アーニャ「日本の事、たくさん学びます」 (86)

アーニャ「私は、日本に来て2年程経ちます」

美波「結構経つのね…。もう日本には慣れたかしら?」

アーニャ「日本は、とても住みやすいです」

美波「良かったあ。もしかしたら慣れなくて胃が重たくなってるんじゃないかって…」

アーニャ「ご飯はまだ、食べてない、です」

美波「あ…その、ストレス…フラストレーション?」

アーニャ「アー…大丈夫、です」

美波「そう…。でも何かあったら相談してね!」

アーニャ「はい。美波、あの…」

美波「早速!?」

アーニャ「日本の文化、まだまだ知りません」

美波「あー…そうね。アーニャちゃんは日本ではアイドル活動が主だから、日本の勉強はどうしても…」

アーニャ「北海道には少しの間、いました」

美波「そうだったの?北海道では何か学んだ事あった?」

アーニャ「北海道では、昔、サイコロを振って旅行する遊びが、あったそうです」

美波「へ、へ~。旅行に…」

アーニャ「サイコロを振って、出た番号の場所に行きます。元の場所に帰るまで」

美波「そんなのが一般に!?」


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アーニャ「どうしたら、もっと、日本の勉強、出来ますか?」

美波「そうね…ここは色んな所からアイドル達が来てるから、聞いてみるのはどうかな?」

アーニャ「分かりました。聞いて、みます」

アーニャ「広場は、色んな人達がいます。此処で聞いてみます」

「…!…!」

アーニャ「あそこで紫のスーツを着た男の人と、話してる人…」

巴「じゃけえ、何でいちいち迎えに来るんじゃ!いらんゆーとるやろ!!?」

ヤ「しかし、おやっさんの命令でして…」

巴「ほんでわざわざ広島から寄越したっちゅうんかい…。あのオヤジも心配性じゃのう…」

ヤ「ご安心下さい。お嬢の身は私が命をかけてお守りします」

巴「…じゃけえお前のせいでウチに誰も近づかん」

ヤ「…お嬢の外面しか見ていない証拠です」

巴「ウチの事を思うんじゃったら……あ?」

アーニャ「こんにちは。……トモエ、ですか?」

巴「なんじゃ?…ああ、あのカタギとは思えんプロデューサーの…アナスタシアじゃったか?」

ヤ「失礼ですが、何用で?」

巴「お前は黙っとけ」

ヤ「失礼しました…」

アーニャ「私、日本の事、まだよく分かりません。だから、色んな人に聞いてます」

巴「アバウトじゃのう…図書館にでも行った方がええんと違うか?」

アーニャ「でも、人に聞いた方が早いと、美波、言ってました」

巴「ほー…で、何でウチなんじゃ?」

アーニャ「広場で、一番初めに見ました」 ・

巴「…多分こいつのせいじゃ」

ヤ「…」

アーニャ「そちらの方は、あなたのプロデューサー、ですか?」

巴「紫のスーツ着てくるプロデューサーなんぞおってたまるか」

ヤ「…私は巴お嬢のボディーガードです」

アーニャ「ボディーガード?巴、誰かに狙われてるですか?」

巴「狙われてへんわ。まあ確かにウチのオヤジに恨み持っとる奴はおるかもしらんが、ここは東京じゃけ」

アーニャ「巴、喋り方が面白いです」

巴「…悪気が無いのは分かっちょるが、腹立つのう…」

ヤ「お嬢、ここは私に…」

巴「アホ。女子供じゃ。…ウチの喋り方がおかしいんは、方言だからじゃ」

アーニャ「ホーゲン?」

巴「…あー…お前の国がどこかは知らんが、同じ国なのに喋り方が違ったり、何言うとるか分からん奴、おらんかったか?」

アーニャ「はい。ロシアは広いですから、言葉の違い、たくさんあります」

巴「そういう事じゃ。日本でもたくさんある」

アーニャ「巴は、何処ですか?」

巴「広島じゃ、ウチのは広島弁言うんじゃ」

アーニャ「広島便ですか」

巴「…何を想像しとるんじゃ。べんってのは弁当のべんじゃ」

アーニャ「広島弁当?」

巴「ちゃうわ。その…地方、…んー…その街だけでの喋り方には、〜弁と言うんじゃ」

アーニャ「新しい事、覚えました」

巴「ほーか…まあ、ウチも用事あるけぇ、またな」

アーニャ「ありがとうございました。紫のスーツの人も」

ヤ「…」ペコ

アーニャ「美波。日本の事、少し覚えました」

美波「ホント?良かったね!どんな事覚えたの?」

アーニャ「広島の人は、おじいさんとおばあさんが多いらしいです」

美波「……多分、違うと思う…」

アーニャ「…」

『今年最大に泣ける映画!』

アーニャ「…」

『今世紀最大笑える映画!』

アーニャ「…」

『この映画を超えるホラーは無い!』

アーニャ「…」

アーニャ「日本の映画は、凄いです」

みく「藪から棒になんだにゃ…」

アーニャ「日本の映画は、どのジャンルでも一番だと、CMで見ました」

みく「映画の宣伝にゃ?そんなのただの宣伝の常套句にゃ」

アーニャ「ジョウトウク?」

みく「んー…と、例えば…新人アイドルがいたとするにゃ」

アーニャ「はい」

みく「売り込む為には宣伝が必要だにゃ?」

アーニャ「はい」

みく「だけど「このアイドルは人並みに歌えて、人並みに踊れます」なんて宣伝されても誰も魅力を感じないにゃ」

アーニャ「アー、何となく、分かりました」

みく「まあそういう事にゃ」

アーニャ「また一つ、日本語覚えました」

みく「良かったにゃ」




アーニャ「美波、私達はとても凄いアイドルです」

美波「今度は何があったの…?」

アーニャ「間違えて覚える所でした。次からは気をつけます」

アーニャ「日本…そういえば、紗枝は京都の人、でした。色んな事、知ってる筈です」

菜々「いらっしゃいませー!ご注文は何にしますか?」

紗枝「ほなウチは緑茶を下さい」

アーニャ「同じのを、下さい」

菜々「…?はい!かしこまりました!」

紗枝「アーニャはん、どうしたんですのん?いきなり京都の事を教えてほしいだなんて…」

アーニャ「京都は昔、日本の首都だったと聞いてます」

紗枝「そうどすなあ。東京は何で東京と言うか分かります?」

アーニャ「?」

紗枝「東の京。言うなれば東の京都ですわ」

アーニャ「おー…」

紗枝「と言ってもウチはまだまだ子供ですわ。ウチに聞いても分からんものは分かりませんえ?」

アーニャ「紗枝の言葉は、京都、弁…ですか?」

紗枝「そうどすなあ。ウチは結構キツいらしいどす。自覚は無いんやけども…」

菜々「お待たせしましたー!緑茶です!」

アーニャ「グリーン・ティーですね」

紗枝「緑茶どすえ」

アーニャ「いただきます」

紗枝「アーニャはん。間違ってはないと思うんやけど、お茶一杯飲むのに両手合わせていただきますは大袈裟と違います?」

アーニャ「でも、北海道にいた時はこうしなさいと言われました」

紗枝「なるほどなあ…」

アーニャ「…」

紗枝「…」

アーニャ「…なんだか、ホッとします」

紗枝「ええどすなあ…」

アーニャ「京都には、映画村、あると聞きました」

紗枝「映画村?ありますえ。撮影で使たり、イベントの開催地になったり…」

アーニャ「サムライはいますか?」

紗枝「そうどすなあ…。流石に本物はいまへんけど…」

アーニャ「日本のスポーツの人達は、サムライだと聞きました」

紗枝「それは外見やなくて、中身とちゃいます?」

アーニャ「サムライと人間は中身が違いますか?」

紗枝「ちゃいます。体の構造やなくて、こう…心どすな。大和魂っちゅうもんがあるんどす」

アーニャ「ヤマト…」

紗枝「宇宙戦艦ちゃいますえ」

アーニャ「また一つ、覚えました」

美波「そうなの?良かったね!…で、何を覚えたの?」

アーニャ「日本の野球選手は、みんな戦艦のパイロットなのですね」

アーニャ「アーニャちゃん!?」

武内P「…渋滞ですね」

美波「早目に出て正解でしたね…」

武内P「安心して下さい。時間までには間に合います」

アーニャ「…」

アーニャ「日本の人は、どうして時間に厳しいですか?」

美波「え?」

アーニャ「ロシアでは、時間通りという方が珍しいです。少し遅れても怒られません」

美波「ダメよ。お客さんやスタッフさんを待たせる事になるでしょ?」

アーニャ「ダメですか?」

美波「郷に入れば郷に従え。その国で暮らしてるうちはその国のルールに従わなきゃダメなの」

アーニャ「分かりました。また一つ新しい日本語覚えました」

美波「ふふっ」

アーニャ「ゴーとは国の事なのですね」

武内P、美波「…」

武内P「お疲れ様でした」

美波「はい!」

アーニャ「はい」

留美「お疲れ様。プロデューサーも」

武内P「和久井さん、本日はありがとうございました」

美波、アーニャ「ありがとうございました」

留美「またそんなかしこまって…堅すぎじゃないかしら?」

武内P「仕事、ですから」

留美「社会人としては、若者の見本になるような人なのにねえ…」

アーニャ「留美…さん?」

留美「あら、どうしたの?」

アーニャ「どうして仕事場に、あんなに早く、来ていたですか?」

留美「?仕事だからよ?」

アーニャ「10時なのに、7時30分には来ていたと、聞きました」

留美「そうねえ。まずメイクしなきゃいけないし、挨拶回りもしなきゃいけないし、それと、何があるか分からないでしょ?」

アーニャ「プロデューサーも、朝早くに出ると、言いました」

留美「そうね。例えば渋滞とかかしら?…遅れるより、早く着いて皆を待つ方がマシでしょ?」

アーニャ「それだと、ストレスに、なりませんか」

留美「慣れってものよ」

アーニャ「日本の人、凄いです」

留美「ふふっ…プロデューサー、アナスタシアちゃんは素直で良い子ね」

武内P「…ええ。本当に」

翌日

アーニャ「…」

ちひろ「あら、アーニャちゃん?…こんな早くに、どうしました?」

アーニャ「仕事です」

ちひろ「…まだ事務所開けてませんよ?」

アーニャ「それは、ダメです」

ちひろ「ええ…?」

杏「べっこう飴…」

かな子「スーパーに売ってたの!懐かしくって…」

杏「歯につくんだよなあ…」

かな子「でも食べるんだね…」

アーニャ「これも飴、なんですね」

かな子「そうだよ。甘くてすっごく美味しいの!」

アーニャ「ホー…」

かな子「アーニャちゃんもどうぞ?」

アーニャ「いただきます」

かな子「(両手で手を合わせてる…)」

アーニャ「金色…これは高価なのですか?」

かな子「そんな事ないよー」

アーニャ「………甘いです」

かな子「アーニャちゃんって、甘い物苦手だったっけ?」

アーニャ「そんな事はないです。とっても美味しいです」

杏「(英語の教科書の例題文みたいな日本語だなあ)」

アーニャ「…固いです」

かな子「噛んじゃダメだよ?固すぎて歯が欠けちゃう事もあるんだから」

アーニャ「それは、怖いです」

杏「意外とイケるよ」ボリボリ

かな子「ダメだってばあ!」

アーニャ「今日はかな子から飴を貰いました」

美波「あのべっこう飴の事?」

アーニャ「そういえば、何故べっこう飴と呼ぶのですか?」

美波「亀の甲羅に似てるの。だから鼈甲、鼈甲飴って呼ばれるんだよ」

アーニャ「オー…」

アーニャ「日本の亀は、凄いです」

みく「今度は亀ぇ?」

アーニャ「かな子から、べっこう飴貰いました」

みく「べっこう飴かあ…甘過ぎるにゃ」

アーニャ「やはり日本の亀は凄いです」

みく「…いや、言わなくて良いにゃ。何となく分かr」

アーニャ「べっこう飴は、亀から作られるのですね」

みく「ほらー…」

凛「…あ」

アーニャ「凛、おはようございます」

凛「うん。おはよう。…珍しいね、こんな朝早く」

アーニャ「早起きを心掛けるようにしたら、習慣になりました」

凛「…流石に朝の5時に事務所で待ってるのは無いと思うかなあ…」

アーニャ「凛、犬飼ってるですか?」

凛「そうだよ。ハナコって言うんだ」

アーニャ「ハナコ…。とても日本らしい名前です」

凛「あはは…まあね…」

アーニャ「日本の犬と言えば、ハチケンチュウコウです」

凛「忠犬ハチ公ね」

アーニャ「小さくて可愛らしいです」

凛「それでももう大人なんだけどね」

アーニャ「私も、飼ってみたいです」

凛「…んー…何か、アーニャは犬ってよりは、猫…かな?」

アーニャ「猫ですか?」

凛「猫を自由気ままに遊ばせてそうなイメージなんだよね」

アーニャ「ホーニン主義というものですか」

凛「まあ、うん。…あ、何かゴメンね…」

アーニャ「いえ、謝る事ではないです。私、確かにそうかもしれません」

凛「芸とかは身につけさせないの?」

アーニャ「どうでしょうか。分かりません」

アーニャ「私が犬を飼うとしたら、どうなりますか」

凛「…多分シベリアンハスキーとかにしそう」

アーニャ「アー…それは違います」

凛「…安置すぎかな?…何にするの?」

アーニャ「柴犬か、秋田犬か、土佐犬か…」

凛「日本の犬だね…やっぱり好きなの?」

アーニャ「とっても、優しそうです」

凛「(土佐犬が?)…そ、そっか…」

アーニャ「日本の人、どうして犬に服着せるですか?」

凛「あ、これ?…可愛いかなって…」

アーニャ「でも、窮屈で暑そうです」

凛「そうかなあ…」

アーニャ「どうして、手袋までしてるですか?」

凛「何となく、地面に落ちてるガラス片踏まないようにとか…」

アーニャ「なるほど…」

凛「…大事な存在だから、どうしても可愛がっちゃうよね」

みく「…で、これは?」

アーニャ「みくは、私にとって、大事な存在です」

みく「今夏でしょ。手袋も腹巻もいらないにゃ」

アーニャ「凛言ってました。ハナコは大事な存在だからいくらでも可愛がると」

前川「ウチをペット扱いすなや!!」

李衣菜「食べてよ!」

みく「嫌にゃ!」

李衣菜「食べてよ!」

みく「嫌にゃ!」

李衣菜「むー…」

みく「むー…」

李衣菜「食べてよ!」

みく「嫌にゃ!」

未央「今度はどーしたの?」

みく「李衣菜ちゃんったら酷いにゃ!魚嫌いって言ってるのにみくにお魚食べさせようとするにゃ!」

未央「あれ?一緒に住んでたのって一日二日くらいじゃなかった?」

李衣菜「あれからたまに行く事にしたんだ。みくの魚嫌いを克服させたくて」

未央「猫キャラなのに?」

みく「猫は雑食にゃ!そんなの人間共の固定観念にゃ!」

未央「みくも人間じゃん」

みく「むー…」

アーニャ「どうしたですか?」

未央「みく、魚が嫌いなんだってさ」

アーニャ「魚、美味しいです」

李衣菜「だよね!私さ、カレイの煮付け得意料理なんだ!」

アーニャ「オー…和食、ですね」

みく「魚なんて食べられないにゃ!」

李衣菜「好き嫌い言わないの!」

みく「フシャー!」

アーニャ「…」

未央「アーニャ、どうしたの?」

アーニャ「和食、美味しいです」

未央「あー…」

アーニャ「食堂で和食が出る日は、嬉しいです」

未央「…」

李衣菜「…」

みく「…」

アーニャ「…」

李衣菜「…今度、作ってあげよっか?」

アーニャ「いただきます」

李衣菜「お邪魔しまーす…へー…」

蘭子「終の旋律を奏でようとする者よ、どうした?」

李衣菜「意外と、蘭子ちゃんの部屋って…ピンクい」

蘭子「ふぇっ」

アーニャ「まだ小梅と輝子は仕事、ですか?」

蘭子「…束の間の安息へと向かった…」

李衣菜「…あれは何て言ってるの?」

アーニャ「何処かで食べてくるそうです」

李衣菜「あ、そう…」

李衣菜「〜♪」

アーニャ「…」

李衣菜「〜♪」

アーニャ「…」

李衣菜「…」

アーニャ「…」

李衣菜「アーニャちゃんごめん。見られてると…作り辛い」

アーニャ「お腹、空きました」

李衣菜「わ、分かったからそんな鍋覗き込まないで…」

アーニャ「いただきます」

蘭子「いただきます」

李衣菜「いただきます」

アーニャ「…」パク



アーニャ「!」

アーニャ「(カレイ、中まで火が通って、とてもホクホクしてて、クリーミーな噛み応え…)」

アーニャ「(味は醤油ベース。少し濃いめでしょうか)」

アーニャ「(カレイの身に醤油が染みていてじんわりと口の中に広がります)」

アーニャ「(ご飯は…これ、良いです。ご飯と、とても合います)」

アーニャ「(あ…これは…卵、でしょうか?)」

アーニャ「(とても、プチプチしてて、良い弾力)」

アーニャ「(でもちょっと口の中の水分を持っていかれます…それを、このスープで…)」

アーニャ「(カレイに反して、こちらは薄味。箸休めという奴でしょうか。とても合ってます)」

アーニャ「(…お茶。落ち着きます)」

李衣菜「アーニャちゃん…どうだった?」

アーニャ「美味しいです」

みく「昨日はどうだったにゃ?」

李衣菜「アーニャちゃんったら、ご飯2杯くらいおかわりしちゃってたよ」

みく「ロシアの人は、魚が主流なのかにゃ?」

李衣菜「さあ。でもあんな骨しか残さないくらい食べてくれたから、最高に嬉しかったよ!」

みく「むー…」

未央「あれー?みくにゃん嫉妬してる?」

みく「そんなことないにゃ!!」

未央「これを機に魚嫌いを克服しようか!」

みく「嫌にゃー!」

李衣菜「…えへ」



アーニャ「…明日は、浅草です」

美波「え?何の話?」

『本日、千葉県では一般の方々による打ち水がおこなわれています! 』

アーニャ「…」

『ご覧ください!子供達も一斉に打ち水をしてますねー!』

アーニャ「…」

アーニャ「打ち水とは、何ですか?」

武内P「打ち水とは、暑い日に熱せられたコンクリートなどに水をかけ冷やし、気温を少しでも下げようとするものです」

アーニャ「それは、おかしいです」

武内P「…何故でしょうか?」

アーニャ「焼け石に水、という言葉、あります」

武内P「あれは少量の水を指しますね。何十人も集まれば、少量ではないでしょう?」

アーニャ「何故、ホースを使わないのですか?」

武内P「節水のためです。それと打ち水とは一種のイベントのようなものですから」

アーニャ「事務所も、少し暑いです」

武内P「…それは許可出来ません」

アーニャ「節水というのに、どうして日本の人は、毎日お風呂に入るですか?」

美波「え?」

アーニャ「ロシアでは、体を拭いて終わりという事は珍しくないです」

美波「でもアーニャちゃん、日本に来てから毎日お風呂に入るようになったでしょ?」

アーニャ「蘭子、入らないとダメと言ってました」

美波「北海道の時は違ったんだね…」

莉嘉「プロデューサー!暑いー!」

武内P「申し訳ありません…。エアコンが治るまでの辛抱です」

アーニャ「…」

武内P「ですからアナスタシアさん、事務所での打ち水は許可出来ません…」

アーニャ「…こんな時は、どうしたら…」

卯月「ただいま戻りましたー!…あれ?アーニャちゃん?」

アーニャ「はい?」

卯月「…それは?」

アーニャ「私物です」

卯月「え、あ、うん…私物、だね」

アーニャ「卯月も、どうですか?」

卯月「…ちなみに、それって誰に教わったの?」

アーニャ「日本の漫画で、たくさん見ます」

卯月「(タライに水張って足つけて団扇扇いでる…)」

今更訂正
>>15アーニャ「アーニャちゃん!?」×
美波「アーニャちゃん!?」○

すまねえ

ちひろ「…」カタカタ

武内P「…」カタカタ

アーニャ「…」チラ

時計『12:30』

アーニャ「…」

武内P「…」カタカタ

ちひろ「…」カタカタ

アーニャ「…」チラ

莉嘉「あーん!これ難しいよー!」

杏「はははー。子供には出来まい」

みりあ「莉嘉ちゃん!次は私ね!」

李衣菜「え!?ボタン押したじゃん!」

杏「反応が遅いのだよ」

アーニャ「…」

アーニャ「日本の人、働き過ぎです」

美波「?」

アーニャ「プロデューサーも、ちひろも、お昼なのに働いていました」

美波「…それもそうね。でもそうでもなければ出来ない仕事とかがあるのかも…」

アーニャ「それでは、疲れてしまいます」

美波「そうね…正直、大丈夫かなって思うわ」

アーニャ「プロデューサーは、いつも誰かと電話して、ご飯、食べながら仕事しています」

美波「プロデューサーさん、そんなに身を切らして…」

美波「プロデューサーさんも、ちひろさんも大丈夫ですか?」

武内P「は、はあ…」

ちひろ「大丈夫と、言われても…」

美波「全然休憩してないって、みんな言ってますよ」

武内P「ご安心下さい。空いた時間で休憩しておりますので…」

ちひろ「私は休憩時間をずらしてるだけですし…」

武内P「えっ」

ちひろ「えっ?」

美波「空いた時間って…プロデューサーさんいつも誰かと電話してるって…」

武内P「大丈夫です。ですからどうかお気になさらずに…」

美波「アーニャちゃん。とっても心配してます」

武内P「…」

美波「ですからたまには、ご自分の体を気遣ってあげて下さい」

武内P「…検討しておきます」

美波「検討じゃなくて、約束して下さい」

武内P「……分かりました。お心遣い、ありがとうございます」

凛「…確かにプロデューサーが休んでる所なんてみた事ないね」

卯月「私が風邪を引いた時もすぐに駆けつけてくれて…」

凛「え?」

未央「え?」

卯月「はい?」

未央「家に来たの?」

卯月「あの、風邪を引いた時に…」

未央「あー…そっか。うん。私の所にも何度も何度も来てくれたし…」

凛「え?」

未央「ん?」

卯月「ええ…?」

凛「そういえば私を勧誘してきた時も私に着いてきたり私の家に来たり私と一緒にご飯食べに行ったり…」

未央「ん?」

凛「ん?」

卯月「ええと…プロデューサーさんって、じゃあいつ休んでるんでしょう?」

アーニャ「休日はあるのでしょうか」

卯月「どうだろ…」

未央「家にある服全部スーツだったりして…」

凛「…だとしたら、いつか倒れるんじゃない?」

アーニャ「それは、ダメです」

未央「んー…あ!良い考えがあるよ!」

部長「ほう…彼に休日ねえ…」

凛「有給とか、無いんですか?」

部長「確かに彼は一度も休んだ事が無いからねえ…何処かで使うべきとは思ってたよ」

アーニャ「とっても、心配です」

部長「ありがとう。きっと彼が聞いたら喜んでくれるよ。…そうだねえ。休めと言って休んでくれる人間ではないからねえ…」

武内P「?」

ちひろ「今週の土曜日は、事務所点検の為お休みです」

武内P「…ありましたか?」

ちひろ「すいません。昨日決まったらしくて…」

武内P「はあ…でしたら営業の方に…」

ちひろ「休みです」

武内P「え、ええ。ですから外回りに…」

ちひろ「や・す・み・で・す」

武内P「は、はあ…」

アーニャ「…どうでしたか?」

ちひろ「一応了解したみたいですが…」

凛「怪しんでるっぽいね…」

未央「絶対事務所来そうだね…」

ちひろ「プロデューサーさんは一応ここの責任者でもありますからね。自分に断りが無い時点で怪しみます」

卯月「もし嘘ってバレたら…」

ちひろ「怒る事は絶対にありませんよ。…まあ真面目なプロデューサーさんの事ですから、注意はされるかもしれませんが…」

アーニャ「…」

土曜

武内P「…」

346プロ「やっとるで」

武内P「…事務所の方は…?」

未央「あー!プロデューサー!奇遇だねー!」

武内P「本田さん。…それに皆さんも、おはようございます」

美波「今日は事務所がお休みと聞きましたので、何処かへ出掛けようかなと…」

武内P「…そう、でしたか…」

卯月「プロデューサーさん。お休みなのにスーツなんですか?」

武内P「何かあった時の為に…」

アーニャ「今日は、何もありません」

武内P「は、はあ…」

未央「プロデューサー!暇でしょ!どっか行こうよ!」

武内P「…いえ。大丈夫です。お休みという事でしたら…」

凛「どこか行くの?」

武内P「え、ええ…家に帰ろうかと…」

未央「えー?」

アーニャ「未央、わがままは、ダメです」

未央「ぶー…。じゃあ、ゆっくり休んでね!プロデューサー!」

武内P「ええ。お疲れ様でした」

未央「いやー、しかし危なかったね!普通にバレるとこだったよ!」

卯月「でもこれでプロデューサーさんもゆっくり出来ますね!」

美波「…」

アーニャ「今日は、新しい事覚えました」

凛「何?」

アーニャ「日本の人、とても思いやりがあります」

凛「…ふふっ」

未央「えへへー」

美波「…」

アーニャ「…美波、先程からどうしましたか?」

美波「うーん…バレるというか、何というか…」

凛「…?」

美波「給与明細見たら有給使われてるのバレるよね」

未央「あ」


武内P「アナスタシアさん、新田さん。今回はこの方と一緒に司会をして頂きます」

美波「はい。…この人…何処かで?」

アーニャ「アー…ええと…」

武内P「本日はよろしくお願いします。向井さん」

拓海「…何でアタシがこんな仕事…」

武内P「…とても立派なお仕事だと、思います」

拓海「…いや、アタシには似合わねーって!これ!」

アーニャ「拓海、似合ってます」

拓海「うるせえよ!何でこんなフリフリのエプロンなんだ!!」

武内P「本日は料理番組ですので…」

拓海「それは知ってるけどよ…こんな衣装聞いてねえよ」

美波「頑張りましょう!拓海ちゃん!」

拓海「ちゃん言うな!!」

アーニャ「拓海のバッグ、何て書いてあるですか?」

拓海「ん?これはな、アイドルって書いてあんだよ」

アーニャ「アイドル…。こんな漢字だったのですね」

拓海「んー…いや、これは当て字ってやつでさ…」

アーニャ「アテジ?」

美波「アーニャちゃん。当て字っていうのはね、読み方が同じな物を外国語にはめたものの事よ」

アーニャ「それは、日本語のルールですか?」

拓海「ちげーよ。その、何つーか…カッコいい………から…」

アーニャ「オー…亞威怒流……カッコ……いい…と思います」

拓海「お前今ちょっと笑ったろ」

拓海「こんばんはー!向井 拓海です!今日は特別お料理番組、『たくみんお姉さんのスイーツ教室』でーす!」

美波「アシスタントの新田 美波です!」

アーニャ「Добрый вечер…アナスタシア、です」

拓海「今日作るのは〜…チョコムースでーす!」

ラブライカ「わー」パチパチ

拓海「…で、チョコがこれくらいになるまで溶けたら…」

アーニャ「…美波」

美波「…何?」

アーニャ「拓海、凄い、器用です…」

美波「どうかしたの…?」

アーニャ「顔が、半分笑って半分怒ってます…」

美波「あれはね、引きつってるって言うんだよ…」

美波「拓海ちゃん。お疲れ様でした」

拓海「ん、おう」

アーニャ「…拓海」

拓海「…何だよ?」

アーニャ「私も、当て字書いてみました」

拓海「…お、おお…で、どれ?」

アーニャ「これです」ピラ

拓海「…あれって…」

美波「…携帯で予測変換したら出てきたんだって…」

拓海「…」

美波「…」

アーニャ「…」

『安仁屋』

アーニャ「当て字です」

拓海「それ当て字じゃないからな」

美波「アーニャちゃん。あれからどう?」

アーニャ「…?」

美波「ほら、日本の事をって…」

アーニャ「はい。たくさん学びました」

美波「日本に対する意識も変わったかしら?」

アーニャ「変わっては、いません。ただ、日本の人、とても…」

美波「とても?」

アーニャ「…アー…雑誌の、マネをしています」

美波「(影響を受け易いって言いたいのかしら?)」

アーニャ「街に出ると、みんな同じ格好です。同じ髪型と、髪の色してます」

美波「うーん…そうなの、かなあ?」

アーニャ「自分を持つ事は、大事です。オリジナリティ、です」

美波「そうね…オンリーワンって言葉もあるしね…」

ちひろ「今日は採用面接がありますね…」

武内P「ええ。私も面接官として参加させて頂きます」

ちひろ「今回かなり倍率が高いらしいですよ。きっと優秀な子達ばかりです!」

未央「なになに?新人アイドル?」

武内P「いえ、職員の方ですね」

未央「えー!?見たい見たい!」

武内P「残念ながらそういうわけにはいきませんので…」

凛「あ、もしかして今日事務所に来る時にフロアにいた人達?」

武内P「ええ。三人程募集をかけた所、30人程集まりまして…」

未央「すっごーい!」

卯月「あ、あの…プロデューサーさんってもしかして凄い人なんですか?」

武内P「い、いえ、そんな事は…」

アーニャ「…」

アーニャ「おかしいです」

武内P「どうかされましたか?」

アーニャ「面接とは、個性を出すものだと思います」

武内P「ええ。個性は大事ですね」

アーニャ「なのに何故日本の人達は、みんなスーツで来るですか?」

武内P「?」

アーニャ「それは個性、ありません」

武内P「…そうですね。しかし、個性の前に、面接で見るのは社会人としての常識があるかないか、です」

アーニャ「?」

武内P「会社の面接と言うのはあくまで『その人間が会社にとって利益を出す人間かどうか』を見極めるものです。その為にはスーツくらいは着てこなければなりません」

アーニャ「オー…」

武内P「社会人としてのルールを守ること、それが出来ないものにアイドルの皆さんを任せる事は、許可出来ません」

アーニャ「プロデューサー…」

武内P「厳しく聞こえるかもしれません。ですがそこまで難しくはないはずです。それに個性を出すのであれば、服以外にもあると思います」

アーニャ「…」




アーニャ「緑のスーツは、ダメですか?」

武内P「許可出来m……いえ、何でもありません」

部長「おやアナスタシア君」

アーニャ「こんにちは、です」

部長「新田君から聞いたよ。日本の事を勉強中だと」

アーニャ「はい。毎日色んな事、教えてもらってます」

部長「…では、アナスタシア君に私から一言。『日々是精進』!」

アーニャ「ヒビコレショージン?」

部長「イントネーションがおかしいけれど、これの意味は『毎日が勉強』という意味だよ」

アーニャ「でも、勉強する事が無くなったら、どうしますか?」

部長「そんな事はないよ。知識や技術に完璧などというものはない。常に探求し、努力し、新しい事を見つけていくんだ」

アーニャ「オー…」

部長「どんな事でもいい。それにアナスタシア君はまだまだ若い。覚える事は沢山あるだろう。…これからの君達の人生、楽しみだよ」

アーニャ「ありがとうございます。また一つ、覚えました」

部長「その意気だよ。けど無理してもいかんからね」

アーニャ「はい」

美波「アーニャちゃん。これは?」

アーニャ「日本語の、勉強です」

美波「アーニャちゃん、大分喋れるのに?」

アーニャ「いえ、まだ分からない事ばかりです。分からないものを、分からないままにする事、ダメです」

美波「アーニャちゃん…」

アーニャ「美波。これを」

美波「……え?」

アーニャ「ロシア語の本です」

美波「あ、アーニャ、ちゃん?」

アーニャ「一緒に、勉強です」

美波「ええ…?う、うん。分かったからそんな悲しい顔しないで…」

美波「それにしても…」チラ

李衣菜「うう…難しいよう…分からないよう…」

夏樹「あー…だからこのコードは…」

みく「にゃあ…にゃんで猫の生態全部覚えなきゃいけないのにゃ…」

杏「杏は飴が欲しいだけなんだよう…飴の作り方なんてどうでもいいんだよう…」

卯月「何で私達だけ問題集…」

未央「悪夢じゃあ…」

凛「…」

未央「凛?」

凛「……何で経営学?」


美波「アーニャちゃん。あのー…」

アーニャ「みんなでやれば、辛くないです」

美波「…そうね…」

杏「…社会主義って怖い…」

楓「ふふっ…恐ロシア…」

終わりました

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