みほ「どうしよう……お姉ちゃんが浮気してるかも知れない」
麻子「……浮気って西住さんのお姉さんがか?」
華「そもそも浮気以前にまほさんは付き合っている殿方がいらっしゃるのですか」
沙織「えぇ!? みぽりんのお姉さんって付き合ってる人いるの!? 誰?」
みほ「え……私だけど」
あんこうチーム「……ん?」
優花里「えっとすみません。今西住殿と姉上殿が付き合っていると聞こえたような気がしたんですが」
麻子「奇遇だな秋山さん。私にもそう聞こえた」
みほ「うん。だってそう言ったから」
みほ「えっと……どうしたのみんな。不思議な顔して」
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沙織「い、いつの間に付き合ってたの!? ていうかみぽりんってお姉さんのこと好きだったっけ」
華「私はてっきりお姉さんの方がみほさんのことを好きだったように思っていたのですが」
みほ「うん……華さんの言う通り、最初はお姉ちゃんから告白されたの」
みほ「それまでは姉妹以上の感情はなかったんだけど」
みほ「お姉ちゃんの告白を聞いて……私も実はお姉ちゃんのことが好きだって気づいて」
みほ「そのまま了承しちゃった」
沙織「そ、そんなことがあったなんて」
沙織「だったら教えてくれたら良いじゃん」
沙織「私オススメのデートスポットとか色々知ってるよ!」
みほ「あはは……」
みほ「一週間前にお姉ちゃんが来たときがあったでしょ」
みほ「あの時に付き合うことになったんだけど」
みほ「姉妹同士の恋愛だからあんまり話さない方がいいってお姉ちゃんが……」
沙織「確かにそうだよね」
沙織「女性同士でも珍しいのに姉妹だと更にアブノーマルになっちゃうもんね」
華「でも昨今では同性同士の恋愛も当たり前のものになってきてますよ」
沙織「……えっと何でこっちの方を見て言うのかな?」
華「同性同士の恋愛も当たり前になってきていますよ」
沙織「なんで二度も言ったの!?」
麻子「それでそんなお姉さんが浮気していると」
みほ「うん」
優花里「あのどうしてそう思うのでしょうか」
優花里「私もそこまで詳しいわけではありませんが」
優花里「見たところ姉上殿はとても真面目な方ですし浮気するようには見えないのですが」
麻子「そもそも付き合って一週間なんだろ?」
麻子「さすがに一週間で次の彼女なり彼氏なりを作るとは思えないが」
みほ「だとしたら……私は二番目になるのかな」シュン
麻子「いや浮気していないと言いたかったんだ」
麻子「そもそも西住さんはどうしてお姉さんが浮気していると?」
みほ「えっとね……メールの話なんだけど……」
華「メールに知らない人物の名前が書かれていたとかでしょうか」
麻子「浮気相手に送るはずのメールを彼女に送ってしまったというやつか」
みほ「ううん……そうじゃなくて」
みほ「メールをしても十分以内に返ってこないことがあるの」
あんこうチーム「……?」
華「まほさんは黒森峰の隊長ですし忙しいときもあるでしょう」
華「十分以内に返ってこないこともあるのでは?」
みほ「ううん。やっぱりおかしいよ」
みほ「私ね……ちゃんと調べてきたの」
麻子「何だかとてつもなく嫌な予感がするが何を調べたんだ?」
みほ「お姉ちゃんの一日の行動」
みほ「私もね……彼女としてお姉ちゃんの予定を知っておかなきゃって思って調べたんだけど」
みほ「お姉ちゃん……戦車道が終わった時間になってもメールが返ってこない時があって」
みほ「それに私は一杯文章を書いているのにお姉ちゃんの反応はそっけないし……」
みほ「やっぱりこれって浮気だよね……」シュン
沙織「ほらみぽりんのお姉さんは普段から何と言うかクールでしょ?」
沙織「だからこういったメールとか苦手なのかも知れないよ」
みほ「そ、そうなのかな……」
華「何とか沙織さんが説得してくれてはいますが」
麻子「ああ……西住さんの反応を見る限り言葉だけでは納得しないだろうな」
華「しかしあのみほさんがここまでお姉さん想いだとは思いませんでした」
麻子「いつもはお姉さんの方が積極的なイメージがあったからな」
麻子「だからこそお姉さんの浮気はないと思うんだが……」
みほ「沙織さん……ごめんなさい。沙織さんの言っていることも分かるけど」
みほ「やっぱり私納得できない……」
みほ「それにね……お姉ちゃんが浮気してる根拠は他にもあって」
優花里「まだあるんですか?」
みほ「うん……電話のことなんだけどね」
みほ「私毎日10時頃にお姉ちゃんと電話するようにしてるんだけど」
みほ「お姉ちゃんってばいっつもエリカさんや赤星さんのことばっかり話すんだよ」
華「……えっとそれは普通の事なのでは?」
麻子「お姉さんにとってエリカさんは副隊長なんだし戦車道で関わることは多い」
麻子「赤星さんだってエリカさんやお姉さんのお友達なんだし必然的に会話として出てくる回数が多くなるだろう」
麻子「今の会話に不自然なところは見当たらないように思えるが」
みほ「でもお姉ちゃん二人の話をしているときとっても嬉しそう……」
みほ「きっとお姉ちゃん……私より二人のことが好きなんだ」シュン
沙織「そ、そんなことないって! まほさんだってみぽりんのこと同じぐらい愛してると思うよ!」
麻子「沙織の言う通りだ。それに西住さんのお姉さんはよく西住さんのことを気にかけていたじゃないか」
みほ「それはそうだけど……」
麻子「そんなお姉さんが浮気なんてしないだろう」
みほ「みんな……ありがとうね。励ましてくれて」
みほ「でもね……やっぱり私……みんなみたいに落ち着いてなんていられない」
みほ「今こうして話してる間にもお姉ちゃんが他の女の人とデートしてるんじゃないかって思うと……私」ギュー
優花里「ボコのぬいぐるみから綿が……」アワアワ
麻子「フグの奴みたいだな」
みほ「だからね……みんなにお願いがあるの」
沙織「うん! みぽりんの為なら何だってするよ」
麻子「いや……この流れからして確実に録な願い事じゃないぞ」
沙織「もう麻子ってば! 友達が悩んでるんだよ!」
沙織「ここは力になってあげようよ!」
麻子「分かった。とりあえず話だけは聞こう……」
みほ「うん……えっとね」
みほ「私と一緒に一日中お姉ちゃんを監視して欲しいの」
あんこうチーム「…………」
麻子「だそうだ。後は頼んだぞ沙織」
沙織「待って麻子……この状況で私を一人にしないで」
優花里「これはかなり言いにくいことなのですが」
優花里「今の西住殿って完全にストー……」
麻子「それ以上は言わないでくれ……認めたくない」
華「せめてヤンデレと言ってあげましょう」
みほ「やんでれ?」
麻子「沙織みたいな重い女のことだ」
沙織「全然重くないからね! だから安心して結婚できるよ!」
華「沙織さん……大丈夫です」
華「例え男性にモテなくても私が付いてますから」ギュー
沙織「華……むしろ身の危険を感じるんだけど」
麻子「ともかく私は反対だ。第一お姉さんを愛してるなら信じてやるべきだと思うが」
みほ「ねぇ……麻子さん」
みほ「麻子さんは否定的な言葉ばっかりだね」
みほ「もしかして麻子さんがお姉ちゃんの浮気相手なんじゃ……」ハイライトoff
みほ「だからお姉ちゃんの監視は反対なんだ……」
みほ「監視していると自分が浮気相手だってバレちゃうから」
麻子「……やっぱり私も協力しよう」ガクガク
麻子「西住さんもお姉さんの潔白を証明した方が安心できそうだしな」
みほ「麻子さん……ありがとう!」パァァ-
優花里(これは……)
華(逆らわない方が良さそうですね)
みほ「みんなも協力してくれるよね?」ギロッ
優花里「も、もちろんですよ西住殿!」
華「一緒にお姉さんの潔白を証明しましょう」
みほ「みんな……ありがとう」ニッコリ
みほ「それじゃ今からジロジロ作戦を開始します!」
みほ「目的はお姉ちゃんの監視と潔白の証明! それでは皆さん黒森峰にパンツァーフォー!」
黒森峰
優花里「と、いうわけで黒森峰にやって来ました!」
麻子「よく潜入できたな」
優花里「どうしてかは分かりませんが今回はセキュリティがわりと甘かったので」
優花里「易々と侵入できました」
麻子「さすがは秋山さんだ。それはそうとこの作戦……一体いつまでやるつもりなんだ」
麻子「勿論私たちは西住さんに協力する。だがずっと監視するわけにも行かないだろう」
みほ「そこは安心して……一応今日と明日の二日間って決めてるから」
麻子「何故その二日なんだ?」
みほ「私がデートに誘った時、この二日間だけは用事があるって断られたから」
みほ「浮気するならこの二日しかないと思って」
沙織「デートかぁ……いいなぁー私もしてみたいなぁ」
華「そうですね! 私もしてみたいです」
沙織「うん。お互い相手を見つけられるといいね」
華「え?」
沙織「ん?」
優花里「それで姉上殿は一体どこに」
みほ「多分この寮にいるはずなんだけど……」
麻子「……そうか。それならお姉さんが寮を出たら起こしてくれ」ネムネム
ガチャ
まほ「…………」
みほ「あ、お姉ちゃんだ。みんな急いで物陰にに」ズチャ
麻子「まだ朝だ……休日なら寝てる時間じゃないか……」
沙織「まほさんは違うってことなのかな。戦車道の訓練に出かけるのかも知れないよ」
麻子「いや……その可能性は低そうだが」
沙織「麻子……どうして?」
麻子「お姉さんの服装を見れば分かる」
麻子「戦車道の訓練や日課のジョギングならスカートは邪魔にしかならないだろう」
麻子「手に持っているバックからして大方買い物に行ったと考えるのが自然だ」
みほ「……ということはデートも考えられるってことだよね」
麻子「可能性としては……だが」
優花里「その疑問も追跡すれば分かることです」
優花里「皆さん追いかけましょう」
公園
優花里「ここは公園ですね。ベンチに座って誰かを待っているようですが」
華「えっと……これは」
麻子「いやいくらなんでもあのお姉さんに限ってそんなことは」
麻子(でもベンチで誰かを待っている姿は完全に……)
みほ「…………」
優花里「おや? 誰か来たみたいですよ」
沙織「あれってみぽりんの言ってた」
みほ「うん……エリカさんだ。やっぱりエリカさんと浮気……」
沙織「きっと友達同士で遊びに行くんだね」
みほ「……え」
麻子(ナイスアシストだ。沙織)
麻子「今日は休日なんだ。友達と遊びに行くことだってある」
みほ「そう……だね」
麻子(西住さん……納得はしていないみたいだな)
麻子(正直……これはデートに見えなくもないが)
麻子(それこそ沙織の言った通り友達で買い物をしに来た可能性だってある)
麻子(むしろそっちの方が高いぐらいだ)
麻子(ここは西住さんを落ち着かせながら後を付けた方がいいだろう)
エリカ「…………」
まほ「……」
華「二人とも親密そうに何か話していますね」
みほ「この距離からだと話の内容までは分からないかな……」
麻子「大方遅れてすみませんからの気にしていない……みたいな会話なんじゃないか」
優花里「姉上殿が席を立ちました。どこかへ移動するみたいですよ!」
ショッピングモール
沙織「ショッピングモールに着いたみたいだけど……」
麻子「……眠い」
優花里「ある意味デートスポットとしても定番ではありますが……」
華「まだ微妙なラインですね」
みほ「……うん」シュン
麻子「落ち込む必要なんてない。きっと友達と買い物に来ているだけだ」
エリカ「……」
まほ「……」
みほ「会話の内容はわからないけど服を選んであげてるみたい」
優花里「どうやら姉上殿の服をエリカさんが選んでいるようですね」
沙織「えーもうそれって普通のデートじゃん」
みほ「……そんな」
麻子「まだ決めるのは早い。沙織だって私の服を買ってきてくれるしな」
沙織「それは麻子がだらしないからだよ!」
麻子「まあ私と沙織みたいに友達同士で服を買うことだって十分あり得る」
みほ「そうだね……」
沙織「みぽりん元気だして! まだ浮気だって決まったわけじゃないよ!」
華「そうですよ。まだ二人きりで服を買いに来ただけです」
エリカさん→逸見殿に変更
ショッピングモール?
沙織「ショッピングモールに着いたみたいだけど……」?
麻子「……眠い」?
優花里「ある意味デートスポットとしても定番ではありますが……」?
華「まだ微妙なラインですね」?
みほ「……うん」シュン?
麻子「落ち込む必要なんてない。きっと友達と買い物に来ているだけだ」?
エリカ「……」?
まほ「……」?
みほ「会話の内容はわからないけど服を選んであげてるみたい」?
優花里「どうやら姉上殿の服を逸見殿が選んでいるようですね」?
沙織「えーもうそれって普通のデートじゃん」?
みほ「……そんな」?
麻子「まだ決めるのは早い。沙織だって私の服を買ってきてくれるしな」?
沙織「それは麻子がだらしないからだよ!」?
麻子「まあ私と沙織みたいに友達同士で服を買うことだって十分あり得る」?
みほ「そうだね……」?
沙織「みぽりん元気だして! まだ浮気だって決まったわけじゃないよ!」?
華「そうですよ。まだ二人きりで服を買いに来ただけです」?
まほ「…………」
エリカ「…………」
優花里「どうやらお気に入りの服が見つかったようですね。二人がレジに行きましたよ」
みほ「買ったのはお姉ちゃんの服だけ……やっぱりエリカさんが服を選んであげてたんだ」
みほ「私はこんなにもお姉ちゃんを愛してるのにお姉ちゃんはエリカさんと……」メラメラ
優花里「に、西住殿に漆黒のオーラが出てます!」
沙織「み、みぽりん……大丈夫! これも友達としての付き合いだから……ね?」
華「そうですよ。まだ恋人らしいことしていませんし」
麻子「どうでもいいが……二人が店から出ていくぞ追わなくていいのか」
みほ「……そうだね。とりあえず今日一日後を付けて見極めよう」
沙織「次はランチを食べに行くみたいだね」
華「色んなレストランを見ているみたいですけど」
みほ「みんな高そうなレストランばっかり」
優花里「これはお友達同士で行くにはちょっと高級過ぎるのではないでしょうか」
麻子「そ、そうだな……」
麻子(最初は西住さんの思い込みだと思っていたが)
麻子(いよいよ持ってこれは浮気の可能性が出てきたぞ)
まほ「…………」
エリカ「…………」
麻子「どうやらレストランに入るみたいだが……どうする」
みほ「正直お金のことを考えるとちょっと厳しいかも」
華「みんな高そうなお店ばかりですもんね」
みほ「私は一応お小遣いで何とか払えるけど……みんなは」
麻子「安心してくれ……これぐらいどうってことない」
麻子(本当ならここら辺でお姉さんの追跡を終えても良かったかもしれないが)
麻子(あの感じだと西住さんの懸念通り浮気という可能性も否定できない)
麻子(そんな状況で監視を辞めるわけにもいかないだろう)
優花里「まあ高級といっても学生でも払える金額ですし」
沙織「だからみぽりんも私たちのこと心配しなくて大丈夫だよ」
沙織「一緒にまほさんの無実を証明しよ!」
麻子(もっともこのままだと潔白どころか浮気を証明することになりそうな気がするが……)
みほ「みんな……ありがとう。それじゃバレないように気を付けながらレストランに潜入するね」
麻子「お姉さんとエリカさんは端にある二人席にいるみたいだな」
華「テーブルに置かれているのはハンバーグとスパゲッティーのようですね」
みほ「カレーじゃないんだ」
優花里「姉上殿は確かカレーが好物でしたね」
麻子「いくら好物でも毎日カレーばかり食べてるわけじゃないだろう」
麻子「それより私たちも何か料理を頼もう」
華「そうですね。私たちもお腹すきましたし」ワクワク
華「さすがは高級なだけありますね。料理がとても美味しいです」モグモグ
麻子「今のところお姉さんは普通に話しているだけだな」
沙織「ここでキスなんてしたら浮気確定なんだろうけど」
みほ「そんな……お姉ちゃんがキスなんてしたら私」シュン
沙織「み、みぽりん。あくまで例えだからね!」
みほ「う、うん」
麻子「ん……お、おい西住さん! お姉さんの手がエリカさんの頬を」
みほ「撫でてる? これって」
麻子「あくまで撫でているだけだ。こ、これぐらい友達同士でも……」アワアワ
華「さすがに友達同士でもしないと思いますけど」
みほ「やっぱりお姉ちゃんはエリカさんと浮気してたんだ」
みほ「私はこんなにもお姉ちゃんのことを愛してるのに」
みほ「お姉ちゃんにとって私は只の遊びだったんだね」キュウキュウ
優花里「おお……ボコが西住殿の握力で……」
undefined
麻子「とはいえあくまでも頬に触れるだけキスとかはしないんだな」
麻子「今のところ黒に近いグレーゾーンだ。ハッキリとした浮気の証拠はないが」
華「正直この現場だけでも十分な証拠になりそうですが」
麻子「そうとも限らない。今のところ確かなのはお姉さんが友達とレストランを食べた」
麻子「それだけだ」
みほ「そうだね……だから私たちはお姉ちゃんが言い逃れ出来ないような証拠を見つける必要があるのかも」
みほ「とりあえず二日間までは何があっても尾行を続けようかな」
みほ「そのあとお姉ちゃんに私が遊びだったのかどうか確かめてみるね」
麻子「こんなことは言いたくないがもしお姉さんが西住さんのことを遊びだと言ったらどうするつもりなんだ」
みほ「その時はショックだけど身を引くかな」
みほ「これ以上お姉ちゃんに迷惑かけられないし」
みほ「でももし私が本命だったら」
みほ「エリカさんには別れるように言ってもらってちゃんと二人で付き合っていくつもりだよ」
みほ「例え浮気されてたとしても大切なお姉ちゃんなのは変わりないから」
沙織「こんな良い子に好かれているのに浮気なんてまほさん本当に信じらんない!」プンスカ
みほ「あはは……」
華「あの……一つ良いでしょうか」コソコソ
麻子「どうしたんだ?」
華「こんなことを言いたくはないのですが」
華「実は付き合っているのはみほさんの妄想とかだったりしませんよね」
麻子「やめてくれ……想像しただけでも怖くなる」
麻子「それにその可能性は低いと思」
麻子「いつもは西住さんよりそのお姉さんの方が気にかけていたからな」
麻子「今までは西住さんもお姉さんのことを姉妹以上の関係には考えていなかったようだし」
麻子「となると一週間前にお姉さんの方が告白をしてそれで西住さんも意識をし始めたという事は事実だと思うが」
華「そうですね。普段からみほさんがまほさんのことを好きならともかく」
華「むしろ今まではまほさんの方がみほさんの事を好きだったように思えますし」
華「やはりまほさんが告白して意識し出したと考えるのが自然なのかも知れませんね」
麻子「そういうことだ」
沙織「あ、エリカさんとまほさんがお店から出ていくみたい」
みほ「そうだね……私たちも食べ終えたら後を付けていこう」
夜
沙織「結局その後も追跡は続けてみたけど」
優花里「めぼしい戦果は得られませんでしたね」
麻子「むしろ戦果があった方が問題だけどな」
華「そうですね。今日一日後を付けてみて怪しかったところは頬に手を当てていたところだけ」
華「それ以外は普通の友人として買い物に来ただけに見えますね」
みほ「でもお友達同士であんなお洒落なレストランに行くのかな」
みほ「それに服も選んで貰ってたみたいだし」
麻子「まあ服の方は私と沙織みたく仲間同士ならあり得ない話じゃない」
麻子「レストランも確かに値ははるが一緒に買い物に来たんだ」
麻子「普通に考えてお腹が空けば一緒に食べるだろう」
みほ「うん……」
まほ「…………」
エリカ「…………」
優花里「二人がショッピングモールから出るようですよ」
みほ「でもこっちは……お姉ちゃんの寮とは別の方向」
麻子「どうやら二人は立ち止まったみたいだが……これは」
みほ「イルミネーション」
沙織「二人でイルミネーションを見に行くって……これ完全に」
みほ「デートだよね?」
沙織「ち、ちがうよ……ほら友達同士でだってイルミネーションを見に行くことぐらい」
麻子「だが買い物をし食事をし最後にこのイルミネーションだ」
麻子「浮気と言われても仕方ない気がするが」
みほ「どうしてだろう」
みほ「イルミネーション……綺麗なはずなのに」
みほ「視界が滲んで見えないや」ポロポロ
沙織「みぽりん……」
沙織「どうする? 今まほさんとお話しする?」
みほ「辞めとこうかな。今、会っちゃうと私……泣いてしまいそうだから」
みほ「その……明日も同行してもらっていいかな?」
みほ「もしかしたら……浮気は私の勘違いかも知れないし」
麻子「そうだな。まだその……手を繋いだりキスとかはしていなかったんだ」
麻子「だから落ち込む必要はない」
麻子「明日見極めよう」
みほ「…………うん」
まほルーム
まほ「…………」スヤァ
みほ「お姉ちゃん……」ミオロシナガラ
みほ「今日はエリカさんと楽しそうだったね」
みほ「でもあれはお友達として付き合ってるだけだよね?」
みほ「私……信じてるから」
まほ「んんっ……あれ?」ゴシゴシ
まほ「今……誰かが枕元にいたような……」
二日目朝
麻子「すぴー」スヤァ
みほ「皆さんおはようございます」
優花里「おはようございます西住殿」
沙織「それで今日も?」
みほ「うん……お姉ちゃんが浮気してないって信じたいから」
優花里「そうですね! 姉上殿の潔白を示すためにも本日も頑張りましょう」
ガチャ
まほ「…………」
優花里「今回は少し遅かったですが服装は前と似たようなものでジョギングや戦車道には不向きなファッションですね」
沙織「ほーら麻子! みぽりんのお姉さんが来たんだから起きなって」ユサユサ
麻子「うぅ……昨日も早起きだったんだぞ」ネムネム
みほ「麻子さんに質問なんだけど今のお姉ちゃんの格好どう思う?」
麻子「……んん。昨日とは違う服装みたいだな」
麻子「だがどちらにしてもスカートを履いているし運動に向いている格好とは思えない」
麻子「昨日同様……買い物にでも出掛ける……ん? 待てよ」
優花里「あの……お二人ともどうしたんですか」
優花里「なにやら不思議そうな様子ですが姉上殿がどうされましたか」
麻子「服が……違う」
沙織「そりゃ昨日の服とは違うでしょ」
麻子「そうじゃない。エリカさんが買った服じゃないんだ」
みほ「麻子さんは気づいたみたい」
みほ「私もそれが不思議で……」
華「えっと……つまりどういうことでしょうか」
麻子「折角昨日エリカさんが服を買ってきてくれたんだ」
麻子「恋人同士ならその服を着るんじゃないか?」
優花里「ということは二人は付き合っていないということでしょうか」
麻子「それは後を付ければわかることだ」
小梅「」
まほ「」
みほ「えぇ……」
沙織「二股だと思ったら三股だったなんて!」
沙織「まほさん節操無さすぎだよー!」プンスカ
華「まだ浮気と決まったわけでは……」
みほ「でもこれでエリカさんの服を着なかったのは納得かな」
麻子「赤星さんに浮気をバレるのを防ぐためだな」
沙織「まほさんって分かってはいたけどモテるんだね」
みほ「黒森峰にいたころは良くラブレターが来てたよ」
沙織「ラブレターなんてやだもー!」
みほ「全員女の子だったみたいだけど」
沙織「えぇ……」
華「それで誰が本命なのでしょうか?」
麻子「そんなの西住さんに決まってる」
みほ「そ、そうだよ……私お姉ちゃんのこと信じてるから」
麻子「まあエリカさんはともかく赤星さんはまだ付き合っていると決まった訳じゃない」
優花里「逸見殿も付き合っていると決まったわけではないですけどね」
みほ「とにかく尾行を続けましょう!」
宝石店
麻子「これは……」
華「強盗でもするのでしょうか」
優花里「さすがにそれはないと思いますが」
みほ「宝石って……指輪を買うところだよね」
麻子「いや……まさか結婚指輪」
沙織「えーっ!? てことは本命は赤星さんだったってこと!」
優花里「あっ! 二人が中に入って行きますよ!」
みほ「うん……私たちも中に入ろう」
麻子「中はそんなに広くない。あまりバレないようにしないとな」コッソリ
まほ「……」
小梅「……」
麻子「ここは指輪のスペースだな」
沙織「じゃ……じゃあ本当に」
麻子「お姉さんは赤星さんと結婚するつもりなのかも知れない」
沙織「それじゃみぽりんはどうなっちゃうの!?」
麻子「お姉さんにとって西住さんは只の遊びだったんだろうな」
みほ「お姉ちゃん……酷いよ」
みほ「私……本気でお姉ちゃんのことだけ愛してたのに」
優花里「西住殿……」
みほ「あ……お姉ちゃん購入する指輪決まったんだ」
みほ「赤星さんと楽しそうに笑いながら帰っていく」
麻子「西住さん……二人は帰っていくようだがどうする?」
みほ「私……お姉ちゃんと話してくる」
みほ「やっぱり三人と付き合うなんて間違ってるよ」
沙織「そうだね! もしかしたらエリカさんや赤星さんだって騙されてるかも知れないし」
麻子「何にせよこのまま不安を抱えるよりは良いかも知れないな」
みほ「うん」タタタッ
まほ「小梅……今日はすまないな。用事に付き合わせてしまって」
小梅「そんな……むしろ隊長が私を頼りにしてくれて嬉しかったです」
小梅「でも本当に良かったんですか隊長の婚約指輪……私なんかが決めてしまっても」
まほ「私はこういったセンスに疎くてな。指輪も何を買っていいのか分からなかった」
小梅「そ、そうなんですね。だったら私隊長の役に立てーー」
みほ「まったー!」
小梅「みほさん!?」
まほ「みほ……? どうしてここに」
みほ「お姉ちゃんってば酷いよ!」
まほ「ど、どうしたんだみほ……とりあえず落ち着いて」
みほ「私……お姉ちゃんのこと好きだったのに」
みほ「お姉ちゃんが告白してきたのに」
みほ「なのに他の人と付き合ってたなんて酷いよ」
まほ「みほ……何の話をしているんだ」
小梅「みほさん……とにかく落ち着いてください」
小梅「隊長がみほさんのことを一番に愛しているってことはみほさん自身も知ってるはずです」
みほ「赤星さんはいいの? 浮気されてるんだよ?」
小梅「……え?」
みほ「赤星さんとお姉ちゃんは付き合ってるんだよね」
小梅・まほ「「……え?」」
みほ「ええっ!? 二人とも付き合ってないの!?」
小梅「そうですよ!」
まほ「一体何故そんな勘違いをしていたんだ」
みほ「だってお姉ちゃん私を置いてエリカさんや赤星さんと……」
みほ「そうだ! エリカさんは?」
みほ「昨日見たよ。エリカさんとデートをしていたの」
みほ「二人で服とか買って……たよね」
まほ「……そうだな」
みほ「それに高いレストランやイルミネーションだって」
まほ「あれは……分かった。正直に話そう」
まほ「昨日のデートは練習なんだ……」
みほ「練習?」
まほ「来週の土曜……みほとデートの約束をしていただろう?」
まほ「私にとっては初めてのデードだ」
まほ「失敗したくはない」
まほ「そこでエリカにデートの練習をしてもらっていたというわけだ」
みほ「じゃあ服を買ったりレストランに行ったのも?」
まほ「ああ……服はみほと初デート用の服を選んで貰っていたんだ」
まほ「私はその……お洒落とかに疎いからな」
まほ「レストランだってその一つだ。みほには美味しいものを食べてもらいたい」
みほ「お姉ちゃん……」
みほ「でもエリカさんの頬を撫でてたよね?」
みほ「あれはどうして?」
まほ「頬? ああ……あれはエリカの口にケチャップが付いていたから」
みほ「じゃあ……この指輪はなんなの? 赤星さんに渡すものじゃないの……」
まほ「本来ならイルミネーションの中で渡したかったんだがな」
まほ「みほ……これは私からのプレゼントだ」
みほ「え……それって」
まほ「この指輪は初めからお前のものだよ」
みほ「あ……ああ。そんな……」
みほ「お姉ちゃん……ごめんなさい」
みほ「私……私……信じなきゃいけないはずなのに……こんなことしちゃって」ポロポロ
まほ「良いんだ。きっとそれには私にも非がある」ナデナデ
まほ「お前をこれ以上ないくらい愛しているつもりだったんだが」
まほ「それを伝えることを怠っていたのかも知れないな」
まほ「だからここでしっかりと伝えることにする」
まほ「みほ……好きだ。結婚しよう」
みほ「お姉ちゃん……本当に私でいいの?」
まほ「お前以外考えられないよ」ギュッ
みほ「あ……お姉ちゃん」キュンキュン
みほ(お姉ちゃんは昔からそうだった)
みほ(黒森峰にいた頃も学校が廃校になりそうになったときもそして今も)
みほ(お姉ちゃんは私を助けてくれた)
みほ(やっぱり私……お姉ちゃんのこと)
みほ(だったらお姉ちゃんがしたように私もちゃんとこの気持ちを伝えなくちゃ)
みほ「私も……好き」
みほ「お姉ちゃんのこと大好き!」
まほ「みほ」ギュー
数年後
結婚式
エリカ&小梅「「結婚おめでとうございます!」」
まほ「……これもお前たちが協力してくれたおかげだよ」
エリカ「いえ隊長がちゃんとみほに気持ちを伝えたからですよ」
小梅「宝石店で会ったときはどうなるかと思いましたけど」
小梅「でもこうして二人が結婚できて良かった……」
みほ「赤星さん……エリカさん……二人とも結婚式に来てくれてありがとうございます」
エリカ「別にアンタの為に来たわけじゃないわ」
エリカ「あくまでも隊長の結婚式だから来てあげたのよ」
みほ「あはは……」
エリカ「まあ……でも。折角、隊長と結婚したんだからちゃんと幸せになりなさいよ?」
エリカ「アンタが落ち込むと隊長だって心配するんだから」
小梅「もうエリカさんは素直じゃないなぁ」
小梅「正直にみほさんに幸せになって欲しいって言えばいいのに」
エリカ「ふんっ」フンス
みほ「二人ともありがとうございます!」
沙織「見て! みぽりんが……みぽりんがウエディングドレスを着てるよ!」ポロポロ
麻子「そんなの見れば分かる」
華「なんで沙織さんが一番感動しているのでしょうか」
沙織「うぅ……だって一時期は本当にみぽりんが浮気されてるんじゃないかって心配だったから」
沙織「それが今ではこんな幸せそうな姿に」
沙織「どうしよう私……感動して涙が止まんないよー」
麻子「はぁ……この調子じゃ自分の結婚式では大変なことになりそうだ」
華「そもそも来るんでしょうか?」
沙織「もう華ってば酷い!」
優花里「西住殿ー! ご結婚おめでとうございます!」
みほ「優花里さん……みんな来てくれてありがとう」
麻子「西住さんのウエディングドレス……良く似合っているぞ」
みほ「本当? だったら良かったぁ」
みほ「ウエディングドレス初めて着たからちゃんと着れるか心配だったんだ」
優花里「はい。とても似合っていますよ。それに姉上殿も立派な紳士服ですね」
まほ「感謝する。こういう衣装はキツくて苦手なんだがな」
華「主に胸の辺りでしょうね」コソコソ
沙織「華何言ってるの!?」
みほ「えへへ……でもタキシード姿のお姉ちゃんもカッコいいよ」
まほ「ウエディングドレスのみほも可愛いぞ」
沙織「おお……これがカップルの霊圧」
沙織「いいなぁ! 私も結婚したい!」
華「なら私と結婚します?」
沙織「え?」
華「ん?」
麻子(西住さんもまほさんと結婚してとても幸せそうだな)
麻子(浮気騒動の時はどうなるかと思ったが)
麻子(どうやらこの調子だと上手くいってるみたいだ)
麻子(でも……どうしてだろう)
麻子(上手くいっているはずなのに……何故か違和感を覚えてしまう)
麻子「いや……気のせいだな」
ダージリン「こぉんな言葉を知ってる?」
ダージリン「結婚に成功する最も肝要な条件は婚約時代に永遠のつながりを結びたいという意思が真剣であることだ」
アッサム「フランスの小説家アンドレ・モロアですね」
ダージリン「あなたたち二人の愛が永遠に続くよう祈っているわ」
みほ「アッサムさんにダージリンさんも来てくれたんですね!」
まほ「私が招待したんだ。みほは知らないと思うがアッサムも私たちに協力してくれたからな」
みほ「そうなの?」
アッサム「ええ……恋のアドバイスとか色々」
アッサム「聞いた話によると一波乱あったみたいだけど」
アッサム「しっかりと結ばれたみたいで良かったです」
まほ「ああ……ラブラブだ」
まほ「そういうアッサムこそダージリンと結婚するそうじゃないか」
アッサム「はい。ダージリンは私がもっとも愛する人ですから」
アッサム「ダージリンも私のことが大好きなんですよね」ギュッ
ダージリン「え、ええ……でもだからって人前で手を繋ぐだなんて恥ずかしいわ」
アッサム「恥ずかしがっているダージリンも可愛いですよ」
ダージリン「も、もうっ!」カァァー
みほ「二人ともラブラブなんですね」
アッサム「貴方たちには負けますけどね」
まほ「結婚式の日程が決まったら言ってくれ私たちも参加しよう」
アッサム「はい。その時は是非来てくださいね」
みほ「勿論です!」
カルパッチョ「それではケーキ入刀の時間になります新郎新婦会場にお越しください」
みほ「わぁー凄い美味しそうなケーキ」
アンチョビ「当たり前だ。我らアンツィオが結婚式のお祝いにと全力を込めて作ったんだ美味しいに決まってる!」
アンチョビ「存分に味わって食べてくれよな!」
みほ「アンツィオの皆さんありがとうございます!」
まほ「ナイフだ。こういう場合一緒に持つらしいな」ギュッ
みほ「あ……えへへ……。お姉ちゃんの手……暖かい」
まほ「みほの手は柔らかいな。いつまでも触っていられる」
みほ「もうお姉ちゃんってば……」カァァー
みほ(まるで私を安心させるかのように力強く手を握ってくれる)
みほ(お姉ちゃんに手を握られてると身体の芯が熱くなって胸がドキドキしてこれが恋なんだと実感できる)
みほ(だから……私は願いを込めながらケーキにナイフを入刀した)
みほ(これからもずっとお姉ちゃんと一緒にいられるようにと願いを込めて)
ホテル
みほ「うーん……ちょっと酔いすぎちゃったかなぁ」
まほ「結婚式だと誰もが浮かれるものだ」
まほ「酔っ払ったみほもとてもキレイだ」チュ
みほ「も、もう……お姉ちゃんってば付き合ってからキスばっかり」カァァー
まほ「それだけみほが魅力的だということだ」
まほ(……そう)
まほ(ずっと欲しかったんだ)
まほ(一番大切な妹……一番大切な存在。今までは手に入らないものだと諦めていたもの)
まほ(それが今ではこうして私の腕の中にすっぽりと収まっている)
まほ(もう姉妹なんて関係ない。みほこそが私の戦車道だ)
みほ「んんっ……」スゥースゥー
まほ「ふふっ……酒に酔って眠ってしまったか」
まほ「私もアルコールが回って少し酔っているな」
まほ「風にでも当たってくるか」
テラス
まほ(夜風が気持ち良いな)
アッサム「恋に狂うとは言葉の重複である。恋とは既に狂気なのだ」
まほ「ドイツの詩人……ハイネの言葉だったか今の私たちにはぴったりの台詞だな」
まほ「アッサムも風に当たりに来たのか」
アッサム「いえ……私は偶然まほさんを見かけたものですから」
まほ「そうか……」
アッサム「改めて祝福を。おめでとうございます。お二人ともとても幸せそうでしたよ」
まほ「ふふっ……ありがとう」
まほ「ここまで来るのに長い時間を費やした」
まほ「だがようやくみほを私のものに出来た」
まほ「アッサムには感謝しているんだ」
まほ「だってーー」
まほ「この惚れ薬が無ければ結ばれることは無かっただろうからな」
数年前
カフェ
アッサム「貴方だったんですね……私を呼び出したのは」
まほ「アッサム……お前なら来てくれると思っていたよ」
まほ「……折角のカフェテリアなんだしコーヒーなりデザートなり好きに注文するといい」
まほ「ここに呼び出したのは私だ。好きなだけ奢るよ」
アッサム「……はぁ。分かりました。では折角ですし紅茶を一杯」
まほ「もったいないな。紅茶なら聖グロで飽きるほど飲んでいるだろう」
まほ「たまには紅茶以外にも飲めば良い」
まほ「いや……紅茶を飲むなら飲むで他にも頼んだらどうだ?」
まほ「このカフェはサンドイッチがとてと美味しいと聞いている」
アッサム「別に……長話をしに来たわけではありませんので」
まほ「だがお前が長話をする気がなくても今回に限っては話が長くなるだろう」
まほ「メールの内容を見れば分かるようにな」
アッサム「あのメールはなんなんですか!」
アッサム「私とダージリンについて秘密を握っているなどと言う根も葉もないホラ話を!」
アッサム「私はそのメールの送り主に文句を言いたかっただけです」
アッサム「宛先が不明なので誰からなのかは分かりませんでしたが」
アッサム「まさか黒森峰の隊長から送ってきたものだったなんて……」
アッサム「貴方は真面目な人だと思っていたのですが」
アッサム「こんな悪戯メールを送る限り」
アッサム「どうやらそのデータは間違いだったようですね」
まほ「私のデータを取っているのなら分かるはずだ」
まほ「これは悪戯メールなどではない」
まほ「ダージリンとアッサム。私は二人の秘密を握っている」
まほ「実際……アッサムにも心当たりはあるはずだ」
まほ「本来ならば宛先不明のメールでカフェに来るように言われたところで来る馬鹿はいない」
まほ「その大半が悪戯メールだと放置することだろう」
まほ「お前は賢い人間だからな。そんなお前がこんなメールに対して文句を言うためにここに来るなんてそれこそあり得ない」
まほ「ならば何故来たのか」
まほ「理由は簡単。本当に秘密を握っているのかどうかお前はそれを確かめに来た」
アッサム「…………馬鹿馬鹿しいですね。それならその秘密とやらを言ってみてくれませんが」
アッサム「もしその秘密が検討外れなら黒森峰本部に貴方がメールを送ったことを告げます」
まほ「検討外れか……その時点で秘密があると認めているように思えるが」
アッサム「…………」
まほ「とはいえ私はあくまでもお前たちの味方だ。ここでわざわざ相手を不愉快にさせる必要もないだろう」
まほ「先月……お前とダージリンが付き合うことになったそうだな」
アッサム「はい。言っておきますけど今も仲は良いですよ」
アッサム「ダージリンは少しお茶目なところもありますが魅力的な方です」
アッサム「紅茶は冷めても私たちの関係が冷めることはありませんよ」
まほ「それぐらい分かっているさ」
まほ「アッサムだって私が言いたいのはその事じゃないと本当は分かっているはずだ」
まほ「私はずっと不思議に思っていたんだ」
まほ「どうしてダージリンはオレンジペコではなくお前と付き合ったのかと」
まほ「私は戦車道において大切なのは仲間との連係プレーだと考えている」
まほ「だから各校がどのような仲間関係を築いているかある程度は調査しているんだ」
まほ「その中でもダージリンはオレンジペコに対して絶対の自信を置いているらしくてな」
まほ「一年生だというのに二年であるローズヒップやルクリリを抑えて次期隊長候補として上がっていると聞く」
アッサム「ローズヒップやルクリリの実力が劣るとは言いませんが」
アッサム「オレンジペコが優秀なのは事実です」
アッサム「彼女が次期隊長になったとしても不思議ではないでしょう」
アッサム「ダージリンが私と付き合うのとオレンジペコさんが優秀なのに何ら相関関係は認められないように見えますが」
アッサム「勿論……オレンジペコさんがダージリンさんと良く一緒にいたのは知っていますが」
アッサム「でも……ダージリンは私を選んで下さったのです」
アッサム「私に愛していると囁いてくれたのです」
まほ「だとすれば益々おかしな話だ」
まほ「これは一ヶ月前……お前とダージリンが付き合う前に私に送ってきたメールだ」ピッピ
まほ「このメールにはオレンジペコに告白すると書いている」
まほ「告白にぴったりの格言を考えてほしいと書いている辺り実にダージリンらしいな」
アッサム「なっ……嘘!」
アッサム「ちょっと見せてください」
アッサム(これはダージリンのアドレス!)
アッサム(まさか彼女がこんなメールを送っていたなんて)
まほ「なのにその日のうちにダージリンはオレンジペコではなくアッサムと付き合うことになった」
まほ「それは実に不思議な話だ」
まほ「それは実に不思議な話だ」
まほ「そこでお前のインターネットをハッキングし購入履歴を調べさせて貰った」
まほ「海外の薬草を多く購入しているみたいだな」
まほ「しかもそのどれもが媚薬効果のあるものばかりじゃないか」
まほ「そこで確信したよ。ダージリンは媚薬によってアッサムに好意を抱いたのだと」
アッサム「……認めましょう」
アッサム「ダージリンが悪いんです」
アッサム「私はずっと昔からダージリンのことが好きだったのに」
アッサム「ダージリンは私ではなくオレンジペコのことが好きだった!」
アッサム「折角勇気を出して告げた告白もこれからもお互い大切な親友でいましょうだなんて」
アッサム「そんな優しい言葉で破壊される」
アッサム「だから媚薬で私のものにしたんです」
アッサム「誰にもバレない完璧な作戦だったのですが」
アッサム「まさか……ダージリンと貴方が恋の悩みを打ち明けるほどに親しかったとは予想外だった」
まほ「ああ……そのことなんだが」
まほ「このメールは私が作ったものだ」
アッサム「……え? でもアドレスは同じ」
まほ「良く見れば分かるが、ここのdの文字がbになっている」
まほ「そもそもダージリンの方が格言は良く知っているんだ」
まほ「わざわざ私にアドバイスを乞うのも変な話だろ」
まほ「普段のお前なら気づくはずだがどうやら随分と動揺していたみたいだな」
アッサム「予め携帯を二端末用意するとは手の込んだことを……」
アッサム「それで? そこまでして貴方は一体何をしたいのですか?」
アッサム「単に私を糾弾したいのならこんな人の少ない喫茶店などには呼ばず学園艦に呼び出せばいい」
アッサム「見たところ……聖グロリアーナの生徒もいなければ黒森峰の生徒もいないようですし」
アッサム「貴方はオフレコで私と話したいことがあるのでは?」
まほ「さすがに察しがいいな」
まほ「小細工は終わりにしよう。ここからは単刀直入に言う」
まほ「みほを私のものにしたい」
アッサム「みほさんを……ですか?」
まほ「ああ……昔は良く私に甘えてきてくれたんだがな」
まほ「最近は反抗期なのか昔みたいに甘えて来なくなってしまった」
まほ「それで心配になって後を付けたり家に侵入したりしていたんだが」
まほ「それがみほにバレてしまったようで今は近づくだけで怖がられてしまう」
アッサム「あの……端的に言ってまほさんが悪いのでは?」
まほ「?」
アッサム(え……なんでそこで不思議そうな反応をするの!?)
まほ「とにかくこのままではみほと結婚できない」
まほ「そこでお前の媚薬でみほを嫁にしようと思ったんだ」
アッサム「そういうことでしたら媚薬を譲りはしますが……」
まほ「何か問題でも」
アッサム「媚薬の効果は最長でも10日。それ以上は効果が切れてしまいます」
まほ「だがお前とダージリンはまだ付き合っているではないか」
アッサム「あれは媚薬の後に部屋に行って犬に調教したからです」
まほ「……え?」
アッサム「媚薬の効果は一時的でそれも脳内にある恋愛ホルモンを一時的に増加させる程度の効果しか得られない」
アッサム「ですがその効果を利用して対象者の心を恋に堕とせば」
まほ「媚薬の効果が消えてもみほは私を愛したまま」
アッサム「そういうことです」
アッサム「私は手っ取り早いので調教という手段を取りましたが貴方はどうしますか」
まほ「調教だと? そんなみほの意思を曲げるようなことするわけないだろ!」
アッサム「いや貴方媚薬を使うんですよね?」
まほ「それがどうした?」
アッサム「い、いえ……もういいです」アタマヲカカエル
まほ「私は自分なりの方法でみほを堕とすことにするよ」
まほ「だからアッサムには媚薬の手配を頼みたい」
まほ「勿論謝礼も用意する」スッ
アッサム「こ、この額は……」
まほ「結婚費用の足しにでもすると良い。もっともこれは後払いだ」
まほ「媚薬が届き効果が実証されたと確認したのちそちらの口座に振り込ませてもらう」
アッサム「分かりました。協力させて頂きます」
大洗
みほ「はぁ……また盗聴機が仕掛けられてる」
みほ「黒森峰の時は毎日後ろを付けてきてたし」
みほ「クローゼットを開けたらお姉ちゃんがいたこともあったなぁ」
みほ「お姉ちゃん……私が心配なのは分かるけど」
みほ「さすがにちょっと怖いかも……」
みほ「そういえば明日はお姉ちゃんがこっちに来るって言ってたけど」
みほ「ちょっと憂鬱だなぁ」ハァー
みほ「ううん。逃げちゃダメだよね」
みほ「やっぱり迷惑だってちゃんと伝えないと」
みほ「お姉ちゃんは優しいし話せばちゃんと分かってくれるよね?」
大洗女子学園
麻子「西住さん……どうしたんだ? 顔色が悪いように見えるが」
みほ「あ……あはは今日はお姉ちゃんが休暇申請を出したみたいで」
みほ「ほら校門のところ見てよ」
まほ「みほ……」ハァハァ
麻子「校門からこちらを凝視しているな……」
みほ「お姉ちゃんが心配して迎えに来たのは分かるんだけど」
みほ「ちょっと過保護すぎかなぁって」
麻子「ちょっとどころじゃない気がするが」
麻子「相変わらず西住のお姉さんは西住さんのことが好きなんだな」
麻子「とはいえ……お姉さんからすれば西住さんとはあまり会えないんだ」
麻子「だからこういう行動を取るのも仕方のないことかもしれん」
麻子「何にしても家族は大事だ」
麻子「あまり邪険に扱っては可愛そうだぞ」
みほ「そうだよね……」
麻子「折角なんだし姉妹で帰ったらどうだ」
みほ「麻子さんは一緒に帰らないの」
麻子「私は沙織の生徒会の仕事が終わってから一緒に帰ることにするよ」
みほ「手伝いはしないんだね」
麻子「あれは沙織の仕事だからな」
麻子「というわけで西住さんは姉と帰るといい」
みほ「うん。じゃあそうさせてもらうね」
みほ(本当はお姉ちゃんと二人きりにはなりたくなかったんだけど)
みほ(でも……麻子さんだって気を利かせてくれたんだよね)
みほ(それに怖がってばかりじゃお姉ちゃんにだって悪いし)
まほ「みほ待っていたぞ。授業は終わったのか?」
みほ「うん……今帰るところだよ」
まほ「そうか。それなら一緒に帰ろう」ギュュ
みほ「ちょ、ちょっとお姉ちゃん……」
みほ「痛いよ。そんなに強く握らないで……」
まほ「ああ……すまない。あまりにもみほが可愛かったからな」ニコッ
みほ「……お姉ちゃん」ビクビク
まほ「それにこうして握らないとみほは迷子になってしまうかも知れない」
みほ「もう私は高校生だよ?」
みほ「だから迷子になんてならない」
まほ「でもみほは普段からおっちょこちょいなところがあるからな」
みほ「それは……そうだけど」
みほ「でもやっぱりこの歳になっても手を繋ぐのは」
まほ「ふふふ……恥ずかしがるみほも可愛いぞ」
みほ「…………うぅ」シュン
みほルーム
まほ「ちゃんと一人暮らしは出来ているか?」
まほ「見たところコンビニ弁当の容器ばかりが目に付くが」
みほ「あ、あはは……お料理はやっぱり苦手で」
まほ「そうか……それなら今日は私が作ろう」
まほ(みほが料理を苦手としているのは既に知っていることだ)
まほ(だからこの流れも予想通り)
まほ(料理を作ることが出来ればこの媚薬を盛ることなど容易なことだ)
まほ(だがこれはあくまでも最終手段)
まほ(その前にみほの気持ちをハッキリさせておく手段があるな)
まほ「なあみほ……」
みほ「な、なに……お姉ちゃん」
まほ「みほは私のこと好きか?」
まほ「私はみほのことが好きだ。勿論姉としてではなく一人の女性として愛している」
まほ「だから返事が欲しい」
まほ(まあ当然好きだと返ってくるだろうがな)
まほ(私はずっと昔からみほの側にいたんだ)
まほ(みほの身長からスリーサイズ……好みのカレーの味付けだって知っている)
まほ(そんな私をみほが嫌いになるわけがない)フンス
みほ「やっぱりお姉ちゃんは私のことそういう目で見てたんだね」
みほ「毎日盗聴器とか監視カメラとか仕掛けて……」
みほ「前からお姉ちゃんが部屋に入る度に私物が無くなってからもしかしてとは思ってたけど」
みほ「お姉ちゃん……ごめんね」
まほ「?」
みほ「私……お姉ちゃんのことそういう目で見てないんだ」
まほ「みほ……ど、どうしたんだ」
まほ「お前は私のこと好きじゃ……」
みほ「ごめんなさい。正直怖い……」
みほ(お姉ちゃんの悲しい顔見たくはないけど)
みほ(お姉ちゃんのストーカー行為を辞めさせるにはハッキリと伝えないとダメだよね)
みほ「だからもう過剰にベタベタするのは辞めて欲しいの」
みほ「やっぱり姉妹がすることじゃないと思うから」
まほ「そ、そんな」
みほ「だからその今日は別々にお風呂に入ろ?」
みほ「歯磨きもお姉ちゃん用のものがあるから」
まほ「……みほ」
まほ(そうか……かわいそうに)
まほ(今のみほはきっと反抗期真っ盛りで素直に甘えることが出来ないんだ)
まほ(仕方ない。ここはこの薬を使って素直に甘えるようにするか)ドロォ
まほ「分かったよ」
まほ「お前のためと思ってやった行為だったが」
まほ「どうやらそれが逆にお前を怖がらせていたみたいだな」
まほ「さっきの告白は気にしないでくれ」
まほ「ちゃんと断ってくれてありがとう」
まほ「おかげで私も踏ん切りがつけられるよ」
みほ「お姉ちゃんごめんね?」
みほ「こんなの勝手だって分かってるけど」
みほ「お姉ちゃんさえ良ければこれからも姉妹として仲良くしてくれるかな?」
みほ「恋人とかじゃなくて」
まほ「ああ……勿論だ」
まほ「さあ私の作った特製カレーだ。存分に味わって食べてくれ」ニヤリ
みほ「うん……お姉ちゃんありがとう」モキュモキュ
みほ(てっきり襲われるんじゃないかって心配だったけど)
みほ(やっぱりお姉ちゃんは優しいから)
みほ(ちゃんとお話しして分かって貰えて良かっーー)
みほ「……ふぇ」ドクン
まほ(そろそろ媚薬が効き始めた頃だな)
まほ(さてまずは媚薬が効いているか反応で確かめてみるか)
みほ(ど、どうしてだろう)
みほ(突然身体が熱くなって頭が麻酔のように蕩けて)
みほ(幸せのシチューに浸っているような不思議な感覚)ドキドキ
まほ「どうかしたのか……顔が紅いように見えるが」
みほ「な、なんでもないよ」
まほ「いいから熱を測らせてみろ」ピタッ
みほ「えっ……額と額で!」
まほ「あ、あぁ……すまない」
まほ「あまりこういったベタベタしたことは駄目だったんだな」
みほ「え……あ」
みほ(あ……お姉ちゃんが離れていく)
みほ(なに残念がってるんだろう)
みほ(これが普通のはずなのに)シュン
まほ(みほが残念そうな顔をしている)
まほ(この反応を見るにもっと熱を測って欲しかったといったところか)
まほ(やはりあの惚れ薬を用意して良かった)
まほ(そうじゃないとみほはいつまでも素直でいられなかっただろうからな)
まほ「どうしたんだ?」
みほ「ふぇ?」
まほ「いや……何だか落ち込んだように見えたが」
まほ「戦車道を頑張るのはいいが体調管理も大切な役目だ」
まほ「今日は安静にしておいた方がいいだろう」
まほ「それじゃ私は帰ることにするよ」
みほ「えっ……帰っちゃうの」
まほ「今日はお前に告白するために来たんだ」
まほ「フラれてしまった以上ここに長居する意味はない」
まほ「それにお前に言われた通り姉妹同士の距離感も考えなければならないだろうからな」
まほ「あまり一緒に居すぎるのも良くない」スタスタ
みほ(あ……お姉ちゃんが行っちゃう)
みほ(私お姉ちゃんから離れるなんて嫌だよ……)
みほ(お姉ちゃんのことを考えるだけで胸がドキドキして)
みほ(もしかして今まで気づかなかったけど私……)
みほ(お姉ちゃんのこと好きなのかも……)
みほ「ま、待ってお姉ちゃん!」
まほ「……みほ?」
みほ「あ、あのね……さっきの告白のことなんだけど」
みほ「やっぱり私も……その……」ソワソワ
みほ「お姉ちゃんと恋人になりたい……かな」
まほ「……みほ」
みほ「う、うん」
まほ「無理をしないでいいんだ」
みほ「……え?」
まほ「みほは優しいからな……私を憐れんでそう言ってくれているんだろう」
まほ「だが私のことは気にしないでいい」
まほ「お前はお前の道を進むといい」
みほ「ち、違うの……そうじゃなくて……私」
みほ「私がお姉ちゃんのこと好きだから」
みほ「ごめんね……変だよね」
みほ「さっき断ったばっかりなのに……こんなこと言って」ポロポロ
まほ(泣いてるみほ可愛い)ハァハァ
まほ「みほ……」ギュ
みほ「あっ……お姉ちゃん」
まほ「大丈夫だ。私はいつだってみほの味方だからな」
まほ「だからどんな時だってお前の意思を尊重する」
まほ「みほさえ良ければ私と恋人になろう」
みほ「お姉ちゃん……ありがとう。私のワガママ聞いてくれて」
まほ「ワガママを聞くのは姉の勤めだ」
まほ「それに私だって嬉しいんだ。みほが素直になってくれて」ナデナデ
みほ「えへへー」フニャリ
黒森峰
まほ「さてみほを媚薬によって素直にさせたのは良かったが」
まほ「問題はどうやってみほの心を堕とすかだが」
まほ「アウグスティヌスいわく嫉妬せざる者には恋愛はしえずという」
まほ「ここは私がみほに対して浮気をしているような態度を取り勘違いさせる」
まほ「みほは引っこみ事案に見えて行動的な部分があるからな」
まほ「私が浮気をしていると疑念を抱けばすぐに私生活を調査するだろう」
まほ「勿論。私は実際には浮気をしない」
まほ「だが浮気に近しい行動を取りみほの心を揺さぶる」
まほ「やがてみほは嫉妬に耐えられず私に対して言及してくるだろう」
まほ「そこで私がみほの疑念を晴らし疑ったことを許容してあげれば」
まほ「大切な人を疑ったことによる罪と許容という名の甘い毒でみほの心は陥落する」
まほ「さてその為にもまず心苦しいがメールや電話の回数を減らそう」
まほ「今のように一分ごとにメールのやり取りをしていてはみほに浮気だと疑われないまま期限が来てしまうからな」
まほ「更にメールの内容も小梅やエリカなど他の人の話題に切り替える」
まほ「こうすることによってみほに嫉妬心を抱かせやすくするんだ」ポチポチ
まほ「さて後はわざと予定を作り不信を抱かせてと」
まほ「みほならその予定のある日に監視を行うはずだ」
まほ「とりあえずエリカと小梅に擬似デートという名目で一緒に出掛けることにするか」
まほ「早ければ二日目には詰問しにこちらに来ることだろう」
まほ「ああ……それと念のためこの二日間においては学園艦のセキュリティーを緩くしておくか」
まほ「せっかく黒森峰に駆けつけたくともセキュリティが厳しく潜入できないのでは意味がないからな」カタカタ
まほ「ふふ……みほ待っているからな」
公園
まほ「さて予定日になったのはいいが……」
まほ「気配は二人分。あんこうチームは五人と聞くから残りは上手く気配を消しているみたいだ」
まほ「とはいえやはり私の予想通り、みほは来ているみたいだな」
エリカ「隊長! 遅れてしまい申し訳ありません!」
まほ「なに気にするな」
まほ「私が早めに来すぎただけだ」
まほ「それより今日の目的は分かっているな」
エリカ「はい。隊長のデートの練習ですよね?」
まほ「ああ……私は数日前からみほと付き合い始めた」
まほ「今週の土曜日にみほとデートをする約束をしているのだが」
まほ「姉として出来ればリードしてやりたい」
まほ「そこでその練習としてお前には付き合ってもらった」
エリカ「それはいいんですが私もデートとかしたことないですよ?」
まほ「でもお前は私と違って友達が多いじゃないか」
まほ「友達からオススメのデートスポットとか聞いているだろう」
エリカ「あの……お言葉ですがそれなら私ではなく隊長の友達に聞けばいいのでは」
まほ「…………私と違って友達が多いじゃないか」
エリカ「す、すみません」
まほ「それにエリカはお洒落だからな。服選びをするのにも頼りになる」
エリカ「分かりました! 任せてください!」
ショッピングモール
まほ「この服装とか可愛らしくていいんじゃないか」
エリカ「うーん。確かに可愛いですけど隊長は可愛い系よりカッコいい系の服の方がいいと思うんですよね」
エリカ「だからこの辺りはどうです」ササッ
まほ「ふふっ……悪くないな」
まほ「さすがはエリカだ。お前を連れてきて良かったよ」
エリカ「隊長……私も隊長の役に立てて光栄です」キラキラ
まほ(みほ……見ているか?)
まほ(存分に嫉妬してくれ……お前が嫉妬した分……私への愛が深くなるんだからな」
まほ「よし……この服を購入しよう」
まほ「次はランチだが……」
エリカ「ここがオススメですね。高級レストランで本格パスタやハンバーグ、隊長の好きなカレーだってあります」
まほ「いやそれはいいんだが……少々高い気がするが」
まほ(まずいな……これだけ高いとみほがお金を払えない可能性も出てくる)
まほ(今回の擬似デートはデートの練習という目的もあるが本当の目的はみほを嫉妬させることだ)
まほ(出来ればみほがいる状況で食事を取りたかったのだが)
エリカ「高いといっても高校生のお小遣いなら十分に払える金額です。大丈夫ですよ!」
エリカ(一度隊長とこの店に行ってみたかったのよね!)
エリカ(このチャンス逃してたまるものですか!)フンス
まほ(エリカはやけに真剣だな)
まほ(まあ仕方ない。二人で高級レストランに入った)
まほ(その事実だけでもみほを嫉妬させるには十分だろう)
まほ(それに店の内部が分からないことによって悪い方へ妄想が働けばみほの嫉妬もより強くなるだろうからな)
まほ(店に入ることが出来るのなら越したことはないし)
まほ(入れなければそれはそれで妄想で嫉妬心が強まるだろう)
まほ(どちらにせよ。ここはレストランに入るのが得策か……)
まほ「そうだな……ではパスタを頼むことにしよう」
エリカ「え? カレーじゃないんですか!?」
まほ「カレーはみほと来るときに食べようと思ってな」
まほ「それまで楽しみは取っておくことにするよ」
エリカ「そうですか。私は別に好物ってわけじゃないですけど」
エリカ「ハンバーグを頼もうと思います」
エリカ「別に好物ってわけじゃないですけど……」
まほ「そうか」
まほ(あんこうチームの気配がするな)
まほ(お金が払えるかどうか心配だったがこの様子だとそれは杞憂だったようだ)
まほ(それなら見せつけるとするか)
まほ「エリカ……ケチャップが付いている」フキフキ
エリカ「え……ええっ!?」
まほ「どうかしたのか? 顔を赤くして」
エリカ「い、いえ……その……ありがとうございます」カァァ-
みほ「」メラメラ
まほ(背後から嫉妬のオーラを感じる作戦は成功だな)ニヤッ
夜
まほ(結局エリカに付き合わされて色んな店を巡ってしまった)
まほ(とはいえやはり友達が多いだけのことはある)
まほ(私の知らない店も沢山あったな)
まほ(これだけエリカと回ればみほも嫉妬だらけで気が気ではないだろうな)
まほ(それを糾弾され誤解だと分かり私が許せばみほは墜ちるはずだ)
まほ(とにかく目的は達せられた事だし帰るとするか)
まほ「そろそろ夜も遅い寮の方に」
エリカ「待ってください。もう一つだけどうしても見せたいものがあるんです」
まほ「これは……」テクテク
エリカ「イルミネーションです。ここならみほともロマンチックな雰囲気を演出できますよ」
まほ「とても綺麗だ」
まほ「ここならみほも喜んでくれるだろう」
まほ「感謝するよ……エリカ」
エリカ「はい!」
エリカ(隊長に感謝されちゃったー)キラキラ
まほ(今度みほと一緒に行くとしよう)
まほルーム
まほ「今頃みほたちは私の部屋の前で監視していることだろう」
まほ「とりあえず今日の擬似デートでみほを嫉妬させたはずだ」
まほ「明日ごろにはみほが問い詰めてくるだろう」
まほ「とにかく明日は小梅と結婚指輪を買いに行く約束をしているからな」
まほ「早めに寝るとするか」ネムネム
まほ「」スヤァ
みほ「今日はエリカさんと楽しそうだったね」
みほ「でもあれはお友達として付き合ってるだけだよね?」
みほ「私……信じてるから」
まほ「んんっ……あれ?」ゴシコシ
まほ「今……誰かが枕元にいたような……」
まほ「そうか……みほが来ていたんだな」
まほ「待っていてくれ……もう少しでお前は私だけのものだ」
朝
小梅「あ、隊長! おはようございます」
まほ「すまない待たせてしまったな」
小梅「い、いえ……私が早く来すぎちゃっただけですから」
小梅「それで今日は結婚指輪と擬似デートでしたっけ」
まほ「そうだ。みほに指輪を渡したくてな」
まほ「それでみほが喜んでくれる指輪を一緒に見つけてほしいんだ」
小梅「みほさんが喜ぶ指輪」
小梅「正直……指輪とかあんまり詳しくないけど……」
小梅「やれるだけのことはやってみますね!」
宝石店
小梅「凄いみんな綺麗な指輪ばかりですね」
まほ「学生で買えるといえば限られては来るが」
まほ「今回はみほの為にとお年玉を貯めていたんだ」エヘン
小梅「そこまで思われてるなんてみほさんも幸せ者だなぁ」
まほ「好きな人のためなら何だってするさ」
まほ「小梅も恋をすれば分かる」
まほ「それで指輪の話だが」
小梅「えーっとこの桜色の指輪はどうでしょうか」
まほ「桜色……そういえばみほは昔から桜が好きだったな」
小梅「はい。だからこの色が一番みほさんに似合ってるんじゃないかなって」
まほ「そうだな。ではこれにするよ……きっとみほも喜んでくれる」
まほ「小梅……今日はすまないな。用事に付き合わせてしまって」
小梅「そんな……むしろ隊長が私を頼りにしてくれて嬉しかったです」
小梅「でも本当に良かったんですか隊長の婚約指輪……私なんかが決めてしまっても」
まほ「私はこういったセンスに疎くてな。指輪も何を買っていいのか分からなかった」
小梅「そ、そうなんですね。だったら私隊長の役に立てーー」
みほ「まったー!」
小梅「みほさん!?」
数分後
みほ「あ……ああ。そんな……」
みほ「お姉ちゃん……ごめんなさい」
みほ「私……私……信じなきゃいけないはずなのに……こんなことしちゃって」ポロポロ
まほ(計画通り)
まほ(みほは優しいからな。私の浮気を疑った自分を許せないのだろう)
まほ(今までの威勢は消えてすっかり落ち込んでしまっている)
まほ(ここで許しを与えればみほの心は陥落する……!)
まほ「良いんだ。きっとそれには私にも非がある」ナデナデ
まほ「お前をこれ以上ないくらい愛しているつもりだったんだが」
まほ「それを伝えることを怠っていたのかも知れないな」
まほ「だからここでしっかりと伝えることにする」
まほ「みほ……好きだ。結婚しよう」
みほ「お姉ちゃん……本当に私でいいの?」
まほ「お前以外考えられないよ」ギュッ
みほ「あ……お姉ちゃん」キュンキュン
みほ(お姉ちゃんは昔からそうだった)
みほ(黒森峰にいた頃も学校が廃校になりそうになったときもそして今も)
みほ(お姉ちゃんは私を助けてくれた)
みほ(やっぱり私……お姉ちゃんのこと)
みほ(だったらお姉ちゃんがしたように私もちゃんとこの気持ちを伝えなくちゃ)
みほ「私も……好き」
みほ「お姉ちゃんのこと大好き!」
まほ「みほ」ギュー
まほ(堕ちたな……)
まほ(これからお前は一生……私だけのものだ)
結婚式
カルパッチョ「それではケーキ入刀の時間になります新郎新婦会場にお越しください」
みほ「わぁー凄い美味しそうなケーキ」
アンチョビ「当たり前だ。我らアンツィオが結婚式のお祝いにと全力を込めて作ったんだ美味しいに決まってる!」
アンチョビ「存分に味わって食べてくれよな!」
みほ「アンツィオの皆さんありがとうございます!」
まほ「ナイフだ。こういう場合一緒に持つらしいな」ギュッ
みほ「あ……えへへ……。お姉ちゃんの手……暖かい」
まほ「みほの手は柔らかいな。いつまでも触っていられる」
みほ「もうお姉ちゃんってば……」カァァー
まほ(もう決してみほを逃がさないようにと力強く手を握る)
まほ(みほの手を握るとその手は熱くドキドキと脈打ち恋に堕ちているのだと実感できる)
まほ(だから……私は願いを込めながらケーキにナイフを入刀した)
まほ(これからもずっとみほと一緒にいられるようにと願いを込めて)
完
これにてこの物語は終了となります。
また途中、優花里さんの呼び方が逸見殿ではなくエリカさんとなったのとそれを修正した時に何故か「」の外に?マークがでてしまうという現象が起きました。
以後このようなことがないように勤めます。
それではここまで読んで下さった皆さんありがとうございました!
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