みほ「紅白戦です!」 澤「です!」(125)
セルフ代理
澤「(敵車はおそらく正面のどこか……けれど地形に起伏があって、向こう側の様子が見えない……)」
「(Leeの車高だと、丘を登り切る前に狙い撃ちされるかも。でも迂回するとしたどっち…?」
「(左を回れば主砲をすぐに右に向けられるけど、車体をさらすことになる。右側だとうまく丘に隠れつつ、向こう側の様子が見えるかな……よし!)」
澤「桂利奈ちゃん、正面の起伏を迂回するようにして、右の方へ微速前進。攻撃あるかもだから、いつでも後退できるようにして」
桂利奈「あーい」ガコッ、キュラ、キュラ、キュラ……
澤「副砲塔は1時の方を注視。位置がバレちゃうから、不用意な発砲は避けて」
あや「了解しました~」ズズズ……
澤「あゆみちゃんもいきなりは撃たないでね。ただ相手に明らかに発見されていて、射線が通るなら発砲してもいいよ」
あゆみ「うん!」
澤「相手はあの隊長だから、みんな集中してね!」
一同「了解!」
M3 Lee キュラ、キュラ、キュラ……
澤「(う~ん、なかなか見えてこないな……隊長はどこに…?)」
「(あれ? あの茂みのなか……!)」
澤「停車! 停車して!」
桂利奈「わわわ…!」ガコッ
Ⅳ号 ズカッァァァァン!!
澤「(外れた?! 格闘戦になったら負ける…! ここで仕留めないと!)」
「前進! 照準を合わせ次第任意に発砲! 装填時間あるから落ち着いて!」
あゆみ「う、うん!」
Ⅳ号 キュララ…
澤「(車体を斜めに…?! これじゃあ正面は抜けない。でもいくら側面が薄いからって、この角度じゃ……そうだ!)」
「目標、敵車砲塔、よく狙って! 撃て!」
ズカッァァァン!! ガッァァァン!
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全員「お疲れ様でしたー!」
みほ「お疲れ様。それじゃあ簡単にデブリーフィングするね」
「全般的にはすごくよかったかな。相手の位置も予想できてたし、照準や旋回も早かったよ。砲塔を狙うのも正解」
「ただM3は左側に盛り上がる形をしているから、左回りのときに遮蔽物があると、車長の視界が著しく制限されてしまうの。それで発見が数秒遅れたから、その点は反省かな」
澤「はい……」
みほ「うーん、でもいじわるな場所に伏せちゃったし、M3がちょっと特殊ってのもあるし……登場車が逆だったら、勝敗も逆だったかも」
「小さい的を狙うというのが今回は裏目にでちゃったけど、なんにせよ澤ちゃん、本当に上手くなったね♪」
澤「あ、ありがとうございます!」
みほ「じゃあ後は各車で反省会。まだカモさんチームとアリクイさんチームが帰ってきてないから、それまでは自主練ってことでお願いします」
全員「ありがとうございましたー!」
(沙織「みぽりん、なんというか貫禄が出てきたよねー。もう隊長って感じ」)
(みほ「ええぇ~……私、そんなに偉そうにしてるかな……」シュン)
(華「いえいえ、頼もしいということですよ」)……
澤「じゃあ、反省会しよっか♪」クルッ
一同「はーい」
澤「うーん、負けちゃったね」↓
桂利奈「う~…Leeじゃ追いつけないよぉ」シュン
宇津木「でもでもぉ、相手は隊長さんだし~、戦車の性能だってあっちのほうが上だよぉ~」フリフリ
あゆみ「西住隊長も悪いとこはないって言ってたもんね!」グッ
あや「もう私たちも、一人前ってことで~す」ニヘラ
澤「もう、調子にのっちゃ駄目だって♪」ニコニコ
宇津木「(それにしても……)」
澤「でもほんと、西住隊長と組手すると、ドキドキするよね♪」ニコニコ
あゆみ「(車長のときと普段のときとの……)」
澤「今日も楽しかった♪」ニコッ
あや「(澤ちゃんのギャップはなんなんだろう)」
丸山「………」ボー
『ガールズ&パンツァー』!
第X話 「紅白戦です!」
※大洗が優勝した後ぐらいの妄想です
※戦車戦もキャラも書きたかった
※描写の関係でヘッツァンは38(t)に戻しました
※公式もそんな雰囲気ですが、八九式はエンジン魔改造の超軽量爆速戦車ということで
※キューポラから顔出してキリッとしてる澤ちゃん可愛いよ!
※丸山ちゃんと仲良しとかだったらもっといいよ!
みほ「それじゃあ、本日の訓練はここまで」
全員「ありがとうございましたー!」」
あゆみ「じゃあ帰ろっ♪」
宇津木「うん、そだねぇ♪」
あや「先輩方、おーつかれさまでした~」ノシ
桂里奈「お疲れ様でしたー!」ペコリ
丸山「………」ペコリ
先輩一同「はーい、じゃね~」ノシノシ
澤「……さて、今日はどうしよっか?」スック
あゆみ「ごめ~ん、私、ちょっと課題が……」
桂里奈「ああぁー!」ガーン
あや「おやおやぁ、やってないんですかぁ? かくいう私も、やってませーん」バッ
宇津木「あの課題、量多いよ~。ぜんぜん終わんな~い」ウルウル
澤「あはは、みんな……」タジ
あゆみ「澤ちゃんは終わってそうだね。紗希ちゃんは??」
丸山「………」コクコク
あゆみ「そっか、2人の真面目さがほしい……」ドヨーン
澤「別に前日に終わらせられないから、早めにやってるだけだよ」アハハ
あや「(人はそれを優秀と言う……)」
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宇津木「ねぇねぇ、昨日の“オレ日の”見た~??」
あゆみ「見た見た~! もう私、すっごい感動しちゃった」
澤「彩が自分の罪を告白するシーンとか、もう涙出そうになっちゃったよね~」
丸山「………」ボー
あや「うう~む、ドラマの話題ですな~」
桂里奈「うーん、わたしドラマ分かんないー」ムー
あや「まぁまぁ、私たちには私たちの会話の種があるじゃないですか」
桂里奈「ていうとー?」
あや「ふふふ、昨日の最新話での、『嫌だ、私は諦めたくない!』……」
桂里奈「あ!? 『諦めるから出来ないんだって!』」
2人「『私が、私がサーニャをマモルンダー!!』」
あや「なんでか知らないけどおりょうさんに言って欲しいよね」
桂里奈「それ分かる! なんでだろねー?」キョトン
・
・
・
澤「あ、じゃあ私たちはここで」
丸山「………」コクコク
あゆみ「うん! じゃあまた明日」
宇津木「明日も練習がんばろうね~」ノシ
あや「お2人とも、まーた会いましょ~う。お元気で~」ノシ
桂里奈「えぇっ?! 澤ちゃんと紗希ちゃん、どっか行っちゃうの?!」
あゆみ「いや、またあやが変な言い回ししてるだけだから……」
澤「あはは。それじゃあほんとに、また明日」スッ
丸山「………」ノシノシ
4人「じゃあね~」ノシ
桂里奈「行っちゃったね」
あや「行っちゃいましたね~」
宇津木「それじゃあぁ、遠慮なくぅ……」
あゆみ「澤ちゃん談義!」グッ
宇津木「今日もかっこよかったよねぇ~」フリフリ
あゆみ「うんうん、射撃訓練のときのさ、撃てって声が……」
桂里奈「わたしも停車って言われるとき、なんだかはいーっ!……って気分になったよ」
あや「ふふふ3人とも、まだまだ澤ちゃんの本当のカッコいい姿を知らないのです」
あゆみ「と言うと?」
あや「Ⅳ号戦車の姿を探して、キューポラから乗り出して、あたりを見廻している鋭い視線。Ⅳ号発見後に、さっと車内に戻って指示を飛ばす横顔……」
宇津木「うわ~……」キラキラ
桂里奈「あー、あやちゃん、澤ちゃんの隣だもんねー」
あゆみ「私たちのところからじゃ、振り向かないと見えないしね」ウーン
宇津木「ちょっと羨ましいかもぉ~」フルフル
あゆみ「それにしても澤ちゃん、最近さらにカッコよくなってきたよね」
宇津木「うんうん。前からわたしたちのまとめ役って感じだったけどぉ」
桂里奈「さいきん西住隊長みたいだなーって、思うときあるよ」
あゆみ「それそれ! なんだか頼もしいっていうか、ぜんぜん強い感じじゃないのに……」
宇津木「ふだんはほわ~んとして、とっても優しいから、そのギャップがぁ~……」
あや「惚れますなぁ」ウンウン
一同「ねー!」
桂里奈「……実はわたし、澤ちゃんがお姉ちゃんだったらいいのにって、思ったことある……///」
宇津木「……実はわたしもぉ///」
あゆみ「えぇ?! みんなも?!」
あや「萌えですなぁ」ウンウン
・
・
・
テクテクテク……
澤「今日ね、西住隊長に大事な話があるって呼び出されちゃった」
丸山「………」コクコク
澤「生徒会長……あ、3年生の元会長達の方ね、あの先輩方も引退したし、次の代のことも考えていくべきだって」
丸山「………?」
澤「うーん、その、それで……私に、次の隊長の意識を持って取り組んで欲しいって……///」
丸山「………!」キラキラ
澤「ううん、そんな、私なんて……全体をまとめるなんてこと」
丸山「………」フルフル
澤「ふふふ、ありがとう。紗希がそう思ってくれるだけで、とっても嬉しいよ」
丸山「………」コク
澤「でも全体か……どんなことを意識すればいいんだろうね?」
丸山「………」シュン
澤「あ、ごめんね。分からなくて当然だもん」
丸山「………」コク
澤「何を意識すればいいのか、これから西住隊長の姿を見ながら、考えなきゃね」
丸山「………!」コク
澤「それでね、そういえば……」
丸山「………」ジッ
澤「ん? どーしたの、紗希?」
丸山「………」ジー
澤「んーっと、……あ、“野菜の河嶋”って……ふふっ、河嶋先輩が野菜を売ってる姿を想像すると、面白いね」ニッコリ
丸山「………」ニコッ
澤「紗希は本当に面白いものを見つけるのがうまいよね」ニコニコ
丸山「………」フルフル
澤「ううん、とっても素敵なことだと思うよ」
丸山「……///」
澤「ふふ」ニコニコ
丸山「………」ジッ
澤「ん、今度はなーに?」
丸山「………」ジー
澤「えーっと」ウーン
丸山「………」
澤「あっ」
ギュッ
澤「これで正解かな?」
丸山「……//////」
澤「ふふふ、紗希ったら、いつまでたっても甘えんぼさん♪」ニッコリ
丸山「/////////」
・
・
・
ある日の放課後
華「以上、会計報告を終わります」
みほ「うん、それじゃあ次は……訓練かな。突然ですが、次の日曜日、紅白戦をやろうと思います」
典子「紅白戦?」
みほ「うん、4チームずつの、校内対抗戦」
カエサル「車両が足りないのではないか? 今の大洗には7チームしかないぞ」
みほ「角谷先輩たちが参加してくれます。なのでそこは大丈夫」
華「そういえば推薦をもらえたとお聞きしました」
みほ「うん、というわけで4チームごとの、小隊戦を行います」
カエサル「その心とはなんだ?」
みほ「河嶋先輩が引退されて、全体指揮をとれる方が1人減っています。なので私が撃破された状況を想定して、指揮官を育成したいのが1つ」
「それと戦車道が今後も選択科目として続くことが決まったので、次の隊長を育成したいのが1つです。運営的な面では、磯辺さんが副隊長を努めてくれているけれど、偵察や陽動が主体の八九式だと、全体指揮は取りにくいのが実際だし……」
典子「確かにそうだな。今さら車両も変えたくないし、指揮官は増やすべきだろうな」
カエサル「なるほどな。委細了解した。して誰がチームの隊長を?」
みほ「私としては、全国初戦からのメンバーで、火力支援車として全体を見回しやすいということでカエサルさん」
カエサル「うむ」
みほ「次の隊長候補として澤ちゃん、この2人を推薦したいかな」
澤「えぇ~! 私ですか!?」ビクッ
典子「うん、当然だな」コク
カエサル「他に1年もいないだろう」ウンウン
澤「そ、それはそうですが……」アセアセ
沙織「澤ちゃん車長としてすっごく頼りになるって、他の1年の子達も言ってたよ! 自信を持ってもいいと思うな」ニコッ
澤「あ、ありがとうございます」
みほ「反対の人がいなければこれで決定したいんだけど、大丈夫かな?」
一同「大丈夫でーす」
澤「が、頑張ります!」
カエサル「私も謹んで努めさせて頂く」
みほ「よろしくね。それじゃあ次にチーム編成だけど、経験や車両性能を考慮して、こんな感じに分けてみたんだけど……」
カエサルチーム 澤チーム
38(t)軽戦車 八九式中戦車
Ⅳ号中戦車 三式中戦車
B1bis重戦車 TigarP重戦車
Ⅲ号突撃砲 M3 Lee中戦車
カエサル「ふむ、悪くないな」
優花里「八九式は軽戦車相当。Leeは駆逐戦車みたいなところがありますからねぇ」
みほ「澤ちゃんもこれでいい?」
澤「は、はい、大丈夫です!」
みほ「意見のある人は遠慮なく言ってね」
一同「………」フルフル
みほ「うん、それじゃあ車両班は試合に準ずるチューンをお願いします」
ナカジマ「了解したよ」
みほ「機材班も必要機材の用意をお願い」
澤「はい!」
みほ「輸送班と情報班、それと無線班は……特にはないかな」
カエサル「うむ」
優花里「校内戦ですとそうなりますねぇ」
沙織「38(t)ちゃんの機嫌がいいかの確認だけかな。しばらく動かしてあげてないから」ウーン
みほ「それから……華さん、申し訳ないけれど、今月の予算に少し追加かな」
華「ふふ、分かりました。みなさん、必要経費は早めに申し出てくださいね」
一同「はーい」
みほ「それじゃあ、幹部ミーティングを終わります」
一同「お疲れ様でしたー!」
・
・
・
スタスタスタ
澤「(私が隊長なんて……)」
「(意識を変えろとは言われていたけれど、まさかいきなり……うぅ、私なんかが磯辺副隊長やナカジマさんに、指示を出していいのかな……)」
「(ねこにゃー先輩はいまだにちょっと掴めないところがあるし……相手はあのカエサル先輩に、隊長に元会長もいるよ~……とてもじゃないけど私なんかじゃ)」
「え?」
澤「紗希、待っててくれたの?」
丸山「………」コクコク
澤「遅くなるから先に帰っててって言ったのに……」
丸山「………」フルフル
澤「もう、紗希ったら本当に……ううん、ありがとう」ニコッ
丸山「……?」
澤「ううん、なんでもないよ! ちょっと幹部ミーティングでね」
丸山「……??」
澤「次の日曜日、紅白戦をするらしいんだけどね、白チームの隊長に選ばれちゃった」
丸山「……!」キラキラ
澤「でも私なんかじゃとてもじゃないけど……」
丸山「……! ……!」プンプン
澤「え、ええ、何??」アセッ
丸山「……!!」スッ
ギュッ
澤「あ……」
ブンブン
澤「わわ、紗希、そんなに振り回したら痛いよ~」アハハ
丸山「………」ムー
澤「あはは、そだね、ごめんね、紗希。弱気になってたね」
丸山「……♪」ニコッ
澤「(やるだけやってみる。廃校がかかってるわけじゃない。それにこれはスポーツなんだ)」
「(勝つために全力を尽くすことに意味があるんだ……! 責任を取り違えちゃダメ!)」
「やるだけやってみる。西住隊長からの期待だもん!」
紗希「……♪」パアァ
澤「(そして、こんなにも応援してくれる、紗希がいるんだから……!)」
・
・
・
当日
みほ「角谷先輩! 河嶋先輩! 小山先輩! お久しぶりです!!」
杏「西住ちゃーん、久しぶり~」モグモグ
「んにゃ……“会長”とお呼びしたほうがいいかな?」ニヤニヤ
みほ「そんな/// 普通に読んでください///」
桃「私たちがいなくなって、たるんではいないだろうな。生徒会業務に戦車道、どちらも疎かにしたら承知せんぞ!」キリッ
柚子「たぶん桃ちゃんよりはうまくこなせてると思うけど……」
桃「なんだとぉ! もういっぺん言ってみろ!」ギャーギャー
杏「はいはい、そこうっさいよ。もうOGなんだから、どっしり構えてよね~」モキュモキュ
みほ「あはは……今日は練習にお付き合い頂き、本当にありがとうございます」
杏「いいっていいって~、受験終わってヒマだったからさ~」ヒラヒラ
河嶋「なんならこれからの練習に参加してやってもいいぞ」キリッ
みほ「本当ですか?! それはぜひお願いしたいです!」グッ
河嶋「な!? ま、まあ、西住がそこまで言うなら、考えてやってもいいが……//////」
杏「ははは、予想外の返事されて、照れてやんの」ニヤニヤ
みほ「正直なところまだまだ人数が少ないですから; 普段の練習で指導してくださる方がいるのは助かるんです」
柚子「へぇ~、だったら私は全然構わないよ。戦車道のみんなといられるなら、楽しいしね」
杏「ふ~ん、じゃ、あたしも付き合ったげてもいいよ」モグモグ
みほ「うわ~、ありがとうございます! ……先輩たちとまだ一緒にいられると思うと、それだけでも嬉しいです……はい///」
杏「可愛いこと言ってくれんね~。なー、河嶋」ニヒヒ
桃「ど、どうして私に振るんですか!///」
杏「べっつに~」ニヤニャ
みほ「///……それでは今日の説明に入ります」
「形式は殲滅戦。校内4チームずつの紅白戦になります」
「目的は指揮官育成。先輩方に所属して頂く紅チームは、カエサルさんの指揮になります」
杏「へ~、そりゃ楽しみだ」モキュモキュ
みほ「あ、ちょうど来たようです。作戦の内容については、カエサルさんからお願いします」
カエサル「先輩方、お久しぶりです」
杏「あーあー、いいよいいよ、私たちは気にせず始めちゃって」フリフリ
カエサル「では、皆揃っているようなので」
「ごほん。皆聞いてくれ。こちらにとって最大の脅威は、ポルシェ・ティーガーの装甲だ。
おそらくこちらの砲で、正面から貫徹できるのはⅣ号とⅢ突、それもⅣ号の場合かなりの接近が必要となるだろう」
「だからこのティーガーをまず叩く! おそらく相手チームは、ティーガーを先頭に立ててこちらを押して来るだろうが、これを早期に発見。
遅滞戦術で引きつけているうちに、隙を見てⅢ突で撃破する!」
「偵察についてはカメチームにお願いしたい。縦横無尽に動いて、ティーガーを見つけて頂きたい」
桃「心得た」キリッ
カエサル「発見の後、アンコウチームとカモチームは現場に急行。カメチームと連携する形で戦列を形成、敵を足止めしてほしい。
しかし正面から撃ちかかって勝てる相手ではない。無理な交戦は控えるように」
みほ「了解しました」
そど子「了解したわ」
カエサル「Ⅲ突は射撃ポイントに移動。ティーガーを撃破する。その後はⅢ突を起点としてカメチームを先頭とした一翼包囲戦術で敵を撃滅する!」
左衛門佐「鶴翼の陣というわけだな」
おりょう「虎狩りの時間ぜよ」
エルヴィン「ふふ……自分たちの戦場は、自分たちで演出する」ドヤッ
カエサル「以上の作戦をカンネー作戦とする!」
「次にこの地図を見て欲しい、予想される会敵地点は……」
優花里「(西住殿、西住殿)」ヒソヒソ
みほ「(ん、どうしたの、優花里さん?)」コソコソ
優花里「(カエサル殿の作戦、どうなんでしょうか?)」ヒソヒソ
みほ「(ん……目的がはっきりしていて、地形にも彼我戦力にも配慮されたいい作戦立てだと思うよ。ただ……)」コソコソ
優花里「(ただ?)」ヒソヒソ
みほ「(相手だって勝てる作戦を考えてるはずだよ)」
澤「相手チームの狙いは、ポルシェ・ティーガーの撃破にあるはずです!」
「ポルシェ・ティーガーの装甲を破らない限り、相手チームに勝ちはありません。そしてそのポルシェ・ティーガーを撃破するためには、Ⅲ突による攻撃が必要です」
「そして私たちの優先目標も、Ⅲ突の撃破です。Ⅲ突を撃破さえすれば、後はティーガーの前面装甲と火力で敵を圧迫できます」
ナカジマ「うんうん、硬さだけは本当だからねー」
澤「なのでまず、ティーガーを囮に使います」
ナカジマ「うえ!?」
澤「戦場のややこちら側の中心に、大きな岩が存在し、少し凹んだ守りに適した場所があります。ティーガーはここに直行。相手に発見させます」
「相手チームの車両が集まってきたところで、こちら側も3式を前進。後方からのM3 Leeの支援も含めて、戦列を形成します」
「またこのとき、八九式も一度だけ戦列に参加し、その後離れた位置に潜んでいてください」
典子「お、狙いが分かってきたぞ。了解した」
澤「相手チームはそこで三突を投入して、ティーガーの撃破を図るはずです。そこに八九式は突撃。格闘戦に持ち込んでこれを撃破してください」
「そのまま八九式は後方撹乱。それ以外の車両はティーガーを中心に戦列を押し上げて、相手側を殲滅します」
ねこにゃー「おおぉ、キャンプに見せかけた機動戦。そして三突をNDK」
ももがー「このくらい作戦会議できたらいいのにねー」
ぴよたん「noobもこれならでませんしー」
澤「Ⅲ突の撃破に成功すれば、相手チームの火力をそげるだけでなく、指揮官撃破でかなり優位に立てます」
「しかし相手チームには隊長、それに前副隊長の河嶋先輩もいます。最後まで油断しないようお願いします!」
ナカジマ「はいよー。盾役頑張るよ~」
ツチヤ「私はもっと走り回りたいなー」
スズキ「そんなことしたらまた燃えちゃうよ」アッハッハ
ホシノ「そりゃ勘弁だな」ハッハッハ
澤「それでは地図を見ながら具体的な動きの説明に移ります……」
・
・
・
スタート位置
澤「開始まであと3分だね。優季ちゃん、タイムキーピングお願い」
宇津木「う、うん……」
あゆみ「………」ソワソワ
澤「(やれることは全てやった。後は試すだけ)」
「(だけどカエサル先輩を破ったとして、相手チームには西住隊長も河嶋先輩もいる)」
「(そう簡単には、いかないかな……)」グッ
丸山「………」ジー
「………」グッ
ギュッ
澤「あれ、手を……紗希?」
丸山「………!」
桂里奈「さ、澤ちゃん!」
澤「え?! あ、なにかな?」
桂里奈「わたし! 澤ちゃんが行けっていったとこなら、すぐ行く! 全速力で行くよ!」
あゆみ「わ、私も、どんな目標だって当ててみせるから!」
あや「私も!」
宇津木「わ、私だって、澤ちゃんが忙しい時は、きちんと無線で情報交換するよぉ!」
丸山「………」ジー
澤「みんな……」
「(そっか、私だけが頑張らなきゃいけないわけじゃないんだ)」
「(みんなが居るから、みんなと一緒なら、大丈夫……!)」
澤「うん、勝とう! みんなで!」
宇津木「時間まであと10秒だよぉ」
澤「(全力を出して……勝とう!)」
宇津木「試合開始時刻だよ!」
澤<<試合開始時刻です! 全車、パンツァー・フォー!>>
・
・
・
<<こちら指揮車、試合開始だ! 予定通りカメチームは斥候を頼む。それ以外の車両は予定ポイントに移動開始!>>
優花里「はじまりましたねぇ」ワクワク
みほ「うん。麻子さん、予定ポイントに移動開始。随伴のカモさんチームと離れ過ぎないよう注意してください」
麻子「分かった」ガコッ
キュラキュラキュラ……
華「あのぉ、予定ではⅢ突でティーガー撃破となっていますが、Ⅳ号ではそれは厳しいのでしょうか?」ハテ
みほ「う~ん……できないこともないけど、ちょっとだけ博打かな」
優花里「ポルシェ・ティーガの正面装甲は100mmなんですが、それは基本スペックで、被弾を受けやすい部分は200mmまで補強されているんです」
「通常装甲部分を狙うか、砲塔正面の防盾のない部分を狙えば、運が良ければ貫通判定がでるでしょうが……かなりの精度が必要とされます」
重隅申し訳ないが
ソド子ナカジマツチヤカワシマぴよたんも三年生じゃなかったっけ
みほ「火力にしろ精度にしろ、接近しないとダメだから、重戦車相手にはほとんど特攻かも……」タラッ
沙織「うぅ、そんなドキドキは嫌だよぉ」ズーン
麻子「私は構わないぞ」
みほ「あはは、いざとなったらそれもありかもね。でもとりあえず、カエサルさんの作戦通り行こう」ニコッ
「(うーん、ただこの展開だと……)」
ザ、ザザッ
<<こちらカメチーム、現在F5地点、いまだ敵車発見ならず>>
<<指揮車了解。全車予定会敵ポイントを西に2つ修正。前進>>
>>54
マジだ、どうしよう……
とりあえず見逃してくれm(__)m
>>58
いやこちらこそ水差してスマン
気にせず続けてくれ
優花里「出てきませんねぇ」
華「予想ではティーガーを先頭にして突入してくるはずでしたが」
みほ「うん、アンブッシュするみたいだね」
優花里「判断としてはどうなんでしょうか?」
みほ「基本的に待ち伏せは有利な作戦だよ。だけど今回の紅白戦は、ある程度会敵地点が絞られるし、効果は薄いかな」
「それより足を止めてしまうと、それだけ包囲される危険が増すしね。ティーガーをプッシュに使わないのは、ちょっともったいないかな」
優花里「なるほど! 機動力を活かしてこその戦車ですものねぇ」キラキラ
みほ「(そう、それが定石。だからこれは、澤ちゃんの判断ミスなのか、それとも……)」
>>60
助かるorz
ザッ
<<こちらカメチーム! C6地点にて敵車発見! ティーガーと確認!>>
<<指揮車了解! 全車、作戦行動を開始せよ!>>
優花里「お、始まりましたねぇ」ワクワク
みほ「よし。麻子さん、D4地点に向かって全速前進。車体を隠しながら敵車を伺える地点を探します」
麻子「了解」ガコンッ
みほ「(さて、どうなるかな……)」
・
・
・
<<こちらレオチーム、発見されたぞ~。車両は38(t)。交戦を避けて後退していった。現在は姿を確認できず>>
澤「了解です! 各車、予定通り行動お願いします!」
<<アリクイチーム了解……レオポンの後ろに付きます>>
<<アヒルチーム了解! これより敵に陽動をかけた後、後退して身を隠す!>>
澤「そちらも了解です! 各車、Ⅲ突が突出してくるまで回避を最優先してください」
あゆみ「は、始まった……」ゴクリ
澤「桂里奈ちゃん、位置はこのまま。だけど狙われたらすぐに後退するから準備してて」
桂里奈「は、はいぃ!」グッ
澤「あやちゃんは砲撃準備。相手チームの車両が見えたらすぐに発砲するよ。Leeが後方から狙っていることを印象づけて!」
あや「了解でーす!」
澤「さあ、頑張って勝つよ!」キッ
一同「おー!」
<<こちらアヒルチーム! Ⅳ号とB1を発見!>>
・
・
・
<<こちらアンコウチーム。ティーガーと三式を発見。位置は変わっていない模様>>
<<こちらカモチーム。八九式も発見。こちらに発砲、被弾するも損害な……! ……再び発砲音。敵車の後方にM3が控えている模様。姿は確認できず!>>
カエサル「指揮車了解だ。無理に頭を出さず、敵を引きつけておいてくれ」
<<了解!>>
カエサル「(さて、状況の整理だ。相手チームは前方の窪地に立て篭もっているらしい。この窪地は大きな岩がいくつかあって身を隠しやすい。後方からM3も狙っている状況で、正面から行くのは難しいか……)」
「(包囲する? いや、頭を出した瞬間にティーガーに狙い撃ちされたら一発だ。あまりにリスクが大きい……)」
「(そうだ! あの窪地なら東南の丘に登れば射線が通るはず。3両で敵を引き付けつつ、Ⅲ突で狙い撃てば)」
カエサル「エルヴィン、E7地点に移動してくれ。窪地に立てこもる相手チームの、まずティーガーを叩く! そのまま全車で突撃して完全勝利だ!」キリッ
エルヴィン「よしっ、心得た! おりょう、E7地点に全速前進。敵車に発見されたら後退するから気を抜くなよ! 左衛門佐、一発で仕留めるぞ!」
おりょう「了解ぜよ」ガコンッ
左衛門佐「ふっ、さながら那須与一の扇の的だな!」ドヤッ
一同「それだっ!」ビシッ
カエサル「(今のところこちらの作戦通りだ。澤のやつには悪いが、一気に決めさせてもらう。賽は投げられたのだ!)」
・
・
<<こちらレオチーム。3両の波状攻撃を受けてるぞ~。ちょっと反撃は厳しそうだ~>>
<<ア、アリクイチーム……岩から頭を出すのは厳しいです……反撃できず>>
(<<SOS! SOS!>>)
(<<fail team is fail!>>)
澤「(アリクイさんチーム、混乱してる?)了解です。とにかく守りに徹してください」
あゆみ「照準よし!」
澤「撃て!」
ズカッァァァァン!
あゆみ「……! ごめん! 外した……」
澤「ううん、相手を萎縮させれば十分だよ。装填がんばって!」
丸山「………」ゴソゴソ……グイッ グッ……サッ ガコンッ
澤「発砲待機。無理して撃たなくてもいいからね。当たりそうな時だけ教えて」
あゆみ「了解!」
あや「了解!」
澤「(さて、今のところ作戦通り……3両は互いに近い距離のまま、緩い包囲陣形を取っている。この状況でⅢ突が来るとしたら……)」
<<こちらアヒルチームだ。澤、ちょっといいか>>
澤「は、はい、なんでしょう副隊長」
<<呼称が……まあいい。E7地点にティーガーをうまく撃ち下ろせそうな起伏がある。確認できるか?>>
澤「ええと……はい、確認できます!」ゴソゴソ バサッ
<<私の予想では、Ⅲ突はここから狙撃を狙うと思う。許可を貰えれば私たちは付近に潜むがどうだ?>>
澤「(確かに、ちょっと距離のある位置だけど、Ⅲ突なら十分に狙撃可能。なによりこちらから発見するのは、第一射を受けた後になる可能性が濃厚)」
「(でも外れたら……ううん、それならLeeをⅢ突に当てればいい。八九式の足ならすぐに戻ってこられるし)」
澤「はい、了解です。アヒルチームは当該地点に急行。任意の判断で三突を撃破してください。ただし、三突が別の地点にあらわれることも考慮して、移動の可能性を意識しておいてください」
<<了解した! それでは当該地点に向かう! (よし河西、視界が開けた位置を避けて、大回りで……)>>
澤「(さあこれが吉と出るか凶と出るか……どっちに出ても対応を間違えなければ、すぐに負けるわけじゃない!)」
あや「目標Ⅳ号……照準よし!」
澤「撃て!」
ガッァァァァン
あや「うぅ、当たらないー」ウゥ
あゆみ「主砲、右に可動範囲外!」
澤「了解。桂里奈ちゃん、車体右に修正5度」
桂里奈「あいー!」ガコッ
宇津木「アリクイさんチーム、被弾したそうです。損害は軽微。えっ……ね、ねこにゃーさん、落ち着いて下さいぃ~」アセッ
「アリクイさんチーム、混乱している模様です!」
澤「了解! ねこにゃーさん、聞こえますか……」
・
・
・
キュラキュラキュラキュラ……
おりょう「もうすぐ指定ポイントぜよ」
エルヴィン「クックッ……勝利の時は近いな」ニヤッ
カエサル「それにしても不整地でもかなりの快速だな」
エルヴィン「Ⅲ突は出力重量比が高いからな。そもそも快速のⅣ号の砲塔を外しているのだ。機動性が低いわけがない」ドヤッ
左衛門佐「おっと、高精度高威力の主砲を忘れてもらっても困るぞ」
カエサル「まさに皇帝がごとき戦車だな」キリッ
一同「ハッハッハッハッ」ドヤガオタカワライ
おりょう「ポイントぜよ」ガコンッ
エルヴィン「よし、そうだな……10m先の茂みに潜ってくれ、そこからティーガーの方へと車体を修正。発砲用意!」
おりょう「了解ぜよ」
左衛門佐「了解!」
キュラ、キュラ、キュラ……
カエサル「(ふふふ、勝負は決したようだな。いざルビコンを渡るとき……!)」
おりょう「視界はどうぜよ?」
左衛門佐「この位置なら大丈夫だ」
エルヴィン「よし。気づかれた様子はないな……撃つぞ!」
左衛門佐「……照準いいぞ!」
エルヴィン「ようし撃……」
八九式 グワッ、キュラキュララララ!
エルヴィン「なんだとぉ!」クワッ
八九式 ガッァァァァァン
Ⅲ突 ガギィィン! ズッカッァァァァン
左衛門佐「くそっ、外したぞ!」アセッ
八九式 キュラキュラ ググッ キュラキュラキュラララ
エルヴィン「左旋回! 車両状況報告! 装填急げ!」
おりょう「車体に異常は確認できないぜよ」グッ、ガコッ
左衛門佐「砲の稼働に異常! 変形しているかもしれん!」
エルヴィン「格闘戦だ! こちらも左回りに前進! 後ろを取られるな!」
おりょう「くっ、きついぜよ」ガコンッ
カエサル「(読まれていた?! 全体として対応すべき策は…?)」ゴソゴソ グッ
「(くそっ、装填しながらだと頭が回らない)」スッ グイッ ガコンッ
カエサル「装填完了!」
「……そうだ! 38(t)に救援を」
エルヴィン「そうだな、いくらⅢ突の機動性が高くとも、砲塔がなければ うわっ!」フラッ
八九式 ガッァァァァン!!
エルヴィン「側面か?! なんとか弾いたらしいが……左衛門佐!」
左衛門佐「駄目だ! 旋回が追いつかない」
おりょう「これ以上は無理ぜよ」
エルヴィン「くっ……フェイントかけて後退だ! とにかく一瞬でも相手を射界にいれろ! 任意に発砲して構わん!」
Ⅲ突 グッ グッ キュラ……ギュラギュラギュラ
エルヴィン「ようし、今だ撃てぇ!」
Ⅲ突 ズッカッァァァァァン!!
左衛門佐「だ、駄目だ、照準に不良。何発か撃たないと修正できないぞ!」サー
エルヴィン「くそうっ」ガンッ
カエサル「(ここまでか)」
八九式 ガッァァァァン !!
Ⅲ突 ガンッ シュバッ【白旗】
エルヴィン「カバチーム行動不能!」
カエサル「すまないっ。……西住隊長、後を頼みます」
・
・
・
<<西住隊長、後を頼みます>>
みほ「了解です。全車、こちらアンコウ、これより指揮を引き継ぎます」
「カメチーム、E7ポイントへ急行。八九式の撃破にあたって下さい」
「カモチーム、これよりアンコウはティーガーに対して格闘戦をしかけます。それへの支援、特に三式に集中して攻撃を行なって下さい」
<<カメチーム了解!>>
<<カモチーム了解しました!>>
みほ「みんな聞いてください。このままだと戦力差に押し切られて負けます。だからちょっと賭けになっちゃうけど、窪地に突入してティーガーの撃破を狙います」
優花里「………」ゴクリッ
みほ「稜線に一度顔を出し、3秒後に後退。敵の発砲を確認したのち突撃です」
「窪地に降りたらティーガーと三式の中央を突破して、すれ違いざまにティーガーに発砲。停車できないけれど……華さん、お願い」
華「分かりました」
みほ「撃破の成功如何に関わらず、中央を突破後は右回りに前進を続けて、ティーガーを撃破しているならその影に隠れて三式へ攻撃」
「そうでない場合は回りこむ途中でフェイントをかけて反転。ティーガーの背中を狙います。麻子さん、今ので伝わったかな?」
麻子「大丈夫だ」
みほ「沙織ちゃんは今の件をカモチームに伝達お願いします。それじゃあ、パンツァー・フォー!」グッ
一同「了解!」
・
・
・
<<こちらアヒルチーム。Ⅲ突を撃破したぞ!>>
澤「了解です。そのまま後方撹乱をお願いします」
<<了解!>>
<<レオチーム、前進開始するぞ~>>
<<アリクイチーム……レオチームに続きます……>>
澤「了解です。気をつけてお願いします」
あゆみ「や、やった。このままいけば勝てそうだよ!」グッ
宇津木「だねぇ~、澤ちゃんの作戦どおりだよぉ~」キラキラ
澤「まだ油断しちゃダメ。相手にはⅣ号が残ってるんだから。……桂里奈ちゃん、窪地を南から迂回するように前進。相手チームを半包囲するよ!」
桂里奈「わ、わかりましたー!」ガコンッ
あや「敵と遭遇したら即発砲?」
澤「ううん、状況を見てから。Ⅳ号にしろB1にしろ、どこを撃っても貫通できるわけじゃないから」
あゆみ・あや「了解!」
丸山「………」ボー
澤「(でも今のところ優勢なのは事実。後はレオポンチームを前に立てて、Ⅳ号に格闘戦をしかけられないようにさえすれば……)」
<<Ⅳ号発見! 窪地への頭出し射撃を続けるらしいぞ>>
<<アリクイチーム……ティーガーに随伴します>>
<<おぉ~、離れすぎんなよ~。攻めてきたら隠れていいからな~>>
澤「(防ぐべきは格闘戦?! しまった、なら当然西住隊長は……!)」
<<Ⅳ号再び目……わっ、突っ込んできたぞ!>>
澤「桂里奈ちゃん、急速反転! 窪地へ射撃可能な位置へ急いで!」
・
・
・
Ⅳ号 キュララッッララララ
みほ「装填時間があるから落ち着いて、駆け抜けざまに発砲!」
華「撃ちます!」
Ⅳ号 ズカッァァァァァァァン!!
みほ「命中! ……撃破に至らず! 麻子さん、ティーガーの左側面に回り込んで!」
麻子「分かってる」ガコッ
Ⅳ号 キュラキュラキュラ
TigarP ズッカッァァァァァァン!!
みほ「(撃ってきた、でも外れた!)合図でティーガーを壁にしながら反転。ティーガーの背面を狙える位置で停車!」
沙織「カメさんチームから入電。八九式と交戦中だそうです!」
みほ「了解です。沙織さん、カモさんチームへ状況の連絡をお願いします」
沙織「了解したよ!」
みほ「………反転!」
麻子「了解」ガコンッ
Ⅳ号 グッ ガ キュラキュラキュラ
優花里「装填完了!」ガコンッ
みほ「華さん!」
華「分かりました……発射!」
Ⅳ号 ズカッァァァァァァン!!
TigarP ギィン シュバッ【白旗】
・
・
・
<<こちらレオチーム、すまん、撃破されたぞ~>>
(<<あっちゃ~、エンジンいったなぁ、今日も修理が大変そうだ>>)
(<<履帯ふっ飛ばされるよか楽だろう。たぶん判定大破でエンジン本体は無事だろうし>>)
(<<ははっ、違いない>>)
<<アリクイチーム……Ⅳ号を捉えました。射撃開始>>
三式 ダッァァァァァァン!!
<<命中せず……Ⅳ号は一度距離を取ろうとし……>>ザァァァッ
B1 ダッァァァァァァン!!
三式 ガァン シュバッ【白旗】
<<くっ……被弾に付き行動不能。申し訳ない……>>
(<<***!>>)
(<<****!>>)
澤「(い、一瞬にして2両が……いやだめ、落ち着かないと。Ⅳ号は……退却中で撃てない。なら!)」
「あゆみちゃん、前方のB1に向けて砲撃! 側面だから当たれば撃破できるよ。真ん中を狙って!」
あゆみ「わかった」タラッ
澤「停車!」
桂里奈「あいっ!」ガコンッ
あゆみ「………照準よし!」
澤「撃てぇー!」
M3 Lee ズカッァァァァァァン
B1 ガァンッ シュバッ【白旗】
澤「こちらウザギチーム。B1を撃破しました!」
<<アヒルチーム! こちらも38(t)を撃破した! すぐそちらに向かう!>>
澤「(2対1。それも挟撃できる配置……ならⅣ号は? ……だめ、このままじゃ各個撃破される!)」
「アヒルチーム、隠れてください! Ⅳ号がそちらに向かった可能性があります」
<<ん、そうか……特にそんな様子もないが……うわっ!>>
澤「典子さん?!」
<<……アヒルチーム行動不能だ! くそっ、すまんっ!>>
澤「(そんな……Ⅳ号とLeeじゃ性能に差がありすぎる。こんなにも一気に……)」
丸山「………」
あゆみ「………くっ」
あや「えっと……」
桂里奈「………」
宇津木「どうすればぁ~……」
澤「(みんながこっちを見てる……でもごめんね。もう私にはどうすることもできない……)」
「(全力で戦えばOK? でも負けは見えてる。そんな勝負にみんなを付き合わせるの?)」
「(こんなとき、西住隊長だったら)」
「(そう、西住隊長だったら)」
「(……違う、隊長だったら!)」
澤「みんな聞いて!」
一同「!」
澤「嘘は言わない。戦況はかなり苦しい状況だよ。でも考えてみて。この状況はこないだの組手の時と同じ」
「あのとき隊長は、勝負は分からなかったって言ったよね。そのくらい私たちは、ちゃんと力を発揮できる車両なんだよ!」
「今日の作戦だってうまくいった。私たちは負けと分かった勝負をしたわけじゃなかったの。ちゃんと勝てるチームで、そして勝負はまだ分からないの」
「……私たちは指揮車だから、そんな勝負を最後まで勝ちに引っ張れる力があるの! 気合を入れて! 私たちはこのチームの指揮車なんだから!」
桂里奈「う、お、うぉぉぉぉ!」グッ
あゆみ「そうだね! 私たちが頑張らなくて、誰が頑張るんだってことだよね!」
あや「もう私たちだって、Ⅰ人前だもんね!」
宇津木「先輩たちに勝てないなんて、ありえないわけじゃないよね!」
丸山「………」グッ
澤「さあみんな、いくよ、Ⅳ号を追撃して、パンツァー・フォー!」
一同「おー!」
連投規制初経験だった……
スレ残してくれた人ほんとありがとう
・
・
・
優花里「まるで脚本が設定されていたかのような逆転でしたねぇ」シミジミ
みほ「ちょっと出来過ぎだね。ティーガーに返り討ちに合わないか分の悪い賭けだったし、三式の支援射撃を受けずに済んだのもほとんど運。なんどもうまくいく流れじゃないよ」
華「そこはやはり、まだまだ練度の差があるのでしょうか?」
みほ「う~ん、そうかも。落ち着いて対処されていたら、かなり不利だったし……。どうしても公式戦の経験については、差があるから……」
「これからは紅白戦や練習試合を多めに組んで、実戦形式の練習を増やす必要があるのかな」
沙織「その点最後に残ったウサギさんチームは、練度もバッチリだね」
みほ「うん、油断しないように行こう」
麻子「それで、どこに行けばいい? 攻めるのか?」
みほ「ええっと……ううん、F5地点に向かってください。そこで相手を待ち伏せします」
麻子「分かった」ガコンッ
優花里「こちらから仕掛けないんですか? Lee相手なら機動力でかなり有利に立ち回れますが」キョトン
みほ「うん、けれど不意打ちを受ける可能性も残るから、リスクは避けたいかな。F5地点は丘の影に隠れて左右が開けた場所だし、奇襲を受けることはあり得ない」
「それにこの間の組手で、ウサギさんチームに勝った場所だし、縁起もいいかなって」
優花里「なるほど、実績があるポイントということですね! さすが西住殿です!」
みほ「えへへ……対したことないよ//」
「………」
「(無理に正面から挑む必要はない。先に発見さえ出来れば、確実に勝てる……澤ちゃん、この試合勝ちに行かせてもらうよ!)」
麻子「着いたぞ」ガコンッ
みほ「ありがとう。それじゃあ前方の茂みの中に隠れて下さい。車体は丘の向かって右外縁に対して正対、少し11時方向に傾けて」
優花里「Leeは丘を左回りに迂回してくるという予想ですか?」
みほ「うん、澤ちゃんはきっとそうしてくるはず」
華「ですが、右回りに来られた時に困るのでは?」ハテ
みほ「その場合は急速前進。そのままM3の脇腹を突いて、一気に勝負を決めるよ」
沙織「澤ちゃん勉強熱心だもんね。左回りで来るの分かる気がする」
優花里「むむむ……心理戦ですね。気を引き締めていきましょう」グッ
みほ「うん! 焦れて集中力を切らしたほうが負けだから、もう少し頑張ろ~!」
・
・
・
M3 Lee
あゆみ「来ない、ね……」フウ
宇津木「う、うん……」ドキドキ
桂里奈「うぅ……」ググッ
澤「………」
「(D5地点……正面に丘があって、左右は開けた地勢。ここなら待ち伏せに最適だけど、相手も同じ事を考えているということなのかな。……なにより、この場所は西住隊長と組手をして負けた地点)」
「(条件が同じなら結果も同じく繰り返される……軍事から発祥した戦車道だからこそ、その法則は強く現れる。どうすれば)」
「(条件を変える? かといって回りこむことはできない。もちろん援軍もありえない)」
あや「うぅ……寒いのに汗が」タラリ
丸山「………」フキフキ
澤「(みんなの緊張も限界か……これ以上待って速攻を受けたら、間違いなく圧倒される。だったら……)」
「(考えろ。相手は何をいま考えているのか。こちらの飛び出し撃ちに無駄弾を撃たないようにしよう? Leeは主砲を向けるのに時間がかかるから、落ち着いて攻撃しよう?)」
「(最適解は……Leeは右の方に視界が開けるのが早いから、左回りで丘を迂回すること……!)」
丸山「………」ジッ
澤「………」
「……みんな、作戦を説明するよ」
・
・
・
みほ「10分経過、か……みんな、大丈夫かな?」
沙織「私は全然へーきだよ~」ヒラヒラ
麻子「沙織は無線手だからだろ?」
沙織「ひっどーい! 私だって緊張してるんだからね!」プンスカ
麻子「通信相手もいなくなった状況で、何を緊張する?」
沙織「ええっとそれはぁー……機銃手とか?」ハテナ?
麻子「いくらM3でも貫通しないぞ……」
華「ふふ、やっぱり2人は仲がよろしいですね」ニッコリ
優花里「私も集中力に関しては全く問題ありません! むしろ戦車に乗って、これ以上無い安らぎ空間です!」パァァ
みほ「あはは、みんなまだまだ耐えられそうだね」
「(やっぱりこのあたり、みんなベテランだな。士気の低下に関しては問題無さそう)」
「(ウサギさんチームの練度が低いわけじゃないけど、限界は先に訪れるはず……そろそろかな)」カチャリ
みほ「………」ジー
沙織「あぁ~……キューポラが開いただけで涼しい感じがする~」パタパタ
華「まだまだ寒い季節ですけど、こうも密閉されていると、湿気はこもりますものね」
優花里「むしろ砲塔側は寒いですよぉ。私も車体の方に……」ブルブル
みほ「しっ、静かに……」
「(駆動音!……近づいてくる。……あれっ、これは…!)」
M3 Lee グワッ ギュラララララララ!!
みほ「左から!? 敵車、9時の方向! 全速前進、側面に回りこんで!」ガチャン
優花里「あわわ……」
麻子「了解」ガコンッ
Ⅳ号 グッ キュラキュラキュラ
みほ「(裏を書かれた!? でも機動力はこちらの方が上、格闘戦に持ち込めば問題なく勝てる!)」
華「照準合わせます!」
みほ「(M3は……あれ、旋回しない?! 丘を抜けた勢いでそのまま直進して……副砲塔がもうこっちに向いてある!)」
みほ「て、停車!」
麻子「くっ」ガッ
Ⅳ号 ザザッァァ
沙織「イテテ……」
みほ「な、撃って来なかった?! 癖を読まれた?!」
華「しょ、照準よし!」
みほ「撃て!」
M3 ダッァァァァァァァン!!
Ⅳ号 ズカッァァァァァァン!! ギィンッ!
・
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Ⅳ号 シュバッ【白旗】
優花里「な……」アゼン
みほ「砲塔に直撃……か、最後に運がなかった……ううん、ここまでよく戦えたほうかな」
沙織「ほえ~……」ポー
華「……やられましたね」
麻子「そうだな」
みほ「うん」
沙織「……ある意味、目的達成?」
みほ「……うん!」ニコッ
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