雪乃「私の右手に銃が握られているとして」 (5)

雪乃「誰にその銃口を向けるかしら」

雪乃「銃という殺傷能力の高さを見れば,誰にも向けるべきではないのは自明の理だけれど」

雪乃「極度の感情の高まりが,誰かに向けさせてしまうことはありえるわね」

由比ヶ浜「よくわかんないんだけど,憎い人に向けるってこと?」

雪乃「多くの場合はそうでしょう.それに加えて.銃は持ち主に過剰な征服感を与えてしまう.つまり,生殺与奪の権利ね.

そのとき,誰かを撃ちたいという欲求は強く表れるでしょうね」

八幡「なあ,こんなときに話すことか?」

雪乃「学校が武装勢力に占拠されてしまった今だからこそ,考える価値があるのだと思うのだけれど.的谷君」

由比ヶ浜「!!そうだ.誰かを撃たせて,その欲求を満たしてあげればいいんだね!」

八幡「こえーな.おまえら」

ここは,某学校.よくわからん武装勢力に占拠されてしまい,教室に取り残された奉仕部はピンチなのだ.

放送によると,生徒は体育館に集めるように指示されている....

八幡「やっぱり,体育館に向かった方がよくないか?多分先生たちもいるだろ」

雪乃「ばかね.パニック抑制と逃げられないために集められているのよ.飛んで火に入る夏の虫だわ」

由比ヶ浜「あたまいいなー」

八幡「でも俺らが見つかったら,アウトだろ」

雪乃「拘束されるか,悪くてその場で撃たれるわね」

由比ヶ浜「だめじゃん」

スピーカー「・・・・我々の要求が受け入れられない時は,一人ずつ死んでいくだろう!政府と警察の無能さを呪うがいい!」

雪乃「コホン」チラッ

八幡「よく考えたら雪ノ下って学校随一の才女なんだよな・・・俺も見習わねーとな」

由比ヶ浜「ゆきのんについていけば,安心だね!」

雪乃「そ,それほどでもにゃいのだけれど」

由比ヶ浜「それで何の話をしてたっけ?」

雪乃「比企谷君をハチの巣にする話よ」

八幡「やっぱアホだな」

雪乃「は?」

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八幡「よく考えろよ,相手は学校に恨みがあるわけじゃない.感情に左右されているわけでもない.入念に計画して,学校占拠を行ったんだ」

由比ヶ浜「!?」

雪ノ下「その根拠を聞きたいわね」

八幡「まず一つ,今は昼の十二時.学校から出入りする人間が一番少ない時間帯を狙って,武装勢力は一気に学校を制圧した」

雪ノ下「お腹が空いていたから,昼食を狙ったと思うのだけれど」

由比ヶ浜「それはカラスだよ」

雪ノ下「どっちも黒い恰好をしているわね,ふふっ」

由比ヶ浜(あ,なんか嬉しそう)

八幡「コミュ障の話を遮んな.心折れるだろ.二つ目,計600人以上いる生徒を,これまで大きな騒ぎを起こさず鎮圧し,体育館へ誘導した」

由比ヶ浜「私,ゆきのんとの会話に夢中で気づかなかった...」

雪ノ下「恥ずかしながら,私もそうね」

八幡「この学校の人間がゆるゆりしてるのを差し引いても,とにかく手際が良いのは確かだ」

八幡「最後,この学校で一番戦闘能力が高くて,機転の利く大人を味方につけた」

スピーカー「....結婚なんて制度を廃止させろばか!未婚女性のことをもっといたわれ!...」

雪乃「そういえば,一週間前から平塚先生の姿が見えないわね」

八幡「俺に来たメールを見ると,親から彼氏を見せろと言われつづけぶちきれたらしい」

由比ヶ浜「いやな,事件だったね」

八幡「こんなことになるならメールを返してやればよかった」

雪乃「監視カメラの位置もあらかじめ把握していたのでしょうね.構内にも詳しい,敵に回ると恐ろしいわね」

由比ヶ浜「あれ?」

八幡「どうした由比ヶ浜」

由比ヶ浜「先生が武装勢力の味方なんだよね」

雪ノ下「そうだけれど」

由比ヶ浜「私たちがいないことに,気づいていないのかな?」

八幡「」

雪ノ下「確かに彼女なら,生徒の人数も把握できる」

八幡「待て,そんな余裕があるかよ」

雪ノ下「あら,あなたが言ったことでしょう.相手は入念に計画を進めているって.そして,私達は彼女の担当する部活に所属している

記憶には残りやすいでしょうね」

由比ヶ浜「メール無視するし」

八幡「それはある」

そのとき廊下から,足音が聞こえてきた.固い金属がコンクリとぶつかり合う,聞きなれない音だ.

雪ノ下「比企谷君,男でしょう,的になりなさい.私たちを守ると思って」

八幡「男女平等参画社会には賛成してるんだよ,俺は」

由比ヶ浜「死にたくない,死んで」

八幡「直球すぎるだろ!おい押すな」

俺は二人に背中を押されて,教室からつんのめるように飛び出した.

葉山「おっと!」

目の前にいたのは,イケメンのクラスメイトとその背中に隠れるようにしてこちらを見つめる,一色だ.

そして一瞬後,葉山の正拳が顔面に突き刺さった.

いろは「やっはろー先輩たち,会えてうれしいです!」

由比ヶ浜「よかった~いろはちゃんたちも無事でよかった」

雪ノ下「サッカーシューズで廊下を歩くから,勘違いしたのだけれど」

葉山「本当にすまない,玄関は見張りが立っていてね,上履きに代える暇はなかったんだ」

八幡「お前ら,敵だ」

葉山「いや人相の悪い男が急に現れたから,つい手が」ハハハ

八幡(どうにかして,こいつらを武装勢力に引き渡せないか?)

葉山「いや,すまない.でも情報は持っているから,それで許してくれとは言わないが,溜飲を下げてくれ」

二人と合流してから,情報を共有した.

武装勢力のほとんどは,体育館に集結しており,構内の主な出入り口に数人立っているらしい,

葉山たちは昼休みに校庭で遊んでおり,異変を察知して行動してきたらしい.

ちなみに戸部たちは捕まったようだ,まじでどうでもいいな.うん.




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