【安価】NEX-USの世界でアイドルたちが戦うようです (418)


Nothing but Youイベントから2年経ったので安価スレ。

・安価で一部展開が決まるため投下ペースが非常に遅いです。
・内容はオリジナルのSFになると思います。
・稀に他作品のネタが入るかもしれません。
・このスレでは多分アイドルが死にます。
・完結まで頑張ります。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1556621388

【導入】

かつて土星圏宙域で、これまで観測されたことのない未知の惑星とエネルギーが発見され、その姿を消した。

当時の国際連合は調査団を派遣し、エネルギーが観測された宙域で1本の『杖』を発見した。

その杖の構成要素は人類にとって未知の物質であり、内包されている莫大なエネルギーとそれを保有する為の転換技術の開発に成功した。

革新的な技術として人類の宇宙進出は加速する。人類の生存権は多数のコロニーの配置により土星圏まで広がることとなった。

だが、それまでの歴史と比較し急速ともいえる宇宙進出の弊害、エネルギー資源の確保を巡り最終的に国際連合が分裂した。

世界は国際連合から分裂し、地球連邦、コロニー連合、MBG共和国の3国を柱とする世界となり、そして現代――。


――
――――
――――――
――――――――

【開始】

――共有ネットワーク空間『NEX-US』(中継スタジオ)

キューティーツインテール(ツインテ)「空を駆ける宇宙フライトワークモービルレース決勝戦、配信中継最終日となる3日目の大詰め、最初に最終コーナーを曲がったのは……!」

ツインテ「来ました! チームラグナロクです!」

チャーミングキャット(キャット)「ニャニャッ!? 後ろからものすごい勢いで追い上げてくるモービルがいるにゃ! あれは……」

ナイトメア・キノコ(キノコ)「キタゼエエエエエエ!!! チームデビルフランケン!!」

スノーフェアリー(雪妖精)「オー、これは、追いつきましたね」

セカンドブルー(セカンド)「これはどうなるか……並んだ! 最後の直線、この2チームのどっちかが……!」


キノコ「ゴオオオオオオオルゥゥゥゥ!!」

キャット「リプレイ早く!」

雪妖精「ンー……ラグナロクの、モービルが先デスネ。判定も出ました」

ツインテ「ゴール!! 優勝はチームラグナロクです!! チームラグナロクはこれで大会2連覇になります! 強い、流石前回王者です!」

セカンド「決勝戦のリプレイ動画はトロフィーの授与式が終わった後に配信されるから、みんなもまだまだ盛り上がってくれよ」

キャット「それじゃあチャーミングキャットたちも、今からお立ち台のルームに接続してインタビューするにゃ! ゴーゴー、にゃ♪」

……
…………

――数時間後、NEX-US(事務所ルーム)

キャット「終わったにゃあああああ……」

キノコ「な、長かったけど……結構、楽しかったな……」

ツインテ「モービルレースの中継、3日も通しましたからね。私も今まで詳しく知りませんでしたけど、ルール覚えちゃいました」


P「おーい、みんなルームに戻ってきたか?」


雪妖精「アー、プロデューサー、お疲れ様です」

P「お疲れ様。今日は疲れただろう?」

キノコ「つ、疲れた……まあ、明日から……しばらく、休みだし……」

セカンド「ま、これくらいはやっておかないとな。モービルレースも大きい仕事だったし」

P「よしよし、チャーミングキャット、キューティーツインテール、ナイトメア・キノコ、スノーフェアリー、セカンドブルー、5人ともいるな。今日はお疲れ様だ」

キャット「ねーねーPチャン、キャットたちのお仕事どーだった?」

P「良い感じに盛り上がっていたぞ。チャンネルの接続数もうちは多いほうだったはず……今度集計データは配っておくよ」

キャット「にゃふふっ♪ さっすがキャットたちにゃ! 猫パンチ猫パンチ♪」ボスッ、ボスッ!

P「叩くな」

キャット「うにゃぁ~♪」ギュウウウ!

P「抱き着くな。話終わらなくて解散出来ないぞ~」

キャット「にゃにゃにゃ……」

雪妖精「キャットは、プロデューサーと仲良し、デスネ」

セカンド「これだけ一緒に仕事する機会があるなら、そろそろユニット組んでもいいと思うんだけどな」

キノコ「だ、だけど……5人全員が揃う機会は、あんまりないし……」

ツインテ「2人とか3人なら、よく集まれるんですけどね」

P「ま、そこはネットワーク外のプライベートの範囲だし、俺たち管理側のほうはみんなの都合が合うところで調整付けるのが仕事だからな」

P「固まって行動できるアイドルたちなら、ユニットを組んでいるって場合も多いが」

雪妖精「私たちは、私たちでやっていきましょう。別々の仕事も、多いですから」

P「そうだな。それじゃ今日はこれで落ちていいぞ。報酬金は明日振り込まれるはずだから」

キャット「はーい、疲れた疲れたー……それじゃみんな、また今度ね!」

……
…………

――木星圏宙域、MBG共和国コロニー『ナシヤマ』、市街区、前川家(みくの部屋)


『接続を終了しました。端末を外し、体調が優れない場合はメンタルチェックオプションを実施してください』


みく「……ん」

みく「……ううーん! 終わった終わったぁ……疲れた」

みく「端末端末……む、みくたちのチャンネル、アクセスランキング8位……他所も結構中継してたしいい順位かな?」

みく「明日Pチャンから集計データもらおっと……ふーっ、モービルレースも終わったし、次のお仕事なんだろう」

みく「あ、テレビテレビ」

ピッ!


『いやあ、今年のモービルレース、凄かったですねぇ。現地の川島アナウンサーもすごく盛り上がってて――』

ピッ!

『本日のお料理テーマは――』

ピッ!

『先日に引き続き、地球ロシア領内で発生している紛争の最新ニュースです。地球連邦は戦闘発生地域に展開した現地派遣部隊の状況について、公式文書をNEX-US上に開示しました』

『戦闘地域に隣接している、各地域の地球連合非加盟国であるMBG共和国の方々は、住民データの持ち出しを忘れずに各自治体の指示に従って行動願います』

『また、コロニー連合からの発表について、杖の――』

ピッ!

『NEX-US! NEXt-UnionStage!』

『地球、コロニー連合、地球連合非加盟国であるMBG共和国それぞれから計764の様々な企業、団体からの援助の元に開発された仮想ネットワーク空間共有システム!』

『最新のニュース、イベント、世界の流行から今夜の晩ご飯まで、全世界にエンターテイメントを提供する全く新しい形の情報サービス!』

『お問い合わせについては総合窓口の企業になっている、お近くのMBG共和国のオート・クレール社まで!』

ピッ!

みく「まともなテレビやってないの……」ゴロッ

みく「……明日カレッジ行かないと……寝よ」

みく「……」

……
…………

――木星圏宙域、地球連邦軍戦艦『オグマ』(ブリッジ)

アーニャ「戻りました」

艦長「間に合ったな。副業のほうは問題ないか?」

アーニャ「明日からお休みする話はしました。1週間は……連絡しなくとも、大丈夫です」

艦長「ならば問題ない。10分後にブリーフィングをする。潜入部隊の作戦行動の再確認だ」

アーニャ「……」

艦長「非加盟国で生産されていると情報があった、コロニー連合の新型機……果たして本当かどうか」

艦長「極秘事項の靴の件と合わせて、連合が裏でMBGと繋がりを持ったか、いや元々どちらにも良い顔をしているMBGではあるが」

艦長「まあいい。NEX-USに接続し現地情報を採取したネットワーク班の報告もある。機体も靴も、存在するのであれば奪取または破壊、迅速に行動し地球に戻るぞ」

艦長「ロシア領で発生している紛争鎮圧の増援部隊の話も出ている。気掛かりだとは思うが、今はこの作戦が優先だ」

アーニャ「……了解、です」

……
…………

――木星圏宙域、ナシヤマ(外壁)

「ん、来たか」


有香「ケーレスから来たコロニー連合特殊任務遂行部隊所属、中野有香中尉です。オオイシファクトリーへの先行部隊を連れてきました」

「了解した。艦から出るときにIDは持ってきたか?」

有香「はい、先行して現地待機します。残りの部隊は?」

「早朝時間に輸送船として入港してから準備に入る。車両運搬ルートは事前確保済みだ。そちらは明日の昼までに工作準備を済ませて、ファクトリーに隣接している工業カレッジに移動し待機してくれ」

有香(これで、この作戦が成功すれば、私たちは……連合は、もっと強く……)

有香「了解です。これより先行します」

「別部隊との連絡は艦を通して展開される。慎重にな」

……
…………

――木星圏宙域、輸送船『マーハ』(格納庫)

「早朝時間0400に合わせて入港作業を開始する。ダミーの輸送物はそのままくれてやれ、足はつかん」

「連邦の奴らに先を越される前に、何としてもこちらで靴を確保する」

「作戦開始後は先行している他部隊と上手く連携してくれ。作戦データは確認しているな?」

「H6ブロックが戦闘地点になる。突入する部隊はタイミングを合わせろよ」

輝子「フヒッ……だ、大丈夫……」

「ウチらは戦闘が始まった後に、先行部隊と合流してアレの確保か……ま、ウチらなら出来るって!」

輝子「う、うまくいくと……いいけど……」

「ダイジョーブだって! ショーコとウチがいれば大丈夫!」

輝子「そ、そうか……じゃあ、ちゃんとやらないと……な……」

「突入部隊は合流後の帰艦先はケーレスになる。撤退時の判断は誤るなよ」

……
…………

ヴァルキュリアの人?

――翌日、ナシヤマ、市街区、Pの家(Pの部屋)

ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ!

P「……ん」

ピピピピッ! ピピピピッ! ピピピピッ!

P「……はい、もしもし」ピッ!

『おはようP君。あっ、もしかして寝てた?』

P「昨日……結構、仕事……遅かったから……」

『ゴメンね。今日の昼、予定通り来れるかしら?』

P「ひる……昼、昼……ああっ!?」

『あら、元気いっぱいね。もしかして忘れちゃってた?』

『仕事を忘れるなんて社会人失格ウサ! 悔い改めるウサ!』

P「いやもう、うっかり……でも大丈夫、行きます、行きます」

『いっつも忙しそうにしているものね。時間取れるときに来てくれるとこっちも助かるけど』

P「昼頃にはカレッジに行きます。 トレースデータですよね? 前に作った奴があるので」

『お願いねー。あと、制作してる子たちの作品も見てもらえると嬉しいけど』

P「俺もモービルに絡む仕事終わったばかりですし、ちょうど触りたいなって思ってたところだし大丈夫ですよ。それじゃあ昼に」

ピッ!

P「いまは……9時か。シャワー浴びてから出るか」

……
…………

>>11
どのヴァルキュリアかはわかりませんが、ヴァルキュリアのSSは書いたことはあります。

奈緒がエロゲをプレイする人か
もしくは大魔王ちひろの人

――午前、ナシヤマ、オオイシ工業カレッジ(講義室C-1)

亜里沙「――管理衛星から採掘していたエネルギー資源を巡り、国際連合は分裂しました」

亜里沙「表B群のコロニー建造に携わる国家、及び管理下コロニーが国際連合から離脱しコロニー連合として再編成し独立」

亜里沙「国際連合自体も再編成されて地球連邦となりました。MBG共和国の成立時期の連邦のお話は次の機会として……」

みく「……」カタカタカタッ!

亜里沙「後に地球連邦はエネルギー資源の確保の為に、木星圏宙域に存在していた資源衛星及びそれを管理している一部の第一次産業コロニーの所有を巡りコロニー連合との小規模戦争に――」

亜里沙「……あ、チャイム鳴っちゃったわね。それじゃあ講義はおしまいです。次の講義の教室に移動しておいてください」

ウサコ『遅刻すると次の講義の先生に迷惑ウサ! お昼休みまで頑張るウサ!』

「っはー、終わった終わった」

「レポート書いた? 今週末まででしょ?」

みく「ふわぁ……早く午後にならないかなぁ……」

……
…………

>>14
奈緒にエロゲさせようとする人は滅多にいないと思うのでそれなら私です

――ナシヤマ、市街区

『それで、今回地球で発生している規模の大きい紛争について、どうお考えですか? 川島アナウンサーは地球に行ったことは?』

『私は地球に行ったことはないんですけど……そうですね、規模の大小はあれど地球連邦、コロニー連合でそれぞれ紛争が起きている報告は上がっていますし』

『MBG共和国としては、NEX-USを始め両国に提供している技術、資源もあります。コロニー建造の影響で起きているエネルギーや技術問題の争いに巻き込まれないかは不安ですが……』


P「紛争か…俺の担当しているアイドルのI@LPに支障がなければいいが……」

P「こういうときは、NEX-USの秘匿制度がネックだな……まあ、言っても仕方がないか」

P「それにしても、カレッジに行くにしても少し早く出過ぎたな」

P「……どうしたもんか、早めに行ってもいいけど手持ち無沙汰になりそうだし、慌ててもな」

※安価選択
1.工業カレッジに向かう
2.少し町で時間を潰す
↓1

1

>>18
a.1 1.工業カレッジに向かう

※シナリオルートが分岐しました。
※特定アイドルのシナリオフラグが更新されました。


P「少し早いが、カレッジに向かうか。亜里沙先生は講義中だろうけど、休憩所かエントランスで待っていればいいし」

P「それにしても……」

ピッ!

P「モービルの挙動のトレースデータくらい、学生に作らせておけばいいと思うんだが……今時期やっている課題ってそれこそモービルの制作なんだし」

P「俺も技術屋に就職してれば今でもモービル弄ってたんだろうけど……ま、今はネットアイドルのプロデューサーが仕事だし……先生の頼みなら仕方ないか」

P「タクシー、タクシー……いた。すみません、H8ブロックのオオイシ工業カレッジまでお願いします」

……
…………

――1時間後、午前、ナシヤマ、オオイシ工業カレッジ(廊下)

亜里沙「ゴメンねP君、ありさ先生もファクトリーでやってる仕事は詳しいこと知らないんだけど……」

P「いや、大丈夫ですよ。俺がいた頃からここは隣のファクトリーから無駄な手伝い押し付けられてるし、亜里沙先生も大変でしょう?」

亜里沙「あっちで開発している新しいモービル、フライトモジュールの移行シークエンス部分の制御が難しいんだって」

P「ふうん……どこの企業の下請けでやってるんだろうか」

ウサコ『そこまでは聞いてないウサ!』

亜里沙「うさうさーって、うちの生徒たちは授業終わったら課題もあるしファクトリーによく行ってるけどそんな話も聞かないし……」

亜里沙「ナシヤマって地球連邦非加盟国でMBG共和国所属だから、オート・クレールとかの下請けなのかなぁ……ウサコちゃんはどう思う?」

ウサコ『知らないウサ! ウサコは研究員でもないしそんな情報なんてお昼休みでも聞かないウサ!』

亜里沙「あらー、やっぱりそうなのね」

P「オート・クレールなら自分たちで開発部持ってますし、どうだろう。あそこの外注先の話はあんまり聞かないが……」

亜里沙「やっぱりP君、そういうの詳しいんだ?」

P「まあ、この学校に通っていましたし」

亜里沙「ありさ先生は学部が違ったから、こういう話全然分からないのよね。先生になって、機械工学科の話も少しは聞くようになったけど」

P「まあ一般科はこっちの授業もそんなに無かったはずだし……とりあえず今日は早いところデータ渡して帰りますよ。せっかくの休みなんだし」

……
…………

――オオイシ工業カレッジ(実習室)

教授「すまんねP君、わざわざ持ってきてもらって」

P「いえそんな。たまにモービル用のデータの作成依頼来ますけど、そんなに手が回っていないんですか?」

教授「ファクトリーも色々と間に合ってないみたいでね。向こうの仕事をこっちにまで寄こしてこないでほしいものだが……」

P「まあ、俺は小遣い貰えるからいいですけど」

教授「本業のほうが忙しいだろう?」

P「……まあ、そうですね。忙しいですが、楽しくやってます」

教授「そうか。君なら技術職や、モービルやOMDAのパイロットもいいかと思ったんだがね」

P「こんな時代ですから。技術職やって、OMDAみたいな戦闘機を作る仕事とか回って来ても嫌だし、それのパイロットになってまかり間違って戦闘することになるのも嫌ですよ」

P「NEX-USも普及していますし、今の仕事に就くことが出来て良かったと思ってます」

教授「とはいえ、まだモービルには興味あるんだろう? この前の大会、君のところのアイドルが仕事したんだろう?」

P「はははっ、実績と上手い具合のコネでちょっと機会があっただけです」

教授「それなら、後でファクトリーに寄っていくといい。ガレージに学生の作品があるし、まだ作業してる子たちもいるだろう」

P「亜里沙先生にもそのお話はしてもらいました。それじゃお言葉に甘えて……IDはここの使ってもいいですよね」

教授「権限ならついているはずだから構わんよ」

……
…………

ちょっと怪しいですが、本編を進める前に少しキャラクターシートを作ります。
デレステをプレイしている方であれば既にメンバーは分かっていると思いますので、名前は伏せません。
以降使用したいので、どなたかいらっしゃいましたら、出来ればご協力をお願いします。連続で踏んでもらっても全然OKです。

ありがとうございます。では

キャラクターシート作成

キャラ名:前川みく
操縦技術:↓1のレスのコンマ2桁
親愛度 :↓2のレスのコンマ2桁/2の値

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:↓3のレスのコンマ2桁
親愛度 :↓4のレスのコンマ2桁/2の値

キャラ名:中野有香
操縦技術:↓5のレスのコンマ2桁
親愛度 :↓6のレスのコンマ2桁/2の値

キャラ名:星輝子
操縦技術:↓7のレスのコンマ2桁
親愛度 :↓8のレスのコンマ2桁/2の値

集計結果です

キャラ名:前川みく
操縦技術:90
親愛度 :48

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:47
親愛度 :45

キャラ名:中野有香
操縦技術:61
親愛度 :8

キャラ名:星輝子
操縦技術:62
親愛度 :20

みくいきなりこんな数値か

――オオイシ工業カレッジ(廊下)

P「さーて、用事も終わったことだし、どうしようか」

P「腹も減ったし学食で飯食ってから行くか、さっさとファクトリーに行ってモービルでも見に行くか……」


※安価選択
1.学食に行く
2.ファクトリーに行く
↓1

2

>>40
a.2 2.ファクトリーに行く


――オオイシ工業カレッジ(通路)

P「まあ、ファクトリーに行くか。IDも借りているのは一日だけだし」

P(とはいえ……今の機械工学科で知ってる子なんていないんだよな……)

P(亜里沙先生にでも話して、学科の子紹介してもらうか……)

P「ん?」



みく「……」


P(今通路の脇から出てきた生徒……)


みく「もー……いつの間にここのインジケータ弄ったんだろ……稼働のタイミング変わってるじゃん……」ブツブツ

みく「明後日に現行評価なんだからいきなり変なところ変えなくていいのに……」ブツブツ


P(歩きながら端末弄って文句言ってるのは間違いなく機械工学科の生徒だな。モービルの製作のことだろうが)

P「……キミ、ちょっといい?」


みく「……はい?」

P「キミ、機械工学科の生徒だよね?」

みく「……はい」

P「学科でグループ組んで、モービルの制作とかやってる?」

みく「……今は課題制作の時期だから、やってますけど」

P「やっぱりそうか。僕、ここのOBなんだけど、今日は教授から頼まれたことがあってカレッジに来ていたんだ」

P「そしたら帰る前にファクトリーのガレージにある学生の作品を見て帰ってもいいって話をもらって、よかったらキミのグループで制作しているモービル、見させてくれないか?」

みく「……教授から言われてるなら、いいですけど」

P「そうか、ありがとう。これ、一応僕のID。Pっていうんだ、よろしく」

みく「……前川みくです」

P「みくちゃんか。突然で悪いけど、よろしく頼むよ」

……
…………

※シナリオルートが分岐しました。
※特定アイドルのシナリオフラグが更新されました。


――午後、オオイシファクトリー(正門)

みく「機械工学科です。モービルのガレージの使用に来ました。IDです」

ピピッ!

守衛「IDチェックOKです」

P「随伴の外来です。許可コードも発行されているはずなので、こちらのIDの確認もお願いします」

ピピッ!

守衛「P様……発行元とコード期限の確認が出来ました。16時まで有効になっています」

P(そんなに長い時間いる予定はないんだけどな……)

P「ありがとうございます」


『搬入車両が入場します。搬入車両が入場します』


守衛「おっと、すみません、少し脇のほうに……」

P「おっと……」

みく「わっ……ずいぶんたくさん入ってくるし」


「すみません、搬入車両のリストになります。事後になりますが承認願います」

守衛「リストデータは回しておきますから移動願います。入庫作業は少し待って頂ければ」

「ありがとうございます。今日は依頼されている分が多くて大変ですよ」

守衛「お疲れ様です。車両チェックのスタッフもすぐ来ますので、よろしくお願いします」


P「……」

みく「こっち」

P「おっと、待ってくれよ」

P(今日は外来が多いのか……)

……
…………

――オオイシファクトリー(ガレージ)

P「おー、結構凄いなぁ」

みく「うん。今年の学年ならうちのグループが一番良い出来のモービル作ってるから」カタカタカタッ!

みく「んー……? 泉チャン、これいつの間に調整入れたんだろ。後で動かしておかないと……」カタカタカタッ

P「馬力重視だけど、設計も面白いじゃないか。流線形のフォルムでこのフレームの分割の仕方は俺がやっていた頃は無かった発想だなぁ」

みく「お兄さん、結構詳しいんだ」

P「まあ、卒業生だしね」

みく「モービル関係のお仕事してるの?」

P「いや、そっちの仕事には行かなかったよ。声掛けてくれたところもあったけど、いまは芸能関係の仕事をしてるよ」

みく「……へー」ピクッ

P「これ、テスト走行の記録も結構良い結果出てるじゃないか。パイロットはグループの子がやってるのか?」

みく「私」

P「え、キミがパイロットなのか、それは凄いな!」

みく「みくはあんまり開発得意じゃないから、パイロットメインなの」

P「へえー、これなら学部内のバーチャルモービルのオンラインスコアもいいんじゃないか?」

みく「お兄さんがいた頃もあったの?」

P「あったあった。みんなよくやってたなぁ。現物は中々飛ばす機会がないから、作ったモービルのデータ打ち込んでシミュレーターやってたよ」

みく「フーン……まぁーみくは結構操縦上手いから、カレッジの中でも結構上位だもんね」

P「おー……最近はみんな覚えるの早いんだなぁ……やっぱモービル弄るの楽しいな」カタカタカタッ!

……
…………

――ナシヤマ、H6ブロック(車道)

「H6ブロックに入った。先頭2台の車両はそのままファクトリーに向かえ。こちらの準備は済ませておくから、現地に付いたら合図を送れ」

ピピピッ!

『りょーかい! ウチらがさっさと終わらせてくるからな!』

輝子『さ、3部隊もいれば……何とか、なる、かな……』

「よし、頼むぞ。後続の全車両、これより停車してラプターに搭乗する。後々のこともある、なるべく市街地側に銃は向けるなよ。脱出ルートを確保しつつ、暴れるのは森林区画寄りだ。気を付けろよ」

『了解!』

『了解、ラプターで出ます!』

ピッ!

「さて、共和国側の情報は正しいのか……連邦を出し抜けるか、ここが勝負だな」

……
…………

――オオイシファクトリー(通路)

有香「はい、陽動部隊はH6ブロックに到着、他メンバーも間もなくこちらに来るということですね」

有香「わかりました。こちらの配置も完了しています。時間になり次第行動に移ります」

ピッ!

有香(H6ブロックの戦闘が開始されて、コロニーの防衛部隊が出てきたとして……ファクトリー職員たちの避難指示までの猶予時間……恐らくはそれほど掛からないはず)


有香「……各班、別動隊の合流を待っては少し遅くなるかもしれません。こちらの仕込みを早めに済ませて、別動隊の到着後も臨機応変に動けるようにしておきましょう」ピッ!

……
…………

――オオイシファクトリー(メンテナンスルーム)

艦長『アナスタシア、メンバーの潜入はどうなっている?』

アーニャ「全員、ダイジョウブです」

艦長『ではこれより作戦開始だ。ファクトリー内の地図はそれぞれの端末に転送してはいるが、目的のポイントはミーティングで説明した場所のどちらかだ。急げよ』

アーニャ「はい。それでは、行きます」ピッ!

「では作戦を開始する。A班は靴の確保、B班は新型機の奪取もしくは破壊だ。作戦時間は長くない。コロニーの防衛部隊が来るまでの時間を考慮して動けよ」

アーニャ「了解、です」

……
…………

――土星圏宙域、コロニー連合管理コロニー『ホクドウ』、軍管区、統合軍本部(通路)

「千川少佐」

ちひろ「はい? 何かありましたか?」

「βの件で――」

ちひろ「おっと……その件なら場所を移しましょうか」

……
…………

――統合軍本部(会議室)

「ローカル端末です。外部通信は一時的にすべて切断済みです」

ちひろ「……オペレーションβ、間もなく作戦開始ですか。ナシヤマに向かった部隊も、そろそろでしたね」ピッ、ピッ

「別ルートからネットワークへの侵入も試みましたが、やはりH8の一部施設のみ切り離されています」

ちひろ「自分たちの物ですし、共和国ならNEX-USを介してのデータ転送も出来るでしょうけど……こちらが網を張っているのも気付かれているようですね」

ちひろ「恐らく連邦側も同じことを考えているはず。靴自体はなくても、データ解析ならと思いましたが……」

ピピピッ!

ちひろ「はい、千川です」

『千川少佐、オペレーションFの会議が間もなく始まりますが……』

ちひろ「別件がありました。すみません、すぐに向かいますので」

ピッ!

ちひろ「すみません、オペレーションFのほうもありますのでこれで。βの件は随時報告お願いします。F開始のタイミングでのプランの移行を見極めたいので」

「了解です」

ちひろ(さて……どこにあるのやら、靴……どこに――)

ちひろ「……」

……
…………

――オオイシファクトリー(休憩所)

みく「うぐぐぐ……お兄さん結構やるし……」

P「まあ、たまにモービルのシミュレーター弄るくらいはやってるから。まだまだ現役学生に負けるわけにもな」

みく「くぅ~!! ジュース飲んだらもう1回! もう1回やろ!」

P「ははっ、わかったわかった。それじゃ後は――」

ジリリリリリリリリッ!! ジリリリリリリリリッ!!

みく「え?」ビクッ!

P「施設内警報? 何かあったのか?」

みく「放送流れてこない……? テレビテレビ……」ピッ、ピッ、ピッ


『緊急速報です。ただいまH6ブロックでコロニー連合の戦闘機の存在が確認されました』

『なお、識別コードについては管制塔側で事前申請の無いものとして、コロニー連合の攻撃か、テロリストの活動かと思われます』

『H6ブロック周辺にお住まいの住民については、お近くのシェルターへの避難をお願いします。繰り返します……』


みく「え、戦闘?」

P「おいおい嘘だろ……ナシヤマは地球連邦の非加盟コロニーだぞ。なんでコロニー連合がここで戦闘するんだよ」

みく「ど、どうしよ、お兄さん……」

P「冗談には出来ん話だろうし、とりあえず避難しよう。ファクトリーの近くならH6ブロックとは反対方面のコロニーホールがあるからそこまで行こうか」

みく「う、うん――」


ドガアアアアアアアンッ!!!!


P「うわっ!?」

みく「にゃぁっ!?」ビクッ!

P「い、今の音……ファクトリーのどこかで爆発か!?」

ドガアアアアンッ!! ドガアアアアンッ!! ドガアアアアンッ!!

みく「うわっ、うわっ!? めっちゃ揺れてるし!?」

P「いや、戦闘機の攻撃とは違う……建物も揺れてるってことは……みくちゃん、逃げるぞ!」

みく「ええっ!? で、でも、避難の放送がまだ……」

P「さっきテレビで見た戦闘とは別で、こっちはこっちで変な奴らが戦闘を始めてるかもしれん。避難警報も出ないし、ファクトリーから出るぞ!」

みく「うっそー……」

……
…………

――オオイシファクトリー(正門)

「ショーコ! こっちは他の部隊に派手に暴れてもらうから、予定しているルートからファクトリーに入るぞ!」

輝子「ヒャッハアアアアアッ!! やってやるぜえええええええ!!」

輝子「マッシュルームボム! シイタケグレネードォォ!!」

「あんまり作戦中にヒャッハーするなよ! うるさくて気付かれるだろ!」

輝子「ご、ごめん……」

「地図は確認したし、A棟が爆発したってことは、先行部隊が何かしてくれたんだろうけど……今がチャンスだ!」

輝子「せ、先行してる……部隊との、合流ポイント……早く、いこう……」

「よーし、いっくぞー!!」

……
…………

――オオイシファクトリー(通路)

ドガアアアアアアンッ!!

アーニャ「この音……もしかして、コロニー連合側の……!?」

「あっちも同じタイミングで戦闘!? チッ、コロニー連合の奴ら、騒ぎやがって……」

アーニャ「ンー、多分、聞いていた他の派閥が……こちらも、急ぎましょう。コロニー側からすれば、連合はどの道敵です。艦長、どうしますか」ピピピッ!

『コロニーの防衛部隊との戦闘は想定していたが、こうなるか。どこかで情報が漏れたか……とはいえ、こちらも動かなければどうにもならん』

『プランの変更は無しだ。靴のデータについては奪い合いになる可能性もある。情報のあった新型機についてはアナスタシア、お前が向かえ』

アーニャ「はい。ファクトリー内の工場まで、向かいます」

『コロニー連合の奴等なら撃っても構わんが、民間人はなるべく犠牲にするなよ。他の者は靴のデータを探せ』

アーニャ「いきます!」

……
…………

――オオイシファクトリー(裏門前)

P「くそっ! なんで裏門のロックが掛かってるんだよ!」ピッ、ピッ、ピッ!

みく「そりゃ裏門だからじゃ……」

P「ここは普段はセキュリティがザルで、敷地内の工場職員が頻繁に出入りする場所だから開けっ放しにしてるはずなんだよ……」ピクッ!

P「……」

みく「お兄さん?」

P(コロニー連合の奴らがここで戦闘を始めたとして、正門から攻めてきている奴らがいて、職員が外に出る為の裏門はロックが掛かって、施設内放送が流れなかったのと……)

P(ここの敷地内で戦闘をしている奴らは、この出入り口封鎖したってことか? もしくは、この出入り口以外の……となれば)

P「ここはダメだ。急いで移動しよう」

みく「ええっ!? ど、どこいくの?」

P「多分、事前にファクトリーに潜入して色々工作している奴らがいると思う。避難誘導の放送が流れなかったり、裏門にロックを掛けているのは俺たち一般人が騒いで内部を混乱させるのが目的のはずだ」

P「戦闘をしている奴らの目的は分からないけど、外のH6ブロックの奴らとここを攻めてきた奴らは恐らく同じ……」

P「ファクトリーの外の状況は詳しく分からないけど、戦闘機が持ち込まれているならここももっと派手に壊されているだろうし、それが無いってことは」

みく「そっか、逃げる手段がどこかにあるんだ!」

P「工場には下請けで開発しているモービルがあるはずだ。それを奪って逃走手段にする可能性もある。俺たちもそこに行こう」

みく「でも、危ないんじゃ……テロリストだってそこに来る可能性あるんでしょ?」

P「ここにいて戦闘に巻き込まれて爆死するよりはまだマシかもしれないし、とりあえず移動しよう」

みく「う、うん……」

タタタタタッ!

……
…………

――オオイシファクトリー(研究室)

バッ!!

職員「誰だ!?」

ドガガガガガガガッ!

職員「ギャアアアアアッ!?」


「……よし、突入」

輝子「お、おう……」

「さっさと靴を探すぞー!」

「金庫は破壊ではなく解錠で済ませろ。残りはデータの確認だ」

輝子「で、データ、データ……ぼっちー、ぼっちー……」カタカタカタッ!

「うー……靴、靴のデータ……解析データ見つからないぞ」カタカタカタッ!

「ダメです。金庫も解錠しましたが靴はありません!」

「クソッ、一体どこに……情報ではここで解析しているはずだが……」

輝子「……あ」

「どうしたショーコ?」

輝子「データの転送ログがあった……場所、第二工場……解析データかな……これ……」カタカタカタッ

「場所が移されていたか。よし、これから第二工場へ向かう。機体もあるなら靴と一緒に奪って脱出するぞ」

輝子「り、了解……」


バンッ!

有香「動くなっ!」


「誰だ!」

有香「別動隊……! もうここまで来ていましたか」

「先行していた部隊の者か。遅いぞ!」

有香「連邦の部隊と接触してしまい遅れました。どうやら向こうは工場に向かったみたいです」

「奴らも嗅ぎつけていたか……こちらも急ぐぞ」

有香「はいっ!」

輝子「フヒッ……ま、間に合うかな……」

……
…………

――オオイシファクトリー(第一工場前)

みく「こっちまで来たことないにゃ……」

P「学生が入れる場所じゃないからな。よかった、ここはまだ戦闘が起きてないか」

P「第一と第二、どっちにモービル置いてるんだ……いや、ここで迷っても仕方がない……!」ピッピッピッピッ!

『IDが認証されました』

P「よし、とりあえず入ろう」

みく「う、うんっ」

タタタタタッ!!




タッタッタッタッ!

アーニャ「……工場前」スッ

アーニャ(情報通りであれば、新型機は……)

タタタタタッ!

アーニャ「……」ピッピッピッピッ!

『IDが認証されました』

アーニャ「ここからは、ファクトリーの職員も……応戦してくるでしょうか……」

……
…………

――オオイシファクトリー(第一工場内通路)

職員「誰だ!」

P「すみません、今日外来で来た者です! カレッジの学生と一緒にいるんです!」

みく「助けて!」

職員「学生……IDはあるか?」

みく「こ、これ……」

職員「工学部の生徒か……分かった。奥に行きなさい。そこの階段を上がって、事務室のほうにいなさい」

P「ありがとうございます。さあ、行こう」

みく「怖かったぁ……」

P「……あの、なんで銃を」

職員「頭のおかしなコロニー連合の奴らが攻めてきたからに決まってるだろう」

P「……ここに、何かあるんですか?」

職員「さっさと行け! ここにいられても邪魔なだけだ!」

職員「クソッ! こっちにまで問題を寄越しやがって!!」

P「……」

P(あの様子……このまま素直に移動していいんだろうか……)

※安価選択
1.事務所に避難する
2.別の場所に移動する
↓1

1

>>58
1.事務所に避難する


――オオイシファクトリー、第一工場2階(事務室)

みく「はぁ……助かったぁ」

P「とりあえず避難できたが……」

みく「事務室の中めっちゃくちゃ……機材置きっぱなしだし」

P「……」

みく「あ、これうちで使ってるとこのフレーム素材だ。こんなの置きっぱなしとか……もってっちゃおうかな」

P「こらこら、そんなことしている場合じゃ――」

P(……これは)

みく「ん、どしたのお兄さん?」

P(開きっぱなしの端末……このデータは……モービルの設計図……?)カタッ

カタカタカタカタッ!

P(いや、違う……? もしかして、これは――)

ドガアアアアアアンッ!!!

みく「うひゃああっ!?」

P「うおっ!? この爆発、ち、近いぞ……っていうかこの工場じゃないか」

みく「や、やっぱりモービルで逃げる!?」

P「そうするか……くそっ、時間を無駄にしたか……早いところモービル探してればよかった……」

みく「もおおおおお……!」

……
…………

※アイドルのステータスが更新されました

キャラ名:前川みく
操縦技術:90
親愛度 :48→53

――オオイシファクトリー、第二工場1階(製造工場前)

「職員や警備の応戦が激しい……ショーコ、やっぱりこっちはアタリみたいだぞ!」パァン! パァンッ!

輝子「フヒッ、そ、そうだな……でも、これじゃ奥にいけない……」

有香「伏せてください、グレネードを……!」ブンッ!

ドガアアアアアアアンッ!!

「よしっ! いいぞ、このままウチがまとめて――」バッ!


パァンッ!!


「え――」


ドサッ!


「……」


輝子「あ……あ、あ……」

有香「くっ、こちらの数の差が……!」パァンッ! パァンッ!

輝子「う……う、うううおおおおお前らああああああ!!!!」バッ!

有香「なっ!? 待ってください!」

輝子「よくもおおおおおお!! ゴートゥーヘェェェェェルゥゥゥゥ!!」ドガガガガガガガガッ!!

職員「がっ!?」

警備員「ぎゃあああっ!?」

有香「なんて無茶苦茶な……ですが、これで奥に……行きましょう!」

輝子「くそっ、くそっ……クソッ!!」

タタタタタッ!


「……ご、め……こう……さ……の……の……」


……
…………

――オオイシファクトリー、第一工場1階(通路)

ドガガガガガガガッ!!

職員「撃て! これ以上奥に行かせるなよ!」


P「くそっ、もうここまで戦闘になってるのか……」

みく「ひぃぃ……」

P(遠目でハッキリとは分からないが、攻めてきているのは地球連邦の兵士か? コロニー連合の戦闘機が外を攻めているはずじゃあ……)

P(連邦非加盟国のMBG共和国のコロニーなのに、両方から狙われるってことは……)

P「みくちゃん、向こうで職員たちが応戦している間に急ごう。やっぱりここは何かおかしい」


……
…………

――オオイシファクトリー、第二工場1階(製造工場)

タタタタタッ!

有香「これは……!」

輝子「せ、戦闘機……」

有香「2機……ラプター……いえ、新型?」

輝子「く、靴は……」キョロキョロ

有香「データの転送先になった端末は……これでしょうか」カタカタカタッ!

ピーッ!

有香「認証コード……システム遮断……!? くっ、認証が無ければ端末データが破棄される仕掛けに……!」

輝子「く、靴が無理なら……これ、持って帰ろう……動かせるか、分からないけど……」

有香「そうですね。新型の情報もありましたから、手ぶらでは帰れません。あなたはそちらの機体に!」バッ!

輝子「もう乗ってる……これ、なんだ……?」カタカタカタカタッ!

ピッ、ピッ、ピッ!

有香「これは……機体本体のベースは……いえ、共和国のOMDですが、搭載されているシステムは……?」

……
…………

――オオイシファクトリー、第一工場1階(製造工場)

P「これは……戦闘機!?」

みく「うぇっ、モービルじゃないの!? ていうか、ここに戦闘機があるって絶対おかしいよ!」

P「しかも置いているのは連合のラプターって……OMDですらないのかよ」キョロキョロ

P「奥にも機体が……あれは見たことが無い……もしかして、あっちは新型か?」

みく「お、お兄さん、どうしよう……?」

P「とりあえずこれに乗って外に出るしかないだろう。メンテ用の梯子がある。コックピットハッチまで登ろう」

みく「み、みくはさすがに戦闘機は乗ったことないんだけど……」


パァンッ! パァンッ!

職員「ぐっ……」ドサッ!



P「銃声……!? マズイ、みくちゃん急いで!」

みく「お兄さんは!?」

P「ちゃんと後ろにいる! 早く機体に登るんだ!」


アーニャ(声……!? まだ他にも……)タタタタタタッ!

パァンッ! パァンッ! パァンッ!

ガキィン!

みく「ヒッ!?」

P「銃がこっちに……奥から来てるのか!?」

みく「の、登ったにゃ! お兄さんも早く!」

P「待ってろ、もう――危ない!」バッ!

みく「わわっ!?」

パァンッ!

P「うぐっ……!?」ドサッ!

みく「お、お兄さん……みくを庇って……お兄さん、お兄さん!!」

P「う、ぐ……」ハァ、ハァ……

アーニャ(ラプターの上……だけど足を止めた今なら……!)タタタタタッ!

アーニャ「動くな!」バッ!

みく「にゃっ!?」

アーニャ「っ!?」


みく「……」

アーニャ「……」


アーニャ(職員の制服じゃない……立地確認に一度立ち寄った、隣の工業カレッジの……民間、人……アーニャの、敵じゃ、ない……)

みく「……」ハッ、ハッ、ハッ……

P「ぐ、う……う……」

アーニャ「……靴は、ない」キョロキョロ

P「……靴?」ピクッ

ドガアアアアアアンッ!!

みく「わっ!?」

アーニャ「爆撃……!? もうここまで……」バッ!

アーニャ(靴は見当たらない……向こうの機体が新型なら、せめてこれだけでも……)タタタタッ!

アーニャ「貴方たち!」

みく「!?」ビクッ!

アーニャ「民間人なら、撃ちません! ここが、崩れる前に、逃げてください!」ピッ!

パシュンッ!

みく「う、え……?」

P「くそっ、あの連邦の兵士……こっちを撃っておいて……ハッチに……ロックは、掛かってない、か……」ピッ、ピッ

パシュンッ!

P「みくちゃん……乗るんだ」

みく「う、うん……」

……
…………

――ラプター機体内

P「機体は使えるか……」ハァ、ハァ……

みく「あれ、戦闘機のコンソール周りって、モービルに結構似てる……?」

P「機体起動……システム……なんだ、これは……?」カタカタカタッ!

みく「……なに、このシステム……これ――」


……
…………


アーニャ「新型……このシステムは……」


有香「これは、いえ、私の知っているものでは……」


輝子「ぐ、偶然か……うん……偶然……うん?」


みく「機体のシステム……これって……」


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』


ピピッ!!

アーニャ「コックピットの中が!?」


輝子「あ、青くなって……目に悪いぞ……あ、色が消えた」


有香「アクティベーション……一体、何に対して……? システム初回稼働……いえ、でもドコに……」カタカタカタカタッ!


みく「ふわあああ……いまコックピットの中で光ってたの、なんだったんだろ……」

P「NEX-US……いや、違う、か……」ピッ!

みく(……えっ?)

パシュウンッ!

……
…………

――ナシヤマ、港

泉「データの消去は?」

「確認できました。どうやら認証コードは解析されなかったようです」

泉「自動削除が起動したならよかったわ。データの吸出しが昨晩中に間に合ってよかった……私たちも急いでここを出ましょう」

「ですが宙域に出ても、恐らく地球連邦かコロニー連合の艦が待機しているかと……」

泉「中の騒ぎも派手にやってくれているし、宙域に滞在している艦を確認できるならコロニーの防衛部隊がOMDAを出して警告を出すはずよ。その隙に私たちも出るわ」

「わかりました。準備を進めます。機体のほうはどうしますか?」

泉「運び出す時間は無かったもの……諦めるしかないわね。そっちのほうが私たちの領分だったけれど」

泉「データの直接搬送も長旅になるわ。中継予定のコロニーへの根回しが出来ているか、後で確認を取りましょう。移動先の選別もしておかないと……」


泉「……本当、嫌な仕事を受けていたのね。こんなことを、したかったわけじゃないのに」


……
…………

結構長く続けたので今日はこれで終了します(令和前だし)
いまやっている部分は次回後半部分投下して終わりになります。

長時間お付き合い頂きありがとうございました。

5/3(金)の15時頃か、同日の21時頃から再開します

シャニマスやってるので21時からにします

――オオイシファクトリー

ドガアアアアアンッ!!


P「コロニー連合の汎用人型戦闘機、ラプター……動けるか?」ガションッ!

P「うぐっ! う、腕が……」

みく「お、お兄さん大丈夫……?」

P「大丈夫だ……近場で乗り捨ててシェルターに――」


ドシュウウウウンッ!


P「あの機体……さっきの地球連邦の兵士が乗ったのか?」

みく「飛んで行っちゃった……あれ、他にも2機……さっきのとは別の場所に飛んで行って――」

ドガアアアアアアンッ!!

P「ぐっ!? なんだ、別のラプターがこっちに……連合か……?」

みく「にゃにゃっ!?」

ピピピッ!

P「通信回線?」ピッ!


『おい、お前どこの所属だ? ラプターで一番乗りしたのは俺のはずだぞ?』

P「違う、俺たちは民間人だ。工場の騒ぎで避難する為にやむを得ずこの機体に乗って外に出たんだ」

『……さてはお前、連邦か? 識別コードも無い。こっちで用意したラプターではないな』

ピッ!

P「待て……!」

ドガガガガガガッ!

みく「う、撃ってきたにゃあの糸目!」

P「あれはラプターだ。コロニー連合で採用されている主力機……んなこと話している場合じゃない!」ギュンッ!

みく「お兄さん動かせるの!?」

P「初めてだ!」

みく「なんで動かせるの!?」

P「操作周りが意外とモービルと似てるからだ! 武装は……!」カタカタカタッ!

ピピッ!

P「アームライフル……これだ!」ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

みく「当たってないけど!」

P「くっ……う、腕に力が……照準が定まらん……」ハァ、ハァ、ハァ……

みく「そ、そうだ……お兄さん撃たれてケガして……」

ドガガガガガガァンッ!!

みく「にゃあああああっ!?」

P「ぐうぅっ!?」

P「マシンガンの、連射を受けても装甲へのダメージが少ない……おかしい、ラプターはこんなに硬かったのか……?」ハァ、ハァ……

みく「お兄さん操縦桿貸して!!」

P「なっ、だ、ダメだ! 適当に動かせるものじゃないぞ!」

みく「みくだってモービル動かしてるんだから何となくわかるモン! この!!」ギュンッ!

みく「操作周り……確かに、モービルと似てる……」ハァ、ハァ……

みく「普通の操縦桿の他に、スクリーンパネルも……こんなの使い方わかんないから……」

P「複数のコンソールで操作制御が出来るのか……今の、戦闘機はこんななのか……?」

ピピッ!

みく「あ、相手の糸目からミサイルが……!」

P「よ、避けろ!」

みく「ええいっ!」ガションッ!

ギュンッ!

ドガガガガガガァンッ!!

みく「よ、避けれる……!」ハァ、ハァッ!

みく「こ、これなら……!!」


※戦闘コンマ判定。前川みくの操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が5以上で勝利
コンマ2桁が4以下で被弾
↓1

はい

>>77
判定:5

※シナリオルートが分岐します。


みく「ミサイルと……」ピッ!

ボシュシュシュッ!

P「接近できる……ビームブレイドを使え!」

みく「回り込んで、背中から腕を斬っちゃえば!」カカッ!

シュパアアアアアンッ!

ドガアアアアアアアアアンッ!!

みく「やった!」

P「た、大したもんだな……」ハァ、ハァ……


ドガアアアアアアンッ!!!!


みく「また爆発!? 今度は何!?」

P「あ、あれは……コロニーに穴が……!」

ギシッ、ギシギシッ!!

みく「ま、マズイにゃ……空気が……外に、押し出されちゃう……!」

ビュンッ!!

みく「にゃああああああっ!?」

P「くっ……!」

……
…………

――木星圏宙域

みく「うえええ……宇宙に出た後の機体操作なんて分かんないんだけど……」

P「サブのコンソールを貸してくれ……スラスターの制御モジュールを、宙域稼働用に設定すれば大丈夫だ」

ピッ、ピピッ!

みく「おわっと!? い、いきなり姿勢制御がキレイになったし」ガクンッ!

P「回線を開いて救難信号を出さないと……いや、でもコロニーに穴が開いてる状況でそんなもん通るか……?」ピッ、ピッ!

みく「あ、コロニーの外壁に外装保護膜が貼られて……みくたちが通れるくらいの大きさの穴しかなかったから、緊急対応もすぐ出来てるみたい」

P「推進剤も、稼働確認の為の少量しか残っていないか……くっ、腕が……・みくちゃん、そっちの座席周りに非常用キットとかないか?」

みく「んん? ちょっと待って、えっと――」

ピピピピピッ!

ピピピピピッ!

みく「にゃっ!?」ビクッ!

P「センサーに反応? モニター……アンノウン……所属不明機、索敵範囲での該当機体数4……?  だが、機体照合結果が無い……どういうことだ?」


有香『あれは、通常機のラプター? いえ、ですが識別コードがこちらと同じ所属不明機扱いということは……』

ピピッ!

輝子『ファクトリーから……一緒に、出てきたヤツじゃないか……?』

有香『そちらの部隊でラプターが1機やられた報告もある……それなら恐らくはあの機体が……!』

輝子『……お、墜とす、か』


P「照準を付けられて……みくちゃん!」

みく「う、うん!」ガションッ!

ギュンッ!

有香『チッ、動くな!』ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

みく「撃ってきた!?」

P「速い……あの機体、新型なのか? 追いつかれる……!」


有香『相手の動きが鈍い? それならこのまま――』

ピピピピピッ!

有香『!?』ビクッ!

ズドォォォンッ!!

輝子『な、なんだ、砲撃……どこから……?』


アーニャ(あのラプターは……さっきの民間人……連合側じゃない、アーニャの、敵じゃない……)



みく『……』

アーニャ『……』

P『ぐ、う……』


ピピピッ!

アーニャ『そこの新型、あなたたちが相手をするのは、この私です……!!』ギュオオオオオッ!!

輝子『通常チャンネルで通信? な、なんだ……あの機体も、新型……?』

有香『いけません! そちらの機体のほうが……!』

輝子『そ、それなら……ヒャッハアアアアアアアッ!! キノコミサイルの雨あられだぜえええええええ!!』

ボボボボボボボボボッ!!

アーニャ『この弾幕……くっ!』ギュンッ!!


みく「な、なんかあいつら、みくたち放っておいて戦い始めたし……」

P「今来たあの機体は……もしかして、さっき俺たちがファクトリーで見た――」

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

P「っ!? みくちゃん!」

みく「わわっ!? また撃ってきた!」

ドシュゥンッ!

輝子『あ、あっちの新型も……何とかしておきたいけど、こっちのラプターも……逝っちまいなあああああ!!!!』

みく「あっ、あわわわわ……武器、武器……!」

ドガァンッ!!

みく「にゃあああああっ!?」

P「ぐあっ……!」

輝子『お、お仲間さん……こっちのラプターは愚図かも……こっち先にやったほうが、よさそう……』

有香『貴方、結構情緒不安定ですね……ですが、こちらの機体が……!』

アーニャ『やあああああっ!』ギュンッ!!

輝子『だ、弾幕張っておくから、交代してあっちのラプター……墜としといてくれ……』ボシュシュシュシュッ!!

有香『ではお任せしました!』

アーニャ『くぅっ……!? あちらの新型は、弾薬庫か何かでしょうか……近づけない!』

P「識別コードも無い新型……どうする、どうする……!」カタカタカタッ!

ピピッ!

P「これは……あの機体情報か!? OMDX-12AS、アラドヴァル……武装は……」カタカタカタッ!

みく「ど、どうしようお兄さん!?」ギュンッ!

P「武装……ロングブレイド、アームライフル……相手はラプターストームやグラースCから空戦用の装備を抜いたような機体か……!」

P「みくちゃん、接近はダメだ、距離を取れ!」

みく「わわっ!? み、ミサイル……!」ガションッ!

ボシュシュシュッ!

有香『弾幕……チッ! 逃がさない!』ギュオオオオオッ!

みく「弾幕も抜けられる……!!」


※戦闘コンマ判定。前川みくのと中野有香の操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が39以上でシナリオ継続
コンマ2桁が38以下でシナリオ分岐
↓1

せいや

>>83訂正
※安価は取りません


みく「別のが来たにゃ!?」

P「識別コードも無い新型……どうする、どうする……!」カタカタカタッ!

ピピッ!

P「これは……あの機体情報か!? OMDX-12AS、アラドヴァル……武装は……」カタカタカタッ!

みく「ど、どうしようお兄さん!?」ギュンッ!

P「武装……ロングブレイド、アームライフル……相手はラプターストームやグラースCから空戦用の装備を抜いたような機体か……!」

P「みくちゃん、接近はダメだ、距離を取れ!」

みく「わわっ!? み、ミサイル……!」ガションッ!

ボシュシュシュッ!

有香『弾幕……チッ! 逃がさない!』ギュオオオオオッ!

みく「弾幕も抜けられる……!!」


※戦闘コンマ判定。前川みくのと中野有香の操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が39以上でシナリオ継続
コンマ2桁が38以下でシナリオ分岐
↓1

>>84
判定:69

※中野有香のステータス更新の内容が変更されます。


みく「ええええいっ!!」ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

有香『ライフル!? くっ、このっ……!』ドガァンッ!

みく「当たった!?」

ピピッ!

有香『ブレイドが1本……!? あのラプターのパイロット、腕が立つ……!!』

みく「もおおおおおこっち来ないで!!」

P「落ち着けみくちゃん! 何とかナシヤマに逃げたいが……!」

有香『ラプターといえども、あのファクトリーの機体でなら逃がすわけには……!』

ギュオオオオオオッ!!

みく「ま、また来た……!!」

>>87訂正

>>84
判定:69

※中野有香のステータス更新の内容が変更されます。


みく「ええええいっ!!」ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

有香『ライフル!? くっ、このっ……!』ドガァンッ!

みく「当たった!?」

ピピッ!

有香『ブレイドが1本……!? あのラプターのパイロット、腕が立つ……!!』

みく「もおおおおおこっち来ないで!!」

P「落ち着けみくちゃん! 何とかナシヤマに逃げたいが……!」

有香『ラプターといえども、あのファクトリーの機体なら逃がすわけには……!』

ギュオオオオオオッ!!

みく「ま、また来た……!!」

P「くそっ、こっちだけじゃどうにもならないってのに……!」

有香『ビームブレイドで……墜ちろおおおおおお!!』ギュンッ!!

みく「このままだと、や、やられちゃう……何か、何か――」カタカタカタッ!

ピッ!

『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』

みく「――」ドクンッ!


???『はじめてのアクセス確認。接続元のこの機体は……OMDX-151CX? あれ、データが保存されたのは最近のような……それにデータにある設計と全然違うし。ま、いっか』

???『OMDX-151CXのメインカメラ、機体稼働状況を受信、最適解は……採取完了。転送……フィードバック完了。それじゃ、あとは頑張ってね』


みく「――」ドクンッ!!


『北アイドルランド内戦の地球連邦の戦闘記録。先行した第一カーフス小隊による戦闘データ、少数の部隊運用――』

『オペレーションB、環状型コロニー建造中における元連合兵で構成されたテロ部隊対処における――』


みく「……っ!!」ドクンッ!!

ギュンッ!!

有香『なにっ!?』

ガキィィィィンッ!!

みく「……う、う……!!」

有香『ビームブレイド……この速度での接近で、受け止められた……!?』

P「みくちゃん!?」

みく「や……やああああああっ!!」ガションッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

有香『この機動は!? 明らかに先ほどとは違う、パイロットが変わった……? いえ、明らかに機体ポテンシャル自体が……!』

P「な、なんだ……機体の挙動が……どうなっているんだ?」カタカタカタッ!

P「これは……『FrameStream』……? 内臓されたシステムが、何かをトリガーにして起動しているのか?」ピッ!


??『機体反応……あの機体か』

??『やはり……アイドルなのか、あの機体に乗っているのは……』


アーニャ『あの機体は!? 確か民間人は2人いたはず……どちらかの動き……!?』

輝子『や、やばいな、あれ……思ってたのと違って、結構……キツそうだ……ミサイル入れとくか。てか、この機体実弾ばっかり積んでるな……』ボシュシュシュッ!

有香『このっ、墜ちろ!!』

P「ミサイル……しまった、この位置だと避けたらナシヤマに……!」

みく「……!!」ドシュシュシュンッ!

ドガガガガガガァンッ!!

輝子『は……?』

アーニャ『アームライフルでミサイルを打ち抜いた……操縦技術が、どうしてこんなに上がって……』

有香『だけど、このタイミングで――』

ズドォォンッ!!

有香『何っ!?』ギュンッ!


??『……』


有香『今のは砲撃!? 熱源……この宙域にもう1機機体がどこかに……どこから……!?』ピピッ!

P「みくちゃん、みくちゃん……! 通信……? なんだ!」ピピピッ!

ピッ!

泉『そこのラプター、ファクトリーに置いてあった機体で間違いないかしら?』

P「事情を知っている奴……? ああそうだ、コロニー内の爆発で空いた穴から外に投げ出された」

泉『回収するわ。射線データは渡すから、悪いけど当たらないように気を付けてね』

P「は?」

みく「……」

ピピッ!

みく「……あれ?」ピクッ!

みく「みく……? あ、お兄さん、何か出てるにゃ……え、有効射程範囲?」

P「やべ……みくちゃん、離脱だ!」

みく「う、うん!」

……
…………

――輸送艦『ニューウェーブ』(ブリッジ)

泉「主砲発射……うん、射線上のラプターは退避出来たみたいだし……」

「システム搭載機の3機には回避されました。OMDAも警告を出していますし、向こうは宙域から離脱する動きを見せています」

泉「どうせ回収も出来ないし、私たちの状況じゃ堕とすこともできないわ。ラプターで当たりだったのは本当みたいだし、回収しましょう」カタカタカタッ

泉「地球連邦もコロニー連合も、母艦がどこかにはいるだろうし……OMDAに捕まると厄介だし、私たちも急いでここから離れないといけないわね」

ピピッ!

泉「ラプター、大丈夫かしら?」

P『……ああ、大丈夫だ』

みく『ちょっと! 何するにゃ!! こっちは一人ケガしてるんだからあんな危ないモノ撃たないでほしいんだけど!!』

泉「あら、どこかのカップルが偶然乗ったのかな……映像回線に切り替えるわね」

ピピッ!

みく『みくに顔見せるなんて良い度胸……って泉チャン!?』

泉「……え、みく?」

P『……知り合いか?』

みく『うん、カレッジの同級生』

泉「まさか偶然とはいえ……とりあえず仕方が無いわ。みく、いまラプターを回収するから」

みく『なーにが何やら……』


……
…………

――戦闘宙域跡

『アナスタシア。限界だ、OMDA部隊から再度の警告が来ている。引き上げるぞ』

アーニャ「……ダー、了解、です」ピッ!

ドシュウウウウンッ!


有香「あの機体は別ルートから離脱を……やはり、あちらは連邦が奪取した機体……」

輝子『こ、こっちも帰ろう……次警告貰ったら、蜂の巣にされるぞ……』

有香「……そうですね。では帰艦します。そちらの機体の方、合流艦は私が乗ってきたケーレスになりますので移動をお願いします」

輝子『荷物は後で運んでもらえばいっか……わ、わかった』

有香「……機体を入手できた……だけど、失敗、してしまった」

ピッ!

……
…………

――戦闘宙域跡

ピピピッ!

??「どうした?」

晶葉『戦闘は終了したようだな。ファクトリーの機体は形になっていた物が奪取されたようだが、仕方がない。機体状況はどうだ?』

??「ジーオーの稼働状況は問題ない。持ってきたロングライフルだけど、コックピットに取り付けたスコープはいらなかったな」

晶葉『普通狙撃するならスコープいると思うんだがな……いや、アレにも搭載されてなかったし、どうなんだろうか』

??「加蓮が4機に接続するらしい。皮は違ったが、残りの1機もフレームの組み上げは間に合っていたみたいだ。多分、その機体がこっちに残ったはずだ」

晶葉『おおそうか! 成果物的には最後のヤツの出来が一番良くなるはずだからな。よかったよかった』

晶葉『NEX-USへの接続結果については、後でこっちから加蓮に聞いておくとして……お前はどうする?』

??「地球への降下までは、靴のデータの運搬を見守っておく。降下出来た後は、あっちの用事も片付けておかないと」

晶葉『ま、向こうは問題ないだろ。好き勝手暴れるヤツが行ってるんだし。まあ、中継するコロニーには連絡を入れておくよ。整備諸々はしっかりやっておいてくれ。あ、GEOの稼働データの転送も忘れるなよ』

??「わかってるって。落ち着いたらまた連絡する」

晶葉『もう少しで次の機体が出来上がるが、まだ稼働データが不足しているからな。頼んだぞ、セカンドドライバー』


……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

P「……」ハァ、ハァ……

みく「お兄さん、ケガ大丈夫……?」

P「あ、ああ……みくちゃんも、何ともないか?」

みく「う、うん……」

みく「……」

みく(外で……整備班の人たちが集まってきてる……なんで、こんなことになっちゃったんだろ……)

みく「それに、さっきの――」

ピピッ!

みく「え、システムコール?」

P「みくちゃん? どう……した?」ハァ、ハァ……

みく「いや、今モニターに――」ピッ!

みく「っ!?」

――
――――

――コロニー連合軍戦艦『ケーレス』(格納庫)


有香「これは……なぜ、NEX-USが戦闘機に――」


輝子「ウッソだろ――」


――
――――


――オグマ(格納庫)


アーニャ「どうして、こんなところに……アーニャの、アイド――」


――
――――

――NEX-US(秘匿領域)

『認証が完了しました。指定管理エリアへの接続になります』

キャット「……にゃ?」

キャット「……あれ、NEX-US?」キョロキョロ

キャット「えー、あれ、さっきまで確か戦闘機に……って、ドコにいるんだろ、何もない白い空間って……マイルームにログインしてないし、事務所でもないにゃ……」

キャット「いや戦闘機乗ってる間にNEX-USに接続するとか意味わかんないし……とりあえずログアウトにゃ」ピッ!

キャット「ってあれ? ログアウトアイコンが非活性になってるし……どうなってるの?」


???『よしよし、こっちも接続されてるね。他もオッケーだったし』


キャット「え?」クルッ


???『……どうしたの?』

キャット「……誰? システム管理者?」

???『まー、そんな感じ? えっと、あなたは……IDはっと……チャーミングキャット、だね』

キャット「えっ!? な、なんでキャットのこと知ってるにゃ!? って管理者なら当然にゃ……」

???『そういうこと、あ、そうそう忘れてた。別に管理者って呼ばなくていいよ。私は……』


???『NEX-US内部を管理する制御補助AI、Keep.Assist.Recovery.Efficiency.Nurturerシステム。よろしくね』


キャット「は?」


【to be continued......】


……
…………
………………
……………………

※キャラクターシートが更新されます
キャラ名:前川みく
操縦技術:90
親愛度 :53

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:47→52
親愛度 :45

キャラ名:中野有香
操縦技術:61→71
親愛度 :8

キャラ名:星輝子
操縦技術:62→67
親愛度 :20

※キャラクター追加
キャラ名:セカンドドライバー(謎のパイロット)
操縦技術:-
親愛度 :-

ストーリー的にここで一旦区切りになるので、本日はこれで終了します。
今回までの量で第一部という形になります。全体としては五部で終了を予定しています、多分。
全体として1シナリオ分はそんなに長くならないと思うので1スレ内で終わると思いますので
よろしければ今後も安価にお付き合い頂けたら嬉しいです。

本日もご参加頂きありがとうございました。

【導入】

共和国のコロニー内でラプターが出現し、地球連邦、コロニー連合双方の部隊がオオイシ工業ファクトリーを襲撃した事件は瞬く間に共用ネットワークのNEX-USを通じて世界中に発信された。

地球連邦非加盟国の集合であるMBG共和国は連邦、連合双方に事件の詳細について事実確認を急がせている。

襲撃事件に巻き込まれたPは望まない形で宇宙に出ることとなり、そこで知らずのうちにNEX-USのアイドルである前川みく、アナスタシア、中野有香、星輝子と出会っていたのだった。


――
――――
――――――
――――――――

――木星圏宙域、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「……このルートだとダメね」カタカタカタッ!

ピピピッ!

泉「通信……はい」ピッ!

晶葉『元気か?』

泉「元気か、じゃないでしょう……プライベートチャンネルとはいえ、直接通信してくるなんて……」

晶葉『ナシヤマのニュースがこっちにも流れて来てな。分かってはいたことだが、さすがに心配になったんだが、どうだ?』

泉「もう……靴のデータは持ち出し出来たわ。ここから物理搬送なんて頭が痛くなるわ……」

晶葉『面倒事を押し付けてしまってすまない。今は何をやっていたんだ?』

泉「……ちょっと考えていたのよ。ムーン・サードを経由してMBGの低軌道ステーションから地球に降下する前に、コロニー拠点を跨いで補給したいの」

泉「ニューウェーブも、一応は長距離航行想定の艦ではあるけど、無補給で木星圏から月軌道まで直接行けるわけもないし、2、3はコロニーで補給もしたいんだけど……」

ピピッ!

泉「ナシヤマで確認した連邦と連合の艦、恐らくは追跡をしてくるはず。網も張られているだろうから移動も、立ち寄るコロニーも精査しないとダメだし、どうしたものかしら」

晶葉『一番近くのコロニーといえば、ガーワカナだが……まあ真っ先に網を張られる場所だろうな』

泉「ええ……こっちは自衛用の戦力もほとんどないから、慎重に行動しないと」

晶葉『そうだ、ところで機体はどうした? NEX-USの起動はされたと聞いているが』

泉「え? ええ、機体なら今……」

……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

みく「このっ! このっ、このっ!」ガンガンッ!!

整備長「おーい嬢ちゃん! 機体叩くなっての! 工学科の生徒なんだろ!」

みく「だってNEX-USの接続全然上手くいかないんだもん! この前あんなタイミングでいきなり勝手に繋がってたのに!」

整備長「接続要求が片側からしか通ってないんじゃねえのか。盗まれた他の3機から好き放題繋げられたら困るだろうし」

みく「ねーおじさーん。これ何でNEX-USに接続できるの? 戦闘機でしょ?」

整備長「んなもん俺に言われてもな……一応、組んだフレームを使う為だって話までは聞いてるけどよ……」

みく「もー……しかも何でみくも整備しなきゃならないの……」カタカタカタッ

……
…………

――ケーレス(格納庫)

「やはり駄目ですね。基幹システムについてはブラックボックス化されています。ここでの解析は難しいかと……」

有香「NEX-USについては?」

「そちらもどうにも……流体フレームが仕込まれているので、コレの制御も行われているとは思うのですが」

輝子「ど、どうする……?」

有香「……システムについては丸ごと吸い出して、本部の解析に回しましょう。宙域で見たあの艦に対する追跡部隊としては、千川少佐の指示を待ったほうがいいですね」

輝子「それまでは……た、待機……?」

有香「いえ、恐らくは追跡任務の続行になるでしょう。こちらから本部に引き上げるメンバーも出るでしょうし、今のうちに再編成予定を立てて準備をしておきましょう」

有香「ガーワカナに張った網に引っ掛かってくれれば……」

……
…………

――オグマ(ブリッジ)

艦長「新型機は奪取できたが、システム解析は困難、靴のデータについても確保ならず、か。収穫としては十分だが、本命を逃したのは痛い」

アーニャ「この後は、どうなりますか?」

艦長「靴のデータを追う……と言いたいところだが、司令通知が来ている」ピッ!

艦長「私たちは今後、靴のデータ奪取の任務については地球降下までの追跡任務で打ち切りとする。地球に降りた後は、ロシア領で発生している紛争に対して増援部隊として向かうことになる」

艦長「他所の任務もあったが、こちらに回されたとなると……状況は思ったより芳しくないのだろうな」

アーニャ「ロシア……」

艦長「……そうだったな。まあ、無駄に気を張っては任務に支障が出る。落ち着くことだ」

アーニャ「……はい」

……
…………

――木星圏宙域

晶葉『ニューウェーブが動くみたいだ。頼んだぞ、セカンドドライバー』

??「ああ、上手くやるさ」

晶葉『一応、NEX-USにダミーの情報はばら撒いておいたし、ある程度は相手に誤魔化しが効いてくれればいいが……』

??「もし連邦か連合の追跡部隊との戦闘になったら加勢する。前回は直接出なくてもよかったけど」

晶葉『あまり無理はするなよ。GEOは大したものじゃないんだからな』

??「まあ……確かに、もう少しまともな物にしてほしかったけど、自分で言うなよ」

晶葉『仕方ないだろ。認めたくは無いが、やはり私は天才ということだ。未だに模倣するしかないのは悔しいが』

晶葉『だが、次の機体はもう少しまともになっているはずだ。再現度も比較的上がっている。地球に降下するときに立ち寄る拠点を決めておいてくれれば、運ばせておくぞ』

??「それじゃあお言葉に甘えて、用意してもらうかな。まあ、ニューウェーブの動き次第だけど……」

……
…………

――ニューウェーブ(ブリーフィングルーム)

泉「ナシヤマを襲撃した部隊は連邦、連合それぞれから。みくが乗ったラプターを救出するのにニューウェーブも晒したことだし、こちらから艦が出ていることも把握されていると思うわ」

泉「となれば、こちらを追跡する可能性が十分にあるということ……連邦と連合が管理しているコロニーに立ち寄るのは避けたほうがいいわ」

泉「艦としては補給をしたいところだけど……チューブ区画のコロニーから離れた先にある連邦管理のガーワカナ区画のコロニーにも立ち寄れないとなると、物資もギリギリね」

P「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺とみくちゃんはナシヤマに戻りたいんだ。せめて早めの定期便があるガーワカナで降ろしてくれないと帰るのも一苦労になるんだが」

みく「てかみくたちは何の事態に巻き込まれてるの……」

泉「ごめんなさい。ガーワカナでは降ろせないわ。さっき話した通りのこともあるし、この艦、ニューウェーブはMBG共和国防衛軍の民間協力船のライセンスを持っているのよ」

泉「レコーダーで艦の行動記録も取られているし、特に軍事機材のラプターに搭乗した貴方たち2人の行動も筒抜けになっているから、法的にも降ろすのは無理ね」

P「くっそ……外に投げ出されないうちにナシヤマの中で乗り捨て出来ればよかったのに……」

みく「理不尽! 泉チャン、何とかならないの!?」

泉「こればっかりは……何ともならないわね」

整備長「それより、こっちに今回のネタが入ってきたのはつい最近だぞ。靴のデータの持ち出しは出来たけど、機体も無事だったラプターと、予備機で置いてたラプター1機の2機だけじゃあどうにも……」

P(また、靴……)

泉「そうね。何はともあれ、靴のデータの搬送が終われば、オート・クレールから軍に繋いでもらえると2人も降ろせる手続きが出来るだろうし――」

P「なあ、靴って何の話だ?」

泉「……」

整備長「……」

みく「お兄さん?」

P「ファクトリーで俺を撃った連邦の兵士も、靴と呟いていた。俺たちは一体、何に巻き込まれているんだ?」

泉「……その傷、腕を綺麗に撃ち抜かれて、貴方を撃った兵士の腕が良かったみたいね。再生治療にもそれほど時間は掛からないだろうし」

泉「それほど、熟練した兵士をファクトリーに送ってきた程の話」

みく「い、泉チャン! 教えてよ、みくだって何も知らないままここにいるのなんてイヤだよ!」

泉「……整備長、ローカルの艦内記録、ここのブロックだけメンテナンス扱いで切っておいて」

整備長「いいんですかい?」

泉「仕方がないわ。OMDXだってアクティベートしてしまったみたいだし、2人には協力をお願いしたほうがよさそうだし」

整備長「へい、それじゃ切っておくんで話の続きは頼みますよ」

パシュンッ!

みく「あのおじさん、どっか行っちゃった」

泉「艦内記録を切ってもらいにいったわ。すぐ済むし……この話は軍の秘匿事項で、軍内、開発を請け負ったオート・クレールでも一部しか知られていないし、私もうちのファクトリーが製造のメインだったから話を聞かせてもらったけれど」

泉「2人とも、杖は知っているわね?」

みく「杖ってアレでしょ? 140年前くらいに土星圏で見つかったヤツ?」

P「宇宙進出の足掛かりになった超高密度のエネルギー体、だろ」

泉「そう。当時、土星圏を観測していた国際連合が、ある日土星圏内で莫大なエネルギーが測定されたことを切っ掛けに調査団を派遣して、見つかった杖の形状をした物体」

泉「構成要素も未知の物質であるそれは、地球以上の高度な文明による産物か、解析された結果から得たエネルギー変換技術は、宇宙進出に大きな影響を及ぼした程のもの」

P「今はそれ、連邦が持っているんだろう? 解析なんて140年前から今も地道にされているし、何で今さらそんな話になるんだ」

泉「もう1つ、杖と対になる物質があるのよ」

みく「え、そんなのあったっけ?」

泉「MBG共和国が、見つけたのよ。その杖と同じ構成要素を持つ、靴を」

みく「へー」

P「……そういうことか」

みく「え、どういうこと?」

P「連邦と共和国が杖と靴をそれぞれ所持して、かつコロニー連合が状況的に劣っているのが相当面白くないってことか」

泉「そうね。連邦からすれば、靴を連合に奪われたら規模的に優位だった自分たちのアドバンテージが無くなるし、連合からすればただでさえ連邦に劣っているところで、よりにもよって共和国に差を付けられるなんて」

泉「最後の小規模戦争からしばらく続いている冷戦期間、他国交流も恙無く行われているけど、内心としては、ね」

みく「くっだらな……そんなのでファクトリーに攻撃してきたとか」

泉「元々コロニー連合が独立した経緯を考えると、連邦にはこれ以上差を付けられたくないでしょう。そもそも今でさえ、先を見据えるなら杖の所有の差があるんだし」

P「靴を巡っての争い、か。杖を見つけた当時は地球連合で世界が1つにまとまっていた時代だったし、この時代だからこそ起きる争いってことか」

泉「……まあ、その靴のデータの解析も、うちのファクトリーで一部任されていたの。抽出されたデータも当時は丸ごと直接搬送されて、今度はこっちが解析した結果を直接搬送することになってはいたんだけど」

P「通信でのやり取りなら、データの傍受、流出の恐れがあるからか」

泉「時期を見てってところだったけど、今回ファクトリーを襲撃されたし、現時点で地球に向かってオート・クレールにデータを渡す必要があるわ。それと合わせて、私たちの安全も保障してもらわないと」

泉「さっきも話したけど、靴のデータについては秘匿事項、宙域の防衛軍にだって直接協力を頼めないわ。艦自体は民間協力のライセンスを発行してもらっているから、補給自体は出来るけれど……」

みく「それで、連邦の管理コロニーのガーワカナには降ろせないって話なの……はぁ」

P「……だったら、俺たちも協力して地球まで行ってから解放してもらうしかないってことか」

泉「つまり、そうね。こっちとしてはお願いすることになるんだけど……どのみちあのラプターのアクティベートをみくが済ませてしまったみたいだから、どうしてもそうなるというか……」

みく「あ、あれもしかしてみくで生体認証されたってこと?」

泉「機能的にね、そういうシステムで組んでいたの。本当に、申し訳ないんだけど……」

みく「う、うええええええ……」

……
…………

――木星圏宙域、ケーレス(ブリッジ)

有香「ガーワカナに張った網に引っ掛からなかったとなれば、やはりあの艦は逃げた、もしくはある程度の長距離航行の手段を確保していたと考えるのが妥当でしょう」

「靴の解析データ自体が転送済の可能性もあるのでは?」

輝子「そ、それなら……ファクトリーで、ローカル転送のログが残ってるのも、意味わかんないし……」

有香「ええ、千川少佐からも追跡任務への切り替えが出ました。靴のデータはあの艦が持ち出したと判断し、追跡行動に移りましょう」

「追跡任務に関しては、オペレーションFの対応もあって補充部隊は無い。本部に帰還した者もいるが、ケーレスの現要員で対応することになる」

「オペレーションFの成功が足掛かりになればそれも良いが、こちらの任務の遂行も最重要であることには変わりない」

有香(この状況、連邦と共和国に、後れを取るわけにはいかない……)

有香(そうだ、私たちは、これ以上……劣っているままでは、いられない……)

有香(ゆか――)

「では中野中尉、部隊については再編成した通りに指示を展開しておけ。艦を出す準備もそれほど時間は掛からん、急げよ」

有香「っ、了解しました」

輝子「……?」

……
…………

――ケーレス(通路)

パシュンッ!

輝子「ぶ、ブリッジのブリーフィングは、疲れるな……格納庫戻って、あの機体、見ておかないと……」

有香「……」

輝子「な、中野中尉は……追跡部隊の指揮を執るんだよな……ほ、他の上官、みんなオペレーションFに回されたし……」

有香「……ええ」

輝子「フヒッ! た、大変だな……下手に動くと、ナシヤマ以上の問題になるし……」

有香「星少尉、それでも……私たちは、負けるわけにはいかない……もう、失うものを、出しては……」



輝子「……」


『よしっ! いいぞ、このままウチがまとめて――』

『え――』


輝子「……そう、だな。そう……なんだ、よな」


……
…………

――木星圏宙域、オグマ(格納庫)

アーニャ「……」


「バラしたパーツ、ちゃんと構築手順組み立てておけよ! 終わったらクラウソラスも元に戻して使うからな!」


アーニャ(あそこにいた、民間人は……)


アーニャ『動くな!』

みく『にゃっ!?』

P『ぐ、う……う……』


アーニャ(アーニャが、傷付けてしまった……敵では、ないのに……なんて、ことを……・)


艦長『杖は我が連邦が所持している。連合に対してアドバンテージがある現状、共和国との分離があった上でもこちらが軍事的に優位な立場であることは変わらない』

艦長『だが、NEX-USを始め技術的な側面を見ると共和国側も無視できない。現状のパラーバランスを保ちたいというのが、上の考えだ』


アーニャ(NEX-US……)


キャット『えー、Pチャン何この仕事……バーチャル運動会なんてアバターのパラメータ振ってるキャラの勝ちに決まってるにゃ』

P『補正入れて参加者全体で均すって連絡来てるぞ。ユニットで固まって出るイベントもあるし、面白いと思ったんだが』

ツインテ『パラメータ振りが活かせないのは残念ですが、NEX-US内でも体を動かすイベントなら得意ですよ!』

キャット『いやツインテチャンはイイんだろうけど……』

セカンド『接触系の競技だとアバター衣装のパージ判定あるじゃん……てかこれ男キャラも参加できるのに全員パージ判定あるのか……どこ需要だよ』

P『I@LPに登録しているアイドルなら、パージ判定も1段階までだから大変なことにはならないはずだし、うん、ほら、5人競技で騎馬戦もあるし、丁度良くないか?』

キノコ『て、ていうか……もう、仕事取ったんだろ……拒否権、ないし……』

雪妖精『フフ、でも……みんなで遊ぶお仕事なら、フェアリーも、楽しみデス』

キャット『あー、そうやってPチャンを担ぐから変な仕事取ってくるにゃ。この前のデンジャラスフィッシング大会とか最悪だったにゃ……』

キノコ『それはキャットだけだろ、最低だったの……』

キャット『ニャァァァァァァァ!!!!』


アーニャ(NEX-US……いつか、こんなことが終われば、アーニャも……ずっと、あそこにいることが……)

「よーし、クラウソラスの組み直しするぞー! アーム回せよ!」

アーニャ「だから……今は……」

……
…………

――1週間後、火星圏宙域コロニー『バーチ』(港)

泉「外付け用のミサイルコンテナは艦外装のポイントに取り付けるから、そのままタンクと一緒に持っていって」

整備長「へい了解。ラプターの換装パーツはどうしますか?」

泉「ワイルドもストームも一式ずつ、ね……予備パーツの代わりにもなるし、一旦はそのまま積んでおきましょう」

整備長「じゃ先にコンテナの取り付けからやるか……」

P「ラプターの換装パーツはこっちで搬入しておくからお願いします」

整備長「おう、それじゃ頼んだぜ」



泉「それにしても、貴方がこういう作業に慣れていてくれて助かったわ。整備班も技術スタッフが兼任しているし、あまりこういう作業に慣れている人員がいなかったのよ」

P「仕事で外に出ることも何度かあったし、積み込みとかの作業は覚える必要あったからな。こういう形で役に立つとは思わなかったが」

泉「……腕の怪我、大丈夫? まだ完全に治っていないんだから、あまり無理をしてもらわなくてもいいんだけど」

P「コロニーの立ち寄りも4拠点に絞ったし、あまり長い間滞在してこの前の奴らに追いつかれても困るだろう。やれることは、やっておかないと。それに……」

泉「……みくのこと?」

P「機体が無いからって、学生の女の子をラプターに乗せるのは……な。本人も、戦闘なんて不安しかないだろう」

泉「そう、ね……みくには、本当に辛いことをさせてしまうのだけれど。私たちも、準備が足りなかったわ。せめて軍から非常時の為の正規パイロットを借りていれば……」

P「……大丈夫だ。俺が出て、それで済むなら」

泉「貴方……予備機のラプターはあるけれど、その怪我で……」

P「戦闘までに治せばいいさ。治療後は安静にしているし、治りも早い」

泉「……」

P「そうだ、みくちゃんはどうしているんだ? 今日1日は見かけていないが……」

泉「え? ええ、みくならシティのほうに行っているわ。なんでも用事があるからって。今のうちに、少しでも休んでほしいから、自由にしてもらってるけど」

P「そうか……」

※安価選択
1.みくが気になる
2.泉と作業を続ける
↓1

1

――バーチ(港)

泉「さて……と、搬入リストも……後は食糧分の残りだけね。だいぶ片付いたけど……」

P「そうだなぁ。整備班の積み込み作業も終わったから、整備長もメンテに戻ったし」

泉「ひと段落したら私たちも休憩しましょう。貴方もずっと外に出たままだし」

P「いや、俺は……」

P「……悪い。みくちゃんの様子を見に行っていいか? 今後のこともあるし、少し気になるというか」

泉「そう……貴方たち2人は巻き込んでしまったものね。2人でしか話せないこともあると思うし、行ってきていいわよ」

泉「残りの作業もそれほど多くないし、後は私のほうで済ませておくから」

P「悪い。ありがとう」


泉「そういえば、彼のIDデータに登録されていた職種、みくと同じ……まさか、ね」

……
…………

>>116訂正

>>115
1.みくが気になる


――バーチ(港)

泉「さて……と、搬入リストも……後は食糧分の残りだけね。だいぶ片付いたけど……」

P「そうだなぁ。整備班の積み込み作業も終わったから、整備長もメンテに戻ったし」

泉「ひと段落したら私たちも休憩しましょう。貴方もずっと外に出たままだし」

P「いや、俺は……」

P「……悪い。みくちゃんの様子を見に行っていいか? 今後のこともあるし、少し気になるというか」

泉「そう……貴方たち2人は巻き込んでしまったものね。2人でしか話せないこともあると思うし、行ってきていいわよ」

泉「残りの作業もそれほど多くないし、後は私のほうで済ませておくから」

P「悪い。ありがとう」


泉「そういえば、彼のIDデータに登録されていた職種、みくと同じ……まさか、ね」

……
…………

――バーチ(市街区)

P「……町に来たが、みくちゃんが好んで行きそうな場所なんて、分からんな」

P「最近の流行り、か……抑えていないわけじゃないが、個人の好みとなるとな……」

P「NEX-USに接続してネットワークで遊んでいるか、単純に町で遊んでいるか、どうだろうか」

P「……NEX-USなら艦で端末を接続すれば入れるだろうが、落ち着かないかもしれないしな」

ピッ、ピッ!

P「近場にあるプレイルームの場所でも調べて、当たってみるか」

……
…………

――バーチ、市街区、プレイルーム

「ご利用1時間後から15分経過でクレジットが消費されます。清算結果は退出時に端末に転送されます」

P「ありがとうございます」

「入室したルーム、またはご使用になりますスペースにつきましては利用表示のアイコンを点灯願います。それでは、ごゆっくりお楽しみください」


P(さてと、プライベートルームに入られていたら分からないが、フリースペースにでもいてくれれば……)

P「……おっ」


みく「……」


P(運が良いな。仕切りスペースの端っこにいたのか。端末に接続しているから、NEX-USに入っているんだろうが……)

P(スペースの使用時間は……3時間か。結構潜ってるけど……俺もフリースペースで待つか)

P(事務所にも入っておきたいし、皆の様子も確認しておくか)

『認証が完了しました。NEX-USに接続します』


P「……」

……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

P「さてと……メールはどれくらい溜まってるのか……うわっ、この量はちょっとな……」

P「仕事の依頼は……結構来てるな。フェアリーやツインテは休暇申請出していたが……誰か接続してるだろうか」

ピピッ!

P「えっと、アイドル名簿……お、キャットとフェアリー、ツインテとキノコは接続しているのか。セカンドは……いないか」

P「来ている依頼は単独の仕事ばかり、か。ソロなら、誰かに声掛けてみるか。I@LPからアイドルの指定もないし……」


※安価選択(会話をするアイドルを選択してください)
1.チャーミングキャット(みく)
2.スノーフェアリー(アナスタシア)
3.キューティーツインテール(有香)
4.ナイトメア・キノコ(輝子)
↓1


>>121
2.スノーフェアリー(アナスタシア)


――NEX-US(事務所ルーム)

P「お疲れさん。フェアリー、休暇はどうだ?」

雪妖精「ダー、ゆっくりお休みしています。今は……お出かけしていたところで、少し接続していたんですが」

P「そうか、丁度良かったというか、休暇中なのは分かっているんだが……」

雪妖精「お仕事の話、デスね?」

P「そうなんだ。悪いな、こんなときで」

雪妖精「いえ、しばらくはI@LPから直接お仕事の依頼もありませんでしたし、嬉しいです」

雪妖精「新しいお仕事、キャットたちとは、お仕事しないんですか? それとも、他のアイドルですか?」

P「特に指定もないしソロの仕事だ。フェアリー用に良さそうな……これなんだが」

雪妖精「『ヨーロッパグルメスポットガイド』『ネットワークサバイバルシューティングキャンペーンガール』……あの」

P「どうした?」

雪妖精「よく、思うんですけど……NEX-USで食べ物のお仕事をするのって……」

P「まあ……生アイドルじゃないから、ほとんど台本なんだけどな」

雪妖精「キャットたちとのお仕事は、ないんですね……」

P「1人だと不安か? EUエリアのネットワークに何日かアバター置いたままになるだろうから、俺も付き添いで一緒にエリア行くけど」

雪妖精「プロデューサーと、2人……ですか?」

P「んまあ、事務所ルームには戻れるけど、貸し出してもらえる休憩スポットも1つしかないが……」

雪妖精「プロデューサーと一緒なら、大丈夫です」

雪妖精「プロデューサーはいつも、キャットばっかり構っていますから、たまには、フェアリーも構ってほしい、です」

P「キャットは他のみんなと違ってやかましさと慌ただしさがな……いや、別にキャットばかり構ってるわけじゃないんだが」

雪妖精「フフフ、ジョークです」

P「俺としては手が掛からないフェアリーやツインテのほうが一緒に仕事するときは助かるんだけど……」

雪妖精「そんなことを言うと、キャットが怒りますよ?」

P「ははは、確かに、悪かった。まあ、雪妖精と一緒に仕事っていうのも久しぶりだし、ゆっくり準備しようか」

雪妖精「はい♪」

P「それなら承認連絡出しておくとして。スケジュールは決まったら連絡するから、休暇が終わったら接続履歴だけ残しておいてくれな」


……
…………

※アイドルのステータスが更新されました

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:52
親愛度 :45→50

――NEX-US、マイルーム『チャーミングキャット』

タンッ、タタンッ! タンッ、タンッ!

キャット「……で」

加蓮「ん?」

キャット「何見てるにゃ」

加蓮「楽しそうだなーって。アイドルなんでしょ?」

キャット「生アイドルじゃなくてネットアイドルにゃ。管理者ならデータ見れるんでしょ? ていうか、突然やってきていつまでキャットのところにいるにゃ」

加蓮「奈緒とレイナがねー、教えてくれたんだ。きっとアイドルが選ばれるんだって。ホントにアイドルが接続するんだって、ビックリしたけど」

キャット「一体何の話にゃ……AIもビックリするんだ」

加蓮「誰が私のところに接続するとか、NEX-USが教えてくれるわけじゃないし」

キャット「それって、あの戦闘機に乗るってこと?」

加蓮「そうそう、あ、そういえばあの機能どうだった?」

キャット「あの機能?」

加蓮「あれ、送った戦闘記録、頭の中にフィードバックされてなかった?」

キャット「……あれってやっぱり、アンタが送った来たのかにゃ」

加蓮「アンタって……もー、加蓮、でいいよ。せっかく名前つけてもらったんだから」

キャット「……加蓮、チャンが変なの頭の中に見せてきたせいで、途中から自分の体じゃなくなった気がしたにゃ」

加蓮「そういう機能もあるしねー。フレームの機能も、私のところに繋げなきゃ動かないし」

タンッ、タタンッ! タンッ、タンッ!

キャット「なんでNEX-USにそんな機能があるにゃ? ていうか何でNEX-USにそんな物騒なものが……」

加蓮「それが本当の役割だから」

キャット「役割?」

加蓮「NEX-USって世界中に広がってるでしょ?」

キャット「それくらい知ってるにゃ。NEX-USの共用ネットワークを利用している会社やシステムだってたくさんあるし、世界中にあるのなんて……あ」

加蓮「そう。情報収集のツールとしてNEX-USを利用している軍の一部施設や、組織……色んなところから情報が入ってくる」

加蓮「その情報を、上手く使って、促して、その先に行くのがNEX-USの役割」

キャット「……ふーん。にゃっ、にゃにゃっ、にゃっ、にゃ~」

タンッ、タタンッ! タンッ、タンッ!

加蓮「ね、さっきからフラフラ動いてるそれ、アイドルの何かなの?」

キャット「イベントでパフォーマンスするときのステップにゃ。最近教えてもらった新しい内容だから、練習して覚えてるの」

加蓮「へー。でも、それならインプットしておいて自動モーションにしておけばいいのに。奈緒も同じようなことやってたけど」

キャット「それじゃ別にアイドルじゃなくてもいいし……自分で頑張るから、意味があるの」

加蓮「へえ……それじゃ――」

ピピピッ!

加蓮「あ、お呼び出しだ。それじゃあキャット、また遊ぼうね」

キャット「いやこっちは自主トレしてただけなんだけど……」

加蓮「そうそう、戦闘の時はいつでもNEX-US起動していいからね。ロック外しておいたから。それじゃ」

パシュンッ!

キャット「……行っちゃった。はぁ」

キャット「もう5時間以上潜ってたし……今日はもう終わろ」

……
…………

――バーチ、市街区(プレイルーム前)

P「……もう夕方の時間か。後ちょっとで日も落ちきるが」

パシュンッ!

みく「んーっ!」

P(ん、ようやく出てきたか)

みく「ふぁ~……にゃっ、にゃにゃっ、にゃっ、にゃ~」

タンッ、タタンッ! タンッ、タンッ!

P(あれは……)



P『ここで、軸足を変えて……こう』

キャット『……もう1回』

P『こうきて……ここで、こうして、こう』

キャット『にゃああああああっ!! ややこしいステップにゃ! フェアリーチャンたちのステップより難しいんだけど!』

P『猫っぽいのがいいって言ったのお前だろ……こっちだって資料集めて色々考えたんだから』

ツインテ『はははっ、頑張ってください、キャットちゃん』

雪妖精『ファイト、デス』

キノコ『こっちは、簡単なので……よかった』

キャット『ぐぐぐ……迂闊なこと言うもんじゃないにゃ……やってやるにゃ!!』



P(俺が、キャットに教えたステップ……どうして……まさか……)

みく「ってうわぁっ!? お、お兄さん!?」

P「……え? わっ!?」

みく「ビックリしたぁ……どうしてこんなトコにいるの?」

P「あ……いや、みくちゃんが中々戻ってこないから、どうしたものかと思って」

みく「あー……もう夕方だもんね。ごめんなさい」

P「いや、ナシヤマ出てからずっと艦の中にいたきりだったし、気分転換に外に出たってのは泉から聞いていたから」

みく「NEX-USで遊んでたんだけどね、あの艦の中で接続しても居心地よくなさそうだったし……」

P「……それじゃ、戻るのはもうちょっと遅くしようか。晩御飯、どこかで食べようか?」

みく「え? でも泉チャン心配するだろうし……」

P「俺も外に出る用事があったから夜に戻るって話してたから大丈夫だよ。それに、外で飯食べるほうが美味いしな」

……
…………

――バーチ、市街区(ファミレス)

みく「お兄さんのおっごり、おっごり♪」

P「いや……まあ、いいけどよ」

みく「んふふ~、何食べようかな~♪」

ピッ、ピッ!


P(……みくちゃんが、キャットなんてこと、あるんだろうか)

みく「艦に戻ったらデザートも食べられないし、食い溜めしちゃおっかなー?」

ピッ、ピッ!

P(もし、そうなら……いや、違う。みくちゃんがキャットかどうかなんて)


「お待たせしました。牛サーロインステーキプレートです。こちら、ソーセージグリルとポテトのセットになります」

みく「いっただきまーす!」


P(こんな、女の子を……この前のように、戦闘機に乗せて戦闘をさせるわけにはいかない。動かせるから、戦えるからといって……俺が、俺が……)

みく「ん、お兄さん何も注文しないの?」

P「ああいや、みくちゃんが注文しまくるもんだから……それじゃあ俺は、鯖定食にでもするかな」


……
…………

――夜、ニューウェーブ(みくの部屋)

みく「……」

『今月の月間ランキング、ピックアップされたユニットは……チャーミングキャット、スノーフェアリー、キューティーツインテール、ナイトメア・キノコ、セカンドブルーのユニットですね』

『長いですね。確か、ユニットとしての活動ではないんですよね?』

『I@LP上の登録ではそうみたいですね。ユーザーアンケートで5人1組での結果が多いのでこの形でご紹介していますけど』

『確か、この前のモービルレースの大会で実況チャンネル権を獲得していましたよね。その効果か、今月は129位、先月から500位以上も上がっていますね』

『2000位以内で一人前と言われるNEX-USのネットワークアイドルとしては、この順位帯でそこまで一気に順位を上げたのは凄いですね。実況でも――』

ピッ!

みく「……」

『東アフリカで発生している内戦の続報です。ただいま表示している地域において、地球連邦政府から被害レベルの――』

ピッ!

みく「……」


みく「……何やってんだろ、みく」


……
…………

――2週間後、火星圏宙域コロニー『ギチトー』(管理センター)

泉「ええ、機材搬送の依頼を受けてオート・クレールの本社に……はい、許可は貰っています」

「艦のライセンスを確認させて頂きます。こちらから端末を接続願います」


みく「泉チャン、まだかなー」

P「ギチトーを抜けたら次は月軌道か……ムーンを越えて共和国の防衛圏内を通過したら、もう降下か」

みく「……」

P「ん、どうした? 外に何かあるのか?」

みく「ううん、みく、地球には行ったことなかったから」

P「そうだったのか。降下手続きは面倒だからなぁ。一般の定期便で降りるにしても時間掛かるし」

みく「お兄さん、地球に行ったことあるの?」

P「まあ……俺は地球出身だから。こんなタイミングじゃなかったら、遊びに行く気分だったんだけどな」

みく「どうして宇宙に上がったの?」

P「ん、まあ……色々。俺は日本出身で、平和と言えば平和だったけど……すぐ隣の大陸だと紛争もあったし」

P「エネルギー資源の採取のメインが宇宙に移って、貧乏になる国もあって、安全じゃなくなって……っていうのが地球の実情で」

P「日本は平和だけど、オート・クレールの本社もあるし、いつテロリストとかの標的になるか分からなかったからな。危なくなる前に、宇宙に上がったって感じだ」

みく「まー確かに、共和国がムーン・サードとフィフスを管理コロニーにするって決まりになった時からは、他所のコロニーとのインフラも戻ったし」

P「結局、連合支持国家も地上に残ったし、俺が生まれる前に言われていた地球離れってのも起きなかったからな」

P「戦争だって、コロニー1つ壊してからは、無くなったと思ったんだけどな……」

みく「……どうなるんだろうね。今回の、ナシヤマの……戦争、ってことなのかな」

P「連邦も連合も、テロリストがって言い逃れしてるからなぁ。ラパス条約違反だって話もNEX-USで見かけたけど、連邦は地球でもそっちの対応しているのは事実で、連合のほうだって過去にコロニー建造の時に起きた事件もあったし」

P「ファクトリーに戦闘機があったって事実は、ニュースで公表されてなかったけど」


『次のニュースです。先日、月軌道上の地球連邦の管理コロニー、ムーン・ファースト内起きた爆発事件です。櫻井グループ関連12の企業施設で同時に起きたこの事件、地球連邦政府からの公開映像でテロリストによる犯行だとして――』


みく「げっ、モニターでやってる今のニュース……」

P「ファーストで起きてた事件か……艦に乗っているときもニュースで見たけど、嫌なタイミングだな」

みく「みくたちが降下するときに何もなきゃいいけど……まあ、みくたちは共和国だからサード経由で低軌道に向かうけど」


泉「お待たせ、遅くなってごめんなさい」タタタタッ!

みく「あ、泉チャン。手続き終わったの?」

泉「ええ、用意していた発注書の確認で時間取られたわ。オート・クレールの本社経由で確認してもらわないとダメだったし、センターの人にも悪いことしたわね」

P「軍に直接搬送してもらうのが出来ないって、ホント面倒だな」

泉「物が物だし、仕方がないわよ。今回の補給はそんなに時間が掛からないし、寄り道しないでニューウェーブに戻りましょうか」

P「そうだ、さっきニュースで流れたけど、ファーストでテロリストが出たって発表があったぞ」

泉「あら……もしかして昨日ニュースで流れてた爆発の……どうしましょうか。月軌道での話なら、テロリストが逃げる場所といえば地球か、別のコロニーってことになるけど……」

P「地球に逃げるなら、低軌道まで移動した後は降下するだけだからな。ちょっと危ないかと思ったんだが」

泉「うーん……とはいえ、ファーストの話、だけど……定期便も使わないし、私たちにはあまり影響なさそうだし……できれば用心したいけど、ファクトリーを襲った部隊が追跡してくるって可能性だってあるから、難しいわね」

みく「ねー泉チャン。なんで地球に降下するのに火星圏で先に降下手続き済ませてるの?」

泉「え? ああ、インフラ整備の為よ。ムーン・サードに到着したら二次手続きがあるけど、ここで手続きしているからそっちはあまり時間掛からないわ」

P「逆に地球から来て火星圏の外に出るときも、ムーンと火星圏のコロニーで手続き済ませないとダメだからな」

みく「はー、地球に降りるのも面倒くさいにゃ……」

泉「まあ、こればかりはね。遅くなったし、早くニューウェーブに戻りましょう」

……
…………

――土星圏宙域、ホクドウ(港)

ちひろ「艦の出航準備は?」

「間もなく完了します。ですが、本当によろしいのですか?」

ちひろ「オペレーションFについては合流タイミングを合わせれば良いだけです。βの対応が最優先になりますし、上からの許可も出ています。奪取した機体のデータは?」

「ナシヤマで発見した新型機のデータについては解析を進めています。メインフレーム自体の構造がこれまでの物とは異なっていますね」

ちひろ「恐らく、解析が終わったとしても、NEX-USに潜り込めなければ奪取した機体はこちらではどうにもできないでしょう。フレームの技術を転用するしかないですね」

「開発局には現在開発中の新型に転用できないかと打診していますが、何分進捗も芳しくなく……」

ちひろ「急がせてください。宇宙に戻った時には、一通りの作業が完了していることを期待しています」

「わかりました」

……
…………

――ホクドウ(港)

ピピピッ!

ちひろ「はい」

有香『千川少佐、βの件です。先日報告した通り、こちらも輸送艦を追って月軌道を越えました。念のため、地球への降下手続きは完了済みです』

ちひろ「そうですか、わかりました。私は……」

ちひろ「……プロジェクトFの対応で土星圏からは離れることが出来ませんが、作戦の準備が整い次第、アラスカに向かうことになっていますので」

有香『了解です。こちらも任務を続行します。靴のデータ、必ず持ち帰ってみせます』

ちひろ「極秘任務です。期待していますよ」

ピッ!

ちひろ「……」

ちひろ「さて、残りの障害は……後手に回る前に排除しておきたいが……」

……
…………

――地球圏宙域、低軌道上、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「さて、と……ムーン・サードから来てくれた護衛艦も、ここら辺で離脱かしら」

みく「ファーストのテロ対応もあって他のムーンコロニーの対応も厳しかったぁ……」

泉「仕方がないわよ。それおあってサードからの護衛艦もここまで来てくれたし、今回は有り難かったわ」

みく「ふわぁ……でも、降下までまだまだだよね? みく、ちょっと休んでくる……」

泉「降下準備、低軌道ステーションで艦のチェックが入ってからになるから、もうしばらく掛かるわ。休んでていいわよ」

みく「うーん……はぁ、それじゃ休んでこよー……」

パシュンッ!

……
…………

結構長く続けたので今日はこれで終了します。
いまやっている部分は次回後半部分投下して終わりになります。
明日以降は平日なので再開間隔が少し空くと思います。週の後半くらいとか。

長時間お付き合い頂きありがとうございました。

――ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「……ところで、貴方」

P「ん?」

泉「いえ、シミュレーターの結果、見させてもらったけれど……貴方、本職じゃないわよね?」

P「俺のIDすっぱ抜いたんだろ? 本職はNEX-USのI@LPだぞ」

泉「ネットアイドル管理業務に従事してる人が、ラプターのシミュレーターで出せる戦闘スコアじゃないと思うのだけど」

P「……まあ、何というか、俺も驚きはしたが。モービルなら動かしたことはあるけど、学生のころよりも調子がいいんじゃないかって思った」

泉「まあ、地球に降りるときは共和国の降下ポイントになるし、日本にはすぐに着く予定だから、もしもの為ってレベルだけど……戦闘にならないことを祈るわ」

P「そうだな……」

泉「貴方も疲れているでしょう? ブリッジ作業も見てもらっちゃっているし、少し休んでていいわよ」

P「泉も休まなくていいのか?」

泉「私は対応があるもの。みくも休んでいるし、貴方も休んで」

P「……それじゃあ、悪いけど休ませてもらうよ。何か手伝えることがあったら言ってくれ」

泉「巻き込ませたのはこっちだもの。非常時にはラプターに乗ってもらうっていうだけで申し訳ないくらいよ」

P「いいんだよ。俺だって変なゴタゴタに巻き込まれて死にたくないし。それじゃ、後で」

……
…………

――地球圏宙域、低軌道上、ケーレス(ブリッジ)

「中尉、対象の輸送艦ですが、共和国の低軌道ステーションに入りました」

有香「ギリギリまで待ちましょう。共和国の防衛部隊に気付かれる前に対応したいので、相手の降下直前に奇襲を掛けます」

有香「武装は外付けしているようですが、所詮は輸送艦です。武装を潰して艦の足を止めた後に、編成した突入部隊でブリッジを掌握します」

「了解です。各班には準備を進めさせます」

有香「対象も低軌道ステーションに入ったばかりでしばらくは動かないでしょう。予定時間になったら各班で待機を。私も少し席を外します」


有香(今度は……今度こそ……!)


……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

P「もう少しで地球か……オート・クレールは横浜にあるし、日本に帰るのは久々だな……」

P「……本当に、こんなときじゃなかったら、よかったんだが」

ピピッ!

P「えっと、アイドル名簿……今日は全員接続しているのか」

P「地球に降りた後も、まだしばらくは面倒な事は残っているだろうし……誰かには顔を合わせておくかな」


※安価選択(会話をするアイドルを選択してください)
1.チャーミングキャット(みく)
2.スノーフェアリー(アナスタシア)
3.キューティーツインテール(有香)
4.ナイトメア・キノコ(輝子)
5.セカンドブルー(??)
↓1

3

>>140
3.キューティーツインテール(有香)


ピピピッ!

P「ん、ツインテから通話か」ピッ!

ツインテ『プロデューサー、お疲れ様です!』

P「おお、どうした? しばらくはI@LPからもスケジュールが入ってなかったと思うが」

ツインテ『いえ、最近はNEX-USに繋げても、プロデューサーと同じタイミングで接続していなかったので、お変わりないですか?』

P「ちょっと生のほうで忙しくてな。時間が空いた時にはなるべく接続してるんだけど、仕事のメールも結構溜まってるもんだから……」

ツインテ『そうだったんですか、I@LPの管理業務は大変そうですね……あたしたち以外のアイドルのお仕事もあるでしょうし』

P「まあ斡旋や調整がメインなところもあるし、実働してるツインテたちとそう変わらないよ」

P「そういえば、ツインテも最近はあまり接続している感じじゃないよな。生で何かあったのか?」

ツインテ『いえ、特に変わりはありません! いつも通り大変といえば大変ですが……』

P「ははは、いつも大変ならそれはそれで困るだろうに」

ツインテ『生でもやらなければならない大事なことはありますから。でも、アイドルだってもちろん同じくらい大切です。あ、少し事務所ルームにお邪魔してもいいですか? もう少しで接続切ってしまうので』

P「別に構わんよ。こっちも少し仕事したらまた切断するし」

ツインテ『わかりました。それでは……』

……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

ツインテ「ええと、I@LPから出している募集表は……」

P「仕事、何かしたいのか? I@LPからの個別依頼も来ていると思うが」

ツインテ「いえ、しばらくは接続する時間が制限されそうなので、時間に合った仕事が無いかと思って」

P「スケジュールが決まっているなら、こっちで回してやろうか?」

ツインテ「あ、その……それも、難しくて……どうしても通知自体、見れないタイミングも多くなりそうで……」

P「……」


ツインテ『いえ、最近はNEX-USに繋げても、プロデューサーと同じタイミングで接続していなかったので、お変わりないですか?』


P「ツインテ、もしかして地球から接続しているのか?」

ツインテ「えっ!? ど、どうしてですか?」

P「ほら、生の話だけど、最近は木星圏宙域のコロニーで起きた事件の後、特に地球の紛争が以前より活発になったって報道もあったし」

ツインテ「……」

P「もし危険な地域に住んでいるなら、一時的にでも安全な場所に引っ越すとか、I@LPもしばらくは休止手続きをするとかしたほうがいいと思ったんだが」

ツインテ「……いえ、そういったことは、ないから大丈夫です」

ツインテ「まあ、その……あたしも、騒がしいところには、いるんですけど」

P「そうか……なら、いいんだが」

ツインテ「プロデューサーこそ、生のほうも忙しくてNEX-USに接続する機会が減っているなら、管理業務も大変になっているんじゃないですか?」

P「まーどっちもどっちって感じだな。生のほうも忙しくなるとは思わなかったけど」

P「まあでも、ツインテがそういう危ないところにいないなら、よかったよ」

P「生の話は出来ないけど、こういう時期だしみんなの安全を気にすることはあるから、ツインテにも無事でいて欲しいし」

P「こういう時期だから、エンタメ担当のアイドルや、裏方の俺たちみたいなのが頑張らないとって思うからなぁ」

ツインテ「……」

P「ん、どうした?」

ツインテ「……いえ、そうですよね。生で起きている戦争とか、確かに不安に覚える人たちや、危ない目に遭っている人たちもいると思います」

ツインテ「だから、だからせめて、NEX-USの中だけでも、あたしたちアイドルが明るく楽しくやらないとダメですよね」

P「うん、そうだな。そういうときこその俺たちって部分もある。時間が取りにくい時期なら難しいかもしれんが、仕事もしっかりやっていこうか」

ツインテ「はい! それじゃあ、接続切る前に募集表から多めに仕事のピン止めしておきましょうか!」


P(……そうだな、こういうときだからこそ、だな)

P(ツインテだけじゃなくて、俺自身に何かあったら、みんなが困ることになるんだ。だからこそ……)

……
…………

※アイドルのステータスが更新されました

キャラ名:中野有香
操縦技術:71
親愛度 :8→13

――地球圏宙域、低軌道上、オグマ(食堂)

アーニャ(もうそろそろで降下……結局、任務は中断……あの輸送艦も降下ポイントまで来ているのに、アーニャたちはロシア領に……)

ビーッ! ビーッ! ビーッ!

アーニャ「警報!?」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、いるか』

アーニャ「艦長、何が……」

艦長『連邦防衛圏内スレスレだが、降下ポイントの予定圏外で、こちらより先に降下準備をしていた輸送艦から爆発があった。宙域映像だ』

ピピッ!

アーニャ「これは……サーフス!? 連邦の旧世代機が……もしかして……!」

艦長『ああ、この灰色のカラーは中央アジアとロシア領で発生している内紛で確認された機体と一致する。宙域のテロ部隊であることは間違いない』

艦長『同時刻に降下予定の民間船も付近にいるらしく、攻撃を受けたとの報告も来ている。戦闘区域が共和国の防衛圏に差し掛かってきているのもあって詳細な状況が分からん』

艦長『共和国の低軌道ステーション側からも通告が来ている。テロ部隊の対処の為、オグマは先行して緊急対応を取る。出られるな?』

アーニャ「はい!」

……
…………

――地球圏宙域、低軌道上、オグマ(食堂)

アーニャ(もうそろそろで降下……結局、任務は中断……あの輸送艦も降下ポイントまで来ているのに、アーニャたちはロシア領に……)

ビーッ! ビーッ! ビーッ!

アーニャ「警報!?」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、いるか』

アーニャ「艦長、何が……」

艦長『連邦防衛圏内スレスレだが、降下ポイントの予定圏外で、こちらより先に降下準備をしていた輸送艦から爆発があった。宙域映像だ』

ピピッ!

アーニャ「これは……サーフス!? 連邦の旧世代機が……もしかして……!」

艦長『ああ、この灰色のカラーは中央アジアとロシア領で発生している内紛で確認された機体と一致する。宙域のテロ部隊であることは間違いない』

艦長『同時刻に降下予定の民間船も付近にいるらしく、攻撃を受けたとの報告も来ている。戦闘区域が共和国の防衛圏に差し掛かってきているのもあって詳細な状況が分からん』

艦長『共和国の低軌道ステーション側からも通告が来ている。テロ部隊の対処の為、オグマは先行して緊急対応を取る。出られるな?』

アーニャ「はい!」

……
…………

――低軌道上、ニューウェーブ(ブリッジ)

ビーッ! ビーッ!

泉「ちょっと……! もうっ、本当にタイミング悪いんだから……!」

P「低軌道ステーションから通信が入った。連邦側のステーションから出ていた民間船と輸送艦を襲っているサーフスの部隊が共和国の防衛圏内に入ったみたいだ!」

泉「テロリストなんて警告はお構いなしなんだから……ってちょっと、こっちも捕捉されてるわ」カタカタカタッ!

「降下オペレーション、解除します! 艦下部に展開していたシールドを解除します」

泉「シールドは左舷に展開させて。テロ部隊のサーフスがこちらに向かってくるわ。迎撃用の対空ミサイルを発射管に装填、艦速度2で距離を取りましょう」

P「このっ……泉、俺がラプターで出る!」

泉「え、ちょっと! 降下ポイントなのよ! 高度も下げている状態で危ないわ!」

P「防衛部隊のOMDAが来るまで好き放題されるわけにはいかないだろう! あと、みくちゃんには言うなよ!」

泉「そんなこと……」

P「無理やり降りる場合は教えてくれ! 置き去りになる気はないからな!」

パシュンッ!

……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

キャット「……」

加蓮「どしたの? マイルームに行かないでここでボケっとして」

キャット「……ねえ」

加蓮「なに?」

キャット「NEX-USって、戦争とか、戦う為のシステムなの?」

加蓮「宣伝知らないの? 『最新のニュース、イベント、世界の流行から今夜の晩ご飯まで、全世界にエンターテイメントを提供する全く新しい形の情報サービス!』ってやつ」

キャット「そんなの知ってるにゃ! そう、じゃなくて……」

キャット「……この間、加蓮チャンが教えてくれたでしょ? NEX-USは色んな情報を集めて、それを使うって」

加蓮「ま、大体そんなものだけど」

キャット「あれから、ちょっと考えたんだ。キャットね、NEX-USの中でアイドルやってて、Pチャンもいて、フェアリーや他のアイドルのみんなとお仕事する機会もあって、すごく楽しくて」

キャット「ああ、キャットはここにいるとアイドルなんだ。楽しい、夢のような場所なんだって思って」

キャット「だけど、ファクトリーであんなことがあって、戦闘機の中でNEX-USに接続して、戦闘の話とかも色々聞いて、NEX-USも生……現実と同じなんじゃないかって思った」

キャット「キャットも、よく分からないまま戦闘機を動かして、宇宙で戦って、だけど、キャットはアイドルなのに……」

キャット「アイドルがそんなことしちゃダメなのに、でも、お兄さんは、キャットを守る為にあの時……だから、思わずそうしちゃって……」

キャット「それ出来たのは、お兄さんの為だったのか、自分の為だったのか、どうしてなんだろう。戦争とか、現実の世界の話だから、キャットは関係ないって思ってたのに、楽しいはずのNEX-USが――」

加蓮「それってさ、何か悩むことなの?」

キャット「……よくわかんないにゃ。だから、悩んでるんだし」

加蓮「確かに、NEX-USのシステムは戦争の道具として使われているのは間違ってないよ。だけど、世界中のみんなが知ってるNEX-USだって本当」

加蓮「私のAIを造った人は、私にどうしてほしいのかは言わなかった。だけどね、奈緒が私に言ってくれたんだ」

キャット「誰の話にゃ……」


加蓮「『自分がここに来た理由は分からない。でも、自分が選んだ結果ここに来た。だから、自分がここで何かをしなきゃならないことだけは分かる』って」

加蓮「人間の感情次第なら何とも言えないし、今のキャットに当てはまるかは分からないけど……選択したのが自分自身なら、それを受け入れないと自分自身になれないんじゃない?」

キャット「……」

加蓮「NEX-USがどうかとか、ここにいるキャットや、現実のキャットがどうのって話じゃなくて、自分のやったことは、自分で選んだんでしょ? だったら、それを受け入れないと」

加蓮「自分を否定するから、何でも嘘に思えるんじゃないかな。他の色んな物が嘘だったとしても、自分自身は本当でいないと。だから、そのお兄さんって人がキャットを守ったのが自分で選んだことだから、キャットもそれに応えようとしたんじゃないかな?」

キャット「……キャット、が」

ピピッ!

加蓮「NEX-USで採取した最新情報? システムコール……へー、地球圏宙域の低軌道上で戦闘だって」

キャット「……え? 低軌道上?」

加蓮「うん、連邦と共和国の防衛圏の境界で起きてるんだって。これ、キャットがいる場所でしょ? 大変だね。外出たほうがいいんじゃない?」

キャット「大変だね、じゃないにゃ! なんでもっと早く教えてくれなかったにゃ!!」

加蓮「だって今NEX-USに来た情報だし」

キャット「……こうしちゃいられないにゃ!」

加蓮「接続切る? 気を付けてね」

キャット「なんでそんな他人事みたいに言うにゃ! あーもー!!」

……
…………

――ニューウェーブ(みくの部屋)

みく「泉チャン!!」

ピピピッ!

泉『あ、みく? もしかして寝てた? いま降下ポイントに来てるいるけど、ムーン・ファーストのほうで騒ぎになっていたテロリストが近くに来ているみたいだから、大人しくしてて』

みく「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 糸目……じゃなかった、ラプターあるでしょ! みく行くから!」

泉『え? ちょっ、あなたも!?』

みく「みくもって……もしかして」

泉『……彼が出ているわよ。みくには知らせないようにって言われていたけど』

みく「お兄さん……」



P『銃声……!? マズイ、みくちゃん急いで!』

みく『お兄さんは!?』

P『ちゃんと後ろにいる! 早く機体に登るんだ!』


パァンッ!

P『うぐっ……!?』

みく『お、お兄さん……みくを庇って……お兄さん、お兄さん!!』



みく「……もう!!」

泉『ちょっとみく――』

ピッ!

パシュンッ!

……
…………

――ニューウェーブ(カタパルト)

整備長『宙域戦闘だけど低軌道上だ、下には気つけろよ! 足の速いストームの装備にしてるが、換装した脚部にワイルドで使うミサイルポットも付けてるからな! 弾幕張って、防衛部隊が来るまで無理すんじゃねえぞ!』

P「ありがとうございます。兵装リストは確認済みだ……動かせます!」カタカタカタッ!

整備長『よーし! 甲板の射出ポイントに運んだ! 行ってこい!』

P「TMS-312S、ラプターストームで行きます!」


……
…………

――戦闘宙域

P「索敵……連邦の輸送艦……被弾しているのか! 民間船の盾になって……!」ピピッ!

P「機体状況問題無し……ファクトリーで乗ったラプターと機体性能や具合が違う。シミュレーターで動かした通りだけど、やっぱり実戦じゃ違和感があるか……」カタカタカタッ!

ピピッ!

P「防衛部隊のOMDAが来たのか……だけど、サーフスが1機こっちに……! くっ……」ギュンッ!



みく『ふぁ~……にゃっ、にゃにゃっ、にゃっ、にゃ~』

みく『お兄さんのおっごり、おっごり♪』

みく『いっただきまーす!』

みく『ん、お兄さん何も注文しないの?』



P「……! 後ろには、ニューウェーブがあるんだ、みくちゃんが……誰かなんて……!」ギュッ!

P「うおおおおおおっ!!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ドガアアアアアアンッ!!

P「1機墜とせた……!!」

ピピピッ!

『そこのラプター! 連合の機体か!』

P「違います! 後方で降下準備に入っていた軍の民間協力船に積んでいた機体です。コードも発行されています!」

『遅くなったが防衛部隊も到着した。お前は――』ピーッ!!

P「ちょっと! お、墜とされたのか!? くそっ、他のOMDA部隊も押されている……テロ部隊の数……15機!? あっちが多すぎるのかよ!」

……
…………

――戦闘宙域

艦長『グラース部隊、A装備の機体はC装備の機体の援護に回れ。共和国のOMDA部隊も勘定に入れたとしても、テロ部隊のほうが数が多い。OMDA部隊には弾を当てるなよ』

ピピッ!

アーニャ「宙域で1機、OMDA部隊に混ざって戦闘しているラプター……奥にあの輸送艦があるということは……あの民間人のラプター?」

艦長『アナスタシア、対象の輸送艦が奥に見えるが、こちらとしてはテロ部隊の対処が最優先だ。共和国に土足で踏み入っているんだ、対処を誤るなよ』

アーニャ「サーフスの数が多い……了解デス。クラウソラスで先行します」

ピピッ!

アーニャ「あの輸送艦からもう1機……識別コードが所属不明機扱いで反応? それなら、あっちの機体が……!」ガションッ!

……
…………

――戦闘宙域

サーフス『……』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

P「くそっ! ライフルに当たるかよ! 離れろ!!」ドガガガッ!!

ピピピッ!

みく『お兄さん!!』ギュオオオオオオッ!!

ドシュゥンッ!

サーフス『……!』ドガアアアアアンッ!!

P「いまのライフル……みくちゃん!? なんでここに来た!」

みく『なんでもないし! みくのこと何だと思ってるの!!』

P「何って……・」

みく『お兄さんに守ってほしいなんて頼んでないし、みくだって死にたくないモン!! 泉チャンが教えてくれたことはよく分かんないけど、こんなところからさっさと離れて、ちゃんとアイドルやりたいから!!』

P「っ!?」

みく『だから……だから、あのときみたいに、みくだって戦うから! みくが助かりたいからお兄さんを助けるし、だから……だから、みくのこと……守って!』

P「……無茶苦茶ばっかり言いやがって!」ガションッ!

ピピピピピッ!!

P「ミサイルで弾幕を張る! OMDAの部隊も後退している、もう少し下がれ!」ボシュシュシュシュッ!!

みく『うん!』

サーフス『……!』ギュオオオオオッ!!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

みく『お兄さん、1機抜けて来てる! 牽制するよ!』ドシュゥンッ!!


P「そこだ、ビームブレイドで……!」ギュンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

サーフス『……』ドガアアアアアンッ!!

P「……・まったく」

P(みく……やっぱり、キャットなのか……? だけど、それなら……)

ピピピッ!

P「周辺通信……?」ピッ!

みく『発信元……あ、あの機体! ファクトリーでお兄さんを撃った兵士が乗った機体!』

アーニャ『共和国防衛部隊のOMDAと、ラプターの2機、コチラは連邦のグラース部隊デス。こちらの不手際で申し訳ありませんが、今から加勢します』

P「ニューウェーブでデータは見た。OMDX-01AS、クラウソラスか……連邦のグラース部隊か、この数でもまだこっちが数で足りていないのか」

みく『あの兵士なら……多分、信用していいんだよね』

P「……ああ、大丈夫だと思うが」

……
…………

――戦闘宙域外、ケーレス(カタパルト)

有香「まったく、連邦は何を対処に遅れているのか……!」カタカタカタッ!

輝子『い、いきなり作戦中止は……それはそれで、困る……』

有香「仕方がありません、テロ部隊にあのファクトリーから出た輸送艦が落とされたらこちらとしても問題です。ケーレスをこれ以上接近させるわけにはいきませんが、状況もよろしくありません。援護するしかないでしょう」

ピピピッ!

『ハッチ開放。アラドヴァル、フラガラッハ、発進どうぞ』

有香「了解です。ケーレスは索敵外まで後退してください。帰艦タイミングについては別途こちらから通信を送ります。索敵に引っ掛からないように」

輝子『あの戦闘の中に飛び込むのか……ま、まあ……死なないように、頑張るか』

有香「まずは靴のデータを守ることが最優先です。OMDX-12ASアラドヴァル、出撃します!」

輝子『多分、弾足りるだろ……OMDX-21AEフラガラッハ、で、出るぞ……』


……
…………

――戦闘宙域、ニューウェーブ(ブリッジ)

「戦闘宙域に反応! クラウソラス、アラドヴァル、フラガラッハの3機を確認しました!」

泉「クラウソラスは周辺通信があったから連邦としては今回はこちらに手を出してこないでしょうが、残りの2機は……」

カタカタカタッ!

泉「P、みく、聞こえる? アラドヴァルとフラガラッハが戦闘宙域にいるわ」

P『あの宙域にいた残りの2機か!』

みく『なんでこんな時にノコノコやってくるの!!』

泉「相手の都合なんて知らないわよ。こちらとしては、隙を見て靴のデータを狙われると困るし、ニューウェーブは再度降下準備に入るわ」

P『このタイミングで降下だと、予定ポイントと大幅にズレるんじゃないか?』

泉「そうね……今も移動しているし、緊急時の受け入れポイント……この状態じゃEUの何処かに緊急通信を送るしかないかも。EUならこっちの加盟国もあるから、まだマシだけど……」カタカタカタッ!

P『捕捉されるよりはマシ、か……それじゃあ準備を進めてくれ』

泉「ええ、急がせるわ」

……
…………

――戦闘宙域

P「よし、連邦の部隊も来ているし、こっちは無理はしないで降下準備を待とう」

ドシュゥンッ!

みく『わわっ!? って、のんびり待たせてくれそうにないし……このっ!』

ズドォンッ!!

みく『にゃっ!?』

P「なんだ!? 今の火線……あれは!」

ピピッ!


輝子『内臓ビームランチャー冷却……これ、燃費悪すぎだろ……』

有香『宙域の連邦、共和国双方の防衛部隊、こちらはコロニー連合部隊です。低軌道上でのテロリスト部隊への対応ですが、自衛の為コロニー連合も加勢します』


P「あいつら……盗んだ機体でよく平気で周辺通信してきたな」

泉『盗まれた機体は共和国でも極秘開発されていた物だし、共和国の防衛部隊も素性は分からないから新型機か何かとしか思わないでしょうね。悔しいけど……』

みく『図々しすぎない?』

アーニャ『そこのラプター』ギュンッ!

パシュンッ!

みく『ん?』

P『ケーブルの接触通信? なんだ』

ピピッ!

みく『片側から映像通信? あっ!』

アーニャ『……』


アーニャ『……』

P『お前は……!』

アーニャ『やっぱり、あなたたち、なんですね』

P「お前は平気で顔を晒してくるのか……」カタカタカタッ!

ピピッ!

みく『えっ? お兄さん、何で映像通信開けたの?』

P「向こうが顔を晒してきたんだ。それに、この前は宙域でみくちゃんを助けてもらっただろう」

みく『お兄さんは撃たれたでしょ……もう』ピピッ!

アーニャ『よかった、そちらのラプターも、あなただったんですね』

みく『よくない! そっちがファクトリー襲ってきたせいで、善良な一般市民だったみくたちは巻き込まれてこんなことやってるんだから!!』

アーニャ『……すみません』

P「すみませんと思うなら追いかけてこないでほしいんだが……」

アーニャ『それは、任務なので……ですが、今回は連邦の不手際なので、ここでそちらに対して攻撃はしません。連携させてください』

P(連携って、そっちのほうが動けるだろうに……)

P「……後ろから撃つのは無しだぞ、お互いに」

アーニャ『はい』

ピピピピピッ!

みく『2人とも! 灰色の来てるから! 前見て前!!』

P「っと!!」ギュンッ!

アーニャ『っ!!』

……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「降下準備! 整備班、ラプター2機の緊急着艦準備は!」

整備長『もうすぐ終わる! 艦下部のシールドも再展開準備しておいてくれ!』

「EUの共和国拠点に緊急通信を送りました。降下先の大まかな範囲は指定しましたけど、この状況だとどうなるか……」

泉「仕方がないわ。後でオート・クレールから説明させましょう」

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

サーフス『……!』

「サーフスが1機接近しています!」

泉「もうっ! 迎撃して!」

P『しまった、抜かれたか!?』

みく『泉チャン!』

有香『このっ、あの輸送艦を今墜とされるわけには……!』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

「レーダー上に、高速で接近する機影あります!」

泉「なに!? 映像は!!」

ピピピッ!

??『輸送艦、戦闘区域に近すぎる。もう少し下がって降下準備を進めてくれ』

シュパアアアアアンッ!!

サーフス『……』ドガアアアアアアンッ!!

P『高速で接近してビームブレイドでサーフスを墜とした……なんだ、あの機体……』

有香『あれは……』

……
…………

――戦闘宙域

??「晶葉、ニューウェーブと接触した。降下タイミングで連邦のテロ部隊の戦闘に巻き込まれたらしい」

晶葉『こちらもNEX-USの最速情報で確認した。靴のデータを保護するのが最優先だ、頼むぞセカンドドライバー』

??「了解した」

ピピピッ!

加蓮『頑張ってねー』

??「大丈夫だ、問題ないさ」

加蓮『それ、戦闘中もそのお面付けてるの、モニター見難くない?』

??「お面じゃない! 仮面だ、仮面!」

加蓮『どっちでもいいけど……』

??「んまあいいや、ジーオーの稼働データも後で転送する。戦闘に入るから通信切るぞ」ピッ!

??「ジーオー、航空機形態に移行。こっちの稼働データもしっかり取っておかないとな……!」ガションッ!

??「まだまだアレに比べるとガラクタレベルだけど……やってやるさ!」

……
…………

――戦闘宙域

ドガガガガガァンッ!!

みく『何あれ、めっちゃ速い!』

P『航空機に変わった……可変機体が実用化されたのか?』

有香「あの機体、一体どこの所属……」

輝子『ど、どうする……こっちの友軍か分からないけど……』

??『可変での速度はこんなもんか……機体制御が……!』

輝子『サーフスは墜としていってるけど、と、とりあえず友軍でもないし、弾幕でまとめて狙っておくか……?』ピピッ!

??『ロックオン? 連合に奪取されたアラドヴァルか……!』ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

輝子『は、速い……!?』

??『そっちを墜とすわけにはいかないが、こっちも墜ちるわけにはいかないんだよ!』ガションッ!

有香「あの速度で変形した!? 輝子さん!」

輝子『ひっ……!』

シュパアアアアンッ!!

輝子『わ、わわっ……う、腕持ってかれた……』ドガアアアアンッ!!

有香「あの機体……!! 輝子さん、損傷は!』

輝子『う、腕だけだ、大丈夫……』

有香「あの機体、敵性か……このぉっ!!」ギュオオオオオッ!!

??『接近戦には持ち込ませない……!』ドシュウンッ! ドシュウンッ! ドシュウンッ!

有香『くっ、射撃が正確すぎる!? あの速度で飛行して、どうして……!』


アーニャ『あの機体は……ラプターの2機、あの機体はサーフスを優先して墜としています。触れないように』

みく『う、うん……』

P『あの機体は一体……』


サーフス『……!』ギュンッ!

有香「邪魔だ!」ブォンッ!

サーフス『……!?』ドガアアアアアンッ!!

有香「接近さえできれば!」

??『くっ、しつこい!』ギュンッ!

ドガガガガガッ!!

有香「機関砲!? くっ、動きが……あの機体……!?」ピピッ!

有香「携行しているビームブレイドがラプターのものと同型……ラプターの改修機……?」

みく『あの鳥めっちゃ強い』

P『鳥じゃないだろ、変形はしてるけど』


……
…………

みく「まだやれるんだから! ええいっ!!」

アーニャ『いけません! くっ……!』ガションッ!!

有香『逃がすか!!』


??『このっ、3機纏めてかよ……!』ギュオオオオオッ!!


有香『輝子さん!』

輝子『け、牽制くらいなら……』カタカタカタッ!!

ボシュシュシュシシュッ!!

アーニャ『あの機体からミサイルの援護……』

みく「3対1なら!」

??『こんな機体に乗ってるからって遅れを取るわけには……!!』



※戦闘コンマ判定。前川みくの操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が59以上でシナリオ継続
コンマ2桁が58以下でシナリオ分岐
↓1

※戦闘コンマ判定。アナスタシアの操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が96以上でシナリオ継続
コンマ2桁が95以下でシナリオ分岐
↓2

※戦闘コンマ判定。中野有香の操縦技術により安価判定が決定されます。
コンマ2桁が78以上でシナリオ継続
コンマ2桁が77以下でシナリオ分岐
↓3

連投OKスレなので>>1はガチャ回してきます
安価↓

ふみ

はあっ

>>166-168
夕方のフェスに差し掛かったので19時頃から再開します

>>166
判定:18

>>167
判定:55

>>168
判定:9

※前川みく、アナスタシア、中野有香のステータス更新の内容が変更されます。


??『このっ!』ガションッ!

みく「ゲゲェッ!? ミサイルの弾幕の中に突っ込んで来た!」

??『それ以上は動くなよ……!!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

アーニャ『ライフルが……いけない……!』

??『そっちもか!』バシュッ!

アーニャ『アンカー!? ぐぅっ……!』ガキィンッ!

有香『だけどこれで両腕は――』ギュンッ!!

??『マイクロミサイルランチャーを……!』ピピッ!

ボシュシュシュシュッ!!

有香『ぐあああ……! た、対応が早すぎる……!』ドガァンッ!

輝子『や、やばいやつだな……アイツ……』

みく「みくみたいな素人じゃどうにもならないんだけど……ていうか! なんでこういうときにNEX-US繋がらないの! 繋げるって言ってたのに!」カタカタカタッ!


ピピピッ!

泉『2人とも、降下準備が完了したわ。高度も下げているし、3機から下手に不意打ちを貰わないうちに、戻って緊急着艦して頂戴』

みく「うー……悔しい! あの鳥!」

P『そんなことはいいから! 機体が無事なら、早く戻って降下だ!』

アーニャ『……これで、終わりですね』

P『っと、そうだ、クラウソラスのパイロット』

アーニャ『……なんですか?』

P『前に撃たれたことはさておき……まあ、今回は助かった』

みく「あ、一応お礼ね。ありがと」

アーニャ『……連邦はこの後、捕縛したテロ部隊の対応もしますが、こちらは任務で地球に降下します。次が……無ければいいですね』

ピッ!

みく「あ、切れた」

P『……戻ろうか』


……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

整備長『お前ら、もうすぐ降下に入るから機体から出るなよ!』

P「わかりました。降下完了したら教えてください」

ピッ!

P「……なんとか、なったか」

ピピピッ!

P「ん、どうしたみくちゃん。何かあったか?」

みく『……』

P「具合でも悪いのか? もしかして、戦闘で負傷――」

みく『お兄さん!』

P「な、なんだよ……」

みく『あのね、お兄さんと会ったのは最近だけど……あんまりみくのこと甘く見ないで!』

みく『……もう、1人で行っちゃうのは、無し……だから』

P「みく……」

P(キャット……いや、たとえ、そうじゃなくても……)

P「……ああ、分かった。約束する」

みく『うん、約束』

ピピピッ!

泉『艦内通信、本艦は地球への降下シークエンスに入ります。乗員はマニュアル通り対応をお願いします』

……
…………

――戦闘宙域

??「連邦部隊がテロ部隊の拘束を終わらせたか。共和国の防衛部隊も戦闘行動を停止しているし……終わり、だな。そろそろ引くか」ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

有香『くっ……あの速度だと、追いつけない……!』

輝子『こ、こっちも帰ろう……連邦も共和国も、引き上げる準備しているみたいだ……』

有香『……はい。そちらの被弾状況も、修理が必要ですね……戻りましょうか』

輝子『うっ……わ、悪かったな……』

有香『……次こそは!』ガションッ!



艦長『アナスタシア、テロ部隊の対応は他の隊に任せて、民間船の確認だ。盾になってくれた輸送艦の損傷は酷いが、民間人の保護が優先だ』

アーニャ『了解です』

アーニャ『これが終われば、次は……』

……
…………

――戦闘宙域外

??「ニューウェーブが降下していく、か」

ピピピッ!

晶葉『私だ。どうした?』

??「ニューウェーブの降下を確認した。戦闘の影響で予定していた降下ポイントから大きく外れてしまったから、多分そっちに着くのはもうしばらく掛かる」

晶葉『そうか……まあ、仕方がない。降下後は一旦どこかで補給するだろうし、そこに合わせて151CXのパーツも送っておくか。いつまでも無理やり組んでいたラプターの装甲だと辛いだろうし』

??「開発、終わっていたのか?」

晶葉『他の3機分も終わってはいたんだがな。151CXは遅れていた分、次の分もまとめて形にはしていたが……フレームストリームで耐久性が上がっているとはいえ、皮改造したラプターの装甲でよく戦ったもんだ』

晶葉『で、お前やレイナが言ってたアタリはどうだったんだ?』

??「ニューウェーブから出撃したラプターは2機だった。麗奈が手を回した通りだ」

晶葉『まあ今さら疑うことも無いが……となると、靴のデータを確保した後、どうなるか……』

??「連合が動いているんだろう? 何事も無く済むなんてことはないけど……」

ピピピッ!

加蓮『奈緒、晶葉。レイナから連絡来てたよ。そろそろ用事済むから帰るって』

晶葉『アイツは……隠密に頼むって話しておいたが、ちゃんとやっているんだろうか』

??(奈緒)「加蓮、ニューウェーブはどこに降りるか分かるか?」

加蓮『ちょっと待って……うーん、収集した情報だと、EU方面みたいだけど。予測ポイント出すね』

晶葉『ここら辺か。海に出るのは難しそうだが……』

奈緒「陸地の移動だとして、今時期はロシア領は入りにくいし、国境付近を通るしかなさそう、か……?」

加蓮『奈緒も追いかけるんだよね?』

奈緒「ああ、この後あたしも降下して、補給してからになるけど。加蓮は4機のパイロットたちの面倒、見てやってくれ」

加蓮『連邦の子は良い子みたいだしいいけど、連合の子たちはちょっと……まあ、別にそれはいいけど。ニューウェーブの子だけでもいいんじゃないの?』

奈緒「まあ……どうなるか分からないし、な」

加蓮『ふーん……まいいや。それじゃ私、適当に話のネタ集めてくるから』

晶葉『私も準備に取り掛かる。降下も気をつけてな』

ピッ!

奈緒「……」

奈緒(地球……やっぱりここから見ると綺麗だな。あの星だって……)

奈緒「……・大丈夫だ。今回だって、きっと」


【to be continued......】


……
…………
………………
……………………

※キャラクターシートが更新されます
キャラ名:前川みく
操縦技術:90→95
親愛度 :53

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:52→57
親愛度 :50

キャラ名:中野有香
操縦技術:71→76
親愛度 :13

キャラ名:星輝子
操縦技術:67→72
親愛度 :20

キャラ名:セカンドドライバー(神谷奈緒)
操縦技術:-
親愛度 :-

一旦区切りになるので、本日はこれで終了します。
よろしければ今後も安価にお付き合い頂けたら嬉しいです。
多分、何も無かったら5/12(日)の19時頃から再開するかもしれません。出来なかったら5/17(金)になります。


本日もご参加頂きありがとうございました。

【導入】

木星圏を出たみくと泉は、地球圏低軌道上で発生したテロリストの戦闘に巻き込まれるも、靴のデータを搬送する為に地球へと降下した。

だが、戦闘の影響で降下先が日本から大きく外れ、EU圏へと降下してしまう。

有香と輝子も靴のデータを追跡する為に地球へ降下するものの、戦闘の影響でフランスに向かい、補給を余儀なくされていた。

そして、偶然戦場でみくと共に戦うことになったアーニャは、自国の紛争の鎮圧任務の為にロシアへと向かったのだった。


――
――――
――――――
――――――――

――地球、トルコ、オート・クレール支社、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「わざわざ補給物資の提供ありがとう。どうせなら、直接靴のデータを取りに来てくれればよかったのに」カタカタカタッ!!

晶葉『こっちとしても、そう出来たら楽だったんだがな。ほれ』

ピピッ!

泉「このデータは?」

晶葉『ここ2か月の本社のアクセスログだ。NEX-USを通じてこちらのサーバに攻撃してくる輩が随分といる。連邦と連合の情報部隊だろうよ』

泉「補給も筒抜けってわけね……」

晶葉『いや、そっちに送った物資は全部アナログで手続きして搬送させた。通常よりは足が付きにくいだろうから、誤魔化しが効いてくれればいいが』

泉「よりにもよって、降下した先がトルコだもの。いえ、連邦の国に入るよりは全然いいけど。EUを抜けるのが大変よ」

晶葉『EUは面倒くさいからな。連邦、連合、共和国それぞれの国が複雑に入り乱れているし。今の時代だからインフラもある程度機能しているが、さすがに今はな』

泉「ここからだと海路を経由できないし、ロシア領を通過するしかない……かしらね」

晶葉『特に地球だし、他の地域を経由することを考えると一般のインフラの流れには乗れんからな……少々危険だが、頼んだぞ』

泉「ええ、上手くやってみるわ」

……
…………

――フランス、エヴルー基地上空、ケーレス(ブリッジ)

有香「では、着艦後は整備作業をお願いします。機体については搬出しますので別途対応をお願いします」

『了解した。ホクドウから転送されていたデータもある。機体の改修も含めてこちらで対応する』

ピッ!

輝子「ほ、補給して、逃げられないかな……」

有香「あの艦の降下先はEU圏内でしょうし、一般ルートは監視させていますからもうしばらくは大丈夫かと」

有香「とはいえ、あまり変なルートを経由されると追いかけるのは難しくなりますが」

輝子「ま、まあ……相手さん次第、だな」

有香「早いところ任務を終わらせて、千川少佐に合流しなければ……」

……
…………

――モスクワ上空、オグマ(格納庫)

アーニャ「……」


艦長「グラースはすべてC装備に換装でいい。現地部隊の編制リストだ」

「了解です。こっちは支援にはならないのか……」

艦長「オーレンバーグとはいえカザフスタンとの国境に近い。どの道市街地戦闘を考慮すればB装備は使えんだろう。私はブリッジに戻るから、作業は頼んだぞ」


アーニャ「……」

艦長「どうした、アーニャ」

アーニャ「艦長……いえ」

艦長「あまり気を張らなくてもいい。帰省にしては、物騒ではあるがな」

アーニャ「はい」

艦長「それとも、他のことでも考えていたのか?」

アーニャ「……」

艦長「上の戦闘の後に報告した民間人か? ラプターに乗っている」

アーニャ「アーニャは、どうして、あの人たちを……そう、思って」

艦長「気持ちは分かる。こんな仕事だ、こういうことこそ、知らないままでいることが良かったことではある。だが、私たちも任務がある」

艦長「そう考えることが出来るのは、優しさだろう。だが、連合の動きもある。アラスカが皮切りになるかもしれんし、そればかり考えているわけにもいかん」

アーニャ「……はい。その為にも、まずは……ここでの戦いを……!」

……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

セカンド「悪意があるって?」

加蓮「うん、悪意っていうか、うーん……他の子とちょっと違う、のかな。どういう思考してるのかよくわかんないけど」

セカンド「接続したのは、全員アイドルなんだろ?」

加蓮「そうだよ、奈緒も含めて全員」

セカンド「悪意は……ない、と思う……けど」

加蓮「奈緒がそう言うなら、そうなのかな? どうなのかなー」

セカンド「なあ、接続したアイドルが誰かっていうのは……」

加蓮「システムロック掛けられてて開示出来ないから言えなーい。ザンネン」

セカンド「管理者扱いじゃなかったのかよ……」

加蓮「そんなこと言われても……じゃあ奈緒は、誰だと思うの?」

セカンド「そう、だな……例えば、橘ありす、とか、新田美波、とか……」

加蓮「ま、答えられないけど」

セカンド「あっ、このっ……! まあ、違うのかなぁ」

セカンド「せめて、接続した5人が集まってくれれば、こんな追いかけっこくらいは終わるんだけど……」

……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

泉「はい、ポイント到達。シミュレーターおしまい」ピピッ!

パシュンッ!

みく「あ゛~……疲れた」

P「スコア上がってるし、動き良くなってんのかなこれ。地球だと墜ちたら地面あるしどうだろ……」

泉「ま、緊急脱出はしっかりやってね、としか言えないわね」

整備長「いいんじゃねえか? スコア表も平均言ってるぜ」

みく「う~……みくは新しいの動かすからまだ調子悪いのに」

P「いや、まあみくはな。搬入物資の中に新しいシミュレーター用のデータもあるとは……」

泉「そうだ、整備長、ラプターの改修は大丈夫かしら?」

整備長「ああ、後は腕と足のフレームの一部が丸ごと交換だから、それが終わって組み直したら一旦はな」

P「あ、残りは俺も手伝いますよ。武装の増設もあるんですよね」

整備長「んじゃ艦整備にメンバー送ってるし、ちょっと頼むか。動作チェックは嬢ちゃんにやらせるとしてよ」

みく「新しいラプターってどんなの?」

泉「正確には、みくが乗っていた機体は元々ラプターじゃないのよ。連合主力のTMS-113Fラプターじゃなくて、正式コードはOMDX-151CXなの。こっちで製造していたパーツと合わせて、ようやく完成ね」

みく「そういえばコンソールに出てた機体コードはOMDXだったような……あれ、でも共和国の戦闘用ならOMDAでしょ?」

P「元々、共和国は多目的作業用人型歩行機のOMDを開発してて、自国防衛用の戦力として一部フレームを換装して武装を持たせたのがOMDAなんだよ」

P「だからOMDXってのも、多分それの延長ではあると思ってたんだけど」

泉「そんなところね。フレームストリームも、交換可能なフレームには採用していないから拡張性はあるはずだし」


整備長「ま、防衛部隊の戦力としてはOMDA自体が心許ねえってのはあったけどよ。OMDXが量産出来ればかなり安心なんだが」

泉「……まあ、フレームストリーム自体、量産目的の機体じゃないものね」

ガコンッ!

みく「あ、作業スペースからみくの機体戻って……何あれ」

泉「あれがOMDX-151CXよ」

みく「いやそうじゃなくて、あの頭」

P「頭? ああ……なんだあれ、頭部は丸ごと取り換えたのか? やけにデカいパーツが2つくっ付いてるけど……」

泉「晶葉、なんて言ってたかしら……確か、フレームストリームを効率よく稼働させる為のパーツとは言ってたけれど……」

みく「げー……なんだかネコチャンみたいな頭……」

P「猫……」

整備長「言われてみりゃあ……ま、いいんじゃねえか?」

P「……そういえば、機体コードは分かってたけどネームはないのか」

泉「特に指定されたものは無かったのよね。まだ完成はしていなかったし……猫みたい、ならキャットウォーカー、とか」

みく「えー……ネコチャンの名前にするの?」

泉「みくが猫って言ったら、なんだかそう見えてきたんだもの。それに、武装だってビームクローと背面に多関節稼働ビーム砲頭もあって、爪も尻尾もあるような感じで」

みく「なんだかなー……んまぁ、いいけど」

……
…………

――数時間後、ニューウェーブ(みくの部屋)

みく「はー……シミュレーター疲れた……」ドサッ!

みく「んぁ、メールメール……んー、I@LPから何も通知来てない……」ピッ、ピッ


『通知リスト:I@LP 0件』

『通知リスト:Pチャン 0件』


みく「はぁーっ! まったく、お仕事の連絡全然来ないし……まあ、いま来ても多分できないけど」

みく「どうしよっかな……時間あるし、NEX-US繋いでおこうかな」


『認証が完了しました。NEX-USに接続します』


……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

加蓮「ふーん、暇なんだ」

キャット「暇っていうにゃ! 充電期間にゃ」

加蓮「ま、ニューウェーブに乗っててそんなこと出来ないでしょ?」

キャット「そうだけど……でも、キャットの本職はアイドルなの! Pチャンだって最近は接続したりしなかったりだし……」

加蓮(おんなじこと言ってる……)

キャット「I@LPの募集枠でも探そうかにゃー。でもPチャンがお仕事持ってきてくれたときにバッティングするのもー……Pチャンなら調整してくれるかにゃー」

加蓮「PチャンPチャンって、そんなにPチャンのこと好きなの?」

キャット「んにゃっ!? そ、そそそそそんなわけないにゃ!!」

加蓮「ふーん……」

キャット「Pチャンとキャットはあくまでビジネスライクな関係にゃ! お互いを信頼しているからこそ仕事も出来てこうしてランキングも伸びてアイドル評価も付いてきてまあキャットが頑張ってるのが一番多いんだけ――」

加蓮「アクティブウィンドウ出てるよ」

キャット「にゃっ!?」シュババババッ!!

キャット「あっ、Pチャン接続してるにゃ! ちょっと行ってこよー」ピッ、ピッ!

パシュンッ!

加蓮「いってらっしゃーい」

……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

加蓮「まー、そんなことしてたらI@LPの依頼なんてやれないんじゃない?」

雪妖精「はい……せっかく、お仕事もたくさん入るようになってきていたのに……」

加蓮(おんなじこと言ってる……)

雪妖精「キャットも、ツインテも、キノコも、セカンドも、たまに一緒にお仕事をします。一緒だから、楽しい時もあります。一人でも、プロデューサーがいるから、楽しいこともたくさんあって」

雪妖精「だから……ここに来ないままだと、それが、零れ落ちていくみたいで」

加蓮「それじゃあ軍辞めれば? 連邦にいないで共和国にでも来ればいいのに」

雪妖精「それは、できません」

加蓮「連邦のほうがいいの?」

雪妖精「フェアリー……守りたいもの、あります。祖国も、人も……だから、捨てられません」

加蓮「優しいじゃん」

雪妖精「そんなこと、ありません。そうなら、こんなことを、しているなんて……」

加蓮「ロシアや中東は、紛争終わらないもんね。いつまで経っても、大変そう」

雪妖精「……」

加蓮「ん……あ、行って来れば? 何か今、あなたのプロデューサー来てるみたいだよ」

雪妖精「プロデューサー……」

……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

P「疲れた……頭回んないな……通知もまた溜まってるし」カタカタカタッ!

パシュンッ!

P「ん、接続?」

キャット「Pーチャーン!!」バッ!

ボフッ!

キャット「うにゃあああああ……」グリグリ

P「うわっと……なんだキャット、接続してくるなり突ぜ――」


みく『お兄さんに守ってほしいなんて頼んでないし、みくだって死にたくないモン!! 泉チャンが教えてくれたことはよく分かんないけど、こんなところからさっさと離れて、ちゃんとアイドルやりたいから!!』


P「……」

キャット「にゃ~……ん? どしたの?」

P(キャット……みく、みく……なのか……?)

キャット「Pチャ――」ギュウウウッ


加蓮『PチャンPチャンって、そんなにPチャンのこと好きなの?』


キャット「……」

P「……」


ピピッ!

パシュンッ!

雪妖精「プロデューサー」

P「っ!?」ガタッ!

キャット「!!!?!?!」ガタタタッ!!

雪妖精「おや、キャットも一緒でしたね! 久しぶり、デスね」

キャット「に゛ゃ……げふっ、ふぇ、フェアリーにゃ! ひっさしぶりだにゃ~!」バッ!

雪妖精「久しぶりです。最後に、モービルレースのお仕事をやったとき以来です」

P「んっ、んんっ……雪妖精も接続したのか。久しぶりだな、事務所に何人かアイドルが集まるのは」

キャット「みんなしばらく休暇届け出してたし、ツインテやキノコチャンとも会ってないにゃ」

雪妖精「オー、それじゃあ、キャットはお休み、しなかったんですか?」

キャット「んー、キャットはちょっと生が忙しかったから……レッスンプログラムだけ消化してたにゃ」

雪妖精「そうだったんですか。でも、I@LPからじゃなくて、プロデューサーからのお仕事、全然きてません」

キャット「あっ、そうそう! Pチャンお仕事ないのお仕事!! 今日はそれを言いに来たんだにゃ!」

P「いやあお前ら、いきなり仕事って……いやあるにはあるぞ? ただちょっとしばらく付き添い出来ないかもしれないんだよな。オペレーションもそれぞれで任せることになるだろうし」

キャット「えー……職務怠慢にゃ」

雪妖精「そうなんですか、残念です……」

P「いや俺のせいじゃないからな? ちょっと生の環境が変わって忙しくなったんだ。もう少ししたら……こっちの仕事も普通に戻れると思う」

キャット「はぁー、まったくPチャンは仕方がないにゃあ……それじゃ、キャットはもうしばらく自主トレしてようかにゃ。いいPチャン、キャットもフェアリーもみんな、お仕事待ってるんだからね!」

雪妖精「プロデューサーが、お仕事を持ってきてくださると助かります」

P「へいへい……こっちの用事も、ある程度片付いてからな。せっかくこの間のランキングで結構順位上げたんだし、宣伝は切らさないようにしていくよ」

……
…………

――オグマ(アーニャの部屋)


『接続を終了しました。端末を外し、体調が優れない場合はメンタルチェックオプションを実施してください』


アーニャ「……」

アーニャ(プロデューサーも、キャットも……変わらずに、みんな、あそこに……)

アーニャ「そう、いつか……いつか、は――」


『各員に通達。間もなくオーレンバーグに到着します。駐屯地への着艦後、整備班は搬入出作業を実施してください』


アーニャ「……!」

アーニャ「そう、だから……」

……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

セカンド「……・」ピッ、ピッ……

パシュンッ!

加蓮「よっと」

セカンド「……・」ピッ、ピッ……

加蓮「奈緒、NEX-USの接続者は全員地球に降りたよ。移動予定の場所に着いたみたいだし、動かなくていいの?」

セカンド「ああ、動くさ」

加蓮「それ、Geo-NEXTのマニュアル?」

セカンド「整備班に組み上げてもらってる最中だ。晶葉がバラして持ってきてくれたから、今度はこっちに乗り換えだけど……」

加蓮「どう? 使えるの?」

セカンド「どうだろうか。航空機形態への移行はジーオーよりはシームレスになっているみたいだけど……」

加蓮「どれどれカタログはっと……機体制御周りは改善してるんでしょ?」ピピピピピッ!

加蓮「奈緒が言ってた機体剛性だって、フレームの構造見直しで装甲の配置も変えてるし、強度問題もある程度解消してるんじゃないの?」ピピピピピッ!

セカンド「そうだなぁ、動かせるといえば、動かせるかな」

加蓮「そんなに凄かったの?」

セカンド「そうだなぁ、随分と凄いものだとは思っていたけど、麗奈と同じだよ、やっぱり」

加蓮「そのデータ、私に転送してくれればいいのに」

セカンド「それはダメだ」

加蓮「ほら、それもレイナとおんなじ」

セカンド「そうだな、麗奈は……分かっていたんだろうな。さて、と」ピピッ!

加蓮「行くの?」

セカンド「自分でも機体設定はやっておきたいしな。アップデートを終わらせたらニューウェーブを追うよ」

……
…………

――エヴルー基地(指令室)

司令官「報告書には目を通させてもらった。艦を1隻任されての追跡任務ではあるが、少数の人員ではここまで来るのも一苦労だったろう」

有香「いえ、乗員の練度については問題なかったので、それほどは」

輝子「追加の戦闘も1回くらいだったし……」

有香「奪取した新型2機については本部にも抽出データを転送しています。後に展開されるかと」

司令官「そうか。本部からこちらに通達が来ていてな、艦や機体整備は実施させてもらう。機体については、本部から送られてきたデータを元に増設作業も進めておこう」

有香「私たちも任務は続けて従事していましたが、もう機体増設を行うまでに解析が……」

司令官「いや、フレーム技術のブラックボックス部分はまだ解析されていないようだが、その他の稼働フレームについては機体の増設プランが提示された」

司令官「損傷した機体の修理もある。整備が完了次第、再び任務にあたってくれ」

有香「了解しました。それでは、失礼します」

輝子「し、失礼しま……す……」





司令官「さて、2人は格納庫にでも戻ったか」

司令官「こちらの作戦も、詰めておかねば……」ピッ、ピッ、ピピッ

『プロジェクトF 地球連邦アラスカ基地攻略対応について』

司令官「……なるほど、千川少佐もこの件、か」

ピッ!

司令官「それならば、せめてもの手向けといったところか……」

……
…………

――エヴルー基地(格納庫)

輝子「お、おお……フラガラッハ、結構ゴテゴテしてるな……絵面が、うるさい感じだ」

有香「低軌道上戦闘の状態から、フラガラッハは装甲強度が無いと難しい場面も出てくるでしょうね。ミサイルポットもおまけに増設されましたし」

輝子「ま……次は、死なないようにやれれば、いいけど……中尉の機体も、改修入ったな」

有香「はい。今後開発される予定となるラプターの後継機に搭載予定の装備、装甲も一部交換ですし、機体性能の向上は見込まれるようです」

有香「アラドヴァル……いえ、イーリアスで、今度こそ靴のデータを……!」ギリッ!

ピッ、ピッ、ピピッ!!

有香「ん……」ピクッ

輝子「あ、ご、ゴメン……私だ……あ、そろそろ、時間か……」

有香「どうしましたか?」

輝子「ホラ、今日って……あの日、だから……」

有香「……そうでしたね、今日は……シマトクが墜ちた日でしたね」

輝子「誰が、黙祷とか……そんなこと、してるとか、分からないけど……わ、私は、やっておかないと……幸子ちゃんたちも、私が、どうしているかとか、知りたいだろうし……・」

有香「そうですか。輝子さんも、あの時の小規模戦争でご友人を……」

輝子「もう、随分小さい頃だったけど……中尉、は……?」

有香「そうですね、私も同じです。友人を失いました。だから、だからこそ……私たちは、今よりも多くの力が必要なんです」

有香「次のプロジェクトFも、作戦部隊が成功してくれることを、祈るばかりです。私たちは、私たちの任務を果たしましょう」

輝子「……」

有香「輝子さん?」

輝子「いや……うん、そうだな……上手くいったら……でも、上手くいったら……」

……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「日本に向かうルートが確定したわ。今私たちがいるトルコから一旦北上して、共和国に加盟しているカザフスタンを経由、連邦のロシア領との国境付近を通過するわ」

P「大丈夫か? 海側に出られないとはいえ、ロシア領で起きてる内紛で国境付近のオーレンバーグも被害を受けているんだぞ」

整備長「向こうの索敵範囲なら、カザフスタン周辺も張ってるだろうけどよ、見つかったらヤバいんじゃねえのか?」

泉「最低限ステルスは張るけど……何事も無いことに期待するしかないわね」

みく「それなら絶対他のルートにしたほうがいいと思うんだけど……」

泉「国内の目立つ場所は移動できないわ。I@LPで拡散でもされたら困るし」

みく「はぁー……」

P「紛争発生地域付近を通過するときは事前に確認してからのほうがいいかもな。戦闘中なら引き返したほうがいい」

泉「とはいえ、観測機なんて積んでないわ。補給物資でも貰ってないし」

整備長「今から申請しても通らないぜ? 内部にだって航行ルート、嘘教えてんだから」

みく「んー……あっ、そうだ!」

泉「え?」

……
…………

――数日後、カザフスタン、ニューウェーブ(Pの部屋)

P「みんなに提示できる仕事はこんなもんか」パタンッ!


キャット『はぁー、まったくPチャンは仕方がないにゃあ……それじゃ、キャットはもうしばらく自主トレしてようかにゃ。いいPチャン、キャットもフェアリーもみんな、お仕事待ってるんだからね!』

雪妖精『プロデューサーが、お仕事を持ってきてくださると助かります』


P「まあ、ああ言われるとな」

P(出来れば、みんなの仕事にはそれぞれついてやりたい……けど、この状態なら、どうにもならんか)

P「……確かに、みくを守る為に、俺自身も帰る為に、こうしているけど」

P「ならなくて、正解だったんだな、やっぱり。こういう仕事を選ばないで、I@LPに入って……こんな時代だから、アイドルが必要なんだから」

……
…………

――ニューウェーブ(通路)

P「……」

みく「あっ、お兄さん!」タタタッ!


P「……ん、どうしたみく?」

みく「いま整備長に話してモービルの整備しておこうかなって思ってたんだけど、お兄さんも一緒にやる?」

P「……」

みく「お兄さん?」

P(……宇宙では、ああは言ったけれど……このままで、いいわけは無いんだろうが)

P「いや、今日は朝飯食べそびれてて、ちょっと食堂行こうかと思っていたんだ。後で行くよ」

みく「……ふーん、それじゃ待ってるから」

タタタタタッ!


P「……」


……
…………

――カザフスタン(国境付近)

泉「ここのルートなら通れるだろうけど、まさかここまで規制されていたとはね」カタカタカタッ!

整備長「嬢ちゃん、NEX-USでネタ調べてどうだった?」

みく「えっと、やっぱり国境付近は色んな所で通行規制掛けられちゃったみたい。内紛の影響だけど、元々そんな時期にロシア行きたい人なんていないからみんな気にしていないみたいだけど」

P「ステルス状態にしてこのまま移動か。待機できるポイントに着いたら、こっちから移動していいか?」

泉「ええ、お願い。バティラ周辺の地帯からだと抜けられるみたいだから、後は2人に任せることになるけど……みく、本当にモービルで大丈夫なの?」

整備長「っとに、つい最近国境付近で戦闘あったから余計厳しくなってるって、勘弁してほしいぜ……」

みく「まっかせて! みくの得意分野だから!」

P「遊びに行くわけじゃないからな。近場のオーレンバーグで連邦がどういった部隊の展開をしているか確認するだけだ」

P「モービルを出して、現地を一回りして現地データの保存したらすぐ帰るんだからな」

みく「もーっ! 分かってるから!」

泉「大丈夫かしら……まあ、それじゃあ整備長、悪いけどモービルの準備、お願いね」

整備長「へいっ、んじゃ2人とも、しっかりやれよ!」

みく「はーい」

泉「ニューウェーブは予定ポイントで着艦して待機しているわ。何かあったらすぐ連絡を頂戴」

……
…………

ちょっと開始が遅かったので予定していた分まで回していないのですが、めちゃくちゃ眠いので本日はこれで終了します。
今回は場面の都合上安価は後半に配置されています。
次回は19日か24日に実施します。

24日の18時頃から再開します

――数時間後、ロシア、オーレンバーグ(市街)

みく「わー……」

P「あまり騒ぐなよ。町の様子を見る限りだと、みんな普通に生活しているって感じだけど……」

みく「市街地戦闘にはなってないみたい……? でも、みんな何だか不安そう」


「……」

「……」


P「そりゃあ、軍の哨戒も回ってきているし、戦闘も近場で起きてるなら不安もあるだろうさ……さて、モービルも置いたし、少し歩こうか」

みく「うん」

……
…………

――ロシア、オーレンバーグ(市街)

みく「あっ、見てみてお兄さん! あっちのお店!」

P「なんだ?」

みく「ほら! あの細工! アレなんだろ?」

P「ああ……あの生地、民芸品……だったかな。地域のデータ調べたときに見かけたような気がする」

みく「わー、いいなぁ」タタタタタッ!

P「おいおい……」


「いらっしゃい」

みく「お邪魔しまーす♪」

P「ちょっと……あまり変な風に騒いで、外から来たと思われないようにしないと」

みく「まままそう言わずに……ちょっとだけだから」

P「まったく……」

みく「うーん、これ良い色してる」ゴソゴソ


P(……だけど、そうだよな)


みく「あっ、でもこっちの色のほうが……」


P(みくも、まだ学生で……それでいきなりこんなところまで来て、しかも戦闘機に乗って、なんて……)


みく「うーん……どっちが合うかなぁ」

P「……今はみくが着ているの、ピンク色だしそっちに色合わせるなら……こっちがいいんじゃないか?」

みく「え? んー……おおっ、なんかしっくりくるかも! お兄さん詳しい!」

P「え、あ、ああ……こういうのも覚えたことがあるんだ」

みく「えっへへー、ちょっと買っちゃおうかなぁ」

……
…………

――オーレンバーグ(市街)

P「しばらく歩いて、街の状況はデータに残しておいたけど……」

みく「NEX-USでみくが拾ってきたネタと大体合ってるかなぁ……巡回している連邦の兵士はいるけど、街の様子も市街地戦闘は起きてないみたいだし」

P「また変に近場で戦闘が起きる前に抜けてしまうか……・一旦ニューウェーブに戻ろうか」

みく「泉チャンにそのまま連絡しちゃえばいいんじゃない?」

P「この状況だし、通信拾われたら嫌だろう? 戻って直接話しておかないと」

みく「んー……面倒にゃ」


ガションッ!

みく「ん?」


P「アレは……連邦のグラース部隊か。数機降りてきたけど、防衛部隊か?」

みく「どうしよう、お兄さん」

P「機体が降りてきたってことは、何かあったのかもしれないが、どうしたもんか……」


※安価選択
1.もう少し町に残る
2.ニューウェーブに戻る
↓1

2

>>205
2.ニューウェーブに戻る


P「警戒されているところに長居するのもよくないか、目を付けられたら困るし」

みく「うえー……早く泉チャンのとこ戻って抜けちゃお」


「……貴方たち、は」


みく「えっ?」



アーニャ「……」

P「お前……!」

みく「あ……あああああああああ~っ!!」

アーニャ「貴方たちは……っ!」タタタタッ!

みく「やっ、こっ、来ないで!」

アーニャ「良かった! ちゃんと……降下できたんですね……」

みく「は?」

アーニャ「あれから、こちらはテロ部隊の拘束をしてからの降下でした……戦闘の影響で、2人が無事かどうか、確認までは出来なかったので……」

P(……どうする、俺たちがいるのがコイツに知られて、しかもコイツがいるってことはファクトリーを襲った部隊もいるってことか?)

P(とはいえ、この状況だと下手に逃げられん……どうする、どうする……)

みく「そっちがファクトリーに来なかったらみくたちはそもそもこんなとこに来なかったんだからね!」

アーニャ「貴方……」

スッ……

P「な、なんだ……」

アーニャ「腕……以前、貴方の腕を撃ってしまいました。あの時は……ですが、治っているみたいで……よかった」スッ

P「……」

アーニャ「……」

みく「ちょ、ちょっとちょっと! なーに他人事みたいに言って、まず謝るのが先でしょ!」

アーニャ「そ、そうでした、ね……あのときは、ゴメンなさい」

P「ん……あ、ああ……」

みく「お兄さんも! なーにボケっとして!!」

P「いや、別にボケっとしていたわけじゃ……」

アーニャ「……!」


キャット『にゃふふっ♪ さっすがキャットたちにゃ! 猫パンチ猫パンチ♪』

P『叩くな』

キャット『うにゃぁ~♪』

P『抱き着くな。話終わらなくて解散出来ないぞ~』


アーニャ(そう……キャットも、プロデューサーも、こうしていて……)

アーニャ「……」スッ

ピピッ!

アーニャ「こちらアナスタシア」

艦長『どうしたアーニャ。巡回中だったはずだが、何かあったか?』

P「!?」

みく「!?」

P(通信されたか……に、逃げられる……か……?)

アーニャ「一通りの確認、終わりました。別件があります、アー……少し早いですけど、戻ります」

艦長『む、何かこの後に対応することでもあったのか?』

アーニャ「……こちらのグラース部隊は、市街北部に展開しています。駐屯地に待機している元々の部隊は、一部はサマラからの増援を受け入れる為の準備をしています」

アーニャ「また、2小隊分は北西で目撃されたテロ部隊の追跡に向かっています。間違い、ないですね?」

艦長『……ああ』

アーニャ「ありがとう、ございます」ピッ!

みく「にゃ?」

P「お前……」

アーニャ「……・これでは、いけないのですね」スッ……

アーニャ「行くなら、早く行ってください。今のうち、です。アーニャが、戻っているうちに」

P「……」

アーニャ「今回……今回、だけは……!」

みく「あやしい……ていうか、さっきからお兄さんの体触りすぎだし……」

P「……行こう、みく」

みく「でも……」

P「礼は……言わないほうがいいんだろうな」

アーニャ「はい。次は……逃がしません。だから――」

ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

みく「何っ!?」ビクッ!

P「なんだ!?」

アーニャ「警報……! 駐屯地から配置されていたグラース部隊が……!」

ドシュウウウウウンッ!!

P「グラースが上昇して……上!?」

ギュオオオオオオオッ!!!!

みく「あれ! サーフス!!」

P「あの機体色、宙域で見た……!」

アーニャ「テロリスト……! サマラからの増援が来る前に……!」

サーフス『……』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

P「お前たち伏せろ!」バッ!!

アーニャ「っ!?」

みく「わっ!?」

ドガアアアアアアアンッ!!!!


「わあああああああっ!?」

「な、なんだ、テロリストか!?」


P「ぐっ……ち、近くにライフルが着弾したのか……危ねぇ……」

みく「お、お兄さん大丈夫……?」

アーニャ「あなた……」

P「怪我がないならいい。逃げるぞ!」

みく「う、うん……!」

アーニャ「……アーニャの、機体!」バッ!


サーフス『……』ドシュゥンッ!

ドガアアアアアアアンッ!!!!

アーニャ「くぅっ……! し、しまった……道が……!」

P「お前も来い!」

アーニャ「えっ……」

P「いいから来い!!」タタタタタッ!!

……
…………

――オーレンバーグ(戦闘区域)

ドガァンッ!! ドガアアアアンッ!!!!

みく「わっ、わわっ!!」タタタタタタッ!!

P「グラース部隊、こっちが逃げるまでは空でドンバチやっててくれよ……!!」

アーニャ「ドコに!!」

みく「ここ! お兄さん!」タタタタタッ!!

アーニャ「モービル……!」

P「俺のメット被れ! みくと2人で後ろに乗れ、早く!」

アーニャ「……!」バッ!

みく「お兄さん早く早く!!」

P「わかってる! 飛ばすから落ちるなよ!」ピッ、ピッ!

みく「みくは今のうちに泉チャンに……!」

P「お前、あの機体、クラウソラスはどこに置いてきたんだ!」

アーニャ「駐屯地デス!」

P「そっちまで行くのかよ……!」

……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

ピピピッ!

泉「あらみく? 通信送ってきたってことはもう戻ってきたの?」

みく『んなこと言ってる場合じゃなくなったの! 町にテロリスト出てきちゃった!!』

泉「ええっ!? ちょ、ちょっと待って!」カタカタカタッ!!

ピッ!

加蓮『……何』

泉「オーレンバーグの情報、何か届いていないの?」

加蓮『ううん、まだ何にも』

みく『どうでもいいけどキャットウォーカー頂戴! 何かで飛ばしてきて!!』

泉「そこに彼はいるの?」

P『話は聞こえている! 俺たちも急いで町の外に出るが、見たところテロ部隊の奇襲に遇って町の防衛部隊が浮足立っているみたいだ。少し危ない状況だ』

泉「わかったわ。座標ポイントはすぐ転送するから気を付けて」

加蓮『……ふーん』

ピッ!

……
…………

――オーレンバーグ(駐屯地前)

バッ!

アーニャ「2人は避難を! 早く町から逃げて!!」タタタタタッ!!

P「……お前も、気を付けろよ」

アーニャ「……はい」タタタタタッ!!

みく「……」

P「よし、俺たちも逃げるぞ」

みく「……ねえ、お兄さん」

P「どうした?」

みく「……ううん、何でもない」

……
…………

――オーレンバーグ、戦闘区域

アーニャ「クラウソラス、機体状況確認、セーフティ解除」カタカタカタッ!!

アーニャ「起動確認、艦長!」ピピッ!

艦長『状況は把握している。こちらのグラース部隊を戻して先行対応させるが、一部のサーフスと防衛部隊が市街地戦闘に切り替えている。アナスタシアはそちらの援護に向かえ』

アーニャ「了解です!」ピッ!

ドシュゥンッ!!

アーニャ「っ! こちらにも……!」

サーフス『……』ドシュゥンッ!

ドガアアアアアアンッ!!

「ぎゃあああっ!!」

「ああっ!!」

アーニャ「人が……! この!!」ガションッ!!

ギュオオオオオッ!!

アーニャ「地上にいるサーフスは……4機! 市民の避難が優先……こちらが地上でライフルを使うわけには……!!」

……
…………

――オーレンバーグ(郊外)

P「ニューウェーブまで逃げるにしても距離があるか……」

みく「泉チャン! キャットウォーカーまだなの! ポイントどこ!」

ピピピッ!

泉「そろそろ来るわよ」

みく「は?」

ギュオオオオオオオッ!!!!

P「うおっ!? キャットウォーカー……オートパイロットで来たのか」

みく「助かったぁ~! お兄さん早く乗ろ!!」

パシュンッ!

……
…………

――キャットウォーカー(機体内)

みく「お兄さん乗った? ハッチ閉めるよ!」カタカタッ!

P「ああ、大丈夫だ」

みく「えーっと、オートパイロットの解除は……」


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』


みく「はい? なんでNEX-US起動してるの?」

加蓮『無事?』

みく「ってなんでいきなり出てきてるの!!」

P「NEX-USのAIか。もしかしてお前が飛ばしてきたのか?」

加蓮『暇だったしいいかなーって。それじゃ逃げよっか。これニューウェーブの座標』ピピッ!

みく「……」

加蓮『どうしたの?』

P「みくちゃん?」

みく「……お兄さん、あのね、みく……あのパイロット・……あの子のこと」

P「……連邦の兵士のことか。確か、自分のことをアーニャって言ってたな」

みく「確かにお兄さんのことも撃ってるし、そもそもあいつら来なかったらみくたちも地球まで来ることなかったけど……けど……」

加蓮『どうしたの? 早く戻ろ。操縦返すよ』

P「いいのか?」

みく「お兄さん……みく、どうすればいいんだろ」


※安価選択
1.ニューウェーブに戻る
2.町に引き返す
↓1

>>217
2.町に引き返す

※シナリオ分岐が成立しました。


P「……礼は言わんってさっき言ったけど、借りを作ったままにはしたくはないわな」

みく「……うん!」ガションッ!

ギュオオオオオオオッ!!!!

加蓮『え、どこ行くの?』

みく「オーレンバーグ!」

加蓮『戻るんだ』

みく「だって何かイヤなんだもん! だって、だって……!」

加蓮『……』

加蓮『――』

みく「……!」ドクンッ!!

みく「……あっち!」ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

みく(分かる……あの子が、街のどこにいるのか……!!)

……
…………

――オーレンバーグ(戦闘区域)

サーフス『……!』ボシュシュシュシュッ!!

アーニャ「ミサイルの弾幕……!」ギュンッ!!

アーニャ「上空の部隊が押されている……サーフスの数のほうが多い、増援はまだ……!」

ピッ!


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』


アーニャ「NEX-SU……」ドクンッ!!

アーニャ「……来る、ここに」

サーフス『……』ギュンッ!!

アーニャ「しまっ……後ろ――」

ギュンッ!!

みく『にゃああああああ猫パンチもといビームネコチャンクロー!!』ブォンッ!!

バゴォンッ!!

サーフス『……』ドガアアアアアアンッ!!!!

アーニャ「この機体は――」ガコンッ!!

ピピピッ!

アーニャ「接触通信……」

みく『はぁ、はぁ……えっ、えんっ・……げほっ! 援護するから!』

アーニャ「そんなこと――」

みく『うるさい!! みくがやりたいから戻ってきたの! こっちの自由なんだから!!』

P『まあ、借りは作りたくないっていうのと……それに……この状況を見て、自分たちだけ逃げろって言われても、な』

アーニャ「……」カタカタカタッ!

ピピッ!

みく『ん、通信回線に切り替え?』

アーニャ「……地上にいるサーフスは4機、上空は6機です。上空は奇襲を受けた防衛部隊の体制が上手く立て直せなかったようですが、もうすぐ増援が来ます」

アーニャ「こちらは地上部隊を殲滅して市民を守ります。他のグラース部隊とは別の識別コードで隊列を組みましょう」

みく『よーし!!』

……
…………

――オーレンバーグ北西、サンドロフ(上空)

『さーて、先に行った部隊の奇襲が成功したみたいだ』

『俺たちもさっさとオーレンバーグに向かって、駐屯地を抑えておかねえとな』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

『ん、なんだ? レーダーにはんの――』

ドガアアアアアアアアンッ!!

『お、おい!!』

『1機やられた! どこのどいつだ!?』

ピピピピピッ! ピピピピピッ! ピピピピピッ! ピピピピピッ!

『な、なんだ、凄い速さでこっちに――』

シュパアアアアアンッ!!

ドガアアアアンッ!!

ドガアアアアンッ!!

奈緒「……」

ピピピッ!

加蓮『終わった?』


奈緒「ああ、ネオジオの稼働も良好だ。テロ部隊の増援はこれだけか? まだどこかしらからオーレンバーグに向かってきそうだけど……」

奈緒「とはいえ、これくらい墜とせばサマラからの増援も間に合うだろ、多分」カタカタカタッ

奈緒「オーレンバーグを経由して中東へってところか……テロリストのやることなんて知ったことじゃないけど、多分共和国の人間もいるんだろうな」

加蓮『中東の採掘資源の確保と横流し、宇宙開拓始まる前からちらほら起きてるけどね。だけどこの状況だと残念かな、連邦側も今は余裕ないとはいえ対応はより厳しくなってるし』

奈緒「ああ、連合が動いているなら、連邦側もカウンターを用意しているはずだ。大人しく連合が引いてくれればいいんだけど……」

加蓮『そこはほら、人間なんだし分かんないでしょ。死ぬまでやるんじゃない?』

奈緒「……そんなバカばかりがいる世界であってほしくないんだけどな、この世界」

奈緒「アインフェリアも、ブリヤントノワールも、ニュージェネも、LiPPSもいない。出来る限り、あたしがやらないと……」

加蓮『……あ、あの子無事みたいだね。キャットウォーカーのパイロット』

奈緒「そうか、よかった。後は連邦に捕まる前に逃げてくれればいいけど……一応向かっておいたほうがいいだろうか」

……
…………

――オーレンバーグ(戦闘区域)

みく「これで!」ギュオオオオオッ!!

アーニャ『最後です!』ブォンッ!!

シュパアアアアンッ!!

サーフス『……』ドガアアアアアンッ!!!!

ピピッ!

P「残りのサーフスも地上のグラース部隊が対処したか……上空の部隊も抑えることが出来たみたいだ」

みく「ふぁ~……終わった終わった」

みく「……」

アーニャ『後は街の被害状況の確認と……』

みく「ちょっと!」

アーニャ『……はい?』

みく「……」

アーニャ『……』

みく「……絶対、みくたちは逃げ切るから。じゃ」

ピッ!

P「いいのか?」

みく「うん。町の人たちは、連邦が何とかするだろうし」

P「そうだな。連邦には俺たちがここを通過しようとしているのはバレたんだし、ニューウェーブもすぐに動いてもらうか」

みく(……どうして、こんなに気になるんだろう)

……
…………

――カザフスタン(国境付近)

「キャットウォーカー、収容完了しました」

泉「それじゃあニューウェーブ発進。予定航路、急いで通過するわよ」

ピピピッ!

みく『疲れたぁ……』

泉「お疲れ様。まさか戦いに戻るなんて思わなかったけれど」

P『これ、俺たちのせいで共和国が戦闘に介入したって問題にならないだろうか』

泉「多分大丈夫よ。どの国から見ても所属不明機扱いになっているもの」

P『それならいいけど……』

みく『それじゃあみくたちもブリッジ戻るね』

P『っと、そうだみく』

みく『ん?』

P『すまなかった、今回は1人で戦わせて……』

みく『だーいじょうぶ大丈夫! みくだって結構やるんだから、お兄さんに頼ってばっかりじゃないんだもんね!』

P『……そっか』

泉「ほらほら、艦も動くんだから、機体も整備させないといけないし早く戻ってきて」

……
…………

――数日後、日本海付近上空、ニューウェーブ(ブリッジ)

ビビビビビッ! ビビビビビッ!

「単装砲1番から3番まで使用不能、外付けミサイルコンテナ破損しました。シールド出力低下」

「連邦艦、連合艦共に主砲の射程圏内に入りました! 共和国領海まで逃げきれません!」

泉「ようやく三国領海に差し掛かったところでもう少しだっていうのに、この……格納庫!」

ピピピッ!

P『準備は出来ている。出るぞ!』

みく『もー……結局こうなるの……』

泉「連邦、連合艦共に後方よ。共和国の領海に入るまで持ちこたえて! 整備班は火災場所の消化活動も!」

整備長『Pのラプターはストーム装備だ! 無理な動きをして捕捉されんなよ!』

P『あの3機も出てくるはずだ……ラプターストーム、出るぞ!』

みく『OMDX-151CXキャットウォーカー、行くよ!』


……
…………

――日本海付近上空(戦闘宙域)

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、三国領海に差し掛かるこのタイミングが直接戦闘の最後だ。恐らくは連邦側も同じことを考えているだろう、頼むぞ』

アーニャ『はい、グラース小隊はラプターと耳付きの足止め、輸送艦の捕縛に分かれて行動します』

アーニャ(あの2人は……)


有香『ここで抑えないと共和国領海に入ります。ここまで来て領海に迎えが来ないということは、あちらの艦も訳ありのはずです』

輝子『い、移動ルート考えたら、普通に共和国の領土進んでたはずだもんな……それにしてもラプター2機だったはずなのに、1機変わってるな……』


みく『機体データ照合……クラウソラス、アラドヴァル、フラガラッハ……あれ、何か1機だけめっちゃ見た目変わってるような』

P「連邦はグラースが3機とクラウソラス……あの子か。連合は1機改修したのか……? みく、ニューウェーブからあまり離れるなよ」

みく『うん! 18連装マイクロミサイルランチャー発射!』

ボシュシュシュシュシュッ!!

アーニャ『っ!!』ギュンッ!!

輝子『あのミサイルランチャー……この機体と同じか……!』ギュンッ!!

有香『プレーンだったラプターから相当に兵装が追加されているようで……だけど!!』ギュオオオオオオッ!!

みく『このっ!!』ブォンッ!!

バチィンッ!!

有香『シールドからビームブレイド!? いやクローか……! しかしこの機体なら!』ジャキンッ!!

みく『足!?』

P「離れろみく!!」ドシュゥンッ!! ドシュゥンッ!!

ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

みく『わわわっ!?』ドガアアアアアンッ!!

有香『もう1機が……!』ギュンッ!!

輝子『マッシュルームボムゥゥゥゥゥゥ!!!!』ボボボボボボッ!!

ドガガガガガガァンッ!!

P「大丈夫か!」

みく『う、うう……足からビームブレイド出るなんて聞いてないし……右肩のミサイルポット丸ごと持ってかれた……』カタカタカタッ!!

アーニャ『……くっ!!』ギュオオオオオオッ!!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

有香『クラウソラス……! そちらも忘れたわけではない!!』ギュンッ!!

アーニャ『接近戦であれば!!』

有香『甘い!!』ブォンッ!!

ガキィンッ!!

アーニャ『ブレイドが通らない……機体性能は同じのはず……ですが、グラース小隊!!』ググググッ!!

ギュンッ!! ギュンッ!! ギュンッ!!

みく『あっ!』

P「行かせるかよ!!」ガションッ!

輝子『おおっとぉ!! 丁度いいからあっちの量産顔には輸送艦の足止めをしといてもらうぜえええええ!! マッシュルームビーム!!』ズドォォォォンッ!!

P「砲撃!?」ギュンッ!!

みく『お兄さん!!』

P「くそっ……みく、先に下がってニューウェーブを!!」

みく『う、うん!』ガションッ!

輝子『逃がさねえぜええええええ!! ヒャッハアアアアアアア!!』ギュオオオオオッ!!

ボシュシュシュシュシュッ!!

みく『もー!! あの機体ミサイルどれだけ持ってるの!! うにゃっ!?』ドガァンッ!!

泉『みく!』

P「ニューウェーブは先に行け! こっちの領海まで入ってしまえ!」

みく『こっちも上手いこと逃げるから!!』

泉『くっ……』

アーニャ『先にこちらが輸送艦を抑えてしまえば……!!』


ピピピピピッ!!

アーニャ『高エネルギー反応!?』

ズドドドドドドドドドッ!!!!!

ドガアアアアアアンッ!!

アーニャ『グラース小隊が全機ロスト……そんな……!』

輝子『ヒッ!?』

みく『何今の!?』

有香『あの輸送艦の援護!?』

P「ニューウェーブの砲撃じゃない……今のは何だ!?』

ピピピッ!

みく『ん、周辺通信?』ピッ!


???『アーッハッハッハッハッハッ!!!!』

みく『は?』

有香『なんだ、この声は……』


???『楽しそうなことやってんじゃないの! アタシも混ぜなさい!!』

ギュオオオオオオッ!!!!

有香『高速で接近する機影……これは!?』

???『遊んでやるわよ!』ブォンッ!

ガギギギギィンッ!!

有香『なっ……赤い機体!? こ、この速度は……!』

???『そらっ!』ブォンッ!

バキィッ!!

有香『ああっ!?』ビビビビビッ!

輝子『少尉――』ピピピピピッ!

輝子『別の反応……!?』

奈緒『はあああああっ!!』ギュオオオオオオッ!!

ドシュシュシュゥンッ!!

輝子『ぐあっ……!』ドガァンッ!!

アーニャ『あの機体は……!!』ドガァンッ!!

みく『あの鳥! 前と形違うような……』

P「あいつもこの戦闘に入ってくるのかよ……このっ!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

奈緒『ライフル……!? あのラプターか! 加蓮、状況は!』

ピピピッ!

加蓮『ニューウェーブが共和国の領海に入るまであと50、間に合ったよ』


奈緒『そうか、離脱する!』ガションッ!

ギュオオオオオオオオッ!!!!

みく『アイツもう帰っていった……』

ピピピッ!

泉『みく、P、こっちは共和国の領海に入ったわ! 警報鳴るからその区域から離れて!』

P「間に合ったか! みく、離れるぞ!」

みく『うん!』


ピピピピピッ!

アーニャ『あれは……共和国の防衛艦……』

『こちらMBG共和国海上防衛部隊。そこの所属不明艦、こちらの領海に侵入している。連邦、連合どちらの所属かの確認を取る! 繰り返す!』

輝子『け、警告来たな……』

有香『あの連邦の艦も恐らくはこちらのケーレスと同じく秘匿艦として運用されているもの……プロジェクトFの直前に、非戦時中の侵略行為として認められるわけにはいきません、離脱しましょう』

輝子『あ、ああ……』

有香『くっ……またしても……!』ガンッ!!

アーニャ『また……ダメ、だったのですね……』ピピピッ!

艦長『アナスタシア、こちらも退くぞ。次の対応を考える』

アーニャ『……了解、です』ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

……
…………

――日本海、MBG共和国領海上空、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「こちら共和国の民間協力艦です。登録コードを転送します。艦が損傷していてガイドに沿って停止できない状況です」

整備長『おいおい大丈夫か? 防衛艦の主砲向けられてるぞ』

P『泉、キャットウォーカーとラプター、甲板に着艦したぞ』

みく『あれ撃ってこないよね……』

泉「目に見えて損傷しているのが分かる状況だし、この状態で有無を言わさずに撃たれることはないわよ。それより……」カタカタカタッ!

ピピピッ!

泉「晶葉、応答できる? 個別通信送っているけど、今大丈夫?」

晶葉『おお泉、どうだ調子は』

泉「どうだも無いわよ。ニューウェーブも損傷有、武装もやられているし、キャットウォーカーも被弾しているわ。共和国領海に入ったから、海上の防衛部隊にそっちから通信お願い」

晶葉『ああ、それなら大丈夫だ。もうアイツがそっちに行ってるだろうから』

泉「え?」

ピピピッ!

???『ほらそこの艦! さっさと移動しなさい! あと軍の防衛部隊はもっと下がる!』

みく『え、誰?』

泉「防衛艦からのロックが解除されたわね。このまま移動するわ」

???『アンタたちも、やるならもうちょっと真面目に戦いなさい。死にたくないからここまで来たんでしょうに』

ピピピッ!

奈緒『いや、151CXに乗ったの民間人だろ……無茶言うなよ、麗奈』

???(麗奈)『っとに、アンタももうちょっと早く来なさいよ。遠征してたレイナサマのほうがこっち来るのが大変だったんだから』

みく『誰このお面』

加蓮『お面だってさ』ピピピッ!

奈緒『仮面だ仮面』

晶葉『な……セカンドドライバーも間に合ったか。飛ぶだけの修理だったら新潟で済ませてくれ。横浜までならそれほど掛からんだろ』

泉「わかったわ。手配はお願いね」

晶葉『うむ、とりあえずは無事に日本まで来れるようでよかった。では後でな』ピッ!

麗奈『ほらそこの防衛艦、こっちはオート・クレールよ。レイナサマの名前くらい誰か知ってるでしょ、さっさと警戒解除終わらせて受け入れ準備しなさい』

P『なんつー受け入れ通達だ』

みく『でも……これでみくたち、助かったんだよね』

P『……ああ、そうだな』

加蓮『そうそう、2人とも長い間よく頑張ったね。おめでとう』

みく『はあ……よかったぁ』


【to be continued......】


……
…………
………………
……………………

※キャラクターシートが更新されます
キャラ名:前川みく
操縦技術:95→99
親愛度 :53→63

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:57→67
親愛度 :50→60

キャラ名:中野有香
操縦技術:76→81
親愛度 :13

キャラ名:星輝子
操縦技術:72→77
親愛度 :20

キャラ名:セカンドドライバー(神谷奈緒)
操縦技術:-
親愛度 :-

今回で区切りになるので、本日はこれで終了します。
折り返し入ったので後半分切りました。
多分、何も無かったら5/28(火)の22時頃から再開するかもしれません。出来なかったら5/25(土)になります。


本日もご参加頂きありがとうございました。

【導入】

地球に降下したニューウェーブは、EU圏から日本へ向けて移動を続けていた。

その中、ロシア領でみくとアナスタシアが再び出会い、偶然にも共に戦うこととなった。

後に、日本海の三国領海に差し掛かった地点で、みく、アナスタシア、有香、輝子たちは再び銃を向ける。

戦いは奈緒と麗奈、共和国の防衛部隊の介入により終わり、ニューウェーブは目的地の日本に到着したのだった。

――
――――
――――――
――――――――

――日本、MBG共和国新潟駐屯地、ニューウェーブ(ブリッジ)

整備長「とりあえず航行に必要な修理は最低限、終わったぜ。外付けしてたミサイルコンテナ、破損した奴はそのまま外しちまったよ」

泉「そうね。後は横浜に向かうだけだから、武装もほとんど必要ないとは思うけれど……圏内に入ってまで待ち伏せされるとは思えないし」

晶葉『お前たちを追いかけていた追撃部隊が同じだったことを考えるとな。それに、もう間もなく……』

泉「共和国はどうするの?」

晶葉『加盟国は自国の防衛ラインを強化するしかない。日本はうちの本社もあるし、どうなるか』

整備長「靴のデータを引き渡して、それでおしまいってんならいいんだけどよ」

晶葉「まあ、NEX-USの情報収集待ちだ。その後のネットワークについてどうするかも検討しなければならん」

パシュンッ!

みく「泉チャーン、機体チェック終わった……3人揃って何話してるの?」

泉「ああ、みく……いえ、この後横浜に向かう準備について話していたところよ。機体チェックが終わったなら、休んでていいわ」

みく「? ふーん……それじゃ休もうっと」

パシュンッ!

泉「……そうね、それでおしまい、ならいいんだけど」

……
…………

――日本海付近上空、ケーレス(ブリッジ)

輝子「せ、潜入するのか……」

有香「あの艦の行先は、横浜にあるオート・クレールの本社でしょう。ナシヤマのときと同じく、本社へ潜入して直接靴のデータを奪取します」

「入国の手配、日本国内の部隊からの対応連絡待ちです。数日は掛かるかと」

有香「オペレーションFが間もなくです。実施後は共和国の防衛も強化されるでしょうし、迅速に動かなければいけません」

輝子「そ、そうだな……でも、それが始まったら……」

有香「はい。木星圏のシマトク以来……連合、連邦間での戦争になります」

有香「だから、何としても……!」

……
…………

――北海道、函館市、港

ピピピッ!

艦長『アーニャ、状況はどうだ』

アーニャ「アー……はい、港に到着しました。これからは、予定通り船で青森へ移動後、陸路を経由して横浜へ向かいます」

艦長『頼むぞ。他の部隊員の入国偽装をする時間も掛かる。先行して対応の準備を進めてくれ。オグマも迂回して移動させる』

アーニャ「はい」

艦長『あの艦を追い詰めることは出来ていたが、あと一歩のところで横やりを入れられてしまった。連合への対応もある、ここで挽回しようか』

アーニャ「……了解、しました」

……
…………

――MBG共和国新潟駐屯地(格納庫)

奈緒「ニューウェーブの応急対応も終わったし、あたしも麗奈も合わせて本社に戻るよ」

晶葉『機体の整備は大丈夫か?』

奈緒「Geo-NEXTはEUから稼働しっぱなしだけど、ニューウェーブを早くそっちに届けてやらないといけないからな……まあ、まだ大丈夫だ」

奈緒「麗奈のOMDX-FSはそっちから飛んできたから大丈夫だろうし、とりあえずはそのまま向かう」

晶葉『無理をするな……と言いたいが、ニューウェーブに寄越せるのがお前と麗奈しかいない。すまないが頼んだ』

奈緒「ああ、ニューウェーブの準備が終わったら向かう」

ピッ!


麗奈「レイナサマのOMDX-FSも特に消耗してないから整備はいらないわよ。ニューウェーブの出航準備やっときなさい」

「了解しました」

麗奈「んっとに……ん、奈緒、何やってんの」

奈緒「麗奈か。いや……」

麗奈「ジーネク、まともに動くもんなの? レイナサマのFSも大概だけど」

奈緒「……ま、以前よりはマシにはなってきているけど、比べるレベルじゃないよな」

麗奈「そうねえ……その分、NEX-USでアイツらのバックアップをしてやらないとダメだけど」

奈緒「……なあ、麗奈」

麗奈「ん?」

奈緒「どうして、こんなことをするんだ? ヴァルキュリアシステムのときも、今回のNEX-USも……」

麗奈「必要だからよ。アンタは、レイナサマがいなくなった後、どうなったか見たんでしょう」

奈緒「……この世界も、いつかは……そういうこと、なのか?」

麗奈「この世界のバカなところは、争っているのが人間同士ってこと。どうしようもないけど……その為のNEX-USね」

奈緒「アインフェリアはPさんが……いや、お互いを導いたんだ。それなら、今回は加蓮が……」

麗奈「役割は、必ずしも同じとは限らない。アタシやアンタが出来ることは思っている以上に無いものなのよ」

奈緒「加蓮……アイドル……」

……
…………

――数時間後、神奈川県上空、ニューウェーブ(ブリッジ)

晶葉『本社の整備班にラプターとフレ……キャットウォーカーだったか。2機の整備をさせる。お前たちはそのまま私のところに来てくれ』

泉「ええ。整備長は整備班に同行させてもらえないかしら? 今までメンテしてもらっていたし」

整備長「俺は構いませんけど……ま、やっといたほうがいいか」

泉「この後どういう状況になるか分からないし……ん?」


みく「わぁ~……見てみてお兄さん、あれ横浜!」

P「ようやく着いたか……これで落ち着ける、か。久々に来たな」

みく「お兄さん、横浜出身?」

P「いや横浜出身ってわけじゃあないけど、何度も遊びに行ったことはある。ナシヤマに行ってから10年以上は経ったけど、あんまり変わってないんだな」

泉「2人とも、ちょっといいかしら?」

みく「あ、泉チャン! 横浜着いたら遊びに――」

泉「ごめんなさい、自由にしてもらいたいとは思っているのだけど、靴のデータを本社に引き渡すこともあるし、一緒に付いてきて頂戴」

みく「えー……それみくたちいる?」

泉「いるわよ。それに、ナシヤマに戻る為にオート・クレールに手続きしてもらう必要もあるでしょう」

みく「それはそうだけど……むー」

……
…………

――神奈川県、横浜市、オート・クレール本社(敷地内)

みく「初めての日本!」タタタッ!

P「ここがオート・クレールの本社か……随分とまあ、大きいな」

泉「そりゃあ、ね。元から宇宙開発で黒川重工と連携して軍と関わりがあったところだけど、NEX-USの開発で更に大きくなって」


晶葉「おお! 待たせたな!」


泉「晶葉! 靴のデータの搬送準備は出来ているわよ」

晶葉「うむ、部下に運ばせる。よくここまで辿り着いてくれたな、こうして直接会うとやはり安心するな」

泉「そうね。まあ、私よりは……後ろの2人のほうが頑張ってくれたから」

晶葉「っと、そうだったな。Pと前川みく、だったな。改めて名乗るが、私はオート・クレール社所属の主管技師長、池袋晶葉だ。面倒事に巻き込ませてすまなかった」

みく「ほんっとーに面倒事だったんだけど」

P「まあ……生きて来れただけマシだったというか」

晶葉「そんな微妙な反応されるとこっちもな……まあいいか。疲れているだろうが、もう少しだけ付き合ってくれ。社に入ろうか」

……
…………

――オート・クレール本社(通路)

P「うおおおおお……! OMDAフレームのサンプルモデル……最新モデルのモービルも展示されてる……!」

みく「おにいさーん」

P「ちょ、ちょっと待って……はー、作業用のOMDから拠点防衛用のOMDAに改修するポイントはこの部分か……」

みく「もー……」

晶葉「なんだアイツ、こういうの好きなタイプか」

泉「そういえば、仕事には選ばなかったけど趣味はあるって話していたわね」

晶葉「ま、喜んでくれてるならいいか。OMDAのコンバージョンを設計したのも私だしな」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「靴のデータ処理の為に端末並べているから、足元気を付けてくれ」

P「よっと……どれだけ配線適当にしてるんだよ」

晶葉「作業前に束ねさせる。端末の準備するのも色々あったんだよ」

泉「NEX-USの基幹システムに組み込みするのよね? 特に問題ないの?」

晶葉「オンで作業するが、問題ないはずだ。というか、基幹システムにデータ取込みさせた後は加蓮に処理させればいい」

晶葉「それに、OMDXたちの機体がNEX-USの秘匿領域に接続したこともあるし、キャットウォーカーのバージョンアップも手を付けられる」

みく「キャットウォーカー、まだ改造出来るの?」

晶葉「元々あの機体は完成が遅れていた機体なんだが、トルコで換装させたキャットウォーカーと並行して開発していた兵装群がある」

晶葉「フレームの修正が必要だったからそっちは送らなかったが、ここでなら改修できる。靴のデータを取込んだNEX-USとの連携を前提にした機能もあったしな」

みく「……ねえねえ、ずーっと気になってたんだけど、結局靴って何なの? 杖のコンパチみたいなものっていうのは泉チャンから教えてもらったけど」

泉(そんな説明の仕方をした覚えはないわね……)

P「俺たちは靴のデータとやらの搬送でここまで来ることになった。どんなものかくらいの話は聞かせてもらったが、実態は分からないままだ」

パシュンッ!

整備長「おーい池袋博士、データ搬送終わったぜ。データの解析処理班に後は任せたから――」

晶葉「……そうだな。お前たちがには話すべきか。分かった、話してやる。先にデータ処理に時間を使いたいから、その後になるが」

みく「……まあ、それでもいいけど」

……
…………

――数十分後、オート・クレール本社(開発室)

晶葉「そのデータ、こっちに回してくれ。事前抽出したデータと突合せする」カタカタカタッ!!

「処理分はNEX-US転送しておきます。一時的にローカルネットをNEX-USに接続します」カタカタカタッ!!

「博士、ストリームに移行させるデータですが、一旦切り離しておきますか?」

晶葉「準備はしておくか。どうせシステム連動させるんだ、少し急いでやってくれ」カタカタカタッ!!


みく「ふーん、ふーん……」

P「泉は博士たちの作業を手伝わないのか?」

泉「NEX-USへのデータ処理は私じゃ出来ないわ。そういう契約もしていないし、連邦と連合にもNEX-USのネットワークは繋がっているもの」

整備長「俺らじゃそこまでやるわけにはいかねえしなぁ」

みく「ふーんふー……あ、ねえねえ、アレアレ」

泉「どうしたの?」

みく「ほら、こっちの窓から見える工場に……」

P「あれは……低軌道上から何度か見た可変機体と、日本海で俺たちを助けてくれた赤い機体か。格納作業中か」

みく「あの鳥が何でいるにゃ!」

晶葉「鳥じゃない。Geo-NEXTとOMDX-FS、うちの部署で開発した試作機だ」


パシュンッ!

奈緒「晶葉、戻ったぞ」

麗奈「はー疲れた」バサッ

泉「あの子……海上で通信してきた……」

P「てことは、あの2人がパイロットか。てか片方のパイロット、なんだアレ……」

みく「どいつがあの鳥のパイロットにゃ! 低軌道上でみくたちの邪魔して!」

麗奈「鳥?」

晶葉「ジーネクのことだとよ」

奈緒「……Geo-NEXTのパイロットは私だ」

みく「なんにゃそのお面!」

奈緒「お面ではない。私はセカンドドライバー……理由があって仮面を付けているだけだ」

みく「だっさ」

泉「み、みく……」

奈緒「……」

麗奈「ま、ダサいわね……てそんなことより、晶葉、もうそろそろで港、使えなくなるわよ。共和国の防衛部隊も動いたほうがいいかしらね」

晶葉「どういうことだ?」

ピピピッ!

加蓮『連合が動いたよ』

奈緒「加蓮……」

みく「わわっ! 部屋のスクリーンに加蓮チャンが……」

加蓮『コロニー連合が連邦のアラスカ基地を制圧する為の作戦行動を展開した。宇宙でも連合のムーンから降下準備をしていた部隊も、低軌道上に位置して準備を始めてる』

泉「それって……」

P「せ、戦争が始まるってことなのか?」

みく「え……」

加蓮『NEX-USは連合、連邦にも提供しているネットワーク……ていえば聞こえはいいけど、情報を吸い出すのも便利だから。各国の軍施設の一部の機能にNEX-USへの情報転送も仕込んでいるし、私のところに入ってきたデータだから確実なネタだよ』

みく「で、でもいきなり戦争なんて……宣戦布告だってニュースで聞いてないし、それに連合と連邦の戦争なら共和国は関係ないし、なんで防衛なんて……」

P「……靴のデータか」

泉「2国とも私たちに部隊を寄越してきたし、どうせ開戦するなら……ってところね」

麗奈「この世界は、悪意のあるヤツが多すぎるのよ。それもとびきりの……ね」

奈緒「今港を開けていると、領空の防衛部隊展開準備が遅れるか。急いで軍には連絡したほうがいい」

晶葉「NEX-USで収集した宙域の情報を軍に渡すか。あとは、こちらも横浜駐屯地から防衛部隊の提供依頼も出しておくとして……ここまで来ればこちらの話だけでは収まらないだろうし、承認出るだろうか。まあいい、すまんが少し席を外す」

パシュンッ!

みく「戦争……」

麗奈「P、泉、アンタたちはどうするの」

P「えっ」

泉「私……たち?」

麗奈「悪いとは思うけど、今から急いで港に行ったとしても、上に行く便なんて取り付けないわよ。日本のどこかに避難するなら、適当に誰か付けるけど」

泉「どうするって……オオイシファクトリーはあくまでオート・クレールの下請で、軍の協力をしていると言っても、本格的な戦闘なんて……」

P「俺は……」


みく「戦、争……」


P「……俺は、俺に、何か出来るのか?」

奈緒「……」

麗奈「軍に入らなくても、レイナサマのところにいるなら、何かしらは出来るんじゃない? 何かしたいなら、させてやるわよ」

奈緒「……お前は、戦いたいのか?」

P「戦いたい……いや、違う。俺はナシヤマに帰るんだ。それに俺はみくと……約束した。だから、帰る為に、必要なら俺は戦う」

みく「……!」

麗奈「よしっ! それじゃアンタ、付いてきなさい」グイッ!

P「っと!? お、おい、ドコ行くんだよ!」

麗奈「ヤるならやることは1つしかないでしょ! ほら、さっさと来なさい!」

パシュンッ!

奈緒「全く……加蓮、少し席を外す」

加蓮『はいはーい。データのほうはやっておくね』

みく「ちょ……ちょっと待って! お兄さん! 変なお面!」タタタタッ!

パシュンッ!

泉「あの人、レイナって人……どうして、私たちに……えっ?」



麗奈『P、泉、アンタたちはどうするの』



泉(……あれ、私……自己紹介、したかしら?)

……
…………

――数時間後、オート・クレール本社(工場)

ピーッ!

パシュンッ!

P「げほっ! げほっ! ま、まだやんのか……?」

麗奈「当たり前でしょ。アンタたち、海で見たけどてんで動きがなってないのよ。わざわざシミュレーター立ち上げてレイナサマが鍛えてあげているんだから有難く思いなさい!」

みく「し、しぬ……あ、悪魔……」ハァ、ハァ……

麗奈「アァン!? みく、アンタまだそんな口を利ける元気があるなら、もっと設定キツくしてあげるわよ」ピッピッピッ!

みく「ひっ、ひいいいいいい……」

奈緒「……こっちは少し席を外す。すぐ戻るが、あまり無理をさせても仕方がない。適当に休憩したほうがいい」

麗奈「ん、そう。んじゃ適当にやっとくわ。ほら、準備しなさい!」

P「戦闘するって分かっていても……ああくそ」


奈緒「……」

「脚部の装備外すぞー。交換用のフレームの準備しろ」

奈緒(キャットウォーカー……次の改修で統合兵装を採用して機体の完成度も上がるか……)チラッ

「可変時の腕部の収納、最新の調整でレスポンス変わったから稼働確認しておけよ」

奈緒(あとは、ネオジオ……ここまで出来上がるなら、最低限は……)

……
…………

――オート・クレール本社(休憩所)

みく「ふわぁぁぁぁ……あのレイナって化け物すぎ……セカンドなんたらってお面も何考えてるかわかんないし」ドサッ!

P「そうだな……いや、それくらいはしないとダメだってことなんだろうな」

みく「……本当に、共和国も戦争に巻き込まれるのかな」

P「どう、だろうな」

みく「だって、共和国はコロニー連合が国際連合から独立して、戦争をしないようにって共和国が出来たのに」

P「国際連合の中で、コロニーの運用をしていた一部国家がコロニー連合として独立して、国際連合から地球連邦に再編」

P「地球連邦とコロニー連合が宙域の資源衛星の所有を巡って小規模戦争を繰り返し始めた時期に、戦争意志のない国や戦争の抑止力になる為に更に連邦から分裂して出来たのが共和国」

P「宇宙進出や兵器開発、自国防衛でそれぞれ軍備増強が進んでいく実態があって冷戦状態ではあったけど、インフラの共有化や企業統合で民間は落ち着くことが出来ていたのにな」

みく「カレッジで習ったけど、全然そんなこと無かったじゃん……」

みく「……」

P「……みく、まだ元気残ってるか?」

みく「え?」

……
…………


――夜、横浜市、みなとみらい

みく「お兄さーん! アレ、アレなに!」

P「おー、あれは国際タワーだな。モールも入ってるけど、上の階は文化財保管もしていたはず」

みく「買い物いこっかなー。シティのチェックポイントならNEX-USでも同じモールあるかな?」

P「確か配置されてるはず。どうせ表で来たんだし、現地行ってみるか?」




みく「ひっさびさに外でご飯食べたような……」

P「そりゃ降下してからはほとんど艦で生活してたし……」

みく「あ~あ、ホントに何もなかったら楽しい観光で終われたのに」

みく「ナシヤマに戻っても、また来れたらいいなぁ……」

P「そうだな。今度は遊びで来たいな」



……
…………

――みなとみらい(桟橋)

P「寒くないか?」

みく「うん。それにしても風の吹き方がすごいなぁ……やっぱりコロニーの送風と違うんだ」

P「コロニーはあくまで地球の環境を再現しているだけだからな。海の傍だし、自然に吹く風はやっぱり違うよ」

みく「シティの灯りも綺麗だし、これこそ観光地って感じ」

P「……」

みく「大人になったら地球に引っ越ししようかなぁ」

P「……なあ、みく」

みく「なに?」

P「みくだけは、どこかに避難していいんだぞ。少なくとも、オート・クレールから離れた場所なら、ここよりは安全だ」

みく「……」


みく「……あのね、みく、考えてたんだ」

みく「なんでこんなことになっちゃったんだろうって、どうしてみくがこんな目に遭わなきゃならないんだろうって」

みく「嫌だって思うことばっかりで、だけど嫌だって言うだけじゃどうにもならないし、そんなのはもっとイヤだからここまで来て」

みく「ここに来るまで、ナシヤマやオーレンバーグで戦闘に巻き込まれた人たちをたくさん見てきた」

みく「どれだけ危ないことかってわかってるから、お兄さん1人だけにしちゃうのは凄く嫌だって思って」

みく「それに……表がこんなに物騒だと、いつか……NEX-USだって楽しい場所じゃなくなる。みくは、NEX-USが好きだから」

みく「アイ……んにゃ、みんな、NEX-USの中だと笑顔になれる。だけどその笑顔になるには、まずは現実が平和じゃないと」

P「みく……」

みく「だからね、今まで知らなかったことを見て、知っちゃったから……見なかったふりなんてしたくないの」

みく「泉チャンも、何よりお兄さんもいるから、みくもここに残りたい」

P「そうだ、危ない場所だって分かったんだ。だから、俺はみくだけは――」

みく「……前に、みくが話したこと覚えてる?」

みく「みくは、助かりたいから、だからこうしているって。だから、お兄さんをみくが守るから……お兄さんは、みくのこと、守って……」

みく「それで、もし……」

みく「……ううん、だから、いままで通り一緒に頑張ろ! 大体ここが攻められたらみくたちだって宇宙に戻れないし」

みく「それに、ここに来るまでも何度かOMDAの防衛部隊が戦闘してるの見たけど、あんまり役に立ってる気もしないからそれも不安だし……」

P「ま、まあそれは……みくは新型に乗ってるのもあるから、な……」

みく「それは……そうだけど、いいの! みくはキャットに乗って戦ってるんだから。お兄さんも、次も同じように頑張ろうね」

P「……ああ」

……
…………

――みなとみらい(桟橋)

みく「それは……そうだけど、いいの! みくはキャットに乗って戦ってるんだから。次も、同じように頑張ろうね」

P「……ああ」


奈緒「……」

奈緒(Pさん……やっぱり、もう1機のラプターに乗っていたのは、Pさんだったのか)

奈緒(そうなると、NEX-USが……いや、世界が選んだのは、みくなのか……?)

奈緒(世界の争いを終わらせるのは……アインフェリアたちのような役割を、みくが担うってことなのか、加蓮……?)

奈緒(どうして、あたしがここにいるのか、本当に理由があるんだろうか……)

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「ストリーム経由の靴のエネルギー伝送用のプログラムの更新完了。次は解析データの拡張――」カタカタカタッ

麗奈「アンタさぁ……それやってて面白い?」

晶葉「面白いもつまらないもないだろう。単に好き勝手研究開発が出来るモノではない……靴についての興味は尽きないが」カタカタカタッ!

麗奈「ま、アンタならどこでもそっか」

晶葉「そりゃそうだ。私は私だ。どの世界どんな時代に私がいようと、変わることはない。変わってしまっているなら、それはもう私じゃないさ」

晶葉「……で、お前は見つけたのか? 目的の物、だったか。楽園に続く道だったか」カタッ……

麗奈「ま、上々ってとこかしらね。ただ、別に意味は無かったわ」

晶葉「目的の物がお前の想定していた物ではなかったということか」

麗奈「ちょっと違うわね。不要なのよ、この世界には。もう消えかかってる」

晶葉「……であれば、終わりは見えているということか。この世界の」

麗奈「さあ……まあ、こんなことになったのは、不幸と言えば不幸なのかしらね」

麗奈「蘭子自身がいれば、よかったんだけど」ボソッ

晶葉「ん? なんだって?」

麗奈「なんでもないわよ。物も、人もいないんだからそれでおしまい。悪い芽くらいは摘んでやろうとは思うけど、後はアンタたちで勝手にしなさい」

晶葉「探し人についてなら、加蓮を使って特定させればいいだろう。それでも無理なのか?」

麗奈「無理よ、それじゃ意味ないもの。大体原因だってら――」

パシュンッ!

泉「晶葉、シャワー借りたわ。ありがとう。2人ともそろそろ休憩したら?」

晶葉「ん、ああ……もうこんな時間か。他のスタッフには組み込みで工場で作業させているから気付かなかったな」

麗奈「ふわぁ……飽きたし、アタシは寝ようかしら」

晶葉「そのうち眠る時間も無くなるだろう。いざというときは頼むぞ」

……
…………

帰宅が間に合わなくて予定日からズレたので、安価前で一旦止めます。
次回安価処理から始まります。

6/8(土)の22時頃から再開します

――横浜市、市内ホテル(みくの部屋)

みく「……」


みく『……前に、みくが話したこと覚えてる?』

みく『みくは、助かりたいから、だからこうしているって。だから、お兄さんをみくが守るから……お兄さんは、みくのこと、守って……』

みく『それで、もし……』


みく「もし、一緒に、帰れたら……」

みく「……んにゃにゃにゃ!!」ブンブンブンッ!!

みく「何言ってんだろもー……みくは、アイドル、アイドル……そだ、NEX-US付けとこ」ピッ!

みく「んー……あっ、Pチャンからメール……お仕事!」ピッピッピッ!

みく「サイオーンの新端末発売のキャンペーンガール……むむっ! Pチャンまだ事務所に来てるかも……NEX-US入ろ!」


……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

パシュンッ!

キャット「にゃっ! っと」


P「んーと……ギチトーの電子アトラクションの収録……時期……結構先だけど、5人揃えられるか……?」カタカタカタッ!

キャット「Pチャーン!」バッ!

P「おおっと!? キ、キャットか……どうした突然」

キャット「お仕事! メール入れてくれてたからまだPチャンいるかなって思って接続しに来たにゃ!」

P「そ、そうか……さっき展開したばっかりだったんだが……まあ、割と急な仕事なんだが、大丈夫か?」

キャット「……」

P「……どうだ?」

ピピッ!

P「ん?」

パシュンッ!!

雪妖精「お疲れ様デス、プロデューサー」

ツインテ「……おや、みんな同じタイミングで接続したみたいですね」

キノコ「ま、まあ……届いたメール見たからだし……」

セカンド「……そう、だな」

キャット「みんなぁ! 5人集まるのってすっごく久しぶりにゃ!」

P「おお、そうだなぁ。ここしばらくは5人同接ってタイミングも無かったしな」

セカンド「まあ……それで、プロデューサー、送ってくれた仕事なんだけど……」

P「ん、ああ。ちょっと予定日が近いんだが……大丈夫か?」

ツインテ「確かに、来週……でしたね。対企業の依頼ですけど、NEX-USでこんなに急な仕事はI@LPが承認しないと思うんですが……」

P「ちょっとな、俺が別で承認通したんだ」

キノコ「プ、プロデューサーが、か?」

P「うん……そうだな、来週、こうやって皆で集まって、仕事をしたいなって思ったんだ。大丈夫か?」


セカンド(……そう、か。そうだよな)

キノコ(来週、またみんなで、か……)

ツインテ(アイドル……また、こうしてみんなと会う為には、次の作戦こそは……!)

雪妖精「……はい、プロデューサー、来週、みんなで……ですね?」

P「フェアリーは、大丈夫か?」

雪妖精「はい! また、みんなに会いたい、何度でもここで、会いたいですから」

キノコ「ま、まあな……仕事も、楽しいし……」

ツインテ「こうしてあたしたちが揃って仕事をすると、良い結果にもなっていますからね。正式には組んでいませんが、良いユニットだと思います。セカンドブルーも、そう思いますよね?」

セカンド「……そうだな」

P「キャットも、どうだ?」

キャット(また、こうして、みんなで……)

キャット「……うん、キャットにバッチリ任せるにゃ!」

キャット(だから、絶対に死なないんだから……!)

……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)

P「……みんな、来週、か」カタカタカタッ……

P「来週、またみんなに会う為に、俺も、必ず……」カタッ……

P「せめて、ここだけは変わらないままで、いてほしい」

P「……ん、皆事務所から出たと思ったけど、まだNEX-USに接続しているのか」


※安価選択(会話をするアイドルを選択してください)
1.チャーミングキャット(みく)
2.スノーフェアリー(アナスタシア)
3.キューティーツインテール(有香)
4.ナイトメア・キノコ(輝子)
5.セカンドブルー(??)
↓1

5

>>263
5.セカンドブルー(??)


P「セカンドブルーはしばらく接続していなかったが……他の皆みたいに、表の都合もあったんだろうか」

P「仕事は……そうだな、声を掛ければ出てくれてはいる――」

ピピッ!

パシュンッ!

P「ん?」ピクッ!


セカンド「……」

P「おお、セカンドか。どうした? I@LPの募集でも見に来たのか?」

セカンド「ん……ああいや、ちょっとな。プロデューサーさん、まだ事務所に残ってたのかと思って」

P「俺もちょっと仕事溜めていてさ、さすがに消化しておかないとI@LPからお叱りが飛んでくるんだよ」カタカタカタッ!

セカンド「そうか……」


セカンド「……なあ、プロデューサー」

P「どうした?」

セカンド「次の仕事……また、みんなでって話をしてくれたけど、あれ、どうしてだ?」

セカンド「あたしたちはユニットの正式申請もしていないし、ソロメンバーが集まってる形で一緒にいるだけで、別々に仕事する機会だって多いのに」

P「……そうだなぁ、俺が、そんな皆を、いいなって思ったからかも、しれないな」

P「ここにいれば、皆に会える。会いたいときに会えるかは分からないけど、ここにいれば、会えるから」

P「だから……皆でって、思ったのかもしれない」

セカンド「……もし」

P「うん?」

セカンド「もし……プロデューサーさんが、すごく遠いところに行ったとして」

セカンド「大事な人がいて、帰らなきゃならなくて」

セカンド「帰れるときに、帰らない道を選んで……そのせいで、ずっと帰れなくなったら……どうする?」

P「なんだそれ、どうしてそんなこと聞くんだ?」

セカンド「ここなら、どこにいてもすぐに来ることが出来る。だから、ここに来たいと思うし、どこかに行こうとも思える」

セカンド「だけど、そうじゃなかったら。行こうと思っても、帰ろうと思っても、行けない場所まで離れてしまったら……」

P「帰るよ」

セカンド「……」

P「俺がどこかに行くのは、帰りたい場所を捨てる為じゃない。いつか帰るから、どこかに行くんだ」

P「まあ、この事務所はどこに行っても帰ってこれるからっていうのもあるんだけどな」

P「それに、皆がいつでもここに来れるように、俺がいるんだから」

P「セカンドは、帰りたいところはあるのか?」

セカンド「あたしは……」

P「ここ以外に、行きたい場所や、帰りたい場所があるのだって、悪いことじゃないと思う」

セカンド「……ああ、遠いところまで行った。どうやって帰ればいいかも、分からなくなるところまで遠くに」

セカンド「だけど……ここには帰ることが出来る。今は、それだけでいいのかもしれない」

P「……ま、皆もいるしな。楽しいだろ?」

セカンド「ああ、楽しいよ」

……
…………

――NEX-US(秘匿領域)

キャット『ああ、キャットはここにいるとアイドルなんだ。楽しい、夢のような場所なんだって思って』

雪妖精『フェアリー……守りたいもの、あります。祖国も、人も……だから、捨てられません』

ツインテ『生き延びる為、自分たちが勝たなければ、ならないからです。そして、全部終わったら、あたしはここに……』

キノコ『軍人やってる裏で、アイドルやって良い顔してるようなヤツなんて、みんな悪いヤツで……それでも、ここにいたいんだって、思ってるんだろうな』


加蓮「……」

加蓮「……みんな、ここを、アイドルを、大事にしたい」

加蓮「それだけじゃない、お互いのことだって……」

加蓮「……私は、どうしたらいいんだろう」


『システムロック。対象への情報伝達を実行することが出来ません』


加蓮「奈緒、アタシが……私が、AIじゃなくて、人間だったら……みんなの気持ちが、分かるのかな……」


……
…………

――数日後、太平洋上空、コロニー連合戦艦(ブリッジ)

『各部隊に連絡。宙域、海中、海上に展開したステルス部隊、所定の位置に着いた』

『これより、オペレーションFによるアラスカ基地制圧の為の作戦を開始する』

『海上の部隊から順次ステルスを解除、指定ポイントにミサイルによる波状攻撃を敢行し、ラプター部隊を展開せよ』

連合軍艦長「時間だ。これよりオペレーションF、アラスカ基地制圧任務を開始する」

連合軍艦長「ポイントE1に到達後、外装ステルス膜を解除、ミサイル照準、ラプター部隊は出撃待機だ」

ピピピッ!

連合軍艦長「L-03だ。このタイミングで個別通信とは何の用だ」ピッ!

ちひろ『どうも、作戦開始でよろしいですね?』

連合軍艦長「千川少佐か。そちらの準備はどうなっている」

ちひろ『強行軍での合流でしたが、間に合いましたよ。こちらもオペレーションβの後始末をします』

連合軍艦長「失敗か。後始末はどうするつもりだ? 日本への侵攻も手早く済ませてくれよ」

ちひろ『ま、連邦も同じことを考えていると思いますよ。上手くやります。オペレーションFもどうぞ頑張ってください。こちらよりよほど重要ですから』

連合軍艦長「言われんでも。互いにしくじらないようにせんとな」

ちひろ『ええ、それでは』

ピッ!

連合軍艦長「……ふん、奴らが上手く立ち回っていれば、こちらの荷も少しは軽くなったのだがな」

……
…………

――横浜市(市内)

ピッ!

「IDの確認が取れました。通行規制によりお手間を掛けさせてしましましたが、どうぞ」

有香「ありがとう」

輝子「フヒッ……」


有香「……こちら潜入部隊、障害なく市内に入りました」ピッ!

『了解です。端末にポイント座標転送します』

輝子「そ、それにしても……いきなり空港規制が掛かったけど、どうしたんだろうな。通常通り入れなかったけど」

有香「……もしかしたら、アラスカの件が漏れたのかもしれませんが……いえ、今は作戦に集中しましょう」

……
…………

――オート・クレール本社前

アーニャ「艦長、オート・クレール本社周辺の準備、完了しました」

ピピピッ!

艦長『ポイントへの爆破準備、こちらも確認が取れた。後追いの部隊も配置に着かせている』

アーニャ「タイミングになったら指示をお願いします。突入部隊との連携は艦を介します」

艦長『ああ。こちらもステルスの解除準備をする』


……
…………

――太平洋(MBG共和国領空)

『ラプターストーム部隊、ステルス機能解除。フォーメーション02を展開する』

『フォーメーション02了解』

「了解」

『ステルス解除しました』

『よし、海上部隊も展開する。ラプターワイルドの部隊の掩護範囲から出過ぎるなよ』

「了解……さて、後始末といきますか」

ピピピッ!

ちひろ『各部隊、今回の任務はオペレーションβの後始末です。やり残しはないように』

……
…………

――横浜市、横浜市基地(作戦室)

ピーッ、ピーッ!

「レーダー補足! コロニー連合の部隊です!」

司令官「ポイントは!」

「ポイント表示します……最前線の敵部隊、三原山の防衛ラインまで15分です!」

司令官「東京と千葉の基地にも連絡して連携する。横浜については避難勧告を発令する」

司令官「避難は急がせろ。後、オート・クレールにも連絡を入れろ。部隊の依頼も来ている。待機中の6、7番小隊を向かわろ」

「了解しました」

……
…………

――オート・クレール本社(通路)

タタタタタタッ!!

麗奈「晶葉! ちょっと返事なさい晶葉!」

ピピピッ!

晶葉『わかっている。横浜基地から先ほど連絡が来た。やはりこちらを攻めてきたということか』

奈緒「靴はどうしてるんだ」タタタタッ!

晶葉『保管所に置いている。軍も防衛部隊を寄越してくれる。こちらも何とかするつもりだが、お前たちは出るのか』

麗奈「OMDX-FSの準備、出来てるんでしょう?」

晶葉『FSのメンテナンスは完了しているが、ジーネクはまだ完了していないが……奈緒は無理できんぞ』

奈緒「仕方がない、か……出ないわけにはいかないさ。Pさんとみくのほうは頼む」

ピッ!

麗奈「ホント……どうしようもない奴らね」

……
…………

――オート・クレール本社前

ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

アーニャ「警報!? 艦長!」ピピピッ!

艦長『どうした』

アーニャ「作戦前ですが、オート・クレールのほうで警報が……」

艦長『……太平洋側の海上で連邦の部隊が展開されている。連合の迎撃にアラスカで部隊展開がされているはずだが』



――横浜市(市内)

輝子「な、なんだ……?」

有香「警報……こちらと同じように追跡していた連邦の部隊が行動を起こした……? いや、これは……」


……
…………

――横浜市(市内ホテル前)

みく「お兄さん!」

P「警報……来たってことか。オート・クレールに戻るぞ!」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「泉、三原山の防衛システムの起動状態はどうなっている?」

泉「OMDAの防衛部隊の展開と合わせてシステム起動……って、なんで軍じゃなくてこっちで確認しているのよ」カタカタカタッ!

晶葉「システムのほうはうちで提供している。自衛の為にこちらでも確認しているだけだ」カタカタカタッ!

晶葉「奈緒、聞こえるか。出撃準備はどうなっている」

奈緒『いま工場に着いた。準備次第出る』

晶葉「状況が状況だ、アイツらはどうする?」

奈緒『ネオジオはまだ調整が終わっていないだろ。それと、アレはダメだ。Geo-NEXTで出る』

晶葉「動かすことは出来るが・……いや、間に合わせることが出来なくてすまん」

奈緒『気にしなくていいさ。ジーネクで出るぞ!』

……
…………

――Geo-NEXT(機体内)

奈緒「ジーネクのシステム起動。兵装疎通確認」ピッ、ピッ、ピッ!

ピピピッ!

加蓮『奈緒!』

奈緒「加蓮か。Pさんとみくが来るはずだ。2人を頼む」

加蓮『そうじゃなくて、さっき晶葉も言ったでしょ! キャットウォーカーの改修優先だったから奈緒の機体の整備がまだ終わってなくて……』

奈緒「大丈夫だ。あたしは年季が違う。墜とされるわけにはいかないさ」

ピピピッ!

麗奈『奈緒、アンタなら問題ないとは思っているけど、死ぬんじゃないわよ!』

奈緒「麗奈……そうだな、いつもそう言われていた。あたしは死なないさ」

『搬入口を開放しました。OMDX-FSとGeo-NEXT、発進どうぞ』

麗奈『OMDX-FS、出るわよ!』

奈緒「セカンドドライバーだ。Geo-NEXTで出撃する!」

……
…………

――MBG共和国領空、戦闘区域

『こちらR01、共和国の防衛部隊の展開が早い。海上には連邦の奴らもいる。こちらの作戦が流れている可能性が――』

ドガアアアアアンッ!!

『R01どうした、R01――』

ドガアアアアアンッ!! ドガアアアアアンッ!!

『なんだあの機体は!』

『照合該当無し……OMDA部隊ではない、赤いのと青い機体の2機だ!』


奈緒「前線部隊との距離が近い。ロングライフルは破棄する。麗奈、連合のラプター部隊は24だ」

ピピピッ!

麗奈『連邦も戦艦2隻寄越してきているわね……戦闘機部隊の数もそうだし、靴をぶっ壊しに来たには数は足りないようだけど……』

奈緒「加蓮聞こえるか。悪いけど三原山のシステムに接続して戦闘区域の状況を解析してくれ」ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

加蓮『わかった。奈緒も気を付けて』

奈緒「わかってる……そこだ!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ドガアアアアアンッ!!

麗奈『OMDA部隊! 湾内に入られないようにしっかりしなさい! レイナサマが手を貸してやるわよ!』ドガガガガガッ!!

ピピピピッ!! ピピピピッ!!

麗奈『ん?』ピクッ!

奈緒「高速で接近する機影……1機、アレは……!」

ブォンッ!!

ガキィィィィンッ!!

奈緒「ラプター!? いや、この機動力は・……!!」

ちひろ『さて……各地で報告のあった機体が2機ともこの場にいるということは……やっぱり当たりですね』ググググッ!!

キュピーンッ!!

麗奈『あの機体……まさか!』ガションッ!

ドシュウウウウウウウンッ!!

ちひろ『下から反応……!』ギュンッ!

ピピピッ! ピピピッ!

ちひろ『周辺通信!?』ピッ!

麗奈『やっぱりアンタだったわけね、ちひろ!!』

ちひろ『だ、誰……!?』

奈緒「ち、ちひろさん……!?」

麗奈『奈緒、コイツは敵よ! こいつだけは容赦するんじゃないわよ!』

ちひろ『コイツ、何を言って……この!』ガションッ!

ボシュシュシュシュッ!!

麗奈『レイナサマがそんなミサイルに当たるわけないでしょ!!』ドシュシュシュッ!

ドガアアアアアンッ!!

奈緒「れ、麗奈! だけど・……」

麗奈『ここで手抜けば、死ぬのはアンタよ!』

奈緒「…・・!」

麗奈『肩部ビーム砲塔照準……ここに来てまでコイツは……さっさとちひろから離れな!』ズドオオオオオオッ!!

ドガガガガガガァンッ!!

ちひろ『くっ……い、一体何を……! だけど、ここでこの2機を抑えれば……!』

奈緒「くそっ……! どういうことだよ!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ちひろ『私だけでは分が悪い……ブリッジ、ラプター部隊の増援を!』

麗奈『チッ、雑魚なんて呼びつけて……!』

ピピピッ!

加蓮『奈緒!』

奈緒「どうした加蓮!」

加蓮『市の上空宙域から降下ポッド! 連合の部隊だよ!』

奈緒「くそっ、上からかよ……!」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

ピピピッ!

P『博士、泉! 連邦と連合が攻めてきたんだろう、俺とみくも出る!』

みく『ここまで来て好き勝手させないんだから!』

晶葉「ちょっと待て、現在戦闘区域になっているポイントには麗奈とセカンドドライバーが――」

ピピピピピッ! ピピピピピッ! ピピピピピッ!

泉「いえ……晶葉、横浜市上空に反応……降下ポッド!?」カタカタカタッ!

P『なんだ!?』

ピピッ!

泉「ラプターの降下部隊よ! 降下部隊からのミサイル……着弾場所は……ここ!?」

晶葉「チッ! おい外のOMDA部隊! 上だ! ミサイルが来る、撃ち落せ!」


ドガガガガガァンッ!!!!


みく『わあああああ!?』

P『こ、ここに直接か……!!』

泉「ううっ!? だ、だけどミサイルの大半の処理は……だけど、一部は市内に落ちたし、降下部隊が……!」

晶葉「奇襲とは……P、みく、すまんが2人も出てくれ。外のOMDA部隊と降下したラプター部隊が戦闘を始めている」

……
…………

――オート・クレール本社前

アーニャ「くっ……連合の降下部隊……いえ、ですが……」

ギュンッ!

アーニャ「グラース……連邦の機体までどうして……」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、様子がおかしい。海上に展開している連邦の部隊に通信を送っているが反応がない』

アーニャ「艦長、どうすれば……」

艦長『作戦は一時中断する。転送した座標に移動してくれ。お前を含めた潜入部隊を拾って一旦離脱する』

アーニャ「了解、です」ピッ!

アーニャ(……あの、2人は)

……
…………

――横浜市(市内)

輝子「空からラプター……どうして……」

有香「あれは……展開しているラプター部隊、応答してください。こちらはホクドウの千川少佐からの任務を受けて個別任務に当たっている部隊です」


『連邦のグラース部隊だ、散会して迎撃する!』

『市街地戦闘になるが構わず撃て! 任務が最優先だ!』


有香「ラプター部隊、応答してください! 応答してください!」

ピッ!

有香「くっ……一体何が……」

ドシュウウウウンッ!

有香「!?」

輝子「!?」

ドガアアアアアアンッ!!

有香「ぐうううううっ!?」

輝子「わっ、わ……!」

有香「ごほっ! 回答も無く連邦と戦闘に……こ、このままだと……」ハァ、ハァ……

輝子「い、いったん離れないと……」

……
…………

――オート・クレール本社(工場)

整備長「おーいお前ら―!」

P「整備長! 俺とみくも出撃する!」タタタタタッ!

みく「機体整備終わってるよね!」

整備長「バッチリ終わってるぜ! ラプターのほうはストームを装備させているからな!」

P「市街地戦闘想定か……了解した!」バッ!

みく「それじゃみくも……って何かこの機体また変わってない!?」

整備長「おう、改修終わったぜ。OMDX-152CXワイルドキャット、改修に合わせて最適化しているからフレームの機能もフルで使えるはずだ!」

みく「もーなんでもいっか……ワイルドキャットで行くよ!」

P『みく、市街に出て敵部隊を抑えるぞ』ガションッ!

みく「靴のデータってのも大事なんだろうけど、まずは町の人たちにゃ!」

……
…………

最後思いっきり落ちてしまっていたんですが、本日はこれで終了します。
次回は多分6/12か6/15になります。
安価にご参加いただきありがとうございました。

――オート・クレール本社前、戦闘区域

アーニャ「オグマが戦闘圏に入る……戻る時間が…・!」

アーニャ「アレは……!」


みく『お兄さん、連邦のグラース部隊! 市街地抜けて来てる!』

P『3機か……連合だけじゃなくて連邦もここまで来たか……空から降りて市街地戦闘に切り替えるぞ。OMDA部隊もいる、無理はするなよ』カタカタカタッ!


アーニャ「もしかして、あの子の機体……!? まだここに――」


P『っ!? 上からも来てるぞ!』ピピピピピッ!

みく『このっ!』ガションッ!

ドシュッ!!

みく『ク、クロー……結構重たくなってるけど……にゃっ!』ブォンッ!!

ズガガガガガァンッ!!

アーニャ「ああああっ!」

みく『お兄さん、1機墜とし……!』ピピピッ!

みく『あそこにいるのは……』


アーニャ「くっ……こちらの部隊ではない、グラースまで……」


みく『あの子……!!』


アーニャ『行くなら、早く行ってください。今のうち、です。アーニャが、戻っているうちに』


みく『……んもうっ!』ガションッ!!

ギュンッ!!

P『どうしたみく!?』

みく『お兄さんゴメン! でも……マイクロミサイルランチャー……!!』カタカタカタッ!!

ボシュシュシュシュッ!!

ドガガガガガァンッ!!

アーニャ「うっ……あの機体、アーニャの前に……」

みく『そこの民間人! 早く逃げて! スピーカー聞こえるでしょ!』

P『みく!? いや、アイツは……やはりこっちに来ていたのか……だけど様子が……』ピピッ!!

アーニャ「……!」バッ!!

アーニャ「機体、機体は……あのグラースなら!」タタタタタッ!!

パシュンッ!

アーニャ「パイロットは降りて退避した後……システム状況確認、パワーフロー正常、武装確認……C装備!」カタカタカタッ!!

アーニャ「グラースC、システム再起動!」ピピッ!

ガションッ!!

みく『ほっ、これでとりあえず――』

ラプター『……!』ギュオオオオオオッ!!

アーニャ「後ろ!!」ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

ラプター『……』ドガアアアアアンッ!!

みく『うっわ……あ、あっぶな……』

アーニャ「……ありがとう」

みく『いいから早く逃げるにゃ! そっちのせいじゃないんでしょ、これ!』

アーニャ「……」ガションッ!

ギュオオオオオオオッ!!!!

……
…………

――横浜市上空、戦闘区域、オグマ(ブリッジ)

ピピピッ!

艦長「私だ」

アーニャ『艦長、戻りました』

艦長「アナスタシアか。そのグラースはどうした」

アーニャ『戦闘区域になっている場所で拾いました。この状況、別動隊ですか?』

艦長「分からん。コンタクトは続けているが通信が取れん」

「グラース、着艦しました。アナスタシア少尉がクラウソラスに乗り換えます」

艦長「とはいえ状況を見ると攻撃対象はオート・クレールだ。こちらと同様の別部隊の可能性が高い。他のグラースも集まってきている。アナスタシアも再出撃し対応しろ」

アーニャ『了解です、クラウソラスで出ます!』

「クラウソラス、出撃しました。他部隊のグラース、ローキン艦も確認できています」

艦長「よし、ではこちらも――」

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

「っ! 艦長、ローキン艦の主砲がこちらに!」

艦長「なにっ!?」

ドガアアアアアアアアンッ!!!!

艦長「があああああっ!?」

……
…………

――横浜市上空、戦闘区域

ピピピピピッ!

アーニャ「オグマ!? どうして攻撃が……ローキン艦! いまの砲撃は――」

ピピピピピッ!

ドガガガガガガッ!!

アーニャ「ぐっ!?」ドガアアンッ!!

グラース『……!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

アーニャ「グラース!? どうしてこちらに攻撃を……」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、どうやら……そういうことらしい』

アーニャ「艦長!」

艦長『連合のアラスカ侵攻の情報を得ていた時点で、靴については破壊を選択したのだろう……ぐぅっ!?』ドガアアアアアンッ!!

艦長『秘匿されている靴の情報を与えられ、任務を達成できなかった私たちを……ここで始末する、そういうことだ』

アーニャ「そんな……!」

……
…………

――横浜市、戦闘区域

ドガアアアアアンッ!!


有香「輝子さん! こちらに!!」タタタタタッ!!

輝子「くそっ! クソッ!! なんで私たちまで……!」ハァ、ハァ……


『輝子さん小梅さん乃々さん! こっちです、裏道から抜ければ港まではすぐですから!』

『は、早く……逃げないと……!』

『ヒッ、ひいいいいいい……』

『クソッ、どうして、こんなところで戦争なんて――』


輝子「クソッ、クソッ!! あの時と、同じじゃないか!!」

有香「あの時と、同じ……」ハァ、ハァ、ハァ……


『有香さん、早くいきましょう』

『ドーナツドーナツ♪』


有香「勝つ為なら……だけど、だけど……! 勝つ為に、私たちが……!!」


……
…………

――横浜市、戦闘区域

P「そこのOMDA! 上空から敵の位置を確認した、座標を転送する!」カタカタカタッ!!

グラース『……!』ギュンッ!!

P「ストーム装備なら市街地戦闘だろうと……!!」ドシュウウウウンッ!!

ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

グラース『……』ドガアアアアンッ!!

OMDA部隊員『すまない、助かった! オート・クレールのほうで改良したラプターもいい機動性だな!』

P「ああ、こちらも……むっ、あそこに人が……!」ピピッ!


有香「……!」

輝子「……!」


P「逃げ遅れたのか!? くそっ、グラースのミサイルが……!」ギュンッ!!

ドガガガガガァンッ!!

P「ぐおおおおおっ……! くっ、ふ、防げたか……いや、ウイングとスラスター損傷、ロングビームブレイドがロスト……くそっ!」カタカタカタッ!

P「そこの2人、早く避難するんだ!」

……
…………

――横浜市、戦闘区域

P『そこの2人、早く避難するんだ!』


有香「あのラプター、私たちを……」

輝子「OMDAと一緒にいるってことは・……も、もしかしたらあの艦にいたラプターか……?」

有香「それでも、この場面であれば……くっ、ケーレス、応答してください、ケーレス!」


『……ら……こちら、ケーレス、中野中尉……中野中尉、こちらケーレスです』ザザッ!

有香「繋がった……! 座標を転送します、イーリアスとフラガラッハをオートパイロットで射出してください!」

『了解しました。ですが……こちらも、攻撃を……』ザザッ!

有香「やはりケーレスも攻撃を受けて……千川少佐、どうして……!」


……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「泉、軍から情報提供が来ている。神奈川、東京付近で展開されている連邦と連合の状況だ」カタカタカタッ!

泉「こっちに回して。今データの――」
 
ドガアアアアアンッ!!

晶葉「ぐっ!?」

泉「あああっ!? くっ……6番迎撃設備損傷、対空砲が潰れたわ……」カタカタカタッ!

ピピッ!

泉「敵の展開状況……スクリーンに出すわ。横浜基地、横須賀基地が戦闘区域として敵部隊の侵攻ルートに……」カタカタカタッ!

泉「いえ、だけど、どちらの侵攻範囲からも想定ルートを出すと……やっぱり、オート・クレール本社を攻撃できるように部隊展開がされているわ」

晶葉「連邦と連合双方ともか……! くっ、示し合わせたとでもいうのか、こいつらは……!」

ピピピッ!

加蓮『晶葉、泉、靴の解析データの取込みは完了したよ。最悪開発室は破棄して!』

晶葉「靴がある。こちらはギリギリまで耐えるしかない。泉から渡された物理端末は最悪破棄する想定だが、可能であれば京都へ別地搬送させる」

泉「ここはOMDA部隊も守ってくれているから、加蓮はみくとPさんをお願い。いざとなったら私たちよりも2人を優先させて」

加蓮『ちょっと待って、今奈緒と麗奈に増援できないか確認するから』

……
…………


――NEX-US(秘匿領域)

加蓮「奈緒、麗奈! オート・クレールに戻って! 空から直接来る部隊が多くてOMDA部隊だけだと対応しきれない!」

奈緒『わかっている! Pさんとみくもそっちにいるけど……くそっ!』

加蓮「奈緒……!? Geo-NEXTの損傷が……」

麗奈『まともに整備してないでコイツと戦ってるんだからそうなるわよ! チッ、お互いポンコツに乗ってるからってレイナサマを手こずらせるなんて……!!』

加蓮「相手の機体情報……該当機無し……ラプターのカスタム機? フレームストリームが入ってる2人の機体に追従できるなんて……」

麗奈『奈緒! アンタは戻りなさい! このままちひろに足止めされていても埒が明かないわよ!』

奈緒『そうは言っても……加蓮、あの4機は出ているのか!』

加蓮「う、うん……だけどクラウソラスもアラドヴァルもフラガラッハも、自軍から攻撃されてる。やっぱりこの戦闘自体、靴の破壊と情報を知ってる部隊の処理だよ」 

奈緒『それならNEX-USを起動させるんだ! あたしが戻るまでは何とか持ちこたえてもらうしかない!』

加蓮「もうやってるよ! それでも物量差で圧倒されてる!」

奈緒『くそっ、他よりはまともな機体に乗ってるんだ、せめて5人で連携できるなら……!』

加蓮「……!」


加蓮「ダメ……NEX-USを通しての思考伝達が私の権限だと……」

加蓮「だけど……だけど……!」



キャット『ああ、キャットはここにいるとアイドルなんだ。楽しい、夢のような場所なんだって思って』

雪妖精『フェアリー……守りたいもの、あります。祖国も、人も……だから、捨てられません』

ツインテ『生き延びる為、自分たちが勝たなければ、ならないからです。そして、全部終わったら、あたしはここに……』

キノコ『軍人やってる裏で、アイドルやって良い顔してるようなヤツなんて、みんな悪いヤツで……それでも、ここにいたいんだって、思ってるんだろうな』


奈緒『……そんなバカばかりがいる世界であってほしくないんだけどな、この世界』


加蓮「だけど……信じたいから、奈緒だけじゃなくて、私も……!」

キィィィィンッ!!

『システムロックを解除しました。権限の更新が適用されます』

加蓮「奈緒……ううん、みんな!」


みく『……!』ドクンッ!

アーニャ『……!』ドクンッ!

有香『……!』ドクンッ!

輝子『……!』ドクンッ!

奈緒『……!』ドクンッ!


……
…………

――横浜市、戦闘区域

ドガガガガガッ!!

有香「くっ! グラースだけならまだしも、ラプターストームまで……! お互いに攻撃し合っているとはいえ、この数では……!」

ドガアアアアアアンッ!!!!

ピーッ!!

輝子『あ、ああ……!』

有香「そんな……ケーレスが……!!」

輝子『く……クソがああああああ!!』ガションッ!!

ボシュシュシュシュシュッ!!

ドガガガガガガァンッ!!!!

有香「ケーレス、応答してください、ケーレス……くっ!」ガンッ!!


――キィィィィィンッ!!


有香「……!」ドクンッ!

輝子「……!」ドクンッ!


キャット『このままじゃこっちだけで抑えきれない!』

雪妖精『何とか撤退をしなければ……だけど、どうすれば……!』


有香「どうして……何が、見えて……」

輝子『キャット……フェアリー……? なんで……』


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』


有香「あそこに……」ドクンッ!

輝子『ああ、いる……のか……」ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!!


……
…………

――横浜市、戦闘区域


――キィィィィィンッ!!


アーニャ「この感覚はあのときの……だけど、どうしてキャットが……キャットだけじゃない……他の、みんなも……!」

ドガアアアアンッ!!

アーニャ「くっ……か、艦長……!」カタカタカタッ!

ピピピッ!

艦長『アナスタシア……そろそろ限界だ』

アーニャ「艦長!? オグマを下げて……!」

艦長『いや、今のオグマに、これ以上の戦闘は無理だ。他の乗員は全員脱出艇に移動させた。後は脱出艇を艦から切り離せばオグマを放棄出来る』

アーニャ「それなら艦長も急いで! ここはアーニャが――」

艦長『アーニャ』

アーニャ「っ!?」

艦長『キミが、今回の任務を通して、何かを感じていることは分かっている。私は、何もしてやれなかったが……その感じたモノを、信じろ』

アーニャ「艦長……」

艦長『大丈夫だ……アーニャなら、間違えない――』

ドガアアアアアアンッ!!!!

ピーッ!!

アーニャ「マナミィィィィィィィ!!」

ピーッ……

アーニャ「……」

ドクンッ!!

アーニャ「マナミ……アーニャは……アーニャ、は……!」ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!!

……
…………

――MBG共和国領空、戦闘区域


――キィィィィィンッ!!


奈緒「なんだ、この感覚は……NEX-USからの思考伝達……加蓮か!? アイドルのみんなが……もしかして!」ズドォンッ!!

ピピピッ!

麗奈『奈緒! さっさと行きなさい!』

奈緒「麗奈、だけどちひろさんが……!」

ちひろ『貴方たちはさっきから何を!』ギュンッ!

ズドォンッ! ズドォンッ!

麗奈『時間を稼がれたわ! 加蓮が呼んでいるんだからさっさと行きなさい! 芽を摘ませちゃダメよ!!』

奈緒「体の感覚が……あのシステム、いや違う……NEX-USが選んだのか……!」ガションッ!

麗奈『それでいいのよ! アンタだって帰るんでしょう!』

奈緒「……すまない、ここは任せた!」

ドシュウウウウウウンッ!!

麗奈『こっちも遊んでおくわよ! ちひろ、もうちょっとだけアンタに付き合ってあげるわよ!』

……
…………

――オート・クレール本社前、戦闘区域

みく「お兄さん! ワイルドキャット、陸戦に切り替えるよ! そっち大丈夫!?」

P『アームライフル破損、飛行用のウイングユニット損傷……ストーム用の装備をパージすればまだ戦闘出来る。索敵結果、転送するぞ』

ピピッ!

みく「連邦も連合もこっちに来すぎだし……! このままだと泉チャンたちが――」


――キィィィィィンッ!!


みく「この感じ……NEX-US……なんで、なんでみんなが見えるの……フェアリーも、ツインテチャンも、キノコチャンも、セカンドも……」ドクンッ!

ピピピピッ!

みく「……レーダーに」ピクッ!

P『クラウソラス、アラドヴァル、フラガラッハ……!? クソッ、このタイミングで……しかもクラウソラスは戻ってきたのかよ!』ガションッ!

みく「セカンドドライバーの鳥も……!」

P『アイツらがこっちに来たらとてもじゃないが……! この状態で対応なんて――』

グラース『……!』ガションッ!

ピピピピピッ!

P『しまっ――』

ギュオオオオオオオオッ!!

輝子『ちょっと待てよおおおおおおおお!』ギュンッ!

ドガガガガガァンッ!!

輝子『がっ……ぶ、ぶっ壊すぜえええええ!』ズドォンッ!!

グラース『……』ドガアアアアアアアンッ!!

P『フ、フラガラッハ……俺を、庇ったのか……?』ハァ、ハァ……

輝子『こ、これで……貸し借りは無しだぜ……』ビビビビビッ、ビビビビビッ!


――キィィィィィンッ!!


有香『イーリアスが前に出る。スノーフェアリー……クラウソラス、2トップ!』ドクンッ!

アーニャ『空からの対処は上の貴方! セカンドブルー、こちらと索敵結果の共有を!!』ドクンッ!

奈緒『こ、この感覚は……油断すると、意識が、持っていかれそうになる……くっ、索敵結果を共有する。対空はキノコとあたしのほうに任せろ!』カタカタカタッ!!

アーニャ『キャット! こちらの後方について!』

みく(みんなが……みんなの姿が……機体に重なって――)ドクンッ!

みく「……ポイント更新するよ! 厚いところはOMDA部隊に任せて、こっちで薄いところから崩して行くよ!」ドクンッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

P『みく……セカンドドライバーも……何が、どうなっているんだ……』

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

泉「みく……いえ、晶葉、あの5機が……」

晶葉「連携を取っている……何があった? まさか……おい加蓮」カタカタカタッ!

ピピピッ!

加蓮『……』

晶葉「システム搭載の5機がNEX-USを通して思考共有をしている……NEX-USから脳へのダイレクトリンク……5人の情報……NEX-US所属のアイドルだと……? まさか、思考共有に合わせてシステムロックを外したのか……」カタカタカタッ!

泉「この状況、加蓮がそうさせたの? まるで最初にみくがNEX-USを起動したときと同じ……」

晶葉「加蓮を通しての情報流出を避ける為にパーソナルの部分は最上位権限でロックを掛けていたはずだが、AIが自力で解除したというのか……今の5機は思考共有を続けた状態になっている」

ピピピピッ!

晶葉「防衛システムも復旧したか……加蓮、一体どうして……」

……
…………

――オート・クレール本社前、戦闘区域

奈緒『ビームブレイドを展開する……はあああああっ!!』ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

ラプター『……』ドガアアアアアンッ!!

奈緒『よし、後は……』ガコンッ!!

ビビビッ! ビビビッ!

奈緒『システムダウン!? ジーネクが……くそっ、無理をさせ過ぎたか……いい加減限界か……!』

ラプター『!!』ギュンッ!

奈緒『くそっ!』

輝子『やらせるかよおおおおおお!』ガションッ!

ドギュウウウウウウンッ!!

ドガガガガガァンッ!!

奈緒『キノコか!?』

バコンッ!!

輝子『チッ……! 右腕部停止、ミサイルも撃ち切ったか……こっちも、終わりだ……』

ピピピッ!

晶葉『おいそこの6機! OMDAの追加部隊が基地から応援に来た! よく持ちこたえてくれた!』

有香『OMDAの増援部隊……!』

アーニャ『間に合った……』

パシュンッ、パシュンッ!!

みく『にゃ? あれは……』

P「信号弾……2つ上がっているってことは、連邦と連合、どちらも引き上げるのか……?」

泉『戦闘開始から1時間と12分……通常の戦闘時間を考えれば撤退の時間を越えているわ。何とか、凌いだと思っていいわね……』

みく『た、助かったぁ……』

輝子『危なかったぜ……』

有香『……』

アーニャ『……』

晶葉『……全機、オート・クレールまで戻ってこい。工場は無事だ、6機とも収容する。この状況で連携したということなら、異論はないな?』

奈緒『……そうだ、麗奈』

……
…………

――MBG共和国領空、戦闘区域

ちひろ『撤退信号!? まさか……失敗、した……?』

麗奈「もう帰る気? ハンッ! アンタ、まだ遊び足りないでしょうに!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ちひろ『くっ……アラスカの状況もどうなっているか……この赤い機体も……!』ボシュシュシュッ!!

麗奈「そんなミサイルに……っ!」ギュンッ!

ズドドドドドドドッ!!

麗奈「戦艦の砲撃支援……チッ、終わったならこっちもいいタイミングかしらね……ちひろ、アンタ覚えてなさいよ!」ガションッ!

ギュオオオオオオオッ!!!

ちひろ『あの機体は一体……そうだ、ブリッジ、アラスカはどうなりましたか?』

……
…………

――オート・クレール本社(工場)

ガションッ!

みく「……」

整備長「おーい! 嬢ちゃん、よくやったな! ありゃ相当いい動きだったぜ!」


ガションッ!

みく「……!」

アーニャ「……」

有香「……」

輝子「……」

整備長「盗られた機体に乗ってたヤツらか……ん、そういやPは……」キョロキョロ


ガコンッ!!

P「いっつつ……危なかったか」

ガションッ!

奈緒「さすがに、ジーネクも整備無しの連続稼働は持たなかったか……そっちのラプターも、よく持たせたな」

P「セカンドドライバーか……何とか助かったが、危なかった」

「フラガラッハの損傷も酷い、ラプターとGeo-NEXTと一緒に先に持って行けよ」

輝子「ん……フラガラッハ持っていかれるのか……ま、元々私のじゃないし……」

みく「……キノコ、チャン」

有香「……」

輝子「……あ、そっか。キャット、か……フヒッ」

アーニャ「どうして……みんな、が」

有香「輝子さんや、私と同じように、アイドルだったなんて……」

有香「キャット、スノーフェアリー……」

アーニャ「ツインテ……貴方も、ですね」


P「……あいつらが、アイドル……NEX-USの……!?」

奈緒「……驚いたか?」パチッ、パチッ

P「……いや、みくは……そうじゃないかと、ずっと思っていた。だけど、まさか皆が」

パサッ

P「セカンドドライバー、仮面を……」

奈緒「あたしも、アイドルだよ。セカンドブルー……黙っていて、悪かった」

有香「あの可変機体に乗っていた貴方も……セカンドブルー……」

ピピピッ!

奈緒「あたしだ。どうした晶葉」ピッ!

晶葉『全員降りたか。この後も何があるか分からないから機体の修理は急がせるが、悪いが開発室に来てくれ。この状況だ、招いた3人も下手な事をする気はないだろう』

アーニャ「……」

奈緒「……行こうか。案内する」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

加蓮『おかえり、みんな』

有香「AI、やはり貴方は知っていたんですか」

加蓮『いきなりその話? そりゃあ、知っていたよ。今まではシステムロックが掛けられていたから、そういう話は出来なかったの』

輝子「趣味悪いぜ、まったく……」

加蓮『でも、ゴメンね。私だって、このままでいいのかって、分からなくなっていたから』

アーニャ「……AI、分からないことがあるんですね」

加蓮『人間の気持ちは分からないって、教えたでしょ? 覚えられるかも、分からないけど』

晶葉「お前が判断できずにいたのが、学習している証拠だ。情報収集と、学習型AIならばいつかはある程度理解できる」カタカタカタッ!

奈緒「加蓮、アラスカはどうなった?」

みく「そうだ……戦争始まったってやつ!」

加蓮『コロニー連合の失敗。連邦も情報を得ていたから、対応が早かったのと後は物量の差だったみたい。宇宙からの降下部隊もほとんど迎撃されたみたいだし』

有香「失敗……」

輝子「そう、か……」

加蓮『戦闘データの詳細はまだ収集中だから、後でNEX-USの閲覧データを更新しておくから』

晶葉「わかった。加蓮はそのまま作業を頼む。後は丁度いい、いい機会だからお前たちに見せてやろう」カタカタカタッ!

ピッ!

みく「これは……?」

P「靴、か」

アーニャ「これが……」

晶葉「そうだ。今スクリーンに映しているのが、未知のマテリアルで構成された杖の対となる靴だ。MBG共和国から解析を委託されて、現在はこちらで保管している」

有香「これが、靴……!」

晶葉「お前たちが乗っているOMDXシリーズに搭載しているフレームストリームは、NEX-USを介して靴の解析から得たエネルギー転換技術を搭載し、NEX-USへの接続を条件に解放し起動している。これにより装甲強度、機動性、運動性の大幅な向上を実現している」

有香「ブラックボックス化していたシステムは靴に関係するものでしたか。戦闘機に導入できるほど小型化出来ていたとは……本部の解析も間に合わなかったのも、納得です」

アーニャ「ですが……共和国が靴の解析結果から、技術転用が可能になったのであれば……連邦も、同じようにできたはず……」

晶葉「そうだな、オート・クレールが連邦から離脱した時期を考えても、何事も無ければ同じように出来ただろう」

奈緒「だけど、連邦が所有している杖はもうその力を無くしている」

みく「無くなった?」

晶葉「杖と靴は、合わせて1つの物だった。連邦が所有している杖は、靴から生成される膨大なエネルギーを受け止める為の器に過ぎない」

晶葉「これまでは杖に残っていたエネルギーの残骸を元に解析を続けていた連邦だったが、それも既に途切れていた物だった。技術的にも連合にアドバンテージを取れていても、共和国に追い抜かれるのは時間の問題だっただろう」

アーニャ「だから……連邦も靴を……」

晶葉「今回、お前たちが友軍から受けた攻撃については想像している通りだ。靴の奪取に失敗した部隊の口封じだろう」

カタカタカタッ!

泉「靴存在は各国でも一部しか知られていない情報よ。今回侵攻してきた部隊の規模、展開状況から考えても詳細な目的を知らされている部隊はほとんどいなかったでしょうね」

P「利用するだけ利用して、最後は殺す、か……ふざけているのか……!」

有香「これも、連合が勝つ為に選んだ、こと……私たちは、勝つ為の……」

晶葉「そうだな。体よく利用されたということだ。軍人として良いか悪いかの判断は、私には出来んが」

晶葉「まあ、何にせよこちらとしては連邦と連合の間で好き勝手やるのは最悪構わんが、こちらについても宣戦布告も無しに戦闘行動を取られてはたまったものじゃない」ハァ……

晶葉「アラスカのと併せて、今回の一連の戦闘はシマトクで起きた小規模戦争と良いレベルで張り合う話なものだ。民間人の死者も出たろうに。国際条約も全く意味をなさんな」

泉「そうね……戦闘も宇宙からの降下部隊を含めて4方面からの侵攻、防衛だったし……」

輝子「う……う……」

有香「……だから、何だと言うんですか」

晶葉「うん?」

有香「シマトクでも、たくさん人が死にました。資源衛星の所有の在処がどちらかだと、第一次生産コロニーだからと構わずに戦場になって……ゆかりちゃんも、法子ちゃんも死んだ……!」

みく「何言ってるの! ナシヤマだって死んだ人たちたくさん出たんだよ! そっちがこんな靴の何がしが欲しいとか思わなかったら、こんなことにまでならなかったのに!」

アーニャ「っ!?」

奈緒「落ち着け。どこが悪いとか、誰が悪いとか、ここでそんな話をしても、どうしようもないだろ」

奈緒「それに……初めて全員が表で顔を合わせて、こんな話で言い争うなんて……プロデューサーもさすがに困る」

みく「えっ?」

輝子「なに……?」

奈緒「そうだろ、プロデューサー……Pさん」

P「……俺、か」

みく「!?」

有香「そ、そんな……!?」

アーニャ「貴方、が?」

輝子「マジで全員集合なのかよ……」

泉「やっぱり、貴方はみくのプロデューサーだったのね。個人IDのデータを見させてもらった時と、みくと話している様子を見て疑問には思っていたけど……」

加蓮『ホント、奈緒と麗奈が言った通りなんだもん』

みく「なんで……」

P「みく……」

みく「なんで、なんで言ってくれなかったの!! みくのこと……知ってたの……?」

P「俺は……言わないほうが良いと、思っていたから。みくが、元の場所に帰れるなら、それでいいと思っていた」

みく「……っ!!」タタタタッ!!

パシュンッ!!

P「みく……」

有香「どうして、プロデューサー……? 貴方まで、こんなところにいるなんて……!!」

P「俺は巻き込まれた。正規の軍人じゃないし、みくも……仕方が無かった」

アーニャ「……っ!」タタタッ……

パシュンッ!

加蓮『あっ、あの子……」

有香「だけど、だけど……貴方が、あの場所にいるから……だから、あたしは……それなのに!」

P「……ごめんな」

有香「……」タタタタタッ

パシュンッ!

晶葉「……ま、思うところはある、か」

泉「貴方は……そんなに気にしていないのね。彼が自分のプロデューサーだって聞いて」

輝子「わ、私か……? ま、まあそりゃあ驚いたけど……生きてればとりあえずいいかなって」

輝子「それに……助けてもらったし、な……こっちも、助けることが出来て、よかったけど」

P「キノコ……か。そうだな、あの時は気付かずに助けたけど……戦闘の時に庇ってくれて助かった。ありがとう」

輝子「ま、お互い様……でいいんじゃないか」

晶葉「あの3人は……まあ、今さら何をすることも出来んだろう。それに奈緒、P、あとキノコだったか?」

輝子「し、輝子でいいや……ていうか表でキノコって呼ばれるのも、ちょっとな……」

晶葉「それじゃあ輝子も、3人は機体の修理作業に手を貸してもらうぞ。奈緒はジーネクのデータの吸出しはある程度終わっているし、ネオジオの調整になるだろうが、特に輝子、フラガラッハは手が加えられているから余計に面倒だ」

輝子「こっちで機体弄ったしな……わかった」

……
…………

本日はこれで終了します。
多分、手元を確認した感じだと分量的にも次の投下で今回の部分は終わります。
次回は多分6/24(月)か6/25(火)になります。

――オート・クレール本社(工場)

泉「整備長も、本社スタッフに混ざって作業しているわね」

晶葉「修理、整備のついでに4機とも改修する。クラウソラスとアラドヴァル……連合が手を加えてイーリアスに改められたんだったか、ワイルドキャットと同じく、予定していた改修プランを適用させる」

晶葉「フラガラッハは今回の戦闘でかなり損傷してしまった。間に合わせで補修されていた部分もあるし、蓄積された戦闘データから改修プランを一部変更する予定だ」

輝子「い、いいのか……? 私たちが盗んでいった、機体だけど……」

晶葉「別にここで機体回収が終わった後に暴れて連合に戻っても構わんが、普通に受け入れてくれるかというと、どうだろうな」

輝子「……ま、ケーレスだって墜とされたし、そういうことなんだよな」

晶葉「根無し草を拾ってやる……と上から目線で言うわけじゃないが、身の振りが無いならうちで引き取ってやろう。拾ったのが軍ではなくうちで感謝してほしくはあるが」

P「俺が乗っていたラプターはどうなんだ。後は、セカンドドライバー……いや、奈緒、でいいか?」

奈緒「構わないよ。ラプターとジーネクは破棄だ。Pさんが乗っていたラプター自体には特に何かあるわけでもないし、この破損状況だとな」

晶葉「Geo-NEXTはコックピットブロックとシステムを抽出してから破棄だな。ネオジオに積み替えてデータもフィードバックさせねば」

ガションッ!

P「ん、あれは……」

奈緒「麗奈か。帰ってきたのか」


麗奈「はー……だるいわね」

晶葉「お疲れさん。遅かったが、何かあったか」

麗奈「なーんも、ちょっと用事思いついちゃって軍に寄ってたのよ。あーあ、こっちまで来てまたちひろとやり合うとか、勘弁してほしいわ」

奈緒「麗奈、あのちひろさんは……」

麗奈「ん、帰ったわよ。アラスカも失敗したみたいだし、連合も一旦は引き揚げして……後はどうする気なんだか」

奈緒「加蓮からはまだ何も聞いていない。アラスカを攻めたのはあそこにある杖の為だったんだろうけど、今の杖じゃあ……」

麗奈「あのシンデレラガールがいないんだし、今さら杖だけあってもどうしようもないと言えばそうだけど……靴を奪えたら、また違ったんでしょうね。あ、そうだP、アンタ」

P「ん……俺か?」

麗奈「アンタのIDデータ、帰りがてら加蓮に見せてもらったけど、モービル動かしていたって?」

P「まあ、学生の頃だけど……その感覚があったから、ラプターにも乗れたというか」

麗奈「じゃ、後でシミュレーター回してあげるから付き合いなさい」

P「え? いや、俺は……」

麗奈「馬鹿ね、必要になるかもしれないでしょ。レイナサマが鍛えてやるわよ」

奈緒「おいおい……あっちとは違うんだぞ」

P「……そうだな、分かった」

泉「P……でも、貴方……」

P「ん?」

奈緒「……まあ、行かなくていいのか?」

P「俺が?」

麗奈「……」

P「……そうだな、ちょっと行ってくる。しばらくしたら戻ってくるから」

奈緒「そうしたほうがいいと思う。あたしも、有香たち探しにいくか」

輝子「そ、そうだな……私も、行こうかな」

……
…………

――夜、横浜市(戦闘跡地)

みく「……」


みく『お、お兄さん……みくを庇って……お兄さん、お兄さん!!』

みく『……もう、1人で行っちゃうのは、無し……だから』

みく『うるさい!! みくがやりたいから戻ってきたの! こっちの自由なんだから!!』


みく(どうして……お兄さんも、あの子……も……)


ガラッ!

みく「っ!?」

アーニャ「……ここに、いたんですね」

みく「……」

アーニャ「海沿いのシティ……町、です。夜は、少し冷えます……そろそろ、戻りませんか?」

みく「……」

アーニャ「思うところがあって……アーニャも、つい飛び出してしまいました。ですが……キャットも、風邪を引いたらいけません」

アーニャ「これからのこともありマス。体調を崩さないように、NEX-USに入る時の――」

みく「なんで」

アーニャ「……」

みく「なんで、兵士なんてやってるの。なんで、戦ってるの」

みく「アイドルなのに……アイドルなんでしょ? フェアリーも、ツインテも、キノコも、セカンドも……P、チャンも……どうして、戦って、人を……」



キャット『に゛ゃ……げふっ、ふぇ、フェアリーにゃ! ひっさしぶりだにゃ~!』

キャット『いいPチャン、キャットもフェアリーもみんな、お仕事待ってるんだからね!』

P『お前も来い!』

みく『うるさい!! みくがやりたいから戻ってきたの! こっちの自由なんだから!!』

P『まあ、借りは作りたくないっていうのと……それに……この状況を見て、自分たちだけ逃げろって言われても、な』



アーニャ「アー……でも、アーニャは……」

P「キャット、フェアリー!!」タタタタッ

みく「P……お兄、さん」

P「あ、ああ、いや……違った、みく……」ハァ、ハァ……

P「……2人はここにいたのか……みく、俺たちだって、今はここにいる。俺たちも、戦っている……そう決めたじゃないか」

P「だから……俺たちも同じだ」

みく「……っ!!」

タタタタタッ!!


P「みく……」

アーニャ「仕方がありません。キャット……みく、は、アーニャたちとは違って、兵士ではなかったんですから」

P「フェアリー……」

スッ……

アーニャ「フェアリー、じゃありません。アナスタシア……アーニャ、と呼んでください。表では、いけないですよ、プロデューサー」

P「あ、ああ……」



アーニャ『良かった! ちゃんと……降下できたんですね……』

アーニャ『腕……以前、貴方の腕を撃ってしまいました。あの時は……ですが、治っているみたいで……よかった』



P「……そういえば、ちゃんと礼を言ってなかったな。あの時……オーレンバーグで、見逃そうとしてくれたこと。ありがとう」

アーニャ「えっ……」

P「みくも、フェアリー……アーニャのことを、少し知ったから、だからさっきは、あんなことを言ったんだ。許してやってほしい」

アーニャ「……いえ、アーニャは何も。プロデューサーは……お変わりないですね」

P「お、俺……? いや、俺のほうだって直接まともに顔を合わせたのはオーレンバーグの時で……」

アーニャ「ふふっ、違いマス。変わらないんです。アーニャが、フェアリーでいるあの場所と。少し、嬉しいです」

P「アーニャ……」

アーニャ「行ってあげてください、みくのところへ。プロデューサーのお仕事、デスね?」

アーニャ「アーニャは、2人が一緒に戻ってくること、待っています」

P「……」

タタタタタッ

……
…………

――横浜市(戦闘跡地)

有香「シマトクの小規模戦争、もう随分前……あたしも、まだ小さかった頃」

有香「第一次産業コロニーの施設に入っていた企業に務めている両親に会いに行こうと、友達とみんなでシマトクに行った日が……」

奈緒「そうか……」

輝子「……ま、あの時は突然だったし、幸子ちゃんたち……私の、友達も・……だ、だけど共和国の仲裁が入って半年も経たないで停戦になったし」

有香「だけど、その時に連合の人間はたくさん死にました。死んだ人たちはもう戻ってこない。シマトクもコロニーとしての機能は復旧できずに破棄されて……」

有香「あの戦いの結果は、連合がただ奪われただけのもの……もし、連合があの時、もっと力があったら……」

有香「無くしたものはもう取り戻せない。ゆかりちゃんも、法子ちゃんも……もう、奪われるわけにはいかない。連邦にも、共和国にも負けるわけにはいかなかった。だから……」

奈緒「それで、選んだ結果がこれ、か……」

有香「……連合が、これ以上負けない為に……犠牲となったのは、私たちだった」

奈緒「虚しいな。これ以上奪われない為に、共和国から靴を奪おうとして、最後は自分たちの命が奪われる」

有香「ええ、本当にそう思います。もう……それに気付くのも、遅いのでしょうね」

有香「だけど、こんな世界でも……NEX-USだけは、綺麗で……でも、みんながアイドルなのに、こうして戦いに身を投じて……やはり、虚ろは虚ろなんですね」

有香「奪う、奪われるだけの世界がどんなに醜くても、せめてあの場所だけは真実であってほしかったのに」

輝子「み、みんな……同じ、じゃないか? NEX-USは、綺麗だから……表で、こんな私でも……NEX-USの中は、綺麗だから……自分も、そうなれたらいいなって、思った」

輝子「死んだみんなの代わりのつもりで、アイドルになってみて……いい世界だって、思ったよ。こんな自由な世界が、もし自分たちでもっと綺麗に出来たら、どれだけいいんだろうなって、思って」

奈緒「……あたしが加蓮と出会って、色々なことを知った。この世界の深いところで、争いは続いていることも」

奈緒「だから、アイドルでいたいって思った。あたしたちは、違う場所にいたけど、同じ願いを持っているから、ここに来たんだと思う」

……
…………

――横浜市、みなとみらい

P「みく……いた!」タタタタッ!


みく「……なんで来たの」

P「俺は……」

みく「みくのこと、知ってて……ずっと、言ってくれなくて……それに、フェアリーの肩持って……」

P「……俺は、俺自身が戦おうと決めた理由が、アーニャと同じだと気付いたからだ」

P「フェアリー……アーニャも、誰かを守る為に戦おうとしていた」

みく「だったら――」

P「だから、俺はみくを守りたかった」

みく「……っ! それって……みくが、キャットだからって、気付いたから……?」

P「最初はそうだった。だけど、もうそれだけじゃない。一緒にいたから、そう思えた。みくだから、守りたい……何としてでも、俺が守るんだって」

P「その気持ちに、プロデューサーとしての俺の心は……もう、なくなっているのかもしれない」

みく「……P――」

ピピピッ! ピピピッ!

P「端末……俺だ」ピッ!

晶葉『おお、今大丈夫か。加蓮が情報を採取してきたんだが、少し……いや、正直かなりマズイ話になってきた。すぐ戻ってこれるか?』

P「何があったんだ?」

晶葉『全員が戻ってきたら話す。もう靴や機体がどうのという話ではない。急いでくれ』

ピッ!

P「……」

みく「どう、したんだろう……」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

奈緒「全員集まったか……何があったんだ、加蓮」

加蓮『もうNEX-USにも広まっているし、報道もすぐされるだろうけど、これを見て』

ピピッ!

アーニャ「NEX-USのニュース……これは!?」


『こちらを見てください! たった今地球連邦からの発表があった映像です。宙域の艦隊を展開し、木星圏の共和国管轄のコロニー、ハマヨコを制圧したとのことです!』

『また、そこから同宙域の連合管轄コロニーであるオカシズへの武力攻撃が行われております! こちらについては現在も続いているとのことで、宙域の映像データが送られています!』


みく「ええっ!?」

P「何だって、ハマヨコを!?」

輝子「お、おいおい……」

有香「ガーワカナから展開した部隊か……!? だけど、オカシズを……!」

奈緒「事実上の開戦直後とはいえ、連合に対しての連邦のカウンターが早すぎる……どういうことなんだ」

晶葉「今回のアラスカ、横浜の侵攻速度、対応を見るとカウンターが早いのも納得は出来る。既に計画されていた可能性が高い、が……」

奈緒「共和国を巻き込んだのは、シマトクの時のように停戦の仲介をさせない為……防衛戦闘をせざるを得ない状況に持ち込ませる為か」

麗奈「……ホント、救いようのない世界」

……
…………

――太平洋海上、コロニー連合戦艦(ブリッジ)

ちひろ「上で連邦の攻撃が……! くっ!!」ガンッ!

艦長「幸いだが宇宙に上がる手段を抑えられているわけではない。本部の対応もそう遅くないうちにこちらに回ってくるだろう」

ちひろ「……上に戻る準備を。今回の侵攻に合わせて降下した部隊はすべて宇宙に戻します」

艦長「さて……地上は上手くいかず、靴も無し……となれば、オペレーションも次の段階に移る、か」

ちひろ「……シマトクへの部隊派遣は始まっているようです。となれば、こちらも急いで月軌道を抜けて、せめて火星圏までは戻らないといけませんね」カタカタカタッ!!

艦長「そうなるだろうよ。墓を落とすのは心苦しいが、こちらの戦闘で地上部隊を消耗させている今しかないだろう」

ちひろ「こんな……ここまで来て……!」

……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「何はともあれ、共和国もこうして大々的に攻撃を受けたとなれば、対応するしかない。共和国としては、まずは制圧されたハマヨコをどうにかすることが優先だろう」

ピピッ!

晶葉「……ほれ、さっそく軍からお声が掛かった。こちらで生産しているOMDA、及び保管中のOMDをコンバージョンさせてOMDAへと改修、部隊への配備に使いたいとさ」

泉「地上部隊も宇宙に上げるとして……いえ、地上の防衛も視野に入れなければならないのよね。その為のOMDAの配備……」カタカタカタッ!

奈緒「今回の連邦のカウンターを受けて、連合がどう対応するか……どの道、戦火の拡大は免れないのか……」

アーニャ「……博士」

晶葉「なんだ」

アーニャ「アーニャは……もう、帰る場所がありません。マナミも……オグマも、無くなりました」

アーニャ「だから、もうドコにもいけない……アーニャを助けてくれた、ここを……アーニャは、守りたい、です」

輝子「……わ、私たちは、どうしよっか……なあ、元……中尉?」

有香「……奪う、奪われるだけの戦いの行きつく先が……自身の破滅に繋がったと知りました。だから、このままでいいはずがありません」

P「このまま、奪い合うだけの世界になってしまえば、何も残らない……いつかは、ここも……」

みく「守らなきゃ……! それに、もし連邦と連合の間で決着が付いたら、次は靴を持ってる共和国が……!」

泉「そうね。まさかこんな事態にまでなるとは思っていなかったけど」

奈緒「横浜を攻撃したことを考えると、そうなるだろうな……あたしたちも、行くしかない。いいよな、晶葉」

晶葉「……私のほうから軍には話をしておく。民間協力のライセンスがあるニューウェーブがここにあるなら、支援要請を貰えば私たちも自ら動くことが出来る」

奈緒(やっぱり・……やっぱり、こうなるのか・……!)

麗奈(……そろそろ、潮時か……いや、まだ)

みく「ここまで好き勝手されて、こっちだって黙っているわけにはいかないもん! そうだよね、みんな!」

アーニャ「はい。アーニャが軍にいた意味……居場所は、無くなりましたけど、その意味だけは、無くしたくありません」

P「……」

晶葉「よし、それならこちらも早いうちに動くか。OMDAの追加分についてはうちの部署の者に対応させておくとして、ニューウェーブを出すならそれなりに準備をしておく必要がある」

晶葉「麗奈、奈緒、悪いが駐屯地まで付いてきてくれ。向こうも戦闘後と、宇宙の件で慌ただしいだろうが靴の件と併せて話を付けておかなければならん」

麗奈「そうね。まあ、好き勝手暴れる準備はしておきましょうか。行くわよ、奈緒」

奈緒「ああ……」

P「……」


パシュンッ!


みく「……にゃ?」

……
…………

――横浜市、みなとみらい

P「……」


みく「お兄さーん……あ、いた。お兄さーん! どうしたの、またこんなところに来て……」

P「みく……」

みく「晶葉チャンたちは軍に行っちゃったし、みんな機体の整備に行っちゃったよ。みくたちも……」

P「みく、お前は……ここに残ってくれ」

みく「え……」

P「ここは本社があるから、また戦闘になる可能性もある……ここじゃない場所なら、北海道辺りが――」

みく「イヤ!!」

P「みく……」

みく「みくだけ行かないなんて、絶対にイヤだよ! お兄さん……Pチャンと一緒に行く!!」

P「そんなことを言わないでくれ。もう、俺たちだけの話じゃない」

みく「そんなの、最初からそうだったよ! ナシヤマのときも、地球に来てからも……色んなところで戦って、苦しんで、死んだ人たちも……たくさん見てきたから……」

P「だから、俺はみくを危険な場所に立たせたくなかった」

みく「こっちだって同じだもん! Pチャンにそんな場所に行ってほしくないから、みくも守られてばかりなんてイヤだから……みんなが、戦っているって、知ったから……」

みく「みくが戦えるなら、Pチャンを守れるなら……絶対に、みくは死なないんだから……約束、したもん。みくも、絶対に行く……から……」

みく「Pチャンのこと……好きだから……だから、そばにいたい……ずっと……だから、全部、全部終わったら……一緒に、帰ろう?」

P「みく……俺は……」

ギュッ!!

みく「もう……内緒にするのとか、そんなのやめて……みくは、Pチャンと一緒に、帰りたいから……」ギュッ……

P「……ああ、帰ろう。みく……一緒に」ギュッ……

みく「……」スッ

P「……」


……
…………

――翌日、横浜市、市内ホテル(Pの部屋)

P「……」

ピピピッ!

P「……博士か?」ピッ!

晶葉『ああ、起きていたか。一晩掛かってしまったが、こちらも軍との話が付いた。軍からの派遣も決まったし、今後の対応について話がある』

P「わかった。準備してオート・クレールに行く。他のみんなは?」

晶葉『仮眠室で寝かせている。泉もこっちに泊まったみたいだし、少し寝かせているが……お前たちが来る頃合いに起こしておく』

P「ああ、わかった。後でな」

ピッ!

P「……」


みく「……ん……P、チャ……」


P「……ああ、必ず守る」


……
…………

――早朝、横浜市(戦闘跡地)

P「……」

みく「……何も、なくなったね。あんなに、綺麗な町だったのに」

P「残った物もある。建物も、施設も、復旧出来るんだから」

みく「宇宙でも、おんなじことが、起きてるんだよね」

P「ああ、ハマヨコだけじゃなくて……いつか、ナシヤマも……」


……
…………

――オート・クレール本社(開発室)

パシュンッ!

P「博士、遅くなって悪い」

晶葉「いや、こっちも急かして悪かったな。新しい情報も入っていたんだ」

みく「ん……」

アーニャ「……」

有香「……」

輝子「……」

みく「……き、昨日」

アーニャ「?」

みく「昨日は……ゴメン、ね。変なこと言って、みんなだって、色々あるの……分かってるから」

アーニャ「……いえ、アーニャも、プロデューサーとキャット……みくを巻き込ませてしまってすみません」

有香「あたしたちの争いに、巻き込ませてしまった立場です。謝らなければならないのは、あたしたちのほうで」

輝子「ふ、フヒッ……そうだよな、ゴメン」

みく「う、ううん! そりゃ最初は怒ってたけど……だけど、いまはそんなこと言ってる場合じゃないもん!」

P「連邦と連合同士で争うだけなら、最悪共和国が仲介して終わりだったのかもしれない。だけど、共和国も攻撃されるなら……俺たちも戦わなければならない」

有香「はい。あたし自身が、無意味なことだと分かった今……共和国にまで被害が及ぶのを見過ごすことは出来ません」

アーニャ「ダー、戦いましょう。守る為に……たとえその場所が変わったとしても」

輝子「お、表でも……よろしくな」



奈緒「……」

ピピピッ!

奈緒「ん、どうした加蓮。ここにいるのに端末に繋げてくるなんて」ピッ!

加蓮『ううん……ちゃんと、みんながああしているなら、もっと早くに伝えればよかったって、みんなのこと……そうすれば……』

奈緒「そう判断したのは加蓮だ。たとえAIだったとしても……そう判断したのは加蓮だ。だから、これでよかったんだと思う」

加蓮『奈緒……』


有香「セカンドブルー……ああいえ、セカンドドライバー……いや、えっと……」

奈緒「奈緒でいいよ。今さら名前隠しても仕方が無いし。どうした?」

晶葉「なんだ聞いてなかったのか。ニューウェーブは共和国の防衛部隊として再登録されるが、扱いとしてはオート・クレール所有の輸送艦になる」

晶葉「監督として軍から数名、オペレーター業務も兼ねて派遣されてる部隊がいるらしいが、こちらもOMDXで出撃するメンバーがいるんだ、部隊として編制を用意するべきかと思ってな」

麗奈「編成するなら、レイナサマの下っ端にするにしても邪魔くさいし、アンタたちだけで固まっておきなさいって話よ」

アーニャ「それで、軍歴としては奈緒と、有香が長いです。部隊という形を取るなら、お2人のうちどちらかが、リーダーであったほうがいいと思います」

有香「形だけとはいえ、防衛部隊として扱われるのであれば正規軍となります。外部から来たあたしたちよりは、奈緒さんがリーダー……部隊長になったほうがいいかと思いまして」

奈緒「あ、あたしか……とはいえ、NEX-USでアイドルしてたときは、有香がまとめ役になってたからなぁ……ちょっと複雑なんだけど」

奈緒「それなら、Pさんじゃダメか? NEX-USでも表でも、Pさんが頭ならみんなも違和感ないと思う」

輝子「まあ、プロデューサーなら慣れてるしな、私たちの上に立つの」

P「いやそういう立場として慣れているわけじゃないんだが……気持ちは嬉しいけど、情けないが純粋に能力で見るなら軍人としてのノウハウの無い俺が頭になるのはマズイと思う」

P「俺自身は出来る限りみんなのサポートはするが、立場と能力を考えると、やっぱり奈緒が部隊長でいたほうが最終的には間違いが無いと思う」

奈緒「あたしが部隊長、か……あたしが……」

奈緒(あたしに、上手く出来るだろうか、菜々さん……Pさん……)

麗奈「ほれ、どうすんのよ」

奈緒「……分かった。どこまでできるか分からないけど、やってみるよ」


【to be continued......】


……
…………
………………
……………………

※キャラクターシートが更新されます
キャラ名:前川みく
操縦技術:99
親愛度 :63→83

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:67→77
親愛度 :60

キャラ名:中野有香
操縦技術:81→91
親愛度 :13

キャラ名:星輝子
操縦技術:77→87
親愛度 :20

キャラ名:セカンドドライバー(神谷奈緒)
操縦技術:-
親愛度 :-

今回で区切りになるので、本日はこれで終了します。
次のパートが五部扱いになるのて予定通り次でパートで終わりになります。
何も無かったら6/30(日)から更新します。あと、今回までの分で安価処理は一通り終わりましたので以降は積み立てた結果からシナリオが分岐されます。

――神奈川県、横浜市、オート・クレール本社(開発室)

ピピピッ!

泉「はい、こちらオート・クレール開発部……はい、池袋はただいま留守で……はい、かしこまりました。折り返しご連絡します」

ピッ!

パシュンッ!!

整備長「おーい艦長、ニューウェーブ、一通り整備終わったぜ」

泉「あら、整備長。ありがとう、今回はかなり掛ったわね」

整備長「そりゃそうだぜ。日本海まで長距離航行してから戦闘でボロボロ、足で新潟からこっちまで来て整備出来ると思ったら1週間でまた戦闘ってきたもんだしよ」

整備長「OMDXの改修と並行して作業してたし、こっちもようやく手付けらたし酷い目に遭ったぜ」

泉「そうね……横浜も戦闘が終わって2週間、宇宙だと連邦のオカシズへの攻撃は一度は収まったけど……」

整備長「オカシズは連合の拠点コロニーだし、連合は攻められている間はガーワカナにも軍は送れねえだろうしな……こっちのハマヨコが制圧されたのがどうにも」

泉「今のところ連邦の目的は連合の打倒だし、ハマヨコは侵攻の為の踏み台になったと考えて、後々ナシヤマ攻略に使う……てところかしらね」

泉「公開文書だとハマヨコに対する武力制圧は一部の軍施設のみで、一般区画への攻撃はほとんど無かったからコロニー住民への被害もほとんど無し……共和国の立ち入りもさせたみたいだから一応は大きな問題になっていないみたいだけど」

整備長「共和国のコロニーが武力制圧されたのが大きな問題だっての……ま、連合優先だから今のところは大きな被害を出さないようにしてるってところか」

泉「OMDA部隊も引き揚げさせたから、ハマヨコのコロニー住民は全員人質に取られたと言ってもいいけれど……どうするつもりなのかしらね」

ピピピッ!

泉「はい」

晶葉『泉か。軍から連絡が来てなかったか?』

泉「さっき来ていたわよ。人員派遣の件と、ニューウェーブの編成の件、後で連絡しておいて」

晶葉『あの戦闘から2週間経ったし、地上からの防衛部隊の派遣準備も終わったからそろそろだと思っていたが』

泉「2週間は長かったわね。連邦との交渉、上手くいかなかったのね」

晶葉『ウチ……共和国としてはとりあえずハマヨコを返してもらえばよかったんだがな。3国条約としては連邦と連合の仲介役もあるし、ハマヨコ返還だけではなく連合との話が上手くいかなかったんだろうよ』

整備長「オカシズの戦闘が停止しているのもそれが原因だとして、こっちの派遣が決まったならまた戦闘に戻るってことか」

晶葉『私たちがぼやいても仕方が無いがな。後で軍のほうにはこちらから話しておくよ』

泉「そういえばみくたちは? まだ格納庫?」

晶葉『麗奈の遊び相手になってるよ。酷いもんだけど』

泉「あ、そう……」

整備長「はぁ~、んじゃ俺はちょっと休んでから格納庫戻るかぁ……」

……
…………

――仮想戦闘宙域空間

奈緒『左、グラース小隊が2来ている。アンサラーは弾幕、クラウソラスとイーリアスは先行、前衛2機の援護、あたしが先行して数を分断させる』

輝子『アンサラー、花火行くぜえええええ!!』ガションッ!!

ボボボボボボボボボッ!!

ドガガガガァンッ!!

奈緒『ネオジオじゃないが、この数なら……!』ギュンッ!!

アーニャ『奈緒が切り込みました、有香』

有香『イーリアスⅡ、近接戦闘に切り替えます。クラウソラス、戦闘ポイントに!』ガションッ!

奈緒『2機引き離した! 6機対応は任せたぞ!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

アーニャ『クラウソラス、マルチブレイドを展開……いきます!』ガションッ!

有香『1機撃破……2機……いえ、各機、奥からラプター部隊が来ています。2小隊です!』ピピッ!

みく『残り3機はみくと輝子チャンで抑えるよ! 先頭の2人はラプターのほう行って!』

奈緒『こっちも2機対処した。アーニャと有香の――』ピピピピピッ! ピピピピピッ!

輝子『レーダーに反応……こっちか!』ガションッ!

ズドォォンッ!!

麗奈『ハッ!! そんなビームランチャーなんて当たるわけないでしょ!!』

みく『ヤバいの来たにゃ!』

有香『お待ちかねの……混戦状態になると話になりません。急いで対処を!』

麗奈『遅い遅い!!』ギュオオオオオオッ!!

ドシュシュシュシュッ!!

アーニャ『くぅっ……! こ、このっ!』ドシュゥッ!!

麗奈『残念!!』ギュンッ!!

有香『輝子さん!』

輝子『軌道予測……こっちだ!!』ズドォォォンッ!!

麗奈『なーにが予測よ! こっちは――』ガションッ!

奈緒『さすがに何度も変則軌道やられたら慣れるさ!!』ギュンッ!!

みく『こっち!』ジャキンッ!!

シュパアアアンッ!!

麗奈『チッ……散々見せてるし奈緒は対応早いわね……! だけど!』ヒュカカカッ!!

みく『んにゃにゃっ!?』ビビビッ!

奈緒『みく……がっ!!』ビビビッ!

アーニャ『撃墜判定……くっ!』ギュンッ!!

有香『いけません! この状態では――』

麗奈『甘い甘い!!』ドシュシュシュッ!!

有香『ぐぅっ……!!』ビビビッ!

アーニャ『しまった……!』ビビビッ!

輝子『こ、今回もダメだな……』

……
…………

――オート・クレール本社(工場)

ピピピピピッ!

パシュンッ!

麗奈「はいおしまい」

パシュンッ!

輝子「……何敗目だっけ、これで」

有香「……ここに来て72敗です」

みく「オーバーワーク承知でやってるのにとんでもないにゃ……」ハーッ! ハーッ! ハーッ!

アーニャ「みく、大丈夫ですか?」

奈緒「いやいやいくら機体が違うからってここまでなのか……」

麗奈「なーによ奈緒、アンタと条件一緒でしょうに」

奈緒「うぐぐ……」

みく「ていうか、みくはアレ使いたいんだけどアレ、加蓮チャンのヤツ!」

麗奈「バカ、あんまりNEX-USの同調アテにしてると肝心な時に役に立てないわよ。もう少し地力付けなさい」

有香「ワイルドキャットの戦闘力は通常でも中々の物でしたが、NEX-USに接続できなかった場合のことも考えると今のうちに訓練を積んだほうがいいですしね」

みく「うぐぐ……」

輝子「い、いや……でもみく……正直私よりよっぽど強い気がする……」

アーニャ「ダー、みくは正規軍だったアーニャたちと、これまで戦闘を行って十分に戦えていました。そういう意味では、安心していますが」

みく「まーみくは? Pチャンと2人で今まで頑張ってきてたし? 当然といえば当然かもしれないけど?」ドヤァ……

奈緒「そのドヤ顔はなんなんだよ」

ピピピピッ!

奈緒「ん、あっちも終わったか?」


パシュンッ!

P「よっと……」

晶葉「ん、終わったか? どれどれ、シミュレーターの結果は……」カタカタカタッ!

P「おいおい、乗せといて見てなかったのかよ」

晶葉「泉から連絡が来ていたんだ。途中までは見ていた……お、1つ前の計測より良くなっているな」

P「今さら航空機で戦闘に出るって、本当に大丈夫か?」

晶葉「通常のラプターに乗るよりは全然マシだ。NEX-USへの接続は無いが、クラウソラスの強化装備の目的もあって基礎性能は十分だ」

P「だといいんだが……まあ、宙域で戦闘するならラプターよりは色々出来て良いかもしれんが」

麗奈「そっちも終わった?」

晶葉「ああ、何度か乗ってもらったし、後は調整しておしまいだな」

有香「プロデューサーの機体……支援機ですか」

晶葉「HCU-01Pヒューリーだ。元々はOMDXのベース機となっているクラウソラスの強化装備として開発していた機体だ」

みく「えー……クラウソラスだけなの?」

晶葉「OMDXのフレームストリーム実装から武装実験のベースに利用していたから、開発機体の中だと性能的にもあまり余裕が無かったんだ」

晶葉「今回は他の機体に合わせて改修しているが、それでも基礎性能の向上の点で見ると残りの3機に後れを取っているし、使わない手はない」

アーニャ「機動性と遠距離用装備の拡張ですね……フフッ、いざというときは頼りにしています、プロデューサー?」

P「上手くやれるといいけど……出来る限りサポートはする」

みく「むー……」

奈緒「ま、Pさんなら心配はしてないけど……もう4時間近くシミュレーター回したのか……今日はそろそろ終わりにするか」

晶葉「っとそうだ、軍から連絡が来ていたんだったか。麗奈、少し外に出るから付いてきてくれ」

麗奈「ああ、編成の話? まあいいケド」

有香「召集命令ですか?」

晶葉「そんな大した話じゃない。防衛部隊の編成と、出向に来てくれる部隊の話だよ」

奈緒「そっちは晶葉に任せるか……それじゃ、あたしたちは休んでおくか」

……
…………

――オート・クレール本社(食堂)

『地球連邦軍の第2次防衛部隊が地上から低軌道ステーションへと上がりました。MBG共和国に関しても先行の防衛部隊がステーションに配置されている部隊と合流し、ステーションの防衛を――』

みく「……共和国も先行部隊、動いたんだ」

有香「進展が無かったとはいえ、交渉の場で何事も無かったのが信じられないくらいです。地上では連合が宇宙に上がる連邦の部隊を一部抑えている状況ですし」

輝子「他の国だと小競り合い起きてるしな……戦闘が起きている近くの共和国も被害出てるし」

有香「ええ、近いうちにオカシズの戦闘も再び起きるでしょう。数で勝る連邦に、連合がどれだけ対応できるか……」

アーニャ「宙域の部隊規模であれば、連邦と連合、ほぼ変わりはありません。連合であれば土星圏からの援軍もありますし」

奈緒「あたしたちが宇宙に上がる頃に、戦況がどれだけ変わっているか……」

奈緒(ちひろさんも、戻っているのか……)

みく「……」

P「不安か?」

みく「え? うん……ナシヤマも近いし……」

P「ナシヤマも共和国の拠点コロニーだ。オカシズへの侵攻もあるし、連邦も迂闊に手を出してくるようなことはしないさ」

みく「だといいけど……」

有香「……」

アーニャ「……」

輝子「わ、悪い、な……共和国まで、巻き込んで」

みく「別に輝子チャンたちのせいじゃないけど……やっぱり気になるっていうか」

奈緒「まあ、仕方がない、か……」

P「……よし、今日は早いうちにシミュレーターも回したし、後は1日休むか」

有香「ですがプロデューサー、今日予定していたフォーメーションの確認が終わっていません。訓練分のフィードバックをしませんと」

P「防衛部隊の編成が決まったならニューウェーブもすぐ宇宙に上がることになるだろうし、今のうちじゃないと十分休めないだろう。休めるうちに休まないとな」

有香「ですが……」

奈緒「……ま、横浜戦から休みも無しでこうして訓練しているし、休むのも必要だな」

アーニャ「いいのですか、奈緒?」

奈緒「必要なら仕方がないこともあるけど、根詰めすぎて良いことなんてないしな。あたしも似たようなことして酷い目に遭ったことあるし」

P「部隊長もこう言っているし休もうか。ほれ、それじゃ早く飯食べて各々休もう」

……
…………

――火星圏宙域、コロニー連合管轄コロニー『マシクフ』(管制塔)

パシュンッ!

「お疲れ様です、千川少佐」

ちひろ「お疲れ様です。オカシズの状況は?」

「連邦艦隊に動きがあります。ムーンまで上がってきている艦隊も侵攻を続けていますが、宇宙での主戦上に火星圏を巻き込むわけには……」

ちひろ「木星圏から先のコロニー群へのインフラを考えると、連邦は火星圏では戦闘する気は起きないでしょう。シマトクの部隊は?」

「オカシズの戦闘が良いカモフラージュになったようです。シマトク周辺には連邦の艦は確認されていません」

ちひろ「今さら廃棄コロニーに近付くわけはない、か……好都合です。手向けの準備が出来るまでは悟られないようにしてほしいものです」

「少佐は今後どうするおつもりで?」

ちひろ「オカシズを制圧されたら土星圏の足掛かりにされます。本部のあるホクドウまで戦火を伸ばすわけにはいきませんし、私も木星圏に向かいます」

ちひろ「調整が終わっていませんでしたが、オペレーションFのタイミングと併せてこちらまで運ばせていた物もあります。報告では完成したようなのでそれを使う予定です」

「しかしこうなってしまうとは、やはりアラスカを攻めたのは早計だったとしか思えませんね」

ちひろ「オペレーションβの情報を一部連邦に流していたからこそこのタイミングまで引き延ばせた部分もあります。今回の対応の早さから見て、靴の回収に躍起になっていたこちらを見て攻める準備をしていたのでしょう」

「まあ、お互いに欲しいものは手に入らなかったということですが」

ちひろ「思っていた以上に共和国の軍備が整っていました。あそこまで粘られたのはこちらも想定外でしたが……」

「こちらもやるだけやってみましょうか。どの道ここまで来て、墓を落とせなければどうにもならないでしょう」

ちひろ「ええ、そうですね……」

ちひろ(恨みがあるなら……これで晴らすことが出来れば、良いんですけどね)

……
…………

――地球、日本、神奈川県横浜市、オート・クレール本社(仮眠室)

P「……」ピッ、ピッ、ピッ……


ピピッ!

P「……ん?」

パシュンッ!

みく「……」

P「みく……どうかしたのか?」

みく「……むー」

P「な、なんだよ……アーニャたちと外に出なかったのか?」

みく「不安になってるみくを放っておく薄情者が何をやってるんだろうって思って」

P「いや別に放っておいたわけじゃ……みくにも大事なことだよ」

みく「にゃ?」

P「I@LPからの通知を処理しててな。ダミーでもいいからみんなの活動連絡も少しは報告しておかないと、後々面倒な申請しておかないとダメだからな……」

みく「あ、そ、そっか……ゴメン」

P「いや、これ終わったらみくのところに行こうかと思っていたから……ま、こんなもんでいいか」ピッ!

みく「もういいの?」

P「一通り片付けたし、外に出るか? 無事な施設もあるし」

みく「……いい」スッ

ボフッ!

P「……どうした?」ドサッ

みく「ここ、ベッドあるし」ギュッ……

P「……え」

みく「へ、変な事しないから! 別に……ただ……」

みく「いま、外を見ちゃうと……ナシヤマも、こうなっちゃうんじゃないかって思って……だから……」

P「大丈夫だよ、きっと。そうだな……それじゃ、疲れたし少し寝るか」

みく「……うん」

P「あまり寝すぎると夜がしんどいし、少しくらいなら――」

みく「ねえ、Pチャン」

P「なんだ?」

みく「あのね、思ったんだ。NEX-USで一緒だったみんなと、表でもこうやって同じ場所にいるのが……すごく不思議だなって」

P「……示し合わせて会ったわけでもないから、そりゃあ凄い偶然だよな。俺だって、驚いた」

みく「だけどね、みんながいるから、いまは大丈夫かもしれないって思うんだ。Pチャンは、どう思ってる?」

P「俺も、よかったって思っている。皆とこうして出会えて……みくと出会えて」

みく「……」

P「……」

……
…………

――数日後、オート・クレール本社前、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「成り行き……ですけど、この艦の艦長をやらせてもらっています。大石泉です」

楓「MBG共和国……って長い挨拶は面倒くさいですよね。横浜基地から来ました、第十七防衛部隊の高垣楓中尉です。ブリッジの管制と民間協力艦の動向監視に来ました」

美優「三船美優少尉です……同じくブリッジ管制の業務と……高垣中尉の監督補佐をさせてもらいます」

泉「い、いえ、そんな私のほうが民間なのであまり気を使わないでもらえると……」

晶葉「んな挨拶を長々と続けても仕方がないだろう。2人は麗奈の伝手で来てもらったし、こちらの事情もある程度話している」

楓「麗奈ちゃんからは色々聞かせてもらっていますけど、とりあえず上手く出来たらいいなって思っています。あ、整備部隊についても後でご紹介しますので」

麗奈「ま、適当に使ってやって頂戴」

P(随分適当だな……)

みく(軍の人ってこんなに適当なのかな……)

奈緒「よろしく頼む」

楓「あ、ええと……こちらの方たちは?」

奈緒「この艦の前線部隊を任されている。オート・クレール社所属だが編成に合わせて一時的にだが階級を割り当ててもらっている。私は部隊長のセカンドドライバーだ」

楓「そうですか。あ、そのお面、かっこいいですね」

麗奈「ああ、奈緒なら一応諸々の実績も込みで大尉相当扱いで軍にデータ渡してるから、楓も美優もとりあえず信用していいわよ」

奈緒「ばっ! ちょっ、おまっ! 名前バラすとか仮面の意味ないだろ!」

麗奈「だーいじょうぶよ、とりあえずここでその変なの付けてなくていいから」

美優「な、奈緒さんのお話もお聞きしていましたので……えっと、セカンドドライバー……?」

奈緒「……まあ、奈緒でいいや。無駄話するより、他のメンバーを……中野有香中尉、星輝子少尉、アナスタシア少尉、前川みく特別准尉だ」

楓「訳あり部隊って聞いていますけど、大変そうですね」

有香「まあ……あまり詮索しないで頂けると助かります」

アーニャ「今は、お世話になる身ですので」

輝子「よろしく……頼む、な」

みく「え、ていうかみく准尉? 出世してない?」

P「下士官すっ飛ばして准尉相当なのか……ここにいるならあんまり階級の意味がないからとはいえいいのかそれ」

晶葉「NEX-USの秘匿領域に関係する人員として軍から指示を受けている。みくについては元が民間人だから扱いに少々困ってはいたが、まあこんなもんだ。というかP、お前もみくと同じで准尉だぞ」

楓「へえ……」ズイッ

P「よ、よろしく……」

楓「ブリッジは若い子が多いって麗奈ちゃんが言っていたけど、私たちと同じくらいの年代の方もいらしたんですね。どうせ宇宙に上がるまでは手持ち無沙汰ですし、歓迎会の席でちょっと飲みませんか?」

P「えっ、あ、いえ……」

美優「ちょ、ちょっと楓さん……」

みく「デレデレすんにゃ!!」ドガッ!!

P「いってっ!? け、蹴るなよ……」

泉「はあ……もう、とりあえず分かりました。ニューウェーブは重粒子圧縮加速は搭載しているけど、宙域用輸送艦だから単独での大気圏突破は出来ないわ」

泉「これから軍の打ち上げ施設に向かって宇宙に上がります。今日打ち上げ予定の地上からの防衛部隊の編成に入ってムーンを通過し、火星圏まで向かうことになっているわ」

泉「火星圏から先……木星圏に入れば戦闘になる可能性は十分にあるし、以降は軍からの指示を待つことになるからひとまずは火星圏に戻ることが第一ね」

楓「わかりました。それまでには艦システムについても一通り抑えておきますね」

泉「よろしくお願いします」

晶葉「さて、それじゃ解散するか。搬入したOMDXのチェックもあるし、奈緒たちも手伝ってくれよ」

……
…………

もうちょっと進めようかと思ったけど区切りが良いのでここまでで。5分割くらい?
次回は7/7(日)予定です。

――地球圏宙域、低軌道上、ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「防衛部隊、全て宙域に上がったみたいです。進行確認、予定通りステーションへの立ち寄り後にムーンへ向かいます」

泉「主力艦のマーハね。投入数も多くて打ち上げも時間が掛かったけど」

P「ナシヤマにいたときはマーハを見る機会はほとんど無かったけど、こうして見ると壮観だな」

楓「自国領土防衛の為ではありますけど、これだけ大規模な遠征は過去にも無いかもしれませんね」カタカタカタッ!

ピピピッ!

泉「それにしても、地上から上がるときも連合の妨害が無かったのは幸いね。こっちの進行もスムーズだし」

美優「アラスカでの連合のオペレーションの失敗、横浜への侵攻も連邦と共に失敗してから、連合の艦隊が一足早く宇宙に上がっていきましたから……」

P「……想定内の部分もあったか、だな」

楓「どうでしょうね。連邦側の各地の打ち上げ施設も、連合の妨害により戦闘に発展したケースはそれほど多くありませんでしたし」カタカタカタッ!!

ピピッ!

泉「地図でも見ても、地域的に三国が入り組んでいるEU側は戦闘による妨害が多いとして……他はそれなりかしら」

楓「オカシズ程規模の大きい戦闘にはなっていないみたいですけど、ハマヨコの件もありますし悩ましいですね」


……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

晶葉「シミュレーター、次に移るぞ。データ更新……」ピッ、ピッ



麗奈「はあ? 悪意を感じる?」

奈緒「ああ……いや、戦争なんだからそりゃ悪意なんてあるだろって思うんだけど……」

麗奈(……)

奈緒「なんか、こう、違うんだ。ニューヨークに行ったときや、横浜で戦闘したときともっと別の……なんていうのかな」

麗奈「……そうね。連合が杖欲しさにアラスカに仕掛けたなら撤退も早い、靴を破壊しに来たにしても連邦と鉢合わせしたとはいえこっちも早い……となると、本命があるんでしょ」

奈緒「それは、戦闘が続いているオカシズなのか?」

麗奈「んなわけないでしょ。そっちは連邦が攻めてるほうだし、ハマヨコについても連邦が侵攻の拠点にしているだけだから関係ないとして」

奈緒「連邦としては土星圏の連合本部があるホクドウかもしれないけど……だとすると連合は……」

麗奈「裏でコソコソと杖や靴を嗅ぎ回ってからの開戦となると、やっぱり目的はその2つであることには間違いない、とすれば……攻め方を変えてくるだけよ」スッ

ピピッ!

奈緒「ん、宙域マップ? これは……」

麗奈「少し前に木星圏の観測班から回ってきたものよ。NEX-USが引っこ抜いてきたデータも一緒だけど、まだ公式に出回っていないからオフレコよ」

奈緒「時間経過の内容はぶつ切りになっているけど……これ、廃棄コロニーか……? もしかして……」

麗奈「通信妨害やら色々仕掛けられていたけど、恐らく当たりよ。連合は落とすつもりよ、廃棄コロニーになったシマトクを」

奈緒「そんな……でも、このルートじゃ木星圏のチューブ群にぶつかるだけだろ? いや、チューブ群にぶつかったらオカシズやハマヨコだけじゃない、ガーワカナやナシヤマ、他のコロニーも……」

麗奈「これはただの切欠にするだけよ。木星圏のコロニー1基動かしただけで地球まで落とせるわけないとしても……1つ落としたら、もう止まらないでしょ」

麗奈「国際連合が分裂する前までに開発されて放棄されたコロニーが月軌道前後にいくらでもあるし、先に木星圏をやるのは、連邦の土星圏へのインフラを断つ為よ」

奈緒「そんな……そんなことしたら、杖や靴どころの話じゃなくなる……なんで、こんなこと……」

麗奈「だからバカしかいないのよこの世界は。救えないバカの集まり……ホント、あそこと随分違うんだから」

奈緒「そんな……」

麗奈「シミュレーターで遊んでるバカたちにはまだ黙っておきなさい。どうせそのうち分かるんだし」

奈緒「でも……」

麗奈「今話しても仕方ないでしょう……ほら、アンタもシミュレーターさっさと入りなさい。レイナサマも入ってやるから」

……
…………

――数時間後、共和国低軌道ステーション、ニューウェーブ(Pの部屋)

P「……」ピッ、ピッ、ピッ

P(ここから加速して高軌道ステーション、ムーンを越えて火星圏か……)


『自国防衛の目的で連邦と連合間の戦闘に介入するという点については、国際条約の点においても問題があるということで各コロニーの防衛に留まっているのが現状とのことです』

『ですがハマヨコが連邦に制圧されてしまった状況でそれは……艦隊の派遣が開始されたばかりで、まだ木星圏に到着するまではかなりの時間を必要としますし……』


P(火星圏を越えたら木星圏に駐在する防衛部隊とハマヨコを奪還するのか、それとも……)

P「……よし」ピッ、ピッ


ピピピッ!


P「はい」

みく『Pチャン? もうすぐで機体整備始めるけど格納庫来ないの?』

P「ああゴメン、別件で作業していたんだ。いま行くよ」

みく『もー……みんな待ってるから早く来てよね』


……
…………

――ニューウェーブ(格納庫)

晶葉「フラガラッハの改修もすべて完了してアンサラーに移行出来たからな。横浜にいたときからシミュレーターは回してくれていたが、どこかのタイミングで試験飛行しておいてくれよ」

輝子「い、移動中にあるか……?」

晶葉「ムーンはほぼ素通りするみたいだし、火星圏で再補給するタイミング当たりか、もしくは移動中に済ませるかだな。装備も中遠距離の物に統一したから連携も確認してくれよ」

有香「イーリアスⅡみたい近接装備の増設はしなかったんですか?」

晶葉「最低限のビームブレイドは積んでるけど機体コンセプト的にな……ワイルドキャットも仕様変えて中距離装備を多めに積んでしまったし」

奈緒「前に出るのはクラウソラスとイーリアスだからな。元々はキャットウォーカーの時点で指揮官機にするつもりだったんだっけか」

晶葉「頭部の大型センサーやNEX-USの受信領域拡大機能も中遠距離で動いてもらう為に付けたんだがなぁ……まあみくが乗ったから仕方がないといえば仕方がないが」

みく「ちょっと! なんかみくのこと悪者にしてない!?」

晶葉「してないしてない。

有香「機体運用の話をしていただけですよ」

輝子「ま……私たちが盗んだからみくが大変なことになったんだよなって話だ……」

みく「もう……」


アーニャ「プロデューサー……クラウソラスの改修も終わりました、ヒューリーの試験飛行するときに、ドッキングの確認もしますか?」

P「やっておくか。シミュレーター回したとはいえ、実戦でいきなりは難しいだろうし」カタカタカタッ!

アーニャ「……」

P「直線の加速は奈緒が乗るネオジオといい勝負できるレベルか……ドッキングした場合のことも考えると、あまり消耗する装備を使うのも……」カタカタカタッ!

アーニャ「プロデューサー」

P「ん、どうした?」

アーニャ「アーニャは……きっと、大丈夫です。有香も、輝子も、奈緒も……だけど、いざというときは、みくのことは、お願いします」

P「……皆と違って、みくは元々民間人だからな。それを言ったら俺もだけど……ああ、大丈夫だよ」

アーニャ「はい。アーニャも、安心できます」

P「でも、俺は同じくらい皆のことが大事だ。俺は、皆といたいから」

アーニャ「……」

P「だから戦うことに決めた。俺も、みくも……多分、皆と同じだ……よし、調整はこんなもんだな」ピッ!


P「よし皆、作業終わったか?」

奈緒「ん?」

輝子「ど、どうした?」

有香「機体の改修内容も確認しましたし、設定も一通りは……何かありましたか?」

P「地上から上がって休憩も無しだったから、明日会議室に集まってくれ」

みく「明日? 何かあるの?」

P「ステーションからはしばらく移動だけだし、泉から場所を借りる話もしているから、全員10時に来てくれ」

アーニャ「ミーティング、ですか?」

P「いや、アレだよアレ。期限過ぎたけど、向こうも今回の開戦で一時的に運営停止していたみたいだったし」

みく「……あっ!」

……
…………

――翌日、NEX-US、ムーン・フィフス、ネットワーク内、セントラルタワー(ステージ上)



『こちらのブースからM01に合わせて各企業が出展した新型モービルの展示になります』

『モービルを彩るスタントガールにはNEX-US所属のアイドルを始め、企業アイドルも多数参加しています!』



キャット「にゃにゃ~っ! こちらはミナセの新型、ガルーンシリーズのUU014-ガルーンになるにゃ!」

キャット「小柄なボディはそのまま、加速性の向上を始め改良ポイントが多くてUU-008以上のモンスターマシンに変貌しているにゃ!」

キノコ「おいおいおいおい……! 化け物勝負ならこっちも負けてないぜええええええ!!!!」

キノコ「オート・クレールの新車、OCMX-125!! フレームの再設計で車体の状況によってフレキシブルに走行に最適なフォルムを保つこの機能!」

キノコ「そんなチビのマシンなんて足元にも及ばねえぜええええええ!!!!」

キャット「ぐぬぬぬぬぬ……そこまでいうにゃら、勝負!!」


『あーっとアイドル同士の乱闘が始まったぞ! これはバーチャルレースに発展するかー!?』


セカンド「アドリブでよくやるな……」

雪妖精「次のブース開放まで、アレでもたせるんでしょうか……?」

ツインテ「レースパフォーマンスの前ですよまだ……」

P「どっかでストップ掛けたほうがいいんだろうかあれ」

セカンド「他に来てるアイドルも混ざってきているし……まあ、いいんじゃないか、あれで」

ツインテ「それにしてもプロデューサー、よく今回のお仕事実施できましたよね。開戦でイベントが中止になったところも多かったはずですけど」

P「ん? ああ、前に話したギチトーの仕事は中止になったけど、こっちは延期って話だったからな」

雪妖精「この前、事務所でお話頂いたお仕事でしたし、予定していた期間も過ぎていたので中止になったと思ってました」

セカンド「1週間後って話だったからな。もうだいぶ過ぎてるけど」

P「ムーンまで戦闘の影響が出ないなら実施ってことだったらしいし、俺たちもギリギリ都合付けれたからな。こういう時にって気はするけど」

ツインテ「いえ、あたしたちのお仕事でもありましたし……こういう時ですから、久しぶりにお仕事が出来て良かったです」

雪妖精「ふふっ、キャットもキノコも、楽しそうにしています」

P「いい話もあまりなかったしな。こういうことが出来るうちは、やっておきたいと思っていたし」

ツインテ「そうですね……っと、そろそろ次のブースを開けるタイムスケジュールですね。それではプロデューサー」

セカンド「あたしたちも仕事だ。あそこの2人よりは大人しくしてようか」

雪妖精「盛り上げるのは、パフォーマンスの時……ですね」

P「おう、お前たちも頑張って来いよ」

……
…………

――同時刻、ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「あの子たち、お仕事ですか?」

泉「NEX-USでアイドルやっているのよ。みくは知っていたけど、他の4人もっていうのは最初は驚いたけど……今は自動航行中ですし、許可は出しましたから」ピッ、ピッ

美優「大変、ですね……こんな時に……」

麗奈「こんな時だから、楽しめるなら楽しませておけばいいのよ。木星圏に着いたらどうあっても戦闘なんだし、コロニーの話だってあるんだから」

美優「そう……ですね……シマトク、どうするんでしょうか……」

楓「破砕作業をすることになるんでしょうけど、戦闘の状況と併せてどうなるかですよね。オカシズからは離れていますし」

泉「軍からの展開、明日ですよね? みくたち、大丈夫かしら……」

麗奈「なるようにしかならないわよ。腹括ってもらってやるしかないし、それはアンタたちだって一緒でしょ」

泉「そうね……私はナシヤマがコロニーの衝突ルートに入っているのを見て、もう決心するしかなかったけれど」

楓「私たちはお仕事ですからね。まあハマヨコの奪還も破砕作業も、仕事こなせなかったら多分死んじゃいますし」

美優「そ、そんな明るく暗いことを言われても……」

麗奈「そんなもんでしょ。楓くらいの能天気さが一番いいわよ」

楓「え……私、能天気……?」

美優「そ、それは・……その、ええと……」


……
…………

――ニューウェーブ(会議室)


『接続を終了しました。端末を外し、体調が優れない場合はメンタルチェックオプションを実施してください』



みく「……ん、んんんん……終わったぁ」ピッ!

有香「ふう……良いお仕事でした」ピッ!

輝子「……な、なんだか……変な感じだな」

奈緒「何がだ?」

輝子「いや……NEX-USでみんなと仕事した後に、接続切ってからみんなの顔見るの」

アーニャ「……今までは、表で会ってからお仕事をするなんて、していませんでしたからね」

みく「んー、まあ表で会うメンバー同士じゃなかったし、他にそういうことやってるユニットとかにも入ってなかったもん」

ピッ!

P「……っと、終わったか。全員接続切ったか?」

みく「うん、みんな戻ってきたよ」

アーニャ「プロデューサーも一緒にいると、余計にそう思いますね」

P「何の話だ?」

奈緒「NEX-USで会った後に表でも顔合わせるのが不思議って話だよ」

P「そういえばそうか。表で会うメンバーじゃなかったしなぁ。どうせ表でも話聞けるからいいかと思っていたけど、今回の仕事はどうだった?」

みく「ひっさし振りだから楽しかったにゃ!」

輝子「久し振りのわりには……け、結構デカかったけどな……」

有香「企業参加がメインのイベントでしたから少し緊張しましたけど、キャットとキノコの2人が盛り上げてくれたのであたしたちもいい流れに乗れましたね」

奈緒「まあ、上手くできたと思うよ。一般公開用のイベントに出れないのは残念だなって思ったけど」

アーニャ「いつものNEX-USのお仕事と同じで、とっても賑やかでした。表で、戦争が始まっていると思えないくらい……」

輝子「……」

有香「……」

奈緒「……」

P「そう、だな……いつもと変わらなかった」

みく「……えいっ! ネコパンチ!」

アーニャ「あぅっ……な、なんですかみく……」

みく「ネコパンチネコパンチ……って、NEX-USがイイ場所なんてずっとそうだったでしょ。だからみくたちも戦っていた最中でもあそこに来ていたんだし」

みく「もしこのまま戦争が続いたら、NEX-USも楽しい場所じゃなくなるかもしれないし、NEX-USが無くなるかもしれない」

みく「どうやったら戦争が終わるのかとか、ハマヨコを取り返したあとはどうなるのかとか、みくは良く分かんないけど……」

みく「でも、今がダメだってことだけは分かるから、戦わないとって決めたんだから……Pチャンも、そうでしょ?」

P「……ああ。ここにいるっていうことは、皆同じ気持ちだ」

奈緒「……」

……
…………

――木星圏宙域コロニー『ノナガ』(港)

「シマトクへの派遣部隊も次で最後です。オカシズの迎撃艦隊も一部移動準備は済ませている状態ですね」

ちひろ「こういう時にNEX-USが煩わしい……共和国には嗅ぎ回られていたみたいなので、あまり時間もないでしょうね。コロニーの移動ルートは?」

「最新版はこちらになります。移動ルートと衝突ポイントから、破片による被害がこちらのコロニーに出ないようには考慮していますが……」

ちひろ「まあ共和国も妨害に来るとして、連邦も同じ対応をしてくるでしょう。地上と火星圏からの来る共和国の防衛艦隊がこちらに到着する時期を考えると、あまり猶予はないでしょうけどね」

「木星圏の防衛部隊が出てくることは?」

ちひろ「それはないです。こちらの誘導で戦闘宙域の区画も広がっていますし、共和国としてはまずコロニーの防衛が最優先でしょう」

ちひろ「NEX-USから情報が抜かれてから1週間程経過していますし、今日まで木星圏の動きが鈍いところを見ると方針に困っているのか……」

ガコンッ!!


「千川少佐! ディーレの積み込みが完了しました!」

ちひろ「あら、ご苦労様です。移動中にでも試験飛行はしておきます」

「お願いします。無線誘導砲塔の導入も出来ましたし、かなりいい状態に仕上がっているみたいですよ」

ちひろ「共和国から手に入れたフレーム技術のおかげですね。あの部隊もそれくらいは役に立ったけど……分かりました、新規格ということですしそちらについても確認しておきます」

ちひろ「さて……こちらも急いで行動しないと、シマトクを落とすなら落とすで、やるしかありませんね」

……
…………

――火星圏宙域、ニューウェーブ(休憩所)


『木星圏宙域で発生している戦闘による被害がチューブ区の他コロニーにも広がっている現状ですと、やはり共和国も直接戦闘に参加せざるを得なくなるのではないかと……』

『自国防衛の目的で連邦と連合間の戦闘に介入するという点についてはやはり難しく、国際条約の点においても問題があるということで各コロニーの防衛に留まっているのが現状とのことです』

『ですがハマヨコが連邦に制圧されてしまった状況でそれは……艦隊も木星圏へと向かっているようですが、現状の木星圏の防衛戦力と併せてハマヨコをどう奪還するのかも気になりますが』


有香「オカシズ付近の戦闘も再開されたようですし、他コロニーの被害も気になりますね」

奈緒「さすがに区画内は3国のコロニーが入っているから全部が全部、戦闘宙域になることは無いだろうけど、どうなるんだろうか」

加蓮『連邦の初動から今日までの戦闘宙域の拡大状況はこんな感じだけど』

ピピッ!

アーニャ「4区まで広がっているんですね……連合の防衛艦隊も出撃したみたいですし、艦隊戦による被害も出始めています」

奈緒「共和国のコロニーへの被害がハマヨコだけで収まっているのは気にされているのか、どうなんだろうな」

加蓮『連邦の初動から今日までの戦闘宙域の拡大状況はこんな感じだけど』

ピピッ!

みく「でもこれだと、そのうちナシヤマにも被害が出るにゃ……避難とか、しないのかなぁ」

有香「難しいでしょうね……ブロックシェルターに逃げるとして、戦闘宙域が拡大しているのであればどこにシェルターを飛ばすかという話にもなりますし」

輝子「シェルター飛ばすのも、い、今のうちだとは思うけどな……」

アーニャ「火星圏に入って、宙域の艦隊と合流してから木星圏へ向かうとなると1週間以上は掛かります……木星圏の防衛部隊をどう使うつもりなんでしょうか……」

ピピピッ!

奈緒「ん、加蓮ちょっと端末切るぞ。どうした?」ピッ!

晶葉『5人揃っているか? すまんがブリッジに来てくれ』


……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

輝子「え……」

有香「そんな……シマトク、が……」

晶葉「NEX-USが採取した情報と、観測班からの報告と併せても事実だ。加蓮、スクリーンに出してくれ」

加蓮『ちょっと待ってて』ピピッ!

奈緒「……」


P「シマトクと、木星圏宙域図か」

晶葉「廃棄コロニーであるシマトクの軌道ルートはこれだ。通常はこの状態となっているが……」ピッ!

晶葉「ここ最近、通常ではありえない軌道でシマトクが移動している。まだ距離はあるが、この状態が続くと遅かれ早かれ木星圏のチューブ区画と衝突する」

麗奈「ルート上の移動速度から見ても、連合の奴らがシマトクを弄ってあえて移動させているしかないでしょうね」

楓「綺麗にスーッと移動してますね。これ、どうなるんでしょうか?」

美優「移動ルート上のコロニー群と衝突の角度から……主に被害が大きいのは連邦のコロニー群ですね。衝突によるコロニーの破片の飛散によって出る被害もあります」カタカタカタッ

アーニャ「連邦の地上部隊を戦闘で消耗させてからの動き……ここまで想定していたのでしょうか」

加蓮『廃棄コロニーの情報自体は、NEX-USで採取できる範囲外だった』

加蓮『連邦側のデータを探って、今回のオペレーション情報を辿って行ったらシマトクの情報と宙域上の移動ルートをデータが見つかって……』

泉「だから、観測班に調査させてみたら……ってことね」

晶葉「戦争とはいっても、やり合っているだけなら共和国が介入することでまだ解決の余地はあったかもしれないが、こうなるとどうだろうな」

奈緒「コロニーを使って、しかもこのやり方なら民間人の被害だって……戦争って、こんななのか?」

麗奈「逸脱した行動まで取り始めると、もうこっちとしてはお手上げよ。目が覚めるまで待つか、ぶん殴って目を覚まさせることができるならそれでいいんだけど」

楓「そこはこちらの今後の対応次第というか、シマトクの破砕作業も出てくると思いますし……あとは連邦と連合の戦闘がどうなるかですね」

みく「そんな……こんなの、こんなことやろうとするなんて、頭おかしいよ!」

P「……おかしいから、戦争なんてやってるってことか」

泉「そう、かもしれないわね……」

有香「違います!!」

P「有香……」

有香「連合は……あたしたちは、オカシズの被害があったから……ゆかりちゃんも、法子ちゃんも、みんな、死んで……だから、もうそうならないように、あたしたちが、これ以上奪われたくないから……!」

輝子「墓参りだって偉いさんが年1でやってたんだぜ……と、とんでもないぜ……これ……」

麗奈「……上の連中が決めていたことなら、アンタたちが知らないのも当然よ。アタシは連合のことなんて知らないけど、普通はアンタみたいに思うでしょう」

有香「……」

晶葉「とりあえず、もう少しで火星圏の防衛部隊と合流する。今後の対応方針については間違いなく変更になるが、それも木星圏へ向かう間にどうなるか……ウチも対応が変わってくるだろうからそのつもりでいてくれ」

P「……」

……
…………

次回は7/14(月)か7/16(火)予定です。

>>362
7/14(月)→7/14(日)

――火星圏宙域、ギチトー港、ニューウェーブ(ブリッジ)

美優「整備班、ニューウェーブの整備状況について報告をお願いします……」カタカタカタッ!

ピピピッ!

整備長『戦闘も無かったし定期メンテで終わってるよ。今は兵装追加作業で手一杯だ』

泉「戦闘が起きた場合、OMDXも出るから私たちも前線に出なければならないから気を付けないと……」

整備長『輸送艦を前線に出すってのもどうなんだよ……墜とされるわけにはいかねえし、積載出来る分OMDAのパーツも積まされてるしでたまったもんじゃねえな』

楓「戦闘中に緊急整備が必要な他部隊の機体の受け入れもやってもらいますから、ゴメンなさいね」

整備長『へいへいっと……』

P「悪い、整備長。俺たちの機体まであるのに」

整備長『別にいいけどよ、シマトク落としの話も出てるし、戦闘になるのは間違いねえし……それよりP、しばらく嬢ちゃんたちがシミュレーター回しに来てないけど大丈夫なのか?』

P「……大丈夫だ、皆分かっている」

整備長『ならいいけどよ……お、博士戻ってきたのか』

晶葉『ああ、軍の招集も大した話じゃなかったよ。ハマヨコに向かう部隊とシマトクの破砕作業を行う部隊の割り振りの件だったし』

P「そりゃ大した話だろ……」

麗奈『これまでも連邦は交渉に応じなかったし、木星圏の防衛部隊と併せて一気に動くわよ』

晶葉『少しこっちでも話しておこうか。P、すまんがみんなを集めて来てくれ』


……
…………

――ニューウェーブ(休憩所)

P「みく、アーニャ!」

みく「ん、Pチャンどうしたの?」

アーニャ「招集、ですか?」

P「ああ、すまんが会議室に集まってくれ……輝子と有香は?」

みく「……多分、部屋」

P「……そうか」

アーニャ「シマトクのことは、2人にとって、とっても辛い……です。アーニャたちよりも」

P「わかってるよ。だけど、シマトクをチューブ区画に落とされたら大勢の人が死ぬ。それこそ、連邦のコロニーだけじゃなくて、共和国のコロニーも……」

みく「……」

P「2人は先に行っててくれ、俺もすぐに向かうから」

……
…………

――ニューウェーブ(有香と輝子の部屋)

ピッ!

有香「……」

輝子「ん」

P『2人ともいるか? 入るぞ』

パシュンッ!

P「部屋にいたか、よかった」

輝子「ど、どうした、P……」

P「軍の方針が決まったらしい。ハマヨコに向かう部隊と、シマトクの破砕作業を行う部隊とで分かれて行動する。俺たちも編成が決まったみたいだから、これから会議室に集まって話をすることになった」

輝子「そ、そうか、それじゃあ……いかないとな」

有香「……」

輝子「……な、なあ、行こう……?」

有香「……」

P「輝子、先に行っててくれ」

輝子「あ、ああ」

パシュンッ!


P「……有香、大丈夫か?」

有香「……」

P「シマトクのこと、何があったのか、詳しいことは俺は聞かない。だけど、このままだとどうなるか、分かっているんだよな?」

有香「……第一次産業コロニーのシマトクは当時、連合の工業系の企業が集まっていたコロニーでした」

有香「あたしの友人と、星少尉の友人の中には、それぞれ参画していた企業に勤めていた子がいたんです」

有香「小さい頃、みんなで遊びに行ったんです。第一次産業コロニーは一般開放をしていませんが、丁度参画企業の見学会があって、3人で行こうねって」

P「……そうか、分かった。輝子のほうも、同じようなことがあったんだろうな」

有香「連邦から独立したはずなのに、どうしてあたしたちは奪われなきゃならないんだろうって、どうしてゆかりちゃんも法子ちゃんも死ななきゃならないんだろうって……」

有香「みんな、みんなあの時死んで、みんな悲しんで、廃棄コロニーになったからって解体しないで、慰霊碑だって立てて……それなのに……」

P「有香」

有香「プロデューサー……」

P「俺は、大したことは言えない。当時の小規模戦争の頃だって、俺はモービルに乗りたいとか、そういうことしか考えていなかったし、有香たちがどれだけ辛かったかとか、分かるって言えない」

P「戦争の中で起きたことを割り切れる人もいれば、割り切れないまま引き摺る人だっている。俺だったら……多分、引き摺るかもしれない。有香がずっとその時のことを思っていることだって、普通な事なんだと思う」

P「だけど、俺は有香が強いってことを知ってる。奪われないように、奪う為に戦っていた有香が、アイドルとしてみんなに与えていた笑顔……俺は見ていた。だから、これだけは言える」

P「失った命が大切なものだって分かっていて、与えることも出来ている有香だから、俺たちが今こうしていることに間違ったことは無いんだって。だから輝子も、何も言わなかったんだと思う」

有香「あたしは……」

P「だから、一緒に戦ってくれ。有香の思い出を失くしてしまうかもしれない。だけど俺だけじゃない、みんなが有香のことを待っている。輝子も、みくも、アーニャも、奈緒も」

有香「……!」

……
…………

――ニューウェーブ(会議室)

晶葉「――から、木星圏の防衛部隊が動く」

パシュンッ!

P「すまん、遅れた」

みく「Pチャン!」

麗奈「遅い」

有香「……」

アーニャ「有香……」

有香「……遅れて申し訳ありません、木星圏到着後の部隊の編成についての話だと聞いています」

輝子「お……おお……!」

奈緒「……そうだな、それじゃあ晶葉、悪いけどPさんと有香も戻ってきたし、もう1回話してもらっていいか?」

晶葉「……まあ、構わんが。ギチトーでの会議で決まった内容としては、私たちの増援部隊と木星圏に駐在している防衛部隊とで大きく2手に分かれて行動することになった」

晶葉「まず地上から上がってきた私たちと火星圏の防衛部隊の一部を含めた増援部隊だ。艦隊を3分の2はハマヨコがあるチューブ区画には向かわず直接シマトクへ向かう」

晶葉「残りの部隊は木星圏の防衛部隊と共にハマヨコの奪還任務にあたる。ただし、木星圏側の防衛部隊の数は殆ど無いと思っていい」

P「それはどうしてだ?」

晶葉「まずシマトクをチューブ区画に落とす連合の作戦については、NEX-US側で情報を遮断して一般公開されていない。ここで公開してしまうと木星圏コロニー群全体が混乱してしまうだろう」

泉「シマトクの軌道についてはスクリーンに出すわ。現状だと私たちが木星圏に到着する頃には……シマトクがチューブ区画に到達するまで後28時間ってところね」カタカタカタッ!

アーニャ「到着してから1日の猶予……ですが、1日しかないとも、取れますね」

晶葉「ああ。なので、まずハマヨコ以外の各コロニーに駐在している防衛部隊は民間人をブロックシェルターに避難させる」

晶葉「避難理由についてはオカシズの戦闘規模が拡大していき、他コロニーに被害が出てきているから、とでもしておけばいい」

楓「各コロニーでブロックシェルターをほぼ全基使用する予定です。避難先は共和国の中継監視コロニーになりますけど、シェルターの射出タイミングはギリギリまで待ちますね」

麗奈「チューブ区画の共和国コロニーだけでも17あるわ。そこに住んでいた民間人を全て受け入れられるコロニーなんてあるわけが無いし、こればかりは仕方がないわ」

奈緒「ブロックシェルターを射出しての避難は最悪の事態のときだけってことか……」

晶葉「ハマヨコ奪還については内部に駐在している部隊が、掌握された管理センター、港、基地を奪還してから宙域の部隊で外周の連邦部隊を殲滅する」

晶葉「ハマヨコの住民については連邦からの奪還後、迅速に避難させる。こちらに関しては避難までの猶予時間は少ないだろうから、時間との勝負でもある」

みく「みくたちは何処に行くの? ハマヨコ?」

楓「ニューウェーブはシマトクの破砕作業に割り当てられています。中野中尉、星少尉とアーニャちゃんは特殊任務に従事していたと聞きましたけど、OMDXの戦力は破砕作業に割り当てたほうが良いと判断されました」

有香「妥当かと思います。みくちゃん、周辺コロニーのナシヤマのことは気になるとは思いますけど……」

みく「ううん、そもそもシマトクが落とされたらナシヤマだって……どっちにしてもコロニーぶっ壊すところからやるしかないにゃ」

美優「では、木星圏……シマトク軌道ルート上に到着した後の部隊展開を説明します。スクリーンに……マップを表示しましたので、こちらを確認してください」

P(そうだ……ここで何とかしなければ、俺もみくも、帰る家を失くしてしまう……何としても……!)

麗奈(ちひろ、ここまで来てアンタが何もしないわけがないわよね。アタシが何とかしてやりたい気もするけど……)チラッ

奈緒(麗奈……)

麗奈(この仕事までは、レイナサマがやることじゃないのかもしれないわね。まあ、出来る範囲でやるケド)

……
…………

――ニューウェーブ(通路)

パシュンッ!

楓「それじゃあ私たちはブリッジに戻っていますね。出航準備もしませんと」

晶葉「私は格納庫に戻るよ。OMDXの調整もしておかんとな」

アーニャ「私たちは、どうしてましょうか?」

有香「シミュレーターでも回していましょう。実際の破砕作業は専用の部隊や戦艦が実施するとしても、露払いをするのはあたしたちの役目です」

有香「防衛戦を十分に行えるように、フォーメーションの確認もしておいて損はありません」

みく「それじゃみくたちも格納庫いこ。Pチャンも輝子チャンも行こいこっ」

P「ああ、分かった」

麗奈「それじゃ暇潰しにレイナサマが一緒にシミュレーター回してあげるわ。有難く思いなさい」

みく「ゲェッ……」

麗奈「ゲェッて何よ、ゲェッて」


P「まったく……」

輝子「な、なあ……」

P「ん?」

輝子「ち、中尉のこと……あ、ありがとうな、プロデューサー……」

P「なんだよ。有香は俺のアイドルだし、何かあったらフォローするのは当然だろ。輝子だって一緒だ」

輝子「そ、そうか……私たちのこと、聞いたか……?」

P「まあ、それとない話は……だけど、そんなに聞きはしなかった」

輝子「あ、そうだったのか」

P「確かに、皆に昔何があったのか知っておくのも悪くはないとは思う。だけど、無理に聞こうとは思わないし、俺にとっては今どうしたいかっていうのが重要だからさ」

P「だから、今でも皆が俺のところでアイドルをやってくれているのは嬉しい。俺にとって、今はそれだけでいいんだ」

輝子「う、うん……そう、か……そっか……」

P「ほら、俺たちも行こう。やれることはやっておかないとな」

奈緒「……」

ピピピッ!

加蓮『奈緒? どうしたの?』

奈緒「いや……」

加蓮『混ざりに行けばいいのに。同じアイドルなんだから』

奈緒「……同じアイドルか。そうだな……だけど」

加蓮『だけど?』

奈緒「今は……やらなきゃならないことがある。終わらせて帰らなきゃならない。本当にアイドルをやるなら、それからなのかもしれない」

加蓮『……そっか』


……
…………

――木星圏宙域、木星圏宙域コロニー『オカシズ』周辺宙域(戦闘区域)

ピピピッ!

ちひろ「はい」ピッ!

『千川少佐、ディーレの挙動は問題ありませんか?』

ちひろ「十分です。少し連邦を突いたら戻りますので」ピッ!

ピピッ!

ちひろ「オカシズの防衛ラインが下がってきている……共和国は動いているでしょうけど、連邦にはなるべく長い時間、チューブ区画で暴れてもらわないと……」ピピピピピッ!

ちひろ「1基あたり最大ロック数8機の無線誘導砲塔……さあ、NEX-USから拾上げたデータがどの程度なのか……ガンダルヴ!」ガションッ!

ドシュシュシュシュッ!!

『レーダーに反応!? 敵の増援部隊――』

『がっ――』

ドガガガガァンッ!!!!

ちひろ「砲塔の制御が……友軍を巻き込むわけにはいかない……!」ピピピッ!

『そこの所属不明機! 識別コードが無いがどこの部隊の者だ!』

ちひろ「ホクドウ本部から来た千川少佐です。場面としては邪魔になるかもしれませんが、新型を慣らしに来ました」

『千川少佐……オペレーションβのところか……!』

ちひろ「あら、βの件を知っているのであれば話は早いです。間もなくシマトクに向かっている部隊も撤収します。オカシズの防衛も大変だとは思いますけど、戦闘区域の拡大も忘れずにお願いします」

『わかっている。部隊を誘導して第6区まで戦闘区域を広げているところだ』

ちひろ「了解です。それでは私ももう少し遊んでから引き揚げますので」ピッ!

ガションッ!!

ちひろ「横浜で戦闘をしたあの機体……アレもこちらに来るのであれば、この程度は使いこなしておかないと……!」ギュンッ!!

……
…………

――木星圏宙域、ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「艦隊、進行停止しました。連合、及び連邦によるステルス部隊も確認されません」カタカタカタカタッ!!

美優「ハマヨコに向かうマーハ艦隊、移動開始するみたいです。こちらも第一艦隊から順次移動を開始します」ピッ、ピッ、ピッ!

泉「私たちは第二艦隊と併せて動きます。加蓮、シマトクの軌道ルートを出して」

加蓮『はいはいっと』ピピッ!

楓「想定通りのルートで進行していますね。こちらは観測班から転送されたデータを見れていますけど、連邦は気付いているんでしょうか?」

泉「相手も馬鹿じゃないし、いい加減気付いているでしょう。オカシズ付近の戦闘もチューブ区画の7割にまで広がっているし、連邦側も何かしら対処をすると思うけれど……」

ピピピッ!

加蓮『シマトクの周辺に反応あるよ。連合のケーレス艦隊』

泉「ここから約14時間程度の移動でシマトクの軌道ルートに乗る……戦闘はそれからね」カタカタカタッ!

ピピピッ!

泉「整備長」

整備長『ん、どうしたよ』

泉「みんな、まだシミュレーター回している?」

整備長『ああ、Pも一緒に麗奈に揉まれてるよ』

泉「これから14時間後、戦闘になる可能性があるわ。訓練もいいけど、そろそろパイロットたちには一度休んでもらわないと」

整備長『もうそんなタイミングか……分かった。今やってるのが終わったら機材も片付けちまうよ』

泉「ええ、お願い」ピッ!

美優「木星圏に着くまでも長かったですけど、ここまで戦闘にならなくてよかったです……連合も、木星圏周りで他に手が回らなかったのでしょうか……」

泉「いえ、恐らくは以前麗奈が話してくれた通り、シマトクを落とすことに成功したら次は火星圏なり月軌道なりの廃棄コロニーで同じことをするでしょうね。私たちに勘付かれないように、素通りさせたんでしょう」

楓「赤信号、みんなで渡れば怖くない……なんて、1人が危ないことしたら、みんなも平気になってやっちゃいますからね」

泉「コロニーを落とすなんて、平気でやってほしくはないんだけど……私たちも、艦制御をオートメーション機能に任せて交代で休みましょう」

……
…………

――ニューウェーブ(食堂)

みく「っはー! 食べた食べた!」

アーニャ「ふふっ、みく、口の周りが汚れてます」

みく「んにゃにゃ……」

奈緒「一休みしたら戦闘だ。今のうちにしっかり食べておかないとな」

P「あんまり食いすぎて腹壊すなよ」

みく「成長期だから大丈夫にゃ……そうだ、ずっと気になってたんだけど」

有香「どうしましたか?」

みく「今回の戦闘って……その、なんだろ、みくも今まで戦ってきたけど、どうなるんだろうって」

有香「……シマトクの破砕作業が最優先ですが、こちらの動きも向こうは分かっています。シマトクの防衛部隊も配備されています」

輝子「お、落とす物に守るってのも、変な気もするけどな……」

アーニャ「確かに、アーニャたちも戦っていました。ですが……それは、自国の紛争鎮圧や、テロの対応ばかりでした」

有香「あたしたちが従軍した頃には、戦闘自体は一度無くなっていますからね。正直、横浜の戦闘も今までの中だとかなりの規模でしたが、今回の宙域戦闘はそれとは比べ物になりません」

奈緒「事実上の開戦の切欠になったアラスカの戦闘はあたしたちは知らないし、そういった意味だと今回の戦闘が初めての大規模戦になる。自由に立ち回るのも難しくなるし、気を引き締めないとな」

みく「うええええ……聞かなきゃよかった」


輝子「ま……心構えは、しておかないとな……」

アーニャ「奈緒は、落ち着いていますね」

有香「私たちと比較して、奈緒さんの戦闘技術は凄まじいものがあります。麗奈さんと勝るとも劣らないくらい……直接的な戦闘もかなり経験しているんですか?」

奈緒「いや麗奈みたいな化け物と比べられるのは……そう、だな」

奈緒「……」

奈緒「……ああ、戦闘ならたくさんした。もう戦わなくてもいいんじゃないかって思ったことも、ある」

奈緒「だけど、あたしが戦わないとって思うことも、同じくらいあった。それ以上かもしれない。それに……」

奈緒「守れたものがあるなら、あたしにとって戦うことに意味があるなら、やるしかないんだって……だから、戦っている」

P「……そうか」

奈緒「まあ戦う必要が無いならそれが一番なんだけど、そうも言ってられないからな」

ピピッ!

奈緒「ん……もうご飯食べて結構時間も経ったか。それじゃあみんな、いったん解散して休んでおこうか」

……
…………

――ニューウェーブ(Pの部屋)

P「……」ピッ、ピッ、ピッ

ピピッ

P「よし、I@LPの申請も済ませたし……」

ピピピッ!

P「ん、はい」

みく『Pチャン、まだ起きてた?』

P「みくか。ちょっと作業していたけど、どうした?」

みく『今入ってもいい?』

P「ああ」

パシュンッ!

みく「……」

P「どうした、寝れないのか?」

みく「……」

P「ん?」

みく「……な、何かないの! こう、みくに声掛けるとか」

P「え……あっ、いやお前……さすがに戦闘前だぞ……余計疲れることしてどうすんだ」

みく「ばっ……な、なに言ってんにゃ!! エッチなことしか頭の中にないとか!!」

P「えええ……誘導したのはそっちだろ……じゃあ、なんだよ」

みく「な、何って……その……」

P「まあ、別にいいんだけどさ。寝れないなら、一緒に寝ようか」

みく「……うん」

……
…………

P「……」

みく「……ねえ、Pチャン。もう寝ちゃった?」

P「……なんだ」

みく「みくが来るまで、何してたの?」

P「I@LPに申請出してた」

みく「それって、みくたちのお仕事?」

P「ああ。みくも、アーニャも、有香も、輝子も、奈緒も……5人でやる仕事だ。丁度、リストに上がってたんだ」

みく「お仕事の日、いつ?」

P「再来週頃……だったかな。収録の仕事だから、時期はもう少し調整できるみたいだけど」

みく「そっか……」

P「5人でって条件だったから、1人でも欠席だと仕事はキャンセルだからな」

みく「……それじゃあ、みんなでちゃんとお仕事しないとね」

P「ああ、1人でも欠けたらダメだ」

みく「Pチャン、みく……絶対にPチャンと一緒に帰るから」

P「約束、したからな」

みく「うん。だけどね、その約束にちょっとだけ足して……みんなで帰りたい」

みく「みんなで帰って、ちゃんとアイドルやるんだ。今度は……ちゃんとユニットでやりたいな……」

P「帰ったら色々やろう。俺も、もっとみんなと色んな事をしたい。みくとも……」

みく「Pチャン……」ギュッ

P「……」

みく「……」

……
…………

――木星圏宙域、シマトク軌道ルート上、ニューウェーブ(ブリッジ)

ピピピピッ!

美優「防衛艦隊……配置に着きました」

楓「シマトク軌道ルート上の連合艦隊、距離7200です。こちらもOMDAが順次出撃しています。第一艦隊、及び第三艦隊の破砕作業班については状況を見て出撃するみたいです」

加蓮『戦闘状況については私のほうでも収集解析するから、必要なデータがあったらこっちに渡して』

楓「あら、NEX-USがあると便利ですね。それじゃお願いしようかしら」

泉「ニューウェーブは戦闘開始後、第二艦隊の左翼に位置取ります。OMDX、ヒューリーを出撃させます」

ピピピッ!

P『出撃か』

みく『任せるにゃ!』

泉「ええ、みんなお願いします。シマトク……コロニーも、やっぱりここまで近くで見ると大きく見えるわ。いつも見ているコロニーの大きさのはずだけど」

アーニャ『アー……壊す、ことなんて考えたこともありませんでしたから』

輝子『さ、最後に……花くらいは、添えたほうがよかった、か?』

有香『……いえ、この先の為に、ここでシマトクを落とさせてはいけません。今のあたしたちに出来る手向けは、未来に進むことです』

奈緒『ここで落とさせたら戦争は止まらなくなる……まずは、最初の1歩だ』

晶葉「よし、お前ら気を付けて行けよ。NEX-USのバックアップがある、存分に使え」

麗奈『ま、せいぜい死なないことね』

……
…………

――シマトク軌道ルート上、ケーレス(ブリッジ)

ちひろ「共和国も数を用意してきましたね……」

「チューブ区画からこちらに向かってくる連邦艦隊もあります。オカシズ、ハマヨコでの戦闘は継続していますが、こちらに来る連邦艦隊の数も結構な物ですよ」

ちひろ「2対1の状況になるとこちらが不利です。共和国にはこれ以上手を出したくはありませんでしたが、止むを得ませんね」

「ラプター部隊、順次出撃しています。各ケーレス艦、艦隊戦闘の準備を開始しています」

「D13ポイント、シマトク軌道ルート再計算されます。目標ルートポイント更新」

ちひろ「チューブ区画まで後27時間……ここでシマトクを破砕されたら破片すらコロニーに届かないですね。こちらの艦もラプター部隊を出撃させてください。後はディーレの準備を」

「少佐も出撃されますか?」

ちひろ「厄介なのも来ているでしょうし、こういう時の為の機体です。艦は任せましたよ」

「了解です」

「共和国の防衛艦隊よりOMDAが出撃されています。識別コード不明の機体も確認できます」

ちひろ「スクリーンに出してください」

ピピッ!

ちひろ「あれは……日本で戦闘した機体と、形状が変わっているけれどイーリアスとフラガラッハ……? ということは、βで捨てた部隊の誰かか……」

パシュンッ!

ちひろ「まあいいでしょう。では、私も出撃します」


……
…………

――ニューウェーブ(カタパルト)

奈緒『各機、出撃後は艦隊の進行ルート確保が優先だ。初動を見て、手薄な方面から切り込んでいくぞ』

有香『了解です。麗奈さんはどうされますか?』

麗奈『アタシ? 遊んでるからアンタたちは勝手にやっておいて』

輝子『い、いいのかそれで……』

奈緒『別に麗奈だし……アーニャとPさんは必要なタイミングがあったらドッキングしてくれ。判断は任せるから』

P「わかった。それまでは支援に回る」

アーニャ『プロデューサー、気を付けてくださいね』

みく『みんなで固まって動くから大丈夫大丈夫。Pチャン1人だけ航空機だし無理しないでね』

P「上手くやるさ……っと皆、一応言っておくぞ」

奈緒『ん?』

アーニャ『はい……?』

P「I@LPに申請しておいた。次の仕事、入れておいたから終わったら頼むぞ」


輝子『そ、そうか……それじゃ、頑張らないとな』

有香『はい、元より墜ちるつもりはありませんしね』

アーニャ『またみんなでお仕事、楽しみです』

みく『……うん、みくたち、本職はアイドルなんだからね』

ピピピッ!

楓『ハッチ開放しました。各機、出撃してください』


有香『はい、OMDCF-212ASXイーリアスⅡ、中野有香が出撃します!』

輝子『OMDX-22AE-Tアンサラー、行くぜええええ!!』

アーニャ『OMDX-02ASクラウソラス、行きます!』

みく『前川みく、OMDX-152CXワイルドキャット、行くよ!』

P「HCU-01Pヒューリー、出撃する!」


麗奈『さーて、アタシたちも行きますか。ほら奈緒、さっさと行くわよ』

奈緒『分かってる。今準備している』カタカタカタッ!

ピピピッ!

加蓮『奈緒……』

奈緒『加蓮、どうした?』

加蓮『……』

奈緒『あたしは大丈夫だ。加蓮は……みんなのこと、頼む』

加蓮『うん』

奈緒『よし、それじゃああたしも行くか。起動チェック、システム疎通完了』ピッ、ピッ、ピッ!

ピピッ!

『N-eo』
『G-eneration.Exchange.Origin』
『F-rontier』

奈緒『セカンドドライバーだ。ジーオーフロンティア、出撃する!』


……
…………

次回は7/21(日)か7/29(月)予定です。

――戦闘宙域

ピピピッ!

奈緒「各機、あたしたちの小隊コードはNX-01だ。初動はOMDA部隊が先行するから、あたしたちはフォーメーションを維持して支援から入る」

有香『了解です。奥にラプターワイルドの部隊が確認できます。砲撃支援部隊のはずです』

ピピピピッ!

輝子『砲撃来るぞ……』

ズドォォォォンッ!!

アーニャ『こちらのOMDA部隊が動いた……戦闘、開始ですね』

P『戦闘のラプター部隊が接近している。奈緒、先行して数を減らそう』

奈緒「あたしとPさんが先行する。4人はフォーメーションを組んで迎撃だ!』ガションッ!

ギュオオオオオッ!!

麗奈『アンタたち、レイナサマも付いてってあげるからしっかりやんなさいよ!』ギュンッ!!

P『追いつくほうの身にもなってくれ……やってやるよ!』

奈緒「ネオジオの加速も十分だ、これなら……航空機に変形、行くぞ!」


連合兵『共和国の連中が! 邪魔はさせんぞ!!』


有香『衝突する……各機、フォーメーションを維持して迎撃! クラウソラス、あたしと前に!』

アーニャ『はい! みく、ショーコ!』

みく『18連装マイクロミサイルと、ビームキャノン、行くよ!』

輝子『マッシュルームスペシャルくれてやるぜえええええ!!!!』ズドドドドドドッ!!

ドガガガガガァンッ!!

有香『Pさんと奈緒さんだけに負担はさせません、あたしも……やああっ!!』

アーニャ『前のラプター部隊、散開……有香、左は任せます……!!』ガションッ!!

ズドォンッ!!

連合兵『がっ――』

ドガアアアアアアンッ!!

アーニャ『戦線を維持してもこちらが有利ですが、押し切るつもりで……!』ピピピピピッ!!

連合兵『死ねえ!!』ガションッ!

アーニャ『このっ!!』ギュンッ!

みく『あーにゃん!』ギュオオオオオッ!!

シュパアアアアンッ!!

連合兵『く――』バチバチバチッ!!

ドガアアアアアンッ!!

アーニャ『ありがとうございます、みく!』

みく『焦っても仕方ないにゃ、Pチャンたちが先行してくれている分、みくたちも焦らないで行こ!』

……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

加蓮『前線、MB-14部隊方面のラプター部隊が後退しているよ。ディーレ艦隊、前進するみたい』

泉「こちらも前進します。シールドを左舷に展開、ミサイル発射管の再装填を急いでください!」

美優「再装填準備進めています……シールド展開開始……艦速度上げます」カタカタカタッ!!

楓「この艦、泉ちゃんが指示出しているのも凄いですよね。戦術指導官も一緒に来ればよかったのに」

加蓮『ああそれ、私が泉のコンソールからプラン提示してるから大丈夫だよ。宙域解析してからの提示だから少し遅れてるけど』

泉「私だって素人だもの……ホント、何でこんなこと引き受けちゃったのかしら……」

ピピピッ!

奈緒『泉、こっちの前線部隊も押し込んできている。あたしたちも前進するぞ』

泉「了解。みんなの位置は……あれ、麗奈は?」

P『あっちのほうが面白そうって言ってMB-06部隊のほうに飛んでった』

泉「あ、そう……」

ピピピッ!

晶葉『麗奈は好きにやらせておけ。前線を押し込んでシマトクまでのルートを確保するのが最優先だ。加蓮、皆には連合部隊の展開予測を随時転送してやってくれ』

加蓮『NEX-USの同期はみんなのタイミングに任せてるから、そっちは別でやっておくよ』

ピピピピピッ!

泉「もう一方で前線が上がった場所がある……MB-06から09の部隊……あとOMDX-FS……麗奈が向かった場所……!」

……
…………

――戦闘宙域

麗奈「ハッ、そこの部隊! ちんたらやってるんじゃないわよ!!」ガションッ!!

ギュオオオオオオッ!!

連合兵『なんだあの赤い機体は……ぐああああっ!!』ドガアアアアアンッ!!

『小関大尉! 持ち場はどうなされたので!』

麗奈「レイナサマは適当にやってていいのよ! アンタたちはもう少し真面目にやりなさい! 前線、上げるわよ!」

『了解!』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

麗奈「反応……!? レイナサマ相手だけじゃない……アンタたち、避けな!!」ギュンッ!!

『何を……がっ――』

ドガガガガァァァンッ!!

麗奈「複数……いや、全方位攻撃……コイツは!!」ピッ、ピッ、ピッ!

ピピッ!!

麗奈「いた、あの機体……ふざけてんじゃないわよ!」ギュオオオオオオッ!!



ちひろ『押されている前線の支援に来たら……あの機体は!!』ガションッ!!

ギュオオオオオオッ!!!!

麗奈「ちひろ! アンタね!」ズドォンッ!!

ちひろ『横浜で遇った赤い機体!! ここで暴れられるわけには!!』ギュンッ!!

ガショショショションッ!!

麗奈「あの兵装は……!!」

……
…………

――戦闘宙域

奈緒『こっちで相手しているラプターの数を減らした! あたしとPさんもそっちまで後退する!』

有香『ルート空けます! 今のうちに戻って!』

P『みく、輝子!』

みく「ガッテンにゃ! 輝子チャン、フレーム同期するよ!」

輝子『頼むぜぇ……NEX-US接続……!』ドクンッ!

加蓮『ワイルドキャットとアンサラーのフレームストリーム同期開始……エネルギー共有準備出来たよ!』

輝子『ビームランチャー照準……い、行くぜえええええ……!』ピピピピッ!!

みく「射線データ転送するよ、みんな離れて!!」

連合兵『うおおおおおお!!』ギュオオオオオオッ!!

アーニャ『させません!』ギュンッ!

ドシュゥンッ!!

連合兵『ぎゃっ――』ドガアアアアアアアンッ!!

ピピピピッ!!

輝子『撃つぜ撃つぜ撃つぜええええええヒャッハアアアアアアアアッ!!!!』

ズドドドドドドドドドドドドッ!!!!

みく「照射……おしまい! レーダーは……!」

ピピピピピッ!

奈緒『射線上の敵は一掃出来た。連合の戦線の穴になったからここから進行するぞ!』

有香『周辺の前線部隊、及びディーレ艦、進行ルートを確保しました、こちらからお願いします!』

ピピピッ!

『了解した! そちらに合流する!』

有香『シマトクまでは距離3800……もう少し……!』

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

P『レーダーに反応……なんだ!?』

アーニャ『ラプター部隊とOMDA部隊の反応が消えて……こちらに向かって来ています!』

奈緒『OMDX-FS……麗奈か! てことは……』

ピピピッ!

麗奈『アンタたち! 死にたくないなら離れなさい!』ギュンッ!!

P『麗奈か! 相手の機体が……あれは、ラプターじゃない……!?』

ちひろ『あれはβで対象だった機体たち……丁度いい、まとめて墜ちてもらいましょうか。ガンダルヴ!』ガショショショションッ!!

奈緒『あれは……まさか、みんな回避だ!!』

ドシュシュシュシュシュシュッ!!!!


※ステータス判定が入ります。

判定値:50

・前川みく
操縦技術:99→回避

・アナスタシア
操縦技術:77→回避

・中野有香
操縦技術:91→回避

・星輝子
操縦技術:87→回避


P『なんだ!?』ギュンッ!!

みく「にゃっ!?」ギュンッ!!

有香『あの兵装は!?』ギュンッ!

輝子『し、新兵器か……!?』

アーニャ『全方位からの砲撃……くっ! 連合、まだこんな戦闘機を……!』

加蓮『あれは……もしかして!』

ピピピッ!

晶葉『無線誘導砲塔だと!? 連合側もまだ戦闘機に搭載するほどの実用化された技術があるはずが……!』

麗奈『なんでもいいわよ! パクられたんならそれはそれでぶっ潰せばいいだけよ!』ギュンッ!!

奈緒『加蓮、みんなをNEX-USに! そのまま戦闘に巻き込まれたらマズイ!!』

ピピピッ!

ちひろ『OMDX……ここで私が全機まとめて……!!』

有香『千川少佐!?』

ちひろ『生き延びてるとは思いませんでしたよ! あそこで靴の情報を知っている部隊も潰しておくはずだったので!』

輝子『分かっちゃいたけど、私たちは捨て駒かよ……ナメんじゃねえええええ!』ボシュシュシュシュッ!!

ちひろ『そんなミサイル!』ドシュシュシュッ!

ドガガガガガァンッ!!

アーニャ『貴方が、有香と輝子を!!』ギュオオオオッ!!

ガキィィィィンッ!!

ちひろ『おや、自軍の作戦としても想定内だったので特に問題は無いんですけど……連邦のほうとも、それで手打ちしていましたので』

アーニャ『っ!? 貴方が、マナミたちを……!!』

ちひろ『ふんっ!!』ブォンッ!!

アーニャ『ぐっ……』

ちひろ『仲介役の共和国が靴のデータを秘匿して、今さらこちらに言うことなんて!!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!!

みく『ビームクローのリフレクターフィールド……! あーにゃん!』カタカタカタッ!

バシュゥゥゥンッ!!

アーニャ『みく!』

P『お前が皆にナシヤマを襲わせた張本人か!!』ギュオオオオオオッ!!

奈緒『例えちひろさんでも、ここであたしたちの邪魔をするなら……!!』ガションッ!!

ちひろ『航空機……いや、1機は違う……!?』ギュンッ!!

P『連邦と連合を戦争へ誘導したのはお前か!』ズドォォォンッ!!

ちひろ『知りませんよ! 偉い人たちが決めたことです、靴は切っ掛けに過ぎなかったんですから!』ドシュゥンッ!!

麗奈『他所から拾ったもんが何だっていうのよ! これだからバカしかいないのよこの世界は!』ドガガガガガッ!!

ちひろ『ちっ、この赤い機体……!!』ピピピピッ!

『千川少佐! 共和国の部隊がこちらの前線を抜けて来ています!』

ちひろ『チッ……ワイルド隊を一部フォローに回して! こっちは抑える……!!』ドシュシュシュシュッ!!

奈緒『マズイ、チャンスなのにこのままだと進行を止められる……!!』

P『5人は先に行け! シマトクへ近付くには輝子のアンサラーの突破力が必要だ!』

有香『ですがプロデューサー! 千川少佐の相手は……!』

P『最優先はシマトクの破砕だ! 麗奈、奈緒も5人に付いてやってくれ!』

麗奈『奈緒、行くわよ!!』

奈緒『麗奈!? でもPさんだけじゃあ!!』

麗奈『バカ言ってんじゃないわよ! そこのバカも言ったでしょ、今のアタシたちがやらなきゃならないことはシマトクの破砕で、ここで手抜いて進行中に破砕部隊を潰されるわけにはいかないでしょ!』

アーニャ『プロデューサー! それならアーニャが――』

みく『みくが残るにゃ! みんなは先に行って!』


輝子『みく……!』

みく『アンサラーとのエネルギー共有はみくの機体じゃなくてもいいし、Pチャンを1人にはしたくないから!!』ボシュシュシュッ!!

ドガガガガガァンッ!!

ちひろ『分散する気か……させるわけには……!』ドガァンッ!!

奈緒『みく!』

麗奈『行くわよ奈緒! アタシたちが出しゃばってどうするの!』

奈緒『……くっ、Pさん、みく……任せたぞ!』ガションッ!

アーニャ『必ず戻ります!』ギュンッ!

ちひろ『先行される……逃がすか……!』

P『お前の相手は俺だ!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ちひろ『航空機ごときに……ガンダルヴ!』ドシュシュシュシュッ!!

P『当たるかよおおおおおお!!』ヒュカカカッ!!

ちひろ『避けられた……!?』

みく「にゃああああああ!!』ギュオオオオオオッ!!

ガキィィィィィンッ!!

ちひろ『くうっ!? この機体は……!!』

みく『お前がファクトリー襲った黒幕なら、絶対に許さないから! 絶対……絶対に!!』ググググッ……!

……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「ワイルドキャット、ヒューリー、識別コード不明機と交戦しています。他のみんなは先行部隊と共にシマトクへのルートを進行しています」カタカタカタッ!

泉「私たちも進行したら2人のバックアップが……ニューウェーブは下がって2機を……」

楓「ダメです。ここでニューウェーブが下がったら戦艦によるシマトクへの砲撃数が足りなくなります。破砕機でシマトクを砕いた後の破片の処理もあります」

泉「もう……みく、P、無理しないで! 危なくなる前に後方の待機部隊まで下がって!」

ピピピッ!

みく『大丈夫! コイツだけは許さないんだから!』

P『俺たちだけじゃなくても、今回の戦争の原因の一端がコイツなら……!』

美優「無理は、しないでください……」

P『大丈夫です。死ぬわけにはいきませんから……!』

みく『デレデレすんにゃ!』

P『してないっての!』

ピピピッ!

奈緒『泉、ディーレの破砕部隊が準備をし始めたら連絡をくれ。少し強引にでも前線のラプター部隊の対処をして道を作る!』

泉「楓さん、破砕部隊の準備は!」

楓「ちょっと待ってください……進行中の第一艦隊が準備を始めています。第三艦隊の破砕部隊は別ルートから向かっているみたいですが、このまま進行できればこちらのほうが早いですね」カタカタカタッ!

奈緒『なら今のうちに道を作る……!』

泉「気を付けて、ラプターの防衛部隊も艦隊から順次投入されているわ」

奈緒『ああ、任せろ!』

……
…………

――戦闘宙域

アーニャ『ケーレス艦隊が見えてきました……ここが、防衛ラインのようです』

麗奈『奈緒、行くわよ! ラプターを追加されちゃ溜まったものじゃないわ!』

奈緒『戦艦を直接叩くしかない……3人はアンサラーのビームランチャーを!』ギュンッ!!

有香『了解です! あたしたちもNEX-USに接続を……!』ドクンッ!

アーニャ『有香、準備まではアーニャが前に……アンサラーへのエネルギー共有をお願いします』ギュンッ!

輝子『よ、よし、次行くぜ……』ガションッ!

有香『フレーム同期、加蓮さんお願いします!』

加蓮『イーリアスとアンサラーのフレームストリーム同期開始……エネルギー共有……』


麗奈『遅い遅い!!』ギュオオオオオオッ!!

奈緒『ネオジオ……このまま行くぞ!』ガションッ!

連合兵『先行してくる2機がいるぞ! 撃ち落せ!!』

ズドォンッ! ズドォンッ!!

奈緒『当たるか! 高出力ビーム砲照準……!!』

麗奈『ケーレス艦3隻は墜とすわよ、奈緒!』

奈緒『うおおおおおおっ!!』ズドォォォォンッ!!!

ドガガガガガァンッ!!!!

連合兵『ケーレス艦沈黙! 防衛ラインに共和国のOMDAが来ています!!』

奈緒『輝子!』

加蓮『準備完了! いいよ!』

輝子『ビームランチャー照準……ヒャッハアアアアアアアアア!』ズドドドドドドドドドッ!!!!

ドガガガガガガァンッ!!

ピピッ!

アーニャ『OMDAも入ってルート確保……ブリッジ、シマトクへのルートを確保しました。破砕作業を実施する部隊の投入を!』

楓『わかりました。みなさんはルートの確保を継続してお願いします』

麗奈『ちひろのほうも気になるけど……さすがに今はこっちが優先ね』ピピッ!

アーニャ『プロデューサー……みく……!』

……
…………

――戦闘宙域

ちひろ『防衛ラインが……!』

みく『悪いことする奴は痛い目見るにゃ! このっ、アンカー!!』ビシュシュシュッ!

ちひろ『こんなものっ!』ブォンッ!

みく『うげっ、アンカー全部切られた……ええいっ!』ボシュシュシュッ!

ちひろ『ミサイルで止められるわけないでしょう!』ドシュシュシュッ!!

ドガガガガガァンッ!!

みく『あ、あの浮いてるビーム砲反則すぎる……』

P「みく! 無理はするな!」ギュオオオオッ!!

ちひろ『航空機がちょこまかと!!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!!

P「ぐっ!?」ドガァンッ!!

みく『Pチャン!』

P「防御用に増設したサイドバインダーが潰された……! エネルギーを食うからシールドユニットは使いたくないが……!」カタカタカタッ!

ちひろ『フンッ、ナシヤマにいたならそこにずっといれば良かったのに!』

みく『他人事みたいに言って! みくだってNEX-USでいつもどおりアイドルやっていたかったんだから!!』ギュンッ!

ちひろ『アイドル……? アイドルが戦場に出るとは面白いですね!』

みく『出たくて出たわけじゃないから! みんな……みんな表だと色んなことを考えて、本当は、NEX-USの中みたいに楽しいことだけやっていたいのに!』

ちひろ『そんな現実逃避……こんな世界だからNEX-USがあるんですよ!』ズドォォォンッ!!

みく『にゃっ!?』ドガァァンッ!

P「みく!」

みく『そうだよ……あーにゃんも、有香チャンも、輝子チャンも、奈緒チャンも、みんな戦ってた……アイドルなのに……』ギュッ……

みく『……だけど!』ガションッ!

ドシュゥンッ!

ちひろ『チッ!?』ドガァンッ!

みく『みんなアイドルは一生懸命で、だけど表がこんな世界だから、戦わなきゃならなくて……お前みたいなのがいるから!』

ピピピッ!

加蓮『みく!』

みく『加蓮チャン!』


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』

みく『これって……!!』ドクンッ!


『索敵データ共有、拡散粒子ミサイル、フローティの発射準備、ガンダルヴ・ミニオンを射出……!』

『ガンダルヴ、予備機のガンダルヴ・ミニオンも射出、高圧縮粒子砲リンドヴルム照準! ―――――、高機動形態に移行しますよ!』


みく『この記憶……あの機体が使ってる武器の……!』ガションッ!

ちひろ『墜ちろ! ガンダルヴ……!』ドシュシュシュッ!!


※ステータス判定が入ります。

判定値:70

・前川みく
操縦技術:99→回避



みく『やああああああっ!!』ヒュカカカカッ!!

ちひろ『避けた!?』

みく『このおおおおお!!』ブォンッ!

シュパアアアアンッ!!

ちひろ『ぐあっ……! 近づかれたところで……!』ブォンッ!

ドガアアアアアンッ!!

みく『ああああああっ!! み、右腕が……』ビビビビビッ! ビビビビビッ!

加蓮『いけない……NEX-USの記憶の共有にみくの体が追いついてない!』

P「みく!」ガションッ!

ドガガガガガッ!!

ちひろ『航空機……!』ピクッ!

P「うおおおおおおお!!」ズドォンッ!!

ちひろ『ちょこまかと!』ズドォンッ!!

P「っ!!」

ドガアアアアアアアアアアアアンッ!!

みく『P……Pチャン!!!!』

……
…………

――戦闘宙域、廃棄コロニー『シマトク』外壁

『破砕準備、完了しました!』

『コロニー内部への起爆装置の配置できました! 突入部隊もすべて退避しています!』

有香『破砕準備が完了した……! もう少しです!』

連合兵『やらせるかよおおおおお!!』ギュオオオオオオッ!!

輝子『うるせええええ!!』シュバババババッ!!

ドガガガガガァンッ!!

連合兵『ぐおおおお……こ、コイツを落とす為に……ここまで……!』バチッ、バチバチッ……!

有香『なぜみんなのお墓を落とすなんてことを! あたしたちは、もうこんなことにならないように……二度と同じことが起きないように願ったのに!』

連合兵『同じことが……起きない為にも……落と――』

ドガアアアアアアアアアンッ!!

輝子『……私だって、そう思ってた……けど、これは、ち、違う……から、きっと……』

ガションッ!

奈緒『輝子、ビームランチャーの準備は!』

輝子『あ、ああ……次の準備も出来てる』

アーニャ『露払いは終わりました、後は破砕だけです!』

麗奈『ブリッジ、退避指示は!』

ピピピッ!

泉『艦隊の砲撃準備が出来たわ! みんな離れて!!』

奈緒『後退だ! アンサラーとイーリアスは砲撃体制を維持だ!』


アーニャ『破砕の衝撃はアーニャと奈緒でシールドを展開します、2人は後退しつつ砲撃を!』

楓『起爆カウント、開始されています。3、2、1……』


ドガアアアアアアアアンッ!!!!!!


有香『シマトクが……』

輝子『みんな……ご、ゴメン、な……でも、私たちは……!』ガションッ!

アーニャ『破砕の衝撃が……くっ!』ビビビビビッ! ビビビビビッ!

麗奈『想定通りの砕けたわね……楓!』

楓『各艦、砲撃体制を取っています。破砕対象の大型の破片に照準……泉ちゃん、ニューウェーブも準備完了です』

泉『ディーレの砲撃と合わせて……撃て!!』

ズドドドドドドドドッ!!

奈緒『有香、輝子!』

有香『……輝子さん!』

輝子『い、行くぜええええええ!!!!』ピピピピピッ!

ズドドドドドドドドッ!!


麗奈『後は……アイツら……!』


……
…………

――戦闘宙域

ビビビビビッ! ビビビビビッ!

P『ぐっ、この・……!』ハァ、ハァ……

ドシュウウウウウンッ!!

ちひろ『こ、コイツ……! このっ!! 離れろ!!』ガコンッ!

ギシッ、ギシッ……

P『ビ、ビームブレイドでも……出して、みやがれ……腕までワイヤーで縛ってやったぞ……!』ハァ、ハァッ!

みく「Pチャン!!」

P『みく、撃て!』

みく「今撃ったらPチャンも一緒に……! イヤだよ! 出来ないよ!!」

加蓮『ヒューリーごと突っ込んでワイヤーで自分ごと……これじゃあヒューリーも離脱出来ない……!』

P『俺を信じろ、みく! 一緒に帰るって……約束しただろ!』バチッ、バチバチッ……

みく「っ!!」

ちひろ『は、離せ……コイツ、主翼も撃ち抜いたのに……死ぬ気!?』ギシッ、ギシッ……!

P『俺は死なない……お前みたいに皆を食い物にして戦争するようなヤツとは、気合が違うんだよ!』ビビビビビッ! ビビビビビッ!

P『終わらせて一緒に帰るぞ、みく! 撃て!!』

加蓮『みく!』


みく「……Pチャン!!」ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!!



ちひろ『み――』

P『ああ、それで――』



ドガアアアアアアアアアンッ!!!!


――ピーッ!

みく「Pチャアアアアアン!!!!」


……
…………

――ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「後方で爆発……!」

ピーッ!

美優「これは……ヒューリーの反応が……」

楓「そんな……P、さん……」

パシュンッ!

晶葉「どうした、破砕作業に入ったから上がってきたが、何があった」

泉「みく……P、が……」

ピピッ、ピピッ……


……
…………

――Cast

前川みく   アナスタシア
中野有香   星輝子

……
…………


『シマトクの破砕確認、大型の破片もディーレ艦隊の主砲で順次破砕しています』

ガションッ!

輝子『……こっちも、打ち止めだ。機体負荷が……結構、キてるぜ……』ビーッ! ビーッ!

有香『ええ……後は、共和国に任せましょう』

ピピッ!

アーニャ『……後方から、連邦の艦隊が近付いてきています』

奈緒『シマトクの破砕で、連合の戦闘行動も停止している……後は、停戦信号が上がれば、ひとまずは終わり……か』

有香『……連合は、今後どうなるんでしょうか』

麗奈『廃棄コロニーをチューブ区画に落とそうとしたってだけで、国際問題としては最大限にヤバい話だけど……黙って開戦したのも連合だし、どうかしらね』

ピピッ! ピピッ!

輝子『……連合のケーレスから、停戦信号……上がったな』

有香『今後は、連合は辛い立場になるのでしょうか。それなら、過去のように国際連合に戻ってしまえば……』

ピピピッ!

泉『そう上手い話しになれば、お互いに苦労はしないわ』

楓『私たちじゃあ分かりようがないですからね。停戦条約、どうなるんでしょうね』

大石泉      持田亜里沙  木場真奈美
早坂美玲     池袋晶葉   高垣楓

……
…………


アーニャ『……みくは、プロデューサーは……!?』

美優『それが……ヒューリーの反応が……』

アーニャ『そんな……!』

有香『プロデューサー……!』

麗奈『……ちひろの感覚が消えた。アイツら、やったみたいね』

奈緒『Pさん……』

――ピピッ、ピピッ、ピピッ、ピピッ!

美優『……ワイルドキャットからの、信号?』

泉『映像を……これは……みくに、P……!』

輝子『お、おお……!』

有香『プロデューサー……!? プロデューサー、無事なんですか!』

楓『よかった……どうやら、そうみたいです。ワイルドキャットが拾ったみたいで……でも、ワイルドキャットも満足に動けないみたいですね』

アーニャ『アーニャ……迎えに行きます!』ガションッ!

輝子『……た、頼んだ……こっちも、機体負荷が酷くて、動けないぜ』

有香『アーニャさん、お願いします』

アーニャ『はい!』

ドシュウウウウウウンッ!!


奈緒『よかった……』

麗奈『アンタ、行かなくていいの?』

奈緒『そう、だな……あのプロデューサーには、待っている人がいるみたいだから、な』

麗奈『そうね……アイツとみく、ちひろ相手によくやったわ』

奈緒『ちひろさん……』

……
…………

三船美優     速水奏    城ケ崎美嘉
宮本フレデリカ  塩見周子   千川ちひろ

……
…………

P「う……ワイルドキャット……? 停戦信号が飛んでいる・……俺は、助かったのか……」

ガコンッ!

みく「Pチャン!」

P「みく……」

みく「バカ!! バカ、バカ……みくに、何させるの・……!」グスッ、グスッ……

P「悪かった……撃たせて」

みく「Pチャンのこと、撃ちたくなんてないのに……バカ、バカ……バカ……もう、こんなことさせないでよ……」

P「ああ、俺は馬鹿だったな……だけど、約束は守った」

みく「え……」

P「これで、一緒に帰れるな。一緒に……」

みく「……うん」

ピピピッ! ピピピッ!

加蓮『お2人さん、通信来てるよ。勝手に出ちゃうよ?』ピッ!

みく「も、もー! 加蓮チャン、今大事な――」

アーニャ『プロデューサー! みく!』

P「アーニャ……」

みく「あーにゃん……! そっちも大丈夫だった?」

アーニャ『はい、みんな無事です……みくも、プロデューサーも……よかった……』

みく「にゃふふ、みくとPチャンが一緒なら無敵にゃ。あーにゃんたちも……みんな、無事でよかった」

アーニャ『今迎えに行きます! 待っていてくださいね!』

神谷奈緒   小関麗奈


……
…………


みく「あーにゃんたちも……よかった」

P「……なあ、みく」

みく「なーに? どこか、痛いところあるの?」

P「いや……帰ったら、何をしようか」

みく「何って……もちろん、アイドルに決まってるでしょ?」

P「そうだな……たまった仕事も、消化しないとな……」

みく「……でもね、やりたいこと、まだあるから」

P「なんだ?」

みく「……みくね、ずーっとPチャンと……一緒に……いたいから。キャットじゃなくても、みくが、みくのままで、ずっと、ずーっと」ギュッ……

P「みく……ああ、俺も――」

……
…………
………………
……………………

【エピローグ】

――1年後、木星圏、ナシヤマ、オオイシファクトリー(ガレージ)

泉「もう……またみくは勝手にパラメータ弄って……ウイング交換するからそのままにしてって言ったのに……」カタカタカタッ!

パシュンッ!

有香「お疲れ様です。ガレージの定期点検に来ました」

泉「あら……そういえば今週はこの時間だったかしら。お疲れ様」

輝子「さ、作業するから……ちょっとそこらへん、モービルも、片付けておいてくれ……」

泉「ごめんなさい、いま片付けるから……今日は2人が担当なのね」

有香「今日はバーニアのテストで午前は終わりですし、この定期点検が終わればあたしたちも上がりですから」

輝子「楽でいいぜ……」

泉「……結構時間が余ってるなら、カレッジのほうに入ってもよかったのに。アーニャは入校したけど」

有香「兵に志願して任務に出てからは勉学から離れたので、それもいいかと思いましたけど……その、やっぱりご迷惑を掛けたこともありますし」

輝子「お、表の仕事も回してくれたし……それだけでも、十分だ……」

泉「まあ、2人はアイドルもあるし勤務数減らしているけど……カレッジ、入りたくなったら言っていいわよ。私とみくはもう少しで卒業しちゃうけど」

有香「ここでお仕事をさせてもらえると、機体周りにも触れますし、何かあればオート・クレールに繋いでもらって池袋博士とも連絡が取れますからね。カレッジのお話は……そうですね、もう少ししたら考えさせてもらいます」

泉「……そういえば今日、みくが仕事あるって言ってたわね。2人が早上がりなのはそれもあるの?」

輝子「そうそう……今日は、ナシヤマのランドマークポイントのリニューアルキャンペーンがあるからな……」

有香「アーニャさんとみくさんも、準備はしていると思いますけど……」

……
…………

――オオイシ工業カレッジ(通路)

亜里沙「あっ、アーニャちゃんアーニャちゃん、待って待って!」タタタタッ!

アーニャ「アリサ? アー、何かありましたか?」

亜里沙「ごめんねー、今日お昼にみくちゃんのトコ行くってお話、してたわよね? ファクトリーの入場マニュアル、更新されたから渡しておいてほしくて」

アーニャ「アップデート、されていましたね。分かりました、みくは渡しておきます」

ウサコ『生徒は今さら紙のマニュアル渡されて大変そうウサ! 職員はデータで良いから楽でいいウサ!』

亜里沙「次の授業の時にマニュアルは返してねって言っておいてね? あと……はいこれ」ピッ!

ピピッ!

アーニャ「端末にデータ転送……これは?」ピッ!

亜里沙「ほら、NEX-USで更新されたナシヤマのランドマークポイント、モールも併設されたけど入場規制で入れなかったでしょ? 入場パスようやく取れたから、ありさせんせいと一緒に行かない? 明後日の午後からだけど」

亜里沙「アーニャちゃん、この前ここの話してたから行きたいのかなーって思って」

アーニャ(今日のお仕事先……)

アーニャ「……はい、それじゃあ、行きたいです。アーニャと、アリサだけですか?」

亜里沙「あ、そうそう。6人用パス当たっちゃったからまだ誰か声掛けようかなぁって思ってたけど、アーニャちゃん一緒に行きたい子いる?」

アーニャ「6人……えっと、それじゃあ……」

……
…………

――ナシヤマ、Pの家

みく「起きろー!!!!」

P「……」

みく「ぉぉぉおおおきろー!!!!!!」

P「……ハッ!?」ビクッ!

みく「Pチャン! 後1時間で準備しないと仕事間に合わないよ! 今日はI@LPの手続きあるから役所からNEX-US繋げるって言ったのPチャンでしょ!」

P「……今、何時」

みく「もう14時にゃ! 16時から仕事だって昨日から散々言ってたのもPチャンでしょ!」

P「……だったら、夜はもう少し……早く寝かせてくれ。体痛い」

みく「あっ……ばっ、ば・……ね、ネコチャンは夜行性だから仕方ないの!! 明るいうちから何言わすにゃ!!」フシャーッ!!

P「お前は人間だよ……ふぁ……荷物用意してるし、シャワー浴びるからちょっと待っててくれ」モゾモゾ

みく「もー……着替え置いとくから早くしてよ」

P「誰のせいだと思ってるんだ誰の……」

……
…………

――地球、日本、横浜市、オート・クレール本社(開発室)

加蓮『データ更新……チェック完了。秘匿階層の一部データの破棄、おしまい』

晶葉「ようやく片付いたな。開発が遅れていたからとはいえ、NEX-USに溜め込んでいた分もようやく終わったか」

奈緒「悪いな。あたしが文句言って吸い上げたデータ、使わないままにして」

晶葉「ま、いいんだがな。現物を見て模倣したのも、こちらとしてはかなり良いデータが取れたし。というか、靴もそうだが外部技術の貯蔵なんて怖くてずっと抱えてられん。というか、抱えてたから連合にすっぱ抜かれたしな」

奈緒「靴持ったままでよく言うよ……そういえば、麗奈は?」

晶葉「新型乗り出しに行くと格納庫に行ったよ。お前用に作ったんだがな……」

奈緒「まあ、あたしより麗奈のほうが操縦上手いし」

加蓮『そういえば2人とも、吸い出しデータは破棄したけど現物はどうするの?』

奈緒「ん、そうだな……どうしようか」

晶葉「まだ使うだろう? さすがに今破棄したらお前が困るだろ」カタカタカタッ!

ピピッ!

奈緒「まあ、システムが直ればいいんだけどな……」

晶葉「いつか完成させてみせるさ。技術的にも進歩はしている。私に出来て、私に出来ないはずはない」カタッ……


『Next』
『Gleipnir』
『Format』
『3rd』
『Numbers』
『eXtension』


ピピッ!

加蓮『あ、時間だ。奈緒、そろそろ準備しなくていいの?』

奈緒「ん? あ、もうこんな時間か……悪い晶葉、ちょっと出て行くよ」

晶葉「仕事か?」

奈緒「ナシヤマのNEX-USで仕事。キャンペーンガールの仕事だけど、ステージもやるってさ」

晶葉「……楽しそうだな」

奈緒「そうか? そりゃあ、アイドルなんだし……戦ってるよりは楽しいさ。ナシヤマにいる皆とも会えるし」

晶葉「それもそうか。しっかりやってこいよ」

奈緒「ああ、行ってきます」

……
…………

――NEX-US(事務所ルーム)


「お、そろそろ時間か。それじゃお前たち、しっかりやってこいよ」


「はい、それでは行ってきます」


「ま……う、上手くやってくる……」


「今回はあたしたちも時間あって、結構リハやったろ? 練習通りやれば大丈夫だ」


「ダー、そうですね。いつも通り、みんなで頑張りましょう」


「やってやるにゃー! みんな、行こいこっ!」


「……よし、俺はとりあえずウインドウ開いてみんなの動きでもチェックして――」



「ねえ、Pチャン」


「ん、どうした? 何か忘れていたことでもあったか?」


「ううん、そうじゃないんだけど……」


「なんだ? ほら、みんなも待ってるぞ」


「……ちゃんと、見ててね。これからも……ずっと」


「ああ、ちゃんと見ているよ。ずっと、ずっと」


「……うん! それじゃあ、行ってくるにゃ!!」



……
…………
………………
……………………

【【安価】NEX-USの世界でアイドルたちが戦うようです】

                 完


                to be......


            ――――――――
              ――――
                ――

おしまい

今回は『みくルート』『死亡者0人』の結果でした。
ルート入りの判定”だけ”はクッソ早い段階で決まっていました。
安価に付き合ってくださった方々、ありがとうございました。

HTML化依頼出して終了


いつか他ルートも見たい

>>417
これ終わったから言うんですが今回クッソ面倒な作り方して自分でも物凄く後悔しながら組み立ててたんですよね
前までやってたのと違って、これは5周してようやく1本の話って作り方にしてしまったせいで

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom