穂乃果「ギガロマニアックス?」 (11)

穂乃果「スクールアイドル、最近すごく流行ってるよね」

海未「いきなりどうしたのですか?まさか、やりたいとか言い始めるんじゃないでしょうね?」ジ....

穂乃果「やだなぁー違うよ。やっぱり新聞部としてさ流行りは押さえておきたいんだよ!」

海未「たしかに流行りを押さえるのは大切ですね。現状、私たちの新聞は全然浸透してませんしね...」

穂乃果「そうなんだよ!だから!A-RISEインタビューに行こう!これで私たち新聞部の評価もうなぎ登りだよ!」ダン!

海未「今からですか!?非常識過ぎます、それに急に訪れても相手にしてくれないと思いますよ」

穂乃果「えー、名案だと思ったのになぁ...」

海未「インタビューは構いませんよ、ただ事前に許可を取ってから行くべきと言ったのです」

穂乃果「ナルホド...じゃあ今から電話しよう!」

海未「ダメです!今は何時だと思ってるんですか!10時ですよ?こんな時間に電話なんて非常識です」

穂乃果「うーー!じゃあ、明日にする...」

海未「よろしい、じゃあそろそろ寝ましょうか。明日も学校ですよ」

穂乃果「ちょっと早い気もするけど...」

海未「早寝早起きは大事ですよ。それに、明日は日直でしょう?遅刻はできません」

穂乃果「はーい...」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1554738718

ザラザラと荒れたノイズ音がPCから流れる。それは短いたった5分の動画。無機質な電子の画面は薄暗い部屋を映していた。ピンク色のカーテンが一枚、部屋の中央の仕切りにかけられていた。その奥には黒い人影ゆらめいていた。数秒後、唐突に軽快なメロディーが流れ始めた。今流行りのスクールアイドルの曲の1つだ。すると人影は音楽に合わせて踊り始めた。顔も姿も隠すとはダンスの動画にしてはとても消極的に見える。ユラユラとまるで操られてるような奇妙なダンスだ、とてもスクールアイドルのダンスとは思えない。動画が始まり2分と40秒後に異変は起きた。少女は浮き始めた。動きを止め、クルクルと手足をあらぬ方向へ回し始める。骨と肉が軋み、肉の繊維と骨が砕かれる。折れて崩れる四肢とは裏腹にその影は音楽に合わせ、右へ左へと振り子のように宙を振られる。そのあまりにも生々しく、現実味の無い破壊音に嘔吐を催す。回り過ぎた四肢はやがて結合していられずに関節部から外れて地面へと落ちる。1つ、2つ、3つ、4つと落ちて顔だけが回り初めて曲が終わったのだが、動画は終わらない。霞む金属音とともに少しずつカーテンが開いていく。やがて開かれた景色は凄惨の一言であった。
絨毯は血と肉片で汚されていた。落ちた四肢は関節部がぐちゃぐちゃの肉塊になっており、折れた骨が顕となっていた。醜く回り続けるその顔は血の気はすっかり抜けていて、蒼白であった。そして、遂に首も耐えれずにおびただしい血液と共に顔が落ちて動画は終わった。

放課後

穂乃果「...何これ..気持ち悪い..」

海未「これが...深夜にニコニヤ上げられた動画なのですか?」

ヒデコ「そうだよー中々ヤバイでしょ。かなり酷いけど今はこの話題で持ちきりだよ。新聞部の記事にはいいんじゃないかと思ってね」

穂乃果「確かに凄いけど...うーん..」

海未「CGとかでは無いのですか?あまりにも現実離れし過ぎて...」

フミコ「残念ながらCGじゃないんだよね。今朝ニュースでも取り上げられてたし、@チャンネルもお祭り状態よ」

海未「流石にこれは私達が関わるようなものでは...」

穂乃果「うーん....行くべきか..行かぬべきか...ぬぬぬ」

海未「...私は行きませんよ」

穂乃果「ええー、1人じゃ怖いからさり気無く誘ってたのにーー」

海未「これは不謹慎過ぎます!それに行くってどこに行くんですか!」

穂乃果「えーと、お家?」

海未「おそらく警察に封鎖されてますよ...」

穂乃果「えぇー、フミコとヒデコは?」

フミコ「んー私はパスかなぁ。記事にするのはいいと思うけど行くのは流石にねぇ」

ヒデコ「右に同じ」

穂乃果「...いいもん、雪穂連れてくから」

海未「はぁ..また貴方は...良いですか穂乃果。この様な不謹慎な事件は遺族のことも考えてなさい。それに昨日はスクールアイドルにインタビューすると...」

フミコ「穂乃果行っちゃったよ」

海未「....穂乃果!!」ダッ!

穂乃果「ひとまずまけたかな?まさか海未ちゃんもラジ館にいるとは思わないでしょ。今のうち電話しよーと」プルルルル

穂乃果「もしもし?雪穂、今暇?」

雪穂『お姉ちゃん?どうしたの、学校で何かあったとか?』

穂乃果「違うよ、深夜にニコニヤに上がった動画知ってる?」

雪穂『あーあの気持ち悪いやつね、知ってるよそれがどうかしたの?』

穂乃果「私ね、新聞部としてこの大きな事件は調べなきゃいけないと思ったのそれでね..」

雪穂『一緒に行けってことでしょ?』

穂乃果「雪穂エスパー!?」

雪穂『そこまで言えば誰でもわかるよ...秋葉の駅に集合でいい?』

穂乃果「ありがとー雪穂ー!一人で行くところだったよ」

雪穂『はいはい、じゃあ着いたら連絡するから』ガチャ 

穂乃果「雪穂ーここだよー!」ブンブン

雪穂「いやーお姉ちゃんの顔を見るのも久しぶりだね」

穂乃果「むむむ確かに...下宿先に行ってから8ヶ月振りだっけ?」

雪穂「たぶんそのくらいかなぁ。ちゃんとやれてる?海未さんに迷惑かけてない?」

穂乃果「大丈夫だよ!ちゃんと手伝いとかやってるし!佐久間さんにも迷惑かけてないよ」

雪穂「なら良いけどね、じゃあ早速マンション行こっか。今もけっこう野次馬集まってるらしいよ」

穂乃果「野次馬って暇なんだねぇ」

雪穂「お姉ちゃんがそれ言う?」

穂乃果「私は新聞部の取材だから!野次馬じゃないもん!」

マンション前

穂乃果「うわー本当に人が凄いね、これじゃあ取材できないよ」

雪穂「...少し待ってみれば?案外みんな帰っちゃうかもよ」ッス 

穂乃果「そうだね、ここまで来て収穫0じゃ野次馬と変わんないもん」

数分後

穂乃果「本当だ!みんな帰っちゃったね。封鎖されてて見れないからかなぁ」

雪穂「かもね、人はいなくなったけどどうするの?」

穂乃果「...侵入しよう。オートロックや監視カメラも見当たらない、今ならバレずに入れるかも」

雪穂「...怒られても知らないよ?」

穂乃果「ふっふっふ、私のジャーナリストとしての魂が突き進めと言っているのだ!」タッタッタッ

雪穂「はぁ...待ってよお姉ちゃん」タッタッタッ

マンション内

穂乃果「1人も住人とすれ違わないね...完全封鎖で住んでる人も出されてるのかな?」

雪穂「どうなんだろ...死体を見せない為の配慮とかなのかな?」

穂乃果「そうかもしれないね...ところで何階?」

雪穂「4階だよ、次の階の402号室」

穂乃果「おー!流石雪穂だね、私全然調べてなかったよ!」

雪穂「本当に行き当たりばったりだね、お姉ちゃん」


402号室前

穂乃果「ここが...事件現場」ゴクリ

雪穂「怖いならやめとく?バレたら不法侵入だよ」

穂乃果「ここまで来たら引き下がれないもん。開けるよ...」ガチャ

雪穂「...臭いとかもっとすると思ったけど処理されたのかな」

穂乃果「そうだね...それに警察のよくわかんない置物とかばっかりだ。カーテンも無くなってる」パシャ

雪穂「これじゃあ犯人の手がかりとかも何もわかんないね」

穂乃果「うーん、そうだね。わかったならスクープ!とか言って学校の掲示板に張り出したんだけどなぁ...この写真もバレたら怒られちゃうから掲示できないよ」ガックリ

雪穂「まあ、仕方ないよ。さ、バレないうちに帰ろ!」

穂乃果「あ、待ってよ雪穂ーー」

秋葉原駅前

雪穂「じゃあ、私は家に帰るよ。元気でねお姉ちゃん。新聞部、頑張ってよ!」

穂乃果「任せといてよ!写真撮っただけだけど、なんとかするよ!」

穂乃果(でも、帰りのが憂鬱だなぁ。海未ちゃん絶対怒ってるよ...)

青葉寮

穂乃果「た、ただいまー...」ガチャ

海未「穂乃果!!私の忠告も聞かずにこんな時間に帰ってきて!いいですか?先ほども言いましたがこの様な事件はですね...」クドクド

穂乃果「ごめんなさい!私が悪かったから説教は勘弁してよー」

海未「なりません!しっかり私の話を聞いてもらわないと」クドクド
 
佐久間「まあまあ、そのくらいにしとこう。せっかく作ってくれた夕飯が冷めちまうよ」

海未「ですが...」

佐久間「なに、穂乃果もやりたい事があるのさ。非行に走って犯罪にでも手を染めなきゃある程度自由でいいと、俺は思ってる」

穂乃果「流石佐久間先生、わかってる!」

海未「はぁ...わかりました。でも本当に危険なことに突っ込むことはやめてくださいね。私も心配してるのですよ」

穂乃果「わかってるって!さぁ、ご飯食べようよ」

穂乃果(青葉寮は佐久間先生がやってる児童養護施設なんだ。海未ちゃんは訳あってここに引き取られて暮らしてるんだけど、私は家が少し遠いから頼み込んで住まわせてもらってるんだ!お父さんとお母さんと雪穂に毎日会えないのは残念だけど、佐久間先生は優しいし、海未ちゃんと一緒に暮らしてるから寂しくはないよ!)

佐久間「で、穂乃果はどこに行ってたんだ?」

穂乃果「えっとね、ちょっと事件現場に行ってきたんだ」

佐久間「野次馬か、ははは。そのくらいなら別に心配することはないさ」

海未「そんなことありませんよ、犯人は捕まっていませんし万が一穂乃果が襲われたらどうするのですか」

佐久間「あーそうか。捕まってないんだったな。確かにそりゃあぶねーかもしれないな。ま、程々にしておけよ」

穂乃果「はーい」

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