【ガルパン】しほ「今日は母の日…」菊代「楽しみなんですか?」 (16)

母の日ということで、しほさんのSSです。

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しほ「ええ、まあ。だけどまほはドイツにいるし、みほとはまだギクシャクしてるし、期待はしてないわ。それよりも昔のことを思い出してたの」

菊代「昔、ですか」

しほ「そ。みほが高校に上がる前までの、母の日のプレゼント」

菊代「あー、みほお嬢様が活発でイタズラ好きだった頃の」

しほ「忘れもしないわ、初めてプレゼントを貰ったときのことは。みほはまだ小学校の一年生だったわね」

……
…………


しほ『さーて、家事終わり終わり……あら?』

手紙『おかあちんへ! ははのひのプレゼントです! みほ』

しほ『みほったら……。「さ」と「ち」を間違えてるじゃない。いやめっちゃ嬉しいけど』ホロリ

しほ『……で、プレゼントってこれ?』


箱『』チョコン


しほ『他になにもないし、この箱がそうよねぇ。綺麗な石とかかしら?』パカッ


カマキリの群れ『おいすー』ウゾッ


しほ『』

カマキリの群れ『おーい俺たち自由になったぜー!』ワラワラ『ありがとなおばさん!』ウゾウゾ『サンキュー!』キシキシ


ギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!


…………
……

菊代「あっはっはっはっは! ありましたねえそんなこと!」

しほ「笑い事じゃないわよ……。悲鳴に心配したお隣の佐藤さんなんか、警察まで呼んじゃったのよ? ほんと一生分は恥かいた」

菊代「まあ、カマキリはみほお嬢様にとって宝物だったんでしょうねぇ。プレゼントとして成立するつもりだったのでは」

しほ「私にとってはただの虫でしかないわよ……」

菊代「あの後どうなったんでしたっけ」

しほ「母の日のプレゼントについてはちゃんとお礼を言って、そのあと拳骨をくれてやったわ。そしたら、何をどう解釈したのか翌年はカブトムシの幼虫詰め合わせをプレゼントされた。また悲鳴をあげたら佐藤さんに通報されて、ほんと恥ずかしかった」

菊代「あーそうでした。一生分の恥も二回目ですね。ところで、まほお嬢様からは何かいただいたのですか?」

しほ「カーネーションだったわ」

しほ「んで、みほが三年生のときは確か……」

……
…………


手紙『お母さんへ! 母の目のプレゼントです! みほ』

しほ『へえ、さとちの区別がついてるし漢字も入ってるじゃない。日じゃなくて目になってるけど』

しほ『さて、今年はなにが飛び出してくるのか……』

しほ『……なむさん』パカッ


クッキーたくさん『よっす』


しほ『……あら、お菓子。ちょっと形は不細工だけど、ちゃんとクッキーじゃない』

しほ『菊代に監督してもらったならもっときちんとした形になるはずだし、一人で勝手にやったわねこれは。まったく、お説教しないと』

しほ『でもすごく嬉しいわ、みほ』ホロリ

しほ『じゃあさっそく、いただきます』ムシャリ


モグ…モグ…


しほ『なるほど、これは……なんというか……。不自然なほどに香ばしくて、というかこれ小麦の香ばしさじゃないような気がするしなぜか脂汗が止まらな……』ダラダラダラ

ポトリ


ミギャーーーーーーーーーーーー!!!!!!


…………
……

菊代「あっはっはっはっは! ありましたねえそんなこと!」

しほ「笑い事じゃないわよ……。砂糖と塩ってのは鉄板だけど、ふつう砂糖とコショウなんて間違える? 辛さでもだえ苦しんでたら佐藤さんが呼んだお巡りさんに心配されちゃったし。酷い目に遭ったわ」

菊代「おまけに『え、お砂糖って入れれば入れるだけおいしくなるんじゃないの?』ですからねぇ。後から聞いたらほんと、ドン引きする量突っ込んでましたし。コショウじゃなくて砂糖でもヒサンなことにはなっていたかと」

しほ「あの子の手料理を食べるのが夢だったけど、そんなことしたら間違いなく早死にしてたわね」

菊代「あの後どうなったんでしたっけ」

しほ「クッキーについてはちゃんと褒めて、そのあと頭グリグリをくれてやったわ。で、翌年に貴方の監修のもとでちゃんとしたの作ったはいいけど、我慢できなくてほとんどつまみ食いしちゃったみたい。箱を開けたらクッキー1枚だけってのは新手の嫌がらせかと思ったわ」

菊代「そうなんですか(そういえば私も八枚ほどつまみ食いしたんだった。黙っておこ)。ところで、まほお嬢様からは何かいただいたのですか?」

しほ「カーネーションだったわ」

しほ「んで、みほが五年生のときは確か……」

……
…………


手紙『お母さんへ。いつもありがとう。母の日のプレゼントです。』

しほ『あら、ものの見事にテンプレって感じの文章ね。いや嬉しすぎて涙出そうだけどさ』

しほ『また箱か。今度はなにが、て、あれ?』スッ ブンブン

しほ『……めちゃくちゃに軽いんだけど。なにこれ』パカッ


肩たたき券『いよぉ』


しほ『あらまぁ。横着すること覚えちゃったのかしらあの子』

しほ『……でも、妙なものね。そういう方向の成長でも、母親としては嬉しいんだもの』フフッ

しほ『折角だし、これ使おうかしら。みほー!』

みほ『はいはーい! なにー?』ドタドタ

しほ『ハイは一回でしょ。みほのプレゼント受け取ったわよ。じゃ、早速お願い。一回分ね』

みほ『はいはーい。んじゃーいくよー』

しほ『だからハイは一回だっt……』


みほ『えいっ』ドムグォ!!!

しほ『』

みほ『お母さん? どうしたの?』

しほ『』


ギョエーーーーーーーーーーー!!!


…………
……

菊代「あっはっはっはっは! ありましたねえそんなこと!」

しほ「笑い事じゃないわよ……。その年から戦車道の練習を本格的に始めたことを忘れてたわ。
装填も教えてたから力強いし、お子様だから手加減ってのを知らないしで、ほんと骨折れるかと思ったわよ。慣れちゃったのか隣の佐藤さんが通報しなかったのが救いね」

菊代「肩たたきってなかなか高等スキルですからねぇ。ただ力任せにブッ叩くだけじゃ気持ち良くもなんともないのですが、若いと肩こりなんてならないし、その辺わからないんでしょうね」

しほ「みほの肩たたき以降、なんだか肩こりの頻度が上がっちゃったのよねぇ。変なところのスジを痛めたのかしら。別に怒ってはいないしなんなら肩こりすら愛おしいけど」

菊代「あの後どうなったんでしたっけ」

しほ「肩たたきのお礼はちゃんとして、その後は布団にもぐって痛みと戦ってたわ。流石のみほも何かを感じ取ったのか翌年は肩もみ券に変わってた。
だけど、あの子って天才肌だからツボがわかるみたいなのよね。すんごい的確にバカ強く押されて、また寝込むことになったわ」

菊代「あのとき奥様がやたら高いマッサージチェア買ったのってそういう背景があったんですねぇ。ところで、まほお嬢様からは何かいただいたのですか?」

しほ「カーネーションだったわ」

しほ「んで、みほが中学生のときは……貰えなかったわね」

菊代「えっ、そうだったんですか?」

しほ「正確に言うと、最初の1、2年はなにもくれなかったのよ。ほら、中学に上がったら戦車道もキッチリ本腰入れてて、みほにもまほにも厳しく当たってて」

菊代「あー……」

しほ「後悔……してないと言えば嘘になるわ。今の状況も含めてね。でも、戦車で成り立っている西住流の家元である私には、戦車しか与えられなかった……」

しほ「そのせいか、みほは落ち着いた性格になってしまったけど、中学の頃はまだ活発なところが残ってておまけに反抗期でもあったわね。
私の一張羅を真夏の戦車に放置して盛大に鉄臭くしたり、枕にオナモミを大量にを仕込んで後頭部に穴をあけたり」

菊代「そうでしたね。そんな反抗期っぷりなのに、最後の三年生でプレゼント貰えたのですか?」

しほ「貰えたわよ。見る?」スッ

菊代「……アルバム?」

ペラッ

しほ「これ、みほのよ」

菊代「……お花、ですか」

しほ「ええ。母の日も終わる夜、部屋で寝てたら何者かの気配がしたのよねぇ。起きずにそのまま探ってると、机の上にこの花を置いて出て行っちゃったのよ。まほからはカーネーション貰ってたし、誰が犯人かは貴方でも想像つくでしょう?」

菊代「なるほど……」

しほ「本当に嬉しかったわ。まあこれ、カーネーションじゃなくてガーベラなんだけど」

菊代「あっほんとだ。よく見たら違う」

しほ「ふふっ。こういうところがまた、可愛らしいのよ」

菊代「ところでこのアルバム、みほお嬢様のガーベラのほかにも押し花がたんまりと挟まってるんですが、まほお嬢様ですか?」

しほ「そう。あの子はあの子で代わり映えがないというか、安定してるのがいいところかもしれないんだけど、ちょっと変化球が欲しいなって思わなくもないかな」

…………


所用で先ほどドイツから一時帰国して障子越しに会話を聞いていたまほ「うーん、変化球か」

所用で熊本に来ていたついでに先ほど帰省していたみほ「はは……今までのプレゼントのこと、全部覚えてたんだ……」


まほ「今年もカーネーションにしようと思ったんだが、流石に毎年同じというのか考え直すべきなのだろうか」

みほ「いや、気持ちが伝わればそれでいいんじゃない?」

まほ「ダメ。こうして考えると、みほの方が面白いからずるい」

みほ「ずるいって言われても」

まほ「うーん……。ん、ところでみほ、そのクーラーボックスの中身は?」

みほ「中身? 大洗のお土産だよ。今はちょっと旬をズレてるけど、やっぱり一番おいしいのはこれかなって」

まほ「……ほぅ」

…………


しほ「ん~……! さて、そろそろ仕事を」

菊代「お、奥様ーっ!」

しほ「ん? 何事かしら」パタパタ

菊代「奥様見てください、これ!」

しほ「……え、みほ!? まほ!?」ペラッ


手紙「お母様。母の日おめでとうございます。ささやかではありますが、これは私たちの気持ちです。 まほとみほ」

箱「久しぶりっすね」ドーン


菊代「お、お帰りになっていたなんて! 早く探さなくては」

しほ「ま、まあそれは今すぐでなくてもいいでしょう。私はこのプレゼントとやらを受け取っておきます。こんな場所に箱を置いてたら邪魔ですし」

菊代「……左様ですか。それでは、私はお嬢様たちを探してまいりますので。ごゆっくり」スタスタ

しほ「……いろいろあったし、傷つけちゃったこともあったけど。あの子たちのお母さんで本当によかったわ……」グスッ

しほ「さて、ご対面と行こうかしら」パカッ


アンコウ「どーも奥さん」ピチッピチッピチッ


しほ「」


ミホーーーーーーーーーーーーーー!!!!

まほ「お、みほ、お母様がお呼びのようだぞ」

みほ「発案者はお姉ちゃんなのに……」シャク

まほ「うーむ、カーネーションをアンコウの口に挿すのはキザだったかな。サプライズというのは難しい」

みほ「……どうでもいいけど、アイス食べないと溶けちゃうよ」シャク



お付き合いいただきありがとうございました。
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