黒森峰
エリカ「あれ? この不気味なぬいぐるみって……確か副隊長が好きだったボコよね?」
エリカ「なんでそれが学校の廊下に……」
まほ「ああ……エリカ! 丁度良かった。私のボコを知らないか?」
エリカ「え? 隊長の?」
エリカ「も、もしかしてこれですか?」
まほ「それだ。でかしたぞエリカ!」
まほ「よしよしボコ……すまないな一人にさせてしまって」ギュッ
まほ「もう大丈夫だ。私がついているからな」ナデナデ
エリカ「……えぇ」
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エリカ「隊長ってボコのこと好きだったんですか?」
まほ「当たり前だ。ボコは私の恋人だからな」
エリカ「……はい?」
まほ「私とボコは前世からの恋人でな。憎き魔女しぽりんによって熊の姿に変えられてしまったんだ」
エリカ(え? 隊長は何を言ってるの?)
エリカ(あの隊長がそんな趣味の悪い冗談を言うとは思えないし)アタフタ
エリカ「で、でも昨日まではそんな素振り見せませんでしたよね」
エリカ「副隊長……みほがボコの話をしていても困ったような反応してましたし」
まほ「ああ……あの頃の私は愚かだった」
エリカ「正直今の方が愚かな気がしますけどね」
まほ「だが最近になってようやく……気づいたんだ。ボコは私と運命の糸で結ばれていると」
エリカ(私の尊敬する隊長がおかしくなっちゃった)
エリカ(ここは触らぬ神に祟り無しね)
エリカ(隊長はきっとドイツの留学が決まって疲れているのよ)
エリカ(時間が経てば戻るはず)
エリカ「そ、そうですか。そのボコさんとお幸せに」
まほ「ああ……ボコを支えるのは私の役目だからな」
まほ「それはそうとエリカはボコのことをどう思う?」
エリカ「正直に言わせてもらいますと趣味悪ーー」
まほ「可愛いよな?」
まほ「ボコ……可愛いだろ?」
まほ「もしフィアンセの悪口でも言ってみろ……例えエリカでも」
エリカ「す、すごく可愛いです」
まほ「ふふっ……エリカならそう言うと思っていたぞ」ニコッ
エリカ(隊長の笑顔……可愛い)
エリカ(こんな状況で見たくなかったけど!)
エリカ「はぁ……それにしてもまさか姉妹揃ってボコキチだったなんて」
エリカ「妹が妹なら姉もまた姉なのかしら」
エリカ「なんだか隊長がどこか遠くに行ってしまったみたいだわ」
エリカ「あら? そこにいるのは小梅?」
エリカ(なんだか様子が変だけど……って凄い怪我じゃない)
エリカ「ちょ……小梅どうしたのよ? 身体中に包帯を巻いて」
エリカ「まさか戦車道で怪我でもしたんじゃ……」
小梅「あはは……違いますよ。ただ……私ボコになりたくて」
エリカ「ボコ?」
小梅「これボコのコスプレなんです!」
小梅「ボコは何度負けても立ち上がって戦うじゃないですか」
小梅「そういうところ凄くカッコよくて……」
小梅「気がついたら私……ボコに恋をしてたんです」
エリカ「隊長だけじゃなくて小梅まで変になってた!」
小梅「だから私もボコになるためにこうしてコスプレしてるんです」
小梅「えへへ……」
小梅「オイラボコダゼー」ダミ声
エリカ「えぇ……」ドンビキー
エリカ「大体あんなクマのどこが良いのよ。なんか怪我して痛々しいし趣味悪いじゃない」
小梅「ボコをバカにするなぁぁぁぁぉ!?」
エリカ「ひっ!?」
小梅「ボコ様はこの世界における神なんですよ!」
小梅「そのボコ様に対して悪口を言うだなんて」ゼェゼェ
エリカ(ボコキチ怖っ!?)
エリカ「ち、違うわよ。本当は私もボコが大好きなのよ」
小梅「そ、そうなんですか? でも今エリカさんはボコの悪口を」
エリカ「あ、あれは照れ隠しよ」
小梅「ああ……なるほど! エリカさんってツンデレですもんね」
エリカ「誰がツンデレよ!」
小梅「ツンデレじゃないんですか? じゃあさっきのボコの悪口はやっぱり……」ハイライトoff
エリカ「やっぱりツンデレだったわ」
小梅「でもいくら恥ずかしいからってボコの悪口を言っちゃダメですよ」
小梅「私のように暴れる人がいるかも知れませんから」
エリカ「なにそれ怖すぎるでしょ!」
小梅「それだけボコは魅力的だと言うことです」
小梅「エリカさんにもこれプレゼントしておきますね」
小梅「同じボコ仲間としてこれからも仲良くしましょう」
エリカ「あ、ありがとう」
小梅「うふふ……エリカさんもボコ好きだなんて嬉しいなぁ」
やーってやるやーってやるやーってやるぜー
エリカ(悪い夢を見ている気分だわ)
エリカ(それにしてもこのぬいぐるみ)
エリカ(正直いって不気味だしあまり持ちたくはないんだけど)
エリカ(後で持ってないことがバレると小梅に何されるか分かんないし一応持っておきましょうか)
教室
エリカ「はぁ……」
エリカ(休み時間は何もやることなくて困るのよねぇ)
エリカ(いつもは小梅と話してるけど今の小梅はなんだか近寄りにくいし)
エリカ(よくよく考えると私って小梅と隊長以外友達が少ない……)
エリカ(あ、あんまりそういうことは考えないでおきましょ)
エリカ(只でさえ頭おかしいことばっか起きてるんだし)
黒森峰生徒1「見て見て! 私新しいボコグッズ買っちゃった!」
黒森峰生徒2「これ限定品の粉砕骨折バージョンじゃん! 羨ましいぃ!」
黒森峰生徒1「えへへーボコは私の恋人でからね」
黒森峰生徒2「言っておくけど私の恋人でもあるんだよ」
小梅「それは聞き捨てなりません。ボコは私のものです!」
ワーワーギャーギャー
エリカ「そういえば普段は他の生徒の話なんて聞かなかったから気づかなかったけど」
エリカ「ウチのクラスではボコが流行ってるのね」
エリカ「本当……あんなクマのどこが良いんだ……か?」
シーン
エリカ「……え?」
黒森峰生徒「」ギョロ
エリカ「ボコって可愛いわね!」
ワーワーギャーギャー
エリカ「な、なんだったの今の目は」ガグガグ
エリカ「いくら流行りだからってみんな異常よ」
食堂
エリカ「はぁ……隊長と小梅がおかしくなっただけでも大変なのに黒森峰の生徒までボコキチだったなんて」
食堂のおばちゃん「今日は何にするんだい」
エリカ「いつものヤツで」
食堂のおばちゃん「ハンバーグ定食ね」ザックザク
エリカ(やっぱり落ち込んだ時はハンバーグよね)
エリカ(まあ落ち込んでなくても食べてるんだけど)
食堂のおばちゃん「はいよ。ハンバーグ定食一つ」
エリカ「ふふっ……ありがーーえ?」
エリカ「あの……これって」
食堂のおばちゃん「ボコ型ハンバーグだよ」
エリカ「な、なんでハンバーグがボコなのよ!」
食堂のおばちゃん「可愛いから」
エリカ「はいぃ!?」
食堂のおばちゃん「ボコ……可愛いわよね」ギョロ
エリカ「……ハイ」
エリカ(ま、まるで悪夢を見ているようだわ)
エリカ(それにしてもハンバーグがボコって……微妙に食べにくいんだけど)
エリカ(可愛いからってことでハンバーグにしたっておばちゃんは言ってたけど)
エリカ(大好きなボコが食べられても問題ないのかしら)サクッ
ボコバーグ「」ドロォ
エリカ「ひいっ!? 赤……血!?」
エリカ「……いやこれ…………ケチャップか」
エリカ「にしてもこんなグロいの食べにくいったら」モグモグ
エリカ(あれ……なんか背後から視線を感じるような……)
食堂のおばちゃん「ああ……ボコが食べられてるなんて痛ましい」ハァハァ
エリカ「」
エリカ(何も見なかったことにしましょ)
模擬練習
エリカ「それじゃ行くわよ!」ブロロロ
エリカ「敵発見撃て!」
黒森峰生徒「……」
エリカ「ちょっと! 聞いてるの? 今敵は停止しているのよ! 撃ちなさいよ」
黒森峰生徒「撃ったら勝っちゃうじゃないですか」
エリカ「はいぃ!?」
黒森峰生徒「ここで勝つなんてボコじゃありません!」
エリカ「いや……勝つために試合してるんでしょうが!」
黒森峰生徒「違います! 戦って負けてこそボコなんです!」
エリカ「……いや、ちょ……え?」
エリカ(というか敵もずっと止まったままだし)
エリカ(これって……相手も同じ状況ってこと)
エリカ「これじゃ戦いにならないじゃないの」ギャーギャー
エリカルーム
エリカ「……はぁ。今日はいつもより疲れたような気がするわ。主に精神的に」
エリカ「こういう時はガルパンのみほエリSSでも見て元気を出しましょうか」カチカチ
エリカ「……ない」カチカチ
エリカ「みほエリSSが全部無くなってる!」カチカチ
エリカ「いえ……みほエリだけじゃないわ」カチカチ
エリカ「エリまほもエリカチュもダーエリも全部消えちゃってるじゃないの」
エリカ「ガルパンSSが全部ボコとのカップリングになってる!」
エリカ「ボコエリにみほボコにまほボコ?」
エリカ「もう! ワケわかんないわよ!」
エリカ「……はぁ。もうSSは辞めて音楽でも聞きましょうか」
エリカ「今日はみほのキャラソンでも……」カチ
やーってやるやーってやるやーってやるぜ♪
エリカ「」
夜
エリカ「どこもかしこもあの気味の悪いクマばっかり!」
エリカ「頭がおかしくなりそうだわ」
エリカ「はぁ……きっとこれは悪い夢ね」
エリカ「目を閉じて明日になればきっと元の現実に戻るはず」
エリカ「……だからさっさと寝てしまいましょう」
…………ってやるぜ …………嫌なあいつを…………に
エリカ「この声って……外から」ガララ
エリカ「な、グラウンドに人が」
まほ「やーってやる……やーってやる……いーやなあいつを……ボコボコに……」
エリカ「隊長が……みんながゾンビのように歩いてる」
まほ「行かなければ……私のフィアンセが呼んでいる」ブロロロロロ
エリカ「次々にヘリに!? 一体何処に……」
エリカ(正直怖いけど……このまま隊長たちを放っておくことは出来ないわね)
エリカ(それに後を付けていけば隊長たちがこうなった理由も分かるかも知れないわ)
エリカ(私もヘリで追いましょうか)ブロロロロロ
ボコミュージアム
エリカ「……夜のアトラクションって禍々しいものがあるわね」
エリカ「黒森峰のヘリがあるってことは隊長がここに来たのは間違いないみたいだけど」
ダージリン「こぉんな格言を知ってる? 君の魂の中にある英雄を放棄してはならぬ」
オレンジボコ「ボコですね」
エリカ(ニーチェでしょ!)
ミカ「ボコにはね人生にとって大切なすべてのことが詰まってるんだよ」
アキ「普段は何言ってるか分かんないけど今はミカの言ってること分かるよ」
アキ「ボコ……カッコいいもんね」キラキラ
ミカ「……」ポロローン
マリー「ケーキがないならボコを食べれば良いじゃない」
安藤「いや……さすがにボコを食べるのはちょっと」
エリカ(聖グロに継続……それにBC自由学園まで)
エリカ(これだと他の学園もみんなボコキチになってる可能性が高いわね)
エリカ(とりあえずここは隠れて様子を……)
小梅「エリカさん……こんなところで何をしてるんですか?」
エリカ「え……小梅? な、なんでここに?」
小梅「黒森峰のヘリが来たのが気になったので」
小梅「やっぱりエリカさんもボコに呼ばれて来たんですね!」
小梅「さ、エリカさんもボコにお祈りを捧げましょう」グイッ
エリカ「ちょ……痛い! 痛いってば」
小梅「……」
エリカ「小梅……お願いだから引っ張らないで」
エリカ「……小梅?」
小梅「ボコ様の為にボコ様の為にボコ様の為にボコ様の為にボコ様の為にボコ様の為に」ブツブツ
エリカ「ひぃぃ!? 離して! 離しなさいって」ドスッ
小梅「……きゃっ」
エリカ「ごめんなさい……つい」
小梅「どうして……」
小梅「どうして拒むんですか!」
小梅「エリカさんもボコ好きなら喜んでお祈りをするはずです」
エリカ「小梅! アンタこそ正気に戻りなさい!」
エリカ「ボコなんて趣味の悪い人形好きになるわけ無いでしょう」
エリカ「お願いだから元の優しい小梅に戻って!」
小梅「ボコを侮辱したな! 許さない許さない許さない許さない許さない」ブツブツ
エリカ「小梅……本当にどうしちゃったのよ」
エリカ「言っておくけど戦うなんて辞めといた方がいいわよ」
エリカ「私の趣味がボクササイズなこと知ってるでしょ」シュシュ
小梅「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」ブツブツ
エリカ「だ、ダメね。話がまるで通じないわ」
エリカ「小梅……痛いでしょうけど我慢しなさいブンッ
小梅「」ガシッ
エリカ「……え?」
小梅「許さない許さない」ギリギリ
エリカ「痛い痛い!」ジタバタ
エリカ「よ、よし抜けた! 今のうちに逃げないと」タッタッタ
女子トイレ
エリカ「こ、この中なら……」ガチャ
やーってやるやーってやるやーってやるぜ
エリカ(こ、小梅の声が近づいてくる!)
エリカ「ま、まさか場所が……バレて」
小梅「エリカさん……怖がらないで出てきてください」テクテク
小梅「一緒にボコを好きになりましょう……」テクテク
やーってやるやーってやるやーって……
エリカ(声が遠ざかっていく)
エリカ(な、何とか隠れきったけど)
エリカ(さすがにこのまま隠れ続けるわけにも行かないわね)
エリカ(なんとかしてみんながボコキチになった原因を突き止めなと……)ガチャ
小梅 (●)(●) ミィーツケタ
エリカ「ぎゃぁぁあぁぁあぁッ!?」
小梅「ミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタミツケタ」ケラケラ
エリカ「ひぃぃ……ご、ごめんなさい。ゆ、許して」
小梅「やーってやるやーってやるやーってやるぜ♪ いーやなアイツをボコボコに」ケラケラ
小梅「大丈夫です。貴方もボコ好きにしてあげますから」グググ
エリカ「う、腕が……な、なんて握力なの」
小梅「さあ……ボコ様のところに」グググ
???「待って……本当にそれでいいの?」
エリカ「え? この声」
???「赤星さんはボコに憧れてるんでしょ……なのに勝っちゃっていいの?」
小梅「え……アァ……その……声は」
???「ボコが勝つなんてありえない。何度もボコボコになってやられる……それがボコなんだよ」
小梅「ぐ……ギギ……私はボコ……ボコは勝っては……いけない」
???「だったらどうするべきか分かるよね」
小梅「ウゥ……グ……ギギ」コクコク
???「逸見さん! 今です! 赤星さんに軽くパンチしてください」
エリカ「え? ええ? わ、分かったわ」ペシッ
小梅「やーらーれーたー」バタッ
エリカ「えぇ……」
みほ「よ、良かった。逸見さんが無事ーー」
エリカ「ひぃぃ!? もっとヤバいのが来た!?」ガグブル
みほ「……?」
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みほ「はい。お水です……そのさっきは怖がらせちゃったみたいでごめんなさい」
エリカ「べ、別に怖がってなんてないわよ。ただあんな状況だからてっきり貴方もあの集団の仲間だと勘違いしただけよ」
みほ「あはは……」
エリカ「でもなんでこんなところに」
みほ「えっと……私もエリ……逸見さんと同じで」
エリカ「言いにくいなら昔みたいにエリカで良いわよ」
みほ「……え? 良いんですか?」
エリカ「一応助けて貰ったわけだし……それぐらい別に構わないわ」
みほ「えへへ……ありがとうございます」
エリカ「それで? どうしてみほがこんなところにいるの?」
みほ「えっと数日前からお友達がボコを好きになっちゃってて」
みほ「最初はそれで良かったんですけど何だかみんな愛が重いっていうか普通じゃないなって思うようになって」
みほ「みんなの後を付けていったらボコミュージアムに」
エリカ「それで悲鳴が聞こえて駆けつけたってわけね」
みほ「はい」
みほ「あ、そうだ。エリカさんは赤星さんから何かプレゼントとか貰いませんでした?」
エリカ「え? なんでそれを知ってるの」
みほ「ここ手前ではなく奥の女子トイレですよね」
みほ「赤星さんはさっき手前のトイレを確認せずに奥の女子トイレに向かってたので」
みほ「多分エリカさんの居場所を分かってたんだと思う」
みほ「だからもしかしたらエリカさんに発信器みたいなのを付けられてるんじゃないかって」
エリカ(発信器……あ)
エリカ「こ、これ……小梅から貰ったの」
みほ「……これはGPS搭載型の全身打撲ボコ!」
エリカ「な、なんでGPSが付いてるのよ!?」
みほ「子供が誘拐されないためです。一度私もお姉ちゃんからこれを貰ったことがあります」
みほ「これでお前の居場所がいつでも確認できるなって喜んでました」
エリカ(隊長は何やってるのよ)
みほ「とにかくこれはトイレに置いておきましょう」
みほ「赤星さんが気絶しているフリを止めた時に見つからないようにしないとですから」
エリカ「それで……これからどうするの?」
みほ「とりあえずボコミュージアムで人が集まっている場所に行こうと考えています」
みほ「全員を洗脳しているのであれば必ずその犯人は教祖として姿を現すはずです」
みほ「それを見つけてどうしてこんなことをしたのか事情を聞きたいと思います」
エリカ「事情を聴くだなんてアンタも相変わらず甘っちょろいわね」
エリカ「そんなことしなくても無理矢理取り押さえればいいじゃない」
みほ「そんな乱暴なこと私はあまり好きじゃないです」
みほ「ボコ好きに悪い人はいないから」
みほ「それにその人を取り押さえられる可能性だってどのくらいあるか」
みほ「赤星さんは洗脳状態だから簡単に倒すことができたけど」
みほ「洗脳を施した犯人がそんな単純な精神構造をしているとは思えません」
みほ「だからなるべく穏便に済ませたいんです」
エリカ「はぁ……正直ボコ好きに悪い人はいないっていうのは納得しかねるけど」
エリカ「このおかしな騒動が終わるならなんだって良いわよ」
エリカ「それじゃそのボコの本拠地? みたいなのに案内してくれる」
エリカ「この場所に関してはアンタの方が詳しそうだし」
みほ「は、はい! 分かりました!」
ボコの塔
エリカ「え? 何この……いかにも怪しい塔は」
みほ「これは最近になって出来た新アトラクションボコの塔です」
みほ「ここは勇者ボコを倒す魔女になって色んなボコを倒すっていうアトラクションなんです!」
みほ「魔物やモンスターにやられちゃうボコが本当にかっこよくて……」
みほ「特にゴブリンの集団に殴られるボコは何度見ても……」
エリカ「そ、その話はまた後にしましょ。今は一刻を争う事態なんだし」
みほ「は、はい」シュン
エリカ「でも人の集まりから見てもこの塔に主犯がいるのは明らかね。問題はどうやって忍び込むかだけど」
みほ「普通に入れば良いと思いますけど?」
エリカ「え?」
みほ「逆にこそこそしていた方が怪しまれます」
みほ「ひとまずここは私たちも操られたフリをして堂々と忍び込みましょう」
エリカ「そりゃアンタは元からボコが好きだから大丈夫でしょうけど」
みほ「もしバレそうになったらその時は私が助けますから」フンズ
エリカ「はぁ……今回はアンタを信じてみることにするわ」
エリカ「でも何かあったらすぐに助けなさいよ」
みほ「はい!」
ボコ「オイラボコダゼー」
みほ「わぁーボコだ!」
みほ「教祖様にはこの塔に入ったら会えるの?」
ボコ「もう少しでミサだからな。とその前に合言葉は?」
みほ「オイラボコダゼー」ダミ声
ボコ「合格だ。じゃあ次」
エリカ「え……あ……その?」
ボコ「合言葉は?」
エリカ「お、おいら……ボコ……だぜ」アタフタ
ボコ「声が小せぇなぁ。そんなんじゃ合言葉が入れさせてやれねぇぞ!」
エリカ「な、なんですって!」
エリカ(も、もうどうにでもなれ!)
エリカ「オイラボコダゼー」ダミ声
ボコ「やれば出来るじゃねぇか! 入っていいぜ」
みほ「エリカさんおめでとう! 見事なボコっぷりだったよ」
エリカ「それ……褒められてるのよね?」
みほ「勿論です!」
エリカ「そう。それなら良いんだけど」テレテレ
エリカ「で、あの着ぐるみの話だと黒幕はこの中にいるみたいだけど」
みほ「あそこでみんなお祈りしてる。私たちもあそこで紛れよう」
冷泉「ボコ様……ボコ様」
沙織「今日もボコの為に頑張らないと」
みほ「……みんな」
沙織「あ、みぽりんもミサに来てたんだね!」
みほ「う、うん」
沙織「じゃあこっちでお祈りして待ってよ。時期に教祖様が救ってくださるから」
みほ「……そうなんだけど。今日はエリカさんと一緒にお祈りするんだ」
沙織「そうなんだ。でもそれなら一緒にお祈りしたほうが」
麻子「西住さんにも色々あるってことなんだろう。二人で話したいこととか」
沙織「なるほど……じゃあみぽりん。私はここでお祈りしとくから!」フリフリ
みほ「うん。私もお祈り頑張るね」フリフリ
エリカ「貴方のお友だちも……」
みほ「大丈夫。必ず戻してみせます」
ワイワイガヤガヤ
エリカ「どうやら教祖とやらが来たみたいね」
教祖「…………」
みほ「でもボコの着ぐるみを着てて誰かは分からない」
エリカ「そうね。無理矢理にでも取ってしまいましょうか」
みほ「あまり刺激するのは……ここは私から話しかけてみますね」
みほ「あ、あの教祖様」
教祖「え……みほさん?」
みほ「え? その声って」
みほ「もしかして…… 愛里寿ちゃん?」
愛里寿「違う……私はボコの教祖。みんなにボコの素晴らしさを伝える存在」
エリカ「まあ教祖かどうかその被り物を取れば分かるでしょ」スポッ
愛里寿「……あ」
みほ「やっぱり愛里寿ちゃんだ」
エリカ「なんで貴方がこんなことを」
愛里寿「……簡単な話よ。私がいくらボコの良さを語ってもみんな微妙な反応ばかり」
愛里寿「おかげで大学ではいつも一人。みんなボコを怖がって近づいてもくれない」
エリカ「でも貴方には大学選抜の先輩たちが」
愛里寿「みんな優しくて大切な人。だけどその中にボコ好きはいなかった」
愛里寿「みほさんなら分かるはず」
みほ「……うん。気持ちは分かるよ。私だって沙織さんや優花里さんにボコを勧めてもあんまり喜んで貰えなかった」
愛里寿「だったらみほさんも喜んでくれるよね。ほら見て、みほさんのお友だちもボコを好きになってくれてるよ」
麻子「ボコ様……ボコ様」ナムナム
沙織「ボコにモテますように」ナムナム
みほ「……やっぱり私は全然嬉しくないよ」
愛里寿「!? みほさん……どうして? みほさんのボコ愛はそんなものだったの?」
愛里寿「ボコはみんなに嫌われて苦しんでるんだよ?」
愛里寿「なのにみほさんは何も思わないの」
みほ「…… 愛里寿ちゃん」
みほ「聞いて私ね。友達ってそうやって作るものじゃないと思うの」
愛里寿「みほさん」
みほ「人を洗脳して自分が好きなものを好きにする。それが本当にお友だちのすることなのかな」
愛里寿「でもこれは……ボコの為でもあるの。これでボコはみんなに好かれて嫌な思いをしなくて済む」
みほ「確かにボコ好きは今は私たちだけだけど」
みほ「きっとみんないつか好きになってくれるって私は信じてるよ」
愛里寿「どうしてそう言い切れるの?」
みほ「だってボコは素敵なんだもん。だからおかしな洗脳をしなくたってみんな好きになってくれるって信じてる」
愛里寿「……」
みほ「それにボコだってそんなの望んでいないよ」
みほ「ボコは見返りなんて求めない。みんなに嫌われてボコボコにされて……それでも立ち上がるからボコなんだよ?」
みほ「愛里寿ちゃんの行為はそんなボコの努力を否定することになっちゃう」
みほ「ボコの頑張りを分かって上げられるのは私たちだけでいいんだよ」
みほ「だからお願い……もうみんなを戻して上げて」
愛里寿「みほさん……私。ボコの気持ちも理解しないまま……勝手なことしちゃった」
愛里寿「きっとボコだって私のことを嫌ってる」
愛里寿「だから……ごめんね」
みほ(アーミーナイフ!)ガシッ
愛里寿「みほさん……なんで……血が」
みほ「愛里寿ちゃん……ボコは愛里寿ちゃんのこと嫌いになったりしないよ」
みほ「だって全部ボコの為にやったことなんでしょ?」
みほ「ボコだってきっとそれを分かってくれているはず」
みほ「それにボコは応援して立ち上がるんだよ?」
みほ「なのに応援する人が減ったらボコも寂しがると思うな」
愛里寿「うぅ……あり……がとう。それと本当にごめん……なさい」
みほ「よしよし。もう大丈夫だからね」
エリカ(え? なにこの圧倒的疎外感は!?)
エリカ(結局私が何もしないまま解決してしまったわ)
エリカ(まあ別にこの奇妙な現象が終わるなら何だっていいんだけど)
エリカ(少しはみほの役に立ちたかった)シュン
みほ「それじゃ…… 愛里寿ちゃんみんなを元に戻してくれる?」
愛里寿「うん……でもそれには時間が掛かる」
エリカ「時間ってそもそも貴方どんな方法でみんなをボコ好きにしたのよ」
愛里寿「ボコウイルス……」
エリカ「え?」
愛里寿「島田家の財産の5分の3を使ってボコを好きになる細菌を開発したの」
愛里寿「その細菌に感染するとボコを見るだけで脳内の快楽物質が溢れ出るようになり素敵なボコマニアに変身するの」
エリカ「つまりみんながボコキチになったのはそのヘンテコなウイルスのせいってわけね」
愛里寿「みんなを元に戻すにはワクチンを作らないといけない」
愛里寿「でもワクチンなんて考えてもみなかったから作るのに数ヶ月は必要」
エリカ「なんだ……そんなこと。要するに数ヶ月あれば元に戻るんでしょ」
みほ「エリカさん……そんな単純な話じゃないよ」
エリカ「え?」
みほ「数ヶ月それだけの長い間。ボコを崇拝し続ければ心にだって後遺症が残るはすです」
みほ「例え治療薬を作ってウイルスが消滅しても脳にはダメージが残りボコ好きという感情は消えない可能性があるんです」
エリカ「じゃあ時間が経てば経つほど元に戻る可能性は少なくなるってこと」
みほ「……そうなります」
エリカ「ちょ、どうするのよ! これはアンタが作ったウイルスなんでしょ? 何とかしなさいよ!」
愛里寿「頑張っては見るけど」アタフタ
まほ「ワクチン……?」
エリカ「隊長? そうです。隊長をボコキチから元の隊長に戻そうとしているんです」
まほ「な……に?」
まほ「エリカは私からフィアンセを奪うということなのか!」
エリカ「え?」
愛里寿「まほさん落ち着いて? 元に戻して上げるだけだから」
まほ「黙れ! 私からボコを引き離そうなどと!」
沙織「みぽりん? どういうこと? 私からボコを奪うつもりなの?」
優花里「に、西住殿……嘘ですよね? そんな残酷なことしませんよね?」
みほ「違うの……聞いて! みんなが感じてるこの気持ちは偽物なの」
みほ「ウイルスによって仕込まれた感情だから……」
まほ「悪いが実の妹と言えどその言葉を信じることは出来ない」
まほ「本当は自分だけでボコを独り占めするつもりなんじゃないのか」
みほ「え……ち、違っ……」
まほ「悪いがみほたちの疑いが晴れるまで監禁させてもらう」
沙織「みぽりん……ごめんね。でもこれもボコの為だから」
麻子「……そうだ。ボコの為なんだ」
信者「「ボコの為!」」
エリカ「ちょ! なんか一斉にこっちに来たわよ!」
愛里寿「み、みんな落ち着いて……」アワアワ
まほ「こいつらの言葉に惑わされるな! 私たちからボコを奪うつもりだぞ!」
麻子「面倒だが大好きなボコの為だ。私たちだって西住さんたち相手に手荒な真似はしたくない」
麻子「だから……降伏してくれないか?」
みほ「降伏はしません」
みほ「ここで捕らえられたらそれだけワクチンを作る時間が減っちゃう」
まほ「……仕方ない。こうなったら一斉に取り掛かるぞ!」
信者「「ボコの為に!」」
ワーワーギャーギャー
愛里寿「ダメみたい。もう私の言うことを聞いてくれない」シュン
みほ「抜け道とかはありますか?」
愛里寿「……そんなの用意してない。こんなことになるなんて予想外だったから」
みほ「分かりました。なら逃げることは諦めましょう」
みほ「どのみちワクチンを作るには時間が掛かりすぎます」
みほ「今この場で皆さんを正気に戻すしかありません!」
エリカ「正気ってどうやってよ。もうコイツらゾンビみたいに襲うだけで人の話すら聞かないじゃないの」
みほ(……みんながおかしくなったのは愛里寿ちゃんのボコウイルスが原因)
みほ(そのウイルスを消滅する方法さえ思い付けば……)
みほ「愛里寿ちゃん。どうして私とエリカさんはウイルスに感染してないの?」
愛里寿「みほさんは元からボコが好きだから……感染していても正気のままなのかも」
愛里寿「エリカさんは……ちょっと分からない」
みほ「エリカさん正直に答えてください。ボコのこと好きですか」
エリカ「あんな趣味の悪い人形好きなわけないでしょ!」
みほ「ほ、本当にですか?」
エリカ「本当よ。そもそもこんな状況で嘘つく余裕なんてないわよ」ジタバタ
まほ「ボコの為に……ボコの為に」
まほ「やーってやる……やーってやる……」グググ
エリカ「た、隊長……足を掴まないで」ジタバタ
みほ「エリカさんはボコが好きじゃないのにウイルスに感染していない」
愛里寿「そういえば黒森峰だけは他の学園と比べて感染速度が遅かった記憶がある」
愛里寿「もしかしたらエリカさんにはボコのウイルスに対抗する細菌……逸見菌があるのかも知れない」
みほ「じゃあエリカさんの体内には血清があるってことだよね?」
愛里寿「ただこれはあくまで推測だから」
みほ「でもそれに賭けるしかない。エリカさんの体内にある逸見菌をばら蒔こう!」
愛里寿「でもどうやって飛散させれば……見たところ空気感染はしないみたいだし」
みほ「大丈夫……私に考えがあるから」
みほ「エリカさん……」
エリカ(みほがすがるような声で話しかけているわ)
エリカ(今まで活躍らしい活躍はしていなかったけれど)
エリカ(ようやく私にも役に立てる時が来たみたいね!)
エリカ「どうかしたの? みほ」
みほ「エリカさん……ごめんなさい」グサッ
エリカ「ぎゃぁあぁぁあぁあぁぁあッ!?」プシュー
愛里寿「綺麗な……血渋き」
みほ「これでエリカさんの血液が部屋全体に散布されたはず」
エリカ「う……腕が……イヤぁぁ……」プシュー
まほ「……なんだ。この鉄の味は……あれ? ここは一体?」
エリカ「隊長! 戻ったんですね!」プシュー
まほ「戻った? 何を言って……って大丈夫か!? 凄い血じゃないか!」
エリカ「ちょっとアーミーナイフで刺されただけです」プシュー
まほ「それ全然大丈夫じゃないぞ!」
麻子「う、うぅ……何だか酷い夢を見ていた気がする」
沙織「私も……何故か行き遅れてボコと結婚する夢見てたよ」
麻子「残念だがそれは現実だ」
沙織「違うからね!?」
みほ「エリカさんの血液でみんなの反応がどんどん戻っていく」
愛里寿「うん……逸見さんの細菌がボコウイルスを倒してくれてるみたい」
みほ「じゃあこれで……」
愛里寿「うん……みんな元通り」
数日後 食堂
沙織「エリカさん……あの日病院に入院したみたいだけど大丈夫なの」
みほ「うん。腕の負傷はそんなに大きくないんだって」
みほ「数日間安静にすればすぐに治るって言ってたよ」
沙織「結構血が出てたような気がするんだけど」
みほ「確かにたくさん出てたけどすぐに止血したから……一応入院しているのは輸血の為でもあるみたい」
沙織「そうなんだ」
優花里「でも今になっても信じられません。まさか私たちが知らない間にボコ殿を好きになっていたなんて」
華「確かにここ数日の記憶がどこか曖昧なので操られていたのは事実みたいですけど」
麻子「まさかみんなをボコ好きにするためにウイルス兵器を作るなんてな」
麻子「自分で言ってみても何を言っているのか分からん」
みほ「あはは……」
みほ(良かったぁ。ボコウイルスに感染して一時期はどうなるかと思ったけど)
みほ(みんな感染する前に戻ってる)
みほ「……あれ?」
麻子「どうかしたのか?」
みほ「……今日のランチはみんなハンバーグなんだね」
麻子「どうしてか分からないが最近ハンバーグが食べたくなってな」
沙織「私も……なんでだろう」
華「時期的には丁度ボコ騒動が終わった辺りですね」モグモグ
沙織「別に今までハンバーグが嫌いってわけじゃ無かったけど最近はいつにも増してハンバーグが食べたくなっちゃうんだよねー」モグモグ
みほ「え……それって」
完
これにてこのssは終わりです。ここまで読んで下さった皆様本当にありがとうございます
それではHTML化依頼出しときますね!
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