キャル「形のない幸せの形」 (43)

百合です。

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母親「わぁ~、これなんて似合うんじゃない? どう? どうっ?」

キャル「へ? えっと……なんだっけ?」

母親「え~、聞いてなかったの~?」

キャル「ごめん、ママ。ちょっとぼうっとしちゃって……あはは……」

母親「大丈夫? ちょっと疲れちゃったかな? 買い物はやめて、どこかで休憩しよっか」

キャル「い、嫌よ! あたしなら全然大丈夫だから! ほら、元気いっぱいよ?」

母親「そう? じゃあ~……これっ! キャルちゃんに似合うんじゃないかなって♪」

キャル「真っ赤なリボン? ちょっと派手じゃない……? に、似合うのかしら……」

母親「似合う似合う! 試しに着けてみる? すいませ~ん、店員さぁん!」

キャル「わぁっ!? ママっ、あたしまだ着けるだなんて言ってないってばぁ!」

母親「絶対似合うって♪ あっ、店員さん、こっちこっち!」

キャル「もう、ママってば……ふふっ♪」

キャル「ど、どう……? 変じゃない……?」

母親「変じゃないよ! すっごくかわいい♪ 抱っこしちゃいたい……♪」

キャル「抱っこはあとでね。それよりも……う~ん……」

母親「気に入らない? キャルちゃんが気に入らないならやめよっか」

キャル「気に入らないってわけじゃないんだけど……やっぱり派手じゃないかなって。あたしなんかには使いこなせないわよ」

母親「あたしなんか~なんて言わないで~? キャルちゃんは世界一かわいいんだから! もっと自信を持たないと!」

キャル「ママは親バカなの。褒めてくれるのは嬉しいけどさ、正しく評価できてるかは怪しいわ」

母親「人の評価なんて、誰のものでも正しいかどうかなんてわからないでしょ? だったら、自分の気持ちを大切にしなくっちゃ」

母親「キャルちゃんはこのリボン、どう思う? 着けたい? それとも着けたくない?」

キャル「それは……」

母親「似合うよ~? かわいいよ~?」

キャル「ふふ。自分の気持ちを大切にしろって言ったくせに、すぐそうやって誘導しようとするんだから」

母親「誘導じゃありません~ただの感想ですぅ~」

キャル「…………あたし、着けてみたい。似合うかどうかはちょっと自信ないけど、着けてみたいって思う」

キャル「ママが選んでくれたやつだし……えへへ……」

母親「決まりっ♪ 店員さ~ん、これ買いまぁす!」

キャル「ふふっ……買ったその場で着けてもらっちゃった……♪」

母親「ぎゅーっ♪」

キャル「わっ! ママっ!? こ、こんな人前で……恥ずかしいってば……!」

母親「だぁって、すっごくかわいいんだもん♪」

キャル「まったくもう、あたしはもう子供じゃないんだからね? ほらほら、離して~」

母親「む~。キャルちゃん反抗期? ママ、寂しいな~」

キャル「そんなんじゃないってば。ママのことは大好きよ? 世界で一番……♪」

母親「キャルちゃん……! ママもキャルちゃんのことが世界で一番大好きだからねっ! キャルちゃんのためならなんだってしちゃうんだから!」

キャル「そ、そんなのしなくていいから……。その代わり、ずっとあたしのそばにいてね……?」

母親「もちろん♪ ママはずーっと。キャルちゃんのそばにいるからね!」

キャル「うん……。うんっ!」

母親「それじゃ、まだまだお店を回るよ~! 今日は一日キャルちゃんとデートなんだから!」

キャル「ねぇねぇ、それなら次はスイーツを食べない? なんだかお腹空いちゃったわ」

母親「いいねいいねっ♪ アイスに、パフェに、クレープもっ! 食べられるだけ食べちゃおうね!」

キャル「あはは、そんなに食べられないわよ。ペコリーヌじゃあるまいし」

キャル「ん……? ペコリーヌ……? 誰だっけ……」

母親「どうしたのキャルちゃん? 行くよ~」

キャル「あ、うん。待って待ってー!」

キャル(ママと暮らす毎日はとても幸せで。もしかしたら、今の生活は全部夢なんじゃないかとも思う)

キャル(だって、あたしは薄汚いノラ猫なんだから。幸せになる資格なんてないはずだ)

キャル(どうしてそんな風に思うのかはわからないけれど、たしかにそうなんだっていう確信めいたものがある)

キャル(……けど、そんなことはどうだっていい)

母親「キャルちゃんキャルちゃん! どれにするっ? ママはチョコクレープにしよ~っと♪」

キャル(いいじゃない。現実で幸せになれないのなら、夢の中で幸せに浸らせてよ。叶わない幸せでも、夢見るくらいは許してよ)

キャル「あたしはイチゴのショートケーキにしようかしら? マスカットアイスも捨てがたいし……」

キャル「んー、けどママの選んだチョコクレープも美味しそうね……あぁ~……迷う~……」

母親「ふふっ。なら半分こしちゃう? いろんなの、二人で分けて食べようよ!」

キャル(これがあたしの幸せ。あたしの求めていた、愛のある暮らし)

キャル(ここがあたしの──)

キャル「半分こにしましょ♪ 三つとも、全部食べたいもん!」

母親「よーっし、スイーツバイキングだー!」

ザザッ……

ザッ……ザザーッ……

…………

キャル「ん~……ふにゃあ~……」

母親「キャルちゃ~ん? 起きた~? もう朝だよー!」

キャル「眠い……」

母親「朝ご飯はキャルちゃんの好きなふわとろオムレツだよ~?」

キャル「おはよーっ! えへへ、ママ~♪」

母親「あはは、食いしん坊さんだ♪ よしよし、一緒にご飯食べよ~ね」

キャル「あたし食器並べるわね! フォークは、えっと……あれ? どこだったっけ……?」

母親「んもう、寝ぼけてるの~? そこの食器棚でしょ~?」

キャル「あっ、そうだったそうだった! あはは、寝ぼけてるみたい。急いで顔洗ってくる!」

母親「あらら、食器は結局並べてくれないのー?」

キャル「すぐ戻るからー!」

ザーッ……ザッ……

……ルちゃ……ザザッ…………

ザーッ……ザザザ……

…………

キャルちゃんっ……!

キャル「……あれ?」

キャル「ここ、どこかしら……? 真っ暗で何も見えない……」

キャル「うぅ……」

キャル「ま、ママっ……! ママ! どこ!? ママっ!」

キャルちゃん! キャルちゃん!

キャル「ママ……? どこにいるの……? ママ、あたし怖い……」

目を開けてください! キャルちゃんっ!!

キャル「だ、誰? あんた、ママじゃないわね……! あたしはママのところに帰りたいの! 邪魔しないで!」

キャル「あたしの居場所はここなの! ずっとママと一緒にいるの! あたしはあんたのところには帰らない!」

キャル「帰らない……」

キャル「…………あたし、目を覚ましたくない」

キャルちゃん! お願いですから目を開けて! キャルちゃん! キャルちゃん!!

ザーーーー…………

…………

………………

……ザザッ

ザーッ…………

キャル「ただいまー」

母親「おかえり、キャルちゃん!」

キャル「ママっ、抱っこ~」

母親「あれー? 甘えん坊さんになっちゃった。ふふ、おいでおいで♪」

キャル「……ぎゅ~」

母親「よしよし。い~こ、い~こ……♪」

キャル「んふふ……♪ ママ大好き……」

母親「……」

キャル「ママ?」

母親「……学校で何か嫌なことがあったのかな?」

キャル「学校? あたし、学校に行ってたんだっけ?」

母親「キャルちゃん?」

キャル「あっ、ううん、なんでもない!」

キャル「嫌なことなんてなかったわ! 今日もすっごく楽しい一日だった♪」

母親「そう? もし何かあったら──」

キャル「うん。ママに相談する。ママはあたしの味方だもんね。何があっても、絶対に……」

母親「そうだよ。ママはいつでもキャルちゃんの味方。ずっと、ずーっと」

キャル「……ねぇ、ママ?」

母親「なぁに?」

キャル「あたしがこの家を出たいって言ったら、どうする?」

母親「言ったよね。ママはキャルちゃんの味方。キャルちゃんに何かやりたいことができたり──」

母親「大切な人ができたら。ママはキャルちゃんの背中を押してあげるよ」

キャル「大切な人……。あたしが大切なのはママだけよ……?」

母親「……」

キャル「……あたしがいなくなったら、ママは寂しい?」

母親「当たり前だよ。キャルちゃんはママの宝物だもん。ママの大事な、大事な宝物」

キャル「えへへ……。ごめんね、変なこと聞いて! あたしはずーっとここにいるから大丈夫!」

母親「うんっ♪ ずっと一緒にいようね。ありがと、キャルちゃん」

母親「そうだ! ママね、クッキーを焼いたんだ~♪ 一緒に食べよ?」

キャル「食べる食べる! お茶も淹れてお茶会にしましょ♪ ママとお話ししたいこと、たっくさんあるんだから!」

ザッ……ザッ……

…………ザザ……

ザーッ……ザ……

……………………

キャル「みゃうみゃう~、みゃお~♪」

母親「キャ~ル~ちゃんっ! 背中流してあーげるっ♪」

キャル「うひゃあっ!? ま、ママっ!? 急に入ってこないでよー! エッチー!」

母親「えー。いつも一緒に入ってるのに~」

キャル「そ、そうだっけ……? ううん、それでもっ! 急に来たらビックリしちゃうから!」

母親「あはは、ごめんごめ~ん。お詫びに髪も洗ってあげる。だから許して~?」

キャル「髪も? けど、大変よ? あたしの髪は長いし、量も多いし……」

母親「しゃ~かしゃ~か♪ も~ふも~ふ♪」

キャル「聞いてないし……」

母親「そうそう、お風呂あがったらアイス食べよ~よ! 美味しそうなアイスが売ってたから買ってきちゃったんだ~♪」

キャル「あんたってやつは、またそうやって食べ物ばっか買い込んでさ。……あれ?」

母親「どうしたの~? 目にシャンプー入っちゃった?」

キャル「そうじゃなくて……。あたし、今ちゃんとママと話してたわよね……? なんだか違う人と話してたみたいな……」

母親「えっ……もしかして、オバケ……?」

キャル「ややや、やめてよ……! あたしがオバケ苦手なの知ってるでしょっ!? う~……ママぁ……」

母親「あはは、大丈夫大丈夫。ママがちゃんと守ってあげるから。ほら、目が痛くなっちゃうといけないから、目を瞑ってて?」

キャル「うん……。抱っこしててもいい?」

母親「洗いづらいよ……。う~ん、でもしょうがない。おいでおいで~♪」

ザザ……ザザーッ……

キャ……ちゃんっ……!

ザッ……ル……ザザッ…………

お願……ザザ…………わたしの……ザーッ……

ザーーーーーーー

キャル「…………」

母親「キャルちゃ~ん? お~い。バター取ってってばー。キャルちゃ~ん?」

キャル「へ? あっ、ごめんなさいっ。バターね。はい、ペコリーヌ」

母親「ありがとっ。もうちょっとでママ特製ハンバーグの完成だよ~♪」

キャル「……ん? あたし、今ママのことなんて呼んだ?」

母親「んー? なんて呼んだかなぁ?」

キャル「やだ、なんか怖い……。ママ、あたし大丈夫かしら……?」

母親「大丈夫だよ。キャルちゃんは何も悪くないんだから。……よいしょっと! さてっ、出来上がり~♪」

キャル「ママ……。ねぇ、ママ……?」

母親「どうしたの~、キャルちゃん。そんな寂しそうな顔しちゃって。虫歯でもできちゃった?」

キャル「…………」

母親「……あらら。抱っこなの? 甘えたくなっちゃった?」

キャル「…………」

母親「う~ん、どうしたのかなぁ? 今日はハンバーグの気分じゃなかったとか?」

キャル「……食べたくない」

母親「どうして?」

キャル「……」

キャル「あたしも聞きたい。どうして?」

キャル「どうしていっつもあたしに食事をさせようとするの?」

母親「あはは。そんなの、キャルちゃんに幸せになって欲しいからに決まってるじゃん」

キャル「食事なんて……! 食事なんて当たり前のことだもん……幸せになんか……」

母親「大切な人とご飯を食べると、とっても幸せな気持ちになれるでしょ? キャルちゃんだって知ってるよね?」

キャル「…………うん」

母親「やっぱり食べたくないかな?」

キャル「ごめんなさい……」

母親「ううん、謝らないで? ママはいつでもキャルちゃんの味方だよ」

『わたしはいつだってキャルちゃんの味方ですよ!』

キャル「うぅ……」

母親「焦らなくていいの。大丈夫、ママがついてるから。だから、今日はもう休もう?」

キャル「…………」

ザーーーーーーー

ザザッ……ちゃんっ! キャルちゃん!

聞こえてますか!? キャルちゃんっ!

目を開ザザザッ…………

ザーーーーーーーーーー

母親「おはよ、キャルちゃん。気分はどう?」

キャル「ん~……頭が重い……」

母親「まだ寝ててもいいよ? どうする?」

キャル「起きるぅ……」

母親「うんうん、キャルちゃんはえらいね♪ い~こ、い~こ……♪」

キャル「……」

キャル「…………このままじゃダメなのかな?」

母親「ダメじゃないよ。でも、キャルちゃんは幸せになれない」

キャル「ママといるのが一番幸せなのに?」

母親「ねっ、今日はまた買い物に行かない? ママとデートするの♪」

キャル「……行かない」

母親「そっか……。まだ具合が良くないのかな?」

キャル「ママ……抱っこして……」

母親「いいよ~? 抱っこなんて、いつでも、いくらでもしてあげるんだから! ぎゅ~っ☆」

キャル「……ママぁ」

母親「よしよし。泣かないで、キャルちゃん」

母親「今日は一日ゆっくりしようね。このままずーっと抱っこしててあげるから」

キャル「ふぇ、ぐすっ……うえ~~ん……」

キャル「すぅ……すぅ……」

母親「……」

キャル「むにゃ……ママ……」

母親「キャルちゃん……。大丈夫だよ。ママはずっとキャルちゃんのそばにいるからね」

キャル「えへ……」

母親「…………」

キャル「ん……ふにゅ……」

母親「起きた? おはよ、キャルちゃん♪」

キャル「んぁ……寝ちゃってた……?」

母親「ぐっすり眠ってたよ~? 疲れちゃってたんだね。よしよし♪」

キャル「えへへ……♪」

母親「こうやって抱っこしたままお昼寝してると、昔キャルちゃんが風邪をひいちゃった時のことを思い出すよ~」

キャル「……?」

母親「あの時は心臓が止まるかと思っちゃった。キャルちゃんが死んじゃうんじゃないかって、一瞬も気が休まらなくて」

母親「そう思うとね、今はすっごく幸せだな~って思うんだ。キャルちゃんが元気でいてくれて、ニコニコしてくれてて……」

キャル「ママがいるからよ? ママがあたしを抱きしめていてくれるから、だからあたしは笑顔になれるの」

キャル「ふふっ……♪ すりすり……♪」

母親「キャルちゃんは本当にいい子だね。かわいくて、素直で。賢くて、優しい……最高の娘だよ」

キャル「ほ、褒めすぎよ……照れちゃうじゃない……♪」

母親「──。────、─────……♪」

……………………

…………

キャル(夢はいつか覚めるもの)

キャル(悲しい夢も、恐ろしい夢も、幸せな夢であっても。いつかは必ず覚めてしまう)

…………ザッ……

キャル(あたしの幸せ。求め続けた愛情)

キャル(……あたしの居場所)

キャ……ん……

キャル(だけど。だけど。最高に幸せなはずのこの日常が、どうしても物足りなく思えてしまうのは──)

キャルちゃん…………帰ってきてください……

大好きなキャルちゃん……とっても寂しがり屋で、ちょっぴり素直じゃないキャルちゃん…………
大切な、わたしのお友だち。

また一緒にご飯を食べましょう。
楽しいねって食卓を囲んで、美味しいねって笑いあって。

キャル(──あたしがきっと、お腹ぺこぺこだから)

帰りましょう、キャルちゃん。わたしたちの居場所に。

帰ってきてください。わたしの元に。

キャル「…………ん」

母親「おはよ。……おはよう、キャルちゃん」

キャル「おはよう、ママ。今は何時くらい?」

母親「お昼だよ。すっごくいいお天気なんだ~♪ こういう日は気分も明るくなっちゃうよね!」

キャル「そうね。こういう日は、外にお出かけしたくなるわよね~」

母親「お出かけする? お出かけしちゃう? どこでも連れて行ってあげるよ!」

キャル「じゃあね~、あたしピクニックに行きたい! お弁当を持っていって、原っぱで食べるの!」

母親「お~! いいね~♪ さっそく準備しちゃおー!」

キャル「ねぇママ? あたしも手伝っていい? あたしね、おにぎりが握れるようになったのよ♪」

母親「キャルちゃんがおにぎりを……! う~、ママ感動で涙が……」

キャル「大袈裟すぎ。ママったら、つくづく親バカなんだから」

母親「『ママ』ってそういうものだよ~? 子供がいくつになっても心配するし、成長したら飛び上がって喜んじゃうの」

キャル「ふぅん? ま、子供からすればちょっと鬱陶しいけどね」

母親「ぶ~……」

キャル「あははっ♪ ほら、ママ! お弁当つくろ♪」

キャル「お弁当は持ったし、おしゃれもバッチリ……♪ あとは、ママに買ってもらった赤いリボンを……」

母親「ママがやってあげる♪ こっちおいで~」

キャル「うんっ。しっかり結んでくれる? 絶対に取れないくらい、キツく」

母親「そんなことしたら髪が傷んじゃうよ?」

キャル「それでも。お願い、ママ」

母親「わかったよぉ……。けど、あとでちゃんとお手入れするんだよ? 約束だからねっ」

キャル「……うん。約束」

母親「い~こ、い~こ……♪」

キャル「んふふ……♪」

母親「…………んしょ、んしょ、っと。できたよ~♪」

キャル「えへへ、ありがとっ♪ どう? かわいい?」

母親「さいっこうにかわいい!」

キャル「ま、当然よね。だってママの子だもん♪」

母親「んん? それってママもかわいいってこと? うへへへへ~……」

キャル「はいはーい、グズグズしてると置いてっちゃうわよ~」

母親「あぁん、待ってよぉ~!」

キャル「ふふ。一緒に行きましょ、ママ。手を繋いでのんびり歩いていくの。大人になってからも思い出せるように、ゆっくり」

母親「おぉ……なんだか大人っぽいね、キャルちゃん……♪」

キャル「たまにはね。あたしだって、もういい歳なんだから。そんじゃ──」

キャル「いってきます」

母親「とうちゃーっく! ん~、いい風だ~……♪」

キャル「森の近くの原っぱ……あたし、前にもここに来たことあったっけ?」

母親「うん、あるよ。ここはキャルちゃんの思い出の場所でしょ? 忘れちゃった?」

キャル「忘れちゃった……」

母親「じゃあ、ちゃんと思い出さないとね~。お弁当を食べながらお話ししよっか♪」

キャル「……ママ」

母親「んもぉ~、キャルちゃんはほんとに寂しがり屋さんなんだから~♪ よしよ~し♪」

キャル「んぅ……えへへ……♪」

母親「どうする? もうちょっとお散歩してからお弁当にする?」

キャル「……ううん。食べちゃいましょ。あたしね、すっごくお腹空いてるの。もうぺこぺこなんだから!」

母親「よっし! じゃあ敷物を敷いてお弁当を広げよう! キャルちゃんも手伝って!」

キャル「ちょっ、張り切りすぎよ……! ほ、ほらっ、敷物が風に煽られて……ひゃあああっ!?」

母親「あはははは! ママたちまで飛ばされちゃいそ~♪」

キャル「笑ってる場合じゃないってばぁ!」

キャル「はぁ、はぁ……はぁ~~~…………疲れたぁ……」

母親「食べよ食べよ~♪ キャルちゃんの握ってくれたおにぎりはどれかなぁ~♪」

キャル「……これじゃない? 形がちょっと不格好だし」

母親「趣のある形のやつだね。も~らいっ♪」

キャル「お、美味しくできてるとは思うけど……不安だわ……」

母親「食べる前から心が幸せだし、へーきへーき」

母親「キャルちゃんはどれにする? おかずコーナーでもいいよ~? たまご焼きとか、ミニハンバーグとか!」

キャル「全部食べるっ! ねぇママ~? 食べさせて~♪」

母親「いいけど……ママがおにぎり食べてからでもい~い?」

キャル「感想、ちゃんと聞かせてくれるならねっ!」

母親「もちろんっ! それじゃあ……いただきまぁす♪」

母親「もぐもぐもぐっ……おいひい~☆」

キャル「ほんとっ? えへへ、よかったぁ……♪」

母親「あはは、ほんとに美味しいよ♪ 自信持って大丈夫! これからもいっぱいつくってね!」

キャル「や、やばいわね……えへへ……料理に目覚めちゃいそうよ……♪」

母親「……今度はキャルちゃんの番。ハンバーグでいいかな? ママの自信作なの」

キャル「うん、食べたい。この前は食べられなかったから……」

母親「きっと唸るほど美味しいよ~? これからはハンバーグが大好物になっちゃうかも!」

母親「…………」

キャル「ママ?」

母親「あ、ごめんね! はい、あーん……♪」

キャル「ん……あ~ん……はむっ」

キャル「むぐむぐ……あはは、美味しい……♪ ふふっ……涙が出るほど美味しいよ、ママ……」

母親「うんっ♪」

キャル「こんなに美味しいんじゃ、ほんとに大好物になっちゃうじゃない……。一生忘れられないわよ、こんなの……」

キャル「ペコリーヌたちに自慢してやるんだから……。あたしのママは……夢の中のママは、ほっぺが落ちるほど美味しいハンバーグをつくってくれたんだ、って……」

母親「……よかった。思い出せたんだね」

キャル「ええ、全部……。全部思い出した……」

キャル「やっぱりここはあたしの夢の中だったのね……」

母親「正確には『幸せな夢の中』、だよ」

キャル「…………そうだ。あたしは、『幸せをくれる宝物』の噂を聞いたのよ……それで【美食殿】の連中と洞窟に探検しに来たんだったっけ」

キャル「実際にはそんな宝物なんてなくて、ガッカリしてたら急に魔物に襲われちゃって……それで……」

母親「あはは。残念そうにしてるキャルちゃんの姿が目に浮かぶな~」

母親「でも、宝物こそなかったけどね? 『噂』の方はまったくの嘘ってわけでもないんだよ」

キャル「それが、この夢……?」

母親「そう。キャルちゃんのことを襲った魔物……その魔物は、人に夢を見せる力を持った魔物なの」

母親「それも、その人が望んでることを絶対に叶えてくれる幸せな夢」

母親「嫌な現実の記憶なんてキレイに忘れちゃって、ただひたすら幸せに溺れることができる夢のような夢」

キャル「……ここはあたしにとって、まさに理想の世界だったわ」

キャル「優しい家族との愛情に満ち溢れた暮らし……あたしだけに愛情を注いでくれる大切なママとの生活……」

キャル「理想の世界。手放したくない、あたしの幸せ」

母親「本当に?」

キャル「ほ、ほんとよ……いつまでもママと一緒にいたいもん……」

母親「キャルちゃん、ここに来てから一度も食事をしてくれなかったんだよ? 覚えてるかな?」

キャル「覚えてる……ちゃんと……」

母親「それはね。幸せで満ちた世界に、最初からあった歪み。キャルちゃんの迷い。そうだなぁ、命綱みたいなもの、かなぁ?」

キャル「記憶、ちゃんと全部消してくれたらよかったのに……。そうしたら、あたしは何不自由なくこの世界で幸せに暮らせたはずよ……」

母親「ごめんね……。けどね? 消えなかったってことは、キャルちゃんにとってそれだけ幸せな記憶だったってことなんだよ」

母親「ペコリーヌちゃんたちとの記憶が、この幸せな夢の世界でも色褪せないくらい強く残ってたってことなんだよ!」

キャル「そう、なのかな……?」

母親「はぁ……ママにはあんなに素直なのに、ペコリーヌちゃんのこととなると途端に意地っ張りになっちゃうんだもんな~」

キャル「……怖いんだもん」

母親「うんうん、大事な人に嫌われちゃうかもしれないのってすごく怖いよね」

キャル「ペコリーヌのやつが異常なのよ……。あんなにグイグイ近づいてきて、あたしの心の中までズケズケ踏み込んできてさ……!」

母親「あはは。あの子はきっとキャルちゃんとは正反対なんだよ」

母親「寂しがり屋で、意地っ張りで。だけど、それを悟られたくなくて。だからいつも笑顔をつくって距離を詰めようとするの」

母親「ツンツンして距離を取ろうとするキャルちゃんとは真逆だね」

キャル「……もしも、あたしが素直になったら?」

母親「ペコリーヌちゃん、嬉しくなってどんどん距離を縮めようとするんじゃないかな?」

キャル「な、なによそれ……今と変わんないじゃない……」

母親「変わんないよ。だから怖がらなくても大丈夫。キャルちゃんの素直な気持ち、伝えてみようよ」

キャル「でも、あたしはっ……! ペコリーヌの……敵で……」

母親「……うん。この場所で。最初にペコリーヌちゃんを傷つけようとしたんだったね」

キャル「あっ、ここ……この原っぱ、初めてペコリーヌたちと会った場所なんだっけ」

母親「キャルちゃんってば、ママと過ごしてる間も、こうしてペコリーヌちゃんたちとの思い出を無意識のうちに夢の中に反映させててさ~」

母親「ママちょっとヤキモチ焼いた。む~」

キャル「ごめんね、ママ……」

母親「ともかく! この場所から全ては始まったんだよ!」

キャル「そうね……あの時、ここで。あたしとペコリーヌが敵対することが決まったの」

母親「ここから仲良くなったの。この場所で、キャルちゃんとペコリーヌちゃんは繋がった。目を逸らしたらダメだよ」

キャル「……」

キャル「…………あたしだって、ほんとは敵対したくない。あたしはペコリーヌともっと仲良くなりたい……」

キャル「ペコリーヌとずっと一緒にいたいの……! コロ助の面倒を見たり、あの馬鹿をからかったり……アホみたいに騒がしくて、だけど幸せな──」

キャルちゃんっ! お願いだから目を覚まして! キャルちゃんってば!!

キャル「……ごめんね、ママ。あたし、ペコリーヌの声に応えたい。やっぱりあたしはあいつらのことが大事みたいだわ」

キャル「優しくてあったかい、あたしの居場所。現実のあたしが幸せだって思える唯一の場所なんだ」

母親「じゃあ、帰らないとね」

キャル「…………うん」

母親「あははっ、そんな悲しそうな顔しないでよ♪ 言ったでしょ~? ママはいつまでもキャルちゃんのそばにいるって!」

キャル「ママも……一緒に来てくれる? 目を覚ましたあとも、またあたしを抱きしめてくれる……?」

母親「……それは難しいかな」

キャル「……っ」

母親「ママはほら、キャルちゃんの記憶からつくられた『理想のママ』だから。キャルちゃんを幸せにするためだけに生まれた夢の世界の住人……」

母親「でもねっ! キャルちゃんが寂しくなった時とか、辛い時には、必ずキャルちゃんの夢に会いに行くから!」

キャル「それじゃダメよ……ダメなんだから……」

母親「キャルちゃん……」

キャル「あた、あたしにはっ、ペコリーヌがいるしっ! 寂しくなんてならないし、辛い時にはあいつらを頼っちゃうんだよ?」

キャル「ママが心配するようなことはっ、全然なくてっ……! だか、ら……だから……」

母親「……わかった。じゃあ、約束」

キャル「ふぇ……?」

母親「キャルちゃんが幸せだなーって思ったこと、夢の中でママに教えて? そうしたら、ママも幸せになれちゃうし♪」

キャル「や、約束……! あたしの幸せ、ママにも分けるから! 絶対会いに来る……! 約束……」

母親「ほらっ、そろそろペコリーヌちゃんを安心させてあげないと!」

キャルちゃん! うぅ……キャルちゃぁん……!

キャル「ね、ねぇママ!」

母親「うん? どうしたの?」

キャル「ママが前に言ってくれたこと! あたし、夢から覚めたくなくて耳を塞いじゃったけど……ちゃんと聞こえてたの!」

キャル「『キャルちゃん。ほんのちょっとの間だったけど、キャルちゃんのママになれてよかった……♪』」

キャル「あたしの願いを叶えてくれてありがとう……! あたしも、ママと過ごせてよかったっ……♪」

母親「ふふっ……その言葉が聞けただけでも、ママは生まれてきた甲斐があったって思えるよ……♪」

母親「…………キャルちゃん。ママの大事なキャルちゃん。キャルちゃんには幸せになる権利がちゃんとある。だから──」

キャル「ママ……? 身体が透けて……」

母親「幸せになってね、キャルちゃん……♪」

キャル「えっ、あっ……ママっ……ママぁっ……! やだ、待って! お別れしたくないよっ……ママ……!」

母親「うぅ……キャルちゃん……キャルちゃぁん……うぅぅ……」

キャル「う、ぁ……あぁ……あぁぁ…………」

キャル「…………」

キャル「…………ぐすっ、えへへ」

キャル「約束! 幸せになって、会いに──」

………………

…………

……

キャル「ん……ぅ……」

ペコリーヌ「キャルちゃん……? きゃ、キャルちゃんっ!!」

キャル「ペコリーヌ……?」

ペコリーヌ「あぁっ、よかった……! やっと目を開けてくれました……! キャルちゃん……よかったぁ……」

キャル「……あたしどれくらい眠ってた?」

ペコリーヌ「えっ? い、一時間くらいですかね……? もっと短いかもしれません……」

ペコリーヌ「声をかけても揺すっても、全然起きてくれないし……お顔は紙みたいに真っ白になっちゃうし……」

ペコリーヌ「このまま死んじゃうんじゃないかって思ったんですからね……?」

キャル「そっか……ごめんね、ペコリーヌ……」

ペコリーヌ「ほんとですよ! まったく、わたしがどれだけ心配したと……どれだけっ……」

キャル「あはは……なんて顔してんのよ、あんた……」

ペコリーヌ「だ、だってぇ……グスッ……」

キャル「…………抱きしめて、ペコリーヌ」

ペコリーヌ「えっ、えっ? いいんですか……?」

キャル「お願い……」

ペコリーヌ「……はい♪」

ペコリーヌ「ぎゅーっ……♪」

キャル「ありがとう、ペコリーヌ。ずっとあたしのそばにいてくれて。嬉しかった……♪」

ペコリーヌ「きゃ、キャルちゃん……? なんだかすっごく素直ですけど……」

キャル「うん。勇気、出してみることにしたんだ。約束したからさ」

ペコリーヌ「……???」

キャル「あたしね。夢を見てたの。幸せな夢」

キャル「……ねぇ、聞いてくれる? あたしのこと。夢のこと。それから、『ママ』のこと」

ペコリーヌ「わかりました。キャルちゃんのお話、わたしに聞かせてください!」

ペコリーヌ「……っと。その前にっ」

キャル「な、なによ……?」

ペコリーヌ「おかえりなさい、キャルちゃん。それと……おはよう、キャルちゃん♪」

キャル(しばらく抱き合って、そのあとあたしはペコリーヌに全て話して聞かせた)

キャル(夢で起こったことだけじゃなくて、今までのことも。……『陛下』とのことも、ちゃんと)

キャル(あとは、寂しかったこととか、みんなと仲良くなりたいってこととか……とにかく思いつく限りをぶちまけた)

キャル(ペコリーヌはしばらく黙って聞いてくれていたけど、途中からは『わたしもです』だとか、『知ってました』なんて相槌を挟んでくれたりして)

キャル(そうそう。いつから聞いてたのかは教えてくれなかったけど、途中からコロ助たちも聞いてたのよね)

キャル(なんでも、あたしを襲ったあの魔物を退治しに行ってたんだって。あたしが目を覚まさない原因が、そいつにあるんじゃないかって思ったみたい)

キャル(まぁ、結局倒せなかったらしいけど。急にフッと消えちゃったそうよ。多分、あたしが夢を終わらせたからだと思う)

キャル(ともあれ。慌てて戻ってきたコロ助たちは、のんきにお喋りするあたしたちを見て不貞腐れちゃって)

キャル(謝ったり撫で回したり、散々ご機嫌をとったあと、みんなで手をつないで帰ることを条件にようやく機嫌を直してくれた)

キャル(町に戻ったあとは……うん、いつものようにみんなでご飯を食べたってわけ。当然よね)

キャル(四人で食卓を囲んで、アホみたいに騒いで。どいつもこいつもそれはもう楽しそうに笑っててさ)

キャル(……今まではいつも羨ましいって思ってた。見ないフリをしてきた、夢のような現実)

キャル(あたしの現実)

ペコリーヌ「このイチゴのショートケーキ、ビックリするほど美味しいですよっ♪ キャルちゃんも食べてみてください!」

コッコロ「わたくしのマスカットアイスもぜひ……♪」

キャル「うん、ちょうだい! 代わりにあたしのクレープも一口あげるわ。みんなでちょっとずつ分け合いましょ♪」

一ヶ月後──

キャル「はぁ……新しい仕事、死ぬほど疲れるわ~……。頭使うし、目も疲れるし、あっという間に参っちゃいそうよ……」

ペコリーヌ「前のお仕事はクビになっちゃったんですよね……う~、かわいそうに……」

キャル「クビじゃなくて部署替え。転職……ってほどでもないしね」

キャル(あたしのことを唯一『家族』と呼んでくれるあのお方。少し前までは、その方に仕えてプリンセスナイトの監視とペコリーヌの抹殺をするべく動いていた)

キャル(でも、あたしにはもうその任務は遂行できなくなっちゃったから……殺される覚悟で陛下にお願いしてみると──)

キャル「正直なところ、通るなんて思わなかったわ。ま、まぁめちゃくちゃ怒られたし、ちょっと痛い目も見たけど……」

ペコリーヌ「…………」

キャル「怒らないで、ペコリーヌ。あの人なりの優しさなのよ、きっと」

キャル「書類の整理とか、秘書みたいな仕事に回してくれてさ。結局あたしをそばに置いてくれてるわけだし」

ペコリーヌ「……お家は追い出されちゃったじゃないですか」

キャル「ふふっ、そうね。ま、そのおかげで──」

キャル「着いた着いた。ただいま~」

ペコリーヌ「ふぅ♪ おかえりなさい、キャルちゃんっ☆」

キャル「ええ。おかえり、ペコリーヌ」

ペコリーヌ「えへへ……ただいま♪」

キャル(コロ助たちのいる【サレンディア救護院】に置いてもらおうって話も出たのよね。あたしは年齢的にまだ子供だし)

キャル(ま、断っちゃったんだけど。……ペコリーヌが『わたしと暮らしませんか』って誘ってくれたから)

ペコリーヌ「キャルちゃ~ん、おいでおいで~……♪」

キャル「……ん」

ペコリーヌ「ぎゅ~っ……☆」

キャル「か、代わりじゃないからね……? あたしは、あんただからこうしたくて……!」

ペコリーヌ「んもう、抱きしめるたびに言ってますね、それ。ちゃんとわかってますよ~だ」

ペコリーヌ「まったくもう、ちょっとヤキモチ焼いちゃいます。うちにいる間はわたしのことだけを考えてほしいのにっ」

キャル「不安になっちゃうんだもん……仕方ないじゃない……」

ペコリーヌ「その不安ごと、わたしが抱きしめてあげます。だからキャルちゃん」

ペコリーヌ「わたしのことも抱きしめてくださいね? 離さないように、ギュッて」

キャル「……うん。離さないわよ、大切だもん」

キャル(──これが今のあたしの生活。あたしの居場所)

キャル(大切な人から注がれる愛情と、大切な人へと注ぐ愛情で満ちた、あたしたちの幸せの形)

キャル(あの日、ママに出会えたから……だからあたしは幸せになれたんだよ?)

キャル「ペコリーヌ~……もう寝よ~……」

ペコリーヌ「あらら、ねむねむですね? 足元がフラフラしちゃってます。やばいですね」

キャル(……幸せになれたんだよ。すごいでしょ? ママに話すこと、たくさんできたの♪)

キャル「ふにゃ~……ベッドふかふか~……♪」

ペコリーヌ「それわたしの体ですよ?」

キャル「ペコリーヌ~♪ すりすり……♪」

ペコリーヌ「ふふ。今日はもう寝ましょ~か。リボン、解いちゃいますね?」

キャル「着けたまま寝るぅ……」

ペコリーヌ「えへへ……わたしとお揃いのこのリボン、気に入ってくれてるみたいで嬉しいです♪」

ペコリーヌ「嬉しいですけど、寝るときはしまっておきましょうね? 明日また結んであげますから」

キャル「む~……。約束よ……?」

ペコリーヌ「はい、約束です♪ おやすみなさい、素直でかわいいキャルちゃん……♪」

キャル「んぅ……おやす……み…………」

キャル「すぅ、すぅ……」

ペコリーヌ「……いい夢が見られますように♪」

………………

…………

……


「ママっ! 聞いて聞いて! 今日ね、すっごくいいことがあったの!」

「そうなの~? じゃあ、お茶しながらゆっくり聞かせてっ♪」



.

おしまい

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