ブシュゥゥゥッ!!
雪乃「由比ヶ浜さん、今の内に!」
結衣「……うん!」
タッタッタッ
翌日
八幡(さて、今日の3時間目は体育の授業。しかも今回はバドミントン……)
八幡(こういった対人競技ってのは大方、対戦相手がいなければ成立しない。しかもテニスと違って壁打ちもままならない。しかも屋内なのでキャッチャーフライにも限度がある、まさにぼっち泣かせな競技である)
八幡(……というかまた材木座のラノベ設定聞かなきゃならんのか。流石に未完の設定を聞くこっちの身にもなってもらいたいものだ。ってか設定よりも本文書けよ)
ガラッ
八幡(しかしまあ取り合えず後の展開を憂いていても始まらないか……って、あれ……?)
八幡「な、なぁ……葉山、今日は由比ヶ浜はどうしたか知ってるか?」
葉山「結衣なら今日は休むってメールがあったけど……それ以外は知らないな」
八幡「そ、そうか。あ、ありがとう」
八幡(クソッ……未だに談笑中のリア充達の会話を切って話しかけるのは慣れん)
三浦「てか、あーしさぁ思うんだけど結衣なんかおかしくない?メール短かったし理由聞いても返ってこないし」
葉山「確かに気になるな。いつもと様子が違う気もする……」
八幡「……」
放課後
八幡(雪ノ下なら何か知ってるかもしれんな。アイツ由比ヶ浜と仲良いし)
葉山「ヒキタニ君、ちょっと待ってくれ!」
八幡「葉山か。どうしたんだ一体?」
葉山「俺も奉仕部に用があってね。彼女なら結衣の事何か知ってるかもしれないし」
八幡(まさかコイツと考えが一致するとは思わなかった。何コイツ、エスパータイプ……)
ガラッ
八幡「うーっす」
葉山「お邪魔します」
雪乃「……」
八幡(……ん?雪ノ下、お前……)
葉山「雪ノ下さん……?」
雪乃「……!……あ」
雪乃「……葉山君、何故あなたがここにいるの」
八幡(雪ノ下の表情が一瞬強ばった……いや、あれは恐怖といった感じか。雪ノ下が犬以外で怖がったところを見たこと無いから分からんが。むしろ普段の雪ノ下が恐怖そのものという罠)
葉山「あ、ああ……実は今日結衣が休みで。雪ノ下さんなら何か知ってると思ってさ」
雪乃「あなたへ答える義理は無いはずよ」
葉山「俺と結衣は友達だ。友達のことを心配して何が悪いんだ」
雪ノ下「友達……か。友達なら尚更今の彼女には何もしない方が良いわ。そう、何も……ね」
葉山「……また後で出直すよ」
八幡(葉山は平静を装っているが、今の雪ノ下を見て何かを確信したんだろう。声に不安感が混じっていた気がする)
雪乃「あなたもいつまでいるつもり。早く帰りなさい」
八幡「なあ、雪ノ下。お前由比ヶ浜の事ばかり心配してるけどよ、自分の事は良いのかよ」
雪乃「あなた何を言って……」
八幡「ぼっち特有のトラウマセンサーってヤツだよ。トラウマ地雷源舐めるな」
雪乃「胸を張って言われても悲壮感しか沸かないわ……」
八幡「ほっとけ。……で、雪ノ下……お前と由比ヶ浜に何があった」
雪乃「…………あれは昨日の夜よ……」
先日
結衣「ゆきのん、カラオケ楽しかったね!」
雪乃「私は体力が無いからなるべく座っていたかったのだけど……」
結衣「ごめんね、ゆきのん。でもゆきのんの声すっごくキレイだったよ!」
雪乃「そ、そう……ありがとう」
結衣「あ、でもやっぱヒッキー達も誘った方が良かったかなぁ……」
雪乃「いたところで、あまり歌わずに飲み物入れてばかりなのが目に浮かぶわ……」
不審者「ちょっとそこのお嬢さんいいかな」
雪乃「……え」
バシィッ!
雪乃「きゃっ!」
結衣「ゆきのん!」
不審者「おっと、逃がさないぜ」ガシッ
結衣「嫌ッ!放して!!」
不審者「ヒヒヒやっぱ女子高生はいいなぁ……そらぁっ!」ビリビリ
結衣「きゃあっ!!」
雪乃「由比ヶ浜さん!!」
不審者「へへへ……」
結衣「嫌だ……やめて……」
不審者「やめろって言われてやめる訳が……」
雪乃「由比ヶ浜さん、目を瞑って!!」
ブシュゥゥゥッ!!
不審者「うわっ!クソッ!!催涙スプレーか!」
雪乃「由比ヶ浜さん、今の内に!」
結衣「う、うん……」
雪乃「あれから被害届を警察に提出したのだけれど犯人が捕まったという情報は着てないわ。何より由比ヶ浜さん自身が心に大きな傷を負ってしまって……」
八幡(なるほどな……。確かにそらいきなり道端で知らん男にレイプされかけたってなって元気でいろってのは無理な話だ)
雪乃「……私がもっとしっかりしていれば……由比ヶ浜さんは……」
八幡「別にお前のせいじゃないだろ。むしろお前がいなければ取り返しのつかないことになっていただろ。だからそう責めるな。それと……」
雪乃「……」
八幡「大丈夫だったか。もう無理しなくていいぞ、後は俺に任せろ……」
雪乃「……そう」
八幡(雪ノ下は表情に出さないが、今にも泣きそうに……いや気のせいか)
八幡(結局あの後、雪ノ下は黒塗りリムジンに乗って家に帰っていった。言うまでもなくその間にイベントなんて無かった。ゲームは所詮ゲームなんだと実感した瞬間である)
葉山「……やあ、比企谷君……」
八幡「なんでまだ残ってるんだ。今日は部活は休みだってサッカー部が嘆いていたはずだが……」
葉山「どうしても比企谷君に聞きたい事がある。実は最近、夜に不審者が女子高生を襲っているという噂を聞いた。もしかして彼女達は……」
八幡(なんでコイツはこうも鋭いんだよ……)
八幡「考えすぎだ……。ただの食あたりだとよ。なんでもクッキーにハマグリを入れてそれ食ったら腹を壊したんだ。雪ノ下が由比ヶ浜の事を思って黙ってたんだ。喋るなよ」
葉山「……そうか」
夜
八幡「……で、なんでお前は付いてきてるんだよ」
葉山「比企谷君が道端の食べ物で食あたりしないか不安でね」
八幡(俺はそこらの野良犬かよ……。ってか、もしかして……バレてる?)
葉山「ところで比企谷君はなんでここに来たんだい。ここは人通りの少ない裏路地な上に不審者が出没したって噂もある。他を探した方が良くないか」
八幡「灯台もと暗しって知ってるか……。それにお前まで来る必要はないだろ……」
葉山「人手は多いに困らないだろ。それに比企谷君のやり方を考えれば下手をすれば退学、最悪逮捕されるかもしれない。みすみす放ってはおけないな」
八幡(こいつの頭スパコンかよ……。刑事とかは合わないかと思ったが俺の検討違いだったか。むしろ真実はいつも一つ!とか言いそうだ。あっそれは探偵でした。テヘッ☆)
葉山「それに今回の事は頭にきているんだ……」
八幡(こいつがここまで怖い顔をするのを初めて見た気がする……)
葉山「男の特徴は分かるかい……」
八幡「聞いた限りだと黒コートに黒ニット帽だそうだ……ついでにコートの隙間から素足も見えていたらしい」
葉山「典型的な不審者だな……」
八幡「それよりお前は考えはあるんだろうな……」
葉山「少なくとも比企谷君への被害は小さくなるはずだ」
八幡「……!下がれ。来たぞ……」
葉山「合図に合わせて犯人の後ろに回ってくれ……」
八幡「オーケィ……1……」ニッ
葉山「2の……」
八幡・葉山「「3!!」」ダッ
八幡(その後犯人はロープでぐるぐる巻きになった状態で110番で警察に保護……もとい逮捕されたらしい)
八幡(ついでに犯人は2ヶ所、腹と玉に打撃もくらっていた。葉山さんマジパネェ……。優しい奴ほどキレると怖いとはよく言ったもんだ。玉を蹴った俺も大概だが)
翌日
八幡(クソ……眠い。昨日ははっちゃけ過ぎたか……慣れない事はするもんじゃないな。今日が土曜じゃなかったら平塚先生からフタエノキワミをくらってアッーするところだったな。さて、もう少ししたら小町が来るはずだが……)
ピンポーン
八幡(来たか)
ガチャ
小町「お兄ちゃーん、結衣さん連れてきたよー」
結衣「や……やっはろーヒッキー」
八幡「よう……」
小町「それじゃ小町は買い物してくるでアリマス!」
八幡「おう、ありがとな」
八幡「……」
結衣「……」
八幡(休日の俺ら以外誰もいない家でしかも俺の部屋で女子と二人きり。聞こえは良いのだが空気がもの凄く重い)
結衣「あ、あのさヒッキー、私に何か用……かな」
八幡「あ、ああ……えーっとな……」
八幡(ヤバい……話す内容を土壇場で忘れてしまった。俺の頭はぼうけんのしょじゃねえんだから思い出せるはずだ。えーっと……)
結衣「やっぱり……バチが当たっちゃったのかな……」
結衣「ヒッキーおいてけぼりにして、体力が無いゆきのんを連れていって……私のワガママのせいでゆきのんを危険な目に合わせちゃって……グスッ……ごめんね……ごめん……」
由比ヶ浜は……由比ヶ浜結衣は優しい女だ
自分が辛い目に遭ったのに自分よりも他人を心配してそれどころか、その場に居合わせなかった俺に対してまでも謝罪の言葉を口にしている
まるで全ての非は自分にあるかのように……
八幡「……結衣」
結衣「……え?」
ギュッ
結衣「え?えっ……」
八幡「もう一人で抱え込むな。辛い時は俺達に相談しろ。もう我慢しなくていい……」
結衣「ヒ、ヒッキー……」
八幡(あれ?俺、何言っちゃってるの?臭ッ!台詞のチョイス間違えすぎだろ俺。というか何で俺由比ヶ浜の背中に手合わせてんの!?これじゃあまるで俺が由比ヶ浜を抱い……)
八幡(あれ?何でガハマさん目を閉じてんだ。まさかこれって……いや、まさか……)
prrrrrr!!
八幡(何だよ……こんな時に。今、凄く良い雰囲気だったのに……)ピッ
From:材木座
Sub:新しいプロットが出来た!!
聞いているか……我が生涯の戦友よ……。我はついに誰も見たことが無い新境地へとたどり着いた……。
勇者と魔王が現代日本へ飛ばされ、働きながらも異世界からの敵と魔力(ショック・ルーラー)と聖法気(ザ・シャイニング)を駆使して戦っていく新しいラノベだ……。
タイトルははたらく魔(プチッ
八幡(……あの野郎…………)ピクピク
2日後
八幡(結局あの後、なんか微妙な雰囲気になって由比ヶ浜はそのまんま帰ってしまった……。もしかして俺の最後のチャンスだったんじゃないかアレ。……ただ帰る時の由比ヶ浜の顔に僅かながらに明るさは戻ったような気がする……。あくまでも気だけだが)
ガラッ
八幡「うーっす」
結衣「あっ、ヒッキー!やっはろー!」
雪乃「珍しいわね、あなたがこんな朝早くにここに来るなんて」
八幡「ほっとけ、本を取りにきただけだ」
結衣「あのさ、ゆきのん。この前はごめんね。私がワガママだったばっかりに……」
雪乃「あなたが気に病む必要は無いわ。あなたは何も悪いところは無いわ」
結衣「ゆきのん……」
雪乃「いえ、やはり少しはあなたにも悪いところはあったわ。夜に近道の為に裏路地だなんてどれだけ危険か……」
結衣「ごめん……」
雪乃「それでも、あなたが無事で本当に良かった……」
結衣「ゆきのん……ありがとう」ギュッ
八幡(俺……場違いすぎるな。とっとと教室に行くか。ぼっちとはどこへ行ってもぼっちだからこそぼっちと呼ばれるのである。アレ、俺もしかして今凄い名言生んじゃった?)スタスタ
結衣「ヒッキー!」ギュッ
八幡「うおっ!」
結衣「えへへ……ヒッキーもありがと……」ギュッ
教室
葉山「ヒキタニ君、ここ良いかい?」
八幡「ああ」
八幡(ヒキタニ?だぁれそれ?俺☆比企谷~。鈍いなぁ!俺がボッチだよ!!……なんか悲しくなってきた)
葉山「あれ?何でヒキタニ君、なみ……」
八幡「泣いてねぇよ……」
八幡(あっ……しまった)
葉山「昨日は付き合ってくれてありがとな」
八幡「別にお前が勝手に付いてきただけだろ。それにお前がいてくれなきゃ俺もヤバかった。……ありがとう」ボソッ
葉山「しかしヒキタニ君って見かけによらず大胆だよな。まさかここまで行動を起こすなんて俺も少し意外だったよ」
八幡「……お前は雪ノ下の所に行かなくて良いのか?」
葉山「……今回は俺が憶測で勝手に行動しただけだからね。それに彼女は俺には話したがらなかった上に俺は彼女に……」
海老名「付き合う?大胆?行動~?これはキマシ……」ピクピク
葉山「済まない優美子……」
三浦「はいは~い。ホラ、姫菜行くよ」グイグイ
海老名「あ~……ヒキタニ君受け葉山君攻めなヒキハヤがぁ~……」ズザザザザ
八幡(どっから沸いてきたんだ……。あと勝手にカップリング名付けんな)
材木座「フッフッフッ……八幡!我が戦友として……」
八幡「もうお前しかペア残ってねぇよ。戸塚はテニスだし。ホラ、準備運動するぞ」
材木座「フム、ところで八幡。我のプロットを見たかね?かなりの自信作なんだが……」
八幡「」ピクッ
材木座「あれは実はヒロインが巨n……ぬおわっ!何をする八幡!?イデデデデ!」
八幡「そんな色んな設定パクって混ぜ合わせたようなモンをどう評価すんだよ……!ってか魔王×勇者系はもう供給過多なんだよ……」グググッ
材木座「痛い痛い!八幡ギブッギブッ!!背骨が伸びる……伸びる……!!」
八幡「伸ばさなくて……どうすんだよ……!」グググッ
八幡(クソッ何だか無性に腹が立ってきた……)
材木座「イデデデデ!!」
放課後
八幡(クソッ……少しやりすぎた。全身が痛い……。燃え付きそうだ……真っ白にな……)
平塚「おおっ!比企谷。随分と辛そうだな」
八幡「せ、先生……。辛いなんてモンじゃないですよ……。もう俺の体はボドボドですよ……」
平塚「まったく……。君はもう少し先を見据えて行動したまえ。今回みたく痛い目を見るのは自分なんだぞ。自分だけじゃない他人にも辛い目を見せることになる」
八幡「ええ……気を付けます……」
平塚「分かったなら良いんだ。おっと、職員会議の時間か。それじゃあな比企谷」
八幡(今度から材木座への腹いせは別の手段を取るか。イツツ……)
八幡(結局、先生が言わんとした事は分かっていた)
八幡(先生はどこから聞いたか知らないが、恐らく俺と葉山が昨日何をしたかを知っている)
八幡(だがあいにく俺にはそこまで気心の知れた友人というのは存在しない、所謂ぼっちなのである)
八幡(つまり逆に言えば、俺が何をしても他人は傷つく事は無いし、被害も受けない。葉山?アイツは勝手についてきただけだ。もっとも例えヤバくなったとしても、ムカついたので殴ったとかの一言で、幾らでも葉山への被害は押さえられる訳だからやはり誰も被害は受けない)
八幡(取り合えず……今は、このいつもの奉仕部での生活も悪くはないのかもしれない……な)
ガラッ
雪乃「……」ペラ
結衣「やっはろー!ヒッキー!」
八幡「……うーっす」
完
このSSまとめへのコメント
ここから話しがはじまるかと思いきや、急ブレーキかけられた気分。
え、微妙
何コレ不完全燃焼すぎんだろ。正に典型的な半端者の書く小説。皆さんは人生、中途半端にならないといいですね!!ま、私は中高一貫の偏差値上位の高校に通う学生だから心配ないんですけどね! ←まさにクズ!!