杏「掛け算」李衣菜「占い」未央「王子様」 (32)

由里子「杏氏、杏氏~聞いてくだされ~」

杏「どうされました由里子氏~」

由里子「今うちに推しカプが住んでるんだけど」

杏「おヤクとかおキメになられました?」


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デレマスなんですよ
みじか~いの三本立てでお送りします


由里子「いやいや、無実の罪だじぇ」

杏「ちょっと狂いめにしか見えないんだけど」

由里子「だいじょうぶだじぇ……わたしはしょうきにもどった!」

杏「正気じゃない人のセリフなんだよなぁ」

由里子「脳内麻薬は出てるかもしれない」


杏「で、どうしたの実際」

由里子「そもそもは使ってたベッドがヘタれてきたのが始まりだったのね?」

杏「やーんユリユリったら何したの」

由里子「へいへいへい言いがかりだじぇ。ただの経年劣化ね」

杏「逆に何かしてても困る」

由里子「でしょ? で、毛の倒れたラグとか塗装ハゲたテーブルとか色々寿命だったって訳よ」

杏「それで模様替えしようとしたのね」

由里子「でもほら、オタクって一点一点かっこいいもの選んでバランス取れないじゃん?」

杏「往々にしてある」

由里子「そこで由里子は考えました。いっそ推しの部屋にしてしまえばいいと」

杏「ブレないなぁ」

由里子「命短し最短距離で進めや腐女子だじぇ」

杏「生き急いでます?」

由里子「この世にBLがある限りユリユリは無敵だじぇ。100とか200は生きる」

杏「李衣菜と似たようなこと言ってる」

由里子「李衣菜ちゃんも腐ってたの? そりゃ良いことを聞いた」

杏「いやそっちじゃなくて」

由里子「だろうなと思ったじぇ、ざーんねん。でも100とか200まで生きるが被るって何?」

杏「長生きしたいぐらい楽しいってことでいいんじゃないかな」

由里子「確かに。楽しみは多いほうが良いよね」


杏「で、結局どんな感じになったの」

由里子「あ、そこ聞いちゃう? 聞いちゃう?」

杏「やっぱいいや」

由里子「えー聞いてくださいよぉ杏さぁん」

杏「情緒安定させて?」

由里子「心を突き動かされてこそのオタクだじぇ」

杏「ていうか比奈とか奈緒とか居るでしょ」

由里子「いやー比奈センセも奈緒ちゃんもソッチの人じゃないし?」

杏「文香ちゃんは?」

由里子「うーん、本媒体じゃないからすすめづらいんだよねー」

杏「あー、なるほどね? というか杏をソッチの人に入れたよね今」

由里子「なんていうか、何の話してもなんとなく知ってるし?」

杏「浅く広くが信条だからね」

由里子「知ってることだけ、ってヤツね」

杏「人間関係も浅く広くが信条だから」

由里子「へー」

杏「何かな」

由里子「浅く広くな人が泊めたり泊まったりするぅ? ユリユリその辺目ざといからね」

杏「また加蓮から漏洩かぁ」

由里子「本人談だじぇ。正確に言うとひななお経由」

杏「んもー、奈緒のせいにしとこ」

由里子「酷いとばっちりを見た。んでもアイドルなんて業界でそんな相手が居るのは誇るべきだじぇ」

杏「そんなもんかなぁ」

由里子「尊すぎてもし男同士の話だったら泣きながら吐いてたじぇココで」

杏「人生で五本の指に入るぐらい女に産まれてよかったと思った」

由里子「ま、同い年の友達って良いよねって訳よ」


杏「で結局どんな部屋になったの」

由里子「あのねー、社畜とホストの二人暮らし」

杏「あー」

由里子「だってあんなのズルくない? オタクの好きなやつじゃん」

杏「杏はてっきり山の中でキャンプしてるのかと」

由里子「いやー、それは亜季ちゃんに譲るじぇ。道具とか持ってそうだし」

杏「キャンプブームみたいなところあるし」

由里子「そしてドハに溢れるキャンプ道具……」

杏「そんなことないよ。メルカリとかヤフオクだってあるよ。楽器とかでも見た」

由里子「歴史は繰り返すのだ……」

杏「てことはユリユリ今男の一人暮らしみたいな部屋に住んでるの?」

由里子「一人暮らしに無理やり二人住んでるみたいな部屋に住んでるじぇ」

杏「そこ重要? 重要か」

由里子「手狭な部屋に男二人で暮らしてるの良すぎる。良すぎない? 一人暮らしの部屋作るのに一週間、そこからさらに二人暮らしにするのに二週間かけた
よ」

杏「それ意味あるの」

由里子「意味なんて知らない。無くたって意に介さない。スーツも2着買っちゃったし洗濯物にもトランクスとTバックぶらさげてるじぇ」

杏「やーんユリユリTバックなんかはくのセクスィー」

由里子「話聞いてた?」

杏「聞いてたけどいいかなって」

由里子「いいかなって。まぁ都合の悪いところはそっと流すのも同人女の嗜みかぁ」

杏「同人女では無いけどね……でもはいたでしょ?」

由里子「片足通したあたりで冷静になった」


杏「でもそれアレだね」

由里子「うん?」

杏「傍から見たら男の部屋に転がり込んだ女みたいな」

由里子「……ヤバ全然考えてなかった」

杏「あちゃー」

由里子「いやだって男の関係性考えてる時自分とかマジどうでもいいじぇ……」

杏「こんな煩悩に塗れた無我ある?」

由里子「煩悩ってのは生きる楽しみのことを言うんだよ? 悪く言えば雑味、良く言えばコク。楽しみは多いほうが良いでしょ?」

杏「でも側から見たら同棲中」

由里子「うっ」

杏「しかも男の方は出てくるの見たことないと来た」

由里子「西園寺さんとこと櫻井さんとこと村上さんとこと、あとどこに頭下げに行ったらいい?」

杏「この女全力でもみ消そうと」

由里子「やるならとことんぞ、根切りぞ」

杏「攻撃的すぎる……」

由里子「受け身じゃダメだじぇ。やっぱ攻めてかないと」

杏「でも総受けとか好きでしょ?」

由里子「好き……」

杏「まぁ一応気をつけてねってことで」

由里子「ん、おけおけ。用心する」

杏「うむ、楽しくオタクライフを送ろう」

由里子「アイドルライフもね」

杏「ね」


由里子「いやでも、やっぱり模様替えしてよかったじぇ。なんだかんだ家具のグレード上がったし」

杏「コンセプトがあるだけで一人暮らしの部屋真剣に組み立てたわけだしね」

由里子「いやもうホント真剣だったじぇ。寝れなかった」

杏「ちゃんと寝てください。杏を見ならって?」

由里子「杏ちゃんも寝るの遅いでしょ」

杏「まぁ……」

由里子「いやでもね、実際模様替えしてから睡眠の質上がったよ」

杏「興奮して眠れないとかないの?」

由里子「ダウナー系なんで」

杏「やっぱおヤクとかおキメになってません?」

由里子「それは冗談として、ベッドちょっといい奴にするついでにセミダブルからダブルにしたら超寝やすくてね。やっぱその辺も拘らないとダメだなーって」

杏「あー、大きいベッドの方が寝やすいねー。杏からしたら大体のベッド大きいんだけどさ」

由里子「なーんか杏ちゃんちクイーンサイズのでっかいの入ってそうで怖いじぇ」

杏「まぁ……」

由里子「おぉ……ホントに?」

杏「まぁ……」

由里子「でお泊りさせてるんでしょ?」

杏「何が言いたいのかな」




由里子「やーん杏ちゃんったら何したの」

杏「ちくしょう」





―――――――――――――――――――――――――――――――……………



李衣菜「おはようございます」

朋「あ、李衣菜ちゃん丁度いいところに」

李衣菜「すみません間に合ってます」

朋「ちょっとー!」

李衣菜「壺ならいらないです」

朋「壺!?」

李衣菜「イルカの版画もいらないです」

朋「版画!?」


李衣菜「は冗談として、どうしたの?」

朋「今時間ある?」

李衣菜「宗教の勧誘ですか?」

朋「あたしのことホントなんだと思ってるのよ」

李衣菜「ゴメン昨日奈緒ちゃんと霊感商法の話したばっかりだから」

朋「17歳の女の子が2人集まってそんな話になる?」

李衣菜「ゴメンね無神論者で」

朋「あたしだってまるっきり信じてるわけじゃないけど」

李衣菜「あ、そうなんだ?」

朋「感謝はしてもいいなって思ってるんだけどね。今すっごく楽しいし」

李衣菜「そりゃ良いことだね」

朋「ま、居るなら居たでそっちの方が面白いから。信じる者は救われるってね」

李衣菜「足元を?」

朋「李衣菜ちゃんもしかして性格悪い?」

李衣菜「まさか。純真無垢だよ」

朋「見えるけど、って歌ってるでしょ」

李衣菜「バレちゃったらしょうがない」

朋「……ところで純真無垢に見えるけどってことは星の海翔けるグライドは悪いことなの?」

李衣菜「やだ……そんなのおっきな声で言えないよ……」ポッ

朋「あっ……ろ、ロックだね。トんでるしね」

李衣菜「悪かったからドン引きやめて」

朋「『李衣菜 好き者 とんでいっちゃいたいの』と……」ペタペタ

李衣菜「検索窓と間違えたフリしてデレぽに告発するのやめて」

朋「やめてあげるからちょっと占いに付き合って」

李衣菜「裏ありまくりだったんだけど……」

朋「うまい。タロット1枚!」ペチン

李衣菜「ありが……塔じゃん! いらないよこんなの」

朋「ありが塔?」

李衣菜「うまい。タロット1枚!」ペチン

朋「あ」

李衣菜「恋人じゃん。やーん朋ちゃんえっち」

朋「知ってる? マルセイユ版の女性二人が一人の男性を奪い合う構図からね、嫐るって漢字はうまれたの」

李衣菜「そういう適当な嘘好きだな」

朋「ありがと」


李衣菜「で占いって結局何するの? 亀の甲羅焼く?」

朋「ちょっとやってみたいけど……亀さんが可哀想だからやらないわ」

李衣菜「亀さん」

朋「何」

李衣菜「で占いって結局何するの?」

朋「んー……タロットは雑にだけど使っちゃったし、クリスタルゲイジングって気分じゃないし、易占もなぁ……」ゴソゴソ

李衣菜「ちょっとまってちょっとまって」

朋「何?」

李衣菜「それ毎日持ち歩いてるの?」

朋「まぁ荷物が多くならない時なら大体は持ってるわね」

李衣菜「職質とかどうやって切り抜けてるの?」

朋「なんでされる前提なの? されないよ?」

李衣菜「?」

朋「フレーメン反応みたいな顔やめてもらっていい?」

李衣菜「ていうかほんといろいろ持ち歩いてるね。見てもいい? やらしい本とか入ってない?」

朋「読みたかったの?」

李衣菜「いらない……」

朋「じゃあなんで期待したの……見てもいいけど、割れ物とかもあるからやさしく扱ってあげてね」

李衣菜「やらしく?」

朋「それはもういいから」


李衣菜「わーなんか見たことある道具が入ってる」ゴソゴソ

朋「やっぱり形から入りたいところもあるし」

李衣菜「何この白い粉」ガサガサ

朋「入ってないったら」

李衣菜「やらしい本も入ってる」ゴソゴソ

朋「入ってないって言ってるでしょ! 大体李衣菜ちゃんはまだ読んじゃダメよ」

李衣菜「朋ちゃんは?」

朋「ねえ、なんなら年下だって言いたいでしょ今」

李衣菜「妹ポジションだって言いたい」

朋「ほらー! ……正直よく言われるけど」

李衣菜「ちなみに私も言われたことある」

朋「ん、まぁ、親しみやすいと思ってもらってるってことにしとこうかな」

李衣菜「避けられてるよりかはいいやね……でもほんといっぱい入ってるなぁ。こんなしっかりした水晶玉初めて見たかも」

朋「人工水晶だから安物だけどね」

李衣菜「あ、やっぱり天然ものは高いんだ」

朋「宝石の一種だもん、高いよ」

李衣菜「目飛び出るぐらい高い?」

朋「飛び出た目売っても買えないぐらい高い」

李衣菜「売ったの?」

朋「李衣菜ちゃんは目買ったほうがいいわね……どう見たって2つついてるじゃない」ココ

李衣菜「5つも7つもついてたのかと思って」

朋「せめて偶数にしてくれない!?」

李衣菜「じゃないと割り切れないってね」

朋「上手いんだか下手なんだかわかんないわ」

李衣菜「照れるなあ」

朋「褒めてはないわ、少なくともね」


李衣菜「前からちょっと疑問だったんだけど、水晶玉ってどうするの?」

朋「ああ、映ったイメー

李衣菜「殴るの?」

朋「占いだって言ってるでしょ!?」

李衣菜「チッ、まだ息があったか運のいい奴めみたいな」

朋「自分で言ってて疑問とかわかないかしら」

李衣菜「ヘソで茶ならわきそう」

朋「ホントいい性格してるわ」

李衣菜「照れるなあ」

朋「褒めてないって言ってるでしょ」

李衣菜「まぁそれは置いといて、クリスタルゲイジングって言うけど、何見てるの?」

朋「抽象的なイメージ……って言うものの、なんか最近勇ましい物ばっかり見えるのよね。鈍ったのかな」

李衣菜「最近占ったのってウチの事務所の子?」

朋「そうそう、ユッコとかほたるちゃんとか」

李衣菜「そんなのヘナチョコなイメージ見えるわけ無いって。占いの方が正しいよ」

朋「あー……言われてみればそうだったわ」

李衣菜「でしょ?」

朋「あの子たち、ホントに頑固だもんなぁ……」

李衣菜「そういえば水晶玉ってワンセグとか映らないの?」

朋「受信料取られるから映んないようにしてるの」

李衣菜「技術的には可能な訳ね」

朋「この藤居朋さまにかかればね」

李衣菜「そういう適当な嘘好きだな」

朋「ありがと」


李衣菜「なんかすごい棒入ってる。割り箸持ち歩いてるの?」ゴソゴソ

朋「そんな長かったら食べづらいでしょうが」

李衣菜「冗談冗談、筮竹ね」

朋「コインを投げて占ったりもできるんだけど……やっぱコレが一番それっぽいでしょ?」

李衣菜「形から入るの大事だよね」

朋「専用の物使ったほうが当たる気がするもん。やろうと思ったらスパゲッティでもできるんだけど」

李衣菜「茹でた後の?」

朋「茹でる前の。いや茹でた後でもできるけどさ」

李衣菜「このパワーストーンも占いに使うの?」ゴソゴソ

朋「ああ、どっちかって言うと

李衣菜「殴るの?」

朋「なんて?」

李衣菜「殴るの?」

朋「百歩譲って投げるとかじゃなくて?」

李衣菜「靴下に詰めて殴るの」

朋「チッ、まだ息があったか運のいい奴めみたいな?」

李衣菜「やっぱりそうなんだ」キャッキャッ

朋「なんでそんな嬉しそうなの……運を引き寄せられたら良いなって思ってね」

李衣菜「ていうかなんでこんなにいっぱいあるの? Amazonで間違って買ったの?」

朋「Amazonで間違って買う人とか居るの? 前に福袋が有ってね、思ったよりいっぱい入ってたのよ」

李衣菜「福を呼んでくれる袋だ」

朋「逆に悪いものを払ってくれたりするのもあるけどね……こういうのはファーストインプレッションが大事よね、ちょっと好きなの選んでみて」

李衣菜「んー、好きなのかぁ。こういうのにあんまりこだわりは無いんだけど……あ、これ綺麗だね」ヒョイ

朋「あたし絶対それ選ぶと思ったの」

李衣菜「え?」

朋「それね、キャッツアイって言うのよ。石の名前ってよりは光り方の名前だけど……赤のキャッツアイ、好きだろうと思った」

李衣菜「それは占い?」

朋「女の勘?」

李衣菜「そりゃお手上げだ」

朋「キャッツアイは悪いものを払ってくれる効果があるの。青いのもあげるから二人で一つずつ持ってみて?」

李衣菜「いや、流石に悪いよ」

朋「いいからいいから。こういうのは誰かの所に合ってこそだもの」ギュッ

李衣菜「握らされちゃしょうがない。ありがたく貰っておくね」


朋「……あっ、そうだ。手相見ましょか」ニギニギ

李衣菜「完全に今思いついたね」

朋「いいから、ほら手のひら見せて」

李衣菜「はいはい」

朋「どれどれ……うわ、こんな極端な手してる人居るのね、これはなんて言ったら良いか……」

李衣菜「あ、なんかいい匂いする。ハンドクリーム?」

朋「ああ、これ最近のオススメよ。ほたるちゃんも大絶賛」

李衣菜「へぇー、朋ちゃん気使ってそうだもん、指長くてほんと綺麗な手だよね」

朋「取り敢えず女難の相が出てるわね」

李衣菜「えっうそうそなんで、感情線が切れてるのがダメ? 短いのがダメ?」

朋「んーん、女の勘」

李衣菜「今日それ好きだね」

朋「感情線の方は確かに短くて繋がってないけど、ここで二重になってるでしょ? これね、ただ切れてるのとは違うの……不器用なのに情熱的なのね」

李衣菜「おかしいな、めっちゃ良いオンナのはずなのにな」

朋「生命線も短くて薄いけど線は綺麗ね……」

李衣菜「聞いてないねこれね」

朋「知能線は乱れがなくて上向き、きれいに繋がった金星環を持ってて、何よりコレね、運命線は流れ込んだ寵愛線から強くなってると……李衣菜ちゃん!」

李衣菜「な、何?」ビクッ

朋「ね、身近にねこちゃん居るでしょ?」

李衣菜「居るというか……うん、まぁね」

朋「大切にしたほうがいいわよー。その子多分招き猫だから」

李衣菜「ねこかわいがりしてるよ。ねこだけに」

朋「なにそれつまんない」

李衣菜「ま、李衣菜さまはロックだからね。子猫ちゃんを甘やかすのは得意なのさ」




朋「そういう適当な嘘好きだな」

李衣菜「ありがと」





―――――――――――――――――――――――――――――――……………



未央「おっ、きたひなご機嫌だね! どうしたの?」

日菜子「未央ちゃん……日菜子は翼を授かりました」

未央「Why?」


日菜子「ほら、これですよ」ヒョイ

未央「なーんだ、レッドブルかぁ。てっきりフシギなおくすりでもキメてるのかと思って心配したよ」

日菜子「未央ちゃんはフシギなおくすりで翼を授かった事があるんですねぇ。興味深いなぁ」

未央「無いですぅー! そんな経験無いですぅー!」

日菜子「謙虚なんですねぇ。憧れちゃうなぁ~……」

未央「いやちが、ちょ、無いからね? ほんとにね!?」

日菜子 コクコク

未央「聞いてる?」

日菜子「頭の中に直接聞こえてきましたよぉ~」

未央「それユッコちゃんとかじゃない? 聞こえたよって教えてあげたら?」

日菜子「こんなに激しいなんて……裕子ちゃん、大胆ですねぇ♪ むふふ♪」

未央「ど、どんな内容だったのかな……にしても赤牛かぁ、白馬だったら良かったのにね」

日菜子「あるにはあるんですけど……日菜子はまだ飲めないんですよねぇ~」

未央「ありゃ、お酒?」

日菜子「はい~。大人になったらのお楽しみですね」

未央「お、いいですなぁー。その時は私も一緒に飲んでみたいなっ」

日菜子「未央ちゃんも白馬の王子様をご所望なんですねぇ」

未央「いや、うーん、お酒の王子様はちょっとやだな……」

日菜子「千鳥足の白馬も可愛いんじゃないかなって思うんですけど」

未央「それ道交法違反だよ」

日菜子「うーん……警察に怒られちゃうのは台無しですもんねぇ~、残念」


未央「でも、きたひながそういうの飲むのちょっと意外だね」

日菜子「飲みすぎないようにはしてますね~、身体にあんまり良くないみたいですから~」

未央「元気の前借りとか良く言うしねー」

日菜子「ライブの時とかは良く飲んでるんです~、元気になれる気がして」

未央「あー……あー、確かによく飲んでる気がする! あれレッドブルかぁ! コーヒーかなんかだと思ってた!」

日菜子「コーヒーはあんまり得意じゃ無くって……未央ちゃんは好きなんですか~?」

未央「んー、あんまり得意じゃ無いかも……」

日菜子「味がどうしても苦手で~……やっぱり甘い方がおいしいですから~」

未央「私、味は大丈夫なんだけど、飲むと眠れなくなっちゃって……」

日菜子「未央ちゃんも眠れなくなっちゃうんですねぇ~……日菜子も妄想が羽ばたいて……むふふ♪」

未央「あの、カフェインでね?」

日菜子「未央ちゃんはお布団に入った後、なにか考えちゃうこととか無いですか~?」

未央「……そういわれたら確かにあるかも」

日菜子「やっぱり! 日菜子は窓から攫いに来てくれる王子様とか~、逆に優しく頭を撫でてくれる王子様のことを妄想して~……むふふ~♪」

未央「なんか楽しそうでいいなぁ」

日菜子「未央ちゃんの考えてるのは楽しいことじゃないんですか~?」

未央「うーん……将来どうなるのかなぁ。とか……」

日菜子「えっ」

未央「まぁでもほら、漠然と不安になって眠れなかったりするでしょ? それみたいな感じ」

日菜子「……?」

未央「あれ? 無い!? ホントに!?」

日菜子「あの、未央ちゃん、日菜子で良ければお話聞きますからね」オロ

未央「違、元気だからね!? ほんとだよ!?」

日菜子「うぅん……うん、未央ちゃん。日菜子と一緒に妄想しましょう~」

未央「え、も、妄想?」

日菜子「不安だなぁって気持ちもわかります~。けど、嫌だなぁってことより楽しいことがいっぱい心にある方が、おもちゃ箱を開けたみたいで素敵だなぁ~っ
て思うんです~」


未央「私、きたひなのそういうとこ好きだなぁ」

日菜子「むふ、みんなの幸せを考える指名があるんです~。日菜子は~日菜子ランドのお姫様ですから~」

未央「浦安かな?」

日菜子「日菜子ランドは、みーんなのどんな夢も叶っちゃう国なんですよ~」

未央「ガンダーラだね?」

日菜子「They say it was in Indiaですよ~」

未央「やっぱりガンダーラだね?」

日菜子「冗談ですけどねぇ」

未央「逆に冗談じゃない方が困るよ」

日菜子「でも、夢が叶っちゃうのは冗談じゃないですから~」

未央「ふむ」

日菜子「本気で願えば月も太陽になるはずさ、って光ちゃんも言ってました~。日菜子もこうだったらいいな、を本当にしたいんです~」

未央「おお~! 夢はでっかくないとね!」

日菜子「そう、夢はおっきく日菜子ワールドで~、王子様には世界の半分をあげちゃうんです~」

未央「それ姫かな?」

日菜子「姫ですよぅ、日菜子も未央ちゃんも、お姫様ですから~」

未央「え、私も?」

日菜子「未央ちゃんはお姫様、イヤですか?」

未央「う、うーん、イヤって言うか……私、そういう感じじゃないし、ガラじゃないなぁって」

日菜子「そんなことないです。みんなと友達になりたいって未央ちゃんは、日菜子にはきらきらしててすてきなお姫様に見えますよ」

未央「あ、ぅ……」

日菜子「未央ちゃん?」

未央「……きたひな、お姫様だけじゃなくて王子様の才能も、あるよね……」


日菜子「本当ですか~? お姫様で王子様っていうのも素敵ですねぇ~」

未央「快盗で警察みたいな感じかな?」

日菜子「王子様な日菜子がお姫様たちをたくさん幸せにしてあげると~、お姫様な日菜子を王子様がたーくさん褒めてくれて~……むふ、むふふ~♪」

未央「え、なんか、えっちだね……」

日菜子「え?」

未央「え?」

日菜子「……」

未央「……」カァ

日菜子「あの」

未央「忘れてください」カアァ

日菜子「いえいえいえ! むふふな妄想も~素敵なんですよ~」

未央「違、か、考えて、ないよ? ホントだよ!?」

日菜子「未央ちゃん、心が生き生きすると書いて性と読むんです」

未央「そうだけど!」

日菜子「日菜子だってたまには~……稀に~……sometimes……むふふ~♪」

未央「え……あのー、あのさ。日菜子ちゃん……あの、したことさ、あるの?」

日菜子「むふ? 日菜子と妄想は切っても切れない~

未央「そうじゃなくて、その……あの、そういうこと……」

日菜子「……ああ~! ええと、日菜子はまだ王子様に会いに行く旅の途中ですから~」

未央「そ、そうだよね! ちょっと早すぎるよね! 私達にはね!」

日菜子「むしろ私達ぐらいから始まるみたいですけど……」

未央「え……? そうなの……?」

日菜子「でもその人にはその人の物語がありますから~。ケーキのいちごは最初に食べても、最後にとっておいても~、その人の自由ですよねぇ~」

未央「そっか、そうだよね」

日菜子「そうですよ~」

未央「……あ、きたひなこの後時間ある?」

日菜子「え? ……未央ちゃんもしかして日菜子と

未央「は!? いや違う違う違う! ケーキ食べたくなってきたなって思って!」

日菜子「むふ、冗談ですよぉ~」

未央「え゙ー!」


日菜子「麗さんのレッスンが終わってからなら大丈夫です~」

未央「ああ、ソレでレッドブル飲んでたんだ」

日菜子「とっても厳しいですからねぇ~、頑張らないと~」

未央「はじめて受けた時はよちよち歩いて帰ったもん」

日菜子「こんな時に白馬の王子様が迎えに来てくれたらなぁ~って」

未央「あは、それは頼もしいね」

日菜子「けれど、今は自分の足で歩けますから~。王子様を迎えに行っちゃったりしてぇ~」

未央「白馬で?」

日菜子「うーん……日菜子だと、せいぜい自転車ぐらいですねぇ~。未央ちゃんは乗れます?」

未央「自転車?」

日菜子「馬?」

未央「馬!?」

日菜子「馬」

未央「なんで乗れると思ったの?」

日菜子「乗れないって決めつけるのは良くないかなって~」

未央「そうだけどそうじゃない感が凄い」

日菜子「どんな技能も口八丁で役に立ちますから~、取っておいても損はないですよ~」

未央「お? きたひなTRPGとかやったことあるの?」

日菜子「兄と一緒に何度か~……兄はゲーム重視なんですけど、日菜子はお話が進んでいくのが好きで~」

未央「あぁー、和マンチ寄りなんだね……お話を作るのが好きならゆうやけこやけとかどうかな? 今度うちの番組でやろうよ!」

す日菜子「未央ちゃんの番組ですか~? なんだか~楽しそうですねぇ~」

未央「うん! ウサミンといろんなゲームやってるんだけど、すっごい楽しいよ! プロデューサーにお願いしたらゲストに呼べると思うしいっしょにやろうよ!」

日菜子「こういう時に同じ事務所って便利ですよねぇ」

未央「王子様もいれば超早かったんだけどね」


日菜子「王子様と言えば~、奈緒ちゃん! 素敵でしたねぇ~♪」

未央「あれねー! カッコよかったよね!」

日菜子「加蓮ちゃんもお姫様みたいで~! 二人で並んでいるのを見てほんっとうに日菜子は感動して~……!」

未央「かみやんがね、かれんにこういう衣装を着てほしいってお願いしたんだって」

日菜子「そうなんですか~……! それはとっても、と~っても素敵です~!」

未央「かみやんも中々やり手ですからなぁ~」

日菜子「未央ちゃんはなにかそういうエピソードはありますか~?」

未央「ぅえっ、わ、私?」

日菜子「なければ妄想でも良いですよ~、むふ」

未央「妄想でもいいんだ……」

日菜子「するのも聞くのも、大好きですから~。未央姫のお話、聞かせてください~」

未央「うぅん、そうだなぁ……」

日菜子 ワクワク

未央「森に、森の中にね。向日葵畑があってね。お城を抜け出して偶然そのお姫様と出会うんだ」

日菜子「ふむふむ」

未央「とっても優しくてまっすぐなその子とお話ししたり、森の中を冒険してみたり、気づいたら夜になってて慌ててみたり、一緒に居るうちにね、どんどん好きになっていっちゃうんだ」

日菜子「二人だけの思い出、素敵ですよねぇ~」

未央「でもね、国があって、応援してくれる人たちが住んでて、今のままのあったかい時間があって、崩れるぐらいならこのまま……」

日菜子「未央ちゃん?」

未央「うーん、なんだかよくわかんなくなっちゃった! ごめんごめん」

日菜子「んー……未央ちゃんはその妄想、めでたしめでたしに続いて欲しいって思いますか~?」

未央「え?」

日菜子「日菜子はハッピーエンドが大好きですから~、みーんな笑顔になってほしいなぁって思います~……きっと、応援してくれてる人たちも、お姫様たちに笑顔でいてほしいんじゃないかなぁって」

未央「そっかな、そっか、そうかも」

日菜子「なんて、人の妄想に口出しなんか野暮でしたね。ごめんなさい」

未央「ううん、ありがとね」

日菜子「むふふふ、どういたしまして。今度はめでたしめでたしまで聞かせてくださいねぇ~」


未央「あー! 恥ずかしいよ!」

日菜子「むふ、素敵なお話でしたよ~」

未央「もー、きたひなだけずるいー! きたひなも聞かせてよ!」

日菜子「日菜子のですか~?」

未央「きたひなの言う王子様ってどんな感じなのかなって」

日菜子「日菜子のおもう王子様ですか~、そうですねぇ~……色白で~」

未央「うん」

日菜子「髪は白で長くて~」

未央「うん」

日菜子「足がすらっと長くて~」

未央「うん」

日菜子「とっても足が速くて~」

未央「うん」

日菜子「たくましい身体つきで、日菜子が乗っても軽々で~」

未央「え、ぅ、うん」




日菜子「種類はサラブレッド!」

未央「馬!?」



未央「白馬の王子様ってそういう……」

日菜子「むふ、冗談ですよぉ~」

未央「え゙ー!」

おしまい
前回からの間隔が空きすぎて投稿すらおぼつきませんでしたね
いつもの3人は集まってなくてもこんな感じです
直近のお話は→亜季「きたえる、忍ぶ、話する」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531597336/)
読んでくれた人ありがとう また次があればよろしくお願いしますね

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