・・・・」ペタペタ

莉愛(・・・・指でまぶたを触ってみても、確かに目は開いているのに、自分の指すら全く見えない・・・な、なんで)


莉愛「うっ?! は、はーっ・・・はーっ・・・」ズキッ ズキッ

莉愛(な、なんなの・・・息苦しい・・・。頭が割れそうに痛い・・・・)

莉愛(さ、寒い・・・。体が凍りそう・・・)

莉愛(それに、体が重い・・・。関節が痺れて動かない・・・。体中の筋が固い・・・。耳鳴りで鼓膜が破れそう・・・)


莉愛「あっ、うっ」バクッ バクッ

莉愛(動悸が急に・・・。いえ、動悸なんてもんじゃない・・・)

莉愛「うぐっ、ううっ」バクンッ バクンッ

莉愛(し、心臓が破裂しそう・・・。く、苦し・・・本当に苦しい・・・)

莉愛(お腹も痛いっ。中から針でさされているみたい・・・)

莉愛(吐きそう・・・。ダメっ、立っても座っても辛い)

莉愛(何も考えられない・・・。苦しい・・・ただ苦しいだけ・・・)

莉愛(何も見えない・・・何も聞こえない・・・)

莉愛(苦しい・・・寒い・・・痛い・・・怖い・・・死ぬ・・・)

莉愛(喉が締め付けられているみたい・・・。声が出ない・・・)

莉愛(息が・・・できなっ・・・)

莉愛(そ、そんな・・・私・・・・こんなところで・・・・本当に・・・死・・・)


莉愛「はーっ、はー・・・」

莉愛「はー・・・・・・・・・・」

莉愛「はっ・・・・・・・・・・・・」

莉愛「あっ・・・うっ・・・・・・・・」フラッ....


莉愛「・・・・・」










パァア.。.:* ☆


莉愛「きゃ?!」

莉愛(な、なに? 急に青い光が・・・。ま、まぶしい・・・)




やちよ「大丈夫?」

莉愛「うっ・・・ゴホッ! ゴホッ・・・はっ! はーっ、はーっ・・・」クラクラ.....

やちよ「大分辛そうね。無理に動かない方がいいわ。まずは呼吸だけに集中して」

莉愛「・・・・すーっ、はーっ」


やちよ「そのまま。色んな嫌なことがあるかもしれないけど、今はそれを気にしないで呼吸に集中するの。ゆっくりと、息を吸って、吐いて」

莉愛「すー・・・・はー・・・・」

やちよ「息ができるようになったら、私を見て。ちゃんと私が見える?」

莉愛「すー・・・・はー・・・・。み、見える・・・聞こえる・・・・」

やちよ「いいわよ。そのまま私に意識を集中して。私だけを見て」

莉愛「すー・・・・はー・・・・」

やちよ「そう。私はここにいる。大丈夫だから」

莉愛「はー・・・・ふー・・・・」


やちよ「落ち着いた?」

莉愛「・・・・え、ええ。少し、楽になった」

やちよ「よかった」

莉愛「・・・・あ、ありが、と」

やちよ「どういたしまして」


莉愛「ここは・・・?」

やちよ「魔女の固有の魔法みたいね。狩りに来た魔法少女をこの暗闇に閉じ込めて、魔力を使って精神的体力的に責め苦を与えて、弱ったところを捕食する。そんな感じかしら」

やちよ「本当なら私と貴女を別々に閉じ込めるつもりだったみたいだけど、呑み込まれる前に私が貴女を庇おうとして近づいたから一緒に捕まってしまったみたい」

莉愛「そ、そう・・・。そ、その、申し訳、ありません・・・」

やちよ「気にしないで。それに、私も一人だったら、ここでは長くは耐えられない。貴女が傍にいてくれてよかったわ」

莉愛「・・・・・・・」



莉愛「ど、どうしたら、で、出られる、かしら・・・?」

やちよ「んー・・・。そうねえ・・・」

莉愛「・・・・・・」

やちよ「とりあえず、待つしかないわね。今は下手に動くより、じっとして少しでも体力と魔力を温存した方がいいわ」

やちよ「だから、今私が光らせているソウルジェムも、暗くさせるけど、いいわよね」

莉愛「ど、どうぞ・・・」

やちよ「それじゃ」


サーッ・・・・・


莉愛「・・・っ!」バクンッ

莉愛(暗くなった瞬間またあの気持ち悪い動悸が・・・)

莉愛「ううっ」バクッ バクッ

莉愛(心臓が・・・体が・・・く、苦しい・・・・。それに、寒い・・・。体に寒気が・・・。震えが止まらない・・・)

莉愛(七海やちよは傍にいる・・・? わ、わからない・・・。何も見えないから・・・)

莉愛(怖い、怖い・・・。怖い・・・。こんなところに私一人置いていくつもりじゃないでしょうね・・・? い、いや・・・一人はイヤッ・・・!)

莉愛(お願いだから私の傍から離れないで! ねえ! そこにいるわよね?! いなくなってないわよね!)

莉愛(近くにいるって確証がない・・・。せめて、手でもつないでいれば・・・)








やちよ「ねえ」

莉愛「! ・・・な、なに?」

莉愛(よ、よかった・・・。傍にいた・・・・)


やちよ「手を、つないでもいいかしら?」

莉愛「あっ・・・・」

やちよ「こう暗いと、貴女が傍にいるという実感がなくて、不安なの。いいかしら?」

莉愛「ど、どうぞ・・・・」

やちよ「ありがとう」スッ

むにゅん

莉愛「きゃあ!?」

やちよ「あら? 大きくて柔らかい何かが」ムニュ

莉愛「ちょ、ちょっと・・・! ど、どこ、さ、触ってる・・・のっ!」

やちよ「ごめんなさい。暗くて見えないの。貴女の手、どこかしら?」

莉愛「ここっ! こ、これ、よっ! 私の手は・・・」スッ

やちよ「これね。握るわよ」


ぎゅ


莉愛「・・・・・・」ドクッ ドクッ....

莉愛(手・・・握れた・・・)

莉愛「・・・・・」トクッ... トクッ...

莉愛(私がこの手を離さなければ、この人はずっと私の傍にいる)

莉愛「・・・・・」 トクンッ... トクン...

莉愛(そう思うと、少し安心・・・)

莉愛(気持ち悪い動悸も、収まってきた)

莉愛(それに・・・手、暖かい・・・。体の寒気も和らいできたみたい)

莉愛(絶対に、離さないわよ。この手は)ギュ


莉愛「・・・・・・」

莉愛「・・・・・・」


莉愛(いつ出られるかしら、ここ・・・)

莉愛(そもそも、どうしてこうなったの・・・)

莉愛(私が悪いのかしら・・・。私が目立とうとして、七海やちよに迷惑をかけて・・・)

莉愛(私が悪いんだ・・・。どうして、どうしたら・・・。なんで、私、魔女と戦わなきゃならないの・・・?)

莉愛(それは・・・私が一番美しくなりたかったから・・・・)


莉愛(その願いは叶った? 美しくはなったかもしれないけど、一番にはなれなかった・・・)

莉愛(一番になれない上に、こんな暗いところで怖い思いをしないといけないなんて・・・)

莉愛(なんで、なんで私ばっかり・・・こんな目に・・・。運が悪かった?)

莉愛(運のせいにするのは違う・・・。私が悪いの・・・。私が悪い・・・)

莉愛(私は・・・私なんて・・・。こんなに悪くなるのなら、普通のままでいたらよかった・・・)

莉愛(もう引き返せない・・・私が悪い・・・。普通でいたかった・・・)

莉愛(美しくなんて、なりたくなかった―――)


莉愛「・・・・・ハっ?!」


莉愛(なっ・・・! なんてこと考えているの私は! 私は誰よりも美しくありたかった! たとえどんな運命を背負おうとも! 美しいことこそが私の生きる意味!)

莉愛(おかしいおかしい・・・。なんでこんなことを考えるの・・・!)

莉愛(それは、美しくあることが辛いから。美しいことは醜い・・・)

莉愛(あっ! また変なこと考えている!)

莉愛(なんで・・・。もうっ、さっきから頭の中がごちゃごちゃして・・・)

莉愛(ううっ・・・・)



やちよ「ねえ」

莉愛「へっ?! ・・・あ、な、なに?」

やちよ「お話しても、いいかしら?」

莉愛「お、お話し・・・?」

やちよ「ええ。多分魔女の魔法によるものだと思うのだけれど、さっきから負の感情が頭の中をかき回して気持ちが悪くて」

莉愛「う、うん・・・・」

やちよ「だから何かお話ししましょう。黙っているよりは気がまぎれると思うから」

莉愛「そ、そうね。そうしましょう」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


莉愛「・・・・・お話し、するんじゃないの?」

やちよ「えーと・・・。そうね・・・・。んんっ・・・」



やちよ「それじゃ、貴女の好きな食べ物は?」

莉愛「食べ物・・・。んー・・・。オムライス、かしら」

やちよ「オムライスね。おいしいわよね」

莉愛「おしいわよ」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


莉愛「・・・・七海さんの好きな食べ物は?」

やちよ「私? そうねえ・・・・。抹茶アイス? かな」

莉愛「渋いのね」

やちよ「そう?」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


莉愛「じゃ、じゃあ、嫌いな食べm」

やちよ「中華料理」

莉愛「そ、即答・・・。そんなに嫌いなの?」

やちよ「ええ。嫌い。脂っこくて胃もたれするし、それでいてさしておいしいわけでもない。ああもうっ。思い出しただけでイライラするわ。あの50点中華料理屋。壁やら机まで脂ギトギトで不快なのよ。看板娘とやらの迷惑な大声も極めて不快。あそこで食事をすることを想像するだけでここが天国に思える」

莉愛「あ、あのお・・・? それ、もしかしたら普段思っている以上に悪評してない・・・? ずいぶん偏見があるように思うわ・・・。そんな風に考えてしまうの、多分、魔女の影響じゃなくって・・・?」

やちよ「・・・・そうね。嫌いな物の話題は避けましょう」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・なにか、話しましょう」

莉愛「・・・・・・・・」

やちよ「例えば・・・・そうね・・・・。私について知りたいこととかあれば・・・・」

莉愛「知りたいこと・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」



莉愛「そ、それじゃあ・・・・・・」

やちよ「ええ」

莉愛「聞くけれど・・・・」

やちよ「ええ、どうぞ」


莉愛「・・・・・・・・・・・・・七海さんは」

やちよ「ええ」

莉愛「どうして・・・・」

やちよ「?」


莉愛「どうして・・・・・。トップモデルで、あり続けられるの・・・?」

莉愛(あっ・・・。なんてこと聞いているの私・・・。これじゃあまるで負けを認めているみたい・・・)


やちよ「・・・・・・」

莉愛「・・・・・・」


莉愛「私だって一番になりたい・・・。誰よりも注目されたい・・・。もっと美しくなりたい・・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛(なんで私・・・こんなに弱気に・・・)


莉愛「実は・・・・私ね・・・・。昔の私はね・・・・・・。どこにでもいる普通で・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛(ちょ、ちょっと・・・私、何を話しているのよ・・・。これは絶対に誰にも知られてはいけないのに・・・)


莉愛「どんなに努力しても、努力し続けても・・・それでも・・・普通からは抜け出せなくて・・・。鏡に映る自分が憎くて憎くてしょうがなかった・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛(はあ・・・。でも、もういいわ・・・。なんか、なにもかも、どうでもよくなっちゃった・・・)




莉愛「それでも美しくなりたかった私は・・・・。ある時、 “ずる” をしたわ」

やちよ「・・・・・・」

莉愛(言っちゃった・・・・)


莉愛「それで普通からは抜け出せた。自分が思う美しいが手に入った。うれしかった。色んな人から注目されて、絶賛されて、本当に気分がよかった」

やちよ「・・・・・・」

莉愛「でも・・・私が欲しかった一番には届かなかったわ・・・。私がずっと憧れていた一番の人は、今も一番・・・。私は努力して、努力して、ずるをした後も努力をしたのに、それでも超えられないなんて・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛「悔しい・・・。許せない・・・。なんとかして超えたい・・・。そう思ったりもしたけど、その一番を傍で見れば見るほど、やっぱり本当に美しくて・・・一番を超えられる自信がだんだんなくなってきて・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛「だからといってずるをしたという事実はなくならない。ずるをした罰をこうして受けている・・・。なんてみじめで哀れなのかしらね・・・私って・・・」

やちよ「・・・・・・」

莉愛「そんな私を、もし哀れに思うなら・・・せめて教えて・・・。どうして七海さんは今も昔もずっと一番でいられるの・・・?」


やちよ「・・・・・・・・」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「・・・・・貴女を哀れだとは思わないけれど」

莉愛「・・・・・・・・」

やちよ「私が一番でいられる理由は・・・そうね」

莉愛「・・・・・・・・」


やちよ「貴女と同じで、私も “ずる” をしたからかしら」

莉愛「・・・・・えっ?」

やちよ「私がモデルをしている間、貴女のように、努力をして私を超えようとした子はたくさんいたわ」

やちよ「そういった子たちの成長速度はとても速い。でも、私は抜かれたくなかった。一番で居続けたかった。その気持ちだけが人一倍強かったせいかしらね。私はずるに手を伸ばしてしまった」

やちよ「だから貴女と同じでこうして罰を受けている」

やちよ「・・・・それだけじゃない。大切な大切な仲間を傷つけてしまったこともあった。・・・・そのことを思い出すだけで、今でも本当に胸が苦しくなる」

やちよ「純粋に努力だけで一番を勝ち取ろうとしている子に対する申し訳なさもある。今まで何度自責に苦しめられたことか」

やちよ「そういった、ずるをした代償は、本当に、辛く苦しい。もう7年間も耐え忍んでいるわ」

やちよ「でも、・・・・いえ、だからこそ、私は一番であることは決してやめない。私はこれからも一番であり続ける。そうしないと今までの苦しみや悲しみが、全くの意味のないものになってしまいそうだから」

莉愛「・・・・・・」







莉愛(・・・・・・なんで私がこの人を超えて一番になれないの。その答えを聞いて)

莉愛(少し、安心したような、気がする。その理由は、『私と同じずるをしていたのだから、超えられなかった』と、思ったりもしたけど・・・少し違う・・・)

莉愛(この人の一番になりたいという気持ちは、私と同じかそれ以上に強かったんだって。それに、気持ちだけじゃなくて、自責とずるの代償に長く長く耐え抜くだけの心の強さもある)

莉愛(これだけの強さがあれば、この人は、もしかしたらずるなんかしなくても、一番であり続けられたんじゃないかなって、思えるほどに)

莉愛(一番を譲ってくれない悔しさや憎たらしい気持ちを原動力にしていた私だったけど、これだけの強さを持ったこの人が相手なら、そりゃあそう簡単には超えられないわ、なんて、吹っ切れた気もする)


莉愛「・・・・・・・・」






莉愛(美しさなんて関係のないこの暗闇の中)

莉愛(今までずっと気にしていた外見なんか意味のないこの暗闇の中)

莉愛(この人の心を・・・写真でしか知らなかった七海やちよというこの人の心を・・・この暗闇を通して覗いてみると―――)



莉愛(―――私が今まで抱いていた憧れは、よりいっそう強くなった)



莉愛「・・・・・・・」とぅんく

莉愛(あ、あら、また動悸が。魔女が悪さをしているのかしら)

莉愛「・・・・・・・・」とくん とくん

莉愛(・・・ちょ、ちょっと、今までの動悸とは違うわね・・・。な、なんというか・・・)

莉愛「・・・・・・・・」とくん とくん

莉愛(先ほどみたいに寒気を伴うのではなく、一つの鼓動ごとに熱を帯びてきて・・・。あ、熱いくらい・・・)



やちよ「私ね、」

莉愛「へっ?! な、なにかしらぁ?」

やちよ「貴女にとても親近感が湧いたわ。同じ魔法少女で、同じモデルで、同じずるをした者同士で」

莉愛「・・・・・・・」

やちよ「さっきも言った通り、トップモデルの座は渡せないわ。でも、同じずるをした者同士、土俵は同じ。私はいつか貴女に抜かれるかもしれない」

莉愛「・・・・・・・」

やちよ「そう考えたら、油断できないって思った。私もまた、もっと自分を高めていかないといけないって思った」

莉愛「・・・・・・・」

やちよ「そして貴女も私を超えることを諦めないのでしょう? もっと努力するのでしょう?」

莉愛「・・・・・・・」

やちよ「そうね、こういう関係、ライバルっていうのかしら。悪くないわね。ふふっ」

莉愛「・・・・・・・」


莉愛(な、なんで、そんなことを言いながら、手を握っている力を強くするのっ)

莉愛(あ、熱い・・・。でも、不快な熱さではなくて・・・。ずっと、長く浸っていたい、心地よい熱さ・・・)

莉愛(さっきまでの寒気が嘘のように、胸が・・・体が・・・熱い・・・)

莉愛(い、いけない。これは、きっとあれね。吊り橋効果というもの。危機的状況の興奮を恋のそれと勘違いしてしまうあれよ)

莉愛(でも、もうちょっとだけ・・・・このままでいたい・・・・・)






 < オラァ!

 < エイエイッ!





莉愛「えっ? 今、遠くから声が・・・・?」

やちよ「ふふっ。そうね。そろそろだと思ったわ」



莉愛(―――そう言って彼女は、私の手を握ったまま立ち上がり)



やちよ「魔女の目的は私たちを精神的に疲弊させること」

莉愛(―――魔力を伴った青い光を全身に帯びて)



やちよ「でも、それがうまくいかなかったら? 逆に私たちがこの環境に心地よさすら感じ始めたら? 魔女は焦って私たちへの精神攻撃を強めるはず」

莉愛(―――彼女の身の丈以上はあろうかという大きな槍を手に取り)



やちよ「そうして私たちに意識を向けすぎると・・・・」

莉愛(―――手慣れた手つきで華麗に槍を一振り。槍を追いかけるように青い光が軌跡を描いて)



やちよ「外から近づく “敵” に気が付かない!」

莉愛(―――暗闇を切り裂いた)



やちよ「さあ、出ましょう」

莉愛(―――私の手を引いて、外の光に照らながら私に微笑みかける彼女のその姿は、今まで見たどんな人より、美しかった)






・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・









やちよ「はいっ、っと」スタッ

フェリシア「おー、やちよいたかー」

さな「やちよさん! 無事ですか?!」

やちよ「ええ、お陰様で。ありがとう」

フェリシア「あんな弱っちい魔女に捕まるとか、大丈夫かよ? あれか? もう歳か?」

やちよ「そう。フェリシアは今日の晩御飯いらないのね」

フェリシア「あ~! うそうそ! ごめんってー! やちよお姉さまー!」


莉愛「・・・・・」ポカーン


フェリシア「おいおい、そっちのねーちゃんは大丈夫かよ」

莉愛「へっ? あ、え、ええ、全然全く問題ありませんわ!」

莉愛「えと、七海さん、この子たちは?」

やちよ「うちで飼っている犬と猫よ」

フェリシア「バウバウ!」

さな「にゃ、にゃー・・・・」

莉愛「へ、へえ・・・?」


フェリシア「なー、もういいだろー。早く帰ろうぜ~」

やちよ「そうね。帰りましょう」

フェリシア「晩飯は肉な! 肉がいっぱい食いたい!」

やちよ「はいはい分かったわよ」


やちよ「それじゃ、今日はもうみんな帰りましょう」

莉愛「・・・・・・」

やちよ「貴女も気を付けて帰ってね」

莉愛「えっ? え、ええ、わかったわ」

やちよ「また仕事で一緒になったときはよろしくね。今日はお疲れ様」

莉愛「ええ。お疲れ様」

やちよ「私たちは家に帰るけど、貴女も家に帰れるわよね?」

莉愛「大丈夫よ」

やちよ「それじゃあ、今日はさようならね。失礼するわよ」

莉愛「ええ、さようなら」

やちよ「また今度ね?」

莉愛「そうね。また」

やちよ「さようならよね?」

莉愛「?」



やちよ「・・・・・・・」

莉愛「?」


やちよ「・・・・・・・・・」グイッ グイッ

莉愛「?」

フェリシア「?」

さな「?」


やちよ(・・・・・つないだ手を離してくれない)


やちよ「・・・・・・・・・」

やちよ「・・・・・・ええと。その、よかったら」

莉愛「はい?」

やちよ「うちで晩御飯でも食べて行く?」






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みかづき荘



莉愛「・・・・・・」チョコン


鶴乃「ししょ~・・・・。ご飯まだー・・・・もうわたしが作ってあげよっかー?」

やちよ「あなたが作るとなんでも中華になるじゃない。嫌よそんなの。今二葉さんと作っているんだからもう少し待ちなさい」


フェリシア「・・・・・・・」ソロー...

やちよ「あっ! フェリシア! 先にお菓子食べたらだめでしょ!」

フェリシア「やべっ」

やちよ「鶴乃! とめて!」

鶴乃「ほらー、フェリシアー。やめときなって、この前もそれやってご飯減らされたんだからさー」

フェリシア「ちょっとだけだって。ほら、鶴乃も一緒に食おうぜ? ほらほら、なっ?」 

鶴乃「・・・・・ゴクリ」





いろは「すみません!」

莉愛「わっ? え? 私?」

いろは「はい! この前のBiBiに掲載されていた雨宮さんですよね? すっごく綺麗な人だなーって思ってたんです! 私の持っているこのBiBiにサインください!」

莉愛「まあ! おほほほ! あなた見る目がありますわね! 素直でいい子ですわ! いいですわよ。私の名前を文字ではっきり書いて差し上げますから、それを見て私の名前をしっかり覚えてくださいませね・・・っ!」


莉愛「あら? もうすでに誰かのサインが。これは・・・」

いろは「あっ、それはやちよさんのサインです」

莉愛「やちよっ!? そのやちよって!」ガタッ

いろは「ふひゃ?!」ビクッ

莉愛「ねえ!」

いろは「は、はい。あそこにいる七海やちよさんですけど・・・」

莉愛「やちよちゃんのサイン入りBiBi・・・・」

莉愛(欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい欲しい)



鶴乃「鶴乃お姉さんと呼べーっ・・・!」グギギギ

フェリシア「鶴乃―・・・!」グギギギ

さな「あの! お皿とか並べますから! 暴れないでどいてください!!」

フェリシア「うおっ!? お、おう・・・」

鶴乃「ごめんちょ・・・・」

いろは「さなちゃん。強くなったね」


やちよ「はーいお待たせー。できたわよー」ホカホカ

フェリシア「おー! お肉はー?」

やちよ「帰るのが遅くなっちゃったから、簡単な野菜炒めしか作れなかったけど、ちゃんとお肉入っているわよ」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)ゴクリ





いろは「それでは!」

「「「「「いただきます!」」」」」

莉愛「い、いただきます」



フェリシア「うおー!」サッサッ

鶴乃「うぉーい! なんでそんなに一気にたくさん自分の取り皿に持っていくぅ?!」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)パクパク



フェリシア「早いもの勝ち!」

鶴乃「そんなことするならこうだ!」ヒョイヒョイ

フェリシア「はあ?! 横取りとかヒキョーだぞ!」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)パクパクパク



フェリシア「盗られてたまるか! ウゥゥゥ! ガルルル! ガァッ! ムシャムシャムシャ!」

鶴乃「ええっ?! 直接食べるう!? 犬か!」

フェリシア「犬じゃあ!」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)パクパクパクパクパク



いろは「わ、わあ・・・。すごいね?」

さな「は、はい・・・すごいです」

やちよ「あらあら・・・」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)パクパクパクパクパクパク



鶴乃「いーよいーよ! まだいっぱいあるんだから! そっちを食べ・・・食べ・・・? あれぇ・・・?」

莉愛(やちよちゃんの手料理・・・・・)モグモグ ゴクンッ

鶴乃「わたしの野菜炒めは? どこいった?」

いろは「えーと・・・あはは・・・」

さな「あはは・・・・」

やちよ「一足遅かったわね」


鶴乃「ま、まさか・・・」チラッ

莉愛「・・・・はい?」

鶴乃「ええっ!? ドア様が全部食べちゃったの!?」

フェリシア「はあっ?! アメリカのねーちゃんが全部食っちまったのかよ!」

莉愛「なっ?! な、なんてこと言うの! そんな卑しいことは・・・あっ。えーと・・・」

鶴乃「ううぅぅぅぅぅ」ジローッ

莉愛「あー・・・これは、あれですわ・・・・・・。おほほほほっ」

鶴乃「うわーん!」

やちよ「あんなにたくさん作ったのに、こうも綺麗に食べてもらえるなら料理の作り甲斐があるわね」

莉愛「そ、そう・・・?//// あっ、でも、本当においしゅうございまして・・・///」どきどき

やちよ「そう。よかったわ。ならまた来て頂戴」ニコッ

莉愛「は、はい・・・!///」キュン







----------------------------------------
翌日
洋食ウォールナッツ



まなか「はいっ、お待ちどうさま! 滅多に手に入らない自然食材で育てたニワトリの卵と滅多に手に入らない超高級ブランド米を惜しみなく使った、滅多にお出ししない洋食ウォールナッツのアルティメットメニュー・・・・・・・その名も、ギガ盛りオムライスです!」ドドンッ

莉愛「ありがとう・・・。いただきます・・・」パクッ

まなか「いっぱい食べてくださいね先輩! なんたってこのギガ盛オムライスは素材からこだわっているのはもちろん、素人には到底真似できない、研究に研究を重ねたウォールナッツ秘伝の調理法で作られていますから!」

莉愛「ええ・・・おいしいわ・・・」パクッ

まなか「そのオムライスは自信をもってこう言えます! 世界一のオムライスだと! 存分に味わってくださいね!」

莉愛「ええ・・・・」パクッ

まなか「いや~、それにしてもすごいですねえ先輩! 昨日WEB先行配信されたやちよさんと先輩のツーショット写真! 一日だけでかなりのアクセスだったらしいじゃないですか。学校でもすごい盛り上がりでしたね! なんか、タチ? とか、ネコ? とかで」

莉愛「そうね・・・・」パクッ

まなか「次のBiBiは今から予約殺到みたいですね!」

莉愛「よかったわね・・・・」パクッ

まなか「それでですね~。せんぱ~い」

莉愛「・・・・・・」パクッ

まなか「これは聞いた話なんですけどね」

莉愛「・・・・・・」


まなか「あのやちよさんがBiBiのWEB版のインタビューで、最近食べておいしかったものと聞かれて、とある洋菓子店のケーキと答えたら、その洋菓子店が大繁盛したということがありましてですね?」

莉愛「・・・・・・・」

まなか「それで先輩にも、同じように、このウォールナッツの料理がおいしいと、さりげなくBiBiで発言をして頂けるとうれしいかな~、なんて思って。どうですかね~?」

莉愛「はあ・・・・・・」コトッ

まなか「おおっ! さすが先輩! もう完食ですか! ということは、このお話は受けて頂けるということで!」


莉愛「足りません・・・・・・」

まなか「おやおや。おかわりの要求ですか~。宣伝してあげるのにこの量では足りないと! そうおっしゃるのですね! かわいい後輩が相手だろうと容赦なく足元を見るその大人げなさ! さすが先輩です! いやはやそれでこそ先輩です! いいですよ~、どんどん作るから、どんどん食べてってくださいよ!」

莉愛「こんな料理じゃ全然足りませんわ・・・・・・」

まなか「こんな料理?! 今こんな料理と言いましたか?! それは聞き捨てなりません! まなかが全身全霊を込めて作ったオムライスですよ! さっきも言いましたが世界一のオムライスと断言できます! そのオムライスに一体何が足りないって言うんですか!」

莉愛「足りませんわ・・・・ときめきが・・・どきどきが・・・」

まなか「はぁ? 何言ってるんですかあ? ときめきぃ? どきどきぃ? そんな食材は聞いたことありませんよ!」

莉愛「昨日食べた野菜炒めに比べたら、こんな料理・・・」

まなか「ななっ!? 野菜炒め!? あの野菜を炒めただけの料理ですか?! そんな料理にこの、ウォールナッツが誇るアルティメットメニューのギガ盛りオムライスが劣るというんですか!? 信じられません・・・!!!」

莉愛「はあ・・・・・やちよちゃん・・・・・・」フラァ...

まなか「ちょ! ちょっと先輩?! どこに行くんですか?! その野菜炒めについて詳しく教えてください! どこで食べられるんですか?! お願いします! 一料理研究家としてはどうしても知っておきたいんです! ときめきってなんですか?! どきどきってなんですか?!」


  ....パタン


まなか「い、行っちゃった・・・」

まなか「し、信じられません。あんなにオムライスが好きな先輩が、絶品世界一のオムライスを凌駕する野菜炒めがあると言う・・・・」

まなか「しかし詳しくは教えてくれなかった・・・。ということは、自分で考えろということですね! わかりました! しばらくウォールナッツのメニューは野菜炒めのみにして、ときめきとどきどきの謎について解明してみせます! そして必ずや先輩の舌を唸らせます!」

まなか「まなかはうれしいですよ先輩! 世界一だと思っていたまなかの料理はさらに高められると知ったのですから・・・!」

まなか「うおー! 燃えてきたー!」









----------------------------------------
神浜市立大学 正門前



莉愛「・・・・・・・」

 
 < ね、ねえ! あそこにいるのってまさか・・・

 < 間違いないよ! BiBiに出てた阿見莉愛!


莉愛「・・・・・・・」


 < わぁ・・・。本当に美人ね・・・

 < こんなところで何しているんだろう


莉愛「・・・・・・・・」


 < まさか・・・七海やちよの出待ち?

 < えっうそっ?! あれって百合営業じゃなかったの? ガチ?

< きゃー!/// ステキー!///



いろは「あっ!」

莉愛「はい? あら、環さんね。こんにちは」

いろは「はい! こんにちは莉愛さん!」

莉愛「だからぁあ! 私の名前は阿見莉愛よ!」

いろは「ひゃっふ?!」ビクッ

莉愛「あ、あれ・・・?」

いろは「り、莉愛さん・・・?」ビクビク

莉愛「あっ・・・! 正しく呼んでいましたわね・・・! ごめんあそばせ、おほほほ・・・」

いろは「は、はあ・・・」

莉愛「いえね? どいつもこいつも、シェアだのギアだのリチウムなどと訳の分からない名前で私を呼ぶものだから」

いろは「そ、そうなんですか・・・大変ですね・・・」



莉愛「その点、環さんは偉いわね。一回で覚えたもの。やっぱり環さんはいい子。頭撫でてあげる」ナデナデ

いろは「ふゃ/// あ、あの・・・・///」

莉愛「あらあら。かわいらしいことっ。環さんのこと好きになっちゃいそう」

いろは「ええっ?!////」

莉愛「また今度私がBiBiに掲載されたら、最初にサインしてあげるわ」

いろは「わあ! うれしいです!」


莉愛「環さんは学校帰り?」

いろは「あっ、はいっ。ちょっと人と待ち合わせをしていて。莉愛さんは?」

莉愛「ええ、私も人を待ってて。私の・・・大切な人で////」

いろは「わわっ//// そ、それって・・・!///」

莉愛「ふふっ、内緒にしておいてくださいね? この未来のトップモデル・阿見莉愛の一大スキャンダルですもの」

いろは「は、はい!/// 絶対誰にも言いません! で、でも、このまま私がここにいたら、私もその人に会っちゃいますよ・・・!」

莉愛「別に気にしなくていいわよ。環さんもここで人を待っているのでしょう。それに、私の大切な人、別に環さんになら見られてもかまわないわ。ふふっ、きっとびっくりするわよ」

いろは「そ、そうですか/// わあ、莉愛さんの大切な人かあ・・・/// どんな人だろう・・・/// どきどきしちゃいます」

莉愛「ええっ。私ももうすぐ逢えると思うとどきどきが止まらなくって・・・ぽっ////」

いろは「へえー////」


いろは「あっ、先に私が待っている人が来ました」

莉愛「そう。誰を待っていたの?」



 やちよ「いろは~っ」


いろは「やちよさーん!」タタッ

莉愛「はっ?」


やちよ「お待たせいろはっ」ぽわぁ

いろは「全然待ってないですよっ」ぽわぁ

莉愛「はっ?」


やちよ「さっ、お夕飯の買い物行きましょう」ぽわぁ

いろは「はいっ! 今日はポイント10倍デーですもんね! いっぱい買いましょうね!」ぽわぁ

莉愛「はっ?」



莉愛(なんなのよ・・・・! そのぽわぽわした雰囲気は・・・!)

莉愛(なんなのよ・・・・! その近い距離感は・・・・!)

莉愛(なんなのよ・・・・! そのやちよちゃんの今まで見たことのないゆるゆるでだらしのない表情は・・・!)



いろは「あっ、お先に失礼しますね」

莉愛「ぐぬぬぬぅぅぅぅぅ・・・・・!」

莉愛(ありえない! ありえないわ! この超絶スーパー美少女モデルの阿見莉愛様が! あんなちんちくりんの中学生に負けるなんて・・・!)



やちよ「あら貴女。ええと・・・・・」

やちよ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

やちよ「・・・・・この前はどうも」



莉愛「許せない・・・! 環いろは! 絶っ対に許せないッ!!」

いろは「ふひゃ?!」ビクッ

莉愛「覚えておきなさい! やちよちゃんのハートを射止めるのはこの阿見莉愛であると!!」

いろは「ええっ?!」

やちよ「・・・・・?」


莉愛「ふんっ!」スタスタ



やちよ「な、なんだったの・・・?」

いろは「さ、さあ・・・?」







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BiBi10月号発売日



麻友「・・・・・・」チョキ....

明日香「麻友先輩? さっきから何を熱心に切り抜いているんですか?」

麻友「雑誌に載っている莉愛ちゃんをね」

明日香「ああ、そういえば、莉愛先輩の切り抜きを集めると、以前そんなこと言っていましたね」

麻友「うん」チョキ....  チョキ....

明日香「あの・・・。なんかえらく慎重にハサミを扱っていませんか・・・?」

麻友「慎重にもなりますよ。莉愛ちゃんを傷つけずに、莉愛ちゃんに絡みついている女の人を切り落としているんですから」チョキ....  チョキ....

明日香「えっ、えぇ・・・・。な、なんでそんなことを・・・・。なんか怖いですよ麻友先輩・・・・」

麻友「莉愛ちゃん・・・・イェヘヘッ・・・・・・・・・・・・・・・」チョキ....  チョキ....





おわり



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