【アベンジャーズ】花陽「あの人が、キャプテン・アメリカ」【ラブライブ !】 (30)


アベンジャーズ(というよりキャプテン・アメリカ)とラブライブ !のクロスSSになります。内容は短めです。

バトルシーンなどはなし。

拙い内容ですが、それでもという方は読んでいただけると幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1554998891

◇◇◇◇



これは、秘密の物語。


あの日ニューヨークであった、凛ちゃんですら知らない、私とあの人との出会い。


こうして少し大人になって、思い出す。


あの人は、今どうしているんだろう―――。







~6年前・ニューヨーク~



花陽「うぅ……どうしよう、皆とはぐれちゃったよぉ……」


花陽「ライブが終わって気が抜けてたのかなぁ……これじゃあ穂乃果ちゃんのこと言えないよぉ……」


花陽(地図見てもチンプンカンプンだし、誰かに聞こうにも英語なんて話せないし……)


花陽(ど、どうしよう……)


NY不良1「おい、見てみろよ! あの子、昨日ライブしてた子じゃねえか?(英語)」


NY不良2「あー、あのイケてるライブした子達だな。スクールアイドルって言ったか……(英語)」


NY不良1「キョロキョロしてんなぁ。もしかして道に迷ったか?(英語)」


NY不良2「μ’sとかいう仲間もいないようだしな。そうかもしれねぇ(英語)」


花陽(な、何だか怖そうな人達がこっち見てるよぅ……)


花陽(し、視線を合わせないようにして、離れよう……!)


NY不良1「おい、待ちな!(英語)」


花陽「ピィ!!」


NY不良2「迷子なんだろ? 仲間んとこまで案内するぜ(英語)」


花陽「ア、アイ、キャントスピークイングリッシュ、ですぅ」ボソボソ


NY不良1「ホワッツ? ボソボソ話してても、なんて言ってるか分からねーぜ(英語)」


NY不良2「あのライブしてたのってあっちだろ? ほら、こっち来な(英語)」グイグイ


花陽(そ、袖引っ張られてるよぅ……どこかに連れてかれちゃう……!)


花陽「ダ、ダレカタスケ―――」


???「―――待て!」


花陽「―――テ?」




???「お前達、その手を離すんだ(英語)」


NY不良1「だ、誰だ、てめぇは(英語)」


NY不良2「おれらはこの子を(彼女の)仲間の所に連れてかなきゃいけねぇんだよ(英語)」


???「彼女が嫌がっているだろう」


???「あと一度しか言わないぞ。その手を、離せ(英語)」


NY不良1「いきなりしゃしゃり出てきて、うるせぇんだよ!(英語)」ブン!


NY不良2「やっちまえ!(英語)」ブン!


花陽「きゃああ!!」


花陽(ふ、二人して殴りかかって……)


花陽(だ、だめ……!)


???「―――警告はしたぞ」




花陽(―――それは、ほんの一瞬の出来事でした)


花陽(私は必死に不良さんの手を引っ張るけど、少しも止まらなくて)


花陽(アメリカの不良さんが二人がかりで、男の人に殴りかかって)


花陽(次の瞬間には、不良さんが後ろの歩道まで吹き飛んでいました)


花陽「へ……」ポカーン


???「大丈夫? 怪我はないか?(英語)」


花陽「あ、えっと……」


???「あー、日本人、かな? これならどうだ(英語)」


???「僕はスティーブ・ロジャース。怪我はないかい、お嬢さん?」


花陽(に、日本語だ……)


花陽「だ、大丈夫です。ありがとうございます」


スティーブ「それは良かった」


スティーブ「ここら辺はどうやら治安が悪いみたいだ。あっちの大通りに行こう」


花陽「は、はい……!」



スティーブ「ハナヨ・コイズミ、か。可愛らしい名前だ」


花陽「あ、ありがとうございます……えと、その、スティーブ、さん……」


スティーブ「そう、硬くならないでくれ、ハナヨ」


花陽「は、はい……!」カチコチ


花陽(男の人と一対一で話すなんて、あまり経験ないから緊張するよぅ……)


スティーブ(ははは……緊張しっぱなしだな)


スティーブ(それにしても案内を買って出たのは良いが……)


スティーブ「っと、こっちは行き止まりだな。すまない、まだ今のニューヨークに慣れてなくて」


花陽「だ、大丈夫です! むしろ大助かりです!」カチコチ


スティーブ「はは……」


スティーブ(七十年後のニューヨーク、か……)


スティーブ(……まるで別世界のようだな)



スティーブ(あの日、あの時……)


スティーブ(鳴り響く警報……吹きすさぶ寒風……徐々に近づいてくる氷原……)


スティーブ(……約束があった。彼女との大切な約束が)


スティーブ(戦争が終わった後、全てが終わった後、共にダンスをしようと……)


スティーブ(だが……約束は果たせなかった)


スティーブ(僕が目を覚ました時、世界は既に変わってしまっていた)


スティーブ(七十年の時が過ぎた世界……僕は何もかもに取り残された古い人間だった)


スティーブ(知識も、力も……『今』の者達には遠く及ばない……)


スティーブ(フューリーから聞かされたアベンジャーズ計画……)


スティーブ(超人と呼ばれる存在は僕だけじゃなくなっていて……僕を遥かに越える、本物の『超人』が何人も存在していた)


スティーブ(鋼鉄の機械を身に纏ったハワードの息子……超人血清を再開発する中で事故的に生まれた緑色の暴れ者……雷のハンマーを操る神話の男……)


スティーブ(……果たして、僕なんかが参加しても良いのだろうか)


スティーブ(七十年前の骨董品のような兵士がいても、足を引っ張るだけじゃないのか……)


スティーブ(僕は……どうすれば、いいのか……)




花陽(うぅ……スティーブさん、黙り込んじゃったよぅ……)


花陽(しかも、すごく深刻そうな顔をしてる……)


花陽(わ、私がオドオドしてばかりだから、きっと気まずいんだ……! ううう、な、何か話さないと……!)


花陽「あ、あの!」


スティーブ「な、なんだい?」


スティーブ(っと、考え込んでしまっていたな。いけない、いけない)


花陽(うう、緊張して大声になっちゃった……スティーブさん、びっくりしてるよぉ……)


花陽「そ、その……スティーブさん、一つ聞いてもいいですか?」


スティーブ「ああ、いいよ」


花陽(って、何話そうか考えてないよぉ……)


花陽(ええと、ええと……)


花陽「あ、あの……」


花陽「さっき今のニューヨークに慣れてないって言ってましたけど、昔ニューヨークに住んでたんですか?」


スティーブ「……そんなこと言ってたかな?」


花陽「は、はい。確か……」




スティーブ「そう、だな。遠い昔に暮らしていたんだ」


スティーブ「本当に……本当に遠い昔に」


花陽(……そう答えた時、スティーブさんの表情は今までと全然違っていた)


花陽(それまではきりっとしていて、常に頼もしい雰囲気が溢れ出ている感じだったけど)


花陽(その時だけは、痛みを堪えるような、痛みを耐えるような、)


花陽(とても……とても、辛そうな表情をしていた……)


花陽「スティーブ……さん?」


スティーブ「っと、すまない。何でもないんだ」


スティーブ「それよりも申し訳ないな。案内役を買って出たのに頼りにならなくて」


スティーブ「だが、安心してくれ。必ず君を仲間たちの元まで送り届けるよ」


花陽「………」





スティーブ「さて、多分こっちであってると思うが……」


花陽「あ、あの……」


スティーブ「ああ、どうやらあの建物だな。あそこが君達の宿泊しているホテルだろう」


スティーブ「大分遠回りになってしまったな。すまない」


花陽「あの!」


スティーブ「? どうした、ハナヨ」


花陽「す、少し、そこのカフェでお茶でもしませんか? 助けていただいたお礼もしたいですし」


スティーブ「いや、礼なんてそんな気を使わなくても良いさ。それに仲間たちも心配してるだろう? 早く会ってあげると―――」


花陽「お茶を! しましょう!」ズズイ!!


スティーブ「あ、ああ、そうだな。そうするか」


花陽(……私は、スティーブさんが困惑するのを押し切って、おしゃれなカフェへと入っていった)


花陽(何でか、彼を放ってはおけなかったのだ)


花陽(とても辛そうな顔をしたスティーブさんを……その辛そうな表情を、直ぐに押し隠したスティーブさんを……)


花陽(……何故だか、放ってはおけなかった)



眠いので一旦終了。
明日夕方頃に再開すると思います。

では、再開します。

~カフェ内にて~



スティーブ(なし崩しにカフェに来てしまったが……うぅむ、現代の若い子は何を考えているか分からないな)


スティーブ(現代の話題も分からないし、さて……)


花陽(うぅ、勢い込んでカフェに入ったのは良いですけど……)


花陽(ど、どう話を切り出したらいいのか……)


TV『昨日、日本のスクールアイドルチャンピオンがニューヨークにてライブを行いました』


アーモシモハー♪

ホシクナイノサ、モットガスキエンジェル♪



スティーブ(ん、あれは?)


花陽(あ……。あれ、昨日のライブだ。ま、まさかテレビで放送されてるなんて)


スティーブ「あれ、ハナヨじゃないか?」


花陽「へ? あ、そ、そうなんです! 私、スクールアイドルをしてまして……」


スティーブ「スクールアイドル?」


花陽「は、はい! 学生が結成したアイドルグループで―――」


スティーブ「へえ、今はそういうものもあるのか」


スティーブ「しかも、その日本チャンプなんだろう? 凄いな」


花陽「い、いえ、凄いのは私じゃなくて皆というか」


スティーブ「謙遜する事はないさ。素人目に見ても分かる。ハナヨだってメンバーの誰にも劣っていない」


スティーブ「それにあのパフォーマンスだ」


スティーブ「相当に努力を積んで来たんだろう。誇って良い。凄いさ」


花陽「あ、ありがとうございます……」


花陽(そんな正面切って褒められると、少し恥ずかしいです……///)






スティーブ「……僕も、昔はあるチームに所属していたんだ」


花陽「そうなんですか?」


スティーブ「ああ、仕事上のね。……だが、そのチームも今や解散してしまった」


スティーブ「仲間も……遠い所へ行ってしまった。再び集まる事はないだろう」


花陽「そう、ですか……。少し寂しいですね」


スティーブ「ああ、本当に……」


花陽(……そういうスティーブさんは、やっぱり遠い目をしていて……)


花陽(……何だか、とても儚げで……)




花陽「あ、あの……」


花陽「スティーブさん、何か悩んだり……してませんか?」


スティーブ「……そう、思うかい?」


花陽「えっと……はい……」


花陽「時々、すごく悲しそうな顔をしてます……」


スティーブ「……そうか」


花陽「あの、私で良ければ話を聞きますよ……?」


スティーブ(……そういう彼女は、とても悲しそうな瞳をしていた)


スティーブ(何故、彼女が悲しんでいるのか……少し考えて、分かった)


スティーブ(僕が悲しんでいる事に、悲しんでいるのだ)


スティーブ(他人の悲しさを、己の事のように思い、受け止めている)


スティーブ(……優しい少女だ。とても、とても)


スティーブ「そう、だな。……これも何かの縁、なんだろう」


スティーブ「少し……話を聞いて貰おうかな」


スティーブ(だから、だろうか? 気付けば、僕も語り出していた)


スティーブ(かつて居た場所から、とても遠い所に来てしまった事)


スティーブ(仲間を失い、そして今はまた別のチームに誘われている事)


スティーブ(……力不足の自分が、果たしてそのチームに入って役に立てるのか悩んでいる事)


スティーブ(言葉を濁して、彼女に伝えた)





花陽「………」


スティーブ(彼女はただ黙って聞いていてくれた)


スティーブ(温かな瞳で、時折涙すら浮かべて)


スティーブ(僕の話を、まるで自分の事のように受け止めて、聞き入れてくれた)


スティーブ「……これが、僕の悩みさ」


スティーブ「笑えるだろう? 大の大人が、こんな事でうじうじと悩んで」


花陽「そんな事、ないです……とっても、とっても辛らそうで……」ウルウル


スティーブ「……君は、優しい子だな」


花陽「……そんな事……ただ話を聞くしかできなくて……」ウルウル


スティーブ「いや、幾らか気分が晴れたよ。此処には僕の話をゆっくり聞いてくれる人もいなかったからね」


スティーブ「それに、君のような子がいる世界だと分かれば、僕も全力で戦えると思う」





スティーブ(……気付けば、決意は固まっていた)


スティーブ(世界との戦いではなく、世界を守る為の戦い)


スティーブ(力の有無は関係ない。……ああ、そうだ)


スティーブ(もやし小僧だった頃の自分だって、そうだったじゃないか)


スティーブ(貧弱な身体であろうと、戦うための力が無かろうと、関係ない)


スティーブ(守るべき何かの為に戦うと―――)


スティーブ(世界が変わろうと、僕の心は変わらない)


花陽「あの……一つだけ、良いですか?」


スティーブ「? 何だい?」





花陽「友達を亡くした事も……生活環境が一変したような事も……私なくて……」


花陽「でも! 一つだけ、今のスティーブさんの気持ちで分かる事があります!」


花陽「私も……そうだったんです」


花陽「スクールアイドルに憧れていて……でも、運動も出来なくて、どんくさくて、取り柄もなくて……」


花陽「穂乃果ちゃん達から誘われた時もずっと悩んでいて……大好きな親友達に背中を押されて、やっと決意ができて……」


花陽「やりたいのなら、やった方が良いって、言ってくれて……」


花陽「だから、私思うんです……」


花陽「力が足りてなくたって……うまく出来なくたって……それでも……」


花陽「チームの脚を引っ張ってしまうと考えちゃっても……」


花陽「スティーブさんがやりたいと思うなら―――絶対に、やった方が良いです」




スティーブ(そう言った一瞬―――それまで俯きがちに話していた彼女が、頭を上げた)


スティーブ(力強い瞳で、迷いのない瞳で、真っ直ぐにこちらを見詰めてくる)


スティーブ(陰りのない、光の灯った瞳)


スティーブ(その瞬間……そのほんの一言の間だけ)


スティーブ(何故だか、ハナヨがペギーと被って見えた)


スティーブ(似ても似つかない二人なのに、その信念の灯った瞳だけが瓜二つの見えたんだ)


スティーブ「……そうか。ああ、そうだな」


スティーブ「分かったよ、ハナヨ」


スティーブ「やってみるさ。自分の出来る限りの事を、そのチームでやってみせるさ」


花陽「スティーブさん……!」




スティーブ「ありがとう、ハナヨ。本当に勇気づけられた」


スティーブ「そうだな。事態が落ち着いたら、チームの皆を君に紹介するよ」


花陽「な、なら、私も皆を紹介します! 私を支えてくれた仲間の皆を!」


スティーブ「それは楽しみだな」


花陽「はい、私も楽しみにしてます!」



携帯『ピーピー!!』


スティーブ「っ、どうやらチームからの呼び出しのようだ」


花陽「そうですか……。あの、頑張って下さい、スティーブさん」


スティーブ「ああ、やってみせるさ」


スティーブ「―――と、最後に一ついいかな」


スティーブ「君のスクールアイドルグループの名前を教えてくれないか」


花陽「あはは、そういえば紹介してませんでしたね」


花陽「μ’s―――です」





スティーブ「μ’s……音楽の女神か。良い名前だ」


スティーブ「ハナヨ、君との出会いは忘れない」


花陽(そう言って、右手を差し出すスティーブさん)


花陽(私もその手を握り返して、にっこりと笑う)


花陽「はい、私も忘れません。スティーブさん」


スティーブ「―――また何時か」


花陽「はい―――また何時か」



花陽(……そうして私とスティーブさんは別れました)


花陽(皆と合流した後はてんやわんやでした)


花陽(凛ちゃんと真姫ちゃんに泣き付かれ、海未ちゃんとにこちゃんには怒られて、ことりちゃんと希ちゃんは励ましてくれて)


花陽(穂乃果ちゃんは優しく見守ってくれて―――)


花陽(そして、帰国の日になって)


花陽(帰国してからも沢山大変な事があって……)


花陽(ニューヨークのライブを経て爆発的に人気が上昇したμ’s)


花陽(人々の期待を受ける中、再びの解散問題が突付けられて……)


花陽(それでも、私達は終わりを選択して……)


花陽(最後に、スクールアイドルの輝きを皆に知って貰いたくて……)


花陽(秋葉原での全スクールアイドル合同でのライブを行う事を決めて……)


花陽(……その準備の最中に、私は知りました―――)




~~~数日後、音ノ木坂にて~~~


穂乃果「知ってる!? ニューヨークが宇宙人に襲われたんだって!?」


海未「何を笑えない冗談を……」


穂乃果「本当だって! ほら、ニュースでもやってるもん!」


TV『数時間前、アメリカ・ニューヨークが突如地球外生命体の襲撃を受けました―――』


ことり「ほ、本当だ」


花陽「そんな……」


真姫「何よ、これ……」


凛「ひどい……」


希「……そ、それでニューヨークは?」


絵里「そうよ。これは少し前の映像なんでしょう? 今は……」


にこ「だ、大丈夫でしょう? アメリカだって凄い軍隊を持ってるんだから……」


海未「で、ですが、こんな怪物を相手には……」


TV『―――これを、トニー・スターク率いるヒーロー軍団【アベンジャーズ】が宇宙人を撃退』


TV『ニューヨークの被害は最小限に抑えられたとの事です』



穂乃果「とにー・すたーく?」


海未「確かアメリカの大会社の社長だったかと思います」


穂乃果「へぇえ。でも、良かったね。宇宙人を倒しちゃったって―――って、すごい! ロボットだよ、ロボット!」


希「最近は、確かアイアンマンとかいう名前でヒーロー活動してるって聞いたけど……これがそうなんかな」


絵里「宇宙人を倒しちゃうなんて、すごいわね」


凛「わ、すごいよ! 緑の巨人さんに雷を出すおじさんにゃ!」


ことり「緑の巨人さん、可愛いね~」


にこ「あ、あれが可愛い……?」


真姫「……これ本当にあった事なの? 何だか現実離れし過ぎて、映画のワンシーンみたいだけど……」


海未「本当ですね……」





花陽(皆がアベンジャーズの活躍に息を呑んでいる中、私はTVが映し出すあるワンシーンにずっと目を奪われていました)


花陽(破壊された街並みに立ち尽くす、一人の男の人)


花陽(青色のスーツはボロボロに汚れていて、その人も傷だらけの身体で、それでも自らを気に掛ける様子は一切なくて)


花陽(ただ沈痛な表情で、破壊された街並みを見詰めている―――)


穂乃果「この人は、えーっとキャプテン・アメリカっていうみたいだね」


海未「第二次世界大戦で秘密裏に活躍したヒーローとの事ですが」


絵里「南極の氷河から発見され、ここ最近目を覚ましたようよ……ファンタジーね」


花陽(被っていたマスクが地面に転がる……)


花陽(その表情が、画面に映し出される)


花陽(忘れる訳がない。あの人が―――)


花陽「―――あの人が、キャプテン・アメリカ―――」







~~~2年後・ワシントンDC~~~



スティーブ「衛生兵を呼ぶか?」


サム「ハハ、肺を交換してくれよ。あんた20キロを30分で走ってたな」


スティーブ「そうか? 遅すぎるな」


サム「ハハ、マジか」


サム「俺はサム・ウィルソン」


スティーブ「スティーブ・ロジャースだ」


サム「だと思った。……大変だろう、何十年もたって目覚めたんじゃ」


スティーブ「そうだな。色々慣れなくて」


サム「昔が懐かしいか?」


スティーブ「まぁ、今も悪くない。食べ物が美味い。ポリオもなくなったし、ネットも便利だ」


サム「……トラブルマンってサントラ。あんたがいない間の事が、あれに詰まってる」


スティーブ「リストに書いとくよ」


スティーブ「……そうだな、僕からも一つお返しだ―――」





スティーブ「―――μ’sのAngelic Angel」






スティーブ「スクールアイドルの素晴らしさが、これに詰まっている」






~~~現在~~~



花陽(……そしてスティーブさんとの出会いから、数年の時が流れました)


花陽(μ’sも解散して、私達のスクールアイドル活動も終わりを迎えて……)


花陽(アベンジャーズも、沢山の大変な事があったみたいで……)


花陽(ソコヴィアであったウルトロン事件……そして、ソコヴィア協定を引き金としたアベンジャーズの分裂……)


花陽(……結局、スティーブさんが落ち着く事はなく、あの時の約束は果たせずにいます)


花陽(こうして少し大人になって、思い出す)


花陽(あの人は、今どうしているんだろう)


花陽(……でも、あの人ならと、私は思います)


花陽(例えどんな逆境にあっても、信じた道を突き進んでくれるのだと、私は信じられます)


花陽(そう―――世界が、こんな風になっても)





絵里「……まさか、こんな形で集まる事になるなんてね」


にこ「こんな事がなければ有り得なかったわよ」


穂乃果「こうしてみると、皆老けたねえ」アハハ


にこ「はぁ!? 現役の伝説アイドルにこにーに、面と向かってそんな事いう!?」


絵里「最近はバラエティとかで、体張って企画ばかりしてたじゃない」


にこ「お仕事はお仕事よ! あれも若い頃の下積みがあったから、映えて見えるのよ!」


花陽「20台半ばでこの衣裳を着るとは思いませんでした……」


絵里「普段から気にしてる私やにこはまだしも、穂乃果と花陽は体型戻すの大変だったものね……」


花陽「本当です! お米抜きの生活なんて……!」


穂乃果「でも、これで―――μ’s再結集、だね」


穂乃果「ここにいない皆の分まで……頑張ろう」


絵里「……ええ」


にこ「……そうね」


花陽「……頑張りましょう」


穂乃果「行くよ――――」








花陽(―――突然起こった、謎の現象……)


花陽(周りの人達がいきなり塵となって消えてしまって……世界中で同じ現象が起こっていて……)


花陽(世界の半分の人口が消滅してしまったと、ニュースで言っていました……)


花陽(μ’sの皆も、半分が消えてしまって……)


花陽(凛ちゃん、真姫ちゃん、ことりちゃん、海未ちゃん、希ちゃん……)


花陽(もう、どうしようもないという絶望の中で、連絡がありました)


花陽(それは、穂乃果ちゃんからでした)


花陽(久し振りに皆で集まって、ライブをしないかという内容で)


花陽(私は心の底からびっくりしてしまいました)




花陽(こんな状況だからこそ何かをしなくちゃと、穂乃果ちゃんは言いました)


花陽(自分も海未ちゃんやことりちゃんを失っていて……最初はあんなに泣いて、ずっとずっと泣いていて、普通の生活すら出来ないくらいに落ち込んでいたのに……)


花陽(それでも、穂乃果ちゃんは立ち上がって―――あの時のように道を示してくれた)


花陽(もうμ’sを知る人が少なくても、もう世界の皆が絶望していたとしても)


花陽(もうスクールアイドルなんていう年齢じゃなくても、μ’sが半分しか残っていなくても)


花陽(私達に出来る事を―――やりたいと思う事を、やる)


花陽(それが少しでも、人々の心を支える事に繋がるのなら―――やるんだ)


花陽(……スティーブさんだって、きっとそうだ)


花陽(七十年後の世界で目覚めて、それでも世界の為に戦う事を選択したあの人)


花陽(彼だって、生きていれば絶対に現状に抗っている筈だ)


花陽(だから、私達も―――)











穂乃果「1!」




花陽「2!」




にこ「3!」




絵里「4!」






花陽(続く言葉はない―――それでも)








全員「「「「―――μ’s、ミュージック、スタート!!!!」」」」








花陽(―――私達は、諦めない)









スティーブ(……それは、サノスとの敗北から数週間の日にちが経った頃だった)


スティーブ(失ったヒーローも判明し、今だ自分達も立ち直れぬ中で耳に届いたニュースだった)


スティーブ(途切れ途切れのTVから聞こえてくる声……それは―――)




TV『三十五億の人々が突如消え去った悪夢から数週間―――残された人々はそれぞれの生活をしています』


TV『身を寄り添い、生活する者。神に祈りを続ける者。自らの命を絶つ者……』


TV『そんな中、前を向く者達がいました―――』


TV『―――μ’s』


TV『かつてのスクールアイドル・チャンプにして、スクールアイドル人気の火付け役であった彼女達が再結集し、ライブを行ったそうです―――』


TV『彼女達もまた半分のメンバーを失い、ボロボロの機材と衣裳で―――それでも彼女達の活動はネット上にて話題となっています』


TV『彼女達のライブに、希望を貰えたという人々が沢山現れています』




スティーブ(……それは、彼女達の歌だった)


スティーブ(大人になった彼女が、不明瞭な画面の中で歌っている)


スティーブ(こんな世界だというのに―――笑顔で)


スティーブ(あの時、別れ際に見せた時と同じような、誰かを励ますような笑顔で)


スティーブ(彼女は、彼女達は、唄い、踊っている)


スティーブ(ああ、そうだ……)


スティーブ(諦める訳にはいかない。全てを事実を受け入れる訳にはいかない)


スティーブ(彼女達が諦めなかったように―――)





スティーブ「―――アベンジャーズは、諦めない」










そして、戦いが始まる。


失われた仲間達を取り戻すために、失われた人々をを取り戻すために。


最強のヒーローチームが、最後の希望を胸に―――、







―――――最強の逆襲(アベンジ)へ―――――








以上で終了です。
アベンジャーズ/エンドゲームが待ちきれず書いてしまいました。
若干キャラ死にネタも入ってしまい、申し訳ありません。


少ししたらHTML依頼出してきます

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