七海やちよ「仲間じゃないわ」環いろは「え?」 (18)

いろは「それってどういうことですか……?」

やちよ「そのまんまの意味よ。少なくとも私は仲間とは思っていないわ」

いろは「そ、そんな……」

いろは「あ、もしかして仲間じゃなくてただの協力関係っていうことですか? 私はそれでも――」

やちよ「いいえ、そうでもないの」ズイッ

いろは「や、やちよさん!? なんで顔を近づけて――」

やちよ「私はあなたを仲間以上に想っているわ」

いろは「ふぇ!?」

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いろは「あ、あのやちよさん……?」

やちよ「私はあなたが好きよ、環さん」ズズイッ

いろは「えぇっ!?」

やちよ「あなたも今日はそのつもりで来たんでしょう?」

いろは「ち、違いますよ! 噂についてやちよさんと調べられたらって思って……」

やちよ「それは建前で、本当は私と少しでも長く一緒にいたかったんでしょう?」ナデッ

いろは「ひゃっ♡」

やちよ「ほら、少し触っただけで可愛らしい声が出てる」ナデナデ

いろは「違うのに、なんで……あっ♡」

やちよ「私のことが好きだから、じゃない?」サワサワ

いろは「確かに、やちよさんは大人で、強くて、かっこよくて……だけどそういうのじゃなくてぇ♡」

やちよ「あなた、恋をしたことはあるの?」サワサワ

いろは「ない、ですけど♡」

やちよ「それじゃあ教えてあげる。あなたが私に抱いているこの感情が恋よ」

いろは「私の、やちよさんへの想いが、恋……?」

やちよ「私に触られて気持ちいいでしょう?」サワッ

いろは「はい、気持ちいいです♡」

やちよ「私のこと嫌いじゃないでしょう?」ナデナデ

いろは「最初はよくわからなくてちょっと怖い人って思ってたけど、本当はいい人だってわかって……ん♡」

やちよ「嫌いというよりは好き?」

いろは「はい、好きですぅ♡」

やちよ「私に触れられて気持ちいい、私のことは好き、間違いない?」

いろは「間違いない、です♡」

いろは「でも、憧れみたいな好き、っていうか――」

やちよ「憧れが恋に一番近い感情なの」スッ

いろは「あっ……」シュン

やちよ「……。私も、環さんに憧れみたいな感情を抱いてたわ」

いろは「憧れみたいな感情、ですか?」

やちよ「えぇ、妹のことになると頑固で、怖くなるくらい真っ直ぐで」

やちよ「自分のことよりも他人を気遣える。そんなあなたは私の目にまぶしく見えたわ」

いろは「で、でもやちよさんには大切な人がいるんですよね?」

やちよ「みふゆのこと?」

いろは「はい、危険をおかしてまで会いたい人、なんですよね……?」シュン

やちよ「……確かにみふゆは大切よ」

やちよ「けど、それは幼馴染だから」

やちよ「環さんも妹さんに危険を顧みず会おうとしてるじゃない」

やちよ「そこに恋愛感情はない、私もそれと同じ」

いろは「……でも、どうして私なんですか?」

やちよ「さあ、それはわからないわ」

いろは「え……?」

やちよ「人を好きになることに理由なんてないの」

やちよ「気になって、いつの間にか好きになってる。私の環さんに対する気持ちはそうだったわ」

やちよ「気付いたらあなたが気にかかって、好きと自覚した」

やちよ「あなたもそうでしょう?」

いろは「……この気持ちが恋なら、そうです」

やちよ「私に手を離された時、寂しそうな表情したわよね?」

いろは「はい……。もっと触っていてほしいって、そう思って……」

やちよ「それにみふゆのことを聞くときも寂しそうな表情をした」

いろは「それは、やちよさんがみふゆさんのこと大切なんだって思ったらなんだか寂しくなって」

やちよ「……ふふ」ナデナデ

いろは「ひゃぁっ!?」

やちよ「嫌だった?」

いろは「い、いえ! その……。嬉しいです!」テレテレ

やちよ「私は環さんと仲間じゃなくて恋人になりたいわ、環さんは?」

いろは「私も! きっとこの気持ちが恋だと思うから……!」

いろは「やちよさんの恋人になりたいです!」

やちよ「ふふ、それじゃあ両想いね」

いろは「はい!」

やちよ「これから恋人としてよろしくね、環さん」

いろは「むぅ……」

やちよ「どうしたの? 急にむくれて」

いろは「恋人なのに環さんって、なんだか嫌です」

やちよ「あぁ、確かにそうね」

やちよ「それじゃあ、いろは?」

いろは「っ!」キュンッ

いろは「やちよさんっ!」

やちよ「むっ……」

いろは「やちよさん?」

やちよ「……私がいろはって呼んでるんだからあなたも呼び方を変えるのが筋じゃない?」

いろは「そう、ですか……?」

やちよ「恋人なんだからさん付けもおかしいと思うわ」

いろは「でもやちよさんは年上ですし」

やちよ「恋人なんだからそんなの関係ないわ」

いろは「で、でも――」

いろは「あ、そうだ!」

やちよ「? 何か思いついたの?」

いろは「やちよお姉ちゃん」ニコッ

やちよ「っ!」キュンッ

やちよ「お、お姉ちゃん……?」

いろは「ダメ?」

やちよ「だ、ダメって言うことはないけど、恋人とは違くないかしら?」

いろは「でも年上だし、呼び捨てにはしづらいから――」

やちよ「……まあそれでいいわ」

やちよ「改めて、これからもよろしくね、恋人さん♡」

いろは「はい、末永くよろしくお願いします♡」

おわり

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