平塚「比企谷、そもそも君は誰の専業主夫になるつもりなんだ?」(218)

平塚「君は以前、大学で適当な女子を見繕って結婚するなどと言っていたが、
    君みたいな捻くれ者を養ってくれる物好きが、そうそう居ないことぐらいわかっているだろう?」

八幡「……そうそうってことは多少は物好きも居るんですよね?
    専業主夫志望もそうそう居ないんで、需給は均衡してるんじゃないですかね」

平塚「……確かにそういう関係の連中が全く居ないわけではない。

    実際には物好きでもなんでもないのに、いつの間にか養っているようなこともな……。
    しかし、私の知る限りで、それで最後まで上手くいったカップルは居ないぞ」

八幡「それは男が養ってもらってる状況を維持する努力を怠ったからですよね? 俺は違います。

    就職活動するフリなんか端からせず、結婚して家庭に入って全身全霊をかけて専業主夫になります!
    専業主夫志望を舐めないでください。ヒモとは違うんですよ! ヒモとは!」

平塚「はぁ……なんとも。君は奉仕部入部以前と比べて着実に成長してるはずなのに、基礎的な部分ではちっとも変わっていないのだな」

八幡「俺、自分の性格気に入ってますんで」

平塚「私も君の性格は好意的に見ているよ。しかし、君自身がその性格に囚われて、自分の限界を決め付けてしまうようなことはよくない」

八幡「はぁ。……なんなら先生がもらってくれるとありがたいんですが」

平塚「…………えっ」

八幡「…………あ」

平塚「……なっ、何を馬鹿なことを」

八幡「いや、その! ……先生は俺のことよくわかっていてくれてるじゃないですか?
    先生もいい加減パートナーがほしい年齢でしょうし、引き受けてくれたら丁度いいなぁ、なんて」

平塚「そ、そんなの、私にだって選ぶ権利がある!」

八幡「……そっすか。でも俺、意外と優良物件ですよ? 専業主夫としてきっちり家事こなしますし。
    前も言いましたけど料理もそれなりにできるんで。多分ですけど、先生よりうまいんじゃないっすかね」

平塚「な、何? 私だってだてに……、くっ! ば、馬鹿にするなよ!? 私だって料理のひとつやふたつできるさ!」

八幡「……それに。俺、先生と話してると楽しいんですよ。先生と結婚できたら、幸せだと思います」

平塚「なっ、な、な……」

八幡「……」

バスッ

八幡「ぐおぉぉ……」

平塚「……ったく」

平塚「あまり教師を馬鹿にするなよ、比企谷。……もういいから戻りなさい」

八幡「はい……。失礼します」

ガラララ

平塚「………………はぁ」

ガタンゴトン… ガタンゴトン…

平塚(まったく、比企谷は。あいつがあんなタチの悪い冗談を言う奴だとは……)

平塚(…………冗談だよな? ああ、そうだ決まっている。私とあいつがいくつ離れていると……くっ!)

平塚(それに私だってあんな奴はごめんだ。あんな腐った目をしたガキ……)

平塚(……しかし、顔立ち自体は整っていないわけではないな)

平塚(頭の回転も悪くない。成績も――少なくとも私の国語ではいい。理解している奴の回答をしている)

平塚(理数系は苦手なようだが、私立文系なら上位校が狙えるだろう)

平塚(……まあ、専業主夫に学歴は関係ないだろうが)

平塚(しかし、口ではああは言っていても、あいつも実際に就職の時期が来たら、ちゃんと将来を考えるんじゃないか?)

平塚(あいつのことだ、就職活動で苦労するならと、最初から民間は捨てて公務員を目指したりな)

平塚(国家公務員はガラじゃないとして、市役所か。いや……もしかしたら私と同じ職場がいいと、教師を目指すかもしれん)

平塚「ふっ……」

平塚(……!?)

平塚(私は何を真面目に考えているんだ! 私とあいつがどうにかなるなど、ありえないと言っているのに……!)

平塚(顔や能力はどうあれ、あんな後ろ向きな性格の奴と一生を共に過ごすなんて、正直ない)

平塚(それに、その……)

平塚(つ、付き合うとなれば当然……セックスもするわけだろう? あいつと寝るなんて……)

平塚(……ああ、これこそ本当にありえん。なんだかえらくネチネチしたセックスをされそうだ……)

平塚(いやしかし……性格だってけして変えられないものではあるまい)

平塚(結婚するしないは関係なく、教師としてもあいつの性格は変えていかねばならん。そもそも奉仕部だって、その為のものだ)

平塚(……だが、あの性格だって必ずしも悪いものとは言い切れない。あいつ独自の視点は、あの性格から導き出されるものだ)

平塚(もう少し社交性さえ身に付けられれば……。そう、私と話しているときのように)

平塚(まあ、あれはあいつと私の趣味が一致しているからで、私だってあいつ以外とあんな風に盛り上がれはしないが)

平塚(それどころか、最近はあいつ以外の男とあんなに喋っていることがまずないな……ははは、は)

平塚(…………)

平塚(なん……だと……?)

平塚(あんなに婚活パーティーに参加していながら、比企谷以上に話している相手はいないと言うのか……!?)

平塚(な、なんと言うことだ! これでは……もはや私こそ、比企谷以外ありえないのでないかと思えてきてしまった……)

平塚(だ、だが! 比企谷と私では年齢が……いや、惚れられているのは私なんだ、問題はないはずだ)

平塚(しかし……比企谷はいったいどこまで本気で言っていたんだ!? どこまで本気なんだ!? 専業主夫志望だぞ!?)

平塚(あいつは長男だったはずだし、私も一人娘だ。私やあいつの両親の老後の世話とか、ちゃんと考えているのか……!?)

平塚(……いや、高校生にそこまで求めるのは無理があるだろう。そう、あいつはまだ高校生で、私の教え子なんだ)

平塚(あいつがうちを卒業するまで待って、大学生になってから付き合いだすとすると……ははっ、あいつが社会に出る頃私はいくつだ?)

平塚(もしその後、別れるようなことになったら洒落にならん。本当に洒落にならん……。だが、あいつはあれで義理堅いところがあるし)

平塚(しかしそれは、あいつが童貞だからではないか? 私と付き合いだしたら、よくも悪くも変わってしまうかもしれん……)

平塚(比企谷のステップアップのための踏み台にされてはかなわん。
    ……結婚は18歳から出来るんだ。既成事実さえ作ってしまえば、あいつもそう簡単に別れるわけには……)

平塚(………………はぁ)

平塚(……声が聴きたい。ちゃんと話しをしたい。メールか電話か、それとも会って……)

平塚(……私から冗談だと流してしまったのに、どの面下げてそんなこと)

平塚(……………………比企谷)

ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ ヴヴヴヴ

平塚(!)

バッ! カチッカチッカチッ

平塚「比企谷……」

平塚(さ、さっきの話の続きか!? ……いや、奉仕部のことか?)

平塚(でも、あいつの方からメールなんてこれまで……。いったい、なんて……?)

                     <⌒\
                   -――‐-、〉/
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           | ::: 人ト-_|/|/_ー'  |:::::::::::\
           /:::::::{ ─tu‐  ─tu‐|:::::::::::厂
              ⌒7(ハ `''ー''  `''ー'' ゙7^)〈
              7_人    _    ィ:ア⌒  <『さっきはトチ狂って、おかしなこと口走ってマジすいませんでした。勘弁してください』
               介:::‐zr‐ァ=≦_人{
                ∨ ^∨^ ∨
                  〈__/ |  {__〉
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  _ノ   _ノ   _ノ ヽ/|    ノ    ノ       。。
       /\___/ヽ
    /ノヽ 平塚   ヽ、
    / ⌒''ヽ,,,)ii(,,,r'''''' :::ヘ
    | ン(○),ン <、(○)<::|  |`ヽ、
    |  `⌒,,ノ(、_, )ヽ⌒´ ::l  |::::ヽl  
.   ヽ ヽ il´トェェェイ`li r ;/  .|:::::i |
   /ヽ  !l |,r-r-| l!   /ヽ  |:::::l |
  /  |^|ヽ、 `ニニ´一/|^|`,r-|:「 ̄

  /   | .|           | .| ,U(ニ 、)ヽ
 /    | .|           | .|人(_(ニ、ノノ

                                         〈 ̄ヽ
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                                  〈  _________ ヽ,
                                   | |             | |
                                   ヽ'  〈^ー―――^ 〉   |/
                                      ,、二二二二二_、
                                     〈__  _  __〉

                                        |  |  |  |
                                       / /  |  |    |\
                                   ___/ /  |  |___| ヽ
                                   \__/   ヽ_____)

何も考えず始めたら先生の一人語りばかりになってわからなくなってしまった

八幡「…これで良し」

小町「あれー?お兄ちゃんなにやってんの?メール?珍しいこともあるもんだね」

八幡「まぁな…今日はちょっと、色々あったんだ」

小町「色々?」

八幡「あぁ…色々あって戸塚に嫌われた…あまりのショックに死んじゃおうかと思ったぐらいだ」

小町「そ、そうなんだ…死んじゃおうかと思ったんだ…」

小町「あ、じゃあ仲直りメールってやつ?」

八幡「なんだその頭悪そうな言葉…違ぇよ、その後、あまりのショックで平塚先生にトチ狂ったこと言っちゃったんだよ」

小町「へぇ、どんな?」

八幡「なんだったかな…断片的にしか覚えていないが…半ばプロポーズ臭いこと言った気がする」

小町「ちゃんす!」

八幡「おいそれやめろ、嫌なやつの顔がチラつく なんで定着しちゃったかなぁ…」

小町「じゃぁもしかして、早速式の準備メールを!?」

八幡「いや違ぇから、結婚しねぇから。お兄ちゃん、まだまだ一人身だから」

小町「小町、この際先生でもいいと思ってたのになぁ」

八幡「その諦めたような視線止めろ、俺にはまだまだ無限の可能性あるから」

小町「そうだね…まだまだ堕ちていく可能性が…」

八幡「やかましいわ……とにかく、あのトチ狂った発言の謝罪メールは送信した。もう大丈夫。寝よう」

小町「大丈夫ねぇ…小町はなんだか大変なことが起きそうな気がするよ…」

八幡「あ?なんで?俺の完璧な謝罪メールの前に一体誰が不満を感じると言うんだ!」

小町「どーせお兄ちゃんの謝罪メールなんてその辺に転がってた謝罪文をコピペしただけでしょ?」

八幡「んなわけねーだろ…ちゃんと俺が考えて作った文章だよ…」

小町「ふーん…どれどれ、小町に見せてごらん」

八幡「ほれ」

小町「ふむふむ……うん」

八幡「どうだ、最高の出来だろ。ちゃんとすいませんといってるし、最後には勘弁してくださいのオマケ付きだ」

小町「これならコピペの方がマシだよ…あーあ、お兄ちゃん明日は生きて帰ってこれるのかなぁ…」

八幡「おい、なんで俺命の危機に瀕してんだよ。そんなにとんでもねぇことやらかしたの、俺?」

小町「でも、お兄ちゃんなら必ず生きて帰ってこれるよ!今まで友達いないながらも生きてこられたんだから!これ、小町的にポイント高いよ?」

八幡「うぜぇ…でも大丈夫だろ。ほら、未だに返信来てないし」

小町「返信きてないの?おかしいなぁ、お兄ちゃんこの前メール無視したら怒涛の勢いで送られてきたんでしょ?」

八幡「あぁ…アレは怖かった…トラウマだよ」

小町「そんな先生が返信してこないなんて…変だよ。お兄ちゃん、プロポーズ紛いのことを言ったときの先生の様子覚えてる?」

八幡「顔真っ赤にして殴られた。あれが流行りの激おこプンプン丸ってやつか」

小町「それ多分違う…にしても、顔を真っ赤にしてか…うーん、これは思った以上にやばいかも」

八幡「だから何がだよ。やばいやばいばっか言いやがって、出川哲郎かっての」

小町「うーん…説明するのが若干面倒というか…お兄ちゃんには理解できないかもっていうか」

八幡「はぁ?」

小町「とにかく、明日学校に行けば分かるよ…」

八幡(というわけで翌日)

八幡(いつものように自然に教室に潜り込み、誰からも認知されずに放課後を迎えた)

八幡(授業中の平塚先生はいつもどおりだった。あの人、普通にしてれば美人なお姉さんなのだが…)

八幡(ちなみに、戸塚とは色々あって仲直りした。ついでに次の休日に遊びにいく約束も取り付けた)

八幡(今日あたり、小町に服のチョイスをしてもらおう。あと当日のイメージトレーニングもだ)

八幡(さぁ、私達の戦争[デート]を始めましょう─)

八幡「…って!」ドン

八幡(ったく誰だよ…せっかくノリにノッてたのに…目で文句を言ってやろう)

八幡「……げ」

平塚「……」

八幡(げぇっ!関羽!)

八幡(一応謝罪メールを送っておいたから大丈夫だとは思うが…)

八幡「え、えーと…すんません」

平塚「……比企谷、廊下を歩くときはちゃんと前を見ていないとダメだぞ」

八幡「そうっすよね…じゃあ俺、部活あるんで…」

平塚「待ちたまえ」ガシッ

八幡「ヒィ!」

平塚「比企谷、ちょっと話があるのだが…いいか?」

八幡「い、いやー…あの、ちょっと試験で親がアレでして…」

平塚「そうか、暇か。なら来い」

八幡「いや!暇じゃないですって!俺今かつてないほど忙しいんです!」

平塚「大丈夫だ、時間はとらせないさ」

八幡「い、いやだ!助けて!誰かー!」

平塚「…ここなら誰もこまい」

八幡「誰もこないような所に生徒を連れて行くのはどうなんすかね…」

平塚「さて比企谷、昨日、何があったか覚えているか?」

八幡「昨日ですか?昨日はいつものように部活に顔を出して、雪ノ下の特に意味のない言葉の暴力に襲われたぐらいですかね」

平塚「違うだろう?部活に行く前だ」

八幡「ぶ、ぶかるに行く前は、そうですね、自販機でMAXコーヒーを買ったぐらいですよぉ?」

八幡(裏声が出た。俺も可愛い声出せるんだな…)

平塚「比企谷…ふざけるのもいい加減にした方がいいぞ…?」ギロ

八幡「ひゃ、ひゃい!」

八幡「昨日の俺はどうかしてたんです…悪魔に心を乗っ取られてたんですよ…あれは俺の本心じゃない…全て虚言…嘘」

平塚「ふむ、つまり昨日の言葉は全て嘘だったと」

八幡「そうなりますね……」

平塚「もらってくれと言う言葉も…」

八幡「はい…あの…」

平塚「俺についてこいという、あの言葉も…」

八幡「はい…はい?」

平塚「比企谷…」

八幡「あの、本当すいません…殴るなら好きなだけ殴ってください…」

平塚「……」

八幡「……?」

八幡(おかしい…拳が飛んでこない?)

平塚「…う…うぅ」

八幡「ちょっ!先生どうしたんですか!?なんで泣いてるんですか!フランダースの犬の最終回でも思い出したんですか!?」

平塚「君のせいだろう!…昨日、私がどれだけ悩んだことか…ひっく」

八幡「そんなこと言われましても…」

平塚「昨日は中々眠れなかったんだぞ!2時間しか寝てないんだぞ!」

八幡「知らねぇよ…何サワだよ……」

八幡「ていうか先生、俺の言葉にそんなに悩まされたんですか?俺って嘘でできた人間ですよ?」

平塚「だ、だって…あんなに真剣に言うから…」

八幡「真剣?俺ん家には模擬刀しかありませんよ(嘘)」

平塚「うぅ…ん?悩み…?」

八幡「どうしました?実はうそ泣きでしたーなんて言ったらさすがの俺も怒りますよ」

平塚「悩み…そうか、今、私は悩んでいるんだ」

八幡「なんか急に元気になり始めたぞぉ」

平塚「比企谷、私は今、悩んでいるぞ。それはもう悩んでいるぞ」

八幡「なんですか…悩み悩みうるさい……って、まさか」

平塚「そのまさかだ」

由比ヶ浜「ヒッキー遅いー」

雪ノ下「そうね、確かに遅いわ…とうとう捕まったのかしら」

由比ヶ浜「ひ、ヒッキーは何をしたの!?」

雪ノ下「あの腐った目で通りがかる女子生徒を嘗め回すように…」

八幡「おいこら、勝手に俺を犯罪者にするな」

雪ノ下「……あら、遅かったわね、比企谷くん」

八幡「まぁちょっと色々あってな…」

由比ヶ浜「なにしてたの?」

雪ノ下「どうせ何もしていないでしょうけれど」

八幡「ばっかお前、今日の俺はいつもと違うぞ。今日はちゃんと部活をしたんだぞ」

雪ノ下「何を言っているの…?」

八幡「その首を傾げて可愛い顔で言うの止めろ…いいから聞け。依頼者を連れてきた」

由比ヶ浜「ええ!?依頼者!?ヒッキーが!?」

八幡「まぁ驚くのも無理はないわな…」

雪ノ下「信じてはいないけれど、一応聞いておくわ。依頼者はどなた?」

八幡「それがだな…」

平塚「私だ」

雪ノ下「平塚先生…!?」

由比ヶ浜「え、え?先生!?」

雪ノ下「先生…なにしにきたんですか?」

平塚「なに雪ノ下、私だって悩みの一つや二つあるさ」

雪ノ下「確かにそうかもしれませんが…」

平塚「奉仕部は生徒の悩みしか聞かない…そんな決まりは無かったはずだが?」

雪ノ下「……」

八幡「さーて、俺は依頼者を連れてきたわけだし、今日はもう帰ってもいいよね!」

平塚「まぁまぁ待ちたまえ」ガシッ

八幡「いやだぁぁ!」

由比ヶ浜「あたし、先生の悩み気になるなぁ。大人の悩み…わくわく」

八幡「俺は全く気にならない…」

平塚「さて、時間も押している。早速に話に入らせてもらおう」

雪ノ下「はぁ…」

八幡「はぁ…」

由比ヶ浜「わくわく!」

平塚「これは私の友達の話なんだがね…」



平塚「…というわけだ。雪ノ下、君はどう思う?」

雪ノ下「…最低ですね、その男の人」

由比ヶ浜「うん…女の子にとってその嘘は許しがたいね…」

八幡「これは学生の俺たちでは手が出せませんね、大人の世界ですから。はい終了」

雪ノ下「結論が早すぎる…」

由比ヶ浜「ヒッキー!ちゃんと考えなくちゃダメだよ!」

平塚「そうだぞ、比企谷」

八幡「……」

八幡(くそ…先生め、見事に女性陣を取り込みおった…どんどん俺の領土が狭くなっていく。進撃の静かよ。語呂悪っ)

雪ノ下「それで、先生。友人の方の見解は…

おっといけねぇ(てへっ☆)

八幡(くそ…先生め、見事に女性陣を取り込みおった…どんどん俺の領土が狭くなっていく。進撃の静かよ。語呂悪っ)

雪ノ下「それで先生。その友人の方はどうしたいと?」

平塚「うむ、彼女は純情を弄んだ罰として彼に責任をとってほしいと言っていたな」

八幡「ヒィ!」

由比ヶ浜「ヒッキー?どうしたの?顔色悪いよ」

雪ノ下「責任ですか…難しい話ですね。彼は嘘だと言っていたんですよね?」

平塚「あぁ…全て虚言だと…」

雪ノ下「ということは、彼は彼女に恋愛感情を抱いているわけではないということになりますね…」

由比ヶ浜「男の人の方が照れ隠しで言った、という線はないかな?」

平塚「照れ隠しか…どうなんだろうな…比企谷、君はどう思う?」

八幡「俺にふらんでください…」

雪ノ下「比企谷くん、あなた、今回の件は随分と興味がないようだけれど」

八幡「逆に聞こう。俺が興味を持つようなことが今までにあったか?」

雪ノ下「…あなたは興味がなくても、結局は解決に導いてくれるじゃない」

八幡「…その場しのぎのな。完全な解決まで行き着いたことはねぇよ」

平塚「それでも、君の案で救われたとは言いがたいが、現状を打破するきっかけになったはずだ」

八幡「……」

平塚「だから、私の友人の悩みも解決してくれるとありがたいんだが…」

八幡「あ、それは無理です」

由比ヶ浜「もー、せっかくいい雰囲気だったのにー!」

八幡「お前一言もしゃべってねぇだろ」

雪ノ下「はぁ…今回の比企谷くんは役に立ちそうもないわね…」

八幡「だから言ったろう。いても邪魔になるだけだろうから帰るわ」

平塚「まぁまぁ待ちたまえ」ガシ

八幡「いやだぁぁ!」

おっとぉ(風呂☆)

雪ノ下「先生、その彼らは大人なんですね?」

平塚「あぁ、そうだ」

雪ノ下「なら…いっそ既成事実を作ってしまうのはどうでしょう?」

八幡「ゆ、雪ノ下!それはアカン!」

平塚「ふむ…既成事実か…」ニヤリ

八幡「ひぃ!」

八幡「…死にたい」

由比ヶ浜「…ねぇねぇ、ヒッキー。きせいじじつってなに?」

八幡「あー?それはだな」

雪ノ下「比企谷くん、待ちなさい。それ以上いけないわ」

八幡「だ、そうだ由比ヶ浜。すまんな」

由比ヶ浜「う、うん…気になるなぁ」

平塚「しかし雪ノ下。既成事実とは中々いい案だと思うぞ。友人に伝えておこう」

八幡「やめてくれェ…」

キーンコーン

平塚「おっと、下校時刻だな。今回はここまでにしておこう」

雪ノ下「そうですね…あの、先生。本当に既成事実を…?」

平塚「あくまで一つの案としてだよ、雪ノ下」

由比ヶ浜「いやー、久しぶりに奉仕部っぽいことしたねー」

八幡「…そうですね」

由比ヶ浜「それじゃ、また明日ね!バイバイ、ヒッキー!ゆきのん!」

雪ノ下「ええ、また明日」

八幡「おう」

平塚「比企谷。君は居残りだ」

八幡「え!?なんで!?」

平塚「今回の部活での態度が悪かったのでな。雪ノ下、比企谷を借りるぞ」

雪ノ下「いいですよ。返さなくてもいいです」

平塚「だ、そうだ。ほら行くぞ」

八幡「嫌だぁぁぁ!」

平塚「さて比企谷。雪ノ下が出した案を覚えているな…?」

八幡「えーっとなんでしたっけ?禁則事項?俺は未来人じゃありませんよ?」

平塚「そう、既成事実だな。覚悟はいいか?」

八幡「覚悟なんてできてませんよ!ちょっ勘弁してください!こういうのは愛がないと嫌です!」

平塚「…ふふっ」

八幡「……?」

平塚「冗談だよ。本当に行為に及ぶとでも思ったのか?」

八幡「そりゃ…先生はもう後がありませんし…」

平塚「一言多いぞ」ポカ

八幡「いてっ」

平塚「比企谷、聞いておこう。君は私をどう思っている?」

八幡「どうって…急に言われましても」

平塚「時間がかかるようなら待つさ」

八幡「……」

平塚「……」

八幡「…そうですね、なんだかんだ言って、俺や雪ノ下のことをちゃんと見ている。いい先生だと思っています」

平塚「そうか」

八幡「あと少年漫画好きでたまに痛い大人とも…」

平塚「コラ」ポカ

八幡「いてっ…先生、いつもは殴るくせに」

平塚「私も思うところがあるのさ」

平塚「比企谷。君は他人を救うために自分を傷つけてきた。そろそろ君自信が救われるべきだ」

八幡「…別に、俺はいいですよ、このままで」

平塚「そうはいかんさ。…未来の旦那さんには傷ついて欲しくない」

八幡「…おいちょっと待て。なんだって?」

平塚「ん?未来の旦那さんがどうかしたのか?」

八幡「かなりどうかしてますね。俺がいつ先生の旦那候補になったんですかね」

平塚「え…?だってさっきいい先生だって…」

八幡「それがどうしたら告白に受け取れるんですかねぇ」

八幡(まずいな…完全に先生が乙女モードに入ってる…勘弁してくれよ)

八幡(こういうときは自分から嫌われるに限る…さて、どう嫌われよう)

八幡「先生」

平塚「ん、どうした?」

八幡「俺、実は喫煙者が大嫌いなんです」

平塚「なん…だと…」

八幡「特に先生はかなりのヘビースモーカーですよね。俺そういうの無理です。軽蔑します」

平塚「……」

八幡「なので先生、もう俺に近づかないでもらえますか?」

平塚「…そうか」

八幡「ええ」

八幡(完璧すぎる…ちょっとばかし心が痛むが、やむなしだ。すみません、先生)

平塚「そうだな…たばこを吸っていたら赤ちゃんにも悪影響だしな。決めた。私は今日から禁煙する!」

八幡(これで先生は俺の前から……ってほげぇぇぇぇ!)

八幡「き、禁煙って正気ですか!?ていうか赤ちゃんってなに!?」

平塚「ん?それは…い、言わせるな!恥ずかしい…」

八幡「恥ずかしいのはアンタの頭だよ!」

平塚「比企谷!見ていてくれ!私は今日からたばこは吸わないぞ!」

八幡「そりゃ健康的でいいことですね」

平塚「完全にたばこが断てた暁には…比企谷、分かっているな?」

八幡「すいません、私立文系なのでわかりません」

平塚「私立文系ならわかるのでは…?」

八幡「ていうか帰りますね俺。今日は何もありませんでした。そう、なにも…」

平塚「まぁまぁ待ちたまえ。もっと話し合おうではないか。もうすぐ夜だし、一緒にラーメンでもどうだ?」

八幡「ラーメンは一人が最強なんですよ!離してください!」

平塚「ふふふ、離さないぞ☆」

八幡「か、勘弁してください…」


八幡「や、やはり…俺の青春ラブコメは間違っている!」



おわり

平塚「八幡、働いてくれ」

比企谷「嫌ですよ。そういう約束のはずです」

平塚「そうは言っても、私は来月から産休に入るだろう。一年もどうやって食いつなぐつもりだ?」

比企谷「親にでも頼ればいいんじゃないですかね」

平塚(どんどんダメになっていく………生まれたら離婚してやる)(T皿T)

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